JP2022054788A - 疲労試験システムおよび疲労検査システムならびに試験解析プログラムおよび検査解析プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】温度および時間による疲労強度の低下を考慮した総合的な評価を行う疲労試験システムおよび疲労検査システムならびに試験解析プログラムおよび検査解析プログラムを提供する。【解決手段】試験対象物1のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験を行う疲労試験システム10において、試験装置11、12、13と試験用解析装置14とを備え、試験用解析装置14は、熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および破断繰り返し数に基づいた時間を変数とする第一の時間-温度パラメータと、ひずみ振幅および試験対象物1の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅との相関を試験結果として出力する構成である。【選択図】図1
Description
本発明は、疲労試験システムおよび疲労検査システムならびに試験解析プログラムおよび検査解析プログラムに関し、より詳細には、力学的負荷、温度、時間を考慮する疲労試験システムおよび疲労検査システムならびに試験解析プログラムおよび検査解析プログラムに関する。
繰り返し変動する温度下で圧縮および引張が繰り返し作用するエンジンのピストンを構成する部材の熱サイクル疲労を評価する試験として熱疲労試験がある。この熱疲労試験では、試験対象物に付与する力学的負荷の変化と試験対象物の温度の変化とを同調させて、試験対象物におけるひずみ振幅と破断繰り返し数との相関であるε-N線図を求めている。
しかながら、エンジンのピストンを構成する部材がアルミニウムの場合に、熱疲労試験を複数の熱疲労試験温度で実施すると、熱疲労試験温度ごとにひずみ振幅と破断繰り返し数との相関が異なる結果となる。また、アルミニウムは所定の温度下において経過時間ごとに硬度が変化する特性を有する。このように、使用される温度や使用時間よって疲労強度が低下する部材に対してはひずみ振幅と破断繰り返し数との相関で得られる力学的負荷に基づいた結果のみでは正確にその疲労を評価することができない。
熱疲労試験ではないが、発電プラントや燃焼タービンなどの高温かつ応力下で長時間使用されるものに生じるクリープ変形によるクリープ破断が起るまでの寿命を推定する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この種の手法は、試験片に高温の一定温度下で降伏点未満の低い引張力を一定に加え続け、ひずみや破断時間を測定することで材料特性を評価するものであり、Larson-MillerパラメータやManson-Succopパラメータなどの時間-温度パラメータを用いた外挿推定により短時間で試験可能になっている。
上記特許文献1に記載の手法のように、長時間の使用で生じるクリープ破断に関する寿命を推定する手法では使用温度や時間経過が用いられている。しかしながら、熱疲労試験の結果に温度変化や時間経過による疲労強度の低下を考慮した総合的な評価指針はない。それ故、使用される温度や使用時間よって疲労強度が低下する部材に対して熱疲労試験で得られた結果に基づいて評価しようとしても、正確な評価を行うことができなかった。
本開示の目的は、温度および時間による疲労強度の低下を考慮した総合的な評価を行う疲労試験システムおよび疲労検査システムならびに試験解析プログラムおよび検査解析プログラムを提供することである。
上記の目的を達成する本発明の一態様の疲労試験システムは、試験対象物のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験を行う疲労試験システムにおいて、前記試験対象物に前記熱疲労試験を行う試験装置と前記熱疲労試験の結果を解析する試験用解析装置とを備え、前記試験用解析装置は、前記熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および前記破断繰り返し数に基づいた時間を変数とする第一の時間-温度パラメータと、前記ひずみ振幅および前記試験対象物の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅との相関を試験結果として出力する構成であることを特徴とする。
上記の目的を達成する本発明の一態様の疲労検査システムは、検査対象物の疲労を検査する疲労検査システムであって、前記検査対象物に作用した実等価応力振幅に関するパラメータを測定する検査用測定装置と、この検査用測定装置で測定した前記パラメータならびに任意の温度および時間とが入力される検査用解析装置と、を備え、前記検査用解析装置は、試験対象物のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および前記破断繰り返し数に基づいた時間を変数とした第一の時間-温度パラメータの算出式と、前記ひずみ振幅および前記試験対象物の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅ならびに前記第一の時間-温度パラメータの相関を示す累乗近似式とを有し、前記算出式の変数に入力された前記温度および時間を代入して得られる第三の時間-温度パラメータを、前記累乗近似式に入力された前記パラメータに応じて求まる実等価応力振幅を代入して得られる第四の時間-温度パラメータで除算した値を算出し、算出したその値を疲労損傷ダメージとして出力する構成であることを特徴とする。
上記の目的を達成する本発明の一態様の試験解析プログラムは、試験対象物のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験の疲労解析プログラムであって、試験用解析装置に、前記熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および前記破断繰り返し数に基づいた時間を変数とする第一の時間-温度パラメータを算出させる手順と、前記ひずみ振幅および前記試験対象物の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅を算出させる手順と、算出させた前記第一の時間-温度パラメータおよび前記等価応力振幅の相関を試験結果として出力させる手順とを実行させることを特徴とする。
上記の目的を達成する本発明の一態様の検査解析プログラムは、検査対象物の疲労を検査する検査解析プログラムであって、試験対象物のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および前記破断繰り返し数に基づいた時間を変数とした第一の時間-温度パラメータの算出式と、前記ひずみ振幅および前記試験対象物の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅ならびに前記第一の時間-温度パラメータの相関を示す累乗近似式とを有し、検査用解析装置に、前記算出式の変数に任意の温度および時間を代入して第三の時間-温度パラメータを算出させる手順と、前記累乗近似式に検査用測定装置が測定したパラメータに応じて求まる前記検査対象物に作用した実等価応力振幅を代入して第四の時間-温度パラメータを算出させる手順と、算出させた前記第三の時間-温度パラメータを前記第四の時間-温度パラメータで除算した値を疲労損傷ダメージとして出力させる手順を実行させることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、熱疲労試験の試験結果を、ひずみ振幅と破断繰り返し数との力学的負荷の関係のみではなく、温度および時間による疲労強度の低下を考慮して整理することで、総合的な評価を行うことができる。
以下に、本開示における疲労試験システムおよび疲労検査システムならびに試験解析プログラムおよび検査解析プログラムの実施形態について説明する。具体的に、第一実施形態として、試験用解析装置14に試験解析プログラム20が記憶された疲労試験システム10を例示し、第二実施形態として検査用解析装置32に検査解析プログラム40が記憶された疲労検査システム30を例示する。
図1に例示するように、第一実施形態の疲労試験システム10は、試験対象物1のひずみ振幅εと破断繰り返し数Nとの相関を得る熱疲労試験を行うものであり、負荷付与装置11、温度調節装置12、および、試験用測定装置13からなる試験装置と試験用解析装置14とを備えて構成される。また、疲労試験システム10は、試験対象物1の引張強度σBを測定可能な引張試験を行うものである。
本開示において、熱疲労試験とは試験対象物1に降伏点前後となるひずみを試験対象物1に破断が生じるまで繰り返し与えた場合の破断繰り返し数Nfを計測し、ひずみ振幅ε(塑性ひずみ範囲Δεp)と破断繰り返し数Nfとの相関であるε-N線図を得られる試験である。熱疲労試験としてはε-N線図が得られればよく、低サイクル疲労試験や高サイクル疲労試験に限定されず、高温回転曲げ疲労試験も例示される。
負荷付与装置11は試験対象物1に力学的負荷として圧縮および引張を与える装置である。負荷付与装置11は熱疲労試験において圧縮および引張により試験対象物1に試験対象物1の降伏点前後のひずみを繰り返して与える装置である。また、負荷付与装置11は引張試験において試験対象物1に試験対象物1の降伏点を超える力で破断するまで引っ張り続ける装置である。負荷付与装置11としては電気油圧サーボ式の装置が例示される。
温度調節装置12は試験対象物1の温度を調節する装置である。温度調節装置12は熱疲労試験において負荷付与装置11によるひずみの変位に同調させて試験対象物1の温度を予め設定された熱疲労試験温度である高温および低温に繰り返して変化させる装置である。また、温度調節装置12は引張試験において試験対象物1の温度を予め設定された引張試験温度に維持する装置である。温度調節装置12としては高周波加熱装置が例示される。
試験用測定装置13は熱疲労試験や引張試験において試験対象物1に生じたひずみを測定する装置である。試験用測定装置13としては等方性導体を用いた金属ひずみゲージや半導体のピエゾ抵抗効果を利用した半導体ゲージが例示される。
試験用解析装置14は負荷付与装置11、温度調節装置12、および、試験用測定装置13のそれぞれに電気的に接続されており、負荷付与装置11および温度調節装置12の制御と試験用測定装置13が取得した結果の解析とを行う装置である。試験用解析装置14は各種情報処理を行う中央演算装置(CPU)、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されるハードウェアである。
試験用解析装置14は制御プログラム15および試験解析プログラム20を有する。各プログラムは内部記憶装置に記憶されていて、適時、中央演算装置により実行されている。なお、制御プログラム15は、試験用解析装置14とは別体の制御装置に組み込まれてもよく、プログラムの他にプログラマブルコントローラ(PLC)や電気回路で構成されてもよい。
制御プログラム15は熱疲労試験や引張試験における負荷付与装置11および温度調節装置12を制御するプログラムである。熱疲労試験において、制御プログラム15は試験用解析装置14に予め入力されたひずみ量や応力などの力学的負荷、熱疲労試験温度、ひずみおよび温度サイクルの位相や波形に基づいて負荷付与装置11および温度調節装置12を制御する。なお、熱疲労試験においては、ひずみサイクルおよび温度サイクルを同位相にする試験と、ひずみサイクルおよび温度サイクルを逆位相にする試験が可能である。また、引張試験において、制御プログラム15は試験用解析装置14に予め入力されたひずみ量や応力などの力学的負荷、引張試験温度に基づいて負荷付与装置11および温度調節装置12を制御する。
試験解析プログラム20は試験用測定装置13が所定周期ごとに測定したひずみが入力されて、熱疲労試験や引張試験の試験結果を解析するプログラムである。熱疲労試験において、試験解析プログラム20は破断繰り返し数Nfを計測し、ひずみ振幅εと破断繰り返し数Nfとの相関であるε-N線図を得て、第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関を試験結果として出力する。また、引張試験において、試験解析プログラム20は第二の時間-温度パラメータLMPtと引張強度σBとの相関を試験結果として出力する。
図2に例示するように、試験解析プログラム20は複数回の熱疲労試験の試験結果を、縦軸を等価応力振幅σfとし、横軸を第一の時間-温度パラメータlmpfとする関係図にプロットする。そして、プロットされた複数の点から累乗近似式として第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関を得る。
図3に例示するように、疲労試験システム10の試験方法は試験対象物1に熱疲労試験と引張試験とを行って、熱疲労試験の試験結果として、第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関を出力するものである。なお、本開示の疲労試験システム10の試験方法においては、同一材料で同一形状の複数の試験対象物1が必要である。
試験対象物1に対してひずみ範囲や応力などの力学的負荷と熱疲労試験温度とを変化させた熱疲労試験を複数回実施する(S110)。次いで、熱疲労試験により試験対象物1のε-N線図が得られる(S120)。また、試験対象物1に対して引張力などの力学的負荷と引張試験温度とを変化させた引張試験を複数回実施する(S130)。次いで、引張試験で得られた試験対象物1の引張強度σBと第二の時間-温度パラメータLMPtとの相関を出力する(S140)。
次いで、熱疲労試験で得られた結果から第一の時間-温度パラメータlmpfを算出し、熱疲労試験で得られた結果を引張試験で得られた引張強度σBと第二の時間-温度パラメータLMPtとの相関に代入して等価応力振幅σfを算出する(S150)。算出された第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとをプロットし、累乗近似式として得られた第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関を試験結果として出力して(S160)、試験方法は完了する。
図4に例示するように、熱疲労試験で得られる結果は、ひずみ振幅εと破断繰り返し数Nfとの相関が示されたε-N線図である。ε-N線図においては、ひずみ振幅εと破断繰り返し数Nfとの相関が設定した熱疲労試験温度ごとに異なる相関となる。本開示において、熱疲労試験温度とは予め設定された高温および低温の二つ温度で示されるものである。
図5に例示するように、ひずみ振幅εは塑性ひずみ範囲Δεpを半分にした値である。熱疲労試験におけるヒステリシスループにおいて、全ひずみ範囲Δεtは弾性ひずみ範囲Δεeと塑性ひずみ範囲Δεpとの和で示される。
第一の時間-温度パラメータlmpfはLarson-Millerパラメータである。第一の時間-温度パラメータlmpfは、熱疲労試験温度に基づいた温度Tfおよび破断繰り返し数Nfに基づいた時間tfを変数とし、第一定数Cfを用いて、下記の数式(1)で示される。また、第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関は、係数Aと、冪指数Bとを用いて、下記の数式(2)で示される。本開示における第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関とは、係数Aと冪指数Bとを累乗近似式により求めることである。なお、第一定数Cfが定まっていない場合に第一定数Cfを求めることも含む。
熱疲労試験温度に基づいた温度Tfは、熱疲労試験温度における予め設定された高温および低温の中間温度でもよく、熱疲労試験中に試験対象物1の温度を逐次、計測して得られた複数の温度の平均温度でもよい。また、熱疲労試験中に試験対象物1の温度を逐次、計測するとともに計測して得られた温度の持続時間を計測し、その持続時間に応じて計測した温度に対して重み付けして得られた温度でもよい。
破断繰り返し数Nfに基づいた時間tfは、負荷付与装置11が試験対象物1に付与する力学的負荷の1サイクルの時間と破断繰り返し数Nfとを乗算した値である。なお、熱疲労試験が高温回転曲げ疲労試験である場合に、破断繰り返し数Nfは試験時間と試験速度とを乗算した値であり、時間tfはその試験時間である。
第一定数Cfは試験対象物1を構成する材料の種類と試験内容とに応じて予め設定可能な定数である。第一定数Cfは試験対象物1に対してクリープ試験を実施して、クリープ試験の結果から得られるlogtr-1/T線図において1/Tがゼロとなる値として求めてもよい。本実施形態の第一定数Cfは第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関に基づいて設定される。
等価応力振幅σfは熱疲労試験で得られたひずみ振幅εと試験対象物1の疲労限界度線図とに基づいて算出される。本開示において、疲労限界度線図(耐久限度線図ともいう)は平均応力がゼロでない場合にその平均応力の影響を考慮して疲労強度を評価するためのものであり、Goodmanの式、Gerberの式、Soderbergの式、Morrowの式が例示される。本実施形態の疲労限界度線図はGoodmanの式を用いている。
等価応力振幅σfは熱疲労試験の開始から破断繰り返し数Nfに至るまでのうちの所定回数(D・Nf)におけるひずみ振幅εから求められる応力振幅σaと、平均応力σmと、試験対象物1の引張強度σBと、を用いて以下の数式(3)で示される。
図5に例示するように、等価応力振幅σfは熱疲労試験における破断繰り返し数Nfの半分の回数のときの応力とひずみとの相関を示すヒステリシスループにおいて、平均応力σmが存在している場合に、平均応力σmをゼロと見做して得られるものである。
所定回数(D・Nf)は、熱疲労試験における試験対象物1への応力が試験の経過時間とともに変化することから、その応力が安定したと見做せる回数に設定される。本開示において安定した応力とは、熱疲労試験における試験対象物1への全応力のうちの平均値の近傍の応力を示す。係数Dは単位分数または帯分数で構成される。本実施形態において、破断繰り返し数Nfの半分の回数の応力が安定したと見做せることから、係数Dとして1/2が例示される。等価応力振幅σfは疲労試験における応力が安定した状態と見做せる回数のときのヒステリシスループに基づいて算出すればよく、破断繰り返し数Nfの1/4の回数で安定すると見做せる場合は、その回数でもよい。
図6に例示するように、引張試験で得られる試験結果は、引張強度σBと第二の時間-温度パラメータLMPtとの相関である。第二の時間-温度パラメータLMPtはLarson-Millerパラメータである。第二の時間-温度パラメータLMPtは、引張試験温度Ttおよびソーク時間ttを変数とし、第二定数Ctを用いて、下記の数式(4)で示される。また、第二の時間-温度パラメータLMPtと引張強度σBとの相関は、係数Eと、冪指数Fとを用いて、下記の数式(5)で示される。本開示における第二の時間-温度パラメータLMPtと引張強度σBとの相関とは、係数Eと冪指数Fとを累乗近似式により求めることである。なお、第二定数Ctが定まっていない場合に第二定数Ctを求めることも含む。
引張試験温度Ttは、引張試験における予め設定された温度でもよく、引張試験中に試験対象物1の温度を逐次、計測して得られた複数の温度の平均温度でもよい。また、引張試験中に試験対象物1の温度を逐次、計測するとともに計測して得られた温度の持続時間を計測し、その持続時間に応じて計測した温度に対して重み付けして得られた温度でもよい。
ソーク時間ttは、試験対象物1が引張試験温度Ttになるまでに要した時間である。ソーク時間ttとしては、引張試験前に試験対象物1を恒温槽に入れておいた時間としてもよい。
第二定数Ctは試験対象物1を構成する材料の種類と試験内容とに応じて予め設定された定数である。本実施形態の第二定数Ctは第二の時間-温度パラメータLMPtと引張強度σBとの相関に基づいて設定される。第二定数Ctと第一定数Cfとは試験内容が異なるため、試験対象物1を構成する材料の種類が同一であっても異なる値となる。
第二の時間-温度パラメータLMPtの変数である引張試験温度Ttに熱疲労試験の熱疲労試験温度に基づいた温度Tfを代入し、ソーク時間ttに熱疲労試験の開始から所定回数(D・Nf)に至るまでの時間(D・tt)を代入した第二の時間-温度パラメータLMPtは以下の数式(6)で示される。
以上のように、第一実施形態の疲労試験システム10は、熱疲労試験の試験結果を、ひずみ振幅εと破断繰り返し数Nfとの力学的負荷の関係のみではなく、熱疲労試験温度に基づいた温度Tfおよび破断繰り返し数Nfに基づいた時間tfを変数とする第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関で示す。それ故、その相関が力学的負荷の変化のみではなく、温度や時間による疲労強度の低下を考慮した指標となり、総合的な評価を行うことができる。
疲労試験システム10は第一の時間-温度パラメータlmpfとしてLarson-Millerパラメータを用いたが、代わりにManson-Succopパラメータを用いてもよい。なお、時間-温度パラメータとしては、他にOrr-Sherby-DornパラメータやManson-Haferdパラメータが例示されるが、それらのパラメータは熱疲労試験における等価応力振幅σfとの相関がない。
疲労試験システム10は疲労限界度線図としてGoodmanの式を用いたが、代わりにGerberの式、Soderbergの式、Morrowの式を用いてもよい。なお、Soderbergの式やMorrowの式を用いる場合は本実施形態の引張強度σBの代わりに降伏点応力や真破断応力を用いる必要があるが、それらの値も引張強度σBと同様に時間-温度パラメータとの相関を求めればよい。
疲労試験システム10は熱疲労試験を行う装置と引張試験を行う装置とが別々の装置であってもよい。また、疲労試験システム10は、試験対象物1の引張強度σBと第二の時間-温度パラメータLMPtとの相関が分かっていれば引張試験を行う必要はなく、熱疲労試験のみを行う装置で構成されてもよい。
図7に例示するように、第二実施形態の疲労検査システム30は、検査対象物2の疲労を検査するものであり、検査用測定装置31、および、検査用解析装置32を備えて構成される。
検査用測定装置31は検査対象物2に作用した実等価応力振幅σiに関するパラメータを測定する装置である。検査用測定装置31としては、試験用測定装置13と同様に検査対象物2に生じたひずみを測定する装置として、金属ひずみゲージや半導体ゲージが例示される。また、検査用測定装置31は後述するように疲労低下と相関のある検査対象物2の伝導率または硬度を測定する装置も例示される。
検査用解析装置32は検査用測定装置31に電気的に接続されており、試験用測定装置13が取得した結果の解析を行う装置である。検査用解析装置32は各種情報処理を行う中央演算装置(CPU)、その各種情報処理を行うために用いられるプログラムや情報処理結果を読み書き可能な内部記憶装置、及び各種インターフェースなどから構成されるハードウェアである。検査用解析装置32は任意の温度Tiおよび時間tiが入力可能なインターフェースを有する。検査用解析装置32は検査解析プログラム40を有する。このプログラムは内部記憶装置に記憶されていて、適時、中央演算装置により実行されている。
検査解析プログラム40は検査用測定装置31が測定したパラメータとインターフェースを介して入力された任意の温度Tiおよび時間tiとに基づいて、検査対象物2の疲労を解析するプログラムである。検査解析プログラム40は検査対象物2ごとの熱疲労試験で得られた上記の数式(1)で示される算出式と、上記の数式(2)で示される第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関を示す累乗近似式とを有する。検査解析プログラム40は算出式に温度Tiおよび時間tiを代入して得られた第三の時間-温度パラメータlmpiと、累乗近似式に検査用測定装置31が測定したパラメータに応じて求まる実等価応力振幅σiを代入して得られた第四の時間-温度パラメータLMPiと、から疲労損傷ダメージDfとして出力する。
図8に例示するように、疲労検査システム30の検査方法は検査対象物2に非破壊検査を行って、その検査結果として、疲労損傷ダメージDfを出力するものである。
検査用解析装置32に温度Tiおよび時間tiを入力する(S210)。次いで、入力された温度Tiおよび時間tiを第一の時間-温度パラメータlmpfの変数に代入して、第三の時間-温度パラメータlmpiを算出する(S220)。次いで、検査対象物2に対して非破壊検査を実施する(S230)。次いで、非破壊検査により得られたパラメータに応じて求まる実等価応力振幅σiを第一の時間-温度パラメータlmpfおよび等価応力振幅σfの相関を示す上記の数式(2)に代入して第四の時間-温度パラメータLMPiを算出する(S240)。次いで、第三の時間-温度パラメータlmpiを第四の時間-温度パラメータLMPiで除算して得られた疲労損傷ダメージDfを出力して(S250)、検査方法は完了する。
第三の時間-温度パラメータlmpiは上記の数式(1)で示す算出式において第一の時間-温度パラメータlmpfの変数である熱疲労試験温度に基づいた温度Tfに温度Tiが代入され、破断繰り返し数Nfに基づいた時間tfに時間tiが代入されて、以下の数式(7)で示される。
温度Ti、時間tiのそれぞれは任意の値として入力されるが、温度Tiは検査対象物2の使用時の温度であることが望ましく、時間tiは検査対象物2が使用された時間であることが望ましい。温度Tiとしては、使用中に検査対象物2の温度を逐次、計測して得られた複数の温度の平均温度でもよい。また、使用中に検査対象物2の温度を逐次、計測するとともに計測して得られた温度の持続時間を計測し、その持続時間に応じて計測した温度に対して重み付けして得られた温度でもよい。本開示において検査対象物2が使用された時間とは、検査対象物2に対して力学的負荷が作用した時間を示すものとする。
第四の時間-温度パラメータLMPiは上記の数式(2)で示す第一の時間-温度パラメータlmpfと等価応力振幅σfとの相関の累乗近似式に、検査用測定装置31が測定したパラメータに応じた実等価応力振幅σiが代入されて、以下の数式(8)で示される。
図9に例示するように、疲労損傷ダメージDfは、その値が「1」になると検査対象物2が破壊されたと見做せるものであり、第三の時間-温度パラメータlmpiを第四の時間-温度パラメータLMPiで除算した得られる値である。第三の時間-温度パラメータlmpiと第四の時間-温度パラメータLMPiとの関係は、線形累積損傷則(マイナー則ともいう)における繰り返し数niと破断繰り返し数Niとの関係に類似する。
以上のように、第二実施形態の疲労検査システム30は、力学的負荷の変化のみではなく、温度や時間による疲労強度の低下を考慮した時間-温度パラメータの比で求められる疲労損傷ダメージDfを出力する。つまり、検査時点での検査対象物2に作用する応力の繰り返し数が破断繰り返し数Nfに達したか否かという単純な検査結果と比して、温度および時間による疲労低下も考慮した検査結果を出力することで、熱疲労の総合的な評価を行うことができる。
時間-温度パラメータの比で求められる疲労損傷ダメージDfにより検査対象物2の疲労を評価することで、検査対象物2の疲労強度の低下を力学的負荷が作用する繰り返し数のみではなく、使用する温度や時間による疲労強度の低下も加味して評価することができる。また、検査後に使用する温度を低下させて疲労寿命に至るまでの時間を延長させたり、検査後の使用環境に応じた疲労寿命を算出したりできる。
図10および図11に例示するように、検査対象物2の導電率および硬度と時間-温度パラメータとは相関がある。この相関は熱疲労試験において、ひずみとともに導電率や硬度を逐次、測定することで得られる。つまり、疲労検査システム30は検査用測定装置31により検査対象物2の実等価応力振幅σiに関するパラメータとして検査対象物2の導電率や硬度を用いてもよい。なお、硬度としてはビッカース硬さを用いたが、ブリネル硬さやロックウェル硬さを用いてもよい。
1 試験対象物
2 検査対象物
10 疲労試験システム
11、12、13 試験装置
14 試験用解析装置
20 試験解析プログラム
30 疲労検査システム
31 検査用測定装置
32 検査用解析装置
40 検査解析プログラム
2 検査対象物
10 疲労試験システム
11、12、13 試験装置
14 試験用解析装置
20 試験解析プログラム
30 疲労検査システム
31 検査用測定装置
32 検査用解析装置
40 検査解析プログラム
Claims (9)
- 試験対象物のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験を行う疲労試験システムにおいて、
前記試験対象物に前記熱疲労試験を行う試験装置と前記熱疲労試験の結果を解析する試験用解析装置とを備え、
前記試験用解析装置は、前記熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および前記破断繰り返し数に基づいた時間を変数とする第一の時間-温度パラメータと、前記ひずみ振幅および前記試験対象物の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅との相関を試験結果として出力する構成であることを特徴とする疲労試験システム。 - 前記試験用解析装置は、前記試験対象物に対して予め実施された引張試験における前記試験対象物の温度である引張試験温度および前記試験対象物が前記引張試験温度になるまでに要した時間であるソーク時間を変数とした第二の時間-温度パラメータと前記試験対象物の引張強度との相関を有し、
前記引張強度を前記第二の時間-温度パラメータの変数に前記熱疲労試験温度に基づいた温度および前記熱疲労試験の開始から前記所定回数時間に至るまでの時間を代入して算出する構成である請求項3に記載の疲労試験システム。 - 検査対象物の疲労を検査する疲労検査システムであって、
前記検査対象物に作用した実等価応力振幅に関するパラメータを測定する検査用測定装置と、この検査用測定装置で測定した前記パラメータならびに任意の温度および時間とが入力される検査用解析装置と、を備え、
前記検査用解析装置は、試験対象物のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および前記破断繰り返し数に基づいた時間を変数とした第一の時間-温度パラメータの算出式と、前記ひずみ振幅および前記試験対象物の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅ならびに前記第一の時間-温度パラメータの相関を示す累乗近似式とを有し、
前記算出式の変数に入力された前記温度および時間を代入して得られる第三の時間-温度パラメータを、前記累乗近似式に入力された前記パラメータに応じて求まる実等価応力振幅を代入して得られる第四の時間-温度パラメータで除算した値を算出し、算出したその値を疲労損傷ダメージとして出力する構成であることを特徴とする疲労検査システム。 - 前記検査用測定装置は、前記パラメータとして前記検査対象物の導電率または硬度を取得する装置で構成され、
前記検査用解析装置は、前記導電率または前記硬度と前記第四の時間-温度パラメータとの相関を有し、前記測定装置が取得した前記導電率または前記硬度に基づいて前記第四の時間-温度パラメータを求める構成である請求項5に記載の疲労検査システム。 - 試験対象物のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験の試験解析プログラムであって、
試験用解析装置に、前記熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および前記破断繰り返し数に基づいた時間を変数とする第一の時間-温度パラメータを算出させる手順と、前記ひずみ振幅および前記試験対象物の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅を算出させる手順と、算出させた前記第一の時間-温度パラメータおよび前記等価応力振幅の相関を試験結果として出力させる手順とを実行させることを特徴とする試験解析プログラム。 - 検査対象物の疲労を検査する検査解析プログラムであって、
試験対象物のひずみ振幅と破断繰り返し数との相関を得る熱疲労試験における熱疲労試験温度に基づいた温度および前記破断繰り返し数に基づいた時間を変数とした第一の時間-温度パラメータの算出式と、前記ひずみ振幅および前記試験対象物の疲労限度線に基づいて求めた等価応力振幅ならびに前記第一の時間-温度パラメータの相関を示す累乗近似式とを有し、
検査用解析装置に、前記算出式の変数に任意の温度および時間を代入して第三の時間-温度パラメータを算出させる手順と、前記累乗近似式に検査用測定装置が測定したパラメータに応じて求まる前記検査対象物に作用した実等価応力振幅を代入して第四の時間-温度パラメータを算出させる手順と、算出させた前記第三の時間-温度パラメータを前記第四の時間-温度パラメータで除算した値を疲労損傷ダメージとして出力させる手順を実行させることを特徴とする検査解析プログラム。
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JP2020161997A JP2022054788A (ja) | 2020-09-28 | 2020-09-28 | 疲労試験システムおよび疲労検査システムならびに試験解析プログラムおよび検査解析プログラム |
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CN117169709A (zh) * | 2023-10-09 | 2023-12-05 | 中国民航大学 | 一种航空继电器疲劳性能测试方法、装置及存储介质 |
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2020
- 2020-09-28 JP JP2020161997A patent/JP2022054788A/ja active Pending
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