JP2022053322A - 検知装置 - Google Patents

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Yosuke Takahashi
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Abstract

【課題】部材の摩耗を簡単に検知する検知装置を提供する。【解決手段】移動するように設けられた移動部に配置されたセンサ用マグネット15と、移動部の移動に応じて変化するセンサ用マグネット15のホール電圧を検出する磁気センサ12と、予め設定された所定の移動量に応じた基準のホール電圧に対して、移動部が所定の移動量を移動したときに磁気センサ12で検出される実測のホール電圧の変動量を算出し、実測のホール電圧の変動量に基づいて、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着を検知する検知部13とを備える。【選択図】図1

Description

本開示は、検知装置に関する。
従来から、部材同士が接触などして生じる摩耗を検知する検知装置が実用化されている。特に、車両は、数多くの部材が互いに組み合わされて構成されているため、部材の摩耗を確実に検知することが求められる。
そこで、部材の摩耗を確実に検知する技術として、例えば、特許文献1には、対向側部品に設置された制御装置により摩耗側部品の摩耗状態を適切に検知することが可能な摩耗検知装置が開示されている。この摩耗検知装置は、摩耗側部品の摩耗に伴う対向側閉回路の電流の変化を検出することにより、摩耗側部品の摩耗を確実に検知することができる。
特開2013-088193号公報
しかしながら、特許文献1の摩耗検知装置は、対向側部品と摩耗側部品にそれぞれ回路を配置するため構成が複雑化するおそれがある。
本開示は、部材の摩耗を簡単に検知する検知装置を提供することを目的とする。
本開示に係る検知装置は、移動するように設けられた移動部に配置されたセンサ用マグネットと、移動部の移動に応じて変化するセンサ用マグネットのホール電圧を検出する磁気センサと、予め設定された所定の移動量に応じた基準のホール電圧に対して、移動部が所定の移動量を移動したときに磁気センサで検出される実測のホール電圧の変動量を算出し、実測のホール電圧の変動量に基づいて、センサ用マグネットへの摩耗粉の付着を検知する検知部とを備えるものである。
本開示によれば、部材の摩耗を簡単に検知することが可能となる。
本開示の実施の形態1に係る検知装置を備えた車両の構成を示す図である。 磁気センサの構成の一例を示す図である。 所定量の摩耗粉が付着したセンサ用マグネットのホール電圧の変動量を測定した結果を示すグラフである。
以下、本開示に係る実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、本開示の実施の形態に係る検知装置を備えた車両の構成を示す。車両は、変速機1と、検知装置2とを有する。なお、車両としては、例えば、トラックなどの商用車が挙げられる。
変速機1は、シャフト3と、シフトロッド4と、シフトフォーク5と、スリーブ6と、ハブ7と、シンクロナイザリング8aおよび8bと、ドグギヤ9aおよび9bと、変速ギヤ10aおよび10bと、変速機制御部11とを有する。なお、変速機1は、例えば、手動変速機および自動変速機などを用いることができる。
シャフト3は、図示しないプロペラシャフトを介して車輪に接続され、エンジンの駆動力を車輪に伝達するものである。
シフトロッド4は、シャフト3に対して所定の間隔を空けて並行に延びるように配置され、変速機1の切り替えに応じて軸方向に摺動して移動するように形成されている。また、シフトロッド4の端部近傍には、例えば3つのディテント溝4aが形成されている。3つのディテント溝4aは、それぞれ、シフト位置に対応して形成されており、このディテント溝4aに球形状のロックボール4bが収容されることにより、シフトロッド4が所定のシフト位置まで移動したことになる。
シフトフォーク5は、シフトロッド4の摺動に応じて移動するように基部がシフトロッド4に固定されている。これにより、シフトフォーク5は、変速機1の切り替えに応じてシフトロッド4の摺動方向に移動することになる。また、シフトフォーク5は、先端部がアーム状に延びてスリーブ6に係合するように形成されている。なお、シフトフォーク5は、本発明の移動部を構成するものである。
スリーブ6は、円環形状を有し、外周部にシフトフォーク5と係合する凹部が形成されると共に、内周部にハブ7と歯合する内周歯が形成されている。
ハブ7は、円環形状を有し、外周部にスリーブ6の内周歯と歯合する外周歯が形成されると共に、内周部がシャフト3に固定されてシャフト3と共に回転するように形成されている。
シンクロナイザリング8aおよび8bは、シャフト3が延びる方向にハブ7を挟むように配置されている。シンクロナイザリング8aおよび8bは、円環形状を有し、外周部がスリーブ6の内周歯と歯合するように形成され、内周部がドグギヤ9aおよび9bと摩擦係合するように形成されている。これにより、スリーブ6が、シンクロナイザリング8aおよび8bの外周部に歯合する際に、シンクロナイザリング8aおよび8bを押圧し、シンクロナイザリング8aおよび8bとドグギヤ9aおよび9bとが摩擦係合して、スリーブ6とドグギヤ9aおよび9bとの回転が同期することになる。
ドグギヤ9aおよび9bは、シャフト3が延びる方向にシンクロナイザリング8aおよび8bを挟むように配置されている。ドグギヤ9aおよび9bは、円環形状を有し、外周部がスリーブ6の内周歯と歯合するように形成され、内周部が変速ギヤ10aおよび10bと一体に回転するように固定されている。
変速ギヤ10aおよび10bは、シャフト3が延びる方向にドグギヤ9aおよび9bを挟むように配置されている。変速ギヤ10aおよび10bは、円環形状を有し、外周部が図示しない他のシャフトに設けられたギヤと歯合するように形成され、内周部がベアリングを介してシャフト3に軸支されている。
変速機制御部11は、検知装置2に接続され、検知装置2で検知されるシフトフォーク5の移動量、すなわちシフトロッド4の摺動量に基づいて、変速機1の各部を制御する。例えば、変速機制御部11は、シフトロッド4の摺動量に基づいて、シフトロッド4のディテント溝4aにロックボール4bが収容されるタイミングを算出し、そのタイミングに基づいてロックボール4bをシフトロッド4に対して押圧する押圧力を制御する。
検知装置2は、センサ用マグネット15と、磁気センサ12と、検知部13と、報知部14とを有する。磁気センサ12は検知部13に接続され、この検知部13が変速機制御部11と報知部14にそれぞれ接続されている。
センサ用マグネット15は、周囲に磁場を形成するもので、変速機1の切り替えに応じて移動するシフトフォーク5に配置されている。
磁気センサ12は、センサ用マグネット15に対向するように配置されている。具体的には、磁気センサ12は、センサ用マグネット15の磁場に対して直交するように電流を流すと共に、この磁場および電流に直交する方向に生じるホール電圧を検出するように構成されている。これにより、磁気センサ12は、シフトフォーク5の移動に応じて変化するセンサ用マグネット15のホール電圧を検出することができる。
検知部13は、磁気センサ12で検出される実測のホール電圧に基づいて、シフトフォーク5の移動量を検知する。具体的には、検知部13には、シフトフォーク5の移動量に応じた基準のホール電圧の変化が予め設定されている。検知部13は、磁気センサ12で検出される実測のホール電圧に基づいて、基準のホール電圧の変化を参照することによりシフトフォーク5の移動量を検知する。検知部13は、検知したシフトフォーク5の移動量を変速機制御部11に出力する。
また、検知部13は、所定の移動量に応じた基準のホール電圧が予め設定され、その基準のホール電圧に対して、シフトフォーク5が所定の移動量を移動したときに磁気センサ12で検出される実測のホール電圧が変動する変動量を算出する。このとき、基準のホール電圧は、センサ用マグネット15に金属などの強磁性体材料が付着していない状態で測定されたものとする。
続いて、検知部13は、算出された実測のホール電圧の変動量に基づいて、センサ用マグネット15への摩耗粉の付着を検知する。このとき、検知部13には、センサ用マグネット15への強磁性体材料の付着量に応じて変動する基準のホール電圧の変動量が予め設定されている。検知部13は、実測のホール電圧の変動量(強磁性体材料が付着していない状態で測定された基準のホール電圧に対する変動量)に基づいて、強磁性体材料の付着に応じた基準のホール電圧の変動量を参照することにより、センサ用マグネット15への摩耗粉の付着量を算出する。検知部13は、算出された摩耗粉の付着量を報知部14に出力する。
なお、摩耗粉は、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材の摩耗により生じるもので、例えば、シャフト3、スリーブ6、ハブ7、シンクロナイザリング8aおよび8b、ドグギヤ9aおよび9b、変速ギヤ10aおよび10bなどの摩耗が挙げられる。
報知部14は、検知部13で算出される摩耗粉の付着量が所定の閾値を超えた場合に、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材の摩耗を車両の運転者および管理者などに報知する。
次に、磁気センサ12の構成の一例を説明する。
センサ用マグネット15は、3つの分割マグネット15a,15bおよび15cを有する。分割マグネット15a~15cは、シフトフォーク5の移動方向Dに沿って並ぶように配置されている。そして、磁気センサ12が、分割マグネット15a~15cの正面において移動方向Dに直交する方向に配置される。このとき、磁気センサ12は、分割マグネット15a~15cの磁場に対して直交するように電流を流すと共に、この磁場および電流に直交する方向に生じるホール電圧を検出するように配置されている。これにより、磁気センサ12は、シフトフォーク5の移動に応じて変化する分割マグネット15a~15cのホール電圧を検出することができる。
ここで、分割マグネット15a~15cに金属などの強磁性体材料からなる摩耗粉Pが付着すると、分割マグネット15a~15cの磁場に影響を与えて、磁気センサ12で検出されるホール電圧が変動する。そこで、検知部13が、基準のホール電圧に対する実測のホール電圧の変動量を算出することで、分割マグネット15a~15cへの摩耗粉Pの付着を検知する。
次に、本実施の形態の動作について説明する。
まず、図1に示すように、変速機1が、シフト操作されて、シフトロッド4が摺動する。例えば、変速機1は、ニュートラル位置から変速ギヤ10aにシフト操作されるものとする。このシフト操作により、シフトロッド4が摺動すると共にシフトフォーク5が変速ギヤ10a側に移動する。そして、シフトフォーク5の移動に伴って、シフトフォーク5に係合したスリーブ6が変速ギヤ10a側に移動してシンクロナイザリング8aを押圧し、シンクロナイザリング8aとドグギヤ9aとが摩擦係合される。このようにして、スリーブ6とドグギヤ9aとの回転が同期されると、スリーブ6が、さらに変速ギヤ10a側に移動されてドグギヤ9aと歯合する。この歯合により、変速ギヤ10aがシャフト3に同期結合されることになる。
このように、スリーブ6が変速ギヤ10aに向かって移動する間、磁気センサ12が、シフトフォーク5の移動に応じて変化するセンサ用マグネット15のホール電圧を検出し、その実測のホール電圧を検知部13に順次出力する。
検知部13には、シフトフォーク5の移動量に応じた基準のホール電圧の変化が予め設定されており、磁気センサ12から出力された実測のホール電圧に基づいて基準のホール電圧の変化を参照することにより、シフトフォーク5の移動量を検知する。検知部13は、検知したシフトフォーク5の移動量を変速機制御部11に順次出力する。
変速機制御部11は、検知部13から順次出力されるシフトフォーク5の移動量、すなわちシフトロッド4の摺動量に基づいて、シフトロッド4のディテント溝4aにロックボール4bが収容されるタイミングを算出し、そのタイミングに基づいてロックボール4bをシフトロッド4に対して押圧する押圧力を上昇させる。これにより、変速ギヤ10aがシャフト3に同期結合された状態でシフトロッド4の位置が固定されて、シフト操作を完了することができる。
なお、変速機制御部11は、所定の押圧力に対するロックボール4bの反発力の変化に基づいて、ロックボール4bがディテント溝4aに収容される収容タイミングを検出する。変速機制御部11は、検出された収容タイミングを検知部13に出力する。
このように、磁気センサ12が、シフトフォーク5の移動に応じて変化するセンサ用マグネット15のホール電圧を検出することにより、シフトロッド4の摺動量を容易に検知することができる。
このようにして、シフト操作が繰り返し行われると、シャフト3、スリーブ6、ハブ7、シンクロナイザリング8aおよび8b、ドグギヤ9aおよび9b、変速ギヤ10aおよび10bなどの部材が互いに接触して摩耗するおそれがある。これらの部材は、金属などの強磁性体材料から構成されており、図2に示すように、部材の摩耗により生じる摩耗粉Pが、周囲に移動して、センサ用マグネット15に付着する。このように、センサ用マグネット15に摩耗粉Pが付着すると、その付着量に応じて磁気センサ12で検出されるホール電圧が変動することになる。
そこで、検知部13が、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着に応じたホール電圧の変動量を算出する。例えば、検知部13は、ロックボール4bが変速ギヤ10aに対応するディテント溝4aに収容された収容タイミングを変速機制御部11から入力すると、シフトフォーク5が所定の移動量を移動したと判定する。ここで、検知部13には、所定の移動量に応じた基準のホール電圧、すなわちロックボール4bがニュートラル位置に対応するディテント溝4aから変速ギヤ10aに対応するディテント溝4aまで移動したときの基準のホール電圧が予め設定されている。検知部13は、予め設定された所定の移動量に応じた基準のホール電圧に対して、シフトフォーク5が所定の移動量を移動したと判定したときに磁気センサ12で検出される実測のホール電圧の変動量を算出する。
実際に、摩耗粉Pの付着によるホール電圧の変動量を測定したグラフを図3に示す。このグラフは、摩耗粉Pが付着していない状態のホール電圧に対して、所定量の摩耗粉Pを付着した状態のホール電圧の変動量を、シフトフォーク5の移動量毎に測定したものである。例えば、シフトフォーク5の移動量が「ゼロ」のニュートラル位置から「-Xa」だけ移動したときに、ホール電圧の変動量が「+ya」と最も大きく変動することがわかる。
そこで、検知部13は、シフトフォーク5が所定の移動量、例えば「-Xa」移動したと判定したときに、基準のホール電圧に対する実測のホール電圧の変動量を算出する。このとき、センサ用マグネット15に所定量の摩耗粉Pが付着していた場合には、その変動量が「+ya」と算出されることになる。
続いて、検知部13は、算出された実測のホール電圧の変動量に基づいて、予め設定されたセンサ用マグネット15への強磁性体材料の付着量に応じた基準のホール電圧の変動量を参照することにより、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着量を算出する。このとき、検知部13には、摩耗粉Pが付着していない状態で測定した基準のホール電圧に対して、摩耗粉Pの付着量を変えて測定した基準のホール電圧の変動量が、例えば「+ya」、「+yb」・・・「+yz」と予め設定されている。検知部13は、実測のホール電圧の変動量を「+ya」と算出した場合には、その変動量「+ya」に基づいて基準のホール電圧の変動量「+ya」、「+yb」・・・「+yz」を参照し、「+ya」に対応する摩耗粉Pの付着量、すなわち所定量の摩耗粉Pが付着したと算出する。
このように、検知部13が、磁気センサ12で検出される実測のホール電圧の変動量に基づいて、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着を検知するため、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材の摩耗を簡単に検知することができる。
また、検知部13は、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着量を算出するため、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材の摩耗の度合を正確に検知することができる。
また、検知部13は、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着を検知すると共にシフトロッド4の摺動量を検知するように構成されている。すなわち、検知部13は、シフトロッド4の摺動量を検知する、いわゆるストロークセンサと一体に構成することができ、新たなセンサを設置することなく部材の摩耗を検知することができる。
また、センサ用マグネット15は、シフトフォーク5の先端部近傍に配置されている。シフトフォーク5の先端部は、シャフト3、スリーブ6、ハブ7、シンクロナイザリング8aおよび8b、ドグギヤ9aおよび9b、変速ギヤ10aおよび10bなどの摩耗が生じやすい部材の近傍に配置される。このため、センサ用マグネット15をシフトフォーク5の先端部近傍に配置することで、部材の摩耗を高精度に検知することができる。
また、基準のホール電圧に対する実測のホール電圧の変動量は、シフトフォーク5が「-Xa」に移動したときに「+ya」と最も大きく変動する。このため、検知部13は、シフトフォーク5が「-Xa」近傍に移動したときに、基準のホール電圧に対する実測のホール電圧の変動量を算出することが好ましい。これにより、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材の摩耗を高精度に検知することができる。
なお、検知部13は、シフトフォーク5が所定の移動量「-Xa」を移動したときの1点のみで基準のホール電圧に対する実測のホール電圧の変動量を算出したが、これに限られるものではない。例えば、図3に示すように、検知部13は、シフトフォーク5の複数の所定の移動量「-Xa」、「-Xb」、「+Xb」および「+Xa」を移動したときに実測のホール電圧の変動量を算出することができる。これにより、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材の摩耗をより高精度に検知することができる。
このようにして、検知部13は、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着量を順次算出し、その付着量が所定の閾値を超えた場合に、摩耗信号を報知部14に出力する。
報知部14は、検知部13から摩耗信号が入力されると、車両の運転者および管理者などに対して、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材の摩耗を報知する。また、報知部14は、例えば、車両を遠隔地で管理するサーバ機器に通信装置を介して部材の摩耗を報知することもできる。
このように、報知部14が、部材の摩耗を報知することにより、車両の運転者および管理者などが部材の摩耗を認識することができる。特に、変速機1における部材の異常摩耗などはオイル交換などのタイミングでしか把握できないため、部材の摩耗を報知することにより、部材が破損して重大な故障を引き起こす前に部材の修理および交換などの保守管理を行うことができる。
本実施の形態によれば、検知部13が、磁気センサ12で検出される実測のホール電圧の変動量に基づいて、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着を検知するため、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材の摩耗を簡単に検知することができる。
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2について説明する。ここでは、上記の実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
上記の実施の形態1において、検知部13は、実測のホール電圧の変動量に基づいて摩耗が生じた部材を推定することができる。
例えば、検知部13は、予め設定された複数の所定の移動量「-Xa」、「-Xb」、「+Xb」および「+Xa」に応じた基準のホール電圧に対して、シフトフォーク5が複数の所定の移動量「-Xa」、「-Xb」、「+Xb」および「+Xa」を移動したときに磁気センサ12で検出される複数の実測のホール電圧の変動量を算出する。このとき、基準のホール電圧は、センサ用マグネット15に強磁性体材料が付着していない状態で測定されたものとする。
続いて、検知部13は、算出された複数の実測のホール電圧の変動量に基づいて、摩耗が生じた部材を推定する。検知部13は、例えば、複数の所定の移動量「-Xa」、「-Xb」、「+Xb」および「+Xa」における摩耗粉Pの付着量を算出し、摩耗粉Pの付着量の差に基づいて、センサ用マグネット15のうち摩耗粉Pの付着量が最も多い部分を判定する。例えば、検知部13は、分割マグネット15a~15cのうち分割マグネット15aに摩耗粉Pの付着量が最も多いと判定した場合には、分割マグネット15bに対して分割マグネット15a側に配置されたシンクロナイザリング8a、ドグギヤ9aおよび変速ギヤ10aに摩耗が生じたと推定することができる。
本実施の形態によれば、検知部13は、実測のホール電圧の変動量に基づいて摩耗が生じた部材を推定するため、部材の摩耗をより高精度に検知することができる。
(実施の形態3)
以下、本開示の実施の形態3について説明する。ここでは、上記の実施の形態1および2との相違点を中心に説明し、上記の実施の形態1および2との共通点については、共通の参照符号を使用して、その詳細な説明を省略する。
上記の実施の形態2において、検知部13は、実測のホール電圧の変動量に基づいてセンサ用マグネット15に付着した摩耗粉Pの種類を特定することにより摩耗が生じた部材を推定することもできる。
例えば、検知部13には、センサ用マグネット15に付着する強磁性体材料の種類に応じた基準のホール電圧の変動量が予め設定されている。ここで、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材は、互いに異なる種類の強磁性体材料から構成されているものとする。そこで、検知部13は、実測のホール電圧の変動量に基づいてセンサ用マグネット15に付着した摩耗粉Pの種類を特定する。そして、検知部13は、特定された摩耗粉Pの種類に基づいて、センサ用マグネット15の周囲に配置された部材を構成する強磁性体材料の種類を参照することにより、摩耗が生じた部材を推定する。
本実施の形態によれば、検知部13は、実測のホール電圧の変動量に基づいて摩耗が生じた部材を推定するため、部材の摩耗をより高精度に検知することができる。
なお、上記の実施の形態1~3では、検知部13は、実測のホール電圧の変動量に基づいてセンサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着量を算出したが、センサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着を検知することができればよく、これに限られるものではない。
また、上記の実施の形態1~3では、検知部13は、強磁性体材料が付着していない状態で測定された基準のホール電圧に基づいて実測のホール電圧の変動量を算出したが、基準のホール電圧に対する実測のホール電圧の変動量を算出することができればよく、これに限られるものではない。例えば、検知部13は、所定量の強磁性体材料が付着した状態で測定された基準のホール電圧に基づいて実測のホール電圧の変動量を算出してもよい。
また、上記の実施の形態1~3では、検知部13は、センサ用マグネット15への強磁性体材料の付着量に応じた基準のホール電圧の変動量が予め設定されたが、センサ用マグネット15の磁場に影響する材料の付着量に応じた基準のホール電圧の変動量を設定することができればよく、強磁性体材料に限られるものではない。
また、上記の実施の形態1~3では、センサ用マグネット15は、シフトフォーク5に配置されたが、変速機1の切り替えに応じて移動する移動部に配置できればよく、シフトフォーク5に限られるものではない。例えば、センサ用マグネット15は、変速機1の切り替えに応じて移動するシフトロッド4に配置することもできる。
また、上記の実施の形態1~3では、検知装置2は、変速機1における摩耗粉Pの付着を検知したが、移動するように設けられた移動部にセンサ用マグネット15を配置して、このセンサ用マグネット15への摩耗粉Pの付着を検知することができればよく、変速機1に限られるものではない。
その他、上記の実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、上記の実施の形態で説明した各部の形状や個数などについての開示はあくまで例示であり、適宜変更して実施することができる。
本開示に係る検知装置は、摩耗を検知する装置に利用できる。
1 変速機
2 検知装置
3 シャフト
4 シフトロッド
4a ディテント溝
4b ロックボール
5 シフトフォーク(移動部)
6 スリーブ
7 ハブ
8a,8b シンクロナイザリング
9a,9b ドグギヤ
10a,10b 変速ギヤ
11 変速機制御部
12 磁気センサ
13 検知部
14 報知部
15 センサ用マグネット
15a,15b,15c 分割マグネット
D 移動方向
P 摩耗粉

Claims (7)

  1. 移動するように設けられた移動部に配置されたセンサ用マグネットと、
    前記移動部の移動に応じて変化する前記センサ用マグネットのホール電圧を検出する磁気センサと、
    予め設定された所定の移動量に応じた基準のホール電圧に対して、前記移動部が前記所定の移動量を移動したときに前記磁気センサで検出される実測のホール電圧の変動量を算出し、前記実測のホール電圧の変動量に基づいて、前記センサ用マグネットへの摩耗粉の付着を検知する検知部とを備えた検知装置。
  2. 前記検知部は、前記実測のホール電圧の変動量に基づいて、予め設定された前記センサ用マグネットへの強磁性体材料の付着量に応じた前記基準のホール電圧の変動量を参照することにより、前記センサ用マグネットへの摩耗粉の付着量を算出する請求項1に記載の検知装置。
  3. 前記検知部で算出される前記摩耗粉の付着量が所定の閾値を超えた場合に、前記センサ用マグネットの周囲に配置された部材の摩耗を報知する報知部をさらに有する請求項2に記載の検知装置。
  4. 前記検知部は、前記磁気センサで検出される前記実測のホール電圧に基づいて、前記移動部の移動量をさらに検知する請求項1~3のいずれか一項に記載の検知装置。
  5. 前記センサ用マグネットは、車両の変速機の切り替えに応じて移動する前記移動部に配置される請求項1~4のいずれか一項に記載の検知装置。
  6. 前記検知部は、予め設定された複数の前記所定の移動量に応じた前記基準のホール電圧に対して前記移動部が複数の前記所定の移動量を移動したときに前記磁気センサで検出される複数の前記実測のホール電圧の変動量を算出し、複数の前記実測のホール電圧の変動量に基づいて摩耗が生じた部材を推定する請求項1~5のいずれか一項に記載の検知装置。
  7. 前記検知部は、前記センサ用マグネットに付着する強磁性体材料の種類に応じた前記基準のホール電圧の変動量が予め設定され、前記実測のホール電圧の変動量に基づいて前記センサ用マグネットに付着した摩耗粉の種類を特定することにより摩耗が生じた部材を推定する請求項1~6のいずれか一項に記載の検知装置。
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