JP2022043679A - フォトクロミック組成物 - Google Patents

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Abstract

【目的】優れたフォトクロミック性を発現することができるフォトクロミック組成物を得る。【解決手段】(A)(A1)少なくとも1つの環状ポリエーテルエステルからなる環状分子を、(A2)軸分子である高分子化合物、が貫通した構造を有するポリロタキサンと、(B)フォトクロミック化合物とを含んでいることを特徴とするフォトクロミック組成物である。また、該フォトクロミック組成物を硬化して得られるフォトクロミック硬化体、光学基材の表面に該フォトクロミック硬化体が積層されているフォトクロミック積層体、あるいは互いに対向する2枚の光学シート(または光学フィルム)が該フォトクロミック硬化体からなる接着層を介して接合されたフォトクロミック積層シートも包含する。【選択図】なし

Description

本発明は、新規なフォトクロミック組成物に関する。
クロメン化合物、フルギド化合物、スピロオキサジン化合物等に代表されるフォトクロミック化合物は、太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射をやめて暗所におくと元の色に戻るという特性(フォトクロミック性)を有しており、この特性を活かして、種々の用途、特に光学材料の用途に使用されている。
例えば、フォトクロミック化合物の使用によりフォトクロミック性が付与されているフォトクロミック眼鏡レンズは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外では速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能するものであり、近年その需要は増大している。
光学材料にフォトクロミック性を付与するためには、一般に、フォトクロミック化合物はプラスチック材料と併用されるが、具体的には、次のような手段が知られている。
(a)重合性モノマーとフォトクロミック化合物との組成物を重合させることにより、直接、レンズ等の光学材料とする方法。
この方法は、練り込み法と呼ばれている。
(b)レンズ等のプラスチック製の光学基材の表面に、フォトクロミック化合物を含む樹脂層を、コーティングあるいは注型重合により設ける方法。
この方法は、積層法と呼ばれている。
(c)光学シートあるいはガラスレンズ等の2枚の光学基材を、フォトクロミック化合物を含む接着層により接合する方法。
この方法は、バインダー法と呼ばれている。
ところで、フォトクロミック性が付与された光学材料については、さらに、
(I)紫外線を照射する前の可視光領域での着色度(初期着色)が低いこと
(II)紫外線を照射した時の着色度(発色濃度)が高いこと
(III)紫外線の照射を止めてから元の状態に戻るまでの速度(退色速度)が速いこと
(IV)発色~退色の可逆作用の繰り返し耐久性がよいこと
(V)保存安定性が高いこと
(VI)各種の形状に成形し易いこと
(VII)機械的強度が低下することなく、フォトクロミック性が付与されること
という特性が求められている。
したがって、前記した(a)~(c)の手段でフォトクロミック性が付与された光学材料について、上記のような要求が満足されるように、種々の提案がなされているが、発色濃度や退色速度などに関して、さらに優れた特性を発現させることが求められているのが現状である。
例えば、前記した練り込み法は、ガラスモールドを使用して安価で大量にフォトクロミック性が付与された光学材料、例えばプラスチックレンズを生産できるという利点を有しているおり、現在、フォトクロミック性が付与されたプラスチックレンズの多くは、この方法により生産されている。
しかしながら、練り込み法では前記レンズ自体に強度が要求されるため、フォトクロミック化合物が含まれるマトリックス樹脂の機械的強度を高める必要がある。このため、優れたフォトクロミック性を発現させることが困難となっている。すなわち、マトリックス樹脂の機械的強度を高めたため、マトリックス樹脂の構造が強固となり、その結果、マトリックス樹脂中に存在するフォトクロミック化合物の分子の自由度が低くなって、発色~退色の可逆作用反応が損なわれてしまい、フォトクロミック性が低下する。
例えば、練り込み法に関して、特許文献1には、イソシアネートモノマーとチオールモノマーを含む重合性モノマー組成物にフォトクロミック化合物を添加する手法が開示されている。また、特許文献2には、特定の(メタ)アクリル重合性モノマーとフォトクロミック化合物とを含むフォトクロミック組成物が開示されている。
しかるに、これらの組成物を重合硬化せしめて成形されたフォトクロミック性が付与された光学材料は、機械的強度は高いものの、フォトクロミック性、特に退色速度の点で不満足である。
一方、積層法やバインダー法は、前記した練り込み法と比較して、機械的強度は用いる光学基材で担保できるものの、フォトクロミック性が光学基材に積層・接合される薄い層で発現させる結果、練り込み法と同等の発色濃度を発現させるためには、フォトクロミック化合物を高濃度で含有させる必要がある。この場合、高濃度で含有させるため、フォトクロミック化合物の種類によっては、溶解性が不十分で均一とすることができない、または、フォトクロミック化合物が析出してしまう等の問題があった。また、フォトクロミック性を発現する層が薄いため、フォトクロミック化合物の耐久性が劣っている場合もあった。
例えば、特許文献3には、プラスチックレンズ等の光学基材上にフォトクロミック組成物をスピンコートなどにより塗布し、光硬化させてフォトクロミック性を有するコーティング層を形成する方法が開示されている(この積層法は、コーティング法とも呼ばれる)。
また、特許文献4には、エラストマーガスケット、粘着テープまたはスペーサーなどの部材を用いて、光学基材であるプラスチックレンズとガラスモールドとの間に隙間を確保し、この隙間にフォトクロミック組成物を流し込み、重合硬化させることにより、光学基材にフォトクロミック性を有する層を積層する方法(この積層法は、注型重合法ともいう)が開示されている。
さらに、特許文献5には、フォトクロミック化合物を含有するポリウレタン樹脂接着層により光学基材である2枚の透明なカーボネートシートを接合したフォトクロミック性を有する積層した光学シートを製造する方法が開示されている(バインダー法)。
さらに、特許文献6には、フォトクロミック化合物を含有するウレタン樹脂を含む接着層で、光学基材である1対のガラスレンズを接合したガラスレンズを製造する方法が開示されている(このバインダー法は、ガラス貼り合せ法とも呼ばれる)。
しかるに、特許文献3~6のいずれにおいても、フォトクロミック化合物が含有されている薄い層によりフォトクロミック性を発現させるため、溶解性が低いフォトクロミック化合物を用いた場合には、発色濃度が低くなる傾向があり、さらに、フォトクロミック化合物の耐久性が劣っている場合もあった。
そのため、特許文献7では、環状分子がシクロデキストリン、軸分子がポリエチレングリコールであるポリロタキサンを使用したフォトクロミック組成物により、発色濃度、および退色速度を向上させる検討が試みられているが、耐久性が不十分な場合があった。
このように、現在の公知の技術では、発色濃度、退色速度、耐久性のいずれかが不満足となる傾向にある。
WO2012/176439号 WO2009/075388号 WO2011/125956号 WO2003/011967号 WO2013/099640号 WO2019/198664号 WO2015/068798号
本発明は、優れたフォトクロミック性を有する光学材料の製造に使用できるフォトクロミック組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、フォトクロミック化合物、および特定の構造を有するポリロタキサンを使用することによって上記目的を達するに至った。
すなわち、第一の本発明は、(A)(A1)少なくとも1つの環状ポリエーテルエステルからなる環状分子を(A2)軸分子である高分子化合物が貫通した構造を有するポリロタキサンと、(B)フォトクロミック化合物を含んでなることを特徴とするフォトクロミック組成物である。
さらに、第二の本発明は、上記フォトクロミック組成物を硬化して得られるフォトクロミック硬化体である。
第三の本発明は、光学基材の表面に上記フォトクロミック硬化体が積層されているフォトクロミック積層体である。
第四の本発明は、互いに対向する2枚の光学シート(または光学フィルム)が上記フォトクロミック硬化体からなる接着層を介して接合されたフォトクロミック積層シートである。
本発明においては、前記の特定の構造を有するポリロタキサンを使用することによって、紫外線を含む光が照射された際に生じるフォトクロミック化合物の構造変化を邪魔しないだけの、十分な空間を保持することが可能となり、その結果、優れたフォトクロミック特性が得られると考えられる。この前記ポリロタキサンの効果は、ポリロタキサンの分子構造に由来すると考えられる。前記ポリロタキサンは、直鎖状分子が環状分子を貫通し、直鎖状分子の両末端に嵩高い基を結合した構造であり、この環状分子周りに空間が生じやすいと思われる。また、前記ポリロタキサンは、環状分子を基点として直鎖状分子が動けるような滑車効果を有することから、より均一に空間を確保しやすくなっていると考えられる。これらのことから、前記ポリロタキサンを用いることにより、優れたフォトクロミック特性を発揮できると考えられる。
その結果、本発明によれば、従来技術よりも優れたフォトクロミック特性を発現することができる。
本発明のフォトクロミック組成物は、(A)(A1)少なくとも1つの環状ポリエーテルエステルからなる環状分子を(A2)軸分子である高分子化合物が貫通した構造を有するポリロタキサン(以下、(A)成分ともいう)と、(B)フォトクロミック化合物(以下、(B)成分ともいう)とを含み、使用形態に応じて、(C)重合性モノマー(以下、(C)成分ともいう)や(D)重合硬化促進剤(以下、(D)成分ともいう)が適宜含有され、さらに、公知のその他の配合成分を含んでいてもよい。以下、各成分について説明する。
[(A)ポリロタキサン]
本発明で用いられる前記(A)成分は、(A1)少なくとも1つの環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(以下、(A1)成分という)を(A2)軸分子である高分子化合物(以下、(A2)成分という)が貫通した構造を有するポリロタキサンである。さらに、軸分子の両末端に嵩高い基を結合した構造を有していてもよい。前記ポリロタキサンは、軸分子が環状分子を貫通しているため、軸分を基点として環状分子が移動可能であるが、前記したとおり、軸分子の両末端に嵩高い基が結合されている場合には、環状分子は軸分子から抜け落ちることはない。
本発明で用いられるの(A1)成分は、下記一般式(1)で示される化合物である。
Figure 2022043679000001
前記一般式(1)において、Xは2価の炭素数2~21の炭化水素基であり、該炭化水素基中の水素原子がハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基またはフェノキシ基で置換されていてもよい。
前記炭素数2~21の炭化水素基としては、炭素数2~21のアルキレン基、炭素数2~21のアルケニレン基、炭素数6~21のアリーレン基および炭素数7~21のアラルキレン基等が挙げられる。
前記炭素数2~21のアルキレン基としては、炭素数2~21の直鎖アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基およびn-ヘンイコサニレン基)および炭素数3~21の分岐アルキレン基(1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-エチルエチレン基、2-エチルエチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルトリメチレン基、1-n-ブチルトリメチレン基、1-n-ヘキシルトリメチレン基、1-n-プロピルトリメチレン基、1-n-ヘプチルトリメチレン基、1-n-オクチルトリメチレン基、1-n-ヘプチルテトラメチレン基および1-n-オクチルエチレン基等)および炭素数4~21のシクロアルキレン基(シクロブチレン基、シクロペンチレン基、2-メチルシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、1,3-ジメチルシクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、1-エチルシクロペンチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基、シクロトリデレン基、シクロテトラデシレン基、シクロペンタデシレン基、シクロヘキサデシレン基、シクロヘプタデシレン基、シクロオクタデシレン基、シクロノナデシレン基、シクロエイコシレン基、ノルボルニレン基、ジシクロペンチレン基、イソプロピリデンジシクロヘキシレン基およびシクロヘキサンジメチレン基等)等が挙げられる。
前記炭素数2~21のアルケニレン基としては、炭素数2~21の直鎖アルケニレン基(エテニレン基、プロペニレン基およびヘンイコセニレン基等)および炭素数3~21の分岐アルケニレン基(1-エチルエテニレン基、1,2-ジメチルエテニレン基、1-ブチルエテニレン基、1-ヘキシルエテニレン基および1-オクチルエテニレン基等)等が挙げられる。
前記炭素数6~21のアリーレン基としては、o-、p-またはm-フェニレン基、2,4-ナフチレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、フルオレニレン基、ピレニレン基および基等が挙げられる。
前記炭素数7~21のアラルキレン基としては、フェニルメチレン基、ジフェニルメチン基、1-フェニルエチレン基、o-フェニレンエチル基およびナフチルメチレン基等が挙げられる。
前記炭素数2~21の炭化水素基中の水素原子が置換されるハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基またはフェノキシ基としては、1-ブロモ-トリメチレン基、1-アセチル-トリメチレン基、1-メトキシ-トリメチレン基および1-フェノキシ-トリメチレン基等が挙げられる。
中でも、Xとしては、炭素数3~16の直鎖または分岐アルキレン基が好ましく、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、テトラデカメチレン基、メチルエチレン基、1-n-プロピルトリメチレン基、1-n-ヘプチルトリメチレン基、1-n-オクチルトリメチレン基、1-n-ヘプチルテトラメチレン基、1-n-ヘキシルトリメチレン基、1-n-ヘキシルテトラメチレン基、1-n-ウンデシルトリメチレン基および1-n-ウンデシルテトラメチレン基がさらに好ましい。
前記一般式(1)において、Xは炭素数2~8の2価の炭化水素基である。該炭素数2~8の2価の炭化水素基のうち、フェニルエチレン基、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2~4の直鎖アルキレン基(エチレン基、プロピレン基およびブチレン基等)および炭素数3または4の分岐アルキレン基(メチルエチレン基、エチルエチレン基、メチルプロピレン基および2-メチルプロピレン等)がさらに好ましく、炭素数2~4の直鎖アルキレン基および炭素数3~4の分岐アルキレン基が特に好ましく、エチレン基およびプロピレン基が最も好ましい。
前記上記一般式(1)において、zは[XCO(OX)nO]で表される基の繰り返し単位数を意味し、yは(OX)で表されるオキシアルキレン基の繰り返し単位数を意味する。
zは1~3であり、好ましくは1である。
yは1~50であり、(A1)成分のオキシアルキレン基の繰り返し単位数(y)は、(A2)成分の貫通し易さ等の観点から、好ましくは5~35の整数である。
なお、zが2または3である場合、z個あるXは同じであっても異なっていてもよく、同じであることが好ましい。また、zが2もしくは3、および/またはyが2以上の整数である場合、z×y個あるXは同じであっても異なっていてもよく、(A2)成分の貫通し易さ等の観点から、同じであることが好ましい。
z×y個あるXが異なっている場合、z×y個あるXの組成は、Polym.Chem.,2014,5,6905.に記載のマトリックス支援レーザー脱離イオン化法による飛行時間型質量分析(MALDI-TOF MSともいう)により測定分析することができる。
本発明で用いられる(A1)成分としては、前記一般式(1)においてzおよび/またはyが特定の値である(A1)成分を単独で用いてもよく、zおよび/またはyの値が異なる複数の(A1)成分を併用してもよい。
前記一般式(1)において、zおよび/またはyが異なる複数の(A1)成分を併用する場合、使用する(A1)成分の種類とその比率は、(A2)成分の組成、分子量および分子量分布等に応じて調整、選択することができる。
この場合、前記一般式(1)におけるzおよびyは、複数の(A1)成分のzおよびyの平均値となる。
前記一般式(1)中のzおよびyの値の調整および特定の範囲のyを有する(A1)成分の含有量の調整は、後述のアルコキシル化反応において用いる活性水素含有基を有さないラクトンと炭素数2~8のアルキレンオキサイドとの比率の調整およびアルキレンオキサイドの付加方法を変えること等で行うことができ、例えば活性水素含有基を有さないラクトンに反応するアルキレンオキサイドを段階的に反応すると特定の値のyを有する(A1)成分の含有量を多くすることができ、yが一定範囲の値をとる(A1)成分の合計割合を増やすことができる。
なお、(A1)成分のzの値、およびyの値は、Polym.Chem.,2014,5,6905.に記載のMALDI-TOF MSにより分析し、確認することができる。
本発明で用いられる(A1)成分の数平均分子量(以下、Mnと略記する)は、(A2)成分の分子量等に応じて調整することができるが、(A)成分の製造の容易さ等の観点から200~4000が好ましい。
前記(A1)成分のMnは、オキシアルキレン基の繰り返し単位数を調整すること等によって好ましい範囲にすることができる。該(A1)成分の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記)を用いて測定することができる。
中でも、本発明で用いられる(A1)成分は、Xがテトラデカメチレン基であり、Xがエチレン基およびプロピレン基であり、zが1~3、yが5~35である環状ポリエーテルエステルが好ましい。
本発明で用いられる(A1)成分は、活性水素含有基を有さないラクトンと炭素数2~8のアルキレンオキサイドとを用いて、該活性水素含有基を有さないラクトンのオキシカルボニル基が有するカルボニルと酸素原子との間に、前記アルキレンオキサイド由来のオキシアルキレン基を挿入する反応(アルコキシル化反応ともいう)を行うことで得ることができる。前記のアルコキシル化反応は、活性水素含有基を有さないラクトンと炭素数2~8のアルキレンオキサイドとを、アルキレンオキサイドの開環付加反応およびアルコキシル化反応等に用いられる触媒をアルコキシル化反応の触媒として用いて行ってもよい。
なお、前記活性水素含有基はアルキレンオキサイドが開環付加し得る官能基を意味し、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基等が挙げられる。
前記アルコキシル化反応では、アルコキシル化反応で生成した前記一般式(1)で表される(A1)成分に対して、さらに他の一般式(1)で表される(A1)成分が挿入付加する副反応がおこる。
そのため、前記のアルコキシル化反応では、前記一般式(1)においてz=1である(A1)成分の他に、前記一般式(1)においてz=2である(すなわち[XCO(OXO]で表される繰り返し単位が2)である(A1)成分および/またはz=1(すなわち[XCO(OXO]で表される繰り返し単位が3)である(A1)成分を含んだ混合物となり、通常、zが1である(A1)成分と、zが2である(A1)成分と、zが3である(A1)成分との質量比率は、概ね6:3:1である。
なお、(A)成分の組成は、Polym.Chem.,2014,5,6905.に記載のMALDI-TOF MSにより分析し、確認することができる。
前記アルコキシル化反応で得られる(A1)の混合物は、さらにゲル透過法およびシリカゲルカラムクロマトグラフィー等の公知の方法により分画、精製を行うことで特定のzとyを有する(A1)成分を得ることができる。なお、本発明で用いられる(A1)成分としては、前記のアルコキシル化反応で得られる混合物をそのまま用いても、該混合物を分画、精製して得られたzおよびyが特定の値である(A1)成分を用いてもよい。
前記(A1)成分を得るために用いる活性水素含有基を有さないラクトンは、1つの水酸基と1つのカルボキシル基とを有し、該1つの水酸基と1つのカルボキシル基とを除く他の活性水素含有基を有していない炭素数4~22のモノヒドロキシカルボン酸を、水酸基とカルボキシル基とを分子内脱水することで得ることができる。該分子内脱水してラクトンとする方法としては、公知の方法で加熱脱水する方法、J.S.Nimitz,R.H.Wollemberg,Terahedron Lett.1978,19,3523に記載方法、およびリパーゼ等の酵素を用いる方法の公知の方法を用いることができる。
前記1つの水酸基と1つのカルボキシル基とを除く他の活性水素含有基を有していない炭素数4~22のモノヒドロキシカルボン酸としては、炭素数4~22の直鎖ヒドロキシカルボン酸(例えば、3-ヒドロキシプロパン酸、4-ヒドロキシ酪酸、5-ヒドロキシペンタン酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、15-ヒドロキシペンタデカン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸および4-ヒドロキシ-2-ブテン酸等)および炭素数3~22の分岐ヒドロキシカルボン酸(例えば、3-ヒドロキシブタン酸、5-ヒドロキシトリデカン酸、2-メチレン-4-ヒドロキシ酪酸、4-フェニル-4-ヒドロキシ酪酸、2,2-ジメチル-4-ヒドロキシ酪酸、4-ヘキシル-4-ヒドロキシ酪酸および4-ヒドロキシ-2-メチル-2-ブテン酸等)等が挙げられる。
また、前記1つの水酸基と1つのカルボキシル基とを除く他の活性水素含有基を有していない炭素数4~22のモノヒドロキシカルボン酸としては、該炭素数4~22のヒドロキシカルボン酸の炭素原子に結合した水素原子がハロゲン原子、アセチル基、アルコキシ基またはフェノキシ基で置換されたモノヒドロキシカルボン酸も用いることもできる。
前記炭素原子に結合した水素原子がハロゲン原子で置換されたモノヒドロキシカルボン酸としては、2-ブロモ-4-ヒドロキシ酪酸等が挙げられ、アセチル基で置換されたモノヒドロキシカルボン酸としては、2-アセチル-4-ヒドロキシブタン酸等が挙げられ、アルコキシ基で置換されたモノヒドロキシカルボン酸としては、2-メトキシ-4-ヒドロキシ酪酸等が挙げられ、フェノキシ基で置換されたモノヒドロキシカルボン酸としては、2-フェニル-4-ヒドロキシ酪酸等が挙げられる。
前記活性水素含有基を有さないラクトンとしては、β-ラクトン(例えば、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン等)、γ-ラクトン(例えば、γ-ブチロラクトン等)、δ-ラクトン(例えば、δ-バレロラクトン等)、ε-ラクトン(例えば、ε-カプロラクトン等)、長鎖アルキル基を有するラクトン(例えば、γ-エナントラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-ドデカラクトンおよびδ-ドデカノラクトン等)、大環状ラクトン(例えば、15-ペンタデカノラクトン等)および芳香族ラクトン(例えば、3,4-ジヒドロクマリン等)等が好ましい。
前記活性水素含有基を有さないラクトンは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、(A1)成分を得るために用いる炭素数2~8のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキサイド、オキセタン、1,2-、1,3-、1,4-または2,3-ブチレンオキサイドおよびスチレンオキサイド等が挙げられ、炭素数2~3のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、1,2-プロピレンオキサイドおよびオキセタン)が好ましく、エチレンオキサイドおよび1,2-プロピレンオキサイドがさらに好ましい。
前記炭素数2~8のアルキレンオキサイドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭素数2~8のアルキレンオキサイドとして2種以上を併用する場合、得られる(A1)成分は、前記一般式(1)においてy個あるXとして、用いた前記炭素数2~8のアルキレンオキサイドの種類に対応した異なる種類のXを有する。その場合、結合形式はランダムであっても、ブロックであっても、その両方であってもよい。
前記アルコキシル化反応は、金属(ホウ素、錫、ニッケル、亜鉛およびアルミニウム等)のハロゲン化物、無機酸(硫酸およびリン酸等)、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムおよびセシウム等)の水酸化物、アミン化合物(ジエチルアミンおよびトリエチルアミン等)、特開2000-354763号公報に記載された酸化物複合体およびその焼成物並びに層状複水酸化物等を触媒として用いることができる。
なお、前記層状複水酸化物とは、2価の金属(Mg、Fe、Zn、Ca、Li、Ni、CoおよびCu等)と3価の金属(Al、FeおよびMn等)の水酸化物とが複合して積層構造を形成した無機の層状化合物を意味し、一般式が[M2+ 1-a3+ (OH)][(An-・mHO][ここで、M2+は2価の金属、M3+は3価の金属、An-はn価の陰イオン(HCO 、PO 3-、SO 2-、Cl、NO およびNO 等)、m>0である。]で表さる化合物であり、ハイドロタルサイト、モツコレアイト、マナセイト、スティッヒタイト、パイロアウライト、タコバイト、イヤードライトおよびメイキセネライト等が含まれる。これらの層状複水酸化物は、粘土鉱物として知られており、天然に産する鉱物に含まれたものであっても、合成によって得られたものであってもよく、そのまま用いても、これを400~950℃(好ましくは400~700℃)で焼成したものを用いてよい。
前記アルコキシル化反応に用いることができる層状複水酸化物としては特に制限されず、例えば市場から入手できるものとしては、キョーワード500(MgAl(OH)16CO・4HO)(協和化学工業株式会社製、「キョーワード」は同社の登録商標である。以下、「キョーワード」を含む名称の製品について同じ。)、キョーワード1000(Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO)等が挙げられる。
本発明で用いられる(A2)成分としては、特に制限されないが、親水性高分子化合物が好ましく、ポリアクリル酸およびポリオキシアルキレン鎖を有する高分子化合物が好ましく、ポリアクリル酸およびポリオキシアルキレン(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラヒドロフランおよびこれらの共重合体等)がさらに好ましい。
中でも、ポリオキシアルキレンが好ましく、ポリエチレングリコールがさらに好ましい。
また、(A2)成分として、前記のポリオキシアルキレンとポリイソシアネート化合物とのポリウレタンや、ポリオキシアルキレンと類似の性質を有するポリシロキサン(ポリジメチルシロキサン等)も好ましく用いることができる。
また、前記(A2)成分は、反応性官能基を導入した高分子化合物であってもよく、前記導入する反応性官能基としては、アミノ基、チオ基、水酸基およびマレイミド基等があげられる。これらの反応性官能基を導入した(A2)成分としては、末端アミン変性ポリエチレングリコール、末端チオール変性ポリエチレングリコールおよび末端マレイミド変性ポリエチレングリコール等が挙げられ、これらはSUNBRITEシリーズ(SUNBRITEは日油株式会社の登録商標)として日油株式会社から入手可能である。
また、前記(A2)成分は、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸モノエステルを有する(共)重合体も用いることができる。
これらの(A2)成分は、単独であっても、2種以上が混在していてもよい。
前記(A2)成分の数平均分子量は、(A)成分の製造し易さ等の観点から、1,000~100,000であることが好ましい。なお、(A2)成分の数平均分子量は、前記の(A1)成分と同様にGPCを用いて測定することができる。
本発明で用いられる(A)成分は、前記(A1)成分と(A2)成分とを混合する方法、および(A1)成分の存在下で(A2)成分を公知の方法で重合する方法等により製造することができるが、前記(A)成分の製造の容易さ等の観点から、(A1)成分と(A2)成分を混合する方法が好ましい。
前記(A1)成分と(A2)成分とを混合する方法としては、水性媒体中で(A1)成分と(A2)成分を攪拌・混合する方法があげられ、該攪拌・混合する際の温度は、0~100℃、好ましくは4~80℃であり、混合時間は、1秒~1週間、好ましくは10秒~3日である。(A2)成分が(A1)成分を貫通した(A)成分は、撹拌・混合後の溶液を再沈殿、濾過、遠心分離、膜分離およびカラムクロマトグラフィー等の公知の分離方法によって単離できる。
前記(A1)成分と(A2)成分とを混合して得られた混合物が(A)成分を含むことは、公知の粉末X線回折およびNMRスペクトルの測定並びに原子間力顕微鏡による観察等を行うことで確認することができる。また、(A)成分は水性媒体中で沈殿物として得られることも多いため、肉眼観察により生成を確認することもできる。粉末X線回折の測定においては、既知の他のポリロタキサンが示す回折ピークと比較の比較をすることで、(A)成分生成の有無を確認することができ、NMRスペクトルにより、(A2)成分1分子に対して貫通する(A1)成分の数を算出することができる。
前記(A1)成分と(A2)成分とを混合する場合、(A2)成分100質量部に対して(A1)成分を1~10質量部用いることが好ましく、1~5質量部用いることがさらに好ましい。
また、(A1)成分が有する空洞部分を(A2)成分が貫通した(A)成分を得た後、さらに(A2)成分から(A1)成分が脱離できなくするために、(A2)成分の両末端に嵩高い官能基を有すること、または(A)成分同士が3次元架橋していることが好ましい。
前記(A)成分中の(A2)成分の末端に付加する嵩高い官能基としては、(A2)成分から(A1)成分が脱離しなければ、(A1)成分の前記zおよびyに依存する大きさ、および(A2)成分の種類に応じて適宜選択するばよく、例えば、特開2012-172083号公報に記載のN-置換アミノ基、特開2009-013253号公報に記載のキャッピング剤を用いて導入した官能基、および特開2006-233007号公報に記載の嵩高い基等を用いることができる。
(A)成分同士が3次元架橋した(A)成分としては、反応性官能基を導入した(A2)成分を有する前記(A)成分と、該(A2)成分に導入した反応性官能基と反応する官能基を1分子中に3個以上有する化合物とを反応させたものが挙げられる。例えば(A2)成分に導入した反応性官能基が水酸基および/またはアミノ基である場合は、(A)成分と、3官能以上のポリカルボン酸(例えば、1,3-プロパントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸およびアコニット酸等)および/または3官能以上のポリイソシアネート(例えば、イソシアヌレートポリイソシアネート等)とを反応させたものが挙げられる。(A)成分と3官能以上のポリカルボン酸との反応は、公知の脱水反応を行なえばよく、(A)成分と3官能以上のポリイソシアネートとの反応は、公知の付加反応を行なえばよい。
また、本発明で用いられる(A1)成分に、側鎖を導入することも可能であり、さらには、該側鎖が重合性官能基を有していてもよい。
前記(A1)成分に前記側鎖を導入することにより、隣り合う(A)成分間に適度な空間をより確実に形成することができ、その結果、フォトクロミック化合物分子の可逆反応を許容し得る間隙を確実に確保することができ、優れたフォトクロミック性を発現させることができる。また、前記側鎖は、(A)成分に疑似架橋構造を形成させ、これにより、本発明のフォトクロミック硬化体の機械的強度を向上させることもできる。
本発明において、前記(A1)成分に前記側鎖を導入する方法は、特に制限されないが、通常は(A1)成分が有する官能基を利用し、公知の方法で該官能基に側鎖を導入する方法が採用される。例えば、前記式(1)におけるXが前記炭化水素基中の水素原子がハロゲン原子で置換されている(A1)成分(この場合、該ハロゲン原子で置換されている基が官能基となる)を用い、公知のレフォルマトスキー反応などにより該ハロゲン原子を水酸基に置き換えた後に、該水酸基に側鎖を導入する方法が採用される。
前記側鎖としては、炭素数が3~20の有機鎖が複数回繰り返して形成されていることが好適であり、また、該側鎖の重量平均分子量は300~10000が好ましく、350~8000がより好ましく、350~5,000がさらに好ましく、400~1500が最も好ましい。すなわち、側鎖の重量平均分子量の下限を上記のとおりとすることにより、フォトクロミック化合物分子の可逆反応を許容し得る間隙を確保するという機能が十分となり、側鎖の重量平均分子量の上限を上記のとおりとすることにより、後述する(B)成分を(A)成分に緊密に混合することができ、結局、(A)成分によって確保される空間を十分に活用することができる。
本発明においては、前記側鎖の機能を十分に発揮させるためには、(A1)成分が有する全官能基数の30%以上、特に50%以上、側鎖が導入されていることが好ましい。例えば、前記式(1)におけるXが前記炭化水素基中の水素原子のうち、10個がハロゲン原子で置換されている(A1)成分(この場合、全官能基が10個となる)の場合、そのうちの5個に側鎖が導入されていると、(A1)成分が有する全官能基数の50%に側鎖が導入されていることになる。
本発明において、前記側鎖は、その重量平均分子量が前記した範囲内にある限り、直鎖状であって分枝状であってもよく、好適には、開環重合;ラジカル重合;カチオン重合;アニオン重合;原子移動ラジカル重合、RAFT重合、NMP重合などのリビングラジカル重合などを利用し、適宜の化合物を前記(A1)成分が有する官能基と反応させることによって適宜の重量平均分子量の側鎖を導入することができる。
例えば、開環重合により側鎖を導入する場合、環状エーテル、環状シロキサン、ラクトン、環状カーボネート、環状アセタール、環状アミン、環状イミノエーテル、環状チオカーボネート等の環状化合物を用いて側鎖を導入することができ、中でも、入手が容易であり、反応性が高く、さらには重量平均分子量の調整が容易であるという観点から、環状エーテル、環状シロキサン、ラクトン、環状カーボネートを用いることが好ましい。これら好適な環状化合物の具体例は、以下のとおりである。
・環状エーテル
エチレンオキシド
1,2-プロピレンオキシド
エピクロロヒドリン
エピブロモヒドリン
1,2-ブチレンオキシド
2,3-ブチレンオキシド
イソブチレンオキシド
オキセタン
3-メチルオキセタン
3,3-ジメチルオキセタン
テトラヒドロフラン
2-メチルテトラヒドロフラン
3-メチルテトラヒドロフラン
・環状シロキサン
ヘキサメチルシクロトリシロキサン
オクタメチルシクロテトラシロキサン
・ラクトン
4員環ラクトン(例えば、β-プロピオラクトン、β-メチルプロピオラクトン、L-セリン-β-ラクトン等)
5員環ラクトン(例えば、γ-ブチロラクトン、γ-ヘキサノラクトン、γ-ヘプタノラクトン、γ-オクタノラクトン、γ-デカノラクトン、γ-ドデカノラクトン、α-ヘキシル-γ-ブチロラクトン、α-ヘプチル-γ-ブチロラクトン、α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン、γ-メチル-γ-デカノラクトン、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、α,α-ジメチル-γ-ブチロラクトン、D-エリスロノラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-ノナノラクトン、DL-パントラクトン、γ-フェニル-γ-ブチロラクトン、γ-ウンデカノラクトン、γ-バレロラクトン、2,2-ペンタメチレン-1,3-ジオキソラン-4-オン、α-ブロモ-γ-ブチロラクトン、γ-クロトノラクトン、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、α-メタクリロイルオキシ-γ-ブチロラクトン、β-メタクリロイルオキシ-γ-ブチロラクトン等)
6員環ラクトン(例えば、δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、δ-オクタノラクトン、δ-ノナノラクトン、δ-デカノラクトン、δ-ウンデカノラクトン、δ-ドデカノラクトン、δ-トリデカノラクトン、δ-テトラデカノラクトン、DL-メバロノラクトン、4-ヒドロキシ-1-シクロヘキサンカルボン酸δ-ラクトン、モノメチル-δ-バレロラクトン、モノエチル-δ-バレロラクトン、モノヘキシル-δ-バレロラクトン、1,4-ジオキサン-2-オン、1,5-ジオキセパン-2-オン等)
7員環ラクトン(例えば、ノンアルキル-ε-カプロラクトン、ジアルキル-ε-カプロラクトン、モノメチル-ε-カプロラクトン、モノエチル-ε-カプロラクトン、モノヘキシル-ε-カプロラクトン、ジメチル-ε-カプロラクトン、ジ-n-プロピル-ε-カプロラクトン、ジ-n-ヘキシル-ε-カプロラクトン、トリメチル-ε-カプロラクトン、トリエチル-ε-カプロラクトン、トリ-n-ε-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、5-ノニル-オキセパン-2-オン、4,4,6-トリメチル-オキセパン-2-オン、4,6,6-トリメチル-オキセパン-2-オン、5-ヒドロキシメチル-オキセパン-2-オン等)
8員環ラクトン(例えば、ζ-エナントラクトン等)
その他のラクトン(例えば、ラクトン、ラクチド、ジラクチド、テトラメチルグリコシド、1,5-ジオキセパン-2-オン、t-ブチルカプロラクトン等)
・環状カーボネート
エチレンカーボネート
炭酸プロピレン
炭酸1,2-ブチレン
グリセロール1,2-カルボナート
4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン
(クロロメチル)エチレンカーボネート
炭酸ビニレン
4,5-ジメチル-1,3-ジオキソール-2-オン
4-クロロメチル-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン
4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン
4,5-ジフェニル-1,3-ジオキソラン-2-オン
4,4-ジメチル-5-メチレン-1,3-ジオキソラン-2-オン
1,3-ジオキサン-2-オン
5-メチル-5-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-オン
5,5-ジエチル-1,3-ジオキソラン-2-オン
前記環状化合物は、単独で使用しても、複数種を併用してもよい。
本発明において、好適に使用される環状化合物は、ラクトン及び環状カーボネートであり、中でも、ε-カプロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトン等のラクトンが好適であり、最も好ましいものはε-カプロラクトンである。
また、開環重合により環状化合物を用いて側鎖を導入する場合、前記(A1)成分が有する官能基(例えば水酸基)が反応性に乏しく、特に立体障害などにより、大きな前記環状化合物を直接反応させることが困難な場合がある。このような場合には、例えば、大きな前記環状化合物を反応させる前に、まず、プロピレンオキシドなどの低分子化合物を該官能基と反応させるヒドロキシプロピル化を行い、反応性に富んだ官能基(例えば水酸基)を導入した後、大きな前記環状化合物を用いた開環重合により、側鎖を導入するという手段を採用することができる。
また、例えば、ラジカル重合により側鎖を導入する場合、ラジカル重合性化合物を用いて側鎖を導入することができる。
前記ラジカル重合によりラジカル重合性化合物を用いて側鎖を導入する場合、前記(A1)成分がラジカル重合開始点を有していないため、ラジカル重合性化合物を反応させる前に、まず、前記(A1)成分が有する官能基(例えば水酸基)にラジカル開始点を形成するための化合物を反応させる必要がある。
前記ラジカル開始点を形成するための化合物としては、有機ハロゲン化合物が好適であり、例えば、2-ブロモイソブチリルブロミド、2-ブロモブチル酸、2-ブロモプロピオン酸、2-クロロプロピオン酸、2-ブロモイソ酪酸、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、2-クロロエチルイソシアネートなどを挙げることができる。
前記有機ハロゲン化合物と前記(A1)成分が有する官能基(例えば水酸基)とを反応することにより、該(A1)成分に有機ハロゲン化合物残基が導入される。該有機ハロゲン化合物残基は、ラジカル重合に際して、ハロゲン原子の移動等によりラジカルが生成し、これがラジカル重合開始点となって、ラジカル重合が進行することとなる。
また、前記(A1)成分が有する水酸基に、アミン、カルボン酸、イソシアネート、イミダゾール、酸無水物などの官能基を有する化合物を反応させて水酸基以外の他の官能基を導入し、該他の官能基と前記有機ハロゲン化合物とを反応させて、ラジカル重合開始点を導入することもできる。
前記ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基、例えば、(メタ)アクリル基、ビニル基、スチリル基等の官能基を少なくとも1種有する化合物が好適に使用される。これら好適な化合物の具体例は、以下のとおりである。
・アルキル(メタ)アクリレート
メチル(メタ)アクリレート
エチル(メタ)アクリレート
n-プロピル(メタ)アクリレート
n-ブチル(メタ)アクリレート
t-ブチル(メタ)アクリレート
ステアリル(メタ)アクリレート
・ヒドロキシ(メタ)アクリレート
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート
・シアノ(メタ)アクリレート
シアノエチル(メタ)アクリレート
・アミノ系(メタ)アクリレート
(メタ) アクリルアミド
N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド
N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
マレインイミド(メタ)アクリレート
・フルオロアルキル(メタ)アクリレート
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート
ペンタフルオロブチル(メタ)アクリレート
・シロキサニル(メタ)アクリレート
トリス(トリメチルシロキサニル)シリルプロピル(メタ)アクリレート
・アルキレングリコールポリオール(メタ)アクリレート
エチレングリコール(メタ)アクリレート
トリエチレングリコール(メタ)アクリレート
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート
プロピレングリコール(メタ)アクリレート
ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート
・芳香族ビニル化合物
スチレン
p-メチルスチレン
m-メトキシスチレン
p-ヒドロキシスチレン
・ビニル塩化合物
4-ビニル安息香酸ナトリウム
p-スチレンスルフォン酸ナトリウム
・両性イオン(メタ)アクリレート
2-メトキシアクリロイルオキシエチルホスホリルコリン
[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル(3-スルフォプロピル)アンモニウムハイドロキシド
・不飽和モノカルボン或いはそのエステル
桂皮酸
クロトン酸
・オキシラン化合物
グリシジル(メタ)アクリレート
・オキセタン化合物
2-オキセタンメチル(メタ)アクリレート
・不飽和ポリカルボン酸(無水物)
(無水)マレイン酸
(無水)フマル酸
また、上記以外にも、末端エチレン性不飽和結合を有するオリゴマーもしくはポリマー(以下、マクロモノマーともいう)も使用することができる。このようなマクロモノマーの主鎖を形成する成分としては、以下のものを例示することができる。
・ポリエーテル
ポリエチレンオキシド
ポリプロピレンオキシド
ポリテトラメチレンオキシド
・ポリエステル
ポリエチレンテレフタレート
ポリカプロラクトン
・炭化水素主鎖を有する重合体
ポリエチレン
ポリプロピレン
ポリスチレン
ポリビニルメチルエーテル
ポリ(メタ)アクリレート
・ポリアミド
ポリヘキサメチレンアジパミド
・その他の重合体
ポリイミド酸
ポリイミンアミン
ポリウレタン
ポリウレア
ポリジメチルシロキサン
ポリカーボネート重合体
・上記で挙げた各種重合体の共重合体
上記した化合物あるいはマクロモノマーは、それぞれ、単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
このようなラジカル重合性化合物を用いて、前記ラジカル重合開始点が導入された(A1)成分にラジカル重合(好ましくは、原子移動ラジカル重合、RAFT重合、NMP重合等のリビングラジカル重合)を行い、適宜の範囲に重合度を調整することにより、前記した適度な重量平均分子量の側鎖が導入することができる。
前記したとおり、(A1)成分に導入される側鎖は、その導入方法に応じて、-O-結合、-NH-結合あるいは-S-結合などによる繰り返し単位が導入されていたり、あるいは水酸基、カルボキシル基、アシル基、フェニル基、ハロゲン原子、シリル基、メルカプト基、ビニル基、エピスルフィド基、チエタニル基、イソシアネート基、又はチオイソシアネート基等の置換基を有していることもある。
さらに、側鎖を導入するために用いる化合物が有している官能基の種類によっては、この側鎖の一部が、他の(A1)成分の官能基に結合し、架橋構造を形成することもある。
また、本発明で用いる(A)成分においては、(A1)成分の側鎖に、後述する(C)成分と重合反応し得る重合性官能基が導入されていることが好ましく、これにより、(C)成分との相溶性が高められ、さらには、(C)成分を重合して得られる硬化体中に、(A)成分の空隙中にフォトクロミック化合物が均質に保持され、優れたフォトクロミック性を持続して発現させることができ、しかも、硬化体の機械的強度を高めることができる。
前記重合性官能基は、前記側鎖に導入されるものであり、前記側鎖が有する官能基に、適宜公知の重合性官能基を有する化合物を反応させて導入される。
前記重合性官能基としては、使用する(C)成分と重合しい得る基、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基及びアリル基のようなラジカル重合性基、エポキシ基、水酸基、チオール基、アミノ基、エピスルフィド基、チエタニル基、イソシアネート基、またはチオイソシアネート基が好適に用いられる。
例えば、エポキシ基、エピスルフィド基、チエタニル基は、(C)成分が有するアミノ基、イソシアネート基と反応する。水酸基やチオール基は、(C)成分が有するイソシアネート基やチオイソシアネート基と反応して、ウレタン結合、チオウレタン結合が生成する。イソシアネート基やチオイソシアネート基は、(C)成分が有する水酸基、チオール基、又はアミノ基と反応する。
[(B)フォトクロミック化合物]
本発明で用いられる(B)成分としては、フォトクロミック性を示す化合物を何ら制限なく採用することができる。例えば、フルギド化合物、クロメン化合物、およびスピロオキサジン化合物等のフォトクロミック化合物がよく知られており、本発明においては、これらのフォトクロミック化合物を何ら制限なく使用できる。これらは、単独使用でもよく、2種類以上を併用しても構わない。前記のフルギド化合物、クロメン化合物、およびスピロオキサジン化合物としては、例えば特開平2-28154号公報、特開昭62-288830号公報、国際公開第94-22850号、国際公開第96-14596号等に記載されている化合物が挙げられる。
また、優れたフォトクロミック性を有する化合物として、本発明者等が開示した化合物、例えば特開2001-114775号、特開2001-031670号、特開2001-011067号、特開2001-011066号、特開2000-347346号、特開2000-344762号、特開2000-344761号、特開2000-327676号、特開2000-327675号、特開2000-256347号、特開2000-229976号、特開2000-229975号、特開2000-229974号、特開2000-229973号、特開2000-229972号、特開2000-219687号、特開2000-219686号、特開2000-219685号、特開平11-322739号、特開平11-286484号、特開平11-279171号、特開平10-298176号、特開平09-218301号、特開平09-124645号、特開平08-295690号、特開平08-176139号、特開平08-157467号、米国特許5645767号公報、米国特許5658501号公報、米国特許5961892号公報、米国特許6296785号公報、日本国特許第4424981号公報、日本国特許第4424962号公報、国際公開第2009-136668号、国際公開第2008-023828号、日本国特許第4369754号公報、日本国特許第4301621号公報、日本国特許第4256985号公報、国際公開第2007-086532号、特開平2009-120536号、特開2009-67754号、特開2009-67680号、特開2009-57300号、日本国特許4195615号公報、日本国特許4158881号公報、日本国特許4157245号公報、日本国特許4157239号公報、日本国特許4157227号公報、日本国特許4118458号公報、特開2008-74832号、日本国特許3982770号公報、日本国特許3801386号公報、国際公開第2005-028465号、国際公開第2003-042203号、特開2005-289812号、特開2005-289870号、特開2005-112772号、日本国特許3522189号公報、国際公開第2002-090342号、日本国特許第3471073号公報、特開2003-277381号、国際公開第2001-060811号、国際公開第2000-071544号、国際公開第2005-028465号、国際公開第2011-16582号、国際公開第2011-034202号、国際公開第2012-121414号、国際公開第2013-042800号、日本国特許6031035号公報、特願2019-120178号、特願2019-190604、特願2020-025057号、特願2020-031674号、特願2020-033969号等に開示されている化合物を好適に用いることができる。
これらの(B)成分の中でも、発色濃度、初期着色、耐久性、退色速度などのフォトクロミック性の観点から、インデノ〔2,1-f〕ナフト〔1,2-b〕ピラン骨格を有するクロメン化合物を1種類以上用いることがより好ましい。さらにこれらのクロメン化合物中でもその分子量が540以上の化合物は、発色濃度および退色速度に特に優れるため好適である。
また、本発明で用いられる(B)成分としては、分子量が300以上の長鎖の基を置換基として有する化合物、その中でもポリシロキサン鎖、ポリオキシアルキレン鎖、ポリエステル鎖、およびポリエステルポリエーテル鎖など分子鎖を置換基として有する化合物の中から、任意のものを適宜選択し使用することもできる。分子量が300以上の分子鎖は、高分子量のものであるため、フォトクロミック化合物を製造する際に、1種類の分子鎖ではなく、複数種類の分子鎖を有するものとなる場合がある。その場合、該分子鎖の分子量は、複数種類のものの平均値が前記規定の範囲となればよい。また、この平均値は数平均分子量である。この分子量は、フォトクロミック化合物の製造時の原料の種類により確認できるし、製造物から確認する場合には、NMR、IR、質量分析等の公知の手段により確認できる。
(B)成分が、分子量300以上の分子鎖を有することにより、本発明のフォトクロミック組成物を硬化して得られる硬化体中においても、より高度なフォトクロミック性を発揮できると考えられる。該分子鎖の分子量は、フォトクロミック性、その配合量、および(B)成分自体の生産性を考慮すると300~25,000であることが好ましく、400~20,000であることがより好ましく、440~15,000であることがさらに好ましく、500~10,000であることが特に好ましい。
該分子鎖の数は、フォトクロミック化合物1分子に対して、少なくとも0.5個以上となることが好ましい。すなわち、該分子鎖の数が最も少なくなる場合であっても、2つのフォトクロミック化合物を、該分子鎖で結合するような構造となることが好ましい。該分子鎖の数の上限は、分子鎖の分子量との兼ね合い、フォトクロミック性等を考慮すると、4つ以下が好ましく、2つ以下がより好ましく、1つであることがさらに好ましい。
また、(B)成分は、フォトクロミック性を発揮する分子構造が、光の照射によって分子の一部が開裂して発色し、開裂した箇所が再結合することにより退色するものが好ましい。したがって、フォトクロミック化合物が可逆的に発色と退色を繰り返すためには、開裂と再結合が起こる際に分子の動きを妨げない自由空間の存在(分子の自由度)が大変重要となる。このような分子構造を有する化合物の場合、特に、該分子鎖の効果が発揮されるものと考えられる。
このようなフォトクロミック化合物としては、例えば、国際公開第2000-015630号、国際公開第2004-041961号、国際公開第2005-105874号、国際公開第2005-105875号、国際公開第2006-022825号、国際公開第2009-146509号、国際公開第2010-20770号、国際公開第2012-121414号、国際公開第2012-149599号、国際公開第2012-162725号、国際公開第2012-176918号、国際公開第2013-078086号、国際公開第2019/013249号、国際公開第2019/203205号、国際公開第2020/017610号、国際公開2019/203205号、特開2019-182866号等に記載される、前記分子鎖を有するフォトクロミック化合物が使用できる。
[(C)重合性モノマー]
本発明のフォトクロミック組成物には、必要に応じて、(C)成分を配合することができる。このような(C)成分としては、(C1)ラジカル重合性モノマー、(C2)エポキシ系重合性モノマー、(C3)ウレタン結合やウレア結合等を形成しうるウレタンもしくはウレア系重合性モノマー、および(C4)(C1)~(C3)以外のその他の重合性モノマー、を挙げることができ、特に、(A1)成分の側鎖が重合性官能基を有している場合には、このような重合性基と反応し得る重合性モノマーが好適に使用される。
(C1)ラジカル重合性モノマー
(C1)ラジカル重合性モノマーは、特に(A1)成分の側鎖がラジカル重合性の重合性官能基を有している場合に、好適に使用されるものであり、大きく分けて、(メタ)アクリル基を有する(C1-1)(メタ)アクリル系重合性モノマー(以下、(C1-1)成分ともいう。)、ビニル基を有する(C1-2)ビニル系重合性モノマー(以下、(C1-2)成分ともいう。)、アリル基を有する(C1-3)アリル系重合性モノマー(以下、(C1-3)成分ともいう。)、(C1-4)シルセスキオキサン系重合性モノマー(以下、(C1-4)成分ともいう。)に分類される。
以下に、その具体例を示す。
(C1-1)(メタ)アクリル系重合性モノマー
(C1-1)成分としては、下記式(2)~(5)に示す化合物が好適に使用される。
下記式(2)で表される化合物は、
Figure 2022043679000002
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、
は、水素原子または炭素数1~2のアルキル基であり、
は、炭素数1~10である3~6価の有機基であり、
aは、平均値で0~3の数であり、bは3~6の数である。)
である。
前記Rで示される炭素数1~2のアルキル基としてはメチル基が好ましい。Rで示される有機基としては、ポリオールから誘導される基、3~6価の炭化水素基、3~6価のウレタン結合を含む有機基が挙げられる。
上記式(2)で示される化合物を具体的に示すと、
トリメチロールプロパントリメタクリレート
トリメチロールプロパントリアクリレート
テトラメチロールメタントリメタクリレート
テトラメチロールメタントリアクリレート
テトラメチロールメタンテトラメタクリレート
テトラメチロールメタンテトラアクリレート
トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート
トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート
ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
が挙げられる。
下記式(3)で表される化合物は、
Figure 2022043679000003
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子、またはメチル基であり、
cおよびdは、それぞれ、0以上の整数である。
ただし、RとRが共にメチル基の場合には、c+dは平均値で2以上7未満であり、Rがメチル基およびRが水素原子の場合には、c+dは平均値で2以上5未満であり、RとRが共に水素原子の場合には、c+dは平均値で2以上3未満である。)
である。
上記式(3)で示される化合物を具体的に示すと、以下のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートである、
トリプロピレングリコールジメタクリレート
テトラプロピレングリコールジメタクリレート
が挙げられる。
下記式(4)で表される化合物は、
Figure 2022043679000004
(式中、RおよびRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
およびRは、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
10は、水素原子またはハロゲン原子であり、
Bは、-O-、-S-、-(SO)-、-CO-、-CH-、-CH=CH-、-C(CH)2-、-C(CH)(C)-のいずれかであり、
eおよびfはそれぞれ1以上の整数であり、e+fは平均値で2以上30以下である。)
である。
なお、上記式(4)で示される重合性モノマーは、通常、分子量の異なる分子の混合物の形で得られる。そのため、eおよびfは平均値で示した。
上記式(4)で示される化合物を具体的に示すと、以下のビスフェノールAジ(メタ)アクリレートである、
2,2-ビス[4-メタクリロイルオキシ・エトキシ)フェニル]プロパン(e+f=2)
2,2-ビス[4-メタクリロイルオキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=4)
2,2-ビス[4-メタクリロイルオキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=7)
2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン(e+f=2)
2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン(e+f=4)
2,2-ビス[4-アクリロイルオキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=4)
2,2-ビス[4-アクリロイルオキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=3)
2,2-ビス[4-アクリロイルオキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=7)
2,2-ビス[4-メタクリロイルキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=10)、
2,2-ビス[4-メタクリロイルキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=17)、
2,2-ビス[4-メタクリロイルキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=30)、
2,2-ビス[4-アクリロイルキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=10)、
2,2-ビス[4-アクリロイルキシ(ポリエトキシ)フェニル]プロパン(e+f=20)
が挙げられる。
下記式(5)で表わされる化合物は、
Figure 2022043679000005
(式中、gは平均値で1~20の数であり、
AおよびA’は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2~15の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、Aが複数存在する場合には、複数のAは同一の基であっても、異なる基であってもよく、
11は、水素原子、またはメチル基であり、
12は、(メタ)アクリロイルオキシ基またはヒドロキシル基である。)
である。
上記式(5)で示される化合物は、ポリカーボネートジオールと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより製造することができる。ここで、使用されるポリカーボネートジオールを具体的に示すと、
トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコールなどのポリアルキレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(500~2000の数平均分子量を有するもの)
2種以上のポリアルキレングリコールの混合物、例えば、トリメチレングリコールとテトラメチレングリコールの混合物、テトラメチレングリコールとヘキサメチレンジグリコールの混合物、ペンタメチレングリコールとヘキサメチレングリコールの混合物、テトラメチレングリコールとオクタメチレングリコールの混合物、ヘキサメチレングリコールとオクタメチレングリコールの混合物等)のホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500~2000)
1-メチルトリメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500~2000)
が挙げられる。
また、(C1-1)成分として、上記式(2)~(5)で表される化合物以外の(メタ)アクリル系重合性モノマーも使用することができ、具体的に示すと、
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(特に平均分子量293)
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(特に平均分子量468)
メトキシポリエチレングリコールアクリレート(特に平均分子量218)
メトキシポリエチレングリコールアクリレート、(特に平均分子量454)
ジエチレングリコールジメタクリレート
トリエチレングリコールジメタクリレート
テトラエチレングリコールジメタクリレート
ペンタエチレングリコールジメタクリレート
ペンタプロピレングリコールジメタクリレート
ジエチレングリコールジアクリレート
トリエチレングリコールジアクリレート
テトラエチレングリコールジアクリレート
ペンタエチレングリコールジアクリレート
トリプロピレングリコールジアクリレート
テトラプロピレングリコールジアクリレート
ペンタプロピレングリコールジアクリレート
ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの混合物よりなるジメタアクリレート(ポリエチレンが2個、ポリプロピレンが2個の繰り返し単位を有する)
ポリエチレングリコールジメタクリレート(特に平均分子量330)
ポリエチレングリコールジメタクリレート(特に平均分子量536)
ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート(特に平均分子量736)
トリプロピレングリコールジメタクリレート
テトラプロピレングリコールジメタクリレート
ポリプロピレングリコールジメタクリレート(特に平均分子量536)
ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量258)
ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量308)
ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量508)
ポリエチレングリコールジアクリレート、(特に平均分子量708)
ポリエチレングリコールメタクリレートアクリレート(特に平均分子量536)
(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール)ジアクリレート共重合体(特に平均分子量330)
エトキシ化シクロヘキサンジメタノールアクリレート(特に平均分子量434)
ポリエステルオリゴマーヘキサアクリレート
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
4官能ポリエステルオリゴマー(分子量2,500~3,500、ダイセルユーシービー社、EB80等)
4官能ポリエステルオリゴマー(分子量6,000~8,000、ダイセルユーシービー社、EB450等)
6官能ポリエステルオリゴマー(分子量45,000~55,000、ダイセルユーシービー社、EB1830等)
4官能ポリエステルオリゴマー(特に分子量10,000の第一工業製薬社、GX8488B等)
エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート
1,4-ブチレングリコールジメタクリレート
1,9-ノニレングリコールジメタクリレート
ネオペンチレングリコールジメタクリレート
ビス(2-メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド
ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド
ビス(アクリロイルオキシエチル)スルフィド
1,2-ビス(メタクリロイルオキシエチルチオ)エタン
1,2-ビス(アクリロイルオキシエチル)エタン
ビス(2-メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド
ビス(2-アクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド
1,2-ビス(メタクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン
1,2-ビス(アクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン
1,2-ビス(メタクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド
1,2-ビス(アクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド
ステアリルメタクリレート
ラウリルメタクリレート
メチルアクリレート
エチルアクリレート
ブチルアクリレート
オクチルアクリレート
ラウリルアクリレート
(メタ)アクリル酸のエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)
チオアクリル酸もしくはチオメタクリル酸のエステル(例えばメチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート)
が挙げられる。
また、多官能性ウレタン(メタ)アクリレートも用いることができる。なお、前記多官能性ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリオール、ポリイソシアネート、および(メタ)アクリレート基を有する化合物との反応物が代表的である。
ここで、前記ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンイソシアネート、2,2,4-ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソプロピリデンビス-4-シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートまたはメチルシクロヘキサンジイソシアネートを挙げることができる。
一方、前記ポリオールとしては、炭素数2~4のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ヘキサメチレンオキシドの繰り返し単位を有するポリアルキレングルコール、あるいはポリカプロラクトンジオール等のポリエステルジオールを挙げることができる。また、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンジオール、またはペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン等も挙げることができる。
また、前記(メタ)アクリレート基を有する化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸クロライド等を挙げることができる。
また、前記ポリイソシアネートおよびポリオールの反応により得られるウレタンプレポリマーと、2-ヒドロキシ(メタ)アクリレートでとの反応物や、前記ジイソシアネートと2-ヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートモノマー等も用いることができる。
前記ウレタンプレポリマーおよび多官能性ウレタン(メタ)アクリレートは、特に制限なく公知のものを使用することができ、例えば、多官能性ウレタン(メタ)アクリレートとしては下記の市販品が代表的である。
例えば、3官能以上のものとしては、新中村化学工業(株)製のU-4HA(分子量596、官能基数4)、U-6HA(分子量1019、官能基数6)、U-6LPA(分子量818、官能基数6)、U-15HA(分子量2,300、官能基数15)を挙げることができる。
2官能のものとしては、新中村化学工業(株)製のU-2PPA(分子量482)、UA-122P(分子量1,100)、U-122P(分子量1,100)、およびダイセルユーシービー社製のEB4858(分子量454)を挙げることができる。
さらに、(メタ)アクリル等量が600以上のものとして、新中村化学工業(株)製のU-108A、U-200PA、UA-511、U-412A、UA-4100、UA-4200、UA-4400、UA-2235PE、UA-160TM、UA-6100、UA-6200、U-108、UA-4000、UA-512および日本化薬(株)製UX-2201、UX3204、UX4101、6101、7101、8101等を挙げることができる。
なお、前記ポリイソシアネートやポリオール、および多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、後述する(C4)成分としても使用できる。
(C1-2)ビニル系重合性モノマー
(C1-2)成分としては、
メチルビニルケトン
エチルビニルケトン
エチルビニルエーテル
スチレン
ビニルシクロヘキサン
ブタジエン
1,4-ペンタジエン
ジビニルスルフィド
ジビニルスルホン
1,2-ジビニルベンゼン
1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルプロパンジシロキサン
ジエチレングリコールジビニルエーテル
アジピン酸ジビニル
セバシン酸ジビニル
エチレングリコールジビニルエーテル
ジビニルスルホキシド
ジビニルペルスルフィド
ジメチルジビニルシラン
1,2,4-トリビニルシクロヘキサン
メチルトリビニルシラン
α-メチルスチレン
α-メチルスチレンダイマー
が挙げられる。
上記で例示したビニル系重合性モノマーの中で、α-メチルスチレンおよびα-メチルスチレンダイマーは、重合調整剤として機能し、フォトクロミック組成物の成型性を向上させる。
(C1-3)アリル系重合性モノマー
(C1-3)成分としては、
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート
メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量550)
メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量350)
メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量1500)
ポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量450)
メトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量750)
ブトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量1600)
メタクリロイルオキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量560)
フェノキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量600)
メタクリロイルオキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量430)
アクリロイルオキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量420)
ビニロキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量560)
スチリロキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量650)
メトキシポリエチレンチオグリコールアリルチオエーテル(特に平均分子量730)
が挙げられる。
なお、アリル系重合性モノマーは、連鎖移動剤として作用することで、フォトクロミック硬化しえ組成物のフォトクロミック性(発色濃度、退色速度)を向上させることが可能である。
(C1-4)シルセスキオキサン重合性モノマー
(C1-4)成分は、ケージ状、ハシゴ状、ランダムといった種々の分子構造を取るものであり、(メタ)アクリル基等のラジカル重合性基を有している。
このような(C1-4)成分の例としては、下記式(6)で示されるものが挙げられる。
Figure 2022043679000006
(式中、hは、重合度であり、3~100の整数であり、
複数個あるR13は、互いに同一もしくは異なっていてもよく、ラジカル重合性基、ラジカル重合性基を含む有機基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基またはフェニル基であり、
少なくとも1つのR13は、ラジカル重合性基、またはラジカル重合性基を含む有機基である。)
ここで、R13で示されるラジカル重合性基、またはラジカル重合性基を含む有機基としては、(メタ)アクリル基;(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、(3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ基等の(メタ)アクリル基を有する有機基;アリル基;アリルプロピル基、アリルプロピルジメチルシロキシ基等のアリル基を有する有機基;ビニル基;ビニルプロピル基、ビニルジメチルシロキシ基等のビニル基を有する有機基等が挙げられる。
また、本発明においては、上記で挙げた(C1-1)~(C1-4)以外の他のラジカル重合性モノマーも使用することができる。
このような他のラジカル重合性モノマーとして、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
(C2)エポキシ系重合性モノマー
(C2)成分は、重合性基として、分子内にエポキシ基を有するものであり、特に、(A1)成分の側鎖が有している重合性官能基が、水酸基、アミノ基、イソシアネート基である場合に、特に好適である。
前記(C2)成分は、大きく分けて、脂肪族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物および芳香族エポキシ化合物に分類され、その具体例としては、以下のものを例示することができる。
・脂肪族エポキシ化合物
エチレンオキシド
2-エチルオキシラン
ブチルグリシジルエーテル
フェニルグリシジルエーテル
2,2’-メチレンビスオキシラン
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル
エチレングリコールジグリシジルエーテル
ジエチレングリコールジグリシジルエーテル
トリエチレングリコールジグリシジルエーテル
テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル
ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル
プロピレングリコールジグリシジルエーテル
ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル
トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル
テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル
ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
グリセロールトリグリシジルエーテル
ジグリセロールテトラグリシジルエーテル
ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル
・脂環族エポキシ化合物
イソホロンジオールジグリシジルエーテル
ビス-2,2-ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル
・芳香族エポキシ化合物
レゾルシンジグリシジルエーテル
ビスフェノールAジグリシジルエーテル
ビスフェノールFジグリシジルエーテル
ビスフェノールSジグリシジルエーテル
オルトフタル酸ジグリシジルエステル
フェノールノボラックポリグリシジルエーテル
クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル
また、上記以外にも、分子内にエポキシ基と硫黄原子とを有する含硫黄原子エポキシ系重合性モノマーも使用することができる。該含硫黄原子エポキシ系重合性モノマーは、特に屈折率向上に寄与するものであり、鎖状脂肪族系および環状脂肪族系のものがあり、その具体例は、次のとおりである。
・鎖状脂肪族系含硫黄原子エポキシ系重合性モノマー
ビス(2,3-エポキシプロピル)スルフィド
ビス(2,3-エポキシプロピル)ジスルフィド
ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)メタン
1,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)エタン
1,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン
1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン
1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルプロパン
1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタン
1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルブタン
1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタン
1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ペンタン
1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルペンタン
1,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-3-チアペンタン
1,6-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)ヘキサン
1,6-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-2-メチルヘキサン
3,8-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-3,6-ジチアオクタン
1,2,3-トリス(2,3-エポキシプロピルチオ)プロパン
2,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)-1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)プロパン
2,2-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-1-(2,3-エポキシプロピルチオ)ブタン
・環状脂肪族系含硫黄原子エポキシ系重合性モノマー
1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン
1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオ)シクロヘキサン
1,3-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン
1,4-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)シクロヘキサン
2,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-1,4-ジチアン
2,5-ビス[<2-(2,3-エポキシプロピルチオ)エチル>チオメチル]-1,4-ジチアン
2,5-ビス(2,3-エポキシプロピルチオメチル)-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン
(C3)ウレタンもしくはウレア系重合性モノマー
(C3)成分は、重合の繰り返し単位がウレタン結合やウレア結合により連鎖するものであり、特に(A1)成分の側鎖が有している重合性官能基が、エポキシ基、エピスルフィド基、チエタニル基、水酸基、チオール基、アミノ基、イソシアネート基またはイソチアシアネート基が導入されている場合に効果的である。
本発明においてウレタン結合は、ポリオールとポリイソチアシアネートとの反応で形成されるウレタン結合だけでなく、ポリオールの代わりにポリチオールおよび/またはポリイソチアシアネートの代わりにポリイソチアイソシアネートを用いた場合に形成されるチオウレタン結合も含まれる。
また、本発明においてウレア結合は、ポリアミンとポリイソシアネートとの反応で形成されるウレア結合だけでなく、ポリアミンとポリイソチアシアネートとの反応で形成されるチオウレア結合も含まれる。
したがって、本発明において、(C3)成分としては、(C3-1)ポリオール(以下、(C3-1)成分ともいう)、(C3-2)ポリチオール(以下、(C3-2)成分ともいう)、(C3-3)ポリアミン(以下、(C3-3)成分ともいう)、(C3-4)ポリイソシアネート(以下、(C3-4)成分ともいう)、(C3-5)ポリイソチアシアネート(以下、(C3-5)成分ともいう)の中から、上記のウレタン結合(およびチオウレタン結合)あるいはウレア結合(およびチオウレア結合)が形成されるように、複数種の化合物が選択して使用される。
また、前記した(A1)成分の側鎖が有している重合性官能基が、水酸基、チオール基、アミノ基、イソシアネート基である場合、該側鎖がかかるウレタンもしくはウレア系重合性モノマーが形成する重合鎖中に組み込まれるため好適である。
前記した(C3-1)~(C3-5)成分としては、具体的には、以下のものが使用される。
(C3-1)ポリオール
(C3-1)成分は、一分子中に水酸基を2つ以上有している化合物であり、例えば、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-ヒドロキシ化合物、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリエステル(以下、ポリエステルポリオールともいう)、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリエーテル(以下、ポリエーテルポリオールともいう)、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリカーボネート(以下、ポリカーボネートポリオールともいう)、1分子中に2個以上の水酸基を含有するポリカプロラクトン(以下、ポリカプロラクトンポリオールともいう)、1分子中に2個以上の水酸基を含有するアクリル系重合体(以下、ポリアクリルポリオールともいう)が代表的である。
これらの化合物を具体的に例示すると次のとおりである。
・脂肪族アルコール
エチレングリコール
ジエチレングリコール
プロピレングリコール
ジプロピレングリコール
ブチレングリコール
ネオペンチルグリコール
グリセリン
トリメチロールエタン
トリメチロールプロパン
ブタントリオール
1,2-メチルグルコサイド
ペンタエリスリトール
ジペンタエリスリトール
トリペンタエリスリトール
ソルビトール
エリスリトール
スレイトール
リビトール、
アラビニトール
キシリトール
アリトール
マンニトール
ドルシトール
イディトール
グリコール
イノシトール
ヘキサントリオール
トリグリセロール
ジグリペロール
トリエチレングリコール
ポリエチレングリコール
トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
シクロブタンジオール
シクロペンタンジオール
シクロヘキサンジオール
シクロヘプタンジオール
シクロオクタンジオール
シクロヘキサンジメタノール
ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、
トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デカン-ジメタノール
ビシクロ〔4,3,0〕-ノナンジオール
ジシクロヘキサンジオール
トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカンジオール
ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール
トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカン-ジエタノール
ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカノール
スピロ〔3,4〕オクタンジオール
ブチルシクロヘキサンジオール
1,1’-ビシクロヘキシリデンジオール
シクロヘキサントリオール
マルチトール
ラクチトール
・芳香族アルコール
ジヒドロキシナフタレン
トリヒドロキシナフタレン
テトラヒドロキシナフタレン
ジヒドロキシベンゼン
ベンゼントリオール
ビフェニルテトラオール
ピロガロール
(ヒドロキシナフチル)ピロガロール
トリヒドロキシフェナントレン
ビスフェノールA
ビスフェノールF
キシリレングリコール
テトラブロムビスフェノールA
・含硫黄ポリオール
ビス-〔4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド
ビス-〔4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド
ビス-〔4-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド
ビス-〔4-(4-ヒドロキシシクロヘキシロキシ)フェニル〕スルフィド
ビス-〔2-メチル-4-(ヒドロキシエトキシ)-6-ブチルフェニル〕スルフィド
上記の含硫黄ポリオールに、水酸基1個当たり平均3分子以下のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加された化合物
ジ-(2-ヒドロキシエチル)スルフィド
ビス(2-ヒドロキシエチル)ジスルフィド
1,4-ジチアン-2,5-ジオール
ビス(2,3-ジヒドロキシプロピル)スルフィド
テトラキス(4-ヒドロキシ-2-チアブチル)メタン
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン
テトラブロモビスフェノールS
テトラメチルビスフェノールS
4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)
1,3-ビス(2-ヒドロキシエチルチオエチル)-シクロヘキサン
・ポリエステルポリオール
ポリオールと多塩基酸との縮合反応により得られる化合物
・ポリエーテルポリオール
分子中に活性水素含有基を2個以上有する化合物とアルキレンオキサイドとの反応により得られる化合物およびその変性体。
・ポリカプロラクトンポリオール
ε-カプロラクトンの開環重合により得られる化合物
・ポリカーボネートポリオール
低分子ポリオール類の1種類以上のホスゲン化より得られる化合物
エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等を用いてのエステル交換法により得られる化合物
・ポリアクリルポリオール
水酸基を含有するアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとこれらエステルと共重合可能なモノマーとの共重合体により得られる化合物
(C3-2)ポリチオール
(C3-2)成分は、一分子中にチオール基を2つ以上有している化合物であり、具体的には、以下の化合物を例示することができる。
・脂肪族ポリチオール
メタンジチオール
1,2-エタンジチオール
1,1-プロパンジチオール
1,2-プロパンジチオール
1,3-プロパンジチオール
2,2-プロパンジチオール
1,6-ヘキサンジチオール
1,2,3-プロパントリチオール
テトラキス(メルカプトメチル)メタン
1,1-シクロヘキサンジチオール
1,2-シクロヘキサンジチオール
2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール
3,4-ジメトキシブタン-1,2-ジチオール
2-メチルシクロヘキサン-2,3-ジチオール
ビシクロ〔2,2,1〕へプタ-exo-cis-2,3-ジチオール
1,1-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン
チオリンゴ酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)
2,3-ジメルカプトコハク酸(2-メルカプトエチルエステル)
2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(2-メルカプトアセテート)
2,3-ジメルカプト-1-プロパノール(3-メルカプトアセテート)
ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)
ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)
1,2-ジメルカプトプロピルメチルエーテル
2,3-ジメルカプトプロピルメチルエーテル
2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,3-プロパンジチオール
ビス(2-メルカプトエチル)エーテル
エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)
エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)
1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン
1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)
1,4-ブタンジオール-ビス(チオグリコレート)
1,6-ヘキサンジオール-ビス(チオグリコレート)
テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)
トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)
トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)
トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)
ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)
1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン
トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)
トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)
1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパン
2-メルカプトメチル-1,3-プロパンジチオール
2-メルカプトメチル-1,4-ブタンジチオール
2,4,5-トリス(メルカプトメチル)-1,3-ジチオラン
2,2-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ブタンジチオール
4,4-ビス(メルカプトメチル)-3,5-ジチアヘプタン-1,7-ジチオール
2,3-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ブタンジチオール
2,6-ビス(メルカプトメチル)-3,5-ジチアヘプタン-1,7-ジチオール
4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン
2,5-ビスメルカプトメチル-1,4-ジチアン
1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン
5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン
4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン
4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン
・芳香族ポリチオール
1,2-ジメルカプトベンゼン
1,3-ジメルカプトベンゼン
1,4-ジメルカプトベンゼン
1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,2-ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン
1,3-ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン
1,4-ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン
1,2-ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
1,3-ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
1,4-ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
1,2,3-トリメルカプトベンゼン
1,2,4-トリメルカプトベンゼン
1,3,5-トリメルカプトベンゼン
1,2,3-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,2,4-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,2,3-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,2,4-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,3,5-トリス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,2,3-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン
1,2,4-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン
1,3,5-トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン
1,2,3-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
1,2,4-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
1,3,5-トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
1,2,3,4-テトラメルカプトベンゼン
1,2,3,5-テトラメルカプトベンゼン
1,2,4,5-テトラメルカプトベンゼン
1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン
1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン
1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン
1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン
1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン
2,2’-ジメルカプトビフェニル
4,4’-ジメルカプトビフェニル
4,4’-ジメルカプトビベンジル
2,5-トルエンジチオール
3,4-トルエンジチオール
1,4-ナフタレンジチオール
1,5-ナフタレンジチオール
2,6-ナフタレンジチオール
2,7-ナフタレンジチオール
2,4-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール
4,5-ジメチルベンゼン-1,3-ジチオール
9,10-アントラセンジメタンチオール
1,3-ジ(p-メトキシフェニル)プロパン-2,2-ジチオール、
1,3-ジフェニルプロパン-2,2-ジチオール
フェニルメタン-1,1-ジチオール
2,4-ジ(p-メルカプトフェニル)ペンタン
1,4-ビス(メルカプトプロピルチオメチル)ベンゼン
・ハロゲン置換芳香族ポリチオール
2,5-ジクロロベンゼン-1,3-ジチオール
1,3-ジ(p-クロロフェニル)プロパン-2,2-ジチオール
3,4,5-トリブロム-1,2-ジメルカプトベンゼン
2,3,4,6-テトラクロル-1,5-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン
・含複素環ポリチオール
2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
2-エチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
2-アミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
2-モルホリノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
2-シクロヘキシルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
2-メトキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
2-フェノキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
2-チオベンゼンオキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
2-チオブチルオキシ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン
1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン
・メルカプト基以外にも硫黄原子を含有している芳香族ポリチオール
1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,4-ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,2-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
1,3-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
1,4-ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,2,4-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,3,5-トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,2,3-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
1,2,4-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
1,3,5-トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
1,2,3,4-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,2,3,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,2,4,5-テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン
1,2,3,4-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
1,2,3,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
1,2,4,5-テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン
および上記ポリチオールの核アルキル化物
・メルカプト基以外にも硫黄原子を含有している脂肪族ポリチオール
ビス(メルカプトメチル)スルフィド
ビス(メルカプトエチル)スルフィド
ビス(メルカプトプロピル)スルフィド
ビス(メルカプトメチルチオ)メタン
ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン
ビス(3-メルカプトプロピル)メタン
1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン
1,2-(2-メルカプトエチルチオ)エタン
1,2-(3-メルカプトプロピル)エタン
1,3-ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン
1,3-ビス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン
1,3-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン
1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)-3-メルカプトプロパン
2-メルカプトエチルチオ-1,3-プロパンジチオール
1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン
1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン
1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン
テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン
テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン
テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン
ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド
2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン
ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド
ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド
・上記化合物のチオグリコール酸あるいはメルカプトプロピオン酸のエステル
ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)
ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)
ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)
ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)
ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)
ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)
ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)
ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)
ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)
ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)
ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)
ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)
2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)
2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)
1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(2-メルカプトアセテート)
1,4-ジチアン-2,5-ジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)
2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン
2,5-ビス(2-メルカプトエチル)-1,4-ジチアン
2,5-ビス(3-メルカプトプロピル)-1,4-ジチアン
2-(2-メルカプトエチル)-5-メルカプトメチル-1,4-ジチアン
2-(2-メルカプトエチル)-5-(3-メルカプトプロピル)-1,4-ジチアン
2-メルカプトメチル-5-(3-メルカプトプロピル)-1,4-ジチアン
チオグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)
チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)
4,4’-チオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)
ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)
ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)
4,4’-ジチオジブチル酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)
チオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)
チオジプロピオン酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)
ジチオジグリコール酸ビス(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)
ジチオジプロピオン酸(2,3-ジメルカプトプロピルエステル)
・メルカプト基以外に硫黄原子を含有する含複素環ポリチオール
3,4-チオフェンジチオール
テトラヒドロチオフェン-2,5-ジメルカプトメチル
2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール
・イソシアヌレート基含有ポリチオール
1,2-ビス[(2-メルカプトエチル)チオ]-3-メルカプトプロパン
トリス-{(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル}-イソシアヌレート
1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H、3H、5H)-トリオン
トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート
(C3-3)ポリアミン
(C3-3)成分は、一分子中にアミノ基を2つ以上有している化合物であり、その具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
エチレンジアミン
ヘキサメチレンジアミン
イソホロンジアミン
ノナメチレンジアミン
ウンデカンメチレンジアミン
ドデカメチレンジアミン
メタキシレンジアミン
1,3-プロパンジアミン
プトレシン
2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール
ジエチレントリアミン
p-フェニレンジアミン
m―フェニレンジアミン
メラミン
1,3,5‐ベンゼントリアミン
(C3-4)ポリイソシアネート
(C3-4)成分は、一分子中にイソシアネート基を2つ以上有している化合物であり、その具体例としては、以下の化合物を例示することができる。
・脂肪族イソシアネート
エチレンジイソシアネート
トリメチレンジイソシアネート
テトラメチレンジイソシアネート
ヘキサメチレンジイソシアネート
オクタメチレンジイソシアネート
ノナメチレンジイソシアネート
2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート
2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
デカメチレンジイソシアネート
ブテンジイソシアネート
1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート
2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
1,6,11-ウンデカトリイソシアネート
1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート
1,8-ジイソシアネート4-イソシアネートメチルオクタン
2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアネートメチルオクタン
ビス(イソシアネートエチル)カーボネート
ビス(イソシアネートエチル)エーテル、
1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-ω,ω’-ジイソシアネート
リジンジイソシアネートメチルエステル
リジントリイソシアネート
2-イソシアネートエチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート
2-イソシアネートプロピル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート
・脂環族イソシアネート
イソホロンジイソシアネート
ノルボルナンジイソシアネート
ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
シクロヘキサンジイソシアネート
メチルシクロヘキサンジイソシアネート
ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート
2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
ビス(4-イソシアネートn-ブチリデン)ペンタエリスリトールダイマー酸ジイソシアネート
2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン
2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン
2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン
2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン
2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン
2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ〔2,1,1〕-ヘプタン
2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン
2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン
1,3,5-トリス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン
・芳香族イソシアネート
キシリレンジイソシアネート
ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン
ビス(イソシアネートプロピル)ベンゼン
α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート
ビス(イソシアネートブチル)ベンゼン
ビス(イソシアネートメチル)ナフタリン
ビス(イソシアネートメチル)ジフェニルエーテル
ビス(イソシアネートエチル)フタレート
メシチリレントリイソシアネート
2,6-ジ(イソシアネートメチル)フラン
フェニレンジイソシアネート
トリレンジイソシアネート
エチルフェニレンジイソシアネート
イソプロピルフェニレンジイソシアネート
ジメチルフェニレンジイソシアネート
ジエチルフェニレンジイソシアネート
ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート
トリメチルベンゼントリイソシアネート
ベンゼントリイソシアネート
ナフタリンジイソシアネート
メチルナフタレンジイソシアネート
ビフェニルジイソシアネート
トリジンジイソシアネート
4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート
ビベンジル-4,4’-ジイソシアネート、ビス(イソシアネートフェニル)エチレン
3,3’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート
トリフェニルメタントリイソシアネート
ポリメリックMDI
ナフタリントリイソシアネート
ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート
3-メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート
4-メチル-ジフェニルメタン-3,5,2’,4’,6’-ペンタイソシアネート
フェニルイソシアネートメチルイソシアネート
フェニルイソシアネートエチルイソシアネート
テトラヒドロナフチレンジイソシアネート
ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート
ヘキサヒドロジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート
ジフェニルエーテルジイソシアネート
エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート
1,3-プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート
ベンゾフェノンジイソシアネート
ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート
ジベンゾフランジイソシアネート
カルバゾールジイソシアネート
エチルカルバゾールジイソシアネート
ジクロロカルバゾールジイソシアネート
・含イオウ脂肪族イソシアネート
チオジエチルジイソシアネート
チオジプロピルジイソシアネート
チオジヘキシルジイソシアネート
ジメチルスルフォンジイソシアネート
ジチオジメチルジイソシアネート
ジチオジエチルジイソシアネート
ジチオジプロピルジイソシアネート
ジシクロヘキシルスルフィド-4,4’-ジイソシアネート
1-イソシアネートメチルチア-2,3-ビス(2-イソアナートエチルチア)プロパン
1,2-ビス(2-イソシアナートエチルチオ)エタン
1,1,2,2-テトラキス(イソシアナートメチルチオ)エタン
2,2,5,5-テトラキス(イソシアナートメチルチオ)-1,4-ジチアン
2,4-ジチアペンタン-1,3-ジイソシアナート
2,4,6-トリチアヘプタン-3,5-ジイソシアナート
2,4,7,9-テトラチアペンタン-5,6-ジイソシアナート
ビス(イソシアナートメチルチオ)フェニルメタン
・脂肪族スルフィド系イソシアネート
ビス[2-(イソシアナートメチルチオ)エチル]スルフィド
・芳香族スルフィド系イソシアネート
ジフェニルスルフィド-2,4’-ジイソシアネート
ジフェニルスルフィド-4,4’-ジイソシアネート
3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジイソシアネートジベンジルチオエーテル
ビス(4-イソシアネートメチルベンゼン)スルフィド
4,4’-メトキシベンゼンチオエチレングリコール-3,3’-ジイソシアネート
・芳香族ジスルフィド系イソシアネート
ジフェニルジスルフィド-4,4’-ジイソシアネート
2,2’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート
3,3’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート
3,3’-ジメチルジフェニルジスルフィド-6,6’-ジイソシアネート
4,4’-ジメチルジフェニルジスルフィド-5,5’-ジイソシアネート
3,3’-ジメトキシジフェニルジスルフィド-4,4’-ジイソシアネート
4,4’-ジメトキシジフェニルジスルフィド-3,3’-ジイソシアネート
・芳香族スルホン系イソシアネート
ジフェニルスルホン-4,4’-ジイソシアネート
ジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート
ベンジリデンスルホン-4,4’-ジイソシアネート
ジフェニルメタンスルホン-4,4’-ジイソシアネート
4-メチルジフェニルメタンスルホン-2,4’-ジイソシアネート
4,4’-ジメトキシジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート
3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジイソシアネートジベンジルスルホン
4,4’-ジメチルジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート
4,4’-ジ-tert-ブチルジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート
4,4’-ジメトキシベンゼンエチレンジスルホン-3,3’-ジイソシアネート
4,4’-ジクロロジフェニルスルホン-3,3’-ジイソシアネート
・スルホン酸エステル系イソシアネート
4-メチル-3-イソシアネートベンゼンスルホニル-4’-イソシアネートフェノールエステル
4-メトキシ-3-イソシアネートベンゼンスルホニル-4’-イソシアネートフェノールエステル
・芳香族スルホン酸アミド系イソシアネート
4-メチル-3-イソシアネートベンゼンスルホニルアニリド-3’-メチル-4’-イソシアネート
ジベンゼンスルホニル-エチレンジアミン-4,4’-ジイソシアネート
4,4’-ジメトキシベンゼンスルホニル-エチレンジアミン-3,3’-ジイソシアネート
4-メチル-3-イソシアネートベンゼンスルホニルアニリド-4-メチル-3’-イソシアネート
・含イオウ複素環イソシアネート
チオフェン-2,5-ジイソシアネート
チオフェン-2,5-ジイソシアネートメチル、
1,4-ジチアン-2,5-ジイソシアネート
1,4-ジチアン-2,5-ジイソシアネートメチル
1,3-ジチオラン-4,5-ジイソシアネート
1,3-ジチオラン-4,5-ジイソシアネートメチル
1,3-ジチオラン-2-メチル-4,5-ジイソシアネートメチル
1,3-ジチオラン-2,2-ジイソシアネートエチル
テトラヒドロチオフェン-2,5-ジイソシアネート
テトラヒドロチオフェン-2,5-ジイソシアネートメチル
テトラヒドロチオフェン-2,5-ジイソシアネートエチル
テトラヒドロチオフェン-3,4-ジイソシアネートメチル
さらに、上記ポリイソアネートのハロゲン置換体、アルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビウレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。
(C3-5)ポリイソチオシアネート
ポリイソチオシアネートは、一分子中にイソチアシアネート基を2つ以上有している化合物であり、その具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
・脂肪族イソチオシアネート
1,2-ジイソチオシアネートエタン
1,3-ジイソチオシアネートプロパン
1,4-ジイソチオシアネートブタン
1,6-ジイソチオシアネートヘキサン
p-フェニレンジイソプロピリデンジイソチオシアネート
・脂環族イソチオシアネート
シクロヘキシルイソチオシアネート
シクロヘキサンジイソチオシアネート
・芳香族イソチオシアネート
フェニルイソチオシアネート
1,2-ジイソチオシアネートベンゼン
1,3-ジイソチオシアネートベンゼン
1,4-ジイソチオシアネートベンゼン
2,4-ジイソチオシアネートトルエン
2,5-ジイソチオシアネートm-キシレンジイソシアネート
4,4’-ジイソチオシアネート1,1’-ビフェニル
1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネートベンゼン)
1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネート2-メチルベンゼン)
1,1’-メチレンビス(4-イソチオシアネート3-メチルベンゼン)
1,1’-(1,2-エタンジイル)ビス(4-イソチオシアネートベンゼン)
4,4’-ジイソチオシアネートベンゾフェノン
4,4’-ジイソチオシアネート3,3’-ジメチルベンゾフェノン
ベンズアニリド-3,4’-ジイソチオシアネート
ジフェニルエーテル-4,4’-ジイソチオシアネート
ジフェニルアミン-4,4’-ジイソチオシアネート
・含複素環イソチオシアネート
2,4,6-トリイソチオシアネート1,3,5-トリアジン
・カルボニルイソチオシアネート
ヘキサンジオイルジイソチオシアネート
ノナンジオイルジイソチオシアネート
カルボニックジイソチオシアネート
1,3-ベンゼンジカルボニルジイソチオシアネート
1,4-ベンゼンジカルボニルジイソチオシアネート
(2,2’-ビピリジン)-4,4’-ジカルボニルジイソチオシアネート
さらに、イソチオシアネート基の硫黄原子の他に少なくとも1つの硫黄原子を有する多官能のイソチオシアネートも使用することができる。このような多官能イソチオシアネートとしては、以下の化合物を例示することができる。
・含硫黄脂肪族イソチオシアネート
チオビス(3-イソチオシアネートプロパン)
チオビス(2-イソチオシアネートエタン)
ジチオビス(2-イソチオシアネートエタン)
・含硫黄芳香族イソチオシアネート
1-イソチオシアネート4-{(2-イソチオシアネート)スルホニル}ベンゼン
チオビス(4-イソチオシアネートベンゼン)
スルホニルビス(4-イソチオシアネートベンゼン)
スルフィニルビス(4-イソチオシアネートベンゼン)
ジチオビス(4-イソチオシアネートベンゼン)
4-イソチオシアネート1-{(4-イソチオシアネートフェニル)スルホニル}-2-メトキシ-ベンゼン
4-メチル-3-イソチオシアネートベンゼンスルホニル-4’-イソチオシアネートフェニルエステル
4-メチル-3-イソチオシアネートベンゼンスルホニルアニリド-3’-メチル-4’-イソチオシアネート
・含硫黄複素環イソチオシアネート
チオフェン-2,5-ジイソチオシアネート
1,4-ジチアン-2,5-ジイソチオシアネート
なお、上記した(C3)成分は、それぞれ、重合によりウレタン結合やウレア結合を形成するように組み合わせて使用される。
(C4)その他の重合性モノマー
本発明においては、上記した(C1)~(C3)成分以外に、屈折率の向上を目的として、(C4-1)エピスルフィド系重合性モノマー(以下、(C4-1)ともいう)や(C4-2)チエタニル系重合性モノマー(以下、(C4-2)ともいう)を使用することができ、またフォトクロミック性の向上を目的として、(C4-3)単官能重合性モノマー(以下、(C4-3)ともいう)を使用することもできる。さらに、(C4-4)分子中に異なるタイプの複数種の重合性基を有する複合型重合性モノマー(以下、(C4-4)ともいう)も使用することができる。
(C4-1)エピスルフィド系重合性モノマー
(C4-1)成分は、分子内に2個以上のエピスルフィド基を有している化合物であり、特に、(A1)成分の側鎖が有する重合性官能基がチオール基である場合に好適である。具体的には、以下の化合物を例示することができるその具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
ビス(1,2-エピチオエチル)スルフィド
ビス(1,2-エピチオエチル)ジスルフィド
ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド
ビス(2,3-エピチオプロピルチオ)メタン
ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィド
ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メタン
ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)エタン
ビス(6,7-エピチオ-3,4-ジチアヘプチル)スルフィド
ビス(6,7-エピチオ-3,4-ジチアヘプチル)ジスルフィド
1,4-ジチアン-2,5-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)
1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)ベンゼン
1,6-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)-2-(2,3-エピチオプロピルジチオエチルチオ)-4-チアヘキサン
1,2,3-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオ)プロパン
1,1,1,1-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチル)メタン
1,3-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)-2-チアプロパン
1,4-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)-2,3-ジチアブタン
1,1,1-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メタン
1,1,1-トリス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)メタン
1,1,2,2-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオ)エタン
1,1,2,2-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)エタン
1,1,3,3-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオ)プロパン
1,1,3,3-テトラキス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)プロパン
2-[1,1-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオ)メチル]-1,3-ジチエタン
2-[1,1-ビス(2,3-エピチオプロピルジチオメチルチオ)メチル]-1,3-ジチエタン
(C4-2)チエタニル系重合性モノマー
(C4-2)成分は、分子内に2個以上のチエタニル基を有するチエタン化合物であり、(A1)成分の側鎖が有する重合性官能基がチオールSH基である場合に効果的である。このような(C4-2)成分の一部は、複数のチエタニル基と共にエピスルフィド基を有するものであり、これは、上記の(C4-1)成分として挙げられている。その他の(C4-2)成分には、金属を含んでいない非金属系チエタン化合物と、分子内に金属原子を有している含金属チエタン化合物とがある。その具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
・非金属系チエタン化合物
ビス(3-チエタニル)ジスルフィド
ビス(3-チエタニル)スルフィド
ビス(3-チエタニル)トリスルフィド
ビス(3-チエタニル)テトラスルフィド
1,4-ビス(3-チエタニル)-1,3,4-トリチアブタン
1,5-ビス(3-チエタニル)-1,2,4,5-テトラチアペンタン
1,6-ビス(3-チエタニル)-1,3,4,6,-テトラチアヘキサン
1,6-ビス(3-チエタニル)-1,3,5,6,-テトラチアヘキサン
1,7-ビス(3-チエタニル)-1,2,4,5,7-ペンタチアヘプタン
1,7-ビス(3-チエタニルチオ)-1,2,4,6,7-ペンタチアヘプタン
1,1-ビス(3-チエタニルチオ)メタン
1,2-ビス(3-チエタニルチオ)エタン
1,2,3-トリス(3-チエタニルチオ)プロパン
1,8-ビス(3-チエタニルチオ)-4-(3-チエタニルチオメチル)-3,6-ジチアオクタン
1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-4,8-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン
1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-4,7-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン
1,11-ビス(3-チエタニルチオ)-5,7-ビス(3-チエタニルチオメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン
2,5-ビス(3-チエタニルチオメチル)-1,4-ジチアン
2,5-ビス[[2-(3-チエタニルチオ)エチル]チオメチル]-1,4-ジチアン
2,5-ビス(3-チエタニルチオメチル)-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン
ビスチエタニルスルフィド
ビス(チエタニルチオ)メタン
3-{[(チエタニルチオ)メチルチオ]メチルチオ}チエタン
ビスチエタニルジスルフィド
ビスチエタニルトリスルフィド
ビスチエタニルテトラスルフィド
ビスチエタニルペンタスルフィド
1,4-ビス(3-チエタニルジチオ)-2,3-ジチアブタン
1,1,1-トリス(3-チエタニルジチオ)メタン
1,1,1-トリス(3-チエタニルジチオメチルチオ)メタン
1,1,2,2-テトラキス(3-チエタニルジチオ)エタン
1,1,2,2-テトラキス(3-チエタニルジチオメチルチオ)エタン
・含金属チエタン化合物
この(C4-2)成分は、分子内に、金属原子として、Sn原子、Si原子、Ge原子、Pb原子等の14族の元素;Zr原子、Ti原子等の4族の元素;Al原子等の13族の元素;またはZn原子等の12族の元素;などを含んでいるものであり、その具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
アルキルチオ(チエタニルチオ)スズ(メチルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、プロピルチオトリス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオトリス(チエタニルチオ)スズ等)
ビス(アルキルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ(ビス(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(エチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、ビス(イソプロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ等)
アルキルチオ(アルキルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ(エチルチオ(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、メチルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオ(メチルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、エチルチオ(イソプロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ、イソプロピルチオ(プロピルチオ)ビス(チエタニルチオ)スズ等)
ビス(チエタニルチオ)環状ジチオスズ化合物(ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンネタン、ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンノラン、ビス(チエタニルチオ)ジチアスタンニナン、ビス(チエタニルチオ)トリチアスタンノカン等)
アルキル(チエタニルチオ)スズ化合物(メチルトリス(チエタニルチオ)スズ、ジメチルビス(チエタニルチオ)スズ、ブチルトリス(チエタニルチオ)スズ、テトラキス(チエタニルチオ)スズ、テトラキス(チエタニルチオ)ゲルマニウム、トリス(チエタニルチオ)ビスマス等)
(C4-3)単官能重合性モノマー
(C4-3)成分は、分子中に一つの水酸基、またはチオール基を有する化合物であり、前記した(C3-1)成分と併用され、分子量や架橋度を調整することにより、フォトクロミック性を高めるために使用される。この(C4-3)成分は分子中に一つの水酸基、またはチオール基を有する化合物であれば特に制限されることなく、公知の化合物を使用することができる。その具体例として、以下の化合物を挙げることができる。
ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル
ポリオキシエチレンラウリルエーテル
ポリオキシエチレンアルキルエーテル
ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテル
ポリオキシエチレントリデシルエーテル
ポリオキシエチレンセチルエーテル
ポリオキシエチレンステアリルエーテル
ポリエチレングリコールモノ-4-オクチルフェニルエーテル
(C4-4)複合型重合性モノマー
(C4-4)成分は、分子中に異なるタイプの複数種の重合性基を有するものであり、このような重合性モノマーの使用により、各種の物性調整を図ることができる。
このような(C4-4)成分として、以下の化合物を挙げることができる。
・ラジカル重合性基/エポキシ基型重合性モノマー
グリシジルメタクリレート
グリシジルオキシメチルメタクリレート
2-グリシジルオキシエチルメタクリレート
3-グリシジルオキシプロピルメタクリレート
4-グリシジルオキシブチルメタクリレート
ポリエチレングリコールグリシジルメタクリレート
ポリプロピレングリコールグリシジルメタクリレート
ビスフェノールA-モノグリシジルエーテル-メタクリレート
ポリエチレングリコールグリシジルアクリレート
ポリエチレングリコールグリシジルアクリレート
・ラジカル重合性基/水酸基型重合性モノマー
2-ヒドロキシメタクリレート
2-ヒドロキシアクリレート
アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等
・ラジカル重合性基/イソシアネート型重合性モノマー
2-イソシアナトエチルメタクリレート
2-イソシアナトエチルアクリレート
・水酸基/チオール基型重合性モノマー
2-メルカプトエタノール
3-メルカプト-1,2-プロパンジオール
グルセリンジ(メルカプトアセテート)
1-ヒドロキシ-4-メルカプトシクロヘキサン
2,4-ジメルカプトフェノール
2-メルカプトハイドロキノン
4-メルカプトフェノール
1,3-ジメルカプト-2-プロパノール
2,3-ジメルカプト-1-プロパノール
1,2-ジメルカプト-1,3-ブタンジオール
ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)
ペンタエリスリトールモノ(3-メルカプトプロピオネート)
ペンタエリスリトールビス(3-メルカプトプロピオネート)
ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)
ペンタエリスリトールペンタキス(3-メルカプトプロピオネート)
ヒドロキシメチル-トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン
1-ヒドロキシエチルチオ-3-メルカプトエチルチオベンゼン
4-ヒドロキシ-4’-メルカプトジフェニルスルホン
2-(2-メルカプトエチルチオ)エタノール
ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3-メルカプトプロピオネート)
ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)
ヒドロキシエチルチオメチルートリス(メルカプトエチルチオ)メタン
上記した(C1)~(C4)成分において、好適に使用される(C)成分は、練り込み法では(C1)成分および(C3)成分であり、積層法では(C1)成分であり、バインダー法では(C3)成分である。
[(D)重合硬化促進剤]
本発明のフォトクロミック組成物においては、上記した(C)成分や(A1)成分の側鎖が有する重合性官能基の種類に応じて、その重合硬化を速やかに促進させるために各種の(D)重合硬化促進剤(以下、(D)成分ともいう)を使用することができる。
例えば、(C1)成分を使用した場合および(A)の側鎖が有するラジカル重合性の重合性官能基である場合には、(D1)重合開始剤(以下、(D1)成分ともいう)が使用される。
また、(C2)成分、(C4-1)成分、チエタニル系重合性モノマー(C4-2)成分を使用した場合や(A1)成分の側鎖が有する重合性官能基がエポキシ基、エピスルフィド基、チエタニル基である場合には、(D2-1)エポキシ硬化剤(以下、(D2-1)成分ともいう)や、エポキシ基を開環重合させるための(D2-2)カチオン重合触媒(以下、(D2-2)成分ともいう)が使用され、さらに、(C3)成分や(C4)成分を使用した場合や(A1)の側鎖が有する重合性官能基が、水酸基、チオール基、アミノ基、イソシアネート基またはイソチアシアネート基である場合には、(D3-1)ウレタンあるいはウレア用反応触媒(以下、(D3-2)成分ともいう)や、(D3-2)縮合剤(以下、(D3-2)成分ともいう)が使用される。
(D1)重合開始剤
(D1)成分には、熱重合開始剤と光重合開始剤とがあり、その具体例は以下のとおりである。
・熱重合開始剤
ジアシルパーオキサイド(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等)
パーオキシエステル(例えば、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート、t-ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等)
パーカーボネート(例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート等)
アゾ化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル等)
・光重合開始剤
アセトフェノン系化合物(例えば、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等)
α-ジカルボニル系化合物(例えば、1,2-ジフェニルエタンジオン、メチルフェニルグリコキシレート等)
アシルフォスフィンオキシド系化合物(例えば、2,6-ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,6-ジクロルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド等)
なお、光重合開始剤を用いる場合には、3級アミン等の公知の重合硬化促進助剤を併用することもできる。
(D2-1)エポキシ硬化剤
(D2-1)成分の具体例は以下のとおりである。
アミン化合物およびその塩(例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール等)
4級アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等)
有機ホスフィン化合物(例えば、テトラ-n-ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-ブチルホスホニウム-0,0-ジエチルホスホロジチオエート等)
金属カルボン酸塩(例えば、クロム(III)トリカルボキシレート、オクチル酸スズ等)
アセチルアセトンキレート化合物(例えば、クロムアセチルアセトナート等)
(D2-2)カチオン重合触媒
(D2-2)成分の具体例は以下のとおりである。
ルイス酸系触媒(BF・アミン錯体、PF、BF、AsF、SbF等)
熱硬化性カチオン重合触媒(ホスホニウム塩や4級アンモニウム塩、スルホニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等)
紫外硬化性カチオン重合触媒(ジアリールヨードニウムヘキサフロオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモン酸ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム等)
(D3-1)ウレタンあるいはウレア用反応触媒
(D3-1)成分は、ポリイソ(チア)シアネートと、ポリオールまたはポリチオールとの反応によるウレタン結合あるいはウレア結合の生成において用いられる。この(D3-1)成分としては、以下のものを例示することができる。
トリエチレンジアミン
ヘキサメチレンテトラミン
N,N-ジメチルオクチルアミン
N,N,N′,N′-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン
4,4′-トリメチレンビス(1-メチルピペリジン)
1,8-ジアザビシクロ-(5,4,0)-7-ウンデセン
ジメチルスズジクロライド
ジメチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)
ジブチルスズジクロライド
ジブチルチンジラウレート
ジブチルスズマレエート
ジブチルスズマレエートポリマー
ジブチルスズジリシノレート
ジブチルスズビス(ドデシルメルカプチド)
ジブチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)
ジオクチルスズジクロライド
ジオクチルスズマレエート
ジオクチルスズマレエートポリマー
ジオクチルスズビス(ブチルマレエート)
ジオクチルスズジラウレート
ジオクチルスズジリシノレート
ジオクチルスズジオレエート
ジオクチルスズジ(6-ヒドロキシ)カプロエート
ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコレート)
ジドデシルスズジリシノレート
各種金属塩(例えば、オレイン酸銅、アセチルアセトン酸銅、アセチルアセトン酸鉄、ナフテン酸鉄、乳酸鉄、クエン酸鉄、グルコン酸鉄、オクタン酸カリウム、チタン酸2-エチルヘキシル等)
(D3-2)縮合剤
(D3-2)成分の具体例は以下のとおりである。
無機酸(塩化水素、臭化水素、硫酸やリン酸等)
有機酸(p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等)
酸性イオン交換樹脂(アンバーライト、アンバーリスト等)
カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノピロリル)-カルボジイミド等)
上記した各種の(D)成分は、それぞれ、1種単独でも、2種以上を併用することもできるが、その使用量は、所謂触媒量でよく、例えば、(C)成分100質量部当り、0.001~10質量部、特に0.01~5質量部の範囲の少量でよい。
[その他の配合成分]
本発明のフォトクロミック組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でそれ自体公知の各種配合剤、例えば、離型剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤、溶剤、レベリング剤、さらには、tードデシルメルカプタン等のチオール類を重合調整剤として、必要に応じて配合することができる。
中でも、紫外線安定剤、および/または紫外線吸収剤を使用するとフォトクロミック化合物の耐久性を向上させることができるために好適である。このような紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが知られている。特に好適な紫外線安定剤は、以下の通りである。
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート
2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル-フェノール
エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]
これらの他に以下の市販品も好適に使用できる。
旭電化工業(株)製アデカスタブLA-52、LA-57、LA-62、LA-63、LA-67、LA-77、LA-82、LA-87
チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のIRGANOX1010、1035、1075、1098、1135、1141、1222、1330、1425、1520、259、3114、3790、5057、565
また、前記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外吸収剤、ジフェニルアクリレート系紫外線吸収剤、フェノール系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、およびマロン酸エステル系紫外線吸収剤、桂皮酸エステル系紫外線吸収剤が挙げられる。
その中でも、シアノアクリレート系紫外吸収剤、ジフェニルアクリレート系紫外線吸収剤、フェノール系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、桂皮酸エステル系紫外線吸収剤を使用するのが好適であり、特に紫外線吸収剤未使用時と比較してフォトクロミック性(特に発色濃度)を損なわずに耐久性を向上できるという観点から、4-メトキシケイ皮酸2-エチルへキシルなどの桂皮酸エステル系紫外線吸収剤を使用するのが特に好ましい。
前記紫外線安定剤及び前記紫外線吸収剤の使用量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではないが、通常、(A)成分100質量部当り、0.001~10質量部、特に0.01~5質量部の範囲である。
[フォトクロミック組成物の好適組成]
本発明のフォトクロミック組成物では、通常、(A)成分100質量部中、0.0001~10質量部の量で(B)成分が使用され、さらに、その好適使用量は、フォトクロミック性の発現方式によっても異なる。
例えば、練り込み法によってフォトクロミック性を発現させる場合には、0.001~2質量部、特に0.001~1質量部の量で使用するのが好ましく、積層法によってフォトクロミック性を発現させる時には、0.1~10質量部の量で使用するのが好ましい。
また、バインダー法によってフォトクロミック性を発現させる場合には、0.1~10質量部で使用するのが好ましい。
すなわち、フォトクロミック化合物の使用量が少なすぎる場合には、良好なフォトクロミック性の発現が困難となり、その使用量が多過ぎると、増粘等により、このフォトクロミック組成物の取り扱いが困難となり、所望の方式によりフォトクロミック性を発現させることが困難となるおそれがある。
また、(C)成分を使用する場合、フォトクロミック組成物の粘度上昇を抑え、且つ(A)成分によるフォトクロミック性向上効果をより効果的に発揮させるためには、フォトクロミック組成物の(A)成分と(C)成分との質量比を、(A):(C)=0.1:99.9~50.0:50.0、好ましくは、2:98~25:75とすることが好適である。
さらに、本発明においては、(A)成分によるフォトクロミック性向上効果を最大限に発揮させるためには、(A1)の側鎖が有している重合性官能基を水酸基および/またはチオール基とし、(C)成分として、(C3)成分、すなわち、(C3-1)成分、(C3-2)成分、(C3-3)成分、(C3-4)成分および(C3-5)成分を、ウレタン結合、チオウレタン結合、ウレア結合あるいはチオウレア結合、特にウレタン結合またはチオウレタン結合が形成されるように組み合わせで使用することが最適である。
この場合、イソシアネート基あるいはイソチアシアネート基1モル当り、チオール基および水酸基の量が0.8~1.2モル、特に0.85~1.15モル、最も好ましくは、0.9~1.1モルの範囲とするのがよい。
本発明のフォトクロミック組成物は、上記した(A)成分と(B)成分、さらに必要に応じて(C)成分、(D)成分およびその他の配合成分を、公知の方法で溶融混練して製造することができる。
上記した本発明のフォトクロミック組成物は、発色濃度や退色速度等に優れたフォトクロミック性を発現させることができ、しかも、機械的強度等の特性を低減させることもなく、フォトクロミック性が付与された光学材料、例えばフォトクロミックレンズの作製に有効に利用される。
[フォトクロミック組成物の使用]
本発明のフォトクロミック組成物は、(C)成分を含むことにより、そのまま硬化させてフォトクロミック硬化体を作製することができる。
また、上記のフォトクロミック組成物を、有機溶媒に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、この塗布液を透明な光学シート(または光学フィルム)のような光学基材に塗布し、硬化させることにより、フォトクロミック硬化体からなる層が積層されたこれにより、フォトクロミック性を発現させることができる。
本発明のフォトクロミック硬化体を作製するための硬化は、紫外線、α線、β線、γ線等の活性エネルギー線の照射、熱、あるいは両者の併用等により、ラジカル重合、開環重合、アニオン重合あるいは縮重合を行うことにより、行われる。すなわち、(C)成分や(D)成分の種類および形成されるフォトクロミック硬化体の形態に応じて、適宜重合手段を採用すればよい。
(C)成分が配合されている場合の本発明のフォトクロミック組成物を熱により硬化させるに際しては、特に温度が得られるフォトクロミック硬化体の性状に影響を与える。この温度条件は、(D1)成分である熱重合開始剤の種類と量や(C)成分の種類によって影響を受けるので一概に限定はできないが、一般的に比較的低温で硬化を開始し、ゆっくりと温度を上げていく方法が好適である。硬化時間も温度と同様に各種の要因によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を決定するのが好適であるが、一般には、2~48時間で硬化が完結するように条件を選ぶのが好ましい。本発明のフォトクロミック積層シートを得る場合には、重合性官能基同士の反応が進行する温度で硬化し、その際、目的とする分子量になるように最適な温度と時間を決定することが好ましい。
また、(C)成分が配合されている場合の本発明のフォトクロミック組成物を光により硬化させる際には、硬化条件のうち、特にUV強度は得られるフォトクロミック硬化体の性状に影響を与える。この条件は、(D1)成分である光重合開始剤の種類と量や(C)成分の種類によって影響を受けるので一概に限定はできないが、一般的に365nmの波長で50~500mW/cmのUV光を0.5~5分の時間で光照射するように条件を選ぶのが好ましい。
上記した硬化を利用して、練り込み法によりフォトクロミック性を発現させる場合には、エストラマーガスケット、スペーサーまたはテープで保持されているガラスモールド間に、上記のフォトクロミック組成物を注入し、(C)成分や(D)成分の種類に応じて、空気炉中での加熱や紫外線等の活性エネルギー線照射による硬化によって、レンズ等の光学材料の形態に成形されたフォトクロミック硬化体を得ることができる。
かかる方法によれば、直接、フォトクロミック性が付与された光学材料である眼鏡レンズ等が得られる。
また、積層法によりフォトクロミック性を発現させる場合には、フォトクロミック組成物を適宜有機溶剤に溶解させて塗布液を調製し、スピンコートやディッピング等により、該塗布液をレンズ基材等の光学基材の表面に塗布し、乾燥して有機溶剤を除去し、次いで、窒素などの不活性ガス中でのUV照射や加熱等により硬化を行うことにより、光学基材の表面にフォトクロミック硬化体からなる層が積層される(コーティング法)。
また、レンズ基材等の光学基材を所定の空隙が形成されるようにガラスモールドに対面して配置し、この空隙にフォトクロミック組成物を注入し、この状態で、UV照射や加熱等により硬化を行うインナーモールドによる注型硬化によっても、光学基材の表面にフォトクロミック硬化体からなる層を積層することができる(注型重合法)。
上記のような積層法(コーティング法および注型重合法)によりフォトクロミック硬化体からなる層を光学基材の表面に積層する場合には、予め光学基材の表面に、アルカリ溶液、酸溶液などによる化学的処理、コロナ放電、プラズマ放電、研磨などによる物理的処理を行っておくことにより、フォトクロミック硬化体からなる層と光学基材との密着性を高めることもできる。もちろん、光学基材の表面に、光学基材とフォトクロミック硬化体からなる層との密着性を向上させるために、例えば特許第4405833号公報に記載されているような湿気硬化型ポリウレタン樹脂/その前駆体、または特許第5016266号公報、特許5084727号公報に記載されているような水分散ウレタンエマルジョンからなる透明な接着樹脂層を設けておくことも可能である。
本発明で用いられる光学基材としては、例えば、プラスチックレンズ基材が挙げられる。プラスチックレンズ基材としては、特に制限されるものではなく、公知の基材を使用することができる。例えば(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂レンズや、多官能(メタ)アクリル樹脂、アリル樹脂、チオウレタン樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンウレア樹脂、およびチオエポキシ樹脂等の架橋性樹脂レンズ等が挙げられる。また、これらのプラスチックレンズ基材上に、ハードコート層などを積層したプラスチックレンズ基材にも適用可能である。
また、光学基材として2枚のガラスレンズの間にフォトクロミック組成物を注入し、この状態でUV照射や加熱等により硬化を行い、フォトクロミック性を有するガラスレンズを作製することもできる(ガラス貼り合わせ法)。
上記で使用されるガラスレンズは、汎用的なソーダガラス、フリントガラス、クラウンガラス等のガラス素材を使用できる。その中でも、SiO2、B、Al、NaCO3、NaO、KO、CaO、Ca(OH)、CaCO、Ca、BaO、MgO、PbO、ZnO、MnO、Al、Al、LiO、Nb、ZrO、Fe、CeO、TiO、La、SrO、As、Sbのうち少なくとも1つの酸化物を有するガラス素材を使用することが好ましい。さらには、ガラスレンズが、化学強化ガラス、屈折率1.6以上の高屈折率ガラス、および紫外線吸収性能ガラスであってもよい。
さらに、バインダー法によりフォトクロミック性を発現する場合には、フォトクロミック組成物を用いたシート成形によりフォトクロミックシートを作製し、これを2枚の透明な光学シートで挟んで、前記した硬化を行うことにより、フォトクロミック硬化体からなる接着層を介して接合されたとするフォトクロミック積層シートが得られる。
この場合、フォトクロミックシートの作製には、フォトクロミック組成物を有機溶剤に溶解させた塗布液を用いたコーティングという手段も採用することができる。
このようにして作製されたフォトクロミック積層シートは、例えば、これを金型内に装着され、この後、レンズなどの光学基材用熱可塑性樹脂(例えばポリカーボネート)を射出成形することにより、フォトクロミック性が付与された所定形状のレンズ等の光学材料が得られる。また、このフォトクロミック積層シートは、接着剤などにより、光学基材の表面に接着することもでき、これにより、フォトクロミックレンズ等の光学材料を得ることもできる。
なお、上記のようにしてフォトクロミック積層シートを作製する場合、特に光学基材と密着性が高いという点で、(C)成分として、(C3)成分、特にウレタン系重合性モノマーを使用し、ポリウレタンが形成されるように調整されていることが好ましい。
前記透明な光学シートとしては、光透過性を有する光学シートであれば、特に制限なく使用できるが、入手の容易性および加工のし易さなどの観点から樹脂製のものを使用することが好適である。該光学シートの原料として好適な樹脂を例示すれば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。その中でも、接着性が良好で射出成形法に対する適用性が高いという理由からポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂が特に好ましい。
また、本発明においては、防眩性を向上させる観点から、波長550~600nmの範囲に吸収ピークを有する色素を使用することも可能である。該色素としては、ニトロ系化合物、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、スレン系化合物、ポルフィリン系化合物、希土類金属化合物等が挙げられる。その中でも、防眩性と視認性との兼ね合いから、ポルフィリン系化合物および希土類系化合物が好ましい。該色素は、フォトクロミック硬化体に添加して使用しても構わないし、光学材料を作製する際に組み合わせて使用される接着層、光学基材、光学シート、またはその他の層などに添加して使用しても構わない。
前記希土類金属化合物としては、アクアヒドロキシ(1-フェニル1,3-ブタンジオナト)ネオジム、アクアヒドロキシ(フェナシルフェニルケトナト)ネオジム、アクアヒドロキシ(1-フェニル-2-メチル-1,3-ブタンジオナト)ネオジム、アクアヒドロキシ(1-チオフェニル-1,3-ブタンジオナト)ネオジム、アクアヒドロキシ(1-フェニル1,3-ブタンジオナト)エルビウム、アクアヒドロキシ(1-フェニル1,3-ブタンジオナト)ホロニウム等の錯体が挙げられる。
前記ポルフィリン系化合物は、ポルフィリン骨格に種々の置換基を有していてもよい化合物であり、例えば、特開平5-194616号公報、特開平5-195446号公報、特開2003-105218号公報、特開2008-134618号公報、特開2013-61653号公報、特開2015-180942号公報、国際公開第2012/020570号、特許第5626081号公報、特許第5619472号公報、特許第5778109号公報等に記載されている化合物を好適に使用することができる。
本発明のフォトクロミック硬化体、フォトクロミック積層体およびフォトクロミック積層シートは、そのまま光学材料として用いてもよいし、目的に応じて、外表面、または該積層体または積層シート内に、別の層を設けて光学材料としてもよい。例えば、別の層としては、偏光性を有する層を挙げることができる。
前記偏光性を有する層としては、公知の偏光フィルムを何ら制限なく使用することができる。該偏光フィルムの厚みは、10~100μmのものが好適に使用できる。該偏光フィルムは、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質で染色されたポリビニルアルコールが延伸され、硼酸等の架橋剤で処理されてなるものである。該偏光フィルムは、その機能、接着性を高めるためには、セルローストリアセテートシートフィルムが両面に積層されているものであってもよい。該セルローストリアセテートシートフィルムは、その厚さは20~200μmであることが好ましく、20~100μmであることがより好ましい。
また、前記偏光フィルムは、該偏光フィルムに含まれる水分量の調整や、該偏光フィルムの寸法安定性のために、本発明のフォトクロミック硬化体を用いた光学材料を作製する前に、40~100℃の範囲で5秒~30分程度の加熱処理を実施したものを使用することもできる。
また、本発明のフォトクロミック硬化体を用いた光学材料は、その用途に応じて、分散染料などの染料を用いた染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成分とするハードコート剤を用いたハードコート膜の形成、SiO、TiO、ZrO等の金属酸化物の蒸着による薄膜形成、有機高分子を塗布しての薄膜による反射防止処理、帯電防止処理、ミラーコート処理、撥水化や親水化などの防曇処理、防汚処理、(近)赤外線カット処理等の後加工を施すことも可能である。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。上記の各成分および評価方法等は、以下のとおりである。
[(A)ポリロタキサン]
(合成例1;ポリロタキサン(A-1))
撹拌装置、および温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、15-ペンタデカノラクトン:240質量部に、MgAl(OH)16CO・4HO(キョーワード500、協和化学工業(株)製):24.2質量部および過塩素酸アルミニウム九水和物:1質量部を入れて密閉した後、減圧下で160℃にて3時間加熱し、脱水処理した。次いで180℃まで昇温し、180℃でゲージ圧が1~5kgf/cmの範囲に入るように調整しながらエチレンオキサイド(以下、EOと略す):88質量部をオートクレーブ内に導入した。EOを88質量部導入した後、圧力が0.13kgf/cmGになるまで撹拌を継続した。その後、水酸化カリウム:0.3質量部を追加して、さらにEO:1232質量部を180℃でゲージ圧が1~5kgf/cmとなるように導入した。EOを1232質量部導入した後、圧力が0.13kgf/cmGになるまで撹拌を継続して15-ペンタデカノラクトンとEOとの反応を行った。15-ペンタデカノラクトンとEOとの反応に要した合計時間は8時間であった。その後、反応生成物から触媒をろ別して、(A1)成分である環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-1)を得た。
得られた環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-1)についてMALDI-TOF MSによる分析を行った。その結果、環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-1)は、前記式(1)で表されるzが1~3、yが1~30の範囲である環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-1-1)を合計して90質量%含む混合物であり、該環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-1-1)のyの平均値(すなわちEOの繰り返し単位数)は30であり、該環状ポリエーテルエステル(A1-1-1)のうち、yが28~33である環状ポリエーテルエステルの合計質量が、環状ポリエーテルエステル(A1-1-1)の合計質量に対して85質量%であった。
前記得られた環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-1):11.85質量部とMn2,000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE-020PA、日油株式会社株式会社製):200質量部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。その後、水およびn-ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a-1)を得た。
次いで、3,5-ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5-ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記組成物(a-1):211.85質量部を含むジメチルホルムアミド分散液に前記3,5-ジメチル安息香酸クロリド:34質量部とトリエチルアミン:34質量部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて、ポリロタキサン(A-1)を得た。
得られたポリロタキサン(A-1)をH-NMRで測定し、環状ポリエーテルエステルからなる環状分子を、軸分子であるポリエチレングリコールが貫通しており、該ポリエチレングリコールの両末端に3,5-ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
(合成例2;ポリロタキサン(A-2))
合成例1記載の方法で得た環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-1):11.85質量部とMn25,000ポリアクリル酸(和光純薬工業株式会社製):250質量部、水:1000質量部をガラス製容器に入れ、60℃で1時間混合し、次いでエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製):0.6質量部を60℃で1時間混合し、100℃で水を除去し、さらに110℃で1時間加熱した。その後、水およびn-ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥し、ポリロタキサン(A-2)を得た。
得られたポリロタキサン(A-2)をH-NMRで測定し、環状ポリエーテルエステルからなる環状分子を、軸分子であるポリアクリル酸が貫通していることを確認した。
(合成例3;ポリロタキサン(A-3))
撹拌装置、および温度調節機能の付いたステンレス製のオートクレーブに、2-ブロモ-4-ヒドロキシ酪酸:165質量部に、MgAl(OH)16CO・4HO(キョーワード500、協和化学工業(株)製):24.2質量部および過塩素酸アルミニウム九水和物:1質量部を入れて密閉した後、減圧下で160℃にて3時間加熱し、脱水処理した。次いで180℃まで昇温し、180℃でゲージ圧が1~5kgf/cmの範囲に入るように調整しながらEO:88質量部をオートクレーブ内に導入した。EOを88質量部導入した後、圧力が0.13kgf/cmGになるまで撹拌を継続した。その後、水酸化カリウム:0.3質量部を追加して、さらにEO:1232質量部を180℃でゲージ圧が1~5kgf/cmとなるように導入した。EOを1232質量部導入した後、圧力が0.13kgf/cmGになるまで撹拌を継続して15-ペンタデカノラクトンとEOとの反応を行った。15-ペンタデカノラクトンとEOと反応に要した合計時間は8時間であった。その後、反応生成物から触媒をろ別して、(A1)成分である環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3)を得た。
得られた環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3)についてMALDI-TOF MSによる分析を行った。その結果、環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3)は、前記式(1)で表されるzが1~3であり、yが1~30である環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3-1)を合計して90質量%含む混合物であり、環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3-1)のyの平均値(すなわちEOの繰り返し単位数)は30であり、環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3-1)のうち、yが28~33である環状ポリエーテルエステルの合計質量が、環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3-1)の合計質量に対して85質量%であった。
前記得られた環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3):11.85質量部とMn2,000の両末端アミノ基変性ポリエチレングリコール(SUNBRIGHT DE-020PA、日油株式会社株式会社製):200質量部をガラス製容器に入れ、室温で1時間攪拌した。その後、水およびn-ヘキサンで洗浄し、90℃で4時間真空乾燥して組成物(a-3)を得た。
次いで、3,5-ジメチル安息香酸(Aldrich社製)を、塩化チオニル中で触媒量のジメチルホルムアミドと共に沸点還流して、3,5-ジメチル安息香酸クロリドを合成し、前記組成物(a-3):211.85質量部を含むジメチルホルムアミド分散液に前記の3,5-ジメチル安息香酸クロリド:34質量部とトリエチルアミン:34質量部とを添加し、0℃で2時間反応させた。得られた反応溶液をジエチルエーテルに注ぎ再沈澱させ、沈殿物を回収し、水およびメタノールで洗浄した後、乾燥させて、ポリロタキサン(A-3)を得た。
得られたポリロタキサン(A-3)をH-NMRで測定し、環状ポリエーテルエステルからなる環状分子を、軸分子であるポリエチレングリコールが貫通しており、該ポリエチレングリコールの両末端に3,5-ジメチル安息香酸が結合していることを確認した。
(合成例4;ポリロタキサン(A-4))
撹拌羽、温度計、および冷却管を備え付けた2lの4つ口フラスコに、金属亜鉛:3.27質量部と脱水したTHF:200mlを秤量・撹拌し、懸濁溶液を得た。この懸濁溶液を還流しながら、合成例3記載の方法で得たポリロタキサン(A-3):50質量部、アセトアルデヒド:3質量部、脱水したTHF:200mlの混合溶液を滴下しながら加えた。
滴下終了後、さらに約2時間還流を継続した後に反応溶液を室温まで冷却し、10質量%の酢酸水溶液:400mlを加えて反応を行った。次いで、酢酸エチル:400mlで3回分液抽出を行い、得られた酢酸エチル溶液を10%食塩水で洗浄・分液した。その後、回収した酢酸エチル溶液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、酢酸エチルを留去することで、前記ポリロタキサン(A-3)の環状ポリエーテルエステルからなる環状分子(A1-3)に含まれるブロモ基を水酸基に置換したポリロタキサン(A-4)を得た。
(合成例5;ポリロタキサン(A-5))
前記合成例4記載の方法で得たポリロタキサン(A-4):1質量部を1mol/lのNaOH水溶液:50mlに溶解し、プロピレンオキシド:3.83質量部を添加し、アルゴン雰囲気下、室温で12時間撹拌してポリロタキサン(A-4)溶液を得た。
次いで、1mol/lのHCl水溶液を用い、前記ポリロタキサン(A-4)溶液を、pHが7~8となるように中和し、透析チューブにて透析した後、凍結乾燥し、ヒドロキシプロピル化ポリロタキサン(A-4-1)を得た。
得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサン(A-4-1)は、H-NMRおよびGPCで同定し、所望の構造を有するヒドロキシプロピル化ポリロタキサンであることを確認した。
なお、GPCの測定条件は以下のとおりである。
・装置:液体クロマトグラフ装置(日本ウォーターズ社製)
・カラム:TSKgel SuperHM-M(2本)(東ソー(株)製)
・試料溶液:0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μl
・流量:0.6ml/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリエチレングリコール
得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサン(A-4-1):5質量部を、ε-カプロラクトン:22.5質量部に80℃で溶解させた混合液を調製した。この混合液を、乾燥窒素をブローさせながら110℃で1時間攪拌した後、2-エチルヘキサン酸錫(II)の50wt%キシレン溶液:0.16質量部を加え、130℃で6時間攪拌した。その後、キシレンを添加し、全官能基数の90%に側鎖としてポリカプロラクトンを導入した、約35質量%のポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-5)キシレン溶液を得た。
得られたポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-5)キシレン溶液をヘキサン中に滴下し、回収・乾燥することにより、重合性官能基として末端に水酸基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-5)を得た。
(合成例6;ポリロタキサン(A-6))
前記合成例5記載の方法で得たポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-5)キシレン溶液:30質量部に、ジブチルヒドロキシトルエン(重合禁止剤):0.01質量部を添加した後、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート:3.8質量部を滴下した。
40℃で16時間攪拌し、末端にアクリル基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-6)キシレン溶液を得た。
この末端にアクリル基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-6)キシレン溶液をヘキサン中に滴下し、回収・乾燥することで、重合性官能基として末端にアクリル基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-6)を得た。
(合成例7;ポリロタキサン(A-7))
前記合成例6で用いた2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート:3.8質量部の代わりに、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート:4.2質量部を用いた以外、合成例6と同様の操作を行い、末端にメタクリル基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-7)を得た。
(合成例8;ポリロタキサン(A-8)および(A-9))
軸分子として、分子量20,000の直鎖状ポリエチレングリコール(PEG)を用意した。PEG:10質量部、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO):0.1質量部、および臭化ナトリウム:1質量部を水:100mlに溶解させた。この溶液に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%):5質量部を添加し、室温で10分間撹拌した。その後、エタノールを最大5mlまでの範囲で添加して反応を終了させた。そして、50mlの塩化メチレンを用いた抽出を行った後、塩化メチレンを留去し、250mlのエタノールに溶解させてから、-4℃の温度で12時間かけて再沈させ、PEG-COOH(両末端カルボキシル基変性ポリエチレングリコール)を回収し、乾燥させた。
前記PEG-COOH:3質量部およびα-シクロデキストリン(α-CD):12質量部をそれぞれ70℃の温水50mlに溶解し、得られた各溶液を混合し、よく振り混ぜて混合溶液を得た。次いで、この混合溶液を、4℃で12時間かけて再沈させ、析出した包接錯体を凍結乾燥して回収した。その後、室温でジメチルホルムアミド(DMF):50mlにアダマンタンアミン:0.13質量部を溶解した後、前記包接錯体を添加して速やかによく振り混ぜた。次いで、ベンゾトリアゾール1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP):0.38質量部をDMFに溶解した溶液をさらに添加して、よく振り混ぜた。さらに、ジイソプロピルエチルアミン:0.14mlをDMFに溶解した溶液を添加してよく振り混ぜてスラリー状の試薬を得た。上記で得られたスラリー状の試薬を4℃で12時間静置した。その後、DMF/メタノール混合溶媒(体積比:1/1):50mlを添加して混合し、遠心分離を行って上澄みを捨てた。さらに、上記DMF/メタノール混合溶液による洗浄を行った後、メタノールを用いて洗浄し、遠心分離を行って沈殿物を得た。得られた沈殿物を真空乾燥で乾燥させた後、ジメチルスルホキシド(DMSO):50mlに溶解し、得られた透明な溶液を700mlの水中に滴下して粗ポリロタキサン(A-8)を析出させた。析出した粗ポリロタキサン(A-8)を遠心分離で回収し、真空乾燥させた。さらに、DMSOに溶解し、水中で析出させた後、回収および乾燥を行い、精製したポリロタキサン(A-8)を得た。このときのα-CDの包接量は0.25である。
なお、ここで、包接量は、DMSO-dにポリロタキサン(A-8)を溶解し、H-NMR測定装置(日本電子株式会社製JNM-LA500)により測定し、以下の方法により算出した。
ここで、X、Y、X/(Y-X)は、以下の意味を示す。
X:4~6ppmのシクロデキストリンの水酸基由来プロトンの積分値
Y:3~4ppmのシクロデキストリンおよびPEGのメチレン鎖由来プロトンの積分値
X/(Y-X):PEGに対するシクロデキストリンのプロトン比
まず、理論的に最大包接量1.0のときのX/(Y-X)を予め算出し、この値と実際の化合物の分析値から算出されたX/(Y-X)とを比較することにより包接量を算出した。
前記精製したポリロタキサン(A-8):0.5質量部を1mol/lのNaOH水溶液:50mlに溶解し、プロピレンオキシド:3.83質量部を添加し、アルゴン雰囲気下、室温で12時間撹拌した。次いで、1mol/lのHCl水溶液を用い、該ポリロタキサン溶液を、pHが7~8となるように中和し、透析チューブにて透析した後、凍結乾燥し、ヒドロキシプロピル化ポリロタキサン(A-8)を得た。なお、環状分子の水酸基へのヒドロキシプロピル基の導入度は50%であった。
得られたヒドロキシプロピル化ポリロタキサン(A-8):5質量部をε-カプロラクトン:30質量部に80℃で溶解し、このヒドロキシプロピル化ポリロタキサン(A-8)溶液を、乾燥窒素をブローさせながら110℃で1時間撹拌した後、2-エチルヘキサン酸錫(II)の50質量%キシレン溶液:0.16質量部を加え、130℃で6時間撹拌した。その後、キシレンを添加し、側鎖としてポリカプロラクトンを導入した、約35質量%のポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-9)キシレン溶液を得た。
得られたポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-9)キシレン溶液をヘキサン中に滴下し、回収・乾燥することにより、重合性官能基として末端に水酸基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-9)を得た。
得られたポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-9)は、H-NMRおよびGPCで同定し、所望の構造を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサンであることを確認した。このポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-9)は、環状分子の水酸基へのポリカプロラクトンの導入度が50%、側鎖の質量平均分子量が約600、GPCで測定した質量平均分子量が700,000であった。
(合成例9:ポリロタキサン(A-10))
前記合成例8記載の方法で得たポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-9)キシレン溶液:30質量部に、ジブチルヒドロキシトルエン(重合禁止剤):0.01質量部を添加した後、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート:3.8質量部を滴下した。
40℃で16時間攪拌し、末端にアクリル基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-10)キシレン溶液を得た。
この末端にアクリル基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-10)キシレン溶液をヘキサン中に滴下し、回収・乾燥することで、重合性官能基として末端にアクリル基を有するポリカプロラクトン導入ポリロタキサン(A-10)を得た。
[(B)フォトクロミック化合物]
PC1:記式で表される化合物
Figure 2022043679000007
PC2:WO2012/149599号記載の方法で合成された分子量2,000のポリプロピレングリコール鎖の両末端にフォトクロミック化合物が結合した下記式で表される化合物
Figure 2022043679000008
[(C)重合性モノマー]
(C1-1)(メタ)アクリル系重合性モノマー
・TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
・D-TMPT:ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート
・3PG:トリプロピレングリコールジメタクリレート
・BPE100:2,2-ビス[4-(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン(エチレグリコール鎖の平均鎖長が2.6、平均分子量が478)
・A400:ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が9、平均分子量が508)
・BPE500:2,2-ビス[4-(メタクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(エチレグリコール鎖の平均鎖長が10、平均分子量が804)
・A-BPE:2,2-ビス(4-アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロバン(エチレンオキシ基の平均繰返し数が10、平均分子量が776)
・M90G:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業(株)製「M90G」)
・14G:ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレングリコール鎖の平均鎖長が14、平均分子量が736)
・EB4858:ダイセルユーシービー社製2官能ウレタンメタクリレート(アクリル当量が227)
・PMS1:シルセスキオキサンモノマー
(PMS1の合成)
3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレート:248質量部にエタノール:248質量部および水:54質量部を加え、さらに水酸化ナトリウム:0.20質量部を添加し、30℃で3時間反応させた。
原料の消失を確認後、希塩酸で中和し、トルエン:174質量部、ヘプタン:174質量部、および水:174質量部を添加し、水層を除去した。
その後、水層が中性になるまで有機層を水洗し、溶媒を濃縮することによって、シルセスキオキサンモノマー(PMS1)を得た。
なお、H-NMRより、原料は完全に消費されていることを確認した。また、29Si-NMRより、ケージ状構造、ラダー状構造およびランダム構造の混合物であることを確認した。
シルセスキオキサンモノマー(PMS1)の分子量を、GPCにより測定したところ、重量平均分子量が4800であった。
・M-1:ポリカーボネートジオールジアクリレート
(M-1の合成)
ヘキサメチレングリコール(50mol%)とペンタメチレングリコール(50mol%)とのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(数平均分子量500):300質量部に、アクリル酸:108質量部、ベンゼン:300質量部、p-トルエンスルホン酸:11質量部、p-メトキシフェノール:0.3質量部(ポリカーボネートジオール当り700ppm)を、加え還流下反応させた。
反応により生成する水は、溶媒と共沸させ、水のみ分離器で系外に取り除き、溶媒は反応容器に戻した。
反応の転化率は反応系中から取り除いた水分量で確認し、水分量を21.6質量部反応系中から取り除いたのを確認し、反応を停止させた。
その後、ベンゼン:600質量部に溶解し、5%炭酸水素ナトリウムで中和した後、20%食塩水:300質量部で5回洗浄し、透明液体のM-1:210質量部を得た。
(C1-2)ビニル系重合牲モノマー
・αMS:α-メチルスチレン
・MSD:α-メチルスチレンダイマー
(C1-3)アリル系重合牲モノマー
・MPEAE:メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(平均分子量550)
(C3-1)ポリオール
・PL1:旭化成ケミカルズ株式会社製デュラノール(ポリカーボネートジオール、数平均分子量500)
・TMP:トリメチロールプロパン
・Polyol3610:Perstorp社製 ポリエステルポリオール(分子中に平均3個水酸基を有するポリエステルポリオール、分子量280)
・Capa4101:Perstorp社製 ポリカプロラクトンポリオール(分子中に平均4個水酸基を有するポリカプロラクトンポリオール、分子量1,000)
(C3-2)ポリチオール
・TMMP:トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
・PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
・DPMP:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)
(C3-3)ポリアミン
・IPDA:イソホロンジアミン
(C3-4)ポリイソシアネート
・XDI:m-キシレンジイソシアネート
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
・NBDI:ノルボルナンジイソシアネート
・1,4-H6XDI:1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン
(C4-3)単官能重合性モノマー
・PELE:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(n≒23)
・PGOE:ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(n≒20)
・PGME10:ポリエチレングリコール(n=10)モノオレイルエーテル
(C4-4)複合型重合性モノマー
・GMA:グリシジルメタアクリレート
・MOI:2-イソシアナトエチルメタクリレート
[(D)重合硬化促進剤]
(D1)重合開始剤
(熱重合開始剤)
・パーブチルND:t-ブチルパーオキシネオデカネート(商品名:パーブチルND、日本油脂(株)製)
・パーオクタO:1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート(商品名:パーオクタO、日本油脂(株)製)
(光重合開始剤)
・PI:フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(商品名:Irgacure819、BASF社製)
(D3-1)ウレタンあるいはウレア用反応触媒
・DBTD:ジブチルチンジラウレート
[その他の配合成分]
(離型剤)
・DBP:ジ-n-ブチル錫
(溶媒)
・THF:テトラヒドロフラン
・CHCl:ジクロロメタン
・EA:酢酸エチル
・DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
・DEK:ジエチルケトン
(紫外線安定剤)
・HALS:ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート(分子量508)
・HP:エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、Irganox245)
・UVA:4-メトキシケイ皮酸2-エチルへキシル
(レベリング剤)
・L1:東レ・ダウコーニング株式会社製 商品名;L7001
<実施例1>
ポリロタキサン(A-6):10質量部、THF:15質量部を、50℃で1時間撹拌溶解させた。次いで、(B)成分であるPC1:0.3質量部、(D)成分であるPI:0.03質量部、およびその他の配合成分であるL1:0.01質量部を加え、40℃で30分間撹拌混合し、フォトクロミック組成物を得た。
スピンコーター(1H-DX2、MIKASA製)を用いて、径80mm、厚2mmのガラス板の表面に、上記で得られたフォトクロミック組成物:2gを、回転数および時間を調整し、最終的に得られるフォトクロミックコーティング膜の膜厚が40μmになるようにスピンコートした。
このようにフォトクロミック組成物が表面に塗布されているガラス板を、窒素ガス雰囲気中で出力200mW/cmのメタルハライドランプを用いて、90秒間光を照射し、塗膜を硬化させた。その後さらに100℃で1時間加熱して、フォトクロミック硬化体からなる層を有するフォトクロミック積層体を作製した。
得られたフォトクロミック積層体は、最大吸収波長580nm、発色濃度0.96、退色速度28秒、耐久性80%のフォトクロミック性を有していた。
なお、これらのフォトクロミック性の評価は以下のようにして行った。得られたフォトクロミック積層体(厚み約2mm)を試料とし、これに(株)浜松ホトニクス製のキセノンランプL-2480(300W)SHL-100を、エアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20±1℃、フォトクロミック硬化体からなる層の表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm、245nm=24μW/cmで120秒間照射して発色させ、フォトクロミック積層体のフォトクロミック性を測定した。各フォトクロミック性、残存率を以下の方法で評価し、表2に示した。
・最大吸収波長(λmax):
(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)により求めた発色後の最大吸収波長である。該最大吸収波長は発色時の色調に関係する。
・発色濃度{ε(120)-ε(0)}:
前記最大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度{ε(120)}と光照射前の吸光度ε(0)との差である。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。また屋外で発色させたとき発色色調を目視により評価した。
・退色速度〔t1/2(sec.)〕:
120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記最大吸収波長における吸光度が{ε(120)-ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間である。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
・耐久性(%)=〔(A200/A0)×100〕:
光照射による発色の耐久性を評価するために次の劣化促進試験を行った。すなわち、得られた積層体をスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により200時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A0)および試験後の発色濃度(A200)を測定し、〔(A200)/A0〕×100〕の値を残存率(%)とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高いといえる。
<実施例2および比較例1>
表1に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外、実施例1と同様な方法でフォトクロミック積層体を作製し、評価を行なった。結果を表2に示した。
<実施例3>
表1に示したフォトクロミック組成物を、直径約80mmのガラス製シャーレ上に、最終的に得られるフォトクロミック硬化体からなる層の厚さが40μmになるように注いだ。次いで、このガラス製シャーレを真空下で、フォトクロミック組成物に気泡が発生しないようにしながら酢酸エチル(EA)を揮発させ、最終的には100℃で3時間熱硬化を行い、フォトクロミック硬化体からなる膜を作製した。得られたフォトクロミック硬化体からなる膜は、最大吸収波長580nm、発色濃度0.96、退色速度27秒、耐久性80%のフォトクロミック性を有していた。なお、これらの評価は実施例1と同様な方法で実施した。結果を表2に示した。
<実施例4~6>
表1に示したフォトクロミック組成物を用いた以外、実施例3と同様な方法でフォトクロミック硬化体からなる膜を作製し、評価を行なった。結果を表2に示した。
Figure 2022043679000009
Figure 2022043679000010
<実施例7>
ポリロタキサン(A-4):3質量部、(B)成分であるPC1:0.04質量部、(C)成分であるXDI:42質量部、PEMP:55質量部、および(D)成分であるDBTD:0.1質量%を混合して均一なフォトクロミック組成物を調製した。
前記フォトクロミック組成物を用い、練り込み法にてフォトクロミック硬化体を得た。すなわち、前記フォトクロミック組成物を十分に脱泡した後、該フォトクロミック組成物を、離型処理を施したガラスモールドとエチレン-酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型よりなるモールド型に注入した。
ついで、30℃から95℃まで徐々に昇温しながら、15時間かけて硬化させた。硬化終了後、鋳型のガラス型から取り外し、フォトクロミック硬化体を得た。
得られたフォトクロミック硬化体は、最大吸収波長585nm、発色濃度0.35、退色速度90秒、耐久性80%のフォトクロミック性を有していた。また、得られたフォトクロミック硬化体の成型性も良好であった。さらに、得られたフォトクロミック硬化体のLスケールロックウェル硬度(HL)は110であり、白濁は1であり外観良好であった。
なお、最大吸収波長、発色濃度、退色速度は実施例1と同様に評価を行い、成型性、Lスケールロックウェル硬度、白濁の評価に関しては以下のようにして行った。
・成型性:
成型したフォトクロミック硬化体の光学歪みを目視にて観察した。以下の基準で評価した。
1:光学歪みがないもの
2:光学歪みがレンズの半分以下の一部分にみられるもの
3:光学歪みがレンズ全体にみられるもの
・Lスケールロックウェル硬度(HL):
上記硬化体を25℃の室内で1日保持した後、明石ロックウェル硬度計(形式:AR-10)を用いて、フォトクロミック硬化体のLスケールロックウェル硬度を測定した。
・白濁:
成型したフォトクロミック硬化体を、直行ニコル下で、白濁の評価を目視にて行った。
1:製品として問題ないレベルで、白濁がない、あるいはほとんど見えない。
2:製品として問題ないレベルであるが若干白濁のあるもの。
3:製品として問題ないレベルであるが2よりは白濁が強いもの。
4:白濁があり、製品として使用できないもの。
<実施例8~12、比較例2および3>
表3に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外は、実施例7と同様な方法でフォトクロミック硬化体を作製し、評価を行なった。結果を表4に示した。
Figure 2022043679000011
Figure 2022043679000012
<実施例13>
ポリロタキサン(A-6):6質量部、(B)成分であるPC1:0.04質量部、(C)成分であるTMPT:10質量部、3PG:47質量部、EB4858:25質量部、M-1:9質量部、GMA:1質量部、αMS:0.5質量部、MSD:1.5質量部、(D)成分であるパーブチルND:1.5質量部、パーオクタO:0.1質量部、およびその他配合成分であるHALS(紫外線安定剤):0.1質量部を十分に混合してフォトクロミック組成物を調製した。
前記フォトクロミック組成物を用い、練り込み法にてフォトクロミック硬化体を得た。すなわち、前記フォトクロミック組成物を、離型処理を施したガラスモールドとエチレン-酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型よりなるモールド型に注入した。次いで、空気炉を用い、30℃~90℃まで18時間かけ徐々に昇温しながら加熱硬化させた。硬化終了後、鋳型のガラス型から取り外し、フォトクロミック硬化体を得た。
得られたフォトクロミック硬化体は実施例1と同様に、フォトクロミック性、さらには実施例7と同様に、成型性の評価を実施した。その結果を表6に示した。
<実施例14、15および比較例4>
表5に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外、実施例13と同様な方法でフォトクロミック硬化体を作製し、評価を行なった。結果を表6に示した。
Figure 2022043679000013
Figure 2022043679000014
<実施例16>
ポリロタキサン(A-6):1質量部、(B)成分であるPC1:3.0質量部、(C)成分であるA-BPE:9質量部、M-1:8質量部、A400:10質量部、TMPT:15質量部、D-TMPT:15質量部、BPE500:35質量部、14G:6質量部、GMA:1質量部、(D)成分であるPI:0.4質量部、およびその他配合成分であるHALS:0.1質量部を十分に混合してフォトクロミック組成物を調製した。
次いで、上記のフォトクロミック組成物を用い、積層法によりフォトクロミック積層体を得た。すなわち、まず、光学基材として中心厚が2mmで屈折率が1.60のチオウレタン系プラスチックレンズを用意した。なお、このチオウレタン系プラスチックレンズは、事前に10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、50℃で5分間のアルカリエッチングを行い、十分に蒸留水で洗浄を実施した。
その後、スピンコーター(1H-DX2、MIKASA製)を用いて、前記チオウレタン系プラスチックレンズの表面に、湿気硬化型プライマー(製品名;TR-SC-P、(株)トクヤマ製)を回転数70rpmで15秒、続いて1000rpmで10秒コートした。その後、前記フォトクロミック組成物:2gを、回転数60rpmで40秒、続いて600rpmで10~20秒かけて、フォトクロミック硬化体からなる層の厚さが40μmになるようにスピンコートした。
このように前記フォトクロミック組成物が表面に塗布されているチオウレタン系プラスチックレンズを、窒素ガス雰囲気中で出力200mW/cmのメタルハライドランプを用いて、90秒間光を照射し、前記フォトクロミック組成物を硬化させた。その後さらに110℃で1時間加熱して、フォトクロミック硬化体からなる層が積層されたフォトクロミック積層体を作製した。
得られたフォトクロミック積層体は、実施例1と同様に、フォトクロミック性、さらには実施例7と同様に、成型性の評価を実施した。その結果を表8に示した。
<実施例17、18および比較例5>
表7に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外、実施例16と同様な方法でフォトクロミック積層体を作製し、評価を行なった。結果を表8に示した。
Figure 2022043679000015
Figure 2022043679000016
<実施例19>
ポリロタキサン(A-5):2質量部と、(C)成分であるPL1:36質量部、IPDI:51質量部、およびDMF:300質量%(前記ポリロタキサン(A-5)と(C)成分の全量に対して)を反応器に仕込み、窒素雰囲気下、120℃で5時間反応させた。
その後、25℃まで冷却し、さらに(C)成分であるIPDA:11質量部を滴下し、25℃で1時間反応させ、溶媒を減圧留去し、ポリウレタン-ウレア樹脂(U1)を得た。
得られたポリウレタン-ウレア樹脂(U1)の分子量はポリスチレン換算で15万、ポリオキシエチレン換算で1万(理論値;1万)であり、耐熱性は140℃であった。
得られたポリウレタン-ウレア樹脂(U1)100質量部に、(B)成分であるPC1:3.0質量部、およびその他の配合成分であるHALS:0.5質量部、DEK:400質量%((U1)と(B)の全量に対して)混合物全量に対して)を添加し、80℃で攪拌しながら、超音波により溶解し、フォトクロミック組成物を得た。
得られたフォトクロミック組成物を用いてバインダー法によりフォトクロミック積層シートを製造した。すなわち、表面が平滑なフッ素樹脂製のシート上に、上記のフォトクロミック組成物を塗布し、80℃で1時間乾燥させ、得られた厚み30μmのフォトクロミックシートを得た。得られたフォトクロミックシートを厚み400μmのポリカーボネートシート2枚の間に挟み、フォトクロミック積層シートを得た。得られたフォトクロミック積層シートは、実施例1と同様に、フォトクロミック性、さらには実施例7と同様に、成型性の評価を実施した。その結果を表10に示した。
<実施例20~21、比較例6>
表9に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外、実施例19と同様な方法でフォトクロミック積層シートを作製し、評価を行なった。結果を表10に示した。
<実施例22>
ポリロタキサン(A-5)成分を添加せず、ポリウレタン-ウレア樹脂(U1)を調製し、この得られたポリウレタン-ウレア樹脂(U1)にポリロタキサン(A-1)を加えた以外は、実施例19と同様な方法でフォトクロミック積層シートを作製し、評価を行なった。結果を表10に示した。
Figure 2022043679000017
Figure 2022043679000018
<実施例23>
ポリロタキサン(A-6):5質量部、(C)成分であるBPE500:45質量部、A-BPE:4質量部、14G:4質量部、A400:8質量部、TMPT:29質量部、GMA:1質量部、αMS:1質量部、およびその他配合成分であるHALS:0.1質量部を混合して混合液を調製した。得られた混合液に、(B)成分であるPC1:0.16質量部を加え、十分に攪拌し、溶解させた。その後、(C)成分であるMOI:3質量部、およびその他配合成分であるパーブチルND:1.5質量部、パーオクタO:0.1質量部を十分に混合し、フォトクロミック組成物を調製した。
得られたフォトクロミック組成物を用いて積層法の注型重合法によりフォトクロミック硬化体を製造した。
すなわち、得られたフォトクロミック組成物を、ガラスモールドとプラスチックレンズ基材(CR39レンズ)の側面に粘着テープを巻きつけたレンズ成型用モールドのキャビティー内部に注入し、硬化を行った。
なお、プラスチックレンズ基材(CR39レンズ)については、アセトンで十分に脱脂した後に、60℃の20%水酸化ナトリウム水溶液で10分間超音波によるアルカリ処理をほどこしたものを用いた。
硬化は、空気炉を用い、30℃~95℃まで18時間かけ徐々に温度を上げていき、加熱硬化した。硬化終了後にガラスモールドを外すことにより、0.5mm厚のフォトクロミック硬化体と2mm厚のプラスチックレンズ基材が密着したフォトクロミック積層体を得た。
得られたフォトクロミック積層体は、実施例1と同様に、フォトクロミック性、さらには実施例7と同様に、成型性の評価を実施した。その結果を表12に示した。
<実施例24および比較例7>
表12に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外、実施例23と同様な方法でフォトクロミック積層体を作製し、評価を行なった。結果を表12に示した。
Figure 2022043679000019
Figure 2022043679000020
<実施例25>
表13に示す処方により、各成分を混合してフォトクロミック組成物を調製した。
次いで、調製したフォトクロミック組成物を用い、フォトクロミック組成物を十分に脱泡した後、1mmの隙間を設けたガラスプレートと屈折率1.60のチオウレタン系プラスチックレンズからなるモールドの中に注入し、注型重合法によりフォトクロミック組成物を硬化した。硬化は空気炉を用い、27℃から120℃まで徐々に昇温しながら18時間かけて硬化させた。硬化終了後、ガラスプレートのみを取り外すことで、屈折率1.60のチオウレタン系プラスチックレンズの表面上に1mm厚のフォトクロミック硬化体が積層されたフォトクロミック積層体を得た。
得られたフォトクロミック積層体は、実施例1と同様に、フォトクロミック性、さらには実施例7と同様に、成型性の評価を実施した。その結果を表14に示した。
<実施例26、および比較例8>
表13に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外、実施例25と同様な方法でフォトクロミック積層体を作製し、評価を行なった。結果を表14に示した。
Figure 2022043679000021
Figure 2022043679000022
<実施例27>
表15に示す処方により、各成分を混合して均一なフォトクロミック組成物を調製した。調製したフォトクロミック組成物を接着剤として用い、一対の光学物品用ガラスプレートを接合することでフォトクロミック積層シートを製造した。まず、0.1mm厚のスペーサーを配置した一方の光学物品用ガラスプレート上にフォトクロミック組成物を塗布し、その上に他方の光学物品用ガラスプレートを配置した後に、フォトクロミック組成物を硬化した。硬化は空気炉を用い、27℃から120℃まで徐々に昇温しながら18時間かけて硬化させ、一対の光学物品用プレートを接合することで、0.1mm厚のフォトクロミック層を備えたガラス貼り合わせ型のフォトクロミック積層シートを得た。
得られたフォトクロミック積層シートは、実施例1と同様に、フォトクロミック性、さらには実施例7と同様に、成型性の評価を実施した。その結果を表16に示した。
<実施例28、および比較例9>
表15に示した組成のフォトクロミック組成物を用いた以外、実施例27と同様な方法でフォトクロミック積層シートを作製し、評価を行なった。結果を表16に示した。
Figure 2022043679000023
Figure 2022043679000024
以上の実施例、比較例から明らかな通り、本発明のフォトクロミッ組成物を硬化して得られる硬化体は、フォトクロミック性等に非常に優れている。
実施例1~6は、優れたフォトクロミック性を有しており、比較例1と比較しても、発色濃度、退色速度、耐久性の点で優れている。
実施例7~12は、優れたフォトクロミック性を有しており、さらに、硬度、白濁の評価を含めてもバランスのよい物性を有している。一方、比較例2,3は、硬度、白濁の観点からは優れたレンズ物性を有しているが、フォトクロミック性のうち少なくとも1つの物性が不十分であった。
実施例12~15も、優れたフォトクロミック性を有しており、さらに硬度、白濁の評価を含めてもバランスのよい物性を有している。一方、比較例4も硬度、白濁の点からは実施例12~15と同等だが、退色速度、耐久性の点で明らかに劣っている。
実施例16~18は、優れたフォトクロミック性を有しており、比較例5と比較しても、発色濃度、退色速度、耐久性の点で優れている。
実施例19~22は、優れたフォトクロミック性を有しており、比較例6と比較しても、発色濃度、退色速度、耐久性の点で優れている。
実施例23、および24は、優れたフォトクロミック性を有しており、比較例7と比較しても、発色濃度、退色速度、耐久性の点で優れている。
実施例25、および26は、優れたフォトクロミック性を有しており、比較例8と比較しても、発色濃度、退色速度、耐久性の点で優れている。
実施例27、および28は、優れたフォトクロミック性を有しており、比較例9と比較しても、発色濃度、退色速度、耐久性の点で優れている。

Claims (13)

  1. (A)(A1)少なくとも1つの環状ポリエーテルエステルからなる環状分子を(A2)軸分子である高分子化合物が貫通した構造を有するポリロタキサンと、(B)フォトクロミック化合物とを含んでいることを特徴とするフォトクロミック組成物。
  2. 前記フォトクロミック組成物100質量部中、(B)フォトクロミック化合物が0.0001~10質量部含んでいる請求項1に記載のフォトクロミック組成物。
  3. 前記軸分子である高分子化合物が、ポリアクリル酸、またはポリオキシアルキレンである請求項1に記載のフォトクロミック組成物。
  4. 前記環状分子の少なくとも一部に、側鎖が導入されている請求項1に記載のフォトクロミック組成物。
  5. 前記環状分子が有している全官能基の50%以上前記側鎖が導入されている請求項4に記載のフォトクロミック組成物。
  6. 前記側鎖が、炭素数が3~20の有機鎖が複数回繰り返して形成されている請求項4に記載のフォトクロミック組成物。
  7. 前記側鎖が、重合性官能基を有している請求項3に記載のフォトクロミック組成物。
  8. 前記重合性官能基が、ラジカル重合性基、エポキシ基、水酸基、チオール基、アミノ基、エピスルフィド基、チエタニル基、イソシアネート基またはイソチアシアネート基である請求項7に記載のフォトクロミック組成物。
  9. さらに、(C)重合性モノマーを含んでいる請求項1ないし8のいずれかに記載のフォトクロミック組成物。
  10. さらに、(D)重合硬化促進剤を含んでいる請求項9に記載のフォトクロミック組成物。
  11. 請求項9~10のいずれかに記載のフォトクロミック組成物を硬化してなるフォトクロミック硬化体。
  12. 光学基材の表面に、請求項11に記載のフォトクロミック硬化体からなる層が積層されているフォトクロミック積層体。
  13. 互いに対向する2枚の光学シートが請求項11に記載のフォトクロミック硬化体からなる接着層を介して接合されたフォトクロミック積層シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024034445A1 (ja) * 2022-08-10 2024-02-15 富士フイルム株式会社 樹脂組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置

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