JP2022038455A - 磁性体の損失測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品や電気機器に含まれる磁性体内の高周波での損失を精度よく測定することができる磁性体の損失測定方法を提供すること。【解決手段】磁性体101に励磁コイル103と探索コイル105を巻き付ける。励磁コイル103と探索コイル105にコンデンサCRを直列に接続する。励磁コイル103とコンデンサCRに共振状態となる周波数の励磁電流IRを印加することで探索コイル105とコンデンサCRによる直列回路に発生する電圧V3と、励磁コイル103の励磁電流IRとを用いて磁性体101の損失を測定する。その際、励磁電流IRを間欠的に印加する。即ち、励磁コイル(1次コイル)103に励磁のための高周波電流を間欠的に流す。これによって、磁性体101および励磁コイル103の発熱を抑えることができる。【選択図】図8

Description

本発明は、磁性体の損失測定方法に関するものである。
パソコン、携帯電話といったIT機器や車載部品には磁性体(磁性材料)を使用した電子部品が多用されている。また、モータや発電機といった電気機器においても、磁性体が用いられている。そのような電子部品や電気機器の高効率化、小型化のためには磁性体の損失を精度良く測定することが重要である。特に近年、電気機器の小型化のため駆動周波数を上げることが検討されており、高い周波数での損失測定技術は非常に重要になっている。さらには、精度良く測定した磁性体の損失等の測定値を取り入れたシミュレーション手法は電子部品・電気機器の設計には欠かすことのできない技術となっている。
磁性体を用いた電子部品・電気機器における電気的な損失は、コイルで発生する銅損(コイルで発生する渦電流損失)、磁性体で発生する磁性体の磁気ヒステリシス損失および渦電流損失等がある。銅損はコイルを流れる電流から解析的(数学的)に算出することができるが、磁性体の磁気ヒステリシス損失および渦電流損失は実際の測定(計測)によって求める必要がある。近年の電気機器の小型化に対応して、磁性体には従来に比べ高周波の磁界が印加されることが多くなってきている。このような状況では、磁性体内の損失は増加する傾向にあり、磁性体内の損失の正確な見積もりは、電子部品・電気機器の構造や材料の最適化にとって重要なアイテムとなっている。
磁性体の損失を測定する手法としては、当該磁性体からなるリング状試料を用いる方法が広く用いられている(非特許文献1参照)。図1は磁性体の損失測定方法の説明図であり、図1(a)は回路構成図、図1(b)は磁性体部分の要部構成図である。同図に示す磁性体の損失測定方法は、測定しようとする磁性体からなるリング状試料101に励磁コイル(1次コイル)103および探索コイル(2次コイル)105を巻く2コイル法という手法であり、高周波信号を発生する信号発生器107と、高周波用のパワーアンプ109を介して励磁コイル103に高周波の交流電流を印加し、そのときに探索コイル105に誘起される電圧Vと、励磁コイル103側に設置した電流検出用抵抗Rで測定される電流値iをオシロスコープ111で測定して磁性体の損失を求める方法である。
上記2コイル法は現在でも広く用いられている優れた手法であるが、測定周波数が高くなったとき、電流検出用抵抗Rsの寄生インダクタンス成分による測定誤差が生じるという問題がある(非特許文献2)。その理由は、上記測定方法が、測定回路を流れる電流iと探索コイル105に誘起される電圧Vの位相差が90°に近い領域での測定になっており、測定回路系の寄生インダクタンス等の影響を非常に受けやすくなっていることに起因している。特に、高周波材料として使用される透磁率の低い磁性体や損失の小さい磁性体の測定に際しては、位相差が90°にさらに近づくため、電流検出用抵抗Rの微小な寄生インダクタンス成分が磁性体の損失測定に大きな影響を与える。以上のような理由から上記2コイル法による磁性体(磁性材料)の損失測定は、寄生インダクタンス等の補正を行なったとしても10MHz程度の測定周波数が限界となっている。
上記2コイル法の問題を解決するため、図2に示すように、2つのコイル103,105と直列にコンデンサCを挿入し、コイル103,105とコンデンサCによる共振状態で測定する共振法と呼ばれる改良技術が提案されている(特許文献1、非特許文献2)。この方法によれば、探索コイル105と直列に挿入されたコンデンサCが共振状態であるため、探索コイル105とコンデンサCに発生するリアクタンス成分による電圧は大きさが同じで位相が180°異なっている。したがって、探索コイル105とコンデンサCの直列回路の電圧Vと測定回路に流れる電流iは同位相となり、電流検出用抵抗Rの寄生インダクタンス成分の影響を小さくできる。このため10MHzを超える高周波での損失の測定が可能になる。また、非特許文献2にも記載があるが、図3のようにコンデンサCの代わりにコイルLを用いて共振状態を作ることも可能である。
特開平3-221886号公報 太田恵造著,「磁気工学の基礎I」,初版,共立出版株式会社,1973年6月,p.59 IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS,(米), Vol.29, NO.8, p.4374-4381 御子柴駿,嶋博司,茶谷健一,"金属扁平粉末を用いた高周波パワーインダクタ用磁性コア",日本磁気学会誌まぐね,Vol.15, No.3, 2020, p.167-172 近角聰信,「強磁性体の物理(下)」,初版,裳華房,1984年3月,p.257
上記各磁性体の損失測定方法の第1の課題は、測定周波数を上げることで測定中に磁性体の磁気ヒステリシス損失および渦電流損失によりリング状試料101の温度が上昇することである。渦電流損失は測定周波数の二乗に比例して増加するため、測定周波数を上げる上で大きな問題となる。さらに、励磁コイル103の渦電流損失も周波数のほぼ1/2乗に比例して大きくなるため、コイルの発熱が増大するという問題がある。リング状試料101の温度上昇は、磁性体の損失測定の精度の低下につながり、励磁コイル103の発熱はコイルの焼損をまねくことがある。
また、リング状試料101の直流重畳特性を測定する際には、励磁コイル103に直流重畳電流を流すか、もしくは直流重畳用のコイルを別途巻いてそのコイルに直流重畳電流を流す必要がある。図4は励磁コイル103に直流を重畳する場合の説明図である。図中、直流重畳電源113はパワーアンプ109からの高周波電流が直流重畳電源113に流れないようにするためのチョークコイル115を介して励磁コイル103に接続されている。Cは直流重畳電源113からの直流電流がパワーアンプ109に流れないようにするための直流阻止コンデンサである。透磁率の小さな磁性体においては大きな直流重畳電流を流さなければならず、励磁コイル103もしくは直流重畳用のコイルの発熱が大きな問題となる。
上記各磁性体の損失測定方法の第2の課題は、高い周波数で測定しようとするとき、リング状試料101のインダクタンスの値により測定周波数が制限されることである。共振周波数fresは、下記式で表される。
Figure 2022038455000002
ここで、Lはリング状試料101のインダクタンス、Cは共振用コンデンサCの静電容量に、測定系の寄生容量、オシロスコープ111のプローブの入力容量等の静電容量を加えた値となる。測定周波数を上げるためには共振用コンデンサCの値を小さくする必要があるが、小さくしすぎると測定系の寄生容量、オシロスコープ111のプローブの入力容量等の影響を受ける。このため、共振用コンデンサCの静電容量を小さくして測定周波数を上げるには限界がある。リング状試料101のインダクタンスLを下げて、共振周波数fresを上げることも考えられる。インダクタンスLを下げるためは励磁コイル103および探索コイル105の巻数を減らせばよいが、高周波向けの磁性体の透磁率は高々数10であり、コイルの巻数を減らすとリング状試料(磁性体)101からの漏れ磁束が増えて、励磁コイル103/探索コイル105間の結合が弱くなるといった問題があるため採用できない。
電子部品や電気機器の設計やシミュレーションを行なう場合は、磁性体の磁気ヒステリシス損失と渦電流損失等を分離できることが望ましい。図5は磁性体の損失の一例を示す図である。同図には磁気ヒステリシス損失と渦電流損失を図示したが、他の損失(例えば異常渦電流損失)等がある場合はその損失がこの図5に付加される。これまでの磁性体の損失測定では損失のトータル、この図でいえば磁気ヒステリシス損失と渦電流損失の和が測定されていた。このため、電子部品や電気機器の設計では何らかの手法により測定される損失を2つもしくはそれ以上の損失に分離する必要があった。例えば、非特許文献3では、以下の式を用いてフィッティングを行なっている。
Figure 2022038455000003
ここで、Pcvはトータルの損失、fは周波数、Bは最大磁束密度、a、b、cはフィッティングパラメータである。
このような手法により十分な損失分離が行える場合もあるが、磁性体によってはa、b、cの値を精度良くフィッティングできるとは限らず、実測値を使っての損失の分離が望まれている。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、電子部品や電気機器に含まれる磁性体内の高周波での損失を、精度よく測定することができる磁性体の損失測定方法を提供することにある。
本発明は、磁性体に励磁コイルと探索コイルを巻き付け、前記励磁コイルに励磁電流を印加することで前記探索コイルに誘起される誘起電圧と、前記励磁コイルの励磁電流とを用いて磁性体の損失を測定する方法であって、前記励磁電流を間欠的に印加することを特徴としている。
また本発明は、磁性体に励磁コイルと探索コイルを巻き付け、前記励磁コイルと探索コイルにコンデンサを直列に接続し、前記励磁コイルとコンデンサに共振状態となる周波数の励磁電流を印加することで、前記探索コイルとコンデンサによる直列回路に発生する電圧と、当該電圧と同位相の前記励磁コイルの励磁電流とを用いて磁性体の損失を測定する方法であって、前記励磁電流を間欠的に印加することを特徴としている。
即ち、上記磁性体(リング状試料など)の高周波での測定における第一の課題であるリング状試料および励磁コイルの発熱を低減する手法として、図6に示すように励磁コイル(1次コイル)に励磁のための高周波電流を間欠的に流す。これによって、磁性体(リング状試料など)および励磁コイルの発熱を抑えることができる。これによって、磁性体の高周波での損失を精度よく測定することができる。
本発明は、上記特徴に加え、前記励磁コイルまたは前記磁性体に別途巻き付けたコイルに流す直流重畳用の直流電流を、前記励磁電流に同期させて間欠的に流すことを特徴としている。
これによって、直流重畳特性を測定するときも、磁性体(リング状試料など)および励磁コイルの発熱を抑えることができる。
本発明は、上記特徴に加え、前記励磁コイル及び探索コイルを複数組に分割した上で、各組の励磁コイル及び探索コイルを前記磁性体に巻き付けることを特徴としている。
上記磁性体(リング状試料など)の高周波での測定における第二の課題である磁性体(リング状試料など)のインダクタンスの値による測定周波数の上限を上げる手法として、この発明のように、励磁コイル及び探索コイルを複数組に分割して巻くことにより、コイル全体としての巻き数を減らすことなく、インダクタンスの値を低減し、高周波での損失測定を可能にすることができる。
本発明は、磁性体に励磁コイルと探索コイルを巻き付け、前記励磁コイルに励磁電流を印加することで前記探索コイルに誘起される誘起電圧と、前記励磁コイルの励磁電流とを用いて磁性体の損失を測定する方法であって、測定した損失の測定結果を抵抗Rで表し、励磁電流ゼロへの外挿値Rを求めることで、前記磁性体の損失を励磁電流に依存しない損失と、励磁電流に依存する損失とに分離することを特徴としている。
また本発明は、磁性体に励磁コイルと探索コイルを巻き付け、前記励磁コイルと探索コイルにコンデンサを直列に接続し、前記励磁コイルとコンデンサに共振状態となる周波数の励磁電流を印加することで、前記探索コイルとコンデンサによる直列回路に発生する電圧と、当該電圧と同位相の前記励磁コイルの励磁電流とを用いて磁性体の損失を測定する方法であって、測定した損失の測定結果を抵抗Rで表し、励磁電流ゼロへの外挿値Rを求めることで、前記磁性体の損失を励磁電流に依存しない損失と、励磁電流に依存する損失とに分離することを特徴としている。
この損失測定方法を用いれば、容易かつ正確に、磁性体の損失を、励磁電流に依存しない損失と、励磁電流に依存する損失とに分離することができる。
上記損失の分離について詳細に説明すると以下のようになる。即ち、電子部品や電気機器の設計やシミュレーションを行なうための磁性体内の磁気ヒステリシス損失と渦電流損失等の分離は、実測値を使って以下のように行なう。
まず励磁コイルに流す励磁電流Iを変えて損失を測定する。次に図7に示すように、横軸に励磁電流I(A)、縦軸に損失を抵抗R(Ω)でプロットする。図7は励磁電流I(A)と磁性体内の損失(抵抗R(Ω))の関係を示した図である。ワット(W)で表した損失を抵抗R(Ω)にするには、ワット(W)を励磁電流I(A)の二乗で割れば良い(W=RI)。プロットした点を励磁電流Iがゼロの点まで外挿し、その外挿点をRとする。そうすると、損失R(Ω)は、励磁電流Iに依存しない部分Rと励磁電流Iに比例する部分に分かれる。
損失R(Ω)の励磁電流Iに依存しない部分Rは、電流の二乗に比例する損失を表しており、ここには渦電流損失だけでなく、励磁コイルと寄生容量から生じる自己共振や強磁性共鳴等による損失も含まれる。通常、磁性体を電子部品や電気機器に使用する場合は、自己共振や強磁性共鳴等が起こらない条件で使うため、自己共振や強磁性共鳴等のRへの影響は小さいと考えられる。従来のフィッティングによる損失分離においても、励磁電流Iの二乗に比例する損失を渦電流損失としているため、ここでもRは渦電流損失として扱う。
損失R(Ω)の励磁電流Iに比例する部分は、ヒステリシス損失を表している。これは、励磁電流Iが小さい領域ではヒステリシス損失R(Ω)は励磁電流Iに比例する、すなわちワットで表したヒステリシス損失は励磁電流Iの三乗に比例するためである(非特許文献4参照)。
本発明によれば、電子部品や電気機器に含まれる磁性体内の高周波での損失を、精度よく測定することができる。
2コイル法による磁性体の損失測定方法の説明図であり、図1(a)は回路構成図、図1(b)はコイル部分の要部構成図である。 共振法による磁性体の損失測定方法の説明図である。 コイルLを用いた共振法による磁性体の損失測定方法の説明図である。 励磁コイル103に直流を重畳する場合の説明図である。 磁性体の損失の一例を示す図である。 励磁コイルに流す励磁電流の一例を示す図である。 励磁電流と磁性体内の損失の関係を示す図である。 第1実施形態の説明に用いる損失測定用の回路構成図である。 連続励磁を行った場合と間欠励磁を行った場合の励磁電流に対する損失の測定結果を比較して示す図である。 励磁コイルに流す励磁電流に直流重畳電流を重畳した場合の一例を示す図である。 励磁コイル103に直流重畳電流を流す場合の回路構成図である。 図12(a)は従来のコイルの巻き方を示す概略図、図12(b)は第2実施形態にかかるコイルの巻き方を示す概略図である。 励磁電流と磁性体101内の損失(抵抗R)の関係を示す図である。 ヒステリシス損失および渦電流損失の周波数依存性の測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図8は本発明の第1実施形態の説明に用いる損失測定用の回路構成図である。同図に示す回路構成は、前記図2に示す共振法の回路構成と同一である。即ち、この回路は、リング状試料101に励磁コイル(1次コイル)103および探索コイル(2次コイル)105を巻きつけ、さらに2つのコイル103,105と直列にコンデンサCを挿入し、高周波信号を発生する信号発生器107と、高周波用のパワーアンプ109を介して励磁コイル103に高周波の交流電流を印加し、コイル103,105とコンデンサCによる共振状態で、探索コイル105とコンデンサCの直列回路の電圧Vと、励磁コイル103側に設置した電流検出用抵抗Rで測定される電流値iをオシロスコープ111で測定して磁性体の損失を求める共振法を用いるための回路である。
そして、上記回路を用いて測定試料101を間欠的に励磁するため、信号発生器107のバースト機能を使い、測定インターバル20ms、励磁時間1msの信号を、パワーアンプ109に入力する。このような波形をパワーアンプ109に入力することとすれば、励磁コイル103には1msの間だけ励磁電流が流れるため、コイルの発熱量は、この場合では20分の1に低減できる。
図9は、従来の連続励磁を行った場合と、本実施形態にかかる間欠励磁を行った場合の励磁電流に対する損失の測定結果を比較して示す図である。測定試料(磁性体)101としては、マイクロメタル社製カルボニル鉄のトロイダルコア(リングコア)T37 を使用した。測定周波数は1.8MHz、励磁電流は0.2Aまでの範囲で測定した。この結果から、間欠励磁によっても連続で励磁する時と同様の結果が得られることが分かった。
次に、直流重畳電流を流す励磁コイル103、もしくは別途測定試料(磁性体)101に巻き付ける直流重畳用のコイルの発熱を低減する場合は、図10に示すように、励磁コイル励磁電流の間欠励磁のインターバルに合わせて、即ち、励磁コイル励磁電流を流すときに同時に、直流重畳電流を、励磁コイル103もしくは直流重畳用のコイルに流せば良い。
図11は励磁コイル103に直流重畳電流を流す場合の回路構成図である。同図に示す回路において、上記図8に示す回路と相違する点は、直流重畳電源113をパワーアンプ109からの高周波電流を阻止するためのチョークコイル115を介して励磁コイル103に接続している点である。また、パワーアンプ109に直流重畳電源113からの直流電流が流れないようにするため、直流阻止のためのコンデンサCが接続されている。励磁コイル103は、信号発生器107から出力される間欠的な信号によって励磁されている。そして信号発生器107を直流重畳電源113に接続することで、上記間欠的な信号に同期している信号を直流重畳電源113にも印加し、この信号が印加されている間だけ直流重畳電流が流れるようにしている。このような構成により、直流を重畳した励磁コイル103の発熱を効果的に抑えることが可能となる。
上記例では、励磁コイル103に直流重畳電流を流す場合について説明したが、前記測定資料(磁性体)101に別途巻き付けた直流重畳用のコイルに前記直流重畳電流を流すように構成した場合も同様の効果が得られる。
なお、上記実施形態ではコンデンサCを使用した共振回路での測定について記載したが、コイルを使用した共振回路(例えば上記図3の回路)においても同様の効果が得られる。
〔第2実施形態〕
上記共振法とよばれる技術において、測定周波数fresは、上記「数1」の式で表される。そして上述したように、測定周波数を上げるためには共振用コンデンサの値を小さくする必要があるが、小さくしすぎると測定系の寄生容量、オシロスコープのプローブの入力容量等の影響を受ける。このため、共振用コンデンサ静電容量Cを小さくして測定周波数を上げるには限界がある。リング状試料(磁性体)101のインダクタンスLを下げるために励磁コイル103および探索コイル105の巻数を減らすことも考えられるが、高周波向けの磁性体101の透磁率は高々数10であり、コイルの巻数を減らすと磁性体101からの漏れ磁束が増えて、励磁コイル103/探索コイル105間の結合が弱くなるといった問題がある。
そこで、本願発明者は、リング状試料(磁性体)101の巻数を確保したまま、インダクタンスLを低減する手法として、コイルを分割して巻く方法を発明した。図12(a)は従来のコイルの巻き方を示す概略図、図12(b)は本実施形態にかかるコイルの巻き方を示す概略図である。
図12(a)に示す従来のコイルの巻き方は、励磁コイル103及び探索コイル105を一対のペア(組)にして、リング状試料(磁性体)101に、Aが巻き始めで、A’が巻き終わりとなるように巻いていた。
一方、図12(b)に示す本実施形態のコイルの巻き方は、励磁コイル及び探索コイルを複数(この例では2つ)のペア(組)103,105と103-2,105-2に分割した上で、各組の励磁コイル及び探索コイル103,105と103-2,105-2をそれぞれリング状試料(磁性体)101に巻き付ける巻き方としている。即ち、励磁コイル及び探索コイルのペア103,105と103-2,105-2を並行してリング状試料(磁性体)101に巻いていく。何れのコイルもA,Bが巻き始めで、A’,B’が巻き終わりである。
図8や図11の回路を用いた損失測定の際は、一方の組の励磁コイル103及び探索コイル105と、他方の組の励磁コイル103-2及び探索コイル105-2とを、並列に接続して、即ち、励磁コイル103と励磁コイル103-2の巻き始めを連結し、探索コイル105と探索コイル105-2の巻き始めを連結し、また励磁コイル103と励磁コイル103―2の巻き終りを連結し、探索コイル105と探索コイル105-2の巻き終りを連結して使用する。
図12(b)のような巻き方を施すことで、巻数は2分の1に低減でき、インダクタンスの値は巻数の二乗に比例するため、4分の1に低減できる。さらに例えば3本の励磁コイル及び探索コイルを分割巻きにすれば、インダクタンスは9分の1に低減できる。
図12(b)に示す巻き方を採用して図8に示す共振法による測定を試みた。リング状試料(磁性体)101にはマイクロメタル社製カルボニル鉄のトロイダルコア(リングコア) T37を使用した。トロイダルコアのサイズは、外径9.53mm、内径5.21mm、高さ3.25mmである。このトロイダルコアに、励磁コイル103/探索コイル105として、線径0.3mmのペア線を使って巻線を施した。分割巻きとして、励磁コイル103/探索コイル105は3分割の6回巻きとした。比較のための図9(a)に示す従来巻きは20回巻きとした。測定結果を下記表1に示す。3分割6回巻きを施すことで、共振周波数は約3倍に増加しており、本手法が共振法での高周波測定に有効であることが分かる。
Figure 2022038455000004
〔第3実施形態〕
次に、磁性体内のヒステリシス損失と渦電流損失の分離に関する実施形態について説明する。図13は励磁コイル103への励磁電流と磁性体101内の損失(抵抗R)との関係を測定して示した図であり、黒丸プロット部分が実測値である。当該測定には、マイクロメタル社製カルボニル鉄のトロイダルコア(リングコア)T37を使用した。損失は抵抗Rでプロットしてある。
そして、各実測値を結ぶ実線を励磁電流ゼロまで点線で延ばして、損失(抵抗R)の励磁電流ゼロへの外挿値Rを求める。これによって、抵抗Rは、励磁電流に依存しない成分Rと励磁電流に比例する成分に分離でき、それぞれの成分を渦電流損失とヒステリシス損失として求めることができる。
この測定を、測定周波数を変えて測定し、ヒステリシス損失および渦電流損失の周波数依存性を測定した結果を図14に示す。同図に示すように、ヒステリシス損失は周波数に比例して増加し、渦電流損失は周波数の二乗に比例して増加しており、これは理論的にも妥当な結果である。
本実施形態では、リング状試料(磁性体)101に励磁コイル103及び探索コイル105を巻き付けた試料に関して述べたが、本手法は、実際の電子部品であるインダクタにも適用可能である。インダクタの場合、磁性体の渦電流損失とコイルの損失が合わさった形での損失分離となるが、ヒステリシス損失はリング状試料と同様に分離が可能である。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
101 リング状試料(磁性体、磁性材料)
103,103-2 励磁コイル(1次コイル)
105,105-2 探索コイル(2次コイル)
107 信号発生器
109 パワーアンプ
111 オシロスコープ
113 直流重畳電源
115 チョークコイル

Claims (6)

  1. 磁性体に励磁コイルと探索コイルを巻き付け、前記励磁コイルに励磁電流を印加することで前記探索コイルに誘起される誘起電圧と、前記励磁コイルの励磁電流とを用いて磁性体の損失を測定する方法であって、
    前記励磁電流を間欠的に印加することを特徴とする磁性体の損失測定方法。
  2. 磁性体に励磁コイルと探索コイルを巻き付け、前記励磁コイルと探索コイルにコンデンサを直列に接続し、前記励磁コイルとコンデンサに共振状態となる周波数の励磁電流を印加することで、前記探索コイルとコンデンサによる直列回路に発生する電圧と、当該電圧と同位相の前記励磁コイルの励磁電流とを用いて磁性体の損失を測定する方法であって、
    前記励磁電流を間欠的に印加することを特徴とする磁性体の損失測定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の磁性体の損失測定方法であって、
    前記励磁コイルまたは前記磁性体に別途巻き付けたコイルに流す直流重畳用の直流電流を、前記励磁電流に同期させて間欠的に流すことを特徴とする磁性体の損失測定方法。
  4. 請求項1又は2又は3に記載の磁性体の損失測定方法であって、
    前記励磁コイル及び探索コイルを複数組に分割した上で、各組の励磁コイル及び探索コイルを前記磁性体に巻き付けることを特徴とする磁性体の損失測定方法。
  5. 磁性体に励磁コイルと探索コイルを巻き付け、前記励磁コイルに励磁電流を印加することで前記探索コイルに誘起される誘起電圧と、前記励磁コイルの励磁電流とを用いて磁性体の損失を測定する方法であって、
    測定した損失の測定結果を抵抗Rで表し、励磁電流ゼロへの外挿値Rを求めることで、前記磁性体の損失を励磁電流に依存しない損失と、励磁電流に依存する損失とに分離することを特徴とする磁性体の損失測定方法。
  6. 磁性体に励磁コイルと探索コイルを巻き付け、前記励磁コイルと探索コイルにコンデンサを直列に接続し、前記励磁コイルとコンデンサに共振状態となる周波数の励磁電流を印加することで、前記探索コイルとコンデンサによる直列回路に発生する電圧と、当該電圧と同位相の前記励磁コイルの励磁電流とを用いて磁性体の損失を測定する方法であって、
    測定した損失の測定結果を抵抗Rで表し、励磁電流ゼロへの外挿値Rを求めることで、前記磁性体の損失を励磁電流に依存しない損失と、励磁電流に依存する損失とに分離することを特徴とする磁性体の損失測定方法。
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