JP2022036057A - 高流量酸素療法用の換気装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ホースシステムを介した高流量酸素療法により患者を換気するための換気装置を提供する。【解決手段】換気装置は、少なくとも１つのセンサエレメント１１０と、駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁１２０と、制御ユニット１３０とを有している。センサエレメントは、ホースシステム内の測定値１１２を特定しかつ出力するために配置されかつ構成されており、測定値は、ホースシステム内のガス流を示す。駆動可能な吸気弁または呼気弁は、換気装置の換気回路１０７からの呼吸ガスの流れを可能にするように配置されかつ構成されている。制御ユニットは、換気装置により提供される換気圧を、少なくとも１つのセンサエレメントと少なくとも１つの吸気弁または呼気弁とを介して、ホースシステムの予め規定された領域１４０における予め規定された最大圧が超過されないように、調整する。【選択図】図１

Description

本発明は、ホースシステムを介した高流量酸素療法により患者を換気するための換気装置に関する。さらに本発明は、高流量酸素療法により患者を換気するための換気システムと、換気装置により提供される換気圧を調整する方法と、このような方法を実施するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラムとに関する。

高流量酸素療法では、一般的に、対応する換気装置において酸素濃度およびガス流が調節される。次いで、このガス流は、患者側インタフェースを介して換気されるべき患者へとガイドされる。ガス流は、少なくとも１つのホースを含むホースシステムを介して流れる。基本的には、高流量酸素療法のためには、１ホースシステムと、２本のホース間に位置するＹ字形部材を備えた２ホースシステムとが知られている。患者側インタフェースは、たとえばいわゆるプロングにより提供することができるような動的な陽圧による換気に役立つ。この場合、ガス流は、大部分が患者を通過して周囲へと流れる。患者側インタフェースは、患者側の気道を密閉せず、換気されるべき患者と患者側インタフェースとの間の対応する漏れの度合いが、患者の気道内に提供される圧力を規定する。同時に、ガスの乱流によって生じ得る死腔が洗い流される。

このような換気のためには、ばねにより予荷重が加えられた弁を使用することが知られている。この弁を介して、ホースシステム内における圧力限界への到達時に、対応する過剰なガスがばねにより予荷重が加えられた弁を介して放出されることが確保される。

本発明の課題は、改善された換気装置、特に高流量酸素療法用の特に確実な換気装置を提供することである。

本発明によれば、この課題を解決するために、ホースシステムを介した高流量酸素療法により患者を換気するための換気装置が提案され、換気装置は、少なくとも１つのセンサエレメントと、駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁と、制御ユニットとを有している。

少なくとも１つのセンサエレメントは、ホースシステム内の測定値を特定しかつ出力するように配置されかつ構成されており、測定値は、ホースシステム内のガス流を示す。

駆動可能な少なくとも１つの吸気弁および／または呼気弁、特に電気的に駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁は、換気装置の換気回路からの呼吸ガスの流れを可能にするように配置されかつ構成されている。

制御ユニットは、換気装置により提供された換気圧を、少なくとも１つのセンサエレメントと少なくとも１つの吸気弁または呼気弁とを介して、ホースシステムの予め規定された領域において予め規定された最大圧が超過されないように、調整する。

本発明の枠内では、直接に患者における高い圧力を、患者の健康を守るために回避しなければならないことが判っている。このためには、駆動可能な吸気弁または呼気弁の使用が提案される。吸気弁または呼気弁を介して、高流量酸素療法中に、酸素療法の全期間にわたって、予め規定された最大圧を考慮しながら均一な高いガス流が確保される。

吸気弁または呼気弁の駆動可能性により、換気されるべき患者にとって危険な圧力レベルを換気中に自動的に回避することができ、このために、提供されるガス流の変更は必要とならない。したがって、目指される高流量酸素療法をこの療法の目指される全期間にわたって実施することができ、この場合に、患者における過度に高い圧力のリスクは発生しない。

センサエレメントは、少なくとも１つのセンサ機器部分と、このセンサ機器部分を制御ユニットに直接または間接的に接続する接続部分とを含んでいる。好適には、少なくとも１つのセンサエレメントは、たとえば圧力センサまたは流量センサのようなセンサである。このようなセンサの詳細な構成は公知であり、したがって以下では説明しない。

吸気弁は、患者の吸気のために規定されたガス流が漏れ出ることができる弁である。呼気弁は、患者の呼気ガスが漏れ出ることができる弁である。好適には、吸気弁は、吸気ホースの領域に配置されていて、呼気弁は、呼気ホースの領域に配置されている。

好適には、制御ユニットは、メモリモジュールを含んでいる。このメモリモジュールに、予め規定された最大圧が保存されている。換気圧の調整時に、制御ユニットは、この保存された予め規定された最大圧にアクセスし、この最大圧を、出力された測定値により示される値と比較する。予め規定された最大圧は、存在する最大の圧力を示す値である。最大圧は、１つの実施形態では、ホースシステムの予め規定された領域に存在する最大の圧力を直接に特定する数値である。

本発明に係る換気装置の構成部分は、１つの共通のケーシング内に配置されていてよく、または互いに対して少なくとも部分的に離間して配置されていてよい。ホースシステムは、本発明に係る換気装置の部分ではない。

換気回路は、本発明の趣旨において、たとえばホースシステムの１ホース構造のために、開いていてよく、またはたとえば吸気ホースおよび呼気ホースが設けられている場合のように、閉じられていてもよい。

以下に本発明に係る換気装置の好適な実施形態を説明する。

特に好適な１つの実施形態では、換気装置は、予め規定された最大圧がホースシステムの予め規定された領域において到達されていない場合に、少なくとも１つの吸気弁または呼気弁を閉じたまま保持するように構成されている。この実施形態では、予め規定された領域において危険な圧力が存在しない限り、吸気弁または呼気弁は高流量酸素療法中のガス流に影響を与えない。

好適には、少なくとも１つのセンサエレメントが、呼気ホース内に配置されている。この実施形態では、患者側インタフェースを流過するガスの量を時間単位毎に示す測定値が測定される。したがって、センサエレメントによって、たった今異常に大きなガス量が呼気ホースの領域において集められているか否かを突き止めることができ、このことは、たとえば、過度に緊密に患者に接触する患者側インタフェースに対する証拠となり得る。漏れがない場合、ガス流は、高流量酸素療法の枠内では、一般的に患者に作用する過度に高いガス圧をもたらす。したがって、過度に小さな漏れを検知することによって、患者に加えられている圧力が減じられるように対応する吸気弁または呼気弁を駆動しなければならないことを、特に確実に制御ユニットによって判断することができる。本発明により、患者におけるガス流は減じられない。

好適な１つの実施形態では、制御ユニットが、提供される換気圧の調整を、この調整のために換気装置等のブロワの出力を変更することなしに、実施する。これにより、高流量酸素療法のために必要とされるような、患者における一定のガス流が確保される。制御ユニットによる調整は、好適には、ホースシステムの予め規定された領域内において予め規定された最大圧を上回る圧力が存在している場合に、専ら対応する吸気弁または呼気弁の開放により行われる。

好適には、吸気弁または呼気弁は、電気的に駆動可能な吸気弁または呼気弁である。これにより、制御ユニットによる調整を特に確実かつ迅速に行うことができる。代替的または補足的な実施例では、吸気弁または呼気弁がニューマチック式に、または別の形式で機械的に制御ユニットにより駆動可能である。

特に好適には、少なくとも１つのセンサエレメントが、圧力センサおよび／または流量センサである。このようなセンサエレメントは、信号評価のための時間を消耗するアルゴリズムなしに、存在する圧力を直接に示すことができ、かつ／または特定されたガス流を介して存在する圧力を示すことができる。

好適には、少なくとも１つのセンサエレメントが、ホースシステムの予め規定された領域に配置されている。これにより、特定されたセンサデータに基づいて直接に、予め規定された最大圧が超過されているか否かを求めることができる。代替的または補足的な実施形態では、少なくとも１つのセンサエレメントが、ホースシステムの予め規定された領域から離間して配置されている。この実施形態では、特定された測定値は、ホースシステムの予め規定された領域における圧力を示す値へと換算されなければならない。

特に好適な１つの実施形態では、制御ユニットは、さらに、提供される換気圧を、予め規定された較正情報に基づいて調整するように構成されている。予め規定された較正情報は、好適には、制御ユニットのメモリモジュール内に保存されている。予め規定された較正情報を介して、特定された測定値から、ホースシステムの予め規定された領域内の圧力を特に確実に推測することができる。

前述の実施形態の特に有利な１つのバリエーションでは、較正情報は、ホースシステムの予め規定された領域において存在する圧力と、少なくとも１つの流量センサにより測定されたガス流との間の関連を示す。このような関連は、機能的な割当てにより、グラフを介した図式的な割当てにより、かつ／または値の対の予め規定された割当てを介して行うことができる。較正情報は、好適にはホースシステムの幾何学的な特性を考慮する。１つの好適な実施形態では、較正情報は、換気装置の試運転の枠内で、換気されるべき患者における換気装置の引き続き行われる使用前に求められる。

前述の実施形態の特に有利な１つのバリエーションでは、較正情報は、さらに、ホースシステムのホース抵抗、特に予め規定されたホース抵抗に基づいている。このバリエーションでは、較正情報の規定時にホースシステムの少なくとも一部の幾何学形状が考慮される。これにより特に有利に測定値、たとえばガス流または圧力に基づいて、予め規定された領域に存在する圧力を推測することができる。特に好適には、測定値は、予め規定された領域において求められる。たとえば、ホース抵抗に基づいて、測定されたガス流を介して、このホース領域内の、ガス流により示される圧力を直接に推測することができる。

特に好適には、ホースシステムの予め規定された領域は、吸気ホースまたは呼気ホースの患者に向いた端部である。この実施形態では、患者における過度に高い圧力を特に確実に回避することができる。なぜならば、予め規定された最大圧が、本発明によれば、直接に患者の領域において、すなわち吸気ホースまたは呼気ホースの対応する端部において、超過されることがないからである。この予め規定された最大圧が、患者におけるこの領域において超過される場合、制御ユニットにより吸気弁または呼気弁が開かれ、圧力は患者を保護するために減じられる。

有利な１つの実施形態では、少なくとも１つの吸気弁または呼気弁が、制御ユニットと一緒に換気装置のケーシング内に配置されている。この実施形態では、有利には、本発明に係る換気装置を、吸気弁また呼気弁の機能形式を損なうことなしに、種々異なるホースシステムのために使用することができる。好適には、吸気弁または呼気弁は、ホースシステムへのガス供給の領域またはホースシステムからのガス戻しの領域に配置されている。

有利な１つの実施形態では、少なくとも１つの吸気弁または呼気弁が、開いた弁位置および閉じた弁位置のみで存在することができる。この実施形態では、吸気弁または呼気弁は、特に簡単に構成されている。これにより、この弁は、特に頑丈であり、安価に製造することができる。単に２つの異なる弁位置を備えたこのような弁は、特に高いフェイルセーフを有しており、このことは、本発明に係る換気装置の信頼性にとって有利である。

予め規定された最大圧は、好適には個別に調節可能である。好適には予め規定された最大圧は、５ミリバール～２５ミリバールであり、特に１０ミリバール～２０ミリバール、特に好適には約１２ミリバールである。特に好適には、予め規定された最大圧は、５ミリバール～２５ミリバール、特に１０ミリバール～２０ミリバールに個別に調節可能である。

好適には、換気装置は、さらに、制御ユニットにより吸気弁または呼気弁の操作が行われた場合に、表示ユニットを介して表示するように構成されている。これによりユーザは、ホースシステムの予め規定された領域において予め規定された最大圧が超過されたことに関する情報を与えられる。表示ユニットは、たとえば、患者に対するホースシステムのインタフェースにおいて所望の漏れが存在していないことを表示することができる。

本発明の第２の態様によれば、上述の課題を解決するために、高流量酸素療法により患者を換気するための換気システムであって、前述の実施形態のうちの少なくとも１つの実施形態による本発明に係る換気装置と、吸気ホースおよび呼気ホースを備えたホースシステムとを備えた換気システムが提案され、ホースシステムは、換気回路を提供するために換気装置に接続されている。

本発明に係る換気システムは、本発明に係る換気装置、ひいては換気装置の全ての利点を有している。

さらに、ホースシステムは、その幾何学形状に関して、換気装置に適合されていてよく、これにより、存在するホース幾何学形状のために、制御ユニットは特に確実に吸気弁または呼気弁を調整することができる。

好適には、少なくとも１つのセンサエレメントが、ホースシステム内に配置されていて、換気装置の制御ユニットに信号技術的に接続されている。

吸気弁または呼気弁は、好適には、直接にホースシステムにおいて換気装置の換気回路からの呼吸ガスの流れを可能にするために、ホースシステム内に配置されている。

有利な１つの実施形態では、患者とホースシステムとの接続は、プロングを介して提供されている。プロングを介したこのような接続は、このプロングの装着中に、この場合に提供される漏れに関して変更することができるので、本発明に係る換気装置は、このようなプロングの使用にとって特に有利である。したがって、経時的に漏れが変化する場合にも、予め規定された最大圧を回避することができる。

本発明の第３の態様によれば、上述の課題を解決するために、ホースシステムを介した高流量酸素療法中に換気装置により提供される換気圧を調整する方法が提案される。本発明による方法は、以下のステップ、すなわち、
－換気装置の換気回路からの呼吸ガスの流れを可能にするために、駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁、特に電気的に駆動可能な吸気弁または呼気弁を提供するステップと、
－ホースシステム内の測定値を特定しかつ出力するステップであって、測定値が、ホースシステム内のガス流を示す、ステップと、
－換気装置により提供される換気圧を、ホースシステムの予め規定された領域において予め規定された最大圧が超過されないように、少なくとも１つの吸気弁または呼気弁を介して調整するステップと
を含んでいる。

本発明の第３の態様による方法は、本発明の第１の態様による換気装置により実施されるので、換気装置の利点を有している。特に、この方法は、高流量酸素療法中に患者に一定に加えられるガス流を可能にする一方で、同時に患者における過度に高いガス圧の危険は回避される。

本発明の第４の態様によれば、上述の課題を解決するために、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェア構成要素においてプログラムコードが実施される場合に、本発明の第３の態様による方法を実施するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラムが提案される。好適には、本発明に係る方法の複数のステップが、１つの共通のコンピュータ、１つの共通のプロセッサまたは１つの共通のプログラミング可能なハードウェア構成要素により実施される。好適には、個別のステップが、少なくともソフトウェアレベルで、対応するソフトウェアブロックにより互いに分離されている。特に好適には、本発明に係る方法の全てのステップが、１つの共通のコンピュータ、１つの共通のプロセッサまたは１つの共通のプログラミング可能なハードウェア構成要素により実施される。

本発明を図面に概略的に図示した有利な実施例につき詳しく説明する。

本発明の第１の態様による換気装置の第１の実施例を示す概略図である。 本発明の第１の態様による換気装置の第２の実施例を示す概略図である。 本発明の第２の態様による換気システムの実施例を示す概略図である。 本発明の第３の態様による方法の実施例のフローチャートである。

図１は、本発明の第１の態様による換気装置１００の第１の実施例の概略図を示している。

本発明に係る換気装置１００は、ホースシステム１０４を介した高流量酸素療法により患者１０２を換気するために構成されている。

換気装置１００は、少なくとも１つのセンサエレメント１１０と、駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁１２０と、制御ユニット１３０とを含んでいる。

少なくとも１つのセンサエレメント１１０は、図示の実施例では、流量センサであり、この流量センサは、ホースシステム１０４内のセンサエレメント１１０の領域における測定値１１２、すなわち存在しているガス流を特定しかつ出力するように、配置されかつ構成されている。このためには、流量センサは、ホースシステム１０４の呼気ホース１０６内に、この呼気ホース１０６の患者１０２に向いた端部において配置されている。流量センサは、この場合、較正されて制御ユニット１３０に接続されている。図示しない実施例では、少なくとも１つのセンサエレメントは、ワイヤレスに制御ユニットに接続されている。図示しない別の実施例では、センサエレメントは、換気装置の別の処理ユニットを介して間接的に制御ユニットに接続されている。

制御ユニット１３０とセンサエレメント１１０との間の接続は、換気装置１００のケーシング１０１に設けられたインタフェース１１４を介して行われる。このインタフェース１１４を介して、測定値１１２を示す提供されたデータが、制御ユニット１３０により読取り可能な信号を介して提供される。

駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁１２０は、換気装置１００の換気回路１０７からの呼吸ガスの流れを可能にするように配置されかつ構成されている。図示された実施例では、この弁は呼気弁であり、呼気弁は、換気装置１００の、呼気ホース１０６のための取付け部１２２の領域に形成されている。これにより、本発明による弁１２０を実現するために、ホースシステムを構造的に変更することは不要である。図示しない代替的または補足的な実施例では、本発明による弁は吸気弁であり、吸気弁は、換気装置の、吸気ホースのための取付け部に形成されている。図示の実施例における呼気弁１２０は、予め規定された最大圧が、ホースシステム１０４内の予め規定された領域１４０において到達されていない限り、この呼気弁が閉じられたままであるように、制御ユニット１３０により駆動される。センサエレメント１１０を介して、このような予め規定された最大圧が示された後にようやく、呼気弁１２０が開かれ、これにより換気回路１０７からのガス流が可能にされる。

制御ユニット１３０は、センサエレメント１１０にインタフェース１１４を介して接続されており、呼気弁１２０には直接に対応する弁ケーブル１３２を介して接続されている。図示しない実施例では、制御ユニットは、吸気弁または呼気弁にワイヤレスに接続されている。図示された実施例では、弁ケーブル１３２を介した接続は、電気的な制御を可能にし、この電気的な制御により、呼気弁１２０の弁位置を電気的に変更することができる。図示しない実施例では、吸気弁または呼気弁の駆動は、制御ユニットにより、駆動のためのニューマチック式の手段および／または駆動のための機械的な手段を介して行われる。制御ユニット１３０は、換気回路１０７内の、換気装置１００により提供される換気圧を、ホースシステム１０４の予め規定された領域１４０において予め規定された最大圧が超過されないように、少なくとも１つのセンサエレメント１１０および少なくとも１つの吸気弁または呼気弁１２０を介して調整するように構成されている。予め規定された領域１４０は、本実施例では、ホースシステム１０４のＹ字形部材１０９における領域である。センサエレメント１１０が、Ｙ字形部材１０９の近傍に配置されていることにより、出力された測定値１１２により、Ｙ字形部材１０９の領域におけるガス圧を推測することができる。

予め規定された最大圧は、図示の実施例では５ミリバール～２５ミリバール、特に１０ミリバール～２０ミリバールであり、特に好適には約１２ミリバールである。

ホースシステム１０４は、図示の実施例では、患者側インタフェース１５０を介して患者１０２に接続されている。患者側インタフェース１５０は、専ら、患者１０２の鼻領域との接続部である。この接続部は、ホースシステム１０４と患者１０２との間の漏れを許容する接続部である。図示しない実施例では、患者側インタフェースは、患者の鼻領域および口領域との接続部である。好適には、患者側インタフェース１５０は、いわゆるプロングであり、プロングは、患者のそれぞれの鼻腔に挿入され、これにより患者１０２の換気のために使用すべきガスを直接に患者１０２の気道内に導入する。

換気回路１０７は、好適には、図示しないブロワを介して換気装置１００に提供される。このブロワの出力またはガス流を提供する類似の装置の出力は、図示の実施例では、予め規定された領域１４０において予め規定された最大圧が存在している場合に、制御ユニット１３０によって変更されない。制御ユニット１３０による調整は、ここでは専ら吸気弁または呼気弁１２０の制御に基づいている。

制御ユニット１３０は、換気装置１００のケーシング１０１内に配置されている。吸気弁または呼気弁１２０は、取付け部１２２内に、したがって同様にケーシング１０１に配置されている。センサエレメント１１０は、ホースシステム１０４に、したがってケーシング１０１の外側に配置されている。図示しない実施例では、センサエレメントは同様に、本発明に係る換気装置のケーシング内かつ／またはケーシングに配置されている。図示された実施例におけるよりも、センサエレメントとホースシステムの予め規定された領域との間の距離が大きいことは、特定された測定値を、対応する換算を介して、予め規定された領域において存在していると予測される測定値に換算しなければならないことにつながる。

吸気弁または呼気弁１２０は、図示の実施例では、制御ユニット１３０による駆動に依存して開いた状態または閉じた状態で存在する、電気的に駆動可能なフラップを有している。対応してこの呼気弁を、制御ユニット１３０による電気的な駆動を介して、対応する開いた弁位置と対応する閉じた弁位置との間で切り替えることができる。代替的または補足的な実施例では、対応する弁は、この弁が、複数の弁位置の枠内で種々異なる多数の流れ抵抗を提供することができるように構成されている。このような弁の詳細な構成は当業者にとって公知であり、したがって以下で詳細に説明しない。

図２は、本発明の第１の態様による換気装置２００の第２の実施例の概略図を示している。

換気装置２００は、図１に図示された換気装置１００とは、以下の点により異なっている。すなわち、ホースシステム２０４が、専ら、吸気ホース２０８および患者１０２との対応する患者側インタフェース２５０を有している。したがって、提供された全呼吸ガス流２０７は、本実施例ではプロングにより患者１０２の鼻との接続部を提供する患者側インタフェース２５０を介して、患者１０２へとガイドされることが望ましい。この実施例では、呼吸ガス流２０７は、ホースシステム２０４の図示された構造のための換気回路を形成する。患者側インタフェース２５０と患者１０２との間の漏れが過度に小さく、したがって、患者へのガス圧が懸念のない程度を上回った場合、本実施例では圧力センサである少なくとも１つのセンサエレメント２１０が、ガス圧のこのような上昇を検出する。この場合に、予め規定された領域１４０、すなわち本実施例では患者側インタフェース２５０の領域において予め規定された最大圧が超過されているか、または超過されることが予想される場合、吸気ホース２０８の延長部に形成されている吸気弁２２０が開かれる。吸気弁２２０は、図１に示した呼気弁と同様に、電気的な駆動に依存して開いた位置と閉じた位置との間でのみで切り替えられるフラップを有している。

換気装置２００の通常運転では、提供される呼吸ガス流２０７は、患者側インタフェース２５０において提供される全呼吸ガスが流出するように選択されている。この場合、呼吸ガスの一部は、患者１０２の鼻内へとガイドされ、残りの部分は、患者側インタフェース２５０と患者１０２との間の漏れを介して患者の傍らを流過する。患者側インタフェース２５０のプロングが鼻に過度にきつく接触し、漏れが対応して小さすぎる場合にのみ、ホースシステム２０４内の圧力が上昇し、制御ユニット２３０の対応する調整がない場合に、患者１０２の健康にとって懸念のある、予め規定された最大圧を超える圧力につながる。

制御ユニット２３０内には較正情報２６０が恒久的に保存されている。制御ユニットは、較正情報２６０に依存して対応する弁２２０を調整する。較正情報は、圧力センサ２１０によって測定された圧力と、予め規定された領域１４０に存在する圧力との割当てを表す。較正情報２６０は、制御ユニット２３０の、図示しないメモリモジュールに保存されている。

さらに、換気装置２００は、出力ユニット２７０を含んでいる。この出力ユニット２７０は、予め規定された領域１４０における最大圧を回避するために吸気弁または呼気弁２２０の駆動が行われているか否かを、ディスプレイ２７２を介して表示する。これにより、医療従事者のような換気装置２００のユーザは、できるだけすぐに、ホースシステム２０４が、患者側インタフェース２５０を介して患者１０２に所望されているように緩く接触していないことを検出することができる。この趣旨において、出力ユニット２７０を介して直接に、医療従事者の、ホースシステム２０４内の圧力を調整する操作を引き起こすことができる。

図３は、本発明の第２の態様による換気システム３０５の１つの実施例を示す概略図である。

換気システム３０５は、本発明の第１の態様による換気装置３００と、ホースシステム３０４とを含んでいる。ホースシステム３０４は、換気回路１０７を提供するために換気装置３００に接続されている。この場合、ホースシステム３０４は、図１に示したホースシステム１０４と同一の構造を有しており、したがって呼気ホース３０６と吸気ホース３０８とを有している。

図１に示した換気装置１００とは異なり、換気装置３００は２つのセンサエレメント３１０，３１０’を有しており、これらのセンサエレメント３１０，３１０’は両方とも呼気ホース３０６に配置されている。センサエレメント３１０，３１０’は、流量センサおよび圧力センサである。特定された２つの測定値３１２，３１２’の組み合わせにより、制御ユニット３３０によって、予め規定された領域１４０における予め規定された最大圧を回避するために、吸気弁または呼気弁３２０を駆動させる必要があるか否かを特に確実に決定することができる。

このためには、制御ユニット３３０は、図示された実施例では、ホースシステム３０４のホース抵抗３６２、特に予め規定されたホース抵抗を含む、保存された較正情報３６０にアクセスする。好適には、換気装置により、どのホースシステム３０４が換気装置に接続されているかが自動的に検知され、検知されたホースシステム３０４の保存された予め規定されたホース抵抗に依存して、ホース抵抗に割り当てられた対応する較正情報が使用される。この較正情報は、現在のホース抵抗３６２のために、予め規定された領域１４０に存在するガス圧に対する測定されたガス流および測定されたガス圧の信頼性のよい割当てを提供する。存在するホースシステム３０４の自動的な検知は、たとえば、換気装置３００によるそれぞれのホースの取付け部３２２の領域の識別番号の読取りを介して行われる。本発明に係る換気装置のために２つのセンサを使用することは、１つのセンサの故障に対するフェイルセーフを高めることができる。したがって、測定値の特定時のエラーを検出し、対応するエラー信号を出力するために、特定された２つの測定値をたとえば互いに比較することができる。

本実施例では、弁として呼気弁３２０が使用され、呼気ホース３０６の、換気装置３００に向かった端部に配置されている。弁は、図３では開いた状態、つまりフラップが開いた状態で図示されている。したがって、図示の状態では、予め規定された領域１４０において予め規定された最大圧が到達されているか、または運転が変化しない場合にこの最大圧が到達される可能性が高いことが突き止められているので、呼気弁３２０を介して、ホースシステム３０４から換気装置３００の周囲にガス流が放出される。

本発明によれば、それぞれの少なくとも１つのセンサエレメントと、駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁の位置のために、その都度使用されるそれぞれのホースシステムにおける全ての位置または本発明に係る換気装置のケーシング内のガス導管内の全ての位置が可能である。したがって、測定値に基づいて、専ら予め規定された領域に存在する圧力を推測することが可能であればよく、これは、対応する較正時に、予め規定された領域に対してある程度の空間的な間隔においても可能である。対応する弁は、専らホースシステムの予め規定された領域に対するニューマチック式の接続部を有していればよく、これにより、この弁において、存在する圧力の調整を可能にすることができる。これは、たとえば、換気装置のケーシング内の弁のためにも可能である。

センサエレメント３１０，３１０’と制御ユニット３３０との間の通信ならびに呼気弁３２０と制御ユニット３３０との間の通信は、図示の実施例では、ケーブルに基づいて行われる。図示しない実施例では、通信は少なくとも部分的にワイヤレスに行われる。

図４は、本発明の第３の態様による方法４００の実施例のフローチャートを示している。

本発明に係る方法４００は、ホースシステムを介した高流量酸素療法中に換気装置により提供される換気圧を調整するように構成されている。このためには、方法は、以下のステップを有している。

第１のステップ４１０は、換気装置の換気回路からの呼吸ガスの流れを可能にするために、駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁、特に電気的に駆動可能な吸気弁または呼気弁を提供するステップを含んでいる。

続くステップ４２０は、ホースシステム内の測定値を特定するステップを含み、測定値は、ホースシステム内のガス流を示す。

ステップ４２０の直後のステップ４３０は、この測定値を出力するステップを含む。

最後のステップ４４０は、ホースシステムの予め規定された領域において予め規定された最大圧が超過されないように、少なくとも１つの吸気弁または呼気弁を介して、換気装置により提供される換気圧を調整するステップを含んでいる。

第１のステップ４１０は、一般的に、換気装置および／または換気装置およびホースシステムから成るシステムの製造時に実施される。この換気装置またはこのシステムの製造後は、単にステップ４２０，４３０，４４０が続く。

ステップ４２０および４３０、つまり測定値の特定および出力は、好適には、互いにすぐ相前後して実施される。これらの２つのステップの間の時間的なずれは、好適には、２０秒未満、特に１０秒未満、好適には５秒未満である。

２つのステップ４２０および４３０は、好適にはステップ４４０に依存せずに、定期的な時間間隔で実施される。好適には、測定値は、１分未満、特に３０秒未満、特に好ましくは５秒未満で改めて特定され、出力される。

最終的なステップ４４０は、好適には、出力された測定値が、予め規定された最大圧が超過されたか、または超過されると予想されることを示している場合にのみ実施される。特定された測定値の観点から予め規定された最大圧が到達されないと予想される場合、好適には、ステップ４４０に対応する調整は行われない。

１００，２００，３００ 換気装置
１０１ ケーシング
１０２ 患者
１０４，２０４，３０４ ホースシステム
１０６，３０６ 呼気ホース
１０７ 換気回路
１０９ Ｙ字形部材
１１０，２１０，３１０，３１０’ センサエレメント
１１２，３１２，３１２’ 測定値
１１４ センサエレメントのためのインタフェース
１２０，２２０，３２０ 吸気弁または呼気弁
１２２，３２２ 取付け部
１３０，２３０，３３０ 制御ユニット
１３２ 弁ケーブル
１４０ 予め規定された領域
１５０，２５０ 患者側インタフェース
２０７ 呼吸ガス流
２０８，３０８ 吸気ホース
２６０，３６０ 較正情報
２７０ 出力ユニット
２７２ ディスプレイ
３０５ 換気システム
３６２ 予め規定されたホース抵抗
４００ 方法
４１０，４２０，４３０，４４０ 方法ステップ

Claims (16)

1. ホースシステム（１０４）を介した高流量酸素療法により患者（１０２）を換気するための換気装置（１００）であって、該換気装置（１００）が、
   －前記ホースシステム（１０４）内の測定値（１１２）を特定しかつ出力するように配置されかつ構成されている少なくとも１つのセンサエレメント（１１０）であって、前記測定値（１１２）が、前記ホースシステム（１０４）内のガス流を示す、センサエレメント（１１０）と、
   －前記換気装置（１００）の換気回路（１０７）からの呼吸ガスの流れを可能にするように配置されかつ構成されている、駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁（１２０）と、
   －前記換気装置（１００）により提供される換気圧を、前記少なくとも１つのセンサエレメント（１１０）と前記少なくとも１つの吸気弁または呼気弁（１２０）とを介して、前記ホースシステム（１０４）の予め規定された領域（１４０）において予め規定された最大圧が超過されないように、調整する制御ユニット（１３０）と
   を有している、換気装置（１００）。
2. 前記予め規定された最大圧が前記ホースシステム（１０４）の前記予め規定された領域（１４０）において到達されていない場合に、前記少なくとも１つの吸気弁または呼気弁（１２０）を閉じたまま保持するように構成されている、請求項１記載の換気装置（１００）。
3. 前記少なくとも１つのセンサエレメント（１１０）が、呼気ホース（１０６）内に配置されている、請求項１または２記載の換気装置（１００）。
4. 前記制御ユニット（１３０）が、前記提供される換気圧の調整を、当該調整のために前記換気装置（１００）等のブロアの出力を変更することなしに、実施する、請求項１から３までのいずれか１項記載の換気装置（１００）。
5. 前記吸気弁または呼気弁（１２０）が、電気的に駆動可能な吸気弁または呼気弁である、請求項１から４までのいずれか１項記載の換気装置（１００）。
6. 前記少なくとも１つのセンサエレメント（１１０）が、圧力センサおよび／または流量センサである、請求項１から５までのいずれか１項記載の換気装置（１００）。
7. 前記制御ユニット（２３０）が、さらに、前記提供される換気圧を、予め規定された較正情報（２６０）に基づいて調整するように構成されている、請求項１から６までのいずれか１項記載の換気装置（２００）。
8. 前記較正情報（２６０）が、前記ホースシステム（２０４）の前記予め規定された領域において存在する圧力と、前記少なくとも１つの流量センサにより測定されたガス流との間の関連を示す、請求項６または７記載の換気装置（２００）。
9. 前記較正情報（３６０）が、さらに、前記ホースシステム（３０４）のホース抵抗（３６２）、特に予め規定されたホース抵抗に基づいている、請求項７または８記載の換気装置（３００）。
10. 前記ホースシステム（１０４）の前記予め規定された領域（１４０）が、吸気ホースまたは呼気ホース（１０６）の、前記患者（１０２）に向いた端部である、請求項１から９までのいずれか１項記載の換気装置（１００）。
11. 前記少なくとも１つの吸気弁または呼気弁（１２０）が、前記制御ユニット（１３０）と一緒に前記換気装置（１００）のケーシング（１０１）内に配置されている、請求項１から１０までのいずれか１項記載の換気装置（１００）。
12. 前記少なくとも１つの吸気弁または呼気弁（１２０）が、開いた弁位置および閉じた弁位置のみで存在することができる、請求項１から１１までのいずれか１項記載の換気装置（１００）。
13. 高流量酸素療法により患者（１０２）を換気するための換気システム（３０５）であって、
    －請求項１から１２までのいずれか１項記載の換気装置（３００）と、
    －吸気ホース（３０８）および呼気ホース（３０６）を備えたホースシステム（３０４）であって、該ホースシステム（３０４）が、換気回路（１０７）を提供するために前記換気装置（３００）に接続されている、ホースシステム（３０４）と
    を備えた、換気システム（３０５）。
14. 前記ホースシステム（３０４）と前記患者（１０２）との接続が、プロングを介して提供されている、請求項１３記載の換気システム（３０５）。
15. ホースシステム（１０４）を介した高流量酸素療法中に換気装置（１００）により提供される換気圧を調整する方法（４００）であって、
    －前記換気装置（１００）の換気回路（１０７）からの呼吸ガスの流れを可能にするために、駆動可能な少なくとも１つの吸気弁または呼気弁（１２０）、特に電気的に駆動可能な吸気弁または呼気弁を提供するステップと、
    －前記ホースシステム（１０４）内の測定値（１１２）を特定しかつ出力するステップであって、前記測定値（１１２）が、前記ホースシステム（１０４）内のガス流を示す、ステップと、
    －前記換気装置（１００）により提供される換気圧を、前記ホースシステム（１０４）の予め規定された領域（１４０）における予め規定された最大圧が超過されないように、前記少なくとも１つの吸気弁または呼気弁（１２０）を介して調整するステップと
    を有している、方法（４００）。
16. 請求項１５記載の方法（４００）を実施するプログラムコードを備えたコンピュータプログラムであって、前記プログラムコードが、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェア構成要素により実施される、コンピュータプログラム。

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