JP2022024991A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射率を高めることができる横電界モードの反射型又は半透過型液晶表示装置を提供する。【解決手段】第一の基板と、第一の配向層と、電圧無印加時に水平配向する液晶分子を含む液晶層と、第二の配向層と、画素電極及び共通電極を有する第二の基板と、をこの順に備え、かつ上記第一の配向層、上記液晶層、上記第二の配向層、上記画素電極及び上記共通電極よりも背面側であって画素の少なくとも一部に設けられた反射層を備え、上記第一の配向層及び上記第二の配向層の少なくとも一方の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満である液晶表示装置。【選択図】図2
Description
以下の開示は、液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であり、その代表的な表示方式は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を備えるTFT基板と、TFT基板に対向して配置される対向基板との間に封入された液晶層に対して光を照射し、液晶層に含まれる液晶分子に対して電圧を印加して液晶分子の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。液晶層への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加を含む)のときには、主に、TFT基板及び対向基板の液晶層側にそれぞれ設けられた配向膜の働きによって、液晶層中の液晶分子の配向が制御される。
液晶表示装置は、液晶層への光の透過方法により、反射型と透過型に大別される。透過型液晶表示装置は、バックライトユニットを備え、バックライトユニットから出射された光が液晶層を透過することで表示を行う。透過型液晶表示装置は、装置内に光源を有するため、暗い環境下でも視認性がよい。一方、反射型液晶表示装置は、画素の少なくとも一部に設けられた反射層を有し、外部からの入射光を反射層で反射し、反射光が液晶層を透過することで表示を行う。反射型液晶表示装置は、バックライトユニットを必要としないため、低消費電力化、薄型化、軽量化が達成できる。また、近年、室内での視認性だけでなく、外光視認性も考慮し、反射型と透過型の両方の利点を併せもつ液晶表示装置として、半透過型液晶表示装置が提案されている。
反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置に関する技術として、例えば、特許文献1~4が挙げられる。特許文献1には、第1の基板に強アンカリングの配向膜が設けられたマスター基板と、第2の基板に弱アンカリングの配向膜が設けられたスレーブ基板とがそれぞれの配向膜側が対向配置され、これら配向膜間にネマティック液晶層が挟持されてなる液晶セルが備えられ、駆動電圧に応じて液晶層の液晶分子の配列が双安定状態のうちいずれかの状態に制御されるようにした液晶表示装置であって、マスター基板側にカラーフィルタと反射体が設けられた双安定型ネマティック液晶表示装置が開示されている。
特許文献2には、対向配置された一対の基板に封止され、光又は熱により重合する重合性成分を含有する液晶と、一方の上記基板上に配置された反射電極と、上記液晶に電圧を印加しながら上記重合性成分を重合して上記反射電極上に形成した、液晶分子にプレチルト角を付与するポリマー層とを有する反射型液晶表示装置が開示されている。
特許文献3には、信号電極と共通電極とを有してマトリクス状に配列された複数の画素を有し、上記各画素が透過部と反射部とを備えた液晶表示装置であって、上記画素は、互いに液晶配向方向が異なる第一の液晶配向領域と第二の液晶配向領域とを有し、上記第一の液晶配向領域と上記第二の液晶配向領域とは上記画素内で互いに隣接しており、上記互いに隣接している上記第一の液晶配向領域と上記第二の液晶配向領域の間に、上記第一の液晶配向領域と上記第二の液晶配向領域の液晶配向方向が連続する如く変化する境界領域を有し、上記第一の液晶配向領域は上記透過部よりも広く、上記第二の液晶配向領域は上記反射部よりも狭い液晶表示装置が開示されている。
特許文献4には、反射電極、上記反射電極と対向して設けられる対向電極、上記対向電極の上記反射電極と対向する側とは反対側に設けられるカラーフィルタ、及び、階調表現に応じた電位を保持する保持部を含む複数の分割画素と、上記カラーフィルタよりも上記対向電極側に設けられて、光を照射する無機発光体と、を備える、表示装置が開示されている。
観察面側からの光を装置内部の反射層で反射し、液晶層に反射光を透過させることにより表示を行う反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置では、印加電圧に応じて液晶層の面内位相差(以下、単に位相差ともいう。)をゼロ~1/4波長の間で変調することで、光の反射率をコントロールしている。
ここで、液晶表示装置は、液晶層の液晶分子の配向を変化させるための電界の印加方向により、大きくは次の二通りに分類される。すなわち、第一の分類として、表示装置(液晶層)の厚さ方向(あるいは面外方向)に電界が印加される、縦電界モードがある。縦電界モードには、例えばTN(Twisted Nematic)モードや、VA(Vertical Alignment)モード等がある。また、第二の分類として、表示装置(液晶層)の平面方向(あるいは面内方向)に電界が印加される、横電界モードがある。横電界モードには、例えばIPS(In-Plane Switching)モードや、FFS(Fringe Field Switching)モード等がある。
縦電界モードでは、液晶層を挟持する一対の基板間に発生する一様な電界によって液晶分子の配向変化をおこすため、電圧印加時の液晶分子の配向も画素面内で一様である。そのため、液晶層の位相差Δndも面内で一様となり、液晶層の位相差Δndの変調幅も大きい。したがって、縦電界モードの反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置では、充分な反射率が得られる。
一方、横電界モードでは、液晶層を挟持する一対の基板のうち一方の基板に設けられた共通電極及び画素電極間で発生する横電界(FFSモードでは特にフリンジ電界)により液晶分子の配向変化を起こす。従来のFFSモードの液晶表示装置である比較形態の液晶表示装置を例に挙げて、横電界モードについてより具体的に説明する。図49は、比較形態の液晶表示装置における液晶分子の配向状態を計算したシミュレーション結果である。図49に示すように、比較形態の液晶表示装置1Rは、第一の基板100と、液晶分子310を有する液晶層300と、絶縁基板510、共通電極540及び画素電極560を有する第二の基板500と、を備える。
比較形態の液晶表示装置1Rでは、第二の基板500に設けられた共通電極540及び画素電極560間で発生するフリンジ電界により液晶分子310の配向変化を起こすため、図49の破線で囲まれた領域に示すように主に第二の基板500側の電極付近の液晶分子310しか駆動せず、電圧印加時の液晶分子310の配向は厚み方向にも面内方向にも分布を持つ。そのため、横電界モードの液晶表示装置である比較形態の液晶表示装置1Rは、液晶層300の位相差Δndの変調幅が縦電界モードよりも小さくなる。したがって、従来の横電界モード(例えば、FFSモード)の反射型及び半透過型液晶表示装置の反射率は、縦電界モードの反射型及び半透過型液晶表示装置の反射率に比べて低くなる。
上記特許文献1~4では、いずれも、横電界モードの反射型又は半透過型液晶表示装置において、反射率を高めることは検討されていない。
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、反射率を高めることができる横電界モードの反射型又は半透過型液晶表示装置を提供することを目的とするものである。
(1)本発明の一実施形態は、第一の基板と、第一の配向層と、電圧無印加時に水平配向する液晶分子を含む液晶層と、第二の配向層と、画素電極及び共通電極を有する第二の基板と、をこの順に備え、かつ上記第一の配向層、上記液晶層、上記第二の配向層、上記画素電極及び上記共通電極よりも背面側であって画素の少なくとも一部に設けられた反射層を備え、上記第一の配向層及び上記第二の配向層の少なくとも一方の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満である、液晶表示装置。
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第一の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満であり、上記第二の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2以上である、液晶表示装置。
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(2)の構成に加え、上記第一の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5J/m2未満である、液晶表示装置。
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(2)又は上記(3)の構成に加え、上記画素は、上記反射層が設けられた反射領域と、上記反射層が設けられていない透過領域とを有し、上記液晶層は、上記透過領域における位相差が220nm以上、320nm以下である、液晶表示装置。
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(2)、上記(3)又は上記(4)の構成に加え、更に、λ/4板を備え、上記第一の配向層の配向方位は、上記第二の配向層の配向方位と平行であり、上記液晶層は、上記反射層に重畳する領域における位相差が80nm以上、180nm以下である、液晶表示装置。
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記第二の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満であり、上記第一の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2以上である、液晶表示装置。
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(6)の構成に加え、上記第二の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5J/m2未満である、液晶表示装置。
(8)また、本発明のある実施形態は、上記(6)又は上記(7)の構成に加え、更に、λ/4板を備え、上記第一の配向層の配向方位は、上記第二の配向層の配向方位と平行であり、上記液晶層は、上記反射層に重畳する領域における位相差が130nm以上、230nm以下である、液晶表示装置。
(9)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)又は上記(8)の構成に加え、上記第一の配向層の配向方位は、上記第二の配向層の配向方位と平行であり、上記液晶層は、上記反射層に重畳する領域における位相差が130nm以上、145nm以下である、液晶表示装置。
(10)本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(6)又は上記(7)の構成に加え、上記第一の配向層の配向方位は、上記第二の配向層の配向方位と平行ではなく、上記液晶層は、上記反射層に重畳する領域における位相差が240nm以上、260nm以下である、液晶表示装置。
(11)また、本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)又は上記(10)の構成に加え、上記第二の基板は、更に、カラーフィルタを備える、液晶表示装置。
(12)また、本発明のある実施形態は、上記(11)の構成に加え、上記第一の配向層及び上記第二の配向層の少なくとも一方は、シクロブタン基、アゾベンゼン基、カルコン基、シンナメート基、クマリン基、スチルベン基、フェノールエステル基及びフェニルベンゾエート基から選択される少なくとも一種の第一の光官能基と、アクリレート基、メタクリレート基、シンナモイル基、クマリン基、ビニル基、アリル基、スチリル基及びマレイミド基から選択される少なくとも一種の第二の光官能基と、を有するポリマーを含み、上記液晶層は、アクリレート基、メタクリレート基、シンナモイル基、クマリン基、ビニル基、アリル基、スチリル基及びマレイミド基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する添加剤を含む、液晶表示装置。
(13)本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記(11)又は上記(12)の構成に加え、更に、λ/2板を備える、液晶表示装置。
(14)本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記(11)、上記(12)又は上記(13)の構成に加え、更に、λ/4板を備える、液晶表示装置。
(15)本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記(11)、上記(12)、上記(13)又は上記(14)の構成に加え、上記画素は、複数の副画素を有する、液晶表示装置。
(16)本発明のある実施形態は、上記(1)、上記(2)、上記(3)、上記(4)、上記(5)、上記(6)、上記(7)、上記(8)、上記(9)、上記(10)、上記(11)、上記(12)、上記(13)、上記(14)又は上記(15)の構成に加え、上記画素は、メモリ回路を備える、液晶表示装置。
本発明によれば、反射率を高めることができる横電界モードの反射型又は半透過型液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、実施形態に記載された各構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
<実施形態1>
図1は、実施形態1の液晶表示装置の平面模式図である。図2は、図1のA1-A2線に沿った断面模式図である。図3は、実施形態1の液晶表示装置における液晶分子の配向状態を計算したシミュレーション結果である。本実施形態の液晶表示装置1は、図1に示すように、第二の基板上に、互いに平行に延設された複数のゲート線501と、絶縁膜を介して各ゲート線501と交差する方向に互いに平行に延設された複数のソース線502と、を有する。複数のゲート線501及び複数のソース線502は、各画素1PXを区画するように全体として格子状に形成されている。各ゲート線501と各ソース線502との交点には薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)503が配置されている。互いに隣接する2本のゲート線501と互いに隣接する2本のソース線502とに囲まれた各領域には画素電極560が配置されている。
図1は、実施形態1の液晶表示装置の平面模式図である。図2は、図1のA1-A2線に沿った断面模式図である。図3は、実施形態1の液晶表示装置における液晶分子の配向状態を計算したシミュレーション結果である。本実施形態の液晶表示装置1は、図1に示すように、第二の基板上に、互いに平行に延設された複数のゲート線501と、絶縁膜を介して各ゲート線501と交差する方向に互いに平行に延設された複数のソース線502と、を有する。複数のゲート線501及び複数のソース線502は、各画素1PXを区画するように全体として格子状に形成されている。各ゲート線501と各ソース線502との交点には薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)503が配置されている。互いに隣接する2本のゲート線501と互いに隣接する2本のソース線502とに囲まれた各領域には画素電極560が配置されている。
TFT503は、ゲート線501から延伸されたゲート電極505と、ソース線502から延伸されたソース電極506と、半導体層507と、半導体層507上に設けられ、かつ、ソース電極506と対向するように配置されたドレイン電極508と、から構成される。ドレイン電極508は、絶縁膜550、共通電極540、平坦化膜530及びカラーフィルタ層1CFに設けられたコンタクトホール509を介して、画素電極560と電気的に接続される。なお、反射層520は、ドレイン電極508と画素電極560との接続部には配置されていない。
本実施形態の液晶表示装置1は、図2及び図3に示すように、観察面側から背面側に向かって順に、直線偏光板10と、λ/2板11と、第一の基板100と、第一の配向層200と、電圧無印加時に水平配向する液晶分子310を含む液晶層300と、第二の配向層400と、第二の基板500と、を備える。第二の基板500はTFT503を備えるTFT基板であり、第一の基板100は第二の基板500に対向して配置される対向基板である。
第一の配向層200は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満であり、第二の配向層400は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2以上である。以下では、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満である配向層を弱アンカリングの配向層ともいい、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2以上である配向層を強アンカリングの配向層ともいう。
第二の基板500は、背面側から観察面側に向かって順に、絶縁基板510と、画素1PXの全面に設けられた反射層520と、カラーフィルタ層1CFと、平坦化膜530と、共通電極540と、絶縁膜550と、スリットが設けられた画素電極560と、を備える。液晶表示装置1では、反射層520が設けられた反射領域Rにおいて、観察面側からの入射光が反射層520で反射され、反射光が液晶層300を透過することで表示が行われる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置1は、横電界モード(具体的には、FFSモード)の反射型液晶表示装置である。
FFSモードの反射型液晶表示装置である本実施形態の液晶表示装置1は、共通電極540及び画素電極560間に電圧が印加されていない電圧無印加状態では、観察面側から背面側に向かって直線偏光板10を透過した直線偏光の光が、λ/2板11及び水平配向した液晶層300を通過し、円偏光となり反射層520へ到達する。反射層520に到達した光は、反射層520で反対の円偏光に変換され、入射時と逆の順序で液晶層300及びλ/2板11を通過し、入射時の直線偏光と直交する直線偏光となり、暗状態が実現される。
一方、共通電極540及び画素電極560間に電圧が印加された電圧印加状態では、液晶層300の液晶分子310の配向が変化し、液晶層300の面内位相差が変化する。直線偏光板10を透過した直線偏光の光は、λ/2板11及び液晶層300を通過し、理想的には直線偏光となり、反射層520へ到達する。反射層520に到達した光は、反射層520で反射され、入射時と逆の順序で液晶層300及びλ/2板11を通過し、入射時の直線偏光と平行な直線偏光となり、明状態が実現される。
しかしながら、従来のFFSモードの反射型液晶表示装置では、電圧印加状態での液晶層の位相差Δndが充分に取れず、位相差層及び液晶層を通過して反射層へ到達する光は理想的な直線偏光ではなく、楕円偏光に近い。そのため、反射層で反射される光も楕円偏光に近く、充分な反射率を得ることができない。
上記比較形態の液晶表示装置1Rを例に挙げて、配向層のアンカリング力と反射率との関係について説明する。上記比較形態の液晶表示装置1Rは、第一の基板100と液晶層300との間、及び、第二の基板500と液晶層300との間にそれぞれ強アンカリングの配向層を有する。比較形態の液晶表示装置1Rでは、図49の破線で囲まれた領域に示すように、液晶層300の厚さに対して中央部より第二の基板500側(共通電極540及び画素電極560が設けられた基板側)に液晶分子310の最大変位領域があり、第二の基板500側に比べて第一の基板100側の液晶分子310は可動し難い。その結果、液晶層300の位相差Δndの変調幅を面内で充分に大きくすることができず、高い反射率を得ることが困難である。
一方、本実施形態の液晶表示装置1では、第一の配向層200は弱アンカリングの配向層である。このような態様とすることにより、共通電極540及び画素電極560が設けられた第二の基板500側だけでなく、第一の基板100側の液晶分子310も可動し易くなり、より広いエリアで液晶分子310を可動させることができる。その結果、図3の破線で囲まれた領域に示すように、上記比較形態の液晶表示装置1Rよりも広い領域で液晶分子310を回転させ、液晶層300の位相差Δndの変調幅を面内で比較的一様に大きくすることが可能となり、高い反射率を実現することができる。また、最大反射率を与える最適セル厚を薄く設定することができる。この点は、応答速度の点でも有利となる。
このようにして、本実施形態では、液晶層300のΔndの変調幅を大きくし、反射層520へ到達する光を直線偏光に近づけることにより反射率を高めることができる。なお、特開平11-142836号公報に記載されている通り、反射層520上での偏光状態が任意の方位の直線偏光であれば明状態となり、反射層520上で右又は左の円偏光であれば暗状態となることが知られている。
また、本実施形態の液晶表示装置1は、横電界モードの液晶表示装置であるため、縦電界モードの液晶表示装置では搭載することが困難なインセル型タッチパネルの機能を搭載することもできる。インセルタッチパネルを備える液晶表示装置では、表示パネルの画素に設けられた電極がタッチパネル(Touch Panel、以下、TPとも略記する。)電極としても活用される。例えば、各画素に共通電圧を印加するための共通電極を分割し、各画素に表示用の信号である表示信号(データ信号)が書き込まれる書き込み期間の間は共通電極として、表示領域への指示体の接触及び近接の少なくとも一方を検出するセンシング期間の間はTP電極として機能させることができる。一方、縦電界モードの液晶表示装置では、第一の基板側にベタ状の共通電極が配置されるため、共通電極がシールドとなりセンシングを行うことができない。縦電界モードでタッチパネルをインセル化するには、第一の基板側に共通電極とは別にセンシング用の複数の電極をパターニング及び積層して設ける必要があり、液晶素子が厚くなり、かつ、複雑化する。
以下、本実施形態について詳細を説明する。
液晶表示装置1は、ゲート線501に電気的に接続されたゲートドライバ、ソース線502に電気的に接続されたソースドライバ、及び、コントローラを備えている。ゲートドライバは、コントローラによる制御に基づいて、ゲート線501に走査信号を順次供給する。ソースドライバは、TFT503が走査信号によって電圧印加状態となるタイミングで、コントローラによる制御に基づいてソース線502にデータ信号を供給する。画素電極560は各々、対応するTFT503を介して供給されるデータ信号に応じた電位に設定され、共通電極540及び画素電極560との間でフリンジ電界が発生し、液晶層300の液晶分子310が回転する。このようにして共通電極540及び画素電極560との間に印加する電圧の大きさを制御し、液晶層300のリタデーションを変化させ、光の透過、不透過を制御する。
第一の基板100と液晶層300との間、及び、第二の基板500と液晶層300との間には、それぞれ、液晶層300に含まれる液晶分子310の配向を制御する機能を有する第一の配向層200及び第二の配向層400が配置されている。第一の配向層200及び第二の配向層400は、それぞれ、液晶層300への電圧無印加時(液晶層300への印加電圧が閾値電圧未満である場合)に、液晶層300中の液晶分子310を第一の基板100及び第二の基板500の各々の主面に対して略平行に配向させる機能を有する。ここで、液晶分子が基板の主面に対して略平行に配向するとは、液晶分子のプレチルト角が、基板の主面に対して0~5°であることを意味し、好ましくは0°~2°、より好ましくは0°~1°であることを意味する。液晶分子のプレチルト角は、液晶層への電圧無印加時に、液晶分子の長軸が各基板の主面に対して傾斜する角度を意味する。
第一の配向層200は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5J/m2未満であることが好ましい。このような態様とすることにより、第一の基板100側の液晶分子310がより可動し易くなり、更に広いエリアで液晶分子310を可動させることができる。その結果、液晶層300の位相差Δndの変調幅を更に大きくすることが可能となり、反射率を更に高めることができる。また、最大反射率を与える最適セル厚をより薄く設定することができる。
第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーの下限値は特に限定されないが、例えば、1×10-8J/m2以上である。
また、本実施形態の第二の配向層400は、強アンカリングの配向層である。本実施形態の第二の基板500は共通電極540及び画素電極560を備えるため、第一の基板100側よりも第二の基板500側の方が、電界強度が強い。本実施形態では、電界強度のより強い第二の基板500側に強アンカリングの配向層である第二の配向層400を設けることにより、焼付きを改善することができる。また、配向復元力が高まることから、液晶分子310の応答速度も向上させることができる。第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーの下限値は、1×10-3J/m2以上であってもよい。
第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーの上限値は特に限定されないが、例えば、1J/m2以下である。
第一の配向層200及び第二の配向層400は、それぞれ、液晶層300に接している。本明細書において、「配向層の方位角アンカリングエネルギー」とは、当該配向層が液晶層と接している面(両者の界面)での方位角アンカリングエネルギーを意味する。
方位角アンカリングエネルギーは、トルクバランス法、ネールウオール法、電場応答閾値からの算出、回転磁場からの算出等、各種公知の方法で算出することができる。なお、本明細書に記載された方位角アンカリングエネルギーは、電場応答閾値からの算出法を用いて算出されたものである。
弱アンカリングの配向層と、強アンカリングの配向層とは、液晶分子310の配向方向を拘束する配向拘束力が互いに異なる。
共通電極540及び画素電極560間に印加される電圧が閾値以上になると、弱アンカリングの配向層側の液晶分子310は、当該弱アンカリングの配向層の拘束から離脱する。そして、液晶分子310の配向方向は、共通電極540及び画素電極560間に印加される電圧に応じて、第一の基板100及び第二の基板500の表面に平行な面内で、初期配向方位から変化する。弱アンカリングの配向層は、液晶層300との界面でスリッパリー界面(液体界面)を形成している。
これに対し、強アンカリングの配向層側の液晶分子310は、共通電極540及び画素電極560間に閾値以上の電圧(例えば、白電圧)が印加されても、その長軸方向を第一の基板100及び第二の基板500の表面に平行な面内で初期配向方位にほぼ一致させた状態を維持する。
このように、共通電極540及び画素電極560間に電圧が印加されたときに、液晶層300の、弱アンカリングの配向層側では、弱アンカリングの配向層による配向規制力を脱して液晶分子310の配向方向が変化するのに対し、液晶層300の、強アンカリングの配向層側では、液晶分子310が強アンカリングの配向層による配向規制力を受けたまま、その配向方向をほぼ維持する。
なお、本明細書では弱アンカリングという表記を用いているが、ゼロ面アンカリングや、潤滑界面等とも言い換えることができる。弱アンカリングの配向層と液晶層との界面は液体層あるいはゲル層、低配向秩序層、超低粘層等、アンカリングがほぼないスリッパリー界面を形成している。
強アンカリングの配向層は、配向処理を行うことにより形成される。弱アンカリングの配向層は配向処理を行うことにより形成される他、配向処理を行わなくとも形成することができる。具体的には、強アンカリングの配向層は、ラビング処理が施されたラビング配向層であってもよいし、光配向処理が施された光配向層であってもよい。弱アンカリングの配向層は、ラビング配向層であってもよいし、光配向層であってもよいし、配向処理が施されていない未処理の配向層であってもよい。
ラビング配向層は、例えば、ラビング配向層用ポリマーを含む配向層材料を基板上に成膜し、レーヨンや綿等からなるラビング布を巻いたラビングローラを、回転数及びラビングローラと基板との距離を一定に保った状態で回転させ、配向層材料を成膜した基板を載せたステージを移動させて、ラビング配向層用ポリマーを含む膜の表面を所定の方向に擦る(ラビング法)ことにより得られる。ラビング処理の条件を変更することにより、配向層の方位角アンカリングエネルギーを調整し、強アンカリングの配向層及び弱アンカリングの配向層を形成することができる。
一般に、ラビング強度Lは下記式で表される。
L=N×a×{1+(2×π×r×n)}/(60×v)
ここで、Nはラビング回数、aはラビング布と基板とが接する部分の長さ、rはラビングローラの半径、nはラビングローラの回転数、vはステージ移動速度である。ラビングローラの半径は装置の設計により決まることから、例えば、ラビングローラの回転数を小さくしたり、押し込み量を減らしてラビング布と基板とが接する部分の長さを短くしたりすることなどにより弱アンカリングの配向層を形成することができる。
L=N×a×{1+(2×π×r×n)}/(60×v)
ここで、Nはラビング回数、aはラビング布と基板とが接する部分の長さ、rはラビングローラの半径、nはラビングローラの回転数、vはステージ移動速度である。ラビングローラの半径は装置の設計により決まることから、例えば、ラビングローラの回転数を小さくしたり、押し込み量を減らしてラビング布と基板とが接する部分の長さを短くしたりすることなどにより弱アンカリングの配向層を形成することができる。
また、例えば、炭素数2~20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、及び、ポリエチレングリコール、ポリプロポレングリコール等のポリアルキレンオキサイド基の少なくとも一方の基を含むラビング配向層用ポリマーを用いることにより、弱アンカリングのラビング配向層を形成することができる。
また、例えば、下記化学式(D1)~(D6)で表される構造の少なくとも一種の構造を含むラビング配向層用ポリマーを用いることにより、強アンカリングのラビング配向層を形成することができる。
ラビング配向層用ポリマーとしては、例えば、ポリイミド等が挙げられる。ラビング配向層に含まれるラビング配向層用ポリマーは、一種であっても、二種以上であってもよい。
光配向層は、例えば、光官能基を有する光配向性ポリマーを含む配向膜材料を基板上に成膜し、偏光紫外線を照射して光配向性ポリマーを含む膜の表面に異方性を発生させる(光配向法)ことにより得られる。光配向処理の条件や材料構造を変更することにより、配向層の方位角アンカリングエネルギーを調整し、強アンカリングの配向層及び弱アンカリングの配向層を形成することができる。
また、例えば、炭素数2~20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、及び、ポリエチレングリコール、ポリプロポレングリコール等のポリアルキレンオキサイド基の少なくとも一方の基を含む光配向性ポリマーを用いることにより、弱アンカリングの光配向層を形成することができる。
また、例えば、上記化学式(D1)~(D6)で表される構造の少なくとも一種の構造を含む光配向性ポリマーを用いることにより、強アンカリングの光配向層を形成することができる。
上記光配向性ポリマーとしては、例えば、シクロブタン基、アゾベンゼン基、カルコン基、シンナメート基、クマリン基、スチルベン基、フェノールエステル基及びフェニルベンゾエート基から選択される少なくとも一種の光官能基を有する光配向性ポリマー等が挙げられる。光配向層に含まれる光配向性ポリマーは、一種であっても、二種以上であってもよい。光配向性ポリマーが有する光官能基は、ポリマーの主鎖に存在してもよいし、ポリマーの側鎖に存在してもよいし、ポリマーの主鎖及び側鎖の両方に存在してもよい。
上記光配向性ポリマーの光反応の型も特に限定されないが、光分解型ポリマー、光転移型ポリマー(好ましくは光フリース転移型ポリマー)、光異性化型ポリマー、光二量化型ポリマー及び光架橋型ポリマーを好適な例として挙げることができる。これらは何れかを単独で用いることもでき、二種以上を併用することもできる。なかでも、配向安定性の観点からは、254nm付近を反応波長(主感度波長)とする光分解型ポリマー及び光分解型ポリマーが特に好ましい。側鎖に光官能基を有する光異性化型ポリマー及び光二量化型ポリマーもまた好ましい。
上記光配向性ポリマーの主鎖構造は特に限定されないが、ポリアミック酸構造、ポリイミド構造、ポリ(メタ)アクリル酸構造及びポリシロキサン構造、ポリエチレン構造、ポリスチレン構造、ポリビニル構造を好適な例として挙げることができる。
未処理の配向層は、例えば、基板上に配向膜ポリマーを含む配向膜材料を成膜することにより得られる。上記配向膜ポリマーとしては、例えば、ポリイミド、ポリへキシルメタクリレート等が挙げられる。未処理の配向層に含まれる配向膜ポリマーは、一種であっても、二種以上であってもよい。
また、未処理の配向層に含まれる上記配向膜ポリマーとしては、ポリイミド及びポリへキシルメタクリレート以外に、国際公開2017/034023号に記載されているポリマーも挙げられ、なかでもポリエチレングリコール、ポリプロポレングリコール等のポリアルキレンオキサイドが好ましい。
弱アンカリングの配向層である第一の配向層200は、シクロブタン基、アゾベンゼン基、カルコン基、シンナメート基、クマリン基、スチルベン基、フェノールエステル基及びフェニルベンゾエート基から選択される少なくとも一種の第一の光官能基と、アクリレート基(アクリロイル基)、メタクリレート基(メタクリロイル基)、シンナモイル基、クマリン基、ビニル基、アリル基、スチリル基及びマレイミド基から選択される少なくとも一種の第二の光官能基と、を有するポリマーを含み、液晶層300は、アクリレート基(アクリロイル基)、メタクリレート基(メタクリロイル基)、シンナモイル基、クマリン基、ビニル基、アリル基、スチリル基及びマレイミド基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する添加剤を含むことが好ましい。
このような態様とすることにより、第一の光官能基及び第二の光官能基を有するポリマーに対して光配向処理を行って強アンカリングの配向層を形成し、その後、液晶パネルの観察面側から追加照射を行うことによって、第二の光官能基を液晶層300に含まれる添加剤と反応させて第一の光官能基により付与されるアンカリング力を弱めて、弱アンカリングの配向層を形成することができる。
上記第一の光官能基と上記第二の光官能基とを有するポリマーは、下記化学式(A)で表される構造を有することが好ましい。
上記化学式(A)中、R1、R2、R3及びR4は各々独立に、水素原子又は炭素数1~3の炭化水素基であることが好ましい。
上記第一の光官能基は、光配向性官能基である。配向安定性の観点から、第一の光官能基及び第二の光官能基を有するポリマーは、第一の光官能基としてシクロブタン基を主鎖に有することが好ましい。なお、第一の光官能基は、ポリマーの主鎖に存在してもよいし、側鎖に存在してもよいし、主鎖及び側鎖の両方に存在してもよい。
上記第二の光官能基は、重合性官能基である。反応性の観点から、第一の光官能基及び第二の光官能基を有するポリマーは、第二の光官能基として(メタ)アクリレート基を有することが好ましい。第二の光官能基として挙げられたアクリレート基及びメタクリレート基は、それぞれ、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基であってもよい。なお、第二の光官能基は、ポリマーの主鎖に存在してもよいし、側鎖に存在してもよいし、主鎖及び側鎖の両方に存在してもよいが、側鎖に存在することが好ましい。
第一の光官能基及び第二の光官能基のそれぞれの反応波長は特に限定されないが、互いに異なる波長であることが好ましい。
液晶層300に含まれる上記添加剤は、一種であっても二種以上であってもよい。
上記添加剤の導入量は、液晶層300の材料(液晶材料)全体に対して、好ましくは0.1~10重量%であり、より好ましくは0.2~5重量%である。
上記添加剤は、アルキル基を含むことが好ましい。このような態様とすることにより、アンカリング力を弱めることができる。添加剤に含まれるアルキル基としては、炭素数2~20のアルキル基が好ましく、特に好ましくは、炭素数4~16のアルキル基である。また、添加剤に含まれるアルキル基は、直鎖構造であってもよいし、分岐構造であってもよいし、環状構造をとっていてもよい。炭素数の異なる複数のアルキル基を分子構造中に有する添加剤もまた好ましい。
上記添加剤の具体的な種類は特に限定されないが、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、クロトン酸エステル等の不飽和脂肪酸エステルを好適な例として挙げることができる。これらは何れかを単独で用いることもでき、二種以上を併用することもできる。
第一の基板100及び第二の基板500がそれぞれ備える絶縁基板110、510は、絶縁性を有する無色透明な基材である。絶縁基板110、510としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等の基板が挙げられる。ガラス基板の材料としては、例えば、フロートガラス、ソーダガラス等のガラスが挙げられる。ブラスチック基板の材料としては、例えば、リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン等のプラスチックが挙げられる。
反射層520は、観察面側から入射した光を観察面側へ反射する機能を有する。反射層520は、微細な凹凸状の表面構造(MRS:Micro Reflective Structure)を有している。MRS形状は、例えば、フォトリソグラフィ法で有機絶縁膜に凹凸形状を形成し、AlやAg合金等の各種高反射金属を成膜することで得られる。MRS形状は、外光をある一定の角度範囲で散乱させることができる。そのため、効率的に周囲光を利用することが可能であり、明るい反射表示が得られる。
カラーフィルタ層1CFは、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ及び青色カラーフィルタから構成され、各画素1PXに、赤色カラーフィルタを備える絵素、緑色カラーフィルタを備える絵素及び青色カラーフィルタを備える絵素の3つの絵素がストライプ状に設けられている。また、各色カラーフィルタを区画するように格子状にブラックマトリクスが配置されている。
本実施形態では、第二の基板500は、カラーフィルタ層1CFを備える。このような態様とすることにより、第一の基板100側から液晶層300側へ効果的に光を透過させることが可能となるため、第一の基板100側から光を照射し、上記第一の光官能基及び上記第二の光官能基を有するポリマーと液晶層300に含まれる添加剤とを効果的に反応させて、弱アンカリングの配向層である第一の配向層200を形成することができる。
平坦化膜530は、それよりも下層側に配置される配線やTFT等に起因して生じる凹凸を平坦化する機能を有する。平坦化膜530は、主に有機絶縁材料からなる。
共通電極540は、画素1PXの境界に関わらず、ほぼ一面に形成された電極である。共通電極540に対しては一定値に保たれた共通信号が供給され、共通電極540は一定の電位に保たれる。画素電極560は、絶縁膜550を介して共通電極540上に設けられ、かつ、互いに隣接する2本のゲート線501と互いに隣接する2本のソース線502とに囲まれた各領域に配置された電極であり、対応するTFT503を介して供給されるデータ信号に応じた電位に設定される。
共通電極540及び画素電極560は、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料、又は、それらの合金を、スパッタリング法等により単層又は複数層で成膜して形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングを行うことで形成することができる。
液晶層300は、液晶材料を含んでおり、液晶層300に対して電圧を印加し、印加した電圧に応じて液晶材料中の液晶分子310の配向状態を変化させることにより、光の透過量を制御するものである。液晶分子310は、下記式Lで定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものであってもよく、負の値を有するものであってもよい。正の誘電率異方性を有する液晶分子はポジ型液晶ともいい、負の誘電率異方性を有する液晶分子はネガ型液晶ともいう。なお、液晶分子の長軸方向が遅相軸の方向となる。また、液晶分子は、電圧が印加されていない状態(電圧無印加状態)で、ホモジニアス配向するものであり、電圧無印加状態における液晶分子の長軸の方向は、液晶分子の初期配向の方向ともいう。
Δε=(液晶分子の長軸方向の誘電率)-(液晶分子の短軸方向の誘電率) (式L)
Δε=(液晶分子の長軸方向の誘電率)-(液晶分子の短軸方向の誘電率) (式L)
液晶層300に含まれる液晶分子310は、電圧無印加時に水平配向する。液晶分子310が水平配向するとは、液晶層300への電圧無印加時(液晶層300への印加電圧が閾値電圧未満である場合)に、液晶層300中の液晶分子310が第一の基板100及び第二の基板500の各々の主面に対して略平行に配向することをいう。なお、本明細書では、共通電極と画素電極との間に電圧が印加された電圧印加状態を、単に「電圧印加状態」とも言い、共通電極と画素電極との間に電圧が印加されていない電圧無印加状態を、単に「電圧無印加状態」又は「電圧無印加時」とも言う。
本実施形態の液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が130nm以上、145nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、光漏れを抑制して良好な黒表示を実現することができる。
上記特許文献1及び2では、液晶層300の、反射層520に重畳する領域における位相差の好適な範囲は開示されていない。
直線偏光板10は、吸収型偏光板であり、ポリビニルアルコール(PVA)染色延伸フィルム偏光子と、トリアセチルセルロース(TAC)保護層とからなる直線偏光板や、染料偏光板、塗布型偏光板等、各種直線偏光板である。
λ/2板11は、波長550nmの光に対して245nm~305nmの面内位相差を付与する位相差層である。ここで、位相差層は、複屈折材料等を利用して直交する2つの偏光成分に位相差をつけて、入射偏光の状態を変える機能を有する層である。λ/2板11が設けられていない液晶表示装置では、550nm(緑)のみ良好な黒反射率が得られるが、青や赤では黒表示でも光漏れが発生する場合がある。その結果、黒輝度が十分に抑えられずコントラストが低くなってしまう場合がある。一方、本実施形態のようにλ/2板11を設けると、青~緑~赤の可視域に渡って光漏れが発生せず良好な黒を得ることができる。その結果、コントラストが向上する。λ/2板11は、例えば、第一の基板100と直線偏光板10との間に配置される。
面内位相差は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx-ny)×dによって求められる。「nx」は、面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は、面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、「nz」は、厚み方向の屈折率である。屈折率は、特に断りのない限り、波長550nmの光に対する値を指す。
λ/2板11は、例えば、高分子ポリマーフィルムを延伸することにより作成することができる。上記高分子ポリマーフィルムを構成する材料の具体例としては、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン等の鎖状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリノルボルネン等の環状ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、セルロース等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。λ/2板301は、より具体的には、特開2004-325468号公報の0123段落に記載されたように、ポリカーボネートフィルムを延伸することにより形成することができる。
直線偏光板10の透過軸方位とλ/2板11の遅相軸方位とのなす角度は、5°以上、25°以下であることが好ましく、10°以上、20°以下であることがより好ましい。
直線偏光板10の透過軸方位と第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、65°以上、85°以下であることが好ましく、70°以上、80°以下であることがより好ましい。直線偏光板10の透過軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、65°以上、85°以下であることが好ましく、70°以上、80°以下であることがより好ましい。
λ/2板11の遅相軸方位と第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、50°以上、70°以下であることが好ましく、55°以上、65°以下であることがより好ましい。λ/2板11の遅相軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、50°以上、70°以下であることが好ましく、55°以上、65°以下であることがより好ましい。
第一の配向層200の配向方位は、第二の配向層400の配向方位と平行である。第一の配向層200の配向方位が、第二の配向層400の配向方位と平行であるとは、両者のなす角度(絶対値)が0°以上、3°以下であることを指し、好ましくは0°以上、1°以下であり、より好ましくは0°以上、0.5°以下であり、特に好ましくは0°(完全に平行)である。
第一の配向層200及び第二の配向層400の配向方位は、赤外分光法、偏光解析法、SHG(second-harmonic generation)法、X線回折法等により測定することができる。なお、本明細書中の配向方位は、偏光解析法にて確認されたものである。
<実施形態2>
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の配向層200及び第二の配向層400のアンカリングエネルギーが異なることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。図4は、実施形態2の液晶表示装置の平面模式図である。図5は、図4のA1-A2線に沿った断面模式図である。上記実施形態1では、第一の配向層200が弱アンカリングの配向層であり、第二の配向層400が強アンカリングの配向層であるが、本実施形態の液晶表示装置1は、図4及び図5に示すように、第二の配向層400が弱アンカリングの配向層であり、第一の配向層200が強アンカリングの配向層である。このような態様とすることにより、共通電極540及び画素電極560が設けられた第二の基板500側において、電極付近だけでなくより広い範囲で液晶分子310が可動し易くなり、液晶層300の位相差Δndの変調幅を面内でより大きくすることが可能となり、高い反射率を実現することができる。
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の配向層200及び第二の配向層400のアンカリングエネルギーが異なることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。図4は、実施形態2の液晶表示装置の平面模式図である。図5は、図4のA1-A2線に沿った断面模式図である。上記実施形態1では、第一の配向層200が弱アンカリングの配向層であり、第二の配向層400が強アンカリングの配向層であるが、本実施形態の液晶表示装置1は、図4及び図5に示すように、第二の配向層400が弱アンカリングの配向層であり、第一の配向層200が強アンカリングの配向層である。このような態様とすることにより、共通電極540及び画素電極560が設けられた第二の基板500側において、電極付近だけでなくより広い範囲で液晶分子310が可動し易くなり、液晶層300の位相差Δndの変調幅を面内でより大きくすることが可能となり、高い反射率を実現することができる。
ここで、第一の配向層200が弱アンカリングの配向層である上記実施形態1と、第二の配向層400が弱アンカリングの配向層である本実施形態とを比較すると、本実施形態では共通電極540及び画素電極560が設けられた第二の基板500側で液晶分子310がより可動しやすくなる一方、上記実施形態1では、液晶分子310が可動し易くなる領域が第一の基板100側に広がる。そのため、本実施形態に比べて、上記実施形態1の方が、より広い範囲で液晶分子310を可動させることが可能となり、反射率をより高めることができる。また、本実施形態に比べて、上記実施形態1の方が、最大反射率を与える最適セル厚をより薄く設定でき、応答速度の点でも有利となる。
一方、第二の配向層400が弱アンカリングの配向層である本実施形態では、共通電極540及び画素電極560が設けられた第二の基板500側のアンカリング力が弱まるため、より低電圧で液晶分子310を可動させることができる。その結果、本実施形態では、上記実施形態1よりも、低電圧で反射率を高めることができる。
本実施形態の液晶表示装置1は、上記実施形態1と同様に第二の基板500がカラーフィルタ層1CFを備える。このような態様とすることにより、第一の基板100側から液晶層300側へ効果的に光を透過させることが可能となるため、第一の基板100側から光を照射し、上記第一の光官能基及び上記第二の光官能基を有するポリマーと液晶層300に含まれる添加剤とを効果的に反応させて、弱アンカリングの配向層である第二の配向層400を形成することができる。
本実施形態の第二の配向層400は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5J/m2未満であることが好ましい。このような態様とすることにより、第二の基板500側の液晶分子310が更に可動し易くなり、液晶層300の位相差Δndの変調幅を面内で更に大きくすることが可能となり、高い反射率を実現することができる。
第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーの下限値は特に限定されないが、例えば、1×10-8J/m2以上である。
また、本実施形態の第一の配向層200は、強アンカリングの配向層である。第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーの下限値は、1×10-3J/m2以上であってもよい。第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーの上限値は特に限定されないが、例えば、1J/m2以下である。
本実施形態の液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が130nm以上、145nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、光漏れを抑制して良好な黒表示を実現することができる。
<実施形態3>
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1及び2と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の配向層200及び第二の配向層400のアンカリングエネルギーが異なることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。図6は、実施形態3の液晶表示装置の平面模式図である。図7は、図6のA1-A2線に沿った断面模式図である。上記実施形態1及び2では、第一の配向層200及び第二の配向層400のいずれか一方が弱アンカリングの配向層であり、他方が強アンカリングの配向層であるが、本実施形態の液晶表示装置1は、図6及び図7に示すように、第一の配向層200及び第二の配向層400の両者が弱アンカリングの配向層である。このような態様とすることにより、第一の基板100側及び第二の基板500側の両側において液晶分子310が可動し易くなり、更に広い範囲で液晶分子310を可動させることが可能となり、反射率をより高めることができる。
本実施形態では、本実施形態に特有の特徴について主に説明し、上記実施形態1及び2と重複する内容については説明を省略する。本実施形態は、第一の配向層200及び第二の配向層400のアンカリングエネルギーが異なることを除いて、実施形態1と実質的に同じである。図6は、実施形態3の液晶表示装置の平面模式図である。図7は、図6のA1-A2線に沿った断面模式図である。上記実施形態1及び2では、第一の配向層200及び第二の配向層400のいずれか一方が弱アンカリングの配向層であり、他方が強アンカリングの配向層であるが、本実施形態の液晶表示装置1は、図6及び図7に示すように、第一の配向層200及び第二の配向層400の両者が弱アンカリングの配向層である。このような態様とすることにより、第一の基板100側及び第二の基板500側の両側において液晶分子310が可動し易くなり、更に広い範囲で液晶分子310を可動させることが可能となり、反射率をより高めることができる。
本実施形態の第一の配向層200は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5J/m2未満であることが好ましい。このような態様とすることにより、第一の基板100側の液晶分子310がより可動し易くなり、更に広いエリアで液晶分子310を可動させることができる。その結果、液晶層300の位相差Δndの変調幅を更に大きくすることが可能となり、反射率を更に高めることができる。また、最大反射率を与える最適セル厚をより薄く設定することができる。
第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーの下限値は特に限定されないが、例えば、1×10-10J/m2以上である。
本実施形態の第二の配向層400は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5J/m2未満であることが好ましい。このような態様とすることにより、第二の基板500側の液晶分子310が更に可動し易くなり、液晶層300の位相差Δndの変調幅を面内で更に大きくすることが可能となり、高い反射率を実現することができる。また、最大反射率を与える最適セル厚を更に薄く設定することができる。
第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーの下限値は特に限定されないが、例えば、1×10-10J/m2以上である。
実施形態1~3に示すように、第一の配向層200及び第二の配向層400の少なくとも一方を弱アンカリングの配向層とすることにより、弱アンカリングの配向層側で液晶分子310を拘束するアンカリング力が弱まり、液晶分子310が可動し易くなる。その結果、上記比較形態の液晶表示装置1Rよりも広い領域で液晶分子310を回転させ、液晶層300の位相差Δndの変調幅を面内で比較的一様に大きくすることが可能となり、高い反射率を実現することができる。すなわち、液晶パネルの少なくとも片側の基板の配向を弱アンカリング(ゼロ面アンカリング、スリッパリー界面)とすることにより、従来可動し難かった基板付近の液晶分子310も可動させることができ、得られるΔndの変調幅を面内で比較的一様に大きくすることが可能となる。その結果、横電界モードにおいて、縦電界モードに匹敵する高い反射率を得ることができる。同時に、より低い電圧で広範囲の液晶分子310を可動させることができるため、低電圧化(低消費電力化)を達成することができる。
このようにして、実施形態1~3では、液晶層300のΔndの変調幅を大きくし、反射層520へ到達する光を直線偏光に近づけることにより反射率を高めることができる。
上記特許文献1に開示された液晶表示装置は、双安定型ネマティック液晶表示装置であり、横電界モードの液晶表示装置については検討されていない。特許文献1の液晶表示装置は、電圧パルスにより液晶分子のツイスト角を0度及び180度の2値にスイッチングする液晶表示装置であり、白及び黒の2値表示しかできず、データ書き換え時に一度液晶分子を垂直配向にしてから別の安定状態(ツイスト角0度又は180度)へ切り替えるため、応答速度が遅い。また、上記特許文献1に開示された液晶表示装置では、ツイスト角が0度の画素と180度の画素とが隣接する可能性があり、0°ツイストと180°ツイストとの境界では配向欠陥が生じる。精細度が高くない場合には、表示可能領域に対して配向欠陥部(表示不能領域)が小さいため配向欠陥はブラックマトリクス部で遮光することができるが、高精細の場合には配向欠陥の占める面積が大きくなる。そのため、特許文献1に開示された液晶表示装置では、高精細化することはできない。一方、実施形態1~3の液晶表示装置1はFFSモードの液晶表示装置であるため応答速度が速い。また高精細化も可能である。
また、上記特許文献1で開示されているアンカリングエネルギーは、双安定を安定化させるためのアンカリングエネルギーであるため、弱アンカリングの配向膜の極角方向の極角アンカリングエネルギーが6×10-5~2×10-4J/m2であり、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5~5×10-5J/m2であり、配向膜の極角アンカリングエネルギー及び方位角アンカリングエネルギーが非常に狭い範囲に設定されている。
一方、実施形態1~3では、極角アンカリングエネルギーに制約は無く、方位角アンカリングエネルギーについては上記範囲に設定すればよく、配向層の材料選択や製造プロセス選択の幅が広い。
上記特許文献2では、重合可能なモノマーを含む液晶層に電圧を印加した状態でモノマーを重合してポリマー化し、当該ポリマーに液晶分子の傾斜を記憶させる技術(以下、ポリマーを用いたプレチルト角付与技術ともいう。)が用いられている。特許文献2の実施例では、アンカリングエネルギーの小さな配向膜に対してポリマーを用いたプレチルト角付与技術を適用することにより、アンカリングエネルギーを高め、強い配向規制力を有する強アンカリングの配向膜を得ている。このような特許文献2の配向膜を、横電界モードの反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置に適用した場合、電圧印加時の液晶分子の配向が厚み方向にも面内方向にも分布を持つため、反射率が低くなってしまう。特許文献2では、いずれの配向膜も強いアンカリング力を有するが、実施形態1~3では、第一の配向層200及び第二の配向層400の少なくとも一方の配向層が弱アンカリングの配向層であり、特許文献2の構成とは異なる。
上記特許文献3では、第一の液晶配向領域及び第二の液晶配向領域のうち一方の領域におけるアンカリング強度が許容値以下に低下すると残像減少等の表示不良が発生するため、両領域におけるアンカリング強度が異なる点に注意する必要があると開示されている。すなわち、特許文献3では強アンカリングの配向膜の使用を意図しており、当該技術を横電界モードの反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置に適用した場合、電圧印加時の液晶分子の配向が厚み方向にも面内方向にも分布を持つため、反射率が低くなってしまう。一方、実施形態1~3では、第一の配向層200及び第二の配向層400の少なくとも一方の配向層が弱アンカリングの配向層であり、特許文献3の構成とは異なる。
<変形例1>
上記実施形態1~3では、反射型液晶表示装置について説明したが、画素1PXが、反射層520が設けられた反射領域と反射層520が設けられていない透過領域とを備える半透過型液晶表示装置についても、第一の配向層200及び第二の配向層400の少なくとも一方を弱アンカリングの配向層とすることにより、液晶層300の位相差Δndの変調幅を大きくすることが可能となり、高い反射率を実現することができる。
上記実施形態1~3では、反射型液晶表示装置について説明したが、画素1PXが、反射層520が設けられた反射領域と反射層520が設けられていない透過領域とを備える半透過型液晶表示装置についても、第一の配向層200及び第二の配向層400の少なくとも一方を弱アンカリングの配向層とすることにより、液晶層300の位相差Δndの変調幅を大きくすることが可能となり、高い反射率を実現することができる。
図8は、変形例1の液晶表示装置の平面模式図である。図9は、図8のB1-B2線に沿った断面模式図である。図8及び図9に示すように、本変形例の液晶表示装置1は、第二の基板500の背面側に、直線偏光板20及びバックライト30を備え、カラーフィルタ層1CFと共通電極540との間に、平坦化膜530とギャップ形成層から構成される段差制御層531を備え、反射層520には所定の割合で開口部520Hが設けられ、かつ、λ/2板11を備えないことを除いて、実施形態1~3と実質的に同じである。反射層520は、画素1PXの一部に設けられている。本変形例の液晶表示装置1は、反射層520が設けられた反射領域Rと、反射層520が設けられていない透過領域Tとを備える半透過型液晶表示装置である。透過領域Tでは、バックライト30から出射された光が液晶層300を透過して観察面側に射出されることで表示が行われる。
本変形例の液晶表示装置1では、上記実施形態1の平坦化膜530と共通電極540との間に相当する位置にギャップ形成層を設け、平坦化膜530とギャップ形成層から構成される段差制御層531を配置することにより、反射領域Rにおける液晶層300は、透過領域Tにおける液晶層300の厚さの略半分の厚さに設定されている。なお、平坦化膜530と共通電極540との間ではなく、絶縁基板110と第一の配向層200との間にギャップ形成層を設けることにより、反射領域Rにおける液晶層300の厚さを、透過領域Tにおける液晶層300の厚さの略半分となるように設定してもよい。
本変形例の具体例として、変形例1-1及び1-2を挙げて以下を説明する。変形例1-1の液晶表示装置は、変形例1のうち上記実施形態1に対応する変形例であり、変形例1-1の液晶表示装置1では、対向基板側の第一の配向層200が弱アンカリングの配向層であり、TFT基板側の第二の配向層400が強アンカリングの配向層である。また、本変形例1-2の液晶表示装置は、変形例1のうち上記実施形態2に対応する変形例であり、変形例1-2の液晶表示装置1では、対向基板側の第一の配向層200が強アンカリングの配向層であり、TFT基板側の第二の配向層400が弱アンカリングの配向層である。
図10は、変形例1-1、1-2、及び、従来のFFSモードの透過型液晶表示装置の、透過領域における液晶層の位相差に対する透過率を示すグラフである。従来のFFSモードの透過型液晶表示装置は、反射層520を備えず、第一の配向層及び第二の配向層のいずれもが強アンカリングの配向層であること以外は、変形例1-1及び1-2の液晶表示装置と同様の構成を有する。変形例1-1、1-2及び従来のFFSモードの液晶表示装置のいずれも、第一の配向層の配向方位は、第二の配向層の配向方位と平行である。
従来のFFSモードの透過型液晶表示装置では、液晶層の位相差Δndを300~400nm付近に設定するのが一般的であり、Δndが高過ぎると表示の色味が黄色付くため、主には330~350nm付近に設定される。しかしながら変形例1-1のように第一の配向層200を弱アンカリングの配向層とする(対向基板側を弱アンカリングとする)場合、図10に示すように、透過領域Tの液晶層300の位相差Δndを220nm以上、320nm以下に設定することにより、白の色度が黄色に着色せず、透過率を高めることができる。更に、セル厚を薄くすることができるため応答速度を向上させることもできる。変形例1-1では、透過率を高める観点から、透過領域Tの液晶層300の位相差Δndは250nm以上、310nm以下であることが好ましい。
半透過型液晶表示装置では、通常、反射領域Rにおける液晶層300の厚さは、透過領域Tにおける液晶層300の厚さの略半分に設定されるが、本変形例では、透過率を高める観点から、透過領域Tの液晶層300の位相差を220nm以上、320nm以下に設定することが好ましく、また、上記実施形態1に記載されているように、良好な白反射率を実現する観点から、反射領域Rの液晶層300の位相差を80nm以上、180nm以下に設定することが好ましい。このように、本変形例1-1では、従来の半透過型液晶表示装置とは異なる観点で、反射領域R及び透過領域Tの液晶層300の位相差を設定することができる。従来の半透過型FFS表示装置では、透過領域の液晶層位相差を330nm、反射領域の液晶層位相差を137.5nmで設定するのが望ましいため、その差192.5nmに相当する液晶層の厚みの差を、透過領域・反射領域間で設ける必要があった。一方で、本変形例1-1では、例えば、透過領域の液晶層位相差を280nm、反射領域の液晶層位相差を137.5nmで設定するのが望ましいため、その差は142.5nmとなる。従来の表示装置より差が小さいため、ギャップ制御のための段差も小さくてよく、パネルの薄型化、及び製造プロセスの簡便化につながる。
また、図10に示すように、第二の配向層400を弱アンカリングの配向層とする(TFT基板側を弱アンカリングとする)変形例1-2の液晶表示装置1についても、従来のFFSモードの透過型液晶表示装置よりも、液晶層300の位相差Δndに対する透過率を高めることができる。変形例1-2では、図10に示すように、透過領域Tの液晶層300の位相差Δndを330nm以上、350nm以下に設定することにより、白の色度が黄色に着色せず、透過率を高めることができる。また、応答速度を高める観点からは、透過領域Tの液晶層300の位相差Δndを300nm以上、330nm以下に設定することが好ましい。
なお、上記の液晶層300の位相差Δndの範囲は、第一の配向層200の配向方位と第二の配向層400の配向方位とが平行である場合について示しており、第一の配向層200の配向方位と第二の配向層400の配向方位とが平行でない場合、液晶層300の位相差Δndの範囲は上記範囲に限られないが、第一の配向層200を弱アンカリングの配向層とすることによりセル厚を薄くすることができるという効果は同様に得られる。
また、本変形例の液晶表示装置1はλ/2板11を備えないが、実施形態1~3のようにλ/2板11を備えていてもよい。
直線偏光板20は、吸収型偏光板であり、ポリビニルアルコール(PVA)染色延伸フィルム偏光子と、トリアセチルセルロース(TAC)保護層とからなる直線偏光板や、染料偏光板、塗布型偏光板等、各種直線偏光板である。
直線偏光板10の透過軸方位と直線偏光板20の透過軸方位とのなす角度は、87°以上、93°以下であることが好ましく、89°以上、91°以下であることがより好ましく、90°であることが更に好ましい。
直線偏光板10の透過軸方位と第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、45°であることが特に好ましい。直線偏光板10の透過軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、45°であることが特に好ましい。
<変形例2>
上記実施形態1~3及び変形例1では、第一の配向層200の配向方位が第二の配向層400の配向方位と平行である場合について説明したが、第一の配向層200の配向方位は、第二の配向層400の配向方位と平行でなくてもよい。この場合、液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が240nm以上、260nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、良好な黒表示を実現することができる。
上記実施形態1~3及び変形例1では、第一の配向層200の配向方位が第二の配向層400の配向方位と平行である場合について説明したが、第一の配向層200の配向方位は、第二の配向層400の配向方位と平行でなくてもよい。この場合、液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が240nm以上、260nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、良好な黒表示を実現することができる。
本変形例において、第一の配向層200の配向方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、60°以上、80°以下であることが好ましく、65°以上、75°以下であることが好ましい。
直線偏光板10の透過軸方位と、第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、125°以上、145°以下であることが好ましく、130°以上、140°以下であることがより好ましい。直線偏光板10の透過軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、55°以上、75°以下であることが好ましく、60°以上、70°以下であることがより好ましい。
λ/2板11の遅相軸方位と第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、110°以上、130°以下であることが好ましく、115°以上、125°以下であることがより好ましい。λ/2板11の遅相軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、40°以上、60°以下であることが好ましく、45°以上、55°以下であることがより好ましい。
<変形例3>
上記実施形態1~3、変形例2では、λ/2板11が設けられる態様について説明したが、λ/2板11を設けず、λ/4板12を設けてもよい。また、上記変形例1おいて、λ/4板12を設けてもよい。λ/4板12を設けて例えば図12のように遅相軸方位を設定することにより、液晶層300の位相差によらず良好な黒表示が得られる。なお、λ/4板12は反射層520より観察面側、かつ、直線偏光板10より背面側であればいずれの場所に配置されてもよい。
上記実施形態1~3、変形例2では、λ/2板11が設けられる態様について説明したが、λ/2板11を設けず、λ/4板12を設けてもよい。また、上記変形例1おいて、λ/4板12を設けてもよい。λ/4板12を設けて例えば図12のように遅相軸方位を設定することにより、液晶層300の位相差によらず良好な黒表示が得られる。なお、λ/4板12は反射層520より観察面側、かつ、直線偏光板10より背面側であればいずれの場所に配置されてもよい。
図11は、変形例3の液晶表示装置の断面模式図の一例であり、実施形態1~3においてλ/2板を配置せず、λ/4板を配置した場合を示す。図12は、変形例3の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/4板の遅相軸方位の一例を示す図である。図11及び図12に示すように、本変形例の液晶表示装置1は、直線偏光板10と第一の基板100との間にλ/2板11を設けず、第二の配向層400と第二の基板500との間にλ/4板12を設け、第一の配向層200及び第二の配向層400の配向方位を例えば図12のように設定する。
λ/4板12は、波長550nmの光に対して107.5nm~167.5nmの面内位相差を付与する位相差層である。
λ/4板12の材料としては、例えば、光重合性液晶材料等が挙げられる。光重合性液晶材料の構造としては、例えば、液晶分子の骨格の末端に、アクリレート基、メタクリレート基等の光重合性基を有する構造が挙げられる。
λ/4板12は、例えば、下記の方法によって形成可能である。まず、光重合性液晶材料を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の有機溶媒に溶かす。次に、得られた溶液を、基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)の表面上に塗布し、溶液の塗膜を形成する。その後、この溶液の塗膜に対して、仮焼成、光照射(例えば、紫外線照射)、及び、本焼成を順に行うことによって、λ/4板が形成される。
λ/4板12としては、例えば、延伸処理された高分子フィルムも使用可能である。高分子フィルムの材料としては、例えば、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ノルボルネン、トリアセチルセルロース、ジアチルセルロース等が挙げられる。
直線偏光板10の透過軸方位とλ/4板12の遅相軸方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、図12に示すように45°であることが特に好ましい。
直線偏光板10の透過軸方位と、第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、0°以上、10°以下であることが好ましく、0°以上、5°以下であることがより好ましく、図12に示すように0°であることが特に好ましい。直線偏光板10の透過軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、0°以上、10°以下であることが好ましく、0°以上、5°以下であることがより好ましく、図12に示すように0°であることが特に好ましい。
λ/4板12の遅相軸方位と第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、図12に示すように45°であることが特に好ましい。λ/4板12の遅相軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、図12に示すように45°であることが特に好ましい。
本変形例の具体例として、変形例3-1及び3-2を挙げて以下を説明する。変形例3-1の液晶表示装置は、変形例3のうち上記実施形態1に対応する変形例であり、変形例3-1の液晶表示装置1では、対向基板側の第一の配向層200が弱アンカリングの配向層であり、TFT基板側の第二の配向層400が強アンカリングの配向層である。また、変形例3-2の液晶表示装置1は、変形例3のうち上記実施形態2に対応する変形例であり、変形例3-2の液晶表示装置では、対向基板側の第一の配向層200が強アンカリングの配向層であり、TFT基板側の第二の配向層400が弱アンカリングの配向層である。
図13は、変形例3-1の液晶表示装置及び従来のFFSモードの反射型液晶表示装置の、液晶層の位相差に対する反射率をプロットしたグラフである。良好な白反射率を得るには、第一の配向層200が強アンカリングの配向層である従来のFFSモードの反射型液晶表示装置では、第一の配向層200の配向方位と第二の配向層400の配向方位とが平行である場合、図13に示すように、液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が130nm以上、230nm以下であることが好ましい。一方、第一の配向層200が弱アンカリングの配向層である本変形例3-1の液晶表示装置1では、第一の配向層200の配向方位と第二の配向層400の配向方位とが平行である場合、図13に示すように、液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が80nm以上、180nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、良好な白反射率(高い白反射率)を実現することができる。良好な白反射率を実現する観点から、液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が150nm以上、180nm以下であることがより好ましい。
ここで、液晶層の位相差Δndは、液晶材料の屈折率異方性Δnと液晶層の厚さdの乗算であることから、Δndを小さくできるとは即ち液晶層の厚さdを薄くできることと同義である。液晶の応答速度はセル厚の2乗に比例することから、セル厚を薄くできる点は、応答速度の点で非常に有利である。本変形例では、上述のようにλ/4板12を設けて例えば図12のように遅相軸方位を設定することにより、液晶層300の位相差によらず良好な黒表示が得られるため、変形例3-1では、黒輝度(コントラスト)、最大白反射率及び応答速度に優れた液晶表示装置を得ることができる。
なお、良好な白反射率が得られる液晶層300の位相差の好適な範囲を上記に記載したが、当該範囲は、第一の配向層200の配向方位が第二の配向層400の配向方位と平行である場合に好適な範囲である。したがって、第一の配向層200の配向方位が第二の配向層400の配向方位と平行でない場合や、本変形例以外の各種位相差板が配置される場合等は、好適な白反射率が得られる液晶層300の位相差の好適な範囲は上記範囲に限られない。しかしながら、いずれの態様においても第一の配向層200を弱アンカリングの配向層とすることによりセル厚を薄くできるという効果は得られる。
また、第二の配向層400が弱アンカリングの配向層である本変形例3-2の液晶表示装置1では、第一の配向層200の配向方位と第二の配向層400の配向方位とが平行である場合、液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が130nm以上、230nm以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、良好な白反射率を実現することができる。良好な白反射率を実現する観点から、液晶層300は、反射層520に重畳する領域における位相差が200nm以上、230nm以下であることがより好ましい。
<変形例4>
図14は、変形例4の液晶表示装置の断面模式図である。図15は、変形例4の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位の一例を示す図である。上記実施形態1~3及び変形例2では直線偏光板10と第一の基板100との間にλ/2板11を設けるが、図14に示すように、λ/2板11を設けなくてもよい。この場合、直線偏光板10の透過軸方位と第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、図15に示すように45°であることが特に好ましい。直線偏光板10の透過軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、図15に示すように45°であることが特に好ましい。
図14は、変形例4の液晶表示装置の断面模式図である。図15は、変形例4の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位の一例を示す図である。上記実施形態1~3及び変形例2では直線偏光板10と第一の基板100との間にλ/2板11を設けるが、図14に示すように、λ/2板11を設けなくてもよい。この場合、直線偏光板10の透過軸方位と第一の配向層200の配向方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、図15に示すように45°であることが特に好ましい。直線偏光板10の透過軸方位と第二の配向層400の配向方位とのなす角度は、35°以上、55°以下であることが好ましく、40°以上、50°以下であることがより好ましく、図15に示すように45°であることが特に好ましい。
<変形例5>
上記実施形態1~3及び変形例1~4では、第二の基板500がカラーフィルタ層1CFを備えるが、カラーフィルタ層1CFは第一の基板100が備えていてもよい。このように、カラーフィルタ層1CFと反射層520とが異なる基板に設けられる場合、第一の基板100及び第二の基板500のいずれの基板側から追加照射を行っても、カラーフィルタ層1CF又は反射層520によって光が吸収又は反射されるため、配向層に含まれる光配向性ポリマーを液晶層300中に含まれる添加剤と反応させることはできず、追加照射により弱アンカリングの配向層を形成することはできない。本変形例では、ラビング配向層用ポリマーを含む膜に対してラビング処理を行うことにより、又は、配向膜ポリマーを含む配向膜材料を成膜して配向処理を行わないことにより、弱アンカリングの配向層を形成することができる。図16は、変形例5の液晶表示装置の断面模式図の一例であり、実施形態1においてカラーフィルタ層を第一の基板側に配置した場合を示す。図16に示すように、本変形例の液晶表示装置1が備える第一の基板100は、絶縁基板110とカラーフィルタ層1CFとを備え、第二の基板500は、反射層520を備えてもよい。
上記実施形態1~3及び変形例1~4では、第二の基板500がカラーフィルタ層1CFを備えるが、カラーフィルタ層1CFは第一の基板100が備えていてもよい。このように、カラーフィルタ層1CFと反射層520とが異なる基板に設けられる場合、第一の基板100及び第二の基板500のいずれの基板側から追加照射を行っても、カラーフィルタ層1CF又は反射層520によって光が吸収又は反射されるため、配向層に含まれる光配向性ポリマーを液晶層300中に含まれる添加剤と反応させることはできず、追加照射により弱アンカリングの配向層を形成することはできない。本変形例では、ラビング配向層用ポリマーを含む膜に対してラビング処理を行うことにより、又は、配向膜ポリマーを含む配向膜材料を成膜して配向処理を行わないことにより、弱アンカリングの配向層を形成することができる。図16は、変形例5の液晶表示装置の断面模式図の一例であり、実施形態1においてカラーフィルタ層を第一の基板側に配置した場合を示す。図16に示すように、本変形例の液晶表示装置1が備える第一の基板100は、絶縁基板110とカラーフィルタ層1CFとを備え、第二の基板500は、反射層520を備えてもよい。
<変形例6>
上記実施態様1~3及び変形例1~5では、面状の共通電極540上に、絶縁膜550を介して、スリットが設けられた画素電極560を配置するが、共通電極540及び画素電極560の配置は入れ替わっていてもよい。その場合、各画素領域を占めるように形成された面状の画素電極560上に、絶縁膜550を介して、スリットが設けられた共通電極540が配置される。
上記実施態様1~3及び変形例1~5では、面状の共通電極540上に、絶縁膜550を介して、スリットが設けられた画素電極560を配置するが、共通電極540及び画素電極560の配置は入れ替わっていてもよい。その場合、各画素領域を占めるように形成された面状の画素電極560上に、絶縁膜550を介して、スリットが設けられた共通電極540が配置される。
<変形例7>
上記実施形態1~3及び変形例1~6の液晶表示装置は、面状の共通電極540上に、絶縁膜550を介して、スリットが設けられた画素電極560が配置されたFFSモードの液晶表示装置であるが、共通電極540及び画素電極560は櫛歯電極であり、櫛歯電極である共通電極540及び櫛歯電極である画素電極560が、互いに櫛歯が嵌合し合うように、同一の電極層に設けられたIPS(In Plane Switching)モードの液晶表示装置であってもよい。
上記実施形態1~3及び変形例1~6の液晶表示装置は、面状の共通電極540上に、絶縁膜550を介して、スリットが設けられた画素電極560が配置されたFFSモードの液晶表示装置であるが、共通電極540及び画素電極560は櫛歯電極であり、櫛歯電極である共通電極540及び櫛歯電極である画素電極560が、互いに櫛歯が嵌合し合うように、同一の電極層に設けられたIPS(In Plane Switching)モードの液晶表示装置であってもよい。
<変形例8>
上記実施形態1~3及び変形例1~7では、観察面側から背面側に向かって順に、第一の基板100、第一の配向層200、液晶層300、第二の配向層400及び第二の基板500が配置されるが、これらの部材は逆の順序で配置されてもよい。このような態様によっても、第一の配向層200及び第二の配向層400の少なくとも一方の配向層を弱アンカリングの配向層とすることにより、反射率を高めることができる。図17は、変形例8の液晶表示装置の断面模式図の一例であり、実施形態1~3の部材を逆の順序で配置した場合を示す。図17に示すように、本変形例の液晶表示装置1は、観察面側から背面側に向かって順に、直線偏光板10、λ/2板11、第二の基板500、第二の配向層400、液晶層300、第一の配向層200及び第一の基板100を備え、第一の基板100は、絶縁基板110と、絶縁基板110の液晶層300側に配置された反射層520とを備えてもよい。
上記実施形態1~3及び変形例1~7では、観察面側から背面側に向かって順に、第一の基板100、第一の配向層200、液晶層300、第二の配向層400及び第二の基板500が配置されるが、これらの部材は逆の順序で配置されてもよい。このような態様によっても、第一の配向層200及び第二の配向層400の少なくとも一方の配向層を弱アンカリングの配向層とすることにより、反射率を高めることができる。図17は、変形例8の液晶表示装置の断面模式図の一例であり、実施形態1~3の部材を逆の順序で配置した場合を示す。図17に示すように、本変形例の液晶表示装置1は、観察面側から背面側に向かって順に、直線偏光板10、λ/2板11、第二の基板500、第二の配向層400、液晶層300、第一の配向層200及び第一の基板100を備え、第一の基板100は、絶縁基板110と、絶縁基板110の液晶層300側に配置された反射層520とを備えてもよい。
<変形例9>
上記実施形態1~3及び変形例1~8では、画素電極560又は共通電極540に設けられたスリットは直線状であるが、スリットは、くの字状(直線が一ヶ所で折れ曲がった形状)であってもよい。このような態様とすることにより、電圧印加状態において、液晶分子が互いに異なる方向に配向する2つの液晶ドメインが1つの画素内に形成され、デュアルドメイン構造をとることができるため、視野角を向上させることができる。
上記実施形態1~3及び変形例1~8では、画素電極560又は共通電極540に設けられたスリットは直線状であるが、スリットは、くの字状(直線が一ヶ所で折れ曲がった形状)であってもよい。このような態様とすることにより、電圧印加状態において、液晶分子が互いに異なる方向に配向する2つの液晶ドメインが1つの画素内に形成され、デュアルドメイン構造をとることができるため、視野角を向上させることができる。
<変形例10>
上記実施形態1~3及び変形例1~9では、各画素1PXは分割されていないが、各画素1PXは複数の副画素に分割され、面積階調により中間調表示を行ってもよい。
上記実施形態1~3及び変形例1~9では、各画素1PXは分割されていないが、各画素1PXは複数の副画素に分割され、面積階調により中間調表示を行ってもよい。
弱アンカリングの配向層を備える横電界モードの液晶表示装置は、従来の横電界モードの液晶表示装置に比べて焼き付き特性が悪化する場合がある。具体的には、焼き付き試験後に中間調を表示すると焼き付きが視認される。
図18は、弱アンカリングの配向層を備える横電界モードの液晶表示装置のVR特性を示すグラフである。弱アンカリングの配向層を備える横電界モードの液晶表示装置は、図18に示すように、VR特性が急峻なため、液晶表示装置を駆動し続けた際の電荷の蓄積や配向変形などでVR特性がずれた場合に、同じ階調電圧を印加しても輝度差が生じ、焼き付きとして視認されやすい。
図19は、変形例10の液晶表示装置の中間階調の表示について説明する模式図である。図20は、液晶表示装置のVR特性を示すグラフにおいて白表示及び黒表示について説明する図である。本変形例では、図19に示すように、各画素1PXが複数の副画素2PXに分割され、面積階調により中間調表示が行われる。面積階調駆動では、ひとつの副画素としては白表示及び黒表示しか行われず、中間調は黒と白の面積比で表示される。すなわち、白と黒だけで中間階調(グレー階調)を表現する。図20に示すように、白表示及び黒表示はいずれもVR特性を示すグラフにおいて飽和点に位置するため焼き付かせても輝度差が生じず、焼き付きが視認されにくい。すなわち、本変形例の面積階調では、輝度の差が生じない電圧のみ使用することができるため、焼き付きが視認されにくい。
面積階調の駆動方法としては、MIP駆動(Memory in Pixel)で0/1の二値表示をしてもよいし、通常の保持駆動での白黒の二値表示を用いてもよい。
例えば1画素を4つの副画素に分割した面積階調の場合は、(黒、黒、黒、黒)、(黒、黒、黒、白)、(黒、黒、白、白)、(黒、白、白、白)、(白、白、白、白)の5階調表示ができる。カラーフィルタを用いた場合には、R/G/Bそれぞれが5階調ずつ表現できるため、125色の表示が可能となる。
1画素を3つの副画素に分割した3画素分割でカラーフィルタを用いた場合には、R/G/Bそれぞれが4階調ずつ表現できるため、4×4×4=64色の表示が可能となる。また、2画素分割であっても、面積比を1:2などとすれば、64色の表示が可能となる。
半透過型液晶表示装置の場合には、透過部だけを面積階調にしてもよく、反射部だけを面積階調としてもよく、両方を面積階調表示させてもよい。
特許文献4では、面積階調により色の階調を表示するMIP型の反射型液晶表示装置において、無機蛍光体を設けて色の階調表現を広げる技術が開示されており、実施形態としてFFSモードが挙げられている。
通常のFFSモードの液晶表示装置は反射率が低く、反射型液晶表示装置に用いるには実用的ではないが、特許文献4にはFFSモードについての詳細な開示がない。また、反射型液晶表示装置ではセル厚が薄いため駆動電圧も比較的高くなり、ドライバやIC(integrated circuit)が制限されるが、この点についても同様に、特許文献4はFFSモードの詳細を開示していない。更に、特許文献4には、FFSモードの液晶表示装置に用いられる配向膜、液晶等の材料、設計情報も開示されていない。なお、現在実用化されている反射型液晶表示装置はほぼ全てが縦電界モードであり、FFSモード等の横電界モードは採用されていない。
本変形例では、特許文献4には開示されていない弱アンカリングの配向層を用いることによりFFSモードにおいて低電圧駆動(低消費電力化)及び高反射率を実現することができるため、反射型液晶表示装置に好適に適用することができる。また、上述の通り、弱アンカリングの配向層を備える横電界モードの液晶表示装置はVR特性が急峻である。そこで、本変形例では、各画素を複数の副画素に分割して、各副画素を白黒の2値で表示する面積階調を適用することにより、輝度の差が生じない電圧のみ使用し、焼き付きを抑えることができる。このように本変形例では、特許文献4において具体的な実現手段が開示されていない低電圧駆動、低消費電力化、及び焼き付き抑制を、横電界モードの反射型液晶表示装置において実現することができる。
図21は、変形例10の液晶表示装置の画素について説明する模式図である。図22は、変形例10の液晶表示装置の画素の階調について説明する模式図である。本変形例の液晶表示装置1では、各画素1PXは3つの副画素に分割されている。具体的には、図21及び図22に示すように、赤色画素1PXRは、第一の副画素21PXR、第二の副画素22PXR及び第三の副画素23PXRに分割されており、緑色画素1PXGは、第一の副画素21PXG、第二の副画素22PXG及び第三の副画素23PXGに分割されており、青色画素1PXBは、第一の副画素21PXB、第二の副画素22PXB及び第三の副画素23PXBに分割されている。
ただし、第一の副画素21PXR、21PXG及び21PXBと、第三の副画素23PXR、23PXG及び23PXBとは互いに連結されており、実質的に面積比が1:2の二分割状態となっている。これにより、図22に示すように、4階調×4階調×4階調=64色の表示が可能となる。
図23は、変形例10の液晶表示装置の画素の回路構成の一例を簡易的に示す回路図である。図24は、変形例10の液晶表示装置の画素の回路構成の一例を具体的に示す回路図である。本変形例の液晶表示装置1が備える第二の基板500は、例えばTFT基板であり、図23に模式的に示す様に、ゲート線501、ソース線502、メモリ回路(メモリ回路部)30M、表示電圧供給回路(表示電圧供給回路部)30Dを有している。メモリ回路30Mは、例えば1ビットSRAM回路で、画素ごとに設けられている。メモリ回路30M等の具体的な構成と動作は後述する。
本変形例の液晶表示装置1は、画素ごとにメモリ回路30Mが設けられた反射型液晶表示装置である。画素ごとにメモリ回路が設けられた液晶表示装置は、「メモリ液晶」または「MIP液晶」ともいう。MIP方式の反射型液晶表示装置は、データを記憶するメモリ(メモリ回路30M)を画素1PX内に持つことにより、アナログ表示モードによる表示と、メモリ表示モードによる表示とを実現できる。ここで、アナログ表示モードとは、画素の階調をアナログ的に表示する表示モードである。また、メモリ表示モードとは、画素1PX内のメモリに記憶されている2値情報(論理“1”/論理“0”)に基づいて、画素1PXの階調をデジタル的に表示する表示モードである。
メモリ表示モードの場合、メモリに保持されている情報を用いるため、階調を反映した信号電位(データ信号に応じた電位)の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要がない。そのため、メモリ表示モードの場合は、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要があるアナログ表示モードの場合に比べて消費電力が少なくて済む、即ち、液晶表示装置の低消費電力化を図ることができる。すなわち、メモリ液晶は、リフレッシュレート(フレームレートまたは駆動周波数ということがある。)を低くすることができるので、低消費電力特性に優れている。
液晶表示装置1は、1fps以下のフレームレートで、液晶層300に黒電圧または白電圧のいずれかを印加する駆動回路を有する。この駆動回路は、複数のフレームにわたって液晶層300に白電圧を印加する場合、共通電極540の電位(Vcomという。)を基準として、フレーム毎に極性が反転する白表示電圧を印加する。すなわち、液晶表示装置1は、いわゆるフレーム反転駆動される。液晶表示装置1は、各画素は2階調(黒と白)表示を行う。ただし、カラーフィルタを設け、面積階調法を用いて、カラー表示を行うことができる。液晶表示装置1は、電圧無印加時(しきい値電圧よりも低い電圧を印加している時を含む)に黒を表示する。
図24に示すように、画素1PXは、ゲートライン出力GL、ソースライン出力SL、液晶容量CLc、アナログスイッチ33、34及びインバータ35、36を備えている。液晶容量CLcは、画素電極560と共通電極540との間に設けられた液晶層300によって構成されており、画素電極560には極性出力OUTが供給され、共通電極540にはコモン出力Vcomが供給されるように構成されている。アナログスイッチ33、34及びインバータ35、36はCMOS回路で構成されている。
インバータ35の出力はインバータ36の入力に接続されている。インバータ35、36は、電源VDDをHigh側電源に用い、電源VSSをLow側電源に用いている。
アナログスイッチ33は、白極性用出力VAと極性出力OUTとの間に挿入されており、そのPMOSトランジスタ33aのゲートはインバータ35の出力に接続されているとともに、NMOSトランジスタ33bのゲートはインバータ35の入力に接続されている。アナログスイッチ34は、黒極性用出力VBと極性出力OUTとの間に挿入されており、そのPMOSトランジスタ34aのゲートはインバータ35の入力に接続されているとともに、NMOSトランジスタ34bのゲートはインバータ35の出力に接続されている。
図25は、変形例10の液晶表示装置の駆動に用いられる各信号電圧および液晶層に印加される電圧の模式的な波形図の一例である。図25に示される(a)はコモン出力Vcom、図25に示される(b)は白極性用出力VA、図25に示される(c)は黒極性用出力VBの波形を示す。これらの電圧は、公知のドライバから供給され得る。コモン出力Vcomは、0VとVcom(正極性)との間を振動する電圧(振動の周期は2フレーム(2F))である。図25に示される(d)は液晶層に印加される白電圧VLC1を示し、図25に示される(e)は液晶層に印加される黒電圧VLC2を示す。白電圧VLC1は、VA-Vcomであり、黒電圧VLC2は、VB-Vcomである。
また、MIP方式の反射型液晶表示装置は、次のような構成によっても実現することができる。図26は、変形例10の液晶表示装置の画素の回路構成の一例を示す回路図である。図27は、変形例10の液晶表示装置の駆動に用いられる各信号電圧および液晶層に印加される電圧の模式的な波形図の一例である。
図26に示すように、画素1PXは、3つのスイッチ素子41~43、ラッチ部44、及び、液晶セル45を有するSRAM機能付きの画素構成となっている。ここで、液晶セル45は、画素電極560とこれに対向して配される共通電極540との間で発生する液晶容量を意味している。
スイッチ素子41は、ゲート線501に一端が接続されており、走査信号φV(φV1~φVm)が与えられることによってオン(閉)状態となり、ゲート線501を介して供給されるデータSIGを取り込む。ラッチ部44は、互いに逆向きに並列接続されたインバータ441、442によって構成されており、スイッチ素子41によって取り込まれたデータSIGに応じた電位を保持(ラッチ)する。
スイッチ素子42、43は、ラッチ部44の保持電位の極性に応じていずれか一方がオン状態となり、共通電極540にコモン電位(コモン出力)Vcomが印加されている液晶セル45に対して、当該コモン電位Vcomと同相の制御パルスFRPまたは逆相の制御パルスXFRPを画素電極560に与える。スイッチ素子42、43の各一方の端子が共通に接続されたノードが、本画素回路の出力ノードNoutとなる。
図27から明らかなように、ラッチ部44の保持電位が負側極性のときは、液晶セル45の画素電位がコモン電位Vcomと同相になるため黒表示となり、ラッチ部44の保持電位が正側極性のときは、液晶セル45の画素電位がコモン電位Vcomと逆相になるため白表示となる。
なお、本変形例では、画素内蔵のメモリとしてSRAMを用いる場合を例に挙げたが、SRAMは一例に過ぎず、他の構成のメモリ、例えばDRAMを用いる構成であってもよい。
このMIP方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置は、画素1PX毎にメモリを持つことで、上述のように、アナログ表示モードによる表示と、メモリ表示モードによる表示とを実現できる。そして、メモリ表示モードの場合、メモリに保持されている画素データを用いて表示を行うことから、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要がないため、液晶表示装置の消費電力の低減を図ることができる、という利点がある。
また、表示画面を部分的に、即ち、表示画面の一部だけを書き換えたい、というニーズがある。この場合、部分的に画素データを書き換えればよいことになる。表示画面を部分的に書き換える、即ち、画素データを部分的に書き換えると、書き換えを行わない画素についてはデータを転送する必要がなくなる。従って、データ転送量を減らすことができるため、液晶表示装置の省電力化を図ることができる、という利点もある。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(実施例1)
図28は、実施例1の液晶表示装置の平面模式図である。図29は、実施例1の液晶表示装置の断面模式図である。図30は、実施例1及び2の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、並びに、第一及び第二の配向層の配向方位を示す図である。絶縁基板510、反射層520、平坦化膜530、共通電極540、絶縁膜550及び画素電極560を有する第二の基板500と、絶縁基板110、カラーフィルタ層1CF及びフォトスペーサを有する第一の基板100と、を準備した。更に、第一の基板100上に上記ラビング配向層用ポリマーとしてポリイミドを含む配向膜材料を成膜してラビング処理を施し、第一の配向層200(ラビング配向層)を形成した。また、第二の基板500上に上記配向膜ポリマーとしてポリヘキシルメタクリレート(PHMA:polyhexyl methacrylate)(PHMA)を含む配向膜材料を成膜し、第二の配向層400(未処理の配向層)を形成した。
図28は、実施例1の液晶表示装置の平面模式図である。図29は、実施例1の液晶表示装置の断面模式図である。図30は、実施例1及び2の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、並びに、第一及び第二の配向層の配向方位を示す図である。絶縁基板510、反射層520、平坦化膜530、共通電極540、絶縁膜550及び画素電極560を有する第二の基板500と、絶縁基板110、カラーフィルタ層1CF及びフォトスペーサを有する第一の基板100と、を準備した。更に、第一の基板100上に上記ラビング配向層用ポリマーとしてポリイミドを含む配向膜材料を成膜してラビング処理を施し、第一の配向層200(ラビング配向層)を形成した。また、第二の基板500上に上記配向膜ポリマーとしてポリヘキシルメタクリレート(PHMA:polyhexyl methacrylate)(PHMA)を含む配向膜材料を成膜し、第二の配向層400(未処理の配向層)を形成した。
続いて、第二の基板500に熱・UV光併用シール材をディスペンサーにより描画し、第一の基板100と第二の基板500とを、液晶層300を挟み込んで貼り合わせてセルを作製した。なおこの貼り合せシール硬化時には、シール描画部分以外にはUV光は当たらないようにマスクをして、シールUV硬化を行った。また、液晶材料としては、誘電異方性が正のポジ型液晶(Δε=6.9, Δn=0.068)を用いた。
その後、130℃で40分加熱することで液晶分子の再配向処理を行い、一様に一軸配向したFFS液晶パネルを得た。更に、上記で得られた液晶パネルの第一の基板100の観察面側に直線偏光板10を設け、図28~図30に示す実施例1の液晶表示装置1を得た。液晶表示装置1の表示面における水平右方向を基準の方位(0°)とし、反時計回りを正とすると、直線偏光板10の透過軸方位は0°であり、第一の配向層200の配向方位及び第二の配向層400の配向方位は45°であり、画素電極560のスリットの延伸方向は52°であった。
実施例1では、第一の配向層200は強アンカリングの配向層であり、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーは6×10-3J/m2であった。第二の配向層400は弱アンカリングの配向層であり、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーは6×10-6J/m2であった。また、反射領域における液晶層300の位相差Δndは137.5nmであった。
なお、実施例及び比較例で用いた配向層の方位角アンカリングエネルギーは、下記手順で定量化を行った。
1)基準となる強アンカリング配向層により液晶層が挟持された基準液晶セルを作製する。基準となる強アンカリング配向層は、例えば、方位角アンカリングエネルギーが1×10-3J/m2以上の配向層であり、より具体的には、市販されているAL1254、AL3046、AL16301(JSR株式会社製)、又は、SE2414、SE6414(日産化学株式会社製)を用いることができる。本明細書における実施例及び比較例では、JSR株式会社製AL16301を用い、ステージ移動速度15mm/s、ラビングローラの回転数500rpm、押し込み量0.4mmの条件でラビング処理したものを用いた。
2)方位角アンカリングエネルギーを算出する対象となる配向層により液晶層が挟持されること以外は、基準液晶セルと同様の構成を有する対象液晶セルを作製する。
3)上記基準液晶セル及び上記対象液晶セルの各々について、電圧-透過率特性(VT特性)を測定し、透過率が10%となる閾値電圧を測定する。
4)下記式より、方位角アンカリングエネルギーAを算出する。
A=2×K22/[{(Vths / Vthw)-1}×d]
なお、K22は液晶のツイスト弾性定数、Vthsは基準セルの透過率10%となる閾値電圧、Vthwは対象液晶セルの透過率10%となる閾値電圧、dはセル厚、を表す。
1)基準となる強アンカリング配向層により液晶層が挟持された基準液晶セルを作製する。基準となる強アンカリング配向層は、例えば、方位角アンカリングエネルギーが1×10-3J/m2以上の配向層であり、より具体的には、市販されているAL1254、AL3046、AL16301(JSR株式会社製)、又は、SE2414、SE6414(日産化学株式会社製)を用いることができる。本明細書における実施例及び比較例では、JSR株式会社製AL16301を用い、ステージ移動速度15mm/s、ラビングローラの回転数500rpm、押し込み量0.4mmの条件でラビング処理したものを用いた。
2)方位角アンカリングエネルギーを算出する対象となる配向層により液晶層が挟持されること以外は、基準液晶セルと同様の構成を有する対象液晶セルを作製する。
3)上記基準液晶セル及び上記対象液晶セルの各々について、電圧-透過率特性(VT特性)を測定し、透過率が10%となる閾値電圧を測定する。
4)下記式より、方位角アンカリングエネルギーAを算出する。
A=2×K22/[{(Vths / Vthw)-1}×d]
なお、K22は液晶のツイスト弾性定数、Vthsは基準セルの透過率10%となる閾値電圧、Vthwは対象液晶セルの透過率10%となる閾値電圧、dはセル厚、を表す。
実施例1の液晶表示装置の最大反射率は24.3%であり、コントラストは27であり、焼付き輝度比は1.24であった。液晶表示装置の最大反射率は、液晶表示装置に電圧を印加しながら反射率を測定し、最も高い反射率を、第二の基板の反射率で規格化することにより、最大反射率を算出した。なお、コニカミノルタ製CM700dを用いて測定を行った。以下、最も高い反射率を白反射率と述べ、黒表示時の反射率を黒反射率と述べる。液晶表示装置のコントラストは、白反射率を黒反射率で除することにより算出した。液晶表示装置の焼付き輝度比は、液晶表示装置で白黒チェッカーパターンを24時間通電試験した後、全面に32階調(ただし、最高階調=255階調)を表示し、白を表示していた部分と黒を表示していた部分の輝度比を測定し、焼付き輝度比とした。輝度の測定には、トプコンテクノハウス社製の分光放射計SR-UL2を用いた。
(実施例2)
図31は、実施例2の液晶表示装置の断面模式図である。第一の基板100上に上記配向膜ポリマーとしてPHMAを含む配向膜材料を成膜して第一の配向層200(未処理の配向層)を形成し、第二の基板500上に上記ラビング配向層用ポリマーとしてポリイミドを含む配向膜材料を成膜してラビング処理を施し、第二の配向層400(ラビング配向層)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、図30及び図31に示す実施例2の液晶表示装置1を得た。
図31は、実施例2の液晶表示装置の断面模式図である。第一の基板100上に上記配向膜ポリマーとしてPHMAを含む配向膜材料を成膜して第一の配向層200(未処理の配向層)を形成し、第二の基板500上に上記ラビング配向層用ポリマーとしてポリイミドを含む配向膜材料を成膜してラビング処理を施し、第二の配向層400(ラビング配向層)を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、図30及び図31に示す実施例2の液晶表示装置1を得た。
実施例2では、第一の配向層200は弱アンカリングの配向層であり、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーは6×10-6J/m2であった。第二の配向層400は強アンカリングの配向層であり、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーは6×10-3J/m2であった。また、反射領域における液晶層300の位相差Δndは137.5nmであった。
実施例2の液晶表示装置1の最大反射率は27.1%であり、コントラストは32であり、焼付き輝度比は1.13であった。
ここで、共通電極540及び画素電極560(以下、共通電極及び画素電極をまとめてFFS電極ともいう。)が設けられた基板側の液晶分子310は、FFS電極が設けられていない基板側の液晶分子310よりも電界の影響を受けるため可動し易く、FFS電極が設けられていない基板側の液晶分子310は可動し難い。実施例1では、FFS電極が設けられていない基板(第一の基板100)側の第一の配向層200が強アンカリングの配向層であったのに対して、実施例2では、第一の配向層200が弱アンカリングの配向層であったため、実施例1に比べて実施例2では、電界の影響を受け難く可動し難い第一の基板100側の液晶分子をより可動させることができた。その結果、実施例1に比べて実施例2では、より広いエリアの液晶分子310を可動させることが可能となり、反射率をより高めることができたと考えられる。
また、第二の基板500はFFS電極を備えるため、第二の基板500側は第一の基板100側よりも電界強度が強い。実施例2では、電界強度が第一の基板100側よりも強い第二の基板500側に位置する第二の配向層400を強アンカリングの配向層としたため、実施例1よりも焼付きを改善することができたと考えられる。
(実施例3)
図32は、実施例3の液晶表示装置の断面模式図である。図33は、実施例3及び4の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/2板の遅相軸方位を示す図である。第一の配向層200及び第二の配向層400の配向方位を変更し、かつ、液晶パネルを得た後、第一の基板100の観察面側にλ/2板11を設けたこと以外は、実施例1と同様にして図32及び図33に示す実施例3の液晶表示装置1を得た。液晶表示装置1の表示面における水平右方向を基準の方位(0°)とし、反時計回りを正とすると、直線偏光板10の透過軸方位は0°であり、λ/2板11の遅相軸方位は15°であり、第一の配向層200の配向方位及び第二の配向層400の配向方位は75°であり、画素電極560のスリットの延伸方向は85°であった。
図32は、実施例3の液晶表示装置の断面模式図である。図33は、実施例3及び4の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/2板の遅相軸方位を示す図である。第一の配向層200及び第二の配向層400の配向方位を変更し、かつ、液晶パネルを得た後、第一の基板100の観察面側にλ/2板11を設けたこと以外は、実施例1と同様にして図32及び図33に示す実施例3の液晶表示装置1を得た。液晶表示装置1の表示面における水平右方向を基準の方位(0°)とし、反時計回りを正とすると、直線偏光板10の透過軸方位は0°であり、λ/2板11の遅相軸方位は15°であり、第一の配向層200の配向方位及び第二の配向層400の配向方位は75°であり、画素電極560のスリットの延伸方向は85°であった。
実施例3では、第一の配向層200は強アンカリングの配向層であり、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーは6×10-3J/m2であった。第二の配向層400は弱アンカリングの配向層であり、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーは6×10-6J/m2であった。また、反射領域における液晶層300の位相差Δndは137.5nmであった。
実施例3の液晶表示装置の最大反射率は24.1%であり、コントラストは75であり、焼付き輝度比は1.24であった。実施例3では、第一の基板100と直線偏光板10との間にλ/2板11を設けることにより、実施例1よりもコントラストを高めることができた。
(実施例4)
図34は、実施例4の液晶表示装置の断面模式図である。第一の基板100上に上記配向膜ポリマーとしてPHMAを含む配向膜材料を成膜して第一の配向層200(未処理の配向層)を形成し、第二の基板500上に上記ラビング配向層用ポリマーとしてポリイミドを含む配向膜材料を成膜してラビング処理を施し、第二の配向層400(ラビング配向層)を形成したこと以外は、実施例3と同様にして図33及び図34に示す実施例3の液晶表示装置1を得た。
図34は、実施例4の液晶表示装置の断面模式図である。第一の基板100上に上記配向膜ポリマーとしてPHMAを含む配向膜材料を成膜して第一の配向層200(未処理の配向層)を形成し、第二の基板500上に上記ラビング配向層用ポリマーとしてポリイミドを含む配向膜材料を成膜してラビング処理を施し、第二の配向層400(ラビング配向層)を形成したこと以外は、実施例3と同様にして図33及び図34に示す実施例3の液晶表示装置1を得た。
実施例4では、第一の配向層200は弱アンカリングの配向層であり、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーは6×10-6J/m2であった。第二の配向層400は強アンカリングの配向層であり、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーは6×10-3J/m2であった。また、反射領域における液晶層300の位相差Δndは137.5nmであった。
実施例4の液晶表示装置1の最大反射率は27.0%であり、コントラストは91であり、焼付き輝度比は1.13であった。実施例4は、実施例2の第一の配向層200及び第二の配向層400を用いることにより反射率及び焼付きを改善し、かつ、実施例3で配置したλ/2板11を用いることにより、コントラストを改善することができた。
(比較例)
図35は、比較例の液晶表示装置の断面模式図である。図36は、比較例の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/2板の遅相軸方位を示す図である。第二の基板500上に上記ラビング配向層用ポリマーとしてポリイミドを含む配向膜材料を成膜してラビング処理を施し、第二の配向層400(ラビング配向層)を形成したこと以外は、実施例3と同様にして図35及び図36に示す比較例の液晶表示装置1Rを得た。
図35は、比較例の液晶表示装置の断面模式図である。図36は、比較例の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/2板の遅相軸方位を示す図である。第二の基板500上に上記ラビング配向層用ポリマーとしてポリイミドを含む配向膜材料を成膜してラビング処理を施し、第二の配向層400(ラビング配向層)を形成したこと以外は、実施例3と同様にして図35及び図36に示す比較例の液晶表示装置1Rを得た。
比較例では、第一の配向層200及び第二の配向層400はいずれも強アンカリングの配向層であり、方位角アンカリングエネルギーは、6×10-3J/m2であった。また、反射領域における液晶層300の位相差Δndは137.5nmであった。
比較例の液晶表示装置の最大反射率は20.5%であり、コントラストは23であり、焼付き輝度比は1.04であった。
(実施例3、4及び比較例の評価)
液晶表示装置の最大反射率が、比較例では20.5%であったのに対して、実施例3では24.1%であり、実施例4では27.0%であった。実施例3及び4では、FFSモードの反射型液晶表示装置において、第一の配向層200及び第二の配向層400の一方の配向層を弱アンカリング(ゼロ面アンカリング、スリッパリー界面)の配向層とし、片側の基板の配向を弱アンカリングとすることにより、従来可動しなかった基板付近の液晶分子310を可動させることができ、液晶層300のΔnd変調幅を大きくすることが可能になったと考えられる。その結果、実施例3及び4では、比較例よりも高い反射率を実現することが可能となり、縦電界モードに匹敵する高い反射率を得ることができたと考えられる。また、実施例3及び4では、高い反射率と同時に、低電圧化も達成することができる。
液晶表示装置の最大反射率が、比較例では20.5%であったのに対して、実施例3では24.1%であり、実施例4では27.0%であった。実施例3及び4では、FFSモードの反射型液晶表示装置において、第一の配向層200及び第二の配向層400の一方の配向層を弱アンカリング(ゼロ面アンカリング、スリッパリー界面)の配向層とし、片側の基板の配向を弱アンカリングとすることにより、従来可動しなかった基板付近の液晶分子310を可動させることができ、液晶層300のΔnd変調幅を大きくすることが可能になったと考えられる。その結果、実施例3及び4では、比較例よりも高い反射率を実現することが可能となり、縦電界モードに匹敵する高い反射率を得ることができたと考えられる。また、実施例3及び4では、高い反射率と同時に、低電圧化も達成することができる。
図37、図38、及び、図39は、それぞれ、比較例、実施例3及び4の液晶表示装置における液晶分子の配向状態を計算したシミュレーション結果である。図40は、実施例3、4及び比較例の液晶表示装置における液晶分子の変位角の大きさを液晶層の厚さ方向に対して計算したシミュレーション結果の図である。
実施例3、4及び比較例の液晶表示装置について、シンテック社製LCD-MASTERを用いて液晶分子の配向状態をシミュレーションした。ただし、実施例3では、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーを1×10-3J/m2に設定し、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーを1×10-7J/m2に設定した。実施例4では、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーを1×10-7J/m2に設定し、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーを1×10-3J/m2に設定した。比較例では、第一の配向層200及び第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーを1×10-3J/m2に設定した。結果を図37~図40に示す。
図37に示すように、比較例では、液晶層300の厚さ方向の中間領域のみ液晶分子310が回転するため、面内位相差Δndの変調幅を充分に大きくすることができない。そのため、反射層520上で理想的な直線偏光にならず、反射率が低くなり、充分な明状態にならない。
一方、実施例3では、図38に示すように、弱アンカリングとした第二の基板500側の界面付近の液晶分子も面内回転するため、面内位相差Δndの変調幅を大きくすることができ、反射率を向上させることができる。
また、実施例4では、図39に示すように、第一の基板100側を弱アンカリングとすることにより、第一の基板100側の界面の液晶分子310も面内回転する。ここで、比較例の液晶表示装置1Rでは、図40に示すように、液晶層300の厚さ方向の中央部よりFFS電極側に液晶分子の最大変位位置がある。そのため、FFS電極が設けられた第二の基板500側を弱アンカリングにするよりも、第一の基板100側を弱アンカリングとした方が、より広いエリアの液晶分子310を駆動させることができる。したがって、実施例4では実施例3よりも更に反射率に優れた液晶表示装置が得られたと考えられる。なお、第一の基板100側を弱アンカリングとする構成は液晶層300の位相差Δndの変調幅が大きいため、液晶表示装置が透過領域を有する場合には当該透過領域の液晶層300の厚さを従来のFFSモードの液晶表示装置よりも小さくすることができ、応答速度の面で有利な構成となる。
図41は、実施例3、4及び比較例の液晶表示装置のVR特性を示すグラフである。実施例3、4及び比較例の液晶表示装置について、反射率の電圧依存特性(VR特性)を測定した。測定には、コニカミノルタ社製CM700dを用いた。結果を図41に示す。
図41に示すように、実施例3及び4では、比較例に対して低電圧化し、かつ、反射率を向上することを確認できた。実施例3では、より低電圧であり、消費電力に優れた液晶表示装置を得ることができた。実施例4では、より反射率が高く、明るさに優れた液晶表示装置を得ることができた。
(実施例5)
図42は、実施例5の液晶表示装置の断面模式図である。図43は、実施例5の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/2板の遅相軸方位を示す図である。絶縁基板510と、反射層520と、カラーフィルタ層1CFと、平坦化膜530と、共通電極540と、絶縁膜550と、画素電極560とを有する第二の基板500、並びに、絶縁基板110とフォトスペーサとを有する第一の基板100を準備した。第一の基板100上に、上記光配向性ポリマーとして、上記化学式(A)で表されるポリアミック酸(ただし、化学式(A)におけるR1、R2、R3及びR4が水素原子又は炭化水素基であり、X1はシクロブタン環を含む四価の有機基であり、Y1はメタクリレート基を含む二価の有機基)を有する配向膜材料を製膜した。
図42は、実施例5の液晶表示装置の断面模式図である。図43は、実施例5の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/2板の遅相軸方位を示す図である。絶縁基板510と、反射層520と、カラーフィルタ層1CFと、平坦化膜530と、共通電極540と、絶縁膜550と、画素電極560とを有する第二の基板500、並びに、絶縁基板110とフォトスペーサとを有する第一の基板100を準備した。第一の基板100上に、上記光配向性ポリマーとして、上記化学式(A)で表されるポリアミック酸(ただし、化学式(A)におけるR1、R2、R3及びR4が水素原子又は炭化水素基であり、X1はシクロブタン環を含む四価の有機基であり、Y1はメタクリレート基を含む二価の有機基)を有する配向膜材料を製膜した。
更に第二の基板500上に、上記光配向性ポリマーとして光分解型ポリマーを含む配向膜材料(分解型光配向膜材料)を成膜した。成膜後、両基板に254nmのバンドパスフィルタを用いて直線偏光紫外線を膜面に対して照射し、配向処理を行い、第二の基板500上に設けられた第二の配向層400(光配向層)を形成した。
続いて、第二の基板500に熱・UV光併用シール材をディスペンサーにより描画し、第一の基板100と第二の基板500とを、液晶層300を挟み込んで貼り合わせてセルを作製した。なおこの貼り合せシール硬化時には、シール描画部分以外にはUV光は当たらないようにマスクをして、シールUV硬化を行った。また、液晶材料としては、誘電異方性が正のポジ型液晶(Δε=6.9, Δn=0.068)に、下記化学式(L1)で表される添加剤を5wt%添加した材料を用いた。
その後、130℃で40分加熱することで液晶分子の再配向処理を行い、一様に一軸配向したFFS液晶パネルを得た。得られた液晶パネルに対して、主波長313nmのUVBを第一の基板100側から10J/cm2照射して第一の配向層200(光配向層)を形成した。その後、第一の基板100の観察面側にλ/2板11及び直線偏光板10を設け、図42及び図43に示す実施例5の液晶表示装置を得た。液晶表示装置1の表示面における水平右方向を基準の方位(0°)とし、反時計回りを正とすると、直線偏光板10の透過軸方位は0°であり、λ/2板11の遅相軸方位は15°であり、第一の配向層200の配向方位及び第二の配向層400の配向方位は75°であり、画素電極560のスリットの延伸方向は85°であった。
実施例5では、第一の配向層200は弱アンカリングの配向層であり、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーは2×10-7J/m2であった。第二の配向層400は強アンカリングの配向層であり、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーは1×10-3J/m2であった。また、反射領域における液晶層300の位相差Δndは137.5nmであった。
実施例5の液晶表示装置の最大反射率は29.0%であり、コントラストは95であり、焼付き輝度比は1.07であった。実施例5は、第一の基板100側を弱アンカリングの配向層とし、第二の基板500側を強アンカリングとしたが、比較例では両基板側を強アンカリングとした。そのため、実施例5では比較例よりも配向層による液晶分子の配向規制力が弱く、より低電圧で液晶分子の可動域を広げることが可能となった。その結果、実施例5は比較例に対してより低電圧で反射率を向上させることができたと考えられる。また、実施例5では比較例よりも配向層により液晶分子の配向規制力が弱いため、液晶分子の可動域をより広げることが可能となり、比較例よりも反射率を向上させることができたと考えられる。
また、実施例3及び5は、弱アンカリング層を構成する材料が互いに異なり、実施例5は、焼付き及び反射率を実施例3よりも向上させることができた。実施例5では、液晶層300に含まれる添加剤を用いて、追加照射により第二の配向層400を形成した。実施例3のように配向膜材料のみから配向層を形成するよりも、液晶層300に添加された添加剤及び追加照射も用いて配向層を形成した方が、材料のバリエーションも広く、より反射率に優れた液晶表示装置が得られることが分かった。実施例5の構成は追加照射が必要であり、第一の基板100側は紫外線を透過する必要があるため、反射層520とカラーフィルタ層1CFとは第二の基板500に配置する必要がある。
(実施例6)
図44は、実施例6の液晶表示装置の断面模式図である。図45は、実施例6の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/2板の遅相軸方位を示す図である。第一の配向層及び第二の配向層の配向方位、並びに、液晶層300の位相差Δndを変更し、液晶層にカイラル剤を添加したこと以外は、実施例5と同様にして図44及び図45に示す実施例6の液晶表示装置1を得た。液晶表示装置1の表示面における水平右方向を基準の方位(0°)とし、反時計回りを正とすると、直線偏光板10の透過軸方位は0°であり、λ/2板11の遅相軸方位は15°であり、第一の配向層200の配向方位は135°であり、第二の配向層400の配向方位は65°であり、画素電極560のスリットの延伸方向は110°であった。
図44は、実施例6の液晶表示装置の断面模式図である。図45は、実施例6の液晶表示装置の偏光板の透過軸方位、第一及び第二の配向層の配向方位、並びに、λ/2板の遅相軸方位を示す図である。第一の配向層及び第二の配向層の配向方位、並びに、液晶層300の位相差Δndを変更し、液晶層にカイラル剤を添加したこと以外は、実施例5と同様にして図44及び図45に示す実施例6の液晶表示装置1を得た。液晶表示装置1の表示面における水平右方向を基準の方位(0°)とし、反時計回りを正とすると、直線偏光板10の透過軸方位は0°であり、λ/2板11の遅相軸方位は15°であり、第一の配向層200の配向方位は135°であり、第二の配向層400の配向方位は65°であり、画素電極560のスリットの延伸方向は110°であった。
実施例6では、第一の配向層200は弱アンカリングの配向層であり、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーは2×10-7J/m2であった。第二の配向層400は強アンカリングの配向層であり、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーは1×10-3J/m2であった。また、反射領域における液晶層300の位相差Δndは250nmであった。また、液晶層のカイラルピッチは13.9μmであった。実施例1~5のように、第一の配向層200の配向方位と第二の配向層400の配向方位とが平行である場合、液晶層300の位相差Δndは137.5nm付近が好ましいが、実施例6のように第一の配向層200の配向方位と第二の配向層400の配向方位とが平行でない場合、液晶層300の位相差Δndは250nm付近が好ましい。
実施例6の液晶表示装置の最大反射率は25.2%であり、コントラストは25であり、焼付き輝度比は1.07であった。実施例6は、第一の基板100側を弱アンカリングの配向層とし、第二の基板500側を強アンカリングとしたが、比較例では両基板側を強アンカリングとした。そのため、実施例6では比較例よりも配向層による液晶分子の配向規制力が弱く、より低電圧で液晶分子の可動域を広げることが可能となった。その結果、実施例6は比較例に対してより低電圧で反射率を向上させることができたと考えられる。また、実施例6では比較例よりも配向層により液晶分子310の配向規制力が弱いため、液晶分子310の可動域をより広げることが可能となり、比較例よりも反射率を向上させることができたと考えられる。
また、仮にセル厚がばらつき、液晶層300の位相差Δndがばらついていても、実施例6では液晶分子310をツイスト配向させているため、反射層520上での偏光状態のばらつきを抑制することができ、製品品質に優れた液晶表示装置をえることができる。
また、電圧オン時に液晶層300に含まれる液晶分子310が回転する方向とは逆回転のカイラル剤を用いることにより、応答速度を向上させることができる。
なお、本実施例の形態に限らず、λ/2板やλ/4板を適宜挿入してもよい。
(実施例1~6、比較例及び参考例のVR特性)
図46は、実施例1~6、比較例及び参考例の液晶表示装置のVR特性を示すグラフである。上記実施例1~6及び比較例に加えて、現在の反射型液晶表示装置に用いられている縦電界モードの液晶表示装置のVR特性も測定し、図46に結果を示した。
図46は、実施例1~6、比較例及び参考例の液晶表示装置のVR特性を示すグラフである。上記実施例1~6及び比較例に加えて、現在の反射型液晶表示装置に用いられている縦電界モードの液晶表示装置のVR特性も測定し、図46に結果を示した。
従来の横電界モードの反射型液晶表示装置(比較例)は、現在の縦電界モードの反射型液晶表示装置(参考例)に対して反射率が劣っていたため、製品には適していなかった。しかしながら、実施例1~6では、いずれも、縦電界モードの参考例に匹敵する反射率が得られた。
(実施例7)
図47は、実施例7の液晶表示装置の断面模式図である。変形例10に対応する実施例7の液晶表示装置1を作製した。具体的には、図47に示すように、第二の基板500として、反射層520、カラーフィルタ層1CF、フォトスペーサ、並びに、FFS電極構造を有する共通電極540及び画素電極560を備え、各画素1PXにメモリ回路(メモリ回路部)30M及び表示電圧供給回路(表示電圧供給回路部)30Dを備えるMIP駆動型のTFT基板を用意した。
図47は、実施例7の液晶表示装置の断面模式図である。変形例10に対応する実施例7の液晶表示装置1を作製した。具体的には、図47に示すように、第二の基板500として、反射層520、カラーフィルタ層1CF、フォトスペーサ、並びに、FFS電極構造を有する共通電極540及び画素電極560を備え、各画素1PXにメモリ回路(メモリ回路部)30M及び表示電圧供給回路(表示電圧供給回路部)30Dを備えるMIP駆動型のTFT基板を用意した。
各画素1PXは図21に示されるように3つの副画素(第一の副画素21PX、第二の副画素22PX及び第三の副画素23PX)に分割されていた。ただし、各画素1PXにおいて、第一の副画素21PXと第三の副画素23PXとは互いに連結されており、実質的に面積比が1:2の2分割状態となっていた。これにより、4階調×4階調×4階調=64色の表示が可能であった。
更に、第一の基板100上に、上記化学式(A)で表される構造を有するポリアミック酸(ただし、上記化学式(A)におけるR1、R2、R3及びR4は水素原子又は炭化水素基であり、X1はシクロブタン環を含む四価の有機基であり、Y1はメタクリレート基を含む二価の有機基)を有する配向膜材料を製膜した。また、第二の基板500上に、実施例5と同様の分解型光配向膜材料を成膜した。
次に、第二の基板500に熱・UV光併用シール材をディスペンサーにより描画し、第一の基板100と第二の基板500とを、液晶層300を挟み込んで張り合わせてセルを作製した。なおこの貼り合せシール硬化時には、シール描画部分以外にはUV光は当たらないようにマスクをして、シールUV硬化を行った。また、液晶材料としては、誘電率異方性が正のポジ型液晶(Δε=6.9、Δn=0.068)に、上記化学式(L1)で表されるヘキシルメタクリレートを0.5wt%添加した材料を用いた。
その後、130℃で40分加熱することで液晶分子の再配向処理を行い、一様に一軸配向したFFS液晶パネルを得た。得られた液晶パネルに対して、主波長313nmのUVBを第一の基板100側から1J/cm2照射して第一の配向層200(光配向層)を形成した。その後、第一の基板100の観察面側にλ/2板11及び直線偏光板10を設け、図47に示す実施例7の液晶表示装置を得た。なお、偏光板やλ/2板の軸配置は、上記実施例5と同様に設定した。
実施例7では、第一の配向層200は弱アンカリングの配向層であり、第一の配向層200の方位角アンカリングエネルギーは2×10-7J/m2であった。第二の配向層400は強アンカリングの配向層であり、第二の配向層400の方位角アンカリングエネルギーは1×10-3J/m2であった。また、反射領域における液晶層300の位相差Δndは137.5nmであった。
また、実施例7の液晶表示装置の最大反射率は28.2%であり、コントラストは91であり、焼付き輝度比は1.04であった。
ここで、実施例7における液晶表示装置の焼付き輝度比は、液晶表示装置で半面に(黒/黒/黒)の最小階調を表示し、もう半面に(白/白/白)の最大階調を24時間通電試験した後、全面に(黒/白/黒)のグレー階調を表示し、最大階調を表示していた箇所と最小階調を表示していた箇所の輝度比を測定し、焼付き輝度比とした。TFT駆動の反射型液晶表示装置の焼き付き試験は、上記実施例1に記載の通りであるが、本実施例はMIP駆動のため、32階調という階調が存在しない。したがって、このような方法により焼付き輝度比を求めた。
実施例7の面積階調駆動では、ひとつの副画素としては白表示及び黒表示しかしない(中間調は黒と白の面積比で表示する)。白表示及び黒表示はどちらもVR特性を示すグラフにおいて飽和点に位置するため焼き付かせても輝度差が生じず、焼き付きが視認されにくい。
当該原理を確認するために、電圧を細かく振りながら反射輝度を測定できる液晶素子を別途準備した。なお、配向層の材料や光学軸の配置は、本実施例7と同にして作製した。当該液晶素子にて、焼付き試験前後でVR特性を評価すると、図48に示す通りであった。図48は、MIP型液晶表示装置のVR特性を示すグラフである。電圧2V前後では、反射率差が大きくなっているのが分かる。一方で、0Vや3V付近では、反射率差がほとんど生じていないのが分かる。この結果より、本実施例のMIP型反射素子では黒(0V)と白(3.2V)との組み合わせで中間調を表示するため、焼き付きが抑えられたと考えられる。
また駆動電圧の大きさという観点でも、比較例1は5Vの電圧印加が必要だが、本実施例を含む弱アンカリング液晶素子は、3~3.5V程度でよい。駆動電圧が下がると、電荷の蓄積が抑えられ、すなわちVR特性の変化も抑えられ、焼き付きを抑制できる。そういった低電圧駆動を実現するために、Δε≧5の高Δε液晶を好適に用いることができる。
なお、実施例7は、第一の配向層200が弱アンカリングの配向層であり、第二の配向層400が強アンカリングの配向層である上記実施形態1に対応するものであるが、第一の配向層200が強アンカリングの配向層であり、第二の配向層400が弱アンカリングの配向層である上記実施形態2、及び、第一の配向層200及び第二の配向層400が弱アンカリングの配向層である上記実施形態3においても、実施例7のMIP型を適用することにより、実施例7と同様の効果が得られる。
(方位角アンカリングエネルギーの検討)
シンテック社製LCD-MASTERを用いて、実施例2に相当する構成(第一の配向層200が弱アンカリングの配向層)にて、液晶表示装置の反射率が、弱アンカリングの配向層の方位角アンカリングエネルギーに依存してどのように変化するのかをシミュレーションした。結果を下記表1に示す。参考例である縦電界モードの反射型液晶表示装置の最大反射率は26%であった。表1では、最大反射率が26%を超えたものをOK(○)と判定し、最大反射率が参考例の90%以上、すなわち23.4%以上であり、26%未満のものを、実用可能であるとしてOK(△)と判定した。
シンテック社製LCD-MASTERを用いて、実施例2に相当する構成(第一の配向層200が弱アンカリングの配向層)にて、液晶表示装置の反射率が、弱アンカリングの配向層の方位角アンカリングエネルギーに依存してどのように変化するのかをシミュレーションした。結果を下記表1に示す。参考例である縦電界モードの反射型液晶表示装置の最大反射率は26%であった。表1では、最大反射率が26%を超えたものをOK(○)と判定し、最大反射率が参考例の90%以上、すなわち23.4%以上であり、26%未満のものを、実用可能であるとしてOK(△)と判定した。
上記表1より、一方の配向層の方位角アンカリングエネルギーを1×10-4J/m2未満とすることにより反射率を向上させることができ、方位角アンカリングエネルギーを1×10-5J/m2未満とすることにより、反射率をより向上させることができることが分かった。
1、1R:液晶表示装置
1CF:カラーフィルタ層
1PX:画素
1PXB:青色画素
1PXG:緑色画素
1PXR:赤色画素
21PX、21PXB、21PXG、21PXR:第一の副画素
22PX、22PXB、22PXG、22PXR:第二の副画素
23PX、23PXB、23PXG、23PXR:第三の副画素
2PX:副画素
10、20:直線偏光板
11:λ/2板
12:λ/4板
21:位相差層
30:バックライト
30D:表示電圧供給回路(表示電圧供給回路部)
30M:メモリ回路(メモリ回路部)
33、34:アナログスイッチ
33a、34a:PMOSトランジスタ
33b、34b:NMOSトランジスタ
35、36、441、442:インバータ
41、42、43、443:スイッチ素子
44:ラッチ部
45:液晶セル
100:第一の基板
110、510:絶縁基板
200:第一の配向層
300:液晶層
310:液晶分子
400:第二の配向層
500:第二の基板
501:ゲート線
502:ソース線
503:薄膜トランジスタ(TFT)
505:ゲート電極
506:ソース電極
507:半導体層
508:ドレイン電極
509:コンタクトホール
520:反射層
530:平坦化膜
531:段差制御層
540:共通電極
550:絶縁膜
560:画素電極
CLc:液晶容量
FRP、XFRP:制御パルス
GL:ゲートライン出力
Nout:出力ノード
OUT:極性出力
R:反射領域
SIG:データ
SL:ソースライン出力
T:透過領域
VA:白極性用出力
VB:黒極性用出力
Vcom:コモン出力(コモン電位)
VDD、VSS:電源
φV(φV1~φVm):操作信号
1CF:カラーフィルタ層
1PX:画素
1PXB:青色画素
1PXG:緑色画素
1PXR:赤色画素
21PX、21PXB、21PXG、21PXR:第一の副画素
22PX、22PXB、22PXG、22PXR:第二の副画素
23PX、23PXB、23PXG、23PXR:第三の副画素
2PX:副画素
10、20:直線偏光板
11:λ/2板
12:λ/4板
21:位相差層
30:バックライト
30D:表示電圧供給回路(表示電圧供給回路部)
30M:メモリ回路(メモリ回路部)
33、34:アナログスイッチ
33a、34a:PMOSトランジスタ
33b、34b:NMOSトランジスタ
35、36、441、442:インバータ
41、42、43、443:スイッチ素子
44:ラッチ部
45:液晶セル
100:第一の基板
110、510:絶縁基板
200:第一の配向層
300:液晶層
310:液晶分子
400:第二の配向層
500:第二の基板
501:ゲート線
502:ソース線
503:薄膜トランジスタ(TFT)
505:ゲート電極
506:ソース電極
507:半導体層
508:ドレイン電極
509:コンタクトホール
520:反射層
530:平坦化膜
531:段差制御層
540:共通電極
550:絶縁膜
560:画素電極
CLc:液晶容量
FRP、XFRP:制御パルス
GL:ゲートライン出力
Nout:出力ノード
OUT:極性出力
R:反射領域
SIG:データ
SL:ソースライン出力
T:透過領域
VA:白極性用出力
VB:黒極性用出力
Vcom:コモン出力(コモン電位)
VDD、VSS:電源
φV(φV1~φVm):操作信号
Claims (16)
- 第一の基板と、
第一の配向層と、
電圧無印加時に水平配向する液晶分子を含む液晶層と、
第二の配向層と、
画素電極及び共通電極を有する第二の基板と、をこの順に備え、かつ
前記第一の配向層、前記液晶層、前記第二の配向層、前記画素電極及び前記共通電極よりも背面側であって画素の少なくとも一部に設けられた反射層を備え、
前記第一の配向層及び前記第二の配向層の少なくとも一方の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満であることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第一の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満であり、
前記第二の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2以上であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 前記第一の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5J/m2未満であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
- 前記画素は、前記反射層が設けられた反射領域と、前記反射層が設けられていない透過領域とを有し、
前記液晶層は、前記透過領域における位相差が220nm以上、320nm以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。 - 更に、λ/4板を備え、
前記第一の配向層の配向方位は、前記第二の配向層の配向方位と平行であり、
前記液晶層は、前記反射層に重畳する領域における位相差が80nm以上、180nm以下であることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の液晶表示装置。 - 前記第二の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2未満であり、
前記第一の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-4J/m2以上であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。 - 前記第二の配向層は、方位角アンカリングエネルギーが1×10-5J/m2未満であることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
- 更に、λ/4板を備え、
前記第一の配向層の配向方位は、前記第二の配向層の配向方位と平行であり、
前記液晶層は、前記反射層に重畳する領域における位相差が130nm以上、230nm以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の液晶表示装置。 - 前記第一の配向層の配向方位は、前記第二の配向層の配向方位と平行であり、
前記液晶層は、前記反射層に重畳する領域における位相差が130nm以上、145nm以下であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の液晶表示装置。 - 前記第一の配向層の配向方位は、前記第二の配向層の配向方位と平行ではなく、
前記液晶層は、前記反射層に重畳する領域における位相差が240nm以上、260nm以下であることを特徴とする請求項1~4、6及び7のいずれかに記載の液晶表示装置。 - 前記第二の基板は、更に、カラーフィルタを備えることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記第一の配向層及び前記第二の配向層の少なくとも一方は、シクロブタン基、アゾベンゼン基、カルコン基、シンナメート基、クマリン基、スチルベン基、フェノールエステル基及びフェニルベンゾエート基から選択される少なくとも一種の第一の光官能基と、アクリレート基、メタクリレート基、シンナモイル基、クマリン基、ビニル基、アリル基、スチリル基及びマレイミド基から選択される少なくとも一種の第二の光官能基と、を有するポリマーを含み、
前記液晶層は、アクリレート基、メタクリレート基、シンナモイル基、クマリン基、ビニル基、アリル基、スチリル基及びマレイミド基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有する添加剤を含むことを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。 - 更に、λ/2板を備えることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 更に、λ/4板を備えることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記画素は、複数の副画素を有することを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の液晶表示装置。
- 前記画素は、メモリ回路を備えることを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の液晶表示装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US17/377,151 US11640084B2 (en) | 2020-07-28 | 2021-07-15 | Liquid crystal display device |
CN202110821465.3A CN114002878A (zh) | 2020-07-28 | 2021-07-20 | 液晶显示装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020127443 | 2020-07-28 | ||
JP2020127443 | 2020-07-28 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022024991A true JP2022024991A (ja) | 2022-02-09 |
Family
ID=80265727
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021069866A Pending JP2022024991A (ja) | 2020-07-28 | 2021-04-16 | 液晶表示装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022024991A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023157879A1 (ja) * | 2022-02-17 | 2023-08-24 | 日産化学株式会社 | 弱アンカリング液晶配向剤、及び液晶表示素子 |
-
2021
- 2021-04-16 JP JP2021069866A patent/JP2022024991A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023157879A1 (ja) * | 2022-02-17 | 2023-08-24 | 日産化学株式会社 | 弱アンカリング液晶配向剤、及び液晶表示素子 |
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