JP2022018036A - 分析デバイス及び分析方法 - Google Patents

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瀬良 太田
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隆也 平岡
Takaya Hiraoka
省吾 藤崎
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Abstract

Figure 2022018036000001
【課題】分析結果をより直感的に認識可能な分析デバイスを実現する。
【解決手段】分析デバイス100は、積層部材10の導入部11と、積層部材20の流路21と、積層部材30の複数の壁31,32及び透過部33と、積層部材60の着色領域61~63と、を備える。導入部11は、検体溶液を受け入れる。流路21は、導入部11に供給された検体溶液の流路となる。複数の壁31,32及び透過部33は、流路21に連通し、検体溶液に対する透過の耐性強度が異なる。着色領域61~63は、壁31,32及び透過部33の背後(層方向における下流側)に配置され、検体溶液が到達した場合に、それぞれ異なる色を呈する。
【選択図】図1

Description

本発明は、検体の分析を行うための分析デバイス及び分析方法に関する。
近年、医療分野において、専門病院への来院、高価な装置あるいは特別な知識を要することなく、先進的な医療を家庭やオンサイトで実施できる診断手段(POCT:Point-Of-Care Testing)が求められている。
POCTを実現する技術として、診断結果を信号の色によって表示する紙基板分析デバイス(μPADs:microfludic Paper-based Analytical Devices)が提案されている。
例えば、非特許文献1には、ターゲットの半定量分析手法の1つとして、検体を滴下後に検出エリアをUV照射し、その発色を確認することで分析を行うμPADsに関する技術が記載されている。
ところが、非特許文献1に記載の技術においては、結果の読み取りにUVランプ等の外部機器が必要であり、安価で手軽に診断できるものではない。また、UVランプを照射した際の蛍光色の発色は明瞭でないため、ユーザーが色を判断することが困難である。
これに対し、非特許文献2には、μPADs内のサンプルの輸送制御方法として、過酸化水素の有無によって親疎水の切り替わる物質(ボロン酸ピナコールエステル誘導体)を流路内に組み込む手法が記載されている。
非特許文献2に記載された技術によれば、検体溶液を滴下後、裏面に浸透するまでの時間を測定、または一定時間経過後に呈色したエリアの数を数えるといった追加の操作を行うことで、過酸化水素濃度を定量することができる。
Yang et al., Anal.Chem. 2020, 92, 1493-1501. Phillips et al., Angew. Chem. 2012, 124, 12879-12882
しかしながら、非特許文献2に記載された技術においては、検体溶液を滴下してから呈色が起こるまでの時間を測定する必要がある、あるいは、一定時間経過後にバーの数を数える操作が必要である等、時間に注意を払わなければならないという拘束がある。
また、従来のμPADsを用いた技術においては、検体の診断結果を一意に読み取ることが容易ではない表示形態であり、誤診が生じる可能性がある。
即ち、従来の技術においては、分析結果を直感的に認識可能な分析デバイスを実現する上で、改善の余地があった。
本発明の課題は、分析結果をより直感的に認識可能な分析デバイスを実現することである。
上記目的を達成するため、本発明の一態様の分析デバイスは、
検体溶液を受け入れる導入部と、
前記導入部に供給された検体溶液の流路と、
前記流路に連通し、検体溶液に対する透過の耐性強度が異なる複数の壁と、
前記壁の背後に配置され、検体溶液が到達した場合に、それぞれ異なる色を呈する着色領域と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、分析結果をより直感的に認識可能な分析デバイスを実現することができる。
第1実施形態における分析デバイス100の構成例を示す模式図である。 分析デバイス100の分解図である。 分析デバイス100の主要な作用を示す模式図である。 分析デバイス100の作製方法の一例を示す模式図である。 分析デバイス100における壁31,32を150[mM],100[mM]のボロン酸ピナコールエステル溶液を用いて形成した場合の分析結果の一例(サンプル数1)を示す模式図である。 分析デバイス100における壁31,32を130[mM],90[mM]のボロン酸ピナコールエステル溶液を用いて形成した場合の分析結果の一例(サンプル数3)を示す模式図である。 尿中のグルコース濃度を検出する市販の尿試験紙のカットオフ値の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
本実施形態における分析デバイスにおいては、検体溶液の流路となるチャネルに連通させて、検体溶液に対する透過の耐性強度が異なる複数の壁が形成されている。そして、これらの壁の背後(壁を透過した検体溶液が到達する側)には、検体溶液が特定色の色素と共に到達することにより、それぞれ異なる色に着色される着色領域が配置されている。また、複数の着色領域は、設置される壁の検体溶液に対する透過の耐性強度が高いほど、チャネルの上流側に配置されている。
そのため、分析デバイスに検体溶液を滴下すると、検体溶液の分析対象成分の濃度が設定された第1の濃度以上に高ければ、チャネルにおける最上流に位置する第1の壁が検体溶液を透過する状態に変化し、第1の着色領域に検体溶液が到達する。この場合、チャネルにおける最上流に位置する第1の着色領域に繋がる流路に検体溶液が流入し、下流側の着色領域には検体溶液が到達しない状態となる。したがって、検体溶液の分析対象成分の濃度が、設定された第1の濃度以上に高い場合、分析デバイスにおけるチャネルの最上流位置に配置された第1の着色領域のみが着色される。
また、検体溶液の分析対象成分の濃度が、設定された第2の濃度以上、第1の濃度未満である場合、チャネルにおける最上流に位置する第1の壁は検体溶液を透過しない状態に維持され、第1の壁の下流側に配置された第2の壁が検体溶液を透過する状態に変化し、第2の着色領域に検体溶液が到達する。この場合、チャネルにおける最上流から2番目に位置する第2の着色領域に繋がる流路に検体溶液が流入し、下流側の着色領域には検体溶液が到達しない状態となる。したがって、検体溶液の分析対象成分の濃度が設定された第2の濃度以上、第1の濃度未満である場合、チャネルにおける最上流から2番目に配置された第2の着色領域のみが着色される。
このような壁及び着色領域を分析対象成分の異なる濃度に対応させて、複数設置することで、いずれか1つの着色領域を着色させる表示形態で、分析対象成分の濃度を多段階に検出することができる。
したがって、分析結果をより直感的に認識可能な分析デバイスを実現することができる。
なお、より安定的な分析結果の表示を行うために、検体溶液の滴下から分析結果の読み取りまでの時間及び検体溶液の滴下量を予め定めておくことが有効である。
以下、検体溶液が分析対象成分として過酸化水素水を含む場合を例に挙げて、本発明を適用した分析デバイスの実施形態を説明する。過酸化水素水は、種々の病気のマーカーとして用いられるグルコース、乳酸、尿酸、コレステロール、サルコシン等の代謝物が特定の酵素と反応した場合に生成されるため、過酸化水素水の濃度分析は、尿中のグルコース濃度あるいは血中のコレステロール濃度等、検体における特定成分の分析に寄与するものとなる。
[分析デバイスの構成]
図1は、本実施形態における分析デバイス100の構成例を示す模式図である。また、図2は、分析デバイス100の分解図である。
図1及び図2に示すように、分析デバイス100は、特定の機能を備える第1層~第6層の積層部材10~60を積層させて積層体とし、さらにラミネートフィルム70で積層体を覆うことにより構成される。ただし、ラミネートフィルム70は、検体溶液が導入される領域を避けて設置される。分析デバイス100は、ワックスプリントで形成される検体溶液の流路と、検体溶液に対する耐性強度が異なる複数の壁と、壁を透過した検体溶液が特定色の色素と共に到達することで着色する着色領域とがろ紙にパターニングされて構成されている。ただし、検体溶液の流路は、ワックスプリントで形成することの他、疎水性材料で流路の構造を形成することができれば、種々の方法を用いて形成することが可能である。
最上層の第1層に配置される積層部材10は、検体溶液が導入される導入部11を備え、導入部11以外の部分がワックスプリントによって疎水性の領域とされている。また、導入部11には、検体溶液のpHを調整するためのバッファー(2-[4-(2-Hydroxyethyl)-1-piperazinyl] ethanesulfonic acid(HEPES)等)が配置されている。ワックスプリントの材料となるワックスは、熱処理によってろ紙の裏面にまで浸透されている。なお、図1においては、積層部材10~60を圧着するために、分析デバイス100の周縁に設置された圧着部材(ホッチキス等)が示されている。また、図2においては、圧着部材を設置するための領域が示されている。本実施形態においては、導入部11に加え、圧着部材を設置するための領域をワックスプリントしない領域としている。
積層部材20は、積層部材10の導入部11から流入した検体溶液が流れる流路21を備え、流路21以外の部分がワックスプリントによって疎水性の領域とされている。流路21の長さ及び幅を調整することにより、検体溶液が、積層部材30に形成される複数の壁31,32に到達するまでの時間(即ち、壁31,32における浸透開始までの時間)を制御することができる。本実施形態において、流路21の一端は、積層部材10における導入部11の直下(上面視において重なる位置)に配置され、この一端から、設計された幅及び長さの流路21が直線状に形成されている。
積層部材30は、検体溶液における分析対象成分の濃度に応じて、疎水性から親水性に変化する時間(検体溶液に対する透過の耐性強度)が異なる複数の壁31,32を備えている。また、本実施形態において、積層部材30は、検体溶液に対する透過の耐性強度がゼロの領域(即ち、壁が形成されない領域)として、透過部33を備えている。即ち、壁31,32及び透過部33以外の部分がワックスプリントによって疎水性の領域とされており、壁31,32の部分には、検体溶液に対する透過の耐性を有する物質が配置されている。検体溶液に対する透過の耐性強度は、壁31が最も高く、壁32が2番目の耐性強度を有し、透過部33は耐性強度がゼロとなっている。積層部材30において、壁31は、積層部材20における流路21の一端の直下に配置され、透過部33は、積層部材20における流路21の他端の直下に配置される。また、壁32は、積層部材20における流路21の中央部の直下に配置される。
本実施形態において、積層部材30に備えられる壁31,32は、検体溶液の分析対象成分(過酸化水素水)と反応して、疎水性から親水性に切り替わる物質(例えば、ボロン酸ピナコールエステル誘導体)で構成される。また、検体溶液の濃度が高いほど、壁31,32が疎水性から親水性に変化する時間が短くなる。
壁31,32は、ボロン酸ピナコールエステル誘導体で構成される場合、以下の反応式により、疎水性から親水性に変化する。
Figure 2022018036000002
ただし、壁31,32は、過酸化水素によって疎水性から親水性に切り替わる物質であれば、ボロン酸ピナコールエステル誘導体以外の種々の物質で構成することができる。
積層部材40は、検体溶液が積層部材60の着色領域61~63に到達するまでの時間を調整する流路41~43を備えている。また、流路41~43は、壁31,32及び透過部33を透過した検体溶液を特定色に着色する染色物を有している。即ち、流路41~43以外の部分がワックスプリントによって疎水性の領域とされており、流路41~43には、異なる色の色素が配置されている。例えば、流路41は、壁31の直下に壁31と同型の親水性領域として形成され、赤色の色素が配置されている。また、流路42は、壁32の直下から所定長の経路を有する親水性領域として形成され、黄色の色素が配置されている。さらに、流路43は、透過部33の直下から所定長の経路を有する親水性領域として形成され、青色の色素が配置されている。
積層部材50は、壁31,32を透過した余分な検体溶液を吸収する吸収領域51,52を備えている。また、積層部材50は、透過部33を透過した検体溶液が透過する透過部53を備えている。即ち、吸収領域51,52及び透過部53以外の部分がワックスプリントによって疎水性の領域とされている。吸収領域51は、流路41の直下に形成され、壁31を透過した検体溶液を吸収する。また、吸収領域52は、流路42の直下に形成され、壁32を透過した検体溶液を吸収する。なお、吸収領域51と吸収領域52とは、ワックスプリントにより分離された領域となっている。さらに、透過部53は、流路43の最下流位置の直下に形成され、透過部33を透過した検体溶液を透過する。
積層部材60は、検体溶液と共に到達した染色物によって着色される着色領域61~63を備えている。即ち、着色領域61~63以外の部分がワックスプリントによって疎水性の領域とされている。着色領域61は、吸収領域51(より具体的には、流路41)の直下に形成され、壁31を透過し、流路41を透過することにより赤色に着色された検体溶液が到達する。また、着色領域62は、吸収領域52(より具体的には、流路42の最下流位置)の直下に形成され、壁32を透過し、流路42を透過することにより黄色に着色された検体溶液が到達する。さらに、着色領域63は、透過部53の直下に形成され、透過部33を透過し、流路43を透過することにより青色に着色された検体溶液が到達する。
ラミネートフィルム70は、積層部材10~積層部材60が積層された積層体を覆う透明のラミネートフィルムによって構成される。なお、ラミネートフィルム70は、積層部材10の導入部11を避けて設置される。また、本実施形態においては、ラミネートフィルム70でラミネートされた後、積層体の周縁部が圧着部材(ホッチキス等)によって圧着される。
[作用]
次に、分析デバイス100の作用を説明する。
図3は、分析デバイス100の主要な作用を示す模式図である。
図3においては、分析デバイス100の主要な作用として、壁31,32及び透過部33を透過して、検体溶液が着色領域61~63に到達する状態を示している。
分析デバイス100によって検体溶液の分析を行う場合、初めに、積層部材10の導入部11に検体溶液を滴下する。このとき、滴下する検体溶液の量を予め定めた量とすることが望ましい。
すると、検体溶液が積層部材20の流路21に浸透する。
流路21に浸透した検体溶液は、積層部材30において、初めに壁31に到達する。検体溶液における分析対象成分の濃度が、設定された第1の濃度以上に高い場合、壁31が短時間で疎水性から親水性に変化し、検体溶液は積層部材40の流路41に浸透する。また、検体溶液における分析対象成分の濃度が、設定された第2の濃度以上、第1の濃度未満である場合、壁31は一定時間、疎水性の状態を維持するため、流路21に浸透した検体溶液は、積層部材30において、壁32に到達する。そして、壁32に到達した検体溶液によって、壁32が短時間で疎水性から親水性に変化し、検体溶液は積層部材40の流路42に浸透する。さらに、検体溶液における分析対象成分の濃度が、設定された第2の濃度未満である場合、壁31,32は一定時間、疎水性の状態を維持するため、流路21に浸透した検体溶液は、積層部材30において、透過部33に到達する。
図3において、「A.検体溶液が高濃度の場合」として示されるように、検体溶液の分析対象成分の濃度が、設定された第1の濃度以上であり、検体溶液が壁31を透過した場合、検体溶液は、積層部材40において、流路41に到達し、赤色の色素と共に、積層部材50の吸収領域51に浸透する。積層部材50の吸収領域51に赤色の色素と共に浸透した検体溶液は、積層部材60において、吸収領域51直下の着色領域61に浸透する。このとき、余分な検体溶液は、吸収領域51に吸収され、壁32に検体溶液が到達し難い状態とされる。
このようにして、検体溶液の分析対象成分の濃度が、設定された第1の濃度以上である場合、赤色の着色領域61のみが着色する。
また、図3において、「B.検体溶液が中濃度の場合」として示されるように、検体溶液の分析対象成分の濃度が、設定された第2の濃度以上、第1の濃度未満であり、検体溶液が壁32を透過した場合、検体溶液は、積層部材40において、流路42に到達する。そして、検体溶液は、黄色の色素と共に、流路42の所定長の経路を浸透して、積層部材50の吸収領域52に浸透する。積層部材50の吸収領域52に黄色の色素と共に浸透した検体溶液は、積層部材60において、吸収領域52直下の着色領域62に浸透する。このとき、余分な検体溶液は、吸収領域52に吸収され、透過部33に検体溶液が到達し難い状態とされる。
このようにして、検体溶液の分析対象成分の濃度が、設定された第2の濃度以上、第1の濃度未満である場合、黄色の着色領域62のみが着色する。
さらに、図3において、「C.検体溶液が低濃度の場合」として示されるように、検体溶液の分析対象成分の濃度が、設定された第2の濃度未満であり、検体溶液が透過部33を透過した場合、検体溶液は、積層部材40において、流路43に到達する。そして、検体溶液は、青色の色素と共に、流路43の所定長の経路を浸透して、積層部材50の透過部53に浸透する。積層部材50の透過部53に青色の色素と共に浸透した検体溶液は、積層部材60において、透過部53直下の着色領域63に浸透する。
このようにして、検体溶液の分析対象成分の濃度が、設定された第2の濃度未満である場合、青色の着色領域63のみが着色する。
したがって、分析デバイス100によれば、検体溶液における分析対象成分(過酸化水素水)の濃度に応じて、青色、黄色、赤色のいずれかが着色した状態が現れ、分析結果を一意に識別することができる。
即ち、分析デバイス100によれば、分析結果をより直感的に認識可能な分析デバイスを実現することができる。
[分析デバイス100の作製方法例]
次に、分析デバイス100の作製方法の一例について説明する。
図4は、分析デバイス100の作製方法の一例を示す模式図である。
ここでは、分析デバイス100の作製方法の一例として、1枚のろ紙に積層部材10~積層部材60に相当する領域を並べた状態で流路をパターニング(ワックスプリント)し、壁31,32及び染色物(色素)を配置した後に、積層部材10~積層部材60を折り畳んで積層させ、分析デバイス100とする方法を説明する。なお、積層部材10~積層部材60をそれぞれ個別に作製し、これらを積層させて分析デバイス100を作製することも可能である。
なお、ここでは、一例として、図4に示す流路長及び径等で分析デバイス100を作製するものとする。
分析デバイス100を作製するにあたり、印刷対象のろ紙として、Whatman No.1フィルタペーパーを用意する。
分析デバイス100の作製の第1工程において、積層部材10~積層部材60の流路となるパターンをワックスプリンタによって基板となるろ紙に印刷する。なお、ワックスプリンタとして、例えば、Xerox社製 ColorQube 8580Nを用いることができる。
第2工程において、基板を加熱することでワックスを再び溶かし、紙基板中に浸透させる。加熱には、ホットプレートやオーブン、ホットラミネーターを使用する。浸透したワックスが疎水性壁となり、流路が作成される。
第3工程において、積層部材10のパターンを形成した領域において、導入部11の領域にバッファー(緩衝液)を10[μL]滴下する。また、積層部材30のパターンを形成した領域において、壁31として130[mM]のボロン酸ピナコールエステル溶液を1[μL]、壁32として90[mL]のボロン酸ピナコールエステル溶液を1[μL]、それぞれ滴下する。濃度の異なるボロン酸ピナコールエステル溶液を等量滴下することで、壁31,32におけるボロン酸ピナコールエステルの絶対量が異なるものとなり、壁31,32の検体溶液に対する透過の耐性を異ならせることができる。さらに、積層部材40のパターンを形成した領域において、流路41に10[mM]のAcid redを3[μL]、流路42に50[mM]のAcid yellowを10[μL]、5[mM]のAcid blueを10[μL]、それぞれ滴下する。
第4工程において、基板の乾燥後、積層部材10~積層部材60の境界位置を山折りまたは谷折りとして、積層部材10~積層部材60を重ね合わせ、導入部11を避けつつ、両面からラミネート加工する。このとき、ラミネータとして、例えば、明光商会製 QHE325を用いることができ、ラミネートフィルムとして、厚口0.15[mm]のものを用いることができる。なお、ここでは、ラミネート後の積層体の周縁部を圧着部材(ホッチキス等)によって圧着する。ただし、積層部材10~積層部材60がラミネートにより十分圧着されていれば、圧着部材による圧着を行わないこととしてもよい。
第4工程の完了により、分析デバイス100が作製される。
このように作製された分析デバイス100に対し、導入部11から検体溶液を滴下すると、分析対象成分の濃度に応じて、着色領域61~63のいずれかが着色し、分析結果を一意に読み取ることができる。
[カットオフ値の制御]
次に、分析デバイス100において、分析対象成分の濃度のカットオフ値が制御可能であることを検証する。
図5は、分析デバイス100における壁31,32を150[mM],100[mM]のボロン酸ピナコールエステル溶液を用いて形成した場合の分析結果の一例(サンプル数1)を示す模式図である。また、図6は、分析デバイス100における壁31,32を130[mM],90[mM]のボロン酸ピナコールエステル溶液を用いて形成した場合の分析結果の一例(サンプル数3)を示す模式図である。図5及び図6において、黒線のマーカーを付した領域が着色していることを示している。
なお、図5及び図6は、検体溶液として、10[mM]~175[mM]の過酸化水素水40[μL]を導入部11に滴下した場合に、着色領域61~63が呈する着色状態を示している。
図5に示すように、分析デバイス100における壁31,32を150[mM],100[mM]とした場合、10[mM]の検体溶液では、青色の着色領域63のみが着色し、50[mM]の検体溶液では、黄色の着色領域62のみが着色し、175[mM]の検体溶液では、赤色の着色領域61のみが着色していることがわかる。
また、図6に示すように、分析デバイス100における壁31,32を130[mM],90[mM]とした場合、10[mM]の検体溶液では、青色の着色領域63のみが着色し、50[mM]の検体溶液では、黄色の着色領域62のみが着色し、90[mM]の検体溶液では、赤色の着色領域61のみが着色していることがわかる。
即ち、壁31,32を形成する際に用いるボロン酸ピナコールエステル溶液の濃度を変化させることで、壁31,32の検体溶液に対する透過の耐性強度が変化し、着色領域を着色させる検体溶液の濃度について、カットオフ値を制御することが可能であることがわかる。
[具体的実施例]
上述したように、過酸化水素水は、種々の病気のマーカーとして用いられるグルコース、乳酸、尿酸、コレステロール、サルコシン等の代謝物が特定の酵素と反応した場合に生成されるため、過酸化水素水の濃度分析は、尿中のグルコース濃度あるいは血中のコレステロール濃度等、検体における特定成分の分析に寄与するものとなる。
また、着色領域の上層に設置する壁(壁31,32等)の検体溶液に対する透過の耐性強度を種々変化させることで、カットオフ値を変更することが可能である。
したがって、過酸化水素水自体を分析対象成分とすることの他、グルコース、乳酸、尿酸、コレステロール、サルコシン等の代謝物を分析対象成分とする場合にも、分析デバイス100による分析が可能である。
図7は、尿中のグルコース濃度を検出する市販の尿試験紙のカットオフ値の一例を示す模式図である。
オキシダーゼ酵素は、尿中のグルコースを特異的に酸化し、酸化代謝物と過酸化水素とを生成する。このとき生成される過酸化水素の量は、グルコース量に比例していることから、過酸化水素の量を測定することで、尿中のグルコース量を測定可能となる。
そのため、導入部11から検体溶液を滴下すると、尿中の過酸化水素水濃度(即ち、グルコース濃度)に応じて、いずれかの着色領域が着色する。
このときの着色領域の位置により、尿中のグルコース濃度がいずれの範囲に属するかを分析することができる。
例えば、図6に示すように、10[mM]の検体溶液で青色の着色領域63のみが着色し、50[mM]の検体溶液で黄色の着色領域62のみが着色し、90[mM]の検体溶液で赤色の着色領域61のみが着色する分析デバイス100とした場合、市販の尿試験紙の測定濃度範囲に合致するものとなる。
以上のように、本実施形態に係る分析デバイス100は、積層部材10の導入部11と、積層部材20の流路21と、積層部材30の複数の壁31,32及び透過部33と、積層部材60の着色領域61~63と、を備える。
導入部11は、検体溶液を受け入れる。
流路21は、導入部11に供給された検体溶液の流路となる。
複数の壁31,32及び透過部33は、流路21に連通し、検体溶液に対する透過の耐性強度が異なる。
着色領域61~63は、壁31,32及び透過部33の背後(層方向における下流側)に配置され、検体溶液が到達した場合に、それぞれ異なる色を呈する。
これにより、検体溶液における分析対象成分の濃度に応じて、複数の壁31,32または透過部33のいずれかが検体溶液を透過する状態とすることで、いずれか1つの着色領域を着色させる表示形態で、分析対象成分の濃度を多段階に検出することができる。
したがって、分析結果をより直感的に認識可能な分析デバイスを実現することができる。
複数の壁31,32及び透過部33、及び着色領域61~63は、壁31,32及び透過部33の検体溶液に対する透過の耐性強度が強いほど、流路21の上流側に配置されている。
これにより、検体溶液における分析対象成分の濃度が高いほど、流路21における上流の壁において検体溶液が透過する状態となり、検体溶液における分析対象成分の濃度が高い順に着色領域を着色させる表示形態とすることができる。
流路21の最下流に、壁31,32を備えない着色領域63が配置されている。
これにより、検体溶液における分析対象成分の濃度が低い場合に、壁31,32を経ることなく着色領域63を着色させ、検体溶液における分析対象成分の濃度が低いことを表示することができる。
導入部11を有する積層部材10と、流路21を有する積層部材20と、複数の壁31,32を有する積層部材30と、着色領域61~63を有する積層部材60と、を含む複数の積層部材が積層された構成を有する。
これにより、特定の機能を有する積層部材を作製し、これらを積層させることで、容易に分析デバイス100を作製することができる。
積層部材30よりも下層側に、検体溶液を吸収する吸収領域51,52を有する積層部材50を備える。
これにより、複数の壁31,32を検体溶液が透過する状態となった場合に、余分な検体溶液が他の着色領域に作用することを抑制することができる。
複数の壁31,32は、ボロン酸ピナコールエステル誘導体を含む。
検体溶液に含まれる過酸化水素水の濃度に応じて、いずれか1つの着色領域61~63が着色する。
これにより、過酸化水素水を発生する種々の物質の濃度を分析デバイス100で分析することが可能となる。
また、本実施形態に係る分析方法は、検体溶液の流路21に連通して、検体溶液に対する透過の耐性強度が異なる複数の壁31,32及び透過部33を形成し、検体溶液における分析対象成分の濃度に応じて、いずれかの壁31,32または透過部33が検体溶液を透過させる状態に変化することで、壁31,32または透過部33の背後(層方向における下流側)に配置された着色領域のいずれかを着色させる。
これにより、検体溶液における分析対象成分の濃度に応じて、複数の壁31,32または透過部33のいずれかが検体溶液を透過する状態とすることで、いずれか1つの着色領域を着色させる表示形態で、分析対象成分の濃度を多段階に検出することができる。
したがって、分析結果をより直感的に認識可能な分析デバイスを実現することができる。
なお、本発明は、本発明の効果を奏する範囲で変形、改良等を適宜行うことができ、上述の実施形態に限定されない。
例えば、上述の実施形態において、複数の壁31,32の厚みを調整することで、検体溶液が浸透する時間を調整することができる。具体的には、所定濃度のボロン酸ピナコールエステルを有する材料を、異なる厚さで壁31,32として設置することで、検体溶液が浸透する時間を調整することができる。
また、上述の実施形態において、染色物(色素)と共に検体溶液が着色領域61~63に到達して着色する表示形態の他、着色領域61~63に検体溶液と反応して呈色する材料を配置し、検体溶液が到達した着色領域61~63のいずれかが所定の色を呈色する構成としてもよい。
また、上述の実施形態における分析デバイス100の構成は一例を示すものであり、検体溶液の流路の形状、壁の検体溶液に対する透過の耐性強度、着色領域の数、吸収領域のサイズや配置等は、種々異なる形態とすることができる。
また、上述の実施形態に記載された例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
なお、上記実施形態は、本発明を適用した一例を示しており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。即ち、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができ、上記実施形態以外の各種実施形態を取ることが可能である。本発明が取ることができる各種実施形態及びその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100 分析デバイス、10~60 積層部材、11 導入部、21,41~43 流路、31,32 壁、33,53 透過部、51,52 吸収領域、61~63 着色領域、70 ラミネートフィルム

Claims (7)

  1. 検体溶液を受け入れる導入部と、
    前記導入部に供給された検体溶液の流路と、
    前記流路に連通し、検体溶液に対する透過の耐性強度が異なる複数の壁と、
    前記壁の背後に配置され、検体溶液が到達した場合に、それぞれ異なる色を呈する着色領域と、
    を備えることを特徴とする分析デバイス。
  2. 前記複数の壁及び前記着色領域は、前記壁の検体溶液に対する透過の耐性強度が強いほど、前記流路の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の分析デバイス。
  3. 前記流路の最下流に、前記壁を備えない着色領域が配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分析デバイス。
  4. 前記導入部を有する第1の積層部材と、
    前記流路を有する第2の積層部材と、
    前記複数の壁を有する第3の積層部材と、
    前記着色領域を有する第4の積層部材と、
    を含む複数の積層部材が積層された構成を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の分析デバイス。
  5. 前記第3の積層部材よりも下層側に、検体溶液を吸収する吸収領域を有する第5の積層部材を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の分析デバイス。
  6. 前記複数の壁は、ボロン酸ピナコールエステル誘導体を含み、
    検体溶液に含まれる過酸化水素水の濃度に応じて、いずれか1つの前記着色領域が着色することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の分析デバイス。
  7. 検体溶液の流路に連通して、検体溶液に対する透過の耐性強度が異なる複数の壁を形成し、検体溶液における分析対象成分の濃度に応じて、いずれかの前記壁が検体溶液を透過させる状態に変化することで、前記壁の背後に配置された着色領域のいずれかを着色させることを特徴とする分析方法。
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