JP2021536261A - ナノ細孔デバイスを使用して分子を検出するためのセンシング組成物、方法、およびデバイス - Google Patents

ナノ細孔デバイスを使用して分子を検出するためのセンシング組成物、方法、およびデバイス Download PDF

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Abstract

本発明は、ナノ細孔デバイスを使用して分子を検出および特性評価するための、組成物、方法、デバイス、システム、およびキットに関する。

Description

1. 関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月7日に出願された米国特許仮出願第62/728,672号、2018年9月7日に出願された第62/728,584号の優先権を35U.S.C.119(e)の下で主張し、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
2. 背景
ナノ細孔デバイスは、溶液中の単一生体分子、例えば、タンパク質、DNA、およびウイルス粒子の検出および定量化のために多孔性膜(例えば、単一または整列した細孔)を使用する、汎用性のあるデバイスである。摩擦(例えば、粘性)、電気泳動力および熱運動の相互作用は、生体分子の検出および分解能に制限を課す。
ナノ細孔検出の分野における進行中の課題は、互いに類似した物理的特性、例えば、電荷、サイズ、濃度、または構造的コンフォメーションを有し得る、試料中の生体分子の特徴をより良い精度で検出および分離することができる、より良いセンシング技法を開発することである。
3. 概要
ナノ細孔検出方法を研究する間に、本発明者らは、概してより小さなサイズまたは分子量のポリエーテル作用物質が、ナノ細孔デバイスの細孔を通過する標的分子の検出をたやすくすることを発見した。この発見は、従来のナノ細孔緩衝液を使用して以前に検出または分離することができなかった、ナノ細孔デバイス中の特定の分析物および生体分子の検出または分解能の精度の向上を提供する。
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して分析物および生体分子を検出または特性評価するための、組成物、方法、デバイス、システム、およびキットを提供する。これらの発明的局面は、類似した物理的特徴、例えば、長さ、電荷、濃度、および/または構造を有し、かつ、別の方法では容易に検出されない、互いから分離されない、または特性評価ができないであろう生体分子分析物を検出および分離するのに、特に有用である。
本開示の組成物、方法、システム、およびキットは、生体分子の正確な特定を必要とする任意の用途で有用である。そのような用途としては、バイオマーカー検査のための診断、感染症検査、遺伝子スクリーニング(例えば、遺伝子座、挿入された導入遺伝子(例えば、遺伝子改変生物)、コピー数、または突然変異の特定)、および薬物または化学作用物質のスクリーニングが挙げられる。
様々な発明的局面は、ある特定の作用物質は、センシング溶液で利用される場合に、ナノポーラス膜のナノ細孔を通る標的分析物分子の移動の際に電流信号の高感度検出をたやすくすることができるという発見に少なくとも部分的に基づく。
本開示は、試料中の生体分子を検出または特性評価するためのセンシング溶液組成物を含む様々なポリエーテル作用物質を提供する。ポリエーテル作用物質は、50個のモノマー単位以下のポリマーでもよく、モノマー単位は、酸素原子およびC(2〜4)アルキルまたは置換されたC(2〜4)アルキルを含むアルコキシまた置換されたアルコキシ単位でもよい。特定の場合では、ポリエーテル作用物質は単量体でもよく、または二量体でもよい。複数のモノマー単位が互いに連結している場合は、これらは、一般に、飽和ポリアルキレングリコール鎖を形成する。鎖は、ヒドロキシまたはアルコキシ末端基を含めた様々な末端基を有することができる。本明細書に記載されるセンシング溶液、デバイス、方法およびキットで有用である、関心対象の例示的なポリエーテル作用物質としては、限定されないが、エチレングリコール、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ブチレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、これらの置換バージョン、およびこれらのアルキル化バージョンが挙げられる。
本開示は、試料中の生体分子を検出または特性評価するためのセンシング溶液組成物を含む多数の塩作用物質を提供する。この発見は、大きなナノ細孔の中で小分子の検出の増強をたやすくするのに特に有用である。
本開示は、試料中の生体分子を検出または特性評価するためのナノ細孔デバイスも提供する。ナノ細孔デバイスを使用して分析物(例えば、生体分子)を検出または特性評価するための様々な方法、システム、およびキットも提供される。
本開示の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示態様を記載する以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより得られるであろう。
図1はトリエチレングリコール(TEG)の構造を図示する。 図2は、エチレングリコールの単一単位の構造、すなわち、ポリエチレングリコール(PEG)を構成する反復単位を図示する。 図3A〜3Cは、10%PEG200センシング溶液からのデータを示す。図3Aは、108bpおよび309bpのdsDNAに対する事象集団を示す。 図3A〜3Cは、10%PEG200センシング溶液からのデータを示す。図3Bは、対数スケールでの108bpおよび309bpのdsDNA集団の事象持続時間を示す。 図3A〜3Cは、10%PEG200センシング溶液からのデータを示す。図3Cは、ヒストグラムにおける108bpおよび309bpの集団のそれぞれの事象の最大深度を示す。 図4A〜4Eは、7%PEG200センシング溶液からのデータを示す。図4Aは、単独の場合の217bpおよび353bpのdsDNAの事象プロットを示す。 図4A〜4Eは、7%PEG200センシング溶液からのデータを示す。図4Bは、対数スケールでの217bpおよび353bpのdsDNA集団の事象持続時間(秒)を示す。 図4A〜4Eは、7%PEG200センシング溶液からのデータを示す。図4Cは、217bpおよび353bp事象集団の最大dGを示す。 図4A〜4Eは、7%PEG200センシング溶液からのデータを示す。図4Dは、25%、50%、および75%の217bp dsDNAの353bp dsDNAとの混合物のドウェル時間のヒストグラムを示す。 図4A〜4Eは、7%PEG200センシング溶液からのデータを示す。図4Eは、25%、50%、および75%の217bpと353bpのdsDNAの混合試料からの事象集団のヒストグラムを示す。 図5A〜5Dは、25%TEGセンシング溶液からのデータを示す。図5Aは、74bp、108bp、および217bpのdsDNAに対する事象集団を示す。 図5A〜5Dは、25%TEGセンシング溶液からのデータを示す。図5Bは、対数スケール(秒)での事象集団を示す。 図5A〜5Dは、25%TEGセンシング溶液からのデータを示す。図5Cは、各事象集団の最大dGシグナルのヒストグラムを示す。 図5A〜5Dは、25%TEGセンシング溶液からのデータを示す。図5Dは、対数スケールでの各事象領域集団のヒストグラムを示す。 図6A〜6Bは、72nmのナノ細孔における4M LiCl標準緩衝液および15%TEGセンシング溶液からのデータを示す。図6Aは、217bpおよび309bpのdsDNAの4M LiCl緩衝液中の事象集団を示す。 図6A〜6Bは、72nmのナノ細孔における4M LiCl標準緩衝液および15%TEGセンシング溶液からのデータを示す。図6Bは、217bpおよび309bpのdsDNAの15%TEGセンシング溶液中の事象領域集団を示す。 図7A〜7Cは、ナノ細孔デバイスの模式図、ナノ細孔を通る分子移動中にそのようなデバイスで検出されるイオン電流の例、および1M LiCl緩衝液から検出された事象を示す。図7Aは、ナノ細孔をはさんで電圧を印加するための電極を備える回路図をともなう、ナノ細孔の模式図を示す。図7Bは、印加電圧下で細孔を通した生体分子の移動による代表的な事象を示す。図7Cは、電流の変化(δG)と事象持続時間(ms)の関数としてプロットした、大きなdsDNA試料について27nmの直径のナノ細孔を用いた1M LiCl緩衝液から検出された事象を示す。 図7Aの説明を参照のこと。 図7Aの説明を参照のこと。 図8A〜8Bは、標準緩衝液1M KCl、1M LiCl、および1M CsClセンシング溶液から生成されたデータを示す。図8Aは、CsClセンシング溶液を使用して、27nmの直径のナノ細孔において、108bp dsDNAを有する試料から検出された事象のプロットを示す。KClまたはLiCl緩衝液を使用したいずれの細孔においても事象は検出されなかった。図8Bは、CsClセンシング溶液を使用して、30nmの直径のナノ細孔において、108bp dsDNAを有する試料から検出された事象のプロットを示す。KClまたはLiCl緩衝液を使用したいずれの細孔においても事象は検出されなかった。 図9A〜9Bは、30nmのナノ細孔を用いた1M〜3Mの漸増濃度のCsClセンシング溶液から生成されたデータを示す。図9Aは、1M CsCl(ひし形)、2M CsCl(正方形)、または3M CsCl(丸)緩衝液を使用して、108bp dsDNAから検出された事象のプロットを示す。図9Bは、電流の変化(δG)に基づいて各緩衝液について検出された事象に対する確率ヒストグラムを示す。 図10A〜10Bは、漸増モル濃度のCsCl勾配溶液から生成されたデータを示す。図10Aは、1M/0.5M CsCl(ひし形)、2M/1M CsCl(正方形)、または3M/1.5M CsCl(丸)を使用して、30nmの直径のナノ細孔において、108bp dsDNA試料から検出された事象のプロットを示す。図10Bは、電流の変化(δG)に基づいて各CsCl勾配溶液について検出された事象に対する確率ヒストグラムを示す。 図11A〜11Cは、65nmのナノ細孔を用いた3M/1.5M CsCl勾配センシング溶液から生成されたデータを示す。図11Aは、58bp dsDNAの試料について検出された事象のプロットを示す。図11Bは、74bp dsDNAの試料について検出された事象のプロットを示す。図11Cは、108bp dsDNAの試料について検出された事象のプロットを示す。 図12は、20、25、30、35、または40増幅サイクル後に収集された109bp dsDNA増幅産物について、25nmのナノ細孔を用いた3M/1.5M CsCl緩衝液勾配センシング溶液において検出された事象のプロットを示す。 図12-1の説明を参照のこと。 図12-1の説明を参照のこと。 図13は、20、25、30、35、または40増幅サイクル後に収集された109bp DNAの増幅産物について、32nmのナノ細孔を用いた3M/1.5M CsCl勾配センシング溶液において検出された事象のプロットを示す。 図13-1の説明を参照のこと。 図13-1の説明を参照のこと。 図14は、濃度が13nMの109bp dsDNAの試料または濃度が20nMの74bp dsDNAの試料について、90nmのナノ細孔を用いて、3M/1.5M CsCl勾配センシング溶液において検出された事象のプロットを示す。 図15は、102nmのナノ細孔を用いた3M/1.5M CsCl勾配センシング溶液において検出された事象のプロットを示す。上のパネルは、濃度が13nMの109bp dsDNAの試料(丸)、濃度が1.3nMの109bp dsDNAの試料(正方形)を示す。下のパネルは、濃度が20nMの74bp dsDNAの試料(丸)、濃度が6.66nMの74bp dsDNAの試料(正方形)、または濃度が20nMの58bp DNA(ひし形)を示す。 図16A〜16Bは、100mV(正方形)または150mV(丸)のいずれかでのランについて、53nmのナノ細孔を用いた1M CaCl2センシング溶液において検出された事象のプロットを示す。図16Aは、108bp dsDNAの試料についての事象のプロットを示す。図16Bは、74bp dsDNAの試料についての事象のプロットを示す。 図17は、74bp dsDNAの試料について、73nmのナノ細孔を用いた1M CaCl2センシング溶液において検出された事象のプロットを示す。 図18A〜18Bは、30nmのナノ細孔において単独でランされた74bp dsDNAおよび217 dsDNAについて収集された4M LiCL緩衝液からの代表的なデータを示す。18Aは検出された事象のプロットを示す。18Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図19A〜19Bは、単独でランされた74bp dsDNAおよび217 dsDNAについて、26nmのナノ細孔を用いた20%マルトースセンシング溶液からのデータを示す。19Aは検出された事象のプロットを示す。19Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図20A〜20Bは、単独でランされた108bpおよび309bpのdsDNAについて、37nmのナノ細孔を用いた30%エチレングリコールセンシング溶液からのデータを示す。20Aは検出された事象のプロットを示す。20Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図21A〜21Bは、単独でランされた74bpおよび217bpのdsDNAについて、30nmのナノ細孔を用いた15%トリエチレングリコール(TEG)センシング溶液からのデータを示す。21Aは検出された事象のプロットを示す。21Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図22A〜22Bは、単独でランされた74bpおよび217bpのdsDNAについて、30nmのナノ細孔を用いた10%トリプロピレングリコール(TPG)センシング溶液からのデータを示す。22Aは検出された事象のプロットを示す。22Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図23A〜23Bは、単独でランされた108bpおよび217bpのdsDNAについて、31nmのナノ細孔を用いた10%テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TTEG-DME)センシング溶液からのデータを示す。23Aは検出された事象のプロットを示す。23Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図24A〜24Bは、単独でランされた108bpおよび217bpのdsDNAについて、34nmのナノ細孔における10%トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPG-MME)センシング溶液からのデータを示す。24Aは検出された事象のプロットを示す。24Bは、検出された事象の対数のヒストグラムを示す。 図25A〜25Bは、単独でランされた88bpおよび266bpのdsDNAについて、35nmのナノ細孔を用いた非対称10%PEG200(シス)/10%マルトース(トランス)センシング溶液からのデータを示す。25Aは検出された事象のプロットを示す。25Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図26A〜26Bは、単独でランされた88bpおよび266bpのdsDNAについて、35nmのナノ細孔における非対称10%マルトース(シス)/10%PEG200(トランス)センシング溶液からのデータを示す。26Aは事象の検出を示す。26Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図27A〜27Bは、単独でランされた74bpおよび217bpのdsDNAについて、32nmのナノ細孔におけるPEG8000センシング溶液からの代表的なものを示す。26Aは事象の検出を示す。27Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図28A〜28Bは、単独でランされた217bpおよび309bpのdsDNAについて、32nmのナノ細孔を用いたPEG8000センシング溶液からのデータを示す。28Aは検出された事象のプロットを示す。28Bは、検出された事象ドウェル時間の対数のヒストグラムを示す。 図29A〜29Bは、生の電流データに対して分析を行い、ユーザ、またはユーザにデータを提供する企業に要約分析を提供するためにナノ細孔デバイスとともに使用されるコンピュータシステムを図示する図を示す。 図29Aの説明を参照のこと。
5. 詳細な説明
5.1. 定義
別段定義されない限りは、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解される意味を有する。本明細書において使用する場合、以下の用語は、以下でそれらに与えられる意味を有する。
すべての数字表示、例えば、距離、サイズ、温度、時間、電圧、および濃度は、範囲を含めて、0.1刻みで(+)または(-)変化する近似値である。必ずしも明示的に述べられているとは限らないが、すべての数字表示の前に用語「約」が付くことも理解されたい。必ずしも明示的に述べられているとは限らないが、本明細書に記載される成分は単に例示的なものにすぎないこと、およびそのようなものの均等物は当技術分野において公知であることも理解されたい。
用語「細孔」または「ナノ多孔」は、任意の材料タイプの膜における単一の開口部または、開口部のアレイを指す。細孔は、膜を通る分子または分析物の移動を可能にする任意のサイズを有することができる。細孔は、任意の形を有することができる。
用語「生体分子」は、核酸(例えば、DNA、RNA、またはLNAなどのポリヌクレオチド)、タンパク質、ペプチド、抗体、小分子、アプタマー、分析物、または任意の薬物作用物質を指す。生体分子は天然源由来であり得る。生体分子は合成的に作製することができる。生体分子は、検出の手段に連結またはコンジュゲートされ得る。
用語「増幅」または「増幅反応」は、標的ポリヌクレオチド配列からの標的ポリヌクレオチド配列を含む複数のクローン性増幅産物を生成する反応を指す。増幅反応試薬は、標的ポリヌクレオチド配列の増幅を行うのに必要な任意の分子を含む。増幅反応試薬としては、限定されないが、遊離プライマー、dNTPs(デオキシヌクレオチド三リン酸、dATP、dGTP、dCTP、dTTP)、ポリメラーゼ酵素(例えば、TaqまたはPfu)、塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム)、BSA(ウシ血清アルブミン)安定化剤、および界面活性剤(例えば、Triton X-100)を挙げることができる。増幅反応としては、限定されないが、例えば、PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅法(TMA)、逆転写酵素開始PCR、DNAまたはRNAハイブリダイゼーション技法、シークエンシング、等温増幅、およびループ介在等温増幅(LAMP)を挙げることができる。標的ポリヌクレオチド配列から増幅産物を生成するための増幅の技法は当業者に周知である。
用語「電流測定」は、ナノ細孔を通る印加電圧での電流フローの一連の経時的測定を指す。電流は、事象を定量化するための測定値として表され、電圧によって正規化された電流(コンダクタンス)も事象を定量化するために使用される。
用語「オープンチャネル」は、電流が分析ソフトウェアによって定義された値の閾値から逸脱しない場合に、ノイズ範囲内でナノ細孔チャネルを通る電流のベースラインレベルを指す。
用語「事象」は、電流測定値が、定義された閾値によりオープンチャネル値から逸脱する場合に開始し、電流がオープンチャネル値の閾値内に戻る場合に終了する、電流インピーダンス測定のセットを指す。
用語「電流インピーダンスシグネチャ」は、標的分子、または検出を増強するように改変された(例えば、プローブ、標識、色素、または電圧感受性部分)標的分子から検出された事象内で特定される電流測定値および/またはパターンの収集を指す。「電流インピーダンスシグネチャ」は、「電流シグネチャ」と互換的に使用される。分子タイプ間の識別を増強するために、複数のシグネチャが事象内に存在することもできる。シグネチャの例としては、限定されないが、計算された事象ドウェル時間、平均事象振幅、最大事象振幅、中央事象振幅、事象領域、または当技術分野において公知の他のものが挙げられる。当業者は、シグネチャが、計算された事象ドウェル時間、平均事象振幅、最大事象振幅、中央事象振幅、または事象領域の任意の組み合わせを含むことができることを認識すると考えられる。
用語「捕捉率」は、ナノ細孔デバイス中で経時的に検出された事象の数を指す。いくつかの態様では、捕捉率は、特に、特定の標的分子に関連する事象の捕捉および/または移動、例えば、DNA増幅産物の移動の率を指すことができる。本明細書に記載される場合、捕捉率は、類似したナノ細孔条件下で類似した質量/電荷比を有する対照と比較して濃度を推測するために使用することができる。
本明細書において使用する場合、「シス」は、分子がロードされてナノ細孔中に捕捉されるナノ細孔デバイスにおけるチャンバーまたは容積(互換的に使用される)として示され、「トランス」は、分子がナノ細孔通過後に進入する反対側のチャンバーまたは容積として示される。
本明細書において使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈において別段示さない限り、複数の指示物を含む。用語「含む」、「などの」などは、別段指示がない限り、限定されることなく包含を伝えることを意図する。
本明細書に提供される範囲は、記載される終点を含めて、範囲内のすべての値に対する簡略表記であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50からなる群からの任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲と理解される。
特に記載のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書において使用する場合、用語「約」は、当技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差以内と理解される。約は、記載される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解され得る。
5.2. 概説
ナノ細孔検出方法を研究している間に、本発明者らは、ポリエーテルおよびカチオン塩作用物質が、従来のナノ細孔緩衝液を使用して以前は検出または分離することができなかった、ナノ細孔デバイスの細孔を通過する標的分子の検出および特性評価を可能にするか、またはたやすくすることを発見した。本開示は、多数のタイプの生体分子のナノ細孔検出における困難な問題のいくつかに対処する、様々なセンシング溶液組成物、方法、デバイス、システム、およびキットを提供する。
本開示の方法、デバイス、システム、およびキットは、ナノ多孔膜のナノ細孔を通る標的分子の移動の際の電流信号の検出および識別を可能にするかまたはたやすくし、それによって、精度の向上を提供するセンシング溶液を含む。ある特定の態様では、生体分子の検出をさらに増強するために、プローブ、電圧感受性部分、または他の標識を本開示の方法、デバイス、システム、およびキットとともに使用することができる。
本開示によって提供される様々な発明的局面は、類似した物理的特性、例えば、長さ、電荷、および/または構造を有し、かつ、標準的な(例えば、従来の)ナノ細孔緩衝液を使用して別の方法では容易に検出されない、互いから分離されない、または特性評価ができないであろう試料中の分子を検出および分離するのに、特に有用である。
生体分子(例えば、分析物、核酸、およびタンパク質)の正確な検出および特性評価を必要とする任意の用途が、本開示の組成物、方法、システム、およびキットを使用することができる。したがって、本開示の組成物、方法、システム、およびキットは、診断、感染症検査、遺伝子スクリーニング、および薬物または化学作用物質のスクリーニングなどの用途に適用することができる。
5.3. センシング溶液組成物
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して生体分子を検出および特性評価するための様々なセンシング溶液組成物を提供する。本開示によって提供される組成物は、長さ、電荷、構造、またはこれらの組み合わせなどの類似した物理的特性を有し、かつ、ナノ細孔デバイスを使用して標準緩衝液中で別の方法では検出されない、互いから分離されない、または特性評価されないであろう試料中の生体分子を検出および分離するのに、特に有用である。
本開示の組成物は、本開示の方法、デバイス、システム、およびキットとともに、有効量で使用することができることが意図される。本開示の組成物は、当技術分野において公知である方法、デバイス、システム、およびキットとともに、有効量で使用することができることも意図される。
5.3.1. ポリエーテル作用物質
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出または特性評価するための様々なポリエーテルベースのセンシング溶液を提供する。本発明者らは、概してより小さなサイズまたは分子量のポリエーテル作用物質が、ナノ細孔デバイス中で分析物を検出するためにセンシング溶液で利用される場合に、ナノ細孔デバイスのナノ細孔を通過する標的分析物分子の検出をたやすくすることを発見した。
ポリエーテル作用物質は、50個のモノマー単位以下(例えば、40モノマー単位以下、30モノマー単位以下、20モノマー単位以下)の直鎖ポリマーでもよい。ポリエーテル作用物質のモノマー単位は、酸素原子およびC(2〜4)アルキルまたは置換されたC(2〜4)アルキルを含む、アルコキシまたは置換されたアルコキシ単位でもよい。ある場合には、モノマー単位の置換されたC(2〜4)アルキルは、アルキル置換されたC(2〜4)アルキルである。2つのモノマー単位は、エーテル結合を介して互いに連結され得る。複数のモノマー単位が互いに連結している場合は、これらは、飽和ポリアルキレングリコール鎖を形成する。ある場合には、ポリアルキレングリコール鎖は、各モノマー単位において付着したC(1〜6)アルキル置換基を有するポリエーテル骨格を有する。ポリエーテル作用物質は、モノマー単位の異なる異性体型、または作用物質の異性体型の混合物を含むことができることが理解されよう。ポリマー化合物は、単一の離散的な長さの分子として存在し得るか、または多分散であり得る(例えば、平均MWによって記載される)ことが理解されよう。ポリエーテル作用物質は、ヒドロキシ、アルコキシまたは置換されたアルコキシで終結し得る。ある場合には、アルコキシまたは置換されたアルコキシ末端基はC(1〜6)アルコキシまたは置換されたC(1〜6)アルコキシである。いくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は単量体でもよく、または二量体でもよい。ある特定の態様では、ポリエーテル作用物質は単量体であり、ヒドロキシまたはアルコキシ末端基によって終結する。ポリエーテル作用物質が単量体であり、末端ヒドロキシ基を含むある特定の特別な場合(例えば、エチレングリコール)では、ポリエーテル作用物質がエーテル官能基を全く含まないことが理解されよう。
望ましい性状を提供するために、本明細書に記載されるポリエーテル作用物質のいずれかに末端修飾を組み込むことができることが理解されよう。そのような末端修飾は、例えば、(例えば、エーテル、エステル、もしくはカルバメート末端修飾を形成するために)末端ヒドロキシ基を誘導体化することによって、または例えば、任意でさらに(例えば、アミド、カルバメート、エステル、もしくはヒドロキシルアミンとして)誘導体化され得る、アミノ基、カルボン酸基、もしくはアクリレート基などの官能基を含む末端基を組み込むことによって、達成され得る。ある場合には、末端基は、関心対象の分子にコンジュゲートするのに適した化学選択的官能基を含む。したがって、関心対象の末端基としては、限定されないが、アクリレート(-COCH=CH2)、アセテート(-COCH3)、-OCH2COOH、-NHCH2CH2COOH、-NHCH2COOH、-OCH2CH2COOH、-COCH2CH2COOH、-COCH2NH2などが挙げられる。
いくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は式(I)のものである:
Figure 2021536261
式中、
mは1〜3であり;
nは1〜30であり;
各R1は独立にHまたはメチルであり;
R2およびR3はそれぞれ独立に、H、アルキル、または末端基である。式(I)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質の各モノマー単位はメチルである単一のR1基を含み、他のR1基はHである。したがって、ある場合には、式(I)のポリエーテル作用物質は、異なる異性体または異性体型を含むことができる。異性体または異性体型は、ポリエーテル作用物質の親型と比較して同じ数の炭素および酸素原子であるが、異なる配置を有するモノマー単位を有する、ポリエーテル作用物質の代替物を指す。いくつかの態様では、(例えば、本明細書に記載される)ポリエーテル作用物質は、異なる長さの、および/または異なる異性体型を有する個々の分子、例えば、ポリエーテル作用物質の混合物を含む。例えば、ジプロピレングリコールなどのポリプロピレングリコールは、(例えば、本明細書に記載される)異性体の混合物を含むことができる。
いくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は式(Ia)のものである:
Figure 2021536261
式中、
mは1〜3であり;
nは1〜30であり;
R1はHまたはメチルであり;
R2およびR3はそれぞれ独立に、H、アルキル、または末端基である。
式(I)〜(Ia)のある特定の態様では、R2およびR3はそれぞれHである。式(I)〜(Ia)のある特定の態様では、R2およびR3はそれぞれアルキル、例えば、C(1〜6)アルキルである。ある場合には、R2およびR3はそれぞれメチルである。
式(I)〜(Ia)のある特定の態様では、R1はHである。式(I)〜(Ia)のある特定の態様では、R1はメチルである。
5.3.2. (ポリ)エチレングリコール作用物質
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出または特性評価するために使用することができる、様々な(ポリ)エチレングリコール(PEG)ベースのセンシング溶液を提供する。mが1であり、R1がHである、式(I)〜(Ia)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、エチレングリコール(n=1)または(ポリ)エチレングリコールと称され得る。
式(I)〜(Ia)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は式(II)のものである:
Figure 2021536261
式中、nは1〜30であり;各R4は独立に、H、アルキル、または末端基である。
式(II)のいくつかの態様では、各R4はHである。式(II)のいくつかの態様では、各R4はアルキル、例えば、C(1〜6)アルキルである。ある場合には、各R4はメチルである。式(II)のいくつかの態様では、nは2〜30、例えば、3〜30、4〜30、5〜30、6〜30、7〜30、8〜30、10〜30、または10〜20である。式(II)のいくつかの態様では、nは1である。式(II)のいくつかの態様では、nは2〜25、例えば、2〜20、2〜18、2〜16、2〜15、2〜14、2〜13、2〜12、2〜10、2〜8、または2〜6である。
式(II)のいくつかの態様では、nは1であり、各R4はHである(例えば、エチレングリコール)。式(II)のいくつかの態様では、nは2であり、各R4はHである(例えば、ジエチレングリコール)。式(II)のいくつかの態様では、nは3であり、各R4はHである(例えば、トリエチレングリコール)。式(II)のいくつかの態様では、nは1であり、各R4はメチルである。式(II)のいくつかの態様では、nは2であり、各R4はメチルである。式(II)のいくつかの態様では、nは3であり、各R4はメチルである。式(II)のいくつかの態様では、nは4であり、各R4はHである(例えば、テトラエチレングリコール)。式(II)のいくつかの態様では、nは4であり、各R4はメチルである(例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル)。
式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、約120〜3000の範囲の分子量を有する(ポリ)エチレングリコールまたは(ポリ)エチレングリコールエーテルである。式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテルは、3000以下、例えば、2500以下、2000以下、1500以下、または1000以下の分子量を有する。本明細書に記載される分子量のいずれも、ポリエーテル作用物質の多分散性が理由で、平均分子量を指すことができること、すなわち、そのようなポリマーは、それらの調製の方法に依存し得る分子量の分布を有する分子を含むことができることが理解されよう。式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、100〜120、120〜140、140〜160、160〜180、180〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、1000〜1100、1100〜1200、1200〜1300、1300〜1400、1400〜1500、1500〜1600、1600〜1700、1700〜1800、1800〜1900、1900〜2000、2000〜2200、2200〜2400、2400〜2600、2600〜2800、2800〜3000、3000〜4000、4000〜5000、5000〜6000、6000〜7000、または7000〜8000の範囲の分子量を有する。センシング溶液で使用するために選択される特定のポリエーテル作用物質のサイズまたは分子量は、検出の望ましい感度または精度を提供するように適合させることができ、様々な条件、例えば、標的分析物(例えば、生体分子)、分析物プローブ(利用する場合)、およびプローブの物理的特性または化学的性質に依存することが理解されよう。
式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質はPEG120〜160の分子量である。式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質はPEG160〜200の分子量である。式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質はPEG200〜400の分子量である。式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質はPEG200〜600の分子量である。式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテはPEG3000の分子量以下である。
5.3.3. (ポリ)プロピレングリコール作用物質
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出および特性評価するための(ポリ)プロピレングリコール(PPG)を含む様々なセンシング溶液を提供する。mが1であり、1つのR1がメチルである式(I)〜(Ia)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、プロピレングリコール(n=1)または(ポリ)プロピレングリコールと称され得る。
式(I)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は式(III)のものである:
Figure 2021536261
式中、nは1〜30であり;R2およびR3はそれぞれ独立に、H、アルキル、または末端基である。
式(III)のいくつかの態様では、R2およびR3はそれぞれHである。式(III)のいくつかの態様では、各R2およびR3はそれぞれアルキル、例えば、C(1〜6)アルキルである。ある場合には、R2およびR3はそれぞれメチルである。式(III)のいくつかの態様では、nは2〜30、例えば、3〜30、4〜30、5〜30、6〜30、7〜30、8〜30、10〜30、または10〜20である。式(III)のいくつかの態様では、nは1である。式(III)のいくつかの態様では、nは2〜25、例えば、2〜20、2〜18、2〜16、2〜15、2〜14、2〜13、2〜12、2〜10、2〜8、または2〜6である。
式(III)のいくつかの態様では、nは2であり、R2およびR3はそれぞれHである(例えば、ジプロピレングリコール)。式(III)のいくつかの態様では、nは3であり、R2およびR3はそれぞれHである(例えば、トリプロピレングリコール)。式(III)のいくつかの態様では、nは3であり、R2およびR3のうちの一方はHであり、R2およびR3のもう一方はメチルである。式(III)のいくつかの態様では、nは3であり、R2およびR3はそれぞれメチルである(例えば、トリプロピレングリコールジメチルエーテル)。ある特定の態様では、ポリエーテル作用物質はジプロピレングリコールである。ポリプロピレングリコール(例えば、ジプロピレングリコール)は異なる異性体型を含むことができることが理解されよう。ジプロピレングリコールは、1つまたは複数の異性体、4-オキサ-2,6-ヘプタンジオール、4-オキサ-1,6-ヘプタンジオール、2-(2-ヒドロキシ-プロポキシ)-プロパン-1-オール、および/または2-(2-ヒドロキシ-1-メチル-エトキシ)-プロパン-1-オールで存在し得る。ある場合には、利用されるジプロピレングリコールは4-オキサ-2,6-ヘキサンジオールと4-オキサ-1,6-ヘキサンジオールの混合物である。
式(I)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は式(IIIa)および/または(IIIb)のものである:
Figure 2021536261
式中、nは1〜30であり、qは1〜29であり;各R1はメチルであり;R2およびR3および各R4はそれぞれ独立に、H、アルキル、または末端基である。
式(IIIa)のいくつかの態様では、R2およびR3はそれぞれHである。式(IIIa)のいくつかの態様では、各R2およびR3はそれぞれアルキル、例えば、C(1〜6)アルキルである。ある場合には、R2およびR3はそれぞれメチルである。式(IIIa)のいくつかの態様では、qは2〜29、例えば、3〜29、4〜29、5〜29、6〜29、7〜29、8〜29、10〜29、または10〜20である。式(IIIa)のいくつかの態様では、qは1である。式(IIIa)のいくつかの態様では、qは2〜25、例えば、2〜20、2〜18、2〜16、2〜15、2〜14、2〜13、2〜12、2〜10、2〜8、または2〜6である。式(IIIb)のいくつかの態様では、各R4はHである。式(IIIb)のいくつかの態様では、各R4はアルキル、例えば、C(1〜6)アルキルである。ある場合には、各R4はメチルである。式(IIIb)のいくつかの態様では、nは2〜30、例えば、3〜30、4〜30、5〜30、6〜30、7〜30、8〜30、10〜30、または10〜20である。式(IIIb)のいくつかの態様では、nは2である。式(IIIb)のいくつかの態様では、nは2〜25、例えば、2〜20、2〜18、2〜16、2〜15、2〜14、2〜13、2〜12、2〜10、2〜8、または2〜6である。
式(IIIa)のいくつかの態様では、qは1であり、R2およびR3はそれぞれHである(例えば、ジプロピレングリコール)。式(IIIa)のいくつかの態様では、qは2であり、R2およびR3はそれぞれHである(例えば、トリプロピレングリコール)。式(IIIa)のいくつかの態様では、qは2であり、R2およびR3のうちの一方はHであり、R2およびR3のもう一方はメチルである。式(IIIa)のいくつかの態様では、qは2であり、R2およびR3はそれぞれメチルである(例えば、トリプロピレングリコールジメチルエーテル)。式(IIIb)のいくつかの態様では、nは2であり、各R4はそれぞれHである(例えば、ジプロピレングリコール)。式(IIIb)のいくつかの態様では、nは3であり、各R4はHである(例えば、トリプロピレングリコール)。式(IIIb)のいくつかの態様では、nは3であり、一方のR4はHであり、もう一方のR4はメチルである。式(IIIb)のいくつかの態様では、nは3であり、各R4はメチルである(例えば、トリプロピレングリコールジメチルエーテル)。
ある特定の態様では、ポリエーテル作用物質はジプロピレングリコールである。ある特定の態様では、ポリエーテル作用物質はトリプロピレングリコールである。ポリプロピレングリコール(例えば、ジまたはトリプロピレングリコール)は異なる異性体型を含むことができることが理解されよう。ジプロピレングリコールは、1つまたは複数の異性体、4-オキサ-2,6-ヘプタンジオール、4-オキサ-1,6-ヘプタンジオール、2-(2-ヒドロキシ-プロポキシ)-プロパン-1-オール、および/または2-(2-ヒドロキシ-1-メチル-エトキシ)-プロパン-1-オールで存在し得る。ある場合には、利用されるジプロピレングリコールは4-オキサ-2,6-ヘキサンジオールと4-オキサ-1,6-ヘキサンジオールの混合物である。
式(III)〜(IIIb)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、約120〜3000の範囲の分子量を有する(ポリ)プロピレングリコールまたは(ポリ)プロピレングリコールエーテルである。式(III)〜(IIIb)のいくつかの態様では、ポリエーテルは、3000以下、例えば、2500以下、2000以下、1500以下、または1000以下の分子量を有する。式(III)〜(IIIb)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、100〜120、120〜140、140〜160、160〜180、180〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、1000〜1100、1100〜1200、1200〜1300、1300〜1400、1400〜1500、1500〜1600、1600〜1700、1700〜1800、1800〜1900、1900〜2000、2000〜2200、2200〜2400、2400〜2600、2600〜2800、2800〜3000、3000〜4000、4000〜5000、5000〜6000、6000〜7000、または7000〜8000の範囲の分子量を有する。
式(III)〜(IIIb)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質はPPG120〜160の分子量である。式(III)〜(IIIb)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質はPPG160〜200の分子量である。式(III)〜(IIIb)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質はPPG200〜400の分子量である。式(III)〜(IIIb)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質はPPG200〜600の分子量である。式(III)のいくつかの態様では、ポリエーテルはPPG3000の分子量以下である。
5.3.4. (ポリ)ブチレングリコール作用物質
mが2〜3であり、R1がメチルまたはHである式(I)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、ブチレングリコール(nは1である)または(ポリ)ブチレングリコールと称され得る。ポリエーテル作用物質は、(ポリ)-1,4-ブチレングリコール(R1はHである)または(ポリ)-1,3-ブチレングリコール(R1はメチルである)であり得る。本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出および特性評価するための、そのような(ポリ)ブチレングリコールを含む様々なセンシング溶液を提供する。
式(I)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は式(IV)のものである:
Figure 2021536261
式中、pは1または2であり;nは1〜30であり;R1はHまたはメチルであり;各R4は独立に、H、アルキル、または末端基である。
式(IV)のいくつかの態様では、各R4はHである。式(IV)のいくつかの態様では、各R4はアルキル、例えば、C(1〜6)アルキルである。ある場合には、各R4はメチルである。式(IV)のいくつかの態様では、nは2〜30、例えば、3〜30、4〜30、5〜30、6〜30、7〜30、8〜30、10〜30、または10〜20である。式(IV)のいくつかの態様では、nは1である。式(IV)のいくつかの態様では、nは2〜25、例えば、2〜20、2〜18、2〜16、2〜15、2〜14、2〜13、2〜12、2〜10、2〜8、または2〜6である。
式(IV)のいくつかの態様では、pは1である場合、R1はメチルである。式(IV)のいくつかの態様では、pが2である場合、R1はHである。式(IV)のいくつかの態様では、nは1である。式(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は1,3-ブチレングリコールまたは1,4-ブチレングリコールである。
式(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、約120〜3000の範囲の分子量を有する、(ポリ)ブチレングリコールまたは(ポリ)ブチレングリコールエーテルである。式(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテルは、3000以下、例えば、2500以下、2000以下、1500以下、または1000以下の分子量を有する。式(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテル作用物質は、100〜120、120〜140、140〜160、160〜180、180〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、900〜1000、1000〜1100、1100〜1200、1200〜1300、1300〜1400、1400〜1500、1500〜1600、1600〜1700、1700〜1800、1800〜1900、1900〜2000、2000〜2200、2200〜2400、2400〜2600、2600〜2800、2800〜3000、3000〜4000、4000〜5000、5000〜6000、6000〜7000、または7000〜8000の範囲の分子量を有する。
5.3.5. (ポリ)アルキレングリコールエーテル作用物質
上記のように、式(I)〜(IV)のポリエーテル作用物質の局面は、アルコキシ基で終結する直鎖ポリマーを含み、すなわち、式(I)〜(Ia)では、R2およびR3はそれぞれアルキル、例えば、C(1〜6)アルキルである。式(I)〜(Ia)のポリエーテル作用物質が直鎖ポリマーである場合、これは、(ポリ)アルキレングリコールまたは(ポリ)アルキレングリコールエーテルと称され得る。式(I)〜(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテルは(ポリ)アルキレングリコールエーテルであり、すなわち、ポリマーの末端基はアルキルエーテル基である。式(I)〜(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテルは(ポリ)アルキレングリコールジメチルエーテルである。式(I)〜(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテルは(ポリ)アルキレングリコールジエチルエーテルである。式(II)のいくつかの態様では、ポリエーテルは(ポリ)エチレングリコールジメチルエーテルである。式(III)〜(IIIb)のいくつかの態様では、ポリエーテルは(ポリ)プロピレングリコールジメチルエーテルである。式(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテルは(ポリ)1,4-ブチレングリコールジメチルエーテルである。式(IV)のいくつかの態様では、ポリエーテルは(ポリ)1,3-ブチレングリコールジメチルエーテルである。
ある特定の態様では、本開示は、有効量のアセテート、アクリレート、例えば、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート(CAS 32171-39-4)などを有するセンシング溶液を提供する。
5.3.6. カチオン塩作用物質
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して生体分子を検出および特性評価するためのカチオン塩作用物質を提供する。本開示のカチオン塩作用物質は、ナノ細孔デバイスを使用して生体分子の検出および分解能を増強させるために、有効な量で、センシング溶液中で使用される。当業者は、用語「塩作用物質」は用語「電解質」と互換的に使用することができることを理解するであろう。
本開示は、有効な少なくとも1つの一価カチオンまたは一価カチオン塩を含む様々なセンシング溶液を提供する。いくつかの態様では、一価カチオンは、Li、Na、K、またはCsであり得る。いくつかの態様では、一価カチオン塩は、CsCl、LiCl、NaCl、またはKClである。一価カチオンまたは一価カチオン塩は、検出される生体分子に応じて、様々なモル濃度で、センシング溶液中で使用することができる。いくつかの態様では、一価カチオンまたは一価カチオン塩は、約0.5M、約1M、約1.5M、約2M、約2.5M、約3M、約3.5M、約4M、約5M、または約6Mの全濃度をセンシング溶液中に有することができる。
本開示は、有効な少なくとも1つの二価カチオンまたは二価カチオン塩を含む様々なセンシング溶液も提供する。いくつかの態様では、二価カチオンは、Ca2+またはMg2+であり得る。いくつかの態様では、二価カチオン塩はMgCl2またはCaCl2である。いくつかの態様では、二価カチオンまたは二価カチオン塩は、約0.5M、約1M、約1.5M、約2M、約2.5M、約3M、約3.5M、約4M、約5M、または約6Mの全濃度をセンシング溶液中に有することができる。
CsCl作用物質
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して生体分子を検出および特性評価するための、CsCl作用物質を含む様々なセンシング溶液組成物を提供する。CsCl作用物質は、センシング溶液中において有効量を構成することができる。
CsCl作用物質の有効量は、使用される生体分子、方法、または用途に依存すると考えられる。いくつかの態様では、CsCl作用物質の有効量は約0.5、約1M、約1.5M、約2M、約2.5M、約3M、約3.5M、または約4Mである。
本開示によって提供されるCsCl作用物質は、ナノ細孔デバイス中の膜全体にわたって勾配センシング溶液を形成するために、様々な濃度で加えることができる。例えば、より高い濃度のCsClをシスチャンバーに加えることができ、より低い濃度のCsClをトランスチャンバーに加えることができる。いくつかの非限定例としては、1M/0.5M CsCl、2M/1M CsCl、または3M/1.5M CsClが挙げられる。別の態様では、より低い濃度のCsClをシスチャンバーに加えることができ、より高い濃度のCsClをトランスチャンバーに加えることができる。
CaCl 2 作用物質
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して生体分子を検出および特性評価するための、CaCl2作用物質を含む様々なセンシング溶液組成物を提供する。CaCl2作用物質は、センシング溶液中において有効量を構成することができる。
CaCl2作用物質の有効量は、使用される生体分子、方法、または用途に依存すると考えられる。いくつかの態様では、CaCl2作用物質の有効量は、約0.5、約1M、約1.5M、約2M、約2.5M、約3M、約3.5M、または約4Mである。
本開示によって提供されるCaCl2作用物質は、ナノ細孔デバイスの膜全体にわたって勾配センシング溶液として加えることができる。いくつかの態様では、より高い濃度のCaCl2をシスチャンバーに加えることができ、より低い濃度のCaCl2をトランスチャンバーに加えることができる。勾配濃度の非限定例としては、1M/0.5M CaCl2、2M/1M CaCl2、または3M/1.5M CaCl2が挙げられる。他の態様では、より低い濃度のCaCl2をシスチャンバーに加えることができ、より高い濃度のCaCl2をトランスチャンバーに加えることができる。
5.3.7. 有効量
センシング溶液中のポリエーテル作用物質の有効量は、使用される用途、生体分子、または方法に依存すると考えられる。
多くの場合、有効量は、ナノ細孔デバイスにおける生体分子の検出または特性評価において、精度の向上を可能にする。セクション5.3.9に記載されている本開示のセンシング溶液を使用して精度の向上を達成するための非限定な方法を参照されたい。
いくつかの態様では、センシング溶液中の(例えば、本明細書に記載される)ポリエーテル作用物質の有効量は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、または約30%v/vである。いくつかの態様では、センシング溶液中のポリエーテル作用物質の有効量は30%v/vである。
いくつかの態様では、センシング溶液中の(例えば、本明細書に記載される)ポリエーテル作用物質の有効量は、重量で約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、または約30%である。いくつかの態様では、センシング溶液中のポリエーテル作用物質の有効量は、(例えば本明細書に記載されるような)ポリエーテル作用物質の重量で30%以下である。
ポリエーテル作用物質のように、CaCl2またはCsCl作用物質の有効量も使用される生体分子、方法、または用途に依存すると考えられる。
いくつかの態様では、CaCl2またはCsCl作用物質の有効量は約0.5、約1M、約1.5M、約2M、約2.5M、約3M、約3.5M、または約4Mである。いくつかの態様では、これらのモル濃度のいずれか1つの組み合わせを使用して、ナノ細孔デバイス中で生体分子を特性評価または検出するのに有効な量で勾配を適用することができる。
5.3.8. さらなる作用物質
センシング溶液は、緩衝液中に存在することが公知である任意の他の作用物質または化学物質を含むことができる。当業者によって認識されると考えられるように、本開示のセンシング溶液中に含むことができる非限定例としては、緩衝化溶液、塩、およびキレート剤、炭水化物、または糖が挙げられる。ナノ細孔検出についての標準的なスクリーニング方法を使用して、センシング溶液を用いて、さらなる作用物質のいずれか1つを(例えば、濃度について)最適化することができることが意図される。
二価もしくは一価のカチオンまたは塩を本開示のセンシング溶液に添加することができることが意図される。さらなる作用物質としてセンシング溶液に添加することができるカチオンまたは塩の非限定例は、LiCl、NaCl、KCl、MgCl2、CsCl、CaCl2、Li、Na、K、Mg、Cs、Ca、またはこれらの組み合わせである。これらの塩は、様々な濃度として添加することができる。例えば、さらなる塩作用物質は、0.01M、0.02M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、1M、1.5M、2M、2.5M、3M、3.5M、4M、4.5M、もしくは5Mより大きいモル濃度、または精度を向上させるようにセンシング溶液とともに機能する任意の濃度で使用することができる。
いくつかの態様では、本開示のセンシング溶液はキレート剤を含むことができる。本明細書に記載されるセンシング溶液に添加することができるキレート剤としては、限定されないが、EDTA、EGTA、または当技術分野において公知である任意の他のキレート剤が挙げられる。キレート剤は、様々な濃度でセンシング溶液に添加することができる。例えば、キレート剤は、0.01M、0.02M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、1M、1.5M、2Mより大きいモル濃度、または精度を向上させるようにセンシング溶液とともに機能する任意の濃度で使用することができる。
緩衝溶液も本開示のセンシング溶液に添加することができる。センシング溶液に添加することができる緩衝溶液の非限定例は、TRIS-HCl、ボレート、CHES、ビス-トリスプロパン、CAPS、リン酸カリウム、TRIS、またはHEPESである。緩衝溶液は、様々な濃度で添加することができる。例えば、緩衝溶液は、0.01M、0.02M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、1M、1.5M、2M、2.5M、3M、3.5M、4M、4.5M、5M、6M、7M、9M、10M、11Mより大きいモル濃度、または精度を向上させるようにセンシング溶液とともに機能する任意の濃度でセンシング溶液に添加することができる。
さらに、使用される用途、生体分子、または方法に応じて、本開示のセンシング溶液は、ある特定の作用物質を省略することもできる。
いくつかの用途では、センシング溶液はグリセロールを含まない。
いくつかの用途では、センシング溶液は7000より大きいPEGを含まない。いくつかの用途では、本開示の提供されるセンシング溶液はPEG8000を含まない。
5.3.9. 精度の向上
本開示のセンシング溶液は、標準緩衝液と比較して、ナノ細孔デバイスを使用した生体分子の検出および特性評価において精度の向上を提供する。本開示のセンシング溶液を使用した精度の向上は、決定される生体分子のタイプ、方法、用途、または特性に依存すると考えられる。
いくつかの態様では、精度の向上は、標準緩衝液中で別の方法では検出されない生体分子またはその修飾の検出であり得る。
いくつかの用途では、精度の向上は、標準緩衝液中で細孔を通過する分子の事象の実質的な数の検出であり得る。事象の実質的な数は、合理的な時間量後の100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000であり得る。
合理的な時間量は、試料中のバックグラウンド分子(例えば、非標的分子)のレベルに依存すると考えられる。例えば、幹細胞からのバイオマーカーなど、核酸またはタンパク質が、試料中にまれであることが公知である場合、合理的な量は、幹細胞集団について実質的に精製された試料と比較して長くなると考えられる。いくつかの態様では、合理的な時間量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30分であると考えられる。いくつかの態様では、合理的な時間量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分であると考えられる。
いくつかの用途では、精度の向上は、標準緩衝液中で検出されないであろう生体分子の1つまたは複数の特性(例えば、長さ、サイズ、構造、濃度、修飾など)を決定することであり得る。
いくつかの用途では、精度の向上は、試料中の類似した長さを有する2つ以上の生体分子の長さの違いを解明することであり得る。いくつかの態様では、精度の向上は、試料中の異なる長さまたはサイズの生体分子の識別であり得る。いくつかの態様では、識別は、50bp、100bp、150bp、200bp、250bp、300bp、350bp、400bp、450bp、または500bp未満の長さの違いである。
いくつかの態様では、精度の向上は、試料中の生体分子の異なるサイズの識別であり得る。いくつかの態様では、生体分子の異なるサイズの識別は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100kDa未満のサイズの違いであり得る。いくつかの態様では、識別は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100kDaより大きい可能性がある異なるサイズの生体分子間である。
いくつかの用途では、精度の向上は、試料中の類似した構造を有する2つ以上の生体分子の構造の違いを解明することであり得る。いくつかの用途では、精度の向上は、試料中の類似した構造を有する2つ以上のタンパク質の構造の違いを解明することであり得る。いくつかの用途では、精度の向上は、試料中の類似した構造を有する2つ以上の核酸の構造の違いを解明することであり得る。
いくつかの用途では、精度の向上は、試料中の(例えば、電荷、長さ、および/またはサイズにおいて)類似した修飾を有する2つ以上の生体分子の化学修飾の違いを解明することであり得る。
いくつかの用途では、精度の向上は、タンパク質または核酸における修飾の数を解明することであり得る。
いくつかの用途では、精度の向上は、タンパク質または核酸における修飾の有無を解明することであり得る。生体分子に関して検出または特性評価することができる修飾の非限定例としては、限定されないが、メチル化、リン酸化、アセチル化などが挙げられる。
5.3.10. 標準緩衝液
本明細書に提供されるセンシング溶液と比較して精度の向上を決定するために使用される標準緩衝液は、当技術分野において公知である任意のナノ細孔緩衝液、泳動用緩衝液、またはセンシング緩衝液であり得る。決定される生体分子のタイプ、方法、用途、または特性に応じて、標準緩衝液組成物は異なると考えられる。
いくつかの態様では、標準的なナノ細孔緩衝液は、有効量のLiCl、KCl、もしくはNaCl、またはこれらの一価緩衝液を含むことができる。標準緩衝液の「有効量」は、合理的な速度で細孔を通して生体分子を移動させることができるが、類似した物理的性状を有する2つ以上の生体分子に対して、生体分子の検出、分解能、または特性評価の向上をもたらさないものである。
いくつかの態様では、LiCl、KCl、NaCl、またはこれらの一価のイオンを含む標準緩衝液は、0.5M、1M、2M、3M、4M、または5M未満のモル濃度である、0.5M、1M、2M、3M、4M、または5M未満のモル濃度を有することができる。いくつかの態様では、標準緩衝液は、4.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAである。
いくつかの態様では、標準緩衝液は本開示のポリエーテル作用物質を含まない。いくつかの態様では、標準緩衝液は式(II)〜(IV)の有効量のポリエーテルを含まない。
いくつかの態様では、標準緩衝液は、1種または複数種の緩衝化学物質または作用物質をさらに含むことができる。標準緩衝液中で使用される緩衝化学物質または作用物質としては、限定されないが、Tris、Tris-HCL、ボレート、CHES、ビス-トリスプロパン、CAPS、または当技術分野において公知の他のものを挙げることができる。
いくつかの態様では、標準緩衝液は、キレート剤をさらに含むことができる。標準緩衝液中に含むことができるキレート剤としては、限定されないが、EDTA、EGTA、または当技術分野において公知の他のものが挙げられる。いくつかの用途では、標準緩衝液は、0.5mM、1mM、2mM、3mM、または4mM未満の濃度のキレート剤を含むことができる。いくつかの用途では、標準緩衝液は、0.5mM、1mM、2mM、3mM、または4mMを上回る濃度のキレート剤を含むことができる。
いくつかの態様では、標準緩衝液は、3000、4000、5000、6000、または7000の分子量より大きいPEGを含むと考えられる。いくつかの態様では、標準緩衝液は、PEG8000の分子量を含むと考えられる。いくつかの態様では、標準緩衝液は、有効量のグリセロールを含む。
多くの場合、標準緩衝液は、有効量のポリエーテル作用物質を有効量で含まない。いくつかの態様では、標準緩衝液は、式(I)もしくはその態様;式(II)もしくはその態様;式(III)もしくはその態様、式(IV)もしくはその態様、およびこれらの組み合わせの有効量を含まない。
5.4. 方法
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出および特性評価するための様々な方法を提供する。
本開示の方法は、長さ、電荷、構造、濃度、またはこれらの組み合わせなどの類似した物理的特性を有する、かつ、ナノ細孔デバイス中で標準緩衝液を使用して別の方法では検出されない、互いから分離されない、または特性評価することができない、試料中の生体分子を検出および分離するのに特に有用である。標準緩衝液は、当技術分野において公知である任意のナノ細孔緩衝液およびセクション5.3.10に記載されている緩衝液を含むことができる。
本開示によって提供される方法は、標準緩衝液で実施される同じ方法と比較して、検出または特性評価の精度の向上も提供する。標準緩衝液は、当技術分野において公知である任意のナノ細孔緩衝液およびセクション5.3.10で提供される緩衝液を含むことができる。
多くの場合、本開示の方法は、標的分子、または検出を増強するように改変された(例えば、プローブ、標識、色素、または電圧感受性部分)標的分子からの電流シグネチャを使用するであろう。電流シグネチャは、1つの特色または1つを超える特色を含むことができる。電流シグネチャの特色の非限定例としては、限定されないが、計算された事象ドウェル時間、平均事象振幅、最大事象振幅、中央事象振幅、事象領域、または当技術分野において公知の他のものが挙げられる。当業者は、計算された事象ドウェル時間、平均事象振幅、最大事象振幅、中央事象振幅、または事象領域の任意の組み合わせをシグネチャは含むことができることを認識すると考えられる。いくつかの態様では、分子タイプ間の識別を増強するために、複数のシグネチャが事象内に存在することもできる。いくつかの態様では、電流シグネチャは電流測定値の収集である。いくつかの態様では、電流シグネチャは検出された事象内で特定されるパターンである。
いくつかの態様では、試料中の生体分子を検出または特性評価するための方法は、以下の工程を含む:(a)生体分子を含む疑いがある試料を本開示のセンシング溶液のいずれか1つと接触させる工程であって、センシング溶液がナノ多孔膜に接触しており、ナノ多孔膜がデバイスの空間をシス容積とトランス容積に分ける工程;(b)ナノ多孔膜のナノ細孔をはさんで電圧を印加し、それによって、ナノ多孔膜を通る生体分子の移動を誘導する工程;ならびに(c)存在する場合に生体分子の移動の間の電流を検出する工程;および存在する場合に生体分子を検出または特性評価する工程であって、シス容積とトランス容積が同じセンシング溶液を含む工程。
いくつかの態様では、試料中の生体分子を検出または特性評価するための方法は、以下の工程を含む:(a)生体分子を含む疑いがある試料を本開示のセンシング溶液のいずれか1つと接触させる工程であって、センシング溶液がナノ多孔膜に接触しており、ナノ多孔膜が空間をシス容積とトランス容積に分ける工程;(b)ナノ多孔膜のナノ細孔をはさんで電圧を印加し、それによって、ナノ多孔膜を通る生体分子の移動を誘導する工程;ならびに(c)存在する場合に生体分子の移動の間の電流を検出する工程;および存在する場合に生体分子を検出または特性評価する工程であって、シス容積とトランス容積が互いに異なるセンシング溶液を含む工程。
いくつかの態様では、試料中の生体分子を検出または特性評価するための方法は、以下の工程を含む:(a)生体分子を含む疑いがある試料を本開示のセンシング溶液のいずれか1つと接触させる工程であって、センシング溶液がナノ多孔膜に接触しており、ナノ多孔膜が空間をシス容積とトランス容積に分ける工程;(b)ナノ多孔膜のナノ細孔をはさんで電圧を印加し、それによって、ナノ多孔膜を通る生体分子の移動を誘導する工程;ならびに(c)存在する場合に生体分子の移動の間の電流を検出する工程;および存在する場合に生体分子を検出または特性評価する工程であって、シス容積とトランス容積が、モル濃度が互いに異なる勾配センシング溶液を含む工程。
用途に応じて、加えられる電流のタイプを用途に適合させることができる。例えば、塩基検出によるシークエンシングが望まれる場合、トンネル電流を本明細書に提供される方法とともに使用することができる。ある特定の態様では、シークエンシング方法は、使用され得るイオン電流を使用することができる。
本開示は、試料中のタンパク質または核酸の有無を決定するための方法を提供する。すなわち、方法は、特定の標的タンパク質または標的核酸が試料中に存在するかどうかを決定するために適用される。そうした方法は、ユニークなバイオマーカーまたは突然変異を探す診断用途に適用することができる。この方法は、特定の病原菌(microbe)、ウイルス、または微生物または宿主の感染マーカーを示すタンパク質または遺伝子の存在について試料が検査される感染症スクリーニングにも適用することができる。
本開示は、タンパク質または核酸の量を決定するための方法を提供する。いくつかの態様では、この量は、導入遺伝子の挿入(例えば、遺伝子改変生物)、転座、挿入、または欠失などの、分子の数または遺伝子座コピー数であり得る。この方法は、様々なスクリーニング用途、例えば、ヒトにおける特定のゲノム突然変異、病態に関連していることが公知である特定の染色体もしくは遺伝子座のコピー数、癌生検における体細胞突然変異のスクリーニング、または植物もしくは農業試料における導入遺伝子の挿入のスクリーニングに適用することができる。
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、タンパク質または核酸の同一性を決定するために使用することができる。同一性は、シークエンシングによって、またはプローブ、もしくは電流を変えることが公知である物理的特性を変化させることが当技術分野において公知である任意の他の分子修飾(例えば、電圧感受性部分)の検出によって、決定することができる。この方法は、様々なスクリーニング用途、例えば、小さな遺伝子変異、例えば一塩基多型、小さな挿入もしくは欠失突然変異、CRISPRによる高精度突然変異、または特定のタンパク質結合ドメインの発現のスクリーニングに有効であり得る。
本開示は、タンパク質または核酸の修飾を検出および特性評価するための方法を提供する。本開示の方法とともに使用することができる修飾の例としては、限定されないが、メチル化、アセチル化、リン酸化などが挙げられる。方法は、関心対象のある特定の残基におけるそのリン酸化状態、ある特定の遺伝子座のクロマチンの状態、腫瘍抑制因子または癌遺伝子のメチル化、アセチル化、リン酸化状態によって、特定のタンパク質が試料中で活性化されているかどうかを決定するために適用することができる。
本開示は、タンパク質または核酸の構造を決定するための方法を提供する。本開示とともに使用することができる構造の例としては、限定されないが、ヘアピン、ベータシート、アルファヘリックス、またはDNAオリガミ技法で作製される構造(例えば、DNAノットなど)が挙げられる。
本開示は、タンパク質または核酸の配列を決定するための方法を提供する。いくつかの態様では、方法は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド中の核酸塩基またはアミノ酸残基を決定する配列を決定することができる。いくつかの態様では、方法は、塩基対(例えば、C-G、A-Tなど)によって配列を決定することができる。いくつかの態様では、方法は、本明細書に提供されるプローブの使用を含む方法を使用してセグメントを特定することによって、配列を決定することができる。
本開示は、生体分子の有無、量、同一性、修飾、構造、濃度、または配列である特性の2つ以上を決定するための方法を提供する。
本開示によって提供される方法は、全体的または部分的に自動化され得る。
5.4.1. 試料
本開示は、試料から生体分子を検出または特性評価するための方法を提供する。当業者が認識すると考えられるように、試料は、試料の供給源または試料の加工もしくは処理に応じて、1種の生体分子を実質的に含むことができる。しかし、ある特定の用途では、試料はいくつかの異なる生体分子タイプを含むと考えられる。
生体分子それ自体または特性評価される生体分子の局面は、ナノ細孔検出に非常に感受性である可能性があり、試料の大規模な加工または処理、例えば、増幅、単離、および誘導体化などを必要としない可能性がある。しかし、いくつかの生体分子については、増幅(例えば、PCR増幅、もしくはプラスミド複製による)、単離、および誘導体化など、試料の加工もしくは処理が必要とされると考えられ、または検出プローブおよび標識を本開示の方法、システム、およびキットとともに使用することができる。
本開示の方法とともに使用することができる試料の例としては、限定されないが、生物試料、臨床試料、環境試料(例えば、空気、水、農業、土壌)または農業試料(例えば、植物、藻類、または真菌)が挙げられる。
本明細書に提供される方法で使用される試料は、対象由来であり得る。対象は動物、植物、またはヒトであり得る。
動物は、鳥、例えば、ニワトリであり得る。動物は哺乳動物であり得る。哺乳動物は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、またはブタであり得る。哺乳動物は、霊長類、例えばヒト、チンパンジー、オランウータン、またはゴリラであり得る。
ヒトは男性でも女性でもよい。いくつかの態様では、試料はヒト胚またはヒト胎児由来であり得る。いくつかの態様では、試料は、ヒトまたは動物の特定の器官タイプ、例えば:心臓、皮膚、肝臓、肺、乳房、胃、膵臓、膀胱、結腸、腸、胆嚢、または脳などの由来であり得る。
試料は、特定の疾患、障害または状態を有する、あるいは特定の疾患、障害もしくは状態を有する疑いがある(または特定の疾患、障害もしくは状態を有する危険性がある)対象由来であり得る。疾患、障害または状態の例としては、限定されないが、遺伝性疾患、増殖性疾患、例えば癌、老化状態、または感染症が挙げられる。
試料は、核酸またはタンパク質またはペプチドまたはこれらの断片(例えば、無細胞DNA)を含む様々な供給源から得ることができる。本開示とともに使用することができる試料供給源の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:房水、硝子体液、胆汁、全血、血清、血漿、母乳、脳脊髄液、耳垢、内リンパ、外リンパ、胃液、粘液、腹膜液、唾液、皮脂、精液、汗、発汗物、涙、膣分泌物、嘔吐物、糞便、または尿。
試料は、(例えば、一次または培養)細胞株、ゲノムDNA、無細胞血漿、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料、または急速冷凍された組織もしくは血液試料から得ることもできる。
5.4.2. 生体分子
用語「生体分子」は、限定されないが、核酸(例えば、DNAもしくはRNA)、タンパク質、ペプチド、抗体、小分子、アプタマー、分析物、または薬物作用物質を含んでいた。生体分子は、1つまたは複数の修飾を含むこともできる。生体分子は天然源由来であり得る。生体分子は合成的に作製することができる。
試料と同様に、試料中の生体分子の存在量に応じて、方法は、検出の前に生体分子の存在量を増大させるために、生体分子の処理または加工を含むことができる。いくつかの態様では、生体分子は実質的に精製されている。生体分子の実質的な精製は、当技術分野において公知である粗精製方法または市販の精製キットを使用することによって、行うことができる。
生体分子は、(他の分子を用いないで)直接的に検出することができ、あるいは分子プローブ、標識(例えば、光学標識、ユニークな識別子もしくはバーコード)、色素、または当技術分野において公知である任意の他の検出分子の使用によって、間接的に検出することができる。
本開示は、核酸の検出または特性評価のための方法も提供する。核酸は、ミトコンドリアDNA、ゲノムDNA、mRNA、siRNA、miRNA、shRNA、cRNA、一本鎖DNA、二本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、tRNA、rRNA、またはcDNAであり得る。核酸は断片化され得る。いくつかの態様では、試料は、RNA/DNAハイブリッド、PNA/DNAハイブリッド、またはRNA/PNAハイブリッドのようなハイブリッドポリヌクレオチドを含むことができる。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドはタンパク質(例えば、抗体またはタンパク質結合分子)に結合している。
方法は、様々なサイズを有するタンパク質を検出または特性評価するために使用することができる。核酸は、4kb、3kb、2kb、1kb、500bp、400bp、300bp、200bp、または100bp以下の長さを有することができる。いくつかの態様では、核酸は、約1kb、500bp、400bp、300bp、200bp、100bp、50bp、30bp、20bp、または10bp未満の長さの違いを有する。
本開示は、タンパク質の検出のための方法も提供する。本開示の方法によって検出されるタンパク質は、完全なタンパク質、ペプチド、小分子、または薬物、例えば、抗体、タンパク質模倣物などであり得る。
方法は、約10kDa〜500kDaまでの範囲の様々なサイズを有するタンパク質を検出または特性評価するために使用することができる。いくつかの態様では、タンパク質は、少なくともl00〜200kDa、200〜300kDa、300〜400kDa、または500〜600kDaである。
ナノ細孔デバイスによる生体分子の検出の感度に応じて、方法は、検出を増強するために生体分子の修飾を含むことができる。本開示の方法とともに使用することができる修飾の非限定例としては、生体分子を電圧感受性部分に連結させることが挙げられる。電圧感受性部分は、電流を変えることが公知である物理的特性を変化させることが公知である分子修飾であり得る。分子修飾の非限定例としては、色素、分子プローブ(アミノ酸残基のコンジュゲーションまたは核酸相補的塩基対形成など(例えば、PNA)を介して連結される)、ビーズ、分子ハンドル、バーコード、ユニークな識別子、または光学標識を挙げることができる。
5.4.3. センシング溶液
セクション5.3で本開示によって提供されるセンシング溶液組成物のいずれも、本開示によって提供される方法とともに、有効量で使用することができることが意図される。本明細書において記載されるように、さらなる作用物質をセンシング緩衝液に添加することができることを当業者は容易に理解するであろう。
いくつかの態様では、方法は、対称的に加えられる、すなわち、ナノ細孔デバイスのシスおよびトランス容積中に同じセンシング溶液を含む、セクション5.3のセンシング溶液組成物を含む。いくつかの態様では、方法は、非対称的に加えられる、すなわち、例えば、以下のいずれかを含む、セクション5.3のセンシング溶液組成物を含む:ナノ細孔デバイスのシス容積およびトランス容積中に異なるセンシング溶液;シス容積中にセンシング溶液およびトランス容積中に標準緩衝液;シス容積中にセンシング溶液およびトランス容積中に炭水化物溶液、またはこれらの逆。
本開示の組成物は、本明細書に提供される方法、デバイス、システム、およびキットとともに、有効量で使用することができることが意図される。いくつかの態様では、ポリエーテル作用物質の有効量はセクション5.3.7で提供されるとおりである。
本明細書に記載されるポリエーテル作用物質のいずれもセンシング溶液中で利用することができる。いくつかの態様では、方法は、式(I):
Figure 2021536261
のポリエーテルの有効量を含むセンシング溶液を使用することができ、式中、mは1〜3であり;nは1〜30であり;各R1は独立に、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であり;R2およびR3はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル(例えば、メチル)または末端基であり、センシング溶液は、ナノ細孔デバイスを使用して生体分子を検出または特性評価することができる。
いくつかの態様では、方法は、式(Ia)〜(IV)のポリエーテルの有効量を含むセンシング溶液を含むことができる。
5.4.4. 非対称&勾配センシング溶液
いくつかの用途については、標的分子の検出または特性評価のために非対称センシング溶液を使用することが有利であると考えられる。この方法では、ナノ細孔デバイスは、内部空間をシス容積(例えば、第1の容積)とトランス容積(例えば、第2の容積)に分けるナノ多孔膜を含み、その結果、異なるセンシング溶液をデバイスに、例えば、ナノ多孔膜の両側に加えることができる。いくつかの態様では、分析物(例えば、生体分子)は、シス容積中の第1のセンシング溶液からトランス容積中の第2のセンシング溶液にナノ多孔膜を通って移動する。移動の間に分析物を検出することができる。
非対称センシング溶液方法では、デバイスは、それぞれシス容積およびトランス容積中に異なる組成物を含む、シス容積およびトランス容積を含む。例えば、非対称センシング溶液は、シス容積中にセンシング溶液、炭水化物溶液、または標準緩衝液を、トランス容積中にセンシング溶液、炭水化物溶液、または標準緩衝液を、これらが同じでない限り有することができる。
いくつかの態様では、デバイスは、本明細書に記載されるセンシング溶液を含むシス容積および当技術分野において公知である任意の標準緩衝液を含むトランス容積を含む。いくつかの態様では、デバイスは、本明細書に記載されるセンシング溶液を含むシス容積および本明細書に記載される標準緩衝液を含むトランス容積を含む。いくつかの態様では、デバイスは、本明細書に記載されるセンシング溶液を含むシス容積および有効量のLiCl、KClを含むトランス容積を含む。いくつかの態様では、デバイスは、本明細書に記載されるセンシング溶液を含むシス容積および4.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAを含むトランス容積を含む。
いくつかの態様では、デバイスは、本明細書に記載されるセンシング溶液のいずれか1つを含むシス容積および炭水化物溶液を含むトランス容積を含む。いくつかの態様では、デバイスは、炭水化物溶液を含むシス容積および本明細書に記載されるセンシング溶液のいずれか1つを含むトランス容積を含む。
炭水化物溶液
ナノ細孔デバイス中で非対称的に使用される炭水化物溶液がいくつかの生体分子の検出または特性評価の精度を向上させることが意図される。いくつかの態様では、デバイスは、センシング溶液のいずれか1つを含むシス容積および炭水化物溶液を含むトランス容積を含む。
炭水化物溶液は、マルトース、グリセロール、ソルビトール、グルコース、またはマルトデキストランを含むことができる。いくつかの態様では、炭水化物溶液は、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%v/v含む。好ましい態様では、トランス容積は、マルトースを少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%v/v含む。
いくつかの態様では、デバイスは、PEG200センシング溶液を含むシス容積および炭水化物溶液を含むトランス容積を含む。いくつかの態様では、デバイスは、PEG200センシング溶液を含むシス容積およびマルトース炭水化物溶液を含むトランス容積を含む。
ポリエーテル勾配センシング溶液
いくつかの態様では、標的生体分子について試料を特性評価する方法は、以下を含む:標的生体分子を含む疑いがある試料を提供する工程;ナノ細孔デバイスの第1の容積中に該試料をロードする工程であって、該ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、該層がナノ細孔を含み;該第1および第2の容積が該ナノ細孔を通じて流体連通しており、該第1の容積または該第2の容積がエチレングリコールを含むセンシング溶液を含む工程;該ナノ細孔をはさんで電位差を適用して、第1の容積から第2の容積への該ナノ細孔を通る荷電分子の移動を誘導する工程;該ナノ細孔を通る該荷電分子の移動の間、該細孔を通る電流を含む信号を検出する工程;ならびに該標的生体分子について該試料の特性を該信号から決定する工程。
いくつかの態様では、エチレングリコールを含むセンシング溶液は、第1の容積と第2の容積の両方に存在する。いくつかの態様では、エチレングリコールセンシング溶液は、0.01%v/v以上、0.02%v/v以上、0.05%v/v以上、0.1%v/v以上、0.2%v/v以上、0.5%v/v以上、1%v/v以上、2%v/v以上、5%v/v以上、10%v/v以上、15%v/v以上、20%v/v以上、または25%v/v以上の濃度で、該第1の容積または該第2の容積に存在する。いくつかの態様では、エチレングリコールセンシング溶液は少なくとも0.01M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、または1Mの濃度で、該第1の容積または該第2の容積に存在する。
CsClおよびCaCl 2 勾配センシング溶液
いくつかの態様では、CsClまたはCaCl2を含む緩衝液(例えば、センシング溶液)は、第1の容積と第2の容積の両方に存在する。いくつかの態様では、CsClまたはCaCl2は、第1のチャンバーおよび第2のチャンバーの両方に等モル濃度で存在する。いくつかの態様では、カチオン塩作用物質の濃度勾配を膜全体にわたって生成するために、CsClまたはCaCl2センシング溶液は、第2の容積と比べて第1の容積に異なる濃度を有する。
いくつかの態様では、塩作用物質センシング溶液は勾配の状態であり、第2の容積より少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%低いCsClまたはCaCl2濃度を第1の容積に有する。いくつかの態様では、塩作用物質センシング溶液は勾配の状態であり、第2の容積中のセンシング溶液のCsClまたはCaCl2の濃度は、第1の容積より少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%低い濃度を有する。
いくつかの態様では、CsClまたはCaCl2センシング溶液は、0.1M以上の濃度で第1の容積または第2の容積に存在する。いくつかの態様では、CsClまたはCaCl2センシング溶液は、0.5M以上の濃度で第1の容積または第2の容積に存在する。いくつかの態様では、CsClまたはCaCl2センシング溶液は、1M以上の濃度で第1の容積または第2の容積に存在する。いくつかの態様では、CsClまたはCaCl2センシング溶液は、少なくとも0.01M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、または1Mの濃度で第1の容積または第2の容積に存在する。
いくつかの態様では、以下を含む、標的dsDNAについて試料を特性評価する方法が本明細書に提供される:74bp〜108bpの長さを有する標的dsDNAを含む疑いがある試料を提供する工程;ナノ細孔デバイスの第1の容積に試料をロードする工程であって、ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、層が27nm〜73nmの最小直径を含むナノ細孔を含み;第1および第2の容積がナノ細孔を通じて流体連通しており、第1の容積または第2の容積が1M CaCl2を含むセンシング溶液を含む工程;ナノ細孔をはさんで電位差を適用して、存在する場合、第1の容積から第2の容積へのナノ細孔を通る標的dsDNAの移動を誘導する工程;ナノ細孔を通る標的dsDNAの移動の間、細孔を通る電流を含む信号を検出する工程;ならびに標的dsDNAについて試料の特性を信号から決定する工程。
いくつかの態様では、以下を含む、標的dsDNAについて試料を特性評価する方法が本明細書に提供される:58bp〜108bpの長さを有する標的dsDNAを含む疑いがある試料を提供する工程;ナノ細孔デバイスの第1の容積に試料をロードする工程であって、ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、層が27nm〜102nmの最小直径を含むナノ細孔を含み;第1および第2の容積がナノ細孔を通じて流体連通しており、第1の容積または第2の容積が1M〜3MのCsClを含むセンシング溶液を含む工程;ナノ細孔をはさんで電位差を適用して、存在する場合、第1の容積から第2の容積へのナノ細孔を通る標的dsDNAの移動を誘導する工程;ナノ細孔を通る標的dsDNAの移動の間、細孔を通る電流を含む信号を検出する工程;ならびに標的dsDNAについて試料の特性を信号から決定する工程。
5.4.5. エチレングリコールセンシング溶液を使用した方法
本開示は、次の態様において以下に概要を述べる、エチレングリコールセンシング溶液を使用した様々なさらなる方法を提供する。当業者は、用語「緩衝液」は単語「センシング溶液」と互換的に使用することができることを認識すると考えられる。
態様1.以下を含む、標的生体分子について試料を特性評価する方法:標的生体分子を含む疑いがある試料を提供する工程;ナノ細孔デバイスの第1の容積中に該試料をロードする工程であって、該ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、該層がナノ細孔を含み;該第1および第2の容積が該ナノ細孔を通じて流体連通しており、該第1の容積または該第2の容積がエチレングリコールを含むセンシング溶液を含む工程;該ナノ細孔をはさんで電位差を適用して、第1の容積から第2の容積への該ナノ細孔を通る荷電分子の移動を誘導する工程;該ナノ細孔を通る該荷電分子の移動の間、該細孔を通る電流を含む信号を検出する工程;ならびに標的生体分子について該試料の特性を該信号から決定する工程。
態様2.前記エチレングリコールがポリエチレングリコールである、態様1の方法。
態様3.前記ポリエチレングリコールがトリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、またはポリエチレングリコール400である、態様2の方法。
態様4.前記エチレングリコールが以下の構造を含む、態様1の方法:
Figure 2021536261
式中、nは1〜10である。
態様5.前記ナノ細孔センシング溶液が塩を含む、態様1の方法。
態様6.前記塩がNaCl、KCl、またはLiClである、態様5の方法。
態様7.前記塩が、0.01Mを上回る、0.02Mを上回る、0.05Mを上回る、0.1Mを上回る、0.2Mを上回る、0.5Mを上回る、1Mを上回る、2Mを上回る、または3Mを上回る濃度で前記センシング溶液中に存在する、態様5の方法。
態様8.前記標的生体分子がポリヌクレオチドである、態様1の方法。
態様9.前記ポリヌクレオチドがdsDNA、ssDNA、RNA、またはRNA/DNAハイブリッドである、態様8の方法。
態様10.前記ポリヌクレオチドが2kb、1kb、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、または100塩基以下の長さを有する、態様8の方法。
態様11.前記標的dsDNAが500bp未満の長さである、態様9の方法。
態様12.前記標的dsDNAが10bp〜500bpの長さを含む、態様9の方法。
態様13.前記ナノ細孔が10nm〜150nmの直径を含む、態様1の方法。
態様14.前記ナノ細孔が4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、または65nmより大きい最小直径を特徴とする、態様1の方法。
態様15.前記ナノ細孔が70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、または110nm未満の最小直径を特徴とする、請求項1に記載の方法。
態様16.前記ナノ細孔が1000nm未満、500nm未満、200nm未満、100nm未満、または50nm未満の最小直径を有する、態様1の方法。
態様17.ナノ細孔が65nm〜100nmの最小直径を特徴とする、態様1の方法。
態様18.ナノ細孔が5nm〜100nmの最小直径を特徴とする、態様1の方法。
態様19.前記ポリヌクレオチドが500塩基以下の長さを有し、前記ナノ細孔が10nmの最小直径を有する、態様8の方法。
態様20.前記特性評価が前記標的生体分子の定量化を含む、態様1の方法。
態様21.前記特性評価が前記試料中のdsDNAの長さの識別を含む、態様9の方法。
態様30.前記識別が、50bp未満、100bp未満、200bp未満、300bp未満、400bp未満、または500bp未満のdsDNA長の違いである、態様21の方法。
態様31.前記センシング溶液中に前記ポリエチレングリコールがない状態で行われた同じ方法からの特性評価と比較して、前記特性評価の精度が改善されている、態様1の方法。
態様32.前記特性が、有無、量、同一性、修飾、構造、濃度、または配列からなる群より選択される、態様1の方法。
態様33.前記標的生体分子の有無が、単位時間あたりの移動信号の数を閾値と比較することによって決定され、閾値より上で、前記標的生体分子が前記試料中に存在することが決定され、閾値より下で、前記標的生体分子が前記試料中に存在しないことが決定される、態様24の方法。
態様34.エチレングリコールを含む前記センシング溶液が、第1の容積と第2の容積の両方に存在する、上記の態様のいずれかの方法。
態様35.前記エチレングリコールが、0.01%v/v以上、0.02%v/v以上、0.05%v/v以上、0.1%v/v以上、0.2%v/v以上、0.5%v/v以上、1%v/v以上、2%v/v以上、5%v/v以上、10%v/v以上、15%v/v以上、20%v/v以上、または25%v/v以上の濃度で、前記第1の容積または前記第2の容積中に存在する、上記の態様のいずれかの方法。
態様36.前記エチレングリコールが、少なくとも0.01M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、または1Mの濃度で、前記第1の容積または前記第2の容積中に存在する、態様1の方法。
態様37.少なくとも1/分、少なくとも2/分、少なくとも3/分、少なくとも4/分、少なくとも5/分、少なくとも10/分、少なくとも15/分、少なくとも20/分、少なくとも25/分、少なくとも30/分、少なくとも40/分、少なくとも50/分、少なくとも60/分、少なくとも70/分、少なくとも80/分、少なくとも90/分、少なくとも100/分、少なくとも150/分、少なくとも200/分、少なくとも250/分、少なくとも350/分、少なくとも450/分、少なくとも550/分、少なくとも650/分、少なくとも750/分、少なくとも850/分、少なくとも950/分、少なくとも1150/分、少なくとも1250/分、少なくとも1350/分、少なくとも1450/分、少なくとも1550/分、少なくとも1650/分、または少なくとも1750/分という、前記ナノ細孔における前記標的生体分子の検出率をもたらす、上記の態様のいずれかの方法。
態様38.前記デバイスが、前記ナノ細孔をはさんで電圧を印加するための、および1つのチャンバーからもう1つのチャンバーまで前記ナノ細孔を通る電流をモニターするための電極を含み、前記電極が電源に接続している、上記の態様のいずれか1つの方法。
態様39.前記試料が前記ポリヌクレオチドを含み、前記電圧の印加が、前記電位差の適用の際に、第1のチャンバーから第2のチャンバーまで前記ナノ細孔を通して前記ポリヌクレオチドを運び、それによって、オープンチャネル電気信号から逸脱する電気信号を生成する、上記の態様のいずれかの方法。
態様40.前記第1および第2の容積が前記ナノ細孔を通じてのみ流体連通している、上記の態様のいずれかの方法。
5.4.6. CsClまたはCaCl2センシング溶液を使用した方法
本開示は、CsClおよびCaCl2センシング溶液を使用した様々な方法を提供する。当業者は、用語「緩衝液」は単語「センシング溶液」と互換的に使用することができることを認識すると考えられる。
いくつかの態様では、以下を含む、試料中の標的生体分子について試料を特性評価する方法が本明細書に提供される:標的生体分子を含む疑いがある試料を提供する方法;ナノ細孔デバイスの第1の容積に試料をロードする工程であって、ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、層が4nmより大きい最小直径を含むナノ細孔を含み;第1および第2の容積がナノ細孔を通じて流体連通しており、第1の容積または第2の容積がCsClまたはCaCl2を含む緩衝液(例えばセンシング溶液)を含む工程;ナノ細孔をはさんで電位差を適用して、ナノ細孔を通る試料中の荷電分子の移動を誘導する工程;ナノ細孔を通る荷電分子の移動の間、細孔を通る電流を含む信号を検出する工程;試料中の標的生体分子の有無を信号から決定する工程。
いくつかの態様では、センシング溶液は1M CsClを含み、ナノ細孔は102nm以下の最小直径を有し、ポリヌクレオチドは58bp以上である。いくつかの態様では、センシング溶液は1M CsClを含み、ナノ細孔は27nm以上の最小直径を有し、ポリヌクレオチドは108bp以下である。いくつかの態様では、センシング溶液は1M CaCl2を含み、ナノ細孔は73nm以下の最小直径を有し、ポリヌクレオチドは74bp以上である。いくつかの態様では、センシング溶液は1M CaCl2を含み、ナノ細孔は27nm以上の最小直径を有し、ポリヌクレオチドは108bp以下である。いくつかの態様では、センシング溶液は1M CsClを含み、ナノ細孔は27nm〜102nmの最小直径を有し、ポリヌクレオチドは108bp〜58bpである。いくつかの態様では、センシング溶液は1M CaCl2を含み、ナノ細孔は27nm〜73nmの最小直径を有し、ポリヌクレオチドは58bp〜74bpの長さを有する。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは500塩基以下の長さを有し、ナノ細孔は65nmの最小直径を有する。
本開示は、次の態様において以下に概要を述べる、CaClまたはCaCl2センシング溶液を使用した様々なさらなる方法を提供する。
態様1.以下を含む、標的dsDNAについて試料を特性評価する方法:58bp〜108bpの長さを有する標的dsDNAを含む疑いがある試料を提供する工程;ナノ細孔デバイスの第1の容積中に該試料をロードする工程であって、該ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、該層が27nm〜102nmの最小直径を含むナノ細孔を含み;該第1および第2の容積が該ナノ細孔を通じて流体連通しており、該第1の容積または該第2の容積が1M〜3MのCsClを含むセンシング溶液を含む工程;該ナノ細孔をはさんで電位差を適用して、存在する場合、第1の容積から第2の容積への該ナノ細孔を通る標的dsDNAの移動を誘導する工程;該ナノ細孔を通る該標的dsDNAの移動の間、該細孔を通る電流を含む信号を検出する工程;ならびに該標的dsDNAについて、該信号から該試料の特性を決定する工程。
態様2.以下を含む、標的dsDNAについて試料を特性評価する方法:74bp〜108bpの長さを有する標的dsDNAを含む疑いがある試料を提供する工程;ナノ細孔デバイスの第1の容積中に該試料をロードする工程であって、該ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、該層が27nm〜73nmの最小直径を含むナノ細孔を含み;該第1および第2の容積が該ナノ細孔を通じて流体連通しており、該第1の容積または該第2の容積が1M CaCl2を含むセンシング溶液を含み;該ナノ細孔をはさんで電位差を適用して、存在する場合、第1の容積から第2の容積への該ナノ細孔を通る標的dsDNAの移動を誘導する工程;該ナノ細孔を通る該標的dsDNAの移動の間、該細孔を通る電流を含む信号を検出する工程;ならびに該標的dsDNAについて、該信号から該試料の特性を決定する工程。
態様3.前記特性が:有無、量、同一性、濃度、修飾、構造、または配列からなる群より選択される、態様1または態様2の方法。
態様4.前記標的dsDNAの有無が、単位時間あたりの移動信号の数を閾値と比較することによって決定され、閾値より上で、前記標的dsDNAが前記試料中に存在することが決定され、閾値より下で、前記標的dsDNAが前記試料中に存在しないことが決定される、態様3の方法。
態様5.以下を含む、試料中の標的生体分子について試料を特性評価する方法:該標的生体分子を含む疑いがある試料を提供する工程;ナノ細孔デバイスの第1の容積中に該試料をロードする工程であって、該ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を該第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、該層が4nmより大きい最小直径を含むナノ細孔を含み;該第1および第2の容積が該ナノ細孔を通じて流体連通しており、該第1の容積または該第2の容積がCsClまたはCaCl2を含むセンシング溶液を含む工程;該ナノ細孔をはさんで電位差を適用して、該ナノ細孔を通る該試料中の荷電分子の移動を誘導する工程;該ナノ細孔を通る該荷電分子の移動の間、該細孔を通る電流を含む信号を検出する工程;ならびに該試料中の該標的生体分子の有無を信号から決定する工程。
態様6.前記標的生体分子がポリヌクレオチドである、態様5の方法。
態様7.前記ポリヌクレオチドがdsDNA、ssDNA、RNA、またはRNA/DNAハイブリッドである、態様6の方法。
態様8.前記ポリヌクレオチドが2kb、1kb、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、または100塩基以下の長さを有する、態様6または態様7の方法。
態様9.前記ナノ細孔が4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、または65nmより大きい最小直径を特徴とする、上記の態様のいずれかの方法。
態様10.前記ナノ細孔が70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、または110nm未満の最小直径を特徴とする、上記の態様のいずれかの方法。
態様11.前記ナノ細孔が1000nm未満、500nm未満、200nm未満、100nm未満、または50nm未満の最小直径を有する、上記の態様のいずれかの方法。
態様12.ナノ細孔が65nm〜100nmの最小直径を特徴とする、上記の態様のいずれかの方法。
態様13.ナノ細孔が5nm〜100nmの最小直径を特徴とする、上記の態様のいずれかの方法。
態様14.前記ポリヌクレオチドが500塩基以下の長さを有し、前記ナノ細孔が65nmの最小直径を有する、上記の態様のいずれかの方法。
態様15.CsClまたはCaCl2を含む前記センシング溶液が第1の容積と第2の容積の両方に存在する、上記の態様のいずれかの方法。
態様16.前記CsClまたは前記CaCl2が、前記第1のチャンバーおよび前記第2のチャンバーの両方に等モル濃度で存在する、態様15の方法。
態様17.前記ナノ細孔をはさんで塩勾配を生成するように、前記CsClまたは前記CaCl2が、第2の容積と比べて第1の容積に異なる濃度を有する、態様15の方法。
態様18.前記塩勾配が、前記第1の容積中の前記CsClまたは前記CaCl2の濃度であり、第2の容積より少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%低い、態様17の方法。
態様19.前記塩勾配が、前記第2の容積中の前記CsClまたは前記CaCl2の濃度であり、第1の容積よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%低い、態様17の方法。
態様20.前記CsClまたは前記CaCl2が0.1M以上の濃度で前記第1の容積または前記第2の容積に存在する、上記の態様のいずれかの方法。
態様21.前記CsClまたは前記CaCl2が0.5M以上の濃度で前記第1の容積または前記第2の容積に存在する、上記の態様のいずれかの方法。
態様22.前記CsClまたは前記CaCl2が1M以上の濃度で前記第1の容積または前記第2の容積に存在する、上記の態様のいずれかの方法。
態様23.前記CsClまたは前記CaCl2が少なくとも0.01M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、または1Mの濃度で前記第1の容積または前記第2の容積に存在する、上記の態様のいずれかの方法。
態様24.前記センシング溶液が1M CsClを含み、前記ナノ細孔が102nm以下の最小直径を有し、前記ポリヌクレオチドが58bp以上である、上記の態様のいずれかの方法。
態様25.前記センシング溶液が1M CsClを含み、前記ナノ細孔が27nm以上の最小直径を有し、前記ポリヌクレオチドが108bp以下である、上記の態様のいずれかの方法。
態様26.前記センシング溶液が1M CaCl2を含み、前記ナノ細孔が73nm以下の最小直径を有し、前記ポリヌクレオチドが74bp以上である、上記の態様のいずれかの方法。
態様27.前記センシング溶液が1M CaCl2を含み、前記ナノ細孔が27nm以上の最小直径を有し、前記ポリヌクレオチドが108bp以下である、上記の態様のいずれかの方法。
態様28.前記センシング溶液が1M CsClを含み、前記ナノ細孔が27nm〜102nmの最小直径を有し、前記ポリヌクレオチドが108bp〜58bpである、上記の態様のいずれかの方法。
態様29.前記センシング溶液が1M CaCl2を含み、前記ナノ細孔が27nm〜73nmの最小直径を有し、前記ポリヌクレオチドが58bp〜74bpの長さを有する、上記の態様のいずれかの方法。
態様30.少なくとも1/分、少なくとも2/分、少なくとも3/分、少なくとも4/分、少なくとも5/分、少なくとも10/分、少なくとも15/分、少なくとも20/分、少なくとも25/分、少なくとも30/分、少なくとも40/分、少なくとも50/分、少なくとも60/分、少なくとも70/分、少なくとも80/分、少なくとも90/分、または少なくとも100/分という、前記ナノ細孔における前記標的生体分子の検出率をもたらす、上記の態様のいずれかの方法。
態様31.前記デバイスが、前記ナノ細孔をはさんで電圧を印加するための、および1つのチャンバーからもう1つのチャンバーまで前記ナノ細孔を通る電流をモニターするための電極を含み、前記電極が電源に接続している、上記の態様のいずれか1つの方法。
態様32.前記試料が前記ポリヌクレオチドを含み、前記電圧の印加が、前記電位差の適用の際に、第1のチャンバーから第2のチャンバーまで前記ナノ細孔を通して前記ポリヌクレオチドを運び、それによって、オープンチャネル電気信号から逸脱する電気信号を生成する、上記の態様のいずれかの方法。
態様33.前記第1および第2の容積が前記ナノ細孔を通じてのみ流体連通している、上記の態様のいずれかの方法。
5.4.7. デバイス
任意のナノ細孔デバイスを、本開示によって提供される組成物、方法、システム、またはキットとともに使用することができる。本開示とともに使用することができるデバイスの例は、限定されないが、固体のナノ細孔デバイス、生物学的ナノ細孔デバイスまたはハイブリッドナノ細孔デバイスを含んでいた。
本開示の方法は、当技術分野において公知であるデバイスまたは膜のいずれかを使用することができる。いくつかの態様では、本開示の方法は、セクション5.5に記載されている膜を使用することができる。
本開示を読めば、当業者は適切なナノ細孔デバイスおよび膜を選択すると考えられる。いくつかの用途では、デバイスは、約20nm、約25nm、または約30nmより大きい細孔直径サイズを有することができる。他の用途では、デバイスは、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、または約120nmより大きい細孔直径サイズを有することができる。
5.4.8. プローブおよび電圧感受性部分
用途に応じて、方法は分子プローブの使用を含むことができる。ナノ細孔デバイスを使用して検出を増強するためのプローブの使用は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願第15/513,472号に記載されている。
分子およびプローブのタイプに応じて、分析より前に、プローブを付着または連結させることが望ましい場合もある。分析より前の分子へのプローブの付着は、外部的(デバイスの外側)でもよく、またはナノ細孔デバイスの中でもよいが、分析の前である。
プローブを分子に付着させるために、限定されないが、ハイブリダイゼーション、コンジュゲーション、連結化学、および様々な化学結合(例えば、共有結合、水素など)によるものを含めた、当技術分野において周知である様々な方法を使用することができることが、当業者によって理解されるであろう。
プローブ
プローブは、検出または特性評価される分子のある部位に特異的に結合することができる。多くの場合、プローブの結合部位は、検出または特性評価される配列、修飾、または構造であり得る。
本開示とともに使用することができるプローブ分子の例としては、限定されないが、一本鎖DNA、PNA(タンパク質核酸)、ビス-PNA、ガンマ-PNA、PNAのサイズまたは電荷を増大させるPNA-コンジュゲートが挙げられる。プローブ分子の他の例は、天然または組換えタンパク質、タンパク質融合体、タンパク質のDNA結合ドメイン、ペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド、TALEN、CRISPR、PNA(タンパク質核酸)、ビス-PNA、ガンマ-PNA、サイズ、電荷、蛍光、もしくは官能性を増大させる、(例えば、オリゴ標識された)PNA-コンジュゲート、または任意の他のPNA誘導体化ポリマー、および化学化合物からなる群からのものである。
いくつかの局面では、プローブはγ-PNAを含む。γ-PNAは、ペプチド様骨格中に、特にN-(2-アミノエチル)グリシン骨格のγ位置に単純な修飾を有し、したがって、キラル中心を生成する(Rapireddy S., et al., 2007. J. Am. Chem. Soc., 129:15596-600;He G, et al., 2009, J. Am. Chem. Soc., 131:12088-90;Chema V, et al., 2008, Chembiochem 9:2388-91;Dragulescu-Andrasi, A., et al., 2006, J. Am. Chem. Soc., 128:10258-10267)。ビス-PNAと異なって、γ-PNAは配列制限なしでdsDNAに結合することができ、2つのDNA鎖のうちの1つをさらなるハイブリダイゼーションに利用可能にしたままにする。
いくつかの局面では、プローブの機能は、相補塩基対形成によって標的配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズして、安定な複合体を形成することである。PNA分子は、さらなる分子にさらに結合して、非プローブ結合ポリヌクレオチドの断面に対応する平均(mean)または平均(average)信号振幅であるバックグラウンドのものと比較して、信号振幅の検出可能な変化またはコントラストをもたらすほど十分に大きな横断面表面積を有する複合体を形成することができる。
PNA分子へのポリヌクレオチド標的配列の結合の安定性は、それがナノ細孔デバイスによって検出されるために重要である。結合安定性は、標的担持ポリヌクレオチドがナノ細孔を通って移動している期間全体を通して維持されなければならない。安定性が弱い、または不安定な場合、プローブは標的ポリヌクレオチドから離れる可能性があり、標的担持ポリヌクレオチドがナノ細孔を通って縫うように進むので、検出されないであろう。
特定の態様では、プローブの例はPNA-コンジュゲートであり、PNA部分がヌクレオチド配列を特異的に認識し、コンジュゲート部分が、異なるPNA-コンジュゲート間のサイズ/形/電荷の違いを増大させる。
部分
標識がコンジュゲートされ得る化学的ハンドルを提供するために、異なる反応性部分をリガンド中に組み込むことができる。反応性部分の例としては、限定されないが、一級アミン、カルボン酸、ケトン、アミド、アルデヒド、ボロン酸、ヒドラゾン、チオール、マレイミド、アルコール、およびヒドロキシル基、およびビオチンが挙げられる。
いくつかの態様では、PNAリガンドは、リガンドの電荷を増大させその結果ナノ細孔による検出をたやすくするように、修飾することができる。特に、PNA分子上の塩基と標的DNA中の塩基の間の相補的塩基対形成およびフーグスティーン塩基対形成によって標的DNA配列に結合するこのリガンドは、骨格に組み込まれたシステインを有し、これは、標識のための遊離チオール化学的ハンドを提供する。ここでは、システインは、マレイミドリンカーを介してペプチド2-アミノエチルメタンチオスルホネート(MTSEA)に標識化され、これは、標識/ペプチドがリガンド電荷を増大させるので、リガンドがその標的配列に結合しているかどうかを検出するための手段を提供する。このより大きな電荷は、非標識PNAと比較して、細孔を通る電流フローのより大きな変化をもたらす。
いくつかの局面では、リガンド結合ポリヌクレオチドと試料中に存在する他のバックグラウンド分子の間の変化のコントラストを高めるために、シュードペプチド骨格に修飾を行って、リガンド(例えば、PNA)の全体的なサイズを変えて、コントラストを高めることができる。
PEGプローブ
さらに、小粒子、分子、タンパク質、ペプチド、またはポリマー(例えば、PEG)をシュードペプチド骨格にコンジュゲートさせて、リガンドと標的担持ポリヌクレオチドの複合体のバルクまたは横断面表面積を増強することができる。増強されたバルクは、信号振幅コントラストを改善するのに役立ち、その結果、増大したバルクによって生じる任意の差動信号を容易に検出することができる。小粒子、分子、タンパク質、またはペプチドの例は、シュードペプチド骨格にコンジュゲートさせることができ、限定されないが、アルファ−ヘリックス形成ペプチド、ナノメートルサイズの金粒子またはロッド(例えば、3nm)、量子ドット、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。分子のコンジュゲーションの方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許第5,180,816号、第6,423,685号、第6,706,252号、第6,884,780、および第7,022,673号において、当技術分野において周知である。
上記の態様はPEG標識がシステイン残基を介することを記載するが、他の残基も使用することができる。例えば、リジン残基は、NHS-エステルおよび遊離アミンを使用する連結化学を可能にするために、システイン残基と容易に交換される。さらに、PEGは、二官能性リンカーとPNAの間で、またはデンドロンと直接結合するように、デンドロン、ビーズ、またはロッドのような他のバルク追加成分と容易に交換され得る。当業者は、アミノ酸を変更することができること、および連結化学をその特定のアミノ酸、例えば、セリン反応性イソシアネートに対して改変することができるという点において、このシステムの柔軟性を認識すると考えられる。この反応に使用することができる連結化学のいくつかの例を以下の表に列挙する。
(表1)連結化学
Figure 2021536261
いくつかの態様では、検出をたやすくするために、または2つのプローブが極めて近接していることを検出するために、PNAプローブは、プローブサイズを増大させる、エピトープを含む、ssDNAオリゴマーを含む、フルオロフォアか、さらなる電荷か、またはさらなるサイズを含むように修飾されている。
標識がコンジュゲートされ得る化学的ハンドルを提供するために、異なる反応性部分をプローブに組み込むことができる。反応性部分の例としては、限定されないが、一級アミン、カルボン酸、ケトン、アミド、アルデヒド、ボロン酸、ヒドラゾン、チオール、マレイミド、アルコール、およびヒドロキシル基、およびビオチンが挙げられる。
化学的ハンドルを組み込むための一般的な方法は、プローブの骨格に特定のアミノ酸を含めることである。例としては、限定されないが、システイン(チオレートをもたらす)、リジン(遊離アミンをもたらす)、スレオニン(ヒドロキシルをもたらす)、グルタメートおよびアスパルテート(カルボン酸をもたらす)が挙げられる。
標識
本開示を読めば当業者によって理解されると考えられるように、標的生体分子の検出を援助または増強するために、異なるタイプの標識をプローブまたは部分に付加することができる。
いくつかの態様では、その標識はプローブに付加される。標識は、分子バーコード、反応性部分、ユニークな識別子、ビーズなどであり得る。
いくつかの態様では、標識はプローブに付加され、これは反応性部分である。反応性部分は、ビオチン/ストレプトアビジン、ペプチド、核酸のように、プローブのサイズを増大させる、荷電ペプチド(6×HIS)、またはタンパク質(例えば、カリブドトキシン)または小分子もしくはペプチド(例えば、MTSET)のように、プローブの電荷を変える、プローブに対して蛍光を変えるか、または蛍光を追加する(例えば、一般的なフルオロフォア、FITC、ローダミン、Cy3、Cy5など)、あるいは第3の分子と結合するためのエピトープまたは相互作用部位を提供する(例えば、抗体と結合するためのペプチド)のいずれかである標識を含む。
5.4.9. 精度の向上
多くの場合、本開示の方法は、試料中の生体分子の検出または特性評価の精度の向上を提供する。用途に応じて、精度の向上は、以下に詳細に記載されているように、異なる方法によって達成することができる。
いくつかの態様では、検出または特性評価の精度の向上は、標準的な(例えば、従来の)ナノ細孔緩衝液で別の方法では検出されないであろう分子の検出を含むことができる。
いくつかの用途では、生体分子の検出または特性評価の精度の向上は、標準緩衝液中で細孔を通過する分子の事象の実質的な数の検出を含むことができる。事象の実質的な数は、合理的な時間量後の約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000事象であり得る。
合理的な時間量は、試料中のバックグラウンド分子のレベルおよび印加される電圧に依存すると考えられる。例えば、血液試料中の幹細胞由来のバイオマーカーなど、核酸、タンパク質、または分析物が試料中にまれであることが公知である場合、合理的な量は、幹細胞について実質的に精製された試料と比較して長くなると考えられる。いくつかの態様では、合理的な時間量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30分であると考えられる。いくつかの態様では、合理的な時間量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10分であると考えられる。
いくつかの用途では、精度の向上は、標準的なナノ細孔緩衝液中で別の方法では検出されないであろう、生体分子の1つまたは複数の特性(例えば、長さ、サイズ、構造、化学修飾、濃度など)を決定することであり得る。
いくつかの用途では、精度の向上は、(例えば、塩基対(bp)またはアミノ酸(AA)で)試料中の類似した長さを有する2つ以上の生体分子の長さの違いを解明することであり得る。いくつかの態様では、精度の向上は、試料中の生体分子の異なる長さまたはサイズの識別であり得る。いくつかの態様では、識別は、50bp、100bp、150bp、200bp、250bp、300bp、350bp、400bp、450bp、または500bp未満の長さの違いである。いくつかの態様では、識別は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、または200アミノ酸未満の長さの違いである。
いくつかの態様では、精度の向上は、試料中の生体分子の異なるサイズの識別であり得る。いくつかの態様では、識別は、異なるサイズの間であり、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100kDa未満である可能性がある。いくつかの態様では、識別は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100kDaより大きい可能性がある異なるサイズ間である。
いくつかの用途では、精度の向上は、試料中の類似した構造、コンフォメーションまたはモチーフを有する2つ以上の生体分子の構造、コンフォメーション、またはモチーフの違いを解明することであり得る。
いくつかの用途では、精度の向上は、試料中の(例えば、電荷および/またはサイズにおいて)類似した修飾を有する2つ以上の生体分子の化学修飾の違いを解明することであり得る。
いくつかの用途では、精度の向上は、タンパク質または核酸における修飾の有無を解明することであり得る。生体分子における修飾の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:メチル化、リン酸化、アセチル化、およびタンパク質または核酸にあることが当技術分野において公知であるすべての他の修飾。
比較のために使用される標準緩衝液は、任意のナノ細孔泳動用緩衝液またはセンシング緩衝液であり得る。標準的なナノ細孔緩衝液の例としては、限定されないが、二価のLiCl、KCl、もしくはNaClを含む緩衝液、またはこれらの一価緩衝液が挙げられる。
いくつかの態様では、緩衝液は、有効量のLiCl、KCl、もしくはNaCl、またはこれらの一価緩衝液を含む。標準緩衝液の「有効量」は、合理的な速度で細孔を通して生体分子を移動させることができるが、類似した物理的性状を有する2つ以上の生体分子に対して、生体分子の検出、分解能、または特性評価の向上をもたらさないものである。
いくつかの態様では、LiCl、KCl、NaCl、またはこれらの一価のイオンを含む標準緩衝液は、0.5M、1M、2M、3M、4M、または5M未満のモル濃度を有する。いくつかの態様では、標準緩衝液は、1M KCL、1M LiCl、または4.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAである。
いくつかの態様では、標準緩衝液は、(例えば、本明細書に記載される)ポリエーテル作用物質を含まない。いくつかの態様では、緩衝液は、式(II)〜(IV)のポリエーテルまたはそれらの態様の有効量を含まない。
いくつかの態様では、標準緩衝液は、1種または複数種の緩衝化学物質または作用物質をさらに含むことができる。標準緩衝液中で使用される緩衝化学物質または作用物質としては、限定されないが、Tris、Tris-HCL、ボレート、CHES、ビス-トリスプロパン、CAPS、リン酸カリウム緩衝液、HEPES、または当技術分野において公知の他のものを挙げることができる。
いくつかの態様では、標準緩衝液は、キレート剤をさらに含むことができる。標準緩衝液で使用することができるキレート剤の非限定例としては、限定されないが、EDTA、EGTAなどが挙げられる。
標準緩衝液は、標準的なナノ細孔緩衝液に含まれることが公知である任意の他の作用物質をさらに含むことができる。
5.5. ナノ細孔デバイス
本開示は、セクション5.3で提供される有効量のセンシング溶液、および非多孔性膜を含むナノ細孔デバイスを提供する。
当技術分野において公知である任意の非多孔性膜を本開示のデバイスとともに使用することができる。非多孔性膜の非限定例としては、固体の膜、生体膜、またはハイブリッド膜が挙げられる。本開示のデバイスとともに使用することができる膜基材の他の例は、セクション5.5に記載されている。本開示のデバイスとともに使用される膜は、膜を通る標的分子(例えば、修飾されたまたは未修飾の、検出または特性評価される分子)の移動を可能にするように構成されている限り、任意のサイズの細孔サイズを含むことができる。
5.5.1. デバイス
ナノ細孔デバイスは、デバイスの内部空間を2つの容積に分ける構造に開口部を形成する少なくとも1つの細孔、および細孔を通過する対象物を(例えば、対象物を示すパラメータの変化を検出することによって)特定するように構成される少なくとも1つのセンサを含むことができる。本開示とともに使用されるデバイスは、任意の構造様式(例えば、丸い形、漏斗形など)の細孔を有することができる。本開示とともに使用されるデバイスは、単一細孔、二重細孔を有することができ、またはいくつかの細孔、例えば、細孔のアレイを有することができる。
本明細書に記載される方法のために使用されるナノ細孔デバイスは、参照により全体が組み入れられるPCT公開WO/2013/012881でも開示されている。
ナノ細孔デバイスは、典型的には、2つの容積またはチャンバーを分ける膜を含み、膜は、2つの容積間の流体連通を可能にする、膜を貫通するナノ細孔を有する。非多孔性膜は、生物学的基材(例えば、脂質膜)もしくは非生物学的基材(例えば、固体基材)または当技術分野において公知である任意の他の基材から作製することができる。いくつかの態様では、ナノ細孔デバイスは、固体のナノ細孔デバイス、生物学的ナノ細孔デバイス、またはハイブリッドナノ細孔デバイスであり得る。
2つの容積が電解質、例えば塩を含む場合、電流は、例えば、細孔の両側の電極を介して、細孔をはさんで電位差を適用することによって、細孔を通って流れることができる。低ノイズトランスインピーダンス増幅器を使用して、ナノ細孔デバイスは、2つのチャンバーまたは容積を分ける単一細孔を通るイオン電流をモニターする。
電圧は膜をはさんで印加され、分析のためにフィルタリング、サンプリング、および記録される、ナノ細孔を通る電流(例えば、イオン電流)を発生させる。電圧がDNA、RNAまたはタンパク質などの単一分子を捕捉する場合、これは細孔を通過し、一時的に電流をシフトさせ、単一分子「事象」をもたらす。例えば参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2016/0266089号「Target Detection with Nanopore」に記載されるような様々な技法を使用して、記録された事象の分布を分析することによって、バックグラウンド分子の集団の中から特定の標的分子の存在を検出および定量化することができる。
デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、該層がナノ細孔を含み;該第1および第2の容積が該ナノ細孔を通じて流体連通しており、該第1の容積または該第2の容積が、エチレングリコールを含む緩衝液を含む、ナノ細孔デバイスも本明細書に提供される。いくつかの態様では、システムは、前記第1の容積に第1の電極を、前記第2の容積に第2の電極さらに含み、前記第1および第2の電極は前記ナノ細孔をはさんで電位差を適用するように構成される。いくつかの態様では、システムは、前記第1の容積または前記第2の容積に標的生体分子をさらに含み、前記電位差は前記ナノ細孔を通る前記標的生体分子の移動を誘導する。
5.5.2. センシング溶液
開示のデバイスのいずれも、セクション5.3で提供される組成物のいずれかとともに使用することができることが意図される。
いくつかの態様では、本開示のナノ細孔デバイスは、セクション5.3に記載されている有効量のセンシング溶液およびナノ多孔膜を含む。デバイスを用いたセンシング溶液は、非対称的に加えることができ、シス容積およびトランス容積は異なるセンシング溶液を有する。
検出される生体分子の特性に応じて、当業者は、本開示を読めば、どのデバイスおよびセンシング溶液が用途に最もよく機能するか気づくであろう。有効量は、標準緩衝液と比較して、検出される生体分子の特性の1つまたは複数の検出を増強するものである。
いくつかの態様では、センシング溶液中の(例えば、本明細書に記載される)ポリエーテル作用物質の有効量は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、または約30%v/vである。
いくつかの態様では、センシング溶液中の(例えば、本明細書に記載される)ポリエーテル作用物質の有効量は、重量で約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、または約30%である。
いくつかの態様では、センシング溶液中のポリエーテル作用物質の有効量は、(例えば、本明細書に記載される)ポリエーテル作用物質の重量で30%以下である。
いくつかの態様では、方法は、式(I)〜(IV)のポリエーテルの有効量を含むセンシング溶液を含むことができる。いくつかの態様では、デバイスは、セクション5.4.4に記載されている非対称センシング溶液を含む。
5.5.3. 固体の膜
本開示は、固体の膜とともに使用することができる。固体の膜は、当技術分野において公知である様々な固体材料、例えば、ポリマー膜、アルミナ、ブロックコポリマー膜などを使用して、固体基材に開口部を穿孔するか、またはエッチングすることによって作り出されるものである。
本明細書に提供される方法を使用して検出される標的または生体分子に応じて、当業者は、適切な固体基材を選択すると考えられる。本開示とともに固体のナノ細孔デバイスで使用することができる固体基材の例としては、限定されないが、一窒化ケイ素(SiN)、窒化二ケイ素(Si2N)、セスキ窒化ケイ素(Si3N4)、および二酸化ケイ素(SiO2)を含めたケイ素ベースの膜が挙げられる。
いくつかの態様では、固体基材は酸化アルミニウム(Al2O3)であり得る。いくつかの態様では、酸化アルミニウム(Al2O3)は、ナノ細孔の表面をコーティングし、それによって、負に荷電した分子の検出を援助することができる正の表面電荷を含むナノ細孔壁をもたらすために、使用される。
いくつかの態様では、固体基材はグラフェンであり得る。いくつかの態様では、TiO2でコーティングすることによって、グラフェン単層をさらに改変することができる。いくつかの態様では、ナノ細孔は、グラフェンおよびAlO2を含む交互の層によって形成される。
いくつかの態様では、固体基材は窒化ホウ素(BN)であり得る。いくつかの態様では、固体基材は酸化ハフニウム(HfO2)であり得る。いくつかの態様では、固体基材は二硫化モリブデン(MoS2)であり得る。
いくつかの態様では、検出を増強するために、ナノ細孔壁の表面性状を変化させるまたは改変することができる。いくつかの態様では、ナノ細孔壁は、オルガノシラン分子の共有結合、アルミナの原子層堆積(ALD)、または検出を増強するもしくはノイズを低下させることができる、ナノ細孔壁の表面と逆の電荷を有する分子の静電吸着、あるいはこれらの組み合わせによって改変される。
5.5.4. 生体膜
本開示の方法またデバイスは生体膜を含むことができる。生物学的ナノ細孔は、脂質膜中のタンパク質性細孔によって形成されるナノスケール開口部を提供する生物学的基材である。生物学的基材は、未修飾であってもよく、または検出をさらに増強するために、当技術分野において公知である標準的な技法によって操作されてもよい。
生物学的ナノ細孔は固定された、原子精度の幾可学的形状を提供するので、これらは、ナノ細孔を形成するために使用される製造技法に応じて様々な直径を有し得る固体のナノ細孔と比較して、特定の用途にとってより有利であり得る。
ナノ細孔(例えば、漏斗形、チャネル形、またはボトルネック形)を形成することができる任意の生物学的および合成タンパク質を、本開示の方法、システム、またはキットとともに使用することができる。いくつかの用途では、脂質二重層内の合成DNAオリガミ細孔を本開示とともに使用することができる。DNA工学技法によって提供されるDNAオリガミの柔軟性によって、特定の用途に適合させた新しい構造様式および性状を有する細孔を当業者が設計することが可能になる。
当業者が認識すると考えられるように、細孔を特定のセンシング用途に適合させるために、部位指定変異誘発または特定のアダプタの組み込みのようなアプローチを使用して、生物学的ナノ細孔をさらに操作することできる。部位特異的変異誘発は、望ましい突然変異、ならびに十分なサイズのプライマー配列を提供するのに、およびさらなる修飾を実施するのに十分な数の隣接するヌクレオチドを含むDNA配列をコードする特異的なオリゴヌクレオチド配列の使用を通じて、突然変異体の生成を可能にする。
いくつかの用途では、部位特異的変異誘発による突然変異は、ポリヌクレオチドそれ自体の性状を改善する、変化させる、低下させる、改変する、もしくは変える、および/またはコードされるポリペプチドの性状、活性、組成、安定性、もしくは一次配列を変化させるために使用することができる。
いくつかの用途では、ポリヌクレオチドの変異誘発は、ポリペプチドの1つまたは複数の物理的性状を変化させることができる。例えば、部位変異誘発を使用して、細孔に対して、負に荷電したアミノ酸を除去する、または正に荷電した残基を付加して、分析物の移動をよりたやすくすることができる。他の用途では、部位変異誘発を使用して、アミノ酸を非天然アミノ酸と置き換えることができる。
検出される標的分子に応じて、当業者は、望ましい用途に適している膜を選択すると考えられる。
いくつかの態様では、生体膜は、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatisのポリンA(MspA)ナノ細孔を含む。いくつかの態様では、生体膜は、マイコバクテリウム・スメグマチスのポリンA(MspA)ナノ細孔を含む。いくつかの態様では、マイコバクテリウム・スメグマチスのポリンA(MspA)は1つまたは複数の突然変異を含む。いくつかの態様では、マイコバクテリウム・スメグマチスのポリンA(MspA)は、1つまたは複数の突然変異を含み、例えばプローブなど、さらなる修飾は検出を向上させる。
いくつかの態様では、生体膜は、ブドウ球菌(Staphylococcal)α-溶血素のナノ細孔を含む。いくつかの態様では、α-溶血素は、1つまたは複数の突然変異を含む。いくつかの態様では、α-溶血素ナノ細孔は、1つまたは複数の突然変異、および検出を向上させるさらなる修飾、例えばプローブなどを含む。
いくつかの態様では、生体膜は、アエロリジン(AeL)を含み、これは、細胞外の入り口に細いボトルネック形構造を有し、およそ直径1nmの小さな細胞外口を有する七量体ナノ細孔である。
いくつかの態様では、生体膜は、バクテリオファージphi29モーターベースのナノ細孔を含む。phi29モーターの大きなサイズが理由で、ナノ細孔はタンパク質検出用途に特に有用である。いくつかの態様では、phi29モーターのナノ細孔は1つまたは複数の突然変異を含む。いくつかの態様では、phi29モーターのナノ細孔は、1つまたは複数の突然変異、および検出を向上させるためのさらなる修飾、例えばプローブなどを含む。
いくつかの態様では、生体膜は、チフス菌(Salmonella typhi)ナノ細孔由来の細胞溶解素A(ClyA)を含む。いくつかの態様では、ClyAナノ細孔は1つまたは複数の突然変異を含む。いくつかの態様では、ClyAナノ細孔は、1つまたは複数の突然変異、および検出を向上させるためのさらなる修飾、例えばプローブなどを含む。
いくつかの態様では、生体膜は外膜タンパク質G(OmpG)ナノ細孔を含む。いくつかの態様では、OmpGナノ細孔は1つまたは複数の突然変異を含む。いくつかの態様では、OmpGナノ細孔は、1つまたは複数の突然変異、および検出を向上させるためのさらなる修飾を含む。
5.5.5. ハイブリッド膜
本開示の方法またデバイスはハイブリッド膜を含むことができる。本開示は、生物学的基材と固体の基材から作製され、それによって、ハイブリッド細孔を形成する細孔を含むハイブリッドナノ細孔デバイスを有する、組成物、方法、システム、キットも提供する。
いくつかの態様では、ハイブリッドナノ細孔デバイスは、脂質二重層でコーティングされている、本明細書に提供され、当技術分野において公知である固体基材のナノ細孔であり得る。いくつかの態様では、ハイブリッドナノ細孔は生物模倣型核膜孔複合体を含むことができる。いくつかの態様では、ハイブリッドナノ細孔デバイスは、先端開口部にイオンチャネルがトラップされたガラスピペットを含むことができる。
いくつかの態様では、ハイブリッドナノ細孔は、脂質二重層または生細胞膜内に包埋されたカーボンナノチューブ(CNT)を含む。いくつかの態様では、ハイブリッドナノ細孔はSiNx細孔内にα-HL細孔を含む。いくつかの態様では、ハイブリッドナノ細孔は、SiNx細孔内に3D DNAオリガミ構造を含む。
5.5.6. 細孔の製造
固体の細孔、生物学的細孔、またはハイブリッド細孔は、本開示の組成物、方法、システム、およびキットに使用することができることが意図される。検出される生体分子に応じて、本開示を読めば、当業者は使用される適切な細孔を選択すると考えられる。
固体の細孔
用語「固体の」は、概して、非生物的物質を指すことが本明細書で意味される。細孔は、当業者に公知であるいくつかの方法で膜を介して製造することができる。例えば、細孔は脂質二重層膜に挿入されたタンパク質チャネルでもよく、あるいは、細孔担持膜を形成するために、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、グラフェム、またはこれらもしくは他の材料の組み合わせから形成される層などの固体の基材を通る細孔を穿孔する、エッチングする、または形成するように操作されてもよい。一局面では、そのような材料は、誘電材料、例えば、限定されないが、ケイ素、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、グラフェン、カーボンナノチューブ、TiO2、HfO2、Al2O3、もしくは他の金属層、またはこれらの材料の任意の組み合わせを含む。いくつかの局面では、例えば、約0.3nm厚のグラフェン膜の単一シートを細孔担持膜として使用することができる。
固体のナノ細孔は様々なサイズで作製することができ、サイズは細孔の有効な直径および長さによって特徴付けられる。細孔の長さは、ナノ細孔の形成前にケイ素ベースの基材に自立型の膜として製造される膜の厚さによって暗示的に定められる。厚さは、成膜およびエッチングを含めた様々な製造工程によって、1〜100nm、または100nmより大きくすることができる。細孔形成プロセスは、細孔の幾可学的形状、形、および有効な直径を調節する。
集束ビーム(Ga+、He+、電子など)を使用する特殊な器具類は、直径20nm以上である任意の厚さで、膜に細孔を形成することができる。20nmより小さな細孔も、He+ビームまたはTEMを用いて、または原子層堆積などの先端技術を使用して、大きな直径の細孔を最初に形成した後にサイズを縮小することによって、達成することができる。これらの方法のすべて、連続的に操作し、機能する(すなわち、一度に1つの細孔を形成する)ためには費用がかかり、したがって、単位時間あたりで生成され得るナノ細孔デバイスの量が制限される。そのような特殊なツールはまた、商業的なファウンドリにおいて広く入手可能ではない。制御された絶縁破壊(CDB)は特殊な器具類を必要としない(Kwok, H, K Briggs, and V Tabard-Cossa. “Nanopore Fabrication by Controlled Dielectric Breakdown.” PloS One 9, no. 3 (2014): e92880、および特許EP2847367)が、これは、膜の厚さが閾値(名目上15nm)未満である場合にのみ、細孔を形成することができ、膜形成プロセスにより大きな要求(より厳しい公差)を突き付ける。
より具体的には、細孔担持膜は、5〜100nm厚のケイ素、窒化ケイ素、または二酸化ケイ素ウィンドウを有する透過型電子顕微鏡(TEM)グリッドを用いて作製することができる。スペーサーは、絶縁体、例えば、SU-8、フォトレジスト、PECVD酸化物、ALD酸化物、ALDアルミナ、または蒸着金属材料、例えば、Ag、Au、もしくはPtを使用して、かつ膜と膜の間のチャンバーBの、さもなければ水性部分内の小体積を占めることで、膜と膜を分けるために使用することができる。ホールダーは、チャンバーBの最大の体積画分から構成される水性浴中に据えられる。チャンバーAおよびCは、膜の密封をもたらす(低いアクセス抵抗のための)より大きな直径のチャネルによってアクセス可能である。
集束電子またはイオンビームを使用して、膜を貫通する細孔を穿孔し、それらを自然に整列させることができる。各層に正確なビーム集束をあてることによって、細孔をより小さなサイズに刻む(縮小する)ことができる。任意の単一のナノ細孔穿孔方法を使用して、所与の方法にとって可能な穿孔深度および膜の厚さを考慮して、2つの膜に細孔の対を穿孔することもできる。マイクロ細孔を所定の深度に予備穿孔し、次いで、膜の残部を通るナノ細孔は、膜の厚さをさらに精密にすることも可能である。
5.5.7. 細孔サイズ
当業者が認識すると考えられるように、膜中の細孔のサイズは、膜を通る(検出手段、例えば、プローブもしくは他の電圧感受性部分で修飾された、または未修飾の)標的分子の移動に対応するのに十分なほど大きくなければならない。したがって、ナノ細孔デバイス中の細孔はナノスケールまたはマイクロスケールであり得る。
一局面では、各膜細孔は、小分子もしくは大分子または微生物を通過させることができるサイズを有する。一局面では、各細孔は少なくとも約1nmの直径である。あるいは、各細孔は少なくとも約2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、または100nmの直径である。
一局面では、膜細孔は約200nm以下の直径である。あるいは、細孔は、約195nm、190nm、185nm、180nm、175nm、170nm、165nm、160nm、155nm、150nm、145nm、140nm、135nm、130nm、125nm、120nm、115nm、110nm、105nm、100nm、95nm、90nm、85nm、80nm、75nm、70nm、65nm、60nm、55nm、50nm、45nm、40nm、35nm、30nm、25nm、20nm、15nm、または10nm以下の直径である。
一局面では、膜細孔は、約10nm〜約200nm、あるいは約10nm〜約180nm、または約10nm〜約170nm、または約10nm〜約160nm、または約10nm〜約150nm、または約10nm〜約140nm、または約15nm〜約50nmの直径を有する。
いくつかの局面では、細孔の長さまたは深度は、さもなければ分かれている2つの容積を接続するチャネルを形成するのに十分なほど大きい。いくつかのそのような局面では、各細孔の深度は、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、または900nmより大きい。いくつかの局面では、各細孔の深度は2000nmまたは1000nm以下である。いくつかの態様では、細孔の深度は約30nmである。いくつかの態様では、細孔の深度は10〜100nmの範囲である。
いくつかの用途では、デバイスは、約20nm、約25nm、または約30nmより大きい細孔直径サイズを有する膜を有することができる。他の用途では、デバイスは、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、または約120nmより大きい細孔直径サイズを有することができる。
いくつかの局面では、膜細孔は実質的に丸い形を有する。本明細書で使用する場合、「実質的に丸い」は、少なくとも約80%または90%円柱の形態である形を指す。いくつかの態様では、細孔は、正方形、長方形、三角形、楕円形、または六角形の形である。
一局面では、膜細孔は、約1nm〜約10,000nm、あるいは約2nm〜約9,000nm、または約3nm〜約8,000nmなどの深度を有する。
半導体ファウンドリでより広く入手可能である安価なパターニング機器を用いる単純なプロセス技術を使用することによって、非常に大きな細孔(例えば、65nmの直径以上)をより安価に大量に作製することができる。重要なことに、そのようなツールおよびプロセス技術は、ハイスループットなウエハスケール工程で細孔を形成することができる。例えば、使用され得る1つの製造技術は、フッ化アルゴン(ArF)光リソグラフィ(193nmの波長の光源)とプラズマエッチまたは成膜技法を組み合わせるパターニング技術である。そのようなプロセス技術は、定義によれば、自立型の膜構造中のナノ細孔穴を含めて、65および90nmのフィーチャサイズを作製することができる。したがって、より大きなナノ細孔直径(例えば、65nm、90nmおよびそれ以上)を関心対象のナノ細孔センシング用途で用いることができる場合、固体のナノ細孔チップをかなり安価にかつ大量に作製することができる。
5.5.8. センサ
いくつかの態様では、本開示のナノ細孔デバイスは、標的生体分子の検出を行うために、1つまたは複数のセンサを含むことができる。
デバイスで使用されるセンサは、ナノ細孔を通る標的生体分子の移動と関係がある電流の変化または電圧の変化を測定することによって標的生体分子を特定するように構成されるセンサを主として対象とし得る。しかし、センサは、標的ポリヌクレオチド特定するのに適した任意のセンサが含まれ得る。例えば、センサは、ポリマーと関係がある電流、電圧、pH値、光学的特色、または滞留時間を測定することによって標的ポリヌクレオチドを特定するように構成され得る。他の局面では、センサは、標的ポリヌクレオチドの1種もしくは複数種の個々の成分、または標的ポリヌクレオチドに結合もしくは付着した1種もしくは複数種の成分を特定するように構成され得る。センサは、測定可能なパラメータの変化を検出するように構成される任意の成分から形成されてもよく、変化は、標的生体分子、標的生体分子の成分、または標的生体分子に結合または付着した成分を示す。
好ましい態様では、センサは、生体分子または他のエンティティ、特に標的ポリヌクレオチドが細孔を通って移動する場合に、細孔を越えるイオン電流を測定するために、細孔の両側に配置された1対の電極を含む。これは、電気的検出のタイプと本明細書で言及される。ある特定の局面では、細孔全体にわたるイオン電流は、細孔を通過する標的ポリヌクレオチドセグメントがペイロード分子に結合している場合に、測定可能な程度に変化する。そのような電流の変化は、例えば、問題の標的ポリヌクレオチド分子の存在、非存在、および/またはサイズに対応して、予測可能、測定可能に変動し得る。
好ましい態様では、センサは、電圧を印加し、ナノ細孔を越える電流を測定するために使用される電極を含む。ナノ細孔を通る分子の移動は、電気インピーダンス(Z)をもたらし、これは、オームの法則、すなわち、Vは印加される電圧であり、Iはナノ細孔を通る電流であり、ZはインピーダンスであるV=IZに従って、ナノ細孔を通る電流に影響を及ぼす。逆に、コンダクタンスG=1/Zは、ナノ細孔事象を信号で送り、定量化するためにモニターされる。分子が電界中で(例えば、印加電圧下で)ナノ細孔を通って移動する場合の結果は、電流信号のさらなる分析の際にナノ細孔を通過する分子と関連付けされ得る、電流シグネチャである。
電流シグネチャからの滞留時間測定値が使用される場合、成分のサイズは、それがセンシングデバイスを通過するのにかかる時間の長さに基づいて、特定の成分と関連付けされ得る。
小さな生体分子がナノ細孔を通過する場合、これは電流の低減を引き起こす。ナノ細孔を通る電流は、交流(AC)測定または直流(DC)測定のいずれかを使用することによって、センシングエンティティによって測定することができる。
ナノ細孔を通る電流は、膜を通るナノ細孔を介して流体連通中にある2つの容積を分ける膜の適切な側面に位置する2つのAg/AgCl電極間のACまたはDC測定を使用することによって測定することができる。電流を流すための電解質(例えばKCl)を含む水溶液が、全体を通して使用される。大きなナノ細孔(例えば、25nm以上)において、より小さな分子(例えば、長さが500bp未満のポリヌクレオチド)の検出をたやすくするために特定の電解質を使用した方法が、本明細書に提供される。
センサは、荷電ポリマーまたは荷電ポリマーの1種もしくは複数種の個々の成分と関係がある電流、電圧、pH、光学的特色、または滞留時間を測定することによって荷電ポリマーを特定するように構成され得る。いくつかの態様では、センサは、分子または粒子、特に荷電ポリマー(例えばポリヌクレオチド)が細孔を通って移動する場合に、細孔を通るイオン電流を測定するために、細孔の両側に配置された1対の電極を含む。
ある特定の態様では、センサは、ポリマーまたはポリマーの成分(もしくは単位)の光学的特色を測定する。そのような測定の一例としては、特定の単位に特有の吸収帯の赤外(または紫外)分光測定による特定が挙げられる。
滞留時間測定値が使用される場合は、これは、単位のサイズを、それがセンシングデバイスを通過するのにかかる時間の長さに基づいて、特定の単位に関連付けると考えられる。
いくつかの態様では、センサは、プローブごとに異なる非共有結合を形成する試薬によって官能化される。この点で、ギャップはより大きくてもよく、依然として有効な測定を可能にする。例えば、5nmのギャップを使用して、長さがおよそ5nmあるプローブ/標的複合体を検出することができる。官能化されたセンサを有するトンネルセンシングは、「認識トンネリング(recognition tunneling)」と呼ばれる。認識トンネリングとともに走査トンネル顕微鏡(STM)を使用すると、標的モチーフに結合したプローブは容易に特定される。
したがって、本技術の方法は、ナノ細孔チャネルの一方もしくは両方に、または細孔の間にそれぞれ位置する1つまたは複数の認識トンネリング部位に対する荷電ポリヌクレオチド(例えばDNA)の送達速度の制御を提供することができ、電圧制御は、各プローブ/標的複合体が、ロバストな同定に十分な持続時間にわたって各部位に存在するということを確実にすることができる。
本開示のデバイスおよび方法におけるセンサは、金、白金、グラフェン、または炭素、または他の適切な材料を含むことができる。特定の局面では、センサは、グラフェンで作られている部品を含む。グラフェンは、伝導体および絶縁体として作用することができる、したがって、グラフェンを通り、ナノ細孔を横切るトンネル電流は、移動しているDNAを配列させることができる。
いくつかの態様では、トンネルギャップは約1nm〜約20nmの幅を有する。一局面では、ギャップの幅は少なくとも約1nm、あるいは少なくとも約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、12、または15nmである。別の局面では、ギャップの幅は、約20nm以下、あるいは、約19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2nm以下である。いくつかの局面では、幅は、約1nm〜約15nm、約1nm〜約10nm、約2nm〜約10nm、約2.5nm〜約10nm、または約2.5nm〜約5nmである。
いくつかの態様では、センサは電気センサである。いくつかの態様では、センサは、ユニークな蛍光シグネチャを作るための標識をプローブが有する場合に、蛍光検出手段を検出する。出口の放射源を使用して、そのシグネチャを検出することができる。
いくつかの態様では、電流の変化または電圧の変化を測定するセンサを介して検出が生じる場合に、事象の深度は少なくとも6の信号雑音比(SNR)を有するべきであり、事象持続時間は、完全な深度を達成するために、低域フィルターの立上がり時間の少なくとも2倍でなくてはならない。標準的な器具類を使用して公表されたデータおよびモデルは、DNA検出を達成するためには、細孔直径が50nmをはるかに下回っていなくてはならないことを示唆する。例えば、フィルターカットオフ周波数を例えば30kHzに高めることによって、330bpほどの短さのDNAが完全な深度に達することができるが、約25pA RMSへのノイズの上昇は、細孔直径が16nm以下でなくてはならないことを意味する。一般に、標準的なナノ細孔器具類、緩衝液、およびデバイスを使用する場合、直径65nm以上のナノ細孔で500bp以下のDNAは検出不可能である。したがって、いくつかの態様では、エチレングリコールセンシング溶液は、10nm〜150nmの直径のナノ細孔における500bp以下のポリヌクレオチドなどの小分子に関して、ナノ細孔デバイスにおける検出を最も著しく増強する。
5.5.9. 電極および移動
一局面では、デバイスは、1つまたは複数の電源に接続したチャンバー中に電極を有する。いくつかの局面では、電源は、細孔をはさんで電圧を供給することができ、細孔を通る電流を測定することができる、電圧クランプまたはパッチクランプでもよい。
細孔に存在する電圧によって、1つの容積中の荷電分子は細孔上の電界によって捕捉され、細孔を通って引っ張られて、もう1つの容積中に出ることができる。電界のサイズおよび強さ、移動の速度、および移動の方向は、電圧の大きさおよび極性によって制御することができる。
一例は標的ポリヌクレオチドに関する。第1の工程では、ポリヌクレオチドがシスチャンバーにロードされる。約7.4のpHの生理的条件下におけるその負電荷によって、ポリヌクレオチドは、電圧が印加される細孔中に引っ張られ、その細孔を通って移動することができる。
いくつかの態様では、デバイスは、ナノ細孔をはさんで電圧を印加するための、および1つのチャンバーからもう1つのチャンバーまでナノ細孔を通る電流をモニターするための電極を含み、電極は電源に接続している。いくつかの態様では、試料はポリヌクレオチドを含み、電圧の印加が、電位差の適用の際に、第1のチャンバーから第2のチャンバーまでナノ細孔を通してポリヌクレオチドを運び、それによって、オープンチャネル電気信号から逸脱する電気信号を生成する。いくつかの態様では、第1および第2の容積はナノ細孔を通じてのみ流体連通している。
いくつかの態様では、デバイスは、ナノ細孔をはさんで電圧を印加するための、および1つのチャンバーからもう1つのチャンバーまでナノ細孔を通る電流をモニターするための電極を含み、電極は電源に接続している。いくつかの態様では、第1および第2の容積はナノ細孔を通じてのみ流体連通している。いくつかの態様では、第1および第2の電極は、ナノ細孔を通る標的生体分子の通過から生成される差動電気信号を検出するようにさらに構成される。いくつかの態様では、差動信号はナノ細孔を通る電流の変化である。
いくつかの態様では、デバイスは、ナノ細孔をはさんで電圧を印加するための、および1つのチャンバーからもう1つのチャンバーへのナノ細孔を通る電流をモニターするための、電極を含み、電極は電源に接続している。いくつかの態様では、試料はポリヌクレオチドを含み、電圧の印加は、電位差の適用の際に、第1のチャンバーから第2のチャンバーまでポリヌクレオチドをナノ細孔を通して運び、それによって、オープンチャネル電気信号から逸脱する電気信号を生成する。いくつかの態様では、第1および第2の容積はナノ細孔を通じてのみ流体連通している。
5.5.10. 検出率
用途に応じて、方法、デバイス、システム、およびキットの検出率を高めることができる。
いくつかの態様では、方法は、少なくとも1/分、少なくとも2/分、少なくとも3/分、少なくとも4/分、少なくとも5/分、少なくとも10/分、少なくとも15/分、少なくとも20/分、少なくとも25/分、少なくとも30/分、少なくとも40/分、少なくとも50/分、少なくとも60/分、少なくとも70/分、少なくとも80/分、少なくとも90/分、少なくとも100/分、少なくとも150/分、少なくとも200/分、または少なくとも250/分という、ナノ細孔における標的生体分子の検出率をもたらす。
いくつかの用途では、サイズまたは重量が同じでない2つの分子の捕捉率を比較するために、本明細書に提供される方法の捕捉を正規化することができる。率は、当技術分野において公知である標準的な方法を使用して正規化することができる。本明細書において使用する場合、正規化された捕捉率はアステリスク「*」によって示される。
いくつかの態様では、方法は、少なくとも1/nM*分、少なくとも2/nM*分、少なくとも3/nM*分、少なくとも4/nM*分、少なくとも5/nM*分、少なくとも10/nM*分、少なくとも15/nM*分、少なくとも20/nM*分、少なくとも25/nM*分、少なくとも30/nM*分、少なくとも40/nM*分、少なくとも50/nM*分、少なくとも60/nM*分、少なくとも70/nM*分、少なくとも80/nM*分、少なくとも90/nM*分、または少なくとも100/nM*分という正規化された検出率をもたらす。
5.6. 用途
本明細書に提供される組成物、デバイス、方法、システム、およびキットは、生体分子の検出または特性評価に適用することができる。生体分子の特性評価は、測定可能な電気的シグネチャの相違を引き起こす、(プローブもしくは電圧感受性部分で修飾された、または未修飾の)分子の任意の性状を決定することを含むことができる。特性評価は、試料中の分子の濃度を決定することを含むことができる。そのような用途の例としては、限定されないが、診断バイオマーカー検査、感染症検出、遺伝子スクリーニング(例えば、遺伝子座/突然変異または植物のGMO)、および薬物または化学作用物質のスクリーニングが挙げられる。
いくつかの態様では、コンピュータ可読媒体は、特定の用途のための検出または特性評価に使用されるナノ細孔デバイスを通る移動を検出するコードを格納する。いくつかの態様では、ナノ細孔デバイスを通る移動を電流の一過的降下として検出する、かつ決定されたベースライン電流と比較して有意な標準偏差を有する事象を特定するアルゴリズムを使用するコードを、コンピュータ可読媒体は格納する。用途に応じて、有意な標準偏差は、決定されたベースラインと比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15標準偏差を含むことができる。
5.6.1. ポリヌクレオチド
本開示は、ポリヌクレオチドの検出または特性評価を提供する。組成物、方法、システム、およびキットは、試料中の生体分子の検出および分析を必要とする様々な用途に適用することができる。そのような用途では、生体分子の有無は、単位時間あたりの移動信号の数を閾値と比較することによって決定することができ、閾値より上で、前記標的生体分子が前記試料中に存在することが決定され、閾値より下で、前記標的生体分子が前記試料中に存在しないことが決定される。
本開示の発明的局面は、任意の遺伝子診断に適用することができる。本開示とともに使用することができる遺伝子診断要素の例としては、限定されないが、遺伝子、SNP、miRNA、shRNA、またはCRISPR誘導性改変が挙げられる。
本開示の方法は感染症検出に適用することができ、ここで、検出または特性評価されるポリヌクレオチドは、病原菌、微生物、病原体、ウイルス、プリオン、または細菌に由来し、本開示を使用して決定される。
本開示の発明的局面は遺伝子スクリーニングに適用することができる。遺伝子スクリーニングは、生検試料または研究試料のいずれかに適用することができる。本開示とともに使用することができる様々なタイプの遺伝子スクリーニング要素の例としては、SNP、挿入、欠失、コピー数(例えば、コピー数多型)、転座、GMO含量、またはCRISPR誘導性改変のスクリーニングが挙げられる。当業者が認識すると考えられるように、小さな遺伝子改変(例えば、SNPなど)の検出は、検出を増強するまたは助けるために、プローブ分子などをさらに使用することができる。研究試料のために、本開示とともに使用することができる様々なタイプの遺伝子スクリーニング要素としては、配列の修飾、ゲノム中の位置、プラスミド上などが挙げられ、またはポリヌクレオチドの数を特性評価することができる。
本開示の発明的局面は癌スクリーニングに適用することができる。本開示とともに使用することができる癌スクリーニングのタイプの例としては、メチル化状態、癌遺伝子活性化状態、癌遺伝子の突然変異状態、または腫瘍抑制遺伝子の突然変異状態が挙げられる。
5.6.2. タンパク質
本開示は、タンパク質、ペプチド、抗体、またはポリヌクレオチド、プローブ、ビーズ、もしくは色素などの他の分子に結合したタンパク質の検出または特性評価を提供する。
本開示によって提供される組成物、デバイス、方法、システム、およびキットは、診断バイオマーカー検査、感染症検出、遺伝子スクリーニング、および薬物または化学作用物質のスクリーニングのために、タンパク質に適用することができる。
本開示の発明的局面はタンパク質診断に適用することができる。本開示とともに使用することができるタンパク質バイオマーカースクリーニングとしては、標的タンパク質(有無、コピー数、発現レベル)、または特定のシグナリング経路におけるその活性化状態を決定するための標的タンパク質の修飾(必要とされるある特定の残基におけるリン酸化、もしくは活性化など)の検出および特性評価が挙げられる。
本開示の発明的局面は感染症検出に適用することができ、検出または特性評価されるタンパク質は、病原菌、微生物、病原体、ウイルス、プリオン、または細菌に由来する。
本開示の発明的局面は遺伝子産物の遺伝子スクリーニングに適用することができ、SNP、挿入、欠失、コピー数(例えば、コピー数多型)、転座、挿入された導入遺伝子(例えば、GMO含量)、CRISPR誘導性改変、または抗体およびT-細胞受容体の生成で使用されるV(D)J組換えによって引き起こされるテンプレート中の遺伝子改変に由来する突然変異をコードする結果について、タンパク質が検出および特性評価される。
本開示の発明的局面は、薬物または化学作用物質のスクリーニングに適用することができる。薬物または化学作用物質としては、限定されないが、小分子、ペプチド、結合分子、または抗体が挙げられる。そのような用途のために、タンパク質の特性評価の検出を使用して、特定の分析物の化学反応および生化学反応を、そのような反応の間にタンパク質に生じる構造変化(コンホメーション変化またはモチーフ変化)を決定することによってモニターすることができる。
5.7. システム
本開示は、試料中の生体分子を検出または特性評価するためのシステムも提供する。本開示は、本開示の方法を実施するためのシステムも提供する。
システムは、ナノ細孔デバイス、本開示のセンシング溶液、電流を検出するためのセンサ;プロセッサ;およびプロセッサによって実行される場合に、プロセッサに生体分子を検出または特性評価させるコードを格納するためのコンピュータ可読媒体を含むことができる。
ユーザの要求に応じて、システムのコンピュータシステム(例えば、プロセッサおよびコンピュータ可読媒体)をユーザの要求に適合させることができる。いくつかの態様では、コンピュータシステムは、図29Aまたは図29Bに部分的にまたは全体的に記載されているシステムである。
多くの場合、本開示のシステムは、ナノ細孔デバイスを通る移動を検出するコードを格納するコンピュータ可読媒体を含むと考えられる。
いくつかの態様では、コンピュータ可読媒体は、決定されたベースライン電流(例えば、平均値)と比較して有意な標準偏差を有する1つまたは複数の事象を特定することによって移動を電流の一過的降下として検出するコードを格納する。用途に応じて、有意な標準偏差は、決定されたベースラインと比較して、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15標準偏差を含むことができる。
決定されたベースライン電流は、(例えば、試料中のバックグラウンド分子に対する)推定事象に先行するかまたは続く所与の期間にわたる平均振幅およびRMSノイズによって、確立することができる。決定されたベースライン電流は、(例えば、泳動用緩衝液中のバックグラウンド分子に対する)推定事象に先行するかまたは続く所与の期間にわたる平均振幅およびRMSノイズによって確立することもできる。
いくつかのさらなる態様では、コンピュータ可読媒体は、特定の生体分子タイプ、修飾、構造、限定されないが、プローブ、電圧感受性部分、ビーズ、色素などを含むことができる分子検出手段についてあらかじめ決定されている、または既知である1つまたは複数の電流シグネチャを特定するアルゴリズムを格納する。
5.7.1. ナノ細孔デバイス
本開示によって提供されるシステムは、当技術分野において公知である任意のナノ細孔デバイスまたは膜とともに使用することができる。本開示とともに使用することができるデバイスの例は、限定されないが、固体のナノ細孔デバイス、生物学的ナノ細孔デバイス、またはハイブリッドナノ細孔デバイスを含んでいた。
本開示のシステムは、セクション5.5に記載されているデバイスまたは膜のいずれかを含む。当業者が認識すると考えられるように、膜中の細孔のサイズは、膜を通る(検出手段、例えば、プローブもしくは他の電圧感受性部分で修飾された、または未修飾の)標的分子の移動に対応するのに十分なほど大きくなければならない。したがって、ナノ細孔デバイス中の細孔はナノスケールまたはマイクロスケールであり得る。
いくつかの用途では、デバイスは、約20nm、約25nm、または約30nmより大きい細孔直径サイズを有することができる。他の用途では、デバイスは、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、または約120nmより大きい細孔直径サイズを有することができる。
本開示を読めば、当業者は、適切なナノ細孔デバイスおよび膜を選択すると考えられる。
5.7.2. センシング溶液
セクション5.3で本開示によって提供されるセンシング溶液組成物のいずれも本開示のシステムとともに有効量で使用することができることが意図される。本明細書において記載されるように、さらなる作用物質をセンシング溶液に添加することができることを当業者は容易に理解するであろう。
本明細書に記載されるポリエーテル作用物質のいずれもセンシング溶液中で利用することができる。いくつかの態様では、システムは、式(I)〜(IV)のポリエーテルの有効量を含むセンシング溶液を含むことができる。いくつかの態様では、システムは、セクション5.4.4に記載されている非対称または勾配センシング溶液を含む。
5.7.3. CsClまたはCaCl2センシング溶液を有するシステム
本開示は、以下に概要を述べるように、CsClまたはCaCl2センシング溶液を含むシステムについてさらなる態様を提供する。当業者は、用語「緩衝液」は単語「センシング溶液」と互換的に使用することができることを認識すると考えられる。
態様34.ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、該層がナノ細孔を含み;該第1および第2の容積が該ナノ細孔を通じて流体連通しており、該第1の容積または該第2の容積がCsClまたはCaCl2を含むセンシング溶液を含む、ナノ細孔デバイスを含むシステム。
態様35.前記第1の容積に第1の電極を、前記第2の容積に第2の電極さらに含み、前記第1および第2の電極が前記ナノ細孔をはさんで電位差を適用するように構成される、態様34のシステム。
態様36.前記第1の容積または前記第2の容積に標的生体分子をさらに含み、前記電位差が前記ナノ細孔を通る前記標的生体分子の移動を誘導する、態様35のシステム。
態様37.前記第1および第2の電極が、前記ナノ細孔を通る前記標的生体分子の前記通過から生成される差動電気信号を検出するようにさらに構成される、態様36のシステム。
態様38.前記差動信号が前記ナノ細孔を通る電流の変化である、態様37のシステム。
5.7.4. エチレングリコールセンシング溶液を有するシステム
本開示は、以下に概要を述べるように、エチレングリコールセンシング溶液を含むシステムについてさらなる態様を提供する。当業者は、用語「緩衝液」は単語「センシング溶液」と互換的に使用することができることを認識すると考えられる。
態様33.ナノ細孔デバイスが、デバイスの内部空間を第1の容積と第2の容積に分ける層を含み、該層がナノ細孔を含み;該第1および第2の容積が該ナノ細孔を通じて流体連通しており、該第1の容積または該第2の容積がエチレングリコールを含むセンシング溶液を含む、ナノ細孔デバイスを含むシステム。
態様34.前記第1の容積に第1の電極を、前記第2の容積に第2の電極さらに含み、前記第1および第2の電極が前記ナノ細孔をはさんで電位差を適用するように構成される、態様33のシステム。
態様35.前記第1の容積または前記第2の容積に標的生体分子をさらに含み、前記電位差が前記ナノ細孔を通る前記標的生体分子の移動を誘導する、態様34のシステム。
態様36.前記第1および第2の電極が、前記ナノ細孔を通る前記標的生体分子の前記通過から生成される差動電気信号を検出するようにさらに構成される、態様35のシステム。
態様37.前記差動信号が前記ナノ細孔を通る電流の変化である、態様36のシステム。
態様38.前記エチレングリコールがポリエチレングリコールである、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様39.前記ポリエチレングリコールがトリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、またはポリエチレングリコール400である、態様38のシステム。
態様40.前記エチレングリコールが以下の構造を含む、態様33〜37のいずれか1つのシステム:
Figure 2021536261
式中、nは1〜10である。
態様41.前記ナノ細孔センシング溶液が塩を含む、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様42.前記塩がNaCl、KCl、またはLiClである、態様41のシステム。
態様43.前記塩が、0.01Mを上回る、0.02Mを上回る、0.05Mを上回る、0.1Mを上回る、0.2Mを上回る、0.5Mを上回る、1Mを上回る、2Mを上回る、または3Mを上回る濃度で前記センシング溶液中に存在する、態様41のシステム。
態様44.前記標的生体分子がポリヌクレオチドである、態様のいずれか1つのシステム。
態様45.前記ポリヌクレオチドがdsDNA、ssDNA、RNA、またはRNA/DNAハイブリッドである、態様44のシステム。
態様46.前記ポリヌクレオチドが2kb、1kb、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、または100塩基以下の長さを有する、態様44のシステム。
態様47.前記標的dsDNAが500bp未満の長さである、態様45のシステム。
態様48.前記標的dsDNAが10bp〜500bpの長さを含む、態様45のシステム。
態様49.前記ナノ細孔が10nm〜150nmの直径を含む、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様50.前記ナノ細孔が4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、または65nmより大きい最小直径を特徴とする、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様51.前記ナノ細孔が70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、または110nm未満の最小直径を特徴とする、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様52.前記ナノ細孔が1000nm未満、500nm未満、200nm未満、100nm未満、または50nm未満の最小直径を有する、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様53.ナノ細孔が65nm〜100nmの最小直径を特徴とする、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様54.ナノ細孔が5nm〜100nmの最小直径を特徴とする、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様55.前記ポリヌクレオチドが500塩基以下の長さを有し、前記ナノ細孔が10nmの最小直径を有する、態様44のシステム。
態様56.エチレングリコールを含む前記センシング溶液が、第1の容積と第2の容積の両方に存在する、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
前記エチレングリコールが、0.1%v/v以上、0.2%v/v以上、0.5%v/v以上、1%v/v以上、2%v/v以上、5%v/v以上、10%v/v以上、15%v/v以上、20%v/v以上、または25%v/v以上の濃度で前記第1の容積または前記第2の容積中に存在する、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様57.前記エチレングリコールが、少なくとも0.01M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、または1Mの濃度で前記第1の容積または前記第2の容積中に存在する、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様58.前記デバイスが、前記ナノ細孔をはさんで電圧を印加するための、および1つのチャンバーからもう1つのチャンバーまで前記ナノ細孔を通る電流をモニターするための電極を含み、前記電極が電源に接続している、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
態様59.前記第1および第2の容積が前記ナノ細孔を通じてのみ流体連通している、態様33〜37のいずれか1つのシステム。
5.7.5. センサ
本開示のシステムはセンサを含むことが多い。センサは、その目的が、事象またはその環境の変化を検出し、他の電子機器、しばしばコンピュータプロセッサに情報を送ることである、デバイス、モジュール、機械、またはサブシステムである。
いくつかの用途では、センサ当技術分野において公知である任意のセンサであり得る。ある特定の態様では、センサはセクション5.5.8に記載されているものであり得る。
5.7.6. コンピュータシステム
多くの場合、本開示のシステムは、コンピュータシステム、プロセッサ、およびナノ細孔デバイスからの電流データを処理し分析するためのコードを格納するコンピュータ可読媒体とともに使用することができる。記載されるコンピュータシステムの変形形態も、本開示によって提供されるシステムおよび方法を提供する限り可能である。
図29Aは、1つの態様に従って、電流測定値をモニターする、そのデータについて分析を行う、および要約分析を提供するための分析システム100示す。分析システムは、クライアントコンピューティングデバイス110、ナノ細孔デバイス130、アプリケーションサーバ125、データベースサーバ120、およびネットワーク135を含むことができる。図29Aは分析システム100の多くの成分の一例のみを図示するが、実際には、1つより多い各成分が存在可能であり、さらなるまたはより少ない成分が使用され得る。
クライアントデバイス110はコンピュータシステムである。実例の物理的実装は、図29Bについて、より完全に以下で記載される。クライアントデバイス110は、ユーザの入力を受け取り、ネットワーク135を介してデータを伝送するおよび/または受け取ることができる1つまたは複数のコンピューティングデバイスである。一態様では、クライアントデバイス110は、従来のコンピュータシステム、例えば、デスクトップまたはラップトップコンピュータである。あるいは、クライアントデバイス110は、コンピュータ機能を有するデバイス、例えば、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、スマートフォン、または別の適切なデバイスでもよい。いくつかの態様では、クライアントデバイス110は、クライアントデバイス110のユーザがネットワーク上の他のエンティティ、例えば、サーバまたは他のクライアントデバイスと相互作用することを可能にするアプリケーションを実行する。例えば、クライアントデバイス110は、ある場合には、ネットワーク135を介してクライアントデバイス110とアプリケーションサーバ125またはデータベースサーバ120の間の相互作用を可能にするために、ブラウザアプリケーションを実行することができる。別の態様では、クライアントデバイス110は、クライアントデバイス110のネイティブオペレーティングシステム、例えば、IOS(登録商標)またはANDROID(商標)上で走るアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を通じて相互作用する。ネットワーク135アクセスを用いて、クライアントデバイス110は、ナノ細孔デバイス130に関連するデータをネットワーク135上の他のエンティティに伝送する。
ナノ細孔デバイス130は、有線接続を介するか、またはより典型的には、無線ラジオ周波数接続を介するかのいずれかでクライアントデバイス110と通信する、それ自体のネットワークアダプタ(非表示)を含むことができる。一態様では、ネットワークアダプタはブルートゥース・ロー・エナジー(BTLE)無線送信機であるが、他の態様では、他のタイプの無線通信を使用することができる(例えば、赤外線、102.11)。一態様では、ナノ細孔デバイスは当技術分野において公知である任意のナノ細孔デバイスである。別の態様では、システムで使用されるナノ細孔デバイスはセクション5.7に記載されているものである。
アプリケーションサーバ125はコンピュータまたはコンピュータのネットワークである。簡易化された例が図29Bに図示されるが、典型的には、アプリケーションサーバは、例えばクライアントデバイス110として使用される典型的なコンピューティングシステムと比較して、強力なプロセッサ、大きなメモリ、および速いネットワーク成分を使用する、サーバクラスシステムであると考えられる。サーバは、典型的には、例えば、RAID(独立した複数のディスクの冗長性配列(redundant array of independent disks))アレイを使用して、および/またはデータを格納する、交換する、および伝送するために契約された独立のコンテンツデリバリネットワーク(CDN)との関係を確立することによって、大きな二次的なストレージを有する。さらに、コンピューティングシステムは、オペレーティングシステム、例えば、UNIXオペレーティングシステム、LINUXオペレーティングシステム、またはWINDOWSオペレーティングシステムを含む。オペレーティングシステムは、アプリケーションサーバ125のハードウェアおよびソフトウェアリソースを管理し、様々なサービス、例えば、プロセス管理、データの入力/出力、周辺デバイスの管理なども提供する。オペレーティングシステムは、デバイスに格納されたファイルを管理するための様々な機能、例えば、新しいファイルを作出すること、ファイルを移動またはコピーすること、遠隔のシステムにファイルを転送することなどを提供する。
アプリケーションサーバ125は、ネットワーク135を通じた多くの異なるクライアントデバイス110によるアクセスおよび使用分析システム100を支持するためのソフトウェアアーキテクチャを含み、それにより、高レベルで、概して、クラウドベースのシステムとして特徴付けられ得る。アプリケーションサーバ125は、概して、ユーザ111および企業112がナノ細孔デバイス130に付随するセンサによって記録されるデータを報告するためのプラットフォームを提供する。
概して、アプリケーションサーバ125は、多種多様のデータを取り扱うように設計される。アプリケーションサーバ125は、受信データの妥当性を調べること、必要ならばデータを構文解析およびフォーマットすること、格納のために、処理されたデータをデータベースサーバ120に送ること、ならびデータベースサーバ120が更新されたことを確認することを含めた様々な機能を実行する論理ルーチンを含む。
アプリケーションサーバ125は、少なくとも部分的にユーザごとにデータを格納および管理する。この目的に向けて、アプリケーションサーバ125は各ユーザについてユーザプロファイルを作出する。ユーザプロファイルは、ユーザにデータを提出する権限が与えられている1つまたは複数のクライアントデバイス110またはナノ細孔デバイス130を特定するデバイス識別子、例えば、ユニークな媒体アクセス制御(MAC)アドレスをさらに指定することができる。
データベースサーバ120は、定義されたデータベーススキーマに従ってデータを格納する。典型的には、異なるデータソースにわたるデータストレージスキーマは、基本となるデータベース構造の実装の違いが理由で、クラウドアプリケーションイベントログおよびログメトリクスを含む同じタイプのデータを格納する場合でさえも著しく変動する。データベースサーバ120は、構造化データ、非構造化データ、または半構造化データなどの異なるタイプのデータを格納することもできる。データベースサーバ120中のデータは、ユーザに関連し得る。
ネットワーク135は、クライアント110デバイスとナノ細孔デバイス130とアプリケーションサーバ125とデータベースサーバ120の間の様々な有線および無線通信経路を表す。ネットワーク135は、ローカルエリアおよび/またはワイドエリアネットワークの任意の組み合わせを含むことができる。ネットワーク135は、例えば、標準的なインターネット通信技術および/またはプロトコルを使用することができる。したがって、ネットワーク135は、イーサネット、801.11、IEEE 102.11、統合サービスデジタル通信網(ISDN)、非同期転送モード(ATM)、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(worldwide interoperability for microwave access(WiMAX)、3G、4G、符号分割多重アクセス(CDMA)、デジタル加入者回線(DSL)などのような技術を使用したリンクを含むことができる。同様に、ネットワーク135で使用されるネットワーキングプロトコルは、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、簡易メール転送プロトコル(SMTP)、ファイル転送プロトコル(FTP)などを含むことができる。ネットワーク135上で交換されるデータは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、拡張可能マークアップ言語(XML)などを含めた技術および/またはフォーマットを使用して表され得る。さらに、すべてまたはいくつかのリンクは、セキュアソケットレイヤー(SSL)、セキュアHTTP(HTTPS)および/または仮想プライベートネットワーク(VPN)などの従来の暗号化技術を使用して暗号化することができる。別の態様では、エンティティは、上記のものの代わりに、または上記のものに加えて、カスタムおよび/または専用データ通信技術を使用することができる。
概して、クライアントデバイス110で使用される正確な物理的成分は、サイズ、所要電力、および性能がアプリケーションサーバ125およびデータベースサーバ120で使用されるものと異なると考えられる。例えば、家庭用コンピュータ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはスマートフォンであることが多いと考えられるクライアントデバイス110は、比較的小さな記憶容量および処理能力含むと考えられるが、入力デバイスおよびディスプレイを含むと考えられる。これらの成分はデータの入力、ならびにアプリケーションサーバ125によって提供される通知の受信、表示、および該通知との相互作用に適している。これに対して、アプリケーションサーバ125は、多くの物理的に離れたローカルネットワーク化されたコンピュータを含むことができ、それぞれ、上記で紹介したCOPDリスク分析を行うためにかなりの量の処理能力を有する。一態様では、アプリケーションサーバ125の処理能力は、Amazon Web Services(商標)などのサービスによって提供される。さらに、これに対して、データベースサーバ120は、多くの物理的に離れたコンピュータを含むことができ、それぞれ、アプリケーションサーバに関連するデータを格納するために、かなりの量の持続的記憶容量を有する。
図29Bは、1つの態様に従って、図29Aのクライアントデバイス110、アプリケーションサーバ125、および/またはデータベースサーバ120の一部として使用することができる実例コンピュータ140の物理的成分を図示する、高レベルブロック図である。少なくとも1つのプロセッサ145につながれたチップセット150が図示される。揮発性メモリ155、ネットワークアダプタ160、入力/出力(I/O)デバイス165、不揮発性メモリに相当する記憶デバイス170、およびディスプレイ175が、チップセット150につながれる。一態様では、チップセット150の機能性は、メモリコントローラ151およびI/Oコントローラ152によって提供される。別の態様では、メモリ155は、チップセット150の代わりにプロセッサ145に直接つながれている。いくつかの態様では、メモリ155は、高速ランダムアクセスメモリ(RAM)、例えば、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセス固体メモリデバイスを含む。
記憶デバイス170は、任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体、例えば、ハードドライブ、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(compact disk read-only memory)(CD-ROM)、DVD、または固体メモリデバイスである。メモリ155はプロセッサ145によって使用される命令およびデータを保持する。I/Oデバイス165は、タッチ入力面(容量性もしくはその他のもの)、マウス、トラックボールもしくは他のタイプのポインティングデバイス、キーボード、または別の形式の入力デバイスであり得る。ディスプレイ175は、コンピュータ140の画像および他の情報を表示する。ネットワークアダプタ160は、コンピュータ140をネットワーク135につなぐ。
当技術分野において公知であるように、コンピュータ140は、図29Bに示されるものと比べて異なるおよび/または他の成分を有することができる。さらに、コンピュータ140は、ある特定の例示される成分を欠くことができる。一態様では、サーバ120の役割を果たすコンピュータ140は、専用のI/Oデバイス165を欠くことができる。さらに、記憶デバイス170は、コンピュータ140からローカルおよび/またはリモートでもよく(例えばストレージエリアネットワーク(SAN)内に包含される)、一態様では、記憶デバイス170はCD-ROMデバイスでもDVDデバイスでもない。当技術分野において公知であるように、コンピュータ140は、本明細書に記載される機能性を提供するためのコンピュータプログラムモジュールを実行するように適合される。モジュールは、ハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェア中に実装され得る。一態様では、プログラムモジュールは記憶デバイス170に格納され、メモリ155にロードされ、プロセッサ145によって実行される。
5.8. キット
本開示は、ナノ細孔デバイスを使用して生体分子を検出または特性評価するためのキットを提供する。ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出または特性評価するためのキットは、セクション5.3のセンシング溶液および説明書を含むことができる。
本開示の組成物および方法は、キットの調製に適しており、周知の手順に従って容易に生成され得る。キットの試薬または成分は、説明書に関する識別説明またはラベルを含むことができる。キットは、キットとともに提供される試薬または成分の少なくとも1つをそれぞれ含む容器を含むことができる。
本開示は、本開示の方法を実施するためのキットを提供する。さらに、キットを特定の用途のためにカスタマイズすることができる。いくつかの態様では、キットは、生体分子の有無、量、同一性、修飾、構造、または配列を特性評価するために適合させることができる。多くの場合、キットは、標準緩衝液で実施される同じ方法と比較して、改善された精度を提供する。
用途、試料タイプ、またはユーザの要求に応じて、キットは、方法または用途を実施するためのさらなる試薬または成分を有することができる。
いくつかの態様では、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出または特性評価するためのキットは、セクション5.3のセンシング溶液、説明書、および試料の処理、試料の検出、またはユーザの要求に応じてさらなる試薬または成分(例えば、デバイス、ソフトウェアなど)を含むことができる。
本開示は、正確な単一分子レベルの特定および特性評価を必要とする特定の用途を行うためのキットも提供する。キットを適合させることができる用途の非限定例としては、限定されないが、診断検査、感染症検査、限定されないが、癌遺伝子、遺伝性遺伝子座、コピー数などの遺伝子改変、突然変異、挿入された導入遺伝子含量を含めた遺伝子スクリーニング、または薬物/化学作用物質スクリーニングが挙げられる。
5.8.1. センシング溶液
セクション5.3で提供されるセンシング溶液組成物のいずれも、本開示のキットとともに使用することができることが意図される。本明細書において記載されるように、さらなる作用物質をセンシング溶液に添加することができることを当業者は容易に理解するであろう。
本明細書に記載されるポリエーテル作用物質のいずれかをセンシング溶液中で利用することができる。いくつかの態様では、キットは、式(I):
Figure 2021536261
のポリエーテルの有効量を含むセンシング溶液を使用することができ、
式中、mは1〜3であり;nは1〜30であり;各R1は独立に、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であり;R2およびR3はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル(例えば、メチル)または末端基であり、センシング溶液は、ナノ細孔デバイスを使用して生体分子を検出または特性評価することができる。
いくつかの態様では、キットは、式(Ia)〜(IV)またはこれらの態様のポリエーテルの有効量を有するセンシング溶液を含む。
いくつかの態様では、キットは、セクション5.4.4に記載されている非対称または勾配センシング溶液を含む。
5.8.2. 説明書
多くの場合、本開示のキットは、ナノ細孔デバイスでセンシング溶液を使用するための説明書を含む。説明書は紙に書かれてもよいし、コンピュータコードで格納されてもよいし、またはユーザに電子的に提供されてもよい。
キット中の説明書は、特定の方法、用途、または試料タイプ、特性、または生体分子タイプに適合させることができる。説明書は、診断バイオマーカー検査、感染症検出、遺伝子スクリーニング(例えば、遺伝子座/突然変異または植物中の挿入された導入遺伝子)、および薬物または化学作用物質のスクリーニングに適合させることができる。いくつかの態様では、説明書は、セクション5.6に記載されている任意の用途に適合させることができる。
5.8.3. さらなるキット試薬および成分
キットは、特定の方法、用途、試料タイプ、特性、または生体分子タイプのいずれかに適合させられることが意図される。したがって、キットは、さらなる成分または試薬を有することが多いと考えられる。さらに、ある特定の態様では、キットに含まれるさらなる成分および試薬は、ユーザの要求にさらに依存すると考えられる。
いくつかの態様では、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出または特性評価するためのキットは、センシング溶液、説明書、および以下からなる群より選択される1種または複数種の成分を含む:緩衝液(例えば、HEPES、TRISなど)、検出の手段、例えば、プローブ、色素、電圧感受性部分など、炭水化物溶液、電極、電源、電圧パッチクランプ増幅器、試料調製用の溶液、膜を含むナノ細孔デバイス、またはこれらの組み合わせ。
キットは、当技術分野において公知である任意のナノ細孔デバイス、または本開示のセクション5.5で提供されるデバイスを含むことができる。当業者が認識すると考えられるように、膜中の細孔のサイズは、膜を通る(検出手段、例えば、プローブもしくは他の電圧感受性部分で修飾された、または未修飾の)標的分子の移動に対応するのに十分なほど大きくなければならない。したがって、ナノ細孔デバイス中の細孔はナノスケールまたはマイクロスケールであり得る。
いくつかの用途では、デバイスは、約20nm、約25nm、または約30nmより大きい細孔直径サイズを有することができる。他の用途では、デバイスは、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約110nm、または約120nmより大きい細孔直径サイズを有することができる。
多くの場合、キットは、試料中の生体分子を検出または特性評価するためにオペレーティングシステムを指示するコンピュータ可読媒体を含むことができ、または、コンピュータ可読媒体は、ナノ細孔デバイスを通る移動を電流の一過的降下として検出する、かつ決定されたベースライン電流と比較して有意な標準偏差を有する事象を特定するアルゴリズムを使用するコードを、格納する。
5.9. 実施例
以下は、本発明を実施するための特定の態様の実施例である。実施例は、例示目的のためのみに提供され、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。使用される数(例えば、量、温度など)について正確性を確実にするように努力したが、いくらかの実験誤差および偏差は、当然ながら許容されるべきである。
本発明の実施は、別段指示がない限り、当技術分野の範囲内の、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技法、および薬理学の従来の方法を用いる。そのような技法は文献で十分に説明されている。例えば、T.E. Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W.H. Freeman and Company, 1993);A.L. Lehninger, Biochemistry (Worth Publishers, Inc., current addition);Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Edition, 1989);Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan eds., Academic Press, Inc.);Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition (Easton, Pennsylvania: Mack Publishing Company, 1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed. (Plenum Press) Vols A and B(1992)を参照されたい。
5.9.1. 実施例1:標準的な1M LiCl緩衝液は、27nmのナノ細孔において3.2kb以上のより大きなdsDNAを検出することができる
固体のナノ細孔は、2つの水性容積を分ける薄い固体の膜中に形成されたナノスケール開口部である。電圧クランプ増幅器は、開いた細孔を通るイオン電流を測定している間、膜をはさんで電圧Vを印加する(図7A)。任意の他の単一分子センサと異なって、ナノ細孔デバイスは、非常に低コストでハンドヘルドフォームファクタ(hand-held form factor)中にパッケージ化することができる。二本鎖DNA(dsDNA)などの単一荷電分子が捕捉され、電気泳動によって細孔を通って運ばれる場合、測定される電流がベースラインから変化し(δI)、一つの事象を生じさせ、コンダクタンスシフト深度(δG=δI/V)および持続時間が、この事象を特性評価するために使用される(図7B)。
値δG(ΔGとも呼ばれる)は平均電流変化を電圧で割ったものとして計算することができる。値δG(ΔGとも呼ばれる)は、最大電流シフトを電圧で割ったものとしても計算することができる。持続時間はシフト幅として計算される。
27nmの直径のナノ細孔を有するナノ細孔デバイス中に0.1nMの3.2kb dsDNAを配置した。ナノ細孔デバイス中の緩衝溶液には1M LiClが含まれていた。ナノ細孔をはさんで100mVの電圧を印加して、ナノ細孔を越えるdsDNAの移動を誘導した。事象を電流センサで検出し、以下に記載のように分析した。
実験の間に多くの事象を記録した後、事象の分布を分析して、特定の標的の分子の検出または特性を決定する。図7Cは、1M LiCl標準緩衝液において電圧V=100mVで27nmの直径のナノ細孔を通過する0.1nMの濃度の3.2kb dsDNAについての事象の特性を示し、10分間で713事象が記録された。
結論:本発明者らは、標準的な1M LiCl緩衝液を使用して、27nmの直径のナノ細孔において3.2kb以上のより大きなdsDNAを検出することができることを観察した。図7Cを参照されたい。
5.9.2. 実施例2:標準的な4M LiCL緩衝液は、30nmのナノ細孔において74bpおよび217bpの小さなdsDNAを検出および分離することができない
実施例1で示すように、1M LiCl緩衝液は大きなdsDNAを検出することができる。本研究は、標準的な4M LiCl緩衝液を使用して、標準的な4M LiCl緩衝液が小さなdsDNA(74bpおよび217bp)を検出および分離する能力を試験するために行った。
手短に言えば、異なる長さの小さな二本鎖DNA(dsDNA)を調製し、二本鎖DNA(dsDNA)は、PCR増幅を使用して74bpおよび217bpの長さで調製した。次に、1〜2ulのPCR増幅したdsDNAを4.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAに個々に希釈して、5nMの終濃度を得た。
およそ30nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有するナノ細孔デバイスに試料をロードした。次に、10ulの試料をプロトタイプナノ細孔チップホールダー中に注入し、プロトタイプ電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。およそ5分、または約1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートで、ソフトウェアを使用して、イオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。
細孔を通るDNAの移動はイオン電流の一過的降下として検出される。これらの移動事象は、ベースライン電流と比較して有意な標準偏差を有する事象を特定する事象発見アルゴリズムを使用して、生のイオン電流データから検出した。代表的なデータを図18A〜18Bに示す。
結論:本発明者らは、標準的な4M LiCl緩衝液は74bp dsDNAを検出することができないこと、74bpと217bpのdsDNA間の分解能がないことを観察した。図18A〜18Bを参照されたい。
5.9.3. 実施例3:炭水化物ベースのセンシング溶液は、26nmのナノ細孔において74bp〜550bpの範囲のdsDNA分子を検出または分離することができない
本研究は、炭水化物ベースのセンシング溶液が74bp〜550bpの範囲の小さなdsDNA分子のナノ細孔検出および分解能を増強するはずであるという仮説を試験するために行った。
74bp、217bp、309bp、および550bpの異なる長さの小さな二本鎖DNA(dsDNA)を、標準的なPCR増幅を使用して生成した。次に、1〜2ulのPCR増幅したdsDNAを次いで、4.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTA中に20%v/vのグリセロール、ソルビトール、グルコース、マルトース、またはマルトデキストランのいずれかを含む炭水化物溶液に個々に希釈した。
次に、およそ26nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有するナノ細孔デバイスに試料をロードした。10ulの試料をナノ細孔チップホールダー中に注入し、電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。
およそ5分またはおよそ1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートで、ソフトウェアを使用して、生のイオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。20%マルトースセンシング溶液から収集されたデータを図19A〜19Bに示す。グリセロール、ソルビトール、グルコース、マルトース、またはマルトデキストランからのデータは示さない。
結論:本発明者らの結果は、炭水化物ベースのセンシング溶液は、概して、小さなdsDNAを検出および分離するのに有効でないことを示す。本発明者らは、グリセロール、ソルビトール、グルコース、またはマルトデキストランベースのセンシング溶液のいずれを使用しても事象を検出しなかった(データ非表示)。
さらに、20%マルトース炭水化物センシング溶液は74bp dsDNAを効率的に検出することができず/でき、5分後に2事象しか検出しなかった。したがって、74bp dsDNAは本質的に検出不可能であった。さらに、データは、74bpと217bpのdsDNA間の分解能がないことを示す。図19A〜19Bを参照されたい。最後に、217bp dsDNAは検出可能であったが、309bp、550bpのより大きなdsDNAからは分離不可能であった(データ非表示)。
5.9.4. 実施例4A:7%PEG200センシング溶液は、353bp dsDNAから217bpを検出および識別し、かつdsDNA分子を定量化することができる
7%PEG200 v/v、4M LiCl、10mM Tris、1mM EDTA、pH8.8を含む短いPEG剤を含むセンシング溶液を、この溶液が35nmのナノ細孔において353bp dsDNAから217bp dsDNAを検出および区別することができるかどうかを決定するために試験した。図2は、エチレングリコールの単一単位、すなわち、ポリエチレングリコール(PEG)を構成する反復単位の構造を図示する。
217bp dsDNAおよび353bp dsDNAの各断片を単独でランし、およびそれらのそれぞれの事象集団を、ドウェル時間およびそれらの電流遮断に従ってプロットした(図4A)。断片は異なるドウェル時間を示した(図4B)。各集団の最大電流遮断を示すヒストグラムは、217bpと比較して353bpがより多くの電流を遮断することを示す(図4C)。
217bpと353bpの50/50混合物をランし、溶液中の217bpの%に関する下流の計算に対する校正物として使用した。50/50校正物のドウェル時間のヒストグラムを、それぞれ25%または75%の217bpを含む2つの断片の公知の混合物のものと比較した(図4D)。
特定の断片に対するdsDNA分子の数の量(例えば、濃度)の推定は、参照により本明細書に組み入れられる記載されるWO2018081178に記載されているように決定することができる。手短に言えば、dsDNA分子は以下の方法によって推定される。217bp dsDNAのパーセンテージが試料中で増大するにつれて、217bp dsDNA断片を表すピークが次第に高まり、25%から50%および75%に移動する。同様に、領域を含めた他の事象シグネチャパラメータを比較するヒストグラムを生成することができる(図4E)。次いで、これらの特性を使用して、溶液中の217bpの%を推定することができる。
結論:25%および75%混合物は、それぞれ22.99%および76.61%であると推定された。まとめると、これらの結果は、7%PEG200センシングが217bpと353bpのdsDNA間を検出および識別することができ、それによって、正確な分画存在量推定を可能にすることを示唆する。
5.9.5. 実施例4B:10%PEG200センシング溶液は、ドウェル時間または最大電流遮断によって、28nmのナノ細孔において108bpおよび309bpのdsDNAを検出および識別することができる
10%PEG200 v/v、4M LiCl、10mM Tris、1mM EDTA、pH8.8を含む短いPEG剤を含むセンシング溶液を、この溶液が、その対数ドウェル時間(例えば、事象持続時間)によって、またはその最大電流遮断によって、28nmのナノ細孔(100mV印加電圧)において309bp dsDNAから108bp dsDNAを検出および区別することができるかどうかを決定するために試験した。
各DNA断片を単独でランし、それらのそれぞれの集団を、観察された事象持続時間(秒)および最大電流遮断(ナノジーメンス;図3A)に従って、すべての事象プロットにプロットした。図3Bは、対数スケールでの108bpおよび309bpのdsDNA集団の事象持続時間を示す。図3Cは、ヒストグラムにおける108bpおよび309bpの集団のそれぞれの事象の最大深度を示す。
結論:本発明者らは、108bp dsDNA分子および309bp dsDNA分子が、対数ドウェル時間に基づいて非常に異なる事象持続時間を示し、10%PEG200センシング溶液において集団が明白に分かれる(図3B)ことを観察した。同様に、309bpおよび108bpのdsDNAは、それぞれ、PEGセンシング溶液中の最大電流遮断の明確な違いをもたらす。図3Aを参照されたい。これらのデータは、長さがより短いPEG緩衝液がナノ細孔検出を増強するのに有効であり得ることを示唆する。
5.9.6. 実施例5:25%TEGセンシング溶液は、単独でランした74bp、108bp、および217bpのdsDNAを検出および識別する
本研究の目的は、25%TEGセンシング溶液が74bp〜217bpの範囲の異なる長さのdsDNAを識別することができるかどうかを決定することであった。
TEGの構造を図1に示す。トリエチレングリコール25%(v/v)、3M LiCl、10mM Tris、1mM EDTA、pH8.8を含むセンシング溶液を、この溶液が、その対数ドウェル時間(例えば、事象持続時間)によって、またはその最大電流遮断によって、28nmのナノ細孔(100mV印加電圧)において108bpおよび217bpのdsDNAから74bp dsDNAを検出および区別することができるかどうかを決定するために試験した。
74bp、108bp、および217bpの各dsDNA断片を28nmのナノ細孔において単独でランした。代表的なデータを図5A〜5Dに示す。各dsDNA断片が容易に検出され、3つの集団を形成した(図5A)。各DNA断片について異なるドウェル時間(図5B)および異なる電流遮断(図5C)が観察された。各事象集団の領域は、異なる集団ピークを示す(図5D)。
結論:これらの結果は、25%TEGベースのセンシング溶液は、74bp、108bp、および217bpのdsDNA間を、それらの異なるドウェル時間または電流遮断のいずれかによって、検出および識別することができることを実証する。これらのデータは、25%TEGベースのセンシング溶液を使用して、検出、識別、および定量化のために、少なくとも3つの別々のDNA断片を同時に多重化することができることを示唆する。
5.9.7. 実施例6:15%TEGセンシング溶液は、標準的な4M LiCl緩衝液と比較して、単独でランした小さなdsDNAである74bp、108bp、217bp、および309bpの検出および分解能を増強する
15%TEG(v/v)センシング溶液を用いて、および標準的な4M LiCl緩衝液を用いて、71〜73nmのナノ細孔において、108bp〜309bpに及ぶdsDNA断片のパネルを個々に分析した。
結論:標準的な4M LiCl緩衝液において、本発明者らは、108bp dsDNAが検出不可能であることを観察した。しかし、217bp dsDNAと309bp dsDNAの両方は、それぞれおよそ42および47事象/分である、適度な率で検出された。しかし、本発明者らは、これらの2つの集団は、いずれの事象集団においても、すなわち、dGまたはドウェル時間において異ならず、したがって、標準的な4M LiCl緩衝液は、217bp と309bp のdsDNA間にかなりの重複をもたらすことを観察した。図6Aを参照されたい。
これに対して、15%TEG(v/v)センシング溶液は、検出率のはっきりした増加および試験したdsDNA集団間の分別をもたらした。15%TEGセンシング溶液は108bp dsDNAを28事象/分で検出したが、217bp dsDNAは307事象/分に上昇し、309bp dsDNAは256事象/分に増加した。さらに、15%TEGセンシング溶液は、dGおよびドウェル時間の増加が各集団の分別を増大させることを示した。図6Bを参照されたい。これらのデータは、TEGベースのセンシング溶液を使用して、検出、識別、および定量化のために、少なくとも3つの別々のDNA断片を同時に多重化することができることを示唆する。
5.9.8. 実施例7:30%エチレングリコールセンシング溶液は、37nmのナノ細孔において、小さなdsDNAである108bpおよび309bpの検出および分解能を増強する
本研究は、図18A〜18Bに示す標準的な4M LiCl緩衝液と比較して、30%エチレングリコールセンシング溶液が小さなdsDNAの個々の集団を検出および分離する能力を試験するために行った。
標準的なPCR増幅を使用して、74bp、217bp、108bp、および309bpの異なるサイズのdsDNA を調製した。PCR増幅したdsDNAを単独でランし、30%エチレングリコール(v/v)、4.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAに希釈して、5nMの終濃度にした。
次に、およそ37nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有する固体のナノ細孔デバイスに試料をロードした。10ulの調製した試料をナノ細孔チップホールダー中に注入し、プロトタイプ電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。
およそ5分、または約1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートで、カスタムソフトウェアを使用して、生のイオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。代表的なデータを図20A〜20Bに示す。
結論:本発明者らは、108bpおよび309bpの小さなdsDNA断片は、標準的なLiCl緩衝液と比較して、30%エチレングリコールセンシング溶液においてロバストに検出されることを観察した。さらに、30%エチレングリコールセンシング溶液は、標準的なLiClでは観察されなかった108bpと309bpのdsDNA間の分解能を示した。しかし、30%エチレングリコールセンシング溶液は、74bpおよび217bpのdsDNAなどの長さの違いがより小さいdsDNA断片を検出することができないと思われる。
5.9.9. 実施例8:15%トリエチレングリコール(TEG)センシング溶液は、30nmのナノ細孔において小さなdsDNAである74bpおよび217bpを検出および分離することができる
本研究は、図18A〜18Bに示す標準的なLiCl緩衝液と比較して、15%トリエチレングリコール(TEG)ナノ細孔センシング溶液が小さなdsDNA集団を個々に検出および分離する能力を試験するために行った。
標準的なPCR増幅を使用して、74bpおよび217bpの異なる長さの小さな二本鎖DNA(dsDNA)を調製した。PCR増幅したdsDNAを単独でランし、15%TEG(v/v)、4.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAに希釈して、5nMの終濃度にした。
およそ30nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有する固体のナノ細孔デバイスに試料をロードした。10ulの試料をプロトタイプナノ細孔チップホールダー中に注入し、プロトタイプ電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。
およそ5分、または約1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートでソフトウェアを使用して、生のイオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。代表的なデータを図21A〜21Bに示す。
結論:本発明者らは、標準的なLiCl緩衝液と異なって、15%TEGセンシング溶液が74bpおよび217bpのdsDNAを互いから検出および分離することができることを観察した。
5.9.10. 実施例9:10%トリプロピレングリコール(TPG)センシング溶液は30nmのナノ細孔において小さなdsDNA分子である74bpおよび217bpを検出および分離することができる
本研究は、図18A〜18Bに示す標準的なLiCl緩衝液と比較して、10%トリプロピレングリコール(TPG)ナノ細孔センシング溶液が小さなDNAの集団を検出および分離する能力を試験するために行った。
標準的なPCR増幅を使用して、74bpおよび217bpの2つの異なるサイズの二本鎖DNA(dsDNA)を調製した。PCR増幅したdsDNAを単独でランし、10%TPG(v/v)、4.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAに希釈して、5nMの終濃度にした。
およそ30nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有する固体のナノ細孔デバイスに試料をロードした。10ulの試料をナノ細孔チップホールダー中に注入し、電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。
およそ5分、または約1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートでソフトウェアを使用して、生のイオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。代表的なデータを図22A〜22Bに示す。
結論:本発明者らの結果は、標準的なLiCl緩衝液と異なって、10%TPGセンシング溶液が74bpおよび217bpのdsDNAを互いから検出および分離することができたことを示す。
5.9.11. 実施例10:10%テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TTEG-DME)センシング溶液は、31nmのナノ細孔において108bpおよび217bpの小さなdsDNAのロバストな検出および分解能をもたらす
本研究は、図18A〜18Bに示す標準的なLiCL緩衝液と比較して、10%テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TTEG-DME)ナノ細孔センシング溶液が小さなDNAの集団の検出および分離する能力を試験するために行った。
標準的なPCR増幅を使用して、108bpおよび217bpの異なる長さの二本鎖DNA(dsDNA)を調製した。次に、PCR増幅したdsDNAの試料を次いで、10% TTEG-DME(v/v)、4.5M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAに個々に希釈して、5nMの終濃度にした。
およそ31nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有するナノ細孔デバイスに試料をロードした。10ulの試料をナノ細孔チップホールダー中に注入し、電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。
およそ5分、または約1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートでソフトウェアを使用して、生のイオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。代表的なデータを図23A〜23Bに示す。
結論:本発明者らは、標準的なLiCl緩衝液と異なって、10%TTEG-DMEセンシング溶液が108bpおよび217bpの小さなdsDNAのロバストな検出および分解能をもたらすことを観察した。
5.9.12. 実施例11:10%トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPG-MME)センシング溶液は、34nmのナノ細孔において小さなdsDNAである108bp、217bpのロバストな検出および分解能をもたらす
本研究は、図18A〜18Bに示す標準的なLiCl緩衝液と比較して、10%トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(TPG-MME)ナノ細孔センシング溶液が小さなDNAの集団を検出および分離する能力を試験するために行った。
標準的なPCR増幅を使用して、108bpおよび217bpの異なるサイズの二本鎖DNA(dsDNA)を調製した。次に、PCR増幅した試料を個々にランし、10%TPG-MME(v/v)、4.5M LiCl、50mM Tris HCl pH8.8、5mM EDTAに希釈して、5nMの終濃度にした。
およそ34nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有する固体のナノ細孔デバイスに試料をロードした。10ulの試料をナノ細孔チップホールダー中に注入し、電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。
およそ5分、または約1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートで、カスタムソフトウェアを使用して、生のイオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。代表的なデータを図24A〜24Bに示す。
結論:標準的なLiCl緩衝液と異なって、10%TPG-MMEセンシング溶液は108bpおよび217bpの小さなdsDNAのロバストな検出および分解能をもたらす。
5.9.13. 実施例12:実施例12:非対称10%PEG200(シス)/10%マルトース(トランス)センシング溶液は、33nmのナノ細孔において小さなdsDNAである88bpおよび266bpを検出することができる
本研究は、固体のナノ細孔デバイスのシスまたはトランス側のいずれかにおける非対称PEG200センシング溶液の有効性を試験するために行った。
PCR増幅によって、88bpおよび266の異なる長さの二本鎖DNA(dsDNA)を調製した。次に、以下に概要を述べるように、PCR増幅したdsDNAの試料を以下のセンシング溶液中に1:100で個々に希釈した。
最初に、シス側に非対称PEGセンシング溶液を有する固体のナノ細孔デバイスを試験した。10%PEG(v/v)、4.5M LiCl、50mM Tris HCl pH8.8、5mM EDTA溶液が細孔のシス側にあり、10%マルトースw/v、4.5M LiCl、50mM Tris HCl pH8.8、5mM EDTA溶液が細孔のトランス側にあるように、デバイスをセットアップした。シスチャンバーに合うように、10%PEG200 v/v、4.5M LiCl、50mM Tris HCl pH8.8、5mM EDTAに試料を希釈した。
およそ33nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有する固体のナノ細孔デバイスに試料をロードした。10ulの試料をナノ細孔チップホールダー中に注入し、電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。代表的なデータを図25A〜25Bに示す。
次に、シス側に非対称マルトースセンシング溶液を有する固体のナノ細孔デバイスを試験した。10%マルトースw/v、4.5M LiCl、50mM Tris HCl pH8.8、5mM EDTA溶液が細孔のシス側にあり、10%PEG200 v/v、4.5M LiCl、50mM Tris HCl pH8.8、5mM EDTA溶液が細孔のトランス側にあるようにデバイスをセットアップした。シス側チャンバーに合うように、10%マルトースw/v、4.5M LiCl、50mM Tris HCl pH8.8、5mM EDTAに試料を希釈し、ナノ細孔チップホールダー中に10ulを注入した。
およそ33nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有する固体のナノ細孔デバイスに試料をロードした。10ulの試料をナノ細孔チップホールダー中に注入し、電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。代表的なデータを図26A〜26Bに示す。
各試験について、およそ5分、または約1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートでソフトウェアを使用して、生のイオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。
結論:本発明者らは、細孔のシス側に10%マルトースセンシング溶液を、トランス側に10%PEGセンシング溶液を有するナノ細孔デバイスは、dsDNA集団である88bpおよび266bpをわずかにしか検出することができず、該dsDNA集団を分離しないことを観察した。図26A〜26Bを参照されたい。
しかし、細孔のシスに10%PEGセンシング溶液を、トランス側に10%マルトースセンシング溶液を有するナノ細孔デバイスは、88bpおよび266bpの小さなdsDNAを検出および分離することができる。図25A〜25Bを参照されたい。
5.9.14. 実施例13:PEG8000センシング溶液は、32nmのナノ細孔において、小さなDNA分子を検出することができないか、または最小限の検出しかもたらさず、かつ小さなDNA分子を分離することができない
本研究は、上記で試験したより短いPEGと比較して、より長いPEG、すなわちPEG8000センシング溶液が小さなdsDNA分子を検出および分離する能力を決定するために行った。
標準的なPCR増幅を使用して、74bp、217bp、309bp、および500bpの異なる長さの二本鎖DNA(dsDNA)を調製した。次に、PCR増幅したdsDNAを、75μMのPEG8000、2.0M LiCl、10mM Tris HCl pH8.8、1mM EDTAに5nMの終濃度で個々に希釈した。
およそ32nmのサイズの細孔を有する29nm厚のSiN膜を有するナノ細孔デバイスに試料をロードした。およそ10ulの希釈した試料をプロトタイプナノ細孔チップホールダー中に注入し、プロトタイプ電圧クランプ増幅器を使用して、100mVバイアスをナノ細孔チップ(トランス側、正)に印加した。
およそ5分、または約1000分子の移動事象を収集するのに十分な時間にわたって、125kHzのサンプリングレートでソフトウェアを使用して、生のイオン電流データを記録した。4極ベッセルフィルターを使用して、30kHzでデータを再フィルター処理した。代表的なデータを図27A〜27Bおよび図28A〜28Bに示す。
結論:本発明者らは、PEG8000センシング溶液を使用して、74bp dsDNAはほとんど検出されず、74bp dsDNAと217bp dsDNAの集団間に分解能がないことを観察した。矢印は、検出された12個の74bp事象のうちの3個を示す。図27A〜27Bを参照されたい。さらに、本発明者らは、PEG8000緩衝液において217bpおよび309bpのサイズのdsDNAの最小限の検出を観察し、およびヒストグラム中で完全に重複している集団によって示されるように、217bpおよび309bpのdsDNAの分解能がないことを観察した。図28A〜28Bを参照されたい。
まとめると、上記の実施例で提供される本発明者らの結果は、本開示のセンシング溶液、特に、より短いポリエーテル作用物質を含むものは、試験した他の作用物質および様々な標準緩衝液と比べて、ナノ細孔デバイスにおける様々なサイズの生体分子のより有効なセンシングを提供することを示唆する。
試験したdsDNA分子のサイズはタンパク質分子のものに近似するので、本開示のセンシング溶液は、ペプチド、タンパク質、および抗体の検出にも適用され得る。
以下に提供する実施例14〜21では、本発明者らは、カチオン塩作用物質を含むセンシング溶液ナノ細孔を試験することに焦点を合わせ、これらの性能を他の標準的な(例えば、従来の)ナノ細孔緩衝液と比較した。
ここでは、500bp未満のDNAの長さを試験し、少なくとも25nmの直径を有するナノ細孔を使用した。以下の実施例で使用される細孔は、ヘリウムイオン顕微鏡(HIM)を使用して、30nm窒化ケイ素膜中に形成した。実施例では、DNA cleanup kit(New England BioLabs、カタログ番号T1030S)を使用して、増幅したdsDNA断片を浄化し、精製した。
以下の実施例について、電流信号は事象としてフラグが付けられ、試料がオープンチャネル信号の標準偏差(σ)6倍未満に入る場合に抽出され、σは、フラグが付けられ事象のすべての対の間の期間を使用して計算される。事象は、それが1σ以内に戻らない場合;最小試料の信号雑音比をσで割ったものが6未満である場合;または持続時間が10msを超える場合に、分析から拒否される。各事象について、報告される持続時間は最大半量での時間幅である。各事象δG値は、立上がり時間(tr)に対応する、事象の開始および終了時の試料数をトリミングした後の1σ未満のすべての試料の平均であり、これによって、低域フィルターの影響を除去する。trに対する値は、以下のように、増幅器およびバンド幅の設定によって決定される:30kHzベッセルフィルターのバンド幅に合う有効なバンド幅でMultiClamp 700B(Molecular Devices、LLC)を使用して、10〜90立上がり時間(tr)は12μsである。2trより短い事象については、本発明者らはδGの最大値を報告する。
5.9.15. 実施例14:1M LiClまたは1M KCl標準緩衝液は、27nmまたは30nmのナノ細孔において108bpの小さなdsDNAを検出することができない
本研究は、標準的な1M LiClまたは1M KCl 緩衝液を使用して、27nmおよび30nmの直径を有する固体のナノ細孔において108bp dsDNAが検出可能かどうかを決定するために行った。
手短に言えば、27nmの直径のナノ細孔または30nmの直径のナノ細孔のいずれかを含むナノ細孔デバイスのシスおよびトランス容積に、1M LiClまたは1M KClを含む緩衝液を添加した。
次に、10nMの終濃度で、108bp dsDNAを含む試料をナノ細孔デバイスのシス容積に添加した。次いで、100mVの電位差をナノ細孔をはさんで適用して、108bp dsDNAの移動および検出を誘導した。電位差の適用の間、ナノ細孔を通過するイオン電流を継続的にモニターした。
電流によって生成された信号を、次いで、27nmのナノ細孔を通る108bp dsDNA分子の移動によって誘発される事象の存在について分析した。図8A〜8Bは、電流の変化(最大δG)、および事象持続時間(s)によって特徴付けられた、上記の実験から検出された事象のプロットを示す。
結論:1M KClまたは1M LiCl標準緩衝液を含む27nmの直径のナノ細孔において、事象は検出されなかった。同様に、標準的な1M KClまたは1M LiCl緩衝液を含む30nmの直径のナノ細孔において、事象は検出されなかった。本発明者らの結果は、標準的なナノ細孔緩衝液1M KClまたは1M LiClを使用して、大きなナノ細孔において、より小さな分子、例えば108bp dsDNAを検出することは不可能であることを示す。図8A〜8Bを参照されたい。
5.9.16. 実施例15:1M CsClセンシング溶液は、27nmおよび30nmのナノ細孔において108bpの小さなdsDNAを検出することができる
本発明者らの上記の研究によって、1M LiClも1M KCl緩衝液も27nmおよび30nmのナノ細孔デバイス中で108bp dsDNAを検出することができないことが示された後で、1M CsClセンシング溶液が27nmおよび30nmのナノ細孔において108bp dsDNAを検出する能力を試験した。
pH8.8で10mM Trisおよび1mM EDTAの終濃度を含む、塩化セシウム(Fisher Scientific、カタログ番号BP1595-1)ベースのナノ細孔記録緩衝液を調製した。調製後、0.22um膜(Millipore、カタログ番号SCGP00525)を使用して緩衝液を滅菌濾過し、これを30分間脱気してから、ナノ細孔に導入した。
27nmの直径のナノ細孔または30nmの直径のナノ細孔のいずれかを含むナノ細孔デバイスのシスおよびトランス容積に、1M CsClセンシング溶液を加えた。
27nmの直径を有するナノ細孔デバイスのシス容積に、10nMの終濃度のdsDNAの試料をロードした。次に、100mVの電位差をナノ細孔をはさんで適用して、108bp dsDNAの移動および検出を誘導した。電位差の適用の間、ナノ細孔を通過するイオン電流を継続的にモニターした。電流によって生成された信号を、次いで、27nmのナノ細孔を通る108bp dsDNA分子の移動によって誘発される事象の存在について分析した。図8Aは、電流の変化(最大δG)および事象持続時間(s)によって特徴付けられた、上記の実験から検出された事象のプロットを示す。図8Bは、1M CsCl緩衝液を含む30nmの直径のナノ細孔における、108bp dsDNAの検出と関連する事象のプロットを示す。
結論:本発明者らは、1M CsClを含む27nmのデバイスは、88/分の捕捉率で、108bp dsDNAを検出することができることを観察した。同様に、1M CsClを有する30nmの直径のナノ細孔デバイスは、66/分の捕捉率で、108bp dsDNAを検出することができた。本発明者らの結果は、より小さな分子、例えば108bp dsDNAの検出は、1M CsClセンシング溶液を使用して容易に検出可能であるが、標準的なLiClまたはKCL緩衝液では、そうではないことを示す。図8A〜8Bを参照されたい。
5.9.17. 実施例16:1M CaCl2センシング溶液は、53nmおよび73nmのナノ細孔において108bpおよび74bpの小さなdsDNAを検出する
本研究の目的は、1M CaCl2センシング溶液が小さなdsDNAを検出する能力を試験することであった。上記で示したCsClに加えて、本発明者らは、CaCl2センシング溶液が大きなナノ細孔において小さな生体分子の検出を可能にすることを発見した。
各デバイスのシスおよびトランス容積中に1M CaCl2を有する、53nmの直径および73nmの直径の固体のナノ細孔デバイス。10nMの終濃度の108bp dsDNAまたは74bp dsDNAを含む試料をシス容積に添加し、100mVまたは150mVの電圧をナノ細孔をはさんで印加した。実施例14に記載されているように、信号を収集し、分析した。
図16Aは、100mV(正方形)および150mV(丸)でランされた1M CaCl2センシング溶液を有する53nmの直径のナノ細孔において、10nMの108bp dsDNAから生成された事象のプロットを示す。図16Bは、100mV(正方形)および150mV(丸)でランされた1M CaCl2を含む緩衝液を有する53nmの直径のナノ細孔において、10nMの74bp dsDNAから生成された事象のプロットを示す。
図17は、100mVでランされた1M CaCl2センシング溶液を有する73nmの直径のナノ細孔において、10nMの74bp dsDNAから生成された事象のプロットも示す。
結論:本発明者らの結果は、1M CaCl2センシング溶液が、53nmの直径のナノ細孔を用いて108bpおよび74bpのdsDNAを容易に検出することができることを示す。そのうえ、発明者らは、1M CaCl2センシング溶液が、73nmのナノ細孔を用いて74bp dsDNAを検出することができることも観察した。
5.9.18. 実施例17:2Mおよび3M CsClセンシング溶液は信号雑音比を増強し、より大きな細孔中でより小さな分子を検出するのに有用である
本研究の目的は、異なる濃度のCsClセンシング溶液が大きなナノ細孔における小分子検出にどのように影響を及ぼすかを決定することであった。本発明者らは、高モル濃度のCsClが、30nmのナノ細孔を有する固体のナノ細孔を通る108bp DNAの移動によって生成される事象に対して信号雑音比をブーストすることを発見した。
30nmの直径の固体のナノ細孔において、デバイスのシスチャンバーとトランスチャンバーの両方で1M CsCl、2M CsCl、または3M CsClを個々に試験した。
10nMの終濃度で、108bp dsDNAを含む試料をシス容積にロードし、ナノ細孔をはさんで100mVの電圧を印加した。実施例14に記載されているように、ナノ細孔デバイスからの信号を収集し、分析した。
図9Aは、1M CsCl(ひし形)、2M CsCl(正方形)、および3M CsCl(丸)の緩衝液を用いて検出される事象を示す。図9Bは、電流の変化(δG)に基づいて、各緩衝液について検出された事象に対する確率ヒストグラムを示す。
結論:本発明者らは、1M CsClから2M CsCl、および2M CsClから3M CsClへの、より大きな最大δGへの事象の分布のシフトによって示されるように、より高い濃度のCsClが検出信号雑音比を増強することを観察した。図9A〜9Bを参照されたい。この増強された信号雑音比は、大きなナノ細孔におけるより小さな分子の検出をたやすくする。さらに、本発明者らは、正規化された捕捉速度定数が、定組成(isocratic)1M CsCl(7/nM*分)から2M CsCl(98/nM*分)に、10倍より多く増加することを観察した。しかし、捕捉率は、2M CsClから3M CsCl(53 /nM*分)に増加しなかった。
5.9.19. 実施例18:モル濃度が増大したCsCl勾配センシング溶液は信号雑音比をさらに増強した
本研究は、大きなナノ細孔を通過する小分子によって生成される信号雑音比に対する漸増モル濃度CsCl勾配の影響を決定するために行った。
CsClの勾配を確立するために、シス容積中により高い濃度のCsClを、トランス容積中により低い濃度のCsClを用いて、30nmの直径の細孔を有する固体のナノ細孔デバイスを個々にランした。特に、以下の勾配を漸増モル濃度で試験した:1M/0.5M CsCl、2M/1M CsCl、または3M/1.5M CsCl(シス容積/トランス容積濃度として表す)。
次に、10nM 108bp dsDNAの終濃度で、108bp dsDNAを含む試料をシス容積に添加した。100mVの電圧をナノ細孔をはさんで印加した。実施例14に記載されているように、信号を収集し、分析した。
図10Aは、1M/0.5M CsCl(ひし形)、2M/1M CsCl(正方形)、および3M/1.5M CsCl(丸)の緩衝液を用いて、30nmのナノ細孔において10nMの108bp dsDNAから生成された事象のプロットを示し、濃度は、ナノ細孔の両側にある、ナノ細孔デバイスのシス/トランスチャンバーのものである。各勾配の正規化された捕捉率は、使用されるCsClの濃度とともに増加する(1M/0.5M CsClについて7/nm*分、2M/1M CsClについて20/nm*分、および3M/1.5M CsClについて61/nM*分)。図10Bは、各試料について得られた最大δGの分布を示す。定組成緩衝液を使用する図9の類似したプロットと比較した場合、勾配の使用が信号雑音比を増加させて、大きなナノ細孔における小分子の検出を増強することが観察される。
結論:本発明者らは、CsCl勾配センシング溶液が検出信号雑音比をさらに増強することを観察した。さらに、本発明者らは、より高い濃度のCsCl勾配センシング溶液がより高いモル濃度で捕捉率の継続的な増加を示すこと、および勾配の使用が信号雑音比を増加させることを観察した。例えば、最大δGに対する確率曲線のピークは、使用される緩衝液がシス/トランス容積中で3M/1.5M CsClの勾配である場合、およそ2nSであるが、最大δGに対する確率曲線のピークは、両方チャンバーで3M CsClを使用する場合、およそ1.2nSである。
5.9.20. 実施例19:CsCl勾配3M/1.5Mセンシング溶液は、90nmおよび120nmのナノ細孔において74bpおよび109bpのより小さなdsDNAを検出する
90nmの直径を有する細孔において109bpおよび74bpのdsDNAの増幅産物を検出するために、3M/1.5M CsCl勾配(シス/トランス容積)を有するナノ細孔デバイスを使用した。
製造業者の仕様書(Biotium、カタログ番号31014)に従ってTaqポリメラーゼを使用して、109bpおよび74bpの長さのdsDNA断片を生成した。増幅に続いて、DNA cleanup kit(New England BioLabs、カタログ番号T1030S)を使用して、dsDNA断片を浄化し、精製した。増幅産物の濃度は、Qubit 3蛍光光度計(ThermoFisher、カタログ番号Q33216)を使用して決定し、次いで、ナノ細孔分析のためのナノ細孔記録緩衝液中に指定の濃度に至るまで希釈した。
増幅反応由来の13nMの109bp dsDNA増幅産物または20nMの74bp dsDNA増幅産物を含む試料をナノ細孔デバイスのシスチャンバーに添加し、試料のそれぞれに対して、ナノ細孔をはさんで100mVの電圧を印加した。実施例14に記載されているように、信号を収集し、分析した。
図14は、濃度が13nMの109bp dsDNAの試料または濃度が20nMの74bp dsDNAの試料について、90nmのナノ細孔を用いて、3M/1.5M CsCl勾配センシング溶液において検出された事象のプロットを示す。
結論:本発明者らは、3M/1.5M CsCl勾配緩衝液を有する90nmの直径のナノ細孔を使用して、13nMの109bp dsDNA増幅産物および20nMの74bp dsDNA増幅産物の検出を観察した。示されるように、109bp dsDNAと74bp dsDNAの両方は容易に検出され得る。図14を参照されたい。
次に、102nmのナノ細孔を用いて109bp、74bp、および58bpのdsDNAの増幅産物を検出するために、3M/1.5M CsCl勾配を有するナノ細孔デバイスを使用した。
109bp、74bp、および58bpの長さのdsDNA増幅断片を上記のように生成した。増幅反応由来の13nMの109bp dsDNA増幅産物、1.3nMの109bp dsDNA増幅産物、20nMの74bp dsDNA増幅産物、6.66nMの74bp dsDNA増幅産物、または20nMの58bp dsDNA増幅産物を含む試料をナノ細孔デバイスのシスチャンバーに添加し、試料のそれぞれに対して、ナノ細孔をはさんで100mVの電圧を印加した。実施例14に記載されているように、信号を収集し、分析した。
図15は、3M/1.5M CsCl勾配センシング溶液を有する102nmの直径のナノ細孔を使用した、上記の試料のそれぞれのナノ細孔検出の結果を示す。
結論:本発明者らは、CsCl緩衝液を使用して、102nmのナノ細孔において、58bp、74bp、および109bpのdsDNAが容易に検出され得ることを観察した。さらに、ほとんどすべての検出された事象は、90nmの直径の細孔と102nmの直径の細孔の両方で完全な深度(持続時間>=72us)に達する。指定の濃度の各dsDNA増幅産物に対する捕捉率(事象/分)を図15に示す。
5.9.21. 実施例20:CsCl勾配3M/1.5Mセンシング溶液は、65nmのナノ細孔において58bp、74bp、および108bpの小さなdsDNAを検出することができる
本研究の目的は、3M/1.5M CsCl勾配(シス/トランスチャンバー)を有するナノ細孔デバイスが、65nmの直径のナノ細孔を有する固体のナノ細孔において58bp dsDNA、74bp dsDNA、または108bp dsDNAを検出することができることを試験することであった。
特に、本発明者らは、シス容積中に3M CsClを、トランス容積中に1.5M CsClを有する65nmの直径の固体のナノ細孔を用意した。個々のデバイスに対して、108bp dsDNA(10nM終濃度)、74bp dsDNA(5nM終濃度)、または58bp dsDNA(16nM終濃度)を含む試料をナノ細孔デバイスのシス容積に添加し、ナノ細孔をはさんで100mVの電圧を印加した。実施例14に記載されているように、信号を収集し、分析した。CsCl勾配3M/1.5Mセンシング溶液中の各58bp dsDNA、74bp dsDNA、および108bp dsDNAの試料から生成された代表的なデータを図11A〜11Cに示す。図11Aは58bp dsDNAの試料について検出された事象のプロットを示す。図11Bは、74bp dsDNAの試料について検出された事象のプロットを示す。図11Cは108bp dsDNAの試料について検出された事象のプロットを示す。
結論:本発明者らは、CsCl勾配3M/1.5Mセンシング溶液が、65nmのナノ細孔を用いて単独で58bp、74bp、および108bpのdsDNAの試料を検出することができることを観察した。
5.9.22. 実施例21:CsCl勾配3M/1.5Mセンシング溶液は、低濃度(20PCRサイクル)で、25nmおよび32nmのナノ細孔において109bpの小さなdsDNAを容易に検出することができる
本研究の目的は、25nm、または32nmのナノ細孔において様々な濃度および異なる電圧で109bp dsDNAを検出するために、3M/1.5M CsCl勾配を有するナノ細孔デバイスセンシング溶液を試験することであった。
試料を、上記で示される膜を使用して、シス容積中に3M CsClを、トランス容積中に1.5M CsClを有する25nmの直径の固体のナノ細孔でランした。
製造業者の仕様書(Biotium、カタログ番号31014)に従ってTaqポリメラーゼを使用して、PCR増幅反応によって、109bp dsDNA断片を生成した。増幅は、様々なdsDNA濃度を有する試料を提供するために、異なるサイクル数にわたって行った。ここでは、dsDNAの試料を20サイクル、25サイクル、30サイクル、35サイクル、および40サイクルの増幅後に収集して、様々な濃度のこれらの条件下における捕捉率の変化を観察した。増幅に続いて、DNA cleanup kit(New England BioLabs、カタログ番号T1030S)を使用して、dsDNA断片を浄化し、精製した。
109bp dsDNAを含む試料をシス容積に添加し、収集した試料のそれぞれに対して、100mVまたは150mVの電圧をナノ細孔をはさんで印加した。実施例14に記載されているように、信号を収集し、分析した。
図12は、様々な濃度(すなわち、20サイクル、25サイクル、30サイクル、35サイクル、および40サイクルの増幅後)の109bp dsDNA増幅産物について、25nmのナノ細孔を使用した3M/1.5M CsCl勾配センシング溶液からのデータを示す。
次に、上記で示される膜を使用して、シス容積中に3M CsClを、トランス容積中に1.5M CsClを含む32nmの固体のナノ細孔を試験した。
図13は、様々な濃度(すなわち、20サイクル、25サイクル、30サイクル、35サイクル、および40サイクルの増幅)の109bp dsDNA増幅産物について、32nmのナノ細孔を用いた3M/1.5M CsCl勾配センシング溶液からのデータを示す。
結論:本発明者らは、109bp dsDNAの試料が、25nmまたは32nmのいずれかのナノ細孔を用いたCsCl勾配3M/1.5Mセンシング溶液を使用して、より低い濃度(20増幅サイクル)であっても容易に検出できることを観察した。
本発明をいくつかの記載される態様に関して、かなり長く、かなり詳細に説明してきたが、任意のそのような事項もしくは態様または任意の特定の態様に限定されるべきであることを意図するものではなく、先行技術を考慮して特許請求の範囲の可能な限り広範な解釈を提供するように、したがって、本発明の意図された範囲を効果的に包含するように、添付の特許請求の範囲を参照して解釈されるべきである。さらに、セクションの見出し、材料、方法、および例は例示にすぎず、制限を意図したものではない。
6. 参照による組み入れ
本出願で引用されるすべての刊行物、特許、特許出願、および他の文献は、個々の刊行物、特許、特許出願、または他の文献のそれぞれがすべての目的のために参照により組み入れられることが個々に示される場合と同じ程度に、すべての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
7.均等物
様々な特定の態様を例示し、説明してきたが、上記の明細書は制限的ではない。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることが認識されるであろう。本明細書を精査すれば、多くの変形形態が当業者に明らかになると考えられる。

Claims (189)

  1. 式(I):
    Figure 2021536261
    のポリエーテル作用物質の有効量を含む、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出または特性評価するためのセンシング溶液であって、
    式中、
    mは1〜3であり;
    nは1〜30であり;
    各R1は独立にHまたはメチルであり;
    R2およびR3はそれぞれ独立に、HまたはC(1〜6)アルキルであり、
    該センシング溶液は、ナノ細孔デバイスを使用して該生体分子を検出または特性評価することができる、
    該センシング溶液。
  2. 前記ポリエーテル作用物質が式(Ia)のものである、請求項1記載のセンシング溶液:
    Figure 2021536261
  3. 前記ポリエーテル作用物質が式(II)のものである、請求項[エラー!参照元が見つかりません。]記載のセンシング溶液:
    Figure 2021536261
    式中、各R4はHまたはメチルである。
  4. nが1であり、各R4がHである、請求項3記載のセンシング溶液。
  5. nが3であり、各R4がHである、請求項3記載のセンシング溶液。
  6. nが4であり、各R4がHである、請求項3記載のセンシング溶液。
  7. nが1〜4であり、各R4がメチルである、請求項3記載のセンシング溶液。
  8. 前記ポリエーテル作用物質が3000以下の分子量を有する、請求項3記載のセンシング溶液。
  9. 前記ポリエーテル作用物質がPEG120〜160の分子量である、請求項8記載のセンシング溶液。
  10. 前記ポリエーテル作用物質がPEG160〜200の分子量である、請求項8記載のセンシング溶液。
  11. 前記ポリエーテル作用物質がPEG200〜600の分子量である、請求項8記載のセンシング溶液。
  12. 前記ポリエーテル作用物質がPEG200〜400の分子量である、請求項11記載のセンシング溶液。
  13. 前記ポリエーテル作用物質が式(III)、(IIIa)、または(IIIb)のものである、請求項1記載のセンシング溶液:
    Figure 2021536261
    式中、
    nは1〜30であり;
    qは1〜29であり;
    R2、R3、および各R4はそれぞれ独立に、Hまたはメチルである。
  14. nが2であり、R2およびR3がそれぞれHである、請求項13記載のセンシング溶液。
  15. nが3であり、R2およびR3がそれぞれHである、請求項13記載のセンシング溶液。
  16. nが3であり、R2およびR3のうちの一方がHであり、R2およびR3のもう一方がメチルである、請求項13記載のセンシング溶液。
  17. 前記ポリエーテル作用物質が式(IV)のものである、請求項1記載のセンシング溶液:
    Figure 2021536261
    式中、
    pは1または2であり;
    nは1〜30であり;
    R1はHまたはメチルであり;
    各R4はHまたはメチルである。
  18. pが1である場合、R1がメチルである、請求項17記載のセンシング溶液。
  19. pが2である場合、R1がHである、請求項17記載のセンシング溶液。
  20. nが1である、請求項17〜19のいずれか一項記載のセンシング溶液。
  21. 各R4がHである、請求項18〜20のいずれか一項記載のセンシング溶液。
  22. 塩をさらに含み、該塩が一価または二価の塩である、請求項1記載のセンシング溶液。
  23. 前記塩がLiCl、NaCl、KCl、MgCl2、CsCl、CaCl2、またはこれらの組み合わせである、請求項22記載のセンシング溶液。
  24. 前記塩がLi、Na、K、Mg、Cs、Ca、またはこれらの組み合わせを含む、請求項22記載のセンシング溶液。
  25. 前記塩がLiClである、請求項22記載のセンシング溶液。
  26. 前記塩が0.01M、0.02M、0.05M、0.1M、0.2M、0.5M、1M、2M、3M、4M、または5Mより大きいモル濃度である、請求項22記載のセンシング溶液。
  27. 緩衝溶液をさらに含む、請求項1記載のセンシング溶液。
  28. 前記緩衝溶液がTris-HCl、ボレート、CHES、ビス-トリスプロパン、またはCAPSである、請求項27記載のセンシング溶液。
  29. 前記緩衝溶液が少なくとも10mMの濃度である、請求項27記載のセンシング溶液。
  30. キレート剤をさらに含む、請求項1記載のセンシング溶液。
  31. 前記キレート剤がEDTA、EGTA、またはこれらの組み合わせである、請求項30記載のセンシング溶液。
  32. 前記有効量がv/vで1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%またはそれ以上である、請求項1記載のセンシング溶液。
  33. 標準的なナノ細孔泳動用緩衝液で行われる同じ方法と比較して、前記生体分子の検出または特性評価において改善された精度が可能である、請求項1記載のセンシング溶液。
  34. 前記センシング溶液がグリセロールを含まない、請求項1記載のセンシング溶液。
  35. 前記nが少なくとも3〜4である、請求項1記載のセンシング溶液。
  36. 前記nが少なくとも4〜5である、請求項1記載のセンシング溶液。
  37. 前記nが少なくとも5〜8である、請求項1記載のセンシング溶液。
  38. 前記nが少なくとも8〜10である、請求項1記載のセンシング溶液。
  39. 前記nが少なくとも10〜20である、請求項1記載のセンシング溶液。
  40. 前記nが少なくとも20〜30である、請求項1記載のセンシング溶液。
  41. 前記生体分子の前記特性評価が、その有無、その量、その同一性、その修飾、その構造、もしくはその配列、その濃度、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1記載のセンシング溶液。
  42. 前記生体分子の前記特性評価が、前記試料中の前記生体分子の異なる長さまたはサイズの識別を含む、請求項1記載のセンシング溶液。
  43. 長さの前記識別が、50bp、100bp、200bp、300bp、400bp、または500bp未満である、請求項1記載のセンシング溶液。
  44. 前記生体分子がタンパク質である、請求項1記載のセンシング溶液。
  45. 前記タンパク質が少なくともl00〜200kDaである、請求項1記載のセンシング溶液。
  46. 前記タンパク質が少なくとも200〜300kDaである、請求項1記載のセンシング溶液。
  47. 前記タンパク質が少なくともl50〜200kDaである、請求項1記載のセンシング溶液。
  48. 前記生体分子がポリヌクレオチドである、請求項1記載のセンシング溶液。
  49. 前記ポリヌクレオチドがタンパク質に結合している、請求項48記載のセンシング溶液。
  50. 前記ポリヌクレオチドが、dsDNA、ssDNA、RNA、RNA/DNAハイブリッド、PNA/DNAハイブリッド、またはRNA/PNAハイブリッドである、請求項48記載のセンシング溶液。
  51. 前記ポリヌクレオチドが2kb、1kb、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、または100塩基以下の長さを有する、請求項48記載のセンシング溶液。
  52. 前記ポリヌクレオチドが500bp未満である、請求項48記載のセンシング溶液。
  53. 前記ポリヌクレオチドが200bp未満の長さを有する、請求項48記載のセンシング溶液。
  54. 前記ポリヌクレオチドが100bp未満の長さを有する、請求項48記載のセンシング溶液。
  55. 前記ポリヌクレオチドが10bp〜500bpの長さを有する、請求項48記載のセンシング溶液。
  56. 以下を含む、デバイス:
    a. 式(I)のポリエーテル作用物質の有効量を含むセンシング溶液:
    Figure 2021536261
    式中、
    mは1〜3であり;
    nは1〜30であり;
    各R1は独立にHまたはメチルであり;
    R2およびR3はそれぞれ独立に、HまたはC(1〜6)アルキルである;ならびに
    b. ナノポーラス膜。
  57. 前記センシング溶液が請求項1〜55のいずれか一項記載のものである、請求項56に記載のデバイス。
  58. 前記センシング溶液中のポリエーテル作用物質の前記有効量がv/vで1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%またはそれ以上である、請求項56に記載のデバイス。
  59. 前記ナノポーラス膜が単一細孔または細孔のアレイを含む、請求項56に記載のデバイス。
  60. 前記ナノポーラス膜が固体の基材から作製された細孔を含む、請求項56に記載のデバイス。
  61. 前記ナノポーラス膜が生物学的基材から作製された細孔を含む、請求項56に記載のデバイス。
  62. 前記ナノポーラス膜が固体の基材および生物学的基材から作製された細孔を含む、請求項56に記載のデバイス。
  63. 前記ナノポーラス膜が、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、または65nmの平均最小直径を有する細孔を含む、請求項56に記載のデバイス。
  64. 前記ナノ細孔ナノポーラスが、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、または110nm未満の平均最小直径を有する細孔を含む、請求項56に記載のデバイス。
  65. 前記ナノポーラス膜が、1000nm、500nm、200nm、100nm、または50nm未満の平均最小直径を有する細孔を含む、請求項56に記載のデバイス。
  66. 前記ナノポーラス膜が20nm〜60nmの直径を有する細孔を有する、請求項56に記載のデバイス。
  67. 前記ナノポーラス膜が20nm〜40nmの直径を有する細孔を有する、請求項56に記載のデバイス。
  68. 前記ナノポーラス膜が30nm〜60nmの直径を有する細孔を有する、請求項56に記載のデバイス。
  69. 前記ナノポーラス膜が前記内部空間をシス容積とトランス容積に分ける、請求項56に記載のデバイス。
  70. 前記シス容積および前記トランス容積がそれぞれ、同じセンシング溶液を含む、請求項69に記載のデバイス。
  71. 前記シス容積および前記トランス容積がそれぞれ、異なるセンシング溶液を含む、請求項69に記載のデバイス。
  72. 前記シス容積が請求項1〜55のいずれか一項記載のセンシング溶液を含み、前記トランス容積が炭水化物溶液を含む、請求項69に記載のデバイス。
  73. 前記炭水化物溶液が、v/vで少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%の炭水化物を含む、請求項72に記載のデバイス。
  74. 前記炭水化物溶液がマルトースを含む、請求項72に記載のデバイス。
  75. 前記ナノポーラス膜の細孔を通した生体分子の移動を誘導するための手段をさらに含む、請求項56に記載のデバイス。
  76. 前記ナノポーラス膜の細孔を通した生体分子の移動を誘導するための前記手段が一セットの電極である、請求項75に記載のデバイス。
  77. 前記ナノポーラス膜の細孔を通した生体分子の移動を誘導するための前記手段が電圧クランプ増幅器である、請求項75に記載のデバイス。
  78. 前記生体分子の前記移動を検出するためのセンサをさらに含む、請求項56に記載のデバイス。
  79. 前記生体分子の前記移動を検出するための前記手段が一セットの電極である、請求項78に記載のデバイス。
  80. 前記生体分子の前記移動を検出するための前記手段が電圧クランプされた増幅器である、請求項78に記載のデバイス。
  81. 生物学的ナノ細孔デバイスである、請求項56に記載のデバイス。
  82. 固体のナノ細孔デバイスである、請求項56に記載のデバイス。
  83. ハイブリッドナノ細孔デバイスである、請求項56に記載のデバイス。
  84. 以下を含む、試料中の生体分子を検出または特性評価するための方法:
    a. 生体分子を含む疑いがある試料を請求項1〜55のいずれか一項記載のセンシング溶液と接触させる工程であって、該センシング溶液がナノポーラス膜に接触しており、該ナノポーラス膜がナノ細孔デバイスの空間をシス容積とトランス容積に分ける、該工程;
    b. 該ナノポーラス膜のナノ細孔をはさんで電圧を印加し、それによって、ナノポーラス膜を通した該生体分子の移動を誘導する工程;ならびに
    c. 存在する場合に該生体分子の該移動の間の電流を検出する工程;および存在する場合に該生体分子を検出または特性評価する工程。
  85. 前記生体分子がタンパク質である、請求項8384記載の方法。
  86. 前記タンパク質が少なくともl00〜200kDaである、請求項8384記載の方法。
  87. 前記タンパク質が少なくとも200〜300kDaである、請求項8384記載の方法。
  88. 前記タンパク質が少なくともl50〜200kDaである、請求項8384記載の方法。
  89. 前記生体分子がポリヌクレオチドである、請求項8384記載の方法。
  90. 前記ポリヌクレオチドがタンパク質に結合している、請求項89記載の方法。
  91. 前記ポリヌクレオチドが、dsDNA、ssDNA、RNA、RNA/DNAハイブリッド、PNA/DNAハイブリッド、またはRNA/PNAハイブリッドである、請求項89記載の方法。
  92. 前記ポリヌクレオチドが2kb、1kb、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、または100塩基以下の長さを有する、請求項89記載の方法。
  93. 前記ポリヌクレオチドが500bp未満である、請求項92記載の方法。
  94. 前記ポリヌクレオチドが200bp未満の長さである、請求項92記載の方法。
  95. 前記ポリヌクレオチドが100bp未満の長さである、請求項92記載の方法。
  96. 前記ポリヌクレオチドが10bp〜500bpの長さである、請求項92記載の方法。
  97. 前記ナノポーラス膜が固体の基材から作製された細孔を含む、請求項8384記載の方法。
  98. 前記ナノポーラス膜が生物学的基材から作製された細孔を含む、請求項8384記載の方法。
  99. 前記ナノポーラス膜が固体の基材および生物学的基材から作製された細孔を含む、請求項8384記載の方法。
  100. 前記ナノポーラス膜が4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、または65nmより大きい最小直径を有する細孔を有する、請求項8384記載の方法。
  101. 前記ナノポーラス膜が70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、または110nm未満の最小直径を有する細孔を有する、請求項8384記載の方法。
  102. 前記ナノポーラス膜が1000nm、500nm、200nm、100nm、または50nm未満の最小直径を有する細孔を有する、請求項8384記載の方法。
  103. 前記ナノポーラス膜が20nm〜60nmの直径を有する細孔を有する、請求項8384記載の方法。
  104. 前記ナノポーラス膜が20nm〜40nmの直径を有する細孔を有する、請求項8384記載の方法。
  105. 前記ナノポーラス膜が30nm〜60nmの直径を有する細孔を有する、請求項8384記載の方法。
  106. 前記ナノポーラス膜が30nm〜40nmの直径を有する細孔を有する、請求項8384記載の方法。
  107. 前記特性評価が、有無、量、同一性、修飾、構造、もしくは前記生体分子の配列、濃度、またはこれらの組み合わせを含む、請求項8384記載の方法。
  108. 前記特性評価が、前記試料中の前記生体分子の識別を含む、請求項8384記載の方法。
  109. 長さの違いの前記識別が50bp、100bp、200bp、300bp、400bp、または500bp未満である、請求項108記載の方法。
  110. 前記識別が、ssDNA、dsDNA、dsRNA、RNA、RNA/DNAハイブリッド、PNA/DNAハイブリッド、またはRNA/PNAハイブリッドの長さの間の、50bp、100bp、200bp、300bp、400bp、500bp未満、またはこれらの組み合わせの違いである、請求項108記載の方法。
  111. 標準的な泳動用緩衝液で行われる同じ方法と比較して、前記特性評価の精度が改善されている、請求項8384記載の方法。
  112. 標準緩衝液で行われる同じ方法からの特性評価と比較して、前記特性評価が改善された精度を有する、請求項8384記載の方法。
  113. 前記標準緩衝液が、LiCl、KCl、NaCl、またはこれらの一価のイオンを含む、請求項111記載の方法。
  114. 前記標準緩衝液が、LiCl、KCl、もしくはNaClまたはこれらの一価のイオンを含み、式(I)、(II)、(III)、(IV)およびこれらの組み合わせのポリエーテル作用物質を含まない、請求項111記載の方法。
  115. 前記シス容積と前記トランス容積が同じセンシング溶液を含む、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  116. 前記シス容積と前記トランス容積が異なるセンシング溶液を含む、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  117. 前記シス容積が前記センシング溶液を含み、前記トランス容積が少なくとも10%の炭水化物溶液を含む、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  118. 前記シス容積が10%の炭水化物溶液を含み、前記トランス容積が請求項1〜55のいずれか一項記載のセンシング溶液を含む、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  119. 前記ナノ細孔デバイスが、前記ナノ細孔をはさんで電圧を印加するための、および前記電流をモニターするための電極を含む、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  120. 前記シス容積およびトランス容積が前記細孔を通じて流体連通している、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  121. 前記接触工程が、前記生体分子に結合する、電圧感受性部分にコンジュゲートした残基を含むプローブをさらに含む、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  122. 前記電流がイオン電流である、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  123. 前記電流がトンネル電流である、先行請求項のいずれか一項記載の方法。
  124. a. 請求項56〜83のいずれか一項記載のナノ細孔デバイス;
    b. 生体分子からの電流を検出するためのセンサ;
    c. プロセッサ;および
    d. 該プロセッサによって実行される場合に、該プロセッサに該生体分子を検出または特性評価させるコードを格納するためのコンピュータ可読媒体
    を含む、試料中の生体分子を検出または特性評価するためのシステム。
  125. 前記コンピュータ可読媒体が試料中の生体分子を検出するためのコードを格納する、請求項124記載のシステム。
  126. 前記コンピュータ可読媒体が試料中の生体分子を特性評価するためのコードを格納する、請求項124記載のシステム。
  127. 前記ナノ細孔デバイスを通した移動を電流の一過的降下として検出する、かつ
    決定されたベースライン電流と比較して有意な標準偏差を有する事象を特定するアルゴリズムを使用する
    コードを、前記コンピュータ可読媒体が格納する、請求項124記載のシステム。
  128. 前記コンピュータ可読媒体が、農業試料中の生体分子を検出または特性評価するためのコードを格納する、請求項124記載のシステム。
  129. 前記農業試料が植物由来である、請求項182記載のシステム。
  130. 前記農業試料が動物由来である、請求項182記載のシステム。
  131. 前記生体分子がタンパク質である、請求項124記載のシステム。
  132. 前記タンパク質が少なくともl00〜200kDaである、請求項131記載のシステム。
  133. 前記タンパク質が少なくとも200〜300kDaである、請求項131記載のシステム。
  134. 前記タンパク質が少なくともl50〜200kDaである、請求項131記載のシステム。
  135. 前記生体分子がポリヌクレオチドである、請求項124記載のシステム。
  136. 前記ポリヌクレオチドがタンパク質に結合している、請求項135記載のシステム。
  137. 前記ポリヌクレオチドがssDNA、dsDNA、RNA、dsRNA、RNA/DNAハイブリッド、PNA/DNAハイブリッド、またはRNA/PNAハイブリッドである、請求項134記載のシステム。
  138. 前記ポリヌクレオチドが2kb、1kb、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、または100塩基の長さを有する、請求項134記載のシステム。
  139. 前記ポリヌクレオチドが500bp未満である、請求項138記載のシステム。
  140. 前記ポリヌクレオチドが10bp〜500bpの長さを有する、請求項138記載のシステム。
  141. 前記特性評価が前記生体分子の定量化を含む、請求項124記載のシステム。
  142. 前記特性評価が前記試料中の生体分子の識別を含む、請求項124記載のシステム。
  143. 長さの違いの前記識別が50bp、100bp、200bp、300bp、400bp、または500bp未満である、請求項142記載のシステム。
  144. 前記ナノポーラス膜が4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、または65nmより大きい最小直径を有する細孔を有する、請求項124記載のシステム。
  145. 前記ナノポーラス膜が70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、または110nm未満の最小直径を有する細孔を有する、請求項124記載のシステム。
  146. 前記ナノポーラス膜が1000nm、500nm、200nm、100nm、または50nm未満の最小直径を有する細孔を有する、請求項124記載のシステム。
  147. 前記ナノポーラス膜が20nm〜60nmの直径を有する細孔を有する、請求項124記載のシステム。
  148. 前記ナノポーラス膜が20nm〜40nmの直径を有する細孔を有する、請求項124記載のシステム。
  149. 前記ナノポーラス膜が30nm〜60nmの直径を有する細孔を有する、請求項124記載のシステム。
  150. 前記ナノポーラス膜が30nm〜40nmの直径を有する細孔を有する、請求項124記載のシステム。
  151. 前記生体分子の前記特性評価が、その有無、その量、その同一性、その修飾、その構造、その配列、その濃度、またはこれらの組み合わせを含む、請求項124記載のシステム。
  152. 前記特性評価が、標準的な泳動用緩衝液で行われる同じ方法からの特性評価と比較して改善された精度を有する、請求項124記載のシステム。
  153. 前記電流がイオン電流である、請求項124記載のシステム。
  154. 前記電流がトンネル電流である、請求項124記載のシステム。
  155. 以下を含む、ナノ細孔デバイスを使用して試料中の生体分子を検出または特性評価するためのキット:
    a. 請求項1〜55のいずれか一項記載のものであるセンシング溶液;および
    b. 前記試料中の前記生体分子を検出または特性評価するためにナノ細孔デバイスとともに前記センシング溶液を使用するための説明書。
  156. 緩衝液、電圧感受性部分にコンジュゲートした残基を含むプローブ、炭水化物溶液、電極、電源、電圧増幅器、試料調製用溶液、ナノポーラス膜を含むナノ細孔デバイス、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される1種または複数種の成分をさらに含む、請求項155記載のキット。
  157. 試料中の生体分子を検出または特性評価するためにオペレーティングシステムに指示するコンピュータ可読媒体をさらに含む、先行請求項のいずれか一項記載のキット。
  158. 前記ナノ細孔デバイスを通した移動を電流の一過的降下として検出する、かつ
    決定されたベースライン電流と比較して有意な標準偏差を有する事象を特定するアルゴリズムを使用する
    コードを格納するコンピュータ可読媒体をさらに含む、先行請求項のいずれか一項記載のキット。
  159. 前記説明書が農業試料中の生体分子を検出または特性評価するためのものである、請求項155記載のキット。
  160. 前記農業試料が植物由来である、請求項159記載のキット。
  161. 前記説明書が臨床試料中の生体分子を検出または特性評価するためのものである、請求項155記載のキット。
  162. 前記説明書が生物試料中の生体分子を検出または特性評価するためのものである、請求項155記載のキット。
  163. 前記生体分子がタンパク質である、請求項155記載のキット。
  164. 前記タンパク質が少なくともl00〜200kDaである、請求項163記載のキット。
  165. 前記タンパク質が少なくとも200〜300kDaである、請求項163記載のキット。
  166. 前記タンパク質が少なくともl50〜200kDaである、請求項163記載のキット。
  167. 前記生体分子がポリヌクレオチドである、請求項155記載のキット。
  168. 前記ポリヌクレオチドがタンパク質に結合している、請求項167記載のキット。
  169. 前記ポリヌクレオチドが、dsDNA、ssDNA、RNA、dsRNA、RNA/DNAハイブリッド、PNA/DNAハイブリッド、またはRNA/PNAハイブリッドである、請求項167記載のキット。
  170. 前記ポリヌクレオチドが2kb、1kb、500塩基、400塩基、300塩基、200塩基、または100塩基以下の長さを有する、請求項167記載のキット。
  171. 前記ポリヌクレオチドが500bp未満である、請求項167記載のキット。
  172. 前記ポリヌクレオチドが10bp〜500bpである、請求項167記載のキット。
  173. 前記ナノポーラス膜が固体の基材から作製された細孔を含む、請求項156記載のキット。
  174. 前記ナノポーラス膜が生物学的基材から作製された細孔を含む、請求項156記載のキット。
  175. 前記ナノポーラス膜が固体の基材および生物学的基材から作製された細孔を含む、請求項156記載のキット。
  176. 前記ナノポーラス膜が4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、または65nmより大きい最小直径を有する細孔を有する、請求項156記載のキット。
  177. 前記ナノポーラス膜が70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、または110nm未満の最小直径を有する細孔を有する、請求項156記載のキット。
  178. 前記ナノポーラス膜が1000nm、500nm、200nm、100nm、または50nm未満の最小直径を有する細孔を有する、請求項156記載のキット。
  179. 前記ナノポーラス膜が20nm〜60nmの直径を有する細孔を有する、請求項156記載のキット。
  180. 前記ナノポーラス膜が20nm〜40nmの直径を有する細孔を有する、請求項156記載のキット。
  181. 前記ナノポーラス膜が30nm〜60nmの直径を有する細孔を有する、請求項156記載のキット。
  182. 前記ナノポーラス膜が30nm〜40nmの直径を有する細孔を有する、請求項156記載のキット。
  183. 前記特性評価が前記試料における異なる長さまたはサイズの識別を含む、請求項155記載のキット。
  184. 長さの前記識別が50bp、100bp、200bp、300bp、400bp、または500bp未満である、請求項183記載のキット。
  185. 前記生体分子の前記特性評価が、その有無、その量、その同一性、その修飾、その構造、もしくはその配列、その濃度、またはこれらの組み合わせを含む、請求項155記載のキット。
  186. 前記特性評価が、標準緩衝液で行われる同じ方法と比較して改善された精度を有する、請求項155記載のキット。
  187. 前記ナノ細孔デバイスが生物学的ナノ細孔デバイスである、請求項156記載のキット。
  188. 前記ナノ細孔デバイスが固体のナノ細孔デバイスである、請求項156記載のキット。
  189. 前記ナノ細孔デバイスがハイブリッドナノ細孔デバイスである、請求項156記載のキット。
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