[定義]
本明細書において、「一次サンプルコンテナ(primary sample container)」は、生物学的サンプル等のサンプルが予備分析システムにより受容される場合の任意のコンテナを意味する。また、「二次サンプルコンテナ(secondary sample container)」は、一次サンプルコンテナから移動された後のサンプルを保持する任意のコンテナを意味するものである。場合により、「一次サンプルコンテナ(primary sample container)」は、一次コンテナから二次コンテナへのサンプルの移動を要さずに、本明細書に記載の予備分析システムにより直接ハンドリング可能なコンテナを表す。本明細書において、用語「およそ(about)」、「一般的に(generally)」、および「実質的に(substantially)」は、絶対的基準からのわずかな逸脱が、そのように修正した用語の範囲内に含まれることを意味するものである。
本明細書において、用語「シャトル(shuttle)」は、複数のサンプルコンテナを搬送可能であるとともに、それぞれが単一のサンプルコンテナを受容するように構成された複数のレセプタクルを有する任意の構造を広く含む。シャトルを表すのに使用可能な従来の他の用語としては、たとえばラック、コンベヤ、キャリア等が挙げられる。
また、以下の議論において、左、右、前、後、上、および下等の特定の方向を表す場合、このような方向は、例示的な動作中の後述のシステムに対向するユーザの視点に関して表されることが了解されるものとする。
[システム概要]
図1A〜図3は、本開示の一実施形態に係る予備分析システム10の大略的な構造およびレイアウトを示している。図1Bに示すように、システム10は、BD Viper(商標)LTシステム(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJまたはBD MAX(商標)システム)等、ユーザならびに1つもしくは複数の分析器A1・・・Anを含むハブアンドスポーク分散ネットワークとして作用するように構成されている。システム10は、1つまたは複数の分析器が実行する任意数の分析テストまたは検査のサンプル作成および前処理を自動化する高スループットプラットフォームである。たとえば、システム10は、血液ウイルス量の決定およびヒトパピローマウイルス(HPV)、クラミジアトラコマチス、淋菌、膣トリコモナス、グループB連鎖球菌、腸内細菌(たとえば、カンピロバクター、サルモネラ、シゲラ、大腸菌、シゲラディゼンテリエ)、および腸内寄生虫(たとえば、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム、赤痢アメーバ)の検出を伴う検査のためのサンプルを作成および前処理可能である。また、システム10は、血液、粘液、唾液、尿、排泄物、液体ベースの細胞学的サンプル等、複数のカテゴリのサンプルを作成および前処理可能である。
[サンプルコンテナ]
また、システム10は、多様なサンプルコンテナに対応可能であり、ThinPrep(登録商標)子宮頚部サンプル/液体ベースの細胞学コンテナ(Hologic,Inc.、Bedford、MA)、SurePath(商標)子宮頚部サンプル/液体ベースの細胞学コンテナ(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、血液サンプルコンテナおよび血液収集コンテナ(たとえば、BD Vacutainer(登録商標)血液収集チューブ等)、および貫通可能キャップコンテナ(穿通可能キャップを備えたBD MAX(商標)サンプルバッファチューブ(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)およびAPTIMA(登録商標)移送チューブ(Gen−Probe Inc.、San Diego、CA)等)が挙げられるが、これらに限定されない。
簡素化のため、本開示のその他の部分は、第1種、第2種、および第3種サンプルコンテナ01、02、および03を表す。例示的な第1種、第2種、および第3種コンテナ01、02、03を図8Aに示す。第1種コンテナ01はThinPrep(登録商標)コンテナに類似し、第2種コンテナ02はSurePath(商標)コンテナに類似し、第3種コンテナ03はBD MAX(商標)mLサンプルバッファチューブに類似する。ThinPrep(登録商標)コンテナおよびSurePath(商標)コンテナは、液体ベース細胞学(LBC)コンテナと総称する。これらの種類のコンテナはそれぞれ、第1種01が最大、第3種03が最小となるように、サイズが異なる。ただし、この特定のサイズ区分は必須ではなく、システム10のコンテナハンドリング能力の説明を意図したものに過ぎない。このため、第1種、第2種、および第3種コンテナ01、02、03は、同じサイズであってもよいし、上記説明以外の異なるサイズであってもよい。また、第3種サンプルコンテナ03は、システム10に結合可能な1つまたは複数の分析器による使用に対して特に適応されている。たとえば、第3種サンプルコンテナ03は、箔膜を有するキャップ等の貫通可能キャップまたは1つもしくは複数の分析器A1・・・Anにおける使用に特に適したその他何らかのキャップもしくは構造的特徴を有していてもよい。
また、これらのコンテナは、一次第1種コンテナ01、一次第2種コンテナ02、および一次第3種コンテナ03と称する。これらの記述は、一次サンプルコンテナの役割におけるコンテナ01、02、および03を表す。また、第3種コンテナ03は、二次第3種コンテナ03と称する場合があるが、これは、二次サンプルコンテナとしての第3種コンテナの役割を表す。
[システムフレーム]
システム10は、サンプルの予備分析作成および前処理のさまざまなデッキまたはレベルを支持および規定するように構成された金属管類のセグメント等、複数の支持構成要素21が備えられた構造フレーム20を具備する。このようなデッキまたはレベルは、主格納デッキまたは第1の蓄積エリア22、第1の予備分析処理デッキ24、第2の予備分析処理デッキ26、および懸架ロボットデッキ28を含む。
[システムデッキ関係]
主格納デッキ22は、一般的には最も低く位置付けられたデッキである。また、上側境界において、第1および第2のデッキ24、26により規定されている。フレーム20を囲むとともにフレーム20により支持されるシステムシェル(図示せず)がシステム10の前方において、手動および/または自動操作による主格納デッキ22へのアクセスが可能なアクセスドア(図示せず)を含む。ただし、通常動作中、このアクセスドアは閉じたままである。
第1の作成デッキ24はシステム10の前部に位置付けられ、第2の作成デッキ26はシステム10の後部に位置付けられている。これらのデッキ24および26は、互いに平行に位置決めされるとともに、システム10の長さ方向に沿って延びている。第1の作成デッキ24は、第2の作成デッキ26よりも下側に位置決めされているのが好ましい。
いくつかの実施形態において、第2のデッキ26は、第1のデッキ24の下側に位置決めされていてもよい。この高さの違いにより、ロボットが下側から第1の作成デッキ24にアクセス可能となる。他の実施形態において、第1および第2の予備分析処理デッキ24、26は、同じ高さに位置付けられていてもよい。このような実施形態においては、幅方向の間隙(図示せず)が第1および第2の作成デッキ24、26を分離することで、下側からロボットがアクセス可能となっていてもよい。ただし、このような間隙は、システム10の前後方向幅を増大させる可能性がある。
懸架ロボットデッキ28は、当該デッキ28内に位置付けられたロボットが第1および第2の予備分析処理デッキ24、26に向かって下方に延び得るように、デッキ24および26の上方に位置付けられている。このため、懸架ロボットデッキ28は、第1および第2の予備分析処理デッキ24、26に対応して、システム10の長さ方向に沿って延びている。
[システムで使用する消耗品ラック]
図4A〜図6は、システム10での利用により前述の多様なサンプルコンテナの収容に役立ち得るさまざまなサンプルラックの例示的な実施形態を示している。特に、図4Aは、第1種サンプルコンテナ01を保持するように適応され、コンテナ01を受容する複数の均一サイズのレセプタクル32を含むラック30を示している。ラック30は、13個のレセプタクル32を含むのが好ましい。ただし、利用されるレセプタクル32の数は、より多くてもよいし、より少なくてもよい。各レセプタクル32は、離散した円筒状または突出部材33aおよび33bを規定する。円筒状部材33aは、ラック30の隅部に位置付けられ、それぞれが支台ショルダーを規定する延伸部38を底部に含む。このようなショルダーは、円筒状部材33aよりも小さな寸法の延伸部38により形成される。
円筒状部材33bは、円筒状部材33a間に位置付けられる。部材33bは、延伸部38を含まない。これにより、延伸部38は、ラック30が平面に置かれた場合に、円筒状部材33bがこの平面に接触することなく、平面との間にスペースを形成するように、円筒状部材33bの長さを越えて延びている。これらの延伸部38は、複数のラック30が空の場合に積み重ねられるように、別のラック30のレセプタクル32内に受容されるように寸法規定されている。ラックの側部の小さな刻み目(図示せず)によれば、システム10全体の異なる場所でラックを適所に係止することにより、特定の位置でのラック30の配置および維持に役立ち得る。
円筒状部材33a、33bの底部を通って開口35が延び、レセプタクル32と連通している。これらの開口35は、ラックの衛生に役立ち得るものであり、バーコードスキャナ等のスキャナによって、たとえばレセプタクル32のうちの1つに位置付けられたコンテナの底部に配置可能な情報をスキャン可能である。
図4Cに示すように、ラック30の底部には、係合部材39が位置付けられていてもよい。図示のように、係合部材39は、ラック移動アーム(後述)の突起と係合するようにサイズ規定された開口を有する中空シリンダ31を具備する。係合部材39は、その底端でラック30に取り付け可能となるように、モジュール式であってもよい。たとえば、一実施形態においては、中空シリンダ31に結合されたシム部が円筒状部材33a、33b間のスペースに圧入されていてもよい。ただし、他の実施形態においては、中空シリンダ31の底部からの延伸または円筒状部材33a、33b間での陥凹が実現されるように、係合部材39がラック30の構造に組み込まれていてもよい。ラック30が表面に置かれた場合は、円筒状部材33aの延長によって、表面と円筒状部材33bの底部との間にスペースが形成される。ラック移動アームは、ラック30の底部から延びた係合部材39と係合する一方で、ラック30が平面に置かれた場合にラックの安定性を妨げることはない。係合機構39は、ラック30の重心またはその近傍に位置付けられることで、ラック移動アームにより回収される場合の安定に役立つのが好ましい。
また、ラック30は、その両側に位置付けられた少なくとも一対の周壁34を具備する。このような壁34はそれぞれ、下向き面37を含む。表面37は、平面状であるのが好ましく、自動デバイスによってラック30の係合および支持に利用されるようになっていてもよい。
周壁34間を横断するように、ラック30の片側にハンドル36が位置付けられている。単一のハンドルを図示しているが、ラック30の両側に配設された複数のハンドルも考えられる。ただし、ラック30の全体寸法を最小限に抑えてシステム10内に効率的に格納するには、単一のハンドル36が好ましい。後述の通り、ラック30は、システム10の単一のポートを通じてユーザにより装填および回収がなされる。特に、装填と同じ配向でシステム10がラック30をポートに配送するため、ポートからのラック30の装填および回収にはハンドル36だけで十分である。
図5に示すように、ラック40は、ラック30に類似しており、複数のレセプタクル42を含む。ただし、ラック40のレセプタクル42は、ラック30のものよりも小さく、第2種サンプルコンテナ02を収容するようにサイズ規定されている。レセプタクル42のサイズが小さいことから、ラック40は、このようなレセプタクル42をより多く含むことができる。好適な一実施形態において、ラック40は、20個のレセプタクル42を含む。ただし、より多くのレセプタクル42も考えられるし、より少ないレセプタクル42も考えられる。
図6に示すように、ラック50もラック30および40に類しているが、第3種サンプルコンテナ03を収容するようにサイズ規定されたさらに小さなレセプタクル52を含む。このため、ラック50は、63個のレセプタクルを含み得る。ただし、ここでも再び、より多くのレセプタクル52も考えられるし、より少ないレセプタクル52も考えられる。
ラック30、40、および50は、実質的に同じ周辺寸法を有する。また、各ラック30、40、50は、システム10による自動またはユーザによる手動等、システム10への投入に際してスキャンすることにより、配設されるコンテナの種類を識別可能なバーコード、RFID、またはその他何らかの識別タグを具備する。また、ラック30、40、および50は、特定種類のラックに入るコンテナの種類をユーザが容易に判断できるように、色分けされていてもよい。
各ラック30、40、50は、単一サイズのサンプルコンテナとなるように均一サイズのレセプタクルを含むものの、単一のラックが異なるサイズのレセプタクルを含むことにより、さまざまなサイズのサンプルコンテナを収容し得ることも考えられる。たとえば、レセプタクル32および42が単一のラックに含められることにより、第1種および第2種の両サンプルコンテナ01、02を収容可能となる。また、第3種コンテナ03に対してサイズ規定されたレセプタクル52をレセプタクル32および/または42と併せてラックに含めることも可能と考えられる。ただし、以下により詳しく説明する通り、小さなコンテナがサンプル変換を迂回(バイパス)し得るように、第3種サンプルコンテナ03(または、分析器に対して特に適した任意のコンテナ)をそれ自体のラックへと分離するのが好ましい。これは、システム10の速度の増大および複雑性の低減に役立つ。
図7は、使い捨てピペットチップラック182を示している。使い捨てピペットチップラックは、ラック30、40、および50と同じ寸法を有する。また、使い捨てピペットチップラック182は、ピペット操作ロボットがピペットチップを回収できるように、使い捨てピペットチップを受容および懸架するようにそれぞれサイズ規定された複数のレセプタクル184を含む。
また、システム10は、他の種類のコンテナを有する他のサンプルラックを収容するように適応可能である。たとえば、上記説明したものと構造が類似するラックは特に、血液サンプルコンテナ/バキュテナを保持するように構成されていてもよい。
[主格納デッキ]
図2および図3に戻って、主格納デッキ22は、主としてその内部に配設され、内部を第1および第2の処理/作成デッキ24、26へと横断可能なラックハンドラロボット320(図14参照)およびラックエレベータ360(図15参照)を具備する。
また、主格納デッキ22は、消耗品を整理して保持する棚類または離散格納セルを具備する。たとえば、図2に示すように、主格納デッキ22は、ラック30、40、50、および182用の棚類(図示せず)、ピペットチップ廃棄物コンテナ12用の棚類(図示せず)、ならびにバルク希釈剤コンテナ用の棚類23を具備する。
図2を参照して、さまざまな消耗品およびアイテム用の棚類は、第1および第2の予備分析処理デッキ24、26の下側に位置付けられている(図3)。たとえば、棚類は、消耗品ラック30、40、50、182を支持するとともに(図7)、ラック格納位置を規定する。このようなラック格納位置としては、第1および第2の予備分析処理デッキ24、26の両者の下側が可能である。また、棚類は、バルク希釈剤コンテナ、使い捨てピペットチップ用の廃棄物コンテナ等を下側から支持する第1の予備分析処理デッキ24の下に設けられていてもよい。棚類は、システム10の長さ方向に沿って延びたスペースまたは通路25(図3参照)を形成することにより、ロボット320がこの通路25を横断するとともに、通路25の両側からラック30、40、50、および182を回収できるように配置されている。この点、通路25は、第1の作成デッキ24の後縁と交差するように、システム10の前部に位置付けられたサンプルラック格納位置の後端に沿って上方に延びている。これにより、通路25を横断するロボット320は、第1および第2の作成デッキ24、26の下方および第1の作成デッキ24の上方でラック30、40、50、182を回収および載置可能である。
バルク希釈剤コンテナ14または他のアイテム用の棚類23は、格納デッキ22内に静的に配設されていてもよいし、アクセスドア(図示せず)に結合されて、当該アクセスドアが開放された場合に、バルク希釈剤コンテナ14がアクセスドアとともに移動してユーザに提示され、容易に取り出して交換できるようになっていてもよい。棚類23は、バルク希釈剤コンテナ14を横並び配置できるように構成されていてもよい。ただし、棚類は、バルク希釈剤コンテナ14の横並び配置および垂直配置の両者が可能となるように構成されていてもよい。
格納デッキ22およびその構成は、大量の消耗品を蓄積するとともに、システム10により決定された場合の自動操作を可能とすることによって、ユーザに対する稼働時間を長くしつつ、システム10の高スループット予備分析作成および前処理を可能にする一態様である。
[処理デッキ]
図7は、第1および第2の予備分析処理デッキ24、26の例示的な構成を示している。デッキ24および26は、ラック/チューブを配置する多くのデバイスおよび場所を含む。図示のように、第1のデッキ24は、右から左へと、角度付きエレベータ100、第1のサンプルラックスペース110、入出力(「I/O」)ポート120、第2のサンプルラックスペース112、サンプル変換アセンブリ130、ピペットチップラック182を備えたピペットチップラックスペース180、および第3のサンプルラックスペース114/116を含む。サンプルラックスペース114/116は、サンプル作成/変換アセンブリ130によって処理されたサンプルコンテナの目的場所である。また、第1の予備分析処理デッキ24は、それを通って延び、ピペットチップ廃棄物コンテナ12の上方に位置決めされた開口(図示せず)を含む。これらのデバイス/スペースは、特定の構成で第1の予備分析処理デッキ24上に配設されたものとして示しているが、本明細書に記載の本発明から逸脱することなく、第1の予備分析処理デッキ24上の別の場所にそれぞれ位置付けることも可能であることが了解されるものとする。
[第1の予備分析処理デッキ]
[チューブシーラーおよび第1のラックスペース]
サンプルラックスペース110、112、および114/116は、上述のサンプルラック30、40、50のいずれかを受容可能である。ただし、このようなスペース110、112、114/116は一般的に、特定の重量物を含む特定のサンプルラックを受容する。このようなスペースは、これら特定のサンプルラックを受容してロボット動作を最適化するように指定される。ただし、前述の通り、このようなスペースは、多数の異なるラックを受容可能である。また、各サンプルラックスペース110、112、および114/116は一般的に、単一のサンプルラック30、40、50を受容するように構成されている。ただし、システム10は、ラックスペース110、112、および114/116が2つ以上のサンプルラックを収容できるように構成可能であることが了解されるものとする。
システム10の好適な構成において、第1のサンプルラックスペース110は、レセプタクル52が空または部分的に空のサンプルラック50を受容する。ラックスペース110内に位置付けられた状態で、レセプタクル52には、分析器から戻された処理済み/使用済みサンプルコンテナ03が装填される。以下により詳しく説明するエレベータ100は、ラックスペース110に隣り合って配置され、ラックハンドラロボット320が角度付きエレベータ100からラック50を回収して格納デッキ22に移動可能となるように、ラック50を第2のデッキ26まで上昇させて使用済みのサンプルコンテナ03で満たすとともに、このように使用済みコンテナ03で満たされたラック50をラックスペース110のデッキ24まで降下させるように構成されている。
[入力ポートおよびバーコードスキャナ]
I/Oポート120は、ラックスペース110に隣り合って位置付けられている。I/Oポート120は一般的に、サンプルラック30、40、および50がユーザにより載置および回収される矩形の筐体である。システム10が利用するすべてのサンプルラック30、40、50およびサンプルコンテナ01、02、03がこのポートを通過する。I/Oポート120は、単一のラック30、40、50、182よりもわずかに大きくなるように寸法規定されていてもよい。これは、作成/処理スペースの節約に役立つとともに、ラックハンドラロボット320(後述)がラックを回収するために各ラック30、40、50をI/Oポート120内の実質的に同じ場所に位置決めするのに役立つ。ただし、ポート120は、横並びまたは前後に配置された複数のラックを受容するように寸法規定されていてもよいと考えられる。また、I/Oポート120の隣りまたはI/Oポート120内には、バーコードスキャナ(図示せず)が位置付けられ、システム10に入力されるサンプルラック30、40、および50上のバーコードを読み込む。
[サンプル作成/変換器具]
図7〜図8Cは、第1のラックスペース110に対してI/Oポート120の反対側に位置決めされたスペースおよびデバイスを示している。サンプル変換(後述)は、I/Oポート120のこちら側で発生するが、ここには、サンプル作成/変換アセンブリ130、ピペットチップラックスペース180、ならびに第2、第3、および第4のラックスペース112、114/116を含む。
第2のサンプルラックスペース112は一般的に、それぞれ一次サンプルコンテナとして機能するサンプルコンテナ01または02で全部または一部が満たされたラック30または40を受容する。ただし、いくつかの実施形態において、サンプルラックスペース112は、分析器によって使用済みのサンプルコンテナ03を含むラック50も受容可能である。言い換えると、ラックスペース112は、サンプルラック50を受容して、システム10から取り出すことなくサンプルの追加テストを実行可能である。第3のサンプルラックスペース114/116は、コンテナ01および02に含まれるサンプルの二次コンテナとして後で機能する空の第3種コンテナ03または対照サンプルを含む第3種コンテナ03で全部または一部が満たされたサンプルラック50を受容する。また、ラックスペース180は、ピペットチップラック182を受容する。
作成/変換アセンブリ130は、第2および第3のラックスペース112、114間に位置付けられるのが好ましく、一般的には、バーコードスキャナ(図示せず)、一次サンプルコンテナステーション140、二次サンプルコンテナステーション150、および希釈剤ディスペンサ170を具備する。また、任意選択として、1つまたは複数のクランプアセンブリ160が設けられている。
一次サンプルコンテナステーション140は、異なるサイズのサンプルコンテナを受容するようにそれぞれ寸法規定された複数のレセプタクル142を含んでいてもよい。たとえば、第1のレセプタクルが第1種サンプルコンテナ01を受容するように寸法規定され、第2のレセプタクルが第2種サンプルコンテナ02を受容するように寸法規定されていてもよい。いくつかの実施形態においては、第3種サンプルコンテナ03用の第3のレセプタクルが設けられていてもよいし、クランプ機構を備えたレセプタクル等、単一の調整可能なレセプタクルが設けられて、各種のサンプルコンテナ01、02、および03を収容するようになっていてもよい。また、各レセプタクル142は、サンプルコンテナ01および02の底部に位置付けられた対応する機構との連動によってサンプルコンテナ01および02の内部回転を禁止する係合機構(図示せず)が底部に位置付けられていてもよい。このような係合機構によれば、レセプタクル142内でのサンプルコンテナ01、02のデキャップおよびリキャップが可能となる。
また、レセプタクル142は、電動式ベース144に組み込まれている。電動式ベース144は、ステーション140が撹拌機またはボルテクサとして動作することにより微粒子をサンプル内に再懸濁可能となるように、各レセプタクルを規定する構造に直接または間接的に結合可能な偏心モータ等のモータを具備する。ただし、いくつかの実施形態においては、独立した撹拌機/ボルテクサがステーション140に隣り合って設けられていてもよい。
二次サンプルコンテナステーション150は、一次サンプルコンテナステーション140および希釈剤ディスペンサ170に隣り合って位置決めされる。二次サンプルコンテナステーション150は、第3種サンプルコンテナ03を受容するための1つまたは複数のクランプ152を有するのが好ましい。クランプ152は、内部での回転を禁止するように第3種コンテナ03を保持する一方で、以下により詳しく説明する通り、コンテナ03上のキャップは、デキャッパロボット450によりデキャップおよびリキャップされる。ただし、他の実施形態においては、ステーション150に受動的なレセプタクルを設けて、第3種サンプルコンテナ03を受容することも可能である。このような実施形態において、レセプタクルは、コンテナ03の側方またはコンテナ03のカラー(鍔部)に位置付け可能なコンテナ係合機構に連動する係合機構を具備していてもよい。この点、レセプタクル係合機構は、レセプタクル152内またはその上端に対応して位置決めされていてもよい。このため、コンテナ03が対応するレセプタクルに配設された場合には、係合機構が互いに係合して、コンテナ03の回転を防止する。上述のいずれの実施形態においても、ステーション150は、コンテナ03が同じ場所にある状態でデキャップおよびリキャップ可能となるように構成されている。ステーション140と同様に、ステーション150もまた、電動式ベース154によって、レセプタクル152内に配設された第3種サンプルコンテナ03の撹拌機/ボルテクサとして機能するように構成されていてもよい。
図8Aおよび図8Bは、クランプアセンブリ160および希釈剤ディスペンサ170の例示的な組み合わせを示している。クランプアセンブリ160は、2つのコンテナ03を互いに隣り合って保持可能な可動顎部を有する。このようなクランプアセンブリ160は、ベルト・プーリ機構を具備するトラック176に隣り合って位置決めされている。希釈剤ディスペンサ170は、このトラック176に接続され、クランプアセンブリ160およびこのようなアセンブリが保持する任意のコンテナ03の上方に多チャンネル分注ヘッド172を位置決め可能となるように、トラック176に沿って移動可能である。希釈剤ディスペンサ170は、分注ヘッド172がコンテナ03の上方に位置決めされた場合に、選択チャンネル175が計量された希釈剤を各コンテナ03に分注可能となるように、内方に角度付けされた複数の分注ノズルを有する。超音波センサ178が音量(ボリューム)変化を確認することにより、分注の発生を確認する。
別の実施形態において、希釈剤ディスペンサ170は、第1の作成デッキ24から立ち上がるカラムと、カラムから横方向に延びた吐出口または分注ヘッドとを具備していてもよい。また、ディスペンサは、複数の希釈剤チャンネルを具備していてもよい。たとえば、一実施形態において、このようなディスペンサは、8つの希釈剤チャンネルを具備していてもよいし、任意数の希釈剤チャンネルを具備していてもよい。各チャンネル175が空の第3種サンプルコンテナ03に異なる希釈剤を分注可能となるように、チャンネルが互いに隔絶されている。分注される希釈剤は、サンプルに対して実行される下流の分析によって決まる。このため、各チャンネル175は、別個に制御される。
図8Cに示すように、各チャンネル175は、第1および第2の管類セット171および173ならびにポンプ176を具備する。第1の管類セット171は、ポンプを吐出口174に接続する。ポンプ176は、分注される希釈剤の量を正確に制御する注入ポンプであってもよく、また、流体の体積を確認するセンサ(図示せず)を具備する。このようなセンサとしては、たとえば距離測定センサ、重量測定センサ、光学センサ等が挙げられる。第2の管類セット173は、バルク希釈剤コンテナ14をポンプに接続するとともに、フィルタ177を具備する。フィルタ198は、50uインラインフィルタであってもよく、ポンプ176の下流に位置決めされて、凝固した希釈剤等の粒子がポンプ176に侵入することを防止するのに役立つ。各チャンネル175は、チューブキャップアセンブリ178を介して、主格納デッキ22内に位置付けられたバルク希釈剤コンテナ14に接続されている。また、キャップアセンブリ178および第2の管類セット173は、バルク希釈剤コンテナ14の迅速な交換を可能にする高速接続機構179の対応する構成要素を有していてもよい。キャップアセンブリ178およびポンプ176は、デッキ24の直下に配置されている。また、バーコードスキャナ199がデッキ24の直下に位置決めされ、複数の希釈剤チャンネル175それぞれに接続されたバルク希釈剤コンテナ14それぞれの上にあるバーコードを同時に読み取ることにより、利用可能な希釈剤に関する実時間情報(リアルタイム情報)をシステム10に提供するように構成されていてもよい。あるいは、バルク希釈剤コンテナ14に隣接して複数のバーコードスキャナを位置決めすることにより、このような機能を実行することも可能である。
吐出口174は、複数の希釈剤チャンネル175の直線状マニホールド(図8Cに模式的に示す)として機能するとともに、各希釈剤チャンネル175が端部で終端して、希釈剤が流れる際の二次汚染を防止するのに役立つ扇状開口を有していてもよい。いくつかの実施形態において、カラム172は、指定された希釈剤チャンネル175が、二次コンテナステーション150に位置付けられた空の第3種サンプルコンテナ03と位置合わせされるように、所定の角距離だけ当該カラム172を前後に回転させるステッピングモータに結合されていてもよい。たとえば、隣り合うチャンネル175間の角距離と同等の角度だけ、モータの各ステップが吐出口174を回転させるようにしてもよい。他の実施形態において、カラム172は、ディスペンサ170を線形方向で前後に移動させることにより、希釈剤チャンネル175をコンテナ03と位置合わせする線形アクチュエータに結合されていてもよい。さらに他の実施形態においては、線形アクチュエータによるベース154の移動等により、二次コンテナステーション150のレセプタクル152を線形に平行移動させて、内部に配設されたコンテナ03が適当な希釈剤チャンネル175と位置合わせされ得るようにしてもよい。
[第2の作成/処理デッキ]
図7を再び参照して、第2の作成デッキ26は、左から右へと、空きスペース200、バッチ蓄積エリア210、複数のバルクボルテクサ220、加温器230、シャトルハンドリングアセンブリ240、冷却器290、および一対のシャトル移送アセンブリ300a、300bを具備する。また、第2のデッキ26は、サンプルコンテナのバーコードをスキャンするように構成されたバーコードスキャナ205を具備する。これらのデバイス/スペースは、特定の構成で第2の予備分析処理デッキ26上に配設されたものとして示しているが、本明細書に記載の本発明から逸脱することなく、第2の予備分析処理デッキ26上の別の場所にそれぞれ位置付けることも可能であることが了解されるものとする。
[ラックエレベータスペース]
図7に示すように、空きスペース200は、サンプルラック50を受容するようにサイズ規定されている。また、前述の通り、格納デッキ22内には、ラックエレベータ360(後述)が部分的に配設され、格納デッキ22と第2の予備分析処理デッキ26との間で動作する。ラックエレベータ260は、システム10の左後隅部に配設され、空きスペース200をサンプルラック50で満たすように機能する。サンプルラック50は通常、このスペースを占有する場合、以下により詳しく説明する通り、一次コンテナまたは二次コンテナとなり得る第3種サンプルコンテナ03を含む。
[バッチ蓄積エリア]
バッチ蓄積エリア210は、レセプタクル212のアレイを含む。たとえば、エリア210は、およそ200個のレセプタクルを含むが、これより多くてもよいし、少なくてもよい。レセプタクル212は、第3種サンプルコンテナ03を受容するようにサイズ規定されるとともに、2つの辺に沿ってバルクボルテクサ220に接するように、矩形構成にて配置されている。このような形状は、スペースの節約に役立つとともに、レセプタクル212とバルクボルテクサ220との間の距離を最小化する。ただし、レセプタクル212は、矩形または円形状の配置等、任意の幾何学的構成にて配置可能である。バッチ蓄積エリア210は、それぞれの検査指定に基づいて、コンテナ03をバッチで受容および蓄積する。バッチ蓄積エリアに対するレセプタクル212の総数は、変動し得る。ただし、この総数は、コンテナ03の十分な在庫を維持し、分析器A1・・・Anが利用可能となった場合に分析器を供給して不稼働時間を抑えるのに十分であるものとする。
バッチ蓄積エリア210は、第1の蓄積エリアである格納デッキ22に加えて、第2の蓄積エリアである。これらの蓄積エリア22、210は、必要時に利用可能な蓄積サンプル/消耗品の予備をシステム10に与える。これにより、ユーザは、分析器が利用可能となったら直ちに、作成および前処理したサンプルのバッチ一式を分析器に分配可能としつつ、システム10をランダムにロードおよびアンロード可能となるため、不稼働時間が最小限に抑えられる。
バーコードスキャナ205は、バッチ蓄積エリア210に隣接して空きスペース200の近くに配置されている。これにより、スペース200のラック50からレセプタクル212にコンテナ03が移動した場合に、スキャナ205によってコンテナ03をスキャン可能となる。
[バルクボルテクサ]
図7に示すように、第2の予備分析処理デッキ26は、バッチ蓄積エリア210と加温器230との間に位置付けられた2つ以上のバルクボルテクサ220を具備する(図7においては、4つのバルクボルテクサが2つずつ2列に配置されている)。ただし、代替的構成においては、含まれるバルクボルテクサ220がより多くてもよいし、より少なくてもよい。たとえば、システム10の一実施形態においては、第2の予備分析処理デッキ26上に2つのバルクボルテクサ220が配置されていてもよい。各バルクボルテクサ220は一般的に、本体222、プラットフォーム226、およびモータ228を具備する(図9に最も良く見られる)。本体222は、およそ30個以下のレセプタクルの四角形アレイに配置された複数のレセプタクル224を含む。各レセプタクル224は、第3種コンテナ03を受容するようにサイズ規定されており、コンテナ03の底端と係合して使用時のレセプタクル224内での回転を防止するために底端に配設された係合機構(図示せず)を含んでいてもよい。本体222は、偏心モータ等のモータ228に結合されたプラットフォーム226上に配置されている。モータ228は、オンされた場合に、プラットフォーム226および本体228を振動させて、微粒子を各サンプル内で再懸濁させる。モータ228は、サンプルコンテナ03に含まれるサンプルの種類によって決まり得る所定の期間にわたって動作するように制御される。
また、システム10は、ボルテクスコントローラを具備する。サンプルのボルテクサ220への受け渡しの準備が整った場合、コントローラは、ボルテクサ220がサンプルを受容可能か判定する。また、プログラマ/コントローラは、特定の速度で所定の期間にわたって動作するようにボルテクサ220に指示する。ボルテクスコントローラは、ボルテクサの動作状態を継続的にモニタリングし、ボルテクサの動作状態が入力指示と整合しなくなった場合にエラーメッセージを送信するフィードバックループを有する。たとえば、特定の動作速度が指示された場合、フィードバックループは、実際の動作速度をモニタリングする。動作速度が指示速度と整合しなくなった場合は、エラーメッセージを生成するエラーが存在する。第1のエラーメッセージの生成のほか、エラーがある場合は、ボルテクサが再初期化される。第2のエラーメッセージが受信された場合は、ボルテクサの点検/交換のためのコマンドが発行される。このように、まずは自動補正が試された後、自動補正に失敗した場合は、ユーザの介入を求めるリクエストが送信される。如何なる場合でも、ロボット410aまたは410b等のピックアンドプレースロボットは、完了時にコンテナ03をボルテクサ220から取り出す。
[加温器]
図7に示すように、加温器230は、バルクボルテクサ220とシャトルハンドリングアセンブリ240との間に配設されている。加温器230は、実行する検査によって決まる特定の期間にわたって、特定の温度でサンプルを加熱する。たとえば、一実施形態において、加温器230は、100℃での平衡の後、およそ9〜17分間にわたって、およそ100℃〜115℃の範囲内にサンプルを加熱する。
加温器230は一般的に、熱伝導性の材料で構成され、相互に隙間なく積み重ねられた複数の加温プレート236が備えられた本体232を具備する。本体232の上面からは、複数のレセプタクル234が加温プレート236を通って延び、およそ110個以下のレセプタクルの四角形アレイに配置されている。たとえば、加温器は、任意所与の時間に24個または32個のコンテナから成る複数のバッチを保持可能な96個のレセプタクルを含んでいてもよい(より多くてもよいし、より少なくてもよい)。各プレート236間には加熱要素237が挟まれて、本体232全体に熱を一様に分散させる。本体232の高さ方向の中ほどには、熱電対、抵抗温度検出器(「RTD」)、またはサーミスタ等の温度センサ238が位置付けられて、内部の温度を測定する。温度センサ238および加熱要素237は、比例・積分・微分(「PID」)コントローラに結合されて、一定の定値温度を維持するのに役立つようになっていてもよい。
[冷却器]
図11に示すように、冷却器290は一般的に、ファン296、1つまたは複数のプレナム294、プラットフォームまたは搭載プレート292、および冷却ラック298を具備する。ファンユニット296は、第2の予備分析処理デッキ26の直上に位置決めされ、その上端がプレナム294により部分的に囲まれている。プラットフォーム292は、プレナム294の上にあり、空気の通過を可能にする開口(図示せず)を含む。冷却ラック298は、プラットフォーム292の開口の上方に位置決めされている。冷却ラック298としては、シャトル280またはプラットフォーム292に組み込み形成された構造が可能である。冷却ラック298は、第3種コンテナ03を受容するようにサイズ規定された複数のレセプタクル299を含む。開口(図示せず)は、冷却ラック298の底端を通って延び、レセプタクル299に連通する。これらの開口は、コンテナ03が通って落ちることのないように、レセプタクル299よりも小さい。この構成により、空気が下からファン296に取り込まれてファン296の側方に至り、プレナム294を通って冷却ラック280へと上方に追い出されて、サンプルコンテナ03を対流冷却可能となる。このボトムアップ式冷却手法は、コンテナ03のキャップへの汚染物質の堆積を防止するのに役立つとともに、冷却ラック280に対するコンテナ03の容易な出入りを可能にする。
図7に示すように、冷却器290は、システム10の右後隅部でシャトルハンドリングアセンブリ240に隣り合って配設されている。冷却器290は一般的に、シャトルハンドリングアセンブリ240が加温器230と冷却器290との間のバッファとして作用するように、この位置に配置される。これは、加温器230内の熱分布に対する冷却器280の周りの気流の影響を防止するのに役立つ。
[シャトルハンドリングアセンブリ]
図12A〜図12Cは、シャトルハンドリングアセンブリ240を示している。シャトルハンドリングアセンブリ240は一般的に、複数のシャトル280、ベース250、ベース250から延びた複数のシャトルデッキステーション260a〜260c、駆動機構251、移動アームアセンブリ270、およびバーコードスキャナ(図示せず)を具備する。シャトルハンドリングアセンブリ240は、少なくとも一部が満たされるまでサンプルコンテナシャトル280を保持するとともに、シャトル移送アセンブリ300(後述)に対してシャトル280を移送(往復移動)するように構成されている。
図12Bに最も良く見られるように、シャトル280は、本体284と、その上面から本体284に延入する複数のレセプタクル283とを具備する。図示のシャトル280は、第3種サンプルコンテナ03を受容するようにそれぞれサイズ規定された12個のレセプタクル283を含む。ただし、他の実施形態では、システム10に結合される分析器の容量に応じて、レセプタクル283の数がより多くてもよいし、より少なくてもよい。また、レセプタクル283は、2つの直線状の列281、282に配置されている。レセプタクル283は、3つ以上の直線状の列でも配置可能であるが、2列が好ましい。
複数の横方向開口286が本体284の両側で本体284を通って延びている。より詳細には、本体283の第1の面を通って延びた横方向開口286が第1の列281のレセプタクル283と交差し、本体284の第2の面を通って延びた横方向開口286が第2の列282のレセプタクル286と交差するように、各横方向開口286が対応するレセプタクル283と交差する。これらの横方向開口286は、シャトル284の下端に配設され、レセプタクル283内に配設されたコンテナ03の下端へのアクセスおよび連通が可能となる。
複数の切り欠き288が本体284の底面に延入している。4つの切り欠き288が本体284に関して対称に分布しているのが好ましいが、設ける切り欠き284の数は、より多くてもよいし、より少なくてもよい。たとえば、3つの切り欠き288が本体284に延入して、システム10全体でシャトル280が所望の配向にて配置されるようにするのに役立ち得る。各切り欠き284は一般的に、半円筒形状を有する。これらの切り欠き284は、シャトルハンドリングシステムの表面から延びた円筒状または円錐台状の突起と係合して、このような表面上にシャトル280を保持するように構成されている。シャトル280は、円筒状または円錐台状の突起に対応する半円筒状の切り欠き288を含むが、表面突起に整合する如何なる切り欠き形状も選択可能である。
また、本体284の中心の大略近傍では、1つまたは複数のスロット(図示せず)が本体284の底面に延入している。これらのスロットは、移動アームアセンブリ270の係合機構またはフランジ(図示せず)に対応して、移動アームアセンブリ270によるシャトル280のピックアップおよび保持に役立つ。
ベース250は、駆動機構251、移動アームアセンブリ270、およびシャトルドッキングステーション260a〜260cを支持する構造部材である。駆動機構251は、移動アームアセンブリ270を動作させるとともに、一般的には、一対のモータ257a、257bおよび一対の駆動軸258a、258bを具備する。第1の駆動軸258aは、トルク適用形状を有する細長軸である。たとえば、第1の駆動軸258aは、正方形軸であってもよいし、六角形軸であってもよいし、スプライン軸であってもよい。第2の駆動軸258bは一般的に、細長送りねじである。駆動軸258a、258bは、前端および後端でベース250から延びた一対のエンドプレート254a、254bに対して回転可能に接続されている。駆動軸258a、258bは、第1の駆動軸258aが第2の駆動軸258bの直上に位置付けられるように、ベース250の上方で垂直構成にて互いに平行に配設されている。レール252は、ベース250の上面に設けられ、第2の駆動軸258bの直下に配設されている。
第1および第2のプーリ255a、255bまたはシーブが第1のエンドプレート254aに接続されているが、第2のエンドプレート254bに接続することも可能であり、前後方向に互いにオフセットされている。プーリ255a、255bの回転によって軸258a、258bが回転するように、第1のプーリ255aが第1の駆動軸258aに直接接続され、第2のプーリ255bが第2の駆動軸258bに直接接続されている。第1および第2のモータ257a、257bは、回転するステッピングモータであってもよく、ベース250に接続されている。第1のモータ257aが第1のベルト256aを介して第1のプーリ255aに接続され、第2のモータ257bが第2のベルト256bを介して第2のプーリ256bに接続されている。第1および第2のモータ257a、257bは、独立して動作可能であり、ステップ当たりの回転角が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図12Cに最も良く見られるように、移動アームアセンブリ270は、キャリッジ271と、キャリッジ271に対して回転可能に接続された移動アームとを具備する。キャリッジ271は、支持部材271から延びた第1のフランジ部材272および第2のフランジ部材273を具備する。支持部材271は、レール252に摺動接続されている。フランジ部材272および273は、互いにオフセットされて、両者間に間隙を形成している。第1のフランジ部材272は、第1および第2の開口(図示せず)を含む。第1の開口は、第1の駆動軸258aを摺動受容するように構成される一方で、当該第1の開口内に配設された対応する形状のブッシング等により駆動軸が内部で自由に回転可能となるように構成されている。たとえば、第1の駆動軸258aが正方形軸の場合、第1の開口は、正方形開口を備えた回転可能なブッシングを具備していてもよく、第1の駆動軸258aがスプライン軸の場合、第1の開口は、駆動軸258aと係合するように構成されたスプラインを有する回転可能なブッシングを具備していてもよい。第1のフランジ部材272の第2の開口は、ねじ山付きナットの配設等によってねじ山が設けられており、第2の駆動軸258bと螺合して、その回転によりキャリッジ271が駆動されるようにする。
また、第2のフランジ部材273は、第1および第2の開口(図示せず)を含む。これらの開口は、第1のフランジ部材272の第1および第2の開口に類似していてもよい。このため、第2のフランジ部材273の第1の開口が第1の駆動軸258aを受容して、駆動軸258aがフランジ部材273に対して摺動可能かつ回転可能となるようにする。また、第2のフランジ部材273の第2の開口は、ねじ山が設けられて、第2の駆動軸258bを螺合受容するようにしてもよい。いくつかの実施形態において、第2のフランジ部材273は、第2の開口を含んでいなくてもよく、代わりに、L字状等に成形され、一部が駆動軸258bの周りに位置決めされて、如何なる係合をも回避するようになっていてもよい。
移動アームは、第1のアーム部材274および第2のアーム部材276が備えられている。第1のアーム部材274は、その第1の端部に開口を含む細長リンク機構である。この開口は、第1の駆動軸258aを摺動受容するように構成される一方で、それにより印加されるトルクを受けることにより、駆動軸258aの回転と併せて第1のアーム部材274を回転させるように構成されている。たとえば、第1のアーム部材274の開口は、正方形状であってもよいし、六角形状であってもよいし、駆動軸258aの対応する形状と係合するように構成されたスプラインを有していてもよい。第1のアーム部材274の第1の端部は、アーム部材274の開口が第1および第2のフランジ部材272、273の第1の開口と同軸になるように、第1および第2のフランジ部材272、273間の間隙内に配設されている。
第2のアーム部材276は、第1のアーム部材274の第2の端部に対して回転可能に取り付けられている。第2のアーム部材276は、第1のアーム部材274から離れた端部において、シャトル280の底端のスロットと係合するように構成された係合機構(図示せず)を含む。
ベルト278は、第2のフランジ部材273と第1のアーム部材274との間で第2のフランジ部材273の軸受275と係合している。また、ベルト278は、軸受275の第1の方向の回転により第1のアーム部材274に対して第2のアーム部材276が第1の方向に回転し、軸受275の第2の方向の回転により第2のアーム部材276が第2の方向に回転するように、第2のアーム部材276にも係合している。
図12Aに最も良く見られるように、シャトルドッキングステーション260a〜260cはそれぞれ、ベース250から延びた支持壁262と、支持壁262から片持ち状態で延びた横方向支持部材264とを具備する。横方向支持部材264は、隣接フィンガ268との間のスペース269をそれぞれ部分的に規定する複数のフィンガ268を具備する。隣接フィンガ268および単一のスペース269は、単一のシャトル280のドッキング位置を規定する。このため、各フィンガ268は、横並びで位置決めされた2つのシャトル280を支持するようにサイズ規定されている。各スペース269は、移動アームアセンブリ270の第1および第2のアーム部材274、276(図12C)を受容するのに十分大きい一方で、シャトル280が隣接フィンガ268上に位置決めされた場合の落下を防止するのに十分小さい。
各フィンガ268は、その上面から延びた少なくとも2つの円筒状突起266を具備する。各突起266は、横並びで位置決めされた2つのシャトル280の隣り合う凹部288に一部嵌合するのに十分な大きさの直径を有する。言い換えると、単一のフィンガ268が、互いに隣り合って位置決めされた2つのシャトル280の一部を支持し、各突起266がこのような隣接シャトル280により共有されていてもよい。突起266は、シャトル280を横方向支持部材264上に保持するのに役立つとともに、移動アームアセンブリ270によるピックアップのため、シャトル280を正確に位置決めするのに役立つ。
第1および第2のドッキングステーション260aおよび260bは、それぞれのフィンガ268が互いを指すように、互いに対向して位置決めされている。第1および第2のドッキングステーション260aおよび260bは、移動アームアセンブリ270がベース250を前後方向に横切る通路を形成するように、間隙によって分離されている。また、第1および第2のドッキングステーション260aおよび260bは、同じ数のドッキング位置を有することにより、等しい数のシャトル280を保持するようにしてもよい。たとえば、図示のように、第1のドッキングステーション260aおよび第2のドッキングステーション260bはそれぞれ、8つのドッキング位置を有し、合計で16個のドッキング位置を有する。ただし、いくつかの実施形態において、各ドッキングステーション260a、260bが有するドッキング位置は、より多くてもよいし、より少なくてもよく、第1のドッキングステーション260aが第2のドッキングステーション260bより多くの位置を有していてもよいし、少なくてもよい。
第3のドッキングステーション260cは、第1のドッキングステーション260aと位置合わせされ、第1のドッキングステーション260aよりもシステム10の前部に近く位置決めされている。第3のドッキングステーション260cは一般的に、第1のドッキングステーション260aよりもフィンガ268およびスペース269が少ないため、結果としてドッキング位置も少ない。第1および第3のドッキングステーション260a、260cは、後述の通り、ある間隙だけ互いにオフセットして、第1の移送アセンブリ300a用の横方向スペース242を形成する。第3のドッキングステーション260cは、第1のドッキングステーション260aと位置合わせされたものとして示しているが、第2のドッキングステーション260bとの位置合わせ等、その他多くの場所に位置決め可能である。また、いくつかの実施形態においては、第3のドッキングステーション260cに対向して第4のドッキングステーション(図示せず)を設け、第2のドッキングステーション260bと位置合わせすることも可能である。
予備分析システムのコントローラは、シャトル中のサンプルの配置を決定する。シャトルは、予備分析システムと関連付けられた分析器のいずれかに移送可能となるように装填される。図22Fを参照して、コントローラは、各シャトルレセプタクルと関連付けられたシャトルアドレスを有する。「位置」(図22Fにおいては1、2、・・・、nとして示される)、たとえば、正/負の制御がシャトルに与えられた場合は、対照コンテナがトレイ中の場所1および2に配置される。ただし、一方側のラックのシャトルロボット位置に対して制御がラックの遠位にあり、他方側では場所1および2がシャトルロボットアセンブリに近接する点において、場所1および2は、シャトルハンドリングアセンブリ240に対して異なる位置を有する。このような装填により、任意のシャトルを任意の分析器へと移送可能になる。シャトルの配向を把握したインテリジェント装填を可能にするため、シャトルは、予備分析システムが読み取るバーコードを有する。予備分析システムは、バーコードの場所からシャトルレセプタクルの場所を把握するようにプログラムされている。図22Fに示すように、分析システムが予備分析システムの右側になる場合、シャトル中の1および2の位置は、内部(すなわち、分析器に入るシャトルの第1の部分)となる。分析システムが予備分析システムの左側になる場合、シャトル中の1および2の位置は、(シャトルが分析器に入るため)外部となる。
図22Dを参照して、この図は、予備分析システム20および2つ以上の分析器の動作を統合するワークフロー演算デバイス1330により2つ以上の分析器からのテストが指示されたサンプルに対するシャトル動作を示している。本明細書に記載の通り、予備分析システムが受け取る際のサンプルは、一意の識別子ラベルを有する。本明細書において、この一意の識別子は、受入番号と称する。シャトルは、サンプルを第1の分析器に搬送する。
[サンプルを第2の分析器にルーティングするワークフロー]
上述の通り、シャトルは、第1の分析器から戻ったら、取り外される。一実施形態においては、シャトルが完全に取り外される。他の実施形態においては、サンプルコンテナの一部または全部がシャトルに残って、第2のテストのための分析器にルーティングされるようになっていてもよい。第2のテストの分析器は、第1のテストを実行した分析器と同じであってもよいし、異なっていてもよい。シャトルは、空になったら、待機場所260a〜260cに戻される。第2の検査に対してシャトル中に空のレセプタクルがある場合は、「キューマネージャ」がバッチ蓄積エリア210から他のサンプルを回収し、指定のテストに対してシャトルを投入する。シャトルは、テストのサンプルのバッチが装填されたら、シャトルハンドリングアセンブリ240によって、シャトル移送アセンブリ上に配置されることになる。
図7に示すように、シャトルハンドリングアセンブリ240は一般的に、加温器230と冷却器290との間に位置付けられる。また、シャトルハンドリングアセンブリ240は、第2のデッキレベルに位置決めされ、大抵はシステム10の後部に位置決めされるが、その一部は、システム10に関して第1の予備分析処理デッキ24の器具と同じ側すなわち前側に位置決めされる。より詳細に、シャトルハンドリングアセンブリ240は、第3のドッキングステーション260cがI/Oポート120および第1のサンプルラックスペース110に隣り合って位置決めされる一方、第1のドッキングステーション260aが冷却器290に隣り合って位置決めされるとともに、第2のドッキングステーション260bが加温器230に隣り合って位置決めされるように、システム10の前部に向かって延びている。これにより、第2の予備分析処理デッキ26に位置付けられたサンプルコンテナ03を第1および第2のドッキングステーション260a、260b上のシャトル280に容易に装填して分析器に分配可能となり、また、分析器から戻ったシャトル280を第3のドッキングステーション260c上に配置することによって、スペース110で内部のコンテナ03をラック50に容易に装填可能となる。
[シャトル移送アセンブリ]
図13は、シャトル移送アセンブリ300を示している。シャトル移送アセンブリ300は一般的に、第1および第2の移送トラック310a、310bを有するベースフレーム302を具備する。ただし、いくつかの実施形態において、シャトル移送アセンブリは、移送トラックを1つだけ有していてもよい。移送トラック310a、310bは、シャトル280の幅よりもわずかに広い側壁304によって規定されている。これらの側壁304は、シャトル280が移送時にトラック310a、310bのうちの1つから外れることを防止するのに役立つ。一対の凹部306aおよび306bがベースフレーム302の一端に延入することにより、各凹部が対応するトラック310a、310bに沿って短い距離だけ延びるようになっている。これらの凹部306a、306bは、移動アームアセンブリ270が下方に回転してシャトル280をトラック310a、310bのうちの1つに載置し、上方に回転してシャトル280をトラック310a、310bのうちの1つから回収するための隙間スペースを形成する。
凹部306a、306bを規定する側壁上に複数のプーリ312が位置付けられている。このようなプーリ312はそれぞれ、細長ベルトに接続されている。たとえば、第2のトラック310bに関しては、一対のプーリが各ベルト316および317に接続されている。この点、トラック310bは、凹部306bに隣接するとともに沿って延びた一対の対向ベルトを具備する。これにより、凹部306bを遮ることなく、トラック310bのこの部分に沿ってシャトルを前進可能となる。トラック310aも同様の状態にある。このため、各トラック310a、310bは、その端部に少なくとも2つのベルトを具備する。この構成により、移送アセンブリ300の凹状端部に対してベルトが可能な限り近づけるようになり、移動アーム270による載置に際してシャトル380をベルト313、314上に配置するのに役立つ。
一対の対向ベルトがそれぞれのトラック310aおよび310bの一部に沿って延び、凹部306a、306bの端部近くで終端している。そして、このようなベルトの対向対が単一のベルトとなることで、単一のベルト314がトラック310bの長さの大部分に沿って延び、単一のベルト313がトラック310aの長さの大部分に沿って延びるようになる。ベルト313、314、316、および317は、コンベヤを具備しており、1つまたは複数のモータによる駆動によって、各トラックに沿ってシャトル280を移動させる。図示の実施形態において、第1および第2の移送トラック310a、310bのコンベヤは、反対方向に移動する。たとえば、第2の移送トラック310bのコンベヤは、シャトル280をシャトルハンドリングアセンブリ240から遠ざけて、システム10に結合された分析器側へと移動させるように動作可能である。逆に、第1の移送トラック310aのコンベヤは、シャトル280を分析器から遠ざけて、シャトルハンドリングアセンブリ240側へと移動させるように動作可能である。
また、ベースフレーム302は、その各端部においてトラック310a、310bごとに、存在検出センサ305を具備する。このため、各トラック310a、310bは、一対の存在検出センサ305を有する。これらのセンサ305は、光学センサであってもよく、光場を遮断した場合にシャトル280の存在を検出可能である。シャトル280の存在によってセンサ305が作動すると、信号がコンピュータシステム(後述)に送られて、シャトル280がトラック310aまたは310bに移動したことをシステム10に知らせる。その後、コンピュータシステムは、コンベヤをオンすべきか否か、または、オフすべきか否か等、次のステップを決定可能である。
図7に示すように、システム10は、それぞれがシャトル280を各分析器A1・・・Anに供給可能な2つのシャトル移送アセンブリ300aおよび300bを具備する。2つを図示するが、より多くのシャトル移送アセンブリ300を具備して3つ以上の分析器に供給するようにシステム10を構成可能であることが了解されるものとする。第1および第2のシャトル移送アセンブリ300a、300bは、第2の予備分析処理デッキ26とほぼ同じ高さに位置付けられている。また、第1および第2のシャトル移送アセンブリ300a、300bは、システム10の長さ方向に沿って延び、互いに位置合わせされ、間隙301によって分離されている(図7に最も良く見られる)。この間隙301により、シャトル移送アセンブリ240の移動アームアセンブリ270は、それ自体を間隙301内に位置決めして、第1および第2の移送アセンブリ300a、300bの一方にシャトル280を載置可能である。また、第1および第3のシャトル保持ステーション260a、260cが第1の移送アセンブリ300aの両側に配設されるように、移送アセンブリ300aが第1および第3のシャトル保持ステーション260a、260c間で延びている。
[シャトルハンドリングおよび移送の方法]
シャトルハンドリングおよび移送の方法において、シャトルハンドリングアセンブリ240は、シャトル移送アセンブリ300a、300bの一方に対して、装填されたシャトル280を移動させる。シャトル移送アセンブリ300a、300bは、分析器に対してシャトルを移送する。
具体的な一例においては、突起266の一部が凹部288内に配設されるように、第1のシャトルドッキングステーション260aの隣接フィンガ268上に空のシャトル280が置かれる。シャトル280の各レセプタクル280には、コンテナ03が配設される(この具体的詳細については後述する)。
シャトル280にコンテナが投入されたら、第1のモータ257aがオンとなって、第1のプーリ255aおよび第1の軸258aを第1の方向に回転させる。この点、移動アームアセンブリ270は一般的に、横方向スペース242と位置合わせされた状態で位置決めされる(図12Aに最も良く見られる)。第1の軸258aが回転すると、第1のアーム部材274が横方向スペース242に向かって第1の方向に回転する一方、第2のアーム部材276が横方向スペース242から離れる第2の方向に回転し、これによって、第2のアーム部材276の係合機構は大略上方を指し続ける。第1のアーム部材274は、継続的な回転によって、第1の移送アセンブリ300aと第1のシャトルドッキングステーション260aとの間で横方向スペース242に入る(図7参照)。第1のモータ257aは、第1のアーム部材274がおよそ90°に位置決めされ、ベース250と大略平行になるまで動作する。
その後、第2のモータ257bがオンとなって、第2のプーリ256および第2の軸258bを第1の方向に回転させることにより、移動アームアセンブリ270がシステム10の後部に向かって駆動される。第1のアーム部材が大略水平位置にあることから、移動アームアセンブリがシステム10の後部へと駆動されると、第1および第2のアーム部材274、276が第1のシャトルドッキングステーション260aの横方向支持部材264の下側を通過する。シャトル280の直下で第1および第2のアーム部材274、276がスペース269と位置合わせされた場合には、第2のモータ257bが停止する。
そして、第1のモータ257aがオンとなり、第1のプーリ255aおよび第1の駆動軸258aが第2の方向に回転する。これにより、第1および第2のアーム部材274、276がシャトル280に向かって回転する。第1のアーム部材274が垂直位置に向かって継続的に回転すると、第2のアーム部材276が上方を指したまま、シャトル280の底部に係合する。そして、第2のアーム部材276が上方を指してシャトル280を直立に維持した状態で、シャトル280が第1のシャトルドッキングステーション260aから持ち上げられる。第1のアーム部材275が垂直位置に達すると、第1のモータ257aが停止する。
その後、第2のモータ257bがオンとなって、第2のプーリ255bおよび第2の軸258bを第2の方向に回転させることにより、移動アームアセンブリ270がシステム10の前部に向かって駆動される。第1のアームが大略垂直位置にあることから、移動アームアセンブリ270は、第1および第2のシャトルドッキングステーション260a、260b間の間隙を通って自由に移動する。第2のモータ257bは、移動アームアセンブリ270が第2のシャトル移送アセンブリ300bの第2の移送トラック310bに達し、第1および第2のアーム部材274、276が第2の凹部306bと位置合わせされるまで動作する。
移動アームアセンブリ270がこの位置になると、第1のモータ257aがオンとなって、第1のアーム部材274を第2のトラック310b側に回転させるとともに、第2のアーム部材276を第2のトラック310bから離れる方向に回転させることで、シャトル280が直立に維持される。第1および第2のアーム部材274、276が凹部306bを通過し、シャトル280の一端が第2のトラック310bのコンベヤベルトに接触する。シャトル280が接触すると、センサ305の光場と交差するため、第2のトラック310b上に存在することがシステム10に知らされる。そして、システム10は、トラック310bの他端における別のシャトル280の位置付け等、他の状況に応じて第2のトラック310bをオンするかを判定する。シャトル280が接触すると、第2のアーム部材276から解除されて、第2のトラック310bの端部に達するまで、システム10の左脇に結合された分析器側へと移動し、ここで別のセンサ305が作動することにより、シャトルの場所がシステム10に知らされる。この点、シャトル280は、アセンブリ300bが分析器に延入しているか否かに応じて、分析器の内側または近傍にあってもよい。
分析器によるサンプルの分析が完了したら、シャトル280は、第1のトラック310a上に配置されて、その一端に位置付けられたセンサ305を作動させる。これにより、第1のトラック310a上のシャトルの存在がシステム10に知らされて、別の動作の指示が決定/提供される。シャトル280は、第1のトラック310aの凹状端部側に移動して、他方のセンサ305を始動させる。ベルト313および314がオフとなって、シャトル280の一部が凹部306aの上方となる。
移動アームアセンブリ270は、第1のアーム部材274が大略水平位置にある状態で、第2の駆動軸258bにより駆動されて第1のトラック310aと位置合わせされることにより、第1および第2のアーム部材274、276が移送アセンブリ300bの直下に位置決めされる。第1のモータ257aが作動して、第1のアーム部材274が垂直位置に向かって回転する。これにより、第2のアーム部材276が第1の凹部306aを通過してシャトル280の底部と係合することにより、第1のアーム部材274が垂直になるまでシャトル280を第1のトラック310aから持ち上げる。
その後、第2のモータ257bが再び作動して、第3のドッキングステーション260cのスペース269と位置合わせされるまで移送アセンブリ270をシステム10の前部側に駆動する。その後、第1のモータ257aが第3のドッキングステーション260cの横方向支持部材264側へと第1および第2のアーム部材274、276を回転させることで、これらが隣接フィンガ268間を通って、シャトル280を第3のドッキングステーション260cにドッキングさせる。ベルトがクリアとなった場合は、移動アームアセンブリ270との連動によって、横方向スペース242と位置合わせされた位置に戻るようになっていてもよい。
この方法は、移動アームアセンブリ270および移送アセンブリ300bを用いた分析器に対するシャトルの移動の一例である。移動アームアセンブリ270は、180°円弧内のさまざまな角度で第1および第2のアーム部材274、276を断続的に回転させるとともに、ベース250に沿ってキャリッジ271を前後に駆動することにより、第1、第2、および第3のドッキングステーション260a〜260cと第1および第2の移送アセンブリ300a、300bとの間で任意のシーケンスによりシャトル280を移動可能であることが了解されるものとする。
[シャトル移送モニタリングおよびエラープロトコル]
システム10は、シャトルハンドリングアセンブリ240およびシャトル移送アセンブリ300a、300bを含み得るシャトル処理または移送モジュール/サブシステム750(図19A参照)の動作を制御するシャトルプロセッサを有する。このようなプロセッサは、以下により詳しく説明するシステム10のコンピュータ制御デバイス802の1つまたは複数のプロセッサ804と関連付けられていてもよい。シャトルプロセッサは、処理エラーを識別し、オペレータに通知を送信し、特定の検出処理エラーに応じてサブシステムを遮断する処理ロジックを有する。たとえば、ハンドリングアセンブリ240、移送アセンブリ300a、および/または移送アセンブリ300bが遮断されるようになっていてもよい。ただし、特定の条件に応じて、サブシステムの動作が調整されて(再試行、半分の速度で動作等)継続することにより、あらゆる検出エラーに応じた遮断が回避される。特定の検出条件に応じて、サブシステムは、予めプログラムされたルーチンを実行することにより、エラーの原因(すなわち、センサの故障、シャトル280の場所ずれ等)を決定する。たとえば、シャトルプロセッサは、シャトル移送アセンブリ300a、300bが起動時に正しく動作していることを保証する初期化プロトコルを有する。運動異常指標は、シャトルプロセッサが応答により異常状態となって、点検依頼が発出されるエラーメッセージの発行前の1回の再試行を可能にする。シャトルベルト313、314は、動作中に定期的に初期化されて、正しく動作していることを保証する。ここでも、運動異常が検出された場合は、異常の指定前に再試行があって、システム10によりオペレータに報告される。
また、シャトルプロセッサは、シャトル移送アセンブリ300a、300bの動作をモニタリングして各分析器に合わせる。前処理サンプルのバッチに対して分析器の準備が整った旨のリクエストをシャトル移送アセンブリ300a、300bが受信した場合は、シャトル280が回収されて、シャトルを指定の分析モジュール(A1、A2、またはAn)に移送するアセンブリ300aまたは300bのベルト上に配置される。システム10は、選択されたシャトル移送アセンブリへのシャトル280の移動へと進む前にベルトがクリアとなり、サンプルの受容に対して各分析器の準備が整うようにする。そうではない場合、システム10は、先行バッチがクリアされるまで待機する。
さらに、シャトルハンドリングアセンブリ240の移動のモニタリングによって、柔軟な動作を保証する。移動アームアセンブリ270の移動に関して、運動エラーまたはエンコーダカウント不一致(モータ257a、257bのエンコーダカウント等)が検出された場合は、低速での再試行が許可され、その後、移動または応答のエラーが検出されてエンドモジュール動作エラーが発出されたら、オペレータに通知される。アセンブリ240には、シャトルバーコードリーダ(図示せず)が設けられ、正しいシャトル280の移送を確認するのみならず、アセンブリ240自体が適正に動作していることを保証する。1回の再試行後にもバーコードが読み取られない場合は、エラーがバーコードであるかシャトル280の不在であるかを判定する位置にシャトル280が移動する。バーコードが読み取られたものの、それが予想したバーコードでない場合は、シャトル280がシャトル取り外しエリア260cに移送され、ラックスペース110に配設された出力ラックに中身が入れられる。
同様に、センサは、シャトル240の分析器からシステム10への受け渡しに関する情報をシャトルプロセッサに提供する。アセンブリ300a、300bの各ベルト313、314は、正しい動作に関するモニタリングがなされる。ベルトエラーが検出された場合は、受け渡し動作が終了となって、点検依頼が指示される。分析器から予備分析システム10への移行において運動エラーが検出された場合は、受け渡し動作が中断される前に、ベルト速度を落とした状態での1回の再試行が許可され、エラーの通知がオペレータに送信される。分析器(A1、A2、An)と予備分析システム10との間のインターフェースにセンサが設けられ、一方から他方へのシャトルの通過を検出する。
分析器は、シャトル280が分析器から予備分析システム10に戻された場合に、受け渡しメッセージを予備分析システム10に与える。受け渡しメッセージが存在しない場合は、分析器に問題があることを示す。その結果、分析器により処理されるサンプルのバッチと関連付けられたその他すべてのシャトル280(存在する場合)が出力ラック260cに送られ、スペース110でサンプルが取り外されてラック50に入れられ、「未処理」と指定される。受け渡しメッセージが分析器から受信された場合は、分析器から予備分析システム10に戻るアセンブリ300a、300bの一方の戻りベルトがオンとなる。センサがベルト動作を伝達し、運動エラーが検出された場合は、ベルト113、114が一時停止され、エラーメッセージが送信される。
また、センサは、分析器と予備分析システム10との間のインターフェースにシャトル280が存在するかを示す。分析器が受け渡しメッセージを送信し、予備分析システム10がシャトル280を受容する準備が整った場合は、ベルト113、114が始動する。シャトルが受容されない場合は、受け渡しが停止となり、点検を要する旨の通知がオペレータに送信される。シャトル280がインターフェースで検出された場合、シャトルプロセッサは、受け渡しが完了した旨の信号を分析器(A1、A2、An)に送信する。このようなメッセージが受信されたら、プロセスが完了する。メッセージが受信されない場合、これは、シャトルの詰まり、センサの問題等のエラーを示しており、オペレータに通知される。
特定のエラーは、他のエラーと異なり得る特定のプロトコルを有していてもよい。たとえば、分析器で使用するピペットチップがシャトル280内のサンプルコンテナで詰まった場合は、分析モジュール(A1、A2、An)がチップ詰まりのフラグをシャトルに立てる。このようなシャトル280をドッキングステーション260c等の保持エリアに搬送するロジックがシャトルプロセッサにより与えられる。また、シャトルに特殊な処理が必要である旨がオペレータに通知される。保持エリアがいっぱいの場合は、保持エリアに空きができるまで、予備分析システム10はそれ以上シャトルを受容しない。
シャトル280が取り外しスポットに搬送されたら、シャトル280の受け取りを確認するメッセージが分析モジュール(A1、A2、An)に送られる。シャトル280が取り外しスポット260cにおいて検出されない場合は、配置が再試行され、バーコードリーダを介してシャトル280の存在が確認される。シャトル280が依然として検出されない場合は、取り外しセンサが故障した旨のエラーをシステム10が発行する。その後、シャトルプロセッサは、第3種サンプルコンテナ03をシャトル280から(1つずつ)取り外し、スペース110のラック50に配置するように、ピックアンドプレースロボット410aに指示する。
システム10は、サンプルのバッチを受容する準備が整った旨の指示を分析器(A1、A2、An)が予備分析モジュール10に送信する場合の処理のエラーをモニタリングする。これに応答して、予備分析システム10(すなわち、プロセッサ)は、関連するシャトル280を送る。システム途絶(たとえば、オペレータの手動介入)の場合、システム10は、サンプルが装填された処理待ち状態のシャトル280上のバーコードを読み取ることにより、正しいシャトル280が送られたことを確認する。各シャトル280の場所が後述のメモリ804等のメモリに格納され、シャトルハンドラ240へのコマンドの送信によって、関連するシャトル280をその既知の場所から回収し、適当なシャトル移送アセンブリ300a、300b上に配置する。
予備分析システム10は、特定のシャトル280とその「待機スポット」との間の関係をメモリに格納済みである。不一致が検出された場合は、シャトル280が現在の位置から持ち上げられてテスト位置に移動し、実際のエラーであるか、センサエラーであるかの判定が評価される。センサエラーが起こった場合、予備分析システム10は、ドッキングステーション260a〜260cのうちの1つ等、空いた場所にシャトル280を配置して、処理を進める。シャトル280が存在しないはずなのに存在すると判定されたり、存在するはずなのに存在しないと判定されたりした場合は、システムエラーが登録され、シャトル移送が中断される。
シャトル280の在庫が在庫センサ測定値に一致することをシステム10が判定した場合は、ルーチンの入力によって、シャトルハンドリングアセンブリ240の移動アームアセンブリ270が正しい側にあるかを判定する。言い換えると、このルーチンは、指定のドッキングステーション260a〜260cからシャトル280を回収する位置に移動アームアセンブリ270が存在するかを判定する。たとえば、アセンブリ270が回転してドッキングステーション260bの直下に位置決めされた場合は、ドッキングステーション260aからシャトル280を回収する正しい位置にアセンブリ270が存在しない。そして、アセンブリ270を必要に応じて正しい側へと移動させるルーチンが与えられる。運動エラーが検出された場合は、このロジックによって、エラーメッセージが送信される前の低速での再試行が可能となる。
移動アームアセンブリ270は、シャトル280をピックアップする位置となり、シャトル280をピックアップし、シャトル280をバーコードリーダへと移動させ、分析器(A1、A2、An)に送られる移送アセンブリ300aまたは300b上にシャトル280を配置する場合に、その移動が継続的にモニタリングされる。運動エラーが検出された場合は、低速で運動が試行される。運動エラーが再び発生した場合は、動作が終了となって、オペレータにエラーが通知される。バーコードリーダがシャトルのバーコードを読み取れない場合または予想しないバーコードを読み取った場合は、バーコードの読み取りが再度行われる。エラーが持続する場合、システム10は、得られたシャトル280が正しいシャトルではないと判定する。オペレータには、介入が必要である旨が通知されることになる。
シャトル280がベルト上に配置された場合は、センサがその存在を検出する。センサがシャトル280を検出しない場合は、移動アセンブリがシャトル280を分析モジュールに搬送する。また、移動アセンブリ300aおよび300b上にもセンサが設けられ、指定の分析器へのシャトル280の進行をモニタリングする。シャトル280が分析器に搬送されていないものとセンサが判定した場合は、システム10が顧客介入のメッセージを送信する前に、低速で再試行がなされる。
また、システム10は、停電時の再起動に際して、シャトル移送を自動的に管理することも可能である。一実施形態において、予備分析システム10は、通常動作への復帰に先立ってシャトル停電復旧のための一連の機能を実行するセンサおよびロジックを有しており、i)I/O・事後分析モジュール710(以下に詳述)、ii)シャトル移送アセンブリ300a、300b、iii)シャトルハンドリングアセンブリ240、iv)シャトルドッキングステーション260a、260b、およびv)シャトルペナルティボックスを含む。停電時に予備分析システム10が開始するルーチンの例は、以下の通りである。一般的には、センサおよびメモリから呼び出されるシステム10の最後に判明している状態と併せて、これらのルーチンの使用により、サブシステム750を含むシステム10を予想外の停電後の準備状態に戻す。
I/O・事後分析モジュール710に関しては、すべてのシャトル280が空となり、遮断時に含まれるサンプルチューブがステーション110の出力ラック50に配設されるまで、通常処理のフラグが設定される。また、シャトル280が存在する場合は、ステーション260cにおける保持位置が検知される。シャトル280は、保持位置にある場合、アーム270により回収され、そのバーコードが読み取られた後、ドッキングステーション260cに戻される。
シャトル移送アセンブリ300a、300bに関しては、そのセンサのスキャンによって、シャトル280がそのベルト上に位置付けられていることが示される。シャトル280が検出されない場合は、移送ベルト113、114が流れる。内部センサ(すなわち、アセンブリ240に最も近いセンサ)がトリガされた場合は、シャトル280が検出される。間隙242に隣り合うシャトルピックアップ/ドロップ場所にシャトル280が存在することをセンサが示す場合は、シャトルバーコードが読み取られ、シャトル280がキューに配置され、そのサンプルコンテナが取り外されて場所110のラック50に入れられる。分析器に隣り合う送達/戻り位置でシャトル280が検出された場合は、トラック113、114が流れ、内部センサがトリガされた場合は、シャトルがバーコードと関連付けられるとともにキューに配置され、取り外される。内部センサがシャトル280によってトリガされない場合は、センサまたはトラックエラーが示される。
シャトルプロセッサは、シャトルハンドリングアセンブリ240をリセットする。シャトルハンドリングロボット240のアームアセンブリ270は、そのホーム位置に配置される。アーム270は、直立位置にある場合、クリアの必要があるシャトル280が接続されている可能性がある。この点、シャトルバーコードが読み取り可能となるように、アームアセンブリ270がシャトル280と併せてバーコードリーダへと移動する。その後、シャトル280は、シャトル移送アセンブリ300a、300b上に配置される(利用可能な場合)。ただし、バーコードが読み取り不可能な場合は、シャトル在庫が更新される。こうして、シャトルハンドリングアセンブリ240が利用可能となる。
ドッキングステーション260a、260bに関して、このようなドッキングステーション260a、260bは、シャトルハンドリングアセンブリ240を用いて、シャトル280をロットから持ち上げ、バーコードリーダにかざし、バーコードが読み取られて在庫が更新された後にシャトルをそれぞれのドッキングステーションに戻すことによってクリアされる。バーコードが読み取られない場合、システム10は、シャトルの有無を判定するセンサを有する。シャトル280が存在する場合は、回収したスペースに戻され、システムがオペレータの注意を問題に向けさせる。シャトル280が存在しない場合は、在庫において、待機スポットが空にマーキングされる。いずれの場合も、在庫は、この情報により更新される。
起動前には、必要に応じて、すべてのシャトル280をトラック310a、310bから取り外し位置または待機ロット260a〜260cに移動させる。
シャトルペナルティボックスは、ペナルティボックス中のシャトル280についてオペレータに指示する方法を決定するプロセスを開始するセンサを有する。シャトル280が検出された場合は、メッセージがオペレータに送信され、システム10は一時停止となる。そして、オペレータは、システム10を開いて、シャトル280の取り出しまたはシャトル280中のサンプルコンテナの手動スキャンを行った後、シャトル280が取り出し済み/交換済みであることを示し得る。シャトル280が検出されない場合、オペレータは再び、シャトル280を戻す対処および再試行のメッセージが伝達される。シャトル280が検出されない場合は、システム10が遮断され、オペレータへの通知およびエラーの報告が行われる。シャトル280が修理または交換された場合は、システム10のドアが閉じられて、システム10が動作を再開することになる。ドアを閉じられない場合は、システム10の動作が停止となって、ドアセンサ異常がオペレータに報告される。ドアが閉じられた場合は、シャトルハンドリングシステム240がサンプルコンテナのバーコードをスキャンし、取り外し位置に移動させて、そこでコンテナの取り外しおよびバーコード化が行われることになる。
上記シャトル移送エラープロトコルおよび停電プロトコルに関して上述したセンサとしては、当技術分野において十分に理解されているセンサが挙げられることが了解されるものとする。たとえば、シャトルの有無の判定には光学センサを使用可能であり、ラックハンドリングアセンブリ240のアセンブリ300a、300bおよび移送アームアセンブリ270のベルト位置の決定には、モータエンコーダを使用可能である。
[シャトルクランプ]
図12Dに示すように、ドッキングステーション260cは任意選択として、シャトルクランプ機構241を具備する。この機構241の利用によって、個々の使用コンテナ03が取り外されている間にシャトル280がその待機スポットから偶発的に持ち上がることのないように、ステーション260cにドッキングされたシャトル280を拘束するのに役立ち得る。クランプ機構は、電源による給電は行われておらず、クランプアーム245、作動アーム246、ベース248、および捩りばねを具備する。クランプアーム245は、クランプ位置にある場合にシャトル280の側部スロット286と係合する突起244を具備する。図示のように、クランプアーム245は、捩りばね247に接続され、クランプアーム245から突き出たレバー249と捩りばね247との間の係合によってクランプ位置に付勢されている。クランプアーム245は、ベース248内のクラッチによって、非クランプ位置(図示せず)に係止されていてもよい。クランプ位置と非クランプ位置との間のクランプアーム245の移動は、作動アーム246とアームアセンブリ270から延びたパドル279との間の係合によって実現される。これにより、アームアセンブリ270は、作動アーム246を越えて前方に移動する場合、作動アーム246を非クランプ位置へと移動させる。この点、アームアセンブリ270は、ドッキングステーション260cでのシャトル280の載置または取り外しが可能である。アームアセンブリ270が後方に移動する場合は、パドル279が作動アーム246を始動させることにより、クラッチを解除して、クランプアセンブリ241とシャトル280(ドッキングステーション260cに存在する場合)との係合を可能にする。
[角度付きエレベータ]
図12Eは、角度付きエレベータ100を示している。角度付きエレベータは、デッキ24および26間でラック50を上昇および降下させる。このため、コンテナ03は、ステーション260cでシャトル280から取り外された場合、エレベータ100により保持されたラック50に装填される。この点、エレベータ100は、斜交軸に沿って延びた細長部材104に接続されたラック保持構造102を含む。ラック保持構造102は、デッキ24のステーション110とステーション260cに隣接する位置との間で細長部材104に沿って移動する。
[デッキ間ロボット]
図14および図15は、ラックハンドラロボット320およびラックエレベータ360をそれぞれ示している。ラックハンドラロボット320、ラックエレベータ360、および角度付きエレベータ100(上述)は、デッキ間ロボットまたはラックエレベータロボットシステムを備える。このようなラックエレベータロボットシステムは、デッキ22、24、および26間でラック30、40、および50を移送可能である。たとえば、ラックハンドラロボット320は、格納デッキ22と第1の予備分析処理デッキ24との間でラック30、40、および50を移動させる。また、ラックエレベータ360は、格納デッキ22と第2の予備分析処理デッキ26との間でラック50を移送し、角度付きラックエレベータ100は、デッキ24とデッキ26との間でラック50を移送する。ただし、デッキ24および26が異なる垂直方向高さに位置付けられていない予備分析システムにおいては、ラックエレベータロボットシステムがラックハンドラロボット320のみを具備していてもよいことが了解されるものとする。言い換えると、デッキ24および26間の垂直方向高さの違いは、垂直方向に伸長した場合のシステム10の前後方向幅を最小限に抑えるのに役立つ。このため、エレベータ100および360は、この垂直方向高さの違いを考慮するのに役立つ。ただし、システム10は、デッキ24および26が同じ高さとなって、ロボット320が両デッキに到達可能となる水平方向間隙が両者間に設けられるように構成可能である。
[ラックハンドラロボット]
ラックハンドラロボット320は一般的に、水平トラック部材330、垂直トラック部材340、およびラックキャリッジ350を具備する。水平トラック部材330は、細長ベース332と、ベース332の表面からその長さ方向に沿って延びた1つまたは複数のレール334とを具備する。同様に、垂直トラック部材340は、細長ベース342と、ベース342の表面からその長さ方向に沿って延びた1つまたは複数のレール344とを具備する。垂直トラック部材340は、その底部に接続されて延びた水平レール架台345を介して、水平トラック部材330のレール334に摺動接続されている。垂直トラック部材340は、このように水平レール架台345に接続されることで、垂直かつ水平部材330に対して大略直交方向に延びるとともに、水平部材330に沿って左右方向に摺動可能である。
垂直トラック部材340は、たとえばFesto Linear Motor Actuator(「FLMA」)(Festo AG&Co.KG Esslingen Neckar、Germany)等により、リニアモータを介して水平部材330に沿って磁気駆動される。電気ケーブル用のケーブルスリーブ339が水平部材330に隣り合って設けられ、垂直トラック部材340の移動に際して、ケーブルを保護するとともに適所に保つようになっていてもよい。代替実施形態においては、水平部材330のベース332および水平レール架台345にプーリまたはシーブが取り付けられ、ベルトとの併用によって、垂直トラック部材を左右方向に移動させる。
ラックキャリッジ350は、ベース351、垂直レール架台352、第1および第2のラック支持部材354a、354b、ならびにラック移動アーム322を具備する。キャリッジ350は一般的に、水平レール架台345の直上に配設され、垂直レール架台352を介して水平レール架台345に対して移動可能である。垂直レール架台352は、垂直部材340のレール344に摺動接続されており、ベース351は、垂直レール架台352に対して片持ち状態となっている。
第1および第2のラック支持部材354a、354bは、ラック30、40、および50の下向き面37、47、および57と係合するように構成された平坦な上向き面357を含む細長ビームである。ラック支持部材354a、354bは、互いに実質的に平行であり、それぞれが実質的に同じ長さ「L」を有する(図14Eに最も良く見られる)。この点、ラック30、40、および50それぞれの対向する周壁34、44、および54間の距離と実質的に等しい距離だけ第1および第2のラック支持部材354a、354bが離隔するように、第1のラック支持部材354aがベース351に接続され、第2のラック支持部材が垂直レール架台352に接続されている(図14Bに最も良く見られる)。これにより、ラック30、40、50の一部が嵌合するとともに、ラック支持部材354a、354bがそれぞれの周壁を介してラック30、40、50に係合して支持する間隙が設けられる。また、この第1および第2のラック支持部材354a、354b間の間隙は、前後方向に開いている。間隙の前後方向長さは、ラック支持部材354a、354bの長さ「L」によって範囲が定まる。
図14B〜図14Fに最も良く見られるように、ラック移動アーム322は、ラック支持部材354a、354b間の間隙内に配設され、ベース351に取り付けられたモータ356に接続されている。モータ356は、水平トラック部材330の長さ方向に直交する2つの方向の一方でラック移動アーム322を外方に延長するように動作可能である。図示の実施形態において、ラック移動アーム322は、第1および第2の細長部材326、328を具備する。第1の細長部材326は、ベース351上に配設された回転継手324に接続されている。ラック移動アーム322は、支持部材354a、354b間に位置決めされている。第2の細長部材328は、回転継手324から離れた第1の細長部材326の端部に回転可能に接続されて、肘部327を形成する。第2の細長部材328は、第1の細長部材326から離れた端部に係合機構または突起329を具備する。係合機構329は、上方に突き出て、ラック移動アーム322がラック支持部材357a、357bに対してラックを引き寄せたり押し離したりできるように、ラック30の係合部材39ならびにラック40および50の係合部材と係合するように構成されている。
この点、肘部327では、プーリ325が第2のアーム328に対して固定状態で取り付けられ、第1の細長アーム326に対して回転可能に取り付けられている。モータ356の動作による回転継手324の回転によって、第2の細長部材328が第1の細長部材326に対して回転するように、プーリ325および回転継手324にベルト323が接続されている。図14Eおよび図14Fに最も良く見られるように、この構成によって、ラック移動アーム322は、水平トラック部材330の一方側から他方側へとラック30、40、50を移動可能である。このため、ラック移動アーム322は、前位置、後位置、および中間位置という少なくとも3つの異なる位置を有する。
中間位置においては、第1および第2の細長部材326、328がラック支持部材354a、354bの長さ「L」と大略垂直に位置合わせされており、係合機構329がラック支持部材354a、354b間の間隙内にある。この位置において、肘部327は、左右方向に支持部材354aを越えて突き出ていてもよい(一例として図14F参照)。図示の特定の実施形態においては、垂直トラック部材340内の覆われたスペース中へと肘部が突き出ている。ラック移動アーム322は一般的に、ラック支持部材354a、354bおよび/または横方向通路25上にラックが位置付けられた場合に中間位置を仮定する。
後位置(図14Eに最も良く見られる)においては、第2の細長部材328が第1の細長部材326に対して斜角になっており、係合機構329が前後方向にラック支持部材354a、354bの長さ「L」を越えて間隙の外側に位置決めされている。なお、ラック移動アーム322が中間位置から後位置まで移動した場合に、係合機構329がラック支持部材354a、354bと平行な線形方向に移動し、間隙を通って前進した際にもラック支持部材354a、354b間に保たれるように、細長部材326および328が構成されている。前位置は後位置に類似するが、ラック移動アーム322が後位置にある場合とは反対のラック支持部材354a、354bの端部に係合機構329が位置決めされている点が異なる。ラック移動アーム322は一般的に、ラックをラック支持部材354a、354bから離す場合またはラックをラック支持部材354a、354b上に移動させる場合に、これらの位置のうちの1つを仮定する。
前述の通り、垂直架台352は、垂直トラック部材340に接続されている。水平部材342の1つまたは複数の側面および垂直架台352には、複数のプーリ349またはシーブが接続されている。これらのプーリ349は、1つまたは複数のベルト347を介して接続されている。垂直部材340にはモータ348が取り付けられ、このモータによるベルト347およびプーリ349の駆動によって、垂直トラック部材340のレール344に沿った垂直架台352の2つの線形方向(すなわち、上下)の駆動を可能にする。これにより、キャリッジ350が垂直方向に移動可能となる。モータ348に給電する電気ケーブル用のケーブルスリーブ341が垂直トラック部材340に隣り合って設けられ、キャリッジ350の移動に際して、ケーブルを保護するとともに適所に保つようになっていてもよい。
ラックハンドラロボット320は、水平トラック部材330がシステム10の長さ方向に沿って左右方向に延びるように、格納デッキ22内に位置付けられた通路25内に位置決めされている。また、垂直部材340は、水平トラック部材330から離れた当該垂直トラック部材340の端部が第1の予備分析処理デッキ24の上方に延びるように、第1および第2のラック移送アセンブリ300a、300bの直下で上方に延びている。第1および第2の予備分析処理デッキ24、26間の高さの違いにより、キャリッジ350は、第1の予備分析処理デッキ24に到達し、そこからラック30、40、50を回収して、その上にラック30、40、50を配置可能である。このため、上述の通り、キャリッジ350は、格納デッキ22を通る左右方向および格納デッキ22と第1の予備分析処理デッキ24との間の上下方向に移動可能であるとともに、前後方向に伸びてラック30、40、50を回収または配置可能である。
[ラックエレベータ]
図15に示すように、ラックエレベータ360は一般的に、ガイド部材365、キャリッジ361、およびキャリッジ駆動機構370を具備する。ガイド部材365は、ベース366と、ベース366の表面に沿って延びた少なくとも1つのレール367(図示は2つ)とを具備する。
キャリッジ361は、「U」の形状で一体的に接続された3つの支持部材を具備する(第1の支持および第3の部材のみを示す)。第1および第3の支持部材362a、362cは、互いに反対に配設され、大略同じ方向に延びている。第1および第3の支持部材362a、362cは、ラック50の対向する周壁54間の距離と実質的に等しい距離だけ離隔している。これにより、ラック50の一部が嵌合するとともに、支持部材362a、362cがそれぞれの周壁を介してラック50に係合して支持する間隙が設けられる(図15に最も良く見られる)。第3の支持部材362cは、ガイド部材のレール367に摺動状態で取り付けられている。第2の支持部材は、第1および第3の支持部材362a、362c間に配設されたラック50の逆転防止装置を提供する。
駆動機構370は、モータ372および駆動軸374を具備する。モータ372は、ブラケット376を介して、ベース366の下端に取り付けられている。駆動軸374は、モータ372に接続され、また、モータ372から離れた端部で第3の支持部材362cに接続されている。モータ372は、駆動軸374を上下方向に操作するように構成された磁気リニアモータであってもよい。あるいは、モータ372は、回転ステッピングモータであってもよく、駆動軸374は、ねじ山が設けられ、第3の支持部材362cに螺合していてもよい。このようなステッピングモータは、両方向に回転するように構成されていてもよく、これにより駆動軸374が両方向に回転して、キャリッジ361をレール367に沿って上下方向に駆動する。
前述の通り、ラックエレベータ360は、システム10の左後隅部に位置決めされ、第2の予備分析処理デッキ26の直下で格納デッキ22内に一部が配設されるとともに、スペース200内に一部が配設されることにより、エレベータ360が下方からスペース200内にラック50を位置決め可能となる。
[ラックハンドリングおよび移送の方法]
ラックハンドリングおよび移送の方法において、ラックハンドラロボット320は、ラック格納デッキ22内の指定されたラック格納位置と第1の予備分析処理デッキ24との間でラック30、40、または50を移動させる。また、ラックハンドラロボット320は、第1の予備分析処理デッキ24、格納デッキ22、およびラックエレベータ360間でラック50を移動させる。ラックエレベータ360は、ラックハンドラロボット320からラック50を受容したら、格納デッキ22と第2の予備分析処理デッキ26との間で移動させる。
特定の例示的な方法においては、ラック30がユーザによってI/Oポート120に配置される。モータ346のオンにより、プーリ336およびベルト338が動作して、I/Oポート120に向かう方向でキャリッジ350および垂直部材340をレール334に沿って駆動する。キャリッジ350が前後方向にI/Oポート120と位置合わせされた場合は、モータ346がオフとなる。
モータ348のオンにより、プーリ349およびベルト347が動作して、格納デッキ22から第1の予備分析処理デッキ24に向かって上方に垂直レール架台352を移動させる。モータ348は、キャリッジ350および垂直部材340が左右方向に移動している場合等、モータ346と同時に動作することも可能であるし、キャリッジ350および垂直トラック部材340が停止した場合等、順次動作することも可能である。
下向き面37のわずかに下方で、ラック30の周壁34と位置合わせされる位置にラック支持部材354a、354bが達したら、モータ348が停止となる。この点、支持部材354a、354bは、モータ356の動作により解消される距離だけラック30から分離されている。ラック移動アーム322は、このような距離を横断して、ラック30側へと前方向に移動し、係合機構329が係合部材39のわずかに下方に位置決めされた前部位置に達する(図14Dに最も良く見られる)。そして、移動アーム322は、可動アームの係合機構329を介してラック30と係合する。これは、係合機構329が係合部材39を捕捉するようにキャリッジ350をわずか上方に移動させることにより実現され得る。その後は、可動アーム322が後方向に移動してラック30を支持部材354a、354bに引き寄せることにより、下向き面37が上向き面357に重なるように、モータ356が反対方向に動作して中間位置となる。全体が位置決めされたら、モータ356は停止する。
その後、モータ346のオンにより、格納デッキ22内のラック格納位置に向かって左右方向に、キャリッジ350、ラック30、および垂直部材340が移動する。ラック30が指定のラック格納位置と位置合わせされた場合は、モータ346がオフとなる。モータ348は、モータ346と同時またはモータ346に続いてオンとなり、レール344に沿ってキャリッジを移動させるとともに、デッキ22内のラック格納位置に向かって下方にラック30を移動させる。その後、モータ356の動作により、ラック格納位置の場所に応じて、前位置または後位置へと前方または後方にラック移動アーム322を外方に移動させる。これによりラック30が摺動して、支持部材354aおよび354bから指定のラック格納位置へと移動する。
ラックハンドリングおよび移送の別の例示的な方法において、ラックハンドラロボット320は、上述の同時または順次モータ動作のプロセスを繰り返すことにより、第3のサンプルラックスペース114に位置決めされたラック50と位置合わせされた第1の予備分析処理デッキ24までキャリッジ350を移動させる。ラック移動アーム322は、前方向に前部位置まで、第3のサンプルラックスペース114に向かって延び、ラック50と係合する。その後、移動アーム322の動作により、サンプルラック50を後方向に引き寄せて、支持部材354a、354b上に配置する。
その後、ラックハンドラ320の支持部材354a、354bがラックエレベータ360の支持部材362a、362cと位置合わせされるように、キャリッジ350がラックエレベータ360に向かって移動する(図15)。その後、キャリッジ361の第2の支持部材が提供する逆転防止装置にラック50が隣接するまで、可動アームがラック50をキャリッジ350から後方向へとキャリッジ361上に摺動するように、ラック移動アーム322が中間位置から後位置まで移動する。言い換えると、ラック移動アーム322は、ラック50をラックエレベータ360に受け渡す。
その後、ラックエレベータ360のモータ372の動作により、レール367に沿って上方向にキャリッジ361を駆動して、スペース200を満たす。ラック50が位置付けられたサンプルコンテナ03が取り外され、モータ372の逆方向の動作によって、ラック50を降下させる。ラックハンドラ320が再び、ラックエレベータ360と位置合わせされ、そこからラック50を回収する。その後、ラックハンドラ320は、格納デッキ22内のラック格納位置または第1の予備分析処理デッキ24までラック50を移送して、そこでラック50がキャリッジ350から取り出される。
モータ動作のシーケンスは、後述のコンピュータシステムによって実装される。ラックハンドラロボット320がラックエレベータ360の機能(すなわち、第2の予備分析処理デッキ26におけるラック50のスペース200への挿入)を実行することも可能と考えられるが、このようなロボットは、サンプルコンテナ03がラック50から取り出された状態で上述の機能を実行するようにラックエレベータ360がラックハンドラロボット320を解放する点において相補的である。
また、ラックハンドラ320およびラックエレベータ360に関して上記説明した方法は、ラックハンドラロボット320およびラックエレベータ360の動きおよび両者間の相互作用を説明する例である。この点、格納デッキ22内の任意の場所および第1の予備分析処理デッキ24に対してラックハンドラロボット320がラック30、40、および50を移動可能であることが了解されるものとする。
[ラック移送モニタリングおよびエラープロトコル]
システム10は、ラックハンドラロボット320およびラックエレベータ360の動作を制御するラックプロセッサを有する。このようなプロセッサは、以下により詳しく説明するシステム10のコンピュータ制御デバイス802の1つまたは複数のプロセッサ804と関連付けられていてもよい。一実施形態においては、ラックハンドラロボット320に対するラック30、40、および50等のラックの移動に成功したタイミングをシステム10が「把握」できるように、ラックハンドラロボット320の制御のための動作ロジックがプロセッサを介して提供される。たとえば、主格納デッキ22またはラックエレベータ360からロボット320にラックを移動する指示がロボット320に発行された後、移動が成功したか否かをシステム10が把握できるように、フィードバックループが設けられている。本実施形態において、ロボット320には、当該ロボット320のラック移動アーム322が前位置、後位置、または中間位置のいずれに存在するかを知らせるセンサが設けられている。また、ロボット320には、ラックキャリッジ350上のラックの位置決め箇所(ラックキャリッジ350上のどこにラックが位置しているか)を検知可能な前後センサが設けられている。このようなセンサとしては、光学センサも可能であるし、当技術分野において知られるその他任意のセンサも可能である。これらのセンサにより、以下の信号の組み合わせは、以下の動作を示す。
ラックハンドラロボット320からラック格納エリア22またはエレベータ360へとラックを移動させるコマンド後の以下の条件は、以下の動作を示す。
ラック格納エリア22およびI/Oポート120にもセンサが設けられて、ラック格納エリア22またはI/Oポート120エリアからロボット320へのラックの移動に成功したかを判定する。「ラック格納エリアからロボット上にラックを移動させる」コマンドの実行後の以下の条件は、特定のステータスおよび動作をもたらす。
システム10は、ラック格納エリア22またはI/Oポート120中の場所にラックを移動させるロボット320への指示に応答して、以下の動作を提供する。
一実施形態において、第1の予備分析処理デッキ24には、視覚システムが備わっている。本実施形態においては、カメラが処理デッキ上のラックの画像を取得する。画像は、ラック装填中のエラーを識別するために評価される。このようなエラーの例としては、穴の開いたサンプルチューブ、キャップエラー、またはコンテナの種類が混在したラックが挙げられる。画像は、ラック30、40、または50に関してシステム10に格納された情報との比較によって、画像中のラックが正しいラックであることを保証する。ラックは、エラーを有するものと決定された場合、システムソフトウェア中のエラーと関連付けられて、ラック格納場所22にルーティングされる。システム10は、従来の任意の通知チャンネル(音声/視覚、テキストメッセージ、電子メール等)を通じて(本明細書の他の場所に記載のグラフィカルユーザインターフェース820すなわちGUIを介して)オペレータに通知を行い、エラーが関連付けられたラックをシステムから除外すべきである旨を助言する。その後、ユーザは、インターフェース820を介してラックを戻すリクエストを入力可能であって、これによりシステム10は、ラックを格納場所22から回収してシステム10のI/Oスロット120に搬送するように、ラックハンドラロボット320に指示する。
[懸架ロボットアセンブリ]
図1〜図3に戻って、懸架ロボットデッキ28は、第1および第2の予備分析処理デッキ24、26上に位置付けられたサンプルおよびサンプルコンテナをハンドリングするように構成された懸架ロボットアセンブリ400を具備する。
図16Aに示すように、懸架ロボットアセンブリ400は、複数のロボットおよび支持ビームまたはガントリ402を含む。支持ビーム402は、左右方向でシステム10の長さ方向に延び、その両端が構造フレーム20の支持構成要素21に取り付けられている。支持ビーム402は、フレーム20により支持されている場合、前面および後面を含む。これら前後両面の長さ方向に沿って、(ラックアンドピニオン機構の)ラック406およびラック406の直下に配設されたレール408が延びている。支持ビーム402の上面には、ケーブル管理用のトレイ404が配設され、その長さ方向に沿って延びている。このトレイ404は、ロボットが支持ビーム402に沿って移動する際に各ロボットに給電する電気ケーブルのケーブルスリーブ405を受容するように構成されている。
上記複数のロボットには、3つのピックアンドプレースロボット410a〜410c、2つのデキャッパロボット450a、450b、および1つのピペット操作ロボット480を含む。右から左へと、支持ビームの前面が第1のピックアンドプレースロボット410a、第1のデキャッパロボット450a、ピペット操作ロボット480、および第2のデキャッパロボット450bを含む。また、左から右へと、支持ビーム402の後面が第2のピックアンドプレースロボット410bおよび第3のピックアンドプレースロボット410cを含む。以下に詳しく説明する通り、各デキャッパロボット450a、450bは、予備分析システム10内で離散機能を実行する。一実施形態においては、第1のキャッパ/デキャッパがLBC型コンテナ(第1種および第2種)用であり、第2のキャッパ/デキャッパがサンプルバッファチューブ(第3種コンテナ)用である。
[ピックアンドプレースロボット]
図16Bは、ピックアンドプレースロボット410を示しており、事実上はロボット410a〜410cと同一である。これらのロボット間の違いとして、ピックアンドプレースロボット410bおよび410cは、ロボット410aが動作する第1の予備分析処理デッキ24よりも第2の予備分析処理デッキ26が高いことから、このデッキ26からアイテムを回収するための移動の長さがロボット410aよりも短くなるように構成されている。ピックアンドプレースロボット410は一般的に、ハウジング412、制御ボックス414、グリッパーアセンブリ430、および移送機構420を具備する。
移送機構420は、ハウジング412に取り付けられ、その開放端から延びている。移送機構420は、モータ424、(前述のラックアンドピニオン機構の)1つもしくは複数のピニオン/アイドラ422、ならびにレール架台426を具備する。モータ424は、1つまたは複数のピニオン422に接続され、2つの角度方向のうちのいずれか一方にピニオン422を回転させるように構成されている。モータには、モータのギアおよびピニオン422への予圧(プリロード)を保つばねブラケット(図示せず)が取り付けられている。これにより、がたつきがゼロまたは小さな設定となる。レール架台または線形プロファイル軸受426は、ピニオン422の直下でハウジング412に接続されて、当該レール架台426とピニオン422との間に、ラック406の受容によってラック406がピニオン422に連動するようにサイズ規定されたリップ状開口428を形成する。リップ状開口428の一部を規定するリップ429は、ラック406が内部に配設された場合のリップ状開口428との位置合わせを保つのに役立つチャンネルを構成する。レール架台426は、レール408に摺動状態で取り付けられるように構成されている。
グリッパーアセンブリ430は、ハウジング412の側面に取り付けられている。特に、ハウジング412の側面には、ハウジング412の上端および底端に配設された水平レール416a、416bを含む。両水平レール416aおよび416bには、摺動プレート440が摺動状態で取り付けられており、垂直レール442を含む。水平レール416a、416bに取り付けられた場合、摺動プレート440および垂直レール442は、水平レール416aの下側に延びて、グリッパーアセンブリ430のz方向到達範囲を拡張する。摺動プレート440には、ベルト・プーリ機構445が取り付けられ、摺動プレート440を水平レール416a、416bに沿って前後に駆動する。
グリッパーアセンブリ430は、垂直レール442および駆動軸448に摺動状態で取り付けられたキャリッジ436を具備する。駆動軸448は、摺動プレート440の上端に取り付けられ、ベルト・プーリ機構445がモータ446により動作する場合に摺動プレート440とともに移動するモータ449によって動作する。また、グリッパーアセンブリ430は、2つのグリッパーフィンガ等のグリッパーフィンガ432を具備するが、これらは、互いに離接することによってコンテナ01、02、および03等のさまざまなサイズのサンプルコンテナを把持するように、別のモータ434によって動作する。ただし、システム10において利用される場合のグリッパーは通常、コンテナ03を把持して移送する。
制御ボックス414は、ハウジング412の内側に取り付けられ、コンピュータシステム(後述)ならびにモータ424、434、446、および449に対して電気的に結合されている。制御ボックス412は、コンピュータシステムから指示信号を受信し、動作信号に変換し、動作信号をさまざまなモータ424、434、446、および449に送信して、指示された動作を実行する電子機器を具備する。また、制御ボックス414は、グリッパーアセンブリ430の位置、タスク完了等に関する信号をコンピュータシステムに送り返す。
例示的な動作方法において、コンピュータシステムは、コンテナ03等のコンテナを第1の場所からピックアップして別の場所に移送する指示を制御ボックス414に送信する。これらの場所は、予めプログラムされていてもよいし、システム10全体に配設され、対象コンテナの正確な場所を決定する光学センサ等の手段を通じて決定されるようになっていてもよい。制御ボックス414は、これらの信号を受信するとともに、モータ424、434、446、および449に送信されて指示タスクを実行する動作信号に変換する。その後、モータ424、434、446、および449の同時または順次動作によって、コンテナがピックアップされて指定場所へ移動するまで、ロボット410を支持ビーム402に沿って移動させ、摺動プレート440を水平レール416bに沿って移動させ、キャリッジ442を垂直レール442に沿って移動させ、グリッパーフィンガ432を移動させる。
[デキャッパモニタリングおよびエラープロトコル]
システム10は、ピックアンドプレースロボット410a〜410cの動作を制御するピックアンドプレースプロセッサを有する。このようなプロセッサは、以下により詳しく説明するシステム10のコンピュータ制御デバイス802の1つまたは複数のプロセッサ804と関連付けられていてもよい。また、以下により詳しく説明する通り、含まれるサンプルの分析後にシャトル280が分析モジュールから受容された場合は、サンプルコンテナ03をシャトル280からラック50へと取り外す場所110で、ラック50が処理デッキ上に設けられる。ピックアンドプレースロボット410aは、プロセッサにより制御されると、コンテナ03をシャトル50から取り外す。フィードバックループがピックアンドプレースロボット410aをモニタリングして、サンプルコンテナがシャトル280中の位置からラック50中の位置へと取り外されたかを判定する。シャトル280中の位置からサンプルコンテナが外されていないことをフィードバックが示す場合、システム10は、エラーメッセージを送信することになる。
コンテナ03の把持に成功した場合は、フィードバックループの提供によって、コンテナ03の把持が維持されることを確実にする。コンテナ03が落ちた場合は、システム10が一時停止して、エラーメッセージが送信される。サンプルコンテナ上のバーコードを読み取る必要があるとシステム10が判定した場合、ピックアンドプレースロボット410aは、コンテナをコンテナスピナー(図示せず)まで移動させ、コンテナ03を内部に載置することにより、コンテナ03がスキャナの前方で回転して読み取り可能となるようにする。また、フィードバックループの提供によって、ピックアンドプレースロボット450aがコンテナ03をスピナー/リーダまで移動させ、コンテナ03をスピナー中に置き、コンテナ03を解除し、コンテナ03が回転してバーコードが読み取られたか否かを判定する。これらのステップにおいて運動エラーが発生した場合は、異常が示される前に1回だけ再試行を行う。この場合は、ガントリz/y移動異常、ガントリZ移動異常、グリッパーフィンガ異常、またはスピナー異常の可能性がある。すべての異常は、それが示された場合、システム10の動作を停止させる。
バーコードの読み取りに成功しなかった場合は、スピナーのモータエンコーダエラーの可能性がある。再試行においては、コンテナ03を再び回転させて読み取る。再試行も不成功の場合は、コンテナ03がスピナーからピックアップされる。空のスピナーは、バーコードテストを受ける。読み取りに失敗した場合は、シーケンスが停止となり、異常データが格納される。バーコード読み取りテストに成功した場合は、スピナー中でコンテナ03が交換され、バーコードの読み取りが再試行される。読み取り成功の場合は、プロセスが継続して、コンテナの過程管理が報告される。コンテナ03は、読み取りに成功しなかった場合、フラグが設定される。
コンテナ03は、読み取り後、場所110のラック50に配置される。この場合も、コンテナ03は特定のx、y座標に移動した後、(z方向に)降下してラック50中の所定の場所に配置される。グリッパー432は、コンテナ03を解除した後、その移動の高さまでz方向上方に戻る。これらの運動のいずれかについて運動エラーが検出された場合は、1回だけ再試行を行う。なお不成功の場合は、異常が存在するため、停止動作が起こって、異常データが格納される。コンテナ03が解除されると、落下に関してグリッパー432はそれ以上モニタリングされない。シャトル280は、空であると判定された場合、ドッキングステーション260aまたは260bに戻される。
ピックアンドプレースロボット410aは、システムの一時停止または停止からの停電復旧プロトコルを有する。この場合も、実行される離散動作は、グリッパー432を閉じてコンテナを保持し、x、y、およびz軸上でロボット410aをホームに送ることである。運動エラーが検出された場合は、システムが停止動作を発行するとともに異常データが格納される前に、1回だけ再試行を行う。また、バーコードリーダも復旧する。この点、空のスピナーのバーコード再テストも行われる。読み取りに成功しなかった場合は、異常があるものと判定される。読み取り成功は、バーコードリーダの準備が整ったことを示す。
ロボット410aは、空のバーコードスピナーの場所に移動して、成功の場合は、コンテナ03がスピナー中に置かれ、成功の場合はグリッパー432がホームに移動する。運動エラーが検出された場合は、異常に先立って、1回だけ試行が許可される。バーコードの読み取りに成功した場合は、上述の通り、スピナーから取り出されたコンテナがその指定のラック位置まで移動して、ラック50に配置される。シーケンスが完了となったら、空のロボット410aがそのセーフ位置に移動して、停電復旧が完了し、ロボットの動作の準備が整う。
本明細書に記載のチューブスピナーおよびバーコードリーダは、診断自己テストを有する。他の離散的な構成要素/装置/サブシステムに関して本明細書の他の場所に記載の通り、診断自己テストは、プロセッサ/コントローラおよび当該プロセッサ/コントローラが再試行を開始する際の運動エラーを報告するセンサと連通して実行される。再試行に成功しなかった場合は、レポートがオペレータに与えられ、プログラムされた指示に応じて、エラーが修正されるまで、モジュール、装置、またはシステムが一時停止または遮断となり得る。
上記エラープロトコルは、ピックアンドプレースロボット410aに関して説明したが、ロボット410b、410cについても、このようなプロトコルによる動作によって、診断自己テストを実行することにより、上記と類似のエラーを解決可能であることが了解されるものとする。
[デキャッパロボット]
図16Cは、デキャッパロボット450を示しており、ロボット450a、450bと同一である。デキャッパロボット450は一般的に、ハウジング452、制御ボックス454、デキャッパアセンブリ470、および移送機構460を具備する。
移送機構460は、ハウジング452に取り付けられ、その開放端から延びている。移送機構460は、モータ464、(前述のラックアンドピニオン機構の)1つもしくは複数のピニオン462、ならびにレール架台466を具備する。モータ464は、1つまたは複数のピニオン462に接続され、2つの角度方向のうちのいずれか一方にピニオン462を回転させるように構成されている。レール架台466は、ピニオン462の直下でハウジング452に接続されて、当該レール架台466とピニオン462との間に、ラック406の受容によってラック406がピニオン462に連動するようにサイズ規定されたリップ状開口468を形成する。リップ状開口468のリップ469は、ラック406が内部に配設された場合のリップ状開口468との位置合わせを保つのに役立つチャンネルを構成する。レール架台466は、レール408に摺動状態で取り付けられるように構成されている。
デキャッパアセンブリ470は、ハウジング452の下端に懸架され、一般的には、一連のギア474に取り付けられた2つの細長フィンガ472を具備する。ギア474は、駆動軸(図示せず)と、フィンガ472を相互に接離させるとともに、中心軸周りにすべてのフィンガ472を回転させてコンテナをデキャップ/リキャップするデキャッパモータ476とによって駆動される。ハウジング中に配設可能なデキャッパモータ458およびデキャッパアセンブリ470は、摺動プレート456の表面に位置付けられた垂直レール458を介して、摺動プレート456に取り付けられている。摺動プレート456は、ハウジング452内の支持構造上に位置付けられた水平レール455に摺動状態で取り付けられている。また、一連の他のモータ(図示せず)が水平レール455に沿って前後方向に摺動プレート456を駆動するとともに、垂直レール458に沿ってデキャッパアセンブリ470を駆動する。
制御ボックス454は、ハウジング452の内側に取り付けられ、コンピュータシステム(後述)ならびにモータ464、476、および図示しないモータに対して電気的に結合されている。制御ボックス454は、コンピュータシステムから指示信号を受信し、動作信号に変換し、動作信号をさまざまなモータに送信して、指示された動作を実行する電子機器を具備する。また、制御ボックス454は、デキャッパの位置、タスク完了等に関する信号をコンピュータシステムに送り返す。
例示的な動作方法において、コンピュータシステムは、コンテナ01、02、および03のうちの1つ等のコンテナを第1の場所(たとえば、ラックスペース112または114/116)からピックアップして別の場所(たとえば、一次または二次コンテナステーション)に移送し、デキャップおよびリキャップを行う指示を制御ボックス454に送信する。これらの場所は、予めプログラムされていてもよいし、システム10全体に配設され、対象コンテナの正確な場所を決定可能な光学センサ等の手段を通じて決定されるようになっていてもよい。制御ボックス454は、これらの信号を受信するとともに、モータ464、476、および図示しないモータに送信されて指示タスクを実行する動作信号に変換する。その後、モータの同時または順次動作によって、コンテナがピックアップされて指定場所へ移動するまで、ロボット450を支持ビーム402に沿って移動させ、摺動プレート456を水平レール455に沿って移動させ、モータ476およびデキャッパアセンブリ470を垂直レール458に沿って移動させ、デキャッパフィンガ472を一体的に移動させる。この指定場所には、一次もしくは二次コンテナステーション140、150内等の係合機構またはコンテナを回転しないように拘束するクランプアセンブリ160等のクランプ機構を含むのが好ましい。コンテナが拘束されたら、デキャッパアセンブリ470が回転してコンテナをデキャップする。フィンガ472は、キャップを把持して、準備が整ったらコンテナをリキャップする。
[デキャッパモニタリングおよびエラープロトコル]
システム10は、デキャッパロボット450a、450bの動作を制御するデキャッパプロセッサを有する。このようなプロセッサは、以下により詳しく説明するシステム10のコンピュータ制御デバイス802の1つまたは複数のプロセッサ804と関連付けられていてもよい。また、デキャッパプロセッサは、エラーを識別して、予めプログラムされたエラープロセスフローを実行する処理ロジックを有する。本明細書の他の場所に記載の通り、運動エラーに関して、各デキャッパ450a、450bの運動がエラープロセスフローの一部としてモニタリングされる。運動エラーが検出された場合は、エラーメッセージまたは修正動作の前に、1回の再試行が許可される。デキャッパは、そのグリッパーフィンガ472を予備グリップ/ホーム位置に移動させるように指示された場合、キャップまたはデキャップの対象となるコンテナの種類に基づく場所および設定へと案内される。z方向運動エラーが検出された場合は、上述の通りエラーメッセージが発行される前に、再試行が実行される。デキャッパがz方向運動でストールした場合は、グリッパー472がすべて、ホームに戻される。ホームへ戻す際に検出される運動エラーによれば、第2の運動エラーの検出に際してエラーメッセージを保証した1回の再試行が可能となる。運動エラーをモニタリングする他の運動としては、コンテナバーコードリーダへのxおよびy方向運動、(バーコード読み取りのための)回転/スピン運動、およびバーコードの読み取りそれ自体が挙げられる。また、コンテナのキャップの移動のモニタリングによって、キャップの落下(発生した場合)を検出する。
また、運動エラーに関して、デキャッパのスピン運動もモニタリングされる。回転が繰り返し(連続して3回以上)ストールする場合、オペレータには、潜在的な問題(たとえば、コンテナサイズの不一致)が通知される。具体的に、回転がストールした場合、これは、コンテナレセプタクルにおけるコンテナの収容(すなわち、コンテナの入れ子)が適正ではないことを示し得る。
また、リキャップエラーフローでも運動エラーをモニタリングし、1回の再試行後にエラーが発生した場合にのみ、エラーメッセージを発行する。リキャップシーケンスによって、デキャッパ450がリキャップ対象のコンテナ上のx、y位置へと進み、その後、ドリップトレイが移動することで、これがデキャッパの運動を妨げないようにする。その後さらに、デキャッパ450をz方向の適所に移動させる。z方向の運動エラーがある場合、デキャッパは、z方向でホームに戻る。
また、デキャッパ450は、リキャップルーチン中の適当なセグメントにおけるモータエンコーダカウントおよびモータ電流をモニタリングすることにより、コンテナが適正にリキャップされたかを判定することも可能である。リキャップ失敗の数が一定の閾値を超えた場合、システム10は、停止してオペレータに知らせるようにしてもよい。そして、コンテナがクリアされる。クリア後、デキャッパ450はホームに戻される。ホームに戻れない場合、これは、デキャッパ450またはデキャッパアセンブリ470の交換が必要であることを示す。
キャップは、コンテナへの固定に成功したら、デキャッパ450によって解除される。
一実施形態において、本明細書に記載の予備分析システム10は、停電後にデキャッパを再起動するための予めプログラムされたルーチンを有する。デキャッパ450は、再起動/停電復旧時の移動先となる予め設定されたホーム位置(たとえば、x、y、およびz方向のホーム位置)を有する。停電時にデキャッパ450がデキャップまたはリキャップのプロセス中であった場合は、回転によってキャップを完全に外した後、デキャッパがz方向でホーム位置に戻る。
[ピペット操作ロボット]
図16Aを参照して、ピペット操作ロボット480は、ピペットアーム481およびピペットヘッド500を具備する。ピペットアーム481は、ハウジング483、制御ボックス482、およびピックアンドプレースロボット410に類似する移送機構を具備する。このため、移送機構は、前側で支持ビーム402のラック406およびレール408が取り付けられて支持ビーム402を左右方向に横断するピニオン・レール架台(図示せず)を具備する。また、ピペットアーム481は、水平レール486と、水平レール486に摺動状態で取り付けられ、ピックアンドプレースロボット410に類似する摺動プレート484とを具備する。ピペットヘッド500は、駆動軸487を介して、摺動プレート484の垂直レール(図示せず)およびモータ488に接続されている。モータ488は、摺動プレート484がベルト・プーリ機構(図示せず)を介して前後方向に水平レール486に沿って駆動される場合に、ピペットヘッド500とともに移動するように、摺動プレート484に取り付けられている。このため、図示のように、ピペットヘッド500は、垂直レールモータ488および駆動軸487を含むz軸駆動機構を介して、ピペットアーム481に結合されている。
ピペットヘッド500は一般的に、メインボード501およびピペットアセンブリ502を具備する(図16Aに最も良く見られる)。ピペットアセンブリ502には、ピペットチャンネルアセンブリおよびピペットチップエジェクタアセンブリが備えられている(図17A〜図17Dに最も良く見られる)。ピペットチャンネルアセンブリは、チャンネルハウジング510、ピペットチップアダプタ520、制御ユニット515、およびコネクタアーム517を具備する。
チャンネルハウジング510はピペットチャンネル522を含む。チャンネルハウジング510を通って、ピペットチャンネル522が延びている(図17Dに最も良く見られる)。ハウジング510は、エジェクタハウジング540に接続されるように構成された第1の側面および制御ユニット515に接続されるように構成された第2の側面を有する。図示のように、チャンネル512は、ハウジング510の底端を通って延び、ハウジング510の長さの一部に沿って延び、ある角度(90〜180°等)だけ曲がり、ハウジング510の第2の側面を通って延びる。
ピペットチップアダプタ520は、そのチャンネル522がチャンネルハウジング510のチャンネル510と流体連通して単一のピペットチャンネルを形成するように、チャンネルハウジング510の底部から延びている。図示の実施形態においては、容量検知のためのアイソレータ528がピペットチップアダプタ520をチャンネルハウジング510に結合している。ただし、他の実施形態において、チップアダプタ520は、チャンネルハウジング510に直接接続されていてもよい。
チャンネルハウジング510から離れたピペットチップアダプタ520の底端において、ピペットチップアダプタ520は、第1および第2のピペットチップ係合機構524、526を具備する。図示の実施形態において、これらの係合機構524、526は、アダプタ520から半径方向外方に突き出た球状バルブ(bulb)である。第1の係合機構524は、第2の係合機構526よりも直径が小さい。これは、使い捨てピペットチップ489との締まり嵌めによってチップ489をアダプタ520に保持するのに役立つ。他の実施形態において、係合機構524、526としては、ルアーロック等のテーパリング形状特性のように、円錐部が可能である。
制御ユニット515は、チャンネルハウジング510の第2の表面に接続されて、そこから延びている。ピペットチャンネル512は制御ユニット515に延入しており、そこで、ソレノイドバルブ等のバルブ(図示せず)がチャンネル512を選択的に開閉する。一実施形態においては、このバルブの上流に差圧流センサ(図示せず)が位置付けられ、チャンネル512への空気流を測定するため、バルブと併せてサンプルの吸引および分注を制御するのに役立つ。
コネクタアーム517は、制御ユニット515及び特にチャンネル512に結合されている。コネクタアーム517は、制御ユニット515に直接接続されていてもよいし、制御ユニット515から離れて位置付けられていてもよい。コネクタアーム517は、2つの入口ポート518、519を具備する。第1の入口ポート518は、正圧ポートである。第2の入口ポート519は、真空ポートである。これらのポート518、519を横切る空気の正負の圧力は、サンプルの吸引および分注を駆動するのに役立つ。
ピペットチップエジェクタアセンブリは一般的に、第1のエジェクタハウジングまたは上側エジェクタハウジング530、第2のエジェクタハウジングまたは下側エジェクタハウジング540、チップエジェクタ550、制御ユニット594、およびチップエジェクタ駆動機構を具備する。
第1または上側エジェクタハウジング530は、その第1の端部から第2の端部まで内部に延びた開口を含む。この開口は、第1の端部を通じてモータ駆動軸592を受容し、第2の端部内にアンギュラ接触軸受534を受容し、第1および第2の端部間のハウジング530内に軸継手536を受容するように寸法規定されている。横ポート532がハウジング530に延入して開口と交差することにより、軸継手536が第1のエジェクタハウジング530内に配設された場合に露出するようになっている。これにより、モータ590をピペットヘッド500から切り離して、最小限の分解で交換することができる。また、ハウジング530は、制御ユニット594の一方側に接続されるように構成されている。
第2または下側エジェクタハウジング540は、その長手方向開口542が上側エジェクタハウジング530の開口と流体連通するように、上側エジェクタハウジング530の第2の端部に接続されている。長手方向開口542は、第1の端部または上端から第2の端部または下端まで、下側エジェクタハウジング540の長さ全体にわたって延びている。長手方向開口542は、第2の部分または上側部分541よりも小さな第1の部分または下側部分543を有することにより、両者間にショルダー545を形成する(図17D参照)。ハウジング540の第2の端部には、凹部544が延入している。凹部544に隣り合って、ホール効果センサ548がハウジング540に埋め込まれている。
メインボード501には、ハウジング540の長さ方向に沿って延びた側面546が接続されている(図16A)。メインボード501は、ピペットヘッド500に対する電気接続および他の接続を含んでいてもよく、z軸機構を介してピペットヘッド500をピペットアーム481に接続する。ピペットアセンブリ502とメインボード501との間の接続は、ピペットアセンブリを垂直軸周りに回転させて他の位置に移動可能となるように、切り欠き549に位置付けられたヒンジ等を介して、剛性接続またはヒンジ付き接続であってもよい。また、ハウジング540は、ピペットチャンネルハウジング510の一部を受容する側面において、切り取り部547を有する。
チップエジェクタ550は、カニューレ状本体552および当該本体552から延びたアーム554を具備する。カニューレ状本体552は、第1の端部から第2の端部まで内部に延びた開口を含み、チップアダプタ520を摺動状態で受容するように寸法規定されている。アーム554は、カニューレ状本体552の上端から延び、水平部556および垂直部558を形成するおよそ90°の湾曲をアーム554中に規定する屈曲部557を有する。水平部558は、浮遊軸560に取り付けられるように構成されている。下側エジェクタハウジング540の凹部544に一部が受容されるように、水平部556から離れた垂直部558の終端部559がサイズ規定されている。また、垂直部558の終端部559には、ホール効果センサ548と協働するように構成された磁石551が位置付けられている。この磁石551は、ホール効果センサ548との協働によって、ピペットチップがチップアダプタ520上に保持されているかを判定する。
チップエジェクタ駆動機構は、モータ590、送りねじ580、プッシャナット570、および浮遊軸560を具備する。モータ590は、エンコーダおよびそれと一体化されたギアボックスを含み得る電気モータである。モータ590からは、モータ駆動軸592が延びている。
送りねじ580は、上部582、下部586、および中間部584を含む。上部582および下部586は、中間部584よりも直径が小さいため、軸受534の保持に役立つとともに、プッシャナット570の逆転防止装置を提供する。また、上部582は、継手536を介して駆動軸592に取り付けられるように構成されており、アンギュラ接触軸受534内での回転のための大略滑らかな外面を有する。下部586は、その長さ方向に沿ってねじ山が設けられ、プッシャナット570を駆動する。
プッシャナット570は、内部にねじ山が設けられており、長手方向開口542の上部541内に受容されるように外部が寸法規定されている。プッシャナット570の下端は、浮遊軸560の押圧のため、大略平坦な表面を有する。
浮遊軸560は、そのシャンク564よりも直径が大きなヘッド562を有する。シャンクの直径は、長手方向開口542の下部543内に摺動状態で受容され得るほど十分に小さい。ヘッド562は、長手方向開口542の下部543内への受容を禁止し得るほど十分に大きい一方、長手方向開口542の上部541内に摺動状態で受容され得るほど十分に小さい。ヘッド562から離れたシャンク564の下端は、チップエジェクタ550の水平部556から延びた締結具の受容等により、水平部556に取り付けられるように構成されている。
制御ユニット594は、上側エジェクタハウジング530に接続されるとともに、モータ590に結合されて2つの回転方向の一方にモータ590を駆動する出力を有する。また、制御ユニット594は、ホール効果センサ548に接続された入力と、コンピュータシステム(後述)に結合されて、ピペットチップがチップアダプタ520から離れ落ちたことをユーザに通知する出力とを有する。また、制御ユニット594は、切り替え機能をピペットアセンブリ502に提供するスイッチインターフェースボード(「SIB」)であり得る。
組み立てに際して、ピペットチャンネルアセンブリは、下側エジェクタハウジング540の切り取り部547に受容されて接続されるチャンネルハウジング510を介してピペットエジェクタアセンブリに接続される。この点、チップアダプタ520は、チャンネルハウジング510および下側エジェクタハウジング540の両者の下側に延びている。
浮遊軸560のシャンク564は、シャンク564の端部が下側エジェクタハウジング540から延びるように、長手方向開口542の下部543内に受容される。チップアダプタ520は、カニューレ状本体552の開口内に受容され、水平部556は、シャンク564の端部に接続され、垂直アーム558の終端部559は、下側エジェクタハウジング540の凹部544内に受容される。
この点、浮遊軸560およびチップエジェクタ520は、チップオフ位置およびチップオン位置を有する。チップオフ位置においては、ピペットチップがチップアダプタ520に接続されず、チップオン位置においては、ピペットチップがチップアダプタ520に接続されている。
チップオフ位置の場合は、浮遊軸564のヘッド562が下側エジェクタハウジング540のショルダー545に支えられている。これにより、カニューレ状本体552が第1および第2の係合機構524、526の一方または両方を囲むように、チップアダプタ520に対して、カニューレ状本体550がその最下部またはその近傍に位置決めされる。また、終端部559および磁石551は、凹部544内でそれぞれの最下部に位置決めされる。
チップオン位置の場合は、カニューレ状本体552が第1および/または第2の係合機構524、526の上方に位置決めされ、垂直部558の終端部559が凹部544内でその最下部の上方に位置決めされ、浮遊軸550のヘッド562がある距離だけショルダー545の上方に位置決めされるように、ピペットチップがカニューレ状本体552を上方に押す。ピペットチップがチップアダプタ520に取り付けられていない場合(図示)は、浮遊軸560およびチップエジェクタ550がそれぞれ自体の重量によって、チップオフ位置に位置決めされることが了解されるものとする。また、ピペットチップがチップアダプタ520に取り付けられている場合は、浮遊軸560およびチップエジェクタ550の重量がチップとチップアダプタ520との間の保持力により相殺されるため、浮遊軸560およびチップエジェクタ550がチップオン位置に位置決めされる。
組み立ての続きとして、プッシャナット570は、長手方向開口542の上部541内で浮遊軸560のヘッド562の上方に位置決めされる。また、上側エジェクタハウジング530の第2の端部内に位置決めされたアンギュラ軸受534を通って送りねじ580の上部582が延びるように、送りねじ580の下部543がプッシャナット570に螺合され、そこから延びている。送りねじ580の上部582は、継手536を介してモータ駆動軸592に結合され、モータ590は、上側エジェクタハウジング530の第1の端部に取り付けられている。
プッシャナット570は、エジェクト位置およびスタンドオフ位置を有する。エジェクト位置においては、プッシャナット570が浮遊軸560およびチップエジェクタ550をチップオフ位置へと付勢するように、送りねじ584のねじ山がプッシャ570を長手方向開口542内に位置決めする。スタンドオフ位置においては、ピペットチップをチップアダプタ520に接続可能とする十分なスペースを浮遊軸560が有するように、送りねじ580のねじ山がプッシャ570を長手方向開口542内に位置決めする。
以下、ピペットヘッド500の動作方法を説明する。この方法においては、ロボット480が支持ビーム402に沿って、スペース180に位置付けられたピペットチップラックまで移動する。チップアダプタ520がピペットチップ489と位置合わせされ、チップアダプタ520がピペットチップ489の開口と係合するまで、モータ488がピペットヘッド500をピペットチップに向かって駆動する。モータ488は、チップアダプタ520をピペットチップ489の開口中へとさらに駆動して、一方または両方の係合機構524、526を係止状態で係合する。これにより、ピペットチップ489の端部がカニューレ状本体552を押圧して、浮遊軸560を上方に駆動するため、ヘッド562がショルダー545から持ち上がって、両者間にある距離を形成する。また、垂直部558の終端部559が凹部544内で上方に移動するとともに、磁石551のホール効果センサ548との相互作用によって、ピペットチップ489の係合を指示する信号が制御ユニット594に送られる。この段階において、浮遊軸564およびチップエジェクタ550は、チップオン位置にある。
その後、ロボット480が支持ビーム402に沿って移動することにより、コンテナからサンプルを吸引する。ピペットチップ489が意図せずチップアダプタ520から離れ落ちた場合はいつでも、浮遊軸564およびチップエジェクタ550が自動的にチップオフ位置へと移動する。この位置への磁石551の移動により、チップ489がチップアダプタ520から離れ落ちたことと、ユーザにこれが警告されていることとが制御ユニット594に伝えられる。別の言い方をすると、チップ489が意図せずチップアダプタ520から離れ落ちた場合は、チップエジェクタ550および浮遊軸560の重量によって、カニューレ状本体552がチップアダプタ520に沿って下方に摺動し、浮遊軸560の落下によってヘッド562がショルダー545に接触し、終端部559が凹部544内で下方に移動してチップオフ警告がトリガされる。
ロボット480が開放サンプルコンテナに達したら、チップ489がサンプルに接触するまでモータ488がチップアダプタ520を下方に駆動し、これにより容量性または圧力ベースの液面検出センサがトリガされて、吸引が開始となる。サンプルが吸引されて別のコンテナに分注されたら、第1の予備分析処理デッキ24を通るように位置付けられた開口へとピペットヘッド500が移動する。ピペットチップ489が開口の上方に位置合わせされた状態で、モータ590がオンとなって、送りねじ580を第1の方向にスタンドオフ位置からエジェクト位置へと駆動する。送りねじ580のねじ山がプッシャナット570をヘッド562側へと押しやるため、ヘッド562がショルダー545の上方に位置決めされる。プッシャナット570がヘッド562に接触した場合は、プッシャ570がさらに駆動されて、浮遊軸560を下方に押しやる。シャンク564が水平部556を押すと、その結果として、本体552がチップアダプタに沿って下方に押される。本体552がピペットチップ489を係合機構524、526から引き離すことにより、ピペットチップ489は、チップアダプタ520から排出される。排出が起こると、浮遊軸560およびチップエジェクタ550の重量によって、ヘッド562とショルダー545との間の距離がどれだけ残っていても、その距離だけヘッド562が降下し、これによって、チップ489の取り出しに成功したことが伝えられる。チップ489は、適当な廃棄物開口から排出されるため、警報は発生しない。その後、モータ590が第2の方向に動作して、プッシャナット570をスタンドオフ位置に戻すため、別のピペットチップをチップアダプタ520に取り付け可能となる。
ロボット分注器が廃棄物レセプタクルへの到達前にピペットを落とした場合は、キャッパ/デキャッパロボット450がそれぞれのホーム位置に戻る前に、ロボット分注器がそのホーム位置に戻って、開放コンテナがリキャップされる。
[ピペットモニタリングおよびエラープロトコル]
システム10は、ピペット操作ロボット480の動作を制御する分注器プロセッサを有する。このようなプロセッサは、以下により詳しく説明するシステム10のコンピュータ制御デバイス802の1つまたは複数のプロセッサ804と関連付けられていてもよい。分注器プロセッサ/コントローラは、停電復旧プロトコルおよびエラー制御プロトコルの両者を分注器480に提供する。本明細書において上述した通り、運動中のエラーが検出された場合は、システムがエラーを記録してオペレータに通知する前に、1回だけ再試行を行う。付加的な分注器エラーとしては、吸引およびピペットチップ目詰まりが挙げられる。
サンプルの作成/変換中、分注器480は、ピペットチップ489を回収するように指示される。分注器480は、チップのピックアップの前後にさまざまな確認を実行するが、たとえば、分注器480がサンプルコンテナへと進んで、作成/変換する一定分量のサンプルを取得する場合に、新たにピックアップするチップの流れを確認する。チップ排出が指示された際に、1回目の試行でチップを排出できなかった場合は、チップ排出異常に対して予めプログラムされたルーチンをコントローラが実行する。チップセンサ548がチップのピックアップに関するエラーを示す場合は、分注器480がホームに戻されて、再試行が行われる。チップセンサ548がチップのピックアップに関するエラーを再度示す場合は、異なるラックのピペットチップを試す。エラーが続く場合または別のラックのチップが利用不可能な場合は、問題が解決されるまで、作成/変換は一時停止される。
サンプルコンテナ01、02、および03は、本明細書の他の場所に記載の手順およびエラー制御プロトコルを用いてデキャップされる。希釈剤ボトル14がモニタリングされ、バルク希釈剤ボトルレベル(液位)が低い場合は、メッセージがオペレータに送られる。その後、このようなボトル14に含まれる希釈剤が第3種コンテナ03に分注されて、サンプル作成/変換が行われる。分注ヘッド174の使用によって、希釈剤をコンテナに分注するとともにコンテナ中の希釈剤のレベルをモニタリングする。運動エラーが検出された場合は、レベル確認の再試行を行い、エラーが続く場合は、バルク希釈剤ヘッド174のエラーが評価される。コンテナに分注された希釈剤のレベルのバルク希釈剤ヘッド174による確認に成功した場合は、サンプルコンテナがデキャップされる。希釈剤レベルが低すぎる場合または高すぎる場合は、1回だけ再試行を行い、不成功の場合は、レベルが高すぎる場合のチャンネル175の使用を停止する旨のメッセージがオペレータに送られ、コンテナ14が廃棄される。レベルが低すぎる状態が続く場合は、コンテナ14が廃棄される。
分注器400のz方向運動がモニタリングされる。分注器400が吸引のための液面に会合しない場合は、サンプルがリキャップされ、サンプル格納エリア22に戻され、サンプルのないボトルとして指定される前に、1回だけ再試行を行う。サンプルの分注対象であったコンテナ03は、廃棄される。
液面がピペットチップ489に接触した場合は、ピペットチップ489のZ方向位置が報告され、当該コンテナ種類の最小閾値と比較される。最小閾値を下回る場合は、ピペットチップ489が底部まで移動した後、z方向におよそ0.5mmだけ上昇する。吸引時、ピペットチップ489は、あるz座標に留まるか、または、吸引の進行および液面の低下に合わせてz方向下方に移動する。Z方向運動エラーおよび吸引エラーによって、別のプロトコルが開始となる。Z方向運動エラーは、ピペットチャンネルz方向異常に対するエラープロトコルに入る前に、1回の再試行を可能にする。吸引エラーは、分注器480がx、y、またはz方向に徐々に移動する再試行をもたらすが、その後、吸引が低速で発生することになる。吸引エラーが続くとともに液面が閾値を下回る場合は、ピペットチップ489の中身がサンプルコンテナに再分注され、これがリキャップされるとともに低容積としてサンプル報告される。液面が閾値を下回らない場合は、サンプルが再分注されるとともに交換され、吸引エラーが目詰まりとして報告される。
吸引成功の場合は、分注器480が移動空隙を抜き取り、液滴をコンテナに落とす一時停止の後、分注場所まで移動することになる。x、y、またはz方向の運動エラーがある場合は、軸エラーが示される前に、1回だけ再試行を行う。
そして、分注のエラーがモニタリングされる。分注エラーが発生した場合は、分注液を受容するように指定されたコンテナ03が廃棄される。そして、チップ489が廃棄される。分注エラーがない場合は、チップ489が廃棄されるとともに、サンプルコンテナおよび作成サンプルコンテナがリキャップされ、それぞれのラックに戻される。作成サンプルコンテナが正しく作成された場合は、その通りシステム10に記録され、サンプル作成が完了となり、別の予備分析処理のための二次サンプルが取得される。
[デッキロボットの主要な動作エンベロープ(動作範囲)]
図18は、第1および第2の予備分析処理デッキ24、26に対する懸架ロボットアセンブリ400の各ロボット410a〜410c、450a、450b、および480の動作エンベロープ610a〜610c、650a、650b、および680を示している。ロボット410a〜410c、450a、450b、および480は一般的に、これらのエンベロープ内でそれぞれ関連する任務を果たすが、そのためにロボット410a〜410c、450a、450b、480が移動を要する距離を最小限に抑えるのにエンベロープが役立つことから効率的な実行が促進されるとともに、支持ビーム402を横断する際のロボットの移動の調整に役立つ。これらのロボットは一般的に、これらのエンベロープ内で動作するものの、エンベロープの外側への移動が阻止されるわけではない。
図示のように、ピックアンドプレースロボット410aの動作エンベロープ610aは、第1の予備分析処理デッキ24上で、第1のサンプルラックスペース110およびシャトルハンドリングアセンブリ240の第3のシャトルドッキングステーション260cの周りに定められている。ロボット610sは、このエンベロープ610a内で動作することにより、第3のシャトルドッキングステーション260cのシャトル280(図12A)から第1のサンプルラックスペース610aに位置付けられたラック50までサンプルコンテナ03を移動する。
第1のデキャッパロボット450aの動作エンベロープ650aは、第1の予備分析処理デッキ24上で、第2のサンプルラックスペース112およびサンプル作成/変換アセンブリ130の周りに定められている。ロボット450aは、このエンベロープ650a内で動作することにより、ラック30および40それぞれと一次サンプルコンテナステーション140との間でコンテナ01および02を移動する。また、デキャッパ450aは、このエンベロープ650a内でコンテナ01および02のデキャップおよびリキャップを行う。また、デキャッパ450aは、バーコードスキャナがコンテナをスキャン可能となるように、作成/変換アセンブリ130におけるバーコードスキャナ(図示せず)を考慮して、これらのコンテナ01および02を位置決めする。
ピペット操作ロボット480の動作エンベロープ680は、第1の予備分析処理デッキ24上で、ピペットチップラックスペース180およびサンプル作成/変換アセンブリ130の周りに定められている。ロボット480は、このエンベロープ680内で動作することにより、使い捨てピペットチップの回収および処理を行うとともに、一定分量を吸引して、一次サンプルコンテナステーション140における一次第1種または第2種コンテナ01、02から二次サンプルコンテナステーション150における二次第1種コンテナ03まで移動する。
第2のデキャッパロボット450bの動作エンベロープ650bは、サンプル作成/変換アセンブリ130、ピペットチップラックスペース180、ならびに第3および第4のラックスペース114/116の周りに定められている。ロボット450bは、このエンベロープ650b内で動作することにより、二次サンプルコンテナステーション150に対して、空の第3種コンテナ03および第3のラックスペース114/116に位置付けられたラック50からの対照群が投入された第3種コンテナ03を移送する。また、第2のデキャッパロボット450bは、このエンベロープ650b内でこれらのコンテナのデキャップおよびリキャップを行う。また、デキャッパ450bは、バーコードスキャナが識別バーコードをスキャン可能となるように、バーコードスキャナを考慮して、これらのコンテナを位置決めする。
第2のピックアンドプレースロボット410bの動作エンベロープ610bは、第2の予備分析処理デッキ410c上で、スペース200、バーコードスキャナ205、バッチ蓄積エリア210、およびボルテクサ220の周りに定められている。ロボット410bは、このエンベロープ610b内で動作することにより、スペース200に位置付けられたラック50、バッチ蓄積エリア210内のレセプタクル212、およびバルクボルテクサ220の間で一次および二次第3種コンテナ03を移動する。特に、ロボット410bは一般的に、スペース200からバッチ蓄積エリア210まで、および、バッチ蓄積エリア210(または、スペース200から直接)バルクボルテクサ220まで、コンテナ03を移動する。また、ロボット410bは、バーコードスキャナがコンテナをスキャン可能となるように、作成/変換アセンブリ130におけるバーコードスキャナ(図示せず)を考慮して、これらのコンテナ03を位置決めする。
第3のピックアンドプレースロボット410cの動作エンベロープ610cは、第2の予備分析処理デッキ26上で、バッチ蓄積エリア210、バルクボルテクサ220、加温器230、冷却器290、ならびに第1および第2のシャトルドッキングステーション260a、260bの周りに定められている。ロボット410cは、このエンベロープ610c内で動作することにより、上記特定の器具および場所の間で一次および二次第3種コンテナ03を移動する。特に、ロボット410cは一般的に、バッチ蓄積エリア210およびバルクボルテクサ220から加温器230、冷却器290、およびシャトルハンドリングアセンブリ240までコンテナ03を移動する。このため、第2のピックアンドプレースロボット410bが一般的に、コンテナ03をバルクボルテクサ220およびバッチ蓄積エリア210へと移動する一方、第3のピックアンドプレースロボット410cは一般的に、バルクボルテクサ220およびバッチ蓄積エリア210から離れる方向にコンテナ03を移動する。
[システムモジュール]
図19は、システム10内のサブシステムとして一体的に作用することにより一般的な機能を実行する上記特定の器具および場所/スペースのうちの多くのグループである複数のモジュール710、720、730、740、750を示している。言い換えると、各器具および場所/スペースには、1つまたは複数の特定の機能が割り当てられており、モジュール内の他の器具および場所/スペースと連携した動作の場合に、より一般的な機能ひいてはシステム10の全体動作が実現される。図示のように、システム10は、I/O・事後分析モジュール710、サンプル変換/作成モジュール710、予備前処理モジュール720、前処理モジュール740、シャトル処理モジュール750、および消耗品蓄積モジュール760を具備する。
[I/O・事後分析モジュール]
I/O・事後分析モジュール710は、システム10の始点でもあり、終点でもある。別の言い方をすると、消耗品がモジュール710からシステム10に入り、複数のルートのうちの1つにおいてシステム10を流れ、このモジュール710に戻ることで移動ループが閉じる。モジュール710は、I/Oポート120、第1のサンプルラックスペース110、コンテナエレベータ100、第3のシャトルドッキングステーション260c、および第1のピックアンドプレースロボット410aを具備する。
このモジュール710において、I/Oポート(受入/排出ポート)120は、ユーザからあらゆるラックおよびサンプルコンテナを受け、要求された場合にこれらのラックをユーザに出力する。たとえば、I/Oポートは、二次サンプルコンテナとして後で使用される空の第3種コンテナ03を含むサンプルラック50、対照群が投入された第3種コンテナ03を含むサンプルラック50、一次第3種サンプルコンテナ03を含むサンプルラック50、一次第1種サンプルコンテナ01を含むサンプルラック30、一次第2種サンプルコンテナ02を含むサンプルラック40、および使い捨てピペットチップが装填されたピペットチップラック182を受ける。
また、I/Oポート(受入/排出ポート)120は、分析器を通った使用済みの一次第3種コンテナ03を含むサンプルラック50、分析器を通った使用済みの一次第3種コンテナ03を含むサンプルラック50、分析器を通った対照群を含む使用済みの第3種コンテナ03を含むサンプルラック50、一定分量が抽出された一次第1種サンプルコンテナ01を含むサンプルラック30、一定分量が抽出された一次第2種サンプルコンテナ02を含むサンプルラック40、および空の使い捨てピペットチップラック182を出力(排出)する。
また、モジュール710は、1つまたは複数の分析器A1・・・Anから戻ったシャトル280を受容するとともに、任意選択として、内部に配設されたコンテナを封止して格納する。たとえば、シャトル280が第3のシャトルドッキングステーション260cで受容され、内部のコンテナが第1のサンプルラックスペース110のラック50に移動して、エレベータ100により封止される。
[サンプル変換/作成モジュール]
サンプル変換/作成モジュール720は、第2、第3、および第4のラックスペース112および114/116、ピペットチップラックスペース180、サンプル作成/変換アセンブリ130、デキャッパロボット450a、450b、ならびにピペット操作ロボット480を具備する。モジュール720は、一次コンテナから二次コンテナへとサンプルを変換する。サンプル作成/変換には一般的に、一次および二次コンテナのバーコードの照合、一次コンテナから二次コンテナへの一定分量の移動、検査固有の希釈剤による一定分量の希釈、ならびにコンテナのボルテクス(撹拌)を含む。また、このモジュール720は、第3のスペース114のラック50を二次第3種コンテナ03で満たすとともに、必要に応じて1つまたは複数の対照群に混ぜ込む。このようなラック50は、サンプル変換/作成モジュール720から予備前処理モジュール720に移動する。
[予備前処理モジュール]
予備前処理モジュール730は、ラック50用のスペース200、バッチ蓄積エリア210、バーコードスキャナ205、バルクボルテクサ220、および第2のピックアンドプレースロボット410bを具備する。予備前処理モジュール730は、二次第3種コンテナ03および変換モジュール720からの対照群のボルテクスおよび蓄積を行う。また、予備前処理モジュール730は、作成/変換モジュール720を迂回した一次第1種コンテナ03のボルテクスおよび蓄積も行う(以下に詳しく論じる)。これらのコンテナ03は、バッチとして蓄積され、最終的に分析器に分配される。たとえば、分析器は、最大36個のコンテナから成るバッチに対して特定の検査を実行する容量を有していてもよい。予備前処理モジュール730は、各コンテナ03内のサンプルに実行される検査を識別し、サンプル内に微粒子を懸濁し、サンプルに前処理が必要かを判定し、前処理モジュール740および/またはサンプル移動モジュール750への移動に先立って、36個以下のコンテナ03から成る検査固有のバッチを蓄積する。たとえば、前処理モジュールは、12個または24個の一次および/または二次コンテナ03から成るバッチを蓄積するようにしてもよい。別の例において、前処理モジュールは、30個の一次および/もしくは二次コンテナ03ならびに2つの対照群コンテナを含むバッチを蓄積するようにしてもよい。
[前処理モジュール]
前処理モジュール740は、予備前処理モジュール720からのサンプルコンテナ03の一部を前処理する。前処理には、分析器への分配に先立つサンプルの予備加温および冷却を含む。ただし、システム10のいくつかの実施形態においては、電磁ビーズを含むサンプルの投入等、他の前処理動作をこのモジュールに含むことも可能である。モジュール740は、加温器230、冷却器290、および第3のピックアンドプレースロボット410cを具備する。サンプルの前処理の有無は一般的に、サンプルのバッチに実行される検査によって決まる。また、サンプルの予備加温および冷却の時間は一般的に、実行される検査によって決まる。たとえば、加温は、100℃での平衡後、およそ9〜17分間にわたって、およそ100〜115℃で実行されるようになっていてもよい。また、冷却は、およそ20分間以下またはサンプルの温度がおよそ40℃に達するまで実行されるようになっていてもよい。
[シャトル処理モジュール]
シャトル処理/移送モジュール750は、予備前処理モジュール720または前処理モジュール740からのバッチまたは一部のバッチをシャトル280に装填して、分析器に分配する。シャトル処理モジュール750は、シャトルハンドリングアセンブリ240およびシャトル移送アセンブリ300a、300bを具備する。
[消耗品蓄積モジュール]
消耗品蓄積モジュール760(図2に示す)は、格納デッキ22、ラックハンドラロボット320、およびラックエレベータ360を具備する。モジュール760は、システム10の消耗品を格納および蓄積し、第1および第2の予備分析処理デッキ24、26に対して分配する。たとえば、モジュール760は、およそ40個以下、好ましくは36個以下のラックと、およそ8個以下のバルク希釈剤コンテナとを格納および蓄積する。このようなラックとしては、サンプルラック30、40、および50、ならびにピペットチップラック182が挙げられる。このモジュールは、最大で勤務シフト全体にわたって装置の無人動作を可能にするのに十分な在庫を提供するのに役立つ。また、検査技師が他の仕事に迅速に移れるように、勤務シフトの全体にわたってランダムな間隔で、ユーザがラックを入力および回収可能となる。
[コンピュータシステム]
図20は、内部コンピュータシステム800の全体アーキテクチャを示している。コンピュータシステム800は、1つまたは複数のコンピュータ制御デバイス802、ユーザ制御/入力インターフェース810、ディスプレイインターフェース820、およびバス801を具備する。バス801は、ユーザインターフェース810およびモジュールがコンピュータ制御デバイス802と往復通信可能となるように、ユーザインターフェース810、コンピュータ制御デバイス802、およびモジュール710、720、730、740、750を接続する。また、プロセッサ804と往復通信可能となるように、分析器830、840をバスにモジュール接続可能である。
[コンピュータ制御デバイスおよびプロセッサ]
コンピュータ制御デバイス802は、任意の汎用コンピュータであってもよく、また、プロセッサ804、メモリ806、および汎用コンピュータ制御デバイス中に通常存在する他の構成要素を含んでいてもよい。ただし、コンピュータ制御デバイス802は、特定の演算プロセスを実行する特殊ハードウェア構成要素を含み得る。プロセッサ804は、市販のCPU等、従来の任意のプロセッサであってもよい。あるいは、プロセッサ804は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)または他のハードウェアベースのプロセッサ等、専用の構成要素であってもよい。
[メモリ]
メモリ806は、プロセッサ804が実行可能な命令808等、プロセッサ804がアクセス可能な情報を格納するようにしてもよい。また、メモリ806は、プロセッサ804による読み出し、操作、または格納が可能なデータ809も含み得る。メモリ806としては、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD−ROM、書き込み可能メモリ、およびリードオンリーメモリ等、プロセッサ804がアクセス可能な情報を格納可能な任意の持続性タイプが可能である。
命令808としては、プロセッサ804が直接実行する任意一組の命令(マシン語等)も可能であるし、プロセッサ804が間接的に実行する任意一組の命令(スクリプト等)も可能である。この点、本明細書においては、用語「命令(instruction)」、「アプリケーション(application)」、「ステップ(step)」、および「プログラム(program)」を区別なく使用可能である。命令808は、プロセッサ804による直接処理のためのオブジェクトコードフォーマットで格納することも可能であるし、オンデマンドの解釈または事前のコンパイルがなされる独立したソースコードモジュールのスクリプトまたは集合体を含むその他任意のコンピュータデバイス言語で格納することも可能である。
システム10の一実施形態において、コンピュータシステム800は、それぞれが動作モードと関連付けられた複数組の命令を含んでいてもよい。たとえば、コンピュータシステム800は、装填モードおよび取り外しモードを含んでいてもよい。
装填モードは、消耗品のシステム10への装填に関する特定のタスクの実行をユーザ入力と併せてプロセッサに指示する一組の装填命令を含む。たとえば、ユーザが入力モードを選択した場合、プロセッサ804は、一組の命令808を実行することにより、ディスプレイインターフェース820を介してユーザに、サンプルコンテナの中身(たとえば、対照群、空のサンプルコンテナ、またはサンプル)を識別した後、ユーザによりI/Oポート120を通じてシステム10に装填された場合のこれらコンテナを保持するラックにユーザ識別情報をデジタル的にタグ付けすることを求めるようにしてもよい。別の装填命令は、ラック格納スペース22中のラック格納位置へとラックを移動させるように、ラックハンドラロボットを動作させる。プロセッサ804は、一組の装填モード命令によって、システム10に装填された各後続ラックにデジタル的なタグ付けを行い、ユーザによる別のオプションの選択またはモードの変更まで、このようなラックを同じように格納デッキ22へと移動させるように、さらに指示される。
取り外しモードは、消耗品のシステム10からの取り外しに関する特定のタスクの実行をユーザ入力と併せてプロセッサ804に指示する一組の命令である。たとえば、ユーザが取り外しを選択した場合、プロセッサ804は、ディスプレイインターフェース820を介してユーザに、取り外したいサンプルコンテナを尋ねる。ユーザが所望の情報を入力した後、別の取り外し命令は、サンプルコンテナを含むラックをI/Oポート120に配送するように、ラックハンドラロボット320を動作させる。
ユーザは、各チューブとの個別の相互作用の必要なく、サンプルを装填する。システムは、各サンプルチューブを個別にスキャンし、コンピュータシステム800との相互作用によって、当該チューブに指示されたテストを調べる。たとえばピペット等の消耗品は、テストを実行する器具に用いられる一方で、患者サンプルでもなければ、検査に対する患者サンプルの移送に使用されることもないアイテムであって、コンピュータシステム800による管理も把握もなされない。サンプルと空との間の違いは、機械の前部でユーザにより示されるとともに(サンプルの初期設定、空を対象とした特別選択)、器具によって確認されることになる。対照群は同じサイズおよび形状でラックに装填されるが、ユーザが対照群を装填していることを器具が把握できるように、特殊なバーコードを有することになる。
データは、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)を通じて入力および確認される。データとしては、バルク希釈剤コンテナの希釈剤組成、サンプルコンテナの種類、一定分量、実行する検査、患者情報、前処理パラメータ(たとえば、加温時間、加温温度、冷却時間、および冷却温度)、サンプルの希釈パラメータ(たとえば、希釈剤の組成および分量)、ならびに分析器情報(たとえば、システム10に対する分析器の場所、分析器の検査メニュー、および分析器のバッチ容量)が挙げられるが、これらに限定されない。
このデータは、フィールド実装または関係データベースにおいて、特定の識別コード(たとえば、バーコードシリアル番号)に対してデジタル的にタグ付け可能であり、また、メモリ806に格納されるようになっていてもよい。これは、システム10がさまざまな消耗品を内部に記録するのに役立つとともに、ユーザ入力の必要なく、プロセッサ命令808の実行時に特定の情報をプロセッサ804に提供するのに役立つ。たとえば、ラック30、40、または50は、内部に配設されたコンテナの種類等、特定の格納データをタグ付け可能な識別コードを有していてもよい。別の例において、サンプルコンテナ01、02、または03は、患者の名前、実行する検査、前処理パラメータ、および希釈剤パラメータ等、特定の格納データをタグ付け可能な識別コードを有していてもよい。別の例において、システム10に結合された分析器は、分析器情報をデジタル的にタグ付け可能な識別コードを有していてもよい。
図20は、プロセッサ804、メモリ806、およびコンピュータ制御デバイス802の他の要素が同じブロック内にあるものとして機能的に示しているが、コンピュータ制御デバイス802、プロセッサ804、および/またはメモリ806にはそれぞれ、複数のプロセッサ、コンピュータ制御デバイス、およびメモリを備えることができ、これらが同じ物理的ハウジング内に収容されていてもよいし、収容されていなくてもよい。たとえば、メモリ806としては、コンピュータ制御デバイス802とは異なるハウジング中に位置付けられたハードドライブまたは他の記憶媒体が可能である。したがって、プロセッサ804、コンピュータ制御デバイス802、およびメモリ806に対する言及は、一連のプロセッサ、コンピュータ制御デバイス、およびメモリに対する言及を含むことが了解され、これらは並列に動作するようになっていてもよいし、並列に動作しなくてもよい。
[ディスプレイインターフェース]
ディスプレイインターフェース820は、システム10を囲むハウジングの前面パネルに結合されるか、または、システム10から離れて位置付けられたモニタ、LCDパネル等(図示せず)を含む。ディスプレイインターフェース820は、ユーザに関連し得るGUI、ユーザプロンプト、ユーザ指示、および他の情報を表示する。
[ユーザ制御/入力インターフェース]
ユーザ制御/入力インターフェース810によれば、ユーザは、GUIのナビゲーション、コマンドの提供、およびユーザに与えられたプロンプトまたは指示に対する応答が可能となる。ユーザ制御/入力インターフェース810としては、たとえばタッチパネル、キーボード、またはマウスが可能である。また、プロンプト等を表示するデバイスおよびユーザによる前記プロンプトへの応答を可能にするデバイスが同じデバイスとなるように、入力インターフェース810をディスプレイインターフェース820に組み込むことも可能である。
[接続]
図20に示すように、モジュール710、720、730、740、750、および760は、バス801を介してコンピュータ制御デバイスに接続されている。より詳細には、コンピュータ制御デバイス802のプロセッサ804が各モジュール内の各動作可能デバイスを動作させることにより、プロセッサ命令808に基づく動作の出力または情報の受信を行う。たとえば、I/O・事後分析モジュール710に関して、コンピュータ制御デバイス802は、第1のピックアンドプレースロボット410a、エレベータ100、およびバーコードスキャナ(図示せず)に接続されている。サンプル変換/作成モジュール720に関して、コンピュータ制御デバイス802は、第1および第2のデキャッパロボット450a、450b、ピペット操作ロボット480、クランプアセンブリ160、希釈剤注入バルブ176、一次および二次サンプルコンテナステーション14、150、ならびにバーコードスキャナ(図示せず)に接続されている。サンプル予備前処理モジュール730に関して、コンピュータ制御デバイス802は、第2のピックアンドプレースロボット410b、バーコードスキャナ205、およびバルクボルテクサ220に接続されている。前処理モジュール740に関して、コンピュータ制御デバイス802は、第3のピックアンドプレースロボット410c、加温器230、および冷却器290に接続されている。シャトル処理モジュール750に関して、コンピュータ制御デバイス802は、ラックハンドラアセンブリ240、バーコードスキャナ(図示せず)、およびシャトル移送アセンブリ300a、300bに接続されている。消耗品蓄積モジュール760に関して、コンピュータ制御デバイス802は、ラックハンドラロボット320およびラックエレベータ360に接続されている。また、コンピュータ制御デバイス802は、システム10の周りに分散し、システム10内でのアイテムの位置付けおよび追跡に使用可能な他のセンサに接続されていてもよい。
[システム動作の方法]
前述の通り、システム10は、格納デッキ22中に位置付けられたバルク希釈剤コンテナ14を除いて、すべての消耗品を受けるI/Oポート120を有する。システム10は、ユーザの補助が限られた状態で消耗品を識別した後、消耗品のハンドリング方法を決定する。この点、各消耗品は、I/Oポート120を始点および終点とするシステム10を通る経路を有するとともに、分析器への迂回路を含んでいてもよい。システム10の動作方法を以下に説明する。
[概要]
図21に示すように、方法900は一般的に、I/OのI/Oポート120および事後分析モジュール710を通じて消耗品を受容すること(902)を含む。その後、消耗品を消耗品蓄積モジュール760に送って、第1の蓄積エリア22で蓄積(904)またはキュー入力を行い、別の動作を行う。
ピペットチップ、対照群、空の二次コンテナ、および特定の一次コンテナ等、消耗品のうちの一部をサンプル作成/変換モジュール720に移動させて、一定分量のサンプルを一次コンテナから二次コンテナに移動する(906)。
サンプル作成が完了し、二次サンプルが生成されたら、二次コンテナおよび対照群を予備前処理モジュール730に移送して、第2の蓄積エリア210で蓄積する(908)。一次サンプルコンテナおよび空のラック等、変換モジュール720内に位置付けられたその他の消耗品を消耗品蓄積モジュール760に戻して、第1の蓄積エリア22内に蓄積する(908)。第1の蓄積エリア22に戻ったこれらの消耗品は、いつでもユーザにより回収され、システム10から出力されるようになっていてもよい。また、必要に応じて、第1の蓄積エリア22から一次サンプルコンテナを変換モジュール720に戻して、別の一定分量を抽出することも可能である。
一部の一次サンプルコンテナは、変換(906)を迂回する(920)とともに、消耗品蓄積モジュール760から予備前処理モジュール730に直接送られる。変換モジュール720から送られたその他のコンテナとともに、これらの一次サンプルコンテナを第2の蓄積エリア210で蓄積する(908)。
一次および二次サンプルコンテナならびに対照群の完了したバッチが第2の蓄積エリア210で蓄積された場合またはユーザが未完了バッチの即座の前処理を能動的または受動的に要求する場合は、このバッチが前処理モジュール740に送られ、サンプル/対照群が前処理(予備加温および冷却等)される。このデバイスは、当業者に周知された幅広い処理条件を提供するように構成されている。本明細書においては、具体的な処理条件を説明しない。能動的な処理リクエストとして、ユーザは、ユーザインターフェース810を介してリアルタイムリクエストをシステム10に入力可能である。受動的な処理リクエストとして、特定の条件が満たされる場合に未完了のバッチを即座に前処理する予めプログラムされたリクエストが挙げられる。たとえば、ユーザは、完了または未完了に関わらず、毎週金曜日の午後5時にバッチの即座の前処理を予めプログラムするようにしてもよい。その後、バッチをサンプル移動モジュール750に送り、シャトルに装填して分析器に分配する(924)。
前処理が不要な場合は、バッチが前処理(922)を迂回する(926)とともに、シャトル処理モジュール750に案内される。ここで、バッチをシャトル280に装填して、1つまたは複数の分析器のうちの1つに分配する(924)。
分析が完了した場合は、使用済みのバッチを分析器から回収する(928)とともに、I/O・事後分析モジュール710に送り、使用済みのサンプルコンテナをシャトル280から取り出し、ラック50に配置し、任意選択として封止した後、消耗品蓄積モジュール760に移送して、第1の蓄積エリア22で再び蓄積する(930)。要求があればいつでも、第1の蓄積エリア22から使用済みのコンテナバッチをユーザに出力する(932)ことも可能である。
[受容/入力および第1の蓄積]
方法900のより詳しい説明においては、システム10が消耗品を受け取る(902)。このような消耗品としては、一次第1種サンプルコンテナ01を搬送するラック30、一次第2種サンプルコンテナ02を搬送するラック40、一次第3種サンプルコンテナ03を搬送するラック50、対照群が投入された第3種サンプルコンテナ03を搬送するラック50、空の第3種コンテナ03を搬送するラック50、および使い捨てピペットチップ489を搬送するラック182が挙げられる。
これらのラックは、ユーザの希望により任意の順序で、I/Oポート120を介してシステム10に装填される。システム10は、装填される消耗品の種類を自動的に決定する。この点、使い捨てピペットチップを搬送するラック182をユーザがI/Oポート120を介して装填した場合は、I/Oポート120のバーコードスキャナ(図示せず)がラック182上のバーコードをスキャンする。関連する識別番号がピペットチップと関連付けられたものとして、システム10により認識される。そして、このID番号がメモリ806に格納され、メモリ806内で「ピペットチップ」タグがタグ付けされる。これは、プロセッサ804がラック182のプロセスフローを決定するのに役立つ。ラックハンドラロボット320は、プロセッサ804により指示されると、I/Oポート120までシステム10を横断し、係合アーム322によってラック182をI/Oポート120から取り出す。その後、ラックハンドラロボット320は、ラック182を第1の蓄積エリア22(ラック格納デッキ)へと搬送して、内部のラック格納位置に載置する。このラック格納位置の座標は、メモリ806内のラックの識別番号にタグ付けされる。これは、ラックハンドラロボット320が後でラック182の位置を特定するのに役立つ。
一次第1種コンテナ01を含むラック30をユーザがI/Oポート120に入力すると、I/Oポート120のバーコードスキャナがラック30上のバーコードをスキャンする。プロセッサ804は、第1種サンプルコンテナ01が分析器に適合しないことから、変換を要する搬送コンテナとして、サンプルラック30をその識別番号により認識する。ラック30の識別番号は、メモリ806に格納され、「要変換」タグがタグ付けされる。これは、プロセッサ804がラック30のプロセスフローを決定するのに役立つ。ラックハンドラロボット320は、プロセッサ804により指示されると、I/Oポート120までシステム10を横断し、係合アーム322によってラック30をI/Oポート120から取り出す。その後、ラックハンドラロボット320は、ラック30を第1の蓄積エリア22へと搬送して、ラック格納位置に載置する。このラック格納位置の座標は、メモリ806内のラックの識別番号にタグ付けされる。ラック40が搬送する第2種コンテナ02についても、分析器に適合しないことから、一次第2種コンテナ02を含むラック40がラック30と同様にハンドリングされる。このため、I/Oポート120を通じてシステム10に入力されたラック40がスキャンされ、一次第2種コンテナ02を含むものとして認識され、「要変換」とタグ付けされ、格納デッキ22内に格納される。このようなタグ付けにより、プロセッサ804は、ラック30および40のプロセスフローを決定可能となる。
一方、前述の通り、ラック50は、空の第3種サンプルコンテナ03、サンプルが含まれる一次第3種コンテナ03、または対照群をそれぞれ含む第3種サンプルコンテナ03を含んでいてもよい。この点、システム10は、システム10への入力またはユーザの補助に際して、これらのうちでラック50が搬送するものを自動的に決定可能である。たとえば、一実施形態において、各ラック50は、装填物の種類と関連付けられた識別番号を有していてもよい。このため、空のコンテナ03を含むラック50は、システム10が認識可能なID番号を有していてもよい。サンプルおよび対照群を含むラック50にも同じことが当てはまる。あるいは、システム10は、ラック自体のスキャンによってI/Oポート120でラック50を識別した後、ラック50として識別されたら、ラック50を変換モジュール720または予備前処理モジュール730に移送して、ラック50内のコンテナ03をデキャッパロボットまたはピックアンドプレースロボットにより取り出し、個別スキャンによって、ラック50に含まれる装填物の種類をさらに決定可能である。このように、ラック自体から抽出された情報またはラックからの情報とその個々のコンテナとの組み合わせによって、ラック50およびその装填物の自動識別が可能となる。
別の実施形態において、システム10は、I/Oポート120を通じて挿入されたラック50が、サンプルを含む一次第3種コンテナ03を含むとの仮定を初期設定として有していてもよい。ユーザは、ユーザインターフェース810を介して、この初期設定を無効化するようにしてもよい。たとえば、ユーザは、空のコンテナ03を含むラック50を装填するとともに、ラック50のI/Oポート120への挿入の直前または直後に、ユーザインターフェース810上に与えられた「空のコンテナ」というオプションを選択することにより、初期設定を無効化するようにしてもよい。さらに別の実施形態において、ユーザは、システム10に入力されるラック50ごとに、ラック50が搬送する装填物の種類を識別するようにしてもよい。
I/Oポート120でラック50がスキャンされ、その装填物が決定されたら、ラックハンドラロボット320は、第1の蓄積エリア22内のラック格納位置にラック50を移送する。このラック格納位置の座標は、メモリ806内のラックの識別番号にタグ付けされる。
システム10は、上述のラックを多数ハンドリングするように構成可能である。たとえば、システム10は、上述の通り、I/Oポート120を通じた各ラックの装填によって、第1の蓄積エリア22に最大36個のラックを蓄積可能である。これにより、ユーザは、サンプルコンテナ、対照群、空のコンテナ、またはピペットによって簡単にラックを満たした上で、システム10に入力可能となる。たとえば、勤務シフトの最初には、「入力モード」を選択可能であり、システム10が最大容量に達するまで各ラックを装填可能である。その後、ユーザは、シフト全体にわたり放置可能となる。ただし、「入力モード」は、不定サンプルまたは他の消耗品の装填のため、必要に応じて一日中、定期的に選択可能である。
上記識別されたラック、特にラック30、40、および50は、システム10により受容されたら、キューに配置されて、さらに作成および前処理が行われる。一般的に、このようなラックおよび消耗品は、システム10により受容された順序でキューに配置される。ただし、ユーザは、「優先」としてラックを識別可能であり、この場合のラックは、持ち上げられてキューに入り、即座に作成および前処理が行われる。これは、ユーザインターフェース810を介してユーザにより実行されるようになっていてもよい。
システム10は、ラックハンドリング時のエラーを検出して応答するロジックのプロセッサ804を有する。I/Oポート120へのラックの配置により、予備分析システム10に対して、ラックが空であるか、または、コンテナを搬送中であるか(空であるか、または、サンプルもしくは試薬を含むか)をオペレータに尋ねさせるセンサがトリガされる。オペレータにより与えられた情報は、ラックマネージャに転送される。ラック中のコンテナがスキャンされ、スキャンされた情報は、予備分析システム10の動作を管理するプロセッサ804に転送される。また、ラック用のスペースの有無を判定するため、システムデータが読み出される。
ラックがチップラック182の場合は、チップラックのバーコードが読み取られる。バーコードを読み取れない場合は、チップラック182がI/Oポート120に戻される。チップコードが正しい場合またはチップラックがスキャンされなかった場合で、ラック用の空間が存在すると判定された場合は、チップラックが予備分析システム中に移動する。空間が存在しない場合は、チップラック182がI/Oポート120に戻る。
I/Oポート120は、2つのセンサ(図示せず)を有する。前センサは、ラック(30、40、50、182)がポート120に配置されたことを示し、後センサは、予備分析システム10内でさらに移動させるため、ポート120中へと十分に遠くラックが配置されたかを判定する。後センサがラックを識別しない場合は、エラーメッセージが出されて、オペレータに通知される。予備分析システム10は、ラック用の空間の有無を判定する。その後、ラックロボット320は、利用可能となった場合に、I/Oポート120からラックを回収する。ラックロボット320は、I/Oポート120に移動してラックを回収する。運動エラーが検出された場合は、モジュール動作が停止となってオペレータに通知される前に、ラックロボット320が低速で1回だけ再試行を行う。ラックの装填に先立って、I/Oポート120におけるラックストッパの係合が解除される。ラックストッパに関する運動エラーが検出された場合は、モジュール動作が停止となってオペレータに通知される前に、1回だけ再試行を行う。ラックハンドリングロボット320は、サンプルラックに係合して、I/Oポート120からキャリッジ350上に引っ張り出す。この受け渡しに関する運動エラーが検出された場合は、モジュール動作が停止となってオペレータに通知される前に、1回だけ再試行を行う。
I/Oポート120の有無センサ、ホテルセンサ、およびラックハンドリングロボットのセンサのステータスは、評価されて、ロジックテーブルと比較される。センサの測定値が別のラック処理と関連付けられた測定値と一致しない場合は、エンドモジュール動作が開始となる。センサの測定値が一致する場合、ラックハンドリングロボット320は、移動アーム322をそのホームまたは中間位置に移動させる。アーム322がホームに戻らない場合は、エラーメッセージが出される。ラックが配置されるラック格納エリア22中の場所とラックハンドリングロボット320が位置合わせされた場合は、サンプルラックストッパとの係合がなされる。運動エラーが検出された場合は、モジュール動作が停止となってオペレータに通知される前に、低速で1回だけ再試行を行う。そして、サンプルラックは、ラック格納エリア22中の指定場所へと取り外されるように位置決めされる。運動エラーが検出された場合は、モジュール動作が停止となってオペレータに通知される前に、低速で1回だけ再試行を行う。ラック格納エリア22におけるラックの取り外しに先立って、ラック格納エリア22が空であるかを評価して判定する。空でない場合は、異常があるため、モジュール動作が停止となる。ラック位置が空の場合、ラックロボット320は、ラック格納エリア22においてラックをラック位置へと摺動させる。運動エラーが検出された場合は、モジュール動作が停止となってオペレータに通知される前に、低速で1回だけ再試行を行う。ラック格納エリア中の正しい場所にラックが適正に配置されたことを確認するため、センサが設けられている。センサが適正配置を示していない場合は、モジュール動作が停止となって、オペレータに通知される。
ラックロボット320のラック移動アーム322がラックからの係合解除後に、その中間/ホーム位置に後退しているかを検出するセンサが設けられている。アーム322が後退していない場合は、エラーメッセージが送信されて、モジュール動作が停止となる。そして、ラック在庫が更新される。
ラック格納エリア22からI/Oポート120までラックを移動させるコマンドに応答して、同様の動作およびロジックがもたらされる。コマンドがある場合、システム10は、I/Oセンサに対して、I/Oポート120が占有されているかの確認を問い合わせる。I/Oポート120にラックがある場合は、ラックハンドリングサブシステムが一時停止となる。I/Oポート120にラックがない場合、システム10は、ロボット320が利用可能であるかを判定する。利用不可能な場合、システム10は待機する。そして、ラックロボット320は、利用可能な場合に、格納エリア22内のラック位置まで移動して、ラックを回収する。運動エラーが検出された場合は、モジュール動作が停止となってオペレータに通知される前に、低速で1回だけ再試行を行う。システム10は、ラック格納エリア22中の場所からのセンサフィードバックがラック在庫情報に一致することを確認する。この位置が空であることをセンサが示す場合、これは動作終了の異常であり、オペレータに通知される。この位置が占有されている場合は、本明細書の他の場所に記載の通り、サンプルラックハンドラロボット320がサンプルラックに係合する。ラック格納センサおよびラックロボット320上の前後センサは、ラックのラックハンドリングロボット320への移動の成否を示すことになる。移動アーム322は、ラックが接続された状態で後退するが、そうしない場合は、機構異常が示される。アーム322がその中間位置まで適正に後退した場合は、ロボット320がラックをI/Oポート120まで移動させ、そのセンサの協働によって、ラックロボット320からI/Oポート120へのラックの取り外しに成功したかが判定される。ラックがI/Oポート120に配置されると、オペレータが取り出すように警告される。
また、システム10は、ラック格納エリア22中のある場所から別の場所にラックが移動する際に発生するエラーを識別するセンサおよびルーチンを含む。上述の通り、ラック格納エリア22のラック位置およびラックハンドリングロボット320上のセンサは、特定の場所におけるラックの存在(または、不在)をシステム10に知らせる。移動ごとに、運動エラーがモニタリングされる。運動エラーが発生した場合は、低速で運動が再試行される。再びエラーが発生した場合は、モジュール動作が打ち切られて、オペレータに知らされる。上述の通り、ラックがある位置から別の位置に移動した場合は、新たな情報でラック在庫が更新される。
[変換]
ラックが第1の蓄積エリアに装填されたら、システム10は、サンプルの作成および前処理を開始する。これには、サンプル変換(906)を含む。変換(906)に関して、ラックハンドラロボット320は、プロセッサ804により指示されると、ピペットチップラック182をそのラック格納位置から取り出して、スペース180の第1の予備分析処理デッキ24上に配置する。また、ラックハンドラロボット320は、対照群を含むラック50をそのラック格納位置から自動的に取り出して、ラックスペース114/116に配置する。同様に、ラックハンドラロボット320は、空の第3種コンテナ03を含むラック50をそのラック格納位置から取り出して、第3のラックスペース114/116に配置する。また、ラックハンドラロボット320は、ラック30をそのラック格納位置から取り出して、第2のラックスペース112の第1の予備分析処理デッキ24上に配置する。ただし、コンテナが過去に貫通したキャップを有するラック40またはラック50についても、第2のラックスペース112に配置して変換可能であることが了解されるものとする。
その後、第1のデキャッパロボット450aは、プロセッサ804により指示されると、一次第1種コンテナ01を把持し、ラック30から持ち上げて変換モジュール720内のバーコードスキャナ(図示せず)の前方に配置することにより、コンテナ01上のバーコードが読み取られるようにする。このバーコードは、コンテナ01内に位置付けられたサンプルに実行する検査(メモリ806に格納)をプロセッサ804に通知する。その後、デキャッパ450aは、一次サンプルコンテナステーション140において、コンテナ01をレセプタクル142中に載置する。そして、プロセッサ804は、電動式ベース144内のモータの動作によって、コンテナのボルテクスおよびサンプルの再懸濁を行うようにしてもよい。コンテナ01のボルテクスの有無は、実行する検査によって決まり得る。また、ボルテクスの条件(たとえば、継続時間および速度)は、コンテナの種類および実行する検査によって決まり得る。このような決定は、プロセッサ804により行われる。デキャッパ450aは、コンテナ01の再把持およびデキャップを行う(図8Aに最も良く見られる)。
同様に、第2のデキャッパロボット450bは、プロセッサ804により指示されると、ラック50内の空の第3種コンテナ03を把持し、ラック50から持ち上げて変換モジュール720内のバーコードスキャナの前方に配置することにより、コンテナ03上のバーコードが読み取られるようにする。そして、プロセッサ804は、一次第1種コンテナ01の識別番号を空の第3種コンテナ03と関連付けるが、これには、実行する検査をコンテナ03と関連付けることを含む。デキャッパ450bは、二次サンプルコンテナステーション150において、空の第3種コンテナ03をレセプタクル152中に載置する。デキャッパ450bは、コンテナ01をデキャップする。この時点で、開放された第3種コンテナ03は、希釈剤ディスペンサ170の吐出口174の直下に配設されている。実行する検査に基づいて、プロセッサ804は、実行する特定の検査に適した希釈剤を含む選択バルク希釈剤コンテナ14のチャンネル175上の注入ポンプ176を動作させる。選択チャンネル175から第3種コンテナ03中へと、制御された分量の希釈剤が分注される。
その後、ピペット操作ロボット480は、ラック182から使い捨てピペットチップ489を回収するとともに、一次サンプルコンテナステーション140の一次第1種コンテナ01から一定分量を吸引する。その後、ピペット操作ロボット480が一定分量を分注する第3種コンテナ03は、ここで二次第3種コンテナ03になる。デキャッパ450bがコンテナ03をリキャップし、プロセッサ804が二次ステーション150の電動式ベース154内のモータを動作させることにより、二次第3種コンテナ03のボルテクスによって、希釈剤をサンプルおよび懸濁微粒子と混合する。
一次第1種コンテナ01は、デキャッパロボット450aによりリキャップされ、スペース112のラック30に戻される。また、二次第3種コンテナ03は、デキャッパ450bを介して、二次サンプルコンテナステーション150からスペース114/116のラック50に戻される。デキャッパ450bは、対照群を含む第3種コンテナ03を定期的に把持して、スペース114/116のラック50から取り出す。対照群は、デキャッパによって、スペース114のラック50中に配置される。
変換(960)は、スペース114のラック50が二次第3種コンテナで満たされるまで、ラック30および50中の他のコンテナについて繰り返される。ラック30が搬送するコンテナはラック50よりも少ないため、必要に応じて追加ラック30、40、または50をラックスペース112に移動させて、ラック50を二次サンプルコンテナで満たし続けるようにしてもよい。
コンテナがデキャップ不可能な場合、プロセッサ804は、スペース114のラック50にコンテナ03を戻すように、デキャッパロボット450bに指示する。最前列またはラック50から始まる連続列に沿って、右から左または左から右へと、別の任意のデキャップ異常が並んでいる。プロセッサ804がディスプレイインターフェース820を介してユーザに警告し、ユーザがその後、ラック50を呼び出し可能である。デキャップ異常が並んでいることにより、ラック50がシステム10から出力されると、ユーザは、欠陥コンテナを容易に識別してトラブルシューティングを行い得る。
第3種サンプルコンテナ03がリキャップ不可能な場合は、キャップされていないサンプルがドリップトレイの上方で保持される。作成用の一次サンプルが取得されたサンプルコンテナは、リキャップされて、入力ラック(30または40)に戻される。システム10は、ラックが詰まった場合、一時停止状態を入力する。このような一時停止状態においては、ラックがペナルティボックスに配置される。プロセスのすべてのサンプル変換が完了した後、変換ロボットはすべて、それぞれのホーム位置に後退する。
[第2の蓄積]
サンプル変換(906)に続いて、二次第3種コンテナ03は、第1の蓄積エリア22に送り返されてキューに入り、別途処理された後、第2の蓄積エリア210に送られる。あるいは、二次第3種コンテナ03は、変換(906)が完了したら、変換モジュール720から直接、第2の蓄積エリア210に送られる。この点、ラック50が二次第3種コンテナ03(および、対照群)で満たされた場合、ラックハンドラロボット320は、スペース114からラック50を取り出してラックエレベータ360に受け渡す。ラックエレベータ360が受け取ったら、プロセッサ804は、ラック50が上昇してスペース200の予備前処理モジュール730に入るように、エレベータ360を動作させる。この場所で、第2のピックアンドプレースロボット310bは、ラック50から個別に二次第3種コンテナ03(および、対照群)を取り出し、サンプルに対して実行する検査を識別するバーコードスキャナ205を考慮して配置する。そして、ピックアンドプレースロボット310bは、これらのコンテナ03を同じ検査順序のグループまたはバッチとして、第2の蓄積エリア210に配置する。たとえば、腸内細菌検査を要するサンプルを含むサンプルコンテナ03が類似コンテナとグループ化され得る一方、グループB連鎖球菌検査を要するサンプルを含む他のコンテナ03は、別個のバッチとして一体的にグループ化されるようになっていてもよい。これにより、他のラック50からあふれ出たサンプルコンテナ03を一体的にバッチ化して、後で分析器へと移動可能になる。ただし、バッチ内の各コンテナが位置付けられた場所をコンピュータシステム800が把握しているため、十分なバッチが蓄積された場合に回収可能となることから、類似コンテナをバッチとして一体的にグループ化可能であり、また、異なる検査に対して指定されたコンテナを両者間に配設可能となるように、第2の蓄積210内で離間して配置可能である。
コンテナのバーコードが読み取り不可能な場合、プロセッサ804は、スペース200のラック50にコンテナ03を戻すように、ピックアンドプレースロボット310bに指示する。最前列またはラック50から始まる連続列に沿って、右から左または左から右へと、別の任意のバーコードスキャン異常が並んでいる。プロセッサ804がディスプレイインターフェース820を介してユーザに警告し、ユーザがその後、ラック50を呼び出し可能である。バーコードスキャン異常が並んでいることにより、ラック50がシステム10から出力されると、ユーザは、欠陥コンテナを容易に識別してトラブルシューティングを行い得る。
変換(906)後の第2の蓄積エリア210における二次第3種コンテナ03の蓄積のほか、第1の蓄積エリア22においては、変換プロセス(906)において利用可能な他の消耗品が再び蓄積される。これは、供給源の枯渇時またはそのような枯渇に先立って起こり得る。より詳細に、ピペットチップラック182の使い捨てピペットチップ489が枯渇した場合、ラックハンドラロボット320は、ラックスペース180からラック182を取り出して、第1の蓄積エリア22のラック格納位置に載置する。同様に、ラック50の対照群が枯渇した場合、ラックハンドラロボット320は、ラックスペース114/116からラック50を取り出して、第1の蓄積エリア22のラック格納位置に載置する。これらの空のラック50および182は、ユーザのリクエストによりいつでも、第1の蓄積エリアからの取り出し(910)およびユーザへの出力(932)が行われるようになっていてもよい。
また、ラック30(または、40)の各コンテナ01(または、02)から一定分量が取得された場合、ラックハンドラロボット320は、ラックスペース112からラック30を取り出して、第1の蓄積エリア22のラック格納位置に載置する。そこから、ラックハンドラロボット320によるラック30の変換モジュール720への転向(907)によって、そのコンテナのうちの1つまたは複数から別の分量を取り出し、別途分析するようにしてもよい。また、ラック30は、ユーザのリクエストにより、第1の蓄積エリア22からの取り出し(910)およびユーザへの出力(932)が行われるようになっていてもよい。
システム10に装填された消耗品の多くが変換モジュール720を通過するものの、特定のコンテナは、サンプル変換(906)の迂回(920)によって、さらに蓄積される(908)。特に、一次第3種コンテナ03は、分析器に適するため変換を必要としないことから、変換(906)の迂回(920)が可能である。この点、ラックハンドラ320は、プロセッサ804により指示されると、一次第3種コンテナ03を含むラック50を第1の蓄積エリア22中のラック格納位置から取り出す。ラックハンドラ320は、変換モジュール720を迂回して、ラック50をラックエレベータ360に直接運ぶ。ラック50は、ラックエレベータ360に受け渡される。ラックエレベータ360が受け取ったら、プロセッサ804は、ラック50が上昇してスペース200の予備前処理モジュール730に入るように、エレベータ360を動作させる。この場所で、第2のピックアンドプレースロボット410bは、ラック50から個別に一次第3種コンテナ03を取り出し、含まれるサンプルに対して実行する検査を識別するバーコードスキャナ205を考慮して配置する。そして、ピックアンドプレースロボット410bは、これらのコンテナ03を同じ検査のグループまたはバッチとして、第2の蓄積エリア210に配置する。バーコードスキャン異常が再び、好ましい順序でラック50に戻される。ラック50が空になるか、または、バーコード異常のみを含む場合は、ラックエレベータ360およびラックハンドラによる移動によって、第1の蓄積エリア22に戻される。
このため、上述の通り、第2の蓄積エリア210には、一次第3種コンテナ03、二次第3種コンテナ03、および蓄積バッチ間で分配される対照群を含む第3種コンテナ03を含み得る。
[前処理]
コンテナ03のバッチがバッチ蓄積エリア210に蓄積する状態で、完了したバッチが前処理(922)および/または分析器への分配(924)に送られる。この点、プロセッサ804は、バッチサイズを記録し、バッチサイズが指定分析器のバッチ容量に一致した場合は、コンテナ03のバッチをバルクボルテクサ220に装填するように、第2のピックアンドプレースロボット410bに指示する。プロセッサ804は、サンプルの再懸濁のために設けられたボルテクサ220を動作させる。
バッチのコンテナ03に含まれるサンプルが前処理(922)を要する場合、第3のピックアンドプレースロボット410cは、プロセッサ804により指示されると、バルクボルテクサ220から各第3種コンテナ03を取り出して、加温器230のレセプタクル234に個別に配置する。これらのコンテナ03のバーコードがスキャナ205によりスキャンされた場合は、前処理に関する情報が、メモリ806内の各コンテナの識別番号と関連付けられている。このような情報としては、加温時間、加温温度、および冷却時間が挙げられる。たとえば、コンテナ03のバッチは、およそ9〜17分間にわたって、およそ100〜115℃まで、サンプルの加熱を要する場合がある。プロセッサ804は、当該プロセッサが決定した設定点で加温器230を動作させることにより、指定の加熱条件を実現する。割り当て時間が経過した場合は、第3のピックアンドプレースロボット410cによって、加温器230に配置された順序でバッチのコンテナ03が取り出され、冷却器290に移される。プロセッサ804は、ファン296を動作させることにより、コンテナの種類および実行する検査によって決まり得る時間にわたって、サンプルコンテナ03のバッチを対流冷却する。
バッチのコンテナ03を含むサンプルは、前処理(922)を必要としない場合、第3のピックアンドプレースロボット410cによってバルクボルテクサ220またはバッチ蓄積エリア210から取り出され、シャトル処理モジュール750に移動することで、前処理(922)を迂回する。
[分配]
バッチは、前処理(922)の完了または迂回により、動作エンベロープ610c内の任意の場所から第3のピックアンドプレースロボット410cによりピックアップされ、第1または第2のドッキングステーション260a、260bの一方でドッキングされたシャトル280のレセプタクル283に配置される。各シャトル280のレセプタクル283は、バッチ全体より少なくてもよい。このため、ピックアンドプレースロボット410cは、単一のバッチに対して複数のシャトル280を装填するようにしてもよい。たとえば、シャトル280は、12個のレセプタクル283を含んでいてもよく、バッチは、24個の第3種コンテナ03を含んでいてもよい。このため、本例では、バッチに対して2つのシャトル280が満たされる。
1つまたは複数のシャトル280が満たされると、移動アームアセンブリ270は、ドッキングステーション260aまたは260bからシャトル280をピックアップし、シャトル処理モジュール750内に位置付けられてシャトル280上のバーコードをスキャンするバーコードスキャナ(図示せず)を通過させる。プロセッサ804は、シャトルの識別番号と内部のコンテナ03の識別番号とのリンクあるいは関連付けを行うが、これは、コンテナ03の場所の追跡に役立つ。
また、プロセッサ804は、実行する検査に関する情報を呼び出し、メモリ806に格納された分析器情報に基づいて、特定の検査の実行に適するシステム10に結合された分析器を決定する。たとえば、システム10の右側に結合された第1の分析器830が淋病検査等の第1の検査を実行する一方、システム10の左側に結合された第2の分析器840がHPV検査等の第2の検査を実行するようにしてもよい。バッチが第1の検査を必要とする場合、プロセッサ804は、第1の分析器830を選択して、シャトル280を第1のシャトル移送アセンブリ300a上に配置するように、移動アーム270を動作させる。そして、第1の移送アセンブリ300aの動作により、シャトル280を第1の分析器830に移送する。逆に、バッチが第2の検査を必要とする場合、プロセッサ804は、第2の分析器840を選択して、シャトル280を第2のシャトル移送アセンブリ300b上に配置するように、移動アーム270を動作させる。そして、第2の移送アセンブリ300bの動作により、シャトルを第1の分析器830に移送する。バッチが複数のシャトル280を満たすのに十分な大きさである場合は、移動アームアセンブリ270が残りのシャトル280を指定の移送アセンブリ300aまたは300bに移動させ、これらがシャトル280を適当な分析器830または840に分配する。プロセッサ804は、指定の分析器と連通して、シャトル280の受容の準備ができたことを分析器に通知する。このワークフローを図22Cに示す。上述の通り、図示のワークフローにおいては、サンプルコンテナがサンプルの残りの部分を搬送する状態で、シャトルが戻る。サンプルコンテナが第2のテストのために分析器に送られる場合は、第2の分析器に対して指定されていないサンプルを搬送するサンプルコンテナが取り外される間、サンプルコンテナはシャトルに残っていてもよい。バッチを第2の分析器へと搬送するように指定されたシャトルに空のレセプタクルが存在する場合は、第2の分析器に対して指定された付加的なサンプルコンテナを追加可能である。
[回収]
分析が完了した場合は、シャトル280およびその内部のサンプルコンテナ03が分析器830または840から回収される。この点、分析器は、プロセッサ804と連通して、シャトル280がシステム10に戻されていることをシステム10に通知するとともに、穿孔に失敗した貫通可能キャップ等、検査を完了できなかったコンテナ03のいずれかを識別する。この情報は、プロセッサ804によってメモリ806に格納され、特定のコンテナの識別番号と関連付けられる。その後、シャトル280は、シャトルハンドリングアセンブリ240に達するまで、移送アセンブリ300a、300bに沿って移送される。移動アーム270は、プロセッサ804により指示されると、適当な移送アセンブリからシャトル280を回収して、第3のドッキングステーション260cに配置する。
図18を参照して、サンプルの受入番号が読み取られ、予備分析システムの演算デバイス1350がワークフロー演算デバイス1330からの指示によって、2つ以上の分析器と関連付けられた2つ以上のテストに対して受入番号を関連付ける場合は、本明細書に記載の通り、サンプルが作成されて第1の分析器に送られる。サンプルが戻された場合は、サンプルコンテナがシャトル280から取り出されて、ラックに配置される[ELSEWHERE YOU STATE THAT THE SAMPLE CAN REMAIN IN THE SHUTTLE IF STI+ IS ORDERED]。サンプルのバーコードが読み取られ、配置されたラックとサンプルが関連付けられる。ラックがいっぱいの場合は、[IS THE RACK LOADED RANDOMLY; HOW。
[第3の蓄積]
この時点で、穿孔キャップを有し得る使用済みの第3種コンテナ03は、第1の蓄積エリア22において再び蓄積される(930)。この点、ラックハンドラロボット320によって、全部または一部が空のラック50が第1の蓄積エリア22から移動して、第1の予備分析処理デッキ24上の第1のラックスペース110に配送される。第1のピックアンドプレースロボット410aは、プロセッサ804により指示されると、シャトル280から使用済みの各第3種コンテナ03を取り出し、I/O・事後分析モジュール710に位置付けられたバーコードスキャナ(図示せず)の前方に配置して、コンテナ03を識別する。コンテナ03が分析不可能なものとして識別された場合、このようなコンテナ03および類似する他のコンテナは、ラック50のレセプタクル列で前から後ろに向かって満たされる。コンテナ03が分析器により分析されるものとして識別された場合、ピックアンドプレースロボットは、このようなコンテナ03および類似する他のコンテナをラック50のレセプタクル列で前から後ろに向かって配置する。これにより、分析不可能であったコンテナを容易に識別可能な場所でグループ化することによって、ユーザが迅速に異常コンテナの位置を特定できるとともに、この問題のトラブルシューティングが可能となる。
ラック50がスペース110で満杯またはそれに近くなると、エレベータ100が任意選択として、穿孔コンテナを封止する。あるいは、ラック50中への配置に先立って、各穿孔コンテナが封止されるようになっていてもよい。その後、ラックハンドラ320は、スペース110からラック50を取り出して、第1の蓄積エリア22内のラック格納位置に移動させる。
[出力]
使用済みのコンテナ03を含むラック50は、ユーザがその出力932を要求するまで、第1の蓄積エリア22に留まる。この点、ユーザは、ラックハンドラロボット320からの補助を案内するユーザ制御インターフェース810を介して、システム10を「取り外しモード」に移行させるようにしてもよい。プロセッサ804は、ディスプレイインターフェース820を介して、取り外したいアイテムをユーザに尋ね、取り外し対象の所定のアイテムリストを提供するようにしてもよいし、アイテムの識別番号に関連して患者の名前またはシステム10でタグ付けされたその他何らかの識別子をユーザが問い合わせられるようにする検索バーを提供するようにしてもよい。ユーザにより選択された場合、ラックハンドラロボット320は、関心アイテムと考えられる指定のラックまたは関心アイテムを含み得る指定のラックを取り出して、I/Oポート120に配送する。ここで、ユーザは、指定ラックをシステム10から取り出す。
蓄積ステップを含むこの方法800は、複数の利益をもたらす。このような利益の1つとして、蓄積により継続的に利用可能な消耗品の蓄えが得られるため、ラックまたはコンテナがキューで次のステップを待つことが多い不稼働時間が最小限に抑えられる。別の利益として、蓄積によりユーザが大量の消耗品をシステム10に供給可能となるため、ユーザは、相当な時間にわたって放置可能となる。上記蓄積の別の利益として、システム10は、バッチプロセッサおよびランダムアクセスシステムの両者が可能となる。より詳細に、分析用に作成されたサンプルコンテナ03は、分析器の容量に対応するバッチに蓄積されるため、分析器の出力が最大となる。また、第1または第2の予備分析処理デッキ上でも分析器中でもないサンプルコンテナは、格納デッキ22に蓄積される。これにより、ユーザは、サンプルコンテナをランダムに出力可能となる。さらに、ユーザは、必要に応じて、サンプルコンテナ、ピペットチップ、および他の消耗品を散発的に入力可能である。
本明細書の他の場所に記載の通り、システム10内の各プロセスおよびサブプロセスは、ハンドリングおよび処理時のエラーを解明して対処するエラーハンドリングルーチンを有する。本明細書に記載のエラーハンドリングルーチンは、ラックから個々のチューブを移動させ、ラック情報を読み取り、ラックから個々のサンプルコンテナを取り出し、バーコードスキャナの前方でコンテナをスピンさせてコンテナ情報を読み取るためのものである。
本明細書に記載のピックアンドプレースロボット410a〜410cおよびデキャッパロボット450a、450bの各運動がモニタリングされる。運動エラーが低速での1回の再試行により対処された後、動作が中断されて、動作中のエラーがオペレータに伝えられる。
また、本明細書に記載の大型の前処理システム10の各サブシステム/装置/機器は、それ自体の停電復旧プロトコルを有する。たとえば、ラックハンドリングロボット320、前処理バーコードリーダ、シャトルハンドリングロボット240、ボルテクサ220、加温器230、および冷却器290はすべて、システム10への電力が回復した際の予めプログラムされた停電復旧プロトコルを有する。また、これらはすべて、運動エラーを検出するとともに、いくつかの実施形態においては半分の速度で運動を再試行するプロセッサ/コントローラと連通したセンサを有する。運動エラーが続く場合は、このエラーが報告されるとともに、サブシステム/装置/デバイスの重要度に応じて、エラーが修正されるまで、分析器または特定のサブシステム/装置/デバイスが一時停止または遮断されるようになっていてもよい。本明細書においては、このようなプロトコルを診断自己テストとして説明する。また、加温器230および冷却器290も診断自己テストの対象となって、リアルタイムデータ確認により、加熱および冷却要素の適正な動作を保証する。たとえば、冷却器290で用いられるファンユニット296は、ファン速度をモニタリングする回転速度計を有する。システム10は、ファン速度が所定の範囲外となった場合に、これをオペレータに通知する。
[代替案]
[単一チューブの移送]
本発明から逸脱することなく、上述の特徴に関する多くの変形、追加、および組み合わせを利用可能である。たとえば、一定分量が一次コンテナから二次コンテナに移動することと、このような二次コンテナがラック50中に配置されることを説明した。ラック50は、全部または一部が二次コンテナで満たされると、ラックハンドラロボット320およびラックエレベータ360によって、変換モジュール720から第2の予備分析処理デッキ26に移送され、各サンプルコンテナ03が取り出される。図23は、任意選択としてシステム10’に含まれ、二次第3種コンテナ03で満たされたラック50全体の移送の代わりに、変換モジュール720から第2の予備分析処理デッキ26まで二次コンテナ03を移送可能な単一コンテナ移送手段1000を示している。
単一コンテナ移送手段1000は一般的に、水平レール1010、垂直レール1002、キャリッジ1020、カップ1006、およびモータを具備する。モータは、電源1016、固定子1014、および可動子1022が備えられた磁気リニアモータである。ただし、いくつかの実施形態において、モータとしては、ラックアンドピニオン機構に結合された回転電気モータが可能である。
水平レール1010は、ベース1012および固定子1014を具備する。固定子1014は、ベース1012の長さ方向に沿って延びるように、当該ベース1012に接続されている。また、細長スロット1013がベース1012の両側でその長さ方向に沿って延びている。電源1016は、ベース1012の一端に接続されて、固定子1022に電圧を加える。
キャリッジ1020は、横向き内面から延びた係合部材(図示せず)および下向き内面に取り付けられた可動子1022を含むU字状構造である。キャリッジ1020は、可動子1022が固定子1014の直上に位置決めされ、係合部材が細長スロット1013に係合するように、水平レール1010に接続されている。
垂直レール1004は、垂直レール1002の一部がキャリッジ1020および水平レール1010よりも下側に垂れ下がるように、垂直レール1002の一端がキャリッジ1020の外面に接続されている。カップ1006は、単一のコンテナ03を受容するようにサイズ規定されたレセプタクルを有し、垂直レール1004に摺動状態で接続されている。ただし、2つ以上のカップのアレイを垂直レール1004に取り付けて、1回の移動で2つ以上のコンテナ03を移送することも可能と考えられる。一実施形態において、カップ1006は、キャリッジ1020に取り付けられたモータ(図示せず)により、垂直レール1004に沿って上昇または降下可能である。別の実施形態においては、単一コンテナ移送手段360がラックエレベータ360と相互作用することにより、レール1004に沿ってカップ1006を上昇させるようにしてもよい。
システム10の左端で単一コンテナ移送手段を支持構成要素21に接続して、水平レール1010が前後方向に延びるようにすることも可能である。
動作方法において、一次サンプルが一次第1種または第2種コンテナ01、02から取得され、二次第3種コンテナ03に移されて二次サンプルが作成される場合、二次コンテナ03は、デキャッパロボット450bによって、二次コンテナステーション150からカップ1006中へと移動する。この時点で、カップ1006は、垂直レール1004の底端および水平レール1004の前端近くに位置決めされている。そして、電源1016が固定子1014に電圧を加えると、キャリッジ1020がシステム10の後部に向かって移動する。キャリッジの移動と同時またはそれに続いて、カップ1006が垂直レール1004に沿って、その最上部に達するまで上方に移動する。キャリッジ1020が水平レール1010の後端に達したら、モータがキャリッジ1020を停止させる。この時点で、コンテナ03は、ピックアンドプレースロボット410cの到達範囲内にあるため、ロボットが下方に伸びてカップ1006からコンテナ03を取り出し、バッチ蓄積エリア210へと移動させる。
その後、可動子1022および固定子1014がキャリッジ1020をシステム10の前部側に付勢し、カップ1006が垂直レール1004の最下部に向かって降下するため、カップ1006を別の二次第3種コンテナ03で満たすことができる。このシーケンスを必要に応じて繰り返すことにより、所望のワークフローに対応する。
ただし、単一コンテナ移送手段1000をシステム10’に含めることにより、二次コンテナを第2の予備分析処理デッキ24に移動させることも可能であるし、ラックハンドラロボット320の利用により、単一コンテナ移送手段が二次第3種コンテナ03を後方へ移動する間に、一次第3種コンテナ03をラックエレベータに移送することも可能である。
[サンプルコンテナ保持アセンブリ]
図24A〜図24Dは、システム10に追加可能な別の特徴であるサンプルコンテナ保持アセンブリ1100を示している。サンプルコンテナ03はそれぞれ、分析器が貫通させてサンプルを回収する貫通可能キャップ08(図24C参照)を具備していてもよい。これにより、ピペットチップまたはニードルがサンプルコンテナ03の貫通可能キャップに詰まる可能性がある。チップまたはニードルがコンテナ03から引き抜かれる際、チップまたはニードルによってコンテナが動き、コンテナ03の中身がこぼれたり、コンテナ03がワークフローから外れたりして、サンプルの損失、汚染の問題、または両者の原因となる可能性がある。ピペットニードルが引き抜かれる際にサンプルコンテナを固定するため、サンプルコンテナ保持アセンブリ1100は、対象分析器内またはその近傍に配設可能なシャトル移送アセンブリ300aおよび/または300bの端部に結合可能であるとともに、その使用によって、ピペットまたはニードルが除去される際に、サンプルコンテナ03をシャトル280内に保持可能である。これは、サンプル吸引または分注の後、サンプルコンテナ03が意図せずシャトル280から取り出されて中身がこぼれることを防止するのに役立つ。
サンプルコンテナ保持アセンブリ1100は一般的に、シャトル移送アセンブリ1110、クランプアセンブリ1150、およびモータアセンブリ1140を具備する。シャトル移送アセンブリとしては、図24A〜図24Dに示す実施形態1110または図13に関して上述したシャトル移送アセンブリ300等、任意のコンベヤアセンブリが可能である。
図示のように、シャトル移送アセンブリ1110は一般的に、細長コンベヤプラットフォーム1112またはトラックを具備する。いくつかの実施形態において、コンベヤプラットフォーム1112は、分析器に組み込み、シャトル移送アセンブリ300aおよび/または300bの端部に隣り合って配置することにより、両者間に小さな間隙が形成されるようにすることも可能である。他の実施形態において、コンベヤプラットフォーム1112は、分析器およびシステム10の両者に及んで、両者間に延びていてもよい。さらに他の実施形態において、コンベヤプラットフォーム1112は、システム10のみに配設されていてもよい。コンベヤプラットフォーム1112は、上面、底面、および側面1114を含む。コンベヤベルト1116が上面および底面に巻回され、当該コンベヤベルト1116を上面および底面に対して移動させるベルトアンドプーリ機構1118に結合されている。
また、シャトル移送アセンブリ1110は、アーム1122ならびにバンパーおよび/もしくは位置アームが備えられた逆転防止装置1120を具備する。アーム1122は、その第1の端部がコンベヤプラットフォーム1112の側面1114に取り付けられており、一般的には、当該アーム1122の第2の端部がコンベヤベルト1116の上方に位置決めされるように、湾曲または角度付きとなっている。バンパーは、バンパー部1126および当該バンパー部1226から延びたねじ山付き延伸部1124(図24B参照)を含む。バンパーは、第1または第2の方向の回転によってアーム1122に対するバンパー部1126の位置が調整可能となるように、ねじ山付き延伸部1124を介して、アーム1122の第2の端部に螺合している。このような調整によって、コンベヤベルトの移動方向と平行な方向にバンパー部1126が移動するため、コンベヤベルト1116上に配設された場合のシャトル280の適正な位置合わせに役立つ。
コンベヤプラットフォーム1112の対応する側面1114から第1および第2のガイドレール1130a、1130bが延びて、その長手方向部1132a、1132bがシャトル280の幅よりわずかに大きな距離だけ離隔するようになっている。ガイドレール1130はそれぞれ、コンベヤプラットフォーム1112に取り付けられた場合、コンベヤプラットフォーム1112から長手方向部1132a、1132bの底面1134まで延びた開口1134a、1134bを規定する(図24Aおよび図24Dに最も良く見られる)。これらの開口1134a、1134bは、コンベヤベルト1116上に位置決めされて逆転防止装置1120に隣接する場合のシャトル280の横方向開口286を露出させるのに十分な大きさである。
モータアセンブリは、モータ1141、ギアボックス1142、および駆動軸1148を具備する。モータ1141は、コンベヤプラットフォーム1112(側面1114等)に接続されているため、コンベヤベルト1116の移動に干渉することなく、プラットフォームの底面の直下に垂れ下がり、また、ギアボックス1142から延びた出力軸がコンベヤプラットフォーム1112の長さ方向と平行な方向に延びている。モータ1141としては、2つの方向に動作可能な任意の回転電気モータが可能である。ギアボックスは、モータ1141に対する出力軸1143の出力速度の低減および出力トルクの増大を行うように構成されていてもよい。
駆動軸1148は、その一端が同軸継手1146を介して軸1143に結合されている。モータ1141から離れた駆動軸1148の他端は、シャトル移送アセンブリ1110に接続された軸受に結合され、回転を可能にしつつ駆動軸1148を支持するのに役立つ。駆動軸1148には、一対のフランジ1145a、1145bが接続され、半径方向外方に延びている。フランジ1145a、1145bは互いにオフセットしており、駆動軸1148とともに回転可能であるとともに、たとえばピンを受容する開口を有することによって、クランプアセンブリ1150に接続されるように構成されている。
クランプアセンブリ1150は、てこブロック1150および2つのアームアセンブリ1160、1170を具備する。第1のアームアセンブリ1160は、一対の被駆動部材1162a、1162bおよび一対の中間部材1164a、1164bを具備する。また、第1のアームアセンブリ1160は、係合部材1166を具備する。
被駆動部材1162a、1162bは、それぞれが第1および第2の端部ならびに両者間に延びた長さを有するバーリンク機構である。同様に、中間部材1164a、1164bは、それぞれが第1および第2の端部ならびに両者間に延びた長さを有するバーリンク機構である。
係合部材1166は、第1および第2の端部ならびに両者間に延びた長さを有する。また、係合部材1166は、その長さに直交する幅を有する(図24C参照)。係合部材1166の長さは、シャトル280の長さとほぼ同じである。
また、係合部材1166は、その幅に対して斜角で側面から延びた尖頭部材1169のアレイを具備する。尖頭部材1169の数は、シャトル280の列中のレセプタクルの数に対応する。たとえば、図24Aおよび図24Cに示すように、シャトル280は、6つのレセプタクル283から成る第1の列281を含む。このため、図示の係合部材1166は、6つの尖頭部材1169を具備する。各尖頭部材1169は、シャトル280の横方向スロット286を分離する距離と実質的に等しい距離だけ、隣接する尖頭部材1169から分離されている。また、各尖頭部材1169は、横方向スロット286を通過するのに十分な長さおよび断面寸法を有するとともに、シャトル280内に配設されたコンテナ03の底部に圧接あるいは係合する。各尖頭部材1169の尖頭端は、窪みを付けるのに十分鋭く、場合によっては、コンテナ03の底部に穿孔して、ピペットチップが引き抜かれる際にシャトル中でコンテナを固定する。ただし、図24Cに示すように、コンテナ03は、底部に円筒状スカート07が配設されることにより、このようなスカート07の穿孔によって、サンプルが配設されるコンテナの部分が穿孔されないようにするのが好ましい。
てこブロック1152は一般的に、その長さ方向に沿って矩形凹部1154が延びた矩形ブロックである。この矩形凹部1154は、コンベヤプラットフォーム1112の幅よりもわずかに大きな幅を有し、てこブロックがコンベヤプラットフォーム1112の直下に大略配設されるとともにコンベヤプラットフォーム1112の左右方向に広がるように、コンベヤプラットフォーム1112の側面にそれぞれ取り付けられた対向延伸部1156、1157を規定する。矩形凹部1154は、コンベヤベルト1116が円滑に動作するためのスペースを形成する。
被駆動部材1162a、1162bの第1の端部はそれぞれ、駆動軸1148の対応するフランジ1145a、1145bに対して回転可能に接続されている。中間部材1164a、1164bはそれぞれ、その第1の端部が対応する被駆動部材1162a、1162bの第2の端部に対して回転可能に接続されている。中間部材1164a、1164bは、被駆動部材1162a、1162bに対してある角度で上方に延びるとともに、それぞれ、てこブロックの延伸部1156の両端に対して回転可能に接続されている。この接続は、ピン等の締結具を各中間部材1164a、1164bの第1および第2の端部間に挿通し、てこブロック1152に挿入することによって実現されていてもよい。また、中間部材1164a、1164bは、その第2の端部が係合部材1166の両端に固定接続されている。係合部材1116は、中間部材1164a、1164b間である距離だけ広がり、その長さは、中間部材1164a、1164bの長さに大略直交する。また、係合部材1166の幅は、尖頭部材1169がコンベヤベルト1116に向かって下方に角度付きとなるように、中間部材1164a、1164bの長さに対して大略直交方向に延びている(図24Cおよび図24Dに最も良く見られる)。
第2のアームアセンブリ1170は、上述の第1のアームアセンブリ1160と実質的に同じであり、第1のアームアセンブリ1160と同じように、駆動軸1148およびてこブロック1152に結合されている。特に、第2のアームアセンブリ1170は、一対の被駆動部材1172a、1172b、一対の中間部材1174a、1174b、およびシャトル280の第2の列282内のレセプタクル283の数に一致する尖頭部材1179のアレイを含む係合部材1176を具備する。被駆動部材1172a、1172bは、第1のアームアセンブリ1160の被駆動部材1162a、1162bと反対の位置で対応するフランジ1145a、1145bに枢動状態で接続されている。たとえば、被駆動部材1172a、1172bの端部は、被駆動部材1162a、1162bの接続位置からフランジ1145a、1145bの周りで実質的に180°の位置に接続されている。
アーム1160、1170は一般的に、てこブロック1152および駆動軸1148に接続されている場合、2つの位置を有する。第1の位置が解除位置であり、第2の位置が係合位置である。解除位置(図24Cに示す)では、被駆動部材1162a、1162bの第1の端部が非駆動部材1172a、1172bの第1の端部の上方に位置決めされるように、駆動軸1148が回転する。また、この位置では、第1のアームアセンブリ1160の被駆動アーム部材1162a、1162bと中間部材1164a、1164bとのなす角度が鋭角である一方、第2のアームアセンブリ1170の被駆動アーム部材1172a、1172bと中間部材1174a、1174bとのなす角度が鈍角である。ただし、反対の構成でも解除位置を定めることができ、被駆動端部1172a、1172bが被駆動端部1162a、1162bの上方に位置決めされ、中間部材1174a、1174bおよび1164a、1164bとなす角度がそれぞれ鋭角および鈍角であることが了解されるものとする。この解除位置において、係合部材1166、1176がプラットフォーム1112から離れる外方へ押されることにより、シャトル280がコンベヤベルト1116を移動して、逆転防止装置1120に接触可能となる。
係合位置(図24Dに示す)では、被駆動部材1162a、1162bおよび1172a、1172bの第1の端部が水平面と位置合わせされるように、駆動軸1148が回転する。また、この位置では、中間部材1164a、1164bおよび1174a、1174bがそれぞれ、駆動部材1162a、1162bおよび1172a、1172bに対して大略垂直である。この位置では、係合部材1166、1176がプラットフォーム1112に向かって内方へと押されることにより、係合部材1166、1176の幅が実質的に水平となり、尖頭部材1169、1179がガイドレール1132a、1132bの開口1134a、1134bをそれぞれ通って延びるとともに、コンベヤ1116上に配設された場合のシャトル280の横方向スロット286を通って延びる。
サンプルコンテナ保持の方法においては、シャトルハンドリングアセンブリ240等によって、コンテナ03が配設されたシャトル280がシャトル移送アセンブリ1110上に配置される。そして、ベルトアンドプーリ機構1118の動作により、シャトル移送アセンブリ1110の一端から他端へとコンベヤベルト1116およびシャトル280を移動させる。シャトル280が逆転防止装置1120に接触すると、シャトル280が逆転防止装置1120に接触したままとなるように、ベルト1116がオフとなる。
この時点では、上述の通り、クランプアセンブリ1150が解除位置にある。その後、モータ1141がオンとなって、駆動軸1148を第1の方向に回転させる。これにより、第1のアームアセンブリ1160の被駆動部材1162a、1162bの第1の端部が(軸1148と交差する水平面に対して)およそ90°位置からゼロ度位置へと駆動され、第2のアームアセンブリ1160の被駆動部材1172a、1172bの第1の端部がおよそ270°位置から180°位置へと駆動される(対比として図24Cおよび図24Dを参照)。このようになると、被駆動部材1162a、1162bおよび1172a、1172bによって、中間部材1164a、1164bおよび1174a、1174bがそれぞれ、プラットフォーム1112および垂直配向に向かって内方に回転する。そして、尖頭部材1169、1179がシャトル280の横方向開口286を通過して、内部に配設されたコンテナ03のスカート07に接触する。また、尖頭部材1169、1179がコンテナ03のスカート07に圧入されるように、モータ1141の動作によって尖頭部材1169、1179をさらに駆動可能である。
図24Dに示すように、尖頭部材1169、1179は、各コンテナ03に接触して、一方側のみからコンテナ03を把持する。シャトル280自体およびアームアセンブリ1160、1170が加える対向かつ略同一の圧力によって、尖頭部材1169、1179が食い込んでいる間、コンテナ03の移動が防止される。これにより、尖頭部材1169、1179は、コンテナのスカート03への窪みまたは穿孔の形成によって、サンプル吸引時にコンテナがシャトル280から垂直方向に抜け出すことを防止可能となる。
コンテナ03が十分に拘束されると、システム10は、サンプルの吸引または分注の準備が整った旨を分析器に伝える。分析器中に位置付けられたピペット(図示せず)がサンプルコンテナ03のキャップ08に穿通して、そこからサンプルを取り出し、診断テストまたはサンプル処理のための試薬の追加を行う。ピペットは、システム10に入り込んで、コンテナ03にアクセスするようにしてもよい。あるいは、クランプアセンブリ1150およびシャトル移送アセンブリ1110の端部が分析器内に配設され、ピペットが分析器内のコンテナ03にアクセスするのが好ましい。ピペットは、吸引または分注後にコンテナ03から引き抜くと、キャップの封止09に沿ってゆっくりと移動する。コンテナを一体的に搬送しようとするピペットの如何なる動きも、クランプアセンブリ1150の対向によって、ピペットの引き抜き中はコンテナ03がシャトル280中に固定される。
分析器は、サンプルの取り出しを完了したら、シャトル280をシステム10に戻す準備が整った旨をシステム10に伝える。その後、モータ1141が駆動軸1148を第2の方向(または、再び第1の方向)に回転させる。これにより、第1のアームアセンブリ1160の被駆動部材1162a、1162bの端部が90°位置に戻り、第2のアームアセンブリ1170の被駆動部材1172a、1172bの端部が270°位置に戻る。そして、中間部材1164a、1164bおよび1174a、1174bがプラットフォーム1112から離れる外方へと駆動され、係合部材1150がコンテナ03から係合解除される。その後、コンベヤベルト1116が動作して、シャトル280がシャトルハンドリングアセンブリ240に向かって移動する。
[代替的なチップエジェクタ]
図25A〜図25Dは、代替的なピペットヘッド1200を示している。ピペットヘッド1200は、メインボード1201およびピペットアセンブリ1202を具備する点において、ピペットヘッド500に類似する。ただし、ピペットヘッド1200は、統合されたz軸駆動機構を有する点が異なる。言い換えると、ピペットヘッド1200のz軸駆動機構がメインボード1201をピペットアセンブリ1202に結合する一方、ロボット480のz軸駆動機構は、メインボード501を介してピペットヘッド500をピペットアーム481に結合する。ヘッド1200のz軸駆動機構は、垂直レール1207と、メインボード1201に対して、垂直レール1207に沿ってピペットアセンブリ1202を移動させるモータ1209とを具備する。
また、ピペットアセンブリ1202は、チップエジェクタアセンブリおよびピペットチャンネルアセンブリを具備する点において、ピペットアセンブリ502に類似する。特に、ピペットチャンネルアセンブリは、チャンネルハウジング1210、ハウジング1210から延びたチップアダプタ1220、ハウジング1210に接続された制御ユニット1215、および制御ユニット1215に結合されたコネクタアーム1217を具備する点において、ピペットアセンブリ502のピペットチャンネルアセンブリに類似する。
ただし、ピペットアセンブリ1202は、チップエジェクタアセンブリに関して、ピペットアセンブリ502と異なる。特に、ピペットチップを意図的に排出するため、チップエジェクタ550に接続された浮遊軸560に係合するプッシャナット570を送りねじ540が動作させる点については、アセンブリ502に関して説明済みである。ただし、図25Dに示すように、送りねじ1280は、チップエジェクタ1250に直接つながって、チップ489を排出する。
このため、図示のように、ヘッド1200のチップエジェクタアセンブリは、エジェクタハウジング1240、モータ1290、チップエジェクタ1250、および送りねじ1280を具備する。ハウジング1240は、その長さ方向に延びた開口と、当該ハウジング1240の端部を通って延びた凹部1244とを含む。凹部1244は、ハウジング1240の全体を通って延びているわけではないため、その端部で終端面1246を規定する。
モータ1290は、エジェクタハウジング1240の上端に取り付けられるとともに、そこから延びた駆動軸1292を具備する。駆動軸1292は、スリップ継手等の継手1282を介して、送りねじ1280に接続されている。送りねじ1280は、ねじ山付き部分1286がハウジング1240の底部から延びるように、開口を通って延びている。
チップエジェクタ1250は、カニューレ状本体1252と、水平部1256および垂直部1258が備えられたアーム1258とを具備する点において、エジェクタ550に類似する。ただし、アーム1258は、その終端に光学センサ1251を具備する。組み立てに際して、チップアダプタ1220は、カニューレ状本体1252の開口を通って延び、カニューレ状本体1252は、チップアダプタ1220の長さ方向に沿って摺動可能である。送りねじ1280は、水平部1256に螺合接続されており、垂直部1258は、光学センサ1251が終端面1246に向けられるように、凹部1244に延入している。
ピペットヘッド1200の動作方法において、ピペットヘッド1200は、ピペットアーム481等のピペットアームを介して、使い捨てピペットチップ489の上方の位置へと移動する。モータ1209は、垂直レール1207に沿って、ピペットアセンブリ1202をチップ489に向かって駆動する。この時点では、送りねじ1286およびチップエジェクタ1250がチップオン位置にあり、チップエジェクタ1250の底縁1259がチップアダプタ1220の係合機構の上方に位置決めされるように、送りねじのねじ山がチップエジェクタ1250を上方へと駆動している。この位置では、垂直部1258の終端に配設された光学センサ1251が凹部1244内の終端面1246の近くにあるため、光学センサ1251および表面1246の接近の検出によって、チップオフ位置を示す出力信号が生成される。モータ1290は、ピペットチップ489が締まり嵌めによってチップアダプタ1220に接続されるように、ヘッド1200をさらに駆動する。
こうして、ピペットヘッド1200は、吸引および分注の準備が整っている。吸引および分注が完了となったら、ピペットヘッド1200は、第1の予備分析処理デッキ24のレセプタクル開口の上方に位置決めされ、チップ489が排出される。より詳細に、モータ1290が第1の方向に動作すると、送りねじ1280も第1の方向に回転することにより、ねじ山付き部分1286に沿って、チップエジェクタ1250の水平部1256が駆動される。カニューレ状本体1252の縁部1259は、チップ489に接触している。モータ1290が送りねじ1280の駆動を継続すると、カニューレ状本体1252がチップ489を押してチップアダプタ1220から引き離す。光学センサ1251は、チップエジェクタ1250がチップオフ位置となったタイミングまたは十分な距離を移動したタイミングの決定(予め決められていてもよい)によって、チップ489を排出し、これによりモータ1290が遮断される。その後、モータ1290が第2の方向に動作すると、送りねじ1280も第2の方向に回転することによって、チップエジェクタ1250が上昇してチップオン位置に戻り、別のピペットチップ489が回収される。
さらに、図25Cおよび図25Dに示すように、ピペットアセンブリ1202は、メインボード1201に対して第1の位置から第2の位置まで、垂直軸の周りに回転可能となるように、メインボード1201にヒンジ接続されている。特に、ピペットアセンブリは、垂直レール1207に摺動状態で接続されたキャリッジ1205にヒンジ接続されている。第1の位置においては、図25Aに示すように、エジェクタハウジング1240がメインボード1201に一致または対向する。第2の位置においては、ピペットアセンブリ1202がおよそ180°枢動することにより、メインボード1201に対する折り畳み関係の仮定によって、ピペットアセンブリ1202が占有するスペースを低減可能である。この位置にピペットアセンブリ1202を保持するため、ブラケット1208を使用可能である。
[代替的なコンピュータシステムアーキテクチャ]
図26は、本開示の別の実施形態に係る、システムに対応するコンピュータシステムアーキテクチャ1300を示している。アーキテクチャ1300は一般的に、ワークフローコンピュータ制御デバイス1330、予備分析システムコンピュータ制御デバイス1350、ならびに1つもしくは複数の分析器コンピュータ制御デバイス(ここでは、分析器ごとに1つずつ、2つの制御デバイス1360、1370として示している)を具備する。図示のように、ワークフローコンピュータ制御デバイス1330は、IPネットワーク1310に接続されており、これが検査室情報システム1340(「LIS」)に接続されている。LIS1340は、とりわけ患者レコードおよび情報を格納および保持する診断検査室または医療施設と関連付けられた既存の一般または専用システムであってもよい。IPネットワーク1310によれば、ワークフローコンピュータ制御デバイス1330は、LIS1340と連通して、両者間で情報を共有可能である。また、ワークフローコンピュータ制御デバイス1330は、コンピュータ制御デバイス1350、1360、および1370とともに、計装横断バス1320に接続されている。ただし、システム10で利用する分析器の数に応じて、設ける分析器コンピュータ制御デバイスの数は、より多くてもよいし、より少なくてもよい。この計装横断バス1320によれば、コンピュータ制御デバイス1350、1360、および1370は、ワークフロー演算デバイス1330と連通して、情報を共有可能である。
ワークフロー演算デバイス1330は、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを具備する。ワークフロー演算デバイス1330には、ユーザインターフェース810に類似するユーザインターフェース1332が接続されて、ユーザによる連通を可能にする。また、ワークフローコンピュータ制御デバイス1330には、システム10内および分析器のいずれかに位置付けられたスキャナ205等のバーコードスキャナ1334が接続されている。ワークフローコンピュータ制御デバイス1330のメモリには、アプリケーションが格納されていてもよい。このアプリケーションは、さまざまな消費実体からのデータの収集、指示通りのデータのコンパイル、およびさまざまな消費実体へのデータの提示を含む指示をデバイス1330のプロセッサに与える。このような消費実体としては、ユーザインターフェース1332を介するユーザ、LIS1340、バーコードスキャナ1334、予備分析システム演算デバイス1350、および分析器コンピュータ制御デバイス1360、1370が挙げられる。また、このような例示的データには、上記検査もしくは特定のサンプルに対して実行する検査(LISからデバイス1350、1360、および1370へのデータ)、器具およびサンプルステータス(デバイス1350、1360、1370からユーザへのデータ)、ならびに検査結果(デバイス1360、1370からユーザおよび/またはLISへのデータ)を含んでいてもよい。この点、ワークフローコンピュータ制御デバイス1330は、情報ハブとして作用する。
予備分析システムコンピュータ制御デバイス1350は、プロセッサおよびメモリを具備する点において、コンピュータ制御デバイス802に類似する。コンピュータ制御デバイス1350は、計装横断バス1320に接続されるほか、モジュール710、720、730、740、750、および760等、システム10の予備分析モジュール1354に接続されたモジュールバス1352に接続されており、これらとのコンピュータ制御デバイス1350の連通を可能にする。コンピュータ制御デバイス1350のメモリには、システム10内でのサンプルの作成および前処理に利用される物理的動作の制御を含む指示をプロセッサに与えるアプリケーションが格納されている。この点、アプリケーションは、コンピュータ制御デバイス1350のプロセッサを介して、予備分析モジュール1354内の各器具/デバイスを制御するのに役立つ。
また、分析器コンピュータ制御デバイス1360はそれぞれ、プロセッサおよびメモリを具備していてもよい。コンピュータ制御デバイス1360は、計装横断バス1320に接続されるほか、分析器A1の分析モジュールに接続されたモジュールバス1362に接続されており、これらとのコンピュータ制御デバイス1360の連通を可能にする。コンピュータ制御デバイス1360のメモリには、システム10を介して分析器A1に提供されたサンプルの分析に利用される物理的動作の制御を含む指示をプロセッサに与えるアプリケーションが格納されている。この点、コンピュータ制御デバイス1360は、そのプロセッサを介して、分析器A1内の各器具/デバイスを制御するのに役立つ。コンピュータ制御デバイス1370についても、その各分析器に対して同様に構成されている。
このため、図26に示すように、ワークフローコンピュータ制御デバイス1330は、複数の入力から情報を受信し、必要に応じてその情報を分配する。これにより、システム10は、1つもしくは複数の分析器ならびに情報共有ネットワークと完全に統合可能であり、複数の異なるコンテナに含まれる複数の異なるサンプルの作成および前処理をスマートに実行可能となる。ただし、完全な統合が必要なわけではない。予備分析システムは、独立型のシステムとして動作可能であり、サンプルが作成されたら、取り出して関連する分析器へと搬送することにより分析可能である。
また、アーキテクチャ1300の別の実施形態において、予備分析システムコンピュータ制御デバイス1350は、ワークフローコンピュータ制御デバイス1330としても作用し得る。したがって、このような実施形態においては、デバイス1350がIPネットワーク、ユーザインターフェース1332、およびバーコードスキャナ1334のほか、計装横断バス1320およびモジュールバス1352に直接接続されることになる。
[ワークフローの実施形態]
図26に加えて、図22Aは、予備分析システムモジュールが実行するプロセスフローの一例を示している。このプロセスフローは、変換の要否を問わないサンプル(すなわち、一次コンテナの種類01および02におけるLBCサンプル)および変換を要するサンプル(たとえば、一次サンプルコンテナの種類03において受容され、二次コンテナへの処理によってテストのためのバッチ化および分析モジュールへの移動を行うサンプル)のバッチ処理を可能にする。具体的に、図34を参照して、ユーザは、予備分析システムにサンプルおよび消耗品を装填する。受容時のサンプルは、一意の識別子(すなわち、受入番号)を有する。ラックの種類によって、ラック中のサンプルの種類がシステムに知らされるが、システムが特定のサンプルコンテナ上の情報を読み取るまで、予備分析システムはサンプルの詳細を把握できない。システムの目的がバッチ処理(すなわち、当該分析器と連通した分析器のうちの1つにおいて同じテストの対象となるサンプルを一体的に集約)であることから、予備分析システムに運び込まれるサンプルは、バッチ要件を満たすように再グループ化されるようになっていてもよい。予備分析システムは最初に、消耗品蓄積モジュール(図19Bの760)において、サンプルのラックおよび二次チューブを集約する。
予備分析システムが消耗品蓄積モジュールからデッキ上にラックを回収した場合、このラックは、サンプルチューブが予備分析モジュールを通過して分析モジュールに直接至るか、または、通過不可能であるか(この場合は、サンプルチューブから一次サンプルを引き出す必要があり、予備分析処理用の二次サンプルが作成される)を示す情報がスキャンされる。予備分析演算デバイス1350は、指定に応じて、異なる処理指示を与えることになる。
ピックアンドプレースロボット410(本明細書の他の場所に記載)は、ラックからサンプルコンテナを回収して、一次サンプルコンテナステーション140に配置する。一次サンプルコンテナのサンプル作成/ハンドリングは、以下のように制御される。ラベルリーダを使用して、このリーダは、ワークフロー演算デバイス1330により当該サンプルに対して指示された検査ワークフローを通知済みの予備分析演算デバイス1350にサンプルの受入コードを送る。サンプルがこれ以上作成されない場合は、当該サンプルのワークフローが決定され、(ラックスペース114、116の)キューに送られる。予備分析システムによって完全にはハンドリングできないコンテナにサンプルが受容されたものの、当該サンプルに対するサンプル作成が指示されていない場合は、当該サンプルコンテナにエラーとしてフラグが設定され、これ以上は処理されない。
サンプルが作成される場合は、ピックアンドプレースロボット410によって二次チューブが回収され、予め割り当てられたシリアル番号がサンプルの受入番号と関連付けられる。他の場所に記載の通り、サンプルの「作成」は、当該サンプルを予備分析システムに運び込んだコンテナから一次サンプル自体が取り出された場合に行われる。たとえば、システムによって、予備分析システムが完全にはハンドリングできないコンテナにサンプルが受容された場合は、システムがハンドリング可能な二次サンプルコンテナに受容および配置された一次サンプルがコンテナから取り出される。他の例において、一次サンプルに対する前処理指示は、予備分析システムが前処理試薬(たとえば、希釈剤、バッファ等)を一次サンプルに追加して二次サンプルを生成することを要求する。一例において、コントローラはその後、第3種サンプルコンテナから空のチューブへの所定分量のサンプルの移動をロボット分注器に行わせて、ISBT(国際輸血学会)128規格に準拠した二次サンプルの指定を生成する。ISBT128規格は、ヒト由来医療製品(MPHO)の特殊なトレーサビリティニーズを満たして、各製品のドナー−患者間リンクを与えるように、具体的に設計されたものである。特に、ドナーの識別を規格に組み込むことによって、この識別が世界的に一意となり、標準フォーマットで提示されて異なるデバイスプラットフォーム間で理解されるようにする。ISBT128は、当業者に周知されているため、ここで詳しく説明することはしない。ISBT128に関する詳細情報は、www.icbba.org/isbt−128−basicsで得られる。ISBTのラックが完了したら、これについてもキューに入れられる。ここでは、キューがいっぱいであり、必要な別の処理に関する指示をコントローラから受信しているかをセンサが判定する。
本明細書の他の場所に記載の通り、予備分析システムは、作成サンプルのバッチの処理に分析器が利用可能であるかを問い合わせる。この場合、予備分析演算デバイス1350は、分析器A1およびA2に利用し得る処理リソースを確定可能な情報をワークフロー演算デバイス1330に送信する必要がある。指定の分析器に対する所与のバッチを作成可能であることを示す信号を予備分析演算デバイス1350が受信したら、サンプルのバッチを含むラックがラックエレベータ360によってラック場所200に移動する。この移動は、予備分析演算デバイス350によって制御される。ワークフロー演算デバイス1330は、ラックからサンプルチューブを取り出してバッチ蓄積エリア210に移すように、ピックアンドプレースロボット410に指示する。ワークフロー演算デバイス1330が指示を出すと、ピックアンドプレースロボット410がサンプルチューブを加温器230に配置する。ワークフロー演算デバイス1330は、バッチベースでシャトルを装填するように、ピックアンドプレースロボット410に指示する。
その後、ワークフロー演算デバイス1330は、ピックアンドプレースロボットおよびシャトルハンドリングアセンブリ240の動作を調整して、サンプルのバッチをシャトルに組み付ける。シャトルハンドリングアセンブリ240およびその動作の詳細については、本明細書の他の場所に記載する。バッチ自体は、予め決定されたものである。バッチがシャトルに組み付けられたら、ワークフロー演算デバイスは、シャトル移送アセンブリ300上へのシャトル280の配置を制御する。
サンプル作成/変換に関する別途詳細については、図22Bに示している(サンプルは、HPV検査用である)。ラックに配設された多様な試薬およびコンテナが図示のステーションで受容される。ステーションへの入力の例としては、ポジティブおよび/またはネガティブな検査結果の対照群を有するコンテナを搬送するラックが挙げられる(すなわち、添加サンプルおよびクリアサンプル)。また、変換消耗品(すなわち、第3種コンテナ)と同様に、作成/変換を要するLBCサンプルを搬送するラックも入力される。作成/変換の出力が対照群(乾燥試薬も考えられ、分析処理のための対照群の作成には、希釈剤のみが追加される)、作成サンプル、および廃棄物である。サンプル作成/変換は、予備分析システムの外部のワークフロー演算デバイス1330からの指示も制御もなく、予備分析システム演算デバイス1350によって制御される。
一実施形態において、予備分析システムは、1)対照群サンプル、2)LBCサンプル、および3)非LBCサンプルに対する並列ワークフローを有する。なお、すべてのサンプルがスピナー/リーダのサンプルコンテナステーション140に配置される。LBCおよび非LBCサンプルの場合は、図8Aの説明に記載の通り、サンプルコンテナを搬送するサンプルラックがサンプルホルダのコンテナステーション140、150に隣り合って位置決めされ、サンプルチューブは、ボルテクスおよびデキャップを行うレセプタクル142に個別配置される。サンプルは、分析器に直接受け渡し可能な一次サンプルコンテナに入っていない場合、予備分析システム演算デバイス1350と本明細書の他の場所に記載のピペット操作ロボット480との間の通信によって、ピペット操作ロボット480を制御することにより、ステーション140のサンプルチューブから吸引される。本明細書の他の場所に記載の通り、ピペット操作ロボット480は、エンベロープ680内を移動することにより、使い捨てピペットチップの回収および処理を行うとともに、一定分量を吸引して、一次サンプルコンテナステーション140における一次第1種または第2種コンテナ01、02から二次サンプルコンテナステーション150における二次第3種コンテナ03まで移動するように制御される。
吸引後、予備分析演算デバイス1350は、所定分量の希釈剤を二次サンプルコンテナに分注する指示を希釈剤ディスペンサ170に送る。対照群チューブに関して、予備分析システムは、サンプルコンテナ上の受入番号により、対照群サンプルと関連付けられた指示(ワークフロー演算デバイス1330から予備分析演算デバイス1350に伝えられた処理指示)に基づいて、デキャッパロボット450への指示の発行により対照群サンプルをデキャップする。デキャップ後、予備分析演算デバイス1350は、対照群試薬を湿らせる指示を希釈剤ディスペンサ170に対して発行する。その後、デキャッパロボット450によって対照群がリキャップされる。
サンプルコンテナがデキャップ済みとなる動作が完了したら、デキャッパロボット450は、サンプルコンテナをリキャップする指示を受け取る。サンプルのリキャップ後、ピックアンドプレースロボット410は、リキャップされたサンプルをサンプルラック50に配置する指示を受け取る。いくつかの実施形態において、バッチ指定が共通するサンプルコンテナは、サンプルラック50において一体的にグループ化可能であるが、これは効率化のためであって、必須ではない。予備分析演算デバイス1350は、ピックアンドプレースロボットによるラック50の投入を制御する。予備分析演算デバイス1350により与えられた指示に従ってラック50が投入され、その情報が予備分析演算デバイス1350に運ばれたら、ラックエレベータ360の作動によってラック50がスペース200に運ばれ、ピックアンドプレースロボット410によって、サンプルコンテナがバッチ蓄積エリア210へと取り外される。この場合も、サンプルコンテナのバッチ蓄積エリアへの取り外しは、予備分析演算デバイス1350からの指示に基づいて制御される。
上記のような指示に従ってサンプルを230で予備加温すべきか否かについてのプロセスフローの一実施形態を図22Aに示す。ここでも、このワークフローに通じる「窓」が、サンプルコンテナ上に符号化されたサンプルに関する情報である。処理指示を含む当該情報は、プロセッサ(たとえば、予備分析演算デバイス1350)のルックアップテーブルから提供される。第1の予備分析処理デッキ24におけるスペース114のサンプルラックから移送されるすべてのサンプルは、変換アセンブリ130のスキャナによって読み取られる。上述の通り、スキャナは、予備分析演算デバイス1350等のプロセッサと通信する。サンプルが再テストで、予備加温済みの場合、予備分析演算デバイスは、この情報を保持する。特定のサンプルと関連付けられたワークフローが予備加温を必要とする場合、予備分析演算デバイス1350は、システムのサンプルにその旨のフラグを設定する。サンプルは、検査情報に基づいて、バッチに関連付けられる(たとえば、HPV検査のサンプルグループが一体的にバッチ化される)。スキャナ130に読み取られたサンプルをピックアンドプレースロボット410がバッチに配置すると、サンプルがラック50に投入され、バッチ蓄積エリア210に移送される。予備分析システム演算デバイス1350によって、仮想キューが作成される。このキューは、予備加温ステップを要するサンプルがないバッチ、一部のみが予備加温ステップを要する(一部が必要としない)バッチ、またはすべてが予備加温ステップを要するバッチに対して定められたものである。予備分析演算デバイスによってキューが決定されたら、バッチが解除される。このような解除によって、指示がピックアンドプレースロボット410に送られる。解除されたバッチのサンプルは、ボルテクサ220に投入される。ボルテクスが完了したら、サンプルがボルテクサ220から取り出されて、予備加温に送られた後、冷却器に送られる。あるいは、ピックアンドプレースロボットが予備分析システム演算デバイス1350によりその旨指示された場合は、サンプルがシャトル280に直接投入される。シャトル投入は、ピックアンドプレースロボットと連通した予備分析システム演算デバイス1350によって制御される。バッチサンプルの一部のみが予備加温を要する例においては、予備加温の完了後にシャトルに投入されるバッチのサンプルに対して、シャトルのレセプタクルが予約される。予備加温を要するサンプルがバッチにない場合、バッチのサンプルは、予備分析演算デバイス1350により与えられた指示によるボルテクスの後、ピックアンドプレースロボットによってシャトル280に直接投入される。
一実施形態においては、ラック中のサンプルコンテナのサンプル処理に先立って、予備分析システム演算デバイスが前処理キューおよび変換キューを確定済みである。これらのキューは、バッチ情報および処理情報によって定められている。
予備分析デバイスからのキュー指示によって、主格納デッキからラック50が選択される。ラックの種類(サンプルコンテナの種類を識別する(たとえば、Surepathコンテナ、Tripathコンテナ等))によって、予備分析システム演算デバイスは、二重テストを要する一方で変換を必要としないサンプルを取り出すように、ピックアンドプレースロボットに指示する。変換を要するサンプルについては、サンプルコンテナがカメラにより検査され、いずれかのサンプルチューブのキャップがなかったり、すでに穿通されていたりする場合には、エラーがあるものとしてラックにフラグが設定され、ホテルに戻される。予備分析演算デバイス1350は、この情報により更新される。
カメラがエラーを検出しない場合は、サンプル上のバーコードが読み取られ、一次サンプルコンテナステーションに配置されてボルテクスが行われる。サンプルラベルの検査により、受入番号を読み取る。受入番号が見つからない場合は、処理不可能なものとしてサンプルがラックに戻され、当該サンプルに関する情報が更新される。受入番号が読み取られた場合は、予備分析演算デバイス1350からサンプル変換アセンブリ130に与えられた処理指示に従って、サンプル変換アセンブリ130にてサンプル変換が実行される。このプロセスは、ラック中のサンプルチューブごとに繰り返される。ラックから取り出されるチューブの数がインクリメントされ、インクリメントされたチューブの数がラック中のチューブの数に等しくなったら、サンプル変換は完了となる。あるサンプルについてサンプル変換が完了となったら、二次サンプルコンテナが第3のサンプルラックスペース114/116のラックに運ばれる。変換用に一定分量のサンプルが取得されたサンプルコンテナを含むラック50は、ホテルに戻される。
受容ラックが通過ラックと決定された場合(すなわち、コンテナのサンプルが変換を必要としない場合)は、変換を必要とし得るチューブ(すなわち、採血チューブ)の存在について、当該ラックがカメラにより検査される。ラックが採血チューブを搬送するものと決定された場合は、当該情報によって、予備分析システム演算デバイス1350が当該ラックを変換用キューに配置することになる。ラックのチューブが混在する場合は、さらなる処理を阻止する問題を有するものとして、当該ラックのフラグが設定される。このような情報は、予備分析演算デバイスおよびワークフロー演算デバイスの両者に運ばれる。
受容ラックが採血チューブを含まない場合は、上述の通り、各サンプルのバーコードが読み取られる。このバーコード情報は、ワークフロー演算デバイスに送信されて、サンプル作成指示に用いられる。チューブが空であることを示すチューブコードが存在する場合、予備分析システム演算デバイス1350は、空のチューブと関連付けられる検査およびサンプルの種類を決定する。チューブコードが受入番号にリンクしている場合は、受入番号に割り当てられた検査プロトコルに従ってチューブが処理される。図示の実施形態において、検査は、GBS、HPV、尿等である。空のチューブのコードが存在しない場合は、チューブが「良いチューブ」であるか否かを示す情報がサンプルに設定される。このようなチューブは、作成を必要としないサンプルを含む。チューブの種類に関わらず、予備分析システム演算デバイスは通常、サンプルコンテナ上のコードまたは受入番号と関連付けられるワークフロー指示を有する。サンプルが「良いチューブ」ではなく、受入番号もない場合は、チューブがさらに処理されることなく、ラックに戻される。受入番号がある場合は、受入番号にリンクした1つまたは複数の検査に従って、サンプルが処理される。割り当てられた検査に応じて、チューブがキューに配置され、当該検査の他のサンプルとともにバッチ化される。このソートは、予備分析システム演算デバイス1350によって決定される。サンプルは、バッチ蓄積エリアにルーティングされ、検査指示に従ってさらに処理される(すなわち、ボルテクス、予備加温、バッチのシャトルへの装填等)。ワークフローは、受入番号に割り当てられた検査およびサンプルの種類(たとえば、尿、スワブ、LBC等)に依存する。HPV検査では、他の検査で必要とならない予備加温等のサンプル処理ステップが必要となる。特定の検査について、一次サンプルコンテナが、前処理システムによって完全にハンドリング可能な第3種チューブであっても、サンプルは作成を必要とする。
サンプルは、予備分析システム演算デバイスによって、バッチにソートされる。このようなソートは、仮想的である。バッチ蓄積エリア210に完了したバッチが存在する場合、予備分析演算デバイスは、バッチの受容にシャトルを利用可能であるかを判定する。バッチ中の如何なる対照群も、(必要に応じて)予備分析システムにより再水和されていることになる。前述の通り、検査に予備加温を要する場合は、そのように必要なサンプルが予備加温された後、シャトルがバッチとともに装填される。装填されたら、シャトル280がシャトルハンドリングアセンブリ240によって、外向ベルトへと移送される。この時点までに、シャトルは、すべての作成サンプル、作成を必要としないすべてのサンプル(LBCサンプル)、およびバッチの任意の対照群(たとえば、HPV検査対照群)を搬送しているはずである。ワークフロー演算デバイスと連通した予備分析演算デバイスは、バッチに関する情報を分析器演算デバイスと交換することにより、バッチに対する検査の実行を要する分析器が利用可能であるものと判定済みである。このように交換される情報は、バッチ識別情報、シャトルおよびシャトル中のサンプルのバーコード情報である。そして、シャトル移動アセンブリにより、シャトルが指定の分析器に運ばれる。移動中、予備分析システム演算デバイスは、ベルトセンサに対する問い合わせの後、受け渡しの完了を示す分析器からの信号を待つ。分析器演算デバイス1350は、シャトルの受容の準備が整った旨の信号を分析器演算デバイス1360に送信する。予備分析システム演算デバイスによってセンサが作動し、ベルトが適正に機能していることをセンサが確認した場合は、シャトルがシャトルハンドリングアセンブリ240に戻される。受け取りに際しては、予備分析演算デバイスがシャトルハンドリングアセンブリ240からの信号を受信し、予備分析演算デバイス1330は、シャトル280が受容済みである旨の信号を分析器演算デバイス1360に送信する。1つのバッチに2つ以上のシャトルが可能であることから、予備分析システムは、シャトルがバッチの最後であったかを問い合わせる。最後でない場合は、プロセスが繰り返される。
LBCサンプルおよび変換を要するサンプルコンテナのワークフローの一実施形態において、このワークフローは、システムに装填されてホテルに格納済みのLBCサンプルおよび変換を要するサンプルコンテナのラックを推定する。その後、予備分析システム演算デバイスは、LBCサンプルのラックを要求するが、これは、サンプル変換アセンブリ130を通じたプロセスである。このようなラックが複数存在する場合は、サンプル変換アセンブリと関連付けられたすべての利用可能なラック位置にこれらを配置可能である。これにより、複数のデキャッパを使用可能になるとともに、ピックアンドスピン装置が複数のLBCコンテナを処理可能となる。処理すべきLBCサンプルラックがそれ以上存在しなくなったら、予備分析システム演算デバイス1330は、サンプル変換を要するサンプルを搬送するラックを指示する。このようなラックが存在する場合は、ホテルからサンプル変換アセンブリに運ばれる。予備分析演算デバイスは、サンプルコンテナから処理対象の二次サンプルコンテナへのサンプルの変換を制御する。その後、一定分量のサンプルが取得されたサンプルを含むラックは、ホテルに戻される。変換の準備が整ったラックが存在しないものの、サンプルキューに余地があるものと予備分析演算デバイスが判定した場合、予備分析演算デバイスは、在庫への問い合わせによって、サンプル変換を必要としない任意のラック(すなわち、通過ラック)が存在するかを判定する。サンプル変換アセンブリ130によってラックのサンプルが処理された場合は、そのラックがホテルに戻される。
処理キューがいっぱいになったら、サンプル変換アセンブリのリソースの使用により、LBCサンプルを含むラックおよび変換を要するサンプルのラックの両者の在庫を調べることができる。図22Eを参照して、予備分析演算デバイスは、上述の通り、ラックのサンプルの処理を調整するが、処理済みサンプルまたは通過サンプルについては、キューが受け入れ可能となるまで、第1の作成デッキ24に保持され、第2の作成デッキ26に移送されない。第1の作成デッキ24について、サンプルの在庫が調べられたら、サンプルをサンプル変換アセンブリに搬送するラックは、ホテルに戻される。
ワークフローの一実施形態において、予備分析演算デバイスは、サンプル作成時点の特定の検査を受入番号から把握できない。このため、サンプルがラックから回収され、サンプル変換装置130に配置された場合には、並列処理が発生する。サンプルは、バーコードリーダに配置される。サンプル変換装置のボルテクサにサンプルが配置されると、バーコードがワークフロー演算デバイスに送られる。ボルテクス中は、ピックアンドプレース装置410が空の二次サンプル処理コンテナを回収し、バーコードが読み取られて、二次サンプルコンテナステーション150にてデキャップされる。これと並行して、予備分析システム演算デバイス1350によって、ワークフロー情報が受信される。演算デバイスは、所定の時間にわたって待機するが、情報が受信されない場合は、第2の所定時間にわたって待機する。タイムアウトの前に応答が受信されたら、デキャッパ450によりサンプルチューブがデキャップされる。ロボット分注器480によって、サンプルがサンプルチューブから吸引され、二次サンプルコンテナに投入される。その後、予備分析演算デバイス1330からの指示により、希釈剤が二次サンプルコンテナに分注された後、予備分析演算デバイスがリキャップされる。二次サンプルコンテナは、予備分析演算デバイス1350によって、一次サンプルコンテナにリンクしている。
検査室情報システムに対する問い合わせがタイムアウトになったら、サンプルコンテナがラックに戻され、別のサンプルが回収される。任意選択として、この問い合わせは再試行可能であり、最終的に応答が受信された場合は、ラックからサンプルコンテナを取得することが必要となる。
変換を必要としないサンプルの場合は、並列処理が行われず、これらサンプルのワークフロー情報を待ちながら、サンプルがキューに配置される。検査室情報システムから、問い合わせられたサンプルの検査に関する応答が受信されない場合は、サンプルが最終的に、ラックに戻される。検査室情報システムへの問い合わせがタイムアウトになるまで、サンプルはキューに留まり続けることができる。
ラックの装填のプロセスフローを図39に示す。ラックが予備分析システムに受容された場合は、ラック上のバーコードを読み取るバーコードリーダが存在する。この情報は、予備分析システム演算デバイス1350に提供される。予備分析演算デバイスは、バーコードによって、サンプル作成およびテスト用のサンプルコンテナまたは消耗品(たとえば、検査対照群試薬、ピペットチップ、空の二次サンプルコンテナ等)をラックが含むかを判定する。ラックがサンプルを搬送するものと決定された場合、予備分析システム演算デバイスは、そのメモリへの問い合わせによって、当該ラックが優先ラックであることをユーザインターフェースが示しているかを判定する。優先ラックの場合、予備分析演算デバイス1350は、その優先指定と一致する処理キュー中の場所にこのラックを配置する。優先ラックでない場合、予備分析デバイスは、処理キューの最後にラックを配置する。予備分析演算デバイスは、通常は先入れ先出しであるラック処理キューを定めるが、ラック優先指定はユーザから受け付けられ、そのメカニズムによってラックがキューを前進する。
消耗品のラックの場合、通常はキューの後部に配置されて、ラックが消耗品を予備分析システムに持ち込む。したがって、本実施形態においては、一方がサンプルラックキューであり、他方が消耗品ラックキューである2つのキューを予備分析演算デバイス1350が管理および更新する。ラックにそのキュー中の場所が割り当てられると、予備分析演算デバイス1330が内部でキューを更新した後、ラックを格納デッキ22に移動させる指示をラックハンドラロボット320に発行する。
[ピペットヘッド]
図27は、本開示の別の実施形態に係るピペットヘッド1400を示している。ピペットヘッド1400は、メインボード1401およびピペットアセンブリ1402を具備する点において、ピペットヘッド500に類似する。ピペットアセンブリ1402は、ピペットアセンブリ502に類似するが、後述するコネクタアーム1417に関しては異なる。また、ピペットヘッド1400は、統合されたz軸駆動機構を有する点が異なる。言い換えると、ピペットヘッド1400のz軸駆動機構がメインボード1401をピペットアセンブリ1402に結合する一方、ロボット480のz軸駆動機構は、メインボード501を介してピペットヘッド500をピペットアーム481に結合する。これにより、ピペットアセンブリ1402は、メインボード1401に対して垂直に移動可能となる。
メインボード1401は、ピペットアセンブリ1402と相互接続されるさまざまな構成要素が配設されたハウジングまたはシェル1403を具備する。たとえば、図示の実施形態において、ハウジング1403は、プリント配線板(「PCB」)1406および内部に配設されたバルブ1408を具備する。PCB1406は、相互接続ケーブル1404を介して、データおよび電力をピペットアセンブリ1402に供給する。バルブ1408は、正圧および負圧入力(図示せず)につながっている。バルブ1408は、これらの入力を組み合わせ、単一の導管1409内の液体または気体の圧力の調節によってサンプル吸引を制御可能となるように、導管1409を介して正圧または負圧を出力する。
この点、ピペットアセンブリ1402のコネクタアーム1417を介して、相互接続ケーブル1404および導管1409がピペットアセンブリ1402に接続されている。これは、正圧および負圧入力がコネクタアーム517に直接接続される点において、アセンブリ502のコネクタアーム517と異なる。その代わりに、導管1409および相互接続ケーブル1404は、ハウジング1403およびコネクタアーム1417を通じて、ピペットアセンブリ1402までルーティングされている。ピペットアセンブリ1402においては、ケーブル1404が制御ユニット1494および制御ユニット1415に接続され、導管1409が制御ユニット1409を介してピペットチャンネルに接続されている。
ヘッド1400のz軸駆動機構は、垂直レール1407、モータ1409、および駆動軸1411を具備する。垂直レール1407は、ハウジング1403の外面の沿って延びており、駆動軸1411は、垂直レール1407に隣り合ってハウジング1403に延入するとともに、垂直レール1407からオフセットしている。モータ1409は、駆動軸1411に接続され、保守の容易化のため、ハウジング1403の外面に取り付けられている。ただし、モータ1409は、ハウジング1403内に配設されていてもよい。コネクタアーム1417は、駆動軸1411の回転によって、垂直すなわちz軸に沿って上下方向にピペットアセンブリ1402が駆動されるように、駆動軸1411に螺合接続されている。ケーブル1404および導管1409には、弛みが設けられ、ケーブル1404および導管1409の伸長および損傷の可能性なく、コネクタアーム1417が垂直に移動可能となっていてもよい。モータ1409は、PCB1406に接続されるとともに、PCB1406により制御される。この点、コントローラ1494は、使い捨てピペットチップ(図示せず)を介して液面を検出し、ケーブル1404を介して検出信号をPCB1406に送ることができる。PCB1406は、このような信号に応答してモータ1409を制御可能であり、これには、液面検出に応じたピペットアセンブリ1402の垂直移動の停止、または、このような信号に応じた所定速度でのピペットアセンブリ1402の移動による調節された様態でのサンプルの使い捨てピペットチップへの吸引が含まれる。
ピペットアセンブリ1402は、垂直レール1407が当該ピペットアセンブリ1402に接続されることにより、垂直移動時に安定化される。特に、ピペットアセンブリ1402は、第1および第2のヒンジ架台1405a、1405bを介して、垂直レール1407にヒンジ接続されている。ヒンジ架台1405a、1405bは、摺動状態で垂直レール1407に接続されており、コネクタアーム1417が両者間に配設されるように、互いに垂直方向にオフセットしている。これにより、ピペットアセンブリ1402は、コネクタアーム1417による干渉なく、ヒンジ架台1405a、1405bの周りに枢動可能となる。
この点、ピペットアセンブリ1402は、第1のヒンジ位置および第2のヒンジ位置を有する。第1のヒンジ位置において、ピペットアセンブリ1402は、図27に示すように、メインボード1401に対して大略平面配向またはゼロ度となっている。第2の位置において、ピペットアセンブリ1402は、図28A〜図29に示すように、メインボード1401から平面オフセットするように、ヒンジ架台1405a、1405bの周りで第1の位置からおよそ180°回転している。ただし、ピペットアセンブリ1402は、0〜180°の任意の角度まで、メインボード1401に対して配向可能であることが了解されるものとする。
また、図28Aおよび図28Bは、メインボード1401およびピペットアセンブリ1402がバックプレーンコネクタ1500に接続された代替的なピペットヘッドの実施形態1400’を示している。バックプレーンコネクタ1500は、メインボード1401およびピペットアセンブリ1402をアーム481等のピペットアームに接続する。また、バックプレーンコネクタ1500は、1つまたは複数のコネクタ1506a〜1506eを含む。たとえば、図示の実施形態において、バックプレーンコネクタ1500は、第1の表面1502および第2の表面1504を有する。第1の表面1502は、ピペットアセンブリ1402の反対側のハウジング1401の表面に接続されている。第2の表面1504は、ピペットアームに接続されている。第1の表面1502は、イーサネットコネクタ1506、電源コネクタ1506b、複数ピンコネクタ1506c、正圧入力コネクタ1506d、および真空圧入力コネクタ1506e等の複数のコネクタを含む。したがって、これらのコネクタ1506a〜1506eは、ピペットアセンブリ1402側の方向を向いている。この表面1502に設けられるコネクタの数は、必要に応じて、より多くてもよいし、より少なくてもよい。バックプレーンコネクタ1500内には、PCB1508が配設され、メインボードハウジング1403内のPCBボード1406にコネクタ1506a、1506bを接続している。
図29は、メインボード1401およびピペットアセンブリ1402がバックプレーンコネクタ1600に接続された別の代替的なピペットヘッドの実施形態1400’’を示している。バックプレーンコネクタ1600は、メインボード1401およびアーム481等のピペットアームに接続されている点において、バックプレーンコネクタ1500に類似する。ただし、バックプレーンコネクタ1600は、コネクタがバックプレーンコネクタハウジング内に配設され、ピペットアセンブリ1402の反対の方向を向いている点が異なる。
本明細書に記載のシステム10は、複数の位置を通って平行移動する複数のロボット機構を具備する。停電または電源リセット後にシステムが「再起動」する場合に、ロボット機構がすべて、再起動の時点でそれぞれのホーム位置にあるように、機構ごとにホーム位置が設けられている。一実施形態において、システム10は、停電復旧モジュールを有する。通常の処理に戻る前に、変換/作成モジュール710、シャトル処理モジュール750、および消耗品蓄積モジュール760において、在庫調査が実行される。在庫調査に基づいて、システム10は、停電前の最後に知られている消耗品ステータスを停電後の在庫と比較する。在庫調査の後、システムは、通常の処理を再開する。
システム10またはその構成要素が一時停止状態に入ると、現在進行中のサンプル処理が可能な範囲で完了となる。加温器230中のサンプルについては、加温サイクルがタイムアウトになった後(サイクル時間が閾値以下となった後)、サンプルが冷却器290に移動する。診断モジュール(A1、A2、An)に送られるキューにサンプルが存在する範囲で、これらのサンプルは、シャトルがホームに戻った後に移動する。そして、第1の予備分析処理デッキ24からサンプルラック30、40、50がクリアされ、ラック格納エリア22に配置される。通常の処理が再開となるまで、あるデッキレベルから別のデッキレベルまでのサンプルの移動を禁止する指示が送られる。すべてのデッキレベルのモータが遮断され、システム10に通じるドアのロックが解除された後、システム10が一時停止状態に入った旨のメッセージがオペレータに送られる。
一時停止状態からの復帰に際して、オペレータはまず、一時停止エラーに応答してオペレータにより除去されたサンプルまたはシャトル上のバーコードをシステム10に再度読み取らせる。その後、オペレータは、ドアを閉じて、ドアロックを作動する。そして、システム10は、オペレータへの問い合わせにより、エラーの原因およびオペレータの応答を決定する。その後、システム10は、チェックリストを調べて、考え得る問題に対処する(たとえば、シャトルがペナルティボックスにある場合は、評価によって、ピペットチップが詰まっているかを判定する)。また、ピックアンドプレースロボット410b、410cの位置の検査によって、一時停止中に装置の後部がアクセスを受けたかを判定し、それによりロボット410b、410cが移動する。ロボット410b、410cは、上述の通り、ホーム位置に移行する。ボルテクサ220にチューブが存在する場合は、それらを取り出し可能となるように、システム10が再び一時停止状態に入る。チューブホルダに第3種サンプルコンテナ03が存在する場合は、当該第3種サンプルコンテナを取り出し可能となるように、システム10が再び一時停止となる。
図22Gは、オペレータが器具アクセスを要求する場合のシステム応答の実施形態を示している。一例において、予備分析システムは、バッチ移動を実行するプロセスにある。進行中の任意のバッチ移動が完了となる。任意のサンプルが予備加温中の場合は、予備加温が完了となって、予備加温中のチューブが加温器から取り出される。そして、ロボットがそれぞれのホーム位置に移動する。別の実施形態においては、サンプルによる予備加温の完了を可能にする時間閾値が存在する。予備加温時間が特定の閾値を下回るサンプルについて、予備加温が完了となる。予備加温が完了となった場合は、サンプルが予備加温から取り出され、ロボットがホームに戻った後、アクセスドアのロックが解除され、ユーザがシステムにアクセス可能となる。別の実施形態においては、アクセスのリクエストによって、バッチ移動が完了可能となり、さらなるバッチ移動が一時停止され、ロボットがホームに戻り、システムへのアクセスのロックが解除される。本実施形態においては、予備加温を継続可能であるが、任意の予備加温がタイムアウトとなった場合にはユーザに通知される。
シャトル280は、プラットフォーム260c上等の取り外しスポットにある場合、シャトルロボット240により回収され、そのバーコードが読み取られ、取り外しスポット260cに戻される。シャトル280中のすべてのサンプルコンテナが処理された場合は、シャトル280がシャトルロボット240によって待機状態となる。サンプルのすべてが処理されていない場合は、未処理サンプルが排出されるものとしてマーキングされ、シャトルエラーが処理される。ありとあらゆるエラーがクリアされると、エレベータ360がオンラインに戻り、ラックハンドラロボット320がラック30、40、または50を処理デッキまで戻す。
上述の通り、システム10は、一時停止状態からの再開時に在庫調査を進める。たとえば、システム10内のロボットは、問い合わせによって、それぞれがホーム位置にあるかが判定される。ロボットがホーム位置にない場合、システム10は、ロボットをホーム位置に配置する。ロボット/シャトル/ボルテクサがサンプルコンテナを含む場合、システム10は、サンプルコンテナがクリアされるまで、再び一時停止状態に入る。
上述の通り、システムは、作成済みの通過サンプルを1つまたは複数の分析器によって処理可能である。通常、ラックへの装填の場合、ラックが搬送するサンプルは、変換を要するサンプルまたは変換を必要としないサンプルである。ラックが搬送するサンプルの前処理の必要性に関する情報は、ラックラベルによって運ばれる。また、各サンプルコンテナは、特定サンプルの前処理の必要性に関する情報にリンクした受入番号を有する。受入番号は、ワークフロー演算デバイス1330によって、サンプルと関連付けられている。ラックラベル情報およびサンプル受入番号が予備分析システム演算デバイス1350に伝えられると、当該予備分析演算デバイス1350は、予備分析システム10におけるさまざまなサブシステムのコントローラと通信する(たとえば、変換アセンブリ130、ラックハンドラロボット320、ピックアンドプレースロボット410、ロボットピペット480等)。
[任意選択としてのトレイ]
図30A〜図30Dは、本明細書に記載の通り、システム10と併用する任意選択としてのトレイを示している。トレイは、システム10のハウジングの外部で起こり得るコンテナ01、02、03のいずれかの移送に利用可能である。以下の説明では、このようなコンテナをコンテナ1710と総称する。複数のコンテナ1710を移送可能であることのほか、トレイ1710の使用によって、各コンテナ01、02、03によるラック30、40、および50(ラック1720と総称する)のいずれかの装填に役立ち得る。
図30Aに示すように、トレイ1700は、空の消耗品チューブ1710を受容するように構成されたレセプタクル1705を有する。このようなサンプル消耗品チューブ1710は通常、円筒状である。また、トレイ1700は、レセプタクル1705に隣り合って端部に組み込まれたハンドル1704を具備する。トレイ1700は、サンプルコンテナのキャリアトレイ1700および/または別のトレイに配設されたサンプルコンテナ1710の上に置かれる蓋として使用可能な垂直プロファイルを有する。
図30Bは、消耗品チューブ1710の一端を支持する1つのトレイ1700および消耗品チューブ1710の他端を保持する第2のトレイ1700によって消耗品が受容される実施形態を示している。他の実施形態において、消耗品チューブ1710は、1つのトレイ1700だけに受容および支持される。
図30Cは、消耗品チューブ1710が1つのトレイ1700に受容および配設された実施形態を示している。なお、本実施形態において、消耗品チューブは、上下逆さまに配向しているため、消耗品チューブ1710のキャップ端がトレイ1700により支持される。このチューブ1710に対する配向において、レセプタクル1725を含むラック1720は、本明細書に記載の自動予備分析システム10への消耗品チューブ1710の配送に使用可能となるように、消耗品チューブ1710を受容可能である。ラック1720のレセプタクル1725は、消耗品チューブ1710のキャップ端を受容できないようにサイズ規定されている。これにより、消耗品チューブ1710は、適正な配向にてラック1720へと配送されるようになる。
図30Dは、トレイ1700により支持された消耗品チューブ1710のアレイに対して裏返しおよび反転されたラック1720を示している。上述の通り、ラック1720は、消耗品チューブ1710の底端(キャップ端の反対の端部)がラック1720のレセプタクル1725に延入するように、消耗品チューブ1710に対して反転されている。トレイ1700およびラック1720のレセプタクル1705、1725はそれぞれ、消耗品チューブ1710を実質的に垂直配向で保持するように寸法規定されているが、消耗品チューブ1710をトレイ1700またはラック1720から取り出すのに力を要するほど密接ではない。
図30Eは、トレイ1700により支持された消耗品チューブ1710上に配置されたラック1720を示している。ラック1720がこのように配置されると、図30Dに示すアセンブリが裏返しにされ、アセンブリから取り出されたトレイ1700およびキャップ端を上にしてチューブ1710を搬送するラック1720が本明細書に記載の予備分析システム10に配置される。ラック1720の予備分析システム10への装填については、本明細書の他の場所に記載する。
[代替的なデキャッパアセンブリ]
図31A〜図31Lは、デキャッパアセンブリ470の代替的なデキャッパアセンブリ2000を示している。この点、デキャッパアセンブリ2000は、デキャッパロボット450により搬送可能である。前述の通り、デキャッパロボット450は、サンプルコンテナ01、02、および03をラック30、40、および50に対してそれぞれ移動させるのに利用可能である。ただし、これが困難となり得るのは、レセプタクル32、42、または52等のラックレセプタクルの高密度アレイにコンテナ01、02、および03が位置付けられているためであり、各コンテナ間の直接的な距離が小さく、グリッパーがこのようなコンテナを把持するための対象コンテナ周りの使用可能なスペースが制限される。このことは、対象コンテナを回収するのと同じデキャッパがコンテナのデキャップも行う点において、さらに困難となっている。したがって、広範なコンテナキャップに対してデキャッパアセンブリが十分なトルクを与えられるように、デキャッパアセンブリおよびそのコンテナグリッパーは、コンテナの移送のみに必要となる場合よりも嵩張る可能性がある。このようなトルクは、30in−lbs(3.4Nm)以下であってもよい。また、コンテナ03等、システム10において利用されるコンテナの多くは、貫通可能シールを有するが、これは、汚染の原因となり得る偶発的かつ不要な貫通を防止するために回避すべきである。
図31Jに示すように、サンプルコンテナ03は、ラック50の例示的な小型版であるラック50’に配列されている。3つのグリッパーフィンガを有するデキャッパの場合、対象コンテナTおよび対象コンテナを囲むコンテナに対する各グリッパーフィンガの対象場所A、B、およびCは、コンテナグリッパーを使用可能なスペース内に位置決めするとともに、貫通可能シールとの接触を回避するように、具体的に位置付けられている。このような場所A、B、およびCはそれぞれ、3つの隣り合うサンプルコンテナの三角形構成内のスペースに対応していてもよく、そのうちの1つが対象コンテナTであり、各コンテナが三角形の頂点を規定している。デキャッパアセンブリは、このような場所A、B、およびCにおいてグリッパーフィンガを一貫して位置決めするとともに、多種多様なコンテナキャップを開けるのに十分なトルクを付与可能でありながら、数千ものコンテナを確実にハンドリングするように構成されている。
図示のように、デキャッパアセンブリ2000は一般的に、グリッパーモータ2002a、デキャッパモータ2002b、複数のギア、複数のグリッパーアセンブリ2100、コンテナ接触センサアセンブリ2060、回転ホームセンサアセンブリ、およびガイドプレート2050を具備する。グリッパーモータ2002aは、グリッパーピニオン2004aに接続されている。デキャッパモータ2002bは、デキャッパピニオン2004bに接続されている。複数のギアは、第1および第2のグリッパーギア2010、2032ならびにデキャッパギア2020を含む。図31Kに最も良く見られるように、第2のグリッパーギア2032は、その回転軸と平行な方向に当該第2のグリッパーギア2032から延びた主軸2034に接続されている。主軸2034は、以下により詳しく説明するプランジャ軸2062を受容するように構成された長手方向開口を有する。このようなギア2010、2032、2020は、真鍮、ステンレス鋼、およびプラスチックを含む複数の異なる種類の材料により構成可能である。
グリッパーアセンブリ2100を図31G〜図31Iに詳しく示す。デキャッパアセンブリ2000は、第1、第2、および第3のグリッパーアセンブリ2100a〜2100c等、3つのグリッパーアセンブリを含むのが好ましい。ただし、より多くのグリッパーアセンブリ2100またはより少ないグリッパーアセンブリ2100も考えられる。各グリッパーアセンブリ2100は、グリッパーアーム2120、グリッパーフィンガ2130、および遊星ギア2110を具備する。図31Fに示すように、グリッパーアセンブリには、任意選択として捩りばね2140が設けられている。図31Hに示すように、グリッパーアーム2120は、上側アーム部2122および下側アーム部2124を具備する。上側アーム部2122は、上方に延びた円筒状突起2121と、当該円筒状突起2121を含む上側アーム部2122の全体を通って延びた開口2123とを含む。上側アーム部2122の開口2123には、軸受2128が圧入されている。遊星ギア2110は、円筒状突起2123の上方に位置決めされ、複数の締結具2104によって上側アーム2122に固定されている。グリッパーアーム2120は、アルミニウム等の金属材料により構成されていてもよく、一方、遊星ギア2110は、ポリマー材料により構成されていてもよい。遊星ギア2110ではなく、グリッパーアーム2122の上部に軸受2128を接続することによって、堅牢性を与えるとともに遊びを抑えるのに役立つ。
下側アーム部2124は、上側アーム部2122の軸からオフセットした軸を有する。図31Iに最も良く見られるように、グリッパーフィンガ2130および締結具2102を受容するように構成された開口が下側アーム部2124を通って延びている。捩りばね2140と係合する切り欠き2126が下側アーム部2124の外部から延入している。グリッパーフィンガ2130は、接続ポスト2132、カラー2134、およびグリッパー部2136を具備する。接続ポスト2132は、ねじ山付き開口を含む。グリッパー部2136は、カラー2134によって接続ポスト2132から分離されるとともに、丸みを帯びた端部2138および直線状の刻みを含む。丸みを帯びた端部2138は、対象コンテナTに対するフィンガ2130の位置ずれへの耐性を与えることによって、コンテナピックアップ異常の発生を抑えるのに役立つ。下側アーム部2124に接続された場合は、グリッパーフィンガ2130のポスト2132が下側アーム部2124の開口内に受容されるため、カラー2134が下側アーム部2124の底端に接触するとともに、締結具2102がグリッパーフィンガ2130を適所に固定する。この構成により、他の構成要素の分解を要することなく、グリッパーフィンガ2130を容易に交換可能となる。
コンテナ接触センサアセンブリ2060を図31Kおよび図31Lに詳しく示す。コンテナ接触センサアセンブリ2060は、センサ2064a、2064b、プランジャ2061、および連動プランジャキャップ2065を具備する。プランジャ2061は、プランジャ軸2062と、軸2062よりも断面寸法が大きな端部2063とを含む。連動プランジャキャップ2065は、中心体2067から延びた複数のフィン2066を具備する。図示の特定の実施形態においては、中心体2067の周りで3つのフィン2066が近接対称パターンにて円周方向に分布している。これらのフィン2066は、ガイドプレート2050のスロット2054に連動している。また、プランジャキャップ2065は、各フィン2066の底端から半径方向外方に延びた延伸部材2068を具備する。中心体2067は、軸2061に螺合接続されたねじ山付き開口を一端に含む。中心体2067の他端では、フィン2066および中心体2067がテーパリング凹部2069を規定している。このテーパリング凹部2069によれば、図31Kに示すように、サンプルコンテナ03の円筒状キャップ091の半径方向縁部の内方に配設された貫通可能シールを阻害することなく、キャップ091の半径方向縁部でキャップ091がフィン2066に接触可能となる。このようなテーパリング凹部2069によれば、さまざまなサイズのキャップがこのようにしてフィン2066に接触可能となる。センサ2064は、ホール効果センサ、光学センサ等であってもよい。図示の特定の実施形態において、センサ2064は、光学センサであり、間隙を形成するように位置決めされた第1および第2のセンサ要素2064a、2064bを具備する。第1のセンサ2064aが放出器であり、第2のセンサ2064bが検出器であってもよい。後述の通り、軸2062の端部2063が間隙を通って延び、第1および第2のセンサ要素2064a、2064b間の放出と干渉することによって、グリッパーフィンガ20130間のキャップ091の存在を示すとともに把持シーケンスを開始する信号を生成するように、センサ2064と併せて端部2063が利用されるようになっていてもよい。
回転ホームセンサアセンブリは、スロット付きディスク2040およびセンサ2044を具備する。センサ2044は、光学センサであってもよく、また、センサ2064と同様に、第1および第2のセンサ要素2044a、2044bを具備していてもよい。この点、第1および第2のセンサ要素2064a、2064bは、両者間に間隙を形成するように位置決めされている。後述の通り、第1および第2のセンサ2044a、2044bがスロット242と位置合わせされた場合を除いて、スロット付きディスク2040がセンサ2044a、2044b間の放出と干渉することにより、デキャッパアセンブリ2000の回転ホームが実現された旨の信号を生成するように、センサ2044と併せてディスク2040が利用されるようになっていてもよい。
デキャッパアセンブリ2000が完全に組み立てられたら、グリッパーモータ2002aおよびデキャッパモータ2002bが搭載プレート2072に面して取り付けられていてもよい。搭載プレート2072は、ロボット450から懸架し得る支持アーム2070に接続されている。搭載プレート2072は、内部を通って延びた切り欠き2074と、モータ2002aおよび2002bが摺動して切り欠きに入り込み、締結具によって架台2072に固定され得るようにする縁部2074とを含む。これにより、他の構成要素を大がかりに分解することなく、モータ2002a、2002bを容易に取り外して交換可能となる。また、搭載プレート2072には、第1のセンサ支持アーム2076が接続され、そこから懸架している。センサ要素2044a、2044bは、第1の支持アーム2076に接続され、両者間に間隙を形成するように垂直配置されている。また、センサ要素2064a、2064bは、搭載プレート2072の上方に延びた第2のセンサ支持アーム2077を介して、搭載プレート2072により支持されている。センサ要素2044a、2044bは、両者間に間隙を形成するように水平配置されている。
図31Eに示すように、グリッパー駆動アセンブリ2030の主軸2034は、搭載プレート2072に圧入された第1のアンギュラ接触軸受2079を通って下方に延びている。ねじ山付きエンドキャップ2078が主軸2034の端部に螺合され、搭載プレート2072の上方に位置決めされている。第1のグリッパーギア2010がデキャッパギア2020に積み重ねられているが、両者とも主軸2034の周りに配設されている。第1のグリッパーギア2010は、その回転によってグリッパー駆動アセンブリ2030が回転するように、グリッパー駆動ハブ2012を介して主軸2034に固定されている。デキャッパギア2020は、当該デキャッパギア2020に圧入されたアンギュラ接触軸受2022を介して、主軸2034に対して回転可能に接続されている。また、スロット付きディスク2040が主軸2034の周りに配置され、デキャッパギア2020の直下に位置決めされている。この位置のスロット付きディスク2040は、デキャッパギア2020を越えて半径方向外方に突出することにより、センサ要素2044a、2044b間に形成された間隙に一部が延入している。スロット付きディスク2040は、締結具2046を介して、デキャッパギア2020の底面に接続されている(図31Eに最も良く見られる)。
また、グリッパーアセンブリ2100a〜2100cおよびガイドプレート2050は、複数の接続軸2150を介して、デキャッパギア2020に接続され、そこから懸架している。この点、接続軸2150は、上側アーム2122が当該接続軸2150の周りで回転可能となるように、スロット付きディスク2040および各グリッパーアセンブリ2100a〜2100cの上側アーム部2122の開口2123を通って延び、軸受2128に連動している。各接続軸2150の底端は、ガイドプレート2050に接続されている。捩りばね2140は、ガイドプレート2050とグリッパーアセンブリ2100との間で各接続軸2150の周りに配設されている。捩りばね2140の第1のアーム2142がガイドプレート2050に埋め込まれ、ばね2140の第2のアーム2144がグリッパーアーム2124の溝2126内に配設されている(図31F参照)。各捩りばね2140は、コンテナキャップ091に対して圧縮された状態で各グリッパーフィンガ2130を保つことにより、停電の際のキャップおよびコンテナの制御を維持するのに十分なばね剛性を有する。この点、捩りばね2140は、停電フェイルセーフの提供により、デキャッパアセンブリ2000がコンテナから落ちてシステム10を汚染させ得ることのないようにする。下側アーム部2124およびグリッパーフィンガ2130は、接続軸2150からオフセットしたガイドプレート2050の曲線スロット2052を通って突出している。各グリッパーアセンブリ2100が各接続軸2150の周りで回転すると、グリッパーフィンガ2130が曲線スロット2052に沿って平行移動する。
プランジャ2062は、グリッパー駆動部材2050の長手方向開口内に摺動状態で配設されるとともに、主軸2034および第2のグリッパーギア2032を通って延びている。また、プランジャ軸2062は、端部2063がエンドキャップ2078の上方に配設されるように、エンドキャップ2078を通って延びている。連動プランジャキャップ2065は、ガイドプレート2050のスロット2054内に位置決めされたフィン2066を介して、ガイドプレート2050に摺動状態で接続されている。延伸部材2068は、ガイドプレートの底面2056に沿って延び、プランジャ2061が軸方向上方に所定の距離だけ移動する場合に底面2056に隣接することにより、軸方向ストッパとして作用する。グリッパーモータピニオン2004aは、第1のグリッパーギア2010と噛み合わされている。デキャッパギア2020の直下に位置決めされた第2のグリッパーギア2032は、グリッパーアセンブリ2100a〜2100cそれぞれの遊星ギア2110と噛み合わされている。デキャッパモータ2002bは、デキャッパギア2020と噛み合わされている。この点、グリッパーモータ2020は、グリッパーフィンガ2130を移動させてキャップ091を把持および解放するように動作し、デキャッパモータ2002bは、アセンブリ2000を回転させてキャップ091をデキャップおよびリキャップするように動作する。動作方法において、グリッパーロボット450は、ラック50内で高密度アレイに配置された複数のコンテナ03の上方の位置に移動する。ロボット450は、グリッパーフィンガ2130が場所A、B、およびCにおける対象コンテナTの周りに位置決めされるように、対象コンテナの上方へとデキャッパアセンブリ2000を下方に移動させる。ロボット450は、対象コンテナ03のキャップ091の一部がテーパリング凹部2069内に位置決めされ、連動プランジャキャップ2065のフィン2066に隣接するように、デキャッパアセンブリの降下を継続する。ロボット450が降下を継続すると、キャップ091がプランジャ2061を上方に押すため、プランジャ2061の端部2063がセンサ要素2064a、2064b間の間隙に入り込んで、センサ2064aからの放出が中断となる。このような中断は、演算デバイス1350と連通することで把持シーケンスを開始する電気信号を生成する。
把持シーケンスにおいて、グリッパーモータ2002aは、グリッパーピニオン2004aを第1の方向に回転させるように動作する。そして、グリッパーピニオン2004aが第1のグリッパーギア2010を駆動し、これが第2のグリッパーギア2032を回転させる。第2のグリッパーギア2032が遊星ギア2110を駆動すると、グリッパーアセンブリ2100a〜2100cが各接続軸2150の周りを回転する。グリッパーアセンブリ2100a〜2100cが接続軸2150の周りを回転すると、キャップ091がグリッパーフィンガ2130によって確実に把持されるまで、ガイドプレート2050の曲線スロット2052に沿ってグリッパーフィンガが平行移動する。そして、ロボット450がラック50からコンテナ03を持ち上げ、レセプタクル152等の別の場所に移送する。このような移送動作中の任意の時点でモータ2002aへの電力が停止となった場合は、捩りばね2140が下側アーム部2124の押圧によってコンテナ03の把持を維持することにより、コンテナ03を保持することになる。
コンテナ03がレセプタクル152に位置決めされ、コンテナ03の底端が内部の係合機構と噛み合わされたら、デキャップシーケンスが開始となる。この点、デキャッパモータ2002bは、デキャッパピニオン2004bを第1の方向に回転させるように動作する。デキャッパピニオン2002bは、デキャッパギア2020を駆動する。前述の通り、デキャッパギア2020は、スロット付きディスク2040に固定接続されるとともに、グリッパーアセンブリ2100a〜2100cおよびガイドプレート2050にも接続されている。このため、デキャッパギア2020がデキャッパピニオン2004bによって回転すると、これに対応して、スロット付きディスク2040、ガイドプレート2050、およびグリッパーアセンブリ2100a〜2100cも回転するため、グリッパーフィンガ2130がコンテナ03をデキャップする。グリッパーアセンブリ2100a〜2100cは、コンテナのリキャップの準備が整うまで、キャップを把持する。キャップがグリッパーアセンブリから離れ落ちた場合は、プランジャ2061が自動的に落下することでセンサ要素2064a、2064bが作動し、キャップ091が落下したことをシステム10に示す。
コンテナ03の準備が整った場合は、デキャッパロボット450がキャップ091をコンテナ03上に戻し、キャップシーケンスが開始となって、デキャッパピニオン2004bの第2の方向への回転によりデキャッパギア2020およびフィンガ2130がデキャップシーケンスと反対の方向に回転するように、モータ2002bが動作する。コンテナ03がリキャップされると、ロボット450がコンテナ03をラック50に戻す。
デキャッパギア2020、スロット付きディスク2040、およびグリッパーアセンブリ2100a〜2100cが回転するようにデキャッパモータ2002bが再び動作するホームシーケンスが動作するようになっていてもよい。このような回転は、スロット2042がセンサ2044a、2044bと位置合わせされ、センサ2044aからの放出がセンサ2002bへと通過可能となるまで生じる。これは、グリッパーフィンガ2130がホーム位置にあることを示す。この位置では、ラック50の上方へとデキャッパアセンブリ2000が降下した場合に、グリッパーフィンガ2030が場所A、B、およびCに位置決めされるように、第2のグリッパーギア2032を通って延びる回転軸の周りでグリッパーフィンガ2130が角度的に位置付けられる。このため、回転ホームが示されると、モータ2002bが回転を止め、コンテナ03が降下してラック50に戻される。ホームに位置決めされたフィンガ2030は、隣り合うコンテナを阻害しなくなる。
コンテナ03がそのラック50に戻ると、グリッパーピニオン2004aを第2の方向に回転させるようにグリッパーモータ2002aが動作することによって、第1および第2のグリッパーギア2010、2032が把持シーケンスと反対の方向に回転する解放シーケンスが開始となる。これにより、グリッパーアセンブリ2100a〜2100cが接続軸2150の周りに回転するため、グリッパーフィンガ2130がキャップ091から離れる。隣り合うコンテナにぶつかることなくキャップ091を解放するためのピニオンの回転数は、予めプログラムするとともに、モータ2002aのエンコーダによって動作中に確認することができる。フィンガ2130が依然として回転ホーム位置にある状態で、デキャッパアセンブリ450は、別のコンテナに移動して、同じ方法を実行可能である。この点、フィンガ2130は、隣り合うコンテナを阻害することなく対象コンテナを把持するのに十分なコンテナの各隣接スペースに位置付け可能となるように、次の対象コンテナに対して位置A、B、およびCに位置付けられることになる。
[代替的な加温器]
図32A〜図32Cは、本開示の別の実施形態に係るバッチ加温器アレイ2200を示している。バッチ加温器アレイ2200は、加温器230の代替として利用されるようになっていてもよい。バッチ加温器アレイ2200は、相互に隣り合って配置された複数のバッチ加温器2210a〜2210cを含む。図示のように、アレイ2200は、第1、第2、および第3のバッチ加温器2210a〜2210cを含む。図32Bにおける図32Aの断面を参照して、各加温器2210は、カバー2220、上側絶縁層2232、下側絶縁層2242、上側伝導ブロック2234、下側伝導ブロック2244、および加熱器2250を具備する。この特定の実施形態における加熱器2250は、上側絶縁層2232および伝導ブロック2234が備えられた上層2230と下側絶縁層2242および伝導ブロック2244が備えられた下層2240との間に挟まれたKapton(登録商標)加熱器等の薄型加熱素子である。この特定の構成においては、中心から外側に向かって加熱が行われるが、これは、より低温の外部に向かって熱が外方に流れる傾向にあることから、絶縁層2232、2242間の伝導ブロック2234、2244内での一様な熱分布を生成するのに役立つ。伝導ブロック2234および2244は、アルミニウム等の任意の伝熱材料により構成されていてもよく、上側絶縁層2232およびカバー2220と併せて、複数のサンプルコンテナレセプタクル2212を規定する。レセプタクル2212の数は、通常バッチ処理されるコンテナ03の数に基づいて選択されるようになっていてもよい。これにより、各バッチ加温器2210は、サンプルのバッチ全体以下を加温するように構成されている。伝導ブロック2234および2244は、サンプルコンテナ03がレセプタクル2212内に配設された場合に、コンテナ03に含まれるサンプル03’が実質的に、当該伝導ブロック2234、2244の端部2236および2246間に配設されることで、そこから発生する熱がサンプル03’を一様に囲むように、高さが組み合わされている。レセプタクルアレイ2214の真ん中で加熱器2250に隣り合って、一対の抵抗温度検出器等の温度検出器2252が位置付けられている。バッチ加温器2200の過熱を防止するため、熱遮断器2254が設けられている。カバー2220(Kydex(登録商標)等のポリマー材料により構成されているのが好ましい)は、絶縁層2232、2242および伝導ブロック2234、2244を囲むとともに包含する。このため、アレイ2200の各加温器2210は、相互に熱隔離されている。
バッチ加温器アレイ2200は、多くの利点を有するが、その1つは、バッチ処理に適する点である。上述の通り、システム10は、分析器に分配されるサンプルのバッチを処理可能であるが、これには、バッチの予備加温を含んでいてもよい。この点、第1のバッチが第1の加温器2210aに装填されるようになっていてもよい。しばらくして、第2のバッチが第2の加温器2210bに装填されるようになっていてもよい。第1の加温器2210aを第2の加温器2210bから隔離することにより、第2の加温器2210bへの装填時には第1のバッチよりも低温と考えられる第2のバッチが第1のバッチの加温サイクルに影響を及ぼすことが防止される。
[冷却器]
図33Aおよび図33Bは、本開示の別の実施形態に係る冷却器2300を示している。冷却器2300は、複数のファンユニット2330、プレナム2340、搭載プレート2320、およびコンテナラック/ブロック2310を具備する点において、冷却器290に類似する。この点、ブロック2310は、プレート2320の一方の面に取り付けられており、プレナム2340およびファン2330は、搭載プレート2320の別の面に接続されている。ただし、冷却器2300は、ファン2330が第2の予備分析処理デッキ26の上方の所定の高さに位置付けられることで、十分な量の空気をそれぞれの入口2332に取り込むことにより、ブロック2310に配設されたコンテナ03を冷却可能となるように、当該冷却器2300を第2のデッキ26に取り付ける取り付けブラケット2350を具備する点が異なる。また、ブロック2310は、冷却器290の場合と同様に、複数のブロックではなく、単一のブロックである。また、ブロック2310は、それぞれが正方形状の開口を有し、その内面に沿って延びたリブ2314(4つのリブ等)を具備する複数のサンプルコンテナレセプタクル2312を規定する。これらのリブ2314は、レセプタクル2312内に配設された各サンプルコンテナ03の上方および周囲に空気を流して一様な冷却を可能にする空気流チャンネルを間に形成している。
[自動作業スペース場所検出]
前述のロボットのいずれかのコントローラ(たとえば、マイクロコントローラ)(1つまたは複数のプログラム可能なプロセッサを備える)は、ロボットの制御によって、その作業スペース(たとえば、ロボットのモータの可動限界を含むスペース)内で自動探索パターンを実行することにより、校正(較正:キャリブレーション)によってロボットが作業スペース内の特定の場所に移動するようにプログラムされていてもよい。探索パターンは、各ロボットが1つまたは複数の基準ビーコンを使用してそれぞれの作業スペース内の1つまたは複数の位置を学習できるようにするコンピュータシステム800等の自動プロセスの一部である。このような自動プロセスによれば、熟練技術者がロボットを校正する必要性が抑えられるため、自動学習プロセスによって、作業スペースのさまざまな位置(たとえば、ラックのサンプル場所等)に繰り返し正確に移動することをロボットが学習可能となる。
たとえば、コントローラが自動学習プロセスを制御するようにしてもよい。コントローラは、それ自体がコンピュータシステム800となるか、または、コンピュータシステム800と連通し得るように、図20に示すコンピュータシステム800と統合されていてもよい。このようなコントローラを備えたシステムを図34にさらに示す。コントローラ8000は通常、本明細書においてより詳しく説明する探索パターンアルゴリズム等の特定の制御方法を実装するように構成された1つまたは複数のプロセッサを具備することになる。このため、コントローラは、集積チップ(ICチップ)等のメモリ8006および/または他の制御命令、データ、もしくは情報記憶媒体を具備していてもよい。たとえば、このような制御方法を網羅するプログラムされた命令がデバイスのメモリの集積チップ上にコード化されていてもよい。この追加または代替として、このような命令は、適当なデータ記憶媒体を用いることにより、ソフトウェアまたはファームウェアとしてロードされるようになっていてもよい。
このシステムにおいて、コントローラ8000は、バス8001等の入出力要素またはバス8001等に結合された入出力要素を包含/使用する。入出力要素は、1つまたは複数のプロセッサ8004が自動学習センサ34010からの信号を受信できるようにする。センサは、近接(近傍)のセンサに信号を供給可能な基準ビーコンを検出するように構成されていてもよい。この点、基準ビーコンは、センサとの接触なしに検出を完了できるように、信号場(信号フィールド)を与えるようにしてもよい。たとえば、センサは、好ましくはホール効果センサであってもよく、基準ビーコンは、磁場(磁気フィールド)を与えるように磁化されていてもよい。このため、基準ビーコンは、電磁石または永久磁石等の磁石を具備していてもよい。場合により、基準ビーコンは、円錐端磁石(たとえば、円錐形状を有する磁石)であってもよい。この点、このような基準ビーコンは、ロボットの作業スペース内に位置付けられていてもよい。そして、ロボットサンプルハンドラには、ロボットハンドラのグリッパー(把持装置)に対する校正手順用の取り外し可能なセンサの挿入またはロボットへの統合センサの提供等によって、センサが備わっていてもよい。そして、コントローラは、探索パターンの実行により、ロボットの作業スペースにおいて、基準ビーコンのうちの1つまたは複数の位置を特定するようにしてもよい。基準ビーコンは、作業スペース内に永久的に位置付けられていてもよいし、自動学習プロセスのために挿入される取り外し可能な構成要素であってもよい。
また、入出力要素は、ロボットサンプルハンドラ34020等の1つまたは複数のロボットのプロセッサ、特に、ロボットのモータによる制御を可能にする。この点、ロボットサンプルハンドラは、上述のロボットのいずれかであってもよく、たとえば、ラックハンドラロボット、ラック移動アーム、支持ビームロボット、ピペット操作ロボット、ロボット320、ピックアンドプレースロボット、シャトルハンドリングロボット、シャトルロボット、ラックエレベータロボット、デキャッパロボット等が挙げられる。このため、プロセッサは、入出力要素を介してロボットを制御することにより、制御信号の送信によって、ハンドラ34020の各モータを動作させるとともに、各モータの制御移動と関連付けられたエンコーダ(たとえば、ロータリエンコーダ)からの信号またはデータの読み取り/受信等によって、各モータの位置を検出するようにしてもよい。この点、各モータは、特定の軸上、軸沿い、または軸に対するロボットの移動を与えるようにしてもよく、エンコーダは、ロボットの軸上の特定の位置と関連付けられた情報信号または数(カウント数:count)を与えるようにしてもよい。この点、場合により、ロボットは、作業スペースの2つの軸(たとえば、互いに直交し得るx軸およびy軸)上のロボットのハンドラの位置決めを可能にする少なくとも2つのモータ等、1つまたは複数のモータを有していてもよい。場合により、ロボットは、作業スペースの3つの軸(たとえば、それぞれが互いに直交し得るx軸、y軸、およびz軸)上のハンドラの位置決めのための付加的なモータを有していてもよい。場合により、ロボットは、その作業スペースの単一の軸に沿ったハンドラの位置決めのための単一のモータを有していてもよい。
場合により、基準ビーコンの特定の場所の位置の検知は、エラーとなる傾向にある。たとえば、ホール効果センサを使用すると、作業スペース内の正確な位置を検出しようとした場合に、結果が変動し得る。センサおよび/または磁石は、特性が変動し得るため、このようなセンサの使用ごとに一貫して正しい位置を取得するのは困難である。ただし、本開示のコントローラには、特定の探索パターンを実行するとともに、場所データ処理の実行によって、このようなエラーの影響を抑え、より正確な場所情報を生成するアルゴリズムが設定されていてもよい。探索パターンは、ハードウェアの欠陥を克服するとともに、校正プロセスを改善することによって、場所校正の精度を高く保ちつつ、低価格かつ低精度のセンサの使用を可能にするのに役立ち得る。図35および図36を参照することにより、このような探索パターンおよび場所決定のプロセスを考察可能である。
図36のグリッドの2軸例に示すように、基準ビーコン36002は、作業スペース36000内に位置付けられている。コントローラが制御する探索パターンは、開始位置(たとえば、作業スペース(x,y)の点(1,1))からロボットハンドラを移動させることにより開始となる。一般的に、(自動学習センサを有する)ロボットハンドラを、他方の軸の特定の位置(たとえば、X軸の特定の位置)に保持しつつ、ロボットハンドラを、単一の軸(たとえば、図36に示すY軸)に沿って移動させるようにしてもよい。本例では、Yが1から10に進むにつれ、点(1,10)の位置に向かって作業スペースを横断進行するように、ハンドラが制御されるようになっていてもよい。この動きに沿った基準ビーコンの場(フィールド)の近接性を検出する自動学習センサからの検出信号がない場合、ハンドラは、他方の軸のインクリメント(値の増加)によって、作業スペースの次の位置(たとえば、図36の例における点(2,10))へと移動する。その後、他方の軸上の位置を保持しつつ、同じ軸上の移動において、点(2,1)の位置に向かって作業スペースを横断進行するように、ハンドラが制御されるようになっていてもよい。本例において、この動きは、Yが10から1に進み、Xが2に保持されるようにY軸に沿っている。このように、ロボットハンドラの進行の制御による繰り返し移動によって、作業スペースを横断スキャンすることにより、作業スペースに位置付けられた潜在的な基準ビーコン36002(または、このような複数のビーコン)に系統的に近づくようにしてもよい。
ただし、探索パターンは、基準ビーコン36002を検出すると、異なる進み方をする。たとえば、図36に示す探索パターンにおいて、この例の点(4,10)から点(4,1)まで第1の移動36004を行う場合に、前述のスキャンの結果として点(4,7)に位置付けられた基準ビーコンに向かう場合、コントローラは、センサを介して、基準ビーコンを検出するとともに、この第1の移動時の検出に対するエンコーダの数(カウント数)を記録することになる(たとえば、図35のステップ35001および35003参照)。このような場合、センサ信号が基準ビーコンの検出を示す場合(たとえば、ビーコンの磁石によってホール効果センサがトリガされる場合)は、基準ビーコンと関連付けられたY軸上のエンコーダの数がメモリに記録/保存されるようになっていてもよい。このような第1の移動時の基準ビーコンの第1の検出により、同じ軸上で異なる方向からロボットハンドラによって基準ビーコンの別の検出パスを実行する探索パターンがトリガされることになる(たとえば、図35のステップ35005および35007参照)。たとえば、ハンドラは、グリッドの場所(4,1)に向かって、第1の移動を継続するようにしてもよい。その後、コントローラは、同じ軸に沿って、第1の移動とは反対の方向に、第2の移動36006としてロボットハンドラを移動させる。本例において、ロボットハンドラは、第1の移動(たとえば、グリッドの点(4,10)の場所へのグリッドの点(4,1)の場所からの移動)と反対の方向から基準ビーコンに向かって移動する。この第2の移動時に、コントローラは、センサによって再び、同じ基準ビーコンを検出することになるが、第1の移動と反対の方向の第2の移動時に発生した第2の検出の時点の別のエンコーダの数をメモリに記録/保存することになる。
エンコーダの精度特性ならびに自動学習センサおよび基準ビーコンの信頼特性に照らして、基準ビーコンは同じ位置にあるとは言え、この第2のエンコーダの数は通常、第1のエンコーダの数と異なり得る。このため、コントローラは、記録した2つの数を組み合わせて、第1の軸に沿って決定した位置の信頼性/精度を向上させるようにしてもよい。たとえば、コントローラは、過去に決定された数を用いて、基準ビーコンの実際の場所と関連付けられた別の数を演算/計算するようにしてもよい(たとえば、図35のステップ35009)。たとえば、プロセッサは、これらの過去に検知/決定した数から、平均数を計算するようにしてもよい。そして、計算した数は、第1の軸すなわちY軸上の基準ビーコンの実際の場所(および、基準ビーコンと関連付けられた算出位置から所定のオフセットで導出された作業スペース中の他の位置)のより正確な値として利用されるようになっていてもよい。このため、計算した値は、作業スペース内のサンプル移動のためのロボットハンドラによる別途移動を制御する基準として機能し得る(たとえば、図35のステップ35011参照)。
いくつかの態様において、基準ビーコンの他方の軸(たとえば、図36の第2の軸すなわちX軸)上の位置は、探索パターンの第1の移動から簡単に取得され得る。図36の例においては、X軸上の定位置(または、エンコーダの数)と関連付けられた移動時にセンサが基準ビーコンを検出していることから、X軸上の当該位置と関連付けられた数は、検出された基準ビーコンの他方の軸位置として記録/保存され得る。ただし、任意選択として、第2の軸(たとえば、X軸)で検出済みの基準ビーコンのより正確な位置の決定等のため、探索パターンは、その付加的な移動によって、基準ビーコンの検出を継続するようにしてもよい。たとえば、図36に示すように、コントローラは、別の移動36008によって、過去にY軸から計算した数および探索パターンの過去の第1および第2の移動からインクリメントして決定したX軸の定位置を使用することにより、過去に検出した基準ビーコンへとロボットハンドラを戻すようにしてもよい。その後、コントローラは、このような場所からロボットハンドラを移動させて、2つの反対方向から今度はX軸に沿って基準ビーコンに同様に近づく探索パターンを継続するようにしてもよい。
たとえば、図36に示すように、コントローラは、過去に計算したエンコーダの数と関連付けられたY軸の定位置でX軸に沿ってロボットハンドラを移動させつつ、第3の移動36012(図示の点(1,7)から点(10,7)への移動等)において、ロボットハンドラを制御するようにしてもよい。同様に、コントローラは、第3の移動36012の反対の第4の移動36014(点(10,7)から点(1,7)への移動等)において、ロボットハンドラを制御するようにしてもよい。このように基準ビーコンに向かう各移動において、コントローラは、自動学習センサによって基準ビーコンを検出し、各移動によるエンコーダの数をメモリに記録/保存するようにしてもよい。この場合、エンコーダの数はそれぞれ、第3および第4の移動の一方における基準ビーコンの検出時に取得される。このような付加的な数を記録したら、上述の方法と同様に、コントローラはその後、記録した数から別の数を計算して、X軸上の基準ビーコン36002のより正確な位置決定のために機能させるようにしてもよい。たとえば、決定したエンコーダの数の平均化によって、X軸上の基準ビーコンの実際の場所に起因し得るより正確なエンコーダの数を演算するようにしてもよい。このような付加的な探索パターン演算および複数のエンコーダ数(たとえば、ロボット軸(たとえば、X軸およびY軸)ごとに1つ)の計算により、コントローラはその後、作業スペースにおける基準ビーコンの既知の場所に基づいて、作業スペース内のロボット位置をより完全かつ正確に校正するようにしてもよい。さらに、この校正は、人間の介入を必要としない繰り返し可能な自動プロセスを通じて実行されるようになっていてもよい。
図36の上記例は、単一の基準ビーコンの検出を説明しているが、作業スペースに位置付けられた複数の基準ビーコンについても、このプロセスは同じように動作し得ることが了解される。このような場合、上述のような探索パターンは、他の基準ビーコンが学習されるまで(たとえば、前述のステップの繰り返しにより、ビーコンが検出され、正確な場所が同様に決定および計算されるまで)、作業スペースのその他の部分のスキャンを継続するようにしてもよい。このような一組の基準ビーコン(たとえば、作業スペースのラック36020の3つの隅部等、ラックの異なる位置に配置され得る2つ、3つ、4つ以上の基準ビーコン36111、36112)の自動検出により、決定した場所は、その場所に対して作業スペース内でロボットハンドラを移動させる基準として機能し得る。
いくつかの実施態様において、複数の基準ビーコンが検出され、それぞれのX/Y軸上の場所が学習されたら、システムは、Z軸(すなわち、X軸およびY軸に垂直な軸)上の位置へのロボットハンドラの移動等のため、Z軸等の第3の軸上の1つまたは複数の位置をさらに検出するようにしてもよい。たとえば、自動学習プロセスにおいては、たとえば複数の基準ビーコン(たとえば、2つ、3つ以上のビーコン)ごとに、Z軸上の位置を検出するセンサがロボットハンドラに実装されていてもよい。このようなセンサは、任意選択として、接触センサ(たとえば、タッチまたは衝突センサ)であってもよいし、本明細書に記載の他のセンサであってもよい。たとえば、センサを備えたロボットハンドラを過去に学習したX/Y位置に戻すように、ハンドラのコントローラがプログラムされていてもよい。X/Y位置において、ハンドラは、基準ビーコンに向かう降下等により、Z軸に沿って移動することにより、ビーコンの表面を検出するようにしてもよい。その後、センサは、基準ビーコンとの接触等により、たとえばロボットハンドラのモータの数(カウント数)とともに、Z軸位置(または、所望のオフセット)を学習/格納するようにしてもよい。
いくつかの態様においては、基準ビーコン検出プロセスにより学習されていない他のZ軸位置をコントローラが補間し得るように、複数の基準ビーコン(たとえば、2つ、3つ以上のビーコン)について、上記のような学習プロセスが繰り返されるようになっていてもよい。たとえば、学習した2つのZ軸位置により、過去に学習して関連付けられたX/Y位置と併せて、傾斜が計算されるようになっていてもよい。このような傾斜は、2つの学習位置間等、システムの作業スペース中の高さを示すことも可能である。そして、コントローラが傾斜を使用し、傾斜を含む直線の方程式に対する所定のオフセット等により、学習位置に対して、3次元作業スペース(X,Y,Z)内でロボットハンドラを制御するようにしてもよい。任意選択として、少なくとも3つのZ軸位置を学習することにより、過去に学習して関連付けられたX/Y位置と併せて、3つの学習位置を含む平面の方程式を計算可能である。このような平面の方程式は、3つの学習位置間等、システムの作業スペース中の高さを示すことも可能である。そして、コントローラが平面の方程式を使用し、平面からの所定のオフセット等により、学習位置に対して、3次元作業スペース(X,Y,Z)内でロボットハンドラを制御するようにしてもよい。可変の一枚平面またはZ位置の変化と併せて、このような検出を使用することにより、作業スペースに関する大規模な変動性の考慮等が可能となる。
上述の通り、上記例示の自動学習センサおよび基準ビーコンは、ホール効果センサおよび磁石により実装されていてもよいが、他種の基準ビーコンおよびセンサも実装可能である。たとえば、自動学習センサは、ビーム透過型光学センサ等の光学センサであってもよく、基準ビーコンは、光学センサが検出可能な光源を具備していてもよい。あるいは、光学センサは、再帰反射型(回帰反射型)光電センサ(光源および検出器)であってもよく、基準ビーコンは、反射器であってもよい。他の態様において、センサは、基準ビーコンの近傍のキャパシタンス(静電容量)の変化を検知するような容量センサであってもよいし、基準ビーコンとの接触を検知するような電気的導通に基づくセンサであってもよい。
以上、特定の実施形態を参照しつつ本発明を説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理および用途の説明に過ぎないことが了解されるものとする。したがって、添付の特許請求の範囲に規定する本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、例示した実施形態の多くの改良が可能であるとともに、他の構成を考案可能であることが了解されるものとする。場合により、専門用語および記号は、本技術の実施に必要のない具体的詳細を暗示する場合がある。たとえば、用語「第1(first)」および「第2(second)」を使用しているとしても、別段の定めのない限り、これらは任意の絶対的順序を示す意図はなく、異なる要素を識別するために利用している。さらに、上記方法におけるプロセスのステップは、ある順序で説明または図示しているとしても、このような順序は必須ではない。当業者であれば、このような順序の改良および/またはその態様の同時あるいは同期的な実施が可能であることが認識されよう。