本発明は、それらの曲げ短軸又は面外曲げ軸を中心に安定した繰り返しの高変位弾塑性屈曲が可能な、接続された力制限及びエネルギー消散構造部材(好ましくは降伏アンカーのプレート(回転ユニット))の動きを方向付け且つ制御するのに役立つ制御構造に関する。
本発明は、装置及び機構又はより具体的にはピボットロッカーフレームアセンブリ及び回転ユニットを備え、接続された力制限及びエネルギー消散構造プレートの動きを方向付け且つ管理するピボットベースの制御構造を含み得る。プレートは回転ユニット内にあり且つその一部を形成する(降伏コネクタ)。プレートはその形状により、高弾塑性変位及び高い延性にその曲げ短軸(又は面外)を中心に降伏屈曲しながら(好ましくは、それ自身内で膜力を発生させないか又は生じさせない)、安定した一定の抵抗降伏力を生成できる。高弾塑性変位に屈曲しながら一定の抵抗降伏力を発生させるプレートの特定の境界条件について、さらに詳しく説明する。回転ユニット内のプレート動作は、それが一部である制御構造に、地動(ベース動)入力に応答して、一定の抵抗降伏力で高弾塑性変位及び延性に流動及びサイクルする一方で、その(制御構造)の内部又はそれが耐震的に支持し得る任意の隣接構造内の内力を維持し、その一部である構造プレートの降伏力の関数である最大値に制限可能な安定した弾塑性機構を形成する。
降伏プレートの動きを内部で制御された形で調節することにより、制御構造はその後自身の自然な反応(変位、速度、加速度)及び制御構造が直接的又は間接的に耐震的に支持し得る質量又は隣接すする構造の反応を修正する。
抵抗降伏力が一定した安定的で、高変位及び高延性が可能な弾塑性機構として流動することにより(flowing)、制御構造は、厳しい地震の地動(変位、速度、加速度)入力に耐えることで、制御構造の部材内で発生し得る加速度及び動的な力の大きさを制限する。
すなわち、制御構造は、降伏プレートの動きを管理及び制御するのに対して、(好ましくは、それ自身内で膜力が発生できるようにするか又は発生させることなく)一定の抵抗力で降伏するプレートは構造内で発生する力を制限する。
プレートは、地動又はベースの励振への制御構造の反応を効果的に緩衝する。
プレートが制御構造及び任意の接続された構造内の力を制限することは、一定の抵抗降伏力を維持しながら、潜在的に高い繰り返し弾塑性変位(変形)及び高い塑性ひずみを安定的に維持する能力次第である。
プレート上でのピーク弾塑性変位(及び延性)要求の大きさは、地動(加速度)入力、構造及びその分布によって耐震的に支持される質量、(プレートを含む)構造の弾性固有振動数及びプレートの降伏強度を含む多くの変数の関数である。
安定した一定の抵抗降伏力を維持しながら、それらに対する繰り返しピーク変位要求を維持する、(複数の)プレートの能力は、それらの材料応力−ひずみ特性及び構造形態にさらに依存する。
制御構造全体の弾性限界に対する横方向強度(すなわち、横方向降伏強度)及び延性は、交換可能な曲げ部材(プレート)のみに依存する。さらに、制御構造又はその一部であるプレートのいずれも自身が所定の横方向強度又は延性を有する別の構造に追加の横方向強度及び延性を必ずしも提供しない。別の構造(例えば、構造フレーム)に、横方向の強度又は延性を追加的に提供しない。すなわち、制御構造は、別の構造を耐震的に支持するものではなく、単に(質量を支持するか又は支持しない)独立した独スタンドアローン構造であり得る。さらに、制御構造(及びその曲げ部材(プレート))は重力荷重による降伏プレートの「平坦化」への支援又は依存することなく、各サイクル後に横方向作用のみを介して元の位置に戻ることができる。
さらに、回転ユニットは、単一の加速パルス(例えば、ブラスト衝撃)及び機械的衝撃(例えば、列車エンジン/ステーションバッファ(train engine/station buffers))に抵抗/吸収するために用いられ得る。
地震の間、前述したように貯蔵ラック及び建物は縦方向及び横方向に揺動し得る。
地震の間、構造に加えられる同等な力は、貯蔵ラック3又は荷重支持構造の高さの約70%で作用するように近似できる。これは、ラック3で支持される物品の重量分布に依存する。
本発明のシステムは貯蔵ラック又は構造に組み込むことができ、地動(地震加速度)入力に対する構造及び構造により支持される質量の変位、速度及び加速度反応を修正及び変更し、地震の間にラック構造又は建物構造及び制御構造の部材、耐震的に支持されるものの内で生成される力を制限する。
本発明は、構造の一部として又は構造に組み込まれるシステムを利用して、地震の間に構造の動きを抑制し(防止ではしない)且つエネルギーを消散し、制御構造が地動入力に耐えるため、制御構造又は制御構造が耐震的に支持しする構造内で力が発展するのを制限する。本発明は、
(a)地動による力を貯蔵ラック又は建物構造の上部から基礎に伝達し、
(b)基礎と上部領域との間で、制御構造の回転ユニット内の降伏部材(プレート)の塑性降伏を介して、基礎内での制御構造内及び制御構造が耐震的に支持する隣接する構造(ラック又は建物)内の双方で発展し得る力を制限するために、
少なくとも1つの降伏コネクタ(回転ユニット)が組み込まれた実質的に剛性でピボットベースの制御構造の一部としてロッカー2000を組み込む。
降伏コネクタ(回転ユニット)230の降伏プレートの単純な構造挙動により、その性能の荷重試験及び正確な計算の双方を可能にする。その設計は、その降伏力及びエネルギー吸収性能が、地震の間の制御構造及び貯蔵ラックの各動作サイクルの間に予測可能で留まるようにする。降伏コネクタ(回転ユニット)は弾塑性変形可能な曲げ部材100を利用する。曲げ部材100(プレート)の構造挙動又は性能が計算及び試験により容易に定義され、制御構造のロッカーフレームの単純な(事実上1自由度)反応であるため、地動入力に対する制御構造全体の反応が容易に確立される。曲げ部材100(プレート)は、降伏の間に横方向への高塑性変位に屈曲するため、自身内で引張力又は圧縮膜力を発生させることができないことが重要である。降伏部材(プレート)内で生成される膜力は、(プレート)の剛性の増加及びプレート内の力抵抗の増加の双方をもたらして、変形を増大させる。これは、そのエネルギー消散及び力制限能力を低減し、制御構造及び制御構造が耐震的に支持し得る任意の隣接構造の双方でより高い力の発生をもたらす。
図1〜図6は、貯蔵ラック又は一般的な建物構造に含むことができるか又はその一部を形成可能な様々なエネルギー吸収システム1000(本明細書では制御構造ともいう)を示す。それらを貯蔵ラック又は建物に組み込んだ場合を図7に示す。図3は、フレーム280及びピボットアンカー240を含むロッカー2000を含む。図1〜図6に示す例では、システムは基礎4に直接接続され得る。本明細書で後述する他の実施形態では、システムは他の構造又は他のコンポーネントに接続され得る。
制御構造(エネルギー吸収システム1000)は、図1及び図2のように回転ユニットだけを含み得るか又は図3及び図4のようにロッカー2000(フレーム280及びピボット240)と共に(曲げ部材100を有する)回転ユニット降伏コクタ230を含み得るか、回転ユニットが内部に位置するピボットベースのロッカーフレームアセンブリの一部であり得る。
ピボットアンカー240は、一部である制御構造のフレーム280の回転動作のための専用ピボットを提供する。動作は、ピボットアンカー240の各側から外方に縦方向に配置された降伏コネクタ(回転ユニット)230によって少なくとも部分的に制約される。ピボットアンカー240は、2つの離間したコネクタ230A及び230Bの中央及び中間に位置することが好ましい。コネクタ230A及び230Bは同じであることが好ましい。
一部の実施形態では、ロッカー2000は、2つの離間した降伏コネクタ230及びピボットアンカー240と係合するフレーム280を含む。フレーム280は貯蔵ラックの一部であり得るか又は好ましくは貯蔵ラックに組み込まれて延存し、貯蔵ラック3の上部領域27に又は一般的な建物構造の各フロアに(直接又は間接的に)固定され得る。貯蔵ラックに接続するフレーム280の上方に延びる部分により、ラック3又は構造の揺動からの力の一部又は全部をピボットアンカー240及び降伏コネクタ(回転ユニット)230の降伏プレートに伝達できる。フレーム280の動きはラック3又は構造の動きと互換性がある。すなわち、制御構造と、制御構造が耐震的に支持する任意の他の隣接構造との間の接続は、制御構造の動作と互換性がなければならない。例えば、フレームピボット240又はコードベースピボット315の中心線で垂直方向スロットピン接続である(vertically slotted pinned connection)。フレーム280は図1に示すように短くてもよいし、図2及び図3に示すように高くてもよい。短いフレーム280は、図1に示すように、揺動の間に力の伝達を提供するためにタイ、ストラット又はケーブル270により上部領域に接合され得る。この場合、制御構造は、回転ユニットのみ(ロッカーフレームなし)で構成される。図1に示す短いフレームの実施形態はラック高さが低い場合に利用され得る。ラック3の高さが高い場合には、高いフレームの実施形態が望ましい。
図1は、貯蔵ラックの高さが低いか又はタイケーブル270が用いられる場合に最も適し得る実施形態を示す。タイケーブル270は基礎との角度が45度を超えないことが好ましい。これにより、縦方向の力を貯蔵ラック3から回転ユニットに効率的に伝達するのに役立つ。
回転ユニットに接続される張力ブレースワイヤは水平に維持されることが好ましい。これは、図48において、ケーブルガイドを用いることにより実現される。
エネルギー吸収システム1000(制御構造)は貯蔵ラック3の上方領域27に接合され得る。これは、貯蔵ラック3の高さの3分の2になる。これは、地震活動から適用される同等力が集中し得る場所の典型的な近似である。当業者であれば、エネルギー吸収システム1000が任意の高さ及び任意の数の高さで貯蔵ラック又は建物に係合され得ることを認識するであろう。
エネルギー吸収システム1000は頂部取り付け部250を含むことが好ましい。頂部取り付け部250は、貯蔵ラック3のブレース26(場合によっては、業界でプランブレース(plan bracing)として知られる)等の部材に取り付けられるように構成されている。ブレースがストラット又は他の同様の剛性部材の場合、頂部取り付け部はフレーム280又はラック3においてトルク又はモーメントを生じないよう枢動できることが好ましい。
ブレース26は、フレーム280の頂部又は頂部取り付け部250を貯蔵ラック3に接続する方法に過ぎない。2つのラックが背中合わせで設けられている場合、ブレースは図8に示すようにラックの中間に通常位置する。プランブレース及び接続部は、構造の頂部の下の梁の高さに位置することもできる。
プランブレース26は2つ以上のラックにまたがることができる。2つのラックの中間にはエネルギー吸収システム1000が位置する間隙23がある。代替的な実施形態では、エネルギー吸収システム1000は貯蔵ラックの前面に又は前面及び後面の双方に位置する。
フレーム280は、曲げ部材100(降伏プレート)の柔軟性と比べて比較的剛性の構造であることが好ましい。フレーム280はトラスタイプ構成であることが好ましい。トラスは、エネルギー吸収システム1000の構成及び必要な機能特性に適した多数の設計及び構成のものであり得る。一般的な建物構造への適用では、剛性の平面鉄筋コンクリート要素もフレーム280に用いることができる。
先で簡潔に説明したように、エネルギー吸収システム1000(制御構造)は、貯蔵ラック3又は他の構造の上方領域27に又はその近くに接続されるか又は接続することができる。それは、貯蔵ラック又は他の構造に組み込み可能である。剛性フレーム280は加えられた荷重の下で内部変位(ひずみ)が少ないと仮定すると、剛性フレーム280はピボットアンカー240を中心に揺動又は回転する。フレーム280の役割は、縦方向動作の間に力を上方領域27からピボット240に力を伝達することである。ピボットアンカー240を中心とした揺動動作、離間した降伏コネクタ230に伝達される。そして、揺動動作は、曲げ部材100(降伏プレート)が塑性的に曲がるため、それらに(回転システム内及び一部)少なくとも部分的に吸収される。例えば、図4に示すように、右側への貯蔵ラック3の縦方向の動きは、フレーム280をピボットアンカー240を中心に時計回りに回転させる。これにより、降伏コネクタ(回転ユニット)230Aの伸長アームを上方に動かし、降伏コネクタ230Bの伸長アームを下方に動かす。(地動によりもたらされる)上方領域27の縦方向の動きは、(一実施形態では)降伏コネクタ230において実質的に回転動作に移される。回転ユニット内での降伏プレートの回転変位(運動)は、降伏プレートがその一部を形成する制御構造によって調整及び制御される。降伏プレートは、それらの降伏たわみを超えて変形(屈曲)する際に、特定の自由な並進又は自由な並進及び自由な回転端領域境界条件により一定の抵抗降伏力を生じ、これは制御構造内及び制限構造が耐震的に支持し得る任意の隣接構造内で力が発展し得るのを制限する。
図9及び図10は、エネルギー吸収システム1000の別の実施形態を示す。図9は変位されていない状態の制御構造を示し、図10は変位された状態の制御構造を示す。
この実施形態を符号300で参照する。すなわち、フレーム280はフレーム380等として参照される。この例では、エネルギー吸収システム1000は、フレーム380によって接続された2つのピボットアンカーを事実上含む。フレーム380は各ピボットアンカー340を中心に枢動し、回転ユニットに接続する(降伏コネクタ)。降伏コネクタ331〜334は回転ユニットであり、曲げ部材(降伏プレート)はその一部である。図9及び図10の制御構造は、回転降伏ユニットを有する枢動可能ベースのロッカーフレームアセンブリである。
エネルギー吸収システム1000は、地面に対して揺動可能な2つの実質的に剛性の垂直コード310(垂直コードとしても知られる)の中間にロッカー2000を位置決めする。垂直コード310はピボットアンカー315によって基礎4に枢結されている。垂直コード310を図5で概略的に示す。要約すると、ロッカー2000はフレーム380及び2つのピボットアンカー340を含む。4つの降伏コネクタ331〜334がそれぞれの垂直コード310と係合する。降伏コネクタ331〜334は垂直コード310に接続される(降伏プレートを有する)回転ユニットである。回転ユニットの伸長レバーアームは、ピン接続プッシュロッドを介してロッカー2000に接続される。
フレーム380は、前述したように、2つの剛性の垂直コード310間の力の伝達及び動作を支援するために剛性のトラス様の構成であることが好ましい。2つのピボットロッカー2000の機能は、前述のロッカー2000とほぼ同じである。ピボットロッカー2000はフレームが垂直コード310に対して枢動できるようにするピボットアンカー240を含む。本実施形態における降伏コネクタ331〜334及びフレームピボット240は、ロッカー2000又はフレーム380を直接基礎に固定するのではなく、基礎4に枢動可能に固定された各垂直コード310にフレーム380を固定する。基礎4は、構造物の床、基礎、梁又はトラス型システムである。
ピボットアンカー315は基礎4と係合し、基礎4と平行で且つ制御構造の縦方向に垂直な回転軸を定義する。好ましい実施形態では、剛性の垂直コード310の上方領域312は、貯蔵ラック3又は建物構造の上方領域に接続/係合されていても、されていなくてもよい。
好ましい実施形態では、第1の上方降伏コネクタ331及び第2の上方降伏コネクタ332が前述の第1の剛性の垂直コード313及び第2の剛性の垂直コード314にそれぞれ接続されている。さらに、第1の垂直コード313及び第2の垂直コード314にそれぞれ接続された第1の下方降伏コネクタ333及び第2の下方降伏コネクタ334が存在する。上側降伏コネクタ331、332の伸長アームは、貯蔵ラック3の縦方向の動作の間に貯蔵ラック3の動作方向に偏向し、降伏コネクタ333、334の伸長アームは、地震の間に貯蔵ラック3の横方向の動作の反対方向に偏向する。
フレーム380は動作の間に実質的に水平にとどまり、降伏コネクタ331〜334と共に、エネルギー吸収構造のラッキング動作を可能にするが、それには抵抗がある。
図11は、垂直方向の地動加速度による垂直支持体間の作動垂直変位(differntial vertical displacement)の場合の制御構造の変位を示す。図12は、地面の水平及び垂直変位の組み合わせによる変位を示す。
本明細書に記載のエネルギー吸収システム1000の多くの実施形態で用いられ得る1つの種類の降伏コネクタ(回転ユニット)230を図13〜図17に示す。
前述したように、回転ユニット(降伏コネクタ)の曲げ部材100(プレート)で引張又は圧縮膜力が生じないことが理想的である。簡単に説明すると、曲げ部材100の周辺端領域232は、降伏状態の間に障害又は制限を受けることなく又は拘束されることなく又は束縛されることなく自由に並進できるべきである。曲げ部材100が引っ張られて湾曲状に変形/偏向させることができるように、曲げ部材の降伏又は屈曲の間に端部領域232が比較的自由に並進できることが好ましい。すなわち、降伏部材100のプレートは、図21に示されるように、端部領域232に、故にそれ自身内及びプレートのために引張又は圧縮膜力を何ら発生させることなく自由に単純に屈曲及び延在でき、意図しない端部モーメントを発生させないようにその端部領域で自由に回転できる。
一実施形態では、曲げ部材(プレート)の周縁端は、図17、図20及び図21に示すように並進及び回転端条件を有する。この特定の自由に並進又は自由に並進及び回転できる境界条件はプレート自体の延長(extension)である。プレートの変形長さは、プレートが屈曲した場合にその反応点の間で変更(増減)できる。代替的に、本明細書に記載の曲げプレートの周縁端は、図37及び図39に示すように、並進が自由な連続する境界又は並進が自由な回転が抑えられた境界であり得る。
図35、図37及び図39は、本明細書でDELTAプレート(特に、DELTA4、DELTA5及びDELTA6)として定義される降伏プレートである。それらの特定の境界条件(例えば、摺動ヒンジ)は、降伏プレートが弾塑性的に屈曲する際にそれらの(反応転換の)変形曲線に沿って長さを変化させる(伸長/後退)ことを可能にする。降伏プレートが弾塑性的に高変位に屈曲するときに降伏プレートが一定の抵抗降伏力を維持することを可能にするこの特性/特徴の重要性をさらに詳細に説明する。
降伏コネクタは、降伏の間に屈曲部材100の端部領域が比較的容易に横方向に並進できるようにしなければならない。降伏の間のこの横方向への並進は、曲げ部材100が伸張することなく又は曲げ部材内で膜力を発生させることなく又は端部領域で分離することなく変形及び屈曲して延びることを可能にする。次に、端部領域の実質的に横方向への並進により、曲げ部材100は反対方向への動作降伏の間につぶれたり、ねじれたりすることなく、反対方向に駆動させることができる。
図13は、偏向されていない状態の降伏コネクタ230(回転ユニット)を示し、図14は、曲げ部材100が変位された形態の降伏コネクタ230を示す。図13及び図14では、端部領域232での並進及び回転の双方を可能にするために、ピン234及びスロット235のシステムを利用する。スロット又はヒンジはプレート自体の延長である。スロットヒンジを含むプレートの屈曲線に沿ったプレートの変形長さは、プレートが屈曲するにつれて増加又は減少する。ピンは空間内で固定された状態で留まる。
第1の実施形態(ここでは、BETA1回転ユニット又はBETA1ローターと呼ぶ)(図13〜図17)では、回転ユニットは、ロータープレート601の間に置かれ、その端部のそれぞれがロータープレート601にしっかり接続された比較的柔軟性に乏しい円形ドラム600である第1の部分を含む。ロータープレートのそれぞれはロータープレートから延びる一体化アーム602を備え、ピン及びスロットは(戻りバネを用いて)制御構造のタイ603(又はプッシュロッド)(第1の構造部材)に接続される。
曲げ部材(プレート)100は、一端(第1の領域)100がインペラの形態でドラム(第1のアンカー)600にしっかり固定され、その周囲のまわりに分布してる。プレートの第1の領域は回転可能なドラムにおいて第1のアンカーと共に円弧状に動く。ローターユニットの第1の部分はドラム600と、アーム602を備えるローター601と、曲げプレート100とを含む。このアセンブリは、ドラムの回転軸と重心の軸シャフト604から外れて支持される。軸シャフト604は第1の部分を回転ユニットの第2の部分と回転可能に接続する。第2の部分は水平構造ベース4又は基礎(第2の構造部材)に取り付けられる外側ケーシング605又はハウジングを含む。(ドラム600にしっかり固定されたプレート231の第1の領域と反対側の)曲げ部材(プレート)の周縁端(第2の領域)232は、特定の並進又は並進及び回転境界条件235を有し、それらの端部における円弧動作(arc motion)がピン(第2のアンカー)234により抑制されている。ピン234はそれらの並進可能な自由端又は並進及び回転可能な自由端(第2の領域)232/235を回転ユニットの外側ハウジング605又は第2の部分に接続する(回転ユニットの第1及び第2の部分は軸シャフトにより枢結されている)。ベースピボット250を中心とした制御構造のロッカーフレーム2000の回転により、端部がピンで接続されたタイ(又はプッシュロッド)603がロータープレート601の伸長アーム602を押し引きし、曲げ部材100が固定されて周囲に分布する回転ユニット230の円形ドラム(第1のアンカー)600を回転させる。曲げ部材(プレート)の端部領域(第1の領域)231はドラム(第1のアンカー)600にしっかり固定され、その周囲の周りにあり、ドラムと共に回転及び円弧運動する。曲げ部材の反対側(周縁)端部(第2の領域)232/235はピン(第2のアンカー)により弧状の動きが抑制されているため環間せん断力が発生し、曲げ部材(プレート)100を弾性的に又は弾塑性的に曲げる。
第2の実施形態(本明細書では、BETA2回転ユニット又はBETA2ローターと呼ぶ)(図18〜図25)では、回転ユニット230は相対的に非柔軟で回転可能な内側円形ドラム(第1のアンカー)600を含み、曲げ部材100がそれらの第1の領域231でドラム600にしっかり固定して接続され、インペラの形態でドラム(第1のアンカー)600の周囲の周りに分布される。
曲げ部材(プレート)100の周縁端(第2の領域)232/235は、それらの特定の並進又は並進及び回転境界条件235を有し、ピン(第2のアンカー)234によりそれらの端部での円弧状の動作が抑制されている。ピン234は周縁端(第2の領域)232/235をタービンケースの形態の第2(外側)の環状部607(回転ユニットの第2の部分)に接続する。環状部607は内側回転可能ドラム600(回転ユニットの第1の部分)と同心円状にある。外側(ケース)607は動きに対して固定され、構造ベース4(第2の構造部材)に固定されている。内側回転可能ドラム600は円形の端部プレート(ロータープレート)の間でセットされ、端部プレート604は、構造ベース609に回転可能に固定されたトルク軸シャフト604にしっかり固定され支持されている。同心円状のドラム600、607の外側に位置する剛性アーム606はトルクシャフト604の軸と直角に接続され、その反対側の端部で制御構造(第1の構造部材)のプッシュロッド603により(戻りバネを用いた)ピン及びスロット接続部608に延びる。
上述のさらなる実施形態では、内側回転可能ドラム600は、第1のアンカー600及びトルクシャフトの双方として機能するように、外側円形ケース607を越えて延在する。
図22〜図25は、回転ユニットの様々な配置を平面図で示す。図22は、一対の対称に配置されたアームを有する単一の回転ユニットを示す。図23は、ロッカーフレーム2000のプッシュロッドに対して偏心した単一の回転ユニットを示す。図24は、横方向又は平行に形成され、全体的にはロッカーフレームを中心に位置する一対の回転ユニットを示す。図25は、長手方向又は直列に配置され、全体的にはロッカーフレーム2000の中心に位置する一対の回転ユニットを示す。図24及び図25は、4つの回転ユニットを有する全体的なシステムを形成するために組み合わせることができる。図13及び図18の水平方向に延びたアーム602も同様に垂直方向に延びることができる。回転ユニットがロッカーフレームを有さないスタンドアローン制御構造(図1及び図2)である場合、図24及び図25の複数ユニットも同様に可能である。
図9の構成に従って垂直コード310と係合するピボットアンカー340の詳細を図26の側面図に示す。図27に平面断面図を示す。ピボットアンカー340は垂直コード310の重心(centroid)を介してピン342で垂直コードにピン止めされることが好ましい。ピボットアンカー340はピボット軸341を有し、ピン342は、フレーム280が垂直コード310上のピボット軸341を中心に枢動できるようにする。
図28及び図29は、エネルギー吸収システム1000の2つの実施形態を示す。システム1000は先で説明した2つのピボットロッカー2000を含む。システム1000は、図9のように2つの垂直コードと中間で係合する代わりに、(基礎4又は床等の)ベース、梁、屋根、天井又はラック2の上方領域との間で係合する。
図29に示すさらなる実施形態では、エネルギー吸収構造1000が複数存在し得る。例えば、非常に高い(及び/又は重い)貯蔵ラック2又は構造は、その高さに沿って離間された4〜20個(又はそれ以上)のエネルギー吸収構造1000を有し得る。典型的な実施形態では、各エネルギー吸収構造1000は同一に構成され、本明細書に記載の種類のものであることが好ましい。
あるいは、図28及び図29に示す実施形態は、剛性の梁又はトラス等のトップハット(top hat)500と、貯蔵ラックの下方梁又は基礎との間で用いられ得る。この場合、トップハット500は貯蔵ラックのプランブレースに接続され得る。トップハット500はロッカー2000の上側ピボットに接続される。トップハット500は制御構造の弾性剛性を高め、地震の間の弾塑性変位を低減し、制御構造の強度及びエネルギー吸収能力を高める。システムのこれらの横方向のエクステンションは貯蔵ラック又は構造のプランブレースに取り付けることができ、ラック2に対するエネルギー吸収構造1000の接触及びこの作用(leverage)の量を高めることができる。システムがラックの側面ではなく、貯蔵ラックの端部で用いられる場合にはタイ501も用いられ得る。
図296は、トップハットがエネルギー吸収構造1000に接合されるさらなる実施形態を示す。エネルギー吸収構造1000はそれらの上方及び下方領域で係合するため、あらゆる横方向の動きの効果は図9に記載のものと同様に各降伏コネクタを介して動かされる。
一般的な建物構造の形態におけるエネルギー吸収構造1000(制御構造)の一例を図30に示す。ここでは、剛性の垂直コードをトラスとして示す。フレーム380に接合された複数の曲げ部材100(プレート)を有する降伏コネクタ(回転ユニット)230及び垂直コード310のクローズアップ図は図13及び図18に示す通りである。
「せん断型」降伏コネクタ230を有するエネルギー吸収システム1000(「せん断型」の実施形態)のさらなる実施形態を図31及び図33に示す。
ここで、プレートでの曲げ降伏は、ピボットベースの制御構造が地動入力に反応して揺動するときに外側コードと内側フレームコードとの間で生じる層間せん断力及び変位への反応である。
図31は、ピボットアンカー240を中心に枢動可能なフレーム280を有するエネルギー吸収システム1000(制御構造)を示す。フレーム280及びピボットアンカー240は前で説明した通りである。降伏コネクタ(回転ユニット)230はフレーム280の両側に配置される。2つの剛性の垂直コード310はフレーム280の両側に配置され、好ましくは垂直コードピボット315により基礎(例えば、床又は梁)に枢動可能に固定されることが好ましい。各垂直コードとフレーム280との中間には1つ以上の降伏コネクタ230がある。この実施形態では、降伏コネクタ230は、フレーム280の内側コードと外側コード310との間の層間せん断力を伝達する。このせん断力は、回転ユニットのドラムをそのケースに対して回転させ、プレート(曲げ部材100)において屈曲をもたらす。それらの曲げ降伏はエネルギーを吸収し、制御構造又は制御構造が耐震的に支持し得る任意の隣接構造内の力を制限する。制御構造は、システムが例えば地震によって揺動した場合に、フレーム280と剛性の垂直コード310との間でせん断運動を発生させる。この実施形態は、ロッカー2000がピボットアンカー240を中心に上方領域27からのピボットアンカー240の各側面の降伏コネクタ(回転ユニット)230に横方向の動きを並進させて影響を与える、先に説明したエネルギー吸収システム1000と同じ概念を共有する。
回転ユニット内の降伏プレートの例を図35〜図39に示し、後で説明する。
図33に示すさらなる実施形態では、「せん断型」エネルギー吸収システム1000(制御構造)も水平構成で利用され得る。この実施形態では、エネルギー吸収システム1000は水平方向に回転される。2つのピボット240及びロッカー2000は2つの剛性の水平コード510の中間に配置される。
エネルギー吸収システム1000及び水平コード510の双方は、先に説明したように2つの剛性のピボットベースの垂直コード310の中間で保持及び係合される。この実施形態では、エネルギー吸収システム1000は、先に説明したものと同じ降伏コネクタ(回転ユニット)230を共有する。水平コード510はそれらの各端部で、2つの離間したピボットベースの垂直コード510に枢動可能に取り付けられている。
垂直コード310とロッカー2000との相対移動は、回転ユニットのハウジングとドラムとの間で相対的な回転変位を生じさせる。これは、降伏プレート(降伏部材100)において曲げ及び降伏を生じさせる。
垂直又は水平のせん断実施形態で用いられる降伏コネクタ230を図35(変位していない状態)及び図36(変位した状態)に詳細に示す。図37及び図39は、屈曲が連続し且つ回転が抑制された環間せん断伝達曲げプレート(flexurally continuous and rotationally restrained inter annular shear transfer flexural plates)の場合を示す。変位していない状態及び変位された状態を示す。図35は、曲げ部材100を1つだけ有する単純な実施形態を示す。他の実施形態では、回転ユニットのドラムの表面の周囲に配置及び固定された複数の曲げ部材が存在する。
先に述べたように、制御構造内の及び制御構造の一部の降伏プレートの全てはそれらの周縁領域で自由に並進して、高弾塑性変位に曲がった場合に内膜力を自己生成するのを避けるのを支援すると詳述した。
曲げ部材100はその端部領域231及び232で接続されていることが好ましい。各曲げ部材100の端部領域は、ドラム(内部環状部)600及び降伏コネクタ(回転ユニット)のハウジング605/607に固定された円形に分布するピン抑制部234に接続されるか又は係合する。降伏コネクタ(回転ユニット)230は、
a)垂直実施形態における垂直コード310及びロッカー2000、又は
b)水平実施形態における水平コード510及びロッカー2000
の中間で係合するか又はそれに沿って一体化している。
図35に示す一実施形態では、曲げ部材100の各端部領域は異なる係合タイプを有する。図35に示すように、曲げ部材100の一方の端部領域231はしっかり固定された接続を有し、回転ユニットのドラムにしっかり制約を受ける拘束される。曲げ部材100の反対側の端部領域232は回転ユニットの外側ハウジングに固定されたピン抑制部と摺動及び枢動係合する。摺動係合は、曲げ部材100(プレート)が自身の内部で直接的な引張力又は圧縮膜力を発生するのを防止するのに役立つ。
回転ユニットのロータープレート(伸長アーム)とコードとの接続は溝を介したもの(slotted)であるため(すなわち、相対的に摺動可能)、システム全体をまとめなければならない(tie together)。このような理由から、垂直コード310をロッカー2000に接続するのに剛性であるがピン接合された(pin-ended)運動制御タイ400を利用すべきである。タイ400は外側コード310の中心線及びフレーム280の中心線に接続されたピン接合(pin connected)されていることが好ましい。タイ400の変位されていない状態及び変位された状態を図41及び図42にそれぞれ示す。図43は、水平構成システムのための変位された状態のタイを示す。
ここでは、より具体的に、また図の一覧で言及したように、
a)水平方向又は垂直方向に取り付けられた回転ユニット(降伏コネクタ)に接続されたピン接合プッシュロッドを有するロッカーフレーム(図3、図9、図28〜図30)はALPHA1ロッカーフレームと指定し、
b)ロッカーフレームの内側一体コードと平行な外側コードを有し、その間に回転ユニットが位置及び分布される、せん断タイプのロッカーフレーム(図31及び図33)をALPHA2ロッカーフレームと指定し、
c)第2の端部領域が単純に支持される(図35)か、屈曲的に連続する(flexurally continuous)(図37)か又は回転が抑制(図39)された曲げ部材100(プレート)を、それぞれDELTA4、DELTA5、DELTA6プレートと指定し、
d)サイドハウジング(side housings)備える回転ユニット(図13)及び環状(タービン型)ハウジングを備える回転ユニット(図18)をそれぞれBETA1ローター及びBETA2ローターと指定する。
システム全体は実質的に金属で構成されることが好ましく、スチールで構成されることがさらにより好ましい。枢動可能なアンカー、コード、フレーム、トラスは地震の間に実質的に曲がったり降伏したりしないように、実質的に剛性があり強固である。トラス、ボディ、コード等を設計する上でエンジニアが利用可能なバリエーションがある。例えば、フレーム280は、硬い面状鉄筋コンクリート要素(stiff planar reinforced concrete element)を含み得る。これにより、コンクリート/スチールの複合制御構造が得られる。
さらなる実施形態では、上記の実施形態のいずれかは、追加の制御及び耐性のために二次曲げ部材が利用され得る(図44及び図45)。この場合、二次曲げ部材は降伏コネクタ(回転ユニット)及び同等の基礎(すなわち、基礎4又は垂直コード又は天井)の中間にある。二次曲げ部材は第2の構造層に追加される。この場合、回転ユニットの降伏プレートは、その内部の塑性屈曲を所定のリミットで止める曲げ撓み(異動)制限器(例えば、ドラム回転ブレーキ)を有することができる。これらの制限器が係合した後はじめて二重のシステム(second tier system)は降伏することができる。
降伏プレート(回転ユニット)及び二次曲げ部材の相対強度及び弾性スティフネスを調整することにより、一方の部材のみ(プレート又は二次部材のいずれか)又は両方で屈曲が生じ得る双線形弾性補剛システムを開発できる。
二次曲げ部材は、制御構造及び制御構造が耐震的に支持し得る任意の構造の弾性周波数を、回転ユニット又は制御構造内のプレートに変更を加えることなく変化させることができるようにする。上述のように、これは二重の延性システムを提供するためにも用いることができる。
図46は、二重延性システムの荷重変位グラフを示す。線aは、二次曲げ部材の弾性応答(弾性スチフネスk2)を組み合わされた降伏プレートの弾性応答(弾性スティフネスk1)を表す。線bは、一定の抵抗降伏力での曲げプレートの塑性降伏を表す。線cは、降伏プレートの曲げ変位が運動又は移動制限器により止められた後の二次曲げ部材のみの連続弾性応答を表し、線dは二次曲げ部材における第2の層の塑性降伏を表す。
図55〜図61では、プレートの端部領域の摺動又は摺動及び回転は、回転ユニット、ハウジング又は外側環状部をスロット化(slotting)することにより実現される。後でさらに詳細に説明するように、これらの境界条件の重要性は、それらはプレートの周縁端部領域の自由な並進又は自由な並進及び回転動作を提供するが、プレートが高弾塑性変位に屈曲する間に一定の抵抗降伏力を生じることができるようにはしない。ここでは、先に説明した全ての境界条件とは対照的に、プレートの屈曲線(曲線)に沿った長さは変位と共に変化せず、プレートの反応点で水平方向の反応は起きない。
図62及び図63に示すさらなる実施形態では、プレートの摺動又は摺動及び回転端は反対に回転内部アンカーに位置する。
さらなる実施形態では、ALPHA1フレームでフレーム280を降伏コネクタに接続するピン接合タイにバネ又は弾性構造部品が追加されるか、せん断作用ALPHA2フレームの水平又は垂直ベースへの外部コードの接続にバネが加えられる。これは、制御構造の固有の弾性周波数の別の独立した調整を可能にする。
地面2が言及されている場合、地面は、建物又は構造物の床又は天井、梁又はトラスの床もしくは天井又は説明したようにラッキング防止システムに係合された構造の一部でもあり得ることも想定される。
本明細書に記載のこれらの構造及びシステムの全てが対称である場合、システムは半分にされてもよいし(halved)、2倍にされてよいし、それでもなお有効であることが分かる。例えば、エネルギー吸収システム1000はピボットアンカー240の一方側にのみ1つの降伏コネクタ232を有し得る。同様に、図41のエネルギー吸収システムも半分にして、フレーム400と1つの剛性の柱310との間に離間された1組の降伏コネクタ430のみが存在するようにしてもよい。
上述の実施形態は変更され、共に組み合わされてさらなる実施形態を形成し得る。当業者であれば、これらの構成は、構造又は貯蔵ラックの高さ、動かないようにすべき貯蔵ラックの数、構造又は貯蔵ラックの重さ、物品又は構造の重さ、構造又は貯蔵ラックが設置されている場合での地震の傾向及び頻度及び規模等の構造又は貯蔵ラックの多くの異なる目的及び機能的特性に合うように適合させることができることを理解するであろう。さらに、これらの構成は、使用される材料及び必要とされる安全係数に応じて適合され得る。
特徴、利点及び属性
1)ベースピボットロッカーフレームアセンブリと、回転ユニット内に収容される力制限及びエネルギー消散曲げ部材(プレート)とで構成される制御構造は、回転ユニット内に収容されるピボットベースのロッカーフレームアセンブリと、力制限およびエネルギー消散曲げ部材とから構成され、一定の抵抗降伏力を維持しつつ、流れて繰り返しサイクルすることができ、非常に高弾塑性変位および延性を維持することができる運動学的に簡素で安定した弾塑性機構を形成できる。該弾塑性機構は一定の抵抗降伏力を維持しながら流動でき、繰り返しサイクルでき、非常に高弾塑性(変形)変位及び延性を維持することができる。降伏曲げ部材によって生成される一定の抵抗降伏力は、それたの特定の並進又は並進及び回転境界条件により、回転ユニットがその一部を構成する制御構造は地面又はベースの動きの入力に抗し耐えることができるため、それ自体内、その基礎内又は制御構造が耐震的に支持し得る任意の質量又は構造内での動的力及び応答加速を制限できる。
2)制御構造の形態は、主に単一自由度の単純な弾塑性動的応答を生成する。そのため、その動的挙動は予測可能であり、分析が簡単である。
3)回転ユニット内の曲げ部材(プレート)は、それらの曲げ短軸を中心に曲げ降伏して非常に大きく逆弾塑性変位(reversing elasto-plastic displacements)(変形)する間構造的に安定して留まる。
4)曲げ部材(プレート)はそれらの端部領域の1つで詳細に並進又は並進及び回転するため、それらは、それら自身内で膜応力を生じさせることなく非常に大きく弾塑性変位するよう曲がる(変形)ことができる。
5)(特定の境界条件を有する)曲げプレートの弾塑性挙動は単純に理論的に決定され、極度の繰り返し荷重要求下でそれらの性能の限界は荷重試験により容易に確立される。
6)曲げ部材(プレート)及びそれらを含む回転ユニットは、高く一貫した
・降伏変位(すなわち、弾性限界での変位)
・降伏強度
・弾性スチフネス
・延性
を維持する一方で、プレートは非常に大きな弾塑性変位及び非常に高い延性に屈曲する。
7)全体的な制御構造の形態のため、曲げプレートの特性(高い延性、安定性、靭性、一定の抵抗降伏力、分析的単純性、予測可能な応答及び荷重試験で確立された性能)の全ては、制御構造全体の特性に転換される。
8)降伏要素(プレート)の材料(例えば、スチール)のグレード及び種類は、制御構造の上部構造全体に用いられる材料(例えば、スチール)とは独立して特定できる。
9)全体的な制御構造の形態のために、その基本的な構造的及び動的特性(例えば、降伏強さ、弾性固有振動数、延性)は、回転ユニットの曲げ降伏要素(プレート)の特性を変えるだけで調整できる。
10)降伏の際に回転ユニットにより生成される一定の抵抗力及びその後の制御構造全体の一定の抵抗降伏力は、単に回転ユニットのレバーアーム(伸長アーム)の長さを変化させることにより、すなわち、回転ユニットの曲げ部材を変えることなく調整できる。
11)回転ユニットの可変長レバーと共に回転ユニットと一体化される二次曲げベース部材を加えることにより、制御構造の一定の抵抗降伏力及び制御構造の弾性固有振動数の双方を、回転ユニットの曲げ部材に何ら変更を加えることなくそれぞれ連続的に且つ独立して変化させることができる。
12)制御構造内の弾塑性降伏(変形)は、回転ユニット内のプレートの曲げ降伏に限定される。これらのプレート及びユニットは、構造全体が保持され、整列された状態で交換できる。
13)制御構造及び制御構造が耐震的に支持し得る任意の他の制御構造の構造及び動的性能が依存する降伏要素(プレート)及び回転ユニットは、品質管理された環境(すなわち、工場)で独立して供給される材料を用いて独立して生産できる。
14)回転ユニット及び複数の回転ユニット内で複数のプレートを用いることは、特定のプレート又はユニットにおける材料又は構造(例えば、溶接)の欠陥又はばらつきの影響を平滑化する。すなわち、回転ユニットは構造全体に高度な構造的な冗長性(バックアップ)を提供できる。
15)回転ユニットは、それらの回転可能ドラム(第1の部分)の周りに分布された複数の曲げ降伏部材(プレート)を含むことができ、組み合わされた高い抵抗降伏力を生成することができる一方で、回転ユニットを比較的コンパクトにできる。
16)降伏プレートは(大きな弾塑性変位に曲がる間に一定の抵抗降伏力を生成することを可能にするそれらの特定の境界条件により)、制御構造が入力に抗し、耐えることができるため、制御構造(又は制御構造が耐震的に支持する構造)内での内部(動的)力を制限及び制御する。内力が低減されているため、制御構造の上部構造、それを支持する基礎及び制御構造が耐震的に支持する任意の構造をより経済的に設計することができる。
さらに、非常に大きい弾塑性変位及び非常に高い延性(塑性ひずみ)に屈曲する間にプレートが生成する一定の抵抗降伏力により、降伏強度の一定の値を弾塑性時刻歴解析で用いることを可能にする。解析の精度及び信頼性は非常に高い延性で維持される。従来の構造の解析では降伏プラトー勾配(yield plateau gradient)及びひずみ硬化が許容されるが、延性(塑性ひずみ)の増加に伴い解析の精度及び信頼性が急速に失われる。例えば、単純な5%の降伏プラトーを有する二重線形材料応答を仮定すると、延性が20の場合にでは初期降伏強さの2倍、延性が40では初期降伏強さの3倍の強度(解析に用いられる)が得られる。これらの値は、不正確で且つ安全でない解析をもたらす。
本明細書に記載される全てのプレート(曲げ部材100)は、安定にとどまり且つ一定の抵抗降伏力を維持しながら、大きな弾塑性変位及び高い延性に繰り返し曲げることができる。
その結果、それらが一部を構成する制御構造は一定の抵抗降伏を維持することができ、それらがベースの動き(地震)の入力に耐えて反応するため、それらの構造内で生成される力を制限する。大きい弾塑性変位に屈曲しながら一定の抵抗降伏力を生成することを可能にするプレートの特定の境界条件についてさらに詳細に説明する。
曲げ部材(プレート)の屈曲方向に沿った形状(形)及び強度は、プレート(図64、図67、図70を参照)内での曲げ降伏(すなわち、塑性流動、塑性ひずみ、塑性湾曲)が、プレートのアンカー5003、5005にすぐ近くにあるプレートの端部領域5002、5004内の特定の有限「降伏ゾーン」(finite ‘yield’ zone)5000に限定されるように構成されることが好ましい。プレートは、第1のアンカー5003に隣接するプレートの第1の領域5002内の降伏領域5000と第2の端部領域5004内の遠位降伏領域5000との間又はプレートの(第1のアンカー5003に隣接する)第1の端部領域5002内の降伏領域5000と、(第2のアンカー5005に隣接する)遠位の非降伏第2の端部領域5004との間で弾性5001を維持することが好ましい。
当業者であれば、これらの領域内に降伏を制限することは、その屈曲方向に沿って一定の断面及び材料特性(角柱)有する長方形プレートを単に用いることによって実現され得ることが分かる。
図64に示される弾塑性たわみプロファイルは、繰り返し試験された矩形の定断面(角柱)8mmプレートから取られた直接トレース(direct trace)である。試験では最初に10回の荷重反転を行い、弾性限界に対する弾塑性たわみ比(延性率)25、次いで50の最終比(延性率)セットに向う。プレート内での破壊(例えば、クラッキング又は分裂)なく各サイクルで一定の降伏荷重及び降伏領域がない各サイクルで得られた。そのような試験から得られた降伏領域の自然な範囲は、図66、図69、図72に示すように降伏ゾーンの領域におけるプレートの幅(又は厚さ)を小さくする(ネッキング(necking))ことにより、さらに確かになり、制御又は小さくすることができる。
さらなる実施形態では、プレートの降伏ゾーン領域は、図73のようにテーパーされてもよい。
図74〜図80は、回転ユニットのロータープレートの伸長アーム(レバーアーム)の長さのみを単に変化させることにより、制御構造(全体の)の一定の抵抗降伏力が直接的且つ比例的に変化されることを示す。すなわち、回転ユニット内で弾塑性的に曲がる降伏プレートにより生成される一定の抵抗力R(図75及び図77)又はトルクTが維持されながら、制御構造の(図78、図79のVと等しい)その後の(ギア付きの(geared))一定の抵抗力は、レバーアーム長を例えばaからbに変えることにより(図74〜図77)に変更することによって連続的に調整(変更)され得る。すなわち、回転ユニットはギア調整を有する。
(制御構造の構造(全体的な)変位延性能力を維持しながら)制御構造全体の弾性固有振動数も、レバーアーム長を変化させることで続けて変化される。回転ユニットと一体化される二次曲げベース部材(図80)を加えることで、制御構造の一定の抵抗降伏力及びその弾性固有振動数の双方をそれぞれ連続的に且つ独立して調整(変更)できるようにする。これにより、制御構造の上部構造(例えば、ロッカーフレーム)又は回転ユニットの曲げ部材又は制御構造が耐震的に支持し得る任意の構造に変更を加えずに、制御構造の弾性及び弾塑性変位、速度及び加速度応答(応答スペクトル)を連続的に変化させることが可能になる。
回転ユニット内の曲げ部材(降伏プレート)の構造特性(形状、強度、剛性、材料)の変化及び回転ユニット自体の相対的比率(寸法)の変化は、再び調整におけるさらなる柔軟性を可能にする。
図81は、回転ユニットのさらなる実施形態を示す。ここで、力制限及びエネルギー消散曲げ部材(プレート)は回転ユニットの外周に位置する。国際出願第PCT/IB2017/056135号及び国際出願第PCT/IB2017/056137号に記載されているBETA1スリーブガイドロッカー内のDELTA1降伏プレートは一端を回転ユニットの第2の部分に、そしてスリーブガイドロッカーのプッシュロッド及び剛性インペラ(長さL2)を介して回転ユニットの第1の部分(円形ドラム)に枢動可能に接続する。
先に説明したように、制御構造のダブルピンプッシュロッドの押し引き(push and pull)は、ドラムエンドロータープレートの伸長レバーアーム(長さL1)に円形ドラムを回転させる。
円形ドラム(シリンダ)の周囲にしっかり接続された剛性インペラアームはドラムと共に回転し、それらの周縁ピン端部が弧を描くように円運動し、スリーブガイドBETA1ロッカーユニットの(第2の)プッシュロッドによりDELTA1降伏プレートが弾性的に又は弾塑性的に変位するようにさせ、同様に一定の抵抗降伏力R及び一定の抵抗トルクTを生成する。上述したように、(制御構造のプッシュロッドに接続されたドラム及び(戻りバネを備える)ピン/スロットと一体化された)ロータープレートの伸長レバーアームの長さL1は、プッシュロッドの一定の抵抗降伏力P及び制御構造全体の一定の抵抗力Vを調整するために連続的に変化(又はギヤリング(geared))することができる。さらに、上述したように、二次曲げ部材ベースを回転ユニットと一体化して、制御構造全体の抵抗降伏力及び弾性固有振動数の双方を連続的且つ独立した調整を提供できる。
図82に示されるさらなる実施形態では、図81の曲げ部材(DELTA1降伏プレート)は、別の種類又は形態の力制限器及びエネルギー消散器で置き換えられている。
図83は、変位された形態の図82の一部を示す。
図84は、図82の一般的な力リミッタ及びエネルギー消散器を、スロット付きセンタープレートを有する固定摩擦プレートとして示す。この場合、3つのプレートはBETA1ロッカーのプッシュロッド内で閾値力Rに到達するまでは(相対的に)変位(摺動)しない。閾値力Rは、摩擦プレート間の抵抗摩擦力を克服するのに必要な力であり、摩擦プレートはバネワッシャーを用いて又はバネワッシャーなしで)摩擦グリップボルトにより共に既知の及び所定のクランプ力Cでクランプされている。プレートを摺動するのに必要な力Rはプレートが摺動する間一定であることが好ましい。
本明細書で説明する摩擦ユニットアセンブリは通常3つの摩擦ブロック又は摩擦プレート要素で構成される。これらは、2つの外側又は外部プレートの間に挟まれたスロット付センター又は内側のプレート又はブロックを含む。締め付けたボルト又はスプリングワッシャからのクランプ力は外側プレートのみに直接加えられる。すなわち、ボルトヘッド、ボルトナット又はスプリングワッシャーは外側プレート又はブロックとのみ接触する。内側プレートのみがスロットを備える。内側プレートと外側プレートとの間の接触面(摩擦面)は、クランプボルトに横方向の力を加えることなく変位(摺動)できます。
図85は回転ユニットのさらなる実施形態を示す。ここで、回転ユニットの伸長アームは、制御構造のプッシュロッドに接続されたピン(及び中心から中心までの長さL1)によって、中心の円形プレートに(レバーアームの平面内で又は平行に)その中心軸を中心として回転させる。回転可能なプレートは、スプリングワッシャの有無に関わらずクランプ摩擦グリップボルトにより回転ユニットの第2の部分(ここでは、中央プレートの両側の環状リング)に接続される。図84と同様に、回転ユニットの2つの部分は、プレートの摩擦抵抗が克服されると互いに対して回転可能に変位し、この摩擦抵抗を克服するために必要な力Rは、プレートが互いに対して摺動するときに一定であることが好ましい。
図86は、プレートのクランプ領域の変位されていない形態及び変位された形態を示す。
図87は、回転ユニットのさらなる実施形態を示す。ここで、レバーアームの長さはaであり、制御構造のプッシュロッド内の抵抗力はP1である。
図88に示す回転ユニットは図87のものと同様であるが、レバーアームの長さはbであり、制御構造のプッシュロッド内の抵抗力はP2である。図74〜図77の回転ユニットと同様に、伸長レバーアームの長さを変化させるだけで制御構造のプッシュロッドにおける力P及び制御構造全体の抵抗力を調整できる。図80と同様に、図94の図87/88の回転ユニットに二次曲げベース部材が追加されている。これは、前で説明したように、制御構造の抵抗力及びその弾性固有振動数の双方をそれぞれ連続的に且つ独立して調節できる。図87及び図88の回転ユニットの(弾性)スチフネスは、摩擦力が克服される前は非常に高い。二次曲げ部材ベースの追加により、この弾性スチフネスが低減され、制御構造の弾性応答を改善できる。
図89は、図87及び図88の回転ユニットのクランプ領域の変位されていない形態及び変位された形態を示す。
図90は、図87及び図88の断面を示す。ここでは、回転ユニットの第1及び第2の部分の連続した環状接触(摩擦)プレート(リング)をクランプ力Cと、プレートが互いに摺動したときに接触点で生じる力Rと共に示す。
図91は、回転ユニットの第1の部分の摩擦プレートが個々の(靴)プレートであるさらなる実施形態を示す。
図92は、図91の断面を示す。
図93は、図92の外側環状(第1の)部を通り、内側の第2の部分のスロット付きパッドを通る引っ張りボルトの概略部分図を示す。
図95は、図90と同様の概略断面を示すが、回転ユニットが平坦な内側ディスク及び外側レバーアームを有し、スロット付きの内側ディスクはレバーアームと共に回転する。
図90は、図95の場合と同様であるが、外側プレートがレバーアームと共に回転する。外側プレートがレバーアームと共に双方スロット付き内側プレート(ディスク)に対して回転する。
図97、図98、図99は、摩擦ユニット(例えば、ブロック)が中央に位置、レバーアームと共に回転し、摩擦ユニット及びレバーアームの双方は外側プレート間に位置する、回転摩擦ユニットの様々な概略断面を示す。
図100は、図97の概略平面図を示す。
曲げ降伏プレートに戻って、図101は、図18の回転ユニットと同様の回転ユニットを示すが、ここでは、曲げ部材(プレート)は、(比較的)回転ユニットの周縁のより近くに位置し、回転ユニットの第1の部分の円形ドラムの直径は、曲げ部材の曲げ長さよりも大きい。この回転ユニットの場合、図7A及び図7Bのユニットのように、プレートの曲げ方向(主湾曲の方向)は回転ユニットの回転軸に対して垂直(直交)である。
図102は、図101の断面を示す。
図103は、DELTA4降伏プレートを有する回転ユニットのさらなる実施形態を示す。ここで、回転ユニットの第1の部分は円形ディスク(単一のディスク又は二重のディスク)を含み、曲げ部材(プレート)は円形ディスクに固定され(曲げ部材の平面はディスクの面に対して垂直(直交)である))、ディスク(第1の部分)の周囲に分布する。前に説明した回転ユニットと同様に、(第1の部分(ディスク)の平面内にあるか又は平面と平行な)レバーアームは第1の部分と一体化され、第1の部分の回転軸から延び、ピン/スロットは第1の構造部材(この場合、制御構造のプッシュロッドとして示す)に接続される。
図104は、(点線の)背景に補強及び固定環状リングを有する曲げ部材及び(ページから突出する曲げ部材)第1の部分の外側円形エッジの部分正面図を示す。
図105は、回転ユニットの第1の部分(ここでは、曲げ部材のための固定も提供する接続環状リング備えた二重ディスク)に一端が固定される曲げ部材(プレート)の側面図を示す。曲げ部材の反対側の端部は、前述のように、回転ユニットの第2の部分のアンカーピン(シャフト)と(周囲に)接続する摺動ヒンジを含む。回転ユニットの第2の部分は、第2の構造部材(ここでは、基礎ベースとして示される)にしっかり接続された円形ディスクである。アンカーピン(シャフト)が内部に位置する枢動可能なコネクタがその周囲に分布され、第2の部分の円形ディスクにピン接合されている。
図110は回転ユニットの第1の部分及び第2の部分を示し、第1の部分及び第2の部分はそれらの回転軸で回転可能に接続され、(回転ユニットの第1の部分に固定された)曲げ部材(プレート)と、(回転ユニットの第2の部分に枢結された)アンカーピンとの間の接続を介してそれらの周縁部でさらに接続されている。
図106は図0105の平面図を示す。
図107は、ピボット可能な接続アンカーピン(シャフト)の位置と共に(図104と同様の)変位されていない曲げ部材の端面図を示し、全て回転軸に対して示す。
図108は、図107の変位された形態を示す。ここでは、曲げ部材がその非変位位置に対して垂直及び水平方向の双方に回転及び並進し、それが接続されるアンカーピンは、曲げ部材の回転と同じ角度で曲げ部材と共に枢動(回転)している。曲げ部材の摺動ヒンジもアンカーピンの回転軸に沿って相対的に並進されている。
図109は、アンカーピン(シャフト)を含む、主回転線に沿った曲げ部材(プレート)の変位された形態の平面図を示す。ここで、弾性又は弾塑性曲げ降伏プレートの主屈曲方向は、回転ユニットの回転軸と平行である。これは、降伏プレートの主屈曲方向が回転ユニットの回転軸に対して垂直(直交)な図18、図101及び図102の回転ユニットと対照的である。先に述べたように、曲げ部材内では膜力(又はねじり応力)は発生せず、その特定の自由並進及び自由回転境界条件により、曲げ部材は一定の抵抗降伏力で降伏して大きく弾塑性変位する。次に、回転ユニットは、一定の抵抗降伏力(トルク)で回転して降伏し、それが一部を構成する制御構造は、地(ベース)動入力に抗し、耐えるときに一定の抵抗降伏力で降伏する。
(図97の回転摩擦降伏ユニットと同様の)図111、図112、図113は回転降伏ユニットの様々な概略断面を示し、降伏板は、2つの外側ディスク(部分B)の中心にある2つの一体化ディスク(部分A)の周縁端に接続(固定)されている。
図114は、図111の概略平面図を示す。
先に説明した全ての回転ユニットと同様に、回転ユニットの第1の部分の伸長レバーアームの長さを変化させることで、制御構造内の一定の抵抗力を変化させることができ、二次ベース曲げ部材を追加することで、制御構造の抵抗降伏力及び固有(弾性)振動数の双方を独立して変化させることができる。
図115に示すさらなる実施形態では、図81〜図84に示す特定の又は一般的な形態の力リミッタ及びエネルギー消散器は、図103と同様に円形ディスクで構成される回転ユニットの周囲に位置し、枢動可能に接続されている。
図116は図115の平面図を示す。ここでは、内側ディスクが(先で説明したように伸長及び一体化レバーアームを有する)回転ユニットの第1の部分であり、外側ディスクは第2の構造部材に固定された第2の部分である。
図117は、先に説明したように、力リミッタ及びエネルギー消散器が、図115の回転ユニット内の摩擦プレートで構成される1つの場合の部分概略図を示す。
さらなる実施形態では、図118は、図99と同様の回転摩擦ユニットの概略図を示すが、この場合では弾性コンポーネントがカンチレバー板バネ(又はプレート)の形態で回転ユニット内に組み込まれている。これは、上述した回転ユニットと一体であるが外側にある二次曲げ部材の場合と対照的である。
図124は、図118の概略断面図を示す。ここでは、固定又はベース固定センタープレートが2つの外側プレートの間に位置し、外側プレートは、外側円形プレートと一体化された回転プレートのレバーアームと共に回転する。2つの外側プレートの間でクランプされているのはスロット付き摩擦ブロックである。センタープレートの大きなスロットがあることで、ブロックが直接それらを貫通することができる。
図119は、変位されていない(又は元の)位置にある回転ユニットの一部を示す。
図120は、内側プレートに対して変位(回転)する外側プレートを示す。ここで、外側円形ディスクに(テンションワッシャの有無に関わらず)摩擦クランプされた内側摩擦ブロックは外側プレートと共に移動する。外側プレートと変位するセンター摩擦ブロックは、内側ベース固定プレートに固定された弾性カンチレバー板バネを変位させる。そのため、外側円形ディスクの間にクランプされ、それらと共に移動する摩擦ブロック(シュー)の動きは板バネによって(弾性的に)抗され、この抵抗力は、図121のように摩擦パッド(シュー)が、内側固定プレート内のスロットの端部と接触するまで、摩擦シュー及び板バネの変位と共に増加する。この段階で、摩擦シュー及び弾性板バネの双方の動きが止まる(又は停止する)。外側プレートが変位(回転)を続けるためには、(動くのが止まった)それらは、それらと内側摩擦パッドとの間の摩擦力を克服しなければならない。この摩擦力を克服されると、スロット付き摩擦パッド(シュー/ブロック)及び弾性カンチレバー板バネはが、ベース固定センタープレートと所定の位置に固定される一方で、外側プレートは変位を続ける。
図122は摩擦シューに対して変位し続ける外側プレートを示す。外側プレートに(テンションワッシャの有無に関わらず)固定されたクランプ引っ張りボルトは、(内側)摩擦ブロック内でスロットに沿って(相対的に)変位できる。外側プレートと内側摩擦ブロックとの間で克服される摩擦力は、外側プレートが図122におけるその位置から変位するときに一定の抵抗力として維持されることが好ましい。内側ブロックと外側プレートとの間のクランプ力、すなわち摩擦抵抗力が、図121に示すように移動又は変位の限界にある弾性カンチレバー板バネの弾性抵抗力と合致するように構成されている場合、弾塑性システムと同等の弾性摩擦システムが得られる。可塑的にひずむ特定の境界条件を有する降伏プレートによって生成される一定の抵抗降伏力は、外側プレートと内側摩擦ブロックとが互いに変位(滑り/摺動)するときにそれらの間で生成される一定の抵抗摩擦力と等しいことが好ましい。
図123は、システムの弾性(降伏同等)変位コンポーネントa及び摩擦(又は塑性)変位コンポーネントbを概略的に示す。
図125は、外側プレートに対して適所に固定され、他の内側摩擦ブロックに対して移動するクランプ引っ張りボルトを示す。
図126は、上記と同様のケースを示すが、ここでは、クランプボルトは摩擦ブロックを通過せず、摩擦ブロックの外側でそれに隣接して配置されている。図126の回転ユニットは二次曲げ部材と一体的に示している。
図127は、図126の概略断面を示す。
図128は、外側プレート内及びスロット付き内側プレート内に位置する(テンションワッシャ付き又は無しの)クランプボルトを示す。
図129は、2つの外側プレートの間でクランプされた摩擦ブロックが内側プレート内の(大きな)スロットの端部と接触してさらなる動きが阻害され、(摩擦抵抗力を克服した後に)外側プレートが変位を続け、クランプボルトが外側プレートと共に内側プレート内の(小さな)スロット内で動き、外側プレートが内側摩擦ブロックに対して変位するときの摩擦抵抗力は好ましくは一定で場合を示す。
図130は、図118及び図126と同様の回転摩擦ユニットの概略図を示すが、ここでは、内側プレートがユニットのレバーアームと共に回転する。
図131は図130の概略断面図を示す。摩擦ブロックはセンターディスクの両側にクランプされている。上記と同様に、摩擦プレートは内側ディスクと共に移動するのに対して、(摩擦プレートと接触する)弾性プレートはこの動きに抗するが、摩擦ブロックとセンタープレートとの間で滑りを生じさせるのに十分高い力を生じさせない。(内側プレートと共に回転する)変位する摩擦プレート及び曲げ(バネ)プレートが、2つの外側ベース固定プレートに固定され且つそれらに広がる(span across)移動リミッタと接触すると、それら及び弾性板バネは動くのが抑制されるか又は停止される。内部プレートは、それと現在止まっている摩擦ブロックとの間の摩擦力を克服すると移動を続けることができ、そのクランプボルトは摩擦ブロック内のスロットに沿って移動する。そのため、内側プレートの頭部は効果的に摩擦ブロックを突き通す(slicing through)ことができる一方で、摩擦ブロックはこの動きに対して好ましくは一定の抵抗力を生じる。
図132及び図133は、図130と形態と同様の回転摩擦ユニットを示すが、内側プレートがレバーアームと共に移動する一方で内側プレートはベース固定されている。これは、図118の回転ユニットと同様である。
図133は、図132の概略断面図を示す。
図134及び図138は、図130の(内側及び外側)摩擦ブロック、プレート、弾性板バネ及びランプボルトの移動(線形携帯)を示す。
図134は、(スロット付きの)センター摩擦ブロック、外側プレート、(テンションワッシャを有するか又は有さない)クランプボルト、弾性板バネ及び移動リミッタの全てが初期位置にある場合を示す。
図135は、右に変位する外側プレート(すなわち、回転ユニットの第1の部分)を示す。外側プレートの間にクランプされたセンター摩擦ブロックは、弾性屈曲板バネに対して押し付けると外側プレートと共に移動する。摩擦ブロック及び接続された(クランプされた)外側プレートがさらに右側に動くと、板バネによって生成される弾性力は大きくなるが、摩擦ブロックと外側プレートとの間で滑りを生じさせるのに十分な力ではない。
図136は、板バネが移動リミッタと接触し、板バネの屈曲及び摩擦ブロックの変位の双方が停止された場合を示す。この瞬間、摩擦ブロックと外側プレートとの間に滑りはまだない。
図137は、右にさらに移動した外側プレートを示す。外側プレートが、図136に示すそれらの位置からさらに右側への変位を実現するには、それらは、それらとセンター摩擦ブロックとの間の摩擦力を先ず克服しなければならない。これが達成されると、プレートは図136のそれらの位置から図137のそれらの位置に移動でき、一定の抵抗力(摩擦力)を効果的に押しのけることができる(push against)。
図138は、外側プレートに固定され、内側摩擦ブロックに対して固定されるクランプ引っ張りボルトの概略図を示す。
図139及び図140は上述したのと同じシステムを示すが、図138に示すのと同様のスリーブガイドBETAロッカーユニット内に位置している。
図141は、ガイドを含む、図139及び図140の断面図を示す。
摩擦ブロック/プレート/シュー/パッド及びそれらの界面は、任意の数の又は種類の材料から作ることができるか又は構成することができる。
スタンドアローン型のユニットであるか又はピボットベースロッカー構造内に位置し分布される弾性摩擦回転ユニットは、その内部のクランプされたプレートが互いに対して枢動又はスリップした場合に好ましくは一定の抵抗(摩擦)力を生成できる。回転(摩擦)ユニットの弾性コンポーネントは、回転ユニット内で、板バネ又は同様のものにより、回転ユニットと一体化されているがその外側にある二次曲げ部材によって、または双方を用いることにより提供できる。摩擦回転ユニットの弾性コンポーネントは、弾性コンポーネント(例えば、板バネ)内の抵抗弾性力に達すると、摩擦プレートの間で滑りが生じるように構成することも可能である。すなわち、一定の抵抗力での滑りは、弾性コンポーネントのみの使用で、すなわち、上述した移動リミッタ(モーションブロック)なしで実現できる。
そのため、弾塑性システムが得られる。
図130の回転摩擦ユニットは、例えば、図112又は同様の回転降伏ユニットの(弾塑性)降伏プレートと同じ弾性応答を生成し得る弾性コンポーネント(例えば、スパニングプレート(spanning plate))を有するように構成することができる。
同様に、図130の摩擦プレートの摩擦降伏(滑り)力は、図112又は同様の回転降伏ユニットの降伏プレートによって生成されるのと同じ(塑性)降伏力を生成するように構成することができる。
同様に、二次曲げ部材は、例えば、図112又は図130の回転降伏ユニット及び回転摩擦ユニットの双方に加えることができる。そのため、双方の回転摩擦ユニットの弾塑性応答は効果的に同じになるように構成することができ、それぞれが同じ長さが調節可能なレバーアームを有し、それぞれが二層延性システムに展開できる。
図142〜図156はさらなる回転摩擦ユニットを示し、摩擦要素は連続した円形リング又は円形の湾曲したパッド/シュー/ブロックを含む。摩擦要素の曲面間の界面変位は曲面に対して接線的であり、回転ユニットの回転軸及び半径方向の双方に対して、表線(surface line)に対して接線的である。
図142は、2つのディスク及びレバーアームと一体化された内側リングの一部の側面図を示す。それらは2つの外側ディスク内に位置し、2つの外側ディスクは(内側リングに固定され、2つの外側ディスクの間で横方向に広がる)摩擦シューを固定するか、弧を描いて動くのを防止するか又はアセンブリ全体を構造ベースに固定する。
図143は、2つの外側ディスクの概略側面図を示し、摩擦シューはそれらに及び、横方向がそれらに拘束されている。
図144は、2つのベース固定外側ディスク、内側回転可能ディスク、連続リング摩擦要素及び2つの摩擦シューの断面図を示し、2つの摩擦シューは外側ディスクに及び、外側ディスクの間には連続リングがスロットを介してクランプされている(slot clamped)。
図145は、(スロット付き)連続リング、摩擦シュー、内側及び外側ディスクの平面図を示す。
図146は回転ユニットの概略正面図を示し、回転ユニットは、2つの外側ディスクであって、それぞれが連続した円形摩擦リングを備え、それらの全てが一体化され、レバーアームと共に回転する、2つの外側ディスクと、アセンブリを構造ベースに固定するスロット付センターディスクとで構成される。センターディスク及びベース固定ディスク内のスロットは、摩擦シューが各外側摩擦リングに自由にクランプできるようにするとともに、摩擦シューが再び円弧を描いて動くのを抑制し、連続摩擦リングは横方向(又は円弧状に)固定された摩擦シューの間でクランプされ、スロットされている(slotted)。これは、リングがシューに対して回転され、スロットされた摩擦要素は、2つの外側摩擦シューの間にサンドイッチされたものである。
図147は、摩擦シュー、内側プレートのスロット及び連続摩擦リングの詳細を示す。
図148は、区画147の平面図を示す。
図149は、図146と同様の摩擦回転ユニットの概略図を示すが、ここでは摩擦パッドは角柱状である。すなわち、それらは図150に示すように、内側ディスク内の孔を連続的に通り、内部プレートへのガイドにより配置される。
図151は、回転摩擦ユニットの概略図を示す。回転摩擦ユニットでは、レバーアームと一体化され、ユニットの回転可能部である2つの外側ディスクの間で大きなセンター湾曲シューが広がるとともに固定されている。大きな(スロット付きの)摩擦シューは、2つの小さな摩擦シューの間でクランプされている。2つの小さな摩擦シューは、2つの小さな摩擦シューが弧を描いて動くのを抑制するよとともにアセンブリを構造ベースに固定する2つの内側ディスクの間で横方向に広がっている。図151及び図152の切り欠きは、2つの内側ディスクに対するものである。それは、小さなシューが弧を描いて動くのを抑制しながら、内側のシューが回転できるようにする。
図153はプレートアセンブリの断面図であり、図154は平面図である。
図155は、図152と同様の一部の詳細の立面図を示すが、ここでは回転ユニットの内部弾性コンポーネントとして弾性プレートが導入されている。
(カンチレバー)プレートは、大きな内側摩擦シューが回転するときに小さな外側摩擦シューと接触し、クランプされた外側プレートはそれと共に移動するが、図156に示すようにカンチレバープレートから(変位と共に)増加した弾性抵抗にさらされ、先に説明した回転摩擦ユニットと同様に、弾性プレートは、内側リングの切り欠きと接触するまで曲がることができる。この段階では、(バネ)プレートの弾性変位及び2つの外側摩擦シューの回転/変位の双方が停止されるのに対して、大きな内側湾曲シューは、好ましくは一定の抵抗(摩擦)力に対して変位を継続することができ、これは変位の有効な塑性相である。先に説明した他の回転摩擦ユニットと同様に、回転摩擦ユニットは弾塑性的に応答している。また、先に説明したように、弾性成分を提供するために、二次曲げ部材を回転ユニットに加えることもできる。
国際公開WO2016/185432号公報に記載の弾性応答すべり摩擦装置の態様を次に考察する。装置の摩擦接触面は、それに加えられる力の方向及び接触面を共にクランプする力の方向又は線の双方に対して傾斜している。該国際公開公報に記載されているように、これらのクランプ力はプレテンションがかかっている場合がある。プレテンションにより、2つの傾斜面は(例えば、地震からの)荷重が取り除かれた後にそれらの元の状態に戻るか又は潜在的に戻る(すなわち、スライドバック)ことができるようにする。
(ここで主眼が置かれる)回転降伏ユニットの曲げ降伏プレートと、弾性成分を提供する弾性ひずみ要素(例えば、弾性屈曲プレート)で構成される弾性成分及びユニットの別の塑性成分を効果的に提供する直角にクランプされた(平坦な又は湾曲した)面を有する摩擦ユニットを内部に有する上記の回転摩擦降伏ユニットの曲げ降伏プレートとを上記で参照したクランプされた摩擦傾斜面装置とさらに比較する。この比較には、ここで開発された波形摩擦降伏ブロックも含まれる。波形摩擦降伏ブロックは、それぞれが独立した弾性成分及び塑性成分を生成するクランプされた無摩擦傾斜面及びクランプされた摩擦平坦面を含む。これらは、各ユニットの地震入力に対する挙動及び応答を対比するのに役立つ。
上記で参照した装置は、荷重が取り除かれた後にその元に戻るように構成されているが、その過程で摩擦仕事を通じてエネルギーを消散するように構成された弾性装置である。
ここでは、摺動接触面及び平坦接触面の両方を有する装置を開発する。この装置は、無摩擦(又は摩擦が非常に小さい)のクランプ傾斜接触面と、摩擦のある平坦な(又は水平の)クランプ接触面とを有する。無摩擦の傾斜面(ローラー面の形態でもあり得る)は装置の弾性成分を提供し、これとは別個に、平坦なクランプ摩擦接触面は装置の塑性成分を提供する。この結果は、先に説明した回転摩擦ユニットと同様の能力又は性能に応答する弾塑性システムである。
国際公開第2016/185432号公報に記載の傾斜摩擦面の力学と、無摩擦の傾斜及び平坦(例えば、水平)摩擦接触面を有する変位クランプ接触面の力学とを考察する。(弾性的(のみ)な又は弾塑性的な)このようなシステムは、上述の回転摩擦システムと比較できる。上記のように、これらの回転ユニットは、弾性ひずみ要素(例えば、曲げプレート及び/又は二次曲げ部材)によって弾性成分が提供され、一緒にクランプされる2つの従来の摩擦面により塑性成分が提供される降伏装置を含み、クランプ力の線又は方向は、それらの(平坦又は湾曲した)接触面に対して垂直である。弾性ひずみ成分及び塑性又は降伏摩擦成分の双方は別々に作用する(すなわち、一致してではない)。
無摩擦傾斜面及び(クランプ力に対して)平坦な摩擦接触面を有する弾塑性摩擦降伏ブロックを図157に示す。ここでは、波形ブロック又は波形摩擦降伏ブロックという。
図157における初期の又は変位されていない位置では、傾斜面のみが接触(クランプ)している。(プレテンションがかけられた又はかけられていない)タイにおける張力Tは、図158に示すように、各傾斜の頂部で最大値(例えばTm)に達し、一定のクランプ力Tmで共にクランプされた2つの水平面の間でさらなる変位がはじまる前に、傾斜面の(傾斜を上る)相対変位とともに増加する。図159に示す2つの水平面は、変位に対して好ましくは一定の抵抗力を提供する。
図160は、互いに対して接触し変位する2つのクランプされた傾斜摩擦面の間の基本的な力及び平衡状態の関係を導き出す。この場合、(スロット付きの)センターブロックは左側に移動し、2つの外側クランプブロックの傾斜面はセンターブロックの傾斜面に対して動くか又は上方に摺動している。センターブロックの左への変位は、横方向のクランプ力Tに起因する表面に直交する直接力Rの水平成分(合計)及び表明に対して水平であり、垂直な力Rに起因する摩擦力μの双方により抗される。すなわち、双方の力は、センターブロックの左への変位に抵抗し、力Pは、この方向への変位に伴って増加する。式1)は、任意の時間tにおけるクランプ張力T(t)に対する力P、接触面の角度、θ及びこの方向への変位に関する摩擦係数μSL1に関する。
図161は図160と同様であるが、ここではセンターブロックが右に動き、この方向への変位と共に力Pが減少(又はアンロード)する。この場合、傾斜面に沿った摩擦抵抗の方向が切り替わり、その水平成分は、表面と直交する力Rの水平成分の反対方向にある。現在減少する力P、および再びクランプ張力T(t)、表面の角度、θ及びこの方向への変位に関する摩擦係数μSL2の関係は、図161で式2として導き出される。式(1)及び(2)は、クランプされた傾斜摩擦面の荷重及び除荷経路(loading and unloading paths)を記述しており、上述の国際公報に記載されているものと実質的に同じである。
それら((式1)(式2))は、図162に示すように3つの頂点を持つ荷重経路を生成する。プレテンションされたクランプ力により、それらは図163に示すように4つの頂点を有する荷重経路を生成する。各図の破線は、クランプされているが無摩擦の傾斜面の場合の荷重経路である。ここで、荷重及び除荷の経路は、従来の線形弾性要素と同じ線に沿って延びる。
図164は、傾斜角が30°で、荷重及び除荷のための摩擦係数がそれぞれ0.35及び0.25の場合の任意の正規化荷重経路を示す。
図165は、クランプされた傾斜摩擦面の同じケースを再び示すが、ここではクランプタイにプレテンションがかけられている。
図166は、摩擦ブロックの2つの水平面が互いに対して一定の抵抗力Pyで変位する場合を考える。ここで、Pyは傾斜面のための第1の方程式の式(1)から直接確立することができ、θ=0、T=Tm、μSL=μplateauである。
2つの傾斜面の間に摩擦抵抗がない場合、式1)、式2)のそれぞれはP=2T tan θとなる。
すなわち、図167及び図168に示すように、センターブロックが左に移動する(例えば、荷重)か又は右に移動する(例えば、除荷)かにかかわらず、変位角に対する力Pの関係は同じである。荷重経路は、従来の弾性ひずみシステムと同じ線上にある。これは、単にクランプ引っ張りボルトが弾性的にひずんでいるからである。この無摩擦の場合、(クランプ力Tを維持しながら)接触面の傾斜を変えることで、図169に示すようにシステムの弾性スチフネスkが変化する。
これにより、システムに接続された任意の質量の固有振動数を変化させる。
図170は、無摩擦の傾斜面及び水平面又は平坦面を有し、摩擦係数(例えば、μplateau)を有する波形システムの力−変位の組み合わせの関係を示す。これは、従来の理想的な弾塑性システムの荷重−変位関係と同じである。
傾斜接触面に摩擦面(及び力)が導入されると、例えば、図160に示すようにセンターブロックが左に移動する場合の荷重−変位経路は、図161に示すセンターブロックが右に移動する経路と異なる。無摩擦の場合、応答は直線的のままであるが、図171に示すように、2つの荷重方向はそれぞれ異なるスチフネス及び異なる荷重経路を有する。式(1)は、線(a)上に示すように、変位が大きくなるのに伴って荷重が増大することを示す。線(b)は変位方向が変わったことで傾斜面に沿った摩擦力の方向が切り替わった結果であり、線(c)は、式(2)により記述される、傾斜面が元に戻るために変位に伴って荷重が減少する場合である。同じ図面の線(d)は、無摩擦の傾斜面及び同様の表面の傾斜角を示す。
傾斜面に摩擦力を導入することは、図160のセンターブロックを左に変位させるためには(同じであるが無摩擦面の場合よりも)より大きな力又は仕事が必要であり(すなわち、システムによるこの方向への動きに対する抵抗が大きい)、センターブロックがその元に戻る場合はシステムによる負荷への動きが(無摩擦面の場合よりも)少ないことを意味する。
システムの機構は、従来の弾性バネ又は弾性ロッドを用いることにより、単純な形態で説明することができる。
図172は、漸進的に荷重及び除荷される弾性ロッドを示す。
図173は、その荷重経路を示し、荷重経路は荷重及び除荷について同じ直線に沿っている。ロッドは線形弾性材料でできている。
図174は、漸進的な荷重及び除荷を受ける別の弾性ロッドを示すが、ここでは、変位に対する制限がロッドの全長の約半分のところに位置する。棒は先ず左側に作用する力PAを受け、最初の長さLの右側はΔA収縮する。さらに、同じ方向にさらなる荷重(荷重マグニチュードPB)が加えられ、ロッドの右側が収縮(又は圧縮されて)してΔB変位する。
図175は、荷重PB及び変位ΔBに対する上側の線に沿った線形応答を示す。この時点で、中央に位置する制限が取り除かれ、その結果、変位は一定のままであるが、弾性スチフネスが低下し、システムが弛緩し、荷重PBから荷重PCに瞬時に又は段階的に低下する。次に、荷重PCはさらに低下し(部分的に除荷)して荷重PDになる。そして、荷重PDがさらに低下して荷重PEになる。ここでも応答は線形であるが、上側の線よりも低い傾斜である(すなわち、スチフネスが低い)下側の線に沿ったものである。ロッドが元の長さ(全長)に戻るまで荷重がさらに低下する。
(変位方向と反対の)荷重PBの低下(無限小)が中央の制限の除去と一致する場合、システムは荷重用と除荷用の2つの異なる線形スチフネス値を単純に有する。図176及び図177に示すように荷重又は除荷されるとき、荷重又はシステムによって異なる仕事が行われる。
図178に示すハッチング領域は、荷重が増加するときにシステム上で(又は内部的にシステムにより)行われる仕事と、変位が反転されて荷重が減少し、弾性ロッドが元の長さに戻るときにシステム上で(又はシステムにより)行われる仕事との差である。これは、ひずみ速度の関数である減衰ではなく、荷重用と除荷用の2つの弾性スチフネスの値を有するシステムによって行われる仕事の違いにすぎない。
図179は、図172及び図173の従来の弾性ロッドの荷重(及び除荷)経路を示し、図174及び図175の2つのスチフネスのシステムの上側及び下側の荷重経路の線を二分する。これが起こるためには、図172のロッドの長さは、図174の制限された長さと制限されていない長さとの中間にあり、それは全長の3/4である。荷重及び除荷における全仕事量は両方のシステムで同じである。図174及び図175の弾性(ひずみ)ロッドシステムは、図160及び図161の弾性(摩擦)システムと同様である。図175の荷重ステップδPBは傾斜接触面における荷重の減少(又は変位方向の反転)及び摩擦力方向の反転と同等である。
図180は、クランプ又はクランプボルトにプレテンションがかけられた波形摩擦ブロックの場合を示す。ブロックは内部的にひずんでいるが、回転ユニットと静的に平衡状態にある。すなわち、変位されていない場合には、それらが一部である構造に対して何の影響もない。しかしながら、センターブロックが左に変位して傾斜面c)及びd)での接触が失われると、図181に示すような力PIが平衡を維持するのに必要となる。
図182は、無摩擦傾斜面を有するプレテンション波形ブロックの場合の弾性荷重変位曲線を示し、図183は、それらの傾斜面に沿って摩擦力を有する装置の弾性荷重変位曲線を示す。初期の力では動きがほとんどない。これは、高い初期スチフネス及び力抵抗性と同等である。荷重が増加に伴って、システムは剛体から線形弾性にシフトし、図182の線(a)及び図183の線(b)に沿って変位する。
図184は、この概念のさらなる可能性のある実施形態を示す。ここでは、傾斜面の摩擦抵抗はテレマークスキーと同様に方向性に敏感である(directionally senstive)。
図185は、元に戻る閉ループの荷重経路(closed loop return to origin load path)を示す。これは、連続的にスチフネスが変化する弾性システムである。それは、より高いスチフネス(少ない変位)でより下に加わる荷重に抗するが、例えば地震からの荷重が増加するのに伴って軟化する。軟化又は荷重によるスチフネスの低下によって、それが耐震的に支持し得る質量(及び構造)の固有振動数を、ひいては制御構造により支持される質量の応答加速度及び制御構造内の力を低減される。
次に、摩擦成分の有無の点でのクランプされた傾斜面の違いを考察した。図186は、摩擦成分を有するクランプされた傾斜面の閉ループ荷重経路と、同じ傾斜角を有するが摩擦成分を有しないクランプされた傾斜面の単線の荷重経路を示す。弾性(無摩擦の)線は通常閉ループ経路の二分線の近くにあり、上方からは、摩擦があるシステム及び無摩擦のシステムは、同じ変位に移動し、元に戻る間に同様の全エネルギーで応答する。静力学的には、システムは無摩擦のシステムよりも変位の下で大きな抵抗荷重を生じるが、動力学的にはそれの剛性がより高いため、より大きな力を引きつける。
図187は、様々な表面傾斜角度及び摩擦係数の場合の摩擦成分を有するか又は有さない傾斜面の荷重経路を示す。摩擦成分を有するシステムの荷重下の(線(b)に沿った)スチフネスは、摩擦成分を有さない傾斜面のもの(線a)の約2倍である。これにより、傾斜(摩擦)システムに直接接続された質量の(同じ入力に対する)加速応答と、構造(及びその基礎)を接続する際の力は、無摩擦の(傾斜)クランプシステムのものよりも40〜50%大きいが、応答変位は770%である。そのため、無摩擦の(傾斜)システムの弾性ひずみエネルギーは、同じ傾斜摩擦システムのそれと同じオーダーになる。
図187に続いて、図188は、摩擦面と同じ(増加する)荷重−変位線を生成するのに必要な無摩擦の接触面の角度(44°及び49°)を物理的に示す。
図189は摩擦係数がそれぞれ0.35及び0.4の摩擦面の下限角度を示す。これよりも小さい角度では、(クランプ力の下で)表面が(外力なしで)元に戻らない(スライドバックしない)。この角度は単にtan−1μSLである。
図190は、プレテンションされた無摩擦の傾斜面要素の荷重経路(線(a)、(b))と、プレテンションされていない傾斜面要素の荷重経路(線(c))を示す。双方とも共通の変位Δをもつ。
図191は、傾斜角が増加し、クランプ力が一定の、クランプされた無摩擦の表面の荷重経路の増加する傾斜又は勾配を示す。
図192は、無摩擦の傾斜面(30°)の荷重経路を、同じ傾斜角(30°、μSL=0.35)及び同じクランプ力の摩擦傾斜面の場合と比較する。
図193は、無摩擦の傾斜面(θ=30°)に対するプレテンション力の影響を示す。これは、図191の傾斜角の増加の影響と比較できる。
図194は、無摩擦の傾斜(弾性)面及び摩擦平坦(塑性)面をそれぞれ有するクランプされた摩擦降伏ブロックの弾塑性荷重変位曲線を示す。理想的な弾塑性荷重変位曲線を形成するために、無摩擦の傾斜面の角度及び平坦な摩擦面の摩擦係数についてさらに説明する。波形摩擦降伏ブロックでは、無摩擦のクランプされた傾斜面(又はクランプされたローラ面)がシステムの弾性成分を提供し、(クランプされた)摩擦平坦面がシステムの塑性成分を提供する。
上述したように、図195は従来の線形弾性システムの荷重経路を示す。上記と同様に、加えられる荷重が大きくなるか又は小さくなるかに関わらず経路は同じである。経路は、曲げプレート(又は弾性相にある降伏プレート)、構造又は本明細書で説明したように共に(斜めに)クランプされた無摩擦の2つの傾斜面等の任意の従来の線形弾性要素又はシステムを表す。経路(a)の下の領域は、システムに蓄積された(弾性ひずみ)エネルギー又は加えられる荷重によりシステムになされる仕事、又は荷重が低減する場合にはシステムにより放出されるエネルギー又は加えられる荷重により行わる(逆の)仕事を表す。無摩擦傾斜面の場合に摩擦成分が加えられる場合、図196に示すように、荷重経路の勾配は無摩擦の場合の線(a)から摩擦がある場合の線(b)に増加する。すなわち、システムの弾性スチフネスが増加する。線(b)の下の領域は線(a)の下の領域よりも大きいが、各システムに蓄積される弾性ひずみエネルギーは同じである。なされる仕事の増加及びより高い力P1は、傾斜面に沿った摩擦抵抗(変位に伴って増加)によるものであり、回収不能な(又は蓄積されない)エネルギーである。無摩擦の表面と比較して、摩擦システムにおいて同じ変位Δに達するために加えられた荷重によってなされる追加の仕事は、図196のハッチング領域A1によって表される。
図197は、方向の反転及び荷重低減のための同じシステムの荷重経路を示す。無摩擦のシステムのための荷重経路(線(a))は図196のものと同じであるが、上述したように、摩擦システムのための荷重経路(c)は線(a)の下に位置する。この場合、システムによって効果的に放出されるエネルギーは、無摩擦のシステムの場合よりも低い。これもまた、変位が元に向かって減少するにつれて、蓄積された弾性力に作用する摩擦力によるものである。領域A1及びA2の組み合わせ(図198)は、摩擦システムの荷重サイクルでの(摩擦変位による)回収不能又は損失エネルギーを表す。すなわちエネルギー散逸である。無摩擦システムと比較した場合、荷重の増加に伴って、変位に伴う抵抗力の増加、スチフネスの増加及び変位に伴う摩擦によるエネルギー散逸の増加がある。追加の強度又は抵抗力は、任意の接続された質量のスチフネス(すなわち、増大した力)を伴う増大した加速度応答を上回る。同じ無摩擦システムと比較した場合の変位方向の反転では、上記と逆になる。抵抗力が減少し(同じ変位で)、スチフネスが減少し、変位に伴う摩擦によるエネルギー散逸が減少する。
領域A1及びA2は同様の順序である。すなわち、一方向の変位によってなされる仕事量(又は内力)の増加は、反対方向の変位による仕事量(又は内力)の減少と同じオーダーである。双方は無摩擦の(又は中立な)傾斜面に対する。
図199は、降伏強度Pyの弾塑性システム内の無摩擦の傾斜面(又は従来の弾性システム)の場合を示す。塑性成分は、例えば、2つのクランプされた平坦面の摩擦抵抗によって提供される。これは理想的な弾塑性応答である。理想的な弾塑性応答は、先に説明した、弾性成分が、例えば曲げプレートにより、共にクランプされた2つの摩擦面により塑性又は降伏成分が独立して提供される回転摩擦ユニットの応答であり、クランプ力の線又は方向は、それらの(平坦又は湾曲した)接触面に対して垂直である。同様に、一定の抵抗降伏力を生成することが可能な(本願での主題である)曲げ降伏を有する回転ユニットも、図199の理想的な弾塑性応答を生成する。
図200は、バネと平坦な摩擦面の組み合わせを通して、プレテンションされたクランプ傾斜摩擦面の機構を(線形の形態で)さらに説明する。ここでは、バネ及び摩擦面の双方が加えられた荷重に抗する。外側のブロックは、相対的に所定の位置に固定される。クランプされた平面の摩擦抵抗が克服されるまで、バネ(又は加えられた荷重)の変位はない。変位がある場合、バネ及びクランプされた面の双方は、加えられた荷重に抗するために協働する。変位に伴う抵抗の増加はバネ及び摩擦面の双方で生じる。これは、変位に伴って、バネが弾性的に圧縮され、平面上のクランプ力が増加するからである。変位方向の変化(又は除荷)に伴って、摩擦抵抗の方向は反転し、バネ力と摩擦力とが反対方向になり、それぞれの大きさは変位とともに減少する。
図201及び図202は、先に説明した回転摩擦ユニットの機構を示す。ここでは、摩擦面の間での滑りなしでバネ(例えば、曲げプレート)が先ず圧縮される。すなわち、3つの摩擦ブロックが加えられた荷重と共に移動する一方で、2つのクランププレートへのバネ力(及び抵抗荷重P)が増加する。摩擦抵抗力μ1Rを超えたときにのみ接触面での摩擦摺動が起こる。これは、バネ力がこの値まで増加するか(すなわち、ksΔ1=μ1R)又は物理的な制限器がバネの変位を止め、加えられた荷重がこの力に達することによって生じる。この段階では、抵抗力は、(スロット付)センタープレートが現在は静止している2つの外側プレートに対して変位するときに(好ましくは)一定である。いったん荷重が減少するか又は変位の方向が変化すると、滑りが止まり、システムは弾性応答に戻り、(典型的には)2つの弾性限界変位を介して継続し、この段階でシステムは再び可塑的に応答する。これも図199の荷重経路に示されている。
図203は、クランプされた波形摩擦降伏ブロックを示す。角度θの傾斜面は摩擦成分を有さない(又は摩擦成分は非常に小さい)。すなわち、表面は無摩擦である。しかしながら、平坦面は摩擦成分を有する。すなわち、それらは摩擦面であり、その摩擦係数はμplateauである。
図204は、互いに変位した図203の傾斜無摩擦面を示す。クランプ用タイは応力を受けており、表面接点で垂直方向のクランプ力Tを提供する。これは水平方向の抵抗力Ttanθとして解消される。
上述したように、傾斜が変位し続けると、クランプ力は(変位に伴って)最大力Tmまで増加する。図204に示すように、水平方向に解消され、この力Tmは水平方向の抵抗力TmTanθを生み出す。
図204は、その弾性限界でのシステムを示す。この方向に変位が継続するのに伴って、2つの水平面が接触する。変位の継続に伴って、クランプ力はTmで一定に保たれ、2つの変位表面に直交する。これは、変位を伴って好ましくは一定の抵抗力を生じさせ、これはシステムの塑性成分である。
図205は3つの弾塑性荷重経路を示す。
図205aは、無摩擦傾斜面の角度θのタンジェントの値が平坦面の摩擦係数μplateauよりも大きい場合を示す。
図205bは、タンジェントの値が平坦面の摩擦係数よりも小さい場合を示す。
図205cは、無摩擦の傾斜面の角度のタンジェントの値が、平坦な接触面の摩擦係数μplateauと同じ場合を示す。
図205cは、理想的な弾塑性応答のものである。例えば、平坦面の摩擦係数μplateauが0.3であるとすると、この理想的な場合、傾斜無摩擦面の角度は16.67°(すなわちtan−10.3)となる。同様に、μplateauが0.4であるとすると、必要な傾斜は図206に示すように21.80°となる。
図183は、プレテンションされたクランプ摩擦傾斜面の荷重−変位経路を示す。
図182は、プレテンションされたクランプ無摩擦面の荷重−変位経路を示す。プレテンション力PI(及びそれ以降)への荷重経路は剛体弾性応答のものである。ベース入力加速度に対する応答加速度の比は剛体領域で高い。すなわち、地動加速度が低い場合、応答加速度は高くなる。
しかしながら、可撓性構造が装置を質量に連結する場合、装置は低需要では剛性で留まるが、装置全体はもはや剛性ではなく、図207に示すように全ての荷重段階で柔軟性を有する。これは、二次曲げ部材を追加することによって克服できる。
無摩擦の傾斜接触面(弾性相)及び摩擦平坦接触面(塑性相)を有する波形摩擦降伏ブロックは、以下の特性を有する。
・無摩擦傾斜面の角度は広範な実用可能な角度に調整できるため、弾性スチフネスを直接調整できる上に、(弾性的に)元に戻る(スライドバック)能力は摩擦によって妨げられない。
・(無摩擦の傾斜面に沿って変位している)弾性状態にある場合、それが支持する質量内で低応答加速度を維持するように構成できる。
・高い地動入力を受けている間に、弾性を維持するように構成できる(全ての弾性構造と同様に元に戻る)。これは、単にその柔軟性を高めることにより(例えば、無摩擦の面の角度を下げることにより)得られる。
・(摩擦平坦面に沿って変位する)塑性状態にある場合、それは好ましくは一定の抵抗降伏力を生じる。
・その塑性状態で仕事をする(すなわち、エネルギーを消散させる)能力は、単に摩擦接触面の平坦な部分の長さを大きくすることによって任意で高めることができる。すなわち、その高いピーク変位に耐える能力はその所定の降伏強度が要求される。
・システムの単純な応答(すなわち一定の固有振動数及び降伏強度)は弾塑性動的解析(時刻歴)を簡素化する。
全ての弾性システムと同様に、波形摩擦降伏ブロックはその弾性強度又は弾性降伏変位を超えなかった場合にのみその元に戻る。それ(ブロック)は、所定の地震入力(又は特定の地震記録)で弾性を維持するように構成できる。しかしながら、この大きさを超えると、摩擦降伏ブロックはその塑性相にシフト(すなわち、無摩擦の傾斜接触面から摩擦平坦面にシフト)し、その場合、一定の抵抗降伏力で、かなり高い地震入力(例えば、PGA)に耐えて抗するように構成できる。しかしながら、この(塑性)段階では、波形降伏ブロックは(外力なしには)その元の状態には戻らない。
図208は、先で言及したように、プレテンションされたクランプ摩擦傾斜接触面を有する弾性(元に戻る)滑り摩擦装置のための荷重−変位経路を示す。ハッチング領域はエネルギー散逸(変位する摩擦面によってなされる回復不能な仕事)を表す。
図209は、無摩擦の傾斜面及び摩擦平坦面を含む、上述した波形摩擦降伏ブロックの荷重変位経路を示す。図209の弾性経路は、図208に示す装置が構成された最大抵抗力及び変位に一致するように描かれている。すなわち、抵抗力Pまでは双方のシステムは弾性であり元に戻る。しかしながら、波形摩擦降伏ブロックは後弾性変位のための能力を有し、この能力は、単にその平坦な接触面の長さを大きくすることによって高められる。
図210は、本明細書に記載の曲げ降伏プレートの弾塑性荷重変位経路を示す。プレートの弾性変位限界(降伏点)は1mmであり、全変位が30mmになるように降伏するものとして示す。これは変位延性係数30に相当する。本明細書に記載したように、8mm及び12mm降伏プレートは一定の抵抗降伏力を維持しながら、40を超える延性係数まで繰り返し試験されている。無摩擦の傾斜面及び摩擦平坦面を有する波形摩擦降伏ブロックの荷重変位経路は、図214に示すように同様の荷重経路を有する。
図211、図212、図213は、それぞれが異なる弾性スチフネスを生成する(すなわち、降伏変位への荷重経路が異なる)、異なるサイズ(ここでは8mm、12m及び8/10スペース/8複合)及び異なるスパンの曲げ降伏プレートの弾性−塑性変位曲線を示す。これらの経路には、同様の弾性スチフネスを有する様々なクランプ傾斜摩擦面の荷重経路が重ね合わされている。これらの荷重経路から、弾塑性曲線下の総面積を決定し、弾性成分の面積と等化することにより、降伏プレートの延性係数が(エネルギーの観点から)導かれ得る。有効な延性は、弾性及び回収不可能なエネルギー成分を有する傾斜摩擦面の荷重経路から同様に導くことができる。
曲げ降伏プレート(及び回転ユニット)の柔軟性(弾性スチフネス)は、降伏プレートの厚さ及び/又はスパンを変化させることによって直接的に又は二次曲げ部材を導入することによって間接的に又は両方の調整により調整できる。曲げ降伏プレートの降伏強さ(弾性限界強度)及び降伏変位は、プレートのスパン又は厚さをここでも変化させるか、プレート材の降伏応力をさらに変更するか(例えば、スチールの種類)、プレートの幅又はプレートの数を変更することによって調整できる。降伏プレートの弾性パラメータである可撓性及び降伏強度の両方を他の弾性システムと同じように実行可能に、比較的容易に構成できる。これは、様々な曲げ降伏プレートの柔軟性及び弾性強度が、上述したように、クランプ摩擦傾斜面を有する多数の任意の弾性滑り摩擦装置の柔軟性及び弾性強度と効果的に合致するように構成されている、図6211〜図213に示される。しかしながら、図に示されているように、曲げ降伏プレートは、一定の抵抗降伏力を維持しながら弾性変位限界(すなわち、降伏変位)を超えて、弾性変位限界(これは、各システムでも同じである)を少なくとも10倍超えて変位を継続する能力及び力量も有する。これは、曲げ降伏プレートを備え、摩擦傾斜面システムと同じ弾性強度及びスチフネスを有するシステムは、ベース運動入力に抗する際に、それ自体内及びそれが耐震的に支持し得る任意の質量内での力を制限及び制御しながら、傾斜面摩擦システムの10倍に等しい弾性強度を提供又は生成できることを意味する。すなわち、曲げ降伏プレートシステムは、一定の抵抗降伏力を維持しながら、同じ弾性強度及びスチフネスの傾斜摩擦システム又は任意の他の同等のシステムのピーク地加速度の(少なくとも)10倍の地動入力(すなわち、地震)に(従来的に)抗し、耐えることができる。さらに、曲げ降伏プレートシステムは、(例えば、傾斜摩擦面)装置が耐えることができるのと同じ最大ベース動入力を受けると、その元に戻る(すなわち、弾性のままである)。
弾塑性材料(例えば延性鋼)をひずませることを伴う従来の弾塑性挙動では、(応答)ひずみ速度(ここでは塑性ひずみ速度)がゼロに達した場合に(塑性状態から)弾性状態に戻る。この段階では、材料は塑性的に(又は永久的に)変形しているが、その(潜在的な)弾性特性を保持している。すなわち、それは、可塑的に変形した状態のままで弾性応答する。これは、いったん荷重が除去された場合に塑性変形した金属において生じる典型的には小さなスプリングバックから想像できる。
図159は、(有効な塑性相にある)クランプされた2つの水平面の場合を示す。(塑性)変位が止まった場合(すなわち、相対表面速度がゼロ)、これらの面はこの位置でとどまる。スプリングバック又は弾性相への継続はない。この時、変位は塑性状態から直接開始するか又は続けなればならない。これは、システムの初期弾塑性応答とは対照的に、剛塑性応答である。このシステムは、有限のスチフネス(又は弾性振動数)で弾塑性応答をもはや模倣していないが、この時点では剛塑性システムとして挙動する。これは図215の荷重−変位の右側への垂直線で示されている。
上述した平坦なクランプ表面(すなわち、波形ではない)を備え、弾性成分を有する摩擦ユニットアセンブリは、弾性的に及び塑性的に延性材料(例えば、スチール)をひずませることを伴う従来の弾塑性システムと同様に挙動する。摩擦ユニットの弾性成分は従来の弾性ひずみを含み、塑性成分は、クランプされた2つの摩擦面の相対変位により生成される好ましくは一定の抵抗力を含む。
そのため、摩擦システムのための延性係数は、ひずみシステムの場合と同様に延性係数を得ることができる。これは、弾性(降伏)変位に対する総変位(弾性変位+滑り変位)の比である。
さらに、従来の弾塑性ひずみシステムと同様に、ひずみ速度又は摩擦の場合には相対表面間速度がゼロに近づき、ゼロに等しくなるとベース動入力に周期的に対応し、システムは(典型的に)弾性システムに戻り、2つの降伏(弾性)変位(例えば、引っ張り降伏、そして圧縮降伏変位)の変位の大きさにわたって、弾性的にひずみ且つ反対の移動方向に変位し、その後に塑性(又は摩擦)システムとしてこの方向に再び継続する。
しかしながら、波形摩擦システムは部分的にしか従来の弾塑性システムとして挙動しない。無摩擦傾斜面が互いに対して相対的に変位するのに伴って初期位置から変位すると、システムは弾性的に挙動する。変位が増加するにつれて、クランプボルト(及び、もしあればスプリングワッシャ)の張力が増大し、変位に対する抵抗(力)が増大するため、傾斜面が(上方に)変位を続けるにはさらなる力が必要になる(荷重の減少により傾斜面はそれらの初期位置に戻る)。上記のように、傾斜面がその最大相対(傾斜)変位に達すると、ボルト(及び、もしあればスプリングワッシャも)の力は最大になる。
現在の水平面に沿ったさらなる変位(荷重方向と平行)に伴って、ボルト内の張力(クランプ力)は、好ましくは、さらなる変位(又は、表面変位を維持するのに必要な力)に対して抵抗力と同様に(好ましくは)一定のままである。
(ベース加速度の変化に応答して)水平面間の塑性変位が止まると、最初のピーク応答変位に達する。これは、典型的には(入力に依存して)変位方向の反転を伴い、従来の弾塑性システムでは、2つの弾性降伏変位にわたって弾性状態に戻る遷移と、第1の塑性ステージの反対方向に塑性変位状態への継続とによって伴われる。
しかしながら、波形摩擦ユニットでは、この段階では水平摩擦面が効果的にプラトーにとどまり(stuck on)、典型的な逆変位により弾性相に戻ることはない。(典型的に)逆方向へのさらなる変位は、直ちに塑性からの開始を伴う。この段階では、摩擦ユニットは、(弾塑性システムではなく)剛塑性システムとして応答している。このシステムにおける(構造の)ピーク応答変位は、比較可能な弾塑性システムと同等か又はそれ以下である。
このシステムにより又は従来の弾塑性システムによって支持された質量のピーク応答加速度は、システムの降伏強度によって支配されるため、同じ降伏強度を有する2つのシステム間で差はない。
(ひずみ又は摩擦システムのいずれかで)弾性成分を有する(又は有さない)こと意義は、塑性ひずみシステムで塑性降伏が生じる前に又は摩擦システムで摺動が起こる前に、すなわちいずれかのシステムで永久変形が生じる前に、いずれかのシステム(弾性成分)が高いベース又は地動入力(加速度)にもちこたえるか又は耐えることができるようにする。
すなわち、所定の降伏強度又は滑り抵抗の剛塑性若しくは近剛塑性システム又は剛体摩擦システムは、同じ降伏強度又は滑り抵抗の弾塑性システム又は弾性摩擦システムよりも低いベース加速度又は地面加速度で塑性的に変位する(塑性的にひずむ)か又は摩擦システムにおいて(滑る)が、その弾性範囲で十分な柔軟性を有するように構成されている。
波形摩擦ブロックを含む回転ユニットに二次曲げ部材を追加することにより、システムは、2つの弾性成分が存在するものを除いて、全ての段階で弾塑性システムとして挙動することができる。これは、摩擦面が水平である場合に二次曲げ部材の柔軟性であり、2つの接触面が傾斜面である場合には、二次曲げ部材は有効な弾性成分と組み合わされる。
図216は、スリーブガイドロッカーユニット内のDELTA1降伏プレートの概略図を示す。
図217〜図220は、スリーブガイドロッカーユニット内の摩擦降伏ユニットの概略図を示す。ここで、弾性成分はDELTA1曲げプレートによって提供され、別個の塑性成分は、クランプ摩擦プレートによって提供される。上述したように、摩擦プレートは弾性変位プレートと共に、摩擦面間の摩擦抵抗が解消されるまで移動する。この段階で、摩擦プレートは互いに対して摺動(変位)するのに対して、曲げ(DELTA1)プレートにおける変位は止まっている。これは、それらの弾性抵抗がプレートの摩擦抵抗上回るか又はそれらの屈曲が移動制限器により止められるからである。
図221〜図224は、スリーブガイドロッカーユニット内の波形摩擦降伏ブロックの概略図を示す。センターブロックはスリーブガイドプッシュロッドと共に変位する一方で、2つのクランプされた外側プレートはこの方向に(プッシュロッドの線に沿って)変位しないように構成されているが、好ましくは横方向に抵抗を生じない制限器によって横方向に自由に変位又は開くように構成されている。
さらなる実施形態では、せん断降伏ブロック(要素)は、図225に示すようにスリーブガイドロッカーユニット内に位置する。せん断ブロックは、可塑性は非常に高いが、降伏強度が比較的低い材料(例えば、鉛又はその複合材料又は合金)で構成される。拘束又は非拘束の(confined or unconfined)せん断ブロックが図226に示すように塑性変形(せん断)すると、スリーブガイドロッカーユニットのプッシュロッドの変位は好ましくは一定の降伏抵抗力が生成する。先に説明した二次曲げ部材はシステムに弾性成分を提供するために、回転ユニットと一体化することができる(図82及び図115で先に示した用意、スリーブガイドロッカーユニットは回転のユニットの第3の部品である)。
曲げ降伏プレートを有する回転ユニットに戻って、さらなる実施形態では、ALPHA1制御構造のロッカーフレーム接続へのBETAローター及びプッシュロッドは、ロッカーフレームがベース動入力に耐えながら一方向に変位すると、回転ユニット内の降伏プレートが主に反対方向に弾塑性変位するか又は反対方向だけにの弾塑性変位するように構成されている。
図227は回転ユニット内のDELTA4降伏プレートを示し、DELTA4降伏プレートは、プッシュロッドが変位し、回転ユニットのドラムを回転させる作用の下で先ず下方に弾塑性変位し、次に、(ロッカーフレームの振れ方向の変化に伴って)そのおおよその初期状態まで上方に引き上げられ、ロッカーサイクルが戻った後に再び下方に押し下げられる。降伏プレートの降伏領域内の弾塑性曲率の符号は主として1つ(正又は負)だけである。
図228は、図227のものと同様のDELTA4プレートを示し、プレートは垂直方向に下方変位した後に、曲率の符号が1つだけの水平線の直下の位置に戻る。
図229は、DELTA4プレートが、曲率の符号が2つ(1つの曲率は他方よりも大幅に大きい)の水平線の直ぐ上の位置に戻る別の場合を示す。
図230は、回転ユニット内に降伏プレートを有するAPLHA1制御構造を示す。フレームが前後に揺動すると、降伏プレートは主に一方向のみ(下方に)に弾塑性的に変位する。これを実現するために、ドラムに固定されたローターアームは、ロッカーフレームのプッシュロッドとピン接続するように延びていない。別個のレバーアームが導入され、一番目にロータードラムの自由スピン軸に接続され、二番目にプッシュロッドにピン接続されるように延び、三番目にコネクタによりエンドローターに接続される。これは、ロッカーフレームが前後に振れるにつれてレバーアーム及びロータープレートが接続され、ピン接続されるようにできる。図230は、最初に左に揺れるロッカーフレームを示す。ベースピボットの左側にある回転ユニット内の降伏プレートは曲げ変位する一方で、ベースピボットの右側の降伏プレートは屈曲せず、レバーアーム及びエンドロータープレートは互いに対して回転する。ロッカーフレームは次に右側に揺れ、ベースピボットの左側の回転ユニット内の降伏プレートは、元の位置(実質的に平坦又は現在変位された)位置に戻るようにプッシュロッドによって引き上げられる一方、右側に回転ユニット内の降伏プレートは変位されないままである。この段階で、ロッカーフレームが右に揺れ続けると、ベースピボットの左側のレバーアームと(ドラムの端部の)ロータープレートとの間の接続が切れ、左側のレバーアーム及びロータープレートは互いに対して回転する一方で、ベースピボットの右側のレバーアームとロータープレートとの間の接続が再接続され、ベースピボットの右側に曲げプレートを弾塑性変位させる一方で左側の曲げプレートは(先の半周期において右側の曲げプレートがそうであったように)屈曲変位せずにとどまる。
図231〜図235は、ドラムのエンドロータープレートとレバーアームとの間の接続の概略的な詳細を示す。これは、ロッカーフレームが一方向に変位(揺動)すると、2つが第一にイールドプレートを押し(又は弾塑性的に変位させ)、第二に、揺動方向が反転された後で、曲げプレートをそれらの初期相対水平位置に引き上げ(ロッカーフレームがその初期位置にあること(変位されていない)に一致する)、第三に、ロータープレートとレバーアームとの間の接続を外すか又は解除して、ロッカーフレームが揺動を続けることができる一方で、フレームピボットの(例えば)左側の降伏プレートに影響を与えずに、フレームピボットの(例えば)右側のイールドプレートと再係合して変位させることが可能できる。
図231は、ロッカーフレームベースピボットの一方の側の降伏プレートが、それらの最大変位に弾塑性変位される位置と同等の位置にあるコネクタを示す。図679に記載されているように、レバーアーム及びロータープレートが下方の位置にある。この段階では、フレーム(典型的には)が反転し、レバーアームが回転し、レバーアームの正方形(ピン)ペグがドラムのエンドロータープレートを引き上げ、アームと一体のガイド又はトラックがコネクタを開く。
図232は、レバーアーム及びロータープレートの位置が水平方向で一致する図237に示すプレートが元の変位されていない(有効に平坦な)位置に引き戻されたと同等の位置にあるコネクタを示す。この段階では、地動への構造応答に依存して、レバーアームは下方に押し下げられ(すなわち、ペグが下方に移動する)、回転して降伏プレートを再び弾塑性変位させ得るロータープレートと係合するか又は上がられてロータープレートから接続が外され、ロータープレート及び降伏プレートをベースピボットのそれらの側で変位されない状態で残す。
図233は、図238に示すように、レバーアームとロータープレートとの最大回転分離(maximum rotation separtion)と同等の最大自由摺動位置にあるペグを示す。
図234は、レバーアームとロータープレートとの間のコネクタの平面断面図を示し、コネクタ、回転ユニット及び曲げプレートは上述のユニットの反対側に同様の方法(ただし、半周期の差がある)方法で接続及び接続解除される。
コネクタは、回転ユニットの降伏プレート内で主に一方向の弾塑性変位を可能にする。これにより、降伏プレートの弾塑性変位(又は移動)の(最高最低間の)差が最大で半分に低減され、耐えることができる変位の数及び振幅(半周期)が増加する。
降伏プレートが主として一方向にのみに弾塑性曲げ変位させることを可能にする接続部及び切断解除ジョイントディテール(joint detail)もALPHA2制御構造に組み込まれ得る。垂直方向(タワー)向きのロッカーフレームの場合、コネクタは、外部コードの底部と基礎又は構造ベースとの間に位置し得る。水平方向(スパン)向きのロッカーフレームの場合、水平な外部コードの端部と剛性の垂直コードの間に位置し得る。
さらなる実施形態では、回転エネルギー消散器及び力制限器は、ブレースフレーム制御構造内に位置する。
図239は、ブレースフレーム内に配置されたピン接合斜めプッシュロッドを備える回転ユニットを示す。この場合、DELTA4降伏プレートは回転ユニット内に位置する。フレームは、実質的に偏心ブレースフレームである。これにより、回転ユニットが固定された梁が、前述したものと同様に二次曲げ部材とみなすことができる。この構成により、先で説明したように2層(又は2段)の弾性延性システムを開発できる。図239は、変位されていない形態のブレースフレームを示している。
図240は、弾塑性屈曲するDELTA4降伏プレートを有する、変位された形態のブレースフレームを示す。
図241は、前述の接続/接続解除ジョイントの利用を可能にする、2ベイブレースフレーム構成を示す。先で説明したように、これは、降伏プレートにおいて主として一方向への弾塑性変位をもたらす。
図242は、変位された形態の図241のブレースフレームを示す。ここで、左ベイの回転ユニットのレバーアームとロータープレートとの間のコネクタは外れており、この側の回転ユニット内の降伏プレートは弾塑性変位しないのに対して、右ベイの回転ユニットのレバーアームとロータープレートとの間のコネクタは係合しており、この回転ユニット内の降伏プレートは弾塑性変位(降伏)する。
上述した曲げ部材100(降伏プレート)の端部領域の特定の自由並進又は自由並進及び自由回転境界条件の変位機構と、これらの境界条件を有する降伏プレートによって生成される一定の抵抗降伏力とについて次に詳細に説明する。
図243は、スリーブガイドを備えるBETA1ロッカー内の曲げ部材(DELTA1プレート)の概略図を示す。ALPHA1ロッカーフレーム内の制御構造の全てのパーツは国際出願第PCT/IB2017/056135号及び国際出願第PCT/IB2017/056137号に記載されている通りである。
図244は、国際出願第PCT/IB2017/056135号及び国際出願第PCT/IB2017/05613号に記載されているALPHA2ロッカーフレーム内の制御構造の一部である曲げ部材(DELTA4プレート)の概略図を示す。
図245は、上述し且つ図243及び図244に示したようなBETAローター内のDELTA4降伏プレートの概略図を示し、該降伏プレートはALPHA1又はALPHA2ロッカーフレーム内の制御構造の力制限及びエネルギー消散部である。
全ての場合で(すなわち、図243、図244及び図245)、曲げ部材(プレート)の端部領域の自由並進又は自由並進及び自由回転境界条件はプレート自体の延長であるように構成される。それらは、アンカー(シリンダ/ピン)の反応点が空間で固定されて留まる一方で、プレートの端部領域と共に回転/並進できる(図246、図252及び図253を参照)。すなわち、反応点の間のプレートの(水平)スパン距離は一定のままであるのに対して、反応点の間のプレートに沿った(摺動/回転ヒンジを含む)曲げ(変形)長さは荷重とともに増加する(図246参照、aはbに増加する)。
反応点における合力(resultant)Rは、プレートにおける制限境界面(例えば、ピン)の接線と、境界面接点とに対して直交する。この場合、プレートが反応点で摺動及び回転する間、合力Rは反応点においてプレートと直交したままである。これは、この点でプレートの線内に膜力が存在しないことに一致する。すなわち、反応点における主な方向は、反応点においてプレートと直交し、且つ平行な方向である。
反応点(例えばピン)は一定の位置にとどまる一方で、プレートの曲げ長さは大きくなるため、水平反力(horizontal reaction)RHが生成される(図246及び図247を参照)。垂直反力RVに対する水平反力RHの比は、この方向への変位に伴って増加する(図248を参照)。大きな変位で、プレートは反応点の間で水平方向に効果的にスクイーズ(又はプルスルー)される(図246)。平坦な(勾配ゼロ)降伏プラトーを有し、ひずみ硬化しない材料で作られた降伏プレートの場合、動きに誘発された水平反力の効果は、プレートのたわみが大きくなった場合に(力が加えられる方向の)抵抗降伏力を減少させることである(図249を参照)。これは、降伏プレート内でなされる内部仕事は、降伏領域(塑性ヒンジ)における降伏モーメントとその回転角との積だからである(回転の増加は降伏作業を比例的に増大させる)。
降伏領域でなされる内部作業は、プレート上でなされる外部作業とバランスをとらなければならない。この場合、加えられる荷重によってなされる外部仕事は、垂直反力(RV)及び水平反力(RH)によってなされる仮想仕事の2つの成分に設定できる。
それらの仕事の合計は降伏区域で生成される内部仕事に等しい。
(半分の)スパン距離(すなわち、垂直反力から降伏領域までの水平距離)は一定のままであるので、プレートが垂直方向に流動するときの水平反力によってなされる仕事の増加は、垂直反力(RV)を減らして相殺されなければならず、垂直反力の合計(すなわち、2×RV)は反対方向の印加荷重と等しくなければならない。すなわち、荷重点でプレートによって生成される抵抗力は、変位の増加とともに減少する(図249を参照)。
典型的なスチール/アルミニウム材料のように、用いられる材料が正の勾配の降伏プラトー及びひずみ硬化を有する場合、抵抗力のこの減少は相殺される。すなわち、これらの降伏強さが増大する特性は上述した(垂直)力抵抗の減少を相殺する。これは単純にプレートの変位力学から生じ、そしてプレートの変位力学はその特定の境界条件の結果である(例えば、プレートの端部領域と一体化された摺動ヒンジ)。
図250は、変形プレートの力学のより具体的な説明を示す。プレートが変位すると、(変形プレートの線に沿った)降伏領域から合力Rまでの距離は増加し、合力Rとその垂直成分Rvとの間の分離角(angle of resolution)も増加する。そのため、プレートの変位の増加(及び降伏領域を介した回転角θの増加)に伴って、荷重Pyに対してcos2θのオーダーの複合効果が存在する。
図254〜図263は、プレートの自由並進及び回転端領域のアンカーピンが、一般曲線の制限境界に沿って移動(摺動)できるさらなる場合を示す。
プレートの変位に伴って水平反力も同様に生じるが、ここでは、プレートの変形線に沿った長さは一定で留まるのに対して、反応点の間の横(水平)方向距離は変化する。
加えられた荷重に対する降伏抵抗に対して水平反力の展開の効果も同様に導かれる。
図254の方程式(a)は、境界でアンカーピンの動きがない場合に、図249の方程式に還元される。
境界曲線接線方程式θは、降伏プレートの(反)塑性ヒンジ回転θ’の関数として記述され得る。
図254及び図255のPのための方程式は、境界曲線θ(θ’)が存在し、これは、荷重試験から決定され得る所定の降伏モーメント関数M(θ’)と共にθ’の全ての値に対して一定の降伏力Pを生成する。
図256は一般的な境界曲線を示す。
図257は境界曲線θを示し、その曲線に沿った全ての点でプレート塑性ヒンジ回転に従う(すなわち、θ(θ’)=θ’)。
(x、y)の長方形の座標に関して、これはdy/dx=θ=θ’のように表すことができる。
xに対する積分はy=θ’xを生み出す。
図258は、xに関してθ’がどのように表され得るかを示す。これは、境界曲線を記述する矩形座標関数をもたらす。
この場合、図254及び図255の式(a)及び(b)は、図257の式(c)になる。
図258は、図257と同じ場合を示すが、スパン形式である。
図260及び図261は、接線方程式がθ(θ’)=Cである直線境界の2つの場合を示す。
(x、y)の長方形の座標に関しては、dy/dx=Cと表すことができる。
xに対する積分は直線境界y=Cxを生み出す。
それぞれの場合、プレートは塑性流動の状態にあるが、同じ塑性ヒンジ回転(内部仕事)ではプレートのそれぞれは異なる抵抗降伏力P1、P2を生成する。これは、異なる境界(θ1c.wθ2)により生成される異なる水平反力が抵抗降伏荷重P1、P2に対して影響を示す。
さらに、第2の場合では、P2は、降伏領域で第1の場合と同じ回転(なされる仕事)でさらなる距離(Ac.wB)移動できる。これは、第2の場合は、降伏の量が同じ又は塑性曲率が同じ(ただし、低い抵抗力で(P2<P1))の場合に第1の場合よりも高い変位延性を提供できることを意味する。
図262及び図263は同様の場合を示すが、ここでは、曲げ部材100(降伏プレート)は、その端部領域に長さaの延長部を有する。これは、水平境界反力を発生させることができるだけでなく、(スパン距離が減少する図254〜図261と反対に)プレート変位が増加したときにスパン距離を大きくするか又は一定で維持することができるようにする。
アーム延長部は、水平反力の発生なしで、降伏応力のプラトーが平坦な(ひずみ硬化がない)材料で作られた降伏プレートが反応点の間で一定の有効スパンを維持し、続いて、大きな弾塑性変位に周期的に屈曲するときに一定の抵抗降伏力を維持できるようにする。
図243〜図264は、境界で水平反力が発生する3つの場合を示す。すなわち、1つは水平スパンが一定で、1つはスパンが減少し、1つはスパンが増加する。
図265は、境界で水平反力が発生し、変形プレートに沿った長さが増加し、反応点の間の水平距離が増加するさらなる場合を示す。この場合、垂直方向への自由な本体(非降伏/摺動)の並進を防止するために、付加的な変位/力に適合可能な制限器(displacement/force compatible restraint)(バネ又はガイド)が必要である。
図266〜図278は、上述の場合の変位されていない形態及び変位された形態を有限次元で示す。ここでは、ヒンジ端部領域は、サイクル反転の間にプレートの任意の長さの「成長」に対する許容を提供するためにのみ用いられる。図272及び図273は、BETAローター内の境界が湾曲した降伏プレートの変位されていない形態及び変位された形態を示す。ここで、ドラム半径r及び降伏プレートの長さLは同様である。塑性ヒンジ曲率に影響を及ぼすことなくドラム半径rを大きくすることにより、寄せ(drawback)drを指数関数的に減らすことができる。
rの値が小さい場合、ローターは図265の場合と同じ効果を生み出す。すなわち、変位による水平反力が大きくなると、プレートの水平方向スパンが大きくなる(ただし、二次制限器/ガイドは必要ない)。
図279は、米国、欧州及び英国で生産される一連の一般的なスチールの応力ひずみ曲線を示す。
a)S235
b)S355
c)S460プレート
d)S690
e)ヒスター460
f)A992(グレード50S)
g)HPS70(22プレート)
h)HPS70(51プレート)
図280は、2つのスチールの降伏応力に対する所定のひずみでの応力の比を示す。
a)アルセロールミタル社(欧州)製のヒスター460
b)ベスレヘムスチール社(米国)製のA992(グレード50S)スチール
先で説明したように、8mm及び12mmのグレード460のプレートに対して、非常に大きい弾塑性変位まで繰り返し荷重試験を行った。
図281は、8mmのプレートが耐えた最大サイクル変位の直接トレースを示す。
図282は、12mmのグレード460のプレートを繰り返し試験した最大変位振幅の直接トレースを示す。プレートに対する変位及び曲率延性の要求は双方とも40を超えた(すなわち、(初期)完全降伏変位又は曲率の40倍)。上述したように、全ての塑性曲率は降伏領域内で生じ、プレートは、第1の端部領域に隣接する降伏領域と非降伏の第2の端部領域との間では弾性でとどまる。
(図280と同様に)図283は、スチール(c)、(e)、(f)についての降伏応力に対する所定のひずみでの応力の比を示し、一般的なひずみ値と同等の図281のプレートの変位及び塑性回転を水平軸に加える。さらに、図249及び図254で導かれた荷重低減値の逆数、すなわち1+TAN2θ’及び(COSθ’+SINθ’.TANθ’)が図283のグラフに追加されている(θ’はプレートの(半分の)塑性ヒンジ回転である)。
二番目の方程式は、先で導いたようにθ=θ’の場合のためのものである。すなわち、境界曲線接線はプレートの塑性ヒンジ回転に従う。
図284〜図290は、スチール(a)〜(g)についての応力−ひずみ曲線を示す。それらにはプレートの変位力学の効果が逆行形で重ねられている。プレートの降伏応力には(1+TAN2θ’)又は(COSθ’+SINθ’.TANθ’)が乗じられている。ひずみの変化に対するこれらの値の比は、ひずみの関数として、加えられた荷重の点でプレートによって提供される抵抗降伏力の変化を与える。
図291〜図297は、抵抗力を初期降伏抵抗(力)のパーセントとして示す。広範なスチールのための非常に高いひずみ範囲にわたって一定の抵抗降伏力が得られている。
図297のHPS70の応答は例外である。これは主に橋梁の建設のために米国で生産された高性能スチール(HPS)である。これは、降伏応力に対する引張の比が比較的高い。
図291〜296に示す一定の抵抗降伏力は、図281のプレートに対する高変位/高繰り返し試験から得られた(弾性後の)抵抗降伏力と一致する。
HPS70スチールの場合、(より複雑な)境界曲線θは、一定の抵抗降伏力を生成する図254〜図264の方程式から必要に応じて決定できる。
戻って、図251は、反転弾塑性曲げ方向において正から負の方向に荷重を逆転させた場合を示す(例えば、正の降伏変位から真っ直ぐに戻す)。(逆)水平反力は、プレートが元の位置に戻る(すなわち、真っ直ぐに戻る)ときにプレートを広げるように作用する(works as a splaying action)。この広げる作用は戻り変位とともに減少する。
垂直反力RVに対する水平反力RHの比は、プレートが真っ直ぐになって元に戻るにつれて減少している(ゼロに戻る)(図251を参照)。
プレートが真っ直ぐになるにつれて、水平反力は再びひずみ硬化効果を打ち消し、元に戻る際にバウシンガー効果がさらなる軟化効果を加える。この(負の)方向(元に戻った後(post origin))に変位を続けると、(スクイージング(now sqeezing))水平反力が再び生成されて、正の勾配の降伏プラトーの効果及びひずみ硬化効果を再び打ち消す。その結果、負の(サイクル(cycled))方向に一定の抵抗降伏力が得られる。
一定の抵抗サイクル/反転降伏力(constant resistive cycling/reversing yield force)が、強度低下を伴わずに、図281のプレートの14回の反転を通じて生成された。
それとは対照的に、図298は、自由並進及び回転境界条件を有するが、プレートの端部に直接固定され、スロット付アンカー内で摺動できる回転可能シリンダによって作られたプレートを示す。ここで、プレートが荷重下で弾塑性変形すると、プレートの変形線に沿った長さ(シリンダの縮小点(cylinder reduction points))は一定にとどまる一方で、シリンダの縮小点の間のプレートのスパン距離は減少する。この場合、プレートの端部で水平反力は生じない。プレートが降伏プラトーの勾配が0の材料で作られ、ひずみ硬化(すなわち、一定降伏応力)しなかった場合、プレートの荷重抵抗は偏向と共に増加する。これは、スパンの減少と共に流動が続くには、加えられる荷重及び垂直反力が増加しなければならないからである(荷重が加えられる点でプレートによって生成される抵抗力は垂直反力の合計である)。すなわち、荷重抵抗は変位と共に増加する。この増加した荷重抵抗は、降伏プラトーが正の勾配を有し、ひずみ硬化を有する材料の効果が加えた場合にさらに増加する。すなわち、荷重抵抗は一定ではなく、変位と共に(大幅に)増加する。構造が地震に耐えるときに構造内で生成される力を制限、維持及び制御することを目的とする場合、これは望ましい効果ではない。
図300は、逆のサイクルで強度が低下することを示す。この変位効果がバウシンガー効果による材料のスチフネス/強度の低下と組み合わされると、結果はさらに軟化する。
図55〜図61では、図298と同様に、回転ユニットのハウジング又は外側環状体をスロットすることにより、プレートの端部領域の摺動又は摺動及び回転が得られる。これらの境界条件は、プレートの端部領域の自由な並進又は自由な並進及び回転動作を提供するが、図298に示すプレートと同様に、それらは、大きな弾塑性変位に屈曲する間に、プレート又は回転ユニットが一定の抵抗降伏力を生成できるようにしない。
図301〜図303は米国特許第553307号に記載の三角形プレートを示し、該三角形プレートは、先の矩形プレートと同じ自由並進及び自由回転境界条件を有する(図298〜図300)。プレートはその円筒反応点(cylinder reaction point)に向かってテーパーされている。その意図は、弾性の場合、直線的に増加する断面のプレートの曲げ方向に沿った(シリンダでの反力荷重によって生じる)直線的に増加するモーメント要求に、故にプレートの主屈曲方向に沿った直線的に増加する強度に合致するためである。
弾性の場合(すなわち、プレート内で降伏する前に)、プレートに沿ったモーメント要求がプレートに沿った曲げ剛性(EI)と等しい場合、プレートの曲げ方向に沿って一定の曲率が生じる(せん断変位は無視する)。すなわち、プレートが円形曲線に屈曲し(図301)、その曲線に沿って所定の深さ(又は中立軸からの距離)にある縦応力は一定である。
弾性の場合、モーメント要求を強度(すなわちEI)と合致させることにより一定に近い曲率が得られる。
米国特許第5533307号では、プレートが、(弾性の場合に)その上面及び底面で応力が一定の状態であるか又は一定の状態に近く、ほぼ一定の曲率を有するため、この状態はプレートが降伏した後で増加した荷重の下で一定の塑性曲率の状態(すなわち、深さ、塑性ひずみと共に一定)へと発展を続けることが想定されている。
この、プレート全体にわたって降伏が広がることは、円筒反応点での所定の変位について、プレート内の塑性ひずみが予想される最小値にあることを意味する。これが生じるためには、理論的及び実践的の双方において、プレートは、降伏サイクルにより誘発される変化(例えば、バウジンガー効果)又はひずみ硬化が全体にわたって歩調を合わせたままであり(remain in step)、所定の区域での要求及び強度の合致を維持するために適用された荷重位置が塑性屈曲に伴って移動する、ほぼ完全に均一な/等方性材料でなければならない。すなわち、全てが理想的でなければならない。そうではない可能性が高い。塑性相で一定の曲率及び一定のひずみを作り出す試みは、意図に反して、Prager(1959)の塑性の極限定理によりプレートを作り出し、Allen(1994)によりプレートの任意の部分を介して局所的に降伏させることができる。降伏の発生が荷重位置に近いほど、システムの塑性変位が低く、なされる仕事(エネルギー散逸)及び利用可能な変位延性が少なくなる(図303参照)。
図304は、Whittaker(1991)に記載されているようなX型プレート(最も狭い区画で2つの三角形が出会う)を示す。相対変位により、プレートが反曲する(荷重の下でのその変曲点を自由回転の有効点とする)。局所的な降伏が起こると、変位によって生じる膜力(伸張)が他の領域に降伏を広げる。局所的な降伏の発生がプレートの中心(Xの中心)に近いほど、膜力がより効果的に降伏領域を伸長及び拡大(straintening and spreading)する(図305を参照)。これは、膜力を生じさせない自由並進及び回転境界条件を有する図302の三角形プレートには該当しない。しかしながら、先に述べたように、Xプレートの場合、膜力の発生は、該プレートが耐震的に支持する構造のスチフネス及び該構造の内の力を実用的な制限なしに著しく増加させる。プレートは曲げ要素から引張要素に効果的に変化する。
図306は、図298の自由回転及び並進境界条件を有するプレートの場合の荷重変位応答を示す。
曲線(a)は、図298の境界条件を有する図281のプレートに生じ得る、スパン及びひずみ硬化双方の減少による変位に伴う内力の増加を示す。
曲線(b)及び(c)は、存在する膜力の効果を示す。曲線(d)は、図281のプレートの試験と一致する、図243〜図263の境界条件を有するプレートの荷重変位応答を示す。ここで、プレートが非常に大きい弾塑性変位(ひずみ)に屈曲と、プレートは一定の抵抗降伏力を生じる。
図307は、図298の境界条件を有するプレートへの繰り返し荷重から得られ得るヒステリシスループを示す。それが耐震的に支持し得る構造内の荷重及び内力は、スパンの短縮及びひずみ硬化により、領域(a)を介して第1のサイクルで典型的に少なくとも1.6の降伏力に増加する。バウジンガー効果及び逆変位によるプレートのスパンの増大により、領域(b)では軟化が起こる。
力は、プレート内及びプレートが地震的に支え得る任意の構造内で単調に増加する。そのため、もしプレートの降伏強さFが、所定の地震入力及び構造延性に対して必要な弾性設計力要求と等しい場合、それが耐震的に支持する構造内の力は、最初の降伏でのその構造内の力の少なくとも1.6倍に増加する。すなわち、構造は、初期の降伏でのその内の力の少なくとも1.6倍の力に抗するように設計する(又は十分な強度を有する)必要がある。同様に、加速度/力に敏感である場合、構造によって支持される物品は、初期の降伏力/初期降伏加速度の1.6倍に増加する力/加速度に耐える必要がある。
図308は、膜力が構造内で生成される場合の、図307のヒステリシスループに対するピンチ効果を示す。
図309は、図243〜図265の境界条件を有するプレートについて得られたヒステリシスループを示し、図298のプレートの繰り返し荷重から得られたヒステリシスループを示す。領域(a)を介して一定の抵抗力が生じる。これは、プレートが一部である制御構造内の力及び加速度の双方が維持され、一定に制限されることを意味する。
領域(b)では、バウジンガー効果及び逆変位によるプレートへの広がり作用により軟化が生じる。図307及び図309の上の破線の包絡線は同じ場合であるが繰り返し硬化を伴うものを示す。
図310、図311、図312は、プレートが繰り返し荷重された3つの変位振幅での図281の8mmのプレートの直接トレースを示す。
図313、図314及び図315は、各変位段階におけるプレートの降伏領域における塑性変形の詳細の拡大図である。注目すべきことに、降伏領域の範囲dsは変位が増加しても一定のままである。降伏領域の全回転角dθから、各段階におけるこの塑性曲率Kは、以下のように求めすことができる。
K=ds/dθ i)
図316では、図313〜図315の降伏領域が一連の同心円上に重ねられる。曲率は降伏領域を通して一定であることが分かる、すなわち、降伏領域は円弧に曲がっている。この図から、曲率半径ρを直接測定でき、各段階の曲率を以下のように求めることができる。
K=1/ρ ii)
i)とii)の結果は同じであった。塑性曲率は一定であり、曲げ降伏領域の回転角度に直接比例する。
図317〜図326では、ひずみは表面ESから中立軸(すなわち、平面の残りの部分)まで直線的に変化する。
図317〜図321は、アルセロールミタル社製のHi−Star460スチールについての所定の線形的に変化するひずみに関連する応力を示す。
図322〜図326は、ベスレヘムスチール社製のA992(グレード50S)についての所定の直線的に変化するひずみに関連する応力を示す。これらの応力プロファイルのそれぞれについて、表面ひずみの変化(又は塑性曲率変化)に対する降伏モーメント、故に回転角度を求めることができる。
図295は、Hi−Star460スチールの表面応力(すなわち、一定の塑性応力プロファイル)に関連する初期降伏力に対する降伏力(又は加えられた力又は抵抗力)の比の変化を示す。
同様に、図296は、A992スチールの一定の(深さの)応力プロファイルに関連する初期降伏力に対する降伏力の比の変化を示す。
図327及び図328は、HiStar460及びA992スチールの初期降伏モーメントに対する降伏モーメントの比(両方とも表面ひずみの観点から)の変化を示し、同じスチールについての図295及び図296の線形ひずみグラフ上にプロットしたものである。全てのモーメントの値は、平面断面は曲げ後に平面のままであるという仮定に基づく(すなわち、断面の深さに伴う線形ゆがみ変化)。図329に示す複合プレートの値(ここでも、平面断面は平面のままであると仮定)は、線形値と曲げ値の間にある。図281及び図282に示す460グレードの8mm及び12mmのプレートの平面に対する(先に説明した)荷重試験は、荷重力による変化を示さなかった。これは、平面断面が平面のままとどまるという(直線の)線形変化の仮定とは対照的に、少なくとも弾性の場合の正確なひずみ解析から得られた深さによる曲線ひずみ変化(例えば放物線)と一致する。
なお、プレートの降伏領域内の所定の(又は最大)塑性曲率について、それから導かれた変位延性(すなわち、その弾塑性変位をその弾性(降伏)変位で除したもの)はプレートのスパンの関数であり、プレートのスパンの増加に伴って減少する(及びスパンの減少に伴って増加する)。これを図330に示す。
同じ接続された質量に対する降伏力の比(same yield strength to connected mass ratio)で弾塑性システムの固有振動数の増加に伴い、同じベース動入力(変位、速度、加速度)を受けると、ピーク(弾塑性)応答変位の大きさは減少するが、延性要求は(指数関数的に)増加する。しかしながら、そのスパンの減少による曲げ降伏プレートの剛性の増加に伴って、それらの延性能力も同様に増加する。これは、降伏要素の剛化(例えば、スパンの減少による)による構造システムにおける延性需要の増加は、(スパンの減少)プレートの変位延性能力の増加によって自然に補償される。
図331は線形弾性システムの荷重変位経路を示す。図331は、バネ及び質量システムをその変位されていない形態で示す。ここでは、ベースが右に動いてバネをΔ1変位させると、質量は定位置に固定される。バネに発生する弾性力はF1であり、これは位置が固定された質量に加わる力である。バネに対して、F1はここでは圧縮力である。ベースが次に左(ただし元の位置からは依然右側)に動くと、力F2はF1と依然同じ方向にある。ベースが元に戻るときに、バネ内の力は再びゼロになる。ベースが元の左側に移動すると、バネに力F3が生成され、バネに対する力は引張であり、力F3の方向はF1、F2と反対である。質量が定位置に固定されない場合、ベース動入力(変位/速度/加速度)を受けたときの質量の応答動作(変位/速度/加速度)及びバネの応答(内部変位/ひずみ速度/ひずみ加速度)は、運動の区分的微分方程式(piece-wise differential equations)を解くことによって求めることができる。
図332は、図331のバネ質量モデルと同様の場合を示すが、ここでは、バネの荷重変位曲線は2つの剛性値を有する。1つは、荷重が増加している(又はベースが右に移動している)場合に図331の値より大きく、1つはベースが左に移動している場合に等しく小さくなる。変位Δ1で力F1 +が生じる。これは、(図331の同じ変位よりも)質量に対して大きな力を生じさせ、質量が自由に動く場合には(図850のF1よりも)加速度が大きくなる。ベースが左に動き、変位がΔ1からΔ2に減少すると、力F2 −(依然としてF1 +及び図331のF2と同じ方向)が生じる。この動きは、低剛性荷重経路と一致する。そして、ベースは、バネ内の力がゼロである元の位置に戻るのを続ける。最初に元から右に移動し(変位値Δ)、次に左に移動して元に戻るベースの動きは、図331及び図332のシステムにおいて、それぞれの場合にバネにおける同一の平均力及び同一の内部エネルギーの双方を生じさせる。もし質量が自由に動くことができる場合、どちらのシステムが質量に対してより大きな応答加速度を生み出すか又はバネに対してより大きな応答変位を生み出すかは不明である。しかしながら、これは、例えば、上記のように、時刻歴分析によって容易に求めることができる。一方向のベース運動に対する剛性の増加に関連した質量応答加速度の増加及び構造(バネ)変位応答の減少の初期応答は、反対方向へのベース運動による剛性の減少によって無効化される可能性がある。摩擦傾斜面を有する滑り摩擦システムでは、(水平方向に)分解された直接力及び(水平方向に)分解された摩擦力の両方が変位と共に増加する。したがって、摩擦力によってなされる仕事は回復不能(消散されたエネルギー)であるが、一方向の摩擦力は、(同じくクランプされているが無摩擦の傾斜面と比較した場合)仕事を増加させ、他方の方向で減少させる(図33)。
図334は、200mmのカンチレバースパンの2つの12mm曲げ降伏プレートの弾塑性荷重変位曲線を示す。全弾塑性変位は、図282に示す塑性曲率(又はヒンジ回転)と同等である。
図335は、同じ荷重変位曲線を示すが、クランプされた傾斜摩擦面を有する滑り摩擦装置の荷重経路が重ねられている。滑り摩擦システムの上側荷重−変位経路(増加荷重)は曲げ降伏板のものと同じである。すなわち、同じ弾性スチフネスであり、同じ変位に対して同じ抵抗荷重である。
図336は、図334及び図335の降伏プレートについて同じ弾塑性荷重曲線を示すが、ここでは、その変位が降伏プレートの弾塑性変位Δtotと同じである滑り摩擦システムの弾性応答荷重経路を示す。この変位に到達するために、滑り摩擦システム内の力及び装置に直接接続された任意の質量に加えられる力及び滑り摩擦装置を支持する基礎内の力は、降伏プレートシステムのものの14倍であり得る。
図337は、図336と同様のシステムを示す。同じ(より幅広の)降伏プレートは、現在プレテンションされた滑り摩擦システムと同じ降伏変位(8mm)で、より高い降伏力を生成する。
図336と同様の図338は、その変位が降伏プレートの弾塑性変位Δtotと等しい場合の、プレテンションされた傾斜面滑り摩擦システムの荷重経路を示す。この変位では、滑り摩擦システム内の力は、(同様に)曲げ降伏プレートのものより11倍大きい。クランプされた摩擦傾斜面デバイスと曲げ降伏プレートとので間の図336及び図338の差は、クランプされた摩擦傾斜面デバイスと、弾性ひずみ(例えば、曲げプレート)弾性成分と、別個の摩擦塑性成分とを含む、先に述べた回転摩擦ユニットとの間で生じる差と同じである。クランプされた摩擦傾斜面を有する装置と、無摩擦のクランプされた傾斜面及びクランプされた摩擦平坦面を有する上述の波形降伏ブロックとの間の差も同様に同じである。
図339は同様のケースを示すが、プレテンション力が高い場合を示す。
ほとんどの耐震基準の基礎をなす等変位理論は、所定のベース動入力に対して、所定の固有振動数(すなわち、質量と剛性の関数)の弾性応答システムにおける最大変位応答は、より弱いが固有振動数が同じである降伏弾塑性システムのもの同じであると述べる。すなわち、図336、図338、図339と同様に、所定の同じベース動入力に対して、曲げ降伏プレートシステムの最大変位は、クランプされた傾斜摩擦面を有する滑り摩擦システムの場合と同じである。しかしながら、降伏プレートがその一部である構造内及びその基礎内で生じる力は、傾斜滑り摩擦装置がその一部であり得る同じ構造内で生じる力の少なくとも1/10である。
すなわち、同じベース動入力(すなわち、同じ地震動)に抗する際に、本明細書に記載の回転降伏ユニット及び曲げ降伏プレートを備える構造内での力、構造の基礎内の力及びそれが支持し得る質量の応答加速度(動的力)は、弾性滑り摩擦装置又は同一の剛性を有する任意の他の弾性装置を利用する、同一の固有振動数の同一の構造の1/10であるが、構造のピーク応答変位は同じである。これは、回転降伏ユニットが、地震に耐えながら高い後弾性変位及び延性を維持し、耐えることができることによる。これは、同じ剛性の任意の弾性装置と比べた場合に、本明細書に記載の回転摩擦降伏ユニット及び(クランプされた摩擦の内傾斜面及びクランプされた摩擦平坦面を有する)波形摩擦降伏ブロックにも当てはまる。
先に説明したように、曲げ降伏プレート(及び回転ユニット)の柔軟性(弾性スチフネス)は、降伏プレートの厚さ及び/又はスパンを変化させることによって直接的に又は二次曲げ部材を導入することによって間接的に又は双方の調整により調整できる。曲げ降伏プレートの降伏強度(弾性限界強度)及び降伏変位は、ここでもプレートのスパン又は厚さを変化させるか又はプレートの材料の降伏応力(例えば、鋼材の種類)をさらに変化させるか又はプレートの幅又はプレートの数を変化させることにより調整できる。降伏プレートの弾性パラメータである柔軟性及び降伏強度の双方を、実際に任意の他の弾性システムと同じように比較的容易に設定できる。これは、様々な曲げ降伏プレートの柔軟性及び弾性強度が、上述したクランプされた摩擦傾斜面を有する多数の任意の弾性滑り摩擦装置のものと実質的に整合するように構成されている図211〜図213に示す。しかしながら、図に示すように曲げ降伏プレートも、一定の抵抗降伏力を維持しながら、弾性変位限界(すなわち、降伏変位)を超えて、それらの弾性変位限界の少なくとも10倍まで変位を続ける容量及び能力を有する(各システムにおいて同じ)。これは、曲げ降伏プレートを備え、摩擦傾斜面システムと同じ弾性強度及びスチフネスを有するシステムは、ベース動入力に抗する際に、それ自身及びそれが耐震的に支持し得る任意の質量内で力を制限及び制御しながら、傾斜面摩擦システムのものの10倍と同等の弾性強度を提供するか又は生成するできることを意味する。すなわち、曲げ降伏プレートシステムは、一定の抵抗降伏力を維持しながら、傾斜摩擦システム又は弾性強度及びスチフネスが同じ任意の他の同等のシステムのピーク地動加速度(PGA)の(少なくとも)10倍のベース運動入力(すなわち、地震)に抗し、耐えることができる。さらに、曲げ降伏プレートシステムは、(例えば、傾斜摩擦面)装置が耐えることができるのと同じ最大ベース動入力を受けると、その元にも戻る(すなわち、弾性のままである)。
システム1000(制御構造)のさらなる変形例を図47〜図51に示す。これらの変形例では、貯蔵ラック3を押さえ、地震の間にラッキングエネルギーを消散するためにエネルギー吸収システム1000が用いられ得る。エネルギー吸収システム1000は、自身をラックに固定するために拘束タイ300を利用する。これらのタイ300は、回転ユニットのみで構成される制御構造(エネルギー吸収システム100)に接続される。
地震の間、タイ300を介して伝達される力は引張力である。複数のタイ300を回転ユニットに取り付けることができる。回転ユニットは2つのタイ300の中間に設けられることが好ましい。代替的な実施形態では、ロッカー2000はラックの端部にあり、単一のタイ300にのみ取り付けられる。
タイ300は地震の間に弾性が低く、変形が最小である。タイ300は金属ケーブルであることが好ましい。しかしながら、タイ300は、編組線又はソリッドバー等でもよい。小さな変形で引張力を受けるのに十分な強さの材料及び幾何学的形状がタイ300に用いられ得る。
曲げ部材100(プレート)は降伏コネクタ(回転ユニット)の一部である。曲げ部材100(プレート)は大きな弾塑性変位に屈曲できる。プレートの一定の降伏力での弾性変形及び塑性変形を通じたエネルギーの吸収は、制御構造(回転ユニット)又はそれが耐震的に支持する任意の隣接構造内で発生し得る内力を低減及び制限する。そのため、双方の構造は、交換可能な降伏部材(プレート)に損傷が限定して地震活動に耐えることができる。
回転ユニットの、より具体的には曲げ部材100の変数は各サイクルの後に著しく変化しないことが好ましい。変数のうち、曲げ部材100の降伏強度及び弾性スチフネスは実質的に同様のままであることが重要である。曲げ部材100は、1)安定した一定のサイクル降伏強度及び2)安定した一定のサイル弾性スチフネスを有することが好ましい。
降伏プレート(曲げ部材100)の構造挙動は荷重試験により簡単に計算又は検証できるため、それらの性能を正確に評価できる。これにより、制御構造及びそれが耐震的に支持する任の隣接する構造の性能も正確に評価できる。例えば、動作時の剛性、たわみ及び変形、脆弱性、応力集中等が容易に計算できる。これにより、回転ユニットを具体的に設計できる。そのため、デザインがより簡素化されているため、分析をより正確にすることができる。
本発明のエネルギー吸収システム1000(制御構造)は、上述のように、振動力全体にわたってその材料特性が著しく変化しない曲げ部材100を利用する。
図49〜図51は、タイ拘束制御構造の有限寸法の概略図である。
これらの制御構造物は、荷重を担うラック構造又は一般的な建物構造を地震的に支える。一般的に、これらの構造の制御構造への接続は傾斜した引張ケーブル又はロッドを介してなされる。
図49は、先に説明した制御構造(回転ユニット)を示す。回転ユニットは、可撓性を独立して調節可能なベース部材に接続される。
図50は、タイにおける引張力の作用下にある図20Aの変位された形態を示す。
図50は、剛体(柔軟性がない)のベースの場合の変位された形態を示す。
図51は、同様であるが、同じの場合の変位が大きり、可撓性のベース部材を有する場合を示す。
ベース部材は、
i)回転ユニット内のモーメントカップル(moment couple)によって生成される基礎(ベース)に対する固定(アンカー)力がベース部材を介したその中心ピボットを中心とするレバレッジにより低減すること、
ii)制御構造と共にそれが耐震的に支持する任意の他の構造の固有弾性振動数及び力/変位特性を独立して調整すること、
iii)先に図面で述べたように、二層延性システムを開発すること、
を可能にする。
ほとんどの場合、制御構造はラックシステムの2つのタイ300の中間にある。代替の実施形態では、タイアンカーはラックシステムの端部にあり、1つのタイ300(図示せず)にのみ取り付けられている。図47以降に示す例は、タイ300の中間に位置するタイアンカーを示す。
反対方向に作用する2つのタイ300を有することの望ましさは、地震の間の拘束構造のサイクル応答によるものである。
一般的に、タイはケーブル又はロッドの形態であり、引張荷重のみを担うことができる。そのため、主要構造からエネルギー吸収システム1000(制御構造)への荷重伝達にはいつも1つのタイのみが関与する。主構造と地面との間の荷重及び運動の反転は、タイにおける引張荷重のスイッチング、システム1000の回転及び曲げ部材100(プレート)の降伏作用をもたらす。1つのタイ300のみで、一方向への変形の後、次のサイクルの間のラッキングは先の変形のためにタイ300にゆるみを生じさせる。しかしながら、1つのタイは2つのタイよりも効果は低いものの、タイアンカーにタイがないよりも1つのタイがあったほうが良いラックの端部であり得る。
代替の実施形態では、曲げ部材100は液圧エネルギー吸収部材に置き換えることができる。これは、レバーのエネルギーを吸収するために用いられる。この実施形態では、タイアンカーは、タイの実質的に横方向の力を実質的に円形の分布する力に変換する。
ロッカーフレームのさらなる実施形態を図52及び図53に示す。ここでは、フレームは、回転ユニット内の曲げ部材(プレート)に依存することなく重力荷重を直接支持することができ、垂直方向の安定性を提供する。重力荷重(GR)の付加効果の下で、各サイクルでフレームが垂直(元の)位置に戻る時の揺動を緩和するために、垂直重力荷重を担う柱のベースに単一方向の圧縮荷重ダンパが加えられている。
ロッカー2000全体は実質的に金属で構成されることが好ましい。ロッカー2000は、スチールで構成されることがさらにより好ましい。ロッカー、ロッカーアーム、アップスタンド及びアンカーは、地震の間に降伏しないように実質的に硬く剛性である。剛性のロッカーフレームを製造するための設計には多くの選択肢がある。
基礎4が言及されている場合、地面は、説明したように、建物又は構造の床又は天井、梁又はトラス、ラッキング防止システムに係合する構造の一部であり得ることが想定される。
本明細書に記載のこれらの構造及びシステムの全てが対称である場合、システムを半分又は2倍等にしても依然として有効であることが理解される。例えば、エネルギー吸収システム1000は、ピボットアンカー240の一方の側に1つの降伏コネクタ230のみを有し得る。
図340〜図346は、多岐にわたるピボットベースの制御構造を示し、それらの全ての制御構造内には回転降伏ユニットが位置し、回転降伏ユニットは一定の抵抗降伏力(トルク)を生成しながら、それらの中の降伏プレートが高弾塑性変位に周期的に屈曲する。上述のように、回転ユニットによって生成される一定の抵抗降伏力(トルク)はレバーアームによって利用されて制御構造に伝達され、(全体として)安定した弾塑性機構を形成を可能にする。このメカニズムは、地震からのベース動入力に抗し、耐えるときに一定の抵抗降伏力を維持しながら、高サイクル弾塑性変位及び高延性に変位することができる。
図340は、ピボットベースのロッカーフレーム、両側がピン接合されたプッシュロッド及びベースに位置する回転降伏ユニットで構成され、これらの全てが垂直(タワー)態様のピボットベースの制御構造(又はピボットベースのカンチレバー壁)を形成する、ALPHA1制御構造を示す。
図341は、ピボットベースの剛性の垂直コード、垂直コードに枢結された水平(スパニング)態様のロッカーフレーム、両側がピン接合されたプッシュロッド及び回転降伏ユニットで構成され、それらの全てがモーメントフレーム態様のピボットベースの制御構造を形成する制御構造を示す。
図342は、ピボットベースのロッカーフレーム、(ロッカーフレームのコードと平行な)ピボットベースの外側コード、ピン接合された動作制御タイ及びロッカーフレームと外側コードとの間に沿って分布された回転降伏ユニットで構成され、それらの全てがピボットベースの制御構造を形成する制御構造を示す。
図342は、ALPHA2ロッカーフレームアセンブリを示し、回転ユニットの一方側の部分はレバーアームにより2つ(各側)の剛性のピボットベースの外側コードに接続され、他方側の部分がロッカーフレームに接続する二次曲げ部材に接続されている。ピン接合された動作制御タイはロッカーフレームの中心線と外側コードの中心線とを接続する。
図343は、ピボットベースの垂直コード、垂直コードに枢結された水平(スパニング)態様のロッカーフレーム、(ロッカーフレームのコードと平行な)垂直コードにピン接続された外側コード及びピン接合動作制御タイ及びロッカーフレームと外側コードとの間に沿って分布された回転降伏ユニットで構成され、これらの全てがピボットベースの制御構造を形成する、制御構造を示す。
図344は、ピン接合梁及び柱、両側がピン接合されたプッシュロッド及びピボットベースの偏心ブレースフレームを形成する回転降伏ユニットで構成される制御構造を示す。
図345及び図346は、ピン接合された動作制御タイにより壁の間に位置し接続された回転降伏ユニットに接続されたピボットベースの壁要素で構成され、それらの全てが連結されたせん断壁の形態のピボットベースの制御構造を形成する、制御構造を示す。
降伏プレート、回転ユニット及び制御構造に特有且つ共通の特徴は以下を含む。
1)降伏プレートは、プレートが周期的に高弾塑性変位に屈曲するときにプレートの曲げ又は変形長さの増加(又は減少)を可能にしながら、そのスパン距離(又はアンカー又は支持体間の距離)を実質的に一定に留まる(試験で実現(test attained))特定の境界条件を有する。
2)塑性降伏(塑性曲率)はプレートの特定の及び固定された領域でのみ生じ、プレートは降伏領域の間で又は降伏領域と非降伏反応点間で弾性(非降伏)を維持する(試験で実現)。
3)降伏領域の範囲(面積/幅/長さ)は、プレートの変位の増加(又は減少)及び降伏領域の塑性曲率の増加(又は減少)に伴って一定のままである(試験で実現)。
4)塑性曲率は降伏領域にわたって一定のままである。すなわち、プレートの曲率半径は、プレートの変位の増加(又は減少)に伴って曲率半径が減少(又は増加)する(又は降伏領域の塑性曲率の増加/減少)円弧に曲げ降伏する(試験で実現)。
5)プレートが高弾塑性変位に周期的に曲がるときにプレートにより生成される抵抗降伏力は一定のままである(試験及び計算で実現)。
6)ベクトル的に合計された回転ユニット内の降伏板プレートによって生成される一定の抵抗降伏力は、回転ユニットの軸を中心に一定の抵抗降伏力を生成する。
7)回転ユニットによって生成される一定の抵抗降伏トルクは、回転ユニットの回転軸と一体化されたレバーアームによって直接的な一定抵抗降伏力に変換されるか又は伝達される。レバーアームの長さを変化させることにより、伝達される直接的な一定の力の大きさを変化させるか又はギアをかけること(geared)ができる。
8)二次曲げ部材が組み込まれた回転ユニットは、回転ユニットによって生成される一定の力及び回転ユニットの剛性(又は可撓性)の両方を独立して調整することを可能にする。
9)回転ユニットのレバーアームに接続−接続解除−接続ジョイントを追加することにより、回転ユニット内の降伏プレートの曲げ降伏を主として1つの曲率のみとすることができる。
10)降伏する回転ユニットによって生じる一定の抵抗降伏力は、回転ユニットがその一部である制御構造を、一定の抵抗降伏力の弾塑性機構を形成することを可能にする。
11)回転ユニットのアーム長及び二次曲げ部材の特性(例えば、長さ/断面特性)を調整することで、制御構造の降伏強度及び弾性(固有)振動数の双方を、その上部構造に変更することなく且つ(必要に応じて)回転ユニット内の降伏プレートに変更することなく調整(又は調節)することを可能にする。
12)二次曲げ部材と一体化された回転降伏ユニットの使用により、降伏が回転降伏ユニット、二次曲げ部材又はその両方(上部構造は弾性で留まる)で生じ得る制御構造のために(双線形弾性硬化を伴う)二層延性システムを開発することを可能にする。
13)制御構造は、回転ユニットによって生成される一定の抵抗降伏力(トルク)を利用でき、一定の抵抗降伏力を維持しながら、高弾塑性変位(及び延性)に周期的に変位できる安定した塑性機構を形成できる。制御構造内及びそれが耐震的に支持し得る構造内の(動的)応答力及び加速度(例えば、上部構造力/床加速度)は、制御構造が地震のベース動入力(地動加速度)に抗し、(一定の抵抗降伏力で)耐えられるため、最大値で制限できる。
上述のピボットベースの制御構造は高弾塑性変位及び高い延性能力を有する。それらは、高弾塑性変位及び延性にサイクルしながら、安定した一定の抵抗降伏力メカニズムを形成し、維持できる。
制御構造により形成される一定の抵抗降伏力機構は、制御構造が地震からの地動入力(地動加速度)に抗するときに、自身内で発展する力を制御及び制限し、それを支持する基礎内で発達する力を制御及び制限し、制御構造によって支持され得る質量(例えば、床及び床によって支持される機器/材料/人)内で発達する応答加速度(動的力)を制御及び制限できる。
図340〜図345は、(非網羅的な)多岐にわたるピボットベースの制御構造を含み、これらの全ては、それらが地震からベース動入力に抗し、耐えるときに(高いサイクル弾塑性変位及び延性で)一定の抵抗降伏力を維持でき、それら自身内、それらの基礎内又はそれらが耐震的に支持する構造内で発達する力を制限できる。
図340〜図345の制御構造に示す各回転ユニット内には、一定の抵抗降伏力を維持しながら、高いサイクル変位及び延性に弾塑性的に屈曲でき、それらの合計が、回転ユニットに対して一定の抵抗降伏(トルク)を生成する(DELTA4〜DELTA6の)降伏プレートが位置する。各降伏プレートは、それらの支持点又は領域の1つで自由並進又は自由並進及び自由回転境界条件を有する。さらに、重要なことであるが、支持点又は反応点又は領域の間のそれらの曲げ曲線に沿った降伏プレートの変形長は、プレートがそれらの反応点、領域又は反応表面で変位及び/又は水平反力を生成するときに自由に増加又は減少できる(あるいは、弾性成分を伴う又は伴わない摩擦ブロックアセンブリが回転ユニット内に位置していてもよい)。
制御構造内の構成要素及び/又は回転ユニットの一部は、
・二層延性システムを生成するように構成することができる、任意の支持条件及び任意の変位形状(曲線)を有する任意の形状の(回転ユニットと一体化される)第二曲げ部材、
・回転ユニットのアーム又はレバーと一体化されたジョイントであって、周期的に接続及び接続解除でき、回転ユニットの降伏プレート内で主に一方向の又はサインの弾塑性屈曲、変位及び曲率を生じることができる、ジョイント、
を含み得る。
実用的な観点から、図351は、DELTA4降伏プレートが内部に位置する回転降伏ユニットを示す。図352は、図351の概略平面図である。降伏プレートは回転ユニットの周囲に約150mmの間隔で分布し、降伏プレートまでの半径方向距離は1000mmである。
幅200mm、スパン100mmの8mmのグレード460降伏プレートでは、(降伏プレートまでの半径方向距離と同じ長さのレバーアームを備える)回転ユニットの弾性降伏強度は500kNである。
従来の条件(又はアプローチ)では、(プレートの場合)変位延性係数が10の場合に、ユニットは、5000kNの弾性強度と同等の弾性強度又は弾性性能を提供する。レバーアーム長を半分にすると、この値は10000kNに増加する(2倍)。図示の降伏プレート及び回転ユニットは、25を超える変位延性係数を有することができる。
同じ寸法(ロータリーユニット及びプレート)の12mmのグレード460プレートでは、ロータリーユニットは1000kNを超える降伏強度を有する。ここでも、変位延性係数が10の場合(プレート及びユニット)、回転ユニットは、10000kNの弾性強度と同等の弾性強度又は弾性性能を提供する。ここでも、レバーアーム長を半分にすると、この値は20000kNに倍増する。ここでも、降伏プレート及び回転ユニットは、25を超える変位延性係数を有することができる。
図353は、先で説明したように、ALPHA1ロッカーフレームアセンブリに接続されて、それを形成するプッシュロッドを備えるスリーブガイドロッカーユニットを示す。ユニットは、5つのプレートが3つのグループに分けられた15個のDELTA1降伏プレートを含み、それらの間に全てのプレートを連結するタイのガイドが位置する。
図354は、図353の詳細の拡大図を示し、図355は、同様であるが10個のプレートを有するユニットを示す。
図356は、タイを収容するための切り抜きを含む降伏プレートの平面図を示す。
図357は、ロッカーユニットのケーシング内にあるガイド及びタイの平面図を示す。
図358は同様にDELTA1降伏プレートの平面図を示し、図359は再びガイド及びタイの平面図を示すが、ここではガイド及びタイがロッカーユニットの間隔空間全体を占める。
図360は、2つのタイを備え、切り欠きを有する降伏プレートの平面図を示す。
図361は回転ユニットの概略図を示し、先に説明したように、スリーブガイドロッカーユニットが回転ユニットの第3の部分を形成する。ここでは、4つのロッカーユニットが回転ユニット内に位置する。各ロッカーユニットは5個のDELTA1降伏プレートを含む。
図362は、図361の概略平面図を示す。
有効幅が200mm、スパンが200mmの8mmのグレード460プレートを有する図353のロッカーユニットは、500kNを超える弾性降伏強度を有し、25を超える変位延性係数を有することができる。同様に、12mmのグレードの460プレートで、ロッカーユニットは1000kNを超える弾性降伏強度を有し、ここでも25を超える変位延性係数を有することができる。
先で説明したように、高層建築物(例えば、20階建て以上)を耐震的に支持する高層制御構造又は制御構造について、降伏プレートの柔軟性(プレートの弾性降伏変位)、ピボットベースのロッカーフレームアセンブリ(すなわち、制御構造の上部構造)の柔軟性(構造弾性降伏変位)、それらの柔軟性の総和及びそれらの柔軟性の比は、降伏プレートの高い延性能力(高い塑性変位に屈曲可能)が制御構造全体に高い(全体的又は構造的な)延性能力を提供するために伝達されるように構成することができ、降伏プレートが高弾塑性変位(及びひずみ又は延性)に屈曲する間に制御構造のドリフトが低く、P−DELTA効果は無視できる(又は管理可能)ように構成できる。
すなわち、制御構造は、(両方とも)一定の抵抗降伏力を維持しながら(制御構造に支持される質量のピーク応答加速度を制限し、制御構造内で生じる力を制限し、その基礎内の力を制限し、制御構造が耐震的に支持し得る構造内の力を制限し(全て制御構造全体として低(又は管理可能な)ピーク(弾塑性)変位応答維持する(すなわち、低横方向ドリフト)))、激しい地動又はベース動入力(すなわち、高ピーク地動加速度(PGA))に抗し耐えることができる。
さらなる実施形態では、回転ユニットの平面は、前述のように垂直面内には置かれずに、水平面内で実質的に平坦に置かれる。すなわち、その回転軸は垂直である。この実施形態では、回転ユニットは、建物の上部構造のベースとその支持基礎との間に位置し得る。回転ユニットの第1の部分(ケーシング等)は基礎部材(第1の構造部材等)に横方向に接続され、回転ユニットの第2の部分(レバーアームのスロット、ピンエンド等)は上部構造のベースに横方向に接続されている。回転ユニットは前述のような挙動を有するか又は変位する。すなわち、ユニット内の降伏プレート(DELTA4〜DELTA6)は一定の抵抗降伏力を維持しながら、高弾塑性変位及び高い延性に屈曲できる。その後、回転ユニットは一定の抵抗降伏トルクで変位(回転)でき、そのレバーアームは直接的な一定の抵抗降伏力を伝達又は生成できる。上部構造のベース及びその(重力)支持基礎構造は、好ましくはそれらの軸受又は接触面の間でせん断力を発生させることなく、互いに対して横方向に変位するように構成される。これは、例えば、両者の間で荷重軸受せん断材料(例えば、スリップパッド)又はピボットローラシステムを用いることにより実現できる。すなわち、(地震からの地動入力により基礎ベースが反応するか又は動くときに)上部構造とその基礎ベースとの間でそれらにわたって生じる唯一の横方向の(せん断)力は、上部構造をその基礎に接続する変位回転ユニット内で生じる一定の抵抗降伏力であることが好ましい。回転ユニットは、基礎とその上部構造との間でおよびそれらをわたって伝達され得る横方向の(せん断)力を制限することが好ましい。すなわち、回転ユニットが基礎と上部構造との間で差動(又は遅れ)変位で変位するときに生じる一定の抵抗力に力を制限する。そのため、上部構造のベース加速度(したがって、上部構造内で発生する動的力)は、上部構造とその基礎とを横方向に連結する回転ユニットにより生成される一定の抵抗降伏力によって制限される。
そのため、上部構造の応答(変位/速度/加速度)は、(二次曲げ部材の有無にかかわらず)回転ユニットの弾性柔軟性と、回転ユニットによって生成され、基礎と上部構造との間でそれらにわたって伝達される一定の(制限された)抵抗降伏力によって管理される。回転ユニットは、地震の地動入力(変位/速度/加速度)と共に動くか又は反応するその基礎から上部構造物を動的に分離又は遮断する。
図347及び図348は、建物構造の基礎と上部構造との間に位置する回転ユニットの平面図を示す。
図349は、二次曲げ部材を備える図347/348の回転ユニットの概略的な平面の詳細を示す。
図350は、図347の長手断面図であり、回転ユニットの一方の部分が基礎に接続され、他方部分が上部構造のベースに接続されている。
上述した回転ユニットと同様に、弾塑性回転ユニットにより生成される一定のトルクから発生する直接力は、回転ユニットのレバーアーム長を変化させることにより直接調整できる。レバーアーム(第1の部分)は上部構造に接続されて、回転ユニットのハウジング(第2の部分)が基礎に接続されるか又はその逆である。同様に、二次曲げ部材を回転ユニットと一体化して、それから二段延性システムを開発することができる。そして、先に説明したように、接続−切断―接続(CDC)ジョイントを回転ユニットと一体化できる。あるいは、一体的な弾性成分の有無にかかわらず、前述の摩擦ユニット又はせん断降伏ユニットを回転ユニット内で又はその一部として用いることができる。
ふたたび、実用的な観点から、図364〜図368は、高さが様々で、(任意の)支持特性(例えば、スチールトレイ複合体)コンクリート床の多岐にわたるピボットベースのALPHA1及びALPHA2制御構造を示し、(寄与する加えられた荷重を含む)それぞれ(任意)の振動質量(seismic mass)は600kg/m2である。
図365は、70mの高さに対し、20階の支持を示すALPHA1支持構造を示す。各フレームは(ここでも任意で)325m2の寄与床面積(床レベル当たり195トン)を支持する。この制御構造が(この構造について、標準コード応答スペクトルから読み取られるような)標準土壌に関連する0.4gのピーク地動加速度のベース動加速度入力に対する床質量(floor mass)加速度応答に抵し、耐えるためには、それぞれが1600mmの直径を有し、フレームの各端部に位置し、ALPHA1フレームのピン接合プッシュロッドに接続された4つのベースに位置する回転ユニットが(任意で)必要となり得る。回転ユニットの異なる構成(ユニットの数及びサイズ、内部の降伏プレートの数及びサイズ、レバーアーム長)を同等に(上部構造と共に)構成して、制御構造に同じ(又は異なる)強度剛性及び延性値を提供することができる。単に降伏プレートの厚さ及びスパンを変えることで、回転ユニット内の降伏プレートの強度、剛性及び強度/剛性比を独立して調整することができる。これは、回転ユニット全体のための同じ値も調整し、これはレバーアーム長を変えることにとより又は二次曲げ部材を追加することによってもさらに調整され得る。
(降伏しない(non-yielding))上部構造及び(降伏する)回転ユニットの弾性たわみ性の組み合わせは、P−DELTA効果が最小限に抑えられる剛性の(低ドリフトの)組み合わせを生成するか又は追加のP−DELTA力及び変位効果がより高いより柔軟な(及び経済的)構造を生成するために構成することができる。
図366は、図365と同様であるが、高さが2倍(140m)で、2倍の床の数(40階)を支持するが、フレーム当たりの寄与床面積は同じ(325m2)である制御構造の概略図である。視点として、同じベース動入力(標準土壌に関連する0.4gPGA)と、標準コード(例えば、ユーロコード8)応答スペクトルを再び用いた場合、制御構造は、(任意で)25m幅のALPHA1フレームの両端にある4つの2500mmのベースに位置する回転ユニットを必要とし得る。ここでも、これらの回転ユニットはALPHA1制御構造のプッシュロッドに接続され、回転ユニットはベース(又は地面)レベルの下に位置できる。ここでも、降伏構造の横方向のドリフトは、降伏回転ユニット及び非降伏の上部構造の弾性たわみ性を構成することによって制限できる。
この解析に用いたプレートオプションの1つは、図367に示す厚さ8mm、スパン600mm及び幅600mmの複合プレートを含み、プレートは実質的にフラップの形状である。ここで、降伏プレートのスパン(寸法)は、回転ユニットのハブ半径と同じオーダーであり、ユニットの柔軟性は(視覚的に)有形である。40階建ての例が標準土壌に関連する0.4gの又は岩石に関連する0.5gのベース動入力に抗し、耐えるためには、例えば、40階建てのフレームの各側に配置された8つの(2500mmDIA)回転ユニットにわたって分布された8/10空間/8複合プレートの400のオーダーが必要となる。それらの柔軟性にかかわらず、ユニットは、
・ベースのせん断を最小(コード)レベルに制御及び制限することにより、上部構造及び内の力及び質量(床)加速度を最小レベルに制限する。
・横方向のドリフト(P−DELTAの追加も含む)を(コードの)最大レベル内に制御及び制限する。
・上部構造及びその基礎内の力を弾性(のみ)で応答する構造の約60%に低減する。
・回転ユニットの降伏プレートに対し最小の(局所)延性を要求(3のオーダー)しながら、構造全体のために2のオーダーの構造(全体的)延性を作り出す。
この回転ユニットの構成は、この場合に使用できるいずれかのうちの(剛性及び強度が異なる)の1つである。この特定の構成は、その柔軟性により、上部構造がこのベース動入力の場合にそのドリフト限界(そしてこれによって管理される)にあり、降伏プレート上の延性要求が非常に低い全体的なデザインを生み出す。この例は、この特定のユニットが応答ベースせん断を制限しながら、(同時に)動作する2つの極端な例を示すために用いられている。ベース動入力が増加する場合(例えば、1.0g)、同じスケール(直径)、数及び降伏強度の回転ユニットを依然として用いることができる。しかし、降伏プレートの弾性スチフネスは増加する。これは、同じ8/10/8複合プレートのスパンを(それらのスチフネスを高めるために)小さくすること、プレートの幅を(それらの降伏強度を維持するために)小さくすることの両方により又は異なるプレートを用いることにより実現できる。これは、同じ強度の上部構造を作るために行われ、同じ最大応答ベースせん断を持つが、横方向のドリフトがさらに制御されている。これにより、回転ユニットに対する延性要求は増加するが、その値は依然としてその能力の範囲内のものである。さらに、元の0.4g/0.5g入力の場合について、(例えば、プレート寸法を調整することによって)回転ユニットの剛性を大きくすることで、上部構造の弾塑性変位応答(横方向ドリフト)を低減させるが、回転ユニットの降伏プレート上の(局所的な)延性要求も増加させる。
図368は、高さが342mのALPHA2制御構造であり、600kg/m2の質量の100のコンクリート床を支持する極端な場合の概略図を示す。
図369は代表的な建物の平面図を示す。ベース寸法は50m×50mである。構造はジョンハンコックセンターと高さ、階数及び平均床面積が同じである。同様に、その周囲だけが交差ブレースされ、内部柱は重力荷重のみを支える(すなわち、横方向の抵抗を提供しない)。ジョンハンコックセンターは平面で長方形(79m×49mベース)であり、高さに伴って先細になっているが、ここで考慮される制御構造は平面で正方形であり、角柱状である。すなわち、先細になっていない(全ての階の重さ及び面積は等しい)。(比較的大きな断面構造部材を有するにもかかわらず)これらの構造によって支持される非常に高い総質量は、角振動数が非常に小さい(すなわち、自然周期が長い)構造をもたらす。
地動入力が0.4gPGAの場合、横方向の係数限界(lateral coefficient limits)(T=4.5s付近)は、上部構造が、弾性的に(のみ)に応答するように設計されているか又は回転ユニットと共に弾塑性的に応答するように設計されているかに関わらず、この高さ及びスケールについての上部構造のスケールを管理又は決定する。この制限(及び0.4gのベース動入力)により、回転ユニットの使用は依然としてより経済的な上部構造を生成するが、同じ弾性的に設計された構造のトン数の80%のオーダーだけである。しかしながら、構造(弾性及び弾塑性)が増加された1.0gPGAのオーダーの地動に対して設計され、加速度応答が標準土壌に関連する場合、回転降伏ユニットを有する上部構造は、同じベース運入力に抗し、耐えるように設計された弾性的に設計構造のトン数の50%のオーダーのみである。双方設計(弾性及び弾塑性)はP−DELTA効果も含む。この結果をさらに説明する。(100階建ての例について)これらの非常に高い柔軟性レベルであっても、回転ユニットは、トン数の減少をもたらす効果的な構造延性率を生成することができる。
(回転ユニットは制御構造の一部である)回転ユニットの延性の効率、すなわち、回転ユニットの(局所的な)延性に対する(回転ユニットから抽出された)制御構造の(全体的な)構造的延性の比は、(回転ユニットの柔軟性を含む)制御構造の柔軟性が増すにつれて低下し、質量加速応答、ひいては制御構造に対する力の要求も減少する。すなわち、制御構造の固有(弾性)周期の増加(角振動数の減少)に伴って、所定の制御構造に対する力の要求及び回転ユニットの効率の双方が低下する。そのため、回転ユニットを備える降伏構造に必要な(上部構造の)トン数の比率は、弾性でとどまるように設計された構造と比較して増加する(すなわち、トン数の差)。
しかしながら、考慮した100階建ての極端な例の場合でさえ、回転ユニットは、多岐にわたるベース動入力に対して制御構造全体のために延性機能を生成でき、これはドリフト(弾塑性)及びP−DELTA効果による変位及び追加の(高次の)力を受け入れながら、弾性モデルに必要なトン数の半分を可能にする。トン数の減少に加えて、床(応答)加速度及び基礎力は半分以上になった。なお、上述のように、より柔軟性の高い構造(40〜100階建て)に加えられる地動加速度の増加(例えば、0.4gから1.0gに)に伴って、回転ユニットはより効率的になる。すなわち、弾性的に設計された上部構造(回転ユニットなし)に必要とされる(スチール)のトン数に対する回転ユニットを備えた制御構造の上部構造で必要とされる(スチール)のトン数の比は、地動加速度の増加に伴って減少する。さらに説明するように、これはベースのせん断に設定されたコード制限によるものである。さらに、制御構造の固有振動数が増加(周期が減少)し、質量応答加速度が増加(制限された最小値を超える)すると、回転ユニットを有する制御構造の効率(及び経済性)は急速に増加する。
図365の20階建ての構造の例では、回転ユニットを有する上部構造に要求されるスチールのトン数は、高さ/重さが同じ弾性設計構造のもののオーダーの1/4である。降伏制御構造及び床加速度からの基礎荷重も弾性構造のものの1/4未満である。
図364の10階建ての構造では、この比は1/8未満になる。
先で説明したように、(一定の抵抗降伏力でではないが)降伏可能な他の従来の延性構造と比べて、(一定の抵抗降伏力で降伏可能な回転ユニットを備える)上述の制御構造は、従来の(同じ初期降伏強度の)延性構造のトン数のオーダーの2/3であり、同様に、同じ初期降伏強度の延性構造のものの2/3の基礎荷重及び床加速度を生成する。
さらに、高層のALPHA2制御構造の場合、(全てALPHA2制御構造の一部である)ロッカーと一体化された内側コードと外側コードとの間に沿って位置する回転ユニットの柔軟性は、回転ユニット内のプレートの数、スパン及び厚さを変えること、回転ユニットの直径及びレバーアーム長を変えること及び二次曲げ部材を変更又は追加することによって個別に調整できる。とりわけ、高層の構造の場合、各回転ユニットの柔軟性及びコード間のそれらの(垂直)位置と共に、フレーム及び外側コードの柔軟性は、補償すべきコードの弾性的な伸縮(elastic shortening or strethching)により(1つの回転ユニットから次の回転ユニットに)外側及び内側コードの間での変位差動(displacment differentials)を可能にするため、各回転ユニットにおいて降伏が同時に起こる。また、制御構造全体のために依然として組み合わされた一定の抵抗降伏力を生成しながら、必要に応じて各回転ユニットのために異なる降伏力を設定することができる。回転ユニットは図370に示すように制御構造のベースのより近くに又は図371に示すように上部のより近くに又は任意の他の規則的な(又は非規則的な)配列で集中され得る。
先で説明したように、回転ユニットのアームの端部と外側コードとの接続がピン及びスロット接続の場合、図372に示すように、外側コードの中心線をALPHA2制御構造のロッカーフレームの中心線に接続するためにピン接合動作制御タイが追加される。
下記の式1)は、構造に加えられる同等の横方向の力(equivalent lateral force)、故にその構造の必要な強度又は降伏強度を確立するために、耐震建築基準法(例えばユーロコード)で一般的に用いられる形式のものである。
R(T)は構造によって支持される質量の正規化応答加速である。これは、構造の固有弾性振動数の関数であり、その値は4s又は4.5sを超える高い固有周期で平坦化し、構造の固有周期が地動振動数(ground motion frequency)が構造の固有弾性振動数と等しく弾性共振値まで構造の自然周期が低下すると(又は構造の自然角振動数が増加すると)指数関数的に増加する。
μStは構造の延性(又は降伏)能力である。これは、構造がその弾性降伏(又は弾性ひずみ限界)での変位まで耐えることができる全弾塑性変位(又は全ひずみ)の指数である。
Cは横方向の力の係数であり、建物の重量で乗じられた場合、構造が降伏する前に弾性的に抵しなければならない同等の横方向の力を生成する(すなわち、構造の降伏強さ)。
Cminは、(地動加速度入力、構造の固有振動数、構造の延性能力に関係なく)Cの最小値又は低い値である。これは、構造の弾性強度の下限値である。
所定の地動加速度及び構造の固有振動数(周期)に対して、Cminは、その構造の延性能力がどのようなものであるかに関わらず、構造のために用いることができるμStの値の上限も設定する。これは、固有周期が4sから4.5s以上のオーダーである高層及び/又は柔軟な構造及び0.2gから0.4gのオーダーの地動加速度にとりわけ関連する。これらの値(低/中程度の加速度を受ける柔軟な構造)の場合、(Cminによって制限される)低値の延性のみ利用できる。そのため、所定の地動加速度に対して弾性を維持するように設計された構造の上部構造のトン数は、降伏ユニットを有する構造(すなわち、約4s程度及びそれ以上の固有周期を有し、回転降伏ユニットを備え、約0.2g〜0.4gの地動加速度を受ける構造は、同じ地動加速度に対して弾性で留まるように設計された同一の構造の形態のトン数/強度の80%のオーダーとなる)の20%のオーダーだけ高くなる。しかしながら、地動加速度が増加するか又は構造の固有振動数が増加するか又はその両方が増加すると、利用可能なμStの値も増加する。すなわち、式(1)の分子が増加すると、Cminの値は維持される一方で分母も増加する。加速度Agが直線的に増加し、R(T)が指数関数的に増加(Tが減少)すると、利用可能なμStの値も指数関数的に増加し、降伏構造に対して弾性的に設計された構造に必要な上部構造トン数(又は強度)の比も指数関数的に増加する。すなわち、回転降伏ユニットを備えるこれらの構造に必要なトン数又は強度は、弾性的に設計された同じ構造の10〜15%のオーダーに急速に変化する。なお、固有周期T(すなわち一定値R(T))の構造では、地動加速度Agが増加すると、Cmin限界の範囲内でμStのより高い値が利用され得る。すなわち、地動加速度が増加すると、回転降伏ユニットはより効率的になり、降伏ユニットを有する構造と弾性的に設計された構造との間で必要トン数/強度の差が増加する。回転ユニットを備える高層の構造(例えば30〜40階以上)又はより柔軟な構造の場合、1.0gの地動加速度に抗し、耐えるのに必要な上部構造のトン数/強度は(0.4gの地動加速度の場合の約80%から)、弾性に留まることが要求される構造のもの約2/3(67%)に低下する。
回転降伏ユニットの延性(又は延性能力)から抽出又は利用可能な制御構造(上部構造)のための構造的(又は全体的)延性は全体として、回転降伏ユニットの弾性ひずみ性に対する上部構造の弾性ひずみ性に依存する。柔軟性のない(すなわち剛性の)上部構造の場合、構造の延性は回転ユニットの延性と等しい。上部構造の柔軟性が増加すると、回転降伏ユニットの延性に対する構造の延性の比は低下する。すなわち、回転降伏ユニットの延性能力を利用する効率は、上部構造の柔軟性の増加と共に低下する。しかしながら、回転ユニットにより生成可能な非常に高い延性値は、上記の100階の例のような極端な場合でも、使用可能な構造的延性値を可能にする。弾塑性動的解析から、(構造の)所定の降伏強さ及び所定のベース加速度に対して、延性要求(又は塑性ひずみ)は、構造の剛性の増加(又は固有角振動数の増加)と共に指数関数的に増加する。構造の固有振動数の増加に伴うローカル(回転ユニット)からグローバル(徐湯部構造)への延性効率の増加と組み合わされた回転ユニットの高い延性能力は、回転ユニットを備えるより剛性の高い構造が非常に高いベース動入力(加速度、速度、変位)に抗し、耐えることを可能にする。
図373及び図374は、建物の基礎とその上部構造との間に位置する(上述した)回転ユニットの概略平面図である。すなわち、それらは免震ユニットである。一視点として、正味床面積が625m2(25m×25m)で地震床質量が600kg/m2である(前述の)40階の例を考慮する。これは、上部構造のベースレベルで150×106kgの振動質量又は150000kNの地震重量に相当する。この高さ、重さ及びごく少量の柔軟性を有する上部構造(すなわち、剛性ブロック)の場合、それぞれ直径が2mであり、40の複合降伏プレート(10mmで離間された2×8mmのプレート)がそれぞれの周囲に分布された4つの回転ユニット単独(又は、図373に示すような2つを2組)で、それらの能力の十分な範囲内の延性値で規格の最低限の一定の抵抗降伏力(ベースせん断)を生成し、標準土壌に関連する0.4gの(任意の)ピーク地動加速度に抗し、耐えながら、最小の横方向ドリフトを維持する。上部構造の柔軟性の増大(すなわち、非剛性)及び/又は回転ユニットへの二次曲げ部材の追加により、制御構造への(グローバルな)延性要求、床の加速応答及びベースせん断の全てが低下する(回転ユニットへの延性要求は増大する)。あるいは、(柔軟性が高い)同じシステムはより高い地動入力(0.4g以上)に抗し、耐えることができる。平坦に置かれる基礎免震ユニットとして、回転降伏ユニットは実用的に大径(例えば、5m以上)のものとすることができる。
図374は、内部にDELTA1プレートが位置する(前述のように第3の部品である)スリーブガイドロッカーユニットを備える回転ユニットの概略図である。平面図には8つのロッカーユニット(円の1/4毎に2つ)を示す。この数は、ALPHA2ロッカーフレームついて前述したように円の1/4毎に4つのユニットまで容易に倍増できる。免震ユニットとして、(二次曲げ部材の有無にかかわらず)回転ユニットは非常に高いベース動入力に抗し、耐えるように構成できる。
双方先で説明した、例えば図81〜84及び図374に示す、回転ユニットの第3の部分を形成し得るスリーブガイドロッカーユニット及びその内部の降伏要素回転ユニットを次に説明し、別個の降伏ユニットとして考える。
図375及び図376は、DELTA1降伏プレートの変形していない状態及び曲がった状態を示す。先に説明したように、境界条件は、反応点の間のプレートの屈曲長さが変位に伴って増減できるよういする。図377及び図378はこの原理を示す。
図379〜図383は、図64〜図72と同様に、DELTA1〜DELTA3降伏プレートの降伏領域がスリーブガイドロッカー内にある変位された形態を示す。先に説明したように、プロファイルは、繰り返し試験された8mmの降伏プレートの直接トレースである。
図384〜図387は、スリーブガイドロッカーユニット内のDELTA1降伏プレートを示し、該ユニットでは、プッシュロッドからの荷重は、降伏領域を中心としてではなく、摺動ヒンジを介してプレートの端部に加えられる。
図388〜図390は、図227〜図229と同様に、主に一方向にのみ曲がるDELTA1降伏プレートの変位プロファイルを示す。
図391はALPHA1ロッカーフレーム内の偏向プロファイルを示す。
図392〜図397は、先に説明した接続−切断−接続ジョイントを示す。
図398は、接続−切断−接続ジョイント、スリーブガイドロッカーユニットのプッシュロッドの一端を示す。
図399〜図404は、図239〜図242と同様に同心円状に且つ偏心してブレースされたフレームの変位プロファイルを示し、該フレーム内に接続−切断−接続ジョイントを備えるスリーブガイドロッカーユニットが位置する。
図410及び図411は、スリーブガイドロッカーユニット内のせん断降伏ブロックを再び示す。
図412及び図413は、図340〜図343と同様に、前で説明したALPHA1及びALPHA2ロッカーフレーム内に組み込まれ、図344〜図346と同様に、連結せん断壁及び同心円状に且つ偏心してブレースされたフレーム内に組み込まれたスリーブガイドロッカーユニットを示す。
上述の実施形態は変更され、共に組み合わされてさらなる実施形態を形成し得る。当業者であれば、これらの構成は、構造又は貯蔵ラックの高さ、拘束する貯蔵ラックの数、構造又は貯蔵ラックの重さ、物品又は構造の重さ、構造又は貯蔵ラックが設置される場所での地震の傾向、頻度及び大きさ等、構造又は貯蔵ラックの多くの異なる機能特性及び目的に合うように適合可能であることを理解するであろう。さらに、これらの構成は、使用される材料及び要求される安全係数に応じて適合され得る。
前述の説明において、既知の等価物を有する要素又は整数への言及がなされている場合、そのような等価物があたかも個別に記載されているかのようにそれらも含まれる。
本発明を一例として、特定の実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく変更及び/又は改良が行われ得ることを理解すべきである。