JP2021532524A - 航路途中でルート変更を提供するためのシステム及び方法 - Google Patents

航路途中でルート変更を提供するためのシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

ルート受諾確率に部分的に基づいてルート変更情報を提供するためのシステムが開示される。さらなる実施形態によれば、ルート変更情報は、ルート変更を要求する決定及び要求しない決定を含む決定木分析に、部分的に基づく。

Description

優先権
本出願は、2018年8月3日に出願された米国仮特許出願第62/714,345号に対する優先権を主張し、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
米国では、航空宇宙システム(National Airspace System:NAS)により、毎日数万の民間輸送便が提供され、数百万人の乗客及び大量の貨物が輸送される。多数のフライト、並びに相当な燃料費及び時間がかかることを考えると、フライト時間及びフライト効率の一見わずかな改善でも、大幅な経済的節約をもたらし得る。
非効率性の1つの原因であり、節約の機会となるものは、民間輸送便で使用されるルートである。民間輸送ルートは、気象、空域可用性及び空域手続き、交通、並びに航空機の性能を含む、いくつかの複雑な要素と制約の影響を受ける。これらの複雑な要素及び制約は、多くの場合、ルートの非効率性を生じる。例えば、フライトプランは、ゲート出発の1〜2時間前に策定し提出する必要があり、予測される対流気象を慎重に迂回する必要がある。
ルーティングは、経済的に重要であり、かつ技術的に困難であることから、より効率的な航空交通ルート変更システムが依然として求められている。
一実施形態によれば、本発明は、ルート受諾確率に部分的に基づいてルート変更情報を提供するためのシステムを提供する。
別の実施形態によれば、本発明は、ルート変更情報を提供するための方法を提供する。方法は、ルート受諾確率を特定するステップと、ルート受諾確率に部分的に基づいてルート変更情報を提供するステップとを含む。
さらなる実施形態によれば、本発明は、ルート変更を要求する決定及び要求しない決定を含む決定木分析に部分的に基づいて、ルート変更情報を提供するためのシステムを提供する。
下記の説明は、添付の図面を参照することにより、さらに理解され得る。
本発明の実施形態による、ルート変更の種類の概念図を例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、2つの可能性のあるルート変更を示す概念図を例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、単一ルート変更受諾メトリックの概念的確率分布を例示する概略グラフ図を示す。 本発明の実施形態による、ルート変更確率及びルート変更節約により分布されたルート変更候補を例示する概略グラフ図を示す。 本発明の実施形態による、最大期待節約(E(S))フロンティアを例示する概略グラフ図を示す。 本発明の実施形態による、予定飛行時間に対する飛行遅延のコストの概念図を例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、線形最大(E(S))フロンティアの概念図を例示する概略グラフ図を示す。 最適な2ルート変更戦略のうちの第2のルート変更として、最適な単一ルート変更の例を示す概略グラフ図を示す。 本発明の実施形態による、間もなく始まるルート変更候補のクラスタの例示的タイムラインを示す概略グラフ図を示す。 本発明の実施形態による、ルート変更候補の確率的二分決定木を例示する概略図を示す。 特定のルート変更候補が遮断された図7のルート変更候補の確率的二分決定木を例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、特定のルート変更(R1)を要求する場合の完全に実行可能な片側確率的二分決定木を例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、特定のルート変更(R1)を要求しない場合の完全に実行可能な片側確率的二分決定木を例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、特定のルート変更(R1)を要求する決定及び要求しない決定に関して、期待コスト節約計算を例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、評価対象である決定組み合わせを例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、評価対象である決定組み合わせを例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、評価対象である決定組み合わせを例示する概略図を示す。 本発明の実施形態による、評価対象である決定組み合わせを例示する概略図を示す。
図面は、例示目的でのみ示される。
出願者は、NASオペレータのための高度なルーティング決定支援ツール(SmartRoutes(商標)ルーティング決定支援ツール)を開発した。SmartRoutes(商標)ツールは、NASA 動的気象ルーティング(Dynamic Weather Routing:DWR)ツールに関連しており、多数の重要な追加高機能を有する。DWRなどのルーティングツールに欠けている機能の1つは、より高いレベルのルート最適化決定支援である。DWRなどのルート設計ツールは、所与のフライトに関して複数のルーティング選択肢を生成し得るが、これらのルートを使用するための最適化戦略をユーザに提供しない。
DWRなどのツールは、例えば航空交通管制センター(Air Route Traffic Control Center:ARTCC)内で、所与のフライトの複数のルート変更候補を特定することが可能である。図1(ルート変更の種類の概念図を示す)が例示するように、ルート変更は、下流地点に直行し得、又は複数区間を経由し得、同じ又は異なる地点で始まり得、同じ又は異なる地点で飛行計画に合流し得る、すなわち飛行計画を取り込み得る。具体的に、図1は、悪天候12を迂回する飛行計画固定位置20を有する計画ルート10を示す。直行型ルート変更14は、特定の固定位置20へ直行するルート変更を提供し、一方、複数区間型ルート変更16は、示されるように補助経由地点18を介した固定位置20へのルートを提供する。
本発明は、1つ以上の処理システム28を使用するルート変更最適化システム(SmartRoutes(商標))を提供し、これは、民間輸送ルート変更技術を最適化するための新しく、斬新で、重要な方法を提供する。本発想は、6つの主要な革新を含み、これには、様々な実施形態による、フライトのルート変更戦略を最適化する意思決定方法と、ルート変更の運用受諾性をモデル化し予測する方法と、遅延に関する真の非線形ユーザコストをモデル化し含む方法と、データリンクを介して空地交渉を実施する方法と、複数のフライトにわたり最適化する方法と、時間節約をさらなる燃料節約に変換する時及びやり方を決定する方法と、が含まれる。
DWRなどのツールは、事前設定の節約閾値を超える第1の利用可能なルート変更を選択するように設計される。これは、いくつかのシナリオでは最良の戦略となり得るが、ARTCC内の他の下流ルート変更候補を除外し得(すなわち第1の利用可能なルート変更に他の下流ルート変更候補が一時的に重複する場合)、又はより複雑なルート変更及び交渉戦略を除外し得るため、機会コストを課す。
例えば、重複する下流ルート変更が、当座のルート変更と比較して、著しく高い節約及び/又は運用受諾性を有する場合は、閾値を超える第1のルート変更を選択する機会コストは、高過ぎであり得る。一方で、上流ルート変更には、第1のルート変更が運用拒否された場合の予備プランとして、下流ルート変更を有するという利点がある。実質上、ルート変更を成立させるのに、2つの試みが存在する。このシナリオの例は、フライトがARTCC境界に近づいており、よってより長いルート変更を利用可能である場合に起こり得る。求められるのは、使用するルート変更を最適に選択するための原理に基づいた客観的な方法である。下記の節では、この問題に対する本発明の様々な実施形態の手法が説明される。
DWRなどのツールは、生成する各ルート変更候補の飛行時間節約を比較的正確に推定する。しかし、ルート変更が異なれば、運用受諾の可能性も大きく異なり得る。ルート変更候補は、航空会社ディスパッチ、飛行操縦室、又はATCのレベルで、様々な理由により拒否され得る。様々な理由は本明細書で論述され、これらは、全体的ルート受諾確率を推定するために、モデル化されて使用される。この確率により、システムは、実施形態に従って、所与のルート変更候補の期待節約を、次のように計算することが可能となる。
Figure 2021532524
は受諾確率、Sは飛行時間節約、S_DWRはDWRにより推定された飛行時間節約、E(S)は飛行時間節約の期待値である。
ここで、図2に例示されるように、節約S及びSをそれぞれ有する2つのルート変更候補R及びRの事例を検討するが、両方を実行することはできない。図2は、固定位置20を含み、かつ悪天候12を迂回する計画ルート10からの第1のルート変更22及び第2のルート変更24の2ルート変更事例を示す。
最初に、一般的な受諾確率Pの事例を検討する。R及びRをそれぞれ選択するAction及びActionの2つの行動候補について考える。各行動に関して、期待節約が導出され得る。Actionでは、Rが運用拒否され、次にRが試されると想定する。従って、Actionの期待節約は、2つのルート変更の節約に、2つのルート変更が飛行される確率がそれぞれ掛けられたものの線形結合である。
Figure 2021532524
S_DWRは、DWRにより推定されたRの飛行時間節約であり、S_DWRは、DWRにより推定されたRの飛行時間節約である。式(1)から、Actionの期待節約は次のとおりである。
Figure 2021532524
ルート変更行動の期待節約を最大化することを目的とするユーザについて考える。Actionの期待値は、Actionの期待値から差し引かれる。この式が正である場合には、Actionが示される(すなわちActionの期待値は、Actionの期待値より大きい)。
Figure 2021532524
従って、一般的な受諾確率の2ルート変更事例では、Rの節約が、Rの節約に受諾確率を掛けたものを上回る場合、Actionが示され、そうでない場合は、Actionが示される。言い換えると、Rの節約がRの節約より十分高く、Rが拒否された場合の予備プランとしてRを有するActionの利点を相殺する場合にのみ、Actionは選択される。
及びRの受諾確率が異なる場合、決定導出はやや複雑になる。最初に、式(2)を一般化する。
Figure 2021532524
a1は、Rの受諾確率であり、Pa2は、Rの受諾確率である。次に以下が続く。
Figure 2021532524
再び、式がゼロより大きいと設定して、Actionが示される場合の条件を調べる。
Figure 2021532524
この事例では、Pa2は臨界確率となる。Rの節約が、Rの節約にRの受諾確率を掛けたものを上回る場合、Actionが示される。期待節約を最大化することが目的である場合、式(6)は、この2ルート変更事例において、客観的な意思決定基準を提供する。下記でさらに論述されるルート受諾確率を推定することの重要性が、これにより強調される。
ルート受諾確率は、次のように特定され得る。航空会社ディスパッチ、飛行操縦室、及び航空交通管制(ATC)のレベルでのオペレータによるルート受諾又はルート拒否に対する主な影響は、次のように論述される。これらの影響には、ルート変更の複雑さ、管制官の作業量、ルートの使用頻度履歴、及び近接性制約が含まれる。
これらの要素のそれぞれは、定量的にモデル化され、全体的なルート受諾確率の推定に使用され得る。モデルを微調整するために、機械学習手法においてフィールドデータ(SmartRoutes(商標)フィールドデータ)が使用され得る。
ルート変更の複雑さは、次のように分析され得る。いずれのルート変更候補も、航空会社ディスパッチャ、航空機乗組員、及び航空交通管制官により、評価され通信される必要がある。従って、ルート変更の複雑さが増すと、これらの段階のうちのいずれかで拒否される可能性も高くなる。ルートの複雑さRCは、ルート変更を構成する固定位置及び/又はジェットルートの数として、モデル化され得る。
ルート変更要求のATC受諾性の鍵となる要素は、管制官の作業量である。管制官の作業量は、現在又は予想される交通及び気象のメトリックを使用してモデル化され得、これらのメトリックには、セクター公称容量に対する空域セクターの交通負荷、コリドー統合気象システム(CIWS)のレベル3以上(鉛直積算雨水量(VIL)3+)とセクター高度フロアを上回るエコー頂とを有するセクター領域の一部としてモデル化された対流気象の存在、ある期間にわたるセクターの交通出入イベント、セクター内の上昇飛行又は下降飛行の数に対する水平飛行の数、セクター又はセンターの端を切り取り、セクター又はセンター内の飛行時間が比較的短くなり、よって管制移管の時間が短くなる航空機のルート変更、及び管制官の間で複雑な調整を必要とするセクター又はセンターの境界に沿って進む航空機のルート変更が含まれる。管制官の作業量は大幅に変わるため、ルート変更の選択に影響を与え得る。フィールドデータは、最適な関数形式を特定するために分析され、管制官の作業量CWを推定するために適合される。
ルート変更要求のATC受諾性の別の要素は、ルートの使用履歴である。不明瞭なルート又は滅多に使用されないルートを使用するルート変更は、良く知られており一般的に使用されるルートを使用するルート変更よりも、受諾される可能性が低くなる。過去の監視及び飛行計画データは、一般的なルートのデータベースを構築するためにマイニングされる。飛行したルート区間及びルート区間の組み合わせが特定され、それらの使用頻度が、履歴データの1か月ごとに、各区間又は区間の組み合わせを飛行したフライトの数に関して特定される。
このデータを使用して、全体的ルート頻度メトリックRFが、各ルート変更候補に割り当てられる。メトリックRFは、ルートを構成する区間で取得されたルートの平均頻度値である。DWRなどのルート変更ツールは、閉鎖空域に入る、激しい対流気象を通過する、あるいは既知の制約に違反するルート変更を提案しない。それでも尚、ルート変更は制約に非常に近くあり得、これらは、特にディスパッチ及び飛行操縦室の段階で、運用受諾性に影響し得る。
従って、航空機から最も近い制約までの水平範囲である近接性制約メトリックCPが、最接近点(PCA)にて作成される。メトリックCPは、現在閉鎖中の空域、激しい対流気象、対流の風上か風下か、及び交通を含む制約からの距離間隔の測定である。対流気象の場合、激しい対流気象を表すのにCIWS VIL3+が使用される。PCAを計算する時には、予測される気象及び交通の動きが考慮される。パイロットは通常、対流の風下側を通過する場合、風上側と比較して、より大きな距離間隔を必要とし、これはCPメトリックで考慮される。
前述の4つの要素(すなわちルート変更の複雑さ、管制官の作業量、ルートの使用頻度、及び近接性制約)を組み合わせて、ルート変更候補の受諾確率が予測される。プロセスは、フィールドデータを使用して、ルート変更が受諾される相対頻度を特定することから始まる。これは、ルート受諾確率P(A)の推定値として使用される。次に、4つのメトリックRC、CW、RF、CPのそれぞれに関して、カテゴリ(例えば低、中、高)が作成される。図3(単一ルート変更受諾メトリックの概念的確率分布を示す)に例示されるように、再びフィールドデータを使用して、各カテゴリの相対頻度が特定され、これらを使用して、各メトリックの確率分布が推定される。具体的には、図3は、30にて、中値域のメトリック値が、低値域メトリック値(32で示される)又は高値域メトリック値(34で示される)と比較して、受諾確率が高いことを示す。
同様に、条件付き確率P(RC|A)、P(CW|A)、P(RF|A)、P(CP|A)が推定され、下付き文字iは、各メトリックのカテゴリを示す。例えば、メトリックに3つのカテゴリがある場合では、ルート変更が受諾されると仮定すると、メトリックの各カテゴリの確率を示す3つの条件付き確率が計算される。(これは、図3の分布を再作成することと同等であるが、全てのルート変更ではなく、受諾されたルート変更のみに基づくことに留意されたい。)
ルート変更受諾確率P(A)、各カテゴリの確率分布、及び条件付き確率P(RC|A)、P(CW|A)、P(RF|A)、P(CP|A)があるとして、ここで、所与のルート変更候補に関して、受諾確率P(A)が更新され得る。言い換えると、上記のルート変更受諾確率P(A)は、フィールドデータの全てのルート変更に関して計算された。システムはここで、所与のルート変更候補のルート変更受諾確率P(A)の推定値を、4つのメトリックの値RC、CW、RF、CPを前提として、更新し得る。これは、ベイズの定理を使用して行われ得る。
Figure 2021532524
は、ルート変更受諾メトリックMのi番目のカテゴリを表す。式(7)は、4つのルート変更受諾メトリック値のそれぞれに対して繰り返される。各反復にて、左側は、後続の反復の事前確率として使用される。すなわち、新たなP(A)値は、P(A|M)に等しく設定され、よって、P(A|M)→P(A)である。
4回の反復が完了すると、その結果が、4つのメトリック値を考慮した、その特定のルート変更候補のルート変更受諾確率P(A)の推定値となる。これは非常に重要な値であり、この定量的で体系的な評価は、新たなイノベーションである。
上記は、標準的な2ルート変更事例(すなわち2つのルート変更が利用可能な場合に戦略を選択する問題)を考慮した。システムは、上記で論述されたこれらの標準的な結果を利用して、DWRなどのツールにより生成されたN個のルート変更候補の集合から、単一のルート変更及び複数のルート変更をそれぞれ選択する問題を考察する。前と同様に、これらの節では、ユーザの目的は、ルート変更期待節約E(S)を最大化することであると想定される。
所与のルート変更候補の場合、期待節約E(S)は、ルート変更の確率とその節約との積である。例示的ルート変更r及びqを有する確率−節約空間の概念図を示す図4Aに例示されるように、所与のARTCCに関して、確率−節約(P−S)空間でルート変更候補を視覚化することは有用である。具体的には、図4Aは、40にて、ルート変更確率P及びルート変更節約Sにより分布されたルート変更候補を示す。
上記で論述されたルート変更確率要素は、より短いルートを奨励する傾向があるため、P−S空間内の一般的な傾向では、下記で論述される図4Bが例示するように、確率の増加に伴い節約は減少する。もちろん、高節約で高確率のルート変更も変わらずに見つかる。
最大E(S)ルート変更を見つける前に、最大E(S)目的では、P−S空間内の任意のルート変更は、空間内の任意の他のルート変更と比較して低確率かつ低節約である場合(図4Aにおけるルート変更rに対するルート変更qなど)、解決策に使用されないことに留意されたい。これは、高確率で高節約な点は、必然的にE(S)が高くなるからである。
これは、P−S空間内の高確率かつ高節約の点のみで構成された最大E(S)フロンティアの概念を提案し、P−S空間内にこれら以外の高確率かつ高節約の点は存在しない。これは、図4B(最大E(S)フロンティアの概念図を示す)に例示される。具体的には、図4Bは、42にて、図4Aのルート変更候補40のうちの高確率かつ高節約の点44をつなぐ最大E(S)フロンティア42を示す。単一ルート変更事例の場合、最大E(S)は、PとSの最大積を有するフロンティア内の点にすぎない。しかし、この解決策を考察する前に、時間のコストを検討する。
これまでのところ、ルート変更節約Sは、ルート変更飛行時間短縮に正比例すると想定されてきた。しかし、Sの実際の値は通常、ユーザのビジネス事例によっては、より複雑である。例えば、フライトが現在16分遅れている場合、最初数分の遅延削減は、追加の遅延削減よりも、はるかに価値がある(運輸省が定刻統計を生成するのに使用する14分到着遅延閾値を指すA14閾値内に、ETAを移動させるため)。
一方で、フライトがさらに遅延している場合、例えば25分遅延している場合、11分の大きな負の遅延は、A14に到達しない小さい遅延削減よりも、不相応に価値は高くなる。A14閾値は、オペレータが責任を担う全体的遅延コストに寄与する多数のコスト要素のうちの1つである。図4C(予定飛行時間に対する飛行遅延のコストの概念図を示す)は、他のいくつかのコスト要素及び検討事項、並びに結果として生じる概念的な遅延コストプロファイルを(遅延の関数として)例示する。具体的には、図4Cは、46にて、燃料放出又は軌道、ゲート可用性の欠如、労働コスト節約を伴わない行動、燃料及び労働コスト、定刻とみなされる運輸省(DOT)の遅延(例えば14分)を超える時間遅延を含む多数の要素により、コストと飛行時間は共に増加する(及びコストと遅延の両方が増加する)ことを示す。
図4Cのコスト要素に加えて、ユーザのビジネス事例には、負の遅延の値を複雑にする他のいくつかの要素が含まれ得る。例えば、ハブから出発する夜間フライトと、到着ラッシュでハブに到着し短時間で方向転換するフライトでは、遅延コストの値プロファイルは、比較すると大いに異なる。複雑にする別の要素は、接続が短い乗客の数と、フライトに搭乗しているVIPの存在である。
コストプロファイルは、フライトのスケジュール及びハブ情報に基づいて、作成される。しかし、ユーザはこれを、自身のプロファイルに置き換えることができる。どちらにしても、システムは、遅延の値プロファイルを使用して、任意の所与のルート変更候補のSを、様々なビジネス事例要素を考慮したユーザの実の節約S’に変換する。これは時に、短期の節約が非常に求められている場合には、より小さい節約のより短いルート変更を、より競争力のあるものにする効果がある。他のフライトでは、より大きな時間節約が求められ、よって、より長いルート変更の節約は、価値が高くなる。いずれの事例でも、ユーザの目的は、変換された節約の期待値E(S’)を最大化することであると想定される。
2つのルート変更候補R及びRから、単一のルート変更を選択するという問題を考察する。Rは、8分の節約と、0.5の受諾確率を有する。Rは、4分の節約と、0.75の受諾確率を有する。式(1)により、Rは、4分の期待時間節約を有すると示され、Rは、3分のみの期待時間節約を有すると示される。
ここで、フライトは現在、スケジュールより18分遅延しており、負の遅延の最初の4分間(A14を達成する)の遅延コスト設定は$400/分であり、その後は負の遅延に関して$100/分であるというシナリオを検討する。ここで、式(1)から、RのE(S’)は、次のとおりである。
Figure 2021532524
一方で、RのE(S’)は、次のとおりである。
Figure 2021532524
従って、現在の遅延及び遅延コストプロファイルが考慮された場合、Rが示される。この例では、より低いE(S)のルート変更が、シナリオの詳細に基づいて、より高いE(S’)を有する。
線形最大E(S’)フロンティアの概念図が示される図4Dに例示されるように、P−S’空間内でE(S’)が直線である関数例を検討することも価値がある。具体的には、図4Dは、48にて、ルート変更確率P及びルート変更節約S’に関する線形節約フロンティアを示す。図4Dの事例では、線形最大E(S’)フロンティアは、次のように表され得る。
Figure 2021532524
mは傾きであり、bは線形関数のy切片である。式(1)から、E(S’)は、式(8)に横座標Pが掛けられ、次の二次式が得られる。
Figure 2021532524
変換された節約の期待値を最適化するために、次のように、式(9)の導関数はゼロに設定され、Pが解かれる。
Figure 2021532524
しかし、1の確率(図4Dの右側)に近いS’が小さい場合、m≒−bとなり、確率は次のように半分となる。
Figure 2021532524
言い換えると、1の確率で小さい節約に至る線形節約フロンティアの標準的な事例では、期待変換節約を最大化するルート変更は、0.5の受諾確率を有する。実際には、期待節約は、各フロンティアポイントに関して数値的に計算され得、E(S’)=PS’であり、最大値が選択され得る。
上記では単一ルート変更選択が論述されたが、上記で概説された理由により、ルート変更を拒否することができる。拒否の可能性により、2ルート変更手法においてなど、フォローアップルート変更要求への質問が生じる。2ルート変更手法は、1ルート変更手法より高いE(S’)をもたらすため、魅力的である。
フォローアップルート変更要求はまた、将来の自動化空地交渉機能を支援する。下記では、2ルート変更事例に焦点を当て(式5を参照)、付随する本文は、自動化空地交渉で起こり得るNルート変更事例について論述する。上記では、2ルート受諾確率モデルが提示された。2ルート変更事例では、第1のルート変更の選択は、相対的なタイミングに応じて、第2のルート変更の実行可能性及び受諾に影響を与える。よって、セトリング前、セトリング、セトリング後の3つの時間窓が定義される。セトリング前時間は、第1のルート変更が開始する前の時間である。セトリング時間は、第1のルート変更の開始時間後の運用セトリング時間窓である。これは非常に短くあり得る。おそらく最大の要因は、同じセクターの管制官が航空機の軌道制御を有するか否かに関係する。言い換えると、これは、「やあ、今あなたに近道を付与したよ」といった要因に関係する。おそらくセトリング窓は、次のセクターの管制移管までの時間と、より関係がある。セトリング後時間は、運用セトリング時間窓の後の時間である。
所与の第1のルート変更では、第1の時間窓内で開始する全ての他のルート変更は、第1のルート変更が拒否された場合のフォローアップの第2のルート変更候補としては、明らかに実行不可能である。第2の時間窓では、運用セトリング時間は、第1のルート変更が拒否されてから十分な時間が経過していないため、第2のルート変更要求が運用不可能である期間として定義される(第2の時間窓は比較的短く、セクターの交差点でシフトする可能性が高いことに留意されたい)。
従って、第2の時間窓内で開始するルート変更も、フォローアップの第2のルート変更の候補として実行不可能である。第3の時間窓内で開始するルート変更のみが、第2のルート変更の実行可能な候補として残される。ここでのポイントは、第1の要求が拒否される場合、第1のルート変更の開始時間は、第2の要求に対し利用可能なルート変更候補の集合に影響を与えることである。従って、遅いタイミングで起こる別の望ましいルート変更は、その遅いタイミングによって他の魅力的なルート変更が検討から削除される場合、第1のルート変更の準最適選択肢となり得る。これにより、最適な2ルート変更ペアを選択する方法に関する一般的な質問が生じ、次で検討される。
2ルート変更選択事例では、第1のルート変更の候補を所与として、第2のルート変更に関して、システムは、セトリング前時間窓及びセトリング時間窓内で開始する全てのルート変更を直ちに除外し得る。これらの実行不可能なルートを除外した後、選択する最適な第2のルート変更は常に、残りのルート変更のうち最も高いE(S’)を有するルート変更であることが、式(5)から生じる。従って、式(5)を使用して、徹底的に検証される必要のある組み合わせは、第1のルート変更として、節約フロンティア上の全てのルート変更、続いて第2のルート変更として、残りの実行可能なルート変更のうち最も高いE(S’)のルート変更である。
式(5)を使用して、最大E(S’)は、最適な2ルート変更戦略を提供する。最高E(S’)のルート変更は、必ずしも最適な2ルート変更戦略の第1のルート変更ではないことに留意されたい。しかし、そうではない場合、第1のルート変更は、時間的に、最高E(S’)ルート変更の前である必要がある。集合の第1のルート変更としてみなされる、時間的に後の任意のルート変更は、最高E(S’)ルート変更に利用可能なルート変更と比較すると、集合の第2のルート変更としていずれの優れたルート変更も有することができないため、最高の期待節約を生じ得ない。
最高E(S’)ルート変更が、最適な2ルート変更戦略の第2のルート変更になり得る方法の例として、図5に例示されるように、最高E(S’)ルート変更の前に起こる時間的に早期の優れたルート変更を検討する。図5は、最適な2ルート変更戦略の第2のルート変更として、最適な単一ルート変更の例を示す。具体的には、図5は、複数のルート変更候補56のうちのフロンティアポイント54の集合から、早期の優れたルート変更50、並びに最大期待節約ルート変更52を示す。最高E(S’)ルート変更候補より時間的に後のルート変更候補が低節約である場合、最適な2ルート変更戦略は、早期の優位なルート変更と、それに続く最高E(S’)ルート変更とで構成される。
さらなる実施形態によれば、飛行中のルート変更を強化する管制官−パイロットデータリンク通信(CPDLC)など、空地データリンクの体系的な使用が採用され得る。これは、より複雑なルート変更、セトリング時間の短縮、より多くのルート変更要求、及び空地交渉プロトコルに対応する。これにより、ユーザは、この節で論述されるユーザの複数のルート変更選択を最適化することが可能となる。高次的には、システムは、最初に今後のルート変更を今後の時間において時系列に順序付けることにより、ルート変更の決定を最適化する。
次の間もなく始まるルート変更候補に関して、システムは、ルート変更を要求する決定及び要求しない決定を行うために、2つの期待節約値を計算する。同値である場合(すなわち複数のルート変更が同じ開始時間である場合)、システムは、同値のルート変更候補の全てに対して、このプロセスを繰り返す。各ルート変更に関して、システムは、最高期待節約決定(すなわちルート変更を要求するのと要求しないのとでは、どちらが高値であるか)を特定する。全てのルート変更候補にわたりルート変更要求が示されない場合は、ルート変更を要求しないことが決定される。それ以外の場合は、示されたルート変更の中から、システムは、最高節約のルート変更を選択する。
所与のルート変更候補の要求/非要求決定を評価するために、システムは、以下のステップを採用する。最初に、間もなく始まるクラスタ内の全てのルート変更を特定する。所与のルート変更候補に関して、クラスタは、(i)ルート変更候補が開始するより後の時間に開始し、(ii)ルート変更候補と時間的に重複する、又はクラスタ内の任意のルート変更と重複する、全てのルート変更を含む。これは、クラスタはルート変更を含まない(すなわちギャップがある)先の時点で終了することを意味する。図6(間もなく始まるルート変更候補のクラスタの例示的なタイムラインを示す)は、クラスタを形成する4つのルート変更のタイムスパンを例示する。具体的には、図6は、第1のルート変更60が、第2のルート変更62並びに第3のルート変更64と時間的に重複することを示す。第2のルート変更62は、第3のルート変更64と時間的に重複し、第3のルート変更64は、第4のルート変更66と時間的に重複する。
R1ルート変更を要求するか否かに関して、決定が行われる。これらの2つの選択肢の期待節約を計算するために、システムは次に、図7に示される確率的二分決定木を構築し、図7は、ルート変更候補R1の確率的二分決定木を示す。「Y」及び「N」は、飛行されるルート変更又は飛行されないルート変更を、それぞれ示す。具体的には、図7は、70にて、ルート変更候補R1の確率的二分決定木を示し、ルート変更R2、ルート変更R3、及びルート変更R4に関する連続したレベルで、二分決定(Yes/No)は行われ得る。図7の確率的二分決定木は、間もなく始まるクラスタ内の全ての可能なルート変更イベントの集合を含む。クラスタは4つの可能なルート変更を含むため、二分決定木には、総計2個、すなわち16個の総ルート変更シーケンス、すなわち木を通るパスが存在する。
ただし、全てのパスが実行可能であるとは限らない。ルート変更開始時点が、進行中のルート変更と重複する場合、パスは実行不可能である。例えば、図6では、ルート変更R1を飛行する場合、ルート変更R2を飛行することはできない。図8(実行不可能なパスが遮断されたルート変更候補R1の確率的二分決定木を示す)は、決定木の実行不可能な部分が遮断されていることを示す。具体的には、図8は、タイミングなどの制約を前提として、図7の決定木70の特定のパスは、実行不可能な選択肢であることを示す(例えば図8の80、82、84、86で示される)。
図8の決定木の遮断された部分は、図6のタイムラインから直接得られる。例えば、R2はR1と重複するため、R1を飛行する場合、R2を飛行することはできない(80にて遮断が示される)。同様に、R3はR1と重複するため、R1を飛行する場合、R2を飛行しなくとも、R3も飛行することはできない(84にて遮断が示される)。同じ論理で、R2を飛行する場合、R3を飛行することはできず(82にて遮断が示される)、R3を飛行する場合、R4を飛行することはできない(86にて遮断が示される)。従って、木のどの部分が実行不可能であるかを特定することは、簡潔である。
図8の実行不可能な部分の指定を所与として、これらの部分が削除され、結果得られる決定ぬきのノードは、図9に示されるように、完全に実行可能な決定木を残し、図9は、R1を要求する場合の完全に実行可能な片側確率的二分決定木を示す。具体的には、図9は、90にて、全てのルートが可能であるルート変更候補の確率的二分決定木を示す。図9は下部に、各パスのルート変更シーケンスを記載していることに留意されたい。
次に、各ルート変更候補の受諾確率が、上から特定される。これらの確率は木の中の各ノードに付加され得るため、木は確率的木となる。例えば、ルート変更R1が要求された場合、その受諾確率は、「Y」分岐の確率を示す。1からこの確率を引いたものが、「N」分岐の確率となる。このようにして、ツリー内の各セグメントは、対応付けられた確率を有する。
しかしながら、確率は、ルート変更要求に依存する。すなわち、ルート変更が要求された場合に、「Y」及び「N」分岐の確率が、上記の段落で説明されたように割り当てられる。しかし、ルート変更が要求されない場合は、「Y」及び「N」分岐の確率は、それぞれ0.0及び1.0となる。従って、木は、片側確率的二分決定木である。例えば、R1を要求しないことが決定された場合、図10に示されるように、木は縮小され、図10は、100にて、R1を要求しない場合の完全に実行可能な片側確率的二分決定木を示す。
次に、R1を要求する決定、及びR1を要求しない決定に関して、期待節約が計算され得る。これは、例では、図9及び図10の木の期待節約をそれぞれ計算することに等しい。
これらの計算を行うために、システムは、R2、R3、及びR4が要求されるか否かを、木の中のこれらのノードに到達した時に、判定する必要がある。木の中の最後のノード(例ではR4ノード)に関して、ルート変更が要求される場合(すなわちトレードオフがない場合)、期待節約は常に高くなる。しかし、より前の段階の内側のノード(この例ではR2ノード及びR3ノード)に関して、システムは、全ての可能な決定組み合わせを調べつくし、最高の期待節約を生じる決定のシーケンスを見つける。
図11(110にてR1を要求する決定及びR1を要求しない決定の期待節約計算を示す)は、R1ルート変更決定のこれらの計算を例示する。図11の上半分は、R1を要求する決定に対応する(すなわち図9の木に対応する)期待節約を計算する。図11の下半分は、R1を要求しない決定に対応する(すなわち図10の木に対応する)期待節約を計算する。この図11の例示的な計算では、R2ルート変更及びR3ルート変更は、システムがこれらのノードに到達した時に要求されると想定される。
図11の計算では、各シーケンス(又はパス)の全体的確率は、系路内の分岐のそれぞれの確率の積を計算することにより、計算される。各シーケンス又はパスのこの全体的確率は、図の中央の「パス」列に記載される。各ルート変更候補の仮定の確率及び節約(分単位であるが、これは一般性を失うことなくドルに変換され得る)は、図の上部に記載される。
次に、システムは、系路内の各ルート変更の節約を合計し、その合計に系路の確率を掛けることにより、各系路の期待節約を計算する。最後に、R1を要求する決定の期待節約及びR1を要求しない決定の期待節約が、各系路の期待節約を合計することにより計算される。図11が示すように、この例示的なシナリオにおいて、各分岐の所与の確率及び節約では、R1の節約はR3の節約より大幅に低い(R3が節約12に対してR1は節約5)にもかかわらず、R1を要求する決定の期待節約(9.44分)は、R1を要求しない決定の期待節約(8.74分)より、わずかに高い。
上記のように、これらの計算は、システムがR2ノード及びR3ノードに到達した時に、R2ルート変更及びR3ルート変更は要求されるという仮定に基づく。全ての可能な決定機会を調べつくすために、システムは、全ての可能なR2及びR3決定組み合わせ、(A)R2とR3が要求される、(B)R2が要求され、R3は要求されない、(C)R2は要求されず、R3が要求される、及び(D)R2及びR3のルート変更は両方とも要求されない、という条件で、期待節約を計算する必要がある。
このようにして、全ての可能な決定戦略が、R1決定に含まれる。これらの4つの決定組み合わせ(A、B、C、及びD)が、図12A〜図12Dに例示され、これらは、評価する必要のある4つの決定組み合わせを示す。図11の計算は、図12Aに対応する。
図11の計算は、図12B、図12C、及び図12Dの122、124、及び126で示される決定戦略に、それぞれ繰り返される。これにより、R1を要求する決定の4つの期待節約値、及びR1を要求しない決定の4つの期待節約値が得られる。R1を要求するか否かを決定するために、システムは、各決定の4つの値の集合から、最大期待節約値を比較する。最高値により、決定が選択される。
本明細書で提示される方法は、所与のフライトのルート変更選択を最適化することを支援する。最適なルート変更決定戦略は、いくつかのルート変更要求を伴い得、特定の要求シーケンスは、一般的に、要求がATCにより受諾されるか否かに依存する。従って、戦略はリアルタイムで進展する。さらに、ルート変更受諾確率などの基礎となる計算は、リアルタイムで進展する。このような動的でリアルタイムの意思決定プロセスは、具体的には、今後数年でNASに実装される予定の最先端空地データリンク機能により、十分支援される。このような例示的技術の1つは、CPDLC(管制官−パイロットデータリンク通信)である。
CPDLCは、飛行中のルート変更を強化する。これは、より複雑なルート変更、セトリング時間の短縮、より多くのルート変更要求、及び空地交渉プロトコルを支援する。これにより、ユーザは、この節で論述されるユーザの複数のルート変更選択を最適化することが可能となる。これらの方法は、(1)可能な限り早期のルート変更R1を含む、間もなく始まるルート変更を特定することと、(2)R1に関連するルート変更のクラスタを特定することと(これは、R1を要求するか否かの決定時に検討すべき全てのルート変更を特定し、この決定の選択時に、クラスタ外の全ての他の遅く始まるルート変更候補は、機会損失を生じることなく無視することができる)、(3)2個の総ルート変更シーケンス又はパスを含む二分決定木を構築することであって、決定木において、Nはクラスタ内のルート変更候補の数である、当該構築することと、(4)タイミング重複のためにルート変更のシーケンスが不可能な、実行不可能なパスを特定し除外することと、(5)実行可能なパスで構成された二分決定木を所与として、ルート変更決定の全ての組み合わせを特定することと、(6)各ルート変更候補の受諾確率を計算することと、(7)ルート変更決定の組み合わせごとに、確率的二分決定木を構築することと、(8)確率的二分決定木ごとに、木を通して、可能なルート変更パス又はシーケンスをそれぞれ特定することと、(9)パスごとに、確率及び期待節約を計算することと、(10)確率的二分決定木ごとに、可能なパスを、2つのカテゴリ、すなわち、R1を要求することに対応するパスと、R1を要求しないことに対応するパスとに、分けることと、(11)確率的二分決定木ごとに、R1を要求することに対応する全体的期待節約と、R1を要求しないことに対応する全体的期待節約とを、計算することと、(12)R1を要求することに対応する最大節約事例と、R1を要求しないことに対応する最大節約事例とを、特定することと、以上(1)〜(12)のリストにまとめられる。これらの2つの値のうち高い方が、R1を要求することに対応する場合、R1を要求することが、R1に関して推奨される決定となる。上記以外の場合、推奨される決定は、R1を要求しないこととなる。
さらに、ARTCC内で複数のフライトを有するユーザのルート変更決定問題、及び時間と燃料との間の節約分配問題は、下記のように再考察され得る。ARTCC内で複数のフライトを有する航空会社は、潜在的により複雑なルート変更決定に直面する。これは、異なるフライトのルート変更決定は独立し得ず、その代わりに互いに影響を与え得るからである。例えば、1つのフライトのルート変更は、管制官の作業量に影響を与え得、従って第2のフライトによるルート変更要求の受諾確率に影響を与え得る。
従って、ARTCC内の航空機のフリート全体での節約を最適化するには、航空会社などのユーザ組織が、複数のフライトにわたるルート変更の全ての可能な組み合わせを考慮する必要がある。これは、クラスタ(上記で論述された)を拡張させて、ARTCC内の全てのフライトを含めることにより行われる。手順は、異なるフライトの単一ルート変更が重複し得る(すなわち同時に起こり得る)ことを除けば、前述の手順と同様である。
前述のように、本明細書で展開されるルート変更意思決定戦略は、ユーザの目的が、ルート変更の期待節約E(S)を最大化することであると想定する。しかし、これは、時間と燃料との間で節約をどのように分配するかという問題には、未回答のままである。すなわち、名目上は飛行時間を節約するルート変更(飛行距離を短縮する及び/又は向かい風を減らすことによる)を使用して、減速により時間ではなく燃料を節約することができる。これは、時間の節約が、対応する利用可能な燃料節約よりも値が低い場合、望ましくあり得る。図4Cは、ETA(推定到着時刻)が元のSTA(予定到着時刻)とどのように比較されるかにより、時間節約の値がどのように変化し得るかを示す。
当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記に開示された実施形態に対して、多数の変更及び変形を行ってもよいことを理解するであろう。

Claims (22)

  1. ルート受諾確率に部分的に基づいて、ルート変更情報を提供する、
    ことを特徴とするシステム。
  2. 前記ルート受諾確率は、ルートの複雑さRCの要素に部分的に基づく、
    請求項1に記載のシステム。
  3. 前記ルート受諾確率は、管制官の作業量(CW)要素に部分的に基づく、
    請求項1に記載のシステム。
  4. 前記管制官の作業量(CW)要素は、現在の交通負荷に部分的に基づく、
    請求項3に記載のシステム。
  5. 前記管制官の作業量(CW)要素は、対流気象の存在に部分的に基づく、
    請求項3に記載のシステム。
  6. 前記管制官の作業量(CW)要素は、交通出入イベントに関するデータに部分的に基づく、
    請求項3に記載のシステム。
  7. 前記管制官の作業量(CW)要素は、セクター内の上昇飛行又は下降飛行の数に部分的に基づく、
    請求項3に記載のシステム。
  8. 前記管制官の作業量(CW)要素は、空域セクター又はセンターの端のいずれかを通り、前記空域セクター又はセンター内の飛行時間が比較的短くなる航空機のルート変更に、部分的に基づく、
    請求項3に記載のシステム。
  9. 前記管制官の作業量(CW)要素は、管制官の間での調整を必要とする、空域セクター又はセンターの境界に沿って進む航空機のルート変更に、部分的に基づく、
    請求項3に記載のシステム。
  10. 前記ルート受諾確率は、ルート使用頻度(RF)要素に部分的に基づく、
    請求項1に記載のシステム。
  11. 前記ルート受諾確率は、近接性制約(CP)要素に部分的に基づく、
    請求項1に記載のシステム。
  12. 前記近接性制約(CP)要素は、現在閉鎖中の空域に部分的に基づく、
    請求項11に記載のシステム。
  13. 前記近接性制約(CP)要素は、激しい対流気象の位置に部分的に基づく、
    請求項11に記載のシステム。
  14. 前記近接性制約(CP)要素は、航空交通に部分的に基づく、
    請求項11に記載のシステム。
  15. ルート変更を要求する決定及び要求しない決定を含む決定木分析に部分的に基づいて、ルート変更情報を提供する、
    ことを特徴とするシステム。
  16. 前記決定木分析は、さらに、ルート変更候補より遅い時間に始まるルート変更を分析することを含む、
    請求項15に記載のシステム。
  17. 前記決定木分析は、さらに、ルート変更候補と時間的に重複するルート変更を分析することを含む、
    請求項15に記載のシステム。
  18. 前記システムは、さらに、複数のフライトにわたるルート変更の可能な組み合わせを分析する、
    請求項15に記載のシステム。
  19. 前記システムは、さらに、複数の空港にわたるルート変更の可能な組み合わせを分析する、
    請求項18に記載のシステム。
  20. 前記システムは、時間節約を最適化する、
    請求項15に記載のシステム。
  21. 前記システムは、燃料節約を最適化する、
    請求項15に記載のシステム。
  22. ルート変更情報を提供するための方法であって、
    ルート受諾確率を特定するステップと、
    前記ルート受諾確率に部分的に基づいて前記ルート変更情報を提供するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
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