JP2021532072A - 健康増進に使用するアナエロスティペス・ハドルス - Google Patents
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Abstract
本開示は、生きた生物学的製剤、プロバイオティクス、該プロバイオティクスを含む薬学的組成物、および胃腸疾患または障害を処置するためにそれらを使用する方法に関する。いくつかの局面において、本開示は、細菌株アナエロスティペス・ハドルス(Anaerostipes hadrus)を含むそのような組成物、および腸疾患または障害の処置におけるそれらの使用を提供する。
Description
関連出願の相互参照
本願は、2018年6月25日に出願された米国仮出願第62/689,278号からの優先権を主張し、その内容の全体を参照により本明細書に組み入れる。
本願は、2018年6月25日に出願された米国仮出願第62/689,278号からの優先権を主張し、その内容の全体を参照により本明細書に組み入れる。
配列表の相互参照
本願と共に電子的に提出されたテキストファイルの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。配列表のコンピュータ読み取り可能なフォーマットのコピーのファイル名はSG301Dseqlist.txtであり(ディスク上で13684バイト)であり、2018年6月25日に作成された。
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分野
本開示は、微生物、特にアナエロスティペス・ハドルス(Anaerostipes hadrus)を含む新規かつ治療上有効な組成物に関する。この微生物組成物は、特に、胃腸炎症性疾患および/または上皮バリア機能障害の処置、改善および/または予防における用途を有する。
本開示は、微生物、特にアナエロスティペス・ハドルス(Anaerostipes hadrus)を含む新規かつ治療上有効な組成物に関する。この微生物組成物は、特に、胃腸炎症性疾患および/または上皮バリア機能障害の処置、改善および/または予防における用途を有する。
背景
炎症性腸疾患(IBD)は、胃腸粘膜への組織病理学的ダメージを伴う高頻度かつ出血性の腸運動を引き起こす原因不明の異種疾患である(Zhang et al., 2017, Front Immunol, 8:942(非特許文献1))。疾患の具体的誘発因子はほとんど定義されていないが、疾患の進行に関する1つの説は、腸のバリア機能の破壊により細菌または細菌成分が粘膜組織に侵入できるようになることを示唆している(Coskun, 2014, Front Med (Lausanne), 1:24(非特許文献2); Martini et al., 2017, Cell Mol Gastroenterol Hepatol, 4:33-46(非特許文献3))。細菌の侵入は、炎症シグナルを活性化させ、これがさらなるバリアの破壊を誘発し、それによってバリア破壊、細菌侵入および炎症という周期的増幅ループをもたらす。多くの現在の治療は炎症を標的とするものであり、粘膜治癒を促進する治療が欠如しているため、上皮修復および腸バリア完全性を促進する新規の治療が求められている。
炎症性腸疾患(IBD)は、胃腸粘膜への組織病理学的ダメージを伴う高頻度かつ出血性の腸運動を引き起こす原因不明の異種疾患である(Zhang et al., 2017, Front Immunol, 8:942(非特許文献1))。疾患の具体的誘発因子はほとんど定義されていないが、疾患の進行に関する1つの説は、腸のバリア機能の破壊により細菌または細菌成分が粘膜組織に侵入できるようになることを示唆している(Coskun, 2014, Front Med (Lausanne), 1:24(非特許文献2); Martini et al., 2017, Cell Mol Gastroenterol Hepatol, 4:33-46(非特許文献3))。細菌の侵入は、炎症シグナルを活性化させ、これがさらなるバリアの破壊を誘発し、それによってバリア破壊、細菌侵入および炎症という周期的増幅ループをもたらす。多くの現在の治療は炎症を標的とするものであり、粘膜治癒を促進する治療が欠如しているため、上皮修復および腸バリア完全性を促進する新規の治療が求められている。
胃腸管のマイクロバイオームは、宿主生物の健康に関して重要な役割を果たす、主に原核生物である、多種の微生物を含む。その集団構成および複合的機能の両方の点でのマイクロバイオームの複雑さは、最近、集中的研究領域となっており、研究は、このマイクロバイオームの操作が健康上の利益を提供し得ることならびに多くの疾患および障害の処置に効果的であり得ることを徐々に示している。現在、生きた細菌および酵母を含む多くのプロバイオティクスが市販されており、それらはヒトの体内に生来的に存在するこれらの微生物の利益を増強すると考えられている。生きた生物学的製剤(live biotherapeutic product: LBP)は、管理された臨床研究および疾患の処置に関する規制当局の承認のためにますます開発が進められている。
Zhang et al., 2017, Front Immunol, 8:942
Coskun, 2014, Front Med (Lausanne), 1:24
Martini et al., 2017, Cell Mol Gastroenterol Hepatol, 4:33-46
本開示の概要
本明細書に記載されるようにして行われた研究は、健康な対象の腸および炎症性腸疾患と診断された患者に存在する細菌を分析するよう設計されたものである。重要なことに、この研究は、細菌の量および代謝活性の両方を特徴づけることができた。さらに、データを、RNAseq分析を通じて行った宿主の遺伝子発現分析と関連づけた。この研究および分析の結果は、アナエロスティペス・ハドルスが、潰瘍性大腸炎またはクローン病と診断された対象において欠乏していることを特定し、それによって、腸内でのA.ハドルスのレベルの増加が対象の腸内健康に有益であり得ることが示された。
本明細書に記載されるようにして行われた研究は、健康な対象の腸および炎症性腸疾患と診断された患者に存在する細菌を分析するよう設計されたものである。重要なことに、この研究は、細菌の量および代謝活性の両方を特徴づけることができた。さらに、データを、RNAseq分析を通じて行った宿主の遺伝子発現分析と関連づけた。この研究および分析の結果は、アナエロスティペス・ハドルスが、潰瘍性大腸炎またはクローン病と診断された対象において欠乏していることを特定し、それによって、腸内でのA.ハドルスのレベルの増加が対象の腸内健康に有益であり得ることが示された。
1つの局面において、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7と少なくとも75%、80%または85%同一である16S rRNA遺伝子を有する治療有効量の細菌を含む組成物を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象において炎症性腸疾患を処置する方法が提供される。本明細書に提供される組成物は典型的に、細菌集団を含み、細菌集団の各メンバーは実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。
いくつかの態様において、細菌は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子を有する。
いくつかの態様において、細菌は、アナエロスティペス・ハドルス(A.ハドルス)株である。
いくつかの態様において、対象は、腸炎症と診断されている。他の態様において、腸炎症は、小腸および/または大腸におけるものである。さらに他の態様において、腸炎症は、直腸におけるものである。さらに他の態様において、患者は炎症性腸疾患に関連する少なくとも1つの症状を有する。
いくつかの態様において、対象は、炎症性腸疾患(IBD)と診断されているおよび/またはそれに罹患している。他の態様において、IBDは、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、回腸嚢炎、過敏性腸症候群、腸管感染症、GI粘膜炎およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様において、対象はCDと診断されている。他の態様において、対象はUCと診断されている。
いくつかの態様において、対象は腸潰瘍と診断されている。他の態様において、患者は、消耗性腸皮瘻および/または直腸腟瘻と診断されている。
いくつかの態様において、対象はCDと診断されている。他の態様において、CDは軽度活動性CDである。さらに他の態様において、CDは中等度〜重度活動性CDである。さらに他の態様において、対象は小児科CDと診断されている。
いくつかの態様において、対象はUCと診断されている。他の態様において、UCは軽度活動性UCである。さらに他の態様において、UCは中等度〜重度活動性UCである。さらに他の態様において、対象は小児科UCと診断されている。
いくつかの態様において、対象は粘膜炎と診断されている。他の態様において、粘膜炎は口腔粘膜炎である。さらに他の態様において、粘膜炎は、化学療法誘発粘膜炎、放射線療法誘発粘膜炎、化学療法誘発口腔粘膜炎、または放射線療法誘発口腔粘膜炎である。さらに他の態様において、粘膜炎は胃腸粘膜炎である。さらに他の態様において、胃腸粘膜炎は、小腸、大腸または直腸の粘膜炎である。
いくつかの態様において、対象は、IBDからの臨床的寛解段階にある者である。他の態様において、対象は、UC、小児科UC、CDまたは小児科CDからの臨床的寛解段階にある者である。
いくつかの態様において、対象は、CDまたはUC以外の炎症性腸疾患または障害を有する。
いくつかの態様において、投与は、対象における炎症性腸疾患に関連する胃腸の炎症を減少させ、および/または腸粘膜の炎症を減少させる。他の態様において、投与は、対象における腸上皮細胞のバリア機能または完全性を改善する。
いくつかの態様において、投与後、対象は、炎症性腸疾患または障害に関連する少なくとも1つの症状の減少を体験する。他の態様において、少なくとも1つの症状は、腹痛、血便、膿便、発熱、体重減少、頻繁な下痢、倦怠感、食欲低下、吐き気、痙攣、貧血、しぶりおよび直腸出血からなる群より選択される。さらに他の態様において、投与後、対象は、下痢の頻度の減少、血便の減少および/または直腸出血の減少を体験する。
いくつかの態様において、対象は、従来的な治療に対する不十分な応答を経験した者である。他の態様において、従来的な治療は、アミノサリチレート、コルチコステロイド、チオプリン、メトトレキサート、JAK阻害剤、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体阻害剤、抗インテグリン生物製剤、抗IL12/23Rもしくは抗IL23/pI0生物製剤、および/または抗腫瘍壊死因子剤もしくは生物製剤を用いた処置である。
いくつかの態様において、投与は、対象の腸管腔におけるムチンの量を増加させる。
いくつかの態様において、投与は、対象への薬学的組成物の経口投与を含む。他の態様において、投与は、腸管腔へのものである。
いくつかの態様において、対象はまた、少なくとも1つの第2の治療剤を投与される。他の態様において、少なくとも1つの第2の治療剤は、プレバイオティクス、下痢止め、抗炎症剤、抗体、抗生物質または免疫抑制剤からなる群より選択される。さらに他の態様において、少なくとも1つの第2の治療剤は、アミノサリチレート、ステロイドまたはコルチコステロイドである。他の態様において、少なくとも1つの第2の治療剤は、アダリムマブ、ペゴル、ゴリムマブ、インフリキシマブ、ベドリズマブ、ウステキヌマブ、トファシチニブおよびセルトリズマブまたはセルトリズマブペゴルからなる群より選択される。
1つの局面において、治療有効量の細菌を含む組成物であって、細菌がSEQ ID NO:8と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である16S rRNA遺伝子を有する組成物が提供される。いくつかの態様において、組成物はさらに、治療的に許容される賦形剤を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供される組成物は細菌集団を含み、細菌集団の各メンバーは実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。
いくつかの態様において、細菌は細菌培養物から実質的に精製されたものである。他の態様において、細菌は生きている。
いくつかの態様において、細菌はA.ハドルス株である。
別の局面において、対象由来のサンプルにおいてA.ハドルスを測定する工程を含む、対象においてIBDを診断する方法が提供される。
いくつかの態様において、サンプルは便サンプルである。
いくつかの態様において、対象由来のサンプルにおけるA.ハドルスの測定は、A.ハドルスに特異的なゲノムDNAおよび/またはRNAの検出および定量を含む。他の態様において、ゲノムDNAは16S DNAである。さらに他の態様において、RNAは16S RNAである。さらに他の態様において、測定は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7を含む配列またはそれらのフラグメントの検出および定量を含む。
いくつかの局面において、対象由来のサンプルにおいてA.ハドルスを検出および/または定量する工程を含む、IBDを有すると対象を診断する方法が提供される。
いくつかの態様において、サンプルは便サンプルである。他の態様において、サンプルは腸生検である。
いくつかの態様において、この方法は、サンプルにおいて、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6もしくはSEQ ID NO:7と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である核酸配列、またはそのフラグメントを検出および/または定量する工程を含む。
詳細な説明
定義
それ以外のことが本明細書中で定義されていない限り、本願において使用される科学技術用語は、当業者に一般に理解されている意味を有する。概ね、本明細書に記載される化学、分子生物学、細胞および癌生物学、免疫学、微生物学、薬学ならびにタンパク質および核酸化学に関連する命名法および技術は、当技術分野で周知であり一般に使用されているものである。したがって、以下の用語は当業者によって十分に理解されていると考えられるが、本願に開示される技術思想の説明を容易にするために以下の定義を記載する。
定義
それ以外のことが本明細書中で定義されていない限り、本願において使用される科学技術用語は、当業者に一般に理解されている意味を有する。概ね、本明細書に記載される化学、分子生物学、細胞および癌生物学、免疫学、微生物学、薬学ならびにタンパク質および核酸化学に関連する命名法および技術は、当技術分野で周知であり一般に使用されているものである。したがって、以下の用語は当業者によって十分に理解されていると考えられるが、本願に開示される技術思想の説明を容易にするために以下の定義を記載する。
本明細書を通じて、「含む(comprise)」またはその派生語、例えば「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」という語は、示されている要素または要素群の包含を意味しているが、任意の他の要素または要素群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。
「a」または「an」という用語は、1つまたは複数のその物体を表す、すなわち、複数の参照物を表し得る。そのため、「a」または「an」、「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書で言い換え可能に使用される。加えて、不定冠詞「a」または「an」による「要素(an element)」の参照は、1つおよび1つのみの同要素が存在することを文脈が明確に必要としていない限り、2つ以上の同要素が存在する可能性を排除しない。
「含む(including)」という用語は、「含むがそれに限定されない」ことを意味するよう使用される。「含む」および「含むがそれに限定されない」は、言い換え可能に使用される。
本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」または「微生物(microbe)」という用語は、広義的に解釈されるべきである。これらの用語は言い換え可能に使用され、2つの原核生物ドメインである細菌および古細菌、ならびに真核生物である真菌および原生生物を含むがこれらに限定されない。いくつかの態様において、本開示は、「細菌」または「微生物」を参照する。この特徴づけは、その微生物の同定された分類上の細菌属だけでなく、同定された分類上の種ならびに様々な新規および新たに同定される細菌株も表し得る。
本明細書で使用される場合、「単離する」、「単離された」、「単離された微生物」および同様の用語は、1つまたは複数の微生物が特定の環境(例えば、胃腸液、胃腸組織、ヒト消化液、ヒト消化組織等)下で付随する物質の少なくとも1つから分離されたことを意味することが意図されている。したがって、「単離された微生物」は、その天然環境下では存在せず、本明細書に記載される様々な技術を通じて微生物がその天然状況から取り出され、非天然存在状態下に置かれることである。したがって、単離された株は、例えば、生物学的に純粋な培養物として、またはヒトへの投与に適した薬学的に許容される担体と共に芽胞(もしくはその菌株の他の形態)として存在し得る。
本開示の特定の局面において、単離された微生物は、単離されかつ生物学的に純粋な培養物として存在する。本明細書で使用される場合、「生物学的に純粋」という用語は、他の生物種を実質的に含まない実験培養物を表す。好ましくは、細菌種は、単一生物種の培養物の形態である。特定の微生物の単離されかつ生物学的に純粋な培養物は、その培養物が他の生物を(科学的な意味で)実質的に含まず、関心対照の個別微生物のみを含むことを表すことが、当業者に理解されるであろう。培養物は、その微生物を様々な濃度で含み得る。本開示においては、単離されかつ生物学的に純粋な微生物が、しばしば、「必ず低純度のまたは不純な物質と相違する」ことを示す。さらに、いくつかの局面において、本開示は、単離されかつ生物学的に純粋な微生物培養物において見いだされなければならない濃度または純度の限度の特定の量的尺度を提供する。これらの純度値の存在は、いくつかの態様において、本明細書に開示される微生物を、自然状態で存在する微生物と区別するさらなる属性である。
本開示の特定の局面において、単離された微生物はまた、本明細書に記載される細菌種または株の変種または変異体の使用を包含する。本明細書で使用される場合、「変種(varinat)」および「変異体(mutant)」という用語は、参照株のゲノム配列に対して少なくとも93%の同一性、少なくとも96%の同一性、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する派生細菌株を含む。変種および変異体は、特に、自然プロセス、変異誘発キャンペーン、無作為培養および遺伝子操作技術によって入手可能である。「変種」という用語は、本明細書において、「変異体」という用語と言い換え可能である。
本明細書で使用される場合、「変異体」という用語は、欠失、挿入、トランスバージョンおよび親ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に導入される遺伝子修飾を含む当業者に公知の他の修飾を含む少なくとも単一塩基の変化を含む天然または誘導変異体を含む。
本明細書で使用される場合、「個別単離体」は、1つまたは複数の他の微生物からの分離後の、主として単一の属、種または株の微生物を含む組成物または培養物を表す。このフレーズは、微生物がどの程度単離または精製されたかを示すものと解釈されるべきでない。しかし、「個別単離体」は、実質的に1つのみの属、種または株の微生物を含み得る。
本明細書で使用される場合、「プロバイオティクス」は、実質的に純粋な微生物(すなわち、単一の単離体)または所望の微生物の混合物を表し、マイクロバイオータを回復または変化させるために対象(例えば、ヒト)に投与され得る任意のさらなる成分も含み得る。本開示のプロバイオティクスまたは微生物接種組成物は、微生物が胃腸管の環境で生存できるようにする、すなわち、胃腸環境における低pHに耐え、成長できるようにする薬剤と共に投与され得る。いくつかの態様において、本組成物(例えば、微生物組成物)は、プロバイオティクスである。
本明細書で使用される場合、「プレバイオティクス」は、1つまたは複数の所望の微生物の数および/または活性を増加させる薬剤を表す。本開示の方法において有用であり得るプレバイオティクスの非限定的な例は、フルクトオリゴ糖(例えば、オリゴフルクトース、イヌリン、イヌリン型フルクタン)、ガラクトオリゴ糖、アミノ酸、アルコールおよびそれらの混合物を含む。Ramirez-Farias et al.(2008. Br. J Nutr. 4:1-10)およびPool-Zobel and Sauer(2007. J Nutr. 137:2580-2584および補足)を参照のこと。
本明細書で使用される場合、「生きた生物学的製剤」または「LBP」は、1)生きた生物、例えば細菌を含み、2)それを必要とする対象の疾患または状態の予防、処置または治癒に適用可能である生物製品を表す。いくつかの態様において、LBPは、医療上の規制の承認を受けるまたは受けた治療組成物である。
2つまたはそれ以上の細菌の「組み合わせ」は、同一物質もしくは製品におけるまたは物理的に結合された製品におけるのいずれかの細菌の物理的共存、ならびに異なる細菌の一時的な共投与または共局在化を含む。
2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチドに関する「パーセント同一性」または「同一性」という用語は、同一であるまたは同一である一定比率のヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を有する2つまたはそれ以上の配列を表す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを用いてまたは目視検査によって測定され得る。
一般に、パーセント配列同一性は、アラインメントさせた核酸またはポリペプチド配列における一致する位置の数を決定し、一致位置の数を、それぞれ、アラインメントさせたヌクレオチドまたはアミノ酸の総数で割り、100をかけることによって算出される。一致位置は、アラインメントさせた配列の同じ位置に同一のヌクレオチドまたはアミノ酸が存在する位置を表す。アラインメントさせたヌクレオチドの総数は、第2の配列にアラインメントさせるのに必要とされる16S rRNA遺伝子ヌクレオチドの最小数を表し、非16S rRNA遺伝子配列とのアラインメント(例えば、強制的アラインメント)を含まない。アラインメントさせたヌクレオチドの総数は、16S rRNA遺伝子配列全体に対応し得、または全長16S rRNA遺伝子配列のフラグメントに対応し得る。
配列は、ワールドワイドウェブのncbi.nlm.nih.govで利用可能なBLAST(basic local alignment search tool)プログラムに組み込まれているAltschul et al. (Nucleic Acids Res, 25:3389-3402, 1997)に記載されるアルゴリズムを用いてアラインメントされ得る。BLAST検索またはアラインメントは、Altschulらのアルゴリズムを用いて16S rRNA遺伝子の核酸と任意の他の配列またはその一部の間のパーセント配列同一性を決定するために行われ得る。BLASTNは、核酸配列をアラインメントし、その間の同一性を比較するために使用されるプログラムであり、BLASTPは、アミノ酸配列をアラインメントし、その間の同一性を比較するために使用されるプログラムである。16S rRNAの遺伝子配列と別の配列の間のパーセント同一性を計算するためにBLASTプログラムを用いる場合、各プログラムのデフォルトパラメータが使用される。
少なくとも2つの核酸に関する「実質的に類似」および「実質的に同一」というフレーズは、典型的に、あるポリヌクレオチドが、参照ポリヌクレオチドと比較して少なくとも約75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。いくつかの態様において、実質的に同一の核酸分子は、ストリンジェントな条件下で(例えば、中〜高ストリンジェンシーの範囲内で)相互にハイブリダイズする。
主要なrRNAサブユニットである16Sの一次構造は、異なる速度で進化し、非常に古い系統、例えばドメインとより最近の系統、例えば属の両方の解析を可能にする保存、可変および超可変領域の特定の組み合わせを含む。16Sサブユニットの二次構造は、残基の約67%の塩基対形成をもたらすおよそ50個のヘリックスを含む。これらの高度に保存された二次構造の特徴は、大きな機能的重要性を有し、多配列アラインメントおよび系統発生分析における位置相同性(positional homology)を確認するために使用され得る。過去数十年の間に、16S rRNA遺伝子は、最も配列決定された分類学的マーカーとなり、現在の細菌および古細菌の体系的分類の基礎である(Yarza et al. 2014. Nature Rev. Micro. 12:635- 45)。
2つの16S rRNA遺伝子における94.5%またはそれ以下の配列同一性は、異なる属の強い証拠であり、86.5%またはそれ以下は異なる科の強い証拠であり、82%またはそれ以下は異なる目の強い証拠であり、78.5%またはそれ以下は異なる綱の強い証拠であり、75%またはそれ以下は異なる門の強い証拠である。16S rRNA遺伝子配列の比較分析は、培養された微生物の分類だけでなく、多くの環境配列の分類にも有用である分類学上の閾値の確立を可能にする(Yarza et al. 2014. Nature Rev. Micro. 12:635-45)。
「相対量」という用語は、本明細書で使用される場合、胃腸管または他の臓器系に存在するある微生物の、その管または臓器系に存在する微生物全体の数または比率に対する数または比率である。相対量はまた、存在する細菌、真菌、ウイルスおよび/または原生生物の総数または比率に対して、特定タイプの微生物、例えば細菌、真菌、ウイルスおよび/または原生生物について決定され得る。相対量は、関心対象の胃腸管または他の臓器系由来のサンプルに対して行われる、アレイまたはマイクロアレイハイブリダイゼーション、定量PCRならびに培養およびコロニー形成単位アッセイ(cfu、CFU)またはプラーク形成単位アッセイ(pfu、PFU)の実施を含むがこれらに限定されない当業者にすでに公知となっている多くの方法によって決定され得る。
「患者」、「対象」および「個体」という用語は、言い換え可能に使用され得、ヒトまたは非ヒト動物のいずれかを表し得る。これらの用語は、哺乳動物、例えばヒト、非ヒト霊長類、家畜動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたは家禽)、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマまたはアナウサギ)ならびにげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む。特定の態様において、これらの用語は、ヒト患者を表す。
本明細書で使用される場合、「阻害および抑制」ならびに同義語は、これはいくつかの態様において望まれ得ることであるが、完全な阻害または抑制を必要とするものと解釈されるべきでない。したがって、「阻害された免疫応答」または「炎症性サイトカインの阻害」は、絶対的な阻害を必要とするものではない。
「腸内毒素症」は、生態学的ネットワークの正常な多様性および/または機能が故障した、腸または、粘膜もしくは皮膚組織(もしくは任意の他のマイクロバイオータニッチ)を含む、他の身体領域のマイクロバイオータまたはマイクロバイオームの状態を表す。好ましい(例えば、理想的な)マイクロバイオータの状態からの任意の故障が、検出可能な健康悪化をもたらさない場合でさえも、腸内毒素症とみなされ得る。この腸内毒素症の状態は、不健康であり得(例えば、疾患状態をもたらし得)、それは特定の条件下でのみ不健康であり得、またはそれは対象がより健康になるのを妨げ得る。腸内毒素症は、マイクロバイオータ集団の組成の多様性の低下、1つもしくは複数の病原体(例えば、病原性細菌集団)もしくは原性共生生物の集団の繁茂、特定の遺伝的および/もしくは環境的条件が患者内に存在する場合にのみ疾患を引き起こし得る共生生物の存在および/もしくは繁茂、またはもはや宿主に有益な機能を提供せず、したがってもはや健康を促進しない生態学的ネットワークへのシフトに起因し得る。腸内毒素症の状態は、疾患もしくは障害(例えば、胃腸疾患、障害もしくは状態)を引き起こし得、または腸内毒素症の状態は、特定の条件下でのみ疾患もしくは障害(例えば、胃腸疾患、障害もしくは状態)を引き起こし得、または腸内毒素症の状態は、対象が疾患もしくは障害(例えば、胃腸疾患、障害もしくは状態)に対する処置に応答するもしくはそこから回復するのを妨げ得る。
「腸」という用語は、本明細書で使用される場合、胃腸管または消化管(digestive tract)(消化管(alimentary canal)とも称される)全体を表し、かつそれは、食物を摂取し、それを消化してエネルギーおよび栄養分を抽出し、そして残存する廃棄物を排出する多細胞動物の臓器系を表す。本明細書で使用される場合、「胃腸管」は、口腔から直腸までの、消化管(digestive canal)全体を表す。「胃腸管」という用語は、口を含むがこれに限定されず、食道、胃、小腸、大腸、直腸および最後に肛門に続く。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、あらゆる医学的処置に適用可能な合理的な利益/危険比の下で、処置された対象に治療効果を与える治療剤(例えば、本開示の微生物、生きた生物学的製剤(LBP)および/またはプロバイオティクス)の量を表す。そのような治療効果は、客観的なもの(すなわち、何らかの試験もしくはマーカーにより測定可能なもの)または主観的なもの(すなわち、対象が効果の指標を与えるまたは効果を感じるもの)であり得る。いくつかの態様において、「治療有効量」は、関連する疾患もしくは状態を処置する、改善するもしくは予防する(例えば、発症を遅らせる)のに、ならびに/または、例えばその疾患に関連する症状を改善する、その疾患を予防するもしくは発症を遅らせるおよび/もしくはその疾患の症状の重篤度もしくは頻度を低下させることにもより、検出可能な治療的もしくは予防的効果を示すのに効果的な治療剤または組成物の量を表す。
本明細書で使用される場合、「処置(treatment)」(または「処置(treat)」もしくは処置(treating))という用語は、特定の疾患、障害および/または状態(例えば、GI管の慢性または再発性免疫応答および炎症)を部分的または完全に軽減する、改善する、緩和する、阻害する、それらの発症を遅らせる、それらの重篤度を低下させるおよび/またはそれらの1つもしくは複数の症状もしくは特徴の発生を減少させるという点で所望の効果を達成する治療計画にしたがう治療剤(例えば、本開示の微生物、LBPおよび/またはプロバイオティクス)の任意の投与を表し、いくつかの態様において、治療計画にしたがう治療剤の投与は、所望の効果の達成と関連する。そのような処置は、関連疾患、障害および/もしくは状態の兆候を示さない対象ならびに/またはその疾患、障害および/もしくは状態の初期兆候のみを示す対象の処置であり得る。あるいはまたは加えて、そのような処置は、関連疾患、障害および/または状態の1つまたは複数の既に現れている兆候を示す対象の処置であり得る。いくつかの態様において、処置は、関連疾患、障害および/状態に罹患していると診断された対象の処置であり得る。いくつかの態様において、処置は、関連疾患、障害および/または状態の発症の危険の増加に統計的に関連する1つまたは複数の感受性因子を有することが分かっている対象の処置であり得る。
本明細書で使用される場合、「医薬」という用語は、人間医学および獣医学における人間および動物の両方への利用のための医薬を包含する。加えて、「医薬」という用語は、本明細書で使用される場合、治療的および/または有益な効果を提供する任意の物質を意味する。「医薬」という用語は、本明細書で使用される場合、販売承認を必要とする医薬に必ずしも限定されず、化粧品、ニュートラシューティカル、食品(例えば、食料および飲料を含む)、プロバイオティクス培養物、LBP、栄養サプリメントおよび生薬において使用され得る物質を含み得る。加えて、「医薬」という用語は、本明細書で使用される場合、動物飼料、例えば、家畜用飼料および/またはペットフードへの添加用に設計された生産物を包含する。
「薬学的」は、組成物、微生物、試薬、方法等が薬学的効果を発揮することができることを示し、その組成物が対象に安全に投与され得ることも示す。「薬学的に許容される」は、連邦もしくは州政府の規制当局により承認されていることまたは米国薬局方もしくは動物における安全利用、より具体的にはヒトにおける安全利用のための他の一般に知られている薬局方に列挙されていることを意味する。「薬学的に許容されるビヒクル」または「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書に記載される微生物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤または担体を表す。薬学的組成物または追加の活性成分の調製は、参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990に例示されているように、本開示に接した当業者に理解されるであろう。さらに、動物(例えば、ヒト)への投与のために、調製物は、FDA Office of Biological Standardsにより要求される滅菌性、発熱性、全体的安全性および純度の標準を満たすべきであることが理解されるであろう。
本明細書に教示される治療用薬学的組成物は、1つまたは複数の天然産物を含み得るが、特定の態様において、治療用薬学的組成物は、それ自体が自然界で生じたものではない。さらに、特定の態様において、治療用薬学的組成物は、任意の個々の天然に存在する対応物または自然界に存在し得る組成物の成分と比較して顕著に異なる特徴を有する。すなわち、特定の態様において、治療有効量の単離された微生物を含む本明細書に教示される薬学的組成物は、自然界に存在し得るその組成物の任意の単一の個別成分と比較して組成物全体に顕著に異なる特徴を付与する少なくとも1つの構造的および/または機能的特性を有する。裁判所は、自然界に存在し得る任意の個別成分と比較して顕著に異なる特徴を有する天然産物を含む組成物が、法律上の技術思想であることを決定した。したがって、教示される治療用薬学的組成物は、全体として、顕著に異なる特徴を有している。これらの特徴は、本明細書に教示されるデータおよび実施例において例示されている。
本開示の詳細は、本明細書中以降に示されている。本開示の実施または試験においては、本明細書に記載されるのと同様または同等の方法および材料を使用することができるが、ここでは例示的な方法および材料を記載する。本開示の他の特徴、目的および利点は、詳細な説明からおよび特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
炎症性腸疾患における腸内毒素症
炎症性腸疾患(IBD)の発病率は、近年、先進国において急激に増加している。クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)は、別個のおよび重複する病理学的および臨床的特徴を有するIBDの2つの主要な形態である。腸内マイクロバイオータに対する宿主免疫応答の故障を含む遺伝的および環境的の両方の要因がIBDに寄与することが公知である。過去のIBD研究においては、IBDに関連するマイクロバイオータを特定するために、便サンプルが最も多く用いられている(Jacobs et al., 2016, Cell Mol Gastroenterol Hepatol, 2:750-766, Doherty et al., 2018, MBio, 9:e02120-17, Kennedy et al., 2018, Inflamm Bowel Dis, 24:583-592)が、それらは常に、腸粘膜の組織病理学、酸素利用性およびpHを含む炎症部位の環境を直接的に反映するものではない。したがって、本明細書においては、同じ環境からのマイクロバイオータおよび宿主応答の両方を特徴づけるために、CDまたはUC患者の炎症腸組織からおよび非IBD対照から粘膜生検を収集した。
炎症性腸疾患(IBD)の発病率は、近年、先進国において急激に増加している。クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)は、別個のおよび重複する病理学的および臨床的特徴を有するIBDの2つの主要な形態である。腸内マイクロバイオータに対する宿主免疫応答の故障を含む遺伝的および環境的の両方の要因がIBDに寄与することが公知である。過去のIBD研究においては、IBDに関連するマイクロバイオータを特定するために、便サンプルが最も多く用いられている(Jacobs et al., 2016, Cell Mol Gastroenterol Hepatol, 2:750-766, Doherty et al., 2018, MBio, 9:e02120-17, Kennedy et al., 2018, Inflamm Bowel Dis, 24:583-592)が、それらは常に、腸粘膜の組織病理学、酸素利用性およびpHを含む炎症部位の環境を直接的に反映するものではない。したがって、本明細書においては、同じ環境からのマイクロバイオータおよび宿主応答の両方を特徴づけるために、CDまたはUC患者の炎症腸組織からおよび非IBD対照から粘膜生検を収集した。
粘膜のマイクロバイオームに着目した多くのIBD研究がこれまでに報告されているが、それらのサンプルサイズは限定的であり、その一握りのみしか宿主応答データと適合させていない。Kiely et al.(2018, Gut Microbes, 9:477-485)およびMorgan et al.(2015, Genome Biol, 16:67)は、100未満のサンプルにおいてIBDマイクロバイオームを試験し、宿主応答を欠いている。Mottawea et al.(2016, Nature Communications, 7:13419)、Lepage et al.(2011, Gastroenterology, 141:227-236)およびHasler et al.(2017, Gut, 66:2087-2097)は、マイクロバイオームおよび宿主の両方を試験したが、そのコホートサイズは最大124に限られていた。実施例1に記載されるように、今日までの最大の成人IBD研究の1つは、マイクロバイオータおよび宿主応答データ(RNAseq)の両方を統合した、185名のアイルランド人対象において行われたものであった。
DNAサンプル由来の16S rRNA遺伝子(DNA-16S)を用いてマイクロバイオータを特徴づけるために多大な努力ななされているが、この方法は、細菌量を確認するのみであり、必ずしもそれらが生きているまたは代謝的に活性であるかどうかを確認するものではない。実際、様々な研究は、RNAサンプルにおける16S rRNA遺伝子発現レベル(RNA-16S)を分析することによって得られた活性なマイクロバイオータが、従来のDNA-16Sプロファイルと相違することを示している(Perez-Cobas et al., 2013, Gut, 62:1591-1601; Bajaj et al., 2018, JCI Insight, 3:e98019; Ji et al., 2018, Front Microbiol, 9:710)。Hasler et al. (2016)は、RNA-16Sと宿主RNAseqの間の関連性を試験したが、綱レベルでDNA-16Sが比較されなかった。したがって、粘膜マイクロバイオータと腸障害の間の関連性をより理解するために、IBD患者の粘膜サンプル由来のRNA-16SおよびDNA-16Sの両方を試験し、健常な対応体由来のRNA-16SおよびDNA-16Sと比較した研究が、本明細書に記載されている。
IBD 対 健常対象における細菌数および代謝活性の分析
以下の実施例1に記載される研究は、これまでに公開された最も大きな成人IBD粘膜マイクロバイオータコホートの1つの分析を含み、宿主トランスクリプトームデータセットと組み合わせて、可能な場合に菌株特異的な分類学的分類を行った16S rRNA遺伝子のDNAおよびRNAの両方からの高解像度ノイズ除去配列決定データを用いてIBDに対する細菌の関連性を試験した。
以下の実施例1に記載される研究は、これまでに公開された最も大きな成人IBD粘膜マイクロバイオータコホートの1つの分析を含み、宿主トランスクリプトームデータセットと組み合わせて、可能な場合に菌株特異的な分類学的分類を行った16S rRNA遺伝子のDNAおよびRNAの両方からの高解像度ノイズ除去配列決定データを用いてIBDに対する細菌の関連性を試験した。
多くの過去の研究は、IBDに対する細菌の関連性を提案したが、コホートサイズが非常に小さいか、かつ/またはその結果がDNA-16Sのみに基づいていた。DNA-16S配列決定は幅広く使用されているが、それをRNAに適用した研究は多くなく、両方のアプローチの組み合わせによりIBDマイクロバイオータを調査した研究は存在しないようである。
以下の実施例1に詳述されている研究の結果は、IBD患者のマイクロバイオータがより低い豊富さおよび多様性を有するという、アルファ多様性の尺度に関して共通して観察される傾向を示している(図2Aおよび2B)。理論上、すべての細菌が代謝的に活性ではないので、固有のRNA-16S分類はDNA-16S分類よりも少ないはずである。しかし、本研究において、DNA-16Sと比較してRNA-16Sにおいてより多くの固有のRSVが観察され、これはDNA-16Sの配列決定深度(中央値60,765)と比較してより深いRNA-16S配列決定深度(中央値79,451)に起因するものと考えられる。PERMANOVA分析は、PCoAプロットで示される、両方ともブレイ・カーチスおよびセーレンセン距離による、DNA-16SとRNA-16Sの間の有意な差を示した(図3)。セーレンセン指数は存在/非存在により計算され、RSVの量によってではないので、この結果は、PCoAにおけるシフトがRNA-16Sサンプルにおいて同定されたさらなるRSVに起因するものであり得ることを示している。
従来、16S rRNA配列決定結果は、しばしば、その研究の中でOTUクラスタリングを用いて分析されていた(例えば、Mottawea et al., 2016, Nature Communications, 7:13419; Jacobs et al., 2016, Cell Mol Gastroenterol Hepatol, 2:750-766)が、これは異なる研究間で比較する能力を制限するものである。配列決定エラーをノイズ除去し、研究間での比較性を向上させるために、各サンプルにおけるエラー修正配列の計数を行うDADA2アプローチ(Callahan et al., 2016, Natures Methods, 13:581-583)が用いられた。量/発現差試験は、全4つの比較間で10個の動的RSVを明らかにした(図4)。年齢は、ANOVAにより交絡因子候補として同定された(p<0.001、表1)。PERMANOVAは、マイクロバイオータの分散との有意な関連性を示した(DNA-16Sにおいてp=0.021)が、有意な相関を示した具体的RSVは存在しなかった。したがって、疾患状態に関連する同定されたRSVは、年齢による影響を受けない。コプロコッカス(Coprococcus)属の種(図4)は、DNA-16SについてはCDおよびUCの両方において、RNA-16SについてはUCにおいて欠乏していた。他方、別のコプロコッカス属の種(図4のRSV1)は、RNA-16Sに関して対照と比較してCDにおいて豊富であり、このことは、この属の、種または株レベルでの微小環境への異なる寄与を示唆しており、このことは、属以下の分類の重要性をさらに強調するものである。減少したコプロコッカス属レベルはまた、Chen et al.(2014, Medicine (Baltimore), 93:e51)およびGevers et al.(2014, Cell Host Microbe, 15:382-392)によってIBDサンプルにおいて報告された。A.ハドルスは、DNA-16SについてはUCにおいて、RNA-16SについてはCDおよびUCの両方において欠乏していた。A.ハドルスおよびコプロコッカス属の両方とも、ラクノスピラ(Lachnospiraceae)科に属することが注目される。コプロコッカスGD/7およびG.フォルミシリス(G. formicilis)X2-56は、DNA-16SおよびRNA-16Sの両方においてUCで欠乏していた。Bajerらはまた、IBD患者における少量のC.カタス(C. catus)を報告しており(Bajer et al., 2017, World J Gastroenterol, 23:4548-4558)、他方、多量のG.フォルミシリスが、CD病巣を再発した患者において報告されている(Mondot et al., 2015, Gut, 65:954-962)が、UC患者はこの研究で試験されなかった。ステレラ・ワドスウォルテンシス(Sutterella wadsworthensis)2_1_59BFAAは、RNA-16Sに関してCDにおいて豊富であった。ステレラ種は、多くの研究においてIBDとの関係について調査されている(Hiippala et al., 2016, Front Microbial, 7:1706; Mangin et al., 2004, ; Mukhopadhya et al., 2011)が、IBD患者と対照の間で明確な差は示されていない。UC 対 対照の比較では、DNA-16Sデータセットにおいて示差的な量が確認された4つのRSVは、RNA-16Sデータセットにおけるそれらのサブセットであった。他方、CD 対 対照の比較では、豊富なまたは欠乏したRSVは、DNAとRNAデータセットの間で重複しなかった。
これらの発見の追跡として、4つの比較のうち、DNA-16SにおけるUC 対 対照ならびにRNA-16SにおけるUCおよびCDの両方 対 対照という3つにおいて欠乏していたことから、A.ハドルスをさらに調査した。ヒト結腸において最も支配的な細菌の1つであるこのグラム陽性細菌は、酪酸産生能を有することが公知であり(Allen-Vercoe et al., 1976, Anaerobe, 18:523-529)、多くの研究により有益であることが報告されている(Canani et al. 2011, World J Gastroenterol, 17:1519- 1528; Geirnaert et al., 2017, Sci Rep, 7:11450)。A.ハドルスRSVはUCおよびCDと対照を比較することによって同定されたが、A.ハドルスRSVに関連して示差的に発現される宿主遺伝子の大部分は、UCまたはCDにおいて有意に上方/下方調節されなかった。同じ傾向が、経路レベルで観察され、A.ハドルスRSVを宿主RNAseqと対比させたときに、O-グリカン生合成経路の終結が最も有意に豊富であったが、CDまたはUCを対照と対比させたときはそうでなかった(データ示さず)。これは、IBDの異種的性質に起因するものと考えられ、個々の細菌と宿主遺伝子発現の相互作用が、この疾患に対する腸内マイクロバイオータの関与をより直接的に扱うと考えられる。
O-グリカンは、特定のムチンにおいて、腸内マイクロフローラのための生理学的環境の構築のために重要である。MUC6、MUC12およびMUC13は、不溶性粘膜バリアを形成することにより腸管内腔を保護するムチン糖タンパク質をコードする。O-グリカン生合成は、O-グリカンに結合し、電位依存性カリウムチャネルのゲーティングを調整する(Schwetz et al., 2011, J Biol Chem, 286:4123-4132)シアル酸を通じて終結され得る(Varki et al., 2009, Essentials of Glycobiology, 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press)。グリカンの末端修飾は、細菌付着に影響することが公知であり(Baos et al., 2012, Biophys J, 102:176-184)、特定の微生物に対して栄養的利益を提供する基質として機能し得る(Pacheco et al., 2012, Nature, 491:113-117)。A.ハドルスは、アケルマンシア・ムチニフィラ(Akkermansia muciniphila)およびアナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)を含む他の酪酸産生体に関して報告されているように、粘膜ホメオスタシスを維持するためのグリカン分解を伴うクロスフィードネットワークにおけるグリカン分解体および/または酪酸産生体であり得る(Ouwerkerk et al., 2013, Best Pract Res Clin Gastroenterol, 27:25-38; Belzer et al., 2017, MBio, 8:e00770-l 7)。本研究においては、優位性しきい値以下であるものの、A.ムチニフィラがDNA-16SおよびRNA-16Sの両データセットにおいて検出された。
バイオインフォマティクスツールのベンチマークは本明細書に記載される研究の主旨ではないが、metagenomeSeqとは別に、DESeq2を用いた示差的試験も調査した(Love et al., 2014, Genome Biology, 15:550)。DESeq2は、主として、マーカー・遺伝子量よりも希薄ではないRNAseqデータの示差的遺伝子発現分析用に設計されている(Paulson et al., 2013, metagenomeSeq: Statistical analysis for sparse high-throughput sequencing. Bioconductor package: 1.11.10 ed. 2013)。プレバレンス(prevalence)フィルタリング後のデータセットの希薄さは、DNA-16Sについては79.5%であり、RNA-16Sについては81.0%であった。希薄さはRNAseqデータと同等であるにもかかわらず、DESeq2は、metagenomeSeqと比較してより少ない有意な発見しかもたらさなかった。特に、DESeq2は、RNA-16Sにおける対照に対するUCまたはCDのいずれの比較においてもA.ハドルスRSVの示差的発現に非感受性であった(対照に対する、CDについての調整後p=0.13、UCについての0.37)。この特定のデータセットにおいて、相対量の箱ひげ図は、症例(CDまたはUD)および対照におけるA.ハドルスの示差的発現レベルを確認したので(図5)、有意に変化するRSVを同定するためにDESeq2よりもmetagenomeSeqを使用することを決定した。
まとめると、RNA-16Sアプローチを用いることにより、A.ハドルスRSVが、健常対照と比較してCDおよびUCの両方において欠乏することが決定された。さらに、A.ハドルスと宿主遺伝子発現の間の直接比較は、この微生物にこの環境で生存および繁殖する優位性を付与し得る、抗炎症性短鎖脂肪酸(SCFA)を産生するO-グリカン生合成経路の終結が有意に豊富になることを特定した。したがって、A.ハドルス株またはその変種を用いて腸疾患を処置するための組成物および方法が本明細書に提供される。
アナエロスティペス・ハドルス(A.ハドルス)
アナエロスティペス・ハドルスは、ヒトの便から単離されたグラム陽性細菌である(Allen-Vercoe et all, 2012, Anaerobe, 18:523-9)。A.ハドルスの完全なゲノム配列は、Genbankデータベース(ncbi.nlm.nih.gov/nuccoreのワールドワイドウェブ)で、例えばアクセッション番号NZ_CP012098(BPB5株)として入手可能である。GenBankアクセッション番号JF412658(5/l/63FAA株;SEQ ID NO:1)、NR_117139(DSM 3319株;SEQ ID NO:2)、NR_117138(DSM 3319株;SEQ ID NO:3)、NR_104799(DSM 3319株;SEQ ID NO:4)、MG680450(ASD1240株;SEQ ID NO:5)、AY305320(SSC/2株;SEQ ID NO:6)およびAY305319(SEQ ID NO:7)として公開されている、A.ハドルス 16S rRNA配列も、GenBankデータベースにおいて入手可能である。したがって、本開示は、A.ハドルスまたはその変種に関連する組成物および方法に関し、A.ハドルス株は、NZ_CP012098として公開されているゲノム配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%同一のゲノム配列を有する。一般に、細菌株のゲノム配列は、複数コピーの16S rRNA配列を含むであろう。16S rRNA配列は、上記配列の1つまたは複数が参照配列と特定%未満の配列同一性を共有している場合に、それらの配列を得た2つの生物が異なる種または株であると言われることから、しばしば、種および株間の区別を行うために使用される。したがって、各々がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一の1つまたは複数の16S rRNA遺伝子を含む細菌、ならびにUCおよびCDを含むがこれらに限定されない腸疾患または障害を有すると診断されたまたは発症する危険がある対象を処置するためのその使用が、本明細書で想定されている。本明細書に記載されるA.ハドルスと同じ治療効果を有する改変されたゲノムを有する合成細菌を含む組成物もまた、想定されている。いくつかの態様において、そのような微生物は、GenBankアクセッション番号NZ_CP012098のゲノムと少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一のゲノムを有する。いくつかの態様において、本明細書に提供される組成物は、細菌の集団(すなわち、A.ハドルス株またはその変種の集団)を含み、その集団の各メンバーは、実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。
アナエロスティペス・ハドルスは、ヒトの便から単離されたグラム陽性細菌である(Allen-Vercoe et all, 2012, Anaerobe, 18:523-9)。A.ハドルスの完全なゲノム配列は、Genbankデータベース(ncbi.nlm.nih.gov/nuccoreのワールドワイドウェブ)で、例えばアクセッション番号NZ_CP012098(BPB5株)として入手可能である。GenBankアクセッション番号JF412658(5/l/63FAA株;SEQ ID NO:1)、NR_117139(DSM 3319株;SEQ ID NO:2)、NR_117138(DSM 3319株;SEQ ID NO:3)、NR_104799(DSM 3319株;SEQ ID NO:4)、MG680450(ASD1240株;SEQ ID NO:5)、AY305320(SSC/2株;SEQ ID NO:6)およびAY305319(SEQ ID NO:7)として公開されている、A.ハドルス 16S rRNA配列も、GenBankデータベースにおいて入手可能である。したがって、本開示は、A.ハドルスまたはその変種に関連する組成物および方法に関し、A.ハドルス株は、NZ_CP012098として公開されているゲノム配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%同一のゲノム配列を有する。一般に、細菌株のゲノム配列は、複数コピーの16S rRNA配列を含むであろう。16S rRNA配列は、上記配列の1つまたは複数が参照配列と特定%未満の配列同一性を共有している場合に、それらの配列を得た2つの生物が異なる種または株であると言われることから、しばしば、種および株間の区別を行うために使用される。したがって、各々がSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一の1つまたは複数の16S rRNA遺伝子を含む細菌、ならびにUCおよびCDを含むがこれらに限定されない腸疾患または障害を有すると診断されたまたは発症する危険がある対象を処置するためのその使用が、本明細書で想定されている。本明細書に記載されるA.ハドルスと同じ治療効果を有する改変されたゲノムを有する合成細菌を含む組成物もまた、想定されている。いくつかの態様において、そのような微生物は、GenBankアクセッション番号NZ_CP012098のゲノムと少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一のゲノムを有する。いくつかの態様において、本明細書に提供される組成物は、細菌の集団(すなわち、A.ハドルス株またはその変種の集団)を含み、その集団の各メンバーは、実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。
A.ハドルスの治療利用
本開示に記載されるA.ハドルス株またはその変種を含む組成物を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象を処置する方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様において、本明細書に提供される組成物は、細菌の集団(すなわち、A.ハドルス株またはその変種の集団)を含み、集団の各メンバーは実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。対象は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、小児科UC、クローン病、小児科クローン病、小腸症候群、GI粘膜炎、口腔粘膜炎、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(結腸)および/または直腸の粘膜炎、化学療法誘発粘膜炎、放射線誘発粘膜炎、壊死性腸炎、回腸嚢炎、代謝疾患、セリアック病、過敏性腸症候群または化学療法関連脂肪性肝炎(CASH)と診断された者であり得る。
本開示に記載されるA.ハドルス株またはその変種を含む組成物を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象を処置する方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様において、本明細書に提供される組成物は、細菌の集団(すなわち、A.ハドルス株またはその変種の集団)を含み、集団の各メンバーは実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。対象は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、小児科UC、クローン病、小児科クローン病、小腸症候群、GI粘膜炎、口腔粘膜炎、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(結腸)および/または直腸の粘膜炎、化学療法誘発粘膜炎、放射線誘発粘膜炎、壊死性腸炎、回腸嚢炎、代謝疾患、セリアック病、過敏性腸症候群または化学療法関連脂肪性肝炎(CASH)と診断された者であり得る。
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患(IBD)は、古典的に、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含む。炎症性腸疾患の病因は知られていない。遺伝的素因が示唆されており、細菌、ウイルスおよびおそらく食物抗原を含む多くの環境因子が、進行する腸炎症カスケードの引き金を引き得る。IBDは、重篤な下痢、疼痛、倦怠感および体重減少を引き起こし得る。IBDは、衰弱させ得、ときどき生命を脅かす合併症をもたらし得る。したがって、いくつかの態様において、本明細書に記載される処置方法は、上記の症状の任意の1つまたは複数を低減、予防または除去するのに効果的であり、この方法は、それを必要とする患者に、A.ハドルス株を含む治療有効量の組成物を投与する工程を含む。いくつかの態様において、この処置方法は、寛解をもたらす。
炎症性腸疾患(IBD)は、古典的に、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含む。炎症性腸疾患の病因は知られていない。遺伝的素因が示唆されており、細菌、ウイルスおよびおそらく食物抗原を含む多くの環境因子が、進行する腸炎症カスケードの引き金を引き得る。IBDは、重篤な下痢、疼痛、倦怠感および体重減少を引き起こし得る。IBDは、衰弱させ得、ときどき生命を脅かす合併症をもたらし得る。したがって、いくつかの態様において、本明細書に記載される処置方法は、上記の症状の任意の1つまたは複数を低減、予防または除去するのに効果的であり、この方法は、それを必要とする患者に、A.ハドルス株を含む治療有効量の組成物を投与する工程を含む。いくつかの態様において、この処置方法は、寛解をもたらす。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、大腸(結腸)および直腸の最内層において長期的な炎症および痛み(潰瘍)を引き起こす炎症性腸疾患である。潰瘍性大腸炎は典型的に、多くの患者において結腸全体を含むよう直腸から近位に延びる浅く連続する炎症を示す。瘻孔、裂溝、膿瘍および小腸への影響はみられない。限局型疾患(例えば、直腸炎)を有する患者は典型的に、軽度であるが高頻度で再発する症状を有し、全結腸炎を有する患者は、より一般的に、しばしば入院を必要とする重度の症状を有する。Botoman et al., “Management of Inflammatory Bowel Disease,” Am. Fam. Physician, Vol. 57(1):57-68 (Jan 01, 1998)(内部引用省略)。したがって、潰瘍性大腸炎は、あなたの大腸(結腸)および直腸の最内層において長期的な炎症および痛み(潰瘍)を引き起こすIBDである。
潰瘍性大腸炎は、大腸(結腸)および直腸の最内層において長期的な炎症および痛み(潰瘍)を引き起こす炎症性腸疾患である。潰瘍性大腸炎は典型的に、多くの患者において結腸全体を含むよう直腸から近位に延びる浅く連続する炎症を示す。瘻孔、裂溝、膿瘍および小腸への影響はみられない。限局型疾患(例えば、直腸炎)を有する患者は典型的に、軽度であるが高頻度で再発する症状を有し、全結腸炎を有する患者は、より一般的に、しばしば入院を必要とする重度の症状を有する。Botoman et al., “Management of Inflammatory Bowel Disease,” Am. Fam. Physician, Vol. 57(1):57-68 (Jan 01, 1998)(内部引用省略)。したがって、潰瘍性大腸炎は、あなたの大腸(結腸)および直腸の最内層において長期的な炎症および痛み(潰瘍)を引き起こすIBDである。
クローン病
潰瘍性大腸炎と異なり、クローン病は、不連続の局所的潰瘍、瘻孔形成および肛門周囲への影響を伴い、口腔から肛門までの腸管全体に及び得る。回腸末端部が最も多くの場合影響を受け、通常様々な程度の結腸への影響を伴う。一部患者は、裂溝および瘻孔形成を伴う肛門周囲疾患を有する。クローン病患者の2〜3%のみが、上部胃腸管への臨床的に有意な影響を示す。Botoman et al., “Management of Inflammatory Bowel Disease,” Am. Fam. Physician, Vol. 57(1):57-68 (Jan 01, 1998) (内部引用省略)。したがって、クローン病は、あなたの消化管の内層の炎症を引き起こすIBDである。クローン病において、炎症はしばしば、罹患組織へと深く拡大する。炎症は、消化管の異なる領域、すなわち、大腸、小腸または両方に及び得る。膠原線維性大腸炎およびリンパ球性大腸炎もまた、炎症性腸疾患とみなされるが、通常、古典的な炎症性腸疾患とは別のものとして扱われる。
潰瘍性大腸炎と異なり、クローン病は、不連続の局所的潰瘍、瘻孔形成および肛門周囲への影響を伴い、口腔から肛門までの腸管全体に及び得る。回腸末端部が最も多くの場合影響を受け、通常様々な程度の結腸への影響を伴う。一部患者は、裂溝および瘻孔形成を伴う肛門周囲疾患を有する。クローン病患者の2〜3%のみが、上部胃腸管への臨床的に有意な影響を示す。Botoman et al., “Management of Inflammatory Bowel Disease,” Am. Fam. Physician, Vol. 57(1):57-68 (Jan 01, 1998) (内部引用省略)。したがって、クローン病は、あなたの消化管の内層の炎症を引き起こすIBDである。クローン病において、炎症はしばしば、罹患組織へと深く拡大する。炎症は、消化管の異なる領域、すなわち、大腸、小腸または両方に及び得る。膠原線維性大腸炎およびリンパ球性大腸炎もまた、炎症性腸疾患とみなされるが、通常、古典的な炎症性腸疾患とは別のものとして扱われる。
炎症性腸疾患の臨床パラメータ
上述のように、炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む。これらの状態の処置において投与された本明細書に記載されるA.ハドルス組成物の効果を評価するために利用できる多くの採点および臨床マーカーが当業者に公知である。
上述のように、炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む。これらの状態の処置において投与された本明細書に記載されるA.ハドルス組成物の効果を評価するために利用できる多くの採点および臨床マーカーが当業者に公知である。
IBD患者を評価するための一般的なアプローチは2つ存在する。1つは、IBDはGI管における炎症および潰瘍の出現により明らかになるという事実から、粘膜の目視試験を含み、粘膜へのダメージの兆候の観察に基づく。粘膜の評価を可能にする任意の手順が使用され得る。例は、バリウム浣腸、x線および内視鏡検査を含む。内視鏡検査は、食道、胃および十二指腸(食道十二指腸鏡検査)、小腸(小腸鏡検査)または大腸/結腸(結腸鏡検査、S状結腸鏡検査)の内視鏡検査であり得る。これらの技術は、炎症、潰瘍および異常な成長の領域、例えばポリープを特定するために使用される。
このGI管の目視試験に基づく採点体系は、IBDの状況および重篤度を決定するために存在し、これらの採点体系は、これらの疾患の診断およびモニタリングにおいてならびに臨床研究評価において患者が異なる医師により評価され得るという事実にもかかわらず異なる患者の一様な評価が行われることを確実にすることが意図されている。UCの目視検査に基づく評価の例は、Daperno Met al(J Crohns Colitis. 2011 5:484-98)において議論および比較されている。
臨床採点体系もまた、同じ目的で存在する。粘膜の内視鏡検査または他の試験による知見は、これらの臨床採点体系に組み込まれ得るが、これらの採点体系はまた、症状、例えば便の頻度、直腸からの出血および医師による全体的評価に基づくデータも組み込む。IBDは、生活品質に影響する様々な症状を示し、したがって、これらの採点体系はまた、生活品質に対する効果の定量的評価および症状の定量化を考慮する。
UCのための採点体系の1つの例は、メイヨー(Mayo)採点体系である(Schroeder et al., N Eng J Med,1987, 317:1625-1629)が、そこまで一般的に使用されていない他のものも存在し、潰瘍性大腸炎内視鏡重症度指数(Ulcerative Colitis Endoscopic Index of Severity;UCEIS)スコア(Travis et al, 2012, Gut, 61:535-542)、バロンスコア(Baron et al., 1964, BMJ, 1:89)、潰瘍性大腸炎結腸鏡重症度指数(Ulcerative Colitis Colonoscopic Index of Severity;UCCIS)(Thia et al., 2011, Inflamm Bowel Dis, 17:1757-1764)、ラクマイルヴィッツ(Rachmilewitz)内視鏡指数(Rachmilewitz, 1989, BMJ, 298:82-86)、サザーランド(Sutherland)指数(UC病活動指数(UCDAI)採点体系としても公知;Sutherland et al., 1987, Gastroenterology, 92:1994-1998)、マッツスコア(Matts, 1961, QJM, 30:393-407)およびブラックストーン指数(Blackstone, 1984, Inflammatory bowel disease. In: Blackstone MO (ed.) Endoscopic interpretation: normal and pathologic appearances of the gastrointestinal tract, 1984, pp. 464-494)を含む。再確認をする場合、Paine, 2014, Gastroenterol Rep 2:161-168を参照されたい。したがって、本明細書に記載されるようにA.ハドルスを投与する工程を含み、UCEISスコア、バロンスコア、UCCISスコア、ラクマイルヴィッツ内視鏡指数、サザーランド指数および/またはブラックストーン指数の測定により決定されるUC病状の減少をもたらす、UCと診断されたおよびUCに罹患している対象を処置する方法もまた、本願で想定されている。
CDのための採点体系の例は、クローン病活動指数(CDAI)(Sands Bet al 2004, N Engl J Med 350 (9): 876-85)であり、最も主要な研究は、疾患の応答または寛解を定義するためにCDAIを使用している。CDAIスコアの計算は、7日間の間の液状便の回数、7日間の間の腹痛の事例および重篤度、7日間の間の全体的健康度、腸外合併症(例えば、関節炎/関節痛、虹彩炎/ぶどう膜炎、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、アフタ性口内炎、裂肛/瘻孔/膿瘍、および/または37.8度超の発熱)、7日間の間の下痢止め薬の使用、腹部腫瘤の存在、ヘマトクリット、ならびに理想/観察の比または標準体重からの偏差率としての体重の記録を含む。CDAIスコアに基づき、CDは、無症候性寛解(0〜149点)、軽度〜中等度活動性CD(150〜220点)、中等度〜重度活動性CD(221〜450点)、または重度活動性劇症疾患(451〜1000点)のいずれかに分類される。いくつかの態様において、治療有効量のA.ハドルスを含む組成物をCDと診断された患者に投与する工程を含む処置方法は、CDの診断スコアの減少をもたらす。例えば、スコアは、診断を、重度活動性から軽度もしくは中等度活動性にまたは無症候性寛解に変化させ得る。
ハービー・ブラッドショー(Harvey-Bradshaw)指数は、臨床パラメータのみからなる簡易版CDAIである(Harvey et al., 1980, Lancet 1(8178):1134-1135)。生活品質に対する影響はまた、炎症性腸疾患問診票(IBDQ)によっても扱われる(Irvine et al., 1994, Gastroenterology 106: 287-296)。さらに、代替法は、CDEISおよびSES CDを含む(例えば、Levesque, et al. (2015) Gastroentrol. 148:37 57を参照のこと)。
いくつかの態様において、メイヨースコアを減少させるのに効果的である、IBD、例えばUCを処置する方法が提供される。メイヨースコアは、UCの重篤度を評価するために使用される内視鏡検査および臨床尺度の組み合わせであり、1〜12の尺度を有する。メイヨースコアは、便の頻度、直腸からの出血、軟性直腸S状結腸鏡検査または結腸鏡検査の知見、ならびに医師による全体評価のサブスコアの総合評価である(Paine, 2014, Gastroenterol Rep 2:161-168)。直腸からの出血に関して、半分未満の時間で便中に見られる血流は1点を割り当てられ、大部分の便での血液は2点を割り当てられ、血液のみの流出は3点を割り当てられる。便の頻度に関して、正常な一日の便の回数は0点を割り当てられ、正常よりも1または2回多い便は1点を割り当てられ、正常よりも3または4回多い便は2点を割り当てられ、通常よりも5回以上多い便は3点を割り当てられる。内視鏡要素に関して、0の採点は正常な粘膜または非活動性のUCを示し、1の採点は軽度の脆弱性、血管パターンの減少および粘膜の紅斑の証拠を示す軽度の疾患に対して与えられ、2の採点は脆弱性、侵食、血管パターンの完全な消失および有意な紅斑を示す中等度の疾患に対して与えられ、3の採点は潰瘍および突発性出血に対して与えられる(Schroeder et al., 1987, N Engl J Med, 317:1625-1629)。医師による全体評価は、正常の知見に対して0点、軽度の大腸炎に対して1点、中等度の大腸炎に対して2点、重度の大腸炎に対して3点を割り当てる。したがって、いくつかの態様において、A.ハドルスを用いて処置される患者は、メイヨースコアにおける、直腸からの出血、便中で見られる血流、内視鏡検査サブスコアおよび医師による全体評価の少なくとも1つにおける少なくとも1、2または3点の減少を経験した場合に、首尾よく処置されたことになる。いくつかの態様において、治療有効量のA.ハドルスをUCと診断された患者に投与する工程を含む処置方法は、UCの診断スコアの減少をもたらす。例えば、そのスコアは、診断スコア、例えばメイヨースコアを、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11点変化させ得る。
回腸嚢炎
さらにまたはあるいは、本明細書に記載されるA.ハドルス株を含む組成物および投与方法は、回腸嚢炎を処置するために使用され得る。回腸嚢炎は、UCの処置において外科的に形成される嚢状部の内層の炎症である。詳細に、重篤なUCを有する対象は、罹患した結腸を除去され、回腸肛門吻合術(IPAA)またはJ型貯留嚢形成術と呼ばれる手順により腸が再連結される。回腸嚢炎の症例は、多くの患者において、急性再発性回腸嚢炎または慢性非寛解性回腸嚢炎のいずれかとして再発し得る。したがって、回腸嚢炎、急性回腸嚢炎または再発性回腸嚢炎を処置する方法が、本明細書に提供される。
さらにまたはあるいは、本明細書に記載されるA.ハドルス株を含む組成物および投与方法は、回腸嚢炎を処置するために使用され得る。回腸嚢炎は、UCの処置において外科的に形成される嚢状部の内層の炎症である。詳細に、重篤なUCを有する対象は、罹患した結腸を除去され、回腸肛門吻合術(IPAA)またはJ型貯留嚢形成術と呼ばれる手順により腸が再連結される。回腸嚢炎の症例は、多くの患者において、急性再発性回腸嚢炎または慢性非寛解性回腸嚢炎のいずれかとして再発し得る。したがって、回腸嚢炎、急性回腸嚢炎または再発性回腸嚢炎を処置する方法が、本明細書に提供される。
回腸嚢炎の活動は、寛解(活動性回腸嚢炎なし)、軽度〜中等度活動性(便頻度の増加、切迫および/もしくは低頻度の失禁)、または重度活動性(高頻度の失禁および/もしくは患者が脱水症状で入院)に分類され得る。回腸嚢炎の期間は、急性(4週間以下)または慢性(4週間以上)で定義され得、パターンは低頻度(1〜2回の急性的事象)、再発性(3もしくは複数回の事象)または継続的と分類され得る。医学的処置への応答は、処置応答性または処置不応性と称され得、いずれかの症例に対する医薬が指定される。したがって、いくつかの態様において、A.ハドルスを含む組成物を用いた処置が回腸嚢炎の重篤度の低下をもたらすおよび/または寛解をもたらす、回腸嚢炎と診断された対象を処置する方法が提供される。
粘膜炎および粘膜バリア
GI管の粘膜は、上皮バリア、免疫細胞および微生物を含む複雑な微小環境である。健常な結腸においては、精密なバランスが維持されている。管腔微生物は、上皮および粘液からなるバリアにより宿主の免疫系から物理的に隔離されている。IBDの病理は、完全には解明されていないが、粘膜バリアの機能不全により変化した共生細菌相への不適切な宿主応答を伴うものであり得る。Boltin et al., "Mucin Function in Inflammatory Bowel Disease an Update," J. Clin. Gastroenterol., Vol. 47(2):106-111 (Feb. 2013)を参照のこと。
GI管の粘膜は、上皮バリア、免疫細胞および微生物を含む複雑な微小環境である。健常な結腸においては、精密なバランスが維持されている。管腔微生物は、上皮および粘液からなるバリアにより宿主の免疫系から物理的に隔離されている。IBDの病理は、完全には解明されていないが、粘膜バリアの機能不全により変化した共生細菌相への不適切な宿主応答を伴うものであり得る。Boltin et al., "Mucin Function in Inflammatory Bowel Disease an Update," J. Clin. Gastroenterol., Vol. 47(2):106-111 (Feb. 2013)を参照のこと。
粘膜炎は、癌の処置(特に化学療法および放射線)が(口腔から肛門まで及ぶ)腸管を裏張りする高速に分裂する上皮細胞を破壊し、それによって粘膜組織が潰瘍および感染を起こしやすくなったときに起こる。粘膜(mucosa)または粘膜(mucous membrane)としても公知の粘膜組織は、大気に通じるすべての身体通路、例えば気道および消化管を裏張りしており、粘膜を分泌する細胞および関連する腺を有する。口腔粘膜と呼ばれる、口腔を覆うこの内層の一部は、身体の中で最も敏感な部分の1つであり、化学療法および放射線に対して特に脆弱である。口腔は、粘膜炎の最も一般的な場所である。口腔粘膜は、粘膜毒性およびそれによる粘膜炎の最も高頻度の部位であるが、粘膜炎はまた、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(結腸)および直腸を含む消化管全体に沿って発生し得ることが理解されている。いくつかの態様において、A.ハドルスを含む組成物は、口腔、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(結腸)および/または直腸の粘膜炎を処置する上で治療的に有効である。
口腔粘膜炎は、疼痛、食事をとれなくなる結果としての栄養問題、および粘膜における開いた傷口に起因する感染の危険の上昇を含む、重大な問題を引き起こし得る。それは、患者の生活品質に対して大きな影響を有し、用量制限的であり得る(すなわち、その後の化学療法の用量の減少が必要となる)。世界保健機関は、グレード1:傷±紅斑、グレード2:紅斑、潰瘍;患者は固形食を飲み込むことが可能である、グレード3:広範囲の紅斑を伴う潰瘍;患者は固形食を飲み込むことができない;グレード4:栄養補給が不可能な程度の粘膜炎、という口腔粘膜の診断のための口内毒性尺度を有している。グレード3およびグレード4の口腔粘膜炎は、重度粘膜炎とみなされる。したがって、A.ハドルスを含む組成物の投与が口内毒性のグレードを1〜4のグレード尺度の少なくとも1ポイント下げる、口腔粘膜炎と診断された対象を処置する方法が、本明細書に提供される。
任意の上記態様において、本明細書に提供される組成物を投与された対象は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、小児科UC、クローン病、小児科クローン病、小腸症候群、GI粘膜炎、口腔粘膜炎、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(結腸)および/または直腸の粘膜炎、化学療法誘発粘膜炎、放射線誘発粘膜炎、壊死性腸炎、回腸嚢炎、代謝疾患、セリアック病、過敏性腸症候群または化学療法関連脂肪性肝炎(CASH)に付随する体重減少の軽減を経験し得る。いくつかの態様において、組成物の投与後の対象の体重減少は、組成物の投与を受けなかった同等患者のそれ未満である。例えば、組成物の投与後の対象の体重減少は、組成物の投与を受けなかった同等患者のそれよりも約5 lbs、10 lbs、15 lbs、20 lbs、25 lbs、または30 lbs少ない。いくつかの態様において、対象の体重減少は、組成物の最初の投与から3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または12ヶ月後に測定される。
A.ハドルスを含む組成物
本開示の微生物組成物は、本明細書に記載されるように、全体的な健康および幸福を増進するためならびに/または疾患もしくは障害、例えば代謝障害を処置もしくは予防するために、それを必要とする対象に投与され得る。いくつかの態様において、微生物組成物は生きた細菌製品(LBP)であり、他の態様において、微生物組成物はプロバイオティクスである。いくつかの態様において、細菌(A.ハドルス)は、単離され、そして微生物の数または濃度を増加させ、それによって微生物集団を含む組成物の治療効果を強化するよう動物外で培養されたものである。いくつかの態様において、本明細書に提供される組成物は、細菌の集団(すなわち、A.ハドルス株またはその変種の集団)を含み、集団の各メンバーは、実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。
本開示の微生物組成物は、本明細書に記載されるように、全体的な健康および幸福を増進するためならびに/または疾患もしくは障害、例えば代謝障害を処置もしくは予防するために、それを必要とする対象に投与され得る。いくつかの態様において、微生物組成物は生きた細菌製品(LBP)であり、他の態様において、微生物組成物はプロバイオティクスである。いくつかの態様において、細菌(A.ハドルス)は、単離され、そして微生物の数または濃度を増加させ、それによって微生物集団を含む組成物の治療効果を強化するよう動物外で培養されたものである。いくつかの態様において、本明細書に提供される組成物は、細菌の集団(すなわち、A.ハドルス株またはその変種の集団)を含み、集団の各メンバーは、実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。
いくつかの態様において、微生物組成物は、生きた細菌集団の形態である。生きた集団は、例えば、冷凍、凍結保護または凍結乾燥され得る。他の態様において、微生物組成物は、生きていない細菌調製物またはその細胞成分を含む。いくつかの態様において、微生物組成物が生きていない細菌調製物の形態である場合、それは、例えば、熱殺傷された細菌、照射された細菌および溶解された細菌から選択される。
いくつかの態様において、細菌種は、他の生物種を実質的に含まない、生物学的に純粋な形態である。いくつかの態様において、細菌種は、単一の生物種の培養物の形態である。
本開示にしたがうA.ハドルスを含む組成物は、対象への投与に適した多くの許容されるプロバイオティクスまたはLBP送達システムのいずれかであり得る。重要なことは、生きたA.ハドルスの集団の送達のための組成物は、微生物の生存性を維持するよう配合されなければならないことである。いくつかの態様において、組成物は、胃の酸性環境から細菌を保護する要素を含む。いくつかの態様において、組成物は、腸溶性コーティングを含む。
いくつかの態様において、組成物は、食物ベースの製品である。食物ベースの製品は、例えば、ヨーグルト、チーズ、ミルク、ミート、クリームまたはチョコレートであり得る。そのような食物ベースの製品は、食用であるとみなされ得、これは、それがヒトまたは動物の摂食に関して承認されていることを意味する。
本開示の1つの局面は、上記の細菌種を含む食品に関する。「食品」という用語は、固形物、ゼリーまたは液体であり得るすべての摂食可能な製品を網羅することが意図されている。適切な食品は、例えば、機能性食品、食物組成物、ペットフード、家畜飼料、健康食品、飼料原料等を含み得る。いくつかの態様において、食品は、処方された健康食品である。
本明細書で使用される場合、「機能性食品」という用語は、栄養効果を提供するだけでなく、消費者にさらなる有益な効果を届けることができる食物を意味する。したがって、機能性食品は、純粋な栄養効果以外の特定の機能、例えば医学的または生理学的利益をその食品に付与するそれらに組み込まれた要素または成分(例えば、本明細書に記載されるそれら)を有する日常食である。
本開示に適用可能な具体的食品の例は、ミルクベースの製品、調理済みデザート、例えばミルクまたは水で再構成するための粉末、チョコレートミルク飲料、モルト飲料、調理済み料理、即席料理もしくはヒト用飲料またはヒト、ペットもしくは家畜用が意図された完全もしくは部分食のための食物組成物を含む。
1つの態様において、本開示にしたがう組成物は、ヒト、ペットまたは家畜用が意図された食品である。組成物は、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジまたは家禽からなる群より選択される動物用が意図され得る。別の態様において、組成物は、成体種、特に成人用が意図された食品である。
本開示の別の局面は、上記の細菌種を含む食品、ダイエタリー・サプリメント、ニュートラシューティカル、栄養配合物、飲料および医薬、ならびにそれらの使用に関する。
本開示において、「ミルクベースの製品」は、様々な脂肪含量を有する任意の液体または半固体ミルクまたは乳清ベースの製品を意味する。ミルクベースの製品は、例えば、牛乳、ヤギのミルク、ヒツジのミルク、脱脂乳、ホールミルク、加工なしで粉末ミルクおよび乳清から再構成されたミルク、または加工品、例えばヨーグルト、凝乳、カード、サワーミルク、サワーホールミルク、バターミルクおよび他のサワーミルク製品であり得る。別の重要なグループは、乳飲料、例えば乳清飲料、発酵乳、練乳、乳児または幼児用ミルク、フレーバーミルク、アイスクリーム、ミルク含有食、例えば甘菓子を含む。
微生物組成物は、錠剤、チュアブル錠、カプセル、スティックパック、粉末または発泡粉末であり得る。組成物は、細菌を含むコーティングされたビーズを含み得る。粉末は、飲用液体、例えば投与用水に懸濁または溶解され得る。
いくつかの態様において、微生物組成物は、単離された微生物を含む。単離された微生物は、1つまたは複数の追加の物質と共に組成物に含まれ得る。例えば、単離された微生物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤と共に薬学的組成物に含まれ得る。単離された微生物を含む薬学的組成物を配合する前に、単離された微生物は、その微生物の集団を増加させるようインビトロで培養され得る。
いくつかの態様において、微生物組成物は、ヒトの健康を促進または改善するために使用され得る。いくつかの局面において、微生物組成物は、腸の健康を改善するために使用され得る。いくつかの局面において、微生物組成物は、食欲を調節するために使用され得る。いくつかの局面において、微生物組成物は、血中グルコースレベルを調節するために使用され得る。いくつかの局面において、微生物組成物は、インスリン感受性を調節するために使用され得る。
いくつかの態様において、開示される微生物組成物は、対象の食欲を調節するために使用される。
本明細書に記載される微生物はまた、予防用途でも使用され得る。予防用途において、本開示にしたがう細菌種または組成物は、特定の疾患にかかりやすい、またはそうでなければ特定の疾患の危険がある患者に対して、疾患を発症する危険を少なくとも部分的に低下させるのに十分な量で投与される。その正確な量は、多くの患者特有の要因、例えばその患者の健康状態および体重に依存する。
SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7と少なくとも75%、80%または85%同一の16S rRNA遺伝子を有する細菌(例えば、A.ハドルス)を含む治療組成物を対象に投与する工程を含む、対象の全体的なフィットネスまたは健康を維持または改善する方法もまた、本明細書に提供される。本明細書に提供される組成物は典型的に、細菌の集団を含み、集団の各メンバーは実質的に同一の16S rRNA遺伝子配列を有する。いくつかの態様において、組成物はさらに、薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの態様において、組成物の投与後の患者の全体的なフィットネスまたは健康は、その組成物の投与を受けなかった同等患者のそれよりも高い。全体的なフィットネスまたは健康は、当技術分野において理解されている方法および技術を用いて評価され得る。例えば、本明細書に提供される、全体的なフィットネスおよび健康に関連する組成物の投与の利益は、病原体量の減少、微生物の発酵パターンの改善、栄養吸収の改善、免疫機能の改善、腸ホルモンシグナルおよび代謝調節の改善、消化の支援、トレーニングの持久力もしくはパフォーマンスの持久力の増大、乳酸レベルを上昇させる身体活動中または身体活動後のヒトにおける乳酸レベルの低下、身体活動により発生するヒト体内での炎症の減少、身体活動中の体内でのエネルギー代謝の増加、身体活動時のヒトによるアスレチックトレーニング、パフォーマンスもしくはリカバリの改善、炎症および上昇した乳酸レベルを発生させる身体活動からの回復、または体重減少の促進を含み得る。
いくつかの局面において、本開示は、本明細書に記載される微生物およびそれらの組み合わせを含む様々な即時および制御放出配合物を提供する。制御放出配合物は、ときどき、細菌上に施された制御放出コーティングを含む。特定の態様において、制御放出コーティングは、腸溶コーティング、半腸溶コーティング、遅延放出コーティングまたはパルス放出コーティングが望まれ得る。特に、コーティングは、それが能動的放出(すなわち、治療微生物およびそれらの組み合わせの放出)において適切な遅延を提供する場合に適切であろう。いくつかの態様においては、腸内の所望の標的に到達する前に教示される微生物を分解および/または破壊する可能性がある胃の酸性環境に治療微生物およびそれらの組み合わせが放出されることが望まれないことが理解されるであろう。
いくつかの態様において、本開示の微生物組成物は、上記のようにA.ハドルスおよびその任意の変種を含む。
いくつかの態様において、本開示の薬学的微生物組成物はさらに、組成物の総重量に対して約1〜約30重量%の量のプレバイオティクスを含む。例えば、プレバイオティクスは、組成物の総重量の5〜20重量%であり得る。例示的な炭水化物は、フルクトオリゴ糖(またはFOS)、短鎖フルクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ペクチン、キシロオリゴ糖(またはXOS)、キトサンオリゴ糖(またはCOS)、ベータグルカン、アラブルガム(arable gum)、加工および難消化性デンプン、ポリデキストロース、D-タガトース、アカシアファイバー、キャロブ、オーツ麦およびシトラスファイバーから選択される。例えば、1つの態様において、プレバイオティクスは、短鎖フルクトオリゴ糖(簡略化のために以下ではFOSs-c.cと示される)であり得、FOSs-c.c.は、消化可能な炭水化物ではなく、一般にテンサイの変換によって得られ、3つのグルコース分子が結合したサッカロース分子を含む。
1つの態様において、組成物はさらに、少なくとも1つの他の種類の他の食品等級の細菌を含み、食品等級の細菌は、好ましくは、乳酸菌、ビフィズス菌、プロピオニバクテリウムまたはそれらの混合物からなる群より選択される。
いくつかの態様において、微生物組成物は、106〜1012 CFU(コロニー形成単位)、108〜1012 CFU、1010〜1012 CFU、108〜1010 CFUまたは108〜1011 CFUのA.ハドルスを含む。他の態様において、微生物の組み合わせは、約106、約107、約108、約109、約1010、約1011または約1012 CFUのA.ハドルスを含む。
投与
本開示にしたがうA.ハドルスを含む組成物は、それを投与する個体内の所望の作用部位への送達用に配合され得る。例えば、組成物は、胃腸管腔への投与用にまたは腸、末端回腸もしくは直腸における遅延放出用に配合され得る。
本開示にしたがうA.ハドルスを含む組成物は、それを投与する個体内の所望の作用部位への送達用に配合され得る。例えば、組成物は、胃腸管腔への投与用にまたは腸、末端回腸もしくは直腸における遅延放出用に配合され得る。
医薬として、すなわち、疾患または状態の処置または予防のために用いられる場合、本明細書に記載される組成物は、典型的に、薬学的組成物の形態で投与される。そのような組成物は、薬学分野において周知の様式で調製され得、少なくとも1つの活性剤、すなわち、本明細書に記載される生きた細菌を含む。通常、組成物は、薬学的に有効な量、すなわち、治療的または予防的に有効な量で投与される。投与される活性剤、すなわち本明細書に記載される細菌、の量は、典型的に、処置される状態、選択される投与経路、投与される微生物または微生物群の活性、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重篤度等を含む関連する状況に照らして、医師によって決定されるであろう。
経口投与のための組成物は、バルク溶液もしくは懸濁液、またはバルク粉末の形態をとり得る。しかし、より一般的には、組成物は、正確な投薬を容易にする単位剤形として提供される。典型的な単位剤形は、事前に充填された、事前に測量された液体組成物のアンプルもしくはシリンジまたは固体組成物の場合はピル、錠剤、カプセル等を含む。
経口投与可能または注射投与可能な組成物のための上記成分は、代表例にすぎない。他の物質および処理技術等は、参照により本明細書に組み入れられる、Remington's The Science and Practice of Pharmacy、第21版、2005年、出版元Lippincott Williams & Wilkinsの第8部に示されている。
経口投与の場合、具体的使用は、圧縮錠、ピル、錠剤、ゲル(gellule)、ドロップおよびカプセルから構成される。
別の態様において、本開示の組成物は、1つまたは複数の他の活性剤と組み合わせて投与される。そのような例において、本開示の組成物は、1つまたは複数の他の活性剤と連続して、同時にまたは順に投与され得る。
用量および投与スケジュール
本明細書に開示される用量は、平均的な症例の一例である。当然のことながら、より高いまたは低い用量範囲が有益である個別の例が存在し得、それらも本発明の範囲内である。
本明細書に開示される用量は、平均的な症例の一例である。当然のことながら、より高いまたは低い用量範囲が有益である個別の例が存在し得、それらも本発明の範囲内である。
いくつかの態様において、対象における有効一日用量は、約1x106〜約1x1012コロニー形成単位(CFU)、1x107〜1x1012 CFU、1x108〜1x1012 CFU、1x108〜1x1011 CFU、1x108〜1x1010 CFU、1x108〜1x109 CFU、1x109〜1x1012 CFU、1x1010〜1x1012 CFUまたは1x1010〜1x1011 CFUであり得る。対象は、ヒトまたは非ヒト霊長類であり得る。あるいは、対象は、別の哺乳類、例えばラット、マウス、ウサギ等であり得る。
いくつかの態様において、一日用量は、約1〜2週間、1〜4週間、1〜2ヶ月、1〜6ヶ月または1〜12ヶ月の間、毎日対象に投与され得る。
あるいは、約1x106〜約1x1012 CFU、1x107〜1x1012 CFU、1x108〜1x1012 CFU、1x108〜1x1011 CFU、1x108〜1x1010 CFU、1x108〜1x109 CFU、1x109〜1x1012 CFU、1x1010〜1x1012 CFUまたは1x1010〜1x1011 CFUの範囲であり得る用量は、1日おきに、週に3回、週に5回、月に1回、月に2回、月に3回、2ヶ月に1回、または1年に3回、4回もしくは6回、対象に投与され得る。これらの態様において、用量は、約1〜2週間、1〜4週間、1〜2ヶ月、1〜6ヶ月または1〜12ヶ月におよぶ期間、対象に投与され得る。
対象に投与される用量は、疾患および/もしくは状態を処置する、疾患および/もしくは状態を部分的に好転させる、疾患および/もしくは状態を完全に好転させる、または健常状態のマイクロバイオームを構築するのに十分であるべきである。いくつかの局面において、対象に投与される用量は、炎症障害の症状を処置または改善するのに十分であるべきである。いくつかの態様において、炎症は炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎である。
適切な用量および投薬計画は、当業者に公知の従来的な範囲発見技術によって決定され得る。通常、処置は、活性成分の最適用量よりも少ない少用量で開始される。その後、用量は、その状況下で最適な効果に到達するまで少ない増分で増加される。有効な用量および処置プロトコルは、例えば実験動物において低用量から開始し、その後に効果をモニタリングしつつ用量を増加させ、かつ投薬計画を体系的に変更もする慣用的、従来的な手段により決定され得る。動物研究は、一般に、体重1キログラムあたりの生物活性剤の最大耐量(「MTD」)を決定するために使用される。当業者は、ヒトを含む他の種において、毒性を回避しつつ効果に関して用量を定期的に推測する。
投薬は、年齢、体重、疾患の重篤度および各投与において投与される用量等の要因を考慮した臨床医または開業医の判断にしたがい、1回または2回以上の投与の組み合わせ、例えば毎日、1日2回、毎週、毎月またはそれ以外であり得る。
別の態様において、有効量は、例えば1 mlあたりもしくは1グラムあたり107〜1011個の細菌を有する1〜500 mlもしくは1〜500グラムの細菌組成物、または107〜1011個の細菌を有する1 mg〜1000 mgの凍結乾燥粉末を有するカプセル、錠剤もしくは坐剤で提供され得る。短期的処置を受ける者は、長期的投与を受ける者(例えば、病院勤務者または長期療養施設に入れられた者)よりも高用量を投与され得る。
上記の有効用量は、例えば、経口的に、直腸に、静脈内に、皮下注射を通じて、または経皮的に投与され得る。有効用量は、固形物または液体として提供され得、1つまたは複数の剤形単位(例えば、錠剤またはカプセル)内に存在し得る。
併用療法
A.ハドルス株を含む本明細書に記載される組成物は、他の治療および/または薬学的組成物と組み合わされ得る。例えば、炎症性腸疾患を患った患者は、その状態を処置するために彼ら/彼女らの医師により処方された医薬をすでに服用している場合がある。態様において、本明細書に教示される薬学的組成物は、患者の既存の医薬と共に投与され得る。
A.ハドルス株を含む本明細書に記載される組成物は、他の治療および/または薬学的組成物と組み合わされ得る。例えば、炎症性腸疾患を患った患者は、その状態を処置するために彼ら/彼女らの医師により処方された医薬をすでに服用している場合がある。態様において、本明細書に教示される薬学的組成物は、患者の既存の医薬と共に投与され得る。
例えば、本明細書に記載されるA.ハドルス株を含む組成物は、プレバイオティクス、下痢止め、5-アミノサリチル酸化合物、抗炎症剤、抗生物質、抗体(例えば、炎症性サイトカインを標的化する抗体、例えば、抗サイトカイン剤、例えば抗TNF-a(例えば、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、インフリキシマブ、V565)または抗IL-12/IL-23(例えば、ウステキヌマブ、リサンキズマブ、ブラジクマブ、ウステキヌマブ)を標的化する抗体)、JAK阻害剤(例えば、トファシチニブ、PF0670084 l、PF06651600、フィルゴチニブ、ウパダシチニブ(upadacitinib)、抗インテグリン剤(例えば、ベドリズマブ、エトロリズマブ)、SIP阻害剤(例えば、エトラシモド、オザニモド、アミセリモド)、組み換え細胞ベースの剤(例えば、Cx601)、ステロイド、コルチコステロイド、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリンおよびメルカプトプリン)、ビタミンならびに/または専用食の1つまたは複数と組み合わされ得る。
組成物は、1つまたは複数のプレバイオティクスありまたはなしで、抗微生物剤を含む、併用療法様式で他の薬剤と共に投与され得る。投与は、一定時間または一定日数にわたって順次、または同時であり得る。
診断
いくつかの他の態様において、サンプル(例えば、便サンプルまたは腸生検)におけるA.ハドルスのレベルは、定量PCR(qPCR)を用いて検出され得る。例えば、微生物DNAは、当業者に公知の方法を用いてサンプルから抽出され得る。qPCRにおいて、抽出されたDNAからの16S rRNA遺伝子は、ユニバーサルプライマーを用いて増幅され得、同時にユニバーサルプローブを用いて定量され得る。同じqPCRに、関心対象の微生物に特異的なプローブが、その微生物のレベルを定量するために含まれ得る。例えば、qPCRは、総微生物16S rRNA遺伝子の増幅および定量のためのユニバーサルプライマーおよびユニバーサルプローブならびにA.ハドルスに特異的な1つまたは複数のプローブを含み得る。
いくつかの他の態様において、サンプル(例えば、便サンプルまたは腸生検)におけるA.ハドルスのレベルは、定量PCR(qPCR)を用いて検出され得る。例えば、微生物DNAは、当業者に公知の方法を用いてサンプルから抽出され得る。qPCRにおいて、抽出されたDNAからの16S rRNA遺伝子は、ユニバーサルプライマーを用いて増幅され得、同時にユニバーサルプローブを用いて定量され得る。同じqPCRに、関心対象の微生物に特異的なプローブが、その微生物のレベルを定量するために含まれ得る。例えば、qPCRは、総微生物16S rRNA遺伝子の増幅および定量のためのユニバーサルプライマーおよびユニバーサルプローブならびにA.ハドルスに特異的な1つまたは複数のプローブを含み得る。
したがって、いくつかの態様において、対象においてIBD、例えばUCまたはCDを診断する方法は、対象からサンプルを得る工程、便サンプルから微生物DNAを抽出する工程、抽出されたDNAから16S rRNA遺伝子を増幅する工程、qPCRを用いて16S rRNA遺伝子のレベルを定量する工程、およびサンプル中のA.ハドルスのレベルが対照サンプルと比較して増加している場合に、CRCもしくはCRAを有するまたはUCもしくはCDを発症する危険があると対象を診断する工程、を含む。
以下の実施例は、本開示を限定することではなく、例示することが意図されている。
実施例1
本実施例は、IBDを有する対象と比較して健常な対象において有意に高いA.ハドルスの普及度を同定するための、健常 対 有病対象のマイクロバイオータの分析を示す。
本実施例は、IBDを有する対象と比較して健常な対象において有意に高いA.ハドルスの普及度を同定するための、健常 対 有病対象のマイクロバイオータの分析を示す。
A. 方法
研究設計およびサンプル採取
本研究およびサンプル収集は、Clinical Research Ethics Committee of the University College Cork Teaching Hospitalsにより承認された。インフォームド・コンセントは、アイルランド、コークのCork University HospitalまたはBon Secours Hospitalにおいて胃腸管試験を行う前に、すべての参加した個人により提供された。CDまたはUCおよび炎症状態の診断は、標準的な臨床結腸鏡検査時の胃腸管の巨視的精査に基づいた。従来的なモニタリングを行い、いかなる消化器疾患または症候群も診断されなかった成人(18歳以上)を、健常対照とみなした。生検サンプルは、成人IBD患者の炎症組織または対照対象の健常組織から得た。除外基準は、GI検査の1ヶ月前またはGI検査時の抗生物質の使用であった。同病院において、生検を、3 mL RNA-later(Qiagen, Hilden, Germany)を含む5 mLポリプロピレンチューブ(Sarstedt, Numbrecht, Germany)に収集した。生検サンプルは、-80℃に移す前に4℃で24時間保管した。関連する人口統計学的詳細および結腸部位が、表1にまとめられている。
研究設計およびサンプル採取
本研究およびサンプル収集は、Clinical Research Ethics Committee of the University College Cork Teaching Hospitalsにより承認された。インフォームド・コンセントは、アイルランド、コークのCork University HospitalまたはBon Secours Hospitalにおいて胃腸管試験を行う前に、すべての参加した個人により提供された。CDまたはUCおよび炎症状態の診断は、標準的な臨床結腸鏡検査時の胃腸管の巨視的精査に基づいた。従来的なモニタリングを行い、いかなる消化器疾患または症候群も診断されなかった成人(18歳以上)を、健常対照とみなした。生検サンプルは、成人IBD患者の炎症組織または対照対象の健常組織から得た。除外基準は、GI検査の1ヶ月前またはGI検査時の抗生物質の使用であった。同病院において、生検を、3 mL RNA-later(Qiagen, Hilden, Germany)を含む5 mLポリプロピレンチューブ(Sarstedt, Numbrecht, Germany)に収集した。生検サンプルは、-80℃に移す前に4℃で24時間保管した。関連する人口統計学的詳細および結腸部位が、表1にまとめられている。
核酸の抽出および配列決定
生検をRNA-later中で完全に解凍し、その後にAllPrep DNA/RNA/Protein Miniキット(Qiagen)を用いてDNA/RNA精製を行った。解凍した生検を、β-メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA)、3つの3.5 mmガラスビーズおよび0.25 mLの0.1 mmガラスビーズ(Biospec, Bartlesville, OK, USA)を含む350μL RLT緩衝液を含むチューブに移した。破砕および均質化は、MagNA Lyser(Roche, Penzberg, Germany)において3,500または6,500 rpmで15秒間を2回行った。置換多変量分散分析(Permutational Multivariate Analysis of Variance;PERMANOVA)試験は、異なる遠心分離速度がマイクロバイオータに有意な影響を及ぼさなかったことを確認した(データ示さず)。その後のDNA/RNA精製を、キット製造元の指示にしたがい行った。RNAサンプル中のDNA混入物を、製造元の指示(Ambion, Carlsbad, CA, USA)にしたがいTurbo DNA-freeキットにより除去した。DNAおよびRNA濃度を、Nano-Drop 2000分光光度計(Thermo Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて測定した。DNAおよびRNAの完全性を、それぞれ、1%アガロースゲル電気泳動および2100 Bioanalyzerシステム(Agilent Technologies)において検査した。核酸抽出物は、さらなる後続の利用まで-80℃で保管した。RNA-16S分析のために、総RNAを、製造元の指示(Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)にしたがいHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptionキットを用いて逆転写した。Nexteraトランスポサーゼアダプターを含む341Fよび805Rプライマーセット(Klindworth et al. 2013, Nucleic Acids. Res. 41(1): e1):
を用いてPCRを行い、16S rRNA V3〜V4超可変領域を増幅した。鋳型DNAまたはcDNAを、0.2μMの濃度のプライマーおよびPhusion High-Fidelity DNAポリメラーゼ(Thermo Scientific)と混合し、総量を30μLとした。PCR条件は、98℃で30秒、98℃で10秒を30サイクル、55℃で15秒および72℃で20秒であり、72℃で5分間の最終伸長を行った。PCR産物を、アガロースゲル上でのバンドの存在によって検証し、Agencourt AMPure XP磁気ビーズ(Beckman Coulter, Brea, CA, USA)を用いて精製した。精製されたDNA産物を、50μL EB緩衝液(Qiagen)中に溶出させた。5μLのPCR産物を鋳型として用い、最終量50μL中のNextera XTインデックスを含むIlluminaプライマーおよびPhusion High-Fidelity DNAポリメラーゼを用いて8回のさらなるPCRサイクルを行い、Agencourt AMPure XP磁気ビーズを用いて精製した。増幅産物の濃度を、Quant-iT Picogreen dsDNAアッセイキット(Thermo Scientific)を用いて測定した。ライブラリを等モルでプールし、Eurofins Genomics(場所)において2x300 bpリードについてIllumina MiSeqにより配列決定した。RNAサンプルのアリコートを、製造元のプロトコルにしたがいIllumina HiSeq 4000 2xl00リードと共にTruSeq Stranded mRNA Sample Prep Kit(Illumina)を用いてMacrogen(場所)により実施された宿主トランスクリプトームRNAseqのために使用した。
生検をRNA-later中で完全に解凍し、その後にAllPrep DNA/RNA/Protein Miniキット(Qiagen)を用いてDNA/RNA精製を行った。解凍した生検を、β-メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA)、3つの3.5 mmガラスビーズおよび0.25 mLの0.1 mmガラスビーズ(Biospec, Bartlesville, OK, USA)を含む350μL RLT緩衝液を含むチューブに移した。破砕および均質化は、MagNA Lyser(Roche, Penzberg, Germany)において3,500または6,500 rpmで15秒間を2回行った。置換多変量分散分析(Permutational Multivariate Analysis of Variance;PERMANOVA)試験は、異なる遠心分離速度がマイクロバイオータに有意な影響を及ぼさなかったことを確認した(データ示さず)。その後のDNA/RNA精製を、キット製造元の指示にしたがい行った。RNAサンプル中のDNA混入物を、製造元の指示(Ambion, Carlsbad, CA, USA)にしたがいTurbo DNA-freeキットにより除去した。DNAおよびRNA濃度を、Nano-Drop 2000分光光度計(Thermo Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて測定した。DNAおよびRNAの完全性を、それぞれ、1%アガロースゲル電気泳動および2100 Bioanalyzerシステム(Agilent Technologies)において検査した。核酸抽出物は、さらなる後続の利用まで-80℃で保管した。RNA-16S分析のために、総RNAを、製造元の指示(Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)にしたがいHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptionキットを用いて逆転写した。Nexteraトランスポサーゼアダプターを含む341Fよび805Rプライマーセット(Klindworth et al. 2013, Nucleic Acids. Res. 41(1): e1):
を用いてPCRを行い、16S rRNA V3〜V4超可変領域を増幅した。鋳型DNAまたはcDNAを、0.2μMの濃度のプライマーおよびPhusion High-Fidelity DNAポリメラーゼ(Thermo Scientific)と混合し、総量を30μLとした。PCR条件は、98℃で30秒、98℃で10秒を30サイクル、55℃で15秒および72℃で20秒であり、72℃で5分間の最終伸長を行った。PCR産物を、アガロースゲル上でのバンドの存在によって検証し、Agencourt AMPure XP磁気ビーズ(Beckman Coulter, Brea, CA, USA)を用いて精製した。精製されたDNA産物を、50μL EB緩衝液(Qiagen)中に溶出させた。5μLのPCR産物を鋳型として用い、最終量50μL中のNextera XTインデックスを含むIlluminaプライマーおよびPhusion High-Fidelity DNAポリメラーゼを用いて8回のさらなるPCRサイクルを行い、Agencourt AMPure XP磁気ビーズを用いて精製した。増幅産物の濃度を、Quant-iT Picogreen dsDNAアッセイキット(Thermo Scientific)を用いて測定した。ライブラリを等モルでプールし、Eurofins Genomics(場所)において2x300 bpリードについてIllumina MiSeqにより配列決定した。RNAサンプルのアリコートを、製造元のプロトコルにしたがいIllumina HiSeq 4000 2xl00リードと共にTruSeq Stranded mRNA Sample Prep Kit(Illumina)を用いてMacrogen(場所)により実施された宿主トランスクリプトームRNAseqのために使用した。
配列決定データの処理
DADA2(Callahan et al. 2016, Nature Methods, 13:581-583)を用いてDNA-16SおよびRNA-16S配列をノイズ除去処理した。以下を除いてデフォルトパラメータを使用した:filterAndTrimに関して、DNA-16SおよびRNA-16Sのそれぞれについて、trimLeft=c(17,21)、maxEE=c(2,2)、truncLen=c(265,215)およびc(260, 235);mergePairsに関して、DNA-16SおよびRNA-16Sのそれぞれについて、minoverlap=10および20。各工程における配列数の分布が図1に示されている。キメラ除去後、StrainSelect 2016(ワールドワイドウェブのsecondgenome.com/strainselect)を用いて、菌株レベルの分類をリボソーム配列変種(Ribosomal Sequence Variant; RSV)に割り当てた。菌株レベルの割当てが決定されない場合、Greengenes v13.8と共にDADA2のassignTaxonomy機能を用いて97%同一性でクラスター化するより高レベルの分類を割り当てた。希薄度を低下させるために、少量のRSVを、5%の普及度フィルターにかけた。次に、非16S rRNA配列を除去するために、400 bpを超える配列のみを維持した。リードが5000未満のサンプルも、後続の分析から除外した。宿主RNAseqデータに関して、1:30:10 LEADING:20 TRAILING:20 SLIDINGWINDOW:4:20 MINLEN:35のパラメータでTrimmomatic v0.36を用いて、Illuminaアダプターおよび低品質配列を除去した。クオリティフィルターにかけたリードを、HiSat2 v2.1.0(Kim et al., 2015, Nature Methods, 12:357-360)を用いてヒトゲノム(GRCh38)にアラインメントし、デフォルトパラメータを用いるSUBREAD v1.5.2(Liao et al., 2013, Nucleic Acids Res, 41:el08)のfeatureCounts機能を用いて計数表を作成した。
DADA2(Callahan et al. 2016, Nature Methods, 13:581-583)を用いてDNA-16SおよびRNA-16S配列をノイズ除去処理した。以下を除いてデフォルトパラメータを使用した:filterAndTrimに関して、DNA-16SおよびRNA-16Sのそれぞれについて、trimLeft=c(17,21)、maxEE=c(2,2)、truncLen=c(265,215)およびc(260, 235);mergePairsに関して、DNA-16SおよびRNA-16Sのそれぞれについて、minoverlap=10および20。各工程における配列数の分布が図1に示されている。キメラ除去後、StrainSelect 2016(ワールドワイドウェブのsecondgenome.com/strainselect)を用いて、菌株レベルの分類をリボソーム配列変種(Ribosomal Sequence Variant; RSV)に割り当てた。菌株レベルの割当てが決定されない場合、Greengenes v13.8と共にDADA2のassignTaxonomy機能を用いて97%同一性でクラスター化するより高レベルの分類を割り当てた。希薄度を低下させるために、少量のRSVを、5%の普及度フィルターにかけた。次に、非16S rRNA配列を除去するために、400 bpを超える配列のみを維持した。リードが5000未満のサンプルも、後続の分析から除外した。宿主RNAseqデータに関して、1:30:10 LEADING:20 TRAILING:20 SLIDINGWINDOW:4:20 MINLEN:35のパラメータでTrimmomatic v0.36を用いて、Illuminaアダプターおよび低品質配列を除去した。クオリティフィルターにかけたリードを、HiSat2 v2.1.0(Kim et al., 2015, Nature Methods, 12:357-360)を用いてヒトゲノム(GRCh38)にアラインメントし、デフォルトパラメータを用いるSUBREAD v1.5.2(Liao et al., 2013, Nucleic Acids Res, 41:el08)のfeatureCounts機能を用いて計数表を作成した。
統計分析
データ分析および可視化を、R統計環境(Rコア開発チーム)において行った。マイクロバイオータのアルファおよびベータ多様性を、phyloseqパッケージ(McMurdie and Holmes, 2012, Pac Symp Biocomput, 2012:235-246)を用いて計算した。PERMANOVAを、veganパッケージ(Anderson, 2001, Austral Ecol, 26:32-46)のadonis関数を用いて計算した。有意に相違するマイクロバイオータRSVを、metagenomeSeqパッケージ(Paulson et al. 2013, metagenomeSeq: Statistical analysis for sparse high-throughput sequencing. Bioconductor package: 1.11.10 ed. 2013)のゼロ過剰対数正規化FitFeatureModelによって決定した。FitFeatureModelは、1つのグループ内のすべてのサンプルがゼロ配列数であるモデルを推計できないので、そのグループ内のすべてのサンプルがモデル推計前にゼロ配列数であった場合、2つの最も深く配列決定されたサンプルに1カウントを与えた。算出されたp値を、ベンジャミン・ホッホベルグ法により調整した。少なくとも1つのグループ(CD、UCのまたは対照)の対象の少なくとも75%において調整後p値<0.05、絶対log2変化倍率(abs-log2FC)>1かつ非ゼロ配列数であるRSVを、動的RSVと定義した。宿主RNAseqにおける示差的発現分析を、DESeq2パッケージ(Love et al., 2014, Genome Biol, 15:550)をDESeq関数に関してbetaPrior=TRUEオプションで用いて行った。経路エンリッチメント分析を、ReactomeP Aパッケージ(Yu and He, 2016, Molecular BioSystems)を用いて行った。
データ分析および可視化を、R統計環境(Rコア開発チーム)において行った。マイクロバイオータのアルファおよびベータ多様性を、phyloseqパッケージ(McMurdie and Holmes, 2012, Pac Symp Biocomput, 2012:235-246)を用いて計算した。PERMANOVAを、veganパッケージ(Anderson, 2001, Austral Ecol, 26:32-46)のadonis関数を用いて計算した。有意に相違するマイクロバイオータRSVを、metagenomeSeqパッケージ(Paulson et al. 2013, metagenomeSeq: Statistical analysis for sparse high-throughput sequencing. Bioconductor package: 1.11.10 ed. 2013)のゼロ過剰対数正規化FitFeatureModelによって決定した。FitFeatureModelは、1つのグループ内のすべてのサンプルがゼロ配列数であるモデルを推計できないので、そのグループ内のすべてのサンプルがモデル推計前にゼロ配列数であった場合、2つの最も深く配列決定されたサンプルに1カウントを与えた。算出されたp値を、ベンジャミン・ホッホベルグ法により調整した。少なくとも1つのグループ(CD、UCのまたは対照)の対象の少なくとも75%において調整後p値<0.05、絶対log2変化倍率(abs-log2FC)>1かつ非ゼロ配列数であるRSVを、動的RSVと定義した。宿主RNAseqにおける示差的発現分析を、DESeq2パッケージ(Love et al., 2014, Genome Biol, 15:550)をDESeq関数に関してbetaPrior=TRUEオプションで用いて行った。経路エンリッチメント分析を、ReactomeP Aパッケージ(Yu and He, 2016, Molecular BioSystems)を用いて行った。
B. 結果
コホートの人口統計
本研究コホートは、平均10年間と診断され、急性症状に対してIBD薬を投与されているIBD患者からなるものであった(表1)。
コホートの人口統計
本研究コホートは、平均10年間と診断され、急性症状に対してIBD薬を投与されているIBD患者からなるものであった(表1)。
このコホートは、58名のCD、88名のUCおよび39名の対照対象から採取された炎症性結腸粘膜由来の185個の生検サンプルを含むものであった。年齢は、対照で有意に高く(カイ二乗検定p<0.001)、これはより高齢の人々が従来的な結腸鏡検査および組織学を受ける可能性が高いためと考えられた。しかし、性別は、3つのグループ間で有意に異ならなかった(ANOVA p=0.743)。何らかの特定のマイクロバイオータが年齢に関連するかどうかを理解するため、年齢とDNA-16SまたはRNA-16S RSV量の間で相関試験を行った。最大の相関係数は、DNA-16SおよびRNA-16S RSVについて、それぞれ、rho=0.29および0.3であり、それらはいずれも有意でなかった(調整後p>0.05)。これらの結果から、以下の統計試験は、年齢によって調整しなかった。
DNA-16SおよびRNA-16Sの両方のマイクロバイオータ組成および多様性は疾患に関連する
UC、CDおよび対照の腸粘膜のマイクロバイオータをプロファイルするために、16S rRNA遺伝子量および発現を、利用可能なサンプルにおいてDNA(DNA-16S)およびcDNA(RNA-16S)を配列決定することにより試験した:DNA-16S、61個のUC、42個のCDおよび29個の対照;RNA-16S、75個のUC、46個のCDおよび25個の対照サンプル;35個のCD、52個のUCおよび15個の対照はDNA-16SとRNA-16Sの間で共通である。方法に記載されるすべての事前処理の後、ノイズ除去されたRSVのカウントは、DNA-16SおよびRNA-16Sについて、それぞれ、14,872±6,048および21,324±7,742(平均±SD)であった。配列をノイズ除去処理し、DNA-16SおよびRNA-16Sについて、それぞれ、313個および435個のRSVを得た。PERMANOVA試験は、DNA-16S(p=0.002)およびRNA-16S(p=0.001)においてCD、UC、および対照間でRSV組成が有意に相違することを確認した。さらに、RSV組成はまた、DNA-16Sにおいては年齢グループで有意に相違したが(p=0.021)、RNA-16Sにおいてはそうではなかった。性別は、両方のデータセットにおいてRSV組成に関連しなかった(p>0.05)。アルファ多様性は、両方のデータセットにおいて、クラスカル・ウォリス検定により、CD、UC、および対照グループの間で有意に相違した(p<0.05;図2A(DNA-16Sの豊富さおよびシャノン多様性)ならびに図2B(RNA-16Sの豊富さおよびシャノン多様性))。ウィルコクソン順位和検定を使用して、グループ間の差をさらに比較した。両方のデータセットにおいて、UC 対 対照間のシャノン多様性を除くすべての組み合わせは、有意差を示した(p<0.05)。
UC、CDおよび対照の腸粘膜のマイクロバイオータをプロファイルするために、16S rRNA遺伝子量および発現を、利用可能なサンプルにおいてDNA(DNA-16S)およびcDNA(RNA-16S)を配列決定することにより試験した:DNA-16S、61個のUC、42個のCDおよび29個の対照;RNA-16S、75個のUC、46個のCDおよび25個の対照サンプル;35個のCD、52個のUCおよび15個の対照はDNA-16SとRNA-16Sの間で共通である。方法に記載されるすべての事前処理の後、ノイズ除去されたRSVのカウントは、DNA-16SおよびRNA-16Sについて、それぞれ、14,872±6,048および21,324±7,742(平均±SD)であった。配列をノイズ除去処理し、DNA-16SおよびRNA-16Sについて、それぞれ、313個および435個のRSVを得た。PERMANOVA試験は、DNA-16S(p=0.002)およびRNA-16S(p=0.001)においてCD、UC、および対照間でRSV組成が有意に相違することを確認した。さらに、RSV組成はまた、DNA-16Sにおいては年齢グループで有意に相違したが(p=0.021)、RNA-16Sにおいてはそうではなかった。性別は、両方のデータセットにおいてRSV組成に関連しなかった(p>0.05)。アルファ多様性は、両方のデータセットにおいて、クラスカル・ウォリス検定により、CD、UC、および対照グループの間で有意に相違した(p<0.05;図2A(DNA-16Sの豊富さおよびシャノン多様性)ならびに図2B(RNA-16Sの豊富さおよびシャノン多様性))。ウィルコクソン順位和検定を使用して、グループ間の差をさらに比較した。両方のデータセットにおいて、UC 対 対照間のシャノン多様性を除くすべての組み合わせは、有意差を示した(p<0.05)。
RNA-16Sサンプルの微生物組成はDNA-16Sサンプルからのシフトを示す
両方のデータセットを有する102個のサンプルを用いて、DNA-16SおよびRNA-16Sデータを比較した。合計486個のRSVのうち、262個が2つのデータセット間で共有されており、51および173個のRSVが、それぞれ、DNA-16SおよびRNA-16Sに固有であった。ブレイ・カーチス非類似度行列における主座標分析(PCoA)は、DNA-16S(丸)からRNA-16S(三角)への顕著なシフトを示し(図3)、PERMANOVA試験は2つのデータセット間の有意差を確認した(p=0.001)。楕円は、DNA-16SおよびRNA-16S間の疾患状態(CD、UCまたは対照)ごとの類似のシフトを示した。
両方のデータセットを有する102個のサンプルを用いて、DNA-16SおよびRNA-16Sデータを比較した。合計486個のRSVのうち、262個が2つのデータセット間で共有されており、51および173個のRSVが、それぞれ、DNA-16SおよびRNA-16Sに固有であった。ブレイ・カーチス非類似度行列における主座標分析(PCoA)は、DNA-16S(丸)からRNA-16S(三角)への顕著なシフトを示し(図3)、PERMANOVA試験は2つのデータセット間の有意差を確認した(p=0.001)。楕円は、DNA-16SおよびRNA-16S間の疾患状態(CD、UCまたは対照)ごとの類似のシフトを示した。
アナエロスティペス・ハドルスの代謝活性はUCおよびCDの両方において有意に欠乏した
次に、DNA-16SおよびRNA-16Sにおいて対照との比較でCDおよびUCに関連する微生物の特徴を同定した。DNA-16Sデータセットにおいて、3個および12個のRSVが、それぞれ、対照と比較してCDおよびUCにおいて有意に(調整後p<0.05およびabs-log2FC>1)欠乏していた(図4)。これらの中で、コプロコッカス属のRSV2のみが、CDおよびUCの両方において欠乏した動的RSV(上記の実施例1の方法の節における定義を参照のこと)であった。DNA-16Sにおいては、3個のさらなるRSVが動的であり、UCサンプルにおいて欠乏していた;アナエロスティペス・ハドルスRSVおよび単一株に特異的な2個の他のRSV:コプロコッカス・カタス(Coprococcus catus)GD/7およびゲンミゲル・フォルミシリス(Gemmiger formicilis)X2-56。RNA-16Sデータセットにおいては、10個および9個のRSVが、それぞれ、対照と比較してCDおよびUCにおいて有意に(調整後p<0.05およびabs-log2FC>1)欠乏していた(図4)。これらのうち、A.ハドルスRSV(CDおよびUCの両方において欠乏)、C.カタスGD/7(CDにおいて欠乏)、G.フォルミシリスX2-56(UCにおいて欠乏)、スラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens)HE8(UCにおいて欠乏)、ステレラ・ワドスウォルテンシス2_1_59BFAA(CDにおいて豊富)、ツリシバクター・サングイニス(Turicibacter sanguinis)MOL361(CDにおいて欠乏)、未分類のコプロコッカス属のRSV1(CDにおいて豊富)およびRSV2(UCにおいて欠乏)、未分類のラクノスピラ(Lachnospiraceae)科のRSV1(UCにおいて欠乏)およびRSV2(CDにおいて欠乏)の合計10個のRSVが動的であった。
次に、DNA-16SおよびRNA-16Sにおいて対照との比較でCDおよびUCに関連する微生物の特徴を同定した。DNA-16Sデータセットにおいて、3個および12個のRSVが、それぞれ、対照と比較してCDおよびUCにおいて有意に(調整後p<0.05およびabs-log2FC>1)欠乏していた(図4)。これらの中で、コプロコッカス属のRSV2のみが、CDおよびUCの両方において欠乏した動的RSV(上記の実施例1の方法の節における定義を参照のこと)であった。DNA-16Sにおいては、3個のさらなるRSVが動的であり、UCサンプルにおいて欠乏していた;アナエロスティペス・ハドルスRSVおよび単一株に特異的な2個の他のRSV:コプロコッカス・カタス(Coprococcus catus)GD/7およびゲンミゲル・フォルミシリス(Gemmiger formicilis)X2-56。RNA-16Sデータセットにおいては、10個および9個のRSVが、それぞれ、対照と比較してCDおよびUCにおいて有意に(調整後p<0.05およびabs-log2FC>1)欠乏していた(図4)。これらのうち、A.ハドルスRSV(CDおよびUCの両方において欠乏)、C.カタスGD/7(CDにおいて欠乏)、G.フォルミシリスX2-56(UCにおいて欠乏)、スラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens)HE8(UCにおいて欠乏)、ステレラ・ワドスウォルテンシス2_1_59BFAA(CDにおいて豊富)、ツリシバクター・サングイニス(Turicibacter sanguinis)MOL361(CDにおいて欠乏)、未分類のコプロコッカス属のRSV1(CDにおいて豊富)およびRSV2(UCにおいて欠乏)、未分類のラクノスピラ(Lachnospiraceae)科のRSV1(UCにおいて欠乏)およびRSV2(CDにおいて欠乏)の合計10個のRSVが動的であった。
宿主RNAseqは対照との比較でCDおよびUCにおける炎症を確認した
162個のサンプル(52個のCD、83個のUCおよび27個の対照)のRNAseqライブラリ由来の品質トリミングした宿主RNAseqリードを、32,471個の遺伝子とアラインメントさせ、サンプルあたりの総リード数は19,590,032±7,012,749(平均±SD)であった。サンプル間のユークリッド距離を用いたPERANOVA試験は、CD、UC、および対照グループが有意に相違する(p=0.001)ことを示し、これは主成分分析における対照グループからのCD、UCのシフトとして示される(データ示さず)。さらに、年齢(p=0.008)は、PERMANOVA試験により宿主遺伝子発現に有意に関連したが、性別(p=0.096)は関連しなかった。1,579個の遺伝子が、対照と比較してCDにおいて有意に示差的に発現されていた(調整後p<0.05およびabs-log2FC>1)。これらの遺伝子の中で、FOLH1(log2FC=4.02)、MTTP(log2FC=3.71)およびCXCL8(log2FC=3.68)は、最も高いabs-log2FCを示し、すべてCDにおいて上方調節されていた。CXCL8は、炎症応答の主要なメディエーターである好中球ケモカインをコードし、活動性の疾患状態を有するIBD患者の腸粘膜において上昇することが示された(Mazzucchelli et al., 1994, Am J Pathol, 144:997-1007)。FOLH1は、Rais et al.(2016, JCI Insight, 1:e88634)によりIBD患者において上昇することが見いだされた葉酸ヒドロラーゼをコードする。対照と比較してUCにおいて有意に示差的に発現された1,469個の遺伝子のうち、C2CD4A(log2FC=3.50)、DUOXA2(log2FC=3.49)およびIGHGP(log2FC=3.37)は、UCにおいて最も高い遺伝子上方調節を示した。C2CD4Aは、炎症応答に関連することが知られている(Warton et al., 2004, Gene, 342:85-95)。経路エンリッチメント分析は、対照と比較してCDおよびUCの両患者においてIL-4/IL-13、細胞外マトリクスの組織化、コラーゲン分解およびIL-10シグナル伝達経路の有意な変化を示した。これらの結果は、対照と比較してCDおよびUC患者において上昇した炎症応答および粘膜ダメージを確認した。
162個のサンプル(52個のCD、83個のUCおよび27個の対照)のRNAseqライブラリ由来の品質トリミングした宿主RNAseqリードを、32,471個の遺伝子とアラインメントさせ、サンプルあたりの総リード数は19,590,032±7,012,749(平均±SD)であった。サンプル間のユークリッド距離を用いたPERANOVA試験は、CD、UC、および対照グループが有意に相違する(p=0.001)ことを示し、これは主成分分析における対照グループからのCD、UCのシフトとして示される(データ示さず)。さらに、年齢(p=0.008)は、PERMANOVA試験により宿主遺伝子発現に有意に関連したが、性別(p=0.096)は関連しなかった。1,579個の遺伝子が、対照と比較してCDにおいて有意に示差的に発現されていた(調整後p<0.05およびabs-log2FC>1)。これらの遺伝子の中で、FOLH1(log2FC=4.02)、MTTP(log2FC=3.71)およびCXCL8(log2FC=3.68)は、最も高いabs-log2FCを示し、すべてCDにおいて上方調節されていた。CXCL8は、炎症応答の主要なメディエーターである好中球ケモカインをコードし、活動性の疾患状態を有するIBD患者の腸粘膜において上昇することが示された(Mazzucchelli et al., 1994, Am J Pathol, 144:997-1007)。FOLH1は、Rais et al.(2016, JCI Insight, 1:e88634)によりIBD患者において上昇することが見いだされた葉酸ヒドロラーゼをコードする。対照と比較してUCにおいて有意に示差的に発現された1,469個の遺伝子のうち、C2CD4A(log2FC=3.50)、DUOXA2(log2FC=3.49)およびIGHGP(log2FC=3.37)は、UCにおいて最も高い遺伝子上方調節を示した。C2CD4Aは、炎症応答に関連することが知られている(Warton et al., 2004, Gene, 342:85-95)。経路エンリッチメント分析は、対照と比較してCDおよびUCの両患者においてIL-4/IL-13、細胞外マトリクスの組織化、コラーゲン分解およびIL-10シグナル伝達経路の有意な変化を示した。これらの結果は、対照と比較してCDおよびUC患者において上昇した炎症応答および粘膜ダメージを確認した。
A.ハドルスの代謝活性はO-グリカン生合成経路の終結に関連した
A.ハドルスRSVはRNA-16Sデータセットにおいて対照と比較してUCおよびのCDの両方で動的に欠乏した唯一のものなので、宿主の疾患状態によらずに宿主RNAseqに対してA.ハドルスRSV RNA-16S量を比較することによりその活性が宿主の遺伝子発現に関連するかどうかを決定するためのさらなる調査を行った。その結果、A.ハドルスRSVと関連する191個の有意に示差的に発現される遺伝子(調整後p値<0.05)が同定され、そのうちの115個の遺伝子は、対照と比較してUCまたはCDのいずれかの間で示差的に発現されなかった。同定された191個の遺伝子の経路エンリッチメント分析は、17個の有意に豊富になった経路を同定した(調整後p<0.05)。有意に示差的に発現される一連の遺伝子を見出すために、各経路を調査した。その結果、O-グリカン生合成経路の終結(調整後p=0.002)が同定され、これは、A.ハドルスと有意に負に関連したMUC12、MUC13、ST3GAL4およびST6GALNAC4遺伝子ならびに正に関連したMUC6を含むものであった。
A.ハドルスRSVはRNA-16Sデータセットにおいて対照と比較してUCおよびのCDの両方で動的に欠乏した唯一のものなので、宿主の疾患状態によらずに宿主RNAseqに対してA.ハドルスRSV RNA-16S量を比較することによりその活性が宿主の遺伝子発現に関連するかどうかを決定するためのさらなる調査を行った。その結果、A.ハドルスRSVと関連する191個の有意に示差的に発現される遺伝子(調整後p値<0.05)が同定され、そのうちの115個の遺伝子は、対照と比較してUCまたはCDのいずれかの間で示差的に発現されなかった。同定された191個の遺伝子の経路エンリッチメント分析は、17個の有意に豊富になった経路を同定した(調整後p<0.05)。有意に示差的に発現される一連の遺伝子を見出すために、各経路を調査した。その結果、O-グリカン生合成経路の終結(調整後p=0.002)が同定され、これは、A.ハドルスと有意に負に関連したMUC12、MUC13、ST3GAL4およびST6GALNAC4遺伝子ならびに正に関連したMUC6を含むものであった。
実施例2
腸炎症障害を処置するためのA.ハドルスの使用
この実施例は、高脂肪食誘発肥満マウスモデルにおいてグルコース負荷試験(GTT)を行うことにより、グルコースのホメオスタシスに対する生きた細菌の投与の効果を研究する。マウスは、その全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2019067087に記載されるようにして準備および使用した。
腸炎症障害を処置するためのA.ハドルスの使用
この実施例は、高脂肪食誘発肥満マウスモデルにおいてグルコース負荷試験(GTT)を行うことにより、グルコースのホメオスタシスに対する生きた細菌の投与の効果を研究する。マウスは、その全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2019067087に記載されるようにして準備および使用した。
3%デキストラン硫酸ナトリウムを含む飲料水を7日間与えることにより、マウスにおいてIBDを誘発する。各々の毎日の処置のために、A.ハドルス液体培養物を0.4〜0.5の最適密度まで成長させ、その後に遠心分離によりペレット化する。細菌をリン酸緩衝生理食塩水中に再懸濁し、100μlを、第8日から始めるマウスへの経口強制投与により投与する。マウスを、1週間の間、毎日、A.ハドルス懸濁物でまたは陰性対照としてのリン酸緩衝生理食塩水単独で処置する。5日間の細菌処置後、内視鏡を用いて生きたマウスにおいて大腸炎を採点する。内視鏡観察ダメージスコアは、結腸の透明性、フィブリン付着、粘膜および血管病理、ならびに/または便の特徴を評価することにより決定する。7日間の処置後にマウスを屠殺し、結腸組織を単離する。遠位結腸領域を固定し、炎症および潰瘍について採点する。5日間の処置後に観察された内視鏡観察ダメージの減少ならびに/または屠殺したマウスの遠位結腸領域の炎症および/もしくは潰瘍の減少は、A.ハドルス処置の治療効果を示す。
上記の発明は、例示および実施例によってある程度詳細に記載されているが、これらは理解を明確にするためのものであり、添付の特許請求の範囲によって描写される本発明の精神および範囲から逸脱することなく一定の変更および改変がなされ得ることは当業者に明らかであろう。したがって、詳細な説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
Claims (13)
- それを必要とする対象を処置する方法であって、治療有効量の細菌を含む組成物を該対象に投与する工程を含み、該細菌が、SEQ ID NO:8と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である16S RNA遺伝子を有する、方法。
- 前記細菌が、SEQ ID NO:8と少なくとも99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%同一である16S RNA遺伝子を有する、請求項1記載の方法。
- 前記対象に投与される前記細菌が生きた状態である、請求項1または請求項2記載の方法。
- 前記対象が胃腸障害と診断されている、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
- 前記胃腸障害が、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、およびセリアック病からなる群より選択される、請求項3記載の方法。
- 前記治療有効量の細菌が、約1 x 107〜1 x 1012コロニー形成単位(CFU)の該細菌を含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
- 前記細菌がA.ハドルス(A. Hadrus)である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
- 約1〜52週間の期間にわたって1日に1回、2回、または3回、前記対象に前記組成物を投与することを含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
- 前記組成物の投与後の前記対象の体重減少が、該組成物の投与を受けなかった同等の患者のそれよりも少ない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
- 前記組成物の投与後の前記対象の体重減少が、該組成物の投与を受けなかった同等の患者のそれよりも約5 lbs、10 lbs、15 lbs、20 lbs、25 lbs、または30 lbs少ない、請求項8記載の方法。
- 前記対象の体重減少が、前記組成物の最初の投与から3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、または12ヶ月後に測定される、請求項9記載の方法。
- 患者の全体的なフィットネスまたは健康を維持または改善する方法であって、
i. 細菌を含む有効量の組成物であって、該細菌が、SEQ ID NO:8と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である16S RNA遺伝子を有する、組成物、および
ii. 薬学的に許容される担体
を含む治療組成物を該患者に投与する工程を含む、方法。 - 前記組成物の投与後の前記患者の全体的なフィットネスまたは健康が、該組成物の投与を受けなかった同等の患者のそれよりも良好である、請求項11記載の方法。
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