JP2021530613A - コーティング、コーティングを形成する方法及びシステム、鍋並びに調理器具 - Google Patents

コーティング、コーティングを形成する方法及びシステム、鍋並びに調理器具 Download PDF

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Abstract

本発明は、コーティング、コーティングを形成する方法及びシステム、鍋並びに調理器具を提供する。該コーティングは、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティングを含み、ただし、少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径はその上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径より大きい。発明者らが発見したように、該コーティングは、まず前記コーティングの下層に粒子径の大きい準結晶材料を形成し、次に前記コーティングの上層に粒子径の小さい準結晶材料を形成することで、該コーティングはノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単であり、産業化しやすく、調理器具での使用に特に適する。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2018年7月27日に中国専利局に提出された、出願番号が201810848164.8で、出願名称が「コーティング及び調理器具」であり、出願番号が201810845285.7で、出願名称が「準結晶コーティングを形成する方法及びシステム」であり、2018年11月2日に中国専利局に提出された、出願番号が201811299220.3で、出願名称が「コーティング及び調理器具」であり、出願番号が201821806196.3で、出願名称が「コーティング及び調理器具」であり、出願番号が201811300897.4で、出願名称が「準結晶コーティングを形成する方法及びシステム並びに鍋」であり、出願番号が201821808252.7で、出願名称が「準結晶コーティングを形成するシステム及び鍋」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は、参照として本願に組み込まれる。
本発明は、材料技術分野に関し、特に、コーティング、コーティングを形成する方法及びシステム、鍋及び調理器具に関する。
準結晶コーティングは、高硬度、高耐食性、耐摩耗性、低表面エネルギーなどの利点を有するため、研究者から大きな注目を集めており、準結晶コーティングは、既存のテフロンノンスティックコーティングに代わる人気の候補材料となっている。しかし、ノンスティック特性に優れた準結晶コーティングの生産コストは非常に高く、準結晶コーティング用途の産業化プロセスを大幅に制限する。
したがって、既存の準結晶コーティングの関連技術をさらに改善する必要がある。
本発明は、関連技術における技術的問題の1つを少なくともある程度解決することを目的としている。このため、本発明の1つの目的は、ノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単であり、産業化しやすく、または調理器具での使用に特に適するコーティングを提供することである。
本発明の一態様では、本発明はコーティングを提供する。本発明の実施例によれば、該コーティングは、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティングを含み、ただし、少なくとも1つのサブコーティングにおける準結晶材料の粒子径はその上に位置する少なくとも1つのサブコーティングにおける準結晶材料の粒子径より大きい。発明者らが発見したように、該コーティングは、まずコーティングの下層に粒子径の大きい準結晶材料を形成し、次にコーティングの上層に粒子径の小さい準結晶材料を形成することで、該コーティングはノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単であり、産業化しやすく、調理器具での使用に特に適する。
本発明の実施例によれば、複数のサブコーティングにおいて、最上層にあるサブコーティングにおける準結晶材料の粒子径は最小である。
本発明の実施例によれば、複数のサブコーティングにおいて、最下層にあるサブコーティングにおける準結晶材料の粒子径は最大である。
本発明の実施例によれば、サブコーティングは準結晶類似相をさらに含む。
本発明の実施例によれば、準結晶類似相はB相である。
本発明の実施例によれば、最上層にあるサブコーティングにおいて、少なくとも90%の準結晶材料の粒子径は150マイクロメートル以下である。
本発明の実施例によれば、最上層にあるサブコーティングにおいて、少なくとも90%の準結晶材料の粒子径は20〜80マイクロメートルである。
本発明の実施例によれば、最下層にあるサブコーティングにおいて、少なくとも90%の準結晶材料の粒子径は150〜300マイクロメートルである。
本発明の実施例によれば、複数のサブコーティングのそれぞれは独立して複数の亜コーティングを含む。
本発明の実施例によれば、サブコーティングのそれぞれは5〜10個の亜コーティングを含む。
本発明の実施例によれば、コーティングの厚さは20〜200マイクロメートルである。
本発明の実施例によれば、該コーティングは、下から上へ順に積層してなる第1のサブコーティング及び第2のサブコーティングを含み、ただし、第1のサブコーティングにおいて、少なくとも90%の準結晶材料の粒子径が150〜300マイクロメートルまたは80〜150マイクロメートルであり、第2のサブコーティングにおいて、少なくとも90%の準結晶材料の粒子径が20〜150マイクロメートルである。
本発明の実施例によれば、第2のサブコーティングにおいて、少なくとも90%の準結晶材料の粒子径は20〜80マイクロメートルである。
本発明の実施例によれば、下から上への方向において、サブコーティングにおける準結晶材料の粒子径は徐々に小さくなる。
本発明の実施例によれば、コーティングは、上面の表面粗さが2マイクロメートル未満であること、準結晶材料の含有量が20%〜90%であること、ポロシティが0.1%〜20%であること、熱伝導率が0.1〜3W/m・Kであること、酸素含有量が10at%以下であることのうちの少なくとも1つを満たす。
本発明の実施例によれば、準結晶コーティングの酸素含有量が4〜7at%である。
本発明の他の態様では、本発明はコーティングを提供する。本発明の実施例によれば、該コーティングは、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティングを含み、ただし、少なくとも1つのサブコーティングにおける準結晶材料のポロシティはその上に位置する少なくとも1つのサブコーティングにおける準結晶材料のポロシティより大きい。発明者らが発見したように、該コーティングは、まずコーティングの下層にポロシティの大きい準結晶材料を形成し、次にコーティングの上層にポロシティの小さい準結晶材料を形成することで、該コーティングは熱伝導が均一になり、クラックが生じず、調理器具に用いられるとき局所的な過熱の現象を減らし、鍋焦げを防ぐことができ、かつノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単であり、産業化しやすい。
本発明の実施例によれば、複数のサブコーティングにおいて、最上層にあるサブコーティングの準結晶材料のポロシティは最小である。
本発明の実施例によれば、複数のサブコーティングにおいて、最下層にあるサブコーティングの準結晶材料のポロシティは最大である。
本発明の実施例によれば、下から上へのサブコーティングにおいて、準結晶材料のポロシティは段階的に小さくなる。
本発明の他の態様では、本発明は前述したコーティングを形成する方法を提供する。
該方法は、次の事実及び問題に対する発明者らの発見に基づいて提出したものである。
発明者らはノンスティックコーティングの研究から発見したように、従来のPTFE、PFAなどの有機コーティングは硬度が高くなく、付着力が低いなどの欠点を有し、硬いものに引っかかれることでコーティングに傷がつきやすく、コーティングが本来被覆された基材を露出させ、使用中に基材中の有害な金属(例えばアルミニウムなど)が逃がされ、使用者の健康に悪影響を及ぼすことがある。一方、セラミックスコーティングは、加水分解しやすく、使用回数が多くなるにつれて、コーティングのノンスティック特性が低下する傾向がある。
準結晶材料は、低い表面エネルギー特性を有する材料であると同時に、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、耐腐食性などの特性も備えているため、既存のノンスティックコーティングに取って代わる可能性がある。特にAl−Cu−Feシリーズの準結晶合金では、その表面エネルギーはステンレス鋼とポリテトラフルオロエチレンの間にあり、ポリテトラフルオロエチレンよりも約25%大きく、準結晶合金にCrとTiなどの元素を追加した後、準結晶合金の粒界腐食の傾向をさらに減らし、耐腐食性をさらに向上させることができる。しかしながら、準結晶ブロックの製造コストが高く、コーティングを形成するために基材の表面に準結晶粉末をスプレーする方法は、重要な経済的利益及びコスト上の利点を有する。
これに基づいて、本発明の実施例によれば、該方法は、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を基体上に、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブプライマリコーティングとして形成し、プライマリコーティングを取得するステップ(1)と、プライマリコーティングをアニーリングすることで、複数のサブコーティングを含むコーティングを得、ただし、少なくとも1つのサブコーティングにおける準結晶材料の粒子径はその上に位置する少なくとも1つのサブコーティングにおける準結晶材料の粒子径より大きいステップ(2)と、を含む。発明者らが発見したように、一方で、操作が簡単で、便利であり、実現しやすく、前述したノンスティック特性に優れたコーティングを効果的に得ることができ、他方では、該方法はまず準結晶粉体を用いて基体の表面にプライマリコーティングを形成し、さらにプライマリコーティングをアニーリングすることで、プライマリコーティングにおける準結晶シード結晶を準結晶に変換させ、それによりコーティングにおける準結晶含有量をさらに向上させる。このように形成されたコーティングは、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、耐腐食性などの優れた表面特性を持っており、また製造コストが低いという利点を有する。
本発明の実施例によれば、準結晶粉体は、準結晶合金インゴットを粉末化して準結晶合金粉末を取得するステップ、及び準結晶合金粉末をスクリーニングして粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を取得するステップによって製造される。
本発明の実施例によれば、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体は第1の粉体及び第2の粉体を含み、第1の粉体粒子の粒子径は、第2の粉体粒子の粒子径より小さい。
本発明の実施例によれば、準結晶合金インゴットは、アルミニウム材、銅材、鉄材、クロム材の少なくとも1つを含む混合物を精錬することによって形成される。
本発明の実施例によれば、混合物は原子百分率で60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムを含み、または混合物におけるアルミニウム、銅、鉄及びクロムの原子百分率は、60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムであるとも言える。
本発明の実施例によれば、アルミニウム材は純アルミニウムであり、銅材は純銅であり、鉄材は純鉄であり、クロム材は純クロムまたはクロムチタン合金である。
本発明の実施例によれば、該方法は、粒子径がコーティングを製造するための要件を満たさない準結晶粉体を用いて、準結晶合金インゴットを製造することをさらに含む。
本発明の実施例によれば、粉末化処理は噴霧粉末化法によって行われる。
本発明の実施例によれば、ステップ(1)はさらに、第2の粉体に基づいて、基体上に第1のサブプライマリコーティングを形成するステップ(1−1)と、第1の粉体に基づいて、基体から離れた第1のサブプライマリコーティングの表面に第2のサブプライマリコーティングを形成するステップ(1−2)と、を含む。
本発明の実施例によれば、準結晶材料を含む複数のサブプライマリコーティングは、スプレー法によって形成される。
本発明の実施例によれば、準結晶材料を含む複数のサブプライマリコーティングは、プラズマスプレー法によって形成される。
本発明の実施例によれば、プラズマスプレー法の条件は、アークパワーが25〜50kWであり、アーク電圧が40〜50Vであることを含む。
本発明の実施例によれば、アニーリング処理は、不活性ガス雰囲気または真空中で行われ、アニーリング処理の温度は600〜800℃である。
本発明の実施例によれば、アニーリング処理の条件は、昇温速度が5〜100℃/minであり、保温時間が0.5〜10hであり、降温速度が5〜100℃/minであり、200〜300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却することである。
本発明の実施例によれば、ステップ(2)の後、コーティングを研磨することをさらに含む。
本発明のさらに他の態様では、本発明は、前述したコーティングを形成する方法を実施するシステムを提供する。本発明の実施例によれば、該システムは、プライマリコーティングを取得するように、基体の表面に準結晶粉体をスプレーすることに適用されるスプレー装置と、スプレー装置に接続され、かつコーティングを取得するように、プライマリコーティングをアニーリングすることに適用されるアニーリング装置と、を含む。発明者らが発見したように、該システムはまずスプレー装置を用いて基体の表面に準結晶粉体をスプレーし、基体の表面にプライマリコーティングを形成する。さらにアニーリング装置を用いてプライマリコーティングをアニーリングすることで、プライマリコーティングにおける準結晶シード結晶を準結晶に変換させ、それによりコーティングにおける準結晶含有量をさらに向上させる。このように形成されたコーティングは、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、耐腐食性などの優れた表面特性を持っている。このように、本発明によるコーティングを形成するシステムは、上記の利点を有するコーティングを効果的に形成することができ、また製造コストが低いという利点を有する。
本発明の実施例によれば、該システムは、準結晶合金粉末を取得するように、準結晶合金インゴットを粉末化することに適用される粉末化装置と、粉末化装置及びスプレー装置に接続され、かつ粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を取得するように、準結晶合金粉末をスクリーニングすることに適用されるスクリーニング装置と、をさらに含む。
本発明の実施例によれば、スプレー装置は、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体に基づいて基体上にプライマリコーティングを形成することに適用される。
本発明の実施例によれば、該システムは、粉末化装置に接続され、かつ準結晶合金インゴットを取得するように、アルミニウム材、銅材、鉄材、クロム材の少なくとも1つを含む混合物を精錬することに適用される精錬装置をさらに含む。
本発明の実施例によれば、スクリーニング装置は複数のスクリーニングユニットを含み、複数のスクリーニングユニットにスクリーンが設けられ、スクリーンは、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を取得するように、準結晶合金粉末をスクリーニングすることに適用される。
本発明の実施例によれば、スプレー装置は、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を用いて基体上に準結晶材料を含む複数のサブプライマリコーティングを形成することに適用される複数のサブプライマリコーティングスプレーユニットを含む。
本発明の実施例によれば、スクリーニング装置は、精錬装置に接続され、かつ粒子径がコーティングを製造するための要件を満たさない準結晶粉体を精錬装置に輸送することに適用される。
本発明の実施例によれば、該システムは、アニーリング装置に接続され、かつコーティングを研磨することに適用される研磨装置をさらに含む。
本発明のさらに他の態様では、本発明は鍋を提供する。本発明の実施例によれば、該鍋は、鍋本体及び鍋本体の少なくとも一部の内面に設けられたコーティングを含み、コーティングは前述したコーティングであり、またはコーティングは前述した方法または前述したシステムを用いて製造されたものであり、または、該鍋は上記の実施例の方法または上記の実施例のシステムを用いて製造されたものであるとも言える。該鍋の鍋本体は上記の基体である。このように、該鍋の鍋本体の内面は上記の実施例の方法または上記の実施例のシステムによって形成されたコーティングを有する。発明者らが発見したように、該鍋の内面は優れた表面特性を持っており、かつ該鍋はノンスティック特性がよく、コストが低く、産業化しやすく、かつ前述したコーティングの全ての特徴及び利点を有し、ここでは繰り返さない。
本発明の実施例によれば、コーティングを形成する前に、鍋の鍋本体の内面に予め前処理を行い、前処理は、スタンピング、サンディング、乾燥、及びデサンディングを含む。
本発明のさらに他の態様では、本発明は調理器具を提供する。本発明の実施例によれば、該調理器具は前述した鍋を含み、調理器具は、炒め鍋、フライパン、シチューポット、ミルクポット、電気炊飯器、圧力調理器から選択される少なくとも1種である。発明者らが発見したように、該調理器具は前述した鍋の全ての特徴及び利点を有し、ここでは繰り返さない。
本発明の一実施例によるコーティングの断面概略構成図を示す。 本発明の一実施例によるサブコーティングの断面概略構成図を示す。 本発明の他の実施例によるコーティングの断面概略構成図を示す。 本発明の一実施例によるコーティングを製造する方法の概略フローチャートを示す。 本発明の他の実施例によるコーティングを製造する方法の概略フローチャートを示す。 本発明のさらに他の実施例によるコーティングを製造する方法の概略フローチャートを示す。 本発明の一実施例によるコーティングを形成する方法の概略フローチャートである。 本発明の他の実施例によるコーティングを形成する方法の概略フローチャートである。 本発明のさらに他の実施例によるコーティングを形成する方法の概略フローチャートである。 本発明のさらに他の実施例によるコーティングを形成する方法の概略フローチャートである。 本発明の一実施例によるコーティングを形成するシステムの概略構成図である。 本発明の他の実施例によるコーティングを形成するシステムの概略構成図である。 本発明のさらに他の実施例によるコーティングを形成するシステムの概略構成図である。 本発明のさらに他の実施例によるコーティングを形成するシステムの概略構成図である。 本発明のさらに他の実施例によるコーティングを形成するシステムの概略構成図である。 本発明のさらに他の実施例によるコーティングを形成するシステムの概略構成図である。 本発明の一実施例による第1のサブプライマリコーティングの表面トポグラフィー図である。
本発明の実施例を以下に詳細に説明する。以下に説明する実施例は例示的なものであり、本発明を説明するためにのみ使用されるが、本発明を限定するものとして理解すべきではない。特定の技術または条件が実施例に明記されていないものは、当該技術分野の文献に記載されている技術または条件に従うか、または製品説明書に従う。使用される試薬または機器は、メーカーが明記されていない場合、いずれも市販で購入できる通常のものである。
本発明の一態様では、本発明はコーティングを提供する。本発明の実施例によれば、図1を参照すると、該コーティング100は、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティング101d、101c、…、101b、101aを含み、ただし、少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径はその上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径より大きい(なお、図1は、前記コーティング100の構造の単なる例示的な説明であり、前記コーティング100内のサブコーティングの数について制限されず、本発明に記載の粒子径は、粒子径範囲を指す)。発明者らが発見したように、粒子径の大きい準結晶材料を先に前記コーティング100の下層として形成し、次に粒子径の小さい準結晶材料を前記コーティング100の上層として形成することで、該コーティング100は、ノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単であり、産業化しやすく、調理器具での使用に特に適する。
あるいは、本発明の一態様では、本発明はコーティングを提供する。本発明の実施例によれば、図1を参照すると、該コーティング100は、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティング101d、101c、…、101b、101aを含み、ただし、少なくとも2つの前記サブコーティング101a、101b、…、101c、101dの準結晶材料の粒子径は異なり、かつ最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径は最小である(なお、図1は、前記コーティング100の構造の単なる例示的な説明であり、前記コーティング100内のサブコーティングの数について制限されず、本発明に記載の粒子径は、粒子径範囲を指す)。発明者らが発見したように、粒子径の大きい準結晶材料を先に前記コーティング100の下層として形成し、次に粒子径の小さい準結晶材料を前記コーティング100の上層として形成することで、該コーティング100は、ノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単であり、産業化しやすく、調理器具での使用に特に適する。
本発明の実施例によれば、前記コーティングは金属基材または金属複合ボードに設けられてもよい。好ましくは、該金属基材はアルミニウム、ステンレス鋼、炭素鋼及び鉄などである。このように、該コーティングはさまざまな分野での使用に適しており、見通しが広く、応用範囲が広い。
従来技術において、準結晶コーティングの厚さ方向における準結晶材料の粒子径が全て同じであり、研究者によって製造される厚さ方向における準結晶材料の粒子径が全て同じである準結晶コーティングのノンスティック特性が時にはよく、時には悪い。本願の発明者らは、準結晶コーティングについて鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、粒子径の小さい準結晶材料によって形成されたコーティングは、粒子間の気孔サイズが小さいため、接触角が大きく、それにより厚さ方向における準結晶材料の粒子径が全て同じである準結晶コーティングは、該コーティングを形成する準結晶材料の粒子径がいずれも小さい場合にのみ、優れたノンスティック特性を持っていることになる。しかしながら、本願の発明者らは、先行技術における準結晶コーティング構造のそれぞれの部分が同じ粒子径の準結晶材料から形成されているという当業者の一般的な認識を創造的に打ち破り、図1を参照すると、形成された前記コーティング100において、少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径は、その上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径より大きく、例えば、具体的には、サブコーティング101dにおける準結晶材料の粒子径は、サブコーティング101cにおける準結晶材料の粒子径より大きくてもよく、サブコーティングのそれぞれにおける準結晶材料の粒子径は、互いに独立しており、互いに影響を及ぼせず、サブコーティング101a、101bにおける準結晶材料の粒子径は特に制限されず、あるいは、形成された前記コーティング100において、少なくとも2つの前記サブコーティング101a、101b、…、101c、101dの準結晶材料の粒子径が異なるとともに、最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径を最小にする。それにより粒子径の大きい準結晶材料を先に前記コーティング100の下層に形成し、次に粒子径の小さい準結晶材料を前記コーティング100の上層に形成することで、さらに粒子径の大きい準結晶材料の浪費を回避し、生産コストを大幅に削減するとともに、粒子径の大きい準結晶材料を先に前記コーティング100の下層に形成し、次に粒子径の小さい準結晶材料を前記コーティング100の上層に形成し、下層の準結晶材料の粒子径が大きく、コーティングの基材と良好な結合力を持っており、かつポロシティを向上させ、さらに熱伝導率を低下させ、それにより基材の熱伝導をより均一にし、かつ局所的な過熱の現象を減らし、鍋焦げを防ぎ、上層の準結晶材料の粒子径が小さく、緻密な上層を形成し、ノンスティック特性がよく、さらに粒子径の大きい準結晶材料と粒子径の小さい準結晶材料が協働して、さらに形成された前記コーティング100はさらに優れた耐摩耗性及び優れたノンスティック特性を持っており、調理器具での使用に特に適する。
本発明の実施例によれば、本明細書で採用される説明方式「少なくとも2つの前記サブコーティング101a、101b、…、101c、101dの準結晶材料の粒子径が異なる」とは、複数の前記サブコーティング101a、101b、…、101c、101dを形成する準結晶材料の粒子径について、複数の前記サブコーティング101a、101b、…、101c、101dのうち、少なくとも2つのサブコーティングの準結晶材料の粒子径が異なることを確保すればよいことを意味する。例えば、サブコーティング101a、サブコーティング101bの準結晶材料の粒子径が異なっていてもよく、サブコーティング101b、サブコーティング101cの準結晶材料の粒子径が異なっていてもよく、またサブコーティング101c、サブコーティング101dの準結晶材料の粒子径が異なっていてもよく、準結晶材料の粒子径が異なる2つの前記サブコーティングの前記コーティング100における位置は特に限定されない。
本発明の実施例によれば、なお、当業者には理解されるように、本明細書において、「複数のサブコーティングを形成する準結晶材料」及び「サブコーティングにおける準結晶材料」の両方が、同じ準結晶材料であり、すなわち「複数のサブコーティングを形成する」及び「サブコーティングにおける」は「準結晶材料」に対する定義が同じであり、以下では「複数のサブコーティングを形成する準結晶材料」及び「サブコーティングにおける準結晶材料」もあるが、後に詳述しない。
本発明の実施例によれば、好ましくは、最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径は最小であり(なお、ここでの最小とは、複数の前記サブコーティングを形成する準結晶材料のうち、最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径が最小であることを指す)、前述したことから、ここでは、複数の前記サブコーティングにおいて、最上層にある前記サブコーティングにおける準結晶材料の粒子径は最小であるとも言える。この時に最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径が最小であり、最上層にある前記サブコーティング101aがより緻密であるため、前記コーティングのノンスティック特性をより向上させ、さらに粒子径の大きい準結晶材料と粒子径の小さい準結晶材料が協働して、さらに、形成された前記コーティング100は、優れた耐摩耗性及び優れたノンスティック特性を持っており、調理器具での使用に特に適する。
本発明の実施例によれば、前記コーティング100の複数の前記サブコーティング101a、101b、…、101c、101dのうち、最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径が最小であることを確保すればよく、サブコーティング101b、…、サブコーティング101c、サブコーティング101dなどの他のサブコーティングについて、その中の準結晶材料の粒子径の大きさの順序は特に限定されず、サブコーティング101bにおける準結晶の粒子径が最大で、サブコーティング101dにおける準結晶材料の粒子径が最小であってもよく、サブコーティング101cにおける準結晶材料の粒子径が最大であってもよく、またサブコーティング101dにおける準結晶材料の粒子径が最大であってもよい。
本発明の実施例によれば、好ましくは、最下層にある前記サブコーティング101dを形成する準結晶材料の粒子径は最大であり(なお、ここでの最大とは、複数の前記サブコーティングを形成する準結晶材料のうち、最下層にある前記サブコーティング101dを形成する準結晶材料の粒子径が最大であることを指す)、前述したことから、ここでは、複数の前記サブコーティングにおいて、最下層にある前記サブコーティングにおける準結晶材料の粒子径は最大であるとも言える。この時に最下層にある前記サブコーティング101dを形成する準結晶材料の粒子径が最大であるため、コーティングと基材はより強い結合力を持っており、かつポロシティをさらに向上させ、熱伝導率をさらに低下させ、それにより基材の熱伝導をより均一にし、かつ局所的な過熱の現象をさらに減らし、鍋焦げをさらに防ぐ。
本発明のさらなるいくつかの実施例では、図1を参照すると、下から上へ前記サブコーティング101d、101c、…、101b、101aを形成する準結晶材料の粒子径は徐々に小さくなる(または下から上への方向において、前記サブコーティングにおける準結晶材料の粒子径が徐々に小さくなるとも言える)。これにより、隣接するサブコーティング、例えばサブコーティング101aとサブコーティング101bとの間に、サブコーティング101cとサブコーティング101dとの間の粒子径はそれほど異ならず、コーティング100全体を形成する下から上へのサブコーティング101a、101b、…、101c、101dの準結晶材料の粒子径が段階的に小さくなり、それにより複数のサブコーティングの結合力が強くなり、前記コーティングの耐摩耗性及びノンスティック特性も高くなり、調理器具での使用に特に適する。
本発明のさらなるいくつかの実施例では、前記サブコーティングは準結晶類似相をさらに含んでもよい。それにより、前記コーティングの合成成分区間が広く、脆性が低く、欠陥が少なく、製造難易度が低く、さらに準結晶コーティングと同様のノンスティック特性、耐摩耗性、耐食性を備えており、応用の見通しがより広い。
本発明の実施例によれば、前記準結晶類似相はB相であってもよい。B相及びB類似相は、多くの場合、準結晶と共存し、準結晶とコヒーレントな配向関係を持っているため、B相の各特性は準結晶の特性に近くなり、また、価電子濃度は、材料の結晶構造特性を決定し、準結晶の表面エネルギーを非常に低くし、準結晶及びその類似相は、特定の価電子濃度の近くに明らかに位置し、例えば、準結晶系のAl−Cu−Feを例にとると、等価電子濃度は1.86であり、つまり準結晶状態のAl−Cu−Fe合金の価電子濃度は1.86であり、B構造を備える準結晶類似相Al−Cu−Fe合金の価電子濃度は1.6〜2.2である。これにより、本発明において、準結晶類似相コーティングにおける準結晶類似相をB相に制御することにより、準結晶類似相コーティングは、より優れたノンスティック特性、耐摩耗性及び耐食性、並びにより低い脆性及びより少ない欠陥をさらに有するようにすることができる。それにより、準結晶類似相コーティングは、より優れたノンスティック特性、耐摩耗性、耐食性などの特性を持つ。
本発明の実施例によれば、発明者らは、前記準結晶材料の粒子径について多数の徹底的な調査及び実験的検証を実施し、発明者らが発見したように、最上層にある前記サブコーティングを形成する準結晶材料において、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が150マイクロメートル以下である場合(または、最上層のサブコーティングにおいて少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が150マイクロメートル以下である場合とも言える)、前記準結晶材料間の気孔サイズが小さいため、前記準結晶材料によって形成されるコーティング100の接触角はより大きく、従って、形成される前記コーティング100は、優れたノンスティック特性を持っている。従って、本発明のいくつかの実施例では、最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径は150マイクロメートル以下である(または、最上層のサブコーティング101aにおける準結晶材料の粒子径は150マイクロメートル以下であるとも言える)。さらに、本発明の他のいくつかの実施例では、最上層にある前記サブコーティングを形成する準結晶材料において、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が20〜80マイクロメートルであり、それにより形成された前記コーティング100は緻密であり、かつ表面粗さが低い。本発明のいくつかの具体的な実施例では、最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料において、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が20マイクロメートル、40マイクロメートル、60マイクロメートル、80マイクロメートルなどであってもよい。これにより、前記コーティング100に優れたノンスティック特性を持たせる。
本発明の実施例によれば、下層にある前記サブコーティング101b、…、101c、101dを形成する準結晶材料において、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が150〜300マイクロメートルまたは80〜150マイクロメートルである(または、下層にある前記サブコーティングにおいて、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が150〜300マイクロメートルまたは80〜150マイクロメートルであるとも言える)。本発明のいくつかの具体的な実施例では、下層にある前記サブコーティング101b、…、101c、101dを形成する準結晶材料の粒子径が80マイクロメートル、100マイクロメートル、120マイクロメートル、150マイクロメートル、180マイクロメートル、210マイクロメートル、240マイクロメートル、270マイクロメートル、300マイクロメートルなどであってもよい。これにより、粒子径の大きい準結晶材料の無駄を回避し、生産コストを大幅に削減する。
本発明のさらなるいくつかの実施例では、図2を参照すると、前記コーティング100は下から上へ順に積層してなる第1のサブコーティング110及び第2のサブコーティング120を含み、ただし、前記第1のサブコーティング110を形成する準結晶材料(また、第1のサブコーティング110における準結晶材料とも言える)において、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が150〜300マイクロメートルまたは80〜150マイクロメートルであり、前記第2のサブコーティング120を形成する準結晶材料(また、第2のサブコーティング120における準結晶材料とも言える)において、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が20〜150マイクロメートルであり、さらに、20〜80マイクロメートルであってもよい。本発明のいくつかの具体的な実施例では、前記第1のサブコーティング110を形成する準結晶材料の粒子径が150マイクロメートル、180マイクロメートル、210マイクロメートル、240マイクロメートル、270マイクロメートル、300マイクロメートルなどであってもよく、前記第2のサブコーティング120を形成する準結晶材料の粒子径が20マイクロメートル、50マイクロメートル、80マイクロメートル、110マイクロメートル、150マイクロメートルなどであってもよい。これにより、形成された前記コーティング100は、ノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単であり、産業化しやすく、調理器具での使用に特に適する。
本発明の実施例によれば、本発明に記載のコーティング100の厚さは20〜200マイクロメートルであってもよい。本発明のいくつかの具体的な実施例では、前記コーティング100の厚さは20マイクロメートル、40マイクロメートル、60マイクロメートル、80マイクロメートル、100マイクロメートル、120マイクロメートル、140マイクロメートル、160マイクロメートル、180マイクロメートル、200マイクロメートルなどであってもよい。これにより、前記コーティング100の厚さは適切であり、良好なノンスティック特性、耐摩耗性及び硬度を確保するだけでなく、コーティングの熱伝達を速すぎないようにするため、該コーティングは調理器具での使用に特に適しており、そして材料の無駄を引き起こさず、コストが低く、産業化しやすい。
本発明の実施例によれば、本発明に記載のコーティング100の上面の表面粗さは2マイクロメートル未満である。本発明のいくつかの具体的な実施例では、前記コーティング100の上面の表面粗さは0.5マイクロメートル、1マイクロメートル、1.5マイクロメートルなどであってもよい。これにより、前記コーティング100の上面の表面粗さがより低く、前記コーティング100にさらに優れたノンスティック特性を持たせることができ、さらに、粗さが大きすぎると、隙間内にコンディショニング材などが堆積しやすくなり、長時間の使用中には、コーティングのノンスティック特性が低下し、使用効果に影響を及ぼす。
本発明の実施例によれば、前記準結晶材料の種類、組成、各組成間の配合比などは、要件を満たす限り、特に限定されるものではなく、当業者は、必要に応じて柔軟に選択することができる。本発明の実施例によれば、前記非粘着コーティングを形成する材料はアルミニウム、鉄、銅、クロム、チタン、ニッケル、及びジルコニウムの少なくとも2つを含み、前記非粘着コーティングを形成する材料はAl−Cu−Fe合金、Al−Cu−Fe−Cr合金、Ti−Fe合金、またはTi−Ni−Zr合金を含み、本発明のいくつかの実施例では、前記準結晶材料はAl−Cu−Fe−Cr準結晶材料であってもよく、前記準結晶材料において、Al(アルミニウム)、Cu(銅)、Fe(鉄)、及びCr(クロム)間の原子数比は(60−70):(15−25):(5−15):(5−15)であってもよい。これにより、材料由来の範囲が広く、入手しやすく、かつコストが低く、工業的に生産しやすく、高い含有量の準結晶を取得することができ、かつ高硬度及び高耐摩耗の特性を持っており、かつノンスティック特性に優れる。
本発明の実施例によれば、前記コーティング100における準結晶材料の含有量は20%〜90%であってもよく、例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%などであってもよい。これにより、さらに該コーティングのノンスティック特性をよくさせ、コストが低く、製造方法が簡単であり、産業化しやすく、前記コーティング100のノンスティック特性をさらに向上させ、また最終的に得られたコーティングにおける準結晶の含有量をより高くすることができる。
本発明の実施例によれば、前記準結晶材料は二十面体または三十二面体の微細構造を有し、前記最上層の準結晶コーティングは、凹凸構造を有する。これにより、前記準結晶材料の表面を形成する準結晶コーティングは、高い硬度と高い耐摩耗性の特性を持っており、優れた疎水性とノンスティック特性を持っている。
本発明の実施例によれば、前記準結晶材料の価電子濃度は1.5〜2.5であってもよい。さらに、本発明のいくつかの実施例では、前記準結晶材料の価電子濃度は1.6〜1.86であってもよい。本発明のいくつかの具体的な実施例では、前記準結晶材料の価電子濃度は1.6、1.7、1.8、1.86などであってもよい。これにより、工場で材料を配合する時に、合金の価電子濃度がこの範囲内にあり、製造されたコーティングにおける準結晶の含有量がより高い。
本発明の実施例によれば、前記コーティング100のポロシティは0.1%〜20%であってもよい。本発明のいくつかの実施例では、前記コーティング100のポロシティは、0.1%、0.5%、2%、5%、10%、20%などであってもよい。これにより、前記コーティング100のポロシティが小さいため、前記コーティング100の接触角が大きくなり、従って、前記コーティング100のノンスティック特性をより向上させることができ、また、該コーティング100のポロシティの範囲が適切であり、合理的な気孔を有してコーティング100の応力集中を減らし、コーティング100にクラックが生じることを回避するだけでなく、気孔が多すぎてコーティングの硬度及び耐摩耗性を低下させ、コーティング100の耐久性に影響を与えることも発生しない。
本発明の実施例によれば、前記コーティングの熱伝導率は0.1〜3W/m・Kであってもよい。本発明のいくつかの実施例では、前記コーティング100の熱伝導率は0.1W/m・K、0.2W/m・K、0.5W/m・K、1W/m・K、2W/m・K、3W/m・Kなどであってもよい。これにより、前記コーティング100の熱伝導率は適切であるため、該コーティング100は調理器具での使用に特に適しており、調理器具の調理中に熱を調理器具の表面に均一に分布させることができ、熱伝達が速すぎることによる鍋焦げ及びスティックの問題が発生せず、調理効果が高い。
本発明の実施例によれば、コーティングにおける酸素含有量は10at%を超えず、これにより、コーティングに含有量の高い準結晶が含まれ、良好なノンスティック特性を持たせることを確保でき、本発明のいくつかの実施例によれば、コーティングにおける酸素含有量は4〜7at%である。これにより、さらにコーティングにおける金属元素が酸化されることを防ぐことができ、コーティングにおける準結晶含有量を向上させ、酸素含有量が4at%未満である場合、準結晶含有量の向上は明らかではなく、製造プロセスの難しさが高くなり、それによって生産コストを向上させる。なお、「at%」は原子百分率を指す。
本発明の実施例によれば、製造プロセスまたは使用プロセスにおいて、酸素はコーティングに不可避的に取り込まれ、コーティング内の元素の総数に基づいて、コーティングにおける酸素含有量は10at%以下であり、好ましくは、前記コーティングにおける酸素含有量は4〜7at%である。この時、コーティングにおける酸素含有量が低いため、コーティングにおける金属元素の含有量が増加し、このとき、コーティングと金属基体との間が冶金学的結合となり、コーティングと金属基体との間の結合力を向上させることができる。さらに、酸素含有量が高すぎると、酸素と他の金属元素の結合を増やし、コーティングの結晶相の種類を変更し、コーティングにおいて準結晶相が形成されなくなり、これにより、コーティングのノンスティック特性、耐腐食性及び硬度を大幅に低下させる。
本発明の他のいくつかの実施例では、図3を参照すると、前記サブコーティングのそれぞれは、複数の亜コーティングをさらに含んでもよい。サブコーティング101aを例として取り上げると、サブコーティング101aは、亜コーティング1011a、1011b、…、1011c、1011dを含んでもよい(なお、図3は、前記サブコーティング101aの構造の単なる例示的な説明であり、前記サブコーティング101a内の亜コーティングの数について特に限定しない)。このように、前記サブコーティングのそれぞれは複数の前記亜コーティングを含み、形成されたコーティング100の厚さが厚く、それにより粒子径の小さい準結晶材料が粒子径の大きい準結晶材料で形成されたサブコーティングの隙間に充填されてしまうことを回避し、さらに上層のサブコーティングにおける粒子径の小さい準結晶材料は、そのノンスティック特性を十分に発揮することができ、それにより、前記コーティング100のノンスティック特性をさらに改善する。
本発明の実施例によれば、前記サブコーティングのそれぞれは、5〜10個の前記亜コーティングを含んでもよい。本発明のいくつかの具体的な実施例では、前記亜コーティングの数は5個、6個、7個、8個、9個、10個であってもよい。これにより、形成された前記サブコーティングのそれぞれの厚さは適切であり、優れたノンスティック特性を確保するだけでなく、材料の無駄を引き起こせず、コストが低く、産業化しやすい。
本発明の他の態様では、本発明は前述したコーティング100を製造する方法を提供する。本発明の実施例によれば、図4を参照すると、該方法はステップS1及びS2を含む。
S1、スプレーにより、準結晶材料を含む複数のサブコーティング101d、101c、…、101b、101aを下から上へ順に形成し、ただし、少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径はその上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径より大きい(形成された前記コーティング100の概略構成図は図1に示すとおりである)。発明者らが発見したように、該方法は、操作が簡単で、便利で、実現しやすく、工業的に生産しやすく、製造されたコーティング100は、ノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単で、産業化しやすく、調理器具での使用に特に適する。
またはS1、スプレーにより、準結晶材料を含む複数のサブコーティング101d、101c、…、101b、101aを下から上へ順に形成し、ただし、少なくとも2つの前記サブコーティング101a、101b、…、101c、101dを形成する準結晶材料の粒子径は異なり、最上層の前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径は最小である(形成された前記コーティング100の概略構成図は図1に示すとおりである)。発明者らが発見したように、該方法は、操作が簡単で、便利で、実現しやすく、工業的に生産しやすく、製造されたコーティング100は、ノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単で、産業化しやすく、調理器具での使用に特に適する。
本発明の実施例によれば、好ましくは、最上層にある前記サブコーティングを形成する準結晶材料の粒子径は最小であり(なお、ここでの最小とは、複数の前記サブコーティングを形成する準結晶材料のうち、最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料の粒子径が最小であることを指す)、前述したことから、ここでは、複数の前記サブコーティングにおいて、最上層にある前記サブコーティングにおける準結晶材料の粒子径は最小であるとも言える。この時に最上層にある前記サブコーティングを形成する準結晶材料の粒子径が最小であり、最上層にある前記サブコーティングがより緻密であるため、前記コーティングのノンスティック特性をより向上させ、さらに粒子径の大きい準結晶材料と粒子径の小さい準結晶材料が協働して、さらに、形成された前記コーティングは、優れた耐摩耗性及び優れたノンスティック特性を持っており、調理器具での使用に特に適する。
本発明の実施例によれば、好ましくは、最下層にある前記サブコーティングを形成する準結晶材料の粒子径は最大であり(なお、ここでの最大とは、複数の前記サブコーティングを形成する準結晶材料のうち、最下層にある前記サブコーティング101dを形成する準結晶材料の粒子径が最大であることを指す)、前述したことから、ここでは、複数の前記サブコーティングにおいて、最下層にある前記サブコーティングにおける準結晶材料の粒子径は最大であるとも言える。この時に最下層にある前記サブコーティングを形成する準結晶材料の粒子径が最大であるため、コーティングと基材はより強い結合力を持っており、かつポロシティをさらに向上させ、熱伝導率をさらに低下させ、それにより基材の熱伝導をより均一にし、かつ局所的な過熱の現象をさらに減らし、鍋焦げをさらに防ぐ。
本発明の実施例によれば、前記準結晶材料の製造方法は、要件を満たす限り、特に限定されるものではなく、当業者は、必要に応じて柔軟に選択することができる。本発明のいくつかの実施例では、前記準結晶材料の製造方法は噴霧粉末化であってもよく、前記噴霧粉末化の具体的なプロセスに制限はなく、当業者は実際のニーズに応じて柔軟に選択することができる。本発明のいくつかの実施例では、上記の合金インゴットを1000〜1200℃内で液体に溶融し、その後高速で運動する流体(噴霧媒体)に衝突するかまたは他の方式で上記の溶融液を微細液滴に破砕し、そして固体粉末に凝縮する。これにより、プロセスが成熟し、操作しやすく、工業的に生産しやすい。
本発明の実施例によれば、スプレー中の粉末抽出率を改善するために、準結晶粉末を基体の表面にスプレーする前に、準結晶粉末を球状化するステップをさらに含んでもよい。これにより、後続のステップでスプレーする場合、準結晶粉末の粉末抽出率により役立つ。
本発明の実施例によれば、基体への準結晶粉末の付着力を向上させるために、スプレー前に基体の表面を洗浄するステップをさらに含んでもよく、基体の表面の汚れ、油汚れ、錆などを洗浄してスプレーの要件を満たす限り、洗浄の具体的な方法は限定されない。本発明の実施例では、アルコール、トリクロロエチレンまたは純水プラス超音波などの方式で基体の表面を洗浄及び乾燥することができ、スプレーする前に基板の表面に錆などがないようにする必要があり、このように、洗浄後のスプレーは、基体への準結晶粉末の付着力を大幅に向上させることができる。本発明のいくつかの実施例では、基体への準結晶粉末の付着力をさらに向上させ、準結晶コーティングの耐用年数を延長するために、上記の洗浄ステップの後、基体の表面をサンディングして基体の表面を粗くすることができる。
本発明の実施例によれば、準結晶は固有の脆性と低い密着性のため、低温スプレー(コールドスプレーなど)では特性の良い準結晶を製造することが困難であるため、本願は、高温スプレー、すなわち準結晶粉末を溶融状態または半溶融状態に加熱し、基体の表面に高速でスプレーし、付着が強力なコーティングを形成し、前記スプレーの種類には、プラズマスプレー、アークスプレー、火炎スプレーなどがあるが、これらに限定されない。従って、操作は簡単で、便利であり、実現しやすく、工業的に生産しやすい。
本発明の実施例によれば、前記プラズマスプレーのプロセス条件は、パワー30〜50kw、メインエアフロー50〜60L/min、補助エアフロー20〜30L/min、及び粉末供給速度15〜20g/minである。本発明のいくつかの具体的な実施例では、前記パワーは30kw、40kw、50kwなどであってもよく、前記メインエアフローは50L/min、55L/min、60L/minなどであってもよく、前記補助エアフローは20L/min、25L/min、30L/minなどであってもよく、前記粉末供給速度は15g/min、16g/min、17g/min、18g/min、19g/min、20g/minなどであってもよい。これにより、適切な厚さと優れた特性を持っているコーティング100を形成することができる。
本発明の他のいくつかの実施例では、図4を参照すると、S1に記載のスプレーを実行した後、さらにS2を含んでもよい。
S2、コーティングをアニーリングする。
本発明の実施例によれば、コーティングの品質を確保した上で、準結晶材料のより高い含有量を有するコーティングを取得するように、アニーリング処理の温度は600℃〜800℃であり、例えば600℃、650℃、700℃、750℃または800℃である。このように、該温度範囲でのアニーリングは、スプレーによって変換されたコーティング内のアモルファス相を高温で準結晶に再変換できるだけでなく、コーティング内の準結晶シード結晶を準結晶粒に成長させることもでき、さらに、コーティングの品質にも影響を与えず、温度が600℃未満である場合、アモルファス相を準結晶に変換させるには不十分であるが、アニーリング処理前のコーティングと比較すると、コーティングにおける準結晶の含有量が多くなり、温度が800℃を超える場合、コーティングにおける準結晶材料の含有量を大幅に向上させることができるが、アニーリングプロセスにおいて、温度が高すぎてコーティングに過度の熱応力が発生し、この過度の熱応力によりコーティングにクラックが生じ、ノンスティック特性が相対的に低下し、その品質と特性に影響を与える。
本発明の実施例によれば、コーティングには酸化しやすい金属元素(アルミニウムなど)が含まれているため、アニーリング処理は真空または保護雰囲気(窒素やアルゴンなど)で行うことができる。したがって、アニーリングプロセスにおいて、アルミニウムなどの酸化しやすい金属元素が酸化されるのを防ぐことができ、コーティングにおける準結晶材料の含有量をさらに向上させることができる。
本発明の実施例によれば、使用性能が最適で、準結晶材料の含有量がより高いコーティングを取得するように、アニーリング処理の条件は、昇温速度が5℃/min、10℃/min、20℃/min、30℃/min、40℃/min、50℃/min、60℃/min、70℃/min、80℃/min、90℃/minまたは100℃/minなど、5〜100℃/minであり、保温時間が0.5時間、1時間、3時間、5時間、7時間、9時間または10時間など、0.5〜10時間であり、降温速度が5℃/min、10℃/min、20℃/min、30℃/min、40℃/min、50℃/min、60℃/min、70℃/min、80℃/min、90℃/minまたは100℃/minなど、5〜100℃/minであり、200℃、230℃、250℃、270℃または300℃など、200〜300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却する。これにより、コーティングにおける準結晶材料の含有量を最大限に向上させることができ、さらにコーティングのノンスティック特性を最大限に向上させることができ、また、昇温速度または降温速度が低すぎると、プロセス時間が長くなり、昇温速度または降温速度が速すぎると、コーティングの品質に影響を与え、例えばクラックなどであり、保温時間が短すぎると、アモルファス相を準結晶に完全に変換できず、または、シード結晶を完全に結晶粒に成長させることができず、保温時間が長すぎると、コーティングにクラックが生じる可能性がある。
本発明のさらにいくつかの実施例では、図5を参照すると、S1に記載のスプレーを実行した後、さらにS3を含んでもよい。
S3、コーティングを研磨する。
本発明の実施例によれば、本発明に記載のコーティング100の上面の表面粗さは2マイクロメートル未満である。本発明のいくつかの具体的な実施例では、前記コーティング100の上面の表面粗さは0.5マイクロメートル、1マイクロメートル、1.5マイクロメートルなどであってもよい。これにより、前記コーティング100の上面の表面粗さはより低く、これにより前記コーティング100はさらに優れたノンスティック特性を持つ。
本発明のさらにいくつかの実施例では、図6を参照すると、S1に記載のスプレーを実行した後、コーティングをアニーリングする(S2)を含むだけでなく、コーティングを研磨する(S3)をさらに含み、コーティングをアニーリングすること及びコーティングを研磨することはいずれも前述した内容と同じであり、ここでは繰り返さない。
本発明の他の態様では、本発明はコーティングを提供する。本発明の実施例によれば、該コーティングは、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティングを含み、ただし、少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料のポロシティはその上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料のポロシティより大きい(図1を参照すると、例えば、具体的にはサブコーティング101dにおける準結晶材料のポロシティは、サブコーティング101cにおける準結晶材料のポロシティより大きくてもよく、サブコーティングのそれぞれにおける準結晶材料のポロシティは、互いに独立し、互いに影響を与えず、サブコーティング101a、101bにおける準結晶材料のポロシティは特に限定されない)。発明者らが発見したように、該コーティングの下層のポロシティは上層のポロシティよりも高く、下層のポロシティがより高いため、サブコーティングの熱伝導率を低下させることができ、それにより基材の熱伝導をより均一にし、局所的な過熱の現象を減らし、鍋焦げを防ぐことができ、また上層のポロシティがより低いため、より緻密なサブコーティングを取得することができ、それにより、超疎水性構造を形成でき、応力集中を減らし、コーティングクラックがほとんどなく、かつ準結晶コーティングの硬度が高く、摩擦係数が低く、耐摩耗性と耐腐食性を持っているため、優れたノンスティック特性を実現することができる。
本発明の実施例によれば、図1を参照すると、複数の前記サブコーティングを形成する準結晶材料のうち、最上層にある前記サブコーティング101aを形成する準結晶材料のポロシティは最小である。これにより、最上層にある前記サブコーティングを形成する準結晶材料のポロシティは最小であり、これにより、サブコーティングの熱伝導性をさらに低下させることができるため、それにより基材の熱伝導をさらに均一にし、局所的な過熱の現象をさらに低減し、鍋焦げを防ぐことができる。
本発明の実施例によれば、図1を参照すると、複数の前記サブコーティングを形成する準結晶材料のうち、最下層にある前記サブコーティング101dを形成する準結晶材料のポロシティは最大である。これにより、最下層にある前記サブコーティングを形成する準結晶材料のポロシティは最大であり、より緻密なサブコーティングを取得することができ、それにより、超疎水性構造をさらに形成でき、応力集中を減らし、コーティングクラックがほとんどなく、かつ準結晶コーティングの硬度が高く、摩擦係数が低く、耐摩耗性と耐腐食性を持っているため、優れたノンスティック特性を実現することができる。
本発明のさらにいくつかの実施例では、図1を参照すると、下から上へ前記サブコーティング101d、101c、…、101b、101aを形成する準結晶材料のポロシティは段階的に小さくなる。これにより、下から上へ前記サブコーティング101d、101c、…、101b、101aを形成する準結晶材料のポロシティは段階的に小さくなり、これにより、サブコーティングの熱伝導性をさらに低下させることができるため、それにより基材の熱伝導をさらに均一にし、局所的な過熱の現象をさらに低減し、鍋焦げを防ぐことができ、また、より緻密なサブコーティングを取得することができ、それにより、超疎水性構造をさらに形成でき、応力集中を減らし、コーティングクラックがほとんどなく、かつ準結晶コーティングの硬度が高く、摩擦係数が低く、耐摩耗性と耐腐食性を持っているため、優れたノンスティック特性を実現することができる。
本発明のさらに他の態様では、図7から図10を参照すると、本発明は準結晶コーティングを形成する別の方法をさらに提供する。本発明の実施例によれば、該方法は、ステップS100〜S300を含む。
S100、プライマリコーティングを形成し、または粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を基体上に、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブプライマリコーティングとして形成し、プライマリコーティングを取得する。
該ステップでは、準結晶粉体に基づいて基体上にプライマリコーティングを形成する。本発明の実施例によれば、当業者に周知の任意の方法で、準結晶粉体に基づいて基体上にプライマリコーティングを形成してもよい。
S200、アニーリングし、または前記プライマリコーティングをアニーリングすることで、複数のサブコーティングを含む前記コーティングを得、ただし、少なくとも1つの前記サブコーティングにおける準結晶材料の粒子径はその上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける準結晶材料の粒子径より大きい。
該ステップでは、コーティングを取得するように、プライマリコーティングをアニーリングする。発明者らが発見したように、基体上にプライマリコーティングを形成するプロセスは、準結晶粉体の少なくとも一部をアモルファス相に変換させる。さらに、プライマリコーティングをアニーリングすることで、プライマリコーティングの準結晶シード結晶を準結晶に再変換させることができ、それにより、得られたコーティングの準結晶含有量を向上させることができる。
本発明の実施例によれば、図1を参照すると、得られたコーティング100は、下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティング101d、101c、…、101b、101aを含み、ただし、少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径はその上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径より大きい。これにより、粒子径の大きい準結晶材料を先に前記コーティング100の下層として形成し、次に粒子径の小さい準結晶材料を前記コーティング100の上層として形成することで、該コーティング100は、ノンスティック特性がよく、コストが低く、製造プロセスが簡単であり、産業化しやすく、調理器具での使用に特に適する。
本発明の実施例によれば、アニーリング処理は、不活性ガス雰囲気または真空中で行われ、アニーリング処理の温度は600〜800℃であり、例えば600℃、650℃、700℃、750℃または800℃である。このように、該温度範囲でのアニーリングは、プライマリコーティング内のアモルファス相を高温で準結晶に再変換できるだけでなく、プライマリコーティング内の準結晶シード結晶を準結晶粒に成長させることもでき、さらに、コーティングの品質にも影響を与えず、温度が600℃未満である場合、アモルファス相を準結晶に変換させるには不十分であるが、アニーリング処理前のプライマリコーティングと比較すると、コーティングにおける準結晶含有量が多くなり、温度が800℃を超える場合、プライマリコーティングにおける準結晶の含有量を大幅に向上させることができるが、アニーリングプロセスにおいて、温度が高すぎてコーティングに過度の熱応力が発生し、この過度の熱応力によりコーティングにクラックが生じ、品質と使用性能に深刻な影響を与えるだけでなく、準結晶コーティングのノンスティック特性にも影響を与える。
本発明の実施例によれば、プライマリコーティングには酸化しやすい金属元素(アルミニウムなど)が含まれているため、アニーリング処理は真空または保護雰囲気(窒素やアルゴンなど)で行われる。したがって、アニーリングプロセスにおいて、アルミニウムなどの酸化しやすい金属元素が酸化されるのを防ぐことができ、得られたコーティングにおける準結晶の含有量をさらに向上させることができる。
本発明のいくつかの実施例によれば、アニーリング処理の後、コーティングにおける酸素含有量は10at%を超えず、これにより、準結晶コーティングに含有量の高い準結晶が含まれ、良好なノンスティック特性を持たせることを確保でき、本発明のいくつかの実施例によれば、コーティングにおける酸素含有量は4〜7at%である。これにより、さらにコーティングにおける金属元素が酸化されることを防ぐことができ、コーティングにおける準結晶含有量を向上させ、酸素含有量が4at%未満である場合、準結晶含有量の向上は明らかではなく、製造プロセスの難しさが高くなり、それによって生産コストを向上させる。なお、「at%」は原子百分率を指す。
本発明の実施例によれば、製造プロセスまたは使用プロセスにおいて、酸素はコーティングに不可避的に取り込まれ、コーティング内の元素の総数に基づいて、コーティングにおける酸素含有量は10at%以下であり、好ましくは、前記コーティングにおける酸素含有量は4〜7at%である。この時、コーティングにおける酸素含有量が低いため、コーティングにおける金属元素の含有量が増加し、このとき、コーティングと金属基体との間が冶金学的結合となり、コーティングと金属基体との間の結合力を向上させることができる。さらに、酸素含有量が高すぎると、酸素と他の金属元素の結合を増やし、コーティングの結晶相の種類を変更し、コーティングにおいて準結晶相が形成されなくなり、これにより、コーティングのノンスティック特性、耐腐食性及び硬度を大幅に低下させる。
本発明の実施例によれば、使用性能が最適で、準結晶の含有量がより高いコーティングを取得するように、アニーリング処理の条件は、昇温速度が5℃/min、10℃/min、20℃/min、30℃/min、40℃/min、50℃/min、60℃/min、70℃/min、80℃/min、90℃/minまたは100℃/minなど、5〜100℃/minであり、保温時間が0.5h、1h、3h、5h、7h、9hまたは10hなど、0.5〜10hであり、降温速度が5℃/min、10℃/min、20℃/min、30℃/min、40℃/min、50℃/min、60℃/min、70℃/min、80℃/min、90℃/minまたは100℃/minなど、5〜100℃/minであり、200℃、230℃、250℃、270℃または300℃など、200〜300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却する。これにより、プライマリコーティングにおける準結晶の含有量を最大限に向上させることができ、さらにコーティングのノンスティック特性などの他の特性を最大限に向上させることができ、また、昇温速度または降温速度が低すぎると、プロセス時間が長くなり、昇温速度または降温速度が速すぎると、コーティングの品質に影響を与え、例えばコーティングクラックなどであり、保温時間が短すぎると、アモルファス相を準結晶に完全に変換できず、または、シード結晶を完全に結晶粒に成長させることができず、当然のことながら、アニーリングされていないプライマリコーティングに比べると、アニーリングされたコーティングの準結晶含有量はさらに高くなり、保温時間が長すぎると、コーティングにクラックが生じる可能性がある。
本発明の実施例によれば、図8を参照すると、S100の前にさらに次のステップを含む。
S10、粉末化処理。
該ステップでは、準結晶合金インゴットを粉末化して準結晶合金粉末を取得する。
本発明の実施例によれば、上記準結晶合金インゴットは、アルミニウム材、銅材、鉄材、クロム材の少なくとも1つを含む混合物を精錬することによって形成される。したがって、得られた準結晶合金インゴットは、後でコーティングの形成により適する。
本発明の実施例によれば、上記の混合物におけるアルミニウム、銅、鉄及びクロムの原子百分率は、60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムであり、または混合物は原子百分率で60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムを含むとも言える。これにより、得られたコーティングにおける準結晶含有量を向上させる。
本発明の実施例によれば、上記のアルミニウム材は純アルミニウムであり、銅材は純銅であり、鉄材は純鉄であり、クロム材は純クロムまたはクロムチタン合金である。発明者らが発見したように、準結晶合金インゴットを製造するためのクロム材としてクロムチタン合金を用いることにより、すなわち、適量のチタン元素を準結晶に添加することにより、準結晶合金の結晶間腐食の傾向をさらに低減し、それにより耐腐食性をさらに向上させることができる。本発明の実施例によれば、上記のアルミニウム材、銅材、鉄材、及びクロム材はいずれも市販で購入できる通常のものを用いてもよい。
本発明の実施例によれば、準結晶合金インゴットを準結晶合金粉末に製造するための処理方法は、特に限定されるものではなく、当業者は、実際のニーズに応じて柔軟に選択することができる。本発明の好ましい実施例によれば、準結晶合金インゴットは、噴霧粉末化法によって準結晶合金粉末に製造することができ、それによって得られた準結晶合金粉末は、後でコーティング形成での使用により適する。
S20、スクリーニング処理。
該ステップでは、前記準結晶合金粉末をスクリーニングして前記粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を取得する。
さらに、前記粒子径の異なる複数群の準結晶粉体は第1の粉体及び第2の粉体を含み、前記第1の粉体粒子の粒子径は、前記第2の粉体粒子の粒子径より小さく、または準結晶合金粉末から第1の粉体及び第2の粉体を選択するとも言える。本発明のいくつかの実施例では、第1の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径は80μm以下であり、第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径は80μmを超える。
本発明の実施例によれば、粒子径が前記コーティングを製造するための要件を満たさない前記準結晶粉体を用いて、準結晶合金インゴットを製造してもよい。本発明のいくつかの実施例では、準結晶合金粉末から選択された第2の粉体は、準結晶合金インゴットを製造するために用いられてもよい。発明者らが発見したように、第1の粉体に対する第2の粉体の粒子径が大きく、第2の粉体を直接準結晶コーティングの形成に用いると、準結晶コーティングの耐腐食性に大きな影響を与える。第2の粉体を回収して準結晶合金インゴットの製造に用いることにより、リソースの使用率を大幅に向上させることができる。
さらに、本発明の実施例によれば、上記の第1の粉体及び第2の粉体をさらにスクリーニングしてもよく、それにより上記の第1の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径が20μm以上となり、第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径が150μm以下となる。つまり、第1の粉体及び第2の粉体をさらにスクリーニングし、得られた第1の粉体の少なくとも90%の粒子の粒子径が20μm以上かつ80μm以下であり、前記第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径が80μmを超えかつ150μm以下である。これにより、第1の粉体及び第2の粉体を段階的に利用するのにさらに役立つ。
本発明の実施例によれば、図9を参照すると、S100はS110と、S120とをさらに含む。
S110、第1のサブプライマリコーティングを形成する。
該ステップでは、少なくとも90%の粒子の粒子径が80μmを超えかつ150μm以下である上記の第2の粉体に基づいて、基体上に第1のサブプライマリコーティングを形成する。
S120、第2のサブプライマリコーティングを形成する。
該ステップでは、少なくとも90%の粒子の粒子径が20μm以上かつ80μm以下である上記の第1の粉体に基づいて、基体から離れた第1のサブプライマリコーティングの表面に第2のサブプライマリコーティングを形成することで、前記第1のサブプライマリコーティング及び前記第2のサブプライマリコーティングを含む前記プライマリコーティングを取得する。
発明者らが発見したように、粒子径の大きい準結晶粉体(すなわち、第2の粉体)である場合、コーティングを形成するためにそれを直接用いると、コーティングの特性にいくらかの悪影響を与えるが、第2の粉末を用いて先に基体上に第1のサブプライマリコーティングを形成し、次に粒子径の小さい準結晶粉体(すなわち、第1の粉体)を用いて該第1のサブプライマリコーティングに外側コーティング即ち第2のサブプライマリコーティングを形成することで、外側コーティングの特性に影響を与えない前提で第2の粉体を効果的に利用してリソースの使用率を向上させることができる。さらに、第2の粉体に基づいて形成された第1のサブプライマリコーティングは、一定のポロシティを有し、コーティングの熱伝導率をさらに低下させることができ、それによりコーティングが形成された基体の表面温度がより均一になり、コーティングのノンスティック特性にある程度寄与する。粒子径の小さい第1の粉体を用いて第1のサブプライマリコーティングの外側に形成された第2のサブプライマリコーティングは緻密度がより高く、第1のサブプライマリコーティングのポロシティが大きいことによるコーティングへの悪影響を効果的に除去することができる。粒子径が20μm未満または150μmを超える準結晶粉体は、準結晶合金インゴットを製造するためにリサイクルして用いられてもよい。
本発明の実施例によれば、上記の第1のサブプライマリコーティング及び第2のサブプライマリコーティングは、スプレー法によって形成される。他のいくつかの実施例では、第1のサブプライマリコーティング及び第2のサブプライマリコーティングはメルトスプレー、物理的蒸気堆積などの方法によって形成されてもよい。好ましくは、上記の第1のサブプライマリコーティング及び第2のサブプライマリコーティングはプラズマスプレー法によって形成される。これにより、基体上に第1のサブプライマリコーティング及び第2のサブプライマリコーティングを効果的に形成することができ、プロセスが成熟し、操作しやすく、工業的に生産しやすい。
本発明の実施例によれば、プラズマスプレー法の条件は、アークパワーが25〜50kWであり、アーク電圧が40〜50Vであることである。これにより、より優れた特性を持っている第1のサブプライマリコーティング及び第2のサブプライマリコーティングを形成することができる。
本発明の実施例によれば、図10を参照すると、本発明によるコーティングを形成する方法は、ステップ(2)の後、ステップS300をさらに含む。
S300、研磨処理。
該ステップでは、コーティングを研磨する。本発明の実施例によれば、コーティングを手動または機械的に研磨してもよく、得られたコーティングの平滑度はRa=0.08〜1.25μmであり、これによりコーティングの外観をさらに改善することができる。
本発明の他の態様では、本発明は上記の実施例によるコーティングを形成する方法を実施するシステムを提供する。本発明の実施例によれば、図11を参照すると、該システムはスプレー装置10またはアニーリング装置20を含む。ただし、スプレー装置10はプライマリコーティングを取得するように、基体の表面に準結晶粉体をスプレーするのに適しており、アニーリング装置20はコーティングを取得するように、プライマリコーティングをアニーリングすることに適用される。
本発明の実施例によるコーティングを形成するシステムは、まずスプレー装置を用いて基体の表面に準結晶粉体をスプレーし、基体の表面にプライマリコーティングを形成する。さらにアニーリング装置を用いてプライマリコーティングをアニーリングすることで、プライマリコーティングにおける準結晶シード結晶を準結晶に変換させ、それによりコーティングにおける準結晶含有量をさらに向上させる。このように形成されたコーティングは、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、耐腐食性などの優れた表面特性を持っている。このように、本発明によるコーティングを形成するシステムは、上記の利点を有するコーティングを効果的に形成することができ、また製造コストが低いという利点を有する。
図12から図16を参照して本発明の実施例によるコーティングを形成するシステムについて詳しく説明する。
本発明の実施例によれば、スプレー装置10はプライマリコーティングを取得するように、基体の表面に準結晶粉体をスプレーすることに適用される。本発明の実施例によれば、当業者に周知の任意の方法により、準結晶粉体に基づいて基体上にプライマリコーティングを形成してもよい。
本発明の実施例によれば、アニーリング装置20は、スプレー装置10に接続され、かつコーティングを取得するように、プライマリコーティングをアニーリングすることに適用される。発明者らが発見したように、基体上にプライマリコーティングを形成するプロセスは、準結晶粉体の少なくとも一部をアモルファス相に変換させる。さらに、プライマリコーティングをアニーリングすることで、プライマリコーティングの準結晶シード結晶を準結晶に再変換させることができ、それにより、得られたコーティングの準結晶含有量を向上させることができる。
本発明の実施例によれば、アニーリング処理は、不活性ガス雰囲気または真空中で行われ、アニーリング処理の温度は600〜800℃であり、例えば600℃、650℃、700℃、750℃または800℃である。このように、該温度範囲でのアニーリングは、プライマリコーティング内のアモルファス相を高温で準結晶に再変換できるだけでなく、プライマリコーティング内の準結晶シード結晶を準結晶粒に成長させることもでき、さらに、コーティングの品質にも影響を与えず、温度が600℃未満である場合、アモルファス相を準結晶に変換させるには不十分であるが、アニーリング処理前のプライマリコーティングと比較すると、コーティングにおける準結晶含有量が多くなり、温度が800℃を超える場合、プライマリコーティングにおける準結晶の含有量を大幅に向上させることができるが、アニーリングプロセスにおいて、温度が高すぎてコーティングに過度の熱応力が発生し、この過度の熱応力によりコーティングにクラックが生じ、品質と使用性能に深刻な影響を与えるだけでなく、コーティングのノンスティック特性にも影響を与える。
本発明の実施例によれば、プライマリコーティングには酸化しやすい金属元素(アルミニウムなど)が含まれているため、アニーリング処理は真空または保護雰囲気(窒素やアルゴンなど)で行われる。したがって、アニーリングプロセスにおいて、アルミニウムなどの酸化しやすい金属元素が酸化されるのを防ぐことができ、得られたコーティングにおける準結晶の含有量をさらに向上させることができる。
本発明のいくつかの実施例によれば、アニーリング処理の後、コーティングにおける酸素含有量は10at%を超えず、これにより、コーティングに含有量の高い準結晶が含まれ、良好なノンスティック特性を持たせることを確保でき、本発明のいくつかの実施例によれば、コーティングにおける酸素含有量は4〜7at%である。これにより、さらにコーティングにおける金属元素が酸化されることを防ぐことができ、コーティングにおける準結晶含有量を向上させ、酸素含有量が4at%未満である場合、準結晶含有量の向上は明らかではなく、製造プロセスの難しさが高くなり、それによって生産コストを向上させる。なお、「at%」は原子百分率を指す。
本発明の実施例によれば、製造プロセスまたは使用プロセスにおいて、酸素は準結晶コーティングに不可避的に取り込まれ、コーティング内の元素の総数に基づいて、コーティングにおける酸素含有量は10at%以下であり、好ましくは、前記コーティングにおける酸素含有量は4〜7at%である。この時、コーティングにおける酸素含有量が低いため、コーティングにおける金属元素の含有量が増加し、このとき、コーティングと金属基体との間が冶金学的結合となり、コーティングと金属基体との間の結合力を向上させることができる。さらに、酸素含有量が高すぎると、酸素と他の金属元素の結合を増やし、コーティングの結晶相の種類を変更し、コーティングにおいて準結晶相が形成されなくなり、これにより、コーティングのノンスティック特性、耐腐食性及び硬度を大幅に低下させる。
本発明の実施例によれば、使用性能が最適で、準結晶の含有量がより高いコーティングを取得するように、アニーリング処理の条件は、昇温速度が5℃/min、10℃/min、20℃/min、30℃/min、40℃/min、50℃/min、60℃/min、70℃/min、80℃/min、90℃/minまたは100℃/minなど、5〜100℃/minであり、保温時間が0.5h、1h、3h、5h、7h、9hまたは10hなど、0.5〜10hであり、降温速度が5℃/min、10℃/min、20℃/min、30℃/min、40℃/min、50℃/min、60℃/min、70℃/min、80℃/min、90℃/minまたは100℃/minなど、5〜100℃/minであり、200℃、230℃、250℃、270℃または300℃など、200〜300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却する。これにより、プライマリコーティングにおける準結晶の含有量を最大限に向上させることができ、さらに、コーティングのノンスティック特性などの他の特性を最大限に向上させることができ、また、昇温速度または降温速度が低すぎると、プロセス時間が長くなり、昇温速度または降温速度が速すぎると、コーティングの品質に影響を与え、例えばコーティングクラックなどであり、保温時間が短すぎると、アモルファス相を準結晶に完全に変換できず、またはシード結晶を完全に結晶粒に成長させることができず、当然のことながら、アニーリングされていないプライマリコーティングに比べると、アニーリングされたコーティングの準結晶含有量はさらに高くなり、保温時間が長すぎると、コーティングにクラックが生じる可能性がある。
本発明の実施例によれば、図12を参照すると、本発明によるコーティングを形成するシステムは粉末化装置1及びスクリーニング装置2をさらに含む。粉末化装置1は準結晶合金粉末を取得するように、準結晶合金インゴットを粉末化することに適用される。
本発明の実施例によれば、粉末化装置1の種類は特に限定されず、当業者は、実際のニーズに応じて柔軟に選択することができる。本発明の好ましい実施例によれば、粉末化装置1は、噴霧粉末化装置であってもよく、それによって得られた準結晶合金粉末は、後でコーティング形成での使用により適する。
本発明の実施例によれば、上記準結晶合金インゴットは、アルミニウム材、銅材、鉄材、クロム材の少なくとも1つを含む混合物を精錬することによって形成される。したがって、得られた準結晶合金インゴットは、後でコーティングの形成により適する。
本発明の実施例によれば、上記の混合物におけるアルミニウム、銅、鉄及びクロムの原子百分率は、60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムであり、または混合物は原子百分率で60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムを含むとも言える。これにより、得られたコーティングにおける準結晶含有量を向上させる。
本発明の実施例によれば、上記のアルミニウム材は純アルミニウムであり、銅材は純銅であり、鉄材は純鉄であり、クロム材は純クロムまたはクロムチタン合金である。クロムチタン合金を用いて準結晶合金インゴットを形成する場合、準結晶合金インゴットにチタン元素も対応的に含まれる。発明者らが発見したように、準結晶合金インゴットを製造するためのクロム材としてクロムチタン合金を用いることにより、すなわち、適量のチタン元素を準結晶に添加することにより、準結晶合金の結晶間腐食の傾向をさらに低減し、それにより耐腐食性をさらに向上させることができる。本発明の実施例によれば、上記のアルミニウム材、銅材、鉄材、及びクロム材はいずれも市販で購入できる通常のものを用いてもよい。
本発明の実施例によれば、スクリーニング装置2は粉末化装置1及びスプレー装置10に接続され、スクリーニング装置2は粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を取得するように、準結晶合金粉末をスクリーニングすることに適用される。本発明のいくつかの実施例では、前記粒子径の異なる複数群の準結晶粉体は第1の粉体及び第2の粉体を含み(かつ以下では、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体が第1の粉体及び第2の粉体を含むことを例として説明し、当然のことながら、当業者であれば理解できるように、本発明に記載のシステムは、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体が第1の粉体及び第2の粉体を含むことに適するだけでなく、粒子径の異なるより多くのグループの準結晶粉体を含むのにも適する)、第1の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径は80μm以下であり、第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径は80μmを超える。スプレー装置は、上記の粒子径の異なる複数群の準結晶粉体に基づいて基体上にプライマリコーティングを形成するのに適しており、具体的には、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体は上記の第1の粉体及び第2の粉体を含む。発明者らが発見したように、第1の粉体に対する第2の粉体の粒子径が大きく、プライマリコーティングを形成するために第2の粉体を直接用いると、準結晶コーティングの耐腐食性に大きな影響を与える。第2の粉体を回収して準結晶合金インゴットを製造することにより、リソースの使用率を大幅に向上させることができる。
本発明の実施例によれば、図13を参照すると、本発明によるコーティングを形成するシステムは、粉末化装置1に接続され、かつ準結晶合金インゴットを取得するように、アルミニウム材、銅材、鉄材、クロム材の少なくとも1つを含む混合物を精錬することに適用される精錬装置40をさらに含む。
本発明の実施例によれば、精錬装置40は中周波誘導炉であってもよい。
本発明の実施例によれば、図14を参照すると、スクリーニング装置2は、第1のスクリーニングユニット2−1と、第2のスクリーニングユニット2−2と、第3のスクリーニングユニット2−3とを含み、第1のスクリーニングユニット2−1内に700メッシュのスクリーンが設けられ、第2のスクリーニングユニット2−2内に180メッシュのスクリーンが設けられ、第3のスクリーニングユニット2−3内に100メッシュのスクリーンが設けられる。第1から第3のスクリーニングユニットの協働によって、準結晶合金粉末のスクリーニングによって得られた第1の粉体及び第2の粉体をさらにスクリーニングし、得られた第1の粉体の少なくとも90%の粒子の粒子径が20μm以上かつ80μm以下であり、第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径が80μmを超えかつ150μm以下である。また、当業者が理解できるように、第1から第3のスクリーニングユニットを用いることでスクリーニングして粒子径が20μm未満及び150μmを超える粉体を取得することができ、かつ当業者が理解できるように、ここでは、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体が第1の粉体及び第2の粉体を含むことを例として説明するが、本発明に記載のスクリーニング装置2は、同様に、前記準結晶合金粉末をスクリーニングして、前記粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を取得することに適用される。
本発明の実施例によれば、図15を参照すると、スプレー装置10は第1のサブプライマリコーティングスプレーユニット11及び第2のサブプライマリコーティングスプレーユニット12を含み、第1のサブプライマリコーティングスプレーユニット11は、上記の少なくとも90%の粒子の粒子径が80μmを超えかつ150μm以下である第2の粉体を用いて基体上に第1のサブプライマリコーティングを形成するのに適しており、第2のサブプライマリコーティングスプレーユニット12は、上記の少なくとも90%の粒子の粒子径が20μm以上かつ80μm以下である第1の粉体を用いて基体から離れた第1のサブプライマリコーティングの表面に第2のサブプライマリコーティングを形成するのに適しており、それにより、前記第1のサブプライマリコーティング及び前記第2のサブプライマリコーティングを含む前記プライマリコーティングを取得する(なお、ここでは、粒子径の異なる複数群の準結晶粉体が第1の粉体及び第2の粉体を含むことを例として説明するが、本発明に記載のスプレー装置10は、同様に、粒子径の異なる前記複数群の準結晶粉体を用いて準結晶材料を含む前記複数のサブプライマリコーティングを前記基体上に形成することに適用される)。発明者らが発見したように、粒子径の大きい準結晶粉体(すなわち、第2の粉体)である場合、コーティングを形成するためにそれを直接用いると、コーティングの特性にいくらかの悪影響を与えるが、第2の粉末を用いて先に基体上に第1のサブプライマリコーティングを形成し、次に粒子径の小さい準結晶粉体(すなわち、第1の粉体)を用いて該第1のサブプライマリコーティングに外側コーティング即ち第2のサブプライマリコーティングを形成することで、外側コーティングの特性に影響を与えない前提で第2の粉体を効果的に利用してリソースの使用率を向上させることができる。さらに、第2の粉体に基づいて形成された第1のサブプライマリコーティングは、一定のポロシティを有し、コーティングの熱伝導率をさらに低下させることができ、それによりコーティングが形成された基体の表面温度がより均一になり、コーティングのノンスティック特性にある程度寄与する。粒子径の小さい第1の粉体を用いて第1のサブプライマリコーティングの外側に形成されたコーティングは緻密度がより高く、第1のサブプライマリコーティングのポロシティが大きいことによるコーティングへの悪影響を効果的に除去することができる。
本発明の実施例によれば、スクリーニング装置2は、精錬装置40に接続されてもよく、これにより、粒子径が20μm未満または150μmを超える準結晶粉体は、準結晶合金インゴットを製造するためにリサイクルして用いられてもよく、かつ粒子径が前記コーティングを製造するための要件を満たさない前記準結晶粉体を前記精錬装置に輸送することに適用される。
本発明の実施例によれば、スプレー装置10はプラズマスプレー装置であってもよい。これにより、プラズマスプレー装置を用いて基体上に第1のサブプライマリコーティング及び第2のサブプライマリコーティングを効果的に形成することができ、プロセスが成熟し、操作しやすく、工業的に生産しやすい。
本発明の実施例によれば、プラズマスプレー装置の作動条件は、アークパワーが25〜50kWであり、アーク電圧が40〜50Vであることである。これにより、より優れた特性を持っている第1のサブプライマリコーティング及び第2のサブプライマリコーティングを形成することができる。
本発明の実施例によれば、図16を参照すると、本発明によるコーティングを形成するシステムは研磨装置50をさらに含む。研磨装置50はアニーリング装置20に接続され、かつコーティングを研磨することに適用される。研磨装置50を用いて準結晶コーティングを研磨し、得られたコーティングの平滑度はRa=0.08〜1.25μmである。これにより、コーティングの外観をさらに改善することができる。
本発明の他の態様では、本発明は準結晶コーティングを形成する方法をさらに提供する。本発明の実施例によれば、該方法は次のステップを含む。(1)準結晶合金インゴットを粉末化して準結晶合金粉末を取得する。(2)前記準結晶合金粉末をスクリーニングして前記粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を得、かつ粒子径が前記コーティングを製造するための要件を満たさない前記準結晶粉体を用いて、準結晶合金インゴットを製造する。本発明のいくつかの実施例では、準結晶合金粉末から第1の粉体及び第2の粉体を選択し、第1の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径は80μm以下であり、第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径は80μmを超える。(3)上記の第2の粉体に基づいて基体上に底層(すなわち、第1のサブプライマリコーティング)を形成し、上記の第1の粉体に基づいて、基体から離れた底層の表面にコーティング(すなわち、第2のサブプライマリコーティング)を形成する。
本発明の実施例に記載の準結晶コーティングを形成する方法によれば、まず、準結晶合金インゴットを用いて準結晶合金粉末を製造し、次に準結晶合金粉末をスクリーニングし、少なくとも90%の粒子の粒子径が80μm以下である第1の粉体を用いて、基体上に準結晶コーティングを形成する。上記の粒子径の第1の粉体を用いて形成された準結晶コーティングは、構造が緻密で、表面粗さが低く、かつ高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、耐腐食性などの優れた表面特性を持っており、また製造コストが低いという利点を有する。
以下では、本発明の実施例によるコーティングを形成する方法について詳しく説明する。本発明の実施例によれば、該方法はステップ(1)〜(3)を含む。
ステップ(1)、準結晶合金インゴットを粉末化して準結晶合金粉末を取得する。
本発明の実施例によれば、上記準結晶合金インゴットは、アルミニウム材、銅材、鉄材、クロム材の少なくとも1つを含む混合物を精錬することによって形成される。したがって、得られた準結晶合金インゴットは、後でコーティングの形成により適する。
本発明の実施例によれば、上記の混合物におけるアルミニウム、銅、鉄及びクロムの原子百分率は、60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムであり、または混合物は原子百分率で60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムを含むとも言える。これにより、得られた準結晶コーティングにおける準結晶含有量を向上させる。
本発明の実施例によれば、上記のアルミニウム材は純アルミニウムであり、銅材は純銅であり、鉄材は純鉄であり、クロム材は純クロムまたはクロムチタン合金である。クロムチタン合金を用いて準結晶合金インゴットを形成する場合、準結晶合金インゴットにチタン元素も対応的に含まれる。発明者らが発見したように、準結晶合金インゴットを製造するためのクロム材としてクロムチタン合金を用いることにより、すなわち、適量のチタン元素を準結晶に添加することにより、準結晶合金の結晶間腐食の傾向をさらに低減し、それにより耐腐食性をさらに向上させることができる。本発明の実施例によれば、上記のアルミニウム材、銅材、鉄材、及びクロム材はいずれも市販で購入できる通常のものを用いてもよい。
本発明の実施例によれば、準結晶合金インゴットを準結晶合金粉末に製造するための処理方法は、特に限定されるものではなく、当業者は、実際のニーズに応じて柔軟に選択することができる。本発明の好ましい実施例によれば、準結晶合金インゴットは、噴霧粉末化法によって準結晶合金粉末に製造することができ、それによって得られた準結晶合金粉末は、後でコーティング形成での使用により適する。
ステップ(2)、前記準結晶合金粉末をスクリーニングして前記粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を取得する。本発明のいくつかの実施例では、準結晶合金粉末から第1の粉体及び第2の粉体を選択し、第1の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径は80μm以下であり、第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径は80μmを超える。
本発明の実施例によれば、前記準結晶合金粉末をスクリーニングして前記粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を得、かつ粒子径が前記コーティングを製造するための要件を満たさない前記準結晶粉体を用いて、準結晶合金インゴットを製造する。具体的には、準結晶合金粉末から選択された第2の粉体は、準結晶合金インゴットを製造するために用いられてもよい。発明者らが発見したように、第1の粉体に対する第2の粉体の粒子径が大きく、第2の粉体を直接コーティングの形成に用いると、コーティングの耐腐食性に大きな影響を与える。第2の粉体を回収して合金インゴットを製造することにより、リソースの使用率を大幅に向上させることができる。
ステップ(3)、上記の第2の粉体に基づいて基体上に底層を形成し、上記の第1の粉体に基づいて、基体から離れた底層の表面にコーティングを形成する。
本発明の実施例によれば、上記の第1の粉体及び第2の粉体をさらにスクリーニングしてもよく、それにより上記の第1の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径が20μm以上となり、第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径が150μm以下となる。つまり、第1の粉体及び第2の粉体をさらにスクリーニングし、得られた第1の粉体の少なくとも90%の粒子の粒子径が20μm以上かつ80μm以下であり、前記第2の粉体中の少なくとも90%の粒子の粒子径が80μmを超えかつ150μm以下である。これにより、第1の粉体及び第2の粉体を段階的に利用するのにさらに役立つ。
発明者らが発見したように、粒子径の大きい準結晶粉体(すなわち、第2の粉体)である場合、コーティングを形成するためにそれを直接用いると、コーティングの特性にいくらかの悪影響を与えるが、第2の粉末を用いて先に基体上に底層(つまり、第1のサブプライマリコーティング)を形成し、次に粒子径の小さい準結晶粉体(すなわち第1の粉体)を用いて該底層に外側コーティング(つまり、第2のサブプライマリコーティング)、即ちコーティングを形成することで、外側コーティングの特性に影響を与えない前提で第2の粉体を効果的に利用してリソースの使用率を向上させることができる。さらに、第2の粉体に基づいて形成された底層は、一定のポロシティを有し、コーティングの熱伝導率をさらに低下させることができ、それによりコーティングが形成された基体の表面温度がより均一になり、コーティングのノンスティック特性にある程度寄与する。粒子径の小さい第1の粉体を用いて底層の外側に形成されたコーティングは緻密度がより高く、底層のポロシティが大きいことによるコーティングへの悪影響を効果的に除去することができる。粒子径が20μm未満または150μmを超える準結晶粉体(即ち粒子径がコーティング製造の要件を満たさない前記準結晶粉体)は、準結晶合金インゴットを製造するためにリサイクルして用いられてもよい。
本発明の実施例によれば、上記の底層及びコーティングはプラズマスプレー法によって形成される。これにより、基体上に底層及びコーティングを効果的に形成することができ、プロセスが成熟し、操作しやすく、工業的に生産しやすい。
本発明の実施例によれば、プラズマスプレー法の条件は、アークパワーが25〜50kWであり、アーク電圧が40〜50Vであることを含む。これにより、より優れた特性を持っている底層及びコーティングを形成することができる。
本発明の実施例によれば、上記のステップ(3)の後、さらにステップ(4)を含んでもよい。
ステップ(4)、ステップ(3)において形成されたコーティング及び前記底層をアニーリングする。発明者らが発見したように、プラズマスプレー法によって基体上にコーティング及び底層を形成することは、第1の粉体及び第2の粉体の少なくとも一部の準結晶をアモルファス相に変換させる。さらに、コーティング及び底層をアニーリングすることで、コーティング及び底層の準結晶シード結晶を準結晶に再変換させることができ、それにより、コーティング及び底層の準結晶含有量を向上させることができる。
本発明の実施例によれば、アニーリング処理は、不活性ガス雰囲気または真空中で行われ、アニーリング処理の温度は600〜800℃であり、例えば600℃、650℃、700℃、750℃または800℃である。このように、該温度範囲でのアニーリングは、底層及びコーティング内のプラズマスプレーにより変換されたアモルファス相を高温で準結晶に再変換できるだけでなく、底層及びコーティング内の準結晶シード結晶を準結晶粒に成長させることもでき、さらに、コーティングの品質にも影響を与えず、温度が600℃未満である場合、アモルファス相を準結晶に変換させるには不十分であるが、アニーリング処理前の底層及びコーティングと比較すると、コーティングにおける準結晶含有量が多くなり、温度が800℃を超える場合、底層及びコーティングにおける準結晶の含有量を大幅に向上させることができるが、アニーリングプロセスにおいて、温度が高すぎてコーティングに過度の熱応力が発生し、この過度の熱応力によりコーティングにクラックが生じ、品質と使用性能に深刻な影響を与えるだけでなく、コーティングのノンスティック特性にも影響を与える。
本発明の実施例によれば、底層及びコーティングには酸化しやすい金属元素(アルミニウムなど)が含まれているため、アニーリング処理は真空または保護雰囲気(窒素やアルゴンなど)で行われる。したがって、アニーリングプロセスにおいて、アルミニウムなどの酸化しやすい金属元素が酸化されるのを防ぐことができ、底層及びコーティングにおける準結晶の含有量をさらに向上させることができる。
本発明の実施例によれば、使用性能が最適で、準結晶の含有量がより高いコーティングを取得するように、アニーリング処理の条件は、昇温速度が5℃/min、10℃/min、20℃/min、30℃/min、40℃/min、50℃/min、60℃/min、70℃/min、80℃/min、90℃/minまたは100℃/minなど、5〜100℃/minであり、保温時間が0.5h、1h、3h、5h、7h、9hまたは10hなど、0.5〜10hであり、降温速度が5℃/min、10℃/min、20℃/min、30℃/min、40℃/min、50℃/min、60℃/min、70℃/min、80℃/min、90℃/minまたは100℃/minなど、5〜100℃/minであり、200℃、230℃、250℃、270℃または300℃など、200〜300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却する。これにより、コーティング及び底層における準結晶の含有量を最大限に向上させることができ、さらにコーティングのノンスティック特性などの他の特性を最大限に向上させることができ、また、昇温速度または降温速度が低すぎると、プロセス時間が長くなり、昇温速度または降温速度が速すぎると、コーティングの品質に影響を与え、例えばコーティングクラックなどであり、保温時間が短すぎると、アモルファス相を準結晶に完全に変換できず、またはシード結晶を完全に結晶粒に成長させることができず、当然のことながら、アニーリングされていない底層及びコーティングに比べると、アニーリングされたコーティングの準結晶含有量はさらに高くなり、保温時間が長すぎると、コーティングにクラックが生じる可能性がある。
本発明の実施例によれば、上記のステップ(3)の後、さらにステップ(5)を含んでもよい。
ステップ(5)、ステップ(3)で形成された準結晶コーティングを研磨する。本発明の実施例によれば、コーティングを手動または機械的に研磨してもよく、得られたコーティングの平滑度はRa=0.08〜1.25μmであり、これによりコーティングの外観をさらに改善することができる。
本発明の実施例によれば、上記の基体の具体的な材料は、その表面に準結晶粉末をスプレーするのに十分な強度を有する限り、特に制限はない。本発明のいくつかの実施例では、基体は(低)炭素鋼、アルミニウム合金、ステンレス鋼、または鉄などの金属基体である。これにより、基体はスプレー中の圧力に耐えるのに十分な強度を持っている。
本発明の好ましい実施例によれば、上記の基体は鍋本体の内面であるため、鍋本体の内面にコーティングを施し、食物に直接接触させることで、鍋本体のノンスティックなどの特性を向上させる。
本発明の実施例によれば、準結晶コーティングを形成する上記の方法はさらにステップ(6)を含んでもよい。
ステップ(6)、鍋本体に対して前処理を行い、前記前処理は、スタンピング、サンディング、乾燥、及びデサンディングを含む。具体的には、従来の鍋本体スタンピング、サンディング、乾燥、及びデサンディングプロセスによって鍋本体に対して前処理を行うことができる。ただし、サンディング中にグリットが残らないように注意する必要がある。残留グリットは、基体上の準結晶コーティングの部分的な損失を引き起こし、コーティングの耐食性に深刻な影響を及ぼす。
本発明のさらに他の態様では、本発明は鍋を提供する。本発明の実施例によれば、該鍋は、鍋本体及び前記鍋本体の少なくとも一部の内面に設けられたコーティングを含み、前記コーティングは前述したコーティングであり、または前記コーティングは前述した方法または前述したシステムを用いて製造されたものであり、または、該鍋は上記の実施例の方法または上記の実施例のシステムを用いて製造されたものであるとも言える。該鍋の鍋本体は上記の基体である。このように、該鍋の鍋本体の内面は上記の実施例の方法または上記の実施例のシステムによって形成されたコーティングを有する。発明者らが発見したように、該鍋の内面は優れた表面特性を持っており、かつ該鍋はノンスティック特性がよく、コストが低く、産業化しやすく、かつ前述したコーティングの全ての特徴及び利点を有し、ここでは繰り返さない。
または本発明のさらに他の態様では、本発明は、上記の実施例の方法または上記の実施例のシステムを用いて製造された鍋を提供する。該鍋の鍋本体は上記の基体である。これにより、該鍋の鍋本体の内面は、上記の実施例の方法または上記の実施例のシステムによって形成された準結晶コーティングを有する。なお、前述した準結晶コーティングを形成する方法、準結晶コーティングを形成するシステムの全ての特徴及び利点は同様に該鍋に適しており、ここでは繰り返さない。要約すると、該鍋の内面は優れた表面特性を持っている。
本発明の実施例によれば、前記コーティングを形成する前に、前記鍋の鍋本体の内面に予め前処理を行い、前記前処理は、スタンピング、サンディング、乾燥、及びデサンディングを含む。このように、準結晶コーティングを鍋本体の内面に施し、食物に直接接触させることで、鍋本体のノンスティックなどの特性を向上させる。本発明の実施例によれば、従来の鍋本体スタンピング、サンディング、乾燥、及びデサンディングプロセスによって鍋本体に対して前処理を行うことができる。ただし、サンディング中にグリットが残らないように注意する必要がある。残留グリットは、基体上の準結晶コーティングの部分的な損失を引き起こし、コーティングの耐食性に深刻な影響を及ぼす。
本発明のさらなる態様では、本発明は調理器具を提供する。本発明の実施例によれば、該調理器具は前述した鍋を含み、前記調理器具は、炒め鍋、フライパン、シチューポット、ミルクポット、電気炊飯器、圧力調理器から選択される少なくとも1種である。発明者らが発見したように、該調理器具は前述した鍋の全ての特徴及び利点を有し、ここでは繰り返さない。
本発明の実施例によれば、当然のことながら、当業者が理解できるように、前述したコーティング及び鍋本体に加えて、該調理器具はさらに従来の調理器具に必要な構造または部材を含み、炒め鍋を例として、前述したコーティング及び鍋本体に加えて、さらにハンドルを含み、ここでは繰り返さない。
以下では本発明の実施例について詳しく説明する。
(実施例1)
コーティングは下から上へ順に積層してなる第1のサブコーティング及び第2のサブコーティングを含み、第1のサブコーティングを形成する準結晶材料の粒子径が150〜300マイクロメートルであり、第2のサブコーティングを形成する準結晶材料の粒子径が20〜150マイクロメートルである。
コーティングを製造するステップは次のとおりであり、
1.合金原料をAl:Cu:Fe:Cr=(60〜70):(15〜25):(5〜15):(5〜15)の原子数比で合金インゴットに溶融する。
2.噴霧粉末化:真空または保護雰囲気の環境で、粉末化機器を用いて準結晶粉末を製造する。
3.球状化:粉末を球状化及びスクリーニングし、得られた粉体の粒子径はそれぞれ20〜150マイクロメートル及び150〜300マイクロメートルである。
4.基材の表面洗浄:アルコール、トリクロロエチレンまたは純水プラス超音波などの方式で素材の表面を洗浄及び乾燥し、基材の表面にプラズマスプレーする前に錆などが発生しないようにする。次に、サンディング処理を行って基体の表面を粗くする。
5.プラズマスプレー:プラズマスプレーによって基材の表面に先に150〜300マイクロメートルの準結晶材料を5層スプレーして第1のサブコーティングを形成し、次に20〜150マイクロメートルの準結晶材料を5層スプレーして第2のサブコーティングを形成し、パワーが30〜50KWであり、メインエアフローが50〜60L/minであり、補助エアフローが20〜30L/minであり、粉末供給速度が15〜20g/minである。
6.アニーリング:第1のコーティングをアルゴン雰囲気でアニーリングし、アニーリング温度が700℃であり、昇温速度が20〜30℃/minであり、保温時間が1〜3時間であり、降温速度が10〜20℃/minであり、300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却する。
7.研磨:コーティングを2マイクロメートル未満の表面粗さに研磨する。
(比較例1)
コーティングを形成する準結晶材料の粒子径は20〜150マイクロメートルである。
コーティングを製造するステップは次のとおりであり、
1.合金原料をAl:Cu:Fe:Cr=(60〜70):(15〜25):(5〜15):(5〜15)の原子数比で合金インゴットに溶融する。
2.噴霧粉末化:真空または保護雰囲気の環境で、粉末化機器を用いて準結晶粉末を製造する。
3.球状化:粉末を球状化及びスクリーニングし、得られた粉体の粒子径は20〜150マイクロメートルである。
4.基材の表面洗浄:アルコール、トリクロロエチレンまたは純水プラス超音波などの方式で素材の表面を洗浄及び乾燥し、基材の表面にプラズマスプレーする前に錆などが発生しないようにする。次に、サンディング処理を行って基材の表面を粗くする。
5.プラズマスプレー:プラズマスプレーによって基材の表面に20〜150マイクロメートルの準結晶材料を10層スプレーし、パワーが30〜50KWであり、メインエアフローが50〜60L/minであり、補助エアフローが20〜30L/minであり、粉末供給速度が15〜20g/minである。
6.アニーリング:第1のコーティングをアルゴン雰囲気でアニーリングし、アニーリング温度が700℃であり、昇温速度が20〜30℃/minであり、保温時間が1〜3時間であり、降温速度が10〜20℃/minであり、300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却する。
7.研磨:コーティングを2マイクロメートル未満の表面粗さに研磨する。
(比較例2)
コーティングを形成する準結晶材料の粒子径は150〜300マイクロメートルである。
コーティングを製造するステップは次のとおりであり、
1.合金原料をAl:Cu:Fe:Cr=(60〜70):(15〜25):(5〜15):(5〜15)の原子数比で合金インゴットに溶融する。
2.噴霧粉末化:真空または保護雰囲気の環境で、粉末化機器を用いて準結晶粉末を製造する。
3.球状化:粉末を球状化及びスクリーニングし、得られた粉体の粒子径は150〜300マイクロメートルである。
4.基材の表面洗浄:アルコール、トリクロロエチレンまたは純水プラス超音波などの方式で素材の表面を洗浄及び乾燥し、基材の表面にプラズマスプレーする前に錆などが発生しないようにする。次に、サンディング処理を行って基材の表面を粗くする。
5.プラズマスプレー:プラズマスプレーによって基材の表面に150〜300マイクロメートルの準結晶材料を10層スプレーし、パワーが30〜50KWであり、メインエアフローが50〜60L/minであり、補助エアフローが20〜30L/minであり、粉末供給速度が15〜20g/minである。
6.アニーリング:第1のコーティングをアルゴン雰囲気でアニーリングし、アニーリング温度が700℃であり、昇温速度が20〜30℃/minであり、保温時間が1〜3時間であり、降温速度が10〜20℃/minであり、300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却する。
7.研磨:コーティングを2マイクロメートル未満の表面粗さに研磨する。
実施例1及び比較例1〜2の基体は、直径25.4mm、厚さ4mmのサイズの低炭素鋼でできており、接触角は接触角試験機によって測定され、結果は表1を参照されたい。疎水表面の接触角が大きいほど、ノンスティック特性がより良いことを示す。ノンスティック特性は揚げ卵のノンスティック特性のテスト方法を採用し、そのテスト方法と規格は、国家規格GB/T32095の規格に準拠して行われる。テストデータは表1に示すとおりである。
Figure 2021530613
(実施例2)
次のステップに従ってコーティングを形成する。
(1)純アルミニウム、純銅、純鉄、純クロムを原料として、アルミニウムが60〜70%で、銅が15〜25%で、鉄が5〜15%で、クロムが5〜15%の原子比でそれぞれ配合する。
(2)秤量した原料を中周波誘導炉に入れて精錬し、ただし、中周波誘導炉の底部に鉄とクロムを入れる。溶融プロセス全体を通して保護ガスとして不活性ガスを導入し、或いは炉を真空にし、合金を完全に溶融してスラグを除去した後、鋳造により準結晶合金インゴットを取得する。
(3)準結晶合金インゴットを噴霧粉末化装置に供給し、噴霧粉末化を行い、プロセス全体を通して保護ガスとして不活性ガスを導入し、或いはシステムを真空にして準結晶合金粉末を取得する。
(4)準結晶合金粉末をスクリーニング装置に供給し、それぞれ700メッシュ、180メッシュ及び100メッシュのスクリューを用いてスクリーニングし、少なくとも90%の粒子の粒子径が20μm以上80μm以下の第1粉体、少なくとも90%の粒子の粒子径が80μmを超えかつ150μm以下の第2粉体、及び粒子径が20μm未満及び150μmを超える粉体をそれぞれ得る。ただし、準結晶合金インゴットを製造するために粒子径が20μm未満及び150μmを超える粉体はステップ(2)に戻される。
(5)準結晶コーティングを形成する予定の鍋本体に対してスタンピング、サンディング、乾燥、及びデサンディングを含む前処理を行う。
(6)第2の粉体に基づいて、プラズマスプレー装置を用いて鍋本体の内面に第1のサブプライマリコーティングを形成し、プラズマスプレー装置の作動条件は、アークパワーが25〜50kWであり、アーク電圧が40〜50Vであることである。第1のサブプライマリコーティングの形態は図17に示すとおりである。
(7)第1の粉体に基づいて、プラズマスプレー装置を用いて鍋本体から離れた第1のサブプライマリコーティングの表面に準結晶コーティングをスプレーし、プラズマスプレー装置の作動条件は、アークパワーが25〜50kWであり、アーク電圧が40〜50Vであることである。
(8)アニーリング装置を用いて不活性ガス雰囲気または真空中で第1のサブプライマリコーティング及び第2のサブプライマリコーティングをアニーリングし、アニーリング処理の温度は600〜800℃であり、具体的な条件は、昇温速度が5〜100℃/minであり、保温時間が0.5〜10hであり、降温速度が5〜100℃/minであり、200〜300℃まで降温すると、炉の中で室温まで冷却することである。
(9)研磨装置によってコーティングを研磨する。
本発明の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂側」、「底側」、「内側」、「外側」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「円周方向」などで示される方位または位置関係は、図面に示される方位または位置関係に基づいており、言及される装置またはデバイスが特定の方位を有し、特定の方位で構築及び操作されなければならないことを指示または暗示するのではなく、本発明を説明し、説明を簡略化するための便宜のためのみであり、したがって、本発明の限定として理解することはできない。
さらに、「第1」及び「第2」という用語は説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を指示したり暗示したり、示された技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものとして理解することはできない。したがって、「第1」及び「第2」で定義された特徴には、これらの特徴の1つ以上が明示的または暗黙的に含まれる場合がある。本発明の説明において、「複数」は、特に明確に限定されていない限り、2つまたは2つ以上であることを意味する。
本発明では、特に明確に定義及び限定されていない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」にあることは、第1の特徴が第2の特徴と直接接触してもよく、第1の特徴が中間媒体を介して第2の特徴と間接的に接触してもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴「その上」、「上方」及び「上側」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上にあることを意味し、または単に第1の特徴の水平方向の高さが第2の特徴よりも高いことを意味する。第1の特徴が第2の特徴「その下」、「下方」及び「下側」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下または斜め下にあることを意味し、または単に第1の特徴の水平方向の高さが第2の特徴よりも低いことを意味する。
本明細書の説明において、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」または「いくつかの例」などの用語を参考した説明とは、当該実施例或いは例に合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特性が、本発明の少なくとも1つの実施例或いは例に含まれることである。本明細書において、上記の用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例或いは例を示すものではない。また、説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特性は、いずれか1つ或いは複数の実施例または例において適切に結合することができる。さらに、当業者は、相互に矛盾することなく、本明細書に説明された異なる実施例または例、並びに異なる実施例または例の特徴を結合したり、組み合わせたりすることができる。
本発明の実施例は上に示され、記載されてきたが、理解できるように、上記の実施例は例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、当業者は、本発明の範囲内で上記の実施例に対して変更、修正、置換、及び変形を行うことができる。
1 粉末化装置
2 スクリーニング装置
2−1 第1のスクリーニングユニット
2−2 第2のスクリーニングユニット
2−3 第3のスクリーニングユニット
10 スプレー装置
11 第1のサブプライマリコーティングスプレーユニット
12 第2のサブプライマリコーティングスプレーユニット
20 アニーリング装置
40 精錬装置
50 研磨装置
100 コーティング
101a、101b、101c、101d サブコーティング
1011a、1011b、1011c、1011d 亜コーティング、
110 第1のサブコーティング
120 第2のサブコーティング

Claims (46)

  1. 下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティングを含み、
    少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径は、その上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径より大きい、コーティング。
  2. 複数の前記サブコーティングにおいて、最上層にある前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径は最小である、ことを特徴とする請求項1に記載のコーティング。
  3. 複数の前記サブコーティングにおいて、最下層にある前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径は最大である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のコーティング。
  4. 前記サブコーティングは準結晶類似相をさらに含む、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング。
  5. 前記準結晶類似相はB相である、ことを特徴とする請求項4に記載のコーティング。
  6. 最上層にある前記サブコーティングにおいて、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径は150マイクロメートル以下である、
    ことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のコーティング。
  7. 最上層にある前記サブコーティングにおいて、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径は20〜80マイクロメートルである、
    ことを特徴とする請求項6に記載のコーティング。
  8. 最下層にある前記サブコーティングにおいて、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径は150〜300マイクロメートルである、
    ことを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載のコーティング。
  9. 複数の前記サブコーティングのそれぞれは独立して複数の亜コーティングを含む、
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のコーティング。
  10. 前記サブコーティングのそれぞれは5〜10個の前記亜コーティングを含む、
    ことを特徴とする請求項9に記載のコーティング。
  11. 前記コーティングの厚さは20〜200マイクロメートルである、
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のコーティング。
  12. 下から上へ順に積層してなる第1のサブコーティング及び第2のサブコーティングを含み、前記第1のサブコーティングにおいて、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が150〜300マイクロメートルまたは80〜150マイクロメートルであり、前記第2のサブコーティングにおいて、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径が20〜150マイクロメートルである、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のコーティング。
  13. 前記第2のサブコーティングにおいて、少なくとも90%の前記準結晶材料の粒子径は20〜80マイクロメートルである、ことを特徴とする請求項12に記載のコーティング。
  14. 下から上への方向において、前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径は徐々に小さくなる、ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のコーティング。
  15. 前記コーティングは、
    上面の表面粗さが2マイクロメートル未満であること、
    前記準結晶材料の含有量が20%〜90%であること、
    ポロシティが0.1%〜20%であること、
    熱伝導率が0.1〜3W/m・Kであること、
    酸素含有量が10at%以下であることのうちの少なくとも1つを満たす、
    ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のコーティング。
  16. 前記準結晶のコーティングの酸素含有量が4〜7at%である、ことを特徴とする請求項15に記載のコーティング。
  17. 下から上へ順に積層してなる準結晶材料を含む複数のサブコーティングを含み、
    少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料のポロシティは、その上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料のポロシティより大きい、ことを特徴とするコーティング。
  18. 複数の前記サブコーティングにおいて、最上層にある前記サブコーティングの前記準結晶材料のポロシティは最小である、ことを特徴とする請求項17に記載のコーティング。
  19. 複数の前記サブコーティングにおいて、最下層にある前記サブコーティングの前記準結晶材料のポロシティは最大である、ことを特徴とする請求項17または18に記載のコーティング。
  20. 下から上への前記サブコーティングにおいて、前記準結晶材料のポロシティは段階的に小さくなる、ことを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載のコーティング。
  21. 請求項1〜16のいずれか一項に記載のコーティングを形成する方法であって、
    粒子径の異なる複数群の準結晶粉体を基体上に、下から上へ順に積層してなる前記準結晶材料を含む複数のサブプライマリコーティングとして形成し、プライマリコーティングを取得するステップ(1)と、
    前記プライマリコーティングをアニーリングすることで、複数のサブコーティングを含む前記コーティングを取得するステップであって、少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径はその上に位置する少なくとも1つの前記サブコーティングにおける前記準結晶材料の粒子径より大きいステップ(2)と、を含む、
    方法。
  22. 前記準結晶粉体は、
    準結晶合金インゴットを粉末化して準結晶合金粉末を取得するステップと、
    前記準結晶合金粉末をスクリーニングして前記粒子径の異なる複数群の前記準結晶粉体を取得するステップと、
    によって製造される、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 前記粒子径の異なる複数群の前記準結晶粉体は第1の粉体及び第2の粉体を含み、前記第1の粉体粒子の粒子径は、前記第2の粉体粒子の粒子径より小さい、ことを特徴とする請求項21または22に記載の方法。
  24. 前記準結晶合金インゴットは、アルミニウム材、銅材、鉄材、クロム材の少なくとも1つを含む混合物を精錬することによって形成される、ことを特徴とする請求項22または23に記載の方法。
  25. 前記混合物は原子百分率で60〜70%のアルミニウム、10〜25%の銅、5〜15%の鉄、5〜15%のクロムを含む、ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
  26. 前記アルミニウム材は純アルミニウムであり、前記銅材は純銅であり、前記鉄材は純鉄であり、前記クロム材は純クロムまたはクロムチタン合金である、ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
  27. 粒子径が前記コーティングを製造するための要件を満たさない前記準結晶粉体を用いて、前記準結晶合金インゴットを製造するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項22〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記粉末化処理は噴霧粉末化法によって行われることを特徴とする請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. ステップ(1)は、
    前記第2の粉体に基づいて、前記基体上に第1のサブプライマリコーティングを形成するステップ(1−1)と、
    前記第1の粉体に基づいて、前記基体から離れた前記第1のサブプライマリコーティングの表面に第2のサブプライマリコーティングを形成するステップ(1−2)と、をさらに含む、ことを特徴とする請求項23〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記準結晶材料を含む前記複数のサブプライマリコーティングは、スプレー法によって形成される、ことを特徴とする請求項21〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記準結晶材料を含む前記複数のサブプライマリコーティングは、プラズマスプレー法によって形成される、ことを特徴とする請求項21〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記プラズマスプレー法の条件は、アークパワーが25〜50kWであり、アーク電圧が40〜50Vであることを含む、ことを特徴とする請求項31に記載の方法。
  33. 前記アニーリングの処理は、不活性ガス雰囲気または真空中で行われ、前記アニーリング処理の温度は600〜800℃である、ことを特徴とする請求項21〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記アニーリングの処理の条件は、昇温速度が5〜100℃/minであり、保温時間が0.5〜10hであり、降温速度が5〜100℃/minであり、200〜300℃まで降温して、炉の中で室温まで冷却することである、ことを特徴とする請求項33に記載の方法。
  35. ステップ(2)の後、前記コーティングを研磨するステップをさらに含む、
    ことを特徴とする請求項21〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 請求項21〜35のいずれか一項に記載の前記コーティングを形成する方法を実施するシステムであって、
    プライマリコーティングを取得するように、前記基体の表面に前記準結晶粉体をスプレーすることに適用されるスプレー装置と、
    前記スプレー装置に接続され、かつ前記コーティングを取得するように、前記プライマリコーティングをアニーリングすることに適用されるアニーリング装置と、を含む、
    システム。
  37. 前記準結晶合金粉末を取得するように、前記準結晶合金インゴットを粉末化することに適用される粉末化装置と、
    前記粉末化装置及び前記スプレー装置に接続され、かつ粒子径の異なる複数群の前記準結晶粉体を取得するように、前記準結晶合金粉末をスクリーニングすることに適用されるスクリーニング装置と、をさらに含む、
    ことを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  38. 前記スプレー装置は、前記粒子径の異なる複数群の前記準結晶粉体に基づいて、前記基体上に前記プライマリコーティングを形成することに適用される、
    ことを特徴とする請求項36または37に記載のシステム。
  39. 前記粉末化の装置に接続され、かつ前記準結晶合金インゴットを取得するように、アルミニウム材、銅材、鉄材、クロム材の少なくとも1つを含む混合物を精錬することに適用される精錬装置をさらに含む、ことを特徴とする請求項36〜38のいずれか一項に記載のシステム。
  40. 前記スクリーニングの装置は複数のスクリーニングユニットを含み、前記複数のスクリーニングユニットにスクリーンが設けられ、前記スクリーンは、前記粒子径の異なる複数群の前記準結晶粉体を取得するように、前記準結晶合金の粉末をスクリーニングすることに適用される、
    ことを特徴とする請求項37〜39のいずれか一項に記載のシステム。
  41. 前記スプレー装置は、前記粒子径の異なる複数群の前記準結晶粉体を用いて前記基体上に前記準結晶材料を含む前記複数のサブプライマリコーティングを形成することに適用される複数のサブプライマリコーティングスプレーユニットを含む、ことを特徴とする請求項36〜40のいずれか一項に記載のシステム。
  42. 前記スクリーニングの装置は、前記精錬装置に接続され、かつ粒子径が前記コーティングを製造するための要件を満たさない前記準結晶粉体を前記精錬装置に輸送することに適用される、ことを特徴とする請求項39〜41のいずれか一項に記載のシステム。
  43. 前記アニーリングの装置に接続され、かつ前記コーティングを研磨することに適用される研磨装置をさらに含む、ことを特徴とする請求項36〜42のいずれか一項に記載のシステム。
  44. 鍋であって、
    鍋本体及び前記鍋本体の少なくとも一部の内面に設けられたコーティングを含み、
    前記コーティングは請求項1〜20のいずれか一項に記載のコーティングであり、または、前記コーティングは請求項21〜35のいずれか一項に記載の方法または請求項36〜43のいずれか一項に記載のシステムを用いて製造されたものである、
    鍋。
  45. 前記コーティングを形成する前に、前記鍋の鍋本体の内面に予め前処理を行い、前記前処理は、スタンピング、サンディング、乾燥、及びデサンディングを含む、ことを特徴とする請求項44に記載の鍋。
  46. 調理器具であって、
    請求項44または45に記載の鍋を含み、
    前記調理器具は炒め鍋、フライパン、シチューポット、ミルクポット、電気炊飯器、圧力調理器から選択される少なくとも1種である、調理器具。
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