JP2021527837A - サンプル間の正規化を可能とするイオン源の非効率性を補正するための方法 - Google Patents

サンプル間の正規化を可能とするイオン源の非効率性を補正するための方法 Download PDF

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Abstract

質量分析では、有意な誤差が、サンプル調製中(サンプル間誤差)、イオン生成中(イオン抑制)、及びイオン透過中(イオン透過損失)に持ち込まれる。本発明者らは、イオン抑制及びイオン透過損失に関して補正できること、並びにイオン損失に関して補正されれば、内部標準に対する分析サンプルのサンプル間の正規化が可能であることを実証する。標準サンプルに対して正規化することにより、分析サンプルは、同様に処理したいずれのサンプルとも比較可能となる。
【選択図】図7

Description

関連出願の相互参照
本願は、2018年6月22日出願の米国特許出願第62/688846号の優先権を主張するものであり、その開示は本明細書の一部として援用される。
従来、質量分析は、イオン生成の非効率性、又はイオン透過のいずれかによりイオン源に頻繁に持ち込まれる変動のために良好な定量的方法とはいえない。このため、正確な定量が望まれる状況では、内部標準と明確な「ベースライン」のクロマトグラフィー分離が必要とされる。この実施は、測定する化合物の数が増えるほど高額且つ厄介なものとなるので、ほとんどの場合、定量する化合物の数は少数に留められ、明確に定義された化学濃度及び組成の内部標準が用いられる。
定量の実際の行為は化合物毎に行われ、定量は、内部標準の量と被分析物の量を直接比較することによって達成され、すなわち、内部標準に対する被分析物の比に内部標準の既知量が掛けられる。生データはほぼ常にいくらかのイオン損失を受けているので、これにより、各化合物に関して、当初に取得された生データよりも良好な定量解が得られる。
本発明は、サンプル全体を補正し、正規化及び各化合物の損失パーセントの直接的定量という付加的利益を得るグローバルアプローチを採る。このアプローチを採っていた既知の先行文献はない。
ほとんどの質量分析計のイオン源に見られる変動は、必要とされる解析過程の2つの異なる部分、すなわち、測定されるイオンの生成及び透過中のイオン化損失によって生じる。イオン抑制とは、イオンの生成過程で生じるイオン損失又は非効率性に当てはまる一般用語である。その他のイオン損失は、イオン源及び質量分析計にイオンが透過する際に生じる。これらの2つの過程はイオンの損失又は変動を生じさせるが、性質は極めて異なる。
イオン抑制損失は化合物毎に異なり、イオンが生み出される環境に影響を受けやすいのでサンプル間で異なり、一方、イオン源の幾何学及び電子工学によるイオン損失は有意な変化を受けるものの長時間安定であり、双方とも、短期的及び長期的に、全体的なサンプル間の比較可能性を引き下げるので、質量分析者にとって違った種類の問題を生み出す。
メタボロミクス解析は、現在、2つの主要な方法{Fiehn1}、すなわち、ターゲット解析{Roberts2}と及びノンターゲット解析{Vinayavekhin3}に分けられている。自明のこととして、ほとんど全ての臨床測定はターゲット型であるが、これらの測定のほとんどはメタボロミクス研究の一部ではなく、従って、圧倒的に、最大数のメタボロミクス研究はノンターゲットで始め、これはしばしば「不偏」解析と称される。
ノンターゲット解析の利点は、検討を要する分子種に関して推定を行わないということであり、従って、仮説生成の良好な手段であり、更に大きい一連の「発見的」研究の第1のステップと考えられる。残念ながら、ノンターゲット解析で一般に使用される技術は、一連の仮定がなくては成り立たないものであるが、これらはしばしば忘れられている又は誤解されている。
これらの仮定のうち最も重要な3つは、1)イオン抑制は(しばしばマトリックス効果(ME)と呼称される)、あるサンプル種に関して全てのサンプルで恐らく一貫したものであり、従って、無視してもよい、2)イオン透過損失は、ある実験の実施時間の間は有意に異ならないであろう、及び3)それらのサンプルは、大きさや形状が類似しているために正規化が簡単であるか又は不要である、というものである。
以下に述べるように、これら3つの仮定は全て関連があり、それらが互いに関連付けられれば3つは全て補正可能である。最初にメタボロミクスに当てはめたが、本解決法は、化学的に複雑な(complex)内部標準を用いて多数の化合物を定量する必要がある、又は正規化が補正データに基づく全ての状況に当てはまる。
イオン抑制(抑制)は、分子のイオン化効率の変動を考慮しなければならない、理解は不十分ながらもよく特徴付けられている{Annesley4、Trufelli5、Jessome6}現象である。1990年代の初めにKebarle{Ikonomou7、Kebarle8、及びTang9}によって最初に記載されたが、イオン抑制は、MALDI{Knochenmuss10}及びDESI/MALDI{Taylor11}を含むほとんど全てのイオン化源にある程度存在すると考えられるが、今日最もよく使用されているイオン化源であるエレクトロスプレーイオン化源(ESI)及び大気圧化学イオン法(APCI){Ismaiel12}では特に問題である。
一般に、抑制は、化合物の物理的パラメーターの全て;すなわち、酸度/塩基度、極性/芳香性、疎水性/親油性、電子的及び物理的構造、化合物そのものの濃度{Annesley4}、イオン源の性質、溶出溶媒、ガス温度、及び全般的な化学環境及び化合物が溶出する溶出物の複雑性を含む、分子構造の複雑な機能と考えられる。
例えば、固相抽出(SPE)による、又はベースラインクロマトグラフィー分離による、サンプル調製の際のサンプルの化学的複雑性を軽減すれば、いくつかの化合物の抑制は減り得るが、これらの方法に完全に抑制を除去するものはない{Vats13}ことが示されている。同様に、例えば、ナノスプレー源の使用によって化合物の総濃度を減らしても、抑制は除去されない{Temesi14}。
抑制はイオン化源のイオン化過程で生じるので、抑制は、ms/msを含む全てのイオン化源MS後工程に関連する現象である{Freitas15}。抑制は、被分析物がイオン源を通過する際のその化学特性に依存し、各化合物の抑制強度が濃度の関数として異なり;すなわち、抑制はけして安定でなく、クロマトグラフィー法、イオン源、溶媒、又は温度の工程のわずかな変動であっても、抑制を変化させることがある。
イオン抑制の影響を補正するための最も一般的な方法は、内部標準の使用によるものであり{Baillie16}、これは「安定同位体希釈−質量分析(Stable isotope dilution-mass spectrometry)」(SID−MS){Leenheer17}と呼称されるようになった。測定される化合物の数が少ない場合、精製された同位体標準の個々のアリコートを使用し、SID−MSは、最適な解決策といえる。しかしながら、測定する必要のある化合物の数が増すと、高額になる。
よって、同位体が濃縮された生体混合物に基づくMIRACLE{Mashego18、Wu19}などの技術が開発されたが、同位体ピークを他のピークから識別する難しさがこの技術の実用的使用を困難にしている。同位体内部標準を使用する他の試みでは、単一の代表的化合物をその種の他の化合物の標準として用いることを試みた。しかしながら、上述したように、目下のイオン源環境が抑制の重要な成分であり、標準化合物が被分析物と同じレベルの抑制を受けている可能性は、それらが異なる環境にあれば、確かめることが難しい。
生物学的抽出物が大腸菌(E. coli)などの生物の抽出物である場合には、解析は、生物学的に複雑な内部標準中の化合物の全てに関してターゲット解析となる。これらの技術は、上記の筆者の多くによって証明された、標準と被分析物の両方が、それらが共溶出される場合には常に同じ程度で抑制されるという事実に基づいている。
これらの状況下で、標準の濃度が既知であれば、被分析物と標準の比によって、被分析物の濃度の計算が可能となる。この計算は容易に行え、このような研究の全ての評価項目となる。
しかしながら、標準中の重水素の使用はほぼ常に化合物のクロマトグラフィー挙動を変化させ、被分析物と標準化合物が共溶出しないリスクがあることを述べておく必要がある。これらの屠龍で、化合物のクロマトグラフィー挙動を変化させない、13C、15N、18Oなどの極めて安定な炭素同位体を使用しなければならない。
>99% 13Cを用いて同位体標準が合成される又は生合成されるMIRACLEなどの技術の難しさは、生じた同位体標準を他のピークから識別することが困難で、多数の誤ったデータポイントが生じるということである。標準が各炭素の特定の同位体確率、一般に、5%U−13C及び/又は95%U−13Cに基づいているIROAプロトコール{de Jong20、Stupp21、Qui22、Clendinen23}は、一つの解決法である。これらのパーセンテージは、各配合物にユニークな各化合物の質量スペクトルに同位体異性体パターンを作り出し、最も重要なこととしては、双方とも質量スペクトルスキャン内で容易に同定され、且つ、ランダムノイズによって模倣されることもまれである。それらの同位体異性体クラスターの複雑性はさておき、それらはまさに同位体標準のように振る舞い、質量以外の、それらの天然存在度の相当物の物理化学的特性のほぼ全てを共有する。
イオン抑制損失とは異なり、イオン透過損失は、長期的安定性があるが、イオン源の電子工学的特徴又は物理的特徴が変化している場合には変化する。これらの変化は基礎的なものである。
よって、絶えず変化しているイオン抑制とは異なり、イオン透過の変動は、あるサンプル又は実験の結果を、同じサンプルであっても、そのイオン源が変更された後の再分析で見られた結果と直接比較することを困難とし得るが、一般に、結果の単一の解析的主要部分には影響を及ぼさない。イオン源はかなり単純な装置のように見えるが、極めて多くの他の事項の中でも、最初のイオン生成中の溶出物噴霧の角度の変更、その表面若しくはレンズの電位の変化、又はキャピラリー若しくは他の内表の調整若しくはクリーニングが、質量分析計に透過するイオンの数を変化させ、異なる時点で実施されたサンプルの比較を使いにくいものとする(difficult to useless)。透過損失の総レベルを引き下げるための努力はしばしばなされるが、それを補正するための努力はほとんどなされてこなかった。
サンプル間の正規化は、抑制と同様に、よく特徴付けられた研究領域であり、提案される多くの正規化法がある{Li24}。正規化は、サンプルが異なる大きさ、希釈率であるか、又は生物学的に相違がある場合に重要である。よって、最も一般的なサンプル種、例えば、尿(希釈からの変動)、血漿(希釈による変動)、生検(混合されている細胞 集団からの変動)、実験的に増殖させた細胞(各増殖の細胞数からの変動)などは、正規化から利益を受け得る。この重要性にもかかわらず、正規化は、それを行うための一般に認められている方法がないために、公開されているデータには一般に見受けられず、ほとんどの方法では、異なる原理に基づいているので異なる結果が出ている。抑制の影響を考慮する正規化方法が公開されていないために、非正規化データを用いる場合よりもよい働きをするにもかかわらず、抑制されたデータの補正されない変動は、それらが正確な正規化を達成できないことを意味する。
以下に開示する発明は、以下の米国特許:2010年10月26日に発行された基本IROA特許である第7,820,963号(以下、IROA963と呼称する);2010年10月26日に発行された第7,820,964号(以下、IROA964と呼称する);2012年5月1日に発行された第8,168,945号(以下、IROA945と呼称する);2013年9月17日発行された第8,536,520号(以下、IROA520と呼称する);2015年3月3日に発行された第8,969,251号(以下、IROA251と呼称する);及び2018年11月1日に公開された米国特許出願公開第2018/0315587 A1号(以下、IROA587と呼称する)に記載されている方法に及ぶ。これらの特許、特許出願及びそれらに引用されている技術は、本明細書の一部として援用される。
発明の簡単な説明
質量スペクトル(MS)の解析的分析中にイオンのイオン源内(in-source)損失又は透過(transmission)損失を補正し、その補正されたイオンデータを用いてサンプル間差異に関して正規化を行う方法が企図される。この企図される方法によれば、分析サンプルは、質量スペクトル的に分析され、化合物のそれぞれの存在を示す親ピークと1以上の娘ピークのピークセットの生データが提供される。この分析サンプルは、約60Da〜約100,000Daの分子量を有する生物学的に生産された及び/又は半合成的に生産された化合物の2つの部分から構成される。
その分析サンプルの第1部分は、同位体がそれらの天然存在量で存在する元素(第1同位体)から構成される。第2部分は、第1サンプルに存在し得る、同位体標識された(isotopically signed)化合物を表す(第2同位体)。同位体シグネチャーは、第1部分の、水素及び重水素以外の元素の天然存在度の第1同位体の1以上の安定な第2同位体の存在によって呈される。企図される天然存在度の同位体は一般に、第2部分の同じ元素の同位体よりも分子量が小さいものである。結果として、第1部分と第2部分の両方に存在する化合物は同位体異性体である。
理解を容易にするために、本明細書では、第1同位体及び第2同位体の例として通常12C及び13Cを用いる。これらの同位体は又本明細書における使用にも好ましい。
この分析サンプルにおいて、第1部分は、天然同位体存在度のC12試験サンプルであり、第2部分は、試験サンプル中に存在し得る約50〜約10,000の同位体標識されたC13含有化合物を含有する化学的に複雑な内部標準サンプルである。天然存在度サンプル及び内部標準サンプルの両方に存在する化合物は、対応化合物と呼称し、それらのMSピークを対応(pared)ピークセットと呼称する。
ある化合物のピークセットの複数のピークの合計の高さは、分析サンプルのその部分に存在する化合物の量の相対的測定値を提供し得る。又、化合物のピークセット下の面積の合計も、その部分に存在する化合物の量の相対的測定値を提供する。よって、各部分に存在する対応化合物のピークセットの高さ又は面積を合計し、それらの対応化合物ピークの合計高さ間又は合計面積間の比を求めると、両部分の化合物中に存在する2つの同位体、例えば、12C/13Cの相対量の比が得られる。
対応ピークセットのそれぞれを個々にイオン損失に関して補正し、得られた補正値を正規化係数の決定のために使用する。この側面に関して、イオン源内イオン損失を、その内部標準を、実験的に求められた一定値であり、且つ、常に同じである値に対して補正することにより、各化合物に関して補正して、損失補正内部標準値を得る。各分析サンプルにおいてアッセイした各化合物のC12/C13比は、生データに見られる化合物の全ての天然存在度C12ピークの総面積又はピークセット高をそれぞれ、生データに見られる化合物の全ての内部標準C13ピークセットの総面積又はピークセット高で割った商として求められる。天然存在度化合物の損失補正天然存在度値は、損失補正内部標準値にそれらの化合物のそれぞれのC12/C13比を掛けることにより求められる。
正規化係数は、分析サンプルの天然存在度部分と内部標準部分の両方の全ての対応ピークセットに関してこのようにして得られた全ての補正値を合計する技術を用いる正規化アルゴリズムを使用して、全ての補正された対応ピーク化合物に関して求める。内部標準部分の合計は、両方の被分析物部分に存在する全ての化合物の損失補正内部標準値の合計であり、天然存在度部分の合計は、両方の被分析物部分に存在する全ての化合物の損失補正天然存在度値の合計である。
一実施形態では、各分析サンプルの正規化係数は、天然存在度部分の合計を内部標準部分の合計で割ることにより計算される。分析サンプルのアッセイされた各天然存在度化合物のデータは、各個の損失補正天然存在度値に正規化係数の逆数を掛けて正規化天然存在度値を求めることにより正規化される。
本開示の一部をなす図面において、図1は、注入したアリコートサイズの関数として得られたMS生データシグナルをプロットした、化合物の理論的12Cシグナルを示すグラフである。 図2は、注入したアリコートサイズの関数として得られたMS生データシグナルをプロットした、内部標準中の化合物の理論的13Cシグナルを示すグラフである。 図3〜図8は、例示されるようなヒト血漿サンプルを用いた、以下に述べる「実施例」から得られたデータを用いて作成した。図3はそれ自体、注入したアリコートサイズに対して得られた生のMSTUS C12値(◆)及び補正したMSTUS C12値(■)のプロットを示すグラフであり、アリコート容量が2倍になっても生値は2倍にならないことを明らかに示す。 図4は、0.9967の相関で、全てのサンプルのC12/C13の基本比を示す。 図5は、アッセイした全ての化合物に関するイオン抑制パーセントに対する頻度を示すグラフであり、全ての化合物がいくらかのレベルのイオン抑制を示したことを示す。 図6は、式C91625の化合物に関してアリコートサイズ(マイクロリットル)に対するMSシグナル値を示すグラフであり、生値は●で示し、補正値は◆で示し、イオン抑制が極めて高レベルである化合物はそれらの濃度に関して補正されないことを示し、アリコートサイズ400μLでは91.8%の抑制が記録されたことを示し、又、ピーク高又は面積はこのレベルでは注入した濃度に負の相関があることを示す。 図7は、補正C12値(■)及び正規化値(▲)に関してアリコートサイズに対するMSシグナル値を示すグラフである。 図8は、ステアリン酸サンプルに関し、アリコートサイズに対してMSシグナルをプロットし、生データ値を◆で示し、正規化値を■で示し、期待値を▲で示したグラフであり、内部標準を用いない化合物の正規化は正しく正規化しても、それらの値は内部標準なしで補正できないので、抑制を保持することを示す。 図9は、全ての化合物(MSTUS)の総曲線下面積は抑制により著しく影響を受け(●)、一方、補正MSTUS−IS値に関する相関(◆)の標準偏差はゼロであり、従って、問題なく計算できたことを示すグラフである。
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、質量スペクトル(MS)の解析的分析中にイオンのイオン源内損失又は透過損失を補正し、その補正されたイオンデータを用いてサンプル間差異に関して正規化を行う方法を企図する。この企図される方法によれば、分析サンプルは、質量スペクトル的に分析され、化合物のそれぞれの存在を示す親(ベース)ピークと1以上の娘ピークのピークセットの生データが提供される。
ほとんどのMS分析では、単一の化合物が、ベース(親;最高)ピークと、その高さが親ピークより低く、とりわけ、いくつかの周知の因子、特に、アッセイされる化合物中に存在する天然非最大存在度の同位体の量に依存する1以上の娘ピークを呈することが理解されるべきである。結果として、分析される各化合物は一般に、MSピークとして現れる複数のデータ値を示し、これを本明細書では、存在しアッセイされる各化合物の「ピークセット」と呼称する。
分析サンプルは、本明細書で第1部分及び第2部分と呼称する2つの部分から構成され、これらの部分は、約60〜75Daから約100,000Daの分子量を有する生物学的に生産された及び/又は半合成的に生産された(以下に述べる)化合物である。検討されるこれらの化合物の分子量は一般に比較的狭い範囲であり、検討範囲は使用する機器使用する及びサンプル調製技術の関数である。
1つの好ましい分子量範囲は、約60Da〜約2000Daである。別の好ましい範囲は、1000Da又は約60Da未満の化合物を対象とする。[ダルトン(Da)及び原子質量単位(AMU)として表される分子量は、本明細書では互換的に使用される]。
分析サンプルの第1部分は、同位体がそれらの天然最大存在量で存在する元素(第1同位体)から構成される。第2部分は、第1サンプル中に存在し得る同位体標識された化合物を表す(第2同位体)。
同位体標識(標識)は、第1部分の元素の天然最大存在度の第1同位体のうち1以上の安定な第2同位体の存在によって呈される。企図される、第1部分の天然最大存在度の同位体は通常、第2部分の同じ元素の同位体よりも分子量が小さい。第1部分と第2部分の両方に存在する化合物は、同位体異性体と呼称される。
安定な天然非最大存在度の同位体は、放射性減衰に対して安定である。同じ原子の第1同位体及び第2同位体の実例は、炭素(C12及びC13)、窒素(N14及びN15)、酸素(O16、O17、又はO18)、硫黄(S32、S33、S34、又はS36)、塩素(Cl35及びCl37)、マグネシウム(Mg24、Mg25及びMg26)、ケイ素(Si27、Si28及びSi29)、カルシウム(Ca40、Ca42、Ca43、及びCa44)、並びに臭素(Br79及びBr81)の同位体からなる群から選択される1以上の元素である。第1同位体及び第2同位体は、水素及び重水素以外である。
理解を容易にするために、本明細書では、第1同位体及び第2同位体の例として通常12C及び13Cを用いる。これらの同位体は又本明細書における使用にも好ましい。
この分析サンプルにおいて、第1部分は、天然同位体存在度のC12試験サンプルであり、第2部分は、試験サンプル中に存在し得る約50〜約10,000の同位体標識されたC13含有化合物を含有する化学的に複雑な内部標準サンプルである。このような同位体標識されたC13含有化合物の数は、いくつかの好ましい実施形態では、約50〜約2000に狭くされる。このように狭くすることは、周知のようにクロマトグラフィー技術の調整によって達成することができる。
分析サンプルの試験サンプル部分は一般に、血清、血漿、尿、リンパ液若しくは他の体液などの生物起源のもの、又は糞便、細胞培養溶解液、刻んだ植物、動物若しくは菌類組織などの生成物である。試験サンプル部分は、1以上の反応物を含有する反応組成物、生成物及び副生成物が存在する、実験室化学反応に起源してもよい。
天然存在度サンプルと内部標準サンプルの両方に存在する化合物は、対応化合物(同位体異性体)と呼称され、MS分析で対応ピークセットを提供する。ある化合物のピークセットの複数のピークの合計の高さは、分析サンプルのその部分に存在する化合物の量の相対的測定値を提供し得る。又、化合物のピークセットの曲線下面積の合計も、その部分に存在する化合物の量の、違った相対的測定値を提供する。
よって、各部分に存在する対応化合物のピークセットの高さ又は面積を合計し、それらの対応化合物ピークの合計高さ間又は合計面積間の比を求めると、両部分の化合物中に存在する2つの同位体、例えば、12C/13Cの相対量の比が得られる。
対応ピークセットのそれぞれを個々にイオン損失に関して補正し、正規化係数の決定のために使用する。この側面に関して、イオン源内イオン損失を、その内部標準を、実験的に求められた一定値であり、且つ、常に同じである値に対して補正することにより、各化合物に関して補正して、損失補正内部標準値を得る。各分析サンプルにおいてアッセイした化合物対の各化合物のC12/C13比は、生データに見られる化合物の全ての天然存在度C12ピークの総面積又はピークセット高をそれぞれ、生データに見られる化合物の全ての内部標準C13ピークセットの総面積又はピークセット高で割った商として求められる。天然存在度化合物の損失補正天然存在度値は、損失補正内部標準値にそれらの化合物のそれぞれのC12/C13比を掛けることにより求められる。
正規化係数は、分析サンプルの天然最大存在度部分と内部標準部分の両方の全ての対応ピークセットに関してこのようにして得られた全ての補正値を合計する技術を用いる正規化アルゴリズムを使用して、全ての補正された対応ピーク化合物に関して求める。内部標準部分の合計は、両方の被分析物部分に存在する全ての化合物の損失補正内部標準値の合計であり、天然存在度部分の合計は、両方の被分析物部分に存在する全ての化合物の損失補正天然存在度値の合計である。
各分析サンプルの正規化係数は、天然存在度部分の合計を内部標準部分の合計で割ることにより計算される。分析サンプルのアッセイされた各天然存在度化合物のデータは、各個の損失補正天然存在度値に正規化係数の逆数を掛けて正規化天然存在度値を得ることにより正規化される。
好ましい一実施形態では、対応化合物の同位体シグネチャーは、米国特許出願公開第2018/0315587 A1号及従前に示した関連の特許文献に記載されているようにIROAパターンに従う。別の好ましい実施形態では、各化合物の損失補正内部標準値は、別の分析、すなわち、特許請求の範囲に列挙されたもの以外の分析のデータから得られる、実験的に求められた値である。別の実施形態では、内部標準中の各化合物の損失補正値は、割り当てられた値のデータベースから検索される。更に別の実施形態では、各化合物の損失補正内部標準値は、現分析又は列挙された(特許請求された)分析におけるデータから実験的に求められる。
別の好ましい実施形態では、同位体シグネチャーは、分析サンプルの第1部分及び第2部分の化合物を、分析サンプル部分に存在する1以上の対応化合物の官能基と反応しそれに結合する同じ反応性基を含有する同位体異性体試薬対の一方又は他方と個々に反応させることにより半合成的に提供される。この実施形態では、分析サンプルの第1部分及び第2部分の化合物と、同位体異性体試薬対の一方又は他方との個々の反応は、該第1部分と該第2部分を混合して分析サンプルを形成する前に行われる。
よって、実例として、これらの2つの部分の供給源として細胞培養物を用い、細胞を溶解させ、得られた溶解液をIROAシグネチャー又は類似のパターンなどの定義されたシグネチャーを提供する同位体異性体試薬対の一方又は他方と個々に反応させ、遠心分離により不溶性細胞残渣を残りのものから分離し、得られた2種類の上清を混合して分析サンプル調製物を形成することができる。或いは、それら上清のそれぞれに対して所望の同位体異性体標識反応を行った後に混合して分析サンプル組成物を形成することもできる。
よって、「分析サンプル」という句は、本明細書では、「分析サンプル調製物」及び「分析サンプル組成物」はいずれの使用も従来技術よりも結果の向上をもたらすので、その両方を包含することを意図した一般句として使用される。単に、残渣を含む細胞内容物と十分に反応させるためにより多くの同位体異性体試薬が必要とされるので不経済となるという理由であっても、「分析サンプル組成物」の使用が好ましい。
形成されれば、分析サンプルは一般に、ガスクロマトグラフィー(GC)又はより通常には液体クロマトグラフィー(LC)又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により物理的に分離され、次に、溶出液は質量スペクトル(mass spectractral)(MS)分析のために質量分析計に供される。よって、この分離技術は最近の文献ではLC−MSと称されることが多い。
分析サンプルは、生物学的抽出物などの試験サンプル(分析される)と一定量の化学的に複雑な同位体的に識別可能な内部標準を混合することにより作製される。最小限の定義として、内部標準は、再現性のある化合物セットを再現性のある濃度で含有し、理想的には少なくとも5年〜10年間、繰り返し使用することができるが、結果がより短期間比較可能であるというだけの、より短期的な内部標準もこの方法を用いて機能するように作製可能である。
好ましい一実施形態では、内部標準の化学組成は、試験サンプルの、低分子量化合物(例えば、約2000Da未満、より通常には約1000Da未満)の完全な化学組成と一致する。しかしながら、試験サンプルの自然の化学変動は、完全性を排除する。生物学的に生産された代謝産物の下限は、酢酸及びグリシンのように約60〜75AMUである。よって、内部標準には好ましくは、全ての試験サンプルに見られる少なくとも約50の化合物が含まれる。正規化は、一般に見られる化合物の数が増えるほど良好となる。
内部標準の化学的複雑性のために、全ての分析サンプルは、内的には、2つの完全なサンプル、すなわち、試験サンプル及び内部標準サンプルからなると見ることができる。分析サンプルが分析された後に、ClusterFinder(商標)、mzMine、mass−hunter、又は類似のこのようなソフトウエアなどのソフトウエアを用いて、各サンプルに見られる全てのピークを見つけ出し、定量する。
内部標準からのピークのそれぞれはその内部標準に由来すると特定されるべきであり、試験サンプルからのピークのそれぞれはその試験サンプルに由来すると特定されるべきである。各分析サンプルについて、試験サンプルと内部標準サンプルの両方に同じ化合物が見られる全ての場合が特定されるべきであり、これらは「コモンリー・ファウンド・リスト(commonly found list)」と呼称することがきできる。
「コモンリー・ファウンド・リスト」内の全ての化合物では、試験サンプルに起源する化合物と内部標準に起源するその同位体異性体の両方に対して質量スペクトル応答が存在する。この応答は、曲線下面積(又は合計ピーク高)の形態であってよく、モノアイソトピックの高さ、又は他の標準測定値も使用可能である。見られた応答は、それぞれ「生C12応答」及び「生IS応答」と呼称される。このような生応答は、イオン源におけるイオンの生成及び透過、並びに質量分析計の他の部分の有意な変動の存在のために、それらの基礎にある化合物の濃度を適正に普遍的に反映したものではないことは周知であり、以下の実施例で示される。
これらの生値に加え、生「C12/C13比」は、「生C12応答」を「生IS応答」で割ることにより計算することができる。よって、見出された全ての化合物に関する分析データから、「生C12応答」、「生IS応答」、及び「C12/C13比」の3つの値を導き出すことができる。
最初の2つはそれらの真の値を完全に反映したものではないことが知られ、3つ目のものは、分析過程で受ける損失は両者に等しく当てはまることから、元の真の値の比を正確に反映したものであることと当業者には理解される。
内部標準に関して、正確な元の値、すなわち、損失を全く受けていないか最小限である応答が既知であれば、「生IS応答」は「補正IS応答」で置き換えることができ。「補正C12応答」は、「補正IS応答」に「C12/C13比」を掛けることにより計算することができる。
正確な元の値は、実験的に決定することもできるし、又は各内部標準に関して一度決定し、記録することもでき、その後、この値は、必要であればソフトウエアにより検索可能である。生応答の誤差はその変動であるので、当業者にとって、「正確な元の値」の精密性は、「C12/C13比」を掛けた一定で再現性のある値の使用よりも重要度は低い。
生データにおける損失は、時間及び化合物の両方によって複雑に変動する。一部の損失は特定の各化学構造の性質によるものであり、その化合物にイオン化が引き起こされる環境が変化すると、各サンプル内で変動する。
同様に、他の損失もイオン源変化の物理的パラメーターの関数としてあらゆる化合物に広く課されることも良く知られている。これらの損失は遙かに長いタイムラインを持つが、それらが変化すると、直前及び直後のサンプルを比較不能にする。このような長期的損失を補償するためのアプローチが存在するが、それが真実であろうがなかろうが、基礎になるサンプルが実際に比較可能であるという仮定をする必要がある。
本明細書に記載の技術はこれらの損失の両方を補正し、当技術分野の全ての人に一般に認められているが実施されたことがない第1の原理を用いて極めて正確にこれを行う。正確な元の値に対する標準値の使用は、それが特に長期的変化を克服するので特に有用である。
イオン損失に関して補正したとしても、解決されていない問題、すなわち、上述のように、サンプルが異なるサイズであり得るという事実がなお存在し、これは、結果が補正された同等のサンプルを他のサンプルと比較不能とし得る。この問題は一般に正規化の問題と呼称される。最初に述べたように、正規化のための多くのアプローチが存在する。
合計型正規化アルゴリズムは、サンプルサイズの違いの問題を克服するために有用である。いくつかのこのようなアルゴリズムが{Li24}に、特に、この刊行物の表1に述べられている。このような合計型アルゴリズムの例は、オートスケーリング、レベルスケーリング、ミーンスケーリング、メジアンスケーリング、MSTUS、パレートスケーリング、パワースケーリング、レンジスケーリング、トータルサム、バストスケーリングと呼称されるものである。実施例として、本明細書ではMSTUSが用いられる。
計算をモデル化し、抑制補正及びMSTUS正規化のためのアルゴリズムを開発するために、Rスクリプト(バージョン3.4.2)を使用した。簡単に述べれば、アルゴリズムに使用される全てのピークは、1)それらは全てのサンプルに存在しなければならない、2)それらは最小ピーク面積(又は高さ)を上回らなければならない、及び3)C13−ISとC12モノアイソトピックピークの間の比が0.001より大きくなければならない、という最低基準を有していた。基準1)については、使用するピークは両方の部分に存在していてもよく、従って、計算する数はサンプル毎に異なり、又は全てのサンプルに存在していてもよく、従って、同じセットが使用され、好ましくは、ピークは両方のサンプル及び/又は全てのサンプルに存在する。
元のデータセットは、16のサンプル全てに見られる389のIROAピークを有しており、これらのピークのうち232が組み入れ基準を満たし、MSTUS正規化に使用した。MSTUS正規化は、データセット全体のサブセットを常に正規化に使用したことに留意されたい。サブセット、又、見出されたIROAピークのサブセットでさえ、アルゴリズムに使用されるが、それらは全て、生物起源のものであることが全て保証されているIROAピークであり、232の化合物が考慮されることから、必要なMSTUS比を求めるのに十分な数が存在する。
ピークの全てに関して、抑制補正C12値は、それらがサンプル中に見られる真の濃度をより良く反映するものであることから使用した。これらの抑制補正値は、最小抑制C13−IS値にC12とIROA AUCの比(これらは0.001〜98.5の範囲であった)を掛けることにより求めた。C13−IS値は、特定のIS化合物に関して見られた最小抑制値で固定した。
正規化に関しては、C12側のMSTUS合計をC13側のMSTUS合計で割って補正係数を得、この場合、全化合物にこの係数を掛けると、元のサンプル(MSTUS C12)中の全化合物の合計は、抑制補正IS値の全ての合計と等しくなる。これらのサンプルは化学的に同一であるので、正規化の証明は、一度正規化された値が同じであるといことである。化学的平衡が変動する「通常の」サンプルの場合、正規化はこれらの両側を等しくするが、化合物間の濃度関係を損なわない。
結果及び考察
IROA内部標準(IROA−IS)は常に同じ濃度で存在するので、全てのISピーク(MSTUS−IS)の総面積(又は高さ)のプロットは、図2に示される理論的プロットに一致するはずである。しかしながら、MSTUS−IS生値は、補正値と比較した場合に、図9に見られるように、濃度が増すにつれ、その構成ピークの全体的な抑制からの有意な累積効果を示す。
同様に、実験計画に従い、生の天然存在度MSTUS−C12シグナルは、図1に示されるように、予想では高まるはずである。しかしながら、この場合、図3に示されるように、実際の生データは、サンプル中のほとんどの化合物に影響を及ぼす全体的抑制のためにばらつき、あるべき値のほぼ60%の値となる。
上記では、MSTUS値又はMSTUSセットの全ての化合物の合計を述べている。個々の化合物を検討すれば、例えば、L−チロシンでは、最低濃度以外の全てのサンプルで抑制は明白である。最高濃度のサンプルでは、式:
(SC−C12−生C12)/SC−C12
[式中、SC−C12は、抑制の平均値−補正C12であり、生C12は、同じサンプルの非補正ピークの平均値である]
を用い、29.1%の抑制が見られる。このデータセットから、事実上どの化合物もいくらかの抑制を示し、それらの内部標準もそうであることは明らかである。
従って、IROAチロシン内部標準は抑制されるだけでなく、その天然存在度の相当物とちょうど同じレベルの抑制(独立に求められた数値)を示すことは驚くことではない。被分析物と内部標準の両方の抑制にもかかわらず、被分析物面積(又は高さ)に対するIROA IS面積(又は高さ)の比は、実験計画とちょうど一致する。それらはイオン化過程で同じ環境に曝され、IROAが採用している炭素同位体はイオン化特性に有意な影響を及ぼさないはずなので、このことは驚くことではない。
最近、IROA同位体異性体収集物は、イオン移動度において同じように挙動し、予想通りにフラグメント化も類似していることが示された。あるピークのIROA同位体異性体ピークは、質量以外一様に挙動すると思われる。
以下に述べるように、検討し、計算に使用した232の化合物は、250,000を超えるベースピークを有し、最低濃度における比が少なくとも0.001でなければならなかった。この収集物中の全ての化合物の抑制の範囲は、約6%〜約92%である(図5)。化合物の大部分は約20〜約60パーセントで抑制されていると見られる。極めて高レベルの抑制では、一部の化合物は極めて顕著に抑制されており、図6のC91625化合物に関して見て取れるように、それらにはそれらの実際の濃度と負の相関があった。250,000というベースピーク値は機器特有のものであり、機器毎に異なることに留意されたい。
どの化合物でもIROA−ISに対する被分析物の比は、IROA−ISと相対的な、被分析物の元の濃度を正確に反映しているので、抑制補正値は、その最小抑制値(実験的に見られる最高値であると認識される)に等しいISを設定し、この値にどれが合理的抑制補正値であり得るかを決定するための比を掛けることによって求めることができる。
この「最小抑制値」の代わりの定数として機能させるためにいずれの数値を用いてもよいが、実際の最小抑制値の使用には、対象ピークに対してほぼ正確な振幅を保持するという利点がある。従って、見出された全ての化合物の抑制補正値を計算することは比較的容易である。C12抑制補正に関する式は次の通りである。
*C12/IROA−IS比
式中、Xは、任意の値であり得るが、最小抑制観測値が通常の振幅を表す。同様に、抑制の不在下では、IROA−ISは一定であり、従って、それには常に同じ値が割り当てられる。
MSTUSアルゴリズムは一般に、NMR及びLC/MSに基づくメタボロミクスデータ、特に、尿などの変動性の高いサンプルを正規化するために使用される。しかしながら、MSTUSは、データセットのノイズを考慮しないので、完全な解決法ではないことは明らかである。このノイズは人為的データを含む結果であり、極端な抑制を生じ、ひいてはMSTUS自体の基礎にある合理性にひずみを生む。
IROAでは、ノイズは、それがIROAプロファイルを示さないので自動的に除去される。よって、全てのIROA化合物の抑制補正値を用いれば、この補正データセットにその時、MSTUSアルゴリズムが適用されてより良好な結果を得ることができる。更に、IROA内部標準が付加されているので、2つの物理的サンプルが存在し(被分析物を構成する天然存在度サンプルと参照IROA−ISサンプル)、従前には可能でなかったノイズの除去とともに、内部標準に対する真の正規化が実行できる。
IROA−ISにおける各被分析物の関連ピークの特有のカーボンエンベロープ(例えば、95%C13)は、人為的データの除去を保証する。特定の(ClusterFinder(商標))アルゴリズムは、これらのエンベロープを検索し、次いで、天然存在度ピークサンプルにおいてそれらの関連ピークを識別するために使用される。一致のない特徴は排除され、ノイズ及び人為的データが除去される。MSTUS正規化補正係数の計算は次の通りである:
sumSCC12/sumSCIS
式中、sumSCC12は、考慮する全てのC12化合物ピークの総抑制補正面積(又は高さ)であり、sumSCISは、考慮する全てのIS化合物の総抑制補正面積(又は高さ)である。
抑制補正値にこれらの係数を掛けてそれらを全て、同じ基準に対して正規化する。正規化MSTUS値は、全ての正規化値の合計である。サンプルサイズ及び化学的構成成分が異なる通常のメタボロミクス研究では、正規化はサンプルのサイズ又は調製の差異を補正し;すなわち、調製全体に影響を及ぼす変化、及び正規化された合計は、化学組成の差異のために異なる。
この実験の計画において、又、この実験でのみ、サンプルは化学的に同じであるので、正規化は、同じであるべき全てのサンプルを正規化すべきであり、これを行う(示されていない)。IROAとMSTUSアプローチの組合せは、正確な測定値を得るために有効に正規化され得るイオン抑制補正データを生成するための再現性のある手段を提供する。2つのデータセットが存在するために、組み合わせたMSTUS合計アプローチは、それら2つのデータセットをより良く適合させるために使用することができる。
サンプル調製
3反復のそれぞれに関して(n=3)、75μLの通常のヒト血漿サンプル(抗凝固剤としてK2−EDTAを含有)をポリプロピレン遠沈管に加え、次いで、1.5mLの乾燥氷冷メタノールを加え、プールした溶液を4℃で10分間、16,100gで遠心分離した。上清を新しいチューブに移し、そこから400、200、150、100、75、及び50μLのアリコートを調製した。
次に、これらのメタノール性アリコートを、遠心真空濃縮機を用いて乾燥させ、−80℃で保存した。LC−MS分析直前に、乾燥残渣を、20μgのC13 ISを含有した40μLのTQ−IS(TruQuant(商標)C13 IS;IROA Technologies社)溶液に再懸濁させた。
C13 IS溶液を、95%C13で全標識した0.6mgの生物学的に複雑な混合物を含有するTQ−ISバイアルの内容物を1.2mLのH2Oに溶解させることにより調製し、ボルテックスにかけ、軽く遠心分離した。次に、このチューブの内容物をポリプロピレンオートサンプラーバイアルに移した。
TQ−LTRS(TruQuant(商標)Long−Term Reference Standard、IROA Technologies社)を、5%及び95%の両C13で全標識した20ugの生物学的に複雑な各混合物を含有するTQ−LTRSバイアルの内容物を40μLのH2Oに溶解させることにより調製した。3μLのTQ−LTRS及び5μLの各調製血漿サンプルを、ポジティブ及びネガティブイオン化の両方及び親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)及び逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)を用いて、3反復の注入を行うことにより分析した。
プールした血漿を、−80℃のメタノール(メタノール:血漿、20:1)を用いて抽出した。プールした抽出物の150、200、250、300、350、400、450、500、及び550μLでの6反復のアリコートをバイアルに配分し、遠心真空濃縮機を用いて乾燥させ、−80℃で保存した。
分析のために、サンプルを蒸留水中40μLのTQ−IS(又はIROA−IS)で再構成した。40μLの蒸留水を加えることにより、TQ−LTRSを再溶媒和させた。サンプルを無作為化し、それらの各クロマトグラフィーシステムLC−MSに従って分析した。
クロマトグラフィーシステムは、Phenomenex Kinetex(商標)HILICカラム(1.7μm、100Å、100×2.1mm)並びにPhenomenex Kinetex(商標)C18カラム(2.6μm、100Å、150×2.1mm)C18カラムからなり、カラムコンパートメントは40℃に維持した。溶媒Aは、10mM正荷電酢酸アンモニウム(positive ammonium acetate)及び0.1%ギ酸を含有する水からなり、溶媒Bは、10mM酢酸アンモニウム及び0.1%ギ酸を含有するメタノールからなった。
クロマトグラフィー実行中には流速200μL/分を使用した。0〜5分まで、溶媒組成は5%溶媒Bで一定に保持した。次に、5〜30分まで、溶媒組成を5%溶媒Bから95%溶媒Bに引き上げた。その後、30〜40分まで、95%溶媒Bの溶媒組成を維持した。最後に、溶媒組成を5%溶媒Bに戻し、40〜45分まで一定に維持した。
質量分析は、FTMSフルスキャンモードで、スキャン範囲70〜650m/z及び分解能240,000として作動させるThermo Scientific(商標)Orbitrap Fusion(商標)Lumos(商標)Tribrid(商標)にて行った。加熱エレクトロスプレーポジティブイオン化では、スプレー電圧3500を使用し、気化器温度及びキャピラリー温度はそれぞれ250℃及び375℃に設定した。シースガス圧、補助ガス圧及びスイープガス圧はそれぞれ35、10,及び0(任意の単位)とした。
データ分析
データは、ClusterFinder(商標)ソフトウエア(バージョン3.1−IROA Technologies社)を用いて分析した。
TQ−IS(又はIROA−IS)は、生化学的に複雑な内部標準である。TQ−IS及びTQ−LTRSは、IROA Technologies社からのTruQuant(商標)ワークフローの一部である。ここでのこれらの試薬の使用は例示であり、ここに記載される方法は、MSTUS正規化が正確であることを保証するために十分な数の化合物を含有する他の同位体標識システムと共に機能する。TQ−ISは、TQ−IS中の全ての化合物を見つけ出し、一覧化し、定性するためにマッチングTQ−LTRSと併用される。TQ−LTRSの使用は必要とされない。本研究では、本発明者らは、内部標準及びサンプルの両方に存在した102の化合物に対する抑制応答を見つけ出し、分析した。
本実験で使用した実験計画は極めて単純であり、すなわち、3反復の、種々のアリコートサイズの単一の均質溶液、ここでは、ヒト血漿抽出物を配分し、穏やかな窒素流下で乾燥させた。どのサンプルの供給源及び化学的性質も単一の均質溶液から発散し、容量だけが異なるので、その絶対濃度を知ることができなくても、どのサンプル中のどの化合物の相対量も、元のアリコートの容量に比例して増えるはずであり、プロットした場合には、図1と一致するはずである。
ひと度乾燥させると、どのサンプルも、一定容量、この場合、40μLの内部標準で再溶媒和物され、従って、内部標準中のどの化合物の量も一定であり、図2に示されるグラフに一致するはずである。サンプルは無作為な順序で注入し、得られたデータを検討した。
図3(◆)は、全ての分析化合物に対して見られた平均応答を示すが、見て取れるように、それはその期待曲線と一致しない(図1)。この場合、観測値は期待値よりも低く、濃度が増すほど強い逸脱を示し、これにより、ここで見られる、唯一のものでなくても、主要な効果が抑制であることは明らかとなる。
他方、全化合物に関する、各被分析物の、その対応内部化合物に対するAUCの理論比、すなわち、「C12/C13比」は図4に示され、これは期待曲線に相当する(図1)。よって、過去の研究で示されるように内部標準中の同位体がC13である限り、被分析物/内部標準比全体はイオン抑制の影響を受けない、すなわち、内部標準及びその相当する被分析物のイオン化率は一般に、同じ程度に抑制されるということは明らかである。
更に、サンプルにおいては、最小アリコートのサンプルで最小の抑制が生じる。従って、最小アリコートの3反復のサンプルの内部標準の平均値は、本発明者らの最初の概算の最小抑制値と考えられた。
上述の所見を鑑みて、本発明者らは、以下の既知の事実及び真の事実を考えた:1)どのサンプルのどの内部標準化合物の濃度も一定の値で存在することが分かっている、2)全ての化合物の被分析物/内部標準比が、抑制に関わらず、元の濃度を正確に反映するようであることが示された、3)これは被分析物及びその相当する内部標準は等しく抑制されるからである、従って、観測された内部標準値は、
1)内部標準の元の「非抑制」値を内部標準の補正値として供給すること、及び
2)この同じ値に被分析物/標準比を掛けて、被分析物が抑制されていなかった場合に持っていたであろう適正な値を求めること
により補正することができる。
これらの値は、どの化合物内部標準及び被分析物対についても計算はかなり容易であり、生値及び補正値を図3に示す(◆=生データ、■=補正データ)。補正されたデータは、理論グラフとよく対応している(図1)。
本研究の計算において、本発明者らは、最低の被分析物濃度を有するサンプルで見られた内部標準の値を「非抑制値」の推定値として用いていた。この値がどれもいくらかの抑制を受けていることは疑う余地のない真実である。しかしながら、この計算を考えれば、この値自体、適当な振幅の一定値としての値(このような値は、短期及び長期両方のイオン源内損失を克服するために使用することができる)よりも重要度は低いことが容易に認識されるであろう。
本発明者らがこの分析で使用した値は、他の全ての化合物に相対的な適正な近似振幅を有し、本発明者らはこれにいくらかの小さな利益があると考える。実際に、内部標準中の各化合物の「標準値」として常に使用されている単一の値の確立は、複数の日、月、又は更には計装に対する、すなわち、それだけではなく、サンプル間誤差を克服するための何らかの変化にわたって実験が行われる場合に、「互いに対してスペクトルを正規化する」必要を無くす「標準補正スペクトル」を作り出すための一般機構を提供する可能性が高い。
機器のドリフト問題は、それらが長期間、全ての質量スペクトルシグナルの大部分に大きな変動源として課せられるだけでなく、時間とともにランダムな変化を受けるという点で異なる。これが補正され得ると理解することができる。常に標準量の内部標準に基づく比及び固定されたSOPがあれば、先般の考察により、上述の方法を用いて被分析物の補正値を計算するできることが明らかとなる。
生値に対する補正値の分析は、この例に見られる抑制の範囲が約6%〜約91.8%であったことを示す(図5参照)。いずれのイオン抑制も受けなかった化合物は無かったことは驚くことである。しかしながら、分布の全体的な形状及び中央値がおよそ40%であるということがこの所見を裏づけている。91%より高い抑制で、極めて少数のイオンしか残存しない化合物がある可能性があり、これらの化合物が見えにくい場合があることは驚くことではない。抑制が80%を超える化合物は一般にそれらの注入濃度と負の相関があり、60%〜80%の化合物は、注入濃度には関わらず、本質的に平坦である(図6参照)。これらのことは、なぜ生データの補正が非常に重要であるかを強く示す。
上記の補正はイオン損失のみを補正し、それらはサンプルサイズ又は濃度の変動については補正をせず、技術的には「正規化」と呼称される。上記の結果及び考察を踏まえれば、生データが、生データに基づく正規化が有意な量の誤差を含むほとんどの化合物の実際の濃度の十分に不正確な反映であることは明白なはずである。本発明者らがここで採用する正規化戦略は2つの新規な切り口を有し、第一に、それは上述のようにイオン損失に関して補正されたデータを用い、第二に、全ての分析サンプルに具体化されている完全な標準サンプルが存在するので、試験サンプルは、その連結された内部標準に対して正規化される。
第1の戦略切り口は、全てのイオン損失に関して補正することにより、全データセットの全体の変動を減らす。第2の切り口は、補正されたデータセットを補正された「標準」サンプルに対して正規化し、そうすることで、試験サンプルは、同じ「標準」サンプルに対して正規化された他のいずれの試験サンプルとも間接的に比較可能となる。このメカニズムは直接的であり、イオン損失に関する補正において、本発明者らは、全ての化合物に関して実験部分と内部標準部分の両方を補正し、従って、MSTUS合計は好ましくは又サンプルについても合計し、「試験サンプルの全ての補正値の合計」計算値、及び「内部標準サンプルの全ての補正値の合計」計算値を提供する。
よって、「正規化係数」は、「試験サンプルの全ての補正値の合計」を「内部標準サンプルの全ての補正値の合計」で割った商である。計算されれば、全ての補正値は、各化合物の補正値に「正規化係数」を掛けることにより正規化される。正規化されれば、それらのサンプルは、物理的なサンプル間差異にも関わらず、同じサイズのものと見られる(図7参照)。
濃度に極めて変動がある尿などのサンプルに対しては正規化の必要がより明白であるが、極めて小さい生検、又は他の身体サンプルを取り扱うことは、水分含量及び物理的損失が常時起こるので調製中に有意な変動が導入されることから、意外に難しい。このデュアルMSTUSアルゴリズムは、全てのサンプルをこのような全ての変動に関して調整する。図7に示される実験データは正規化の極端な場合を示し得るが、ここでのその成功は、それが全ての状況で機能することを明らかものとする。
損失補正化合物から計算された正規化係数は、適合する内部標準があろうがなかろうが、試験サンプル中に見られる化合物の全てに実際に適用可能である。このため、正規化係数は、補正する機会のない可能性のある非補正ピークに適用することができ、これらの化合物は、正しく補正されるであろうが、なお、抑制損失を示す(図8参照)。イオン損失に関して補正することができないとしても、正規化された値は生値よりも正確である。
この考察から明らかであるべきことは、化学的に複雑な内部標準の使用により、質量スペクトルデータセットにおける主要な変異源の多くに関して補正が可能であること、及び補正されるとそれらのサンプルは、デュアルMSTUSアルゴリズムの基礎としての内部標準を用いて互いに正規化され得る。これらの組み合わせた作用は、ほとんどの質量スペクトル分析における大部分の誤差に関して有効に補正する。
本明細書に引用された特許、特許出願及び文献のそれぞれは、本明細書の一部として援用される。冠詞「a」又は「an」の使用は1以上を含むことを意図する。
以上の説明及び実施例は例示を意図し、限定と見なされるべきではない。本発明の趣旨及び範囲内の更なる他の変形形態も可能であり、それら自体、当業者は容易に想到する。
引用文献のリスト
Figure 2021527837

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Claims (19)

  1. 質量スペクトル(MS)の解析的分析中にイオンのイオン源内損失又は透過損失を補正し、その補正されたイオンデータを用いてサンプル間差異に関して正規化を行う方法であって、
    a.分析サンプルを質量スペクトル的に分析して、存在する各化合物を示す親ピーク及び1以上の娘ピークのピークセットの生データを提供する工程であって、前記分析サンプルは、約100,000Da〜約60Daの分子量を有する生物学的に生産された化合物及び/又は半合成的に生産された化合物の2つの部分から構成され、第1部分は、天然同位体存在度の第1同位体試験サンプルであり、第2部分は、試験サンプル中に存在し得る約50〜約10,000の同位体標識された第2同位体含有化合物を含有する化学的に複雑な内部標準サンプルであり、前記天然存在度サンプル及び内部標準サンプルの両方に存在する化合物は、対応ピークセットと呼称される工程、
    b.前記対応ピークセットのそれぞれがイオン損失に関して個別に補正され、正規化係数の決定に使用される工程であって、
    i)イオン源内損失を、各化合物に関して、その内部標準を、実験的に求められた一定値であり、且つ、常に同じである値に対して補正することにより補正して、損失補正内部標準値を提供し、
    ii)各分析サンプル中の各化合物に関する第1同位体/第2同位体の比が、前記生データに見られる化合物の全ての天然存在度の第1同位体ピークの総面積又はピークセット高をそれぞれ、前記生データに見られる化合物の全ての内部標準第2同位体ピークセットの総面積又はピークセット高で割った商として求められ、
    iii)天然存在度化合物の損失補正天然存在度値は、前記損失補正内部標準値に前記各化合物の前記第1同位体/第2同位体比を掛けることにより求められる工程、
    c.全ての補正された対応ピーク化合物に関する正規化係数は、前記分析サンプルの天然存在度部分及び内部標準部分の両方の全ての対応ピークセットに関してこのようにして得られた全ての補正値を用いる正規化アルゴリズムを使用して求める工程であって、
    i)前記内部標準部分の合計は、両方の被分析物部分に存在する全ての化合物の前記損失補正内部標準値の合計であり、
    ii)前記天然存在度部分の合計は、両方の被分析物部分に存在する全ての化合物の前記損失補正天然存在度値の合計であり、
    iii)各被分析物サンプルの正規化係数は、前記天然存在度部分の合計[上記のii)]を前記内部標準部分の合計[上記のi)]で割ることにより計算される工程;及び
    d)各個の損失補正天然存在度に正規化係数の逆数を掛けて正規化天然存在度値を得ることにより、各天然存在度化合物のサンプルを正規化する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 各化合物の損失補正内部標準値が、別の分析のデータから得られた実験的に求められた値である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記内部標準中の各化合物の値が、割り当てられた値のデータベースから検索される、請求項2に記載の方法。
  4. 各化合物の損失補正内部標準値が、現分析のデータから実験的に求められる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第1同位体が炭素−12(C12)であり、前記第2同位体が炭素−13(C13)である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記同位体標識が、炭素(C12及びC13)、窒素(N14及びN15)、酸素(O16、O17、又はO18)、硫黄(S32、S33、S34、又はS36)、塩素(Cl35及びCl37)、マグネシウム(Mg24、Mg25及びMg26)、ケイ素(Si27、Si28及びSi29)、カルシウム(Ca40、Ca42、Ca43、及びCa44)、並びに臭素(Br79及びBr81)からなる群から選択される、水素及び重水素以外の同じ原子の第1及び第2の同位体により提供される、請求項1に記載の方法。
  7. 対応化合物の同位体標識が、IROAパターンに従う、請求項1に記載の方法。
  8. 同位体標識が、天然存在度の最も高い同位体並びにC13、N15、O17、O18、S33、S34、S36、Cl37、Mg25、Mg26、Si28、Si29、Ca42、Ca43、Ca44及びBr81からなる群から選択される対応する安定同位体のうち1以上により提供される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記同位体標識が、前記分析サンプルの第1部分及び第2部分の前記化合物を、前記分析サンプル部分に存在する1以上の対応化合物の官能基と反応しそれに結合する同じ反応性基を含有する同位体異性体試薬対の一方又は他方と個々に反応させることにより半合成的に提供される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記分析サンプルの第1部分及び第2部分の前記化合物の、同位体異性体試薬対の一方又は他方との前記個々の反応が、前記第1部分及び前記第2部分を混合して前記分析サンプルを形成する前に行われる、請求項9に記載の方法。
  11. イオン損失が、イオン透過の非効率性から生じる、請求項1に記載の方法。
  12. 前記損失が、イオン抑制又はイオン化の非効率性から生じる、請求項1に記載の方法。
  13. 前記第1同位体を含有する前記天然同位体存在度の試験サンプルがヒト又は非ヒト血液から得られる、請求項1に記載の方法。
  14. 前記内部標準が、生物学的に生産される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記試験サンプルが、ヒト又は非ヒト血清、血漿、尿、糞便、又は他の身体分泌物から得られる、請求項1に記載の方法。
  16. 前記試験サンプルが、非生物源から得られる、請求項1に記載の方法。
  17. 前記試験サンプルが、ヒト又は非ヒト組織から得られる、請求項1に記載の方法。
  18. 前記試験サンプルが、植物、細菌、又は真菌から得られる、請求項1に記載の方法。
  19. 前記正規化アルゴリズムが、MSトータル・ユーザブル・シグナル(MSTUS)技術を用いる、請求項1に記載の方法。
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