筋骨格障害から人を保護し、能力を向上させるためのウェアラブル・デバイス100を開示する。システムと方法により、動作(例えば、持ち上げ)を実行したり、静止姿勢(例えば、かがむ、または、頭上で作業中に道具を保持する)を保持したりするなどの、身体活動中の人間の動作を支援するウェアラブル・デバイス100を提供する。材料、構造、およびシステム構成により、ウェアラブル・デバイス100を長期間にわたって衣服の上や下に着用したり、または中に組み込んで、能力を改善させたり、怪我のリスクを軽減したりできる。装着者のさまざまな活動、動作、および姿勢を検出するために、ウェアラブル・デバイス100にセンサ230を含め得る。これにより、さまざまなアクティブ制御および半能動的制御の手法は、センサ情報を活用して個々のユーザに合わせた支援を提供する。さまざまな制御最適化技術により、ウェアラブル・デバイス100が最高の効率で動作することが保証される。
さまざまな産業の労働者(例えば、建設労働者、製造、物流、倉庫、手荷物取扱者、設置業者、介護者、医師など)を強化および保護する、または、日常生活の活動の一部として(例えば、高齢者、健康な個人、医療患者)、ソフト・ウェアラブル・デバイス100は、筋骨格傷害を減らし、生産性および/または能力を改善するために幅広い影響を与える。一例として、図1に、筋骨格傷害のリスクを軽減し、生産性を向上させるためにユーザが支援器具を着用することで恩恵をうけられる、さまざまな応用分野を示す。
不快感、痛み、疲労、怪我などにつながる可能性のある身体活動または動作を行う時に、ユーザを支援する方法、システム、およびデバイスが開示されている。より具体的には、本開示は、長期間にわたって着用することができ、以下の要素または以下の要素の組み合わせを含むウェアラブル・デバイス100(例えば、ソフトな着用可能外衣、外骨格型、ウェアラブル・ロボット・デバイス、またはロボット型服装)に関する。
(i)ウェアラブル・デバイス100を着用する人の様々な身体部分上に配置するように構成されたアンカー部材110、および、アンカー部材110を直接的または間接的に結合する、可撓性接続要素150(衣服、半剛性部品、ウェビング、ストラップ、ケーブル、それらの組み合わせなど)から構成される、ウェアラブル・デバイス構造。様々な実施形態において、接続要素150は、能動的に作動させてウェアラブル・デバイス100に能動的に張力を発生させ、半能動的に作動させて、装着者の動作または姿勢によりウェアラブル・デバイス100に発生する張力のレベルを変化させることができる。さらに/または、装着者が装着者の動作または姿勢に基づいたときに、ウェアラブル・デバイス100に張力を受動的に発生させ得る。構成されたように、ウェアラブル・デバイス100は、力、および/または、モーメントを身体に送達して、装着者が様々な動作を実行するか、または、様々な姿勢を保持することを支援する。
(ii)人間の生体力学、システムと装着者との間の相互作用、および、環境または物体との相互作用を、測定または推定するためのウェアラブル・センサ230。一例として、これらのセンサ230は、衣服部品に統合されてもよく、または衣服部品と互換性があってもよい。
(iii)受動部品190は、ユーザが動く時に、人体に有益であり得るように張力またはトルクが生成されるように統合され得る。この例としては、伸縮素材、スプリング、ダンパが含まれる。
(iv)作動:1つ以上のアクチュエータ120は、能動的システムの一部として統合され、ユーザを支援したり、システム部品の位置、力、またはプリテンションを制御したりしてもよい。さらに、半能動的システムでは、1つ以上のアクチュエータ120を使用して、システムのプリテンションのレベルを設定したり、弾性部品の初期位置を設定して、その部品が人間の動きに関して受動的に支援力を提供し始めるタイミングを調整し得る。
提案されたシステムは、関節(例えば、大腿部、背中、膝、肩、肘)の両側に位置する、または複数の関節の橋渡しをするアンカー部材110の間に張力を提供して、複数の関節、身体部分を同時に支援したり、身体のさまざまなところに荷重を伝達したりすることにより、装着者を支援するために着用され得る。これらのアンカー部材110の間の接続要素150は、使用者を支援するように張力を提供することができる。
接続部品150
様々な実施形態において、1つ以上の接続部品150は、1つ以上のアクチュエータ120によって制御され、アクチュエータ120は、この部品の位置または接続部品150が生成する張力を制御して、装着者へのカスタマイズされた支援、または、さまざまなレベルの支援(能動的システム)を提供することができる。別の実施形態では、受動的要素190を接続部品150(例えば、弾性部品、ダンパなど)として使用して、ユーザが動くと、この部品190が装着者を支援する力を生み出すことができる(受動的システム)。さらに別の実施形態では、アクチュエータ120を使用して、アンカー部材110に対する初期位置または張力を設定する受動的接続要素190のプリテンションのレベルを設定することができる(半能動的システム)。これは、人間の動作に対する支援のカスタマイズ(支援開始、停止のタイミングなど)を許可したり、経時的なウェアラブル・デバイス100コンポーネントの相対的な動きを補正したり、さまざまな体型に対応する初期のプリテンションを設定したりするのに役立つ。あるいは、これらの調整の一部は、Velcro(登録商標)ストラップ、ラチェット・システム(例えば、Boa(登録商標)など)、またはバックルなどの部品を介して手動で行ってもよい。別の実施形態は、システムがユーザにいかなる支援も提供しないが、搭載されたセンサ情報を収集することができるように、接続要素150を全く含まなくてもよい。図2A、図2Bおよび図2Cは、背中および股関節を含む身体を支援するための受動的(図2A)、能動的デバイス100(図2B)、およびセンサのみのシステム(図2C)のサンプル実施形態を示す。様々な実施形態において、アクチュエータ120またはクラッチ160を制御して、プリテンションを設定したり、弾性部品150を係合/解放したりできることを除いては、半能動的システムは、図2Bのアクティブ・システムと同様に見える場合があることを理解されたい。
作動接続部品150:アンカー・ポイント間の接続部品150を作動させることができる。一例として、ユーザがアクチュエータ120を装着できるケーブル駆動システム、アクチュエータ120ユニットを関節の一方に接続するボーデン・ケーブル、および、一端をアクチュエータ120に、および、他端を関節の反対側へ接続するインナー・ケーブル150がある。この方法において、インナー・ケーブル150が作動すると、両方のアンカー・ポイント間に張力が発生する。別の実施形態では、アクチュエータ120は着用され、関節の一方に直接接続され、一端が前記アクチュエータ120に接続され、他端が関節の反対側に接続されるケーブル150を作動させる。別の実施形態では、アクチュエータ120は、流体(例えば、空気圧、油圧など)であり得て、接続要素150は、両方の取り付け点に接続するアクチュエータ120が加圧されるとき、または、真空が適用されるときに、張力を加え得る。接続部品150は、高いアクチュエータ120の帯域幅が重要であるときに、アクチュエータ120によって制御できる鋼で作られたケーブルのような非拡張性であってもよく、別の実施形態では、接続要素150は、直列ばね部品、または、伸縮性のある素材で作られた接続部品150を有してもよい。この場合、弾性変位を測定し、それを力と相関させることができ、そのために、追加のセンサ230や、弾性要素などを使用して、コンポーネントや環境の振動を吸収および低減するなどの有益な他の特性をも含める必要性を除外するなどの利点があるシステムを有するように、帯域幅は交換される(この弾性要素の材料特性が既知の場合)。
モータ・ギアリング装置の代替案およびウェアラブル・デバイス100コンポーネントへのその統合:種々の実施形態では、アクチュエータ120は、一連のギア段が要求を満たすために速度を低下させ、その出力のトルクを増加させるようにギア・ボックスまたはトランスミッションを必要とする場合がある。標準のギア・ボックスにはいくつかの欠点があるが、実施例により次の1つ以上が含まれる:設計上追加される大きさと重量、原価、衝撃荷重に対して影響を受けやすい、バックラッシュ、非効率性、歯の噛み合いなどの要因によるノイズ。
ウェアラブル・システムのギア装置の問題を克服するための別の解決策を紹介する。ギアによる減速の利点を獲得できて、その欠点のいくつかは無い、ギア・ボックスの代替として動作する、構造の柔らかい部品(例えば、織物のストラップ、織物部品)に組み込むことができる一連の回転要素(例えば、プーリ、低摩擦ローラなど)を使用することを提案する。図34A、図34B、および、図34Cは、提案した伝達方法の例を示す。図34Aは、2つのアンカー・ポイントの間に作動要素150を取り付ける標準的な実施例を示す。図34Bまたは図34Cに示す例は、ガイド127(例えば、回転する、または、低摩擦要素)の周りに作動要素150を通すことによって、(n+1):1比のギア・ボックスと同等の減速をどのように達成できるかを示す。ここで、nはガイド127の数であり、回転要素(n)を削減したり追加したりすることにより、この比率は変更し得る。ガイド127における摩擦が無視できると仮定すると、ケーブル150全体は、その長さ全体にわたって同じ張力Tを有する。この変速装置は、ストラップ上でn+1の平行なケーブル部分を引き上げる。これは、各部分が力Tでストラップを引き上げていることを意味する。その結果、ストラップを引く合計の力はF=(n+1)Tである。力の保存により、線形力がn+1倍に増加すると、速度も4倍で減少する。これは、(n+1):1減速の基本である。他の実施例では、モータ121は、提案された構造(図34Bに示す)を経由する既存のケーブル150により、ストラップ部品に取り付けられたり、ガイド127を経由して、一方で1つの部品に取り付き、もう一方で他の部品に取り付くボーデン・ケーブルなどの他の変速装置を含めることができる(図34C)。提案された変速装置は、いくつかの理由で我々の使用事例に理想的である。その設計は薄型であり、かさばる非薄型のギア・ボックスとは対照的に、ユーザの広い表面積をうまく利用している。変速装置は、高い許容差を必要とする高価なギアの代わりに、安価なプーリまたは低摩擦材料を使用している。また、ギアがないことにより、提案された変速装置では、張力がかかっているときのバックラッシュが減少し、効率の低下やギアの歯の噛み合わせに伴う可聴ノイズが減少し得る。この概念は、上記の設計に従う、ケーブルを介してこの要素を接続することによる線形運動(電気機械、流体など)に従う任意の作動要素に適用することができる。この概念はまた、単一のプーリ、ローラ、または低摩擦要素(n=1)があり、歯車の減速比が2:1である場合の実装例にも有用である。この概念により、ある応用例では、歯車段を追加する必要がなくなり、原価と複雑さを大幅に削減することができる。
受動的接続要素190:様々な実施形態において、接続要素150は、人が動いたり曲げたりすると、両方のアンカー・ポイント間の張力が受動的に発生するように、受動的(例えば、ばね、ダンパ、または可撓性要素(伸長可能、半伸長性、または非伸長性))であり得る。この受動的要素190は、受動的に発生する張力が装着者の1つ以上の関節、または、身体の一部を支援するように設計されている。この要素190の構成(たとえば、初期長さ)は、Velcro(登録商標)、バックル、ラチェット・システム(例えば、Boa(登録商標))またはその他、などのストラップを使用して手動で調整できる。さらに、半能動的システムでは、アクチュエータ120を使用して、たとえばプリテンション・レベルを設定するために、これらのパラメータを変更できる。
センサのみのシステム:様々な実施形態において、接続要素150は存在しない場合があり、その結果システムは、搭載センサ230を利用して、たとえば、勤務時間中に1人、または、複数の作業者からのデータを分析し、怪我のリスク、作業能力、生体力学的、および/または、人間工学的メトリクスを評価できる。このデータを使用して、その業界内のさまざまなプロセスを最適化し、怪我につながる可能性のある動作を実行している場合にユーザに通知したり、リスクの領域を評価したりできる。通知方法には、ユーザに通知するための低出力のフィードバック(例えば、聴覚、触覚、視覚など)を含んでもよい。これらの方法は、スポーツ選手向け、消費者向け応用例、または、高齢者向けに、怪我のリスクを軽減することにも役立ち得る。一例では、スポーツ選手はこの情報を使用して怪我のリスクがいつ高まったかを把握したり、この情報を使用して回復期間を確立したり、練習したりできる。別の例では、スポーツ選手または消費者は、これらのメトリクスからの情報を使用して、彼らの能力を改善することができる。ウェアラブル・センサ230の例には、慣性測定ユニット(IMU)、関節角度センサ230、力センサまたは圧力センサ230、トルク・センサ230、代謝エネルギー測定デバイス、筋活動測定デバイス(EMG)、地面反力センサ230、心拍数センサ230、およびインソールの力センサまたは圧力センサ230などの1つ、または、それらの組み合わせを含む。これらのセンサ230は、衣服部品に統合されてもよい。
アンカー部材110
ウェアラブル・デバイス100の構造は、身体部分に巻き付いて身体に負荷を伝達し、接続要素150のアンカー・ポイントを生成するストラップなどの衣服部品を含むように設計され得る。一実施形態において、システムは、異なる関節またはそれらの組み合わせ(例えば、背中、肩、膝、大腿、肘)を作動するように設計され得る。以下に示す例は、これらの関節を支援するシステムの詳細な説明と設計を示す。
身体に適合してウェアラブル・デバイス100の構造を規定する、ウェアラブル・デバイス100の部品には、以下を含み得る。
(a)大腿アンカー部材:このウェアラブル・デバイス100の部品は、装着者の大腿部に配置するように構成され、大腿部にアンカー・ポイントを提供して、股関節または膝関節の片側に取り付け点を生成する。この部品には滑りにくい素材が組み込まれており、力が加えられても脚に対して動かないようにしっかりと固定されており、この部品に力が加えられる時に変形量が最小となるように、固い布地からできている。大腿アンカー要素の代表的な実施形態は、大腿ラップである。
(b)腰部アンカー部材:腰部を包むストラップで、アクチュエータ120または受動的要素190を取り付けることができる体内のアンカー・ポイントを規定する。腰部アンカー要素の代表的な実施形態は腰ベルトである。
(c)肩アンカー部材:このウェアラブル・デバイス100の部品は、装着者の肩に配置するように構成され、肩のアンカー・ポイントを提供して背中の上側にアンカー・ポイントを生成する。肩アンカー要素の代表的な実施形態は、肩ストラップである。
(d)大腿ストラップ112:両方の大腿アンカー部材110に接続して背関節の下側に取り付け点を生成する細長い要素(例えば、ストラップ、リボン、ケーブル)。次の図は、各端113、114が各大腿アンカー部材110の背面に取り付けられ、腰に取り付け点を構成するループを生成するストラップ112をシステムに統合する方法を示す。いくつかの実施形態においては、大腿ストラップ112は、後でより詳細に説明するように、負荷バランス・アセンブリ210の負荷バランス要素212として機能し得る。
図3は、表示したように、上述の構成要素のいくつかを含むロボット型服装の代表的な実施形態の様々な図を示す。
センサ230
様々なセンサ230を使用して、身体の様々な反応、ウェアラブル・システム100との、または、環境との相互作用を測定することができる。いくつかの実施形態では、人間の生体力学を測定するように構成されたセンサ230は、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、ジャイロスコープ、エンコーダ、リゾルバ、および、関節の角度、速度および加速度を測定するひずみセンサ230、心拍数を測定するための心拍数モニタ、代謝作用を測定するための肺ガス交換システム、筋電図検査、および、地面反力を測定するための圧力感知インソールと、地面反力を測定するための計装トレッドミルを含むことができるが、これらに限定されない。力と圧力を含む装着者とシステムの相互作用を測定するために使用できるセンサ230には、ロード・セル、力センサ230、および圧力センサ230が含まれるが、これらに限定されない。モーション・センサ230は、1つのモーション・センサを身体の各部分に配置することにより、関節の角度と動態(角速度、加速度)を推定するために使用できる。例として、背中のIMUを使用して、持ち上げたり、かがんだり、静的な姿勢を維持したり、座位から立位へ、などの活動を行うときに、胴の角度を知り得るし、胴体と大腿の間の相対角度を使用して、人が歩いている(両脚の周期的な動作)か、しゃがんで物を持ち上げているか(両脚が曲がっている)を明確にでき、肩のIMUと前腕のIMUの間の相対角度を使用して、ユーザが肩の支援装置などの支援を必要とする頭上作業を行っていることを検出でき、膝関節の両側に関わるIMUを使用して、膝の角度、速度、または加速度を推定して、人が膝支援装置による支援を必要とする可能性があるしゃがんだ位置にあることを知ることができる。一例として、接続要素150の中に、または、接続要素150とアンカー・ポイントとの間に埋め込まれたロード・セルまたは力センサを使用して、接続要素がユーザに伝えている力を知ることができる。別の例として、ユーザとストラップの間に配置された圧力センサを使用して、快適さまたは圧力分布の目的で、力または圧力を推定または測定することができる。また別の例として、ロボット型服装に埋め込まれたセンサ230およびユーザ上に配置されたセンサ230は、ロボット型服装とユーザ間の相対的な動作を知るために使用される。デバイスのメトリクスを測定するために使用できるセンサ230には、電流センサ230、電圧センサ230、サーミスタ、およびモータの位置、速度、加速度を測定するためのエンコーダとリゾルバが含まれるが、これらに限定されない。一例として、電圧および電流センサ230を使用して、アクチュエータ120が消費している電力を推定することができ、別の例として、電圧を使用して、バッテリ状態を推定することができる。サーミスタを使用して、予知診断として有用となり得るシステムの熱状態を評価したり、熱を考慮して、あらゆるタイプの環境で余裕あるしきい値より下に留まるための支援の大きさを定義したりできる。モータの位置、速度、加速度などのセンサ230は、デバイスを制御するために必要であり、予知と状態監視を評価するための効果的なセンサ230にもなり得る。一実施形態において、これらのセンサ230は、繊維ベースであってもよく、および/または繊維要素と互換性があってもよい。一例として、センサ230は、伸長する時、または、圧力が加えられる時、電気特性(例えば、抵抗、静電容量)を変化させる布地によって構成されてもよい。この変化は、電気回路によって測定され、システムとユーザの間の、または、環境との間の、関節の動作、相互作用力と相関し得る。
受動的ウェアラブル・デバイス
本開示のウェアラブル・デバイス100は、様々な実施形態において、装着者の1つ以上の関節の周りにモーメントを受動的に生成して、装着者が動作を実行するか、または、姿勢を保持することを支援するように構成され得る。受動的ウェアラブル・デバイス100は、一般的に、ウェアラブル・デバイス100を着用する人の第1の身体部分に配置するように構成される少なくとも1つのアンカー部材110と、ウェアラブル・デバイスを着用する人の第2の身体部分に配置するように構成される少なくとも1つのアンカー部材110と、少なくとも1つの第1の身体部分のアンカー部材110を少なくとも1つの第2の身体部分のアンカー部材110に直接または間接的に結合して、装着者の動作または姿勢がウェアラブル・デバイス100内に張力を生成し、ウェアラブル・デバイス100が、ウェアラブル・デバイス100が橋渡しをする1つ以上の関節の周りにモーメント(例えば、復元トルク)を提供する少なくとも1つの接続要素150を含み得る。
例えば、図2Aに示される代表的な受動的ウェアラブル・デバイス100は、2つの上半身アンカー部材110(例えば、肩ストラップの形態の肩アンカー部材110)、2つの下半身アンカー部材110(例えば、大腿ラップの形態の大腿アンカー部材110)、および、上半身アンカー部材110を下半身アンカー部材110に接続する受動的接続要素190(例えば、バネ、ダンパ、または可撓性要素(伸張性、半伸張性、または非伸張性))を含む。構成されたように、装着者の動作または姿勢は、ウェアラブル・デバイス100内に張力を生成し、(i)装着者の1つ以上の股関節、および、(ii)装着者の1つ以上の背関節、のうちの少なくとも1つの周りにモーメント(例えば、回復トルク)を提供し得る。これは、本開示全体を通してより詳細に説明される。
本開示における背関節の参照は、腰椎関節、仙腸関節、および、他の関節のような関節、並びに、個々の椎骨間の接合部を含むがそれに限定するものではない、胴体の他の部分に対して屈曲または動く可能性がある、胴体のありとあらゆる部分を広く含むことを意図する。
半能動的ウェアラブル・デバイス
本開示のウェアラブル・デバイス100は、様々な実施形態において、装着者の1つ以上の関節の周りにモーメントを半能動的に生成して、装着者が動作を実行するか、または、姿勢を保持することを支援するように構成され得る。一般的に言えば、半能動的ウェアラブル・デバイス100は、装着者の1つ以上の関節の周りに積極的にモーメントを生成しないが、代わりに、ウェアラブル・デバイス100の負荷(例えば、剛性、減衰)を調整して、装着者が動作を実行したり、姿勢を保持したりすることを支援するために、装着者の動作や姿勢がウェアラブル・デバイス100内に所望のレベルの張力を生成するようにする。半能動的ウェアラブル・デバイス100は、一般的に、ウェアラブル・デバイス100を着用する人の第1の身体部分に配置するように構成される少なくとも1つのアンカー部材110と、ウェアラブル・デバイスを着用する人の第2の身体部分に配置するように構成される少なくとも1つのアンカー部材110と、少なくとも1つの第1の身体部分のアンカー部材110を少なくとも1つの第2の身体部分のアンカー部材110に直接または間接的に結合する接続要素150と、装着者の動作または姿勢がウェアラブル・デバイス100内に張力を生成するようにウェアラブル・デバイス100の負荷を制御するように構成された少なくとも1つの半能動的アクチュエータ120を含み得る。この張力が、ウェアラブル・デバイス100に、ウェアラブル・デバイス100が橋渡しをする1つ以上の関節の周りにモーメントを生成させ、装着者が動作を実行するか、または、姿勢を保持することを支援する。
例として、図2Aに示される代表的な受動的ウェアラブル・デバイス100は、装着者の動作または姿勢によってウェアラブル・デバイス100で生成される張力の量を制御するように構成された半能動的アクチュエータ120(例えば、クラッチシステム、非逆駆動アクチュエータ、または他の適切な機構)を含むことにより、半能動的ウェアラブル・デバイス100であるように適合され得る。肩から大腿部まで延びる半能動的ウェアラブル・デバイス100は、ウェアラブル・デバイス100の負荷を制御するように構成され得て、装着者の動作または姿勢が、以下のうちの少なくとも1つの周りにモーメントを生成する:(i)装着者の1つ以上の股関節、および、(ii)装着者の1つ以上の背関節。これは、本開示全体を通してより詳細に説明される。
様々な実施形態において、半能動的アクチュエータ120は、以下のようなパラメータを制御することにより、ウェアラブル・デバイス100の負荷を制御するように構成され得る。
(a)接続要素150の初期長さ:接続要素150の初期長さ(x01)は、立った位置に対してユーザが曲がるにつれて張力が発生し始める時に定義し、ユーザが立っている時の両方のアンカー・ポイント間の距離をx0と定義する。たとえば、アンカー要素の初期長さ(x01)がx0以上である(x01>=x0)場合、立っている位置に対して、いかなる活動をするために、ユーザが胴体または脚を曲げるにつれて張力が生成される。この接続要素150は、ユーザが立っている間に張力を提供することを意図する場合、x0よりも短くなるように(x01<x0)設計され得る。
図4Aおよび図4Bは、接続要素150の異なる初期長さを定義することにより、出力張力がどのように変更され得るかを示す。調整するプロセスには、アクチュエータ120の目標位置を命令すること、および、エンコーダまたはポテンショメータなどのセンサ230を使用して、アクチュエータ120の現在位置を定義し、ループを閉じることを含み得る。初期長さが定義されると、アクチュエータ120はその位置でクラッチされて、関節を支援する際に生じる力をサポートする必要がなくなるか、または、支援力が発生している間、逆駆動可能なシステムが位置を保持することと比較してエネルギーを節約する、位置を保持するためモータが電流を使用する必要がないことを意味する逆駆動不可能である必要がなくなる。
(b)弛み対プレテンション・モード:デバイスが完全に透明であるように意図されている(支援力を加えない)場合、アクチュエータ120システムまたはクラッチ160を使用して、システムの弛みを可能にすることができる。この場合、アクチュエータ120は、たるみが十分あるように(作動ケーブル150がアンカー・ポイント間の距離よりも長い)ケーブル150を解放したり、力を生成できないように接続要素150のクラッチを外したり、接続要素150が体に力を加えないように空気圧システムを開いたりするように命令される。一実施形態では、システムは、IMUなどのモーション・センサ230を使用して、ユーザの姿勢を検出し、デバイス100がサポートできる活動であるか否かを決定することができる。たとえば、歩行、立位、持ち上げ、静的な姿勢の保持、階段上昇などの活動を分類することにより、アルゴリズムは、どれをサポートするかを規定し、アクチュエータ120またはクラッチ160に透明になる(力を生成しない)ように命令する。それ以外の場合は、アンカー・ポイント間の接続要素150にたるみを加えることによる。
(c)接続要素の負荷:クラッチシステム160またはアクチュエータ120を使用して、様々な弾性要素、ばね、または他の受動的接続要素190を並列につなぐことにより、または、様々な受動的接続要素190の初期位置を並列に制御することにより、システムの負荷を追加または削除するために、様々な負荷の間で選択し得る。
(d)ウェアラブル・デバイス100の部品の移動の補償:一実施形態では、接続された要素150および運動センサ230(例えば、IMU)上のロード・セルを使用して、関節角度に対して生じる力を監視することができる。特定の関節角度の結果として生じる力が望ましいよりも小さい場合、ウェアラブル・デバイス100がドリフトしている可能性があるため、アンカー・ポイントを接続する要素150は、ウェアラブル・デバイス100が最初にセットアップされたときのようにプリテンションがかからない。半能動的システムは、上記の方法に従って、システムからたるみを取り除くことにより、このプリテンションを修正できる。別の実施形態では、ポテンショメータなどの変位センサ230が、アンカー・ポイント間の距離を測定するために使用され、この場合、所与の姿勢(例えば、ロード・セルがゼロの力を測定した時に直ちに定義される、または、基準としてのIMUなどの関節角度測定によって定義される)では、アンカー・ポイント間の距離が減少した場合、ウェアラブル・デバイス100が時間とともに移動し、アクチュエータ120がシステムからたるみを取り除くように制御された可能性がある。
(e)装着者が生成したエネルギーの選択的な採取および送達。 一実施形態において、接続要素150は、装着者の動作または姿勢によって生成されたエネルギーを吸収するように構成されたエネルギー蓄積デバイス190(例えば、ばね)を含んでもよく、また、半能動的アクチュエータ120(例えば、クラッチ160)が、吸収されたエネルギーを貯蔵するためにエネルギー貯蔵デバイス190を選択的にロックするように構成されてもよい。半能動的アクチュエータ120は、その後、エネルギー蓄積デバイス190のロックを解除して、蓄積されたエネルギーを解放し、装着者が動作を実行したり、姿勢を保持したりするのを助けるように構成され得る。解放されたエネルギーは、1つ以上の装着者の関節の周りに積極的にモーメントを生成し得るが、そのような実施形態は、支援力およびモーメントのエネルギー源が、電池などの電源ではなく、装着者の動作または姿勢であるため、依然として半能動的ウェアラブル・デバイス100として分類され得る。
能動的ウェアラブル・デバイス
本開示のウェアラブル・デバイス100は、様々な実施形態において、装着者の1つ以上の関節の周りにモーメントを受動的に生成して、装着者が動作を実行するか、または、姿勢を保持することを支援するように構成され得る。受動的ウェアラブル・デバイス100は、一般的に、ウェアラブル・デバイス100を着用する人の第1の身体部分に配置するように構成される少なくとも1つのアンカー部材110と、ウェアラブル・デバイスを着用する人の第2の身体部分に配置するように構成される少なくとも1つのアンカー部材110と、少なくとも1つの第1の身体部分のアンカー部材110を少なくとも1つの第2の身体部分のアンカー部材110に直接または間接的に結合する少なくとも1つの接続要素150と、ウェアラブル・デバイス100が橋渡しをする1つ以上の関節の周りにモーメントを生成するために、ウェアラブル・デバイス100内に張力を生成するように構成された、少なくとも1つのアクチュエータ120を含み得る。
例えば、図2Bに示される代表的な受動的ウェアラブル・デバイス100は、2つの上半身アンカー部材110(例えば、肩ストラップの形態の肩アンカー部材110)、2つの下半身アンカー部材110(例えば、大腿ラップの形態の大腿アンカー部材110)、および、上半身アンカー部材110を下半身アンカー部材110に接続する接続要素150(例えば、作動ケーブル)を含む。構成されたように、接続要素150は、アクチュエータ120によって能動的に作動され、(i)装着者の1つ以上の股関節、および(ii)装着者の1つ以上の背関節、のうちの少なくとも1つの周りにモーメントを生成するように構成され得る。これは、本開示全体を通してより詳細に説明される。
上述の通り、ウェアラブル・デバイス100は、関節の両側にアンカー・ポイントを作成することによって異なる関節を支援するように構成することができる。支援プロファイルは、所定のタイミングと作動の大きさにより定義できる。いくつかの実施形態においては、作動プロファイルは、以下のような主要な作動パラメータを表す有限次元の数値変数のセットにさらに縮小することができる。(i)作動の開始、そのピーク、および、その終了のタイミング、(ii)作動の大きさ、(iii)作動の多項式補間の係数、(iV)スプラインや多項式などの数学関数を使用して補間できるいくつかの点、および/または、(V)アクチュエータ120の剛性。
開発された支援デバイスは、背中、大腿、膝、肩、肘、またはこれらの組み合わせ、などの様々な関節を支援するように構成され得る。
戻って参照すると、図2Bは、股関節および背関節の周りに支援トルクを生成するための代表的な構造を示している。このデバイスは、他の動作に対して完全に透明(通常の衣服のように)でありながら、経時的に怪我につながる可能性がある一般的な活動である、持ち上げる、静止した姿勢を保つ、重い装置を運ぶ、つまり、引っ張る/押すなどの作業中に背関節と股関節を支援するのに役立つことができる。代表的なデバイスは、所定の軌道をたどることができるように、または、関節角度の関数である仮想負荷(剛性、減衰)を提供できるように、負荷制御することができ得る。この場合、デバイスは股関節と背関節の両方にまたがるため、負荷は胴体と大腿の間の相対角度として定義し得る。この角度は、iMUなどの搭載センサ230、または、ひずみ感知要素を使用することによって測定し得る。作動によって提供されるサンプル仮想負荷は、図4Bに示されるように、剛性値によって定義され得る。ここで、Fは生じる力、θは大腿と胴体の間の相対角度、Kは提供された剛性である。この場合、支援プロファイルは、剛性Kのアンカー・ポイント間にばねがあるような感じである。受動的デバイスに対するこのような作動プロファイルの利点は、さまざまな動作やさまざまなユーザに合わせて最適化されたさまざまな負荷を選択することで、支援プロファイルを自動的に構成する柔軟性が高まることである。さらに、仮想負荷には、たとえば、動作の方向に応じた異なる負荷のような、動作の各段階に対して異なる特性(提供された剛性、減衰など)を有し得るという利点がある。物をつかむために屈むという動作は、重力と闘いながら物を持って伸びるという動作よりも少ないエネルギーを必要とし、動作が方向を変えるときに提供される負荷の変化により、屈む時に対して伸びる時の方が人に多くのエネルギーを提供でき、これは受動的なスプリングにはできないことである。さらに、異なる「初期角度」を選択することにより、ユーザがその初期位置に到達するまで力が生じないように、最終的なプロファイルが移行できる。
図5A、図5Bおよび図5Cは、関節が正弦波パターンに従って、初期位置である0°(直立)から90°(胴体を水平位置に曲げる)に動くサンプルのユーザ動作を示す。この動作は、地面から物をつかむために胴を曲げることの例の典型となり得る。結果として生じる力は、所定の剛性にユーザが実行している関節角度を掛けた結果である。力は持ち上げサイクルの%として表される。ここで、0%はユーザが動作を初期化している時と定義され、50%はユーザが方向を変えているときの関節の速度がゼロの時と定義され、100%はユーザがまっすぐな姿勢に戻ることにより動作を完了した時と定義される。
負荷制御デバイス100の場合、システムは、検出された動作に応じて異なるモードを有することができる。従って、搭載センサ230を使用して、様々な活動を検出し、それらのそれぞれについて様々な事前に定義された負荷プロファイルを選択することができる。例えば、物を持ち上げるには、例として、スクワットの手法または前かがみになる(脚はまっすぐ)手法を使用する複数の方法がある。また、持ち上げは、物が身体の前にある状態で(背中は矢状面上を移動)行われるかも知れないし、または、スペースの制約により、物が横にある状態で、持ち上げ中に背中が曲がったりねじれたりする必要がある状態で行われることもある。これらの様々な動作は、通過したときに曲げ運動の初期化と見なされる初期化しきい値(たとえば、通過したときの胴体と大腿関節間の相対角度と角速度の初期しきい値)をアルゴリズムが定義できる、IMUなどの搭載運動センサ230を使用することによって検出し得る。しきい値を使用して、動作が矢状面で発生しているかどうか、または、ユーザが持ち上げのために胴体を曲げたりねじったりしているかどうかを定義することもできる。別のしきい値を使用して、ユーザが持ち上げ中に脚を曲げているかいないかを定義できる。別の例では、搭載センサ230は、分類アルゴリズム(例えば、ニューラル・ネットワーク、線形分類器、最近傍、決定木など)に使用されて、動作がどの活動に分類されるかを検出することができる。負荷プロファイル、または、支援プロファイルは、これらの動作のそれぞれに対して選択され得る。
負荷プロファイル、または、支援プロファイルは、これらの動作のそれぞれに対して選択され得る。
別の例では、デバイスはEMG制御され得る。この場合、デバイスが支援することを目的とする代表的な筋肉に1つ以上のEMGが配置される。目的の筋肉からのフィルタリングされた筋電図信号は、目的の関節が生成している関節トルクを推定するために使用され、外骨格によって生成された送達力を命令するために使用され得る。
ウェアラブル・デバイスの制御の最適化
これらの作業は、複数の反復を有するか、または長期間持続されるかのいずれかで特徴付けられるので、最適化方法を使用して、複数の反復または時間のそれぞれにわたって目的関数を測定、および/または、推定し、目的を最適化するためにパラメータ化された支援プロファイルを更新することができる。
最適化アプローチを使用して、非歩行運動および上半身の動作を含む様々なタイプの活動中に、外骨格、外衣またはロボット型衣服などのウェアラブル・デバイス100を着用するときの利点を最大化または最小化することができる。ウェアラブル・デバイス100および最適化アプローチは、非歩行運動中の足首、膝または大腿部、または上半身運動中の肘、首、肩、背中などの異なる関節を支援して、健康な個人の能力を強化したり(例えば、疲労を軽減する)または、障害のある個人の運動の効率を改善させたりすることができる。
一例として図6は、選択された作動パラメータ(この場合は作動タイミング)に応じて2人の異なる健康な個人が異なる結果をどのように得るか、各被験者の非常に異なる作動パラメータでシステムの最大能力がどのように達成されるかを示す。このことにより、異なる個人のためにウェアラブル・デバイス100(例えば、ロボット型衣服、外衣または外骨格)コントローラ240を個別化する必要性が強調される。ウェアラブル・センサ230を使用して目的関数を測定または推定し、支援プロファイルのさまざまなパラメータを適応させて、特定のユーザが作業を実行している間に、その目的を最大化または最小化するオンライン最適化アルゴリズムは、より高い支援の個別化を可能にする。
ロボット型服装、外衣または外骨格を含む、ウェアラブル・デバイス100の制御システムという面においては、最適化手法は一般的に、目的関数の選択、目的関数を評価する方法の選択(例えば、直接測定、関連情報の測定に基づく計算、またはプロキシにより)、目的関数を最大化または最小化するために最適化する1つ以上の作動パラメータの選択、および最適化方法の選択と応用を伴う。
本開示のシステムおよび方法は、選択された目的関数を最大化または最小化するために、ロボット型服装、外衣または外骨格などのウェアラブル・デバイス100の作動に関連する1つ以上のパラメータを最適化しようとし得る。一般的に言えば、ロボット型服装、外骨格または外衣は、規定の周期内の作動のタイミング、速度、大きさ、および作動の全体的な形を定義する作動プロファイルに従って作動する。しばしば、作動プロファイルは、規定の周期にわたる指定されたアクチュエータ120の位置(たとえば、ボーデン・ケーブルがモータをロボット型服装、外衣または外骨格の一部に接続するときのケーブル位置)の形で提示される。例えば、上肢の動作または非歩行動作に関して、規定の周期は、装着者の反復運動であり得る。もちろん、いかなる適切な周期は、ロボット型服装、外衣または外骨格などのウェアラブル・デバイス100によって支援されている装着者の生体力学と、装着者の身体の部分とによって規定され得る。
作動プロファイルは、所定のタイミングおよび作動の大きさに従って分解することができる。いくつかの実施形態において、作動プロファイルは、以下のような主要な作動パラメータを表す有限次元の数値変数のセットにさらに縮小することができる。(i)作動の開始、そのピーク、および、その終了のタイミング、(ii)作動の大きさ、(iii)作動の多項式補間の係数、(iV)スプラインや多項式などの数学関数を使用して補間できるいくつかの点、および/または、(v)アクチュエータ120の剛性。
空気圧式、油圧式、電気機械式、電気機械式ケーブルベースの、電気活性材料の、および力を生成し、かつ/または、剛性を変化させることができるアクチュエータ120を含むがこれらに限定されない、様々なタイプのアクチュエータ120をウェアラブル・デバイス100と共に使用することができる。
装着者の生体力学の様々な側面は、外衣または外骨格と併せて最適化手法を使用して影響を受け、最適化することができる。たとえば、本質的に周期的であるか、複数の繰り返しを伴うか、または長期間にわたって持続する作業は、最適化アルゴリズムを利用して、それぞれの繰り返し中に、または経時的にそれぞれ評価される目的関数を、最大化または最小化できる。例示的な周期的な上半身の動作には、すべて日常活動中に一般的である、反復的な仕事作業、リハビリテーションにおける運動、座位から立位への動きや荷物の持ち上げなどの動作の支援が含まれる。
腕、首、手、手首、肩、および/または、背中を含むがこれらに限定されない上半身が関与する活動は、ロボット型服装、外衣、または、外骨格などの支援するウェアラブル・デバイス100を着用することにより強化されることができ、それは疲労、緊張、および/または、怪我を減少することができる。例えば、物を持ち上げたり、頭上で作業したりするときに、背中、肩、肘、腕、および/または、手に支援を提供できる。また、グリップ・アシスト・デバイスは、道具を握ったり、道具のトリガーを押したりするのに、手首、および/または、手に握る力を増加して、筋肉への負担や、慢性であれば手根管の症状を回避できる。これらのすべての場合において、これらの作業を行う間、ウェアラブル・デバイス100は装着者に適用して、疲労を軽減したり、人間工学を改善したり、怪我を防止したり、または、快適さを改善したりすることができる。ウェアラブル・デバイス100は、足首、膝、大腿、背中、首、肩、肘、手、または前述の関節の組み合わせを含むがこれらに限定されない、装着者の様々な関節の上または全体にわたって最適化、および、使用され得る。これらの作業は、複数の繰り返しがあること、または一定期間持続することを特徴とするため、さまざまな最適化方法を使用して、複数繰り返したうえで、または、それぞれに時間をかけて、目的関数を測定および/または推定し、パラメータ化された支援プロファイルを更新して、所望の目的の最適化を行うことができる。
外衣または外骨格の制御システムという面においては、最適化手法は一般的に以下を伴い得る。
(1)目的関数の選択
(2)目的関数を評価する方法の選択(例えば、直接測定、関連情報の測定に基づく計算、またはプロキシによる)
(3)目的関数を最大化または最小化するために最適化する1つ以上の作動パラメータの選択
(4)最適化方法の選択と応用
後により詳細に説明する通り、本開示は、関連する部分において、以下を備えるウェアラブル・デバイス100を対象とする。
前記ウェアラブル・デバイス100内で力を生成するか、または前記ウェアラブル・デバイス100内で力を生成させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ120。これにより、前記ウェアラブル・デバイス100は、装着者の1つ以上の関節の周りにモーメントを生成し、前記装着者が動作を実行したり静止動作を保持したりすることを支援する。
前記装着者に身体的支援を提供すること、前記装着者と前記ウェアラブル・デバイス100との間の相互作用、および、前記ウェアラブル・デバイス100の動作のうちの、少なくとも1つに関連する目的関数を評価するための情報を測定するように構成される少なくとも1つのセンサ。
少なくとも1つの作動プロファイルに従って少なくとも1つのアクチュエータ120を作動させ、前記少なくとも1つのセンサによって測定された情報に基づいて前記目的関数を評価して前記目的関数に結果として生じる変化を決定し、前記目的関数に結果として生じる変化に基づいて、前記少なくとも1つの作動プロファイルの少なくとも1つのパラメータを調整し、作動、評価、および、調整を続けて、前記目的関数を最大化または最小化するための前記少なくとも1つの作動パラメータを最適化するように構成される、少なくとも1つのコントローラ240。
後により詳細に説明する通り、本開示は、関連する部分において、以下を備えるウェアラブル・デバイス100に関する。
前記ウェアラブル・デバイス100内で力を生成するか、または前記ウェアラブル・デバイス100内で力を生成させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータ120。これにより、前記ウェアラブル・デバイス100は、装着者の1つ以上の関節の周りにモーメントを生成し、前記装着者が動作を実行したり静止動作を保持したりすることを支援する。
前記装着者に身体的支援を提供すること、前記装着者と前記ウェアラブル・デバイス100との間の相互作用、および、前記ウェアラブル・デバイス100の動作のうちの、少なくとも1つに関連する目的関数を評価するための情報を測定するように構成される少なくとも1つのセンサ。
少なくとも1つの作動プロファイルに従って少なくとも1つのアクチュエータ120を作動させ、前記少なくとも1つのセンサによって測定された情報に基づいて前記目的関数を評価して前記目的関数に結果として生じる変化を決定し、前記目的関数に結果として生じる変化に基づいて、前記少なくとも1つの作動プロファイルの少なくとも1つのパラメータを調整し、作動、評価、および、調整を続けて、前記目的関数を最大化または最小化するための前記少なくとも1つの作動パラメータを最適化するように構成される、少なくとも1つのコントローラ240。
さらに詳細に説明される通り、別の実施形態においては、前記少なくとも1つのコントローラ240は、以下のように構成され得る。
前記目的関数を最大化または最小化するために最適化される2つ以上の作動パラメータを特定し、
前記最適化される2つ以上の作動パラメータのベースライン値の異なるセットを有する2つ以上の作動プロファイルに従って少なくとも1つのアクチュエータ120を作動させ、
前記少なくとも1つのセンサによって測定された情報に基づいて、前記2つ以上の作動プロファイルのそれぞれについて前記目的関数を評価し、
前記目的関数の対応する評価に基づいて、前記2つ以上の作動パラメータと前記目的関数の対応する前記評価との間の数学的相関を定義し、
前記ベースラインの数学的相関を評価して、前記目的関数を最大化または最小化するための前記2つ以上の作動パラメータの値の候補のセットを決定し、
前記2つ以上の作動パラメータの値の候補のセットに関連する作動プロファイルに従って、前記少なくとも1つのアクチュエータ120の作動のための前記目的関数の対応する評価に基づいて数学的相関を更新し、
前記目的関数の評価がグローバル最大値またはグローバル最小値に達するまで、または、所定の終了基準が満たされるまで、前記数学的相関を更新し続ける。
作動プロファイルとパラメータ
本開示のシステムおよび方法は、選択された目的関数を最大化または最小化するために、外衣または外骨格の作動に関連する1つ以上のパラメータを最適化しようとする。一般的に言えば、外骨格または外衣は、規定の周期の間の作動のタイミング、速度、大きさ、負荷、および/または、作動の全体的な形を定義する作動プロファイルに従って作動する。しばしば、作動プロファイルは、アクチュエータ120の位置(たとえば、ボーデン・ケーブルがモータを外衣または外骨格の一部に接続するときのケーブル位置)の形で提示される。
図7を参照して、作動プロファイルは、図7(右)に示されるような力制御に基づくこともできる。ここで、規定の周期は、装着者の持ち上げのサイクルであり、これは、持ち上げなどの活動中に装着者を支援する場合に有用な時間枠になる。もちろん、いかなる適切な周期または機能は、装着者の生体力学と、外衣または外骨格によって支援される装着者の体の部分に応じて指定できる。例として、結果として生じる力が装着者の動作の関数である負荷モード(例えば、剛性、減衰)で制御されるシステムは、周期の定義を必要とせず、図7(左)に示すように、体の姿勢または動作に関する目的とする力を関連付ける関数が必要になる場合がある。
図7において、作動プロファイルは、所定のタイミング、速度、大きさ、および作動の全体的な形に従って分解することができる。より具体的には、作動プロファイルは、以下のような主要な作動パラメータを表す有限次元の数値変数のセットにさらに縮小することができる。(i)作動の開始、そのピーク、およびその終了のタイミング(図7右)(ii)作動率、(iii)作動の大きさ、および(iv)多項式、線形、指数関数、正弦関数、または、図7(左)に示すようにインピーダンス(例えば、剛性、減衰)などの作動プロファイルの形状を定義する他の関数の係数のような、作動の形を定義する関数の係数。
装着者の自然な動きと組み合わせた外衣または外骨格の作動により、外衣または外骨格が力およびモーメントを装着者の身体に送達する。作動プロファイルと同様に、結果として生じる力およびモーメントのタイミングおよび大きさは、図7に示されるように、位置支援プロファイルによって特徴付けられ得る。ここで、図7(右)の作動プロファイルによる外衣または外骨格の作動は、支援プロファイルに示されているように、力とモーメントを装着者の背中に送達する。他の場合においては、支援プロファイルは、図7(左)に示されるように、力コントローラ240によって制御される負荷空間で直接パラメータ化されてもよい。この例では、作動は、物体を持ち上げるときに装着者の背中の関節を支援するように構成されている。
目的関数とプロキシ、一般的には
ここに開示される最適化手法の共通の目標は、ロボット型服装、外衣または外骨格によって装着者に与えられる利益を最大にすることである。これらの利点は、所与の応用によって異なるが、一般的に言えば、装着者に身体的支援を提供することを含む。これには、たとえば、装着者の自然な動作の支援(例えば、エネルギー消費の削減、強度の増加)、静止中または動作中の装着者を安定化する援助、または、装着者の周期的または反復的な動作(例えば、筋肉の力の削減、または、持ち上げ作業のための姿勢の改善)や他の適切な用途の中からの改善の促進を含む。装着者および外衣または外骨格の目的に応じて、最大化または最小化された場合に、外衣または外骨格を装着者にとってより有益にすることができるいくつかのメトリクスを特定し得る。本開示の最適化手法は、これらのメトリクスを最大化または最小化する目的で外衣または外骨格がどのように作動するかの1つ以上のパラメータ、または、目的関数を最適化しようとするものである。
本開示のシステムおよび方法は、様々な実施形態において、ウェアラブル・システムの1つ以上のセンサ230からのフィードバックを利用して、所与の目的関数に対する作動調整の影響を評価する。このフィードバックは、ウェアラブル・システムが目的の機能を最大化または最小化する方法でこれらの作動調整を確実に収束させるのに役立ちます。従って、様々な実施形態では、コントローラ240は、外衣または外骨格の所与の作動に応答して目的関数を評価するように構成され得る。本明細書で使用される通り、目的関数を評価するということは、目的関数を定量化する任意の適切な方法を広く含む。例えば、一実施形態においては、目的関数を評価することは、ウェアラブル・システムに含まれる1つ以上のセンサ230から目的関数の直接測定を取得することであり得る。他の実施形態においては、目的関数を評価することは、ウェアラブル・システムの1つ以上のセンサ230によって提供される1つ以上の測定値を使用して目的関数を計算または近似することを含み得る。例えば、目的関数が外衣または外骨格によって装着者に送達されるパワーである場合、コントローラ240は、ロード・セルおよびIMUによって測定された力および回転速度の測定値を乗算してこの基準を計算することによってパワーを計算するように構成され得る。さらに別の実施形態において、目的関数の評価は、この相関関係を介して目的関数を推定するために、ウェアラブル・システムの1つ以上のセンサ230によって測定された情報を使用して目的関数と相関するプロキシを測定、計算、または近似することを含み得る。
目的関数を評価する際のプロキシの使用は、目的関数を直接測定すること、またはウェアラブル・センサ230からの関連測定値を使用する計算によって目的関数を推定することが不可能またはそうでなければ困難であり得る状況に特によく適している場合がある。例えば、代謝の消費を運動の基準として直接測定することは困難である可能性があり、通常、高価な機器を必要とするか、ガス交換を測定するためにユーザがマスクを着用する必要がある。しかし、他のメトリクス、ベースラインと比較してより長い時間動作を持続する能力、通常の頻度で周期的な動作(例えば、物を持ち上げる)を持続する能力、または、姿勢の変化は、疲労と相関し得るので、客観的なメトリクスとして使用され得る。別の例として、動的な動作中に関節にパワーを送達すると、特定の作業の労力のレベルが低下する可能性があるため、最適化アルゴリズムは、生物の関節に送達される正の力を、関節の力の負荷軽減のレベルのプロキシとして使用し得る。もちろん、本開示で特定された任意の他のプロキシと共に平均的な正の力、姿勢の変化は、それ自体が本フレームワークの範囲内の目的関数として使用できることに留意されたい。別の言い方をすれば、目的関数は、この用語がここで使用されるように、必ずしも究極の望ましい効果(例えば、機関車の効率を最大化する)を表す必要はないが、1つ以上の作動パラメータの最適化を通して、最大化または最小化が求められる任意のメトリクス(一連の範囲制限内を含む)であり得る。
別の例として、心拍数は、いくつかの応用例において装着者の運動のレベルと相関することも分かっており、そのため心拍数は、一実施形態においては、力のレベルのプロキシとして使用され得る。さらに別の例では、対象とする関節の主要な筋肉の筋活動は、力のレベルと相関している場合があり、したがって客観的な測定値として使用される。
一般的に言えば、ロボット型服装、外衣または外骨格に関連する目的関数は、以下の3つのカテゴリに分類することができる。(i)装着者への身体的支援の提供に関連するこれらの目的関数、(ii)装着者と外衣または外骨格間の相互作用に関連するこれらの目的関数、(iii)以下でさらに詳細に説明するように、外衣または外骨格の操作に関連するこれらの目的関数。もちろん、これらのカテゴリは説明を簡単にするために示されており、ここで説明する最適化手法は、これら3つの一般的なカテゴリの1つの範囲外にある、他の適切な目的関数を最大化または最小化するための作動の最適化に関連して使用し得るという事を理解されたい。
装着者への身体的支援の提供に関連する目的関数とプロキシ
上記で言及した通り、外衣または外骨格の能力に関連する多くの目的関数は、装着者に身体的支援を提供する際のウェアラブル・システムの有効性に関連する。以下に、そのようないくつかの目的関数の代表的な例を、それぞれが装着者に利益をもたらすために最大化または最小化される方法についての生体力学的な面とともに提供する。
関節運動特性と規範的データとの類似性:例示的な最適化手法は、装着者の運動特性が、健康なユーザの規範的なセットまたは人間工学的に推奨される姿勢から、年齢、性別、体重、および/または、速度が一致するデータにどの程度類似しているかを評価し、作動パラメータを最適化して装着者の運動特性を望ましい基準プロファイルに一致(例えば、類似性を最大化するか、相違性を最小化する)させることができる。使用可能なメトリクスには、ユーザデータとの相関、または、キーポイントまたはメトリクス(たとえば、持ち上げ時の胴の角度、物のCOMまでの距離)の差異の割合が含まれる。
関節運動特性とベースライン・データの類似性:例示的な最適化手法は、ユーザがシステムを透明モードで(支援を適用せずに)着用している場合、またはシステムを全く着用していない場合に記録されたベースライン運動特性と装着者の運動特性がどの程度類似しているかを評価し、作動パラメータを最適化して、装着者の運動特性をベースライン運動特性または姿勢に一致(つまり、類似性を最大化するか、相違性を最小化します)させ得る。可能なメトリクスには、ユーザデータとの相関、または、キーポイントまたはメトリクス(たとえば、持ち上げ時の胴の角度、物のCOMまでの距離)の差異の割合が含まれる。
関節運動特性:例示的な最適化手法は、対象とする関節が生成する生物学的トルクを低減または最小化しようとする場合がある。生体関節は、運動特性的測定と地面反力測定または推定を組み合わせることによって測定または推定できる。サンプルデバイスに、圧力検知インソールを組み込んで関節のトルクまたはパワーを測定または推定することができる。使用可能な運動特性メトリクスには、ピークのトルクまたはRMS関節トルクを最小化するメトリックが含まれ、これはピークのパワーまたはRMSパワーを最小化する。
筋肉活動の時間積分:これは、筋肉活動の時間に関する積分である。 例示的な最適化手法は、活動中の筋肉の全体的な活動を低減または最小化するために、作動パラメータを最適化しようとする場合がある。例として、物を持ち上げる時、または静止姿勢を保つ時に背中の筋肉の全体的な力を軽減または最小化したり、頭上作業を行うときの肩の筋肉の全体的な力を最小化したい場合がある。
ピークの筋肉活動:筋肉活動の時間積分と同様であるが、ピークの筋肉活動を対象とする。これは、一部の応用例において、一例として、ピークの筋肉活動が怪我のリスクをもたらす可能性のある活動、またはピークの筋肉活動が人が長時間実行できる(高齢者向け適用例、工業労働者、消費者向け適用例)よりも大きい活動の場合、筋肉活動の時間積分を超えて、またはそれと組み合わせて選択し得る。
筋活動プロファイルとベースラインまたは規範データとの類似性:例示的な最適化手法は、ユーザがシステムを透明モードで(支援を適用せずに)着用している場合、または、システムを全く着用していない場合、または、特定の活動の規範的データに基づいている場合に記録されたベースライン測定値と装着者の筋活動がどの程度類似しているかを評価し、作動パラメータを最適化して、装着者の運動特性をベースラインまたは規範的な筋肉活動に一致(つまり、類似性を最大化するか、相違性を最小化します)させ得る。
デバイスによって支援されない筋肉の筋肉活動の類似性:例示的な最適化手法は、ユーザがシステムを透明モードで(支援を適用せずに)着用している場合、または、システムを全く着用していない場合、または、特定の活動の規範的データに基づいている場合に記録されたベースライン測定値と装着者の筋肉活動(例えば、RMSおよび/またはピーク)がどの程度類似しているかを評価し、作動パラメータを最適化して、作動をベースラインまたは規範的な筋活動に一致(つまり、類似性を最大化するか、相違性を最小化する)させ得る。一例として、背筋を支援するデバイスで持ち上げている間、コントローラ240は、腹筋の筋肉活動を測定または推定して、デバイスによって支援されていない筋肉群との望ましくない干渉を回避し得る。
人間工学のメトリクスおよび指標:産業界における人間工学分野は、作業を実行するときの負傷のリスクを推定する複数の方法を定義している。コントローラ240は、これらの方程式またはインデックスを使用して、ロボット型服装、外衣、または外骨格を支援しながら、傷害のリスクを最小限に抑えることができる。一例として、NIOSHは持ち上げを定義して、持ち上げを実行するリスクがどれほど重要かを評価する。この方程式は、物体に対する身体の水平距離と垂直距離、物体を持ち上げるときの非対称角度、および他の要因の中の各活動の頻度と持続時間の関数である。結果のインデックスは、負傷のリスクを最小限に抑えるための目的の一部として使用され、ベースラインと比較して運動特性/動特性が変化すると、持ち上げのインデックスが変化する。アルゴリズムが、人が作業を実行しているときにこのインデックスを評価し、それをベースラインまたは規範データと比較して最小化する。
エネルギー消費:作業を実行するときのエネルギー消費または力のレベルを定量化する。この変数を測定するシステムは、これをアルゴリズムの目的関数として使用して、特定の作業(たとえば、物を持ち上げる、静的な姿勢を保持する、押す、持ち上げる、物をつかむなど)の代謝努力を減らし得る。このメトリックは、激しい作業をしている健康な人、障害のある個人、高齢者など、さまざまな応用に役立つ。この目的関数は、本明細書では代謝努力とも呼ばれる。
持ち上げ中の安定性:例示的な最適化手法は、持ち上げ中または静止姿勢を保持している間の関節の安定性または全体的な身体の安定性を最大化するように作動パラメータを最適化しようとし得る。安定性メトリクスは、最適化方法の一部として使用して、複雑な作業や激しい作業を実行する健康な個人にとって、持ち上げやその他の作業中の安定性を改善できる。
関節可動域:例示的な最適化手法は、特定の関節の可動域を最大化するために作動パラメータを最適化しようとし得る。動作範囲は通常、特定の動作平面における特定の関節の最大角度と最小角度の差として定義されるが、最大角度と最小角度も最適化に役立つ場合がある。たとえば、持ち上げなどの作業中の矢状面または背側面における胴体または大腿部の可動域である。
反復作業を実行する時間:例示的な最適化手法は、作動パラメータを最適化して、荷物を持ち上げる、工場環境内のある場所から別の場所にパッケージを移動するなどの反復作業を実行するのに必要な時間を最小限に抑えようとし得る。
規範的データに対する足の圧力中心位置の類似性:例示的な最適化手法は、持ち上げ中の、装着者の圧力中心の軌道と、望ましいベースラインの軌道または規範的な軌道との間の類似性を最大化する(または、相違性を最小化する)ために作動パラメータを最適化しようとし得る。圧力中心は、フォース・プレートを使用して測定するか、計装された靴のインソールなどのウェアラブル・センサ230で推定できる。
筋肉における血液酸素化:臨床診療で一般的に使用されるパルス・オキシメトリーに関係して、近赤外分光法(NIRS)は、筋肉内の血液がどれだけ酸素化されるかを推定する方法である。この測定値は、その筋肉の代謝需要に直接関連しているため、この測定基準は、関係する目的関数(例えば、エネルギー消費、機関車の効率)を評価するためのプロキシとして使用できる。例示的な最適化手法は、例えば、エネルギー消費を最小化するか、または効率を最大化することが望まれる状況において、血液酸素化を最大化するために作動パラメータを最適化しようとし得る。
筋肉の収縮/緊張および腱の緊張:着用可能な外衣および外骨格は、負荷の下でいかに筋肉が収縮し、筋肉や腱が緊張するかに影響を及ぼし得る。例示的な最適化手法は、これらの生理学的パラメータを最大化または最小化するために、または、それらを特定の値または範囲に制限するために、作動パラメータを最適化しようとし得る。さらに、収縮/緊張は、対応する筋肉のエネルギー代謝要求に関連していることが多いため、このメトリックは、関係する目的関数(例えば、エネルギー消費、機関車の効率など)を評価するための適切なプロキシになる場合がある。例示的な最適化手法は、例えば、エネルギー消費を最小化するか、または効率を最大化することが望まれる状況において、筋の収縮/緊張、および、腱の緊張を最小化するように作動パラメータを最適化しようとし得る。超音波検査または音波映像法は、いくつかの実施形態においては、組織の動きを非侵襲的に測定する方法として使用されてもよい。
例示的な最適化手法は、これらの目的関数を評価する際に装着者に身体的支援を提供することに関連する情報を利用することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、コントローラ240は、目的関数自体の直接測定を使用してこれらの目的関数を評価することができ、他の実施形態においては、コントローラ240は、1つ以上のウェアラブル・センサ230または他の測定機器からの関係するメトリクスの様々な測定値を使用して目的関数を計算または近似することによってこれらの目的関数を評価し得る。様々な実施形態では、これらの目的関数に関係する代表的な情報には、上述のような任意の情報、ならびに、1つ以上の関節の角度、速度、または加速度、ロボット型服装、外衣、または外骨格によって加えられる力、トルク、またはパワー、装着者が従事する身体活動のタイプ、装着者の姿勢、装着者のエネルギー消費、および、装着者の身体と周囲の物理的環境との相互作用のうちの1つまたはその組み合わせを含み得る。
目的関数を評価するための前記情報を測定するための代表的なセンサ230には、様々な実施形態において、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、ジャイロスコープ、エンコーダ、リゾルバ、ひずみセンサ230、心拍数モニタ、肺ガス交換システム、筋電図検査、圧力センサ230(例えば、GRFを測定するための靴のインソール)、他の適切なセンサ230を含み得る
ウェアラブル・デバイスと装着者間の相互作用に関係する目的関数とプロキシ
上記で参照した通り、ウェアラブル・デバイス100の能力に関係する多くの目的関数は、外衣、外骨格、またはロボット型衣服と装着者との間の相互作用に関係する。以下でさらに説明する通り、そのような相互作用は、装着者の快適さや、負荷を装着者に伝達する際のウェアラブル・システムの有効性などに関係し得る。そのようないくつかの目的関数の代表的な例を、それぞれを最大化または最小化して装着者に利益をもたらす方法についての生体力学的な面とともに以下に示す。
ウェアラブル・デバイス100の変位:例示的な最適化手法は、作動パラメータを最適化して、装着者の身体上のウェアラブル・デバイス100(アンカー部材110など、その個々の部品を含む)の変位を最小化(または調整を最大化)しようとし得る。身体に対するウェアラブル・デバイス100の部品の変位は、IMUなどのウェアラブル・センサ230を使用することによって測定され得る。一例として、2つのIMUを使用することにより、そのうちの1つはウェアラブル・デバイス100の部品に統合され、もう1つのセンサは身体に取り付けられ、相対速度や加速度などの測定値を統合する。関節の両側にケーブルが固定されているケーブル駆動型システムの場合、露出されたケーブルの(例えばエンコーダによる)と、IMUなどのウェアラブル・センサ230を使用した関節位置の測定を組み合わせることにより、相対変位を推定し得る。露出したケーブルの量は、関節の動作、ウェアラブル・デバイス100の剛性、および関節部分の適合性を追跡するために必要なケーブルの関数である。人に能動的な力が加えられていない(力を加えずにプリテンションまたはトラッキングのみ)歩行サイクルのポイントで変位が測定される場合、ウェアラブル・デバイス100の剛性はケーブルの移動に影響せず、したがって変位は、関節角度(関節の回転中心とケーブルからの距離を掛けることにより変位に変換され、定数またはデバイスへの入力である場合がある)によるケーブルの動きと、露出したケーブルの測定値の合計を組み合わせて計算できる。最後に、ケーブルが関節の両側に固定されているケーブル駆動型システムの場合、モータのエンコーダを使用して、露出したケーブルを、ウェアラブル・デバイス100の部品が、時間とともに身体に対して変位する量の推定を与える直立姿勢のような、複数回の繰り返しにわたって繰り返し可能な点で比較することにより、相対変位を推定し得る。
快適さ:例示的な最適化手法は、装着者の快適性を最大化する(または、装着者が経験する特定の不快感を最小化する)ために、作動パラメータを最適化しようとし得る。様々な実施形態において、潜在的な不快感は、例えば、ウェアラブル・デバイス100における力を監視し、または、ウェアラブル・デバイス100と装着者との間の圧力を監視し、これらの力および/または圧力を、個々の装着者、または、装着者の代表的なサンプリング全体にわたり不快感を引き起こすと知られているそれぞれのレベルと比較することにより、コントローラ240が自動的に検知できる。ウェアラブル・デバイス100が、例えば、快適なレベルを超える力を生成している場合(または、不快感を引き起こす不適切なタイミングで)、代表的な最適化手法は、これらの力を許容範囲内に低減するために(恐らくは、許容範囲内で生成される力のレベルをまだ最大化しているが)、作動パラメータを最適化しようとし得る。同様に、外衣または外骨格と装着者の間の相互作用が過剰なレベルの剪断力(肌に擦れやその他の不快感を引き起こす可能性がある)を生成する場合、代表的な最適化手法は、これらの剪断力を許容範囲内に低減するために(恐らくは、許容範囲内で生成される力のレベルをまだ最大化しているが)、作動パラメータを最適化しようとし得る。実際には、これは、ウェアラブル・デバイス100によって生成される力のレベルを低減すること、または、恐らくウェアラブル・デバイス100内の圧縮力を増加させて、問題のアンカー部材110を下にある身体部分によりよく固定することを含み得る。以下でさらに説明するように、ウェアラブル・デバイス100と装着者との相互作用によって生成される圧力点を低減するために、作動パラメータを最適化するために同様の手法が採用され得る。追加的または代替的に、快適さは、GUI、手持ちのデバイス、音声、圧力測定などを介して自己報告されてもよい。
接合部分における圧力:例示的な最適化手法は、作動パラメータを最適化して、ウェアラブル・デバイス100と繊維または剛性接合点によって引き起こされる不快感に敏感であり得る、装着者の体のいくつかの領域に加えられる圧力を最小化しようとし得る。これにより、快適さを最大化(または不快感を最小化)しながら、例えば、これらの快適レベル内での支援を最大化し得る。この圧力は、タイミング、速度、プロファイルの不自然さ、または支援の大きさなどの作動パラメータによって影響を受ける可能性がある。
装着者の身体に沿った負荷伝達:場合によっては、ウェアラブル・デバイス100を利用して、負荷を装着者の身体のある領域から別の領域に移動させ、例えば、怪我を緩和するのに役立つことがある。例示的な最適化手法は、問題の身体の領域からの負荷移動を最大化するために作動パラメータを最適化しようとし得る。これは、装着者が重い荷物を持ち上げており、背中の怪我をしやすい状況で特に役立つ。そのような実施形態においては、コントローラ240は、装着者の脊椎への負荷を最小化するように作動パラメータを最適化しようとし得る。これは、一実施形態においては、作動パラメータを最適化して、大腿部、胴体または脚などの身体の他の領域への力の移動を最大にすることによって達成し得る。
アクチュエータ 120の力:例示的な最適化手法は、ウェアラブル・デバイス100との間の相互作用を監視し、相互作用によって生成される大きな力を検出すると、作動パラメータを最適化してアクチュエータ120によって発生する力を最小限に抑え、不快感や怪我の原因となる追加の力を送達しないようにする。一実施形態においては、コントローラ240は作動パラメータを最適化する際に、他の生体力学的制約を一定に保つようにし得る。
例示的な最適化手法は、ウェアラブル・デバイス100と装着者の相互作用に関連する情報を利用して、これらの目的関数を評価し得る。例えば、いくつかの実施形態においては、コントローラ240は、目的関数自体の直接測定を使用してこれらの目的関数を評価することができ、他の実施形態においては、コントローラ240は、1つ以上のウェアラブル・センサ230または他の測定機器からの関係するメトリックの様々な測定値を使用して目的関数を計算または近似することによってこれらの目的関数を評価し得る。様々な実施形態において、これらの目的関数に関連する代表的な情報には、上記のような情報のほか、装着者と外衣または外骨格の間で発生する剪断力または圧縮力の1つまたは組み合わせ、および、装着者の上の外衣や外骨格の位置が含まれ得る。
目的関数を評価するために前記情報を測定する代表的なセンサ230には、様々な実施形態において、ロード・セル、力センサ、トルク・センサ、および、圧力センサ、その他適切なセンサが含まれ得る。
ウェアラブル・デバイスの操作に関連する目的関数とプロキシ
上記で参照した通り、ウェアラブル・デバイス100の能力に関連する多くの目的関数は、ウェアラブル・デバイス100の操作に関連する。以下に詳しく説明する通り、このような相互作用は、電力消費、過熱、アクチュエータ/作動システムの機能の一貫性などに関連し得る。このような目的関数の代表的な例を以下に示す。
電力消費量:例示的な最適化手法では、作動パラメータを最適化して、電力消費を最小限に抑えるようにし得る。電力消費量は、電流消費測定(内蔵電流センサ経由)と電圧(内蔵電圧センサ経由)を組み合わせて測定し得て、これらの測定電力を乗算して電力は算出でき、時間の経過に伴う平均電力消費は、所与の活動で消費される電力量の概算を示す。他の実施形態においては、残留するバッテリの電圧を使用して、システム内に残っているバッテリの量、または、これまでに消費されたバッテリの量を推定する場合がある。
支援力の一貫性:例示的な最適化手法では、作動パラメータを最適化して、ウェアラブル・デバイス100で発生する支援力間の一貫性を最大化(または、相違を最小化)させ得る。ウェアラブル・デバイス100が、複数回にわたるピークの力に関して一貫性のある力を提供することを意図している場合、一貫性は、複数回にわたり一貫性を維持する必要がある、ピークの力の分散や、力プロファイル内のその他の機能により測定し得る。力は、力センサやロード・セルなどのウェアラブル・センサ230を使用して測定し得る。別の実施形態においては、支援力の一貫性を、測定された力の平均二乗偏差と所望の力プロファイルとして定義することができ、複数の繰り返しに対するこの差異の一貫性を最大化することが、これらのシステムの目的として使用され得る。
アクチュエータの位置、速度、加速度、または、加加速度の最大値および平均値:上述のように測定された運動学的または運動的制約により、ウェアラブル・デバイス100を動かしている力のレベルに関連するこれらのメトリクスを最小限に抑えることが重要であり得る。たとえば、例示的な最適化手法により、リフト・インデックスに影響を与えずに最大ケーブル加速度を最小化する最適なパラメータまたはパラメータのセットを見出し得る。
温度:例示的な最適化手法は、作動パラメータを最適化して、ウェアラブル・デバイス100の1つ以上の部品の温度を最小化しようとし得る。ここに記載されている他の目的関数と同様に、温度を最小化することは、一実施形態においては、温度があらかじめ設定された範囲の上限しきい値を超えないようにすることを意味する。
例示的な最適化手法は、ウェアラブル・デバイス100の操作に関連する情報を利用して、これらの目的関数を評価し得る。例えば、いくつかの実施形態においては、コントローラ240は、目的関数自体の直接測定を使用してこれらの目的関数を評価することができ、他の実施形態においては、コントローラ240は、1つ以上のウェアラブル・センサ230または他の測定機器からの関係するメトリックの様々な測定値を使用して目的関数を計算または近似することによってこれらの目的関数を評価し得る。様々な実施形態において、これらの目的関数に関連する代表的な情報には、上述のような情報のほか、外衣または外骨格の作動中に使用される電流または電圧、外衣または外骨格の1つ以上の部品の温度、少なくとも1つのアクチュエータ120により生成される力、外衣または外骨格に送達される力、および、外衣または外骨格の装着者に送達される力、トルクまたは電力のうちの、1つまたは組み合わせを含み得る。
目的関数を評価するために前記情報を測定するための代表的なセンサ230は、様々な実施形態において、電流センサ、電圧センサ、サーミスタ、エンコーダ、および、リゾルバ(例えば、アクチュエータの位置、速度、および、加速度を測定するための)、その他適切なセンサを含み得る。
加重目的関数とプロキシ
上記のいくつかの例で言及したように、目的関数(またはプロキシ関数)は、装着者の動作または生体力学に関連付けられた単一の変数を表す必要はないが、複数の最適化対象を組み合わせることができる。
複数の単一変数目的関数を、加重平均などの様々な方法を通して1つに結合することができ、これにより、目的関数の各部品の相対的な重要性を調整できる。
以下の方程式1は、複数の目的関数の加重和の実施例を示す。
F = α1x1+α2x2+...αnxn 、ただし、
この手法により、装着者への物理的な支援(例えば、持ち上げ中のピークの筋肉の活動)に関連する変数の最適化と、システムの効率(例えば、バッテリ持続時間)に関連する変数を組み合わせることに追従できる。1つの目的関数内の2つ以上の目的の重み付けの例を以下に示す。
動作(持ち上げの運動特性)に関連する変数と、デバイスの能力(例えば、デバイスのバッテリ持続時間)に関連する変数を最適化する。
ピークの筋肉活動、活動中の姿勢、デバイスのバッテリ持続時間、および、快適性など、これらを重み付け加算して最適化する。
動作に関連する複数の変数(例えば、ベースラインと比較した運動特性との相違)と、ウェアラブル・デバイス100と装着者の相互作用に関連する変数(例えば、ユーザの快適性など)を最適化する。
デバイスが支援していない主要筋の筋肉活動に影響することなく、対象とする筋肉のピークの筋肉活動を最適化する。
動作に関連する複数の変数(例えば、作業を実行する安定性や速度)を最適化する。
作業の実行時に負傷するリスク(例えば、リフト値)、および、活動を実行する時間を評価する指針を最適化する。
作業を完了する時間、および、対象とする筋のピークのEMG活動を最適化する。
各基準の重要性は、応用例によって異なり得る。この概念の例を、障害者にとっての目的の加重和を使用して図8に示す。健常者においては、個々のユーザがこれらの設定を手動で変更してよい。
最適化手法、一般的に
本開示は、所定の目的関数を最大化または最小化するための、これらの動作パラメータの1つまたは組み合わせを最適化するシステムおよび方法を提供する。単一の作動パラメータを最適化するための手法(例えば、最適な作動開始タイミングの検出)は、ここでは単一パラメータの最適化と呼び、作動パラメータの組み合わせを最適化する手法(例えば、作動開始タイミングと作動ピーク・タイミングの最適な組み合わせの検出)は、ここでは複数パラメータの最適化と呼ぶ。以下でさらに説明する通り、 単一パラメータの最適化手法、または、複数パラメータの最適化手法を使用するかどうかには、多くの要因が影響し得て、以下にさらに説明する通り、これには、装着者の生体力学、ウェアラブル・デバイス100を装着している人々、目的関数に対する各作動パラメータの相対的影響、必要な最適化時間、 測定ノイズ、装着者適応性、および利用可能な演算能力を含むがこれらに限らない。
様々な実施形態において、変数を最適化するための既知の(または変更された)方法(例えば、勾配降下法、ベイジアン、総当たり、およびシミュレーテッド・アニーリング)を使用または変更して、対象作動パラメータを最適化し、選択した目的関数を最大化または最小化し得る。もちろん、作動パラメータを最適化するための最良の数学的方法は、以下にさらに説明する通り、最適化される作動パラメータに関連する目的関数の状況の性質、装着者の生体力学、ウェアラブル・デバイス100を装着している人々、各作動パラメータが目的関数に与える相対的な影響、必要な最適化時間、測定ノイズ、装着者適応性、および使用可能な演算能力を含むがこれらに限らない多くの要因によって異なり得る。
1つの実施形態においては、目的関数を最大化または最小化するため、作動パラメータを最適化するために、単純化された勾配降下法を使用し得る。勾配降下法は一般的に収束につながり、多くの場合、単純で計算の負担が少なく、安価なプロセッサ250で実行する場合や、共有ハードウェア上で他の計算処理の負荷が高いプロセスを実行する場合に適する。このような一実施形態においては、コントローラ240は、目的関数の先行評価の1つまたは平均から、目的関数を増加させるか減少させるかを決定するように構成され、またこれに対して、目的関数を最大化するか最小化するかに応じて、作動パラメータを同じ方向または異なる方向に調整し得る。
同様に、調整が行われる前に複数の作動プロファイルをテストする場合、コントローラ240は、各作動プロファイルの目的関数の評価を比較し、どれが目的関数の最も高い評価または最も低い評価を生成するかを決定するように構成され、 またこれに対応して、最適化される作動パラメータの値が、以前の作動プロファイルのセットに関連付けられた目的関数の評価の派生に従って調整された、別の作動プロファイルのセットを生成し得る。勾配降下法は、目的関数の状況(つまり、目的関数と最適化されるパラメータとの関係)に応じて、作動パラメータをローカル最大値/最小値またはグローバル最大値/最小値に最適化し得る。例えば、目的関数の状況が実質上凸状の形で、状況の分化が微分可能で境界がある場合、グローバル解への収束を達成できる。目的関数の状況は凸面であるため、すべてのローカル最小値はグローバル最小値であるため、この場合、勾配降下法はグローバル解に収束することができる。勾配降下法は、作動パラメータを目的関数のグローバル最大値/グローバル最小値に最適化し得る。目的関数の状況に複数のピークまたは谷が含まれる場合などのその他の状況では、勾配降下法は、最適化をどこで開始するか等の関連する要素により、作動パラメータがローカル最大/ローカル最小、または、グローバル最大/グローバル最小のいずれかに最適化し得る。状況が凸面ではないような状況では、勾配降下法は、お互いに比較的近いポイントを比較するローカル検索を実行するため、ローカル最適条件を見つける可能性が高くなり、以下に説明するベイジアン法などの状況のグローバル検索を実行する他のアプローチでは、このような場合にグローバル最適条件を見つける可能性が高くなる。ただし、勾配降下法と保証収束の計算要件が低いため、場合によっては制限がある場合でも、この方法が魅力的であり得る。例として、特定の人や活動に対するデバイスの初期設定を改善するローカル最適条件の場所を見つけることは、一部の応用例では魅力的であり得る。勾配降下法は、ノイズ対信号比が非常に低く、目的が再現可能な方法で測定される状況で、凸状の状況でも測定のノイズが高い場合に特に適用可能であり、勾配降下法は、ノイズまたは測定が非再現可能なことにより、最適でない状況のポイントに収束し得る。
他の実施形態においては、目的関数を最大化または最小化するため、作動パラメータを最適化するために、ベイジアン法が使用され得る。ベイジアンアプローチは通常、サンプル効率が高く、目的関数の状況を比較的迅速に探索できる。この機能により、より複雑な目的関数の状況では、ベイジアン法は、作動パラメータをグローバル最大値/グローバル最小値に、検出し最適化することによく適することが可能であり、いくつかの他の方法よりも、ベイジアン法は、目的関数の評価において比較的ノイズに対する耐性が高くなる傾向になる。このような一実施形態において、最適化される作動パラメータの異なるベースライン値を有する数々の作動プロファイルに従ってウェアラブル・デバイス100を作動させ、それぞれの目的関数の対応する評価をマッピングすることで、作動パラメータと目的関数の数学的相関を定義できる。これにより、コントローラ240は目的関数を最大化または最小化するための作動パラメータの候補値を決定し得る。コントローラ240が、作動パラメータの最適化された値に収束するまで、またはある他の適切な終了基準が満たされるまで、候補値をテストし評価し、数学的相関を更新し得る。一実施形態においては、数学的相関を定義し、作動パラメータの候補値を特定するプロセスには、事後分布の生成(例えば、ガウスプロセスによる)、および、確率論的モデル(例えば、一実施形態においては、ベイジアン法)の使用が含まれ、事後分布に基づいて、作動パラメータの候補値を識別し得る。勾配降下法のように、目的関数の状況、および、最適化をどこで開始するか等の関連する要素により、ベイジアン法は、作動パラメータをローカル最大値/最小値またはグローバル最大値/最小値に最適化し得る。しかし、ベイジアン法は、勾配降下法が為すような、局所的に見て互いに相対的に近い点を比較するだけなのとは対照的に、事後分布に基づいて状況のグローバル検索を実行するため、グローバル最適値を見つける可能性が高い。従って、ベイジアン法による最適化は、目的関数の状況が複雑な状況で、最適化するパラメータが複数あるために検索効率が重要な場合、または、目的関数の測定値にノイズが多い(例えば、代謝測定)場合に特に有用である。
もちろん、これらは単なる例示的な例であり、選択したパラメータの影響を受ける目的関数を最大化または最小化するため、任意の数の作動パラメータを最適化するために、如何なる適切な数学的手法をも使用し得ることを認識しておく必要がある。
様々な実施形態において、最適化アルゴリズムは、以下の所定の終了条件の1つが生じた時に終了するように構成され得る。(i)少なくとも1つの作動プロファイルの少なくとも1つのパラメータを連続的に調整する目的関数の評価の相違が、所定のしきい値を下回る、(ii)少なくとも1つの作動プロファイルの少なくとも1つのパラメータに対する連続調整の差が、所定のしきい値を下回る、(iii)最適化の開始から所定の時間の長さが超過した、(iv)最適化の開始以降に装着者が所定の繰り返し回数を超えた、(v)装着者が終了コマンドを発行した。
上述の通り、装着者の生体力学に関連する様々な例示的パラメータには、対象筋の筋肉活動(例えば、時間積分またはピークの筋肉活動)が含まれる。例えば、そのパラメータは、作業を実行する時に、特定の筋肉の疲労を軽減するために、特定の作業の筋肉活動を最小限に抑えることに関連する場合がある。その他の例示的なパラメータには、反復的作業を完了するための時間の最小化、関節の運動特性または動特性、関節の可動域、代謝努力、作業実行時の安定性の最大化を含むが、これらに限定されるわけではない。ロボット型服装、ウェアラブル・デバイス100、ウェアラブル・デバイス100、および、装着者の間の相互作用に関連する目的関数には、負荷の移動、接合部分での圧力、快適性を含むが、これらに限定されるわけではない。
いくつかの実施形態では、人間の生体力学を測定するように構成されたセンサ230は、慣性測定ユニット(IMU)、加速度計、ジャイロスコープ、エンコーダ、リゾルバ、および、関節の角度、速度および加速度を測定するひずみセンサ230、心拍数を測定するための心拍数モニタ、代謝作用を測定するための肺ガス交換システム、筋電図検査、および、地面反力を測定するための圧力感知インソールと、地面反力を測定するための計装トレッドミルを含むことができるが、これらに限定されない。力と圧力を含む装着者とシステムの相互作用を測定するために使用できるセンサ230には、ロード・セル、力センサ、および圧力センサが含まれるが、これらに限定されない。デバイスのメトリックを測定するために使用できるセンサ230には、電流センサ、電圧センサ、サーミスタ、およびモータの位置、速度、加速度を測定するためのエンコーダとリゾルバが含まれるが、これらに限定されない。
図8に、ウェアラブル・デバイスの最適化制御のための代表的な手法を示す。動作初期化の検出:いくつかの応用例においては、最適化アルゴリズムは、何時活動が始まり、それが何時終了するかを検出でき、その繰り返し中に収集されたデータを使用して目的関数を評価する必要がある。例として、持ち上げ動作中に背面をサポートするデバイスの場合、最適化アルゴリズムは、持ち上げ動作を、動作の初期化、物に手が届く範囲への動作、物をつかむ、および、持ち上げ動作が終了するまで最終姿勢への動作などの、異なる段階にセグメント化する必要があり得る。最適化アルゴリズムは、これらの各段階の目的関数を評価し得る。例として、最適化アルゴリズムは、慣性測定ユニットなどのオンボードのモーション・センサ230を使用して、例えば、関節の角度、速度、または、加速度の変化を検出し、動作をセグメント化して目的関数を評価し得る。次に、アルゴリズムは関節の角度、速度、または加速度の変化を検出し、動作の初期化を検出して目的関数の評価を開始し、例として、関節の加速度が何時方向を変えるか、または、ゼロに等しいか近くなる(しきい値以下)かを見ることにより、その人が動作を終了するまで、目的の測定値を測定または推定する。最後に、加速度または速度が変化すると、ユーザが動作を停止するまで、ユーザが最終姿勢に進むに伴い、目的関数は評価される。これは、最適化アルゴリズムによって動作の繰り返しの1つとして記録され、目的関数を評価し、次の動作の繰り返しのために最適な支援候補としてテストされる次のパラメータのセットを決定する。
一例として、制御アルゴリズムは、異なる活動のサブグループを検討し、それらの活動ごとに目的関数を最大化または最小化するパラメータのセットを見つけ出し得る。
デバイスが支援する様々な肝要な動作は、サブグループに分類できる。たとえば、背関節を支援するデバイスの場合、このような様々なサブグループは、膝をまっすぐにしたまま前方の物を持ち上げる(かがみ上げ)、膝を曲げながら前方の物体を持ち上げる(しゃがみ上げ)、 かがんだりしゃがんだりしながら胴のねじれ動作に続いて両側に物を持ち上げる(建設、配送、物流、軍事物流、製造などの複数の業界で一般的な動作)、さまざまな胴の角度で静的姿勢を保持する(外科医、介護者、製造業などで一般的な姿勢であり、背中に負担がかかり、最終的には怪我につながる可能性あり)であり得る。
例えば(図9)を参照すると、何時動作が始まるか(関節の加速度または速度の変化)と動きの方向を検出するためにIMUが使用され、例えば、胴が曲がる、および/または、ねじれるなどして、ユーザが矢状面において動作を実行している(例えば、ユーザの前にある物体を持ち上げている)か、胴が曲がってねじれている(例えば、物体を横向きに持ち上げている)のかを定義し、これを使用して先に説明した動作に分類し得る。さらに、異なる身体の部分の同期した動作を使用して、屈み上げ(脚はまっすぐだが胴が曲がる)としゃがみ上げ(胴と脚の曲げ)のどちらを行っているかを検出し得る。
そして、最適化アルゴリズムは、ユーザがその動作を実行する間に目的を評価し、パラメータのセットを最適化する。
ユーザが上述のサブグループ内の動作を含む活動を繰り返すと、デバイスのパラメータが自動的に変更され、目的関数を最大化または最小化するであろう。この結果として、各サブグループのパラメータの1セットが見つけ出される。
ユーザが動作を実行すると、制御アルゴリズムは、ユーザがどのタイプの動作を実行しているかを検出し、この動作が属するサブグループに基づいて適切なパラメータのセットが選択され得る。
代表的な例
さらなる文脈のために、本開示のウェアラブル・デバイス100の様々な非制限的な例が下記に示される。
代表的な例1A:背中と臀部(hip)を支持する受動的デバイス
先に記述したように、過度の重作業(overexertion)は、しばしば疲労や筋骨格の傷害をもたらしうる。背中が、産業におけるすべての過度の重作業による傷害の主な割合を占める。背中の傷害をもたらしうるリスク要因は、重い重量物の持ち上げ、反復的な持ち上げ、極く長時間同じ姿勢を保つこと、または、最適ではない体の姿勢を伴って重量物を持ち上げること、を含んでいる。
働きながら体を屈めるというのは、仕事をする際に、ある環境では必要であるが、しかしながら、この姿勢は下背部の緊張をもたらし、そのことは経時的に、慢性的な背中の痛みや、より重大な背中の傷害をもたらしうる。
背中を援助するデバイスから恩恵を受けうる活動のいくつかの例は次のものを含む:
a.物体の持ち上げ − 重い物体を持ち上げること、または人間工学的でなく最適でない姿勢で物体を持ち上げること、は、背中の支えが必要かもしれない活動である。
b.物体を保持し、またはそれを移動することは、特にもしその物体が重かったり、もし体の位置が最適ではない場合、多くの努力が必要になりえたり、潜在的に傷害をもたらしえたり、仕事を遂行するときに不快にさせうる。従って背中を支えるデバイスからの恩恵を受けうる。
c.患者を持ち上げたり位置を変えること − 病院においては、医療従事者が、支援を必要としている患者を扱ったり移動させたりする必要があるかもしれない。これらのタイプの活動はありふれており、背中を支えることにより恩恵を受けうる。
d.一定の姿勢 − 例えば、立っている、しゃがんでいる(crouching)、または前かがみになり(leaning forward)ひとつの位置を保っている。もしこの位置が長い時間維持されるのであれば。
ロボット・アパレル・システムは、持ち上げたり一定の姿勢を保ったりといった仕事の間にしなければいけない、背中の筋肉の努力の量を減らすために用いることができるかもしれない。図10はロボット・アパレルの具体例を示す。ここでは支持部材110が複数の関節を橋渡ししており、持ち上げ、重量物の保持、一定の姿勢を長時間保つこと、といった仕事の間、このシステムは背関節と股関節を同時に援助する。これらの仕事の間、股関節と背関節はどちらも活動状態であり、従って、両方の関節を援助するデバイスは、使用者がしなければならない努力の量を低減させるであろう。
このデバイスは次の要素を含んでいても良い:
センサー230:システムは、体の異なった部分の速度、加速度、または位置を、測定または見積もることが出来るセンサー230を含んでも良く、センサー230に、使用者にデバイスが供給している引っ張り力の量を見積もらせても良い。慣性測定ユニット、ジャイロスコープ、加速度計、のような、動きセンサー230がこの目的のために用いられても良い。センサー230の他の例は、使用者が動くのにつれて変形し、この変形が、体の一部の加速度、速度または位置と相関がありうるような引っ張りセンサー230を含む。この具体例において、システムは4つの慣性測定ユニットセンサー230を含んでおり、そのセンサーは、図9に示すように、大腿の動きを測定するためにそれぞれの太ももに一つずつ、一つは下背部に、もうひとつのセンサーは、上背部に設置されている。これらのセンサー230は、これらの体の部分の動きを測定するために用いても良いだけでなく、関節の両側に設置されたセンサー230の値を減算することにより、関節の角度を計算するために用いることも出来る。慣性測定ユニットの代案としては、関節の動きと関係付けるために引っ張りセンサーを用いても良い。このシステムは、システムが体に供給している引っ張り力を、測定したり見積もったりするために、ロードセルや、力センサー、引っ張りゲージ、のような、力をセンシングする要素を組み入れても良い。この具体例において、これらのセンサー230はアパレル部分と一体化しても良い。
ウェアラブル・デバイスの構成:ウェアラブル・デバイス100の構成は背中の関節の両側にある二つのアンカーポイントを提供する。デバイスの上の部分は、肩ストラップのようなアンカー部材110により体に装着される。そして両方の肩ストラップが使用者の背中で合する点が、背関節の片方に設置されるアンカーポイントを生成する。ウェアラブル・デバイス100は、大腿支持部材110のような、下の体の支持部材110をまた含んでも良い。そしてそれは大腿に接続するために包み、腰の関節の片側にあるアンカーポイントを生成する。負荷バランスストラップ112は、両側の大腿アンカー部材110を連結し、背中の関節の反対側のアンカーポイントを生成する。最後に、受動的要素190は、この場合は弾性的な織物であるが、両方のアンカーポイントの間を繋ぎ、使用者を援助する引っ張り力を供給する。これらの力は回転中心である関節から離れて設置されているので、その力は引っ張り力とモーメントアームの積に等しいトルクを与える。先に記述したように、2つの関節間の引っ張り力、つまり股関節と下背関節の引っ張り力は使用者に援助を供給する。図10における簡略化した図に示すように、引っ張り力は股関節と下背部の関節周りのトルクを生成する。例を挙げると、使用者が荷を持ち上げる時、ウェアラブル・デバイス100は彼/彼女の腰と背中でしなければならない努力の量を軽減させることが出来る。これは、生物学的な筋肉がおこなう必要がある努力は、より少なくなることになり、疲労を軽減し、装着者の傷害のリスクを軽減することになることを意味している。
提案されたデバイスは種々の産業のための複数の応用分野を持っている。図11と図12はいくつかの代表的応用について図示している。
受動的デバイスにとって一つの重要な必要条件は、持ち上げ、一定の姿勢を保つこと、などといった仕事をする時に、使用者にとって有益な力やトルクを供給することである。しかしながら、システムは十分に透明でなければならず、そして、歩いたり、階段を上ったり下りたりなどといった他の動きを妨げそうな力を供給してはならない。負荷をバランスさせる要素212はこの目的のために供される。
負荷バランスストラップ212:上述のように、負荷バランスストラップ212は両方の大腿アンカー部材110を繋ぎ、背中のポイントの片側にあるアンカーポイントを生成する。負荷バランス要素212(例えばストラップ、リボン、ケーブル)は、回転可能なように、または滑らせることが可能なように、負荷をバランスさせる機構215と連結しても良い。このことにより、歩行中や持ち上げ中といった装着者の動きの間、連結要素150に対して、負荷バランスストラップ212は回転したりまたは滑ったりすることが出来る。負荷バランス機構215の代表的な例は、これに限定されるものではなく、低摩擦のローラー、ベアリング、プーリー、低摩擦の留め金等、図13に示される様なものを含む。負荷バランス要素212は負荷バランス機構215に対して回転したり滑ることができるので、使用者が歩行のような仕事をする時に脚を自由に動かすことができ、そして、(負荷バランス要素212は)ウェアラブル・デバイス100に、胴体およびまたは両方の脚を曲げることを含む仕事(持ち上げ、何かを取る等)の間、張力を生成する。さらに、この負荷バランス要素212は、両方の大腿アンカー部材110に負荷を分割することにより、引っ張り力を両足に分配する。
図14は負荷バランスストラップ112の機能を要約している。使用者が立っているとき、両方の支持ポイントの間の初期距離はx0と定義される。弾性的な支持エレメントは、立っている間は使用者に引っ張り力が全くかからず、しかし使用者が胴や両脚または両方を曲げるや否や、引っ張り力を発生して張力を生成するように、x0と等しい長さに寸法を決めてもよいし、または調整されても良い。
図において説明されるように、もし使用者が歩いているなら、自己バランス型のストラップ112はアンカーポイントに対して自由に回転することができるので、両脚は、両方のアンカーポイント間の距離を変化させることなしに(そしてそれゆえ引っ張り力を発生させることなしに)自由に動くことが出来る。もしこの要素112が回転できないとすると、脚を前に動かすことは、使用者の前に動かそうとする脚にも、使用者の背中にも引っ張り力を生成することになり、それは望ましいことではない。図13に示すように、歩行中、装着者が右脚で前に一歩踏み出す時、ストラップ112はアンカーポイントに対して回転することが出来、それゆえ、脚を前に自由に振ることが出来るように、脚に作られた張力の量を減らすことも、張力を生成することもなしに、前方に動く脚の方に平行移動する。中間姿勢で、両方の脚が真っ直ぐの間は、アンカーポイントと両方の大腿アンカー部材110との距離がほぼ等しいか緩んだ(中立位置)、負荷バランス要素212が中央位置に至っている。人が左の脚を前に振るにつれて、振っている間は、バランスストラップ112が付着点に対して回転し、左脚は中立位置を超えて前に自由に動かすことが出来る。
使用者が物体を取ったり持ち上げたりする時のように、彼/彼女の胴か両脚を曲げる時、両方の支持ポイント間の相対的な距離は、使用者の運動学の結果増加する。もしこの距離が連結要素150の初期の寸法よりも長いと、それは弾性的要素が伸びる(x=x0+Ax)ことをもたらし、それゆえ、使用者の背中の後ろに緊張力を供給する。これらの力は、弾性体のばね定数(F=k*Ax)により、伸長量に比例する。
受動的連結要素150の寸法決めと選択は、求められる支援に基づく。:種々の仕事や個人によって、種々のタイプや程度の支援が必要であったり、またはより好まれるかもしれない。支援は、次のようなパラメータの一つかまたは組み合わせを決定することによって仕立てられても良い:
a) 連結要素の初期長さ:受動的連結要素(x01)の初期長さは、使用者が立っている位置に対して曲がるにつれて、引っ張り力が始まる時と定義し、使用者が立っている時の両方の支持ポイント間の距離をx0と定義する。例えば、もし支持要素の初期長さ(x01)がx0と等しいかまたは長い場合(x01>=x0)、使用者が活動をするために、胴か脚を立っている姿勢に対して曲げるにつれて、引っ張り力が発生される。使用者が立っている時に引っ張り力を供給することを意図するのであれば、この連結要素150は、x0よりも短く(x01<x0)設計されても良い。図15と図16は、連結要素190の異なった初期長さを定義することにより、どのように出力の引っ張り力を修正することが出来るかを示している。長さを調整し決定するための手順は次のものを含んでよい:i)使用者が選べるように、ひと揃いの異なった長さの連結要素190を持つこと、ii)長さを調整出来る、例えば、留め金、ベルクロ(登録商標)、またはボア(登録商標)のようなラチェットシステムを使った、一つの連結要素190を持つこと、iii)立っている(位置)に対してアンカーポイントの初期位置を調整し、一方連結要素は同じ長さに保っても、連結要素の長さを変えるのと同じ効果が得られるだろう。下の図において、BOAラチェットシステムは、回された時に、ウェアラブル・デバイス100の背中の両方のアンカーポイント間の距離を制御出来るように、胸に近い位置で肩ストラップに至っている。この例においては、ラチェットが回されるにつれて、上背部にあるアンカーポイントは、受動的要素190の予備張力を制御するために、上下にずらされることが出来る。ラチェットはまた、一旦設定された状態を保つためにクラッチで固定しても良く、または、人に対して力を作用させないために、自由に移動できるよう、クラッチを開放しても良い。
b)連結要素の負荷:連結要素は、変形に基づく特有の負荷(例えば、剛性や減衰)を持っても良い。図15と図16は、連結要素の異なった剛性値がどのように異なった出力を供給するかを示している。連結要素の負荷を調整する手順は、使用者か設計者が選ぶことが出来るような、異なった負荷をもった一揃いの連結要素を含んでも良く、負荷(例えばばね定数)を修正するために、並列または直列に連結することが出来る複数の要素を含んでも良い。
被験者実験:この構成の機能を実地に示すための最初のステップとして、両方のアンカー部材110の間にばねとして動作するような弾性的な連結要素を持った受動的ウェアラブル・デバイス100で被験者実験を行った。3人の健康な参加者に対する予備的な被験者実験を通して、我々は有望な結果を示した。図33に示すようにこれらの研究は、提案されている構成は、背中(L4とT9レベルの脊柱起立筋)と股関節(大腿二頭筋、大殿筋)の重要な筋肉の筋肉活動を、ウェアラブル・デバイス100を装着した時と何も着けない時を比較して、異なる角度の一定の姿勢を保った時の3つの対象の平均で、最大45%低減する潜在能力を持っているということを示した。
代表的な例#1B:背中と腰を支持する能動的デバイス
代表的な例#1Aで述べたデバイスは、使用者の体の動きで受動的に発生された支援的な引っ張り力を背関節に供給し、連結要素150は、例1aにおいて述べられた異なるタイプの支援を供給するために、寸法を決められ、設計されても良い。しかしながら、異なる使用者や仕事に適合された支援、または完全に受動的なデバイスと比べて高いレベルの支援を供給するためには、連結要素150の位置または力を制御するためにアクチュエーター120を用いても良い。
図17を参照すると、代表的な例#1Bで述べられたデバイスは、使用者の体の動きで受動的に発生された援助的な引っ張り力を背中と腰の関節に供給し、連結要素150は、例#1aにおいて述べられた異なるタイプの支援を供給するために、寸法を決められ、設計されても良い。しかしながら、異なる使用者や仕事に対してカスタマイズされた支援助または完全に受動的なデバイスと比べて高いレベルの支援を供給するためには、アクチュエーター120を用いて連結要素150の位置または力を制御しても良い。図18は、両方のアンカー部材110の間に装着されたケーブルを制御するために用いられうるアクチュエーター120構成要素を含んだデバイスを提示する。アクチュエーター120は、引っ張り力を発生するケーブルの位置を制御するために用いられても良く、または、ケーブルが使用者に与える力を直接的に制御するために用いられても良い。
この例においては、システムは例#1Aで述べたものと同一であるが、この場合においては、両方のアンカー部材110を連結する弾性的要素を有する代わりに、ケーブルで駆動されるアクチュエーションシステムが用いられる。このシステムでは、使用者はアクチュエーター120を体のどこかの部分に装着しており(この場合はウエスト)、ボウデンケーブルがアクチュエーター120ユニットと関節の一つの面を連結し、内部のケーブルは、片方の端でアクチュエーター120と連結し、そしてもうひとつの端で関節のもう一つの面と連結する。このようにして、内部のケーブルが作動される時、引っ張り力が両方の支持部材110の間に発生されるであろう。もうひとつの具体例においては、アクチュエーター120は関節の一つの面に直接連結し(覆いを必要とすることなく)、片方の端においてアクチュエーター120と、もう一つの端において関節のもう一つの面とを連結するケーブルを駆動しても良い。
図18は股関節および背関節周りに支援的トルクを生成するための代表的な構成を示す。デバイスは、持ち上げ、一定の姿勢の保持、重い機材の輸送、または引くこと/押すことといった、経時的に傷害をもたらすかもしれないありふれた活動である仕事の間、背関節と股関節に支援を与えることが出来る一方でデバイスは他の動きに対しては(普通の衣服(clothing)のように)十分に透明でなくてはならない。代表的なデバイスは、デバイスが規定の軌跡を通るようにしたり、または間接の角度の関数である仮想的な負荷(剛性、減衰)を実現させるように、インピーダンスを制御しても良い。この場合においては、デバイスが股関節と背関節の両方を橋渡ししているので、インピーダンスは胴と大腿間の相対的な角度によって定義されてもよい。この角度は、IMUや張力センシング要素といったオンボードのセンサー230によって測定しても良い。アクチュエーターによって実現される、見本の仮想的インピーダンスは図19に示す剛性値によって定義され、ここでFは結果的な力、シータは大腿と胴の間の相対角度、そしてKは実現される剛性である。この場合、支援的なプロファイルは支持部材110間に剛性Kを持ったばねを持っているように感じられるだろう。このような、アクチュエーターによるプロファイルが、受動的なデバイスに対して有している利点は、異なった動きや異なった使用者のために最適化された異なったインピーダンスを選択することにより自動的に支援のプロファイルを構成することについて、より大きい柔軟性があることである。さらに、仮想的なインピーダンスは、動きのそれぞれの段階に対して、異なった特性(実現される剛性、減衰等)を持ちうるという優位な点があることであり、例えば、動きの方向に応じて異なったインピーダンスを持つことである。物体をつかむために下に動くという動作は、物体をもって重力と戦いながら上に動くという動作よりも少ないエネルギーしか必要としないかもしれないが、動きが方向を変えるのにつれて実現される抵抗の変化は、上に動く時の人に対して下に動く時と比べてより多くのエネルギーを供給することが出来るであろうし、そして、それは受動的なばねでは実行不可能なことである。さらに、異なった「初期角度」を選ぶことにより、結果的なプロファイルはシフトすることが出来るようになり、それにより、使用者がその初期角度に達するまでは力がスタートしないように出来るだろう。
図20A、図20B、および図20Cは使用者の動きの見本を示しており、ここでは関節は初期位置の0度(立っている)から90度(胴を水平位置まで曲げている)に向けて動いていき、正弦波パターンに従っている。とりわけ図20Aは、このデバイスが関節の角度の関数として実現するであろう代表的な剛性プロファイルを描いており、図20Bは、胴を曲げて地面から荷物を持ち上げす時に、使用者が正弦的な動きに従い実行した関節の角度の見本を描いており、そして図20Cは、その動きによる結果的な力を描いており、この力は,剛性に持ち上げサイクルのa%として分割された関節の角度を掛けたものである。
見本の動きは、地面から物体をつかむために胴を曲げる例として代表的であるかもしれない。結果的な力は、規定された剛性と使用者が実行している関節の角度を掛けた結果である。力は持ち上げサイクルのa%に対して示され、ここで0%は使用者が動きを初期化した時として定義され、50%は使用者が方向を変えて関節の速度がゼロの時として定義され、そして100%は使用者が真っ直ぐな位置に戻ることにより動きを完了した時、として定義される。
インピーダンスを制御されたデバイスにおいては、システムは検知された動きに応じて異なったモードを持っていても良い。それゆえ、オンボードセンサー230は、異なった活動を検知するために用いても良く、そしてこれらそれぞれに対して、異なった予め決められたインピーダンスプロファイルを選んでも良い。例えば、負荷を持ち上げるには複数の方法があり、例えば、スクワットのテクニックか、かがんだ形のテクニック(脚が真っ直ぐ)を使う方法、また持ち上げは、物体が体の正面にあるように起こっても良い(背中はサジタル面上を動く)し、または場所の制限のために、持ち上げ中に背中を曲げてねじらなければならないような、物体が横にあるように起こっても良い。これらの異なった動きは、IMUのようなオンボードの動きセンサー230によって検知されても良く、そこではアルゴリズムが初期化の閾値(例えば、胴と大腿関節間の相対的角度や角速度)を定義出来るであろうし、その閾値は、通過した際に、曲げ運動の初期化とみなされる。閾値はまた、動きはサジタル面上で起こっているか、または使用者は、持ち上げのために胴を曲げてねじっているのかを定義するために用いても良い。異なった閾値は、使用者が持ち上げの間、脚を曲げているか否かを定義するために用いても良い。もう一つの例においては、オンボードセンサー230は、動きがどの活動に分類されるかを検知するための分類アルゴリズム(例えば、神経回路網、線形分類器、最近接、決定樹など)のために用いても良い。インピーダンスまたは支援的なふるまいはこれらの動きのそれぞれに合わせて選択されても良い。
もう一つの例においては、デバイスはEMGで制御されても良い。この場合、ひとつかそれ以上のEMGが、デバイスが支援しようとする代表的な筋肉に配置されることになる。目標の筋肉からの、フィルターを通した筋電信号は、目標の関節が作り出している、関節トルクを見積もるために用いても良いし、外骨格によって作り出された加えられた力を使うために用いても良い。
動きの初期化の検知:いくつかの応用において、最適化アルゴリズムは、その繰り返しの間に集められたデータが目標とする機能を評価するために用いることが出来るものかどうかを知るために、いつ活動が始まり、いつ終わるのかを検知する必要があるかも知れない。例えば、持ち上げの間背中を支援するデバイスにとって、最適化アルゴリズムは、次のような異なった段階に持ち上げを分割する必要があるかもしれない:動きの初期化、物体に近づくために動く、物体をつかむ、そして持ち上げが完了するまで終了の姿勢に動く。最適化アルゴリズムは、これらの段階のそれぞれについて目的関数を評価しても良い。例えば、最適化アルゴリズムは、例えば関節の角度、速度または加速度の変化を検知して、動きを分割し、目的関数を評価するための慣性測定ユニットのようなオンボード動きセンサー230を用いても良い。アルゴリズムは、関節の角度、速度、加速度の変化を検知し、動きの初期化を行い、人がその動きを終了するまで、目的関数の評価と、客観的な指標を測定したり見積もったりすることを開始する。ー例えば、いつ結合部の加速度が方向を変えるのか、またはゼロに等しくなるかゼロに近く(閾値以下)なるか、を見ることによってー 最後に、加速度か速度が変化する時、使用者が動きを止めるまでの間、最後の姿勢に移るのにつれて、目標関数は評価されるであろう。これは最適化アルゴリズムにより、動作の一つの繰り返しとして記録され、そして目的関数を評価し、次の動きの繰り返しへの最適な支援の候補としてテストされる次のパラメータのセットを決定する。
ひとつの例として、制御のアルゴリズムは、異なった下位グループの活動について考慮しても良く、そしてこれらの活動のそれぞれについて、目的関数を最大化する、または最小化するパラメータのセットを見出しても良い。
デバイスが支援する異なった主な動きは、下位グループに分類しても良い:例えば、背関節を支援するデバイスに関しては、これらの異なった下位グループは次のようなものでも良い:物体を、前側で膝を伸ばしての持ち上げ(屈んだ持ち上げ)、物体を前側で、膝を曲げての持ち上げ(スクワット持ち上げ)、物体を側方で、胴体をねじる動作に続いて、膝伸ばしまたはスクワットのテクニックを伴う持ち上げ(建設、配送、運送、兵站、製造等、複数の産業においてよくある動き)、異なった胴体の角度での一定の姿勢を保つこと(外科医、介護職、製造業などで良くある姿勢であり、結果的に背中の緊張をもたらし、究極的には傷害をもたらしうる。)
分類のアルゴリズムは、動き、力、圧力のセンサー230のようなオンボードセンサー230を、動作を下位グループに分類するために用いても良い。例えばIMUは、何時動きが始まったか検知する(関節の加速度か速度の変化)のに用いても良く、そして動きの方向を検知するのに用いても良く−例えば、胴が曲げられており、および/または、ねじられており、使用者は動きをサジタル面上で行っている(例えば使用者の正面の物体を持ち上げる)か、または、胴が曲がって、かつ、ねじっている(例えば物体を両側に持ち上げる)のかどうかを定義するために用いても良く、そして前記の概説した動きを分類するためにこれを用いても良い。さらに、異なった身体の部分の同期した動きは、使用者が屈んだ持ち上げ(胴が曲がっていて脚が真っ直ぐ)か、スクワット持ち上げ(胴と脚が曲がっている)かを検知するのに用いても良い。
最適化アルゴリズムはそして、使用者がその動きを行っているかどうかを評価し、パラメータのセットを最適化することになる。
使用者が、上述の下位グループにある動きを含む活動を繰り返すにつれて、デバイスのパラメータは、固定化されても良いし、または目的関数を最大化、または最小化するように自動的に修正されても良い。
使用者が活動を行う時、制御アルゴリズムは使用者がどんなタイプの動きをしているかを検知し、そしてこの活動が分類される下位グループに基づいた、パラメータの正しいセットを選ぶであろう。
代表例#1C:股関節および背関節を支援する 衣服の下に身に装着するロボット型服装
図35に示す通り、ロボット型服装は衣服の下に装着するように設計され、(i)柔らかいセンサ部品および支援力を身体に快適に伝達するためのソフト・センシング部品とフォース・パスを含む完全に柔らかい下着と、(ii)特定の力、電力、帯域幅の要件を満たし、下着に簡単に接続して分散型センサに電力を供給し、ユーザを支援するケーブル駆動の作動モジュールから成り得る。
ウェアラブル・デバイスの構造:ロボット型服装を効果的にするために、繊維要素(ウェアラブル・デバイス100の構造とも言える)を介して引張力を転送する適切な力経路を設計することが重要である。複数の関節を横断する力経路は、単一の作動ケーブルを使用してこれらの関節を同時に支援する引張力を生成することができる。この手法により、要件を簡素化する最適化されたシステムが実現する。図35に、背関節と股関節の両方の負荷軽減に使用できるウェアラブル・デバイス100の構造を示す。ウェアラブル・デバイス100の構造は、2つの接合点を構成する布地部品でできており、1つは肩のアンカー部材110(例えば、ショルダー・ストラップ)を介して身体に固定されている背面上部であり、もう1つは両大腿部の背面に接続されているストラップを介して背面下部である。接続要素150(例えば、作動ケーブル)は、肩と大腿部のアンカー部材110を直接または間接的に結合する。接続要素150は、作動すると、ユーザの背関節および股関節を同時に横断する張力を能動的に生成する。力経路は大腿部および背中の生物学的関節(モーメント・アーム)からオフセットされるため、これらの張力によって支援トルクが発生し、それらの関節の負荷軽減をする。
ケーブル駆動アクチュエータ120:ロボット的な衣服−人間インターフェース、および作動、および伝達効率の、推定された適合性を含む、主要な解剖学的ランドマークに関する、ウェアラブル・デバイス100構造の効果を示す初期の簡素化された準静的運動特性モデルが開発された。このようなモジュールの1つは、ユーザの重心(例えば、下背部や腰)の近くに配置され得る。
衣服に統合されたセンサ:ロボット型服装にセンサ230を組み込み、人間の動作、ストラップの張力、相互作用力/圧力、および、布地への筋力を直接測定でき、 IMU 、ロード・セル、 および、EMGセンサを布地部品に使用する必要がない。上述のパラメータを測定できる布地対応センサ230を布地に統合し、システムを制御して最適なタイミングで装着者に支援を提供し、産業環境でロボット型服装を使用した場合の生体力学効果を評価することができる。サンプルのソフト・センサ230には、動作の追跡を測定するストレッチ・センサ、張力測定ソフト・センサ、インソール内圧力プリント・センサ、または、布地統合型EMGセンサが含まれ、ロボット型服装の制御と評価を行う。また、代案としてシステムには、IMU、ロード・セル、または、EMGなどの剛性センサも含まれ得ることに注意すること。
センサとアクチュエータのロボット型服装への統合:ロボット型服装構想の開発のため、我々のチームは実績のある衣服製造技術と新しい衣服製造技術を組み合わせたソフト・ロボット型の試作プロセスを社内に有する。これらのプロセスにより、前述のアクチュエータ120とセンサ230を布地に縫い目がないかのように組み合わせることで、軽量なモジュール式の、ソフトな、コンフォーマルな衣服を作ることができる。前述のように、ロボット型服装は衣服の下に着ることができ、統合された負荷伝達力パス、センサ、および、下着に容易に付けることができるシステムの唯一の剛性部品を囲むケーブル駆動作動モジュールが付いている布地でできている完全に柔らかい衣服から成る。
このソフトな下着は衣服の下に着て、前述のセンサ部品の一部またはすべてを含み得る。(1)関節の動作を測定するストレッチ・センサ230、(2)人とロボットの相互作用力を測定する張力センサ230、(3)デバイスが支援する主な筋肉を測定するEMG、(4)GFRを推定するために使用できる脚の圧力インソール。これらのセンサ230は、導電性布地配線とともに布地部品に組み込まれ得る、さまざまな信号を下背部に配置される中央接続位置(作動ユニットが取り付けられる位置)に縫い目がないかのように配線し得る。
ケーブル駆動作動ユニットは、重量物を配置するのに最も有利な位置であるため、ユーザの重心の近傍に配置されている。このモジュールは、ケーブル駆動の作動、 PCB電子コンポーネント(高出力および低出力電子機器)、およびバッテリを統合し得る。ユーザは作動ユニットを腰に位置する半剛性のスロット・パネルにスライドさせることで、作動ユニットを背中に接続することができ、アクチュエータ120が配置されると、ロボット型服装の下着部に電力を供給し、センサ情報を受信するために、中央パネルとの接続を成す。作動ケーブルは、クイック・コネクトを使用して下着の接続部品に取り付けられる。また、作動モジュールは、2つのIMUも剛性筐体に組み込んで、センシング機能を追加することもでき、1つは作動ボックス内にあり、他の1つは作動ケーブルが上背部に接続されているクイック・コネクトにある。さらに、触覚フィードバックを統合してユーザに警告できるように、バイブレーション部品を取り付けプレート220に組み込み得て、このエレメントを使用して、持ち上げ時または静的姿勢を保持するときに人間工学に基づいていない姿勢を使用していることをユーザに知らせ得る。
代表例#1D: 能動的背中および大腿部支援デバイスの最適化制御:
最適化が必要となり得る活動として、膝をまっすぐにしたまま前方で物を持ち上げる(かがみ上げ)、膝を曲げながら前方で物体を持ち上げる(しゃがみ上げ)、 かがんだりしゃがんだりしながら胴のねじれ動作に続いて両側に物を持ち上げる(建設、配送、物流、軍事物流、製造などの複数の業界で一般的な動作)、様々な胴の角度で静的姿勢を保持する(外科医、介護者、製造業などで一般的な姿勢)が挙げられる。提案されている直感的で適応性の高いコントローラ240は、さまざまな業界の負傷リスクを軽減し、生産性を向上させるために重要と特定された動作に重点を置いて、さまざまなユーザの支援を最適化し得る(前方および側面の物と共にかがみ上げおよびしゃがみ上げ、および、さまざまな胴角度で静的姿勢を保持する)。図29Aは、デバイスが最適化し支援する、さまざまな活動を示す。最適化コントローラ240は、人間の生体力学メトリクスを使用し、支援パラメーターを最適化して、対象運動中の装着者の自然な姿勢に悪影響を与えずに、これらの活動における関節および基本的な筋肉の活動量を可能な限り最小限に抑え得る。提案されたコントローラ240は、ユーザごとに考慮された各動作にとって最適な支援パラメータを見つけ出す。上述のカテゴリに含まれていない活動(例えば、歩行、ランニング、階段など)の場合、コントローラ240は、動作を制限しないように、システムを完全に透明にする(人に力をかけない)ように命令することがある。
コントローラ240は、負荷制御されたロボット型服装、オンボード動作センサ230を使用して対象動作を区別する分類アルゴリズム、および、デバイス・パラメータ(例えば、負荷、開始)を最適化して、提案された各作業に対して定義された目的関数を最大化または最小化する効率的な最適化アルゴリズムのうちの、1つまたはそれらの組み合わせを含む。
負荷制御されたロボット型服装:背関節と股関節の負荷軽減をするための、市販の受動的剛性外骨格と、ソフト受動的デバイスを開発している我々の暫定的な結果は、一部のユーザの一部の動作では、受動的負荷が対象の背中の筋肉の負荷軽減をするのに効果的であることを示している。ただし、受動的システムの適応が不十分なため、これらのデバイスはさまざまなユーザや活動に適用されることが制限され、最適でない支援を適用して関節を負荷軽減すると、装着者の能力に悪影響を及ぼし、状況によっては自然な動作を妨げるさえし得る。このように、この例では、デバイスの最終的な負荷を最適化し、異なる動作や異なるユーザによって動作の開始を可能にするコントローラ240を実装する。このようにして、デバイスは生物学的関節の動作に応じて仮想負荷(例えば、スプリング、ダンパ)を提供するようにプログラムされる。この経験を活用して負荷コントローラ240を開発し、目標とする力が、所望の仮想負荷(例えば、開始、剛性、減衰)、および、ウェアラブル・センサ230で測定される関節の運動特性の機能となるようにする。
分類アルゴリズム:ウェアラブル・センサ情報を使用して、図29Aに示す通り、持ち上げの方法(屈む、しゃがむ、前で持ち上げる、横で持ち上げる)および静止姿勢を含むどの活動を被検者が行っているのかを理解するために、開始された動作を分類するアルゴリズム。分類アルゴリズムは、動作の初期化段階中にユーザが行っている様々なタイプの活動を分類して、それぞれの動作用に異なる支援パラメータを選択して、それらを独立して最適化できるようにする。(図29B参照)
最適化制御:上記で説明した通り、最適化アルゴリズムは、様々な身体装着型のセンサ230の測定値を使用して、継続的にオンラインで制御ポリシーを効率的に最適化し、対象筋肉の力を最小限に抑え、デバイスを使用していても使用していなくても、対象外の筋肉の運動特性、動特性および筋肉活動における偏差を最小限に抑えるなどの重要な物理的量を改善できる。我々の具体的な手法は、対象となる関節の筋肉活動や、装着者の自然な生体力学に悪影響を与えることなく人が作業を実行する際の関節のトルク/パワーなどの主要指標を改善する。パラメータを手動で調整して所定の支援プロファイルを有する既存の手法、または、すべての人、および、すべての作業に対して一定の負荷を持つ受動的システムと比較して、この方法を使用すると、デバイスを短時間使用した後に、カスタマイズされた支援プロファイルをユーザ用に自動的に生成できるようになる。
パーソナライズされたウェアラブル・デバイス100を実用的にするには、被験者が短時間で監視された作業を実行する間に、制御アルゴリズムが効率的に制御パラメータをオンラインで最適化する必要がある。この例では、グローバル確率的最適化アルゴリズムのファミリーであるベイジアン法の最適化を適用する。ベイジアン法の最適化アルゴリズムは、サンプル効率が高いことが知られている。それはまた、従来の勾配降下法およびパラメトリックな応答局面法(すなわち、極小値、高バイアス)に関連する落とし穴の多くを回避する。
ウェアラブル・センサ230のリアルタイムのデータを使用して、対象筋肉の筋肉活動、関節角度位置、速度、および、人間とロボット型服装の間の相互作用力を推定し、支援を最適化することができる(負荷と開始の観点から)。
この期間の後、初期制御パラメータが使用され、ユーザが対象作業の繰り返しを幾度か実行すると、デバイスが支援力を提供し始め得る。その後、アルゴリズムはオンボード・センシングを使用して、EMGの活動と装着者の運動特性を継続的に監視し、ユーザの自然な運動特性や動特性、および、筋肉活動に望ましくない影響を与えないことを保証しつつ、基本的な筋肉の負荷軽減の程度を最適化する。仮想負荷のプロパティと作動の開始を定義するパラメータは、考慮される各活動に対して最適化され、各動作および各ユーザに対して独立したパラメータのセットが作成される。
この作業に使用できる目的関数の例は、以下を含む:
腹筋の筋肉活性への影響を最小限に抑えながら、背部の主な筋肉群の減少の程度(RMSおよび/またはピーク)の最大化。腹筋および背筋の共同収縮は背部を安定させる構造の剛性を保障するにあたり重大である。提案された装置は、背部で筋肉の行動を模倣する力を生成するので、腹部の領域の筋肉は、悪い方向に怪我のリスクが影響しないように、ベースラインと比較して正常な筋肉の活動を維持する必要があると仮定する。
姿勢に悪影響を与えることなく、背部の主な筋肉群の減少(RMSおよび/またはピーク)の最大化:対象とする筋肉の負荷軽減の程度を最大化することは、1つの目標として単独で使用することも、姿勢の質を定義する基準と組み合わせて使用することもできる。姿勢の質は、物を持ち上げる時に物が身体から離れていることを意味するような方法で運動特性を変更しないようにするなど、さまざまな方法で定義し得る。物と身体の間の距離は、持ち上げを実行する際に怪我のリスクに影響を与える主な要因の1つと見なされる。代替として、リフト値などの活動による怪我のリスクを数値化する指針をメトリックとして使用し得る。リフト値は、リフト(6)、(100)、(101)を実行するリスクがどの程度重要かを評価するNIOSHによって開発された方程式である。この方程式は、物に対する身体の水平距離と垂直距離、物を持ち上げるときの非対称角度、および、各活動の頻度と持続時間の関数である。ベースラインと比較して、運動特性/動特性が如何なる変化をしても、リフト値が変化する。オンボードのセンサが、物から身体までの距離、および、背筋のEMG活動を評価するために使用され得る。怪我のリスクを高める方法で姿勢を変えると、最終的に筋肉をより懸命に働かせようとし、そのために、対象筋肉の筋肉活動を利用することは目的として十分であるかもしれない。
生物学的関節のトルクまたはパワーの最小化。関節のピーク負荷および累積負荷により、怪我のリスクREFが増大する。生物学的関節が作業の繰り返しごとに生成する必要があるトルクまたはパワー(RMS、および/または、ピーク)の量を最小化することで、これらのトルクを生成している生物学的筋肉が低下することが予想される。以下は、支援を最適化する手段として、EMGを使用することの代替案となり、調査する価値がある。関節をできるだけ負荷軽減するという目的と、リフト値や身体から物までの距離などの姿勢に関連するメトリクスを組み合わせた、複数パラメータの最適化。
さらに、ロボット型服装は振動要素を布地に統合し、非人間工学的な姿勢をしている場合には、ユーザに警告するために使用でき得る。これは、例えば、疲労、または、注意散漫による運動特性の変化などの様々な状況で有用である。
提示された方法は、支援プロファイルの開始や負荷などのパラメータを最適化し、これは、それぞれの定義された動作に対してユーザがどのように動作するかの関数である。したがって、リフト値が最適化に使用された条件と同一でなくてさえも、人の動作に基づいた最終的な力がある程度適応される。パラメータを手動で調整して所定の支援プロファイルを有する既存の手法、または、すべての人、および、すべての作業に対して一定の負荷を持つ受動的システムと比較して、 この方法を使用すると、デバイスを短時間使用した後に、カスタマイズされた支援プロファイルをユーザ用に自動的に生成できる。このことは、本分野を前進させる可能性がある意義深い改善、および、様々な職場活動を行う際に、個々の生理学的および神経学的な違いに適応する最適なコントローラ240を開発する方法への理解を示す。
代表例 #1E: 背部および大腿部サポート用半能動的デバイス
他の実施形態では、支援装置は、例1Aおよび例1Bに示すように背関節および股関節を支援するように構成され得るが、以下のようなパラメータを制御するための、クラッチ・システム、または、非可倒アクチュエータ120を含む場合がある。
a)接続要素の初期長さ:受動的接続要素の初期長さ(x01)は、立った姿勢に対してユーザが曲がるにつれて、何時張力が発生し始めるかを定義し、ユーザが立っている時の両方のアンカー部材間の距離をx0と定義する。たとえば、アンカー要素の初期長さ(x01)がx0以上である(x01>=x0)場合、ある活動をするために立っている姿勢に対して、ユーザが胴体または脚を曲げるにつれて張力が生成される。この接続要素は、ユーザが立っている間に張力を提供することを意図する場合、x0よりも短くなるように(x01<x0)設計され得る。図16は、接続要素の異なる初期長さを定義することにより、出力張力がどのように修正され得るかを示す。調整するプロセスには、アクチュエータ120の目標位置を命令すること、および、エンコーダまたはポテンショメータなどのセンサ230を使用して、アクチュエータ120の現在位置を定義することを含み得る。初期長さが定義されると、アクチュエータ120はその位置に留まるように制御され、関節を支援する際に生じる力をサポートする必要がなくなるか、または、逆駆動不可能である必要がなくなり、それは、支援力が発生している間、逆駆動可能なシステムが位置を保持することと比較してエネルギを節約することとなる。
b)弛み対プリテンション・モード:デバイスが完全に透明(支援力を加えない)であるように意図されている場合、アクチュエータ120システムまたはクラッチを使用して、システムの弛みを可能にすることができる。この場合、アクチュエータ120は、弛みが十分あるように(作動ケーブルがアンカー部材110間の距離よりも長い)ケーブルを解放したり、力を生成できないように接続要素のクラッチを外したり、接続要素が身体に力を加えないように空気圧システムを開いたりするように命令される。
c)接続要素の負荷:クラッチ・システムまたはアクチュエータ120を使用して、様々な弾性要素を並列につなぐことにより、または、様々な伸縮素材の初期位置を並列に制御することにより、システムの負荷を追加または削除するために、様々な負荷の間で選択し得る。
代表例#1F:半剛性要素を持つ背中サポート・デバイス
別の実施形態においては、支援デバイスは、例1A〜例1Eに示すように腰と背中の両方を支援するのではなく、背関節のみを支援するように構成され得る。
この場合、ウェアラブル・デバイス100の構造は、下背部に取り付け点を直接構成する腰ベルトと、関節の反対側に取り付け点を生成するショルダー・ストラップとで構成される。前記デバイスには、第1のアンカー部材110と第2のアンカー部110の間に延在する半剛性部品200が含まれる場合もあり、半剛性部品200は曲げに対しては可撓性であるが、圧縮力の下での変形に対しては耐性がある。別の実施形態においては、先の例で示したように、例えば、股関節に追加の支援を提供したり、作動時の人体に対して腰ベルトの相対的な変位を低減するために、接続ストラップを介して腰ベルトに取り付け得るアンカー部材110と組み合わせて半剛性部品200は使用できる。
半剛性部品200は、さまざまな実施形態において、複数の屈曲リンク204により接続された複数の屈曲部材202を含み得る。例えば、半剛性部品200は、生物系脊椎の形成方法(脊椎ディスクおよび椎骨)から発想を得た、屈曲ヒンジ、または、弾性要素(屈曲リンク204)で接続された剛性リンク(屈曲部材202)を含み得る。他の実施形態においては、半剛性部品200は、上記に参照した曲げ特性および変形特性を持つ発泡体のような、半剛性構造206であってもよい。
この接続構造は、本構造の両端に接続する弾性要素を有することで完全に受動的になり得る。ユーザが曲がると、この弾性要素は、構造体に張力を発生させ、純粋な張力は、同じ力を生み出すために、ユーザにより小さい力の大きさを必要とするという利点があることとは対照的に、半剛性構造206は、したがって、ユーザの背中に対して一定の角度で力を送達する。
接続要素150は、モータが相対位置または両方のアンカー部材110の間の力を制御できるように作動され得る。モータを使用して、接続要素150のプリテンションのレベルを設定し得る(半能動的システム)。
図21に、上部に1つ、下部に他の1つの、2つのアンカー部材110を含む半剛性部品200の一例を示す。作動ケーブルや弾性受動素子190などの接続要素150を接続して、ユーザの背中に支援トルクを提供し得る。
能動的なデバイスを制御し、ウェアラブル・デバイス100に対する支援を個人や作業に適応させるために、制御パラメータを最適化して目的関数を最大化または最小化する最適化方法を使用することが、1つの方法である。
代表例#2:膝サポート・デバイス
一部の活動では、ユーザが長時間しゃがんだ姿勢に固定される必要がある場合がある。一例として、労働者が狭い場所で作業を行わなければならない場合は、ひざまずいて作業を行うしゃがんだ姿勢に留まる必要がある。膝の障害は、十分な回復時間無しに、非人間工学的姿勢を長期間維持することによって発生する可能性がある。この問題を軽減するために、その間にユーザの膝がより少ない労力を使えばいいように、支援デバイスは膝にトルクを提供し得る。これにより、労働者は筋骨格の健康に影響を与えることなく、この姿勢を維持でき得る。
図22に、膝の両側(大腿部の前部、および、ふくらはぎの前部)に、アンカー部材110を備えた前の例で説明したのと同様の技術をもって、ケーブル駆動アクチュエータ120を配置することによって達成されるソフト・ウェアラブル・デバイス100の実施形態の一例を示す。このアクチュエータ120は、すねの周囲にふくらはぎアンカー部材110(例えば、ふくらはぎのラップ・デバイス)を装着することで、すね、または、ふくらはぎに取り付けられ、次に大腿部アンカー部材110(例えば、大腿部ラップ)に取り付けることで、膝の上部に取り付けることができる。作動すると、しゃがんだ姿勢の間、膝のサポートを提供する力をケーブルが提供する。このデバイスは、しゃがむ姿勢を長時間維持する場合に、膝の障害を避けるために有用である。この活動は、経時的に持続する必要がある姿勢を含む。
もちろん、膝用ウェアラブル・デバイス100は、半能動的、または、受動的支援に対し、追加、または、代替として構成することができる。例えば、半能動的膝用ウェアラブル・デバイス100は、装着者の動作または姿勢によって、ウェアラブル・デバイス100で、どれだけの張力が生成されるかを制御するように構成された半能動的アクチュエータ120(例えば、クラッチ・システム、非逆駆動アクチュエータ、または他の適切な機構)を含み得る。張力のレベルを制御するために、半能動的アクチュエータ120は、接続エレメント150の長さを制御するように、および/または、上述の通り、所望の張力が生成されるように、1つ以上の適切な剛性の接続エレメント150を選択可能に係合するように構成され得る。さらに、または、代案として、接続エレメント150は、エネルギ貯蔵デバイス190(例えば、スプリング)を含む場合もあり、半能動的アクチュエータ120(例えば、クラッチ)は、このエネルギ貯蔵デバイス190を選択可能にロックおよびロック解除して、装着者の動作や姿勢から接続要素150によって吸収された装着者を支援するためのエネルギを、蓄積および解放するように構成し得る。受動的ウェアラブル・デバイス100は、膝を支援するために、少なくとも1つの胴部アンカー部材110を少なくとも1つの下肢上部アンカー部材110と、少なくとも1つの下肢下部アンカー部材110に直接または間接的に連結する受動的接続要素を含む場合があり、これにより、装着者の動作または姿勢によってウェアラブル・デバイス100内に張力が発生し、ウェアラブル・デバイス100は、装着者の少なくとも1つの膝関節の周りにモーメント(例えば、復元トルク)を提供する。
代表例 #3:頭上作業用肩サポート・デバイス
一例において、健康的な被験者が、頭上作業を実行して、頭上にある構造内のさまざまな部品を組み立てる必要がある場合がある。これは、例えば自動車業界では、工場労働者が車の下で組み立て作業を行う非常に一般的な作業である。一例としてこのような場合、作業者はテーブルから様々な部品(ねじ、ナット、その他のパーツのような)を掴み、腕を頭の上に伸ばして電動工具を使用して部品を構造物に取り付け、さらに/または、テーブルから新しい部品を掴むなどの複数の繰り返しを実行し得る。頭上の場所で作業を行うと、首と肩の筋肉に負担がかかる。肩の筋肉は頭上作業を行うと非常に早く疲労しがちであり、これが身体の姿勢および反応から生じる傷害の最も一般的な原因の1つとして考えられる理由である。
図23に示す通り、ユーザが腕を頭の上に伸ばしたときに、肩関節を過度な重作業から回避させるため、肩関節に支援を与えるように、ウェアラブル支援デバイスは、肩の周りに着用され得る。ウェアラブル・デバイス100は、さまざまな実施形態で、ウェアラブル・デバイス100を装着している人の胴部に配置するように構成された少なくとも1つのアンカー部材110と、ウェアラブル・デバイス100を装着している人の上腕部に配置するように構成された少なくとも1つのアンカー部材110と、少なくとも1つの胴アンカー部材110と少なくとも1つの上腕アンカー部材110を直接または間接的に連結する少なくとも1つの接続要素150を含み得る。これらの作業を支援するための能動的ウェアラブル・デバイス100は、一実施形態においては、肩アンカー部材110と腕アンカー部材110に接続され、肩と腕との間に延在するケーブル駆動作動システムを含み得る。アクチュエータ120は、電気機械式モータと、このモータを肩関節の一方に接続するボーデン・シースと、一方の端をモータに接続し、もう一方の端を腕に接続するインナー・ケーブルとを含み得る。たとえば、モータが動くと、接続エレメント150(インナー・ケーブル)が移動し、腕を上に動かすことを援助する。ケーブルが動くと肩関節に支持トルクを生成する張力を発生するように、腕の周りと胸部の側面に巻く衣服部品に取り付けられた腕の下のアンカーを、図23に示す通り、アクチュエータ120が有し得る。
いくつかの実施形態においては、本デバイスは、関節の角度/速度/加速度を測定する腕上のIMU、胸部上のIMU、このデバイスが支援している筋肉の筋肉活動を測定する1つまたは複数のEMG、アクチュエータ120内の圧力センサ、および/または、腕への支持力を測定するためのユーザとアクチュエータ120間の関節部分内の圧力センサのような、1つ以上の統合型センサ230を含み得る。これらのセンサ230は、ウェアラブル・システムに組み込まれ得る。
代表的な動作は、中立姿勢から頭上姿勢への肩の動きである。代表的な作動プロファイルは、ユーザが特定の肩の角に到達すると開始を、腕の角度に基づいてアクチュエータ120ユニットの所定の剛性を(アクチュエータ120が腕の角度に比例して支援を提供するように、つまり、アーム角度が大きくなると、 支持力が大きくなるように)、腕が下降し始め、回転速度の方向が変化した時に支援を停止またはオフセットを、示すことができる。
もちろん、肩用ウェアラブル・デバイス100は、半能動的、または、受動的支援に対しての、追加、または、代替として構成することができる。例えば、肩を支援する半能動的ウェアラブル・デバイス100は、装着者の動作または姿勢によって、ウェアラブル・デバイス100で、どれだけの張力が生成されるかを制御するように構成された半能動的アクチュエータ120(例えば、クラッチ・システム、非逆駆動アクチュエータ、または他の適切な機構)を含み得る。張力のレベルを制御するために、半能動的アクチュエータ120は、接続エレメント150の長さを制御するように、および/または、上述の通り、所望の張力が生成されるように、1つ以上の適切な剛性の接続エレメント150を選択可能に係合するように構成され得る。さらに、または、代案として、接続要素150は、エネルギ貯蔵デバイス190(例えば、スプリング)を含む場合もあり、半能動的アクチュエータ120(例えば、クラッチ)は、このエネルギ貯蔵デバイス190を選択可能にロックおよびロック解除して、装着者の動作や姿勢からエネルギ貯蔵デバイス190によって吸収された装着者を支援するためのエネルギを、蓄積および解放するように構成し得る。肩を支援するための受動的ウェアラブル・デバイス100は、少なくとも1つの胴部アンカー部材110を少なくとも1つの上腕アンカー部材110に直接または間接的に連結する受動的接続要素を含む場合があり、これにより、装着者の動作または姿勢によってウェアラブル・デバイス100内に張力が発生し、ウェアラブル・デバイス100は、装着者の少なくとも1つの膝関節の周りにモーメント(例えば、復元トルク)を提供する。
代表例#4:モジュール式ウェアラブル・デバイス
前の例で説明したデバイスを組み合わせて、膝、背中、肩、またはそれらの任意の組み合わせの、多数の関節を支援し得る。一例として、図24Cに示す通り、膝を支援するデバイス(図24A)は、背中を支援する衣服、および/または、肩を支援する衣服(図24B)と組み合わされ、所与の活動に更なる支援を提供し得る。例として、作業スペースに制約があるために、ある環境でしゃがみながら頭上作業を行う必要かあり、そのため、膝を支援するデバイスを、肩を支援するデバイスと組み合わせることができる。デバイスは純粋にソフトで、互いに影響しないため、これらのモジュールを縫い目がないかのように組み合わせることができる。
代表例#5:衣服の統合
提案された支援デバイスは、日常的に使用する一般的な作業服に統合され得る。図25A、図25B、図25C、図26A、および、図26Bは、ウェアラブル・デバイス100部品の統合のサンプル実施形態を示す。この図は、取り付け箇所のある作業着と、取り外し可能なケーブル駆動センサ、および、アクチュエータ120デバイスを含み、使用期間に作業着にクリックインできるシステムを示す。
衣服の統合は有益であり、なぜなら、(i)ユーザに日常的な衣服に精通したプラットフォームを提供し、(ii)衣服を誤って着用することが困難であるため、ユーザの位置合わせによるミスを減らし、(iii)汗や異物のために洗濯機で洗濯する必要がある布地は、洗濯不可能なセンサ230、電子部品、アクチュエータ120から容易に分離できる故、衛生的な懸念が容易になり、(iv)最初のユーザ調査から解決しない問題点である、ユーザが支援デバイスを装着しているという事実を、目立たなくする可能性があり、(v)より少数の部品故に、システムの着脱時間を短縮するからである。
図25Aは、ウェアラブル・デバイス100部品を使用して、通常の衣服の上に如何にシステムを装着するかを示す。 図25B、および、図26Aは、ウェアラブル・デバイス100部品として機能する、わずかにパッド入りの縫い付けられた挿入物を備えた典型的な作業服を示す。小型で密封式のBoa(登録商標)システムのダイヤル、または、Velcro(登録商標)のタブを使用すると、ユーザはシステムを起動したいときに、これらのわずかにパッド入りの挿入物に加圧力を追加できる。システムが使用されていない時は、ユーザはこれらの挿入物をたるんだままにできる。図25Cおよび図25Bは、ユーザがBoa(登録商標)システムのダイヤル、または、Velcro(登録商標)のタブを使用して締めた時に、サポートを提供することを目的とする、隠れたヨークや布片を使用した概念を示す。この設計は、加圧中にウェアラブル・デバイス100部品を衣服の最上層の下に隠しておくことができるため、特に有益であり、これは、一部のユーザにとって、上品さと知覚における懸念である。
例6:頭上作業をサポートするための肩支援制御の最適化
一例において、健康的な被験者が、頭上作業を実行して、頭上にある構造内のさまざまな部品を組み立てる必要がある場合がある。これは、例えば自動車業界では、工場労働者が車の下で組み立て作業を行う非常に一般的な作業である。一例としてこのような場合、作業者はテーブルから様々な部品(ねじ、ナット、その他のパーツなど)を掴み、腕を頭の上に伸ばして電動工具を使用して部品を構造物に取り付け、さらに/または、テーブルから新しい部品を掴むなどの複数の繰り返しを実行する可能性がある。
頭上の場所で作業を行うと、首と肩の筋肉に負担がかかる。肩の筋肉は頭上作業を行うと非常に早く疲労しがちであり、これが身体の位置から生じる傷害の最も一般的な原因の1つとして考えられる理由である。
図27に示す通り、ユーザが腕を頭の上に伸ばした時に、肩関節の過度の重作業を回避するため、肩関節に支援を与えるように、ウェアラブル支援デバイスは、肩の周りに着用され得る。いくつかの実施形態においては、本デバイスは、関節の角度/速度/加速度を測定する腕上のIMU、胸部上のIMU、このデバイスが支援している筋肉の筋肉活動を測定する1つまたは複数のEMG、アクチュエータ120内の圧力センサ、および/または、腕への支持力を測定するためのユーザとアクチュエータ120間の関節部分内の圧力センサのような、1つ以上の統合型センサ230を含み得る。
代表的な動作は、自然な位置から頭上の位置への肩の動きである。代表的な作動プロファイルは、ユーザがしきい値の肩の角度に到達すると開始を検出し、腕の角度に基づいてアクチュエータ120ユニットの所定の剛性(アクチュエータ120が頭上動作の開始として考えられる初期角度に対して腕の相対的な角度に比例して支援を提供するように、アーム角度が高大きくなると、 支持力が大きくなるように)、および、腕が下降し始め、回転速度の方向が変化した時に支援を停止またはオフセットを送達し得る。
最適化アルゴリズムを使用すると、デバイスが対象とするように構成されている筋肉の過度の重作業を避けるために、ウェアラブル・デバイス100から適切な量の支援を選択できる。たとえば、目的関数は、上部僧帽筋などの対象筋肉のピークになることがあり、この場合、作業の実行中にその特定の筋肉の過度の重作業を避けるために、この値を最小化することが目的となり得る。
最適化に適したパラメータには、関節角度の関数としての作動プロファイルのオフセットと剛性が含まれるが、これに限定されない。アクチュエータ120の剛性が高くなるということは、ウェアラブル支援デバイスは、よりサポート力が高くなったと感じることを意味し得るが、同時に、剛性が大きすぎると、最適な結果が得られない場合があり、それは、スプリングが強すぎるということは、速すぎる、または、制御されていない動作を実行しないように、ユーザがこの固い要素に対して抵抗を与える必要があることを意味する可能性があるからである。腕の角度に応じた作動のオフセットも重要なパラメータであり、これは、腕を支持するアクチュエータ120が、ユーザが腕を下げ始めるときに透明になる、または、支援を減少する必要があり得るからである。剛性に基づく簡略化された支援プロファイルの一例を図27に示す。図27に、アクチュエータ120の力と腕の角度の例示的なグラフを示す。アクチュエータ120の力、つまり、肩への支援が、腕の角度に比例して提供される剛性であることを、簡略化した作動支援が表わしている。
個人ごとに、異なる方法で作業を実行し得る。さらに、能動的なデバイスを装着している間、デバイスにより提供される支援や、デバイスに関連する最適化に対し、様々な方法で装着者は反応することができる。目的(例えば、筋肉活動)の最適化に基づいてデバイスの支援(例えば、剛性)パラメータを自動的に最適化するアルゴリズムを使用すると、個人ごとにシステムからの向上したメリットを受けることができ、デバイスは、わずかに異なる活動に合わせて自動的にカスタマイズされ得る。このように、オンライン最適化プロセスを使用して、パラメータ化された支援プロファイルを最適化し、目的関数を最大化する肩用(または、上肢用)の能動的なウェアラブル・デバイス100は、様々な活動や様々なユーザに使用できる。ウェアラブル支援デバイスは、ここに説明する最適化手法に従って、支援パラメータを自動的に調整できる。
最適化プロセスは、初期設定または探索ポイントに基づいて目的を評価し、収集したデータを使用してプロファイルを更新し、次の候補探索ポイントを決定し、これらの設定で目的を評価し、収束基準等をチェックすることができる。この最適化の一例を、図28に示す。
上記で説明した通り、2つのパラメータを使用したベイジアン最適化を使用した例と同等の方法を使用して、様々な目的に対して最適な支援パラメータを見つけることができる。たとえば、一実施形態においては、作動パラメータと目的関数の関係が不明または複雑な場合に、ベイジアン手法を使用して、1つ以上の作動パラメータを最適化できる。
以下の疑似コードは、ベイジアン最適化を使用したこの例のプロセスを示す。
例7A:荷重の持ち上げをサポートするための背中支援制御の最適化
図29A、図29B、および、図30を参照して、小から中程度のレベルの支援(快適な歩行中に典型的な関節トルクの20−30%)と、提案されたロボット型服装プラットフォームの低慣性および非制限的な性質と、支援が装着者の基礎となる筋肉関数と同期する必要があるウェアラブル・ロボットの制御への現存する新たな機会との組み合わせのさらなる例を提供する。持ち上げ、または、静的な姿勢を保持したりするような作業中に、20%〜30%の範囲で、背関節と股関節に適切な時間をかけた支援を提供することで、工業労働者は能力を向上させ、障害のリスクを低減できると仮定する。
制御アルゴリズムは、EMG測定、および、関節の運動特性/動特性に基づいてデバイス・パラメータを最適化し得る。センサ230からのリアルタイムのデータを使用して、作業中の対象筋肉の筋肉活動、関節角度位置、速度、および、人間とロボット型服装の間の相互作用力を推定し、この情報を使用して支援プロファイルを最適化することができる(負荷と作動の開始の観点から)。デバイスを使用している監視対象期間中、装着者の中立運動特性および筋肉活動に関する検知情報が(支援が適用されていない時に)ベースラインとして収集される。この初期期間の後、ユーザは胴部と大腿部の間の相対角度に基づいて、初期の所定負荷を備えたデバイスを装着する。その後、アルゴリズムは、EMGの活動と装着者の運動特性を継続的に監視し、ユーザの自然な運動特性や動特性、および、筋肉活動に望ましくない影響を与えないことを保証しつつ、基本的な筋肉の負荷軽減の程度を最適化する。
次の作動−膝をまっすぐにしたまま前方の物を持ち上げる(かがみ上げ)、膝を曲げながら前方の物体を持ち上げる(しゃがみ上げ)、 かがむことと、しゃがむことの両方の胴のねじれ動作に続いて両側に物を持ち上げる(建設、配送、物流、軍事物流、製造などの複数の業界で一般的な動作)、さまざまな胴の角度で静的姿勢を保持する(外科医、介護者、製造業などで一般的な姿勢であり、背中に負担がかかり、最終的には障害につながる可能性あり)−は、最適化が重要であると挙げられる。この場合のアルゴリズムは、次の要素で構成される:
上述の動作を区別するための分類アルゴリズム:様々な動作をサブグループに分類するためのオンボード・センサ230(慣性測定ユニット)。この分類は、関節角度、速度、または加速度の変化を検出して、動作が何時開始したかを定義し、動作の方向(矢状面上で胴が曲がる(正面での持ち上げ)か、胴が曲がってねじれる(側面でのリ持ち上げ)か)を検出して、かがみ上げか、しゃがみ上げか(脚が胴と同調して動くか、脚が動かない(セグメント速度がしきい値を下回っている)か)を定義することを使用して開発される。
定義された目的関数を最大化または最小化するために、デバイス・パラメータを最適化する最適化アルゴリズム。
被験者は、ベースラインの運動特性、動特性、筋肉活動を収集するために、デバイスが稼働していない時に、記載の動作の繰り返しを幾度も実行する。この後、最適化アルゴリズムがオンボードのセンサを使用してデバイス・パラメータを最適化し、所望の目的関数を最大化または最小化する間に、被験者は各動作の繰り返しを幾度も実行する。受動的負荷は、一部のユーザに対して予め定義された動作の下で、背関節を負荷軽減する場合に有効であることが実証されているが、受動的デバイスを適応させることができないため、これらのデバイスは異なるユーザ、および、異なる動作に適用することは制限される。この場合、デバイスの負荷(剛性、減衰など)のプロパティと作動の開始は、異なるユーザ、および、異なる動作用に最適化される。このデバイスは、生物系関節の動きに応じて、仮想負荷(例えば、スプリング、ダンパ)として動作できるように、負荷制御されている。この仮想負荷のプロパティと作動の開始を定義するパラメータは、考慮される各活動に対して最適化され、各動作および各ユーザに対して独立したパラメータのセットが作成される。
最適化できる目的関数のサンプルは以下を含む:
腹部領域の筋肉の活動に影響を与えることなく、背部の主な筋肉群の減少の程度を最大化(RMS、および/または、ピーク)すること。提案された装置は、背部で筋肉の挙動を模倣する力を生成するので、腹筋および背筋の共収縮は構造の剛性を保障するために重要であり、 腹筋を正常な活動に維持することは、傷害のリスクに悪影響を与えないために重要であると考える。
物を持ち上げる時に物が身体から離れていることを意味するような方法で運動特性に影響を与えずに、背中の主な筋肉群の減少を最大化(RMS、および/または、ピーク)すること。オンボードのセンサが、物から身体までの距離、および、背筋のEMG活動を評価するために使用される。物と身体の間の距離は、障害のリスクに影響を与える主な要因の1つと見なされ、荷重を保持または持ち上げるための力が増加することを意味する。
リフト値を増加せずに、背筋の負荷軽減の程度を最大化(RMS、または、ピーク)すること−リフト値は、持ち上げを実行するリスクがどの程度重要かを評価するNIOSHによって開発された方程式である。この方程式は、物に対する身体の水平距離と垂直距離、物を持ち上げるときの非対称角度、および、各活動の頻度と持続時間の関数である。結果のインデックスは、負傷のリスクを最小限に抑えるための目的の一部として使用され、運動特性がどのようにでも変化すると、持ち上げのインデックスが変化する。
我々の目標は、作業が体系化されていない実際の産業環境で、これらのシステムを、使用可能にすることである。提案された方法は、デバイスが支援する意図の予め定義された各動作に対してユーザがどのように動作するかを示す関数である、力プロファイルの開始、および、負荷などのパラメータを最適化すると仮定すると、 最適化が、提案された各活動にとって最適な負荷と開始を見つけた後、リフト値が最適化に使用された条件と同一でなくとも、人間の動きに基づいて最終の力にある程度の適合が成されることを予期する。
例7B:荷重の持ち上げをサポートするための背中支援制御の最適化
作業を実行する時にある環境では、身を屈めて作業する必要がある。これにより、下背部に負担がかかり、慢性的な背部痛やより重大な長期的な背部の障害につながるおそれがある。例1で説明したものと同様のデバイスを身体に取り付けて、下背部のサポートを提供することができる。この場合、支援デバイスは、2つのアンカー110(1つは腰に、2つ目は胸部の周囲に)を介して身体に取り付けられたアクチュエータ120で構成される。サンプル・システムは、ユーザが物を持ち上げたり、前方に身体を曲げたり、物に手を伸ばしたりするときに、背中に支持力を加えることができるように、背中の後ろに膨張可能なデバイスを含み得る。このようなデバイスは、腰筋活動を低下させる可能性がある。
もう1つの実施形態においては、図21で説明する物のように、背中用のケーブルベースの作動手法が使用できる。上体と腰に1つ以上のアンカー部材110を使用でき、これらのそれぞれにケーブルを取り付けることができる。アクチュエータ120が力を加えると、持ち上げや運搬のような、ここで説明するいくつかの様々な作業を実行するときに、背筋が必要とする労力を減少するためのトルクを生成することができる。
一例として、この応用例では、ユーザが地面から物を持ち上げ、自分の前の棚に置く必要がある繰り返し動作に焦点を当てる。この応用例では、オペレータがこれらの物を持ち上げるために前方に身体を曲げなければならないような環境である。
一例としてのデバイスは、胴の角度を測定するために胸部のIMUと、対象筋肉の筋肉活動を測定するための1つ以上のEMGと、背中サポート・デバイスの支援の度合いを測定する圧力センサ、および、圧力センサ等のセンサ230を組み合わせて含み得る。
目的関数を最適化するために最適化アルゴリズムを設定し得る。例としての適切な目的には、腰部、または、胸郭の脊柱起立筋のピークEMG、ハンドルまたは入力装置を使用したユーザ自己評価の快適性、各持ち上げを実行する時間、および、姿勢などを含み得る。例えば、しゃがむ姿勢の間、膝を支援するデバイスでは、デバイスがどの程度の支援を提供するかによって、装着者の姿勢が改善される場合がある。完全な姿勢とは、一実施形態においては、作業の実行中にユーザが背中をできるだけまっすぐにする姿勢、または、デバイスを装着していないときにできるだけまっすぐに近い姿勢(背中の基準角度)と、定義できる。
この場合、目的関数は、加重関数を使用して、これらのパラメータを1つ以上含めることができる。例えば、目的関数には、ユーザの自己評価に関連する目的と上記の作業の時間が含まれ、主観的な測定(ユーザ依存)と客観的な測定(作業能力の予測)の両方が含まれるように、各パラメータが0.5の重みを持ち得る。この応用例では、ユーザが選択する快適性を0から1の値として評価でき、各持ち上げを実行する時間は、持ち上げの最大値と見なされる数値に正規化され、この値も0から1の間になる。両目的は、異なる単位を有するため、加重関数を使用して両測定が追加され得るように、説明のように正規化が適用される。
この応用例では、作業を実行するときに、快適さのレベルをハンドルで選択するようにユーザに指示することができる。作業を実行する時間は、ユーザが物に手を伸ばすために胴体を曲げ始める時と、ユーザが最初の位置に戻るまでの間の経過時間として定義できる。背中のIMUを使用して、背中の速度または加速度の変化を検出することで、ユーザがいつ動作を開始しているか、 そして持ち上げが完了した後、開始したところと同様のよりまっすぐな位置にユーザが戻って胴体を減速することを検出することができる。これは、背面のIMUを使用し、速度、加速度、および、角度の変化を探すことで推定し得る。
アクチュエータ120は、作業実行中にさまざまな量の支援を提供するように制御できる。この応用例では、システムは胴体の曲げを伴う作業中に下背部の支持を提供しているので、支援はIMUなどのセンサによって測定される胴の角度の関数として送達され得る。これを行うためには、支援プロファイルを2次多項式f=kθ2としてパラメータ化できる。図31は、パラメータkを変更することによる代表的な支援プロファイルの例を示す。剛性値が高いと、曲げ動作中の胴体角度の関数として、背中により大きな支援を受けることを意味する。
この動作を支援する最適化アルゴリズムの一実施形態においては、アルゴリズムは、支援の量を制御しながら身体の姿勢を最適化するという目的を有することができる。荷重を持ち上げる間は、できる限り背中をまっすぐにしておくことが人間工学的ガイドラインに従って有益であるため、最適化アルゴリズムでは、最適化の目的として背中の角度を使用することができる。この応用例では、アルゴリズムは、まっすぐな姿勢を基準に背中の角度を最適化すると同時に、アクチュエータ120の剛性を調整し得る。この応用例では、最適化される変数はアクチュエータ120における剛性の量であり、目的は作業実行中のピークの胴角度になる。作業者が初めてある作業を実行している状況で、できる限り多く支援するが、同時に、作業を実行している間に適切な身体姿勢を促進することは、特に有用である。
例8:長時間立っていることをサポートするための背中支援制御の最適化
長時間、静的姿勢を保持すると、身体の一部の領域が緊張状態になり得る。背中の障害、または、疲労は、十分な回復時間無しに、ある姿勢を長期間維持することによって発生する可能性がある。この問題を軽減するために、その間にユーザの背中がより少ない労力を使えばいいように、支援デバイスは背中にトルクを提供できる。これにより、労働者は筋骨格の健康に影響を与えることなく、この姿勢を維持できる。
この応用例では、図21に示すようなデバイスが上記のように役立つことができる。アクチュエータ120が力を提供する場合には、立っている姿勢の間、それが背中のサポートを提供できる。このデバイスは、立っている姿勢を長時間維持する場合に、背中の障害を避けるために有用であり得る。
適切な最適化には、デバイスの消費電力、背関節周辺の筋肉のEMG、全体的な姿勢を含み得る。例えば、装着者が立っている姿勢のときに背中を支援できるデバイスは、デバイスがどの程度の支援を提供するかに応じて、装着者の姿勢を改善できる。この場合、完全な姿勢とは、作業の実行中にユーザがまっすぐに立っている(背中が可能な限りまっすぐに)、または、デバイスを装着していないときにできるだけまっすぐに近い姿勢(背中の基準角度)と、定義できる。
目的関数は、同じ作業を実行するときに、装着者が通常有する姿勢と比較して、装着者の全体的な姿勢に影響することなく、できる限り多くの支援を提供できる。本装置は、背中の角度を測定する、大腿部や胴のIMUのようなセンサ230を統合できる。デバイスが完全に透明なモードに設定されている(つまり、作動していない)が、オンになっている場合、 このシステムは、ユーザがデバイスを装着していないときと同じ方法で作業を実行できるが、同時に、センサとデバイスの情報を測定および記録できる。この完全に透明な状況では、デバイスは背中の角度を記録して、支援開始時の基準として使用する。次のステップでは、アクチュエータ120が初期張力(中張力)を加え、また、最適化アルゴリズムは、デバイスが完全な透明モードになったときにユーザが有していた角度に対する関節角度との誤差を最小限に抑えながら、支援のレベルを調整し得る。
この最適化は、ユーザがこの活動を実行したときの経験を考慮して、タスクの全体的な人間工学を変更することなく、デバイスが可能な限り多くの支援を提供していることを保証することに有用である。人間工学を使用して開始するのが理想的ではない他の状況では、作業を実行するときのユーザの関節角度と、その作業を実行するときのOSHA推奨の身体姿勢などの参照との誤差を最小限に抑えるようにデバイスを設定できる。この同じ概念は、荷重の持ち上げや運搬などにも適用可能である。
例9:荷重の運搬をサポートするための背中支援制御の最適化
上記の例3で説明したように、この方法は荷重の運搬にも適用でき、この場合も同様に、適切な最適化には、デバイスの消費電力、背関節周辺の筋肉のEMG、全体的な姿勢を含み得る。例えば、装着者が荷重を運搬するときに背中を支援できるデバイスは、デバイスがどの程度の支援を提供するかに応じて、装着者の姿勢を改善できる。この場合、完全な姿勢とは、作業の実行中にユーザがまっすぐに立っている(背中が可能な限りまっすぐに)、または、デバイスを装着していないときにできるだけまっすぐに近い姿勢(背中の基準角度)と、定義できる。
目的関数は、同じ作業を実行するときに、装着者が通常有する姿勢と比較して、装着者の全体的な姿勢に影響することなく、できる限り多くの支援を提供できる。本装置は、背中の角度を測定する、大腿部や胴のIMUのようなセンサ230を統合できる。この場合、この作業を実行する時に、関節角度とOSHA推奨の身体姿勢との誤差を最小限に抑えることが目的となり得る。
この最適化は、全体的な人間工学を保証するために最大限の支援を提供することにより、デバイスが可能な限り多くの支援を提供していることを保証することに有用であり得る。
例10:道具を握ることをサポートするための手の支援制御の最適化
部品を1日に何時間も握ることは危険の原因となり、手の力を加えると手や手首の障害のリスクが増加する。長時間手で握ることは、従業員にとり、手や手首の障害の原因となることが頻繁にある。工具は、制御を維持するために十分にしっかりと手に持つ必要があるが、過度にきつく持つ必要はない。静的な握る力を軽減する手袋は、障害や過度の重作業を避けることに有用である。高摩擦材を使用した静的な手袋は、電動工具の握りを向上させるために使用されているが、必要に応じて握りに支援を提供し、電動工具を制御してしっかり握ることを維持するためにユーザが出さなければならない力の量を軽減する能動的なデバイスは、作業能力を強化し、障害のリスクを緩和し得る。
複数の作業では、追加の手または手首のサポートが必要になる場合があり、説明のためのいくつかの例を以下に示す。
1.例えば、物を長期間保持すること。
2.ボタンを繰り返し押すとか、道具を起動するためにトリガを押すこと。例として、ドリルを持っている場合、ユーザはそれを起動するときにはトリガを押す必要がある。道具のトリガを1度押すだけでは、ユーザはほとんど何の努力もする必要はないが、道具のトリガを何度も押す必要がある場合、疲労および手根管症候群などの他の合併症をもたらす可能性がある。
3.器具を手で締め付けるなどの物を扱うこと。
図32に示す通り、支援デバイスの一例は、加圧されたときに各指に支援を提供することができる、各指の背面に1つの作動ユニットを含むことができる。このようなデバイスの利点を享受する製造業の一般的な活動は、電動工具を長時間持つことである。手の支援デバイスには、指の遠位部分に配置されたアンカー部材110(例えば、図に示すように指の先端)、および、手首に配置された別のアンカー部材110(図示通り)、または、支援する関節の近位側(例えば、指の関節)に位置するその他の適切な身体部位(例えば、指の近位部分;指の付け根や手のひら)が含まれ得る。
最適化アルゴリズムを適用して、電動工具を長時間持つような作業を実行する時や、工具のトリガを1日に何回も押すなどの作業を実行する時に、健康なユーザの手を支援できる。幾度もの繰り返しや持続的な活動は、過度の重作業やその他の影響をもたらし得る。
通常、人差し指は道具内のトリガを押すために使用され、残りの指は道具をつかんで保持するために使用される。
この応用例では、道具を長時間持続的に握ることに焦点を当てる。
この最適化問題の目的の一例としては、筋肉活動などの装着者の力に関連するものが挙げられ、この場合、握っている間の指屈筋のピークの筋肉活動が挙げられる。
支援手袋には、1本の指に1本のアクチュエータ120が含まれ得て、このアクチュエータは、一方の側を各指の先端に、もう一方の側を手首に固定する手袋に内蔵される。
この最適化問題を制御するための適切なパラメータは、作動の大きさである。デバイスは、ピークのEMG活動を低減するために、より多くの作動を提供する。
この問題に適した目的関数は、つかみの安定性、または、つかみの質である。オブジェクト境界に垂直に適用された力の成分の合計など、握りの質を向上させるための優れたプロキシとなり得る多数の関数があり、これは、外部の障害が加えられたときにオブジェクトが耐える内部力を示す。従って、品質測定値は、オブジェクトに適用された力の垂直成分のモジュールの合計として定義できる。最適化アルゴリズムは、このメトリックを最適化の変数として使用できる。デバイスにはセンサ230が内蔵され、指の表面の下に内蔵されたデバイスにかかる垂直力を測定する。
ただし、作業者は電動工具を長時間保持している可能性があるため、2番目の目的は、作業者がその工具を使用し得るプリセットされた時間(例えば、2時間)の間、握ることを継続した場合に残っているバッテリのレベルを推定することとして定義されたバッテリの使用量である。これを測定するためには、デバイスが現在使用している電力量とバッテリに残っている電力を、バッテリの電圧を読み取ることで測定できる。バッテリの目的は、2時間使用した後に残っているバッテリを最大化することである。
目的関数は、0.7と0.3の相対ウェイトを、2時間使用した後の握りの質と予測されるバッテリ残量に対して、それぞれ与え得る。ただし、2時間の使用後に予測されるバッテリ残量が10%未満になると、各目的のウェイトは0.4および0.6に変わる。
作動間隔は、上述の目的を最適化するために、各指に適用される圧力の大きさが変化するようにパラメータ化できる。
この問題を解決するには、ベイジアン法の最適化や勾配降下法などの最適化アルゴリズムを適用できる。
例11:しゃがむ姿勢をサポートするための膝支援制御の最適化
一部の活動では、ユーザが長時間しゃがんだ位置に固定される必要がある可能性がある。一例として、労働者が狭い場所で作業を行わなければならない場合は、長時間ひざまずいて作業を行うしゃがんだ位置に留まる必要がある。膝の障害は、十分な回復時間無しに、非人間工学的姿勢を長期間維持することによって発生する可能性がある。この問題を軽減するために、その間にユーザの膝がより少ない労力を使えばいいように、支援装置は膝にトルクを提供し得る。これにより、労働者は筋骨格の健康に影響を与えることなく、この姿勢を維持でき得る。
戻って参照すると、図22に、膝の両側(大腿部の前部、および、ふくらはぎの前部)に、アンカー部材110を備えた前の例で説明したのと同様の技術をもって、ケーブル駆動アクチュエータ120を配置することによって達成されるソフト・ウェアラブル・デバイス100の実施形態の一例を示す。このアクチュエータ120は、すねの周囲にふくらはぎのラップ・デバイスを装着することでふくらはぎに、次に、大腿部ラップに取り付けることで膝の上部に、取り付けることができる。張力をかけると、アクチュエータ120は、しゃがむ姿勢の間、膝のサポートを提供する力を提供し、この装置は、膝の障害を避けるために、しゃがむ姿勢を長時間維持する場合に有用である。この活動は、最適化アルゴリズムが、このデバイスが膝に提供する支援の量を最適化するのに有用である、経時的に維持する必要がある姿勢を含む。
適切な最適化には、デバイスの消費電力、膝関節周辺の筋肉のEMG、全体的な姿勢を含み得る。例えば、装着者がしゃがんでいる姿勢のときに膝を支援できるデバイスは、デバイスがどの程度の支援を提供するかに応じて、装着者の姿勢を改善できる。この場合、完全な姿勢とは、作業の実行中にユーザがまっすぐに立っている(背中が可能な限りまっすぐに、膝が可能な限りまっすぐに)、または、デバイスを装着していないときにできるだけまっすぐに近い姿勢(背中と膝の基準角度)と、定義できる。
目的関数は、同じ作業を実行するときに、装着者が通常有する姿勢と比較して、装着者の全体的な姿勢に影響することなく、できる限り多くの支援を提供できる。本装置は、膝と背中の角度を測定するために、IMUのようなセンサ230を、ふくらはぎ、大腿部、および、背中に統合できる。デバイスが完全に透明なモードに設定されている(つまり、作動していない)が、オンになっている場合、 このシステムは、ユーザがデバイスを装着していないときと同じ方法で作業を実行できるが、同時に、センサ、および/または、デバイスの情報を測定および記録でき得る。この完全に透明な状況では、デバイスは膝と背中の角度を記録して、支援開始時の基準として使用する。次のステップでは、アクチュエータ120が初期張力(中張力)で張力をかけられ、また、最適化アルゴリズムは、デバイスが完全な透明モードになったときにユーザが有していた角度に対する関節角度との誤差を最小限に抑えながら、支援のレベルを調整し得る。
この最適化は、ユーザがこの活動を実行したときの経験を考慮して、タスクの全体的な人間工学を変更することなく、デバイスが可能な限り多くの支援を提供していることを保証することに有用である。エルゴノミクスを使用して開始するのが理想的ではない他の状況では、作業を実行するときのユーザの関節角度と、その作業を実行するときのOSHA推奨の身体姿勢などの参照との誤差を最小限に抑えるようにデバイスを設定できる。この同じ概念は、持ち上げや荷重の運搬などにも適用可能である。
例12:荷重の持ち上げをサポートするための肘支援制御の最適化
物を持ち上げるときは、物の重量を保持するために肘のサポートが必要になる場合がある。図27に示すデバイスに類似したデバイスは、一方の端を前腕に、もう一方の端を腕に付けることによって肘に装着することができる。張力をかけると、デバイスは肘関節に支援を提供することができるため、ユーザが行う必要のある努力のレベルを最小限に抑えることができる。
適切な最適化には、デバイスの消費電力、および、肘関節周辺の筋肉のEMGを含み得る。例えば、装着者が荷重を持ち上げるときに肘を支援できる装置では、目的関数として肘関節の周囲の筋肉のピークEMG活動を使用できる。
本デバイスは、肘の角度を測定するために、腕や前腕にIMUなどのセンサ230を組み込むことができ、また、肘の対象筋肉の筋肉活動を測定するEMGを含み得る。最適化するための適切なパラメータは、支援のレベルでありうる。
一例のパラメータ化された支援は、肘の角度に基づく負荷機能(剛性)として定義できる。負荷係数は、目的関数を最大化または最小化するためにアルゴリズムによって最適化され得る。
この最適化は、対象のEMG筋肉を減少しつつ、デバイスが可能な限り多くの支援を提供していることを保証することに有用であり得る。
背関節、および/または、股関節を支援するウェアラブル・デバイス
しばしば人々は、疲労、生産性の低下、および、ついには障害の増加につながり得る作業を実行する。過度の重作業による障害および疲労は、産業(倉庫、物流、製造、介護など)、スポーツ、消費者、高齢者などの用途において、経済的かつ公衆衛生的問題をもたらす。背部痛、疲労、および傷害は、私達の生命、および、仕事に有効な私達の機能に、多大な影響を及ぼす共通の障害の1つである。装着者の関節に支援を提供し、持ち上げ、手を伸ばす、静止姿勢の保持などの作業中の動作や姿勢を支援することにより、疲労を軽減し、生産性を向上させ、そして/または、負傷のリスクを軽減するウェアラブル・デバイス 100 は、生産性、より多くのことを行う能力の強化、疲労の軽減、および、負傷のリスクの緩和に大きな影響を与え得る。
図36に、持ち上げ、および/または、手を伸ばす作業の間、ユーザの動作または姿勢を支援するために着用され得るデバイスの概念を図示する。これらの作業は、産業環境(例えば、倉庫、物流、自動車、建設、介護)、高齢者、消費者、レクリエーション、および、スポーツにおいて共通である。ロボット型服装は、必要に応じて(例えば、持ち上げや手を伸ばす作業)支援力を提供することができるだけでなく、所望の場合(例えば、トラックの運転中、昼食を取っている、休憩中)には、完全に透明になり、支援を必要としない作業中は目立たないようにすることができる。つまり、ロボット型服装は、必要なときには支援できるが、それ以外の場合は全く目立たなくなることができ、仕事の日全日にわたり、潜在的に着用可能である。
ロボット型服装は、対象関節の両側に固定することにより、1つ以上の関節を支援するように構成され、動作中、および/または、姿勢中のサポートを提供する支援張力を装着者に提供できる。一実施形態においては、能動的なデバイスは、背関節と腰関節の両方の関節を横断する張力を提供することで、両方を支援し得て、これは、このような持ち上げなどの作業中に筋肉と腱が力を生成する方法から発想されたものである。
図37Aに、張力がどのようにして背関節および股関節全体に支援トルクを生成することができるかを示す。張力は、回転中心(モーメント・アーム)から少し離れて関節を横断し、これが、関節の動作、および/または、姿勢を支援し、筋骨格系の疲労やストレスを軽減するためのトルクを関節の周囲に生成する。実施形態の一例として、股関節と背関節にわたる張力は、腰および背中の動き、および/または、姿勢を支援するトルクの支援に変わり得る。このシステム構成は、持ち上げ、静的姿勢の保持、手を伸ばす作業などの数々の活動中に装着者を支援するのに有用である。
図37Bに、図37Aに示される構造に従い、背関節および股関節を支援することができる十分に携帯可能なデバイスの実施例を示す。このデバイスは、ユーザの大腿部および肩の周りを覆う布地部品を含む場合があり、さらに、システム部品を身体に固定できるように、ひとつの布地部品が腰の周囲を覆う場合がある。現在の実装では、システムは2つのアンカー部材110(脚ごとに1つ)を含み、両方のアンカー部材110は負荷バランス・ストラップ112を介して接続され、下背部に1つのアンカー部材110(アンカー1)を生成し得る。負荷バランス・ストラップ212は、図13に示すように、低摩擦ローラ、ベアリング、プーリ、低摩擦バックルなどの要素を介してアンカー部材110に対してスライドすることができる。負荷バランス要素212により、ユーザは歩行などの作業中に脚を自由に動かすことができ、胴、および/または、両脚を曲げることを含む作業(持ち上げ、手を伸ばす等)の間にウェアラブル・デバイス100内に張力を生成する。さらに、この負荷バランス要素212は、荷重を両方のアンカー部材110に分割することにより、両脚に張力を分配する。胴の上部では、肩ストラップが装着者の肩の周りを覆い、図37Bに示すように上背部にアンカー・ポイントを生成する。さらに、快適性とモーメント・アーム(関節の回転中心とウェアラブル・デバイス100の張力との相対距離)を最大化するために、コンフォーマルな布地要素(例えば、パッド、フォーム)を背中のシステムに追加し得る。この要素は、バッテリや電子部品などのシステム部品をまとめるポケットを含む場合がある。
ケーブル駆動システムなどのアクチュエータ120部品は、システム内の2つのアンカー部材110(アンカー1およびアンカー2)の間に接続され得る。モータが回転すると、接続要素150がプーリの周りに巻き付き、図34A、図34B、図34C、および、図38に示す通り、2つのアンカー部材間に力を発生させる。例として、2つのモータを使用して、背関節および股関節に張力を個別に提供できる、代替手法とアンカー部材110を、考慮する必要があることに注意すべきである。持ち上げ、および、静止姿勢保持の間に、股関節、および、背関節の間に相乗効果があることを考慮して、ここでは、両関節を同時に支援する実施形態の説明に焦点を当てる。これは、腰部および背部の両方に個々に支援を提供する、つまり、腰部および背部を独立して支援する解決策と比較するに、重量、複雑さ、および、原価を削減する利点がある。また、流体(空圧、油圧)、電気活性材料、電気機械式作動システム、ケーブル駆動式作動システム、代替変速装置材料(例えば、ひも、ケーブル、リボン、テープ材)、クラッチ等の代替作動手法を使用して、異なるアンカー部材110に渡り張力を生成し得ることも、留意すべきである。
図38は、モータ121とケーブル変速装置システム(一連のガイド127)を含む電気機械式アクチュエータ120システムの詳細設計と実装を示す。一例として、システムには、一般的に消費者向け応用例(ドローン産業等)に使用されるモータであるTモータが組み込まれているため、他の可能な選択肢よりも高い能力と低コストを実現し得る。モータ121の軸122(図示せず)は、第2の回転プーリ要素124(出力ベルト・プーリ)に接続する第1の回転プーリ要素123(入力ベルト・プーリ)に、タイミング・ベルト126を使用して接続されており、両プーリ123と124のサイズの比率は、システムの当初のギヤ減速(この場合は2:1)に適合している。モータ121が回転すると、この動作はタイミング・ベルト126を介して出力プーリ124に伝達される。接続要素150は、出力ベルト・プーリ124に接続された第3の回転プーリ要素(例えば、スピンドル)に巻き付く。
図38に示す通り、一連のガイド127(例えば、プーリまたは、ケーブル・プーリ)介して、更なる減速が達成される。前述の通り、この概念は、摩擦、非効率性、および、ノイズなどのいくつかの欠点が無く、ギヤ減速の利点を取り込むことができる、ギヤボックスに対する代替案として機能する。図38は、作動要素150を回転要素、または、低摩擦要素の周囲に通すことで、(n+1):1の比率(nは回転要素、または、低摩擦要素の数)のギヤボックスを有するのと同等の減速を如何に達成するかを示す。この場合、5個のプーリを使用して、6:1の減速を達成する。この方式で6:1の比率を組み込む利点は、この6:1の減速を加えることによって、プーリのサイズがより小さくでき、作動の実装とサイズに役立つことである。
図38に示すように、アクチュエータ120には、第1のアンカー部材110に結合された第1の平面部材128と、第2のアンカー部材110に結合された第2の平面部材129とを含み得る。複数のガイド127(例えば、回転プーリ要素、低摩擦グロメットまたはスタッドなど)は、第1の平面部材128と第2の平面部材129の上に配置され得て、接続要素150(例えば、ケーブル、リボンなど)は、第1の平面部材128と第2の平面部材129上の対向するガイド127を交互に通過して、第1の平面部材128と第2の平面部材129を結合する接続要素150の第1の端部151は、第1のアンカー部材110に固定され、可撓性の細長い要素150の第2の端部152は、モータ121に連結され得る。作動モータ121は、接続エレメント150の第2の端部152を引くので、第1のアンカー部材110と第2のアンカー部材110を互いに引くことになる。
別の実施形態(図示せず)においては、ガイド127は平面部材ではなく、第1のアンカー部材110、および、第2のアンカー部材110に、追加して、または、代替として、直接結合し得る。当業者は、平面部材構造が、アクチュエータ120をウェアラブル・デバイス100に選択可能に装着したり、切り離したりできるようになっていることを、認識するであろう。
前方の図39A、図39B、図40A、図40B、図41A、および、図41Bを参照して、代替のケーブル駆動作動システムの設計を示す。図に示すように、この作動要素にはウェアラブル・デバイス100のクイック・アタッチメント機能が含まれており、設計上、布地部品を機械加工された機構に取り付けることができる。図39Aおよび図39Bに示す通り、このバージョンはカバーで完全に囲まれ得る。図40Aおよび図40Bに、詳細な機械設計とシステムを構成するさまざまな部品を示す。電気機械式アクチュエータ120システムは、ブラシレスDCモータ、および、ケーブルベースまたはリボン・ベースの変速装置システムを含み得る一例として、システムには、一般的に消費者向け応用例(ドローン産業等)に使用される、Tモータ製のU7 280kvモータのようなアウトランナー・モータが組み込まれているため、他の可能な選択肢よりも高い能力と低コストを実現し得る。モータの軸は、タイミング・ベルトにより、出力ベルト・プーリに接続する入力ベルト・プーリに接続されており、両プーリのサイズの比率は、システムの当初のギヤ減速(この場合は7.75:1)に適合している。作動ケーブルは、「出力ベルト・プーリ」に接続されているケーブル・スピンドルに巻き付いている。1つのプーリ(「ケーブル・プーリ」)を介して、さらに減速することができる。前述の通り、この概念は、摩擦、非効率性、重量、原価、および、ノイズなどのいくつかの欠点が無く、ギヤ減速の利点を取り込むことができる、ギヤボックスに対する代替案として機能する。図41A、および、図41Bに、図39A、図39B、図40A、および、図40Bで説明する設計による実際のシステムを示す。 図34Bに戻り参照して、作動要素を回転要素、または、低摩擦要素の周囲に通すことで、n:1の比率(nは平行ケーブル部分の数)のギヤボックスを有するのと同等の減速を達成できる。この場合、2個の平行ケーブルを使用して、2:1の更なる減速を達成する。この方式で2:1の比率を組み込む利点は、この減速を加えることによって、タイミング・ベルト変速装置のような内部減速のサイズを小さく保つことが可能なことであり、それは、作動の実装、質量、原価とサイズに恩恵となる。
図40Bに示す通り、アクチュエータ120は、第1のアンカー部材110に連結され得て、モータ121、および、モータ121の出力122に接続された第1の回転プーリ要素123を含み得る。第2の回転プーリ要素124は、第1の回転プーリ要素123と同一平面上にあり、径方向にオフセットされており、また、タイミング・ベルト126を介して第1の回転プーリ要素123と連結され得る。第3の回転プーリ要素125は、第1の回転プーリ要素123と同軸に配置され軸方向にオフセットされており、第1の回転プーリ要素123に固定連結され得る。接続要素150は、第3の回転プーリ125の周りに巻かれ得て、接続要素150の第2の端部152、または、中間部分153は第2のアンカー部材110に連結され得る。作動モータ121は、接続エレメント150を短くするので、第1のアンカー部材110と第2のアンカー部材110を互いに引くことになる。
図42は、ケーブル駆動の電気機械的作動システムを含むデバイスを、ユーザが着用しているところ示す。このシステムは、先に説明してあり、図38に示す作動システムを統合する。この実施形態においては、アクチュエータ120は胴体上部に位置し、両方の肩ストラップが接続する位置で胴体上部に固定され、ケーブル150の端部は負荷バランス・ストラップ112に接続され、モータが回転すると肩ストラップと負荷バランス要素212の間に先に説明したように張力が生成され(図37A)、必要に応じて、股関節、および、背関節にわたりトルクを生成し得る。このシステムのもう1つの利点は、ケーブルが「たるみ」になると、力がユーザに伝達されないことである。図42に示す通り、持ち上げ、および、静止姿勢を保持する間に、背関節と股関節に支援を提供するために、上述のシステムを衣服の上に着用し得る。図42は、アクチュエータ120がユーザの胴体上部に配置されている実施形態の詳細を示す。ケーブル駆動アクチュエータ120は、用途に応じて、下背部、腰、脚などの身体の異なる部分に配置することも、バックパックやリュックサックに取り付けることもできる。図43A、図43B,および、図43Cは、ユーザの胴体上部に配置されたアクチュエータ・システムのさらなる詳細および、それの衣服への統合を示す。アクチュエータ120は布地部品(図43Cに示す通り)、ソフトな材料、または、剛性のケースで覆われてもよい。布地部品で覆われる場合、この部品に接触せずにモータ周囲の形状を維持できるように、この部品は可撓性の骨のない要素を含み得る。
ロボット型服装、服の上または服の下バージョン
ロボット型服装は、標準的な服や作業着の上に装着するように設計され得る。図43A、図43B、および、図43Cは、服の上に装着できるデバイスの一実施形態を示す。この実施形態では、システムは以下を含む:
−大腿部ラップ、各脚に1つ。この部品は、ユーザの大腿部の周囲を覆い、服の上または下に着用できる。
−負荷バランス要素212。両方のアンカー部材110に接続し、前述の通りループを生成し、下背部にアンカー・ポイントを生成する。
−肩ストラップ。この部品は、ユーザの肩の周囲を覆い、服の上または下のいずれかに着用できる。
−作動システム:この部品は、衣服の部品に統合されるように設計されている。図43A、図43B、および、図43Cは、アクチュエータ120がどのようにユーザの胴体上部に配置されるかの一例を示す。この場合、ケーブル駆動システムは、一方を肩ストラップにより作られるアンカー・ポイントに、他方を負荷バランス・ストラップ112により作られるクリックインアンカー・ポイントに固定される。アクチュエータ120が動くと、ケーブルはユーザの関節に渡り力を生成し、ユーザに支援を提供することができる。クリックインアンカー・ポイント間の力を生成するために使用されるその他の作動概念またはメカニズムには、流体(空圧、油圧)、電気機械式作動、静電、受動的システム(スプリング、ダンパなど)、半能動的(クラッチなど)などを含み得る。また、アクチュエータ120は腰、大腿部、バックパックやリュックサックなどの身体の他の部分に配置し得る。
−センサ要素: 提案された実施形態においては、例えば、脚の動作を測定するために大腿部ごとに1つずつ、下半身に1つ、そして/または、上半身に1つ、動作センサ230を統合し得る。荷重センサ要素230は、デバイスが人に生成する力を測定または推定するために使用し得る。これは、電流検知、トルク・センサ、ロードセル・センサ、ひずみゲージ、伸縮や負荷が加えられた時に電気的特性が変化するセンサなどを含み得る。他の実施形態は、地面反力を測定する圧力センサ、荷重やユーザ環境の相互作用力を推定するための身体の様々な部位の力センサ、筋肉活動を推定するEMGセンサ、IMU、ジャイロ、加速度計、エンコーダ、レゾルバ、ポテンショメータ、変形やそれに加えられた荷重に基づいて電気特性(抵抗、静電容量など)を変化させるセンサユニットなどを含み得る。
−調整ポイント:図43A、図43B、および、図43Cに示す実施形態は、ストラップの長さや布地部品の張力を様々な身体サイズやユーザの好みに合わせて調整できる調整ポイントを有する。ラチェット・システム(例えば、BOA)、または、Velcroを使用して、脚のアンカー部材110の与圧を調整し、大腿部のサイズとユーザの好み/快適さに基づいて調整し得る。負荷バランス・ストラップ112と直線上にある、ラチェット・システム、または、Velcro部品を使用して、負荷バランス・ストラップ112の長さを変更できる。負荷バランス・ストラップ112の初期長さを変更すると、デバイスの長さを様々なユーザの身長に合わせて調整したり、大腿部/ラップ部品の初期位置に基づいてケーブルの長さを調整したりすることに役立つ。アンカー部材110間の接続要素150が受動的要素190である受動的システムの場合、 このストラップの長さを変更することで、この部品の初期張力を設定でき、これにより、ユーザが動作した時にどれだけの支援を受けるか、また、力を生成し始めるユーザの動作の中での初期点などのパラメータを定義し得る。
−クイックコネクト/ディスコネクト機能:デバイスはクイックコネクト/ディスコネクト機能を含み、作動、バッテリ、または、センサ部品を選択可能的に布地部品に取り付け、取り外し/切断し得る。これらは、センサ/アクチュエータ120機能の周囲に巻き付いて布地部品に固定するVelcroストラップ、クリックイン機構、ポゴピン、電源/データ伝送用のクリックイン式の作動/電源/センサ部品を電気的に接続できる電気接続などを含む。作動、電源、または、センサ部品のクイックコネクト/ディスコネクトは、ユーザと接触する布地要素を洗濯したり、ウェアラブル・デバイス100の布地部分やセンサ部分を、用途によっては作動せずに着用したりすることができるようにするために、実用的であり得る。
図44、および、図45は、荷物に手を伸ばしたり、持ち上げたりすることを含む様々な作業を行うために、提案されたシステムを衣服の上に着用している様々なユーザを示す。
アンカー部材、および、接続要素の衣服への統合
さて、図46Aおよび図46Bを参照の通り、一実施形態において、ウェアラブル・デバイス100の部品、構造、およびアクチュエータ120システムは、日常使用のための典型的な衣服に組み込むことができる。衣服は、ユーザが様々な用途に着用する標準的な服装(例えば、作業着、作業員の制服、軍の制服、スポーツのユニフォームなどの運動服、ジーンズ、パンツ、 T シャツ、または、ポロシャツなどのカジュアルな服装)と定義し得る。図46A、および、図46Bは、取り付け点付作業着、および、装着者を支援するために作業着にクリックインできる着脱可能なケーブル駆動型センサおよびアクチュエータ120のシステムで構成されるデバイスのバージョンを示す。これらの部品は、ストラップ、Velcroストラップ、バックル、クリックイン機構などの部品を使用することにより、わずか数秒で簡単に取り外すことができ、このことは、布地部品の洗濯行程を容易にするために特に重要である。ユーザはその後、作動部品やセンサ部品をクリックしてはずし、ユーザと接触している布地部品を洗濯することができ、さらに、装着者は、布地部品を定常的に着用し、作動部品およびセンサ部品を必要に応じてクリックインし得る。このシステムは、比較的非伸張性の、または、伸縮性の低い生地(例えば、織物、ウェビング)で構成されており、一般的な作業着に直接取り付けられ(例えば、縫製、接着、上面装着)、前述のウェアラブル・デバイス100構造(肩ストラップ、大腿部ラップ、負荷バランス・ストラップ112)を構成する。
また、パンツやシャツが比較的非伸張性の、または、伸縮性の低い材料(例えば、織物)でできている場合、パンツ/シャツの構成はウェアラブル・デバイス100部品の一部となり得る。例として、パンツが織物材料から作られているなら、特定の部位(例えば、大腿部)において、パンツときつい装着を保つのに使用することができる上面装着ストラップは、大腿部に力を伝達するのに十分であり得て、別の大腿部ラップを使用する必要がない場合もある。
図47A、図47B、図47C、および、図47Dに、ロボット型部品を衣服に統合する実施形態のさらなる詳細を示す。この実施形態では、アクチュエータ120は、図47Aの左上に示す通り、しっかりとしたストラップ・アタッチメントを介して布地部品に取り付けられている。一例として、比較的非伸張性の生地ストラップは、アクチュエータ120の機械加工された部品の溝の周りに巻かれ、Velcroまたはバックルで固定してアクチュエータ120を所定の位置に保持する。別の実施形態においては、アクチュエータ120がクリックイン手法を統合し、衣服がアクチュエータ120をクリックイン可能な取り付けプレート220を統合し、布地部品との機械的、および/または、電気的接続を確実に確保する、クリックイン方式のような他の手法も使用可能である。この場合、ポゴピンのような電気的コネクタ222を使用して電気接続を行うことができる。図48は、腰部の布地部品に縫い付けられた取り付けプレート220に、アクチュエータ120がクリックインされ、取り付けプレート220は、クリックイン機構、および、電気的機構を有する例を示す。作動ケーブルは、機械的なコネクタを介して負荷バランス・ストラップ112の片側に、コネクタまたはVelcroアタッチメントを介して上背部にクリックインし得て、一部の実施形態では、布地に分布するセンサ230(例えば、IMU、ひずみゲージ、ソフト・センサ230)に電力を供給するために、導電性生地を使用し得る。図48は、背中上部のIMUセンサ230に導電性の布地とVelcro部品を使用して電力を供給する例を示す。素早いクリック式を機構の中に有することは、電気機械部品を衣服から外して、例えば、衣類の洗濯が可能になるという有用な場合がある。別の状況では、この手法は、多くのユーザが、1日の一部にセンサを統合した布地部品のみを装着し、必要に応じて電気機械コンポーネントを取り付けたり、異なるユーザ間でこれらを共同使用したりする場合に有用である。
図47Aおよび図47Bはまた、調節機能、および、確実な圧縮を可能とする、異なる布地部品の更なる詳細を示す。左上の図(図47A)は、肩ストラップを構成するために、標準的なポロの布に直接縫い付けられた、非拡張性の布地部品(ウェビング、帆布、織物など)の実施形態を示す。さらに、ラチェット・システム(例えば、BOA)は、このストラップに統合され、このショルダー・ストラップの相対的な長さを調整して、様々なユーザに合わせたり、カスタマイズした快適性を提供したりする。
図47Cおよび図47Dは、大腿部アンカー部材(例えば、大腿部ラップ)と負荷バランス・ストラップ112を直接作業着に統合する2つの実装を示す。図47Cは、大腿部アンカー部材110が作業パンツに縫い付けられ、ラチェット・システム(例えば、BOA)を使用して、統合された大腿部アンカー部材110に圧縮を加え、ユーザの大腿部に確実に力を伝達できる一例を示す。図47Dは、大腿部アンカー部材110が作業パンツの内側に縫い付けられ、ラチェット・システム(例えば、BOA)を使用して、大腿部アンカー部材110部品の圧縮を調整できる一例を示す。図47Cおよび図47Dはまた、負荷バランス・ストラップ112がどのようにアンカー部材110の上部に取り付けられ、パンツの上またはパンツの下のどちらかを通るか、または、パンツに組み込まれた経路(例えば、後ろのポケットの上に)を通り、パンツの下からパンツの上に通るかを示す。図47Dはまた、どのように追加のラチェット・システム(例えば、BOA)を使用して、この負荷バランス・ストラップ112の長さを調整し、様々な人に合わせたり、快適性機能をカスタマイズするかを示す。そして、負荷バランス要素212を作動ケーブルの下端にクリックして取り付け、両方の大腿部アンカー部材110に分布される張力を提供することができる。
衣服へのセンサの統合
さて図49を参照して、センサ230は、人間の動作、ストラップの張力、相互作用力/圧力および筋力を測定するために布地互換であるように設計され得る。提案されているセンシング・ウェアラブル・デバイス100は、IMU、加速度計、ジャイロなどの動作センサ230と、システムに統合された布地互換センサ230を組み合わせて使用し得る。
A)動作追跡用高伸縮センサ:装着者が活動を実行する際の関節の運動特性と動特性を測定することは、様々な動作を認識し、適切なタイミングで支援を提供するなどの作業に使用できる。システムには、カスタマイズ可能な軽量で伸縮性のある静電性センサ230と、提案されているウェアラブル・システムの高伸縮領域に統合可能なシリコン・エラストマの、電極層および誘電体層として導電性のニットの生地を統合し得る。図49に示す通り、一実施形態では、ソフト・センサ230を統合して、例えば胴の曲げ(背中に沿ったセンサ)、胴のねじれ(背中に取り付け、衣服の前部に渡るセンサ)、腰の角度(大腿部に取り付けたセンサ)などの身体部の動作のようなメトリクスを測定し、ユーザの姿勢や動作を測定し得る。
B)張力測定用の低伸縮センサ:作動ケーブル間の相互作用力を監視して、ユーザの相互作用を監視するために使用する。市販のロードセルの代わりに、十分な感度の要件を満たすソフト張力センサ230を、システムは含み得る。この力/張力センサ230は、レーザーカットした導電体をエラストマ材料に封入し、硬い布地に接着することで、曲げに対して影響を受けなくなり得る。ロボット型服装は、布地の力経路に沿った張力測定センサを統合し得る(図49に示す通り)。
C)布地統合型筋肉活動センサ:衣服にラミネートされた布地電極を使用してEMGを監視できる。これらは、異なる支援パターンで作業の繰り返しを実行するとき、ピーク/RMS筋肉活動の相対的な変化を比較するために、情報をシステムに提供できる。図49に示す通り、個々の電極を使用して筋肉活動を測定できることを示すことで、この手法の実現可能性を実証した。センサ230は、装着可能な下着の内側表面に電極のアレイ(主な筋肉を測定できるよう適切に配置)として、カプセル化された布地ベースの信号トレースと共に統合され得る。電極は、装着者にしっかりと固定されている範囲にあり、導電性エラストマによる布地電極の表面改良などの材料開発によるものであり得る。
D)システム統合:作動部品と布地部品を統合するために、システムはニット素材と織物素材の本来の機能を活用し得る。たとえば、身体周囲の力経路を構成する織物素材は、取り付けプレート220、ケーブル用の堅牢な取り付け点、張力センサ230用の固定アタッチメント・ループなどの半剛性のモジュールを支えるに十分な強度を備える。逆に、衣服のニット素材は、圧力センサ230に使用される、目立たない隠れたポケット、および、ひずみセンサ230の経路に使用される低摩擦で上面装着のチャネルを提供できる。
負荷制御ウェアラブル・デバイス
持ち上げ、静止姿勢の保持、しゃがむ姿勢、または、頭上作業を行うために腕を上げるなどの非周期的な作業では、支援プロファイルを時間の関数または作業完了の割合として定義するのは理想的ではない場合がある。前述のような非周期的な作業の場合、持ち上げを完了するために人がどのくらいの時間をかけるのか、または、作業を完了するためにどのくらいの時間を人の腕を維持するのにかけるのかなどの活動を理解することは、困難な場合がある。さらに、作業を実行しているときに、装着者は動作を加速する、または、動作の方向を変更する決定をすることがあり、それ故に、時間または作業の完了率の関数として支援を提供するコントローラ240は、十分な速度で適応できず、そのため、混乱が起きたように感じる可能性がある。この場合、支援を装着者の動作や姿勢の関数として定義することには、多数の利点がある。負荷ベースの支援をユーザに提供することは、ある状況下では、周期的である作業にも有用であり得ることに留意すべきである。
ここで、1つ以上の関節の角度、速度、加速度、または、これらの変数の推定の関数としてシステムが適用する張力を計算することで、これらの問題を解決する制御フレームワークを提示する。関節または四肢の角度、速度、および/または、加速度は、慣性測定ユニット、ジャイロ、加速度計、関節の動きに応じて電気的特性を変化させるソフト・センサ230、エンコーダ、ポテンショメータなどのセンサ要素を使用して測定し得る。所望の力は装着者の動作や姿勢の関数である故に、本明細書では、この手法を負荷制御と呼ぶ。
後により詳細に説明する通り、本開示の実施形態は、以下を含むウェアラブル・デバイス100を対象とする。
ウェアラブル・デバイス100を装着している人の第1の身体部位に配置するように構成された少なくとも1つのアンカー部材110と、ウェアラブル・デバイス100を装着している人の第2の身体部位に配置するように構成された少なくとも1つのアンカー部材110と、少なくとも1つの第1の身体部位アンカー部材110と少なくとも1つの第2の身体部位アンカー部材110を直接または間接的に連結する少なくとも1つの接続要素150。
前記ウェアラブル・デバイス100が橋渡しをしている前記装着者の1つ以上の関節の、角度、速度、および加速度のうちの1つ以上に関する情報を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ。
ウェアラブル・デバイス100によって支援される装着者の動作の開始および/またはタイプ、または姿勢を検出し、装着者が動作を実行したり、静止姿勢を保持したりすることを支援するためにウェアラブル・デバイス100が橋渡しをしている1つ以上の関節の所与の角度、速度、または加速度の関数としてウェアラブル・デバイス100内で生成される所望の張力を決定し、1つ以上の関節の所与の角度、速度、または加速度で所望の張力がウェアラブル・デバイス100内に生成されるようにウェアラブル・デバイス100の負荷またはウェアラブル・デバイス100により提供される力を調節するように構成された少なくとも1つのコントローラ240。
ウェアラブル・デバイス100は、いくつかの実施形態においては、選択的に少なくとも1つの接続要素150の長さを固定するか、長さを変更するか、または負荷を変更するように構成された少なくとも1つの機構を含み得て、ウェアラブル・デバイス100の負荷の調節には、1つ以上の関節の所与の角度、速度、または加速度での装着者の動作または姿勢によってウェアラブル・デバイス100内に所望の張力を発生させるように構成された長さに少なくとも1つの接続要素150の長さを固定することを含む。ウェアラブル・デバイス100は、いくつかの実施形態においては、少なくとも2つの接続要素150と、この少なくとも2つの接続要素150のうち1つ以上を選択可能に係合するように構成されている少なくとも1つのメカニズム160を含み得る。ウェアラブル・デバイス100の負荷の調節には、単独または組み合わせて、ばね定数または減衰定数を有し、1つ以上の関節の所与の角度、速度、または加速度での装着者の動作または姿勢によってウェアラブル・デバイス100内に所望の張力を発生させるように構成された、少なくとも2つの接続要素の1つ以上を係合することを含む。ウェアラブル・デバイス100が、いくつかの実施形態においては、少なくとも1つのアクチュエータ120を含み得て、ウェアラブル・デバイス100の負荷の調節には、1つ以上の関節の所与の角度、速度、または加速度でウェアラブル・デバイス100に所望の張力を生成するように少なくとも1つの接続要素150を能動的に作動させることを含む。
コントローラ240は、様々な実施形態において、1つ以上の関節の角度、速度、および加速度のうちの1つ以上に関する情報を監視して、角度、速度、または加速度のうちの1つまたはその組み合わせが、支援される動作または姿勢の開始を示すしきい値を何時超えたかを検知するように構成され得る。コントローラ240は、様々な実施形態において、1つ以上の関節の角度、速度、および加速度のうちの1つ以上に関する情報を監視して、角度、速度、または加速度のうちの1つまたはその組み合わせが、支援される動作または姿勢の終了を示すしきい値を何時超えたかを検知するように構成され得る。
ここで、負荷ベースの手法をもって支援する新しい制御フレームワークを提示する。ここでは、持ち上げと静止姿勢の保持について説明しているが、この手法は、膝をついたり、歩いたり、頭上作業を行ったり、つかむなどの、他の活動にも適用される可能性があることに留意されたい。図50は、次の部品で構成されるサンプルの制御フレームワークを示す。
1.センサ要素は、関節の角度、動作、または、相対的な四肢の運動を計算するために使用され、この情報は、制御アルゴリズムにより、デバイスが特定の作業の動作や姿勢を支援するためにユーザに提供する必要がある所望の力(例えば、開始、オフセット、支援プロファイルなど)を推定するために使用され、ウェアラブル・センサ230によって測定された動作情報と姿勢情報が、所望の支援を推定するためにどう使われるのかのサンプルの実施形態を以下に示す。EMG、地面反力、関節角度、身体部位/関節動作および位置などの様々な用途に合わせて、追加のセンサ部品を追加し得る。
2.支援方法:支援プロファイルは、測定された身体動作、姿勢の関数として、そして/または、ウェアラブル・デバイス100内のセンサ部品(関節角度、身体部位の動作と姿勢、関節動作の差、関節動作や他の関数の和、EMG、地面反力など)から計算または推定された関数としてプログラム可能であり、さらには、負荷プロファイルは作業の種々の状態によって異なり得る。
3.透明化の方法は、システムが支援することを意図していない作業を実行している場合、または、ユーザ/オペレータが支援を必要としないと判断した場合に、システムが力を加えないようにするために使用される。そのため、透明モードでは、制御アルゴリズムがいつ支援を要求されるかを自動的に検出でき、ユーザまたはオペレータは、支援を入/切するための手動入力機構を有し得る。
センサ要素:
さて、図51A、図51Bおよび図51Cを参照して、一実施形態においては、関節の角度、速度、加速度を測定するために、慣性測定ユニットが使用され得る。この場合、図51Aに最も良く示されるように、上背部に1つ、各大腿部に1つの、3つのIMUを使用する。
初期化中、ユーザはまっすぐに立ち、システムは立っている姿勢でのオフセット値を計算するために関節角度を測定する(図51B)。この手順は、一部の応用例では必要ないかも知れないが、直立姿勢に関する相対的な四肢角度を認識するなどの利点がある。別の応用例では、ユーザが動作を行う時に、中立姿勢を推定するために、システムがセンサ入力を使用することがある。例えば、コントローラ240は、ユーザが動作(歩行、ランニング、持ち上げなど)を実行するときにIMU測定値を監視し、その情報を使用して、例えば、中立姿勢を計算するための動作センサ230からの平均信号や、ある時点でのユーザの作業、および/または、姿勢に関する知識、または、ユーザが中立姿勢を初期化するためにボタンを押すことに基づいて、中立角度を定義し得る。身体に対する、経時的な小さなセンサの位置の動きや、経時的な小さな布地部品の動きを補正するために、この同じ方法を1日の様々な時点で使用することで、コントローラ240により、中立姿勢を経時的に更新し得る。
直立姿勢をIMUごとにθ=0と定義するように、システムは測定された角度から立位のオフセット値を減算し(図51)、ユーザが胴または大腿部を屈曲すると、この角度は増加する。
この応用例では、支援プロファイルを計算するために使用する変数として、大腿部と胴の相対角度を使用し、他の相対角度(肩支援のための胴と上腕の相対角度、膝支援のための大腿部とすねの間の相対角度、足首支援のためのすねと脚の間の相対角度など)は、他の応用例で支援プロファイルを定義するために使用され得る。
図53Aに示す通り、 胴−大腿部の角度は、下の式に表されるように、胴と両大腿部の平均角度の間の相対角度として定義される。一例として、立っている姿勢において、ユーザが一方の脚を前に、一方の脚を後ろに同じ角度で有する場合、大腿部の全体角度は下記の式に示すように中立となるが、ユーザが両方の脚を正の角度で有する場合は、 大腿部の全体角度は正の値となる。
θΔ=θUB+0.5(θRT+θLT)、ここで、「Δ」は胴−大腿部相対角度を意味し、「UB」は「上背部」(UPPER BACK)を意味し、「RT」は「右大腿部」(RIGHT THIGH)を意味し、そして、「LT」は「左大腿部」(LEFT THIGH)を意味する。
図52A、および、図52Bに、歩行、階段上昇、および持ち上げ作業中のこの相対角度を示す。
システムは、本実施形態において、持ち上げ作業中には支援を提供するが、システムが支援することを意図しない他の作業(例えば、歩行、ランニング、階段上昇、トラックまたは車の運転)では、透明になるように構成し得る。結果的に、システムは、持ち上げ作業または手を伸ばす作業と、歩行、上昇、ランニングの作業を区別できる必要がある。場合によっては、持ち上げではない動作を通じて測定された胴−大腿部相対角度は、持ち上げ動作の初期段階で測定されたそれと同じように見えることがあり、これは、ユーザが直立姿勢から下方向に曲げ始めたり、しゃがみ始める時である。特に、歩行や階段上昇の作業では、脚は通常、一方の脚は正の角度を有し他方の脚は負の角度を有して、位相がずれている。これらの角度は、上の式ではほとんど互いに相殺し、歩行および階段上昇の間、胴−大腿部相対角度測定値は結果として小さくなる。持ち上げ動作の初期段階では、胴−大腿部相対角度は同様に小さくなるので、この2つの角度が混同される可能性がある。補正なしでは、システムは歩行または階段上昇の動作中、透明であるべき時なのにその代わりに、支援を生成する可能性があり、すなわち、このような問題を回避するために、図53Bに示す通り、持ち上げ動作の初期段階後まで、さもなければ、支援の開始を遅らせるようにシステムを構成する必要があり得る。
この問題を打開するようにシステムは設定され得る。一実施形態においては、持ち上げまたは手を伸ばす作業と、他の作業をより良く区別するために、以下に示す通り、胴−大腿部相対角度の式に「ペナルティ項」を追加できる。
θΔ=θUB+0.5(θRT+θLT)−λ||θRT−θLT||(λ>0)、ここで、「λ」は右大腿部角度と左大腿部角度の差に対するペナルティ項を示す。
特に、ペナルティ項は、歩行、および、階段上昇の間に測定された小さな相対的胴角度を減少するように構成されているが、持ち上げ作業の初期段階で取られる小さな相対的胴角度の測定には影響しない。図に示す通り、 このペナルティ項には、歩行時および階段上昇の間に大腿部に対する相対的な胴部角度が中立により近く、持ち上げ作業中に同じ角度が測定されるという利点があり、これは、ペナルティ項が持ち上げ作業中の相対的な角度測定に影響しないが、歩行および階段登りなどの作業中に相対的な角度を減少することができることを意味する。持ち上げでない作業の間に、角度を中立に近づけることは、しきい値を使用して装着者の支援を開始する場合に有利であり、持ち上げでない作業の間に角度がゼロに近づくと、より小さいしきい値で持ち上げでない作業と持ち上げ作業を区別でき得る。図53Bに、ユーザが胴または脚を前方に曲げるときに、システムが初期段階中に支援を提供しないように、変位角度における初期しきい値を使用できる一例を示す。このしきい値は、歩行/ランニング/階段上昇等の間に、ペナルティ項が大腿部に対する相対的な胴部角度を相殺する場合に、より小さくなり得る。別の方法として、アルゴリズムは、ユーザが装着している時に、この初期オフセット値を自動的に設定するために動作センサ情報を使用する場合がある。別の実施形態においては、ユーザはこの初期オフセット角度を、特定の好みまたは要求に合わせて修正でき得る。
さまざまな実施形態において、支援される動作または姿勢は、持ち上げ動作またはしゃがむ姿勢である場合がある。コントローラ240は、一実施形態においては、装着者の胴、大腿関節、および股関節のうちの1つ以上の相対角度を決定し、相対角度を監視して、相対角度が、支援される持ち上げ動作またはしゃがむ姿勢の開始を示す所定のしきい値を何時超えたかを検知し得る。別の実施形態においては、コントローラ240は、装着者の股関節の平均角度を決定し、さらに、装着者の股関節の平均角度を監視して、股関節の平均角度が、支援される持ち上げ動作またはしゃがむ姿勢の開始を示す所定のしきい値を何時超えたかを検知する。コントローラ240は、(i)装着者の胴と、(ii)装着者の大腿部の平均角度との間の相対角度を計算することによって、装着者の股関節の平均角度を決定し得る。一実施形態においては、コントローラ240は、装着者が支援される持ち上げ動作またはしゃがむ動作以外の活動に従事しているかどうかを識別するように構成されており、そうである場合、所定のしきい値からいかに超過していようとも持ち上げ動作またはしゃがむ動作の開始を示すものではないことを決定し得る。装着者が、支援される持ち上げ動作またはしゃがむ動作以外の活動に従事しているかどうかを、一方の股関節の角度ともう一方の股関節の角度との差を決定することによって特定し、差に対してペナルティ項を適用し、股関節の平均角度からペナルティの差異を差し引き、結果として得られる股関節の平均角度の決定が所定のしきい値を超えるかどうかをコントローラ240は評価することにより特定し得る。コントローラ240は、一実施形態においては、装着者の股関節の平均角度を監視して、股関節の平均角度が、支援される持ち上げ動作またはしゃがむ姿勢の終了を示す所定のしきい値を何時超えたかを検知し得る。
支援方法−プログラム可能な負荷支援
制御構造
この実施形態においては、ウェアラブル・デバイス100は、装着者に送達される力を制御し得る。図54に示す通り、コントローラ240は、高レベル・コントローラおよび低レベル・コントローラの2つの主要部品から成り、それぞれは、様々なセンサ入力および制御ロジックに基づいて出力信号を生成する。ハイレベルには、能動的/透明化、および、支援方法が組み込まれている。胴と両脚上にあるIMUセンサ230の信号に基づいて、高レベル・コントローラ240は装着者の現在の動作/姿勢を分類し、スーツが支援または透明のどちらであるべきかを決定し得るが、代わりに、ユーザがボタンを押すか、または、他のユーザが連動して、支援の入/切を切り替えたり、システムを透明モードにすることができ得る。この高レベル制御ブロックの出力信号は、外衣が人体に与えるべき所望の力の指令Fdである。
センサ(モータ電流、ロードセル、力センサ、トルク・センサなど)で測定または推定された実際に適用された力Factと、高レベル・コントローラ240によって生成された所望の力Fdとの差FΔは、低レベル・コントローラ240への入力として使用される。このブロックの目的は、アクチュエータ120に制御信号を送信することで、所望の力の安定した動的な追跡を確実にすることである。これは、IMUやモータ・エンコーダなどのセンサ230から読まれるさらなる入力信号を使用することで実現される。
低レベル制御
一実施形態において、システム中の力または張力を制御するための低レベルの制御方式が2つの部分で構成されている(図55)。アドミタンス・コントローラ240とフィードフォワード・モデルについて説明する。モータ・コントローラ240は、速度制御と電流制御のために2つのカスケードされたPIループを実行する。
アドミタンス・コントロール:装着者に所望の力を制御できる可能性がある制御構造は、アドミタンス・コントロール構造である。アドミタンス・コントローラ240は、センサ230を使用して力を測定または推定し、相互作用力によりロボットの軌道を修正します。この実施形態では、装着者とウェアラブル・システムの間の相互作用力を制御するために、アドミタンス・コントローラ240が使用される。負荷の一般的な定義は、減衰単調和振動子から得られる。この機械的システムの動的な動作を記述する2次微分方程式は以下の通りである。
ここで、xは質量mを持つ身体の位置を示し 、剛性kを持つスプリング、ダンパd、外部力F(t)と相互作用する。ラプラス領域では、負荷は出力力と入力速度の関係として定義される。
sZ(s)=F(s)/X(s)
逆に、アドミタンスは出力フローと入力の力の間の動的関係を定義するため、負荷(インピーダンス)の逆数として与えられる。
従って、減衰単調和振動子から得られる二次的なアドミタンスは以下の形式を有する。
Y(s)=Z(s)−1=(ms+d+k/s)−1
提案された能動的な外衣によって人間にかかる相互作用力を制御するために使用されるアドミタンス・コントロールの原理は、図17の右側に示す通り、同様の機械的な図で示すことができる。ここでは、スプリングは実際の力F_act、人間およびウェアラブル・システムの部品がアクチュエータ120に加える力、に置き換えられ、これはロードセルによって測定される。
仮想減衰dvは、応答の定常状態の値に影響し、仮想質量とダンパの比率は、システムの動態を変える。このため、dvを小さくするとコントローラ240は力の誤差に対してより敏感になるが、システムの安定性を損なう可能性もある。
この問題に対処する方法は、変数制御であり、ここでは、人間の意図、または、制御作業に従ってパラメータがオンラインで調節される。この作業では、コントローラ240の上位レベルで動作する状態機械を使用して、さまざまなタスクに作業に応じて仮想減衰dvを変更する。所望の仮想減衰は、対象の力のレベル(Fd)と動特性(dFd/dt)、および装着者の相対的な胴−大腿部角度の動特性(dθ/dt)に依存する。したがって、各状態に適切な仮想減衰値は、関数として定義できる。
これを、図18に示す。可変負荷制御では、すべての可能なパラメータの変動に対して安定性を確保することが重要である。パラメータの範囲は、多くの要因によって決定される。静的な身体の曲げの安定性(η=0)が、主に支援のレベルFdに依存していることが発見され、図56の左のプロットに示す。これは、静的な前屈姿勢において安定したトラッキングを確保するために必要な最小の減衰値を示す。例として、150Nの支援力をもって静的姿勢をサポートするためには、仮想減衰を少なくとも0.45x10
3kg/sに設定する必要がある。ただし、仮想減衰を常にこのレベルに維持すると、減衰スケジューリング技術の使用を正当化する一部の応用例では、力の誤差に対する高速応答の能力が低下し得る。
図56の右のプロットは、動的係数ηに基づいて外衣を制御するための適切な減衰値の範囲を、定性的に略図化した減衰スケジューリング手法を示す。
である枠は、広い範囲の減衰値をカバーしており、2つの作業によって形成されている。上限では、この枠は静的姿勢に必要な最小必要減衰値dv,maxによって押さえられる。下方の境界dv,minは歩行に必要であり、この場合、力の指令も一定
だが、相対的な胴角度の動特性が高いため、コントローラ240は非常に応答性が高い必要がある。ユーザが物を持ち上げているときに
、所望の力は増加して、より多くの支援を提供できる
。この場合、ηは負で、アクチュエータ120(およびコントローラ240)は、ユーザよりも速くケーブルを動かして力を増加するために、非常に活動的でなければならない。これには、低仮想減衰dv,minが必要である。反対に、力と相対的な胴−大腿部角度が同時に増減(η>0)し、同じ方向を指し示す場合、仮想減衰値が高くなる方が有用である。図56の右側のプロットの網掛け部で表される通り、作業ごとに理想的な減衰値が決定された。
外衣に関する情報、装着者の動作、および、作動システムをフィードフォワード・モデルの形で組み込むことにより、ソフト外衣の場合、アドミタンス・コントローラ240のトラッキング性能を向上させることができる。それらの手法と同様に、次に説明する通り、動作、および、スーツのフィードフォワード・モデルが外衣用に開発された。
スーツ剛性フィードフォワード・モデル
前述の通り、荷重がスーツにかかると、システムは変形し得る。スーツの変形をモデル化するために、3人の男性被験者は、前かがみの姿勢(矢状面においては約60°の胴の傾斜角)で立つように求められた。試験中に、最大250Nの力に達するまで60mm/sでケーブルを張り、その後、同じ速度で緩めた。このサイクルは、各被験者に対して10回繰り返された。
図57に、ケーブルに張力をかける(ロードする)ヒステリシスと解放する(アンロードする)ヒステリシスを含むスーツの動作を示す。グラフに示されている通り、力を低いレベルから増加することは、それより高い力のレベルからに比べて、より活動的なケーブル動作が必要になる。この情報は、フィードフォワード・モデルを使用することによりコントローラ240に組み込み、追跡性能を向上させることができる。
スーツの弾性は以下の方程式によってモデル化できる。
F=f(pc)=α(e
βpc−1)
低レベル・コントローラ240においては、速度コマンドは、所望力コマンドFdの関数であるフィードフォワード速度
と重ねられる。この関数は、次のように、逆関数の時間微分により取得できる。
パラメータαおよびβは、ローディング、および、アンローディングの回帰曲線から取得される(図57参照)。
の代数符号を使用して、 コントローラ240のローディング
とアンローディング
のフィードフォワード・モデルを切り替える ことができる。方程式(3.10)によれば、フィードフォワード項は低力レベル(Fd)、および、高次導関数
のケーブル速度を増加させる。
動作フィードフォワード・モデル
しかしながら、低レベルコントローラ240にとってより困難な作業は、活動的な作業に対して優れた力追跡性能を確保することである。これらの作業は、しゃがむや歩くなどの動作を含み、大腿部と胴の間の独立した相対的な動作によって特徴付けられる。これらの動きを測定するために、この実施形態においては、慣性測定ユニット(IMU)が大腿部上部と上背部に配置されている。IMUは加速度計、ジャイロスコープ、磁力計を含み、IMUが適切に配置されていれば、これらのセンサ230によって生成されたデータを組み合わせて、グローバル座標フレームとIMUのローカル座標フレーム間の変換のオイラー角を測定する。
大腿部と胴部は、負荷バランシング・ストラップ112を介して、ケーブル150に上端で接続されている。比較的非弾性なウェビングの長さは固定されているが、ケーブルの長さは作動システム120により変更され得る。図58は、スーツの変形を無視して、胴部の動作と大腿部の動作、および、対応するケーブルの長さの理論的な関係を示す。左側の図は、ケーブルのプリテンションをかけて直立姿勢に立っているユーザを示す。前かがみの間、大腿部の位置、および、非弾性のウェビングを介して大腿部に接続される接続点は同じ位置に留まる。その結果、胴部の屈曲とそれに対応する皮膚の伸長Δptrunkは、ケーブルの同じ伸長に関連している(ゲイン:1)ただし、これは図58の右の図に示されているように、大腿部の動きには成り立たない。同じ側のウェビングの変化Δpthighに対応する片側の大腿部の動きは、ケーブル長における変化0.5Δpthighにのみ関連している。(ゲイン:0.5)
身体iの動きΔpiは、IMUにより測定された傾斜角の変化Δφiに比例すると想定される。
Δpi〜Δφi
ここでΔ演算子は、変数の現在の値と直立姿勢での値の変化を示す。傾斜角度φは、対応する身体の屈曲に対して正に定義される。
この仮定と、図58から得られた特質を組み合わせ、次の仮説につながる。
Δlcable=μ・[Δφtrunk+0.5(Δφthigh,l+Δφthigh,r)]
以下の実験を実施し、立てた仮定と仮説を検証した。3人の男性被験者と1人の女性被験者は、全範囲動作(ROM)の前かがみ(1)、完全に屈曲して右脚と左足をそれぞれ伸ばす(2/3)、全範囲動作のしゃがみを行うように指示された。4つの作業はすべて20bpmの速度で実行され、それぞれ10回繰り返された。試験中、アドミタンス・コントローラ240はケーブルを15Nのプリテンションのレベルに維持し、ケーブル長も胴部および大腿部の傾斜角も記録された。
フィードフォワード・モデルの方程式は、方程式(3.12)の時間微分で定義され、次の方程式になる。
ωiは、矢状面での身体iの角速度である。ケーブル速度に対する人間の動きの影響を説明するための、フィードフォワード・モデルの能力を、図59に示す。
この実施形態は、ユーザに送達される力を制御するための、アドミタンス制御手法を説明しているが、他の手法も使用できることに留意すべきである。可能な手法としては、センサ230を介して測定または推定される力(電流、力など)に対して所望の力を比較する直接力制御があり、閉ループ手法によりこの誤差を最小限に抑えて高品質の追跡を保証する。代わりに、測定される電流と送達される力の間のモデルが既知の場合、直流制御を使用することも可能であり、システムは所望の力を所望の電流に変換し、電流ループを閉じて、適切な追跡を保証する。
高レベル制御
以前は、所望の力プロファイルFcmdを追跡するための手法を定義した。力コマンドは、能動的/透明方法と支援方法の2つの主要な方式を含む高レベル・コントローラ240によって生成される。前者は、システムが支援的である必要がある装着者の動作(例えば、持ち上げ)と、力をかけずに装着者の動作のみを追跡する作業(例えば、歩行)を区別する。能動的/透明方法で、デバイスが支援するはずの「能動的な」作業を特定した場合、支援方法は、低レベル・コントローラ240に送られる支援プロファイルFcmdを生成する。
支援方法
時間領域において力コマンドを定義することは、いくつかの課題があり、第1に、力コマンドは、装着者が動作を開始または停止し次第、時間どおりにそれぞれ増減されなければならない。第2に、ユーザの持ち上げの動特性を考慮して、所望の力のレベルに達せられることを確実にする必要がある。Fcmd=Fcmd(t)である時系列式の手法では、いくつかの理由から両点を実現することは困難である。ユーザが比較的一定速度で物を持ち上げると仮定した場合、この速度は動作の開始時に推定され、力の増減それぞれに適した時間枠を決定する必要がある。しかしながら、胴部IMUによって測定される胴の速度や加速度などの適切な指標は、動作の初期段階(〜10%)で高い変動を示し、低速(2.5秒)および高速(1秒)の持ち上げで、同様の範囲にあることがわかった。さらには、ユーザが持ち上げ中にその動作を加速または減速して、力コマンドに加加速度を伴うであろうことから、一定の持ち上げ速度を想定することは正当ではない。
このため、一実施形態では、Fcmd=Fcmd(θΔ)のように定義される負荷基準の手法を統合し得て、ここでは、力コマンドが変位角度θΔに依存し、これは図51Cに示す通り、胴角度と大腿角度の直立姿勢からの逸脱の測定値である。従って、変位角度がゼロは、直立姿勢に相当する。さて、図60A、図60B、および、図60Cを参照すると、一実施形態においては、図60Aに示し上記に定義した通り、支援は胴−大腿部角度の関数として定義され得る。
図60Bに、負荷が、どのように関節動作の関数としてプログラムされるかの例を示す。この場合、ユーザが下に動く時に提供される負荷(青色の線)は、持ち上げ中にユーザが上に向かっている時(黒色の線)、および、ユーザが上に向かっているが立ち姿勢に近い時(緑の線)とは異なる。これらの支援曲線は、上述の最適化方法を使用することにより、様々な人や作業に合わせてカスタマイズでき、ユーザ・インターフェースを有すること、および/または、生体力学実験の結果と評価、または、参照生体力学データ(1つの作業を実行する多数のユーザの平均値など)を使用することにより、ユーザがシステムを着用している時に支援プロファイルのパラメータを設定できる。支援方法の基本原理は、装着者が物をつかむために傾斜する時に、重力と同じ方向に胴が動く時にそれを動かすことを助けるために、ユーザが胴を下に曲げるにつれて増加する力をシステムが加えるように、力プロファイルを定義することである。装着者が物を持ち上げて背中を伸ばし始めるとすぐに、さらなる荷重を持ち上げることを援助するために、力がさらに高いレベルまで上昇し得て、重力に逆らって動作しなければならないという事実故に、最終的には、装着者が直立姿勢に近づくと、支援は減少し得る。
コントローラ240は、様々な実施形態において、1つ以上の関節の角度、速度、および加速度のうちの1つ以上に関する情報を監視して、支援される動作の1つ以上の状態を検出するように構成され得る。コントローラ240は、後でより詳細に説明する通り、関節の角度、速度、および、加速度の変化を調べることにより、下がる、上がる、および、静的姿勢を維持することの間の遷移する様々な状態を検出する。一例として、図60Cに、ユーザが25ポンドの重量を持ち上げる時の、大腿部と胴部の相対的な角度の関数としての生物学的な腰部モーメントを示す。ユーザが荷重を持ち上げるために下に動くと、腰部モーメントは低い方の負荷のラインに従い、ユーザが下への移動から上への移動に遷移するにつれての高負荷状態への遷移期間に続き、最終的にはユーザが負荷と共に重力に抵抗して上向きに動く時には高い方の負荷曲線に従う。支援手法は、大腿部と胴部の相対的な角度の測定値を使用して、生物学的トルクに似た、または、生物学的トルク(例えば、ユーザが選択する入力コントローラ240による最大支援、所与の動作や初期設定に対する最適化ベースの最大トルク)を変倍したバージョンを使用した張力をユーザに与え得る。
図61A、および、図61Bに、持ち上げの異なる状態、および、異なる負荷がどのように定義され得るかを示す。図61Bのグラフの下に示されている通り、また、図61Aの円の中に示されている通り、ユーザは立っている姿勢(θA=0)から始め、ユーザが物をつかむために下に動くにつれて、ユーザは胴および/または大腿部を曲げ(θA>0)、ユーザが下に動いている間に、支援力は負荷プロファイル(例えば、図61B中の黄色の線)によって決定される。ユーザが下への動きから上への動きに変わると、システムはユーザがこの遷移をどこで行ったかの角度(θA=C)を記録し、その点からユーザの胴−大腿部角度(図61Bの緑の線)の係数として負荷プロファイルを定義する。このプロットは、3つの異なる角度(〜20°、〜50°および〜100°)で上向きに動くことを決定した3つの異なるケースを示す。この点から、高負荷遷移が定義され、ユーザが重力に反して動いている時に、遷移が赤線を越えるときに、ユーザが直立に近い姿勢に近づくまで力は最大レベルで保持され、その時点で、ユーザが持ち上げを終了すると、力は下降して支援なしになる。
このプロファイルの代わりに、ユーザが上に動く時に、力を保持するのとは反対に、上に動いている時に線形剛性(図の緑の線)に従う支援を定義し得る。より高いレベルで力を保持することは、ユーザが上に動く時により多くの力がユーザに送達されるという利点があり、線形の高負荷プロファイルに従うことで、生物学的腰部モーメントの形状により近く一致するという利点がある。
線形の受動的システムの支援は、図60Bの赤い線で示されている。理想的な受動的デバイスの場合、ユーザが下方に動く時に、外骨格により及ぼされる力が増加し、ユーザが上方に動く時に同様に減少し、これは、装着者はエネルギを受動的スプリングに保存し、物を持ち上げるときに同じエネルギを取り戻すことを意味する。スプリングの剛性が増すと、スーツの支援力は高くなるが、特定の姿勢に到達するために、より高いエネルギがスプリングに保存されなければならない故に、装着者の動作が制限され得る。一方、剛性が低いと自由な範囲の動きが可能になるが、所定の姿勢に対しての力のレベルが低い故、スーツが十分な支援力を有しない可能性がある。このような支援力と制限の間のトレードオフは、前述のように、能動的システムで解決できる。胴屈曲時のユーザの重力補正は、スーツが支援的であるが制限がなく、あらゆる範囲の動きを可能にするように設計されて調整され、オンライン最適化や負荷の手動選択などの手法を使って、様々なユーザや動作に適応し得る。能動的なシステムでは、ユーザが上に動くときに、受動的デバイスと比較して、はるかに高いレベルの力を得ることができる。このようにして、システムは支援される関節に1回の持ち上げのサイクルにおいて正味エネルギを供給する。スーツが提供する力のモーメント・アームが一定と仮定すると、図60Bの青い範囲に示すように、正味エネルギはヒステリシス曲線で囲まれた領域に比例する。
図60Cは、負荷制御手法の主な利点を示しており、様々な生物学的モーメント、および、持ち上げ速度への支援に適用している。図60Cは、25ポンドの持ち上げ中に、腰−仙骨モーメントの平均値および標準偏差を示し、骨盤角度を使用してインピーダンス空間にプロットしたものである。モーメントは、モーション・キャプチャ・データとフォース・プレートを使用して、5回の持ち上げとひとりの被験者について、逆動ダイナミクスで計算された。L5−S1の生物学的モーメントは、線形回帰直線によって示されるように、胴屈曲と直線的にスケールすることを示す。前述の負荷制御手法で説明したように、スーツの支援は生物学的トルクに自動的に適応される。図60Cのプロットは、2つの能動的な支援曲線を示しており、1つは、ユーザが約50度の角度に曲げたもの、1つは100度の角度に曲げたものである。生物学的モーメントと同様に、50度曲線の最大力レベルは100度の胴屈曲のレベルの50%の量になる。ユーザの動作や姿勢に基づいて力が増減されるという事実により、様々な持ち上げ速度への支援の自動適応も可能になる。特定の角度ウィンドウ内で、力が2つの力のレベルの間で変更され、この角度ウィンドウ内でユーザがより速く動くと、力も速く増大する。この手法により、ユーザの持ち上げ速度に関係なく、すべての持ち上げでスムーズな力プロファイルが保証される。両利点は、支援曲線を時間領域にプロットすることで表示できる。
持ち上げ中の様々な状態の検出
前述した通り、支援プロファイルはユーザが従う様々な状態の関数であり得る。図61Aは、ユーザが直立しているか、下に動いているか、姿勢を保持しているか、重力に反して上に動いているかを検出する状態機械を示している。これらの遷移は、プログラム可能な様々な負荷プロファイルを定義する。これらの遷移は、関節の角度、速度、および/または、加速度を測定することにより検出され、ユーザが何を実行しているかを決定できる。
ユーザは直立状態から下に動く状態に移行することがあり、これは小さなしきい値を使用して検出され、それを胴−大腿部角度と比較することができる。一例として、あるアルゴリズムは7度のしきい値を使用することがあり、この数値は、直立、歩行などの他の動作に対して持ち上げ/手を伸ばす姿勢を識別することに成功したものとして実験的に検出された。しきい値は、応用例に応じて自動的または手動で変更できることに留意されたい。この点から、ユーザが下方に動く時の黄色の線に沿って、支援が定義される。ある時点で、例として、物流への応用で様々な物を並べ替えたり、表面を検査したり穴あけなどの作業を実行したり、手術室で外科医のような手順を実行するために屈みこむために、ユーザが姿勢を保持することを決定する場合がある。このような状況では、力は定義されたレベルで維持される。ユーザが動作(例えば、上に動く/下に動く)状態から保持状態に遷移したときに、大腿部と胴部の相対的な角度の動き(例えば、角速度)に小さなしきい値を使用することにより、保持状態は検出され得る。ユーザが保持状態に入ったときの大腿部と胴部の相対的な角度は、保持角度(θhold)として保存され、保持状態にある間、測定された胴部と大腿部の角度と比較され、ユーザの意図が上方/下方どちらへの移動を開始するかが決定される。この時点で、ユーザは姿勢を保持するか、下に動き続けるか、上に動き続けるかすることができる。ユーザが少し下に動いて保持姿勢から離れると、状態は「下へ動く」に変わり、支援は引き続き黄色の負荷のラインに追従する。ユーザが保持姿勢から離れてより大きな角度に動くと、状態は「上へ動く」に変わり、この時点で、支援はインピーダンス空間の緑色の線に追従する。この時点で、ユーザは姿勢を再度保持するか(状態は「保留」に変更)、角度が、その時点で状態が「直立」に変わる直立姿勢に近づくまで上方に動き続けることができる。
図62を参照して、このプロットは、5人の異なるユーザが一連の50回の持ち上げサイクルを実行し、システムが異なるタイプの負荷プロファイルをレンダリングした、デバイスからの測定値を示す。特に、このプロットは、これらの被験者および持ち上げの繰り返しにわたる支援の平均値と標準偏差を示す。ユーザには、4つの異なる支援方法を提示し、インピーダンス空間で定義されているように、デバイスが異なるタイプの力を提供できることを示した。これらのテストで、デバイスi)が異なるタイプの負荷プロファイルをユーザに提供できること、ii)デバイスが負荷プロファイルの高い追跡性能を達成すること、および、iii)持ち上げの状態が首尾よく検出され、力が大幅な遅延なく負荷プロファイルに正確に追従することが、示された。
図63A、および、図63Bに、ユーザが直立姿勢から始め、異なる速度および異なる範囲で一連の4回の持ち上げを行ったなかで、提示された支援方法に続きデバイスから加えられた力および変位角度の測定値を示す。デバイスは負荷プロファイルを首尾よく追跡してユーザに力を伝達することができ、この方法は様々な速度と動作範囲に適応することが示された。
さまざまな実施形態において、支援される動作は、持ち上げ動作であり得る。コントローラ240は、装着者の股関節の平均角度を決定し、さらに、装着者の股関節の平均角度を監視して、股関節の平均角度が、持ち上げ動作の開始段階または終了段階を示すしきい値を何時超えたかを検知し得る。しきい値は、一実施形態においては、持ち上げ動作の初期の下降状態を示すものであり、さらに、股関節の中立角度から約7°増大する股関節の平均角度を示すものであり得る。しきい値は、一実施形態においては、持ち上げ動作の保持状態を示し、また、毎秒約0度まで減少する腰の平均角速度である。保留状態の間、コントローラ240は股関節の平均角度を監視して、上昇状態または下降状態への遷移を検出し得る。股関節の平均角度がより小さな角度に変化することは、上昇状態への遷移を示し、股関節の平均角度がより大きな角度に変化することは、下降状態への遷移を示し得る。
コントローラ240は、支援される動作、または、姿勢の状態の関数としてウェアラブル・デバイス100の負荷を調節するように構成される。
使用者の動きの検知と分類
具体例として、コントローラ240は、使用者の動きを分類するために、ロボット・アパレル機器と一体化したセンサ230を使用しても良い。使用者の動きを分類することは、ある一定の応用において有益かもしれない。例えば、長期間同じ動きを複数回繰り返すことは傷害のリスクを増加させるかも知れない、そして、それとして、もし使用者が持ち上げやその他の物理的活動の間、ひねりの動作を複数回繰り返していることをシステムが検知したら、この情報を使用者に警告するために用いても良いし、またはこのデータを使用者の集団で集めて、将来の傷害を避けるためのベスト・プラクティスを伝えても良い。もう一つの例としては、システムは検知された動きのタイプに応じて支援のプロファイルを修正しても良い。例えば、腰を曲げた持ち上げとスクワットの持ち上げとでは、最適な支援プロファイルが異なるかもしれない。
マルコフ・モデルなどの決定ツリーのような機械学習アルゴリズムを、センサ・データに基づいて異なった動きを分類するのに用いても良い。
アルゴリズムは、動作を分類するためにデータの一部分を使用しても良い。例えば前述のように、持ち上げには異なった段階がある(下がる、向きを変える、物体を持ち上げるために上がる)。もし使用者がスクワットの戦略に従って(膝を曲げて)下がるのであれば、上に動くとき、使用者は膝を伸ばすことで上に動く必要もあるだろう。もし使用者が側面持ち上げで下がるのであれば、彼(彼女)はまた側面持ち上げで上がろうとするだろう。
このステップにおいて、データ・ストリームの部分は、活動に関する情報を保有しているだろうとみなされる。異なった具体例においては、活動を決定するために用いるデータの部分を決定するために、ウィンドウのスライド、イベント決定型のウィンドウ、能動的に決めるウィンドウ、といった、ウィンドウ処理技術が用いられても良い。人気のあるアプローチは、一定の時間のウィンドウをデータ・ストリーム上で動かして分割する、ウィンドウのスライドのアプローチである。スライドさせるウィンドウのサイズは、用途と、活動の長さとセンサ230のサンプリングレートとの関係に強く依存する。この仕事の文脈においては、固定サイズのウィンドウをスライドさせるアプローチは、活動の長さが、異なった持ち上げ速度に応じて顕著に変わることから、いくつかの用途に対しては理想的ではないかもしれない。小さなウィンドウ・サイズを選択することによって、一つの動きにいくつかのラベル付けをすることになったり、一方で、大きなウィンドウ・サイズでいくつかの持ち上げを含むことになりうる。この理由のため、この仕事では、イベントを基にしたアプローチを用いており、そこでは、データ・ストリームを分割するのに、前述のハイレベル・コントローラ240の状態機械を使用している。状態機械それ自体は、使用者の動きか姿勢についての情報を用いて、持ち上げサイクルの異なった状態を見極める。この具体例においては、装着者の持ち上げのスタイルは、使用者が物体に近づくために下がるときに分析される。分類に用いられるデータ・セグメントの最初は、「正立」から「下降」(1−2)への状態遷移をきっかけにし、そして、状態機械が「保持」(3)か「上昇」に遷移するときにデータ収集が終了する。究極的には、データ・セグメントのサイズは異なった持ち上げ速度に応じて変化する。固定長さのウィンドウをスライドさせる場合と対照的に、このアプローチではそれぞれの動きが一つだけのラベル付けをされ、そしてデータ・セグメントは全体の動きを捕捉していることを保証している。このアプローチのもう一つの利点は、状態機械の状態フラッグを用いることで、トレーニング中に自動的に、データ・セグメントをラベル付けすることが出来ることである。コントローラ240は、使用者が下がりつつある時に収集されたデータを、使用者が上がるときに支援の戦略を決定するのに用いるような戦略を用いても良い。図64は、使用者の動きを検知し、その特有の動きにより適切なプロファイルに、支援の力を適合させるように、使用者が下がる時に検知されたデータを用いて異なった動きを検知する機器を示している。具体例として、システムは動きセンサ230(例えば、先に示したように、胴と両方の大腿にある、スーツにあるIMUセンサ230)を、装着者の動きや姿勢を分類するために用いても良い。加速度計によって測定された3軸の加速度(accX,accY,accZ)、ジャイロスコープによって測定された角速度(gyroX,gyroY,gyroZ)は、それぞれのセンサで使用されて良く、結果的に全体で18個の生データ信号となる。
図65を参照すると、様々な具体例において、決定ツリー(図65A)、隠されたマルコフ・ネットワーク(図65B)等の、機械学習アルゴリズムを用いても良い。図65Aと図65Bはまた、これら二つのアルゴリズムの実行のための、実験的なデータ混乱マトリックスを示している。このデータによれば、使用者が行っている持ち上げのタイプ(腰曲げ、スクワット、側面持ち上げ、等)を適切に検出するために、相対的に高い割合が達成されうることを示している。
その上に、これらのアルゴリズムは、歩き、走り、ジャンプ、スクワット、手伸ばし、等といった、他のタイプの動きを検知するために用いても良い。
具体例において、支援される動きは、持ち上げの動作であっても良い。コントローラ240は、一つか複数の関節の、一つか複数の、角度、速度、そして加速度、に関連した情報に基づいて、持ち上げ動作を、腰曲げ持ち上げ動作、スクワット持ち上げ動作、または、曲げてひねった持ち上げ動作、に分類するように設計されている。コントローラ240は、ウェアラブル・デバイス100のインピーダンスが、支援される動きや静止のタイプの関数として、修正されるように設計されても良い。
3Dインピーダンス・プロファイル
先述の実施例において、我々は、サジタル面における胴と大腿の角度の関数として、2Dインピーダンス空間を記述して来た。いくつかの場合においては、胴体と大腿の角度に基づいて、この角度の3つの座標の関数として3Dインピーダンスを定義するのが有益かもしれない。このアプローチの利点は、このアプローチが、使用者の異なった動きに自動的に適合するであろう支援の戦略を提示し、異なった面上での持ち上げにより適しているかも知れない支援のプロファイルをプログラムするであろうことである。このコンセプトは、使用者の動きに応じた異なったタイプの持ち上げに適合する支援プロファイルを可能にするであろう。例えば、使用者はサジタル面で持ち上げを行っても良いし、または、側方持ち上げ、または、環境あるいは物体の制限のために、ひねりの動作を必要とする持ち上げを行っても良い。使用者の動き/位置に基づいて決定される3D空間のプロファイルは、自動的にそして連続的にこれらの動きに適合するであろう。3Dインピーダンス・プロファイルは、異なった方法で定義されても良く、いくつかの例は、使用者のパフォーマンスを最大化させるための先述した最適化方法を用いたり、かつまたは、主観的なフィードバックに基づいて、支援のプロファイルの異なったパラメータを選択することを可能にするユーザーインターフェースをもつことで、異なったタイプの持ち上げを考慮した生物力学的な性質の知識を用いることを含んでいる。図66Aと図66Bは、3Dインピーダンス空間のコンセプトを示している。
一定の姿勢を保つための戦略
一定の位置を長い時間保つことは体に顕著な緊張をもたらしうる。これが良くある人間工学的な問題であるような、複数の職業が存在する、たとえば、外科医は長い時間、外科的処置の間、一定の位置にいなければならないし、さらに、製造業や保全業の労働者は、設備を設置する時や、狭い空間において仕事を遂行する時は、長い時間姿勢を保たねばならない。
仕事の状態について戻って参照すると、「保持」位置に装着者がとどまる時間に応じて、制御戦略は、支援の量を増やしても良い。このアプローチの具体例を図67に示す。
1)通常のインピーダンス・プロファイル:支援の力はインピーダンス・カーブに応じて生成され、使用者の状態は上述の通り(4つの例示システム状態:正立、下降、保持、上昇)。
2)保持状態において、もし使用者が、予め決められた指定された時間を超えて、彼または彼女の位置を保てば、支援の力は時間によりある割合で増加される。
3)保持のための最大の支援の力が決められており、それゆえ支援の力が、決めた値よりも大きくならない。
4)もし使用者が保持状態から上昇状態に入ったら、支援の力のプロファイルは、静的な保持の力から通常の上昇状態のインピーダンス・プロファイルに従って、生成される。
5)もし使用者が保持状態から下降状態に入ったら、支援の力は下降状態のために特定されたレベルまで、ある一定の割合で減少される。
更に、先述のように、使用者が保持位置に留まっているか、あるいは使用者が正立か、下降の状態に遷移しているかどうかを検知するために、閾値が用いられても良い。産業的な調節に応じて、これらの閾値は、静的な姿勢に対する、より動的なふるまいのために修正されても良い。例えば、外科医は仕事をしている間に、彼または彼女の胴体または脚に、周期的な持ち上げで見られるようなとても速い動的な動きをさせることはまれかも知れないし、一方で運送業の労働者は、静的な姿勢を保つよりもよりしばしば、動的な持ち上げを行うかもしれない。最初の場合においては、保持状態から上昇、または下降状態への遷移を検知するための閾値は、大きいかもしれないし、一方でこれらの閾値は、仕事がより動的な使用状態においては、より低く設定されても良い。これらの感度や閾値のパラメータは、特定の装着者にとってこれらの状況のうちどちらがよりありうるかを検知しても良いアルゴリズムの最初の設定の時にマニュアルで調整され、そして自動的に機器の感度と閾値が修正されても良い。
持ち上げと長い時間同じ姿勢を保つ時に、腰と背中の両方の関節を支援する、インピーダンスを制御するウェアラブル・デバイス100は、人間を対象とした研究で評価され、効能を示した。
この研究において、被検者達は二つの一連の実験を行った。最初のものは、体重の17%相当の質量の箱の持ち上げを15回行った。二つ目は、胴を40度に曲げて45秒姿勢を保持する静止状態を行った。被検者達は、両方の活動を、機器を使う場合と使わない場合の両方について行った。これらの筋肉活動の試験中、関節のトルクと力は評価され、機器を装着した時としない時とで被検者の努力のレベルを比較した。
3人の被検者に関する予備的な結果によれば、提案された機器と制御方法は、持ち上げ中(図67B)と、一定の姿勢を保つ(図67C)時に関係する重要な背中と腰の筋肉の筋肉活動を低減する上で効果的であることが示唆された。一定の姿勢を保つ仕事に関しては、広背筋、脊柱起立筋の異なる二つのレベル(L1とL3)、大殿筋と大腿二頭筋について、積分した筋肉活動は35〜60%減少した。持ち上げの時は、同じ筋肉が10〜25%減少した。累積の筋肉の負荷は傷害のリスクを増加させる重要な変数であり、従って、これらの機器が、目標とした活動において、重要な筋肉の積分された筋肉活動を低減したという事実は、開発された方法・システムが傷害のリスクを軽減し、疲労を低減し、生産性を向上しうる、ということを示唆している。
さらに、持ち上げ仕事における運動学的な変化は、機器を全く装着しない時と装着した時とを比べて、統合されたL5〜S1関節のモーメントが〜18%減少しており、関節が生成しなければならない統合された正の力が〜28%減少していることを示唆している(図67D)。この効果は、統合されたモーメントが〜8%減少し、統合された正の力が〜18%減少した、股関節においてもまた見られる(図67E)。これらの顕著な減少は、この機器が、持ち上げの時の股関節と下背部の関節の負荷を減らすことに成功し、それゆえ、この機器が、生産性を増大し、傷害のリスクを軽減し、疲労を低減するために効果的かもしれないことを示唆している。
ウェアラブル・デバイス構成の代替的具体例
負荷バランス・ストラップの分離
先に記述したように、負荷バランス・ストラップ112は、滑って、両脚に負荷が等しく分配出来るように、例えば滑車や、回ったり低摩擦の素子を必要とする。この機能性に適応させるために、負荷バランス組み立て120はさらに、図68Aに示すように、負荷バランス・ストラップ112の動きを、結合素子150(例えばケーブル構成要素)から分離するために、胴を上下にスライドすることが出来るハードウェア構成要素215を含む。示されるように、ウェアラブル・デバイス100は、装着者の上体に位置するように構成された第1のアンカー部材110、装着者の第1脚に位置するように構成された第2のアンカー部材110、そして装着者の第2脚に位置するように構成された第3のアンカー部材110を含んでも良い。少なくともひとつのアクチュエータ120の駆動は、少なくとも次のひとつにモーメントを生成するために、ウェアラブル・デバイス100に引っ張り力を生成する:(i)装着者の第1脚の股関節と、第2脚の股関節、そして(ii)装着者の一つかそれ以上の下背部の関節。該ウェアラブル・デバイス100はさらに、アクチュエータ120を、第2のアンカー部材110と第3のアンカー部材110とに接続する負荷バランス組み立て210を含んでも良い。負荷バランス組み立て210は次のものを含んでも良い:第1の端部212が第2のアンカー部材110と接続され、第2の端部213が第3のアンカー部材110に繋がれた、伸縮する延長部材211(例えばストラップ)、アクチュエータ120を、第1の端部212と第2の端部213の間の伸縮する延長部材211の中間的な部分214に接続し、そして、伸縮する延長部材211が、機構215の中で、装着者の第1脚と第2脚に分配される引っ張り力をそれゆえバランスさせられるように構成された機構213。
他の具体例においては、一つかそれ以上の分離構成要素が駆動システム自身と一体化されても良い。例えば、図68Bは、分離機構260(後に図68Cで示す)が、それぞれの負荷の経路の異なった相対的な位置関係を可能にする一方で、二つの負荷の経路間に等しく力を分けるアクチュエータ・モジュールと一体化されても良いような、代表的な構成を図示している。この節においては、これらのオプションのそれぞれの、異なった具体例について記述する。
図68Cは、アクチュエータ内に組み込まれた内的な分離機構260により支援が分離されるコンセプトを示す。先述のように、分離機構210、260の目的は、たった一つのモーターを使い、両方の大腿に等しい力を掛けることである。装着者の両脚は独立して動くことが出来、そして目的はたった一つのモーターを用いることなので、システムは、それぞれの脚からアクチュエータまでの異なった長さを許容する自由度の程度を別に持つ必要がある。分離機構210、260は、それぞれの脚に発信された力が等しく、しかし、両脚が独立に動くことが出来るように、両脚の位置が独立であることを可能にすることを保証するために用いられても良い。自動車が旋回することが出来るように、二つの後輪は独立に回転することを可能にする一方で、エンジンからのトルクは両輪に等しく分配されるような自動車において、差動装置は同様の仕事を行う。同様なコンセプトは駆動システム120において一体化されても良い。モーターは中間部分262を回転させ、トルクTを供給するだろう。回転する部材264(A軸)と266(B軸)は、中間部分262において互いに独立して回転することが出来るが、しかし内部の差動機構は、入力されたトルクが等しく出力TAとTBに分けられることを保証する。回転する部材264、266は、それぞれの上に巻かれた接続要素150で、軸と結合されるだろう。接続要素
150の末端は、装着者の左脚上においてアンカー部材110と結合されても良いし、装着者の右脚上においてアンカー部材110と結合されても良い。ここから我々の二つ目の自由度が生まれ、人の両脚が独立に動かすことが可能にする。
図68Dは差動システムの例における異なった素子を示す。この例においては、モーター121は、回転部材264に紐づけられた歯車265と、回転部材266に紐づけられた歯車267付近の太陽歯車263を駆動する冠歯車262を駆動する。両脚が同じ速度(w1=w2)で動くこの場合においては、歯車265、歯車267の小歯車、そして太陽歯車263は回転しないため、これらのすべての部品は、冠歯車262の周りで互いに回転することなくひとかたまりとなって動く。注意すべきは、冠歯車262は回転部材264と直接結合されていないものの、太陽歯車263を経由して、回転部材264と回転部材266にトルクを伝達したりされたりすること。
左脚が全く動かないけれども右脚は動く場合においては、太陽歯車263の小歯車は軸の周りを巡るように回転し、歯車265は静止し、歯車267は一つの速さで回転できるだろう(w1=0;w2)。両脚が異なった速度で動く場合は、分離機構260は同様に動作する − 太陽歯車263は軸の周りを回り、太陽歯車263の小歯車は、回転部材264と回転部材266の角速度の差に等しい速度で回転し、歯車265と歯車267は異なった相対速度で回転出来るであろう。
図69は負荷バランスの211が、低摩擦、ローラー、べアリング、滑車、等の構成要素を使うことにより、ケーブル構成要素150から分離されているコンセプトを示す。この場合、次の二つの実施が考慮されるかも知れない:
1)ケーブルによる:力を生成するケーブル150は、低摩擦構成要素、ベアリング、滑車を含む構成要素215を引っ付いている。負荷バランスの延長構成要素211(例えばストラップ、リボン)は、力を生成するケーブル150に対して滑ることができるように、低摩擦、または回りうる構成要素215を通っている。
2)リボンかストラップによる:力を生成する素子150は、伸縮可能な延長素子211に引っ付いているリボンかストラップであっても良く、負荷バランスの延長素子211は力を生成する素子150に対して滑ることが出来る。
D)例:図70は、負荷バランス組み立て210を達成するための異なった方法を描いている。この場合には、二つの独立したモーターが、それぞれの負荷バランス延長素子211を独立に駆動するために用いられている。このコンセプトにより、それぞれのストラップに独立した力を加えることが可能となり、それゆえ、使用者が実行している動きのタイプにより、それぞれの脚にかける力を異なったものにするか同一のものにするかを制御することが出来、さらにそれにより、ひねったり曲げたりという背中の動きを支援するために実用的であるかもしれない軸外のトルクを制御することも可能とするような、背中の両側の力を異なるように制御しうるようにできる。例えば、側面持ち上げを行うとき、背中と大腿に軸外の追加の支えを供給するために、それぞれのストラップ/ケーブルの張力は、異なっていても良い。更にこれにより、それぞれのストラップを独立に駆動することで、歩くような仕事の間に腰の伸筋の支援を供給することも可能になる。
示されるように、ウェアラブル・デバイス110は、装着者の上体に位置するよう構成された第1のアンカー部材110、装着者の第1脚上に位置するように構成された第2のアンカー部材110、そして、装着者の第2脚上に位置するように構成された第3のアンカー部材、を含んでも良い。第1のアクチュエータ120は、第1のアンカー部材110と第2のアンカー部材110を、直接的あるいは間接的に連結しても良く、そしてそれによる駆動は、次の少なくとも一つについてのモーメントを生成するために、ウェアラブル・デバイス100に引っ張り力を生成する:(i)装着者の第1脚の股関節、(ii)装着者の下背部の関節。第2のアクチュエータ120は、第1のアンカー部材110と第3のアンカー部材110を、直接的あるいは間接的に連結しても良く、そしてそれによる駆動は、次の少なくとも一つについてのモーメントを生成するために、ウェアラブル・デバイス100に引っ張り力を生成する:(i)装着者の第2脚の股関節、(ii)装着者の下背部の関節。
連結された腰の支援のためのウェアラブル・デバイスの構成
使用者の腰を支援することを目的にしている多くの外骨格/外骨格スーツ・システムは、使用者のそれぞれの腰を独立に支援するように設計されて来たし、それゆえ典型的には、それぞれの腰を独立に制御出来るようにするために、二つの能動的素子を必要とする。これは部分的には、ほとんどのこれらのシステムがもともとは、障害をおった人達が再び歩くことを支援したり、健康な人達がより効率的に歩くことを支援したりすることを思い描いていたという事実によるものである。しかしながら、両方の大腿への同時支援が必要な、複数の仕事があり、その例は、持ち上げ、立ち・座り、ジャンプ、ひざまずき、しゃがむこと、等、これらの仕事は年配者、消費者、そして産業応用にとって良くあることである。
それゆえシステムは、両方の脚に同時に支援を供給するものであっても良く、このことは、コストや単純さ、重さに関して重要な意味を持つ、1自由度だけを使用する外骨格、または外骨格スーツを設計できるかもしれないという利点を持つ。
図71はウェアラブル・デバイス100が次の構成要素を含んでいる具体例を示す:
− 負荷バランス素子212が両方の大腿に接続されている(先に説明した通り)。
− ウェスト・ベルト:ウェスト・ベルトは使用者のウェストを包み、そして負荷バランス素子を、大腿からウェスト・ベルトの位置までと、そしてこの位置から使用者のアンカー部材110まで通す。
− 使用者の大腿を包み、負荷バランス素子212にアンカー・ポイントを供給する、アンカー部材110。
− センサ230:先に述べたようなセンシング素子は、システムに一体化されても良く、しかし、センサ230は、使用者の動き、位置、そしてウェアラブル・デバイス100から使用者に与えられる力、を検知するセンサに限定されない。
− 駆動、または力を生成する素子:負荷バランス素子212上で力を生成するために、負荷バランス素子上で引っ張ることが出来、そして使用者の腰で関節トルクを発生するであろう、ケーブルで駆動される駆動素子。該ケーブルで駆動される駆動は、負荷バランス素子212に接続された、使用者の大腿の片方に位置していても良く、使用者のウェストでも、
ボーデン・ケーブルを用いて、アクチュエータ120からの力を、アクチュエーション・ケーブルが負荷バランス・ストラップに接続する位置に通し、体の異なる部分に位置していても良い。さらに、流体的、静電的あるいは受動的構成要素(ばね、ダンパー等)を、そのような構成において力を生成するために用いても良い。
示すように、ウェアラブル・デバイス100は、装着者のウェストに位置するように構成された第1のアンカー部材110、装着者の第1脚上に位置するように構成された第2のアンカー部材、そして、装着者の第2脚に位置するように構成された第3のアンカー部材110を含んでも良い。少なくとも一つのアクチュエータ120は、直接的か間接的に、第1のアンカー部材110、第2のアンカー部材110、そして第3のアンカー部材110を連結し、少なくとも一つのアクチュエータ120の駆動は、ウェアラブル・デバイス100に引っ張り力を生成して、装着者の第1脚の股関節付近と装着者の第2脚の股関節付近に、モーメントを生成する。
背中と股関節を独立して支援するウェアラブル・デバイス構成
股関節と下背部の関節を同時に支援することはいくつかの利点がある一方で、いくつかの用途においては、腰と背中を独立して支援することが追加の恩恵をもたらすこともありうる。可能な利点は次のものを含む:背中への支援が大腿への支援と結びつけられる必要がないための、より高程度の適応。
具体例は次のものを含んでよい:
− 両方の大腿を同時に支援する単一のDOF支援と、背中を支援する追加のDOF支援(図72)。
− 使用者のそれぞれの腰の独立した支援と、背中への独立した支援。
− 背中の支援は、使用者の胴の上側面か肩と、使用者のウェストに近い位置の反対側の側面に、支援素子を固定することによって達成されるであろう。
− もし大腿を支援することなく背中だけを支援するのであれば、ウェエスト・ベルトが上方向に引っ張られると、体に対して上に動く傾向があり、そのことは固定のチャレンジになる可能性があるように体が形作られているので、それは挑戦的になるかもしれない。しかしながら、もし両脚に掛けられた力(それはウェスト・ベルトに下向きの力になるだろう)の合計が背中への力(それはウェスト・ベルトに上向きの力となる)よりも大きければ、体の形がウェスト・ベルトをその場に留まらせるために助けになるから、ウェスト・ベルトをその場所に留まらせることはより簡単である。制御戦略はこの事実を活用して、背中と腰の支援を独立に制御するが、背中への支援の力の量を、両脚に掛ける力の合計よりも近いかより少なく制限しても良い(図72)。
このようなシステムは、階段を歩く時、走る時、ジョッギングする時等、歩いている間、使用者の大腿に力を与えることにより、使用者の脚を支援することが出来、そして荷物を運んでいる使用者や背中の支援を必要とする使用者を支持するために、同時に背中を支援することも出来るだろう。さらに、制御アルゴリズムは、例えばスクワットの動きのような、使用者が脚を曲げて、腰を曲げた持ち上げ(脚が真っ直ぐな持ち上げ)よりも、より大きな支援が脚に必要かもしれない、特定のタイプの持ち上げを行う時、使用者の脚により強い力を与えても良い。
具体例はまた、背を大腿と独立に支援しても良いし、例えば、与える力が小さいならば、心地よさやウェスト・ベルトの固定は問題ではないかもしれない、ということは特筆する価値がある。さらに、両脚を通るストラップ(例えばハーネス)または、一方の側面はウェスト・ベルトに固定され、反対の側面は上体の位置で使用者の両肩に固定される半剛体の構成要素200は、ウェスト・ベルトが上向きに動くことを避ける、追加の支えを供給するかもしれない(図73)。
ここで開示する実施例はある具体例に関して記述されているが、この技術に習熟した人々により、ここで開示された具体例の本来の精神や範囲から離れることなく、様々な変更がされたり、等価なものと置き換えられたりしても良い。さらに、特定の状況、支持、材料、事柄の構成、プロセスステップに適合するために、ここで開示された具体例の精神と範囲から離れない範囲で、多くの修正が行われても良い。すべてのそのような修正は、ここに添付された請求項の範囲内であることを意図している。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着した人の上体に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェラブル・デバイス100を装着した人の下半身に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、そして少なくとも一つの上体アンカー部材110と少なくとも一つの下半身アンカー部材110を直接的または間接的に連結させる、少なくとも一つのアクチュエータ120、そしてそこでは少なくとも一つのアクチュエータ120が次の少なくとも一つにモーメントを生成するために、ウェアラブル・デバイス100に引っ張り力を生成する:(i)装着者の一つかそれ以上の股関節、そして(ii)装着者の一つかそれ以上の下背部の関節。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着した人の上体に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェラブル・デバイス100を装着した人の下半身に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、少なくとも一つの上体アンカー部材を少なくとも一つの下半身アンカー部材と直接的あるいは間接的に連結させる、少なくとも一つの連結素子150、そして装着者の動きまたは姿勢によって、ウェアラブル・デバイス100に生成される張力のレベルを制御するために、少なくとも一つの連結素子150の長さを選択的に固定したり、長さを変化させたり、インピーダンスを変化させたりするように構成された少なくとも一つの機構、ウェアラブル・デバイス100は次の少なくとも一つにモーメントを生成するようにする:(i)装着者の一つかそれ以上の股関節、そして(ii)装着者の一つかそれ以上の下背部の関節。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着した人の上体に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェラブル・デバイス100を装着した人の下半身に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、少なくとも一つの上体アンカー部材を少なくとも一つの下半身アンカー部材と直接的あるいは間接的に連結させ、装着者の動きや姿勢によって生成されたエネルギーを吸収するように構成された、少なくとも一つの連結素子150。さらに、少なくとも一つの機構が、吸収されたエネルギーを蓄積するために少なくとも一つの連結素子150を選択的にロックするようにし、そして少なくとも一つの結合素子150を開放して蓄積されたエネルギーを放出して、ウェアラブル・デバイス100が次の少なくとも一つにモーメントを生成するように構成されている:(i)装着者の一つかそれ以上の股関節、そして(ii)装着者の一つかそれ以上の下背部の関節。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着した人の上体に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェラブル・デバイス100を装着した人の下半身に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、少なくとも一つの上体アンカー部材を少なくとも一つの下半身アンカー部材と直接的あるいは間接的に連結させ、装着者の動きや姿勢がウェアラブル・デバイス100に張力を生成するようにし、そしてウェアラブル・デバイス100が次の少なくとも一つにモーメントを供給するような、少なくとも一つの受動的素子190:(i)装着者の一つかそれ以上の股関節、そして(ii)装着者の一つかそれ以上の下背部の関節。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着している人の胴に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェアラブル・デバイス100を装着している人の上腕に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、そして、少なくとも一つの胴アンカー部材110を少なくとも一つの上腕アンカー部材110に直接的または間接的に連結している少なくとも一つのアクチュエータ120、ここでは、少なくとも一つのアクチュエータ120の駆動は、装着者の少なくとも一つの腕の関節にモーメントを生成するためにウェアラブル・デバイス100に引っ張り力を生成する。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着している人の胴に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェアラブル・デバイス100を装着している人の上腕に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、そして、少なくとも一つの胴アンカー部材110を少なくとも一つの上腕アンカー部材110に直接的または間接的に連結している少なくとも一つの連結素子150。さらに、装着者の動きまたは姿勢によって、ウェアラブル・デバイス100に生成される張力のレベルを増加し、ウェアラブル・デバイス100が装着者の少なくとも一つの肩関節にモーメントを生成するために、少なくとも一つの連結素子150の長さを選択的に固定したり、長さを変化させたり、インピーダンスを変化させたりするように構成された少なくとも一つの機構。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着している人の胴に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェアラブル・デバイス100を装着している人の上腕に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、そして、少なくとも一つの胴アンカー部材110を少なくとも一つの上腕アンカー部材110に直接的または間接的に連結していて、装着者の動きや姿勢で生成されたエネルギーを吸収するように構成された、少なくとも一つの連結素子150。さらに、吸収されたエネルギーを蓄積し、そして少なくとも一つの連結素子150を開放し、吸収されたエネルギーを放出し、ウェアラブル・デバイス100が装着者の少なくとも一つの肩関節にモーメントを生成するために、少なくとも一つの連結素子150の長さを選択的に固定したり、長さを変化させたり、インピーダンスを変化させたりするように構成された少なくとも一つの機構。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着している人の胴に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェアラブル・デバイス100を装着している人の上腕に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、そして、少なくとも一つの胴アンカー部材110を少なくとも一つの上腕アンカー部材110に直接的または間接的に連結していて、装着者の動きや姿勢がウェアラブル・デバイス100に張力を生成し、そしてウェアラブル・デバイス100は装着者の少なくとも一つの腕関節にモーメントを供給するような、少なくとも一つの受動的素子190。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着している人の下肢上部に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェアラブル・デバイス100を装着している人の下肢下部に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、そして、少なくとも一つの下肢上部アンカー部材110を少なくとも一つの下肢下部アンカー部材110に直接的または間接的に連結している少なくとも一つのアクチュエータ120、ここでは、少なくとも一つのアクチュエータ120の駆動は、装着者の少なくとも一つの膝関節にモーメントを生成するためにウェアラブル・デバイス100に引っ張り力を生成する。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着した人の下肢上部に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェラブル・デバイス100を装着した人の下肢下部に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、少なくとも一つの下肢上部アンカー部材を少なくとも一つの下肢下部アンカー部材と直接的あるいは間接的に連結させる、少なくとも一つの連結素子150、さらに、装着者の動きや姿勢によってウェアラブル・デバイス100に生成される張力のレベルを増加させて、ウェアラブル・デバイス100が装着者の少なくとも一つの膝関節にモーメントを生成するように、少なくとも一つの連結素子150の長さを選択的に固定したり、長さを変化させたり、インピーダンスを変化させたりするように構成された少なくとも一つの機構。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着した人の下肢上部に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェラブル・デバイス100を装着した人の下肢下部に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、少なくとも一つの下肢上部アンカー部材を少なくとも一つの下肢下部アンカー部材と直接的あるいは間接的に連結させ、そして装着者の動きか姿勢により生成されるエネルギーを吸収するように構成された、少なくとも一つの連結素子150、さらに、吸収されたエネルギーを蓄積するために少なくとも一つの接続要素150を選択的にロックしたり、吸収されたエネルギーを開放するために少なくとも一つの接続要素150を開放したりして、装着者の少なくとも一つの膝関節付近にウェアラブル・デバイス100がモーメントを生成するように構成された、少なくとも一つの機構。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着した人の下肢上部に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェラブル・デバイス100を装着した人の下肢下部に位置するように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、装着者の動きか姿勢が、ウェアラブル・デバイス100に張力を生成し、装着者の少なくとも一つの膝関節付近にウェアラブル・デバイス100がモーメントを生成するように、少なくとも一つの下肢上部アンカー部材を少なくとも一つの下肢下部アンカー部材と直接的あるいは間接的に連結させる、少なくとも一つの受動素子190。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:装着者が非周期的な動きを行う時に支援する、または静的な姿勢を保つために、ウェアラブル・デバイス100が、装着者の一つかそれ以上の関節付近にモーメントを生成するように、ウェアラブル・デバイス100に力を生成するか、またはウェアラブル・デバイス100に力が生成されるようにするように構成された、少なくとも一つのアクチュエータ120、装着者に物理的な支援を供給すること、装着者とウェアラブル・デバイス100の相互作用、ウェアラブル・デバイス100の差動、の少なくとも一つに関連した目的関数を評価するために、情報を測定するように構成された、少なくとも一つのセンサ、そして、少なくとも一つのアクチュエータ120を、少なくとも一つの駆動プロファイルに従って駆動し、目的関数における結果的な変化を決定するための少なくとも一つのセンサで測定された情報に基づいて目的関数を評価し、目的関数における結果的な変化に基づいて少なくとも一つの駆動プロファイルの少なくとも一つのパラメータを調整し、そして駆動、評価、目的関数を最大化または最小化させるための少なくとも一つの駆動パラメータを最適化するための調整、を継続するように構成された、少なくとも一つのコントローラ240。少なくとも一つの該コントローラ240は、二つかそれ以上の駆動パラメータが、目的関数を最大化または最小化するように最適化されていることを識別し、次のことをするように構成されている:最適化されるべき二つかそれ以上の駆動パラメータのベースライン値の、異なったセットを持った、二つかそれ以上の駆動プロファイルに従って少なくとも一つのアクチュエータ120を駆動すること、少なくとも一つのセンサにより測定された情報に基づいて、二つかそれ以上の駆動プロファイルのそれぞれの目的関数を評価すること、対応する目的関数の評価と、二つかそれ以上の駆動パラメータと対応する目的関数の評価の間の数学的相関性、に基づいて定義すること、目的関数を最大化または最小化するための二つかそれ以上の駆動パラメータの値の候補のセットを決めるために、ベースラインの数学的相関を評価すること、二つかそれ以上の駆動パラメータの値の候補のセットに関連付けられた駆動プロファイルに従って、少なくとも一つのアクチュエータの駆動の目的関数の、対応する評価に基づいて数学的な相関を更新すること、そして、目的関数の評価が全体的な最大値または全体的な最小値に達するか、または予め決められた終了条件に合致する時まで、数学的な相関の更新を続けること。
次のものを含むウェアラブル・デバイス100:ウェアラブル・デバイス100を装着した人の第一身体部に位置しているように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、ウェアラブル・デバイス100を装着した人の第二身体部に位置しているように構成された少なくとも一つのアンカー部材110、そして少なくとも一つの第一身体部アンカー部材110を、少なくとも一つの第二身体部アンカー部材110に直接的にまたは間接的に連結する、少なくとも一つの接続要素150、ウェアラブル・デバイス100の近くに広がる、装着者の一つかそれ以上の関節の、一つかそれ以上の角度、速度、加速度に関連した情報を測定するために構成された、少なくとも一つのセンサ、そして、スタートを検知し、およびまたは、ウェアラブル・デバイス100により支援される装着者の動きや姿勢のタイプを検知し、動きをしていたり一定の姿勢を保っていたりする装着者を支援するために、ウェアラブル・デバイス100近くに広がった一つかそれ以上の関節の、与えられた角度、速度、または加速度の関数として、ウェアラブル・デバイス100に必要とされる引っ張り力を決定するように構成された、少なくとも一つのコントローラ240。ひとつの具体例においては、ウェアラブル・デバイス100は、選択的に少なくとも一つの接続要素150の長さをロックしたり、長さを変えたり、またはインピーダンスを変えたりするように構成された、少なくとも一つの機構を持ち、そしてそこでは、ウェアラブル・デバイス100のインピーダンスの調整は、一つかそれ以上の関節の与えられた角度、速度または加速度における、装着者の動きや姿勢により、ウェアラブル・デバイス100に、望ましい引っ張り力が生成されるように構成された長さで、少なくとも一つの連結素子150の長さを固定することを含む。一つの具体例においては、ウェアラブル・デバイス100は、少なくとも二つの接続要素150を含み、そしてそこでは、ウェアラブル・デバイス100は、少なくとも二つの連結素子150のひとつかそれ以上を選択的に使うように構成された少なくとも一つの機構を含む。そしてここでは、ウェアラブル・デバイス100のインピーダンス調整は、一つ以上の関節の与えられた角度、速度または加速度における装着者の動きや姿勢により、ウェアラブル・デバイス100に望ましい引っ張り力が生成されるように構成された、ばね定数または減衰定数の、単独または組み合わせを持った少なくとも二つの連結素子150の一つかそれ以上を使うことを含む。一つの具体例においては、ウェアラブル・デバイス100は少なくとも一つのアクチュエータ120を含み、そしてそこでは、ウェアラブル・デバイス100のインピーダンス調整は、少なくとも一つの接続要素150を能動的に駆動し、一つ以上の関節の与えられた角度、速度または加速度におけるウェアラブル・デバイス100に望ましい引っ張り力を生成させることを含む。一つの具体例においては、コントローラ240は一つ以上の関節の角度、速度そして加速度の一つ以上に関する情報をモニターし、いつ、角度、速度または加速度のうちの一つか組み合わせが、支援するべき動きや姿勢のスタートを示唆する閾値を超えるかを検知するために構成されている。一つの具体例においては、コントローラ240は一つ以上の関節の角度、速度そして加速度の一つ以上に関する情報をモニターし、いつ、角度、速度または加速度のうちの一つか組み合わせが、支援するべき動きや姿勢の終わりを示唆する閾値を超えるかを検知するために構成されている。支援すべき動きや姿勢は、持ち上げの動きやしゃがんだ姿勢であり、そこでは、コントローラ240は装着者の胴や、大腿関節、股関節の一つ以上の相対角度を決定し、そしてそこでコントローラ240は相対角度をモニターして、いつ相対角度が、支援するべき持ち上げ動作やしゃがんだ姿勢の開始を示唆する、予め決められた閾値を超えるかを検知する。支援すべき動きや姿勢は、持ち上げの動きやしゃがんだ姿勢であり、そこでは、コントローラ240は装着者の股関節の平均角度を決定し、そしてそこでコントローラ240は装着者の股関節の平均角度をモニターして、いつ股関節の平均角度が、支援するべき持ち上げ動作やしゃがんだ姿勢の開始を示唆する、予め決められた閾値を超えるかを検知する。コントローラ240は、(i)装着者の胴、と(ii)装着者の両大腿の平均角度、の間の相対角度を計算することにより、装着者の股関節の平均角度を決定する。コントローラ240は、装着者が、支援すべき持ち上げ動作やしゃがみ動作以外の活動に従事しているかを見分けるように構成されていて、もしそうであれば、予め決められた閾値のどれかの超過が、支援すべき持ち上げ動作やしゃがんだ姿勢の開始を示唆していないかを定義するように構成されている。コントローラ240は、一つの股関節の角度と、別の股関節の角度の差を定義し、その差にペナルティ項を適用し、股関節の平均角度からペナルティ化された差を引き、そして結果となる股関節の平均角度の定義が予め決められた閾値を超えるかどうかを評価することで、装着者が支援すべき持ち上げ動作やしゃがみ動作以外の活動に従事しているかを見分ける。支援すべき動作または姿勢は、持ち上げ動作かしゃがんだ姿勢であり、そしてそこではコントローラ240は装着者の股関節の平均角度を定義し、そしてコントローラ240は、支援すべき持ち上げ動作かしゃがんだ姿勢の終了を示唆する予め決められた閾値を、股関節の平均角度がいつ超えるかを検知するために、装着者の股関節の平均角度をモニターする。一つの具体例では、コントローラ240は、支援すべき動作の一つ以上の状態を検知するために、一つ以上の関節の、一つ以上の角度、速度、そして加速度に関連する情報をモニターするように構成されている。支援すべき動作が持ち上げ動作であり、該コントローラ240は装着者の股関節の平均角度を定義し、そしてコントローラ240は持ち上げ動作の開始と終了を示唆する閾値を、股関節の平均角度がいつ超えるかを検知するために、装着者の股関節の平均角度をモニターする。一つの具体例では、閾値は持ち上げ動作の最初の降下状態を示唆しており、そしてそこでは閾値は、股関節の角度の平均であり、股関節の中立角から約7度増加している。閾値は持ち上げ動作の保持状態を示唆しており、そしてそこでは閾値は臀部の平均角速度であって、約ゼロ度毎秒に減少している。一つの具体例では、保持している間、コントローラ240は動いて上がっていく状態または動いて下がっていく状態への遷移を検知するために、股関節の平均角度をモニターする、そしてそこでは、股関節の平均角度の小さい角度への変化は動いて上がっていく遷移を示唆しており、そして股関節の平均角度の大きい角度への変化は、動いて下がっていく遷移を示唆している。一つの具体例では、支援すべき動作が持ち上げ動作であって、コントローラ240は持ち上げ動作を、一つ以上の関節の一つ以上の角度、速度、加速度に関する情報に基づいて、腰を曲げた持ち上げ動作、スクワットの持ち上げ動作、または曲げひねりの持ち上げ動作、のように分類するように構成されている。コントローラ240は、支援されている動作または姿勢の状態またはタイプの関数として、ウェアラブル・デバイス100のインピーダンスを調整するように構成されている。