JP2021500851A - モジュラー結合タンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1つ又は複数の標的分子に結合することが可能なモジュラータンパク質に関する。モジュラー結合タンパク質は、2つ又はそれ以上の反復ドメイン(例えば、テトラトリコペプチド反復ドメイン);反復ドメインを連結する反復間ループ;及び1つ又は複数の結合ドメインを含む。各々の結合ドメインは、反復間ループ中に又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する。結合ドメインは、異種ペプチジル結合モチーフ(例えば、短い線形モチーフ(SLiM))を含みうる。種々の配置を有するモジュラー結合タンパク質並びにそれらの製造及び使用のための方法を提供する。

Description

分野
本発明はモジュラー結合タンパク質並びにそれらの製造及び使用に関する。
背景
医学、特に癌研究における優先分野は、「新薬の開発につながるような」プロテオームの拡大であり、これは現在は狭いクラスの分子標的に限定されている。例えば、タンパク質−タンパク質相互作用(PPI)は全ての生物学的プロセスの基礎であり、潜在的な薬物標的の大部分を代表するが、それらは従来の小分子阻害には容易には従わない。縦列反復タンパク質の構造は、合理的な設計のための膨大な範囲を有する(非特許文献1〜3)。縦列反復タンパク質の重要な特徴は、ジスルフィド結合を必要としない比較的小さなサイズ、モジュール性、及び極めて高い安定性(従って組換え体産生)である。個々のコンセンサス設計された反復配列は自己適合性であり、任意の順序で組み立てることができる。従って、機能もモジュラーであり、これは、複数の機能が独立して設計され、単一の分子内に組み合わせ様式で組み入れることができることを意味する(特許文献1)。
新規反復タンパク質機能、例えば、DARPins(非特許文献4)は、これらのタンパク質の天然型のPPI界面(即ち、標的についての伸長された高親和性結合界面を作製するための多くの反復単位に及ぶ)に基づいて開発されてきた。変異が、細胞質受容体ペルオキシン5のテトラトリコペプチド(TPR)反復配列中の表面残基中に導入されている(非特許文献5)。ペルオキシン5へのペプチドリガンドの結合は、いくつかの異なるTPR反復中に位置する残基により媒介されることが示されている。TPR含有タンパク質キネシン1と異なる積荷タンパク質との相互作用も報告されている(非特許文献6)。アンキリン反復タンパク質の特異性及び安定性は、アンキリン反復配列中への変異の導入を通じて改変されてきた(非特許文献7)。
国際公開第2017/106728号
Kobe & Kajava 2000 Longo & Blaber, 2014 Rowling et al., 2015 Tamaskovic et al., 2012 Sampathkumar et al. (2008) J. Mol. Biol., 381, 867-880 Zhu et al PLoS One 2012 7 3 e33943 Li et al (2006) Biochemistry 45 15168-15178
概要
本発明者らは、モジュラー骨格上にペプチジル結合モチーフ(例えば、短い線形モチーフ(SLiM))を呈示することにより、1つ又は複数の標的分子に結合することが可能なモジュラータンパク質を製造できることを見出した。これらのモジュラー結合タンパク質は、例えば、単又は多機能タンパク質治療薬として有用でありうる。
本発明の一局面は、
(i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)上記反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)1つ又は複数の結合ドメイン(各々の上記結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する)
を含む、モジュラー結合タンパク質を提供する。
いくつかの好ましい実施形態では、モジュラー結合タンパク質は、第1の標的分子に結合する第1の結合ドメイン及び第2の標的分子に結合する第2の結合ドメインを含みうる。第1又は第2の標的分子の1つはE3ユビキチンリガーゼでありうる。
本発明の別の局面は、
結合ドメインをコードする第1の核酸を、反復間ループにより連結された2つ又はそれ以上の反復ドメインをコードする第2の核酸中に挿入して、本明細書に記載するようなモジュラー結合タンパク質をコードするキメラ核酸を産生すること;及び
上記キメラ核酸を発現させて、モジュラー結合タンパク質を産生すること
を含む、モジュラー結合タンパク質を製造する方法を提供する。
本発明の別の局面は、
反復間ループにより連結された2つ又はそれ以上の反復ドメインをコードする核酸を提供すること;及び
上記核酸中に、第1の標的分子に結合する第1の結合ドメインをコードする第1のヌクレオチド配列及び第2の標的分子に結合する第2の結合ドメインをコードする第2のヌクレオチド配列を組み入れて、上記第1及び第2の結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質をコードする核酸を生成すること(ここで、上記結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する);及び
核酸を発現させてタンパク質を産生すること
を含む、第1の標的分子及び第2の標的分子に結合するモジュラー結合タンパク質を製造する方法を提供する。
いくつかの好ましい実施形態では、第1又は第2の標的分子の1つはE3ユビキチンリガーゼである。
本発明の別の局面は、モジュラー結合タンパク質を含むライブラリーであって、
当該ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質が、
(i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)前記反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)1つ又は複数の結合ドメイン(各々の上記結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する)
を含み、
上記ライブラリー中の結合ドメイン中の少なくとも1つのアミノ酸残基が多様である、
ライブラリーを提供する。
本発明の別の局面は、モジュラー結合タンパク質の第1及び第2のサブライブラリーを含むライブラリーであって、第1及び第2のサブライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質が、
(i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)上記反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)少なくとも1つの多様なアミノ酸残基を含む結合ドメイン
を含み、
第1のサブライブラリー中のモジュラー結合タンパク質中の結合ドメインが、第1の標的分子に結合し、かつ、(i)反復間ループ、(ii)モジュラー結合タンパク質のN末端、又は(iii)モジュラー結合タンパク質のC末端のうちの1つに位置し、
第2のサブライブラリー中のモジュラー結合タンパク質中の結合ドメインが、第2の標的分子に結合し、(i)反復間ループ、(ii)モジュラー結合タンパク質のN末端、又は(iii)モジュラー結合タンパク質のC末端のうちの別の所に位置する、
ライブラリーを提供する。
本発明の別の局面は、
(a) (i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)上記反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)1つ又は複数の結合ドメイン(各々の上記結合ドメインは、反復間ループ中に又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する)
を含むモジュラー結合タンパク質の多様な集団をコードする核酸の集団を提供することであって、ここで、上記集団中の結合ドメインは多様である、及び
(b)核酸の上記集団を発現させて多様な集団を産生し、それにより、モジュラー結合タンパク質のライブラリーを産生すること
を含む、モジュラー結合タンパク質のライブラリーを製造する方法を提供する。
本発明の別の局面は、
(a)モジュラー結合タンパク質のライブラリーを提供することであって、ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質は、
(i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)上記反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)反復間ループ中に、タンパク質のN末端に、又はタンパク質のC末端に位置する結合ドメイン
を含み、ここで、上記ライブラリー中の結合ドメイン中の少なくとも1つのアミノ酸残基は多様である、
(b)結合活性を呈示するモジュラー結合タンパク質についてライブラリーをスクリーニングすること、及び
(c)結合活性を呈示する、ライブラリー中の1つ又は複数のモジュラー結合タンパク質を同定すること
を含む、ライブラリーをスクリーニングする方法を提供する。
本発明の他の局面及び実施形態を、以下に、より詳細に記載する。
図1は、ループ又はヘリックス移植結合モチーフを含むコンセンサス設計されたテトラトリコペプチド(CTPR)タンパク質の熱安定性を示す:円二色性によりモニターした、2反復RTPR(リジン残基をアルギニン残基に置き換えたCTPR)タンパク質の熱変性:RTPR2(ひし形)、ループ結合モジュールを含むRTPR2(円)及びヘリックス結合モジュールを含むRTPR2(四角)。全てのサンプルが、10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH 7.4、150mM NaCl中で20μMである。 図2は、増加数の結合モジュール(ブランクモジュールでの代替)を含む、増加長のCTPRタンパク質の熱安定性を示す:円二色性によりモニターした、タンキラーゼ結合配列を含む1、2、3、及び4つのループを含むTPRタンパク質:1TBP−CTPR2、2TBP−CTPR4、3TBP−CTPR6、4TBP−CTPR8の熱変性曲線。全てのサンプルが、10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH 7.4、150mM NaCl中で20μMである。 図3にヘリックス移植の例を示す。図3A(i)は、KRAS(Kirstenラット肉腫)に結合したSOS1(son−of−sevenlessホモログ1)の結晶構造を示し(PDB 1NVU、Margarit et al. Cell (2003)112(5):685-95)、(ii)は、CTPR2タンパク質のN末端でヘリックス上に移植されたSOS1ヘリックスを示す。SOS−RTPR2のモデル化構造を示し、ヘリックスの配列は、重要なKRAS結合残基(灰色)及びCTPRヘリックスとの界面を形成する残基(黒色)とともに与えている。(iii)は、KRASとの複合体中にあるSOS−TPR2のモデル化構造を示す。 図3Bは、競合蛍光偏光(FP)により測定したKRASへのSOS−TPR2の結合を示す。mant−GTPとKRASの間の複合体を予め形成させ、次いで、0.1〜300μMのSOS−RTPR2を複合体に滴定し、KRASからmant−GTPを置換してFPの減少をもたらした。EC50は3μMである。 図4にヘリックス移植の別の例を示す。図4Aは、CTPR2タンパク質のC末端でヘリックス上に移植されたp53のMdm2結合ヘリックスを含むp53−TPR2との複合体中にあるMdm2(mouse double minute2ホモログ)N末端ドメインのモデル化構造を示す。 図4Bは、p53−TPR2とMdm2 N末端ドメインの間の相互作用のITC分析を示す。Mdm2のN末端ドメインを10μMのp53−TPR2を含む細胞に滴定した。 図5は、単及び多価のループ移植CTPRの例を示す。図5Aは、一連のタンキラーゼ結合ループ移植CTPR2タンパク質(TBP−CTPR2)とタンキラーゼの基質結合ARC4(アンキリン反復クラスター)ドメインの間の相互作用のITC分析を示す。増加数の結合モジュール数に伴い結合親和性及び解離定数の両方の増強がある。 図5Bは、foldon三量化ドメイン(Boudko et al 2002;Meier et al. 2004)との融合構築物として発現される多価TBP−CTPRタンパク質の未変性ゲル分析(トリス−グリシン緩衝液pH 8.0中の未変性ゲル、40μMのタンパク質濃度を使用)を示す。1TBP−CTPR2、2TBP−CTPR4、及び4TBP−CTPR8(全てがfoldonドメインを欠く)を精製し、単量体対照として泳動した。foldonドメインを有する構築物は、それらの単量体の対応物よりもずっと高い分子量で泳動する。 図6は、CTPRタンパク質のループ中に移植されたp27から由来する10残基のSkp2結合配列を含むループ移植CTPRの例を示す(CTPR−p27)。図6Aは、HA−CTPR2−p27が、HEK293T細胞からのFLAG−Skp2を同時に免疫沈降することができることを示す。 図6Bは、大腸菌で発現され、精製されたTPR5−p27によって、p27ユビキチン化がインビトロで阻害されることを示す。 図7は、ループ移植CTPRの別の例を示す。図7Aは、Keap1(Kelch様ECH関連タンパク質1)KELCHドメインと、タンパク質Nrf2(核内因子(赤血球由来2)様2)((Nrf−CTPR2)から由来するループ移植Keap1結合配列を含むCTPR2タンパク質の間での相互作用のITC分析を示す(左)。結合は、ブランクCPTR2タンパク質については観察されない(右)。 図7Bは、Nrf−CTPR2の3つの変異体(Nrf−CTPR2(i)、Nrf−CTPR2(ii)、Nrf−CTPR2(iii))がHEK293T細胞からのKeap1を同時に免疫沈降することができることを示す。 図8は、再表面化(アルギニン残基を表面部位に導入することによる)により達成されるRTPRの細胞内送達の生細胞画像化を示す。PC3(左)細胞及びU2OS(右)細胞を、10μMのFITC標識再表面化TBP−RTPR2と37℃、5% COで3時間にわたりインキュベートした。DIC(微分干渉コントラスト)及び共焦点画像の重ね合わせ。細胞内蛍光も低濃度のタンパク質で観察された。 図9は、設計したヘテロ二機能性RTPRによる標的タンパク質ベータ−カテニンの誘導性分解を示す。図9Aは、HAタグ付きベータ−カテニンプラスミド単独で、又はHAタグ付きベータ−カテニンプラスミドと2つの異なるヘテロ二機能性RTPRプラスミド(ベータ−カテニン及びE3リガーゼSCFSkp2に同時に結合するように設計したLRH1−TPR−p27及びアキシン−TPR−p27)の1つと一緒にトランスフェクトされた細胞におけるベータ−カテニンレベルを示す。 図9Bは、ベータ−カテニンに、及びE3リガーゼSCFSkp2又はE3リガーゼMdm2のいずれかに同時に結合するように設計した異なるヘテロ二機能性RTPRの存在におけるベータ−カテニンレベルの定量分析を示す。分析は、ImageJを使用してアクチンバンドに対して標準化されたHAタグ付きベータ−カテニンに対応する、ウェスタンブロットにより検出されたバンドのデンシトメトリーを使用して実施した。使用した陰性対照は、単機能TPR又はブランク(非機能性)TPRであった。 図10は、異なるモジュラー結合タンパク質フォーマットの例を示す。モジュラー結合タンパク質は以下を含みうる。N末端及びC末端にヘリックス標的結合ペプチド及びヘリックスE3結合ペプチドを伴う2つの反復ドメイン(図10A)。 C末端にヘリックスE3結合ペプチド及びN末端からの第1の反復間ループ中に標的結合ドメインを伴う3つの反復ドメイン(図10B)。 N末端にヘリックス標的結合ペプチド及びN末端からの第2の反復間ループ中にE3結合ドメインを伴う3つの反復ドメイン(図10C)。 N末端からの第1及び第3の反復間ループ中に標的結合ドメイン及びE3結合ドメインを伴う4つの反復ドメイン(図10D)。 図11は、交互の反復間ループ中に位置する4つの結合ドメインを伴うモジュラー結合タンパク質の模式図を示す。結合部位は互いに90°に整列されている。 図12は、交互の反復間ループ中の結合ドメインが標的上の隣接エピトープに結合するように操作されたモジュラー結合タンパク質の模式図を示す。 図13は、TPR反復ドメイン、標的ベータ−カテニンに結合するように設計したLRH1由来結合ドメイン、及びE3ユビキチンリガーゼmdm2に結合するように設計したp53由来N末端結合ドメインを含むヘテロ二機能性モジュラー結合タンパク質のモデル化構造を示す。 図14は、モジュラー結合タンパク質を生成するための、反復ドメイン及び末端ヘリックス結合ドメインを含むモジュール並びに反復ドメイン及び反復間ループ結合ドメインを含むモジュールの組み合せ的な組み立ての模式図を示す。 図15は、異なるモジュラー結合タンパク質フォーマットの例を示す。(i)はブランクタンパク質を示す;(ii)は、1つ又は複数の反復間ループ中に挿入された結合ペプチドを示す。(iii)は、一方又は両方の末端でのヘリックス結合ペプチドを示す。(iv)は、ループ及びヘリックス結合ペプチドの組合せである。(v)及び(vi)は、どのようにして多価性を達成することができるのかについての例を示す。 図16は、以前のスクリーニングのラウンドで既に同定されたモジュールに加えて、多様な結合ドメインを伴うモジュールを含むモジュラー結合タンパク質の漸進的スクリーニングによるモジュラー結合タンパク質の組み立ての模式図を示す。 図17は、Wntシグナル伝達に対する、設計した多価タンキラーゼ結合TPRタンパク質の効果を示す。HEK293T細胞を、Lipofectamine 2000を使用し、TPRをコードするプラスミドでトランスフェクトした。TPRタンパク質は、反復間ループ上に移植された1〜4コピーのタンキラーゼ結合ペプチド(TBP)を含んでいた。例えば、2TBP−CTPR4は、第1のTPRと第2のTPRの間のループ上に移植された1つのTBP及び第3のTPRと第4のTPRの間の1つのTBPを伴う4つのTPRモジュールを含むタンパク質である。「foldon」は、三量体TPR−foldon融合タンパク質を示す。 図18は、リポソームカプセル化TPRタンパク質のサイズ及び電荷の特徴付けを示す。 図19は、リポソームカプセル化による細胞中へのTPRタンパク質の送達を示す。FITC色素標識リポソームによって膜融合時に細胞膜が染色され(赤色パネル)、RITC標識TPRタンパク質カーゴが次に細胞質中に送達される。緑色パネル及び赤緑の混合は、タンパク質が細胞に入り、細胞質中で拡散的に広がっていることを示す。 図20は、リポソームカプセル化TPRタンパク質が、使用した濃度でHEK293T細胞に対して毒性がないことを示す。 図21は、Wntシグナル伝達に対する、設計したヘテロ二機能性TPRタンパク質(リポソームカプセル化により送達される)の効果を示す。TPRタンパク質は、ユビキチン化及びその後の分解のためにタンキラーゼを誘導するタンキラーゼ結合ペプチド及びSCFSkp2結合ペプチドを含んだ。細胞をリポソームで2時間にわたり処理した。 図22は、Wntシグナル伝達に対する、設計したヘテロ二機能性TPRタンパク質(リポソームカプセル化により送達される)の効果を示す。TPRタンパク質は、ユビキチン化及びその後の分解のためのベータ−カテニンを誘導するために、ベータ−カテニン結合ペプチド及びSCFSkp2結合ペプチドを含んだ。細胞を、32μgのタンパク質をカプセル化したリポソームで、図に示す様々な時間(2〜8時間)にわたり処理した。 図23は、HEK293T細胞中でのKRASレベルに対する、設計したヘテロ二機能性TPRタンパク質の効果を示す。TPRタンパク質は、KRAS(RTPRの反復間ループ上に移植されたKBLと呼ばれる非ヘリックスペプチド配列)及び別の反復間ループ上に移植されたp27から由来するデグロンについての結合配列を含んだ。細胞を、示すように、50ng又は500ngのTPRをコードするプラスミドで、及びKRASプラスミド又は対照として空ベクターで一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に細胞を溶解し、KRASレベルをウェスタンブロットにより評価した。濃い灰色は、単機能TPRプラスミド(デグロンだけを含む)でトランスフェクトした細胞である。 図24は、CMA(シャペロン媒介性オートファジー)経路に対して内因性KRASを標的化するヘテロ二機能性TPRタンパク質の効果を示す。TPRタンパク質は、KRAS(son−of−sevenless−homolog1(SOS)から由来する移植ヘリックス、又はRTPRのループ中に呈示される非ヘリックスペプチド配列(「KBL」と呼ぶ))についての結合配列を含み、構築物のN末端又はC末端で2つの異なるシャペロン媒介性オートファジーペプチド(「CMA_Q」又は「CMA_K」と呼ぶ)を使用して分解のために標的化した。構築物又は空ベクター(薄い灰色)をHEK293T又はDLD1(結腸直腸癌細胞株)のいずれかに一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に細胞を溶解し、KRASレベルをウェスタンブロットにより評価した。空ベクター対照と比較してKRASにおいて有意な低下をもたらした構築物を白色で示す。 図25は、標的について結合親和性を最適化するために結合ドメインを反復間ループに接続するリンカー配列中の変動の例を示す。示した例はNrf−TPR(Keap1に結合するように設計したTPRタンパク質)である(原特許出願の図7を参照のこと)。グリジン残基をリンカー中に導入して柔軟性を提供し、空間サンプリングを増加させた。このより柔軟なリンカー配列の導入によって、コンセンサス様リンカー配列と比較した場合、Nrf−TPRタンパク質の結合親和性が増加することが見出された(「柔軟」と標識)。リンカー配列の電荷量を変えること(「荷電」と標識)、及びリンカー配列のアミノ酸組成を変化させることによりループの立体構造特性(プログラムCIDER(Holehouse et al. Biophys. J. 112, 16-21 (2017))の予測に基づく)を変えることによっても、Keap1結合親和力に影響が及ぼされた。
詳細な説明
本発明は、複数の反復ドメインを含むモジュラー結合タンパク質に関する。これらの反復ドメインは、反復間ループによりポリペプチド鎖中で互いに連結されている。1つ又は複数の結合ドメインは、1つ又は複数の反復間ループ中に及び/又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端ヘリックス中に位置する。結合ドメインは同一の又は異なる標的分子に対するものでありうるが、モジュラー結合タンパク質は多機能及び/又は多価でありうる。移植された結合部位の幾何学的な呈示は、結合部位の位置並びに反復ドメインの数及び形状を調節することにより、正確かつ予測可能に調整されうる。本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、治療的及び診断的な適用の範囲において有用でありうる。
反復ドメインは、定義された二次構造を形成する30から100アミノ酸の反復構造エレメントである。複数の反復ドメインは、モジュラー様式で連続的に積み重なって安定なタンパク質を形成し、それは、例えば、ソレノイド構造又はトロイド構造を有しうる。反復ドメインは合成的でありうる、又は縦列反復タンパク質からの天然の反復、若しくはその変異体でありうる。
反復ドメインは、ソレノイド反復の構造を有しうる。ソレノイド反復の構造は当技術分野で周知である(Kobe & Kajava Trends in Biochemical Sciences 2000; 25(10):509-15)。例えば、反復ドメインは、α/α又はα/310(ヘリックス・ターン・ヘリックス又はhth)構造、例えば、テトラトリコペプチド反復構造;α/α/α(ヘリックス・ターン・ヘリックス・ターン・ヘリックス又はhtth)構造、例えば、アルマジロ反復構造;β/β/α/α構造;α/β又は310/β構造、例えば、ロイシンリッチ反復(LRR)構造;β/β/β構造、例えば、IGF1RL、HPR又はPelC反復構造;或いはβ/β構造、例えば、セラリシン又はEGF反復構造を有しうる。
適切な反復ドメインは、アンキリン族(Pfam:CL0465)、例えばアンキリン(PF00023)などのドメイン(2つのベータ鎖及び2つのアルファヘリックスで構成される30〜34アミノ酸反復を含みうる);ロイシンリッチ反復(LRR)族(Pfam;CL0022)、例えばLRR1(PF00560)などのドメイン(α/βホースシューホールドで構成される20〜30アミノ酸反復を含みうる);Pecリアーゼ様(CL0268)族、例えばpecリアーゼC(PF00544)などのドメイン(右巻きベータヘリックスを含みうる);ベータ−Roll(CL0592)族、例えばヘモリシン型カルシウム結合反復(PF000353)などのドメイン(Ca2+イオンにより安定化された、各々が2つの短い鎖のベータ鎖ターンの超ヘリックスで作られたベータ−ロールを形成する短い反復単位(例、9−mer)を含みうる); PSI族(CL0630)、例えばトレフォイル(PF00088)などのドメイン;及びテトラトリコペプチド族(CL0020)、例えばTPR−1(PR00515)などのドメイン(ヘリックス・ターン・ヘリックスで構成される24から90アミノ酸反復を含みうる)を含みうる。
適切な反復ドメインは、PFAMデータベース(例えば、Finn et al Nucleic Acids Research (2016)Database Issue 44: D279-D285を参照のこと)を使用して同定されうる。
いくつかの好ましい実施形態では、反復ドメインは、α/αソレノイド反復ドメイン(例えばヘリックス・ターン・ヘリックスなど)の構造を有しうる。ヘリックス・ターン・ヘリックスドメインは12〜45アミノ酸の2つの逆平行αヘリックスを含む。
適切なヘリックス・ターン・ヘリックスドメインは、テトラトリコペプチド様反復ドメインを含む。テトラトリコペプチド様反復は、TPR族(CL0020)のドメイン、例えば、及びArmドメイン(例えば、Armadillo;PF00514;Huber et al Cell 1997; 90: 871-882を参照のこと)、HEATドメイン(Huntingtin、EF3、PP2A、TOR1;PF02985;例えば、Groves et al . Cell. 96 (1): 99-110を参照のこと)、PPRドメイン(ペンタトリコペプチド反復PF01535;例えば、Small (2000)Trends Biochem. Sci. 25 (2): 46-7を参照のこと)、TALEドメイン(TAL(転写活性化因子様)エフェクター;PF03377;例えば、Zhang et al Nature Biotechnology. 29 (2): 149-53を参照のこと)及びTPR1ドメイン(テトラトリコペプチド反復1;PF00515;例えば、Blatch et al BioEssays. 21 (11): 932-9を参照のこと)を含みうる。
他の適切なヘリックス・ターン・ヘリックスドメインは合成的、例えば、Brunette et al., Nature 2015 528 580-584に開示されているように、DHR1からDHR83でありうる。
いくつかの好ましい実施形態では、ヘリックス・ターン・ヘリックス骨格は、テトラトリコペプチド反復ドメイン(TPR)(D’Andrea & Regan, 2003)又はその変異体でありうる。TPR反復ドメインは天然又は合成TPRドメインを含みうる。適切なTPR反復ドメインは当技術分野で周知であり(例えば、Parmeggiani et al., J. Mol. Biol. 427 563-575を参照のこと)、以下のアミノ酸配列を有しうる:
AEAWYNGNAYYKQGDYQKAIEYYQKALEL−X
ここで、X1−4は独立して任意のアミノ酸であり、好ましくはX及びXはそれぞれD及びPであり、又はこの配列の変異体でありうる。他のTPR反復ドメイン配列を以下の表4〜6に示す。
好ましいTPRドメインは、CTPR、RTPRa、RTPRb、及びKTPRbドメイン、例えば、表4若しくは表6に示す配列を有するドメイン、又は表4若しくは表6に示す配列の変異体を含みうる。
いくつかの実施形態では、TPR反復ドメインは、ヒトTPR反復ドメイン、好ましくは、血液中のヒトタンパク質からのTPR反復ドメインでありうる。ヒト血液からのTPR反復ドメインはインビボで低下した免疫原性を有しうる。適切なヒト血液中TPR反復ドメインは、IFT1、IFT2、又はIFT3からの反復ドメインを含みうる。血漿中プロテオームデータベースにおいて同定されたヒト血液中反復ドメインの他の例を表5に示す。
適切なヒト血液中反復ドメインは、例えば、標準的な配列分析ツール(例、Altschul et al Nucleic Acids Res. 25:3389-3402l;Altschul et al FEBS J. 272:5101-5109)を使用し、TPR反復ドメインと高い配列同一性を伴う配列を探索することにより、血漿中プロテオームデータベース(Nanjappa et al Nucl Acids Res 2014 Jan;42(Database issue):D959-65)から同定されうる。
本明細書中に示す参照反復ドメイン又は結合部位配列の変異体は、参照配列と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。特定のアミノ酸配列の変異体は、1つのアミノ酸、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10又はそれ以上のアミノ酸の挿入、付加、置換、又は欠失により、上に示す反復ドメインとは異なりうる。TPR反復ドメインの好ましい変異体は、1つ又は複数の保存残基、例えば、7位のLeu、8位のGly又はAla、11位のTyr、20位のAla、27位のAla、28位及び32位のLeu又はIle、並びに30位のProの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はより好ましくは全てを含みうる。
配列類似性及び同一性は、アルゴリズムGAP(Wisconsin Package、Accelerys、米国サンディエゴ)を参照して一般に定義する。GAPでは、Needleman及びWunschアルゴリズムを使用し、一致数を最大化し、ギャップ数を最小化する2つの完全な配列を整列させる。一般的に、デフォルトパラメータをギャップ作成ペナルティ=12及びギャップBLAST(Altschul et al. (1990)J. Mol. Biol. 215: 405-410の方法を使用)、FASTA(Pearson and Lipman (1988)PNAS USA 85: 2444-2448の方法を使用)、若しくはSmith−Watermanアルゴリズム(Smith and Waterman (1981)J. Mol Biol. 147: 195-197)、又はAltschul et al. (1990)(上記)のTBLASTNプログラムを使用してもよく、一般的にはデフォルトパラメータを用いる。特に、psi−Blastアルゴリズム(Nucl. Acids Res. (1997)25 3389-3402)を使用してもよい。
配列比較は、本明細書中に記載する関連配列の全長にわたって行いうる。
例えば、反復ドメインは、疎水性結合ドメインの移植を促進させるために、1つ又は複数の点変異を含みうる。例えば、反復ドメイン中の芳香族残基を極性残基又は荷電残基で置換してもよい。適切な置換は、合理的な様式で、例えば、天然において共通の芳香族位置において見出される非芳香族残基を同定するために、反復ドメイン配列の隠れマルコフプロットを使用して同定してもよい。疎水性結合ドメインを移植するための適切なTPR反復ドメインは、以下のアミノ酸配列を有しうる:
AEAWYNGNAYRQGDYQRAIEYYQRALEL−X
ここで、X1−4は独立して任意のアミノ酸であり、好ましくはX及びXはそれぞれD及びPである。
いくつかの実施形態では、反復ドメイン中のリジン残基は、ユビキチン化及びその後の分解を防止するためにアルギニン残基により置換されうる。これは、モジュラー結合タンパク質が、例えば、タンパク質分解標的キメラ(PROTAC)においてE3ユビキチンリガーゼ結合ドメインを含む場合に特に有用でありうる。例えば、適切なTPR反復ドメインは、以下のアミノ酸配列を有しうる:
AEALNNLGNVYREQGDYQRAIEYYQRALEL−X
ここで、X1−4は独立して任意のアミノ酸であり、好ましくはX及びXはそれぞれD及びPである。
好ましい実施形態では、モジュラー結合タンパク質は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は10を上回る反復ドメインを含みうる。好ましくは、モジュラー結合タンパク質は2から5の反復ドメインを含む。少ない反復ドメインを伴うモジュラー結合タンパク質は、細胞透過性の増加を呈示しうる。例えば、2〜3反復ドメインを伴うモジュラー結合タンパク質は、細胞内標的分子に結合する際に有用でありうる。より多くの反復ドメインを伴うモジュラー結合タンパク質は、安定性及び機能性の増加を呈示しうる。例えば、4つ又はそれ以上の反復ドメインを伴うモジュラー結合タンパク質は、細胞外標的分子に結合する際に有用でありうる。6又はそれ以上の反復ドメインを伴うモジュラー結合タンパク質は、二価又は多価フォーマットで細胞外複合体を標的化する又は組み立てるための長い線形分子を産生する際に有用でありうる。
他の実施形態では、十分な安定性及び機能性が、N末端及びC末端結合ドメインを伴う単一反復ドメインにより与えられうる。例えば、モジュラー結合タンパク質は、以下を含みうる:
(i)反復ドメイン、及び
(ii)反復ドメインのN末端及びC末端での結合ドメイン。
モジュラー結合タンパク質の反復ドメインは、結合活性を欠くことがある、即ち、モジュラー結合タンパク質の結合活性は、結合ドメインにより(反復ドメイン内の残基によってではない)媒介される。
結合ドメインは、標的分子に特異的に結合する連続したアミノ酸配列である。末端へリックス又は反復間ループ上に移植することが可能である適切な結合ドメインが当技術分野で周知であり、ライブラリー、抗原エピトープ、天然タンパク質−タンパク質相互作用(ヘリックス、伸長又はターン様)、及び短い線形モチーフ(SLiM)より選択されるペプチド配列を含む。ウイルスSLiM(宿主機構を乗っ取る)は特に有用でありうる。なぜなら、それらは、高い結合親和性を呈示しうるからである(Davey et al (2011)Trends Biochem. Sci. 36,159-169)。
標的分子についての適切な結合ドメインは、例えば、ファージディスプレイ又はリボソームディスプレイを使用してライブラリーから選択してもよく、或いは、例えば、複合体の結晶構造又は相互作用を使用し、合理的なアプローチ又はコンピューター設計を使用して同定又は設計してもよい。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、標準配列分析ツール(例、Davey et al Nucleic Acids Res. 2011 Jul 1; 39(Web Server issue): W56-W60)を使用してアミノ酸配列中で同定されうる。
結合ドメインは、長さが5から25アミノ酸、好ましくは8から15アミノ酸でありうるが、いくつかの実施形態では、より長い結合ドメインを用いてもよい。
モジュラー結合タンパク質の結合ドメイン及び反復ドメインは異種性であり、即ち、結合ドメインは、天然タンパク質中の反復ドメインと会合せず、結合ドメイン及び反復ドメインは、組換え手段によりモジュラー結合タンパク質中で人工的に会合される。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、1からn+1の結合ドメインを含みうるが、ここで、nはモジュラー結合タンパク質中の反復ドメインの数である。結合ドメインの数は、モジュラー結合タンパク質の要求される機能性及び結合価により決定される。例えば、1つの結合ドメインは、単機能性モジュラー結合タンパク質について適切でありうるが、2つ又はそれ以上の結合ドメインは、二機能性又は多機能性モジュラー結合タンパク質について適切でありうる。
モジュラー結合タンパク質は一価でありうる。標的分子は、一価モジュラー結合タンパク質中の単一結合ドメインにより結合されうる。モジュラー結合タンパク質は多価でありうる。標的分子は、多価モジュラー結合タンパク質中の同一の又は異なる結合ドメインの2つ又はそれ以上により結合されうる。
モジュラー結合タンパク質は単一特異性でありうる。単一特異性モジュラー結合タンパク質中の結合ドメインは全て、同じ標的分子、より好ましくは標的分子の同じ部位又はエピトープに結合しうる。
モジュラー結合タンパク質は多特異性でありうる。多特異性モジュラー結合タンパク質中の結合ドメインは、異なる標的分子に結合しうる。例えば、二特異性モジュラー結合タンパク質は、第1の標的分子に結合する1つ又は複数の結合ドメイン及び第2の標的分子に結合する1つ又は複数の結合ドメインを含みうるが、三特異性モジュラー結合タンパク質は、第1の標的分子に結合する1つ又は複数の結合ドメイン、第2の標的分子に結合する1つ又は複数の結合ドメイン、及び第3の標的分子に結合する1つ又は複数の結合ドメインを含みうる。
二特異性モジュラー結合タンパク質は、2つの異なる標的分子に同時に結合しうる。これは、第1及び第2の標的分子を近接させる際に有用でありうる。標的分子が異なる細胞上に位置する場合、モジュラー結合タンパク質への標的分子の同時結合によって細胞が近接し、例えば、細胞の相互作用が促される又は増強されうる。例えば、腫瘍特異性抗原及びT細胞抗原(例えばCD3など)に結合するモジュラー結合タンパク質は、T細胞を腫瘍細胞に近接させる際に有用でありうる。標的分子が異なる生物学的経路からである場合、これは相乗効果を達成する際に、また耐性を最小化するために有用でありうる。
三特異性モジュラー結合タンパク質は、3つの異なる標的分子に同時に結合しうる。いくつかの実施形態では、標的分子の1つはE3ユビキチンリガーゼでありうる。例えば、三特異性モジュラー結合タンパク質は、第1の生物学的経路からの第1の標的分子及び第2の生物学的経路からの第2の標的分子、並びにE3ユビキチンリガーゼに結合しうる。これは相乗効果を達成する際に、また耐性を最小化するために有用である。
結合ドメインは、モジュラー結合タンパク質の反復間ループ中に位置しうる。
反復間結合ドメインは、5から25のアミノ酸残基、好ましくは8から15のアミノ酸を含みうる。しかし、ループ間結合ドメインのサイズに対する固有の制限はないため、25アミノ酸残基を上回るより長い配列をいくつかの実施形態では使用しうる。
いくつかの実施形態では、非構造化結合ドメインは反復間ループ中に挿入されうる。
モジュラー結合タンパク質中の1つ又は複数、2つ又はそれ以上、3つ又はそれ以上、4つ又はそれ以上、或いは5つ又はそれ以上の反復間ループは、結合ドメインを含みうる。結合ドメインは、連続した反復間ループ上に位置してもよく、又はモジュラー結合タンパク質の反復間ループ中で異なる分布を有してもよい。例えば、結合ドメインを含む反復間ループは、結合ドメインを欠く1つ又は複数、2つ又はそれ以上、3つ又はそれ以上、或いは4つ又はそれ以上の反復間ループによりモジュラータンパク質中で分離されうる。
結合ドメインは、直接的に、或いは1つ又は複数の更なる残基又はリンカーを介して反復間ループに接続されうる。更なる残基又はリンカーは、例えば、標的分子に結合するために結合ドメインが立体構造の柔軟性を要求する場合、又は最小結合ドメインに隣接するアミノ酸残基が結合界面の微小環境に有利に影響する場合に有用でありうる。
更なる残基又はリンカーは、結合ドメインのN末端、結合ドメインのC末端、又は両方に位置付けられうる。例えば、結合ドメインを含む反復間ループの配列は、[X1−i]−[X1−n]−[X1−z]でありうるが、ここで、Xにより表示される各々の残基は、独立して任意のアミノ酸でありうる、及び、またXにより表示される任意の他の残基と同じアミノ酸又は異なるアミノ酸でありうる、[X1−n]は結合ドメインであり、nは1から100であり、[X1−i]はリンカーであり、及びiは独立して1から10の間の任意の数である。いくつかの実施形態では、Dは、リンカー[X1−i]の第1の位置で好まれうる、Pは、リンカー[X1−i]の第2の位置で好まれうる、Dは、リンカー[X1−z]の最後の位置で好まれうる、及び/又はPは、リンカー[X1−z]の最後から2番目の位置で好まれうる。好ましい反復間ループ配列の例は、DP−[X1−n]−PX;DPXX−[X1−n]−XXPX;DPXX−[X1−n]−XPXX;DPXX−[X1−n]−PXXX;PXX−[X1−i]−[X1−n]−[X1−i]−XXPX、DPXX−[X1−i]−[X1−n]−[X1−i]−XPXX、DPXX−[X1−i]−[X1−n]−[X1−i]−PXXX、DPXX−[X1−i]− [X1−n]−XPXX、DPXX−[X1−i]−[X1−n]−XPXX、DPXX−[X1−i]−[X1−n]−XPXX、DPXX−[X1−n]−[X1−i]−XXPX、DPXX−[X1−n]−[X1−i]−XPXX、及びDPXX−[X1−n]−[X1−i]−PXXXを含みうる。
結合ドメインを反復間ループに接続するために使用される残基又はリンカーの正確な配列は、結合ドメインに依存し、標準的な技術を使用して目的の任意の結合ドメインについて容易に決定されうる。例えば、小さな非疎水性アミノ酸(例えばグリシンなど)を使用し、例えば、結合ドメインが特定の立体構造を採用する必要がある、又はプロリン残基を使用して強剛性を増加させうる場合(例えば、結合ドメインが短い場合)、柔軟性及び増加した空間サンプリングを提供しうる。
いくつかの好ましい実施形態では、反復間結合ドメインは非疎水性でありうる。例えば、結合ドメイン中のアミノ酸の少なくとも40%は荷電していてもよく(例、D、E、R、又はK)、又は極性であってもよい(例、Q、N、H、T、Y、C、又はW)。或いは、反復ドメインを改変して、疎水性結合ドメインを順応させてもよい(例えば、芳香族残基を荷電残基又は極性残基で置換することによる)。
結合ドメインは、モジュラー結合タンパク質の一方又は両方の末端に位置しうる。
いくつかの実施形態では、N末端又はC末端に位置する結合ドメインは、αヘリックス構造を含みうる、及び隣接反復ドメインに対して積み重なる半反復の全部又は一部(即ち、単一のαヘリックスの全部又は一部)を含みうる。末端結合ドメインのαヘリックスは隣接反復ドメインと安定化相互作用を作り、安定であり、折り畳まれている。αヘリックスを構造的に定義する位置のごく少数だけが、隣接反復ドメインとの正しい界面相互作用のために要求される。これらの位置の一部における残基が定義されているが(N末端αヘリックスについてはTyr(i)−Ile(i+4)−Tyr(i+7)−Leu(i+11)及びC末端ヘリックスについてはAla(i)−Leu(i+4)−Ala/Val(i+7))、しかし、αヘリックスの残りの位置は改変されてヘリックス結合ドメインを形成しうる。
ヘリックス結合ドメインはタンパク質のN末端に位置しうる。N末端結合ドメインはヘリックスであってもよく、配列Xn−(X)15−XXXの全部又は一部、好ましくは配列Xn−XYXXXIXXYXXXLXX−XXXの全部又は一部を含んでもよく、ここで、Xにより表示される各々の残基は独立して任意のアミノ酸であり、またXにより表示される配列中の任意の他の残基と同じアミノ酸又は異なるアミノ酸であってもよく、Xは独立して任意のアミノ酸、好ましくはDであり、Xは独立して任意のアミノ酸、好ましくはPであり、nは0又は任意の数である。いくつかの実施形態では、N末端結合ドメイン中のY、I、及び/又はL残基は、類似の特性を伴うアミノ酸残基で置換されうる(即ち、保存的置換)。
ヘリックス結合ドメインはタンパク質のC末端に位置しうる。C末端結合ドメインはヘリックスであってもよく、配列Xn−(X)15−XXXの全部又は一部、好ましくは配列XXX−XXAXXXLXX[A又はV]XXXXX−Xの全部又は一部を含んでもよく、ここで、Xは独立して任意のアミノ酸であり、またXにより表示される配列中の任意の他の残基と同じアミノ酸又は異なるアミノ酸であってもよく、Xは独立して任意のアミノ酸、好ましくはDであり、Xは独立して任意のアミノ酸、好ましくはPであり、nは0又は任意の数である。いくつかの実施形態では、C末端結合ドメイン中のA、L、及び/又はV残基は、類似の特性を伴うアミノ酸残基で置換されうる(即ち、保存的置換)。
末端結合ドメインの最小長は、標的分子に結合するヘリックスを形成するために要求される残基の数により決定される。末端結合ドメインの固有の最大長はなく、nは任意の数でもよい。
他の実施形態では、N末端又はC末端に位置する結合ドメインは、非ヘリックス構造を含みうる。例えば、絶対N末端又はC末端ドメインである結合ドメイン(例えば、末端のアミノ基又はカルボン酸基が結合相互作用を媒介するため)は、1つ又は複数の反復ドメインの開始又は終了に位置しうる。
いくつかの実施形態では、結合ドメイン中の1つ又は複数の位置は、多様でありうる、又はランダム化されうる。1つ又は複数の多様な又はランダム化された残基を含むモジュラー結合タンパク質は、以下に記載するようにライブラリーを形成しうる。
いくつかの実施形態では、N末端及びC末端結合ドメインは非疎水性でありうる。例えば、結合ドメイン中のアミノ酸の少なくとも20%は荷電していてもよく(例、D、E、R、又はK)、又は極性であってもよい(例、Q、N、H、T、Y、C、又はW)。或いは、反復ドメインのヘリックス・ターン・ヘリックス骨格は、例えば、疎水性結合ドメインを順応させるために、芳香族残基を荷電残基又は極性残基で置換することにより改変してもよい。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、任意の配置又は組合せにおいて結合ドメインを含みうる。例えば、結合ドメインは、N末端及びC末端の両方、並びに場合によりモジュラー結合タンパク質の1つ又は複数の反復間ループに;N末端、及び場合によりモジュラー結合タンパク質の1つ又は複数のループに;C末端、及び場合によりモジュラー結合タンパク質の1つ又は複数のループに;或いはモジュラー結合タンパク質の1つ又は複数の反復間ループ中に位置してもよい。
モジュラー結合タンパク質内の結合ドメインの位置は、例えば、2つの標的分子を互いに提示するための(例、E3ユビキチンリガーゼへの基質提示のための)最適な配置を同定するためのモデル化を使用した合理的な設計により;及び/又は、例えば、標的分子の最適な相互作用を与える配置を同定するための、結合ドメインの異なる配置を伴うモジュラー結合タンパク質の集団を使用したスクリーニングにより決定されうる。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質のための適切な標的分子は、生体高分子(例えばタンパク質など)を含む。標的分子は、受容体、酵素、抗原、オリゴ糖、オリゴヌクレオチド、内在性膜タンパク質、転写因子、転写調節因子、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、又は任意の他の目的の標的でありうる。小分子(例えばPPIなど)で標的化するのが困難なタンパク質、神経変性疾患において蓄積するタンパク質、及び疾患状態(例えば癌など)において過剰発現するタンパク質は、特に適切な標的分子でありうる。標的分子は、αシヌクレイン;βアミロイド;タウ;スーパーオキシドジスムターゼ;ハンチンチン;βカテニン;KRAS;スーパーエンハンサー及び他の種類の転写因子の成分、例えばN−Myc、C−Myc、Notch、Aurora−A、EWS−FLI1(ユーイング肉腫フレンド白血病組込み1)、TEL−AML1、TAL1(T細胞急性リンパ性白血病タンパク質1)、及びSox2((性決定領域Y)−ボックス2)など;タンキラーゼ;ホスファターゼ、例えばPP2Aなど;エピジェネティックなライター、リーダー、及びイレーザー、例えばヒストンデアセチラーゼ及びヒストンメチルトランスフェラーゼなど;BRD4及び他のブロモドメインタンパク質;並びにキナーゼ、例えばPLK1(polo様キナーゼ1)、c−ABL(Abelsonマウス白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ1)、及びBCR(ブレークポイントクラスタ領域)−ABLなどを含みうる。
いくつかの実施形態では、モジュラー結合タンパク質は、例えば、その活性を阻害若しくはそれに拮抗する、又は別の分子に結合することにより、或いはユビキチン化及びプロテアソーム分解のために又はオートファジーを介した分解のためにそれにタグ付けすることにより、標的分子の生物学的活性を中和しうる。他の実施形態では、モジュラー結合タンパク質は、標的分子の生物学的活性を活性化しうる。
いくつかの実施形態では、標的分子はβカテニンでありうる。βカテニンに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、アキシン(例、GAYPEYILDIHVYRVQLEL及びその変異体)、Bcl−9(例、SQEQLEHRYRSLITLYDIQLML及びその変異体)、TCF7L2(例、QELGDNDELMHFSYESTQD及びその変異体)、ICAT(例、YAYQRAIVEYMLRLMS及びその変異体)、LRH−1(例、YEQAIAAYLDALMC及びその変異体)、又はAPC(例、SCSEELEALEALELDE及びその変異体)から由来するβカテニン結合ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はKRASでありうる。KRASに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、SOS−1からのKRAS結合ドメイン(例、FEGIALTNYLKALEG及びその変異体)及びファージディスプレイにより同定されるKRAS結合ドメイン(例えば、Sakamoto et al. Biochem. Biophys. Res. Comm. (2017)484 605-611を参照のこと)を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はタンキラーゼでありうる。タンキラーゼに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、Axinからのタンキラーゼ結合ドメイン(例、REAGDGEE及びHLQREAGDGEEFRS又はその変異体)を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はEWS−FLI1でありうる。EWS−FLI1に特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、ESAP1ペプチドTMRGKKKRTRAN及びその変異体を含む。他の適切な配列はファージディスプレイにより同定されうる(例えば、Erkizan et al. Cell Cycle (2011)10, 3397-408を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、標的分子はAurora−Aでありうる。Aurora−Aに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、TPX2からのAurora−A結合配列、例えばSYSYDAPSDFINFSS(Bayliss et al. Mol. Cell (2003)12, 851-62)など、及びN−mycからのAurora−A結合配列、例えばN−mycの残基19−47又は61−89(例えば、Richards et al. PNAS (2016)113, 13726-31を参照のこと)などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はN−Myc又はC−Mycでありうる。N−myc又はC−mycに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、Aurora−Aからのヘリックス結合配列(例えば、Richards et al. PNAS (2016)113, 13726-31を参照のこと)を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はWDR5(WD反復含有タンパク質5)でありうる。
WDR5に特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、MLL1(混合系統白血病タンパク質1)のWDR5相互作用モチーフ(WIN)(例えば、Song & Kingston J. Biol. Chem. (2008)283, 35258-64;Patel et al. J. Biol. Chem. (2008)283, 32158-61を参照のこと)、例えばEPPLNPHGSARAEVHLRKS及びその変異体を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はBRD4又はブロモドメインタンパク質でありうる。
BRD4に特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、ヒストンタンパク質リガンドから由来する配列を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はHDAC(ヒストンデアセチラーゼ)でありうる。HDACに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、SMRT及び、HDACを特異的な転写調節複合体に動員する他のタンパク質から由来する結合配列、又はヒストンタンパク質から由来する結合配列(例えば、Watson et al. Nat. Comm. (2016)7, 11262;Dowling et al. Biochem. (2008)47, 13554-63を参照のこと)を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はNotchでありうる。Notchに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、MAML1(マスターマインド様タンパク質1)のN末端からの結合配列、例えば、SAVMERLRRRIELCRRHHST及びその変異体(例えば、Moellering et al. Nature (2009)462, 182-8を参照のこと)を含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はCdk(サイクリン依存性キナーゼ)でありうる。Cdkに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、基質ベースのペプチド、例えば、サイクリンAから由来するCdk2配列、例えばTYTKKQVLRMEHLVLKVLTFDL及びその変異体(例えば、Gondeau et al. J. Biol. Chem. (2005)280, 13793-800;Mendoza et al. Cancer Res. (2003)63, 1020-4を参照のこと)などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はPLK1(polo様キナーゼ1)でありうる。PLK1に特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、基質結合PBD(poloボックスドメイン)に結合する最適化された基質由来配列、例えばMAGPMQSEPLMGAKK及びその変異体などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はタウでありうる。タウに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、アルファ−及びベータ−チューブリンから由来するタウ結合配列、例えばKDYEEVGVDSVE及びYQQYQDATADEQG並びにそれらの変異体(例えば、Maccioni et al. EMBO J. (1988)7, 1957-63;Rivas et al. PNAS (1988)85, 6092-6)などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はBCR−ABLでありうる。BCR−ABLに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、最適化された基質由来配列、例えばEAIYAAPFAKKK及びその変異体などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はPP2A(プロテインホスファターゼ2A)でありうる。PP2Aに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、B56調節サブユニットに結合する配列、例えばLQTIQEEE及びその変異体(例えばHetz et al. Mol. Cell (2016), 63 686-95を参照のこと)などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はEED(胚性外胚葉発生)でありうる。EEDに特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、補因子EZH2(zesteホモログ2のエンハンサー)からのヘリックス結合配列、例えばFSSNRQKILERTEILNQEWKQRRIQPV及びその変異体(例えばKim et al. Nat. Chem. Biol. (2013)9, 643-50を参照のこと)などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はMCL−1(骨髄性白血病細胞分化誘導タンパク質)でありうる。MCL−1に特異的に結合する適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、BCL2からの配列、例えばKALETLRRVGDGVQRNHETAF及びその変異体(例えば、Stewart et al. Nat. Chem. Biol. (2010)6, 595-601を参照のこと)などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はRASでありうる。適切なRAS結合ドメインは当技術分野で周知であり、ファージディスプレイにより同定されるRAS結合ペプチド、例えばRRRRCPLYISYDPVCRRRR及びその変異体(例えば、Sakamoto et al. BBRC (2017)484, 605-11を参照のこと)などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はGSK3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3)でありうる。適切なGSK3結合ドメインは当技術分野で周知であり、基質競合結合配列、例えばKEAPPAPPQDP、LSRRPDYR、RREGGMSRPADVDG、及びYRRAAVPPSPSLSRHSSPSQDEDEEE並びにそれらの変異体(例えば、Ilouz et al. J. Biol. Chem. 281 (2006), 30621-30630. Plotkin et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. (2003)305, 974-980を参照のこと)などを含む。
いくつかの実施形態では、標的分子はCtBP(C末端結合タンパク質)でありうる。適切なCtBP結合ドメインは当技術分野で周知であり、環状ペプチドライブラリーのスクリーニングから同定された配列、例えばSGWTVVRMY及びその変異体(例えば、Birts et al. Chem. Sci. (2013)4, 3046-57を参照のこと)などを含む。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質において使用されうる標的分子のための適切な結合ドメインの例を表2及び7に示す。
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、E3ユビキチンリガーゼのための結合ドメインを含みうる。適切なE3ユビキチンリガーゼの例は、MDM2、SCFSkp2、BTB−CUL3−RBX1、APC/C、SIAH、CHIP、Cul4−DDB1、SCFファミリー、ベータ−TrCP、Fbw7、及びFbx4を含む。
E3ユビキチンリガーゼ(デグロン)のための適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり、5から20のアミノ酸でありうる。例えば、MDM2のための適切な結合ドメインは、p53からの結合ドメイン(例、FAAYWNLLSAYG)及びその変異体を含みうる。SCFSkp2のための適切な結合ドメインは、p27からの結合ドメイン(例、AGSNEQEPKKRS)及びその変異体を含みうる。Keap1−Cul3のための適切な結合ドメインは、Nrf2からの結合ドメイン(例、DPETGEL)又はその変異体を含みうる。SPOP−Cul3のための適切な結合ドメインは、Pucからの結合ドメイン(例、LACDEVTSTTSSSTA)又はその変異体を含みうる。APC/Cのための適切な結合ドメインは、ABBA(例、SLSSAFHVFEDGNKEN)、KEN(例、SEDKENVPP)、若しくはDBOX(例、PRLPLGDVSNN)と呼ばれるデグロン又はその変異体を含みうる。いくつかの例では、これらのデグロンの組み合わせを使用してもよい(いくつかの天然基質において見出される二部分又は三部分デグロンを模倣する)。SIAHのための適切な結合ドメインは、PHYLからの結合ドメイン(例、LRPVAMVRPTV)又はその変異体を含みうる。CHIP(Hsc70相互作用タンパク質のカルボキシル末端)のための適切な結合ドメインは、ペプチド配列、例えばASRMEEVD(Hsp90のC末端から)及びGPTIEEVD(Hsp70のC末端から)又はその変異体などを含みうる。ベータ−TrCPのための適切な結合ドメインは、デグロン配列モチーフ(ホスホミメティックアミノ酸を含む)、例えばDDGYFD又はその変異体などを含みうる。Fbx4のための適切な結合ドメインは、TRF1から由来する配列、例えばMPIFWKAHRMSKMGTG又はその変異体(例えば、Lee et al. Chembiochem (2013)14, 445-451を参照のこと)などを含みうる。FBw7のための適切な結合ドメインは、デグロン配列モチーフ(ホスホミメティックアミノ酸を含む)、例えばLPSGLLEPPQDなどを含みうる。DDB1−Cul4のための適切な結合ドメインは、HBx(B型肝炎ウイルスXタンパク質)及び他のウイルスからの同様のタンパク質から、並びにヘリカルモチーフ、例えばILPKVLHKRTLGL、NFVSWHANRQLGM、NTVEYFTSQQVTG、及びNITRDLIRRQIKE(例えば、Li et al. Nat. Struct. Mol. Biol. (2010)17, 105-111を参照のこと)などを含むDCAF(DDB1−CUL4関連因子)から由来する配列を含みうる。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質において使用されうるE3ユビキチンリガーゼのための適切な結合ドメインの例を表3に示す。
E3ユビキチンリガーゼのための結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質はまた、標的分子のための結合ドメインを含みうる。標的分子及びE3ユビキチンリガーゼの両方へのモジュラー結合タンパク質の結合によって、標的分子はE3ユビキチンリガーゼによりユビキチン化されうる。ユビキチン化された標的分子は次に、プロテアソームにより分解される。これによって、モジュラー結合タンパク質によるタンパク質分解のために分子の特異的標的化が可能になる。標的タンパク質のユビキチン化及びそれに続く分解は、標的タンパク質及びユビキチンリガーゼに同時に結合するヘテロ二機能性小分子(PROTAC;キメラを標的化するタンパク質分解)について示されている(例えば、Bondeson et al. Nat. Chem. Biol. 2015;Deshaies 2015; Lu et al. 2015を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、モジュラー結合タンパク質は、E3ユビキチンリガーゼによるユビキチン化を回避するように、リジン残基を欠きうる。E3ユビキチンリガーゼ及び標的分子に結合するモジュラー結合タンパク質の例を表1及び8に示す。
適切なモジュラー結合タンパク質は、標的タンパク質(例えばβカテニンなど)に結合するN末端結合ドメイン、及びE3ユビキチンリガーゼに結合するC末端結合ドメインを含みうる。例えば、N末端結合ドメインは、Bcl9から由来するβカテニン結合配列でありうる、及びC末端結合ドメインは、p53から由来するMdm2結合配列でありうる。或いは、モジュラー結合タンパク質は、標的タンパク質(例えばβカテニンなど)に結合するC末端結合ドメイン、及びE3ユビキチンリガーゼに結合するN末端結合ドメインを含みうる(図10Aを参照のこと)。
別の適切なモジュラー結合タンパク質は、3つの反復ドメイン、標的タンパク質(例えばβカテニンなど)に結合する反復間ループ中に位置する結合ドメイン、及びE3ユビキチンリガーゼに結合するC末端結合ドメインを含みうる。例えば、反復間ループ結合ドメインは、APC(大腸腺腫症)のリン酸化領域から由来しうるが、C末端結合ドメインは、p53から由来するMdm2結合配列でありうる。或いは、モジュラー結合タンパク質は、E3ユビキチンリガーゼに結合する反復間ループ中に位置する結合ドメイン、及び標的タンパク質(例えばβカテニンなど)に結合するC末端結合ドメインを含みうる(図10Bを参照のこと)。
別の適切なモジュラー結合タンパク質は、3つの反復ドメイン、標的タンパク質(例えばβカテニンなど)に結合するN末端結合ドメイン、及びE3ユビキチンリガーゼに結合するモジュール間ループ中に位置する結合ドメインを含みうる。例えば、N末端結合ドメインは、LRH1(肝受容体ホモログ1)から由来するβカテニン結合配列でありうる、及びモジュール間ループ結合ドメインは、p27のSkp2標的化領域から由来する配列でありうる。或いは、モジュラー結合タンパク質は、E3ユビキチンリガーゼに結合するN末端結合ドメイン及び標的タンパク質(例えばβカテニンなど)に結合するモジュール間ループ中に位置する結合ドメインを含みうる(図10Cを参照のこと)。
別の適切なモジュラー結合タンパク質は、4つの反復ドメイン、E3ユビキチンリガーゼに結合する反復間ループ中に位置する第1の結合ドメイン、及び標的分子に結合する反復間ループ中に位置する第2の結合ドメインを含みうる。第1及び第2の反復間ループは、結合ドメインを欠く反復間ループにより分離されうる。例えば、第1の結合ドメインは、N末端からの第1の反復間ループの反復間ループ中に位置しうる、及び第2の結合ドメインは、N末端からの第3の反復間ループ中に位置しうる、又はその逆でもよい。
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、表8に示すアミノ酸又はその変異体を含みうる。
他の好ましい実施形態では、本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、標的選択的オートファジー経路、例えばシャペロン媒介性オートファジー(CMA)などの成分に結合する結合ドメインを含みうる。モジュラー結合タンパク質及びそれに結合した標的分子は、このように、オートファジー経路により認識され、標的分子はその後に分解される。CMA経路の適切な成分は、70kDaの熱ショック同族タンパク質(hsc70、HSPA8、遺伝子ID:3312)を含む。適切な結合ドメインは当技術分野で周知であり(Dice J.F. (1990). Trends Biochem. Sci. 15, 305-309)、本明細書中に記載するように、Lys−Phe−Glu−Arg−Gln(KFERQ)及びその変異体、例えばCMA_Q及びCMA_Kなどを含む。これらのドメインは、異種タンパク質をオートファジー経路に標的化することが可能であることが実証されている(Fan, X.et al; (2014)Nature Neuroscience 17, 471-480)。
反復ドメイン及び結合ドメインに加えて、モジュラー結合タンパク質は、追加の機能性を付与する1つ又は複数の追加のドメイン、例えば標的化ドメイン、細胞内輸送ドメイン、安定化ドメイン、又はオリゴマー化ドメインなどを更に含みうる。追加のドメインは、例えば、モジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に又は反復の間のループ中に位置しうる。
標的化ドメインは、インビボで特定の目標にモジュラー結合タンパク質を標的化する際に有用でありうる(例えば標的組織、細胞、膜、又は細胞内オルガネラなど)。適切な標的化ドメインはキメラ抗原受容体(CAR)を含む。
細胞内輸送ドメインによって、例えば、細胞内標的分子に結合するために、細胞膜を通じた細胞中へのモジュラー結合タンパク質の通過が促進されうる。適切な細胞内移行ドメインは当技術分野で周知であり(例えば、Bechara et al FEBS Letters 587 1 (2013)1693-1702を参照のこと)、細胞透過性ペプチド(CPP)、例えばアンテナペディア(43−58)、Tat(48−60)、カドヘリン(615−632)、及びポリ−Argなどを含む
安定化ドメインは、インビボでモジュラー結合タンパク質の半減期を増加させうる。適切な安定化ドメインは当技術分野で周知であり、Fcドメイン、血清アルブミン、非構造化ペプチド(例えばXTEN98又はPAS99など)、及びポリエチレングリコール(PEG)を含む。
オリゴマー化ドメインによって、例えば、多価標的に対する結合活性を増加させるために、多タンパク質複合体の形成が促進されうる。適切なオリゴマー化ドメインは「foldonドメイン」(T4フィブリチンの天然三量体化ドメイン)(Meier et al., J. Mol. Biol. (2004)344(4):1051-69)を含む。
反復ドメイン、結合ドメイン、及び場合により1つ又は複数の追加のドメインに加えて、モジュラー結合タンパク質は、細胞傷害剤若しくは治療剤及び/又は検出可能な標識を更に含みうる。
適切な細胞傷害剤は、例えば、化学療法薬剤(例えばメトトレキセート、アウリスタチンアドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、オゾガマイシン、クロラムブシル、メイタンシン、エムタンシン、ダウノルビシン、又は他の挿入薬剤など)、細菌、真菌、植物、又は動物起源の酵素活性毒素(例えばジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、エキソトキシンA鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、αアマニチン、アルファ−サルシン、シナアブラギリタンパク質、ツブリシン、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP−S)、ツルレイシ(Sapaonaria officinalis)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、及びトリコテセン並びにこれらのいずれかの断片を含む。適切な細胞傷害剤はまた、放射性同位元素を含みうる。種々の放射性核種が、放射性複合体モジュラー結合タンパク質の産生のために利用可能である(限定しないが、90Y、125I、131I、123I、111In、131In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、188Re、及び212Biを含む)。モジュラー結合タンパク質及び1つ又は複数の小さな抗癌分子、例えば、毒素(例えばカリケアミシン、メイタンシノイド、トリコテン、及びCC1065など)の複合体、並びに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体を使用してもよい。
適切な治療剤は、サイトカイン(例、IL2、IL12、及びTNF)、ケモカイン、凝固促進因子(例、組織因子)、酵素、リポソーム、及び免疫応答因子を含みうる。
検出可能な標識は、シグナルを産生する又はシグナルを産生するように誘導することができる任意の分子(蛍光剤、放射性標識、酵素、化学発光剤、又は光増感剤を含むがこれらに限定しない)でありうる。このように、結合は、蛍光又は発光、放射能、酵素活性、又は光吸収を検出することにより検出及び/又は測定されうる。検出可能な標識は、当技術分野で公知の従来の化学を使用し、モジュラー結合タンパク質に付着させてもよい。
標識が、外部手段、例えば目視検査、電磁放射、熱、及び化学試薬により検出可能なシグナルを産生することができる多数の方法がある。標識はまた、モジュラー結合タンパク質に結合する別の特異的結合メンバーに、又は支持体に結合することができる。
いくつかの実施形態では、モジュラー結合タンパク質は、例えばスクリーニング及び選択のために、粒子又は分子複合体(例えば細胞、リボソーム、又はファージなど)上での呈示のために形成されうる。適切なモジュラー結合タンパク質は、粒子又は分子複合体上での呈示を促進するために、呈示部分(例えばファージコートタンパク質など)を更に含みうる。ファージコートタンパク質はモジュラー結合タンパク質に融合又は共有結合させてもよい。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、組換え手段により産生されうる。例えば、本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質を産生する方法は、モジュラー結合タンパク質をコードする核酸を発現することを含みうる。核酸を宿主細胞中で発現させてもよく、発現されたモジュラー結合タンパク質を次に細胞培養物から単離及び/又は精製してもよい。
いくつかの実施形態では、方法は以下を含みうる;
結合ドメインをコードする第1の核酸を、2つ又はそれ以上の反復ドメインをコードする第2の核酸中に挿入し、反復間ループ中に又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質をコードするキメラ核酸を産生すること;及び
上記キメラ核酸を発現させてモジュラー結合タンパク質を産生すること。
本明細書中に記載する方法は、第1の標的分子及び第2の標的分子に結合するモジュラー結合タンパク質を産生する際に有用でありうる。例えば、方法は以下を含みうる;
反復間ループにより連結された2つ又はそれ以上の反復ドメイン(各反復ドメイン)をコードする核酸を提供すること;及び
上記核酸中に、第1の標的分子に結合する第1の結合ドメインをコードする第1のヌクレオチド配列、及び第2の標的分子に結合する第2の結合ドメインをコードする第2のヌクレオチド配列を組み入れて、上記第1及び第2の結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質をコードする核酸を生成すること、ここで、上記結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置し;及び
核酸を発現させて上記タンパク質を産生すること。
第1及び第2の標的分子の1つは、E3ユビキチンリガーゼでありうる。例えば、方法は以下を含みうる;
反復間ループにより連結された2つ又はそれ以上の反復ドメイン(各反復ドメイン)をコードする核酸を提供すること;及び
上記核酸中に、標的分子に結合する第1の結合ドメインをコードする第1のヌクレオチド配列及びE3ユビキチンリガーゼに結合する第2の結合ドメインをコードする第2のヌクレオチド配列を組み入れて、上記第1及び第2の結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質をコードする核酸を生成すること、ここで、上記結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置し;及び
核酸を発現させて上記タンパク質を産生すること。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質をコードする単離核酸を、本発明の一局面として提供する。核酸は、発現ベクター内に含まれうる。適切なベクターは、適当な調節配列(プロモーター配列、ターミネーター断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、及び他の配列を含む)を適宜含むように選択又は構築することができる。好ましくは、ベクターは、宿主細胞における核酸の発現を駆動するための適当な調節配列を含む。発現系において異種核酸コード配列の発現を駆動するための適切な調節配列は、当技術分野で周知であり、構成プロモーター、例えば、ウイルスプロモーター(例えばCMV又はSV40など)、及び誘導プロモーター(例えばTet−on制御プロモーターなど)を含む。ベクターはまた、細菌宿主(例えば大腸菌など)及び/又は真核細胞においてその選択並びに複製及び発現を可能にする配列(例えば複製起点及び選択マーカーなど)を含みうる。
細胞培養中での組換えモジュラー結合タンパク質の発現並びにその後のそれらの単離及び精製のために適切である多くの技術及びプロトコールが、当技術分野で公知である(例えば、Protocols in Molecular Biology, Second Edition, Ausubel et al. eds. John Wiley & Sons, 1992;Recombinant Gene Expression Protocols Ed RS Tuan (Mar 1997)Humana Press Inc.を参照のこと)。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質をコードする核酸又はそのような核酸を含むベクターを含む宿主細胞も、本発明の一局面として提供する。適切な宿主細胞は、細菌、哺乳動物細胞、植物細胞、糸状菌、酵母、及びバキュロウイルス系、並びにトランスジェニック植物及び動物を含む。原核細胞におけるタンパク質の発現は当技術分野において十分に確立されている。一般的な細菌宿主は大腸菌である。モジュラー結合タンパク質はまた、培養中での真核細胞中での発現により産生されうる。モジュラー結合タンパク質の発現のために当技術分野で利用可能な哺乳動物細胞系は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎細胞、NS0マウスメラノーマ細胞、YB 2/0ラット骨髄腫細胞、ヒト胚性腎細胞(例、HEK293細胞)、ヒト胚性網膜細胞(例、PerC6細胞)、及び多くの他を含む。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質を使用し、ライブラリーを産生してもよい。適切なライブラリーを、特異的結合活性を伴うモジュラー結合タンパク質を同定及び単離するためにスクリーニングしてもよい。ライブラリーはモジュラー結合タンパク質を含みうるが、各々のモジュラー結合タンパク質は、
(i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)上記反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)1つ又は複数の結合ドメイン(各々の上記結合ドメインは反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する)、
を含み、
ここで、上記ライブラリー中の結合ドメイン中の少なくとも1つのアミノ酸残基は多様である。
ライブラリー中のモジュラー結合タンパク質の結合ドメインにおける1つ又は複数の位置の残基は、多様でありうる又はランダム化されうる、即ち、1つ又は複数の位置に位置する残基は、集団中の異なる分子において異なりうる。
例えば、ライブラリー中のモジュラー結合タンパク質のN末端又はC末端でのヘリックス結合ドメイン内の1から12の位置は、多様でありうる又はランダム化されうる。また、結合ドメインの非制約X配列は追加の多様性を含みうる。或いは、又は加えて、ライブラリー中のモジュラー結合タンパク質の反復間結合ドメイン内の1〜nの位置は、多様でありうる又はランダム化されうる(ここで、nは結合ドメイン中のアミノ酸の数である)。
いくつかの実施形態では、結合ドメインは個々にスクリーニングされうる、及びモジュラー結合タンパク質は、異なるラウンドのスクリーニングにおいて同定された結合ドメインを含む反復ドメインから連続的に組み立てられうる。例えば、ライブラリーはモジュラー結合タンパク質を含みうるが、ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質は、
(i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)上記反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質において同じアミノ酸配列を有する1つ又は複数の定常結合ドメイン、及びライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質において異なるアミノ酸配列を有する1つ又は複数の多様な結合ドメイン、好ましくは1つの多様な結合ドメイン
を含み、
上記結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する。
上記ライブラリー中の多様な結合ドメインにおける少なくとも1つのアミノ酸残基は多様でありうる。
ライブラリーは、以下を含む方法により産生されうる:
(a)以下を含むモジュラー結合タンパク質の多様な集団をコードする核酸の集団を提供すること
(i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)2つ又はそれ以上の反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)1つ又は複数の結合ドメイン(各々の前記結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する)、
ここで、各々のモジュラー結合タンパク質中の結合ドメインの1つ又は複数の残基は、前記ライブラリーにおいて多様であり、
(b)前記核酸集団を発現させて多様な集団を産生し、それにより、モジュラー結合タンパク質のライブラリーを産生すること。
核酸集団は、多様な結合ドメインをコードする核酸の第1の集団を、反復間ループにより連結された2つ又はそれ以上の反復ドメインをコードする核酸の第2の集団中に挿入することを含む方法により提供してもよく、場合により、ここで、第1及び第2の核酸は、10までのアミノ酸のリンカーをコードする核酸の第3の集団と連結させる。
核酸は、ベクター、例えば、発現ベクター中に含まれうる。適切なベクターは、ファージベースの又はファージミドベースのファージディスプレイベクターを含む。
核酸は、無細胞インビトロ翻訳系(例えばリボソームなど)を使用し、細胞中又は溶液中で組換え的に発現されてライブラリーを生成しうる。いくつかの好ましい実施形態では、ライブラリーは、モジュラー結合タンパク質の機能によってそのコード核酸の単離が可能になる系において発現される。例えば、モジュラー結合タンパク質は、粒子又は分子複合体上で呈示され、選択及び/又はスクリーニングが可能になりうる。いくつかの実施形態では、モジュラー結合タンパク質のライブラリーは、ビーズ、無細胞リボソーム、バクテリオファージ、原核細胞、又は真核細胞上に呈示されうる。或いは、コードされるモジュラー結合タンパク質は乳剤内で提示されうるが、ここで、モジュラー結合タンパク質の活性によって同定可能な変化が起こる。或いは、コードされるモジュラー結合タンパク質は細胞内又はその近傍で発現されうるが、ここで、モジュラー結合タンパク質の活性によって表現型変化又はレポーター遺伝子の発現における変化が起こる。
好ましくは、核酸は原核細胞(例えば大腸菌など)において発現される。例えば、核酸を原核細胞において発現させ、バクテリオファージの表面上に呈示される組換え結合タンパク質のライブラリーを生成しうる。適切な原核生物ファージディスプレイ系は当技術分野で周知であり、例えば、Kontermann, R & Dubel, S, Antibody Engineering, Springer-Verlag New York, LLC;2001、ISBN:3540413545、国際公開第92/01047号、米国特許第5969108号明細書、米国特許第5565332号明細書、米国特許第5733743号明細書、米国特許第5858657号明細書、米国特許第5871907号明細書、米国特許第5872215号明細書、米国特許第5885793号明細書、米国特許第5962255号明細書、米国特許第6140471号明細書、米国特許第6172197号明細書、米国特許第6225447号明細書、米国特許第6291650号明細書、米国特許第6492160号明細書、米国特許第6521404号明細書において記載されている。ファージディスプレイシステムによって、大きなライブラリー、例えば、10又はそれ以上、10又はそれ以上、或いは1010又はそれ以上のメンバーを伴うライブラリーの産生が可能になる。
他の実施形態では、細胞は真核細胞(例えば酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、又は哺乳動物細胞など)でありうる。
本明細書中に記載する多様な配列は、集団のメンバー間で変動する配列であり、即ち、配列は集団の異なるメンバーにおいて異なる。多様な配列はランダムでありうる、即ち、多様な配列中の各々の位置でのアミノ酸又はヌクレオチドの同一性は、天然アミノ酸又はヌクレオチドの完全なセット又はそのサブセットからランダムに選択されうる。多様性は、当業者に公知のアプローチ、例えばオリゴヌクレオチド特異的変異誘発22(Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 3rd edition, Russell et al., 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press、及びその中の参考文献)などを使用して結合ドメイン中に導入しうる。
多様な配列は近接していてもよく、又は結合ドメイン内に分布していてもよい。多様な配列を結合ドメイン中に導入するための適切な方法は、当技術分野において十分に記載されており、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発(Molecular Cloning: a Laboratory Manual: 3rd edition, Russell et al., 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Press及びその中の参考文献を参照のこと)を含む。例えば、多様化は、ヌクレオチドの部分的若しくは完全なランダム化を使用して作製された、又はコドン混合物を使用して、例えば、トリヌクレオチドを使用して作製されたオリゴヌクレオチド混合物を使用して生成されうる。或いは、多様なオリゴヌクレオチドの集団を、ハイスループット遺伝子合成方法を使用して合成し、組み合わせて、正確に定義され、制御された結合ドメインの集団を作製してもよい。或いは、本来のヌクレオチドが優勢であり、代わりのヌクレオチドがより低い頻度で存在する「ドーピング」技術を使用してもよい。
好ましくは、ライブラリーはディスプレイライブラリーである。ライブラリー中のモジュラー結合タンパク質は、粒子、又は分子複合体、例えばビーズなど(例えば、プラスチックビーズ又は樹脂ビーズ)、リボソーム、細胞又はウイルス(複製可能な遺伝子パッケージ、例えば酵母、細菌、又はバクテリオファージ(例、Fd、M13、又はT7)粒子、ウイルス、細胞(哺乳動物細胞を含む)、又は共有結合、リボソーム、若しくは他のインビトロディスプレイ系を含む)などの表面上に呈示してもよい。ディスプレイライブラリー(例えばファージディスプレイライブラリーなど)の産生のための技術は当技術分野で周知である。各々の粒子又は分子複合体は、粒子により呈示されるモジュラー結合タンパク質をコードする核酸を含みうる。
いくつかの好ましい実施形態では、ライブラリー中のモジュラー結合タンパク質は、ウイルス粒子(例えばバクテリオファージなど)の表面上に呈示される。ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質は、呈示を促進させるためにファージコートタンパク質を更に含んでもよい。各々のウイルス粒子は、粒子上に呈示されたモジュラー結合タンパク質をコードする核酸を含みうる。適切なウイルス粒子は、バクテリオファージ、例えば、繊維状バクテリオファージ(例えばM13及びFdなど)を含む。
ファージディスプレイライブラリーの生成及びスクリーニングのための適切な方法は、当技術分野で周知である。ファージディスプレイは、例えば、国際公開第92/01047号並びに米国特許第5969108号明細書、米国特許第5565332号明細書、米国特許第5733743号明細書、米国特許第5858657号明細書、米国特許第5871907号明細書、米国特許第5872215号明細書、米国特許第5885793号明細書、米国特許第5962255号明細書、米国特許第6140471号明細書、米国特許第6172197号明細書、米国特許第6225447号明細書、米国特許第6291650号明細書、米国特許第6492160号明細書、及び米国特許第6521404号明細書に記載されている。
本明細書中に記載するライブラリーは、結合活性、例えば、標的分子への結合を呈示するモジュラー結合タンパク質についてスクリーニングされうる。結合は、直接的に測定してもよく、又は結合からもたらされるアゴニスト作用若しくはアンタゴニスト効果を通じて間接的に測定してもよい。スクリーニングの方法は以下を含みうる;
(a)モジュラー結合タンパク質のライブラリーを提供することであって、ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質は以下を含む;
(i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
(ii)上記反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
(iii)1つ又は複数の結合ドメイン(各々の上記結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する)、
ここで、1つ又は複数の結合ドメインの1つ又は複数の残基は、上記ライブラリーにおいて多様である、
(b)結合活性を呈示するモジュラー結合タンパク質についてライブラリーをスクリーニングすること、及び
(c)結合活性を呈示するライブラリー中の1つ又は複数のモジュラー結合タンパク質を同定すること。
いくつかの実施形態では、ライブラリー中のモジュラー結合タンパク質は、少なくとも1つの多様なアミノ酸残基を伴う1つの結合ドメインを含みうる。好都合なことに、ライブラリー中のモジュラー結合タンパク質は2つの反復ドメインを含む。ライブラリーは、標的分子に結合する結合ドメインについてスクリーニングされうる。この様式で同定された結合ドメインをモジュラー様式で組み立て、多特異性である、本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質を生成することができる。
例えば、第1のライブラリーは、第1の標的分子に結合する第1の結合ドメインについてスクリーニングされうるが、第2のライブラリーは、第2の標的分子に結合する第2の結合ドメインについてスクリーニングされうる。第1及び第2の結合ドメインは、モジュラー結合タンパク質中の異なる位置にある、即ち、それらは両方がN末端結合ドメイン、C末端結合ドメイン、又は反復間結合ドメインであるわけではない。第1及び第2の標的分子にそれぞれ結合する第1及び第2の結合ドメインは、第1及び第2のライブラリーから同定される。同定された第1及び第2の結合ドメインを次に、第1及び第2の標的分子に結合するモジュラー結合タンパク質中に組み入れてもよい。
第1のライブラリーは、少なくとも1つの多様なアミノ酸残基を有する第1の多様な結合ドメインを伴うライブラリー中にモジュラー結合タンパク質を含みうる。標的分子に結合する第1の結合ドメインは、第1のライブラリーから同定されうる。第1の結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質を使用し、少なくとも1つの多様なアミノ酸残基を有する第2の多様な結合ドメインを含む第2のライブラリーを生成しうる。例えば、第1のライブラリーからのモジュラー結合タンパク質は、N末端又はC末端での第2の多様な結合ドメインの付加により、或いは反復間ループにおける第2の多様な結合ドメインを含む追加の反復ドメインの付加により改変されうる。同一の又は異なる標的分子に結合する第2の結合ドメインは、第2のライブラリーから同定されうる。第1及び第2の結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質を使用し、少なくとも1つの多様なアミノ酸残基を有する第3の多様な結合ドメインを含む第3のライブラリーを生成しうる。例えば、第2のライブラリーからのモジュラー結合タンパク質は、N末端又はC末端での第3の多様な結合ドメインの付加により、或いは反復間ループにおける第3の多様な結合ドメインを含む追加の反復ドメインの付加により改変されうる。第1及び/又は第2の結合ドメインと同じ標的分子又は異なる標的分子に結合する第3の結合ドメインが、第3のライブラリーから同定されうる。この方法において、複数の結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質を連続的に組み立てうる(図16を参照のこと)。
各々の結合ドメインについての別々のライブラリーの使用によって、各々の結合ドメインの多数の異なる変異体を独立してスクリーニングし、次に組み合わせることが可能になる。例えば、10〜1012の第1の結合ドメイン変異体のファージライブラリーを、10〜1012の第2の結合ドメイン変異体のファージライブラリー及び10〜1012の第3の結合ドメイン変異体のファージライブラリーと組み合わせてもよい。いくつかの実施形態では、10〜1012のN末端結合ドメイン変異体のファージライブラリーを、10〜1012のC末端結合ドメイン変異体のファージライブラリーと組み合わせて、N末端及びC末端結合ドメインを伴うモジュラー結合タンパク質を生成してもよい。
結合活性についてライブラリーをスクリーニングすることは、標的分子を提供すること、及び標的に結合するライブラリーのメンバーを同定又は選択すること、或いは細胞の集団においてライブラリーを発現すること、及び細胞表現型を誘発するライブラリーのメンバーを同定又は選択することを含みうる。1つ又は複数の同定又は選択されたモジュラー結合タンパク質を回収し、さらなる選択及び/又はスクリーニングに供してもよい。
結合は、任意の適切な技術により決定されうる。例えば、ライブラリーは、標的分子がライブラリーと相互作用し、その少なくとも1つのメンバーと結合反応複合体を形成するために十分な時間にわたり結合条件下で標的分子と接触されうる。結合条件は、標的分子の公知の天然結合機能に適合する条件である。それらの適合条件は、標的分子の生物学的活性を維持し、それにより、その事前に選択された結合相互作用に関与する分子の能力を維持する緩衝液、pH、及び温度条件である。典型的には、それらの条件は、目的の標的分子に通常関連付けられるpH及びイオン強度の水性生理溶液を含む。
ライブラリーは、不均一又は均一の混合物の形態で標的分子と接触されうる。このように、ライブラリーのメンバーは固相中にあり、標的分子は液相中に存在しうる。或いは、標的分子は固相中にあり、ライブラリーのメンバーは液相中に存在しうる。更に、ライブラリーメンバー及び標的分子の両方が液相中にありうる。
標的分子へのモジュラー結合タンパク質の結合を決定するための適切な方法は、当技術分野で周知であり、ELISA、ビーズベースの結合アッセイ(例、ビオチン化標的分子と併用したストレプトアビジンコーティングビーズ、表面プラズモン共鳴、フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング、免疫細胞化学、免疫沈降、及び親和性クロマトグラフィーを使用する)を含む。或いは、生化学的又は細胞ベースのアッセイ、例えば蛍光ベース又は発光ベースのレポーターアッセイなどを用いてもよい。
複数ラウンドのパンニングを、結合活性を呈示するモジュラー結合タンパク質を同定するために実施してもよい。例えば、結合活性について濃縮されたモジュラー結合タンパク質の集団を、ライブラリーから回収又は単離し、結合活性について1つ又は複数のさらなるラウンドのスクリーニングに供し、1つ又はさらなる濃縮集団を産生しうる。結合活性を呈示するモジュラー結合タンパク質は、1つ又は複数のさらなる濃縮集団から同定され、回収され、単離され、及び/又は更に研究されうる。
いくつかの実施形態では、結合は、標的分子(例えばリガンド、受容体、又は酵素など)へのモジュラー結合タンパク質の結合からもたらされるアゴニズム又はアンタゴニズムを検出することにより決定されうる。例えば、ライブラリーは、レポーター細胞においてライブラリーを発現させ、変化した遺伝子発現又は表現型を伴う1つ又は複数のレポーター細胞を同定することによりスクリーニングされうる。モジュラー結合タンパク質の組換え集団をスクリーニングするための適切な機能的スクリーニング技術は、当技術分野で周知である。
結合活性を呈示するモジュラー結合タンパク質を更に操作し、活性若しくは特性を改善する、又は新たな活性若しくは特性、例えば、結合特性(例えば親和性及び/又は特異性など)、インビボ特性(例えば溶解性、血漿中安定性、又は細胞浸透性など)、又は活性(例えば標的分子の中和の増加及び/又は標的分子の特異的活性若しくは分析特性の調節など)を導入してもよい。モジュラー結合タンパク質はまた、安定性、溶解性、又は発現レベルを改善するように操作してもよい。
さらなるラウンドのスクリーニングを用いて、改善された特性又は活性を呈示するモジュラー結合タンパク質を同定しうる。例えば、標的分子に結合するために濃縮されたモジュラー結合タンパク質の集団をライブラリーから回収又は単離し、改善された又は新たな特性又は活性について1つ又は複数のさらなるラウンドのスクリーニングに供し、1つ又はさらなる濃縮集団を産生してもよい。場合により、これを1つ又は複数の回数繰り返してもよい。改善された特性又は活性を呈示するモジュラー結合タンパク質は、1つ又は複数のさらなる濃縮集団から同定、回収、単離、及び/又は更に研究されうる。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、例えば細胞中への送達のために、リポソーム中にカプセル化してもよい。好ましいリポソームは融合性リポソームを含む。適切な融合性リポソームは、カチオン性脂質、例えば1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)など、及び中性脂質、例えばジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)などを、例えば、1:1(w/w)の比率で含みうる。場合により、リポソームは、芳香族脂質、例えば、DiO(3,3’−ジオクタデシルオキサカルボシアニン過塩素酸塩)、DiR(1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドトリカルボシアニンヨージド)、N−(4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−シンダセン−3−プロピオニル)−1,2−ジヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(トリエチルアンモニウム塩)(BODIPY FL−DHPE)、及び2−(4,4−ジフルオロ−5−メチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−インダセン−3−ドデカノイル)−1−ヘキサデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(BODIPY−C12HPC)などを、例えば、中性脂質及びカチオン性脂質に対して0.1:1:1(w/w)の比率で更に含みうる。リポソーム中でのタンパク質のカプセル化及び細胞中へのそれらの送達のための適切な技術は、当技術分野において確立されている(例えば、Kube et al Langmuir (2017)33 1051-1059;Kolasinac et al (2018)Int. J. Mol. Sci. 19 346を参照のこと)。
本明細書中に記載する方法は、本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質又はコード核酸を、脂質の溶液、例えば、有機溶媒(例えばクロロホルムなど)中で混合し、溶媒を蒸発させ、モジュラー結合タンパク質をカプセル化するリポソームを産生することを含みうる。本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質を含むリポソームカプセル化を、本発明の一局面として提供する。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質又はコード核酸は、医薬的に許容可能な賦形剤と混合してもよい。本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質又は核酸及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を、本発明の一局面として提供する。
本明細書中で使用する用語「医薬的に許容可能な」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わず、合理的な利益/リスク比と釣り合った、被験体(例、ヒト)の組織と接触した使用のために適切な化合物、材料、組成物、及び/又は投与形態に関する。各々の担体、賦形剤なども、製剤の他の成分と適合するという意味で「許容可能」でなければならない。適切な担体、賦形剤などは、標準的な医薬テキスト、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990において見出すことができる。
医薬組成物は、単位投与形態において便利に提示してもよく、薬学の分野で周知の任意の方法により調製してもよい。そのような方法は、モジュラー結合タンパク質を、1つ又は複数の補助成分を構成しうる担体と会合させる工程を含む。一般的に、医薬組成物は、活性化合物を液体担体若しくは微粉固体担体又はその両方と均一に及び密に会合させ、次に必要な場合には産物を成形することにより調製される。
医薬組成物は、液体、溶液、懸濁液、乳剤、エリキシル、シロップ、錠剤、トローチ剤、顆粒、散剤、カプセル、カシェ剤、丸剤、アンプル、坐剤、ペッサリー、軟膏、ゲル、ペースト、クリーム、スプレー、ミスト、泡、ローション、オイル、ボーラス、舐剤、又はエアロゾルの形態でありうる。
モジュラー結合タンパク質、コード核酸、又はモジュラー結合タンパク質若しくはコード核酸を含む医薬組成物は、全身的/末梢的に、又は所望の作用部位(経口(例、摂取による);局所(例、経皮、鼻腔内、眼、頬、舌下などを含む);肺(例、例えば、エアロゾルを使用し、例えば、口又は鼻を通じた吸入又は通気治療による);直腸;膣;例えば、注射(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、脊髄内、嚢内、嚢下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、くも膜下、及び胸骨内を含む)による非経口;例えば、皮下又は筋肉内でのデポの移植による、を含むが、これらに限定しない)を問わず、任意の便利な投与経路により被験体に投与されうる。
経口投与(例、摂取による)のための適切な医薬組成物は、別々の単位、例えばカプセル、カシェ剤、又は錠剤(各々が所定量の活性化合物を含む)として;粉剤又は顆粒として;水溶液又は非水溶液中の溶液又は懸濁液として;又は水中油型液体乳剤若しくは油中水型液体乳剤として;ボーラスとして;舐剤として;ペーストとして提示されうる。
非経口投与(例、皮膚、皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む、注射により)のための適切な医薬組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、安定剤、静菌剤、及び意図するレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含みうる、水性及び非水性の等張の、発熱物質を含まない滅菌注射溶液;並びに懸濁剤及び増粘剤を含みうる水性及び非水性無菌懸濁液、並びに化合物を細胞、組織、又は器官に標的化するように設計したリポソーム又は他の微小粒子系を含む。そのような製剤中での使用のための適切な等張性溶剤の例は、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、又は乳酸リンゲル注射液を含む。典型的には、溶液中での活性化合物の濃度は、約1ng/ml〜約10μg/ml、例えば、約10ng/ml〜約1μg/mlである。製剤は、単位用量又は複数用量の密封容器、例えば、アンプル及びバイアル中で提示してもよく、使用直前に無菌液体担体、例えば注射用水の添加だけを要求するフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存してもよい。
モジュラー結合タンパク質の適当な投与量は、患者ごとに変動しうることが理解されよう。最適な投与量を決定することには、一般的に、投与の任意のリスク又は有害な副作用に対して診断上の利益のレベルの釣り合いをとることが含まれる。選択される投与量レベルは、種々の因子(投与経路、投与時間、造影剤の排泄速度、要求される造影剤の量、組み合わせて使用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、並びに患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康状態、及び既往歴を含むが、これらに限定しない)に依存する。造影剤の量及び投与経路は、最終的には医師の判断によるが、一般的に、投与量は、部位、例えば腫瘍、目的の組織、又は全身などで造影剤の濃度を達成することであり、それによって、実質的に害になる又は有害な副作用を起こすことなく画像化することが可能となる。
インビボでの投与は、連続的又は断続的に(例、適当な間隔において分割用量で)、一回用量でもたらすことができる。投与の最も効果的な手段及び投与量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療のために使用される製剤、治療の目的、治療されている標的細胞、及び治療されている被験体で変動しうる。単回又は複数回の投与は、医師により選択された用量レベル及びパターンで行うことができる。
本明細書中に記載するモジュラー結合タンパク質は、ヒト又は動物の被験体(例、ヒト)における診断又は処置の方法において使用されうる。標的分子のためのモジュラー結合タンパク質は、標的分子に関連付けられる障害を処置するために使用されうる。
本発明の他の局面及び実施形態は、用語「含む」を用語「からなる」により置き換えた、上に記載する局面及び実施形態、並びに用語「含む」を用語「から本質的になる」に置き換えた、上に記載する局面及び実施形態を提供する。
本願は、文脈によって他の意味が求められない限り、上に記載する局面及び実施形態のいずれかの互いの全ての組み合わせを開示することを理解すべきである。同様に、本願は、文脈によって他の意味が求められない限り、単独で又は他の局面のいずれかと一緒に、好ましい及び/又は任意の特徴の全ての組み合わせを開示する。
上の実施形態の改変、さらなる実施形態及びそれらの改変は、本開示を読めば当業者に明らかであり、そのようなものとして、これらは本発明の範囲内にある。
本明細書中に言及する全ての文書及び配列データベース項目は、全ての目的のために、それらの全体を参照により本明細書中に援用する。
「及び/又は」は、本明細書中で使用する場合、他の特徴又は構成要素を伴う又は伴わない2つの特定の特徴又は構成要素の各々の特定の開示と見なすべきである。例えば、「A及び/又はB」は、(i)A、(ii)B、並びに(iii)A及びBの各々の特定の開示として、ちょうど各々が本明細書中で個別に示されているかのように見なすべきである。
本発明の特定の局面及び実施形態を、これから、例として、及び上に記載する図面を参照して説明する。
実験
1.方法
1.1 大腸菌からの大規模タンパク質精製(Hisタグ付き)。
pRSET B(Hisタグ)構築物を熱ショックにより化学的にコンピテントな大腸菌C41細胞中に形質転換し、LB−Ampプレート上に蒔いた。コロニーを、アンピシリン(50μg/mL)を含む2TY培地中で37℃、220rpmで、600nmの光学密度(O.D.)が0.6に達するまで増殖させた。細胞を次に、20℃で16〜20時間又は37℃で4時間にわたりIPTG(0.5mM)を用いて誘導した。細胞を、3000g(4℃、10分)での遠心分離によってペレット化し、溶解緩衝液(10mMリン酸ナトリウムpH 7.4、150mM NaCl、SIGMAFASTプロテアーゼ阻害剤カクテルの1錠(EDTA不含、溶液100mL当たり))中に再懸濁し、次に15000psiのEmulsiflex C5ホモジナイザーで溶解した。細胞破片を4℃で、15,000gで45分間にわたる遠心分離によりペレット化した。Ni−NTAビーズ50%総容量(GE Healthcare)(5mL)を、細胞溶解物の上清をバッチにおいて4℃で1時間にわたりそれらに結合させる前に、リン酸緩衝液(10mMリン酸ナトリウムpH 7.4、150mM NaCl)で一回洗浄した。充填したビーズを、30mMのイミダゾールを含むリン酸緩衝液(40mL)で三回洗浄し、溶解タンパク質とビーズとの非特異的相互作用を防止した。サンプルを、300mMイミダゾールを伴うリン酸緩衝液を使用して溶出し、リン酸緩衝液(10mMリン酸ナトリウム、pH 7.4、150mM NaCl)中で予め平衡化されたHiLoad 16/60 SuperdexG75カラム(GE Life-Science)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーにより精製し、タンパク質を均一濃度条件において分離した。純度をNuPageタンパク質ゲル(Invitrogen)上でチェックし、95%を上回る純粋であることが見出された画分をプールした。精製したタンパク質を急速凍結し、さらなる使用まで−80℃で保存した。濃度は、280nmでの吸光度を測定すること、及び各々の変異体についてExPASy ProtParam(Gasteiger et al. 2005)からの算出された吸光係数を使用することにより決定した。分子量及び純度を、質量分析(MALDI)を使用して確認した。
1.2 大腸菌からの大規模タンパク質精製(熱処理)。
本明細書中に記載する全てのモジュラー結合タンパク質は、熱的に非常に安定であり、80℃を上回る融解温度を伴う。これは、モジュラー結合タンパク質が、細胞溶解物を65℃で20分間にわたりインキュベートすることにより、大腸菌タンパク質から分離されうることを意味する。大腸菌タンパク質の非常に少数がそのような温度で残存し、従って、それらは変性して凝集する。凝集したタンパク質を遠心分離により除去し、所望のタンパク質の80〜90%純粋なサンプルを残した。全ての構築物は可逆的に折り畳まれ、従って、アセトン又は塩沈殿などの方法により更に精製し、DNA及び他の混入物を除去することができた。
このアプローチによって、高価な親和性精製方法(例えば抗体又はHisタグなど)を伴わずに、大量の機能タンパク質の産生が可能になり、工業的産生及びバイオリアクターに拡張可能である。
1.3 ハイスループットテストのためのHisタグ付きタンパク質の小規模精製。
プラスミドを大腸菌C41細胞中に形質転換し、一晩蒔いた。50マイクログラム/mlアンピシリンを含む15mlの2TY培地(Roche)を複数の50mlチューブ中に入れた。いくつかのコロニーを採取し、各々15ml培養物中に再懸濁した。十分な通気のために、50mlチューブのふたをゆるく締めることだけが重要である。細胞をOD600=0.6まで37℃で増殖させ、次に0.5mMのIPTGで一晩誘導した。細胞を3000g(Eppendorf Centrifuge 5804)でペレット化し、次に1mlのBugBuster(登録商標)細胞溶解試薬中に再懸濁した。或いは、リゾチーム及びDNAse I処理と組み合わせた超音波処理を使用した。溶解物を12000gで1分間にわたりスピンさせ、不溶性タンパク質及び細胞破片をペレット化した。
上清を、総容量100μlの予洗Ni−NTAアガロースビーズに加えた。その後の親和性精製は、ビーズを毎回1mlの緩衝液で4回洗浄することにより(或いは、Qiagen Ni-NTA Spin Columnを使用することができる)バッチで実施した。最初の洗浄には、選んだ緩衝液中に10% BugBuster(登録商標)溶液及び30mMイミダゾールが含まれた。ここは、本発明者らは50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 6.8)、150mM NaClを使用した。3つの連続洗浄は、選んだ緩衝液中に30mMのイミダゾールを有した。ビーズを徹底的に洗浄し、BugBuster(登録商標)溶液中に存在する界面活性剤を除去した。タンパク質を、300mMイミダゾールを含む1mlの選んだ緩衝液を使用し、一工程でビーズから溶出した。Bugbuster(登録商標)及びイミダゾールの組み合せ並びに小ビーズ容量中での反復洗浄によって、>95%の純粋なタンパク質がもたらされた。イミダゾールを、NAP−5使い捨てゲルろ過カラム(GE Healthcare)を使用して除去した。
1.4 競合蛍光偏光(FP)
KRASへの、設計したSOS−TPRタンパク質の結合をアッセイするために、競合FPを、精製されたKRAS Q61H変異体及び(2’−(又は3’)−O−(N−メチルアントラニロイル)グアノシン5’−三リン酸、GTPの蛍光バージョン(mant−GTPとしても公知)を使用して実施した。SOS−TPRを、黒色96ウェルプレート(CLS3993 SIGMA)中のKRAS Q61H及びmant−GTP(1μM)の1:1複合体に対する2倍連続希釈を使用して滴定した。プレートを還元光条件下で調製し、室温でインキュベートした。読み取りは、360nmの励起フィルター及び440nmの発光フィルターを使用し、CLARIOstarマイクロプレートリーダーで行った。
1.5 等温滴定型熱量測定(ITC)
ITCを、VP−ITC(Microcal)を使用して25℃で実施した。1TBP−CTPR2、2TBP−CTPR4、3TBP−CTPR6、及びTNKS2ARC4を10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH 7.4、150mM NaCl、0.5mM TCEP中に透析した。透析したTNKS2ARC4(200μM)を、1TBP−CTPR2を含むサンプル細胞中に20μMで滴定した。同様の実験を2TBP−CTPR4及び3TBP−CTPR6について実施した。細胞中へのTNKS2ARC4の注入を5μL注入で開始し、29回の注入(10μL)が続いた。参照出力を15μCal/秒に設定し、初期遅延は1000秒、撹拌速度は485rpmであった。データを、装置ソフトウェアである一部位結合モデルを使用して適合させた。
1.6 細胞培養
HEK293T細胞を、10%ウシ胎児血清及びペニシリン/ストレプトマイシン(LifeTech)を添加したダルベッコ改変イーグル培地(Sigma Aldrich)中で、37℃で5% CO空気供給を伴い培養した。
1.7 細胞トランスフェクション
HEK293Tを6ウェル組織培養プレート(50万細胞/ウェル)中に播種し、製造業者のプロトコールに従ってLipofectamine 2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して翌日トランスフェクトした。
1.8 βカテニンレベルのウェスタンブロットアッセイ
HA−β−カテニン(1μg)単独、及び種々のPROTAC(1μg)を伴い、Lipofectamine 2000を使用し、6ウェルプレート中のHEK293T細胞においてトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を200μLのLaemmli緩衝液中で溶解した。サンプルを95℃で20分間にわたり煮沸した後、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、PVDF膜に移し、イムノブロットを、抗HA抗体(C29F4、Cell Signaling Technologies)及び抗アクチン抗体(A2066、Sigma-Aldrich)を使用して実施した。βカテニンレベルにおける変化を、ImageJを使用し、アクチンレベルに対して標準化したHA−β−カテニンに対応するバンドのデンシトメトリーにより評価した。
1.9 リポソーム製剤及び細胞傷害性アッセイ
タンパク質(LFP)のリポソーム製剤を作製するために、脂質(DOTAP(カチオン性):DOPE(中性):DiR(芳香族)=1:1:0.1(幅))をクロロホルム中に溶解し、溶媒を真空下で一晩蒸発させた。結果として得られた混合脂質ケーキを、27μMタンパク質を含む10mM HEPES pH 7.4で水和し、全脂質濃度を4mg/mlにした。この混合物を2分間にわたりボルテックスし、次に室温で20分間にわたり超音波処理した。タンパク質をカプセル化するリポソームは、さらなる使用まで4℃で保存した。空リポソーム(EL、タンパク質を伴わない空リポソーム)を作製するために、脂質ケーキを、タンパク質を伴わない10mM HEPES pH 7.4で水和した。
ATPアッセイを使用し、EL及びLFPに関連付けられる細胞傷害性があるか否かを研究した。典型的な手順において、10%ウシ胎児血清を添加した500μLのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中の2×10個のHEK293T細胞/ウェルを、24ウェル細胞培養プレート中で24時間にわたり増殖させた。細胞を、異なる容量(0〜60μL)のEL及びLFPを有するリポソーム(EL/LFP)−培地(FBSを伴わないDMEM)混合物とともに、37℃で15分間にわたりインキュベートした。1×PBSで二回洗浄した後、500μLのCellTiter-Glo(登録商標)試薬(Promega)を加え、発光を、製造者のプロトコールに従ってマイクロプレートリーダーを使用して測定した。未処理細胞を対照として使用した。データを3通りのサンプルから得て、標準偏差を2つの独立した実験から算出した。
1.10 TOPFLASHアッセイ
Wnt経路は、HEK293T細胞を、Wnt3Aを発現するL細胞から得られたWnt馴化培地を用いて8日間にわたり処理することにより活性化させた。このアッセイを実施するために、10個のHEK293T細胞/ウェルを24ウェルプレートNunclon Delta表面プレート(NUNC)上に播種し、37℃、5% COで一晩インキュベートした。次の日、細胞を100ngのTOPflash TCF7L2−ホタルルシフェラーゼプラスミド、10ngのCMV− Renillaプラスミド(内部対照として)、及び100ngの対応するTPR構築物を用いてトランスフェクトした。プラスミドを、製造業者のプロトコール(invitrogen)に従って0.5μLのLipofectamine 2000トランスフェクション試薬と混合した。トランスフェクトした細胞を8時間にわたり回復させ、次に、それらをWnt−馴化培地(1:2最終濃度)を用いて更に16時間にわたり処理した。TOPflashアッセイは、Dual-Luciferase Reporter Assay System(Promega)(Korinek et al., 1997 Science 275(5307):1784-7)を使用し、製造業者の指示に従って実施した。ホタル及びRenillaルシフェラーゼの活性を、CLARIOstarプレートリーダーを使用し、単一サンプルから連続的に測定した。相対ルシフェラーゼ値を、ホタル発光活性をCMV誘導Renilla活性により割った3通りのサンプルから得て、標準偏差を算出した。
1.11 設計したTPRタンパク質を細胞中に送達するためのリポソームカプセル化を使用したTOPFLASHアッセイ
10%ウシ胎児血清を添加した500μLのダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)中の10個のHEK293T細胞を、24ウェル細胞培養プレートの各々のウェル中で一晩増殖させた。TOPFLASHレポーターアッセイのために、100ng/ウェルのTOPFLASHプラスミド及び10ng/ウェルのCMV−Renillaプラスミド(内部対照として)を使用し、24ウェルプレート中で細胞をトランスフェクトした。細胞を、製造業者のプロトコール(Invitrogen)に従って、Lipofectamine 2000トランスフェクション試薬を用いてトランスフェクトした。トランスフェクションした細胞を8時間にわたり回復させ、Wntシグナル伝達を、L細胞から得たWnt3A馴化培地の添加により活性化した。Wnt経路活性化の16時間後、タンパク質をリポソーム処理により細胞中に送達した。細胞を、リポソーム(LFP)−培地(FBSを伴わないDMEM)混合物と37℃で15分間にわたりインキュベートし、1回のPBS洗浄が続いた。Wnt3A馴化培地を交換し、細胞を様々な時間(2〜8時間)にわたりインキュベートした。インキュベーションに続いて、TOPFLASHアッセイを、Dual-Luciferase Reporter Assay System(Promega)(Korinek et al., 1997)を製造業者の指示に従って使用して実施した。相対ルシフェラーゼ値を、ホタルルシフェラーゼ値(TOPFLASHから)をRenillaルシフェラーゼ値(CMVレニラから)で割ることにより、3通りのサンプル(2つの独立した実験から)から得て、標準偏差を算出した。
1.12 Keap1への、設計したNrf−TPRタンパク質の結合を測定するための競合蛍光偏光(FP)アッセイ
Keap1への、設計したNrf−TPRタンパク質の結合を測定するために、競合FPを、384ウェルの黒色不透明オプチプレートマイクロプレート及びCLARIOstarマイクロプレートリーダーを使用して実施した。Nrf−TPRタンパク質を、FITC標識Nrf2ペプチド及びKeap1タンパク質の混合物を含む溶液中で滴定した。調製したプレートを、読み取りを行う前に、室温で30分間にわたりインキュベートした。
2.結果
テトラトリコペプチド反復配列(TPR)は、縦列に反復してモジュールタンパク質を生成することができる34残基のモチーフである。TPRを、ここでは、ヘリックス・ターン・ヘリックス縦列反復アレイの例として使用するが、しかし、任意の縦列反復アレイを使用してもよい。
TPRを含むRTPRタンパク質はコンセンサスTPR配列(CTPR)から由来した。2つの反復が、68アミノ酸(RTPR2)の高度に安定なミニタンパク質を生成するのに十分であることが見出された。2つの型の工学的戦略の生物物理学的特性;ループ挿入及び末端へリックス移植を評価した。3つの異なるRTPRモジュールの222nmでのモル楕円率(ヘリックス二次構造含量の測定値)を増加温度の関数としてモニターした。増加温度に伴う絶対モル楕円率における減少は、構造の喪失及びタンパク質の変性を示す。記録された最高温度(85℃)でさえ、挿入を伴わないRTPR2タンパク質は完全には変性しなかった(図1)。2つの反復の間に20残基の非構造化ループを伴うRTPR2は、より低い融解温度への小さなシフトを示したが(図1)、しかし、タンパク質は55℃まで完全に折り畳まれたままである。これは生理学的に関連する温度を十分に上回る。追加のN末端ヘリックスを伴うRTPR2は、絶対モル楕円率における増加を示したが、追加のヘリックスドメインが折り畳まれていることを示す。更に、ループ挿入とは異なり、ヘリックスドメインはRTPR2モジュールを安定化することが可能であり、遷移中間点を90℃超にシフトさせた(図1)。これらの結果は、2つの工学的戦略によって、高温に耐えることが可能である折り畳まれた安定なモジュラーミニタンパク質が生成されることを示した。
TPR骨格の重要な特徴はそのモジュラー特性であった。このモジュラー性によって、任意の数の結合モジュールを縦列で呈示し、1、2、又はそれ以上の標的に対する二価及び多価並びに多機能性分子を得ることが可能になった。これらのタンパク質の安定性はモジュラーであることが示された。縦列で反復されたTBP−CTPR2(タンパク質タンキラーゼ(Guettler et al. 2011)に結合するループ挿入を伴う二反復CTPR)を含むタンパク質の安定性を測定した。TBP−CTPR2含有タンパク質は2、4、6、及び8反復を有し、それらはそれぞれ1、2、3、及び4結合ループを呈示した。タンパク質のヘリックス含量は、222nmのモル楕円率によりモニターし、安定性と同様に反復の数に比例して増加することが見出され、それらが古典的ヘリック反復タンパク質のように挙動することを示した(図2)。これらの結果によって、二機能性又は多機能性モジュラー結合タンパク質が高い熱安定性を有することが実証される。
2.1.アルファ−ヘリックス上に移植した単一結合機能を伴うタンパク質の実証
2.1.1 SOS1−TPR(腫瘍性タンパク質KRASに結合するように設計したヘリックス移植結合モジュール)
最初に、本発明者らは、KRAS(Margarit et al. 2003 Cell 112 5 685-695)と相互作用するSOS1のヘリックスを7アミノ酸分布上にマッピングした。本発明者らは、7アミノ酸位置を、Leshchiner et al. (PNAS 2015 112 (6)1761-1766)により産生されたステープル化SOS1ヘリックスペプチドと一致させ、ペプチドのステープル化側を、TPRタンパク質の残り部分と疎水性界面を形成するように設定した(図3A)。ヘリックスの長さは重要である。N末端に溶媒和したCTPRへリックスはDPNN配列中で終わり、それは、次の反復中に導く短いループを形成する。結合へリックス(制約)のCTPR媒介性「ステープル化」は、従って、残基Tyr(i)−Ile(i+4)−Tyr(i+7)−Leu(i+11)を通じて生じ、15残基のへリックスは完全にステープル化される。
本発明者らは、グラフト化ヘリックスと隣接反復の間に疎水性界面を作製し、グラフト化ヘリックスのC末端でのDPNNループの形成を可能にした。本発明者らは次に、相互作用のさらなる検証のため、CTPR Bヘリックスの結晶構造上に最終配列を移植した。本発明者らの設計したKRAS結合タンパク質SOS1−TPRを、Haddockソフトウェア(de Vries & Bonvin 2011;de Vries et al. 2010)を使用してKRASに対してドッキングした。Haddockは、その算出のために相互作用に関する公知の情報を使用するデータ駆動ドッキングアルゴリズムである。SOS1−KRAS(PDB:1NVU)の結晶構造(Margarit et al. 2003)は本来、ステープル化ペプチドを設計するために使用された。活性残基(一次相互作用残基)及び不活性残基(活性残基に5Å近接)を抽出し、算出中に入力した。
最初の研究以降、本発明者らは、新たなヘリックスモジュールを検証するためにドッキングは必要ではないことを見出した。設計戦略はαへリックスの幾何学に基づいた確かな理論を有し、設計は、重要な結合残基が移植されている限り成功するであろう。これらのTPR反復はこのように、それらがヘリックスの反対方向に直線的に成長し、それにより標的タンパク質との立体衝突を避けるため、結合ヘリックスを呈示する例外的な骨格であることが見出された。
次に、本発明者らは、mant−GTP(2’−/3’−O−(N’−メチルアントラニロイル)グアノシン−5’−O−三リン酸)(GTPの蛍光類似体)の蛍光偏光における変化を使用してKRAS結合をモニターした(図3B)。mant−GTPの蛍光は、その環境の疎水性に依存する(360nmの励起、440nmの発光)。蛍光強度及び蛍光偏光における増加が、KRASへの結合時に以前に観察された(Leshchiner et al. 2015)。SOS−TPR2を次に、予め形成されたmant−GTP−KRAS複合体中に滴定した。SOS−TPR2の増加濃度に伴い極性化における明らかな減少があったが、KRASへのSOS−TRP2の結合時でのmant−GTPの置換を示す(図3B)。データを適合することによって、3.4μMのEC50が与えられた。対照的に、ブランクタンパク質CTPR3は蛍光偏光に対する効果を有さなかった。
2.1.2 p53−TPR(Mdm2に結合するように設計したヘリックス移植結合モジュール
多くのデグロン(E3ユビキチンリガーゼにより認識される基質内の領域)は構造化されていない。しかし、p53はαへリックスを通じてMdm2E3に結合する(図4A)。p53へリックスのステープル化バージョン、並びに環状ペプチド及び移植コイルドコイルが、多くのグループにより開発されており、配列が、いくつかの場合においてナノモル親和性を与えるように最適化されている(例えば、Ji et al. 2013;Lee et al. 2014;Kritzer et al. 2006を参照のこと)。p53ヘリックスは、CTPR骨格のC末端溶媒和ヘリックス上に移植するのに好ましい幾何学を有し、更に2つのヘリックスは30%の配列同一性を有する。
Mdm2(N末端ドメイン)へのp53−CTPR2の結合の証拠を、等温滴定熱量測定(ITC)を使用して得た。Mdm2を、10μMのp53−TPR2を含む溶液中に滴定した。ITCによって結合時に放出される熱が測定される。高親和性相互作用が、約50nMの解離定数を伴って観察された(図4B)。
2.2.反復間ループ上に移植した単一結合機能を伴うタンパク質の実証。
2.2.1 TPB2−TPR(腫瘍性タンパク質タンキラーゼに結合するように設計したループモジュール)。
最初に、本発明者らは、SLiM「3BP2」、即ち、タンパク質タンキラーゼ(多くの癌においてCTPR骨格上で上方調節されるマルチドメインポリADP−リボースポリメラーゼ(Guettler et al. 2011))の基質結合アンキリン反復クラスター(ARC)に結合する配列を導入した。折り畳まれたドメイン中でのSLiMの移植によって、タンパク質分解耐性の増加に導かれ;さらなる合理的な操作、インシリコの方法、及び/又は有向進化を通じて相互作用面を拡大する可能性;制御された幾何学的配置;及び二価又は多価の相互作用が示される。
本発明者らは、ITCを使用し、タンキラーゼのARC4ドメインへの1TBP−CTPR2、2TBP−CTPR4、及び3TBP−CTPR6の結合をテストした(図5A)。この技術は、それによって相互作用の化学量論(n)を測定できるため、これらの相互作用のために特に有用である。本発明者らは、nが結合ループの数とともに増加し、タンパク質中のループと同じ数のタンキラーゼ分子が1つのTBP−CTPRに結合していることを示した。このように、全てのループが結合パートナーに到達できる。更に、結合親和性は増加し、オフ率は結合力効果を示す反復の数とともに減少した。この型の多価分子は、それが3BP2ペプチドに結合することが可能な4つのARCドメインを有するため、全長タンキラーゼのために特に有用であろう。
この系における多価性は、T4フィブリチンのfoldonドメインへのその融合による結合モジュールのオリゴマー化を介して更に増加した(図5B)。この三量体化ドメインは、C末端へリックス(例えばp53−CTPRのC末端へリックスなど)で構成され、foldonドメイン(ホモ三量体化が可能な短いβシートペプチド)で終わる。foldonドメインは非常に安定で、独立して折り畳まれることが示されている(Boudko et al 2002;Meier et al. 2004)。この方法において、複数の結合モジュールを、高い結合力を伴う他の多価ネットワークと相互作用するそれらの自然な傾向に起因して、一価相互作用では標的化することができない複雑な多価分子を阻害するように、特定の幾何学で配列することができる。
2.2.2 単一結合機能TPR中に多価性を導入する効果
本発明者らは、タンパク質タンキラーゼに結合する種々の数の「3BP2」モチーフ(1TBP−CTPR2、2TBP−CTPR4、及び3TBP−CTPR6など)を含む多価CTPRタンパク質の機能をテストした。多価性を、T4フィブリチンのfoldonドメイン(1TBP−CTPR2−foldon、2TBP−CTPR4−foldonなど)にそれを融合することによるTPRのオリゴマー化を介して更に増加させた。タンキラーゼは多くの癌において上方調節され、ベータ−カテニンを下方調節することによりその効果を発揮する。従って、TBP移植TPRの阻害効果を、ベータ−カテニンレポーター遺伝子アッセイ(TOPFLASHアッセイ)を使用してアッセイした。機能単位数を増加させることによって、Wntシグナリングアッセイを使用して、言及したように、タンパク質の阻害効果が増加した(図17)。
2.2.3 Skp2−RTPR(E3ユビキチンリガーゼSCF Skp2 に結合するように設計したループモジュール)
Skp2はSCFSkp2ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットである。RTPRループ中に挿入したSkp2結合配列は、Cks1(アクセサリータンパク質)との複合体中でSkp2に結合する基質p27から由来する、以前に発表されたデグロンペプチド配列に基づいた(Hao et al. 2005)。本発明者らは、このペプチドの10残基だけを使用した。理想的にはSkp2結合配列はホスホ−スレオニンを含むが(この残基がSkp2及びCks1と重要な接触を作るため)、本発明者らは、代わりに、本発明者らが、結合親和性に影響を及ぼすことなくホスホ−スレオニンをホスホミメティック(グルタミン酸)で置換できるか否かを探索した。本発明者らは、共免疫沈降を使用し、結果として得られたp27−TPRタンパク質がSkp2に結合できること(図6A)、及びそれが30nMオーダーの解離定数を示す高い効率を伴いp27のユビキチン化をインビボで阻害できること(図6B)を見出した。ペプチドはそのSkp2/Cks1結合状態においてターン様立体構造を採用するため、RTPR骨格内にそれを制約することによって、ホスホスレオニンをホスホミメティックで置換することから生じる親和性における任意の喪失を上回る結合親和性における大きな増強に導かれる。
2.2.4 Nrf−TPR(E3ユビキチンリガーゼKeap1−Cul3に結合するように設計したループモジュール)
Keap1は、Keap1−Cul3ユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットである。本発明者らがCTPRループ中に挿入したKeap1結合配列は、Keap1基質Nrf2から由来する以前に発表されたデグロンペプチド配列に基づいた。本発明者らは、共免疫沈降法を使用し、結果として得られたNrf−TPRタンパク質がKeap1に結合することができること(図7A)、及びその相互作用が、ITC分析により測定したように、低いナノモル範囲において高い親和性を有すること(図7B)を見出した。
2.3.細胞中への送達のためのRTPR骨格の操作
本発明者らのRTPR配列を代わりのコンセンサスTPR配列(Parmeggiani et al. 2015)と組み合わせ、本発明者らは追加の溶媒曝露されたアルギニン残基を含め、そのような「再表面化」又は「超電荷」は、細胞中へのタンパク質の流入を促進させることが以前に示されている(Chapman & McNaughton 2016;Thompson et al. 2012)。図8は、このアプローチが、蛍光標識再表面化TBP−RTPR2タンパク質を2つの異なる細胞株中に送達する際に成功したことを示す。
2.4.ユビキチン化及びその後の分解のためにタンパク質を方向付けるためのヘテロ二機能性TPRの設計
Wnt/β−カテニンシグナル伝達経路は、多くの癌において及び神経変性疾患において脱調節されており、従って、βカテニンは重要な薬物標的である。TPR骨格上への移植のために適切であると思われる、βカテニンについての多数の公知の結合配列(ヘリックス及び非ヘリックスの両方)が存在し、従って、本発明者らは、タンパク質分解を誘導するための本発明者らのヘテロ二機能性TPRの設計のための最初の標的としてそれを選んだ。本発明者らは、E3ユビキチンリガーゼとしてテストするためにMdm2及びSCFSkp2を選択した。なぜなら、本発明者らは、それらに結合する単機能TPRを成功裏に生成していたからである(図4及び6)。本発明者らは、ヘテロ二機能性分子のいくつかの構造モデルを生成し、結果として得られる、E3へのβカテニンの呈示が適当であるか否かの大まかな評価としてこれらを使用した。本発明者らは次に、βカテニン結合モジュール及び2つのE3リガーゼ結合モジュールの異なる組み合わせを用いて機能化された3つ又は4つのTPRを含むタンパク質をコードするプラスミドの小さなライブラリーを生成した。
本発明者らは、Lipofectamine 2000を使用し、HEK293T細胞においてHAタグ付きβカテニンプラスミド単独で、又はHAタグ付きβカテニンプラスミドを種々のヘテロ二機能性TPRプラスミドの1つと一緒にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を溶解し、サンプルを煮沸し、タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、イムノブロットを、抗HA抗体及び抗アクチン抗体を使用して実施した。βカテニンレベルにおける変化を、アクチンレベルに対して標準化したHA−β−カテニンに対応するバンドのデンシトメトリーにより評価した(図9)。結果は、多数のヘテロ二機能性分子によってβカテニンレベルを最高70%だけ低下させることが可能であることを示す。対照的に、ブランクTPR又は単一機能性TPRは、βカテニンレベルに対する効果を有さない。
広範な異なる因子が、これらのヘテロ二機能性分子による効率的なユビキチン化及び標的分解に、ひいては単一機能モジュールの異なる組合せ及び、潜在的にはまた、介在するブランクモジュールの異なる長さをスクリーニングする能力に寄与する。
2.5 モジュラーTPRタンパク質を細胞中に導入するための送達媒体の使用
本発明者らは、設計したTPRタンパク質を、カチオン性、中性、及び芳香族脂質から作製した融合性リポソーム内にカプセル化し、本発明者らは、それらがそれにより細胞中に送達されることを示した(図18及び19)。空リポソーム及びTPRタンパク質をカプセル化したリポソームは、細胞に対して傷害性はなかった(図20)。
2.6 ユビキチン化及びその後の分解のためにタンパク質を方向付けるためのヘテロ二機能性TPRのさらなる例
ヘテロ二機能性TPRタンパク質を、ユビキチン化及び分解のためにタンキラーゼ(図21)、ベータ−カテニン(図22)、又はKRAS(図23)のいずれかを標的化するように設計した。タンキラーゼ又はベータ−カテニンを標的化するTPRタンパク質を、リポソームカプセル化を使用して細胞中に送達し、Wntシグナル伝達に対する効果を、TOPFLASHアッセイを使用して分析した。結果は、設計したヘテロ二機能性TPRタンパク質がWntシグナル伝達を阻害できることを示す。KRASについては、本発明者らは、Lipofectamine 2000を使用し、KRASプラスミド単独又はTPRプラスミドの1つと一緒にKRASプラスミドをHEK293T細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を溶解し、KRASレベルをウェスタンブロットにより評価した。結果は、設計したヘテロ二機能性TPRがKRASレベルを低下させることが可能であることを示す。
2.7 シャペロン媒介性オートファジー(CMA)を介した分解のためにKRASを方向付けるためのヘテロ二機能性TPR
ヘテロ二機能性TPRタンパク質を、CMAを介した分解のために内因性KRASを標的化するように設計した(図24)。TPR構築物又は空ベクター(薄い灰色)を、Lipofectamine 2000を使用し、HEK293T又はDLD1(結腸直腸癌細胞株)のいずれかに一過性にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を溶解し、KRASレベルをウェスタンブロットにより評価した。空ベクターの対照と比較してKRASレベルの低下をもたらした、設計したヘテロ二機能性TPRを白色で示す。
2.8 結合ドメインを反復間ループに連結するリンカー配列中での変異
Nrf−TPR(タンパク質Keap1に結合するように設計したTPRタンパク質)のための標的についての結合親和性を最適化するために、結合ドメインを反復間ループに接続させるリンカー配列を変動させた(図7を参照のこと)。グリジン残基をリンカー中に導入して柔軟性を提供し、空間サンプリングを増加させた。このより柔軟なリンカー配列の導入によって、コンセンサス様リンカー配列と比較した場合、Nrf−TPRタンパク質(「柔軟」と標識)の結合親和性が増加することが見出された。リンカー配列の荷電量を変えること(「荷電」と標識)、及びリンカー配列のアミノ酸組成を変化させることによりループの立体構造特性を変えること(プログラムCIDER(Holehouse et al. Biophys. J. 112, 16-21 (2017))の予測に基づく)(「CIDER−最適化」と標識)によっても、Keap1結合親和性に影響が及ぼされた(図25)。
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参考文献
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Claims (75)

  1. (i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
    (ii)該反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
    (iii)標的分子に結合する1つ又は複数の異種結合ドメインであって、各々の該結合ドメインが、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する、異種結合ドメイン
    を含む、モジュラー結合タンパク質。
  2. 反復ドメインが、ヘリックス・ターン・ヘリックス反復ドメインである、請求項1記載のモジュラー結合タンパク質。
  3. 反復ドメインが、テトラトリコペプチド(TPR)反復ドメインである、請求項2記載のモジュラー結合タンパク質。
  4. 反復ドメインが、アミノ酸配列Y−X
    (式中、Yは表4〜6のいずれかに示されるアミノ酸配列又はその変異体であり、X、X、X、Xは独立して任意のアミノ酸である)
    を有する、請求項3記載のモジュラー結合タンパク質。
  5. 反復ドメインが、アミノ酸配列
    AEAWYNLGNAYYKQGDYQKAIEYYQKALEL−X;又は
    AEALNNLGNVYREQGDYQKAIEYYQKALEL−X;又は
    AEAWYNLGNAYYRQGDYQRAIEYYQRALEL−X;又は
    AEALNNLGNVYREQGDYQRAIEYYQRALEL−X;又は
    AEALRNLGRVYRRQGRYQRAIEYYRRALEL−X
    (これらの式中、X、X、X、Xは独立して任意のアミノ酸、又はその変異体である)
    を有する、請求項3又は請求項4記載のモジュラー結合タンパク質。
  6. がDである、請求項4又は請求項5記載のモジュラー結合タンパク質。
  7. がPである、請求項4〜6のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  8. 2〜5つの反復ドメインを含む、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  9. 結合ドメインが1つ又は複数の反復間ループ中に位置する、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  10. 結合ドメインが、1つ又は複数の更なる残基により反復間ループに接続されている、請求項9記載のモジュラー結合タンパク質。
  11. 結合ドメインがリンカーにより反復間ループに接続されている、請求項10記載のモジュラー結合タンパク質。
  12. 結合ドメインが非疎水性である、請求項9〜11のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  13. 結合ドメインがN末端に位置する、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  14. N末端結合ドメインがαヘリックスを含む、請求項13記載のモジュラー結合タンパク質。
  15. N末端結合ドメインが配列X−XYXXXIXXYXXXLXX−XXX(式中、Xにより表示される残基は独立して任意のアミノ酸であり、X及びXは独立して任意のアミノ酸であり、nは0又は任意の数である)を含む、請求項13又は14記載のモジュラー結合タンパク質。
  16. がDである、請求項15記載のモジュラー結合タンパク質。
  17. がPである、請求項15又は請求項16記載のモジュラー結合タンパク質。
  18. 結合ドメインがC末端に位置する、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  19. C末端結合ドメインがαヘリックスを含む、請求項18記載のモジュラー結合タンパク質。
  20. C末端結合ドメインが配列XXX−XXAXXXLXX[AV]XXXXX−X(式中、Xにより表示される残基は独立して任意のアミノ酸であり、X及びXは独立して任意のアミノ酸であり、nは0又は任意の数である)を含む、請求項19記載のモジュラー結合タンパク質。
  21. がDである、請求項20記載のモジュラー結合タンパク質。
  22. がPである、請求項20又は請求項21記載のモジュラー結合タンパク質。
  23. 標的分子が、受容体、酵素、抗原、ポリヌクレオチド、オリゴ糖、内在性膜タンパク質、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、転写因子、転写調節因子、又はブロモドメインタンパク質である、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  24. 標的分子が、β−カテニン、KRAS、タンキラーゼ、c−myc、n−myc、ras、notch及びaurora A、α−シヌクレイン、β−アミロイド、タウ、スーパーオキシドジスムターゼ、ハンチンチン、発癌性ヒストンデアセチラーゼ、又は発癌性ヒストンメチルトランスフェラーゼである、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  25. 1つ又は複数の結合ドメインが同じ標的分子に結合する、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  26. 表2又は表7中に示すアミノ酸配列を有する結合ドメインを含む、請求項1〜25のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  27. E3ユビキチンリガーゼ結合ドメイン、場合により表3中に示すアミノ酸配列を有するE3ユビキチンリガーゼ結合ドメインを含む、請求項1〜26のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  28. 標的選択的オートファジー結合ドメイン、場合により70kDa(Hsc70)結合ドメインの熱ショック同族体を含む、請求項1〜26のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  29. 配列KFERQ又はその変異体を有するhsc70結合ドメインを含む、請求項28記載のモジュラー結合タンパク質。
  30. 第1の標的分子に結合する第1の結合ドメイン及び第2の標的分子に結合する第2の結合ドメインを含む、請求項1〜29のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  31. 第1又は第2の標的分子の1つがE3ユビキチンリガーゼである、請求項30記載のモジュラー結合タンパク質。
  32. 標的タンパク質に結合するN末端結合ドメイン及びE3ユビキチンリガーゼに結合するC末端結合ドメインを含む、請求項31記載のモジュラー結合タンパク質。
  33. 標的タンパク質に結合する反復間結合ドメイン及びE3ユビキチンリガーゼに結合するC末端結合ドメインを含む、請求項31記載のモジュラー結合タンパク質。
  34. 標的タンパク質に結合する反復間結合ドメイン及びE3ユビキチンリガーゼに結合するN末端結合ドメインを含む、請求項31記載のモジュラー結合タンパク質。
  35. 標的タンパク質に結合するC末端ドメイン及びE3ユビキチンリガーゼに結合するN末端結合ドメインを含む、請求項31記載のモジュラー結合タンパク質。
  36. E3ユビキチンリガーゼに結合する反復間結合ドメイン及び標的タンパク質に結合するN末端結合ドメインを含む、請求項31記載のモジュラー結合タンパク質。
  37. E3ユビキチンリガーゼに結合する反復間結合ドメイン及び標的タンパク質に結合するC末端結合ドメインを含む、請求項31記載のモジュラー結合タンパク質。
  38. 第1又は第2の標的分子の1つが標的選択的オートファジー経路の成分であり、場合により70kDaの熱ショック同族体(Hsc70)である、請求項30記載のモジュラー結合タンパク質。
  39. 標的タンパク質に結合するN末端結合ドメイン及び標的選択的オートファジー経路の成分に結合するC末端結合ドメインを含む、請求項38記載のモジュラー結合タンパク質。
  40. 標的タンパク質に結合する反復間結合ドメイン及び標的選択的オートファジー経路の成分に結合するC末端結合ドメインを含む、請求項38記載のモジュラー結合タンパク質。
  41. 標的タンパク質に結合する反復間結合ドメイン及び標的選択的オートファジー経路の成分に結合するN末端結合ドメインを含む、請求項38記載のモジュラー結合タンパク質。
  42. 標的タンパク質に結合するC末端ドメイン及び標的選択的オートファジー経路の成分に結合するN末端結合ドメインを含む、請求項38記載のモジュラー結合タンパク質。
  43. 標的選択的オートファジー経路の成分に結合する反復間結合ドメイン及び標的タンパク質に結合するN末端結合ドメインを含む、請求項38記載のモジュラー結合タンパク質。
  44. 標的選択的オートファジー経路の成分に結合する反復間結合ドメイン及び標的タンパク質に結合するC末端結合ドメインを含む、請求項38記載のモジュラー結合タンパク質。
  45. 標的化ドメイン、細胞内移行ドメイン、安定化ドメイン、オリゴマー化ドメイン、細胞傷害剤、治療剤、及び/又は検出可能な標識を更に含む、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  46. 表8中に示すアミノ酸配列を含む、先行する請求項のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質。
  47. 請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質をコードする、核酸。
  48. 請求項47記載の核酸を含む、発現ベクター。
  49. 請求項48記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  50. 請求項47記載の核酸を発現させてモジュラー結合タンパク質を産生することを含む、モジュラー結合タンパク質を製造する方法。
  51. 結合ドメインをコードする第1の核酸を、反復間ループにより連結された2つ又はそれ以上の反復ドメインをコードする第2の核酸中に挿入して、請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質をコードするキメラ核酸を産生すること;及び
    該キメラ核酸を発現させて、モジュラー結合タンパク質を産生すること
    を含む、モジュラー結合タンパク質を製造する方法。
  52. 反復間ループにより連結された2つ又はそれ以上の反復ドメインをコードする核酸を提供すること;及び
    該核酸中に、第1の標的分子に結合する第1の結合ドメインをコードする第1のヌクレオチド配列及び第2の標的分子に結合する第2の結合ドメインをコードする第2のヌクレオチド配列を組み入れて、該第1及び第2の結合ドメインを含むモジュラー結合タンパク質をコードする核酸を生成すること、ここで、該結合ドメインは、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置し;及び
    該核酸を発現させてタンパク質を産生すること
    を含む、第1の標的分子及び第2の標的分子に結合するモジュラー結合タンパク質を製造する方法。
  53. 第1又は第2の標的分子の1つがE3ユビキチンリガーゼである、請求項52記載の方法。
  54. モジュラー結合タンパク質を含むライブラリーであって、
    該ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質が、
    (i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
    (ii)該反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
    (iii)1つ又は複数の結合ドメインであって、各々の該結合ドメインが、反復間ループ中に位置するか又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する、結合ドメイン
    を含み、
    該ライブラリー中の結合ドメイン中の少なくとも1つのアミノ酸残基が多様である、
    ライブラリー。
  55. ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質が1つの結合ドメインを含む、請求項54記載のライブラリー。
  56. モジュラー結合タンパク質の第1及び第2のサブライブラリーを含むライブラリーであって、第1及び第2のサブライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質が、
    (i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
    (ii)該反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
    (iii)少なくとも1つの多様なアミノ酸残基を含む結合ドメイン
    を含み、
    第1のサブライブラリー中のモジュラー結合タンパク質中の結合ドメインが、第1の標的分子に結合し、かつ、(i)反復間ループ、(ii)モジュラー結合タンパク質のN末端、又は(iii)モジュラー結合タンパク質のC末端のうちの1つに位置し、
    第2のサブライブラリー中のモジュラー結合タンパク質中の結合ドメインが、第2の標的分子に結合し、(i)反復間ループ、(ii)モジュラー結合タンパク質のN末端、又は(iii)モジュラー結合タンパク質のC末端のうちの別の所に位置する、
    ライブラリー。
  57. モジュラー結合タンパク質が請求項1〜46のいずれか一項記載のものである、請求項54〜56のいずれか一項記載のライブラリー。
  58. ライブラリーが粒子の表面に呈示される、請求項54〜57のいずれか一項記載のライブラリー。
  59. (a)モジュラー結合タンパク質のライブラリーを提供することであって、該ライブラリー中の各々のモジュラー結合タンパク質は、
    (i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
    (ii)該反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
    (iii)反復間ループ中に、タンパク質のN末端に、又はタンパク質のC末端に位置する結合ドメイン
    を含み、ここで、該ライブラリー中の結合ドメイン中の少なくとも1つのアミノ酸残基は多様である、
    (b)結合活性を呈示するモジュラー結合タンパク質について該ライブラリーをスクリーニングすること、及び
    (c)結合活性を呈示する、該ライブラリー中の1つ又は複数のモジュラー結合タンパク質を同定すること
    を含む、ライブラリーをスクリーニングする方法。
  60. 請求項54〜58のいずれか一項記載のライブラリーをコードする核酸の集団。
  61. 請求項60記載の核酸の集団を発現させることを含むライブラリーを製造する方法。
  62. (a) (i)2つ又はそれ以上の反復ドメイン、
    (ii)該反復ドメインを連結する反復間ループ;及び
    (iii)1つ又は複数の結合ドメインであって、各々の該結合ドメインが、反復間ループ中に又はモジュラー結合タンパク質のN末端若しくはC末端に位置する、結合ドメイン
    を含むモジュラー結合タンパク質の多様な集団をコードする核酸の集団を提供することであって、ここで、該集団中の結合ドメインは多様である、及び
    (b)核酸の該集団を発現させて多様な集団を産生し、それにより、モジュラー結合タンパク質のライブラリーを産生すること
    を含む、モジュラー結合タンパク質のライブラリーを製造する方法。
  63. 請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質、請求項47記載の核酸、又は請求項48記載のベクター、及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
  64. 請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質、請求項47記載の核酸、又は請求項48記載のベクターを医薬的に許容可能な賦形剤とともに製剤化することを含む、医薬組成物を製造する方法。
  65. 請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質、請求項47記載の核酸、又は請求項48記載のベクターを含むリポソームの集団。
  66. 請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質、請求項47記載の核酸、又は請求項48記載のベクターを脂質溶液と混合すること、及び、該溶液をエバポレートして、該モジュラー結合タンパク質、核酸、又はベクターをカプセル化したリポソームを製造することを含む、リポソームの集団を製造する方法。
  67. ヒト又は動物の対象における診断又は処置の方法における使用のための、請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質、請求項47記載の核酸、又は請求項48記載のベクター。
  68. 標的分子に関連する障害の処置における使用のための、標的分子に結合する請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質、標的分子に結合するモジュラー結合タンパク質をコードする請求項47記載の核酸、又は請求項48記載のベクター。
  69. 標的分子に関連する障害の処置における使用のための医薬の製造における、標的分子に結合する請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質、標的分子に結合するモジュラー結合タンパク質をコードする請求項47記載の核酸、又は請求項48記載のベクターの使用。
  70. 標的分子に結合する請求項1〜46のいずれか一項記載のモジュラー結合タンパク質、標的分子に結合するモジュラー結合タンパク質をコードする請求項47記載の核酸、又は該核酸を含む請求項48記載のベクターを、それを必要とする個体に投与することを含む、標的分子に関連する障害の処置の方法。
  71. 障害が、炎症性障害、神経変性疾患、血管新生障害、骨量減少障害、又は癌である、請求項68記載の使用、請求項69記載の使用、又は請求項70記載の方法のための、モジュラー結合タンパク質、核酸、又はベクター。
  72. 癌が、乳房、卵巣、結腸直腸、胃腸、膵臓、前立腺、甲状腺、肺、肝細胞癌、食道、多発性骨髄腫、白血病、T細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、多形性膠芽腫、胸膜中皮腫、骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、又は急性骨髄性白血病(AML)である、請求項71記載の使用、使用、又は方法のための、モジュラー結合タンパク質、核酸、又はベクター。
  73. 神経変性疾患が、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多発性硬化症、又は筋萎縮性側索硬化症である、請求項71記載の使用、使用、又は方法のための、モジュラー結合タンパク質、核酸、又はベクター。
  74. 炎症性障害が、自己免疫疾患である、請求項71記載の使用、使用、又は方法のための、モジュラー結合タンパク質、核酸、又はベクター。
  75. モジュラー結合タンパク質、核酸、又はベクターがリポソーム中にカプセル化されている、請求項68〜74のいずれか一項記載の使用、使用、又は方法のための、モジュラー結合タンパク質、核酸、又はベクター。
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