JP2021500400A - 広域スペクトルの抗ウイルス治療のための組成物及び方法 - Google Patents

広域スペクトルの抗ウイルス治療のための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

AM580及び構造的に関連する化合物は、広範囲にわたるRNAウイルス及びDNAウイルスによる感染症の処置、及び、さらに、関連する炎症の減少に有用であることが見出された。この活性は、RAR−αシグナル伝達から独立しており、宿主自然免疫応答の活性化の結果ではない。AM580及び構造的に関連する化合物の幅広い抗ウイルス活性は、nSREPBPの阻害によってウイルス感染細胞内のこの経路の調節不全を修正するような脂質生成の調節によるものである。

Description

本出願は、2017年10月18日に出願の米国仮出願第62/573933号の利益を主張するものである。これら及び全ての参照される外因性材料は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれている参考文献内の用語の定義又は使用が本明細書において提供されるその用語の定義と矛盾しているか又は相容れない場合、本明細書において提供されるその用語の定義が優先されるとみなす。
本発明の分野は、抗ウイルス治療、特に小分子を用いた抗ウイルス治療である。
背景の記載は、本発明を理解する際に有用であり得る情報を含む。本明細書において提供される情報の内の何れかが従来技術であること、若しくは請求される本発明に関連したものであることは承認されるものではなく、又は具体的に若しくは暗黙的に参照されるいかなる刊行物も従来技術であることは承認されるものではない。
重症急性呼吸器症状群(SARS)、パンデミックインフルエンザA型(H1N1)、中東呼吸器症状群(MERS)、西部/東部ウマ脳炎(WEE/EEE)、エボラ及びジカ(ZIKV)の流行性ウイルス疾患が、それぞれ、2003年、2009年、2012年、2013年、2014年及び2016年に発生した。これらの感染性疾患は、致死性であり、且つ伝染性である。これらのウイルスの高い毒性と、有効な治療が存在しないこととによって、世界的な公衆衛生に対する脅威が続いています。特異的なウイルスを標的とするために特異的な薬物(drub)を開発する従来の「one−bug−one−drug」パラダイムは、ウイルス病原体の出現及び再出現の課題に対処するには不充分である[1]。本明細書における全ての刊行物は、あたかも個々の刊行物又は特許出願書が参照により組み込まれていることが具体的且つ個別に示されているかのように、同程度に参照により組み込まれている。組み込まれた参考文献内における用語の定義又は使用が本明細書において提供されるその用語の定義と矛盾しているか又は相容れない場合、本明細書において提供されるその用語の定義が適用され、前記参考文献内のその用語の定義は適用されない。新規基礎的病原体による流行性ウイルス疾患の効果的制御を管理するために、広域クラスの抗ウイルス剤を開発することが不可避である。そのような交差防御抗ウイルス剤は、迅速な診断が利用可能でない場合にウイルス症状群の患者における急速な使用を可能にし、ひいては潜在的なエピデミック又はパンデミックのリスクを最小限に抑える[2]。
広域スペクトルの抗ウイルス剤の開発のための現行の戦略は、主に、ウイルス感染性を標的とすることと、宿主の防御システムを調節することとの二つの態様に焦点を合わせる。ウイルス吸着及びウイルス融合の遮断剤[3、4]並びにウイルスポリメラーゼ活性の阻害剤[5]を含む、ウイルス感染性を低下させるための成功した候補物質が利用可能である。しかし、薬剤耐性の進展のため、ウイルス成分に対する特異性によって、そのような薬物の長期適用が限定される[6]。別の場合、I型インターフェロン(IFN)及びIFN誘導タンパク質は、防御の細胞機構を誘発してウイルス複製を抑制する。細胞タンパク質阻害剤及び関連する経路調節物質は、ウイルスライフサイクルに介入して複製適応度を抑制する[7、8]。しかし、宿主に対する薬物毒性及び耐性ウイルス子孫の生成の課題は、対処すべきものとして残る。リバビリンは、広域スペクトルの抗ウイルス治療のための現在唯一のFDA認可薬物である。しかし、多くの欠点(例えば、好ましくない薬物動態及び狭い治療域)によって、臨床背景におけるその広い適用が制限される[9]。
ウイルスは、不可避の細胞内寄生体である。ウイルス誘導脂質代謝再プログラムは、広域スペクトルの抗ウイルス剤の開発のためのこれらのプロセスを標的とすることの潜在性を示す感染性の転帰に実質的に影響を及ぼす可能性がある[10、11]。脂質は、ウイルス膜及び細胞膜の構造的要素として長く知られてきた。動物ウイルスは、細胞の出入りのために宿主の境界を交差する必要がある。エンベロープウイルスにおいて、このことは、細胞膜を介して、入ってくるウイルスの融合及び発生期のウイルスの出芽によって起きる。非エンベロープウイルスにおいて、ウイルスが入ってくるためには、ウイルスゲノムを細胞質内にトランスファーするために細胞(主にエンドソーム)膜の一時的な撹乱が必要である[12]。細胞内において、ウイルスは、ゲノム複製及びゲノム構築が起きる細胞質膜構造及び細胞質画分を誘導する。最近、脂質は、細胞内及び細胞間の両方においてメッセージを伝達する真核生物における主要な信号伝達分子であることが明らかにされている[13]。
Peiris, J.S., et al., Coronavirus as a possible cause of severe acute respiratory syndrome. Lancet, 2003. 361(9366): p. 1319-25. Chan, J.F., et al., Middle East respiratory syndrome coronavirus: another zoonotic betacoronavirus causing SARS-like disease. Clin Microbiol Rev, 2015. 28(2): p. 465-522. Yuen, K.Y., et al., Clinical features and rapid viral diagnosis of human disease associated with avian influenza A H5N1 virus. Lancet, 1998. 351(9101): p. 467-71. To, K.K., et al., The emergence of influenza A H7N9 in human beings 16 years after influenza A H5N1: a tale of two cities. Lancet Infect Dis, 2013. 13(9): p. 809-21. De Clercq, E., Strategies in the design of antiviral drugs. Nat Rev Drug Discov, 2002. 1(1): p. 13-25. Zumla, A., et al., Coronaviruses - drug discovery and therapeutic options. Nat Rev Drug Discov, 2016. 15(5): p. 327-47. Simmons, G., et al., Inhibitors of cathepsin L prevent severe acute respiratory syndrome coronavirus entry. Proc Natl Acad Sci U S A, 2005. 102(33): p. 11876-81. Kaletsky, R.L., G. Simmons, and P. Bates, Proteolysis of the Ebola virus glycoproteins enhances virus binding and infectivity. J Virol, 2007. 81(24): p. 13378-84. Warren, T.K., et al., Protection against filovirus diseases by a novel broad-spectrum nucleoside analogue BCX4430. Nature, 2014. 508(7496): p. 402-5. Zhu, J.D., et al., Broad-spectrum antiviral agents. Front Microbiol, 2015. 6: p. 517. Burke, J.D., L.C. Platanias, and E.N. Fish, Beta interferon regulation of glucose metabolism is PI3K/Akt dependent and important for antiviral activity against coxsackievirus B3. J Virol, 2014. 88(6): p. 3485-95. Thakur, C.S., et al., Small-molecule activators of RNase L with broad-spectrum antiviral activity. Proc Natl Acad Sci U S A, 2007. 104(23): p. 9585-90. Graci, J.D. and C.E. Cameron, Mechanisms of action of ribavirin against distinct viruses. Rev Med Virol, 2006. 16(1): p. 37-48.
したがって、広い範囲のウイルスを効果的に処置する、安全且つ有効な化合物の必要性が依然としてある。
(発明の概要)
本発明の主題は、−−−である装置、システム及び方法を提供するものである。
本発明の主題の各種の目的、特徴、態様及び長所は、同様の符号が同様の構成要素を表す添付の図面と共に、好ましい実施形態の以下の詳述される記載からより明らかになるであろう。
AM580の構造。 タミバロテンの構造。 図3は、抗ウイルス剤としてのAM580の試験の結果を示す。MERS−CoV阻害剤及びインフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルス阻害剤のスクリーニングのためのMOI条件及び時点の最適化が示される。陽性対照としてファビピラビル(50μg/mL)及びレムデシビル(5μM)を用いた。結果は、擬感染細胞の細胞生存率によって正規化される。 図4は、抗MERS−CoV候補物質及び/又は抗インフルエンザウイルス候補物質についてのライブラリースクリーニングを示すヒートマップを示す。Huh7細胞をMERS−CoV(0.1MOI)に感染させ、MDCK細胞をインフルエンザA型(H1N1)ウイルス(0.01MOI)に感染させた後、感染の直後に生体活性脂質化合物(10μM)又はDMSOビヒクルによる処置を行った。それぞれ24hpi(MERS−CoVについて)及び48hpi(インフルエンザウイルスについて)において細胞生存率を決定した。前記DMSO対照を0に設定し、擬感染を1に設定することによって正規化を行った。三つの独立したスクリーニングから得られた平均が示される。 図5は、図4において同定されるように同定された抗MERS−CoV阻害剤を示す。 図6は、図4において同定される通りの抗インフルエンザウイルス阻害剤を示す。 図7は、多重サイクルMERS−CoV増殖アッセイを用いるAM580の抗MERS−CoV活性を特性決定する試験の結果を示す。Huh7細胞を0.001MOIのMERS−CoVに感染させ、ウイルス感染の1時間後(「hpi」)にDMEM培地中における20μMのAM580で接種物を置換した。細胞培養上清におけるウイルス力価を、示された通りの異なる時点でプラークアッセイによって定量した。 図8は、AM580の抗MERS−CoV活性を特性決定する免疫ブロット試験の結果を示す。ウェスタンブロット法は、AM580処置後のMERS−CoV NP生成の低下を示した。1MOIのウイルスの感染後の示された時点でHuh7細胞溶解物を回収した。細胞生存率の内部対照及び内部指示薬としてβ−アクチンを検出した。 図9は、AM580の抗MERS−CoV活性を特性決定するフローサイトメトリー試験の試験結果を示す。フローサイトメトリーによってMERS−CoV−NP陽性細胞を検出した。Huh7細胞を0.01MOIのMERS−CoVに感染させた。AM580又はDMSOによる24時間のインキュベーション後、フローサイトメトリーのために、対照細胞を剥離し、固定し、透過処理し、抗MERS−CoV−NP抗体で染色した。典型的な実験の結果を示す。 図10は、AM580の抗MERS−CoV活性を特性決定する免疫細胞化学試験の結果を示す。MERS−CoV−NP抗原(緑色)及び細胞核(青色)を表すHuh7細胞の免疫蛍光染色。 図11は、AM580の抗MERS−CoV活性を特性決定するウイルス複製試験の結果を示す。AM580は、24hpiにおいてA549(0.1MOI)細胞、Calu−3(0.1MOI)細胞及びVero(0.01MOI)細胞の細胞培養上清中で検出されるようにMERS−CoV複製を低下させた。 図12は、AM580の抗MERS−CoV活性を特性決定するウイルス複製試験の結果を示す。AM580は、24hpiにおいて単球由来マクロファージ(MDM、1MOI)細胞及びTHP−1(0.1MOI)細胞の細胞溶解物において検出されるようにMERS−CoV複製を低下させた。 図13は、AM580処置を行った又は行わないMERS−CoV感染細胞の遺伝子発現分析の結果を示す。AM580は、Huh7細胞及び単球由来マクロファージ(MDM)におけるMERS−CoV誘導炎症誘発性サイトカインのアップレギュレーションを低下させたが、TNF−α、IL−1β及びIL−8についての代表的サイトカインマーカーが示される。MERS−CoVとAM580によって処置されたMERS−CoVとの群の間の差をスチューデントt検定によって統計学的に分析した。エラーバーは標準偏差を表す。p<0.05。 図14は、AM580の抗ウイルス活性試験及び細胞毒性試験の結果を示す。AM580アナログの構造的活性分析。上のパネルは、異なる濃度(20μM、5μM、1.25μM及び0μM)における個別の化合物の抗ウイルス効力を示し、下のパネルは、それぞれ、それらの化学構造及び生物学的機能の概要である。 図15は、AM580と、MERS−CoV感染に対してIC50<1μMを有する選択されたアナログとの化学構造を示す。 図16は、オルガノイドにおけるAM580の抗MERS−CoV活性の結果試験(results studies)を示す。AM580は、ヒト腸管オルガノイド(インテスチノイド(intestinoid))において抗MERS−CoV活性を示した。分化したインテスチノイドにMERS−CoV(MOI≒0.1)を三回接種し、次いでマトリゲル内に再包埋し、培養培地中で維持した。示されたhpiにおいて、ウイルス収率の定量のためにインテスチノイド、無細胞マトリゲル及び培養培地を採取した。溶解した前記マトリゲル及び培養培地をプラークアッセイによるウイルス滴定に適用した。 図17は、オルガノイドにおけるAM580の抗MERS−CoV活性の結果試験を示す。AM580は、ヒト腸管オルガノイド(インテスチノイド)において抗MERS−CoV活性を示した。分化したインテスチノイドにMERS−CoV(MOI≒0.1)を三回接種し、次いでマトリゲル内に再包埋し、培養培地中で維持した。示されたhpiにおいて、ウイルス収率の定量のためにインテスチノイド、無細胞マトリゲル及び培養培地を採取した。インテスチノイドにおける絶対ウイルス負荷をRT−qPCRによって定量し、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)mRNA転写物によって正規化した。 図18は、オルガノイドにおけるAM580の抗MERS−CoV活性の結果試験を示す。AM580は、ヒト腸管オルガノイド(インテスチノイド)において抗MERS−CoV活性を示した。分化したインテスチノイドにMERS−CoV(MOI≒0.1)を三回接種し、次いでマトリゲル内に再包埋し、培養培地中で維持した。示されたhpiにおいて、ウイルス収率の定量のためにインテスチノイド、無細胞マトリゲル及び培養培地を採取した。24hpiにおいて、MERS−CoV NP、DAPI及びファロイジンの固定及び免疫蛍光染色の後のAM580(20μM)又はDMSO(0.1%)で処置したインテスチノイドを全組織標本化し、共焦点顕微鏡で3D撮像した。 図19は、MERS−CoV NP(緑色)についての(MERS−CoV)感染エクスビボ肺組織の免疫蛍光染色による肺組織におけるAM580の抗MERS−CoVの免疫細胞化学試験の結果を示す。正常肺組織を1ミリリットル当たり1×10PFUのMERS−CoVに感染させるか、又は37℃で1時間、擬感染させた。感染の合計18時間後、組織を固定し、凍結保護し、凍結切片にした。スライドを順次染色し、Carl Zeiss LSM800顕微鏡で共焦点像を取り込んだ。終末細気管支の上皮細胞内でNPに対する免疫反応性が検出された(DMSO群)。AM580(20μM)処置は、MERS−CoV−NP抗原発現を著しく低下させた。 図20は、動物モデルにおけるAM580の抗MERS−CoV活性の試験の結果を示す。DDP4トランスジェニックマウス(18匹/群)を、50PFUのMERS−CoVによる攻撃後、2日間AM580又は0.1%DMSO(プラセボ対照)で処置した。腹腔内経路により薬物を注射した。マウスの生存及び病気のシグナルを14日間又はマウス死亡までモニタした。Log−rank(Mantel−Cox)検定(**p<0.01)を用いて、処置群と対照群との間の生存率の差を比較し、分析した。 図21は、動物モデルにおけるAM580の抗MERS−CoV活性の試験の結果を示す。AM580の抗MERS−CoV活性の特性決定。生存マウスの毎日の体重変化。 図22は、動物モデルにおけるAM580の抗MERS−CoV活性の試験の結果を示す。各群から四匹のマウスを感染後2日及び4日に安楽死させ、RT−qPCRを用いたウイルス負荷の検出のために肺を回収した。結果は、スチューデントのt検定試験を用いてDMSO処置群と比較した平均値+SD(**p<0.01)として示される。 図23は、動物モデルにおけるAM580の抗MERS−CoV活性の試験の結果を示す。感染後2日及び4日に回収されたマウス肺組織における組織病理学的変化。ヘマトキシリン−エオジン(H&E)染色による示された群から得られた肺組織の代表的組織学的切片が示される。 図24は、AM580の広域スペクトルの抗ウイルス活性をまとめたものである。AM580は、示されたウイルスに対して広域な抗ウイルス効果を示した。MERS−CoV及びSARS−CoV(Vero−E6細胞)、ZIKV(Vero細胞)、インフルエンザA型H1N1ウイルス(MDCK細胞)並びにEV71(RD細胞)におけるAM580の抗ウイルス活性を評価するためにプラーク低減アッセイを行った。ウイルス負荷低減アッセイをAdV5(Hep−2細胞)について行った。化合物が存在しない場合における対照に対する示された濃度のPFU又はウイルス負荷が示される(%)。 図25は、AM580の抗ウイルス活性試験及び細胞毒性試験の結果を示す。(ウイルス負荷低減アッセイを用いて評価された)AdV5を除いて、異なるウイルスに対するAM580のIC50をプラーク低減アッセイによって決定した。 図26は、AM580の抗ウイルス活性試験及び細胞毒性試験の結果を示す。それぞれ細胞NAD(P)H依存性細胞オキシドレダクターゼ酵素(MTTアッセイ)又はATP活性(CellTiter−Gloアッセイ)の何れかを評価することによって異なる細胞系におけるAM580のCC50を決定した。 図27は、AM580の抗ウイルス活性試験及び細胞毒性試験の結果示す。異なるウイルスに対するAM580抗ウイルス処置の選択指数(CC50/IC50)が示される。 図28は、動物モデルにおけるAM580の広域スペクトルの抗ウイルス活性を特性決定する試験の結果を示す。Balb/cマウス(18匹/群)を100PFUのインフルエンザA型(H7N9)ウイルスによる攻撃後、3日間AM580、ザナミビル又は0.1%DMSOで処置した。麻酔後に鼻腔内経路により薬物を送達した。生存率が示される。感染後3日及び6日にマウス組織試料を採取した。 図29は、動物モデルにおけるAM580の広域スペクトルの抗ウイルス活性を特性決定する試験の結果を示す。Balb/cマウス(18匹/群)を100PFUのインフルエンザA型(H7N9)ウイルスによる攻撃後、3日間AM580、ザナミビル又は0.1%DMSOで処置した。麻酔後に鼻腔内経路により薬物を送達した。体重の変化が示される。感染後3日及び6日にマウス組織試料を採取した。 図30は、動物モデルにおけるAM580の広域スペクトルの抗ウイルス活性を特性決定する試験の結果を示す。Balb/cマウス(18匹/群)を100PFUのインフルエンザA型(H7N9)ウイルスによる攻撃後、3日間AM580、ザナミビル又は0.1%DMSOで処置した。麻酔後に鼻腔内経路により薬物を送達した。肺組織ウイルス負荷が示される。感染後3日及び6日にマウス組織試料を採取した。 図31は、動物モデルにおけるAM580の広域スペクトルの抗ウイルス活性を特性決定する試験の結果を示す。Balb/cマウス(18匹/群)を100PFUのインフルエンザA型(H7N9)ウイルスによる攻撃後、3日間AM580、ザナミビル又は0.1%DMSOで処置した。麻酔後に鼻腔内経路により薬物を送達した。H&E組織病理学的染色分析の結果が示される。感染後3日及び6日にマウス組織試料を採取した。 図32は、RAR−α−シグナル伝達又は先天性抗ウイルス応答に対するAM580の効果の試験の結果を示す。Huh7細胞に24時間RAR−α−標的化siRNAをトランスフェクトした後、さらに24時間MERS−CoV感染(0.01MOI)を生じさせた。細胞培養上清中におけるウイルス負荷が示される。内部対照としてβ−アクチンを用いたウェスタンブロット法によってsiRNAノックダウン(KD)の効率性を検出した。野生型(擬)と前処置(siRNAノックダウン又は外来遺伝子過剰発現)との間の差を比較した。 図33は、RAR−α−シグナル伝達又は先天性抗ウイルス応答に対するAM580の効果の試験の結果を示す。Huh7細胞に24時間RAR−α過剰発現プラスミドをトランスフェクトした後、さらに24時間MERS−CoV感染(0.01MOI)を生じさせた。細胞培養上清中におけるウイルス負荷が示される。内部対照としてβ−アクチンを用いてウェスタンブロット法によってRAR−αの過剰発現(OE)を検出した。野生型(擬)と前処置(siRNAノックダウン又は外来遺伝子過剰発現)との間の差を比較した。 図34は、RAR−α−シグナル伝達又は先天性抗ウイルス応答に対するAM580の効果の試験の結果を示す。RAR−α拮抗剤及びAM580の併用による試験の結果は、前記抗ウイルス活性を低下させなかった。 図35は、RAR−α−シグナル伝達又は先天性抗ウイルス応答に対するAM580の効果の試験の結果を示す。ルシフェラーゼ標識レポート構築物をコードする遺伝子を担持するルシフェラーゼアッセイ遺伝子修飾細胞の結果は、AM580がTK、CMV及びSV40などのプロモータのトランス活性化を阻害しなかったことを示した。 図36は、RAR−α−シグナル伝達又は先天性抗ウイルス応答に対するAM580の効果の試験の結果を示す。示される通りのレポータ遺伝子の発現を評価するために、二重ルシフェラーゼアッセイを行った。IFN−β−Luc活性及びISRE−Luc活性の測定のために、IFN−β(100単位/mL)を陽性対照とした。ルシフェラーゼアッセイの中において、AM580(20μΜ)及びDMSO(0.5%)の濃度は安定していた。結果は、二つの独立した実験の平均値+SDとして示される。 図37は、RAR−α−シグナル伝達又は先天性抗ウイルス応答に対するAM580の効果の試験の結果を示す。AM580は、MERS−CoV感染を生じさせたWT A549細胞及びRIG−I欠損A549細胞の両方において同様の抗ウイルス活性パターンを示した。 図38は、MERS−CoVの侵入及び内部移行に対するAM580の影響の試験の結果を示す。Huh7細胞をAM580(20μM)及びMERS−CoV(2MOI)の混合物によって2時間処置した後、徹底的に洗浄を行い、培養平板から分離し、MERS−CoV−NP陽性細胞のフローサイトメトリー分析を行った。 図39は、SREBP依存性脂質生合成に対するAM580の効果の試験の結果を示す。AM580処置後のMERS感染細胞のリピドミック分析(lipidomic analyses)。同定された脂質リストに基づいた階層的クラスタ分析が示される。各棒は、青色(減少レベル)から赤色(増加レベル)までの正規化スケールにおけるその平均強度によって色づけられた脂質を表す。上部におけるデンドログラムは、脂質強度に基づいて構築された。 図40は、図39に示される通りのLysoPE(18:0/0:0)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図41は、図39に示される通りのLysoPE(16:0/0:0)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図42は、図39に示される通りのLysoPE(16:l/0:0)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図43は、図39に示される通りのLysoPE(18:1/0:0)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図44は、図39に示される通りのPE(P−18:0/0:0)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図45は、図39に示される通りのLyso−PC(0:0/16:l)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図46は、図39に示される通りのLyso−PC(16:1/0:0)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図47は、図39に示される通りのPC(18:1/20:1)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図48は、図39に示される通りのPC(20:1/18:3)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図49は、図39に示される通りのPE(38:4)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図51は、図39に示される通りのPE(38:5)代謝産物のピーク高さを示す。一元配置分散分析検定によって群間差を分析した。***p<0.001、**p<0.01、p<0.05。 図51は、SREBP依存性脂質生合成に対するAM580の効果の試験の結果を示す。AM580は、細胞脂質滴(LD)レベルを減少させた。0.1%DMSO若しくは20μΜのAM580の存在下で24時間0.01MOIでMERS−CoVにHuh7細胞を感染させたか、又は擬感染させた。細胞を固定し、DAPI及びBODIPY493/503で染色した。 図52は、SREBP依存性脂質生合成に対するAM580の効果の試験の結果を示す。AM580は、細胞コレステロールレベルを低下させた。Huh7細胞を固定し、遊離コレステロールに特異的に結合するフィリピン(青色)で染色した。 図53は、AM580処置を行った又は行わないMERS−CoV感染細胞の遺伝子発現分析の結果を示す。RT−qPCRによって脂肪酸合成経路における同義遺伝子の発現を分析した。MERS−CoVとAM580によって処置されたMERS−CoVとの群の間の差をスチューデントt検定によって統計学的に分析した。エラーバーは標準偏差を表す。p<0.05。 図54は、AM580処置を行った又は行わないMERS−CoV感染細胞の遺伝子発現分析の結果を示す。RT−qPCRによってコレステロール合成経路における同義遺伝子の発現を分析した。MERS−CoVとAM580によって処置されたMERS−CoVとの群の間の差をスチューデントt検定によって統計学的に分析した。エラーバーは標準偏差を表す。p<0.05。 図55は、ウイルス複製に対するsiRNAノックダウンの効果の試験の結果を示す。SREBP1又はSREBP2の何れかのsiRNAノックダウンは、MERS−CoV複製を低下させた。2日間連続で75nMのSREBP1、SREBP2又はスクランブル対照siRNAでHuh7細胞をトランスフェクトした。ノックダウン効率性をウェスタンブロットによって評価した。siRNA処置細胞を0.01MOIでMERS−CoVに感染させた。24hpi後、前記細胞培養上清中におけるウイルス負荷をqPCR分析によって評価した。対照siRNA処置群と比較した場合、p<0.05であった。 図56は、ウイルス複製におけるn−SREBPの過剰誘導と併用したAM580の結果を示す。内在性n−SREBP1又は内在性n−SREBP2の過剰誘導は、AM580の存在下でMERS−CoV複製を促進した。Huh7細胞に対して、5%LPDS及び10μMメバスタチンを含有する培地中で16時間インキュベートすることによってステロールを欠乏させた(すなわち、飢餓)。細胞を採取し、溶解させて、ウェスタンブロットによってそれぞれn−SREBP1及びn−SREBP2の検出の前に核分画を調製した。飢餓細胞を、示されたMOIでMERS−CoVに感染させ、AM580(10μM)で24時間処置した。前記細胞培養上清中におけるウイルス負荷をqPCR分析によって定量した。飢餓処置を行った又は行わなかった群の間の差を、スチューデントのt検定を用いて分析した。 図57は、ウイルス複製に対するn−SREBP処理阻害剤の効果の試験の結果を示す。前記n−SREBP処理阻害剤PF429242及びベツリンは、抗MERS−CoV活性を示した。Huh7細胞をMERS−CoVに感染させ、示された濃度の前記化合物で処置した。24時間後、前記上清中のウイルス負荷をqPCRによって分析した。0μM群と比較した場合、p<0.05であった。 図58は、SREへのn−SREBPの結合に対するAM580の効果を示す。AM580は、n−SREBP1及びSREの結合を阻害した。前記SREを含むSREBP1特異的二本鎖DNA(dsDNA)配列を96ウェル平板のウェル上に固定する。陽性対照競合体dsDNA、ベツリン(50μM)又はAM580(20μM)と共にHuh7核抽出物を加えた。結合したSREBP−1を製造業者のプロトコルに従って検出した。は、薬物の投入のない前記擬対照と比較した場合、p<0.05を示す。 図59は、SREへのn−SREBPの結合に対するAM580の効果を示す。SREBP2 DNA結合活性アッセイは、AM580が用量依存的な様式でSRE及びSREBP2の結合を阻害したことを示した。 図60は、SREへのn−SREBPの結合に対するAM580の効果を示す。示された濃度のAM580をSRE固定ウェルで2時間インキュベートし、徹底的に洗浄した後、前記細胞核抽出物を加えた。別の場合、AM580を等量の核抽出物で2時間プレインキュベートした後、前記検出ウェルに加えた。AM580は、SREではなくn−SREBP1に結合したことが分かった。 図61は、AM580の分子ドッキング試験の結果を示す。AM580は、SREBP1及びSREBP2のSRE認識部位を占めると予測された。3D分子ドッキング分析が示される。SREBPにおける潜在的相互作用表面は赤色で着色され、AM580は棒及びメッシュの表現で表示される。下のパネル:ヒト及びマウスのSREBP1及びSREBP2のDNA結合部分の部分配列配置。Tyr335、すなわち箱で強調されたAM580結合についての主要残基は完全に保存されていることが示される。 図62は、AM580の分子ドッキング試験の結果を示す。ドッキング分析によって、AM580と相互作用するSREBP1の主要なアミノ酸残基が予測される。 図63は、AM580結合におけるn−SREBP1の突然変異の結果を示す。トランケートされたn−SREBP1(WT)及びその突然変異プラスミド構築物Y335RをHEK293T細胞に48時間トランスフェクトした後、核抽出とDNA結合強度の測定とを行った。WTとY335Rとの間の差をスチューデントt検定によって分析した。p<0.05。Tyr335は、n−SREBP1結合活性のために重要であることが分かった。 図64は、AM580アナログの抗ウイルス活性の試験の結果を示す。化学修飾化合物AM580(アジド−AM580)は、MERS−CoVに感染させたVero細胞及びHuh7細胞において同様の抗ウイルス効力を示した。 図65は、AM580アナログで処置した細胞の蛍光撮像の結果を示す。Huh7細胞をアジド−AM580(20μM)で6時間処置し、固定し、透過処理し、共焦点撮像のためにDyLight(商標)488−ホスフィン、DAPI及びファロイジンで免疫蛍光染色した。ホスフィン特異的アジド基が無いため、AM580を対照として用いた。 図66は、特異的官能性を有する指定された基の局在化を示すAM580由来光親和性プローブ(AM580dp)の構造を示す。アジド−AM580は、アジド−PEG5−アミンとAM580との間の反応により達成された。三官能基架橋剤2−{N2−[Nα−ベンゾイルベンゾイカミド−N6−6−ビオチンアミドカプロイル]リシニルアミド}エチル−2’−(Nスルホスクシンイミジルカルボキシ)エチルジスルフィドナトリウム塩(Santacruz)にメチル4−[2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル]−2−ジフェニルホスファニル−ベンゾエートを加え、次いでアジド−AM580を加えることによりAM580dpを合成した。 図67は、図66に示されるようにAM580アナログを用いて行った親和性結合試験の結果を示す。AM580dpをストレプトアビジンビーズ上に固定し、WT構築物又はY335R構築物の何れかによってトランスフェクトされた細胞溶解物によってインキュベートした。架橋(クリック化学)を活性化するUV曝露の後、AM580dp結合タンパク質複合体をそのビオチンタグでプルダウンした。抗フラグ及びn−SREBP1特異的抗体を用いてn−SREBP1を検出するためにウェスタンブロット法を用いたと共に、RAR−αは、プルダウン分子の中で陽性対照タンパク質として含まれ、アジド−AM580は、非特異的結合を除外するために陰性対照として用いられた。 図68は、AM580処置後の転写活性化の試験の結果を示す。AM580によるHMGCS及びFAS転写活性化の阻害は、HMGCS−プロモータ−Lucレポート構築物及びFAS−プロモータ−Lucレポート構築物を担持し且つ前記薬物に曝露された細胞におけるルシフェラーゼ活性の減失によって示される。 図69は、前記n−SREBP処理、下流経路、影響を受けた、報告されたウイルスファミリー、及びリポゲネシス酵素に対するAM580効果の試験において用いられた対照阻害剤を示す概略図を示す。 図70は、脂質生成及びウイルス複製に対するAM580処置の効果の試験の結果を示す。MERS−CoV(0.01MOI)に感染させたHuh7細胞を追加の外因的パルミチン酸(100μM)の非存在下(白色の棒)又は存在下(灰色の棒)でDMSO(0.1%)又はC75(10μM)又はAM580(20μM)で処置した。24hpiにおけるウイルス収率を示した。一元配置分散分析試験によって群間差を分析した。外因的パルミチン酸は、AM580処置を行った細胞におけるMERS−CoV複製を促進することが分かった。 図71は、脂質生成及びウイルス複製に対するAM580処置の効果の試験の結果を示す。インフルエンザA型(H1N1)(0.001MOI)に感染させたMDCK細胞を追加の外因的パルミチン酸(100μM)の非存在下(白色の棒)又は存在下(赤色の棒)でDMSO(0.1%)又はC75(10μM)又はAM580(20μM)で処置した。24hpiにおけるウイルス収率を示した。一元配置分散分析試験によって群間差を分析した。外因的パルミチン酸は、AM580処置を行った細胞におけるインフルエンザA型(H1N1)ウイルス複製を促進した。 図72は、脂質生成及びウイルス複製に対するAM580処置の効果の試験の結果を示す。EVA−71(0.001MOI)に感染させたRD細胞を追加の外因的パルミチン酸(100μM)の非存在下(白色の棒)又は存在下(青色の棒)でDMSO(0.1%)又はC75(10μM)又はAM580(20μM)で処置した。24hpiにおけるウイルス収率を示した。一元配置分散分析試験によって群間差を分析した。外因的パルミチン酸は、AM580処置を行った細胞におけるEVA−71ウイルス複製を促進した。 図73は、脂質生成及びウイルス複製に対するAM580処置の効果の試験の結果を示す。ヒトAdV5(0.1MOI)に感染させたHEp−2細胞を追加の外因的パルミチン酸(100μM)の非存在下(白色の棒)又は存在下(灰色の棒)でDMSO(0.1%)又はC75(10μM)又はAM580(20μM)で処置した。24hpiにおけるウイルス収率を示した。一元配置分散分析試験によって群間差を分析した。外因的パルミチン酸は、AM580処置を行った細胞におけるヒトAdV5ウイルス複製を促進した。 図74は、二層膜小胞(「DMV」)の形成におけるAM580処置の結果を示す。Vero細胞をMERS−CoVに感染させ、AM580により又はAM580なしで18時間インキュベートした。細胞ペレットをグルタルアルデヒドで固定し、電子顕微観察のために処理した。処置のないウイルス感染細胞は、DMVの核周囲クラスタ(赤色箱)及びAM580処置(20μM)におけるDMV生成の欠如を示した。示された各代表的画像は、二つの別々の実験において取り込まれた三十を超える画像のプールから選択された。AM580は、DMV形成を阻害した。 図75は、パルミトイル化に対するAM580処置の効果の試験の結果を示す。インフルエンザA型(H1N1)ウイルスに由来するHAプラスミドによってA549細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションの5時間後にDMSO(0.1%)又は5μM 2−BP(陽性対照阻害剤)又は20μM AM580の薬物処置を行い、一方で24時間後に細胞溶解物を採取した。ウェスタンブロット法を用いて異なる群の総HA(投入)及びパルミトイル化HAを分析した。β−アクチンを内部対照とした。AM580は、ウイルスタンパク質パルミトイル化を低下させた。 図76は、ウイルス複製に対する2−BPの効果の試験の結果を示す。MDCK細胞を0.001MOIのインフルエンザA型(H1N1)によって感染させ、示された無毒性濃度の前記化合物で処置した。24hpiの後、前記上清中のウイルス力価を標準プラークアッセイによって分析した。2−BPは、インフルエンザA型(H1N1)ウイルス複製を低下させた。2−BPは、Huh7細胞におけるMERS−CoV複製も低下させた。前記0μM群と比較した場合、**p<0.01であった。全てのデータは、二つの独立した実験から平均及び標準偏差を表す。
以下の記載は、本発明を理解する際に有用であり得る情報を含む。本明細書において提供される情報の内の何れかが従来技術であること、若しくは請求される本発明に関連したものであることは承認されるものではなく、又は具体的に若しくは暗黙的に参照されるいかなる刊行物も従来技術であることは承認されるものではない。
本発明の主題は、インビトロ及びインビボの両方で広域スペクトルの抗ウイルス活性を提供するために脂質生成に干渉する小分子を利用する装置、システム及び方法を提供するものである。本発明者らは、ウイルス増殖に干渉するための細胞の脂質代謝の調節が抗ウイルス治療に対して広域なスペクトルのアプローチを提供することができることを見出した。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、脂質生成及び/又は脂質代謝における撹乱(perturbation)がウイルス適応度を減少且つ/又は低下させる可能性があると考える。生物活性脂質ライブラリの薬理学的スクリーニングによって、潜在的抗ウイルス阻害剤が同定され得る。例えば、AM580(レチノイド誘導体として知られている(図1参照))は、インビトロ及びインビボにおける効力があり且つ広域スペクトルの抗ウイルス活性を提供することが分かった。構造活性分析によって、効力のあるMERS−CoV複製阻害剤として、さらにタミバロテン(図2)(AM580のアナログ)が同定された。そのような化合物は、脂質代謝及び/又は抗ウイルス化合物を調節する他の化合物と共に使用され得る。
本発明の主題の各種の目的、特徴、態様及び長所は、以下の好ましい実施形態の詳細な記載からより明らかになるであろう。以下の考察は、本発明の主題の多くの例示的な実施形態を提供するものである。各実施形態が本発明の要素の単一の組み合わせを表すにもかかわらず、本発明の主題は、開示された前記要素の全ての可能な組み合わせを含むと考えられる。したがって、ある実施形態が要素A、B及びCを含み、且つ第二の実施形態が要素B及びDを含む場合、本発明の主題は、明示的に開示されない場合であっても、A、B、C又はDの他の残りの組み合わせを含むと考えられる。
いくつかの実施形態において、本発明のある種の実施形態を記載し、主張するために用いられる成分の量、濃度、反応条件などの特性を表現する数字は、「約」という用語によっていくつかの例において修正されると理解されるものとする。したがって、いくつかの実施形態において、明細書及び添付の請求項に記載される数値的パラメータは、特定の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態において、前記数値的パラメータは、報告される有効数字の数を考慮して、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を記載する前記数域及びパラメータが近似値であるにも関わらず、具体例に記載される数値は、実行可能であるのと同程度に正確に報告される。本発明のいくつかの実施形態において示される数値は、それらのそれぞれの試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じるある種の誤差を含んでもよい。
本明細書における記載において、及び以下の請求項にわたって用いられる場合、「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「前記(the)」の意味は、文脈が明確に規定しない限り、複数形の参照を含む。また、本明細書における記載において用いられる場合、「中の(in)」の意味は、文脈が明確に規定しない限り、「中の」及び「上の(on)」を含む。
本明細書における値域の説明は、単に、前記範囲内にある別々の各値を個別に指す短縮された方法の役割を果たすことを意図するものである。本明細書に示されない限り、個別の各値は、あたかも本明細書において個別に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に示されない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書におけるある種の実施形態に関して提供されるあらゆる例又は例示的な言葉(例えば「など」)の使用は、単に、本発明をより良好に明らかにすることを意図するものであって、それ以外の場合に請求される本発明の範囲に対する限定をもたらすものではない。本明細書における言葉は、本発明の実施に必須な、請求されない任意の要素を示すものとして解釈されるべきでない。
本明細書に開示される本発明の代替的な要素又は実施形態のグループ分けは、限定するものとして解釈されないものとする。各グループのメンバーは、個別に、又は前記グループの他のメンバー若しくは本明細書に見出される他の要素との任意の組み合わせにおいて参照され、請求され得る。グループの一つ以上のメンバーは、利便性及び/又は特許性の理由のために、グループの中に包含され得るか、又は、から削除され得る。そのような包含又は削除が生じる場合、本明細書は、しかるに添付の請求項において用いられる全てのマーカッシュグループの明細書を実現して修正されるように本明細書において前記グループを含むとみなされる。
いくつかの実施形態において、広域スペクトルの抗ウイルス化合物は、レチノイド又はレチノイド誘導体であることができる。適切なレチノイド誘導体としては、AM580、タミバロテン及び/又はベキサロテンが挙げられる。前記製剤は、経口的、非経口的、注射により、注入により、及び/又は粘膜を通した吸収により投与され得る。前記製剤は、溶液、懸濁液、注射剤、丸剤、錠剤、カプセル剤及び/又は坐剤として提供され得る。いくつかの実施形態において、前記薬物は、医薬的に許容し得る担体及び/又は別の医薬的に活性な化合物を含むこともできる。そのような医薬的に活性な化合物は、リババリンなどの別の抗ウイルス化合物であることができる。他の実施形態において、前記医薬的に活性な化合物は、抗炎症剤、制吐剤、鎮痛剤及び/又は抗生剤など、ウイルス感染の症状又は後遺症に対して活性を有することができる。
本発明の概念のレチノイド誘導体を一種以上の追加的な医薬的に活性な化合物と併用して用いる場合、相乗(すなわち、相加効果よりも大きい)効果が観察され得る。例えば、MERS−CoVに対して併用する場合におけるAM580及びロピナビルの有効なIC50当量は、相乗効果の存在を示す0.5未満のFICIを示す。
Figure 2021500400
本発明の概念の別の実施形態は、広域スペクトル(すなわち、複数のウイルス株又はウイルス種)の抗ウイルス活性を示す薬物を製剤化するために、脂質生成を減少させ、且つ/又は脂質代謝に干渉するか、若しくは、それ以外の場合、調節する化合物を投与することによって、且つ/又はそのような化合物を用いることによって、ウイルス感染症を処置する方法である。感受性ウイルスとしては、MERSコロナウイルス(Conarovirus)、SARSコロナウイルス、ジカウイルス、インフルエンザA型ウイルス(例えばインフルエンザA型(H1N1)pdm09、インフルエンザウイルスA(H5N1)及びインフルエンザウイルスA(H7N9))、ヒトアデノウイルス(例えば、ヒトアデノウイルス5)及びエンテロウイルス(例えば、EV71)を挙げることができる。いくつかの実施形態において、前記化合物は、レチノイド又はレチノイド誘導体であることができる。適切なレチノイド誘導体としては、AM580、タミバロテン及び/又はベキサロテンが挙げられる。前記製剤は、経口的、非経口的、注射により、注入により、及び/又は粘膜を通した吸収により投与され得る。前記製剤は、溶液、懸濁液、注射剤、丸剤、錠剤、カプセル剤及び/又は坐剤として提供され得る。いくつかの実施形態において、前記薬物は、医薬的に許容し得る担体及び/又は別の医薬的に活性な化合物を含むこともできる。そのような医薬的に活性な化合物は、リババリンなどの別の抗ウイルス化合物であることができる。他の実施形態において、前記医薬的に活性な化合物は、抗炎症剤、制吐剤、鎮痛剤及び/又は抗生剤など、ウイルス感染の症状又は後遺症に対して活性を有することができる。
そのような実施形態において、前記方法は、ウイルス感染を低下させるか又は制御するために有効な用量及び頻度で前記製剤を提供する投与スケジュールを含むことができる。そのような投与スケジュールは、用量当たり1μg/kg体重〜100mg/kg体重の範囲の量の、脂質生成を減少させ、且つ/又は脂質代謝に干渉するか、若しくは、それ以外の場合、調節する前記化合物を提供することができる。そのような投与スケジュールは、一定の注入を提供することが可能であるか、又は周期的な投与を提供することが可能である。適切な周期的投与スケジュールは、4時間ごと〜1週間以上につき1回の範囲の頻度で前記製剤を提供することが可能である。
開示された技術が、特定のウイルス株の同定及び有効な処置の後続の遅滞の必要性を低下させ得る広域スペクトルの抗ウイルス化合物の提供を含む多くの有利な技術的効果を提供することが可能であることを認めるべきである。
本発明の概念の一実施形態において、脂質生成を減少させ、且つ/又は脂質代謝に干渉するか、若しくは、それ以外の場合、調節する化合物は、広域スペクトル(すなわち、複数のウイルス株又はウイルス種)の抗ウイルス活性を示す製剤の少なくとも一部を形成する。感受性ウイルスとしては、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス、ジカウイルス、インフルエンザA型ウイルス(例えばインフルエンザA型(H1N1)pdm09、インフルエンザウイルスA(H5N1)及びインフルエンザウイルスA(H7N9))、ヒトアデノウイルス(例えば、ヒトアデノウイルス5)及びエンテロウイルス(例えば、EV71)を挙げることができる。いくつかの実施形態において、前記化合物は、レチノイド又はレチノイド誘導体であることができる。適切なレチノイド誘導体としては、AM580、タミバロテン及び/又はベキサロテンが挙げられる。
抗ウイルス化合物を同定するために、本発明者らは、MERS−CoV及び/又はインフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルス感染の際に細胞変性効果(CPE)発生を阻害し得る化合物をスクリーニングするために最適化された細胞生存率を反映する比色アッセイを開発した。薬物処置群と薬物未処置群との間の細胞生存率を最大限に区別するために、感染多重度(MOI)及び生存率検査の時点の各種の組み合わせを評価した。ウイルス感染の高MOIは、抗ウイルス活性を損なう可能性があり、薬物スクリーニングのためのウインドウを短縮する可能性がある。一方で、低MOIは、ひいては細胞代謝によって薬物分解が生じる可能性がある薬物の有効性を区別するために複数回のウイルス複製が必要になる可能性がある。Huh7細胞及びMDCK細胞が、それぞれMERS−CoV及びインフルエンザA型ウイルスの複製を強く支持することができるので使用された。GS5734(レムデシビル)及びT−705(ファビピラビル)が、それぞれコロナウイルス[20]及びインフルエンザA型ウイルス[21]に対するそれらの著しい抗ウイルス効力のために陽性対照阻害剤として利用された。抗MERS−CoVスクリーニングのために0.1MOIと感染24時間後(hpi)におけるエンドポイントとの組み合わせが適切であると判断されたが、一方で抗インフルエンザ阻害剤については、0.01MOI及び48hpiが適切であると判断された(図3参照)。最適化された条件に基づいて、189の生体活性脂質を含むライブラリを一次スクリーニングのために用いた後、候補化合物を検証し、且つ優先順位を付けるために用量依存的分析を行った(図4参照)。
とりわけ、化合物AM580は、MERS−CoV及びインフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルスの両方による感染に対して細胞を保護した。アリール炭化水素受容体(AhR)作動薬FICZ及びアポトーシス調節性メッセンジャーC16セラミドは、インフルエンザA型(H1N1)pdmウイルス感染に対して特異的にMDCK細胞を保護したが、一方で抗炎症効果を有する脂質代謝産物25−ヒドロキシビタミンD3は、MERS−CoV感染に対してHuh7細胞を保護した(図5及び図6参照)。AM580は、両ウイルスに対して細胞保護効果を示した化合物として同定され、さらなる特性決定のために選択された。
MERS−CoV感染をモデルとして用いて、本発明者らは、細胞培養物におけるAM580の抗ウイルス活性を特性決定した。AM580による又はよらないウイルス複製動態をプロットするために、マルチサイクルウイルス増殖アッセイを行った。感染の18時間後、24時間後、36時間後、42時間後及び48時間後(「hpi」)の示された時点において、AM580処置は、前記DMSO陰性対照と比較した場合、3log以上、前記細胞上清中におけるウイルス力価を低下させた(図7参照)。著しく、前記AM580群における感染についてのプラーク形成単位(PFU)は、前記試験の全体時間経過にわたってベースラインレベルに制限されたが、このことは、初期感染サイクルにおけるAM580によるMERS−CoVの高効率的抑制を示している。さらに、ウェスタンブロット法は、特に9hpiにおいて、AM580の添加の際にMERS−CoV核タンパク質(NP)の発現が著しく減少することを示した(図8参照)。
AM580処置後においてMERS−CoVに感染した細胞の割合を決定するためにフローサイトメトリーを利用した。Huh7細胞を0.01MOIのMERS−CoVに感染させ、20μMのAM580により又はよらず24時間インキュベートした。図9に示されるように、MERS−CoV NP陽性細胞は、65%(DMSO群)から5.38%(AM580群)に減少したが、このことは、AM580による子孫ウイルス生成の効率的阻害を示している。前記フローサイトメトリーデータによって裏づけられた場合、MERS−CoV感染Huh7細胞におけるMERS−CoV NPについての免疫蛍光染色によって、AM580処置の際におけるウイルス感染のほぼ完全な抑制が示唆された(図10参照)。
また、AM580が、肺(A549及びCalu−3)、腎臓(Vero−E6)及び免疫細胞[THP−1及びヒト主要単球由来マクロファージ(MDM)]を含む多細胞型のMERS−CoV複製を低下させることも分かった(図11及び図12参照)。AM580が、Huh7細胞及びMDMにおけるウイルス誘導炎症誘発性サイトカイン活性化を抑制することも分かった(図13参照)。全体として、AM580は、細胞保護効果及びウイルス複製の阻害を伴う細胞培養における効力のある抗MERS活性並びに抗炎症応答を示した。
増強された生物学的利用能及び抗ウイルス効力を有するAM580アナログをスクリーニングするために、AM580との構造的類似性を有する十三の化合物を抗MERS−CoV活性について試験した。タミバロテン及びベキサロテンは、それぞれ320±26nM及び875±15nMのIC50を伴って、AM580と同等の抗MERS−CoV活性を有することが分かった(図14参照)。これらの三つの化合物は、全てが架橋基の一方の側にテトラリン部分を有し、他方の側に安息香酸部分を有する高度な構造的類似性を共有することを理解すべきである(図15参照)。これらの化合物間の顕著な差異は、テトラリン部分及び安息香酸部分を連結する中心連結架橋基である。具体的には、AM580及びタミバロテンは、アミド結合を利用するが、反対に配向している。ベキサロテンは、この位置にエチレンを有する)。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、これらの分子の前記テトラリン部分及び前記安息香酸部分の両方が抗ウイルス効力にとって重要且つ/又は重大であると考える。
三次元培養されたヒトオルガノイドによって、ヒト感染症の試験は実質的に前進した[22]。本発明者らは、インビボにおける設定の形態学的特性及び機能的特性をシミュレーションするためにヒト腸内のほとんどの型の上皮細胞を有するヒト腸管オルガノイド(インテスチノイド)におけるMERS−CoV感染性及び複製動態を立証し且つ特性決定した[23]。本発明者らは、このヒト器官様システムにおけるAM580の抗ウイルス効力を評価した。0.1MOIのMERS−CoVによる接種後、インテスチノイドは、マトリゲル及び上清培地中において感染性ウイルス力価の安定した増加を示し(すなわち、それぞれ24hpi及び48hpiにおいて約3log10及び4log10増加)、前記インテスチノイド内で増殖性ウイルス複製が検出された(図16及び図17参照)。AM580処置は、細胞内及び細胞外の両方でMERS−CoV複製を有意に(p<0.05)低下させることが分かった。48hpiにおいて、AM580処置(20μM)インテスチノイド培養物上清ではPFUは検出可能でなかったが、このことは、DMSO処置対照インテスチノイドに対して約6log10PFU/mLの低下を表す(図16参照)。その上、前記AM580処置インテスチノイドは、形態学的に無傷のままであり、DMSO処置対照インテスチノイドにおいて観察される通りのMERS−CoV誘導CPEを示さなかった(図18参照)。インテスチノイドにおけるAM580によるMERS−CoVの阻害は、前記DMSO処置対照インテスチノイドと比較した前記AM580処置インテスチノイドにおけるウイルスNPの発現の著しい減少によっても証明された(図18参照)。追加的には、ex vivoヒト肺器官培養モデルは、AM580処置が終末細気管支の上皮細胞におけるMERS−CoV NP発現の著しい減少をもたらしたことを示した(図19参照)。AM580は、ヒト肺組織及びヒト肺外組織におけるMERS−CoVのウイルス複製を強く阻害することが明らかである。
AM580のインビボ抗ウイルス活性を評価するために、本発明者らは、ヒトDPP4(hDPP4)−トランスジェニックマウスを用いた確立されたマウスモデルにおいて、前記薬物化合物がMERS−CoV及びインフルエンザA型ウイルスの致死的攻撃に対する保護を付与したかどうかについて検討した[23]。図20に示されるように、50PFUのMERS−CoVによって攻撃されたhDPP4−トランスジェニック(transgenice)マウスの中で、十匹/十匹のマウス(100%)がAM580の腹腔内注射を三日間受けた後で生存したが、PBS処置マウスは、三匹/十匹(30%)だけが生存した(p<0.01)。前記AM580処置マウスの平均体重も、前記DMSO処置対照マウスより概して高かった(図21参照)。
各群において四匹のマウスを、ウイルス学的分析及び組織学的分析のために攻撃後の2日及び4日に安楽死させた。AM580処置マウスは、両時点において、前記DMSO処置対照マウスと比較して、それらの肺組織内のウイルスRNA含有率が有意に(p<0.01)低かった。同様に、攻撃後の4日において、前記AM580処置マウスの脳組織のウイルスRNA含有率は、ほとんど検出不可能であり、前記DMSO処置対照マウスよりも4−log10低かった(図22参照)。組織病理学的検査は、前記AM580処置マウスの肺組織における肺胞損傷及び間質性炎症性浸潤が前記DMSO処置対照マウスと比較して有意に向上したことを示した(図23参照)。まとめると、これらの結果は、AM580が、インビボにおいてMERS−CoV複製及びウイルス関連病状を阻害することによって致死的MERS−CoV攻撃からhDPP4トランスジェニックマウスを効果的に保護したことを示した。
本発明者らは、RNA[例えば、SARS−CoV、ジカウイルス(ZIKV)、インフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザA型(H1N1)pdm009ウイルス)及びエンテロウイルス(例えば、エンテロウイルス−A71(EV−A71)]ウイルス及びDNA[例えば、ヒトアデノウイルス5型(AdV5)]ウイルスの両方を含む他のウイルス病原体に対するAM580の抗ウイルス効果も特性決定した。驚くべきことに、AM580は、ナノモル濃度から低マイクロモル濃度の範囲内で、用量依存的様式において、全てのこれらの様々なウイルス種の複製を阻害した(図24及び図25参照)。メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)アッセイ及びCellTiter−Gloアッセイの両方を用いて、ヒト由来及び非ヒト由来の両方から誘導されたものを含む異なる細胞系にわたって、AM580の細胞毒性は同様であった(約100〜200μM)(図26参照)。重要なことに、AM580の選択指数は、試験された前記ウイルスのほとんど、とりわけMERS−CoV(507)、SARS−CoV(114)及びインフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルス(159)について適切に充分に高かったが、臨床用の望ましい安全領域を提供することが可能である(図27参照)。全体的に、AM580は、適切な医薬的特性を伴う、RNAウイルス及びDNAウイルスに対する広域スペクトルの抗ウイルス活性を有することが分かった。
野生型Balb/cマウスモデルを用いて、高い病原性のインフルエンザA型(H7N9)インフルエンザウイルス(A型(H1N1)pdm09よりも毒性が強いサブタイプ)に対するAM580の抗ウイルス活性も評価した。100PFUのA型(H7N9)ウイルスによって攻撃した前記マウスにおいて、前記AM580処置マウスは、前記DMSO処置対照マウス(0/10、0%)よりも有意に(p<0.01)高い生存率(6/10、60%)を有した(図28参照)。前記AM580処置マウスの平均体重は、攻撃後の8日において徐々に回復しはじめた(図29参照)。前記AM580処置マウスの肺組織における平均ウイルスRNA負荷は、前記DMSO処置対照マウスよりも有意に(p<0.01)低かった(図30参照)。組織病理学的検査によって、AM580処置がウイルス関連肺炎症性浸潤及び気管支肺炎を寛解させたことが示された(図31参照)。AM580は、高毒性/致死的インフルエンザA型(H7N9)ウイルス攻撃に対して有意なインビボ保護効果を提供することが明らかである。
AM580は、既知の選択的レチノイン酸受容体−α(RAR−α)作動薬である。本発明者らは、驚くべきことに、AM580の抗ウイルス活性が、RAR−αシグナル伝達の活性化や宿主の先天性抗ウイルス応答の活性化に依存しないことを見出した。AM580の抗ウイルス活性がRAR−αシグナル伝達経路の活性化に依存する程度を決定するために、機能喪失型アッセイ及び機能獲得型アッセイを行った。RAR−α遺伝子サイレンシングによる前記経路のダウンレギュレーション(図32参照)や、前記RAR−α受容体の過剰発現(図33参照)は、MERS−CoV複製に有意な影響を及ぼさなかった。下流RAR−α拮抗剤ER50891及びAM580の併用は、AM580の抗ウイルス効力を減少させなかった(図34参照(se))。これらの結果は、AM580の抗ウイルス活性が前記RAR−αシグナル伝達経路から独立していることを示唆する。RAR−αは核内受容体であるが、汎転写性阻害剤(pan−transcriptional inhibitor)として作用するAM580の可能性は、CMVプロモータ、TKプロモータ及びSV40プロモータを含んだレポータ遺伝子ルシフェラーゼアッセイによって除外された(図35参照)。
AM580の広域スペクトルの抗ウイルス活性を説明し、宿主自然免疫応答が前記薬物によって修飾された程度を決定するために、本発明者らは、IFN−βプロモータ(IFNβ−Luc)又はIFN刺激応答エレメント(ISRE−Luc)によって駆動されるレポータ構築体を開発した(図36参照)。これらの結果は、AM580の抗ウイルス活性が宿主の自然免疫応答の活性化と関連がある可能性がなく、シグナル伝達増幅因子として機能しなかったことを示す。このことは、AM580がRIG−Iノックアウト及び野生型A549細胞において同様の抗ウイルス活性を示したという観察によって支持される(図37参照)。まとめると、これらのデータは、AM580の広域スペクトルの抗ウイルス活性がRAR−α−シグナル伝達経路の活性化又は宿主の自然免疫応答によって発揮されないことを示唆した。
AM580の抗ウイルス機序を決定するために、本発明者らは、薬物化合物がMERS−CoV吸着又は内部移行に干渉しなかったことを示すために時間依存性薬物添加アッセイ(time−of−drug−addition assay)を利用した(図38参照)。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、薬物化合物がMERS−CoVライフサイクルの侵入後ステップを妨害する可能性があると考える。どのようにしてAM580が細胞内ウイルス−宿主相互作用に影響を及ぼすのかについて特性決定するために、本発明者らは、前記化合物が存在する場合又は存在しない場合におけるMERS−CoV−感染細胞のグローバルな遺伝子発現試験を行った。多くの遺伝子は、MERS−CoV感染Calu−3細胞においてアップレギュレーション(n=2061)又はダウンレギュレーション(n=1626)された。とりわけ、AM580処置群及び擬感染群における遺伝子発現プロファイルは同様であった。
本発明者らは、AM580処置細胞及びDMSO処置細胞の中で有意に差次的に発現した遺伝子の経路強化分析も行った。強化スコアが2.0超であることによって証明される通りの変化が最大の二つの遺伝子クラスタを示す(表1参照)。
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各遺伝子クラスタにおいて最も高いスコアリング経路は、それぞれアルツハイマー病及びリジン分解に関連した。この後にランク付けた場合、AM580で処置されたMERS−CoV感染細胞は、脂肪酸代謝、脂肪酸分解及び非アルコール性脂肪肝(NAFLD)に機能的に関連した遺伝子の発現を有意に減少させた。全体的に、理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、AM580が、ウイルス複製によって誘発された前記脂質代謝プロファイルを再プログラムする可能性があると考える。とりわけ、コレステロール経路及びホスホイノシチド経路の調節不全はアルツハイマー病のアミロイド形成において高く関連付けられたが[24]、一方でリジンなどのケトン生成必須アミノ酸は脂質合成経路を調節する[25]。
脂質ホメオスタシスのMERS−CoV誘導撹乱におけるAM580の役割をさらに探索するために、本発明者らは、AM580が存在する又は存在しない場合におけるMERS−CoV感染Calu−3細胞の無標識リピドミック分析を行った(図39参照)。24hpiにおいて脂質を単離した。陽性様式における308の脂質特徴と11の脂質クラスの陰性様式における199の脂質特徴との存在率を特性決定した。重複した脂質特徴を除去した後、データ処理及び統計分析を行った。擬感染及びDMSO処置MERS−CoV感染対照細胞と比較した場合、AM580処置MERS−CoV感染細胞において、前記細胞リピドームの多くの変化が認められた。12の内在性脂質は、有意な(p<0.05)変化を示した(図40〜図50参照)。同定された前記脂質の全ては、グリセロリン脂質クラスに属していた。グリセロリン脂質(GP)は、哺乳類細胞膜の主要な脂質カテゴリを構成する。構造的に、GPは、さらに、二つのリゾリン脂質(LysoPL)[リゾホスファチジルコリン(LysoPC)及びリゾホスファチジルエタノールアミン(LysoPE)]並びに二つのリン脂質(PL)[ホスファチジルコリン(PC)及びホスファチジルエタノールアミン(PE)]を含む四つのサブグループに分類される。バリエーションの傾向を特性決定するために、本発明者らは、異なる脂質の存在量の程度に基づいて階層的クラスタ分析を行った。24hpiにおいて、MERS−CoV感染は、擬感染対照と比較した場合、LysoPL(LysoPC及びLysoPE)をダウンレギュレーションし、PL(PC及びPE)をアップレギュレーションした(図39参照)。AM580は、脂質ホメオスタシスのこのウイルス誘導撹乱に拮抗し、前記擬感染対照として同様のリピドームを示した(図40〜図50参照)。
二つの協調酵素、すなわち、ホスホリパーゼA2(PLA2)及びリゾホスホリピドアシルトランスフェラーゼ(LPCAT)は、ランズサイクル(Lands’cycle)サイクルにおけるLysoPL及びPLの代謝回転のバランスをとる[26]。PLA2は、PLのsn−2位置エステル結合を特異的に加水分解してLysoPLを形成する。続いて、前記脂質再生酵素LPCATは、アシルCoAからLysoPLにアシル基をトランスファーしてリン脂質を再生し、しかるに脱アシル化/再アシル化サイクルを完了する。MERS−CoV複製は、LysoPL形成よりもむしろPLに好都合だった(図40〜図50参照)。リピドミックデータに即して、PLA2G4A、PLA2G10、PLA2G12A、PLA2G16及びPLA2R1を含むPLA2のパネルの遺伝子発現は、AM580処置群又は擬感染対照群と比較した場合、MERS−CoV感染によって有意に抑制された(p<0.05)。まとめると、これらの結果は、MERS−CoV感染が、前記細胞ホスホリパーゼが調節的役割を果たした前記ランズサイクルの脱アシル化及び再アシル化による脂質ホメオスタシスを撹乱させることを示す。本発明者らは、これらが、ウイルスの複製及び生存に有利になるようなウイルス誘導変化であると考える。
脂質代謝変化を特性決定するために、本発明者らは、AM580が存在する又は存在しない場合におけるMERS−CoV感染Huh7細胞内の細胞の脂質滴(LD)及びコレステロールの分布パターンを視覚化するために免疫蛍光を使用し、mRNA発現の変化を測定するためにRT−qPCRアッセイを使用した。図51及び図52に示されるように、MERS−CoVによる感染は、LD及びコレステロールの蓄積を著しく増強したが、AM580の添加は、それらの生成を有意に低下させた。また、de novoの脂肪酸合成及び取り込み経路(ACC、FAS、ADRP)、脂肪酸酸化経路(CPT1a、HADHα、UCP2、ACOX、BOX、CYP2E1、CYP4A11、PPARα)、抗酸化経路(SOD、カタラーゼ、GSS)並びにトリグリセリド合成及び触媒経路(DGAT1、PPARγ、HSL)を含む脂肪酸代謝に関与する18の主要な触媒遺伝子の発現を特性決定した。DMSO処置感染対照と比較した場合、AM580処置感染細胞内の13/17(76.5%)の遺伝子においてmRNA発現の有意な低下が検出された(図53参照)。
同様に、HMGCR、HMG−CoA合成酵素(HMGCS)及びSCDなどの前記コレステロール合成経路における10/12(83.3%)の測定された遺伝子におけるmRNA発現は、AM580処置によって低下した(図54参照)。これらの知見は、脂肪酸及びコレステロール合成が(MERS−CoV感染の間の前記主要生合成酵素、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)、脂肪酸合成酵素(FAS)及びHMGCSの大幅な増加によって証明されるように)MERS−CoVライフサイクルの必須成分であることを示唆しただけでなく、AM580及びそのアナログが、ウイルス複製の一つ以上のステップに影響を及ぼす様式で脂質合成を阻害する可能性があることを示唆した。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、MERS−CoV感染によって誘発された、高められた代謝要求が、脂質生合成経路を急速にアップレギュレーションするが、AM580は、そのような再プログラムに拮抗し、ウイルス複製を減少させる可能性があると考える。
SREBP−1及びSREBP−2は、コレステロール、脂肪酸及びトリグリセリドの生合成を制御する一次転写因子である[27]。MERS−CoV複製の間におけるSREBPの役割を特性決定するために、本発明者らは、野生型(擬処置)細胞と前処置(SREBPのノックダウン又は過剰発現)細胞との間におけるMERS−CoVの増殖を比較する。とりわけ、SREBP−1又はSREBP−2標的化siRNAによるトランスフェクションは前駆体SREBP(pre−SREBP)産生を減少させ、それによってMERS−CoV複製が有意に(p<0.05)減少した(図56参照)。このことは、SREBPがMERS−CoV複製に必須であるということを示す。
脂質生合成遺伝子のトランス活性化は、前記核形態(n−SREBP)を解除するためにpre−SREBPの切断を必要とし、このプロセスは、ステロールによって調節される[28]。ウイルス感染の間における脂質生合成の過剰活性化を模倣するためにSREBPのこの成熟形態を誘導するために、5%リポ蛋白欠乏血清(LPDS)及び10μMメバスタチンによる一晩のインキュベーションによってHuh7細胞からステロールを欠乏させた。前記細胞の飢餓は、内在性n−SREBP1及びn−SREBP2を強化した(図56参照)。しかし、増加したn−SREBPは、0.1MOI又は1MOIのMERS−CoV感染の際に10μMのAM580の抗ウイルス効力を約1log10単位減少させた。このことは、MERS−CoV複製におけるSREBPについての促進的役割と、関与するn−SREBPにおけるAM580及び関連化合物についての阻害的役割とを示唆する。
SREBPの成熟は、SREBP切断活性化タンパク質(SCAP)との会合並びにサイト−1プロテアーゼ(S1P)及びサイト−2プロテアーゼ(S2P)の連続的切断によって誘導される。本発明者らは、SREBP成熟の阻害が抗ウイルス治療のために有効である可能性があると考える。このために、本発明者らは、ベツリン(SCAP阻害剤)及びPF429242(S1P阻害剤)の抗MERS−CoV活性を特性決定した。両化合物は、用量依存的様式でMERS−CoV複製を低下させたが、このことによって、MERS−CoV感染Huh7細胞の処置のために50μMを用いる場合にウイルス力価の約1log10PFU/mLの低減が達成された(図57参照)。本発明者らは、これらの結果がMERS−CoV誘導代謝再プログラムにおいてSREBPの重要で且つ/又は不可欠な役割を示すと考える。追加的に、n−SREBPの処理ステップは、ウイルス複製を抑制するための薬物修飾可能な分子標的を提供することができる。
n−SREBPの増加がAM580の抗ウイルス効力を減少させたという観察によって、本発明者らは、AM580及び関連化合物がn−SREBPへの結合によって機能する可能性があると推測した(図56参照)。核SREBPは、HMGCS、HMG−CoA還元酵素、FAS、ACC及びスクアレンシンターゼなど、遺伝子に対するプロモータ内に存在するSREへの結合によって一群のリポゲネシス酵素の遺伝子発現をアップレギュレーションする[29]。AM580及び関連化合物がそのような相互作用を妨害し得るのかどうかを決定するために、n−SREBPのDNA結合活性を特性決定した。SREBP1結合エレメント又はSREBP2結合エレメントを含む特異的二本鎖DNA(dsDNA)配列を試験ウェル上に固定し、次いで候補阻害剤が存在する又は存在しない場合において核抽出SREBP1又は核抽出SREBP2の結合の程度を特性決定した。驚くべきことに、AM580は、n−SREBP1及びn−SREBP2の両方のそれらの対応するSREへの結合を阻害した(図58及び図59参照)。
本発明者らは、n−SREBP結合のAM580阻害のための機序も検討した。AM580がn−SREBP又はSREを標的としたかどうかを決定するため、本発明者らは、(1)n−SREBPを加える前の固定化された前記dsDNAを有するか、又は(2)前記dsDNAとの結合前のn−SREBPを有する前記薬物化合物をプレインキュベートした。n−SREBP1を一例として用いて、AM580は、SREではなくn−SREBP1に結合することが見出され、用量依存的様式でn−SREBP1のDNA結合活性を阻害することが見出された(図60参照)。
AM580が相互作用する可能性がある(一つ又は複数の)潜在的アミノ酸残基を予測するために、本発明者らは、SREBP1及びSREBP2の公開された結晶構造を用いて分子ドッキング分析を行った[30、31]。AM580は、前記DNA結合ドメイン内に位置し、SRE認識を決定する残基Tyr335と相互作用すると予測された(図61及び図62参照)[30]。SREBP1及びSREBP2の両方のSRE認識部位はヒトとマウスとの間で高度に保存されることが理解されるべきであり(図61参照)、そのことは、本発明者らが各種の細胞系、ヒトオルガノイド、エクスビボ組織及びマウスモデルにわたって観察した安定した抗ウイルス活性を説明することができる。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、AM580が、SRE認識部位を阻害することによってSREBPのDNA結合活性を阻害すると考える。
Tyr335がAM580−SREBP相互作用部位(又は少なくとも前記相互作用部位の一部)であったかどうかを決定するために、本発明者らは、部位特異的突然変異を行ってY335R突然変異体n−SREBP1を構築し、AM580又はSREの何れかに対してWT及びY335R n−SREBP1の結合親和性を評価した。n−SREBPlのDNA結合活性は、Tyr335がアルギニンで置換された場合に有意に(p<0.01)減少した(図63参照)。このことは、n−SREBP1における前記Tyr335がAM580への結合にとって重要である可能性があることを示す。WT及びY335R n−SREBP1に対するAM580の結合親和性を比較するために、AM580由来プローブ(AM580dp)を合成した。AM580dpの合成前に、本発明者らは、アジド部分を含むリンカーアームをAM580のカルボン酸基に導入して、特異的且つ/又は追加的なプロービング機能を有する化学基の将来の付加のために設計されたアジド−AM580を生成した。AM580と同様に、アジド−AM580は、Huh7細胞及びVero細胞におけるMERS−CoV複製を阻害することが分かった(図64参照)。アジド反応性緑色蛍光染料を用いて、アジド−AM580が宿主細胞の核内に大部分が局在化したことが視覚化されたが、そのことは、AM580が脂質生成トランス活性化事象を標的とするという前の結論に一致する(図65参照)。AM580dpは、光親和性基及びビオチンタグの両方を含む(図66参照)。
結合標的を取り込むために、AM580dpを、そのビオチン基によってストレプトアビジン共役アガロース上に固定し、外因的に発現した前記WT及びY335R n−SREBP1によってそれぞれインキュベートした。クリックケミストリーに基づいてAM580dpにおいて非特異的架橋基を活性化するための紫外線(UV)照射の後、タンパク質−AM580dp複合体を固定し、ビオチンタグ精製によって共にプルダウンした。ウェスタンブロット法による特性決定において、WT及び突然変異体Y335R n−SREBP1によって等量のRAR−αを沈殿させたが、このことは、AM580dpが生物学的に機能的だったことを示した(図67参照)。Y335R n−SREBP1よりも有意に多くのWT n−SREBP1をプルダウンしたが、このことは、Am580とY33R n−SREBP1との間よりもAM580とWT n−SREBP1との間における非常に高い結合親和性を示唆した(図67参照)。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、AM580が、少なくとも部分的に残基Tyr335との相互作用のためにn−SREBP1を標的とすると考える。
SREBPは、HMGCS及びFASなど、脂質生成経路における酵素の発現を制御することによって脂質ホメオスタシスを調節する。AM580がSREBP依存性転写活性化を阻害し得るのかどうかを決定するために、二つのレポータ構築体、すなわちHMGCS−プロモータ−Luc及びFAS−プロモータ−Lucを調製した。前者はハムスターHMGCSプロモータ配列(−324/−225)を含み[32]、一方で後者はFAS−プロモータを含む[33]。AM580は前記レポータ遺伝子活性の濃度依存的阻害を示したが、このことは、HMGCS及びFASなどのリポゲネシス酵素が転写レベルで阻害されたことを示した(図68参照)。AM580の抗MERS−CoV活性と脂質生合成の低下との間の相関関係を確認するために、本発明者らは、AM580の抗ウイルス活性を逆転させる前記de novo脂肪酸生合成経路の最終生成物、すなわちパルミチン酸ナトリウムの能力を特性決定した(図69参照)。これらの試験において、既知のFAS阻害剤(C75)を陽性対照として用いた。とりわけ、C75及びAM580は、抗MERS−CoV活性を示した(図70)。パルミチン酸ナトリウムの添加は、DMSOで処置されたMERS−CoV感染細胞におけるウイルス収率に影響を及ぼさなかったが、AM580又はC75で処置されたMERS−CoV感染細胞におけるウイルス収率を増加させた(p<0.05)(図70参照)。このことは、AM580が、少なくとも部分的に脂肪酸合成を次第に弱くすることによってMERS−CoV複製を阻害することを示唆する。
本発明者らは、脂肪酸合成が、AM580によって阻害される可能性があった他のウイルスの複製に極めて関与したかどうかも探索した。このために、インフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルス(マイナス鎖RNAウイルス)、EV−A71(非エンベロープRNAウイルス)及びAdV5(DNAウイルス)を用いた複製レスキューアッセイを行った(図71〜図73)。レスキューの有意な(p<0.05)程度は、100μMパルミチン酸ナトリウムの添加において、これらのウイルスについて達成された。それらの中で、インフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルスは、脂肪酸合成に対する最も高い依存性を示した(p<0.01)。全体的に、これらのデータは、AM580及びそのアナログの広域スペクトルの抗ウイルス活性が、前記脂質代謝フラックスを再プログラムする能力に少なくとも部分的に関連することを示す。
プラス鎖RNAウイルスは、細胞内膜上でそれらのゲノムを複製することが知られている。MERS−CoVの場合、二層膜小胞(DMV)及び他の複製オルガネラ(RO)は、ウイルス複製/転写複合体(RTC)のための定着足場を提供する。これらのウイルス誘導小胞がAM580及び同様の化合物による脂肪酸合成の阻害における特異的標的の役割を果たす可能性があるのかどうかを決定するために、本発明者らは、MERS−CoV誘導DMVを代表的試験モデルとして用いた。核周囲DMVクラスタは、電子顕微観察によって、MERS−CoV感染細胞において容易に検出可能だった(左パネル、図74)。それに対して、DMVは、AM580による処置後に認められなかった(右パネル、図74)。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、AM580及び関連化合物が、少なくとも部分的にDMVの形成を妨げることによってウイルス複製を阻害する可能性があると考える。
マイナス鎖ウイルス(インフルエンザA型ウイルスなど)は、細胞内膜から独立したゲノム複製及びゲノム転写の異なる機序を利用する。パルミチン酸は、パルミトイル化を含むいくつかの生物学的機能を有する。パルミトイル化は、タンパク質機能及びタンパク質局在化を調節する脂肪酸の翻訳後吸着である[34]。インフルエンザA型ウイルスにおいて、最良の特性決定されたウイルスパルミトイル化されたタンパク質は、表面糖タンパク質ヘマグルチニン(HA)である[35]。脂肪酸合成の阻害がインフルエンザHAパルミトイル化を妨げ、その結果、前記ウイルスライフサイクルの翻訳後ステップを抑制するのかどうかを決定するために、AM580による処置を行う又は行わない場合におけるパルミトイル化レベルを特性決定した。AM580、ビヒクル/対照(DMSO)、又はパルミトイルアシルトランスフェラーゼパルミチン酸を阻害することによってパルミトイル化を特異的に弱める陽性対照阻害剤2−BPと共に、HA過剰発現A549細胞を培養した[36]。樹脂アシスト取り込みによってS−パルミトイル化HAタンパク質を精製した。総HAタンパク質の量の有意な差は、異なる前記投与群の中で検出されなかったが、このことは、2−BP及びAM580がタンパク質合成に影響を及ぼさなかったことを示唆した(図75参照)。
2−BP及びAM580の添加によってパルミトイル化HAのレベルの減少が認められたが、このことはウイルスタンパク質パルミトイル化の減少を示した。ウイルス侵入後の2−BPの添加は、DMSO処置対照と比較した場合、上清中におけるインフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルス力価の1log10/mLの低下を示した(図76参照)。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、AM580が、SREBP依存性経路を阻害して、ウイルスパルミトイル化を弱め、インフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルス複製を減少させると考える。驚くべきことに、2−BPは、用量依存的様式でMERS−CoV複製も阻害したが(図76参照)、このことは、ウイルスパルミトイル化が別の重要な広域スペクトルの抗ウイルス標的である可能性があったことを示した。
ウイルスは、それらの複製のためのエネルギー及び構成要素を提供するために、それらの細胞宿主の代謝ネットワークに依存する。インビトロ及びインビボにおけるSREBP関連経路の阻害によるAM580及び関連化合物の著しい抗ウイルス性の有効性は、宿主脂質代謝の再プログラムがウイルスライフサイクルの複数の態様において重要であることを示し、且つ、重要なことに、これらのステップが影響を受けやすく、且つ抗ウイルス介入のための医薬的に対処可能な分子標的を表すことを示す。本発明者らは、SREBPが、結果的にDMV生合成に影響を及ぼし(図74参照)且つ翻訳後タンパク質パルミトイル化に影響を及ぼす(図75参照)ウイルス誘導脂質過剰誘導の調整に必須である(図55参照)ことを見出した。ウイルス感染のシナリオにおいて、AM580は、コレステロール及び脂肪酸の生合成における遺伝子をダウンレギュレーションし、細胞脂質の含有率を減少させてウイルス複製を制限する(図52及び図53参照)。SREBPのタンパク分解処理の前に、pre−SREBPは、最初にER膜貫通タンパク質として合成される[19]。ステロールが低い場合、SCAPは、n−SREBPを核に放出し、移送して、遺伝子発現をトランス活性化するように、SREBPを、ERから、SREBPがプロテアーゼS1P及びS2Pによって順次切断されるゴルジ体までエスコートする。しかし、細胞ステロールレベルが高い場合、コレステロール又はオキシステロールは、SCAPとインスリン誘導遺伝子1タンパク質(INSIG1)との間の会合を刺激し、それによってSCAP−SREBP複合体のER保持を引き起こし、それによってn−SREBPを減少させ、脂質代謝に関与する遺伝子の発現を低下させる。本発明者らは、AM580が、n−SREBPとSREとの間の結合の阻害によって複数のリポゲネシス酵素を転写的に阻害することを示した(図59及び図61参照)。より早期の事象を標的として、Tangらは、SREBPのER保持を促進することによってSREBPを阻害するベツリンを同定した[28]。実際、ベツリン及びS1P活性の阻害剤は、ウイルス複製の阻害を示した(図57参照)。全体的に、本発明者らは、広域スペクトルの抗ウイルス剤のための可能な標的として、SREBPのタンパク分解処理を同定した。
SREBPによって調節される場合、細胞脂質代謝に関与するリポゲネシス酵素は宿主−ウイルス相互作用において重要な役割を果たすことが示唆されているが[37]、このことは、本発明者らの知見に一致する。C75によるFASの薬理学的阻害によって、フラビウイルス[38]及びワクシニアウイルス[39]の複製が弱まった。陽性対照としてC75を用いて、本発明者らは、分岐ウイルス、エンベロープ(MERS、インフルエンザ)及び非エンベロープ(EV−A71)、RNA又はDNA(AdV5)ウイルス、のAM580阻害を外因的パルミチン酸によって部分的に促進することが可能であったことを示した(図71〜図74参照)。そのような試験の結果は、最適な且つ/又は最大のウイルス複製のための脂質生合成(特に新規脂肪酸合成)の緊要性を示す。このことは、異なる細胞系、マウスモデル、ヒトオルガノイド及びエクスビボモデルにわたるAM580の観察された広域スペクトルの抗ウイルス効力も説明する(図7〜図12、図15〜図22、図24及び図27〜図31)。本発明者らは、AM580による転写性不活性化の後、FAS以外のリポゲネシス酵素のサイレンシングは、弱められたウイルス複製に寄与する可能性もあると考える(図69参照)。上記で示されるように、パルミトイル化阻害剤(2−BP)は、インフルエンザA型(H1N1)ウイルス及びMERS−CoVに対する抗ウイルス活性を示したが、このことは、ウイルスタンパク質パルミトイル化が広域スペクトルの抗ウイルス剤のための別の医薬的に対処可能な宿主分子標的であることを示唆した(図44参照)。ラフト標的化シグナルとして機能する場合、パルミトイル化は、ウイルス構築及びウイルス出芽において必須な一般的で且つ保存された生物学的プロセスである。ヒト病原体について報告された顕著な例としては、インフルエンザA型ウイルスのHA、インフルエンザB型ウイルスのNB、麻疹ウイルスの融合(F)タンパク質、フィロウイルス及びレトロウイルス(HIVを含む)の糖タンパク質などの表面糖タンパク質が挙げられる[34]。タンパク質パルミトイル化は、細胞タンパク質の機能も調節する。したがって、抗ウイルス治療としてのパルミトイル化阻害剤の開発の前に副作用に対する予期された有効性を検討することが重要である。DHHCタンパク質ファミリーの発見は、この方法に沿った解明を助ける[40]。DHHCタンパク質は、異なる基質特異性を有するパルミトイル化を触媒するが、このことは、これらのタンパク質が、それらの阻害によってウイルス複製の抑制が生じたので有望な薬物標的である可能性があったことを示唆しており、一方で細胞タンパク質のアシル化は損なわれることはない[41]。
驚くべきことに、AM580の抗ウイルス活性は、RAR−α経路に依存しない(図32〜図34参照)。AM580の構造活性分析は、アジド−AM580及びAM580dpの適切な修飾をガイドしたが、それは、その細胞分布の視覚化(図65参照)とAM580の直接結合標的としてのSREBPのプルダウン(図68参照)とを可能にした。SREBP1又はSREBP2のノックダウンは、AM580と同様のレベルの抗ウイルス効力を示さなかったが(図55参照)、それは、SREBP1及びSREBP2は、一方のタンパク質が弱められた場合に互いを補償する可能性のためかもしれなかった[42]。マウスモデルにおけるAM580の催奇形作用が報告されているが[43]、特に動物実験におけるAM580による三日間の短期間の処置を考慮する場合、予期された治療上の利益は、そのような副作用のリスクを上回る。同等の効力及び向上した生物学的利用能を有するAM580アナログを探索した際、急性前骨髄球性白血病の処置のためのタミバロテン、すなわち経口で有効なレチノイドが同定された[44]。タミバロテンは、既知の、且つ、総合的な安全性プロファイルを有し、日本における市販品であることを理解すべきである。タミバロテンの臨床的忍容性の成功によって、本発明者らは、特に高められた脂質要求の突発がウイルス感染によって誘発される間だけAM580が活性であるので、AM580及び/又は関連化合物を安全で且つ幅広い抗ウイルス治療薬として修飾することができると考える。
細胞及びウイルス:
ヒト胚腎臓(HEK293T)細胞、ヒト肺癌(A549)細胞、ヒト肝臓癌(Huh7)細胞、ヒト横紋筋肉腫(RD)細胞、ヒト上皮2型(HEp−2)細胞、ヒト肺腺癌(Calu−3)細胞、ヒト白血病(THP−1)単球、マジンダービーイヌ腎臓(MDCK)細胞、アフリカミドリザル腎臓(Vero)細胞及びVero−E6細胞をATCCから得て、供給業者/製造業者によって示唆されるように培養培地中で維持した。香港大学の施設内倫理委員会によって承認されたプロトコルに従ってHong Kong Red Cross Blood Transfusion Serviceから回収された成人健常者血液試料からヒト末梢血単球由来マクロファージ(MDM)を単離した。本発明者らが以前に記載したように[45]充分に確立されたプロトコルに従って単球の調製及び分化を行った。全ての細胞系を5%のCO中において37℃で培養した。前記試験で用いられた全ての細胞系は、Plasmo Test(InvivoGen)によって決定されるようにマイコプラズマの混入がないことが確認された。ウイルス感染の際、化合物を有する又は有さないFBS不含培地中で前記感染細胞を維持した。インフルエンザA型ウイルス株A/香港/415742/2009(H1N1)pdm09をMDCK細胞内で培養した。MERS−CoV(HCoV−EMC/2012)及びSARS−CoV(GZ50)をVero−E6細胞内で増殖させた。ZIKV(Puerto Rico株PRVABC59)の臨床分離株をVero細胞内で増幅した。エンテロウイルスA71(SZ/HK08−5)をRD細胞内で培養した。ヒトアデノウイルス5型(AdV5)の臨床分離株をA549細胞内で増殖させた。インビボ抗ウイルス試験のために、二種のマウス適合ウイルス株、すなわちA/Anhui/1/2013(H7N9)及びMERS−CoV(HCoV−EMC/2012)を用いた。本発明者らがわずかな修飾と共に以前に記載したように[46]プラーク形成単位アッセイ(プラークアッセイ)及び/又は50%組織培養感染用量(TCID50)アッセイによって、全ての培養ウイルスを滴定した。全てのウイルスストックを、アリコートで、−80℃で保持した。本発明者らが以前に記載したように[47]生物学的安全性レベル2又は3の施設を用いて生ウイルスによる全ての実験を行った。
化学試薬及び抗体:
特に明記しない限り、Cayman Chemical(米国ミシガン州)からAM580を購入し、Sigma−Aldrich(米国ミズーリ州)から他の化学阻害剤を得た。本発明者らが以前に記載したように[48]、モルモット抗MERS−CoV NP血清によってMERS−CoV NPを検出した。ヒトRAR−α(Abcam)、SREBP1(Santa Cruz)、SREBP2(Santa Cruz)、n−SREBP1(Novus Biological)、n−SREBP−2(Novus Biological)、Flag−タグ(Sigma)に対する一次抗体を購入し、関連した実験で用いた。免疫蛍光染色のための二次抗体としてAlexa Fluor488ヤギ抗pg IgG(H+L)抗体(Invitrogen)を利用した。核及び細胞膜の染色のために、それぞれ4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、Sigma)及びPhalloidin−Atto 647N(Sigma)を用いた。Life TechnologiesからSilencer SelectヒトSREBP1 siRNA、Silencer SelectヒトSREBP2 siRNA及びSilencer Select siRNA陰性対照を得た。脂質滴(LD)を染色するために蛍光中性脂質染料4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(BODIPY493/503、Invitrogen)を使用し、細胞内コレステロールの視覚化のためにFilipin III(Cayman chemical)を用いた。アジド標識分子、すなわちAzido−AM580の特異的標識化及び検出のために、ホスフィン活性蛍光染料DyLight(商標)488−Phosphine(Invitrogen)を利用した。
プラスミド:
FASプロモータルシフェラーゼは、Bruce Spiegelman博士からの寄贈であり(Addgeneプラスミド#8890)、HMG−CoA合成酵素プロモータを含むpSynSRE−T−Luc(Addgeneプラスミド#60444)、pcDNA3.1−2×FLAG−SREBP−2(Addgeneプラスミド#26807)、pcDNA3.1−2×FLAG−SREBP−1c(Addgeneプラスミド#26802)は、Timothy Osborne博士からの寄贈であった。ルシフェラーゼ構築物IFNβ−Luc及びISRE−Lucは、Dong−yan JIN博士(香港大学)によって提供された。
一次スクリーニング:
スクリーニングのために189の生体活性脂質を含む化合物ライブラリ(Cayman Chemical、米国ミシガン州)を購入した。ライブラリ回収は、プロスタグランジン、受容体作動薬及び拮抗剤並びにセラミド誘導体を含んだが、それは、Gタンパク質共役型受容体スクリーニング及び通常の薬理学的スクリーニングのために理想的である。本発明者らがわずかな修飾と共に以前に記載したように[49]、MTT系CPE阻害アッセイを行った。抗MERS−CoV阻害剤を同定するために、三つの組における96ウェル培養平板におけるコンフルエントHuh7細胞(4×l0細胞/ウェル)を、感染多重度(MOI)が0.1でMERS−CoVに感染させた。ウイルス吸収の1時間後、接種物を除去し、その後薬物含有培地(10μM)を加えた。24時間後、前記ウェルに10μLの5mg/mL MTT溶液(Sigma)を加えた。単層を、4時間、上記のようにインキュベートした。最後に、0.01MのHClを有する100μLの10%SDSを加え、さらに5%COにより37℃で一晩インキュベートした。640nmにおける参照波長で570nmにおいて活性を読み取った。抗インフルエンザウイルス阻害剤をスクリーニングするため、0.01MOIにおいてインフルエンザウイルスA型(H1N1)pdm09ウイルスにMDCK細胞を感染させたが、細胞生存率のスコアリングのための時点は感染の48時間後(hpi)であった。他の手順は上記と同じであった。次に、プラーク低減アッセイ(PRA)を用いた用量反応分析[50]を行い、一次ヒットのインビトロ抗ウイルス有効性を評価したが、ここで個別の化合物を連続的に希釈し(10μM、5μM、2.5μM、1.25μM及び0.625μM)、MERS−CoV又はインフルエンザA型(H1N1)ウイルス阻害について試験した。
選択指数:
各化合物の選択指数(SI)を、50%阻害濃度(IC50)に対する50%の細胞の細胞毒性濃度(CC50)の比として算出した。CC50値を、製造業者のプロトコルに従ってMTTアッセイ(Invitrogen)及びCellTiter−Gloアッセイ(Promega)によって決定したが、一方でプラーク低減アッセイ又は示される通りのウイルス負荷低減アッセイ[51]によってIC50データを得た。GraphPad Prism6を用いて、CC50及びIC50の両方を算出した。
フローサイトメトリー:
細胞内染色のために、細胞を、PBS中における10mMのEDTAによって剥離し、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、PBS中における0.1%Triton X−100で透過処理した。本発明者らが以前に記載したように[52]標準的手法に従ってフローサイトメトリーのためのイムノ染色を行った。BD FACSCanto IIフローサイトメータ(BD Biosciences)を用いて前記フローサイトメトリーを行い、Flow Jo vX(Tree Star)を用いてデータを分析した。
動物実験:
ヒトジペプチジルペプチダーゼ4トランスジェニック(DPP4)C57BL/6マウス及びBALB/c雌性マウスを生物学的安全性レベル3のハウジング内に保持し、随時に標準ペレット飼料及び水にアクセスさせた。全ての実験プロトコルは、香港大学におけるAnimal Ethics Committeeによって承認され、生物学的安全性レベル3の動物施設の標準操作手順を遵守して行われた。MERS−CoV及びインフルエンザウイルスA型(H7N9)を、本発明者らが以前に記載したように、それぞれDDP4マウスモデル[23]及びBALB/cマウスモデル[47]において試験した。AM580の抗MERS−CoV活性を検討するために、合計36匹のマウス(18匹/群)を評価した。麻酔後、マウスに対して、50PFUのMERS−CoVを含む20μLのウイルス懸濁剤を鼻腔内に(i.n.)接種した。ウイルス攻撃の6時間後、治療的処置を腹腔内(i.p.)接種によって開始した。一方の群のマウスに200μLのAM580をi.p.で3日間接種した(12.5mg/kg/日)。第二の群のマウスに未処置対照としてPBS中における200μLの0.1%DMSOをi.p.で投与した。動物の生存及び病気のシグナルを14日間又は死亡までモニタした。各群における四匹のマウスを、それぞれ攻撃後の2日及び4日にランダムに安楽死させた。本発明者らが以前に記載したように[47]、ウイルス滴定及びH&E組織病理学的分析のためにマウスの肺及び脳を回収した。AM580の抗インフルエンザ効力をインビボで評価するために、BALB/cマウス(18匹/群)に対して、20μLのウイルス懸濁剤、すなわち100PFUのインフルエンザA型(H7N9)ウイルスを鼻腔内に(i.n.)接種した。ウイルス攻撃の6時間後、治療的処置をi.n.鼻腔内投与によって開始した。一方の群のマウスに20μLのi.n.によるAM580(1mg/kg/日)を接種した。第二の群のマウスを陽性対照として20μLのi.n.によるザナミビル(2mg/kg/日)で処置した。第三の群に、未処置対照として、i.n.でPBS中における0.1%DMSOを与えた。AM580、ザナミビル又はPBSの一日当たり二回のi.n.による投与を三日間行った(合計六回投与/匹)。動物の生存及び病気のシグナルを14日間又は死亡までモニタした。ウイルス滴定及びH&E組織病理学的分析のために、それぞれ攻撃後の3日及び6日に肺組織(四匹/群)を回収した。
ヒト腸管オルガノイド培養及びウイルス感染実験:
香港大学/Hospital Authority Hong Kong West Clusterの施設内倫理委員会によって承認されたプロトコルの下で、外科的切除を受けた患者から正常小腸を得た。次いで、腸管オルガノイドを、本発明者らが他で記載したように[23]、MERS−CoV感染のために培養し、分化させた。10PFUのMERS−CoVの接種物を用いて、一滴のインテスチノイド(50〜100のインテスチノイドを含む)に0.1の推定MOIを感染させた。前記接種物を除去した後、ウイルス接種された前記インテスチノイドをPBSで濯ぎ、次いで、マトリゲル内に再包埋し、AM580(20μM)を含有するか又は含有しない培養培地を有する48ウェル平板内で培養した。示された時点で、細胞内ウイルス負荷の定量のために前記インテスチノイドを採取したが、一方で細胞外上清のウイルス滴定のために無細胞マトリゲル及び培養培地を併用した。
エクスビボ肺組織培養及びウイルス感染実験:
エクスビボ肺組織培養及びウイルス感染実験は、香港大学/Hospital Authority Hong Kong West Clusterの施設内倫理委員会によって承認された。肺外科的切除を受けている患者から新鮮な正常肺組織を得た。本発明者らが以前に記載したように[45]、ウイルス感染及びその後の免疫蛍光染色のための実験条件を行った。簡潔に言えば、肺組織を2mmの立方体に切断し、続いて、37℃で1時間、2×10PFU/mLのMERS−CoV接種物によって感染させるか、又は擬感染させた。接種後、組織立方体を、固定及び凍結切片化の前に、10%ヒト血清及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM/F12培地中で維持した。
トランスクリプトーム分析:
Calu−3細胞を擬感染させるか、又はMOIが2のMERS−CoVに感染させ、AM580(20μM)を含有する(又は含有しない)DMEM培地中でインキュベートした。24hpiにおいて、個別の群のトータルRNA(n=3)を回収した。RNA−Seq技術[53]を用いて、MERS−CoV感染及びAM580処置の後の改変された遺伝子発現を分析した。Beijing Genomics Institute(BGI)によって配列決定ライブラリを構築し、配列決定したが、それによって、低い質の濾過後に平均して23,977,722の清浄な読み取りを生成した。HISAT[54]/Bowtie2[55]を用いて、清浄な読み取りを参照にマップした。AM580処置を行った又は行っていないMERS感染試料における差次的に発現した遺伝子を、経路強化分析及びクラスタ分析を行うためにDAVIDサーバに提出した。
リピドーム分析:
Calu−3細胞を擬感染させたか、又はMOIが2のMERS−CoVに感染させ、AM580(20μM)を含有する(又は含有しない)DMEM培地中でインキュベートした。8hpi及び24hpiにおいて、それぞれ細胞を回収し、細胞脂質抽出に供した。プラークアッセイによってウイルス感染性の不活性化を確認した。公開された論文[56]に従って、少しの修飾と共に試料調製を行った。簡潔に言えば、150mM重炭酸アンモニウムの氷冷急冷緩衝液を加えて細胞を解離し、次いで前記細胞を抗クロロホルムチューブにトランスファーした。2ミリリットルのクロロホルム/メタノール(v/v2:1)を前記チューブに加えた後、4℃で10分間、4500rpmでボルテックス及び遠心分離を行った。底相をガラスバイアルに回収し、−80℃における貯蔵のために真空濃縮器によって乾燥した。LC−MS分析の際、前記乾燥試料を300μLのクロロホルム/メタノール(v/v2:1)中において再構成し、Synapt G2−HDMS質量分光計システム(Waters Corp.、米国マサチューセッツ州)に結合されたAcquity UPLCシステムを用いて分析した。Waters ACQUITY BEH C18カラム(1.7μm、2.1×100mm、I.D.、1.7mm、Waters、Milford、米国マサチューセッツ州)でクロマトグラフィを行った。移動相は、(A)水中における0.1%酢酸及び(B)アセトニトリルから成った。以下の通りの勾配プログラムの下で0.4mL/分の流速で分離を行った:0.5%B(0〜1.5分間)、0.5〜8%B(1.5〜2分間)、8〜35%B(2〜7分間)、35〜70%B(7〜13分間)、70〜99.5%B(13〜29分間)、99.5%B(29〜36分間)。陽性モード及び陰性モードで質量スペクトルデータを取得した。全ての実験のためのロック塊としてロイシンエンケファリンを用いた。重大な代謝産物の推定上の同定及び構造的解明を可能にするため、フラグメンテーションのために衝突エネルギーを20〜40eVの範囲で用いた。
電子顕微観察:
MERS−CoV感染によって誘導された二重膜ビヒクル(DMV)を観察するために電子顕微観察を利用した。Vero細胞を6ウェル平板で増殖させた。MOIが3のMERS−CoVによる1時間の感染(又は擬感染)の後、細胞培養培地を20μΜのAM580又は対照としての0.1%DMSOを含む新鮮な培地に置き換えた。12時間後、前記細胞培養培地を除去した。前記細胞をPBSで洗浄し、トリプシン処理し、さらなる処理及び対比染色のために4%ホルムアルデヒドで固定した[57]。香港大学のElectron Microscope Unit内で画像を取得した。
分子ドッキング:
Protein Data BankデータベースからSREBP1(PDBコード:1AM9)及びSREBP2(PDBコード:1UKL)の結晶構造を検索した。PymolによってSREBP1ダイマー及びSREBP2ダイマーを抽出した。I−TASSERサーバを用いて、SREBP2において失われた残基をモデル化した[58]。MaestroにおけるProtein Preparation Wizardモジュールでタンパク質モデルを調製した[59]。AM580の3D配座異性体をPubChemデータベースからダウンロードした[60]。Leadfinder v1.81を用いて、超精密方法によりドッキングシミュレーションを行った[61]。
化学合成:
AM580の細胞内視覚化のためにアジド−AM580を用いたが、一方でAM580結合標的のプルダウン試験のためにAM580dpを設計し、合成した。
アジド−AM580を合成するために、20mgのAM580を、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した3.14mLのアジド−PEG5−アミン(Conju−Probe,LLC)(10mg/mL)と混合した。次に、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロホスフェイト(HATU)、50μLのN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及び2.46mLのジクロロメタン(DCM)を最終体積5.7mLとなるように加えた。振盪により室温で反応を行った。一晩のインキュベーションの後、反応混合物を凍結乾燥して溶媒を除去した。HPLCによってアジド−AM580を精製し、質量スペクトロメトリー(MS)によってm/z640を検出した。核磁気共鳴(NMR)によって最終収率を定量した。
AM580dpを合成するために、精製されたアジド−AM580に、化合物Aと称されるビオチン−UV活性化−NHSエステル化合物であったアミン反応性三官能性架橋剤(2−{N2−[Nα−ベンゾイルベンゾイカミド−N6−6−ビオチンアミドカプロイル]リシニルアミド}エチル−2’−(N−スルホスクシンイミジルカルボキシ)エチルジスルフィドナトリウム塩(Santa Cruz)を連結した。この三官能性架橋剤は、別の架橋剤ホスフィン化合物(化合物B)(メチル4−[2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エチルカルバモイル]−2−ジフェニルホスファニル−ベンゾエート(Shinsei Chemical Company Ltd.)のアミン尾部への連結のためのNHSエステル頭部基、他端上におけるストレプトアビジン樹脂結合のためのビオチン頭部基、及びAM580の標的結合タンパク質との架橋のためのUV活性化ベンゾフェノン基を含む。具体的に、DMFによって1mLの最終体積になるように1mgの化合物Aに(DMSO−d6に溶解された)30μLの74.8mMの化合物Bを混合した。化合物Bに対する化合物Aのモル比は、1:2であった。1400rpmにおける振盪によって40℃で反応を行った。前記混合物に過剰なアジド−AM580を加えて、Staudingerライゲーション反応によるホスフィン基との架橋を可能にした。次いで、前記反応生成物をストレプトアビジンアガロース樹脂(Pierce)でインキュベートして、AM580dp生成物を得た。
すでに記載されているものの他の多くのさらなる修飾が本明細書における本発明の概念を逸脱することなく可能であることは、当業者にとって明らかであろう。ゆえに、本発明の主題は、添付の請求項の精神を除いて制限されるものではない。その上、本明細書及び請求項の両方を解釈する場合、全ての用語は、文脈に一致する最も幅広い可能な様式で解釈されるべきである。特に、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、参照された要素、成分又はステップが、明示的に参照されない他の要素、成分又はステップと存在してもよいか、利用されてもよいか、又は組み合わされてもよいことを示す非排他的様式で要素、成分又はステップを参照することと解釈されるべきである。本明細書が、A、B、C....及びNから成る群から選択される何れかの内の少なくとも一つに対する参照を請求する場合、本文は、A+NやB+Nなどではなく、前記群からの一つの要素だけを必要とするものと解釈されるべきである。
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Claims (75)

  1. ウイルス複製を阻害するために有効な量の式1の一般構造を有する抗ウイルス化合物を投与することを含む、ウイルス感染症を処置する方法であって、
    R1が縮合環部分を含み、R2が環部分を含み、LGが、R1及びR2を結合する連結基を含み、CGが荷電基を含み、前記化合物が、RNAウイルス及びDNAウイルスの両方に対する抗ウイルス活性を有することを特徴とする、方法。
    Figure 2021500400
  2. 前記RNAウイルスが、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、フラビウイルス科及びオルソミクソウイルス科から成る群から選択されるウイルス科から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RNAウイルスが、MERS−CoV、SARS−CoV、ZIKAV、インフルエンザ及びエンテロウイルスから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記DNAウイルスがアデノウイルスである、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記DNAウイルスがヒトアデノウイルスである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記抗ウイルス化合物がレチノイド誘導体である、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記R1がテトラリン基を含み、前記R2が安息香酸を含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記架橋基(BG)がアミド又はエチレン基を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記レチノイド誘導体が、医薬的に許容し得る担体と共に投与される、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記レチノイド誘導体が、医薬的に活性な化合物と併用して投与される、請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
  11. 前記医薬的に活性な化合物が、抗ウイルス化合物、抗炎症化合物、鎮痛性化合物、制吐剤及び抗生剤から成る群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. ウイルス感染に関連した炎症プロセスを低減させる方法であって、前記方法は、ウイルス感染に関連した前記炎症プロセスを阻害するために有効な量の式1の一般構造を有する化合物を投与することを含み、R1が縮合環部分を含み、R2が環部分を含み、LGが、R1及びR2を結合する連結基を含み、CGが荷電基を含み、前記化合物が、RNAウイルス及びDNAウイルスの両方に対する抗ウイルス活性を有することを特徴とする、方法。
    Figure 2021500400
  13. 前記炎症プロセスが間質性炎症又は肺胞障害を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記炎症プロセスが、炎症誘発性サイトカインのウイルス誘導活性化の抑制を含む、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記炎症誘発性サイトカインが、TNF−α、IL−1β及びIL−8から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記RNAウイルスが、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、フラビウイルス科及びオルソミクソウイルス科から成る群から選択されるウイルス科から選択される、請求項12〜15の何れか一項に記載の方法。
  17. 前記RNAウイルスが、MERS−CoV、SARS−CoV、ZIKAV、インフルエンザ及びエンテロウイルスから成る群から選択される、請求項12〜16の何れか一項に記載の方法。
  18. 前記DNAウイルスがアデノウイルスである、請求項12〜17の何れか一項に記載の方法。
  19. 前記DNAウイルスがヒトアデノウイルスである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記化合物がレチノイド誘導体である、請求項12〜19に記載の方法。
  21. 前記R1がテトラリン基を含み、前記R2が安息香酸を含む、請求項12〜20の何れか一項に記載の方法。
  22. 前記架橋基(BG)がアミド又はエチレン基を含む、請求項12〜21の何れか一項に記載の方法。
  23. 前記化合物が医薬的に許容し得る担体と共に投与される、請求項12〜22の何れか一項に記載の方法。
  24. 前記化合物が、医薬的に活性な化合物と併用して投与される、請求項12〜23の何れか一項に記載の方法。
  25. 前記医薬的に活性な化合物が、抗ウイルス化合物、抗炎症化合物、鎮痛性化合物、制吐剤及び抗生剤から成る群から選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記化合物が、AM580、タミバロテン及びベキサロテンから成る群から選択される、請求項12〜25の何れか一項に記載の方法。
  27. 細胞内の脂質生成を調節する方法であって、前記方法は、前記細胞内の脂質生成プロセスを調節するために有効な量の式1の一般構造を有する抗ウイルス化合物を投与することを含み、
    R1が縮合環部分を含み、R2が環部分を含み、LGが、R1及びR2を結合する連結基を含み、CGが荷電基を含み、前記化合物が、RNAウイルス及びDNAウイルスの両方に対する抗ウイルス活性を有することを特徴とする、 方法。
    Figure 2021500400
  28. 前記脂質生成プロセスの調節が、RAR−αシグナル伝達及び宿主自然免疫応答の活性化から独立している、請求項27に記載の方法。
  29. 前記脂質生成プロセスの調節が、前記細胞のウイルス感染から生じる脂質代謝の調節不全を修正する、請求項27又は28に記載の方法。
  30. 前記脂質生成プロセスの調節が、リゾホスホリピド生成のダウンレギュレーションを阻害することと、リン脂質生成のアップレギュレーションを阻害することと、から成る群から選択される活性を含む、請求項27に記載の方法。
  31. 前記脂質生成プロセスの調節が、遺伝子の発現の調節を含む、請求項27に記載の方法。
  32. 前記遺伝子が、脂肪酸代謝又はコレステロール合成に関連する、請求項31に記載の方法。
  33. 前記脂質生成プロセスの調節が、SREBP依存性脂質生合成の低減を含む、請求項27に記載の方法。
  34. 前記脂質生成プロセスの調節が、(1)第一標的核酸配列へのn−SREPB1の結合の阻害、及び(2)第二核酸配列へのnSREBP2の結合の阻害、の内の少なくとも一つの阻害を含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記脂質生成プロセスの調節が、nSREBP1又はnSREBP2のSRE認識ドメインのTyr335における、又は、の近くにおける前記化合物の結合を含む、請求項34に記載の方法。
  36. 前記脂質生成プロセスの調節が、遺伝子のSREBP依存性転写活性化の阻害を含む、請求項34又は35に記載の方法。
  37. 前記遺伝子が、HMGCSプロモータ又はFASプロモータを含む、請求項36に記載の方法。
  38. 前記RNAウイルスが、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、フラビウイルス科及びオルソミクソウイルス科から成る群から選択されるウイルス科から選択される、請求項27〜37の何れか一項に記載の方法。
  39. 前記RNAウイルスが、MERS−CoV、SARS−CoV、ZIKAV、インフルエンザ及びエンテロウイルスから成る群から選択される、請求項27〜38の何れか一項に記載の方法。
  40. 前記DNAウイルスであって、前記DNAウイルスがアデノウイルスである、請求項27〜41の何れか一項に記載の方法。
  41. 前記DNAウイルスがヒトアデノウイルスである、請求項40に記載の方法。
  42. 前記化合物がレチノイド誘導体である、請求項27〜41に記載の方法。
  43. 前記R1がテトラリン基を含み、R2が安息香酸を含む、請求項27〜42の何れか一項に記載の方法。
  44. 前記架橋基(BG)がアミド又はエチレン基を含む、請求項27〜43の何れか一項に記載の方法。
  45. 前記化合物が医薬的に許容し得る担体と共に投与される、請求項27〜44の何れか一項に記載の方法。
  46. 前記化合物が、医薬的に活性な化合物と併用して投与される、請求項27〜445の何れか一項に記載の方法。
  47. 前記医薬的に活性な化合物が、抗ウイルス化合物、抗炎症化合物、鎮痛性化合物、制吐剤及び抗生剤から成る群から選択される、請求項46に記載の方法。
  48. 前記化合物が、AM580、タミバロテン及びベキサロテンから成る群から選択される、請求項27〜47の何れか一項に記載の方法。
  49. 宿主細胞内におけるウイルス複製を阻害する方法であって、前記方法は、前記宿主細胞内における前記ウイルス複製プロセスを阻害するために有効な量の式1の一般構造を有する化合物を投与することを含み、
    R1が縮合環部分を含み、R2が環部分を含み、LGが、R1及びR2を結合する連結基を含み、CGが荷電基を含み、前記化合物が、RNAウイルス及びDNAウイルスの両方に対する抗ウイルス活性を有することを特徴とする、
    方法。
    Figure 2021500400
  50. 前記ウイルス複製プロセスの阻害が、ウイルス感染によって誘導される二重膜小胞を減少させることを含む、請求項49に記載の方法。
  51. 前記ウイルス複製プロセスの阻害がパルミトイル化を低下させることを含む、請求項49又は50に記載の方法。
  52. 前記RNAウイルスが、コロナウイルス科、ピコルナウイルス科、フラビウイルス科及びオルソミクソウイルス科から成る群から選択されるウイルス科から選択される、請求項49〜51の何れか一項に記載の方法。
  53. 前記RNAウイルスが、MERS−CoV、SARS−CoV、ZIKAV、インフルエンザ及びエンテロウイルスから成る群から選択される、請求項49〜52の何れか一項に記載の方法。
  54. 前記DNAウイルスがアデノウイルスである、請求項49〜53の何れか一項に記載の方法。
  55. 前記DNAウイルスがヒトアデノウイルスである、請求項54に記載の方法。
  56. 前記化合物がレチノイド誘導体である、請求項49〜55に記載の方法。
  57. 前記R1がテトラリン基を含み、前記R2が安息香酸を含む、請求項49〜56の何れか一項に記載の方法。
  58. 前記架橋基(BG)がアミド又はエチレン基を含む、請求項49〜57の何れか一項に記載の方法。
  59. 前記化合物が医薬的に許容し得る担体と共に投与される、請求項49〜58の何れか一項に記載の方法。
  60. 前記化合物が、医薬的に活性な化合物と併用して投与される、請求項49〜59の何れか一項に記載の方法。
  61. 前記医薬的に活性な化合物が、抗ウイルス化合物、抗炎症化合物、鎮痛性化合物、制吐剤及び抗生剤から成る群から選択される、請求項60に記載の方法。
  62. 前記化合物が、AM580、タミバロテン及びベキサロテンから成る群から選択される、請求項49〜61の何れか一項に記載の方法。
  63. 式1の一般構造を有するウイルス感染症を処置するための化合物であって、
    R1が縮合環部分を含み、R2が環部分を含み、LGが、R1及びR2を結合する連結基を含み、CGが荷電基を含み、前記化合物が、脂質生成を減少させること又は脂質代謝を調節することを含む第一活性と、抗ウイルス活性を含む第二活性とを有することを特徴とする、
    化合物。
    Figure 2021500400
  64. 前記R1が芳香環部分(R1b)及び非芳香環部分(R1a)を含む、請求項63に記載の化合物。
  65. 前記R1がテトラリン基を含み、前記R2が安息香酸を含む、請求項64に記載の化合物。
  66. 前記連結基(LG)が、長さが2個〜20個の炭素を含む、請求項63〜65の何れか一項に記載の化合物。
  67. 前記連結基(LG)が、さらなる環構造を含む、請求項63〜66の何れか一項に記載の化合物。
  68. 前記連結基(LG)が、カルボキシミド、アゾ−チオ結合、エステル、エーテル、チオエステル、チオエーテル及びヒドラジン結合から成る群から選択される一つ以上の非炭素−炭素結合を含む、請求項63〜66の何れか一項に記載の化合物。
  69. 前記連結基(LG)が、アミド及びエチレン基から成る群から選択される、請求項63〜66の何れか一項に記載の化合物。
  70. 前記R2が、窒素、酸素及び硫黄から成る群から選択される一つ以上の非炭素原子を含む、請求項63〜69の何れか一項に記載の化合物。
  71. 前記荷電基(CG)が、少なくとも部分的負電荷を含む、請求項63〜70の何れか一項に記載の化合物。
  72. 前記荷電基(CG)が、カルボキシレート、ホスフェート及びスルフェートから成る群から選択される部分を含む、請求項63〜71の何れか一項に記載の化合物。
  73. 前記縮合環部分(R1)及び前記環部分(R2)の内の少なくとも一つが、さらなる芳香環構造又は非芳香環構造を含む、請求項63〜72の何れか一項に記載の化合物。
  74. 前記縮合環部分(R1)及び前記環部分(R2)の内の少なくとも一つがハロゲン化物を含む、請求項63〜73の何れか一項に記載の化合物。
  75. 前記化合物が、AM580、タミバロテン及びベキサロテンから成る群から選択される、請求項63に記載の化合物。
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