JP2021196462A - 電話応対装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電話応対するオペレータと、応対相手の顧客との会話において、顧客の暴言等からオペレータを保護すると共に、オペレータの応対を顧客の特性にあわせて自動的に最適に行う電話応対装置を提供する。【解決手段】オペレータと顧客の発話内容を分析してオペレータの発話表現及び顧客の暴言等を音声変換器により変換する。音声変換器は、オペレータが発する表現の意味を変えずに又は意味を不明にさせることなく、顧客の敬語レベルや感情表現等に合わせて自動的に変換する。このため顧客の特性にあわせた応対が実行され、その結果、顧客は熟練のオペレータが電話応対しているかのごとき印象を抱くので円滑で自然なコミュニケーションを図ることができる。また、音声変換器は、顧客の暴言等をオペレータが精神的苦痛を受けない緩和表現又は所定語に変換してからオペレータに出力するため、カスタマーハラスメントによるオペレータの精神的苦痛を回避できる。【選択図】図1
Description
本発明は、コールセンターにおけるオペレータの電話応対時に、オペレータと応対相手の間の発話内容を変換して伝達する技術、及びオペレータの電話応対の品質を評価する技術に関する。
顧客からの電話による問い合わせはコールセンターで受け付けられることが一般的である。オペレータの中にはスキルや経験を十分に備えていない者もいるので、顧客と直接会話をするオペレータがどのような電話応対をしているのか、顧客に不愉快な印象を与えていないか等を定期的にモニタリングし、必要に応じてオペレータへ適格な改善指示を出すことが重要になっている。
そこで、モニタリング担当者が電話応対の履歴を評価し、オペレータの電話応対のスキルを向上させるようにしている。ただし、評価のスキルや経験が十分に備わっていないと、評価の際に手間取って時間がかかったり、各モニタリング担当者による評価結果がばらついてしまったりするという問題があった。そのため、モニタリング担当者を育成することが求められるのだが、評価のポイントとなる項目は多岐にわたるため、各項目を理解して分析や考察が可能となるまでの育成期間は相当の時間を要してしまうのが実情である。このような事情から、近年、モニタリング評価を自動で行って効率化を図り、評価結果をオペレータにフィードバックすることで各オペレータの応対スキルの向上を実現しようとするシステム又は装置が提案されている(例えば、下記の特許文献1、特許文献2等)。
一方で、顧客の中にはオペレータに対して侮辱する言葉や罵声をあびせることでオペレータが精神的苦痛を感じてしまうことが社会問題になっている。顧客からの苦情やクレームは企業として真摯に受け止めるべき大事な意見であっても、その声も度が過ぎてしまうと受け手側への害となり、このような迷惑行為や悪質クレームはいわゆるカスタマーハラスメントとして対策をする必要が生じている(例えば、下記の特許文献3)。
尊敬語、謙譲語、丁寧語などの敬語表現による応対と、友人と話しているようなフランクな表現による応対では、実質的には同じ内容を伝えていても受け手の感じ方に大きな違いが生じる。電話応対の相手は不特定の面識の無い第三者であり、応対時の発話に敬語を使った方が良い印象で受け取られるケースが多い。経験の浅いオペレータの場合、この敬語表現を用いずに応対したり、或いは敬語の使い方が適切でないことがあり、これが顧客に不愉快な印象を与えてしまう原因の一つとなっている。熟練のオペレータは、応対開始からの短時間の会話でどのような話し方で伝達すれば良い印象に繋がるかを瞬時に判断しているが、経験の浅いオペレータはこのような柔軟な応対スキルが不十分である。
また、従来のモニタリング自動評価システムによるモニタリング処理は、好ましくない単語やフレーズ(つまり、NGワード)をあらかじめ登録しておき、オペレータの発話中にその設定してあるNGワードが含まれているかを分析することに重点がおかれている。あるいは、顧客に回答すべき又は案内することが望ましい項目や手順をシステムに登録しておき、項目が欠落されているか否か、ルール通りの手順に従っているかを判定することに終始しているモニタリング処理である。
つまり、音声認識手段を用いて、オペレータの通話音声データの中にあらかじめ登録した評価対象となる単語やフレーズが含まれていないかを判断したり、案内の順序が正しいかを見極めたりすることで、加点又は減点をした数値を評価結果として出力しているに過ぎない。例えば、通話音声データが加点評価される単語を含んでいれば、そのオペレータの応対は高い評点を得ることになる。しかしながら、問い合せをした顧客が必ずしもそのような機械的な応対に満足をしているとは限らない。例えば、顧客の敬語レベルにあわせて使用する話し方を適宜変えていくというような熟練オペレータが実践することに関する評価は何ら考慮されていない。オペレータを介したサポート業務の本質は、顧客の立場に沿いながらその顧客に良い印象を抱いてもらうようなサービスを提供しているかであり、いわゆる正しい回答の追求が顧客にとって満足する品質の高い応対と必ずしもリンクしない。
また、上述する顧客立場の応対をめざしながら、カスタマーハラスメントから受ける精神的苦痛からオペレータを保護するには、オペレータが暴言を直接耳や目に入れないことが有効である。引用文献3に記載のシステムは、カスタマーハラスメントによる暴言があれば、ボイスチェンジャーによって自動的に加工された音に変換している。変換後の加工音とは例えば“ピー音”などの効果音、電子音又は無音にすることであるが、これらはそれまでの発話の文脈とは無関係に単にオペレータに聞こえないようにしているに過ぎない。したがって、オペレータのその後の発話とかみ合わなかったり、会話の流れが不自然になってしまったりして、顧客の不満を増幅していまいかねないという問題もあった。
これらに鑑みて、本発明は、電話応対するオペレータと、応対相手である顧客との間のやりとりにおいて、顧客の暴言等からオペレータを保護すると共に、オペレータの応対を顧客の特性にあわせて自動的に最適に行う電話応対装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明に係る電話応対装置は、電話応対時の発話の一部を変換するものであって、電話応対時の発話を分析する音声分析手段と、前記音声分析手段で分析されたオペレータの音声データの中に、あらかじめ変換対象として登録している語又はフレーズが含まれているかを判定する変換語抽出手段と、前記変換語抽出手段により抽出された語又はフレーズを、応対会話の文脈の意味が変化することなく又は理解できなくさせることなく、応対相手の発話から識別される敬語区分に整合する別の語又はフレーズに変換する変換処理手段と、前記変換後の別の語又はフレーズを、変換前の対応する語又はフレーズと置き換えて出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る電話応対装置の前記出力手段は、応対相手の発話を基に識別される自己主張レベル又は感情表現レベルに応じた所定の語又はフレーズを、前記オペレータの共感表現又は相槌表現として前記オペレータの発話に追加されるよう提供する。前記変換語抽出手段が、前記オペレータの応対相手の発話の中にカスタマーハラスメント語として登録しているフレーズが含まれていると判定した場合、前記変換処理手段は、前記オペレータの指示にあわせて前記カスタマーハラスメント語の変換レベルを決定し、当該変換レベルに基づき所定のフレーズに変換する。
さらに、前記変換処理手段により変換される別の語又はフレーズは、サポートセンターアナリスト国際認定試験の合格者又は同等の経験若しくは知識を有する者による電話応対時の発話内容に基づき、且つヘルプデスク協会(HDI: Help Desk Institute)が認定するサポートセンターアナリストの評価基準に従い作成されたモニタリング評価指標を満たしていることを特徴とする。
本願発明に係る電話応対装置は、オペレータと通話相手である顧客の発話を分析して、オペレータの発話表現及び顧客の暴言等を変換する音声変換器(ボイスチェンジャー)を備える。音声変換器は、オペレータが発した表現(即ち、語又はフレーズ)を会話の文脈においてその意味を変えずに又は意味を不明にさせることなく、各顧客が話す敬語や感情表現レベルなどに合わせて自動的に変換するため、各顧客は熟練のオペレータが応対しているかのごとき印象をもち、円滑で自然なコミュニケーションを図ることができる。このため、経験の浅いオペレータであっても顧客の特性にあわせた応対が実行され、顧客の満足度を上げることができる。また、オペレータ応対の品質の向上及び均一化を実現することが可能である。
さらに、音声変換器は、暴言を効果音、電子音又は無音へと画一的に変換するのみでなく、顧客の発言によりオペレータが精神的苦痛を受けない緩和表現に変換してからオペレータに出力したり、オペレータの許容レベルにあわせて変換内容を切り替えることもできる構成である。このため、カスタマーハラスメントを受けるオペレータごとの柔軟なハラスメント対策を行える。
以下に図面を参照しながら、本発明に係る電話応対装置を含むシステム全体(以下、電話応対システム100とする。)の一実施形態について説明する。
本実施形態の電話応対システム100は、コールセンター等におけるオペレータと通話相手間で交わされる通信内容を、会話中の表現(即ち、語又はフレーズ)の意味をそのまま保ちながら又は理解できなくさせることなく、表現を発する側の特性又は表現を受ける側の許容レベルにあわせて、実際に発した表現を別の表現に自動的に変換させて伝える処理をおこなう機能を有する。
本実施形態の電話応対システム100は、コールセンター等におけるオペレータと通話相手間で交わされる通信内容を、会話中の表現(即ち、語又はフレーズ)の意味をそのまま保ちながら又は理解できなくさせることなく、表現を発する側の特性又は表現を受ける側の許容レベルにあわせて、実際に発した表現を別の表現に自動的に変換させて伝える処理をおこなう機能を有する。
電話応対システム100は、少なくともオペレータ端末1と会話処理装置4とを備え、さらに音声を保存するための電話録音装置2及び音声データ評価装置3を適宜備えて、これらハードウェア機器を互いに通信可能に接続させている構成である。なお、会話処理装置4、音声を保存するための電話録音装置2、音声データ評価装置3は、それぞれの機能を備えたサーバ装置で実現する構成にしてもよい。
オペレータ端末1は、コールセンター内で電話応対するオペレータが使用する端末である。本実施形態のオペレータ端末1は、顧客側の電話機5と通信可能な固定電話機、携帯電話、スマートフォンなどの電話機能を有し、無線基地局7及び/又は交換機9等を介して顧客とリアルタイムで会話が可能であるものとする。なお、パーソナルコンピュータ等の通話端末がオペレータ端末1である場合を含むことは言うまでもない。
本実施形態の電話応対システム100の場合、オペレータ端末1と会話処理装置4が異なるハードウェア機器としたが、オペレータ端末1が会話処理装置4を物理的及び/又は論理的に含む構成でもよい。
本実施形態の電話応対システム100の場合、オペレータ端末1と会話処理装置4が異なるハードウェア機器としたが、オペレータ端末1が会話処理装置4を物理的及び/又は論理的に含む構成でもよい。
オペレータ端末1は、電話応対の開始から終了までの全て又は一部の音声データを、電話録音装置2に送信する機能を有する。このとき、送信する音声データがどのオペレータによる発話内容であるかを特定できるようにするため、オペレータの識別情報や応対日時情報もあわせて電話録音装置2に送信する。また、オペレータ端末1に複数の入出力端子を備えたセレクトスイッチ(図示せず)を接続し、オペレータ端末1から顧客側の電話機5又は端末6に出力された応対音声データと、オペレータ端末1が顧客側の電話機5又は端末6から入力した問い合せ音声データとが区別できる状態で電話録音装置2に送信される機能を含んでいてもよい。
会話処理装置4は、入力された音声を加工して違う音声に聞こえるようにする音声変換機能を含む。会話処理装置4は、例えばボイスチェンジャー(Voice changer)、又はその機能をソフトウェア処理で実現するコンピュータ端末である。以下では、会話処理装置4をボイスチェンジャー4として説明する。また、本実施形態のボイスチェンジャー4は、本願発明の特徴であるオペレータと通話相手の顧客間で交わされる実際に発した表現(語やフレーズ)を別の表現に変換する処理部41と、変換後の別の表現を出力する出力部42とを備えている。
電話録音装置2は顧客の応対中の発話を記録する機能を有する。電話録音装置2は、制御部21の他に、音声ファイル生成部22、記憶部23、転送部24を備える。制御部21は、オペレータ端末1から音声データが送信されたことを検出し、その後に実行すべき処理全体の制御を司る働きをする。制御部21は音声データを受信すると、その音声データに対応するオペレータの識別情報や応対日時情報とともに、音声ファイル生成部22に渡す。音声ファイル生成部22は、オペレータ端末1から送られてくる音声データをオペレータの識別情報に関連づけて音声ファイルとして順次生成していく。このとき、例えば、制御部21が最初の音声データ及び最後の音声データであることを示す任意のフラグを音声ファイル生成部22に渡すようにしていた場合は、音声ファイル生成部22は通話開始時刻及び通話終了時刻を計測して音声ファイルを生成するようにしてもよい。生成された音声ファイルは、オペレータの識別情報と共に通話開始時刻、通話終了時刻を含む電話対応情報となる。記録部23は生成された音声ファイルを記憶媒体25に記憶する。転送部24は、音声データ評価装置3からの指示があったとき若しくは定期的に、記憶媒体25内の音声ファイルを読み出して音声データ評価装置3へ転送する。
なお、顧客側の発話もあわせて記録してもよい。
なお、顧客側の発話もあわせて記録してもよい。
音声データ評価装置3は音声ファイルの音声データを評価する機能を有する。音声データ評価装置3は、制御部31の他に、テキスト生成部32、比較部33、評価点算出部34、レポート作成部35を備える。
制御部31は、電話録音装置2の転送部24から送信されて取得した音声ファイルの音声データをテキスト化するための処理をテキスト生成部32に指示する。
テキスト生成部32は、音声ファイル内の音声データに対して音声認識処理を実行する。音声認識処理は、声の周波数成分や時間変化の分析に基づく音響モデル、音響モデルの音素を単語レベルに連結するための発話辞書、単語レベルの文字列や単語列が言語として適切であるかを評価する言語モデルなどを含む様々な言語解析技術から構成される。音声認識処理は声(音)の情報と、言語の情報とを密接に組み合わせながらテキストへと変換するものであるが、音声の認識率を高めて正確なテキストを作成すること自体が本発明の特徴ではないので、ここではテキスト生成部32が行う処理の詳細な説明は省略する。本実施形態においては、テキスト生成部32が任意の音声認識アルゴリズムを用いて音声データを正しくテキスト化していることを前提にする。
比較部33は、テキスト化されたオペレータの発話内容と、所定の評価基準とを比較する機能を有する。比較部33による処理は後述する。
テキスト生成部32は、音声ファイル内の音声データに対して音声認識処理を実行する。音声認識処理は、声の周波数成分や時間変化の分析に基づく音響モデル、音響モデルの音素を単語レベルに連結するための発話辞書、単語レベルの文字列や単語列が言語として適切であるかを評価する言語モデルなどを含む様々な言語解析技術から構成される。音声認識処理は声(音)の情報と、言語の情報とを密接に組み合わせながらテキストへと変換するものであるが、音声の認識率を高めて正確なテキストを作成すること自体が本発明の特徴ではないので、ここではテキスト生成部32が行う処理の詳細な説明は省略する。本実施形態においては、テキスト生成部32が任意の音声認識アルゴリズムを用いて音声データを正しくテキスト化していることを前提にする。
比較部33は、テキスト化されたオペレータの発話内容と、所定の評価基準とを比較する機能を有する。比較部33による処理は後述する。
以下、電話応対システム100において行われる処理について説明する。
上述したとおり、電話応対システム100は、コールセンター等におけるオペレータと通話相手間で交わされる通信内容を会話表現の意味を保ちながら又は理解できなくさせることなく、実際に発した表現を別の表現に自動的に変換させて伝える処理をおこなう。この変換処理は、会話処理装置4であるボイスチェンジャーの処理部41によって行われる。
上述したとおり、電話応対システム100は、コールセンター等におけるオペレータと通話相手間で交わされる通信内容を会話表現の意味を保ちながら又は理解できなくさせることなく、実際に発した表現を別の表現に自動的に変換させて伝える処理をおこなう。この変換処理は、会話処理装置4であるボイスチェンジャーの処理部41によって行われる。
ボイスチェンジャー4は、例えば、TVニュースなどで身元が割れてはいけない場合のインタビューや、一般人のプライバシー保護のためにも用いられたりしている。一般的には、男声を女声(または、女声を男声)のように聞こえるよう変換したり、性別を識別できない声に変換するが、話した表現・言い回し自体が変わるわけではない。あくまで声の周波数を意図的に変えて出力させることで別人かのごとき声色に変えている。これに対し、電話応対システム100で用いるボイスチェンジャー4は、声の周波数を変えたことによる声色の変化を目的としておらず、むしろ話した表現・言い回しを変えてしまうことに従来のボイスチェンジャーと大きな違いがある。ただし、言い回し、即ちフレーズを変換させるのであって、実質的な意味内容が維持される変換である。
具体例を挙げると、電話応対をしている顧客に対して、オペレータが「すいません」、「すみません」という言い回しをしたとする。「すいません」は「すみません」の口語として定着したものであるが、目上の人に用いるには失礼な表現とされている。さらに言えば、ビジネス上では「すみません」を使うべきではないという考え方もある。本実施形態のボイスチェンジャー4は、オペレータがこれらの言い回しをしたとき、例えば、「申し訳ありません」などに変換して出力し、顧客にはオペレータが「申し訳ありません」と発言していると受け取られるようにする。また、ボイスチェンジャー4は、オペレータの音声の音量及び周波数分析を基に、「申し訳ありません」をオペレータの声色に類似するよう補正して出力する。これにより、「申し訳ありません」の前後のオペレータの発言と調和して自然な流れとして聞き取られ、「申し訳ありません」のフレーズをソフトウェア処理によって作成していることが聞き手に気づかれることがない。
また、上述した変換例の「申し訳ありません」の場合、より丁寧な言い回しに変換した方が適切な場合もある。つまり、「申し訳ありません」に代わり、「申し訳ございません」に変換する。ボイスチェンジャーは、電話応対の顧客を受け付けた後の一定の時間(例えば、冒頭の数十秒〜数分)の発話を分析した結果、その顧客が話して使っている敬語区分を決定する。具体的には、フレンドリー、フランク、丁寧、尊敬などでレベル区分する。丁寧語や尊敬語を所定の時間内に高頻度で使用していたり、丁寧語で言い回しするのが稀な特定フレーズを話す顧客に対しては丁寧又は尊敬レベルとする。ボイスチェンジャーによる変換語を耳にする顧客は、自分と同等の敬語でオペレータと会話することになり、失礼なオペレータが応対しているため不愉快な気分にさせられたという感情を抱く機会が減少する。
「申し訳ありません」の例以外にも、例えば、オペレータの「わかりました」は、フランクレベルであれば「承知しました」等へ、丁寧レベルであれば「かしこまりました」等へ変換する。このような変換例を表にして示したのが図2である。なお、図2では、オペレータが発するべきでない言い回しを「NG&ネガティブワード」として挙げられており、それぞれに対してボイスチェンジャー4が変換する言い回し例を、フランクレベル及び丁寧レベルのそれぞれの区分ごとに示している。他の敬語レベルを設定してもよい。
なお、上述したボイスチェンジャー4による変換後の表現・言い回しは、出力部42によって音声として出力する例を示しているが、音声出力に代わりオペレータ端末1が備える表示画面にテキスト(スクリプト)として表示させてもよい。出力部42は「NG&ネガティブワード」を検出すると顧客側にオペレータの発言として出力させず、処理部41はオペレータの表現を瞬時に分析して変換後の表現・言い回しをオペレータにテキストで提示する。オペレータは提示されたテキストを参照して、変換後の表現・言い回しを発すると、出力部42はそれを顧客に出力する方法もある。
ボイスチェンジャー4による表現・言い回しの他の変換例としては、顧客の発話スピードを合わせることが挙げられる。電話応対の顧客を受け付けた後の一定の時間(例えば、冒頭の数十秒〜数分)の発話を分析した結果、その顧客の発話スピードが、ゆっくり/ふつう/少し早口/とても早口などのうち、いずれに区分されるかを決定する。ボイスチェンジャー4は、オペレータの発話スピードを、各顧客の発話スピードにあわせて早くしたり遅くしたりして、顧客と同等の発話スピードに調整して出力するようにしてもよい。
また、顧客とオペレータ間の発話スピードの乖離がどの程度であるかを示す数値やアイコン等を、出力部42がオペレータ端末1の表示画面に表示させるようにしてもよい。乖離が所定の限界値を超えた場合は、表示画面に警告を出力させるようにしてもよい。オペレータは表示画面に表示された情報をみて自分の発話スピードを調整する必要があることを知ることができる。
また、顧客とオペレータ間の発話スピードの乖離がどの程度であるかを示す数値やアイコン等を、出力部42がオペレータ端末1の表示画面に表示させるようにしてもよい。乖離が所定の限界値を超えた場合は、表示画面に警告を出力させるようにしてもよい。オペレータは表示画面に表示された情報をみて自分の発話スピードを調整する必要があることを知ることができる。
また、ボイスチェンジャー4は、顧客が地方固有の方言を発していることを検出した場合、方言DBを検索し、標準語に代わり方言に変換して音声又はテキストで出力することも可能である。顧客は、同郷出身者のオペレータであると感じて親しみを感じ、良好なコミュニケーションを構築できることが期待できる。
また、ボイスチェンジャー4は、顧客の発話の分析結果から、その顧客のアサーティブ度(自己主張性レベル)を推定する。アサーティブ度とは、相手に配慮しながら自分の気持ちを正当に主張する程度を示す指標である。その顧客のアサーティブ度の高低に応じて、提案重視型/バランス型/傾聴重視型などのうち、いずれに区分されるかを決定する。例えば、顧客からの発言量や自分から話しのきっかけを作り出すフレーズ(聞いてください、あの等)を発言する頻度でアサーティブ度を決定することができる。ボイスチェンジャー4は、アサーティブ度が傾聴重視型であると判定した顧客に対しては、オペレータの発言の後に、例えば「いかがでしょうか」や「これでよろしいでしょうか」などを付け加えて音声で出力し、顧客側からの発言を促すようにする。アサーティブ度が提案重視型の顧客に対しては、顧客の発言の後に、例えば「少しお待ちください」などを付け加えて音声で出力し、顧客の性急な会話状況を緩和させる方向に運ぶようにする。なお、付け加えるフレーズをオペレータ端末1の表示画面にテキストで表示させた場合は、オペレータはその提案に従い顧客に伝える。
また、ボイスチェンジャー4は、顧客の発話の分析結果から、その顧客の感情表現タイプを推定する。笑い声を含んでいたり、声の強さが平均値よりも大きかったり、声の強弱が所定の範囲を超えた抑揚のある話し方の顧客は、感情豊かにコミュニケーションをとるタイプに区分し、逆に声の強さが小さかったり、抑揚の幅が極端に小さい顧客は淡々としたコミュニケーションをとるタイプに区分する。前者のタイプの顧客には、共感ワード(例えば、「なるほど」、「おっしゃるとおりです」など)を変換フレーズの前後に適宜挿入して音声で出力し、後者のタイプの顧客には、相槌ワード(例えば、「そうでしたか」など)を挿入して音声で出力し、ぎこちなさやよそよそしいコミュニケーションとなってしまうことを回避する。なお、挿入するフレーズをオペレータ端末1の表示画面にテキストで表示させた場合は、オペレータはその提案に従い顧客に伝える。
このように、本実施形態のボイスチェンジャー4は、電話の応対相手である顧客の発話特性を自動分析して、画一的でない各顧客にあわせた会話が形成されるように支援する。人は自分と同じようなコミュニケーション形式をとる相手に対して好意や親近感、安心感を抱く特性があると心理学での研究成果がある。オペレータが意識しなくても顧客にあわせた電話応対を自動で可能にする本実施形態のボイスチェンジャー4は理想的なコミュニケーションを実現し、顧客満足度の向上を可能にする。
次に、電話の応対相手である顧客側の発話をボイスチェンジャー4によって変換する処理について説明する。
顧客が発した表現を変換するのは、その顧客がカスタマーハラスメントに相当する暴言や罵声などを発言しているとボイスチェンジャーが判定したときである。判定のためには、あらかじめ暴言や罵声とされるフレーズを登録しておく。図3は、カスタマーハラスメントとなり得るフレーズ、及び変換後のフレーズの一例を示した表である。
顧客が発した表現を変換するのは、その顧客がカスタマーハラスメントに相当する暴言や罵声などを発言しているとボイスチェンジャーが判定したときである。判定のためには、あらかじめ暴言や罵声とされるフレーズを登録しておく。図3は、カスタマーハラスメントとなり得るフレーズ、及び変換後のフレーズの一例を示した表である。
図3に示すように、暴言の場合は「暴言ワードです」、脅迫や恫喝の場合は「脅迫ワードです」というように同一のフレーズに変換するのが最も単純な方法であるが、必ずしも画一的な変換に限定しなくてもよい。例えば、「暴言ワードです」に代わり、「無理です」や「対応不可能です」などの日常会話で暴言とまでは認識されていないフレーズに変換するようにしてもよい。オペレータの中には、カスタマーハラスメントへの耐性があり、受忍限度の程度が高いため暴言を受けても精神的苦痛とまで感じないオペレータもいるからである。拒否に近い画一的なフレーズへの変換にするか、受忍限度の範囲内のフレーズへの変換にするかは、各オペレータが自ら選択してボイスチェンジャー4に知らせるようにしてよい。ボイスチェンジャー4は、その選択を変換レベルとして設定することができるようにする。これにより、カスタマーハラスメントに相当する暴言や罵声は、各オペレータで設定した変換レベルに応じたフレーズに変換される。
なお、ボイスチェンジャー4の出力部42は、変換後のフレーズをオペレータに示すにあたり、音声又はテキストのいずれであってもよい。
なお、ボイスチェンジャー4の出力部42は、変換後のフレーズをオペレータに示すにあたり、音声又はテキストのいずれであってもよい。
さらに、ボイスチェンジャー4は、聞き取りやすい音声にして出力させるため、所定の周波数帯に変換するようにしてもよい。例えば、顧客が高齢であれば、若いオペレータの高周波数帯の声は聞き取りにくいので、少し低い周波数帯の声に変換し、さらに、周波数帯が偏っているオペレータの声であれば、平均的な周波数帯の声に変換して出力する。また、顧客の年齢・性別などの属性にあわせて、聞き取りやすい音量へ変換してもよい。
ボイスチェンジャーは、その処理実行を常にアクティブに起動する場合の他に、オペレータ又は顧客の音声データから得られる声の周波数を分析し、一定の閾値を超えて感情が高まっていると判定できた場合に、上述した言い回し変換を実行するように切り換え制御する構成でもよい。
さらに、オペレータ又は顧客の言い回し変換と共に、互いの音声データをテキスト化してディスプレイに表示するという音声の字幕化をあわせて行うようにしてもよい。字幕化を行う場合は、暴言等のフレーズが見えないよう伏せ字になって示されることを含む。
さらに、オペレータ又は顧客の言い回し変換と共に、互いの音声データをテキスト化してディスプレイに表示するという音声の字幕化をあわせて行うようにしてもよい。字幕化を行う場合は、暴言等のフレーズが見えないよう伏せ字になって示されることを含む。
以下は、ボイスチェンジャー4により変換される別の語又はフレーズが、どのように作成・登録されているかについて説明する。
まず、HDI国際認定スタンダードのサポートセンターアナリスト(以下、「HDI国際認定スタンダード」とする。)について説明する。図4は、HDI国際認定スタンダードの一部を抜粋して示している。
HDI国際認定スタンダードの概略は、6つの区分(リーダーシップ、方針と戦略、従業員管理、サポート資源、プロセスと手順、実行結果)で構成される。各区分は、注目すべきポイントに関する複数の「主題」40を、個々の「主題」には一つ以上の「能力」41と、「能力」ごとに求められる「知識範囲」42を含む。なお、このスタンダードを基に、サポートセンターのオペレータにインタビューするとした場合、「能力」41の部分が質問事項となり、「知識範囲」42が期待される回答に相当する。つまり、各「能力」ごとの「知識範囲」が、サポートセンターのオペレータに求められる知識ともいえる。
まず、HDI国際認定スタンダードのサポートセンターアナリスト(以下、「HDI国際認定スタンダード」とする。)について説明する。図4は、HDI国際認定スタンダードの一部を抜粋して示している。
HDI国際認定スタンダードの概略は、6つの区分(リーダーシップ、方針と戦略、従業員管理、サポート資源、プロセスと手順、実行結果)で構成される。各区分は、注目すべきポイントに関する複数の「主題」40を、個々の「主題」には一つ以上の「能力」41と、「能力」ごとに求められる「知識範囲」42を含む。なお、このスタンダードを基に、サポートセンターのオペレータにインタビューするとした場合、「能力」41の部分が質問事項となり、「知識範囲」42が期待される回答に相当する。つまり、各「能力」ごとの「知識範囲」が、サポートセンターのオペレータに求められる知識ともいえる。
図4に示すとおり、「主題」40が“顧客サービス”、「能力」41が“前向きなサービス姿勢”に関係する場合、オペレータに求められる「知識範囲」42は、5.25.1において次のように記載されている(符号44を参照のこと)。
・インシデント(出来事)又はサービスリクエストのオーナシップ(当事者意識)を持ち、解決策につなげる
・積極的にサポートに取り組む真摯な態度を示す
・変化の時期においても、前向きな姿勢を維持する
・礼儀正しく丁寧な態度ですべての顧客に接する
・積極的に話を聞く
・インシデント(出来事)を「お客様の」ではなく「弊社の」として言及する
・ビジネスガイドラインの範囲内で、顧客サポートを遂行する
・インシデント(出来事)又はサービスリクエストのオーナシップ(当事者意識)を持ち、解決策につなげる
・積極的にサポートに取り組む真摯な態度を示す
・変化の時期においても、前向きな姿勢を維持する
・礼儀正しく丁寧な態度ですべての顧客に接する
・積極的に話を聞く
・インシデント(出来事)を「お客様の」ではなく「弊社の」として言及する
・ビジネスガイドラインの範囲内で、顧客サポートを遂行する
また、「主題」40が“積極的なリスニング”、「能力」41が“言い換えを定義する”に関係する場合、オペレータに求められる「知識範囲」42は、5.17.3において次のように記載されている(符号43を参照のこと)。
・こちらが理解した内容であっているかどうか、顧客に答えてもらう
・しっかりと話を聞き、内容を理解していることを顧客に伝える
・こちらが理解した内容であっているかどうか、顧客に答えてもらう
・しっかりと話を聞き、内容を理解していることを顧客に伝える
もちろん、HDI国際認定スタンダードには、「主題」40が“顧客マネジメントスキル”として、
・既に報告されている情報を繰り返し言ってもらうよう頼む
・コール対応中に別の会話を続ける
・他の人物や部署などに関する否定的意見を述べる
・長い時間保留状態にする
・何度も転送する
・不適切な質問をする、不適切な用語を使用する
・周囲の雑音が聞こえる
というような、顧客との応対の最中に回避すべき習慣・状況、及びオペレータの癖などについても定義されている。これらは、オペレータが業務遂行上で遵守しなければならない手順やルール、いわゆるNGワードなどの発言すべきでないことを定めた内容である。これらは、既存の多くのモニタリング自動評価システムによる評価手法で重点的に使用される内容である、予め定めた手順及びNGワード等と一致するものがオペレータの発話に含まれていないかを判別している。
・既に報告されている情報を繰り返し言ってもらうよう頼む
・コール対応中に別の会話を続ける
・他の人物や部署などに関する否定的意見を述べる
・長い時間保留状態にする
・何度も転送する
・不適切な質問をする、不適切な用語を使用する
・周囲の雑音が聞こえる
というような、顧客との応対の最中に回避すべき習慣・状況、及びオペレータの癖などについても定義されている。これらは、オペレータが業務遂行上で遵守しなければならない手順やルール、いわゆるNGワードなどの発言すべきでないことを定めた内容である。これらは、既存の多くのモニタリング自動評価システムによる評価手法で重点的に使用される内容である、予め定めた手順及びNGワード等と一致するものがオペレータの発話に含まれていないかを判別している。
これに対し、本実施形態のボイスチェンジャー4により変換されて得られる別の語又はフレーズは、むしろ“顧客サービス”や“積極的なリスニング”という「主題」に関連する評価指標から選択される。
次に、ボイスチェンジャー4により変換される別の語又はフレーズの作成の考え方について説明する。図2に示す一覧の変換フレーズは、適当に決定しているものではなく、上述した図4に示すHDI国際認定スタンダードに従って一貫性をもって構築している。変換フレーズは、音声データ評価装置3に登録するモニタリング評価指標とも関係しているため、まず、モニタリング評価指標について説明する。
ボイスチェンジャー4はリアルタイムで電話応対時の表現・フレーズを変換してくれるが、一方で、オペレータは、ボイスチェンジャー4に全面的に頼るのではなく、自身の会話スキルを向上しておく必要がある。そのために、音声データ評価装置3はオペレータの発言を分析・評価する。音声データ評価装置3による評価のために用いるのが図5に示すモニタリング評価指標である。ただし、図5は、顧客視点の応対に重きを置いた評価指標である「サービスマインド」のみを示している。「サービスマインド」以外の評価指標も複数あるが、既存のモニタリング評価システムが設定するものと同様であるので省略する。
「サービスマインド」指標は、具体的な評価項目として、「ユーザの力になろうという姿勢があるか」、「誠実で謙虚な言葉が述べられていたか」、「ユーザの心理的なニーズに配慮しているか」、「ユーザへの寄り添いや共感があるか」といった、電話をしてきた顧客に喜んでもらえているか、怒りの感情を分かちあうことで否定的・攻撃的な心情に対する働きかけがされているかを確認する項目を数多く含んでいる。
そして、図5右部の欄46は、「サービスマインド」指標におけるこれらの評価項目について、オペレータが実際に顧客にどのような発言で応対すべきかの一例を評価キーワードとして記載している。ボイスチェンジャー4によって使用される別の語又はフレーズは、これらの評価キーワードに対応する、
さらに、これら評価指標の評価キーワードをどのように生成するかについて説明する。
既存のモニタリング自動評価システムの場合、予め設定登録しておく評価指標は、各業務プロセスのルール・手順書及び一般的に忌避すべき単語や表現に基づき作成することになる。したがって、モニタリング評価指標のベースとなる情報が存在し、入手が容易である。これに対し、本発明の場合は顧客視点の応対に重きを置いた評価指標が特徴であるため、業務プロセスの手順・ルールや忌避すべき単語等のみからは構築できない。また、自分の気持ちを理解してほしいという顧客の要求は各顧客によってその程度が異なるので応対に適した絶対的な基準が定まっているわけではない。このため、いわゆるNGワード等の設定に較べると、どのような応対をすることが顧客に満足して頂けるかを判別するためのモニタリング評価指標を設定することがそもそも難しい。設定した内容で十分であるか・偏った内容であるかを客観的に判断することも困難である。
既存のモニタリング自動評価システムの場合、予め設定登録しておく評価指標は、各業務プロセスのルール・手順書及び一般的に忌避すべき単語や表現に基づき作成することになる。したがって、モニタリング評価指標のベースとなる情報が存在し、入手が容易である。これに対し、本発明の場合は顧客視点の応対に重きを置いた評価指標が特徴であるため、業務プロセスの手順・ルールや忌避すべき単語等のみからは構築できない。また、自分の気持ちを理解してほしいという顧客の要求は各顧客によってその程度が異なるので応対に適した絶対的な基準が定まっているわけではない。このため、いわゆるNGワード等の設定に較べると、どのような応対をすることが顧客に満足して頂けるかを判別するためのモニタリング評価指標を設定することがそもそも難しい。設定した内容で十分であるか・偏った内容であるかを客観的に判断することも困難である。
そこで、本願発明では、サポートセンターアナリスト国際認定試験の合格者又は同等の経験若しくは知識を有する者(以下、「国際認定された専門委員等」とする。)が実際にどのように各々の電話応対を評価し、国際認定された専門委員等がコールセンターのオペレータとして顧客からの電話に応対したならば、どのような受け答えをするかを参考にした。国際認定された専門委員等は、各電話応対を評価する場合にNGワードを逐一見つけ出して減点していくやり方をしない。応対全体から得られる心地良さ/悪さ、マニュアル的でない暖かみが感じられるか否かという漠然とした印象に基づき評価していることが知見として得られた。
一方で、国際認定された専門委員等によるアナログ的な処理を評価システムが代わりに実現するには、国際認定された専門委員等による定性的な漠然とした印象に基づく評価の根拠を、評価システムのメタ知識として登録しておく必要がある。そこで、その漠然とした印象が発話における何に基づいているのかを更に検討したところ、顧客に対する回答として同じ意味内容の応対をしていても、応対経験の少ないオペレータと国際認定された専門委員等との間では異なる応対表現が多く、これが顧客の印象度に大きな差異を生じさせていることが分った。
一例を挙げると、一般的なオペレータが“わかりました”、“承りました”と言うところ、国際認定された専門委員等の場合、“是非お任せ下さい”や“私が代わりにお引き受け致します”や“私が責任を持って対処いたします”等の言葉を使用しながら応対している。国際認定された専門委員等からのヒアリングによって、そのような専門委員等の応対表現を700〜800個程度抽出した。その一部が、図5の右部の欄46に示されている。
例えば、ユーザのインシデント(出来事)に対して、オーナシップ(当事者意識)を持っているかをみるための「ユーザの力になろうという姿勢があるか」の場合、任せて下さい/私が代わりに/私でよければ/…等を評価キーワード46として登録しておく。
また、気遣いや顧客の心情を理解しているかをみるための「ユーザへの寄り添いや共感があるか」の場合、誠に/心より/お大事に…等を評価キーワードとして登録しておく。
また、気遣いや顧客の心情を理解しているかをみるための「ユーザへの寄り添いや共感があるか」の場合、誠に/心より/お大事に…等を評価キーワードとして登録しておく。
このような応対がされると、顧客の力になろうとする姿勢が顧客側に伝わり、カスタマサポートセンターに連絡してよかったという好印象を顧客が持つことにつながる。繰り返しになるが、これらは、既存のモニタリング自動評価システムによるNGワード探しや、手順又はルールの遵守違反チェックとは異なるモニタリング評価指標の作成アプローチである。
上記に挙げた例からも分るとおり、国際認定された専門委員等による応対時の表現は、特定の商品・サービスや特殊な業務処理などに限定的に適用されることはなく、あらゆる分野に対するサポート支援のために配置されたオペレータの電話応対に活用できる汎用性がある。
また、HDI国際認定スタンダードの知識が備わった専門委員等による応対時の表現は、結局のところHDI国際認定スタンダードに準じて作成されているので、評価システム側が独自に設けた基準で恣意的に評価項目(評価キーワード46)を定めていないという、評価項目の客観性も担保できる。
この客観性について補足すると、本発明のモニタリング評価指標は、HDI国際認定スタンダードとの整合がとれるように体系化して構成している。図6は、モニタリング評価指標と、HDI国際認定スタンダードとの関連性を示す表である。
図6の表中のモニタリング評価指標における「4. サービスマインド」に含まれる、「誠実で謙虚な言葉が述べられていたか」、「ユーザの力になろうという姿勢があるか」、「ユーザへの寄り添いや共感があるか」は、HDI国際認定スタンダードの主題40に定義された「5.25 顧客サービス」に対応する。また、同じく「4. サービスマインド」に含まれる「ユーザの心理的なニーズに配慮しているか」は、HDI国際認定スタンダードにおける主題が「5.19 コールの識別」に対応する。
図6の表中のモニタリング評価指標における「4. サービスマインド」に含まれる、「誠実で謙虚な言葉が述べられていたか」、「ユーザの力になろうという姿勢があるか」、「ユーザへの寄り添いや共感があるか」は、HDI国際認定スタンダードの主題40に定義された「5.25 顧客サービス」に対応する。また、同じく「4. サービスマインド」に含まれる「ユーザの心理的なニーズに配慮しているか」は、HDI国際認定スタンダードにおける主題が「5.19 コールの識別」に対応する。
国際認定された専門委員等による応対時の表現から構成されるモニタリング評価指標の個々の応対表現(評価キーワード46)が、最終的にHDI国際認定スタンダードのいずれかに適合することを明確に確認できる。すなわち、本実施形態の電話応対システム100内の音声データ評価装置3に登録されるモニタリング評価指標は、評価システム側の都合で独自な基準により設定されたわけではないということを客観的に示すことが可能である。したがって、評価キーワードに対応する、ボイスチェンジャー4によって使用される別の語又はフレーズもHDI国際認定スタンダードに準拠していることとなり、顧客に受け入れてもらえる可能性が高い適格な変換フレーズということになる。
また、本実施形態においては、国際認定された専門委員等からのヒアリングに基づき抽出した約700〜800個程度の応対表現は、既存のモニタリング自動評価システムで行われるような、他の応対表現と一緒にしてグルーピングを行っていない。その理由は、国際認定された専門委員等が用いる応対表現が埋もれてしまうからである。同様の意味をもつ評価キーワードをグルーピングして同一グループに属するものを同等に扱うことは、検証処理において一見すると効率的に映る。しかしながら、顧客の心理的にニーズに適合する“応対の品質”を適確に判断するためには、グルーピングされた評価キーワードの中から国際認定された専門委員等が用いる応対表現を切り出し、それに対して高い評価を付与することが必要不可欠である。
一例を挙げると、モニタリング評価指標における「4. サービスマインド」に含まれる、「誠実で謙虚な言葉が述べられていたか」に設定する評価キーワードとして“ご不便お掛けしますが”“お手数ですが”“申し訳ございませんが”“恐れ入りますが”…等をグルーピングすることが可能であるが、本発明では国際認定された専門委員等が用いる応対表現である“申し訳ございませんが”や“恐れ入りますが”を他の応対表現よりも高く評価している。
このような考え方に基づき、図3に示すとおり、モニタリング評価指標に含まれる評価キーワード46には配点45が付与される。そして、音声データ評価装置3の評価点算出部34は、上述した各評価キーワード46の配点45を考慮しながら、各オペレータの応対の総合評価点を算出する。本実施形態の場合、モニタリング評価指標の一つである「サービスマインド」に割当てられる配点分の比重は、他のモニタリング評価指標(例えば、オープニング、クロージング、質問・問題解決など)に較べて相対的に高くしている。さらに、「サービスマインド」のうち、顧客に対する寄り添いや共感に関連する各評価キーワードについては、国際認定された専門委員等による定性的な評価の際にも影響度が大きいことが知見として得ているので、これらの配点も大きな値に設定している。
したがって、ボイスチェンジャー4によって使用される別の語又はフレーズは、音声データ評価装置3において高い配点が設定された評価キーワードから抽出されていることになる。
したがって、ボイスチェンジャー4によって使用される別の語又はフレーズは、音声データ評価装置3において高い配点が設定された評価キーワードから抽出されていることになる。
ところで、評価キーワードが配点を有すること自体は、既存のモニタリング自動評価システムにおける重み値と同様な考え方であるが、本発明の配点は国際認定された専門委員等という人間が評価したときの結果と同程度になるように設定していることが特徴である。既存のモニタリング自動評価システムは、例えば重大な欠陥語とみなした特定の評価キーワードを、システム管理/運営側が決定して相対的に大きな減点としての重み値を設定する。殆どの場合において、システム管理/運営側は、所定の手順書等に存在しない用語を使用したとか、一般的に使用禁止すべき表現であるからという理由でその重み値を設定する。このため、設定した重み値の判断基準が必ずしも明確でなく、現場のオペレータの考え方と齟齬が生じてトラブルになり易いのである。
これに対し、本実施形態の電話応対システム100の音声データ評価装置3が出力する評価結果は、国際認定された専門委員等による評価結果とほぼ同じである。逆に言えば、評価点算出部34が使用する各評価キーワードの配点を設定する重み値設定手段(不図示)は、同等の出力評価となるよう何度も試行錯誤しながら評価キーワード46を修正し、配点45の改善を図っている。なお、重み値設定手段は、配点の修正処理の少なくとも一部を人手作業で行うようにしてもよいが、好ましくは所定のアルゴリズムに従って実行する。
図7は、同一オペレータの評価を、国際認定された専門委員等と、本実施形態の電話応対システム100とが算出した結果の比較を示したものである。いわゆる人による評価とシステムによる自動評価の完全な一致ではないが、両者で極端な差異がないことを確認できた。図7に示す被験者9人(A〜I)のオペレータ評価の場合、平均乖離値は0.159である。この乖離値を4点満点における割合でみると、わずか3.9%でしかない。電話応対システム100による自動評価は、人による評価と有意差はないという評価が得られた。
音声データ評価装置3のレポート作成部35は、評価点算出部34が出力する評価結果を可視化し、オペレータにわかりやすく見せるためのレポートを作成する。図8は、その評価レポートの一例である。評価レポートを受け取ったオペレータは、各評価指標についての点数及び総合評点を知るが、図6の関連性で示したように、本モニタリング評価指標によって評価された結果は、HDI国際認定スタンダードとの整合がとれるように体系化して構成されている。HDI国際認定スタンダードのサポートセンターアナリストは、カスタマサポートセンターのオペレータにとって認知された指針であるため、各オペレータは自分の評価を客観的にみることができる。
上述したHDI国際認定スタンダードとの整合がとれるように体系化された評価キーワードに対応する変換フレーズを用いてボイスチェンジャー4は電話応対時の表現を変換するため、オペレータ応対の品質の向上及び均一化を実現することも可能である。また、顧客は自分が話す敬語や感情表現レベルに近い状況が作られていることを無意識に感じていくので、オペレータに対して親近感を抱き、自然なコミュニケーションを図ることができる。
また、ボイスチェンジャー4は、顧客からの暴言や罵声などを検出すると、効果音、電子音又は無音に変換したり、オペレータが精神的苦痛を受けない緩和表現に変換でき、さらにオペレータが任意のタイミングで変換内容を切り換えできる自由を有する。したがって、本実施形態の電話応対システム100は、カスタマーハラスメントを受けるオペレータごとの柔軟なハラスメント対策を行える。
1 オペレータ端末
2 電話録音装置
3 音声データ評価装置
4 音声変換器(ボイスチェンジャー)
5 電話機
6 端末
7 無線基地局
9 交換機
21、31 制御部
22 音声ファイル生成部
23 記憶部
24 転送部
32 テキスト生成部
33 比較部
34 評価点算出部
35 レポート作成部
100 電話応対品質評価システム
2 電話録音装置
3 音声データ評価装置
4 音声変換器(ボイスチェンジャー)
5 電話機
6 端末
7 無線基地局
9 交換機
21、31 制御部
22 音声ファイル生成部
23 記憶部
24 転送部
32 テキスト生成部
33 比較部
34 評価点算出部
35 レポート作成部
100 電話応対品質評価システム
Claims (4)
- 電話応対時の発話の一部を変換する電話応対装置であって、
電話応対時の発話を分析する音声分析手段と、
前記音声分析手段で分析されたオペレータの音声データの中に、あらかじめ変換対象として登録している語又はフレーズが含まれているかを判定する変換語抽出手段と、
前記変換語抽出手段により抽出された語又はフレーズを、応対会話の文脈の意味が変化することなく又は理解できなくさせることなく、応対相手の発話から識別される敬語区分に整合する別の語又はフレーズに変換する変換処理手段と、
前記変換後の別の語又はフレーズを、変換前の対応する語又はフレーズと置き換えて出力する出力手段と、
を備えた、電話応対装置。 - 前記出力手段は、応対相手の発話を基に識別される自己主張レベル又は感情表現レベルに応じた所定の語又はフレーズを、前記オペレータの共感表現又は相槌表現として前記オペレータの発話に追加されるよう提供する、請求項1に記載の電話応対装置。
- 前記変換語抽出手段が、前記オペレータの応対相手の発話の中にカスタマーハラスメント語として登録しているフレーズが含まれていると判定した場合、前記変換処理手段は、前記オペレータの指示にあわせて前記カスタマーハラスメント語の変換レベルを決定し、当該変換レベルに基づき所定のフレーズに変換する、請求項1又は2に記載の電話応対装置。
- 前記変換処理手段により変換される別の語又はフレーズは、サポートセンターアナリスト国際認定試験の合格者又は同等の経験若しくは知識を有する者による電話応対時の発話内容に基づき、且つヘルプデスク協会(HDI: Help Desk Institute)が認定するサポートセンターアナリストの評価基準に従い作成されたモニタリング評価指標を満たしている、請求項1〜3の何れか1項に記載の電話応対装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020102053A JP2021196462A (ja) | 2020-06-12 | 2020-06-12 | 電話応対装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=79195532
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JP2020102053A Pending JP2021196462A (ja) | 2020-06-12 | 2020-06-12 | 電話応対装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021196462A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024024065A1 (ja) * | 2022-07-28 | 2024-02-01 | 日本電信電話株式会社 | 感性変換方法、感性変換装置および感性変換プログラム |
-
2020
- 2020-06-12 JP JP2020102053A patent/JP2021196462A/ja active Pending
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WO2024024065A1 (ja) * | 2022-07-28 | 2024-02-01 | 日本電信電話株式会社 | 感性変換方法、感性変換装置および感性変換プログラム |
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