JP2021190311A - 非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池製造時のハンドリング性を損なうカール変形が抑えられた非水系二次電池用セパレータを提供する。【解決手段】多孔質基材の片面に、全芳香族ポリアミド、ポリイミド及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の耐熱性樹脂を含む耐熱性樹脂層を備え、機械方向MDの長さ1.2m、MDに直交する幅方向TDの長さ60mmとした場合に、多孔質基材の耐熱性樹脂層を備える側と反対側の面を内側にしてTDにカールする形状を有し、TDにおけるカール量W(mm)が0<W≦8(W=60mm−W1)を満たす非水系二次電池用セパレータである(W1:セパレータ片を、25℃、相対湿度30%の環境下、ローラ間隔1mで平行に配置された2つのローラ上に多孔質基材の塗工面を接触させ、張力9.8N/mを印加して配置し、セパレータ片を法線方向から平面視した際の、2つのローラ間の中点におけるセパレータ片のTDの投影幅)。【選択図】なし

Description

本開示は、非水系二次電池用セパレータ及び非水系二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラ、カムコーダ等の携帯型電子機器の電源として広く用いられている。また、リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、電力貯蔵用や電動車両用の電池としての適用が検討されている。
非水系二次電池用のセパレータとしては、一般に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした多孔膜が用いられることがある。そして、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を含む多孔質基材の片面に、有機バインダを含む耐熱性の多孔質層を設けた複合膜からなるセパレータなどが提案されている。
例えば、熱可塑性樹脂を含む多孔質基材と、前記多孔質基材の片面のみに設けられ、有機バインダおよび無機フィラーを含む耐熱性多孔質層と、を備えた複合膜からなり、前記複合膜の長手方向及び幅方向におけるカール量がともに0.5mm以下である、非水系二次電池用セパレータが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、片面のみに、膜厚が均一である機能層が積層された積層多孔質フィルムである、カール量Wが5mm以下である電池用セパレータフィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、二次電池の製造にあたって、セパレータと電極との積層の前に、耐熱絶縁層付セパレータに含まれる水分量が所定の範囲で残るように前記耐熱絶縁層付セパレータを乾燥させる乾燥工程を有するリチウムイオン二次電池の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
上記のほか、吸湿特性とカール発生とが密接に関係すること着目した技術も提案されている。例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる第1の多孔層と第2の多孔層とを積層し、(ア)露点20℃雰囲気での含水率と、(イ)露点−30℃雰囲気での含水率と、の差が、1000ppm以下である積層体に関する開示がある(例えば、特許文献4参照)。
特許第5844950号公報 特許第6466603号公報 特許第6390784号公報 国際公開第2016031466号
セパレータには、電極間に挟んで積層する際のハンドリング性が要求される。例えば円筒型、角型などの捲回型リチウムイオン二次電池では、セパレータと正極及び負極を重ね合わせ、金属製の軸芯を用い、軸心に設けられたスリットにセパレータの端部を挿入して巻き付けた後、セパレータを挟むようにして正極と負極とを重ね合わせて捲回することで捲回体を製造する場合がある。捲回の際、基材の片面に塗工した片面塗工セパレータでは、長尺方向と直交する幅方向において塗工面側に収縮力が生じてカール変形を伴うことがある。カール変形は、ハンドリング性を著しく損なう場合がある。そのため、セパレータは、製造後に電極と共に捲回する等の過程で製造適性を損なわない程度の形状を保持し得ることが求められる。
上記のように片面塗工セパレータを用いた捲回体の製造等を含む電池製造過程で発生しやすいカール変形は、塗工形成される層が湿度変化で拡縮しやすい樹脂を含む場合に現れやすく、製造過程が湿度変化を伴う場合に顕著に現れやすい。カール変形は、場合によっては、正極と負極とがセパレータを介さずに接する事態を招き、二次電池としての機能が得られなくなることがある。
既述の特許文献1、3、4に記載の発明は、いずれも塗工面側の収縮に伴って生じるカールの程度を小さくしようとする技術に留まる。また、特許文献2に記載の発明におけるカールの抑制は、基材側を加熱収縮させることに着目しているものの、その抑制度は実際の電池作製工程では不十分である。よって、これらの技術では必ずしも片面塗工セパレータのカール変形に起因した製造効率の低下を抑制し得ないのが実情である。
本開示は、上記状況に鑑みてなされたものである。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、電池製造過程におけるハンドリング性を損なうカール変形を抑えて、電池の製造効率を向上する非水系二次電池用セパレータを提供することにある。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、製造効率が向上された非水系二次電池を提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 多孔質基材と、前記多孔質基材の片面に設けられ、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の耐熱性樹脂を含む耐熱性樹脂層と、を備え、
機械方向の長さを1.2mとし、機械方向に直交する幅方向の長さを60mmとした場合に、前記多孔質基材の前記耐熱性樹脂層を備える側と反対側の面を内側にして前記幅方向にカールするカール形状を有し、前記幅方向におけるカール量W(mm)が、下記式1を満たす、非水系二次電池用セパレータである。
0<W≦8 :式1
W:60mm−W1
W1:機械方向の長さを1.2mとし、機械方向に直交する幅方向の長さを60mmとしたセパレータ片を、温度25℃、相対湿度30%の環境下、ローラ間隔1mで平行に配置された2つのローラ上に前記多孔質基材の前記耐熱性樹脂層を備える側の面を接触させ、かつ、張力9.8N/mを印加して配置し、前記セパレータ片を法線方向から平面視した際の、前記2つのローラ間の中点における前記セパレータ片の前記幅方向の投影幅
<2> 前記耐熱性樹脂層は、無機フィラーを含む前記<1>に記載の非水系二次電池用セパレータである。
<3> 前記耐熱性樹脂層の前記無機フィラーの含有割合が、耐熱性樹脂及び無機フィラーの合計の含有量に対して、40質量%〜90質量%である前記<2>に記載の非水系二次電池用セパレータである。
<4> 前記無機フィラーは、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、及び金属硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む前記<2>又は前記<3>に記載の非水系二次電池用セパレータである。
<5> 前記無機フィラーは、硫酸バリウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む前記<2>〜前記<4>のいずれか1つに記載の非水系二次電池用セパレータである。
<6> 前記無機フィラーの平均一次粒子径が、0.005μm〜1μmである前記<2>〜前記<5>のいずれか1つに記載の非水系二次電池用セパレータである。
<7> 前記耐熱性樹脂層の厚みに対する前記多孔質基材の厚みの比が、0.5〜13である前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の非水系二次電池用セパレータである。
<8> 突刺強度が、前記多孔質基材の突刺強度よりも大きい前記<1>〜前記<7>のいずれか1つに記載の非水系二次電池用セパレータである。
<9> 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された前記<1>〜前記<8>のいずれか1つに記載の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池である。
本開示の一実施形態によれば、電池製造過程におけるハンドリング性を損なうカール変形を抑えて、電池の製造効率を向上する非水系二次電池用セパレータが提供される。
本開示の他の実施形態によれば、製造効率が向上された非水系二次電池が提供される。
本開示のセパレータに引張張力を印加した状態でカール量を測定する方法を説明するための側面視での概略説明図である。 本開示のセパレータをTDに平行な方向に切断した切断面を示す概略切断面である。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の成分の合計量を意味する。
本明細書における「固形分」の語は、溶媒を除く成分を意味し、溶剤以外の低分子量成分などの液状の成分も本明細書における「固形分」に含まれる。
本明細書において「溶媒」とは、水、有機溶剤、及び水と有機溶剤との混合溶媒を包含する意味で用いられる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
なお、本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「機械方向(Machine Direction;以下、MDと略記することがある。)」とは、長尺状に製造される多孔質基材及びセパレータにおいて長尺方向(即ち、搬送方向)を意味する。また、「幅方向(Transverse Direction;以下、TDと略記することがある。)とは、MDに直交する方向を意味する。
<非水系二次電池用セパレータ>
本開示の非水系二次電池用セパレータ(以下、単に「本開示のセパレータ」又は「セパレータ」ともいう。)は、多孔質基材と、多孔質基材の片面に設けられ、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の耐熱性樹脂を含む耐熱性樹脂層と、を備えており、本開示のセパレータの、機械方向(MD)の長さを1.2mとし、機械方向に直交する幅方向の長さを60mmとした場合に、多孔質基材の耐熱性樹脂層を備える側と反対側の面(以下、非塗工面ともいう。)を内側にして幅方向(TD)にカールするカール形状を有し、幅方向におけるカール量Wが、下記式1を満たしている。
0<W≦8 :式1
式1において、Wは、60mm−W1を表し、ミリメートル(mm)を単位とする。
W1は、機械方向の長さを1.2mとし、機械方向に直交する幅方向の長さを60mmとしたセパレータ片を、温度25℃、相対湿度30%の環境下、ローラ間隔1mで平行に配置された2つのローラ上に多孔質基材の耐熱性樹脂層を備える側の面(以下、塗工面ともいう。)を接触させ、かつ、張力9.8N/mを印加して配置し、前記セパレータ片を法線方向から平面視した際の、前記2つのローラ間の中点における前記セパレータ片の前記幅方向の投影幅を表し、ミリメートル(mm)を単位とする。
セパレータは、製造された後に電極を重ねた状態で捲回して捲回体(以下、電極捲回体ともいう。)を製造する製造過程、又は二次電池を組み立てる過程等の後工程(電池又は電池材料を製造する工程)において、ハンドリング性(取扱い性)を損なわない程度に形状を保持できることが求められる。例えば、後工程でセパレータを乾燥する場合にも同様である。
しかしながら、多孔質基材の片面に耐熱性樹脂層を付設し、付設された耐熱性樹脂層が、樹脂成分として、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、又はポリアミドイミドを含む場合には、樹脂成分に起因して生じる乾燥収縮は著しく、カール現象に起因したハンドリング性の低下が著しいという知見を得た。例えば、多孔質基材の一例であるポリオレフィン膜の片面にポリアミド系又はポリイミド系の樹脂を含む層を付設した積層構造では、ポリアミド系又はポリイミド系の樹脂の収縮がポリオレフィン膜の収縮に比べて顕著に異なるため、TDに現れるカール変形が大きく、最終的に製造される二次電池の歩留まりが悪化する一因となる。
従来から、基材の片面に機能層が付設されたセパレータのカール変形を抑制する技術は、既述の特許文献1〜4に代表されるように種々の検討がなされている。しかしながら、例えば特許文献1、3、4に記載の発明におけるカールの抑制は、いずれも基材の機能層側をコントロールし、基材の機能層を有する側へのカールの程度を小さくするための技術に過ぎない。また、特許文献2に記載の発明におけるカールの抑制は、基材側を加熱収縮させることに着目しているものの、その抑制度は実際の電池作製工程では不十分である。
本開示では、上記に鑑み、多孔質基材の耐熱性樹脂層が付設されていない側の面(即ち、非塗工面)を内側にしてTDに特定のカール形状を付する。これにより、セパレータ製造後の電池製造過程(例えば、セパレータを挟んで正極及び負極を重ねてセパレータ及び電極の積層体を捲回する捲回工程)において発生しやすいセパレータのカール現象に起因したハンドリング性の低下が抑制され、結果、製造効率を高めることができる。
ローラ間隔とは、2つのローラの軸心間距離のことであり、図1のように、2つのローラの一方のローラ13aの軸心Pと他方のローラ13bの軸心Pとの距離を指す。また、2つのローラ間の中点とは、図1に示すように、軸心Pと軸心Pとの距離の中間地点(ローラ13aの軸心PからMD長の1/2の距離にある点)Cを指す。
図1は、セパレータに張力を印加した状態でカール量を測定する方法を説明するための側面視での概略説明図である。
本開示のセパレータにおけるカール量Wは、機械方向の長さを1.2mとし、機械方向に直交する幅方向の長さを60mmとした場合に上記式1を満たす。カール量Wが0(ゼロ)を超えることは、多孔質基材の耐熱性樹脂層を有しない側の面(非塗工面)を内側にしてTDにカールするカール形状を有していることを意味する。カール量Wが0であると、従来のように塗工面を内側とするカールが抑えられた形状を有するものの、セパレータを電極と重ねて捲回する等の製造過程においてセパレータの塗工面同士が接するような折れが発生し、セパレータを挟む正極と負極との接触が生じてしまう。また、カール量Wが8を超えると、非塗工面を内側とするカール形状が大き過ぎ、逆にセパレータの非塗工面同士が接するような折れが発生し、セパレータを挟む正極と負極とが接する結果を来す。
カール量Wとしては、上記と同様の観点から、0.5〜7.5が好ましく、1.0〜7.0がより好ましい。
カール量の測定は、以下の方法により行える。
セパレータをTDに沿って60mm、MDに沿って1.2mのサイズに裁断してセパレータ片を作製する。作製されたセパレータ片を温度25℃、相対湿度30%の環境下、ローラ間隔1mで平行に配置された2つのローラ上に、セパレータ片の塗工面側(多孔質基材の耐熱性樹脂層が塗工形成された側)を接触させ、かつ、引っ張り張力9.8N/mを印加した状態で配置する。そして、2つのローラ間の中点と、セパレータ片のMDの中点と、を合わせ、セパレータ片を法線方向から平面視した際の、2つのローラ間の中点におけるセパレータ片のTDにおける投影幅(W1;単位:mm)を測定する。測定値を下記式に代入し、カール量(W)を算出する。
W=60−W1
セパレータ片の配置は、図1において、1.2mのうち、2つのローラ上に載置されるセパレータ片のMD長を1mとし、その両端から左右2つのローラを巻き回して鉛直方向に垂らす長さを0.1mずつとする。垂らしたセパレータ片の両端部に重りを接続する。
測定時の引っ張り張力の印加方法、並びに、カール形状及びカール量について、図1〜図3を参照して説明する。
張力の印加は、図1のように、セパレータ片のMDにおける両端に重り15a、15bをそれぞれ取り付け、ローラ13a、13bに掛けて垂らすことで引っ張り力を与えることによって行う。重り15a、15bは、セパレータ片に印加される引っ張り応力が9.8N/mとなるように決定する。
本開示のセパレータのカール形状の確認は、上記のように、MDの長さ1.2m、TDの長さ60mm、印加張力9.8N/mとした条件下、セパレータ片を法線方向(即ち、厚み方向)から平面視した際に投影した形状から行うことができる。
図1(a)に示すセパレータ片11のMDに直交するTDに対して平行に切断した切断面を図2に示す。セパレータ片11は、非塗工面11aを内側にしてカール変形した状態である。この状態のセパレータ片11を平面視した際の形状を図1(b)に示す。図1(b)に示すように、カール形状を有する本開示のセパレータは、本来の幅長60mmに対してカールした分だけ狭幅(幅長W1;投影幅)になっており、W1から上記式1に基づいてカール量を算出することができる。
本開示のセパレータにおけるカール量Wは、例えば、以下の(a)〜(e)の少なくとも1つを調節することにより調整することが可能である。
(a)耐熱性樹脂層形成用の塗工液中における全芳香族ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる耐熱性樹脂の濃度
(b)多孔質基材の厚み
(c)耐熱性樹脂層の厚み
(d)多孔質基材の厚みと耐熱性樹脂層の厚みとの比
(e)塗工層の固化、洗浄及び乾燥後のセパレータの加熱延伸条件(例えば、加熱ローラ又は送風等により与えられる加熱条件(加熱温度、加熱時間(例えば、温風をあてる場合は送風時間、加熱ローラを接触させる場合はローラ表面との接触時間)等)
(f)耐熱性樹脂層中の耐熱性樹脂量
(多孔質基材)
本開示の非水系二次電池用セパレータは、多孔質基材を備えている。
本開示における多孔質基材は、特に制限なく適宜公知の多孔質基材の中から選択することができる。多孔質基材としては、少なくともポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜を有する基材であることが好ましく、ポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜からなる基材であってもよい。
多孔質基材は、層の内部に複数の細孔を有し、複数の細孔が互いに連結された構造を有しており、層の一方の面から他方の面へと気体又は液体が通過可能とされている。ポリオレフィン微多孔膜も同様である。
多孔質基材としては、ポリエチレンを含む微多孔膜(本明細書において、「ポリエチレン微多孔膜」という。)を用いた態様が好ましい。ポリエチレン微多孔膜としては、従来の非水系二次電池用セパレータに適用されているポリエチレン微多孔膜の中から選択することができ、良好な力学特性及びイオン透過性を有するものが好ましい。
多孔質基材は、力学特性とシャットダウン特性の観点から、ポリエチレン微多孔膜からなる基材でもよい。
多孔質基材は、ポリエチレンとポリエチレン以外のポリオレフィンとを含む微多孔膜を用いることもできる。ポリエチレンとポリエチレン以外のポリオレフィンとを含む微多孔膜は、膜中の樹脂成分に占めるポリエチレンの含有量が95質量%以上である膜が好ましい。ポリエチレンとポリエチレン以外のポリオレフィンとを含む微多孔膜としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む微多孔膜であってもよく、ポリエチレン及びポリプロピレンを95:5の比率(=ポリエチレン:ポリプロピレン[質量比])で含む微多孔膜であってもよい。
ポリエチレン微多孔膜に含まれるポリエチレンは、重量平均分子量が10万〜500万の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が10万以上であると、良好な力学特性を確保できる。一方、重量平均分子量が500万以下であると、膜を成形しやすい。
本開示における重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される値とする。
具体的には、ポリエチレン微多孔膜の試料をo−ジクロロベンゼン中に加熱溶解し、GPC(Waters社製 Alliance GPC 2000型、カラム;GMH6−HTおよびGMH6−HTL)により、カラム温度135℃、流速1.0mL/分の条件にて測定することでMwを得る。分子量の校正には、分子量単分散ポリスチレン(東ソー社製)を用いることができる。
ポリエチレン微多孔膜は、例えば以下の方法で製造可能である。すなわち、溶融したポリエチレン樹脂をT−ダイから押し出してシート化し、これを結晶化処理した後延伸し、さらに熱処理をして微多孔膜とする方法、又は流動パラフィンなどの可塑剤と一緒に溶融したポリエチレン樹脂をT−ダイからシート状に押し出し、押出された樹脂を冷却し、延伸した後、可塑剤を抽出し熱処理をして微多孔膜とする方法である。
多孔質基材の平均孔径としては、20nm以上100nm以下の範囲が好ましい。多孔質基材の平均孔径が20nm以上であると、イオンが移動しやすく、良好な電池性能が得やすくなる。このような観点では、多孔質基材の平均孔径は、30nm以上がより好ましく、40nm以上が更に好ましい。一方、多孔質基材の平均孔径が100nm以下であると、多孔質基材と多孔質層との間の剥離強度が向上する。このような観点では、多孔質基材の平均孔径は、90nm以下がより好ましく、80nm以下が更に好ましい。
なお、多孔質基材の平均孔径は、パームポロメーターを用いて測定される値であり、例えば、ASTM E1294−89に準拠し、パームポロメーター(PMI社製のCFP−1500−A)を用いて測定できる。
多孔質基材の厚さは、良好な力学物性と内部抵抗を得る観点から、3μm以上25μm以下の範囲が好ましい。特に、多孔質基材の厚さは、5μm以上20μm以下の範囲がより好ましい。
多孔質基材のガーレ値(JIS P8117:2009)は、イオン透過性を得る観点から、50秒/100ml以上400秒/100ml以下の範囲が好ましい。
多孔質基材の空孔率は、適切な膜抵抗を得る観点から、20%以上60%以下の範囲が好ましい。
多孔質基材の突刺強度は、製造歩留まりを向上させる観点から、200g以上であることが好ましく、300g以上であることがより好ましく、400g以上であることが更に好ましい。
突刺強度は、KES−G5ハンディー圧縮試験器(カトーテック社製)を用い、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/秒の条件で測定される最大突刺荷重(g)である。
多孔質基材は、各種の表面処理が施されていることが好ましい。表面処理を施すことで、後述する多孔質層を形成するための塗工液との濡れ性を向上させることができる。表面処理の具体的な例としては、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理等が挙げられ、多孔質基材の性質を損なわない範囲で処理することができる。
(耐熱性樹脂層)
本開示の非水系二次電池用セパレータは、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の耐熱性樹脂(以下、特定樹脂ともいう。)を含む耐熱性樹脂層を有する。本開示における耐熱性樹脂層は、無機粒子を含むことが好ましく、必要に応じて、更に、特定樹脂以外の樹脂、添加剤等の他の成分を含んでもよい。
本開示における耐熱性樹脂層は、多孔質基材の一方面にのみ付設されている。
耐熱性樹脂層は、無機フィラーを含む多孔質層であることが好ましい。多孔質層は、層の内部に複数の細孔を有し、複数の細孔が互いに連結された構造を有しており、層の一方の面から他方の面へと気体又は液体が通過可能とされた層である。
−耐熱性樹脂−
本開示における耐熱性樹脂層は、耐熱性樹脂として、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種(特定樹脂)を含有する。
耐熱性樹脂が、アミド結合及びイミド結合から選ばれる結合基を有する樹脂であると、多孔質基材(特にポリエチレン膜)に対する親和性が良好になり、かつ、電解液との間の親和性も高いため、電解液の耐熱性樹脂層への浸透性が良好なものとなる。これにより、本開示の非水系二次電池用セパレータは、電解液の浸透が速やかに進みやすく、電解液が良好に含浸されたものが得られやすい。結果、二次電池を作製した際の電池特性の向上に寄与する。
全芳香族ポリアミドには、メタ型のポリアミド(本明細書中、メタアラミドともいう。)とパラ型のポリアミドとが含まれる。これらのうち、メタ型のポリアミドは、パラ型のポリアミドに比べて、結晶性の観点から多孔質層の形成が容易である点で好適である。
メタ型のポリアミドの例としては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド等が挙げられる。また、パラ型のポリアミドの例としては、コポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレン・テレフタラミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド等が挙げられる。
全芳香族ポリアミドは、上市されている市販品を用いてもよい。市販品の例としては、帝人株式会社製のコーネックス(登録商標;メタ型)、テクノーラ(登録商標;パラ型)、トワロン(登録商標;パラ型)等を用いることができる。
ポリイミドは、イミド結合を有する樹脂であり、芳香族化合物が直接イミド結合で連結された芳香族ポリイミド等を用いることができる。ポリイミドは、熱による収縮を有しており、張架の状態等で収縮率の変動も生じやすい性質があるが、本開示では、ポリイミドを用いた場合に、電極捲回体を製造する際に生じることがあるカール変形を抑え、電極捲回体の製造効率を向上することができる。
ポリアミドイミドは、アミド結合及びイミド結合を有する樹脂であり、アミド基とフタルイミド基を有するポリアミドイミド等を用いることができる。ポリアミドイミドは、熱による収縮を有しており、張架の状態等で収縮率の変動も生じやすい性質があるが、本開示では、ポリアミドイミドを用いた場合に、電極捲回体を製造する際に生じることがあるカール変形を抑え、電極捲回体の製造効率を向上することができる。
特定樹脂の中でも、多孔質基材(特にポリエチレン膜)及び電解液に対する親和性が良好な点に加え、耐熱性に優れたものとなる点で、全芳香族ポリアミドが好ましい。全芳香族ポリアミドは、アミド系溶剤に代表される極性有機溶剤に適当な濃度で溶解することが可能である。そのため、全芳香族ポリアミドを有機溶剤に溶解した溶液(塗工液)を、ポリエチレン微多孔膜を含む多孔質基材上に塗工し、塗工膜を凝固、水洗、及び乾燥することにより、容易に多孔質層を形成することができる。また、多孔構造の制御もしやすい。更に、塗工液が多孔質基材の空孔に侵入しやすいため、多孔質基材の電解液含浸性も高めることができる。
特定樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10万〜400万であることが好ましく、30万〜300万であることがより好ましい。特定樹脂のMwが10万以上であると、耐熱性樹脂層の力学特性に優れたものとなる。特定樹脂のMwが400万以下であると、耐熱性樹脂層を形成するための塗工液の粘度が高くなり過ぎず、成形性により優れる。
耐熱性樹脂層に含まれる耐熱性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定される値である。具体的には、測定装置として日本分光(株)製のGPC装置「GPC−900」を用い、カラムとして東ソー(株)製のTSKgel SUPER AWM−Hを2本用い、かつ、溶媒としてジメチルホルムアミドを用いる。測定条件は、カラム温度40℃、流速0.6mL/分とし、ポリスチレン換算の分子量を求める。
また、全芳香族ポリアミドの融点は200℃以上であるので、セパレータの耐熱性を高め、二次電池の安全性を向上させる。
耐熱性樹脂の中でも、全芳香族ポリアミドを含むことがより好ましい。全芳香族ポリアミドは融点が200℃以上の樹脂であるので、全芳香族ポリアミドを含むことで、セパレータの耐熱性が向上し、二次電池の安全性が飛躍的に向上する。
耐熱性樹脂の耐熱性樹脂層中における含有量としては、耐熱性樹脂層の全固形分に対して、10質量%〜40質量%が好ましく、15質量%〜35質量%がより好ましい。
−無機フィラー−
本開示における耐熱性樹脂層は、無機フィラーの少なくとも1種を含有することが好ましい。耐熱性樹脂層に無機フィラーを含めることにより、耐熱性の向上、膜抵抗の低減(電解液の染み込み易さ、及び空孔の形成し易さの向上)、及び、摩擦係数の低減を図ることができる。
無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、イットリア、セリア、マグネシア、チタニア、シリカ等の金属酸化物;水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物;炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、硫酸バリウム等の金属硫酸塩などの金属塩;などが挙げられる。
無機フィラーの中でも、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、及び金属硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記のうち、無機フィラーとしては、耐熱性の向上、膜抵抗の低減(電解液の染み込み易さ、及び空孔の形成し易さの向上)、及び摩擦係数の低減の点で、2価金属含有粒子が好ましく、2価金属の硫酸塩の粒子又は2価金属の水酸化物の粒子がより好ましい。例えば、マグネシウム含有粒子又はバリウム含有粒子が好ましい。
マグネシウム含有粒子としては、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム等の粒子が好ましく、水酸化マグネシウムの粒子がより好ましい。
バリウム含有粒子としては、硫酸バリウムの粒子が好ましい。
無機フィラーの平均一次粒子径は、0.005μm〜1μmであることが好ましい。平均一次粒子径が0.005μm以上であると、セパレータの製造工程において多孔構造を形成しやすい。また、平均一次粒子径が1μm以下であると、耐熱性樹脂層の薄膜化に有利であり、耐熱性樹脂層内における無機フィラー及び樹脂の充填密度が高まる。
無機フィラーの平均一次粒子径は、0.01μm〜1μmがより好ましく、0.02μm〜0.7μmが更に好ましい。
平均一次粒子径は、無機フィラーの比表面積をBET法にて測定し、無機フィラーを真球と仮定して、下記の式に従い、無機フィラーの比重と比表面積から粒子径を算出する。
平均一次粒子径(μm)=6÷[比重(g/cm)×比表面積(m/g)]
なお、BET法による比表面積測定においては、吸着質として不活性ガスを使用し、無機フィラー表面に液体窒素の沸点温度(−196℃)で吸着させる。フィラーの粒子表面に吸着する気体量を吸着質の圧力の関数として測定し、吸着量から試料の比表面積を求める。
無機フィラーの形状には制限はなく、球もしくは球に近い形状、板状、又は繊維状の形状であってもよい。
無機フィラーの耐熱性樹脂層中における含有割合としては、耐熱性樹脂及び無機フィラーの合計の含有量に対して、40質量%〜90質量%であることが好ましい。無機フィラーの含有割合が40質量%以上であると、多孔質基材に対する耐熱性樹脂層の応力バランスを調節することができ、非塗工面を内側にしたカール形状を形成しやすい。また、耐熱性により優れたものとなる。無機フィラーの含有割合が90質量%以下であると、耐熱性多孔質層が多孔質基材からより剥がれにくいものとなる。
無機フィラーの含有割合としては、上記と同様の理由から、55質量%〜85質量%であることが好ましい。
−他の成分−
本開示における耐熱性樹脂層は、上記成分に加え、必要に応じて、特定樹脂以外の樹脂、添加剤等の他の成分を含むことができる。
特定樹脂以外の樹脂は、目的又は場合に応じて公知の任意の樹脂の中から本開示の効果を著しく損なわない範囲で適宜選択すればよい。
添加剤としては、界面活性剤等の分散剤、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤などが挙げられる。
耐熱性樹脂層は、耐熱性樹脂層形成用の塗工液を調製し、塗工液を多孔質基材に塗工することで形成することができる。塗工は、リバースコーターを用いた方法等の、押し付けて塗工する方式の塗布法により行うことができる。
〜耐熱性樹脂層の性状〜
[厚み]
多孔質基材の片面に有する耐熱性樹脂層の厚みは、0.3μm以上5.0μm以下であることが好ましい。耐熱性樹脂層の厚みが0.3μm以上であると、平滑で均質な層となり、電池のサイクル特性がより向上する。同様の観点から、耐熱性樹脂層の片面の厚みは、1.5μm以上であることがより好ましい。
一方、耐熱性樹脂層の片面の厚みが5.0μm以下であると、イオン透過性がより良好になり、電池の負荷特性により優れたものとなる。同様の観点から、耐熱性樹脂層の片面の厚みは、4.0μm以下がより好ましく、3.0μm以下が更に好ましく、2.5μm以下が特に好ましい。
[空孔率]
耐熱性樹脂層の空孔率としては、30%以上80%以下の範囲が好ましい。空孔率が80%以下であると、力学物性の確保が容易であり、表面開口率が高くなり過ぎず、接着力を確保するのに適している。一方、空孔率が30%以上であると、イオン透過性がより良好になる。
なお、空孔率(ε)は、下記式より求められる値である。
ε={1−Ws/(ds・t)}×100
式中、εは空孔率(%)を、Wsは目付(g/m)を、dsは真密度(g/cm)を、tは膜厚(μm)をそれぞれ表す。
[平均孔径]
耐熱性樹脂層の平均孔径としては、10nm以上300nm以下の範囲が好ましい。平均孔径が300nm以下であると、孔の不均一性が抑えられ、接着点が比較的均等に散在し、接着性がより向上する。また、平均孔径が300nm以下であると、イオンの移動の均一性が高く、サイクル特性及び負荷特性がより向上する。一方、平均孔径が10nm以上であると、耐熱性樹脂層に電解液を含浸させた場合に、耐熱性樹脂層を構成する樹脂が膨潤して孔を閉塞することでイオン透過性が阻害される現象が生じにくい。
なお、耐熱性樹脂層の平均孔径(直径、単位:nm)は、窒素ガス吸着量から算出される全芳香族ポリアミドからなる耐熱性樹脂層の空孔表面積Sと、空孔率から算出される耐熱性樹脂層の空孔体積Vと、を用い、全ての孔が円柱状であると仮定して下記式より算出される。
d=4・V/S
式中、dは耐熱性樹脂層の平均孔径(nm)を表し、Vは耐熱性樹脂層の1m当たりの空孔体積を表し、Sは耐熱性樹脂層の1m当たりの空孔表面積を表す。
また、耐熱性樹脂層の1m当たりの空孔表面積Sは、以下の方法で求められる。
窒素ガス吸着法でBET式を適用することにより、多孔質基材の比表面積(m/g)と、多孔質基材及び耐熱性樹脂層を積層した複合膜の比表面積(m/g)と、を測定する。それぞれの比表面積にそれぞれの目付(g/m)を乗算し、それぞれの1m当たりの空孔表面積を算出する。次いで、多孔質基材1m当たりの空孔表面積をセパレータ1m当たりの空孔表面積から減算して、耐熱性樹脂層1m当たりの空孔表面積Sを算出する。
〜多孔質基材及び耐熱性樹脂層の厚みの比〜
耐熱性樹脂層の厚みに対する多孔質基材の厚みの比としては、0.5〜13であることが好ましい。耐熱性樹脂層及び多孔質基材の厚みの比が上記範囲にあることで、非塗工面を内側にカールしたカール形状を有するセパレータが得られやすく、セパレータ製造後の電池製造の過程で生じやすい収縮に伴う製造効率の低下を効果的に抑制できる。
耐熱性樹脂層及び多孔質基材の厚みの比としては、上記同様の理由から、1を超え12以下であることがより好ましく、1.1〜12が更に好ましい。また、上記同様の理由に加えて膜強度も良好に保持し得る点で、1.5〜10が好ましく、2〜5がより好ましい。
〜セパレータの性状〜
[厚み]
本開示の非水系二次電池用セパレータは、厚みが7.5μm以上20μm以下であることが好ましい。
セパレータの厚みが7.5μm以上であると、セパレータをハンドリング可能な十分な強度を保ちやすい。また、セパレータの厚みが20μm以下であると、イオン透過性を良好に維持することができ、電池の放電性及び低温特性を保持しやすく、電池のエネルギー密度を良好に保持することができる。
中でも、同様の理由から、セパレータの厚みは、9μm〜17μmがより好ましい。
厚みは、接触式の厚み計(ミツトヨ社製、LITEMATIC)を用い、直径5mmの円柱状の測定端子にて測定される値である。測定中は、0.01Nの荷重が印加されるように調整し、10cm×10cm内の任意の20点を測定してその平均値を算出する。
[突刺強度]
本開示の非水系二次電池用セパレータは、突刺強度が多孔質基材の突刺強度よりも大きいことが好ましい。
セパレータの突刺強度は、300g〜1000gが好ましく、400g〜1000gがより好ましく、500g〜1000gが更に好ましい。セパレータの突刺強度が上記範囲内であると、電池の短絡防止の点で有利である。
セパレータの突刺強度の測定は、多孔質基材の突刺強度の測定と同様の方法により行える。
[ガーレ値]
セパレータのガーレ値は、450秒/100ml以下が好適であり、400秒/100ml以下がより好ましい。ガーレ値が450秒/100ml以下であると、イオン透過性が良好であり、電池の放電特性及び低温特性により優れたものとなる。ガーレ値の下限値は、150秒/100mlが好適である。
ガーレ値は、JIS P8117:2009に従い、ガーレ式デンソメータ(G−B2C、東洋精機社製)にて測定される値である。
[引張強度]
セパレータの引張強度は、15N/cm〜40N/cmの範囲が好ましく、25N/cm〜40N/cmの範囲がより好ましい。
引張強度は、10mm×100mmとしたセパレータに対して、引張試験機(A&D社製、RTC−1225A)を用い、ロードセル荷重5kgf、チャック間距離50mmの条件にて測定される値である。
[膜抵抗(イオン透過性)]
セパレータの膜抵抗は、電池の負荷特性を確保する点で、1ohm・cm〜10ohm・cmの範囲であることが好ましい。
膜抵抗は、セパレータに電解液を含浸させた状態での抵抗値を指し、交流法にて測定される値である。測定は、電解液として1M LiBF プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1[質量比])を用い、20℃で行う。
〜非水系二次電池用セパレータの製造方法〜
本開示の非水系二次電池用セパレータは、例えば、多孔質基材上に耐熱性樹脂層を湿式塗工法又は乾式塗工法で形成することにより製造することができる。本開示において、湿式塗工法とは、塗工層を凝固液中で固化させる方法であり、乾式塗工法とは、塗工層を乾燥させて固化させる方法である。
本開示のセパレータの製造は、好ましくは、例えば、耐熱性樹脂を含有する塗工液を多孔質基材上に塗工して塗工層を形成し、次いで塗工層に含まれる耐熱性樹脂を固化させることで、耐熱性樹脂層を多孔質基材上に形成する方法により製造することができる。具体的には、耐熱性樹脂層は、例えば、以下の湿式塗工法によって形成することができる。
湿式塗工法は、(i)耐熱性樹脂を溶媒に溶解又は分散させて塗工液を調製する塗工液調製工程、(ii)塗工液を多孔質基材の片面に塗工して塗工層を形成する塗工工程、(iii)塗工層を凝固液に接触させて、相分離を誘発しつつ耐熱性樹脂を固化させ、多孔質基材上に耐熱性樹脂層を備えた複合膜を得る凝固工程、(iv)複合膜を水洗する水洗工程、及び(v)複合膜から水を除去する乾燥工程、を順次行う製膜法である。本開示のセパレータに好適な湿式塗工法の詳細は、以下の通りである。
上記工程(i)では、耐熱性樹脂を溶媒に溶解又は分散させて塗工液を調製する。
塗工液の調製において、溶剤は、耐熱性樹脂を溶解するものであればよく、特に限定されない。具体的には、極性溶剤が好ましく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の極性アミド溶剤、及びジメチルスルホキシドなどが挙げられる。また、溶剤は、極性溶剤に加えて耐熱性樹脂に対して貧溶剤となる溶剤も加えることができる。貧溶剤を適用することでミクロ相分離構造が誘発され、耐熱性樹脂層を形成する際に多孔化が容易となる。貧溶剤は、いわゆる相分離剤であり、水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価アルコール;ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコールなどが好適であり、多価アルコールが特に好適である。
塗工液中における、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる耐熱性樹脂の濃度は、良好な多孔構造を形成すること、及び多孔質基材に対する耐熱性樹脂層の応力バランスを調節し、非塗工面を内側にしたカール形状を形成しやすくなる点で、塗工液の全質量に対して、1質量%〜20質量%であることが好ましく、2質量%〜10質量%であることが好ましい。
また、塗工液の無機フィラーの濃度は、良好な多孔構造を形成する観点から、塗工液の全質量に対して、2質量%〜50質量%であることが好ましい。
なお、耐熱性樹脂層中に無機フィラーを含ませる場合は、工程(i)において、塗工用スラリー中に無機フィラーを分散させればよい。この場合、無機フィラーの分散性が好ましくないときは、無機フィラーをシランカップリング剤などで表面処理し、分散性を改善する手法も適用可能である。
上記工程(ii)では、多孔質基材の一方の表面にスラリーを塗工する。
スラリーを塗工する方法としては、ナイフコート法、グラビアロールコート法、スクリーン印刷法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、リバースロールコート法、インクジェット法、スプレー法、ロールコート法などが挙げられる。塗膜を均一に形成するという観点においては、リバースロールコート法が好適である。
上記工程(iii)では、スラリーを塗工した多孔質基材を、耐熱性樹脂を凝固させることが可能な凝固液に接触させることにより、耐熱性樹脂を凝固させて耐熱性樹脂層を形成する。フィラーを含む構成の場合は、フィラーが結着された多孔質の耐熱性樹脂層を形成する。
凝固液で処理する方法としては、スラリーを塗工した多孔質基材に対して凝固液をスプレーで吹き付ける方法、又は多孔質基材を凝固液の入った浴(凝固浴)中に浸漬する方法などが挙げられる。ここで、凝固浴を設置する場合は、塗工装置の下方に設置することが好ましい。
凝固液としては、耐熱性樹脂を凝固できるものであれば特に制限されず、水、又は、スラリーに用いた溶剤に水を適当量混合させたものが好ましい。ここで、水の混合量は凝固液に対して40質量%〜80質量%が好適である。水の量が40質量%以上であると、耐熱性樹脂を凝固するのに必要な時間を適切に維持することができ、凝固を良好に行いやすくなる。また、水の量が80質量%以下であると、溶剤回収が容易でコストを抑えやすく、また、凝固液と接触する表面の凝固が速くなり過ぎないので、表面が多孔化されやすくなる。
上記工程(iv)は、上記工程(iii)の後のシートから凝固液を除去する。水洗する方法が好ましい。
上記工程(v)は、上記工程(iv)の後のシートから水を乾燥して除去する。乾燥方法は、特に限定されない。乾燥温度は、50℃〜90℃が好適である。高い乾燥温度を適用する場合等においては、熱収縮による寸法変化を抑える観点から、加熱ローラに接触させて行う方法が好ましい。
耐熱性樹脂層は、上述した湿式塗工法以外にも、乾式塗工法でも製造し得る。
乾式塗工法では、耐熱性樹脂及び溶媒を含有する塗工液を多孔質基材に塗工し、この塗工層を乾燥させて溶媒を揮発除去することにより耐熱性樹脂層を得る。但し、乾式塗工法は、湿式塗工法に比べて塗工層が緻密になりやすいので、良好な多孔質構造が得られる点で湿式塗工法が好ましい。
本開示のセパレータは、耐熱性樹脂層を独立したシートとして作製し、この耐熱性樹脂層を多孔質基材に重ねて、熱圧着や接着剤によって複合化する方法によっても製造し得る。耐熱性樹脂層を独立したシートとして作製する方法としては、上述した湿式塗工法又は乾式塗工法を適用して、剥離シート上に耐熱性樹脂層を形成する方法が挙げられる。
<非水系二次電池>
本開示の非水系二次電池は、正極と、負極と、正極及び負極の間に配置された既述の本開示の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得るものである。
ドープとは、吸蔵、担持、吸着、又は挿入を意味し、正極等の電極の活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。
本開示の非水系二次電池は、例えば、負極と正極とがセパレータを介して対向した電池素子が電解液と共に外装材内に封入された構造を有する。本開示の非水系二次電池は、特にリチウムイオン二次電池に好適である。本開示の非水系二次電池は、電極への接着に優れる本開示のセパレータを用いることによって、効率よく製造できる。本開示の非水系二次電池は、電極との接着に優れる本開示のセパレータを備えることにより、セル強度に優れる。
以下、本開示の非水系二次電池が備える正極、負極、電解液、及び外装材の形態例を説明する。
正極は、正極活物質及びバインダ樹脂を含有する活物質層が集電体上に成形された構造としてよい。活物質層は、さらに導電助剤を含有してもよい。正極活物質としては、例えばリチウム含有遷移金属酸化物等が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3、LiMn、LiFePO、LiCo1/2Ni1/2、LiAl1/4Ni3/4等が挙げられる。バインダ樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末等の炭素材料が挙げられる。集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、アルミ箔、チタン箔、ステンレス箔等が挙げられる。
本開示のセパレータの一実施形態によれば、耐熱性多孔質層が耐酸化性に優れるため、耐熱性多孔質層を非水系二次電池の正極側に配置することで、正極活物質として、4.2V以上の高電圧で作動可能なLiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3等を適用しやすい。
負極は、負極活物質及びバインダ樹脂を含有する活物質層が集電体上に成形された構造としてよい。活物質層は、さらに導電助剤を含有してもよい。負極活物質としては、リチウムを電気化学的に吸蔵し得る材料が挙げられ、具体的には例えば、炭素材料;ケイ素、スズ、アルミニウム等とリチウムとの合金;などが挙げられる。バインダ樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが挙げられる。導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末等の炭素材料が挙げられる。集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が挙げられる。また、上記の負極に代えて、金属リチウム箔を負極として用いてもよい。
電極は、セパレータとの接着性の観点からは、活物質層にバインダ樹脂が多く含まれていることが好ましい。一方、電池のエネルギー密度を高める観点からは、活物質層に活物質が多く含まれていることが好ましく、相対的にバインダ樹脂量は少ないことが好ましい。本開示のセパレータは電極との接着に優れるので、活物質層のバインダ樹脂量を減らして活物質量を増やすことを可能にし、よって、電池のエネルギー密度を高めることができる。本開示のセパレータを適用することにより、溶剤系バインダ(具体的にはポリフッ化ビニリデン系樹脂)を用いた負極に対してのみならず、水系バインダ(具体的にはスチレン−ブタジエン共重合体)を用いた負極に対しても接着に優れる。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した溶液である。リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。非水系溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル;などが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。電解液としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを質量比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)20:80〜40:60で混合し、リチウム塩を0.5mol/L〜1.5mol/L溶解したものが好適である。
外装材としては、金属缶やアルミラミネートフィルム製パック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型等があるが、本開示のセパレータはいずれの形状にも好適である。
以下に実施例を挙げて、本開示のセパレータ及び非水系二次電池をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本開示のセパレータ及び非水系二次電池の範囲は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
<測定方法、評価方法>
実施例及び比較例で適用した測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
[セパレータのカール量]
セパレータをTDに沿って60mm、MDに沿って1.2mのサイズに裁断してサンプル片(セパレータ片)を作製した。作製したサンプル片を温度25℃、相対湿度30%の環境下、ローラ間隔1mで平行に配置された2つのローラ上に、サンプル片の塗工面側(多孔質基材の耐熱性樹脂層が塗工形成された側)を接触させ、かつ、引っ張り張力9.8N/mを印加した状態で配置した。このとき、2つのローラ間の中点と、サンプル片のMDの中点と、を合わせた。そして、サンプル片を法線方向から平面視した際の、2つのローラ間の中点におけるサンプル片のTDにおける投影幅(W1)を測定した。測定値を下記式に代入し、カール量(W)を求めた。
W=60−W1
[電池材料の作製及び捲回テスト]
−正極板の作製−
正極板は次のようにして作製した。
まず、正極活物質としてのリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)94質量部と、導電剤としてのアセチレンブラック3質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末3質量部と、をN−メチル−2ピロリドン(NMP)中で混合して正極合剤スラリーを調製した。次に、正極合剤スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極芯体の両面にドクターブレード法により塗布し、乾燥した後、圧縮ローラで圧延した。
−負極板の作製−
負極板は次のようにして作製した。
まず、負極活物質としての黒鉛粉末と、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR;スチレン:ブタジエン=1:1)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、混合比率が質量基準で黒鉛:SBR:CMC=96:3:1となるように水中に添加して負極合剤スラリーを調製した。この負極合剤スラリーを厚みが8μmの銅箔製の負極芯体の両面にドクターブレード法により塗布し、乾燥した後、圧縮ローラで圧延した。
上記で作製した正極板及び負極板を用い、露点−40℃、温度25℃の環境下、TDの長さ56mm、MDの長さ96mmの正極板、及びTDの長さ58mm、MDの長さ98mmの負極板を、TDの長さ60mm、MDの長さ100mmのセパレータを挟んで重ね、捲回機によって軸心に捲き回すことで、両電極板が互いに絶縁された状態の電極捲回体を作製した。
電極捲回体を作製するための捲回機では、搬送ローラ間隔を50cmとし、搬送張力を9.8N/mとした。捲回の「良」又は「不良」の評価は、捲回体中のセパレータが折れ曲がることで、セパレータにおける塗工面同士又は非塗工面同士が接するか否かにより行った。捲回は、セパレータ1種につき10回行い、全て「良」の判定であれば「A」とし、「不良」の判定が1〜2回あれば「B」とし、「不良」の判定が3回以上あれば「C」とした。
[フィラーの平均一次粒子径]
下記式に従い、フィラーの比重と比表面積とから平均一次粒子径を算出した。フィラーの比表面積はBET法にて測定した。
平均一次粒子径=6/(比重×比表面積)
フィラーの比表面積は、比表面積・細孔分布測定装置(マイクロメリティクス製、ASAP2020)を用いて測定した。吸着質として窒素ガスを使用し、フィラーの粒子表面に液体窒素の沸点温度(−196℃)で吸着させた。フィラーの粒子表面に吸着する気体量を吸着質の圧力の関数として測定し、吸着量からフィラーの比表面積を求めた。
[膜厚]
多孔質基材及びセパレータの厚みは、接触式の厚み計(ミツトヨ社製、LITEMATIC)を用いて測定した。測定には、直径5mmの円柱状の端子を用い、測定中は7gの荷重が印加されるように調整した。そして、10cm×10cm内の任意の20点を測定して、測定値の平均を算出した。
耐熱性樹脂層の厚みは、セパレータの厚みから多孔質基材の厚みを減算して求めた。
[空孔率]
多孔質基材及びセパレータの空孔率は、下記の算出方法に従って求めた。
構成材料がa、b、c、…、nであり、各構成材料の質量がWa、Wb、Wc、…、Wn(g/cm2)であり、各構成材料の真密度がda、db、dc、…、dn(g/cm3)であり、膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は以下の式より求められる。
ε={1−(Wa/da+Wb/db+Wc/dc+…+Wn/dn)/t}×100
[耐熱性樹脂層の目付]
耐熱性樹脂層を塗工した非水系二次電池用セパレータと、これに用いたポリエチレン多孔質膜と、を10cm×10cmに切り出して質量を測定し、1m当たりの質量に変換することでそれぞれの目付を求めた。それぞれの目付の差から耐熱性樹脂層の目付(g/m)を求めた。
[耐熱性樹脂の質量]
上記耐熱性樹脂層の目付と耐熱性樹脂の比率から下記の式により耐熱性樹脂の質量を算出した。なお、耐熱性樹脂の比率は、耐熱性樹脂層の全固形分質量に占める耐熱性樹脂の質量の比である。
耐熱性樹脂の質量(g/m)=耐熱層目付×耐熱性樹脂の比率
[ガーレ値]
多孔質基材及びセパレータのガーレ値は、JIS P8117:2009に従い、ガーレ式デンソメータ(東洋精機社製G−B2C)にて測定した。
[突刺強度]
多孔質基材及びセパレータの突刺強度は、KES−G5ハンディー圧縮試験器(カトーテック社製)を用い、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/秒の条件で測定される最大突刺荷重(g)とした。
[実施例1]
メタ型全芳香族ポリアミド(帝人株式会社製のコーネックス(登録商標;メタ型全芳香族ポリアミド);表1中、「アラミド」と表記)を、メタ型全芳香族ポリアミドの濃度が4.5質量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、さらに無機フィラーとしてBaSO(平均一次粒子径:0.05μm)粒子を加えて攪拌混合し、塗工液(A)を得た。塗工液(A)におけるメタ型全芳香族ポリアミドとBaSO粒子との質量比(=アラミド:BaSO)を20:80とした。
次に、グラビアロール(GR)塗工にて、ポリエチレン微多孔膜(多孔質基材;厚さ12.9μm、空孔率40.2%、ガーレ値 250秒/100ml;表1中、「PE」と表記)の片面に塗工液(A)を塗工した。塗工層が形成されたポリエチレン微多孔膜を、凝固液(DMAc:水=50:50[質量比]、液温40℃)に浸漬し、塗工層を固化させた。次いで、固化後の塗工層を有するポリエチレン微多孔膜を水温40℃の水洗槽で洗浄し、加熱ローラを用いて延伸度0%、ローラ表面温度90℃、ローラ接触時間15秒(s)の条件で乾燥させた。
次に、加熱ローラを用いて、延伸度0%、ローラ表面温度120℃、ローラ接触時間6秒(s)の加熱延伸条件で塗工膜を加熱することによりTDに収縮させた。
以上のようにして、ポリエチレン微多孔膜の片面に多孔質性の耐熱性樹脂層が付設され、耐熱性樹脂層の非形成面(非塗工面)を内側にしてカールするカール形状が形成されたセパレータを作製した。作製したセパレータについて、上記の測定及び評価を行い、測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、加熱ローラのローラ接触時間及び延伸度等を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、加熱ローラのローラ表面温度等を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[実施例4]
実施例2において、メタ型全芳香族ポリアミドの濃度を9質量%とし、BaSO粒子を水酸化マグネシウム(Mg(ОH)、平均一次粒子径:0.5μm、神島化学工業株式会社製のマグシーズ HS−6M)粒子に代え、かつ、耐熱性樹脂/フィラー比を40/60に変更したこと以外は、実施例2と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[実施例5]
実施例2において、メタ型全芳香族ポリアミドの濃度を9質量%とし、BaSO粒子をAl粒子(平均一次粒子径:0.1μm)に代え、かつ、耐熱性樹脂/フィラー比を30/70に変更したこと以外は、実施例2と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[実施例6]
実施例2において、ポリエチレン微多孔膜の厚み等を表1に示すように変更したこと以外は、実施例2と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、耐熱性樹脂層の厚みを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、加熱ローラのローラ表面温度を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、加熱ローラのローラ表面温度を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、加熱ローラのローラ接触時間を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製し、測定及び評価を行った。測定及び評価の結果を下記表1に示す。
Figure 2021190311

表1に示すように、実施例のセパレータは、比較例のセパレータに比べて、いずれもカール量が少なく、電池材料の捲回テストにおける結果も良好であった。
実施例の結果から、セパレータにおける加熱条件、延伸条件、樹脂濃度、及び厚みの変化に伴い、ポリエチレン微多孔膜と耐熱性樹脂層とにおける応力バランスが調整されることによりカール量を制御することができることが分かる。例えば実施例6では、ポリエチレン微多孔膜の厚みが薄いため、耐熱性樹脂層の厚みとの比が他の実施例に比べて小さくなり過ぎるため、カール量も大きい。逆に耐熱性樹脂層の厚みが薄い実施例7では、ポリエチレン微多孔膜の厚みとの比がある程度の範囲にあるためにカール量は少ないものの、耐熱性樹脂層自体の厚みが薄過ぎることによる膜強度が他の実施例のセパレータに比べて低いことが考えられる。
これに対して、塗工面を内側にしてカールのある比較例1のセパレータでは、電池材料の捲回工程において塗工面側に発生した収縮作用によって著しいカール変形が生じ、捲回体中において塗工面を内側にしてセパレータが折れ、塗工面同士が接する結果となった。一方、非塗工面を内側にしてカールさせたセパレータであっても、比較例2のセパレータのようにカール量Wが8mmを超えて大きくなり過ぎると、捲回体中においてセパレータが非塗工面を内側にして折れ、非塗工面同士が接する結果を来した。
また、比較例3のセパレータでは、従来技術のようにセパレータの塗工面側へのカールを有しない状態にしているものの、電池材料の捲回工程において塗工面を内側にして生じるカールの発生によって捲回体中においてセパレータが折れ、塗工面同士が接する結果を来した。
11:セパレータ片
11a:非塗工面
11b:塗工面
13a,13b:ローラ
15a,15b:重り
C:2つのローラ間の中点
,P2:軸心
W1:2つのローラ間の中点における、カール形状を有するセパレータの平面視での幅方向の投影幅(幅長)

Claims (9)

  1. 多孔質基材と、
    前記多孔質基材の片面に設けられ、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、及びポリアミドイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の耐熱性樹脂を含む耐熱性樹脂層と、
    を備え、
    機械方向の長さを1.2mとし、機械方向に直交する幅方向の長さを60mmとした場合に、前記多孔質基材の前記耐熱性樹脂層を備える側と反対側の面を内側にして前記幅方向にカールするカール形状を有し、前記幅方向におけるカール量W(mm)が、下記式1を満たす、
    非水系二次電池用セパレータ。
    0<W≦8 :式1
    W:60mm−W1
    W1:機械方向の長さを1.2mとし、機械方向に直交する幅方向の長さを60mmとしたセパレータ片を、温度25℃、相対湿度30%の環境下、ローラ間隔1mで平行に配置された2つのローラ上に前記多孔質基材の前記耐熱性樹脂層を備える側の面を接触させ、かつ、張力9.8N/mを印加して配置し、前記セパレータ片を法線方向から平面視した際の、前記2つのローラ間の中点における前記セパレータ片の前記幅方向の投影幅
  2. 前記耐熱性樹脂層は、無機フィラーを含む請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  3. 前記耐熱性樹脂層の前記無機フィラーの含有割合が、耐熱性樹脂及び無機フィラーの合計の含有量に対して、40質量%〜90質量%である請求項2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  4. 前記無機フィラーは、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、及び金属硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項2又は請求項3に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  5. 前記無機フィラーは、硫酸バリウム及び水酸化マグネシウムの少なくとも一方を含む請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  6. 前記無機フィラーの平均一次粒子径が、0.005μm〜1μmである請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  7. 前記耐熱性樹脂層の厚みに対する前記多孔質基材の厚みの比が、0.5〜13である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  8. 突刺強度が、前記多孔質基材の突刺強度よりも大きい請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  9. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の非水系二次電池用セパレータと、を備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池。
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