JP2021169380A - 固体組成物および機能性セラミックス成形体の製造方法 - Google Patents

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昌宏 古沢
Masahiro Furusawa
知史 横山
Tomofumi Yokoyama
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均 山本
Hitoshi Yamamoto
努 寺岡
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Abstract

【課題】緻密度が高く、信頼性の高い機能性セラミックスで構成された機能性セラミックス成形体の製造方法を提供すること、前記機能性セラミックス成形体の製造に好適に用いることができる固体組成物を提供すること。【解決手段】本発明の固体組成物は、第1の機能性セラミックスで構成された第1の粒子と、前記第1の機能性セラミックスとは異なる組成の酸化物と、オキソ酸化合物とを含む。前記酸化物および前記オキソ酸化合物は、前記第1の粒子とは異なる第2の粒子中に含まれることが好ましい。前記オキソ酸化合物は、オキソアニオンとして、硝酸イオン、硫酸イオンのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、固体組成物および機能性セラミックス成形体の製造方法に関する。
複酸化物で構成された各種機能性セラミックス、具体的には、例えば、蛍光体セラミックス、波長変換セラミックス、磁性セラミックス、超伝導体セラミックス等の機能性セラミックスが知られている。
従来、複酸化物セラミックスは、その構成元素の各々からなる複数の酸化物粒子や化合物を混合し酸化的雰囲気において合成反応を行った後、粉砕、成形を経て再度高温焼成することで得られていた。
例えば、特許文献1には、蛍光体セラミックスであるイットリウムアルミニウムガーネットと波長変換セラミックスとを積層した複合体を製造する際に、蛍光体および波長変換セラミックスの各々の原料となる酸化物粉末の混合物をテープ成形して積層した後に高温焼成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、フェライトコアとして用いられるイットリウム鉄ガーネットセラミックスを貴金属からなる導電体と一体焼成を行うことで非可逆回路素子用の磁性セラミックスを形成する方法が記されている。
また、特許文献3には、超伝導体として用いられるYBCO素子を形成するため、高温焼成により合成したYBCOを粉砕して粉砕物を得た後に、当該粉砕物を再度焼き固めることによってバルク状の素子を得ることが開示されている。
特許第5763683号公報 特開2011−73937公報 特開2017−94442号公報
上記特許文献1の場合、熱処理すなわちアニールによる生成物を粉砕した後、再度、熱処理すなわち焼成を行うことで、イットリウムイオンが焼成ガス中に揮散してしまい、最終的に得られるセラミックスの組成が所望の組成からずれてしまい、所望の特性が得られないという問題があった。
また、上記特許文献2では、異なる酸化物同士を高温で同時に焼成することで異種界面に不要な元素拡散が生じやすく、内部に酸素空孔等の欠陥が生成するため、蛍光体としての特性が低下してしまうという問題があった。
また、上記特許文献3では、高温での再焼成の際、結晶の相転移や酸素欠陥の生成に伴う不純物結晶が形成されやすく、超伝導体としての主特性である磁場中臨界電流密度が低下してしまうという問題があった。
上記のような問題を回避するため焼成助剤を添加することもあるが、この場合、反応焼成を伴うことが有り、融剤の熱分解や相変態にともなう発熱の際に水や酸等の副生物が発生することで、異種材料界面をエッチングする問題があった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
本発明の適用例に係る固体組成物は、第1の機能性セラミックスで構成された第1の粒子と、
前記第1の機能性セラミックスとは異なる組成の酸化物と、
オキソ酸化合物とを含む。
また、本発明の適用例に係る機能性セラミックス成形体の製造方法は、本発明に係る固体組成物を用いて成形体を得る成形工程と、
前記成形体に対して熱処理を施すことにより、前記固体組成物中の前記酸化物と前記オキソ酸化合物とを反応させ、第2の機能性セラミックスへと変換し、前記第1の機能性セラミックスおよび前記第2の機能性セラミックスを含む機能性セラミックス成形体を形成する熱処理工程とを有する。
図1は、本発明の固体組成物を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]固体組成物
まず、本発明の固体組成物について説明する。
図1は、本発明の固体組成物を模式的に示す断面図である。
本発明の固体組成物は、後に詳述する機能性セラミックス成形体の形成に用いられるものである。特に、固体組成物は、第1の機能性セラミックスで構成された第1の粒子と、前記第1の機能性セラミックスとは異なる組成の酸化物と、オキソ酸化合物とを含む。前記酸化物と前記オキソ酸化合物とは、互いに反応することにより、第2の機能性セラミックスへと変換されるものである。
このような構成により、緻密度が高く、信頼性の高い機能性セラミックス成形体の製造に好適に用いることができる固体組成物を提供することができる。より具体的には、オキソ酸化合物が含まれることにより、固体組成物中に含まれる前記酸化物の融点を低下させることができる。これにより、比較的低温、比較的短時間の熱処理である焼成処理で、結晶成長を促進しつつ、固体組成物の構成材料である前記酸化物を第2の機能性セラミックスへと変換するとともに、当該第2の機能性セラミックスと第1の粒子を構成する第1の機能性セラミックスとの密着性や、後に詳述する第2の粒子に対応する第2の機能性セラミックスの粒子同士の密着性等を優れたものとすることができる。その結果、形成される機能性セラミックス成形体は、緻密度が高く、不本意な組成の変化や結晶の相転移等が効果的に防止され、信頼性の高いものとなる。
これに対し、上記のような条件を満たさない場合には、満足のいく結果が得られない。
例えば、固体組成物が、前記第1の機能性セラミックスで構成された粒子のみで構成されている場合、当該組成物を焼成した際に、当該粒子間に空隙が残りやすく、緻密度が十分に高い機能性セラミックスの成形体を得ることができない。その結果、得られる機能性セラミックスの成形体は、緻密度が低く、信頼性に劣ったものとなる。特に、組成物の焼成を後述するような比較的低い温度で行った場合に、このような問題がより顕著に発生する。
また、固体組成物が前記酸化物とともにオキソ酸化合物を含むものであっても、固体組成物が第1の機能性セラミックスを含んでいないと、当該固体組成物を焼成した際に、緻密度を十分に高めることが困難となる。
また、固体組成物が第1の粒子とともに前記酸化物を含むものであっても、固体組成物がオキソ酸化合物を含んでいないと、前記酸化物の融点を低下させる効果が得られず、固体組成物を焼成した際に、粒子間に空隙が残りやすく、緻密度が十分に高い機能性セラミックスの成形体を得ることができない。特に、組成物の焼成を後述するような比較的低い温度で行った場合に、このような問題がより顕著に発生する。
また、固体組成物が第1の粒子とともにオキソ酸化合物を含むものであっても、固体組成物が前記酸化物を含んでいないと、第2の機能性セラミックスを形成することができない。その結果、最終的に得られる機能性セラミックス中に、第1の機能性セラミックスおよび第2の機能性セラミックスのいずれでもない、オキソ酸化合物由来の不純物が含まれることとなり、機能性セラミックスの成形体の特性、信頼性が低下する。
上記のように、前記酸化物は、オキソ酸化合物と反応することにより、第2の機能性セラミックスへと変換されるものである。言い換えると、前記酸化物は、第2の機能性セラミックスの前駆体であると言える。したがって、以下の説明では、前記酸化物を「前駆酸化物」とも言う。
本発明の固体組成物は、第1の粒子と、前駆酸化物と、オキソ酸化合物とを含むものであればよく、これらをいかなる形態で含んでいてもよいが、図1に示す構成では、固体組成物P100は、第1の粒子P1と、前駆酸化物およびオキソ酸化合物を含む材料で構成された第2の粒子P2とを含んでいる。言い換えると、前駆酸化物およびオキソ酸化合物は、第1の粒子P1はと異なる第2の粒子P2中に含まれる。
このような構成により、後に詳述する機能性セラミックス成形体の製造時に、前駆酸化物とオキソ酸化合物との反応をより効率よく進行させることができ、得られる機能性セラミックス成形体を、より緻密度が高く、信頼性がより高いものとすることができる。また、機能性セラミックス成形体の生産性をより優れたものとすることができる。
以下、固体組成物P100が第1の粒子P1および第2の粒子P2を含むものである場合について中心的に説明する。
[1−1]第1の粒子
第1の粒子P1は、第1の機能性セラミックスで構成されたものである。
[1−1−1]第1の機能性セラミックス
第1の機能性セラミックスは、それ自体が機能性セラミックスとして機能するものであれば、いかなる組成のものであってもよく、例えば、酸硫化物、酸窒化物であってもよいが、酸化物であるのが好ましい。
これにより、有毒ガスの発生が押さえられ、大気安定性が向上する。
第1の機能性セラミックスとしては、いかなる結晶相を有するものであってもよく、例えば、ガーネット型酸化物セラミックス、ペロブスカイト型酸化物セラミックス等が挙げられる。
ガーネット型酸化物セラミックスとしては、例えば、イットリウムアルミニウムガーネットセラミックス、イットリウム鉄ガーネットセラミックス、セリウム固溶イットリウムアルミニウムガーネット、セリウム固溶イットリウム鉄ガーネット等が挙げられる。
ペロブスカイト型酸化物セラミックスとしては、例えば、イットリウムバリウム銅ペロブスカイト等が挙げられる。
[1−1−2]その他の成分
第1の粒子P1は、前述した第1の機能性セラミックスを含む材料で構成されていればよく、第1の機能性セラミックスに加えて、さらに、他の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、後に詳述するような前駆酸化物、オキソ酸化合物、第2の機能性セラミックス、固体組成物P100の製造過程で用いた溶媒成分等が挙げられる。
ただし、第1の粒子P1中における第1の機能性セラミックス以外の成分の含有率は、10質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以下であるのがより好ましく、0.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1−1−3]第1の粒子の全体構成
第1の粒子P1の平均粒径は、特に限定されないが、1.0μm以上20μm以下であるのが好ましく、2.0μm以上10μm以下であるのがより好ましく、3.0μm以上5.0μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100の流動性、取り扱いのしやすさをより良好なものとすることができる。また、固体組成物P100を用いて製造される機能性セラミックス成形体において、第1の機能性セラミックスと第2の機能性セラミックスとを、より好適な形態で分布させることができ、機能性セラミックス成形体中における不本意な組成のばらつき等を抑制することができ、機能性セラミックス成形体の緻密度、信頼性をより優れたものとすることができる。また、固体組成物P100の生産性の向上、生産コストの低減の観点からも有利である。
なお、本明細書において、平均粒径とは、体積基準の平均粒径を言い、例えば、サンプルをメタノールに添加し、超音波分散器で3分間分散した分散液をコールターカウンター法粒度分布測定器(COULTER ELECTRONICS INS製TA−II型)にて、50μmのアパチャーを用いて測定することにより求めることができる。
図中、第1の粒子P1は、真球状をなすものであるが、第1の粒子P1の形状は、これに限定されない。
固体組成物P100は、通常、複数個の第1の粒子P1を含んでいるが、例えば、条件が互いに異なる第1の粒子P1を含んでいてもよい。例えば、固体組成物P100は、粒径、形状、組成のうち少なくとも1つが異なる第1の粒子P1を含んでいてもよい。
固体組成物P100中における第1の粒子P1の含有率は、40質量%以上95質量%以下であるのが好ましく、45質量%以上90質量%以下であるのがより好ましく、57質量%以上83質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100中における第1の粒子P1と第2の粒子P2との比率を好適な範囲に調整しやすくなり、固体組成物P100を用いて製造される機能性セラミックス成形体を、緻密度、信頼性等がより優れたものとすることができる。
[1−2]第2の粒子
第2の粒子P2は、第1の粒子P1と組成が異なるものである。
第2の粒子P2は、第1の機能性セラミックスとは異なる組成の酸化物すなわち前駆酸化物と、オキソ酸化合物とを含むものである。
[1−2−1]前駆酸化物
第2の粒子P2を構成する前駆酸化物は、第1の粒子P1を構成する第1の機能性セラミックスとは異なるものである。より具体的には、例えば、第1の粒子P1を構成する第1の機能性セラミックスが酸化物機能性セラミックスである場合でも、第2の粒子P2を構成する前駆酸化物は、第1の粒子P1を構成する酸化物とは、組成や常温常圧での結晶相等が異なるものである。
なお、本明細書において、常温常圧とは、25℃、1気圧のことを言う。また、本明細書において、結晶相について「異なる」とは、結晶相の型が同一でないことの他、型が同じでも少なくとも1つの格子定数が異なるもの等をも含む広い概念である。
前駆酸化物は、いかなる結晶相を有するものであってもよく、前駆酸化物の結晶相としては、例えば、ペロブスカイト型結晶、立方晶型結晶、YFeO型結晶、直方晶、六方晶等が挙げられる。
ペロブスカイト型結晶の前駆酸化物を含む固体組成物は、比較的低温、例えば、700℃以上1000℃以下の温度領域、特に、800℃以上950℃以下の温度領域での加熱により、立方晶ガーネット型結晶で構成された高品質の第2の機能性セラミックスを得ることができる。
また、立方晶型結晶の前駆酸化物を含む固体組成物は、比較的低温、例えば、700℃以上1000℃以下の温度領域、特に、800℃以上950℃以下の温度領域での加熱により、ペロブスカイト型結晶で構成された高品質の第2の機能性セラミックスを得ることができる
また、YFeO型結晶の前駆酸化物を含む固体組成物は、比較的低温、例えば、700℃以上1000℃以下の温度領域、特に、720℃以上800℃以下の温度領域での加熱により、ガーネット型結晶で構成された高品質の第2の機能性セラミックスを得ることができる。
前駆酸化物の組成は、特に限定されず、通常、前駆酸化物により形成される第2の機能性セラミックスの組成に応じて決定される。
例えば、前駆酸化物により形成される第2の機能性セラミックスが、蛍光体セラミックス等として使用されるYAG:Ce3+、すなわち、セリウム固溶イットリウムアルミニウムガーネットである場合、前駆酸化物は、イットリウム、アルミニウムおよびセリウムを含む複酸化物であるのが好ましい。
また、前駆酸化物により形成される第2の機能性セラミックスが、超伝導体セラミックス等として使用されるYBCO、すなわち、イットリウムバリウム銅ペロブスカイトである場合、前駆酸化物は、イットリウム、バリウムおよび銅を含む複酸化物であるのが好ましい。
前駆酸化物の結晶粒径は、特に限定されないが、10nm以上200nm以下であるのが好ましく、15nm以上180nm以下であるのがより好ましく、20nm以上160nm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、表面エネルギーの増大に伴う融点降下現象である、いわゆる、Gibbs−Thomson効果によって、前駆酸化物の溶融温度や、固体組成物P100の焼成温度をさらに低下させることができる。また、固体組成物P100を用いて形成される機能性セラミックス成形体と、異種材料との接合を向上させたり、欠陥密度を低減したりするうえでも有利である。
前駆酸化物は、実質的に単独の結晶相で構成されているものであるのが好ましい。
これにより、固体組成物P100を用いて機能性セラミックス成形体を製造する際、すなわち、高温結晶相が生成する際に経る結晶相遷移が実質的に1回になるため、結晶相転移にともなう元素の偏析や熱分解による夾雑結晶の生成が抑制され、製造される機能性セラミックス成形体の各種特性がさらに向上する。
なお、前駆酸化物について、TG−DTAで昇温レート10℃/分で測定した際に、300℃以上1000℃以下の範囲における発熱ピークが1つのみ観測される場合には、「実質的に単独の結晶相で構成されている」と判断することができる。
第2の粒子P2中における前駆酸化物の含有率は、特に限定されないが、20質量%以上95質量%以下であるのが好ましく、35質量%以上85質量%以下であるのがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100に対する熱処理を、より低温、より短時間とした場合であっても、固体組成物P100を用いて製造される機能性セラミックス成形体の緻密度、信頼性を十分に優れたものとすることができる。
固体組成物P100を構成する複数個の第2の粒子P2において、前駆酸化物の含有率が異なっていてもよい。このような場合、第2の粒子P2中における前駆酸化物の含有率の値としては、固体組成物P100を構成する複数個の第2の粒子P2についての前駆酸化物の含有率の平均値を採用するものとする。言い換えると、固体組成物P100を構成するすべての第2の粒子P2の集合体の質量に対する前駆酸化物の全質量の割合を採用するものとする。
また、固体組成物P100は、複数種の前駆酸化物を含有していてもよい。この場合、単一の第2の粒子P2中に複数種の前駆酸化物が含まれていてもよいし、固体組成物P100が複数種の第2の粒子P2として、含有する前駆酸化物の種類が異なるものを含んでいてもよい。
[1−2−2]オキソ酸化合物
第2の粒子P2は、オキソ酸化合物を含む。
このようにオキソ酸化合物を含むことにより、前駆酸化物の融点を好適に降下させ、機能性セラミックスとしての複酸化物の結晶成長を促進することができ、比較的低温でかつ比較的短時間での熱処理により、所望の特性を有する第2の機能性セラミックスを安定的に形成することができる。また、製造される機能性セラミックス成形体の緻密度をより優れたものとすることができる。
オキソ酸化合物は、オキソアニオンを含む化合物である。
オキソ酸化合物を構成するオキソアニオンは、金属元素を含まないものであり、例えば、ハロゲンオキソ酸;ホウ酸イオン;炭酸イオン;オルト炭酸イオン;カルボン酸イオン;ケイ酸イオン;亜硝酸イオン;硝酸イオン;亜リン酸イオン;リン酸イオン;ヒ酸イオン;亜硫酸イオン;硫酸イオン;スルホン酸イオン;スルフィン酸イオン等が挙げられる。ハロゲンオキソ酸としては、例えば、次亜塩素酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、次亜臭素酸イオン、亜臭素酸イオン、臭素酸イオン、過臭素酸イオン、次亜ヨウ素酸イオン、亜ヨウ素酸イオン、ヨウ素酸イオン、過ヨウ素酸イオン等が挙げられる。
特に、オキソ酸化合物は、オキソアニオンとして、硝酸イオン、硫酸イオンのうちの少なくとも一方を含んでいるのが好ましく、硝酸イオンを含んでいるのがより好ましい。
これにより、前駆酸化物の融点をより好適に降下させ、機能性セラミックスとしての複酸化物の結晶成長をより効果的に促進することができ、より低温でかつより短時間での熱処理により、所望の特性を有する第2の機能性セラミックスをより安定的に形成することができる。また、製造される機能性セラミックス成形体の緻密度をさらに優れたものとすることができる。
オキソ酸化合物を構成するカチオンとしては、特に限定されず、例えば、水素イオン、アンモニウムイオン、イットリウムイオン、アルミニウムイオン、セリウムイオン、バリウムイオン、銅イオン等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、第2の粒子P2により形成される第2の機能性セラミックスの構成金属元素のイオンであるのが好ましい。
これにより、形成される第2の機能性セラミックス中に、好ましくない不純物が残存することをより効果的に防止することができる。
第2の粒子P2中におけるオキソ酸化合物の含有率は、特に限定されないが、0.1質量%以上20質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以上5質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100により形成される機能性セラミックス成形体中に、オキソ酸化合物が不本意に残存することをより確実に防止しつつ、固体組成物P100に対する熱処理を、より低温、より短時間とした場合であっても、緻密度、信頼性に優れた機能性セラミックス成形体をより好適に得ることができる。
固体組成物P100を構成する複数個の第2の粒子P2において、オキソ酸化合物の含有率が異なっていてもよい。このような場合、第2の粒子P2中におけるオキソ酸化合物の含有率の値としては、固体組成物P100を構成する複数個の第2の粒子P2についてのオキソ酸化合物の含有率の平均値を採用するものとする。言い換えると、固体組成物P100を構成するすべての第2の粒子P2の集合体の質量に対するオキソ酸化合物の全質量の割合を採用するものとする。
また、固体組成物P100は、複数種のオキソ酸化合物を含有していてもよい。この場合、単一の第2の粒子P2中に複数種のオキソ酸化合物が含まれていてもよいし、固体組成物P100が複数種の第2の粒子P2として、含有するオキソ酸化合物の種類が異なるものを含んでいてもよい。
固体組成物P100中における前駆酸化物の含有率をXP[質量%]、固体組成物P100中におけるオキソ酸化合物の含有率をXO[質量%]としたとき、0.001≦XO/XP≦0.5の関係を満足するのが好ましく、0.01≦XO/XP≦0.1の関係を満足するのがより好ましく、0.02≦XO/XP≦0.05の関係を満足するのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100により形成される機能性セラミックス中に、オキソ酸化合物が不本意に残存することをより確実に防止しつつ、固体組成物P100に対する熱処理を、より低温、より短時間とした場合であっても、緻密度、信頼性に優れた機能性セラミックス成形体をより好適に得ることができる。
[1−2−3]その他の成分
第2の粒子P2は、前述したような、前駆酸化物およびオキソ酸化合物を含んでいるが、さらに、これら以外の成分を含んでいてもよい。以下、第2の粒子P2を構成する成分のうち、前駆酸化物、オキソ酸化合物以外の成分を「その他の成分」という。
第2の粒子P2中に含まれるその他の成分としては、例えば、第1の機能性セラミックス、第2の機能性セラミックス、固体組成物P100の製造過程で用いた溶媒成分等が挙げられる。
第2の粒子P2中におけるその他の成分の含有率は、特に限定されないが、10質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以下であるのがより好ましく、0.5質量%以下であるのがさらに好ましい。
[1−2−4]第2の粒子の全体構成
第2の粒子P2の平均粒径は、特に限定されないが、0.1μm以上20μm以下であるのが好ましく、1μm以上10μm以下であるのがより好ましく、3μm以上5μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100の流動性、取り扱いのしやすさをより良好なものとすることができる。また、固体組成物P100を用いて製造される機能性セラミックス成形体において、第1の機能性セラミックスと第2の機能性セラミックスとを、より好適な形態で分布させることができ、機能性セラミックス成形体中における不本意な組成のばらつき等を抑制することができ、機能性セラミックス成形体の緻密度、信頼性をより優れたものとすることができる。また、固体組成物P100の生産性の向上、生産コストの低減の観点からも有利である。
第1の粒子P1の平均粒径をD1[μm]、第2の粒子P2の平均粒径をD2[μm]としたとき、0.1≦D2/D1≦2.0の関係を満たすのが好ましく、0.2≦D2/D1≦1.5の関係を満たすのがより好ましく、0.3≦D2/D1≦1.0の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100中において、第1の粒子P1および第2の粒子P2の分布に不本意なむらが生じることをより効果的に防止することができる。その結果、固体組成物P100を用いて製造される機能性セラミックス成形体の各部位での不本意な組成のむら等をより効果的に防止することができ、機能性セラミックス成形体の緻密度をより高めることができる。また、固体組成物P100の流動性、取り扱いのしやすさをより良好なものとすることができる。また、固体組成物P100を用いて製造される機能性セラミックス成形体において、第1の機能性セラミックスと第2の機能性セラミックスとを、より好適な形態で分布させることができ、機能性セラミックス成形体中における不本意な組成のばらつき等を抑制することができ、機能性セラミックス成形体の緻密度、信頼性をより優れたものとすることができる。
図中、第2の粒子P2は、真球状をなすものであるが、第2の粒子P2の形状は、これに限定されない。
固体組成物P100は、通常、複数個の第2の粒子P2を含んでいるが、例えば、条件が互いに異なる第2の粒子P2を含んでいてもよい。例えば、固体組成物P100は、粒径、形状、組成のうち少なくとも1つが異なる第2の粒子P2を含んでいてもよい。
固体組成物P100中における第2の粒子P2の含有率は、2質量%以上55質量%以下であるのが好ましく、10質量%以上45質量%以下であるのがより好ましく、25質量%以上35質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100中における第1の粒子P1と第2の粒子P2との比率を好適な範囲に調整しやすくなり、固体組成物P100を用いて製造される機能性セラミックス成形体を、緻密度、信頼性等がより優れたものとすることができる。
固体組成物P100中における、第1の粒子P1の含有率をX1[質量%]、第2の粒子P2の含有率をX2[質量%]としたとき、0.05≦X2/X1≦1.20の関係を満たすのが好ましく、0.10≦X2/X1≦1.00の関係を満たすのがより好ましく、0.20≦X2/X1≦0.70の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、固体組成物P100を用いて製造される機能性セラミックス成形体を、緻密度、信頼性等がより優れたものとすることができる。
[1−3]その他の構成
固体組成物P100は、前述した第1の粒子P1および第2の粒子P2に加えて、さらに、他の構成を有していてもよい。このような構成としては、例えば、前駆酸化物を含みオキソ酸化合物を含まない材料で構成された粒子、オキソ酸化合物を含み前駆酸化物を含まない材料で構成された粒子、第2の機能性セラミックスで構成された粒子等が挙げられる。
ただし、固体組成物P100中における、第1の粒子P1および第2の粒子P2以外の構成の占める割合は、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましく、5.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、固体組成物P100は、第1の粒子P1と第2の粒子P2とが凝集した凝集体を含んでいてもよい。
[2]固体組成物の製造方法
次に、前述した固体組成物の製造方法について説明する。
本発明の固体組成物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、本発明の固体組成物P100は、第1の粒子P1と第2の粒子P2とを混合することにより、好適に製造することができる。
[2−1]第1の粒子の製造
第1の粒子P1は、例えば、第1の機能性セラミックスを構成する各金属元素に対応する複数種の金属化合物を用意し、これらを第1の機能性セラミックスの構成金属元素に対応する比率で混合し、これらの混合物を高温で焼成することにより得ることができる。
金属化合物を構成する金属元素は、製造すべき第1の機能性セラミックスによって異なる。
金属化合物としては、例えば、金属酸化物、金属塩等を用いることができる。
混合物の焼成温度は、特に限定されないが、例えば、1100℃以上1500℃以下とすることができる。
焼成により得られた第1の機能性セラミックスに対しては、必要に応じて、粉砕、分級等の処理を施してもよい。
また、第1の粒子P1は、例えば、後述する第2の粒子P2の製造方法で説明するのと同様の方法で得られた前駆酸化物およびオキソ酸化合物を含む組成物に対して、焼成処理を施すことにより得ることができる。
この場合、前記焼成処理での加熱温度は、700℃以上1000℃以下であるのが好ましく、730℃以上980℃以下であるのがより好ましく、750℃以上950℃以下であるのがさらに好ましく、780℃以上930℃以下であるのがもっとも好ましい。
[2−2]第2の粒子の製造
第2の粒子P2は、例えば、以下のようにして製造することができる。
[2−2−1]混合液の用意
まず、前駆酸化物を構成する金属元素を分子内に含む複数種の金属化合物と、溶媒とを含有する混合液を用意する。
この混合液は、例えば、前駆酸化物を構成する金属元素を分子内に含む複数種の金属化合物を、化学量論的に、最終的に形成すべき機能性セラミックスの組成に対応するような比率で混合することにより得ることができる。なお、溶媒を含む溶液の代わりに、分散媒を含む分散液を用いてもよい。
前記混合液の調製には、例えば、金属化合物とは別の化合物として、オキソ酸化合物を用いてもよい。また、金属化合物としてオキソ酸化合物に対応するオキソアニオンを含む化合物を用いることにより、前述した金属化合物に加えて、当該金属化合物とは異なるオキソ酸化合物を、別途用いる必要がない。
また、オキソ酸化合物は、後述する第1の熱処理の処理中やその後に添加してもよいし、第2の熱処理の処理中やその後に添加してもよいが、以下、混合液の調製に用いる前記金属化合物のうちの少なくとも1種が、オキソ酸化合物に対応するオキソアニオンを含むものである場合について中心的に説明する。
前駆酸化物を構成する金属元素を分子内に含む金属化合物としては、例えば、以下のような化合物を用いることができる。
すなわち、イットリウム源としてのイットリウム化合物としては、例えば、イットリウム金属塩、イットリウムアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。イットリウム金属塩としては、例えば、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、硫酸イットリウム、酢酸イットリウム、水酸化イットリウム、炭酸イットリウム等が挙げられる。また、イットリウムアルコキシドとしては、例えば、イットリウムメトキシド、イットリウムエトキシド、イットリウムプロポキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムノルマルブトキシド、イットリウムイソブトキシド、イットリウムセカンダリーブトキシド、イットリウムターシャリーブトキシド、ジピバロイルメタナトイットリウム等が挙げられる。上記のようなイットリウム化合物を用いることにより、本発明の固体組成物を用いて、機能性セラミックスとして、例えば、蛍光体セラミックス等として使用されるYAG:Ce3+、すなわち、セリウム固溶イットリウムアルミニウムガーネットや、超伝導体セラミックス等として使用されるYBCO、すなわち、イットリウムバリウム銅ペロブスカイトを好適に製造することができる。中でも、イットリウム化合物としては、イットリウムエトキシド、硝酸イットリウムのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。イットリウム源としては、水和物を用いてもよい。
また、アルミニウム源としてのアルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウム金属塩、アルミニウムアルコキシド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。アルミニウム金属塩としては、例えば、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等が挙げられる。また、アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリノルマルブトキシド、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリセカンダリーブトキシド、アルミニウムトリターシャリーブトキシド、ジピバロイルメタナトアルミニウム等が挙げられる。上記のようなアルミニウム化合物を用いることにより、本発明の固体組成物を用いて、機能性セラミックスとして、例えば、蛍光体セラミックス等として使用されるYAG:Ce3+、すなわち、セリウム固溶イットリウムアルミニウムガーネットを好適に製造することができる。中でも、アルミニウム化合物としては、硝酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシドのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。アルミニウム源としては、水和物を用いてもよい。
また、セリウム源としてのセリウム化合物としては、例えば、セリウム金属塩、セリウムアルコキシド等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。セリウム金属塩としては、例えば、塩化セリウム、臭化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム等が挙げられる。また、セリウムアルコキシドとしては、例えば、セリウムトリメトキシド、セリウムトリエトキシド、セリウムトリイソプロポキシド、セリウムトリノルマルプロポキシド、セリウムトリイソブトキシド、セリウムトリノルマルブトキシド、セリウムトリセカンダリーブトキシド、セリウムトリターシャリーブトキシド等が挙げられる。上記のようなセリウム化合物を用いることにより、本発明の固体組成物を用いて、機能性セラミックスとして、例えば、蛍光体セラミックス等として使用されるYAG:Ce3+、すなわち、セリウム固溶イットリウムアルミニウムガーネットを好適に製造することができる。中でも、セリウム化合物としては、硝酸セリウム、セリウムトリイソプロポキシドのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。セリウム源としては、水和物を用いてもよい。
また、バリウム源としてのバリウム化合物としては、例えば、バリウム金属塩、有機バリウム化合物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。バリウム金属塩としては、例えば、塩化バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、酢酸バリウム等が挙げられる。また、有機バリウム化合物としては、例えば、ジメトキシバリウム、ジエトキシバリウム、ジプロポキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジノルマルブトキシバリウム、ジイソブトキシバリウム、ジセカンダリーブトキシバリウム、ジターシャリーブトキシバリウム、ジピバロイルメタナトバリウム等が挙げられる。上記のようなバリウム化合物を用いることにより、本発明の固体組成物を用いて、機能性セラミックスとして、例えば、超伝導体セラミックス等として使用されるYBCO、すなわち、イットリウムバリウム銅ペロブスカイトを好適に製造することができる。中でも、バリウム化合物としては、硝酸バリウム、ジエトキシバリウムのうちの少なくとも一方であるのが好ましい。バリウム源としては、水和物を用いてもよい。
また、銅源としての銅化合物としては、例えば、銅金属塩、有機銅化合物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。銅金属塩としては、例えば、塩化銅、臭化銅、硝酸銅、硫酸銅等が挙げられる。また、有機銅化合物としては、例えば、銅ジメトキシド、銅ジエトキシド、銅ジイソプロポキシド、銅ジノルマルプロポキシド、銅ジイソブトキシド、銅ジノルマルブトキシド、銅ジセカンダリーブトキシド、銅ジターシャリーブトキシド、ビス(ジピバロイルメタナト)銅等が挙げられる。上記のような銅化合物を用いることにより、本発明の固体組成物を用いて、機能性セラミックスとして、例えば、超伝導体セラミックス等として使用されるYBCO、すなわち、イットリウムバリウム銅ペロブスカイトを好適に製造することができる。中でも、銅化合物としては、硝酸銅、ビス(ジピバロイルメタナト)銅のうちの少なくとも一方であるのが好ましい。銅源としては、水和物を用いてもよい。
前記溶媒としては、特に限定されず、例えば、各種の有機溶媒を用いることができるが、より具体的には、例えば、アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、有機酸類、芳香族類、アミド類等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上の組み合わせである混合溶媒を用いることができる。アルコール類としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、アリルアルコール、2−n−ブトキシエタノール等が挙げられる。グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。有機酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸、2−エチル酪酸、プロピオン酸等が挙げられる。芳香族類としては、例えば、トルエン、o−キシレン、p−キシレン等が挙げられる。アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。中でも、溶媒としては、2−n−ブトキシエタノールおよびプロピオン酸のうちの少なくとも一方であるのが好ましい。
[2−2−2]第1の熱処理
上記のようにして用意した混合液に対して、第1の熱処理を施す。これにより、混合液は、通常、ゲル化する。
第1の熱処理の条件は、溶媒の沸点や蒸気圧等によるが、第1の熱処理での加熱温度は、50℃以上250℃以下であるのが好ましく、60℃以上230℃以下であるのがより好ましく、80℃以上200℃以下であるのがさらに好ましい。第1の熱処理中において、加熱温度は変更してもよい。例えば、第1の熱処理は、比較的低温に保持して熱処理を行う第1の段階と、第1の段階後に昇温して比較的高温での熱処理を行う第2の段階とを有するものであってもよい。このような場合、第1の熱処理時における最高温度が前述した範囲に含まれているのが好ましい。
また、第1の熱処理での加熱時間は、10分間以上180分間であるのが好ましく、20分間以上120分間であるのがより好ましく、30分間以上60分間であるのがさらに好ましい。
第1の熱処理は、いかなる雰囲気で行ってもよく、空気中や酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気中で行ってもよいし、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で行ってもよい。また、第1の熱処理は、減圧または真空下、加圧下で行ってもよい。
また、第1の熱処理中において、雰囲気は、実質的に同一の条件に保持してもよいし、異なる条件に変更してもよい。例えば、第1の熱処理は、常圧環境下で熱処理を行う第1の段階と、第1の段階後に減圧環境下で熱処理を行う第2の段階とを有するものであってもよい。
[2−2−3]第2の熱処理
その後、第1の熱処理により得られた混合物、すなわち、ゲル状の混合物に対して、第2の熱処理を施す。
これにより、前駆酸化物と、オキソ酸化合物とを含む第2の粒子P2、または、第2の粒子P2と同様の組成を有する組成物が得られる。
第2の熱処理の条件は、形成される前駆酸化物の組成等によるが、第2の熱処理での加熱温度は、400℃以上600℃以下であるのが好ましく、430℃以上570℃以下であるのがより好ましく、450℃以上550℃以下であるのがさらに好ましい。第2の熱処理中において、加熱温度は変更してもよい。例えば、第2の熱処理は、比較的低温に保持して熱処理を行う第1の段階と、第1の段階後に昇温して比較的高温での熱処理を行う第2の段階とを有するものであってもよい。このような場合、第2の熱処理時における最高温度が前述した範囲に含まれているのが好ましい。
また、第2の熱処理での加熱時間は、5分間以上180分間であるのが好ましく、10分間以上120分間であるのがより好ましく、15分間以上60分間であるのがさらに好ましい。
第2の熱処理は、いかなる雰囲気で行ってもよく、空気中や酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気中で行ってもよいし、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で行ってもよい。また、第2の熱処理は、減圧または真空下、加圧下で行ってもよい。特に、第2の熱処理は、酸化性雰囲気中で行うのが好ましい。
また、第2の熱処理中において、雰囲気は、実質的に同一の条件に保持してもよいし、異なる条件に変更してもよい。例えば、第2の熱処理は、不活性ガス雰囲気中で熱処理を行う第1の段階と、第1の段階後に酸化性雰囲気中で熱処理を行う第2の段階とを有するものであってもよい。
このようにして得られる第2の粒子P2、または、第2の粒子P2と同様の組成を有する組成物に対しては、例えば、粉砕処理を施して、第2の粒子P2の粒径を調整してもよい。
上記のようにして得られる第2の粒子P2は、通常、その製造過程で用いた溶媒のほとんどが除去されたものであるが、一部の溶媒が残存していてもよい。ただし、第2の粒子P2中における溶媒の含有率は、1.0質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以下であるのがより好ましい。
上記のようにして得られた第2の粒子P2は、後に詳述するように加熱すること、特に、前述した第2の熱処理よりも高い温度で加熱することにより、第2の機能性セラミックスとなる。
したがって、第2の粒子P2から第2の機能性セラミックスを得るための熱処理を本焼成とするならば、前述した第2の熱処理は仮焼成ということができる。また、後に詳述する熱処理により得られる第2の機能性セラミックスを本焼成体とするならば、前述した第2の熱処理を経て得られる第2の粒子P2は、仮焼成体ということができる。
[2−3]第1の粒子と第2の粒子との混合
その後、上記のようにして得られた第1の粒子P1と第2の粒子P2とを混合することにより、固体組成物P100が得られる。
第1の粒子P1と第2の粒子P2との混合方法は、特に限定されず、例えば、湿式混合でもよいが、乾式混合であるのが好ましい。
[3]機能性セラミックス成形体の製造方法
次に、本発明の機能性セラミックス成形体の製造方法について説明する。
本発明の機能性セラミックス成形体の製造方法は、前述した本発明の固体組成物を用いて成形体を得る成形工程と、前記成形体に対して熱処理を施すことにより、前記固体組成物中の前駆酸化物とオキソ酸化合物とを反応させ、第2の機能性セラミックスへと変換し、第1の機能性セラミックスおよび第2の機能性セラミックスを含む機能性セラミックス成形体を形成する熱処理工程とを有する。
これにより、緻密度が高く、信頼性の高い機能性セラミックス成形体の製造方法を提供することができる。
[3−1]成形工程
成形工程では、前述した本発明の固体組成物P100を用いて成形体を得る。
本工程では、固体組成物P100そのものを成形してもよいし、固体組成物P100と他の成分との混合物を成形してもよい。
このような他の成分としては、例えば、固体組成物P100の構成粒子、すなわち、第1の粒子P1や第2の粒子P2を分散させる分散媒、バインダー等が挙げられる。このような成分は、例えば、固体組成物P100と混合した状態で、成形体の製造に用いることができる。
特に、分散媒を用いることにより、例えば、成形体の製造に用いる組成物、すなわち、固体組成物P100を含む組成物をペースト状等とすることができ、当該組成物の流動性、取り扱いのしやすさが向上し、成形体の成形性が向上する。
ただし、成形体の製造に用いる組成物中における前記他の成分の含有率は、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、固体組成物P100を用いて成形体を得た後、当該成形体の形状の安定性や、本発明の方法を用いて製造される機能性セラミックス成形体の性能向上等の目的で、当該成形体に他の成分を付与してもよい。
また、成形工程では、複数種の本発明の固体組成物P100を組み合わせて用いてもよい。例えば、第1の粒子P1、第2の粒子P2等の条件や、これらの配合比率が異なる複数種の固体組成物P100を、混合して用いてもよい。
成形体を得るための成形方法としては、各種成形方法を採用することができ、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、各種印刷法、各種塗装法等が挙げられる。
本工程で得る成形体の形状は、特に限定されないが、通常、目的とする機能性セラミックス成形体の形状に対応するものである。なお、本工程で得る成形体は、例えば、後の工程で除去される部位や熱処理工程での収縮分等を考慮して、目的とする機能性セラミックス成形体とは異なる形状、大きさのものとしてもよい。
[3−2]熱処理工程
熱処理工程では、成形工程で得られた前記成形体に対して熱処理を施す。これにより、第2の粒子P2の構成材料を第2の機能性セラミックスへと変換し、第1の機能性セラミックスおよび第2の機能性セラミックスを含む機能性セラミックス成形体を得る。
このようにして得られる機能性セラミックス成形体は、第1の機能性セラミックスと第2の機能性セラミックスとの密着性等に優れており、これらの間に不本意な空隙が生じることが効果的に防止されている。したがって、得られる機能性セラミックス成形体は、緻密度が高く、信頼性の高いものとなる。
熱処理工程での前記成形体の加熱温度は、特に限定されないが、700℃以上1000℃以下であるのが好ましく、730℃以上980℃以下であるのがより好ましく、750℃以上950℃以下であるのがさらに好ましい。
このような温度で加熱することにより、得られる機能性セラミックス成形体の緻密度を十分に高いものとしつつ、加熱時に、固体組成物P100の構成成分、特に、機能性セラミックス成形体を構成すべき成分が不本意に揮発することをより確実に防止することができ、所望の組成を有する機能性セラミックス成形体をより確実に得ることができる。また、比較的低温での加熱処理を行うことにより、省エネルギー、機能性セラミックス成形体の生産性の向上等の観点からも有利である。
本工程中において、加熱温度は変更してもよい。例えば、本工程は、比較的低温に保持して熱処理を行う第1の段階と、第1の段階後に昇温して比較的高温での熱処理を行う第2の段階とを有するものであってもよい。このような場合、本工程における最高温度が前述した範囲に含まれているのが好ましい。
本工程における加熱時間は、特に限定されないが、5分間以上300分間以下であるのが好ましく、10分間以上120分間以下であるのがより好ましく、15分間以上60分間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
本工程は、いかなる雰囲気で行ってもよく、空気中や酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気中で行ってもよいし、窒素ガスや、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス等の非酸化性雰囲気中で行ってもよい。また、本工程は、減圧または真空下、加圧下で行ってもよい。特に、本工程は、酸化性雰囲気中で行うのが好ましい。
また、本工程中において、雰囲気は、実質的に同一の条件に保持してもよいし、異なる条件に変更してもよい。
本発明の機能性セラミックス成形体の製造方法を用いて得られる機能性セラミックス成形体は、通常、原料として用いる固体組成物P100中に含まれていたオキソ酸化合物を実質的に含まないものである。より具体的には、本発明の機能性セラミックス成形体の製造方法を用いて得られる機能性セラミックス成形体中におけるオキソ酸化合物の含有率は、通常、100ppm以下であり、特に、50ppm以下であるのが好ましく、10ppm以下であるのがより好ましい。
これにより、機能性セラミックス成形体中における好ましくない不純物の含有率を抑制することができ、機能性セラミックス成形体の特性、信頼性をより優れたものとすることができる。
本工程で形成される第2の機能性セラミックスは、その原料である前駆酸化物やオキソ酸化合物と異なるものであればよく、第1の機能性セラミックスと異なるものであってもよいし、第1の機能性セラミックスと実質的に同一であってもよい。
第1の機能性セラミックスと第2の機能性セラミックスとが実質的に同一であると、機能性セラミックス成形体中における第1の機能性セラミックスと第2の機能性セラミックスとの密着性を向上させ、機能性セラミックス成形体の機械的強度、形状の安定性、機能性セラミックスの特性の安定性、信頼性等をより優れたものとすることができる。
なお、ここで、実質的に同一とは、組成が同一であると見なすことができることを言う。
[4]機能性セラミックス
本発明に係る機能性セラミックスは、前述したような製造方法により得ることができる。ここで、機能性セラミックスとは、光学的機能、磁性的機能、電気的機能、化学的機能、熱力学的機能等の何らかの機能を有するセラミックスのことを言う。
機能性セラミックスの機能、種類、用途等は、特に限定されないが、例えば、蛍光体セラミックス、波長変換セラミックス、磁性セラミックス、超伝導体セラミックス、誘電体セラミックス、触媒セラミックス、熱電体セラミックス等が挙げられる。
上記のようにして得られる機能性セラミックスは、例えば、以下のような条件を満足するものであるのが好ましい。
機能性セラミックスが蛍光体セラミックスである場合、励起光により生じた励起子が結晶欠陥に起因する発光に寄与しないバンドにトラップされることなく蛍光発光し、また励起光が著しい内部散乱せず賦活剤を励起するよう、結晶性や焼結性が高いセラミックスであるのが好ましい。
これにより、内部量子効率および外部取り出し高率が高く、励起光に対する蛍光発光効率が高い蛍光光源が得られる。
また、機能性セラミックスが酸化物系超電導体セラミックスである場合、低結晶欠陥、特に酸素欠陥が少なく、また結晶粒界密度が小さく、さらに結晶粒の配向度が高いセラミックスであるのが好ましい。
これにより、超電導転移温度Tcを高めるとともに、臨界電流密度Jcを向上させ、比較的高温で大電流を通電できる超電導配線等を形成できる。
また、機能性セラミックスが磁性体セラミックスである場合、結晶中の酸素欠損が少なく、結晶性が高いほど磁場バイアス中での飽和磁化が高い磁性体が得られ、例えばよりQ値が高い共振器が製造できる。
また、適当な電磁石により強磁界を印加できるよう設計された素子に用いた場合、Q値が高い共振器特性を応用したフィルターや同調回路を製造することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の固体組成物は、前述した方法により製造されたものに限定されない。
また、本発明の機能性セラミックス成形体の製造方法は、上述したような工程に加え、さらに他の工程を有していてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[5]第1の粒子および第2の粒子の製造
まず、以下のようにして、それぞれ、複数種の第1の粒子および第2の粒子を製造した。
[5−1]第1の粒子の製造
(製造例A1)
粉末:4.57質量部、CeO粉末:0.216質量部およびAl粉末:3.55質量部を秤量し、これらをメノウ鉢で粉砕しながら十分に混合することにより、混合粉末を得た。
次に、この混合物1gをSpecac社製の内径13mmの排気ポート付きペレットダイスに充填し、6kNの加重でプレス成型して成形物としてのペレットを得た。得られたペレットをアルミナ製の坩堝に納め、大気雰囲気において1200℃で8時間焼結することにより、第1の機能性セラミックスのペレットを得た。
その後、この第1の機能性セラミックスのペレットをメノウ鉢を用いて粉砕し、平均粒径50μmの粒子を得、これを第1の粒子とした。
(製造例A2)
粒子の平均粒径を20μmに調整した以外は、前記製造例A1と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A3)
粒子の平均粒径を10μmに調整した以外は、前記製造例A1と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A4)
粒子の平均粒径を5μmに調整した以外は、前記製造例A1と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A5)
粒子の平均粒径を3μmに調整した以外は、前記製造例A1と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A6)
粒子の平均粒径を1μmに調整した以外は、前記製造例A1と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A7)
粉末:3.15質量部、BaO粉末:8.54質量部およびCuO粉末:6.64質量部を秤量し、これらをメノウ鉢で粉砕しながら十分に混合することにより、混合粉末を得た。
次に、この混合物1gをSpecac社製の内径13mmの排気ポート付きペレットダイスに充填し、6kNの加重でプレス成型して成形物としてのペレットを得た。得られたペレットをアルミナ製の坩堝に納め、大気雰囲気において950℃で8時間焼結することにより、第1の機能性セラミックスのペレットを得た。
その後、この第1の機能性セラミックスのペレットをメノウ鉢を用いて粉砕し、平均粒径50μmの粒子を得、これを第1の粒子とした。
(製造例A8)
粒子の平均粒径を20μmに調整した以外は、前記製造例A7と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A9)
粒子の平均粒径を10μmに調整した以外は、前記製造例A7と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A10)
粒子の平均粒径を5μmに調整した以外は、前記製造例A7と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A11)
粒子の平均粒径を3μmに調整した以外は、前記製造例A7と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A12)
粒子の平均粒径を1μmに調整した以外は、前記製造例A7と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A13)
粉末:4.72質量部、Al粉末:0.43質量部およびFe粉末:4.89質量部を秤量し、これらをメノウ鉢で粉砕しながら十分に混合することにより、混合粉末を得た。
次に、この混合物1gをSpecac社製の内径13mmの排気ポート付きペレットダイスに充填し、6kNの加重でプレス成型して成形物としてのペレットを得た。得られたペレットをアルミナ製の坩堝に納め、大気雰囲気において140℃で8時間焼結することにより、第1の機能性セラミックスのペレットを得た。
その後、この第1の機能性セラミックスのペレットをメノウ鉢を用いて粉砕し、平均粒径50μmの粒子を得、これを第1の粒子とした。
(製造例A14)
粒子の平均粒径を20μmに調整した以外は、前記製造例A13と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A15)
粒子の平均粒径を10μmに調整した以外は、前記製造例A13と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A16)
粒子の平均粒径を5μmに調整した以外は、前記製造例A13と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A17)
粒子の平均粒径を3μmに調整した以外は、前記製造例A13と同様にして第1の粒子を製造した。
(製造例A18)
粒子の平均粒径を1μmに調整した以外は、前記製造例A13と同様にして第1の粒子を製造した。
[5−2]第2の粒子の製造
(製造例B1)
まず、イットリウム源としてのトリエトキシイットリウムと、アルミニウム源としての硝酸アルミニウム九水和物と、セリウム源としての硝酸セリウム(III)六水和物と、溶媒としての2−n−ブトキシエタノールとを所定の割合で混合し、表1に示す組成の混合液を得た。
次に、上記のようにして得られた混合液を、チタン製のビーカーに入れた状態で、大気中、140℃×20分間の第1の熱処理を施すことにより、ゲル状の混合物を得た。
次に、上記のようにして得られたゲル状の混合物に対して、大気中、540℃×20分間の第2の熱処理を施すことにより、灰状の熱分解物である第2の粒子を得た。
このようにして得られた第2の粒子は、ペロブスカイト型の結晶相で構成される前駆酸化物と、オキソ酸化合物としての硝酸アルミニウムとを含むものであった。また、得られた固体組成物中における前記前駆酸化物の含有率に対するオキソ酸化合物の含有率の比率、すなわち、固体組成物中における前駆酸化物の含有率をXP[質量%]、固体組成物中におけるオキソ酸化合物の含有率をXO[質量%]としたときのXO/XPの値は、0.0270であった。
(製造例B2、B3)
混合液の調製に用いる原料の種類・使用量を調整して混合液の組成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記製造例B1と同様にして第2の粒子を製造した。
(製造例B4)
粉末:4.57質量部、CeO粉末:0.216質量部およびAl粉末:3.55質量部を秤量し、これらをメノウ鉢で粉砕しながら十分に混合することにより、混合粉末を得た。
次に、上記のようにして得られた混合粉末に対して、大気中、540℃×20分間の熱処理を施すことにより、第2の粒子を得た。
(製造例B5、B6)
原料粉末の組成およびこれらの混合比を変更した以外は、前記製造例B4と同様にして第2の粒子を製造した。
(製造例B7〜B9)
オキソアニオンを含むオキソ酸化合物を用いず、混合液の調製に用いる原料の種類、使用量を変更することにより、混合液の組成が表1に示すものとなるようにした以外は、前記製造例B1と同様にして混合液を調製し、当該混合液を用いた以外は、前記製造例B1と同様にして第2の粒子を製造した。
前記製造例B1〜B9の第2の粒子の試料について、各種の分析手法により、元素分布や組成を調べたところ、日本電子社製JEM−ARM200Fを用いた透過電子顕微鏡の観察と制限視野電子回折の結果から、前記製造例B1〜B3の試料では、数100nm程度以上の比較的に大きなアモルファス領域と、40nm以下のナノ結晶からなる集合体の領域から構成されていることが確認された。
前記製造例B1〜B9の第2の粒子の製造に用いた原料の組成・比率、固体組成物の製造条件を表1にまとめて示し、前記製造例B1〜B9の第2の粒子の条件を表2にまとめて示す。また、表2中には、第2の粒子中におけるオキソ酸化合物の含有率をXO[質量%]、第2の粒子中における前駆酸化物の含有率をXP[質量%]としたときの、XO/XPの値の値も示した。なお、前記各製造例で得られた第1の粒子および第2の粒子は、いずれも、溶媒の含有率が0.1質量%以下であった。また、前記製造例B1〜B3の第2の粒子の一部について、TG−DTAで昇温レート10℃/分で測定したところ、300℃以上1000℃以下の範囲における発熱ピークは、いずれも、1つのみ観測された。このことから、前記製造例B1〜B3の第2の粒子を構成する前駆酸化物は、実質的に単独の結晶相で構成されていると言える。
Figure 2021169380
Figure 2021169380
[6]固体組成物の製造
(実施例1)
前記製造例A5で得られた第1の粒子:50.0質量部、および、前記製造例B1で得られた第2の粒子:50.0質量部を十分に混合して固体組成物を得た。
(実施例2〜27)
第1の粒子、第2の粒子の種類、および、これらの配合比を表3、表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして固体組成物を製造した。
(比較例1〜12)
第1の粒子、第2の粒子の種類、および、これらの配合比を表4に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして固体組成物を製造した。
前記各実施例および各比較例の固体組成物の構成を表3、表4にまとめて示す。
Figure 2021169380
Figure 2021169380
[7]機能性セラミックス成形体の製造
前記各実施例および各比較例の固体組成物を用いて、以下のようにして機能性セラミックス成形体を製造した。
まず、各固体組成物から1gのサンプルを取り出した。
次に、これらの各サンプルを、それぞれ、Specac社製の内径13mmの排気ポート付きペレットダイスに充填し、6kNの加重でプレス成型して成形物としてのペレットを得た。得られたペレットをアルミナ製の坩堝に納め、大気雰囲気において所定の温度で8時間焼成してペレット状の機能性セラミックス成形体を得た。実施例1〜9および比較例1〜4については、焼成温度を900℃とし、実施例10〜18および比較例5〜8については、焼成温度を800℃とし、実施例19〜27および比較例9〜12については、焼成温度を900℃とした。
前記各実施例および各比較例の固体組成物および当該固体組成物を用いて上記のようにして得られた機能性セラミックス成形体について、フィリップス社製のX線回折装置X’Pert−PROを用いた分析を行い、X線回折パターンを得た。
その結果、前記各実施例では、固体組成物中に含まれる前駆酸化物と、当該前駆酸化物から形成された第2の機能性セラミックスとは、互いに、異なる結晶相で構成されていることが確認された。
前記各実施例および各比較例に係る機能性セラミックス成形体の第2の粒子に対応する領域の組成を表5、表6にまとめて示す。
Figure 2021169380
Figure 2021169380
[8]評価
上記のようにして得られた前記各実施例および各比較例に係る機能性セラミックス成形体について、以下の評価を行った。
[8−1]緻密性の評価
前記各実施例および各比較例に係る機能性セラミックス成形体について、形状測定と重量測定から機能性セラミックス成形体の空隙率を求めた。空隙率が少ないほど、緻密性に優れていると言える。なお、前記各実施例および各比較例に係る機能性セラミックス成形体は、いずれも、液体成分の含有率が0.1質量%以下、オキソ酸化合物の含有率が10ppm以下であった。
これらの結果を表7、表8にまとめて示す。
Figure 2021169380
Figure 2021169380
表7、表8から明らかなように、前記各実施例では優れた結果が得られた。これに対し、前記各比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[8−2]内部量子収率評価
上記[7]で製造した機能性セラミックス成形体のうち、実施例1〜9および比較例1〜4に係る機能性セラミックス成形体について、以下のような評価を行った。
すなわち、蛍光体セラミックスである実施例1〜9および比較例1〜4に係る機能性セラミックス成形体について、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製、Quantaurus−QYC11347−01)を用いた測定により、蛍光特性としての内部量子収率を求めた。
これらの結果を表9にまとめて示す。
Figure 2021169380
表9から明らかなように、実施例1〜9では優れた結果が得られた。これに対し、比較例1〜4では、満足のいく結果が得られなかった。
[8−3]磁場中臨界電流評価
上記[7]で製造した機能性セラミックス成形体のうち、実施例10〜18および比較例5〜8に係る機能性セラミックス成形体について、以下のような評価を行った。
すなわち、超伝導体セラミックスである実施例10〜18および比較例5〜8に係る機能性セラミックス成形体の両主面に、それぞれ、インジウム電極を貼り付け、液体窒素温度である77.3Kで3Tのマグネットの磁場内における磁場中臨界電流測定を四端子法によって行った。
これらの結果を表10にまとめて示す。
Figure 2021169380
表10から明らかなように、実施例10〜18では優れた結果が得られた。これに対し、比較例5〜8では、満足のいく結果が得られなかった。
[8−4]磁化率の測定評価
上記[7]で製造した機能性セラミックス成形体のうち、実施例19〜27および比較例9〜12に係る機能性セラミックス成形体について、以下のような評価を行った。
すなわち、磁性体セラミックスである実施例19〜27および比較例9〜12に係る機能性セラミックス成形体について、振動試料型磁力計(東英工業社製、VSM−C7)を用いて飽和磁化や強磁性共鳴半値幅ΔHを求めた。
これらの結果を表11にまとめて示す。
Figure 2021169380
表11から明らかなように、実施例19〜27では優れた結果が得られた。これに対し、比較例9〜12では、満足のいく結果が得られなかった。
上記のように、本発明では、機能性セラミックスの種類によらず、いずれも優れた結果が得られた。
また、前記各実施例および各比較例の固体組成物を用いて、焼成温度を700℃以上1000℃以下の範囲で条件を変更した以外は、前記と同様にして機能性セラミックス成形体の製造を試みたところ、前記各実施例では、いずれも、好適に機能性セラミックス成形体を製造することができ、前記と同様に優れた結果が得られたのに対し、各比較例では、満足のいく結果が得られなかった。すなわち、比較例2〜4、6、10〜12では、いずれも成形不能であり、緻密度の評価を行うことができなかった。また、比較例2〜4、6では、それぞれ、内部量子収率、臨界電流の評価を行うことができなかった。比較例10〜12では、磁化率の評価を行うことができたが、満足のいく結果が得られなかった。また、比較例7、8については、950℃以上の焼成温度では成形可能であったが、緻密度が低く、臨界電流の値も低かった。
P100…固体組成物、P1…第1の粒子、P2…第2の粒子

Claims (10)

  1. 第1の機能性セラミックスで構成された第1の粒子と、
    前記第1の機能性セラミックスとは異なる組成の酸化物と、
    オキソ酸化合物とを含むことを特徴とする固体組成物。
  2. 前記酸化物および前記オキソ酸化合物は、前記第1の粒子とは異なる第2の粒子中に含まれる請求項1に記載の固体組成物。
  3. 前記固体組成物中における、前記第1の粒子の含有率をX1[質量%]、前記第2の粒子の含有率をX2[質量%]としたとき、0.05≦X2/X1≦1.20の関係を満たす請求項2に記載の固体組成物。
  4. 前記第1の粒子の平均粒径をD1[μm]、前記第2の粒子の平均粒径をD2[μm]としたとき、0.1≦D2/D1≦2.0の関係を満たす請求項2または3に記載の固体組成物。
  5. 前記第1の粒子の平均粒径が1.0μm以上20μm以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固体組成物。
  6. 前記オキソ酸化合物は、オキソアニオンとして、硝酸イオン、硫酸イオンのうちの少なくとも一方を含んでいる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の固体組成物。
  7. 前記固体組成物中における、前記酸化物の含有率をXP[質量%]、前記オキソ酸化合物の含有率をXO[質量%]としたとき、0.001≦XO/XP≦0.5の関係を満たす請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固体組成物。
  8. 前記酸化物の結晶粒径が10nm以上200nm以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の固体組成物。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の固体組成物を用いて成形体を得る成形工程と、
    前記成形体に対して熱処理を施すことにより、前記固体組成物中の前記酸化物と前記オキソ酸化合物とを反応させ、第2の機能性セラミックスへと変換し、前記第1の機能性セラミックスおよび前記第2の機能性セラミックスを含む機能性セラミックス成形体を形成する熱処理工程とを有することを特徴とする機能性セラミックス成形体の製造方法。
  10. 前記熱処理工程での前記成形体の加熱温度は、700℃以上1000℃以下である請求項9に記載の機能性セラミックス成形体の製造方法。
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