JP2021159329A - 有床義歯の3dデータ取得方法及び有床義歯の製造方法、並びに、義歯床の3dデータ取得方法及び義歯床の製造方法 - Google Patents

有床義歯の3dデータ取得方法及び有床義歯の製造方法、並びに、義歯床の3dデータ取得方法及び義歯床の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】咬合精度の低下を防止できる、有床義歯の3Dデータ取得方法及び有床義歯の製造方法、並びに、義歯床の3Dデータ取得方法及び義歯床の製造方法を提供する。【解決手段】義歯床の3Dデータ取得方法は、咬合状態の上顎有床義歯及び下顎有床義歯を3Dスキャンして、咬合面Mが形成された3次元形状を示す咬合基準データ30を取得し、咬合基準データ30に上顎有床義歯の第1データ10及び下顎有床義歯の第2データ20を重ね合わせる。第1データ10の上人工歯データ13に新上人工歯データ14を重ね合わせ、第1データ10から上人工歯データ13を消去する。また、第2データ20の下人工歯データ23に新下人工歯データ24を重ね合わせ、第2データ20から下人工歯データ23を消去する。【選択図】図12

Description

本発明は、有床義歯の3Dデータ取得方法及び有床義歯の製造方法、並びに、義歯床の3Dデータ取得方法及び義歯床の製造方法に関する。
従来、歯科分野では、患者の口腔内に義歯床(デンチャー)を型取りする器具を入れ、器具の中に印象材を入れて製造した義歯床に人工歯が埋め込まれて固定された有床義歯、及び、有床義歯を複製した複製有床義歯が知られている。複製有床義歯は、例えば、使用中の有床義歯が破損等により使用不能になった場合に、修理の間だけ使用される、或いは、患者が就寝している間だけ使用される等、暫定的な使用を目的とした有床義歯として新たに製造される。暫定的な使用を目的とした複製有床義歯については、形状の精度や外観の色に関して要求される水準が比較的低いため、製造負担が小さい。
また、複製有床義歯は、例えば、使用中の有床義歯が壊れる前に、使用中の有床義歯と同様の性能を有する複製有床義歯としても製造される。
複製有床義歯の製造方法として、例えば特許文献1には、複製元である使用中の有床義歯に応じて作製されたネガ型を用いる技術が記載されている。特許文献1では、複製元の有床義歯は、型取り用の器具の中に設置されると共に、器具の内側には硬化性の印象材が、流動性を高めた状態で流し込まれる。
そして、印象材が硬化した後、複製元の有床義歯が、器具の内側から取り出される。硬化した印象材によって、複製有床義歯用のネガ型が作製される。次に、作製されたネガ型の中に、例えば重合開始剤が添加されている市販の義歯床用レジン等の樹脂を、流動性がある状態で流し込む。
そして、例えば加熱等によって樹脂を硬化させて樹脂成形体を作製し、作製された樹脂成形体をネガ型の中から取り出す。取り出された樹脂成形体に対し、表面処理等の必要な調整作業を施すことによって、複製有床義歯を得ることができる。
特開平06−209958号公報
しかし、特許文献1の場合、ネガ型を作製する工程が予め必要になるため、製造負担が大きくなる。ネガ型を使用することなく複製義歯床を製造する方法として、例えば、ミリングマシンや3Dプリンタ等の造形装置を用いて、入力される設計データに基づいて所望の形状を有する製品を造形する方法が考えられる。造形装置を用いる場合、入力用の設計データとして、使用中の有床義歯の3次元座標空間における3Dデータを、予め作成して用意する必要が生じる。
ここで、設計データを作成する手段として、使用中の有床義歯をスキャンして、3次元座標空間における有床義歯の3Dデータを得る方法が考えられる。使用中の有床義歯では、義歯床と人工歯とが固定されているため、3次元スキャン(3Dスキャン)して得られた3Dデータにおいても、義歯床の部分のデータと人工歯の部分のデータとは一体化され、別部材として取得されていない。
しかし、上記のような使用中の義歯床の部分のデータと人工歯の部分のデータが一体化された有床義歯を3Dスキャンして有床義歯を造形しても、例えば使用中の人工歯が損傷部を有すると、上顎側の複製有床義歯と下顎側の複製有床義歯との咬合精度が低いという問題がある。このような場合においては、使用中の人工歯の部分のデータについて、新たな人工歯のデータ(例えば、損傷していない状態の人工歯のデータ)を置き換えることが必要である。しかしながら、使用中の人工歯の部分をそのまま新たな人工歯のデータに置き換えても、依然として咬合精度が低下する場合がある。
本発明は上記した問題に着目して為されたものであって、咬合精度の低下を防止できる、有床義歯の3Dデータ取得方法及び有床義歯の製造方法、並びに、義歯床の3Dデータ取得方法及び義歯床の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の態様を含む。
<1>上義歯床及び上人工歯を備える上顎有床義歯を3Dスキャンして、上義歯床データ及び上人工歯データを備え前記上顎有床義歯の3次元形状を示す第1データを取得し、下義歯床及び下人工歯を備える下顎有床義歯を3Dスキャンして、下義歯床データ及び下人工歯データを備え前記下顎有床義歯の3次元形状を示す第2データを取得し、咬合状態が形成された前記上顎有床義歯及び前記下顎有床義歯を3Dスキャンして、3次元形状を示す咬合基準データを取得し、前記咬合基準データの上義歯床に前記第1データの前記上義歯床データを重ね合わせ、前記咬合基準データの下義歯床に前記第2データの前記下義歯床データを重ね合わせ、前記咬合基準データを消去し、前記第1データの上人工歯データに新上人工歯データを重ね合わせ、前記第1データから前記上人工歯データを消去し、前記上義歯床データと新上人工歯データとが一体化された第1合成データを取得し、前記第2データの下人工歯データに新下人工歯データを重ね合わせ、前記第2データから前記下人工歯データを消去し、前記下義歯床データと新下人工歯データとが一体化された第2合成データを取得する、有床義歯の3Dデータ取得方法。
上記<1>の構成によれば、咬合状態の上顎有床義歯及び下顎有床義歯を3Dスキャンして、3次元形状を示す咬合基準データを取得する。このため、3次元座標空間内における適切な咬合面を形成する上顎有床義歯と下顎有床義歯の位置関係が判る。そして、咬合基準データを消去することで、3次元座標空間内において噛み合わせた状態の第1データと第2データとを取得できる。すなわち、第1データの上義歯床データと第2データの下義歯床データとの位置関係を保持できる。
次に、第1データの上人工歯データに新上人工歯データを重ね合わせ、第1データから上人工歯データを消去し、上義歯床データと新上人工歯データとが一体化された第1合成データを、複製上顎有床義歯の3Dデータとして取得する。また、第2データの下人工歯データに新下人工歯データを重ね合わせ、第2データから下人工歯データを消去し、下義歯床データと新下人工歯データとが一体化された第2合成データを、複製下顎有床義歯の3Dデータとして取得する。
取得された第1合成データ及び第2合成データは、適切な咬合面を形成する複製有床義歯データとなっている。このため、これらの3Dデータに基づいて有床義歯を製造した場合、口内にフィットし違和感なく使用できる有床義歯を実現できる。
<2>前記咬合基準データと前記第1データの前記上義歯床データとを重ね合わせる際、前記咬合基準データの前記上義歯床の装着面と前記上義歯床データの装着面とを重ね合わせる、又は、前記咬合基準データと前記第2データの前記下義歯床データとを重ね合わせる際、前記咬合基準データの前記下義歯床の装着面と前記下義歯床データの装着面とを重ね合わせる、前記<1>に記載の有床義歯の3Dデータ取得方法。
上記<2>の構成によれば、上装着面及び下装着面は、比較的面積が広いので視認し易い。このため、咬合基準データと、第1データ又は第2データとの重ね合わせが容易になる。
<3>前記<1>又は<2>に記載の有床義歯の3Dデータ取得方法で取得された有床義歯の3Dデータに基づいて、造形装置で有床義歯を製造する、有床義歯の製造方法。
上記<3>の構成によれば、取得された第1合成データ及び第2合成データは、互いに組み合わせた際、適切な咬合面を形成する有床義歯データとなっている。これらの3Dデータに基づいて有床義歯が製造されるため、口内にフィットし違和感なく使用できる有床義歯を製造できる。
<4>上義歯床及び上人工歯を備える上顎有床義歯を3Dスキャンして、上義歯床データ及び上人工歯データを備え前記上顎有床義歯の3次元形状を示す第1データを取得し、下義歯床及び下人工歯を備える下顎有床義歯を3Dスキャンして、下義歯床データ及び下人工歯データを備え前記下顎有床義歯の3次元形状を示す第2データを取得し、咬合状態が形成された前記上顎有床義歯及び前記下顎有床義歯を3Dスキャンして、3次元形状を示す咬合基準データを取得し、前記咬合基準データの上義歯床に前記第1データの前記上義歯床データを重ね合わせ、前記咬合基準データの下義歯床に前記第2データの前記下義歯床データを重ね合わせ、前記咬合基準データを消去し、前記第1データから前記上人工歯データを消去し、前記第1データの前記上義歯床データに、新上人工歯データの根元の形状に応じて上側凹部を形成し、前記上側凹部を有する第1合成データを取得し、前記第2データから前記下人工歯データを消去し、前記第2データの前記下義歯床データに、新下人工歯データの根元の形状に応じて下側凹部を形成し、前記下側凹部を有する第2合成データを取得する、義歯床の3Dデータ取得方法。
上記<4>の構成によれば、取得された第1合成データ及び第2合成データは、上側凹部に新上人工歯を取り付けたとき、及び、下側凹部に新下人工歯を取り付けたとき、適切な咬合面を形成する有床義歯データとなっている。このため、これらの3Dデータに基づいて義歯床を製造し、製造した義歯床に新人工歯を埋め込んだ場合、口内にフィットし違和感なく使用できる有床義歯を実現できる。また、義歯床と新人工歯とを個々に別材料で造形できるので、それぞれの外観の色を変えることが可能になり、結果、審美的に優れた有床義歯を実現できる。
<5>前記咬合基準データと前記第1データの前記上義歯床データとを重ね合わせる際、 前記咬合基準データの前記上義歯床の装着面と前記上義歯床データの装着面とを重ね合わせる、又は、前記咬合基準データと前記第2データの前記下義歯床データとを重ね合わせる際、前記咬合基準データの前記下義歯床の装着面と前記下義歯床データの装着面とを重ね合わせる、前記<4>に記載の義歯床の3Dデータ取得方法。
上記<5>の構成によれば、装着面は、比較的面積が広いので視認し易い。このため、咬合基準データと、第1データ又は第2データとの重ね合わせが容易になる。
<6>前記上側凹部の形状又は前記下側凹部の形状を、新上人工歯又は新下人工歯を接着するための接着層の厚みに応じて調整する、前記<4>又は<5>に記載の義歯床の3Dデータ取得方法。
上記<6>の構成によれば、接着によって義歯床と人工歯との固定性を高めつつ、適切な咬合面を維持できる。
<7>前記第1データの前記上義歯床データに前記上側凹部を形成する処理は、前記第1データの前記上人工歯データに前記新上人工歯データを重ね合わせ、前記第1データから前記上人工歯データを消去し、重ね合わせられた前記新上人工歯データの根元の形状に応じて行い、前記第2データの前記下義歯床データに前記下側凹部を形成する処理は、前記第2データの前記下人工歯データに前記新下人工歯データを重ね合わせ、前記第2データから前記下人工歯データを消去し、重ね合わせられた前記新下人工歯データの根元の形状に応じて行う、前記<4>〜<6>のいずれかに記載の義歯床の3Dデータ取得方法。
上記<7>の構成によれば、第1データの上人工歯データに新上人工歯データを重ね合わせ、重ね合わせられた新上人工歯データの根元の形状に応じて、上側凹部を形成する。上側凹部を形成する際、同じ画像上で、新上人工歯データの根元の形状を参照できるので、上側凹部をより正確に形成できる。また、第2データの下人工歯データに新下人工歯データを重ね合わせ、重ね合わせられた新下人工歯データの根元の形状に応じて、下側凹部を形成する。下側凹部を形成する際、同じ画像上で、新下人工歯データの根元の形状を参照できるので、下側凹部をより正確に形成できる。
<8>前記<4>〜<7>のいずれか一項に記載の義歯床の3Dデータ取得方法で取得された義歯床の3Dデータに基づいて、造形装置で義歯床を製造する、義歯床の製造方法。
上記<8>の構成によれば、取得された第1合成データ及び第2合成データは、上側凹部に新上人工歯を取り付けたとき、及び、下側凹部に新下人工歯を取り付けたとき、適切な咬合面を形成する義歯床データとなっている。このため、これらの3Dデータに基づいて義歯床を製造し、製造した義歯床に新人工歯を埋め込んだ場合、口内にフィットし違和感なく使用できる有床義歯用の義歯床を製造できる。
本発明に係る有床義歯の3Dデータ取得方法及び有床義歯の製造方法、並びに、義歯床の3Dデータ取得方法及び義歯床の製造方法によれば、咬合精度の低下を防止できる。
本実施形態に係る有床義歯の3Dデータ取得方法及び複製義歯床の3Dデータ取得方法で使用されるデータ作成装置、及び造形装置の構成を説明する図である。 本実施形態に係る有床義歯の3Dデータ取得方法及び義歯床の3Dデータ取得方法で実行されるステップを説明する作業手順図である(その1)。 本実施形態に係る有床義歯の3Dデータ取得方法で実行されるステップを説明する作業手順図である(その2)。 本実施形態に係る義歯床の3Dデータ取得方法で実行されるステップを説明する作業手順図である(その3)。 3次元形状を示す第1データによる上顎有床義歯を底面視で説明する画像である。 3次元形状を示す第2データによる下顎有床義歯を平面視で説明する画像である。 咬み合わせた状態の上顎有床義歯と下顎有床義歯の3次元形状を示す咬合基準データを正面視で説明する画像である。 咬合基準データに第1データが重ね合わせられた状態を説明する画像である。 図8で示した咬合基準データに更に第2データが重ね合わせられた状態を説明する画像である。 咬合基準データに第2データのみが重ね合わせられた状態を説明する画像である。 第1データと第2データとの位置関係が保持されたまま、咬合基準データが消去された状態を説明する画像である。 第1データに新上人工歯が重ね合わせられると共に、第2データに新下人工歯が重ね合わせられた状態を説明する画像である。 本実施形態に係る有床義歯の3Dデータ取得方法によって取得された3Dデータに基づいて製造された、上義歯床と新上人工歯とが一体化された上側有床義歯を説明する斜視図である。 本実施形態に係る有床義歯の3Dデータ取得方法によって取得された3Dデータに基づいて製造された、下義歯床と新下人工歯とが一体化された下側有床義歯を説明する斜視図である。 第1データに新上人工歯が重ね合わせられた状態を底面視で説明する画像である。 第1データに上側凹部配置予定領域が形成された状態を説明する画像である。 第1データの上側凹部配置予定領域に新上人工歯が重ね合わせられた状態を説明する画像である。 第1データの上側凹部配置予定領域に上側凹部が形成された状態を説明する画像である。 本実施形態に係る義歯床の3Dデータ取得方法によって取得された3Dデータに基づいて製造された上義歯床と、上義歯床と別に用意された新上人工歯とを説明する分解斜視図である。 第2データに新下人工歯が重ね合わせられた状態を平面視で説明する画像図である。 第2データに下側凹部配置予定領域が形成された状態を説明する画像である。 第2データの下側凹部配置予定領域に新下人工歯が重ね合わせられた状態を説明する画像である。 第2データに下側凹部配置予定領域が形成された状態を説明する画像である。 本実施形態に係る義歯床の3Dデータ取得方法によって取得された3Dデータに基づいて製造された下義歯床と、下義歯床と別に用意された新下人工歯とを説明する斜視図である。 他の実施形態に係る高さ調節部データを有する咬合基準データを正面視で説明する画像である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分及び類似の部分には、同一の符号又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、本実施形態では、有床義歯及び義歯床を見る際の視線の方向について、「正面視」とは、有床義歯及び義歯床を患者の口腔内に装着した状態で、正中線を中心として口腔を正面から見た場合を意味する。また、「平面視」とは、患者の頭部側である上側から見た場合を意味すると共に、「底面視」とは、患者の足部側である下側から見た場合を意味する。
また、本実施形態では、上顎側の複製有床義歯を「複製上顎有床義歯」と称すると共に、下顎側の複製有床義歯を「複製下顎有床義歯」と称する場合がある。また、上顎側の複製義歯床を「複製上義歯床」と称すると共に、下顎側の複製義歯床を「複製下義歯床」と称する場合がある。また、上顎側の義歯床を「上義歯床」と称すると共に、下顎側の義歯床を「下義歯床」と称する場合がある。また、上顎側の人工歯を「上人工歯」と称すると共に、下顎側の人工歯を「下人工歯」と称する場合がある。
本実施形態に係る有床義歯の3Dデータ取得方法では、まず、図示しない3Dスキャン装置でスキャンされた有床義歯が点群データとして出力され、点群データは、3DCAD等によって使用できるようにポリゴンデータに変換される。
図1に示すデータ処理装置110としては、例えば、中央集積回路(CPU)、記憶装置、入力装置及び表示装置を備えた、汎用的なパーソナルコンピュータ等を使用できる。データ処理装置110には、複製有床義歯及び複製義歯床のような造形対象物の仮想3次元座標空間内における3Dデータで形成された画像をディスプレイ上で消去、追加及び重ね合わせできる、3DCADのような画像処理プログラムが含まれている。データ処理装置110には、3Dスキャン装置で作成された3Dデータが入力される。
造形装置120は、例えば、液槽光重合法によって造形対象物を造形する、吊り下げ式の3Dプリンタである。造形装置120は、液状の光硬化性樹脂Pを蓄える液槽122と、造形対象物の土台となるビルドプラットフォームとしてのステージ124と、ステージ124を吊り下げる吊り下げ部材126と、を備える。図1中で液槽122の下側には、ステージ124の下面に、光を照射する光照射機128が設けられている。
光照射機128が、3Dデータに基づき、図1中で液槽122内に浸漬されたステージ124の下側に向かって、紫外線のような所定の波長の光を選択的に照射する。光照射によって、液状の光硬化性樹脂が光重合して選択的に硬化し、造形対象物の樹脂層が形成される。そして、吊り下げ部材126が図1中の上側に移動することによって、ステージ124が樹脂層の厚みの分、上昇する。
そして、更に、光照射機128によって光が選択的に照射されることによって、図1中、先行して形成された樹脂層の下に、後続の樹脂層が積層して形成される。所望の造形対象物の形状が最終的に完成するまで、ステージ124の上昇と光の照射とが繰り返される。なお、本発明では、3Dデータに基づいて造形対象物を造形できる限り、造形装置は、3Dプリンタに限定されず、例えば、ミリングマシン等であってよい。
<有床義歯の3Dデータ取得方法及び有床義歯の製造方法>
次に、本実施形態に係る有床義歯の3Dデータ取得方法及び有床義歯の製造方法を、図2〜図11を参照して説明する。まず、図2に示すように、ステップS1において、上人工歯及び上義歯床を備える使用中の上顎有床義歯を、3Dスキャン装置を用いて3Dスキャンして、3次元形状を示す第1データ10を取得する。図5中には、第1データ10で形成された上顎有床義歯の画像が例示されている。第1データ10は、上義歯床データ12及び上人工歯データ13を備える。なお、以下、ディスプレイ上の画像を重ね合わせることを、データを重ね合わせると言い換える場合がある。
次に、ステップS2において、同様に、下人工歯及び下義歯床を備える下顎有床義歯を3Dスキャンして、3次元形状を示す第2データ20を取得する(図6参照)。第2データ20は下義歯床データ22及び下人工歯データ23を備える。なお、本発明では、ステップS1とステップS2の順番は限定されず、例えば、ステップS2の方をステップS1より先に実行したり、同時に実行したりすることもできる。
次に、図2中のステップS3において、咬み合わせた状態の上顎有床義歯と下顎有床義歯を3Dスキャンして、上顎有床義歯と下顎有床義歯との一体的な3次元形状を示す咬合基準データ30を取得する(図7参照)。説明の便宜のため、図7中の画像には斜線が付されている。3Dスキャンの際、上顎有床義歯と下顎有床義歯との間に適切な咬合面Mが形成されるように、上顎有床義歯と下顎有床義歯との相対位置が、予め設定されている。
咬合面Mは、上顎有床義歯と下顎有床義歯とを咬合させた際に上下の歯が接する面であり、咬合基準データ30の中で、上下の歯が接する点又は接する点の付近に設定される。具体的には、例えば、3Dスキャンされた上顎有床義歯の歯と下顎有床義歯の歯との接点をそのまま使用できる場合には、この接点が咬合面Mの位置として設定できる。
また、3Dスキャンされた上顎有床義歯の歯と下顎有床義歯の歯との間に部分的に隙間が形成される等、上下の歯の間に明確な接点が定義できない位置では、咬合面Mの位置としての仮想接点が、周囲で定義された接点の位置を考慮して設定可能である。このため、取得された咬合基準データ30においても、上顎有床義歯の領域と下顎有床義歯の領域とは、適切な咬合関係が成立するように咬合面Mを挟んで配置されている。
次に、図8に示すように、ステップS4において、咬合基準データ30の上義歯床に、第1データ10の上義歯床データ12を重ね合わせる。なお、重ね合わせる基準面としては、図7に示すように、咬合基準データ30の上義歯床の上装着面31Aが好ましい。上顎有床義歯の上装着面は、患者の上顎堤に嵌め合わされる際に上顎堤の粘膜面に対向する。
次に、ステップS5において、咬合基準データ30の下義歯床に、第2データ20の下義歯床データ22を重ね合わせる(図9参照)。なお、重ね合わせる基準面としては、上記のステップS4の場合と同様に、咬合基準データ30における下義歯床の下装着面31Bが好ましい。
なお、本実施形態では、咬合基準データ30に第1データ10をまず重ね合わせ、その後、第2データ20を重ね合わせる場合を例示的に説明したが、本発明ではこれに限定されない。図10に示すように、咬合基準データ30に第2データ20をまず重ね合わせ、その後、第1データ10を重ね合わせることによって、図9中に例示したような重ね合わせ状態を形成してもよい。
第1データ10及び第2データ20の重ね合わせによって、同じ3次元座標空間内に、上義歯床データ12と下義歯床データ22とが、適切な咬合面Mを挟んで配置されることになる。次に、図2中のステップS6において、3次元座標空間内に第1データ10及び第2データ20を残して、咬合基準データ30を消去する(図11参照)。
次に、図3中のステップS7において、第1データ10の上人工歯データ13に新上人工歯データ14を重ね合わせて配置することによって、新上人工歯データ14を位置決めする(図12参照)。重ね合わせの際、複製元の上人工歯データ13の位置を、大まかな配置先の目印として使用できる。新上人工歯データ14は、例えば、予め、複製上顎有床義歯の義歯床に埋め込まれる予定の新人工歯を3Dスキャンして用意されている。
図12中の新上人工歯データ14で形成された画像には、説明の便宜のため、斜線が付されている。以下、新上人工歯データ14で形成された画像のことを、単に「新上人工歯データ14」と称すると共に、他のデータについても同様に称する場合がある。
ここで、複製元の上人工歯は、経年劣化等の影響によって、表面や先端が損耗していることが多い。このため、図12に示したように、上人工歯データ13の形状と、適切な噛み合わせ状態で設計された新上人工歯データ14の形状とは、完全に一致しない場合がある。また新品の上人工歯データ13の形状と異なった人工歯のデータを新上人工歯データ14として使用する症例もあるので、この場合も、上人工歯データ13の形状と新上人工歯データ14の形状とは、完全には一致しない。図12中では、同じ人工歯の領域の中に、斜線が付されている新上人工歯データ14と斜線が付されていない上人工歯の領域とが部分的に混在した状態が、上人工歯データ13と新上人工歯データ14とが完全には重なり合わない場合として例示されている。
次に、図3中のステップS8において、第1データ10から上人工歯データ13を消去する。そして、ステップS9において、上人工歯データ13が消去された第1データ10を、複製上側有床義歯の第1合成データとして取得する。また、取得された3Dデータを設計データとして図1に示した造形装置120により、本実施形態に係る上側有床義歯を製造することができる。図13中には、上義歯床220と新上人工歯240とが一体的に製造された上側有床義歯200が例示されている。
次に、図3中のステップS10において、第2データ20の下人工歯データ23に新下人工歯データ24を重ね合わせて配置することによって、新下人工歯データ24を位置決めする(図12参照)。図12中の新下人工歯データ24は、説明の便宜のため、斜線が付されている。次に、図3中のステップS11において、第2データ20から下人工歯データ23を消去する。そして、ステップS12において、下人工歯データ23が消去された第2データ20を、複製下側有床義歯の第2合成データとして取得する。
また、取得された3Dデータを設計データとして図1に示した造形装置120により、本実施形態に係る下側有床義歯を製造することができる。図14中には、下義歯床320と新下人工歯340とが一体的に製造された下側有床義歯300が例示されている。ステップS10〜ステップS12における複製下側有床義歯の3Dデータ取得方法のそれぞれのステップの構成は、ステップS7〜ステップS10における複製上側有床義歯の3Dデータ取得方法のそれぞれのステップの構成と同様である。
なお、ステップS7〜ステップS9による複製上側有床義歯の3Dデータの取得と、ステップS10〜ステップS12による複製下側有床義歯の3Dデータの取得とは、いずれが先に実行されてもよい。
<複製義歯床の3Dデータ取得方法及び複製義歯床の製造方法>
次に、本実施形態に係る複製義歯床の3Dデータ取得方法及び複製義歯床の製造方法を、図15〜図24を参照して説明する。まず、上顎側について説明する。ステップS1〜ステップS6、及び、図3中のステップS7までの処理を実行する。図15中には、ステップS7までの工程によって新上人工歯データ14が上人工歯データ13に重ね合わせられた第1データ10を、上装着面と反対側となる下側から見た状態が例示されている。
次に、図4中のステップS13において、第1データ10から新上人工歯データ14を一旦消去する。また、第1データ10から上人工歯データ13を消去する。なお、第1データ10から新上人工歯データ14を消去する方法としては、例えば、データそのものを削除してもよいし、或いは、上人工歯データ13を消去する作業に影響しない状態を保持しつつ画面上で新上人工歯データ14を非表示とする画像処理を実行してもよい。そして、図4中のステップS14において、上義歯床データ12に上側凹部配置予定領域12Aを形成する(図16参照)。
次に、図17に示すように、上側凹部配置予定領域12Aに、新上人工歯データ14を再度配置する。なお、ステップS13において、新上人工歯データ14を非表示とすることによって画面上から消去した場合には、再表示することによって配置することもできる。そして、図4中のステップS15において、配置された新上人工歯データ14の外縁形状を参考にしつつ、上側凹部配置予定領域12Aに、新上人工歯を埋め込むための上側凹部12Bを形成する(図18参照)。次に、第1データ10から、参考のために配置されていた新上人工歯データ14を消去する。
なお、上側凹部配置予定領域12Aを形成した後、上側凹部配置予定領域12Aに新上人工歯データ14を重ね合わせることなく、上側凹部配置予定領域12Aに直接、形状を描くことによって上側凹部12Bを形成してもよい。なお、図18中には、内側の底面が平坦に見える上側凹部12Bが部分的に例示されているが、本発明ではこれに限定されず、例えば凹凸を有するように、底面の形状は、新上人工歯の基底面の形状に応じて適宜変形できる。
また、本実施形態では、上義歯床に新上人工歯を接着するための接着層の厚みに応じて、上義歯床データ12における上側凹部12Bの形状を調整することができる。すなわち、接着層が存在しない場合より、上側凹部12Bを深く、かつ、広く形成できる。
次に、図4中のステップS16において、上側凹部12Bが形成された第1データ10を、複製上義歯床の第1合成データとして取得する。また、取得された3Dデータを設計データとして図1に示した造形装置120により、図19に示すように、本実施形態に係る複製上義歯床を製造することができる。
図19中には、製造された上側凹部222を有する上義歯床220Aと、上義歯床220Aとは別に製造された新上人工歯240とが例示されている。なお、図19中では、見易さのため、3本の新上人工歯240のみが例示されているが、実際には、すべての上側凹部222に新上人工歯240が対応して埋め込まれる。
次に、下顎側について説明する。まず、上顎側の場合と同様に、ステップS1〜ステップS6、及び、図3中のステップS7までの処理を実行する。そして、図20に示すように、第2データ20を底面側が正面に表れるように配置する。図20中には、ステップS7までの工程によって新下人工歯データ24が下人工歯データ23に重ね合わせられた第2データ20を、下装着面と反対側となる上側から見た状態が例示されている。
次に、図4中のステップS17において、第2データ20から新下人工歯データ24を一旦消去する。また、第2データ20から下人工歯データ23を消去する。なお、上顎側の場合と同様に、下人工歯データ23を消去する作業に影響しない状態を保持しつつ画面上で新下人工歯データ24を非表示とする画像処理を実行してもよい。そして、図4中のステップS18において、下義歯床データ22に下側凹部配置予定領域22Aを形成する(図21参照)。
次に、図22に示すように、下側凹部配置予定領域22Aに、新下人工歯データ24を配置する。そして、図4中のステップS19において、配置された新下人工歯データ24の外縁形状を参考にしつつ、下側凹部配置予定領域22Aに、新下人工歯を埋め込むための下側凹部22Bを形成する(図23参照)。次に、第2データ20から、参考のために配置されていた新下人工歯データ24を消去する。下側凹部配置予定領域22A及び下側凹部22Bの構成については、上義歯床における上側凹部配置予定領域12A及び上側凹部12Bと同様であるため、重複説明を省略する。
次に、図4中のステップS20において、下側凹部22Bが形成された第2データ20を、複製上義歯床の第2合成データとして取得する。また、取得された3Dデータを設計データとして図1に示した造形装置120により、図24に示すように、本実施形態に係る複製下義歯床を製造することができる。図24中には、製造された下側凹部322を有する下義歯床320Aと、下義歯床320Aとは別に製造された新下人工歯340とが例示されている。
なお、ステップS17〜ステップS20における複製下義歯床の3Dデータ取得方法のそれぞれのステップの構成は、ステップS13〜ステップS16における複製上義歯床の3Dデータ取得方法のそれぞれのステップの構成と同様である。また、ステップS13〜ステップS16による複製上義歯床の3Dデータの取得と、ステップS17〜ステップS20による複製下義歯床の3Dデータの取得とは、いずれが先に実行されてもよい。また、異なるデータ処理装置110を2台用意し、用意された2台のデータ処理装置110を個別に用いて、ステップS13〜ステップS16とステップS17〜ステップS20との両方を、並行して実行してもよい。
(作用効果)
本実施形態に係る有床義歯の3Dデータ取得方法では、咬合状態の上顎有床義歯及び下顎有床義歯を3Dスキャンして、3次元形状を示す咬合基準データ30を取得する。このため、3次元座標空間内における適切な咬合面Mを形成する上顎有床義歯と下顎有床義歯の位置関係が判る。そして、咬合基準データ30を消去することで、3次元座標空間内において噛み合わせた状態の第1データ10と第2データ20とを取得できる。すなわち、第1データ10の上義歯床データ12と第2データ20の下義歯床データ22との位置関係を保持できる。
次に、第1データ10の上人工歯データ13に新上人工歯データ14を重ね合わせ、第1データ10から上人工歯データ13を消去し、上義歯床データ12と新上人工歯データ14とが一体化された第1合成データを複製上顎有床義歯の3Dデータとして取得する。また、第2データ20の下人工歯データ23に新下人工歯データ24を重ね合わせ、第2データ20から下人工歯データ23を消去し、下義歯床データ22と新下人工歯データ24とが一体化された第2合成データを複製下顎有床義歯の3Dデータとして取得する。
取得された第1合成データ及び第2合成データは、適切な咬合面Mを形成する複製有床義歯データとなっている。このため、これらの3Dデータに基づいて有床義歯を製造した場合、口内にフィットし違和感なく使用できる有床義歯を実現できる。よって、本実施形態によれば、咬合精度の低下を防止できる有床義歯の3Dデータ取得方法を提供できる。
また、本実施形態によれば、上装着面11及び下装着面21は、比較的面積が広いので視認し易い。このため、咬合基準データ30と、第1データ10又は第2データ20との重ね合わせが容易になる。なお、本発明では、上装着面11及び下装着面21のうち少なくとも一方の装着面が適用されればよい。
また、本実施形態に係る有床義歯の製造方法によれば、取得された第1合成データ及び第2合成データは、互いに組み合わせた際、適切な咬合面Mを形成する有床義歯データとなっている。これらの3Dデータに基づいて有床義歯が製造されるため、口内にフィットし違和感なく使用できる有床義歯を製造できる。
また、本実施形態に係る義歯床の3Dデータ取得方法によれば、取得された第1合成データ及び第2合成データは、上側凹部12Bに新上人工歯240を取り付けたとき、及び、下側凹部22Bに新下人工歯340を取り付けたとき、適切な咬合面Mを形成する有床義歯データとなっている。本実施形態によれば、これらの3Dデータに基づいて義歯床を製造し、製造した義歯床に新人工歯を埋め込んだ場合、口内にフィットし違和感なく使用できる有床義歯を実現できる。
また、通常、複製義歯床において、義歯床に求められる機能と人工歯に求められる機能とは、互いに異なる。例えば、義歯床と人工歯とが一体化されたスキャンデータに基づき、同一材料で、造形装置を使用して複製有床義歯を製造した場合、製造された複製有床義歯の義歯床の外観の色と人工歯の外観の色とは、基本的に同じになる。
一方、人体において、義歯床に対応する生来の歯茎の色と、人工歯に対応する生来の歯の色とは、互いに異なる。このため、義歯床と人工歯とを別々に、異なる材料を用いて造形すれば、それぞれの製品の色を互いに異ならせて、生来の色に近似させることができる。結果、複製有床義歯の審美性が高まるので、例えば、患者のクオリティオブライフ(Quality of Life,QOL)が向上する。本実施形態では、義歯床と新人工歯とを個々に別材料で造形できるので、それぞれの外観の色を変えることが可能になり、結果、審美的に優れた有床義歯を実現できる。
また、本実施形態によれば、上側凹部12Bの形状又は下側凹部22Bの形状を、新上人工歯240又は新下人工歯340を接着するための接着層の厚みに応じて調整するので、接着によって義歯床と人工歯との固定性を高めつつ、適切な咬合面Mを維持できる。
また、本実施形態では、第1データ10の上人工歯データ13に新上人工歯データ14を重ね合わせ、重ね合わせられた新上人工歯データ14の根元の形状に応じて、上側凹部12Bを形成する。上側凹部12Bを形成する際、同じ画像上で、新上人工歯データ14の根元の形状を参照できるので、上側凹部12Bをより正確に形成できる。また、第2データ20の下人工歯データ23に新下人工歯データ24を重ね合わせ、重ね合わせられた新下人工歯データ24の根元の形状に応じて、下側凹部22Bを形成する。下側凹部22Bを形成する際、同じ画像上で、新下人工歯データ24の根元の形状を参照できるので、下側凹部22Bをより正確に形成できる。
また、本実施形態に係る義歯床の製造方法によれば、取得された第1合成データ及び第2合成データは、上側凹部12Bに新上人工歯240を取り付けたとき、及び、下側凹部22Bに新下人工歯340を取り付けたとき、適切な咬合面Mを形成する義歯床データとなっている。このため、これらの3Dデータに基づいて義歯床を製造し、製造した義歯床に新人工歯を埋め込んだ場合、口内にフィットし違和感なく使用できる有床義歯用の義歯床を製造できる。
<その他の実施形態>
本発明は下記の開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。本開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。
例えば、本発明では、上顎有床義歯と下顎有床義歯との間にバイト材等の咬合高さを調節する高さ調節部材を介在させた状態で3Dスキャンすることによって、咬合基準データが取得されてもよい。図25中には、上顎有床義歯と下顎有床義歯との間に点状のパターンが付された高さ調節部データ32が配置された場合の咬合基準データ30Aが例示されている。高さ調節部データ32は、高さ調節部材に対応する。図25中の咬合基準データ30Aでは、高さ調節部データ32によって咬合高さが調節され、第1データ10、第2データ20及び高さ調節部データ32によって、適切な咬合面Mを含む咬合状態が設定されている。
また、本発明では、複製義歯床としては、暫定的な使用を目的とした有床義歯に限定されない。例えば、複製元の有床義歯と同様の性能を有する複製有床義歯を製造する過程で、患者の口腔内で顎堤の形状を取得する印象用トレーが必要である場合が生じる。本発明に係る義歯床の製造方法を用いて、印象用トレーとして使用可能な複製義歯床を製造することもできる。
また、例えば、本実施形態では「複製有床義歯」及び「複製義歯床」のように、「複製」の文言が付された有床義歯及び複製義歯床について例示的に説明したが、本発明は、「複製」の文言の有無に限定されない。以上のとおり本発明は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。
10 第1データ
11 上装着面
12 上義歯床データ
12A 上側凹部配置予定領域
12B 上側凹部
13 上人工歯データ
14 新上人工歯データ
20 第2データ
21 下装着面
22 下義歯床データ
22A 下側凹部配置予定領域
22B 下側凹部
23 下人工歯データ
24 新下人工歯データ
30 咬合基準データ
31A 上装着面
31B 下装着面
32 高さ調節部データ
110 データ処理装置
120 造形装置
122 液槽
124 ステージ
126 吊り下げ部材
128 光照射機
200 上側有床義歯
220,220A 上義歯床
222 上側凹部
240 新上人工歯
300 下側有床義歯
320,320A 下義歯床
322 下側凹部
340 新下人工歯
M 咬合面
P 光硬化性樹脂

Claims (8)

  1. 上義歯床及び上人工歯を備える上顎有床義歯を3Dスキャンして、上義歯床データ及び上人工歯データを備え前記上顎有床義歯の3次元形状を示す第1データを取得し、
    下義歯床及び下人工歯を備える下顎有床義歯を3Dスキャンして、下義歯床データ及び下人工歯データを備え前記下顎有床義歯の3次元形状を示す第2データを取得し、
    咬合状態が形成された前記上顎有床義歯及び前記下顎有床義歯を3Dスキャンして、3次元形状を示す咬合基準データを取得し、
    前記咬合基準データの上義歯床に前記第1データの前記上義歯床データを重ね合わせ、
    前記咬合基準データの下義歯床に前記第2データの前記下義歯床データを重ね合わせ、
    前記咬合基準データを消去し、
    前記第1データの上人工歯データに新上人工歯データを重ね合わせ、
    前記第1データから前記上人工歯データを消去し、
    前記上義歯床データと新上人工歯データとが一体化された第1合成データを取得し、
    前記第2データの下人工歯データに新下人工歯データを重ね合わせ、
    前記第2データから前記下人工歯データを消去し、
    前記下義歯床データと新下人工歯データとが一体化された第2合成データを取得する、
    有床義歯の3Dデータ取得方法。
  2. 前記咬合基準データと前記第1データの前記上義歯床データとを重ね合わせる際、
    前記咬合基準データの前記上義歯床の装着面と前記上義歯床データの装着面とを重ね合わせる、又は、
    前記咬合基準データと前記第2データの前記下義歯床データとを重ね合わせる際、
    前記咬合基準データの前記下義歯床の装着面と前記下義歯床データの装着面とを重ね合わせる、
    請求項1に記載の有床義歯の3Dデータ取得方法。
  3. 請求項1又は2に記載の有床義歯の3Dデータ取得方法で取得された有床義歯の3Dデータに基づいて、造形装置で有床義歯を製造する、
    有床義歯の製造方法。
  4. 上義歯床及び上人工歯を備える上顎有床義歯を3Dスキャンして、上義歯床データ及び上人工歯データを備え前記上顎有床義歯の3次元形状を示す第1データを取得し、
    下義歯床及び下人工歯を備える下顎有床義歯を3Dスキャンして、下義歯床データ及び下人工歯データを備え前記下顎有床義歯の3次元形状を示す第2データを取得し、
    咬合状態が形成された前記上顎有床義歯及び前記下顎有床義歯を3Dスキャンして、3次元形状を示す咬合基準データを取得し、
    前記咬合基準データの上義歯床に前記第1データの前記上義歯床データを重ね合わせ、
    前記咬合基準データの下義歯床に前記第2データの前記下義歯床データを重ね合わせ、
    前記咬合基準データを消去し、
    前記第1データから前記上人工歯データを消去し、
    前記第1データの前記上義歯床データに、新上人工歯データの根元の形状に応じて上側凹部を形成し、前記上側凹部を有する第1合成データを取得し、
    前記第2データから前記下人工歯データを消去し、
    前記第2データの前記下義歯床データに、新下人工歯データの根元の形状に応じて下側凹部を形成し、前記下側凹部を有する第2合成データを取得する、
    義歯床の3Dデータ取得方法。
  5. 前記咬合基準データと前記第1データの前記上義歯床データとを重ね合わせる際、
    前記咬合基準データの前記上義歯床の装着面と前記上義歯床データの装着面とを重ね合わせる、又は、
    前記咬合基準データと前記第2データの前記下義歯床データとを重ね合わせる際、
    前記咬合基準データの前記下義歯床の装着面と前記下義歯床データの装着面とを重ね合わせる、
    請求項4に記載の義歯床の3Dデータ取得方法。
  6. 前記上側凹部の形状又は前記下側凹部の形状を、新上人工歯又は新下人工歯を接着するための接着層の厚みに応じて調整する、
    請求項4又は5に記載の義歯床の3Dデータ取得方法。
  7. 前記第1データの前記上義歯床データに前記上側凹部を形成する処理は、
    前記第1データの前記上人工歯データに前記新上人工歯データを重ね合わせ、前記第1データから前記上人工歯データを消去し、重ね合わせられた前記新上人工歯データの根元の形状に応じて行い、
    前記第2データの前記下義歯床データに前記下側凹部を形成する処理は、
    前記第2データの前記下人工歯データに前記新下人工歯データを重ね合わせ、前記第2データから前記下人工歯データを消去し、重ね合わせられた前記新下人工歯データの根元の形状に応じて行う、
    請求項4〜6のいずれか一項に記載の義歯床の3Dデータ取得方法。
  8. 請求項4〜7のいずれか一項に記載の義歯床の3Dデータ取得方法で取得された義歯床の3Dデータに基づいて、造形装置で義歯床を製造する、
    義歯床の製造方法。

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