(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係る防災支援方法は、例えば、作業現場又は工事現場といった現場200(図1及び図2参照)での防災に関する。
本開示でいう「現場」は、建設又は建造に関する活動が実施される場所である。本開示でいう「建設」は、建築、土木、トンネル、橋、道路、ダム、河川整備、港、空港、公園又は都市開発等の経済活動を意味する。例えば「建築」の対象は、戸建て住宅又は集合住宅(マンション)等の住宅でもよいし、商業ビル等の非住宅でもよい。また本開示でいう「建造」は、船舶等の構造物を造る経済活動を意味する。以下では一例として、現場200が、商業ビルの建築現場であることを想定する。
また以下でいう防災の対象となる事象は、火災であることを想定する。しかし、防災の対象となる事象は、火災に限定されず、水害、地震、ガス漏れ、又は不完全燃焼によるCO(一酸化炭素)の発生等でもよい。
ここで本実施形態の一の形態に係る防災支援方法は、支援工程を含む。支援工程にて、現場200の管理者X1(図1参照)に対して、少なくとも1つの防災機器2を含む防災システム1を貸与して、活動が実施される活動期間中(ここでは建設期間中)において現場200に対して防災機能を構築する。以下では、防災システム1を貸与する者を「貸与者」と呼び、防災システム1の貸与を受ける者を「被貸与者」と呼ぶことがある。
管理者X1は、建設予定又は建設中の現場200を管理する者であり、ここでは依頼者(発注者)から現場200への商業ビルの建設を請け負う建設会社502の者を含むことを想定する。つまり、管理者X1は、防災システム1の貸与を受けた被貸与者(建設会社502)を含む。したがって、管理者X1は、建設会社502の者である現場監督X10(現場200の責任者)及びオペレータX12等を含み得る。
この構成によれば、支援工程にて、防災システム1を貸与して、活動期間中において現場200に対して防災機能を構築する。そのため、コスト面等の問題に起因して防災強化は容易に実現しにくい現場200に対して、貸与による防災システム1によって解消される可能性が高くなる。結果的に、防災支援方法には、現場200での防災強化を実現しやすくすることができる、という利点がある。
なお、管理者X1は、「被貸与者」だけでなく、現場200への防災システム1の設置及び回収等を行うメンテナンス会社501の者(例えばメンテ作業者X11)も含み得る。また管理者X1は、現場200で火災発生に関する通報を受けて現場200に駆け付ける警備会社503の者(例えば警備員X13)も含み得る。
本実施形態の別の形態に係る防災支援システム100は、少なくとも1つの防災機器2を含む防災システム1と、支援部31(図1参照)と、を備えている。支援部31は、現場200の管理者X1に対して、防災システム1を貸与して、活動が実施される活動期間中において現場200に対して防災機能を構築する。例えば、支援部31は、防災システム1の貸与に関するデータの管理と支援を行う。
以下では、支援部31の機能が、現場200の外部にあり、1台のサーバ装置から構成される支援サーバ3に組み込まれているものとする。しかし、支援部31の機能は、複数台のサーバ装置に分散的に組み込まれてもよいし、そのようなサーバ装置が、例えばクラウド(クラウドコンピューティング)を構築してもよい。
この構成においても、現場200での防災強化を実現しやすくすることができる、という利点がある。
ところで、本実施形態では、防災支援方法は、提示工程を含む。提示工程にて、現場200の管理者X1に対して、少なくとも1つの防災機器2を含む防災システム1の設置に関する助言情報を提示する。現場200では、建設又は建造に関する活動の進行状況に応じて活動エリア300(図4参照)の形状又は規模の少なくとも一方が変化する。
この構成によれば、提示工程にて、防災システム1の設置に関する助言情報を提示する。そのため、活動の進行状況に応じて形状又は規模の少なくとも一方が変化し得る活動エリア300の現場200に対して、防災システム1の設置を容易に行える可能性が高くなる。結果的に、防災支援方法には、現場200への防災システム1の設置に関する容易性の向上を図ることができる、という利点がある。
また本実施形態では、防災支援システム100は、少なくとも1つの防災機器2を含む防災システム1と、提示部32(図1参照)と、を備えている。提示部32は、建設又は建造に関する活動の進行状況に応じて活動エリア300の形状又は規模の少なくとも一方が変化する現場200の管理者に対して、防災システム1の設置に関する助言情報を提示する。例えば、提示部32は、助言情報を、ネットワークNT1を介して、メンテナンス会社501のメンテ作業者X11が所有する提示装置6(図1及び図5参照)に出力し、提示装置6から提示させる。
以下では、提示部32の機能が、現場200の外部にあり、支援部31の機能と同様に支援サーバ3に組み込まれているものとする。しかし、提示部32の機能は、支援部31の機能が組み込まれる筐体(装置)とは別の筐体(装置)に組み込まれてもよい。また提示部32の機能は、複数台のサーバ装置に分散的に組み込まれてもよいし、そのようなサーバ装置が、例えばクラウド(クラウドコンピューティング)を構築してもよい。
この構成においても、現場200への防災システム1の設置に関する容易性の向上を図ることができる、という利点がある。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る防災支援システム100を備える統合システムA1について、図1〜図8を参照しながら詳しく説明する。
(2.1)統合システムの全体構成
統合システムA1は、図1に示すように、防災支援システム100と、複数(図1では合計5つ)の外部装置5とを備えている。
防災支援システム100は、作業現場又は工事現場といった複数の現場200(図1及び図2参照)での防災に関する支援を行う。以下では、図1に示すように、複数の現場200が第1現場201と第2現場202とを含む場合を想定する。
以下では説明の便宜上、第1現場201及び第2現場202はいずれも、同一の建設会社502が請け負った建設現場であるとするが、互いに異なる建設会社の建設現場でもよい。また第1現場201におけるビル建設を依頼する依頼者は、第2現場202におけるビル建設を依頼する依頼者と違うことを想定するが、同一でもよい。
また以下では、第1現場201における工期と、第2現場202における工期とは重なっておらず、第1現場201における工期が終了した後に、第2現場202の建設が着工されるものとする。ただし、当然ながら、互いの工期の少なくとも一部が重複する可能性もある。
ここでは一例として、防災支援システム100は、少なくとも1つの防災機器2を含む防災システム1を複数組と、支援サーバ3とを備えている。
支援サーバ3は、現場200の外部に設置されている。支援サーバ3は、例えば、防災システム1を貸与する者である「貸与者」が運用することを想定する。貸与者は、リース会社500であり、支援サーバ3は、リース会社500の社内に設置されている。支援サーバ3は、リース会社500の社内に設置されるルータ等を介して、インターネット等のネットワークNT1(図1参照)と接続されている。
リース会社500は、防災システム1を製造及び販売する会社(以下、「メーカ」と呼ぶ)から、1又は複数の防災システム1を購入する。なお、防災システム1及び支援サーバ3の詳細な構成については、以降の欄で説明する。
リース会社500は、建設会社502(被貸与者)と、「リース(貸与)」と「防災支援」に関するサービス契約を締結し、1又は複数の防災システム1をリース(レンタル)する。本実施形態では商業ビルの建設を想定しているため、被貸与者が建設会社502(いわゆるゼネコン)である。しかし、被貸与者は、建設会社50に限定されず、例えば戸建ての住宅等の建築を請け負う工務店等でもよい。
要するに、本実施形態では一例として、リース会社500が、リースサービスと、防災支援サービスの両方をとりまとめて提供する。
リース会社500は、メンテナンス会社501と業務の提携を行っている。リース会社500は、リースの対象となる防災システム1の設置、回収、及び清掃等の業務を統括的にメンテナンス会社501に依頼する。例えば、リース会社500は、建設会社502と、上記のサービス契約を締結すると、メンテナンス会社501に、建設会社502の管轄する第1現場201及び第2現場202の各々に対して、防災システム1の設置を指示する。リース会社500は、上記のサービスの提供に対する対価として、サービス料金(リース料金も含む)の支払いを受ける。リース会社500は、取引先となった建設会社502の与信管理も行う。
ところで、リースサービスと防災支援サービスとは、別々の者によって提供されてもよい。例えば、防災支援に関する業務をメーカが担い、リースに関する業務(リース料金等の回収及び与信管理)をリース会社500が担ってもよい。メーカは、例えば防災システム1をリース会社500に販売し、そこから月々の定額をリース会社500に支払って、防災システム1を戻す(リースバック)。つまり、防災システム1の使用権は、メーカにある状態になる。メーカは、メンテナンス会社501に防災システム1の設置や回収等の指示をする。この場合、支援サーバ3は、メーカが運用してもよい。建設会社502は、サービス料金(リース料金も含む)をリース会社500に支払う。リース会社500は、支払われたサービス料金の一部をメーカに渡す。
複数(図示例では合計5つ)の外部装置5は、図1に示すように、例えば、メンテサーバ4と、提示装置6と、監視サーバ70と、情報端末71と、警備サーバ8とを含む。
メンテサーバ4は、メンテナンス会社501が運用するサーバである。メンテサーバ4は、例えばメンテナンス会社501の社内に設置されている。メンテサーバ4は、メンテナンス会社501の社内に設置されるルータ等を介して、ネットワークNT1と接続されている。そして、メンテサーバ4は、ネットワークNT1を介して、リース会社500が運用する支援サーバ3と双方向に通信可能である。メンテサーバ4は、ネットワークNT1を介して、その他の外部装置5とも双方向に通信可能でもよい。
提示装置6は、メンテナンス会社501の者(例えば、メンテ作業者X11)が携帯するスマートフォン又はタブレット端末等の情報端末を想定する。提示装置6は、それを携帯するメンテ作業者X11が社外に居る場合、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)又は公衆無線LAN(Local Area Network)等を介して、ネットワークNT1に接続される。
詳細は後述するが、防災システム1の設置に関する助言情報は、提示装置6を通じて提示される。提示装置6は、タッチパネル式の液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイを含む表示部60(図5参照)を有し、「助言情報の提示」は、表示部60からの画面出力によって行われることを想定する。提示装置6には、支援サーバ3等と通信して助言情報に関するGUI(Graphical User Interface)を提示するための専用のアプリケーションソフト(以下、単に「提示アプリ」と呼ぶ)が予めインストールされている。助言情報は、支援サーバ3から直接、或いは、支援サーバ3からメンテサーバ4を経由して、提示装置6に送信される。
メンテ作業者X11は、提示装置6を用いて、各現場200に関する防災システム1の設置作業、及び回収作業等を行う。またメンテ作業者X11は、提示装置6を用いて、防災システム1に関する種々の状況を管理、監視する。メンテ作業者X11は、防災システム1の清掃業務も行う。
提示装置6は、表示部(ディスプレイ)等が付設される据置型のパーソナルコンピュータでもよい。また「助言情報の提示」は、画面出力に限られず、画面出力の代わりに又は画面出力に加えて、音声出力によって行われてもよい。
監視サーバ70は、建設会社502が運用するサーバである。監視サーバ70は、例えば建設会社502の社内に設置されている。監視サーバ70は、建設会社502の社内に設置されるルータ等を介して、ネットワークNT1と接続されている。そして、監視サーバ70は、ネットワークNT1を介して、リース会社500が運用する支援サーバ3と双方向に通信可能である。また監視サーバ70は、ネットワークNT1を介して、各防災システム1及び警備サーバ8とも双方向に通信可能である。監視サーバ70は、ネットワークNT1を介して、その他の外部装置5とも双方向に通信可能でもよい。
建設会社502のオペレータX12は、監視サーバ70と社内LANで接続される端末(例えばパーソナルコンピュータ)を用いて、各現場200の状況を管理、監視する。
情報端末71は、建設会社502の者(例えば、現場監督X10又はオペレータX12等)が携帯するスマートフォン又はタブレット端末等を想定する。情報端末71は、人が装着又は着用可能なウェアラブル端末(ウェアラブルコンピュータ)でもよい。情報端末71は、それを携帯する現場監督X10が社外(例えば現場200)に居る場合、通信事業者が提供する携帯電話網又は公衆無線LAN等を介して、ネットワークNT1に接続される。
詳細は後述するが、防災システム1が、現場200で火災の発生を検知すると、その旨(火災情報)が、ネットワークNT1を介して、情報端末71等に通知される。なお、以下では、防災システム1の感知器21が火災の発生を検知したことを、単に「火災が発生した」と呼ぶことがある。
情報端末71は、タッチパネル式の液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを含む表示部を有し、火災情報の「通知」は、その表示部の画面出力によって行われることを想定する。情報端末71には、防災システム1と通信して火災情報に関するGUIを提示するための専用のアプリケーションソフト(以下、単に「通知アプリ」と呼ぶ)が予めインストールされている。火災情報は、防災システム1から直接、或いは、防災システム1から監視サーバ70を経由して、情報端末71に送信される。
火災情報を受けて通知アプリを通じて出力される通知情報は、火災が発生した現場200を特定可能な情報(住所、工事内容、及び発注者の名前等)を含む。また通知情報は、例えば、現場200が存在する周辺地域に関する簡易的な地図情報を含む。地図情報には、現場200の位置を示すマーカ、及び現場200内での火災が検知された位置(連動元の感知器21の位置)を示すマーカが表示されることが好ましい。
防災システム1の防災機器2は、GPS(Global PositioningSystem)等の衛星測位システムを用いて現在の自機の位置情報を取得し、その位置情報を火災情報に含めて情報端末71に送信してもよい。通知情報は、GPSによる防災機器2の位置を示すマーカを地図情報に表示させてもよい。また情報端末71も、GPS等の衛星測位システムを用いて現在の自機の位置情報を取得し、情報端末71の現在地を表すマーカを地図情報に表示させてもよい。
通知情報は、火災が発生した現場200の画像情報を含んでもよい。画像情報は、撮像部(カメラ等)により撮像された、火災が発生した現場200のリアルタイムの映像(動画又は静止画)を含み得る。撮像部は、防災機器2に付設されてもよいし、防災機器2とは別体に設置されてもよい。火災情報の「通知」は、画面出力に限られず、画面出力の代わりに又は画面出力に加えて、音声出力によって行われてもよい。
警備サーバ8は、警備会社503が運用するサーバである。建設会社502は、防災及び防犯に関する業務について警備会社503と提携する。警備サーバ8は、例えば警備会社503の社内に設置されている。警備サーバ8は、警備会社503の社内に設置されるルータ等を介して、ネットワークNT1と接続されている。そして、警備サーバ8は、ネットワークNT1を介して、建設会社502が運用する監視サーバ70や情報端末71と双方向に通信可能である。
警備会社503の警備員X13は、例えば、現場200で火災が発生した場合に、建設会社502からの要請を受けて、その現場200に駆けつける。警備サーバ8は、建設会社502からの要請(情報)を、監視サーバ70又は情報端末71から受信する。建設会社502からの要請は、現場監督X10又はオペレータX12等から電話を通じて口頭で警備員X13に伝えられてもよい。なお、警備員X13は、火災が発生していない通常時においても、建設会社502からの要請に応じて、各現場200の定期巡回をする。
警備サーバ8は、ネットワークNT1を介して、各防災システム1と直接通信可能でもよい。上述した火災情報は、各防災システム1から直接警備サーバ8に送信されてもよい。警備サーバ8は、ネットワークNT1を介して、その他の外部装置5とも双方向に通信可能でもよい。
(2.2)防災システム
次に、貸与の対象となる防災システム1の構成について図2及び図3Aを参照しながら説明する。以下で説明する防災システム1は、各現場200に貸与され得る単なる一例であって、少なくとも1つの防災機器2を含めばよい。ただし、防災システム1は、現場200で火災が発生した場合に、火災情報を現場200の外部に通知するための通信機能を有していることが望ましい。
本実施形態では、現場200の規模、工事内容、又は現場作業員の人数等によって、防災機器2の数及び種類が異なり得る。例えば第1現場201に設置される防災機器2の数及び種類は、第2現場202に設置されるものと異なり得る。
さらに各現場200における活動エリア300(図4参照)は、建設工事の進行状況に応じて、その形状又は規模の少なくとも一方が変化し得る。そのため、本実施形態では、同一の現場200においても、時系列で見れば、設置される防災機器2の数及び種類も変化する。
防災システム1は、図2に示すように、複数(図示例では5台)の防災機器2を含む。複数の防災機器2は、複数台(図2では2台)の感知器21と、アダプタ23(移報接点アダプタ)と、照明機器22と、通信装置24とを含む。
防災機器2は、外部電源(例えば商用の電力系統)に電気的に接続され、外部電源から供給される交流電力(例えば実効値100V)を直流電流に変換して駆動してもよい。ただし、建設中の現場200では、防災機器2は、外部電源から電力供給を得られない可能性が高い。そこで、本実施形態では一例として、防災機器2は全て電池式である。言い換えると、防災機器2は、内蔵バッテリーからの電力により駆動する。したがって、現場200に外部電源や非常用電源がなくても、防災システム1を利用可能となる。
なお、建設工事が進み、工期の後半になると、外部電源から電力供給を得られやすくなる場合がある。その場合には、複数の防災機器2の少なくとも1つが、外部電源により駆動するものに交換されてもよい。
各感知器21は、火災の発生を検知する検知機能を有している。現場200では、空気中に建材からの粉塵等が漂っている可能性が高い。そのため、各感知器21は、例えば、火災の発生に伴う熱に応じて、火災の発生を検知する感熱式で構成されている。
ただし、複数の感知器21の少なくとも1つは、火災の発生に伴う煙の発生量(濃度)に応じて火災の発生を検知する光電式で構成されてもよい。或いは、複数の感知器21の少なくとも1つは、感熱式と光電式の両方の機能を有してもよい。この場合、感知器21は、粉塵等が漂っている可能性が高い日中の時間帯では、熱による火災検知を実行し、工事が中断している夜間の時間帯では、煙による火災検知を実行するように動作を切り替えてもよい。また複数の感知器21の少なくとも1つは、様々なガス種に対応するマルチガスセンサとして構成されてもよい。
また各感知器21は、建設状況によっては壁面及び天井面等が未だ完成していない現場200に設置されることを考慮して、防水構造を有していることが好ましい。
また各感知器21は、火災の発生を検知した場合に周囲に報知する警報器としての機能も有している。したがって、各感知器21は、火災の発生時に警報音等の音を出力する。
複数台の感知器21は、いわゆる連動型の感知器であり、いずれの感知器21で火災を検出しても、他の感知器21と連動して(他の感知器21と共に)、警報音の発報を行うように構成されている。火元の位置にある感知器21(連動元)は、例えば「ビュービュー、火事です。」という警報音の発報を行う。他の感知器21(連動先)は、例えば「ビュービュー、他所で火事です。」という警報音の発報を行う。
具体的には、例えば、複数台の感知器21のうちいずれか1つが親機として機能し、他の残りの感知器21が子機として機能する。親機の感知器21は、子機である他の感知器21の識別情報を記憶している。各感知器21に対する親機又は子機の設定は、感知器21に付設されるディップスイッチ等によって切り替えられる。親機、子機の設定は、例えばメンテ作業者X11が現場200で行う。
子機が連動元であれば、火災の発生を検知した旨を示す連動信号を親機に送信する。連動信号を受信した親機は、自機も警報音の発報を行うと共に、他の子機に連動信号を送信して警報音の発報を行わせる。親機が連動元である場合も、親機は、全ての子機に連動信号を送信して警報音の発報を行わせる。また親機は、火災を検知した旨を示す警報信号をアダプタ23に送信する。
各感知器21は、図3Aに示すように、制御部210、通信部211、(内蔵)バッテリー212、報知部E1(作動灯213及び音響部215)、及び検知部216を有している。バッテリー212は、例えば、リチウム電池であり、感知器21は、バッテリー212から供給される電力によって動作する。
制御部210は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、制御部210として機能する。プログラムは、ここでは制御部210のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御部210は、自機の固有の識別情報を記憶している。自機が親機であれば、制御部210は、子機の固有の識別情報を記憶している。
制御部210は、通信部211、報知部E1、及び検知部216等を制御する。また制御部210は、バッテリー212の直流電力から各種の回路の動作電力を生成する電源回路を制御する。
検知部216は、感熱式のセンサである。検知部216は、例えばサーミスタ等の熱検知素子を1又は複数有している。各熱検知素子は、火災に相当する温度の熱を検知して電気信号(検知信号)を制御部210に送信する。制御部210は、検知部216からの検知信号に基づき、火災が発生したか否かを判定する。検知部216は、感熱式のセンサの代わりに又は加えて、光電式のセンサを有してもよい。
通信部211は、電波を媒体とする無線信号を送信及び受信する。通信部211は、他の感知器21の通信部211と通信する。また自機が親機であれば、通信部211は、アダプタ23(移報接点アダプタ)と通信する。通信部211は、アンテナと、送信回路と、受信回路とを有している。送信回路は、制御部210から入力されたデータを無線信号に変調し、アンテナを介して送信する。受信回路は、アンテナを介して受信した無線信号を復調し、復調したデータを制御部210に出力する。
通信部211は、例えば、電波法施工規則第6条第4項第3号に規定される「小電力セキュリティシステムの無線局」に準拠して無線通信を行っており、426MHzの周波数帯の電波を利用して、他の感知器21及びアダプタ23と無線通信を行う。
報知部E1は、作動灯213及び音響部215から構成される。報知部E1は、火災の発生を周囲に報知する機能を有している。
音響部215は、音(音波)を出力する。音響部215は、制御部210にて火災が発生したと判定したときに、火災の発生を報知するように警報音を出力する。音響部215は、電気信号を音に変換するスピーカ、及び音響回路等により構成される。また音響部215は、取り換え時期、故障、又は電池切れ等が発生したと制御部210が判定した場合に、その発生の旨を報知するための音(報知音)を出力する。音響部215は、動作試験時においても、警報音及び報知音を試験的に出力する。
動作試験は、各感知器21の筐体20から露出する操作ボタンが押し操作されることで実行可能となっている。特にアダプタ23に付設される操作ボタンが押し操作されることで、複数の感知器21の動作試験を連動して実行可能となっている。
なお、警報中に、感知器21又はアダプタ23の操作ボタンが押し操作されると、警報音の出力は停止する。
作動灯213は、光源としてLED(Light Emitting Diode)214、及び点灯回路等を有している。作動灯213は、通常時(火災の監視時)には消灯している。制御部210にて火災が発生したと判定した場合に、作動灯213は、警報音の発報の開始と共に、点滅又は点灯を開始し、警報音の発報が停止すると停止する。また作動灯213は、取り換え時期、故障、又は電池切れ等が発生したと制御部210が判定したとき、その発生の旨を周囲の人に知らせるために点滅する。つまり、現場200で作業中の人は、作動灯213を視認することで、感知器21の動作状態を確認できる。
アダプタ23(移報接点アダプタ)は、親機の感知器21と無線通信するように構成される。親機の感知器21は、上述の通り、自機又はいずれかの子機の感知器21で火災の発生を検知すると、その旨を示す警報信号をアダプタ23に送信する。警報信号は、火元となった連動元の感知器21を特定可能な情報(例えば感知器21の識別情報等)を含む。アダプタ23は、例えば活動エリア300の出入口付近に設置される(図5参照)。
またアダプタ23は、上述の通り、複数の感知器21の警報を連動して停止させたり、動作試験を連動して実行させたりするための操作ボタンを有している。アダプタ23は、電池式であり、例えばリチウム電池等の内蔵バッテリーから供給される電力によって動作する。
ここでアダプタ23は、少なくとも現場200では、照明機器22及び通信装置24と通信可能に接続されている。具体的には、アダプタ23は、照明機器22及び通信装置24と、2本の信号線L1(図2では模式的に1本で図示)を介して、渡り配線方式で接続される。アダプタ23は、一対の無電圧端子(移報接点)を有している。アダプタ23は、親機の感知器21から警報信号を受信すると、移報接点(a接点)を閉じることで、照明機器22を点灯させ、さらに通信装置24に、火災情報を情報端末71及び監視サーバ70等の外部装置5へ送信させる。要するに、アダプタ23は、親機の感知器21から警報信号を受信すると、信号線L1を介した無電圧移報を照明機器22及び通信装置24に出力する。アダプタ23は、移報中に操作ボタンが押されると、移報接点を開いて、移報出力を停止する。
照明機器22は、LED等の光源、及び光源を点灯させるための点灯回路等を有している。照明機器22は、信号線L1を介して、アダプタ23から移報を受けると、光源を点灯させる。言い換えると、防災支援方法は、少なくとも防災の対象となる事象(ここでは火災)が現場200で発生した場合に、事象(火災)の発生に連動して現場200における照明の点灯を実行する照明工程を含む。ここでは照明機器22は、避難誘導用の照明として、活動エリア300の出入口付近又は避難経路上に設置される(図5参照)。
照明機器22は、現場200に簡易的に設置可能に構成される。照明機器22は、持ち運びが容易な小型の筐体を有していることが好ましい。照明機器22は、電池式であり、例えばリチウム電池等の内蔵バッテリーから供給される電力によって動作することを想定するが、外部バッテリー(例えばUPS:Uninterruptible Power Supply)から供給される電力によって動作してもよい。
照明機器22が現場200に設置されていれば、火災が検知されたときに照明機器22が点灯することで、現場200に存在する人が避難しやすい状況を提供できる。結果的に、現場200に存在する人は、火災の発生時に、迅速に避難活動を行える。特に、地下階等のように十分な明るさを確保しにくい環境下で現場作業員が工事作業中に、火災が発生して更に停電等が発生した場合、照明機器22の点灯により、逃げ遅れを抑制できる。
通信装置24は、ネットワークNT1を介して、情報端末71及び監視サーバ70等の外部装置5と通信するための通信機能を有している。通信装置24は、信号線L1を介して、アダプタ23から移報を受けると、連動元の感知器21の識別情報等を含む火災情報を示す無線信号を生成して、情報端末71及び監視サーバ70等の所定の外部装置5に送信する。特に、設置される現場200によって現場監督X10が変わる可能性があり、火災情報の送信先となる情報端末71も変わる可能性がある。そのため、防災システム1が貸与されるその都度、通信装置24のメモリにおける送信先を指定する識別情報等が設定変更される。通信装置24は、例えば活動エリア300の出入口付近に設置される(図5参照)。
情報端末71及び監視サーバ70の各々は、通信装置24から火災情報を受信すると、連動元の感知器21の固有の識別情報と、後述する貸与情報M1(図3B参照)とから、防災システム1が設置されている現場200の位置等を特定する。情報端末71は、通知アプリを起動して、現場200の位置等を画面表示する。支援サーバ3は、貸与情報M1を管理している。情報端末71及び監視サーバ70の各々は、貸与情報M1を支援サーバ3から取得する。取得タイミングは、特に限定されず、現場200への設置が完了した時点でもよいし、火災情報を受信した時点でもよい。また上述の通り、防災機器2がGPSにより自機の位置情報を取得している場合には、GPSによる位置情報が、情報端末71から画面表示されてもよい。
ここで本実施形態の各防災機器2は、壁面や天井面等が未完状態にある現場200での設置の容易性を向上させるために、取付部26(図6B参照)を有している。図6Bは、感知器21が、現場200における建物の躯体となる鉄骨T1に設置されている様子を示す模式的な側面図である。取付部26は、例えば、各防災機器2の筐体のベース(図6では感知器21の筐体20の取付ベース)の上面に固定されたマグネットにより構成される。取付部26は、両面テープ、又は引っ掛け構造により構成されてもよい。このように取付部26が設けられていることで、防災機器2を建物の壁や天井等の下地、又は仮設の足場等に直接設置できる。
(2.3)支援サーバ
次に、防災システム1を貸与する貸与者によって運用される支援サーバ3の構成について図1及び図3Bを参照しながら説明する。
支援サーバ3は、図1及び図3Bに示すように、処理部30を有している。また支援サーバ3は、図3Bに示すように、通信部33及び記憶部34を更に有している。
通信部33は、支援サーバ3がネットワークNT1を介して複数台の外部装置5とそれぞれ通信するための通信インタフェースである。
記憶部34は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部34は、例えばフラッシュメモリである。記憶部34は、処理部30の外部に設けられているが、処理部30の内部に設けられていてもよい。すなわち、記憶部34は、処理部30の内蔵メモリであってもよい。記憶部34は、貸与情報M1を記憶する。また記憶部34は、防災システム1の通信装置24の識別情報、及び複数の外部装置5の識別情報を記憶する。記憶部34は、これら以外の種々のデータも記憶する。
処理部30は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部30として機能する。プログラムは、ここでは処理部30のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。処理部30は、支援部31と提示部32とを有している。言い換えると、処理部30は、支援部31としての機能、及び提示部32としての機能を有している。
支援部31は、現場200の管理者X1(例えば建設会社502)に対して、防災システム1を貸与して、建設(活動)が実施される建設期間(活動期間)中において現場200に対して防災機能を構築するように構成される。言い換えると、防災支援方法は、現場200の管理者X1に対して、防災システム1を貸与して、建設(活動)が実施される建設期間(活動期間)中において現場200に対して防災機能を構築する支援工程を含む。ここでは支援部31は、防災システム1の貸与に関するデータ(以下、「貸与情報M1」と呼ぶ)を記憶部34に記憶して管理を行う。
[貸与情報]
ここで貸与情報M1について説明する。貸与情報M1は、貸与される防災システム1に関する第1情報と、防災システム1が設置される現場200及び建設会社502に関する第2情報と、貸与期間に関する第3情報とを対応付けしたデータである。貸与情報M1は、例えば、貸与される防災システム1ごとに、つまり現場200に設置される防災システム1ごとに生成される。防災システム1の貸与期間が終了すると、上記の対応付けは解消されて、貸与情報M1は、履歴情報として保管される。
第1情報は、貸与される防災システム1に含まれる防災機器2の台数情報、種類情報、及び固有の識別情報等を含む。種類情報は、例えば、感知器21、照明機器22、アダプタ23、又は通信装置24の種別に関する項目、及び感知器21における感熱式又は光電式の種別に関する項目等を含み得る。種類情報は、品番又は型番を含み得る。
記憶部34は、リース会社500が貸与可能な防災機器2に関するカタログ情報(マスタ情報)を記憶している。カタログ情報は、例えばメーカのサーバ等からダウンロードにより取得される。第1情報のうち種類情報、及び識別情報等は、カタログ情報に基づく情報である。
第2情報は、防災システム1の貸与を受ける被貸与者(顧客)である建設会社502に関する情報を含む。また第2情報は、防災システム1が設置される現場200に関する情報(場所、規模、工事内容、及び現場作業員の人数等)も含む。第2情報は、リース会社500と建設会社502との間でサービス契約が締結された時点で登録され得る顧客情報(マスタ情報)に基づく情報である。
第3情報は、上述の通り、貸与期間に関する情報である。貸与期間は、現場200での建設期間と概ね合致するが、必ずしも合致するとは限らない。支援部31は、第3情報に基づき貸与状況情報を生成して、複数の防災機器2が貸与中か否かを管理する。貸与状況情報は、記憶部34に記憶される。言い換えると、防災支援方法は、貸与の対象となる複数の防災機器2について、貸与中か否かを示す貸与状況情報を管理する管理工程を更に含む。支援部31は、貸与状況情報を、リース会社500の者(例えば担当者)のパーソナルコンピュータ等のユーザ端末のディスプレイに出力する。貸与状況情報は、メンテサーバ4及び提示装置6等にも送信されて、メンテナンス会社501と情報共有がなされる。このように貸与状況情報を管理することで、防災システム1の管理が行いやすくなる。例えば、現在貸与されておらず、倉庫等に保管されている防災機器2の種類及び台数を容易に把握できる。
本実施形態では一例として、支援部31は、貸与される2つ以上の防災機器2についてグループを設定する。そして、支援部31は、防災機器2のグループ単位で貸与を管理する。具体的には、支援部31は、1つの現場200に対して貸与される2つ以上の防災機器2にグループIDを割り振り、貸与情報M1では、このグループIDに貸与期間(第3情報)を紐づけて管理する。言い換えると、防災支援方法は、貸与される2つ以上の防災機器2についてグループを設定する設定工程を含む。貸与期間が終了すれば、設定されたグループは解消され、新たに別の現場200に貸与される場合には、グループの再設定が行われる。グループ設定を行うことで、防災システム1の管理が行いやすくなる。ただし、支援部31は、貸与期間について防災機器2の単位で管理してもよい。
本実施形態の支援サーバ3は、建設会社502から、ある現場200に設置する防災システム1の貸与を要求するための貸与要求(信号)を受け付けるように構成される。支援サーバ3は、貸与要求を受信すると、その現場200の規模(建築面積等)、工期、工事内容、及び現場作業員の人数等に応じて、防災機器2の台数、及び種類を推定して提案する。工事内容は、例えば、住宅又は非住宅の別、及び、木構造、鉄筋コンクリート構造、又は鋼構造等の別に関する。記憶部34は、現場200の規模、工事内容、又は現場作業員の人数等に応じた、複数のモデル(機械学習モデルでもよい)を記憶する。具体的な一例を挙げると、例えば、小規模のビル建設に対応するモデルは、感知器21を5台、アダプタ23を1台、照明機器22を1台、及び通信装置24を1台、といった内容の情報を含む。支援サーバ3は、上記モデルに加えて、BIM(Building Information Modeling)データに基づいて、提案情報を生成する。BIMデータは、建物の形状、空間関係、地理情報、建物部材の数量及び特性を含み、建物が三次元モデルで表現されたデータを含むこともある。支援サーバ3は、対象となる現場200のBIMデータを含む貸与要求を、監視サーバ70又は情報端末71等の外部装置5から受信することを想定する。
支援部31は、通信部33を通じて、ある現場200に関する貸与要求を受信すると、記憶部34に記憶される複数のモデルから、その現場200にマッチするモデルを選択する。そして、支援部31は、そのモデルに基づき、推奨される防災機器2の台数及び種類を含む提案情報を生成して、貸与要求の送信元(監視サーバ70又は情報端末71等)に送信する。提案される内容は、現場200の工期の終盤における最終的な規模として必要と推定される最大の台数、及び種類であることが好ましい。支援部31は、提案情報を送信した相手(監視サーバ70又は情報端末71等)から肯定的な回答を受信すると、提案情報に基づいて貸与する防災機器2の台数、及び種類を決定する。もちろん、貸与する防災機器2の台数、及び種類は、建設会社502からの直接的な指定に基づいて決定されてもよい。支援部31は、提案情報に対して否定的な回答を受信すると、別のモデルを選択して、別の提案情報を送信する(再提案)。
支援部31は、貸与する防災機器2の台数及び種類、並びに貸与期間等が確定すると、第1情報、第2情報、及び第3情報に基づき、貸与情報M1を生成する。生成された貸与情報M1は、記憶部34に記憶される。なお、支援部31が貸与情報M1を生成する際に、第1情報、第2情報、及び第3情報に関して不足する情報が存在すれば、リース会社500の担当者が、ユーザ端末を用いて適宜に入力を行う。
支援部31は、生成した貸与情報M1に応じて、設置要求(信号)をメンテサーバ4又は提示装置6等に送信して、メンテナンス会社501に、対象となる現場200への防災システム1の設置を依頼する。設置要求は、少なくとも、現場200を特定するための情報、及び設置対象の防災機器2を特定するための情報を含む。
メンテナンス会社501のメンテ作業者X11は、受信した設置要求に基づき、設置対象の防災機器2を準備して現場200まで搬送し、設置作業を行う。搬送作業と設置作業は、異なるタイミングで行われてもよい。建設の進行状況によっては、例えば着工して間もない時期(基礎工事の段階)では、感知器21等の設置する場所を確保することが困難である可能性がある。そのため、設置作業は、着工開始から所定期間を空けて開始されてもよい。
そして、支援部31は、貸与期間が終了間際になると、回収要求(信号)をメンテサーバ4又は提示装置6等に送信して、メンテナンス会社501に、対象となる現場200から防災システム1の回収を依頼する。
ここで本実施形態の防災システム1は、建設期間(活動期間)後に現場200とは別の現場200で再利用される。つまり、メンテ作業者X11は、第1現場201の貸与期間が終了して防災システム1を回収した後に、第2現場202の貸与期間が発生すると、その回収した防災システム1を設置要求に応じて第2現場202に設置する。結果的に、防災システム1の廃棄を抑制して、貸与された防災システム1の有効利用を図ることができる。
現場200に設置された防災システム1は、建材からの粉塵等によって、また雨風に曝されることで汚れている可能性が高く、特に感知器21が汚れていると、火災の誤検知が起きる可能性がある。そこで、メンテ作業者X11は、現場200から防災システム1を回収すると、再利用に向けての準備として、防災システム1の清掃を行う。
なお、商業ビルの建設が完了した後(竣工後)、商業ビルには、防災システム1とは別の防災システムが設置される。言い換えると、貸与された防災システム1とは別の防災システムが、建設期間(活動期間)後において現場200に設置される。「別の防災システム」は、例えば、全て新品の防災機器2を含む。「別の防災システム」の防災機器2の種類及び数は、貸与された防災システム1と同じでもよいが、基本的には異なることを想定する。本実施形態のように建設物が商業ビルであれば、「別の防災システム」は、複数の感知器21に加えて、受信機、発信機及び非常放送設備等を含む自動火災報知設備である。このように、建設期間後には「別の防災システム」が設置されるため、貸与する防災システム1については、竣工までの繋ぎとして、簡易性を重視したものを提供しやすくなる。
ただし、防災システム1は、建設期間(活動期間)後においても現場200に継続的に設置される防災機器2を1つ以上含んでもよい。例えば、建設後の商業ビルにテナントが入るまでの期間、更にはテナントが入った後も、1つ以上の防災機器2が、そのまま天井面に設置されてもよい。この場合も、建設後の商業ビルに対して、新たに別の防災機器2を導入して設置する手間やコストが省け、貸与された防災システム1の有効利用を図ることができる。
防災システム1は、建設期間(活動期間)の終了時点で、管理者X1による買取が可能となる防災機器2を1つ以上含んでもよい。例えば、貸与された1つ以上の防災機器2を、建設会社502が買い取ってもよいし、建設後の商業ビルのビル管理を警備会社503が行う場合、警備会社503が買い取ってもよい。この場合も、貸与された防災システム1の有効利用を図ることができる。管理者X1は、買い取った1つ以上の防災機器2に対応する対価を依頼者(施主)に請求してもよい。
(2.4)使用期限の管理
本実施形態の支援部31は、上述した貸与状況情報の管理に加えて、防災システム1に関する使用期限及び(貸与された)使用回数のうち少なくとも一方(ここでは例えば両方)に関する情報を管理する。言い換えると、管理工程では、防災システム1に関する使用期限及び(貸与された)使用回数のうち少なくとも一方に関する情報を更に管理する。
具体的には、上述の通り本実施形態の防災システム1の各防災機器2は、外部電源からの電力が得られにくい建設中の現場200に設置されることから、(内蔵)バッテリーからの電力で動作する。しかし、例えば貸与期間中に感知器21の電池(バッテリー212)切れが発生すると、現場200で失報が発生する可能性がある。また防災システム1は、上述の通り、複数の現場200で再利用されるため、防災機器2が常時貸与中である可能性がある。
そこで、支援部31は、防災システム1に関する使用期限を、防災機器2ごとに管理する。支援部31は、各防災機器2の交換時期(例えば10年)、及び(内蔵)バッテリーの交換時期(例えば数年)等に基づく「使用期限」を、記憶部34に記憶して管理する。支援部31は、例えば定期的に、使用期限の終了間際の防災機器2が存在するか否かを判定し、判定結果をメンテサーバ4又は提示装置6等に通知する。使用期限の終了間際の防災機器2が存在すれば、メンテ作業者X11は、その防災機器2を貸与の対象から除外する、或いはバッテリーの交換を行う。
特に、支援部31は、貸与状況情報に基づいて、現在貸与中にある防災システム1の中に、使用期限の終了間際の防災機器2が存在すれば、交換通知をメンテサーバ4又は提示装置6等に通知する。つまり、リース会社500は、交換通知により、現場200に設置中の対象の防災機器2(又はバッテリーのみ)を交換するようにメンテナンス会社501に依頼する。
また支援部31は、防災システム1の使用回数(実績回数)も、防災機器2ごとに記憶部34に記憶して管理する。支援部31は、各防災機器2の使用回数を、例えば、1回の貸与につき「+1」、つまり、ある現場200に設置されて回収されたことで「+1」カウントする。使用回数が多いほど、防災機器2が劣化している可能性が高くなる。支援部31は、例えば定期的に、使用回数が、閾値の回数に到達した防災機器2が存在するか否かを判定し、判定結果をメンテサーバ4又は提示装置6等に通知する。
閾値は、複数設定されてもよい。この場合、支援部31は、例えば使用回数が第1閾値に到達すると、その防災機器2の動作検査を実施するように通知する。また支援部31は、使用回数が第1閾値より大きい第2閾値に到達すると、その防災機器2を貸与の対象から除外するように通知する。
このように、使用期限及び使用回数のうち少なくとも一方に関する情報を管理することで、例えば交換時期の近い防災機器2が現場200に設置されてしまう可能性を低減できる。
(2.5)遠隔監視
本実施形態の防災支援システム100において、貸与された防災システム1は、遠隔で管理又は監視が可能に構成される。
本実施形態の防災システム1は、上述の通り、現場200で火災の発生を検知すると外部に、その旨を通知する。言い換えると、防災支援方法は、少なくとも防災の対象となる事象(ここでは火災)が現場200で発生した場合に、その旨を外部装置5に通知する通知工程を更に含む。防災システム1の通信装置24は、上述の通り、アダプタ23から移報を受けると、火災情報を示す無線信号を生成して、情報端末71、監視サーバ70及び警備サーバ8等の外部装置5に送信する。したがって、建設会社502や警備会社503は、遠隔で、現場200の火災の有無を監視できる。結果的に、貸与される防災システム1であっても外部通知という機能を容易に提供でき、利便性が向上される。なお、本実施形態では、火災情報は、ビッグデータとして収集及び分析するために、後述する環境情報とセットで、支援サーバ3へも送信される。
防災システム1の通信装置24は、火災の発生を検知した時だけ外部に情報を送信するだけでない。通信装置24は、現場200の環境情報を、例えば定期的に支援サーバ3に送信する。
環境情報は、例えば、現場200における周囲温度、及び湿度等を含み得る。また環境情報は、現場200の空気質、すなわち空気中に含まれる物質の種類及び濃度に応じた検知量に関する情報を含み得る。さらに環境情報は、現場200の画像(静止画又は動画)を含み得る。本実施形態の防災システム1は、温湿度センサ、空気質センサ、及び撮像部(カメラ等)を有している。これらのセンサ及び撮像部は、感知器21、アダプタ23、照明機器22、及び通信装置24のいずれかに付設されることを想定するが、これらとは別体に設けられてもよい。感知器21の検知部216が光電式である場合、空気質に関する情報は、検知部216で検知される検知信号から得られる情報でもよい。また環境情報は、通信状況に関する情報(受信信号強度等)を含んでもよい。
通信装置24は、環境情報を、例えば1日に数回定期的に支援サーバ3へ送信する。また通信装置24は、火災の発生時において、火災情報とセットで発生時点の環境情報を支援サーバ3へ送信する。環境情報は、支援サーバ3からの環境要求信号に応じて送信されてもよい。
例えば、支援部31は、環境情報に基づき、現場200の状況を分析する。また支援部31は、各防災機器2が現場200の特定の場所に正しく設置されているか否かを分析する。支援部31は、分析の結果、もし防災機器2の設置台数が誤っていたり、防災機器2が特定の場所と異なる場所に設置されていたりすれば、エラー通知をメンテサーバ4等に通知する。
また支援部31は、環境情報に基づき、その現場200にとって、より適した防災機器2の設置位置を再提案する。例えば、支援部31は、環境情報から、設置中のある感知器21が、粉塵等の多い場所に設置されていることを分析結果として得ると、その感知器21を移設するようにメンテサーバ4等に通知する。
このように、支援サーバ3は、現場200における防災システム1の設置状況を、環境情報を通じて、現場200の外部から遠隔で管理又は監視する。言い換えると、防災支援方法は、現場200における防災システム1の設置状況を現場200の外部から遠隔で管理又は監視する状況工程を更に含む。したがって、現場200の外部からでも容易に防災システム1の設置状況を把握することができる。
貸与中の防災システム1から得られる環境情報は、ビッグデータとして、収集及び分析され得る。例えば、支援部31は、火災発生時の環境情報に基づき、火災が発生した要因を分析する。また支援部31は、多数の現場200から収集された環境情報を分析して、防災機器2の最適な設置場所を機械学習モデルに反映させる。
ところで、現場200に設置される防災機器2は、建築後の通常の建物に設置されるものとは異なる機能又は仕様を有していてもよい。例えば、感知器21(アダプタ23又は通信装置24でもよい)は、火災を検知していない監視状態において、定期的に(例えば数時間ごとに)「正常です」といった音声メッセージを出力してもよい。定期的に音声メッセージを出力することで、周囲の現場作業員に対して安心感を与えることができ、火災に対する注意喚起にもなる。
また感知器21は、喧騒な現場200に設置されることを考慮して、感知器21の警報音の音量は、一般的な感知器の音量よりも高く設定されてもよい。
音声メッセージの設定(メッセージ内容の変更等)及び警報音の音量調整等は、支援サーバ3、監視サーバ70、又は情報端末71等からの遠隔制御によって行えることが好ましい。また環境情報を考慮して、火災検知に関する感知器21の感度調整も、支援サーバ3、監視サーバ70、又は情報端末71等からの遠隔制御によって行えることが好ましい。感度は、昼間と夜間とで切り替わるように設定されてもよい。
(2.6)助言情報の提示
ところで、現場200の活動エリア300は、建設の進行状況に応じて、その形状又は規模の少なくとも一方が変化し得る。図4は、時系列で、現場200の活動エリア300の形状と規模の両方が変化している様子を模式的に示す。図4に示すように、例えば、着工して第1週目では、1階の約半分の領域までの鉄骨の組立てが完了している。第2週目では、1階全ての領域の鉄骨の組立てが完了している。第3週目では、2階の約半分の領域までの鉄骨の組立てが完了している。活動エリア300の変化に応じて仮設の足場や、防音防塵シート等(図4では図示を省略)も設置されていく。
そのため、防災システム1の設置作業を行うメンテ作業者X11にとっては、どの種類の防災機器2をどこに設置するべきか、容易に判断できない可能性がある。特に建設期間中で、壁面や天井面が未だ完成していない状態において、感知器21の設置場所を決定することは、建築後の建造物に対して消防法に基づいて感知器21を設置する場合に比べて、容易ではない可能性がある。
そこで、提示部32は、現場200の管理者X1(例えばメンテ作業者X11)に対して、防災システム1の設置に関する助言情報を提示するように構成される。言い換えると、防災支援方法は、現場200の管理者X1に対して、防災システム1の設置に関する助言情報を提示する提示工程を含む。
メンテ作業者X11は、1つの現場200に対して、建設の進行状況に応じて段階的に防災機器2の設置作業を行う。支援サーバ3は、例えばBIMデータに基づき、設置作業を何段階に分けて行うかを決定して、設置スケジュール情報を生成する。支援サーバ3は、設置スケジュール情報及び貸与情報M1に応じて、設置要求をメンテサーバ4又は提示装置6等に送信する。メンテ作業者X11は、設置要求に含まれる設置スケジュール情報に従って設置作業を行う。
設置スケジュール情報は、例えば、第1週目(設置予定日:4月7日)、設置場所:1階、種類:感知器(設置数5台)、種類:アダプタ(設置数1台)、種類:通信装置(設置数1台)、及び、種類:照明機器(設置数1台)という情報を含み得る。また設置スケジュール情報は、例えば、第2週目(設置予定日:4月14日)、設置場所:2階、種類:感知器(設置数5台)、及び、移設:アダプタという情報を含み得る。ここでいう「移設」は、建設の進行状況によって活動エリア300の形状及び規模が変化するため、無線の通信環境も変化し得るため、当初1階に設置していたアダプタ23を2階に移設することが望ましい場合に予定される。
提示部32は、設置スケジュール情報と貸与情報M1とに基づいて、助言情報を生成して、メンテ作業者X11が携帯する提示装置6に送信し、表示部60を通じて提示させる(図5参照)。ここで助言情報は、現場200への設置が推奨される防災システム1を特定するための特定情報を含む。特定情報は、防災機器2の種類情報、及び台数情報等を含む。なお、貸与情報M1の第1情報における台数情報は、その現場200に設置される最大の台数を示す情報であるため、図4における第1週目又は第2週目等で設置される台数は、第1情報の台数情報が示す台数以下となり得る。
また助言情報は、現場200における防災システム1の設置位置を特定するための位置情報を含む。本実施形態では一例として、提示部32は、図5に示すように、提示装置6の表示部60に、感知器21の設置が推奨される活動エリア300の二次元のマップ情報600を画面表示させる。そして、提示部32は、そのマップ情報600に、推奨される防災機器2の位置を示すマーカP1を重畳させる。図5では、例えば現場200の1階の見取り図が、表示部60に模式的に表示されている。また図5では、感知器21、アダプタ23、照明機器22、及び通信装置24を、それぞれ異なるマーカP1で示している。
図5では、アダプタ23、照明機器22、及び通信装置24のマーカP1は、マップ情報600上の出入口付近に表示されている。言い換えると、ここでは一例として、通信状況及び避難誘導等を考慮して、アダプタ23、照明機器22、及び通信装置24を出入口付近に設置することが、提示部32から助言されている。
位置情報は、防災機器2の取付の「向き」に関する情報を含むことが好ましい。例えば、感知器21の場合、位置情報は、操作ボタン等が設けられているその前面を、鉛直下方、或いは水平方向に向ける、といった情報を含むことが好ましい。
なお、助言情報は、特定情報及び位置情報以外にも、現場200の場所、及び設置日(予定日)に関する情報も含む。図5では、画面の左上の表示領域601に、「第1現場」及び設置日を示す「4月7日」という文字列情報が表示されている。「第1現場」の表示領域をタップ操作することで、第1現場201の住所、及び請け負っている建設会社502の名称等が表示される。また図5では、画面の中央より下の表示領域602に、上述した特定情報が表示されている。
マップ情報600上における各マーカP1をタップ操作すると、更に詳細な設置位置を示す情報がポップアップ表示される。例えば、図6Aに示すように、設置対象となる鉄骨T1、及び鉄骨T1に設置された状態の感知器21を示す三次元の合成画像が表示される。鉄骨T1の画像は、その現場200のBIMデータから取得される。この場合に、三次元の合成画像を表示することで、防災機器2の取付の「向き」に関する情報も視覚的に提供できる。
メンテ作業者X11は、提示装置6にて提示アプリを起動することで、助言情報を確認できる。このように助言情報が提示されることで、防災システムの設置に関する容易性が向上される。助言情報のうち少なくとも一部の情報は、メンテ作業者X11だけでなく、建設会社502の者(例えば現場監督X10等)とも共有されてもよい。
助言情報は、建設期間(活動期間)における建設(活動)の進捗状況を表す進捗情報に基づいて提示される情報であることが好ましい。具体的には、建設工事は、例えば雨天等によって当初の建築計画よりも遅延する可能性がある。そこで、支援サーバ3は、建設会社502のサーバ(例えば監視サーバ70等)から工事の進捗情報を取得する。進捗情報は、BIMデータに基づく情報でもよいし、現場監督X10から情報端末71を通じて入力される情報でもよい。進捗情報は、例えば、現時点で3階までの鉄骨の組立てが完了したという情報を含み得る。
支援サーバ3は、その現場200での建設期間中において、進捗情報に基づき、設置スケジュール情報を最新の状態に更新する。提示部32は、更新後の設置スケジュール情報に基づいて助言情報を生成して、提示装置6の表示部60を通じて提示させる。結果的に、実際の進捗状況に適した助言情報が提示される可能性が高くなる。そのため、メンテ作業者X11は、同一の現場200における次回の設置予定日(例えば2階フロアの設置予定日)をより正確に知ることができる。
同一の現場200に対して防災機器2を進行状況に応じて別々の日に段階的に設置する場合、提示部32は、例えば教師あり学習により学習された機械学習モデルにより、設置予定日ごとに防災機器2の最適な種類と台数とを自動的に決定して提示する。さらに本実施形態では、例えばメンテ作業者X11が、提示装置6にて提示アプリを起動して、ある日の設置予定の防災機器2の種類及び台数等を入力することも可能である。
ここで、本実施形態の提示部32は、建設期間(活動期間)内の特定日の日程に対する助言情報を提示するように構成される。言い換えると、提示工程にて、建設期間(活動期間)内の特定日の日程に対する助言情報を提示する。特定日は、建設期間内の日であれば任意であり、ここでは、設置予定日であることを想定する。具体的には、助言情報は、推奨される防災システム1の設置位置に関して、時系列でデータ構造が構築されており、特定日(設置予定日)の時点における、建設の進行状況を考慮したマップ情報600を含む。例えば、メンテ作業者X11は、提示アプリを起動して設置予定日を指定し、設置予定の防災機器2の種類及び台数等を入力(日程)することで、指定した設置予定日に関する助言情報を確認できる。助言情報は、予定(建築計画)に基づくマップ情報600と、推奨される特定情報とが提示される。したがって、特定日の日程に適した助言情報が提示される可能性が高くなる。
なお、支援サーバ3は、助言情報として、防災機器2に対する清掃等のメンテナンスの方法を提示装置6から提示してもよい。この場合、メンテ作業者X11は、提示装置6からの助言情報を確認しながら、感知器21の清掃を行うことができる。
(2.7)動作説明
以下、統合システムA1の動作について、図7及び図8を参照しながら簡単に説明する。ただし、以下の動作の順序は、単なる一例であり特に限定されない。
[動作例1]
先ず貸与される防災システム1の第1現場201に対する設置までの流れについて図7のシーケンス図を参照しながら説明する。
建設会社502の者が携帯する情報端末71(又は監視サーバ70でもよい)は、第1現場201に対する防災システム1の貸与要求を支援サーバ3に送信する(ステップS1)。貸与要求は、例えば、第1現場201に関するBIMデータを含む。支援サーバ3は、貸与要求を受信すると、第1現場201の規模等に応じて防災機器2の台数、及び種類を含む提案情報を生成して(ステップS2:提案処理)、情報端末71に送信する(ステップS3)。
情報端末71は、提案情報を受信すると、提案内容を画面表示する(ステップS4)。情報端末71は、建設会社502の者からの操作入力に応じて、提案情報に対する回答情報を送信する(ステップS5)。支援サーバ3は、受信した回答情報が肯定的な回答を含む場合、貸与情報M1を生成する(ステップS6)。また支援サーバ3は、設置スケジュール情報を生成する(ステップS7)。なお、支援サーバ3は、受信した回答情報が否定的な回答を含む場合、別の提案情報を生成して再提案する。
支援サーバ3は、生成した貸与情報M1及び設置スケジュール情報に応じて、設置要求をメンテサーバ4に送信して(ステップS8)、メンテナンス会社501に、第1現場201への防災システム1の設置を依頼する。メンテサーバ4が設置要求を受信したことに応じて、メンテ作業者X11は、設置スケジュール情報に従い、設置対象の防災機器2を準備して第1現場201まで搬送し、設置作業を行う。
ここでメンテ作業者X11は、第1現場201で設置作業を行う際に、防災システム1の設置に関する助言を欲しい場合がある。特に、第1現場201の活動エリア300は、建設の進行状況に応じて形状及び規模が変化し得るため、メンテ作業者X11は、各防災機器2の設置場所を容易に判断できない場合がある。そこで、提示装置6は、メンテ作業者X11からの操作入力に応じて、助言情報を要求する助言要求(信号)を支援サーバ3に送信する(ステップS9)。
支援サーバ3は、助言要求を受信すると、第1現場201に関する助言情報を生成して(ステップS10)、提示装置6に送信する(ステップS11)。その結果、助言情報が、提示装置6の表示部60から提示され(ステップS12)、メンテ作業者X11は、助言情報を参考にしながら、防災システム1の設置を行える。
メンテ作業者X11は、防災機器2の設置が完了すると、その旨を提示装置6に入力する(ステップS13:設置完了の受付)。提示装置6は、その入力に応じて、設置完了を示す設置完了信号を支援サーバ3に送信する(ステップS14)。メンテ作業者X11は、例えば、設置した防災機器2の様子を提示装置6に備え付けのカメラ等で撮像する。提示装置6は、設置完了信号に撮像した画像を含めて送信する。
支援サーバ3は、設置完了信号を受信すると、予定されていた防災機器2の第1現場201への設置が完了した設置完了フラグを貸与情報M1に立てる(ステップS15)。なお、設置完了フラグは、適切に防災機器2が設置されていると判断された場合に立てられることが好ましい。その判断は、支援サーバ3が、設置完了信号に含まれる画像の分析によって自動的に行われてもよいし、人(例えばリース会社500の担当者)が直接画像を確認することで行われてもよい。
その後、支援サーバ3は、第1現場201に対する貸与期間が終了間際になると、回収要求をメンテサーバ4に送信して、メンテナンス会社501に、第1現場201からの防災システム1の回収を依頼する。
[動作例2]
次に第1現場201に設置された防災システム1の動作について図8のシーケンス図を参照しながら説明する。
設置された防災システム1の通信装置24は、センサ等で得られる第1現場201の環境情報を定期的に支援サーバ3に送信する(ステップS21)。
ここで例えばある感知器21(子機)が火災を検知したとする(ステップS22)。感知器21(子機)は、警報音を発報し、さらに無線で連動信号を感知器21(親機)に送信する(ステップS23)。感知器21(親機)は、連動信号を受信すると、警報音を発報し、さらに他の感知器21(子機)にも発報を連動させるために連動信号を送信する(ステップS24:連動実行)。
さらに感知器21(親機)は、火災を検知した旨を示す警報信号を無線でアダプタ23に送信する(ステップS25)。
アダプタ23は、警報信号を受信すると、移報接点をオンにする(ステップS26)。その結果、照明機器22は、移報出力を受けて点灯する(ステップS27)。さらに通信装置24は、移報出力を受けて、火災情報を情報端末71及び監視サーバ70等の外部装置5へ送信させる(ステップS26:外部通知)。情報端末71では、通知アプリが起動し、火災が発生した第1現場201を特定可能な情報(住所等)が通知される。
なお、外部通知を受けて駆け付けた建設会社502の者又は警備員X13が、火元を確認した結果、誤報だと分かれば、アダプタ23の操作ボタンを押すことで、感知器21の発報及び照明機器22の点灯が停止する。
[利点]
上記動作例1及び動作例2で説明したように、本実施形態によれば、防災システム1を貸与して、活動期間中において現場200に対して防災機能を構築する。そのため、コスト面等の問題に起因して防災強化は容易に実現しにくい現場200に対して、貸与による防災システム1によって解消される可能性が高くなる。結果的に、防災支援システム100には、現場200での防災強化を実現しやすくすることができる、という利点がある。
また上記動作例1で説明したように、本実施形態によれば、防災システム1の設置に関する助言情報を提示する。そのため、建設の進行状況に応じて形状及び規模が変化し得る活動エリア300の現場200に対して、防災システム1の設置を容易に行える可能性が高くなる。結果的に、防災支援システム100には、現場200への防災システム1の設置に関する容易性の向上を図ることができる、という利点がある。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る防災支援システム100と同様の機能は、防災支援方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
本開示における防災支援システム100は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における防災支援システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable GateArray)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、防災支援システム100における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。防災支援システム100の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。具体的には、基本例では防災支援システム100における複数の機能が全て1台の支援サーバ3に集約されているが、その一部又は全部の機能が、メンテサーバ4、監視サーバ70、及び警備サーバ8等に分散して設けられてもよい。
反対に、防災支援システム100における複数の機能が、基本例のように、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、防災支援システム100の少なくとも一部の機能、例えば、防災支援システム100の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
基本例では、防災システム1がリース会社500から貸与されることを想定していた。しかし、本開示における「助言情報を提示する」防災支援方法において、防災システム1が「貸与」されるシステムであることは必須ではない。防災システム1は、例えば、建設会社502がメーカから購入して現場200に設置されるシステムでもよい。
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る防災支援方法は、提示工程を含む。提示工程にて、建設又は建造に関する活動の進行状況に応じて活動エリア(300)の形状又は規模の少なくとも一方が変化する現場(200)の管理者(X1)に対して、少なくとも1つの防災機器(2)を含む防災システム(1)の設置に関する助言情報を提示する。第1の態様によれば、現場(200)への防災システム(1)の導入設置に関する容易性の向上を図ることができる。
第2の態様に係る防災支援方法に関して、第1の態様において、助言情報は、現場(200)への設置が推奨される防災システム(1)を特定するための特定情報を含む。第2の態様によれば、防災システムの導入設置に関する容易性が更に向上される。
第3の態様に係る防災支援方法に関して、第1又は第2の態様において、助言情報は、現場(200)における防災システム(1)の設置位置を特定するための位置情報を含む。第3の態様によれば、防災システムの導入設置に関する容易性が更に向上される。
第4の態様に係る防災支援方法に関して、第1〜第3の態様のいずれか1つにおいて、助言情報は、活動が実施される活動期間における活動の進捗状況を表す進捗情報に基づいて提示される情報である。第4の態様によれば、進捗状況に適した助言情報が提示される可能性が高くなる。
第5の態様に係る防災支援方法に関して、第1〜第4の態様のいずれか1つにおいて、提示工程にて、活動が実施される活動期間内の特定日の日程に対する助言情報を提示する。第5の態様によれば、特定日の日程に適した助言情報が提示される可能性が高くなる。
第6の態様に係る防災支援方法は、第1〜第5の態様のいずれか1つにおいて、現場(200)における防災システム(1)の設置状況を現場(200)の外部から遠隔で管理又は監視する状況工程を更に含む。第6の態様によれば、現場(200)の外部からでも容易に防災システム(1)の設置状況を把握することができる。
第7の態様に係る防災支援方法は、第1〜第6の態様のいずれか1つにおいて、防災システム(1)に関する使用期限及び使用回数のうち少なくとも一方に関する情報を管理する管理工程を更に含む。第7の態様によれば、例えば交換時期の近い防災機器(2)が現場(200)に設置されてしまう可能性を低減できる。
第8の態様に係る防災支援方法は、第1〜第7の態様のいずれか1つにおいて、管理者(X1)に対して、防災システム(1)を貸与して、活動が実施される活動期間中において現場(200)に対して防災機能を構築する支援工程を更に含む。第8の態様によれば、現場(200)での防災強化を実現しやすくすることができる。
第9の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第1〜第8の態様のいずれか1つにおける防災支援方法を実行させるためのプログラムである。第9の態様によれば、現場(200)への防災システムの導入設置に関する容易性の向上を図ることが可能な機能を提供できる。
第10の態様に係る防災支援システム(100)は、少なくとも1つの防災機器(2)を含む防災システム(1)と、提示部(32)と、を備える。提示部(32)は、建設又は建造に関する活動の進行状況に応じて活動エリア(300)の形状又は規模の少なくとも一方が変化する現場(200)の管理者(X1)に対して、防災システム(1)の設置に関する助言情報を提示する。第10の態様によれば、現場(200)への防災システムの導入設置に関する容易性の向上を図ることが可能な防災支援システム(100)を提供できる。
第2〜第8の態様に係る構成については、防災支援方法に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。