JP2021146322A - 凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法 - Google Patents

凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021146322A
JP2021146322A JP2020051866A JP2020051866A JP2021146322A JP 2021146322 A JP2021146322 A JP 2021146322A JP 2020051866 A JP2020051866 A JP 2020051866A JP 2020051866 A JP2020051866 A JP 2020051866A JP 2021146322 A JP2021146322 A JP 2021146322A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
treated
water
adsorbent
coagulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020051866A
Other languages
English (en)
Inventor
俊彦 安部
Toshihiko Abe
俊彦 安部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Environment Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Environment Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Environment Co Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Environment Co Ltd
Priority to JP2020051866A priority Critical patent/JP2021146322A/ja
Publication of JP2021146322A publication Critical patent/JP2021146322A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Water Treatment By Sorption (AREA)

Abstract

【課題】溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理において、過剰な添加剤付与を行うことなく、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することができる凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法の提供。【解決手段】処理槽における被処理水の凝集沈殿処理において、被処理水中に含まれる第一の有機物濃度と処理槽の後段で必要となる第二の有機物濃度との差分に対応する有機物量を吸着する吸着剤を被処理水に添加する。本発明によれば、凝集沈殿処理において必要となる吸着剤の量を把握して処理を行うことができるため、吸着剤を過剰に添加するおそれがない。その一方で、溶存有機物の減少に係る処理は必要十分に進行させることができる。したがって、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法に関するものである。
排水処理に係る処理手段は様々なものが知られており、排水中の除去対象成分に応じて処理手段を選択することが行われている。例えば、排水中の除去対象成分として固形物のような不純物が含まれている場合の処理手段の一つとしては、固液分離処理が挙げられる。
このような固液分離処理としては、排水に対して凝集剤を添加することで不純物である懸濁物質等(以下、「SS」ともいう。)を凝集沈殿させて分離する凝集沈殿を行う凝集沈殿処理装置を用いた処理が挙げられる。また、このような凝集沈殿処理装置としては、例えば、凝集剤を添加した被処理水が上昇するに伴ってフロックが成長するブランケット状のフロック成長ゾーンを形成するスラッジブランケット型(「フロックゾーン型」や「フロックブランケット型」と呼ばれることもある。)の凝集沈殿槽を備える凝集沈殿処理装置が知られている。
例えば、特許文献1には、沈殿槽内にフロック成長ゾーン(汚泥ゾーン)が形成されるスラッジブランケット型の凝集沈殿処理装置が記載されている。また、特許文献1には、スラッジブランケット型の凝集沈殿処理装置として、レーキ(集泥部材)とディストリビュータ(原水供給部材)とを一体化させたものが記載されており、レーキとディストリビュータを同時に回転させ、沈殿槽内でフロックの生成及び成長を促進し、濃縮スラッジ(沈降したフロック)は沈殿槽の中央から排泥管によって槽外に排出されることが記載されている。
特開平10−202009号公報
特許文献1に記載されるようなスラッジブランケット型の凝集沈殿処理装置は、SSを含む被処理水の処理に広く用いられている。また、特許文献1には、処理対象である被処理水の種類については特に記載されていない。
一方、被処理水に含まれるものが固形物だけではなく溶存有機物も含む場合、このような被処理水に対しても凝集沈殿処理を行い、無機凝集剤により形成される凝集フロックに溶存有機物を吸着させて凝集沈殿処理することが知られている。しかし、この方法では、溶存有機物を目標数値以下に処理することが困難な場合があり、十分な処理を行うためには大量の無機凝集剤添加が必要になるという課題がある。
また、溶存有機物を含む被処理水に対して凝集沈殿処理を行う場合、無機凝集剤以外に溶存有機物の処理用添加剤を添加することも考えられる。この場合においても、単に処理用添加剤を添加するというだけでは、処理用添加剤の過剰添加につながりやすく、被処理水中の溶存有機物の処理が必要以上に進行し、処理用添加剤の使用コストを徒に増加させるということが問題となる。
本発明の課題は、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理において、過剰な添加剤付与を行うことなく、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することができる凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法を提供することである。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、凝集沈殿処理装置において、被処理水に含まれる有機物濃度から減少させる必要がある有機物濃度分に応じた有機物量を求め、この有機物量分を吸着剤により吸着させることで、添加剤を過剰に加えることなく、適切な処理が実施できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法である。
上記課題を解決するための本発明の凝集沈殿処理装置は、処理槽において被処理水を凝集沈殿処理する凝集沈殿処理装置において、被処理水中に含まれる第一の有機物濃度と処理槽の後段で必要となる第二の有機物濃度との差分に対応する有機物量を吸着剤が吸着することを特徴とするものである。
本発明の凝集沈殿処理装置によれば、溶存有機物を含む被処理水を凝集沈殿処理する際、吸着剤を用い、被処理水中の溶存有機物を吸着して処理することができる。また、処理前の被処理水中に含まれる有機物濃度を第一の有機物濃度とし、処理後の処理水に含まれる有機物濃度を第二の有機物濃度として、この第一の有機物濃度と第二の有機物濃度の差分に相当する有機物量を吸着剤が吸着することで、凝集沈殿処理において処理すべき有機物濃度分に相当する処理を行うことができる。これにより、凝集沈殿処理において必要となる吸着剤の量を把握して処理を行うことができるため、吸着剤を過剰に添加するおそれがない。その一方で、溶存有機物の減少に係る処理は必要十分に進行させることができる。したがって、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することが可能となる。
また、本発明の凝集沈殿処理装置の一実施態様としては、吸着剤の添加量は、有機物量の吸着における当量とするという特徴を有する。
この特徴によれば、第一の有機物濃度と第二の有機物濃度の差分に相当する有機物量を吸着することができる吸着剤を当量添加することで、凝集沈殿処理において処理すべき有機物濃度分だけ処理を行うことができる。これにより、吸着剤の添加量をより適正化し、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理として、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することが可能となる。特に処理コスト面から、より一層適切な処理を行うことが可能となる。
また、本発明の凝集沈殿処理装置の一実施態様としては、処理槽の前段で吸着剤と被処理水を混合し、有機物量の吸着に要する時間分、滞留させるという特徴を有する。
この特徴によれば、処理槽に導入する前の被処理水に対し、第一の有機物濃度と第二の有機物濃度の差分に相当する有機物量の吸着を進行させることができる。これにより、凝集沈殿処理に係る工程と吸着に係る工程を分けることができ、特定の有機物量に係る吸着を確実に行うことが可能となる。これにより、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理として、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することが可能となる。特に処理性能の面から、より一層適切な処理を行うことが可能となる。
また、本発明の凝集沈殿処理装置の一実施態様としては、処理槽はスラッジブランケット型であるという特徴を有する。
この特徴によれば、槽内でスラッジがブランケット状を形成するスラッジブランケット型の処理槽を用いることで、処理槽の小型化及び処理水の清澄化を効果的に行うことができ、凝集沈殿処理に係る処理性能を高めることができる。また、溶存有機物の吸着に用いた吸着剤と処理水を効果的に分離することが可能となる。これにより、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理として、処理コスト及び処理性能の両面から、より一層適切な処理を行うことが可能となる。
また、本発明の凝集沈殿処理装置の一実施態様としては、吸着剤は活性炭であるという特徴を有する。
この特徴によれば、吸着剤として、溶存有機物の吸着能に優れ、入手が容易である活性炭を用いることで、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を行うことができる。また、吸着剤として活性炭を用いることで、溶存有機物の吸着能が向上するという効果も得ることができる。
上記課題を解決するための本発明の凝集沈殿処理方法は、処理槽において被処理水を凝集沈殿処理する凝集沈殿処理方法であって、被処理水中に含まれる第一の有機物濃度と処理槽の後段で必要となる第二の有機物濃度との差分に対応する有機物量を吸着剤が吸着する吸着工程を備えるという特徴を有する。
本発明の凝集沈殿処理方法によれば、溶存有機物を含む被処理水を凝集沈殿処理する際、吸着剤を用い、被処理水中の溶存有機物を吸着して処理することができる。また、処理前の被処理水中に含まれる有機物濃度を第一の有機物濃度とし、処理後の処理水に含まれる有機物濃度を第二の有機物濃度として、この第一の有機物濃度と第二の有機物濃度の差分に相当する有機物量を吸着剤が吸着する吸着工程を備えることで、凝集沈殿処理において処理すべき有機物濃度分に相当する処理を行うことができる。これにより、凝集沈殿処理において必要となる吸着剤の量を把握して処理を行うことができるため、吸着工程において吸着剤を過剰に添加するおそれがない。その一方で、溶存有機物の減少に係る必要な処理は進行させることができる。したがって、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することが可能となる。
上記課題を解決するための本発明の凝集沈殿処理装置は、処理槽において被処理水を凝集沈殿処理する凝集沈殿処理装置であって、被処理水を導入するための回転式のディストリビュータと、スラッジがブランケット状に形成された箇所を有し、当該箇所に対して被処理水が導入され、被処理水中の固形物を分離するスラッジブランケット部と、被処理水に吸着剤を添加する吸着剤添加部とを備えるという特徴を有する。
本発明の凝集沈殿処理装置によれば、回転式のディストリビュータを備えることで、固形物を含む被処理水を処理槽内に均等に分配することができ、かつスラッジブランケット部を備えることで、処理槽の小型化及び処理水の清澄化を効果的に行うことができ、凝集沈殿処理に係る処理性能を高めることができる。また、吸着剤添加部を備えることで、被処理水に含まれる溶存有機物の処理が可能となる。さらに、溶存有機物の吸着に用いた吸着剤と処理水を効果的に分離することが可能となる。これにより、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理として、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を行うことが可能となる。
本発明によれば、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理において、過剰な添加剤付与を行うことなく、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することができる凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法を提供することができる。
本発明の第1の実施態様の凝集沈殿処理装置を示す概略説明図である。 本発明の第1の実施態様の凝集沈殿処理装置における凝集沈殿槽の構造を示す概略説明図である。 本発明の第1の実施態様の凝集沈殿処理装置における処理工程の一例を示す概略説明図である。 本発明の第2の実施態様の凝集沈殿処理装置を示す概略説明図である。
本発明の凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法は、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理に利用されるものである。
本発明における被処理水Wとしては、被処理水W内に処理対象となる溶存有機物を含むものであればよく、特に限定されない。このような被処理水の具体的な例としては、例えば、工場排水、生活排水等の排水のほか、河川水、湖沼(ダム湖を含む)水などの用水などが挙げられる。なお、被処理水Wとしては、溶存有機物以外の不純物(SS等)を含むものとしてもよい。これにより、本発明の凝集沈殿処理装置としての効果が十分に発揮される。また、以下の実施態様においては、被処理水Wとして、溶存有機物及びSSを含むものについて説明するが、これに限定されるものではない。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法の実施態様を詳細に説明する。なお、本発明の凝集沈殿処理方法については、以下の凝集沈殿処理装置の構造及び作動の説明に置き換えるものとする。また、実施態様に記載する凝集沈殿処理装置の構造については、本発明に係る凝集沈殿処理装置を説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
[第1の実施態様]
(凝集沈殿処理装置)
図1は、本発明の第1の実施態様の凝集沈殿処理装置100Aの概略説明図である。
本実施態様に係る凝集沈殿処理装置100Aは、処理槽として、いわゆるスラッジブランケット型と呼ばれる凝集沈殿槽を有している。一般に、スラッジブランケット型凝集沈殿槽は、槽内に上昇水流によるスラッジ(凝集フロック)の流動層を形成し、その流動層内に新たに生成したフロックを通過させるものである。このとき、小さなフロックは流動層における大きなフロックに捕捉されて大きくなり、沈降速度が速まる。これにより、スラッジブランケット型凝集沈殿槽へ導入された被処理水Wは、処理水W1と濃縮されたフロック(汚泥)に分離され、それぞれ槽外に排出される。
本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aにおける処理槽としてスラッジブランケット型沈殿処理槽を備えることにより、処理槽の小型化及び処理水の清澄化を効果的に行うことができ、凝集沈殿処理に係る処理性能を高めることができる。また、溶存有機物の吸着に用いた吸着剤と処理水を効果的に分離することが可能となる。これにより、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理として、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を行うことが可能となる。
本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aは、図1に示すように、ラインL1から凝集沈殿槽1内に被処理水Wを導入する被処理水導入部2、被処理水W中の固形物を分離するためのスラッジがブランケット状に浮遊した状態で形成されたスラッジブランケット部3、スラッジブランケット部3を通過することにより凝集したフロックがスラッジブランケット部3下に沈殿し濃縮される濃縮部4、被処理水Wに凝集剤を添加する凝集剤添加部5を備えている。ここで、スラッジブランケット部3で分離される固形物とは、被処理水W中のSS及び吸着剤Aを指すものである。
スラッジブランケット部3の上方には上澄みである清澄層Cが形成され、清澄された処理水W1は、凝集沈殿槽1の上部側に位置する処理水排出部6により排出される。また、濃縮部4に沈殿し濃縮されたフロックは、凝集沈殿槽1の底部中央から汚泥排出部7を介して排出される。なお、汚泥排出部7には、排出されたフロックを処理するための汚泥処理設備を別途設けるものとしてもよい。
さらに、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aは、被処理水Wに吸着剤Aを添加する吸着剤添加部8を備えている。
まず、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aにおける処理槽である凝集沈殿槽1について詳細に説明する。本実施態様における凝集沈殿槽1では、主に吸着剤Aによる被処理水W中の溶存有機物の吸着処理及び被処理水W中のSSの凝集沈殿処理が行われる。
図2は、本発明の第1の実施態様の凝集沈殿処理装置100Aにおける凝集沈殿槽1の概略説明図である。
凝集沈殿槽1は、有底円筒状の外壁部11と、この外壁部11より小径でかつ高さも小さい円筒状の内壁部12とを備える。図2に示すように、内壁部12は、外壁部11の内側に、外壁部11と同心になるように立設されている。また、内壁部12の底部側に、開口部13aを有する仕切り板13が設けられている。これにより、内壁部12の内側には、後述するスラッジブランケット部3が形成される。また、仕切り板13は外壁部11の底部から上方に所定長離隔しており、スラッジブランケット部3と濃縮部4を区画している。また、外壁部11及び内壁部12の軸線L上には、モーター16により回転駆動するセンターシャフト14が配置されている。センターシャフト14は、ラビリンス構造等のロータリージョイント15により仕切り板13と接続されている。なお、外壁部11、内壁部12は円筒状に限定されず、角筒状であってもよい。また、内壁部12を有底円筒状とし、内壁部12底部を仕切り板13とするものであってもよい。
被処理水導入部2は、被処理水Wを凝集沈殿槽1内に導入するための導入管21と、導入管21から導入された被処理水Wを内壁部12内に供給するフィードパイプ22を備えている。
図2に示すように、導入管21は、外壁部11の側壁を挿通して、槽外部に突き出しており、被処理水Wの供給源とラインL1を介して接続されている。
また、図2に示すように、フィードパイプ22は、導入管21と通水可能に連結しており、センターシャフト14の外側にセンターシャフト14を囲むように設けられている。本実施態様における凝集沈殿処理装置は、外壁部11、内壁部12、センターシャフト14、フィードパイプ22の軸線は全て共通の軸線Lになっている。
フィードパイプ22は、上下方向で上部22aと下部22bとに分けられており、上部と下部との間はラビリンス構造等のロータリージョイント23により接続されている。フィードパイプ22の上部22a側面に導入管21が接続されており、フィードパイプ22の下部22bにはディストリビュータ24が設けられている。ディストリビュータ24は内壁部12の下部に配置されるとともに、複数の被処理水吐出口24aが形成されている。センターシャフト14の回転とともにフィードパイプ22の下部が回転し、このとき、ディストリビュータ24は被処理水吐出口24aを内壁部12の底部側(仕切り板13側)に向けた状態で回転する。なお、フィードパイプ22の上端部は閉じられていてもよく、上方に向かって開放されていてもよい。
スラッジブランケット部3は、被処理水導入部2から供給される被処理水W中のSSを、ブランケット状に浮遊するスラッジによって捕捉して凝集し、凝集フロックと処理水W1に分離するものである。また、同時に被処理水Wから吸着剤Aを分離するものである。
スラッジブランケット部3は、図2に示すように、凝集沈殿槽1内の円筒状の内壁部12と仕切り板13により形成される内側領域を指すものである。また、スラッジブランケット部3は、スラッジがブランケット状に形成される箇所(以下、「フロック成長ゾーンZ1」という。)を有している。フロック成長ゾーンZ1は、被処理水導入部2により内壁部12の内側に流入する被処理水Wの上昇水流によって凝集フロックの流動層を形成している。
被処理水Wは、被処理水導入部2のディストリビュータ24から内壁部12内の下部方向(仕切り板13の方向)に一様に噴出され、スラッジブランケット部3内に形成されたフロックはスラッジブランケット部3の底部に堆積しようとするが、さらに供給される被処理水Wによりフロック成長ゾーンZ1内に流動層が形成されていく。
被処理水Wに含まれる小さなフロックは、流動層を上昇する過程で先に生成されたフロックに接触して捕捉されることで、スラッジブランケット部3内のフロック粒子径が大きく成長する。このように、フロック成長ゾーンZ1内で被処理水W中のSSを分離する。
このとき、ディストリビュータ24を回転式とすることで、スラッジブランケット部3内に被処理水Wを均等に導入することができるとともに、仕切り板13上に堆積するスラッジを流動化させることが可能となる。これにより、スラッジブランケット部3におけるフロック成長ゾーンZ1の形成及び維持を容易とすることが可能となる。
そして、スラッジブランケット部3内のフロックは一定程度まで成長すると、上昇しなくなる。よって、図2に示すように、スラッジブランケット部3の上部には、より大きく、かつ重くなったフロックが集積し続ける。スラッジブランケット部3の上部に集まったフロックは、被処理水Wによる流動層により内壁部12の上端縁部から外壁部11側に越流する。
また、図2に示すように、スラッジブランケット部3を通過した処理水は、被処理水Wの上昇流によって上昇し、スラッジブランケット部3の上方に、処理水W1からなる清澄層Cが形成される。清澄層Cの処理水W1は、凝集沈殿槽1上部に設けられた処理水排出部6を介して槽外に排出される。
濃縮部4は、スラッジブランケット部3から流出したフロックFを濃縮するためのものである。また、濃縮部4は、前述した仕切り板13によって区画されて、スラッジブランケット部3の下に位置しており、フロックFが内壁部12と外壁部11との間を通って沈降し、濃縮スラッジとして濃縮されるフロック濃縮ゾーンZ2を形成している。
図2に示すように、スラッジブランケット部3から流出し、内壁部12と外壁部11の間に流入したフロックFは、比重が水より大きいため、自然に濃縮部4に向けて沈降する。これにより、フロック成長ゾーンZ1から流出したフロックFは、スラッジブランケット部3側に逆流することがなく、清澄層Cの処理が安定する。また、スラッジブランケット部3に仕切り板13が設けられていることにより、フロック濃縮ゾーンZ2からフロック成長ゾーンZ1に濃縮スラッジが混入することが抑制される。
濃縮部4に沈降して堆積した濃縮フロック(汚泥)は、凝集沈殿槽1の底部に設けられた汚泥排出部7から排出される。なお、汚泥排出部7の構造は、濃縮フロックを排出することができるものであれば特に限定されない。例えば、図1に示すように、汚泥排出部7として、濃縮フロックを引き抜くためのポンプP及びラインL2を備えるものとすることなどが挙げられる。
また、仕切り板13を貫通して濃縮部4内に延在したセンターシャフト14の下端部に、濃縮汚泥掻寄機41を取り付けるものとしてもよい。この濃縮汚泥掻寄機41は、濃縮部4に沈降した濃縮フロックを凝集沈殿槽1内の底面中央に掻き寄せて、汚泥排出部7から回収するために設けられるものである。
なお、センターシャフト14の下端部に取り付ける濃縮汚泥掻寄機41としては、センターシャフト14の回転に伴って回転し、凝集沈殿槽1の底面中央部に濃縮フロックを掻き寄せることができる構造であれば、特に限定されない。例えば、図2に示すように、センターシャフト14に対して垂直に掻き取り部材を設けるもの以外に、センターシャフト14に対して垂直に交差した支持体に複数の掻き取り部材(レーキ)を設けるものとしてもよく、曲面を有する掻き取り部材を槽上方から見た際にS字を形成するようにセンターシャフト14に設けるものとしてもよい。
凝集剤添加部5は、被処理水Wに凝集剤を添加し、被処理水W中のSSのフロック形成を促進するためのものである。
凝集剤添加部5は、被処理水Wに凝集剤を添加することができるものであれば特に限定されない。例えば、図1には、ラインL1上に凝集剤を供給する凝集剤供給ライン51を設けるものを例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、凝集沈殿槽1の上流側に混合槽を設け、凝集剤とあらかじめ混合した被処理水Wを導入管21に供給するものとしてもよい。
被処理水Wに混合される凝集剤としては、特に限定されない。例えば、無機凝集剤及び高分子凝集剤が挙げられる。凝集剤は、無機凝集剤あるいは高分子凝集剤のみを用いるものであってもよく、無機凝集剤と高分子凝集剤を併用するものであってもよい。なお、無機凝集剤及び高分子凝集剤を併用する場合、無機凝集剤、高分子凝集剤の順に被処理水Wに添加することが好ましい。これにより、安定したフロック形成が可能となる。
凝集剤の具体例としては、例えば、無機凝集剤としては、硫酸バンドやPAC等のAl系無機凝集剤や、ポリ硫酸鉄等のFe系無機凝集剤が挙げられる。あるいは、NaOH、Ca(OH)等のアルカリ又はHSO、HCl等の酸によるpH調整剤や、Ca、Al、Fe系化合物の添加や、酸化剤・還元剤の添加等により結晶を析出させるものとしてもよい。また、高分子凝集剤としては、ポリアミノアルキルメタクリレート、ポリエチレンイミン、ハロゲン化ポリジアリルアンモニウム、キトサン、尿素−ホルマリン樹脂等のカチオン性高分子凝集剤、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド部分加水分解物、部分スルホメチル化ポリアクリルアミド、ポリ(2−アクリルアミド)−2−メチルプロパン硫酸塩等のアニオン性高分子凝集剤、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等のノニオン性高分子凝集剤、アクリルアミドとアミノアルキルメタクリレートとアクリル酸ナトリウムの共重合体等の両性高分子凝集剤が挙げられる。
また、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aは、凝集沈殿槽1で凝集沈殿処理を行う被処理水Wに対して吸着剤Aを添加する吸着剤添加部8を設けている。これにより、被処理水W中の溶存有機物の処理を行うことが可能となる。
吸着剤添加部8は、被処理水Wに吸着剤Aを添加し、被処理水W中の溶存有機物を吸着するためのものである。
吸着剤添加部8は、被処理水Wに吸着剤Aを添加することができるものであれば特に限定されない。例えば、図1に示すように、ラインL1上に吸着剤Aを供給するための吸着剤供給ライン81を設けるものなどが挙げられる。
また、吸着剤添加部8は、凝集剤添加部5の上流あるいは下流側のいずれに設けるものとしてもよく、凝集剤添加部5と吸着剤添加部8を兼用するものとしてもよい。なお、被処理水W中の溶存有機物と吸着剤Aの接触効率を高めるために、吸着剤添加部8は凝集剤添加部5よりも上流側に設けるものとすることが好ましい。これにより、吸着剤Aによる溶存有機物の吸着処理をより確実に行うことが可能となる。
被処理水Wに添加される吸着剤Aとしては、被処理水W中の溶存有機物を吸着できるものであれば特に限定されず、公知の吸着剤を用いることができる。また、吸着剤Aとしては、吸着剤の表面のみに溶存有機物が吸着するものであってもよいが、溶存有機物の吸着能の観点から、多孔質からなる吸着剤を用いることが好ましい。
吸着剤Aの具体例としては、例えば、活性炭やベントナイトのような粘土類からなるものなどが挙げられる。特に、本実施態様における吸着剤Aとしては、溶存有機物の吸着能に優れ、入手が容易である活性炭を用いることが好ましい。
吸着剤Aは、後述するように溶存有機物の吸着能(溶存有機物の吸着可能量)に応じて選択するものであり、吸着剤A自体の構造やサイズ、また吸着剤Aの細孔構造などについては特に限定されない。例えば、吸着剤Aを添加した被処理水Wが、凝集沈殿槽1内に供給される際、被処理水導入部2(導入管21やディストリビュータ24など)での閉塞発生を抑制することができるように、吸着材自体の構造やサイズを選択するものとしてもよい。
また、吸着剤Aがスラッジブランケット部3内に留まるような構造やサイズを選択するものとしてもよい。例えば、吸着剤Aとして成形体からなるもの用いることが挙げられる。このとき、吸着剤Aはスラッジブランケット部3内に滞留することで、吸着処理に要する時間を確保することが可能となる。
一方、吸着剤Aがスラッジブランケット部3から濃縮部4に流出するような構造やサイズを選択するものとしてもよい。例えば、吸着剤Aとして粉末からなるものを用いることが挙げられる。このとき、吸着剤Aは、濃縮部4に堆積した濃縮フロックとともに、汚泥排出部7から排出することができ、使用済み吸着剤Aとして容易に回収することができる。これにより、吸着剤Aの交換作業が不要であり、連続した処理を行うことが可能となる。
(凝集沈殿処理装置による被処理水の処理)
本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aを用い、被処理水Wとして溶存有機物及びSSを含む被処理水を処理する場合について説明する。
図3は、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aを用いた被処理水Wの処理工程に係る概略説明図を示すものである。なお、図3においては、凝集剤添加部5に係る構成については記載を省略している。
溶存有機物及びSSを含む被処理水Wは、吸着剤添加部8により添加された吸着剤Aと混合され、被処理水導入部2を介して凝集沈殿槽1内に供給される。凝集沈殿槽1内では、被処理水W中のSSの凝集沈殿処理と併せ、吸着剤Aによる溶存有機物の吸着処理が進行する。そして、被処理水W中のSS及び吸着剤Aが沈降分離され、かつ溶存有機物含有量が低下した状態で、処理水排出部6から処理水W1が系外に排出される。
このとき、図3に示すように、凝集沈殿槽1内に供給される前(吸着剤添加部8よりも上流側)における被処理水W中の溶存有機物濃度をCとし、凝集沈殿槽1(処理槽)の後段で必要となる溶存有機物濃度をCとする。なお、Cを第一の有機物濃度、Cを第二の有機物濃度と呼ぶ。ここで、第二の有機物濃度Cは、処理水排出部6から排出される処理水W1中の溶存有機物濃度に相当するものである。
第一の有機物濃度Cは、処理前の被処理水W中の溶存有機物濃度を測定して得られる測定値や、被処理水Wの発生源などから予測される予測値を用いることができる。
第二の有機物濃度Cとしては、処理水W1を直接放流する際に要求される水質における溶存有機物濃度の値に基づき決定することや、処理水W1を更に別の水処理に供給する際に必要となる溶存有機物濃度の値に基づき決定することができる。つまり、第二の有機物濃度Cはゼロではなく、所定の値を示すものである。
この第一の有機物濃度Cと第二の有機物濃度Cの差分Cを求める。このとき、差分Cは、凝集沈殿処理装置100Aにおいて処理すべき有機物濃度に相当する。さらに、被処理水Wの供給量などから差分Cを有機物量Mに変換する。この有機物量M分を吸着剤Aにより吸着することで、凝集沈殿処理装置100Aにおいて処理すべき有機物濃度分に相当する処理を行うことが可能となる。つまり、吸着剤添加部8から添加する吸着剤Aの添加量について、有機物量M分を吸着することができる量を算出して決定する。これにより、吸着剤の過剰な添加を行うことなく、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することが可能となる。
有機物量M分を吸着する吸着剤Aの添加量を算出する具体的な手段は特に限定されない。吸着剤Aの添加量の算出に係る手段の一例について以下説明する。
まず、処理前の被処理水Wの水質測定により、被処理水W中の溶存有機物濃度(第一の有機物濃度C)の測定データを取得する。また、処理槽の後段で必要となる溶存有機物濃度(第二の有機物濃度C)として、放流に係る水質基準値を満たす程度の数値を設定する。例えば、環境基準値の5割相当値を第二の有機物濃度Cとして設定することが挙げられる。ここから、差分Cを算出する。これにより、過剰な処理を行うことなく、かつ必要十分な処理を実施するために、処理槽で処理すべき有機物濃度が求められる。さらに処理槽(凝集沈殿槽1)への被処理水Wの供給量に係る値から、有機物量Mを算出する。
一方、被処理水Wの水質(特に溶存有機物の種類、pH値など)から、溶存有機物を吸着する吸着剤Aの種類を選定する。このとき、吸着剤Aの選定手段としては、吸着剤Aの細孔径や表面電荷等の物性を基に選定することや、過去の処理実績などの経験に基づくデータを基に選定すること等が挙げられる。そして、被処理水W及び選定した吸着剤Aを用い、一定時間における吸着剤Aの吸着量を求めるバッチ試験を行い、吸着剤Aの単位量当たりにおける溶存有機物の吸着能(溶存有機物の吸着可能量)を求める。
このバッチ試験の結果に基づき、第一の有機物濃度Cと第二の有機物濃度Cである差分Cから求めた有機物量M分を吸着できる吸着剤Aの量を算出し、この値を基に吸着剤添加部8から添加する吸着剤Aの添加量として決定する。このとき、吸着剤Aの添加量としては、有機物量M分を吸着できる吸着剤Aの量よりも多く見積もった値として決定するものとしてもよいが、有機物量Mの吸着における当量とすることが好ましい。これにより、吸着剤Aの添加量を適正化することができ、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理として、特に処理コスト面から、より一層適切な処理を行うことが可能となる。
また、吸着剤Aの添加量の算出に係る手段の他の例としては、吸着剤Aの選定及び添加量算出に係る工程を自動化することが挙げられる。例えば、被処理水Wの水質に係る測定データをリアルタイムで取得し、この測定データに基づき、差分C及び有機物量Mを自動算出し、この算出結果に応じて、必要となる吸着剤Aの選定及び添加量の算出を自動で行い、吸着剤添加部8から選定及び算出した添加量分の吸着剤Aを添加する。このとき、過去の処理実績などから被処理水Wの水質ごとに適した吸着剤Aの種類や吸着能についてのデータベースを作成し、吸着剤Aの選定及び添加量の算出時にこのデータベースを用いるものとすることにより、吸着剤Aの選定及び添加量の算出に係る工程の自動化に関する精度を高めるものとすることが挙げられる。
以上のように、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aは、溶存有機物を含む被処理水を凝集沈殿処理する際、吸着剤を用い、被処理水中の溶存有機物を吸着して処理することができる。また、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aにおいて、処理前の被処理水中に含まれる有機物濃度である第一の有機物濃度と、処理後の処理水に含まれる有機物濃度である第二の有機物濃度の差分に相当する有機物量を吸着剤が吸着することで、凝集沈殿処理において処理すべき有機物濃度分に相当する処理を行うことができる。これにより、凝集沈殿処理において必要となる吸着剤の量を把握して処理を行うことができるため、吸着剤を過剰に添加するおそれがない。その一方で、溶存有機物の減少に係る処理は必要十分に進行させることができる。したがって、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することが可能となる。
また、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Aは、処理槽としてスラッジブランケット型を用いることにより、処理槽の小型化及び処理水の清澄化を効果的に行うことができ、凝集沈殿処理に係る処理性能を高めることができる。さらに、溶存有機物の吸着に用いた吸着剤と処理水を効果的に分離することが可能となる。これにより、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理として、処理コスト及び処理性能の両面から、より一層適切な処理を行うことが可能となる。
[第2の実施態様]
図4は、本発明の第2の実施態様の凝集沈殿処理装置100Bの概略説明図である。
本実施態様に係る凝集沈殿処理装置100Bは、図4に示すように、第1の実施態様における凝集沈殿槽1の前段に反応槽Tを設け、反応槽T内で被処理水Wと吸着剤Aを混合させ、吸着剤Aに溶存有機物を吸着させるものである。
なお、本実施態様における凝集沈殿処理装置100Bの構成のうち、凝集沈殿槽1内については、第1の実施態様の凝集沈殿装置100Aと同内容の構造を用いるものとして説明を省略する。また、図4においては、凝集剤添加部5に係る構成については記載を省略している。本実施態様における凝集剤添加部5については、凝集沈殿槽1に供給される被処理水Wに凝集剤を添加することができるものであればよく、第1の実施態様と同様の構成とすることができる。例えば、吸着剤添加部8の下流側に相当する箇所(ラインL4上)に凝集剤供給ラインを設け、被処理水Wに凝集剤を添加するものとすること等が挙げられる。
図4に示すように、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Bは、凝集沈殿槽1の前段に反応槽Tを備えている。
反応槽Tは、被処理水Wを導入するラインL3、被処理水Wに吸着剤Aを添加する吸着剤添加部8(吸着剤供給ライン82)、吸着剤Aと混合した被処理水Wを凝集沈殿槽1に供給するラインL4を備えている。また、ラインL4は、導入管21に接続されている。なお、反応槽Tには、被処理水Wと吸着剤Aを撹拌混合するための撹拌機構を備えるものとしてもよい(不図示)。
反応槽Tは、被処理水Wと吸着剤Aを混合し、被処理水W中の溶存有機物の吸着処理を行うためのものである。
なお、反応槽T内に添加される吸着剤Aの添加量については、第1の実施態様に記載の内容と同様の手段により算出し、決定することができる。
反応槽Tにおいては、吸着剤Aによる溶存有機物の吸着処理を進行させるために、被処理水Wと吸着剤Aの撹拌時間や撹拌速度を制御することが挙げられる。また、被処理水WをラインL3から導入した後、吸着剤Aと混合してラインL4から排出するまでの時間(滞留時間)を制御することが好ましい。これにより、被処理水Wの処理において、凝集沈殿槽1で処理すべき有機物濃度(差分C)に相当する有機物量Mについて、反応槽T内で吸着工程を進行させることができる。特に、有機物量Mの吸着に要する時間分、反応槽T内で滞留させることにより、被処理水Wを凝集沈殿槽1に供給する段階で、有機物量M分の吸着が十分に行われている状態とすることができる。
吸着剤Aによる吸着工程と凝集剤による凝集工程を同一あるいは近接した箇所で行うと、吸着剤Aと溶存有機物の接触効率が低減するおそれがある。一方、本実施態様における凝集沈殿処理装置100Bでは、反応槽Tを設け、反応槽T内で有機物量Mの吸着工程を進行させることで、凝集沈殿槽1内においては、主に凝集沈殿処理工程のみが進行する。したがって、凝集沈殿処理装置100Bにおいては、吸着工程と凝集沈殿処理工程を分離して実施することが可能となる。これにより、吸着に係る処理が確実に進行するとともに、凝集沈殿槽1内の凝集沈殿処理においては、凝集沈殿処理効率に影響を与えることなく、使用済み吸着剤Aの分離回収を容易に行うことができる。
以上のように、本実施態様の凝集沈殿処理装置100Bにより、処理槽に導入する前の被処理水に対し、第一の有機物濃度と第二の有機物濃度の差分に相当する有機物量の吸着を進行させることができる。これにより、凝集沈殿処理に係る工程と吸着に係る工程を分けることができ、特定の有機物量に係る吸着を確実に行うことが可能となる。これにより、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理として、処理コスト及び処理性能の両面から適切な処理を実施することが可能となる。特に処理性能の面から、より一層適切な処理を行うことが可能となる。
なお、上述した実施態様は凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法の一例を示すものである。本発明に係る凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法を変形してもよい。
例えば、本実施態様の凝集沈殿処理装置は、スラッジブランケット型の処理槽として、外壁部及び内壁部による二重構造式の凝集沈殿槽を用いているが、スラッジブランケット部と濃縮部を独立した構成として備えるものであれば特に限定されない。例えば、スラッジブランケット型の処理槽の別の態様として、凝集沈殿槽内に水平に配置された底板と、底板の外周の端部の一部から上方に向かって突出して延び、凝集沈殿槽周壁に連結された側壁とによって、底板の上方及び側壁の内周側に画成された区画内にフロックの流動層(スラッジブランケット部)を形成させ、一方で、底板の下方及び側壁の外周側に画成された区画を濃縮部とするものとしてもよい。
また、例えば、本実施態様の凝集沈殿処理装置は、スラッジブランケット部にフロックを引き抜く引き抜きラインを設け、引き抜いたフロックを導入管側に返送するものとしてもよい。これにより、引き抜いたフロックを種晶として良好なスラッジ(凝集フロック)を形成させることが可能となり、良好な処理水を得ることが可能となる。
本発明の凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法は、溶存有機物を含む被処理水の凝集沈殿処理に好適に用いられる。
100A,100B 凝集沈殿処理装置、1 凝集沈殿槽、11 外壁部、12 内壁部、13 仕切り板、13a 開口部、14 センターシャフト、15 ロータリージョイント、16 モーター、2 被処理水導入部、21 導入管、22 フィードパイプ、22a 上部、22b 下部、23 ロータリージョイント、24 ディストリビュータ、24a 被処理水吐出口、3 スラッジブランケット部、4 濃縮部、41 濃縮汚泥掻寄機、5 凝集剤添加部、51 凝集剤供給ライン、6 処理水排出部、7 汚泥排出部、8 吸着剤添加部、81,82 吸着剤供給ライン、A 吸着剤、C 清澄層、F フロック、L 軸線、L1〜L4 ライン、P ポンプ、T 反応槽、W 被処理水、W1 処理水、Z1 フロック成長ゾーン、Z2 フロック濃縮ゾーン、C 第一の有機物濃度、C 第二の有機物濃度、C 第一の有機物濃度と第二の有機物濃度の差分、M 第一の有機物濃度と第二の有機物濃度の差分に相当する有機物量

Claims (7)

  1. 処理槽において被処理水を凝集沈殿処理する凝集沈殿処理装置において、
    前記被処理水中に含まれる第一の有機物濃度と前記処理槽の後段で必要となる第二の有機物濃度との差分に対応する有機物量を吸着剤が吸着することを特徴とする、凝集沈殿処理装置。
  2. 前記吸着剤の添加量は、前記有機物量の吸着における当量とすることを特徴とする、請求項1に記載の凝集沈殿処理装置。
  3. 前記処理槽の前段で前記吸着剤と前記被処理水を混合し、前記有機物量の吸着に要する時間分、滞留させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の凝集沈殿処理装置。
  4. 前記処理槽はスラッジブランケット型であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の凝集沈殿処理装置。
  5. 前記吸着剤は活性炭であることを特徴とする、請求項1〜4に記載の凝集沈殿処理装置。
  6. 処理槽において被処理水を凝集沈殿処理する凝集沈殿処理方法であって、
    前記被処理水中に含まれる第一の有機物濃度と前記処理槽の後段で必要となる第二の有機物濃度との差分に対応する有機物量を吸着剤が吸着する吸着工程を備えることを特徴とする、凝集沈殿処理方法。
  7. 処理槽において被処理水を凝集沈殿処理する凝集沈殿処理装置であって、
    前記被処理水を導入するための回転式のディストリビュータと、
    スラッジがブランケット状に形成された箇所を有し、当該箇所に対して前記被処理水が導入され、前記被処理水中の固形物を分離するスラッジブランケット部と、
    前記被処理水に吸着剤を添加する吸着剤添加部と、を備えることを特徴とする、凝集沈殿処理装置。


JP2020051866A 2020-03-23 2020-03-23 凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法 Pending JP2021146322A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020051866A JP2021146322A (ja) 2020-03-23 2020-03-23 凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020051866A JP2021146322A (ja) 2020-03-23 2020-03-23 凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021146322A true JP2021146322A (ja) 2021-09-27

Family

ID=77850248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020051866A Pending JP2021146322A (ja) 2020-03-23 2020-03-23 凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021146322A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPWO2008120704A1 (ja) フッ素含有排水の処理装置および処理方法
JP5826545B2 (ja) 汚濁水処理システム及び汚濁水処理方法
CN109592815A (zh) 具有高永久性硬度的反渗透浓水的处理系统
JP6067268B2 (ja) 水処理システム
JPH11169609A (ja) 凝集沈殿装置
JP4937228B2 (ja) 凝集沈殿装置
JP2002035503A (ja) 濁水処理装置
JP7074406B2 (ja) 薬剤添加量制御装置及び薬剤添加量制御方法
CN204384990U (zh) 一种循环冷却水石灰软化澄清过滤处理系统
JP2021146322A (ja) 凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理方法
KR101879208B1 (ko) 혼합광물을 가중응집제로 이용한 고속 수처리 방법 및 장치
KR101205153B1 (ko) 폐수의 응집 처리 장치
JP7052184B2 (ja) 固液分離装置
JP2019198806A (ja) 水処理方法および水処理装置
KR20180050254A (ko) 혼합광물을 가중응집제로 이용한 고속 수처리 방법 및 장치
JP7142540B2 (ja) 浄水処理方法及び浄水処理装置
JP7265395B2 (ja) 凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理装置の運転方法
JP2020157284A (ja) 凝集沈殿処理装置、凝集沈殿処理システム及び凝集沈殿処理装置の運転方法
JP6492981B2 (ja) 水処理装置および水処理方法
JPH07108395B2 (ja) 濁水の処理方法および処理装置
JP2010253424A (ja) 濁水浄化処理システム
JP7327972B2 (ja) 凝集沈殿処理装置及び凝集沈殿処理装置の運転方法
JP2000301166A (ja) 廃水処理装置
JP3854471B2 (ja) 浄水処理装置
JP2007319763A (ja) 汚濁水浄化装置

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20221214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240104

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240402