以下の説明は、デジタル乳房トモシンセシス(DBT)ガイド下介入処置のさまざまな実施形態に関する。DBTは、高い面内分解能で乳房の断面画像を生成するための画像化技術である。DBTは、X線マンモグラフィシステムを利用して実行可能である。具体的には、DBTにおいては、乳房を圧迫し、X線源を中央位置から正および負の方向に或る角度範囲内で乳房の周りを回転させることができ、各々の角度における乳房の低線量X線投影画像を検出器において取得することができる。次いで、投影画像は、z方向に沿った乳房ボリュームのスライス画像として再構成される。DBTのためのX線システムの回転範囲は、製造の構成に応じてさまざまであってよく、おおむね±11度〜±60度の範囲であってよい。X線システムの回転範囲は、X線システムの角度範囲とも呼ばれる。画像化ボリュームのz軸の方向に沿った再構成画像の分解能は、角度範囲に基づき得る。例えば、角度範囲が狭いDBTシステムの場合、z分解能が低くなる可能性がある。
DBTガイド下介入処置の際に、関係する乳房のトモシンセシス再構成画像が最初に取得され、関心対象領域(ROI)内のターゲット場所(例えば、病変の場所)がユーザによって特定される。次いで、介入装置の介入ツールおよび成形ガンなどの介入ツールホルダが、介入ツールが挿入されたときに介入ツールが選択されたターゲット場所に対して所望の作動前位置に位置するように調整される。介入ツールが挿入された状態で、別の一組のトモシンセシス画像を再構成して、ターゲット場所に対する介入ツールの現在の場所を評価することができる。しかしながら、X線システムの角度範囲が限られているため、z方向に沿ったトモシンセシスの詳細な分解能は低い。とりわけ、介入処置が、介入ツールが(例えば、関係する組織の一部を取得するために)乳房へと垂直方向に挿入される垂直アプローチで実行される場合、z方向に沿った再構成画像における介入ツールの分解能が低く、トモシンセシス画像における介入ツールの再構成誤差につながる。介入ツールの再構成誤差の一例は、z方向の「リーク」である。例えば、ツールが、実際のツールの深さがより浅いかもしれない場合に、より多くの再構成画像スライスにおいて視認可能となり、ツールの深さがより深いと誤って示す可能性がある。このリーク現象が、ターゲット場所に対する作動前位置のツールの関係を判断するために使用される実際のツール先端位置の特定を、難しくする可能性がある。より一般的には、処置を成功させるために、あらゆる段階において、ツールがターゲット位置に対して正しく配置されているかどうかを判断するために使用される実際のツール先端位置を取得できることが重要である。
本発明の発明者らは、上述の問題をここに特定し、再構成誤差が、取得システムの角度回転に加えて、1つまたは複数のツールパラメータおよびターゲット場所パラメータに基づくことをさらに特定した。したがって、上述の問題のうちの少なくともいくつかに対処するための方法およびシステムが、本明細書において提供される。一例においては、X線システムのための方法が、X線システムで、圧迫された乳房について、デジタル乳房トモシンセシススキャンを実行し、トモシンセシススキャンデータを生成するステップと、トモシンセシススキャンデータから圧迫された乳房の画像を再構成するステップと、再構成された画像からの選択されたターゲット位置、X線システムの回転の角度範囲、および介入ツールのパラメータの関数としてモデル化される誤差モデルに基づいて、介入ツールについて予測される再構成誤差を決定するステップとを含む。
このようにして、ツールを挿入する前に、予測される再構成誤差を、ツールのパラメータ、場所のパラメータ、および取得システムのパラメータのうちの1つまたは複数の関数としての誤差モデルに基づいて決定することができる。さらに、再構成誤差をユーザに提供することができ、ユーザが、再構成誤差が許容可能であるかどうか、あるいは生検に別の介入ツールを使用すべきかどうかを、判断することができる。介入ツールの再構成誤差の評価および実際のツール先端位置の決定は、介入処置の精度を改善し、ターゲット組織を取得するために実行が必要となり得る処置の繰り返しの数を減らすことができる。
さらに、ツールを選択し、ツールを作動前位置に移動させて、ツールを作動前位置に位置させた状態の作動前トモシンセシス画像を取得することができる。作動前画像において観測されるツールボリュームおよび誤差モデルから決定される予測されるツールボリュームに基づいて、挿入時のツール先端の曲がりの大きさを決定することができる。例えば、作動前位置へのツールの挿入時に、ツールの軌跡が直線状でなく、したがってツール先端が所望の作動前位置に到達しない可能性がある。予測されるツールボリュームと観測されるツールボリュームとの比較が、挿入時にツールがターゲット経路から移動したかどうかを知らせることができる。さらに、曲がりがない場合、観測されるツールボリュームと予測されるツールボリュームとが一致する(すなわち、ボリュームの重なり合いの程度が大きい)と予想される。
さらに、(観測されたツールボリュームからの)ツールの観測されたリーク、および再構成されたボリュームにおける(予測されるツールボリュームからの)ツールの予測されるリークに基づいて、DBTボリュームにおけるツール先端の実際の位置を決定することができる。実際のツール先端の決定により、ターゲット病変位置に対するツール先端の実際の位置を評価し、作動時にツールがターゲット組織を貫くように、ツールが所望の位置内に配置されているかどうかをさらに決定することを、ユーザにとって可能にすることができる。
作動前段階におけるツール先端位置の評価に加えて、誤差モデルを利用して、ツールを作動させた後の作動後段階におけるツール先端位置を評価することができる。例えば、ツールを作動後位置に位置させた状態の作動後トモシンセシス画像を取得することができ、作動後画像において観測されるツールボリュームおよび誤差モデルから決定される予測されるツールボリュームに基づいて、作動後段階のツール先端位置を評価することができる。
図1Aに目を向けると、DBTガイド下介入処置の最中の圧迫された乳房組織などの組織内の介入ツール位置の評価のための高度の概略図1000を示すブロック図が示されている。具体的には、概略図1000は、図1BのX線システム100などのX線システムの圧迫パドルと検出器表面との間の圧迫された組織の物理的ボリュームなどの実際の物理的空間1010における実際のツール位置を推測することを示している。概略図1000は、図1B、図1C、および図1Dのシステムおよび構成要素に関して説明されるが、この概略図におけるプロセスを、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステムおよび構成要素で実施できることを、理解すべきである。
介入ツールは、生検針、フックワイヤ、アブレーション針、などのマンモグラフィ介入ツールであってよい。DBTガイド下生検、フックワイヤの位置特定、冷凍アブレーション、などの画像ガイド下マンモグラフィ介入処置において、現実の物理的空間におけるツールの実際の位置を評価して、抽出すべきターゲット組織に対するツールの位置関係を判断することが望ましい。上述のように、とりわけDBTを使用して組織内のツールを画像化する場合、z方向の画像再構成の分解能が低いため(X線源の回転の角度範囲が限られているため)、ツールが、実際の物理的空間と比べてより多数の画像スライス(z平面スライス)に表れ、したがって実際のツール位置を推測することが必要となり得る。
典型的な理論上のツールの形状および位置が、1012に示されている。一例においては、理論的なツールの形状および位置を、1つまたは複数の入力に基づいて決定することができる。一例においては、理論的なツールの形状および位置を、ユーザ入力から決定することができる。例えば、ユーザが(ツールの有無にかかわらず)組織の第1の複数のDBT画像からの一画像スライス上の所望の部分をクリックすることに基づいて、ターゲットの空間座標(Xtarget、Ytarget、Ztarget)を取得することができる。これらの座標を利用して、現実の物理的空間1010内の理論的なツールの位置および形状を決定することができる。ターゲット位置の座標の典型的な決定は、図7Cにおいて後述される。別の例においては、組織内の介入ツールのロボットシステムからの位置フィードバック(本明細書において、ロボット返信先端位置と呼ばれる)を利用して、理論的なツールの位置および形状を取得することができる。例えば、生検の最中に、生検針ホルダ制御システムは、生検針ホルダ制御システムに結合したロボットシステムからのセンサデータに基づいて、針先端の位置を計算することもできる。ロボット返信先端位置の典型的な決定は、図8において説明される。さらに別の例において、スマートツールが利用される場合、ツール内の1つまたは複数のセンサが、要求に応じて組織内のツール位置を返信することができる。
次いで、理論的なツールの形状および位置1012を利用して、画像空間1020内の予測されるツールの形状および位置1014を計算することができる。画像空間1020は、DBT取得からの複数の再構成画像から得られた再構成DBTボリュームである。したがって、理論的なツールの形状および位置1012を利用して、再構成DBT画像ボリュームにツールがどのように現れるか(場所および形状)を評価することができる。とくには、図3Bに関して説明される誤差モデル360などの誤差モデルを利用して、画像空間1020内の予測されるツールの形状および位置を計算することができる。誤差モデルを、X線システムの画像化プロセッサのメモリに格納することができ、ツールの直径、ツールの長さ、理論的なツールの形状および位置、ソースから画像までの距離、ならびに取得システムのレンジのうちの1つまたは複数に基づいて、誤差モデルは、再構成されたツール画像の予測される再構成誤差を推定することができる。次いで、予測される再構成誤差に基づいて、予測されるツールの形状および位置が計算される。このようにして、予測されるツールの形状および位置が、理論的なツールの形状および位置ならびに誤差モデルから計算される。
介入ツールを組織へと挿入する前に、予測されるツールの形状および位置、ならびに誤差モデルから計算される予測される再構成誤差を決定することができ、予測される再構成誤差、ならびに予測されるツールの形状および位置を、例えばX線システムのユーザインターフェースの表示部分を介してユーザに提供することができる。さらに、生じるであろう再構成誤差が現在選択されている介入ツールよりも小さい1つまたは複数の介入ツールを、インターフェースを介してユーザに提示することができる。予測される再構成誤差がより小さい1つまたは複数の介入ツールは、図4に示されるデータテーブルなどの介入ツール再構成誤差データベースから選択可能である。次いで、ユーザは、予測される再構成誤差を利用して、現在選択されている介入ツールで続行するか、あるいは再構成誤差がより小さい別のツールを利用するかを決定することができる。
さらに、ツールが組織へと挿入された後に、観測されるツールの形状および位置1016を、ツールを含む組織のDBT再構成画像ボリュームから決定することができる。例えば、ツールを組織内に位置させた状態で、トモシンセシススキャンを実行して、ツールが配置された状態の組織の第2の複数のDBT画像を取得することができる。次に、観測されたツールの形状および位置1016を、第2の複数のDBT画像から得られるDBT再構成ボリュームから決定することができる。
画像空間1020における予測されるツールの形状および位置1014、ならびに画像空間1020における観測されたツールの形状および位置1016が、画像プロセッサによって(1018に示されるように)比較される。一例においては、視覚的画像処理記述子を利用して、画像空間1020における予測されるツールの形状および位置1014ならびに観測されたツールの形状および位置1016を比較することができる。
次に、プロセッサは、予測されるツールの形状および位置と観測されたツールの形状および位置とが一致するかどうかを(1030で示されるように)評価することができる。理論上のツールの形状が予測されるツール形状と同じであり、理論上のツールの位置が予測されるツールの位置と同じである場合(すなわち、1030での回答が「はい」の場合)、ツールの組織への挿入時に、ツールの変形や曲がりが生じていないと(1032で示されるように)判断することができる。しかしながら、理論上のツールの形状または位置が予測されるツールの形状または位置に一致しない場合(すなわち、1030での回答が「いいえ」の場合)、組織への挿入時/組織内での移動時にツールが現実の空間において曲がり、さらには/あるいはずれたと(1036で示されるように)判断することができる。
比較により、組織へのツールの挿入時/組織内でのツールの移動時にツールの変形または曲げが存在しないことが示された場合、誤差モデル(したがって、予測されるツールの形状および位置)を利用して、1034に示されるように、組織内の実際のツールの位置および形状(すなわち、現実の物理的空間における実際のツールの位置および形状)を推測することができる。
比較により、ツールが空間内で曲がり、さらには/あるいはずれたことが示された場合、予測されるツールの形状および位置を、曲がりに関して補償することができる(例えば、予測されるツールの形状および位置を、観測されたツールの形状および位置に一致するように補償することができる)。次いで、実際のツールの形状および位置を、1038に示されているように、補償後の予測されるツールの形状および位置ならびに誤差モデルから推測することができる。
次に、(1038または1034のいずれかからの)推測されたツールの形状および位置1022を、理論上のツールの形状および位置と(1040に示されるように)比較して、挿入されたツールがターゲット組織位置に対して所望の位置にあるかどうかを評価することができる。
このようにして、誤差モデルを、予測されるツールの形状および位置ならびに観測されたツールの形状および位置とともに利用して、組織内のツールの実際の形状および位置を評価することができる。
以下の説明においては、本発明の典型的な実施形態を、典型的な介入ツールとして生検針を使用する典型的な介入処置としての生検処置に関して説明する。本発明を、他の介入処置およびそれぞれの介入ツールに関して実施できることに注意すべきである。介入処置として、これらに限られるわけではないが、フックワイヤの位置特定および冷凍アブレーション処置を挙げることができる。介入ツールとして、これらに限られるわけではないが、フックワイヤの位置特定に利用されるフックワイヤおよび冷凍アブレーションに利用されるプローブを挙げることができる。
DBTガイド下生検に使用することができる典型的なX線システムが、図1Bに示される。DBTガイド下生検に利用することができる典型的な生検装置および生検針が、図1Cおよび図1Dに示される。再構成誤差に基づいて生検針を選択するための典型的な方法が、図2に示され、再構成誤差を決定するための典型的な方法および針を挿入する前に再構成誤差を決定するための典型的な誤差モデルが、図3Aおよび図3Bで説明される。要約すると、再構成誤差モデルが、X線システムの画像下プロセッサのメモリに格納され、針の直径、針の長さ、検出器からのターゲット距離、および取得システムのジオメトリのうちの1つまたは複数に基づいて、再構成誤差モデルは、再構成された針画像のz方向のリークの量を示す予測される再構成誤差を推定することができる。さらに、再構成誤差モデルを、予測される再構成誤差を任意の種類の介入ツール(例えば、フックワイヤ、アブレーション針、など)および/または同じ種類の介入ツールのさまざまなモデルについて推定できるようにモデル化することができる。針が関係する組織へと作動前位置に挿入される前に、予測される再構成誤差をユーザへと提供することができる。したがって、ユーザは、生検を現在の針で実行できるかどうか、または別の針によって生検処置の精度および効率を改善することができるかどうかを、判断することができる。一実施形態において、生検針の予測される再構成誤差を決定することは、再構成誤差テーブルを利用することを含み得る。典型的な一組の再構成誤差データテーブルが、図4に示される。針の長さおよび直径が異なる針の再構成誤差の概略図が、図5および図6に示される。さらに、圧迫された乳房内の針の位置を評価するために予測される再構成誤差を使用してDBTガイド下生検を実行するための上位の方法が、図7Aおよび図7Bに示される。DBT再構成ボリュームからの生検のためのターゲット位置の典型的な選択が、図7Cで説明される。針が圧迫された乳房に挿入されたときの実際の針先端位置および針の曲がりを含む1つまたは複数の針パラメータの決定の詳細が、図8で説明される。挿入時の針の曲がりの典型的な概略図が、図9に示される。本明細書において説明される方法およびシステムが、組織に挿入される任意の介入ツール(例えば、フックワイヤ、アブレーション針、アブレーションプローブ、生検針、など)の任意の位置(作動前位置、作動後位置、など)の評価に適用可能であることを、理解できるであろう。したがって、組織内のツール位置を評価するための上位のブロック図が、図1Aに示される。
図1Bを参照すると、典型的な実施形態によるマンモグラフィ処置を実行するためのX線システム10を含むマンモグラフィシステム100が示されている。X線システム10は、デジタル乳房トモシンセシス(「DBT」)システムなどのトモシンセシスシステムであり得る。さらに、X線システム10を使用して、デジタルトモシンセシス画像化、およびDBTガイド下乳房生検などのDBTガイド下介入処置を含む1つまたは複数の処置を実行することができる。さらに、X線システム10を利用して、デュアルエナジーCESM、造影剤増強DBT(CE−DBT)診断、および介入的定位固定処置のうちの1つまたは複数を実行することができる。さらに、X線システム10を利用して、これらに限られるわけではないが画像ガイド下フックワイヤ位置特定および画像ガイド下冷凍アブレーションなどの1つまたは複数の画像ガイド下介入処置を実行することができる。
X線システム10は、放射源16、放射検出器18、およびコリメータ20が取り付けられた支持構造42を含む。放射源16は、支持構造42に移動可能に結合したガントリ15内に収容されている。とくには、ガントリ15を、放射源16を含むガントリ15を放射検出器18に対して軸58を中心にして回転させることができるように、支持構造42に取り付けることができる。放射源16を収容するガントリ15の回転角度範囲は、軸58を中心とするそれぞれの方向の所望の程度までの回転を示す。例えば、放射源16の回転角度範囲は、−θ〜+θであってよく、ここでθは、角度範囲が360度未満の限定された角度範囲であるようなものであってよい。典型的なX線システムは、±11度の角度範囲を有することができ、これは、ガントリの回転軸を中心に−11度から+11度までのガントリの回転(すなわち、放射源の回転)を可能にし得る。角度範囲は、製造仕様に応じてさまざまであってよい。例えば、DBTシステムの角度範囲は、製造仕様に応じて、約±11度〜±60度であってよい。
放射源16は、画像化されるべきボリュームまたは物体に向けられ、所望の時点において放射線を放出し、1つ以上の画像を取得するように構成される。放射検出器18は、表面24を介して放射線を受け取るように構成される。検出器18は、X線検出器、デジタルラジオグラフィ検出器、またはフラットパネル検出器などの種々のさまざまな検出器のうちの任意の1つであってよい。コリメータ20は、放射源16に隣接して配置され、対象の被照射ゾーンを調整するように構成される。
いくつかの典型的な実施形態において、システム10は、患者の身体部分(例えば、頭部)が放射に直接さらされることがないように、フェイスシールドレール38を介して放射源16に取り付けられた患者シールド36をさらに含むことができる。システム10は、垂直軸60に沿って支持構造に対して上下に移動することができる圧迫パドル40をさらに含むことができる。したがって、圧迫パドル40を、圧迫パドル40を検出器18に向かって下向きに動かすことによって放射検出器18のより近くに位置するように調整することができ、検出器18と圧迫パドル40との間の距離を、圧迫パドルを検出器から離れるように垂直軸60に沿って上向きに動かすことによって増加させることができる。圧迫パドル40の動きは、X線システム10に含まれる圧迫パドルアクチュエータ(図示せず)を介してユーザによって調整され得る。圧迫パドル40は、乳房などの身体部分を、放射検出器18の表面24に対して所定の位置に保持することができる。圧迫パドル40は、身体部分を圧縮し、身体部分を所定の位置に動かぬように保持しつつ、随意により、コア針または真空補助コア針などの生検針の挿入を可能にする開口を提供することができる。このようにして、圧迫パドル40を利用して、身体部分を圧縮して、X線が横切る厚さを最小限に抑え、患者の動きによる身体部分の動きの低減を助けることができる。X線システム10は、身体部分が配置され得る物体支持部(図示せず)を含み得る。
マンモグラフィシステム100は、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含むコントローラ44を備えるワークステーション43をさらに含むことができる。コントローラ44は、放射源16、放射検出器18、圧迫パドル40、および生検装置のうちの1つまたは複数を含むX線システム10の1つまたは複数の構成要素に通信可能に結合できる。1つの典型的な実施形態において、コントローラとX線システム10との間の通信は、無線通信システムを介することができる。他の典型的な実施形態において、コントローラ44は、ケーブル47を介してX線システムの1つ以上の構成要素と電気的に通信することができる。さらに、典型的な実施形態において、図1Bに示されるように、コントローラ44は、ワークステーション43に統合される。他の典型的な実施形態において、コントローラ44は、上記開示のシステム10のさまざまな構成要素のうちの1つ以上に統合されてよい。さらに、コントローラ44は、格納されたプログラムロジックを実行する処理回路を含むことができ、X線システム10で使用されるさまざまな種類の機器および装置にとって利用可能であり、それらと互換性のあるさまざまなコンピュータ、プロセッサ、コントローラ、またはこれらの組み合わせのいずれか1つであってよい。
ワークステーション43は、放射源16によって放出された放射線からシステム10のオペレータを保護する放射シールド48を含むことができる。ワークステーション43は、ディスプレイ50、キーボード52、マウス54、および/またはユーザインターフェース56を介したシステム10の制御を容易にする他の適切なユーザ入力装置をさらに含むことができる。
コントローラ44は、自身のプロセッサおよびコントローラを介して、X線システム10の動作および機能を調整することができる。一例として、コントローラ44は、X線源16がいつX線を放出するかに関してタイミング制御を提供することができ、X線が検出器18に入射した後の検出器18による情報または信号の読み取りおよび伝達のやり方、ならびにX線源16および検出器18のお互いに対する移動および身体部分に対する移動のやり方を、さらに調整することができる。さらに、コントローラ44は、画像42および動作中に取得されたデータを含む情報が、どのように処理、表示、格納、および操作されるかを制御することができる。1つ以上のセンサからの1つ以上の信号の受信、ユーザ入力の受信、受信した信号/入力の評価、画像処理、再構成誤差の決定、誤差の知らせを含む動作パラメータの出力、X線システムの動作を制御するためのX線システムの1つ以上のアクチュエータの調整、などのコントローラ44によって実行されるさまざまな処理ステップを、プロセッサの非一時的なメモリに格納された一式の命令によってもたらすことができる。さらに、情報を、後の読み出しおよび使用のために、コントローラ44の1つ以上の非一時的なメモリに格納することもできる。
さらに、上述のように、放射検出器18は、放射源16によって放出された放射線を受け取る。とくには、X線システムによる画像化の最中に、画像化中の身体部分の投影画像を検出器18において取得することができる。いくつかの典型的な実施形態においては、放射検出器18によって受け取られた投影画像データなどのデータを、放射検出器18からコントローラ44へと電気的に通信および/または無線で通信することができる。次いで、コントローラ44は、例えば、再構成アルゴリズムを実行することによって、投影画像データに基づいて1つ以上のスキャン画像を再構成することができる。再構成された画像を、表示画面56を介してユーザインターフェース50上でユーザに表示することができる。
放射源16は、放射検出器18と共に、異常のスクリーニング、診断、動的画像化、および画像ガイド下生検のうちの1つ以上の目的のためにX線画像を提供するX線システム10の一部を形成する。例えば、X線システム10は、異常をスクリーニングするためにマンモグラフィモードで動作することができる。マンモグラフィの際に、患者の乳房が、検出器18と圧迫パドル40との間に配置され、圧迫される。したがって、圧迫パドル40と検出器18との間のX線システム10のボリュームが、画像化ボリュームである。次に、放射源16は、圧迫された乳房へと放射線を放出し、乳房の投影画像が検出器18上に形成される。次に、投影画像をコントローラ44によって再構成し、インターフェース50上に表示することができる。マンモグラフィの最中に、ガントリ15をさまざまな角度に調整して、頭尾方向(CC)画像および内外斜位方向(MLO)画像などのさまざまな向きでの画像を取得することができる。一例においては、圧迫パドル40および検出器18が静止したままで、ガントリ15を軸58の周りで回転させることができる。他の例においては、ガントリ15、圧迫パドル40、および検出器18を、軸58の周りで単一のユニットとして回転させることができる。
さらに、X線システム10は、デジタル乳房トモシンセシス(DBT)を実行するためのトモシンセシスモードで動作することができる。トモシンセシスにおいては、X線システム10を、X線システム10の角度範囲におけるさまざまな角度において(圧迫パドル40と検出器18との間の)画像化ボリュームへと低線量の放射線を向けるように動作させることができる。具体的には、トモシンセシスの際に、マンモグラフィと同様に、乳房は、圧迫パドル40と検出器18との間で圧迫される。次に、放射源16が−θから+θに回転させられ、圧迫された乳房の複数の投影画像が、角度範囲内の種々の角度において取得される。例えば、X線システムの角度範囲が±11度である場合、ガントリの角度掃引の最中に、おおむね1度ごとに1つずつ、22個の投影画像を検出器によってキャプチャすることができる。次に、複数の投影画像がコントローラ44によって処理され、複数のDBT画像スライスが生成される。処理は、乳房のDBTボリューム表現を再構成するための1つ以上の再構成アルゴリズムの適用を含むことができる。
さらに、X線システムを、DBTガイド下生検処置を実行するように構成することができる。したがって、いくつかの典型的な実施形態において、システム10は、さらなる分析のために組織サンプルを抽出するための生検針を備える生検装置をさらに含むことができる。典型的な生検装置が図1Cに示されている。
図1Cに目を向けると、図1Bのマンモグラフィシステム100などのマンモグラフィシステムと組み合わせて使用することができる生検装置140の概略図が示されている。生検装置140は、本明細書において、図1Bのマンモグラフィシステム100に関連して説明される。生検装置140は、X線システム10の検出器18の上方に配置される生検テーブル155を含む。一例において、生検テーブル155は、検出器18上をスライドするように構成されてよい。生検装置140のセットアップ時に、ユーザは、X線システム10の圧迫パドル40を取り外し、生検テーブル155を検出器18上にスライドさせることができる。生検装置140をX線システム10上に配置するとき、生検の種類に応じて、水平パドルまたは垂直パドルなどの適切な生検用圧迫パドル(図示せず)を選択して、X線システム10に結合させることができる。
生検装置ディスプレイ162を有する生検装置インターフェース160を、通信ポート164を介して生検テーブル155に接続することができる。一実施形態においては、生検装置インターフェース160を、両矢印154によって示されるように、X線システムコントローラ44に通信可能に接続することができ、したがって、ユーザが、生検装置インターフェース160を介して、ガントリをパーク位置に調整するなど、X線システムの位置を調整することが可能であってよい。他の実施形態においては、生検装置インターフェース160を、(両矢印152で示されるように)X線システムコントローラ44と情報を送信および受信する生検装置コントローラ150に接続することができる。これに加え、あるいはこれに代えて、いくつかの他の実施形態においては、生検装置140の調整および制御が、X線システムコントローラ44の生検装置制御モジュール159によって実行されてもよい。
生検装置140は、生検テーブル155に直接接続されてよい生検ツールシステム170を含む。生検ツールシステム170は、第1のアーム174が取り付けられたトランク172を備えるロボットシステムを含む。生検ツールシステム170は、一端において第1のアーム174に結合し、第2の反対側の端部において生検ガンホルダ180に結合した第2のアーム176をさらに含むことができる。第2のアーム176を、生検ガンホルダの位置を調整するために、第1のアーム174に対して枢動させることができる。図1Cの図は、生検のための垂直アプローチにて構成された生検ツールシステム170を示している。垂直アプローチは、介入ツール(例えば、生検針)を乳房へと圧迫パドルの水平面に垂直な方向に挿入することを含む。あるいは、介入ツールは、ツールと呼ばれることもある。介入ツール(または、ツール)が、これらに限られるわけではないが、生検針、フックワイヤ、およびアブレーション針/プローブのいずれかを含むことができることを、理解できるであろう。したがって、垂直アプローチにおける生検装置140のセットアップ時に、生検ガンホルダ180は、生検ガンホルダの長さに沿った生検ガンホルダの長手軸がz軸141に平行かつ生検テーブル155の水平面156に垂直になるように配置される。
生検ツールシステム170を、針が乳房へと圧迫パドルに平行な方向に挿入される横(水平とも呼ばれる)アプローチにて生検を実行するように調整することもできる。横アプローチにおける生検装置のセットアップ時に、第2のアーム176を、生検ガンホルダの長手軸がz軸141に垂直かつ生検テーブル155の水平面に平行となるように、ノブ177によって90度枢動させることができる。
生検ガンホルダ180を、生検ガン184を取り付けるために利用することができる。さらに、生検ガンホルダ180は、生検針190の位置を調整するための機械式ストッパを含むことができる。具体的には、生検時に、生検ツールの挿入に先立って、乳房が圧迫パドル(図示せず)と表面156との間に配置される。いくつかの例においては、乳房スペーサを表面156上に配置することができ、乳房は、圧迫パドルとスペーサの間に配置され、圧迫パドルを表面156に向かって動かすことによって圧迫される。乳房が配置されると、生検のターゲットを識別するために、圧迫された乳房をX線システム10の角度範囲におけるさまざまな角度においてX線システム10でスキャンすることによって、第1組のターゲティング画像が取得される。第1組のターゲティング画像は、X線システムによる取得から再構成された3次元画像(DBT画像)または2次元全視野デジタルマンモグラフィ画像であってよい。ユーザは、第1組のDBT画像からターゲット位置を選択することによって、関係する領域を特定し、生検のターゲット位置を識別することができる。ターゲット位置を、圧迫パドルと生検テーブル表面156またはスペーサ(使用される場合)との間のDBTボリューム内のx、y、およびz座標によって識別することができる。ユーザによって選択されたターゲット位置座標に基づいて、生検装置コントローラ150は、針が生検ガン184を介して圧迫された乳房へと挿入されるときに、針先端がターゲット位置に対して所望の位置に達すると針の動きが停止するように、生検ガンホルダ180の機械式ストッパの位置を調整することができる。この例は、生検装置コントローラ150による生検装置の調整を示しているが、いくつかの実施形態においては、X線システムコントローラ44が生検装置140の制御を指令してもよいことを、理解できるであろう。このようにして、垂直アプローチモードでの生検時に、生検針の深さ位置を、第1のアーム174をトランク172に対して上向きおよび/または下向きに動かすことによって、z位置および機械式ストッパ位置を調整することで、生検ガン184および生検ガンホルダ180で調整することができる。
さらに、生検ツールシステム170は、プラットフォーム173およびレール177を含み得る。生検ツールシステム170のトランク172は、プラットフォーム173の上方をx軸143に平行に移動することができる。プラットフォーム173の上方の生検ツールシステム170の移動は、両矢印147によって示されている。プラットフォーム173に沿ったトランクの移動を、コントローラによって調整することができる。したがって、生検時に、生検ガン184およびガンホルダ180の位置を、ツール位置のx軸座標がターゲット位置に対して調整されるように、x軸の方向に沿って調整することができる。さらに、プラットフォーム173は、レール177に沿ってy軸142の方向に移動することができる。y軸の方向の生検ツールシステム170の移動は、両矢印148によって示されている。したがって、生検時に、生検ガンおよびガンホルダの位置を、ツール位置のy軸座標がターゲット位置に対して調整されるように、y軸の方向に沿って調整することができる。さらに、生検ツール170は、両矢印149によって示されるように上下に移動することができる。例えば、アーム174は、z軸141に沿った生検ガンホルダ180(したがって、生検ガン184および生検針190)の位置を調整するために、矢印149によって示されるz軸141の方向に移動可能であってよい。x、y、およびz方向の生検ツールの移動を、コントローラ150によって調整することができる。x、y、およびz方向のうちの1つ以上の方向の生検ツールの調整が、コントローラによる調整に加え、あるいはコントローラによる調整に代えて手動で実行される実施形態も、本開示の範囲内であることを理解できるであろう。
手動調整が可能であるため、ツールの調整後にDBTを実行するとき、以下でさらに説明されるように、新たなツール先端の場所を、誤差モデルおよびDBTボリュームおいて観測されるリークから決定することができる。
総合すると、生検において、X線システムによって取得された第1組のターゲティング画像からターゲット位置が選択されると、針190の挿入に先立って、コントローラ(X線システムコントローラ44または生検装置コントローラ150であってよい)は、針が挿入されたときに針先端がターゲット位置に対して乳房組織内の所望の位置に位置するように、ターゲット位置座標に基づいて、生検ツールをx軸の方向147およびy軸の方向148に調整し、機械式ストッパ位置をz軸の方向に調整することによって、生検針の位置を調整することができる。
このようにして、生検ツールシステム170のロボットシステムを利用して、画像から計算されたターゲット位置に基づいて針の位置および生検ツールの位置を調整することができる。
ひとたび生検ツールシステム170および生検ガンがターゲット位置に位置すると、ユーザ/放射線科医は、針を機械式ストッパに達するまで生検ガン184を通って打ち込むことができる。したがって、完全に挿入されると、針はターゲット位置(すなわち、針のノッチが穿刺すべき病変の前方にある位置)にある。生検装置140による生検に利用することができる生検針の典型的な図が、図1Dに示されている。
図1Dに目を向けると、典型的な生検針190の概略図が示されている。生検針は、針先端領域192、外側カニューレ198、外側カニューレ内に配置された内側カニューレ196、および生検対象の病変またはターゲットから組織の一部分を受け入れるための開口部(ノッチ)194を含むことができる。内側および外側カニューレは、外側カニューレ198が内側カニューレ上をスライドまたは回転するように構成され、さらには/あるいは内側カニューレが外側カニューレ内をスライドまたは回転するように構成された切断装置を形成する。一例においては、生検時に、針190が作動前位置にあるとき、針先端192の端部およびノッチはターゲットの上方に位置し、針190が作動後位置にあるとき、ノッチはターゲットの前方に位置する。針の作動前位置が確認されたとき(すなわち、針がターゲットに対して所望の位置にあるとき)、ユーザは、生検ガンを動作(すなわち、作動)させ、生検針を展開することができる。生検針が展開されるとき(すなわち、生検針の作動時)、針先端がターゲット組織を通過でき、続いてノッチおよび内側カニューレがターゲット組織を通過することができる。内側カニューレがターゲット組織を貫いて挿入されるとき、ターゲット組織の一部分がノッチに定着し得る。ほぼ瞬時に、外側カニューレを前方へと移動させ、ノッチに定着した組織の一部分を切断することができる。第2組の作動後画像を、針190を作動後位置に位置させた状態で、X線システムによって取得することができる。次いで、切断された組織は、真空補助生検などの補助アプローチを介して針から抽出され、針が患者から取り出される。
生検針190がDBTボリューム内で画像化されるとき、z方向(すなわち、生検テーブル表面156に垂直な方向)のトモシンセシス画像の分解能が限られているため、生検針190がz方向にリークして現れる。換言すると、生検針190のアーチファクト画像が、追加の画像スライスにおいて見えるようになる可能性がある。結果として、画像において観測される針先端の端部が、針先端192の実際の端部とは異なる可能性がある。この針先端のz方向へのリークは、以下でさらに説明されるように、ターゲット位置およびX線システムのパラメータを含む他のパラメータに加えて、針先端の長さ193および針の直径195に依存し得る。
一実施形態においては、図1Bのコントローラ44などのコントローラが、トモシンセシス取得からの生検針画像を含む画像の再構成における再構成誤差を計算するために利用され得る誤差モデルを格納することができる。誤差モデルは、針の長さおよび針の直径を含む針パラメータ、画像化ボリューム内の選択されたターゲット位置、およびX線システムのパラメータに基づくことができる。垂直アプローチでの乳房生検処置において、z方向のDBT画像の分解能が低いため、生検針がより多数の画像スライスに表示され、z方向にリークしているように見える。そのため、生検針を含むDBT再構成画像を精査するときに、実際の針先端の位置を確認し(したがって、臨床的に重要であり得るノッチ位置を間接的に決定し)、針がターゲット位置座標に対する所望の位置にあるかどうかを判断することが、困難になり得る。上述の問題のいくつかは、誤差モデルに基づいて所与の選択された針の予測される再構成誤差を決定することによって対処され得る。予測される再構成誤差は、生検のために針を挿入する前に、選択された針について予測されるリークの量を示すことができる。予測されるリークに基づいて、生検処置を開始する前でさえも、ユーザに予測される再構成誤差を知らせることができ、ユーザは、予測される再構成誤差が所与の生検処置に関して許容可能かどうかを決定することができる。誤差モデルおよび針の挿入に先立つ再構成誤差の決定の詳細は、図2〜図6に関して後述される。
さらに、コントローラは、作動前位置および作動後位置のうちの1つまたは複数における針の再構成画像において観測された針ボリューム、ならびに予測される再構成誤差に基づいて、選択された生検針の実際の針先端位置を決定するための命令を記憶し得る。さらに、観測された針ボリュームおよび予測される再構成誤差に基づいて、コントローラは、作動前位置への挿入時、およびその後の作動後位置への挿入時に、針が曲がったかどうかを評価することができる。さらに、針が作動前位置および作動後位置のうちの1つまたは複数にあるときの針に沿った他の関心対象領域、例えばノッチ位置を、観測された針ボリュームおよび予測される再構成誤差に基づいて決定することができる。DBTガイド下生検処置における予測される再構成誤差の利用の詳細は、図6〜図9に関してさらに説明される。
いくつかの典型的な実施形態において、コントローラは、トモシンセシス取得からの介入ツール画像を含む画像の再構成において介入ツールの再構成誤差を計算するために利用され得る介入ツールの誤差モデルを格納することができる。介入ツールの誤差モデルは、介入ツールの長さおよび介入ツールの直径を含む介入ツールパラメータ、画像化ボリューム内の選択されたターゲット位置、およびX線システム取得パラメータに基づくことができる。垂直アプローチでの介入処置において、z方向のDBT画像の分解能が低いため、介入ツールがより多数の画像スライスに表示され、したがってz方向にリークしているように見える可能性がある。そのため、介入ツールを含むDBT再構成画像を精査するときに、実際のツールの位置を確認し、ツールがターゲット位置座標に対して所望の位置にあるかどうかを判断することが、困難であり得る。上述の問題のいくつかは、誤差モデルに基づいて所与の選択された介入ツールの予測される再構成誤差を決定することによって対処され得る。予測される再構成誤差は、介入ツールの挿入に先立って、選択された介入ツールについて予測されるリークの量を示すことができる。予測されるリークに基づいて、介入処置を開始する前でさえも、ユーザに予測される再構成誤差を知らせることができ、ユーザは、予測される再構成誤差が所与の介入処置に関して許容可能かどうかを決定することができる。
さらに、コントローラは、作動前位置および作動後位置のうちの1つまたは複数における介入ツールの再構成画像において観測されたツールボリューム、ならびに選択された介入ツールについて予測される再構成誤差に基づいて、選択された介入ツールの実際のツール位置を決定するための命令を記憶し得る。さらに、観測されたツールボリュームおよび予測される再構成誤差に基づいて、コントローラは、ツールが組織への挿入時に曲がったかどうかを評価することができる。さらに、ツールに沿った他の関心対象領域を、観測されたツールボリュームおよび予測される再構成誤差に基づいて決定することができる。
次に、図2が、図1BのX線システム10などのX線画像化システムおよび図1Cの生検装置140などの生検装置によるDBTガイド下生検のための生検針を選択するための典型的な方法200を説明する上位のフローチャートを示している。方法200を、図1Bのコントローラ44などの画像処理システム、画像処理システムに接続されたエッジデバイス、画像処理システムと通信するクラウド、またはこれらの任意の適切な組み合わせによって実行することができる。方法200は、図1Bおよび図1Cのシステムおよび構成要素に関して説明されるが、方法200を、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステムおよび構成要素で実施できることを、理解すべきである。さらに、方法200を、X線システムで実行される介入処置(例えば、生検、フックワイヤの位置特定、冷凍アブレーション、など)に応じて、これらに限られるわけではないが生検針、フックワイヤ、およびアブレーション針/プローブなどの介入ツールの選択に利用できることを、理解できるであろう。
方法200は、202で開始する。202において、方法200は、X線システムが生検モードで動作しているかどうかを判断することを含む。生検モードの動作を、X線システムに結合した生検装置の検出に基づいて判断することができる。生検処置のセットアップ作業時に、生検装置を、例えば生検テーブル155などの生検テーブルを検出器上にスライドさせることによって、X線システムの検出器の上方に配置することができる。さらに、図1Cのインターフェース160などの生検装置インターフェースを、X線システムに結合させることができる。一例においては、生検装置および生検装置インターフェースのうちの1つ以上がX線システムに結合したときに、生検装置が自動的に検出され得る。別の例においては、ユーザが、X線システムのユーザインターフェースを介して、生検装置がX線システムに結合しており、X線システムが生検動作モードにあることを知らせることができる。
生検モードが確認された場合、202における回答は「はい」であり、方法200は204へと進む。204において、方法200は、生検処置のために生検針が選択されたかどうかを判断することを含む。例えば、ユーザは、患者パラメータ、ターゲット組織パラメータ、生検装置パラメータ、およびX線システムパラメータのうちの1つ以上に基づいて、一式の規定の生検針から所望の生検針を選択することができる。次いで、ユーザは、所望の生検針の選択、および選択した所望の生検針の種類を、生検装置インターフェースまたはX線システムインターフェースなどのユーザインターフェースを介して知らせることができる。上述の例は、生検針の選択を説明しているが、X線システムで実行される介入処置に基づいて介入ツールを選択できることを、理解できるであろう。介入ツールとして、これらに限られるわけではないが、フックワイヤの位置特定のためのフックワイヤおよび冷凍アブレーションのためのアブレーション針を挙げることができる。したがって、いくつかの実施形態において、方法200は、202において、介入処置の種類(例えば、フックワイヤの位置特定、冷凍アブレーション、など)を決定することを含むことができ、方法200は、204において、介入処置のために対応する介入ツール(例えば、フックワイヤ、アブレーション針、など)が選択されたかどうかを判断することを含むことができる。
いくつかの実施形態において、ユーザは、図1Cの生検ガン184などの生検ガンに所望の生検針を取り付けることができる。そのような場合、生検針の存在を、生検ホルダおよびX線システムのうちの1つ以上に結合した1つ以上のセンサによる生検針の感知に基づいて判断することができる。典型的なセンサシステムは、コンピュータビジョンシステムを含むことができる。生検針の装てんおよび生検ホルダ内の生検針の存在を感知するための他の種類のセンサも、本開示の範囲に含まれる。
生検針の選択が確認されない場合、204における回答は「いいえ」であり、方法200は、生検針の選択を監視し続ける。いくつかの例においては、生検モードが確認されると、方法200は205に進んでよく、針の選択および/または装てんの確認は、後の段階において、針の動きを命令する前に行われてよいことを、理解できるであろう。
所望の生検針が選択された場合、204における回答は「はい」であり、方法200は205へと進む。205において、方法200は、乳房などの身体部分が生検のために配置されているかどうかを判断することを含む。乳房生検処置に先立ち、乳房は、生検中の動きを減らすために、圧迫パドルで圧迫される。所望の固定が達成されると、ユーザは、X線システムのユーザインターフェースおよび/または生検装置インターフェースを介して、乳房が画像化のための所定の位置にあることを知らせることができる。したがって、乳房が所定の位置にあるかどうかの判断は、ユーザの知らせに基づくことができる。いくつかの例においては、X線システムおよび/または生検装置に結合した1つまたは複数のセンサ(例えば、視覚センサ)を利用して、乳房が画像化のために配置されたかどうかを判断することができる。
乳房が画像化のために配置されていない場合、205における回答は「いいえ」であり、方法200は乳房の配置の監視を続ける。乳房が画像化のために配置されている場合、205における回答は「はい」であり、方法200は206へと進む。206において、方法200は、X線システムの角度範囲内のさまざまな角度で第1組の投影画像を取得することを含む。とくには、生検針を作動前位置へと命令する前に、X線システムは、X線システムで第1のトモシンセシススキャンを実行して、検出器において圧迫された乳房の第1組の投影画像を生成することができる。第1組の投影画像は、スカウト画像(検出器の上面に垂直な正中線の軸線から0度に配置されたX線管で得られる)およびX線システムの角度範囲内のさまざまな角度での複数の投影画像を含むことができる。例えば、X線システムの角度範囲が22度である場合、X線システムは、正中線から−11度〜正中線から+11度の間の範囲のさまざまな角度にX線管を位置させて第1組の投影画像を取得することができる。DBTに基づく画像取得の最中に、角度範囲にわたるX線システムの各々の角度位置において、X線管からの低線量X線放射のコーンビームが、圧迫された乳房を通過し、検出器へと投影され、投影画像が得られる。
第1組の投影画像が取得されると、方法200は208へと進む。208において、検出器からの第1組の投影画像は、第1組の再構成画像を得るために、或る厚さ(例えば、1mm)をそれぞれ有する乳房のボリュームのスライスへと再構成され、X線システムのユーザインターフェースに表示される。第1組の画像は、トモシンセシス再構成画像であり、所望の速度の順次のループにてユーザインターフェース上に表示されてよく、あるいはユーザの好みに基づいて1つずつ観察されてよい。このように、X線管を角度範囲にわたって移動させ、角度範囲内のさまざまな角度で乳房の複数の投影画像をキャプチャし、複数の投影画像をz方向に乳房のボリュームを通る複数のスライスへと再構成することによって、第1組の再構成画像(生検針を圧迫された乳房へと挿入する前)を得ることができる。
次に、210において、方法200は、生検のための生検ターゲット場所が選択されたかどうかを判断することを含む。生検のターゲット場所は、関心対象領域内であってよく、第1組の構成画像からの異常の識別に基づいて、X線システムのユーザインターフェースおよび/または生検装置インターフェースを介してユーザによって選択されてよい。異常は乳がんの徴候であってよく、病変、微小石灰化、構造的歪み、および乳がんの徴候であり得る正常な乳房の解剖学的構造からの何らかの逸脱のうちの1つ以上を含むことができる。ユーザは、例えば、ターゲット場所を強調することによってターゲットを選択することができる。ターゲット場所は、本明細書においてターゲット位置と呼ばれることもある。上述の例は、生検のターゲット場所を説明しているが、ターゲット場所を、フックワイヤの位置特定、冷凍アブレーション、などの任意の画像ガイド下介入処置のために選択できることを、理解できるであろう。
生検のターゲット位置が特定されない場合、210における回答は「いいえ」であり、方法200は211へと進む。211において、方法200は、ターゲットを特定するようにユーザを促すことを含む。次いで、方法200は、ステップ210に戻り、生検ターゲットが選択されたかどうかを判断することができる。生検のターゲット位置が特定された場合、210における回答は「はい」であり、方法200は212へと進む。212において、方法200は、DBT再構成ボリュームの全体における選択された生検針の第1の予測される再構成誤差を決定することを含む。DBTボリュームの全体は、第1組の再構成画像の個々のボリュームスライスの各々を含むことができる。とくには、第1の予測される再構成誤差を、誤差モデルに基づいて決定することができる。誤差モデルは、選択された針パラメータ、選択された生検ターゲット場所、およびX線システムパラメータに基づく。誤差モデルを、これらに限られるわけではないがフックワイヤ、アブレーション針、生検針、などの任意の選択された介入ツールについて実装できることに、注意されたい。したがって、誤差モデルは、選択された介入ツールパラメータ、所望の介入処置のための選択されたターゲット場所、およびX線システムパラメータに基づくことができる。誤差モデルに基づく第1の予測される再構成誤差の決定の詳細は、図3Aおよび図3Bに関してさらに説明される。
ここで図3Aに目を向けると、DBTガイド下生検における針の画像再構成において予測される再構成誤差を決定するための方法300を説明する上位のフローチャートが示されている。方法300を、図1のコントローラ44などの画像処理システム、画像処理システムに接続されたエッジデバイス、画像処理システムと通信するクラウド、またはこれらの任意の適切な組み合わせによって実行することができる。方法300は、図1B、図1C、および図1Dのシステムおよび構成要素に関して説明されるが、方法300を、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステムおよび構成要素で実施できることを、理解すべきである。典型的な実施形態においては、方法300を、画像処理システムと通信する生検ホルダコントローラによって実施することができる。
上述のように、DBT画像化においては、X線システムをX線システムの角度範囲内で回転させて複数の投影画像を取得し、これらの投影画像が、後に乳房ボリュームの複数の3Dスライスへと再構成される。DBTにおいてX線システムが完全に回転(360度)することがないため、DBT再構成画像はz方向の分解能が低く、したがって再構成誤差が生じ、生検針が実際の平面よりも多数の乳房のボリュームの平面スライスに視覚化される結果となり得る。換言すると、針が、再構成画像において実際の針の長さよりも長くなって現れる可能性がある。その結果、針が乳房に挿入されるときに、再構成誤差により、針先端が実際の針先端位置とは異なる場所に表示される可能性がある。結果として、ユーザが、針先端が生検のターゲット場所からしきい値誤差距離の範囲内にあるかどうかを判断することができない。針の挿入に先立って再構成誤差を決定することにより、ユーザが、予測される再構成誤差が許容可能であるかどうかを評価できる可能性がある。方法300は、針が圧迫された乳房に挿入される前であっても、予測される再構成誤差を決定できることを示している。方法300を、第1組の再構成画像からターゲット生検場所が選択され、さらに生検針が選択された後に、作動前位置への針の移動を命令する前に開始することができる。さらに、方法300を、X線システムで実行される介入処置(例えば、生検、フックワイヤの位置特定、冷凍アブレーション、など)に応じて、これらに限られるわけではないが生検針、フックワイヤ、およびアブレーション針/プローブなどの介入ツールの画像再構成においてツールの予測される再構成誤差を決定するために実施できることを、理解できるであろう。
方法300は、302において始まる。302において、方法300は、選択された針パラメータ、選択された生検ターゲット場所パラメータ、および取得システムパラメータのうちの1つまたは複数を決定することを含む。針パラメータは、選択された針の向き(例えば、垂直、水平、または斜め(さらには、向きが斜めの場合には所望の斜め角度))、選択された針の本体部分(図1Dの内側カニューレ196など)の直径(例えば、図1Dの直径195など)、および選択された針の先端の長さ(図1Dの針先端192の長さ193など)を含むことができる。針パラメータは、選択された針に固有であってよい。一例においては、ユーザが、生検装置のユーザインターフェースおよびX線システムのユーザインターフェースのうちの1つまたは複数を介して選択された針の種類を知らせることができ、コントローラが、針パラメータをコントローラの非一時的なメモリに格納された選択された針の仕様から決定することができる。生検装置およびX線システムのうちの1つまたは複数に結合した1つまたは複数のセンサに基づく針パラメータの決定も、本開示の範囲内であることを、理解できるであろう。
選択された生検ターゲット場所パラメータは、針が圧迫された乳房に挿入されるときのz方向に沿った予測される先端位置を含み得る。すなわち、検出器平面に垂直なz方向に沿った針先端の予測される深さ位置が、選択された生検ターゲット場所に基づいて決定され得る。一例として、垂直生検アプローチにおいて、所望の針の動きがz軸に沿って検出器プレートへと向かう下向きである場合、針の作動前位置は、作動時に針先端がターゲット場所を通過して分析のためにノッチにターゲット組織を収集するように、z軸に沿ってターゲット場所のわずかに上方であり得る。したがって、作動前位置におけるz軸に沿った予測される先端位置(したがって、予測される先端位置および針パラメータに基づくターゲット場所に対する予測されるノッチ位置)は、第1組の再構成画像からの選択されたターゲット場所に基づいて決定され得る。いくつかの例において、選択されたターゲット場所パラメータは、ターゲット場所のx、y、およびz座標を含み得る。
取得システムパラメータは、X線取得システムの回転角度範囲を含む取得システムの形状、1つまたは複数の焦点スポットパラメータ(位置およびサイズ)、および線源から画像までの距離(すなわち、焦点スポット(X線が生成される)から検出器の検出面までの距離)を含む。例えば、中央(0度)から一方向のX線システムの角度範囲は、製造元によって、±11〜±60度の間でさまざまであり得る。上述の例は、現在の製造能力に基づく11〜60度の間の範囲を示しているが、±11度未満および±60度を超える角度範囲を有するX線システムも本開示の範囲内であることを、理解できるであろう。
次に、方法300は304へと進む。304において、方法300は、DBTボリュームにおける針先端の予測される位置、針の向き、針本体の直径、針先端の長さ、および取得システムの回転範囲の関数として構築される誤差モデルに基づいて、予測される再構成誤差(Re)を決定することを含む。具体的には、針がより垂直に向けられるにつれて、再構成誤差は大きくなる。さらに、再構成誤差は、針の直径が大きくなるにつれて大きくなる。さらに、DBTボリュームにおける先端位置が検出器に近づくにつれて、再構成誤差は大きくなる。またさらに、取得システムの角度範囲が小さいと、再構成誤差は大きくなる。
一例において、予測される再構成誤差は、図3Bに示されるように、選択された針パラメータ、選択されたターゲット場所、および収集システムパラメータに応じた誤差モデルに基づいて計算され得る。図3Bに目を向けると、典型的な実施形態による誤差モデル360のブロック図350が示されている。誤差モデル360は、入力として、選択された針パラメータ364(長さ、直径、および向き)、z軸366に沿った針先端の位置(第1組の再構成画像からの選択されたターゲット位置に基づく)、および取得システムパラメータ368(角度範囲)を使用する。誤差モデルは、出力として、予測される再構成誤差Reをもたらす。
別の例においては、所与のX線システムに関して所与の一連の種類の針(各々の種類は特定の針の長さおよび直径を有する)について検出器からのさまざまな距離において決定された再構成誤差データを含む再構成誤差データセットが、コントローラの非一時的なメモリに格納され得る。一例において、再構築誤差データセットは、上述のような誤差モデルに基づくことができる。別の例において、再構成誤差データセットは、各々の針モデルについてz軸に沿った特定の距離における空気中の再構成されて観測される先端の長さを評価することに基づくことができる。再構成されて観測された先端の長さを、空気中の針先端の実際の位置と比較して、各々の針モデルの再構成誤差を決定することができる。このようにして、再構成データセットを構築し、記憶することができる。DBTガイド下生検において、圧迫された乳房組織を貫く針の移動を命令する前に、選択された針の種類および選択されたターゲット場所に基づいて、第1の予測される再構成誤差を再構成誤差データセットから決定することができる。画像プロセッサのメモリに格納され得る再構成誤差データを含む典型的な一式のテーブルが、図4において説明される。
図4に目を向けると、典型的な一式の再構成誤差データテーブルが示されている。具体的には、第1のデータテーブル400および第2のデータテーブル450が示されている。第1のデータテーブル400および第2のデータテーブル450は、上述の図3Aおよび図3Bに関して説明した誤差モデルなどの誤差モデルに基づいて決定された生検針の再構成誤差データを含む。
いくつかの例においては、生検針の再構成誤差データを、圧迫パドルと検出器との間のDBTボリューム内の検出器からの複数の距離における空気中のさまざまな生検針モデルのトモシンセシス投影画像を取得することによって決定することができる。さらに、所与の針モデルについて、再構成誤差データテーブルを生成する際に、所与の針の垂直軸を、検出器および圧迫パドルに垂直な垂直軸である正中線から0度に位置させることができる。したがって、所与の針は、検出器および圧迫パドルに垂直な垂直アプローチ位置に配置される。空気中のそれぞれの針のトモシンセシス投影画像を、X線システムの角度範囲内のさまざまな角度で取得することができる。空気中の針のトモシンセシス投影画像を、後に再構成することができる。検出器と圧迫パドルとの間の再構成されたボリュームにおいて観測される針先端の長さおよび観測される針先端の端部を、空気中の針の再構成画像から決定することができる。観測された針先端を、実際の物理的な針先端の長さおよびz軸に沿った針先端の端部位置と比較して、検出器からの複数の距離における所与の針モデルの再構成誤差データを決定することができる。一例において、実際の針先端の端部位置は、ユーザによって入力されたターゲット場所に基づくことができる。このようにして、さまざまな針モデルの再構成誤差データセットを、空気中のさまざまな針モデルのトモシンセシス再構成画像に基づいて決定することができる。再構成誤差データを決定する上述の例は、生検針に関して説明されているが、任意の介入ツールの再構成誤差データを、空気中の対応する介入ツールモデルのトモシンセシス投影画像の生成に基づいて上述のように決定できることを、理解できるであろう。
第1のデータテーブル400は、検出器の上面の54mm上方に配置された針先端の端部についての再構成誤差データを示している。テーブル400は、検出器の上方54mmにおけるさまざまな針の直径(D)および針の長さ(L)の組み合わせについての再構成誤差を示している。同様に、第2のデータテーブル450は、検出器の上方20mmにおけるさまざまな針の直径(D)および針の長さ(L)の組み合わせについての再構成誤差を示している。テーブル400および450に見られるように、再構成誤差は、針の直径の増加、針先端の長さの減少、および検出器からの距離の減少につれて大きくなる。さらに、灰色の網掛けの箇所に見られるように、所与の針の直径について、針先端の長さが針の直径の約2倍である場合、再構成誤差は最小(ゼロより大きい)である。換言すると、直径が針先端の長さの約半分である場合、再構成誤差は最小(ゼロより大きい)である。さらに、所与の針先端の長さおよび所与の針先端の直径において、針先端の端部が検出器プレートに近づくにつれて、再構成誤差が増加する。
図4は、検出器からの2つの異なる距離における2つの典型的な再構成誤差データセットを示しているが、プロセッサが、検出器の上方の複数の距離における複数のデータセットを格納でき、針の長さおよび直径のさまざまな組み合わせに関して検出器の上方の複数の距離(z軸に沿った位置)の各々について(x−y平面内の)複数の位置における複数のデータセットも格納できることを、理解できるであろう。
DBTガイド下生検において、針およびターゲット場所が選択されると、圧迫された組織へと針を挿入する前に、選択された針の第1の予測される再構成誤差を、誤差モデルまたは再構成誤差データセットあるいはこれらの任意の組み合わせに基づいて決定することができる。選択された針モデルおよびDBTボリューム内の位置について再構成誤差データセットが利用できない例においては、誤差モデルを使用して第1の予測される再構成誤差を計算し、その後に、決定された誤差がしきい値限界よりも大きい場合に、再構成データセットを使用して、以下でさらに説明されるように、許容できる限界内のより小さな再構成誤差を有し得る1つまたは複数の候補針モデルを特定することができる。
いくつかの例においては、ツールの予測される再構成誤差を、選択された介入ツールについての誤差モデル、ツール再構成誤差データセット、またはこれらの任意の組み合わせに基づいて、選択された介入ツールについて決定することができる。さらに、決定されたツール再構成誤差がしきい値限界よりも大きい場合、再構成誤差データセットを利用して、許容可能な限界内のより小さいツール再構成誤差を有し得る1つまたは複数の候補ツールモデルを特定することができる。
予測される再構成誤差Reが決定されると、方法300は306へと進む。306において、方法300は、第1の予測される再構成誤差がしきい値誤差の範囲内にあるかどうかを判断することを含む。しきい値誤差は、ターゲットのサイズ(すなわち、ターゲットとされる病変のサイズ)、針先端の長さ、針のノッチの位置および深さ、ならびにターゲット場所のうちの1つまたは複数に基づくことができる。例えば、誤差許容範囲は、より大きな病変についてはより大きくてよく、したがって、しきい値誤差は、より大きな病変についてより大きくてよい。しきい値誤差は、選択された針が作動時にターゲット組織の場所を貫いてターゲット組織を切り取ることができるかどうかに関する指標をもたらすことができる。いくつかの例において、しきい値誤差は、ユーザによって設定されてもよい。さらに、しきい値は、ユーザの好みに基づくことができる。例えば、ユーザは、DBTボリュームに表示される内容に依存し、したがって誤差を可能な限り最小にするツールを使用することを好む可能性がある。あるいは、ユーザは、DBTボリュームにおける予測される誤差(および、現実の針先端の位置)に関する誤差モデルからの指示に基づいて、任意の針を使用することを選択することができる。
予測される再構成誤差がしきい値以上である場合、306における回答は「いいえ」であり、方法300は307へと進む。307において、方法300は、所与のシステムおよびターゲットパラメータについてモデル化されたRe(すなわち、誤差モデルに基づいて304で計算された第1の予測される再構成誤差)よりも小さくかつしきい値誤差限界よりも小さい対応するReを有する介入ツールデータベースからの1つまたは複数の候補針モデルを特定することを含む。一例において、対応するReを有する針モデルを、データテーブルセットに基づいて決定することができる。例えば、z軸に沿った選択されたターゲット位置(z軸に沿った針先端の深さ)についての対応するデータテーブルを特定することができる。あるいは、選択されたターゲット場所についてのデータテーブルが利用できない場合、選択されたターゲット場所に最も近いターゲット位置についてのデータテーブルを選択することができる。データテーブルが特定されると、しきい値誤差限界未満の再構成誤差を有する1つまたは複数の候補針モデルを、テーブルから特定することができる。1つまたは複数の候補針モデルが特定されると、方法300は310へと進む。
306に戻ると、第1の予測される再構成誤差がしきい値よりも小さい場合、306における回答は「はい」であり、方法300は310へと進む。310において、方法300は、選択された針および現在の取得システムについての第1の予測される再構成誤差Reを用いて、選択されたターゲット位置についての再構成誤差データテーブルを更新することを含む。次いで、方法300は、図2のステップ212に戻る。
図2に戻ると、予測される再構成誤差Reの決定後に、方法200は214へと進む。214において、方法200は、針を作動前位置へと移動させる前に、第1の予測される再構成誤差の情報をユーザに提示することを含む。第1の予測される再構成誤差を提示することは、216において、物理的な先端位置と再構成された先端位置との間の推定される位置の差を提示することを含む。推定される位置の差は、実際の物理的な先端位置と再構成された先端位置との間に予測されるz軸に沿ったリーク距離を含むことができる。さらに、第1の予測される再構成誤差を提示することは、218において、しきい値誤差の範囲内の1つまたは複数の候補針モデル(ステップ307で特定される)をユーザに提示することを含む。推定された位置の差および1つまたは複数の候補針モデルを、X線システムのユーザインターフェースおよび生検装置のユーザインターフェースのうちの1つまたは複数を介してユーザに提示することができる。一例においては、位置の差を、標準的な指標(例えば、ミリメートル)でリーク距離を示す他に、グラフィックにてユーザに提示することができる。
針先端のリーク距離の典型的なグラフィック表現が、図5に示される。図5に目を向けると、再構成誤差に起因する再構成画像におけるz方向の針先端の典型的なリークの概略図が示されている。具体的には、図5は、図1BのX線システム100などのX線システムのうちの圧迫パドル502と検出器504との間の部分500を示している。生検針508が、圧迫パドル502と検出器504との間のDBTボリューム522に含まれている。生検針508は、針の長さに沿った垂直な針の軸線が圧迫パドル502および検出器504に垂直である垂直アプローチモードにて配向されている。さらに、針508は、垂直軸505(z軸)からわずかにオフセットされ、垂直軸505(z軸)に平行に配置されて示されている。垂直アプローチの配向において、針508は、圧迫パドル502および検出器504に対して垂直に向けられる一方で、針は、ユーザによって選択されたターゲット場所に基づき、DBTボリューム522内の任意の場所に配置されてよく、針先端の端部位置を、DBTボリューム内の3D座標によって示すことができることを、理解できるであろう。
X線システムの角度範囲が、矢印506ならびにX線管520の2つの角度位置−θおよび+θによって示されている。+θ位置のX線管520からのX線の第1のコーンビームが、点線540によって示され、−θ位置のX線管520の第2のコーンビームが、点線545によって示されている。この典型的な図において、針508は、DBTボリューム522内の空気中に配置されて示されている。針508は、実際の針先端の長さ510および針先端の端部515を有し得る。針508の針先端部分は、垂直なハッチングで図示されている。しかしながら、針が角度範囲−θ〜+θの範囲内の複数の角度にX線管520を移動させることによってDBTボリューム522内で画像化され、検出器504へと投影されたX線の投影画像が再構成されるとき、針先端は、再構成画像のz軸(505)に沿ったより大きなDBTボリューム522に現れる。したがって、観測される針先端の長さ512は、実際の針先端の長さ510よりも長く、針先端が、DBT画像化のz方向の分解能が低いがゆえに、z軸に沿って垂直方向にリークしていると表現される。このように、領域535内に囲まれた交差ハッチングによって示される生検針の再構成誤差が、z軸に沿った針先端のリーク距離を含み得る。したがって、観測される針先端の端部525が、実際の針先端の端部515からずれる可能性があり、z軸に沿ったリーク距離が、実際の針先端の端部位置515と観測される針先端の端部位置525との間の位置の差であり得る。いくつかの例において、リーク距離は、観測された針先端の長さ512と実際の針先端の長さ510との間の差として計算され得る。
図6が、図5の針508よりも小さい直径を有する針608が使用された場合について、再構成誤差に起因する再構成画像におけるz方向の針先端の典型的なリークの概略図を示している。図示のように、針の直径が小さくなると、リーク距離は短くなる。したがって、再構成画像において観測される針先端の長さ612と実際の針先端の長さ610との間の差は、より小さい直径の針が使用される場合、より小さくなる。さらに、実際の針先端の端部615は、観測される針先端の端部625にほぼ一致する。
このように、針の種類に応じ、針先端が、再構成誤差に起因して、再構成画像において追加の画像スライスに現れる可能性がある。このように、再構成誤差は、実際の針先端と観測される針先端との間のリーク距離を含み得る。選択された針パラメータ、選択されたターゲット場所、および取得パラメータに基づいて再構成誤差をモデル化することにより、再構成誤差を、圧迫された乳房に針を挿入する前に推定することができる。ユーザは、予測される再構成誤差に基づいて、現在選択されている針が生検に適切でない可能性があると判断し、現在選択されている針よりも再構成誤差が小さい針を(例えば、ユーザへと提示された再構成誤差がしきい値限界よりも小さい1つまたは複数の候補針モデルに基づいて)選択することができる。
図7Aが、DBTガイド下生検の最中に針が圧迫された乳房へと挿入されるときに実際の針の位置を評価するための上位の方法700を示している。具体的には、実際の針の位置を評価することは、実際の針先端の位置を推測すること、および挿入時に針が曲がったかどうかを判断することを含み得る。さらに、DBT画像ボリューム内の再構成誤差領域およびノッチ位置などの針に沿った関心対象の他の地点を含む他のパラメータを決定することができる。方法700を、画像処理システム、図1Bのコントローラ44、画像処理システムに接続されたエッジデバイス、画像処理システムと通信するクラウド、またはこれらの任意の適切な組み合わせによって実行することができる。方法700は、図1B、図1C、および図1Dのシステムおよび構成要素に関して説明されるが、方法700を、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステムおよび構成要素で実施できることを、理解すべきである。方法700および方法800(図8)は、DBTガイド下生検の最中のとりわけ針が作動前位置にあるときの実際の生検針の位置の評価を詳述するが、方法700および800が、組織に挿入された任意の介入ツール(例えば、フックワイヤ、アブレーション針、生検針、など)の任意の位置(作動前位置、作動後位置、など)の評価に適用可能であることを、理解できるであろう。組織内の介入ツールの位置の評価を説明する上位の概略図は、図1Aにおいて説明されている。
方法700は、702において始まる。702において、方法700は、生検針の選択が確認されたかどうかを判断することを含む。生検針の選択の確認は、ユーザ入力に基づくことができる。例えば、ユーザは、第1の再構成誤差に基づいて所望の生検針を選択し、生検装置のユーザインターフェース、X線システムのユーザインターフェース、またはこれらの組み合わせなどのユーザインターフェースを介して、生検針の選択を確認することができる。針の選択が確認されない場合、702における回答は「いいえ」であり、方法700は703へと進む。703において、方法700は、ユーザインターフェースを介して生検針の選択を確認するようにユーザを促すことを含む。例えば、現在の針について図2、図3A、および図3Bで上述したように誤差モデルに基づいて決定される予測される再構成誤差を、ユーザインターフェースを介してユーザに表示することができ、現在の針をDBTガイド下生検処置に使用すべきかどうかを確認するようにユーザに要求する表示を、ユーザインターフェースを介してユーザに提示することができる。その後に、方法700は702に戻ることができる。
針の選択が確認された場合、702における回答は「はい」であり、方法700は704へと進む。704において、方法700は、生検ターゲット位置座標を生検ツールホルダ制御システムへともたらすことを含む。生検ターゲット位置座標を、針を乳房へと挿入する前に圧迫された乳房のDBT再構成ボリューム上でユーザがターゲット位置を選択することに基づいて決定することができる。例えば、ユーザは、第1組の再構成画像(例えば、図2のステップ208において得られる)に表されたDBTボリュームを眺め、異常を有している乳房のターゲット部分を(例えば、異常内の特定の地点または異常を含む領域をクリックすることによって)選択することによって、ユーザインターフェースを介して生検のターゲット位置を選択することができる。ユーザが生検ターゲット位置を選択すると、コントローラは、x座標(Xtarget)、y座標(Ytarget)、およびz座標(Ztarget)を含むDBTボリューム内のターゲット座標を抽出することができる。ターゲット生検座標の典型的な決定が、図7Cに示される。
ここで図7Cに目を向けると、典型的なDBTボリュームを表す一組の再構成画像770が示されている。一組の再構成画像770を、X線システムの角度範囲(−θ〜+θ)内で乳房をX線システムでスキャンすることによって取得することができる。一組の再構成画像は、検出器に垂直なz軸に沿ったさまざまな平面において再構成された複数の画像781、782、783、784を含む。ユーザは、複数の画像の各々を眺め、生検のターゲット部分を含む平面を選択することができる。ユーザが画像を選択すると、対応する平面が選択され、対応する平面が、ターゲット位置のz座標をもたらす。さらに、ターゲットのピクセル位置が、x座標およびy座標のそれぞれをもたらすことができる。したがって、この例において、ユーザは、一組の再構成画像770からターゲット位置772を選択することができる。図1Bのコントローラ44などのコントローラが、基準平面780からの選択された平面の距離774に基づいてZtargetを決定し、基準平面上のYrefおよびXrefのそれぞれに対する選択されたターゲット位置772のピクセルのXおよびY座標778および776に基づいてXtargetおよびYtargetを決定することができる。基準平面は、例えば、検出器の上面の平面であってよい。このようにして、ターゲット位置772のユーザ選択に基づいて、Xtarget、Ytarget、およびZtargetを含むターゲット座標を決定することができる。
ターゲット位置座標が決定されると、ターゲット座標を、生検ツール制御システムに伝達することができる。生検ツール制御システムは、生検ツールの1つまたは複数のアクチュエータに対して、針が挿入されたときに針のノッチが穿刺のために病変の前方に位置するように、生検ガンホルダの針ガイドを機械的なストッパ位置に位置させるように命令することができる。すなわち、針は、DBTボリュームの再構成画像から決定されたターゲット座標(Xtarget、Ytarget、およびZtarget)に対して配置される。針がガンへと引っ込められ、したがって針先端が切除する病変の上方にある位置を、作動前位置と呼ぶことができる。生検ツール制御システムを使用して、針ガイドが機械的なストッパ位置に位置するように生検針ホルダを所望の位置へと調整した後に、ユーザは、機械的なストッパによって針のさらなる動きが妨げられるまで、生検針を圧迫された乳房へと挿入することができる。すなわち、生検針を、針が作動前位置に到達するまで圧迫された乳房へと挿入することができ、その後に生検ガンを作動させると、針は作動後位置に到達する。いくつかの実施形態においては、作動前位置への針の挿入を自動化することができる。例えば、針を作動前位置へと移動させるようにユーザから指示されると、生検ホルダは、生検針を作動前位置へと自動的に動かすことができる。この例は、生検ツール制御システムを使用する針の位置の調整を示しているが、生検ガンおよび生検針を含むツールの移動を、X線システムコントローラによって命令してもよく、これも本開示の範囲に含まれる。
704に戻ると、上述のように、方法700は、再構成画像からのターゲット位置の選択に基づいて決定されたターゲット位置座標を生検針ホルダ制御システムへと送信することを含む。次いで、上述のように、生検針ホルダ制御システムは、ターゲット位置座標に基づいて生検針ホルダを配置し、針が圧迫された乳房へと生検ツール制御システムまたはX線システムコントローラによって自動的に挿入され、あるいはユーザによって挿入されるときに、針先端がターゲット位置座標に位置すると針の動きが(機械的なストッパによって)停止されるように、生検ガンの針ガイド上の機械的なストッパ位置を調整することができる。針が挿入された後に、生検ツール制御システムは、生検ツール制御システムによって決定された針先端位置を含む針位置をX線システムコントローラに送信することができる。例えば、生検針ホルダ制御システムは、さらに後述されるように、生検針ホルダ制御システムに結合したロボットシステムからのセンサデータに基づいて、針先端の位置を計算することができる。生検ツール制御システム(したがって、ロボットシステム)によって返される針位置は、現実の物理的空間(すなわち、圧迫パドルと検出器との間の物理的ボリューム)における針位置であり、理論上の針位置と呼ばれることがある。
次に、方法700は706へと進む。706において、方法700は、針が作動前位置にあるかどうかを確認することを含む。作動前位置を、針が作動前位置にあることをユーザインターフェースを介して示すユーザからの入力に基づいて確認することができる。これに加え、あるいはこれに代えて、針の作動前位置を、生検ツール制御システムから返される針位置に基づいて確認してもよい。針が作動前位置にない場合、706における回答は「いいえ」であり、この方法は707へと進む。707において、方法700は、ユーザ入力および/または生検針からのデータを監視することを含む。次いで、方法700は、針が作動前位置にあるかどうかの判断に戻ることができる。針が作動前位置にある場合、706における回答は「はい」であり、方法700は708へと進む。
708において、方法700は、針を作動前位置に位置させた状態で複数の作動前DBTスキャンを取得することを含む。複数の作動前スキャンは、X線源を検出器の上面に垂直なX線システムの垂直軸からゼロ度に位置させて取得されるスカウトスキャンを含むことができる。複数のスキャンは、X線源を角度範囲内の垂直軸からのさまざまな角度(−θ〜+θ)に位置させて取得される複数のステレオスキャンをさらに含むことができる。例えば、針が作動前位置にあることが確認されると、X線源をX線システムの角度範囲内で回転させることができ、針を作動前位置に位置させた状態での複数の作動前スキャンを取得することができる。
次に、710において、方法700は、取得された作動前スキャンから複数のDBTターゲティング画像を再構成することを含む。具体的には、X線管を角度範囲内で移動させる作動前スキャンの最中に検出器の露光から得られる複数の投影画像データセットを、複数の薄いスライス画像(例えば、厚さ1ミリメートル)へと再構成することができる。作動前スキャンからの複数の薄いスライス画像(本明細書においては、作動前DBT再構成画像または単に作動前DBT画像とも呼ばれる)が、全体として、針を作動前位置に位置させた状態の圧迫された乳房のトモシンセシス再構成ボリュームをもたらすことができる。いくつかの例においては、二次元位置決め画像を作動前スキャンから追加で再構成することができる。
712に続くと、方法700は、作動前DBT画像に基づいて挿入された針のパラメータを決定することを含む。作動前DBT画像に基づく挿入された針のパラメータは、作動前位置の生検針の第2の再構成誤差、乳房組織を貫いて作動前位置へと到る針の移動に起因する針の曲がりの大きさ、および実際の針先端の位置を含むことができる。さらに、挿入された針のパラメータは、針を作動前位置へと調整される前に取得されたDBT画像に基づいて決定されたターゲット位置座標、および(ロボットシステムを介して)生検ツール制御システムによって決定された現実の物理的空間における理論上の針位置を含むことができる。挿入された針のパラメータの決定の詳細は、以下で図8に関して説明される。
図8に目を向けると、作動前DBT画像から挿入された針のパラメータを決定するための上位のフローチャート800が示されている。方法800を、画像処理システム、図1Bのコントローラ44、画像処理システムに接続されたエッジデバイス、画像処理システムと通信するクラウド、またはこれらの任意の適切な組み合わせによって実行することができる。方法800は、図1B、図1C、および図1Dのシステムおよび構成要素に関して説明されるが、方法800を、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステムおよび構成要素で実施できることを、理解すべきである。
方法800は、802において始まる。802において、方法800は、作動前DBT再構成画像における針先端の観測された可視ボリュームに基づいて、DBTボリュームにおける観測された針先端のリークボリュームを決定することを含む。観測された針先端のリークボリュームの決定は、複数のDBT画像スライスの各々における観測された針領域を決定し、複数のDBT画像スライスの各々における観測された針領域からリークボリュームを決定することを含み得る。
次に、方法800は804へと進む。804において、方法800は、予測される再構成誤差に基づいて予測される針先端のリークボリュームを決定することを含む。予測される再構成誤差は、図3に関して説明したように決定されてよく、誤差モデルに基づくことができる。すなわち、予測される再構成誤差を、ターゲット位置座標、針パラメータ、および収集システムパラメータの関数としてモデル化することができる。いくつかの実施形態においては、予測される再構成誤差を、ロボットシステムによって返される針位置、針のパラメータ、および取得パラメータの関数としてモデル化することができる。さらに、予測されるリークボリュームを、乳房組織への挿入時の針の曲がりの最小量に基づき、挿入時に予測されるターゲット位置に到達する針の先端に基づいて計算することができる。
次に、観測された針先端のリークボリュームおよび予測される針先端のリークボリュームが決定されると、方法800は806へと進む。806において、方法800は、観測されたリークボリュームと予測されるリークボリュームとを比較することを含む。一例においては、視覚的画像処理記述子を利用して、観測されたリークと予測されるリークボリュームとを比較することができる。視覚的画像処理記述子は、例えば、局所的特徴記述子(例えば、形状、位置、スケール、向き、および勾配、強度、などの局所的画像構造)および全体的特徴記述子のうちの1つまたは複数を含み得る。一般に、観測されたリークボリュームと予測されるリークボリュームとを比較することは、作動前DBT再構成画像からの針先端の観測された形状と、誤差モデルに基づく針先端の予測される形状とを比較すること、および作動前DBT画像からの針先端の観測された位置と、誤差モデルに基づく針先端の予測される位置とを比較することを含み、観測された針先端のボリュームと予測される針先端のリークボリュームとを比較することをさらに含む。
次に、808において、方法800は、観測されたリークが予測されるリークに一致するかどうかを判断することを含む。これは、観測されたリークボリュームが予測されるリークボリュームからしきい値リークボリューム偏差の範囲内にあるかどうか、および針先端の観測された位置が針先端の予測される位置からしきい値距離の範囲内にあるかどうかを判断することを含み、観測された針先端の形状が予測される針先端の形状と一致するかどうかを判断することをさらに含む。
観測されたリークと予測されるリークとが一致する場合、方法800は810へと進む。810において、方法800は、挿入された針のパラメータを決定することを含む。とくには、挿入された針のパラメータは、誤差モデルに基づいて予測されるリークでモデル化された予測される針先端のボリュームおよび形状に基づいて決定され得る。すなわち、予測されるリークが観測されたリークと一致する場合、実際の針は予測される作動前位置にあり、予測される針先端のボリュームおよび形状を含む予測されるリークを利用して、実際の針先端の位置を含む実際の針パラメータを決定することができる。したがって、予測されるリークが実際のリークと一致する場合、挿入された針のパラメータを決定することは、812において、DBTボリュームにおいて予測される再構成誤差に基づいて実際の針位置を決定することを含み得る。したがって、予測される再構成誤差が誤差モデルに基づいて決定される作動前位置の針先端の予測される再構成誤差、および作動前DBT再構成画像における観測された針のリークに基づいて、圧迫された乳房のボリューム内の実際の針先端の位置(すなわち、現実の物理的ボリュームにおける針先端の位置)を決定することができる。
さらに、典型的な実施形態においては、生検針ホルダ制御システムが、生検針ホルダ制御システムに結合したロボットシステムからのセンサデータに基づいて針先端の位置を計算することもできる。具体的には、直接モデル計算手法において、デカルト先端位置を、ロボット軸位置に関するロボットシステムからのセンサフィードバック、ロボットシステムの幾何学的モデル、生検装置、生検針、および較正パラメータに基づいてリアルタイムで決定することができる。すなわち、直接モデル計算手法に基づいて、
(Xtip、Ytip、Ztip)=M(Xrobot、Yrobot、Zrobot、生検装置および針、較正パラメータ)
であり、
ここで、Xtip、Ytip、Ztipは先端位置のデカルト座標であり、M(Xrobot、Yrobot、Zrobot、生検装置および針、較正パラメータ)は、ロボット軸位置Xrobot、Yrobot、Zrobot、生検装置および針の寸法、ならびに較正パラメータに基づくロボットの直接幾何学的モデルである。
このように、デカルト先端位置(Xtip、Ytip、Ztip)は、ロボットシステムからのフィードバックに基づいて決定され、したがって本明細書においてロボット返信先端位置と呼ばれることがある。
さらに、ロボット軸(Xrobot、Yrobot、Zrobot)位置を、逆幾何学的モデルに基づいて、以下に示すように決定することができ、すなわち
(Xrobot、Yrobot、Zrobot)=Minv(Xtarget、Ytarget、Ztarget、生検装置および針、較正パラメータ)
であり、
ここで、Xtarget、Ytarget、Ztargetは、再構築画像から選択されたターゲット位置のデカルト座標であり、Minv(Xtarget、Ytarget、Ztarget、生検装置および針、較正パラメータ)は、再構成画像におけるターゲット位置、生検装置および針の寸法、ならびに較正パラメータに基づくロボットの逆幾何学的モデルである。
この実施形態において、ロボット返信先端位置を使用して、DBTボリュームでの予測される再構成誤差および再構成画像での観測された針ボリュームに基づいて決定される実際の針位置情報を調整することができる。
さらに、この実施形態において、再構成画像から選択されたターゲット先端位置に基づいて決定された針先端の第1の位置、ロボットから返された先端位置に基づいて決定された針先端の第2の位置、ならびに第2の再構成誤差および作動前再構成画像における観測された針ボリュームを考慮して作動前再構成画像から決定された針先端の第3の位置を利用して、針の曲がりの大きさ、ロボットセンサの誤差、再構成アルゴリズムの誤差、較正誤差、などを含む1つまたは複数の誤差を検出することができる。
このように、1つの典型的な実施形態においては、(針パラメータ、ターゲット位置パラメータ、および取得システムパラメータの関数として決定される誤差モデルに基づく)作動前位置の選択された針の再構成誤差に基づく予測される針ボリューム、再構成画像における観測された針のボリューム、およびロボット返信先端位置を利用して、実際の先端位置、曲がりの大きさ、実際の先端位置と予測される先端位置との間の距離、および針に沿った関心対象の地点を含む挿入された針のパラメータを決定することができる。
810に戻ると、812における実際の先端位置の決定に加えて、挿入された針のパラメータを決定することは、813において、実際の針先端位置および針の既知の針特性(例えば、直径、長さ、など)に基づいて、DBTボリューム内のノッチ位置などのターゲット位置に対する他の針特性を決定することを含み得る。上述の例は、針特性を例示しているが、別の介入ツールが使用される場合、その介入ツールの特性を決定できることを、理解できるであろう。例えば、考慮され得るツールパラメータは、ターゲット病変に到達するツール部分を含み得る。一例として、フックワイヤが使用される場合、フックワイヤのフック部分の位置を決定することができる。さらに、挿入された針のパラメータの決定は、814において、(予測されるリークが観測されたリークに一致することに基づいて)針が曲がることなく所望の(作動前)位置に到達したことを示すことを含み得る。あるいは、観測されたリークと予測されるリークとの間の差ボリュームがしきい値ボリュームの範囲内にあること、観測された先端位置と予測される先端位置との間の位置差がしきい値距離の範囲内にあること、および形状の差がしきい値限界の範囲内にあることのうちの1つまたは複数である場合、観測されたリークと予測されるリークとの間の類似度が高くなる可能性があり、したがって針がしきい値量の範囲内の曲がり量で作動前位置に到達したことを示し得る。
さらに、816において、観測されたリークと予測されるリークとの間の類似度を示すスコアが提供され得る。またさらに、観測されたリークが予測されるリークと一致する(または、しきい値ボリューム偏差内である)ときに挿入された針のパラメータを決定することは、817において、実際の針先端位置と予測される針先端位置との間の距離を決定することを含み得る。観測されたリークが予測されるリークと一致する(すなわち、予測されるリークボリュームと観測されたリークボリュームとが等しく、観測された針先位置と予測される針先位置が同じであり、予測されるリーク形状が観測されたリーク形状と同じである)場合、実際の針先位置と予測される針先位置とが一致し、したがってそれらの間の距離はゼロである。挿入された針のパラメータが決定されると、方法800は、方法700のステップ716へと戻る。
808に戻ると、観測されたリークが予測されるリーク(形状、位置、または体積のいずれか)に一致しない場合、808における回答は「いいえ」であり、方法800は818へと進む。観測されたリークが予測されるリークに一致しない垂直アプローチでの針先端の典型的な図が、図9に示されている。
818に続くと、方法800は、誤差モデルに基づいてモデル化された予測される再構成形状を、観測された針先端の形状に一致するように調整することを含む。いくつかの場合において、生検針が乳房へと挿入されるときに、針の軌跡が予測される直線経路を辿らない可能性がある。これは、例えば、針先端が圧迫された乳房に作用させる力が非対称であること、針の挿入速度、および乳房の変形のうちの1つまたは複数に起因して生じ得る。例えば、面取りされた針先端は、針および組織のパラメータに基づくことができる円弧の軌跡を辿り得る。針の曲がりにより、観測される先端形状が予測される先端形状と異なる可能性があり、したがって予測される針先端形状(直線経路を辿る針に基づいてモデル化される)を使用したのでは、針先端の位置情報を得ることができない可能性がある。したがって、観測された針先のリークが予測される針先のリークと一致しない場合、曲がり関数を誤差モデルに適用することができる。曲がり関数は、予測される針先端形状が観測された針先端形状に一致するように、予測される針先端形状を調整することができる。このようにして、誤差モデルを、針の曲がりを補償するように調整することができる。したがって、今や観測されたリークに一致する補償された予測される針先端のリークを利用して、実際の針先端の位置を推測することができる。したがって、方法800は820へと進む。
820において、方法800は、曲げについて補償された誤差モデルを使用して作動前パラメータを決定することを含む。したがって、作動前パラメータの決定は、822において、観測された針のリークに一致するように補償された予測される針のリークに基づいて実際の針先端位置を決定することを含む。さらに、1つの典型的な実施形態においては、812に関して上述したように、ロボットが返す実際の先端位置をリアルタイムで決定し、1つまたは複数の挿入された針のパラメータおよび誤差を計算するために使用することができる。ロボット返信先端位置の詳細は、812に関して説明されており、簡潔にするため繰り返さない。
さらに、824において、針をターゲット位置に対してDBTボリューム内の作動前位置に位置させた状態でのノッチ位置などの他の針特性を、実際の針先端位置、曲がりの大きさおよび針の軌跡などの曲がりのパラメータ、ならびに針の直径、針先端の長さ、および針先端からのノッチの位置などの既知の針特性から決定することができる。さらに、挿入された針のパラメータの決定は、826において、((808において判断されるように)観測されたリークが予測されるリークに一致しないことに基づいて)針が曲がりゆえに予測されるターゲット座標に到達しなかったと推測することを含み得る。挿入された針のパラメータの決定は、828において、観測されたリークと予測されるリークとの間の類似度を表すスコアを決定することをさらに含み得る。類似度は、観測された針先端ボリュームと予測される針先端ボリュームとの間の差、観測された針先端位置と予測される針先端位置との間の位置差、および再構成されたボリュームにおける観測された針先端の形状と予測される針先端の形状との間の形状の差のうちの1つまたは複数に基づくことができる。さらに、挿入された針のパラメータの決定は、830において、実際の針先端位置(822で決定される)と予測される針先位置(針のターゲット座標への到達に基づいて決定される)との間の距離を決定することを含み得る。距離を、3次元空間(DBTボリューム)における距離として計算することができる。
さらに、いくつかの処置においては、たとえ乳房が圧迫されていても、針の挿入時にターゲット病変が動く可能性がある。したがって、いくつかの実施形態においては、ターゲット位置を、針を作動前位置に位置させた状態でユーザが選択し直すことができ、DBTボリュームにおける予測されるリーク(ステップ804)、およびその後の上述のとおりの作動前パラメータの決定は、最後に選択されたターゲット位置に基づいて決定されてよい。
挿入された針のパラメータが決定されると、方法800は、図7Aのステップ716に戻ることができる。
716に戻ると、方法700は、第2の再構成誤差情報および挿入された針のパラメータをユーザへと提示することを含む。第2の再構成誤差情報の提示は、718において、DBTボリューム内の画像化された針先端の再構成誤差領域を示すことを含む。再構成誤差領域は、観測された針先端の形状と予測される針先端の形状との間の領域、および観測された針先端のボリュームと予測される針先端のボリュームとの間のボリュームのうちの1つまたは複数を含み得る。さらに、挿入された針のパラメータをユーザへと示すことができ、これは、720において、実際の針先端の位置を示すこと、722において、針の曲がりの大きさを示すこと、および実際の針先端の位置と予測される針先端の位置との間の距離を示すこと、ならびに724において、針に沿った関心対象の地点(例えば、ノッチ位置)を示すことを含む。さらに、上述したように、異なる介入ツールが使用される場合、対応する介入ツールのパラメータを決定し、ユーザへと表示することができる。
1つの典型的な実施形態においては、第2の再構成誤差および挿入されたパラメータを、再構成画像に重ねて表示しても、別途示してもよく、あるいは上記の組み合わせを提供してもよい。表示の種類は、ユーザによる選択が可能であってよい。例えば、針先端位置を、ハイライトまたはグラフィックによる輪郭によって(ステップ710からの作動前画像などの)作動前DBT再構成画像上に示すことができる一方で、曲がりの大きさ、類似度スコア、実際の針先端と予測される針先端との距離などの他の挿入された針のパラメータを、別途示すことができる。さらに、ユーザの選択に基づいて、別途示されるパラメータを、作動前画像に重ねて表示してもよい。さらに、再構成誤差領域を、ユーザの選択に基づいて作動前画像上に重ねて表示することができる。
別の典型的な実施形態においては、再構成画像とは別の針先端のグラフィック表示を提供することができる。
さらに別の典型的な実施形態において、第2の再構成誤差および1つまたは複数の作動前パラメータは、各々のDBT再構成画像スライスの概略図を介して示されてよく、DBT再構成画像スライスとは別に表示され、あるいはDBT再構成画像に組み合わせられてよい。
このようにして、上述のように決定された第2の再構成誤差および挿入された針のパラメータ、ターゲット位置に対する実際の針先端位置、ターゲット位置に対する他の針特性、類似度、曲がりの大きさ、および実際の針先端位置と予測される針先端位置との間の距離を含むパラメータを、ユーザインターフェースを介してユーザに表示することができる。さらに、第2の再構成誤差および挿入された針のパラメータに基づいて、ユーザは、現在のアプローチを続行するか、あるいは別のアプローチ(例えば、水平アプローチ)を生検に使用できるかどうかを、決定することができる。
第2の再構成誤差および挿入された針のパラメータを提示すると、方法700は、図7Bのステップ730へと続く。730において、方法700は、ターゲット位置に対する実際の針先端位置が生検の実施に適しているかどうかを判断することを含む。これは、一例において、選択された生検針が生検のためのターゲット位置に対する所望の位置にあることをユーザが確認したかどうかを判断することを含み得る。
これに加え、あるいはこれに代えて、方法700は、第2の再構成誤差および挿入された針のパラメータに基づいて、実際の(現在の)針先端位置がターゲット位置に対して所望の位置にあるかどうかを示すことを含み得る。一例として、実際の針先端位置が、ターゲット位置からの距離がしきい値距離よりも大きくなるように位置している場合、作動時に針先端がターゲットに到達しない可能性があり、したがってターゲット組織が針のノッチ内に収集されない可能性がある。しきい値距離は、ターゲット位置、実際の針先端位置、ならびに長さおよび直径などの針パラメータに基づくことができる。したがって、プロセッサは、ユーザインターフェースを介して、針先位置がターゲット位置での生検のための所望の位置にないことを示すことができ、さらに、プロセッサは、実際の針先端とターゲット位置との間の距離がしきい値距離よりも大きいことを示すことができる。上述のステップは、ターゲット位置に対する実際の針先端位置が、ユーザ入力に基づいて生検を実行するために適しているかどうかを決定することを示しているが、決定が実際の先端位置(作動前再構成画像から、再構成誤差モデルに基づく)、ターゲット位置(針挿入前にターゲット位置決めのために再構成画像から選択される)、およびロボット返信先端位置(先端を作動前位置に位置させた状態)のうちの1つまたは複数に基づいて自動的である実施形態も、本開示の範囲内であることを理解できるであろう。
針先端位置がターゲット位置に対して確認されない場合、730における回答は「いいえ」であり、方法700は731へと進み、731において、現在の選択された針による現在の生検処置を終えることができる。例えば、(716における)作動前パラメータの知らせに基づいて、ユーザは、針先端位置が生検のための所望の位置にないと判断することができる。したがって、異なるアプローチ(現在のアプローチが垂直生検アプローチである場合の水平アプローチなど)および/または異なる針が生検により好適であり得るかどうかを評価するために、現在の生検処置を終了させることが望ましいかもしれない。現在の生検処置を終了することは、針を作動させずに引っ込めることをユーザにとって可能にすることを含み得る。
しかしながら、針先端位置が後の生検のためにターゲット位置に対して確認された場合、730における回答は「はい」であり、方法700は734へと進む。734において、方法700は、針先端位置の確認を針ホルダ制御システムへと送信することを含む。針先端位置の確認の受信に応答して、針ホルダ制御システムは、1つまたは複数のアクチュエータを調整して、ユーザによる生検針の作動を可能にし、あるいは生検針の作動を自動的に開始して、生検サンプルを収集することができる。例えば、針先端の位置が、ターゲット位置に対して生検のための所望の位置にあるとき、ユーザは、生検ガンを展開して、生検針を作動させることができる。
生検針の作動が完了すると、針の作動は、生検装置および/またはX線システムの1つまたは複数のセンサによって検出され得る。針の作動の検出に応答して、735において、方法700は、針を作動後位置に位置させた状態で複数の作動後画像を取得することを含む。複数の作動後画像は、X線システムの垂直軸に対して0度で取得されたスカウト画像と、X線源を角度範囲内のさまざまな垂直軸からの角度(−θ〜+θ)に位置させて取得されたステレオスキャンとを含み得る。例えば、針の作動が確認されると、針は作動後位置にあり、X線源をX線システムの角度範囲内で回転させて、針を作動後位置に位置させた状態の複数の画像を取得することができる。作動前画像の取得に関して上述したように、複数の作動後画像を取得することは、複数の作動後スキャンを取得し、作動後スキャンから複数の作動後画像を再構成することを含み得る。さらに、複数の作動後画像を取得すると、方法700は、針を作動後位置に位置させた状態の作動後画像をユーザインターフェース上に表示することをさらに含み得る。
さらに、作動前位置の針に関して上述したように、作動後の段階における針位置を(図8に記載の方法800を利用して)評価することができ、作動後の段階における対応する挿入された針のパラメータを、(ステップ716で説明したように)ユーザに示すことができる。作動後位置の針の評価は、すでに詳しく説明した作動前位置の針の評価と同様であるため、作動後位置の評価の説明は繰り返さない。
一例においては、作動後位置の針の評価を利用して、針がターゲット病変を貫いたかどうかを判断し、したがって生検の成功を評価することができる。
次に、737において、方法700は、組織の抽出が完了したかどうかを判断することを含み得る。組織の抽出が完了したかどうかの判断は、例えば、ユーザの確認に基づくことができる。組織の抽出が完了していない場合、737における回答は「いいえ」であり、方法700は、組織の抽出の完了を監視するために738へと進む。組織の抽出が完了すると、737における回答は「はい」であり、方法700は740へと進む。
組織が抽出されると、ユーザは、生検後クリップを挿入して生検部位をマークすることができる。したがって、740において、方法700は、生検後クリップが挿入されたかどうかを判断することを含む。例えば、生検後クリップの挿入の確認は、ユーザの知らせに基づくことができる。生検後の挿入が完了していない場合、740における回答は「いいえ」であり、方法700は741へと進み、生検後クリップの挿入を監視する。生検後クリップが挿入された場合、740における回答は「はい」であり、方法700は742へと進む。742において、方法700は、生検後クリップを生検部位に位置させた状態で複数の作動後画像を取得することを含む。生検後クリップを含む複数の作動後画像は、X線システムの垂直軸に対して0度で取得されたスカウト画像と、X線源を角度範囲内のさまざまな垂直軸からの角度(−θ〜+θ)に位置させて取得された複数のスキャンとを含み得る。例えば、生検後クリップの挿入が確認されると、X線源をX線システムの角度範囲内で回転させることができ、生検後クリップが挿入された複数の画像を得ることができる。作動前画像および作動後画像の取得に関して上述したように、生検後クリップを含む複数の作動後画像を取得することは、複数の作動後スキャンを取得し、作動後スキャンから複数の作動後画像を再構成することを含み得る。さらに、方法700は、クリップを含む作動後画像をユーザインターフェース上に表示することを含む。
このように、誤差モデルに基づいて決定された第1および第2の再構成誤差に基づいて、生検の精度および効率を改善することができる。
次に、図9が、生検針が作動前位置への挿入時に曲がる場合の典型的な観測される針先端のボリュームおよび形状、ならびに曲がりのない針先端の典型的な予測されるボリュームおよび形状の概略図900を示している。具体的には、図9は、圧迫パドル902と検出器904との間の図1のX線システム100などのX線システムの一部分を示している。生検針950は、圧迫された乳房のボリューム919内に示されている。生検針950は、針の長さに沿った垂直な針の軸線が圧迫パドル902および検出器904に対して垂直である垂直アプローチモードにて配向されている。X線システムの角度範囲は、矢印906ならびにX線管920の2つの角度位置−θおよび+θによって示されている。+θ位置にあるX線管920からのX線の第1のコーンビームが、点線940によって示され、−θ位置にあるX線管920の第2のコーンビームが、点線945によって示されている。
この典型的な図において、実際の針950は、乳房919のDBTボリューム内に配置されて示されている。針パラメータ、ターゲット位置、およびX線システムパラメータに基づく誤差モデルに基づいてモデル化された予測される針の形状が、935に示されている。針950は、針先端の端部955を含み得る。針950の実際の針先端部分は、垂直なハッチングによって示されている。しかしながら、針がX線管920を角度範囲−θ〜+θの範囲内の複数の角度に移動させることによってDBTボリューム内で画像化され、検出器904に投影されたX線の投影画像が再構成されるとき、針先端は、再構成された画像のz軸(905)に沿ってより大きなDBTボリュームに現れる。具体的には、針先端の端部の位置965が、実際の針先端の位置955とは異なる場所に位置するように現れる。観測される針先端の長さが、実際の針先端の長さよりも長くなり、針先端が、z方向のDBT画像化の分解能が低いがゆえに、z軸に沿って垂直方向にリークしていると表現される。さらに、挿入時に、針先端が、曲がりに起因して湾曲した軌跡を辿った可能性があり、結果として、観測される針先端の形状975が、予測される針先端の形状935から相違する。したがって、観測される針先端の形状975およびボリュームを、誤差モデルに基づいてモデル化された予測される針先端の形状935およびボリュームと比較することによって、針が直線的な軌跡を辿ったかどうか、あるいは挿入時に針先端が曲がったかどうかを判断することができる。さらに、曲がりの大きさを、観測された針先端の形状およびボリュームとモデル化された針先端の形状およびボリュームとの比較に基づいて決定することができる。
実際の針950が直線的な経路を辿った場合、予測される針先端の形状935およびボリュームが、観測される針先端の形状およびボリュームに一致でき、モデル化された針先端を、実際の針先端の端部を決定するために使用することができる。しかしながら、実際の針先端950は湾曲した軌跡を辿ったため、実際の針先端の位置955を決定するために、誤差モデルに基づいてモデル化された予測される針先端935を、予測される針先端の形状935およびボリュームが観測された針先端の形状975およびボリュームに一致するように調整することができる。予測される針先端の形状およびボリュームを観測された針先端の形状およびボリュームへと調整すると、実際の針先端の端部位置955を、調整後のモデルから推測することができる。さらに、リークボリューム956を、調整された針先端のモデルおよび観測された針先端から決定することができる。
このようにして、誤差モデルおよび観測された針のボリュームを利用して、実際の針が挿入時に曲がったかどうかを推測し、実際の針先端の位置をさらに決定することができる。実際の針先端の位置、実際の針先端のボリュームのリークボリューム、実際の針先端の曲がりの大きさ、およびノッチ位置などの他の針パラメータを、ユーザに知らせることができる。上述の知らせに基づいて、ユーザは、実際の針先端の位置をより正確に視覚化し、針が生検のためのターゲット位置に対する所望の位置にあるかどうかを判断することが可能であってよい。
技術的な効果は、誤差モデルにより、ユーザが実際の介入ツールの位置をより正確に判断できることである。誤差モデルを実装することにより、ユーザは、介入処置をより高い精度および効率で実行でき、さらには、誤差モデルは、ワークフローのさまざまな段階におけるより正確な意思決定プロセスをユーザにとって容易する。結果として、例えばターゲットとした異常を抽出できずに介入処置をやり直す必要性が、大幅に減少する。誤差モデルの別の技術的効果は、介入処置の開始前であっても、ユーザに予測される再構成誤差を知らせることができ、予測される再構成誤差が所与の介入処置に関して許容可能であるかどうかを判断できるため、効率が向上し、介入処置の成功率が向上することである。
X線システムのための方法の一実施形態が、X線システムで、圧迫された乳房について、デジタル乳房トモシンセシススキャンを実行し、トモシンセシススキャンデータを生成するステップと、トモシンセシススキャンデータから圧迫された乳房の画像を再構成するステップと、X線システムの取得ジオメトリおよび介入ツールのパラメータの関数としてモデル化される誤差モデルに基づいて、介入ツールについて予測される再構成誤差を決定するステップとを含み、介入ツールのパラメータは、ツールの長さ、ツール先端の直径、ツールの向き、およびツール先端の位置を含み、ツール先端の位置は、再構成された画像における選択されたターゲット位置およびX線システムに結合したロボットシステムからのフィードバックに基づいて決定されるロボット返信先端位置のうちの1つまたは複数から導出される。この方法の第1の例は、介入ツールについて予測される再構成誤差が、介入ツールが圧迫された乳房へと挿入される前に決定されることを含む。第1の例を随意により含むこの方法の第2の例において、介入ツールは、生検針、フックワイヤ、およびアブレーション針のうちの1つまたは複数を含み、取得ジオメトリは、X線システムの角度範囲、X線システムの線源から画像までの距離、およびX線システムの焦点スポット位置を含む。第1および第2の例の一方または両方を随意により含むこの方法の第3の例において、この方法は、予測される再構成誤差をX線システムのユーザインターフェース上に表示するステップをさらに含む。第1〜第3の例のうちの1つまたは複数あるいは各々を随意により含むこの方法の第4の例において、この方法は、介入ツールデータベースからしきい値誤差よりも小さい再構成誤差を有する1つまたは複数の候補介入ツールを特定するステップと、1つまたは複数の候補介入ツールをユーザインターフェース上に表示するステップとをさらに含む。第1〜第4の例のうちの1つまたは複数あるいは各々を随意により含むこの方法の第5の例において、この方法は、しきい値誤差が、選択されたターゲットのサイズ、介入ツールのパラメータ、およびユーザ選択による設定のうちの1つまたは複数に基づくことをさらに含む。第1〜第5の例のうちの1つまたは複数あるいは各々を随意により含むこの方法の第6の例において、この方法は、圧迫された乳房内への介入ツールの配置に応答して、介入ツールを含む圧迫された乳房の第2のトモシンセシススキャンを実行し、第2のトモシンセシススキャンからの第2のスキャンデータに基づいて第2の画像を再構成するステップと、第2の再構成された画像からの観測されたツール先端の形状および位置、ならびに予測される再構成誤差に基づいて、実際のツール先端の端部位置を決定するステップと、第2の再構成された画像上に実際のツール先端の位置を示すステップとをさらに含む。第1〜第6の例のうちの1つまたは複数あるいは各々を随意により含むこの方法の第7の例において、この方法は、第2の再構成された画像における観測されたツール先端の形状および位置と、予測されるツール先端の形状および位置との比較に基づいて、ツール先端のずれの量を決定するステップをさらに含み、予測されるツール先端の形状および位置は、予測される再構成誤差およびツール先端の位置に基づいてモデル化される。第1〜第7の例のうちの1つまたは複数あるいは各々を随意により含むこの方法の第8の例において、この方法は、比較が類似度指標を使用して実行されることをさらに含み、ツール先端のずれの量をユーザインターフェース上に示すステップをさらに含む。
一実施形態は、X線システムによる画像ガイド下介入処置のための方法に関し、この方法は、介入ツールが組織に挿入されたときに、介入ツールを組織内に位置させた状態で組織のトモシンセシススキャンを実行し、第2のトモシンセシススキャンからのスキャンデータに基づいて画像を再構成するステップと、介入ツールについて、ターゲット位置、X線システムのジオメトリ、および1つまたは複数の介入ツールパラメータに基づく予測される再構成誤差を決定するステップと、ツール先端の位置および予測される再構成誤差から、予測されるツール先端の形状を決定するステップと、観測されたツール先端の形状と予測されるツール先端の形状との間の類似度指標を決定するステップと、類似度指標に基づいて組織の物理的ボリューム内の実際のツール先端の端部位置を決定するステップとを含む。この方法の第1の例は、挿入されたときに、ツールが、ターゲット位置に対する作動前位置にあることを含む。第1の例を随意により含むこの方法の第2の例において、この方法は、挿入されたときに、ツールが、ターゲット位置に対する作動後位置にあることをさらに含む。第1および第2の例の一方または両方を随意により含むこの方法の第3の例において、この方法は、予測される再構成誤差が、実際のツール先端位置と予測される再構成された先端位置との間の推定されるツール先端位置差を含み、実際のツール先端位置は、ターゲット位置に基づき、予測される再構成された先端位置は、ターゲット位置、X線システムのジオメトリ、および1つまたは複数の介入ツールパラメータに基づき、1つまたは複数の介入ツールパラメータは、ツールの所望の向き、ツール先端の長さ、およびツール先端の直径を含むことをさらに含む。第1〜第3の例のうちの1つまたは複数あるいは各々を随意により含むこの方法の第4の例において、この方法は、再構成された画像をユーザインターフェース上に表示するステップと、予測されるツール先端位置、実際のツール先端位置、および選択された介入ツールのリーク領域のうちの1つまたは複数を、ツールを含む再構成された画像上に示すステップと、予測される再構成誤差をユーザインターフェース上に表示するステップとをさらに含み、リーク領域は、予測される再構成誤差に基づく。第1〜第4の例のうちの1つまたは複数あるいは各々を随意により含むこの方法の第5の例において、この方法は、類似度指標に基づいてツールのずれの量を決定するステップと、ツールのずれの量をユーザインターフェース上に表示するステップとをさらに含む。第1〜第5の例のうちの1つまたは複数あるいは各々を随意により含むこの方法の第6の例において、この方法は、ツールが組織に挿入されたときにツールのセンサに基づくツール先端位置を決定するステップと、センサに基づくツール先端位置に基づいて、決定された実際のツール先端位置情報を調整するステップとをさらに含み、センサに基づくツール先端位置は、介入ツールの取り付けおよび案内に使用されるロボットツールの軸位置、ロボットツールの幾何学的モデル、介入ツールパラメータ、および介入ツールの較正パラメータの関数として決定される。
画像化システムのためのシステムの実施形態が、画像化システムの軸線を中心とする角度範囲内を回転する放射源と、放射源からの放射線を受け取る検出器であって、放射源と検出器との間に位置する標本の複数の投影画像を生成する検出器と、生検ツールシステムおよび生検ツールシステムに結合した介入ツールを含んでおり、画像化システムに結合し、放射源と検出器との間に位置する生検装置と、画像化プロセッサとを備え、画像化プロセッサは、第1のデジタル乳房トモシンセシススキャンから、ツールが挿入されていない状態の標本の複数の投影画像を再構成し、再構成された画像における選択されたターゲット生検位置、X線システムのジオメトリ、ならびにツールの直径およびツールの長さを含むツールパラメータに基づいて、ツールについて予測される再構成誤差を決定し、予測される再構成誤差を画像化システムのユーザインターフェースに表示するための非一時的なメモリに格納された実行可能命令を有する。このシステムの第1の例において、画像化システムは、予測される再構成誤差が、X線システムの画像化ボリューム内のツール先端画像の予測されるリークを含むことをさらに含む。第1の例を随意により含む画像化システムの第2の例において、プロセッサは、画像化システムによる第2のデジタル乳房トモシンセシススキャンから得られるツールが挿入された状態の標本の複数の第2の投影画像を再構成することによって、第2の一式の画像を生成し、第2の画像から観測されたツール先端画像を決定し、予測される再構成誤差からモデル化されるツール先端の予測される位置および予測される形状に基づき、観測されたツール先端画像の観測された位置および観測された形状にさらに基づいて、実際のツール先端の位置、実際のツール先端の形状、再構成誤差領域、およびツールの曲がりの大きさのうちの1つまたは複数を決定し、ユーザインターフェース上に表示された第2の画像上に実際のツール先端の位置および再構成誤差領域を示し、ユーザインターフェース上に前記曲がりの大きさを表示するための非一時的なメモリ内のさらなる命令を含む。第1および第2の例を随意により含む画像化システムの第3の例において、画像化システムは、ツールが針であることを含み、プロセッサは、針のトモシンセシス再構成画像からの観測された針先端の形状および観測された針先端の位置、ならびに針の対応する予測される再構成誤差に基づいて、針の実際のノッチ位置を決定するためのさらなる命令を含む。
本開示の種々の実施形態の要素を紹介する場合に、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「前記(the)」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味するように意図される。「第1の」、「第2の」、などの用語は、いかなる順序、量、または重要性も示すものではなく、むしろ或る要素を別の要素と区別するために使用される。「・・・を備える(comprising)」、「・・・を含む(including)」、および「・・・を有する(having)」という用語は、包括的であるように意図され、列挙された要素以外のさらなる要素が存在してもよいことを意味する。本明細書において「接続(connected to)」、「結合(coupled to)」、などの用語が使用されるとき、1つの物体(例えば、材料、要素、構造、部材、など)を別の物体に接続し、あるいは結合させることが、その1つの物体が別の物体に直接接続され、または直接結合するか、あるいはその1つの物体と別の物体との間に1つ以上の介在する物体が存在するかにかかわらず、可能である。さらに、本開示の「一実施形態」または「実施形態」への言及は、そこで述べられた特徴をやはり備えるさらなる実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図していないことを、理解すべきである。
これまでに示した変更に加えて、多数の他の変種および代替の構成を、当業者であれば、この説明の精神および範囲から逸脱することなく考え出すことができ、添付の特許請求の範囲は、そのような変更および構成を包含するように意図される。したがって、情報を、現時点において最も実際的かつ好ましい態様であると考えられる内容に関して具体的かつ詳細に上述してきたが、本明細書に記載の原理および概念から逸脱することなく、これらに限られるわけではないが形態、機能、ならびに動作および使用のやり方を含む多数の変更を行うことができることが、当業者にとって明らかであろう。また、本明細書において使用されるとき、実施例および実施形態は、あらゆる点で、あくまでも例示を意図しているにすぎず、いかなるやり方でも限定であると解釈されるべきではない。