上述の図面は開示する内容の1つ又はそれ以上の実施形態を示すが、開示において折々に述べるように他の実施形態も想定される。いずれの事例においても、本開示は、限定のためではなく表示として開示内容を示す。本開示の原理の範囲及び主旨に属する他の多数の修正及び実施形態を当業者は工夫できることが分かるはずである。
医療の診断、予防及び治療においては、薬物、薬剤又は媒体が、より全体的な全身的な導入ではなく体内の明白な部位へ送達されることが好ましい事例が多くある。このような代表的な事例は、冠状血管疾患の診断(即ち、血管造影)及び治療(即ち、バルーン血管造影及びステント留置)における冠状血管系への造影剤の送達である。説明並びに本明細書において説明する装置及び方法は、このような薬物の有毒な全身的影響を防止するために冠状血管系への造影剤送達を調整する際に使用できる。但し、当業者は、明白な血管/構造体/器官/身体部位への媒体の制御された送達が、本明細書に開示する装置及び方法から利益を受けられるその他の多くの使用法があることが分かるだろう。単純化のために、これらの装置及び方法は、造影剤送達調整に関して説明できる。これらの装置及び方法は、造影剤腎症を予防するために使用できる。但し、この目的のみの使用に限定するためのものではなくかつそのように解釈されるべきではない。代表的な他の用途は、例えば、腫瘍へのがん治療薬の、閉塞動脈への血栓溶解剤の、血管奇形又は患部組織への閉塞剤又は硬化剤の、筋肉床、神経窩又は器官への遺伝薬の、眼へのエマルジョンの、筋肉系及び/又は括約筋への充填剤の、リンパ系への造影剤の、感染組織への抗生物質の、腎臓透析におけるサプリメントの、送達/注入/調整を含むことができる。
代表的使用法−造影剤腎症の予防
造影剤腎症(CIN)は、例えば一般的に実施される心臓治療例えば血管造影、血管形成及びステント留置において、心臓及びその血管を画像化するために心臓医によって使用された染料(dye)(放射線不透過造影剤)の有害な影響によって生じる腎臓損傷の1つの形式である。概略的に、染料は有毒であり、腎臓を損傷することが知られている。ほとんどの健康な患者は、ある程度の量の「毒性」に耐えるが、腎臓機能が悪い又は腎臓が機能しない患者は、急速な健康低下、生活の質の低下及び余命の著しい低下を被る可能性がある。CINの考えられる結果は、腎臓の非可逆的損傷、入院の長期化、心臓疾患の危険の増大、長期的透析の危険の増大、最終的に死亡率上昇のリスクを含む。CINの患者の場合、死亡のリスクはCINを持たない他の者より高く、このリスクは、処置の5年後までも続く。CINは、医療制度に対する大きな経済的負担となり、現在、患者がCINを発症すると腎臓に対する損傷を逆転させる又は改善するために利用できる治療はない。
現在まで、染料を伴う処置を受ける患者特にCINを発症する高いリスクのある患者に対する造影剤の有害な影響を減少するための試みがなされて来た。これらの試みのいくつかは、例えば、染料の固有の毒性(化学的/分子的性質)の変化、(注入管理及び/又は染料濃度による)注入される造影剤の総量の減少、冠状血管系の隔離及び血液/造影剤収集システムによる媒体の除去である。造影剤の有害な影響の制御において使用されるこれらの方法及び/又は装置は、全身的影響を最小限に抑えながら明白に標的部位へ造影剤を効果的に送達する上で、その固有の妥協点があった。例として、染料の組成及び/又は注入濃度を変えることは、その意図する機能(例えば、血管系の視覚)を果たす造影剤の能力を犠牲にして造影剤の固有の毒性の減少を助けることができる。逆に、視覚化部位から「下流の」造影剤を含む血液を「収集する」能力は、視覚化を保証できるが、収集システムの配置及び作動の複雑性を必要とする。
患者へ送られる造影剤の量を管理する別の試みにおいては、自動化造影剤注入システムを採用した(手動のシリンジによる注入ではなく)。注入された造影剤の総量の厳密な監視及び制御は、CIN発生においてプラスの影響を持ちうる。但し、このような注入システムは、高価であり(資本的設備及び使い捨て材料を含めて)、カテーテル検査ラボ内において使用するのが面倒であり、適切に構成し操作するのに余分な時間と熟練を必要とする。不適切な使用は、患者へ送られる造影剤の量のより良い管理によって得られる利益を無効にする可能性があり、この種のシステムを設定するために必要な付加的な時間は、処置の複雑性を著しく増大する可能性がある。
代表的使用方−冠状動脈血流及び薬物送達の管理
人体の血管構造及び毛細管床の多くは、収縮(収縮期)及び減圧(拡張期)における心臓の周期的駆動力によって血液が加圧される結果として、豊富に酸素を含んだ血液を潅流する。ほとんどの血管の血流は、心臓の収縮期に反応して体内でピークとなる。血管系における血液は周期的に流れるので、血管送達部位への造影剤の送達の最適化は、造影剤を受け取る血管部位の圧力及び流量とより密接に一致させるために注入圧力及び流量を調節することによって強化できる。
同様の流動の原理を応用できるが、冠状動脈血液の流れは、心臓の冠状動脈の潅流が、原則的に心室サイクルの拡張(弛緩)期にピークになる点で特有である。図1に示すように、大動脈(心臓からの)の血液の圧力は、拍出時(b)にピークとなる。但し、冠状動脈(例えば、左冠状動脈/左主幹冠状)の中への血液の流れは、実際には、その後、心臓の弛緩/減圧期(即ち、拡張期(c))にピークになる。したがって、冠状動脈を通過する血液の流れは、正常に機能する心臓においては、大動脈血圧が低下したときにピークとなる。このような現象は、心臓動脈血管の充満の予想に反して現れる。冠状血管系を通過する血液の流れは、必ずしも又は完全には、冠状動脈への大動脈における高圧力勾配によって「駆動」されない。事実、正常であれば、冠状動脈の充満は、大動脈の中の圧力がピーク収縮圧力より実質的に低いときにピークになる。
この現象は、拡張期−基本的に心臓の減圧期−に、心筋層(並びに心筋毛細血管)の弛緩によって発生する血液の逆行、「駆動力」又は「吸引」力から派生すると思われる。拡張期における心臓の減圧は、心筋圧縮の緩和によって生じた駆動波を生じる。この力は、実際には、大動脈の低圧力が実際には冠状毛細管床において生じる真空より高いという圧力勾配、したがって大動脈から毛細血管まで生成された勾配、から生じる。この現象の更なる説明は、例えば「Evidence of a Dominant Backward−Propagating ’Suction’ Wave Responsible for Diastolic Coronary Filling in Humans,Attenuated in Left Ventricula Hypertrophy(左心室肥大において減衰した人体の拡張期冠状動脈充満を原因とする支配的逆行伝播「吸引」波の証拠」)」(circulation、2006;113:1768−1778)(その全体が参照によって本明細書に援用される)に見られる。
冠状動脈へ造影剤を送達する際の課題は、動脈における流動(量及び速度)の周期的性質である。図1に示すように、動脈の中の脈動的血液は、心臓の1回のサイクルにおいて、流量を著しく変化させる可能性がある。更に、流量の変動は、非常に短時間の間に発生して、多くの場合、1秒未満で生じる。
図2は、ヒトの心臓の左主幹冠状動脈内に見られる血流パターンの一例を示す。図示される血流量のプロフィル(QBlood、即ち血液体積流量)は、4秒未満の時間における心臓の約4サイクルを表す。この例における血液の平均流量(例えば、平均QBlood)は、心臓の1サイクルにおいて平均で約3.7ml/秒であり、各サイクルにおいて約1.3ml/秒から約6.5ml/秒まで大幅に変動する可能性がある。この例において、左主幹冠状は、直径約4.4mmであり、左前下行動脈と左回旋冠動脈に二股に分かれる前に約5mmの長さを持つ。これは単なる一例であって、上述の身体的、解剖学的又は流体流動の特性は、患者によって及び同じ患者の中でも著しく変動する可能性があることが分かるはずである。この変動は、関係する変数の単なる例として、年齢、血管及び/又は冠状動脈の疾患、心臓の脈管質及び側枝化、代謝、血圧、患者の活動、ストレスレベル、患者の様々な器官の機能状態、患者の体重、血管拡張及び/又は収縮薬剤、及び化学的又は生化学的仲介物に応じて生じる。したがって、この例は、本明細書の装置及び方法の開示を明瞭にするためのものであり、その使用を限定するためのものではない。
本発明の装置及び方法を更に説明する上で、システムの使用の例は、治療処置(例えばステント留置)の実施において心臓の左動脈系への造影剤の送達を含む。但し、この代表的使用は、本明細書において説明する装置及び方法の使用を決して限定するものではない。
図3Aは、冠状血管の閉塞の治療に使用できるカテーテル、療法又は治療システム10を示す。図3Bは、更に左冠状動脈口に近接するカテーテルシステムの遠位部分を強調する。図3Bに示すように、システム10は、システム送達カテーテル12(例えば、ガイドカテーテル)及び閉塞治療装置(例えば、ステント14及びガイドワイヤ18を持つバルーンカテーテル14)を含む。ガイドカテーテル12の遠位端は、大動脈22の開口部20(口)に近接して大動脈根26から離して左冠状動脈24(左主幹冠状)まで配置される。システム10は、大腿骨動脈(図示せず)から大動脈根26までシステム10の経皮的前進によって配置できる。図3Cは、更に、図3A及び3Bに示すこのような動脈閉塞治療システム10(ステント、ガイドワイヤ、コネクタなどを持つバルーンカテーテルを含む)の近位部分を示す。典型的には、コネクタ28の近位部分に取り付けられたトゥーイボースト圧縮取付具(Tuoy-Borst compression fitting)30を持つことができるガイドカテーテルコネクタ28がある。治療装置は、コネクタ30の出口を通過してコネクタ28の一次ルーメン32の中へ、その後ガイドカテーテル12の中へ軸方向に通すことができる。コネクタ28の取付具30は、治療装置がコネクタ28を通過できるようにするが、ガイドカテーテル12及びコネクタ28からの流体の逆流に抵抗するように調節できる。更に、コネクタ28は、一次ルーメン32から側方へ変位しかつ一次ルーメンと流通する二次ルーメン34を持つことができる。二次ルーメン34は、ルア取付具36で終端できる。複数のポート(例えば、ポート38a、38b)を持つマニホルド組立体38は、ルア取付具36に取り付けできる。マニホルド38のこれらの付加的ポートは、ガイドカテーテル12(例えば、ガイドカテーテルの内側ルーメンによって形成された流動導管及び治療装置コンポーネント14、16,18の外側近接部)を介して様々な媒体を注入するために使用できる。注入物としては、例えば、放射線不透過造影剤、薬剤又はガイドカテーテルを洗い流すための食塩水が含まれる。
図3A〜3Cにおいて説明する治療システム10は、約100cmの長さ及び約0.07インチ(0.178cm)の内径を有する6Fガイドカテーテルなど、この種の処置に使用できるコンポーネントから構成できる。更に、治療装置(例えば、バルーンカテーテル、ステント、ガイドワイヤ、など)は、近位において3.2F及び遠位において2.7Fの外径を持つことができる。治療装置は、ガイドカテーテルを通過し直径0.014インチ(0.0356cm)のガイドワイヤに被せてバルーンカテーテルを通すことによって送達できる。血管系の視覚査定のための造影剤の注入は、図3Cに示すように、注入装置40(注入器又はシリンジなど)を作動することによって実施できる。この場合、造影剤は、注入装置40からチューブコネクタ42(即ち注入装置40とマニホルド38との間)、マニホルド38、ガイドカテーテルコネクタ28を通過し、最後にガイドカテーテル内径と治療カテーテルシステム(例えば、バルーンカテーテル)外径との間に形成された同軸導管を通過できる。
この例は、治療処置の例示であり、任意の所与の処置のため又は任意の医師によって留置できる様々な組立体に限定されるべきではない。所与の例の様々な注入物は、手動注入(即ち、シリンジ)、注入機械による自動注入又は「重力供給」注入配列体を含めて、多数の手段によってマニホルド接続具を介して導入できる。様々な物質の潅流/注入物をどのように投与するかは、媒体及び予定される療法によって決まる。図3Cにおいて、図示するシリンジは、チューブコネクタによってマニホルドに接続され、マニホルドを通過してガイドカテーテルの遠位出口へ造影剤を手動注入するための手段を与える。これに対して、代替構成として、注入を実施するために動力注入器をマニホルドに取付けできる。
更に、説明する例は、治療システムと一緒に「ガイドカテーテル」を含む治療処置の例示である。但し、システムの近位部分(体外)から予定体内部位へ物質を送達できる又は送達に介在できる多数の導管の構成がある。したがって、例における「ガイドカテーテル」又は「カテーテル」への言及は、チューブ、送達カテーテル又は物質の送達に介在する際に使用される他の任意の導管として説明でき、代表的処置のための様々な組立体に限定されるべきではない。
図4Aは、上述のようなカテーテル治療システムを通過して送達できる造影剤の代表的な手動注入流量プロフィル(QAgent)を示す。図4Aの例において、流量(QAgent)について説明する。但し、流量(Q)と導管における圧力低下(dP又はΔP)との間には直接的関係があるので、概念を説明するために圧力プロフィルを使用することができたことが、当業者には明らかなはずである。
図4Aの例において、ガイドカテーテルの遠位先端へ送達されるときのQAgentの注入プロフィルは、約3〜4秒間に注入された造影剤が約10〜12mlであることを示す。これは、心臓の2〜5サイクル(ステント留置処置の実施の間)における左冠状動脈系を照明するためのかなり代表的な手動注入であるが、この注入は著しく変動する可能性がある(例えば、1〜8秒の間に3mlから30mlまで)。幾人かの臨床研究者(及び注入器製造者)は、心臓左部の注入のための造影剤の流量(QAgent)約5ml/秒を使用することを提案している。但し、この勧奨は、造影剤の過剰使用をほとんど考慮せずに血管の不透明化の最適化のみから引き出されている可能性がある。過剰注入は、全身的に造影剤の不要な送達を生じる可能性がある。全身的造影剤誘導を調整すること、したがって「過剰注入」(造影剤が不透明化機能を効果的に果たすために必要な量より多い注入)を最小限に抑えることが、本明細書の実施形態の少なくともいくつかの目的である。
冠状動脈血管造影処置において、手動注入は、通常、放射線撮影により造影剤が冠状動脈を充填しているように「見える」まで、圧力をしたがって体積を増大することによって投与される。この時点で、投与は、注入器内の造影剤の量(例えば、10ml)が使用されるまで約3秒間、続く。自動注射器の場合、典型的には、圧力又は体積を設定でき(例えば、5ml/秒)、その後、操作者は、心臓の数サイクルの間手持ちアクチュエータを用いて自動注入器を作動できる。
図4Aに示す代表的な注入プロフィルQAgentは、増大する注入(直接圧力に関係する流量)を明らかにする。図4AのグラフにおいてViは、造影剤の視覚化の結果として操作者が血管系を「見る」ために必要な注入流量の最小レベルを表す。基本的に、Viは、血管又は器官へ送達できる造影剤の注入量であり、Viは、その意図される機能を与えるための物質の許容可能濃度であるとして知られる又は考えられるレベルである。この場合、Viは、左主幹冠状へ注入された造影剤の濃度が心臓の数サイクルにおいて平均で血管系を不透明化するために充分な量である送達レベルである。この例において図示するViは、約3.0ml/秒である。即ち、造影剤を一定の3.0ml/秒で注入すると、操作者は、造影剤を過剰注入せずに血管系を効果的に視覚化できる。この代表的な状況において、Viより少ない注入は、適切な不透明化を与えない。図4Aの代表的注入プロフィルQAgentによって、総量約11mlの造影剤が送達されたことになる。
図4Bは、血管を適切に不透明化するには不十分である(エリアA及びB)か、又は不透明のために必要である以上の規模でありその結果造影剤の過剰送達を生じる(エリアC)注入流量(Vi)を持つ可能性のある様々なエリアを示す。即ち、注入がVi(図4Bの注入流量プロフィルQAgent内の長方形として同定される)を得るように造影剤の送達において制御されていれば、同じ結果を得るため(例えば、同じ時間において動脈を充分に視覚化するため)に使用された造影剤は、約3ml(25%〜30%)少なかっただろう。したがって、図4Cに示す注入流量プロフィルQImprovedは、概略的にViの「改良された」定流量注入であると言える(即ち、注入流量は、視覚化のために充分な定流量で維持される)。
実用において、造影剤を冠状動脈の動的環境の中へ効果的に送達する際の複雑性の更なる説明として、注入器(例えば、シリンジ)の幾人かの操作者は、例えば、注入に伴う圧力(及び同等の体積流量)の急速な増大により図4BのエリアAを最小限に抑えるために急速な注入を模倣しようとする。充分な不透明化が放射線撮影により「見られた」とき、操作者は、注入圧力(及び体積流量)を減少できる。この技法は、エリアAを減少する(速やかにViに到達する)のに役立つ可能性はあるが、操作者は、不透明化のために血管に送達する必要のある量(即ち、Vi)を「オーバーシュート」して、図4BにおけるエリアCによって示す過剰注入の量を増大する可能性がある。10cc(ml)シリンジは0.68MPa(100psi)又はそれ以上で注入できることに留意しなければならない。シリンジからのこの注入圧力は、上述の代表的システムにおいて4.0ml/秒の流量を発生する可能性があるが、例えば3.0ml/秒で注入するためには、0.52〜0.59MPa(75〜85psi)しか必要ない。
図4Dは、左主幹冠状(例えば、図2の左主幹冠状24)の代表的血流を示し、血流量プロフィルQBloodに造影剤の注入流量の代表的プロフィル(例えば、図4A及び4BのQAgent)を重ねて示す。この例において、注入の開始は収縮期(血流量が低い心臓の収縮期)とほぼ同時に始まると想定した。但し、実践的には、注入を血管の血流と同期化するのは困難である可能性があるので、注入開始のタイミングは、心臓サイクルの任意の時点に生じる可能性がある。図4Dに示すように、定流量Vi(又は図4CにおいてQImprovedによって示されるように)での注入は、調整なし(例えば、QAgent)よりは明らかに良いが、それでも、血流量(例えば、QBlood)は注入量(例えばVi又はQImproved)より小さいので(時々)造影剤の過剰注入を生じる可能性がある。この場合、図4DのエリアDは、このような過剰注入を示し、左主幹冠状動脈より大動脈(例えば)の中へ造影剤が注入される。
この例を更に説明すると、図5A及び5Bの矢印は、心臓サイクルの様々な段階における造影剤注入中の流れQBlood(矢印50)及びQAgent(矢印52)を示す。造影剤の注入が血管24の血流より大きい場合(5A)、造影剤は、最小抵抗経路へ流れる傾向を持つ。この場合、造影剤の一部は、大動脈22へしたがって全身的に流れる可能性がある。逆に、血管における血流(QBlood)が注入流量(QAgent)より大きい場合、造影剤の流れは、優先的に血管24の中へ流れる可能性がある(図5B)。言い換えると、図5Bの矢印52によって示される注入流量(QAgent)は、矢印50によって示される血流量(QBlood)に従う。
次に、本発明の装置及び方法の様々な実施形態について、更に詳しく説明する。実施形態の多くは、予定部位への媒体送達を最適化しながら、全身的導入を含めて他の血管、血管床、器官及び/又はその他の構造体への媒体の偶発的導入(又は、潅流)を減少するために、媒体、薬物、物質、薬剤又は流体材料の血管、血管床、器官及び/又はその他の身体構造体への送達パターンを、制御、変形又は調整できる。これらの実施形態のいくつかは、非効率的な薬物使用(図4Bの代表的注入プロフィルQAgentにおけるエリアA、B及び/又はC)を減少して図4Cの「改良された」注入プロフィルQImprovedを得るために注入流量プロフィルを制御することによって、図4Aに示す例などの注入を調整できる。
代表的な調整装置及び方法
以下の例における「調整器」のいくつかは、図3A〜3Cにおいて説明するように、治療システム10の近位部分に近接する様々な場所に配置できる。例えば、調整制御機構は、注入装置出口、注入器40とマニホルド38との間、マニホルド38とガイドコネクタ28との間、並びにガイドコネクタ28とガイドカテーテルとの間12に位置付けできる。いくつかの他の実施形態は、注入装置40の性能を直接制御することを含むことができる。調整器の配置は、実施される診断、予防又は治療処置にも大きく依存する可能性があるので、位置付けは、本明細書によって使用される例によって限定されない。
上述の場所のほかに、流体調整器の本発明のいくつかの実施形態は、ガイドカテーテル/送達カテーテル12の遠位部分に及び/又はその周りに及び/又はこれに近接して位置付けできる。
更に、本明細書において開示する制御装置のいくつかの実施形態は、薬物が予定標的注入部位へ進入する前に注入薬物に対して弁機能、制御機能又はその他の調整機能を調和するためにセンサ信号を有利に受け取ることができる。
調整装置55の1つの代表的実施形態を図6Aに示す。装置55は、図6Cに示すように、図3Cの代表的システム10内に配置できる。調整器55の「注入」ポート56aは、チューブ42aによって注入装置40に結合されたコネクタ56を有し、調整器55の出口ポート58aはチューブ42bによってマニホルド38に結合されたコネクタ58を有する。図6Aは、3つのポートを有する本体60を備える代表的調整器55を示す。これらのポートの1つ(「注入」ポート56a)は、注入装置40から薬物の注入を受け取る。「ガイドへ」ポート(出口ポート58a)は、装置55からマニホルド38へ、その後ガイドカテーテル12を通過して薬物を送達する。「オーバーフロー」ポート(出口ポート58b)は、システム10から(即ち、装置55から)余分な薬物を放出するために、注入器40によって調整器55に対して過剰加圧されると起動される。
このような調整器がどのように機能するかの例は、薬物送達を改良するための注入パラメータ(即ち、圧力、体積、流量など)によって決定できる。例えば、図4のVi(図3について及び図3によって説明されるように代表的治療システムの使用による)は、ほぼ3.0ml/秒である。図7に示すような導管内の流れに関する様々な流動公式を用いると(ある程度の量の層流を想定して)、注入圧力レベル(例えば注射器からの)は、ガイドカテーテルの遠位端から送達された薬物流量を示すように推定できる。上述の構成及び寸法の場合、0.52MPa(75psi)の圧力(ガイドカテーテルの近位部における又はその周りにおける)で、左主幹冠状の口に位置付けられたガイドカテーテル遠位先端へ約3.0ml/秒のQAgentを充分に生じることができる。この例は、説明のための例示なので、本明細書において説明し開示する装置及び方法の範囲を限定するものではない。例えば、上述の治療装置(例えば、バルーンカテーテル14、ステント16及びワイヤ18)が(上に説明するのとは)異なる構成を持つとしたら(例えば、2.7Fの近位及び遠位外側寸法など)、約3.0ml/秒のQAgentを生成するためには0.30MPa(43psi)しか必要としない。又は、もっと小さい圧力差で約3.0ml/秒の媒体流量を得るために、異なる内径を持つガイドカテーテル(例えば送達カテーテル12)を使用できる。例えば、ガイドカテーテルは、治療の実施において重要性の低い身体部分(例えば、下行大動脈)においてはもっと大きく(内径0.076インチ(0.193cm)/外径6.5F)しながら、治療領域の付近において(例えば、ガイドカテーテル12の遠位部分の30センチ)、より小さい治療システム(例えば、内径0.07インチ(0.178cm)/外径6F)の利点を与えることができる。有利なことには、約3.0ml/秒の薬物流量は、冠状動脈系内のより小さい治療システムン利点を犠牲にすることなく、約0.34MPa(50psi)で得られる。要するに、治療システムの様々な構成の全ての可能性を説明することを意図せず、本明細書において説明する代表的治療システムにおいて使用するために代表的装置をどのように構成できるかの例を示すことを意図する。
図6Aを参照すると、注入装置からの薬物の注入物(矢印62に示すような)は、ばね式プランジャ66をその中に有する調整器本体60のチェンバ64へ進入できる。プランジャ66は、この例において(及びその後のその他の例において)、シリンジに見られるような、チェンバ64と密閉関係に(但し滑動関係に)することができる。圧縮ばね68(例えば、ばね定数k1を与える)は、注入の力に対向するチェンバ64の側面内に配置でき、注入器から薬物をチェンバに充填することによって加えられた力に対抗してプランジャ66の移動に抵抗するように構成できる。薬物の注入圧力がチェンバ64の中で増大するとき、プランジャ66は圧縮ばね68に対抗して移動する。注入圧力に対抗してばね68によって生成された力は、ばねのばね定数(k)及びばねが圧縮された又はその均衡位置から変位した距離(L)によって定義される(フックの法則、F=k*L)。図6Aは、チェンバ64内におけるL1より大きい距離のばね68(プランジャ66における)の変位を示す。この例において、L1に等しい又はこれより大きいばね/プランジャの変位は、加圧薬物が、最小閾値圧力でチェンバ64の孔を通過しその後「ガイドへ」ポート58aを通過して(矢印70で示すように)流れるようにできる。上述の例において、薬物の予定流量を生成するために仮説的に約0.52MPa(75psi)の圧力を選択した。即ち、チェンバ64内の力が0.52MPa(75psi)/(プランジャ/チェンバの断面積)に等しいとき、距離L1におけるばね68の圧縮から派生する力はほぼ同等でなければならない。この力を生成する際に使用されるばね68は、変位した長さにおいて同等の力を最適に生成するためのばね定数(k)を持つことになる。このような調整器構成は、放射線学的に可視の所定の予定流量(即ち、Vi)でガイドへ流れるようにする薬物の注入流量プロフィルを生成できる。この例で、Viは3.0ml/秒である。
更に、調整器55の中への注入の圧力が増大するとき、図6Bのプランジャ66は、L2に在るチェンバ64の第2孔(例えば「オーバーフロー」ポート58b)を露出するように、チェンバ64の長手軸に沿ってばね68を引き続き圧縮でき、高圧を与えられた薬物は、ガイド12の中への導入から離れて(図6Bの流動矢印72によって示されるように)分岐できる。例えば、上記の例において約3.0ml/秒〜約3.1ml/秒の流量の制御された注入を生じるために、許容可能な調整器の作用範囲を0.52〜0.55MPa(75〜80psi)とすることができる。ばね係数k1のばね68のL1及びL2における変位は、このような作動圧力/流量を規定できる。0.55MPa(80psi)より大きい圧力で注入されると、過剰注入は全身に導入されずに、「オーバーフロー」ポート58bへ「排出(bled-out)」される。更に、注入が0.52MPa(75psi)未満に低下したとき、薬物はシステムの中へ流れない(プランジャは、圧力が不充分なのでチェンバの両方の孔が閉じるようにばねによってチェンバ内で移動する)。説明する代表的調整器は、改良された注入流量プロフィルを生成して、図4Bの代表的注入QAgentプロフィルにおけるエリアA、B及び/又はCとして示されるように非効率的薬物使用を減少して、図4Cの「改良」注入プロフィルQImprovedに似せる(作用範囲内で)。
制御装置75の別の実施形態は、図8A〜8Cに示すような構成を持つことができる。基本的に、図6に示すような単一チェンバ装置は、調整器作用圧力/流量の選択においてより大きいフィデリティを与えるように二重チェンバ構成に置き換えることができる。
図8Aに示すように、2つの圧縮ばね(ばね定数K1及びK2を持つ)を持つ2つの別個のタンク又はチェンバを備えることができる。注入装置からの媒体は、図6Cの装置55と同様に装置75へ(矢印62で示されるように)又は本明細書に説明する別の場所のいずれかへ送達できる。注入器からの流体の流れは、予定圧力(及び同等の流量)が得られるまで、チェンバ1(タンク76)へ進入して、チェンバ1のプランジャ/ばね78を圧縮する。予定圧力/流量が得られたとき(即ち前の例において0.52MPa(75psi)でVi)、媒体の流れは、図8Bに示すように(矢印82で示される)チェンバ1の孔を介して「ガイドへ」ポート80から流れる。チェンバ2(タンク84)は、ポート80と流体流通しており、同様に注入によって加圧できる。注入器からの(ポート80を介して)流体の流れは、チェンバ2へ進入して、チェンバ2内で別の圧縮レベルに到達するまでプランジャ/ばね86を圧縮する。この圧縮レベルにおいて、チェンバ2の中のプランジャ/ばね86は、流体がチェンバ2の孔を介してポート88(「オーバーフロー」ポート)へ通過できるようにするポイントまで圧縮する。図8Cに示すように、チェンバ2の「減圧」は、「逃し弁」として作用して、チェンバ2の中の圧力が上限閾値(即ち、図6の例において0.55MPa(80psi))を上回った場合「ガイドへ」ポート82へ向かう流体の圧力を減少する。付加的な圧力/体積があれば全てポート88を介してシステムから排出されて(図8Cにおいて矢印90で示されるように)、ガイドを通過して導入されない。作動時に、薬物注入システムに装置75などの装置を使用すると、同様に「改良」注入薬物流量プロフィルが得られて、図4Bの代表的注入プロフィルQAgentにおけるエリアA、B及び/又はCとして示される非効率的薬物使用を減少して、図4Cの「改良」注入プロフィルQImprovedに似せることができる(作用範囲内で)。
有利なことに、図9A〜9Cに示すような別の調整器設計は、ガイドへの媒体の注入を完全に停止することなく注入装置からの注入の停止にも対処できる。例えば、図9Aに示すような2つのチェンバ又はタンク96及び98を有する調整器95において、タンク2は、タンク1の圧縮ばねより小さいばね定数を持つ圧縮ばねを含むことができるが、タンク2のより大きい充填を可能にし(即ちそのばねの圧縮長さを大きくし)ながら、予定流量でガイドへ流れを与えることができる。基本的に、タンク2は、注入の「貯蔵タンク」として作用できる。
更に図9Aを見ると、調整器95は、2つの圧縮ばね100及び102(それぞれ、ばね定数K1及びK2を持つ)を持つ2つのタンク96及び98を備えることができる。注入装置からの媒体は、図6Bの装置においてと同様に装置へ又は上に説明する別の場所のいずれかへ送達できる(この場合にも矢印62に示すように)。注入器からの流体の流れは、予定圧力(及び同等の流量)が得られるまで、チェンバ1のプランジャ及びばね100を圧縮する。予定圧力/流量が得られたとき、媒体の流れは、図9Bに示すように(図9Bの矢印108に示すように)孔を介してチェンバ1から、チャンネル104を介してチェンバ2の中へ、その後「ガイドへ」ポート106から流れる。基本的に、チェンバ1は、チェンバ2へ予定限度(即ち、0.52MPa(75psi)などの最小閾値)に等しい又はこれより大きい値の加圧流量を与える。チェンバ2が所定作用圧力の上限閾値(例えば、0.55MPa(80psi))より大きい流体で加圧される場合、チェンバ2のばね102は、別の孔を介してチェンバ2からポート110(「オーバーフロー」ポート)の中へ流体が流れるようにするポイントまで圧縮でき、余分な圧力/体積は、ガイドを通過して導入されずシステムから排出される(図9Bの矢印112に示すように)。この場合にも、装置95のような装置を備える注入システムは、図4CのQImprovedプロフィルと同様の「改良」薬物注入プロフィルを生成するのに役立つ。
以上の例は、媒体を注入しながら同時にガイドカテーテルへ/これを通過して媒体を送達するものとして装置95の使用を説明するが、装置95は、媒体を「順次」送達するために使用できる。例えば、媒体を「順次」送達する(即ち、送達される媒体でチェンバを充填するが、注入を放出する前の時間を加減する)ために、又は媒体の送達の中断を避けるために、図9Cの装置95は、ばね102が減圧するとき「ガイドへ」ポート106へ媒体を引き続き送達できる。図示するように、最小レベルで注入が停止すると(図9Cの113に示すように)、ばね100がチャンネル104へ通じるチェンバ1の孔を閉塞してチェンバ1からチェンバ2への媒体の流れを停止するようにばね100は充分に減圧されているので、チャンネル104を介してチェンバ1からチェンバ2への送達される媒体を停止する(図9Cの114に示すように)。
この例において、タンク2は、タンク2内に入っている媒体を「排出」できるが、付加的な媒体は装置95の中へ注入されない。図9A〜9Cの装置95は、チェンバ2が減圧するとき最小圧力が維持されるようにするために「ガイドへ」ポートに取り付けられた「逃し」機構又は一方向弁型システム(図9Cの弁107など)(即ち、予定圧力即ち0.52MPa(75psi)より上でのみ作動し、最小圧力が維持される場合のみガイドへの流れを許容する逃し弁)を持つこともできる。逆に、チェンバ2のばねは、圧力の最小レベルが維持されないときに「ガイドへ」ポートへ通じる孔を「閉鎖」するようにも設計できる。図9A〜9Cは、それぞれのプランジャによって与えられる力を個別に調節するための機構を与えるために、タンク1及び2からねじ式に延びかつばね100及び102に取り付けられた刻み目付きノブボルト100a及び102aも示す。
順次又は/及び同時注入に使用できる別の調節器の例を図10A及び10Bに示す。この代表的実施形態において、圧力チェンバは、送達される量の媒体で充填される。ガイドへ注入される媒体の圧力及び体積は、チェンバの中へ導入されるときに測定されるか、又は逆に、チェンバは、媒体の導入後にチェンバ内の媒体へ圧力を加えるように設計できる。図10A及び10Bは、注入される媒体のために形成されるコンパートメント(媒体チェンバ116)、気体媒体(例えば、空気)を受け入れるための別のコンパートメント(気体チェンバ118)、及びコンパートメント116と118を密閉式に分離する変形可能ブラダー120を備える調整器115を示す。この例から分かるように、弁122はコンパートメント118を出入りするガスの流れを容易にする(例えば、気体チェンバ118をシールする)ために使用できる。送達される媒体は、気体コンパートメント弁122を閉鎖した状態で調整器115のチェンバ116の中へ導入できる。媒体の導入時(この開始を図10Aに示す。矢印62で示すように注入器から流体が充填される)に、ブラダー120は、媒体がガイドカテーテルへの媒体の送達に予定される圧力に達するまで、気体チェンバ118の中へ向かって変形できる。媒体の通過及びガイドへの注入が正当化されるまで調整器115内での媒体の保持を可能にするための弁機構(例えば図3Cのマニホルド38と同様のもの)は、図10には示さない。媒体チェンバ116とガイドとの間の弁を開放又は作動することによって、媒体チェンバ116から媒体を放出できる。図10Bは、チェンバ116からガイドカテーテルへの媒体の放出を示す(矢印124によって示される)。
逆に、図10Aのチェンバ116は、まず注入媒体で充填され、その後気体チェンバ118の中へのガスの導入によって予定送達圧力まで加圧され、それによってブラダー120を介して媒体に圧力を加えることができる。
装置115についての前の説明は、「順次」送達として説明できるが、装置115は、同時送達における「キャパシタ」として作用するように設計できる。この場合、注入時に装置115からの送達ができるように別のポート(図示しないが媒体チェンバ116に構成された「ガイドへ」ポート)を持つことができる。
図10A及び10Bの例の装置のような調整器115は、注入が迅速にViの流量になり、迅速な上昇勾配及びかなり平坦な流量に短時間で対処できるので、少なくとも図4BのエリアA及びCに関して、図4Cの注入QImprovedに似ている流量プロフィルを有利に与えることができる。図4BのエリアBに関しては、図10A及び10Bのチェンバ116は、「改良」作用範囲の下のレベルまで減圧する可能性がある(流れを送達しながら)。これを補正するために、送達される媒体流量が注入の予定限度(例えば最小流量)に合致するように又は流れを終了するようにするために、1つの機構(一方向弁、例えば図10Bの弁117など)をチェンバとガイドとの間に配置できる。
調整器の別の構成は、図11A及び11Bに示すように定力ばねを持つ構成のチェンバを含むことができる。このばねは、設計により、その作用範囲(変位)において部材(プランジャなど)に対して定力を与えることができる。このタイプの調整器125は、様々な圧縮長さ(均衡位置からの変位)において定力を与えるように作ることができるばねの例として、円錐ばね(図11Aに示す126のような)を含むことができる。ばね126は、可変ピッチを持つことができ、ばねの大きい方の外側コイルにおいてはより大きいピッチを、又、小さい方の内側コイルにおいて小さいピッチを持ち、圧縮/減圧において同じ力でコイルを収縮/伸張できる。本明細書において説明する他の装置と同様、注入の圧力及び流量の変化は、送達部位へ媒体を送達しながら実施でき、送達の複数のステップ/シーケンスによって実施できる。
このような定力注入調整器125を使用すると、調整器125のチェンバ128の中へ所定量の媒体を注入して(矢印62に示すように)、それによって図11Bに示すように円錐ばね126を圧縮できる。所望の体積の媒体がチェンバ128内に受け入れられたら、注入は停止されかつ/又はチェンバ128から注入器への媒体の逆流は、図11Bの129において示されるように防止できる(弁(図示せず)の操作によるなどして)。チェンバ128から媒体を作動又放出すると(ガイドへ通じる弁(図示せず)を開放するなどして)、プランジャ130は、(圧縮されたばね126によって押されて)媒体をチェンバ128から一定圧力(及びこれと同等の体積流量)で、「ガイドへ」ポート132へ通じるチェンバ128の孔を介してガイドへ向かって駆動する。この調整システム125は、所望の体積が送達されたらプランジャ130が「ガイドへ」孔を閉鎖するための「スペース」をチェンバ128内に持てるようにすると有利である。
図11A及び11Bの調整システムの別の構成(図示せず)は、チェンバに対する一定圧力を得て、薬物を一定流量で送達カテーテルへ駆動するように、チェンバ内で/に対して定力で変位/プランジャ要素を機械的に駆動することも含む。このようなチェンバは、図11Aに示すような構成を持つことができる。チェンバ内でプランジャに対して定力を単純に与えるための別の実施形態は、チェンバ内に垂直に据え付けられたプランジャ要素に対して重りを配置することを含むことができる。例えば、シリンジ形式のチェンバは垂直に配置され、変位アクチュエータ/要素を上方に(地球の中心から離して)配置し、出口ポートを下方に(知立の中心に近づけて)配置できる。チェンバに媒体を充填した後、プランジャに対して予定定力を与える(例えば、定力を推定する際質量に対する重力を使用する)ように、変位要素に様々な重りを置くことできる。注入が必要な時、媒体は、弁(ストップコックなど)を開放することによってチェンバから放出(又は放出されるように作動)できる。弁の開放は、プランジャへ対する重りから媒体へ加えられた力の結果として、媒体がチェンバから出られるようにする。重りの尺度は、例えば、上述の定力調整器125について測定された力と同じとすることができる。
図11の調整器125の別の使用法においては、送達カテーテルへの/これを通過する媒体の同時の注入及び送達において調整器を採用できる。この応用の場合、定力ばね126を持つチェンバ128への媒体注入は、チェンバの充填に対する「予荷重」抵抗を与える。圧力の予設定レベルに達すると、調整器125は、注入物がチェンバ128の中へ及び「ガイドへ」ポート132を介してチェンバの外へ流れられるようにできる。チェンバ128の付加的な充填は、媒体の注入中に注入圧力が予設定ばね抵抗より大きい場合(送達カテーテルにおいて送達に対する充分な抵抗があると想定して)に生じる。充填に加えて、チェンバ128は、注入器からの圧力が定力ばね126による予設定抵抗より小さい場合、一定圧力(ほぼ予設定レベルの圧力)で媒体を「排出」(体積を減少)する。この代表的な同時調整によって、調整器125は、注入時に、カテーテルへ送られる媒体の圧力/流量プロフィルを「平均化」又は「平滑化」するために、「キャパシタ」として作用できる(即ち、加圧体積の媒体を貯蔵し排出する能力を有する)。
調整器125及び本明細書において説明する他の媒体調整器についてさらに説明すると、注入部位への媒体の送達時に手動注入(シリンジによるなど)は、調整器へ至る圧力/流量を変動する可能性がある。調整器への流量/圧力を変動するだけでなく、注入媒体の流れは時には注入器(シリンジ)へ戻ることが想定される(システムの構成に応じて)。例として、シリンジ投与者がプランジャに対する圧力を解除する場合がある。このようにして減少した力に応じて、チェンバ128の中へ貯蔵された圧力/流体が分岐してシリンジへ戻る−キャパシタンスチェンバ128からの流れに対する「最も抵抗の少ない経路」の機能−可能性がある。
有利なことには、このような構成を持つ定力チェンバを有する調整器は、送達カテーテルへ送達される媒体注入流量/圧力プロフィルを改良するように構成できる。図20〜22は、改良圧力/流量送達プロフィルを与えることができるこのような別の構成/構造及びその使用法を示す。図20の調整システム326は、媒体(即ち、造影剤)の容器又はバイアル、定力チェンバ330、注入器332(例えば、シリンジ)、送達カテーテル334及び4方向ストップコック336を含むために、マニホルド326に取り付けられたいくつかの要素を有するマニホルド326を含む。これらの要素は、時には適切な管状部材Tを介して、相互に流体流通するように構成できる。弁A(マニホルド−カテーテル間)、B(媒体バイアル−マニホルド間)、C(定力チェンバ−マニホルド間)及びD(注入器−マニホルド間)は、マニホルド326と調整器325の様々な要素328、330、332、334及び336との間の流体流通を開閉できるようにする。4方向ストップコック336は、別個の弁/アタッチメントの代わりに弁C及びDの弁機能を与えることができる。更に、定力チェンバ330は、図示するように、変位可能なプランジャ又は面でチェンバの中の媒体に定力を与えるために、加重力要素(上述)又はコイル式定力要素を収容するように構成できる。定力チェンバをどのように構成するかの2つの例を示すが、定力装置を構成するためのいくつかの構成において限定的なものではなく単なる例示である。
注入調整を実施する代表的方法において、バイアル328からの造影剤は、図21に示すように、弁Aを閉鎖し(マニホルド326と送達カテーテル334との間の流れを防止する)、弁Bを開放し(媒体バイアルとマニホルド326との間の流れを許容する)、弁Cを閉鎖し(定力チェンバ330からマニホルド326への流れを防止する)、弁Dを開放する(マニホルド326とシリンジ332との間の流れを許容する)ことによって、シリンジ332の中へ引き込まれる。シリンジ332は、図21において矢印339で示すようにシリンジ332のプランジャ338を引っ張って、バイアル328からシリンジ332の中へ媒体を引き込むことによって、注入媒体で充填できる。弁B(媒体バイアル328とマニホルド326との間)は、充分な媒体がシリンジ332の中へ引き込まれたときに、閉鎖できる。
プランジャに作用する加重力要素(重りシステム330aによって示すように)を有する構成か、プランジャとして作用する定力ばね(定力ばね330bによって示すように)又は別の定力装置を採用する構成であるかを問わず、送達カテーテル334によって送達される媒体の流れを調節する際に、バイアル328のチェンバ(及びその中の流体)に加えるのに充分な荷重が測定される。解説のために、カテーテルを通過する改良媒体送達流量を生成するために、例えば、マニホルド326において(例えば送達カテーテル334の近位ポートへ向かう)0.34MPa(50psi)の圧力が望ましいとする。定力チェンバ330は、弁Cが開放(即ち、定力チェンバ330から調整システム325への流れを許容するために開放)されているとき、定力チェンバ330内の又はこれに出入りする流体に対して約0.34MPa(50psi)を生成するように構成できる。
注入部位への媒体の注入が正当化されたら、弁A(カテーテル334へ通じる)、C(チェンバ330へ)及びD(シリンジ332へ)を開放して、シリンジ332のプランジャ338を押す(図22の矢印340の方向へ)事ができる。シリンジ3332のプランジャ338が素早く押されるとき、シリンジから射出された流体は、最も抵抗の小さい経路へ向かって進行したがり、流体をカテーテル334へ駆動しながら(図22において媒体流動矢印342示される)、同時に定力チェンバ330の中へ進める。シリンジ332による媒体の急速な導入は、マニホルド装置内の圧力が迅速に0.34MPa(50psi)になれるようにし、圧力が0.34MPa(50psi)より大きいと、媒体を(矢印344の流れにより)定力チェンバ330に充填できるようにする。このようにして、定力チェンバ330は、約0.34MPa(50psi)の圧力で又はそれ以上でそれ以上の媒体を受け入れながら、約0.34MPa(50psi)で(矢印342)カテーテル334へ媒体を送達できるようにするので、キャパシタとして作用する。基本的に、調整器325の送達流量プロフィルは、上昇傾斜圧力/流量(図4BのエリアA)による「無駄な」造影剤を減少し、かつマニホルド内をより一定の圧力に維持することによって「無駄な」造影剤を送達カテーテルへ過剰注入にすることを減少できる。
図20〜22に示す例において、操作者がある程度まで定力チェンバ330に造影剤を充填したら、定力チェンバ330は、たとえ注入の流れが低下しても送達カテーテル334へ所望の0.34MPa(50psi)で排出を続けることができるので、送達カテーテル334への「平滑な」注入を容易にする。
シリンジ332によって充分な媒体が送達されたと測定されたとき、プランジャ338を解放する(例えば、シリンジ332のプランジャ338を負荷無しで負の方向に変位できるようにする)と、定力チェンバ330内の圧力は送達カテーテル334から離れてシリンジ332の中へ(最も抵抗の少ない経路。図22において点線矢印346)流れを排出することによって放散できるので、マニホルド326からの圧力が急速に低下できるようにする。このように、送達カテーテル334へ送達される圧力の急速な低下は、注入末端において典型的にみられる「無駄な」造影剤(例えば、図4BのエリアB)を減少することができる。また、注入がシリンジ332によって終了される前、その間又はその直後に弁A(マニホルド−カテーテル間)を閉鎖することによって注入の速やかな終了を容易にできる。媒体注入の終了は、圧力が不充分な時(例えば、選択された圧力下限閾値に到達したとき)カテーテル334への送達を素早く遮断するように他の機構(一方向弁など)を含むことによっても強化できる。このような一方向弁は、図22の弁317によって例示するように、マニホルド326と送達カテーテル334との間の管状コネクタに沿ってその間に配置することを含めて、調整システム325内の様々な場所に配置できる。
注入を制御するための装置を通過する流れを調整する際の別の実施形態を、図12A及び12Bに示す。これらの図は、ガイド(又はその他の任意の送達装置)へ送達される流量を有利に調整できる定流量調整器135を図解する。このような調整器は、どのような導管構成を使用するかに関係なく標的部位へ定流量の媒体を送達するために有用である。例えば、血管造影カテーテルを通過する媒体の流れ(動脈の診断のための視覚化のため)に対する抵抗は、前述の治療システムとは異なる可能性がある。また、血管造影カテーテルを通過する造影剤の流れを駆動するために要求される圧力は、治療システムを通過する同様の薬物の流れを駆動するために必要な圧力より低い可能性がある。医師は、動脈の血管造影査定(血管造影カテーテルを用いて)並びに治療(治療システムで)を同様の定流量の薬物を送達する同じ調整器を用いて実施することができると、有利である。図12A及び12Bに示す配列体は、同じ調整器135を用いて医師が両方の薬物送達システムの間で切り替えられるようにする。
図12Aを参照すると、注入装置は、調整器135のチェンバ136の中へ注入物を与える(矢印62)。この注入は、プランジャ138の面積全体に対する媒体の圧力から派生する力で、プランジャ138に作用する(プランジャはチェンバ136内に密閉可能及び移動可能に配置されて、可変力ばね139により初期注入媒体圧力に対抗して付勢される)。媒体は、チェンバ136から、プランジャ138を迂回する注入流路140に沿って流れ、その後プランジャ138のガイド側の孔142を介してチェンバ136内の流れを再確立する。媒体が調整器135のガイド側において受ける圧力に応じて、ばねに係合されたプランジャ138は、(この圧力の力によって)チェンバ136の壁を貫通する孔142に沿った場所まで駆動される。プランジャ138(及びこれに結合されるばね139及びばね139の付勢力)の配置及び孔142に対するその関係は、チェンバ136のガイド部分(即ちガイドカテーテル側)への媒体の流れを部分的に抑制できる。例えば、孔は、図12Aにおいて完全に開放されたままであり、注入圧力がチェンバ136のガイド部分における圧力とほぼ同じであることを示唆しており、調整器はより大きな流量を許容するためにできる限り孔142の「流れを開放している」。圧力差したがってプランジャの両側に作用する力の差は、図12Aにおいてほぼ同じとすることができる。このような状況の例は、例えば、送達ガイド(例えば、治療システムにおいて使用される場合)における媒体の流れに対して比較的大きい抵抗がある場合である。
逆に、図12Bは、孔142が注入流路140からチェンバ136のガイド部分への流れを部分的に遮断するところを示す。この場合、ガイド又は送達カテーテルからの抵抗はより小さく(即ち媒体の流れがより容易)、チェンバ136の2つの側の圧力差は、増大している。言い換えると、注入路は、(血管造影カテーテルにおいて使用される場合のように)同等の流量で送達する際により小さい抵抗の(したがって必要とする圧力が小さい)送達カテーテルの中の流体を駆動するように制限されている(圧力差によって駆動されて)。両方の場合とも、送達カテーテルへの/これを通過する媒体の流量は、同じとすることができる。但し、定流量に対処するために流れに対する抵抗を適合化/変更するように調整器を構成できる(全身的抵抗が異なる媒体の送達)。
図12A及び12Bの流量調整器の例は、定流量調整機能を果たすために単一段階的孔を持つチェンバを示す。但し、このような機能は、同じ予定された機能を果たすための多数の孔でも、異なる断面積の孔でも、果たすことができる。更に、他の形式の可変圧力レストリクタ(定流量調整を持つ)が、意図される機能を果たすことができる。これらの対案は、開示する装置及びプロセスの範囲内と考えられる。
代表的説明は、システムコンポーネント/装置内及びその間の補助的管類/接続部/チャンネルが比較的大きく、装置によって調整される流量/圧力全体に対する「抵抗」効果がごくわずかであると想定していることが、分かるはずである。例えば、図9A〜9Cのチェンバ1と2との間のチェンネルのルーメンによって又は図6A〜6Cの接続チューブ及び/又はコネクタ内で生じた圧力低下は、ごく僅かであるはずである。圧力低下が僅かではないにしても、開示する装置及び工程の範囲から逸脱することなく、このような接続部に生じた付加的抵抗に対処するために設計変更を加えることが可能である。
調整装置の様々な構成は、中にばねを持つチェンバを有するものとして説明されているが、同様の機能を生じるために、任意の受動的及び/又は能動的付勢又は弁調節機構(又はその組合せ)も使用できることは明らかである。例えば、液圧弁、放出弁、一方向弁は、既知の/設定された流量及び/又は圧力になるよう流れに作用する又はこれを調整するため及び既知の/設定された流量及び/又は圧力条件が得られたら作動を停止する(流れを停止または制限する)ための機能を果たすことができる。同様の注入調整効果を生じるために、上記の別の装置または装置の組合せを含めることも、本明細書において説明する装置及び方法の範囲内に在る。
同期化による代表的調整装置及び方法
非効率的な薬物使用(図4Bの代表的注入プロフィルQAgentにおけるエリアA、B及び/又はCとして示されるような)を減少することによる注入の調整に加えて、調整は、より多くの血流があるときにはより大きい量の媒体を血管へ送達し、血流が減少したときにはより少ない媒体を送達することも含むことができる。血管内の血流のパターンとほぼ一致するように血管への媒体の注入をパターン化することが、本明細書において説明する少なくともいくつかの実施形態の目的である。例として、図13は、本発明の注入システムによって送達される代表的注入プロフィルを示す。図13において、注入プロフィルは、図2の血管内の血流とほぼ一致する。この場合、平均約2.8ml/秒(例えば、QAgentの平均)の薬物を使用して、血管に(例えば、不透明化機能を果たすために)充分な量を充填しながら、血管を薬物で完全に充填させず又は正常な血流の全てに取って代わらないようにできる。従って、図13の点線は、例えば正常血流の65%〜85%の媒体を血管に充填する際に注入システムによって生成されるプロフィルを強調する。媒体濃度のために必要な量(例えば、血液内において)は、薬物及び予定される機能に応じて変化し、このような濃度は、血液流量の1%程度に低い場合も、血液流量の99%程度に高い場合も、本明細書において説明する調整装置及び方法の主旨から逸脱することなく、可能である。
薬物の同期化送達は、標的血管系の外部の血管を「過剰充填する」危険を減少できる。更に、このような注入流量プロフィルは、低流量時の血管内において不透明化のために充分な薬物濃度を与えることができる。冠状動脈系への(診断又は治療のため)過剰注入は、動脈造影において「逆流」又は潅流として見られ、不要な薬物を身体に加えることになる。同期化の実施形態の例は、標的部位への媒体注入を調整するために使用されるセンサ及びコントローラを含むことが考えられる。このようなセンサ/コントローラは、血管における拍動的血流に応じて血管へ媒体を送達するように注入器の起動及び作動停止又は調整を開始するために、EKG(心電図)(及び/又はEKGからの入力)を含むことができる。他の実施形態は、媒体の注入を血管内の血流と調和するために、血流のパラメータ(圧力、流量、温度、速度、患者の呼吸、pH、pO2など)を推定又は推論するために、送達カテーテルの中、その上及び/又はこれに近接して位置付けられたセンサを含むことができる。
図14は、同期化媒体注入調整システムの代表的構成を示す。図示するように、1つ又はそれ以上の信号センサ150は、各々、心臓の左冠状動脈など標的注入部位における血流の少なくとも1つのパラメータの状態を表示、推定又は推定する信号を受け取ることができる。コントローラ152は、センサから信号を受け取って、直接または間接的に、送達カテーテルシステム154を通過する媒体の調整された送達を起動できる。図14に示すように、弁機構(又はその他の調整機構)は、送達システム154の近位部分付近に(例えば、近位弁機構156などのように、送達カテーテル近位部分に近接して、体外に)配置し、かつ/又は送達カテーテルの遠位部分の中、その周り及び/又はそれに近接して(例えば、遠位弁機構158など、体内に)配置でき、このような弁機構はコントローラに152によって作動される。更に、センサ信号の1つ又はそれ以上は、EKGなど体外に配置されたセンサから及び/又は体内のセンサ(カテーテルの遠位部分の中に、その周りに及び/又はそれに近接して配置された圧力センサなど)から得ることができる。
調整の直接制御は、例えば、図13に示す注入流量プロフィル(例えば、QAgent)を生成するために、注入送達カテーテルを通過する媒体の供給を直接的に同期化するために注入装置を起動することを含むことができる。この例において、コントローラ152はセンサ150からの信号(例えば、EKG信号)を使用して、図13に示すような媒体注入流量(QAgent)プロフィルを生成するために注入器出力を増大/減少するように注入器ポンプ160を直接作動する。このようなシステムの例を図15に示す。図から分かるように、患者の心臓のEKG信号は、EKGセンサ150からコントローラ152によって受け取られる。コントローラ152は、EKGの初期動揺(QRS complex)後所定の間隔で流量増大の開始信号を、及び例えば初期動揺前及び/又は初期動揺中に送達流量減少の開始信号を選択的に発することができる。このように、図15のコントローラ152は、注入が相当化されることを示す信号を操作者がコントローラ152へ送ったとき、注入器162から媒体を供給するために、可変的程度で、注入器162に作動可能に結合されたポンプ160を起動/作動停止できる。注入器ポンプ160の起動/作動停止は、図13が示す代表的プロフィル(QAgent)を生成できる。
調整の間接制御は、例えば、注入装置から供給される注入を弁調節(又はその他の調整)することを含むことができる。図14の様々な構成において説明したように、間接的弁機構(又はその他の制御機構)は、薬物送達システム154内、その周り及び/又はその上に近い又は遠位に配置できる。間接調整制御の例を図16A〜16Dに示す。この例において、センサ165は、センサ165は、送達カテーテル166(図16Aに示すように)の遠位に配置され、調整装置(図16B)は近位に配置される(即ち、例えば、図6Cの調整器168について示されるように近位に配置される)。図16Aのセンサ165は、送達カテーテル166の遠位先端に配置された代表的圧力センサである。前述のように、これは、媒体の送達を血流と同期化するための信号を得る際に使用できる様々なセンサの一例に過ぎない。更に、図16Aは、送達カテーテル166の遠位先端へのセンサ165の位置付けを示す。身体上の(即ち、呼吸の関数として)、身体を通過する(即ち、画像化の関数として)及び身体内の(標的送達部位に近接する変数の関数として)様々な場所に配置される多数のセンサタイプ(及び同等の信号)があるので、図16Aにおけるセンサ165の代表的位置付けは、本明細書に説明する機能を果たすために図示するものに限定されるべきではない。明らかに、図16Aの遠位圧力センサの配置でも、カテーテルに並ぶ圧力ワイヤ、圧力計測のためのカテーテル本体内のルーメン、カテーテルの遠位先端内に配置された圧力センサ、カテーテルの遠位先端の遠位の標的血管の中まで配置された圧力センサなど、多くの形式を取ることができる。
図16Bを参照すると、調整装置168は、入口ポート170(注入装置から)と、出口ポート172(送達カテーテルへ)とを備えることができる。注入流体の流れは、注入ポート170を通過して、調整器168の本体又はハウジング176内の流体チェンバの中へ流れる。調整器168は、流体チェンバ174内に配置された円筒形ハブ180に取り付けられた複数の羽根/プレート178を持つことができる。羽根178及びハブ180は、注入ポート170を通過して媒体が流体チェンバ174へ注入されたとき自由に(調整器168の流体チェンバ174及び本体176に対して)回転できる羽根−ハブの「ピン歯車」構造を成すように形成できる。ハブ180は、1つの方向に優先的に回転するように設計できる。例えば、図16Bは、矢印182によって示される右回りの優先的な流体の流れ及び羽根−ハブの回転を示す。流体チェンバ174から、注入流体は出口ポート172を通って調整器168の外へ流出できる。
この形式の羽根−ハブ調整器設計の1つの利点は、羽根/ハブの1回転において装置168を通過する流体の量を容易に測定でき、回転数は計数機構によって単純に計数できるので、調整装置168を通過して送達された(時間経過に伴う)注入流体の総量を容易に計測又は特定できることである。又は、隣り合う羽根178の間の流体の各「セル」を計数機構によって計数できる。計数機構は図示しないが、羽根又は羽根/ハブのその他の要素が測定領域内を通過した回数を特定できる又はハブ180の軸が回転した回数を測定できる磁気、機械的、超音波、赤外線又は同様の計測装置を備えることができる。このような計数装置の出力は、処置中に使用された媒体の総量を(リアルタイムに)測定し表示するために利用できる。注入される媒体の管理において、操作者/医師が、使用された媒体の量(計数装置によって測定され適切なディスプレイ又は表示的出力によって提示される)を簡単に知ることができる。体積の測定(例えば計数された回数に基づく計算/変換による)は、計数装置の一部として実施するか又は表示装置によって実施できる。体積計測値を示す他に、計数機構/信号/ディスプレイは、最大量の薬物(例えば、操作者が決定した値、最大許容造影剤量、GURM比など)が投与される前に又はその時点で、操作者/維持に警告するために様々なアルゴリズムを組み込める。例えば、Cigarroa他著「腎臓病患者において腎症を防止するための造影剤の投与量」(1989年6月)(Am Jour of Med.649−652)において説明されるように、最大許容造影剤量指数は、注入される造影剤の総量は、5ml×体重(Kg)/基準血清クリアチニンレベル(単位:mg/dL)に等しいと示唆する。別の例において、Gurm他著「経皮冠状動脈介入を受ける患者における放射線造影剤の安全限度を規定するための腎臓機能ベースの投薬」(JACC 2011:58:907−14)において説明されるように、注入される造影剤の最大量(単位:mL)は、使用される最大造影剤量(単位:mL)は、算定された患者のクリアチニンクリアランス(mL/分)で割って2未満または2に等しくすべきであると、示唆している。使用される指数に関係なく、システムは、使用された総量を示すだけでなく、最大投与の1つ又はそれ以上の指標と比較した使用量を操作者に警告するディスプレイを含むことができる。
図16B〜16Cに示す代表的調整装置の説明を続けると、羽根−ハブ式調整器は、2つのコンポーネントを備えることができる。1つのコンポーネント186は、コントローラ/アクチュエータ185に隣接して配置され、入口ポート170と、出口ポート172と、回転羽根178/ハブ180を持つ流体チェンバ174とを備えることができる。流体と接触する可能性のあるシステムのこのコンポーネントは、所望の場合には使い捨てとすることができる。コントローラ/アクチュエータ185、ブレーキ機構191、センサ信号190レシーバ及びこれと同種のものを備える第2コンポーネントは、回転に対する抵抗を与えるために羽根−ハブの回転をクラッチ操作、ブレーキ又は抑制するために使用できる。回転に対する抵抗は、例えば図13において説明するように薬物流量(QAgent)プロフィルを生成するように注入器からの注入を調整するために、図16Aのセンサ165からの信号190と調和できる。
図16Cの調整器168のブレーキ又はクラッチ操作は、例えば、機械的、油圧機械式、電気機械的、電磁気的、化学機械的手段などを含めて多様な手段を使用して実施できる。図16Cは、電磁気手段を用いる羽根−ハブのシャフト192をブレーキ操作するための手段191を示す。代表的ブレーキ構造体191を更に図16Dに示す。図16Dにおいて、ハブ180の長手軸192は、磁場196内に配置されたヒステリシスプレート/ディスク194に結合される。磁気コイル196に電気が与えられたとき、磁束は、(ディスクが磁場を通過するとき)ヒステリシスディスク194へ転送されて、ディスク194上に磁気「ドラグ」を生じる。ヒステリシスプレート194(及び羽根−ハブのシャフト192)に与えられるドラグ又はブレーキは、磁場に加えられる電圧を増減することによって増減でき、予定通りに媒体の流れを調整できる。電流が取り除かれたとき、接続されたディスク/シャフトは、シャフト192の軸の周りを自由に回転できる。図13の例において、媒体の最大流量(QAgent)は約5.2ml/秒である。したがって、図13のQAgentのプロフィルを生成する際、例えば、5.2ml/秒の定流量で調整器168の中へ媒体を注入するように設定すると、調整において、図16Dのブレーキ機構191は、図13のQAgentの流量プロフィルを生成するために必要に応じて、薬物のドラグを増大(流量を減少)できる。
図16B及び16Cは、調整器を通過する注入薬物の流量プロフィルを調整するための多数の手段の1つについて説明するものであり、限定無しに本明細書において開示する調整、簡易及び制御の概念を例示するためのものである。当然、この手段は、注入媒体の流れを身体媒体の流れと「同期化」するために、様々な信号及びセンサ(図16Aに示すものなど)と共に使用できる。従って、図16の例は、同期化を実施するためにどのように調整装置を使用できるかの単なる一例である。
本明細書において説明する「同期化」送達の以上の実施形態は、媒体の送達の能動的感知及びその後の調整を含むことができる。但し、送達部位への媒体の送達は、送達部位における及び/又はその周りの身体的属性(例えば圧力など)に応じて媒体送達を受動的に弁調節することによっても調整できる。図23を参照すると、送達カテーテル260は、冠状動脈系の左主幹冠状24などの送達部位へ媒体を送達するように配置できる。この状況において、前述のように、左主幹冠状24並びに大動脈22内の圧力は絶えず変化する。弁機構262は、送達カテーテル260の遠位部分内に、又はその上に又はこれに近接して、配置できる。
図24A及び24Bは、受動的弁機構262を持つカテーテル260の遠位部分をより詳細に示す。図24A及び24Bに示すように、弁機構は、血流バイパスルーメン264を含み、カテーテル260の媒体送達ルーメン266に並んである程度の血流を許容する。受動弁ゲート268は、送達部位の周りの圧力差に応じて、バイパスルーメン264を通過する血流及び媒体ルーメン266を通過する媒体の流れを制限するように配置される。図24Aに示すように、左主幹冠状24の圧力(例えばPLM)が大動脈22の圧力(例えばPOA)より小さいとき、送達カテーテル260の弁ゲート268は、送達部位への媒体の注入(図24Aの媒体の流動矢印269aによって示されるように)を許容できる。逆に、図24Bに示すように、左主幹冠状24の圧力が大動脈22に対比して増大して例えば、左主幹冠状24への血流が減速)、左主幹冠状24と大動脈22との間の圧力差が変化するとき(、受動弁ゲート268は、送達部位への媒体の送達を妨害又は減少する(図24Bの媒体の流動矢印269bによって示す)ように作用できる。このように、図23、24A及び24Bの装置は、受動弁機構に応じて冠状動脈系への媒体の「同期化」送達を許容できる配列を与える。
図25A及び25Bは、送達部位への媒体の送達効率を改良するためにカテーテルの遠位部を受動的に弁調節する別の実施形態を示す。図25Aは、例えばカテーテル/動脈境界面272におけるように、冠状動脈25との間が密閉関係に(部分的又は全体的に)なるように配置できる送達カテーテル270を示す。このような使用の場合、大動脈からの血流が閉塞動脈25に潅流されるのを制限する懸念がある。但し、図25Aに示すように、送達カテーテル270の遠位部分は、媒体注入が行われていないとき、大動脈22からカテーテル270を通過して送達カテーテルの遠位へ(即ち大動脈25の中へ)潅流を与えるように、弁274及び弁274の遠位に配置された孔276を持つことができる。この例において、弁274は閉鎖されて、血液が孔274へ、カテーテル270の遠位部分を通過して、カテーテル/同薬境界面272を越えて流れるようにする。弁274は、このようにして、血流が図25Aの血流矢印278によって示されるように遠位へ流れるように作用する(弁274を通過する媒体の流れを遮断しながら)。逆に、図25Bに示すように、媒体の送達が正当化されたとき、弁274は、大動脈からの潅流を減少して送達部位への媒体送達を許容するように展開される。この例において、弁274は開放されて、媒体が弁274を越えて、カテーテル270の遠位部を通過し、カテーテル/動脈境界面272を越えて流れるようにする。弁274は、このように、図25Bの媒体流動矢印279によって示すように遠位方向に媒体が流れるように(弁274を越える血液の流れを妨害しながら)作用する。
送達カテーテルの受動的遠位弁調節を採用して送達部位への媒体送達の効率及び/又は有効性を更に強化するためには、多くの形式がある。上の例は本発明の例示であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
標的部位へ媒体をより効率よく送達するために本明細書において説明する様々な実施形態の他に、様々な送達カテーテル先端の構成を用いて、送達部位における、その周りの及び/又はその付近での流動特性を有利に変化させることによって、注入の調整を更に強化できる。例えば、図17A〜17Dは、このような機能を果たすために採用できる4つの実施形態を示す。図5A及び5Bに関して前に説明したように、媒体送達に関連する課題の少なくとも1つは、送達カテーテル先端の設置場所及び先端の周りの圧力差であることは明らかである。図5A及び5Bは、大動脈22内の左主幹冠状24へ通じる口20における送達カテーテル先端を示す。この「カテーテル先端」配置が一般的である。なぜなら、血管を損傷/中断してかつ/又は左動脈系内の痙攣(及び急性閉塞)を生じることを懸念して、医師がカテーテル先端を左主幹冠状の中へ送達するのをためらう可能性がある。送達カテーテルがこのように位置付けられる場合、媒体を媒体カテーテル先端から口の中へ(大動脈へしたがって全身的にではなく)優先的に送達するための「駆動力」(例えば、圧力差)がほとんどない可能性がある。図17A〜17Dは、冠状動脈口の中への薬物の送達を強化するために送達カテーテル先端の周り及び/又はこれに近接する環境を優先的に調整できる様々な実施形態を示す。多くの点で、これらの実施形態は、物質の効率的な送達に対処するために、送達カテーテルの遠位送達部分の周りの環境を分離/制御するためにも作用できる。
例えば、図17Aは、大動脈22内の圧力が増大して(少なくとも注入中)、注入媒体を更に口20の中へ「駆動」するように、遠位部分212の周りで膨張したバルーンを持つことができる送達装置210を示す。図17Bの実施形態は、媒体を捕捉/分離しかつ/又は媒体が大動脈22へ流れることへの抵抗を増大する(留置されたとき)ように作用できる、送達カテーテル先端を取り囲む円錐部材222を示す。このようにして、優先的に左主幹冠状24の中へ媒体を「駆動」する。図17BのPAO及びPLMは、単に明確化のために大動脈(例えば、PAO)及び左主幹冠状(例えば、PLM)内の圧力のエリアを示す。円錐部材222を拡張可能とすることができ、かつ、部材の222の拡張は、更に、PAOとPLMとの間の圧力勾配に応答することができる。
図17Cにおいて説明する別の代表的実施形態は、遠位にカテーテル送達部分234を取り囲む同軸部材又はスリーブ232を含み、基本的に左主幹冠状24を大動脈22の中へ人工的に「延ばす」ように作用できる、送達装置230を示す。媒体を注入すると、媒体の流れは、(スリーブ232によって)口20への流れに対するより大動脈22への経路に沿った流れに対して大きな抵抗を受ける。同軸部材232の同軸的性質は、媒体の「遠位」容器として有利に機能して、例えば左主幹冠状24に見られる周期的圧力変化に応答して一時容器構造体へ媒体を貯蔵しその後媒体を放出するように作用できる。
図17Dは、送達カテーテル遠位部分を取り囲む流動パラメータを調整する、別の実施形態を示す。図示するように、送達装置240は、カテーテルの遠位部分を取り囲む同軸拡張可能シース242を持つ送達カテーテル先端を有する。拡張したとき、シース242は、例えば244において口20に部分的に係合できる。シース242の拡張は、カテーテルの遠位部に沿った少なくとも1つ又はそれ以上の孔246を通過して注入される媒体の流れによって作動できる。拡張したシース242は、留置されると、図17Dの流動矢印で示されるように、左主幹冠状24の中への経路に沿った流れより、大動脈22の開口20へ通じる経路に沿った(薬物の)流れに対してより大きな抵抗を生成できる。
送達カテーテルの遠位部分を取り囲む圧力及び/又は流動の環境を調整又は制御又は分離できる、図17A〜17Dに例示する構造体及び構成体の多くの変形がある。図17A〜17Dは、送達部位における、その周りの及び/又はこれに近接する流体特性を有利に調整する実施形態の例示であり、このような流動特性を得るための構造体及び方法の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
送達部位において、その周りで及び/又はこれに近接する流動特性の環境を調整するために作用できる、開示する様々な配列体及び工程に加えて、送達カテーテル遠位先端の他の設計は、媒体を血液と有利に「混合」できる。出願者は、少なくともいくつかの媒体送達シナリオ(即ち、薬物、標的部位、流動パラメータ)において、注入された媒体が血流と充分に「混合」(例えば血液内の媒体の均質な濃度)される前にカテーテルの遠位先端から所定の距離を進行する必要がある可能性があることを発見した。図5A及び5Bに示す例においては、注入された媒体は、口から左主幹冠状及び/又は動脈供給に沿って遠位方向にある程度の距離において血流内で均質の濃度に達しない可能性がある。例えば、媒体が血液と混合するために約2cm〜3cm必要とすると、血管に沿ったこの距離は、「充分に不透明化」できない可能性がある。この状況において、注入器の操作者は、血管をより不透明化するために媒体送達を引き続き増大する。例えば図18に示すような遠位先端構成を持つ送達カテーテルは、より容易に、カテーテルから出て来る媒体をカテーテルによって流される血液と混合でき、したがって、動脈の不透明のために必要な媒体の量を有利に減少できる可能性がある。
図18の例は、カテーテル250から出る媒体の渦256(vortex)に似た流動パターンを与えるために、カテーテルの遠位先端254の内面に沿って畝付き波形252を持つ送達カテーテル250を示す。中断された媒体の流動パターン(disrupted medium flow pattern)は、より容易に媒体と血液を混合できる。図18は、送達カテーテルの内面に沿った畝付き波形を示すが、同じ機能を果たせる他の構造及び構成(送達カテーテルの内径及び/又は外径に沿った構造、血液/媒体の流れを撹拌/中断するために血液内においてカテーテル先端の遠位に留置される構造体、送達カテーテル内部で媒体/血液を混合できるようにするためにカテーテルの遠位部分に沿って配置された孔などの構造体など)が考えられることが明白である。媒体と血液の混合に関連して、図18はそのための代表的配列及び工程を例示するだけのものである。
カテーテルの「先端」は、「遠位部分」又は患者体内に置くことができ、予定標的部位への薬物の送達において1つの役割を果たすことができるカテーテルの他の部分(例えば、送達カテーテルの近位部分の遠位)と同義である。
本明細書において説明する実施形態の多くを要約すると、医療の診断、予防及び治療の実践において薬物、物質、材料、薬剤又は媒体が体内の明確な部位へ送達されることが好ましい多くの場合がある。本明細書において説明する例のいくつかは、図19に示す調整要素/機能の1つ又はそれ以上から派生する送達制御属性(即ち、注入装置タイプ、調整タイプ、順次対直接送達、体内血流との同期化、ポンプにおける対ポンプ後の起動/作動停止、流動環境操作)を有利に備える。図19は、本開示及び/又はその説明の例示的図面に関連して説明される要素/機能のいくつかを要約する。重要なことは、媒体送達調整における様々な要素/機能は、これらの要素/機能の1つ又はそれ以上が所望の制御属性を得るために組合せで使用できるので、相互に排他的ではないことである。図19に明示する様々な要素/機能は、意図される目的を最適に達する調整器を製造するために選択(例えば、雑多に組合せ)できる。例えば、標的部位の場所、標的部位へのアクセス、標的部位付近の流体ダイナミクス、送達される薬物(例えば、数量、粘度、毒性)、注入頻度、標的部位内の薬物の濃度、標的部位の分離、調整器の使い易さ、投与の複雑性、システムのコスト及び薬物のコストなど、媒体調整機能を果たす上で多様な属性を考慮できる
図19は、代表的機能/要素を明示する上に読み手を案内するための全般的概要と考えるべきである。したがって、図19は、それ自体は、特定の機能/要素を含む本開示内の全ての図面及び説明を包括するものではなく、図19は、本明細書において開示する全ての実施形態を包括するものでもない。
図解するシステムの例の多くは、心臓血管造影剤の送達に関する。但し、身体の明白な構造/機関/部位への物質の制御された送達が本明細書において開示される装置及び方法から利益を受ける用途が他に多くある。医療の用途は多様にあり、調整手段は多様なので(例えば、図19の要素/機能)、固有の及び意図される目的のための調整器を製造するために採用される機構は多数存在する可能性がある。調整装置を構成する際に様々な要素/機能をどのように採用できるかの1つの例は、リンパ管撮影の非心臓血管処置に属するので、下で更に説明する。
リンパ管撮影は、リンパ系への造影剤の送達を採用する。この際、転移性がん細胞の可視化において、造影剤が注入され、その後放射線撮影が行われる。処置において(及びリンパ管を特定した後に)、針/カテーテルを足(第1中足骨の足底付近)のリンパ管の中へ挿入し、造影剤(エチオドールなど)を非常に低速(約60〜90分)で体内へ注入できる。例えば、注入総量は、6〜7mlである。患者は、典型的に、処置の間仰向けになったままである。注入が完了したら、放射線撮影を行うことができる。リンパ系における流体の「流れ」は冠状動脈の高い流量及び可変性に比べて、一貫して低速である。更に、リンパ管は、過剰加圧に対して非常に敏感である(例えば、破裂する)可能性がある。
リンパの例の説明(図19を参照して)を考慮すると、以下の属性を満たす要素/機能と持つ調整器を構成することができる。即ち、長い送達時間、小さい送達量、一定流量、過剰加圧に対する感度、送達時に患者に対処するのに充分な携帯可能性/可動性、及び自動化注入器を使用するのと同等のコスト又はこれよりコスト安。これらの属性を考慮すると、まず送達すべき量(例えば、6ml)の流体を装置に充填し、注入を解除したら長い時間を掛けて(例えば、90分)媒体を送達できるような、順次(遅延)的に媒体を送達するための手動装填注入装置を想定できる。調整における1つの要素は、定流量(即ち可変的圧力に関係なく一定流量)の装置又は定圧力差で(即ち、可変的流量に関係なく)機能する調整要素を含むことができる。リンパ管における圧力に対して非常に敏感なので、後者の案は、高圧力の「スパイク」(例えば、送達時に送達カテーテルが閉塞するような場合)により対処しやすい。図19を見ると、体内流動の同期化、流動起動(信号による)、及び遠位環境変化の要素は、あまり重要ではない場合があり、したがってこれらの特徴は、代表的装置の構成に含めなくてよい。図9A〜9Cに図解し説明する複数成分順次送達装置は、過剰加圧のせいでリンパ管を破裂する危険なく、制御された量の薬物の送達を単純に調整できる。順次送達は、送達される流体の正確な量を充填できるようにし、リンパ管に達したら、時間を掛けて媒体の送達を続けることができる。
明らかに、リンパ管媒体送達は、1つの付加的な非心臓血管の例に過ぎず、本明細書において開示する様々な要素及びコンポーネントが流動物質の送達において多数の臨床応用に対処するために多様な様式で使用できることを例示するためのものである。
本明細書において説明する装置及び方法は、比較的速く、単純で、経済的かつ安全なシステムを用いて送達部位へ注入又は送達された媒体の量を計測又は量的に査定できる。本明細書で説明する計測システムは、量的査定システムとして又は本明細書において説明するような調整器と組み合わせて採用できる。図16A〜16Dは、調整器が、システムから送達された薬物の量を計測するように構成される実施形態を示す。これに対して、例えば、図26A〜26Bは、送達された媒体の体積の量的査定、及びGurm比率など送達総量対設定臨界量の固有分析のための計測システムの使用(調整器に使用されるか否かに関係なく)を説明する。計測は、媒体を調整する前、調整と同時又は調整プロセス後に実施できることが分かるはずである。更に、計測装置及び方法は、本明細書において説明する調整システムの任意のものと一緒に使用することも想定される。更に、本明細書に説明する実施形態はその性質上代表的なものであり、様々な可能な組合せを限定するものとして解釈すべきではない。本明細書において開示する制御及び調整装置のいくつかの実施形態は、物質が予定の標的注入部位へ進入する前に注入薬剤に対する弁調節、制御又はその他の調整機能を調和させるようにセンサ信号を送受信できる。調整は、例えば、注入装置から供給された注入に対する弁調節(又は、調整)を含むことができる。
図26A及び26Bは、それぞれ、モニタシリンジ400の斜視図及び分解斜視図である。モニタシリンジ400は、内部穴404を画定するシリンジハウジング402(チェンバ)を含む。シャフト408及びピストン410を含むプランジャ406は、穴404の中へ滑動可能に受け入れられる。より具体的には、ピストン410は、穴404の内面と滑動可能に係合し、穴404内でのシャフト408の線形移動Mは、ピストン410を移動する。移動Mは、シリンジの軸Asに沿っている。プランジャ406は、下でさらに詳しく説明するように、親指リング412などサムパッド(thumb pad)の移動によって孔404内で前後に移動される。プランジャ406がシリンジハウジング402の排出端部414へ向かう方向Mに移動されるとき、ハウジングの中の流体はチューブ又は針(図示せず)の中へ排出されて、患者へ送達される。説明全体を通じて、円筒形チェンバ402及び内側孔404について説明するが、本明細書において予想する機能を与えるハウジング402/穴104及びプランジャ406の多様な構成が想定され、形状(長方形、卵形、三角形の断面などを含めて)は限定的ではない。
図示する実施形態において、光センサモジュール418は、シリンジハウジング402の外面に固定される。光センサモジュール418は、光センサ420を囲繞するセンサハウジング419を含む。特定の実施形態において、光センサ420は、AMS−TAOS USA,Inc.(テキサス州プラーノ)が製造するモデルNo.TSL1406Rなどの複数のピクセルを備える線形アレイとすることができる。別の実施形態において、光センサ420は、フォトレジスタなどの1つ又はそれ以上の離散光センサとすることができる。概略的に、離散光センサ要素(ピクセル、フォトレジスタ又はその他)の数が大きくなると精度を向上できる。1本またはそれ以上のリード線又はワイヤ424が、特定の用途の必要又は所望に応じて、光センサモジュール418の一端から延びる。但し、当業者は、異なるセンサ構成の場合ワイヤ424を利用する必要がないことが容易に分かるはずである。例えば、回路板上で光センサを使用する場別の接続が必要になる。ケーブル426は、一端428において、光センサモジュール418の出力を分析しかつ典型的にはディスプレイ上でこの情報をモニタシリンジ400の使用者へ与えるインターフェイスユニットに接続される。別の実施形態において、通信は、無線、ブルートゥース(登録商標)又は他の無線接続を介することができる。表示される情報は、チェンバの容積、残留容積、供給済み体積、流体タイプ、流量、流体圧力又は温度及び/又は特定の用途の必要又は所望に応じた他の情報を含むことができる。
図示する実施形態において、プランジャ406のシャフト408は、実質的に半透明であり、光はシャフト408を概ね通過できる。離散的部分又は帯430は、シャフト408上に配置するか又はシャフトと一緒に形成できる。帯430は、この場合、シャフト408の残り部分の透光度より小さい透光度又はシャフトの残り部分の不透明度より大きい不透明度を有するシャフト408の部分である。プランジャ406が軸Asに沿ってM方向へ滑動されるとき、小さい透光度を持つ帯430は、光センサ要素418の光センサ420の前を通過する。光は、より高い透光度を有するプランジャの部分を通過して、光センサモジュール418によって受け取られる。光センサモジュール418は、光センサ420に沿った帯430の不透明度に基づいて、シリンダハウジング402内のプランジャ406の位置を測定するインターフェイスユニットへ信号を送る。このようにして、プランジャ406の位置を測定できる。インターフェイスは、シリンジハウジング402の穴404の既知の直径及び長さに基づいて上記の様々なタイプの情報も測定できる。2つのフィンガリング又はタブ432は、使用時に使用者の指を受け入れる。ストッパ434は、プランジャ406がシリンジハウジング402から引き抜かれるのを防止する。
図27A〜27Cは、本明細書において説明する様々なモニタシリンジと使用できる別の様々なプランジャの構成である。図27Aは、モニタシリンジ500の別の実施形態の部分拡大斜視図である。この実施形態において、プランジャ506は、シャフト508を含む。図26A及び26Bに示す離散的帯ではなく、図示する実施形態は、プランジャシャフト508に沿って変動する透光度/不透明度のグラデーション530を含む。図示する実施形態において、グラデーション30は、ピストン510に近接すると濃くなる(すなわち、より小さい透光度又はより大きい不透明度)。ストッパ534付近で、グラデーション530の透光度は高くなる(逆に、不透明度は低くなる)。グラデーションの移行は円滑とするか又は離散的帯状とすることができる。図27Aに示すような特定の実施形態において、ストッパ534付近には陰影がなく、この部分の透光度は、シャフト508の透光度と概ね同じとすることができる。
図27Bは、モニタシリンジ600の別の実施形態の部分拡大斜視図である。この実施形態において、プランジャ606は、シャフト608を含む。図26A及び26Bに示す高不透明度の離散的帯ではなく、図示する実施形態は、透光度がより高い離散的帯630を有するシャフト608を利用する。即ち、ピストン610とストッパ634との間に配置されたシャフト630の部分は実質的に不透明であり、帯630は実質的に半透明である。
図27Cは、モニタシリンジ700の別の実施形態の部分拡大斜視図である。この実施形態において、プランジャ706は、シャフト708を含む。グラデーション730は、図27Aの実施形態のグラデーションとは反対に配置される。図7Cの実施形態において、グラデーション730は、ストッパ734付近で濃くなる(即ちより低い透光度又はより高い不透明度)。ピストン710に近接して、グラデーション730の透光性は高くなる。グラデーション730の移行は円滑であるか、又は離散的帯状とすることができる。特定の実施形態において、ピストン710付近には陰影がなく、この部分の透光度は、概ねシャフト708と同じとすることができる。
図26A、26B又は27A〜27Cに示すプランジャの構成のいずれも、本明細書に示すモニタシリンジと一緒に利用できる。即ち、不透明又は半透明の離散的帯を持つプランジャ又は漸増又は漸減グラデーション(ピストンからストッパまで計測して)を持つプランジャを、光センサモジュールを用いるシリンジに利用できる。プランジャの不透明度/透光度構成に関係なく、光センサモジュールは、モニタシリンジが使用されるとき受け取る光の変化を検出する。光センサモジュール内での1つ又はそれ以上の光センサの設置位置に応じて、変化は、インターフェイス装置がプランジャの位置をしたがって装置の容積及びその他の特性又は条件を測定できるようにする。
図26A〜27Cの計測シリンジの様々な実施形態は、装置ハウジング又は穴に、その中に又はこれに近接して配置された光センサモジュール及び/又は光センサを含む装置について説明する。透光度の変動を含む装置の部分は、原則的には、プランジャに、その中に又はこれに近接して位置付けられる。当然、所望の場合には、ハウジング/穴が透光度の変動を含み、プランジャが光センサ又は光センサモジュールを含むように、コンポーネントの構成を逆転できる。これらの実施形態も、この技術の範囲内にあると考えられる。
図28A〜28Cは、モニタシリンジの様々な実施形態を示す。図28Aは、センサモジュール818を利用するモニタシリンジ800を示す。センサモジュール818は、センサハウジング819と、線形アレイ820とを含む。線形アレイ820は、複数のピクセル820aを含む。図示する実施形態において、モニタシリンジ800は、半透明帯830を含むシャフト808を有するプランジャ806を含む。帯830は、完全に半透明である必要はなく、線形アレイ820内のピクセル820aが受け取った光の変化を検出できるように充分に半透明であればよい。この実施形態において、受け取った光は、手術室など部屋に在る周囲光840である。これに対して光源840は、例えば赤外線又は紫外線発光器など、周囲広以外の光源から得ることができる。更に、光センサモジュール818は、設定された波長の光のみ(例えば、赤外線、紫外線など)を受け取るためにフィルタを持つように構成できる。又は、プランジャ806又はシャフト808は、受け取った光を所望の波長にフィルタリングするためのフィルタを持つように構成できる。
図28Bは、センサモジュール918を利用するモニタシリンジ900を示す。センサモジュールは、センサハウジング191と、例えばフォトレジスタなどの離散的光センサ要素920aを含む光センサ920とを含む。図示する実施形態において、モニタシリンジ900は、グラデーション930を含むシャフト908を有するプランジャ906を含む。グラデーション930は、ピストン910に近接して透光度が小さくなり、ストッパ934に近接して透光度が大きくなる。以前の実施形態のように周囲光を使用する代わりに、図28Bのモニタシリンジは、例えば発光ダイオード(LED)などの発光モジュール950を利用する。発光モジュール950は、光センサモジュール918と同様の様式でシリンジハウジング902に固定される。発光モジュール950は、発光器ハウジング952と、複数の発光要素940aを含む発光器940とを含む。図示する実施形態において、離散的発光要素940aは、離散的光センサ要素920aに対向しかつこれに整列して配置できるが、そうである必要はない。更に、発光要素940aは、特定の波長を持つ光のみを発するように構成するか、又は光は、発光されかつ/又は感知される光を限定するようにフィルタリングできる。グラデーション930が光センサモジュール918と発光モジュール950との間を通過するとき、離散的光センサ要素920aによって光信号が受け取られる。光センサモジュール918は、インターフェイスへ信号を送り、インターフェイスは信号を処理して、ピストン910の位置を測定する。光センサモジュール918及び発光モジュール950は、シリンジハウジング902の円周の周りに相互から約180度に配置される。他の実施形態において、モジュール918、950は、相互から約180度未満に配置できる。特定の実施形態において、モジュール918、950は、相互から約90度に配置できる。所望の場合、モジュール918、950は、共通ハウジングに収容できる。
図28Cは、センサモジュール1018を利用するモニタセンサ1000を示す。センサモジュールは、センサハウジング1019と、フォトレジスタなどの離散的光センサ要素1020aを含む光センサ1020とを含む。図示する実施形態において、モニタシリンジ1000は、グラデーション1030を含むシャフト1008を有するプランジャ1006を含む。グラデーション1030は、ピストン1010に近接して透光度が小さくなりストッパ1034に近接して透光度が大きくなる。モニタシリンジ1000は、発光モジュール1050を利用する。発光モジュール1050は、光センサモジュール1080と同様の様式でシリンジハウジング1002に固定される。発光モジュール1050は、発光器ハウジング1052と、複数の発光要素1040aを含む発光器1040とを含む。発光器ハウジング1052及びセンサハウジング1019は、チェンバへの発光器/センサの固定を容易にするための構造要素(例えば、テープ又は接着剤)を含むか、又はチェンバ壁内に配置される発光器/センサを含むことができる。図示する実施形態において、離散的発光器1040aは、離散的光センサ要素1020aに対向して配置されかつこれと整列されるが、必ずしもそうでなくてよい。更に、発光要素1040aは、特定の波長を有する光のみを発生するように構成される(例えば近赤外線発光器)か、又はフィルタリングできる。グラデーション1030が発光モジュール1018と光センサモジュール1050との間を通過するとき、離散的光センサ要素1020aは光信号を受け取る。光センサモジュール1018は、インターフェイスへ信号を送り、インターフェイスは信号を処理して、ピストン1010の位置を測定する。光センサモジュール1018及び発光モジュール1050は、シリンジハウジング1002の円周の周りに相互から約180度に配置される。他の実施形態において、モジュール1018、1050は、図28Bに関して説明するように配置できる。図28Cのモニタシリンジ1000は、図28A及び28Bの発光モジュールより高いセンサ及び発光器密度を有する光センサモジュール1018及び発光モジュール1018を利用する。上述のように、その結果位置精度を高くできる。
図29は、モニタシリンジ1100の別の実施形態を示す。この場合、光センサ1120及びワイヤ1124を収容する光センサハウジング1119は、シリンジハウジング1102に取外し可能に固定される。光センサハウジング1119は、クリップ、Cクランプ、弾性キャッチ又は光センサハウジング119をシリンジハウジング1102から取り外せるようにする他の要素1160で固定できる。このような構成は、典型的には医療処置後光センサハウジング1119及び関連コンポーネントを異なるシリンジに再使用できるので、望ましい。光センサハウジング1119は、第1シリンジハウジング1102から取り外せ、その後第2シリンジハウジングへ再取付けできる。ワイヤ1124(又は同様の接続器具)がインターフェイスに(上述のように)再接続されたら、新しいシリンジのために光センサモジュール1118を較正するために較正プログラムを実行できる。
本明細書において説明する実施形態は、シリンジなどのチェンバ内でのプランジャの変位を計測及び/又は検出するための様々な要素又はコンポーメントを含むことができる。また、チェンバ内でのプランジャの位置関係の検出により、使用者は、明示的又は暗示的にチェンバから注入された媒体の体積を測定できる。説明する実施形態のいくつかは、プランジャ/ピストンとチェンバの位置関係に応じて、光を発生する様々な発生源並びに光を検出又は感知するためのコンポーネントを含むことができる。プランジャとチェンバの位置関係(及び、その変化)を特定できる別の実施形態は、限定無しに、以下の技術を含むことができる。ホールセンサ(シリンジ軸に沿ったコイルワイヤ)を、チェンバに又はこれに近接して配置し、磁石をプランジャに取り付けることができる(可変近接センサとして作用するように)。複数の低感度ホールセンサをシリンジのチェンバに沿って配置し、磁石をプランジャに取り付けることができる。チェンバ軸に沿ったプランジャの位置関係を測定するためにレーザー光を発して、これを検出できる。アブソリュートエンコーダを用いて、プランジャの直接変位を「読み取る」ことができる。
図30は、光信号を利用するモニタシリンジを使用する方法1200を示す。作動1202において、光センサから信号が受け取られる。モニタシリンジにおける光センサの位置は既知である。受信波長などの光センサの他の特性は、既知とすることができる。光センサの位置及びセンサから受け取った信号に基づいて、作動1204においてピストンの位置が測定される。方法1200の特定の実施形態において、光信号は、作動1206において第1発光器から発せられる。複数の光センサが使用される実施形態においては、光信号は、作動1208において既知の特性(例えば、位置)を有する第2光センサで受け取ることができる。作動1210において、第2光センサの特性及び信号に基づいて、更新された位置を測定できる。光信号が既知の光センサから受け取られた任意の時点で、作動1212においてシリンジ(本明細書において説明するような)の状態が測定できる。
図31は、本発明の実施形態の1つ又はそれ以上を実施できる適切な作動環境1300の一例を示す。これは、適切な作動環境の一例にすぎず、その使用または機能性の範囲を限定することを示唆するものではない。他の周知のコンピューティング環境及び/又は使用に適する構成としては、パソコン、サーバーコンピュータ、ハンドヘルド又はラップトップ装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、スマートフォンなどのプログラマブルコンシューマ電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、スマートフォン、タブレット、上記のシステムまたは装置の任意のものを含む分散コンピューティング環境、及びこれと同種のものを含むが、これらに限定されない。
最も基本的構成においては、作動環境1300は、典型的には、少なくとも1つの処理ユニット1302とメモリ1304とを含む。コンピューティング装置の正確な構成及びタイプに応じて、メモリ1304(特に、本明細書において説明する監視方法を実施するための命令を記憶する)は、揮発性(RAMなど)、非揮発性(ROM、フラッシュメモリなど)又はその組合せとすることができる。この最も基本的構成を図31において破線で示す。更に、環境1300は、磁気又は光ディスクまたはテープを含めて(但し、これに限定されない)記憶装置(可換型1308、及び/又は非可換型1310)を含むこともできる。同様に、環境1300は、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ペン、音声インプットなどの入力装置1314及び/又はディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの出力装置1316を含むこともできる。又、LAN、WAN、二点間通信、ブルートゥース(登録商標)、RFなどの1つ又はそれ以上の通信接続も、環境に含めることができる。
作動環境1300は、典型的に、少なくとも何らかの形式のコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、処理ユニット1302又は作動環境を備える他の装置がアクセスできる利用可能な任意の媒体とすることができる。例えば(限定的ではなく)、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備えることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プラグラムモジュール又はその他のデータなどの情報を記憶するための方法又はテクノロジーにおいて実現される揮発性及び非揮発性、可換型及び非可換型媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又はその他のメモリテクノロジー、CD−ROM、デジタル多機能ディスク(DVD)又はその他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置、ソリッドステート記憶装置又は所望の情報を記憶するために使用できる他の任意の有形媒体を含む。通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータを、搬送波又はその他の搬送機構などの変調データ信号で体現し、任意の情報伝達媒体を含む。「変調データ信号」は、情報を信号にコード化するように設定または変更された特性を1つ又はそれ以上持つ信号を意味する。例えば(限定的ではなく)、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続などの有線媒体、及び音響、RF、赤外線及びその他の無線媒体などの無線媒体を含む。上記のものの任意の組合せは、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるはずである。
作動環境1300は、1つ又はそれ以上の遠隔コンピュータとの論理結合を用いるネットワーク環境において作動する単一コンピュータとすることができる。遠隔コンピュータは、パソコン、サーバー、ルーター、ネットワークPC、ピア装置またはその他の共通ネットワークノードとすることができ、典型的には、上述の要素の多く又は全て並びに言及しない他の要素を含む。論理接続は、利用可能な通信媒体によってサポートされる任意の方法を含むことができる。この種のネットワーク環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット及びインターネットにおいて一般的である。いくつかの実施形態において、本明細書において説明する構成要素は、コンピュータ記憶媒体及びその他の有形媒体において記憶できかつ通信媒体で転送できる、コンピュータシステム1300によって実行可能なモジュール又は命令を含む。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又はテクノロジーにおいて実行される揮発性及び非揮発性、可換型及び非可換型媒体を含む。上記のものの任意の組合せも、可読媒体の範囲に含まれるべきである。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム1300は、コンピュータシステム1300が使用するために遠隔記憶媒体にデータを記憶するネットワークの一部である。
本明細書において説明するモニタシステムは、医療処置において患者へ任意のタイプの流体を送達するために使用できる。このような流体は、媒体、薬物、物質、材料、薬剤及び同種のものを含む。これらの用語は、本明細書において、診断、治療及び/又は予防的医療処置の実施において使用される物質を少なくとも部分的に含む多様な流体材料を説明するために総称的に使用されており、これらの使用は限定的なものではないことが分かるはずである。本明細書において説明する媒体送達調整及び/又は計測装置及び方法は、説明されるとおりの特定の代表的実施形態に限定されず、開示の範囲及び主旨から逸脱することなくこれらの実施形態に変化を加えることができることが分かるはずである。同様に、実施形態の説明において採用する用語は、限定的であることを意図せず、単に概念を伝えるために使用される。特に定義されない限り、本明細書において使用する全ての技術的及び科学的用語は、開示される装置及び方法が属する分野の当業者が共通して理解するのと同じ意味を持つ。
モニタシリンジの製造に使用される材料は、医療用において典型的な材料とすることができる。ポリカーボネートなどのプラスチックは、シリンジハウジング及びプランジャに利用できる。帯又はグラデーションは、プランジャシャフトに直接印刷するか、又は分離プラスチックシートまたはシースに印刷して、その後これをプランジャシャフトに貼り付けることができる。帯又はグラデーションの透光度又は不透明度を変えるために様々なタイプの印刷を利用できる。いくつかの実施形態において、印刷のタイプは、センサが受け取る光のタイプに基づくことができる。例えば、カーボンベースの印刷は、赤外線光を検出するセンサに利用できる。このようにして、帯又はグラデーションは、上述のフィルタとして利用できる。
本明細書において本発明のテクノロジーの代表的かつ好ましい実施形態と考えられるものについて説明したが、本明細書の教示から当業者にはテクノロジーの他の修正が明らかになる。本明細書において開示する特定の製造方法及び形状は、性質上代表的なものであり、限定的とはみなされない。したがって、テクノロジーの主旨及び範囲に属する全ての修正が保証されることが望ましい。したがって、特許状によって保障されることが望ましいものは、本明細書において規定され区別化されるテクノロジー及びその全ての同等物である。