JP2021128115A - 新規検査開発サーバ及び新規検査開発方法 - Google Patents

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Hiroo Uchida
広夫 内田
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顕成 檜
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Minoru Sakairi
実 坂入
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Mayumi Abe
眞由美 阿部
拓 中村
Hiroshi Nakamura
拓 中村
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Abstract

【課題】新しい検査手法を容易に開発することを課題とする。【解決手段】がんに関する患者の診療データと、尿中代謝物に関する情報とを保存するデータカタログを保存しているデータカタログDB117と、入力装置104を介して入力された情報を基に、診療情報に関する検査条件、及び、尿中代謝物の情報の少なくとも一方の組み合わせを検索し、所定の評価値を基に、診療情報に関する検査条件の最適な組み合わせ、及び、尿中代謝物の最適な組み合わせの少なくとも一方を出力することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、尿中腫瘍マーカを用いたがん検査を行う新規検査開発サーバ及び新規検査開発方法の技術に関する。
尿中腫瘍マーカによるがん検査は、アミノ酸、核酸、脂肪酸関連物質等の尿中代謝物を腫瘍マーカに用いるものである。この手法は、血液中のたんぱく質や、マイクロRNAを用いた手法と異なり、尿検体を用いるので、病院に行かなくても家庭での採取が可能である等、運用上の大きな利点がある。また、複数の尿中腫瘍マーカを用いることができることも大きな特徴である。例えば、3個の尿中腫瘍マーカを用いる場合、次の式(1)で示される予測値によって、がんのリスクが評価される。ここで、それぞれの尿中腫瘍マーカの強度は、それぞれの既知濃度の標準品との強度比較による絶対濃度測定、あるいは、ある特定の標準品との強度比較による相対強度測定により求められるものである。
予測値=α×(尿中腫瘍マーカ#1の強度)+β×(尿中腫瘍マーカ#2の強度)
+γ×(尿中腫瘍マーカ#3の強度)+δ
・・・ (1)
なお、式(1)において、α、β、γ、δは所定の定数である。
通常、予測値が0以上(正)であればがんのリスクが高く、0より低ければ(負)がんのリスクが低いと判断する。ここで、標準品とは、対象となる尿中腫瘍マーカと同一の構造を有する化学物質を同位体ラベル化したものである。
ここで、特許文献1には、「(a)尿検体を液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)に供し、該尿検体中の尿中代謝物を解析するステップ、(b)前記尿中代謝物の解析データに基づいて、ランダムフォレスト法により前記尿中代謝物の重要度を定量的に評価し、重要度の高い尿中代謝物を選択するステップ、(c)前記選択した尿中代謝物の解析データを用いて判別分析法を行うステップ、(d)前記判別分析の結果に基づいて、特定の疾患又は状態と関連した尿中代謝物をマーカー候補として決定するステップを含む」尿中代謝物におけるバイオマーカー探索法が開示されている。
特開2019−105456号公報
ところで、従来行われている複数の尿中腫瘍マーカを用いる方法(式(1)を用いる手法)では、基本的に、ある特定のがん種に対して尿中腫瘍マーカの種類と個数を予め決めた上で検査が行われる。しかしながら、尿中代謝物の種類は2000を超える。なお、尿中代謝物は、尿中に含まれる生体による代謝物であり、尿中腫瘍マーカは尿中代謝物の中で腫瘍マーカとなるものである。従来では、決められた尿中腫瘍マーカの組み合わせ以外の組み合わせについて検討されることがない。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、新しい検査手法を容易に開発することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、入力部を介して入力された情報を基に、がん患者及び健常者の診療情報、及び、がん患者及び健常者の尿から抽出される尿中代謝物の情報の少なくとも一方について、所定の評価値を基に、前記診療情報の最適な組み合わせ、及び、前記尿中代謝物の最適な組み合わせの少なくとも一方を検索する検索部と、前記検索部による検索の結果を出力する出力部と、を有することを特徴とする。
その他の解決手段は、実施形態中において適宜記載する。
本発明によれば、新しい検査手法を容易に開発することができる。
本実施形態における新規検査開発システムの構成例を示す図である。 データカタログの一例を示す図である。 本実施形態における新検査手法の開発手順の概要を示す図である。 本実施形態における新検査手法の開発における詳細な手順を示すフローチャートである。 代謝経路解析の一例を示す図(その1)である。 代謝経路解析の一例を示す図(その2)である。 代謝物パネルの一例を示す図である。 これまで一般的に行われているがん検査モデルによる小児がんの検査結果を示す図である。 これまで一般的に行われているがん検査モデルによる検査に用いられたデータの年齢構成を示す図である。 本実施形態によって提案されたがん検査モデルによる小児がんの検査結果を示す図である。 治療効果が高い場合における治療前のMIBGシンチグラフィー画像である。 治療効果が高い場合における治療後のMIBGシンチグラフィー画像である。 治療効果が高い場合における治療前後の予測値を示す図である。 治療効果が低い場合における治療前のMIBGシンチグラフィー画像である。 治療効果が低い場合における治療後のMIBGシンチグラフィー画像である。 治療効果が低い場合における治療前後の予測値を示す図である。 MIBGシンチグラフィー画像と、予測値との関係をまとめた表である。 4Sの神経芽腫に関する予測値を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
(システム構成)
図1は、本実施形態における新規検査開発システム1の構成例を示す図である。
新規検査開発システム1は、新規検査開発センタA1に設置され、新しい検査手法(新検査手法)の開発を行うための新規検査開発サーバ100と、外部医療機関A2に設置されている外部医療機関サーバ300と、総合解析センタA3に設置されている総合解析センタサーバ400とを有する。総合解析センタA3は、外部医療機関A2と連携し、がん検査の結果等を集中管理する。なお、総合解析センタA3及び総合解析センタサーバ400は省略可能である。
新規検査開発サーバ100は、メモリ101、演算装置102、通信装置103、入力装置104、表示装置105を有する。さらに、新規検査開発サーバ100は、新検査手法DB111、新検査候補DB112、解析結果DB113、分析結果DB114、代謝物DB115、代謝経路DB116、データカタログDB117、解析/分析条件DB118を有する。新規検査開発サーバ100は、通信装置103を介して、外部医療機関サーバ300と通信を行い、被検者DB311、診療DB312、尿検体管理DB313、検査結果DB314に保存されている情報を収集する。
新検査手法DB111は、新規検査開発サーバ100によって提案された新たな検査手法(新検査手法)に関する情報を保存する。新検査候補DB112は、新規検査開発サーバ100によって提案された新検査手法に関する情報が、一時的に保存される。解析結果DB113は、解析装置/分析装置201で行われた解析(液体クロマトグラフ質量分析計(以下、LC/MSと称する)による解析等)の結果が保存される。LS/MSで行われる解析では、尿検体UP中における各尿中代謝物の強度が出力される。
分析結果DB114は、解析装置/分析装置201で行われた分析(オスモル濃度測定等)の結果が保存されている。代謝物DB115は、予めわかっている尿中代謝物の構造等に関する情報が保存されている。代謝経路DB116は、予めわかっている尿中代謝物の代謝経路に関する情報が保存されている。データカタログDB117は、後記するデータカタログ117Aを保存している。解析/分析条件DB118は、解析装置/分析装置201で行われる解析、分析の条件が保存されている。なお、代謝物DB115、代謝経路DB116は、新規検査開発センタA1に設置されず、公共機関のデータベースとして設置されてもよい。
また、新規検査開発センタA1には、解析装置/分析装置201が設置されている。解析装置/分析装置201は、例えば、LC/MSや、尿の溶質量を推定するためのオスモル濃度測定装置、クレアチニン測定装置等である。
さらに、新規検査開発センタA1には、解析装置/分析装置201の分析装置部分を制御するための分析装置制御装置203、解析装置の解析装置部分を制御するための解析装置制御装置202が設置されている。なお、解析装置/分析装置201の解析装置部分とは、LC/MSであり、分析装置部分とは、オスモル濃度測定装置、クレアチニン測定装置である。
さらに、新規検査開発センタA1には、外部医療機関A2における尿検体プールPLから送られてくる尿検体UPを貯蔵するための尿検体貯蔵庫204が設置されている。尿検体貯蔵庫では、通常−80℃程度で尿検体が保管されている。
外部医療機関サーバ300は、メモリ301、演算装置302、通信装置303を有する。さらに、外部医療機関サーバ300は、被検者DB311、診療DB312、尿検体管理DB313、検査結果DB314を有する。外部医療機関サーバ300は、通信装置303を介して、新規検査開発サーバ100や、総合解析センタサーバ400と通信を行う。
被検者DB311には、被検者の名前や、生年月日等といった被検者に関する情報が保存されている。診療DB312には、各種検査結果を含めたカルテデータ等が保存されている。尿検体管理DB313には、尿検体プールPLに収納されている尿検体UPの採取日時等といった尿検体UPを管理するための情報が保存されている。検査結果DB314には、外部医療機関A2で行われる、がん検査モデルによるがん検査の結果が保存されている。がん検査モデルによるがん検査とは、式(1)に基づく予測値を用いたがん検査である。
まず、外部医療機関A2と連携して、新たな検査手法(新検査手法)を開発するために、がん患者あるいは健常者の尿が新規検査開発センタA1に回収される。新規検査開発センタA1では、回収された尿検体UPに対して、LC/MSによる尿中代謝物の網羅的解析、尿中の外因性あるいは内因性物質の溶質量を表すオスモル濃度測定等の分析が行われる。それらのすべての結果は解析結果DB113、分析結果DB114に保存される。なお、新規検査開発サーバ100は、外部医療機関サーバ300における被検者DB311、診療DB312、尿検体管理DB313、検査結果DB314等に保存されている様々なデータにアクセスできる。新規検査開発サーバ100は、新規検査開発センタA1における解析結果、分析結果や、外部医療機関サーバ300における被検者DB311、診療DB312、尿検体管理DB313、検査結果DB314等から収集した情報に基づいて、データカタログ117A(図2参照)を生成する。生成したデータカタログ117Aは、データカタログDB117に保存される。図3で後記するように、新規検査開発サーバ100は、データカタログ117Aから、サンドボックス121(図3参照)上に、任意のデータを読み込み、いろいろな解析ツール、あるいはユーザが使いなれた解析ツールを用いて、新たな検査手法(新検査手法)を開発する。新たな検査手法による解析結果は可視化できるようにしておく。新検査手法の候補(新検査候補)が提案されると、新規検査開発サーバ100は、提案された新検査候補に関する検査名称、尿中腫瘍マーカ候補、尿中腫瘍マーカ分析条件等のデータを新検査候補DB112に保存する。それなりのデータが集積され、新検査手法が実用に足りえる結果が確認できたところで、新検査手法DB111に、新検査手法に関する検査名称、尿中腫瘍マーカ名、分析条件、がん検査モデル等が保存される。ちなみに、がん検査モデルとは、式(1)において、どの尿中腫瘍マーカを用いて、各定数をどの値にするかといったことである。
なお、被検者DB311、診療DB312、尿検体管理DB313、検査結果DB314、解析結果DB113、分析結果DB114に格納されているデータは、被検者IDや、検査ID等に紐づけられる等によって、どの被検者のデータであるかがわかるように保存されている。
(データカタログ117A)
図2は、データカタログDB117に保存されているデータカタログ117Aの一例を示す図である。
データカタログ117Aは、「データ種別」、「出所」、「オーナ」、「タグ」、「最終更新日」、「種別」、「ファイル形式」の各項目を有する。
「データ種別」には、がん検査モデルによるがん検査で特徴的なパラメータとして、「尿検体情報」、「被検者情報」、「診療情報/検査数値」、「診療情報/検査画像」、「尿検体UPの網羅的解析結果」、「尿検体分析結果/オスモル濃度」、「尿中腫瘍マーカ定量結果」、「尿検体ウイルスチェック」、「がん検査モデルによる解析結果」、「がん検査モデルによるリスク評価」等が保存される。なお、「診療情報/検査画像」には、後記するMIBGシンチグラフィー画像やCT画像等が含まれる。また、「がん検査モデルによる解析結果」とは、式(1)に基づく予測値の値であり、「がん検査モデルによるリスク評価」とは、式(1)に基づく予測値による、実際のがんの陽性・陰性の評価結果である。
「出所」には、「内部解析センタ」等のレコードに保存されているデータが、どの施設から取得されたかに関する情報である。ここで、内部解析センタ(不図示)とは、新規検査開発センタA1の中で、解析装置/分析装置201による解析・分析が行われるところである。
「オーナ」は、「出所」に保存されている施設の長である。
「タグ」は、データ本体のリンクが保存されている。新規検査開発サーバ100は、「タグ」に保存されているリンク先から必要なデータを取得することができる。
「種別」は、対応するデータが「社内」から取得されたものか、「社外」から取得されたものかに関する情報が保存される。なお、「社内」とは新規検査開発センタA1の内部を意味し、「社外」とは新規検査開発センタA1の外部を意味する。
「ファイル形式」は、データの保存形式の情報が格納されている。データベースには、検査数値のような構造データばかりでなく、画像のような非構造データも含まれているので、「ファイル形式」では、その区別を示している。
つまり、外部医療機関A2から入手した尿検体UPについての解析結果、及び、がん検査結果が「タグ」のリンク先として、被検者情報、診療情報、検体管理情報とともに、すべてデータカタログ117Aに保存されている。解析結果とは、尿の溶質量を推定するためのオスモル濃度測定結果や、クレアチニン測定結果等の分析結果、LC/MSによる尿中代謝物の網羅的解析結果、尿中腫瘍マーカの定量結果等を含む。がん検査結果とは、がん検査モデルによるがん検査の結果に加えて、尿中腫瘍マーカを使用しないがん検査結果も含む。尿中腫瘍マーカを使用しないがん検査結果には、MIBG(メタヨードベンジルグアニジン)シンチグラフィー等の画像診断結果、組織、細胞による病理検査結果等である。なお、外部医療機関A2では、予めわかっている尿中腫瘍マーカの組み合わせを用いた式(1)によって、がん検査モデルによるがん検査が行われる。
「タグ」のリンク先に保存されているデータ本体は、数値等の構造データに加えて、MIBGシンチグラフィー画像等の非構造データが含まれる。それぞれのデータをメタデータ管理によるデータカタログ117Aとし、新検査手法の開発において、使用したいデータを対応するデータベースから簡単に各種情報を抽出できるようにしておく。このようにすることで、新検査手法の開発に必要なデータを容易に取得することができる。ちなみに、各データが表す属性や関連する情報を記述したのがメタデータである。
このようなデータカタログ117Aはデータレイクという考え方に基づくものである。データスワンプ化させないために、メタデータによる情報管理は非常に重要となる。
なお、データカタログ117Aに保存される各データ及び各情報は、管理者等が手入力で入力することが基本であるが、「被検者情報」等、新規検査開発サーバ100によって自動的に収集可能な情報については、新規検査開発サーバ100が収集してもよい。
また、「出所」、「オーナ」、「種別」の情報は省略可能である。
(手順概要)
図3は、本実施形態における新検査手法の開発手順の概要を示す図である。
新規検査開発サーバ100は、各種DB113,114,311〜314からデータカタログ117Aを生成する。そして、新規検査開発サーバ100は、生成したデータカタログ117Aから必要なデータをサンドボックス121に抽出する。このサンドボックス121では、様々な解析ツールを用いて種々解析を行うことになる。各種検査結果、解析結果、分析結果等をデータカタログ117Aとして統合できるようにしておいて、いろいろなデータ解析を行って可視化できるようにしてあることが本実施形態のポイントとなる。解析ツールによる結果は、表示装置105に表示される。
(詳細な手順)
図4は、本実施形態における新検査手法の開発における詳細な手順を示すフローチャートである。
なお、図4のステップS301が、図3のサンドボックス121で行われる処理に相当する。
基本的には、新規検査開発センタA1が、大学病院、公的医療機関等から、尿検体群UG(健常者/がん患者)を、診療データを含めて回収する(S101)。
回収された尿検体群UGにおける尿検体UPは、新規検査開発センタA1に設置されているLC/MSによって網羅的に解析される(S102)。ここでは、健常者の尿検体UPと、がん患者の尿検体UPとについて、LC/MSによる解析が行われ、尿中代謝物を多数検出する。後記する処理で、健常者由来の尿中代謝物と、がん患者由来の尿中代謝物とを識別するために、できるだけ多くの尿中代謝物が検出されることが望ましい。そのために、液体クロマトグラフィーにおける複数の分離モード(逆相モード及び親水性相互作用モード)と、質量分析計における正負エレクトロスプレーイオン化法を組み合わせた解析が行われる。
次に、新規検査開発サーバ100がLC/MSの解析によって得られた解析結果ついてピークアノテーションを行う(S102A)。ピークアノテーションとは、LC/MSによる解析の結果、得られたピークについて、物質のピークに関する情報が格納されているデータベースによる検索を行い、物質を同定することである。
次に、新規検査開発サーバ100が、LC/MSの解析によって得られた解析結果についてデータの前処理を行う(S103)。前処理として、例えば、以下の(T1)に記載する手法等がある。
(T1)尿検体UPは被検者の身体状況によって、その濃度が異なることが予想される。これを補正するため、新規検査開発サーバ100が、オスモル濃度を利用した補正、又は尿中クレアチニンの定量による補正、等を適用してもよい。これらの補正により、オスモル濃度で正規化した解析データの取得が可能となる。
新規検査開発サーバ100は、前処理を行った解析結果や、外部医療機関サーバ200の被検者DB311、診療DB312、尿検体管理DB313、検査結果DB304から収集したデータを基に、後記するようにデータカタログ117Aを生成する(S112)。
新規検査開発サーバ100は、必要に応じて、ウィルコクソン順位和検定により健常者に対して、がん患者で有意な差がある尿中代謝物に対して、p値による絞り込みを行う(S105)。このときの有意水準は5%とする。この結果、p<0.05の尿中代謝物が抽出される(S106)。
次に、新規検査開発サーバ100が、機械学習のひとつであるランダムフォレスト(RF:Random Forest)解析を行い、尿中代謝物の重要度の評価を定量的に行う(S107)。これは、ウィルコクソン検定では重要な尿中腫瘍マーカ候補を絞り込むことはできるものの定量的な評価が難しいためである。ランダムフォレスト解析が行われることで、絞り込んだ尿中代謝物(つまり、尿中腫瘍マーカ候補)に対して、重要度の数値が高いほど重要な尿中代謝物となり、上位にランク付けされる。
また、ステップS102の解析によって得られた解析結果における尿中代謝物について、代謝物DB115を検索することで、構造が既知物質(構造既知尿中代謝物)であることが判明する場合、代謝経路DB116が検索されることで、代謝経路解析が行われる(S121)。代謝経路解析の結果、尿中代謝物が生体外の薬物等に由来するものでなければ腫瘍マーカ候補となる。代謝経路解析については後記する。
一方、ステップS102の解析によって得られた解析結果における尿中代謝物のうち、公共データベース等で検索されない構造未知の尿中代謝物(構造未知尿中代謝物)について、尿中代謝物の構造解析が行われる(S201)。ステップS201では、構造未知の尿中代謝物について、高分解能質量分析や、タンデム質量分析による解析が行われる。高分解能質量分析によって得られた正イオン、負イオンのマススペクトル、及び、タンデム質量分析によって得られた正イオン、負イオンの質量分析/質量分析スペクトル(MS/MSスペクトル)から構造未知尿中代謝物の構造が推定される。すなわち、構造未知尿中代謝物の分子式が推定される。
さらに、推定された尿中代謝物の構造について、フラグメンテーション解析(例えば、In−Silicoでのフラグメンテーション解析)が行われる(S202)。その後、解析員が、フラグメンテーション解析の結果と、実測したMS/MSスペクトルとの一致度を評価する。一致度が高い場合、解析員は、推定された尿中代謝物の構造は正しいものと判定する。
構造が正しいものと判定されると、推定された分子式を基に、当該尿中代謝物の標準品が合成される(S203)。前記したように、標準品とは、対象となる尿中腫瘍マーカと同一、あるいはほぼ同一の構造を有する化学物質を同位体ラベル化したものである。標準品が合成された代謝物は構造解析尿中代謝物となる。
そして、構造解析尿中代謝物に対して代謝経路解析が行われる(S121)。代謝経路解析の結果、がんに関係すると判定された尿中代謝物が尿中腫瘍マーカ候補となる。
代謝経路解析では、代謝物DB115や、代謝経路DB116を参考に、既知の代謝経路のどこに目的とする尿中代謝物が関係するかが解析されるとともに、文献検索が実施されて過去にがんと関連した尿中代謝物であるという報告がされているかを解析員が調査する。ここで、文献検索には、診療情報による疾患情報や、投薬情報が含まれる。これらの解析の結果、尿中代謝物が、がんに関係すると判定されると、当該尿中代謝物について尿中腫瘍マーカとしての妥当性が高いと判断される。ちなみに、一般に、がんは遺伝子の病気となっている。つまり、遺伝子異常が生じ、細胞増殖が停止せずに細胞が不要な増殖を続ける。ここで、細胞が増殖するには、莫大なアデノシン3−リン酸(ATP)に加えて、DNAを構成する核酸、蛋白質等を構成するアミノ酸、細胞膜を構成するリン脂質、脂肪酸等も膨大に必要となる。従って、尿中腫瘍マーカとして、アミノ酸、核酸、脂肪酸等が選択されるのは合理的な結果と考えられる。
図5A及び図5Bは、代謝経路解析の一例を示す図である。
図5Aに示すように、「代謝サブパスウェイ#1」、「代謝サブパスウェイ#2」、「代謝サブパスウェイ#3」のいずれかに関わる尿中代謝物が、小児がん(神経芽腫)患者と、健常者とを区別する「尿中腫瘍マーカ群#1」を構成する尿中腫瘍マーカ候補となる。
また、図5Bに示すように、「代謝サブパスウェイ#4」、「代謝サブパスウェイ#5」、「代謝サブパスウェイ#6」のいずれかに関わる尿中代謝物が、小児がん(神経芽腫)患者と、健常者とを区別する「尿中腫瘍マーカ群#2」を構成する尿中腫瘍マーカ候補となる。ここで、「尿中腫瘍マーカ群#1」を構成する尿中腫瘍マーカ候補と、「尿中腫瘍マーカ群#2」を構成する尿中腫瘍マーカ候補とは異なる。
図4の説明に戻る。
ステップS107の後、新規検査開発サーバ100が、最終的に抽出した腫瘍マーカ候補群を用いて、多変量解析の一種であるOPLS判別を行う(S108)。これにより、健常者とがん患者を識別するための予測式が計算される。
OPLS判別の場合、尿中腫瘍マーカ数が多くなった場合には、以下の式(11)及び式(12)のような指標を用いて判断することも可能である。ここで、R2Yは説明変数、Q2は予測変数と呼ばれるもので、R2Yの値が1に近いほどモデルの精度は高く、Q2の値が1に近いほどモデルの予測性は高い。
R2Y=1−{Σ(Yobs−Ycalc)/Σ(Yobs−Yave)
・・・ (11)
Q2=1−{Σ(Yobs−Ypred)/Σ(Yobs−Yave)
・・・ (12)
なお、式(11)、式(12)において、Yobsは実測値、YcalcはOPLSによる計算値、Ypredは交差検証を行った際の予測値、Yaveは平均値を示す。ここで、実測値とは、実際に算出された予測値の値である。交差検証とは、対象となるデータを分割し、その一部をまず解析し、次に残る部分で解析を行うことで、解析自身の妥当性の検証・確認に当てる手法である。これによれば、R2Y値が1に近いほどモデルの精度は高く、Q2値が1に近いほどモデルの予測性は高いといえる。従って、尿中腫瘍マーカの数と種類を変えることによって生成されるがん検査モデルの妥当性を決めるうえで、定量的な評価が可能となる。このようにして、説明変数、予測変数の評価が行われる(S109)。
さらに、図6に示すような代謝物パネルを用いて尿中代謝物の絞り込みの評価することも有効である。本実施形態では、図6に示すような代謝物パネルを用いて尿中代謝物の絞り込みの評価を行うことを基準外サンプル判定と称する(S110)。なお、図6では、小児がんに関する代謝物パネルを示している。絞り込まれた尿中代謝物は、尿中腫瘍マーカ候補となる。
図6に示す代謝物パネルは、横軸がグループ、年齢、性別、各尿中代謝物の代謝物名となっている(診療情報)。縦軸が被検者となっている。この代謝物パネルにおける基準範囲は、健常者における測定値の95%区間を意味しており、限界値は以下の式(21)で算出される。
平均値±1.96×標準偏差 ・・・ (21)
図6における代謝物パネル内の数値はLC/MS測定値を対数変換により正規近似した値である。そして、斜線部は基準範囲から外れている値であることを示している。このような代謝物パネルを作成することにより、どの尿中代謝物が尿中腫瘍マーカとして有効かを判断する材料となる。図6における斜線を有している尿中代謝物(つまり、図6に示されている尿中代謝物のすべて)が、がん検査に有効な尿中代謝物(すなわち、尿中腫瘍マーカ候補)となる。
このようにして、尿中腫瘍マーカ群が決定され、新規検査開発サーバ100は、決定された尿中腫瘍マーカ群による予測値(式(1))、すなわち、がん解析モデルを決定する(S111)。
新規検査開発サーバ100は、ステップS111で決定されたがん解析モデルを含めて、各種データベースからいろいろな情報(特に、診療情報、がん解析モデル等)を引き出せるデータカタログを生成する(S112)。これを基に、新規検査開発サーバ100は、新検査手法を検討し、検討結果を表示装置105に出力する(S301)。
また、ステップS102で得られた解析結果を基に、新検査手法の検討及び出力が行われる(S301)。新検査手法は、尿中腫瘍マーカの組み合わせだけでなく、検査条件の調整や、異なる解析結果の関連付け等が行われる。ステップS301の処理は、解析員による手作業でもよいし、新規検査開発サーバ100が行ってもよい。あるいは、一部が解析員による手作業であってもよい。
なお、ウィルコクソン順位和検定(S105)、ランダムフォレスト解析(S107)、OPLS判定(S108)は、必要に応じて行われればよく、すべてが行われる必要はない。
(第1適用例)
次に、図7〜図9を参照して、本実施形態に示す新規検査開発システム1を小児がん(神経芽腫)に適用した例を示す。図7〜図9に示す適用例は、図4のステップS301で検討された新検査手法の例である。
まず、図7に、これまで一般的に行われている小児がんの検査結果を示す。
図7には、0歳児から10歳児までの小児がん6名と健常な児58名を一般的にも知られている手法で検査した例を示している。
このときの尿中腫瘍マーカは、3−methoxy−tyramine、sulfate、xanthopterin、cortisolの3種である。つまり、これらの尿中腫瘍マーカの強度に基づいた式(1)により、図7に示す予測値が算出される。なお、図8に示す予測値も同様である。
図7において、ドットで示す棒グラフは、あらかじめ小児がんであることが分かっている患者6名それぞれの予測値を示す。また、白抜きで示す棒グラフは、予め健常であることが分かっている患者58名それぞれの予測値を示す。予測値が正であれば陽性であることを示し、予測値が負であれば陰性であることを示す。
図7に示すように、あらかじめ小児がんであることが分かっている患者では、正確な結果が得られている。しかし、予め健常であることがわかっている健常者については、破線丸で示した健常者に正の予測値、すなわち、偽陽性が現れている。ちなみに、図7では、結果をわかりやすくするため、わざと偽陽性が顕著にでるよう、予測値における尿中腫瘍マーカを組み合わせている。
この検査結果について、感度及び特異度を評価する。
感度は以下に示す式(31)で表され、特異度は以下に示す式(32)で表される。
感度=(予測値によって小児がんと検出された人数/実際の小児がん数)×100
・・・ (31)
特異度=(予測値によって健常な児と検出された人数/実際の健常な児の数)×100)
・・・ (32)
ここで、予測値によって小児がんと検出された人数は、予測値が負となった患者の数である。同様に、予測値によって健常な児と検出された人数は、予測値が正となった患者の数である。
図7に示す、式(31)、式(32)を適用すると、以下の結果が得られる。
感度=(6/6)×100=100%
特異度=((58−5)/58)×100=91.3%
特異度については、100%ではないものの、それなりの結果が得られているということで、これまでは、最終検査結果として処理してしまっていた。
次に、本実施形態に示す新規検査開発システム1で、図7における小児がんのケースをみなおしてみる。
図8は、図7に示す検査に用いられたデータの年齢構成を示す図である。
図8において、白抜きの部分は、予め健常と分かっている患者において陰性と判定された患者数を示す。ドットの部分は、予めがん(小児がん)を発症している患者において陽性と判定された患者数を示す。そして、斜線の部分は、予め健常とわかっている患者において陽性と判定された患者、すなわち、偽陽性の患者数を示す。ちなみに、陽性とは予測値が正となることであり、陰性とは、予測値が負となることである。
図8から、図7の検査結果で偽陽性と出ていたのは、すべて0歳児であることがわかる。従って、図8の検査結果に基づくと、0歳児と1歳児以上とで検査結果を分けることが望ましいとわかる。具体的には、0歳児を除去することが望ましいとわかる。
図7の検査結果から、0歳児を除去した(診療情報の組み合わせ)検査結果を図9に示す。図9について、ドットの棒グラフ、及び、白抜きの棒グラフは図7と同様である。図9では偽陽性が現れていないことがわかる。
図9の検査結果として、図7と同様に感度及び特異度が算出されると、以下の結果が得られる。
感度=(6/6)×100=100%
特異度=(48/48)×100=100%
この結果から、図7の検査と比較して、特異度の値が改善されていることがわかる。
このように、年齢毎に検査を分けることは当初想定していなかった検査法である。本実施形態による新規検査開発システム1により、新たな検査法を生み出すことができることが確認された。
図4のステップS301において、新規検査開発サーバ100は、図7及び図8における新検査手法を、例えば、以下の手順で提案することも可能である。
(Z1)ユーザは、感度及び特異度が高くなることを新検査の条件として、入力装置104を介して新規検査開発サーバ100に入力する。
(Z2)新規検査開発サーバ100は、感度及び特異度を用いる検査手法において用いるデータをデータカタログ117Aから収集し、ランダムに組み合わせて感度及び特異度が高くなるデータの組み合わせを抽出する。例えば、偽陽性の数を評価値として、新規検査開発サーバ100は、当該評価値(偽陽性の数)が最も低くなるデータ(診療情報)の組み合わせを検索する。
(Z3)新規検査開発サーバ100は、0歳児をデータから除外すると感度及び特異度が高くなることを抽出すると、その検査手法を新検査手法として表示装置105に表示する。
(第2適用例)
次に、図10A〜図12を参照して、本実施形態に示す新規検査開発システム1を小児がん(神経芽腫)に適用した別の例を示す。図10A〜図12に示す適用例は、図4のステップS301で検討された新検査手法の例である。
小児がん(神経芽腫)では、MIBGシンチグラフィーの画像(MIBGシンチグラフィー画像)による検査を行う場合がある。これは、造影剤であるMIBGが神経芽腫付近に集まることを利用した検査法であり、放射性ラベルを行ったMIBGを静脈注射し、その後、MIBGの分布を画像化する手法である。
神経芽腫部分を縦横の長さと最大輝度で表すことによって、MIBGシンチグラフィー画像における神経芽腫部分の大きさを示すこととする。
図10A及び図10Bは、治療効果が高い場合における治療前後のMIBGシンチグラフィー画像である。図10Aは、治療前のMIBGシンチグラフィー画像であり、図10Bは、治療後のMIBGシンチグラフィー画像である。
図10A及び図10Bは同一の患者によるMIBGシンチグラフィー画像である。また、図10A及び図10Bにおいて、太破線楕円は注目領域を示し、上下白矢印はがん領域の大きさを示している。また、図10A、図10Bにおいて、細破線は放射線が主に検出された箇所、すなわち、神経芽腫部分を示している。なお、図10Bでは、放射線の検出が、非常に弱くなっている。
図10A及び図10Bから、がんが小さくなっていることがわかる。すなわち、治療効果が得られていることがわかる。
図10Cは、図10A及び図10Bに対応する予測値を示している。図10Cにおいて、符号B11は、図10Aの撮像時における予測値を示し、符号B12は図10Bの撮影時における予測値を示す。予測値は、ある尿中腫瘍マーカの組み合わせに基づいて算出されている。
図10Cから治療前では陽性を示していたのが、治療後には陰性を示している。この予測値は、図10A及び図10Bの結果と、よく適合していることがわかる。
図11A及び図11Bは、治療効果が低い場合における治療前後のMIBGシンチグラフィー画像である。図11Aは、治療前のMIBGシンチグラフィー画像であり、図11Bは、治療後のMIBGシンチグラフィー画像である。
図11A及び図11Bは同一の患者によるMIBGシンチグラフィー画像である。また、図11A及び図11Bにおいて、太破線楕円は注目領域を示し、上下白矢印はがん領域の大きさを示している。また、図11A、図11Bにおいて、細破線は放射線が主に検出された箇所、すなわち、神経芽腫部分を示している。図11A及び図11Bから、むしろがんが大きくなっていることがわかる。すなわち、治療効果が得られていないことがわかる。なお、図11Bにおけるがん領域は、図11Aにおけるがん領域から位置が移動しているが、がんが移動したことを示している。
図11Cは、図11A及び図11Bに対応する予測値を示している。図11Cにおいて、符号B21は、図11Aの撮像時における予測値を示し、符号B22は図11Bの撮影時における予測値を示す。予測値は、図10Cに示す尿中腫瘍マーカの組み合わせと同じ組み合わせに基づいて算出されている。
図11Cから治療前後において予測値がともに陽性(正)を示している。この予測値は、図11A及び図11Bの結果と、よく適合していることがわかる。
図12は、図10A〜図11Cに示す結果をまとめた表である。
図12に示す表において、検査番号「10001(治療前)」は、図10A、及び、図10Cにおける符号B11に該当する。検査番号「10002(治療後)」は、図10B、及び、図10Cにおける符号B12に該当する。検査番号「10003(治療前)」は、図11A、及び、図11Cにおける符号B21に該当する。検査番号「10004(治療後)」は、図11B、及び、図11Cにおける符号B22に該当する。
また、図12に示す表において、予測値の正負は、図10Cにおける符号B11,B12、図11Cにおける符号B21,B22で示される予測値の正負に対応する。画像検査(腫瘍大きさ)の項目における「横長さ」は、図10A、図10B、図11A、図11Bにおける紙面横向きの白矢印の長さを示している。また、「縦長さ」は、図10A、図10B、図11A、図11Bにおける紙面縦向きの白矢印の長さを示している。そして、「輝度」は、図10A、図10B、図11A、図11Bにおけるがん領域の画素輝度の平均値を示している。
図12に示す結果から、予測値の正負と、MIBGシンチグラフィー画像におけるがん領域の大きさ(治療の効果の有無)や、輝度は、よく対応していることがわかる。
このようなデータを収集することで、がん領域の大きさや、輝度を予測値の正負で判定する新しい指標とすることが可能となる。すなわち、放射性ラベルを行ったMIBGを静脈注射しなくても、がん領域の大きさを予測値の正負で判定することができる。このようにすれば、放射性ラベルを行ったMIBGを静脈注射する必要がなくなるため、(特に子供に対して)好ましい結果を得ることができる。
図4のステップS301において、新規検査開発サーバ100は、図10A〜図12における新検査手法を、例えば、以下の手順で提案する。
(Y1)ユーザは、MIBGシンチグラフィー画像と、予測値との関係を出力するよう、入力装置104を介して新規検査開発サーバ100に指示する。
(Y2)新規検査開発サーバ100は、データカタログ117Aから、MIBGシンチグラフィー画像と、MIBGシンチグラフィー画像が撮像された時に採取された尿検体UPに基づく尿中代謝物の強度情報を取得する。MIGBシンチグラフィー画像と、尿中代謝物の強度情報とは、治療前後について取得される。
(Y3)新規検査開発サーバ100は、MIGBシンチグラフィー画像におけるがん領域の大きさを算出する。また、尿中代謝物を様々に組み合わせて予測値を算出する。
(Y4)新規検査開発サーバ100は、以下の条件(Y10)が成立し、かつ、条件(Y20)が成立する尿中代謝物の組み合わせを抽出する。
条件Y10:以下の条件(Y11)が成立し、かつ、条件(Y11)が成立する。
条件Y11:治療前ではMIGBシンチグラフィー画像におけるがん領域の大きさが所定の大きさM1以上であり、治療後では所定の大きさM2以下となっている(M1>M2)。なお、がん領域の大きさは、図10A、図10B、図11A、図11Bにおける紙面横方向及び縦方向の矢印の大きさを基に算出されるものである。
条件Y12:治療前では予測値が正であり、治療後では予測値が負となっている。
条件Y20:以下の条件(Y21)が成立し、かつ、条件(Y21)が成立する。
条件Y21:治療前ではMIGBシンチグラフィー画像におけるがん領域の大きさが所定の大きさM1以上であり、治療後では所定の大きさM3以上となっている。ここで、M1≧M3(ただし、M3>M2)でもよいし、M1≦M3でもよい。
条件Y12:治療前では予測値が正であり、治療後でも予測値が正となっている。
例えば、新規検査開発サーバ100は、条件(Y10)が成立し、かつ、条件(Y20)が成立する場合、評価値を「1」とし、条件(Y10)が成立しない、または、条件(Y20)が成立しない場合、評価値を「0」とする。そして、新規検査開発サーバ100は、評価値が「1」となる尿中代謝物(尿中腫瘍マーカ)を検索する。
(Y5)新規検査開発サーバ100は、抽出した予測値と、MIGBシンチグラフィー画像の大きさの関係を、図12に示すような形式で表示装置105に表示する。
(第3適用例)
次に、図4のステップS105〜S112の処理による新検査手法の開発例を示す。
ここでは、種類及び代謝経路が異なる尿中腫瘍マーカ群の組み合わせを用いたがん検査について説明する。例えば、小児がん(神経芽腫)には4Sと呼ばれる治療をしなくても自然消滅するものもある。これまでは4Sの小児がんに対しても治療を行っていたが、過剰診療の指摘も存在する。そこで、まず、図4のステップS109における説明変数/予測変数の評価により尿中腫瘍マーカの数を3個まで落としても問題ないということが判断されたうえで、3個の尿中腫瘍マーカの組み合わせが、いろいろと評価される。「尿中腫瘍マーカ群#1」と「尿中腫瘍マーカ群#2」とによる予測値を用いることが有効であることがわかった。ここで、「尿中腫瘍マーカ群#1」は、3−methoxytyramine sulfate、xanthopterin、cortisolである。また、「尿中腫瘍マーカ群#2」は、HVA、VMA、2−hydroxy−3−methylvalerateである。「尿中腫瘍マーカ群#1」による予測値は、4Sの神経芽腫以外の症例で高い値を示す。また、「尿中腫瘍マーカ群#2」による予測値は、4Sの神経芽腫で高い値を示す。
図13は、「尿中腫瘍マーカ群#1」及び「尿中腫瘍マーカ群#2」と、神経芽腫種類との関係を示す表である。「尿中腫瘍マーカ群#1」及び「尿中腫瘍マーカ群#2」の項目における「+」は予測値が正の値を示すことを意味しており、「−」は予測値が「負」の値を示すことを意味している。また、神経芽腫種類の項目において、「陽性(4S以外)」は、式(1)の予測値に基づかない診療で4S以外の神経芽腫と判定された患者を示す。また、「4S」は、式(1)の予測値に基づかない診療で4Sの神経芽腫と判定された患者を示す。「陰性」は、式(1)の予測値に基づかない診療で神経芽腫なしと判定された患者を示す。なお、「尿中腫瘍マーカ群#2」において、「陽性(4S以外)」に「+」、「−」の2つが記載されているが、これは、神経芽腫の状態によって予測値が正の値を示すこともあれば、負の値を示すこともあることを意味する。
これまでは、主に「尿中腫瘍マーカ群#2」による4Sの神経芽腫の判定が行われてきた。しかし、図13に示すように、「尿中腫瘍マーカ群#2」では、4S以外の神経芽腫でも陽性を示すことがあるため、精度の高い判定ができない。そこで、「尿中腫瘍マーカ群#2」に加えて、「尿中腫瘍マーカ群#1」も判定に加えられる。これにより、図13に示すように、「尿中腫瘍マーカ群#1」による予測値が負(「−」)、「尿中腫瘍マーカ群#2」による予測値が正(「+」)であれば4Sの神経芽腫であると判定できる。これにより、4Sの神経芽腫と、4S以外の神経芽腫との区別の精度を向上させることができる。
第3適用例では、図4のステップS112において、例えば、以下のような処理が行われる。
(X1)ユーザが、4Sの神経芽腫と判定された患者における尿中代謝物のデータ、及び、4S以外の神経芽腫と判定された患者における尿中代謝物のデータを収集するよう、入力装置104を介して新規検査開発サーバ100に指示する。新規検査開発サーバ100は、指示に基づいて、4Sの神経芽腫と判定された患者における尿中代謝物のデータ、及び、4S以外の神経芽腫と判定された患者における尿中代謝物のデータをデータカタログ117Aから収集する。
(X2)次に、ユーザは、4Sの神経芽腫と、4S以外の神経芽腫とで差異が認められる、尿中腫瘍マーカ群の組み合わせを出力するよう、入力装置104を介して新規検査開発サーバ100に入力する。
(X3)新規検査開発サーバ100は、それぞれの尿中腫瘍マーカ群について、「陽性(4S以外)」、「4S」における予測値の差異を評価値として算出する。例えば、新規検査開発サーバ100は、図13の「尿中腫瘍マーカ群#1」のように、「陽性(4S以外)」と、「4S」とで予測値の正負が明確にわかれる場合、評価値を「1」とする。また、新規検査開発サーバ100は、図13の「尿中腫瘍マーカ群#2」のように、「4S」の予測値が正又は負のどちらか一方に統一されているが、「陽性(4S以外)」が2つの結果に分かれる場合は、評価値を「0.5」とする。同様に、「陽性(4S以外)」の予測値が正又は負のどちらか一方に統一されているが、「4S」が2つの結果に分かれる場合は、評価値を「0.5」とする。なお、新規検査開発サーバ100は、「陽性(4S以外)」と「4S」とで、まったく同じ結果(正負が同じ)となる尿中腫瘍マーカ群は、評価値を「0」とする。
(X4)新規検査開発サーバ100は、任意の2つの尿中腫瘍マーカ群の組み合わせについて、それぞれの評価値の合計値を算出する。図13の例では、「尿中腫瘍マーカ群#1」の評価値が「1」で、「尿中腫瘍マーカ群#2」の評価値が「0.5」であるので、「尿中腫瘍マーカ群#1」及び「尿中腫瘍マーカ群#2」の組み合わせにおける評価値の合計値は「1.5」となる。
(X5)新規検査開発サーバ100は、例えば、評価値が「1.5」以上となる尿中腫瘍マーカ群の組み合わせをリストとして表示装置105に表示する。
(X6)ユーザは、リストされた尿中腫瘍マーカ群の組み合わせを検討することで、「陽性(4S以外)」と、「4S」とを区別可能な尿中腫瘍マーカ群の組み合わせを抽出する。
尿中代謝物の種類は多く、これまで知られていない検査手法が数多くあることが予想される。本実施形態によれば、尿中代謝物や、診療情報等をうまく組み合わせることによって、新たな検査手法を容易に抽出することができる。そして、抽出した新検査手法によって、当初予想していなかった情報を引き出すことができる。
また、ウィルコクソン順位和検定、及び、ランダムフォレスト解析のうち、少なくとも一方によって、尿中代謝物の組み合わせの絞り込みを行うことによって、がん検査モデルに用いる予測値の絞り込みを容易に行うことができる。
LC/MSによる尿検体UPの解析を行うことで、網羅的な尿検体の解析を行うことができる。
また、診療データ(診療情報)を外部医療機関サーバ300から取得することで、外部医療機関A2に蓄積されている膨大な診療データを利用することができる。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、各DB111〜118のうち、少なくとも1つが新規検査開発サーバ100に備えられていなくてもよい。つまり、各DB111〜118のうち、少なくとも1つに格納されているデータは、クラウド(不図示)など新規検査開発サーバ100の外部に記憶されていてもよい。
また、前記した各構成、機能、各DB111〜118,311〜314等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図1に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU等の演算装置102,302がそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に保存すること以外に、メモリ101,301や、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に保存することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
100 新規検査開発サーバ
102 演算装置(検索部)
104 入力装置(入力部)
117 データカタログDB(記憶部)
117A データカタログ(がんに関する患者の診療情報、尿中代謝物に関する情報)
121 サンドボックス(検索部)
201 解析装置/分析装置(LC/MS)
300 外部医療機関サーバ(医療機関サーバ)
A2 外部医療機関(医療機関)
S301 新検査手法の検討・出力(検索ステップ、出力ステップ)

Claims (5)

  1. 入力部を介して入力された情報を基に、がん患者及び健常者の診療情報、及び、がん患者及び健常者の尿から抽出される尿中代謝物の情報の少なくとも一方について、所定の評価値を基に、前記診療情報の最適な組み合わせ、及び、前記尿中代謝物の最適な組み合わせの少なくとも一方を検索する検索部と、
    前記検索部による検索の結果を出力する出力部と、
    を有することを特徴とする新規検査開発サーバ。
  2. 前記検索部は、
    ウィルコクソン順位和検定、及び、ランダムフォレスト解析のうち、少なくとも一方によって、前記尿中代謝物の組み合わせの絞り込みを行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の新規検査開発サーバ。
  3. 前記尿中代謝物に関する情報は、LC/MSによる尿の解析結果である
    ことを特徴とする請求項1に記載の新規検査開発サーバ。
  4. 前記新規検査開発サーバは、
    医療機関に設置されている医療機関サーバから、前記診療情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の新規検査開発サーバ。
  5. 新規検査開発サーバが、
    入力部を介して入力された情報を基に、がん患者及び健常者の診療情報、及び、がん患者及び健常者の尿から抽出される尿中代謝物の情報の少なくとも一方について、所定の評価値を基に、前記診療情報の最適な組み合わせ、及び、前記尿中代謝物の最適な組み合わせの少なくとも一方を検索する検索ステップと、
    前記検索ステップによる検索の結果を出力する出力ステップと、
    を実行することを特徴とする新規検査開発方法。
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