JP2021122180A - 疾患dnaの定量方法 - Google Patents

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圭誉 田久保
Keiyo Takubo
圭誉 田久保
大樹 雁金
Daiki Karigane
大樹 雁金
秀範 笠原
Hidenori Kasahara
秀範 笠原
貴史 佐々木
Takashi Sasaki
貴史 佐々木
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Abstract

【課題】高感度に精度よくMRDを定量することができる、染色体転座を有する疾患DNAの定量方法を提供する。【解決手段】染色体転座を伴う疾患を有する対象のDNA試料を鋳型として、転座が生じた染色体の切断点を含むDNA領域(b)及び正常染色体の対応する前記切断点の座標を含むDNA領域(n)の核酸増幅反応を行い、増幅産物を得る工程と、前記増幅産物の配列解析を行い、DNA領域(b)のリード数(b)及びDNA領域(n)のリード数(n)を取得する工程と、DNA領域(b)/DNA領域(n)が互いに異なる複数の標準DNA試料を用いて、検量線を作製する工程と、前記検量線を用いて、前記DNA試料におけるDNA領域(b)/DNA領域(n)を算出する工程と、を含む、疾患DNAの定量方法。【選択図】なし

Description

本発明は、疾患DNAの定量方法に関する。特に、染色体転座を伴う疾患の治療中に、微小残存病変を定量する方法に関する。また、本発明は、22番染色体と9番染色体との転座の切断点同定用プライマーセット、並びに22番染色体と9番染色体との転座の切断点の同定方法に関する。
チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)により慢性骨髄性白血病(CML)の治療は大きく前進し、慢性期CML患者が、CMLを原因として亡くなることはほとんどなくなっている。さらに、深い寛解を果たしたCML患者では、TKIの休薬も検討されている状況である。一方で、白血病幹細胞等の微小残存病変(minimal residual disease:MRD)が残存している限り再発の危険性がなくなるわけではない。日本血液学会「造血器腫瘍診療ガイドライン」2018年版では、「DMR(Deep Molecular Response;分子遺伝学的に深い寛解)を達成しMRDが検出されなければTKI中止は勧められるか」という問いに対して、「DMRが得られて安全にTKI治療が終了できる基準が確立されるまでは,臨床試験以外でTKIを中止すべきではない。」という見解を出している。そのため、現状では、MRDが極めて少数、あるいは根絶できていたとしても、TKI服用を続けているケースが存在する。
しかしながら、最近、TKI服用を中止しても、分子遺伝学的再発がみられない(無治療寛解:TFR)場合があることが報告されている。TKIの服用は少なからず身体には副作用をもたらし、経済的負担も課すことから、患者のQOL、及び予後改善のためにもTKI治療終了の基準を提供し得る技術、例えば、より高感度なMRD検出技術が必要とされている。
CMLは、造血幹細胞(HSC)のクローンが異常に発生しながら、骨髄内に異常な細胞が過度に増殖して生ずる疾患である。CMLは、9番染色体と22番染色体との転座(t(9;22)(q34;q11))によって生じたフィラデルフィア染色体(Ph染色体)によって発病する。前記染色体転座によって、9番染色体のABL1遺伝子と、22番染色体のBCR遺伝子との融合が起き、BCR−ABL1融合遺伝子が生じる。この融合遺伝子にコードされて産生するBCR−ABL1チロシンキナーゼが恒常的に活性化し、白血病細胞の増殖に関与する。
従来のMRDの検出方法では、BCR−ABL1融合遺伝子の転写物であるBCR−ABL1融合mRNAを検出することで、MRDの判定を行っていた。しかしながら、白血病幹細胞(LSC)は、一般的に転写活性の低下した静止期にあると考えられる。そのため、mRNAを検出する方法では、LSCを高感度に検出できないという問題がある。
一方、BCR−ABL1融合遺伝子DNAを検出することにより、MRDを高感度に検出する試みも行われている。例えば、デジタルPCRと次世代シーケンサーとを組み合わせて、BCR−ABL1融合遺伝子を検出する方法が報告されている(非特許文献1)。
Alikian M et al., Next-Generation Sequencing-Assisted DNA-Based Digital PCR for a Personalized Approach to the Detection and Quantification of Residual Disease in Chronic Myeloid Leukemia Patients. J Mol Diagn. 2016 Mar;18(2):176-189.
非特許文献1に記載の方法では、次世代シーケンサーを用いて、BCR−ABL1融合遺伝子DNAの切断点を同定し、デジタルPCRを用いて、BCR−ABL1融合遺伝子DNAを定量している。しかしながら、デジタルPCRによる定量では、検出対象が微量である場合に定量性に欠ける場合があり、偽陽性が生じやすい。そのため、MRDの検出においては、偽陽性であるか真陽性であるかの判定が難しい場合がある。
そこで、本発明は、高感度に精度よくMRDを定量することができる、染色体転座を有する疾患DNAの定量方法、並びに前記疾患DNAの定量方法に使用可能なプライマーセット、及び前記プライマーセットを用いた切断点の同定方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]染色体転座を伴う疾患を有する対象について、前記染色体転座の切断点の情報を取得する工程(A)と、
前記対象のDNA試料を鋳型として、前記染色体転座が生じた染色体の前記切断点を含むDNA領域(b)及び正常染色体の前記切断点の座標を含むDNA領域(n)の核酸増幅反応を行い、増幅産物を得る工程(B)と、
前記増幅産物の配列解析を行い、前記DNA領域(b)の配列を含むリード数(b)及び前記DNA領域(n)の配列を含むリード数(n)を取得する工程(C)と、
前記DNA領域(n)に対する前記DNA領域(b)の割合(DNA領域(b)/DNA領域(n))が互いに異なる複数の標準DNA試料を用いて、前記リード数(n)に対する前記リード数(b)の割合(リード数(b)/リード数(n))から前記DNA領域(b)/DNA領域(n)を求める検量線を作製する工程(D)と、
前記検量線を用いて、前記工程(C)で取得した前記リード数(b)及び前記リード数(n)に基づいて、前記DNA試料における前記DNA領域(b)/DNA領域(n)を算出する工程(E)と、
を含む、疾患DNAの定量方法。
[2]前記DNA試料が、前記疾患の治療中の前記対象から取得したDNA試料である、[1]に記載の疾患DNAの定量方法。
[3]前記配列解析を次世代シーケンサーで行う、[1]又は[2]に記載の疾患DNAの定量方法。
[4]前記標準DNA試料における前記DNA領域(b)及び前記DNA領域(n)の定量を、デジタルPCRで行う、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の疾患DNAの定量方法。
[5]前記標準DNA試料における前記リード数(b)及び前記リード数(n)の取得を、次世代シーケンサーを用いて行う、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の疾患DNAの定量方法。
[6]前記DNA試料が、フローサイトメトリーで分画された細胞画分から調製されたDNA試料である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の疾患DNAの定量方法。
[7]前記疾患が、慢性骨髄性白血病、及び急性リンパ性白血病からなる群より選択される、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の疾患DNAの定量方法。
[8]22番染色体と9番染色体との染色体転座の切断点同定用プライマーセットであって、(a)22番染色体におけるBCR遺伝子のエクソン13からエクソン15までの領域にアニーリングするプライマーであって、前記22番染色体上のアニーリング位置が相互に重複しない、複数種類のプライマー;及び(b)9番染色体におけるABL1遺伝子のエクソン1からエクソン2までの領域にアニーリングするプライマーであって、前記9番染色体上のアニーリング位置が相互に重複しない、複数種類のプライマー、を含む、プライマーセット。
[9]前記(a)のプライマーがフォワードプライマーであり、前記(b)のプライマーがリバースプライマーである、[8]に記載のプライマーセット。
[10]前記(a)のプライマーが、配列番号64〜67のいずれかに記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるプライマーであり、前記(b)のプライマーが、配列番号68〜169のいずれかに記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるプライマーである、[9]に記載のプライマーセット。
[11]22番染色体と9番染色体との染色体転座の切断点の同定方法であって、[8]〜[10]のいずれか一項に記載のプライマーセットから選択されるプライマーペアを用いて、22番染色体と9番染色体との染色体転座を伴う疾患を有する対象のDNA試料を鋳型として、核酸増幅反応を行う工程(A−1)と、前記核酸増幅反応により得られた核酸増幅断片の配列解析を行い、前記核酸増幅断片の配列情報を取得する工程(A−2)と、前記核酸増幅断片の前記配列情報に基づいて、前記染色体転座の切断点を同定する工程(A−3)と、を含む、切断点の同定方法。
[12]前記染色体転座を伴う疾患が、22番染色体と9番染色体との染色体転座を伴う疾患であり、前記工程(A)における染色体転座の切断点の情報を、[11]に記載の切断点の同定方法により取得する、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の疾患DNAの定量方法。
本発明によれば、高感度に精度よくMRDを定量することができる、染色体転座を有する疾患DNAの定量方法、並びに前記疾患DNAの定量方法に使用可能なプライマーセット、及び前記プライマーセットを用いた切断点の同定方法が提供される。
疾患DNAの定量方法の工程(A)の一例を説明する図である。 疾患DNAの定量方法の工程(B)の一例を説明する図である。 疾患DNAの定量方法の工程(C)の一例を説明する図である。 疾患DNAの定量方法の工程(D)の一例を説明する図である。 疾患DNAの定量方法の工程(E)の一例を説明する図である。 実施例における次世代シーケンサー解析用サンプルの調製方法を説明する模式図である。 実施例で作製した検量線を示す。 TKI治療後のCML患者のBCR−ABL1融合ゲノムDNAを本発明の一実施形態にかかる方法で定量した結果を示す。 TKI治療後のCML患者のBCR−ABL1融合ゲノムDNAを本発明の一実施形態にかかる方法で定量した結果を示す。 9番染色体と22番染色体との転座の概念図である。 切断点の同定に用いたプライマーの設計位置を示す。 PCR法による切断点の同定スキームを示す。 サンプル1において、以前に同定されたBCR−ABL1融合遺伝子の切断点を示す。 BCR遺伝子用フォワードプライマー及びABL1遺伝子用リバースプライマーの組合せにより、サンプル1のPCR反応を行った結果を示す。 サンプル2おいて、以前に同定されたBCR−ABL1融合遺伝子の切断点を示す。 BCR遺伝子用フォワードプライマー及びABL1遺伝子用リバースプライマーの組合せにより、サンプル2のPCR反応を行った結果を示す。 サンプル1について、切断点を同定した結果を示す。 サンプル2について、切断点を同定した結果を示す。
[疾患DNAの定量方法]
一実施形態において、染色体転座を有する疾患DNAの定量方法を提供する。前記疾患DNAの定量方法は、染色体転座を伴う疾患を有する対象について、前記染色体転座の切断点の情報を取得する工程(A)と、前記対象のDNA試料を鋳型として、前記染色体転座が生じた染色体の前記切断点を含むDNA領域(b)及び正常染色体の前記切断点の座標を含むDNA領域(n)の核酸増幅反応を行い、増幅産物を得る工程(B)と、前記増幅産物の配列解析を行い、前記DNA領域(b)の配列を含むリード数(b)及び前記DNA領域(n)の配列を含むリード数(n)を取得する工程(C)と、前記DNA領域(n)に対する前記DNA領域(b)の割合(DNA領域(b)/DNA領域(n))が互いに異なる複数の標準DNA試料を用いて、前記リード数(n)に対する前記リード数(b)の割合(リード数(b)/リード数(n))から前記DNA領域(b)/DNA領域(n)を求める検量線を作製する工程(D)と、前記検量線を用いて、前記工程(C)で取得した前記リード数(b)及び前記リード数(n)に基づいて、前記DNA試料における前記DNA領域(b)/DNA領域(n)を算出する工程(E)と、を含む。
図1A〜1Eは、本実施形態の疾患DNAの定量方法の概略を説明する図である。
まず、染色体転座を伴う疾患を有する対象について、転座した染色体(Chr.S)及び染色体(Chr.T)の切断点(b)の情報を取得する(工程(A);図1A)。
次に、前記切断点(b)を含むDNA領域(b)を増幅可能なプライマー(Fw1(S),Rv(T))を設計する。また、正常染色体(Chr.S)の前記切断点(b)の座標を含むDNA領域(n)を増幅可能なプライマー(Fw2(S),Rv(S))を設計する。Fw1(S)とFw2(S)とは、同じプライマーであってもよく、異なるプライマーであってもよい。これらのプライマーを用いて、定量対象のDNA試料を鋳型として、核酸増幅反応を行い、増幅産物を取得する(工程(B);図1B)。
次に、前記増幅産物の配列解析を行い、DNA領域(b)の配列を含むリード数(b)及びDNA領域(n)の配列を含むリード数(n)を取得する(工程(C);図1C)。
次に、DNA領域(b)/DNA領域(n)が互いに異なる複数の標準DNA試料(No.1,No.2,・・・)を調製し、プライマー(Fw1(S),Rv(T),Fw2(S),Rv(S))用いて、DNA領域(b)及びDNA領域(n)を増幅する。増幅産物の配列解析を行い、リード数(b)及びリード数(n)を取得する。そして、リード数(n)に対する前記リード数(b)の割合(リード数(b)/リード数(n))からDNA領域(b)/DNA領域(n)を求める検量線を作製する(工程(D);図1D)。
次に、検量線を用いて、工程(B)で取得した定量対象のDNA試料のリード数(b)及びリード数(n)に基づいて、前記DNA試料におけるDNA領域(b)/DNA領域(n)を算出する(工程(E);図1E)。
以下、各工程について、詳細を説明する。
<工程(A)>
工程(A)では、染色体転座を伴う疾患を有する対象について、前記染色体転座の切断点の情報を取得する。
「染色体転座」とは、染色体の一部が分断され他の染色体に付着・融合することを意味する。
「染色体転座を伴う疾患」とは、疾患を発症した対象の疾患部位に、染色体転座が生じた細胞が認められる疾患を意味する。染色体転座を伴う疾患は、例えば、染色体転座により生じた異常染色体上の異常遺伝子の転写・翻訳産物である異常タンパク質により引き起こされる疾患である。染色体転座を伴う疾患としては、例えば、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)等が挙げられるが、これらに限定されない。
CMLでは、9番染色体と22番染色体との相互転座(t(9;22)(q34;q11))により生じたPh染色体が生じる。Ph染色体は、9番染色体のABL1遺伝子と、22番染色体のBCR遺伝子との融合により生じたBCR−ABL1融合遺伝子を有する。
AMLでは、AMLと診断される患者の1割程度に、15番染色体と17番染色体との相互転座(t(15;17)(q22;q12))により、17番染色体のレチノイン酸受容体α遺伝子(RARα)と15番染色体のPML遺伝子とが融合してPML−RARα融合遺伝子が生じる。
ALLでは、ALLと診断される患者の2〜3割に、CMLと同様のPh染色体が生じる。Ph染色体が生じるALLは、特に、Ph染色体陽性ALLともいう。Ph染色体陽性ALLは、染色体転座を伴う疾患の好適な例である。
「染色体転座を伴う疾患を有する対象」とは、染色体転座を伴う疾患に罹患している対象を意味する。染色体転座を伴う疾患を有する対象は、染色体転座が生じた細胞を体内に有し、当該細胞により疾患状態を発症している対象である。「対象」は、染色体転座を伴う疾患を発症し得る生物であれば、特に限定されず、動物であることが好ましい。前記動物としては、例えば、ヒト又はヒト以外の哺乳類が挙げられる。ヒト以外の哺乳類としては、例えば、霊長類(サル、チンパンジー、ゴリラなど)、げっ歯類(マウス、ハムスター、ラットなど)、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な対象としては、ヒトが挙げられる。
「切断点」とは、染色体転座により染色体が切断された位置を意味する。同じ疾患を有する対象であっても、切断点は、対象毎に異なっており、一様ではない。そのため、疾患DNAの定量対象となる対象毎に、切断点の情報を取得する。
例えば、図1Aでは、染色体(Chr.S)と染色体(Chr.T)とが相互転座した疾患DNAを示している。染色体(Chr.S)及び染色体(Chr.T)が結合している(b)点が切断点となる。ここで、「疾患DNA」とは、染色体転座により生じたDNAを意味する。
切断点の情報は、例えば、染色体転座を伴う疾患を有する対象が、前記疾患を有すると診断された時点、又は当該疾患の治療開始前において取得される。前記診断時又は治療開始前では、一般的に、前記対象の体内に、染色体転移が生じた細胞が多く存在する。そのため、その時点で、前記対象から疾患部位の細胞を採取し、DNA試料を調製して、配列解析を行うことにより、切断点を同定することができる。例えば、疾患がCML、AML等の血液がんである場合、前記対象から末梢血又は骨髄血を採取して、単核細胞を分離し、DNA試料を調製し、配列解析を行うことにより、切断点を同定することができる。
切断点同定のための配列解析は、例えば、次世代シーケンサー等を行うことができる。「次世代シーケンサー」とは、サンガー法を利用したキャピラリー電気泳動によるシーケンサーである「第1世代シーケンサー」と対比させて用いられる用語であり、大量のDNA断片(数千万〜数億個)を同時並列的に処理して塩基配列を決定する装置を意味する。次世代シーケンサーとしては、例えば、HiSeq2500 (illumina社)、MiSeq (illumina社)、Ion Proton (Thermo Fisher Scientific社)、Ion PGM (Thermo Fisher Scientific社)等が挙げられるが、これらに限定されない。
切断点の同定は、次世代シーケンサー等による配列解析の前に、SureSelect(Agilent Technologies)等の製品を用いて、高頻度で切断点が発生する領域を濃縮してもよい。例えば、CMLでは、BCR−ABL1融合遺伝子にハイブリダイズするプローブ等を用いて、BCR−ABL1融合遺伝子を含む領域を濃縮してもよい。
切断点の同定は、複数種類のプライマーペアの組合せを用いて行うこともできる。例えば、図1Aの疾患DNAにおいて、切断点(b)を同定する場合、染色体(Chr.S)にアニーリングする複数種類の染色体(Chr.S)用プライマーを設計する。また、染色体(Chr.T)にアニーリングする複数種類の染色体(Chr.T)用プライマーを設計する。切断点(b)の発生領域が概ね予測される場合、これらのプライマーは、予測される切断点(b)の近傍に設計することが好ましい。複数種類の染色体(Chr.S)用プライマーは、染色体(Chr.S)におけるアニーリング位置が、相互に重複しないことが好ましい。複数種類の染色体(Chr.T)用プライマーは、染色体(Chr.T)におけるアニーリング位置が、相互に重複しないことが好ましい。染色体(Chr.S)用プライマーをフォワードプライマーとして設計する場合、染色体(Chr.T)用プライマーをリバースプライマーとして設計する。また、この逆であってもよい。
複数種類の染色体(Chr.S)用プライマー及び複数種類の染色体(Chr.S)用プライマーから選択されるプライマーペアを用いて、核酸増幅反応を行い、核酸増幅断片の生成の有無を確認する。「プライマーペア」とは、1対のフォワードプライマー及びリバースプライマーの組合せを意味する。核酸増幅反応の方法は、特に限定されないが、PCR法が好ましい。核酸増幅断片の確認は、例えば、アガロースゲル電気泳動等により確認することができる。500〜5000bp程度の核酸増幅断片が得られた場合、当該核酸増幅断片の配列解析を行うことにより、切断点を同定することができる。この場合、次世代シーケンサーを利用できない環境でも、第1世代シーケンサーが利用可能であれば、切断点の同定を行うことができる。
Ph染色体を生じる疾患である場合、プライマーを用いて切断点を同定奏する方法の具体例としては、後述の[切断点の同定方法]の項に記載の方法が挙げられる。
切断点の情報は、例えば、予め、染色体転座を伴う対象について同定されていた切断点の情報を取得してもよい。切断点の情報は、例えば、前記対象毎に、データベースに蓄積されていてもよい。データベースに蓄積される切断点の情報は、例えば、当該対象が、線直退転座を伴う疾患を有すると診断された時点、又は当該疾患の治療開始前において取得される。
<工程(B)>
工程(B)では、前記対象のDNA試料を鋳型として、前記染色体転座が生じた染色体の前記切断点を含むDNA領域(b)及び正常染色体の前記切断点の座標を含むDNA領域(n)の核酸増幅反応を行い、増幅産物を得る。
染色体転座を伴う疾患を有する対象のDNA試料は、前記対象から疾患部位の細胞を採取し、前記細胞からDNAを抽出することにより、調製することができる。例えば、疾患がCML、AML等の血液がんである場合、末梢血又は骨髄血に含まれる単核細胞からDNA試料を調製することができる。前記DNA試料は、例えば、前記疾患の治療中の対象から取得することができる。前記疾患の治療中の対象から取得したDNA試料を用いて、疾患DNAの定量を行うことにより、治療を継続するか、治療を終了するかを判断する情報を得ることができる。DNA試料は、細胞から抽出された全DNA(全ゲノムDNA)を用いることが好ましい。
DNA試料は、フローサイトメトリーで分画された細胞画分から調製されたものであってもよい。例えば、疾患の治療中の対象から採取した細胞を、フローサイトメトリーで分画し、各細胞画分又は特定の細胞画分からDNA試料を調製することができる。
例えば、疾患がCML、AML等の血液がんである場合、末梢血又は骨髄血に含まれる単核細胞を単離し、前記単核細胞をフローサイトメトリーで分画してもよい。フローサイトメトリーによる分画は、細胞表面マーカーに対する抗体を用いて行うことができる。細胞が末梢血又は骨髄血の単核細胞である場合、前記細胞表面マーカーとしては、例えば、CD3、CD14、CD15、CD19、CD25、CD26、CD34、CD38、及びIL1RAP等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの細胞表面マーカーを用いて、単核細胞を、フローサイトメトリーにより、例えば、CD34CD38CD25細胞、CD34CD38CD25細胞、CD34CD38細胞、CD34細胞、CD34細胞、CD14細胞、CD15細胞(M細胞)、CD19細胞(B細胞)、CD3細胞(T細胞)等の細胞画分に分画してもよい。DNA試料は、このように分画された細胞画分のいずれかから調製して当該細胞画分のDNA試料としてもよく、これらすべての細胞画分から調製して各細胞画分のDNA試料としてもよい。スローサイトメトリーで分画した細胞画分を用いることにより、各細胞画分における疾患DNAを定量することができる。これにより、MRDが残存する細胞画分を特定することができる。
また、MRDが残存している可能性が高い細胞画分からDNA試料を調製してもよい。例えば、後述する実施例で示すように、CMLでは、末梢血、特にB細胞にMRDが残存している可能性が高い。そのため、CMLでは、末梢血中の単核細胞(好ましくはB細胞画分)からDNA試料を調製することができる。
DNA領域(b)の核酸増幅反応は、疾患DNAの切断点(b)を挟む領域にアニーリングするフォワードプライマー(Fw1(S))及びリバースプライマー(Rv(T))を用いることにより行うことができる。DNA領域(n)の核酸増幅反応は、正常DNAの前記切断点(b)の座標を挟む領域にアニーリングするフォワードプライマー(Fw2(S))及びリバースプライマー(Rv(S))を用いることにより行うことができる(図1B参照)。ここで、「正常DNA」とは、染色体転座が生じていない正常染色体のDNAを意味する。
フォワードプライマー(Fw1(S))及びリバースプライマー(Rv(T))、並びにフォワードプライマー(Fw2(S))及びリバースプライマー(Rv(S))の設計は、例えば、Primer3等のプライマー設計ツールを用いて行うことができる。フォワードプライマー(Fw1(S))及びリバースプライマー(Rv(T))は、増幅されるDNA領域(b)が、シーケンサーで配列決定可能なリード長以下となるように設計することが好ましい。同様に、フォワードプライマー(Fw2(X))及びリバースプライマー(Rv(T))は、増幅されるDNA領域(n)が、シーケンサーで配列決定可能なリード長以下となるように設計することが好ましい。ここで、「リード長」とは、シーケンサーで配列決定されるDNA断片の1単位を意味する。DNA領域(b)及びDNA(n)のサイズとしては、例えば、70〜120塩基が挙げられる。DNA領域(b)及びDNA(n)は、ほぼ同じサイズであることが好ましい。
フォワードプライマー(Fw1(S))、フォワードプライマー(Fw2(S))及びリバースプライマー(Rv(S))は、染色体(Chr.S)のDNA配列へのアニーリング配列を、18〜25塩基程度とすることが好ましく、19〜21塩基程度とすることがより好ましい。リバースプライマー(Rv(T))は、染色体(Chr.T)のDNA配列へのアニーリング配列を、18〜25塩基程度とすることが好ましく、19〜21塩基程度とすることがより好ましい。
例えば、フォワードプライマー(Fw1(S))は、疾患DNAのセンス鎖の切断点(b)の5’側上流領域における塩基配列の一部を有することができる。フォワードプライマー(Fw1(S))は、前記5’側上流領域における連続する18〜25塩基程度の塩基配列を有していてもよい。例えば、リバースプライマー(Rv(T))は、疾患DNAのアンチセンス鎖の切断点(b)の5’側上流領域における塩基配列の一部を有することができる。リバースプライマー(Rv(T))は、前記5’側上流領域における連続する18〜25塩基程度の塩基配列を有していてもよい。
例えば、フォワードプライマー(Fw2(S))は、正常DNAのセンス鎖の切断点(b)に対応する座標の5’側上流領域における塩基配列の一部を有することができる。フォワードプライマー(Fw2(S))は、前記5’側上流領域における連続する18〜25塩基程度の塩基配列を有していてもよい。例えば、リバースプライマー(Rv(S))は、正常DNAのアンチセンス鎖の切断点(b)に対応する座標の5’側領域における塩基配列の一部を有することができる。リバースプライマー(Rv(S))は、前記5’側上流領域における連続する18〜25塩基程度の塩基配列を有していてもよい。
例えば、疾患がCMLである場合、フォワードプライマー(Fw1(S))は、BCR−ABL1融合遺伝子のアンチセンス鎖のBCR配列にアニーリングするように設計することができ、リバースプライマー(Rv(T))は、BCR−ABL1融合遺伝子のセンス鎖のABL1配列にアニーリングするように設計することができる。フォワードプライマー(Fw2(S))は、正常BCR遺伝子のアンチセンス鎖における切断点に対応する座標の3’側下流領域の配列にアニーリングするように設計することができ、リバースプライマー(Rv(S))は、正常BCR遺伝子のセンス鎖における切断点に対応する座標の3’側下流領域の配列にアニーリングするように設計することができる。
疾患DNAにアニーリングするフォワードプライマー(Fw1(S))と、正常DNAにアニーリングするフォワードプライマー(Fw2(S))とは、同じプライマーであってもよいし、異なるプライマーであってもよいが、同じプライマーであることが好ましい。フォワードプライマー(Fw1(S))及びフォワードプライマー(Fw2(S))を同じプライマーとすることにより、DNA領域(b)及びDNA領域(n)の核酸増幅反応を3種のプライマーで行うことができる。例えば、疾患がCMLである場合、フォワードプライマー(Fw1(S))及びフォワードプライマー(Fw2(S))は、ともに、BCR遺伝子の同一の配列にアニーリングするプライマーとすることができ、同一の配列からなるものであってもよい。
フォワードプライマー(Fw1(S))及びリバースプライマー(Rv(T))、並びにフォワードプライマー(Fw2(S))及びリバースプライマー(Rv(S))は、増幅散布物を後述の工程(C)の配列解析に供するために、配列解析用のアダプター配列が付加されたものであってもよい。配列解析用アダプター配列は、プライマーの5’末端に付加することができる。配列解析用アダプター配列は、工程(C)で使用するシーケンサーに応じて、プロバイダーが推奨するものを用いることができる。
複数の対象のDNA試料を同時に配列解析する場合には、各対象を識別するタグ配列をフォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも一方に付加してもよい。あるいは、フォワードプライマー(Fw1(S))及びリバースプライマー(Rv(T))、並びにフォワードプライマー(Fw2(S))及びリバースプライマー(Rv(S))を用いて核酸増幅反応(第1の核酸増幅反応)を行った後、フォワードプライマー及びリバースプライマーの少なくとも一方にタグ配列を含むプライマーペアを用いて、第2の核酸増幅反応を行ってもよい。この場合、フォワードプライマー(Fw1(S))及びリバースプライマー(Rv(T))、並びにフォワードプライマー(Fw2(S))及びリバースプライマー(Rv(S))には、第2の核酸増幅反応用プライマーがアニーリングするためのアダプター配列を付加してもよい。第2の核酸増幅反応用プライマーは、前記アダプター配列にアニーリングする配列、タグ配列、及び配列解析用アダプター配列を含むことができる。
上記の例では、正常DNAとして染色体(Chr.S)を用いる場合について説明したが、正常DNAとして染色体(Chr.T)を用いてもよい。この場合、DNA領域(n)は、染色体(Chr.T)の切断点(b)に対応する座標を挟む領域となる。DNA領域(n)を核酸増幅反応に用いるプライマーとしては、フォワードプライマー(Fw(T))及びリバースプライマー(Rv2(T))を用いることができる。リバースプライマー(Rv2(T))は、DNA領域(b)の核酸増幅反応に用いるリバースプライマー(Rv1(T))と同じ出会ってもよいし、異なっていてもよい。フォワードプライマー(Fw(T))及びリバースプライマー(Rv2(T))は、染色体(Chr.S)のDNA領域(n)を核酸増幅反応の対象とすること以外は、上記フォワードプライマー(Fw2(S))及びリバースプライマー(Rv(S))と同様に設計することができる。
核酸増幅反応には、公知の核酸増幅法を特に制限なく用いることができる。核酸増幅法としては、例えば、PCR法、LAMP法等の等温増幅法等が挙げられる。核酸増幅法は、PCR法が好ましい。
前記対象のDNA試料を鋳型として、DNA領域(b)及びDNA領域(n)の核酸増幅反応を行うと、前記DNA試料中のDNA領域(b)及びDNA領域(n)の含有量に応じて、DNA領域(b)及びDNA領域(n)の増幅産物が得られる。例えば、疾患の治療を行った結果、前記対象において疾患細胞が消失した場合には、前記対象のDNA試料は疾患DNAを含まない。この場合、DNA領域(b)は増幅されず、本工程で得られる増幅産物は、DNA領域(b)を含まない。一方、前記対象において疾患細胞が残存している場合には、前記対象のDNA試料は疾患DNAを含む。この場合、DNA領域(b)が増幅されて、本工程で得られる増幅産物は、DNA領域(b)を含む。
<工程(C)>
工程(C)では、前記増幅産物の配列解析を行い、前記DNA領域(b)の配列を含むリード数(b)及び前記DNA領域(n)の配列を含むリード数(n)を取得する。
工程(B)で得られた増幅産物の配列解析は、例えば、次世代シーケンサーを用いて行うことができる。配列解析により、工程(B)で得られた各核酸増幅断片の配列が決定される。これにより、DNA領域(b)の配列を含むリード数(b)と、DNA領域(n)の配列を含むリード数(n)を取得することができる。「リード数」とは、シーケンサーにより配列決定されたDNA断片の数を意味する。すなわち、リード数(b)は、シーケンサーで配列決定された核酸増幅断片のうち、DNA領域(b)を含む核酸増幅断片の数である。リード数(n)は、シーケンサーで配列決定された核酸増幅断片のうち、DNA領域(n)を含む核酸増幅断片の数である。
図1Cの例では、増幅産物の配列解析により、リード数(b)としてPが取得されており、リード数(n)としてQが取得されている。
<工程(D)>
工程(D)では、前記DNA領域(n)に対する前記DNA領域(b)の割合(DNA領域(b)/DNA領域(n);以下、単に「DNA領域(b)の割合」ともいう)が互いに異なる複数の標準DNA試料を用いて、前記リード数(n)に対する前記リード数(b)の割合(リード数(b)/リード数(n))から前記DNA領域(b)/DNA領域(n)を求める検量線を作製する。
「標準DNA試料」とは、検量線を作製するためのDNA試料を意味する。標準DNA試料には、DNA領域(b)の割合が、予め既知であるDNA試料を用いる。標準DNA試料は、DNA領域(b)の割合が相互に異なるものを複数種類用いる。例えば、図1Dの例では、試料No.1として、DNA領域(b)/DNA領域(n)=0.001であるDNA試料を用いている。試料No.2として、DNA領域(b)/DNA領域(n)=0.01であるDNA試料を用いている。標準DNA試料におけるDNA領域(b)の割合の段階は、2段階以上であれば特に限定されないが、3段階以上であることが好ましい。DNA領域(b)の割合が相互に異なる各段階の標準DNA試料は、例えば、DNA領域(b)の割合が最も高い標準DNAの段階希釈により調製してもよい。
標準DNA試料中のDNA領域(b)の割合は、例えば、デジタルPCRを用いて確認してもよい。「デジタルPCR」は、核酸試料を希釈して、各画分に核酸分子が1個以下となるように分画し、前記各画分で核酸増幅反応を行い、核酸増幅された陽性画分と、核酸増幅されなかった陰性画分とを計数することにより、元の核酸試料の核酸量を定量する方法である。例えば、標準試料中のDNA領域(b)及びDNA領域(n)の含有量をデジタルPCRで定量することにより、DNA領域(b)/DNA領域(n)を算出することができる。この場合、標準試料中のDNA領域(b)の含有量及びDNA領域(n)の含有量は、それぞれ、DNA領域(b)のコピー数及びDNA領域(n)のコピー数として求められる。
標準DNA試料は、前記工程(B)及び工程(C)と同様に、核酸増幅反応及び配列解析を行い、標準DNA試料の種類毎に、リード数(b)及びリード数(n)を取得する。図1Cの例では、試料No.1では、リード数(b)としてp1、リード数(n)としてq1が取得されている。試料No.2では、リード数(b)としてp2、リード数(n)としてq2が取得されている。
標準DNA試料における核酸増幅反応は、対象のDNA試料に替えて、標準DNA試料を鋳型として用いること以外は、前記工程(B)と同様に行うことができる。すなわち、前記工程(B)と同じプライマー(フォワードプライマー(Fw1(S))及びリバースプライマー(Rv(T))、並びにフォワードプライマー(Fw2(S))及びリバースプライマー(Rv(S)))を用いて、各標準DNA試料を鋳型として核酸増幅反応を行う。これにより、各標準DNA試料の増幅産物を得ることができる。
各標準DNA試料の増幅産物の配列解析は、対象のDNA試料の増幅産物に替えて、各標準DNA試料の増幅産物を用いること以外は、前記工程(C)と同様に行うことができる。すなわち、次世代シーケンサー等を用いて、各標準DNA試料の増幅産物の配列解析を行う。これにより、各標準DNA試料の各リード数(b)及び各リード数(n)を得ることができる。
次いで、各標準DNA試料のDNA領域(b)/DNA領域(n)をY軸とし、各標準DNA試料のリード数(b)/リード数(n)をX軸とする検量線を作製する。この検量線は、リード数(b)/リード数(n)の値から、DNA領域(b)/DNA領域(n)を求めることができるものである。
<工程(E)>
工程(E)では、前記検量線を用いて、前記工程(C)で取得した前記リード数(b)及び前記リード数(n)に基づいて、前記DNA試料における前記DNA領域(b)/DNA領域(n)を算出する。
前記工程(C)で取得した前記対象のDNA試料のリード数(b)及びリード数(n)からリード数(b)/リード数(n)を算出し、前記工程(D)で取得した検量線を用いて、前記対象のDNA試料におけるDNA領域(b)/DNA領域(n)を算出する。
前記のように算出されたDNA領域(b)/DNA領域(n)の値は、前記対象のDNA試料における疾患DNAであるDNA領域(b)を含むDNAの割合を示している。
本実施形態の疾患DNAの定量方法によれば、各対象について、切断点を含むDNA領域(b)及び対応する正常染色体のDNA領域(n)の核酸増幅反応を行って増幅産物を取得し、前記増幅産物の配列解析によりリード数(b)及びリード数(n)を取得している。そして、標準DNA試料を用いて作製された検量線に基づき、DNA領域(b)/DNA領域(n)を算出している。そのため、DNA領域(b)が微量であっても、高感度に精度よく、DNA領域(b)を含む疾患DNAを定量することができる。また、検出対象がDNAであるため、転写活性が低下した状態であっても疾患DNAを定量することができる。したがって、CML等の染色体転座を伴う疾患のMRDの定量に有用である。本実施形態の方法を用いてMRDを定量することにより、疾患の治療を継続するか否かを判断するために有用な情報が提供される。
[プライマーセット]
一実施形態において、本発明は、22番染色体と9番染色体との染色体転座の切断点同定用プライマーセットを提供する。前記プライマーセットは、(a)22番染色体におけるBCR遺伝子のエクソン13からエクソン15までの領域にアニーリングするプライマーであって、前記22番染色体上のアニーリング位置が相互に重複しない、複数種類のプライマー;及び(b)9番染色体におけるABL1遺伝子のエクソン1からエクソン2までの領域にアニーリングするプライマーであって、前記9番染色体上のアニーリング位置が相互に重複しない、複数種類のプライマー、を含む。
本実施形態のプライマーセットは、前記実施形態の疾患DNAの定量方法において、工程(A)を実施するために用いることができる。本実施形態のプライマーセットは、22番染色体と9番染色体の転座を伴う疾患を有する対象において、切断点の情報を取得する場合に有効である。本実施形態のプライマーセットは、22番染色体と9番染色体の転座により生じるBCR−ABL1融合遺伝子(図8中段左図参照)又はABL1−BCR融合遺伝子(図8中段右図参照)の核酸断片を増幅可能である。
<(a)BCR遺伝子用プライマー>
本実施形態のプライマーセットは、複数種類のBCR遺伝子用プライマーを含む。BCR遺伝子用プライマーは、22番染色体におけるBCR遺伝子のエクソン13からエクソン15までの領域にアニーリングするプライマーである。BCR遺伝子のエクソン13からエクソン15までの領域は、Ph染色体の切断点の存在頻度が高い。そのため、この領域内でプライマーを設計することにより、効率よく切断点を同定することができる。
BCR遺伝子のエクソン13からエクソン15までの領域は、ヒトゲノムの参照配列であるhg19の22番染色体において、23,631,704〜23,634,825の座標に位置する領域(長さ:3,122bp)である。複数種類のBCR遺伝子用プライマーは、前記領域内にアニーリングし、且つアニーリング位置が相互に重複しないように設計される。BCR遺伝子用プライマーのアニーリング位置の間隔は、特に限定されないが、500〜2,000bp程度が挙げられる。前記アニーリング位置の間隔は、500〜1,500bp程度がより好ましい。BCR遺伝子用プライマーの長さとしては、18〜25塩基程度が好ましく、19〜21塩基程度がより好ましい。この場合、2〜6種類程度のBCR遺伝子用プライマーを設計可能である。
BCR遺伝子用プライマーは、フォワードプライマーであってもよく、リバースプライマーであってもよい。BCR遺伝子用プライマーがフォワードプライマーである場合、後述のABL1遺伝子用プライマーは、リバースプライマーとなる。この場合、BCR−ABL1融合遺伝子由来の核酸断片を増幅することができる。BCR遺伝子用プライマーがリバースプライマーである場合、後述のABL1遺伝子用プライマーは、フォワードプライマーとなる。この場合、ABL1−BCR融合遺伝子由来の核酸断片を増幅することができる。
BCR遺伝子用プライマーがフォワードプライマーである場合の具体例を、配列番号64〜67に示す。前記フォワードプライマーは、配列番号64〜67のいずれかに記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるものが好ましい。BCR遺伝子用のフォワードプライマーとしては、例えば、配列番号64〜67の塩基配列;配列番号64〜67の塩基配列の5’末端若しくは3’末端の塩基が1個又は2個欠失した塩基配列;配列番号64〜67の塩基配列の5’末端又は3’末端に1個又は2個の塩基が付加された塩基配列;及び配列番号64〜67の塩基配列の5’末端及び3’末端のいずれか一方の塩基が1個又は2個欠失し、他方に1個又は2個の塩基が付加された塩基配列、等が挙げられる。
本実施形態のプライマーセットが含むBCR遺伝子用プライマーの種類は、2種類以上であればよく、3〜6種類が好ましく、4〜5種類がより好ましい。本実施形態のプライマーセットは、BCR遺伝子用プライマーとして、配列番号64〜67のいずれかに記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなる4種類のプライマーを含むことが特に好ましい。
<(b)ABL1遺伝子用プライマー>
本実施形態のプライマーセットは、複数種類のABL1遺伝子用プライマーを含む。ABL1遺伝子用プライマーは、9番染色体におけるABL1遺伝子のエクソン1からエクソン2までの領域にアニーリングするプライマーである。ABL1遺伝子のエクソン1からエクソン2までの領域は、Ph染色体の切断点の存在頻度が高い。そのため、この領域内でプライマーを設計することにより、効率よく切断点を同定することができる。
ABL1遺伝子のエクソン1からエクソン2までの領域は、ヒトゲノムの参照配列であるhg19の9番染色体において、133,589,333〜133,729,624の座標に位置する領域(長さ:140,292bp)である。複数種類のABL1遺伝子用プライマーは、前記領域内にアニーリングし、且つアニーリング位置が相互に重複しないように設計される。ABL1遺伝子用プライマーのアニーリング位置の間隔は、特に限定されないが、500〜6,000bp程度が挙げられる。前記アニーリング位置の間隔は、500〜5,000bp程度がより好ましく、500〜4,000程度がさらに好ましい。ABL1遺伝子用プライマーの長さとしては、18〜25塩基程度が好ましく、19〜21塩基程度がより好ましい。この場合、30〜300種類程度のABL1遺伝子用プライマーを設計可能である。
ABL1遺伝子用プライマーがリバースプライマーである場合の具体例を、配列番号68〜169に示す。前記リバースプライマーは、配列番号68〜169のいずれかに記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるものが好ましい。ABL1遺伝子用のリバースプライマーとしては、例えば、配列番号68〜169の塩基配列;配列番号68〜169の塩基配列の5’末端若しくは3’末端の塩基が1個又は2個欠失した塩基配列;配列番号68〜169の塩基配列の5’末端又は3’末端に1個又は2個の塩基が付加された塩基配列;及び配列番号68〜169の塩基配列の5’末端及び3’末端のいずれか一方の塩基が1個又は2個欠失し、他方に1個又は2個の塩基が付加された塩基配列、等が挙げられる。
本実施形態のプライマーセットが含むABL1遺伝子用プライマーの種類は、30種類以上が好ましく、50種類以上がより好ましく、80種類以上がさらに好ましく、100種類以上が特に好ましい。好ましくは100〜300種類であり、より好ましくは100〜200種類である。本実施形態のプライマーセットは、ABL1遺伝子用プライマーとして、配列番号68〜169のいずれかに記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなる102種類のプライマーを含むことが特に好ましい。
[切断点の同定方法]
一実施形態において、本発明は、22番染色体と9番染色体との染色体転座の切断点の同定方法を提供する。前記同定方法は、前記実施形態のプライマーセットから選択されるプライマーペアを用いて、22番染色体と9番染色体との染色体転座を伴う疾患を有する対象のDNA試料を鋳型として、核酸増幅反応を行う工程(A−1)と、前記核酸増幅反応により得られた核酸増幅断片の配列解析を行い、前記核酸増幅断片の配列情報を取得する工程(A−2)と、前記核酸増幅断片の前記配列情報に基づいて、前記染色体転座の切断点を同定する工程(A−3)と、を含む。
本実施形態の切断点の同定方法は、前記実施形態の疾患が22番染色体と9番染色体との染色体転座を伴う疾患である場合に、工程(A)の染色体転座の切断点の情報を取得するために用いることができる。
<工程(A−1)>
工程(A−1)では、前記実施形態のプライマーセットから選択されるプライマーペアを用いて、22番染色体と9番染色体との染色体転座を伴う疾患を有する対象のDNA試料を鋳型として、核酸増幅反応を行う。
22番染色体と9番染色体との染色体転座を伴う疾患としては、CML及びALLが挙げられる。これらの疾患では、22番染色体と9番染色体とが転座して、BCR−ABL1融合遺伝子及びABL1−BCR融合遺伝子が生じる(図8参照)。前記実施形態のプライマーセットから選択されるプライマーペアを用いて核酸増幅反応を行うことにより、これらの融合遺伝子由来の核酸増幅断片を得ることができる。
DNA試料の調製は、上記[疾患DNAの定量方法]の<工程(B)>の項で説明した方法と同様に行うことができる。
プライマーペアは、前記実施形態のプライマーセットから、任意のフォワードプライマー及びリバースプライマーの組合せを選択する。対象のDNA試料を鋳型とする核酸増幅反応は、前記実施形態のプライマーセットから選択可能な全てのプライマーペアについて行うことが好ましい。核酸増幅反応の方法は、特に限定されないが、PCR法が好ましい。
各プライマーペアによる核酸増幅反応後、核酸増幅断片の有無をアガロースゲル電気泳動法等により確認する。核酸増幅断片が確認された場合、前記核酸増幅断片中に切断点が存在することになる。
<工程(A−2)>
工程(A−2)では、前記核酸増幅反応により得られた核酸増幅断片の配列解析を行い、前記核酸増幅断片の配列情報を取得する。
工程(A−1)で核酸増幅断片が得られた場合、前記核酸増幅断片中に切断点が存在する。そのため、前記核酸増幅断片の配列解析を行い、配列情報を取得することにより、切断点を同定することができる。
核酸増幅断片の配列解析は、DNAシーケンサーを用いて、公知の方法により行うことができる。工程(A−1)において、複数種類のプライマーペアで核酸増幅断片が得られた場合、DNAシーケンサーの種類に応じて、配列解析に最も適したサイズの核酸増幅断片を選択すればよい。通常、最も小さいサイズの核酸増幅断片を選択することが好ましい。DNAシーケンサーは、第1世代シーケンサーを用いることができる。
配列解析用のプライマーとしては、工程(A−1)において当該核酸増幅断片を得たプライマーペアを用いることができる。あるいは、前記プライマーペアを構成するプライマーの近傍に、新たにプライマーを設計して用いてもよい。
<工程(A−3)>
工程(A−3)では、前記核酸増幅断片の配列情報に基づいて、前記染色体転座の切断点を同定する。
前期工程(A−2)で取得した配列情報を、22番染色体におけるBCR遺伝子配列と比較することにより、22番染色体の切断点を同定することができる。すなわち、前記核酸増幅断片において、BCR遺伝子配列と一致する領域と相違する領域との境界が、22番染色体における切断点である。
また、前期工程(A−2)で取得した配列情報を、9番染色体におけるABL1遺伝子配列と比較することにより、9番染色体の切断点を同定することができる。すなわち、前記核酸増幅断片において、ABL1遺伝子配列と一致する領域と相違する領域との境界が、9番染色体における切断点である。
本実施形態の同定方法によれば、次世代シーケンサーを用いることなく、切断点の情報を得ることができる。そのため、前記実施形態の疾患DNAの定量方法を実施する場合、工程(A)〜(C)の全てを次世代シーケンサーにより行う場合と比較して、コストを低減することができる。
[他の態様]
一実施形態において、本発明は、前記疾患DNAの定量方法により求められた疾患DNA量に基づいて、染色体転座を伴う疾患を有する対象の治療の継続を判断する、染色体転座を伴う疾患の治療方法を提供する。
以下、実験例により本発明を説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
[実験例1]残存病変の検出
<材料及び方法>
≪フローサイトメトリー≫
単核細胞(MNC)を、慢性骨髄性白血病(CML)患者から採取した末梢血(PB)及び骨髄(BM)細胞のフィコール分離及び溶血によって分離した。単核細胞(MNC)を、Fc受容体に対する抗体で染色し、次いで、CD3(UCHT1、BD Bioscience)、CD14(MφP9、BD Bioscience)、CD15(HI98、BD Bioscience)、CD19(HIB19、BD Bioscience)、CD25(2A3、BD Bioscience)、CD26(BA5b、BioLegend)、CD34(8G12、BD Bioscience)、CD38(HB7、BD Bioscience)及びIL1RAP(89412、R&D Systems)等の表面マーカーに対する抗体で染色した。新たに単離した細胞を、FACSCanto II(BD Biosciences)によって分析し、SORP FACSAria(BD Biosciences)によって分類した。培養細胞を、MACSQuant(Miltenyi Biotec)で分析した。FlowJoTMソフトウェア(Tree Star Inc)を使用してデータを分析した。
≪PCR≫
BCR−ABL1融合ゲノムDNA(gDNA)転写産物を、リアルタイムPCR(RT−PCR)及びネステッドPCR(nPCR)により評価した。Osumi K et al(Leuk Lymphoma. 2002 Dec;43(12):2291-9.)に記載されているように、全BM細胞のRT−PCRを行った。CD25SPC(stem and progenitor cell)からのRNA及びnPCRを行ったRNAは、RNeasyミニキット(Qiagen)を使用して単離した。少量のCD25 SPCの回収効率を向上させるために、C57BL/6マウスBM細胞を添加した。使用したプライマーを表1に示す。
Figure 2021122180
≪次世代シーケンサー(NGS)によるfusion junctionの同定≫
(DNA抽出)
15人の患者から骨髄血液細胞を採取し、NucleoSpin Blood(MACHEREY−NAGEL GmbH&Co.KG)を用いて、DNAを抽出した。抽出されたDNAの濃度を、Qubit蛍光分析法(Qubit dsDNA HSアッセイキット;Invitrogen)を用いて定量した。
(fusion mapping)
BCR Exon13−15及びABL1 Exon1−2をキャプチャするために設計されたSureSelect XTカスタムキャプチャライブラリキット(1Kb−499Kb)(Agilent Technologies)を用いて、BCR−ABL1転座fusion junctionを検出するためのDNAライブラリを構築した。簡単に記載すると、Covaris DNAせん断システム(Covaris S2)を用いて、10〜200ngの患者DNAをせん断し、150〜200bpのサイズに断片化した。次いで、SureSelect XT HS Librasy Preparation Kit及び分子バーコードキットを用いてサンプルを調製し、インデックスプライマーを用いてPCRを行った。この増幅産物を、SureSelect XT HS試薬を用いてハイブリダイズし、PCRで増幅した。次いで、調製したDNAライブラリの250bp断片の両末端を、MiSeq Reagent Kit V2(Illumina、San Diego、CA)を用いて、MiSeq DNAシーケンサーにより配列決定した。
アダプター及び低品質DNAを除去するために、trim galoreプログラム(バージョン0.4.4、www.bioinformatics.babraham.ac.uk/projects/trim_galore/)及びcutadaptプログラム(バージョン1.14)を用いて、得られたDNA配列データをトリミングした。トリミングした配列データを、bwaプログラム(バージョン0.7.16a−r1181)を用いて、ヒトゲノムDNAreference配列(hs37d5)にマッピングした。一方の末端DNA配列をBCR領域にマッピングし、他方の末端DNA配列をABL領域にマッピングして、DNA配列をスクリーニングし、BCR−ABL1転座のfusion junctionを決定した(表2)。次いで、サンガー法を用いた配列解析により、BCR−ABL1転座の全てのfusion junction配列を検証した。プライマー配列を表3に示す。検証のために、Primer3オンラインソフトウェアを用いて、fusion junctionの少なくとも200bp上流及び下流にプライマーを設計した。
Figure 2021122180
Figure 2021122180
≪残存病変の定量≫
(DNA抽出)
治療後の7人の患者(fusion junction配列解析済)からBM又はPBを採取し、フローサイトメトリーでソーティングした。ソーティングした細胞から、NucleoSpin Blood又はNucleoSpin Tissue XS(Macherey−Nagel)を用いてDNAを抽出した。
(デジタルPCRによる定量)
まず、VIC−蛍光色素セットを有する患者特異的プライマー及びTaqmanプローブを各患者のfusion junction上に設計して、各患者のBCR−ABL1融合gDNAを検出した。プライマー及びプローブの配列を表4及ぶ表5に示す。診断時のDNAを陽性対照として使用し、正常ヒトゲノムDNA(Biochain)を陰性対照として使用した。各サンプル中のゲノムDNAの正確なコピー数を、TaqManTM Copy Number Reference Assay,human,RNase P(Thermo Fisher Scientific)を用いてカウントした。BCR−ABL1転座ゲノムDNAを、QuantStudio 3DデジタルPCRシステム(Thermo Fisher Scientific)を用いたデジタルPCRにより検出及び測定した。簡潔に記載すると、DNAサンプル、QS3DデジタルPCRマスターミックスバージョン2(Thermo Fisher Scientific)、300nMの各プライマー、及び250nMのプローブを含む16μLの反応混合物を調製し、QS3Dデジタル20Kチップにロードした。チップをProFlex PCRシステム(Thermo Fisher Scientific)にロードし、PCRを行った(96℃、10分;(60℃、2分;98℃、30秒)×39サイクル;60℃、2分;暗所10℃で維持)。次いで、QS3DデジタルPCR装置(Thermo Fisher Scientific)を用いて、PCR混合物1μL当たりのコピー数(コピー/反応1μL)としてDNAを定量した。データの解析には、QS3D AnalysisSuit Cloud software(Thermo Fisher Scientific)を用いた。希釈アッセイによれば、5未満の陽性ドット数は信頼できず再現性がなかったため、カットオフラインを、5ドットを超える陽性クラスターとして定義した。
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(NGSを用いた定量)
各患者のサンプルを、Quick Taq HS DyeMix(TOYOBO Life Science)ポリメラーゼにより、患者特異的な3つのプライマーを用いて一次増幅した。アダプターの共通領域を除いたPCR産物が150〜300bp以内になり、且つPCR産物がfusion junctionを含むように、プライマーを設計した。試料中の最小残存病変の頻度を検証するために、転座したt(9;22)のBCR−ABL1融合gDNA及び正常染色体(Ch)22の正常BCRの両方を増幅するように、BCR配列用フォワープライマーとセットとなるように、ABL1配列用のリバースプライマー及びBCR配列法リバースプライマーを設計した。プライマー及びプローブの配列を表6〜8に示す。次いで、NGS用のアダプター配列を有するプライマーを用いて、Quick Taq HS DyeMixポリメラーゼにより、試料を二次増幅した(2nd PCR)。その結果、一次増幅PCR産物が試料中で50倍を超えて希釈された。PCR増幅の概略を図2に示す。1st PCR及び2nd PCRの条件を表9に示す。
次いで、サンプルを混合し、ブリッジ増幅及びクラスター生成の後、MiSeq(Illumina、San Diego、CA)で、250塩基対ペアエンドシーケンシングを行った。
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dPCRで定量された診断時のDNA及び正常ヒトゲノムDNAを混合して、NGS用検量線サンプルを作製した。NGS用検量線サンプルで検出されたBCR−ABL1融合gDNA及び正常BCRのリード数を表10に示す。表10に示すデータから作製した検量線を図3に示す。前記検量線に基づいて、各患者サンプルにおけるBCR−ABL1融合gDNAの割合を算出した。
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<結果>
TKI療法でほとんどのCD25 SPCを根絶できると考え、これらの細胞を14人の患者から収集した。Ph染色体(n=6)及びBCR−ABL1融合mRNA(n=6)のいずれも、これらの細胞では検出されなかった。さらに、液体培養中のCD25SPCは、BCR−ABL1 mRNAの証拠を示さなかった(n=2)。さらに、HSCと同様に、CML−LSCは限られた量のmRNAしか産生しない可能性が高いため(Ross DM et al., Leukemia. 2010 Oct;24(10):1719-24.)、BCR−ABL1融合gDNAを評価した。7人の患者全員がTKI治療を受けており、臨床検査により6人の患者でBCR−ABL1のmRNAが検出された(表11)。
また、BMサンプル及びPBサンプルについて、デジタルPCR解析を行った。デジタルPCR解析では、BMサンプル及びPBサンプルのいずれの分画においても、BCR−ABL1融合gDNA陰性であった(表12)。
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次に、NGSを用いた解析を行った。BCR−ABL1融合gDNA配列は、1人の患者(KU128)のCD25 SPC画分、及び4人の患者(KU125、KU126、KU128、KU130)のCD25 SPCを含む他の画分で検出された(図4)。これらの結果は、TKI療法後のCD25 SPCは、主たる残存CML細胞ではないことを示している。次いで、PBの4画分(CD34細胞、骨髄性細胞、B細胞、T細胞)について分析を行った。その結果、7人の患者のうち6人においてBCR−ABL1融合gDNAが検出された(図5)。B細胞は、これらの6人の患者の間で共通のBCR−ABL1融合gDNA陽性画分であった。BCR−ABL1融合gDNAは、6人の患者のうちの3人(KU001、KU157、KU159)のBM細胞において陰性であった。これらの知見に基づき、末梢B細胞を用いた残存CML細胞の検出は、CML幹細胞マーカーCD25陽性のBM細胞を用いるよりも高感度であると結論した。
[実験例2]PCR法による切断点の同定
<プライマーの設計>
図6は、9番染色体と22番染色体との転座を概念的に示す。染色体9q34に存在するABL1遺伝子と、染色体22q11に存在するBCR遺伝子と、の間で転座が生じることにより、BCR−ABL1融合遺伝子(t(9;22)(q34;p11))が形成される。転座の切断点は、患者毎に異なっている。本実験例では、BCR遺伝子にアニーリングするフォワードプライマーと、ABL1遺伝子にアニーリングするするリバースプライマーと、をそれぞれ複数種類設計し、PCR法により切断点の同定を試みた。
図7に、切断点の同定に用いたプライマーの設計位置を示す。BCR遺伝子のエクソン13〜15の領域に、4種類のフォワードプライマー(1F〜4F)を設計した(図7上段)。ABL1遺伝子のエクソン1〜2の領域に、102種類のリバースプライマー(1R〜102R)を設計した(図7下段)。表13に、BCR遺伝子用フォワードプライマーの配列を示す。表14〜16に、ABL1遺伝子用リバースプライマーの配列を示す。
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<切断点の同定スキーム>
図8は、切断点の同定スキームを示す。患者の細胞からゲノムDNAを抽出し、フォワードプライマー BCR−1F〜4Fと、リバースプライマー ABL1−1R〜102Rとを組み合わせて、PCRを行う(図8下段、左図)。切断点を挟んで近接するプライマーペア(約100〜5000bp)により、BCR−ABL1融合遺伝子の断片が増幅される(図8中段、左図)。一方、ABL1−BCR融合遺伝子は増幅されない(図8中段、右図)。各プライマーペアによるPCR産物のアガロースゲル電気泳動を行い、核酸増幅断片を確認する(図8下段、中図)。図8の例では、BCR−1Fと、ABL1−18R、ABL1−19R又はABL1−20Rと、の組合せで核酸増幅断片が得られている。次に、核酸増幅断片の配列解析を行い、切断点(breakpoint)を同定する(図8下段、右図)。
<ゲノムDNAのPCR>
CML患者のゲノムDNA(サンプル1、サンプル2)を、Qubit蛍光分析法(Qubit dsDNA HSアッセイキット;Invitrogen)を用いて定量した。ゲノムDNAを、希釈液(TEバッファー(pH8.0) 1000μL、1M Tris−HCl(pH8.0) 90μL、Ultrapure Distilled Water(Invitrogen) 8910μL)を用いて、10ng/μLに希釈し、PCR鋳型用の患者DNA試料とした。
患者DNA試料1μL(DNA 10ng)を用いて、PCR反応液量20μLで、PCR反応(アニーリング温度60℃、35サイクル;Biometra T3 Themocycler)を行った。PCR反応液の組成は以下の通りである。ネガティブコントロールとして、患者DNA料に替えて、Ultrapure Distilled Water、又はControl DNA(Genomic DNA−Human Adult;BioChain)を用いた。
患者DNA試料:1μL(DNA 10ng)
プライマー:1μL(フォワード及びリバースそれぞれDNA 0.66ng)
KOD FX DNA Polymerase(1U/μL;KFX−101;TOYOBO):0.1μL
2×PCR Buffer(KFX−101;TOYOBO):5μL
2.5nM dNTPs(KFX−101;TOYOBO):1μL
5M Betain(無水、一級;和光純薬):0μL又は2μL
PCR反応後、2μL又は10μLのPCR反応液を用いて、0.7%アガロースゲル(Agarose Type II−A、SIGMA)電気泳動を行った。サイズマーカーには、SM101 Lambda/Hind III(150ng)(Thermo Fisher)及び3405A φ174/Hae III(150ng)(Takara)を用いた。
図9Aは、サンプル1において、以前に同定されたBCR−ABL1融合遺伝子の切断点を示す。図9Aに示すように、サンプル1では、プライマーペアBCR−2F/ABL1−18Rにより、1162bpの断片が増幅されると予測される。また、プライマーペアBCR−2F/ABL1−19Rにより、2163bpの断片が増幅されると予測される。
図9Bは、サンプル1のゲノムDNAを鋳型としたPCR反応液のアガロースゲル電気泳動の結果を示す。プライマーペアBCR−2F/ABL1−18R、及びプライマーペアBCR−2F/ABL1−19Rを用いた場合には、図9Aで予想されるサイズとほぼ同サイズの核酸増幅断片が検出された。一方、プライマーペアBCR−2F/ABL1−17Rを用いた場合には、核酸増幅断片は検出されなかった。Betaineは、PCR増幅効率改善試薬として使用した。患者DNA試料に替えて、水又はControl DNAを用いたものでは、核酸増幅断片は検出されなかった。
図10Aは、サンプル2において、以前に同定されたBCR−ABL1融合遺伝子の切断点を示す。図10Aに示すように、サンプル2では、プライマーペアBCR−2F/ABL1−79Rにより、2240bpの断片が増幅されると予測される。また、プライマーペアBCR−2F/ABL1−80Rにより、5744bpの断片が増幅されると予測される。
図10Bは、サンプル2のゲノムDNAを鋳型としたPCR反応液のアガロースゲル電気泳動の結果を示す。プライマーペアBCR−2F/ABL1−79R、及びプライマーペアBCR−2F/ABL1−80Rを用いた場合には、図10Aで予想されるサイズとほぼ同サイズの核酸増幅断片が検出された。一方、プライマーペアBCR−2F/ABL1−78Rを用いた場合には、核酸増幅断片は検出されなかった。患者DNA試料に替えて、水又はControl DNAを用いたものでは、核酸増幅断片は検出されなかった。
<核酸増幅断片の配列解析>
プライマーペアBCR−2F/ABL1−18Rを用いて、上記と同様にPCR反応及びアガロースゲル電気泳動を行い、1162bpの核酸増幅断片を確認した。プライマーペアBCR−2F/ABL1−79Rを用いて、上記と同様にPCR反応及びアガロースゲル電気泳動を行い、2240bpの核酸増幅断片を確認した。
PCR反応後のPCR反応液5μLに、Ultrapure water 5μLを添加して混和し、SAP処理用試料とした。SAP処理は、PCR産物をExo SA−IT(登録商標)という酵素混合液で処理することにより、dNTPの不活性化とモノマーの分解を行う処理である。SAP処理は、37℃で30分間、次いで80℃で15分間反応させた後、室温で維持することにより行った。SAP処理反応液の組成を以下に示す。
SAP処理用試料:9.0μL
Exo SAP−IT(Applied Biosystems):2.0μL
TEバッファー(pH8.0):7.0μL
SAP処理後のSAP処理反応液5μLに、Ultrapure water 5μLを添加し、配列解析用試料とした。サンプル1については、プライマーペアBCR−2F−1/ABL1−17R−1を用いて、配列解析用反応を行った。サンプル2については、プライマーペアBCR−3F/ABL1−78R−1を用いて、配列解析用反応(96℃で2分;96℃で10秒、50℃で5秒、60℃で4分、25サイクル;室温)を行った。配列解析用反応液の組成を以下に示す。プライマー配列を表17に示す。
配列解析用試料:4.0μL
5×Sequencing Buffer(200mM Tris−HCL(pH0.0、5nM MgCl)):1.6μL
BigDye(登録商標) ver.3.1:0.5μL
10μM プライマー:0.5μL
Ultrapure water:1.1μL
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配列解析用PCR反応後、Agencourt CleanSEQ(BECKMAN COULTER)を用いて精製した。次いで、Hi−Di Formamide(Applied Biosystems) 40μLでDNAを溶出し、30μのサンプルを回収した。
上記で調製したサンプルを、シーケンサー(3100 Genetic Analyzer、3100 POP−6 Performance Optimized Polymer、Applied Biosystems)にランし、配列解析を行った。配列解析には、CodonCode Aligner Version 9.0.1を用いた。
図11Aは、サンプル1について、切断点を同定した結果を示す。サンプル1では、22番染色体における切断点はhg19 Chr22:23,633,531、9番染色体における切断点はhg19 Chr9:133,614,001と、同定された。
図11Bは、サンプル2について、切断点を同定した結果を示す。サンプル2では、22番染色体における切断点はhg19 Chr22:23,634,705、9番染色体における切断点はhg19 Chr9:133,701,286と、同定された。
以上の結果から、PCR法を用いて、切断点の同定が可能であることが確認された。
本発明によれば、高感度に精度よくMRDを定量することができる、染色体転座を有する疾患DNAの定量方法が提供される。

Claims (12)

  1. 染色体転座を伴う疾患を有する対象について、前記染色体転座の切断点の情報を取得する工程(A)と、
    前記対象のDNA試料を鋳型として、前記染色体転座が生じた染色体の前記切断点を含むDNA領域(b)及び正常染色体の前記切断点の座標を含むDNA領域(n)の核酸増幅反応を行い、増幅産物を得る工程(B)と、
    前記増幅産物の配列解析を行い、前記DNA領域(b)の配列を含むリード数(b)及び前記DNA領域(n)の配列を含むリード数(n)を取得する工程(C)と、
    前記DNA領域(n)に対する前記DNA領域(b)の割合(DNA領域(b)/DNA領域(n))が互いに異なる複数の標準DNA試料を用いて、前記リード数(n)に対する前記リード数(b)の割合(リード数(b)/リード数(n))から前記DNA領域(b)/DNA領域(n)を求める検量線を作製する工程(D)と、
    前記検量線を用いて、前記工程(C)で取得した前記リード数(b)及び前記リード数(n)に基づいて、前記DNA試料における前記DNA領域(b)/DNA領域(n)を算出する工程(E)と、
    を含む、疾患DNAの定量方法。
  2. 前記DNA試料が、前記疾患の治療中の前記対象から取得したDNA試料である、請求項1に記載の疾患DNAの定量方法。
  3. 前記配列解析を次世代シーケンサーで行う、請求項1又は2に記載の疾患DNAの定量方法。
  4. 前記標準DNA試料における前記DNA領域(b)及び前記DNA領域(n)の定量を、デジタルPCRで行う、請求項1〜3のいずれか一項に記載の疾患DNAの定量方法。
  5. 前記標準DNA試料における前記リード数(b)及び前記リード数(n)の取得を、次世代シーケンサーを用いて行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の疾患DNAの定量方法。
  6. 前記DNA試料が、
    フローサイトメトリーで分画された細胞画分から調製されたDNA試料である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の疾患DNAの定量方法。
  7. 前記疾患が、慢性骨髄性白血病、及び急性リンパ性白血病からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の疾患DNAの定量方法。
  8. 22番染色体と9番染色体との染色体転座の切断点同定用プライマーセットであって、
    (a)22番染色体におけるBCR遺伝子のエクソン13からエクソン15までの領域にアニーリングするプライマーであって、前記22番染色体上のアニーリング位置が相互に重複しない、複数種類のプライマー;及び
    (b)9番染色体におけるABL1遺伝子のエクソン1からエクソン2までの領域にアニーリングするプライマーであって、前記9番染色体上のアニーリング位置が相互に重複しない、複数種類のプライマー、
    を含む、プライマーセット。
  9. 前記(a)のプライマーがフォワードプライマーであり、前記(b)のプライマーがリバースプライマーである、請求項8に記載のプライマーセット。
  10. 前記(a)のプライマーが、配列番号64〜67のいずれかに記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるプライマーであり、
    前記(b)のプライマーが、配列番号68〜169のいずれかに記載の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなるプライマーである、
    請求項9に記載のプライマーセット。
  11. 22番染色体と9番染色体との染色体転座の切断点の同定方法であって、
    請求項8〜10のいずれか一項に記載のプライマーセットから選択されるプライマーペアを用いて、22番染色体と9番染色体との染色体転座を伴う疾患を有する対象のDNA試料を鋳型として、核酸増幅反応を行う工程(A−1)と、
    前記核酸増幅反応により得られた核酸増幅断片の配列解析を行い、前記核酸増幅断片の配列情報を取得する工程(A−2)と、
    前記核酸増幅断片の前記配列情報に基づいて、前記染色体転座の切断点を同定する工程(A−3)と、
    を含む、切断点の同定方法。
  12. 前記染色体転座を伴う疾患が、22番染色体と9番染色体との染色体転座を伴う疾患であり、
    前記工程(A)における染色体転座の切断点の情報を、請求項11に記載の切断点の同定方法により取得する、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の疾患DNAの定量方法。
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