JP2021111632A - 固体電解質及び固体電解質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、良好なイオン伝導性を示す固体電解質及び固体電解質製造方法を提供することを課題とするものである。【解決手段】少なくとも、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びアルカリ金属塩を含有する固体電解質であって、前記固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であることを特徴とする、固体電解質であることを本旨とする。【選択図】図1
Description
本発明は、ポリマー系固体電解質及び固体電解質の製造方法に関する。
近年、リチウム二次電池をはじめとするアルカリ二次電池はスマートフォン、携帯電話などの携帯機器、ハイブリッド自動車、電気自動車、及び家庭用蓄電器などといった様々な用途に用いられつつあり、それらに関する研究開発が盛んに行われている。
アルカリ二次電池は、安全性の向上が求められており、安全性向上に寄与できる固体電解質の研究が活発となっている。
固体電解質はイオンを容易に伝導する固体であり、一般的に固体電解質は酸化物系、硫化物系及びポリマー系に分けられる。ポリマー系固体電解質として、ポリフェニレンサルファイドとアルカリ金属塩との混合物に電子アクセプターをドープしたもの(特許文献1、2)が知られている。
特許文献1、2の固体電解質のイオン伝導率には改善の余地があり、さらなる電池性能向上のためには、イオン伝導率を向上させる課題がある。
本発明は、上記問題点を解決し、良好なイオン伝導性を示す固体電解質及び固体電解質製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。
(1)少なくとも、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びアルカリ金属塩を含有する固体電解質であって、前記固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であることを特徴とする、固体電解質。
(2)(1)に記載の固体電解質の製造方法であって、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程とを含んでおり、前記原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であり、前記混合工程及びそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物の最高到達温度を120℃未満とすることを特徴とする、固体電解質の製造方法。
(3)(1)に記載の固体電解質の製造方法であって、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程を含んでおり、前記混合工程及び/又はそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物を、原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の融点以上に加熱して溶融し、成形した後に延伸する工程を含むことを特徴とする、固体電解質の製造方法。
(4)原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が5%以上20%未満であることを特徴とする、請求項3に記載の固体電解質の製造方法。
(5)(1)に記載の固体電解質を有することを特徴とする、電極。
(6)(1)に記載の固体電解質を有することを特徴とする、電池。
(7)(1)に記載の固体電解質を有することを特徴とする、コンデンサー。
(1)少なくとも、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びアルカリ金属塩を含有する固体電解質であって、前記固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であることを特徴とする、固体電解質。
(2)(1)に記載の固体電解質の製造方法であって、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程とを含んでおり、前記原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であり、前記混合工程及びそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物の最高到達温度を120℃未満とすることを特徴とする、固体電解質の製造方法。
(3)(1)に記載の固体電解質の製造方法であって、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程を含んでおり、前記混合工程及び/又はそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物を、原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の融点以上に加熱して溶融し、成形した後に延伸する工程を含むことを特徴とする、固体電解質の製造方法。
(4)原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が5%以上20%未満であることを特徴とする、請求項3に記載の固体電解質の製造方法。
(5)(1)に記載の固体電解質を有することを特徴とする、電極。
(6)(1)に記載の固体電解質を有することを特徴とする、電池。
(7)(1)に記載の固体電解質を有することを特徴とする、コンデンサー。
本発明により良好なイオン伝導性を示す固体電解質及び固体電解質の製造方法を提供することができる。
(固体電解質)
本発明の固体電解質は、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びアルカリ金属塩を含有する固体電解質であって、前記固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であることが重要である。
本発明の固体電解質は、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びアルカリ金属塩を含有する固体電解質であって、前記固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であることが重要である。
このような態様とすることにより、イオン伝導性を向上することができる。
これまで、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びアルカリ金属塩を含有する固体電解質が開発されているが、そのイオン伝導メカニズムは明らかとなっていなかった。本発明者らは原料やプロセスを検討し、上記態様とすることで、高いイオン伝導性が達成することが可能となることを見出し、本発明に至った。
剛直非晶とは、結晶と結晶との間に位置し分子運動に制限のある非晶のことであり、分子運動に制限の少ない可動非晶と比べて分子運動速度が遅いが、結晶部分と比べると分子運動速度が速い成分である。柔粘性結晶(Plastic Crystal)のイオン伝導メカニズムとして、回転扉モデル(Revolving Door Model)が提唱されており、回転扉の回転速度が過度に高速であると通過しようとするものは弾き飛ばされ、回転速度が過度に遅いと通過しようとするものは素早く通過することができない、というモデルに基づいている。ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む上記態様は柔粘性結晶ではないものの、回転扉モデルに類似したメカニズムでイオンが移動できると類推される。すなわち、上記固体電解質において、分子運動速度が適度に速い成分を多く含むことで、イオン伝導性を向上できる。つまり、イオン伝導性向上の観点から、固体電解質の状態において、ポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上であることが好ましい。一方で、剛直非晶は結晶部分により分子運動が制限された成分であるため、剛直非晶率が80%以下であることが、剛直非晶部分の分子運動速度が過度に速くなることを抑制し、結果としてイオン伝導性を向上することができる。同様の観点から、固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が30%以上50%以下であることがより好ましい。
なお本発明において、剛直非晶率は、示差走査熱量測定(DSC)及び温度変調DSC(TM−DSC)により求める。DSCにより、固体電解質を25℃から350℃まで、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定し、210℃から320℃間におけるDSC曲線と、ベースラインが描く部分の面積と、測定サンプル質量(g)及び固体電解質中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の含有率(質量%)から固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の融解熱量(J/g)を求め、当該融解熱量をポリフェニレンサルファイド完全結晶の融解熱量である146.2(J/g)にて除した値から結晶化度(%)を得る。
なお、固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の含有率(質量%)は、固体電解質を液体窒素を用いて凍結粉砕したサンプルを、トルエンを用いてソックスレー法により24時間抽出処理後、水を用いてソックスレー法により24時間抽出処理及び、70℃にて真空乾燥を24時間行ったあと、固体13C−NMR(核磁気共鳴分光法)による定性分析及び定量分析により求める。なお、MALDI−TOF−MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法/飛行時間型質量分析法)によりサンプルの定性分析を補助的に行っても良い。
また、温度変調DSCにより、窒素雰囲気下、2℃/分の昇温速度、モジュレーション周期30秒、モジュレーション振幅±1℃の条件で固体電解質を25℃から300℃まで測定し、可逆成分の熱流において、70℃〜120℃間に見られる階段状のガラス転移シグナル前後の比熱差と、サンプル質量(g)及び固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の含有率(質量%)を用いて得られる、固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂のガラス転移前後の比熱差(J/g℃)を完全非晶ポリフェニレンサルファイドのガラス転移前後における比熱差である0.2699(J/g℃)で除した値から可動非晶率(%)を得る。
そして、固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率(%)は100−結晶化度(%)−可動非晶率(%)より求める。
(固体電解質の定義)
なお、本発明において、固体電解質とは25℃において固体状態であり、外部から電場をかけることで容易にイオンを移動させる物質のことをいう。本発明の固体電解質におけるアルカリ金属イオンの移動しやすさは、25℃におけるイオン拡散係数で判断することができる。アルカリ金属イオンのイオン拡散係数(m2/s)は、そのイオンの核磁気共鳴分光法(NMR)で測定してもよい。
なお、本発明において、固体電解質とは25℃において固体状態であり、外部から電場をかけることで容易にイオンを移動させる物質のことをいう。本発明の固体電解質におけるアルカリ金属イオンの移動しやすさは、25℃におけるイオン拡散係数で判断することができる。アルカリ金属イオンのイオン拡散係数(m2/s)は、そのイオンの核磁気共鳴分光法(NMR)で測定してもよい。
また、NMRで測定したイオン拡散係数は、同じ温度条件でも複数の値をとる可能性があるため、本発明においてのイオン拡散係数はそのイオンの25℃におけるイオン拡散係数の最大値をいう。イオン伝導性の観点から、本発明の固体電解質の25℃におけるイオン拡散係数は10−13m2/s以上であることが好ましく、10−12m2/s以上であることがより好ましく、10−11m2/s以上であることがさらに好ましい。
また、本発明において固体とは、容器の形とは無関係にその形状を保持するもの、をいう。
(パルス1H−NMR)
上記剛直非晶率に関連する物性として、イオン伝導性向上の観点から、本発明の固体電解質は、パルスNMRを用いて100℃でソリッドエコー(Solid Echo)法にて測定し、1Hのスピン−スピン緩和の自由誘導減衰(FID)シグナルを、緩和時間の短い順にA成分、B成分、C成分の3成分に由来する3つの曲線に波形分離して得た、B成分の成分比率が2%以上20%以下であることが好ましい。緩和時間が長い成分C成分は可動非晶に起因する分子運動を反映し、緩和時間が短いA成分は、結晶に起因する分子運動を反映し、中間のB成分は、剛直非晶に起因する分子運動を反映すると考えられており、中間のB成分が占める比率が2%以上20%以下であることにより、分子運動速度が適度に速い成分を多く含みつつ、過度に分子運動性が速くなることを抑制でき、イオン伝導性を向上できる。また、同様の観点から、B成分の緩和時間が50μs以上200μs以下であることがより好ましい。
上記剛直非晶率に関連する物性として、イオン伝導性向上の観点から、本発明の固体電解質は、パルスNMRを用いて100℃でソリッドエコー(Solid Echo)法にて測定し、1Hのスピン−スピン緩和の自由誘導減衰(FID)シグナルを、緩和時間の短い順にA成分、B成分、C成分の3成分に由来する3つの曲線に波形分離して得た、B成分の成分比率が2%以上20%以下であることが好ましい。緩和時間が長い成分C成分は可動非晶に起因する分子運動を反映し、緩和時間が短いA成分は、結晶に起因する分子運動を反映し、中間のB成分は、剛直非晶に起因する分子運動を反映すると考えられており、中間のB成分が占める比率が2%以上20%以下であることにより、分子運動速度が適度に速い成分を多く含みつつ、過度に分子運動性が速くなることを抑制でき、イオン伝導性を向上できる。また、同様の観点から、B成分の緩和時間が50μs以上200μs以下であることがより好ましい。
なお、本発明では、パルスNMR測定において、評価結果のずれを抑制するため、固体電解質を液体窒素を用いて凍結粉砕し、23℃に温度を戻した後、23℃、50%RHの恒温室で48時間放置したうえで、パルスNMR測定する。
具体的な測定方法としては、例えば、固体電解質の粉末を、直径10mmのガラス製のサンプル管(BRUKER製、品番1824511、10mm径長さ180mm、フラットボトム)に高さ15mmになるように入れる。サンプルをパルスNMR装置(BRUKER製「the minispec mq20」)に設置し、25℃(40分保持)、60℃(40分保持)、80℃(40分保持)、100℃(10分保持)と段階的に昇温させる。測定は100℃にてSolid Echo法を行い、得られた1Hのスピン−スピン緩和の自由誘導減衰曲線を、A成分、B成分、C成分の3成分に由来する3つの曲線に波形分離する。
測定条件として、Solid Echo法において、Scans回数:128times、Recycle Deray:1秒、Acquisition scaleは:1ミリ秒とする。
波形分離は、ガウシアン型とエクスポネンシャル型の両方を用いて、フィッティングさせることで行う。具体的には、BRUKER社製の解析ソフトウェア「TD−NMRA(Version 4.3 Rev 0.8)」を用い製品マニュアルに従って、A成分はガウシアン型、B成分およびC成分はエクスポネンシャル型でフィッティングを行う。すなわち、フィッティングには以下の式を用いる。
Y=A1×exp(-1/w1×(t/T2A)w1)+B1×exp(-1/w2×(t/T2B)w2)+C1×exp(-1/w3×(t/T2C)w3)+Y0
ここで、Yは信号強度、w1〜w3はワイブル係数であり、w1は2、w2およびw3は1の値を取る。Y0は定数である。フィッティングには、線形最小二乗法を用いる。
Y=A1×exp(-1/w1×(t/T2A)w1)+B1×exp(-1/w2×(t/T2B)w2)+C1×exp(-1/w3×(t/T2C)w3)+Y0
ここで、Yは信号強度、w1〜w3はワイブル係数であり、w1は2、w2およびw3は1の値を取る。Y0は定数である。フィッティングには、線形最小二乗法を用いる。
T2AはA成分の、T2BはB成分の、T2CはC成分のそれぞれ緩和時間を示し、T2A<T2B<T2Cである。tは時間である。A1はA成分の、B1はB成分の、C1はC成分のそれぞれ係数であり、A1/(A1+B1+C1)はA成分の、 B1/(A1+B1+C1)はB成分の、C1/(A1+B1+C1)はC成分の成分比率である。
また、解析には緩和曲線の1ミリ秒までのポイントを用いてフィッティングを行う。
(ポリフェニレンサルファイド樹脂)
本発明の固体電解質はイオン伝導性及び難燃性の観点から、ポリフェニレンサルファイド樹脂を含有することが重要である。ポリフェニレンサルファイド樹脂は、結晶化特性、非晶部分の分子運動性、後述するアルカリ金属塩との親和性がイオン伝導に適していることから、当該樹脂を含有することでイオン伝導性の向上に繋がる。また、ポリフェニレンサルファイド樹脂は難燃性を有することから固体電解質の難燃化に寄与できる。
本発明の固体電解質はイオン伝導性及び難燃性の観点から、ポリフェニレンサルファイド樹脂を含有することが重要である。ポリフェニレンサルファイド樹脂は、結晶化特性、非晶部分の分子運動性、後述するアルカリ金属塩との親和性がイオン伝導に適していることから、当該樹脂を含有することでイオン伝導性の向上に繋がる。また、ポリフェニレンサルファイド樹脂は難燃性を有することから固体電解質の難燃化に寄与できる。
ポリフェニレンサルファイド樹脂は、耐熱性の観点から、含有するモノマー全単位を100モル%とした際、モノマー単位として化学式(1)〜化学式(6)で示されるフェニレンサルファイドより選ばれる1種以上よりなることが好ましく、化学式(1)に示すパラフェニレンサルファイドを50モル%超過含有することがより好ましい。また、剛直非晶率を上記範囲とするために、全モノマー単位を100モル%とした際、化学式(1)や化学式(2)、化学式(3)に示すような2官能型のフェニレンサルファイドの含有率をAモル%、化学式(4)や化学式(5)、化学式(6)に示すような3官能型のフェニレンサルファイドの含有率をBモル%としたとき、A/(A+B)×100(%)が99.90(%)以上であることが好ましく、99.98%以上であることがより好ましい。同様の観点から、前記2官能型のフェニレンサルファイドは化学式(1)に示すパラフェニレンサルファイドであることがより好ましい。
なお、例えば、化学式(1)のフェニレンサルファイドをa1モル%、化学式(2)のフェニレンサルファイドをa2モル%、化学式(3)のフェニレンサルファイドをa3モル%含むように、複数の2官能型フェニレンサルファイドを含む場合、A=a1+a2+a3というように、合算する。3官能型フェニレンサルファイドに関しても同様である。それぞれの数や比率は固体13C―NMRにより求めることができる。
(アルカリ金属塩)
本発明の固体電解質はイオン伝導性の観点からアルカリ金属塩を含むことが重要である。
本発明におけるアルカリ金属塩は、アルカリ金属イオンが構成イオンとして含まれる塩をいう。例えばリチウム金属イオン、ナトリウム金属イオン、カリウム金属イオンなどを含む金属塩があげられる。イオン拡散性の観点から、イオン径が小さい金属イオンが好ましい。
本発明の固体電解質はイオン伝導性の観点からアルカリ金属塩を含むことが重要である。
本発明におけるアルカリ金属塩は、アルカリ金属イオンが構成イオンとして含まれる塩をいう。例えばリチウム金属イオン、ナトリウム金属イオン、カリウム金属イオンなどを含む金属塩があげられる。イオン拡散性の観点から、イオン径が小さい金属イオンが好ましい。
アニオンは、イオンへの解離性の高さからHSAB則に基づくやわらかい塩基であることが好ましく、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンや、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンであることが好ましい。
なお、HSAB則(Principle of Hard and Soft Acids and Bases)は、R.G.Pearsonが提唱した酸塩基の強さに関して、かたい、やわらかいという観点で分類したものである。かたい酸はかたい塩基に対して親和性が大きく、やわらかい酸はやわらかい塩基に対して親和性が大きい。かたい酸とは、電子受容体になる原子が小さく、容易に変形する軌道に入った価電子を持たず、大きな正電荷をもつものである。やわらかい酸とは、電子受容体になる原子が大きく、容易に変形する軌道に入った価電子を持ち、電荷がないかあっても小さいものである。かたい塩基とは、価電子が原子に強く結合している塩基であり、やわらかい塩基とは、価電子が容易に分極する塩基である。HSAB則およびHSABの酸塩基の分類は、R.B.HeslopとK.Jones著「Inorganic Chemistry −A Guide to Advanced Study」の9章の酸塩基の15節に記載されている。
具体的には、アルカリ金属塩として、リチウム塩類、ナトリウム塩類を含むことが好ましく、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(LiCO3)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、六フッ化リン酸ナトリウム(NaPF6)、四フッ化ホウ酸ナトリウム(NaBF4)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(NaFSI)、及びナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(NaTFSI)より選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、イオンの解離性の高さの観点から、LiTFSI、及びLiFSIより得られる1種以上を含むことがさらに好ましい。
また、アルカリ金属塩は複数種類の塩を適宜な比で混合して使用してもよい。
イオンの解離度及びイオン伝導率の観点から、ポリフェニレンサルファイド樹脂における全モノマー単位及びアルカリ金属塩のモル比が、100:2〜100:400であることが好ましく、100:2〜100:100がより好ましく、100:2〜100:50がさらに好ましく、100:2〜100:15が特に好ましい。
(電子アクセプター)
本発明の固体電解質はアルカリ金属イオンの解離及びイオン伝導性の観点から、電子アクセプターを含むことが好ましい。
本発明の固体電解質はアルカリ金属イオンの解離及びイオン伝導性の観点から、電子アクセプターを含むことが好ましい。
本発明の固体電解質における電子アクセプターは、ポリマーと電荷移動錯体を形成し、アルカリ金属塩の解離を促進、イオン伝導パスの形成を促進することができる。本発明の効果を損なわない限り限定されないが、キノン系、シアン系電子アクセプターがあげられる。例えば2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)、クロラニル、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラシアノエチレン(TCNE)、酸素、ヨウ素、五フッ化ヒ素(AsF5)等があげられる。本発明において、イオン伝導性の観点から、電子アクセプターを一種類以上含有してもよいが、複数種類のアクセプターを適宜な比率で使用してもよい。
(他の成分)
本発明の固体電解質は、本発明の効果を損なわない限り他の成分を含んでもよい。アルカリ金属塩の解離を促進し、イオン伝導性を向上させる観点から、溶剤を含んでもよい。このような態様とすることにより。同様の観点から、前記溶剤はメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエチルホスフェート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、水及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
本発明の固体電解質は、本発明の効果を損なわない限り他の成分を含んでもよい。アルカリ金属塩の解離を促進し、イオン伝導性を向上させる観点から、溶剤を含んでもよい。このような態様とすることにより。同様の観点から、前記溶剤はメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエチルホスフェート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、水及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。
(イオン伝導率)
本発明の固体電解質は電池用途の電解質としてのイオン伝導性や電池の充放電性能の観点から、本発明の固体電解質のイオン伝導率は10−5S/cm以上であることが好ましい。また、同様の観点から、10−4S/cm以上であることがより好ましく、10−3S/cm以上であることがさらに好ましい。なお、上記の固体電解質のイオン伝導率は、25℃におけるものをいう。
本発明の固体電解質は電池用途の電解質としてのイオン伝導性や電池の充放電性能の観点から、本発明の固体電解質のイオン伝導率は10−5S/cm以上であることが好ましい。また、同様の観点から、10−4S/cm以上であることがより好ましく、10−3S/cm以上であることがさらに好ましい。なお、上記の固体電解質のイオン伝導率は、25℃におけるものをいう。
イオン伝導率の測定は次の方法により行うことができる。固体電解質を内径10mmの絶縁性の筒内に固体電解質を成形し、測定用試料とする。この試料の厚さをマイクロメーターで測定後、サンプルホルダーに設置し、高周波インピーダンス測定システム(東陽テクニカ社製4990EDMS−120K)を用いて、100Hz〜100MHzの交流電圧を印加し、複素インピーダンス法によるイオン伝導率を測定する。
(電子伝導率)
本発明の固体電解質は金属イオン電池の内部短絡を防ぐ観点から、本発明の固体電解質の電子伝導率は10−9S/cm以下であることが好ましい。なお、上記の固体電解質の電子伝導率は、25℃におけるものをいう。
本発明の固体電解質は金属イオン電池の内部短絡を防ぐ観点から、本発明の固体電解質の電子伝導率は10−9S/cm以下であることが好ましい。なお、上記の固体電解質の電子伝導率は、25℃におけるものをいう。
本発明における電子伝導率の測定は次の方法により行う。上記同様に内径10mmの絶縁性の筒内に固体電解質を成形し、測定用試料とする。この試料の厚さをマイクロメーターで測定する。試料の抵抗は高抵抗抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製“ハイレスタ“(登録商標)−UX MCP−HT800)で測定し、その後試料の電子伝導率を算出する。電子導電率は、イオン伝導率と異なって、固体電解質において正極と負極の間の短絡の原因になることがあり、固体電解質において負の要因となる。以上の観点から、本発明における電子伝導率が10−9S/cm以下であることが好ましい。
(固体電解質の製造方法)
本発明における固体電解質の製造方法は、固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率を好ましい範囲とする観点から、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程とを含んでおり、前記原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であり、前記混合工程及びそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物の最高到達温度を120℃未満とすることが、好ましい態様である。
本発明における固体電解質の製造方法は、固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率を好ましい範囲とする観点から、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程とを含んでおり、前記原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であり、前記混合工程及びそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物の最高到達温度を120℃未満とすることが、好ましい態様である。
原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率をあらかじめ目的とする固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率の範囲内とし、その結晶構造を破壊しないよう、固体電解質を得る工程において、最高到達温度を前記ポリフェニレンサルファイド樹脂の冷結晶化が激しくなる120℃よりも低い温度することで、目的とする固体電解質を得ることができる。
なお、原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂とは、ポリフェニレンサルファイド樹脂をアルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターと混合する直前における当該樹脂のことをいう。
また、ここでは原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率は、固体電解質の剛直非晶率と同様の方法にて求めることができる。
この際、用いる電子アクセプターを100モル%とした時、ポリフェニレンサルファイド樹脂の結晶構造を破壊する能力が小さい、クロラニルを50モル%超過用いることが好ましく、70モル%以上用いることがより好ましい。
また、この際、原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩などとの混和性を向上させ、ひいてはイオン伝導性を向上させる観点から、前記最高到達温度を80℃以上120℃未満とすることがより好ましい。80℃以上とすることにより、原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂のガラス転移が活発となり、混和性を向上することができる。同様の観点から、前記最高到達温度は100℃以上120℃未満とすることがさらに好ましく、110℃以上120℃未満とすることが特に好ましい。
(製造例1)
上記工程における固体電解質の製造方法は、具体例として、以下の工程を採用することができる。まず、剛直非晶率が20%以上80%以下のポリフェニレンサルファイド樹脂原料として用い、平均粒子径が20μm以下になるように液体窒素を使い凍結粉砕する。本発明において、平均粒子径は、JISZ 8827−1(2018)に記載の静的画像解析法で測定した平均面積相当径をいう。その後、粉砕したポリフェニレンサルファイド樹脂に含まれるモノマー単位の数と、添加するアルカリ金属塩及び電子アクセプターとのモル比が100:5.8:29になるように計量し、25℃にて、それぞれを1つの乳鉢にいれ、乳棒を用いて混合する。混合物粉末を密閉容器に投入し、115℃で、7MPaに加圧し、30時間処理する。25℃まで冷却した後、液体窒素を使い凍結粉砕することで、固体電解質の粉末を得ることができる。
上記工程における固体電解質の製造方法は、具体例として、以下の工程を採用することができる。まず、剛直非晶率が20%以上80%以下のポリフェニレンサルファイド樹脂原料として用い、平均粒子径が20μm以下になるように液体窒素を使い凍結粉砕する。本発明において、平均粒子径は、JISZ 8827−1(2018)に記載の静的画像解析法で測定した平均面積相当径をいう。その後、粉砕したポリフェニレンサルファイド樹脂に含まれるモノマー単位の数と、添加するアルカリ金属塩及び電子アクセプターとのモル比が100:5.8:29になるように計量し、25℃にて、それぞれを1つの乳鉢にいれ、乳棒を用いて混合する。混合物粉末を密閉容器に投入し、115℃で、7MPaに加圧し、30時間処理する。25℃まで冷却した後、液体窒素を使い凍結粉砕することで、固体電解質の粉末を得ることができる。
また、上記とは異なる態様として、固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率を好ましい範囲とする観点から、本発明における固体電解質の製造方法は、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程とを含んでおり、前記原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の全モノマー単位を100モル%とした際、2官能型のフェニレンサルファイドモノマーを99.9モル%以上含有しており、前記混合工程及びそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物の最高到達温度を120℃未満とすることも、好ましい態様である。
(製造例2)
上記工程における固体電解質の製造方法は、具体例として、以下の工程を採用することができる。まず、ポリフェニレンサルファイド樹脂の全モノマー単位を100モル%とした際、2官能型のフェニレンサルファイドモノマーを99.9モル%以上含有するポリフェニレンサルファイド樹脂を原料とし、原料を平均粒子径が20μm以下になるように液体窒素を使い凍結粉砕する。その後、粉砕したポリフェニレンサルファイド樹脂に含まれるモノマー単位の数と、添加するアルカリ金属塩及び電子アクセプターとのモル比が100:5.8:29になるように計量し、25℃にて、それぞれを1つの乳鉢にいれ、乳棒を用いて混合する。混合物粉末を密閉容器に投入し、115℃で、7MPaに加圧し、30時間処理する。25℃まで冷却した後、液体窒素を使い凍結粉砕することで、固体電解質の粉末を得ることができる。
上記工程における固体電解質の製造方法は、具体例として、以下の工程を採用することができる。まず、ポリフェニレンサルファイド樹脂の全モノマー単位を100モル%とした際、2官能型のフェニレンサルファイドモノマーを99.9モル%以上含有するポリフェニレンサルファイド樹脂を原料とし、原料を平均粒子径が20μm以下になるように液体窒素を使い凍結粉砕する。その後、粉砕したポリフェニレンサルファイド樹脂に含まれるモノマー単位の数と、添加するアルカリ金属塩及び電子アクセプターとのモル比が100:5.8:29になるように計量し、25℃にて、それぞれを1つの乳鉢にいれ、乳棒を用いて混合する。混合物粉末を密閉容器に投入し、115℃で、7MPaに加圧し、30時間処理する。25℃まで冷却した後、液体窒素を使い凍結粉砕することで、固体電解質の粉末を得ることができる。
また、上記とは別の態様として、固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率を好ましい範囲とする観点から、本発明における固体電解質の製造方法は、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程を含んでおり、前記混合工程及び/又はそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物を、原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の融点以上に加熱して溶融し、成形した後に延伸する工程を含むことも、好ましい態様である。
一度溶融させてポリフェニレンサルファイド樹脂の結晶構造をリセットし、成形し延伸することで、固体電解質の剛直非晶率を原料のポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率よりも向上させることが可能となり、固体電解質のイオン伝導性を向上することが可能となる。また、延伸により厚みの薄い固体電解質を効率的に得ることができることから、生産性が高くかつイオン伝導性の高い固体電解質層を得ることができる。
延伸時の破れ軽減とイオン伝導性を両立させる観点から、本態様においては、原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が5%以上20%未満であることが好ましい。
なお、ポリフェニレンサルファイド樹脂の融点は、示差走査量熱測定(DSC)にて得ることができる。2.5mgのポリフェニレンサルファイド樹脂をアルミ製サンプルホルダーに充填し、サンプル台に設置する。固体電解質を窒素雰囲気下10℃/分の速度で25℃から400℃に昇温し、得られた吸熱ピークのうち、最も面積の広いピークを融解ピークとみなし、融解ピークのピーク温度を融点とする。
(製造例3)
具体例として、以下の工程を採用することができる。まず、剛直非晶率が16%のポリフェニレンサルファイド樹脂原料チップを用意する。ポリフェニレンサルファイド樹脂に含まれるモノマー単位の数と、添加する水酸化リチウム無水物のモル比が100:5.8になるように計量し、3mmHgの減圧下にて温度180℃で4時間乾燥させる。得られた乾燥チップ混合物を、溶融部が310℃に加熱された単軸押出機に供給し、温度320℃に設定したフィルターで濾過した後、温度310℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、予熱後、ロールの周速差を利用して、101℃のフィルム温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸する。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度101℃、延伸倍率3.4倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度200℃で4秒間熱処理を行い、続いて200℃4秒間熱処理を行う。引き続き、260℃4秒間横方向に定長下で熱処理を行ったのち、25℃まで冷却した後、フィルムエッジを除去することにより固体電解質を得ることができる。
具体例として、以下の工程を採用することができる。まず、剛直非晶率が16%のポリフェニレンサルファイド樹脂原料チップを用意する。ポリフェニレンサルファイド樹脂に含まれるモノマー単位の数と、添加する水酸化リチウム無水物のモル比が100:5.8になるように計量し、3mmHgの減圧下にて温度180℃で4時間乾燥させる。得られた乾燥チップ混合物を、溶融部が310℃に加熱された単軸押出機に供給し、温度320℃に設定したフィルターで濾過した後、温度310℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製する。この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、予熱後、ロールの周速差を利用して、101℃のフィルム温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸する。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度101℃、延伸倍率3.4倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度200℃で4秒間熱処理を行い、続いて200℃4秒間熱処理を行う。引き続き、260℃4秒間横方向に定長下で熱処理を行ったのち、25℃まで冷却した後、フィルムエッジを除去することにより固体電解質を得ることができる。
(電極及びその製造方法)
本発明の電極は、イオン伝導性の観点から、本発明の固体電解質を含むことが好ましい。また、導電性、機械強度の観点から、導電助剤とバインダーを含むことが好ましい。
本発明の電極は、イオン伝導性の観点から、本発明の固体電解質を含むことが好ましい。また、導電性、機械強度の観点から、導電助剤とバインダーを含むことが好ましい。
本発明における電極は、例えば以下のように製造することができる。まず、上記製造例1により固体電解質の粉末を得る。その後、固体電解質の粉末と、コバルト酸リチウム(富士フイルム和光純薬社製)、アセチレンブラック(富士フイルム和光純薬社製)、ポリフッ化ビニリデン(アルケマ社製“Kynar“(登録商標)HSV900)とNMP(N−メチルピロリドン)(富士フイルム和光純薬社製)を質量比が70:4.7:3.1:2.2:150になるように調合する。得られた混合物を30分間混合し、電極活物質のスラリを得る。得たスラリを間隔75μmのアプリケーターでアルミ箔に塗布し、85℃にて12時間真空乾燥する。得た電極箔を適宜なサイズに打ち抜き、固体電解質を含む正極を得ることができる。
(電池及びその製造方法)
本発明の電池は、本発明の固体電解質を含むことが好ましい。本発明の効果を損ない限り限定されないが、本発明における電池は例えば、以下のとおり製造することができる。上記のアルミ箔に塗布して得た正極と、負極としてリチウム金属を用意する。上記製造例1において、乳鉢にて混合する混合工程の後、混合物粉末を上記正極や負極で挟み込むよう密閉容器に投入し、230℃で、7MPaに加圧し、3時間処理する。25℃まで冷却した後、取り出して電極つき固体電解質を得ることができる。そして図1に示すように、負極ケース6、板バネ5、スペーサー1、電極つき固体電解質9、スペーサー1、ガスケット8、正極ケース7の順になるよう組み立て、カシメ機で加締めてコインセルを組むことで電池を得ることができる。
本発明の電池は、本発明の固体電解質を含むことが好ましい。本発明の効果を損ない限り限定されないが、本発明における電池は例えば、以下のとおり製造することができる。上記のアルミ箔に塗布して得た正極と、負極としてリチウム金属を用意する。上記製造例1において、乳鉢にて混合する混合工程の後、混合物粉末を上記正極や負極で挟み込むよう密閉容器に投入し、230℃で、7MPaに加圧し、3時間処理する。25℃まで冷却した後、取り出して電極つき固体電解質を得ることができる。そして図1に示すように、負極ケース6、板バネ5、スペーサー1、電極つき固体電解質9、スペーサー1、ガスケット8、正極ケース7の順になるよう組み立て、カシメ機で加締めてコインセルを組むことで電池を得ることができる。
(コンデンサー及びその製造方法)
本発明のコンデンサーは、本発明の固体電解質を含むことが好ましい。本発明の効果を損ない限り限定されないが、一例として、本発明におけるコンデンサーは、陽極体と、陰極体と、上記の陽極体と上記の陰極体との間に介在する本発明の固体電解質層からなることができる。
本発明のコンデンサーは、本発明の固体電解質を含むことが好ましい。本発明の効果を損ない限り限定されないが、一例として、本発明におけるコンデンサーは、陽極体と、陰極体と、上記の陽極体と上記の陰極体との間に介在する本発明の固体電解質層からなることができる。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
(剛直非晶率の測定)
原料及び固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率はDSCとTM−DSCにより求めた。示差走査熱量計(TA Instruments社製Q1000)により、測定サンプルを25℃から350℃まで、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定し、210℃から320℃間におけるDSC曲線と、ベースラインが描く部分の面積と、測定サンプル質量(g)及びサンプル中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の含有率(質量%)からサンプル中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の融解熱量(J/g)を求め、当該融解熱量をポリフェニレンサルファイド完全結晶の融解熱量である146.2(J/g)にて除した値から結晶化度(%)を得た。
原料及び固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率はDSCとTM−DSCにより求めた。示差走査熱量計(TA Instruments社製Q1000)により、測定サンプルを25℃から350℃まで、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定し、210℃から320℃間におけるDSC曲線と、ベースラインが描く部分の面積と、測定サンプル質量(g)及びサンプル中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の含有率(質量%)からサンプル中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の融解熱量(J/g)を求め、当該融解熱量をポリフェニレンサルファイド完全結晶の融解熱量である146.2(J/g)にて除した値から結晶化度(%)を得た。
また、温度変調示差走査熱量計(TA Instruments社製Q1000)により、窒素雰囲気下、2℃/分の昇温速度、モジュレーション周期30秒、モジュレーション振幅±1℃の条件で測定サンプルを25℃から300℃まで測定し、可逆成分の熱流において、70℃〜120℃間に見られる階段状のガラス転移シグナル前後の比熱差と、サンプル質量(g)及びサンプル中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の含有率(質量%)を用いて得られる、サンプル中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂のガラス転移前後の比熱差(J/g℃)を完全非晶ポリフェニレンサルファイドのガラス転移前後における比熱差である0.2699(J/g℃)で除した値から可動非晶率(%)を得た。
そして、サンプル中におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率(%)は100−結晶化度(%)−可動非晶率(%)より求めた。
(融点の測定)
原料として用いるポリフェニレンサルファイドの融点は示差走査熱量計(TA Instruments社製Q1000)を用いて測定した。ポリフェニレンサルファイド樹脂をアルミ製サンプルホルダーに充填し、サンプル台に設置する。固体電解質を窒素雰囲気下10℃/分の速度で25℃から400℃に昇温し、得られた吸熱ピークのうち、最も面積の広いピークを融解ピークとみなし、融解ピークのピーク温度を融点とした。
(イオン伝導率)
固体電解質のイオン伝導率は次の方法により測定した。固体電解質が粉末の場合、25℃において、内径10mmの絶縁性の筒内に7MPaの圧力により加圧成形し、測定用試料とした。固体電解質が成形品である場合、直径10mmの円形に打ち抜き、測定用資料とした。試料の厚さをマイクロメーターで測定後、サンプルホルダーに設置し、高周波インピーダンス測定システム(東陽テクニカ社製4990EDMS−120K)を用いて、100Hz〜100MHzの交流電圧を印加し、複素インピーダンス法によるイオン伝導率を測定した。
原料として用いるポリフェニレンサルファイドの融点は示差走査熱量計(TA Instruments社製Q1000)を用いて測定した。ポリフェニレンサルファイド樹脂をアルミ製サンプルホルダーに充填し、サンプル台に設置する。固体電解質を窒素雰囲気下10℃/分の速度で25℃から400℃に昇温し、得られた吸熱ピークのうち、最も面積の広いピークを融解ピークとみなし、融解ピークのピーク温度を融点とした。
(イオン伝導率)
固体電解質のイオン伝導率は次の方法により測定した。固体電解質が粉末の場合、25℃において、内径10mmの絶縁性の筒内に7MPaの圧力により加圧成形し、測定用試料とした。固体電解質が成形品である場合、直径10mmの円形に打ち抜き、測定用資料とした。試料の厚さをマイクロメーターで測定後、サンプルホルダーに設置し、高周波インピーダンス測定システム(東陽テクニカ社製4990EDMS−120K)を用いて、100Hz〜100MHzの交流電圧を印加し、複素インピーダンス法によるイオン伝導率を測定した。
[参考例1]
攪拌機付きのオートクレーブに硫化ナトリウム9水和物6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.787kg(9.6モル)およびNMP(N−メチルピロリドン)5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.712kg(25.25モル)ならびにNMP2.4kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。次に100℃に加熱されたNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに80℃の熱水で30分の洗浄を3回繰り返した。これを濾過し、酢酸カルシウムを10.4g入れた水溶液25リットル中に投入し、密閉されたオートクレーブ中で192℃で約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥し、融点278℃、降温結晶化温度180℃、MFR(メルトフローレート)100g/10分のポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリマー1)を得た。なお、MFRは、ポリフェニレンサルファイド樹脂粉末5gを130℃、3時間乾燥し、315.5℃、5分滞留させた後、5kg荷重をかけ測定(JIS−K7210−1:2014に準拠)して求めた。
攪拌機付きのオートクレーブに硫化ナトリウム9水和物6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.787kg(9.6モル)およびNMP(N−メチルピロリドン)5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.712kg(25.25モル)ならびにNMP2.4kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。次に100℃に加熱されたNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに80℃の熱水で30分の洗浄を3回繰り返した。これを濾過し、酢酸カルシウムを10.4g入れた水溶液25リットル中に投入し、密閉されたオートクレーブ中で192℃で約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾液のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥し、融点278℃、降温結晶化温度180℃、MFR(メルトフローレート)100g/10分のポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリマー1)を得た。なお、MFRは、ポリフェニレンサルファイド樹脂粉末5gを130℃、3時間乾燥し、315.5℃、5分滞留させた後、5kg荷重をかけ測定(JIS−K7210−1:2014に準拠)して求めた。
[参考例2]
参考例1を参考に、1,2,4−トリクロロベンゼンも併せて添加し、MFRが70g/10分、モノマー全単位100モル%中、トリクロロベンゼン由来のモノマー単位を0.2モル%含有するポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリマー2)を得た。
参考例1を参考に、1,2,4−トリクロロベンゼンも併せて添加し、MFRが70g/10分、モノマー全単位100モル%中、トリクロロベンゼン由来のモノマー単位を0.2モル%含有するポリフェニレンサルファイド樹脂(ポリマー2)を得た。
(アクセプター1)
クロラニル(富士フイルム和光純薬社製)。
クロラニル(富士フイルム和光純薬社製)。
(アクセプター2)
2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)(東京化成工業社製)。
2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)(東京化成工業社製)。
(アクセプター3)
テトラシアノエチレン(TCNE)(東京化成工業社製)。
テトラシアノエチレン(TCNE)(東京化成工業社製)。
(アルカリ金属塩1)
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成工業社製)。
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成工業社製)。
(アルカリ金属塩2)
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(東京化成工業社製)。
リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(東京化成工業社製)。
(アルカリ金属塩3)
水酸化リチウム無水物(富士フイルム和光純薬社製)。
水酸化リチウム無水物(富士フイルム和光純薬社製)。
(実施例1)
ポリマー1を平均粒子径が20μm以下になるように液体窒素を使い凍結粉砕した。ポリマー1に含まれるモノマー単位の数が100モル、アルカリ金属塩1が10.7モル、アクセプター1が7.8モルのモル比となるよう計量した。なお、ポリマー1に含まれるモノマー単位の数は、計量したポリマー1の質量(g)を108.16(g/mol)で割った値から求めた。25℃雰囲気下、それぞれを1つの乳鉢にいれ、乳棒を用いて混合した。混合物粉末を密閉容器に投入し、115℃で、7MPaに加圧し、30時間処理した。25℃まで冷却した後、液体窒素を使い凍結粉砕することで、固体電解質の粉末を得、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
ポリマー1を平均粒子径が20μm以下になるように液体窒素を使い凍結粉砕した。ポリマー1に含まれるモノマー単位の数が100モル、アルカリ金属塩1が10.7モル、アクセプター1が7.8モルのモル比となるよう計量した。なお、ポリマー1に含まれるモノマー単位の数は、計量したポリマー1の質量(g)を108.16(g/mol)で割った値から求めた。25℃雰囲気下、それぞれを1つの乳鉢にいれ、乳棒を用いて混合した。混合物粉末を密閉容器に投入し、115℃で、7MPaに加圧し、30時間処理した。25℃まで冷却した後、液体窒素を使い凍結粉砕することで、固体電解質の粉末を得、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
(実施例2〜7、比較例1〜3)
ポリマー、電子アクセプター、及びアルカリ金属の種類及びモル比を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に固体電解質を得、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
ポリマー、電子アクセプター、及びアルカリ金属の種類及びモル比を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に固体電解質を得、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
(実施例8)
ポリマー2が100モル、アルカリ金属塩3が10.7モルのモル比となるよう計量して混合し、3mmHgの減圧下にて温度180℃で4時間乾燥させた。混合物を溶融部が310℃に加熱された単軸押出機に供給し、温度320℃に設定したフィルターで濾過した後、温度310℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、予熱後、ロールの周速差を利用して、101℃のフィルム温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度101℃、延伸倍率3.4倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度200℃で4秒間熱処理を行い、続いて200℃4秒間熱処理を行った。引き続き、260℃4秒間横方向に定長下で熱処理を行ったのち、25℃まで冷却した後、フィルムエッジを除去することにより厚み25μmの固体電解質を得た。また、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
ポリマー2が100モル、アルカリ金属塩3が10.7モルのモル比となるよう計量して混合し、3mmHgの減圧下にて温度180℃で4時間乾燥させた。混合物を溶融部が310℃に加熱された単軸押出機に供給し、温度320℃に設定したフィルターで濾過した後、温度310℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、予熱後、ロールの周速差を利用して、101℃のフィルム温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度101℃、延伸倍率3.4倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度200℃で4秒間熱処理を行い、続いて200℃4秒間熱処理を行った。引き続き、260℃4秒間横方向に定長下で熱処理を行ったのち、25℃まで冷却した後、フィルムエッジを除去することにより厚み25μmの固体電解質を得た。また、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
(実施例9)
ポリマー2の代わりにポリマー1を用いた以外は実施例8と同様に実施したが、幅方向の延伸時にフィルムが破れ、狙い厚みの固体電解質を得ることが出来なかった。破れたフィルム屑を液体窒素を使い凍結粉砕することで、固体電解質の粉末を得、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
ポリマー2の代わりにポリマー1を用いた以外は実施例8と同様に実施したが、幅方向の延伸時にフィルムが破れ、狙い厚みの固体電解質を得ることが出来なかった。破れたフィルム屑を液体窒素を使い凍結粉砕することで、固体電解質の粉末を得、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
(実施例10〜12)
ポリマー、電子アクセプター、及びアルカリ金属の種類及びモル比を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に固体電解質の粉末を得たのち、得られた固体電解質の粉末に、他の成分として、電気抵抗率が0.5MΩ(メガオーム)の純水を滴下し、実施例10〜12の固体電解質を得た。これらの固体電解質について、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
ポリマー、電子アクセプター、及びアルカリ金属の種類及びモル比を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に固体電解質の粉末を得たのち、得られた固体電解質の粉末に、他の成分として、電気抵抗率が0.5MΩ(メガオーム)の純水を滴下し、実施例10〜12の固体電解質を得た。これらの固体電解質について、各測定を行った。結果を表1及び表2に示す。
本発明によれば、良好なイオン伝導性を示す固体電解質及び固体電解質の製造方法を提供することができる。
1 スペーサー
2 正極
3 固体電解質
4 リチウム金属負極
5 板バネ
6 負極ケース
7 正極ケース
8 ガスケット
2 正極
3 固体電解質
4 リチウム金属負極
5 板バネ
6 負極ケース
7 正極ケース
8 ガスケット
Claims (7)
- 少なくとも、ポリフェニレンサルファイド樹脂及びアルカリ金属塩を含有する固体電解質であって、前記固体電解質におけるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であることを特徴とする、固体電解質。
- 請求項1に記載の固体電解質の製造方法であって、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程とを含んでおり、前記原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が20%以上80%以下であり、前記混合工程及びそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物の最高到達温度を120℃未満とすることを特徴とする、固体電解質の製造方法。
- 請求項1に記載の固体電解質の製造方法であって、少なくとも原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂と、アルカリ金属塩及び/又は電子アクセプターを混合する混合工程を含んでおり、前記混合工程及び/又はそれ以降の工程において、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂を含む混合物を、原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の融点以上に加熱して溶融し、成形した後に延伸する工程を含むことを特徴とする、固体電解質の製造方法。
- 原料として用いるポリフェニレンサルファイド樹脂の剛直非晶率が5%以上20%未満であることを特徴とする、請求項3に記載の固体電解質の製造方法。
- 請求項1に記載の固体電解質を有することを特徴とする、電極。
- 請求項1に記載の固体電解質を有することを特徴とする、電池。
- 請求項1に記載の固体電解質を有することを特徴とする、コンデンサー。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020003378 | 2020-01-14 | ||
JP2020003378 | 2020-01-14 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021111632A true JP2021111632A (ja) | 2021-08-02 |
Family
ID=77060155
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021001899A Pending JP2021111632A (ja) | 2020-01-14 | 2021-01-08 | 固体電解質及び固体電解質の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021111632A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023201016A1 (en) * | 2022-04-14 | 2023-10-19 | Ionic Materials, Inc. | Polymer electrolytes with improved ionic conductivity |
-
2021
- 2021-01-08 JP JP2021001899A patent/JP2021111632A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023201016A1 (en) * | 2022-04-14 | 2023-10-19 | Ionic Materials, Inc. | Polymer electrolytes with improved ionic conductivity |
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