JP2021104486A - 光触媒及びその製造方法 - Google Patents

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泰三 佐野
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智子 堀
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和英 小池
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Abstract

【課題】可視光を照射することによって、酸化触媒及び水素発生触媒として作用する新規な光触媒を提供する。【解決手段】グラファイト状窒化炭素と、前記グラファイト状窒化炭素に担持された有機化合物と、を含み、前記有機化合物は、芳香族化合物又は炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物であって、20℃における水溶解度が0.0005g/L以上10g/L以下である光触媒。【選択図】図1

Description

本発明は、光触媒及びその製造方法に関する。
グラファイト状窒化炭素は、トリス−s−トリアジン骨格を基本骨格とする層状化合物であって、g-Cで表される窒化炭素の一つである。グラファイト状窒化炭素は、光触媒として利用することが検討されている。特許文献1には、グラファイト状窒化炭素の粉末を、アルカリ処理又は酸処理して得られた粉末を有効成分とする光触媒が開示されている。この特許文献1によれば、この光触媒は、可視光を照射することによって、トルエンやアセトアルデヒドなどの有機物やNOガスを酸化させるための酸化用の触媒として作用する。
国際公開第2011/049085号
特許文献1に開示されている光触媒は、酸化用の光触媒としては有用である。しかしながら、この光触媒は、水素発生触媒としては殆ど作用しない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、可視光を照射することによって、酸化触媒及び水素発生触媒として作用する新規な光触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香族化合物又は炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物であって、20℃における水溶解度が0.0005g/L以上10g/L以下である有機化合物を担持させたグラファイト状窒化炭素は、可視光を照射することによって、酸化触媒及び水素発生触媒として作用することを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]グラファイト状窒化炭素と、前記グラファイト状窒化炭素に担持された有機化合物と、を含み、前記有機化合物は、芳香族化合物又は炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物であって、20℃における水溶解度が0.0005g/L以上10g/L以下である光触媒。
[2]前記有機化合物が、安息香酸、アントラセン、1−ナフトール、メラミン、2,2’−ビピリジル、ステアリン酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である前記[1]に記載の光触媒。
[3]グラファイト状窒化炭素と、芳香族化合物又は炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物であって、20℃における水溶解度が0.0005g/L以上10g/L以下である有機化合物とを、水の存在下で、せん断力を付与しながら混合する光触媒の製造方法。
本発明によれば、可視光を照射することによって、酸化触媒及び水素発生触媒として作用する新規な光触媒を提供することができる。
実施例1で得られた安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末と、安息香酸を担持させる前のグラファイト状窒化炭素粉末のX線回折パターンである。 実施例1で得られた安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末と、安息香酸を担持させる前のグラファイト状窒化炭素粉末の紫外−可視拡散反射スペクトルである。 実施例1で得られた安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末の水素発生触媒効果の測定に用いた水素発生測定装置のブロック図である。 図3の水素発生測定装置を用いて測定した実施例1で得られた安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末の水素発生触媒効果の測定結果である。 実施例1で得られた安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末の酸化触媒効果の測定結果である。
以下、本発明の光触媒の実施の形態について説明する。
本実施形態の光触媒は、可視光を照射することによって、酸化触媒及び水素発生触媒として作用する。酸化触媒としては、環境汚染物質を酸化させるための酸化触媒として用いることができる。環境汚染物質の例としては、トルエンやアセトアルデヒドなどの有機物やNOガスを挙げることができる。水素発生触媒としては、水を分解して水素を発生させるための触媒として用いることができる。水素の発生源として用いる水は、犠牲剤を含むことが好ましい。犠牲剤は水素発生に必要な電子の供給源である。犠牲剤としてはメタノールのような酸化しやすい有機物を用いことができる。また、電子の供給源としてタンタルオキシナイトライドや三酸化タングステンなどの酸素発生用光触媒を用いることもできる。
本実施形態の光触媒は、グラファイト状窒化炭素と、このグラファイト状窒化炭素に担持された有機化合物と、を含む。グラファイト状窒化炭素に有機化合物が担持されていることは、例えば、光触媒とアセトニトリルとを混合し、撹拌した後、ろ過によりアセトニトリルを回収し、回収したアセトニトリルから有機化合物を検出することによって確認することができる。アセトニトリル中の有機化合物は、HPLC(高速液体クロマトグラフ)あるいはUV−VIS(紫外可視分光光度計)を用いて検出することができる。
グラファイト状窒化炭素としては、例えば、メラミンまたはシアナミドを熱分解することによって得られたものを用いることができる。
グラファイト状窒化炭素は、BET比表面積が20m/g以上80m/g以下の範囲内にあることが好ましい。グラファイト状窒化炭素のBET比表面積がこの範囲にあると、有機化合物の担持量を大きくすることができ、かつ有機化合物を安定して担持することができる。よって、本実施形態の光触媒は、酸化触媒効果及び水素発生触媒効果が向上する。BET比表面積が上記の範囲にあるグラファイト状窒化炭素は、グラファイト状窒化炭素をアルカリ処理又は酸処理することによって得ることができる。アルカリ処理は、グラファイト状窒化炭素を、濃度0.1モル/L以上1.0モル/L以下の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、90℃以上130℃以下の温度に加熱しながら撹拌することによって行なうことが好ましい。酸処理は、グラファイト状窒化炭素を、濃度0.1モル/L以上1.0モル/L以下の塩酸水溶液に浸漬して、130℃以上180℃以下の温度に加熱しながら撹拌することによって行なうことが好ましい。
グラファイト状窒化炭素に担持される有機化合物は、芳香族化合物又は炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物である。芳香族化合物及び両親媒性化合物は、20℃における水溶解度が0.0005g/L以上10g/L以下とされている。
芳香族化合物は、芳香族炭化水素化合物及び芳香族複素環化合物を含む。
芳香族炭化水素化合物は、単環式化合物、多環式化合物、縮合環式化合物を含む。芳香族炭化水素化合物が有する芳香族炭化水素環は6員環であることが好ましい。6員環の芳香族炭化水素環は、グラファイト状窒化炭素のトリス−s−トリアジン骨格との親和性が高いので、6員環の芳香族炭化水素環を有する化合物はグラファイト状窒化炭素に担持させやすい。芳香族炭化水素化合物は、置換基を有していてもよい。置換基は、親水性基であることが好ましい。親水性基の例としては、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基を挙げることができる。芳香族炭化水素化合物の例としては、安息香酸、1−ナフトール、アントラセン及びこれらの誘導体が挙げられる。
芳香族複素環化合物は、複素単環式化合物、複素多環式化合物、縮合複素環式化合物を含む。芳香族複素環化合物が有する芳香族複素環は6員環であることが好ましい。6員環の芳香族複素環は、グラファイト状窒化炭素のトリス−s−トリアジン骨格との親和性が高いので、6員環の芳香族複素環を有する化合物はグラファイト状窒化炭素に担持させやすい。芳香族複素環化合物は、含窒素芳香族複素環化合物であることが好ましい。芳香族複素環化合物は、置換基を有していてもよい。置換基は、親水性基であることが好ましい。親水性基の例としては、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基を挙げることができる。芳香族複素環化合物の例としては、メラミン、2,2’−ビピリジル及びこれらの誘導体が挙げられる。
両親媒性化合物は、炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する。炭化水素基は、不飽和であってもよいし、飽和であってもよい。また、炭化水素基は、鎖状であってもよいし、環状であってもよい。炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基は、親水性基であることが好ましい。親水性基の例としては、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基を挙げることができる。炭化水素基の例としては、炭素原子数が6〜20のアルキル基、炭素原子数が6〜20のアルケニル基、炭素原子数が6〜20のアルキニル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基などが挙げられる。両親媒性化合物は、疎水性基と親水性基を有する。両親媒性化合物の疎水性基は、炭素原子数が6以上の炭化水素基である。両親媒性化合物の親水性基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基であることが好ましい。両親媒性化合物は、芳香族複素環化合物であってもよい。炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物の例としては、ステアリン酸及びこれらの誘導体を挙げることができる。
両親媒性化合物は水に対する親和性が高くなりすぎると、グラファイト状窒化炭素に担持させた両親媒性化合物が水中で溶出し、水素発生触媒効果が低下するおそれがある。このため、両親媒性化合物は、20℃における水溶解度が0.0005g以上10g/L以下とされている。グラファイト状窒化炭素に担持させた両親媒性化合物の溶出を抑制するためには、両親媒性化合物の20℃における水溶解度は6g/L以下であることが好ましい。
以上の芳香族化合物及び炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、本実施形態の光触媒の製造方法について説明する。
本実施形態の光触媒は、グラファイト状窒化炭素と、上述の有機化合物(芳香族化合物及び/又は両親媒性化合物)とを、水の存在下で、せん断力を付与しながら混合することによって製造することができる。具体的には、グラファイト状窒化炭素と、有機化合物と、水とを混合し、得られた混合物を、せん断力を付与しながら混合することによって製造することができる。
グラファイト状窒化炭素と有機化合物との割合は、グラファイト状窒化炭素と有機化合物の合計量に対する有機化合物の量として、0.1質量%以上50質量%以下の範囲内にあることが好ましい。有機化合物の量をこの範囲とすることによって、グラファイト状窒化炭素に有機化合物を担持させることができ、これにより酸化触媒効果と水素発生触媒効果とを有する光触媒を得ることができる。有機化合物の量は、0.5質量%以上40質量%以下の範囲内にあることがより好ましく、1質量%以上35質量%以下の範囲内にあることが特に好ましい。
混合物を、せん断力を付与しながら混合する方法としては、ホモジナイザーを用いて、1000rpm以上の回転速度で混合する方法、乳鉢と乳棒を用いる方法を利用することができる。また、混合は、混合物に超音波を付与しながら行ってもよい。
混合終了後の混合物から、ろ過やデカンテーションなどの公知の固液分離法により、固形分を回収し、固形分を乾燥する。これにより有機化合物を担持したグラファイト状窒化炭素(光触媒)が得られる。
本実施形態の光触媒によれば、グラファイト状窒化炭素と、このグラファイト状窒化炭素に担持された、芳香族化合物又は炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物であって、20℃における水溶解度が0.0005g/L以上10g/L以下である有機化合物とを含むので、可視光を照射することによって、酸化触媒及び水素発生触媒として作用する。また、本実施形態の光触媒においては、有機化合物が、安息香酸、アントラセン、1−ナフトール、メラミン、2,2’−ビピリジル、ステアリン酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物であることによって、酸化触媒効果及び水素発生触媒効果が向上する。
本実施形態の光触媒の製造方法によれば、グラファイト状窒化炭素と、上述の有機化合物とを、水の存在下で、せん断力を付与しながら混合するので、有機化合物を担持したグラファイト状窒化炭素(光触媒)を、比較的簡単な装置を用いて高い収率で得ることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。例えば、本実施形態では、光触媒を、可視光を照射することによって、酸化触媒及び水素発生触媒として作用するものとして説明したが、本実施形態の光触媒は紫外光を照射して使用してもよいし、可視光と紫外光を同時に照射してもよい。
[実施例1]
(1)グラファイト状窒化炭素粉末の作製
メラミン(富士フイルム和光純薬株式会社、特級グレード試薬)を、550℃の温度で1時間焼成してグラファイト状窒化炭素の塊状物を得た。得られた塊状物をメノウ乳鉢に入れ、メノウ乳棒を用いて粉砕して、グラファイト状窒化炭素粉末を得た。
(2)グラファイト状窒化炭素粉末のアルカリ処理
上記(1)で得られたグラファイト状窒化炭素粉末1.0gと、濃度が0.11モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液90mLと混合した。得られた混合物と撹拌子とを、ポリテトラフルオロエチレン製の耐圧容器(容量:100mL)に投入し、耐圧容器に蓋をした。耐圧容器をステンレス鋼製のジャケットで覆った後、混合物を、マグネッチックスターラーで撹拌しながら、110℃の温度で18時間加熱した。加熱終了後、室温まで放冷した。放冷後、耐圧容器から混合物を取り出し、混合物中のグラファイト状窒化炭素粉末を遠心分離により回収した。回収したグラファイト状窒化炭素粉末を、40mLの脱イオン水で3回洗浄した後、80℃の温度で24時間加熱して、乾燥した。乾燥後のグラファイト状窒化炭素粉末をメノウ乳鉢に入れ、メノウ乳棒を用いて粉砕した。アルカリ処理後のグラファイト状窒化炭素粉末は、BET比表面積が56m/gであった。
(3)グラファイト状窒化炭素粉末の有機化合物の担持処理
グラファイト状窒化炭素粉末に、有機化合物として安息香酸(水溶解度(25℃):3.4g/L)を次のようにして担持させた。上記(2)で得られたアルカリ処理後のグラファイト状窒化炭素粉末200mgと、安息香酸5mgと、水5mLとを混合した。得られた混合物を、ガラス管(内径21mm)に投入し、ローター付きホモジナイザー(アズワン株式会社製、AHG−160D、直径:13mm)を用いて、10000rpm(周速6.8m/秒)の条件で70分間撹拌して、混合物にせん断力を付与した。せん断力を付与した混合液をガラス管から取り出し、混合物中のグラファイト状窒化炭素粉末を遠心分離により回収した。回収したグラファイト状窒化炭素粉末を、脱イオン水で3回洗浄した後、80℃の温度で24時間加熱して、乾燥した。
(4)評価
上記(3)で得られた担持処理後のグラファイト状窒化炭素粉末について、担持された有機化合物の有無、X線回折パターン、紫外−可視拡散反射スペクトル、水素発生触媒効果、酸化触媒効果を測定した。
(担持された有機化合物の有無)
グラファイト状窒化炭素粉末10mgとアセトニトリル7.5mLとを混合し、得られた混合物をろ過して、ろ液を回収した。回収したろ液中の有機化合物を、HPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いて測定した。その結果、ろ液から添加量の約38%に相当する量の安息香酸が検出され、担持処理後のグラファイト状窒化炭素粉末は、安息香酸が担持されていることが確認された。
(X線回折パターン)
X線回折装置(株式会社リガク製、Smartlab、X線源:Cu−Kα線)を用いて、X線回折パターンを測定した。その結果を、図1に示す。
図1において、Bz/g−Cは、安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末のX線回折パターンであり、g−Cは、安息香酸を担持させる前のグラファイト状窒化炭素粉末のX線回折パターンである。図1に示すように、Bz/g−C及びg−CのX線回折パターンからグラファイト状窒化炭素の回折線ピークのみが検出された。Bz/g−Cは、g−Cと比較してd=5.95nmのX線折ピークの強度が大きくなり、d=3.23nmのX線折ピークが小さくなった。これは、グラファイト状窒化炭素の結晶構造が、安息香酸の担持処理によって再配列されたためであると考えられる。
(紫外−可視拡散反射スペクトル)
紫外可視近赤外分光光度(株式会社島津製作所製、UV−3600)を用いた拡散反射分光法により、紫外−可視拡散反射スペクトルを測定した。得られた反射スペクトルは、クベルカ・ムンク(KM)関数に変換した。その結果を、図2に示す。
図2において、Bz/g−Cは、安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末の紫外−可視拡散反射スペクトルであり、g−Cは、安息香酸を担持させる前のグラファイト状窒化炭素粉末の紫外−可視拡散反射スペクトルである。図2に示すように、Bz/g−C及びg−Cはそれぞれ可視光と紫外光とを吸収し、可視光で活性化され得ることがわかる。Bz/g−Cの紫外−可視拡散反射スペクトルから安息香酸による光の吸収は観察されなかった。また、Bz/g−Cはg−Cと比較して、吸収端波長がわずかに減少した。Taucプロットによって計算されたBz/g−Cのバンドギャップは2.80Vであり、g−Cのバンドギャップは2.78Vであった。このバンドギャップの上昇は、安息香酸の担持処理の際に、グラファイト状窒化炭素粉末と安息香酸とを、せん断力を付与しながら混合したことによって、グラファイト状窒化炭素粉末の積層構造の一部が無秩序化されたためであると考えられる。
(水素発生触媒効果)
図3に示す水素発生測定装置を用いて、水からの水素発生量を測定した。
図3は、水素発生測定装置のブロック図である。
水素発生測定装置10は、反応部11と光供給部20とを有する。反応部11は、反応容器12と、反応容器12を密閉可能に収容するための収容容器13(容量350mL)と、収容容器13の上部に備えられたホウケイ酸ガラス製窓15と、ホウケイ酸ガラス製窓15の上に配置された紫外光カットフィルター16と、収容容器13の下部に備えられたマグネティックスターラー17と、を有する。収容容器13の側部には、ガス取り出し口14が備えられている。紫外光カットフィルター16は、日東樹脂工業株式会社製のN−169(カット波長:394nm、波長380nm未満の光透過率:0.07%未満)を用いた。光供給部20は、Xeランプ21と、コールドミラー22とを有する。Xeランプ21は、ウシオ電機株式会社製のUFL−500D(出力:500W)を用いた。
水素発生量は、次のようにして測定した。安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末5mgと、犠牲剤としてメタノールを10体積%含むメタノール水溶液10mLとを混合した。得られた混合物1と撹拌子2を反応容器12に入れ、反応容器12を収容容器13に収容した。収容容器13の内部を窒素ガスに置換した後、反応容器12中の撹拌子2をマグネティックスターラー17で回転させて、混合物1を撹拌した。次いで、Xeランプ21から放射された光を、コールドミラー22で反射させて、反応部11に供給した。反応部11に供給された光は、紫外光カットフィルター16とホウケイ酸ガラス製窓15と通って、反応容器12に供給される。Xeランプ21から光を放射している間、定期的に、ガス取り出し口14から収容容器13内のガスをサンプリングし、サンプリングしたガスの水素ガスの体積分率を、熱伝導度検出器(TCD)を備えたガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製、GC14B)を用いて測定した。
図4に、水素発生量の測定結果を示す。
図4において、横軸は、光の照射開始時間を基準としたガスのサンプリング時間であり、縦軸は、水からの水素発生量である。水素発生量は、水素ガスの体積分率から水素の発生モル量を求め、得られた発生モル量を、安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末の添加量(5mg)で除することによって算出した。
図4の結果から、10体積%のメタノール水溶液からの水素ガス生成速度は、50μmol/h/gであり、測定開始から49時間までほぼ一定であることがわかる。測定開始から49時間で生成した水素ガスの総モル量は、グラファイト状窒化炭素粉末に担持させて安息香酸を基準とした回転数として9.3であった。1つの安息香酸分子に含まれる置換可能な水素原子は1つであるので、回転数が9.3であることは、安息香酸が触媒として作用していることを示す。
(酸化触媒効果)
安息香酸を担持させる前のグラファイト状窒化炭素粉末(g−C)100mgを少量の水に懸濁させ、得られた懸濁液全量をガラス板(幅5cm×長さ10cm)に塗布し、加熱乾燥して、一方の面にg−C層を有するg−C試験片を作製した。同様に、安息香酸を担持させたグラファイト状窒化炭素粉末(Bz/g−C)100mgを用いて、一方の面にBz/g−C層を有するBz/g−C試験片を作製した。
得られたg−C試験片を流通式反応容器の内部に設置し、この流通式反応容器に1ppmのNOガスを含む模擬汚染空気を流通させた。次いで、流通式反応容器の周囲に、紫外光カットフィルター(日東樹脂工業株式会社製、N−169)を介して白色蛍光灯(株式会社東芝社製、FL10W)を配置し、g−C試験片のg−C層に、白色蛍光灯の白色光を6000Lxで照射した。白色光に含まれる380nm未満の光は、紫外光カットフィルターで除去した。流通式反応容器から排出された模擬汚染空気中のNOガスと、NOガスの濃度を化学発光式NOx濃度測定器(ecotech社製、Serinus40)により測定した。同様に、Bz/g−C試験片を流通式反応容器の内部に設置し、この流通式反応容器に1ppmのNOガスを含む模擬汚染空気を流通させ、次いで、Bz/g−C層に白色蛍光灯の白色光を6000Lxで照射して、流通式反応容器から排出された模擬汚染空気中のNOガスとNOガスの濃度を測定した。その結果を図5に示す。
図5において、横軸は時間であり、縦軸は、その時間に排出された模擬汚染空気中のNOガス量と、NOガス量と、NOガス量とNOガス量の合計ガス量(NOガス量)である。
0〜1時間はg−C試験片を用いたときの結果であり、1.75〜2.75時間は、Bz/g−C試験片を用いたときの結果である。図5の結果から、g−C試験片及びBz/g−C試験片のいずれについても、可視光を照射するとNOガスの濃度が低下し、NOガスが発生することが確認された。Bz/g−C試験片を用いたときは、g−C試験片を用いたときと比較して、NOガス量(NOガス量とNO2ガス量の合計量)が少なくなり、NOガス除去率が高くなった。これは、Bz/g−C試験片を用いたときは、NO イオンにまで酸化されたNOガスの量が多くなったためである。Bz/g−C試験片を用いたときは、g−C試験片を用いたときと比較して、NOガス量が0.53μmolから0.26μmolに半減し、1時間あたりのNO除去量は1.32μmolから1.46μmolに増大した。
[実施例2]
実施例1の(3)において、メノウ乳鉢に、アルカリ処理後のグラファイト状窒化炭素粉末0.020gと、安息香酸0.005gと、水5mLとを含む混合物を入れ、メノウ乳棒を用いて混合物にせん断力を付与し、せん断力を付与した混合液を80℃で乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対して安息香酸の担持処理を行なった。
[実施例3]
実施例1の(3)において、メノウ乳鉢に、アルカリ処理後のグラファイト状窒化炭素粉末0.020gと、安息香酸0.010gと、水5mLとを含む混合物を入れ、メノウ乳棒を用いて混合物にせん断力を付与し、せん断力を付与した混合液を80℃で乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対して安息香酸の担持処理を行なった。
[実施例4]
実施例1の(3)において、有機化合物として、アントラセン(水溶解度(20℃):0.0013g/L)20mgを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対してアントラセンの担持処理を行なった。
[実施例5]
実施例1の(3)において、有機化合物として、メラミン(水溶解度(20℃):3.1g/L)0.5mgを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対してメラミンの担持処理を行なった。
[実施例6]
実施例1の(3)において、有機化合物として、1−ナフトール(水溶解度(24℃):0.87g/L)2.0mgを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対して1−ナフトールの担持処理を行なった。
[実施例7]
実施例1の(3)において、メノウ乳鉢に、アルカリ処理後のグラファイト状窒化炭素粉末0.020gと、2,2’−ビピリジル(水溶解度(25℃):5.9g/L)0.010gと、水5mLとを含む混合物を入れ、メノウ乳棒を用いて混合物にせん断力を付与し、せん断力を付与した混合液を80℃で乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対して2,2’−ビピリジルの担持処理を行なった。
[実施例8]
実施例1の(3)において、メノウ乳鉢に、アルカリ処理後のグラファイト状窒化炭素粉末0.020gと、ステアリン酸(水溶解度(20℃):0.003g/L)0.010gと、水5mLとを含む混合物を入れ、メノウ乳棒を用いて混合物にせん断力を付与し、せん断力を付与した混合液を80℃で乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、ステアリン酸の担持処理を行なった。
[比較例1]
実施例1の(3)のグラファイト状窒化炭素粉末の有機化合物の担持処理を行なわなかったグラファイト状窒化炭素粉末を比較例1とした。
[比較例2]
実施例1の(3)において、有機化合物として、3,5−ジヒドロキシ安息香酸(水溶解度(20℃):84g/L)8mgを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対して3,5−ジヒドロキシ安息香酸の担持処理を行なった。
[比較例3]
実施例1の(3)において、メノウ乳鉢に、アルカリ処理後のグラファイト状窒化炭素粉末20mgと、3,5−ジヒドロキシ安息香酸5mgと、水5mLとを含む混合物を入れ、メノウ乳棒を用いて混合物にせん断力を付与し、せん断力を付与した混合液を80℃で乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対して3,5−ジヒドロキシ安息香酸の担持処理を行なった。
[比較例4]
実施例1の(3)において、有機化合物として、酢酸(水溶解度:混和する)30mgを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、グラファイト状窒化炭素粉末に対して酢酸の担持処理を行なった。
[比較例5]
実施例1の(3)において、メノウ乳鉢に、アルカリ処理後のグラファイト状窒化炭素粉末0.020gと、アスコルビン酸(水溶解度:330g/L)0.01gと、水5mLとを含む混合物を入れ、メノウ乳棒を用いて混合物にせん断力を付与し、せん断力を付与した混合液を80℃で乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして、アスコルビン酸の担持処理を行なった。
[評価]
実施例2〜8及び比較例1〜5で得られたグラファイト状窒化炭素粉末について、担持された有機化合物の有無と水素発生触媒効果を測定した。なお、比較例1〜5では、水素発生触媒効果の測定において、ホウケイ酸ガラス製窓15の上に紫外光カットフィルター16を配置せず、反応容器12に紫外光と可視光とを照射した。その結果を、実施例1の結果と共に下記の表1に示す。また、表1には、有機化合物の担持処理の条件を記載した。
Figure 2021104486
表1の結果から、実施例1〜8で得られた、有機化合物を担持したグラファイト状窒化炭素は、いずれも可視光が照射された状態で水素発生触媒として作用することが確認された。一方、比較例1で得られた有機化合物を担持させなかったグラファイト状窒化炭素は、紫外光が照射された状態でも水素発生触媒と作用しなかった。また、比較例2〜5では、グラファイト状窒化炭素に有機化合物を担持させることによる効果が得られず、紫外光と可視光とを照射しても水素発生触媒と作用しなかった。これは比較例2〜5で用いた有機化合物は、20℃での水溶解度が10g/Lよりも高く、水中でグラファイト状窒化炭素が脱離しやすいためであると考えられる。
1 混合物
2 撹拌子
10 水素発生測定装置
11 反応部
12 反応容器
13 収容容器
14 ガス取り出し口
15 ホウケイ酸ガラス製窓
16 紫外光カットフィルター
17 マグネティックスターラー
20 光供給部
21 Xeランプ
22 コールドミラー

Claims (3)

  1. グラファイト状窒化炭素と、前記グラファイト状窒化炭素に担持された有機化合物と、を含み、
    前記有機化合物は、芳香族化合物又は炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物であって、20℃における水溶解度が0.0005g/L以上10g/L以下である光触媒。
  2. 前記有機化合物が、安息香酸、アントラセン、1−ナフトール、メラミン、2,2’−ビピリジル、ステアリン酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である請求項1に記載の光触媒。
  3. グラファイト状窒化炭素と、芳香族化合物又は炭素原子数が6以上の炭化水素基を有する両親媒性化合物であって、20℃における水溶解度が0.0005g/L以上10g/L以下である有機化合物とを、水の存在下で、せん断力を付与しながら混合する光触媒の製造方法。
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