JP2021095306A - エアロゲル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアロゲルが有する断熱性及びガス吸着性を損なうことなく、力学的強度と弾性にも優れるエアロゲル及びその製造方法を提供する。【解決手段】網目状のシリカ骨格を有するエアロゲルであって、前記エアロゲル中に一定方向に配向した金属酸化物ナノシートを含む、エアロゲル及び該エアロゲル構造から、金属酸化物ナノシートが除かれた構造を有するエアロゲル。【選択図】なし

Description

本発明はエアロゲル及びその製造方法に関するものである。
現在、断熱、衝撃吸収又はガス吸着などの目的で汎用されているポリマーフォームは、マイクロメートルを超えるサイズの大きな空孔を有する。このため、断熱性、ガス吸着性及び力学的強度に改善の余地が多い。
これに対し、100ナノメートル程度の空孔を持つエアロゲルは、一般に、断熱性及びガス吸着性に優れる。代表的なエアロゲルとして、シリカゲルよりなるエアロゲルが古くから研究されているが(非特許文献1)、僅かな変形で崩れてしまう脆い物質であり、加えられる応力も著しく小さい。
シリカゲルの原料として、従来用いられてきたテトラメトキシシランやテトラエトキシシランに代わり、メチルトリメトキシシランを用いることで架橋密度を下げ、脆さの改善を目指した研究も報告されているが(非特許文献2)、力学的強度は満足なものではなく、塑性変形を伴わずに圧縮できるのは80%までであり、その際の応力も9 MPa程度である。
シリカゲルよりなるエアロゲルにポリマーを複合化させることで、エアロゲルの脆さの改善を目的とした研究も報告されている(非特許文献3)。それでもなお、このエアロゲルは10%程度の圧縮で亀裂が入ってしまい。その際の応力も1.8 MPaと決して満足なものではない。また、ポリマーの添加量を多くすると、エアロゲルの断熱性が低下し、耐熱性及び耐火性も失われてしまう問題があった。
また、弾性のあるエアロゲルを得る目的で、カーボンナノチューブ及びグラフェン等の炭素材料を複合化したエアロゲルが報告されている(非特許文献4〜5)。これらのエアロゲルは弾性以外の性質、すなわち、断熱性、ガス吸着効率、力学的強度、耐熱性及び耐火性が不十分であった。
Samuel Stephens Kistler、"Coherent expanded aerogels and jellies"、 Nature、1931年5月16日、vol. 127、p. 741 Kazuyoshi Kanamoriら、"New Transparent Methylsilsesquioxane Aerogels and Xerogels with Improved Mechanical Properties"、 Advanced Materials、2007年、vol. 19、p. 1589-1593 Mary Ann B. Meadorら、"Cross-linking Amine-Modified Silica Aerogels with Epoxies: Mechanically Strong Lightweight Porous Materials"、 Chemistry of Materials、2005年、vol. 17、p. 1085-1098 Kyu Hun Kimら、"Graphene coating makes carbon nanotube aerogels superelastic and resistant to fatigue"、Nature Nanotechnology、2012年、vol. 7、p. 562-566 Huai-Ling Gaoら、"Super-elastic and fatigue resistant carbon material with lamellar multi-arch microstructure"、Nature Communications、2016年、vol. 7、12920
したがって、本発明は、エアロゲルが有する断熱性及びガス吸着性を損なうことなく、力学的強度と弾性にも優れるエアロゲル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、下記のエアロゲルが上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、次の発明を提供するものである。
<1>
網目状のシリカ骨格を有するエアロゲルであって、
前記エアロゲル中に一定方向に配向した金属酸化物ナノシートを含む、エアロゲル。
<2>
前記一定方向に配向した金属酸化物ナノシートが複数の層を形成しているものである、<1>に記載のエアロゲル。
<3>
<1>又は<2>に記載のエアロゲル構造から、金属酸化物ナノシートが除かれた構造を有するエアロゲル。
<4>
下記工程1、2、3、及び4を有するエアロゲルの製造方法。
工程1 下記(A)〜(D)を含む水分散液を得る工程
(A)オルガノシラン
(B)界面活性剤
(C)金属酸化物ナノシート
(D)水
工程2 前記水分散液中の金属酸化物ナノシートを配向させる工程
工程3 前記金属酸化物ナノシートが配向した水分散液からヒドロゲルを得る工程
工程4 前記ヒドロゲルを乾燥する工程
<5>
下記工程1、2、3、3’、及び4を有するエアロゲルの製造方法。
工程1 下記(A)〜(D)を含む水分散液を得る工程
(A)オルガノシラン
(B)界面活性剤
(C)金属酸化物ナノシート
(D)水
工程2 前記水分散液中の金属酸化物ナノシートを配向させる工程
工程3 前記金属酸化物ナノシートが配向した水分散液からヒドロゲルを得る工程
工程3' 前記ヒドロゲルの金属酸化物ナノシートを除去する工程
工程4 前記金属酸化物ナノシートが除去されたヒドロゲルを乾燥する工程
本発明のエアロゲルは、シリカエアロゲルが有する断熱性及びガス吸着性等の特性を損なうことなく、力学的強度と弾性に優れたものである。80〜95%ひずみまで弾性変形可能であり、このときの応力は55〜155 MPaである。また、80%ひずみの圧縮試験を100回繰り返しても本質的に劣化せず繰り返し圧縮耐性を有する。
エアロゲルAの比表面積測定結果を表すグラフである。 エアロゲルBの比表面積測定結果を表すグラフである。 エアロゲルCの比表面積測定結果を表すグラフである。 熱重量測定の結果を表すグラフである。 透過率測定のサンプルA’の模式図である。 透過率測定のサンプルA’’の模式図である。 透過率測定のサンプルA’の写真である。 透過率測定のサンプルA’’の写真である。 透過率測定の結果を表すグラフである。 エアロゲルのSEM画像である。 エアロゲルのSEM画像である。 エアロゲルのSEM画像である。 エアロゲルのSEM画像である。 エアロゲルのSEM画像である。 エアロゲルのSEM画像である。 小角X線散乱測定の結果を表す図である。 小角X線散乱測定の結果を表す図である。 小角X線散乱測定の結果を表す図である。 小角X線散乱測定の結果を表す図である。 圧縮試験の模式図である。 圧縮試験の結果を表すグラフである。 圧縮試験の結果を表すグラフである。 圧縮試験の結果を表すグラフである。 圧縮試験の結果を表すグラフである。 圧縮試験の結果を表すグラフである。 圧縮試験の結果を表すグラフである。 繰り返し圧縮試験の結果を表すグラフである。 繰り返し圧縮試験の結果を表すグラフである。 繰り返し圧縮試験の結果を表すグラフである。 繰り返し圧縮試験の結果を表すグラフである。 亀裂耐性試験の結果を表すグラフである。 亀裂耐性試験の結果を表すグラフである。 耐炎性試験の結果を表す写真である。 耐炎性試験の結果を表す写真である。
エアロゲルとその製造方法
本発明の第1の態様のエアロゲルは、網目状のシリカ骨格を有するエアロゲルであって、前記エアロゲル中に一定方向に配向した金属酸化物ナノシートを含むものである。本発明のエアロゲルは、前記一定方向に配向した金属酸化物ナノシートが複数の層を形成しているものが好ましい。
本発明において、「エアロゲル」とは、分散相が気体である微多孔性固体から構成されるゲルをいい、該微多孔性固体は網目状のシリカ(二酸化ケイ素)である。
本発明の第1の態様のエアロゲルに含まれる金属酸化物ナノシートとしては、外部磁場に対する磁場感受率が異方的性質を示すものであれば、公知の金属酸化物ナノシートを用いることができる。この種の金属酸化物ナノシートに外部から磁場を加えると、金属酸化物ナノシートが磁場を感じる度合(磁場感受率)が磁場の印加方向によって異なるため、エネルギー的に最も安定な方向、つまり磁場と金属酸化物ナノシートの相互作用ポテンシャルが最小となる方向に金属酸化物ナノシートが配向する。
本明細書において「ナノシート」とは、ナノスケールの厚みを持つシートを指す。ナノシートの厚みは、原理的には原子一つ分の厚みまで薄くすることができるが、一般的に0.5nm以下のナノシートは作製が難しい。本発明のナノシートの厚みは、0.5〜3.0nmが好ましく、0.7〜2.5nmがより好ましい。なお、本発明において、ナノシートの厚みは、原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される任意の箇所の断面プロファイルから算出した値をいう。
本発明のナノシートの大きさは、磁場配向性の観点から100nm以上が好ましい。ナノシートの大きさは溶液に分散する限り大きいことが好ましいが、実際、上限値としては100μm程である。なお、本発明において、ナノシートの大きさとは、ナノシートの広がり方向の大きさを意図するものであり、動的光散乱法によって測定した体積基準の頻度分布において累積頻度で50%となる粒径として算出された値をいう。
したがって、典型的なナノシートの大きさは数μm、厚みは数nmのオーダーであって、この場合、厚みに対する大きさのアスペクト比は約1:103である。
このような金属酸化物ナノシートは公知の方法を用いて製造することが可能で、特に層状の前駆体を単層化することで表面積の大きな金属酸化物ナノシートを得ることができる。
ナノシートの磁場配向は、ナノシートを構成する原子の磁化異方性の総和が溶液中の自由運動よりも上回ったときに起こる。異方性の大きさに差はあるものの、全てのナノシートは磁化異方性がある原子から構成されているため、ナノシートの大きさが十分に大きければ、理論上は構成する原子の種類や組成によらず、すべてナノシートは配向する。このため、本発明のナノシートとしては、磁場配向性を有するナノシートであればその種類や組成は問わないが、例えば、Ti0.91O2、Ti0.87O2、Ti3O7、Ti4O9、Ti5O11等の酸化チタンナノシート及びNb3O8、Nb6O17、Ca2Nb3O10等の酸化ニオブナノシート等が挙げられる。なかでも酸化チタンナノシートが好ましい。
酸化チタンナノシートは二次元的なナノ構造を有し、層状チタン酸化合物の単結晶を、温和な条件にて化学処理し、結晶構造の基本最小単位である層1枚にまで剥離することにより得ることができる。酸化チタンナノシートは非常に大きい軸比の形状を持っており、例えばTi0.870.132(□:空孔)の結晶構造を有する酸化チタンは、厚さ約0.75nm、横幅が数μmとなる。この種のナノシートは磁場による配向軸がナノシートの厚み方向であり、また高密度の負電荷を帯びて表面積も大きいため、ナノシート間には強い静電反発力が働いている。このため、ナノシート間の強い静電反発力のために分散性に優れており、外部磁場中にてナノシートが層状に配列する。
酸化チタンナノシートは外部磁場の方向がシートの法線方向に一致するように配向する。また、静電的な斥力が大きく働くため、全てのナノシートの面が同一方向を向き、互いに向かい合わせとなるように配向する性質を持つ。このため酸化チタンナノシートは強力な配向力を有する。
本発明のエアロゲル中、金属酸化物ナノシートは0.1〜2.0質量%含有することが好ましく、0.5〜1.2質量%含有することがより好ましい。
本発明のエアロゲルは、本発明の効果を損なわない範囲で、エアロゲルの機械的強度を向上したり、機能性を付与したりするために、金属酸化物ナノシート以外の成分を含んでいてもよい。金属酸化物ナノシート以外の成分としては、金属・金属酸化物・金属水酸化物・合金等のナノ粒子・ナノロッド・ナノシート;各種ナノファイバー;カーボンナノドット・カーボンナノチューブ・グラフェン・酸化グラフェン等のナノカーボン材料が挙げられる。金属酸化物ナノシート以外の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であればよいが、エアロゲル中0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
本発明の第1の態様のエアロゲルは、例えば次の工程1〜4を有する方法により製造することができる。
工程1 下記(A)〜(D)を含む水分散液を得る工程
(A)オルガノシラン
(B)界面活性剤
(C)金属酸化物ナノシート
(D)水
工程2 前記水分散液中の金属酸化物ナノシートを配向させる工程
工程3 前記金属酸化物ナノシートが配向した水分散液からヒドロゲルを得る工程
工程4 前記ヒドロゲルを乾燥する工程
工程1
工程1は、下記(A)〜(D)を含む水分散液を調製する工程である。
(A)オルガノシラン
第1工程の水分散液に含まれるオルガノシランは、加水分解性基を有するオルガノシランであることが好ましい。加水分解性基を有するオルガノシラン化合物としては、1分子中に加水分解性基を4つ有する4官能性シラン化合物、1分子中に加水分解性基を3つ有する3官能性シラン化合物、1分子中に加水分解性基を2つ有する2官能性シラン化合物及び1分子中に加水分解性基を1つ有する1官能性シラン化合物のいずれであってもよく、これらの混合物であってもよい。
このようなオルガノシランとしては、加水分解性基としてアルコキシ基を有するアルコキシシランが好ましく、具体的に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4官能性シラン化合物であるテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性シラン化合物であるアルキルトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の2官能性シラン化合物であるジアルキルジアルコキシシラン等が挙げられる。上述したシランの中でも、メチルトリメトキシシランが好ましい。
第1工程で調製する水分散液中、(A)オルガノシランの含有量は10〜25質量%であることが好ましく、15〜20質量%であることがより好ましい。
(B)界面活性剤
第1工程の水分散液に含まれる界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であってもよく、イオン性界面活性剤であってもよく、これらの混合物であってもよい。
非イオン性界面活性剤は公知のものを使用でき、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンのブロック共重合体などが挙げられる。
イオン性界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両イオン性界面活性剤のいずれであってもよく、公知のものを使用できる。
カチオン性界面活性剤としては、臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
両イオン性界面活性剤としては、アシルグルタミン酸等のアミノ酸系界面活性剤、
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン系界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド系界面活性剤等が挙げられる。
第1工程で調製する水分散液中、(B)界面活性剤の含有量は1〜10質量%であることが好ましく、4〜8質量%であることがより好ましい。
(C)金属酸化物ナノシート
第1工程の水分散液に含まれる金属酸化物ナノシートとしては、上述した外部磁場に対する磁場感受率が異方的性質を示す各種金属酸化物ナノシートが挙げられ、なかでも酸化チタンナノシートが好ましい。
第1工程で調製する水分散液中、(C)金属酸化物ナノシートの含有量は0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.5〜1.2質量%であることがより好ましい。
(D)水
第1工程で調製する水分散媒の分散媒として配合する水は、イオン交換水、蒸留水、純水のいずれであってもよい。
第1工程で調製する水分散液中、(D)水の含有量は、(A)、(B)及び(C)の残部であり、63〜89質量%であることが好ましい。
上述した(A)〜(D)の各成分を混合することにより、水分散液を調製する。このとき、(A)〜(D)の4成分を一度に混合してもよいが、初めに2成分又は3成分を混合し、残りの1成分又は2成分を添加し、混合して水分散液としてもよい。
また、第1工程において、後述する水熱重合の触媒として公知の塩酸、酢酸、硝酸、硫酸等の酸触媒を、触媒としての有効量水分散液に加えてもよい。
工程2
工程2は、工程1で得られた水分散液中の金属酸化物ナノシートを配向させる工程である。金属酸化物ナノシートを配向させる方法として、該水分散液を任意の容器に入れ、該容器ごと磁場中に一定時間置く方法が挙げられる。工程2の磁場環境は、金属酸化物ナノシートを配向できる条件であれば問わず、金属酸化物ナノシートの種類、水分散液の体積等にもよるが、4テスラ以上の強磁場、例えば、10テスラの超電導磁石中に、1〜10時間、好ましくは4〜8時間ほど室温(25℃±5℃)で静置することが好ましい。
工程2により、金属酸化物ナノシートが一軸配向した水分散液が得られる。
工程3
工程3は、工程2で得られた金属酸化物ナノシートが配向した水分散液からヒドロゲルを得る工程である。ヒドロゲルを得る方法としては、前記工程2により得られた水分散液を水熱重合する方法が好ましく、水熱重合の反応条件は、水分散液中で(A)オルガノシランの加水分解反応が進行する条件から適宜設定できる。例えば、反応温度は40〜80℃、反応時間は24〜96時間程である。
工程2で得られた金属酸化物ナノシートが配向した水分散液を上述した条件において水熱重合することで、金属酸化物ナノシートが配向したヒドロゲルを得ることができる。
工程4
工程4は、工程3で得られたヒドロゲルを乾燥する工程である。乾燥方法としては、シリカエアロゲルの製造において使用される公知の方法を用いることができる。例えば、常圧乾燥法、超臨界乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられるが、ゲル骨格の破壊・収縮が起こらない超臨界乾燥法が好ましい。
工程3で得られたヒドロゲルの分散媒をエタノール等のアルコール系溶媒に置換した後、さらに液化二酸化炭素に置換することが好ましい。分散媒の置換方法としては、ヒドロゲルの10〜100倍体積の置換分散媒に、0〜40℃で、3〜24時間ほど浸漬する工程を1回又は繰り返し数回行なう方法が挙げられる。
本発明の第2の態様のエアロゲルは、第1の態様のエアロゲルの構造から、金属酸化物ナノシートが除かれた構造を有するエアロゲルである。
第2の態様のエアロゲルの製造方法としては、第1の態様のエアロゲルの製造方法において、工程3の後、以下の工程3'を行なう方法が挙げられる。すなわち、本発明の第2の態様のエアロゲルは、例えば次の工程1、2、3、3'及び4を有する方法により製造することができる。
工程1 下記(A)〜(D)を含む水分散液を得る工程
(A)オルガノシラン
(B)界面活性剤
(C)金属酸化物ナノシート
(D)水
工程2 前記水分散液中の金属酸化物ナノシートを配向させる工程
工程3 前記金属酸化物ナノシートが配向した水分散液からヒドロゲルを得る工程
工程3' 前記ヒドロゲルの金属酸化物ナノシートを除去する工程
工程4 前記金属酸化物ナノシートが除去されたヒドロゲルを乾燥する工程
工程3'は、工程3で得られたヒドロゲルの金属酸化物ナノシートを除去する工程である。ヒドロゲルの金属酸化物ナノシートを除去する方法としては、ヒドロゲルを溶解せず、金属酸化物ナノシートのみを選択的に溶解する化合物で処理する方法が挙げられ、このような化合物としては、塩酸、酢酸、硝酸、硫酸等の酸が挙げられる。工程3'で用いる酸は、1種でも2種以上の混合物であってもよい。
処理方法としては、ヒドロゲルに対して10〜50倍体積の酸を含む水溶液に浸漬する方法が挙げられ、処理温度は室温(25℃±5℃)で、処理時間は1〜10時間程である。
第2の態様のエアロゲルの製造方法において、工程1、2、3及び4の具体的方法は、上述した第1の態様のエアロゲルの製造方法の工程1、2、3及び4とそれぞれ同様である。
エアロゲルの構造と物性
本発明の第1の態様のエアロゲルは、3次元網目状に広がったシリカ骨格中に、一定方向に配向した金属酸化物ナノシートが層を形成しているものである。本発明の第1の態様のエアロゲルは、該層を複数有するものが好ましい。
金属酸化物ナノシートの配向性は、金属酸化物ナノシートの種類、工程1で調製する水分散液中の金属酸化物ナノシート濃度、界面活性剤濃度及び塩濃度、工程2で印加する外部磁場の条件等により変化する。
金属酸化物ナノシートの層間距離は、例えば、小角X線散乱により測定することができる。また、エアロゲル中の配向した金属酸化物ナノシートの広がり方向と、垂直方向又は平行方向の任意の断面の走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡観察により、エアロゲルの断面の構造情報を得ることができる。金属酸化物ナノシートの広がり方向に対して、垂直方向の任意の断面の電子顕微鏡写真では、3次元網目状のシリカ骨格が、100 nm以下の細孔を有していることが確認できる。一方、金属酸化物ナノシートの広がり方向に対して、平行方向の任意の断面の電子顕微鏡写真では、3次元網目状のシリカ骨格中に数μm四方の金属酸化物ナノシートが確認できる。
本発明の第2の態様のエアロゲルは、第1の態様のエアロゲル構造から、金属酸化物ナノシートが除かれた構造を有するものである。エアロゲルの作製過程で、金属酸化物ナノシートを一定方向に配向させた後、これを除去することにより、金属酸化物ナノシートが鋳型となって、第2の態様のエアロゲルには、3次元網目状に広がったシリカ骨格中に、一定方向に配向した金属酸化物ナノシートが形成した層が複数の層状の空隙となって存在する。この空隙の広がり方向の大きさ、厚さ、空隙間の距離は、第1の態様のエアロゲルと同様に、金属酸化物ナノシートの種類、工程1で調製する水分散液中の金属酸化物ナノシート濃度、界面活性剤濃度及び塩濃度、工程2で印加する外部磁場の条件等により決まるものである。
本発明のエアロゲルは、ある方向に対する圧縮に対して、80〜95%ひずみまで弾性変形可能であり、このときの応力も50 MPa以上、最大155 MPaであり、力学特性・弾性に非常に優れたものである。
また、本発明のエアロゲルは、金属酸化物ナノシートを含まず配向性がない一様な3次元シリカ骨格からなる従来のシリカエアロゲルと同等の密度及び比表面積を有するものであり、耐熱性及び断熱性にも優れる。
エアロゲルの用途
本発明のエアロゲルは、断熱材料、衝撃吸収材料又はガス吸着材料として、建築材料、ヘルメット素材、毛布、宇宙服を含む宇宙材料等への応用が期待される。
[エアロゲルの作製]
実施例1
(工程1)
50 mLのガラス容器中に、塩酸水溶液(0.10 mM、6.0 mL)とメチルトリメトキシシラン(6.0 mL)とを加え、室温で1時間撹拌すると、最初は油層と水層とに相分離していた混合物が均一になった。この混合物を室温、減圧下にて3.0 mLになるまで濃縮した後、全体の体積が12.0 mLになるまで水を加えた。ここに非イオン性界面活性剤 Pluronic F-127(1.1 g)を加え、室温で30分撹拌することにより非イオン性界面活性剤を溶解させた。この混合物を1 °Cの冷蔵庫に保管した。
角形ポリスチレン容器(1 cm x 1 cm x 5 cm)中にこの混合物(3.0 mL)と厚さ0.75 nmで、大きさが1〜20 μmの酸化チタンナノシートの水分散液(水酸化テトラメチルアンモニウムで剥離した後、文献Sano, K.; Kim, Y. S.; Ishida, Y.; Ebina, Y.; Sasaki, T.; Hikima, T.; Aida, T. “Photonic Water Dynamically Responsive to External Stimuli”; Nature Communications 2016, 7, 12559.に記載の手法により脱塩したもの、4.0 wt%、1.0 mL)と水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(25 mM、30 μL)とを加え、室温で3分間撹拌し、水分散液を得た。該水分散液中の各成分の濃度は、それぞれ、メチルトリメトキシシラン:17質量%、非イオン性界面活性剤Pluronic F-127:6質量%、酸化チタンナノシート:1質量%、水:76質量%である。
(工程2)
工程1で作製した水分散液を含む角形ポリスチレンの容器の開口部を、プラスチック蓋およびパラフィルムで塞ぎ、10テスラの超伝導磁石中に、容器のある面が磁場に垂直になるよう、室温にて6時間静置した。
(工程3)
その後、角形ポリスチレン容器を超伝導磁石から取り出し、60 °Cにて3日間静置することにより、前駆体ヒドロゲルを得た。
(工程4)
工程3で得られた前駆体ヒドロゲル(3.0 cm3)を、エタノール(100 mL)に室温にて6時間浸漬し、エタノールを同量の純粋なものに交換した後に前駆体ヒドロゲルを再度浸漬する操作を3回行うことで、前駆体ヒドロゲル内部の水をエタノールに置換した。
ついでこの前駆体ヒドロゲルを超臨界二酸化炭素乾燥機に導入し、ゲル内部のエタノールを液体二酸化炭素(16 °C、5 気圧)で6時間かけて置換した後、超臨界状態(40 °C、10 気圧)にて1時間静置した。その後、1時間かけて減圧することにより、エアロゲルAを得た。
実施例2
工程1〜3は、実施例1と同様にして前駆体ヒドロゲルを得た。
(工程3')
工程3で得られた前駆体ヒドロゲル(4.0 cm3)を、酢酸(90 mL)と塩酸水溶液(12 M、10 mL)との混合物に室温にて12時間浸漬し、酸化チタンナノシートを選択的に溶出した。
(工程4)
工程3'で得られたゲルをエタノール(100 mL)に室温にて6時間浸漬し、エタノールを同量の純粋なものに交換した後にゲルを再度浸漬する操作を3回行うことで、ゲル内部の水をエタノールに置換した。
ついでこのゲルを超臨界二酸化炭素乾燥機に導入し、内部のエタノールを液体二酸化炭素(16 °C、5 気圧)で6時間かけて置換した後、超臨界状態(40 °C、10 気圧)にて1時間静置した。その後、1時間かけて減圧することにより、エアロゲルBを得た。
比較例1
工程1において、酸化チタンナノシートの水分散液を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、エアロゲルCを得た。
[エアロゲルの物性評価]
得られたエアロゲルに対して、以下の物性評価を行なった。
密度
直方体のエアロゲルサンプルの3辺を定規で計測し、エアロゲルの体積を算出した。また、電子天秤を用いてエアロゲルの重量を測定した。エアロゲルの体積と重量から密度を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2021095306
比表面積
エアロゲルの比表面積は、クライオスタットに接続したマイクロトラックベル社製BELSORP-max automatic volumetric adsorption apparatusを用い、窒素ガス(純度99.99995%)の等温吸着を定法により測定した。
結果を図1A〜Cに示す。この結果から、エアロゲルAの比表面積は427 m2g-1、エアロゲルBの比表面積は506 m2g-1、エアロゲルCの比表面積は422 m2g-1と算出された。
熱重量測定
メトラー社製TGA/SDTA 851e thermogravimetric analyzerを用い、定法にてエアロゲルの熱重量測定を行なった。
結果を図2に示す。エアロゲルA(図2のグラフ中の灰色線)は、0〜600℃の温度範囲に渡って熱分解することなく、エアロゲルC(図2のグラフ中の黒色線)と同等の熱安定性を有することがわかった。
光透過率
エアロゲルの光透過率は、カミソリにて0.5 mm厚に加工したエアロゲルAに対し、日本分光社製V-570 UV/VIS/NIR spectrophotometerを用い、室温にて測定した。
光透過率測定用のサンプルは、配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対して厚さ(0.5mm)方向が異なるサンプルを2種類用意した。サンプルの厚さ方向、即ち光透過率測定の光照射方向を紙面に対して垂直方向とした場合のサンプルの正面図の模式図を図3A及び図3Bに、写真を図3C及び3Dに示す。図3A及び図3Cのサンプルは、配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対して平行方向に光を照射するサンプル(サンプルA'とする)であり、図3B及び図3Dのサンプルは、配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対しして垂直方向に光を照射するサンプル(サンプルA''とする)である。なお、図3A及び図3B中の記号Bは磁場を表し、記号Bに添えられた矢印及び中黒丸印はエアロゲル作製時の磁場の方向を表す。
光透過率測定結果を図3Eに示す。配向した酸化チタンナノシートの広がり方向と平行に光を照射した場合、エアロゲルAは可視光領域での透過率が高く、外観も透明〜半透明であった(図3C)。一方、配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に垂直に光を照射した場合、エアロゲルAは可視光領域での透過率が40%以下であり、外観も白濁していた(図3D)。
走査型電子顕微鏡(SEM)
エアロゲル薄片に対し白金を定法にて真空蒸着した後、日立ハイテクノロジーズ社製SU8010を用い、エアロゲルの任意の断面を走査型電子顕微鏡により観察した。
結果を図4に示す。エアロゲルAの酸化チタンナノシートの広がり方向と垂直方向の任意の断面写真(図4A、B)では、シリカの三次元網状構造が確認できた。一方、エアロゲルAの酸化チタンナノシートの広がり方向と平行方向の任意の断面写真(図4C、D)では、酸化チタンナノシート由来の均一な、数μm四方の二次元板状の構造が確認できた。
また、エアロゲルBの酸化チタンナノシートの広がり方向と平行方向の任意の断面写真(図4E、F)でも、均一な、数μm四方の二次元板状の構造が確認できた。
小角X線散乱
エアロゲルの小角X線散乱は、直径1.5 mmのキャピラリに封入したエアロゲルに対し、放射光施設SPring-8 BL45XLにて、検出器としてDectris社製 Pilatus 300K-Wを用い、X線波長1.0 A、カメラ長さ2.25 mの条件にて測定した。
結果を図5に示す。角度の乱れがほとんどなく、配向した酸化チタンナノシート同士の距離は、酸化チタンナノシートの厚み(0.75 nm)に対して約120倍である89.7 nmであることがわかった。
[力学特性評価]
エアロゲルの力学強度を圧縮試験により評価した。
圧縮方向の検討
図6Aは、圧縮方向の検討試験における、エアロゲルと圧縮方向を示した模式図である。エアロゲルAを用いて、エアロゲルA中の配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対して垂直方向(図6A中の黒色矢印方向)又は平行方向(図6A中の灰色矢印方向)に圧縮した場合のそれぞれについて、圧縮試験を行なった。具体的には、一辺が10 mmの立方体に加工したエアロゲルに対し、島津社製AGS-10kNS精密万能試験機を用いて測定した。
結果を図6Bに示す。図6Bのグラフにおいて、黒色で示した配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対して垂直方向に圧縮した場合、ひずみの増大に伴い、応力が増加した。一方、図6Bのグラフにおいて、灰色で示した配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対して平行方向に圧縮した場合、ひずみの増大に伴い、エアロゲルが破壊した。したがって、以降の圧縮試験は、エアロゲル中の配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対して垂直方向に圧縮して行なった。
酸化チタンナノシート添加量の検討
実施例1の工程1で、添加する酸化チタンナノシートの水分散液の量を、それぞれ次の通りとした以外は、実施例1と同様にしてエアロゲルA−2及びA−3を作製した。
Figure 2021095306
エアロゲルA、A−2、A−3及びCに対して、上記と同様に配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対して垂直方向に圧縮した場合の圧縮試験を行なった。結果を図7に示す。エアロゲル中の酸化チタンナノシート量が増すほど、力学強度が上昇することがわかった。
ナノシート添加による弾性率/繰り返し変形耐性
エアロゲルA及びBのそれぞれについて、配向した酸化チタンナノシートの広がり方向に対して垂直方向に圧縮した場合の圧縮試験を上記と同様の方法で行なった。エアロゲルCについても、ある任意の面方向に垂直方向に圧縮した場合の圧縮試験を上記と同様の方法で行なった。
結果を図8に示す。図8AはエアロゲルAの結果であり、図8B及び図8DはエアロゲルBの結果であり、図8CはエアロゲルCの結果である。エアロゲルAの結果とエアロゲルCの結果とを比べると、エアロゲルにごく僅かな酸化チタンナノシートを含むことにより、弾性率が劇的に向上することがわかった。また、エアロゲルBの結果から、エアロゲル自体に金属酸化物ナノシートを含んでいなくても、一定方向に配向した、二次元方向の広がり構造を規則的に複数有するエアロゲルは、一様な三次元網目状のシリカ骨格のみからなるエアロゲルCに比べてその弾性率が飛躍的に向上することがわかった。
また、各エアロゲルの1つのサンプルに対して、圧縮試験を繰り返し行なったときのひずみ−応力曲線を図9に示す。図9AはエアロゲルAの結果であり、図9B及び図9DはエアロゲルBの結果であり、図9CはエアロゲルCの結果である。
エアロゲルCは80%ひずみの圧縮を3回繰り返すと塑性変形が起こったのに対し、エアロゲルAは、80%ひずみの圧縮を100回繰り返しても劣化せず、エアロゲルBでは95%ひずみの圧縮を10回繰り返しても劣化しなかった。
[亀裂耐性]
エアロゲルに針で人為的に圧縮方向と平行な亀裂を作った後、上記と同様にして圧縮試験を行なった。
結果を図10に示す。図10Aのグラフにおいて、黒色線がエアロゲルAの結果であり、灰色線がエアロゲルCの結果である。また、図10Bにおいて、黒色線がエアロゲルBの結果であり、灰色線がエアロゲルCの結果である。エアロゲルA及びエアロゲルBはともに、70%ひずみの圧縮で弾性変形可能であった。一方、エアロゲルC(既往の弾性変形可能なシリカエアロゲル)では、圧縮時に人為的に作った亀裂が進展してしまった。
[溶媒耐性]
エアロゲルをエタノールに20℃で6時間浸漬し、溶媒耐性の評価を行なった。
エアロゲルA及びエアロゲルBは、溶媒に浸漬後も、元の形状を保ったまま溶媒を吸収し、ゲルとなった。一方、エアロゲルCは、溶媒に浸漬中に亀裂が発生してしまった。
[耐炎性]
一辺が10 mmの立方体に加工したエアロゲルに対し、液化ブタンを燃料とする市販のガスバーナーを用い、エアロゲルA及びエアロゲルCの耐炎性試験を行なった。
結果を図11に示す。図11AはエアロゲルAの結果であり、図11BはエアロゲルCの結果である。上記条件で1分間加熱後、エアロゲルAはサンプルに亀裂が入ることがなかったが、エアロゲルCはサンプル表面に亀裂が確認された。本発明のエアロゲルは、不燃性であり、また断熱性に優れることがわかった。
本発明のエアロゲルは、断熱材料、衝撃吸収材料又はガス吸着材料として、建築材料、ヘルメット素材、毛布、宇宙服を含む宇宙材料等への応用が期待される。

Claims (5)

  1. 網目状のシリカ骨格を有するエアロゲルであって、
    前記エアロゲル中に一定方向に配向した金属酸化物ナノシートを含む、エアロゲル。
  2. 前記一定方向に配向した金属酸化物ナノシートが複数の層を形成しているものである、請求項1に記載のエアロゲル。
  3. 請求項1又は2に記載のエアロゲル構造から、金属酸化物ナノシートが除かれた構造を有するエアロゲル。
  4. 下記工程1、2、3、及び4を有するエアロゲルの製造方法。
    工程1 下記(A)〜(D)を含む水分散液を得る工程
    (A)オルガノシラン
    (B)界面活性剤
    (C)金属酸化物ナノシート
    (D)水
    工程2 前記水分散液中の金属酸化物ナノシートを配向させる工程
    工程3 前記金属酸化物ナノシートが配向した水分散液からヒドロゲルを得る工程
    工程4 前記ヒドロゲルを乾燥する工程
  5. 下記工程1、2、3、3’、及び4を有するエアロゲルの製造方法。
    工程1 下記(A)〜(D)を含む水分散液を得る工程
    (A)オルガノシラン
    (B)界面活性剤
    (C)金属酸化物ナノシート
    (D)水
    工程2 前記水分散液中の金属酸化物ナノシートを配向させる工程
    工程3 前記金属酸化物ナノシートが配向した水分散液からヒドロゲルを得る工程
    工程3' 前記ヒドロゲルの金属酸化物ナノシートを除去する工程
    工程4 前記金属酸化物ナノシートが除去されたヒドロゲルを乾燥する工程
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