JP2021094489A - 液中エレクトロスプレー法を用いたエマルジョンの製造方法、冷却液組成物、及び冷却システム - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた絶縁性を有しかつ改善された伝熱特性を有する冷却液組成物の製造に使用することができるエマルジョンの製造方法を提供する。【解決手段】第1の液体101を電場中に静電噴霧するための第1のエレクトロスプレーノズル及び第2の液体102を電場中に静電噴霧するための第2のエレクトロスプレーノズルを基油103中に対向させて配置する工程と、第1と第2のエレクトロスプレーノズルの間に電位差を与えて第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルから第1の液滴及び第2の液滴をそれぞれ静電噴霧し、それぞれ逆に帯電している第1の液滴及び第2の液滴を静電引力によって互いに衝突させて電荷を中和させる工程と、を含み、第1の液体、第2の液体及び基油のうち少なくとも1つが界面活性剤を含み、第1の液体及び第2の液体のうち少なくとも1つが水性媒体を含み、エマルジョンが油中水型である。【選択図】図2
Description
本開示は、液中エレクトロスプレー法を用いたエマルジョンの製造方法、冷却液組成物、及び該冷却液組成物を用いた冷却システムに関する。
ハイブリッド車及び電気自動車等の走行用モーターを備える自動車は、電力を適切にコントロールするためのパワーコントロールユニット(PCU)を備える。PCUは、モーターを駆動するインバーターや、電圧をコントロールする昇圧コンバーター、高電圧を降圧するDCDCコンバーター等を含む。インバーター又はコンバーターは、半導体素子を内蔵したカード型パワーモジュールであるパワーカードを有し、パワーカードは、スイッチング動作に伴って発熱する。そのため、インバーターやコンバーターは、高温に発熱し得る機器である。また、走行用モーターを備える自動車における発熱機器としては、インバーター及びコンバーターの他にも、例えばバッテリーが挙げられる。したがって、走行用モーターを備える自動車には、インバーターやコンバーター、バッテリー等を冷却するための冷却システムが備え付けられる。
例えば、特許文献1には、走行用モーターを備える自動車(例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車)の駆動系のインバーターに用いられている半導体装置の構成が記載されている(図1)。図1の半導体装置2は、複数のパワーカード10と複数の冷却器3が積層されたユニットである。なお、図1では、一つのパワーカードだけに符号10を付し、他のパワーカードには符号を省略している。また、半導体装置2の全体が見えるように、半導体装置2を収容するケース31は点線で描いてある。1個のパワーカード10は、2個の冷却器3に挟まれる。パワーカード10と一方の冷却器3との間には絶縁板6aが挟まれており、パワーカード10と他方の冷却器3との間には絶縁板6bが挟まれている。パワーカード10と絶縁板6a、6bの間には、グリスが塗布される。絶縁板6a、6bと冷却器3の間にもグリスが塗布される。なお、図1は、理解し易いように、1個のパワーカード10と絶縁板6a、6bを半導体装置2から抜き出して描いてある。パワーカード10には半導体素子が収容されている。パワーカード10は、冷却器3を通る冷媒により冷却される。冷媒は液体であり、典型的には水である。パワーカード10と冷却器3は交互に積層されており、ユニットの積層方向の両端には冷却器3が位置している。複数の冷却器3は、連結パイプ5a、5bで連結されている。ユニットの積層方向の一端に位置する冷却器3には、冷媒供給管4aと冷媒排出管4bが連結されている。冷媒供給管4aを通じて供給される冷媒は、連結パイプ5aを通じて全ての冷却器3に分配される。冷媒は各冷却器3を通る間に隣接するパワーカード10から熱を吸収する。各冷却器3を通った冷媒は連結パイプ5bを通り、冷媒排出管4bから排出される。
冷却液としては、鉱油等の非水系冷却液や、水を含む水系冷却液(例えばエチレングリコールと水との混合物)等が一般に用いられている。
また一方で、特許文献2には、高分子化合物を含む高分子溶液をエレクトロスプレーノズルから対向電極に向かって液体中に静電噴霧することにより、高分子化合物の形状を繊維状または粒子状に制御する技術が開示されている。
特許文献1に示される半導体装置の構成のように、一般に、冷却液は、パワーカードやバッテリーの近くを循環している。そのため、ハイブリッド車や電気自動車等の走行用モーターを備える自動車において、事故によって冷却液が漏れると、漏れた冷却液がパワーカードやバッテリー等の端子に接触し、ショートを起こす可能性がある。そのため、冷却液が漏れた場合でもそのような二次災害を起こし難くする観点から、冷却液には、優れた冷却性能のみならず、優れた絶縁性も求められる。
一般的に使用されている鉱油は、絶縁性に優れている一方、冷却性能、すなわち伝熱特性の点で改善の余地がある。また、エチレングリコール及び水の混合物は、冷却性能に優れている一方、絶縁性が低い。
そこで、本開示は、優れた絶縁性を有しかつ改善された伝熱特性を有する冷却液組成物を提供することを目的とする。また、本開示は、優れた絶縁性を有しかつ改善された伝熱特性を有する冷却液組成物の製造に使用することができる、エマルジョンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討したところ、本明細書に記載される、新規な液中エレクトロスプレー法を用いたエマルジョンの製造方法を使用することにより、優れた絶縁性を有しかつ改善された伝熱特性を有する冷却液組成物を得ることができることを見出し、本開示に至った。
本実施形態の態様例は、以下の通りに記載される。
(1) エマルジョンを製造する方法であって、
第1の液体を電場中に静電噴霧するための第1のエレクトロスプレーノズル及び第2の液体を電場中に静電噴霧するための第2のエレクトロスプレーノズルを基油中に対向させて配置する工程と、
第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に電位差を与えて第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルから第1の液滴及び第2の液滴をそれぞれ静電噴霧し、それにより、それぞれ逆に帯電している第1の液滴及び第2の液滴を静電引力によって互いに衝突させて電荷を中和させる工程と、
を含み、
第1の液体、第2の液体及び基油のうち少なくとも1つが界面活性剤を含み、
第1の液体及び第2の液体のうち少なくとも1つが水性媒体を含み、
エマルジョンが油中水型である、製造方法。
(2) 基油の比誘電率が、25以下である、(1)に記載の製造方法。
(3) 基油が、鉱油及び合成油からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4) 界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の製造方法。
(5) 第1の液体及び第2の液体のそれぞれが、水性媒体を含む、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の製造方法。
(6) 基油、水性媒体を含む液滴、及び界面活性剤を含み、液滴が界面活性剤により基油中に分散している、冷却液組成物。
(7) 基油の比誘電率が、25以下である、(6)に記載の冷却液組成物。
(8) 基油が、鉱油及び合成油からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(6)又は(7)に記載の冷却液組成物。
(9) 界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(6)〜(8)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(10) 液滴の平均粒径が、1μm未満である、(6)〜(9)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(11) 基油の冷却液組成物中の含有量が、50〜95質量%である、(6)〜(10)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(12) 液滴の冷却液組成物中の含有量が、1〜30質量%である、(6)〜(11)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(13) 界面活性剤の冷却液組成物中の含有量が、1〜15質量%である、(6)〜(12)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(14) 20℃における導電率が、0.1μS/cm以下である、(6)〜(13)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(15) (6)〜(14)のいずれか1つに記載の冷却液組成物を冷媒として用いる冷却システム。
(16) 走行用モーターを備える自動車に搭載される発熱機器を冷却するための、(15)に記載の冷却システム。
(17) 発熱機器が、インバーター、コンバーター、ジェネレーター、モーター又はバッテリーである、(16)に記載の冷却システム。
(18) 発熱機器がパワーカードを有し、冷却液組成物とパワーカードが物理的に接触している、(16)又は(17)に記載の冷却システム。
第1の液体を電場中に静電噴霧するための第1のエレクトロスプレーノズル及び第2の液体を電場中に静電噴霧するための第2のエレクトロスプレーノズルを基油中に対向させて配置する工程と、
第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に電位差を与えて第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルから第1の液滴及び第2の液滴をそれぞれ静電噴霧し、それにより、それぞれ逆に帯電している第1の液滴及び第2の液滴を静電引力によって互いに衝突させて電荷を中和させる工程と、
を含み、
第1の液体、第2の液体及び基油のうち少なくとも1つが界面活性剤を含み、
第1の液体及び第2の液体のうち少なくとも1つが水性媒体を含み、
エマルジョンが油中水型である、製造方法。
(2) 基油の比誘電率が、25以下である、(1)に記載の製造方法。
(3) 基油が、鉱油及び合成油からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4) 界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の製造方法。
(5) 第1の液体及び第2の液体のそれぞれが、水性媒体を含む、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の製造方法。
(6) 基油、水性媒体を含む液滴、及び界面活性剤を含み、液滴が界面活性剤により基油中に分散している、冷却液組成物。
(7) 基油の比誘電率が、25以下である、(6)に記載の冷却液組成物。
(8) 基油が、鉱油及び合成油からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(6)又は(7)に記載の冷却液組成物。
(9) 界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、(6)〜(8)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(10) 液滴の平均粒径が、1μm未満である、(6)〜(9)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(11) 基油の冷却液組成物中の含有量が、50〜95質量%である、(6)〜(10)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(12) 液滴の冷却液組成物中の含有量が、1〜30質量%である、(6)〜(11)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(13) 界面活性剤の冷却液組成物中の含有量が、1〜15質量%である、(6)〜(12)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(14) 20℃における導電率が、0.1μS/cm以下である、(6)〜(13)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(15) (6)〜(14)のいずれか1つに記載の冷却液組成物を冷媒として用いる冷却システム。
(16) 走行用モーターを備える自動車に搭載される発熱機器を冷却するための、(15)に記載の冷却システム。
(17) 発熱機器が、インバーター、コンバーター、ジェネレーター、モーター又はバッテリーである、(16)に記載の冷却システム。
(18) 発熱機器がパワーカードを有し、冷却液組成物とパワーカードが物理的に接触している、(16)又は(17)に記載の冷却システム。
本開示により、優れた絶縁性を有しかつ改善された伝熱特性を有する冷却液組成物を提供することができる。また、本開示により、優れた絶縁性を有しかつ改善された伝熱特性を有する冷却液組成物の製造に使用することができるエマルジョンの製造方法を提供することができる。
1.エマルジョンの製造方法
本実施形態の一態様は、エマルジョンを製造する方法であって、第1の液体を電場中に静電噴霧するための第1のエレクトロスプレーノズル及び第2の液体を電場中に静電噴霧するための第2のエレクトロスプレーノズルを基油中に対向させて配置する工程と、第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に電位差を与えて第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルから第1の液滴及び第2の液滴をそれぞれ静電噴霧し、それにより、それぞれ逆に帯電している第1の液滴及び第2の液滴を静電引力によって互いに衝突させて電荷を中和させる工程と、を含み、第1の液体、第2の液体及び基油のうち少なくとも1つが界面活性剤を含み、第1の液体及び第2の液体のうち少なくとも1つが水性媒体を含み、エマルジョンが油中水型である、製造方法に関する。
本実施形態の一態様は、エマルジョンを製造する方法であって、第1の液体を電場中に静電噴霧するための第1のエレクトロスプレーノズル及び第2の液体を電場中に静電噴霧するための第2のエレクトロスプレーノズルを基油中に対向させて配置する工程と、第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に電位差を与えて第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルから第1の液滴及び第2の液滴をそれぞれ静電噴霧し、それにより、それぞれ逆に帯電している第1の液滴及び第2の液滴を静電引力によって互いに衝突させて電荷を中和させる工程と、を含み、第1の液体、第2の液体及び基油のうち少なくとも1つが界面活性剤を含み、第1の液体及び第2の液体のうち少なくとも1つが水性媒体を含み、エマルジョンが油中水型である、製造方法に関する。
本実施形態に係るエマルジョンの製造方法により、本実施形態に係る冷却液組成物を効率的に製造することができる。
本明細書において、液中エレクトロスプレー法とは、液体媒体としての基油中で液体を静電噴霧する方法を意味する。
本実施形態において、液体試料を噴霧する媒体となる基油は、電場を形成することができるものであれば特に制限されるものではないが、電場形成の観点から、誘電率が低いもの(以下、低誘電率油とも称す)が好ましい。低誘電率油とは、その比誘電率が25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下である油を指す。低誘電率油としては、例えば、鉱油、合成油、又はこれらの混合物が挙げられる。合成油としては、例えば、エステル系合成油、合成炭化水素油、シリコーン油、フッ素化油、又はこれらの混合物が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。本実施形態において、電位差を生じさせても実質的に通電しない低誘電率油を用いることによって、第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルとの間に効率的に電場を形成できる。
本実施形態において、第1の液体及び第2の液体のうち少なくとも1つが水性媒体を含む。また、第1の液体及び第2の液体のそれぞれが、水性媒体を含むことが好ましい。第1の液体に含まれる水性媒体及び第2の液体に含まれる水性媒体は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。本明細書において水性媒体とは、水、水に溶解することができる有機溶媒、又は水と混和性である有機溶媒を指す。水性媒体としては、例えば、水、アルコール、ケトン、エーテル、又はこれらの混合物が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、又はこれらの混合物が挙げられる。ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、又はこれらの混合物が挙げられる。エーテルとしては、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物が挙げられる。水性媒体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
水性媒体は、冷却性能の観点から、水を含むことが好ましい。水の水性媒体中の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、好ましくは70質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上であり、好ましくは実質的に100質量%である。
本実施形態において、第1の液体、第2の液体及び基油のうち少なくとも1つは界面活性剤を含む。界面活性剤は、第1の液体及び第2の液体を含む液滴を基油中に均一に分散させる働きを有する。
界面活性剤は、特に制限されるものではない。界面活性剤としては、基油中における液滴の安定性の観点から、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを好ましく用いることができる。特に、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、鉱油又は合成油中に水性媒体を効率的に分散させることができる。ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数は、好ましくは10〜24であり、好ましくは12〜18である。また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのオキシエチレンの付加モル数は、好ましくは4〜100(4〜100EO)であり、好ましくは6〜60(6〜60EO)であり、好ましくは8〜30(8〜30EO)である。
ソルビタン脂肪酸エステルの例としては、例えば、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンモノラウレート、又はこれらの混合物が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタンジイソステアレート、又はソルビタンモノイソステアレートである。ソルビタン脂肪酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレートである。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、第1の液体、第2の液体及び基油のうち少なくとも1つは、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、抗酸化剤、防錆剤、摩擦緩和剤、防食剤、粘度指数改良剤、流動点降下剤、分散剤/界面活性剤、耐摩耗剤、固体潤滑剤、又はこれらの混合物が挙げられる。
エレクトロスプレーノズルとしては、第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルとの間で電場を形成させるために、例えば、ステンレスチューブ、表面を金等の金属でメッキしたキャピラリーチューブが挙げられる。かかるキャピラリーチューブは、さらに、その先端が露出するような状態でステンレス等の金属のチューブでその一部が覆われていてもよい。
本実施形態においては、正又は負に帯電した第1の液体の液滴(第1の液滴)と第2の液体の液滴(第2の液滴)とを基油中で衝突させて電荷を中和させることにより、第1の液体及び第2の液体を含む液滴が基油中に均一に分散した、油中水型エマルジョンを効率的に調製することができる。該エマルジョンは、後述する通り、冷却液組成物として有用である。
本実施形態により得られる液滴の粒径は非常に小さく制御することができる。液滴の平均粒径は、特に制限されるものではないが、好ましくは1μm未満である。また、液滴の平均粒径は、好ましくは10〜500nmであり、より好ましくは30〜200nmである。
図2は、本実施形態に係る液中エレクトロスプレー法を用いたエマルジョンの製造方法に使用する装置の構成を説明するための概略図である。対向する二つのエレクトロスプレーノズルに正及び負の電位を印加し、対向する該エレクトロスプレーノズル間に強電場を形成させることにより、各エレクトロスプレーノズルから正又は負に帯電した液滴が噴霧される。すなわち、第1のエレクトロスプレーノズルから第1の液体101が第1の液滴として基油103中に噴霧され、第2のエレクトロスプレーノズルから第2の液体102が第2の液滴として基油103中に噴霧され、第1の液滴及び第2の液滴の電荷は互いに逆である。電場中に噴霧された第1の液滴及び第2の液滴は、それらの静電的相互作用によって互いに衝突して電荷が中和される。なお、第1の液体101及び第2の液体102が互いに混和可能な液体である場合、衝突により第1の液滴及び第2の液滴が融合する。例えば、第1の液体101及び第2の液体102が、それぞれが水性媒体を含む場合、衝突により液滴が融合する。第1の液体101及び第2の液体102が互いに混和しない又は混和し難い液体である場合(例えば、一方が水性媒体で、もう一方が疎水性有機溶媒である場合)、液滴同士の融合は生じ難いが、電荷は中和される。第1の液体101及び第2の液体102を上記手法で基油103中に静電噴霧することにより、微小な液滴を含む、油中水型エマルジョンを調製することができる。なお、エレクトロスプレーノズルと対向電極の間に電場を形成させて液体を基油中に噴霧しても、液滴が凝集してしまい、均一な分散体が得られない。液滴が凝集すると、冷却液組成物の絶縁性が低下する。本実施形態のように、2つのエレクトロスプレーノズルから互いに逆に帯電した液滴を噴霧させ電荷を中和させることが均一な分散体を得るのに重要と考えられる。
第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間の距離は、特に制限されるものではなく、適宜設定することができる。当該距離は、例えば、1cm以上であり、好ましくは2cm以上である。第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間の距離の上限は、エレクトロスプレー装置の寸法に合わせて適宜設定することができる。
第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に与える電位差は、特に制限されるものではなく、適宜設定することができる。当該電位差は、例えば、0.1kV以上であり、好ましくは2kV以上である。また、当該電位差は、例えば、20kV以下であり、好ましくは15kV以下である。
電位差を与える方法は、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。電位差を与える方法としては、例えば、1つの電源を第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルに接続し、第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に電圧を印加する方法が挙げられる。また、その他にも、第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に基準となる電位を設定した上で、2つの電源を使用して基準となる電位に対する第1のエレクトロスプレーノズルの電位及び基準となる電位に対する第2のエレクトロスプレーノズルの電位を制御する方法も挙げられる。また、本実施形態においては、第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に電位差が生じればよい。例えば、第1のエレクトロスプレーノズルを+の電位とし第2のエレクトロスプレーノズルを−の電位としてもよく、第1のエレクトロスプレーノズルを−の電位とし第2のエレクトロスプレーノズルを+の電位としてもよく、第1のエレクトロスプレーノズルの電位が0で第2のエレクトロスプレーノズルが−の電位であってもよく、第1のエレクトロスプレーノズルの電位が0で第2のエレクトロスプレーノズルが+の電位であってもよく、第1のエレクトロスプレーノズルが−の電位で第2のエレクトロスプレーノズルの電位が0であってもよく、あるいは第1のエレクトロスプレーノズルが+の電位で第2のエレクトロスプレーノズルの電位が0であってもよい。
2.冷却液組成物
本実施形態は、基油、水性媒体を含む液滴、及び界面活性剤を含み、液滴が界面活性剤により基油中に分散している、冷却液組成物である。
本実施形態は、基油、水性媒体を含む液滴、及び界面活性剤を含み、液滴が界面活性剤により基油中に分散している、冷却液組成物である。
本実施形態に係る冷却液組成物は、優れた絶縁性を有しかつ改善された伝熱特性を有する。本実施形態に係る冷却液組成物は、水性媒体を含むため、用いる基油に比べて伝熱特性を向上することができる。通常、水等の水性媒体は、伝熱特性に優れるという利点を有する一方で、高い導電率のために絶縁性が低い。しかしながら、本実施形態に係る冷却液組成物では、水性媒体を含む液滴が絶縁性の高い基油中に囲まれた構造を有するため、冷却液組成物それ自体の導電率は低くなる。したがって、本実施形態に係る冷却液組成物は、優れた絶縁性及び伝熱特性を兼ね備えることができる。特に、本実施形態に係る冷却液組成物は、優れた絶縁性を有するため、事故等で冷却液組成物が漏れた場合でも、ショート等の二次災害を抑制することができる。そのため、ハイブリッド車や電気自動車等の走行用モーターを備える自動車の冷媒として、好ましく用いることができる。
本実施形態に係る冷却液組成物の別の効果として、以下の点も挙げられる。従来、一般的に使用されるエチレングリコールベースの水系冷却液は、伝熱特性に優れる一方で、絶縁性に劣る。そのため、図1に示すように、冷却対象の部品側を絶縁構造にする必要があった。具体的には、図1に示すように、絶縁板(図1の6a、6b)を設けて、電子機器と冷却液組成物との間の絶縁性を確保する必要があった。しかし、絶縁板を設置すると、冷却液組成物と電子機器との間の伝熱特性が低下するため、結果として冷却性能は低下してしまう。本実施形態に係る冷却液組成物は絶縁性に優れるため、絶縁板の設置は不要とすることができ、結果として、冷却性能に優れる冷却システムを提供することができる。
本実施形態に係る冷却液組成物の別の効果として、以下の点も挙げられる。電子機器の冷却手段の例として、電子機器を冷却液組成物中に少なくとも部分的に(部分的に又は完全に)浸漬させる方法がある。例えば、冷却のために、パワーカードを冷却液組成物と物理的に接触させて配置することができる。このような冷却構造は、熱伝導効率に非常に優れているが、電子機器と冷却液組成物が直接接するため、冷却液組成物に非常に優れた絶縁性が求められる。本実施形態に係る冷却液組成物は、非常に優れた絶縁性を有するとともに、非毒性であり、腐食を起こし難いため、このような冷却構造を有する冷却システムにも好ましく用いることができる。
基油としては、特に制限されるものではないが、上述の通り、例えば、鉱油、合成油、又はこれらの混合物が挙げられる。合成油としては、例えば、エステル系合成油、合成炭化水素油、シリコーン油、フッ素化油、又はこれらの混合物が挙げられる。基油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。基油は、鉱油を含むことが好ましい。鉱油の動粘度(40℃)は、特に制限されるものではないが、例えば、0.5〜100mm2/sであり、好ましくは0.5〜20mm2/sであり、より好ましくは0.5〜10mm2/sである。
基油の冷却液組成物中の含有量は、特に制限されるものではないが、好ましくは50〜95質量%であり、好ましくは60〜90質量%であり、好ましくは70〜85質量%である。基油の含有量が50質量%以上である場合、冷却液組成物の絶縁性を効果的に向上することができる。
水性媒体としては、特に制限されるものではないが、上述の通り、例えば、水、アルコール、ケトン、エーテル、又はこれらの混合物が挙げられる。水性媒体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。水性媒体は、冷却性能の観点から、水を含むことが好ましい。
水性媒体の冷却液組成物中の含有量は、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜30質量%であり、好ましくは3〜25質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。水性媒体の含有量が1質量%以上である場合、冷却液組成物の伝熱特性を効果的に向上することができる。
界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、上述の通り、基油中における液滴の安定性の観点から、ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤のHLBは、好ましくは3.0〜16.0であり、好ましくは5.0〜15.0であり、好ましくは8.0〜13.0である。
界面活性剤の冷却液組成物中の含有量は、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜20質量%であり、好ましくは3〜10質量%である。界面活性剤の含有量が1質量%以上である場合、分散剤として効果を十分に得ることができる。
冷却液組成物は、添加剤をさらに含んでもよい。添加剤としては、上述の通り、例えば、抗酸化剤、防錆剤、摩擦緩和剤、防食剤、粘度指数改良剤、流動点降下剤、分散剤/界面活性剤、耐摩耗剤、固体潤滑剤、又はこれらの混合物が挙げられる。添加剤の冷却液組成物中の含有量は、例えば、0.1〜20質量%であり、好ましくは10質量%以下であり、好ましくは5質量%以下であり、好ましくは1質量%以下である。
本実施形態に係る冷却液組成物は、上述の通り、油中水型エマルジョンの構造を有する。冷却液組成物中の液滴の粒子径D50は、好ましくは1μm未満である。また、液滴の粒子径D50は、好ましくは10〜500nmであり、より好ましくは30〜200nmである。液滴の粒子径が小さい場合(例えば1μm未満である場合)、油中水型エマルジョンの高分散状態を形成することができ、その結果、高い冷却性能と高い絶縁性を得ることができる。また、液滴の粒子径が大きい場合、液滴同士が集まり、相分離が生じる可能性がある。そのような観点から、粒子径D10が5〜50nmであり、粒子径D50が30〜200nmであり、かつ、粒子径D90が100〜500nmであることが好ましい。粒径の測定には、例えば、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いることができる。
冷却液組成物の動粘度(20℃)は、例えば、0.1〜30mm2/sであり、好ましくは、0.1〜15mm2/sである。
冷却液組成物は冷却システム中で強制的に循環されるため、粘度は低い方が好ましい。冷却液組成物の粘度は、例えば、添加する鉱油の粘度とその量で調整することができる。
本実施形態に係る冷却液組成物の動粘度(40℃)は、好ましくは、0.1〜10mm2/sである。
本実施形態に係る冷却液組成物の動粘度(40℃)は、好ましくは、0.1〜10mm2/sである。
本実施形態に係る冷却液組成物の導電率(20℃)は、好ましくは0.1μS/cm以下であり、より好ましくは0.01μS/cm以下であり、さらに好ましくは0.001μS/cm以下である。
3.冷却システム
本実施形態に係る冷却液組成物は、冷却システムに用いられ、好ましくは、走行用モーターを備える自動車に備えられる冷却システムに用いられる。すなわち、本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却液組成物を冷媒として用いる冷却システムである。また、本実施形態の一態様は、走行用モーターを備える自動車に搭載される発熱機器を冷却するための冷却システムである。また、本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却システム、及び該冷却システムで冷却される発熱機器を有する、走行用モーターを備える自動車である。
本実施形態に係る冷却液組成物は、冷却システムに用いられ、好ましくは、走行用モーターを備える自動車に備えられる冷却システムに用いられる。すなわち、本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却液組成物を冷媒として用いる冷却システムである。また、本実施形態の一態様は、走行用モーターを備える自動車に搭載される発熱機器を冷却するための冷却システムである。また、本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却システム、及び該冷却システムで冷却される発熱機器を有する、走行用モーターを備える自動車である。
本明細書における「走行用モーターを備える自動車」には、エンジンを備えず走行用モーターだけを動力源として備える電気自動車と、走行用モーター及びエンジンの両者を動力源として備えるハイブリッド車の双方を含む。また、燃料電池車も「走行用モーターを備える自動車」に含まれる。
環境問題対策の一つとして、モーターの駆動力により走行するハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車等の走行用モーターを備える自動車が注目されている。このような自動車において、モーター、ジェネレーター、インバーター、コンバーター及びバッテリーなどの発熱機器は高温に発熱するため、これらの発熱機器を冷却する必要がある。本実施形態に係る冷却液組成物は、上述の通り、優れた絶縁性及び改善された伝熱特性を有しており、事故等で冷却液組成物が漏れた場合でもショート等の二次災害が起こり難く、また、冷却性能に優れている。そのため、走行用モーターを備える自動車における冷却システムに好ましく用いることができる。
冷却システムは、例えば、冷媒である冷却液組成物が流れる冷媒管、冷却液組成物を収容するリザーブタンク、冷却液組成物を循環経路内で循環させるための循環装置、又は冷却液組成物の温度を低下させるための冷却装置を含む。循環装置としては、例えば、電動ポンプが挙げられる。冷却装置としては、例えば、ラジエーター、チラー又はオイルクーラーが挙げられる。冷却システムの冷却対象は、インバーター、コンバーター、ジェネレーター、モーター又はバッテリー等の発熱機器である。
冷却システムの構成は、特に制限されるものではない。冷却システムは、例えば、冷媒管、リザーブタンク、電動ポンプ、ラジエーター、及び発熱機器に備えられた冷却ユニットを含む。冷却ユニットは、発熱機器から熱を受け取る部分であり、例えば、図1の冷却器3が冷却ユニットに相当する。例えば、冷却液組成物は、電動ポンプによりリザーブタンクから汲み上げられた後、冷却ユニットで発熱機器を冷却し、その後、下流のラジエーターを経由し、リザーブタンクに戻る。冷却ユニットを冷却した冷却液組成物は、その温度が上昇するため、ラジエーターにより温度上昇した冷却液組成物の温度が下げられる。また、冷媒管の途中にオイルクーラーを配置し、このオイルクーラーによりモーターを冷却する構成を採用することもできる。
本実施形態に係る冷却システムは、走行用モーターを備える自動車に用いられることが好ましい。すなわち、本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却システムを備える走行用モーターを備える自動車である。また、本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却システムを備える電動自動車、ハイブリッド車又は燃料電池車である。
また、上述したように、本実施形態に係る冷却液組成物は、絶縁性に非常に優れるとともに、非毒性であり、腐食を起こし難いため、電子機器を冷却液組成物中に少なくとも部分的に(部分的に又は完全に)浸漬させる冷却構造を有する冷却システムに好ましく用いることができる。電子機器としては、例えば、半導体素子を内蔵したパワーカードやCPUが挙げられる。このような冷却システムの具体的な形態は、例えば、米国特許第7,403,392号又は米国特許出願公開第2011/0132579号に見出すことができる。具体的には、本実施形態の一態様は、発熱機器がパワーカードを有し、冷却液組成物とパワーカードが物理的に接触している、走行用モーターを備える自動車である。
以下、実施例を挙げて本実施形態を説明するが、本開示はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
冷却液組成物は、図2に示す構成を有する、液中エレクトロスプレーによる正−負液滴衝突型フェムトリアクターを用いて調製した。第1の液体101及び第2の液体102として、イオン交換水を用いた。基油としては、鉱油(動粘度(20℃)0.1〜10mm2/s)を用いた。界面活性剤としては、ソルビタンモノイソステアレート(日光ケミカルズ社製)を用い、界面活性剤は予め基油と混合させた。
冷却液組成物は、図2に示す構成を有する、液中エレクトロスプレーによる正−負液滴衝突型フェムトリアクターを用いて調製した。第1の液体101及び第2の液体102として、イオン交換水を用いた。基油としては、鉱油(動粘度(20℃)0.1〜10mm2/s)を用いた。界面活性剤としては、ソルビタンモノイソステアレート(日光ケミカルズ社製)を用い、界面活性剤は予め基油と混合させた。
対向して配置された第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルから第1の液体101及び第2の液体102を基油103中にそれぞれ静電噴霧することにより、エマルジョンを調製した。この際、第1の液体及び第2の液体の噴霧量は、得られるエマルジョンが表1に記載の組成となるように調整した。また、第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルには、それぞれ+7kV及び−7kVの電圧を印加した。以上の工程により、冷却液組成物を調製した。
[実施例2]
表1に記載の組成となるようにそれぞれの成分量を調整したこと以外は、実施例1と同じようにして冷却液組成物を調製した。
表1に記載の組成となるようにそれぞれの成分量を調整したこと以外は、実施例1と同じようにして冷却液組成物を調製した。
[比較例1〜4]
表2に記載の組成となるように各成分を混合して冷却液組成物を調製した。なお、材料としては以下のものを用いた。
・従来LLC(トヨタ純正、商品名:スーパーロングライフクーラント、エチレングリコール(以下、EGとも称す)と添加剤を含む。)
・エチレングリコール(東京化成工業社製)
・イオン交換水
・鉱油:動粘度(20℃)0.1〜10mm2/s
表2に記載の組成となるように各成分を混合して冷却液組成物を調製した。なお、材料としては以下のものを用いた。
・従来LLC(トヨタ純正、商品名:スーパーロングライフクーラント、エチレングリコール(以下、EGとも称す)と添加剤を含む。)
・エチレングリコール(東京化成工業社製)
・イオン交換水
・鉱油:動粘度(20℃)0.1〜10mm2/s
[評価]
<導電率>
各冷却液組成物の20℃における導電率は、導電率測定機(横河電機株式会社製、パーソナルSCメータSC72、検出器:SC72SN−11)を用いて測定した。結果を表1及び表2に示す。
<導電率>
各冷却液組成物の20℃における導電率は、導電率測定機(横河電機株式会社製、パーソナルSCメータSC72、検出器:SC72SN−11)を用いて測定した。結果を表1及び表2に示す。
<伝熱特性>
各冷却液組成物の伝熱特性は、比熱を測定することにより評価した。比熱の測定は、熱量計(C80、SETARAM社製)を用いて行った。試料容器としては、標準容器(ハステロイ12.5L)を用いた。容器の温度は20℃に設定し、雰囲気は大気圧空気とした。結果を表1及び表2に示す。
各冷却液組成物の伝熱特性は、比熱を測定することにより評価した。比熱の測定は、熱量計(C80、SETARAM社製)を用いて行った。試料容器としては、標準容器(ハステロイ12.5L)を用いた。容器の温度は20℃に設定し、雰囲気は大気圧空気とした。結果を表1及び表2に示す。
いずれの実施例の冷却液組成物も、導電率が0.1μS/cm未満であり、優れた絶縁性を有していた。また、実施例の冷却液組成物の比熱は、基油として用いた鉱油(比較例3)の比熱よりも高くなっており、本実施形態に係る冷却液組成物は改善された伝熱特性を有することも確認された。
一方、従来の冷却液組成物の構成(エチレングリコールと水の混合物又は水単独)を有する比較例1、2及び4では、導電率が高くなり、絶縁性が不十分であった。
本明細書中に記載した数値範囲の上限値及び/又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。例えば、数値範囲の上限値及び下限値を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、数値範囲の上限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、また、数値範囲の下限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
以上、本実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本開示に含まれるものである。
2 半導体装置
3 冷却器
10 パワーカード
31 ケース
4a 冷媒供給管
4b 冷媒排出管
5a 連結パイプ
5b 連結パイプ
6a 絶縁板
6b 絶縁板
101 第1の液体
102 第2の液体
103 基油
3 冷却器
10 パワーカード
31 ケース
4a 冷媒供給管
4b 冷媒排出管
5a 連結パイプ
5b 連結パイプ
6a 絶縁板
6b 絶縁板
101 第1の液体
102 第2の液体
103 基油
Claims (18)
- エマルジョンを製造する方法であって、
第1の液体を電場中に静電噴霧するための第1のエレクトロスプレーノズル及び第2の液体を電場中に静電噴霧するための第2のエレクトロスプレーノズルを基油中に対向させて配置する工程と、
第1のエレクトロスプレーノズルと第2のエレクトロスプレーノズルとの間に電位差を与えて第1のエレクトロスプレーノズル及び第2のエレクトロスプレーノズルから第1の液滴及び第2の液滴をそれぞれ静電噴霧し、それにより、それぞれ逆に帯電している第1の液滴及び第2の液滴を静電引力によって互いに衝突させて電荷を中和させる工程と、
を含み、
第1の液体、第2の液体及び基油のうち少なくとも1つが界面活性剤を含み、
第1の液体及び第2の液体のうち少なくとも1つが水性媒体を含み、
エマルジョンが油中水型である、製造方法。 - 基油の比誘電率が、25以下である、請求項1に記載の製造方法。
- 基油が、鉱油及び合成油からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 第1の液体及び第2の液体のそれぞれが、水性媒体を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 基油、水性媒体を含む液滴、及び界面活性剤を含み、液滴が界面活性剤により基油中に分散している、冷却液組成物。
- 基油の比誘電率が、25以下である、請求項6に記載の冷却液組成物。
- 基油が、鉱油及び合成油からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項6又は7に記載の冷却液組成物。
- 界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の冷却液組成物。
- 液滴の平均粒径が、1μm未満である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の冷却液組成物。
- 基油の冷却液組成物中の含有量が、50〜95質量%である、請求項6〜10のいずれか1項に記載の冷却液組成物。
- 液滴の冷却液組成物中の含有量が、1〜30質量%である、請求項6〜11のいずれか1項に記載の冷却液組成物。
- 界面活性剤の冷却液組成物中の含有量が、1〜20質量%である、請求項6〜12のいずれか1項に記載の冷却液組成物。
- 20℃における導電率が、0.1μS/cm以下である、請求項6〜13のいずれか1項に記載の冷却液組成物。
- 請求項6〜14のいずれか1項に記載の冷却液組成物を冷媒として用いる冷却システム。
- 走行用モーターを備える自動車に搭載される発熱機器を冷却するための、請求項15に記載の冷却システム。
- 発熱機器が、インバーター、コンバーター、ジェネレーター、モーター又はバッテリーである、請求項16に記載の冷却システム。
- 発熱機器がパワーカードを有し、冷却液組成物とパワーカードが物理的に接触している、請求項16又は17に記載の冷却システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019225019A JP2021094489A (ja) | 2019-12-13 | 2019-12-13 | 液中エレクトロスプレー法を用いたエマルジョンの製造方法、冷却液組成物、及び冷却システム |
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