JP2021092720A - 光変調器 - Google Patents

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尚徳 増子
Hisanori Masuko
尚徳 増子
宏幸 高木
Hiroyuki Takagi
宏幸 高木
平澤 拓
Hiroshi Hirasawa
拓 平澤
寺部 一弥
Kazuya Terabe
一弥 寺部
敬志 土屋
Takashi Tsuchiya
敬志 土屋
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【課題】電気光学効果を示す固体電解質を用いて光を変調する光変調器を提供する。【解決手段】光変調器は、電圧の印加によって屈折率が変化する固体電解質層30と、固体電解質層に電圧を印加する一対の電極20と、一対の電極に印加する電圧を制御して固体電解質層の屈折率を変化させることにより、固体電解質層の内部または表面に存在する光を変調する制御回路と、を備える。【選択図】図2A

Description

本開示は、光変調器に関する。
従来、電解質を電池または電気二重層キャパシタなどに利用したデバイスが多く報告されている(例えば特許文献1および2参照)。一方、電解質を利用した光デバイスはあまり報告されていない。電解質を利用した光デバイスとして、電解質を電気光学材料に接触させた光デバイスが報告されている(例えば、特許文献3および4参照)。電気光学材料は、ポッケルス効果、カー効果、またはエレクトロクロミック効果のように、電圧の印加によって屈折率が変化する電気光学効果を示す。電解質を電気光学材料に接触させると、電気光学材料に強電界が印加されたり、電気光学材料内で酸化・還元反応が生じたりする。その結果、高い電気光学効果によって電気光学材料内の光が変調される。ただし、電解質自体が電気光学効果を示すわけではない。
特開2019−145486号公報 特開2013−065639号公報 特開2017−044856号公報 特開平7−168214号公報 Eiji Tokunaga et al., "Gigantic optical Pockels effect in water within the electric double layer at the electrode-solution interface", Phys. Rev. B, 77, 241401 (2008).
本開示は、電気光学効果を示す固体電解質を用いて光を変調する光変調器を提供する。
本開示の一態様に係る光変調器は、電圧の印加によって屈折率が変化する固体電解質層と、前記固体電解質層に前記電圧を印加する一対の電極と、前記一対の電極に印加する前記電圧を制御して前記固体電解質層の前記屈折率を変化させることにより、前記固体電解質層の内部または表面に存在する光を変調する制御回路と、を備える。
本開示の技術によれば、電気光学効果を示す固体電解質を用いて光を変調することができる。
図1Aは、本開示の例示的な実施形態における光変調器の例を模式的に示す図である。 図1Bは、図1Aに示す光変調器の側面図である。 図2Aは、一対の電極に電圧を印加した場合における、一対の電極および固体電解質層内の電荷分布を模式的に示す図である。 図2Bは、一対の電極の間での、第1電極の上面からZ方向に沿った距離と、電位との関係を模式的に示す図である。 図2Cは、一対の電極の間での、第1電極の上面からZ方向に沿った距離と、電界の強度との関係を模式的に示す図である。 図3Aは、本実施形態における固体電解質層の電気光学効果を調べるための構成の例を模式的に示す図である。 図3Bは、一対の電極に印加する電圧の値と、基板を通過した光のリタデーションとの関係の室温での実験結果を示す図である。 図4は、本実施形態の第1変形例における光変調器の例を模式的に示す図である。 図5は、本実施形態の第2変形例における光変調器の例を模式的に示す図である。 図6は、本実施形態の第3変形例における光変調器の例を模式的に示す図である。 図7Aは、本実施形態の第4変形例における光変調器の第1の例を模式的に示す図である。 図7Bは、本実施形態の第4変形例における光変調器の第2の例を模式的に示す図である。 図8Aは、本実施形態の第5変形例における光変調器の第1の例を模式的に示す図である。 図8Bは、本実施形態の第5変形例における光変調器の第2の例を模式的に示す図である。 図9は、光変調器の製造工程を示すフローチャートである。 図10は、本実施形態の第1応用例における光スイッチングデバイスの例を模式的に示す平面図である。 図11Aは、本実施形態の第2応用例における光フェーズドアレイの第1の例を模式的に示す図である。 図11Bは、本実施形態の第2応用例における光フェーズドアレイの第2の例を模式的に示す図である。
電解質において、伝導イオンの偏在によって電気二重層が形成される。電気二重層は、強電界を発生させる。このような性質から、電解質では、分極の変化と共に大きな光物性の変化が起きることが期待される。例えば、非特許文献1は、電解質の水溶液が電気光学効果を示すことを開示している。非特許文献1によれば、一対の電極を電解質の水溶液に入れ、この一対の電極に電圧を印加した場合、水溶液と各電極との界面に電気二重層が形成され、電気二重層付近での水溶液の屈折率が大きく変化する。電解質の水溶液は電気光学効果を示すものの、加工性に乏しいことから、光デバイスには利用されていない。電気光学効果を示す固体電解質が存在すれば、加工性の容易さから、固体電解質を光デバイスに利用することができる。
本開示における光変調器では、電気光学効果を示す固体電解質を用いて、光が変調される。固体電解質では、電気二重層に発生する強電界によって固体電解質自体の屈折率が大きく変化する。本開示によれば、光変調器の小型化および省電力化を実現することができる。
第1の項目に係る光変調器は、電圧の印加によって屈折率が変化する固体電解質層と、前記固体電解質層に前記電圧を印加する一対の電極と、前記一対の電極に印加する前記電圧を制御して前記固体電解質層の前記屈折率を変化させることにより、前記固体電解質層の内部または表面に存在する光を変調する制御回路と、を備える。
この光変調器では、固体電解質層自体が示す電気光学効果により、固体電解質層の内部または表面に存在する光を変調することができる。
第2の項目に係る光変調器は、第1の項目に係る光変調器において、前記固体電解質層が、可視領域から赤外領域の光に対して透明である。
この光変調器では、可視領域から赤外領域の光を、ロスなく変調することができる。
第3の項目に係る光変調器は、第1または第2の項目に係る光変調器において、前記固体電解質層がアモルファス構造を有し、かつ、イオン伝導性を示す。
この光変調器では、イオン伝導性を示す固体電解質層がアモルファス構造を有するので、固体電解質層の下地の材料に関して、エピタキシャル成長のような、格子定数が近い材料を選択するなどの厳しい制限は存在しない。
第4の項目に係る光変調器は、第1から第3の項目のいずれかに係る光変調器において、前記固体電解質層が、LiZrSi1−z(x>0、y=x/2+2、0≦z≦1)またはLiPO4−yによって表される物質から形成されている。
この光変調器では、固体電解質層が、可視領域から赤外領域の光に対して透明であり、さらに、アモルファス構造を有し、かつ、イオン伝導性を示す。
第5の項目に係る光変調器は、第1から第4の項目のいずれかに係る光変調器において、前記制御回路が、前記光の位相、透過、反射、および偏光方向の少なくとも1つを変調する。
この光変調器では、固体電解質層の内部または表面に存在する光の位相、透過、反射、および偏光方向の少なくとも1つを変調することができる。
第6の項目に係る光変調器は、第1から第5の項目のいずれかに係る光変調器において、前記一対の電極の少なくとも一方が、透明電極である。
この光変調器では、一対の電極による光のロスを低減することができる。
第7の項目に係る光変調器は、第1から第6の項目のいずれかに係る光変調器において、電圧の印加によって各々の屈折率が変化する、複数の固体電解質層であって、前記固体電解質層を含む複数の固体電解質層と、各対の電極が前記複数の固体電解質層の1つに前記電圧を印加する、複数対の電極であって、前記一対の電極を含む複数対の電極と、を備える。前記制御回路は、各対の電極に印加する前記電圧を制御して前記複数の固体電解質層の前記1つの前記屈折率を変化させることにより、前記複数の固体電解質層の前記1つの内部または表面に存在する光を変調する。
この光変調器では、複数の固体電解質層の内部または表面に存在する光を別々に変調することができる。
本開示において、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部、またはブロック図における機能ブロックの全部または一部は、例えば、半導体装置、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路によって実行され得る。LSIまたはICは、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、1つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIまたはICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、もしくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部の機能または動作は、ソフトウェア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウェアは1つまたは複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウェアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウェアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システムまたは装置は、ソフトウェアが記録されている1つまたは複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、および必要とされるハードウェアデバイス、例えばインターフェースを備えていてもよい。
本開示において、「光」とは、可視光(波長が約400nm〜約700nm)だけでなく、紫外線(波長が約10nm〜約400nm)および赤外線(波長が約700nm〜約1mm)を含む電磁波を意味する。
以下、図面を参照しながら、本開示のより具体的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複する説明を省略することがある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似する構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態)
まず、図1Aおよび図1Bを参照して、本開示の実施形態における光変調器の基本的な構成例を説明する。図1Aは、本開示の例示的な実施形態における光変調器100の例を模式的に示す図である。図1Bは、図1Aに示す光変調器100の側面図である。以下の説明において、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸からなる座標系を用いる。X軸の矢印と同じ方向を「+X方向」と称し、その反対の方向を「‐X方向」と称する。±Y方向および±Z方向についても同様である。説明の便宜上、+Z方向を「上方向」と称し、−Z方向を「下方向」と称する。これらの呼称は、便宜上用いられるにすぎず、現実に使用される光変調器100の配置または姿勢を限定することを意図するわけではない。以下の説明では、X方向における寸法を「長さ」と称し、Y方向における寸法を「幅」と称し、Z方向における寸法を「厚さ」と称する。
図1Aは、+X方向から見た光変調器100の構造を模式的に示している。図1Bは、−Y方向から見た光変調器100の構造を模式的に示している。
本実施形態における光変調器100は、基板10と、第1電極20aおよび第2電極20bと、固体電解質層30と、制御回路40とを備える。
本実施形態における基板10は、XY平面に平行な表面10sを有する。第1電極20aは、基板10の表面10s上に位置する。固体電解質層30は、第1電極20a上に位置する。第2電極20bは、固体電解質層30上に位置する。すなわち、基板10、第1電極20a、固体電解質層30、および第2電極20bは、この順に積層されている。本明細書において、第1電極20aおよび第2電極20bを、「一対の電極20」とも称する。基板10、一対の電極20、および固体電解質層30は、少なくともX方向に延びた構造を有する。
以下に、各構成要素をより具体的に説明する。
基板10は、一対の電極20および固体電解質層30を支持する。基板10は、例えば、ガラスから形成され得る。基板10は、不要であれば省略してもよい。
本実施形態における一対の電極20は、Z方向において、固体電解質層30の両側に接している。一対の電極20の各々は、XY平面に平行な面を有する。一対の電極20に直流電圧を印加することにより、固体電解質層30に電界が印加される。直流電圧は、直流パルス電圧であってもよい。直流パルス電圧の電圧値の時間平均を直流電圧の値として扱ってもよい。直流パルス電圧のデューティ比を変えることにより、電圧の時間平均値を調整することができる。一対の電極20の各々は、典型的には、SnOドープIn(ITO)、FドープSnO(FTO)、およびSbドープTiO(ATO)からなる群から選択された少なくとも1つから形成された透明電極である。当該透明電極は、可視領域から赤外領域の光に対して透明である。用途によって、一対の電極20の少なくとも一方は、金属から形成され得る。一対の電極20の各々の厚さは、例えば100nm以上300nm以下であり得る。
本実施形態における固体電解質層30は、図1Bに示すように、全反射によって光32をX方向に沿って伝搬させる光導波層として機能する。図1Aに示す楕円は、光32の強度が当該楕円内で相対的に高いことを表している。固体電解質層30の屈折率は、光変調器100の周辺の媒質の屈折率、一対の電極20の屈折率、および基板10の屈折率よりも高い。第1電極20aの屈折率が基板10の屈折率より高ければ、基板10は光導波層として機能しない。光32のロスを低減する場合、一対の電極20は透明電極であり得る。光32のロスを低減する必要がない場合、一対の電極20の少なくとも一方は、金属から形成されていてもよい。
本実施形態における固体電解質層30は、イオン伝導体から形成されている。イオン伝導体では、正イオンおよび負イオンの少なくとも一方が、外部からの電界印加によって移動する。固体電解質層30は、その組成に応じて、10−8S/cmから10−2S/cm程度のオーダのイオン伝導度を有し得る。固体電解質層30は、可視領域から赤外領域の光32に対して透明であり得る。固体電解質層30がこのように透明であれば、可視領域から赤外領域の光32のロスを無視することができる。固体電解質層30は、アモルファス構造を有し得る。アモルファス構造の固体電解質層30の下地の材料に関しては、エピタキシャル成長のような、格子定数が近い材料を選択するなどの厳しい制限は存在しない。固体電解質層30の厚さは、例えば200nm以上2.5μm以下であり得る。固体電解質層30の厚さが2.5μm以下であれば、固体電解質層30の内部抵抗は大きく増加せず、固体電解質層30に印加された電界の強度が減少することを抑制することができる。
本実施形態における固体電解質層30は、例えば、LiZrSi1−z(x>0、y=x/2+2、0≦z≦1)またはLiPO4−yによって表される物質から形成され得る。本明細書では、LiZrSi1−z(x>0、y=x/2+2、0≦z≦1)を「LZSO」と称し、LiPO4−yを「LiPON」と称する。これらの物質は、後述するパルスレーザ堆積(Pulsed Laser Deposition:PLD)法によって室温で堆積され得る。PLD法によって室温で堆積されたLZSO層またはLiPON層は、アモルファス構造を有する。LZSO層またはLiPON層は、可視領域から赤外領域の光に対して透明である。
LZSO層におけるLiのイオン伝導度は、1≦x≦4のとき、10−8S/cmのオーダ以上である。x=1のとき、LZSO層と一対の電極20の各々との界面は平坦である。z>0のとき、LZSO層におけるLiのイオン伝導度は、z=0のときと比較して増加する。
後述するように、本実施形態における固体電解質層30は電気光学効果を示す。固体電解質層30の屈折率は、ポッケルス効果またはカー効果により、印加された電界の強度に応じて変化する。印加された電界が強いほど、固体電解質層30の屈折率の変化量が大きくなる。電界を印加しないときは、当該変化量はゼロになる。本実施形態によれば、電圧が印加されているときだけ屈折率が初期値から変化するので、光変調器100のオンおよびオフが容易である。電界の印加による固体電解質層30の屈折率の変化により、固体電解質層30内を伝搬する光32の位相を変調することができる。電気光学効果の速い応答性により、位相の変調速度は高く、例えば数十MHz以上にすることができる。
光32の空気中での波長をλ、電界が印加されていない場合の固体電解質層30の屈折率をn、電界の印加による固体電解質層30の屈折率の変化量をΔn、固体電解質層30の長さをL、固体電解質層30を伝搬する前の光32の位相をφ=0とすると、固体電解質層30を伝搬した後の光32の位相は、φ=(2π/λ)(n+Δn)Lである。このうち、電界の印加による光32の位相の変化量は、Δφ=(2π/λ)ΔnLである。
本実施形態における制御回路40は、一対の電極20に直流電圧を印加する。図1Aに示す矢印付きの破線は、制御回路40から一対の電極20に信号が入力されることを表している。制御回路40は、一対の電極20に電圧を印加して固体電解質層30の屈折率を変化させることにより、固体電解質層30を伝搬する光32の位相を変調する。制御回路40は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルロジックデバイス(PLD)、または中央演算処理装置(CPU)もしくは画像処理用演算プロセッサ(GPU)とコンピュータプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。なお、以下の図では、制御回路40を省略することがある。
次に、図2Aから図2Cを参照して、固体電解質層30内の電荷分布、電位分布、および電界の強度分布を説明する。
図2Aは、一対の電極20に電圧を印加した場合における、一対の電極20および固体電解質層30内の電荷分布を模式的に示す図である。図2Aの上の図は、図1Aの光変調器100を表している。図2Aの下の図は、上の図に示す太線によって囲まれた領域における電荷分布の例を模式的に表している。第2電極20bの電位が第1電極20aの電位よりも高い場合、一対の電極20の間には、下向きの電界が発生する。図2Aの下の図は、このときの第1電極20a内の負の電荷(−)、第2電極20b内の正の電荷(+)、ならびに固体電解質層30内の正イオン(+)および負イオン(−)の分布を模式的に表している。
第1電極20aは負に帯電し、第2電極20bは制に帯電する。第1電極20aに含まれる負の電荷、および第2電極20bに含まれる正の電荷は、固体電解質層30の側に分布する。一対の電極20の間に発生する下方向の電界により、固体電解質層30に含まれるイオンのうち、正イオンは、第1電極20aの側に移動し、負イオンは、第2電極20bの側に移動する。固体電解質層30内の正イオンおよび負イオンの移動に起因して、一対の電極20の各々と固体電解質層30との界面には、破線によって囲まれた電気二重層が形成される。電気二重層は、キャパシタとして機能する。
ただし、固体電解質層30の種類によっては移動できないイオンが含まれる場合もあり得る。例えば、電解質を構成するイオンのうち、正イオンが移動でき、負イオンが移動できない場合、電圧の印加によって正イオンは負に帯電した第1電極20aの側に移動する。逆に正に帯電した第2電極20b付近では、正イオンが離れるので、もともと正イオンが存在していた部分は相対的に負に帯電する。したがって、あたかも負イオンが第2電極20b付近に移動したように取り扱える。移動後のイオンの位置は、固体電解質層30の種類、固体電解質層30に含まれるイオンの種類、および固体電解質層30に印加される電圧の値に応じて変化する。例えば、印加電圧の値が大きい場合には多くのイオンが移動する。サイズが小さいイオンは、より電極の近くまで移動する。
図2Bは、一対の電極20の間での、第1電極20aの上面からZ方向に沿った距離Zと、電位Vとの関係を模式的に示す図である。Z=0は、第1電極20aの上面の位置を表し、Z=Zは、第2電極20bの下面の位置を表している。Vは、第1電極20aの電位を表し、Vは、第2電極20bの電位を表している。Z=0付近およびZ=Z付近では、電気二重層の形成により、電位Vが、距離Zの増加に伴って急峻に増加する。固体電解質層30のうち、Z=ZおよびZ=Zから離れた部分では、電位Vはほぼ一定である。
図2Cは、一対の電極20の間での、第1電極20aの上面からZ方向に沿った距離Zと、電界の強度Eとの関係を模式的に示す図である。図2Cに示す電界の強度Eは、図2Bに示す電位Vの勾配の絶対値に相当する。固体電解質層30のうち、Z=0付近において、電界の強度Eは、距離Zの増加に伴って急峻に減少する。Z=0およびZ=Zから離れた部分では、電界の強度Eはほぼゼロである(E=0)。固体電解質層30のうち、Z=Z付近では、電界の強度Eは、距離Zの増加に伴って急峻に増加する。
図2Cに示すように、固体電解質層30と一対の電極20の各々との界面には、強度Eを有する強電界が発生する。固体電解質層30の種類に依存するが、電気二重層の厚さは数nm以下である。電気二重層における電位の急峻な勾配により、電界の強度Eは、10MV/cm程度になる。電気二重層の強電界に起因して、電気二重層内の構成原子またはイオンは、電子分極またはイオン分極を引き起こす。結果として、低電圧であっても電気二重層内で大きい屈折率の変化が生じる。一対の電極20の付近での屈折率の変化量は10−2以上のオーダになることが期待できる。
一対の電極20の間に印加される電圧の値は、固体電解質層30が分解されない値に設定される。例えば、金属イオンを含む固体電解質層30に高電圧を印加すると、金属イオンが還元析出し得る。その結果、一対の電極20が短絡してしまう。一般に、固体電解質層30の分解電圧は1Vから4V程度である。
本実施形態における固体電解質層30と一対の電極20の各々との界面は平坦である。界面は必ずしも厳密に平坦でなくてもよく、多少の傾斜または凹部もしくは凸部を有する部分が存在していてもよい。しかし、界面が全体にわたって凹部または凸部を有する場合、凹部または凸部で発生する電界が弱め合い、界面付近には、強電界が集中しない可能性がある。その場合、固体電解質層30のうち、界面付近での屈折率の変化量が小さくなる可能性がある。また、界面の凹部または凸部による光32の散乱により、光32のロスが生じ得る。これに対し、界面が平坦である場合、界面付近には、Z方向に強電界が集中する。これにより、固体電解質層30の界面付近での屈折率の変化量を大きくできる。また、平坦な界面により、光32のロスが抑制される。
固体電解質層30に、電界をZ方向に印加すると、固体電解質層30の屈折率は、Z方向において大きく変化する。したがって、TM(transverse magnetic)モードでの光32の位相を変調することができる。TMモードでの光32は、主にZ方向に平行な電界を有する。
固体電解質層30が所定値以上の幅および厚さを有する場合、導波モードの存在により、固体電解質層30は光導波層として機能する。固体電解質層30の厚さおよび幅は、X方向に沿って光32を伝搬させる光導波層を形成する値に設計されている。
本実施形態における光変調器100によれば、電気光学材料層を含まないので、光変調器100の小型化、および光変調器100の製造プロセスの簡素化を実現することができる。さらに、一対の電極20の間に電気光学材料層が存在しない分だけ、固体電解質層30に高い強度の電界を印加することができ、光変調器100の省電力化を実現することができる。
(固体電解質層30の電気光学効果)
次に、図3Aおよび図3Bを参照して、本実施形態における固体電解質層30が電気光学効果を示すことを説明する。以下において、前述と重複する説明は省略することがある。
図3Aは、本実施形態における固体電解質層30の電気光学効果を調べるための構成の例を模式的に示す図である。図3Aに示す例では、基板10上に第1電極20a、固体電解質層30、および第2電極20bがこの順に積層されている。基板10は、石英から形成されている。第1電極20aおよび第2電極20bは、Niから形成された半透明の極薄膜である。当該極薄膜は、電子線蒸着法によって室温で堆積された。第1電極20aおよび第2電極20bの各々の厚さは7nmである。固体電解質層30は、LZSO層である。LZSO層は、PLD法によって室温で堆積された。固体電解質層30の厚さは400nmである。光34は、第2電極20b、固体電解質層30、第1電極20a、および基板10をこの順に通過する。図3Aに示す例において、光34の反射は考慮されない。光34の波長はλ=589nmであり、光34の第2電極20bに対する入射角度は45度である。第2電極20bに入射する光34は、P偏光およびS偏光を有する直線偏光である。P偏光は、YZ平面に平行な電界を有する光であり、S偏光は、X方向に平行な電界を有する光である。直線偏光では、P偏光の位相θおよびS偏光の位相θが等しい。基板10を通過した光34は楕円偏光である。斜め入射の光34が第2電極20bから基板10までを通過した場合、固体電解質層30が等方性媒質であっても、光34のP偏光の位相θとS偏光の位相θとが異なる。これらの位相差Δθ=θ−θは、リタデーションR=λΔθ/(2π)によって評価される。
図3Aに示す例では、電圧を印加した場合、固体電解質層30のうち、電気二重層が形成される一対の電極20付近でのP偏光に対する屈折率が主に変化すると考えらえる。なぜなら、電気二重層によって発生する強電界はZ方向に平行であり、前述した電子分極またはイオン分極はZ方向において引き起こされるからである。位相は屈折率に比例する。以上のことから、電圧を印加した場合、固体電解質層30における一対の電極20付近でのP偏光に対する屈折率の変化に伴い、光34におけるP偏光の位相θが主に変化する。その結果、リタデーションRが変化する。
図3Bは、一対の電極20に印加する電圧の値と、基板10を通過した光34のリタデーションRとの関係の室温での実験結果を示す図である。図3Bに示す例において、上下に短い横線を有する縦線は、各電圧におけるリタデーションRの測定誤差の範囲を表している。黒丸は、その範囲の中心を表している。一対の電極20の間の電圧は、第1電極20aの電位を基準とした、第1電極20aの電位と第2電極20bの電位との電位差である。図3Bに示す例では、印加電圧の値が−2Vから2Vまで増加すると、リタデーションRが単調に増加した。例えば、印加電圧の値が−2V、0V、および2Vの場合、リタデーションRは、それぞれ、−0.025nm、−0.014nm、および0.015nmであった。図3Bに示すように、本実施形態における固体電解質層30は、ポッケルス効果またはカー効果のような電気光学効果を示すことが明らかになった。本実施形態における固体電解質層30は、波長λ=589nmの光34に限らず、可視領域から赤外領域の光に対して電気光学効果を示す。固体電解質層30自体が有効な電気光学効果を示すことは、これまで報告されていなかった。
(変形例)
次に、図4から図8Bを参照して、本実施形態における光変調器100の第1変形例から第5変形例を説明する。
図4は、本実施形態の第1変形例における光変調器110の例を模式的に示す図である。本実施形態の第1変形例における光変調器110では、本実施形態における光変調器100とは異なり、第1電極20aの幅が、固体電解質層30の幅よりも広い。第1変形例における光変調器110では、広い幅を有する第1電極20aにより、固体電解質層30に印加されるZ方向の電界が、Y方向においてより均一になる。このように、一対の電極20の少なくとも一方の幅が、第1電極20aの幅よりも広い場合、固体電解質層30に電界を効率的に印加することができる。
図5は、本実施形態の第2変形例における光変調器120の例を模式的に示す図である。本実施形態の第2変形例における光変調器120では、本実施形態における光変調器100とは異なり、第1電極20a、固体電解質層30、および第2電極20bが、この順に、基板10の表面10sに沿って並んでいる。一対の電極20は、固体電解質層30の両側に接するように、基板10の表面10s上に位置する。図5に示す例では、固体電解質層30に、電界がY方向に印加される。固体電解質層30の屈折率は、Y方向において大きく変化する。したがって、TE(transverse electric)モードでの光32の位相を変調することができる。TEモードでの光32は、主にY方向に平行な電界を有する。図5に示す例において、一対の電極20の厚さは、固体電解質層30の厚さに等しい。一対の電極20が固体電解質層30よりも厚ければ、固体電解質層30に印加されるY方向の電界が、Z方向においてより均一になる。これにより、固体電解質層30に電界を効率的に印加することができる。
図6は、本実施形態の第3変形例における光変調器130の例を模式的に示す図である。本実施形態の第3変形例における光変調器130では、本実施形態における光変調器100とは異なり、第1電極20a上に、複数の固体電解質層30が、間隔をあけて並んでいる。複数の固体電解質層30上には、それぞれ複数の第2電極20bが設けられている。複数の固体電解質層30内には、複数の光32がそれぞれ伝搬する。図6に示す例において、複数の固体電解質層30は、固体電解質層30、固体電解質層30、および固体電解質層30を含む。複数の第2電極20bは、第2電極20b、第2電極20b、および第2電極20bを含む。複数の光32は、光32、光32、および光32を含む。複数の固体電解質層30の数、および複数の第2電極20bの数に制限はない。複数の第2電極20bの各々には、直流電圧が印加される。複数の第2電極20bの各々と、対向する第1電極20aの一部とを、一対の電極と考えることができる。
図6に示す例では、第2電極20b、第2電極20b、および第2電極20bに電圧を印加することにより、固体電解質層30、固体電解質層30、および固体電解質層30の屈折率をそれぞれ別々に変化させることができる。これにより、固体電解質層30、固体電解質層30、および固体電解質層30をそれぞれ伝搬する光32、光32、および光32の位相を別々に調整することができる。図6に示す第1電極20a、第2電極20b、および固体電解質層30は、それぞれ、図1Aに示す第1電極20a、第2電極20b、および固体電解質層30に対応する。したがって、本実施形態の第3変形例における光変調器130は、本実施形態における光変調器100を含むと考えることができる。
以上のように、本実施形態の第3変形例における光変調器130は、基板10と、複数対の電極20と、複数の固体電解質層30と、制御回路40とを備える。複数の固体電解質層30の各々は、少なくともX方向に延びた構造を有する。複数対の電極20の各対の電極は、複数の固体電解質層30の1つの両側に接している。複数の固体電解質層30の各々の厚さおよび幅は、X方向に沿って光32を伝搬させる光導波層を形成する値に設計されている。制御回路40は、複数対の電極20の各対の電極に電圧を印加して複数の固体電解質層30の1つの屈折率を変化させることにより、複数の固体電解質層30の当該1つを伝搬する光32の位相を変調する。
図7Aおよび図7Bは、本実施形態の第4変形例における光変調器140の例を模式的に示す図である。本実施形態の第4変形例における光変調器140は、本実施形態における光変調器100とは異なり、固体電解質層30を上面から下面に通過する光34を変調する。光34は、第2電極20b、固体電解質層30、第1電極20a、および基板10をこの順に通過する。光変調器140は、光34が通過する領域に存在していればよく、X方向にもY方向にも延びる必要はない。光34を通過させるために、一対の電極20の各々は透明電極であってもよいし、金属から形成された半透明の極薄膜であってもよい。一対の電極20の各々の厚さは、透明電極の場合、100nm以上300nm以下であり、金属から形成された極薄膜の場合、3nm以上13nm以下である。
図7Aに示す例において、電圧を印加しない場合、光34は、反射されることなく、第2電極20b、固体電解質層30、第1電極20a、および基板10をこの順に通過する。公知の反射防止膜の技術を用いれば、基板10、一対の電極20、および固体電解質層30の屈折率および厚さを適切に設計することにより、光34の波長および入射角に応じて、光34の反射をほぼゼロにすることができる。
図7Bに示す例において、電圧を印加した場合、固体電解質層30の屈折率が変化し、ゼロ反射の条件が満たされなくなる。その結果、光34の少なくとも一部が、破線に示すように反射される。このように、電圧の印加によって反射を生じさせることができる。
第4変形例における光変調器140では、電圧の印加によって固体電解質層30の屈折率が変化し、固体電解質層30の表面に存在する光34が変調される。
図7Aおよび図7Bに示す例では、電圧を印加しない場合に反射が生じず、電圧を印加した場合に反射が生じる。逆に、電圧を印加した場合に反射が生じず、電圧を印加しない場合に反射が生じてもよい。
さらに、図7Aおよび図7Bに示す例では、図3Aおよび図3Bを参照して説明したように、電圧を印加することにより、基板10を通過した楕円偏光34の偏光方向を変化させることができる。
図8Aおよび図8Bは、本実施形態の第5変形例における光変調器150の例を模式的に示す図である。本実施形態の第5変形例における光変調器150は、本実施形態の第4変形例における光変調器140とは異なり、基板10の代わりに、第1ミラー50aおよび第2ミラー50bを備える。第1ミラー50aおよび第2ミラー50bの各々は、例えば、複数の高屈折率層および複数の低屈折率層が交互に積層された誘電体多層膜から形成され得る。誘電体多層膜の反射率は、周期構造に起因するブラッグ反射により、ストップバンドと呼ばれる波長域においてほぼ100%になる。図8Aおよび図8Bに示す例において、第1ミラー50a、第1電極20a、固体電解質層30、第2電極20b、および第2ミラー50bが、この順に積層されている。本明細書において、第1ミラー50aおよび第2ミラー50bを、「一対のミラー50」とも称する。一対の電極20および固体電解質層30は、一対のミラー50の間に位置する。第5変形例における光変調器150は、いわゆるファブリ・ペロー共振器に相当する。ファブリ・ペロー共振器の透過スペクトルは、複数のピーク波長で、それぞれ以下の複数の透過ピークを示す。各透過ピークにおいて、ピーク波長で透過率がほぼ100%であり、当該ピーク波長から離れると、透過率が急激に減少し、ほぼ0%になる。
図8Aに示す例において、電圧を印加しない場合、光34の波長がファブリ・ペロー共振器のピーク波長に一致すれば、光34は、反射されることなく、第2ミラー50b、第2電極20b、固体電解質層30、第1電極20a、および第1ミラー50aをこの順に通過する。
図8Bに示す例において、電圧を印加した場合、固体電解質層30の屈折率が変化し、ファブリ・ペロー共振器のピーク波長が変化する。その結果、光34の波長がファブリ・ペロー共振器のピーク波長に一致しなくなり、光34は、ほぼすべて反射される。
第5変形例における光変調器150では、電圧の印加によって固体電解質層30の屈折率が変化し、固体電解質層30の表面に存在する光34が変調される。
図8Aおよび図8Bに示す例では、電圧を印加しない場合に光34がほぼすべて通過し、電圧を印加した場合に光34がほぼすべて反射される。逆に、電圧を印加した場合に光34がほぼすべて通過し、電圧を印加しない場合に光34がほぼすべて反射されてもよい。
以上のことから、本開示の光変調器によれば、電圧の印加によって固体電解質層の屈折率を変化させることにより、固体電解質層の内部または表面に存在する光の位相、透過、反射、および偏光方向の少なくとも1つを変調することができる。
(製造方法)
以下に、図9を参照して、光変調器100の製造方法を説明する。図9は、光変調器100の製造工程を示すフローチャートである。光変調器100の製造方法は、以下のステップS101からステップS104を含む。
ステップS101において、ガラス基板が用意される。ガラス基板は、図1Aおよび図1Bに示す基板10に相当する。
ステップS102において、ガラス基板の表面上に、10wt%SnOドープInから形成されたITO層が形成される。ITO層は、図1Aおよび図1Bに示す第1電極20aに相当する。第1電極20aの厚さは200nmである。
ITO層の形成には、スパッタ法が用いられる。高周波スパッタ装置の真空チャンバ内に、ガラス基板と、ITOから形成されたターゲットが対向して配置される。対向距離は45mmである。真空チャンバ内を真空排気した後、Ar/O(7:3)ガスを注入することにより、真空チャンバ内の圧力が1.5Paになる。RFパワー50Wで20分スパッタリングすることにより、ITO層が、ガラス基板上に堆積される。ITO層の代わりに、FTO層またはATO層でもよい。ITO層、FTO層、およびATO層は、可視領域から赤外領域の光に対して透明である。ITO層、FTO層、およびATO層の屈折率は、後述するLZSO層およびLiPON層の屈折率よりも低い。ITO層、FTO層、およびATO層は電気伝導性を示す。
ステップS103において、ITO層上に、LZSO層が形成される。LZSO層は、図1Aおよび図1Bに示す固体電解質層30に相当する。LZSO層の厚さは1μmである。LZSO層の厚さは、空気中での波長が1550nmであるTMモードの0次のモードが存在するように制御された。当該波長の光は、主に光通信に用いられる。
LZSO層の形成には、PLD法が用いられる。真空チャンバ内に、ITO層を含むガラス基板と、LZSOから形成されたターゲットが対向して配置される。対向距離は40mmである。真空チャンバ内を真空排気した後、Oガスを注入することにより、真空チャンバ内の圧力が3Paになる。基板温度は室温である。LZSOから形成されたターゲットをエキシマレーザで照射することにより、室温で、ITO層上にLZSO層が堆積される。LZSO層は、アモルファス構造を有し、かつイオン伝導性を示す。LZSO層の代わりに、LiPON層でもよい。LZSO層およびLiPON層の屈折率は、ガラス基板およびITO層の屈折率よりも大きい。
ステップS104において、LZSO層上に、ITO層が形成される。ITO層は、図1Aおよび図1Bに示す第2電極20bに相当する。第2電極20bの厚さは200nmである。ITO層の形成には、ステップS102と同様のスパッタ法が用いられる。
ITO層およびLZSO層の屈折率は、それぞれ1.5および1.8程度である。したがって、一番高い屈折率のLZSO層が、光導波層として機能する。一対の電極20に電圧を印加することにより、LZSO層内の一対の電極20付近での屈折率を、約1.6以上約1.8以下の範囲内で変化させることができる。これにより、LZSO層を伝搬する光32の位相を変調することができる。
ステップS101からステップS104によって製造された積層構造は、フォトリソグラフィおよびドライエッチングにより、任意の形状にパターニングすることができる。上記のLZSO層において、空気中での波長が1550nmである0次のTMモードが存在するように、当該積層構造の幅は、例えば1μmに設計される。当該積層構造は、後述するマッハ・ツェンダー(Mach−Zehnder)型の光スイッチングデバイス、または光フェーズドアレイにパターニングしてもよい。
(応用例)
次に、図10から図11Bを参照して、本実施形態における光変調器100の第1応用例および第2応用例を説明する。
図10は、本実施形態の第1応用例における光スイッチングデバイス200の例を模式的に示す平面図である。第1応用例における光スイッチングデバイス200は、入力導波路200a、分岐された2つの光導波路200b、および出力導波路200cを備える。分岐された2つの光導波路200bは、入力導波路200aと出力導波路200cとの間に位置する。図10に示す例において、入力導波路200a側の分岐点A、および出力導波路200c側の分岐点Bでの光の反射は無視できる。分岐された2つの光導波路200bのうち、一方の光導波路は、本実施形態における光変調器100を含む。
当該一方の光導波路内を伝搬する光の位相は、他方の光導波路内を伝搬する光の位相と比較して、Δφ=(2π/λ)ΔnLだけシフトする。光変調器100における一対の電極20に印加する直流電圧の値が0Vのとき、Δφ=0である。このとき、分岐された2つの光導波路200bからそれぞれ出力された光の位相は、同位相である。同位相の2つの光が出力導波路200cに入力すると、当該2つの光は重なり合う。したがって、出力導波路200cから出力された光の強度Ioutは、入力導波路200aに入力された光の強度Iinに等しい。
一方、光変調器100における一対の電極20に印加する直流電圧の値を調整することにより、Δφ=πにすることができる。このとき、分岐された2つの光導波路200bからそれぞれ出力された光の位相は、逆位相になる。逆位相の2つの光が出力導波路200cに入力すると、当該2つの光は打ち消しあう。したがって、出力導波路200cから出力された光の強度Ioutは0になる。
以上のように、光変調器100における一対の電極20に印加する直流電圧を変化させることにより、光スイッチングデバイス200の出力導波路200cから出力された光の強度Ioutを、Iinから0まで連続的に調整することができる。
図11Aおよび図11Bは、本実施形態の第2応用例における光フェーズドアレイ300の例を模式的に示す図である。第2応用例における光フェーズドアレイ300は、Y方向に配列された複数の光導波路300wを備える。複数の光導波路300wの各々は、本実施形態における光変調器100を含む。複数の光導波路300wからそれぞれ出力された複数の光は、互いに干渉する。光フェーズドアレイ300から出力された干渉光は、特定の方向に伝搬する。図11Aおよび図11Bに示す例において、破線は、複数の光導波路300wからそれぞれ出力された複数の光の波面を表している。実線は、光フェーズドアレイ300から出力された干渉光の波面を表している。図11Aおよび図11Bに示す例において、複数の光導波路300wは、等間隔で配列されているが、異なる間隔で配列されていてもよい。
図11Aに示す例において、光変調器100における一対の電極20に印加する直流電圧の値が0Vである場合、複数の光導波路300wから出力される光の位相は、同位相である。したがって、光フェーズドアレイ300から出力された干渉光は、複数の光導波路300wが延びるX方向と同じ方向に伝搬する。
図11Bに示す例において、光変調器100における一対の電極20に印加する直流電圧の値を調整することにより、複数の光導波路300wから出力される光の位相は、Y方向に沿ってΔφずつ増加する。したがって、光フェーズドアレイ300から出力された干渉光は、複数の光導波路300wが延びるX方向とは異なる方向に伝搬する。
以上のように、光変調器100における一対の電極20に印加する直流電圧を変化させることにより、光フェーズドアレイ300から出力された干渉光の伝搬方向を調整することができる。すなわち、光ビームスキャンが可能になる。さらに、光フェーズドアレイ300は、特定の方向から入射する光を検出することも可能である。図11Aおよび図11Bに示す例では、光フェーズドアレイ300は、矢印とは逆の方向から入射した光を検出することができる。
光フェーズドアレイ300は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)システムなどの光スキャンシステムおよび/または光検出システムにおけるアンテナとして用いられ得る。LiDARシステムでは、ミリ波などの電波を用いたレーダシステムと比較して、可視光、赤外線、または紫外線などの短波長の電磁波が用いられる。このため、物体の距離分布を高い分解能でスキャンおよび検出することができる。そのようなLiDARシステムは、例えば自動車、UAV(Unmanned Aerial Vehicle、いわゆるドローン)、またはAGV(Automated Guided Vehicle)などの移動体に搭載され、衝突回避技術の1つとして使用され得る。
本開示の実施形態における光変調器は、例えば、マッハ・ツェンダー型の光スイッチングデバイス、または自動車、UAV、もしくはAGVなどの車両に搭載されるLiDARシステムの用途に利用できる。
10 基板
10s 表面
20 一対の電極
20a 第1電極
20b 第2電極
30 電解質層
32、34 光
40 制御回路
50 一対のミラー
50a 第1ミラー
50b 第2ミラー
100、110、120、130、140、150 光変調器
200 光スイッチングデバイス
200a 入力導波路
200b 光導波路
200c 出力導波路
300 光フェーズドアレイ
300w 光導波路

Claims (7)

  1. 電圧の印加によって屈折率が変化する固体電解質層と、
    前記固体電解質層に前記電圧を印加する一対の電極と、
    前記一対の電極に印加する前記電圧を制御して前記固体電解質層の前記屈折率を変化させることにより、前記固体電解質層の内部または表面に存在する光を変調する制御回路と、
    を備える、
    光変調器。
  2. 前記固体電解質層は、可視領域から赤外領域の光に対して透明である、
    請求項1に記載の光変調器。
  3. 前記固体電解質層はアモルファス構造を有し、かつ、イオン伝導性を示す、
    請求項1または2に記載の光変調器。
  4. 前記固体電解質層は、LiZrSi1−z(x>0、y=x/2+2、0≦z≦1)またはLiPO4−yによって表される物質から形成されている、
    請求項1から3のいずれかに記載の光変調器。
  5. 前記制御回路は、前記光の位相、透過、反射、および偏光方向の少なくとも1つを変調する、
    請求項1から4のいずれかに記載の光変調器。
  6. 前記一対の電極の少なくとも一方は、透明電極である、
    請求項1から5のいずれかに記載の光変調器。
  7. 電圧の印加によって各々の屈折率が変化する、複数の固体電解質層であって、前記固体電解質層を含む複数の固体電解質層と、
    各対の電極が前記複数の固体電解質層の1つに前記電圧を印加する、複数対の電極であって、前記一対の電極を含む複数対の電極と、
    を備え、
    前記制御回路は、各対の電極に印加する前記電圧を制御して前記複数の固体電解質層の前記1つの前記屈折率を変化させることにより、前記複数の固体電解質層の前記1つの内部または表面に存在する光を変調する、
    請求項1から6のいずれかに記載の光変調器。
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