JP2021078905A - 骨補填材及び充填材 - Google Patents

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Nobuaki Hashimoto
伸晃 橋元
水野 潤
Jun Mizuno
潤 水野
関 康弘
Yasuhiro Seki
康弘 関
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Abstract

【課題】従来、骨の治療方法として、骨の欠損部に骨補填材を含有する充填材を充填する方法が知られている。しかしながら、医療の現場においては、治癒促進力を大きくすることが可能な骨補填材及び充填材が常に求められている。本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、従来の骨補填材及び充填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な骨補填材及び充填材を提供する。【解決手段】本発明の骨補填材10は、表面の少なくとも一部に、ナノスケールの凹凸構造からなるナノ構造が形成されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、骨補填材及び充填材に関する。
従来、骨の治療方法として、骨の欠損部に骨補填材を含有する充填材を充填する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。骨補填材を構成する材料としては、自家骨、他家骨、無機物(例えば、ハイドロキシアパタイト)及び高分子物質(例えば、コラーゲン)を例示することができる。また、充填材は、骨補填材の他に、骨形成因子のような骨の再生を促す物質等を含有することもある。
特開2011−212209号公報 特開2010−227551号公報
ところで、医療の現場においては、治癒促進力を大きくすることが可能な骨補填材及び充填材が常に求められている。
本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、従来の骨補填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な骨補填材及び当該骨補填材を含有する充填材を提供することを目的とする。
[1]本発明の骨補填材は、表面の少なくとも一部にナノスケールの凹凸構造からなるナノ構造が形成されていることを特徴とする。
本発明の骨補填材においては、表面の少なくとも一部にナノスケールの凹凸構造からなるナノ構造が形成されている。ナノスケールの凹凸構造は細胞(特に骨芽細胞)の増殖及び分化を促進させることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。本発明の骨補填材は、骨補填材の表面が骨の治癒を促進させるため、従来の骨補填材(つまり、ナノスケールの構造が形成されていない骨補填材)よりも治癒促進力を大きくすることが可能な骨補填材となる。
本明細書においては、「骨補填材」とは、欠損が生じた骨の欠損部内に配置するための固形部材のことをいい、その構成材料、密度、空孔率等は特に限定されない。本発明の骨補填材の形状は特に現在されない。骨補填材は、例えば、顆粒状の形状、円柱状の形状、ブロック状の形状等とすることができる。本明細書においては、「骨」には、犬、猫、鳥等の動物の骨や人間の骨が含まれる。つまり、本発明の骨補填材及び充填材は、人間の骨の治療方法に用いることもできるし、動物の骨の治療方法に用いることもできる。
本明細書においては、「ナノスケール」とは、ナノメートル単位であらわすことが適切な大きさ(1nm〜1000nm程度の大きさ)のことをいう。また、本明細書においては、「ナノスケールの凹凸構造」とは、凹凸の幅、高さ、径等、当該構造の基本単位のいずれかが1nm〜1000nmの範囲内にある構造のことをいう。
なお、ナノ構造は、凹凸の幅、高さ及び径が20nm〜600nmの範囲内にあることが好ましく、50nm〜500nmの範囲内にあることが一層好ましく、80nm〜300nmの範囲内にあることより一層好ましく、100nm〜200nmの範囲内にあることがさらに一層好ましい。
なお、本発明の骨補填材は、それぞれ独立した複数の箇所にナノ構造を有していてもよい。また、本発明の骨補填材は、複数種類のナノ構造を有していてもよい。
[2]本発明の骨補填材においては、前記ナノ構造は、互いに接触しない複数の帯状凹部又は複数の帯状凸部からなることが好ましい。
このような構成とすることにより、帯状凹部又は帯状凸部に沿って細胞が延伸するように増殖及び分化するようになるため、治癒の方向性を制御して骨の治癒を一層促進させることが可能となる。
本明細書においては、「帯状凹部」とは、平面視したときに枝分かれせず連続する凹部のことをいう。帯状凹部は、溝状の構造と表現することもできる。また、本明細書においては、「帯状凸部」とは、平面視したときに枝分かれせず連続する凸部のことをいう。帯状凸部は、畝状の構造と表現することもできる。なお、ある構造が凹部からなるか凸部からなるかは、主に基準の高さをどのように設定するかの問題である。このため、実際には、ナノ構造が複数の帯状凹部からなるといえると同時に複数の帯状凸部からなるともいえる場合もある(後述する実施形態1参照。)。
本明細書においては、「互いに接触しない」とは、複数の帯状凹部に関しては帯状凹部同士が交差したり合流したりしないことをいい、複数の帯状凸部に関しては帯状凸部同士が交差したり合流したりしないことをいう。上記[2]の場合においては、ナノ構造は、平面視したときに縞状にみえる構造となることが多い(後述する図1(c)参照。)。
[3]本発明の骨補填材においては、前記骨補填材の主要形状を構成する主構造がハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、又は、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムとの混合物を主成分とする物質からなることが好ましい。
このような骨補填材は、生体親和性の高さ及び十分な強度を有し、かつ、骨の治癒を積極的に促進させることが可能な骨補填材となる。
本明細書においては、構成材料における「主成分」とは、当該構成材料を構成する成分のうち、最も質量の割合が大きい成分のことをいう。
[4]本発明の骨補填材においては、前記骨補填材の主要形状を構成する主構造がマグネシウム又はマグネシウム合金からなることも好ましい。
マグネシウム及びマグネシウム合金には、人体内で分解・吸収されやすいという性質を有するものがある。このため、上記のような骨補填材は、十分な初期強度を有し、生体により分解・吸収されることが期待でき、かつ、骨の治癒を積極的に促進させることが可能な骨補填材となる。
マグネシウム合金は、マグネシウムとマグネシウム以外の元素との合金である。本発明において好適に使用できると考えられるマグネシウム合金としては、Mg−Ca−Zn系合金を例示することができる。
[5]本発明の骨補填材においては、前記骨補填材の主要形状を構成する主構造が生体由来の骨からなることも好ましい。
このような骨補填材は、治療対象の骨に対する親和性及び構成成分の類似性が非常に高く、かつ、骨の治癒を積極的に促進させることが可能な骨補填材となる。
生体由来の骨は、自家骨であってもよいし、他家骨であってもよい。また、生体由来の骨は、海綿骨から製造したものであってもよいし、皮質骨から製造したものであってもよい。
[6]本発明の骨補填材においては、前記骨補填材の主要形状を構成する主構造がチタン又はチタン合金からなることも好ましい。
このような骨補填材は、高い強度を有しつつ毒性が低い性質も有し、かつ、骨の治癒を積極的に促進させることが可能な骨補填材となる。
[7]本発明の骨補填材においては、前記主構造の少なくとも一部を覆う被覆膜をさらに備えることが好ましい。
このような構成とすることにより、主構造のみでは得ることが難しい性質(例えば、優れた強度、高い生体親和性、製造の容易さ、低い製造コスト等の優れた性質を高いレベルであわせ持つという性質)を有する骨補填材とすることが可能となる。
なお、骨補填材が主構造及び被覆膜を備える場合には、ナノ構造は、主構造の表面のみ又は被覆膜の表面のみに形成されていてもよいし、主構造と被覆膜との両方の表面に形成されていてもよい。また、被覆膜が液状又はゲル状の物質からなる場合や水溶性又は生分解性が高い物質からなる場合のように、被覆膜が生体内において主構造から速やかに離脱する材質からなる場合には、骨補填材の使用前(保存時)においては、ナノ構造が被覆膜の下に埋まっていてもよい。被覆膜を構成する材質の例としては、金属、セラミック(特に、ハイドロキシアパタイトやリン酸三カルシウムからなるもの)、コラーゲン、アガロース及びセルロースを挙げることができる。
[8]本発明の骨補填材においては、前記ナノ構造は、周期性を有するナノスケールの凹凸構造からなるナノ周期構造であることが好ましい。
このような構成とすることにより、骨の細胞(特に骨芽細胞)の増殖や分化を再現性が取れる形で制御することが可能となり、その結果、治癒促進力を安定に、かつ、一層大きくすることが可能となる。
ここで、本発明の骨補填材における「ナノ周期構造」について説明する。本発明の発明者らは、ナノスケールの構造の中でも、一定の間隔で同じ構造が繰り返すもの、つまり、「周期性を有するナノスケールの凹凸構造であるナノ周期構造」に着目して研究をおこなってきた。
本発明の発明者らの研究により、固体表面にナノ周期構造を形成した場合、単に細胞の増殖や分化を促進させることが可能となるだけでなく、細胞の増殖に配向性をもたせることも可能となることが判明している(日本歯科医学会 平成29年8月31日 第33回「歯科医学を中心とした総合的な研究を推進する集い」での発表 「チタン表面の規格化ナノ構造形成による周辺細胞制御技術とこれを応用した次世代インプラントの開発」参照。)。
例えば、基材表面への規格化ナノ構造(ナノ周期構造)形成により、当該基材表面で骨髄間質細胞を培養した場合、溝が連続する方向に沿って骨髄間質細胞を増殖させることが可能であることが、本発明の発明者らがおこなった実験により確認できている。
なお、固体表面における細胞の増殖に配向性をもたせることで、当該固体(人工物)と生体内の組織(特に骨)との間の細胞接着及び結合が強固となるという効果や、細胞の増殖及び分化を再現性が取れる形で制御することが可能となるという効果が得られると考えられ、それらを支持する実験結果も出つつある。
ナノスケールの構造が細胞に影響を与える具体的な原理については、未だ詳細には判明していない。しかしながら、ナノスケールの凹凸構造が細胞の増殖等を促進可能であること、及び、ナノ周期構造により細胞増殖の配向性を制御可能であることについては、上記のような実験結果等から支持されている。上記[8]に記載の発明は、上記の研究結果を発展応用したものである。
本明細書においては、「周期性を有する」とは、一定の間隔で同じ構造が繰り返すことをいう。このため、本明細書における「ナノ周期構造」とは、ナノスケールの凹凸構造の凹凸等の周期が1nm〜1000nmの範囲内のナノスケールの周期的な構造であることをいう。
なお、ナノ周期構造は、周期が20nm〜600nmの範囲内にあることが好ましく、50nm〜500nmの範囲内にあることが一層好ましく、80nm〜300nmの範囲内にあることがより一層好ましく、100nm〜200nmの範囲内にあることがさらに一層好ましい。
[9]本発明の充填材は、骨の欠損部に充填するための充填材であって、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の骨補填材を含有することを特徴とする。
本発明の充填材は、表面において骨の治癒を促進させる本発明の骨補填材を含有するため、従来の充填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な充填材となる。
なお、本発明の充填材は、骨補填材以外の構成物質を含有するものであってもよい。
[10]本発明の充填材においては、前記骨補填材として2以上の種類の骨補填材を含有することが好ましい。
このような構成とすることにより、単一の骨補填材のみを含有する充填材では実現するのが困難な現象(例えば、複数種類の生体組織への分化が同時に促進されるような現象)を発生させることで、充填材の治癒促進力のさらなる増大や治療終了後の組織構成の制御等が可能になると考えられる。
なお、本明細書においては、ある骨補填材と他の骨補填材とがあったときに、これらの間に何らかの構造等が異なっていれば、異なる種類の骨補填材とみなす。何らかの構造等としては、例えば、ナノ構造の構成、ナノ構造の位置、構成材料の種類、大きさ、形状を挙げることができる。ただし、骨補填材が不定形の顆粒状からなる場合には、それらの平均的な構造等から骨補填材の種類について判断する。
実施形態1に係る骨補填材10を説明するために示す図。 実施形態1に係る充填材100を説明するために示す図。 実施形態2に係る骨補填材20を説明するために示す図。 実施形態2に係る充填材200を説明するために示す図。 実施形態3に係る充填材300を説明するために示す図。 実施形態4に係る充填材400を説明するために示す図。 実施形態5に係る骨補填材10aの主構造12及び被覆膜14を示す断面図。 変形例1に係る骨補填材20bを説明するために示す図。 変形例2に係る骨補填材20cを説明するために示す図。
以下、本発明の骨補填材及び充填材について、図に示す各実施形態に基づいて説明する。各図面は模式図であり、必ずしも実際の構造や構成を厳密に反映するものではない。以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明に必須であるとは限らない。以下の説明においては実質的に同等とみなせる構成要素に関しては実施形態をまたいで同じ符号を用い、再度の説明を省略する場合がある。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る骨補填材10を説明するために示す図である。図1(a)は骨補填材10の平面図であり、図1(b)は図1(a)のA1−A1断面図であり、図1(c)は図1(a)のA2で示す部分を拡大して示す図であり、図1(d)は図1(b)のA3で示す部分を拡大して示す図である。なお、A2で示す部分とA3で示す部分とは、ほぼ同じ部分である。
図2は、実施形態1に係る充填材100を説明するために示す図である。図2(a)は実施形態1に係る充填材100を用いて骨Bの治療を行っているときの側面図であり、図2(b)は図2(a)のA4−A4断面図である。なお、図2(b)においては、骨補填材10については平面図として表示している。図2(a)においては、骨補填材10の様子等をわかりやすくするため、骨Bの輪郭及び骨補填材10を破線で表示する。
実施形態1に係る骨補填材10は、図1に示すように、表面の少なくとも一部にナノスケールの凹凸構造からなるナノ構造が形成されている。骨補填材10は不定形の顆粒状の形状からなる。骨補填材10は、構造的には主構造12からなる。
実施形態1におけるナノ構造は、互いに接触しない複数の帯状凹部S1又は複数の帯状凸部S2からなる。実施形態1におけるナノ構造は、周期性を有するナノスケールの凹凸構造からなるナノ周期構造である。なお、骨補填材10におけるナノ構造は、骨補填材10全体に形成されていてもよいし、一部のみに形成されていてもよい。また、骨補填材10においては、場所によって異なるナノ構造(例えば、凹部又は凸部の延伸方向や幅が異なるナノ構造)が形成されていてもよい。
帯状凹部S1及び帯状凸部S2の幅や帯状凹部S1の深さ(帯状凸部S2の高さ)については、骨補填材10の用途等に応じて、ナノスケールであれば任意の値を取ることができる。
ナノ構造は、ナノスケールの構造を形成可能なあらゆる方法を用いて形成することが可能である。ナノ構造を形成可能な方法としては、刃物やレーザーによる切削、金型による押圧(例えば、プレス成型)及びイオンや薬液によるエッチングを例示することができる。
また、ナノ構造は、骨補填材10を形成するときに同時に形成するようにしてもよい。例えば、骨補填材10が粉末状の原料(例えば、微粉末状のハイドロキシアパタイトやリン酸三カルシウム)から製造することができる場合には、当該原料に水等を加えて混錬し、適当な硬度を有するようになったところでナノ構造のパターンを原料の表面に形成し、その後原料の焼成及び粉砕を実施することで、ナノ構造が形成されている骨補填材10を製造することができる。なお、上記の方法において、焼成前に小片に分割すれば、焼成後の粉砕は必ずしも必要ではなくなる。ナノ構造となるパターンは、例えば、金型を用いて形成することができる。
骨補填材10の主要形状を構成する主構造としては、骨の欠損を埋めるために用いることができる材料からなるものであれば、用途や部位等にあわせて任意の材料からなるものを用いることができる。主構造は、例えば、ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム又はハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムとの混合物を主成分とする物質からなることが好ましい。また、主構造は、例えば、マグネシウム又はマグネシウム合金からなることも好ましい。また、主構造は、例えば、生体由来の骨からなることも好ましい。また、主構造は、例えば、チタン又はチタン合金からなることも好ましい。
実施形態1に係る充填材100は、図2に示すように、骨Bの欠損部Dに充填するためのものである。充填材100は、骨補填材10を含有する。充填材100は、骨Bの治癒に有用な添加物等(例えば、骨形成因子のように骨の再生を促す物質)を含有していてもよい。
なお、各図面に記載した骨Bの形状は模式図であり、各図面で示した骨Bの形状や位置等は、本発明の骨補填材及び充填材を適用する対象となる骨を限定するものではない。
図2の状況においては、充填材100が骨Bの欠損部Dから流出することを防ぐために流出防止部材Cが用いられている。流出防止部材Cとしては、例えば、金属性の円筒からなるものや、円筒状に丸めたシートからなるものを用いることができる。また、流出防止部材Cは、1つ又は複数の開口部を有するものであってもよい。
実施形態1に係る充填材100は、使用方法については従来の充填材と同様に扱うことができる。このため、充填材100の具体的な使用方法についての説明は省略するが、例えば、欠損部Dに充填材100を充填してから、その周囲に流出防止部材Cを配置してもよい。また、流出防止部材Cの内部に充填材100を充填してから、これらを適切な位置に配置してもよい。
以下、実施形態1に係る骨補填材10及び充填材100の効果を記載する。
実施形態1に係る骨補填材10においては、表面の少なくとも一部にナノスケールの凹凸構造からなるナノ構造が形成されている。実施形態1に係る骨補填材10は、骨補填材10の表面が骨Bの治癒を促進させるため、従来の骨補填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な骨補填材となる。
また、実施形態1に係る骨補填材10によれば、ナノ構造は、互いに接触しない複数の帯状凹部S1又は複数の帯状凸部S2からなるため、帯状凹部S1又は帯状凸部S2に沿って細胞が延伸するように増殖及び分化するようになり、治癒の方向性を制御して骨の治癒を一層促進させることが可能となる。
実施形態1に係る骨補填材10の主構造がハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、又は、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムとの混合物を主成分とする物質からなる場合には、実施形態1に係る骨補填材10は、生体親和性の高さ及び十分な強度を有し、かつ、骨の治癒を積極的に促進させることが可能な骨補填材となる。
実施形態1に係る骨補填材10の主構造がマグネシウム又はマグネシウム合金からなる場合には、実施形態1に係る骨補填材10は、十分な初期強度を有し、生体により分解・吸収されることが期待でき、かつ、骨の治癒を積極的に促進させることが可能な骨補填材となる。
実施形態1に係る骨補填材10の主構造が生体由来の骨からなる場合には、実施形態1に係る骨補填材10は、治療対象の骨Bに対する親和性及び構成成分の類似性が非常に高く、かつ、骨Bの治癒を積極的に促進させることが可能な骨補填材となる。
実施形態1に係る骨補填材10の主構造がチタン又はチタン合金からなる場合には、実施形態1に係る骨補填材10は、高い強度を有しつつ毒性が低い性質も有し、かつ、骨の治癒を積極的に促進させることが可能な骨補填材となる。
また、実施形態1に係る骨補填材10によれば、ナノ構造は、周期性を有するナノスケールの凹凸構造からなるナノ周期構造であるため、骨Bの細胞(特に骨芽細胞)の増殖や分化を再現性が取れる形で制御することが可能となり、その結果、治癒促進力を安定に、かつ、一層大きくすることが可能となる。
実施形態1に係る充填材100は、表面において骨Bの治癒を促進させる、実施形態1に係る骨補填材10を含有するため、従来の充填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な充填材となる。
[実施形態2]
図3は、実施形態2に係る骨補填材20を説明するために示す図である。図3(a)は骨補填材20の平面図であり、図3(b)は図3(a)のA5−A5断面図である。なお、図3(a)において符号A6で示す部分は図1(c)と、図3(b)において符号A7で示す部分は図1(d)と、それぞれ実質的に同様の図面となるため、これらの部分についての図示は省略する。
図4は、実施形態2に係る充填材200を説明するために示す図である。図4は、実施形態2に係る充填材200を用いて骨Bの治療を行っているときの側面図であるともいえる。
実施形態2に係る骨補填材20は、図3に示すように、円柱状の形状からなる。骨補填材20は、構造的には主構造22からなる。骨補填材20においては、円柱の側面に相当する箇所にナノ構造が形成されている。
実施形態2に係る骨補填材20は、例えば、円柱としてみたときの上面及び下面を骨Bの断面に合わせた形状に加工した上で、骨Bの欠損部を埋めるように配置して用いることができる(図4参照。)。なお、図4における骨補填材21は、骨Bの欠損部に配置するために加工した骨補填材である。実施形態2に係る充填材200は、実質的に骨補填材20からなる。
なお、骨補填材20と骨Bとの接触面は、厳密に対応する形状でなくてもよい。骨補填材20(充填材200)を用いるにあたっては、骨Bの断面の方を加工してもよい。骨補填材20は、骨Bとは太さが異なっていてもよいし、骨Bとは断面形状が異なっていてもよい。
実施形態2に係る骨補填材20は、円柱状の形状からなる点で実施形態1に係る骨補填材10とは異なるが、表面の少なくとも一部にナノスケールの凹凸構造からなるナノ構造が形成されているため、実施形態1に係る骨補填材10と同様に、従来の骨補填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な骨補填材となる。
実施形態2に係る骨補填材20は、円柱状の形状からなる点以外の点については実施形態1に係る骨補填材10と実質的に同様の構成を有するため、実施形態1に係る骨補填材10が有する効果のうち該当する効果を有する。
実施形態2に係る充填材200は、表面において骨Bの治癒を促進させる、実施形態2に係る骨補填材20を含有するため、従来の充填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な充填材となる。
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係る充填材300を説明するために示す図である。図3は図1(b)に相当する断面図でもある。なお、図5においては、骨補填材10及び骨補填材30については平面図を表示している。
実施形態3に係る充填材300は、基本的には実施形態1に係る充填材100と同様の構成を有するが、骨補填材10の他に骨補填材30を含有する点で実施形態1に係る充填材100とは異なる。すなわち、充填材300は、図5に示すように、骨補填材として2種類の骨補填材を含有する。骨補填材30は、骨補填材10と何らかの構造等が異なっているものの、骨補填材10と同様に本発明に属する骨補填材である。なお、充填材300は、3以上の種類の骨補填材を含有してもよい。
実施形態3に係る充填材300は、骨補填材10の他に骨補填材30を含有する点で実施形態1に係る充填材100とは異なるが、表面において骨Bの治癒を促進させる骨補填材10及び骨補填材30を含有するため、実施形態1に係る充填材100と同様に、従来の充填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な充填材となる。
また、実施形態3に係る充填材300によれば、骨補填材として2以上の種類の骨補填材を含有するため、単一の骨補填材のみを含有する充填材では実現するのが困難な現象を発生させることで、充填材の治癒促進力のさらなる増大や治療終了後の組織構成の制御等が可能になると考えられる。
[実施形態4]
図6は、実施形態4に係る充填材400を説明するために示す図である。図6(a)は実施形態4に係る充填材400を用いて骨Bの治療を行っているときの側面図であり、図6(b)は図6(a)のA8−A8断面図である。図6(b)においては、骨補填材10については平面図として表示している。図6(a)においては、骨補填材10及び骨補填材20aの様子等をわかりやすくするため、骨Bの輪郭、骨補填材10及び骨補填材20aを破線で表示する。
実施形態4に係る充填材400は、基本的には実施形態1に係る充填材100と同様の構成を有するが、骨補填材10の他に骨補填材20aを含有する点で実施形態1に係る充填材100とは異なる。すなわち、充填材400は、図6に示すように、骨補填材として2種類の骨補填材を含有する。骨補填材20aは、実施形態2に係る骨補填材20をひとまわり小さくしたような構成を有するものである。なお、充填材400は、3以上の種類の骨補填材を含有してもよい。
実施形態4に係る充填材400は、骨補填材10の他に骨補填材20aを含有する点で実施形態1に係る充填材100とは異なるが、表面において骨Bの治癒を促進させる骨補填材10及び骨補填材20aを含有するため、実施形態1に係る充填材100と同様に、従来の充填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な充填材となる。
また、実施形態4に係る充填材400によれば、骨補填材として2以上の種類の骨補填材を含有するため、単一の骨補填材のみを含有する充填材では実現するのが困難な現象を発生させることで、充填材の治癒促進力のさらなる増大や治療終了後の組織構成の制御等が可能になると考えられる。
[実施形態5]
図7は、実施形態5における骨補填材10aの主構造12及び被覆膜14を示す断面図である。図7は、図1(d)に相当する図である。
実施形態5に係る骨補填材10a(全体は図示せず。)は、基本的には実施形態1に係る骨補填材10と同様の構成を有するが、主構造12の少なくとも一部を覆う被覆膜14をさらに備える点で実施形態1に係る骨補填材10とは異なる。なお、被覆膜14は、骨補填材10a全体に配置されていてもよいし、骨補填材10aの一部のみに配置されていてもよい。被覆膜14としては、骨補填材の用途等に応じて種々の材料や厚さからなるものを用いることができる。
実施形態5に係る骨補填材10aは、主構造12の少なくとも一部を覆う被覆膜14をさらに備える点が実施形態1に係る骨補填材10とは異なるが、表面の少なくとも一部にナノスケールの凹凸構造からなるナノ構造が形成されているため、実施形態1に係る骨補填材10と同様に、従来の骨補填材よりも治癒促進力を大きくすることが可能な骨補填材となる。
また、実施形態5に係る骨補填材10aによれば、主構造12の少なくとも一部を覆う被覆膜14をさらに備えるため、主構造12のみでは得ることが難しい性質を有する骨補填材とすることが可能となる。
実施形態5に係る骨補填材10aは、主構造12の少なくとも一部を覆う被覆膜14をさらに備える点以外の点については実施形態1に係る骨補填材10と実質的に同様の構成を有するため、実施形態1に係る骨補填材10が有する効果のうち該当する効果を有する。
以上、本発明を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記各実施形態において説明した構成要素の形状、数、位置等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
(2)本発明の充填材は、本発明の骨補填材に加えてナノ構造が形成されていない骨補填材を含有してもよい。
(3)本発明におけるナノ構造は、上記した帯状凹部S1又は帯状凸部S2からなるものに限定されるものではない。帯状凹部及び帯状凸部が連続する方向は、上記した帯状凹部S1又は帯状凸部S2の場合とは異なる方向であってもよい。また、例えば、帯状凹部及び帯状凸部は屈曲した形状や蛇行するような形状からなる構造であってもよい。また、ナノ構造は、格子状の凹部又は凸部を含む構造や、円形の凹凸を含む構造であってもよい。また、ナノ構造は周期性を有しないものであってもよい。
(4)上記各実施形態で説明した骨補填材の形状は例示である。図8は、変形例1に係る骨補填材20bを説明するために示す図である。図8(a)は骨補填材20bの平面図であり、図8(b)は図8(a)のA9−A9断面図である。骨補填材20bは、主構造22bからなる。骨補填材は、例えば、図8に示すようなブロック状の形状からなるものであってもよい。また、骨補填材は、球状の形状や多面体のような形状からなるものであってもよい。
(5)図9は、変形例2に係る骨補填材20cを説明するために示す図である。図9(a)は骨補填材20cのもととなる骨補填材21cの形状を形成するときの様子を示す側面図であり、図9(b)は骨補填材21cの側面図であり、図9(c)は骨補填材20cの側面図である。なお、骨補填材21cは主構造23cからなり、骨補填材20cは主構造22cからなる。骨補填材21cにはナノ構造が形成されていない。一方、骨補填材20cにはナノ構造が形成されている。本発明に係る骨補填材は、図9に示すように、骨の欠損部に合わせた形状を先に作り、その後ナノ構造を形成することで製造することもできる。
(6)上記実施形態5において説明した被覆膜を備える構成は、上記実施形態2〜4に記載したような骨補填材においても適用可能である。
10,10a,20,20a,20b,20c,21,21c,30…骨補填材、12,22,22b,22c,23c…主構造、14…被覆膜、100,200,300,400…充填材、B…骨、C…流出防止部材、D…欠損部、S1…帯状凹部、S2…帯状凸部

Claims (10)

  1. 表面の少なくとも一部にナノスケールの凹凸構造からなるナノ構造が形成されていることを特徴とする骨補填材。
  2. 前記ナノ構造は、互いに接触しない複数の帯状凹部又は複数の帯状凸部からなることを特徴とする請求項1に記載の骨補填材。
  3. 前記骨補填材の主要形状を構成する主構造がハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、又は、ハイドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムとの混合物を主成分とする物質からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の骨補填材。
  4. 前記骨補填材の主要形状を構成する主構造がマグネシウム又はマグネシウム合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の骨補填材。
  5. 前記骨補填材の主要形状を構成する主構造が生体由来の骨からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の骨補填材。
  6. 前記骨補填材の主要形状を構成する主構造がチタン又はチタン合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の骨補填材。
  7. 前記主構造の少なくとも一部を覆う被覆膜をさらに備えることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の骨補填材。
  8. 前記ナノ構造は、周期性を有するナノスケールの凹凸構造からなるナノ周期構造であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の骨補填材。
  9. 骨の欠損部に充填するための充填材であって、
    請求項1〜8のいずれかに記載の骨補填材を含有することを特徴とする充填材。
  10. 前記骨補填材として2以上の種類の骨補填材を含有することを特徴とする請求項9に記載の充填材。
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