別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料が記載される。本発明の目的のために、以下の用語が下記で定義される。本明細書に列挙される全ての特許および非特許参考文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法上の対象のうちの1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多くの要素を意味する。
「約」は、基準となる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さと30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%だけ異なる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然型アミノ酸、および非天然型アミノ酸の両方、ならびにアミノ酸類似体および模倣体を意味することが意図される。天然型アミノ酸は、タンパク質生合成中に利用される20の(L)−アミノ酸、ならびに例えば、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デスモシン、イソデスモシン、ホモシステイン、シトルリン、およびオルニチンなどのその他を含む。非天然型アミノ酸は、例えば、(D)−アミノ酸、ノルロイシン、ノルバリン、p−フルオロフェニルアラニン、エチオニンなどを含み、これらは当業者に知られている。アミノ酸類似体は、天然型および非天然型アミノ酸の修飾形態を含む。かかる修飾は、例えば、アミノ酸上の化学基および部分の置換もしくは置き換え、またはアミノ酸の誘導体化を含み得る。アミノ酸模倣体は、例えば、基準となるアミノ酸の電荷および電荷空間特徴など、機能的に類似する特性を呈する有機構造を含む。例えば、アルギニン(ArgまたはR)を模倣する有機構造は、類似する分子空間に位置し、天然型Argアミノ酸の側鎖のε−アミノ基と同程度の移動度を有する正電荷部分を有するだろう。模倣体は、アミノ酸またはアミノ酸官能基の最適な空間および電荷相互作用を維持するように制限された構造もまた含まれる。当業者は、機能的に等しいアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を構成する構造が何であるかを理解しているか、またはそれを決定することができる。
本明細書を通して、文脈上、別途要求されない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含む(comprising)」という語は、記載されるステップもしくは要素、またはステップもしくは要素の群の包含を暗示するが、いずれか他のステップもしくは要素、またはステップもしくは要素の群の除外を暗示するものではない。「〜からなる」は、「〜からなる」という句の後に続くものを含み、それに限定されることを意味する。よって、「〜からなる」という句は、列挙される要素が必要または必須であり、他の要素が存在してはならないことを示す。「〜から本質的になる」は、その句の後に列挙されるあらゆる要素を含み、列挙される要素に関して本開示中に特定される活性または作用に干渉しないかまたは寄与しない他の要素に限定されることを意味する。よって、「〜から本質的になる」という句は、列挙される要素は必要または必須であるが、他の要素は任意選択的であり、列挙される要素の活性または作用に実質的に影響を及ぼすかどうかに依存して、存在してもしなくてもよいことを示す。
「生物学的試料」という用語は、対象から回収し、生物学的状態の診断または監視に関して使用することができる生物学的材料を含む。生物学的試料は、体腔液、尿液、脳脊髄液、血液、および生物学的起源の他の液体試料などの体液試料、ならびに生検試料、腫瘍、または疑わしい腫瘍試料、および生物学的起源の他の固体試料などの組織試料を含む、臨床試料を含み得る。生物学的試料は、試薬による処理、培養、可溶化、ある特定の生物学的成分、培養物、またはそれに由来する細胞の濃縮、およびそれらの後代などにより、それらの回収後に何らかの方法で操作されるものも含み得る。
「抱合体」という用語は、薬剤または他の分子の、例えば、検出可能な実体、生物学的に活性な分子、PEG、または他のポリマーの、本明細書に記載される抗体への共有結合もしくは非共有結合による結合、または連結の結果として形成された実体を含む。
「対照対象」または「対照組織」などの「対照」は、例えば、病的でない、または疾患を有していない健康な対象または健康な組織試料を含む。ある特定の実施形態では、対照は、異なる健康な対象、または試験もしくは診断された同じ対象からの疾患を有していない組織を含む。対照は、基準となる標準的な、例えば、1つ以上の健康な対象または組織から生成された標準的な値も含み得る。
本明細書で使用される場合、「機能」および「機能的な」などの用語は、生物学的、酵素的、または治療的機能を指す。
「有効量」は、有益または所望の結果をもたらすのに十分な量である。例えば、治療量は、所望の治療効果を達成するものである。この量は、疾患または疾患の症状の開始を阻止するのに必要な量である、予防的有効量と同じまたは異なり得る。有効量は、1回以上の投与、適用、または投薬量で投与され得る。組成物の治療有効量は、選択された組成物に依存する。組成物は、1日に1回以上から1週間に1回以上で投与され得、2日に1回を含む。当業者は、限定されないが、疾患もしくは障害の重症度、以前の治療、対象の一般的な健康状態、および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含む、ある特定の要因が、対象を効果的に治療するために必要とされる投薬量およびタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するだろう。更に、本発明の治療有効量の組成物で対象を治療することは、単一治療または一連の治療を含み得る。
「相同性」は、同一であるか、または保存的置換を構成するアミノ酸のパーセント数を指す。相同性は、GAPなどの配列比較プログラムを使用して決定され得る(Deveraux et al.,Nucleic Acids Research.12,387−395,1984)(参照により本明細書により組み込まれる)。このようにして、本明細書に引用されるものに対して類似するまたは実質的に異なる長さの配列はギャップをアライメントに挿入することにより比較され得、かかるギャップは、例えば、GAPにより使用される比較アルゴリズムにより決定される。
「単離された」とは、その本来の状態においてそれに通常付随する構成成分を実質的にまたは本質的に含まない材料を意味する。例えば、「単離されたペプチド」または「単離されたポリペプチド」などは、本明細書で使用される場合、その天然の細胞環境から、およびその細胞の他の構成成分との会合からのペプチドまたはポリペプチド分子のインビトロ単離および/または精製を含む、すなわち、インビトロ物質と顕著に会合しない。特定の実施形態では、単離されたポリペプチドは抗体である。
「減少した」または「低減された」量は典型的に、「統計的に有意な」量であり、対照に対して、例えば、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(それらの間の全ての整数および範囲を含む)の減少を含み得る。比較および「統計的に有意な」量の他の例が本明細書に記載されている。本明細書で使用される場合、「減少する」は、「阻害する」、「低減する」、「抑制する」、「寛解する」、「軽減する」、「縮小する」、「低下させる」、または「弱める」を指し得る。
「増加した」または「強化された」量は典型的に、「統計的に有意な」量であり、例えば、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の増加を含み得る。増加したまたは強化された量は、対照に対して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1,000倍、10,000倍、または10,000倍超(それらの間の全ての整数および範囲を含む)の増加もまた含まれる。比較および「統計的に有意な」量の他の例が本明細書に記載されている。本明細書で使用される場合、「増加する」は、「作動させる」、「強化する」、「膨張させる」、「増大する」、「拡張する」、「増強する」、「拡大する」、または「上昇させる」を指し得る。
ある特定の実施形態において、組成物中の任意の所要の薬剤(例えば、抗体)の「純度」は、具体的に定義され得る。例えば、ある特定の組成物は、例えば、決して限定するものではないが、化合物を分離、同定、および定量するために生化学および分析化学において頻繁に使用される周知の形態のカラムクロマトグラフィーである、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した場合、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%(これらの間の全ての小数点を含む)純粋な薬剤を含んでもよい。
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書において、アミノ酸残基のポリマーならびにその変異型および合成類似体を指すように交換可能に使用される。よって、これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、合成の非天然型アミノ酸、例えば、対応する天然型アミノ酸の化学類似体などであるアミノ酸ポリマー、ならびに天然型アミノ酸ポリマーに適用される。本明細書に記載されるポリペプチドは、特定の長さの産物に限定されず、よって、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質は、ポリペプチドの定義内に含まれ、かかる用語は、特に別途指定されない限り、本明細書において交換可能に使用され得る。本明細書に記載されるポリペプチドは、天然型、および非天然型両方の、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などの発現後修飾、ならびに当該技術分野において既知の他の修飾も含み得る。ポリペプチドは、タンパク質全体、またはそのサブ配列、断片、変異型、もしくは誘導体であり得る。
「基準となる配列」という用語は一般的に、別の配列が比較される核酸コード配列またはアミノ酸配列を指す。本明細書に記載される全てのポリペプチドおよびポリヌクレオチド配列は、名称で記載されるもの、ならびに表および配列表に記載されるものを含む、基準となる配列として含まれる。
本明細書で使用される場合、「配列同一性」、または例えば、「に50%同一の配列」を含む用語は、配列が比較枠にわたってヌクレオチド単位ベースでまたはアミノ酸単位ベースで同一である程度を指す。よって、「配列同一性のパーセント」は、比較枠にわたって2つの最適にアライメントされた配列を比較し、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)または同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、およびMet)が両配列に生じ、一致した位置の数をもたらす位置の数を決定し、一致した位置の数を比較枠(すなわち、枠のサイズ)内の合計位置数で除し、結果を100で乗じて配列同一性のパーセントを得ることにより計算され得る。典型的に、ポリペプチド変異型が基準となるポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を維持する、本明細書に記載される基準となる配列(例えば、配列表を参照されたい)のいずれかに少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%配列同一性を有するヌクレオチドおよびポリペプチドを含む。
2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列関係を記載するために使用される用語は、「基準となる配列」、「比較枠」、「配列同一性」、「配列同一性のパーセント」、および「実質的な同一性」を含む。「基準となる配列」は、少なくとも12であるが、頻繁に15〜18、多くの場合少なくとも25モノマー単位の長さのヌクレオチドおよびアミノ酸残基である。2つのポリヌクレオチドは、各々、(1)2つのポリヌクレオチド間で類似する配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列の一部のみ)、および(2)2つのポリヌクレオチド間で異なる配列を含み得るため、2つ(以上)のポリヌクレオチド間の配列比較は典型的に、「比較枠」にわたって2つのポリヌクレオチドの配列を比較して、配列類似性を同定し、局所領域を比較することによって行われる。「比較枠」は、2つの配列が最適にアライメントされた後に、配列が同数の近接位置の基準となる配列と比較される、少なくとも6つの近接位置、一般的には約50〜約100、より一般的には約100〜約150の概念的部位を指す。比較枠は、2つの配列の最適なアライメントに関して、基準となる配列(付加または欠失を含まない)と比較されたとき、約20%以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。比較枠をアライメントするための配列の最適なアライメントは、コンピュータ化されたアルゴリズムの実装により(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0,Genetics Computer Group,575 Science Drive Madison,WI,USAのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または選択された様々な方法のいずれかによる検査およびそれにより生成された最適なアライメント(すなわち、比較枠にわたって最高パーセントの相同性をもたらす)により行うことができる。例えば、Altschul et al.,Nucl.Acids Res.25:3389,1997により開示されるように、BLASTファミリーのプログラムも参照されたい。配列分析の詳細な考察は、Unit 19.3 of Ausubel et al.,“Current Protocols in Molecular Biology,”John Wiley&Sons Inc,1994−1998,Chapter 15に見出すことができる。
「有意」または「統計的に有意」とは、その結果が偶然に起こったものである可能性が低いことを意味する。統計的有意性は、当該技術分野で既知の任意の方法によって決定することができる。一般的に用いられる有意性の尺度はp値を含むが、これは、帰無仮説が真である場合に、観察される事象が起こるであろう頻度または確率である。得られたp値が有意水準より低い場合、帰無仮説が棄却される。単純な場合において、有意水準は0.05以下のp値で定義される。
「溶解度」という用語は、液体溶媒に溶解し、均一な溶剤を形成する、本明細書に記載される抗体の特性を指す。溶解度は典型的に、溶媒の単位体積当たりの溶質の質量(溶媒のkg当たりのg、dL(100mL)当たり、mg/mL等当たりのg)、容積モル濃度、重量モル濃度、モル分率、または他の類似する濃度説明のいずれかにより、濃度として表される。溶媒の量当たりに溶解し得る溶質の最大平衡量は、温度、圧力、pH、および溶媒の性質を含む、指定の条件下でのその溶媒におけるその溶質の溶解度である。ある特定の実施形態では、溶解度は、生理学的pH、または他のpH、例えば、pH5.0、pH6.0、pH7.0、またはpH7.4で測定される。ある特定の実施形態では、溶解度は、水、またはPBSもしくはNaCl(NaPを含む、または含まない)などの生理学的緩衝剤において測定される。特定の実施形態では、溶解度は、比較的低いpH(例えば、pH6.0)、および比較的高い塩(例えば、500mM NaClおよび10mM NaP)で測定される。ある特定の実施形態では、溶解度は、血液または血清などの生物学的流体(溶媒)において測定される。ある特定の実施形態では、温度は、およそ室温(例えば、約20、21、22、23、24、25℃)、またはおよそ体温(約37℃)であり得る。ある特定の実施形態では、抗体は、室温で、または約37℃で、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、もしくは30mg/mLの溶解度を有する。
「対象」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載の抗体で診断することができる、症状もしくは状態を呈するか、あるいは症状もしくは状態を呈するリスクがあるまたは症状もしくは状態を呈することが疑われる、任意の動物を含む。好適な対象(患者)は、実験動物(マウス、ラット、ウサギ、もしくはモルモット等)、家畜、および家庭動物またはペット(ネコもしくはイヌ等)を含む。非ヒト霊長類、および好ましくはヒト患者が含まれる。
本明細書で使用される場合、「対象亜集団」または「患者亜集団」は、対象または患者のサブセットを、それが属するより広い疾患カテゴリー(例えば、癌)において他と区別する1つ以上の特有の測定可能かつ/もしくは同定可能な特徴を有すると特徴付けされる対象または患者のサブセットを含む。かかる特徴は、疾患の下位カテゴリー、性別、ライフスタイル、健康歴、関与する臓器/組織、治療歴等を含む。いくつかの実施形態では、患者または対象の亜集団は、生物学的試料、例えば、腫瘍試料における(例えば、低減した)量またはレベルのL型電位開口型カルシウムチャネルα1サブユニットポリペプチドを特徴とする。
「実質的に」または「本質的に」は、ほぼ全体的にまたは完全に、を意味し、例えば、ある所与の量の95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上を意味する。
「実質的に含まない」は、所与の量がほぼ完全にまたは完全に存在しないこと、例えば、ある所与の量の約10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%以下であることを指す。例えば、ある特定の組成物は、細胞タンパク質、膜、核酸、内毒素、または他の汚染物質を「実質的に含まない」場合がある。
「治療」または「治療すること」は、本明細書で使用される場合、症状または病態または状態に対する任意の望ましい効果を含み、治療されている疾患または状態の1つ以上の測定可能なマーカーにおけるわずかな変化または改善さえも含み得る。「治療」または「治療すること」は、必ずしも、疾患もしくは状態、またはその関連症状の完全な根絶もしくは治癒を示すものではない。この治療を受けている対象は、それを必要とする任意の対象である。臨床的改善の例示的マーカーは、当業者には明らかであろう。
「野生型」という用語は、天然型供給源から単離されたときにその遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物を指す。野生型遺伝子または遺伝子産物(例えば、ポリペプチド)は、ある集団において最も頻繁に観察され、よって、その遺伝子の「通常」または「野生型」形態と独断的に設計されるものである。
L型電位開口型カルシウムチャネル
電位開口型カルシウムチャネルは、膜の脱分極に応答してカルシウム流入を媒介し、多くの異なる細胞型における収縮、分泌、神経伝達、および遺伝子発現などの細胞内プロセスを調節する。電位開口型カルシウムチャネルは、細胞における生理学的プロセスに、細胞表面で膜電位を変更する電気的事象を結合する。電位開口型カルシウムチャネルは、電位開口型カリウムおよびナトリウムチャネルを含む膜貫通イオンチャネルタンパク質の遺伝子スーパーファミリーのメンバーである。
異なる細胞型で記録されたカルシウム電流は、異なる生理学的および薬理学的特性を有し、そのため、電位開口型カルシウムチャネルは、それらのそれぞれの電流の特性に基づいて分類される。一般に、L型電位開口型カルシウムチャネルは、強い脱分極に応答して開口し、長く持続するカルシウム電流を産生する。L型電位開口型カルシウムチャネルは、ジヒドロピリジン、フェニルアルキルアミン、およびベンゾチアゼピンを含む有機L型カルシウムチャネルアンタゴニストにより遮断される。L型電位開口型カルシウムチャネルは、筋肉および内分泌細胞が収縮および分泌を開始するそれらの細胞において記録される主なカルシウム電流を生成する。低電位で活性化するL型電流は、主に神経および心臓ペースマーカー細胞にも存在する。L型電位開口型カルシウムチャネルは、T細胞およびB細胞などの造血細胞を含む興奮性と考えられない細胞においても発現される。
L型電位開口型カルシウムチャネルは、複数の遺伝子によってコードされる4または5つの別個のサブユニットで構成される複合タンパク質である。190〜250kDaのα1サブユニットは最も大きいサブユニットであり、透過孔、電位センサおよび開口装置チャネル、ならびに二次メッセンジャー、薬物、および毒素によるチャネル調節の既知の部位の大半を組み込む。特定のL型電位開口型チャネルは、それが含有するα1サブユニットからその名称(すなわち、Cav1.4)を取る。ナトリウムチャネルのαサブユニット同様、電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットは、各々に6つの膜貫通部位(S1〜S6)を有する、モチーフとも呼ばれる4つの相同ドメイン(I〜IV)に組織化される。各ドメインの膜貫通部位は、それらがN末端からC末端に配置される順番で番付される。
α1サブユニットは電位開口型カルシウムチャネルタンパク質のチャネル構造を形成する。カルシウムチャネルのポアは4つのドメインの疑対称配置の中心で形成され、各ドメインのS5およびS6間のポアループはチャネルの狭い細胞外端部を形成する。これらのポアループはイオン透過(ion conductance)および選択性を決定し、ドメインI、III、およびIVのポアループの3つの特定のアミノ酸のみの変化がカルシウムイオンからナトリウムイオンにチャネルの選択性を変換する。各ドメインのS4部位はチャネルの電位センサとして機能する。細胞内βサブユニットおよび膜貫通ジスルフィド結合α2βサブユニット複合体は、カルシウムチャネルの大半のタイプの構成成分である。γサブユニットは骨格筋カルシウムチャネルにも見られ、関連するサブユニットは心臓および脳において発現される。これらの補助サブユニットはチャネル複合体の特性を調節するが、カルシウムチャネルの薬理学的および電気生理学的多様性は主にα1サブユニットから生じる。
電位開口型カルシウムチャネルの開口および閉鎖は主に、膜を横断して電荷を移動させ、ポアを開口および閉鎖する構造変化を駆動する膜電位の変化により開閉される。正に荷電したS4部位は、開閉の「スライディングヘリックス」および「ヘリカルスクリュー」モデルに提案されるように(Catterall et al,(2007)Toxicol.49(2),pp124−141に概説される)、開閉プロセス中にタンパク質構造を通して外向きおよび回転移動を受けると考えられる。この構造は、ポアがその細胞内端部で閉鎖され、その細胞外端部で狭いイオン選択性フィルタでイオンを識別することを示唆する。
L型電位開口型カルシウムチャネルは、興奮性であると考えられる細胞集団に見られる。興奮性細胞は、特定の刺激が全体的に細胞全体を通して、または局所的に細胞の領域において膜電位の変化を引き起こすことができる細胞である。カルシウムチャネルは、膜電位の変化を調節するように機能することができる。加えて、カルシウムチャネルが開口するときに細胞質に入るカルシウムイオンは、脱分極事象後に細胞プロセスを調節し続けることができる二次メッセンジャーとして作用することができる。L型電位カルシウムチャネルの発現は、興奮性であると考えられない細胞においても見られる。
L型電位開口型カルシウムチャネルの少なくとも4つのサブタイプが記載されてきた。これらのサブタイプは、各々、別個の遺伝子によりコードされる、それらが含有するα1サブユニットによって分類される。Cav1.4をコードする遺伝子はCACNA1Fである。高レベルのCav1.4は、網膜、脾臓、胸腺、および骨髄に見られる。Cav1.3はCACNA1Dによりコードされ、脳、膵臓、腎臓、卵巣、および蝸牛に見られる。Cav1.2はCACNA1Cによりコードされ、心臓、平滑筋、脳、下垂体、および副腎において高い発現を示す。Cav1.1はCACNA1Sによりコードされ、骨格筋において高いレベルの発現を有する。
マウスおよびヒトの研究からのデータは、L型電位開口型カルシウムチャネルサブタイプが免疫細胞において見られることを示す(Reviewed in Omilusik et al(2013)Frontiers in Immunology,vol 4:164)。Cav1.4の発現は、ヒトJurkat T細胞系、ならびにヒトおよびラットの脾臓および胸腺、ならびにヒトおよびマウスのT細胞において観察されている。Cav1.3の発現は、ヒトJurkat T細胞系およびマウスT細胞において観察されている。Cav1.2の発現は、ヒト末梢血T細胞、ならびにヒトJurkat、MOLT−4、およびCEM T細胞系において観察されている。Cav1.2は、マウスT細胞においても報告されている。Cav1.1は、マウスT細胞において観察されている。これらのサブタイプの発現プロファイルは、L型電位開口型カルシウムチャネルが免疫細胞におけるカルシウムシグナル伝達の調節に関与することを示唆する。
抗体
ある特定の実施形態は、1つ以上の近接しているまたは近接していない断片またはそのエピトープに特異的に結合するものを含む、1つ以上のL型電位開口型カルシウムチャネルのヒトまたはマウスのα1サブユニットに特異的に結合する単離された抗体に関する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルα1サブユニットの細胞外ドメインに特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットのドメインの部位S5およびS6間のポアループの細胞外ドメインに存在するα1サブユニットのアミノ酸配列に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、ポアループは、α1サブユニットのドメインIに位置する。この領域は、α1サブユニットをコードするメッセンジャーRNAのエキソン7および8によりコードされる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、第2の抗体の、電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットのドメインIのS5およびS6間の細胞外ポアループへの結合を阻止する。いくつかの実施形態では、α1サブユニットは、ヒトまたはマウス起源のものであり得る。ある特定の実施形態では、抗体はモノクローナルである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、L型開口型電位カルシウムチャネルの活性を調節する。本明細書で使用される場合、「調節する」は、「変更する」、「修飾する」、「変化させる」、「シフトする」、「変換する」、または「調整する」、ことを指す。変更は、チャネル活性の増加もしくは減少、または両方の組み合わせの形態であり得る。活性の増加および減少の組み合わせを含む活性を変化させる例は、抗体の電位開口型カルシウムチャネルへの結合時にチャネル活性において初期の短期間の増加、続いてチャネル活性において持続的な減少をもたらすであろうインバースアゴニストとして機能する抗体である。
本明細書で使用される場合、L型電位開口型カルシウムチャネルの「活性」は、チャネルのカルシウム透過(calcium conductance)を指す。L型電位開口型カルシウムチャネルは、静止膜状態で閉構造にあると考えられる。「閉鎖」は、カルシウム透過がほとんどまたは全くないチャネルの構造を指す。形質膜が脱分極になるとき、チャネルはカルシウム透過を可能にする開構造を取る。膜脱分極後、チャネルは、閉構造に戻る前に、ある時間の間開口したままである。「開口」は、カルシウムイオンがチャネルを通過するのを可能にする構造を指す。L型電位開口型カルシウムチャネルは、1つ以上の開構造および閉構造を有し得る。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットに特異的に結合し、その活性を変化させる。この作用は、例えば、限定されないが、チャネルが開構造または閉構造にある確率を変化させる、チャネルの構造を変化させる膜の脱分極の程度などの状態を変化させる、カルシウムチャネルが開状態もしくは閉状態にとどまる継続時間を変化させる、開状態もしくは閉状態にあるときのチャネルのカルシウム透過を変化させる、またはそれらの任意の組み合わせにより達成され得る。いくつかの実施形態では、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性の阻害は、膜脱分極に応答して開構造を取る確率を低減させる、チャネルを開構造にシフトするのに必要とされる膜脱分極の程度を増加させる、形質膜の脱分極後に開構造にとどまるチャネルの継続時間を減少させる、開状態にあるときのチャネルのカルシウム透過を低減する、またはそれらの任意の組み合わせにより達成される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型チャネルの特定のサブタイプのαサブユニットに特異的に結合する。L型電位開口型カルシウムチャネルのサブタイプは、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、およびCav1.1を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、またはCav1.1のα1サブユニットの細胞外領域に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、またはCav1.1α1サブユニットのドメインIのS5およびS6間の細胞外ポアループ上に位置するアミノ酸配列に特異的に結合する。特定の実施形態では、アミノ酸配列は、Cav1.4のGPGRPGDAPHTG[配列番号1]であるか、またはGPGRPGDAPHTG[配列番号1]に少なくとも90%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、Cav1.3のLTKETEGGNHSSGKSG[配列番号2]であるか、またはLTKETEGGNHSSGKSG[配列番号2]に少なくとも90%同一である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列は、Cav1.2のATKADGANALGGKGA[配列番号3]であるか、またはCav1.2のATKADGANALGGKGA[配列番号3]に少なくとも90%同一である。特定の実施形態では、アミノ酸配列は、Cav1.1のPMQIELRHREWVH[配列番号4]であるか、またはPMQIELRHREWVH[配列番号4]に少なくとも90%同一である。
各L型電位開口型カルシウムチャネルのサブタイプはいくつかのスプライス変異型を有する。代替えのスプライシングは、タンパク質の複数のイソフォームをコードする単一遺伝子をもたらす遺伝子発現中の調節されたプロセスである。このプロセスにおいて、遺伝子の特定のエキソンは、その遺伝子から産生された最終の処理されたメッセンジャーRNA(mRNA)内に含まれるか、またはそれから除外され得る。結果的に、代替的にスプライスされたmRNAから翻訳されたタンパク質は、それらのアミノ酸配列に差異を含有する。代替えのスプライシングは、真核生物において正常な現象として生じ、L型電位開口型サブユニットをコードする遺伝子において記載されている。本明細書で使用される場合、「L型電位開口型カルシウムチャネル」という用語は、特に指定されない限り、Cav1.1、Cav1.2、Cav1.3、およびCav1.4、ならびにCav1.1、Cav1.2、Cav1.3、およびCav1.4をコードするmRNAの代替えのスプライシングから生じるα1サブユニットの全てのイソフォームを含む。
L型電位開口型カルシウムチャネルのサブタイプは、身体全体を通して異なる細胞型および組織型において発現され、メッセンジャーRNAの代替えのスプライシング、またはグリコシル化もしくはリン酸化などの異なる翻訳後修飾から生じる変異型を含む、異なる変異型として発現され得る。サブタイプの異なる変異型は、異なる組織もしくは細胞型において発現され得るか、または代替的に、サブタイプの異なる変異型は、同じ細胞を含む、同じ組織もしくは細胞型において発現され得る。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、サブタイプの全ての変異型に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、サブタイプの変異型のサブセットに特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、任意の細胞または組織において発現されたサブタイプに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、サブタイプが発現される細胞または組織のサブセットのサブタイプに特異的に結合する。
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、およびCav1.1のうちのいずれか1つ以上に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、およびCav1.1のうちのいずれか3つに特異的に結合する。かかる抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4、Cav1.3、およびCav1.2;Cav1.4、Cav1.3、およびCav1.1;Cav1.4、Cav1.2、およびCav1.1:またはCav1.3、Cav1.2、およびCav1.1のうちのいずれかに特異的に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、およびCav1.1のうちのいずれか2つに特異的に結合する。かかる抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4およびCav1.3;Cav1.4およびCav1.2;Cav1.4およびCav1.1:Cav1.3およびCav1.2;Cav1.3およびCav1.1;またはCav1.2およびCav1.1のうちのいずれかに特異的に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルの1つのサブタイプにのみ特異的に結合する。かかる抗体は、他のCav1サブタイプに対して、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、またはCav1.1にのみ結合する。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する任意の細胞に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する細胞のサブセットに結合する。特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する細胞のサブセットに特異的に結合するが、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する細胞の別のサブセットに結合しない。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、およびCav1.1のうちの1つ以上を発現する任意の細胞に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、およびCav1.1のうちの1つ以上を発現する細胞のサブセットに特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルの特定のサブタイプを発現するいくつかの細胞型に特異的に結合するが、L型電位開口型カルシウムチャネルの同じサブタイプを発現する他の細胞型に結合しない。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、チャネルサブタイプの変異型を発現するいくつかの細胞型に特異的に結合するが、チャネルサブタイプの同じ変異型を発現する他の細胞型に結合しない。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、チャネルサブタイプの1つ以上の変異型を発現する細胞に特異的に結合するが、チャネルサブタイプの異なる変異型を発現する細胞に結合しない。
いくつかの実施形態では、抗体は、本明細書に記載される軽鎖可変領域配列および/もしくは重鎖可変領域、ならびに/または相補性決定領域(CDR)配列もしくはそれに含有される抗原結合領域(ABR)(L型電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットのドメインIのS5およびS6間の細胞外ポアループ上のアミノ酸配列に特異的に結合するこれらの配列の変異型および組み合わせを含む)により定義される。L型電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットのドメインIのS5およびS6間の細胞外ポアループへのかかる抗体の結合を競合的に阻止する抗体も含まれる。
本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」という用語は、対象の抗原に特異的に結合する免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖の少なくとも1つのCDRを含有するポリペプチド断片を指す。この点に関して、本明細書に記載される抗体の抗原結合断片は、その断片を含む、L型電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットのドメインIのS5およびS6間の細胞外ポアループなどの治療用または診断用標的に特異的に結合する抗体からのVHおよびVL配列の1、2、3、4、5、または6つ全てのCDRを含み得る。
「抗原」という用語は、選択的抗体またはその抗原結合断片によって結合されることができ、加えて、その抗原のエピトープに結合することができる抗体を産生するために動物において使用することができる分子または分子の一部を指す。抗原は1つ以上のエピトープを有し得る。
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意の決定基、好ましくはポリペプチド決定基を含む。エピトープは、抗体によって結合される抗原の領域である。ある特定の実施形態では、エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、またはスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面分類を含み、ある特定の実施形態では、特定の3次元構造特徴、および/または特定の電荷特徴を有し得る。エピトープは、抗原の一次構造に関して近接しているか、または近接していなくてもよい。
抗体またはその抗原結合断片は、それが代替えの細胞または物質と反応または会合するよりも特定の細胞もしくは物質とより頻繁に、より迅速に、より長い継続期間、および/またはより大きい親和性で反応または会合する場合、「特異的な結合」または「優先的結合」を呈すると言われる。抗体は、それが他の物質に結合するよりも大きい親和性で、活性で、より容易に、および/またはより長い継続期間結合する場合、標的に「特異的に結合する」、または「優先的に結合する」。例えば、特定のエピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、それが他のエピトープに結合するよりも大きい親和性で、活性で、より容易に、および/またはより長い期間、その特定のエピトープに結合する抗体である。例えば、第1の標的に特異的にまたは優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)が第2の標的に特異的にまたは優先的に結合しても、結合しなくてもよいことも、本定義を読むことによって理解される。そのため、「特異的結合」または「優先的結合」は、必ずしも排他的結合を必要としない(が含み得る)。一般的に、必要ではないが、結合への言及は優先的結合を意味する。
免疫学的結合は一般的に、免疫グロブリンが、例えば、例示であって、限定するものではないが、静電、イオン、親水性および/もしくは疎水性引力または反発、立体的力、水素結合、ファンデルワールス力、ならびに他の相互作用の結果として特異的である、免疫グロブリン分子と抗原との間に生じるタイプの非共有結合相互作用を指す。免疫学的結合相互作用の強度または親和性は、相互作用の解離定数(Kd)に関して表すことができ、より小さいKdはより大きい親和性を表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当該技術分野において周知の方法を使用して定量化され得る。かかる方法の1つは、抗原結合部位/抗原複合体形成および解離の速度を測定することを伴い、これらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方向の速度に等しく影響を及ぼす幾何学的パラメータに依存する。よって、「オン速度定数」(kon)および「オフ速度定数」(koff)の両方は、濃度ならびに実際の会合および解離速度を計算することによって決定され得る。koff/konの比率は、親和性に関係しない全てのパラメータを取り消すことができ、よって、解離定数Kdに等しい。
抗体およびその抗原結合断片の免疫学的結合特性は、当該技術分野において周知の方法を使用して定量化され得る(Davies et al.,Annual Rev.Biochem.59:439−473,1990を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体は、平衡解離定数が約≦10−7または10−8Mであるとき、抗原またはそのエピトープに特異的に結合すると言われる。いくつかの実施形態では、タンパク質の平衡解離定数は約≦10−9Mまたは≦10−10Mである。ある特定の例示的な実施形態では、タンパク質は、(それが特異的に結合する)本明細書に記載される抗原または標的に関して、約、少なくとも約、もしくは約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、または50nM以下の親和性(Kd)を有する。
本明細書で使用される場合、「L型電位開口型カルシウムチャネル」および「CaV1」チャネルという用語は、交換可能に使用され、特に別途指定されない限り、Cav1.1、Cav1.2、Cav1.3、およびCav1.4を含むことを意味する。「L型電位開口型カルシウムチャネル」および「CaV1」チャネルは、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などの発現後修飾において変化を受け得るCav1.1、Cav1.2、Cav1.3、およびCav1.4チャネルも含み、Cav1.1、Cav1.2、Cav1.3、およびCav1.4タンパク質全体、ならびにそのサブ配列、断片、変異型(代替えのスプライシングから生じた変異型を含むが、これらに限定されない)、または誘導を含む。
ヒトおよびマウスL型電位開口型カルシウムチャネルα1サブユニットの一次アミノ酸配列が、下記の表1に示される。L型電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットをコードするmRNAは、ポリペプチドの異なるアイソフォームをもたらし得るスプライス変異型を有することに留意されたい。したがって、表1に列挙されるアミノ酸配列は、例示的なものである。
よって、本明細書に記載される抗体は、配列番号5〜12のポリペプチド、またはその断片もしくはエピトープに特異的に結合する。ある特定の実施形態において、かかる抗体は、配列番号5〜12の約または少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、もしくは50個またはそれよりも多くのアミノ酸の連続した断片に特異的に結合する。特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、表E1における1つ以上の配列に特異的に結合する(実施例1、および配列番号1〜4を参照されたい)。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される、抗体およびその抗原結合断片は、CDRに支持を提供し、互いに対してCDRの空間的関係を定義する重鎖および軽鎖のフレームワーク領域(FR)セット間にそれぞれ配置される、重鎖および軽鎖CDRセットを含む。本明細書で使用される場合、「CDRセット」という用語は、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を指す。重鎖または軽鎖のN末端から始まって、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表記される。したがって、抗原結合部位は、重鎖および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む、6つのCDRを含む。単一のCDR(例えば、CDR1、CDR2、またはCDR3)を含むポリペプチドは、本明細書において、「分子認識ユニット」と称される。いくつかの抗原−抗体複合体の結晶分析は、CDRのアミノ酸残基が結合抗原と広範囲の接触を形成することを示し、最も広範囲の抗原接触は重鎖CDR3とである。よって、分子認識ユニットは主に、抗原結合部位の特異性に関与する。
したがって、ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それらの組み合わせおよび変異型を含む、表2の配列のうちの1つ以上(例えば、配列番号13〜108)を含む。例えば、特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13に記載されるVH配列および/または配列番号17に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13(例えば、それぞれ、配列番号14〜16)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号17(例えば、それぞれ、配列番号18〜20)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号21に記載されるVH配列および/または配列番号25に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号21(例えば、それぞれ、配列番号22〜24)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号25(例えば、それぞれ、配列番号26〜28)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29に記載されるVH配列および/または配列番号33に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29(例えば、それぞれ、配列番号30〜32)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号33(例えば、それぞれ、配列番号34〜36)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号37に記載されるVH配列および/または配列番号41に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号37(例えば、それぞれ、配列番号38〜40)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号41(例えば、それぞれ、配列番号42〜44)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号45に記載されるVH配列および/または配列番号49に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号45(例えば、それぞれ、配列番号46〜48)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号49(例えば、それぞれ、配列番号50〜52)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号53に記載されるVH配列および/または配列番号57に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号53(例えば、それぞれ、配列番号54〜56)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号57(例えば、それぞれ、配列番号58〜60)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号61に記載されるVH配列および/または配列番号65に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号61(例えば、それぞれ、配列番号62〜64)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号65(例えば、それぞれ、配列番号66〜68)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号69に記載されるVH配列および/または配列番号73に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号69(例えば、それぞれ、配列番号70〜72)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号73(例えば、それぞれ、配列番号74〜76)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号77に記載されるVH配列および/または配列番号81に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号77(例えば、それぞれ、配列番号78〜80)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号81(例えば、それぞれ、配列番号82〜84)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号85に記載されるVH配列および/または配列番号89に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号85(例えば、それぞれ、配列番号86〜88)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号89(例えば、それぞれ、配列番号90〜92)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号93に記載されるVH配列および/または配列番号97に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号93(例えば、それぞれ、配列番号94〜96)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号97(例えば、それぞれ、配列番号98〜100)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号101に記載されるVH配列および/または配列番号105に記載されるVL配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号101(例えば、それぞれ、配列番号102〜104)に含有される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、および/もしくはVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/または配列番号105(例えば、それぞれ、配列番号106〜108)に含有される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、および/もしくはVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
いくつかの実施形態では、CDR配列は、Kabat、Clothia、またはそれらの組み合わせに従い定義される(IMGT(登録商標)、the international ImMunoGeneTics information system(登録商標)も参照されたい)。
本明細書で使用される場合、「FRセット」という用語は、重鎖または軽鎖V領域のCDRセットのCDRを取り囲む4つの隣接アミノ酸配列を指す。いくつかのFR残基は、結合抗原に接触し得るが、FR、特にCDRに直接隣接するFR残基は主に、V領域を抗原結合部位に折り畳むのに関与する。FR内のある特定のアミノ残基およびある特定の構造的特徴は、非常に高度に保存される。この点に関して、全てのV領域は、約90のアミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含有する。V領域が結合部位に折り畳まれるとき、CDRは、抗原結合表面を形成する突出したループモチーフとして提示される。正確なCDRアミノ酸配列に関わらず、ある特定の「基準」構造へのCDRループの折り畳み形状に影響を及ぼすFRの保存された構造領域があることが一般的に認識されている。更に、ある特定のFR残基は、抗体重鎖および軽鎖の相互作用を安定させる非共有結合のドメイン間接触に関与することが知られている。
免疫グロブリン可変ドメインの構造および位置は、Kabat,E. A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest.4th Edition.US Department of Health and Human Services.1987およびその最新版を参照することにより決定され得る。
いくつかの実施形態では、抗体は、均一な抗体集団を指す、「モノクローナル抗体」であり、このモノクローナル抗体は、エピトープの選択的結合に関与するアミノ酸(天然型および非天然型)で構成される。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一のエピトープに対して指向される。「モノクローナル抗体」という用語は、インタクトなモノクローナル抗体および完全長モノクローナル抗体だけでなく、それらの断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、単鎖(ScFv)、それらの変異型、抗原結合部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、ならびに必要とされる特異性の抗原結合断片(エピトープ認識部位)およびエピトープに結合する能力を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成も包含する。抗体の供給源またはそれが作製される方法(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物により)に関しては、制限されるものではない。本用語は、「抗体」の定義下で本明細書に記載される全免疫グログリンならびに断片などを含む。
タンパク質分解酵素パパインは、優先的にIgG分子を切断していくつかの断片をもたらし、そのうちの2つ(F(ab)断片)は各々、インタクトな抗原結合部位を含む共有結合ヘテロダイマーを含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含む、いくつかの断片をもたらすことができる。ある特定の実施形態に従い使用するためのFv断片は、IgMおよび稀にIgGまたはIgA免疫グロブリン分子の優先的タンパク質分解切断により産生され得る。しかしながら、Fv断片は、より一般的に、当該技術分野において既知の組換え技法を使用して得られる。Fv断片は、ナイーブ抗体分子の抗原認識および結合能力のほとんどを維持する抗原結合部位を含む非共有結合VH::VLヘテロダイマーを含む。Inbar et al.,PNAS USA.69:2659−2662,1972、Hochman et al.,Biochem.15:2706−2710,1976、およびEhrlich et al.,Biochem.19:4091−4096,1980を参照されたい。
ある特定の実施形態では、単鎖FvまたはscFV抗体が企図される。例えば、カッパボディ(Ill et al.,Prot.Eng.10:949−57,1997)、ミニボディ(Martin et al.,EMBO J 13:5305−9,1994)、ダイアボディ(Holliger et al.,PNAS 90:6444−8,1993)、またはジャヌシン(Janusins)(Traunecker et al.,EMBO J 10:3655−59,1991およびTraunecker et al.,Int.J.Cancer Suppl.7:51−52,1992)は、所望の特異性を有する抗体の選択に関して本出願の教示に従う標準的な分子生物学技法を使用して調製され得る。
単鎖Fv(sFv)ポリペプチドは、ペプチドコードリンカーにより結合されたVH−およびVLコード遺伝子を含む遺伝子融合から発現される共有結合されたVH::VLヘテロダイマーである。Huston et al.(PNAS USA.85(16):5879−5883,1988)。抗体V領域からの天然に凝集するが化学的に分離された軽および重ポリペプチド鎖を、抗原結合部位の構造に実質的に類似する3次元構造に折り畳むsFv分子に変換するための化学構造を判別するためのいくつかの方法が記載されている。例えば、Huston et al.の米国特許第5,091,513号および第5,132,405号、ならびにLadner et al.の米国特許第4,946,778号を参照されたい。
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片はヒト化される。これらの実施形態は、非ヒト種からの免疫グロブリン、ならびにヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づいた分子の残りの免疫グロブリン構造に由来する抗原結合部位を有する、一般的に、組換え技法を使用して調製された、キメラ分子を指す。抗原結合部位は、定常ドメイン上に融合した完全な可変ドメイン、または可変ドメインの適切なフレームワーク領域上にグラフトされたCDRのみのいずれかを含み得る。エピトープ結合部位は、野生型であるか、または1つ以上のアミノ酸置換により修飾され得る。これは、ヒト個体において免疫原として定常領域を排除するが、外来性可変領域に応答する免疫の可能性は残存する(LoBuglio et al.,PNAS USA 86:4220−4224,1989、Queen et al.,PNAS USA.86:10029−10033,1988、Riechmann et al.,Nature.332:323−327,1988)。抗体をヒト化するための例示的な方法は、米国特許第7,462,697号に記載される方法を含む。
別のアプローチは、ヒト由来定常領域を提供するだけでなく、それらをヒト形態にできる限り近く再形成するように可変領域を修飾することにも重点を置く。重鎖および軽鎖両方の可変領域が、所与の種において比較的保存され、CDRの足場を推定的に提供する4つのフレームワーク領域(FR)に隣接している、問題のエピトープに応答して変動し、結合能力を決定する3つの相補性決定領域(CDR)を含有することは知られている。非ヒト抗体が特定のエピトープに関して調製されるとき、可変領域は、修飾されるヒト抗体に存在するFR上の非ヒト抗体に由来するCDRをグラフトすることによって「再形成」または「ヒト化」され得る。様々な抗体に対するこのアプローチの適用は、Sato et al.,Cancer Res.53:851−856,1993、Riechmann et al.,Nature 332:323−327,1988、Verhoeyen et al.,Science 239:1534−1536,1988、Kettleborough et al.,Protein Engineering.4:773−3783,1991、Maeda et al.,Human Antibodies Hybridoma 2:124−134,1991、Gorman et al.,PNAS USA.88:4181−4185,1991、Tempest et al.,Bio/Technology 9:266−271,1991、Co et al.,PNAS USA.88:2869−2873,1991、Carter et al.,PNAS USA.89:4285−4289,1992、およびCo et al.,J Immunol.148:1149−1154,1992により報告されている。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、全てのCDR配列(例えば、マウス抗体からの6つ全てのCDRを含有するヒト化マウス抗体)を保存する。他の実施形態では、ヒト化抗体は、本来の抗体に対して変更される1つ以上のCDR(1、2、3、4、5、6つ)を有し、これは本来の抗体からの1つ以上のCDRに「由来する」1つ以上のCDRとも呼ばれる。
本明細書に記載される抗体およびその抗原結合断片は、マウス、ヒト、ウサギ、またはヤギなどの任意の様々な哺乳動物からの、任意の様々な免疫グロブリンサブタイプ(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、それらのサブクラスおよび組み合わせ、例えば、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG4を含む)の軽鎖定常領域または重鎖定常領域(例えば、Fc領域)を含み得る。「Fc領域」配列は、通常、免疫グロブリン(Ig)分子の重鎖に由来する。典型的なIg分子は、2本の重鎖および2本の軽鎖から構成される。重鎖は、少なくとも3つの機能領域:Fd領域、Fc領域(断片結晶化領域)、およびヒンジ領域に分けることができ、後者はIgG、IgA、およびIgD免疫グロブリンにのみ見られる。Fd領域は、重鎖の可変(VH)および定常(CH1)ドメインを含み、軽鎖の可変(VL)および定常(CL)ドメインと一緒に抗原結合断片またはFab領域を形成する。
IgG、IgA、およびIgD免疫グロブリンのFc領域は、それぞれ、CH2およびCH3領域と指定される重鎖定常ドメイン2および3を含み、IgEおよびIgM免疫グロブリンのFc領域は、それぞれ、CH2、CH3、およびCH4領域と指定される重鎖定常ドメイン2、3、および4を含む。Fc領域は主に、例えば、補体結合およびエフェクター細胞の同族Fc受容体への結合を含む、免疫グロブリンエフェクター機能に関与する。
ヒンジ領域(IgG、IgA、およびIgDに見られる)は、Fab部分がFc領域に対して空間で自由に移動することを可能にする柔軟なスペーサーとして作用する。定常領域とは対照的に、ヒンジ領域は、構造的に多様であり、免疫グロブリンのクラスおよびサブクラス(上記を参照されたい)の中で配列および長さの両方において変動する。ヒンジ領域は、炭水化物付着のためのいくつかの構造的に別個のタイプの部位を含む、1つ以上のグリコシル化部位(複数可)も含有し得る。例えば、IgA1は、ヒンジ領域の17個のアミノ酸部位内に5つのグリコシル化部位を含有し、消化管プロテアーゼに対するヒンジ領域ポリペプチドの大幅な耐性を付与する。CH2ドメインのヒンジ近位領域の残基も免疫グロブリンとそのそれぞれのFc受容体(複数可)との間の相互作用の特異性に影響を及ぼすことができる(例えば、Shin et al.,Intern.Rev.Immunol.10:177−186,1993を参照されたい)。
本明細書で使用される場合、「Fc領域」または「Fc断片」または「Fc」という用語は、よって、1つ以上の選択された免疫グロブリン(複数可)(その断片および変異型ならびに組み合わせを含む)からのCH2領域、CH3領域、および/またはCH4領域のうちの1つ以上を含有する抗体の一部またはその抗原結合断片を指す。「Fc領域」は、免疫グロブリンの重鎖定常領域の1つ以上のヒンジ領域(複数可)も含み得る。ある特定の実施形態では、Fc領域は、免疫グロブリンのCH1、CL、VL、および/またはVH領域のうちの1つ以上を含有しない。
Fc領域は、限定されないが、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMを含む(それらのサブクラスおよび組み合わせを含む)任意の1つ以上の免疫グロブリンクラスのCH2領域、CH3領域、CH4領域、および/またはヒンジ領域(複数可)を含み得る。いくつかの実施形態では、Fc領域は、サブクラスのIgA1および/またはIgA2を含む、IgA免疫グロブリン(例えば、マウス、ヒト、ウサギ、ヤギ)からのものである。ある特定の実施形態では、Fc領域は、IgD免疫グロブリン(例えば、マウス、ヒト、ウサギ、ヤギ)からのものである。特定の実施形態では、Fc領域は、IgE免疫グロブリン(例えば、マウス、ヒト、ウサギ、ヤギ)からのものである。いくつかの実施形態では、Fc領域は、サブクラスのIgG1、IgG2、IgG2、IgG3、および/またはIgG4を含む、IgG免疫グロブリン(例えば、マウス、ヒト、ウサギ、ヤギ)からのものである。ある特定の実施形態では、Fc領域は、IgM免疫グロブリン(例えば、マウス、ヒト、ウサギ、ヤギ)からのものである。
本明細書に記載される配列(例えば、表2、配列番号13−108)の「変異型」を含む、抗体またはその抗原結合断片も含まれる。「変異型」配列は、本用語が本明細書において使用される場合、本明細書に開示される基準となる配列(例えば、表2、配列番号13〜108とは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、29以上の置換、欠失(例えば、切り詰め)、付加、および/もしくは挿入により異なるポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列を指す。よって、ある特定の変異型は、本明細書に記載される基準となる配列の断片を含む。変異型ポリペプチドは、生物学的に活性である、つまり、それらは基準となるポリペプチドの結合活性を継続して保有する。かかる変異型は、例えば、遺伝的多型および/またはヒトによる操作から生じる。
多くの場合、生物学的に活性な変異型は、1つ以上の保存的置換を含有する。「保存的置換」は、ペプチド化学の当業者がポリペプチドの二次構造およびヒドロパシー性質が実質的に未変化であると予想するように、アミノ酸が類似する特性を有する別のアミノ酸に置換されるものである。上述のように、修飾は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドおよびポリペプチドの構造において行われ、なおも所望の特徴を有する変異型または誘導体ポリペプチドをコードする機能分子を得ることができる。等価物または更には本発明のポリペプチドの改善された変異型もしくは一部を創出するために、ポリペプチドのアミノ酸配列を変化させることが所望される場合、当業者は典型的に、下記の表Aに従うコードDNA配列のコドンのうちの1つ以上を変化させる。
例えば、ある特定のアミノ酸は、例えば、抗体の抗原結合領域または基質分子上の結合部位などの構造との相互作用的結合能力を明らかに損失することなく、タンパク質構造において他のアミノ酸に置換され得る。これは、そのタンパク質の生物学的機能活性を定義するタンパク質の相互作用能力および性質であるため、ある特定のアミノ酸配列置換は、タンパク質配列、および勿論、その基礎となるDNAコード配列において行われ、それでもなお同様の特性を有するタンパク質を得ることができる。よって、様々な変更が、開示される組成物のペプチド配列、または該ペプチドをコードする対応するDNA配列において、それらの有用性を顕著に損失することなく行われ得ることが企図される。
かかる変更を行う際に、アミノ酸のヒドロパシーインデックスが考慮され得る。タンパク質に相互作用的な生物学的機能を付与する際のヒドロパシーアミノ酸インデックスの重要性は、当該技術分野において一般的に理解されている(Kyte&Doolittle,1982、参照により本明細書に組み込まれる)。アミノ酸の相対的なヒドロパシー性質が、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、これが次にタンパク質の、他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を定義することは受け入れられている。各アミノ酸は、その疎水性および荷電特徴に基づいてヒドロパシーインデックスを割り当てられている(Kyte&Doolittle,1982)。それらの値は、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、スレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、およびアルギニン(−4.5)である。ある特定のアミノ酸が、類似するヒドロパシーインデックスまたはスコアを有する他のアミノ酸により置換され、それでも類似する生物学的活性を有するタンパク質をもたらし得る、すなわち、それでも生物学機能的に等価なタンパク質が得られることは当該分野において知られている。かかる変更を行う際に、ヒドロパシーインデックスが±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものが更により特に好ましい。
同様のアミノ酸の置換が親水性に基づいて効果的に行うことができることも当該分野において理解されている。米国特許第4,554,101号(参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる)は、タンパク質の最大局部平均親水性が、その隣接するアミノ酸の親水性により決定されるとき、タンパク質の生物学的特性と相関すると述べている。米国特許第4,554,101号に詳述されているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アルパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、スレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、トリプトファン(−3.4)。アミノ酸は類似する親水性値を有する別のものに置換することができ、それでも生物学的に等価な、特に免疫学的に等価なタンパク質を得られることが理解される。かかる変更の際に、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものが更により特に好ましい。
上に要約されるように、したがって、アミノ酸置換は一般的に、アミノ酸側鎖置換基の、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどの相対的類似性に基づく。様々な前述の特徴を考慮する例示的な置換は、当業者には周知であり、アルギニンおよびリジン、グルタミン酸およびアスパラギン酸、セリンおよびスレオニン、グルタミンおよびアスパラギン、ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシンを含む。
アミノ酸置換は、更に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて行われ得る。例えば、負に荷電されたアミノ酸はアスパラギン酸およびグルタミン酸を含み、正に電荷されたアミノ酸はリジンおよびアルギニンを含み、類似する親水性値を有する未荷電の極性頭基を伴うアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、およびバリン、グリシンおよびアラニン、アスパラギンおよびグルタミン、ならびにセリン、スレオニン、フェニルアラニン、およびチロシンを含む。保存的な変更を表し得るアミノ酸の他の基は、(1)ala、pro、gly、glu、asp、gln、asn、ser、thr、(2)cys、ser、tyr、thr、(3)val、ile、leu、met、ala、phe、(4)lys、arg、his、および(5)phe、tyr、trp、hisを含む。
変異型は非保存的な変更も含有するか、または代替的に含有し得る。ある特定の実施形態では、変異型ポリペプチドは、約10、9、8、7、6、5、4、3、2個のアミノ酸もしくは約それ未満、または更には1個のアミノ酸の置換、欠失、または付加により天然もしくは基準となる配列と異なる。変異型は、例えば、ポリペプチドの免疫原性、二次構造、酵素活性、および/またはヒドロパシー性質に対して最小限の影響を有するアミノ酸の欠失または付加によっても(または代替的に)修飾され得る。
一般に、変異型は、基準となるポリペプチド配列(例えば、表2の配列番号13〜108)に少なくとも約30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似性、または配列同一性、または配列相同性を示す。更に、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100個のアミノ酸(その間の全ての整数および範囲を含む)の付加(例えば、C末端付加、N末端付加、その両方)、欠失、切り詰め、挿入、または置換(例えば、保存的置換)により基準となる配列と異なるが、親もしくは基準となるポリペプチド配列の特性または活性を維持する配列が企図される。
いくつかの実施形態では、変異型ポリペプチドは、少なくとも1個であるが、50、40、30、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個未満のアミノ酸残基(複数可)基準となる配列と異なる。他の実施形態では、変異型ポリペプチドは、少なくとも1%だが、20%、15%、10%、または5%の残基基準となる配列と異なる。(この比較がアライメントを必要とする場合、配列は類似性最大にアライメントされるべきである。いくつかの場合、欠失もしくは挿入、またはミスマッチからの「ループ」アウト配列は異なるものと考えられる。
配列間の配列類似性または配列同一性(本用語は本明細書において交換可能に使用される)の計算は以下のように行われる。2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は、最適な比較目的のためにアライメントされる(例えば、ギャップは、最適なアライメントのために第1および第2のアミノ酸または核酸配列のうちの1つまたはその両方に導入され得、非相同配列は比較目的のために無視される)。ある特定の実施形態では、比較目的のためにアライメントされた基準となる配列の長さは、基準となる配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、および更により好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、対応するアミノ酸位置もしくはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列での位置が第2の配列での対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められる場合、分子はその位置で同一である。
2つの配列間のパーセント同一性は、配列により共有された同一位置の数の関数であり、2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮する。
配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。ある特定の実施形態では、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップ加重、ならびに1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用して、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.48:444−453,1970)アルゴリズムを使用して決定される。ある特定の実施形態では、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、NWSgapdna.CMPマトリックス、および40、50、60、70、または80のギャップ加重、ならびに1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用して、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムを使用して決定される。パラメータの好ましいセットは、12のギャップペナルティ、および4のギャップ伸長ペナルティ、ならびに5のフレームシフトギャップペナルティのBlossum62スコアマトリックスを含む。
2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、PAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.Meyers and W.Miller(Cabios.4:11−17,1989)のアルゴリズムを使用して決定され得る。
本明細書に記載される核酸およびタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連する配列を同定するために、公共データベースに対して検索を行うための「問い合わせ配列」として使用され得る。かかる検索は、Altschul,et al.,(1990,J.Mol.Biol,215:403−10)のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に相同であるヌクレオチド配列を得るために、スコア=100、ワード長=12のNBLASTプログラムで行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に相同であるアミノ酸配列を得るために、スコア=50、ワード長=3のXBLASTプログラムで行うことができる。比較目的のためのギャップありアライメントを得るために、Gapped BLASTは、Altschul et al.,(Nucleic Acids Res.25:3389−3402,1997)に記載されるように利用され得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する際、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータが使用され得る。
一実施形態では、上述のように、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチドは、BLASTアライメントツールを使用して評価され得る。ローカルアライメントは、単純に、比較される配列の各々から1つずつの一対の配列セグメントからなる。Smith−WatermanまたはSellersアルゴリズムの修正は、高スコアセグメント対(HSPs)と呼ばれる、スコアが伸長またはトリミングによって改善することができない全てのセグメント対を見つけ出す。BLASTアライメントの結果は、BLASTスコアが単に偶然から予想され得る可能性を示す統計的指標を含む。
粗点Sは、各々のアライメントされた配列に関連付けられたギャップおよび置換の数から計算され、より高い類似性スコアがより有意なアライメントを示す。置換スコアはルックアップ表により得られる(PAM、BLOSUMを参照されたい)。
ギャップスコアは典型的に、ギャップ開始ペナルティGおよびギャップ伸長ペナルティLの合計として計算される。ギャップの長さnに関して、ギャップコストはG+Lnであろう。ギャップコストGおよびLの選択は経験によるが、Gに関しては高い値(10〜15)、例えば、11、そしてLに関しては低い値(1〜2)、例えば、1を選択することが通例である。
ビットスコアS’は、使用されたスコアシステムの統計的性質が考慮されている粗アライメントスコアSから導かれる。ビットスコアは、スコアシステムに関して正規化され、したがって、それらは異なる検索からのアライメントスコアを比較するために使用され得る。「ビットスコア」および「類似性スコア」という用語は、交換可能に使用される。ビットスコアはアライメントがどのくらい良好かを示し、スコアが高いほど、アライメントが良好となる。
E値または期待値は、類似するスコアを有する配列が偶然にデータベースにおいて生じる可能性を説明する。これは、データベース検索において偶然に生じると期待されるSと等しいまたはそれよりも良好なスコアを有する異なるアライメントの数の予想である。E値が小さいほど、アライメントが有意となる。例えば、e−117のE値を有するアライメントは、類似するスコアの配列が単に偶然により生じる可能性がかなり低いことを意味する。加えて、ランダム対のアミノ酸をアライメントすることに関して期待されるスコアは、負であることが要求される、さもなければ、長いアライメントは、アライメントされたセグメントが関連するかどうかに関係なく、高スコアを有する傾向があるだろう。加えて、BLASTアルゴリズムは、適切な置換マトリックス、ヌクレオチド、またはアミノ酸を使用し、ギャップありアライメントに関してはギャップ生成および伸長ペナルティを使用する。例えば、ポリペプチド配列のBLASTアライメントおよび比較は典型的に、BLOSUM62マトリックス、11のギャップ存在ペナルティ、および1のギャップ伸長ペナルティを使用して行われる。
一実施形態では、配列類似性スコアは、BLOSUM62マトリックス、11のギャップ存在ペナルティ、および1のギャップ伸長ペナルティを使用して行われたBLAST分析から報告される。
特定の実施形態では、本明細書において提供される配列同一性/類似性スコアは、ヌクレオチド配列の%同一性および%類似性には、50のGAP加重、および3の長さ加重、ならびにnwsgapdna.cmpスコアマトリックスを使用して、アミノ酸配列の%同一性および%類似性には、8のGAP加重、および2の長さ加重、ならびにBLOSUM62スコアマトリックスを使用するパラメータを使用して、GAPバージョン10(GCG,Accelrys,San Diego,Calif.)を使用して得られた値を指す(Henikoff and Henikoff,PNAS USA.89:10915−10919,1992)。GAPは、一致数を最大にし、ギャップ数を最小にする2つの完全な配列のアライメントを見つけ出すために、Needleman and Wunsch(J Mol Biol.48:443−453,1970)のアルゴリズムを使用する。
一実施形態では、変異型ポリペプチドは、少なくとも約50、60、70、80、90、100、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000以上(その間の全ての整数および範囲を含む)のBLASTビットスコアまたは配列類似性スコアを生成するために、基準となるポリペプチド配列(例えば、表、配列表、配列番号1〜108を参照されたい)と最適にアライメントされ得るアミノ酸配列を含み、BLASTアライメントは、BLOSUM62マトリックス、11のギャップ存在ペナルティ、および1のギャップ伸長ペナルティを使用した。
上述のように、基準となるポリペプチドは、アミノ酸置換、欠失、切り詰め、付加、および挿入を含む様々な方法で変更され得る。かかる操作方法は、当該技術分野において一般的に知られている。例えば、基準となるポリペプチドのアミノ酸配列変異型は、DNAにおける突然変異により調製され得る。突然変異誘発およびヌクレオチド配列変化の方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Kunkel(PNAS USA.82:488−492,1985)、Kunkel et al.,(Methods in Enzymol.154:367−382,1987)、米国特許第4,873,192号、Watson,J.D.et al.,(“Molecular Biology of the Gene,”Fourth Edition,Benjamin/Cummings,Menlo Park,Calif.,1987)、およびこれらの中で引用される参考文献を参照されたい。対象のタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関するガイダンスは、Dayhoff et al.,(1978)Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,D.C.)のモデルに見出すことができる。
かかる修飾により作製されたコンビナトリアルライブラリの遺伝子産物のスクリーニング方法および選択された特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリのスクリーニング方法は、当該技術分野において知られている。かかる方法は、基準となるポリペプチドのコンビナトリアル突然変異誘発により生成された遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに適応可能である。1例として、再帰的アンサンブル突然変異誘発(REM)、すなわち、ライブラリ中の機能的突然変異体の頻度を増加させる技法は、ポリペプチド変異型を同定するために、スクリーニングアッセイと組み合わせて使用され得る(Arkin and Yourvan,PNAS USA 89:7811−7815,1992、Delgrave et al.,Protein Engineering.6:327−331,1993)。
本明細書に記載される抗体(例えば、実施例1を参照されたい)の、ヒトまたはマウスL型電位開口型カルシウムチャネルα1サブユニットポリペプチドへの結合を「競合的に阻害する」抗体またはその抗原結合断片も含まれる。競合阻害によるmAb特異性および親和性の決定方法は、例えば、Harlow,et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988)、Colligan et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,N.Y.,(1992,1993)、Muller,Meth.Enzymol.92:589−601,1983、およびJia,X−C.et al.,J.Immunol.Methods 288:91−98,2004(これらの各々は参照により組み込まれる)に見出すことができる。
特定の実施形態は、抗体の、ヒトまたはマウスL型電位開口型カルシウムチャネル上のアミノ酸配列(配列番号1〜4)への結合を競合的に阻害する抗体またはその抗原結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体(競合的に阻害される)は、モノクローナル抗体、例えば、本明細書に記載される、IgG抗体などの全モノクローナル抗体である。特定の実施形態では、抗体(競合的に阻害される)は、IgG1またはIgG2a免疫グロブリンサブタイプである。
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、例えば、検出を容易にするために、検出可能な実体に抱合または共有結合される。例示的な検出可能な実体は、限定されないが、ヨウ素系標識、放射性同位体、フルオロフォア/蛍光色素、およびナノ粒子を含む。
例示的なヨウ素系標識としては、ジアトリゾ酸(Hypaque(登録商標)、GE Healthcare)およびそのアニオン性形態であるジアトリゾエートが挙げられる。ジアトリゾ酸は、CTスキャンなどの高度X線技法に使用される造影剤である。以下に記載されるヨウ素放射性同位体も含まれる。
検出可能な実体として使用され得る例示的な放射性同位体としては、32P、33P、35S、3H、18F、11C、13N、15O、111In、169Yb、99mTC、55Fe、ならびに123I、124I、125I、および131Iなどのヨウ素の同位体が挙げられる。これらの放射性同位体は、異なる半減期、崩壊のタイプ、および特定のプロトコルのニーズに見合うように調整され得るエネルギーレベルを有する。
直接検出可能な実体として使用され得るフルオロフォアまたは蛍光色素の例としては、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、Texas Red、Oregon Green(登録商標)、およびその他いくつか(例えば、Haugland,Handbook of Fluorescent Probes−9th Ed.,2002,Molec.Probes,Inc.,Eugene OR、Haugland,The Handbook:A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies−10th Ed.,2005,Invitrogen,Carlsbad,CA)が挙げられる。発光性、またはさもなければ検出可能な色素も含まれる。色素により発せられる光は、紫外線または赤外光などの可視光または不可視光であり得る。例示的な実施形態では、色素は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)色素;フルオロセインおよびローダミンなどのキサンテン色素;αまたはβ位置にアミノ基を有する色素(ナフチルアミン色素、1−ジメチルアミノナフチル−5−スルホネート、1−アニリノ−8−ナフタレンド(naphthalende)スルホネート、および2−p−トウイジニル(touidinyl)−6−ナフタレンスルホネートなど);9−イソチオシアナトクリジンおよびアクリジンオレンジなどの3−フェニル−7−イソシアナトクマリンを有する色素;ピレン、ベンゾオキサジアゾール(bensoxadiazole)、およびスチルベン;3−(ε−カルボキシペンチル)−3’−エチル−5,5’−ジメチルオキサカルボシアニン(CYA)を有する色素;6−カルボキシフルオレセイン(FAM);5&6−カルボキシローダミン−110(R110);6−カルボキシローダミン−6G(R6G);N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX);6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE);ALEXA FLUOR(商標);Cy2;Texas RedおよびRhodamine Red;6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン(TET);6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX);5−カルボキシ−2’,4’,5’,7’−テトラクロロフルオレセイン(ZOE);NAN;NED;Cy3;Cy3.5;Cy5;Cy5.5;Cy7;およびCy7.5;IR800CW、ICG、Alexa Fluor 350;Alexa Fluor 488;Alexa Fluor 532;Alexa Fluor 546;Alexa Fluor 568;Alexa Fluor 594;Alexa Fluor 647;Alexa Fluor 680、またはAlexa Fluor 750であり得る。
ナノ粒子は通常、サイズが約1〜1000nmの範囲であり、金および銀粒子ならびに量子ドットなどの多様な化学構造を含む。角度のある入射白色光で照射されると、約40〜120nmの範囲の銀または金のナノ粒子は高強度の単色光を散乱する。散乱光の波長は粒子のサイズに依存する。近接して4または5つの異なる粒子が各々単色光を散乱し、重なり合うとき、これは特定の固有の色をもたらす。銀または金の粒子などの誘導体化ナノ粒子は、タンパク質、抗体、小分子、受容体リガンド、および核酸を含む広範囲にわたる分子に結合され得る。ナノ粒子の特定の例としては、金粒子、銀粒子、銅粒子、白金粒子、カドミウム粒子、複合粒子、金中空球、金被覆シリカナノシェル、およびシリカ被覆金シェルなどの金属ナノ粒子および金属ナノシェルが挙げられる。シリカ、ラテックス、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、PVDFナノ粒子、およびこれらの材料の任意の着色粒子も含まれる。
量子ドットは、広範囲の波長にわたって光によって励起される、直径が約1〜5nmの蛍光を発する結晶である。適切な波長を有する光によって励起されるとき、これらの結晶は単色光などの光を放射し、波長はそれらの化学組成およびサイズに依存する。CdSe、ZnSe、InP、またはInAsなどの量子ドットは固有の光学特性を有し、これらおよび類似する量子ドットは、いくつかの商業源(例えば、NN−Labs,Fayetteville,AR、Ocean Nanotech,Fayetteville,AR、Nanoco Technologies,Manchester,UK、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)から入手可能である。
抗体は、当業者に既知の様々な技法のいずれかにより調製され得る。例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照されたい。対象のポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体は、例えば、Kohler and Milstein,Eur.J.Immunol.6:511−519,1976の技法およびその改良版を使用して調製され得る。ヒト抗体を発現するために、マウスなどのトランスジェニック動物を利用する方法も含まれる。例えば、Neuberger et al.,Nature Biotechnology 14:826,1996、Lonberg et al.,Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101,1994、およびLonberg et al.,Internal Review of Immunology 13:65−93,1995を参照されたい。特定の例としては、REGERNEREX(登録商標)によるVELOCIMMUNE(登録商標)プラットホームが挙げられる(例えば、米国特許第6,596,541号を参照されたい)。抗体は、本明細書に記載され、当該技術分野において既知の組換え技法によっても調製され得る。
本明細書に記載される抗体は、本明細書に記載される治療方法および組成物のいずれかにおいて使用され得る。
ポリヌクレオチド、宿主細胞、および産生方法
ある特定の実施形態は、抗体およびその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド、ならびに例えば、ポリヌクレオチドが1つ以上の調節要素に動作可能に連結される、かかるポリヌクレオチドを含むベクターに関する。前述の組換え産生の方法に加えて、かかるポリヌクレオチド、ベクター、抗体、およびその抗原結合断片を含む組換え宿主細胞も含まれる。
抗体およびその抗原結合断片は標準的な方法を使用して調製され得る。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載され、当該技術分野において知られているように、発現系において組換えタンパク質として発現される。
ポリヌクレオチドは、抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸の1つまたは複数のコピーを含有し得る。
プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、および必要に応じて他の配列を含む、適切な調節配列を含有する好適なベクターが選択されるか、または構築され得る。ベクターは、必要に応じて、プラスミド、ウイルス、例えば、ファージまたはファージミドであり得る。更なる詳細は、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:2nd edition,Sambrook et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。核酸の操作、例えば、核酸構築物の調製、突然変異誘発、配列決定、DNAの細胞内への導入および遺伝子発現、ならびにタンパク質の分析のための多くの既知の技法およびプロトコルが、Current Protocols in Molecular Biology,Second Edition,Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons,1992またはその後の最新版に詳細に記載されている。
当業者に理解されるように、いくつかの場合では、非天然型コドンを有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を産生することが利点であり得る。例えば、タンパク質発現の速度を増加させるために、または天然型配列から生成された転写物よりも長い半減期など、望ましい特性を有する組換えRNA転写物を産生するために、特定の原核生物または真核生物宿主が好むコドンが選択され得る。かかるポリヌクレオチドは一般的に、「コドン最適化」と称される。本明細書に記載されるポリヌクレオチドのいずれかがコドン最適化形態で利用され得る。ある特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは、E.coliなどの特定の細菌またはS.cerevisiaeなどの酵母において使用するためにコドン最適化され得る(例えば、Burgess−Brown et al.,Protein Expr Purif.59:94−102,2008を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸またはベクターは、宿主細胞内に直接導入され、その細胞はコードされたポリペプチド(複数可)の発現を誘導するのに十分な条件下でインキュベートされる。したがって、ある特定の関連実施形態に従い、任意選択で、抗体の他の構成成分(例えば、Fc領域)と組み合わせて、および任意選択で、追加の外因性ポリヌクレオチドを含む、本明細書に記載される1つ以上の抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞が提供される。
宿主細胞における抗体またはその抗原結合断片の発現は、適切な条件下で組換え宿主細胞(ポリヌクレオチド(複数可)を含有する)を培養することによって達成され得る。発現による産生後、抗体またはその抗原結合断片は、任意の好適な技法を使用して単離および/または精製され、その後所望に応じて使用され得る。「宿主細胞」という用語は、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片のうちの1つ以上をコードする核酸配列を導入された細胞、またはその中に導入することができる細胞を指すように使用される。本用語は、後代が元の親に対して形態または遺伝子構成が同一であるか否かに関わらず、選択された遺伝子が存在する限り、親細胞の後代を含む。宿主細胞は、ある特定の特徴、例えば、非天然アミノ酸を抗体またはその抗原結合断片に組み込むことができるアミノアシルtRNAシンテターゼ(複数可)の発現に関して選択され得る。
様々な異なる宿主細胞における異種または組換えタンパク質のクローニングおよび発現のための系は周知である。好適な宿主細胞は、哺乳類細胞、細菌、酵母、およびバキュロウイルス系を含む。タンパク質の発現のための当該技術分野において利用可能な哺乳類細胞系は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、HEK−293細胞、NSOマウスメラノーマ細胞、およびその他多くを含む。有用な哺乳類宿主細胞系の更なる例としては、SV40(COS−7,ATCC CRL 1651)によって形質転換されたサル腎臓CV1系;ヒト胚性腎臓系(懸濁培養中での増殖のためにサブクローニングされた293または293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト頸部癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);buffaloラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TR1細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1982));MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞腫系(Hep G2)が挙げられる。他の有用な哺乳類宿主細胞系は、DHFR−CHO細胞(Urlaub et al.,PNAS USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにNSOおよびSp2/0などの骨髄腫細胞系を含む。抗体産生に好適なある特定の哺乳類宿主細胞系の概説に関しては、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C Lo,ed.,Humana Press,Totowa,N.J.,2003),pp.255−268を参照されたい。ある特定の好ましい哺乳類細胞発現系は、CHOおよびHEK293細胞ベースの発現系(293F細胞を含む)を含む。哺乳類発現系は、当該技術分野において既知の中でも、例えば、Tフラスコ、ローラーボトル、もしくは細胞工場、または懸濁培養物中で、例えば、1Lおよび5Lのスピナー、5L、14L、40L、100L、および200Lの撹拌タンクバイオリアクター、または20/50Lおよび100/200L WAVEバイオリアクター中で接着細胞系を利用することができる。
一般的な好ましい細菌宿主はE.coliである。E.coliなどの原核細胞におけるタンパク質の発現は当該技術分野において十分に確立されている。概説に関しては、例えば、Pluckthun,A.Bio/Technology.9:545−551(1991)を参照されたい。培養での真核細胞における発現もポリペプチドの組換え産生の選択肢として当業者に利用可能である(Ref,Curr.Opinion Biotech.4:573−576,1993およびTrill et al.,Curr.Opinion Biotech.6:553−560,1995を参照されたい)。特定の実施形態では、タンパク質発現は、T7 RNAポリメラーゼ(例えば、pETベクターシリーズ)により制御され得る。これらのおよび関連実施形態は、T7媒介発現を支持し、標的タンパク質の安定性の改善のためにlonおよびompTプロテアーゼを欠損するBL21のλDE3溶原菌である発現宿主株BL21(DE3)を利用することができる。Rosetta(商標)(DE3)およびRosetta 2(DE3)株など、E.coliにおいて稀に使用されるtRNAをコードするプラスミドを保有する発現宿主株も含まれる。細胞溶解および試料の取り扱いは、Benzonase(登録商標)ヌクレアーゼおよびBugBuster(登録商標)Protein Extraction Reagentなどの試薬を使用することによっても改善され得る。細胞培養に関して、自己誘導性培地は、高処理発現系を含む、多くの発現系の効率を改善することができる。このタイプの培地(例えば、Overnight Express(商標)Autoinduction System)は、IPTGなどの人工誘導剤を添加することなく、代謝シフトを通してタンパク質発現を徐々に誘発する。特定の実施形態は、ヘキサヒスチジンタグ(His・Tag(登録商標)融合など)、続いて固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)精製または関連技法を採用する。しかしながら、ある特定の態様では、臨床グレードのタンパク質は、親和性タグを使用することなく、または使用することなく、E.coli封入体から単離され得る(例えば、Shimp et al.,Protein Expr Purif.50:58−67,2006を参照されたい)。更なる例として、ある特定の実施形態は、低温でのEscherichia coliにおけるタンパク質の過剰発現がそれらの溶解度および安定性を改善するため、低温ショック誘導性E.coli高収率産生系を採用し得る(例えば、Qing et al.,Nature Biotechnology.22:877−882,2004を参照されたい)。
加えて、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節する、または所望の様式で発現されたタンパク質を処理するその能力について選択され得る。ポリペプチドのかかる修飾は、限定されないが、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化などの翻訳後修飾を含む。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングも、正しい挿入、折り畳み、および/または機能を容易にするために使用され得る。細菌細胞に加えて、かかる翻訳後活性に特異的な細胞機構および特徴機序を有する、または更にはそれらを欠く酵母、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、およびW138などの異なる宿主細胞が、対象のタンパク質(例えば、抗体)の正しい修飾およびプロセシングを確実にするために選択され得る。
組換えタンパク質の長期高収率産生に関して、安定した発現が一般的に好ましい。例えば、対象のポリヌクレオチドを安定して発現する細胞系は、ウイルスの複製起点および/または内因性発現要素、ならびに同じまたは別個のベクター上に選択マーカー遺伝子を含有し得る発現ベクターを使用して形質転換され得る。ベクターの導入後、選択的培地に交換される前に、富化培地中で細胞を約1〜2日間増殖させる。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を付与することであり、その存在は、導入された配列を良好に発現する、細胞の増殖および回収を可能にする。安定して形質転換された細胞の耐性クローンは、細胞型に適切な組織培養技法を使用して増殖され得る。一過性の遺伝子導入または感染などによる一過性の産生も採用され得る。一過性の産生に好適である例示的な哺乳類発現系は、HEK293(例えば、293F細胞)およびCHOベースの系を含む。
対象のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、タンパク質の発現および細胞培養物からのその回収に好適な条件下で培養され得る。ある特定の実施形態は、無血清細胞発現系を利用する。例としては、無血清培地で増殖することができるHEK293細胞およびCHO細胞が挙げられる(例えば、Rosser et al.,Protein Expr.Purif.40:237−43,2005および米国特許第6,210,922号を参照されたい)。
組換え細胞により産生されたタンパク質(複数可)は、当該技術分野において既知の様々な技法に従い精製および特徴付けされ得る。タンパク質精製を行い、タンパク質純度を分析するための例示的な系は、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)(例えば、AKTAおよびBio−Rad FPLC系)、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)(例えば、BeckmanおよびWaters HPLC)を含む。例示的な精製化学は、当該技術分野において既知の中でも、イオン交換クロマトグラフィー(例えば、Q,S)、サイズ排除クロマトグラフィー、塩勾配、親和性精製(例えば、Ni、Co、FLAG、マルトース、グルタチオン、プロテインA/G)、ゲル濾過、逆相、セラミックHyperD(登録商標)イオン交換クロマトグラフィー、および疎水性相互作用カラム(HIC)を含む。SDS−PAGE(例えば、クマシー、銀染色)、免疫ブロット、ブラッドフォード、およびELISAなどの分析法も含まれ、これらは、典型的に、タンパク質組成物の純度を測定するために、産生または精製プロセスの任意のステップ中に利用され得る。
組換えによって産生されたタンパク質、例えば抗体の濃縮方法も含まれる。典型的に、溶液が対象のタンパク質以外の可溶性構成成分をわずかしか含有しないときに採用される凍結乾燥が例として挙げられる。凍結乾燥は、多くの場合、HPLCの実行後に行われ、混合物から大半のまたは全ての揮発性構成成分を除去することができる。典型的に、タンパク質溶液を濃縮するために、1つ以上の選択透過性膜を採用する、限外濾過技法も含まれる。膜は、水および小分子を通過させ、タンパク質を保持する。溶液は、他の技法の中でも、機械式ポンプ、ガス圧力、または遠心分離により膜に対して通され得る。
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、当該技術分野において慣用的な技法に従い測定されたとき、少なくとも約90%の純度を有する。ある特定の実施形態では、診断用組成物またはある特定の治療用組成物など、抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも約95%の純度を有する。特定の実施形態では、治療用または薬学的組成物など、抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも約97%、または98%、または99%の純度を有する。他の実施形態では、基準となるまたは研究用試薬として使用されるときなど、抗体またはその抗原結合断片は、より低い純度ものであり得るか、または少なくとも約50%、60%、70%、または80%の純度を有し得る。純度は、全体として、または他のタンパク質、例えば、タンパク質ベースの純度など、選択された構成成分に関して測定され得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、例えば、約95%内毒素を含まない、好ましくは約99%内毒素を含まない、より好ましくは約99.99%内毒素を含まない、を含む、ほぼ実質的に内毒素を含まない。内毒素の存在は、本明細書に記載されるように、当該技術分野において慣用的な技法に従い検出され得る。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、実質的に無血清培地中で、哺乳類またはヒトの細胞などの真核細胞から作製される。
使用方法
実施形態は、本明細書に記載される抗体およびその抗原結合断片の使用に関連する方法を含む。特定の実施形態では、かかる方法は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する細胞を、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片と接触させ、それによりL型電位開口型カルシウムチャネルの活性を調節することを含む。いくつかの態様では、抗体または抗原結合断片は、チャネルに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルのα1サブユニットの細胞外ポアループに特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、α1サブユニットのドメイン1の膜貫通部位S5およびS6間の細胞外ポアループに特異的に結合する。α1サブユニットは、Cav1.1、Cav1.2、Cav1.3、もしくはCav1.4カルシウムチャネル、またはその任意のイソフォームもしくは変異型に属し得る。ある特定の実施形態では、細胞は造血細胞などの免疫細胞である。
ある特定の実施形態は、細胞を、本明細書に記載される、抗体またはその抗原結合断片と接触させることを含む、細胞の活性の調節方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、細胞の細胞活性を増加させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、細胞の細胞活性を減少させる。
特定の実施形態は、対象に、有効量の本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む、対象における免疫応答の調節方法に関する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する免疫細胞に接触し、免疫細胞の活性を調節する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片を投与することにより、対象における免疫応答が増加する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片を投与することにより、対象における免疫応答が減少する。
ある特定の実施形態は、対象に、有効量の本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む、対象における疾患の治療方法に関する。いくつかの実施形態では、疾患は炎症疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は癌である。
特定の実施形態は、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性を調節することに関する。活性の調節は、活性を増加させること、活性を減少させること、またはその両方の組み合わせを指す。いくつかの態様では、チャネルの活性は、チャネルのカルシウム透過を指す。チャネル活性の変更方法は、チャネルが開構造または閉構造にある確率を変化させる、開構造への変換を引き起こす電位閾値を変更する、チャネルの活性後にチャネルが開口している継続時間を変化させる、またはチャネルが開口または閉鎖しているときのチャネルのカルシウム透過を変更することにより、カルシウム伝透過を変更することを含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルに接触し、それによりチャネルの活性を調節する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型チャネルの活性を阻害する。特定の実施形態では、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性を阻害することにより、活性が統計的に有意な量低減される。特定の実施形態では、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性を阻害することにより、チャネル活性が5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(その間の全ての整数および範囲を含む)減少する。
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、L型電位開口型チャネルの活性を増加させる。特定の実施形態では、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性を増加させることにより、活性が統計的に有意な量増加する。特定の実施形態では、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性を増加させることにより、チャネル活性が5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(その間の全ての整数および範囲を含む)増加する。ある特定の実施形態では、チャネル活性における増加は、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1,000倍、10,000倍、または10,000倍超(それらの間の全ての整数および範囲を含む)のチャネル活性の増加をもたらす。
ある特定の実施形態では、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性の調節は、当該技術分野において既知の標準的な技法により定量化される。いくつかの実施形態では、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性の調節は、チャネルを、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片と接触させ、チャネルの活性を測定し、その測定値を対照チャネルの測定値と比較することにより測定される。特定の実施形態では、チャネルの活性は、チャネルのカルシウム透過を測定することにより評価される。L型電位開口型カルシウムチャネルのカルシウム透過を測定するための標準的な技法は、当該技術分野において既知であり、限定されないが、パッチクランプ記録、シングルチャネルレコーディング、およびホールセル記録などの電気生理学的技法;フラ−2、インド−1、フルオ−3、フルオ−4、カルシウムグリーン−1などの化学インジケータ、またはPericams、Cameleons、およびGCaMPなどの遺伝子コード型インジケータを利用するカルシウムイメージング技法、ならびにタンパク質の発現、リン酸化、または転位などのL型電位開口型カルシウムチャネル活性に相関する事象の測定を含む。
いくつかの実施形態では、L型電位開口型チャネルを発現する細胞を、本発明の抗体またはその抗原結合断片と接触させることにより、細胞の活性が調節される。細胞の活性の調節は、少なくとも1つの細胞プロセスを調節することを指す。細胞プロセスの例としては、限定されないが、細胞生存、アポトーシス、壊死、プログラム細胞死、転写、翻訳、脂質合成、成熟、分化、異化、消化、吸収、分泌、分裂、細胞増殖、遊走、リモデリング、修復、および保存が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、細胞の活性を減少させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、細胞の活性を増加させる。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、細胞の活性を増加および減少の両方を行う。細胞の活性は、例えば、細胞が活性を行う程度を調節することにより、または活性を行う細胞の数を増加または減少させることにより調節され得る。細胞活性は、例えば、の活性を最初に増加させ、次に細胞において持続的な減少をもたらす抗体により、または例えば、細胞の1集団の活性を増加させ、異なる細胞集団の活性を減少させることにより、増加および減少の両方が行われ得る。
いくつかの実施形態は、L型電位開口型カルシウムチャネルがカルシウムの細胞内濃度を調節することにより細胞活性およびプロセスを調節するモデルを企図する。カルシウムイオンの細胞質濃度が多数の酵素およびタンパク質を調節するため、カルシウムイオンはシグナル伝達分子である。カルシウムイオンの細胞質内への移動は、膜にわたって電位の傾きを調節することにより、例えば、心細胞の活動電位に寄与することにより、または二次メッセンジャーとして作用することにより、細胞プロセスまたは活性に影響を与えることができる。二次メッセンジャーは、例えば、細胞表面から、細胞質および/または核などの細胞の標的分子にシグナルを中継し、それを増幅する分子である。カルシウムイオンは通常、カルシウムイオンの活性な細胞外輸送、またはカルシウムイオンの、小胞体などの細胞内貯蔵への輸送を通して、細胞質において低濃度に維持される。細胞質カルシウム濃度の一時的な上昇は、カルシウムイオンが、分子標的として機能する多くのカルシウム結合タンパク質、例えば、細胞の細胞質に豊富なCa2+結合タンパク質であるカルモジュリンに結合することを可能にする。カルシウムイオンは、後にタンパク質キナーゼなどの更に他の下流標的に結合することによってその作用を開始するカルモジュリンに結合し、それを活性化する。カルシウムシグナル伝達は、ホスホリパーゼC/タンパク質キナーゼCシグナル伝達カスケードなどの他の二次メッセンジャー系を活性化することができる。このシグナル伝達は、次に、細胞プロセスまたは活性、例えば、転写、翻訳、分泌、または成熟を調整および引き起こすことができる。
よって、いくつかの実施形態は、拘束されないが、L型電位開口型カルシウムチャネルが細胞質カルシウム濃度を調節することによって細胞プロセスまたは活性を調節するモデルを企図する。いくつかの実施形態では、L型カルシウムチャネルの活性の調節は、細胞内カルシウムシグナル伝達を調節することによりチャネルを発現する細胞の活性を調節する。よって、いくつかの実施形態では、細胞の活性がカルシウムにより正に調節される場合、L型カルシウムチャネルの活性の強化、作動、活性化、または増加は、細胞におけるカルシウムイオンの細胞質濃度を増加させることにより細胞の活性を増加させ、逆に、カルシウムチャネル活性の減少または阻害は、細胞内カルシウム濃度の増加を減少または阻止し、細胞の活性を阻害または減少させる。逆に、細胞活性がL型電位開口型カルシウムチャネルを発現する細胞においてカルシウムシグナル伝達に負に結合される場合、チャネル活性の増加は細胞活性を阻害し、チャネル活性の阻害は細胞活性を増加させる。いくつかの実施形態では、細胞のL型電位開口型カルシウムチャネルの調節は、細胞においてカルシウムにより調節された1つ以上の細胞活性を調節するが、細胞においてカルシウムにより調節された1つ以上の異なる細胞活性を調節しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する細胞に接触し、それにより細胞の活性を調節する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、細胞の活性を阻害する。特定の実施形態では、細胞の活性を阻害することにより、細胞の活性が統計的に有意な量低減する。特定の実施形態では、細胞の活性を阻害することにより、細胞活性が5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(その間の全ての整数および範囲を含む)減少する。
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、細胞の細胞活性を増加させる。特定の実施形態では、細胞の活性を増加させることにより、活性が統計的に有意な量増加する。特定の実施形態では、細胞の活性を増加させることにより、細胞活性が5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(その間の全ての整数および範囲を含む)増加する。ある特定の実施形態では、細胞の活性における増加は、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1,000倍、10,000倍、または10,000倍超のチャネル活性の増加(それらの間の全ての整数および範囲を含む)をもたらす。
ある特定の実施形態では、細胞における活性の調節は、当該技術分野において既知の標準的な技法により定量化される。いくつかの実施形態では、L型電位開口型カルシウムチャネルの活性の調節は、細胞を、抗体またはその抗原結合断片と接触させ、細胞の活性を測定し、その測定値を対照細胞の測定値と比較することにより測定される。いくつかの実施形態では、細胞活性は、培養された細胞、動物モデル、または対象から採取された試料もしくは生検において測定される。細胞活性を検査するための技法は、当該技術分野において周知であり、細胞生存、転写、翻訳、脂質合成、分化、吸収、分泌、分裂、増殖、遊走、およびリモデリングを検査するためのアッセイを含む。適切な機能アッセイは、関わる細胞型および測定される活性を考慮して、当業者により容易に決定され得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される、抗体およびその抗原結合断片は、造血細胞などの免疫細胞において発現される電位開口型カルシウムチャネルに接触する。造血細胞は、骨髄系列(単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球、血小板、マスト細胞、および樹状細胞を含む)からの細胞、およびリンパ球系列(T細胞、B細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞)からの細胞を含む。いくつかの実施形態では、抗体およびその抗原結合断片は、免疫細胞活性を減少させる。いくつかの実施形態では、抗体およびその抗原結合断片は、免疫細胞活性を増加させる。いくつかの実施形態では、抗体およびその抗原結合断片は、例えば、免疫細胞機能を最初に増加させ、次に免疫細胞機能を減少させることにより、または免疫細胞の1集団の活性を増加させ、免疫細胞の別の集団の活性を減少させることにより、免疫細胞活性を増加および減少させる。
免疫細胞活性の例としては、限定されないが、免疫細胞の細胞プロセス、ならびに自然または適応免疫応答に寄与する細胞プロセスまたは活性が挙げられる。適応免疫応答に寄与する活性は、T細胞およびB細胞などのリンパ球系列の細胞により行われる活性を含む。T細胞において、これらの活性は、限定されないが、形質細胞およびメモリーB細胞におけるB細胞の成熟、細胞傷害性T細胞およびマクロファージの活性化、ヘルパー(CD4+)T細胞によるサイトカイン産生および分泌;細胞傷害性(CD8+)T細胞による細胞の溶解(ウイルス感染細胞または腫瘍細胞など);調節性(サプレッサー)T細胞によるT細胞媒介免疫の抑制;メモリーT細胞における細胞分裂による拡張を含む。T細胞活性は、抗原へのT細胞受容体結合およびT細胞成熟もまた含まれる。B細胞において、活性は、形質細胞による抗体産生および分泌、B細胞受容体への抗原結合、ならびにB細胞受容体活性化を含む。B細胞活性は成熟および生存もまた含まれる。自然免疫に寄与する免疫細胞活性の例としては、マスト細胞によるヒスタミン含有顆粒およびケモカインの放出、貪食細胞およびマクロファージによる細胞、病原体、または粒子の貪食;好中球による酸化剤、遊離酸素ラジカル、および次亜塩素酸塩の放出;好塩基球および好酸球によるヒスタミン、毒素タンパク質、および遊離ラジカルの放出;ならびにナチュラルキラー(NK)細胞による感染細胞の破壊が挙げられる。ある特定の実施形態は、限定されないが、免疫細胞機能のこれらの例がカルシウムシグナル伝達に正に結び付けられると考えられるモデルを企図する。
成熟は一般的に、あまり特殊化していない細胞がより特殊化した細胞型に発達するプロセスを指す。成熟は、細胞の特殊化をもたらす細胞、免疫細胞、および/または胸腺細胞におけるシグナルにより調節された調整を伴う。免疫系における成熟の例としては、限定されないが、単球のマクロファージへの成熟;B胸腺細胞のBリンパ球への成熟、および形質細胞またはメモリーB細胞への更なる成熟;ならびにT胸腺細胞のTリンパ球への成熟、および細胞傷害性Tリンパ球、サイトカイン誘導性キラーT細胞、ヘルパーT細胞、調節性T細胞、またはナチュラルキラーT細胞への更なる成熟が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、抗体またはその抗原結合断片は、L型電位開口型カルシウムチャネルを発現する免疫細胞に接触し、それにより免疫細胞の活性を調節する。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、免疫細胞の活性を阻害する。特定の実施形態では、免疫細胞の活性を阻害することにより、活性が統計的に有意な量低減する。特定の実施形態では、細胞の活性を阻害することにより、細胞活性が5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(その間の全ての整数および範囲を含む)減少する。
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、免疫細胞の活性を増加させる。特定の実施形態では、免疫細胞の活性を増加させることにより、活性が統計的に有意な量増加する。特定の実施形態では、免疫細胞活性を増加させることにより、免疫細胞活性が5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(その間の全ての整数および範囲を含む)増加する。ある特定の実施形態では、免疫細胞の活性を増加させることにより、チャネル活性が2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、1,000倍、10,000倍、または10,000倍超(それらの間の全ての整数および範囲を含む)増加する。
適切な機能アッセイは、関わる細胞型を考慮して、当業者により容易に決定され得る。例えば、免疫細胞の細胞生存、細胞増殖、細胞分化、および/または細胞活性化は標準的な技法により評価され得る。例えば、特定のプロセスに関連付けられた遺伝子発現における変化は、当該技術分野において既知の技法、例えば、蛍光インシツハイブリダイゼーション、免疫組織化学、qPCR、およびウェスタンブロット分析で測定され得る。代替的に、サイトカイン分泌または細胞溶解能などのプロセスの測定は、当該技術分野において既知の技法を使用して直接評価され得る。様々な造血細胞の免疫機能を評価するための好適なアッセイは当該技術分野において知られている。
いくつかの実施形態は、治療を必要とする対象にそれを行う目的のために、免疫細胞を、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片と接触させて、免疫細胞の活性を修飾する方法に関する。いくつかの態様では、対象は、疾患の治療を必要とする。特定の実施形態では、免疫細胞は、例えば、養子細胞移入を通して、対象を治療する目的のため、インビトロで接触させられる。本明細書で使用される場合、養子細胞移入は、免疫由来細胞を同じ患者に移入し戻す、または免疫機能性および特徴を新しい宿主に移入することを目標として新しいレシピエント宿主に移入することを指す。可能な場合、自家細胞の使用は、移植片対宿主病問題を最小限にすることによりレシピエントを助ける。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、対象に投与される。
本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、T細胞媒介および/またはB細胞媒介免疫応答を含む。例示的な免疫応答は、T細胞応答、例えば、サイトカイン産生および細胞傷害活性を含む。加えて、免疫応答という用語は、T細胞活性化により間接的に影響を受ける免疫応答、例えば、抗体産生(体液性応答)およびサイトカイン応答細胞、例えば、マクロファージの活性化を含む。免疫応答に関与する免疫細胞は、B細胞およびT細胞(CD4+、CD8+、Th1、およびTh2細胞)などのリンパ球;抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、ランゲルハンス細胞などのプロフェッショナルな抗原提示細胞、およびケラチノサイト、内皮細胞、星状膠細胞、線維芽細胞、乏突起膠細胞などの非プロフェッショナルな抗原提示細胞);ナチュラルキラー細胞;マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、および顆粒球などの骨髄性細胞を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片は、炎症部位への炎症細胞輸送を低減するのに効果的である。いくつかの実施形態では、「免疫応答」という用語は、パターン認識受容体(PRR)の活性化ならびにマクロファージ、樹状細胞、組織球、クッパー細胞、および/またはマスト細胞上の炎症メディエーターの放出を包含する。炎症メディエーターの例としては、リソソーム顆粒、ヒスタミン、IFN−γ、IL−8、ロイコトリエンB4、一酸化窒素、プロスタグランジン、およびTNF−αが挙げられる。
特定の実施形態では、L型電位チャネル活性を減少させる、本明細書に記載される抗体および抗原結合断片は、例えば、自己免疫疾患の治療、移植片拒絶のリスクの低減、および/またはアレルギーの治療などの免疫系の抑制を必要とする他の障害の治療に用途を見出す免疫抑制剤として使用される。いくつかの実施形態では、T細胞またはB細胞において発現されるL型電位開口型カルシウムチャネルを阻害する抗体またはその抗原結合断片は、例えば、免疫抑制剤として有用である。別の例では、マスト細胞におけるL型電位開口型カルシウムチャネルを阻害する抗体またはその抗原結合断片は、例えば、マスト細胞活性を低減し、アレルギーを治療するのに有用である。
本発明のある特定の実施形態に従い治療され得る自己免疫疾患の例としては、限定されないが、X連鎖無ガンマグロブリン血症、全身性エリテマトーデス、炎症性(リウマチ)関節炎、橋本甲状腺炎、悪性貧血、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、乾癬、腎線維症、肺線維症、肝線維症、アジソン病、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、ライター症候群、およびグレーブス病が挙げられる。応答の臨床指標は、これらの疾患の各々に関して測定され得る。例えば、痛みの低減、組織(例えば、関節)の炎症の低減、組織(例えば、腎臓)機能の改善、または食物を消化する能力の改善は、良好な免疫抑制の指標として機能する。
ある特定の実施形態は、抗炎症剤または免疫抑制剤と併用して、造血細胞において発現される電位開口型カルシウムチャネルを標的とする治療薬の投与を企図する。ある特定の実施形態は、既知の抗炎症剤または免疫抑制剤と併用して、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片の投与を企図する。ある特定の実施形態は、抗炎症剤または免疫抑制剤と併用して、本明細書に記載される抗体または抗原結合断片の投与を企図する。免疫抑制剤の例としては、非ステロイド系抗炎症剤(ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、またはロフェコキシブなど)、ステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、またはトリアムシノロンなど)、および免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス、ミコフェノール酸、またはシロリムスなど)が挙げられる。他の例としては、生体応答修飾物質(Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)、またはRemicade(登録商標)(インフリキシマブ)など)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)(Arava(登録商標)(レフルノミド)など)、Hyalgan(登録商標)(ヒアルロナン)、およびSynvisc(登録商標)(ヒランG−F20)が挙げられる。
特定の実施形態では、免疫細胞上で発現されるL型電位開口型カルシウムチャネルの活性を増加させる、本明細書に記載の抗体および抗原結合断片。これらの抗体は、例えば、免疫応答を増加または生成するために使用される。このような薬剤および方法は、癌の治療および/または免疫抑制の治療に有用であり得る。
ある特定の実施形態はしたがって、本明細書に記載されるように、対象に抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む、癌の治療を必要とする対象における癌の治療に関する。いくつかの実施形態において、対象は、著しく免疫抑制または免疫不全ではない。癌の例として、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌、消化器癌、肺癌、卵巣癌、精巣癌、頭頸部癌、膀胱癌、腎癌(例えば、腎細胞癌)、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、CNSまたは脳癌、黒色腫、非黒色腫癌、甲状腺癌、子宮内膜癌、上皮性腫瘍、骨癌、および造血器癌が挙げられる。ある特定の実施形態において、肺癌は、骨肉腫、軟骨肉腫、またはユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ESFT)である。ある特定の実施形態において、消化器癌は、食道癌、胃(stomach/gastric)癌、膵臓癌、肝癌、胆嚢(胆道)癌、小腸癌、結腸直腸癌、肛門もしくは直腸癌、または消化管カルチノイドもしくは間質性腫瘍である。ある特定の実施形態において、黒色腫は、悪性黒子、悪性黒子由来黒色腫、表在拡大型黒色腫、末端黒子型黒色腫、粘膜黒色腫、結節性黒色腫、ポリープ状黒色腫、線維形成性黒色腫、無色毒性黒色腫、軟部組織黒色腫、またはブドウ膜黒色腫である。ある特定の実施形態において、造血器癌は、リンパ腫、白血病、または多発性骨髄腫である。ある特定の実施形態において、リンパ腫は、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、マングル(mangle)細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、または非ホジキンリンパ腫である。ある特定の実施形態において、白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄球性白血病、急性骨髄性(myeloidもしくはmyelogenous)白血病、または慢性骨髄性白血病である。ある特定の実施形態において、脳癌は、神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、神経芽細胞腫、原始神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)、または多形神経膠芽腫である。
ある特定の方法は、1つ以上のCav1チャネルを発現する(例えば、過剰発現する)癌の治療を含む。例えば、ある特定の実施形態では、癌は、Cav1.1、Cav1.2、Cav1.3、Cav1.4、またはこれらの任意の組み合わせを発現する(例えば、過剰発現する)。いくつかの実施形態では、癌はCav1.1を発現し(例えば、過剰発現する)、治療用抗体またはその抗原結合断片はCav1.1に結合する(例えば、選択的に結合する)。いくつかの実施形態では、癌はCav1.2を発現し(例えば、過剰発現する)、治療用抗体またはその抗原結合断片はCav1.2に結合する(例えば、選択的に結合する)。いくつかの実施形態では、癌はCav1.3を発現し(例えば、過剰発現する)、治療用抗体またはその抗原結合断片はCav1.3に結合する(例えば、選択的に結合する)。いくつかの実施形態では、癌はCav1.4を発現し(例えば、過剰発現する)、治療用抗体またはその抗原結合断片はCav1.4に結合する(例えば、選択的に結合する)。
図10は、Cavチャネル発現と、ある特定の癌の種類との関係を図示する。よって、ある特定の実施形態は、1つ以上のCav1チャネルを任意選択で発現する(例えば、過剰発現する)、図10の癌のうちの任意の1つ以上の治療に関する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.1に結合し、Cav1.1を発現する(例えば、過剰発現する)骨格筋癌、咽頭癌、甲状腺癌、前立腺癌、白血病、固形腫瘍、バーキットリンパ腫、髄芽腫(meduloblastoma)、子宮内膜癌、または肺癌の治療に使用される(例えば、図10を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.2に結合し、Cav1.2を発現する(例えば、過剰発現する)脾臓の癌、胸腺の癌、子宮癌、脳癌、結腸癌、軟骨肉腫、リンパ腫、白血病、神経芽細胞腫、またはホジキンリンパ腫の治療に使用される(例えば、図10を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.3に結合し、Cav1.3を発現する(例えば、過剰発現する)骨、脳、肺、腸、下垂体、膵臓、副腎、腎臓、精巣、気管支上皮、または乳房の癌(例えば、乳癌)の治療に使用される(例えば、図10を参照されたい)。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Cav1.4に結合し、Cav1.4を発現する(例えば、過剰発現する)肺、筋肉、胸腺、松果体、小腸、脾臓の癌の治療、またはCav1.4を発現する(例えば、過剰発現する)白血病、リンパ腫、もしくは髄膜腫の治療に使用される(例えば、図10を参照されたい)。
いくつかの方法は、更なる癌治療と組み合わせて抗体を投与することを含む。ある特定の実施形態において、更なる癌治療は、抗癌剤、放射線療法、外科手術、移植、光線力学的治療、対症ケア、および抗生物質療法のうちの1つ以上から選択される。ある特定の実施形態において、更なる抗癌剤は、小分子および抗体から選択される。ある特定の実施形態において、小分子は、細胞毒性剤、化学療法剤、または抗血管新生剤である。ある特定の実施形態において、小分子細胞毒性剤、化学療法剤、または抗血管新生剤は、アルキル化剤、代謝拮抗薬、アントラサイクリン、抗腫瘍性抗生物質、白金、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、ビンカアルカロイド、およびタキサンのうちの1つ以上から選択される。
ある特定の実施形態において、更なる小分子は、クロラムブシル、シクロホスファミド、シレンジタイド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン、プロカルバジン、チオテパ、カルムスチン(BCNU)、エンザスタウリン、ブスルファン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、エルロチニブイダルビシン、テモゾロミド、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、テムシロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、CT52923、パクリタキセル、イマチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、スニチニブ(sunitnib)、バタラニブ、ゲフィチニブ(geftinib)、エルロチニブ、AEE−788、ジクロロ酢酸塩(dichoroacetate)、タモキシフェン、ファスジル、SB−681323、セマクサニブ、ドネペジル(donepizil)、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、タクリン、ラサギリン(rasigiline)、ナルトレキソン、ルビプロストン、サフィナミド、イストラデフィリン、ピマバンセリン、ピトリサント、イスラジピン、プリドピジン(ACR16)、テトラベナジン、ベキサロテン、グラチラマー酢酸塩(glatirimer acetate)、フィンゴリモド、およびミトキサントロン(それらの薬学的に許容される塩および酸を含む)のうちの1つ以上から選択される。
ある特定の実施形態において、更なる抗体は、3F8、8H9、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アラシズマブ(ペゴール)、アレムツズマブ、アルツモマブペンテート、アマツキシマブ、アナツモマブマフェナトクス(anatumomab mafenotox)、アポリズマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ(メルタンシン)、ブレンツキシマブベドチン、カンツズマブ(メルタンシン)、カンツズマブ(ラブタンシン)、カプロマブ(ペンデチド)、カルルマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ(ボガトクス)、シクスツムマブ、クリバツズマブ(テトラキセタン)、コナツムマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、デツモマブ、ドロジツマブ、エクロメキシマブ、エドレコロマブ、エロツズマブ、エナバツズマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファルレツズマブ、FBTA05、フィギツムマブ、フランボツマブ、ガリキシマブ、ゲムツズマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ(オゾガマイシン)、ギレンツキシマブ、グレンバツムマブ(ベドチン)、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、インダツキシマブラブタンシン、インテツムマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(MDX−101)、イラツムマブ、ラベツズマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ(メルタンシン)、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ(パスドトクス)、ナコロマブ(タフェナトクス)、ナプツモマブ(エスタフェナトクス)、ナルナツマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、Neuradiab(登録商標)(放射性ヨードを含むまたは含まない)、NR−LU−10、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ(モナトクス)、オレゴボマブ、パニツムマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、パーツズマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラムシルマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サマリズマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、タバルマブ、タネズマブ、タプリツモマブ(パプトクス)、テナツモマブ、テプロツムマブ、TGN1412、チシリムマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、チガツズマブ、TNX−650、トシツモマブ、TRBS07、ツコツズマブ(セルモロイキン)、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ベルツズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、およびザルツムマブ、(それらの抗原結合断片を含む)のうちの1つ以上から選択される。
また、薬学的に許容される担体、および本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を含む、癌の治療に使用するための組成物も含まれる。いくつかの実施形態は、薬学的に許容される担体、抗癌剤、および本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片を含む、組成物(例えば、薬学的組成物)を含む。
本発明のある特定の実施形態は、免疫不全対象における免疫応答を増加させるために、例えば、免疫不全対象における日和見感染を治療または予防するために、本明細書に記載される抗体およびその抗原結合断片の使用を提供する。免疫不全の対象は、日和見感染、例えば、ウイルス、真菌、原虫、または細菌感染、プリオン病、およびある特定の新生物により感受性である。免疫不全であると考えられるものは、限定されないが、AIDS(またはHIV陽性)を有する対象、重度の複合免疫不全(SCID)を有する対象、糖尿病患者、移植片を有し、免疫抑制剤/療法を受けている対象、ならびに癌の化学療法を受けているものを含む。免疫不全の個体は、癌の大半の形態(皮膚癌以外)、鎌状赤血球貧血、嚢胞性線維症を有する対象、脾臓を有しないもの、末期腎疾患(透析)を有する対象、および1年以内に丸剤または注射により、頻繁に副腎皮質ステロイドを摂取していたものもまた含まれる。重度の肝臓、肺、または心臓疾患を有する対象も免疫不全であり得る。
製剤および投与
本明細書に記載される、抗体およびその抗原結合断片は、医学的に許容される任意の様式で投与され得る。これは、静脈内、血管内、動脈内、皮下、筋肉内、腫瘍内、腹腔内、心室内、硬膜内、またはその他などの非経口経路による注射、ならびに経口、経鼻、点眼、直腸、局所を含み得る。デポ注射剤または侵食性の移植体などの手段による徐放性投与も本発明に具体的に含まれる。カテーテルを介した、1つ以上の動脈(腎動脈または限局性腫瘍をもたらす血管など)への送達などの手段による局所的送達が具体的に企図される。
対象抗体は、薬学的に許容される担体と共に製剤化され得る。「薬学的に許容される担体」という用語は、抗体がその適用を容易にするために組み合わされる、1つ以上の有機または無機成分、天然または合成物質を意味する。好適な担体は減菌食塩水を含むが、薬学的に許容されることが知られている他の水性および非水性の等張減菌溶液および減菌懸濁剤が当業者に知られている。
液剤または懸濁剤は、例えば、滅菌希釈液(水等)、食塩液(例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)、生理食塩水、リンゲル液、等張食塩水)、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールもしくは他の合成溶媒;抗菌剤(ベンジルアルコールおよびメチルパラベン等);抗酸化剤(アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウム等);キレート剤(エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等);および/または緩衝剤(酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、および他の有機酸等)(前述のものの組み合わせを含む)を含んでもよい。また、好適な担体として、グルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物等の増粘剤および可溶化剤を含む溶液も含まれる。均一な液剤または懸濁剤の形成を促進するために界面活性剤が添加されてもよい。界面活性剤は、水性系中の抱合体の溶解または均一な懸濁を促進するように、抗体、またはその抗原結合断片と非共有結合的に相互作用する化合物である。
担体の追加の例としては、低分子量(例えば、約10残基未満)のポリペプチドもしくはペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖、二糖、および他の炭水化物;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/またはポリソルベート20(TWEEN(登録商標))ポリエチレングリコール(PEG)およびポロキサマー(PLURONICS(登録商標))などの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、例えば、コアセルベーション技法により、または界面重合により調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロエマルジョンに封入される。かかる技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Oslo,A.,Ed.,(1980)に開示されている。粒子(複数可)またはリポソームは、検出可能な実体など、他の診断剤を更に含み得る。
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、凍結乾燥(freeze−dried)または凍結乾燥(lyophilized)、低温乾燥される。これらの用語は、抗体組成物を凍結し、次いで、組成物中の凍結水分を、固相から気相に直接昇華させることを可能にする周囲圧力に低減する脱水プロセスを指す。粉末、顆粒、圧縮錠剤、丸剤、カプセルなどの固体組成物も含まれる。いくつかの実施形態では、固体組成物は、1つ以上の不活性希釈剤または食用担体を含有する。ある特定の実施形態では、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、トラガカントガム、またはゼラチンなどの結合剤;およびデンプン、ラクトース、またはデキストリンなどの賦形剤、アルギニン酸アルギニン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなどの崩壊剤のうちの1つ以上が存在し得る。
ある特定の実施形態は、任意選択で、1つ以上の容器に、本明細書に記載される、抗体またはその抗原結合断片のうちの1つ以上を含むキットを含む。キットは、抗体をどのように使用するか、および/または例えば薬物として使用するための抗体をどのように調製するかの書面による説明書を含み得る。いくつかの実施形態では、書面による説明書は、抗体またはその抗原結合断片を必要とする対象にそれを投与するために、抗体またはその抗原結合断片をどのように使用するかを説明する。
「有効量」は、疾患、変性、または損傷状態を緩和する、またはその進行を遅延することができる量を指す。有効量は、個体ベースで決定され得、一部には、治療される症状および求められる結果の考慮に基づく。有効量は、かかる要因を用い、単に慣用の実験を使用して、当業者が決定することができる。
本明細書のキットは、治療される徴候また所望の診断用途に最適なまたは所望される、1つ以上の追加の治療薬または他の構成成分も含み得る。追加の治療薬は、所望に応じて、第2の容器に収容され得る。
以下の実施例は図示の目的のために提供され、限定するものではない。
実施例1
L型電位開口型カルシウムチャネルに対して指向される抗体の設計および生成
抗体は、L型電位開口型カルシウムチャネルのサブタイプCav1.1、Cav1.2、Cav1.3、またはCav1.4を標的とするように設計された。各チャネルに関して、アミノ酸配列は、マウスモノクローナル抗体を生成するための抗原として使用するための標的として使用するために選択された。アミノ酸配列は、いくつかの基準を満たすように選択された。第1に、アミノ酸配列は、それらのそれぞれのチャネルに固有でなければならなかった。第2に、アミノ酸配列は、細胞の外側に位置付けられたチャネルの露出部分上に存在しなければならなかった。第3に、アミノ酸配列は、マウスおよびヒトチャネルの両方に見られなければならなかった。第4に、配列は、抗体によって結合されたときにチャネルの活性に影響を与えるであろうチャネルの領域にある必要があった。
L型電位開口型カルシウムチャネルサブタイプの各々については、α1サブユニットのモチーフIの膜貫通部位S5およびS6間のポアループの細胞外ドメインに位置するアミノ酸配列を選択した(図1を参照されたい)。これらのアミノ酸配列が表E1に表示される。選択した各配列は、このチャネルサブタイプに固有であり、チャネルの細胞外領域に位置付けられ、マウスおよびヒトにおいて保存されている。更に、膜貫通部位S5およびS6間のポアループの細胞外ドメインは、チャネル選択性に寄与する。
モノクローナル抗体は、当該技術分野において既知の標準的な方法を使用して生成された。簡潔に、表E1からの各ペプチドが、2匹のマウスを免疫化するために使用された。免疫応答が検出された後、免疫化したマウスの脾臓を採取し、次いで、リンパ球を単離し、ハイブリドーマを生成するために骨髄腫細胞と融合させた。ハイブリドーマを継代培養し、冷凍保存した(図2)。
実施例2
L型電位開口型カルシウムチャネルに対して指向されたハイブリドーマ抗体の特徴付け
L型電位開口型カルシウムチャネルの細胞外ポアドメインを標的とするように生成されたモノクローナル抗体を特徴付けするために、ELISA実験を行った。対象の63の抗体を、抗体を生成するために使用された表E1からのアミノ酸配列を有するペプチドに結合するそれらの能力に関して試験した。抗体結合は、BSAおよび各L型電位開口型カルシウムチャネルからのものを有する全てのペプチド、BSAおよびCav1.ペプチド、BSAおよびCav1.2ペプチド、BSAおよびCav1.3ペプチド、ならびにBSAおよびCava.4ペプチドでコーティングされたウェルで試験された。結合はIgGおよびIgM二次抗体の混合物を用いて検出され、シグナルは陰性対照と比較された。これらの実験の代表的な結果が提示される(図3)。結果は、抗体が標的ペプチドに特異的に結合し得ることを示した。Cav1.1にのみ(例えば、クローン1E7および1F4を参照されたい、図3)、Cav1.2にのみ(クローン1F7および6C6、図3および9)、Cav1.3にのみ(クローン1B10、1B11、および2D4、図3)、およびCav1.4にのみ(クローン1C10および2B3、図3)結合したクローンが観察された。加えて、2つのCav1チャネル(例えば、クローン1A3、1B9、および1C8)または3つのCav1チャネル(1D2)に結合することができたいくつかの抗体が観察された。これらの結果は、L型電位開口型カルシウムチャネルの細胞外ポアループを認識するモノクローナル抗体が良好に生成されたことを示す。
抗体が免疫細胞上に発現されたL型電位開口型カルシウムチャネルに結合することができるかを決定するために、フローサイトメトリー実験がモノクローナル抗体の免疫細胞への結合を試験するために行われた。脾細胞および胸腺細胞を、野生型C57Bl6マウスから採取された脾臓および胸腺から単離した。細胞をフローサイトメトリー用に調製した。抗体を含有する上清をハイブリドーマ培養物から回収して、モノクローナル抗体が細胞に結合する能力を試験した。モノクローナル結合を検出するために、FITC抱合ヤギ抗マウスIgG andanteマウスIgMが二次抗体に使用された。
ハイブリドーマクローンから回収した抗体を、野生型マウス脾細胞に結合するそれらの能力に関して試験した。脾細胞は、TおよびBリンパ球、樹状細胞、ならびにマクロファージなどの様々な細胞集団からなる。陰性対照は、未染色(抗体または培地なし)、陰性対照DMEM培地、陰性対照IgG2b抗体、および陰性IgM抗体を含んだ。結合は、試験抗体シグナル対陰性対照igG2b抗体(図4)または陰性対照IgM抗体(図5)の比率として定量化された。代表的な結果(図4および5)は、脾細胞に結合するモノクローナル抗体、例えば、クローン3A1、5F4、および7D10が同定されたことを示す。
類似する実験は、ハイブリドーマクローンから回収された抗体を、野生型マウス胸腺細胞に結合するそれらの能力に関して試験した。胸腺細胞は、成熟Tリンパ球に分化する、胸腺に存在する造血前駆細胞である。Cav1.1、Cav1.2、Cav1.3、およびCav1.4で免疫化されたマウスからの免疫血清は陽性対照として使用された。陰性対照は、未染色(抗体または培地なし)、陰性対照DMEM培地、陰性対照IgG2b抗体、および陰性IgM抗体を含んだ。結合は、試験抗体シグナル対陰性対照igG2b抗体(図6)または陰性対照IgM抗体(図7)の比率として定量化された。代表的な結果(図5および6)は、胸腺細胞に結合するモノクローナル抗体、例えば、クローン1E10および7E3が同定されたことを示す。
総合すれば、これらの結果は、L型電位開口型カルシウムチャネルα1サブユニットの細胞外ポアループを認識でき、免疫細胞上の標的に結合することができるモノクローナル抗体が生成されたことを示す。この一連の実験後、対象上の31のクローンが、L型電位開口型カルシウムチャネルサブタイプに結合し、脾細胞または胸腺細胞上の標的に結合するそれらの能力に基づき同定された(図8に要約される)。1つのサブタイプ(Cav1.4、Cav1.3、Cav1.2、またはCav1.1)に選択的な抗体を産生する28のハイブリドーマが同定され、2つのサブタイプ(Cav1.4およびCav1.2またはCav1.3およびCav1.2)に選択的な抗体を産生する3つのハイブリドーマが同定され、3つのサブタイプ(Cav1.4、Cav1.3、およびCav1.2)に選択的な抗体を産生する1つのハイブリドーマが同定された。
実施例3
ハイブリドーマ抗体はJURKAT T細胞に結合し、その増殖を阻害する
ヒトJurkat白血病細胞株(Jurkat)を用いて、ハイブリドーマクローンをフローサイトメトリーに基づく結合アッセイにおいて更に評価した。標準技法を用いて細胞結合および増殖阻害アッセイを行った。結果が下記の表E2に示される。
これらの結果は、表E2のハイブリドーマクローンからの上清がヒトJurkat T細胞に結合し、その増殖を阻害することができることを示し、造血器癌を含む様々な癌の治療におけるこれらの抗体の治療可能性を示す。