JP2021069882A - 粒子線治療システム、粒子線照射判定装置、および、粒子線照射判定方法 - Google Patents

粒子線治療システム、粒子線照射判定装置、および、粒子線照射判定方法 Download PDF

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幸太 佐々木
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耕一 岡田
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祐介 藤井
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泰介 高柳
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Abstract

【課題】治療中に粒子線が対象領域(腫瘍)に照射されているかどうかを確認することができる技術を提供する。【解決手段】粒子線を照射すべき対象領域内に、予め標識元素が含まれる被検体に対して、粒子線を照射する。粒子線を照射された被検体の組織が発生するガンマ線を検出する。検出されたガンマ線に、標識元素の種類に対応して予め定めておいた1以上のエネルギ帯域のガンマ線が含まれるかどうかを判定する。上記エネルギ帯域のガンマ線が含まれる場合、対象領域に粒子線が当たっていると判定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、粒子線を腫瘍に照射する際に、粒子線が腫瘍へ照射されているかどうかを判別する技術に関する。
粒子線治療は、陽子や炭素等の粒子線を患者の腫瘍に対して照射することにより、腫瘍を治療する。粒子線治療において、粒子線は、粒子ビーム発生装置により粒子を加速することで生成され、ビーム輸送系によって治療室まで導かれ、治療室内の照射装置から患者の治療部位に向かって照射される。
特許文献1には、患者の粒子線が照射された位置から発生するガンマ線の分布を複数のガンマ線検出器で計測することにより、粒子線の照射位置を特定する技術が開示されている。特に、炭素線と陽子線のように複数種類の粒子線を照射可能な装置を用いる場合に、いずれの粒子線を照射した場合であっても照射位置を特定できるように、検出されたガンマ線が、即発ガンマ線に起因するか、または消滅ガンマ線に起因するかを判別して、粒子線の照射位置を求める技術が開示されている。
また、特許文献2の技術は、ホウ素を含む薬剤を投与した患者に中性子を照射して、ホウ素と中性子との核反応により発生する粒子線により治療を行う中性子捕捉療法において、治療中にリアルタイムに患者の血液をサンプリングし、ホウ素が中性子を吸収する中性子捕獲反応によって発生するガンマ線を計測することにより、血中のホウ素濃度を予測する。この技術では、予め測定しておいた正常細胞、腫瘍細胞および血中のホウ素濃度を用いて、患者の正常細胞と腫瘍細胞のそれぞれのホウ素濃度を計算し、中性子の照射により生じる患者の被曝線量を予測する。
特開2010−32451号公報 特開2016−214760号公報
放射線治療では、治療を効率的に実施するために、粒子線が照射される領域と腫瘍の存在する領域とが精度よく一致していることが重要である。そのため、事前に取得したX線CT(Computed Tomography)画像に基づいて、治療部位である体内組織(腫瘍)の位置を特定し、腫瘍内に複数の照射位置を設定し、それぞれの照射位置へ粒子線を到達させるために必要な線量を定めることにより治療計画が作成されるのが一般的である。粒子線照射時には、治療計画にしたがって、患者が治療台の所定の位置に固定され、粒子線の照射方向、強度等を制御することにより、治療計画で設定された複数の照射位置にそれぞれ所定の線量で粒子線が順次照射される。
しかしながら、治療計画作成時点から粒子線照射時点までの間に、患者の体形が変化した場合や、治療中の患者の姿勢や呼吸動により、腫瘍の位置が、治療計画時の位置から変動していることがある。その場合、治療計画通りに粒子線を照射しても、腫瘍には照射されず、腫瘍の周囲の正常組織に照射されるということが起こり得る。このため、従来、危険臓器と呼ばれる放射線により深刻な損傷を受けやすい正常組織の近傍に腫瘍が存在する場合には、粒子線治療を適用することが難しかった。
このような理由から、粒子線が、治療部位である腫瘍に照射されていることを精度よく確認する技術の開発が望まれている。
特許文献1の技術では、発生したガンマ線の分布から、粒子線が照射された位置を特定することはできるが、その位置が、治療すべき部位(腫瘍)であったかどうかを判定することはできない。そのため、患者の体形の変化等により、腫瘍の位置が、治療計画の位置からずれていた場合には、粒子線が腫瘍に照射されたかどうかを確認することはできない。
一方、特許文献2に記載の技術では、血中のホウ素濃度から照射された患者の被曝線量は予測できるものの、粒子線が腫瘍に照射されているかどうかを確認することはできない。
本発明の目的は、上記課題に鑑みなされたものであって,治療中に粒子線が対象領域(腫瘍)に照射されているかどうかを確認することができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の粒子線治療システムは、粒子線を照射すべき対象領域内に、予め標識元素が含まれる被検体に対して、粒子線を照射する照射装置と、粒子線を照射された被検体の組織が発生するガンマ線を検出するガンマ線検出器と、前記ガンマ線検出器により検出されたガンマ線に、標識元素の種類に対応して予め定めておいた1以上のエネルギ帯域のガンマ線が含まれるかどうかを判定し、1以上のエネルギ帯域のガンマ線が含まれる場合、対象領域に粒子線が当たっていると判定する照射判定部とを有する。
本発明によれば,腫瘍等の対象領域を標識元素で特徴づけ、標識元素由来のガンマ線を監視することで、粒子線の照射位置および腫瘍に照射されたかどうかを確認できるため、粒子線治療の適用部位の拡大および治療効率を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態による粒子線治療システムの構成図の一例である。 本発明の第1の実施形態によるガンマ線検出器120で計測された即発ガンマ線の波高値(エネルギ)ごとの計数値(強度)と、全吸収ピークを示すグラフ。 本発明の第1の実施形態によるガンマ線検出器120で計測された即発ガンマ線の波高値(エネルギ)ごとの計数値(強度)と、2つの全吸収ピークを示すグラフ。 本発明の第1の実施形態によるガンマ線検出器120で計測された即発ガンマ線の波高値(エネルギ)ごとの計数値(強度)と、エスケープピークを示すグラフ。 本発明の第1の実施形態の照射判定部122が、判定用エネルギ帯域を設定する処理を示すフローチャート。 本発明の第1の実施形態の粒子線治療システムが照射した粒子線が腫瘍へ当たったかどうかを判定する処理を示すフローチャート。 本発明の第1の実施形態の粒子線治療システムの判定結果を表示する画面の一例。 本発明の第1の実施形態の複数の標識元素を隣接させたマーカの形状を示す正面図。 本発明の第2の実施形態によるアレイ型ガンマ線検出器501の斜視図である。 本発明の第2の実施形態によるピンホールコリメータとアレイ型ガンマ線検出器501の斜視図である。 本発明の第3の実施形態による計測したガンマ線の波高値ごとの計数値のグラフと、バックグラウンドの3σの計数値の基準値を示すグラフ。 (A)および(B)本発明の第4の実施形態による標識元素の濃度分布のある腫瘍への粒子線の照射位置と、計測されるガンマ線の波高値ごとの計数値を示す説明図である。
以下,本発明の実施形態を,図面を用いて説明する。
<<第1の実施形態>>
図1〜図4を用いて,本発明の第1の実施形態に係る粒子線治療システムについて説明する。
<前提>
前提として、本実施形態の粒子線治療システムの照射対象である被検体(例えば患者)100は、粒子線110を照射すべき対象領域(例えば腫瘍)101内に予め標識元素が含まれている。例えば、腫瘍に集積する性質を有し、かつ、標識元素が含まれる薬剤を、被検体は予め投与されており、対象領域に標識元素が集積している状態となっている。また、標識元素が含まれる固体または液体のマーカが、外科手術により、被検体100の腫瘍内部または腫瘍近傍の位置に直接挿入されている状態となっている。
このとき、標識元素は、人体を構成する元素とは異なる元素を好適に用いることができる。また、人体に含まれる元素(例えば、Fe)であっても、人体における含有濃度が小さい場合には、腫瘍に高濃度に集積することにより、もしくはバルクとして挿入することにより、標識元素として用いることができる。例えば、F、Pt、Cl、Au、Feなどの元素を好適に用いることができる。
薬剤を投与することにより、標識元素を被検体100に投入する場合には、例えば,Fを含む薬剤である18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)、Clを含むTS-1(登録商標、大鵬薬品工業製)、Ptを含むシスプラチン(シス-ジアミンジクロロ白金(II))などの薬剤を用いることができる。また,外科手術により被検体に標識元素を投入する場合、例えばPt,Fe,Auなどのバルク金属やこれらを含む合金、および、ClやFを含む物質(例えばガラスやセラミックス等)により形成したマーカを1個以上腫瘍またはその近傍に埋め込むことができる。マーカは、1種類に限られず、複数種類組み合わせて配置することもできる。
なお,本実施形態において、標識元素の種類および投入方法は、上述したものに限定されるものではなく,種々の標識元素や投入方法を用いることができる。
<第1の実施形態の概要>
本実施形態の粒子線治療システムは、図1のように、粒子線照射装置127と、ガンマ線検出器120と、照射判定部122とを少なくとも備えて構成される。
粒子線照射装置127は、被検体100に対して、粒子線110を照射する。ガンマ線検出器120は、粒子線110を照射された被検体100の組織が発生するガンマ線30を検出する。照射判定部122は、ガンマ線検出器120により検出されたガンマ線30に、標識元素の種類に対応させて予め定めておいた1以上のエネルギ帯域(図2〜図4参照)のガンマ線、すなわち標識由来のガンマ線が含まれるかどうかを判定する。検出されたガンマ線に標識由来のガンマ線が含まれる場合、対象領域101に粒子線が当たっていると判定する。
このように本実施形態の粒子線治療システムは、腫瘍等の対象領域101に予め標識元素が集積または挿入等されている被検体100に対して、粒子線110を照射し、標識元素由来のガンマ線を監視するにより、粒子線110が対象領域(腫瘍)101に照射されたかどうか(当たったかどうか)を確認できる。
また、粒子線治療システムは、検出したガンマ線30から、その発生位置を推定することも可能であるため、粒子線110の照射位置を求めることもできる。
これらにより、本実施形態の粒子線治療システムは、粒子線110を腫瘍等の対象領域101の外側に位置する正常組織に照射する可能性を低減することができる。よって、粒子線110の照射により深刻な損傷を受けやすい正常組織102の近傍に腫瘍101が存在する場合であっても、粒子線治療を適用できる可能性を高めることができる。
また、本実施形態の粒子線治療システムは、粒子線110が腫瘍等の対象領域101に照射されていることを確認できるため、粒子線110の強度を大きく設定することが可能になり、治療効率を向上させることができる。
なお、照射判定部122が判定に用いるガンマ線のエネルギ帯域は、標識元素が粒子線110を照射された場合に発生する即発ガンマ線をガンマ線検出器120で検出した場合に計測される全吸収ピーク、および、1以上のエスケープピークのエネルギ帯域のうちの1以上に設定することが好ましい。
ガンマ線検出器120には、ガンマ線のエネルギごとの強度分布を求めるエネルギ分析部121が接続されていることが望ましい。エネルギ分析部121は、図2〜図4に一例を示したように、ガンマ線のエネルギごとの強度(ガンマ線スペクトル)を算出する。これにより、照射判定部122は、ガンマ線スペクトルに設定したエネルギ帯域にピークが含まれているかどうかを判定することにより、検出されたガンマ線30に標識元素由来のガンマ線が含まれているかどうかを判定できる。
また、照射判定部122は、エネルギ分析部121が求めたガンマ線のエネルギごとの強度(ガンマ線スペクトル)から、設定したエネルギ帯域の標識元素由来のガンマ線の強度を求めることも可能である。これにより、照射判定部122は、標識元素由来のガンマ線の強度に基づいて、対象領域101に照射する粒子線の強度を調整することにより、対象領域101に所望の強度の粒子線を照射することが可能になる。
粒子線治療システムは、照射制御部125をさらに備えていてもよい。照射制御部125は、判定部122が対象領域101に粒子線110が当たっていないと判定した場合、照射装置127が被検体100に粒子線110を照射する位置130を修正する制御を行う。
<実施形態の粒子線治療システムの詳細>
本実施形態による粒子線治療システムの詳しい構成と各部の役割を説明する。
図1は本実施形態による粒子線治療システムの構成図である。図2〜図4は、ガンマ線検出器120において計測された即発ガンマ線のエネルギ(波高値)分布を示すグラフである。
図1のように、粒子線治療システムは、粒子線照射装置127と、照射判定装置1とを備えている。照射判定装置1は、ガンマ線検出器120と、エネルギ分析部121と、照射判定部122と、照射制御部125とを有する。照射判定部122には、3次元情報データベース(DB)123と、ガンマ線計測データべース(DB)124が接続されている。
粒子線照射装置127は,寝台(不図示)に寝た状態で固定された被検体(以下、患者と呼ぶ)100の体内の対象領域(以下、腫瘍と呼ぶ)101に粒子線110を照射する。
腫瘍101には,上述のように、粒子線110の照射前に予め標識元素が投入され、腫瘍101に集積されているか、もしくは、腫瘍101内または近傍に標識元素を含むマーカが外科的に挿入されているものとする。
ガンマ線検出器120は,入射したガンマ線を検出して電気的なパルス信号を出力する。パルス信号の波高値は、入射したガンマ線のエネルギに対応し、パルスの数は、ガンマ線の強度に対応している。
ガンマ線検出器120としては、例えば,Ge,Si,CdTe,CdZnTe,TiBrなどの半導体を用いた半導体検出器が使用できる。また、ガンマ線の照射を受けて蛍光を発するシンチレータと、シンチレータの発する蛍光を電子信号に変換する光電変換器とを組み合わせたガンマ線検出器120も使用できる。シンチレータとしては,感度,エネルギ分解能が高いものが望ましく,例えば,LaBr3、GSO(Gd2SiO5:Ce)、LYSO(Cerium doped Lutetium Yttrium Orthosilicate)及びBGO(Bi4Ge3O12)等の結晶を好適に使用することができる。また、光電変換器としては、例えば、光電子増倍管や、フォトダイオード等を採用することができる。
エネルギ分析部121は,ガンマ線検出器120が出力するパルス信号の波高値ごとのパルス数を計数することにより、図2〜図4に示すように波高値(エネルギ)ごとの計数値(強度)を求める。
照射判定部122は,エネルギ分析部121の出力するガンマ線スペクトルに基づいて、標識元素の種類に対応して予め定めておいた1以上のエネルギ帯域のガンマ線が含まれるかどうかを判定する。これにより、標識元素が含まれる腫瘍身に粒子線が当たっているかを判定する。照射判定部122の判定処理についてはフローチャートを用いて後で説明する。
3次元情報DB123には、X線CT撮影等により取得した患者100の3次元情報(腫瘍101の位置を含む)と、予め患者100の腫瘍101に集積または挿入されている標識元素の種類や濃度が、予め格納されている。また、X線CT画像等に基づいて、別途定められた、腫瘍101内の粒子線を照射すべき複数の位置と、その位置に照射する粒子線110の強度とを定めた治療計画が、3次元情報DB123には格納されている。
エネルギ帯域DB124には、照射判定部122が、判定処理に用いる判定用エネルギ帯域(判定用波高値範囲とも呼ぶ)と、判定用強度(以下、判定用計数値とも呼ぶ)の基準値とが格納されている。この判定用エネルギ帯域と判定用強度の基準値は、予め計算や実測により求めた値であってもよいし、計算や実測により求めた値に基づいて設定した値であってもよい。また、判定用エネルギ帯域と判定用強度の基準値は、照射判定部122が、患者100ごとにシミュレーションを行って設定してもよい。
(シミュレーションによる判定用エネルギ帯域の設定)
判定用エネルギ帯域と判定用の強度の基準値を、照射判定部122が、患者100ごとにシミュレーションを行って設定する処理について説明する。
この処理は、照射判定部122が、患者100の3次元情報や、標識元素の種類や濃度、照射される粒子線110の位置や強度(照射線量)等の情報を用いて、患者100への粒子線の照射位置ごとにシミュレーションを行って、判定用のエネルギ帯域(波高値の範囲)と、判定用の強度(計数値)の基準値を設定する処理である。具体的には、照射判定部122は、照射位置の標識元素から発生し、ガンマ線検出器120に到達するガンマ線のスペクトルをシミュレーションにより算出する。そして、算出したガンマ線スペクトルに基づき、判定用のエネルギ帯域(波高値の範囲)と、判定用の強度(計数値)の基準値を設定し、設定した値をエネルギ帯域DB124に格納する。
以下、照射判定部122が、患者100ごとにシミュレーションを行って、判定用のエネルギ帯域(波高値の範囲)と、判定用の強度(計数値)の基準値を求める処理について図5のフローを用いてさらに詳しく説明する。
なお、ここでは、照射判定部122は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーと、メモリとを備えたコンピュータ等によって構成され、CPUが、メモリに格納されたプログラムを読み込んで実行することにより、照射判定部122の機能をソフトウエアにより実現する構成である。ただし、照射判定部122は、その一部または全部をハードウエアによって実現することも可能である。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなカスタムICや、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルICを用いて照射判定部122を構成し、その機能を実現するように回路設計を行えばよい。
まず、照射判定部122は、患者3次元情報DB123から、患者100の3次元情報、標識元素の種類や濃度、治療計画で定められている粒子線の照射位置および照射線量を取り込む(ステップ51)。
照射判定部122は、照射粒子線110と腫瘍101内の標識元素との相互作用によって発生する即発ガンマ線であって、ガンマ線検出器120に到達して計測されるガンマ線の波高値(エネルギ)ごとの計数値(強度)(ガンマ線スペクトル)をシミュレーションにより計算する(ステップ52)。
ステップ52のシミュレーションは,ステップ51で取り込んだ各条件と、腫瘍101とガンマ線検出器120の位置関係とを用いて、例えばモンテカルロ法を用いて計算する。このときのガンマ線検出器120と腫瘍101の位置関係は,治療室内のガンマ線検出器120の位置とアイソセンタ(粒子線の照射位置)との位置関係を用いて定めてもよいし、患者100が寝ている治療台とガンマ線検出器120の位置関係から算出して用いてもよい。また,図示していないが,ガンマ線検出器120が,粒子線照射位置の変更に伴って移動する移動機構に搭載されている場合には、ガンマ線検出器120の移動後の位置と照射位置との位置関係を反映させて、上記シミュレーションを行う。
照射判定部122が、シミュレーションを行って求めた、標識元素由来のガンマ線の波高値(エネルギ)ごとの計数値(強度)(ガンマ線スペクトル)は、患者100と粒子線の照射位置とその照射線量とに対応させて、エネルギ帯域DB124に格納する。
また、照射判定部122は、シミュレーションを行って求めた、標識元素由来のガンマ線のスペクトルに基づいて、標識元素由来のガンマ線の判定に用いる判定用波高値範囲(判定用エネルギ帯域)と、判定用計数値(強度)の基準値とを設定する。例えば、シミュレーションを行って求めたガンマ線スペクトルのピークのうち、標識元素によって予めわかっている全吸収ピークの波高値に位置するピーク(すなわち全吸収ピーク)が含まれるように、判定用波高値範囲(判定用エネルギー帯域)を設定する。さらに、そのピークの計数値(強度)を判定用計数値(強度)の基準値として設定する(図2参照)(ステップ53)。
判定用波高値範囲(判定用エネルギー帯域)を設定する際に用いる上述の全吸収ピークは、1つの全吸収ピークであってもよいし、帯域の異なる複数の全吸収ピークを用いてもよい(図3参照)。また、全吸収ピークから0.511MeVおよび1.022MeVだけ低い波高値にそれぞれ位置するシングルエスケープピークおよびダブルエスケープピークの一方または両方に、判定用波高値範囲(判定用エネルギー帯域)を設定してもよい(図4参照)。または,全吸収ピークおよびエスケープピークの両方に、判定用の波高値の範囲(エネルギー帯域)を設定してもよい。
照射判定部122は、設定した判定用波高値範囲(判定用エネルギ帯域)と、判定用計数値(強度)の基準値を、患者100と粒子線の照射位置と、その照射線量とに対応させて、エネルギ帯域DB124に格納する(ステップ54)。
(粒子線治療システムの各部の動作)
つぎに、実際に患者100に粒子線を照射する行う際の粒子線治療システムの各部の動作について図6のフローを用いて説明する。
前提として、患者100の腫瘍101には、標識元素が集積または挿入されている。患者100は、治療台(不図示)に固定されている。また、患者100について、予め撮影したX線CT画像に基づき、腫瘍101への複数の粒子線照射位置と、照射位置ごとの照射線量を定める治療計画が作成済みである。また、3次元情報DB123には、患者100の3次元情報(腫瘍101の位置を含む)と、治療計画とが格納されている。エネルギ帯域DB124には、判定用波高値範囲(判定用エネルギ帯域)と、判定用計数値(強度)の基準値とが格納されている。
照射制御部125は、粒子線照射装置127を制御し、予備照射として、治療計画で設定されている複数の照射位置のうち予め定めておいた一つの照射位置130に、治療計画で定められた線量の粒子線を照射させる(ステップ61)。
この予備照射により、照射位置130の組織を構成する元素から即発ガンマ線が発生し、ガンマ線検出器120は、到達したガンマ線を検出し、パルス信号を出力する(ステップ62)。
エネルギ分析部121は、ガンマ線検出器120の出力するパルス信号の波高値ごとに、パルス数をカウントする。これにより、図2〜図4に示すように、波高値(エネルギ)ごとの計数値(強度)(ガンマ線スペクトル)を算出する(ステップ63)。
照射判定部122は、3次元情報DB123に格納されている判定用波高値範囲(判定用エネルギー帯域)と判定用計数値(強度)の基準値を読み出し、ステップ63で算出した予備照射時の波高値(エネルギ)ごとの計数値(強度)に対して、判定用波高値範囲(判定用エネルギー帯域)を図2〜図4のように設定し、設定した判定用波高値範囲内に位置するピークを選択する。さらに、選択したピークの計数値を求める(ステップ63)。
例えば、図2の例では、ステップ63で計測された波高値(エネルギ)による計数値(強度)の分布(ガンマ線スペクトル)に、照射判定部122が判定用波高値範囲を設定することにより、複数のピークの中から、一つの全吸収ピークが選択されている。図3の例では、2つの全吸収ピークが選択されている。図4の例では、2つの全吸収ピークについてのそれぞれ2種類のエスケープピーク(シングルエスケープピークとダブルエスケープピーク)が選択されている。
つぎに、照射判定部122は、ステップ63において判定用波高値範囲により選択したピークの計数値と、判定用計数値の基準値とを比較し、選択したピークの計数値が、判定用計数値の基準値の所定の割合(例えば80%)に到達しているかどうかを判定する。到達している場合には、標識元素が含まれる腫瘍101に予備照射時の粒子線が当たっていたと判定し、到達していない場合には、当たっていなかったと判定する(ステップ65)。
なお、ステップ63において、複数のピークを選択した場合には、ピークのいずれか(例えば最大ピークや最小ピーク)の計数値が判定用計数値の所定の割合に到達しているかどうかを判定してもよいし、すべてのピークの計数値が、判定用計数値の基準値の所定の割合(80%)に到達しているかどうかを判定してもよい。
ステップ65において、予備照射時の粒子線110が、標識元素が含まれる腫瘍101に当たっていたと判定した場合には、ステップ66に進み、本照射を行う。本照射では、照射制御部125は、粒子線照射装置127を制御し、治療計画に沿って、複数の照射位置に、それぞれ設定されている線量の粒子線を順次照射させる。
一方、ステップ65において、予備照射時の粒子線110が標識元素が含まれる腫瘍101に当たっていなかったと判定した場合には、ステップ67に進み、被検体100における腫瘍101の位置が治療計画時とは位置ずれているので、照射位置を水平方向または深さ方向に予め定めた量だけ修正し(ステップ67),ステップ61に戻って再び予備照射する。この動作を粒子線110が腫瘍101に当たるまで繰り返す(ステップ68)。ただし、ステップ68において、修正した回数がn回(例えば、3回)に達した場合には、照射を中止する(ステップ69)。これにより、患者100の正常組織へ粒子線がn回を超えて照射されることを防ぎ、正常組織へダメージを与えないようにすることができる。
なお、本照射のステップ66と、照射位置を修正するステップ67においてはそれぞれ、ステップ65の腫瘍に当たっていたかどうかの判定結果と、ステップ63,64で求めたガンマ線スペクトルを、照射制御部125に接続されている表示部126に表示させることが望ましい。例えば、図7のような表示画面により、ガンマ線スペクトルと、判定用波高値範囲(エネルギー帯域)と、判定結果とを表示することができる。
(第1の実施形態の効果)
このように、第1の実施形態の粒子線治療システムでは、標識により腫瘍を人体の組織を構成する元素とは異なる元素で特徴づけ、粒子線を照射してガンマ線を検出することにより、粒子線が腫瘍にあたっているかどかを判定することができる。これにより、照射中の患者の姿勢や、患者の体形の変化等により、腫瘍の位置が治療計画とは異なる位置にある場合には、粒子線の照射位置を変更したり、粒子線の照射を中止することができる。よって、腫瘍の近傍に放射線感受性の高い臓器が存在するケースでも、粒子線治療を適用する可能性を高めることができる。
また、第1の実施形態の粒子線治療システムでは、腫瘍以外への粒子線照射を防ぐことができるため、1回の治療における腫瘍への粒子線照射量を増大させることが可能になり、治療効率を向上させることが期待できる。
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態の粒子線治療システムにおいて、図6のステップ61では、粒子線を予備照射しながら、粒子線照射装置127に備えたX線透過像装置で、患者100のX線透過像を撮像し、体内の標識元素が集積または挿入された腫瘍101の位置を計測してもよい。これにより、X線透過像により撮像した腫瘍の位置とステップ61において治療計画に沿って照射した照射位置との位置ずれを求めることができるため、ステップ67において、X線透過像で撮像した腫瘍101の位置の方向に、照射位置をずらすように修正することができる。
(第1の実施形態の変形例2)
また、バルク状の標識元素のマーカを、患者100の腫瘍101に外科的に挿入する場合、図8に示すように、複数種類のマーカ81〜83を隣接するように配列して固定した集合マーカを用いることができる。
図8に示した集合マーカの例では、4つのマーカ81〜83が2次元に配列され、隣接する個所が互いに固定されている。マーカ81は、Feであり、マーカ82はPtであり、マーカ83は、Cl含有物質からなり、マーカ84は、F含有物質からなる。また、4つのマーカ81〜83の集合マーカが腫瘍内に挿入された後で、その向きをX線透過像等で確認できるように、集合マーカには、複数の切り欠き85,86が、非対称な位置に設けられている。
このような集合マーカを腫瘍101内に挿入しておくことにより、図6のステップ61,62において、粒子線の予備照射を行ってガンマ線を検出することにより、4つのマーカ81〜83のうち粒子線110がマーカの標識元素の即発ガンマ線が検出される。よって、ステップ65において、判定照射部122が、検出された即発ガンマ線のピークの波高値およびその計数値を判定することにより、粒子線110がどの位置に照射されているかを判定することが可能である。
例えば、図8の照射位置87に粒子線110のスポットが照射された場合には、PtとClとFeの即発ガンマ線のピークが計測され、その計数値は、Ptが最も大きく、ClとFeは小さい値となる。また、図8の照射位置88に粒子線110のスポットが照射された場合には、FとClの即発ガンマ線のピークが計測され、その計数値は、Fが最も大きく、Clは小さい値となる。
よって、図5のステップ51〜54において、図8のマーカの各照射位置ごとに、判定用エネルギ帯域と判定用計数値の基準値とを設定しておくことにより、照射判定部122は、図6のステップ65において、実際の照射位置を容易に把握できる。
また、ステップ67では、照射判定部122は、把握した実際の照射位置を治療計画の照射位置に一致させるように、容易に調整することができる。
(第1の実施形態の変形例3)
また、第1の実施形態の粒子線治療システムにおいて、粒子線の照射により発生するガンマ線の量は,照射した粒子線110の量に対応する。よって。ステップ65で求めた予備照射時のピークの計数値が、判定用計数値の基準値に一致するように、本照射(ステップ66)において照射する粒子線110の線量を調整してもよい。
例えば、ステップ65で求めた予備照射時のピークの計数値が、判定用計数値の80%であった場合には、本照射(ステップ66)において照射する粒子線の線量を100/80=1.25倍する。
これにより、治療計画で設定した所望の線量(強度)の粒子線110を、本照射で腫瘍101に照射できる。
(第1の実施形態の変形例4)
上述した第1の実施形態の粒子線治療システムは、図6のフローにおいて、予備照射(ステップ61)により腫瘍への粒子線の照射を判定するものであったが、予備照射を行わず、治療計画に沿った照射のたびに、ステップ62〜65の検出と判定を行い,治療計画にフィードバックする構成にすることも可能である。
(第1の実施形態の変形例5)
また、上述した第1の実施形態の粒子線治療システムは、予備照射(ステップ61)により腫瘍への粒子線の照射を判定した後、本照射を行う構成であったが、粒子線照射時には、ガンマ線の計測のみ実施して、照射判定部122は、判定は行わず、計測データをメモリに保持しておき,治療後に照射判定部122が判定を行って、治療計画を修正する構成にすることも可能である。
(第1の実施形態の変形例6)
なお、上述した第1の実施形態の粒子線治療システムではステップ67において、粒子線の照射位置を修正する構成であったが、粒子線の照射位置は変更せず、予め治療計画で計画した粒子線の照射位置に腫瘍が位置するように、患者を搭載している治療台の位置を調整することにより照射位置を制御してもよい。
<<第2の実施形態>>
次に,図9および図10を用いて,本発明の第2の実施形態による粒子線治療システムについて説明する。
第2の実施形態の粒子線治療システムは、第1の実施形態と同様の構成であるが、ガンマ線検出器120が、図9のように2次元アレイ状に並べられ、アレイ型ガンマ線検出器501を構成している点で第1の実施形態とは異なっている。照射判定部122は、アレイ型検出器501の検出したガンマ線の空間分布に基づいて、対象領域101内の粒子線110の照射位置を求めることができる。
アレイ型ガンマ線検出器501は、2次元に配列されたガンマ線検出器120ごとに即発ガンマ線の波高値の計数値分布を取得する。即発ガンマ線の発生量は,照射された粒子線110の線量分布と相関があり,照射した粒子線110のビーム軸方向にそって,発生する即発ガンマ線の量は変化する。よって、ガンマ線検出器120をアレイ状に配列したアレイ型ガンマ線検出器501を用いることにより、標識元素から発生する即発ガンマ線の空間分布に対応した即発ガンマ線の波高値分布が取得できる。
一方、照射位置130ごとに、照射線量を所定の範囲で変化させた場合に、アレイ型ガンマ線検出器501の各ガンマ線検出器120において検出されるガンマ線の波高値ごとの計数値を、実施形態1の図5のフローと同様に予めシミュレーションにより算出し、3次元情報DB123には、データを格納しておく。
照射判定部122は、ステップ65において、各アレイ型ガンマ線検出器501が実測したガンマ線の波高値ごとの計数値分布を、3次元情報DB123に格納されている照射位置ごとの計数値分布と比較し、実測値に最も近い計数値分布が得られている照射位置および照射線量を求める。これにより、ステップ65において、実際に粒子線が照射されている位置130が腫瘍101内かどうかと、照射されている照射線量とを特定することができる。
なお、照射位置130を特定した後、1以上のガンマ線検出器120の計数値分布を用いて、第1の実施形態のステップ65と同様に、判定を行ってもよい。
このように、第2の実施形態では、標識により腫瘍を人体の組織を構成する元素とは異なる元素で特徴づけ、粒子線を照射してガンマ線を2次元アレイ型ガンマ線検出器501で検出することにより、粒子線の照射位置が腫瘍101内かどうか、また、照射線量を求めることができる。
なお、図10に示すように、アレイ型ガンマ線検出器501の前面にピンホールコリメータ601を配置してもよい。ピンホールコリメータ601を配置することにより、各ガンマ線検出器120から見込むガンマ線発生領域301が限定されるため,より精度の高いガンマ線30の空間分布が取得できる。
第2の実施形態の粒子線治療システムにおいて、上述した以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、すでに説明した部分については説明を省略する。
<<第3の実施形態>>
図11を用いて,本発明の第3の実施形態による粒子線治療システムについて説明する。
第3の実施形態による粒子線治療システムでは、照射判定部122が、ガンマ線検出器120が検出したガンマ線の波高値による計数値分布から、粒子線が腫瘍に照射されているかどうかを判定する際に用いる判定用計数値の基準値が第1および2の実施形態とは異なっている。第3の実施形態では、標識元素が含まれていない患者100のガンマ線スペクトルをバックグラウンドとして求め、このバックグラウンドに基づき、判定用計数値の基準値を設定する。
具体的には、第1の実施形態では、図5のフローのステップ51〜54により、照射判定部122が、標識元素が含まれている患者100からのガンマ線スペクトルをシミュレーションで求めて、全吸収ピーク等の計数値を判定用計数値の基準値として用いる構成であった。これに対し、第3の実施形態では、図5のフローのステップ52において、照射判定部122が、腫瘍101に標識元素が含まれていない患者100からのガンマ線スペクトルをシミュレーションにより求め、これをバックグラウンドのガンマ線スペクトルとする。そして、照射判定部122は、バックグラウンドのガンマ線スペクトルの計数値nに標準偏差(σ=√n)の3倍(3σ)を加えた値(n+3σ:バックグラウンドの3σ)を求め、これを判定用計数値を基準値として設定する。なお、判定用エネルギ帯域については、第1の実施形態と同様にして設定すればよい。
設定した判定用計数値の基準値を用いて、照射判定部122は、第1の実施形態の図6のフローと同様に、粒子線が腫瘍に当たっているかどうかの判定を行う。すなわち、腫瘍101に標識元素が投入されている被検体100に、粒子線照射装置127は、粒子線110を照射し、ガンマ線30をガンマ線検出器120で検出し、エネルギ分析部121は波高値ごとの計数値を算出し、標識元素由来の所定のピークの計数値を求める(図6のステップ61〜64)。そして、ステップ65において、照射判定部122は、ステップ64で求めた標識元素由来のピークの計数値を、判定用計数値の基準値(バックグラウンドの3σ:n+3σ)と比較して、基準値よりも大きければ、ステップ61で予備照射した粒子線110は腫瘍101にあたっていると判定する。ステップ65以降は、第1の実施形態と同様に行って、照射位置の修正や本照射を行う。
このように第3の実施形態では、標識元素が投入されていない患者に粒子線を照射した場合のガンマ線スペクトルを求め、その計数値に標準偏差を加えたものを照射判定部122の判定用計数値の基準値として用いるため、基準値が、標識元素の濃度の誤差等、標識元素に関する数値の誤差の影響を受けない。よって、照射判定部122は、判定を精度よく行うことができるというメリットがある。
(第3の実施形態の変形例1)
上述の説明では、バックグラウンドのガンマ線スペクトルの計数値nに3σを加えたものを判定用計数値の基準値としたが、加える標準偏差は、3σに限られるものではなく、σや2σを加えたものであってもよいし、σに基づき予め定めた数式により算出した値であってもよい。
また、標準偏差以外の値をバックグラウンドのガンマ線スペクトルの計数値nに加えて、判定用計数値の基準値としてもよい。
(第3の実施形態の変形例2)
また、第3の実施形態では、標識元素が含まれていない患者のガンマ線スペクトルをシミュレーションにより求め、バックグラウンドとして用いたが、他のバックグラウンドのガンマ線スペクトルを用いることも可能である。例えば、患者の代わりにファントムを配置して、シミュレーションや実測により求めたガンマ線スペクトルや、なにも配置せずに実測したガンマ線スペクトルをバックグラウンドとして用いることも可能である。
(第3の実施形態の変形例3)
なお、第3の実施形態では,図6のステップ64において、照射判定部122が標識由来の即発ガンマ線の所定のピークを選択する際に、全吸収ピーク,シングルエスケープピーク,ダブルエスケープピークのいずれかまたはその組合せを選択し、その計数値を基準値と比較することにより、腫瘍101の標識元素への粒子線の照射を判定する構成とすることができる。例えば、全吸収ピーク,シングルエスケープピークおよびダブルエスケープピークのうちの2以上,または全てが基準値を下回る場合には,粒子線110は腫瘍101には当たっていないと判定し、図6のステップ67、68において照射位置を修正することなく、ステップ69に進んで、照射を中止する構成にすることができる。また,全吸収ピーク,シングルエスケープピークおよびダブルエスケープピークのいずれかの計数値が、基準値を下回っている場合には、粒子線が腫瘍にあたっていない可能性を警告を表示部126に表示するとともに、ステップ67、68において照射位置を修正する構成にすることができる。
他の構成、処理動作および効果は、第1の実施形態と同様であるので、すでに説明した部分については説明を省略する。
<<第4の実施形態>>
次に,図12(A),(B)を用いて,本発明の第4の実施形態による粒子線治療システムについて説明する。
第4の実施形態では、照射判定部122は、腫瘍101内での標識元素の分布等を利用して、粒子線の照射位置を特定する。
標識元素由来の即発ガンマ線の発生量は,粒子線110の照射量と、照射体積中の標識元素の濃度と空間分布に依存する。一方、薬剤などを用いて腫瘍101に標識を集積させた場合,腫瘍101の中心領域には,標識元素が高濃度で存在し,腫瘍101の周縁領域には,標識元素が低濃度,もしくは存在しないという分布になることが多い。
この場合、図12(A)に示すように,腫瘍101の中心領域に粒子線110を照射すると,照射領域に標識元素が高濃度で存在するため,即発ガンマ線の発生量が大きく,検出されるガンマ線の計数値も高くなる。一方で,図12(B)に示すように,粒子線110を腫瘍101の体表に近い側の周縁領域に照射する場合、腫瘍101の周縁領域では標識元素の濃度が小さく、しかも体表に近い位置に照射するために照射エネルギも低いため、即発ガンマ線の発生量は小さく、ガンマ線検出器120で検出されるガンマ線の計数値も低くなる。
このように、腫瘍101内での標識元素の濃度分布、ならびに、照射位置による照射エネルギにより、腫瘍101の標識元素に由来する即発ガンマ線の発生量が変化するため、これを利用して、本実施形態では、粒子線の照射位置を特定する。
具体的には、第4の実施形態では、第1の実施形態と同様に図5のステップ51〜54により、判定用のエネルギ帯域の設定を行う際に、予め求めておいた腫瘍101内の標識元素の濃度分布を用いる構成とする。すなわち、ステップ51において、予め求めておいた腫瘍101内の標識元素の濃度分布をとりこみ,ステップ52において標識元素の濃度分布から照射位置の標識元素の濃度を求め、この標識元素の濃度を用いてシミュレーションを行って、照射位置から発生する即発ガンマ線の波高値ごとの計数値を算出する構成とする。以下のステップ53,54は、第1の実施形態と同様にする。
これにより、第4の実施形態の粒子線治療システムでは、第1の実施形態と同様に図6のステップ61〜69により粒子線を実際に照射位置に照射して、腫瘍101にあたっているかどうかを判定する際に、ステップ65において、照射位置も判定することができる。すなわち、その照射位置についてステップ54で求めておいた標識元素由来のピークの計数値と、ステップ63で算出した実際に照射により計測した標識元素由来のピークの波高値とを比較することで,事前に治療計画で計画した照射位置に粒子線が照射されているかどうかを判定することができる。
他の構成、処理動作、および、効果は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100 患者
101 腫瘍および標識
102 健全部
110 粒子線
120 ガンマ線検出器
121 エネルギ分析部
122 照射判定部
123 3次元情報データベース
124 エネルギ帯域データベース
125 照射制御部
126 表示部
127 粒子線照射装置
501 アレイ型ガンマ線検出器
601 ピンホールコリメータ

Claims (15)

  1. 粒子線を照射すべき対象領域内に、予め標識元素が含まれる被検体に対して、粒子線を照射する照射装置と、
    前記粒子線を照射された前記被検体の組織が発生するガンマ線を検出するガンマ線検出器と、
    検出された前記ガンマ線に、前記標識元素の種類に対応して予め定めておいた1以上のエネルギ帯域のガンマ線が含まれるかどうかを判定し、前記1以上のエネルギ帯域のガンマ線が含まれる場合、前記対象領域に前記粒子線が当たっていると判定する照射判定部とを有することを特徴とする粒子線治療システム。
  2. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、
    前記標識元素は、人体を構成する元素とは異なる元素であり、
    前記予め定めておいた1以上のエネルギ帯域は、前記標識元素が前記粒子線を照射された場合に発生する即発ガンマ線を前記ガンマ線検出器で検出した場合に計測される全吸収ピーク、および、1以上のエスケープピークのエネルギ帯域のうちの1以上であることを特徴とする粒子線治療システム。
  3. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、
    前記ガンマ線検出器の出力信号から、前記ガンマ線のエネルギごとの強度を求めるエネルギ分析部をさらに有することを特徴とする粒子線治療システム。
  4. 請求項3に記載の粒子線治療システムであって、
    前記照射判定部は、前記ガンマ線のエネルギごとの強度から、前記エネルギ帯域のガンマ線の強度を求め、求めた強度が予め定めておいた基準値よりも大きい場合、前記標識元素の種類に対応したエネルギ帯域のガンマ線が含まれると判定することを特徴とする粒子線治療システム。
  5. 請求項4に記載の粒子線治療システムであって、
    前記基準値は、前記エネルギ帯域ごとに設定されていることを特徴とする粒子線治療システム。
  6. 請求項5に記載の粒子線治療システムであって、
    前記照射判定部は、予めシミュレーションを行って、前記標識元素が含まれる前記被検体の前記対象領域に粒子線を照射した場合に発生するガンマ線の強度をエネルギごとに算出し、算出したガンマ線の強度のうち、前記標識元素の種類に対応して予め定めておいた1以上のエネルギ帯域におけるガンマ線強度を求め、当該ガンマ線強度、もしくは、当該ガンマ線強度に基づいて求めた値を、前記基準値として用いることを特徴とする粒子線治療システム。
  7. 請求項5に記載の粒子線治療システムであって、
    前記照射判定部は、予めシミュレーションを行って、前記標識元素が含まれない前記被検体の前記対象領域に粒子線を照射した場合に発生するガンマ線の強度をエネルギごとに算出し、算出したガンマ線の強度のうち、前記標識元素の種類に対応して予め定めておいた1以上のエネルギ帯域におけるガンマ線強度をバックグラウンドとして求め、当該バックグラウンドのガンマ線強度、もしくは、当該バックグラウンドのガンマ線強度に基づいて定めた値を、前記基準値として用いることを特徴とする粒子線治療システム。
  8. 請求項4に記載の粒子線治療システムであって、
    前記エネルギ帯域のガンマ線の強度に基づき、前記粒子線の強度を調整することを特徴とする粒子線治療システム。
  9. 請求項3に記載の粒子線治療システムであって、
    前記被検体には、複数種類の前記標識元素をそれぞれ含む複数固体を隣接させたマーカが挿入されており、
    前記照射判定部は、検出された前記ガンマ線に、前記複数種類の標識元素のうちどの標識元素に対応するエネルギ帯域のガンマ線が含まれるかどうかを判定することにより、前記マーカへの前記粒子線の照射位置を求めることを特徴とする粒子線治療システム。
  10. 請求項6に記載の粒子線治療システムであって、前記照射判定部は、予め定めておいた複数の照射位置ごとに、前記ガンマ線のエネルギごとの強度をシミュレーションにより算出しておき、検出された前記ガンマ線のエネルギごとの強度と比較することにより、前記粒子線が照射された照射位置を求めることを特徴とする粒子線治療システム。
  11. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、
    前記照射判定部が前記対象領域に前記粒子線が当たっていないと判定した場合、前記照射装置が前記被検体に粒子線を照射する位置を修正する制御部をさらに有することを特徴とする粒子線治療システム。
  12. 請求項1に記載の粒子線治療システムであって、
    前記ガンマ線検出器は、複数であり、2次元アレイ状に並べられており、
    前記照射判定部は、2次元アレイ状の前記ガンマ線検出器の検出したガンマ線の空間分布に基づいて、前記対象領域内の前記粒子線の照射位置を求めることを特徴とする粒子線治療システム。
  13. 請求項12に記載の粒子線治療システムであって、
    前記照射判定部は、予め求めておいた前記粒子線の照射位置ごとのガンマ線の空間分布と、2次元アレイ状の前記ガンマ線検出器で検出されるガンマ線の強度分布との関係を参照して、2次元アレイ状の前記ガンマ線検出器の検出したガンマ線の空間分布に基づいて、前記対象領域内の前記粒子線の照射位置を求めることを特徴とする粒子線治療システム。
  14. 粒子線を照射すべき対象領域内に、予め標識元素が含まれる被検体に対して、粒子線を照射された場合に、前記被検体の組織が発生するガンマ線を検出するガンマ線検出器と、
    検出された前記ガンマ線に、前記標識元素の種類に対応して予め定めておいた1以上のエネルギ帯域のガンマ線が含まれるかどうかを判定し、前記1以上のエネルギ帯域のガンマ線が含まれる場合、前記対象領域に前記粒子線が当たっていると判定する照射判定部とを有することを特徴とする粒子線照射判定装置。
  15. 粒子線を照射すべき対象領域内に、予め標識元素が含まれる被検体であって、粒子線が照射された被検体から発生したガンマ線を検出するステップと、
    前記ガンマ線に、前記標識元素の種類に対応して予め定めておいた1以上のエネルギ帯域におけるガンマ線が含まれるかどうかを判定し、前記1以上のエネルギ帯域におけるガンマ線が含まれる場合、前記対象領域に前記粒子線が当たっていると判定するステップと
    を含む粒子線照射判定方法。
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