JP2021063000A - 発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法。 - Google Patents

発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法。 Download PDF

Info

Publication number
JP2021063000A
JP2021063000A JP2020067992A JP2020067992A JP2021063000A JP 2021063000 A JP2021063000 A JP 2021063000A JP 2020067992 A JP2020067992 A JP 2020067992A JP 2020067992 A JP2020067992 A JP 2020067992A JP 2021063000 A JP2021063000 A JP 2021063000A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
raw material
soil
fermentation
fermentation composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020067992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6942387B2 (ja
Inventor
西川 章一
Shoichi Nishikawa
章一 西川
雄二 金田
Yuji Kaneda
雄二 金田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MINAMIHAIBARA KAIHATSU KK
Original Assignee
MINAMIHAIBARA KAIHATSU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MINAMIHAIBARA KAIHATSU KK filed Critical MINAMIHAIBARA KAIHATSU KK
Publication of JP2021063000A publication Critical patent/JP2021063000A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6942387B2 publication Critical patent/JP6942387B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fertilizers (AREA)

Abstract

【課題】低コストの資源を活用する観点から、泥炭含有組成物と食物の混合物から、植物の育成・収穫効果が向上した土壌改良用の発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法を提供する。【解決手段】泥炭(成分A)と、糖質、繊維質、脂質、蛋白質、ビタミン及びミネラルからなる群から選ばれる3種以上の栄養素を含む食物(成分B)と、水(成分C)との混合物を発酵してなる発酵組成物、及び、当該発酵組成物を添加した土壌で植物を栽培する植物の栽培方法。【選択図】なし

Description

本発明は、発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法に関する。
化学肥料を泥炭と併用して堆肥として利用することが多く試みられている(例えば、特許文献1)。
特開2017−171566号公報
しかし、化学肥料の使用を抑制する観点から、化学肥料の使用を抑制して泥炭を主成分にした場合、それだけでは植物の育成・収穫効果に限界があった。
本発明は、低コストの資源を活用する観点から、泥炭含有組成物と食物の混合物から得られる、植物の育成・収穫効果が向上した土壌改良用の発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法を提供することを課題とする。
本発明は、
〔1〕泥炭(成分A)と、糖質、食物繊維、脂質、蛋白質、ビタミン及びミネラルからなる群から選ばれる1種以上の栄養素を含む食物(成分B)と、水(成分C)との混合物を発酵してなる発酵組成物(以下「本発明1」ともいう);
〔2〕前項〔1〕記載の成分Aを含有する泥炭層の乾燥処理物(成分A含有原料)と、前項〔1〕記載の成分Bを含有する含水物(成分B含有原料)との混合物を発酵する工程を含む前項〔1〕記載の発酵組成物の製造方法;
(以下「本発明2」ともいう)、
〔3〕前項〔2〕記載の混合物に空気を通過させる通気装置を備える前項〔1〕記載の発酵組成物の製造装置(以下「本発明3」ともいう);及び、
〔4〕前項〔1〕記載の発酵組成物を添加した土壌で植物を栽培する植物の栽培方法。(以下「本発明4」ともいう)に関する。
なお、本明細書では本発明1〜4をまとめて本発明ともいう。
本発明によれば、低コストの資源を活用する観点から、泥炭含有組成物と食物の混合物から得られる、植物の育成・収穫効果が向上した土壌改良用の発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法を提供することができる。
本発明1の発酵組成物を施用した場合のN無機化率(乾物表示)の経時変化である(縦軸はN無機化率、横軸は培養期間である)。 本発明1、2及び4に係る栽培実施例7の伏せ込み時の状態である。 本発明1、2及び4に係る栽培実施例7の伏せ込み19日後の発芽状態である。 本発明1、2及び4に係る栽培実施例7の伏せ込み24日後の発芽状態である。 本発明1、2及び4に係る栽培実施例7の伏せ込み70日後の発芽状態である。 本発明1、2及び4に係る栽培実施例7の伏せ込み70日後の収穫状態である。
《本発明1》
本発明1は、泥炭(成分A)と、糖質、繊維質、脂質、蛋白質、ビタミン及びミネラルからなる群から選ばれる1種以上の栄養素を含む食物(成分B)と、水(成分C)との混合物を発酵してなる発酵組成物である。
〔成分A〕
本発明1における成分Aは泥炭である。
泥炭とは、沼沢地や湿地に生育した樹木、草本、コケ類などの植物が、嫌気性の環境下に積層し泥炭層を形成し、一定程度の分解や炭化によって黒褐色になったものである。
我国では、北海道、東北、関東及び中部の各地方に広く分布しており、中部地方では、静岡県、愛知県、三重県、石川県の山間淀地に泥炭層があることが知られている。
本発明1には、植物の育成・収穫の効率向上の観点から、静岡県内の東部地域浮島沼(富士市)、中部地域麻機沼(静岡市)、西部地域佐鳴湖周辺低地(浜松市)、中遠低地地域(袋井市・磐田市・牧之原市)の若泥層地帯、掛川市山崎町にある泥炭層)に含まれる泥炭が好ましい。
本発明1では、純度の高い泥炭が採種できることから、
好ましくは、泥炭を含む泥炭層を層状のまま採種して、乾燥処理をして、
より好ましくは、さらに分級して細粉化したものを成分A含有原料として、後述する発酵工程に供する。
乾燥処理は、過剰な水分と泥分を除去し、一定の自然発酵を促す観点から行われ、以下の態様を例示できる。
なお、乾燥処理は静岡県のような常温が20±10℃程度の気候下で行われることを想定しており、例えば、常温が30℃を超える熱帯地、常温が10℃以下の寒冷地では(好ましくは空調の効いた)屋内で作業することが好ましい。
(1)野積乾燥
好ましくは50〜300トン、より好ましくは100〜200トン、更に好ましくは好ましくは130〜150トン程度の採種した泥炭層を、
好ましくは0.1〜20a、より好ましくは0.5〜10a、更に好ましくは1〜3a程度の屋外の空き地に(「a」は面積の単位「アール」である)、
好ましくは1月〜5年、より好ましくは6月〜4年、更に好ましくは1〜3年程度の期間静置する(以下、この態様の乾燥を「野積乾燥」という)。
湿潤状態で微生物等を含む泥分と共に長期間の野積乾燥をする結果として、泥炭層は適度に自然発酵し、好適な本発明1の原料となる。
なお、本発明では採種した泥炭層を野積乾燥せずに、静置して重力脱水する、又は、乾燥装置・脱水装置等を使用して一定の含水量に調整したものを、以下の乾燥工程に供してもよい(その場合、以下の説明は「野積乾燥」を「乾燥・脱水」に読み替えるものとする)。
(2)小ロット乾燥
野積乾燥後の泥炭層から、本発明1を所定回数製造するのに必要な量をさらに風乾する。
風乾は、自然乾燥と送風乾燥の態様が挙げられ、両者を組み合わせてもよい。
(2−1)自然乾燥
野積乾燥後の泥炭層から、
本発明1を一定回数製造するのに必要な量(好ましくは1〜50t、より好ましくは5〜30t、更に好ましくは好ましくは10〜20t程度)を、
野積みした空き地とは別の屋外の空き地(好ましくは10〜500m、より好ましくは50〜300m、更に好ましくは100〜200m程度)に分けて、
泥炭層中への風通しをよくする観点から、フォーク等で、好ましくは3〜50cm、より好ましくは5〜30cm、更に好ましくは10〜20cm程度の高さに慣らして広げて乾燥する。
(2−2)送風乾燥
野積乾燥後の又は自然乾燥後の泥炭層を、
本発明1を所定回数製造するのに必要な量(好ましくは1〜100kg、より好ましくは5〜50kg、更に好ましくは10〜30kg程度)を、
ビニールハウス、硬質透明プラスチックハウス等の防水保温環境下に移し、
好ましくは1〜50cm、より好ましくは3〜30cm、更に好ましくは5〜15cm程度の高さにフォーク等で慣らして広げて、
好ましくは10〜40℃、より好ましくは15〜30℃、更に好ましくは15〜25℃程度の環境温度で送風機で送風しながら、
好ましくは1日〜1月、より好ましくは2〜20日、更に好ましくは3〜10日程度の期間静置する。
(3)分級
他の原料との混合性と発酵工程での発酵効率の観点から、乾燥処理した泥炭層を、好ましくは1〜30mmアンダー、より好ましくは3〜20mmアンダー、更に好ましくは5〜10mmアンダーのメッシュ篩で分級して成分A含有原料とする。
成分A含有原料の含水量は、他の原料との混合性と発酵工程での発酵効率の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは20〜35重量%である。
成分A含有原料の含水量は、赤外線水分計FD−720(ケツト科学研究所)で測定する。
〔成分B〕
本発明1における成分Bは、糖質、繊維質、脂質、蛋白質、ビタミン及びミネラルからなる群から選ばれる3種以上の栄養素を含む食物であり、
植物の育成・収穫の効率向上の観点から、少なくとも3種以上の栄養素の中に繊維質を含む。
成分Bは、植物の育成・収穫効率の観点と廃棄物利用の観点から、
好ましくは、糖質、繊維質、脂質、蛋白質、ビタミン及びミネラルからなる群から選ばれる3種以上の栄養素を含む食物残渣を含み、より好ましくは、繊維質に木葉質自然発酵物を含む。
食物としては、複数の食物の混合物が糖質、繊維質、脂質、蛋白質、ビタミン及びミネラルからなる群から選ばれる3種以上の栄養素を含めばよく、食物として、肉類、魚類、穀物、野菜、果物、草類等の農林水産物だけでなく、農林水産物及び/又は食品用化合物を原料とする加工食品も使用することができ、これらの食物を成分B含有原料として使用できる。
成分B含有原料は、他の原料との混合性と発酵工程での発酵効率の観点から、必要に応じて粉砕して使用することが好ましい。
食品リサイクル等の廃棄物利用の観点から、上記食物は、食物残渣や木葉質自然発酵物を使用することが好ましい。食物残渣及び木葉質自然発酵物としては以下の態様を例示できる。
(1)食物残渣
食物残渣とは、食品として供された食用食物、又は、食品を製造するために供された食品原料食物で、廃棄物として食用食物又は食品原料としては使用されない食物をいう。
食物残渣としては、
スーパー・コンビニ・デパ地下等の食品小売店での消費期限切れによる廃棄食物、
レストランや家庭で供された食品の食用に供されなかった部分や食べ残し等の廃棄食物、
例えば、ダシを抽出する等の調理のためだけに使用された後の廃棄食物等が例示でき、
これらの廃棄食物には、牛、豚、鶏肉、カツオ、カニ・エビ、コンブ、シイタケ、タマネギ、ニンジン、キャベツ及びトマトから選ばれる3種以上、より好ましくは5種以上、更に好ましくは10種以上の廃棄食物が含まれることが好ましい。
食品残渣は、レストランや食品加工事業者が分別して廃棄したものであればそのまま使用できるが、一般可燃物等のように分別せずに廃棄されたものを使用する場合は、必要に応じて分別・粉砕・脱水・乾燥を組合わせて行うことが好ましい。
食品残渣の含水量は、他の原料との混合性と発酵工程での発酵効率の観点から、好ましくは50〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%、更に好ましくは70〜85重量%である。
木葉質自然発酵物とは、雑木・雑草を剪定又は刈草した剪定枝・刈草等の廃棄物を、自然乾燥して発酵させた物である。
好ましくは5〜50トン、より好ましくは10〜40トン、更に好ましくは20〜30トン程度の剪定枝・刈草等の廃棄物を、
好ましくは0.1〜10a、より好ましくは0.5〜5a、更に好ましくは1〜2a程度の屋外の空き地に、
好ましくは1月〜5年、より好ましくは3月〜3年、更に好ましくは6月〜2年程度の期間野積みした後、本発明1を一定回数製造するのに必要な量として使用することが好ましい。
木葉質自然発酵物の含水量は、他の原料との混合性と発酵工程での発酵効率の観点から、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。
成分B含有原料の含水量は、赤外線水分計FD−720(ケツト科学研究所)で測定する。で測定する。
〔発酵組成物〕
本発明1の発酵組成物は、成分Aと、成分Bと、水(成分C)との混合物を発酵してなる。
成分Aと、成分Bと、水(成分C)との混合物は、一定の含水率の成分A含有原料と成分B含有原料の混合物を使用でき、成分Cである水は、成分A含有原料と成分B含有原料に含有される水を含み、さらに必要に応じて、当該水を一定量除去して又は別に水を一定量添加して、混合物の含水率を調整してよい。
混合物の含水率は、原料の混合性と発酵工程での発酵効率の観点から、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、更に好ましくは40〜60重量%である。
混合物の含水量は、赤外線水分計FD−720(ケツト科学研究所)で測定する。
発酵組成物は、好ましくは以下の工程を経ることで得られうる。
以下の工程では、成分A含有原料及び成分B含有原料に含有される水だけを成分Cとする場合を例示する。
(1)原料混合工程
発酵工程に供する成分A含有原料及び成分B含有原料を混合して原料混合物とする。
原料の混合性と発酵工程での発酵効率及び発酵組成物の育成・収穫性の観点から、
成分A含有原料の固形分と成分B含有原料の固形分の重量割合(A/B)は、
好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは15/85〜70/30、更に好ましくは20/80〜50/50、更に好ましくは20/80〜30/70である。
成分B含有原料として食物残渣(成分B1含有原料)及び木葉質自然発酵物(成分B2含有原料)を使用する場合は、
成分B1含有原料の固形分と成分B2含有原料の固形分の重量割合(B1/B2)は、
好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは15/85〜70/30、更に好ましくは20/80〜50/50、更に好ましくは25/75〜30/70である。
成分A含有原料及び成分B含有原料の混合は、回転ドラム式攪拌装置、傾動ミキサー式、二軸ミキサー式(例えば、特許3400762に開示されている混合攪拌手段)等の公知の攪拌混合装置を使用することができる。
(2)発酵工程
原料混合物の発酵は、例えば、発酵促進用の微生物を添加する微生物発酵でも、発酵促進用の微生物を添加せず、原料混合物に外気を通過させる通気発酵とが例示できるが、工程管理の容易さと発酵組成物の育成・収穫性の観点から通気発酵が好ましい。
(2−1)微生物発酵
微生物発酵においては、原料混合物に好気性微生物を添加して攪拌混合することで本発明1を得ることが出来る。
原料混合物は、好ましくはC/N(炭素と窒素の重量比)とpHを調整しておくことが好ましい。微生物による発酵効率の観点から、
C/Nは、好ましくは5〜40、より好ましくは10〜30、更に好ましくは15〜20になるように食物を選択又は分別し、
pH、好ましくは4.5〜10、より好ましくは5〜9、更に好ましくは6〜8になるように食物を選択又は分別し、必要に応じて、貝殻粉末、粉末炭、畜糞、窒素系化学肥料、有機質肥料等を添加できる。
攪拌は10〜30℃の室温下で行うことが好ましく、攪拌により原料混合物は50〜70℃程度になる場合がある。
攪拌は、市販の生ごみ処理装置に使用される回転式ドラム式等により機械的に攪拌することが好ましい。
攪拌時間は、微生物による発酵効率の観点から、好ましくは3時間から7日、より好ましくは6時間から3日、更に好ましくは12時間から2日である。
好気性微生物としては、、バチルス属、セルロモナス属、フラボバクテリウム属、ミクロコッカス属、シュードモナス属などの細菌;アスペルギルス属あるいはペニシリウム属などの糸状菌;サッカロマイセス属あるいはピキア属などの酵母;及びストレプトミセス属などの放線菌からなる群から選ばれる1種以上の微生物を例示できる。
好気性微生物は、担持体に担持させて、原料混合物に添加するとよい。担持体としては、ポーラスなケイ酸カルシウムや炭、あるいはゼオライトを熱処理したバーミキュライトやパーライトなどを例示できる。
(2−2)通気発酵
通気発酵では、原料混合物中に空気を通過させることで本発明1を得ることが出来る。原料混合物に微生物を添加してC/NやpHを調整する必要がないため、工程管理が容易である。
通気発酵は、発酵の進行の安定性の観点から、室温が好ましくは20±30℃、より好ましくは20±20℃、更に好ましくは20±10℃程度の屋内で行われることが好ましい。
通気発酵は、以下の工程を含む。
(2-1-1)原料混合物載置工程
原料混合物載置工程は、原料混合物を発酵槽に載置する工程である。
発酵槽は、原料混合物を一定の載置高さ(好ましくは10cm〜10m、より好ましくは20cm〜5m、更に好ましくは50cm〜2m)に積み上げて載置できる床で構成される。
床は原料混合物を載置するのに必要な十分な面積があればよく、輪郭は矩形、円形、楕円形、多角形等でよい。
床は通気性を有さなくてもよいが、床表面から床裏面まで貫通する穿孔を設けて通気性を持たせてもよい。
通気工程の間、原料混合物が前述の載置高さで安定に載置される観点から、床の輪郭に沿って原料混合物をガードする壁面が設置されていることが好ましく、壁面の高さは、
好ましくは載置高さの20%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上、更に好ましくは100%以上であり、
通気工程の間、壁面上端を支持手段として利用し、載置された原料混合物上をネット又はプレートで被覆して、原料混合物上で作業する観点から、壁面の高さは、
好ましくは載置高さの200%以下、より好ましくは150%以下、更に好ましくは120%以下である。
床の材質は、一定以上の強度と発酵や水分に対する耐食性の観点から、好ましくは木材、プラスチック、金属、セラミックス及びコンクリートから選択され、より好ましくはプラスチック、金属、セラミックス及びコンクリートから選択され、更に好ましくはセラミックス又はコンクリートであり、コストを考慮すると、更に好ましくはコンクリートである。
床は、原料混合物中から流出した水分が床面に滞留しない、さらには後述する吸引管内に侵入した水を抜け易くする観点から、水平に対して一定の角度で傾斜していることが好ましく、傾斜は、床面が水平となす角度をθとした場合に、
好ましくは0.0002≦tanθ≦0.04、より好ましくは0.001≦tanθ≦0.02、
更に好ましくは0.002≦tanθ≦0.01、更に好ましくは0.003≦tanθ≦0.006である。
例えば、床が幅6m、長さ50mの長方形であれば、床の長さ方向の一方の端と他方の端の高低差h(cm)は、tanθ=h/5000であることを考慮すると、
好ましくは1≦h≦200、より好ましくは5≦h≦100、
更に好ましくは10≦h≦50、更に好ましくは15≦h≦30である(好適範囲は床の長さに比例するように設定できる)。
(2-1-2)通気工程
通気工程は、発酵槽の床に載置された原料混合物内に空気を通過させる工程である。
原料混合物内に空気を通過させるには、原料混合物内に空気排出口を挿入して空気を圧出しても、原料混合物内に空気吸引口を挿入して空気を吸引してもよいが、原料混合物中の空気の通過性、発酵時の臭気の効率的除去の抑制の観点からは、原料混合物内に空気吸引口を挿入して空気を吸引して外部(好ましくは脱臭槽)に排出することが好ましい。
原料混合物内に空気吸引口を挿入して空気を吸引する方法としては、発酵槽の床に設けた床表面から床裏面まで貫通する穿孔から空気を吸い出す方法、原料混合物が載置された床上に、菅側面に吸引孔を設けた吸引管を敷設して空気を吸い出す方法等が例示できる。
吸引管は、床が矩形であれば最長の辺の方向に平行に並列されていても、床が円又は楕円状であれば直径又は長軸の方向に平行に並列されていてもよく、床面内でネット状に交叉して敷設されていてもよい。
吸引管の内直径(内径)は、好ましくは30〜70mm、より好ましくは40〜60mm、更に好ましくは45〜55mmである。
吸引管の側壁の穿孔直径は、好ましくは2〜10mm、より好ましくは3〜8mm、更に好ましくは4〜6mmである。
吸引管の側壁の穿孔数は、1m当り、好ましくは500〜2000個、より好ましくは700〜1500個、更に好ましくは900〜1200個である。
吸引量は、全体で、好ましくは100〜10000m/時間、より好ましくは500〜5000m//時間、更に好ましくは1000〜3000m/時間である。
通気発酵時の温度は、発酵槽内が、好ましくは45〜85℃、より好ましくは50〜75℃、更に好ましくは55〜70℃である。
通気発酵は、上記通気条件で好ましくは1〜20日間、より好ましくは2〜15日間、更に好ましくは5〜10日間継続して行った後、好ましくは吸引管を一度撤収して、発酵槽内の混合物を例えばフォークで切り返すように攪拌する。吸引管の敷設から攪拌までの作業を1サイクルとし、当該作業を好ましくは1〜10サイクル、より好ましくは2〜7サイクル、更に好ましくは3〜5サイクル行う。
このサイクル作業の間の発酵槽内の温度は、例えば、1サイクル7日間とすると、2サイクル半ばまで室温から62±5℃まで増大し、2サイクル後半で70±3℃でピークに達し、その後漸減して4サイクル終了後には室温まで急速に減少する場合がある。
上記工程を経て得られた本発明1の発酵組成物は、粉砕機で細粉化して、好ましくは1〜30mmアンダー、より好ましくは3〜20mmアンダー、更に好ましくは5〜10mmアンダーのメッシュ篩で分級して粉末状にして使用することが好ましい。
粉末状の本発明1の発酵組成物は、好ましくは0.3〜3mずつ、より好ましくは0.5〜2mずつ、更に好ましくは0.7〜1.5mずつ分包して静置すると、各包装内でさらに発酵が進行して(包装内の温度が60℃程度まで上昇し、その後室温+10℃程度の常温となる場合がある)、品質が安定する。
本発明1は、本発明1の植物の育成・収穫性を損なわない範囲で、用途に応じて、殺虫成分、界面活性剤、フィラー、保水剤、もみ殻燻炭、活性炭、発酵促進剤等の添加剤を配合してもよい。
〔発酵組成物の組成〕
(1)窒素全量N
本発明1の発酵組成物は、堆肥としても肥料としても使用できる観点から、窒素全量が、
好ましくは0.5〜10%、より好ましくは1.0〜7.0%、更に好ましくは1.5〜5.0%、さらに好ましくは2.0〜3.0%になるように成分A、B及びCの組成を調製することが好ましい。
(2)アミノ酸含有量
本発明1の発酵組成物は、以下の17種類のアミノ酸の少なくとも5種類以上、好ましくは8種類以上、より好ましくは12種類以上、更に好ましくは17種類全てを含むことが好ましい。
本発明1の発酵組成物は、以下の17種類のアミノ酸の少なくとも5種類以上が含まれる場合、作物(好ましくは水稲)の旨味・甘味、果実の熟成性、抗菌性・耐病性を付与する観点から、含まれる当該アミノ酸のアミノ酸態窒素量換算での質量部が、以下の範囲にあることが好ましい:
(1)アスパラギン酸(Asp)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.5〜3.0、更に好ましくは1.0〜2.5;
(2)グルタミン酸(Glu)が、好ましくは0.1〜5.、より好ましくは1.0〜4.、更に好ましくは1.5〜3.0;
(3)アルギニン酸(Arg)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは1.0〜4.0、更に好ましくは2.0〜4.0;
(4)ヒスチジン(His)が、好ましくは2.0〜25.0、より好ましくは5.0〜20.0、更に好ましくは8.0〜15.0;
(5)リシン(Lys)が、好ましくは30.0〜80.、より好ましくは40.0〜75.0、更に好ましくは50.0〜70.0;
(6)アラニン(Ala)が、好ましくは0.1〜10.0、より好ましくは0.5〜5.0、更に好ましくは1.0〜3.0;
(7)シスチン(Cys)が、好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは2.0〜7.0、更に好ましくは3.0〜5.0;
(8)グリシン(Gly)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.5〜4.0、更に好ましくは1.0〜3.0;
(9)イソロイシン(Ile)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.5〜4.0、更に好ましくは1.0〜3.0;
(10)ロイシン(Leu)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは1.0〜4.0、更に好ましくは2.0〜4.0;
(11)メチオニン(Met)が、好ましくは0.1〜4.0、より好ましくは0.2〜3.0、更に好ましくは0.5〜2.0;
(12)フェニルアラニン(Phe)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.5〜4.0、更に好ましくは1.0〜3.0;
(13)プロリン(Pro)が、、好ましくは0.1〜4.0、より好ましくは0.2〜3.0、更に好ましくは0.5〜2.0;
(14)セリン(Ser)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.5〜4.0、更に好ましくは1.0〜3.0;
(15)トレオニン(Thr)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは1.0〜4.0、更に好ましくは2.0〜4.0;
(16)チロシン(Tyr)が、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.5〜4.0、更に好ましくは1.0〜3.0;そして
(17)バリン(Val)が、、好ましくは0.01〜2.0、より好ましくは0.05〜1.5、更に好ましくは0.1〜1.0である。
本発明1の発酵組成物のアミノ酸含有量は、作物(好ましくは水稲)の旨味・甘味、果実の熟成性、抗菌性・耐病性を付与する観点から、アミノ酸態窒素量換算で、以下の17種類のアミノ酸の全量を100mgN%とした場合、以下の範囲であることが好ましい:
(1)アスパラギン酸(Asp)が、好ましくは0.1〜5.0 mgN%、より好ましくは0.5〜3.0 mgN%、更に好ましくは1.0〜2.5 mgN%;
(2)グルタミン酸(Glu)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは1.0〜4.0mgN%、更に好ましくは1.5〜3.0mgN%;
(3)アルギニン酸(Arg)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは1.0〜4.0mgN%、更に好ましくは2.0〜4.0mgN%;
(4)ヒスチジン(His)が、好ましくは2.0〜25.0mgN%、より好ましくは5.0〜20.0mgN%、更に好ましくは8.0〜15.0mgN%;
(5)リシン(Lys)が、好ましくは30.0〜80.0mgN%、より好ましくは40.0〜75.0mgN%、更に好ましくは50.0〜70.0mgN%;
(6)アラニン(Ala)が、好ましくは0.1〜10.0mgN%、より好ましくは0.5〜5.0mgN%、更に好ましくは1.0〜3.0mgN%;
(7)シスチン(Cys)が、好ましくは1.0〜10.0mgN%、より好ましくは2.0〜7.0mgN%、更に好ましくは3.0〜5.0mgN%;
(8)グリシン(Gly)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは0.5〜4.0mgN%、更に好ましくは1.0〜3.0mgN%;
(9)イソロイシン(Ile)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは0.5〜4.0mgN%、更に好ましくは1.0〜3.0mgN%;
(10)ロイシン(Leu)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは1.0〜4.0mgN%、更に好ましくは2.0〜4.0mgN%;
(11)メチオニン(Met)が、好ましくは0.1〜4.0mgN%、より好ましくは0.2〜3.0mgN%、更に好ましくは0.5〜2.0mgN%;
(12)フェニルアラニン(Phe)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは0.5〜4.0mgN%、更に好ましくは1.0〜3.0mgN%;
(13)プロリン(Pro)が、、好ましくは0.1〜4.0mgN%、より好ましくは0.2〜3.0mgN%、更に好ましくは0.5〜2.0mgN%;
(14)セリン(Ser)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは0.5〜4.0mgN%、更に好ましくは1.0〜3.0mgN%;
(15)トレオニン(Thr)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは1.0〜4.0mgN%、更に好ましくは2.0〜4.0mgN%;
(16)チロシン(Tyr)が、好ましくは0.1〜5.0mgN%、より好ましくは0.5〜4.0mgN%、更に好ましくは1.0〜3.0mgN%;そして
(17)バリン(Val)が、、好ましくは0.01〜2.0mgN%、より好ましくは0.05〜1.5mgN%、更に好ましくは0.1〜1.0mgN%である。
(3)必須多量要素等
本発明の発酵組成物は、肥料としての効果の観点から、好ましくは、腐植酸、N、P、K、Ca、Mg及びSからなる群から選ばれる1以上の化合物を含む。
(4)必須微量要素等
本発明の発酵組成物は、肥料として作物(好ましくは水稲)の生育・収量・品質を高め、環境ストレス耐性や連作障害・病害虫抵抗力も高める観点から、Fe、Zn、Cu、Mn、B、Cl、Mo、Ni及びSiからなる群から選ばれる1以上の化合物を含む。
《本発明2》
本発明2は、成分Aを含有する泥炭層の乾燥処理物(成分A含有原料)と、成分Bを含有する含水物(成分B含有原料)との混合物を発酵する工程を含む発酵組成物の製造方法である。
本発明2は、上述した本発明1の製造工程を備えることが好ましい。
具体的には、本発明2は、上述した、
成分A含有原料の調整工程(好適には泥炭層の採種工程、乾燥処理工程、分級工程を含む)、
成分B含有原料の調整工程(好適には食物残渣の回収工程、乾燥処理工程、水分調整工程を含む)、及び、
成分A,B及びCの混合物の調整工程(好適には、成分A含有原料、成分B含有原料及び必要に応じて成分Cの原料混合工程及び発酵工程を含む)を含む。
《本発明3》
本発明3は、本発明2の成分Aを含有する泥炭層の乾燥処理物(成分A含有原料)と、成分Bを含有する含水物(成分B含有原料)との混合物に空気を通過させる通気装置を備える発酵組成物の製造装置である。
本発明3は、本発明1及び2における通気発酵のための装置であり、好適には、本発明1で説明した発酵槽及び発酵槽に設置される吸引管を備える。
本発明3が備える発酵装置及び吸引管は、特許3400762号公報に開示された畜糞処理装置を転用することができる。
具体的には、本発明3は、以下の態様の装置であることが好ましい。
(装置態様1)
成分A含有原料と成分B含有原料とを撹拌混合して混合物を得る撹拌混合手段と、当該混合物を収容する発酵槽と、この発酵槽における混合物内へ敷設する多数の穿孔を有する吸気部材と、この吸気部材に接続させた吸引手段とを備える態様。
(装置態様2)
成分A含有原料と成分B含有原料とを撹拌混合して混合物を得る撹拌混合手段と、前記混合物を収容する発酵槽と、該発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動する走行体と、この走行体に載置した巻き取り手段に支持させて挿入手段により前記発酵槽における混合物内へ敷設する多数の穿孔を有する吸気部材と、この吸気部材に接続させた吸引手段と、前記発酵槽に設けた軌道に沿って進退自在に移動し前記発酵槽内の混合物を撹拌混合する切り返し手段とを備える態様。
(装置態様3)
装置態様1又は2において、吸気部材に接続させた吸引手段に脱臭槽を接続させた態様。
装置態様2の走行体は、好適には、発酵槽における壁の上部に設けた軌道に沿って、発酵槽の前端部から後端部までの間を進退自在にかつ任意に移動するもので、金属等により堅牢な枠体に形成して、その下部に走行輪を駆動軸および従動軸により取り付けて、前記軌道に係合してあるもので、この駆動軸油圧モータ等の駆動手段により駆動する。
装置態様2の走行体は、好適には、枠体に油圧モータ等の回転手段により正逆に回転されるドラム体を取り付けた、このドラム体へ巻き付けたワイヤー等の連係索の外端部を建物等の基部に固着しておき、回転手段の作動により牽引して、当該走行体3の走行を補助することができる。
装置態様1〜3における吸気部材は、好適には、上述したような管側面に吸引孔を設けた吸引管を敷設すればよく、特許3400762号公報の記載を考慮すれば、発酵槽の床は矩形で、巻取りリールから巻きだされた吸引チューブが吸引管として床の長さ方向に平行に一定間隔に並列に敷設されていることが好ましい。
吸引チューブは多数の穿孔を有する可撓性を有する、例えば、合成樹脂製の長尺な連続したパイプを用いることが好ましい。
装置態様2では、好適には、吸気部材は、走行体の枠体に載置した巻き取り手段へ支持させ、挿入手段により発酵槽における混合物内へ敷設して混合物内の空気を吸引する。
《本発明4》
本発明4は、本発明1の発酵組成物を添加した土壌で植物を栽培する植物の栽培方法である。
植物を栽培する上で、本発明4は堆肥として取り扱ってよい。
(1)土
本発明4では、土壌を構成する土は、天然土又は人工土を問わず、従来から農業用土として使用されてきたものが使用でき、例えば、天然土としては灰色低地土、黒ボク土、褐色森林土、黄色土、海成砂土等が挙げられ、本発明1を添加した際の育成・収穫性の観点から天然土だけでなく、田畑のように農作物の育成のために整備された土壌の土、例えば多孔質フィラー等を粒子状物の集合体である市販の人工土等を使用できる。
天然の土としては、本発明1を添加した際の育成・収穫性の観点から、好ましくは箱根火山灰土を、好ましくは0.5〜10mmメッシュ篩、より好ましくは1〜6mmメッシュ篩、更に好ましくは1.5〜3mmメッシュ篩(好適メッシュ篩の範囲は他の天然土でも同様)で分級して得た淡色黒ボク土が好ましい。
(2)土壌
本発明4では、好ましくは、農地、庭の敷地を直接耕した土、あるいは、予め十分に耕した土を充填した函体又は鉢に本発明1を添加して攪拌して土壌とする。
(3)植物
本発明4が適用される好適な食用植物としては、
種子植物では、
アサガオ、タンポポ、ツツジ、キク、ナス、ジャガイモ等の合弁花類;
アブラナ(例えばコマツナ)、サクラ、エンドウ、バラ等の離弁花類;
チューリップ、ユリ、ツユクサ、イネ、アヤメ、トウモロコシ、ムギ等の単子葉類;
マツ、スギ、イチョウ、ソテツ等の裸子植物が挙げられ、
胞子植物では
ゼンマイ、ワラビ、シノブ、スギナ、トクサシダ植物;
ゼニゴケ、スギゴケ、ヒカリゴケ、ミズゴケ等のコケ植物;
コンブ、ワカメ、ハネケイソウ、クロレラ、ミカヅキモ等のソウ類が挙げられる。
本発明4が適用される好適な食用植物としては、果菜類、豆類、葉茎菜類、根菜類及び山菜類からなる群から選択される1以上の植物が挙げられる。
本発明4が適用される好適な果菜類としては、キュウリ、メロン、スイカ、小玉スイカ、カボチャ、ズッキーニ、トマト、ミニトマト、ナス、ベイナス、シシトウ、ピーマン、パプリカ、オクラ、イチゴ及びスイートコーンからなる群から選択される1以上の果菜類が挙げられる。
本発明4が適用される好適な豆類としては、エダマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン及びソラマメからなる群から選択される1以上の豆類が挙げられる。
本発明4が適用される好適な葉茎菜類としては、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、カ、リフラワー、レタス、リーフレタス、ホウレンソウ、シュンギク、チンゲンサイ、コマツナ、ナバナ類、ミズナ、アスパラガス、ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニク、モロヘイヤ、食用ギク、ミョウガ、セリ及びミツバからなる群から選択される1以上の豆類が挙げられる。
本発明4が適用される好適な根菜類としては、ダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ナガイモ及びツクネイモからなる群から選択される1以上の根菜類が挙げられる。
本発明4が適用される好適な山菜類としては、山ウド、クサソテツ(コゴミ)、モミジガサ(シドケ)、ミヤマイラクサ(アイコ)、イヌドウナ(ホンナ)、フキ、ジュンサイ、タラノメ及びギョウジャニンニクからなる群から選択される1以上の山菜類が挙げられる。
(4)栽培
土壌に、植物の種を撒きそのまま播種栽培しても、一度、鉢の土壌で育苗して発芽したものを別の土壌に植え替えて定植栽培してもよい。
植物の種類に応じて、土壌、土壌容器、温度、潅水、施肥の補充、発芽の間引き、定植のタイミング等の育苗条件を管理する。
栽培の好適条件については、例えば、平成19年3月に秋田県農林水産部でまとめた「秋田県野菜栽培技術指針」(http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/aki3.html)を参考にすることができる。
《発酵等組成物》
〔実施例1〕
(1)原料
(1−1)成分A含有原料
(1-1-1)静岡県掛川市山崎町の水田土壌から表土を取り除いた泥炭層を掘削して層状のまま採取した。
(1-1-2)小ロット乾燥
(1-1-2-1)採取した泥炭層を採種現場近傍に静置して重力脱水し、発酵槽を備える工場の屋外敷地に静置して一次乾燥し、さらに重力脱水した。
(1-1-2-2)一次乾燥した泥炭層を、硬質プラスチックハウス(50m×6m)内の移動式粉砕攪拌装置内に、約10cmの厚さの層状に万遍なく広げて、5日間二次乾燥した。
(1-1-2)二次乾燥した泥炭層を集積して7mmアンダーのメッシュ篩で分級したものを成分A含有原料とした。
(1-1-2-4)成分A含有原料の含水率は20重量%であった。
なお、実施例における含水率は赤外線水分計FD−720(ケツト科学研究所)で測定した。
(1−2)成分B1含有原料(食物残渣)
食品加工会社(カネマサ社)から入手先した牛肉、豚肉、鶏肉、かつお、えび、こんぶ、しいたけ及び各種野菜からなる群から選ばれる3種以上が含まれる食物のダシ抽出残渣混合物を1週間ごとに8回に分けて入手した(含水率80重量%)。各回の成分B1含有原料を、それぞれ、成分B1含有原料n(n=1〜8)とする。
(1−3)成分B2含有原料(木葉質発酵物)
静岡県下の廃棄物業者から入手した、雑木の剪定枝・雑草の刈草を1年間野積みして自然発酵させた木葉質発酵物(含水率30重量%)。
(2)発酵条件
(2−1)原料混合工程
成分B1含有原料1を入手した後に、原料を以下の配合で
成分A含有原料(含水率30重量%)1kg、成分B1含有原料1(含水率80重量%)3kg(300質量部)、成分B2含有原料(含水率20重量%)2kgを、タイヤシャベル(TCM社製)で攪拌混合して原料混合物1を得た。
原料混合物1の組成を表1に示す。
Figure 2021063000
成分B1含有原料2〜8を入手した後に、成分B1含有原料1の場合と同様の(成分B1含有原料1を成分B1含有原料2〜8に置き換えた)条件で、原料混合物2〜8を得た。
(2−2)発酵工程
(2-2-1)製造直後の原料混合物1を本発明3の発酵槽(幅6m、長さ40m、深さ1m)内に、製造直後の原料混合物1を、深さ約1m、長さ2mで載置する。
発酵槽の床は、長さ方向の一方の端と、他方の端の高低差が8cmあり、tanθ=8/4000=0.002を満たす角度θで傾斜している。
(2-2-2)載置された原料混合物1中に、発酵槽の幅方向両端を50cm空けて、吸気チューブ6本を1m間隔で発酵槽の全長に対して埋設する。
吸気チューブ(DENKA社製)は外径60mm、内径50mmで、直径5mmの吸気孔が長さ方向に5mm毎に5個ずつ穿孔されている。
(2-2-3)発酵槽内で、加温して温度60〜70℃の下で、吸気チューブから発酵槽内の空気を吸引量2280m/時間で吸引して大気中に排出する。空気の吸引は7日間行った後、吸気チューブを原料混合物から取り除く。
(2-2-4)製造直後の原料混合物2を発酵槽内の原料混合物1に隣接して、深さ約1m、長さ2mで載置して、原料混合物1及び2をロータリー式撹拌機(6型−D1000)、岡田製作所社製)で攪拌混合する。
(2-2-5)攪拌混合物中に、発酵槽の幅方向両端を50cm空けて、吸気チューブ6本を1m間隔で発酵槽の全長に対して埋設する。
(2-2-6)発酵槽内で、加温して温度60〜70℃下で、吸気チューブから発酵槽内の空気を吸引量2280m/時間で吸引して大気中に排出する。空気の吸引は7日間行った後、吸気チューブを攪拌混合物から取り除く。
(2-2-7)製造直後の原料混合物iを、原料混合物1〜(i-1)の攪拌混合物に隣接して、
深さ約1m、長さ2mで載置して、原料混合物1〜(i-1)の攪拌混合物と原料混合物iをロータリー式撹拌機で攪拌混合する。
(2-2-8)攪拌混合物中に、発酵槽の幅方向両端を50cm空けて、吸気チューブ6本を1m間隔で発酵槽の全長に対して埋設する。
(2-2-9)発酵槽内で、加温して温度60〜70℃下で、吸気チューブから発酵槽内の空気を吸引量2280m/時間で吸引して大気中に排出する。空気の吸引は7日間行った後、吸気チューブを原料混合物から取り除く。
(2-2-10)上記工程(2-2-7)〜(2-2-9)をi=3、4、5、6、7及び8について繰り返して、本発明1の発酵組成物を得た。
(3)発酵組成物の物性・組成分析
測定項目の後の括弧内は
「2019年版:肥料等試験法(農林水産消費安全技術センター)」(以下「試験法1」)、
「1992年版:肥料分析法(農林水産省環境技術研究所)」(以下「試験法2」)、及び、
「1988年版:第二次改訂紹介肥料分析法(越野正義著)」(以下「試験法3」)の該当測定方法である。
(3−1)物性
(3-1-1)pH(試験法1:3.3a ガラス電極法)
(3-1-2)EC(電気伝導度)(試験法1:3.4a 電気伝導率計法による測定方法)
(3-1-3)CEC(陽イオン交換容量)(試験法3:6.8.1 カラム浸透法)
(3−2)組成
(3-2-1)水分(試験法1:3.1.a乾燥器による乾燥減量法)
(3-2-2)硫黄分全量(S)(試験法1:4.12.1.a 過マンガン酸カリウム法)
(3-2-3)鉄全量(Fe)(試験法2:5.17.2 原子吸光測光法)
(3-2-4)亜鉛全量(Zn)(試験法1:4.9.1.a フレーム原子吸光法)
(3-2-5)マンガン全量(Mn)(試験法2:4.7.3原子吸光法)
(3-2-6)モリブデン全量(Mo)(試験法2:5.27.2原子吸光法)
(3-2-7)く溶性ホウ素(B)(試験法1:4.8.1.b ICP発行分光分析法)
(3-2-8)塩素(Cl)(試験法1:6.2.b 硝酸銀法)
(3-2-9)可溶性ケイ酸(Si)(試験法1:4.4.1.a ふっ化カリウム法)
(3-2-10)窒素全量(N)(試験法1:4.1.1.a ケルダール法)
(3-2-11)りん酸全量(P)(試験法1:4.2.1.a バナドモリブデン酸アンモニウム法)
(3-2-12)加里全量(KO)(試験法1:4.3.1.a フレーム原子吸光法)
(3-2-13)石灰全量(CaO)(試験法1:4.5.1.a フレーム原子吸光法)
(3-2-14)苦土(MgO)(試験法1:4.6.1.a フレーム原子吸光法)
(3-2-15)腐植酸(酸不溶アルカリ可溶分)(試験法1:6.9.a 重量法)
(3−3)N無機化率
「肥料取締法に基づく告示の改正に伴う措置等について(通達)」(50農蚕第7007号(昭和50年11月6日付け)別紙1)に準拠した。但し、保温静置温度は25℃、経過分析は最長42日とした。
(3-3-1)供試土壌の理化学性
富士市大渕地内の富士火山灰系の淡色黒ボク土壌(未耕土)を供試した。火山灰系土壌のため、リン酸吸収係数が高いので、供試風乾細土に過リン酸石灰をPとして10mg/100g乾土になるように予め添加し、リン酸の吸収阻害を矯正した。P以外のN及びKOは添加していない。
Figure 2021063000
(3-3-2)試験区の調整方法
未耕土の表層を風乾し、2mmメッシュ篩を通した(風乾細土)を供試する。
200ml培養ビンに風乾細土を乾土として20gを加える。
これに、供試肥料を窒素換算10mgに相当する量を秤取り、最大容水量の60%相当の水を添加し、容器の口をアルミで覆った後、25℃保温室に入れ、所定の期間保温静置する。
この間、水分の蒸発があれば減少分を補給した。
水は精製水を用いた(水道水は塩素殺菌剤が入っているため使用しなかった)。
(3-3-3)保温静置条件
培養ビンを以下の条件で保温静置して培養した。
空調機を42日間、25℃、24時間連続運転保温した。
温度計を設置し、25℃に保たれていることを確認しながら試験した。
(3-3-4)途中の経過分析
0、14、28及び42日目に経過分析した。
なお、無肥料区及び無機肥料区の分析も実施した。
アンモニア性窒素及び硝酸性窒素・亜硝酸性窒素を分別定量し、アンモニア性窒素及び硝酸性窒素・亜硝酸性窒素の合計量を無機態窒素量とし、無肥料区の無機態窒素を差し引いて補正した。
毎回、下記式で培養物のデータである現物表示から水分を差し引いた乾物表示のデータに基づきN無機化率を算出した。
Figure 2021063000
なお、アンモニア性窒素及び硝酸性窒素・亜硝酸窒素は以下の条件で分析した。
<アンモニア性窒素>
培養後の培養ビンに、80mlの2M塩化カリウム液を加え、パラフィルムを挟んで中ふたをした状態で、30分間振盪した後静置し、乾燥ろ紙でろ過し、ろ液の適当量に重質酸化マグネシウム0.2gを加え蒸留法(ケルダール法)で定量した。
<硝酸性窒素・亜硝酸窒素>
上記の蒸留法(ケルダール法)で定量した蒸留残液にデバルダ合金0.2gを加え再度蒸留法(ケルダール法)で定量した、硝酸性・亜硝酸性窒素由来のアンモニア量を硝酸性・亜硝酸性窒素量に換算した。
本発明の発酵組成物を施用した供試土のN無機化率は、上記測定条件の下で、42日経過後に、好ましくは1〜20%、より好ましくは2〜15%、更に好ましくは3〜10%である。
<アミノ酸含有量>
「栄養診断のための栽培植物分析測定法」(作物分析法委員会編、養賢堂)における「アミノ酸自動分析法」に基づき、パリノ・サーヴェイ株式会社に測定を依頼。
結果を表8に示す。
(4)分析結果
Figure 2021063000
Figure 2021063000
Figure 2021063000
〔考察〕
表3及び図1によれば、発酵組成物の窒素全量Nが2.5%であるうち、25℃で、
6週間培養で発現する無機態窒素は僅か6.8%であり、
1ヶ月経過後においても10%以下と極めて少ない量である。
従って、化成肥料(同条件での培養で無機態窒素発現量はほぼ100%である)との比較で生育・収量等が化成肥料より優れる場合は、有機体窒素の吸収効果であると考えられる。
表4から示される結果から、本発明の発酵組成物は腐植酸を一般堆肥の6倍以上含み顕著な土づくり効果が期待できる他、必須多量要素のN、P、K、Ca、Mg及びSもバランスよく含み、有機質肥料としての効果も併せて期待できる。
また、必須微量要素のFe、Zn、Cu、Mn、B、Clや特殊成分として水稲に効果が高いSiも含み、微量要素等の補給もできる点に特徴があり、これを使用した肥料は生育・収量・品質を高め、健康・安全・安心・美味を約束できる他、環境ストレス耐性や連作障害・病害虫抵抗力も高めることが期待される。
植物が生きるエネルギーを得る光合成の場としての葉緑素は、N、Mg、Feが関わって形成される。N、Sはアミノ酸・タンパク質の合成、Pはアミノ酸を結合しペプチド・蛋白の合成や糖と糖を結合し多糖類・デンプン等を合成する。Kは光合成で得たブドウ糖の運び屋である。Ca、Bは細胞壁の強化を図っている。Zn、Cu、Mn、Clは光合成の場における電子伝達や触媒としての機能を果たす他、各種酵素の構成成分である。
〔比較例1〜3〕
(1)比較例1:窒素8重量%、リン酸8%、カリ8重量%の化学肥料(日東エフシー社製化学肥料8-8-8)を比較例1とした。
(2)比較例2:通気発酵する前の成分A含有原料の細粉を比較例2とした。
(2)比較例3:市販の有機肥料「バイオノ有機」(大成農材社製)
《栽培実施例(その1)》
〔栽培実施例1〜3〕(播種栽培)
(1)土壌調整
(1-1)鉢:中国製10号黒ビニールポット2鉢を3組使用した。
(1-2)土:静岡県田方郡函南町で採取した箱根火山灰土を2mmメッシュ篩で分級したものを淡色黒ボク土として使用した。
(1-3)土壌:各鉢に土500mlを充填し、実施例1の発酵組成物を、
窒素含有量が15kg/10aになるよう添加して均一に攪拌混合した土壌1の鉢を2つ、
窒素含有量が30kg/10aになるよう添加した均一に攪拌混合した土壌2の鉢を2つ、
窒素含有量が45kg/10aになるよう添加した均一に攪拌混合した土壌3の鉢を2つ作成し、
それぞれを土壌とした。。
(1-4)コマツナ:品種は照菜(トーホク社製「照彩小松菜」04881)
(2)栽培実施例1〜3
土壌1にコマツナを4粒播種した場合を栽培実施例1、
土壌2にコマツナを4粒播種した場合を栽培実施例2、
土壌2にコマツナを4粒播種した場合を栽培実施例3とし、
それぞれを、温度14℃、湿度39%の下で静置した。各土壌について、土壌表面の乾燥時に、定量カップで、水を20gを1回/日撒いた。
(3)発芽状況
播種してから7、9、12日後に発芽状況を調査した。
播種してから12日後に、各土壌について、発芽した4株を3株に間引いた。
(4)発芽率・生育・収量・品質
各土壌について、播種してから16日後に発芽率・生育・収量・品質を確認した。
〔栽培比較例1〜3〕(播種栽培)
栽培実施例1〜3において、実施例1の発酵組成物を、
比較例1の化学肥料に置き換えた場合の土壌1〜3をそれぞれ土壌1-1〜3とし、
比較例2の発酵組成物に置き換えた場合の土壌1〜3をそれぞれ土壌2-1〜3とし、
それぞれの土壌に、栽培実施例1〜3と同様にコマツナを播種し、
土壌1-1〜3に播種された場合を栽培比較例1-1〜3、
土壌2-1〜3に播種された場合を栽培比較例2-1〜3として、
栽培実施例1〜3と同様の測定及び観察を行った。
〔栽培実施例4〜5〕(定植栽培)
栽培実施例1及び2において、各土壌に、コマツナを播種するのに代えて、別途発芽したコマツナ1株を定植した条件による栽培を栽培実施例4及び5とした。
別途発芽したコマツナは、以下の条件で育成した。
(1)鉢:縦×横×高さ=280mm×280mm×35mmの49穴黒10Pビニールポット2鉢連結型(伸和社製)を1組使用した。各鉢の側面には、直径4mmの連通孔が縦に7穴、横に7穴設けてある。
(2)土:静岡県田方郡函南町で採取した箱根火山灰土を2mmメッシュ篩で分級したものを淡色黒ボク土として使用した。
(3)生育条件:各鉢に土500mlを充填し、コマツナ(照菜(トーホク社製「照彩小松菜」04881))を1粒/穴播種し、温度13℃、湿度31%の下で静置した。各土壌について、土壌表面乾燥時に、定量カップで水20gを1回/日、撒いた。播種してから11日後の発芽したコマツナを定植に使用した。
〔栽培比較例4〜5〕(定植栽培)
栽培実施例4及び5において、実施例1の発酵組成物を比較例1〜2の発酵等組成物に置き換えた以外は同じ条件での栽培を栽培比較例4及び5とした、
《播種栽培の結果》
〔栽培実施例1〜5〕
1.発芽率
各土壌における発芽率(播種8粒に対する発芽数の割合)を表4にまとめた。
Figure 2021063000
2.生育・収量
播種してから50日目に、各土壌について下記項目を測定した。
(1)サンプリング
各測定の直前に、各鉢の株を掘り起こして土を振るい落とした。
(2)地上部の草丈
3株/鉢の各株の最大葉長を測定し、最大葉長の3株の平均値をその鉢の株の「地上部の草丈」とした。
(3)地上部の株重
3株/鉢の各株の地上部から上を切断して重量を測定し、3株の平均値をその鉢の株の「地上部の株重」とした。
(4)地下部の根長
「地上部の株重」で切断して残った地下部の長さを測定し、3株の平均値をその鉢の株の「地下部の根長」とした。
(5)地下部の根重
「地上部の株重」で切断して残った地下部を水洗して水をティッシュペーパーで取り除き、地下部の重量を測定し、3株の平均値をその鉢の株の「地下部の根重」とした。
各土壌における地上部及び地下部の生育(草丈及び根重)・収量(根重)を表5にまとめた。
Figure 2021063000
〔定植栽培の結果〕
Figure 2021063000
表5〜7によれば、播種栽培及び定植栽培のどちらにおいても、肥料として、
本発明の発酵組成物を使用すると、化学肥料及び泥炭層乾燥泥炭を使用するよりも、
植物の発芽率が同等以上、生育(地上部の草丈・株重)・収量(地下部の根長・根重)が向上し、これらの施肥量増量効果が大きいことがわかった。
本発明の発酵組成物のN無機化率(無機態窒素の割合)が低いにもかかわらず、植物の生育が良好であることから、本発明の発酵組成物に含まれるアミノ酸レベルの単体分子又は重合分子における有機態窒素が、植物に吸収されて植物の生育を促していると思われる。
《栽培実施例(その2)》
〔栽培実施例6及び栽培比較例6〕
(1)水稲栽培
(1-1)栽培実施例6
静岡県内の圃場における水田A(10a)に実施例1の発酵組成物を施用して、市販米「きぬむすめ」を生育した。
(1-2)栽培比較例6
同圃場の水田B(10a)に比較例3の肥料を施用して、市販米「きぬむすめ」を生育した。
(2)水稲栽培工程
(2-1)3月:土壌調整工程(土壌に土壌改良剤を添加して土壌調整する)
(2-2)5月:元肥工程(実施例1及び比較例3の肥料を施肥する)
(2-3)5月:田植工程(米苗を田植する)
(2-4)7月:追肥工程(実施例1及び比較例3の肥料を追肥する)
(2-5)9月:収穫工程(育成された稲を刈り取る)
土壌改良剤、実施例1肥料及び比較例3肥料の添加条件を表9に示した。
Figure 2021063000
水田Aの土壌は、同圃場で水稲栽培を初めて実施し、
水田Bの土壌は、比較例3肥料を使用して少なくとも3年連作している。
施肥は、静岡県土壌肥料ハンドブック(https://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-325/hiryou/documents/sehi03hutu-sakumotsu.pdf)「I 普通作物(1)稚苗機械移植栽培(一般品種)」を参考にして以下の条件で行った。
元肥工程では、
水田Aでは、実施例1肥料を300kg(N量6.9kg)、
水田Aでは、比較例3肥料を70kg(N量4.9kg)を施肥した。
追肥工程では、
水田Aでは、実施例1肥料を105kg(N量2.4kg)、
水田Aでは、比較例3肥料を70kg(N量0.7kg)を施肥した。
(2)測定条件
(2-1)収穫工程時の生育状態
各水田の1坪から坪刈された53株の中庸な10株について、稈長、穂長、穂数、根重、根長を測定し、稈長、穂長、穂数は10株の平均値を算出した。
(2-1-1)稈長:1株の水稲の地際から穂首までの長さを測定した。
(2-1-2)穂長:1株の水稲の穂首から穂先(芒は含まない)までの長さを測定した。
(2-1-3)穂数:穂首から穂先(芒を含まない)間での長さを測定した。
(2-1-4)根量:坪刈した箇所の中庸な3株を採取して、水洗して泥土を除去し風乾した後の重量を測定した。
(2-1-5)根長:根量を測定した3株の最大根長を測定した。
(2-2)収量
収穫工程時の生育状態の対象となった1坪分の水稲を刈り取り(坪刈し)、各水田について53株分について、前重、藁重、籾重、粃米重、玄米重、精玄米重、千粒重、水分を測定し、53株の平均値を算出した。
(2-2-1)全重W:刈り取った水稲の風乾重量を測定した。
(2-2-2)粃米重WS:刈り取って風乾した水稲を脱穀して分離された籾中の粃米の重量を測定した。
(2-2-3)籾重W:刈り取って風乾した水稲を脱穀して分離された籾の重量からwSを刺しい引いた重量とした。
(2-2-3)藁重W:全量Wから粃米重WS及び籾重Wを除いた重量とした。
(2-2-4)玄米重:脱穀して分離された籾を籾摺機で籾摺りして得た玄米の重量を測定した。
(2-2-5)精玄米重:玄米を米選機で屑米を除外して得た精玄米の重量を測定した。
(2-2-6)千粒重:精玄米1000粒の重量を測定した。
(2-2-7)水分:精玄米の水分量を米水分計を使用して測定した。
(3)結果
(3-1)収穫工程時の生育状態
Figure 2021063000
実施例1肥料を施用した水田Aの水稲の方が、比較例3を施用した水田Bの水稲に比べて、地上部の稈長がやや短かく、穂長がやや長く、穂数が多区、根量・根長も大きいので、前倒伏性にも優れ、増収が期待される。
(3-2)収量
Figure 2021063000
実施例1肥料を施用した水田Aの水稲の方が、比較例3を施用した水田Bの水稲に比べて、粃米重が小さく、藁重、籾重、玄米重、精玄米重が大きく、収量が向上している。
《栽培実施例(その3)》
(1)栽培実施例7
(1-1)鉢:中国製10号黒ビニールポットを使用した。
(1-2)土:静岡県田方郡函南町で採取した箱根火山灰土を2mmメッシュ篩で分級したものを淡色黒ボク土として使用した。
(1-3)施肥と栽培:鉢に土500mlを充填し、実施例1の発酵組成物を、以下の要領で施肥した。
(1-3-1)伏せ込み:実施例1の発酵組成物を窒素含有量が18kg/10aになるよう添加して、均一に攪拌混合した土壌を作成し、土壌1にサトイモ(品種:石川早生(赤松種苗社)を土の中に埋め込む(図2参照)。
(1-3-2)追肥1回目:伏せ込み56日後に、実施例1の発酵組成物を窒素含有量が6kg/10aになるよう添加した。
(1-3-3)追肥2回目:追肥1回目から31日後に、実施例1の発酵組成物を窒素含有量が kg/10aになるよう添加した。
(1-5)育成条件
温度14℃、湿度39%の下で静置した。各土壌について、土壌表面の乾燥時に、定量カップで、水を20gを1回/日撒いた。
(2)栽培比較例7-1
栽培実施例7と同種の鉢に栽培実施例7と同じ土500mlを充填し、比較例1の肥料を使用して、栽培実施例7と同種のサトイモを伏せ込みして(図2参照)、栽培実施例7と同じ条件で施肥及び育成をした。
(3)栽培比較例7-2
栽培実施例7と同種の鉢に栽培実施例7と同じ土500mlを充填し、比較例2の発酵組成物を使用して、栽培実施例7と同種のサトイモを伏せ込みして(図2参照)、栽培実施例7と同じ条件で施肥及び育成をした。
(4)結果
本発明の栽培実施例7は、発芽状態(伏せ込み19日後(図3参照)、伏せ込み24日後(図4参照)、伏せ込み70日後(図5参照))がよく、そのまま収穫状態(伏せ込み70日後、図6参照)の優位に反映されている。
Figure 2021063000

Claims (6)

  1. 泥炭(成分A)と、糖質、繊維質、脂質、蛋白質、ビタミン及びミネラルからなる群から選ばれる3種以上の栄養素を含む食物(成分B)と、水(成分C)との混合物を発酵してなる発酵組成物。
  2. 前記成分Bが前記栄養素を含む食物残渣である請求項1記載の発酵組成物。
  3. 前記繊維質が木葉質自然発酵物を含む請求項1又は2記載の発酵組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の成分Aを含有する泥炭層の乾燥処理物(成分A含有原料)と、請求項1〜3のいずれか1項記載の成分Bを含有する含水物(成分B含有原料)との混合物を発酵する工程を含む請求項1〜3のいずれか1項記載の発酵組成物の製造方法。
  5. 請求項4記載の混合物に空気を通過させる通気装置を備える請求項1〜3のいずれか1項記載の発酵組成物の製造装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項記載の発酵組成物を添加した土壌で植物を栽培する植物の栽培方法。

JP2020067992A 2019-10-16 2020-04-05 発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法。 Active JP6942387B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019189115 2019-10-16
JP2019189115 2019-10-16

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021063000A true JP2021063000A (ja) 2021-04-22
JP6942387B2 JP6942387B2 (ja) 2021-09-29

Family

ID=75487630

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020067992A Active JP6942387B2 (ja) 2019-10-16 2020-04-05 発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法。

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6942387B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7394329B1 (ja) * 2023-02-13 2023-12-08 進一郎 糸井 水稲用肥料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7394329B1 (ja) * 2023-02-13 2023-12-08 進一郎 糸井 水稲用肥料
WO2024171868A1 (ja) * 2023-02-13 2024-08-22 進一郎 糸井 水稲用肥料

Also Published As

Publication number Publication date
JP6942387B2 (ja) 2021-09-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bubel et al. The new seed-starters handbook
CN102972209A (zh) 葡萄园内套种球盖菇的方法
CN102986451A (zh) 一种露天生料仿野生竹荪栽培技术
Proctor Grasp the Nettle: Making Biodynamic Farming & Gardening Work
CN104322311A (zh) 一种杂交水稻机插秧盘育秧基质
CN104557181A (zh) 一组软网状好氧发酵设备及其使用方法
JP6942387B2 (ja) 発酵組成物、発酵組成物の製造方法、発酵組成物の製造装置及び植物の栽培方法。
Markham Mini Farming: Self-Sufficiency on 1/4 Acre
Chadha Home Gardening: The Way Forward to Be Safe and Healthy
Ciju Bell peppers: growing practices and nutritional value
Ravisankar et al. Organic farming in India production issues and strategies
KR20010068178A (ko) 복합 미생물 배양체 제조방법 및 복합 미생물 배양체를이용한 비료 제조방법
CN100334940C (zh) 一种节水节肥抗旱营养复合材料
Edgar et al. Transparent, Black and organic mulches effect on weed suppression in green pepper (Capsicum annuum) in Western Kenya
CN111053011A (zh) 一种自然农法种植自然农法大豆的方法
Markham The Mini Farming Bible: The Complete Guide to Self-Sufficiency on ¼ Acre
Joshi et al. Streptomyces spp.(Actinomycetes): Novel Microbial Agent for Mites Control
WO2013136340A1 (en) A process of enhancing soil nutrition and its preservation
Kumar Vegetable Science & Technology
Ibiyeye et al. Effect of coconut coir and poultry manure on the growth and yield of Amaranthus hybridus L.
Wani et al. Vermicomposting
Kumar et al. Influence of different casing material on growth parameters and yield of white button mushroom (Agaricus bisporus (Longe. Imboch)
JP2004135531A (ja) 園芸培土
Gairola Biotica Research Today
MANISHA et al. GROWTH SUBSTRATES EFFICACY ON VARIOUS BIO COMPOUNDS AND YIELD OF OYSTER MUSHROOM (Pleurotus florida)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200409

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200529

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200612

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210510

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210610

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210702

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210730

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210819

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210901

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6942387

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150