JP2021047111A - レーダシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】送信機に構成される移相器の位相特性を極力精度良く推定できるようにしたレーダシステムを提供する。【解決手段】送信機3aは、自己診断時にPLL5により生成されるCW信号を移相する第1移相器7を備える。変換器22は、CW信号を所定の周波数の信号によりアップコンバートする。IF帯変換回路6は、送信機3aの出力をカプラ15を介して入力し送信機3aの出力と変換器22の出力とをIQミキシングしてダウンコンバートするIQミキサ24によりIF帯に変換する。FFT30は、IF帯に変換された信号の出力デジタルデータに基づいてIQミキサ24の出力に対応したピークインデックスを求める。位相算出部31は、IQミキサ24の出力に対応したピークインデックスの複素応答値を抽出することに応じて位相を算出する。【選択図】図1
Description
本発明は、レーダシステムに関する。
近年、衝突防止や自動運転などの技術が数多く提案されており、レーダ技術を使用し自装置から対象物までの距離、対象物との相対速度、対象物の存在角度(レーダ受信波の到来角度)など測定対象指標を測定する技術が注目されている。出願人は、これらの測定対象を測定する装置として、移動体用のミリ波帯レーダシステムを提案している。
レーダシステムには、複数の送信チャンネル分の送信機が設けられており、各々の送信機には移相器が備えられている。この移相器の位相値を調整してフェーズドアレイアンテナ方式によりレーダ指向性を調整できる。一般に、レーダ送信性能を良好に保つため移相器の性能を診断する(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1記載の技術では、ミリ波帯の移相器の位相値を推定するときに、送信機の出力信号をオンオフキーイング(OOK:On-Off Keying)変調して取得し、IQミキサにより中間周波数帯にダウンコンバートした後、デジタル回路を用いてA/D変換し位相器の位相値を算出している。しかし、非特許文献1記載の構成では、矩形信号を用いてダウンコンバートすることになるため、高調波成分を生じ、A/D変換に係るダイナミックレンジを悪化させてしまう。また非特許文献1記載の技術では、移相器の一定周期回転による中間周波数帯へのダウンコンバートを実施しているが、受信機の利得・位相推定に用いられているため用途が異なる。
非特許文献1記載の技術では、ミリ波帯の移相器の位相値を推定するときに、送信機の出力信号をオンオフキーイング(OOK:On-Off Keying)変調して取得し、IQミキサにより中間周波数帯にダウンコンバートした後、デジタル回路を用いてA/D変換し位相器の位相値を算出している。しかし、非特許文献1記載の構成では、矩形信号を用いてダウンコンバートすることになるため、高調波成分を生じ、A/D変換に係るダイナミックレンジを悪化させてしまう。また非特許文献1記載の技術では、移相器の一定周期回転による中間周波数帯へのダウンコンバートを実施しているが、受信機の利得・位相推定に用いられているため用途が異なる。
また、送信機の出力信号を保持したままIQミキサによりDCにダウンコンバートした後、デジタル回路を用いてA/D変換しIQ値を取得する構成もあるが、IQ信号で互いに異なるDCオフセットを生じる可能性があるため、これに伴う、A/D変換に係るダイナミックレンジの悪化、位相誤差を生じる虞がある。
Karthik Subburaj et.al., "Monitoring Architecture for a 76-81GHz Radar Front End", IEEE Radio Frequency Integrated Circuits Symposium (RFIC) , June.2018
本開示の目的は、送信機に構成される移相器の位相特性を極力精度良く推定できるようにしたレーダシステムを提供することにある。
請求項1記載の発明は、周波数変調信号に基づくレーダ波を対象物(T)に照射し前記対象物に反射した反射信号を用いて前記対象物に関する測定対象指標を測定するレーダシステム(1)を対象としている。送信機(3a)は、自己診断時にPLL(5)により生成されるCW信号(Continuous Wave signal)を移相する第1移相器(7)を備える。変換器(22)は、CW信号を所定の周波数の信号によりアップコンバートする。IF帯変換回路(6)は、送信機の出力をカプラを介して入力し送信機の出力と変換器の出力とをIQミキシングしてダウンコンバートするIQミキサ(24;324;424)によりIF帯に変換する。
A/D変換器(27i、27q)は、IQミキサの出力をそれぞれA/D変換する。FFT(30)は、A/D変換器の出力デジタルデータに基づいて前記IQミキサの出力に対応したピークインデックスを求める。位相算出部(31)は、IQミキサの出力に対応したピークインデックスの複素応答値を抽出することに応じて位相を算出する。推定部(32)は、位相算出部の位相算出結果に基づいて移相器の位相特性を推定する。
請求項2記載の発明は、周波数変調信号に基づくレーダ波を対象物(T)に照射し対象物に反射した反射信号を用いて対象物に関する測定対象指標を測定するレーダシステム(201;301;401;601;701;801)を対象としている。送信機(3a)は、自己診断時にPLL(5)により生成されるCW信号を移相する第1移相器(7)を備える。第2移相器(222)は、CW信号を所定ステップ毎に移相させる。IF帯変換回路(6)は、送信機の出力と第2移相器の出力とをIQミキシングしてダウンコンバートするIQミキサ(24;324;424)によりIF帯に変換する。
A/D変換器(27i、27q)は、IQミキサの出力をそれぞれAD変換する。FFT(30)は、A/D変換器の出力デジタルデータに基づいてIQミキサの出力に対応したピークインデックスを求める。位相算出部(231)は、IQミキサの出力に対応したFFTによるピークインデックスの所定ステップ毎の複素応答値を抽出することに応じて、所定ステップ毎に変化する位相を算出する。推定部(32)は、位相算出部の位相算出結果に基づいて移相器の位相特性を推定する。請求項1、2記載の発明によれば、送信機に構成される移相器の位相特性を極力精度良く推定できる。
以下、幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する各実施形態において、同一又は類似の動作を行う構成については、同一又は類似の符号を付して必要に応じて説明を省略する。
(第1実施形態)
図2に例示されるレーダシステム1は、例えばFCM(Fast Charp Modulation)変調方式により周波数変調された周波数変調信号に基づくレーダ波を対象物Tに照射し、当該対象物Tに反射した反射波を受信した反射信号を用いて対象物Tに関する測定対象指標を測定するシステムである。測定対象指標は、レーダシステム1から対象物Tまでの距離、対象物Tの移動速度、対象物Tが存在する方位角などである。FCM変調方式は、周波数を所定の初期周波数から最終周波数まで漸増又は漸減させた後に瞬時に初期周波数に戻すように変化させ、この周期毎にレスト期間を挟んで周波数変化を繰り返す方式である。
図2に例示されるレーダシステム1は、例えばFCM(Fast Charp Modulation)変調方式により周波数変調された周波数変調信号に基づくレーダ波を対象物Tに照射し、当該対象物Tに反射した反射波を受信した反射信号を用いて対象物Tに関する測定対象指標を測定するシステムである。測定対象指標は、レーダシステム1から対象物Tまでの距離、対象物Tの移動速度、対象物Tが存在する方位角などである。FCM変調方式は、周波数を所定の初期周波数から最終周波数まで漸増又は漸減させた後に瞬時に初期周波数に戻すように変化させ、この周期毎にレスト期間を挟んで周波数変化を繰り返す方式である。
レーダシステム1は、制御器2、送信部3、受信部4、PLL5、IF帯変換回路6及び基準信号生成回路Cを備える。送信部3は、1又は複数の送信チャンネル分の送信機3aにより構成され、受信部4は、1又は複数の受信チャンネル分の受信機4aにより構成されている。
制御器2は、各送信機3aの利得の可変制御、PLL5の出力周波数制御、第1移相器7(後述参照)の位相値φを制御する移相調整部として各種制御機能を備える。PLL5は、基準信号生成回路Cにより生成される基準クロックを入力し、制御器2の制御指令に基づいて基準クロックの逓倍数等のパラメータを調整することで出力周波数を調整する。PLL5は、数十GHz帯の周波数において所定の周波数帯域内で漸増又は漸減する所定の周波数変調方式により周波数変調した信号を生成し、各送信機3aに出力する。
各送信機3aは、第1移相器7、周波数ダブラ8、及びパワーアンプ9を縦続接続して構成されている。第1移相器7は、制御器2から入力される制御信号に基づいて、PLL5が出力する第1のローカル信号LO1の位相を調整し、周波数ダブラ8に出力する。周波数ダブラ8は、第1移相器7の出力の周波数を2倍してパワーアンプ9に出力する。パワーアンプ9は、周波数ダブラ8の出力を電力増幅し、送信アンテナ10に出力することでレーダ波を対象物Tに照射する。送信アンテナ10は、所定の配列に整列されており、各送信チャンネルの第1移相器7の位相値φを調整することでフェーズドアレイアンテナ方式によりレーダ波の送信エリアを変更可能になっている。
各受信機4aは、対象物Tに反射したレーダ波を受信アンテナ14により受信する。受信機4aの受信アンテナ14もまた所定の配列に整列されており、フェーズドアレイアンテナ方式によりレーダ波の受信走査エリアを切替可能になっている。各受信機4aは、高周波増幅器11、ダウンコンバータ12、周波数ダブラ12a及び中間周波数増幅器13を備える。各受信機4aは、受信アンテナ14を通じて受信した信号を、高周波増幅器11、ダウンコンバータ12、及び中間周波数増幅器13を介して中間周波数信号IFOUTとして出力する。
高周波増幅器11は、受信アンテナ14から受信した信号を増幅しダウンコンバータ12に出力する。周波数ダブラ12aは、PLL5による出力信号の周波数を2倍し、ダウンコンバータ12に出力する。ダウンコンバータ12は、PLL5の出力により高周波増幅器11の出力をダウンコンバートし中間周波数増幅器13に出力する。
中間周波数増幅器13は、制御器2により増幅度を変更可能に構成されており、ダウンコンバータ12の出力を増幅して中間周波数信号IFOUTとして出力する。
これによりレーダシステム1は、中間周波数増幅器13から出力された中間周波数信号IFOUTを信号処理することに基づいて、対象物Tとの間の距離や相対速度、対象物Tが存在する方位角などの測定対象指標を算出できる。
各送信機3aの送信出力端にはカプラ15が構成されている。カプラ15は、各送信機3aの送信信号の伝送線路に容量結合することで構成され、送信機3aの送信信号をカップリングし、IF帯変換回路6に信号出力する。
図1に例示しているように、レーダシステム1は、送信部3の自己診断機能を達成するため、分周器21、変換器22、IF帯変換回路6、A/D変換器27i、27q、及び、信号処理部28を備える。
IF帯変換回路6は、周波数ダブラ23、及びIQミキサ24を備える。分周器21は、基準信号生成回路Cの基準クロックを入力し所定の第1分周数により分周して変換器22に出力する。このとき、変換器22に入力される信号の周波数をアップコンバート周波数と称する。アップコンバート周波数は、A/D変換器27i、27qのナイキスト周波数以下の周波数に設定されている。また分周器21は、基準信号生成回路Cの基準クロックを入力し、所定の第2分周数により分周してA/D変換器27i、27qに出力する。分周器21は、前記したアップコンバート周波数に対して2倍以上の条件を満たすサンプリング周波数の信号をA/D変換器27i、27qに出力する。
変換器22は、PLL5が送信機3aに出力する信号を入力すると共に、分周器21の出力を入力、混合して周波数ダブラ23に出力する。周波数ダブラ23は、変換器22の出力周波数を2倍してIQミキサ24に出力する。IQミキサ24は、ダウンコンバータ25i、25qと90度移相器26とを組合わせて構成される。
90度移相器26は、周波数ダブラ23の出力を90度移相してダウンコンバータ25qに入力させる。ダウンコンバータ25iは、カプラ15のカップリング信号を周波数ダブラ23の出力によりダウンコンバートし、自己診断信号BISToutのI信号として出力する。同様に、ダウンコンバータ25qは、カプラ15のカップリング信号を90度移相器26の出力によりダウンコンバートし、IF帯信号IFのQ信号として出力する。これにより、IF帯変換回路6は、送信機3aの出力と変換器22の出力とをIQミキサ24によりIQミキシングしてダウンコンバートしてIF帯信号IFに変換している。IF帯信号IFのI信号、Q信号は、それぞれA/D変換器27i、27qに入力される。
A/D変換器27i、27qは、IF帯信号IFのI信号、Q信号を分周器21の信号出力タイミングでサンプリングしてデジタルデータに変換し、信号処理部28に出力する。
信号処理部28は、A/D変換器27i、27qの出力デジタルデータを記憶する記憶部29、記憶部29の記憶データをFFTするFFT30、FFT30の処理結果に基づいて位相を算出する位相算出部31、及び、第1移相器7の移相特性を推定する推定部32、としての機能を備える。レーダシステム1は、信号処理部28の処理結果に基づいて第1移相器7の位相値φの精度を診断できる。なお、信号処理部28の構成は、制御器2と一体に設けても良いし別体に設けても良く、さらにA/D変換器27i、27qを一体に設けても良い。
FFT30は、A/D変換器27i、27qの出力デジタルデータに基づいてIQミキサ24の出力に対応したピークインデックスを求める。位相算出部31は、IQミキサ24の出力に対応したFFT30により求められたピークインデックスの複素応答値を抽出することに応じて位相を算出する。推定部32は、位相算出部31の位相算出結果に基づいて第1移相器7の移相特性を推定する。
自己診断時における動作を説明する。
レーダシステム1は、送信機3aの第1移相器7の位相特性を自己診断する際に、まず制御器2が、第1移相器7の位相値φを対象測定値に設定した状態にて、PLL5から例えば単一周波数のCW信号(Continuous Wave signal:無変調信号)を出力させる。このとき、PLL5の出力CW信号は、変換器22と送信機3aとに入力される。送信機3aは、入力したCW信号を第1移相器7により移相させ、周波数ダブラ8により周波数を2倍しパワーアンプ9により電力増幅させる。送信機3aの送信出力は、カプラ15を介してIF帯変換回路6に入力される。
レーダシステム1は、送信機3aの第1移相器7の位相特性を自己診断する際に、まず制御器2が、第1移相器7の位相値φを対象測定値に設定した状態にて、PLL5から例えば単一周波数のCW信号(Continuous Wave signal:無変調信号)を出力させる。このとき、PLL5の出力CW信号は、変換器22と送信機3aとに入力される。送信機3aは、入力したCW信号を第1移相器7により移相させ、周波数ダブラ8により周波数を2倍しパワーアンプ9により電力増幅させる。送信機3aの送信出力は、カプラ15を介してIF帯変換回路6に入力される。
他方、変換器22は、PLL5の出力CW信号を分周器21から入力するアップコンバート周波数の信号によりアップコンバートし周波数ダブラ23に出力する。周波数ダブラ23は、入力信号を2倍しIQミキサ24に出力する。IF帯変換回路6は、送信機3aの出力と変換器22の出力とをIQミキサ24によりIQミキシングしてダウンコンバートしてIF帯信号IFに変換する。A/D変換器27i、27qはデジタルデータに変換して記憶部29に記憶させる。FFT30が、当該FFT処理により得られるスペクトルのピークインデックスを求める。
前述した変換器22は、PLL5の出力CW信号に対し分周器21によるアップコンバート周波数の信号をアップコンバートしているため、IQミキサ24が出力CW信号によりダウンコンバートすることで、前述したアップコンバート周波数と同一周波数の信号を最終的に抽出できる。したがって、記憶部29にはアップコンバート周波数と同一周波数のI信号及びQ信号の情報が記憶され、この記憶情報にはI信号及びQ信号のそれぞれの位相情報が含まれることになる。
特に、制御器2が分周器21の分周比を適切に設定した後に一連の自己診断動作を行い、その後、位相算出部31がFFT30のピークインデックスの複素応答値を抽出することで位相値φを適切に算出できる。位相算出部31は、I信号及びQ信号に対応したFFT30のピークインデックスの複素応答値を抽出することで位相を適切に算出できるため、推定部32は、この位相算出部31により算出された位相算出結果に基づいて第1移相器7の位相特性を推定できる。
信号処理部28は、第1移相器7の位相値φの推定結果を参照し、この推定値が当初に第1移相器7に設定した位相値φからの誤差が所定値より大きいときには校正処理を実施すると良い。これにより、レーダシステム1は、対象物Tが存在する方位角を極力正確に推定できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、変換器22が、PLL5により生成されるCW信号を分周器21の出力によりアップコンバートし、IF帯変換回路6は、送信機3aの出力をカプラ15を介して入力しIQミキサ24によりIF帯に変換している。またFFT30は、A/D変換器27i、27qによりA/D変換した出力デジタルデータに基づいてIQミキサ24の出力に対応したピークインデックスを求めている。位相算出部31はピークインデックスの複素応答値を抽出することに応じて位相を算出し、推定部32は位相算出結果に基づいて第1移相器7の位相特性を推定している。このため、送信機3aに構成される第1移相器7の位相特性を極力精度良く推定できる。
(第2実施形態)
図3に例示するレーダシステム201には、レーダシステム1の変換器22に代えて第2移相器222が構成されると共に、位相算出部31に代えて位相算出部231が構成されている。レーダシステム201のその他の構成は、第1実施形態で説明したレーダシステム1の構成と同様であるため、同一機能を備える部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
図3に例示するレーダシステム201には、レーダシステム1の変換器22に代えて第2移相器222が構成されると共に、位相算出部31に代えて位相算出部231が構成されている。レーダシステム201のその他の構成は、第1実施形態で説明したレーダシステム1の構成と同様であるため、同一機能を備える部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
なお、図3には要部を図示しており、第1実施形態中で説明した図2に記載し図1に記載していない相当部分は図示省略していることに留意する。図3に示す制御器2は、第2移相器222の位相角φsを所定ステップ(例えば90度ステップ)で変更制御可能になっている。以下の例では、90度ステップで変更する動作例を示す。
図4に自己診断時の動作を例示したように、制御器2は、S1において測定対象となる第1移相器7(DUT)の位相値φを所定の位相値φ1(初期値:例えば0度)に設定し、S2においてPLL5にCW信号(無変調信号)を生成出力させる。
また制御器2は、S3において第2移相器222の位相角φsを例えば0度に設定する。すると、PLL5の出力CW信号は、第2移相器222と送信機3aとに入力される。送信機3aは、入力したCW信号を第1移相器7により移相させると共に、周波数ダブラ8により周波数を2倍し、パワーアンプ9により電力増幅する。送信機3aの送信出力はカプラ15を介してIF帯変換回路6に入力される。
他方、第2移相器222は、PLL5の出力CW信号を分周器21から入力した信号を位相角φsだけ移相し、周波数ダブラ23に出力する。周波数ダブラ23は、入力信号を2倍しIQミキサ24に出力する。IF帯変換回路6は、送信機3aの出力と第2移相器222の出力とをIQミキサ24によりIQミキシングすることでダウンコンバートしてIF帯信号IFに変換する。A/D変換器27i、27qはIF帯信号IFのI信号、Q信号をデジタルデータに変換して記憶部29に記憶させる。
制御器2は、S4、S5において第2移相器222の位相角φsを90度ずつ変更しながら360度に達するまで前述の処理を実行する。これにより、信号処理部28は、第2移相器222の位相角φsを0度、90度、180度、270度にそれぞれ設定した場合に対応したIF帯信号IFのI信号及びQ信号を記憶部29に記憶させる。
その後、信号処理部28は、S6においてFFT30によりFFT処理を実行することでスペクトルのピークインデックスを求める。位相算出部231は、S7においてこれらのI信号及びQ信号に対応したFFT30のピークインデックスの所定ステップ毎の複素応答値を抽出することで位相を算出する。
図5に示すように、制御器2は、第1移相器7の位相値φが0度に固定されている期間中に、第2移相器222の位相角φsを0度、90度、180度、270度に順次変更する。このとき、信号処理部28がFFT30により4ポイントFFTを実行することで、原理的には出力が「4」と得られる。ここで制御器2は、第1移相器7の位相値φを0度に設定しているため「4」と出力される。なお図示はしていないが、例えば、第1移相器7の位相値φが90度、180度、270度に設定されていれば、それぞれ「4i」、「−4」、「−4i」と出力が原理的に得られる。
この(1)式において、Δθ1、Δθ2、Δθ3、Δθ4は、それぞれ第2移相器222の位相角φsを0度、90度、180度、270度に設定した場合の第2移相器222の位相誤差を示している。位相算出部231は、S8において求められるピークインデックスの複素応答値YFFT1に応じて、位相角φs(所定ステップ:例えば90度)毎に変化する位相値φ1_estを算出し、算出された位相値φ1_estをS9において記憶部29に保存する。
同様に、制御器2は、図6に示すS11において測定対象となる第1移相器7(DUT)の位相値φを所定の位相値φ2(例えば90度)に設定し、S12においてPLL5にCW信号(無変調信号)を生成出力させる。
また制御器2は、S13〜S15において、第2移相器222の位相角φsを所定ステップ(例えば、90度)毎に変更しながら、位相角φsが360度に達するまでS13〜S15の処理を繰り返す。これにより、信号処理部28は、第2移相器222の位相角φsを0度、90度、180度、270度に設定した場合に対応したIF帯信号IFのI信号及びQ信号を記憶部29に記憶させる。
その後、信号処理部28は、S16においてFFT30によりFFT処理を実行することでスペクトルのピークインデックスを求める。位相算出部31は、S17においてこれらのI信号及びQ信号に対応したFFT30のピークインデックスの所定ステップ毎の複素応答値を抽出することで位相を算出する。
第1移相器7の位相値φがφ2に設定されている場合、ピークインデックスの複素応答値YFFT2は(2)式に示すように表される。
第1移相器7の位相値φがφ2に設定されている場合、ピークインデックスの複素応答値YFFT2は(2)式に示すように表される。
この(2)式においても、Δθ1、Δθ2、Δθ3、Δθ4は、それぞれ第2移相器222の位相角φsを0度、90度、180度、270度に設定した場合の第2移相器222の位相誤差を示している。
位相算出部231は、S17において求められるピークインデックスの複素応答値YFFT1に応じて、S18において位相角φs(所定ステップ:例えば90度)毎に変化する位相値φ2_estを算出し、算出された位相値φ2_estをS19において記憶部29に保存させる。
位相算出部31は、2つのFFT30の複素応答値に応じて求められた位相値の差Δφ=φ2_est−φ1_estを算出する。理論上、位相算出部31は、前述の(2)式の右辺によって(1)式の右辺を除算することで、位相値の差Δφに基づくピークインデックスの複素応答値を求めることができる。下記の(3)式に、位相算出部31が算出した複素応答値YRELを示している。
位相算出部231は、位相値の差Δφに基づく複素応答値YRELを求めることに基づいて位相値の差Δφを算出できる。この(3)式の右辺を参照すると、Δθ1、Δθ2、Δθ3、Δθ4を含む項が抹消されている。すなわち、位相算出部231は、第1移相器7の位相値φを2つの異なる位相値φ1、φ2に設定して算出される2つの相対位相Δφを算出することに基づいて、第2移相器222による位相角φsの位相誤差Δφsの影響を相殺できる。これにより、たとえ、第2移相器222の位相設定値に対して位相誤差Δφsを生じていたとしても、この影響を受けることなく位相値φ1、φ2の相対位相Δφを算出できる。推定部32は、この位相算出部231により算出された位相算出結果に基づいて第1移相器7の位相特性を推定できる。
信号処理部28は、第1移相器7の相対位相Δφの結果を参照し、S21においてこの相対位相Δφの推定値が誤差標準値Target(例えば0度)から所定範囲±res/2の範囲に収まっているときには終了する。レーダシステム201は、S22において第1移相器7の位相値φを全て設定終了していないときには、S23において第1移相器7の位相値φの設定を変更、すなわち設定コードをインクリメントした上で再度S11から処理を繰り返す。レーダシステム201が、一連の処理を繰り返すことで、第1移相器7の位相値φの設定を全て試行すると終了する。これにより、レーダシステム201の推定部32は、送信機3aの第1移相器7の位相特性を推定できる。
本実施形態によれば、第2移相器222が、PLL5により生成されるCW信号を所定ステップ毎に移相し、IF帯変換回路6は、送信機3aの出力をカプラ15を介して入力しIQミキサ24によりIF帯に変換している。またFFT30は、A/D変換器27i、27qによりA/D変換した出力デジタルデータに基づいて、IQミキサ24の出力に対応したピークインデックスを求めている。位相算出部31は、ピークインデックスの所定ステップ毎の複素応答値を抽出することに応じて、所定ステップ毎に変化する位相を算出し、推定部32は位相算出結果に基づいて第1移相器7の位相特性を推定している。このため、送信機3aに構成される第1移相器7の位相特性を極力精度良く推定できる。
また位相算出部231は、第1移相器7の位相値φを2つの異なる位相値φ1、φ2に設定して算出される相対位相Δφを算出することに基づいて第2移相器222による位相角φsの位相誤差Δφsの影響を相殺しているため、第2移相器222の位相誤差Δφsの影響を排除できる。
(第3実施形態)
図7は第3実施形態に係るレーダシステム301の構成例を示す。第3実施形態が第2実施形態と異なるところはIQミキサ24に代えて設けられるIQミキサ324の構成にある。その他の構成は、第2実施形態と同一構成であるため同一符号を付して説明を省略する。
図7は第3実施形態に係るレーダシステム301の構成例を示す。第3実施形態が第2実施形態と異なるところはIQミキサ24に代えて設けられるIQミキサ324の構成にある。その他の構成は、第2実施形態と同一構成であるため同一符号を付して説明を省略する。
IQミキサ324は、ダウンコンバータ25i、25qと移相器326とを組合わせて構成される。移相器326は、その設定位相値を制御器2の制御信号に基づいて変更設定可能に構成されている。
例えば、移相器326は、線路の両端に並列にスイッチを接続し、制御器2が当該スイッチを開放/短絡することで伝送線路の位相を調整するパッシブタイプの移相器を一例として挙げることができる。
また移相器326は、線路の終端にバラクタ容量を接続し、制御器2がバラクタに印加する電圧を調整することで移相値を調整するパッシブタイプの移相器も一例として挙げることができる。
さらに移相器326は、I信号、Q信号のそれぞれ又は何れか一方の出力を可変増幅する可変増幅器(VGA)を設け、制御器2が可変増幅器の増幅度を調整することでIQベクトルの合成比率を調整して位相を調整するアクティブタイプの移相器も一例として挙げることができる。これにより、移相器326は、その設定位相値をパッシブ又はアクティブに変更できるようになり、IQミキサ324のI信号及びQ信号の間の相対位相誤差を極力排除できる。
(第4実施形態)
図8は第4実施形態に係るレーダシステム401の構成例を示す。第4実施形態が第2実施形態と異なるところは、IQミキサ24に代えて設けられるIQミキサ424の構成にある。その他の構成は、第2実施形態と同一構成であるため同一符号を付して説明を省略する。
図8は第4実施形態に係るレーダシステム401の構成例を示す。第4実施形態が第2実施形態と異なるところは、IQミキサ24に代えて設けられるIQミキサ424の構成にある。その他の構成は、第2実施形態と同一構成であるため同一符号を付して説明を省略する。
IQミキサ424は、ダウンコンバータ25i、25qとハイブリッドカプラ426とを組合わせて構成される。ハイブリッドカプラ426は、周波数ダブラ23と、ダウンコンバータ25i及び25qとの間に構成される。
ハイブリッドカプラ426は、周波数ダブラ23から信号入力すると互いに90°位相を変化させた信号を、ダウンコンバータ25i及び25qに出力する。このため、ダウンコンバータ25i及び25qも互いに90°位相が変化した信号を出力するようになり、前述実施形態と同様に作用する。これにより、本実施形態においても前述実施形態と同様の作用効果を奏する。
(第5実施形態)
図9は第5実施形態に係るレーダシステム501の構成例を示す。第5実施形態が第1実施形態と異なるところは、IQミキサ24の構成を受信機504aの一部として構成したところにある。受信機504aは、第1実施形態で説明したレーダシステム1を構成する1つの受信機4aに対応して設けられる。その他の要部の構成は、第1実施形態と同一構成であるため同一符号を付して必要に応じて説明を省略する。
図9は第5実施形態に係るレーダシステム501の構成例を示す。第5実施形態が第1実施形態と異なるところは、IQミキサ24の構成を受信機504aの一部として構成したところにある。受信機504aは、第1実施形態で説明したレーダシステム1を構成する1つの受信機4aに対応して設けられる。その他の要部の構成は、第1実施形態と同一構成であるため同一符号を付して必要に応じて説明を省略する。
レーダシステム501の受信機504aは、高周波増幅器11、IF帯変換回路6により構成される。また、カプラ15と高周波増幅器11の入力との間には、可変増幅器42が構成されている。可変増幅器42は、制御器2により増幅動作の有効/無効を切替可能に構成されており、通常時には、制御器2は可変増幅器42のゲインを0とすることで送信アンテナ10と受信アンテナ14との間のアイソレーションを図る。また自己診断時において、制御器2は可変増幅器42のゲインを上げることでカプラ15から送信出力を取得し、送信機3aの第1移相器7の自己診断を行うことができる。
またレーダシステム501には、セレクタ41が設けられている。セレクタ41は、通常時と自己診断時においてIF帯変換回路6に入力させる信号を切替えるために設けられている。制御器2がセレクタ41に制御信号を出力することで、セレクタ41は、変換器22の出力とPLL5の出力とを切替可能に構成される。通常時には、制御器2はセレクタ41を制御することでPLL5の出力をIF帯変換回路6の周波数ダブラ23に入力させ、自己診断時にはセレクタ41を制御することで変換器22の出力をIF帯変換回路6の周波数ダブラ23に入力させる。
上記構成の動作を説明する。通常時、制御器2は、可変増幅器42の増幅動作を無効に切り替えた上で、PLL5から周波数変調信号を出力させる。すると、送信機3aは送信アンテナ10を通じて対象物Tにレーダ波を出力する。このレーダ波は、対象物Tに反射し受信アンテナ14に入力される。受信機504aは、高周波増幅器11により受信アンテナ14の受信信号を増幅する。また受信機504aは、PLL5の出力を周波数ダブラ23に入力すると、受信変換部としてのダウンコンバータ25i、25qによりダウンコンバートしてIF帯信号IFとする。
A/D変換器27i、27qが、IF帯信号IFをA/D変換処理してデジタルデータとし、信号処理部28がこのデジタルデータを信号処理することに基づいて対象物Tとの間の距離や相対速度、対象物Tが存在する方位角等の測定対象指標を算出できる。なお、受信機504が受信する信号の通電経路途中に、必要に応じて可変増幅器を設けて信号を増幅しても良い。
自己診断時には、制御器2は、可変増幅器42の増幅動作を有効に切り替えた上で、セレクタ41を制御することで変換器22の出力を周波数ダブラ23に入力させるように切り替える。そして、制御器2はPLL5からCW信号を出力させる。すると、第1実施形態の自己診断処理と同様に作用することになり、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態によれば、ダウンコンバータ25i、25qは、受信機4aのダウンコンバータ12に代えて受信機504aの受信変換部として構成される。このため、IF帯変換回路6は、その少なくとも一部が受信機504aの受信変換部として兼用されている。言い換えれば、レーダシステム501は、自己診断時に用いるIF帯変換回路6の一部を、通常時に受信機504aとして用いている。これにより、回路構成規模を縮小できる。その他、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
(第6実施形態)
図10は第6実施形態に係るレーダシステム601の構成例を示す。第6実施形態が第2実施形態と異なるところは、IQミキサ24の構成を受信機604aの一部として構成したところにある。受信機604aは、第1実施形態で説明したレーダシステム1を構成する1つの受信機4aに対応して設けられる。その他の要部の構成は、第2実施形態と同一構成であるため同一符号を付して必要に応じて説明を省略する。
図10は第6実施形態に係るレーダシステム601の構成例を示す。第6実施形態が第2実施形態と異なるところは、IQミキサ24の構成を受信機604aの一部として構成したところにある。受信機604aは、第1実施形態で説明したレーダシステム1を構成する1つの受信機4aに対応して設けられる。その他の要部の構成は、第2実施形態と同一構成であるため同一符号を付して必要に応じて説明を省略する。
レーダシステム601の受信機604aは、高周波増幅器11、IF帯変換回路6により構成される。また、カプラ15と高周波増幅器11の入力との間には、可変増幅器42が構成されている。可変増幅器42は、制御器2により増幅動作の有効/無効を切替可能に構成されており、通常時には、制御器2は可変増幅器42のゲインを0とすることで送信アンテナ10と受信アンテナ14との間のアイソレーションを図ることができる。また自己診断時には、制御器2は可変増幅器42のゲインを上げることでカプラ15から送信出力を取得し、送信機3aの第1移相器7の自己診断を行うことができる。
上記構成の動作を説明する。通常時、制御器2は、可変増幅器42の増幅動作を無効に切り替えると共に、第2移相器222の位相角φsを0度に設定した上で、PLL5から周波数変調信号を出力させる。すると、送信機3aは送信アンテナ10を通じて対象物Tにレーダ波を出力する。このレーダ波は、対象物Tに反射し受信アンテナ14に入力される。受信機604aは、高周波増幅器11により受信アンテナ14の受信信号を増幅する。また受信機604aは、PLL5の出力を周波数ダブラ23に入力すると、受信変換部としてのダウンコンバータ25i、25qによりダウンコンバートしてIF帯信号IFとする。
A/D変換器27i、27qがIF帯信号IFをA/D変換処理してデジタルデータとし、信号処理部28がこのデジタルデータを信号処理することに基づいて対象物Tとの間の距離や相対速度、対象物Tが存在する方位角等の測定対象指標を算出できる。なお、受信機604aが受信する信号の通電経路途中に、必要に応じて可変増幅器を設けて信号を増幅しても良い。
自己診断時には、制御器2は、可変増幅器42の増幅動作を有効に切り替える。そして制御器2は、PLL5からCW信号を出力させる。レーダシステム601は、第2実施形態にて説明した自己診断と同様の処理動作を実行することで第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態によれば、第5実施形態と同様に、IF帯変換回路6の一部のダウンコンバータ25i、25qが、受信機704aの受信変換部として兼用されているため、回路構成規模を縮小できる。
(第7実施形態)
図11は第7実施形態に係るレーダシステム701の構成例を示す。第7実施形態が第3実施形態と異なるところは、IQミキサ324の構成を受信機704aの一部として構成したところにある。受信機704aは、第1実施形態で説明したレーダシステム1を構成する1つの受信機4aに対応して設けられる。その他の要部の構成は、第3実施形態と同一構成であるため同一符号を付して必要に応じて説明を省略する。
図11は第7実施形態に係るレーダシステム701の構成例を示す。第7実施形態が第3実施形態と異なるところは、IQミキサ324の構成を受信機704aの一部として構成したところにある。受信機704aは、第1実施形態で説明したレーダシステム1を構成する1つの受信機4aに対応して設けられる。その他の要部の構成は、第3実施形態と同一構成であるため同一符号を付して必要に応じて説明を省略する。
レーダシステム701の受信機704aは、高周波増幅器11、IF帯変換回路6により構成される。また、カプラ15と高周波増幅器11の入力との間には、可変増幅器42が構成されている。可変増幅器42は、制御器2により増幅動作の有効/無効を切替可能に構成されており、通常時には、制御器2は可変増幅器42のゲインを0とすることで送信アンテナ10と受信アンテナ14との間のアイソレーションを図ることができる。また自己診断時には、制御器2が可変増幅器42のゲインを上げることでカプラ15から送信出力を取得し、送信機3aの第1移相器7の自己診断を行うことができる。
上記構成の動作を説明する。通常時、制御器2は、可変増幅器42の増幅動作を無効に切り替えると共に、第2移相器222の位相角φsを0度に設定した上で、PLL5から周波数変調信号を出力させる。すると、送信機3aは送信アンテナ10を通じて対象物Tにレーダ波を出力する。このレーダ波は、対象物Tに反射し受信アンテナ14に入力される。受信機704aは、高周波増幅器11により受信アンテナ14の受信信号を増幅する。また受信機704aは、PLL5の出力を周波数ダブラ23に入力すると、受信変換部としてのダウンコンバータ25i、25qによりダウンコンバートしてIF帯信号IFとする。A/D変換器27i、27qがIF帯信号IFをA/D変換処理してデジタルデータとし、信号処理部28がこのデジタルデータを信号処理することに基づいて対象物Tとの間の距離や相対速度、対象物Tが存在する方位角等の測定対象指標を算出できる。なお、受信機604aが受信する信号の通電経路途中に、必要に応じて可変増幅器を設けて信号を増幅しても良い。
自己診断時には、制御器2は、可変増幅器42の増幅動作を有効に切り替える。そして制御器2はPLL5からCW信号を出力させる。レーダシステム701は、第3実施形態にて説明した自己診断と同様の動作を行うことで、第3実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態によれば、第5〜第6実施形態と同様に、IF帯変換回路6の一部のダウンコンバータ25i、25qが、受信機704aの受信変換部として兼用されているため、回路構成規模を縮小できる。
(第8実施形態)
図12は第8実施形態に係るレーダシステム801の構成例を示す。第8実施形態が第4実施形態と異なるところは、IQミキサ424の構成を受信機804aの一部として構成したところにある。受信機804aは、第1実施形態で説明したレーダシステム1を構成する1つの受信機4aに対応して設けられる。その他の要部の構成は、第4実施形態と同一構成であるため同一符号を付して必要に応じて説明を省略する。
図12は第8実施形態に係るレーダシステム801の構成例を示す。第8実施形態が第4実施形態と異なるところは、IQミキサ424の構成を受信機804aの一部として構成したところにある。受信機804aは、第1実施形態で説明したレーダシステム1を構成する1つの受信機4aに対応して設けられる。その他の要部の構成は、第4実施形態と同一構成であるため同一符号を付して必要に応じて説明を省略する。
レーダシステム801の受信機804aは、高周波増幅器11、IF帯変換回路6により構成される。また、カプラ15と高周波増幅器11の入力との間には、可変増幅器42が構成されている。可変増幅器42は、制御器2により増幅動作の有効/無効を切替可能に構成されており、通常時には、制御器2は可変増幅器42のゲインを0とすることで送信アンテナ10と受信アンテナ14との間のアイソレーションを図ることができる。また自己診断時には、制御器2は可変増幅器42のゲインを上げることでカプラ15から送信出力を取得し、送信機3aの第1移相器7の自己診断を行うことができる。
上記構成の動作を説明する。通常時、制御器2は、可変増幅器42の増幅動作を無効に切り替えると共に、第2移相器222の位相値φを0度に設定した上で、PLL5から周波数変調信号を出力させる。すると、送信機3aは送信アンテナ10を通じて対象物Tにレーダ波を出力する。このレーダ波は、対象物Tに反射し受信アンテナ14に入力される。受信機804aは、高周波増幅器11により受信アンテナ14の受信信号を増幅する。また受信機804aは、PLL5の出力を周波数ダブラ23に入力すると、受信変換部としてのダウンコンバータ25i、25qによりダウンコンバートしてIF帯信号IFとする。
A/D変換器27i、27qがIF帯信号IFをA/D変換処理してデジタルデータとし、信号処理部28がこのデジタルデータを信号処理することに基づいて対象物Tとの間の距離や相対速度、対象物Tが存在する方位角等の測定対象指標を算出できる。なお、受信機804aが受信する信号の通電経路途中に、必要に応じて可変増幅器を設けて信号を増幅しても良い。
自己診断時には、制御器2は、可変増幅器42の増幅動作を有効に切り替える。そして制御器2はPLL5からCW信号を出力させる。レーダシステム801は、第4実施形態にて説明した自己診断と同様の処理動作を実行することで第4実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態によれば、第5〜第7実施形態と同様に、IF帯変換回路6の一部のダウンコンバータ25i、25qが、受信機804aの受信変換部として兼用されているため、回路構成規模を縮小できる。
(第9実施形態)
図13は第9実施形態に係るレーダシステム901の構成例を示す。第9実施形態が第1実施形態と異なるところは、参照チャンネルの位相に対する補正対象チャンネルの相対位相Δφを算出し、2つの送信チャンネルの位相特性を相対評価できるところである。他の要部の構成は、第1実施形態と同一構成であるため同一符号を付し、同一動作については同一ステップ番号を付し、必要に応じて説明を省略する。
図13は第9実施形態に係るレーダシステム901の構成例を示す。第9実施形態が第1実施形態と異なるところは、参照チャンネルの位相に対する補正対象チャンネルの相対位相Δφを算出し、2つの送信チャンネルの位相特性を相対評価できるところである。他の要部の構成は、第1実施形態と同一構成であるため同一符号を付し、同一動作については同一ステップ番号を付し、必要に応じて説明を省略する。
レーダシステム901には、選択部としてセレクタ43が設けられている。セレクタ43は、各送信チャンネルの送信機3aに設けられたカプラ15の出力を選択してIF帯変換回路6に出力する。IF帯変換回路6は、セレクタ43により選択された送信機3aの出力を検出対象としてIF帯に変換する。IF帯変換回路6は、第1実施形態等と同様に動作する。このため、信号処理部28の位相算出部31は、各送信チャンネル毎の送信機3aの第1移相器7の位相値φを絶対評価でき、推定部32は、各送信チャンネル毎の送信機3aの第1移相器7の絶対位相特性を推定できる。
また図14及び図15に示す処理動作を実行することで、レーダシステム901は、複数のチャンネル間の相対位相Δφも推定できる。まず図14に示すように、制御器2が、S1aにおいて参照チャンネルを設定し、S1bにおいて参照チャンネルの対象となる第1移相器7の位相値φを位相値φ1に設定する。制御器2は、S2においてPLL5からCW信号を生成出力させ、S3aにおいて分周器21の分周比を適切に設定し、S6においてFFT30によりFFTを実行する。そして位相算出部31は、S8、S9においてピークインデックスの複素応答値を抽出して位相値φ1_estを算出し、記憶部29に記憶させる。
そして図15に示すように、制御器2は、S23において補正対象となる他のチャンネルを設定し、S11において対象チャンネルの送信機3aの第1移相器7の位相値φを位相値φ2に設定する。制御器2は、S12においてPLL5からCW信号を生成出力させ、S13aにおいて分周器21の分周比を適切に設定し、S16においてFFT30によりFFTを実行する。そして、位相算出部31は、S17、S18、S19においてピークインデックスの複素応答値を抽出して位相値φ2_estを算出し、記憶部29に記憶させる。
位相算出部31は、相対位相Δφ=φ2_est−φ1_estとして算出する。位相算出部231は、複素応答値を求めることに基づいて相対位相Δφを算出できる。
信号処理部28は、第1移相器7の相対位相Δφの結果を参照し、S21においてこの相対位相Δφの推定値が誤差標準値Target(例えば0度)から所定範囲±res/2の範囲に収まっているときには終了する。信号処理部28は、S22において第1移相器7の位相値φを全て設定終了していないときには、S23において第1移相器7の位相値φの設定を変更、すなわち設定コードをインクリメントした上で再度S11から処理を繰り返す。レーダシステム901は、一連の処理を繰り返すことで、第1移相器7の位相値φの設定を全て試行すると終了する。このとき、信号処理部28の位相算出部31は、参照チャンネルに対する対象チャンネルの送信機3aの第1移相器7の位相値φを相対評価でき、推定部32は、参照チャンネルに対する対象チャンネルの送信機3aの第1移相器7の相対位相特性を推定できる。
したがって、レーダシステム901は、参照チャンネルに対する対象チャンネルの送信機3aの第1移相器7の相対位相Δφを自己診断できる。その他、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
以上説明したように、本実施形態によれば、セレクタ43がカプラ15から複数の送信機3aの出力を選択し、IF帯変換回路6は、セレクタ43により選択された送信機3aの出力を検出対象としてIF帯に変換し、推定部32は、各チャンネル毎の第1移相器7の絶対位相特性を推定している。
また推定部32は、複数のチャンネル間の相対位相Δφを推定している。これによりレーダシステム901は絶対位相値φも相対位相Δφも評価できる。レーダシステム901が、絶対位相値φ及び相対位相Δφの双方を評価する形態を説明したが、何れか一方を評価すれば良い。
(他の実施形態)
前述実施形態に限られるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。周波数ダブラ8及び23は、必要に応じて設ければ良い。
前述実施形態に限られるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。周波数ダブラ8及び23は、必要に応じて設ければ良い。
測定対象指標は、対象物Tまでの距離、対象物Tとの間の相対速度、対象物Tが存在する位相角φsを例示したが、これらの何れか1又は2の測定指標を測定対象指標としても良い。
本開示は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
図面中、1、201、301、401、501、601、701、801、901はレーダシステム、6はIF帯変換回路、22は第1移相器、222は第2移相器、24、324、424はIQミキサ、27i、27qはA/D変換器、31、231は位相算出部、32は推定部、43はセレクタ(選択部)、を示す。
Claims (5)
- 周波数変調信号に基づくレーダ波を対象物(T)に照射し前記対象物に反射した反射信号を用いて前記対象物に関する測定対象指標を測定するレーダシステム(1;501;901)であって、
自己診断時にPLL(5)により生成されるCW信号(Continuous Wave signal)を移相する第1移相器(7)を備えた送信機(3a)と、
前記PLLにより生成される前記CW信号を所定の周波数の信号によりアップコンバートする変換器(22)と、
前記送信機の出力をカプラを介して入力し前記送信機の出力と前記変換器の出力とをIQミキシングしてダウンコンバートするIQミキサ(24;324;424)によりIF帯信号に変換するIF帯変換回路(6)と、
前記IQミキサの出力をそれぞれA/D変換するA/D変換器(27i、27q)と、
前記A/D変換器の出力デジタルデータに基づいて前記IQミキサの出力に対応したピークインデックスを求めるFFT(30)と、
前記IQミキサの出力に対応した前記ピークインデックスの複素応答値を抽出することに応じて位相を算出する位相算出部(31)と、
前記位相算出部の位相算出結果に基づいて前記第1移相器の位相特性を推定する推定部(32)と、
を備えるレーダシステム。 - 周波数変調信号に基づくレーダ波を対象物(T)に照射し前記対象物に反射した反射信号を用いて前記対象物に関する測定対象指標を測定するレーダシステム(201;301;401;601;701;801)であって、
自己診断時にPLL(5)により生成されるCW信号を移相する第1移相器(7)を備えた送信機(3a)と、
前記PLLにより生成される前記CW信号を所定ステップ毎に移相させる第2移相器(222)と、
前記送信機の出力をカプラを介して入力し前記第2移相器の出力とIQミキシングしてダウンコンバートするIQミキサ(24;324;424)によりIF帯信号に変換するIF帯変換回路(6)と、
前記IQミキサの出力をそれぞれA/D変換するA/D変換器(27i、27q)と、
前記A/D変換器の出力デジタルデータに基づいて前記IQミキサの出力に対応したピークインデックスを求めるFFT(30)と、
前記IQミキサの出力に対応した前記FFTによる前記ピークインデックスの前記所定ステップ毎の複素応答値を抽出することに応じて、前記所定ステップ毎に変化する位相を算出する位相算出部(231)と、
前記位相算出部の位相算出結果に基づいて前記第1移相器の位相特性を推定する推定部(32)と、を備えるレーダシステム。 - 前記対象物に反射した信号を受信し前記受信した信号をIF帯に変換する受信変換部(25i、25q)を備えた受信機(504a;604a;704a;804a)を備え、
前記IF帯変換回路(6)は、その少なくとも一部が前記受信機が受信した信号をIF帯に変換する前記受信変換部として兼用されるように構成されている請求項1又は2記載のレーダシステム。 - 前記送信機(3a)は、複数の送信チャンネル分だけ備えられ、
前記カプラから前記複数の前記送信機の出力を選択する選択部(43)を備え、
前記IF帯変換回路は、前記選択部により選択された前記送信機の出力を検出対象として前記IF帯信号に変換し、
前記推定部は、各送信チャンネル毎の前記第1移相器の絶対位相特性を推定し、又は/及び複数の送信チャンネル間の相対位相を推定する請求項1から3の何れか一項に記載のレーダシステム。 - 前記位相算出部(231)は、前記第1移相器の位相値を2つの異なる位相値(φ1、φ2)に設定して算出される相対位相(Δφ)を算出することに基づいて前記第2移相器による位相値の位相誤差(Δφs)の影響を相殺する請求項2記載のレーダシステム。
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JP (1) | JP2021047111A (ja) |
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2019
- 2019-09-19 JP JP2019170435A patent/JP2021047111A/ja active Pending
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