JP2021038363A - 発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤 - Google Patents

発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤 Download PDF

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Abstract

【課題】大麦ぬかは、単独では肥料成分含有量も少なく、土壌物理性の改善以外に有効な利用方法が見いだせていない。【解決手段】本発明は、発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤を提供するものである。また、本発明の別の態様として、上記土壌改良剤を含む培土、上記土壌改良剤を土に加える工程を含む、培土製造方法、発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤と、Leptosphaeria属の菌を含む組成物と、を備える土壌改良キット、受領番号NITE P-03000として寄託された菌株、及び上記菌株を含む組成物が提供される。【選択図】図7

Description

本発明は、土壌改良剤、特に発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤に関する。
大麦は、味噌・麦茶・ビールや麦焼酎といった我々に身近な食品に加えて飼料にも用いられるなど世界的に重要な穀物である。大麦の需要は、健康志向の上昇や世界人口の増加にともない増加しているが、栽培面積は際立って拡大していない。そのため、限られた栽培面積で効率良く大麦を生産することが重要となる。
また、大麦を製品に加工すると製造副産物として「大麦ぬか」(大麦糠)が排出される。この副産物の排出量は年間8万トンあり、大部分が廃棄もしくは肥料としてのみ利用されているのが現状である。また、大麦ぬかは、単独では肥料成分含有量も少なく、土壌物理性の改善以外に有効な利用方法が見いだせていない。
特許文献1には、ビール粕を茸培養床として利用した後に植物培養土壌に混在させた農業資材が開示されている。
特開2000−139206
しかしながら、特許文献1の技術は、ビール粕を茸培養床として使用するため植物培養土壌として使用するまで時間がかかりすぎる問題が存在していた。また、特許文献1の技術を大麦ぬかに転用できるかも不明であった。
そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、大麦ぬかを発酵させた発酵大麦ぬかが、未発酵大麦ぬかよりも優れた肥効を有することを明らかにした。
本発明は、発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤である。
この土壌改良材を用いることで、植物の成長をより促進させることが可能な土壌を製造することができる。
また、上記土壌改良剤は、窒素質肥料を更に含んでいてもよい。上記窒素質肥料は、尿素であってもよい。上記土壌改良剤は、Leptosphaeria属の菌を更に含んでいてもよい。上記菌は、上記発酵大麦ぬかに感染していてもよい。上記菌は、受領番号NITE P-03000として寄託された菌であってもよい。
また、本発明の別の態様として、上記土壌改良剤を含む培土が提供される。
上記土壌改良剤は、上記発酵大麦ぬか由来の全窒素が100質量部の土あたり0.01質量部から1.5質量部となるように上記土に加えられていてもよい。
また、本発明の別の態様として、上記土壌改良剤を土に加える工程を含む、培土製造方法が提供される。
上記土壌改良剤を土に加える工程は、上記土壌改良剤を、発酵大麦ぬか由来の全窒素が100質量部の土あたり0.01質量部から1.5質量部となるように土に加える工程であってもよい。
また、本発明の別の態様として、発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤と、Leptosphaeria属の菌を含む組成物と、を備える土壌改良キットが提供される。また、本発明の別の態様として、受領番号NITE P-03000として寄託された菌株が提供される。本発明の別の態様として、上記菌株を含む組成物が提供される。
図1は、各試料(2)から(6)における土壌中での窒素無機化率を示すグラフである。 図2は、実施例における実験3の実験方法を示す図である。 図3は、実施例の実験3における糸状菌数を経時的に計数したグラフである。 図4は、実施例の実験3における細菌数を経時的に計数したグラフである。 図5は、図3からコントロール(1)、未発酵大麦ぬか(2)及び発酵大麦ぬか(4)のみを表示したグラフである。 図6は、図4からコントロール(1)、未発酵大麦ぬか(2)及び発酵大麦ぬか(4)のみを表示したグラフである。 図7は、実施例における実験4での大麦の生育結果を示す写真である。 図8は、実施例における実験4での大麦の地上部新鮮重量、地上部乾燥重量、根-乾燥重量及び穂数を示すグラフである。 図9は、実施例における実験5での大麦の地上部の新鮮重量及び乾燥重量を示すグラフである。 図10は、実施例における実験5での大麦の穂の新鮮重量及び乾燥重量を示すグラフである。 図11は、実施例における実験6でのオオムギの地上部及び根の重量を示すグラフである。 図12は、実施例における実験6でのコマツナの地上部及び根の重量を示すグラフである。 図13は、実施例における実験6でのサニーレタスの地上部及び根の重量を示すグラフである。
定義
便宜上、本願で使用される特定の用語は、ここに集めている。別途規定されない限り、本願で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。文脈で別途明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の言及を含む。
本発明で示す数値範囲及びパラメーターは、近似値であるが、特定の実施例に示されている数値は可能な限り正確に記載している。しかしながら、いずれの数値も本質的に、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含んでいる。また、本明細書で使用する「約」という用語は、一般に、所与の値又は範囲の10%、5%、1%又は0.5%以内を意味する。或いは、用語「約」は、当業者が考慮する場合、許容可能な標準誤差内にあることを意味する。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、例示であって、本発明の範囲は、以下の実施形態で示すものに限定されない。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑をさけるために、摘示説明を省略する。
発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤
本実施形態において、発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤を提供する。土壌改良剤を土に加えることで、作物(例えば、オオムギ、コマツナ及びサニーレタス)の生育を促進させることができる。本実施形態において、大麦は、二条大麦、四条大麦、六条大麦、裸大麦又は野生大麦であってもよく、これらに限定するものではない。
大麦ぬかは、大麦を精白した際に生じる果皮、種皮及び胚芽等の剥離物であり、精白過程において胚乳が含まれている場合もある。ある実施形態においては、茸栽培などの培養床に使用されていない及び/又は炭化処理がなされていない大麦ぬかを使用することが好ましい。
発酵大麦ぬかは、大麦ぬかを発酵させたものである。大麦ぬかは、発酵大麦ぬかは、オートクレーブによって滅菌させてもよい。発酵スターターと大麦ぬかの混合物を得る混合工程と、上記混合物に水を加える加水工程と、上記混合物中の上記大麦ぬか発酵させる発酵工程から製造することができる。発酵スターターと大麦ぬかは、1:0.5から100(質量部)の割合、1:1から80(質量部)の割合、1:5から50(質量部)の割合又は1:10から30(質量部)の割合で混合するのが好ましい。加水工程において、水は、大麦ぬかの水分率が30%から60%、35から55%又は40%から50%となるように加えられることが好ましい。発酵工程において、大麦ぬかの水分率は、30%から60%、35から55%又は40%から50%となるように維持するのが好ましい。発酵工程において、大麦ぬかの温度は、20℃から35℃又は20℃から30℃となるように維持するのが好ましい。発酵工程において、発酵は、10日から60日間行ってもよく、10日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、50日、55日及び60日から選択した任意の2点間の範囲内で低下したものであってもよい。発酵工程において、大麦ぬかは、適宜(例えば、毎日、2日に一回及び3日に一回)、撹拌してもよい。発酵方式は、自然発酵でも微生物発酵であってもよく、発酵スターターは、土壌又は微生物(例えば、酵母及び糸状菌)を含む担体(例えば、培地及びオートクレーブ済みの土壌)であってもよい。
一実施形態において、発酵大麦ぬかは、同一ロットにおける発酵前の大麦ぬかと比較して、炭素率(CN比)が低下したものであってもよい。例えば、発酵大麦ぬかは、同一ロットにおける発酵前の大麦ぬかと比較して、炭素率(CN比)が1%から50%の範囲内で低下したものであってもよく、1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%、20%、30%、40%及び50%から選択した任意の2点間の範囲内で低下したものであってもよい。別の実施形態において、発酵大麦ぬかの炭素率(CN比)は、20以下、18以下、15以下、13以下又は10以下であってもよい。発酵大麦ぬかは、オートクレーブによって滅菌させてもよい。ある実施形態において、発酵大麦ぬかは、茸栽培などの培養床に使用されていない、及び/又は炭化処理がなされていない。
発酵大麦ぬかは、生育対象の植物に応じて、土壌改良剤中に0.5質量%から100質量%の範囲で存在していてもよく、0.5質量%、1質量%、5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、90質量%、95質量%、98質量%、99質量%、99.9質量%及び100質量%から選択された任意の2点間の範囲で存在していてもよい。
土壌改良剤には、本発明の効果を害しない範囲において、界面活性剤、pH調整剤、固化剤、油脂、鉱物資材、植物系繊維資材などの従来公知の添加剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(例えば、石けん、硫酸化油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩)、カチオン界面活性剤(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩)、ノニオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル)及び両性界面活性剤(例えば、ベタイン、スルホベタイン)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
pH調整剤としては、例えば、消石灰、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、リン酸、クエン酸等が挙げられる。
固化剤としては、例えば、糖系高分子化合物(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、キトサン)、ポリオール系高分子化合物(例えば、ポリビニルアルコール)、酢酸系高分子化合物(例えば、ポリ酢酸ビニル)、天然ゴム類(例えば、アラビアゴム)、ポリビニルピロリドン類、アクリル系高分子化合物(例えば、アクリル酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、アクリルアミド等の単重合体又は共重合体)、天然高分子化合物(例えば、キサンタンガム、アルギン酸)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
油脂としては、植物油(例えば、ナタネ油、ゴマ油、ベニバナ油、オリーブ油、アーモンド油、ヒマワリ油)、魚油(例えば、鯨油、イワシ油、サンマ油、ニシン油)が挙げられる。
鉱物資材としては、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
植物系繊維資材としては、ピートモス、ココナッツピート、ヤシガラピートモス、バカス、バーク等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態にかかる土壌改良材は、生育対象の植物に応じて、肥料を含んでいてもよく、肥料と共に使用してもよい。肥料としては、窒素質肥料(例えば、尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、石灰窒素)、リン酸質肥料(例えば、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、熔成りん肥、焼成りん肥)、加里質肥料(例えば、硫酸カリウム、塩化カリウム、重炭酸カリウム)及びそれらの複合肥料等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態にかかる土壌改良剤は、Leptosphaeria属の菌(糸状菌)が含まれていてもよい。ある実施形態において、土壌改良剤中の発酵大麦ぬかは、Leptosphaeria属の菌に感染している。Leptosphaeria属の菌は、例えば、オートクレーブした発酵大麦ぬかに接種して、1×10^9 cfu/gまで増殖(例えば、25℃で2周間から4週間)させることで発酵大麦ぬかに感染させることができる。別の実施形態として、土壌改良剤は、Leptosphaeria属の菌(糸状菌)と共に使用してもよい。Leptosphaeria属の菌は、菌株のまま使用してもよく、Leptosphaeria属の菌を含む任意の組成物(例えば、液体寒天生育培地、寒天生育培地)として使用してもよい。ある実施形態において、Leptosphaeria属の菌は、受託番号NITE P-03000として寄託されている菌株である。
本実施形態にかかる土壌改良剤は、粉末状、粒状、ペレット状、フレーク状としてもよい。ある実施形態において、土壌改良剤は、発酵大麦ぬかのみからなっていてもよい。別の実施形態において、土壌改良剤は、発酵大麦ぬか及びLeptosphaeria属の菌のみからなっていてもよい。更に別の実施形態において、土壌改良剤は、穀物由来のぬか(粕及びふすまを含む)としては発酵大麦ぬかのみを有する。
別の実施形態として、上記土壌改良剤が含まれている培土が提供される。土壌改良剤は、発酵大麦ぬか由来の全窒素が100質量部の土あたり0.01質量部から1.5質量部又は0.01質量部、0.02質量部、0.05質量部、0.2質量部、0.75質量部及び1.5質量部から選択される任意の2点間の範囲内となるように土に加えられていてもよい。
キット
更に別の実施形態として、上記発酵大麦ぬかを含む上記土壌改良剤と、Leptosphaeria属の菌を含む組成物と、を備える土壌改良キットが提供される。
上記キットは、添加剤及び/又は肥料を含んでいてもよい。発酵大麦ぬか及びLeptosphaeria属の菌を含む組成物は、それぞれ、適切な容器に含まれていることが好ましい。上記キットには、追加の要素(例えば、使用期限を含む指示書)が含まれていてもよい。
培土製造方法
別の実施形態として、上記土壌改良剤を土に加える工程を含む、培土製造方法が提供される。ある実施形態において、上記土壌改良剤を土に加える工程は、上記土壌改良剤を、発酵大麦ぬか由来の全窒素が100質量部の土あたり0.01質量部から1.5質量部又は0.01質量部、0.02質量部、0.05質量部、0.2質量部、0.75質量部及び1.5質量部から選択される任意の2点間の範囲内となるように土に加える工程である。
実験1 肥料成分評価
大麦ぬか(ファイバースノウ)、米ぬか及び油かすにおける全窒素量、全炭素量、全カリウム量及び全リン量を測定した。全窒素量及び全炭素量は、粉砕した試料(大麦ぬか、米ぬか及び油かす)を用いて、NCアナライザーによって測定した。全カリウム量及び全リン量は、ICP発光分析法によって測定した。ICP発光分析法による分析では、測定試料は、以下のステップにて調製した。
(1) 0.5gの試料に5mLの濃硝酸を加える。
(2) (1)の溶液を120℃で90分間加熱する。
(3) (2)の溶液を超純水で50mLに定量する。
(4) (3)の溶液をNo.5のろ紙でろ過する。
(5) (4)のろ液を測定試料とする。
測定結果を表1に示す。
表1の通り、大麦ぬかは、米ぬか及び油かすと比較して、全窒素(N)、リン(P)及びカリウム(K)量が少なく、米ぬか及び油かすと比較して、炭素率(CN比)が高かった。
以上の通り、大麦ぬかは、全窒素量が少ないため、大麦ぬかを肥料とすると、植物が窒素不足となりその生育が悪くなることが予想された。大麦ぬかは、全窒素量が少ない一方で、CN比が高いことから、大麦ぬかを発酵させることでCN比を下げることができる可能性が示唆された。
実験2 土壌中無機態窒素量の測定
大麦ぬかにおける窒素の無機化パターンを調べた。試料として、未発酵大麦ぬか、発酵大麦ぬか、未発酵米ぬか、発酵米ぬか及び油かすを用いた。発酵大麦ぬかは、以下の方法で製造した。大麦ぬか20gに土壌1gを混ぜ合わせ、大麦ぬかの水分率を45%になるように蒸留水を加え、25℃で培養した。2日に1回切り返し、蒸留水を加えることで、水分率を45%に保った状態で30日間発酵させて発酵大麦ぬかを得た。発酵米ぬかは、発酵大麦ぬかの製造方法に基づいて製造した。各試料を土壌400gに加えて25℃で静置培養した。コントロールとして、試料を加えていない土壌400gも実験に使用した。表2は、各試料での施用量を示している(各肥料区で3サンプル)。
コントロール(1)及び試料(2)から(6)の土壌を5.0gサンプリングした。サンプリングした土壌にKClを50mL加えて、ろ液を得た。ろ液から無機態窒素量を測定した。無機態窒素のうち硝酸態窒素は、アルカリ還元・ジアゾ色素法によりその量を測定した。無機態窒素のうちアンモニア態窒素は、インドフェノールブルー法によりその量を測定した。測定結果を図1に示す。
図1の通り、大麦ぬかは、米ぬかや油かすよりも無機化率が低かった。未発酵大麦ぬか及び未発酵米ぬかは、いずれも、窒素の有機化が起こる(窒素無機化率がマイナスになる)が、未発酵米ぬかよりも未発酵大麦ぬかのほうが無機化に転じるのが遅かった。発酵大麦ぬかは、窒素無機化率がプラスに維持され、窒素の有機化が怒らないため、未発酵大麦ぬかよりも発酵大麦ぬかの方が有用であることが明らかになった。
実験3 土壌微生物数
実験2において使用した土壌における微生物数をカウントした。実験2において使用した土壌を0.5gサンプリングした。サンプリングした土壌に滅菌水を加えて5.0mLに定量した。図2に示す通りに滅菌水にて10倍希釈を繰り返し、特定の希釈倍率の際に土壌懸濁液を50μL又は100μLをサンプリングして寒天培地に接種した。カビ用にはローズベンガル培地を用いた(接種量は、100μL)。細菌用にはR2A培地を用いた(接種量は、50μL)。生育してくる細菌・糸状菌のコロニー数を計測し、乾土1g当たりの菌数に換算した。結果を図3から6に示す。
図3は、糸状菌数を示している。発酵米ぬか(5)及び発酵大麦ぬか(4)において、糸状菌数の増加が著しく、0から7日目にかけて糸状菌数が急激に増加し、その後、14日目から菌数が維持された。コントロール(1)、未発酵米ぬか(3)、未発酵大麦ぬか(2)及び油かす(6)では、糸状菌があまり増えなかった。
図4は、細菌数を示している。未発酵大麦ぬか(2)及び未発酵米ぬか(3)において細菌数が増加した。米ぬか>大麦ぬか>油かすの順番で細菌数の増加が見られた。
図5は、図3からコントロール(1)、未発酵大麦ぬか(2)及び発酵大麦ぬか(4)のみの糸状菌数を示し、図6は、図4からコントロール(1)、未発酵大麦ぬか(2)及び発酵大麦ぬか(4)のみの細菌数を示している。図5及び図6から明らかな通り、発酵大麦ぬか(4)では、先に糸状菌が増加し、その後、細菌が増加する。未発酵大麦ぬか(2)では、細菌数の増加が見られるが、糸状菌の増加は見られなかった。
実験4 大麦の栽培試験
表3に示す試料を土壌に加えて、大麦を栽培した。
発芽させた大麦(3日間)を、各肥料が施肥した土壌400gに植えて、28日間生育させた。図7は、生育結果を示す写真である。生育した大麦を収穫して、地上部新鮮重量、地上部乾燥重量、根-乾燥重量及び穂数を調べた。結果を図8に示す。
図8の通り、発酵大麦ぬか+尿素は、コントロールと比較して、地上部新鮮重量、乾燥重量及び穂数の値が有意に高く、その一方で、発酵大麦ぬかと発酵大麦ぬか+尿素は、化学肥料と比較して、地上部乾燥重量、根乾燥重量及び穂数の値に有意差が見られなかった。よって、発酵大麦ぬかと発酵大麦ぬか+尿素は、利用としての有用性があることが明らかになった。
実験5 大麦根内生糸状菌の分離試験
大麦の根に定着している有用な内生糸状菌を選抜した。大麦は、山梨県、茨城県、群馬県及び富山県において採取した。採取した大麦の根をハサミで切断した。切断した根を70%エタノールに加えて、次に、1%次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸し、滅菌水で3回洗浄した。洗浄した根の一部は、-80℃で凍結保存し、残りの根を抗生物質含有寒天培地上で培養し、糸状菌を単離した。合計25種類の糸状菌を単離した。
単離した糸状菌を大麦の種子に発芽感染させて、その生育を観察した。大麦の種子を滅菌水中にて一晩撹拌し、次に、種子を1%次亜塩素酸カルシウム溶液に浸して、種子を滅菌水で3回洗浄した。種子を寒天培地に播き、単離した糸状菌を感染させた。ポジティブコントロールとしてPiriformospora indica (P. indica)を大麦の種子に感染させた。発芽後に化学肥料施肥土壌(N:2.4 mg/100g-soil)及び化学肥料無施肥土壌において大麦を人工気象室にて生育させた。28日間の生育の後、大麦の地上部及び穂の新鮮重量及び乾燥重量を比較した。図9及び10に示す通り、No. 23の糸状菌は、有意な生育促進抗を示した。
No. 23の糸状菌が単離された大麦の根をメタルビーズで粉砕し、DNA抽出を行った。抽出したDNAのITS領域をPCRで増幅し、シークエンサーを用いて分析した。その結果、No. 23の糸状菌は、Leptosphaeria属の菌であることが明らかとなった。
No. 23の糸状菌は、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に2019年7月5日付(受領日)で受領番号NITE P-03000として寄託されている。
実験6 No. 23の糸状菌を用いた栽培実験
No.23の糸状菌を培養した大麦ぬかを使いて、オオムギ、コマツナ、サニーレタスを栽培した。大麦ぬかをオートクレーブ滅菌し、No.23の糸状菌を接種後、25℃で3週間培養することで、1×10^9 cfu/g まで増殖させた。No.23の糸状菌を感染させた大麦ぬかを用いて、オオムギ、コマツナ、サニーレタスを栽培した。栽培条件は、表4の通りである。
図11は、オオムギにおける栽培結果を示してる。No.23の糸状菌を培養した大麦ぬかを用いた場合、オオムギの地上部及び根の重量が著しく増加することが明らかとなった。
図12は、コマツナにおける栽培結果を示してる。No.23の糸状菌を培養した大麦ぬかを用いた場合、コマツナの草丈の長さ並びに地上部及び根の重量が著しく増加することが明らかとなった。
図13は、サニーレタスにおける栽培結果を示してる。No.23の糸状菌を培養した大麦ぬかを用いた場合、サニーレタスの草丈の長さ及び地上部の重量が著しく増加することが明らかとなった。
No.23の糸状菌は、オオムギ、コマツナ及びサニーレタスのいずれにおいても、病気を引き起こすことはなく、安全に生育させることができた。

Claims (13)

  1. 発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤。
  2. 窒素質肥料を更に含む、請求項1に記載の土壌改良剤。
  3. 前記窒素質肥料は、尿素である、請求項2に記載の土壌改良剤。
  4. Leptosphaeria属の菌を更に含む、請求項1から3のいずれかに記載の土壌改良剤。
  5. 前記菌は、前記発酵大麦ぬかに感染している、請求項4に記載の土壌改良剤。
  6. 前記菌は、受託番号NITE P-03000として寄託された菌である、請求項4又は5に記載の土壌改良剤。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の土壌改良剤を含む培土。
  8. 前記土壌改良剤は、前記発酵大麦ぬか由来の全窒素が100質量部の土あたり0.01質量部から1.5質量部となるように前記土に加えられている、請求項7に記載の培土。
  9. 請求項1から6のいずれかに記載の土壌改良剤を土に加える工程を含む、培土製造方法。
  10. 前記土壌改良剤を土に加える工程は、前記土壌改良剤を、発酵大麦ぬか由来の全窒素が100質量部の土あたり0.01質量部から1.5質量部となるように土に加える工程である、請求項9に記載の培土製造方法。
  11. 発酵大麦ぬかを含む土壌改良剤と、
    Leptosphaeria属の菌を含む組成物と、
    を備える土壌改良キット。
  12. 受託番号NITE P-03000として寄託された菌株。
  13. 請求項12に記載の菌株を含む組成物。
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