JP2021032467A - 空気調和機内熱交換器用の紫外線照射装置及びこれを用いた清掃方法 - Google Patents

空気調和機内熱交換器用の紫外線照射装置及びこれを用いた清掃方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空気調和機内の熱交換器に紫外線を照射することにより、塵埃の除去及び雑菌の繁殖抑制を効率的に行う紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】 紫外線照射装置3は、熱交換器の一次側又は二次側或いは両側に設置され、かつ、開口部31aを備えた筐体31と、筐体31内に配置されかつ開口部31aから紫外線を照射可能な紫外線ランプ33とを備える。紫外線ランプ33は、紫外線照射強度の劣化に応じて、該ランプ33と熱交換器との距離を縮めるよう移動可能である。紫外線ランプ33の背面、上面又は下面には反射板がさらに形成されることが好ましい。開口部31aを区画する筐体31の端部側には、流体抵抗低減用のバッフル板38がさらに形成されることが好ましい。筐体31には、開口部31aが設置された一端と逆の他端に流体抵抗低減用のフェアリングカバー32がさらに形成されることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、空気調和機内の熱交換器の自動洗浄装置及びこれを用いた洗浄方法に関するものである。
病院や学校などの大型施設には、空気調和機と呼ばれる設備が設置される。この空気調和機は、病室等の各居住空間から空気を回収して加温又は冷却し、この温度調整された空気を各居住空間へ送出するため、施設内の空調設備における中央管理ユニット(一極熱制御ユニット)として機能する。
空気調和機内には熱交換器が設けられ、この熱交換器は、通常、冷水又は温水が通過するチューブ(冷媒管)と、チューブ外周に設けられたフィンとで構成される。この熱交換器には各居住空間から空気が大量に送り込まれるため、空気調和機の使用を継続していると、熱交換器周囲には多量の塵埃が付着する。
(問題1.塵埃付着による熱交換器での雑菌の発生・繁殖)
これらの塵埃は、コイル周囲の湿気を含むことにより、雑菌の発生・繁殖の温床となる。これらの雑菌は、悪臭を生み出すだけでなく、空気や塵埃とともに空気調和機から各居住空間へ移動するため、このような雑菌は院内集団感染の一因と考えられており、雑菌や臭気の除去・抑制を含めた空気環境対策は切実な課題である。
(問題2.塵埃付着による熱交換器での流体の圧力損失の増加)
また、各居住空間から回収され、流路の狭い熱交換器を流れる気体の流速は大きい。この熱交換器への塵埃の付着量が多くなると、熱交換器の流路の一部又は全部が目詰まりを起こし、熱交換器周りの流路の圧力損失が増加してしまう。
なお、雑菌を除去するために、紫外線をコイル面に照射することにより、雑菌等の繁殖を抑制できることが既に提案されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。
(問題3.継続使用による紫外線ランプの強度低下)
しかしながら、紫外線ランプは、継続的な使用により、熱交換器へ照射される紫外線強度は大幅に劣化することが判っている。このため、紫外線ランプを備えた洗浄装置は、その継続使用により、雑菌の不活化や塵埃の分解が期待どおりに行えなくなることが懸念される。したがって、紫外線ランプの使用時間に応じた紫外線の強度低下を見越したうえで、洗浄装置の所期の目的が達成されるように措置しておくことが望まれる。
(問題4.洗浄装置の設置(追加)による流体抵抗及び圧力損失の増加)
上述した問題2は、熱交換器に隣接して上記洗浄装置を設置することで解決することができる。しかしながら、有形の洗浄装置の追加設置によって熱交換器周辺の流路の圧力損失が増加してしまったら、これによって上記問題2を解決した意味が無い。従って、圧力損失が極力増加しないように、洗浄装置を設計し、空気調和機内へ設置する必要がある。
(問題5.洗浄装置の設置位置への制約)
また、本発明の洗浄装置を、既存の空気調和機へ組み込むことを想定する。各現場(病院等の各施設)においては、空気調和機の仕様・構造や熱交換器の据付状態等は種々異なっていることが多い。これにより、現場毎に自動洗浄装置の追設位置に異なる制約が生じる。例えば、現場での据付上の制約から、熱交換器に対して風上側(一次側)ではなく、風下側(二次側)の方に洗浄装置を追設せねばならない場合もあり得る。従って、どちらの側に洗浄装置が置かれた場合でも、組み込み後の熱交換器の流路全体の圧力損失を増加させないことも望まれる。
特開平08−038844号公報 特開2004−108685号公報 実開昭62−060809号公報 特開平04−316937号公報 特開2001−324195号公報
(本発明の目的)
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、空気調和機内の熱交換器へ紫外線を照射することにより、臭気・塵埃の除去及び雑菌の繁殖抑制を効率的に行う自動洗浄装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、熱交換器に紫外線を照射することにより塵埃を除去する等して熱交換器周囲の空気の流体抵抗を抑制できる自動洗浄装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、紫外線ランプの継続使用により発光強度が段階的に低下しても、熱交換器に照射される紫外線強度を一定に保つことができる自動洗浄装置及びこれを用いた熱交換器の自動洗浄方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、空気調和機内に組み込んだ際に熱交換器の流路全体の圧力損失が増加しないように、流路抵抗の小さいフォルムを有した自動洗浄装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、熱交換器の風上側(一次側)でも風下側(二次側)でも設置可能であり、かつ、どちらの側に設置されても熱交換器の流路全体の圧力損失を増加させることの無いフォルムを有した自動洗浄装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の末、上述の問題点を見事に解決する装置及び方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、例えば、以下の構成・特徴を備えるものである。
(態様1)
空気調和機内の熱交換器の表面に紫外線を照射可能な自動洗浄装置であって、
前記自動洗浄装置は、前記熱交換器の風向一次側又は風向二次側或いは両側に設置され、
前記自動洗浄装置は、開口部を備えた筐体と、前記筐体内に配置されかつ前記開口部から紫外線を前記熱交換器の前記表面に向けて照射可能な紫外線ランプと、を備え、
前記紫外線ランプは、紫外線照射強度の劣化に応じて、該紫外線ランプと前記熱交換器との距離を縮めるよう移動可能である、
ことを特徴とする自動洗浄装置。
(態様2)
前記紫外線ランプの背面、上面又は下面には反射板がさらに形成される、
ことを特徴とする態様1に記載の自動洗浄装置。
(態様3)
前記背面に形成された前記反射板は、前記紫外線ランプに対して凹凸形状を成す、
ことを特徴とする態様2に記載の自動洗浄装置。
(態様4)
前記開口部を区画する前記筐体の端部側には、流体抵抗低減用のバッフル板がさらに形成され、かつ、前記バッフル板は前記開口部の開口面積を徐々に縮小するように前記開口部の先端に向かって窄まった形状を成す、
ことを特徴とする態様1〜3のいずれかに記載の自動洗浄装置。
(態様5)
前記筐体には、前記開口部が設置された一端と逆の他端に流体抵抗低減用のフェアリングカバーがさらに形成される、
ことを特徴とする態様1〜4のいずれかに記載の自動洗浄装置。
(態様6)
態様1〜5のいずれかに記載の自動洗浄装置を用いて空気調和機内の熱交換器を洗浄するための洗浄方法であって、
前記自動洗浄装置へ設置する前記紫外線ランプと同型の製品を用いて、前記紫外線ランプの使用時間と、前記熱交換器の表面での照射強度との関係式F1を導出する工程と、
前記紫外線ランプと前記熱交換器の表面との間の距離と、前記表面での紫外線照射強度との関係式F2を導出する工程と、
前記関係式F1,F2から、前記熱交換器の前記表面での紫外線照射強度を一定に保つため、前記使用時間と、前記紫外線ランプの移動位置との関係式F3を導出する工程と、
前記熱交換器の一次側又は二次側或いは両側に前記自動洗浄装置を設置し、前記紫外線ランプを、前記関係式F3で得られた初期位置X(t=0)に固定する工程と、
前記紫外線ランプを発光させ、前記熱交換器の前記表面へ紫外線を照射する工程と、
前記自動洗浄措置の前記使用時間が所定時間tの経過したときに、この時間tに対応した分、前記紫外線ランプを前記熱交換器側に近づくように移動し、前記関係式F3から得られた前記紫外線ランプの設置位置X(t)にて移動・固定する工程と、
を含むことを特徴とする洗浄方法。
本発明の自動洗浄装置は、以上のような構成を有するため、熱交換器へ紫外線照射を施すことにより、院内集団感染の一因ともなる塵埃や雑菌を分解・除去することが可能であり、かつ、熱交換器周りの流路における流体の圧力損失を増加させることなく空気調和機内に組み込み可能である。
本発明の自動洗浄装置は、以上のような構成を有するため、紫外線ランプの継続使用により発光強度が段階的に低下しても、熱交換器の表面に照射される紫外線強度を一定に保つことができる。
また、本発明の自動洗浄装置は、以上のような構成を有するため、熱交換器の風上側でも風下側でも設置可能であり、かつ、どちらの側に設置されても熱交換器の流路全体の圧力損失を増加させることが無い。
また、本発明の自動洗浄装置を用いた洗浄方法によれば、装置内で使用される同種の紫外線ランプについて、使用時間と照射強度との関係式F1(校正曲線)と、ランプ設置位置(移動距離)と照射強度との関係式F2(校正曲線)と、を求めた上で、使用時間とランプ移動距離との関係式F3を予め導出しておく。熱交換器の一次側又は二次側に設置された自動洗浄装置を稼働させた後は、予め導出された上記関係式F3を用いて、定期的に使用時間(照射時間)に応じた分、紫外線ランプと熱交換器との距離を縮めるように紫外線ランプを所定距離だけ移動・固定する。これらの操作を行うことで、紫外線ランプの継続使用により発光強度が段階的に低下しても、熱交換器の表面に照射される紫外線強度を一定に保つことができるのである。
本発明の空気調和機及びこれを含んだ施設内空調システムを示した概略図である。 (a)自動洗浄装置を一方(前方)から観察した斜視図であり、(b)他方(後方)から観察した斜視図である。 紫外線ランプを前後方向に移動可能な自動洗浄装置の断面図、バッフル板の拡大断面図、及び、自動洗浄装置と風向との位置関係を説明した図である。 本発明の洗浄方法の各工程を示したフローチャートである。 紫外線ランプの耐久試験(劣化試験)にて実測された強度データをプロットした後に漸近させた強度劣化曲線を示す。 一次側設置条件の各モデルの圧力損失を示した数値解析結果(フェアリング角度θfの影響)である。 一次側設置条件の各モデルの流れ場(流線)を示した数値解析結果(フェアリング角度θfの影響)である。 二次側設置条件の各モデルの圧力損失を示した数値解析結果(フェアリング角度θfの影響)である。 一次側設置条件の各モデルの圧力損失を示した数値解析結果(バッフル板の傾斜角θbの影響)である。 二次側設置条件の各モデルの圧力損失を示した数値解析結果(バッフル板の傾斜角θbの影響)である。 二次側設置条件の各モデルの流れ場(流線)を示した数値解析結果(バッフル板の傾斜角θbの影響)である。 異なる形状の反射板を使用した場合の紫外線の照射強度を示した図である。 本発明の反射板を採用し、かつ、紫外線ランプの照射位置を徐々に変更した場合の照射強度Iを示した図である。
以下、添付の図面を参照しながら下記の具体的な実施形態に基づき本発明の技術的内容を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何等限定されるものではない。
(空気調和機及びこれを含んだ施設内空調システムの概要)
図1に、本発明の空気調和機1及びこれを含んだ施設内空調システム10の概要を示す。空気調和機1は、ファン2と、自動洗浄装置3を備えた熱交換器4と、を備える。ファン2は、空気調和機1で調整された空気を取り込み、空気調和機1と居住空間5とを接続する往路ダクト6内へ空気を送風する。往路ダクト6内の空気は、居住空間5の天井に通常設置された吹出口51から居住空間5へ流入し、吸込口52から復路ダクト7へ送り出される。復路ダクト7は、各居住空間から回収された空気を集めて空気調和機1に戻す。
(熱交換器の構成)
熱交換器4は、冷媒管及びフィンを備えた公知の熱交換器の構成を前提とする。ここで、冷媒管42a,42bは、熱交換器本体41と、空調熱源機器43とを接続する。空調熱源機器43にて温度調整された冷媒は、冷媒管(第1冷媒管)42a内を通過しながら、熱交換器本体41へと送られ、熱交換器本体41周りの空気と熱交換(熱の授受)を行い、冷媒管(第2冷媒管)42b内を通過して再度、空調熱源機器43に戻される。その際に、冷温水ポンプ44によって冷媒は加圧される。
(自動洗浄装置の概要)
次に、図2(a)及び(b)を参照しながら、本発明のユニークな自動洗浄装置3について詳しく説明する。自動洗浄装置3は、中空立方体状の筐体31と、鋼板を折り曲げたフェアリングカバー32とを有する。この筐体31の一方側(前方側)は、開口部31aが設けられいるため解放しているが、他方側(後方側)は、背面板31bが存在するため閉じている。つまり、組付け状態では開口部31aが開口し、筐体31の内部が露見した状態となる。なお、開口部31aの周囲に、後述するバッフル板38を形成してもよい。
(筐体の構造)
筐体31の開口部31aは、4つの板(詳しくは、上板31c、下板31d、第1側板31e、第2側板31f)によって区画されている。これらの4つの板31c〜31fは金属製であることが好ましい。なお、第1・第2側板31e,31fには開口部31aから後方に向かって水平に延びたスロット31gが設けられる。なお、図示した左右のスロット31gは、互いに同一の幅と長さを有し、同一の高さ(筐体31の約半分の高さ)位置に設置されているが、必ずしも図示の構成に限定されない。
(フェアリングカバーと筐体との接続)
フェアリングカバー32には、両端に水平に延びた縁部32aが形成されており、これらの縁部32aが、筐体31の上板31cと下板31dの一部(後方部分)と重なった状態で面接触し、これらの一部に固定されている。これにより、フェアリングカバー32は筐体31の後方に一体的に取り付けられる。
また、フェアリングカバー32は上側傾斜板32bと下側傾斜板32cとを備える。これらの傾斜板32b,32cは、筐体31から後方に向かって内部空間の断面積を徐々に小さくするように傾斜しており、筐体31の半分の高さ位置で、傾斜板32b,32cの各後端同士が接続してカバー終端線32dを形成する。このように筐体31の後側に取り付けられたフェアリングカバー32は、筐体31周りの流体抵抗を低減するよう作用する。
(紫外線ランプ及びその周辺装置の構造)
筐体31の内部には、図2(a)及び図3(a)に示すように、紫外線ランプ33と、この紫外線ランプ33を水平に保持可能なランプ保持具34とが搭載されている。また、ランプ保持具34の前面や筐体31の上板31c、下板31dの内面には、紫外線ランプ33から出射された紫外線を反射させる反射板35が設置されていてもよい。以上の構成の紫外線ランプ33から出射された定格波長(例えば、254nm)を有した紫外線は、直接的に又は反射板35等に反射・屈折した後に、開口部31aを通過して外側に向けて照射される。
(紫外線ランプを前後方向に移動可能にする構造)
ランプ保持具34には、図2(a)及び図3(a)に示すように、スロット31gを挿通してさらに外側に延びたスライド棒36が形成されている。これにより、ランプ保持具34及びこれに保持された紫外線ランプ33は前後方向に移動可能となる。この移動を安定かつ容易にするために、前後方向に延びかつランプ保持具34を摺動可能な支持レール37を上板31c、下板31dの内壁側に設けてもよい。
これにより、後述するように、長時間使用により紫外線ランプ33の発光強度の低下が確認された場合又は低下すると予測された場合に、保守員は、スライド棒36を把持して前方に移動させることで、紫外線ランプ33が取り付けられたランプ保持具34を、前方に所望距離だけ移動させることができる。つまり、紫外線ランプ33の照射位置が相対的に前方へ移動するため、長時間経過して紫外線ランプ33自体の発光強度が低下した後でも、より高強度の紫外線を熱交換器4の表面41a(図3(a)参照)へ照射し続けることが可能となる。
(本発明の自動洗浄装置を用いた熱交換器の洗浄方法)
以上の構成の自動洗浄装置3を用いて熱交換器4(内の冷温水コイル)を洗浄する方法を説明する。図4に、本発明の洗浄方法の各工程を示したフローチャートを示す。ここで、自動洗浄装置3の実際の使用に先立ち、紫外線ランプ33の耐久試験を行い、以下の関係式F1〜F3の導出を行うことに留意されたい。
先ず、自動洗浄装置3へ設置する紫外線ランプ33と同型の製品を用いて、紫外線ランプ33の使用時間t(発光時間)と、熱交換器4の表面41aに相当する基準位置での照射強度Iとの関係式F1を導出する(工程S1)。つまり、紫外線ランプ33の使用時間tに対応した照射強度Iの劣化を予測する。
また、自動洗浄装置3内の紫外線ランプ33と、熱交換器4の表面41a(被照射面、被清掃面)との間の距離Lと、照射強度Iとの関係式F2を導出する(工程S2)。
上記2つの関係式F1,F2から、熱交換器4の表面41aでの紫外線の照射強度Iを一定に保つため、使用時間tと、紫外線ランプ33の設置位置X(若しくは移動距離L)との関係式F3を導出する(工程S3)。
熱交換器4の一次側SD1又は二次側SD2或いは両側SD1,SD2に自動洗浄装置3を設置し、この際に、自動洗浄装置3内の紫外線ランプ33を、上記関係式F3で得られた初期位置X(t=0)に固定する(工程S4)。なお、図3(a)に示すように、熱交換器4の表面41aから距離Ldだけ離し、かつ、垂直に面するように自動洗浄装置3を設置することが好ましい。
その後、自動洗浄装置3に電源をつなぎ、紫外線ランプ33を発光させ、熱交換器4の表面41aへ紫外線を照射する(工程S5)。熱交換器4を含めた空調設備も同時に稼働させる。
定期的にオペレーターまたは保守員が自動洗浄措置3を監視する等して、次の操作を行う。すなわち、所定時間tの経過(使用)に対応した分、紫外線ランプ33を熱交換器4側に近づくように移動し、上記関係式F3から得られた紫外線ランプ33の設置位置X(t)にて移動・固定する(工程S6)。なお、上記のように保守員が手動操作で紫外線ランプ33を移動させることに必ずしも限定されず、自動洗浄装置3に図示しないプログラム及び搬送装置を組み込み、上記移動操作を自動化してもよい。
基本的に、病院等の大型施設内の空調設備は常時稼働しているため、紫外線ランプ33のフィラメントが切れた場合又はその使用時間tが最長許容時間を超えた場合、新品のものと交換する(工程S7)。
本方法によれば、紫外線ランプ33を継続使用して紫外線の発光強度が段階的に低下した(低下が予想された)場合でも、紫外線ランプ33の設置位置Xを熱交換器4に所望の距離だけ接近させることができるため、熱交換器4に受光される紫外線強度を一定に保つことができ、熱交換器4上の雑菌の繁殖を抑制することができるのである。
(紫外線強度の劣化(経時的変化)の検討・予測)
本発明者らは、自動洗浄装置3において、図3(a)に示すように、紫外線強度の劣化に応じて、紫外線ランプ33を、照射方向前方へ(すなわち、熱交換器4の表面41aにより近接して)移動可能な構成とした。
しかしながら、紫外線ランプ33をどの程度の時間だけ使用(点灯)したら、該ランプ33をどの程度前方に移動したら良いか不明であった。つまり、上述の工程S1〜S3の関係式F1〜F3を導出する必要があった。そこで、本発明者らは、先ず、紫外線ランプ33の紫外線強度の経時的変化を実測することにした。この際に、紫外線ランプ33を複数本利用して繰り返し同様の劣化試験を行った。
図5に、紫外線ランプ33の耐久試験(劣化試験)にて実測された強度データをプロットした後に漸近させた強度劣化曲線を示す。具体的には、点灯時間が1,000時間になると紫外線強度は約88%に、3,000時間になると紫外線強度は約64%に、5,000時間になると紫外線強度は約40%にまで低下することが判った。
このように自動洗浄装置3に載置する紫外線ランプ33と同種のランプを用いて、紫外線強度の劣化曲線(経時的変化、言い換えれば、上記の関係式F1〜F3)を事前に把握することが好ましい。この事前に予測された劣化状況に応じた分だけ、筐体31内の紫外線ランプ33をより前方に移動させることで、強度は劣化するものの熱交換器4の表面41aにはより多くの紫外線を照射することできる。つまり、長時間使用したとしても常に高強度の紫外線ランプ33を熱交換器4の表面41aに照射して塵芥や雑菌の除去を行うことができるようになる。
(フェアリング角度の検討)
また、空気調和機1(例えば、病院等で使用されるエアハンドリングユニット)の内部では、その熱交換器4周りの気体の流速は、通常、3〜5m/sと極めて大きい。そのため、この熱交換器4の近くに自動洗浄装置3を設置することによって、気体流路における圧力損失が急激に増大してしまう可能性がある。
そこで、流体解析により、フェアリングカバー32の外形(フェアリング角度θf)が圧力損失に及ぼす影響を検討した。
図3(a)に示すように、フェアリングカバー32の断面は底辺の無い三角形を成すが、底辺に延びる二辺(傾斜板32b,32c)と、この二辺が接続する頂点(カバー終端線32d)と、で形成されるフェアリング角度θfが鈍角から鋭角になるように変化させてみた。具体的には、θfを150°、120°、90°、45°に設定した場合の数値解析モデルを構築し、その圧力損失の算出及び流れ場の可視化を行った。加えて、θf=0°、つまり、フェアリングカバー32を設けない数値解析モデルも構築し、同様の解析を行った。
風向きとして、気流が最初にフェアリングカバー32にぶつかる方向(自動洗浄装置3を「一次側」に設置した場合とも呼ぶ。図1や図3(c)の符号SD1を参照)と、気流が最初に開口部にぶつかる方向(自動洗浄装置3を「二次側」に設置した場合とも呼ぶ。図1や図3(c)の符号SD2を参照)と、を想定した。なお、流速は1〜5m/sまで検討することとした。
(一次側設置の場合の圧力損失)
図6は、一次側設置条件の各モデルでの圧力損失(数値解析結果)を示したグラフである。フェアリング角度θfが小さくなるにつれて、圧力損失が大幅に抑制されることが判る。具体的には、流速を5m/sとし、フェアリングカバー32の無いθf=0の場合の圧力損失を1(100%)とすると、θf=150°になると圧力損失は約91%に、θf=120°になると圧力損失は約74%に、θf=90°になると圧力損失は約45%に、θf=45°になると圧力損失は約33%にまで低下することが判った。
このことから、θf≦120°であって、θfが小さければ小さい程、良いことになるが、θfが極めて小さくなれば、フェアリングカバー32の流路方向長さ(ひいては、自動洗浄装置3の全長)が極めて長くなり、空気調和機1内の限られた空間に自動洗浄装置3を設置できなくなる。従って、θfは、45°≦θf≦120°が好ましく、60°≦θf≦90°がさらに好ましい。
(一次側設置の場合の流線)
また、図7(a)〜(e)に、異なるフェアリング角度θfを持つ各モデル(風向き:一次側設置)で導出された流線を示す。フェアリングカバー32が無い場合やフェアリング角度θfが鈍角である場合(θf=150°,θf=120°)は、筐体31の後流や筐体31の上板31c、下板31dの外側に渦流が生じている(図7(a)〜(c)参照)。この渦流は圧力損失の増大の一因となり得る。一方、フェアリング角度θfが鋭角である場合(θf=90°,θf=45°)は、上述のような渦流は発生せず、円滑な流れを示した(図7(d)及び(e)参照)。
(二次側設置の場合の圧力損失)
図8は、二次側設置条件の各モデルでの圧力損失(数値解析結果)を示したグラフである。この図から、二次側設置の場合、フェアリング角度θfを変更しても圧力損失の結果に大差が無く、フェアリングカバー32の追設効果がほとんど得られ無いことが判った。
(バッフル板の追加設置)
また、上述のフェアリングカバー32が取り付けられる筐体31の端部(つまり、背面板31b)とは反対の端部(つまり、開口部31a側)に、後述のバッフル板38を設けてもよい。バッフル板38は、例えば、図2(a)及び図3(a)に示すように、筐体31(開口部31aを区画する上板31c、下板31d)の先端部分を内側に向くように傾斜させることにより形成される。図3(b)に示す例では、上下のバッフル板38のそれぞれの傾斜角θbは45°であり、上記先端部分で開口部31aが若干窄まった構成となっている。
(バッフル板を設けた解析モデル)
バッフル板38の追設効果を予測するために以下の数値解析を行った。この解析に用いたモデルは、内部空間が閉じた筐体31(モデル1)、開口部31aを有した筐体31(モデル1−2)、傾斜角θb=45°に設定したバッフル板38を設置した筐体31(モデル1−3、図3(b)も参照)、傾斜角θb=−45°に設定したバッフル板38を設置した筐体31(モデル1−4)である。なお、風向きとして、自動洗浄装置3を一次側SD1に設置した場合と、二次側SD2に設置した場合との双方の場合も計算した。なお、流速は1〜5m/sまで検討することとした。
(一次側設置の場合の圧力損失)
図9に、一次側SD1に上記モデルを設置した場合の圧力損失の結果を示す。この解析結果から、バッフル板38の付いたモデル1−3及びモデル1−4での圧力損失が、バッフル板無しのモデル1やモデル1−2の場合より、7%程度、抑制されることが予測された。
(二次側設置の場合の圧力損失)
図10(a)に、二次側SD2に上記モデルを設置した場合の圧力損失の結果を示す。この解析結果から、バッフル板を内向きに付けたモデル1−3の圧力損失が、バッフル板無しのモデル1に対して20%程度、抑制されることが観察された。一方、バッフル板38を外向きに付けたモデル1−4の圧力損失が、モデル1に対して50%程度も増大することが観察された。
以上から、一次側SD1及び二次側SD2のいずれの側に設置しても流体抵抗の面で優れた形状は、バッフル板38を内向きに付けたモデル1−3であることが判った。
(バッフル板及びフェアリングカバーの両方が付いたモデルを二次側に設置)
なお、上述のモデル1−3にさらにフェアリングカバー32を追加したモデルも構築・解析した。図10(b)は圧力損失の結果を示し、図11は、各モデルでの流線(5m/sの場合)を示す。
図10(b)により、二次側に設置したモデル1−3にフェアリングカバー32を追加しても追加しなくても、その圧力損失特性に左程影響を与えないことが判った。また、図11より、二次側に設置したモデル1−3にフェアリングカバー32を追加しない条件と追加した条件では、流れ場の挙動は左程変わらないことが判った。一方、バッフル板無しのモデルや外向きバッフル板38付のモデルでは、筐体31の上下側に渦流の発生が観察され、これらの渦流が上述の圧力損失の増大に寄与していることと考えられる。
(反射板の形状の検討)
次に、本発明の自動洗浄装置3において、紫外線により効果的な照射を促す反射板35の形状を検討することにした。
図12(f)の凡例に、評価対象とした各反射板35の断面形状A〜Eを示す。具体的には、紫外線ランプ33の裏側に垂直に立設させたもの(平形状A)、高さ方向中央に向かって該ランプに近づくように曲折したもの(山形状B)、山形状とは反対に高さ方向中央に向かって該ランプに離れるように曲折したもの(谷形状C)、上述の山形状と谷形状とを組み合わせたもの(凹凸形状D)と、この凹凸形状の反射板に加え、紫外線ランプ33の上下にも反射板を設置したもの(上下屋根付き凹凸形状E、図3(a)に示す反射板35の形状も参照)を用意した。
図12(a)〜(e)は、夫々、筐体31内に各形状の反射板35を設け、かつ、開口部31aからスライド棒36をL=90mmだけ離して配置された紫外線ランプ33によって紫外線を照射した場合の照射強度を示す。これらの図を比較すると、凹凸形状D及び上下屋根付き凹凸形状Eを成す反射板35を用いると、他の形状の場合に比べ、1.0や0.9といった高強度の紫外線が照射面中央の広い範囲に照射されることが観察された。なお、本実施例では紫外線ランプ33を動かすためのスライド棒36の移動距離をLとして表示したが、必ずしも限定されず、紫外線ランプ33を基点とした移動距離をLに使用してもよい。
図12(f)は、各条件の照射強度の40%強度のみを抽出し、これを一つのグラフに表示・比較したものである。この図から、上下屋根付き凹凸形状Eを成す反射板35を用いた場合が最も広範囲に照射されることが判った(特に左右方向にてこの傾向が顕著である)。
次に、上下屋根付き凹凸形状Eを成す反射板35を採用し、かつ、紫外線ランプ33の照射位置Xを徐々に変更した場合の照射強度Iの結果を示す。図13(a)は、開口部に最も近い位置(L=10mm、図3(a)に示すL’も参照)に置かれた場合であるが、熱交換器表面41aに最も近接しているため、照射強度Iが最も高くなる。その他の位置(L=40mm,L=90mm,L=120mm)に置かれた図13(b)〜(d)のグラフも、このL=10mmの照射強度と同じ強度コンター(等高線)を使用して表示している。
これら各位置Lでの強度コンターの積分値を導出すれば、照射位置X(移動距離L)と照射強度Iとの関係式F2を導出することができる。また、図5は、照射時間tの経過に対応した照射強度Iの劣化を示した結果である。これにより、経過時間tと照射強度Iとの関係式F1を得ることができる。
上記2つの関係式F1,F2を組み合わせることにより、経過時間(ランプ使用時間)tの照射強度Iの劣化に対応して前方へ移動すべき紫外線ランプの照射位置X(t)を得ることができる。なお、以下の表1は、紫外線点灯時間(使用時間)tと、照射強度(出力比)Iと、ランプ移動距離Lと、の関係を示す。
本発明の自動洗浄装置は、以上のような構成を有するため、熱交換器へ紫外線照射を施すことにより、院内集団感染の一因ともなる塵埃や雑菌を分解・除去することが可能であり、かつ、熱交換器周りの流路における流体の圧力損失を増加させることなく空気調和機内に組み込み可能である。
このように、本発明の自動洗浄装置及びこれを用いた洗浄方法は、産業上の利用可能性及び利用価値が非常に高い。
1 空気調和機
2 ファン
3 自動洗浄装置
4 熱交換器
5 居住空間
6,7 往路ダクト,復路ダクト
10 施設内空調システム
31 筐体
31a,31b,31c,31d 開口部,背面板,上板,下板
31e,31f,31g 第1側板,第2側板,スロット
32 フェアリングカバー
32a,32b,32c,32d 縁部,上側傾斜板,下側傾斜板,カバー終端線
33 紫外線ランプ
34 ランプ保持具
35 反射板
36 スライド棒
37 支持レール
38 バッフル板
41,41a 熱交換器本体,表面
42a,42b 第1冷媒管,第2冷媒管
43 空調熱源機器
44 冷温水ポンプ
51,52 居住空間に設置された吹出口,吸込口
A,B,C,D,E 反射板の断面形状
L,L’ 紫外線ランプ(又はこれを動かすスライド棒)の移動距離
Ld 熱交換器の表面から自動洗浄装置までの距離
I 紫外線ランプの照射強度
S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7 本発明の洗浄方法を構成する各工程
SD1,SD2 風向き一次側,二次側
t 紫外線ランプの発光時間(使用時間)
X 紫外線ランプの設置位置
θb,θf バッフル板の傾斜角、フェアリング角度
本発明は、空気調和機内の熱交換器紫外線照射装置及びこれを用いた清掃方法に関するものである。
病院や学校などの大型施設には、空気調和機と呼ばれる設備が設置される。この空気調和機は、病室等の各居住空間から空気を回収して加温又は冷却し、この温度調整された空気を各居住空間へ送出するため、施設内の空調設備における中央管理ユニット(一極熱制御ユニット)として機能する。
空気調和機内には熱交換器が設けられ、この熱交換器は、通常、冷水又は温水が通過するチューブ(冷媒管)と、チューブ外周に設けられたフィンとで構成される。この熱交換器には各居住空間から空気が大量に送り込まれるため、空気調和機の使用を継続していると、熱交換器周囲には多量の塵埃が付着する。
(問題1.塵埃付着による熱交換器での雑菌の発生・繁殖)
これらの塵埃は、コイル周囲の湿気を含むことにより、雑菌の発生・繁殖の温床となる。これらの雑菌は、悪臭を生み出すだけでなく、空気や塵埃とともに空気調和機から各居住空間へ移動するため、このような雑菌は院内集団感染の一因と考えられており、雑菌や臭気の除去・抑制を含めた空気環境対策は切実な課題である。
(問題2.塵埃付着による熱交換器での流体の圧力損失の増加)
また、各居住空間から回収され、流路の狭い熱交換器を流れる気体の流速は大きい。この熱交換器への塵埃の付着量が多くなると、熱交換器の流路の一部又は全部が目詰まりを起こし、熱交換器周りの流路の圧力損失が増加してしまう。
なお、雑菌を除去するために、紫外線をコイル面に照射することにより、雑菌等の繁殖を抑制できることが既に提案されている(例えば、特許文献1〜5を参照)。
(問題3.継続使用による紫外線ランプの強度低下)
しかしながら、紫外線ランプは、継続的な使用により、熱交換器へ照射される紫外線強度は大幅に劣化することが判っている。このため、紫外線ランプを備えた紫外線照射装置は、その継続使用により、雑菌の不活化や塵埃の分解が期待どおりに行えなくなることが懸念される。したがって、紫外線ランプの使用時間に応じた紫外線の強度低下を見越したうえで、紫外線照射装置の所期の目的が達成されるように措置しておくことが望まれる。
(問題4.紫外線照射装置の設置(追加)による流体抵抗及び圧力損失の増加)
上述した問題2は、熱交換器に隣接して上記紫外線照射装置を設置することで解決することができる。しかしながら、有形の紫外線照射装置の追加設置によって熱交換器周辺の流路の圧力損失が増加してしまったら、これによって上記問題2を解決した意味が無い。従って、圧力損失が極力増加しないように、紫外線照射装置を設計し、空気調和機内へ設置する必要がある。
(問題5.紫外線照射装置の設置位置への制約)
また、本発明の紫外線照射装置を、既存の空気調和機へ組み込むことを想定する。各現場(病院等の各施設)においては、空気調和機の仕様・構造や熱交換器の据付状態等は種々異なっていることが多い。これにより、現場毎に紫外線照射装置の追設位置に異なる制約が生じる。例えば、現場での据付上の制約から、熱交換器に対して風上側(一次側)ではなく、風下側(二次側)の方に紫外線照射装置を追設せねばならない場合もあり得る。従って、どちらの側に紫外線照射装置が置かれた場合でも、組み込み後の熱交換器の流路全体の圧力損失を増加させないことも望まれる。
特開平08−038844号公報 特開2004−108685号公報 実開昭62−060809号公報 特開平04−316937号公報 特開2001−324195号公報
(本発明の目的)
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、空気調和機内の熱交換器へ紫外線を照射することにより、臭気・塵埃の除去及び雑菌の繁殖抑制を効率的に行う紫外線照射装置を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、熱交換器に紫外線を照射することにより塵埃を除去する等して熱交換器周囲の空気の流体抵抗を抑制できる紫外線照射装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、紫外線ランプの継続使用により発光強度が段階的に低下しても、熱交換器に照射される紫外線強度を一定に保つことができる紫外線照射装置及びこれを用いた熱交換器の清掃方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、空気調和機内に組み込んだ際に熱交換器の流路全体の圧力損失が増加しないように、流路抵抗の小さいフォルムを有した紫外線照射装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、熱交換器の風上側(一次側)でも風下側(二次側)でも設置可能であり、かつ、どちらの側に設置されても熱交換器の流路全体の圧力損失を増加させることの無いフォルムを有した紫外線照射装置を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の末、上述の問題点を見事に解決する装置及び方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、例えば、以下の構成・特徴を備えるものである。
(態様1)
空気調和機内の熱交換器の表面に紫外線を照射可能な紫外線照射装置であって、
前記紫外線照射装置は前記熱交換器の風向一次側又は風向二次側或いは両側に設置され、
前記紫外線照射装置は、開口部を備えた筐体と、前記筐体内に配置されかつ前記開口部から紫外線を前記熱交換器の前記表面に向けて照射可能な紫外線ランプと、を備え、
前記紫外線ランプは、紫外線照射強度の劣化に応じて、該紫外線ランプと前記熱交換器との距離を縮めるよう移動可能である、
ことを特徴とする紫外線照射装置。
(態様2)
前記紫外線ランプの背面、上面又は下面には反射板がさらに形成される、
ことを特徴とする態様1に記載の紫外線照射装置。
(態様3)
前記背面に形成された前記反射板は、前記紫外線ランプに対して凹凸形状を成す、
ことを特徴とする態様2に記載の紫外線照射装置。
(態様4)
前記開口部を区画する前記筐体の端部側には、流体抵抗低減用のバッフル板がさらに形成され、かつ、前記バッフル板は前記開口部の開口面積を徐々に縮小するように前記開口部の先端に向かって窄まった形状を成す、
ことを特徴とする態様1〜3のいずれかに記載の紫外線照射装置。
(態様5)
前記筐体には、前記開口部が設置された一端と逆の他端に流体抵抗低減用のフェアリングカバーがさらに形成される、
ことを特徴とする態様1〜4のいずれかに記載の紫外線照射装置。
(態様6)
態様1〜5のいずれかに記載の紫外線照射装置を用いて空気調和機内の熱交換器に紫外線を照射して該熱交換器清掃するための清掃方法であって、
前記紫外線照射装置へ設置する前記紫外線ランプと同型の製品を用いて、前記紫外線ランプの使用時間と、前記熱交換器の表面での照射強度との関係式F1を導出する工程と、
前記紫外線ランプと前記熱交換器の表面との間の距離と、前記表面での紫外線照射強度との関係式F2を導出する工程と、
前記関係式F1,F2から、前記熱交換器の前記表面での紫外線照射強度を一定に保つため、前記使用時間と、前記紫外線ランプの移動位置との関係式F3を導出する工程と、
前記熱交換器の一次側又は二次側或いは両側に前記紫外線照射装置を設置し、前記紫外線ランプを、前記関係式F3で得られた初期位置X(t=0)に固定する工程と、
前記紫外線ランプを発光させ、前記熱交換器の前記表面へ紫外線を照射する工程と、
前記紫外線照射装置の前記使用時間が所定時間tの経過したときに、この時間tに対応した分、前記紫外線ランプを前記熱交換器側に近づくように移動し、前記関係式F3から得られた前記紫外線ランプの設置位置X(t)にて移動・固定する工程と、
を含むことを特徴とする清掃方法。
本発明の紫外線照射装置は、以上のような構成を有するため、熱交換器へ紫外線照射を施すことにより、院内集団感染の一因ともなる塵埃や雑菌を分解・除去することが可能であり、かつ、熱交換器周りの流路における流体の圧力損失を増加させることなく空気調和機内に組み込み可能である。
本発明の紫外線照射装置は、以上のような構成を有するため、紫外線ランプの継続使用により発光強度が段階的に低下しても、熱交換器の表面に照射される紫外線強度を一定に保つことができる。
また、本発明の紫外線照射装置は、以上のような構成を有するため、熱交換器の風上側でも風下側でも設置可能であり、かつ、どちらの側に設置されても熱交換器の流路全体の圧力損失を増加させることが無い。
また、本発明の紫外線照射装置を用いた熱交換器の清掃方法によれば、装置内で使用される同種の紫外線ランプについて、使用時間と照射強度との関係式F1(校正曲線)と、ランプ設置位置(移動距離)と照射強度との関係式F2(校正曲線)と、を求めた上で、使用時間とランプ移動距離との関係式F3を予め導出しておく。熱交換器の一次側又は二次側に設置された紫外線照射装置を稼働させた後は、予め導出された上記関係式F3を用いて、定期的に使用時間(照射時間)に応じた分、紫外線ランプと熱交換器との距離を縮めるように紫外線ランプを所定距離だけ移動・固定する。これらの操作を行うことで、紫外線ランプの継続使用により発光強度が段階的に低下しても、熱交換器の表面に照射される紫外線強度を一定に保つことができるのである。
本発明の空気調和機及びこれを含んだ施設内空調システムを示した概略図である。 (a)紫外線照射装置を一方(前方)から観察した斜視図であり、(b)他方(後方)から観察した斜視図である。 紫外線ランプを前後方向に移動可能な紫外線照射装置の断面図、バッフル板の拡大断面図、及び、紫外線照射装置と風向との位置関係を説明した図である。 本発明の清掃方法の各工程を示したフローチャートである。 紫外線ランプの耐久試験(劣化試験)にて実測された強度データをプロットした後に漸近させた強度劣化曲線を示す。 一次側設置条件の各モデルの圧力損失を示した数値解析結果(フェアリング角度θfの影響)である。 一次側設置条件の各モデルの流れ場(流線)を示した数値解析結果(フェアリング角度θfの影響)である。 二次側設置条件の各モデルの圧力損失を示した数値解析結果(フェアリング角度θfの影響)である。 一次側設置条件の各モデルの圧力損失を示した数値解析結果(バッフル板の傾斜角θbの影響)である。 二次側設置条件の各モデルの圧力損失を示した数値解析結果(バッフル板の傾斜角θbの影響)である。 二次側設置条件の各モデルの流れ場(流線)を示した数値解析結果(バッフル板の傾斜角θbの影響)である。 異なる形状の反射板を使用した場合の紫外線の照射強度を示した図である。 本発明の反射板を採用し、かつ、紫外線ランプの照射位置を徐々に変更した場合の照射強度Iを示した図である。
以下、添付の図面を参照しながら下記の具体的な実施形態に基づき本発明の技術的内容を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何等限定されるものではない。
(空気調和機及びこれを含んだ施設内空調システムの概要)
図1に、本発明の空気調和機1及びこれを含んだ施設内空調システム10の概要を示す。空気調和機1は、ファン2と、紫外線照射装置3を備えた熱交換器4と、を備える。ファン2は、空気調和機1で調整された空気を取り込み、空気調和機1と居住空間5とを接続する往路ダクト6内へ空気を送風する。往路ダクト6内の空気は、居住空間5の天井に通常設置された吹出口51から居住空間5へ流入し、吸込口52から復路ダクト7へ送り出される。復路ダクト7は、各居住空間から回収された空気を集めて空気調和機1に戻す。
(熱交換器の構成)
熱交換器4は、冷媒管及びフィンを備えた公知の熱交換器の構成を前提とする。ここで、冷媒管42a,42bは、熱交換器本体41と、空調熱源機器43とを接続する。空調熱源機器43にて温度調整された冷媒は、冷媒管(第1冷媒管)42a内を通過しながら、熱交換器本体41へと送られ、熱交換器本体41周りの空気と熱交換(熱の授受)を行い、冷媒管(第2冷媒管)42b内を通過して再度、空調熱源機器43に戻される。その際に、冷温水ポンプ44によって冷媒は加圧される。
紫外線照射装置の概要)
次に、図2(a)及び(b)を参照しながら、本発明のユニークな紫外線照射装置3について詳しく説明する。紫外線照射装置3は、中空立方体状の筐体31と、鋼板を折り曲げたフェアリングカバー32とを有する。この筐体31の一方側(前方側)は、開口部31aが設けられいるため解放しているが、他方側(後方側)は、背面板31bが存在するため閉じている。つまり、組付け状態では開口部31aが開口し、筐体31の内部が露見した状態となる。なお、開口部31aの周囲に、後述するバッフル板38を形成してもよい。
(筐体の構造)
筐体31の開口部31aは、4つの板(詳しくは、上板31c、下板31d、第1側板31e、第2側板31f)によって区画されている。これらの4つの板31c〜31fは金属製であることが好ましい。なお、第1・第2側板31e,31fには開口部31aから後方に向かって水平に延びたスロット31gが設けられる。なお、図示した左右のスロット31gは、互いに同一の幅と長さを有し、同一の高さ(筐体31の約半分の高さ)位置に設置されているが、必ずしも図示の構成に限定されない。
(フェアリングカバーと筐体との接続)
フェアリングカバー32には、両端に水平に延びた縁部32aが形成されており、これらの縁部32aが、筐体31の上板31cと下板31dの一部(後方部分)と重なった状態で面接触し、これらの一部に固定されている。これにより、フェアリングカバー32は筐体31の後方に一体的に取り付けられる。
また、フェアリングカバー32は上側傾斜板32bと下側傾斜板32cとを備える。これらの傾斜板32b,32cは、筐体31から後方に向かって内部空間の断面積を徐々に小さくするように傾斜しており、筐体31の半分の高さ位置で、傾斜板32b,32cの各後端同士が接続してカバー終端線32dを形成する。このように筐体31の後側に取り付けられたフェアリングカバー32は、筐体31周りの流体抵抗を低減するよう作用する。
(紫外線ランプ及びその周辺装置の構造)
筐体31の内部には、図2(a)及び図3(a)に示すように、紫外線ランプ33と、この紫外線ランプ33を水平に保持可能なランプ保持具34とが搭載されている。また、ランプ保持具34の前面や筐体31の上板31c、下板31dの内面には、紫外線ランプ33から出射された紫外線を反射させる反射板35が設置されていてもよい。以上の構成の紫外線ランプ33から出射された定格波長(例えば、254nm)を有した紫外線は、直接的に又は反射板35等に反射・屈折した後に、開口部31aを通過して外側に向けて照射される。
(紫外線ランプを前後方向に移動可能にする構造)
ランプ保持具34には、図2(a)及び図3(a)に示すように、スロット31gを挿通してさらに外側に延びたスライド棒36が形成されている。これにより、ランプ保持具34及びこれに保持された紫外線ランプ33は前後方向に移動可能となる。この移動を安定かつ容易にするために、前後方向に延びかつランプ保持具34を摺動可能な支持レール37を上板31c、下板31dの内壁側に設けてもよい。
これにより、後述するように、長時間使用により紫外線ランプ33の発光強度の低下が確認された場合又は低下すると予測された場合に、保守員は、スライド棒36を把持して前方に移動させることで、紫外線ランプ33が取り付けられたランプ保持具34を、前方に所望距離だけ移動させることができる。つまり、紫外線ランプ33の照射位置が相対的に前方へ移動するため、長時間経過して紫外線ランプ33自体の発光強度が低下した後でも、より高強度の紫外線を熱交換器4の表面41a(図3(a)参照)へ照射し続けることが可能となる。
(本発明の紫外線照射装置を用いた熱交換器の清掃方法)
以上の構成の紫外線照射装置3を用いて熱交換器4(内の冷温水コイル)を清掃する方法を説明する。図4に、本発明の清掃方法の各工程を示したフローチャートを示す。ここで、紫外線照射装置3の実際の使用に先立ち、紫外線ランプ33の耐久試験を行い、以下の関係式F1〜F3の導出を行うことに留意されたい。
先ず、紫外線照射装置3へ設置する紫外線ランプ33と同型の製品を用いて、紫外線ランプ33の使用時間t(発光時間)と、熱交換器4の表面41aに相当する基準位置での照射強度Iとの関係式F1を導出する(工程S1)。つまり、紫外線ランプ33の使用時間tに対応した照射強度Iの劣化を予測する。
また、紫外線照射装置3内の紫外線ランプ33と、熱交換器4の表面41a(被照射面、被清掃面)との間の距離Lと、照射強度Iとの関係式F2を導出する(工程S2)。
上記2つの関係式F1,F2から、熱交換器4の表面41aでの紫外線の照射強度Iを一定に保つため、使用時間tと、紫外線ランプ33の設置位置X(若しくは移動距離L)との関係式F3を導出する(工程S3)。
熱交換器4の一次側SD1又は二次側SD2或いは両側SD1,SD2に紫外線照射装置3を設置し、この際に、紫外線照射装置3内の紫外線ランプ33を、上記関係式F3で得られた初期位置X(t=0)に固定する(工程S4)。なお、図3(a)に示すように、熱交換器4の表面41aから距離Ldだけ離し、かつ、垂直に面するように紫外線照射装置3を設置することが好ましい。
その後、紫外線照射装置3に電源をつなぎ、紫外線ランプ33を発光させ、熱交換器4の表面41aへ紫外線を照射する(工程S5)。熱交換器4を含めた空調設備も同時に稼働させる。
定期的にオペレーターまたは保守員が紫外線照射装置3を監視する等して、次の操作を行う。すなわち、所定時間tの経過(使用)に対応した分、紫外線ランプ33を熱交換器4側に近づくように移動し、上記関係式F3から得られた紫外線ランプ33の設置位置X(t)にて移動・固定する(工程S6)。なお、上記のように保守員が手動操作で紫外線ランプ33を移動させることに必ずしも限定されず、紫外線照射装置3に図示しないプログラム及び搬送装置を組み込み、上記移動操作を自動化してもよい。
基本的に、病院等の大型施設内の空調設備は常時稼働しているため、紫外線ランプ33のフィラメントが切れた場合又はその使用時間tが最長許容時間を超えた場合、新品のものと交換する(工程S7)。
本方法によれば、紫外線ランプ33を継続使用して紫外線の発光強度が段階的に低下した(低下が予想された)場合でも、紫外線ランプ33の設置位置Xを熱交換器4に所望の距離だけ接近させることができるため、熱交換器4に受光される紫外線強度を一定に保つことができ、熱交換器4上の雑菌の繁殖を抑制することができるのである。
(紫外線強度の劣化(経時的変化)の検討・予測)
本発明者らは、紫外線照射装置3において、図3(a)に示すように、紫外線強度の劣化に応じて、紫外線ランプ33を、照射方向前方へ(すなわち、熱交換器4の表面41aにより近接して)移動可能な構成とした。
しかしながら、紫外線ランプ33をどの程度の時間だけ使用(点灯)したら、該ランプ33をどの程度前方に移動したら良いか不明であった。つまり、上述の工程S1〜S3の関係式F1〜F3を導出する必要があった。そこで、本発明者らは、先ず、紫外線ランプ33の紫外線強度の経時的変化を実測することにした。この際に、紫外線ランプ33を複数本利用して繰り返し同様の劣化試験を行った。
図5に、紫外線ランプ33の耐久試験(劣化試験)にて実測された強度データをプロットした後に漸近させた強度劣化曲線を示す。具体的には、点灯時間が1,000時間になると紫外線強度は約88%に、3,000時間になると紫外線強度は約64%に、5,000時間になると紫外線強度は約40%にまで低下することが判った。
このように紫外線照射装置3に載置する紫外線ランプ33と同種のランプを用いて、紫外線強度の劣化曲線(経時的変化、言い換えれば、上記の関係式F1〜F3)を事前に把握することが好ましい。この事前に予測された劣化状況に応じた分だけ、筐体31内の紫外線ランプ33をより前方に移動させることで、強度は劣化するものの熱交換器4の表面41aにはより多くの紫外線を照射することできる。つまり、長時間使用したとしても常に高強度の紫外線ランプ33を熱交換器4の表面41aに照射して塵芥や雑菌の除去を行うことができるようになる。
(フェアリング角度の検討)
また、空気調和機1(例えば、病院等で使用されるエアハンドリングユニット)の内部では、その熱交換器4周りの気体の流速は、通常、3〜5m/sと極めて大きい。そのため、この熱交換器4の近くに紫外線照射装置3を設置することによって、気体流路における圧力損失が急激に増大してしまう可能性がある。
そこで、流体解析により、フェアリングカバー32の外形(フェアリング角度θf)が圧力損失に及ぼす影響を検討した。
図3(a)に示すように、フェアリングカバー32の断面は底辺の無い三角形を成すが、底辺に延びる二辺(傾斜板32b,32c)と、この二辺が接続する頂点(カバー終端線32d)と、で形成されるフェアリング角度θfが鈍角から鋭角になるように変化させてみた。具体的には、θfを150°、120°、90°、45°に設定した場合の数値解析モデルを構築し、その圧力損失の算出及び流れ場の可視化を行った。加えて、θf=0°、つまり、フェアリングカバー32を設けない数値解析モデルも構築し、同様の解析を行った。
風向きとして、気流が最初にフェアリングカバー32にぶつかる方向(紫外線照射装置3を「一次側」に設置した場合とも呼ぶ。図1や図3(c)の符号SD1を参照)と、気流が最初に開口部にぶつかる方向(紫外線照射装置3を「二次側」に設置した場合とも呼ぶ。図1や図3(c)の符号SD2を参照)と、を想定した。なお、流速は1〜5m/sまで検討することとした。
(一次側設置の場合の圧力損失)
図6は、一次側設置条件の各モデルでの圧力損失(数値解析結果)を示したグラフである。フェアリング角度θfが小さくなるにつれて、圧力損失が大幅に抑制されることが判る。具体的には、流速を5m/sとし、フェアリングカバー32の無いθf=0の場合の圧力損失を1(100%)とすると、θf=150°になると圧力損失は約91%に、θf=120°になると圧力損失は約74%に、θf=90°になると圧力損失は約45%に、θf=45°になると圧力損失は約33%にまで低下することが判った。
このことから、θf≦120°であって、θfが小さければ小さい程、良いことになるが、θfが極めて小さくなれば、フェアリングカバー32の流路方向長さ(ひいては、紫外線照射装置3の全長)が極めて長くなり、空気調和機1内の限られた空間に紫外線照射装置3を設置できなくなる。従って、θfは、45°≦θf≦120°が好ましく、60°≦θf≦90°がさらに好ましい。
(一次側設置の場合の流線)
また、図7(a)〜(e)に、異なるフェアリング角度θfを持つ各モデル(風向き:一次側設置)で導出された流線を示す。フェアリングカバー32が無い場合やフェアリング角度θfが鈍角である場合(θf=150°,θf=120°)は、筐体31の後流や筐体31の上板31c、下板31dの外側に渦流が生じている(図7(a)〜(c)参照)。この渦流は圧力損失の増大の一因となり得る。一方、フェアリング角度θfが鋭角である場合(θf=90°,θf=45°)は、上述のような渦流は発生せず、円滑な流れを示した(図7(d)及び(e)参照)。
(二次側設置の場合の圧力損失)
図8は、二次側設置条件の各モデルでの圧力損失(数値解析結果)を示したグラフである。この図から、二次側設置の場合、フェアリング角度θfを変更しても圧力損失の結果に大差が無く、フェアリングカバー32の追設効果がほとんど得られ無いことが判った。
(バッフル板の追加設置)
また、上述のフェアリングカバー32が取り付けられる筐体31の端部(つまり、背面板31b)とは反対の端部(つまり、開口部31a側)に、後述のバッフル板38を設けてもよい。バッフル板38は、例えば、図2(a)及び図3(a)に示すように、筐体31(開口部31aを区画する上板31c、下板31d)の先端部分を内側に向くように傾斜させることにより形成される。図3(b)に示す例では、上下のバッフル板38のそれぞれの傾斜角θbは45°であり、上記先端部分で開口部31aが若干窄まった構成となっている。
(バッフル板を設けた解析モデル)
バッフル板38の追設効果を予測するために以下の数値解析を行った。この解析に用いたモデルは、内部空間が閉じた筐体31(モデル1)、開口部31aを有した筐体31(モデル1−2)、傾斜角θb=45°に設定したバッフル板38を設置した筐体31(モデル1−3、図3(b)も参照)、傾斜角θb=−45°に設定したバッフル板38を設置した筐体31(モデル1−4)である。なお、風向きとして、紫外線照射装置3を一次側SD1に設置した場合と、二次側SD2に設置した場合との双方の場合も計算した。なお、流速は1〜5m/sまで検討することとした。
(一次側設置の場合の圧力損失)
図9に、一次側SD1に上記モデルを設置した場合の圧力損失の結果を示す。この解析結果から、バッフル板38の付いたモデル1−3及びモデル1−4での圧力損失が、バッフル板無しのモデル1やモデル1−2の場合より、7%程度、抑制されることが予測された。
(二次側設置の場合の圧力損失)
図10(a)に、二次側SD2に上記モデルを設置した場合の圧力損失の結果を示す。この解析結果から、バッフル板を内向きに付けたモデル1−3の圧力損失が、バッフル板無しのモデル1に対して20%程度、抑制されることが観察された。一方、バッフル板38を外向きに付けたモデル1−4の圧力損失が、モデル1に対して50%程度も増大することが観察された。
以上から、一次側SD1及び二次側SD2のいずれの側に設置しても流体抵抗の面で優れた形状は、バッフル板38を内向きに付けたモデル1−3であることが判った。
(バッフル板及びフェアリングカバーの両方が付いたモデルを二次側に設置)
なお、上述のモデル1−3にさらにフェアリングカバー32を追加したモデルも構築・解析した。図10(b)は圧力損失の結果を示し、図11は、各モデルでの流線(5m/sの場合)を示す。
図10(b)により、二次側に設置したモデル1−3にフェアリングカバー32を追加しても追加しなくても、その圧力損失特性に左程影響を与えないことが判った。また、図11より、二次側に設置したモデル1−3にフェアリングカバー32を追加しない条件と追加した条件では、流れ場の挙動は左程変わらないことが判った。一方、バッフル板無しのモデルや外向きバッフル板38付のモデルでは、筐体31の上下側に渦流の発生が観察され、これらの渦流が上述の圧力損失の増大に寄与していることと考えられる。
(反射板の形状の検討)
次に、本発明の紫外線照射装置3において、紫外線により効果的な照射を促す反射板35の形状を検討することにした。
図12(f)の凡例に、評価対象とした各反射板35の断面形状A〜Eを示す。具体的には、紫外線ランプ33の裏側に垂直に立設させたもの(平形状A)、高さ方向中央に向かって該ランプに近づくように曲折したもの(山形状B)、山形状とは反対に高さ方向中央に向かって該ランプに離れるように曲折したもの(谷形状C)、上述の山形状と谷形状とを組み合わせたもの(凹凸形状D)と、この凹凸形状の反射板に加え、紫外線ランプ33の上下にも反射板を設置したもの(上下屋根付き凹凸形状E、図3(a)に示す反射板35の形状も参照)を用意した。
図12(a)〜(e)は、夫々、筐体31内に各形状の反射板35を設け、かつ、開口部31aからスライド棒36をL=90mmだけ離して配置された紫外線ランプ33によって紫外線を照射した場合の照射強度を示す。これらの図を比較すると、凹凸形状D及び上下屋根付き凹凸形状Eを成す反射板35を用いると、他の形状の場合に比べ、1.0や0.9といった高強度の紫外線が照射面中央の広い範囲に照射されることが観察された。なお、本実施例では紫外線ランプ33を動かすためのスライド棒36の移動距離をLとして表示したが、必ずしも限定されず、紫外線ランプ33を基点とした移動距離をLに使用してもよい。
図12(f)は、各条件の照射強度の40%強度のみを抽出し、これを一つのグラフに表示・比較したものである。この図から、上下屋根付き凹凸形状Eを成す反射板35を用いた場合が最も広範囲に照射されることが判った(特に左右方向にてこの傾向が顕著である)。
次に、上下屋根付き凹凸形状Eを成す反射板35を採用し、かつ、紫外線ランプ33の照射位置Xを徐々に変更した場合の照射強度Iの結果を示す。図13(a)は、開口部に最も近い位置(L=10mm、図3(a)に示すL’も参照)に置かれた場合であるが、熱交換器表面41aに最も近接しているため、照射強度Iが最も高くなる。その他の位置(L=40mm,L=90mm,L=120mm)に置かれた図13(b)〜(d)のグラフも、このL=10mmの照射強度と同じ強度コンター(等高線)を使用して表示している。
これら各位置Lでの強度コンターの積分値を導出すれば、照射位置X(移動距離L)と照射強度Iとの関係式F2を導出することができる。また、図5は、照射時間tの経過に対応した照射強度Iの劣化を示した結果である。これにより、経過時間tと照射強度Iとの関係式F1を得ることができる。
上記2つの関係式F1,F2を組み合わせることにより、経過時間(ランプ使用時間)tの照射強度Iの劣化に対応して前方へ移動すべき紫外線ランプの照射位置X(t)を得ることができる。なお、以下の表1は、紫外線点灯時間(使用時間)tと、照射強度(出力比)Iと、ランプ移動距離Lと、の関係を示す。
本発明の紫外線照射装置は、以上のような構成を有するため、熱交換器へ紫外線照射を施すことにより、院内集団感染の一因ともなる塵埃や雑菌を分解・除去することが可能であり、かつ、熱交換器周りの流路における流体の圧力損失を増加させることなく空気調和機内に組み込み可能である。
このように、本発明の紫外線照射装置及びこれを用いた熱交換器の清掃方法は、産業上の利用可能性及び利用価値が非常に高い。
1 空気調和機
2 ファン
紫外線照射装置
4 熱交換器
5 居住空間
6,7 往路ダクト,復路ダクト
10 施設内空調システム
31 筐体
31a,31b,31c,31d 開口部,背面板,上板,下板
31e,31f,31g 第1側板,第2側板,スロット
32 フェアリングカバー
32a,32b,32c,32d 縁部,上側傾斜板,下側傾斜板,カバー終端線
33 紫外線ランプ
34 ランプ保持具
35 反射板
36 スライド棒
37 支持レール
38 バッフル板
41,41a 熱交換器本体,表面
42a,42b 第1冷媒管,第2冷媒管
43 空調熱源機器
44 冷温水ポンプ
51,52 居住空間に設置された吹出口,吸込口
A,B,C,D,E 反射板の断面形状
L,L’ 紫外線ランプ(又はこれを動かすスライド棒)の移動距離
Ld 熱交換器の表面から紫外線照射装置までの距離
I 紫外線ランプの照射強度
S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7 本発明の清掃方法を構成する各工程
SD1,SD2 風向き一次側,二次側
t 紫外線ランプの発光時間(使用時間)
X 紫外線ランプの設置位置
θb,θf バッフル板の傾斜角、フェアリング角度

Claims (6)

  1. 空気調和機内の熱交換器の表面に紫外線を照射可能な自動洗浄装置であって、
    前記自動洗浄装置は、前記熱交換器の風向一次側又は風向二次側或いは両側に設置され、
    前記自動洗浄装置は、開口部を備えた筐体と、前記筐体内に配置されかつ前記開口部から紫外線を前記熱交換器の前記表面に向けて照射可能な紫外線ランプと、を備え、
    前記紫外線ランプは、紫外線照射強度の劣化に応じて、該紫外線ランプと前記熱交換器との距離を縮めるよう移動可能である、
    ことを特徴とする自動洗浄装置。
  2. 前記紫外線ランプの背面、上面又は下面には反射板がさらに形成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動洗浄装置。
  3. 前記背面に形成された前記反射板は、前記紫外線ランプに対して凹凸形状を成す、
    ことを特徴とする請求項2に記載の自動洗浄装置。
  4. 前記開口部を区画する前記筐体の端部側には、流体抵抗低減用のバッフル板がさらに形成され、かつ、前記バッフル板は前記開口部の開口面積を徐々に縮小するように前記開口部の先端に向かって窄まった形状を成す、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動洗浄装置。
  5. 前記筐体には、前記開口部が設置された一端と逆の他端に流体抵抗低減用のフェアリングカバーがさらに形成される、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の自動洗浄装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の自動洗浄装置を用いて空気調和機内の熱交換器を洗浄するための洗浄方法であって、
    前記自動洗浄装置へ設置する前記紫外線ランプと同型の製品を用いて、前記紫外線ランプの使用時間と、前記熱交換器の表面での照射強度との関係式F1を導出する工程と、
    前記紫外線ランプと前記熱交換器の表面との間の距離と、前記表面での紫外線照射強度との関係式F2を導出する工程と、
    前記関係式F1,F2から、前記熱交換器の前記表面での紫外線照射強度を一定に保つため、前記使用時間と、前記紫外線ランプの移動位置との関係式F3を導出する工程と、
    前記熱交換器の一次側又は二次側或いは両側に前記自動洗浄装置を設置し、前記紫外線ランプを、前記関係式F3で得られた初期位置X(t=0)に固定する工程と、
    前記紫外線ランプを発光させ、前記熱交換器の前記表面へ紫外線を照射する工程と、
    前記自動洗浄措置の前記使用時間が所定時間tの経過したときに、この時間tに対応した分、前記紫外線ランプを前記熱交換器側に近づくように移動し、前記関係式F3から得られた前記紫外線ランプの設置位置X(t)にて移動・固定する工程と、
    を含むことを特徴とする洗浄方法。

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