JP2021032009A - 薪ストーブによる屋根融雪構造及び給湯設備 - Google Patents

薪ストーブによる屋根融雪構造及び給湯設備 Download PDF

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Abstract

【課題】降雪地域ではさまざまな屋根融雪装置が普及しているが従来の屋根融雪では電気・水道・灯油等の高額なランニングコストが掛かかってしまう。また、屋根の融雪媒体が密でない箇所では、融雪のムラができて雪が残ってしまう。そのため地域全般に多くは普及しておらず、いまだ多くの家屋が人力で屋根の雪を降ろしているといった状況である。【解決手段】屋根融雪装置の熱源を薪ストーブとすることで電気・灯油等を使用せずにランニングコストを抑える。薪ストーブが温めた空気と水で屋根全体を温めて融雪のムラを無くし、熱源と屋根の間に貯水槽を設けることで温水を再利用して浴室給湯をする。同装置は夏季では熱源を太陽熱としても給湯が可能である。また、同装置の換気扇により建物内の空気を循環し、冷暖房を補い年間の光熱費の節減を目的とする。【選択図】図5

Description

本考案は薪ストーブの発する放射熱から屋根融雪及び浴槽給湯する装置、構造に関する。
また、同装置により太陽熱によって温水を作り、浴槽給湯する装置に関する。
従来の屋根融雪方法には、水道水散水方式、地下水散水方式、電気ヒーター式、屋根裏施工方式、屋根隠ぺい施工方式、屋根表面施工方式、薪ストーブ(特許文献2)といった様々な方法がある(非特許文献1)。
また、融雪機能と給湯機能を備えた設備もある。(特許文献1)
特開2005−314983号公報 特開平9−296629号公報
「家庭用融雪装置虎の巻」 http://yukinonayami.com
降雪地域、特に豪雪地帯といわれる地域では古来より住宅の屋根に降り積もった雪は人力で降ろしていた。そのため毎年屋根からの転落による怪我や死亡事故等が起こり、労力も大変なものである。それによりこれまで考案され、普及していった様々な融雪方法があるが、それぞれには融雪のムラや融雪の為だけに電気代や水道代、灯油代等の高額なランニングコストが掛かってしまうといった改善の余地が存在し、未だ多くの家屋にまでは普及されていない。
融雪をするための熱源を薪ストーブとし、その上階に貯水槽を設置する。薪ストーブの発する輻射熱から本構造の配管を熱し空気と水を温める。水は一旦貯水槽に溜めて屋根に設置した配気管・配水管によって屋根材の金属板を温め屋根融雪を行う。貯水槽を用いることによって融雪で使用した温水を再利用して浴室の給湯を可能とし、夏季においても熱源を太陽熱として屋根部の配水管を熱し給湯する。建物2階天井部分と屋根裏側壁に換気扇を設置して、建物内の空気を循環させる。
往来の屋根融雪で使用する電気や灯油などを用いず、融雪に掛ける費用は僅かな電気代と水道代のみである。あくまで薪ストーブは建物内の暖房が本来の目的であり、屋根融雪は副産物的なものであるので融雪の為だけに掛かる高額なランニングコストは必要ない。また、融雪で使用した温水は浴槽への給湯として再利用することができ、また本構造設備は夏季においても強い直射日光により屋根表面が高温に熱せられ、直下の配水管内の水も熱せられて温水となり浴槽の給湯を可能にする。更に建物内の空気を循環させることによって、冬季は融雪を円滑にして建物全体を温め、夏季では冷房費用を削減することができる。
本発明に係る設備構造の全体構成図である。 本発明に係る配気管を示す側面図である。 本発明に係る配水管を示す側面図である。 屋根部分の配気管、配水管の構成図である。 貯水槽、配水管の構成図である。 本設備における薪ストーブの構造図である。
図1は本考案に係る融雪給湯装置の実施例を示す全体構成図である。
建物屋根は一般的な切妻屋根の四寸勾配とする。屋根材は金属板(トタン)の三角形山型の波板を使用し、尾根・谷を垂木に添って地面に対し垂直に設置し、屋根材と野地板との間に空間を設け、その内部に融雪媒体の空気と温水を通過させる。
建物の下階の出来るだけ中央に薪ストーブ1を、その上階直上部には浴槽で使用する水の容量の密閉式貯水槽6を設置する。薪ストーブからは煙突が屋根棟に向かって伸び、煙突は屋根部分からではなく建物側壁から外部に突出させることとする。1階の床下部から配気管2iを設置して夏季には床下の温度の低い空気を1階室内に取り入れる。
薪ストーブに火を入れ同室内が暖まると手動、若しくは温度制御によって自動で天井部の換気扇4aが作動し、天井裏の空気を下階へ送る。すると屋根裏空間が陰圧となり、薪ストーブの熱気が配気管2aから2dへ、同階室内の暖まった空気が配気管2eを通過して軒下の屋根表面のトタン7下空間へ流れ、空気融雪が始まる。しばらくすると薪ストーブによって貯水槽6内部の水が暖まり、こちらも手動、若しくは温度制御によって自動で電動ポンプ9aが作動し、貯水槽6内上層の暖まった水を汲み上げ配水管5cから5eを通ってトタン7を温め温水融雪が始まる。
図2は本考案装置の配気管の設置例を示す側面図である。
図1、図2において建物下階の中央に薪ストーブ1を設置し、薪ストーブ本体1の後面、側面を金属板で覆い薪ストーブから放出される輻射熱により金属板を温め、同時に金属板と薪ストーブとの間に設けた空間の空気を温める。
煙突3の外側に配気管2aを二重煙突の様式で屋根裏部まで伸ばして設置し、暖められた空気は煙突3からの熱も加わって加熱・断熱され配気管2a内部を上昇していく。一本の配気管2aは屋根裏部で二分して配気管2bとなって上へ伸び、屋根棟部で水平移行して配気管2cとなる。配気管2cからは配気管2dの枝が等間隔で多数出ており、温まった空気が屋根上部から野地板と屋根表面のトタン7の空間に放出される。同時に薪ストーブにより室内の温まった空気は同階天井部外壁傍に多数設置した配気管2eから上階の壁を通って屋根裏部で水平に設置した配気管2fに合流し、等間隔に配気管2gの枝が多数分岐して軒下部から野地板、トタン7間に放出してトタン7を温め融雪をする。尚トタン7は三角形の山型の波板とし、雪との接地面を広くとり熱交換の効率を高める。
最上階天井には換気扇4aを設置して屋根裏の空気を下階部分へ送ると、屋根裏内が陰圧になるためトタン7を温め終えた空気は配気管2d、2g両放出口の中間に設けた排気口2hから屋根裏内に流入し、換気扇によって2階へ排出され下階室内を温めて建物内を循環する。
図3は本考案装置の配水管の設置例を示す。
図3において配水管5abが薪ストーブ1本体の背部から内部に入り込み、炎によって直接配水管5abを高温で熱して管内の水が温められ、薪ストーブ内部で移行した配水管5a内を上昇していく。配水管5aは配気管2aと煙突3との間の空間内部に設置して、高温の空気によって水温低下を防ぎ、上階に設置した貯水槽6底部に入り込んで、温められた水は次第に貯水槽6内上層部に貯留していく。貯水槽6内部では暖められた水の容量が増えていくことにより仕切り板8を押し下げて、貯水槽6に貯留していた冷たい水は配水管5bより下降して、配水管5abに流れ、薪ストーブ1により温められ配水管5a内を上昇し循環していく。(以下一時循環という。)
貯水槽6内の暖められた水は電動ポンプ9aによって汲み上げられ、配水管5cを通って屋根棟まで伸びた管内部を流れ、配水管5dに水平に移行して分岐した配水管5eに至る。トタン7と野地板の間に設置した配水管5eはトタン7の三角形頂点内側に密着させ、熱伝導によりトタン7を温めて融雪する。配水管e内の温め終えた水は屋根裏内の配水管5f、5gに集まり配水管5hを下降して貯水槽6の上層部に戻る。(以下二次循環という。)
尚配水管5b、5c、5d、5f、5g、5hは水温の低下を防ぐために断熱材を巻くように設置をする。
図4は屋根部における配気管、配水管の配置を示す。
図4において屋根材は金属素材のトタンを使用して、雪との接地面を広く取り熱交換の効率を高めるために三角形を呈した山型の波板とする。また、この三角の形状は水はけが非常に良いため、屋根材の傷みを防ぎ耐久性の向上が見込まれる。この水はけの良さから屋根上部の雪が溶けた水が屋根の勾配と波板の形状から集まって流れ、ある程度の水量となって下降し、更に降り積もる雪を溶かすことが出来ることになる。
屋根表面の三角形の底辺は野地板にしっかり密着させ、トタン7の両端、屋根の上下端には三角形の空間を塞ぐ蓋を設置して配気管2d、2gの暖められた空気の流出を防ぐようにする。配気管2d、2gの両排出口の中間に屋根裏とつながる排気口2hを設置する。最上階天井部分に設置した換気扇4aによって屋根裏が陰圧になるため、配気管2d、2g内の温かい空気は排気口2hから屋根裏部に流れ、換気扇4aから下階へと送られる。
配水管5eにはバネを用いた固定具を採用し、配水管5eはトタン7の三角形の内部頂点部分に密着して設置する事が可能となる。密着させることにより配水管5eの熱がトタン7に無駄なく伝わり雪を溶かしていく。
また配水管5eを三角形の山一つ置きに設置し、配気室と配水管室に分けることにより、設備のコストを抑えて屋根全体に設置できるため融雪のムラを解消することができる。
図5は貯水槽6の構造を示す。
貯水槽6を構成する素材として保温性の高い材質のものを使用する。
図5において薪ストーブから上階へ伸びる配水管5aが貯水槽6底部へ入り込み、網(ネット)10と仕切り板8を貫き貯水槽6の1/3上部に終わる。貯水槽6底部からは配水管5bが下階薪ストーブに向かって伸び、貯水槽6下層の冷たい水を薪ストーブに送る。
貯水槽6内部を仕切り板8から上を上層Aとし、下を下層Bとすると、暖められた仕切り板8の比重より軽くなった水は上層Aを対流し、下層Bに貯留していた仕切り板8より比重の重い冷たい水は、配水管5bから排出する。この一次循環を繰り返すことによって下層Bの容量が減り、上層Aの容量が増えていく。下層Bの容量がなくなって仕切り板8が下がりきってしまえば上層Aの水は一次循環を繰り返し次第に水温が上昇していくことになる。
仕切り板8と配水管5aとの間には僅かな隙間を設けて、仕切り板8のスムーズな上下動を可能にするものの、隙間からは少量の温度差のある水が流出入するが、設備上問題はないものとする。
また配水管5aの排出口には仕切り板8が通過する径よりも若干大きい固定具を取り付け、仕切り板8の浮き上がりを防ぎ、排出口と貯水槽天井部分の間に配水管5aから排出する温水が対流するスペースを設ける。
尚、仕切り板8を構成する素材は水温30°Cの密度(995.654kg/平方メートル、但し、水道水にはカルキが含まれているため若干の誤差が生じる)と同じ質量を有するものを使用することで、30°C以上の水(995.654kg/平方メートル以下)と30°C以下の水(995.654kg/平方メートル以上)とを仕切ることができ、水温の違う水を混ざらずに上層と下層に分けることが可能となる。
貯水槽6上部から延びる配水管5cには電動ポンプ9aが設置され、上層Aの温水を汲み上げ屋根に設置した配管eを通って熱交換によりトタン7を温めて融雪し、融雪し終えた水は配水管5hから配水管5hAを通って貯水槽6の1/3上部下層に戻って二次循環をする。
貯水槽6の1/3上部からは浴室へ延びる配水管5iが設置され、浴室の蛇口から貯水槽6内の温水が流失すると同時に、密閉式貯水槽であるから貯水槽6底部に設置した配水管5jから水道水が自動給水され水位を一定に保つ。低温の水道水からの給水により、貯水槽6内部の水が混ざり全体の水温の急激な低下を防止するため、配水管5jの流入口上部に網目の細かいストッキング様の網(ネット)10を設置し、水流が仕切り板8を押し上げる力を抑制し、温度以外の外力による仕切り板の変動を出来るだけ抑える。
配水管5hには二つの経路を設け、融雪時にはバルブ11aを閉めて11bを開け、融雪し終えた水は配水管5hAを通り貯水槽6の1/3上部に戻る。
夏季の太陽熱を熱源とするときにはバルブ11aを開けてバルブ11bを閉め、下層Bの水を電動ポンプ9bによって配水管5hBから配水管5hに送り、屋根部の配水管5e内で太陽熱によって温めて配水管5cから貯水槽6上部に戻る二次循環をする。
配水管5a、5bの貯水槽6直近にはバルブ11c、11dを設置し、薪ストーブを使用しない期間においてはバルブを閉めて水を抜き、配水管の劣化を防ぐようにする。
貯水槽6の上層部と下層部には水温計を設置し、リビングもしくは浴室でモニターにより融雪・給湯のための水温の管理が出来るようにする。また、貯水槽6内の水温を設定し、電動ポンプ9aの電源を自動制御出来る事が望ましい。但し外気温が0度以下では屋根部の配水管が凍結する怖れがあるため電動ポンプ9aは可動したままにしておくこととする。尚、降雪・積雪・凍結の怖れがなく電動ポンプ9aを可動せずに二次循環を停止していても、薪ストーブで暖房しておれば一次循環は自然の法則であるので貯水槽6内にはお湯が貯留し、浴室給湯が可能である。
図6は本設備において使用する薪ストーブの構造を示す。
薪ストーブ本体の背部に四方の口を設ける。その口を塞ぐ鉄板中央のやや上部に配水管5aを、やや下部に配水管5bを通過して埋め込み、薪ストーブ内でそれぞれT字型に分岐し、その枝の末端と中央から更にU字型に3本分岐して配水管5aと配水管5bが繋がる。この3本のU字型の配水管5abは薪ストーブの燃焼室に設置することになり、薪ストーブの炎が直接当たり、配水管5ab内の水を速やかに高温にする事ができる。
また薪ストーブの側面から背面を金属板で覆い、薪ストーブと金属板との間に空間を設け煙突に通じる配気管2aを設置し、この配気管2aは煙突3と配水管5aを覆う二重煙突の形を呈する。薪ストーブを覆う金属板は輻射熱によって熱せられ、同時に背面の空間内の空気も温められて配気管2a内を上昇し、配気管2b・2cを経て屋根部に至る。
夏期などに強い直射日光によって図3、図4の屋根表面のトタン7が熱せられ直下の配水管5e内の水が温められる。手動、若しくは屋根裏空間の温度制御によって電動ポンプ9bを作動し、貯水槽6内の冷水が配水管5hB・5h・5g・5fを通って送られ、配水管5e内の温水が押し出されるかたちとなって配水管5d・5cを通り貯水槽6上層に流入し、冬季の融雪時とは逆の二次循環を作り、貯水槽6内の水温を上昇させて給湯を可能にする。
更に屋根裏内の熱くなった空気は図1・図2の換気扇4bにより屋外に排出し、陰圧になった建物内は床下の温度の低い空気を配気管2iから室内に取り入れて、1階から2階へと流れて建物全体の温度上昇を抑え冷房費用を節約する事ができる。したがって建物全体は気密性の高い構造のものでなければならず、この空気の流れによって融雪を可能とし、建物内の温度環境を快適にする。また、本考案の融雪システムは空気によるものだけでなく温水を同時使用することによって給湯、更には太陽熱給湯を可能にする。
1 薪ストーブ
2 配気管
3 煙突
4 換気扇
5 配水管
6 貯水槽
7 トタン
8 仕切り板
9 電動ポンプ
10 網
11 バルブ

Claims (3)

  1. 屋根融雪の熱源である暖房器具に配気管を取り付けて屋根棟まで伸ばし、垂木に沿って尾根・谷を合わせた屋根材波板と野地板との空間に排気口を多数設け、同暖房室内外壁傍の天井部分に吸気口を設けて上階外壁内に配気管を屋根軒下まで通して、同様に屋根材波板と野地板との空間に排気口を多数設置し、併せて前記暖房器具に配水管を設置して前記室内上階には貯水槽を設けて、同貯水槽から屋根に向かって延びる配水管には電動ポンプを取り付けて、野地板と屋根材波板間に配水管を多数設置し貯水槽へ循環する経路からなり、貯水槽から浴室へ至る配水管を設置した屋根融雪給湯装置。
  2. 内容物の液体の一定温度と同じ質量の仕切り板を内蔵した貯水槽としたことを特徴とする請求項1に記載の屋根融雪給湯装置。
  3. 貯水槽から屋根に向かって延びる2本の配水管にそれぞれ電動ポンプを取り付けて、野地板と屋根材波板間に配水管を多数設置し貯水槽へ循環する正・逆二つの経路を特徴として、貯水槽から浴室へ至る配水管を設置した請求項1または請求項2に記載の屋根融雪給湯装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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