JP2021028576A - X ray apparatus and method for manufacturing structure - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、X線装置および構造物の製造方法に関する。 The present invention relates to a method for manufacturing an X-ray apparatus and a structure.
従来から、入射した放射線(X線またはγ線)のコンプトン散乱を検出して、その結果に基づいて放射線源の画像を生成するコンプトンカメラが知られている(たとえば特許文献1)。しかしながら、コンプトン散乱を検出し、その結果に基づいて被測定物の画像を生成する非破壊検査装置については知られていない。 Conventionally, there is known a Compton camera that detects Compton scattering of incident radiation (X-ray or γ-ray) and generates an image of a radiation source based on the result (for example, Patent Document 1). However, no non-destructive inspection device is known that detects Compton scattering and generates an image of the object to be measured based on the result.
第1の態様によれば、X線装置は、被測定物を透過した透過X線または前記被測定物の内部で散乱した散乱X線を含むX線の入射を受ける検出器であって、入射した前記X線の散乱により生じる電子の進路および進行方向の少なくとも一方と、入射して散乱した前記X線の進路および進行方向の少なくとも一方とを検出する検出器と、前記電子の進路および進行方向の少なくとも一方と、前記X線の進路および進行方向の少なくとも一方とに基づいて、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定する特定部と、を備える。
第2の態様によれば、構造物の製造方法は、構造物の形状に関する設計情報を作成し、前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、作成された前記構造物の形状を、第1の態様のX線装置を用いて計測して形状情報を取得し、前記取得された前記形状情報と前記設計情報とを比較する。
According to the first aspect, the X-ray apparatus is a detector that receives an incident of transmitted X-rays transmitted through the object to be measured or X-rays including scattered X-rays scattered inside the object to be measured. A detector that detects at least one of the path and traveling direction of the X-ray generated by the scattering of the X-ray, and at least one of the path and traveling direction of the X-ray that is incident and scattered, and the path and traveling direction of the electron. A specific portion that identifies at least one of the transmitted X-rays and the scattered X-rays based on at least one of the X-rays and at least one of the X-ray paths and traveling directions.
According to the second aspect, in the method for manufacturing a structure, design information regarding the shape of the structure is created, the structure is created based on the design information, and the shape of the created structure is obtained. The shape information is acquired by measuring using the X-ray apparatus of the first aspect, and the acquired shape information and the design information are compared.
図面を参照しながら、一実施の形態によるX線装置について説明する。X線装置は、被測定物にX線を照射して、被測定物を透過したX線を検出することにより、被測定物の内部情報(たとえば内部構造)等を被測定物を破壊することなく取得する。機械部品や電子部品等の産業用部品を対象とするX線装置は、産業用X線検査装置と呼ばれる。 An X-ray apparatus according to an embodiment will be described with reference to the drawings. The X-ray apparatus irradiates the object to be measured with X-rays and detects the X-rays transmitted through the object to be measured to destroy the internal information (for example, internal structure) of the object to be measured. Get without. X-ray equipment for industrial parts such as mechanical parts and electronic parts is called an industrial X-ray inspection equipment.
図1は本実施の形態によるX線装置100の構成の一例を示す図である。なお、説明の都合上、X軸、Y軸、Z軸からなる座標系を図示の通りに設定する。
X線装置100は、筐体1、X線源2、載置部3、検出器4および制御装置5を備えている。筐体1は、その下面が工場等の床面に実質的に平行(水平)となるように配置される。筐体1の内部には、X線源2と、載置部3と、検出器4とが収容される。筐体1は、X線が筐体1の外部に漏洩しないようにするため、X線遮蔽材料を含む。なお、X線遮蔽材料として鉛を含む。
FIG. 1 is a diagram showing an example of the configuration of the
The
X線源2は、制御装置5による制御に応じて、図1に示す出射点Pを頂点としてZ軸に平行な光軸Zrに沿って、Z軸+方向へ向けてX線を放射する。この出射点Pは後述するX線源2の内部を伝搬する電子線の焦点位置と一致する。すなわち、光軸Zrは、X線源2の電子線の焦点位置である出射点Pと、後述する検出器4の撮像領域の中心とを結ぶ軸である。なお、X線源2から放射するX線は、円錐状に拡がるX線(いわゆるコーンビーム)、扇状のX線(いわゆるファンビーム)、および直線状のX線(いあわゆるペンシルビーム)のいずれでもよい。なお、ファンビームおよびペンシルビームを用いる場合は、被測定物S全体を検査するために、ビームと被測定物Sとを相対的に移動させるスキャン動作を行う必要がある。X線源2からは、短い時間スケールで見た場合、X線光子が1個ずつ放出される。X線源2は、たとえば約50eVの超軟X線、約0.1〜2keVの軟X線、約2〜20keVのX線および約20〜数MeVの硬X線の少なくとも1つを照射する。なお、散乱が顕著なのは、硬X線の領域である。
The
載置部3は、被測定物Sが載置される載置台31と、回転駆動部32、X軸移動部33、Y軸移動部34およびZ軸移動部35からなるマニピュレータ部36とを備え、X線源2よりもZ軸+側に設けられている。載置台31は、回転駆動部32により回転可能に設けられる。後述するように、回転駆動部32による回転軸YrがX軸、Y軸、Z軸方向に移動する際に、載置台31はともに移動する。回転駆動部32は、たとえば電動モータ等によって構成され、後述する制御装置5により制御されて駆動した電動モータが発生する回転力によって、載置台31を回転させる。載置台31の回転軸Yrは、Y軸に平行、かつ、載置台31の中心を通過する。X軸移動部33、Y軸移動部34およびZ軸移動部35は、制御装置5により制御されて、載置台31をX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向にそれぞれ移動させる。Z軸移動部35は、制御装置5により制御されて、X線源2から被測定物Sまでの距離が、撮影される画像における被測定物Sの拡大率に応じた距離となるように載置台31をZ軸方向に移動させる。
The
図1に示す検出器4は、載置台31よりもZ軸+側に設けられている。すなわち、載置台31は、Z軸方向において、X線源2と検出器4との間に設けられる。検出器4は、散乱部41と吸収部42とを備える。散乱部41は、吸収部42よりもZ方向−側、すなわち被測定物Sに近い側に設けられる。散乱部41には、X線源2から放射され、載置台31上に載置された被測定物Sを透過した、または被測定物S内部で散乱したX線が入射する。なお、以後の説明においては、被測定物Sの内部で散乱せずに内部を透過して検出器4に入射するX線を透過X線、被測定物Sの内部で散乱して検出器4に入射するX線を散乱X線と呼ぶ。
The
散乱部41は、たとえば公知の特開2017−67601号と同様の構成を有する。すなわち、図2に示すように、散乱部41は、チャンバー411とピクセル電極412とドリフト電極413とを有する。チャンバー411の内部には、アルゴンやキセノンなどの希ガスと、エタン、メタンなどの常温でガスのアルカンもしくは二酸化炭素を含む消光作用を有するガスとの混合ガスが封入されている。なお、チャンバー411は、混合ガスが封入されるものに限定されず単体のガスが封入されているものでもよい。ピクセル電極412はチャンバー411のZ方向+側の面に設けられ、ドリフト電極413はチャンバー411のZ方向−側の面に設けられる。ピクセル電極412は、XY平面上に二次元的に配置された複数の画素を有する。チャンバー411内においは、ピクセル電極412とドリフト電極413とに印加された電圧により、ピクセル電極412とドリフト電極413との間に電場が形成される。
The
被測定物SからのX線が散乱部41に入射すると、X線(光子)はチャンバー411内の気体粒子を構成する電子とある確率で衝突し、コンプトン散乱する。コンプトン散乱したX線光子は、進行方向が変化した状態で散乱部41を出射し、Z方向+側に設けられた吸収部42に入射する。一方、チャンバー411内でコンプトン散乱しなかったX線は、チャンバー411内で進行方向が変化することなく散乱部41を出射し、吸収部42に入射する。
When X-rays from the object S to be measured enter the
チャンバー411内でX線がコンプトン散乱した場合、X線光子が衝突した電子は反跳電子(荷電粒子)として進行し、この反跳電子の飛跡に沿って電子雲が発生する。電子雲を構成する電子は、ピクセル電極412とドリフト電極413とにより形成される電場によってZ方向+側へ引き寄せられ、ピクセル電極412に入射する。ピクセル電極412は、X方向に延在するカソード電極と、カソード電極に複数設けられた開口に配置されるアノード電極とからなる複数の画素を有し、電子雲を構成する電子が入射した画素から電気信号を制御装置5へ出力する。
When X-rays are Compton scattered in the
散乱部41を出射したX線は吸収部42に入射する。吸収部42は、公知のシンチレーション物質を含むシンチレータ部と、シンチレータ部から放出された光を増幅して受光する受光部等とによって構成される。シンチレータ部の入射面に入射したX線は吸収部42のシンチレータ部に吸収されて蛍光を放出し、放出された蛍光の光エネルギーは上記の受光部で光増倍管により増幅されて電気エネルギーに変換され、電気信号として制御装置5へ出力される。
The X-rays emitted from the
検出器4の吸収部42は、シンチレータ部と受光部とが複数の画素が二次元的に配置された構造を有し、シンチレータ部と受光部との複数の画素のそれぞれは、互いに対応するように配列されている。これにより、X線源2から放射され、被測定物Sを透過、散乱または一部が吸収されたX線の強度データを、複数の画素において一括して取得することができ、それぞれの強度データを統合することにより強度分布データを得ることができる。なお、吸収部42の複数の画素のそれぞれは、散乱部41のピクセル電極412が有する複数の画素のそれぞれと、互いに対応するように配列されている。
なお、吸収部42のシンチレータ部は、複数の画素が二次元的に配置された構造を有していないものでもよい。
The
The scintillator unit of the
制御装置5は、マイクロプロセッサやその周辺回路等を有しており、不図示の記憶媒体(たとえばフラッシュメモリ等)に予め記憶されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、X線装置100の各部を制御する。制御装置5は、X線源2の動作を制御するX線制御部51、マニピュレータ部36の駆動動作を制御する載置台制御部52、検出器4から出力された電気信号に基づいて被測定物SのX線投影画像データを生成する画像生成部53、および特定部54を有する。特定部54は、散乱部41および吸収部42から出力された電気信号に基づいて、X線源2からのX線が被測定物Sの内部で散乱したか否かを判定する。特定部54は、判定結果に基づいて、被測定物SからのX線のうち、被測定物Sにおいて散乱した散乱X線を特定、または散乱X線以外のX線を特定する。すなわち、特定部54は、検出器4に入射したX線が、被測定物Sで散乱したX線であるか否かを特定する。画像生成部53は、特定部54により特定された散乱X線以外のX線、すなわち、被測定物Sにおいて散乱しなかった透過X線や、一部が吸収されたX線による強度分布データを、X線投影画像データを生成する際の被測定物Sの内部情報として選択する。画像再構成部56は、被測定物Sに対するX線照射方向を相対的に変化させて投影し、それにより得られた複数のX線強度分布データに基づいて、公知の画像再構成処理方法を用いることで、被測定物Sの再構成画像を生成する。画像再構成処理により、被測定物Sの内部構造(断面構造)である断面画像データや3次元データが生成される。なお、断面画像データとは、XZ平面と平行な面内における被測定物Sの構造データを含む。画像再構成処理としては、逆投影法、フィルタ補正逆投影法、逐次近似法等がある。
The
以下、特定部54による、被測定物SにおいてX線が散乱したか否かを判定し、透過X線および散乱X線の少なくとも一方を特定する手順について、図2を参照して説明する。図2は、散乱部41のピクセル電極412の複数の画素412a〜412cにて電気信号を検出し、吸収部42の一つの画素42aにて電気信号を検出する場合を示している。なお、ピクセル電極412は、画素412c、412b、412aの順序で電気信号を検出したものとする。
Hereinafter, a procedure for determining whether or not X-rays are scattered in the object S to be measured by the specific unit 54 and specifying at least one of the transmitted X-rays and the scattered X-rays will be described with reference to FIG. FIG. 2 shows a case where an electric signal is detected by a plurality of
上述したように、ピクセル電極412は、散乱部41内でのX線のコンプトン散乱により生じた反跳電子の飛跡に沿って発生した電子雲が、チャンバー411内のドリフト電場によりZ方向+側へ引き寄せられ、これらの電子がピクセル電極412に到達した時点でその信号を検出する。例えば、画素412c、412b、412aにて電子が順次検出される際の時刻と、画素412c、412b、412aの二次元的な位置により、チャンバー411内における電子雲の三次元形状を求めることができる。
電子雲の三次元形状を求める手順について、具体的に説明する。電子雲を構成する任意の電子がドリフト電場に沿ってZ方向に移動する移動速度Vdはドリフト電場の強さにより決まる。移動速度Vdはチャンバー411内において実質的に一定であると考えられる。ドリフト電極413からピクセル電極412までドリフトする時間をTdとする。電子がピクセル電極412に到達した時点で、信号が検出される。
As described above, in the
The procedure for obtaining the three-dimensional shape of the electron cloud will be specifically described. The moving speed Vd at which any electron constituting the electron cloud moves in the Z direction along the drift electric field is determined by the strength of the drift electric field. The moving speed Vd is considered to be substantially constant within the
X線がコンプトン散乱した後、吸収部42に達するまでに要する時間、および、それにより電子雲が発生するのに要する時間は、Tdに比べて極めて短いので、コンプトン散乱した時点と、散乱X線が吸収部に到達した時点と、電子雲が形成された時点とは、実質的に同一と考えて問題ない。この点に関して、散乱部41のチャンバー411のZ方向の厚みDを300mmとすると、例えば、X線がドリフト電極に垂直に入射してチャンバー411を通過して吸収部42に到達するのに要する時間は(0.3[m]/3)×10−8、すなわち1[nsec]である。また、反跳電子の初期速度を高速の1/10とした場合であっても、X線がコンプトン散乱してから電子雲が形成されるまでの時間は、長くても10[nsec]程度より短いと考えられる。従って、コンプトン散乱したX線が吸収部42に吸収された時刻をコンプトン散乱した時刻と見做してt=0とする。
Since the time required for the X-rays to reach the
時刻t=0を基準として、ピクセル電極412のカソード電極Xi(i=1、m)とアノード電極Yj(j=1、n)から電気信号が読み出された時刻をt=tsigとする。すなわち、時刻t=tsigにて、カソード電極およびアノード電極にて電圧が変化したとする。この場合、ピクセル電極412の画素(Xi,Yj)に電圧変化をもたらした電子がドリフト開始時、すなわち、電子雲発生時にチャンバー411において存在した位置は、Z方向の基準をピクセル電極412とした場合に、(Xi、Yj、Vd×tsig)と考えられる。なお、カソード電極とアノード電極とは時刻tsigにて同時に電位変化したとする。これにより、ピクセル電極412の各画素(Xi、Yj)ごとに、(Xi、Yj、Vd×tsig)が算出できる。このようにして、電子雲を構成する複数の電子がドリフトしてピクセル電極412に到達することで電圧が検出された時刻tsigと、ピクセル電極412における画素の位置に基づいて、電子雲の三次元形状(飛跡P1)を求めることができる。
With respect to the time t = 0, the time when the electric signal is read from the cathode electrode Xi (i = 1, m) and the anode electrode Yj (j = 1, n) of the
電子雲を構成する電子のうち、コンプトン散乱した位置に最も近い電子がドリフトしてピクセル電極に到達する時刻が最長(t=tsig0)となる。すなわち、時刻t=tsig0において検出された電子がドリフト開始時に存在した位置(Xi、Yj、Vd×tsig0)がコンプトン散乱位置(散乱点T1)である。また、時刻t=tsig0の次の大きさの時刻であるt=tsig1において検出された電子がドリフト開始時に存在した位置は(Xi、Yj、Vd×tsig1)となる。これらの二つの位置から、散乱点T1からの反跳電子の初期進行方向F1が得られる。
なお、Z方向の基準をドリフト電極413の位置としてもよく、この場合には、電圧変化した画素に対応するチャンバー411での位置は、(Xi、Yj、D(Td−tsig)/Td)となる。この場合、時刻t=tsigが最小のときのZ方向の位置(Vd×tsig)が散乱点T1となる。また、時刻t=tsigの値が所定値より小さな時の複数の位置(Xi、Yj、D(Td−tsig)/Td)に基づいて、反跳電子の初期進行方向F1が得られる。
換言すると、散乱部41は、チャンバー411内の散乱点T1においてX線がコンプトン散乱することにより生じる反跳電子の初期進行方向F1を検出する第1検出器として機能する。
Among the electrons constituting the electron cloud, the time when the electron closest to the Compton scattered position drifts and reaches the pixel electrode is the longest (t = t sig0 ). That is, the position (Xi, Yj, Vd × t sig0 ) where the electron detected at time t = t sig0 existed at the start of drift is the Compton scattering position (scattering point T1). Further, where the next magnitude time detected electrons at t = t sig1 is the is present at the start drift of the time t = t sig0 becomes (Xi, Yj, Vd × t sig1). From these two positions, the initial traveling direction F1 of the rebound electron from the scattering point T1 is obtained.
The reference in the Z direction may be the position of the
In other words, the
散乱点T1でコンプトン散乱したX線は、進行方向が変化して吸収部42の画素42aに入射したと判定される。すなわち、吸収部42の画素42aは、吸収部42に入射したX線の入射位置であり、吸収部42は散乱部41からのX線の入射を受け、入射したX線の入射位置を検出する第2検出器として機能する。このようにして、コンプトン散乱したX線の進行方向と、コンプトン散乱による反跳電子により発生した電子雲の形状を把握できる。また、吸収部42の画素42aと、散乱点T1に基づいて、コンプトン散乱したX線の進行方向が求められる。
なお、反跳電子は、多数回のラザフォード散乱により一般に不規則なジグザグ飛跡を描くが、図2においては説明を簡単にするために、コンプトン散乱後の反跳電子の進路である飛跡P1は滑らかな曲線状に示している。
It is determined that the X-rays scattered by Compton at the scattering point T1 change the traveling direction and enter the
The recoil electrons generally draw irregular zigzag tracks due to Rutherford scattering many times, but in FIG. 2, for the sake of simplicity, the recoil electrons P1 which is the path of the recoil electrons after Compton scattering is smooth. It is shown in a curved shape.
特定部54は、上記説明に基づいて、散乱部41のピクセル電極412の画素412a〜412cの位置関係と検出時刻から求めた電子雲の形状に基づいて、飛跡P1の長さ(最大長:飛程)を算出する。チャンバー411内を進む反跳電子はエネルギーを徐々に失って最終的に停止する。従って、飛程から反跳電子のエネルギーを求めることができる。このようにして、特定部54は、飛程から反跳電子のエネルギー、すなわちチャンバー411に入射したX線がコンプトン散乱に伴って失われたエネルギーE1(=mev2)を算出する。ここで、電子の静止質量meは、me=9.1×10−31(kg)である。なお、飛程とエネルギーとの対応関係に関するデータはエネルギーデータとして予めメモリ(不図示)に格納されているものとする。特定部54は、吸収部42の画素42aで検出した電気信号に基づいて、チャンバー411内でコンプトン散乱した後に画素42aに到達したX線のエネルギーE2(=hv’)を算出する。ここで、hはプランク定数である。
Based on the above description, the specific unit 54 has the length of the track P1 (maximum length: flight) based on the positional relationship of the
チャンバー411に入射したX線と、コンプトン散乱したX線と、反跳電子とは、運動量保存則とエネルギー保存則とを用いて、以下の式(1)〜(3)により表される。
なお、cは真空中の光速、θはコンプトン散乱角、φは反跳電子の出射角(初期進行方向の方位角)である。また、γはローレンツ因子であり以下の式(4)で表される。
Note that c is the speed of light in vacuum, θ is the Compton scattering angle, and φ is the emission angle of the rebound electron (azimuth in the initial traveling direction). Further, γ is a Lorentz factor and is represented by the following equation (4).
上記の式(1)〜(4)により、散乱角θは、以下の式(5)により表される。
既に求められている電子雲の三次元形状により散乱点T1の位置は既知なので、散乱点T1の位置および画素42aの位置から、チャンバー411内で散乱し吸収部42に入射したX線の進路L2が決まる。進路L2は、図示の例では、散乱点T1の位置および画素42aの位置を結んだ経路である。進路L2、および、散乱点T1から出射した反跳電子の初期進行方向F1により、散乱X線の進路L2と反跳電子の初期進行方向F1とを含む面(散乱面)が決まる。尚、散乱点T1の位置および画素42aの位置に基づいて、散乱点T1からのX線の進行方向である散乱方向を求め、散乱方向と反跳電子の初期進行方向F1とに基づいて散乱面を決定してもよい。この場合、散乱方向は、進路L2に基づいて算出してもよい。また、反跳電子の初期進行方向F1を用いて散乱面を決定した例を示したが、反跳電子の飛跡P1と、散乱X線の進路L2または散乱方向とを用いて散乱面を決定してもよい。チャンバー411に入射したX線の進路L1は、上記の散乱面内に存在するので、進路L1と進路L2とは、散乱面内において、散乱点T1でコンプトン散乱角θをなして交差する。このようにして、進路L1を求めることができ、X線源2が進路L1の延長上、または、その近傍にある場合には、X線源2から出射したX線は、被測定物Sの内部で散乱されることなしにチャンバー411に入射したと判定される。この場合を図3(a)に示す。図3(a)では、図2と同様に、散乱部41の画素412a〜412cと吸収部42の画素42aで電気信号が出力された場合を示す。このような場合に、X線源2が、進路L1の延長上、または、その近傍に存在する。一方、X線源2が進路L1の延長上、または、その近傍にない場合には、X線源2から出射したX線は、被測定物Sの内部で散乱されて進行方向が変化した状態でチャンバー411に入射したと判定される。この場合を図3(b)に示す。図3(b)は、散乱部41の画素412aおよび412fと吸収部42の画素42aで電気信号が出力された場合を示す。図3(b)においては、反跳電子の初期進行方向はF2であり、X線は被測定物Sの内部の散乱点T3にて散乱する。このような場合に、X線源2が、進路L1の延長上、または、その近傍に存在しない。
Since the position of the scattering point T1 is known from the three-dimensional shape of the electron cloud that has already been obtained, the path L2 of the X-rays scattered in the
なお、特定部54は、反跳電子の初期進行の方位角φは、上記の式(1)〜(4)から得られた以下の式(6)を用いてを算出することができる。
なお、上記の散乱角θと方位角φの少なくとも一方が算出されれば、チャンバー411に入射したX線の進路L1を決定することができるが、散乱角θと方位角φの両方を算出することにより、進路L1をより高精度に決定することが可能となる。
In addition, the specific unit 54 can calculate the azimuth angle φ of the initial travel of the rebound electron by using the following equation (6) obtained from the above equations (1) to (4).
If at least one of the above scattering angle θ and azimuth angle φ is calculated, the course L1 of the X-ray incident on the
上述した通り、進路L1上、または進路L1の近傍にX線源2が存在すると判定された場合には、特定部54は、X線が被測定物Sで散乱していないと判定し、散乱X線以外のX線であることを特定する。一方、進路L1上および進路L1の近傍にX線源2が位置していない場合には、特定部54は、X線が被測定物Sで散乱したと判定し、散乱X線であることを特定する。
As described above, when it is determined that the
次に、特定部54が行う、被測定物SでX線が散乱したか否かを特定し、散乱X線と散乱X線以外のX線とを特定するための処理(以後、特定処理と呼ぶ)について説明する。
本実施の形態においては、散乱部41に入射するX線のエネルギーET0を一定と仮定した場合、式(5)で算出されるコンプトン散乱角θは次の式(7)を満たす。
In the present embodiment, assuming that the energy ET0 of the X-rays incident on the
エネルギーET0をエネルギーE1とエネルギーE2との和と仮定した場合、検出精度Δθは、式(7)を微分して求めた式(8)の関係を満たす。
この式(7)、(8)から、検出精度Δθは、次の式(9)により算出される。
なお、
例えば、X線源2から放射されて散乱部41に入射するX線のエネルギーを511keV、エネルギー分解能を3パーセント、コンプトン散乱角θが20°と仮定した場合、検出精度Δθは5.3°となる。また、エネルギー分解能を1パーセントとした場合には、検出精度Δθは1.8°となる。なお、散乱部41の射出面(ピクセル電極412側)と吸収部42との間のZ方向の距離を20mm、散乱部41のピクセル電極412や吸収部42の各画素のサイズを200μm×200μmと仮定した場合、散乱角θの分解能は10mradとなる。
From these equations (7) and (8), the detection accuracy Δθ is calculated by the following equation (9).
In addition, it should be noted
For example, assuming that the energy of the X-ray emitted from the
特定部54は、検出器4の散乱部41の出力に基づいて算出したエネルギーE1、電気信号を出力したピクセル電極412の画素の位置、および画素から電気信号が出力された時刻tsigの各情報を取得する。特定部54は、ピクセル電極412において電気信号を出力したそれぞれの画素の位置と時刻tsigとに基づいて、電子雲の三次元形状である飛跡を算出する。時刻tsigのうち最も遅い時刻tsig0で電気信号を出力した画素の位置(Xi、Yj)と、位置(Xi、Yj)から電子雲が発生した点までのZ方向の位置Vd×tsig0とにより決まる位置(Xi、Yj、Vd×tsig0)が散乱点T1に相当する。図2、図3(a)、および図3(b)においては、画素412aの位置から、算出した距離Vd×tsigだけZ軸−方向に離れた位置が散乱点T1に相当する。特定部54は、時刻t=tsigの値がtsig0に近い時刻に対応する複数の電子の位置(Xi、Yj、Vd×tsig)に基づいて、反跳電子の初期進行方向F1を算出する。
The identification unit 54 provides information on the energy E1 calculated based on the output of the
特定部54は、検出器4の吸収部42から出力されたエネルギーE2、エネルギーE2を出力した画素の位置(XAj、YAj、ZAj)、およびエネルギーE2が吸収部42から出力された時刻Tjの各情報を取得する。この画素の位置(XAj、YAj、ZAj)は、図2、図3(a)、および図3(b)のそれぞれにおける吸収点T2に相当する。なお、時刻Tjは、X線が吸収部42に入射した時刻に相当する。
The identification unit 54 is each of the energy E2 output from the
特定部54は、画素412aから電気信号が出力された時刻Tj+tsigと、エネルギーE2が出力された時刻Tjとに基づいて、散乱部41に入射したX線と、吸収部42に入射したX線とが、X線源2からあるタイミングで放射された同一X線光子であるのか否かを判定する。具体的には、特定部54は、時刻Tj+tsigとTjとの時間差(すなわちtsig)が所定時間T1(=Td)以内のときに、散乱部41からの電気信号に基づいて算出されたエネルギーE1と吸収部42から出力されたエネルギーE2とは、同一のX線光子について出力されたものであると判定する。たとえば、所定時間T1は、計算あるいは各種の試験やシミュレーション等により決定され、予めメモリ(不図示)に記憶されている。時刻Tj+tsigとTjとの時間差であるtsigが所定時間T1を超える場合には、特定部54は、算出されたエネルギーE1と吸収部42から出力されたエネルギーE2とは、同一のX線光子について出力されたものではないと判定する。時刻tsigとTjとの時間差が所定時間T1を超える場合には、特定部54は、算出されたエネルギーE1と吸収部42から出力されたエネルギーE2とを、散乱X線を特定するための処理に用いないようにする。ここで、前記のように、散乱部41と吸収部42との間のZ方向の距離を20mmとおけば、時刻Tj+tsigとTjとの時間差tsigは0.1nsec程度の量である。なお、散乱部41と吸収部42との間の距離は、検出器4の各画素サイズと、上述した式(9)で表される検出精度Δθとに基づいて、好ましい値に決定することができる。
The specific unit 54 includes X-rays incident on the
時刻Tj+tsigとTjとの時間差tsigが所定時間T1以内と判定されると、特定部54は、算出されたエネルギーE1と吸収部42から出力されたエネルギーE2とに基づいて、コンプトン散乱角θを算出すべきかどうか判定する。コンプトン散乱角θを算出すべきでない場合について、次に説明する。
When it is determined that the time difference t sig between the time Tj + t sig and Tj is within the predetermined time T1, the specific unit 54 determines the Compton scattering angle θ based on the calculated energy E1 and the energy E2 output from the
検出器4の読み出し回路は、所定の時間ごとに、散乱部41から電気信号を出力し、吸収部42からエネルギーE2を出力する。本明細書においては、上記所定の時間をエネルギー出力間隔TOと呼ぶ。本実施の形態においては、シンチレータの蛍光発光時間を数十nsecとした場合、TO=100nsecである。上記の所定時間T1は、エネルギー出力間隔TO以下に設定する必要がある。すなわち、
T1≦TO
を満たすように設定する。これにより、エネルギー出力間隔TO内に、散乱部41から電気信号が出力され、吸収部42からエネルギーE2が出力されるようにできる。
The readout circuit of the
T1 ≤ TO
Set to meet. Thus, the energy output within the interval T O, the electrical signal is output from the scattering
X線源2からは短い時間スケールで見た場合、X線光子が1個ずつ放射される。X線源2からX線光子を放射する平均放射間隔Teと検出器4からエネルギー情報(すなわち、ピクセル電極412および吸収部42の画素42aからの電気信号)を出力する出力間隔TOとの関係について説明する。X線源2から1回の放射により放射されたX線光子が、チャンバー411および吸収部42にそれぞれ入射し、検出器4の散乱部41および吸収部42の全ての画素からエネルギー情報の出力を完了するまでを、1イベントと呼ぶ。すなわち、X線源2から放射された単一X線光子に基づく1フレーム分のエネルギー情報を検出器4から得ることを1イベントと呼ぶ。チャンバー411におけるコンプトン散乱角θを正しく求めるためには、1イベントの間に、X線源2から放射された単一のX線光子の検出値のみを後述する処理に用いるようにする。2回以上の放射によるX線光子が、同時に検出器4に入射した場合には、コンプトン散乱角θが正しく求められない可能性があるからである。これをイベントの分離と呼ぶ。従って、放射間隔Teは、1フレーム分のエネルギー情報を得るために要する時間であるエネルギー出力間隔TOより大きいことが必要である。すなわち、
TO≦Te
を満たす必要がある。
X-ray photons are emitted one by one from the
TO ≤ Te
Must be met.
イベントの分離ができずに、コンプトン散乱角θが正しく求められない場合について、次に説明する。図4は、X線源2からの放射間隔Teがエネルギー出力間隔TOより小さい場合について示す。なお、図4においては、説明を簡単にするために、X線源2から2つのX線光子が異なる方向にほぼ同時に放射された場合を示す。1つのX線光子(第1のX線光子)は、X線源2から進路L11を進み、被測定物Sを透過して散乱部41のチャンバー411に入射し、散乱点T31においてコンプトン散乱して進路がL12に変化し、吸収部42の画素42aに入射する。散乱点T31では初期進行方向をF3とする反跳電子が発生し、その飛跡に応じて生成した電子雲の電子が到達したピクセル電極412の画素から電気信号が出力される。図4においては、ピクセル電極412の画素412aのZ軸−方向に散乱点T31が存在する。一方、X線源2からは、上記の第1のX線光子の放射直後(ほぼ同時)に、別のX線光子(第2のX線光子)が放射される。第2のX線光子は、進路L11とは異なる進路L21を進み、被測定物Sを透過してチャンバー411に入射し、散乱点T32においてコンプトン散乱して進路がL22に変化し、吸収部42の画素42aに入射する。散乱点T32では初期進行方向をF4とする反跳電子が発生し、その飛跡に応じて生成した電子雲の電子が到達したピクセル電極412の画素から電気信号が出力される。図4においては、ピクセル電極412の画素412xのZ軸−方向に散乱点T32に存在する。
The case where the Compton scattering angle θ cannot be obtained correctly because the events cannot be separated will be described below. 4, radiation distance Te from the
すなわち、散乱部41の異なる2つの画素412aと412xで検出された散乱点T31とT32のそれぞれにてコンプトン散乱した異なるX線光子が、同一イベントとして吸収部42の同一画素42aに入射する。このような場合には、散乱部41および吸収部42から出力されたエネルギー情報に基づいてコンプトン散乱角θを正しく算出できない。このような状態は、例えば、X線源2から放射されるX線光子の数が多く、X線源2からX線光子が放射されたL11を進み始めてすぐに、別のX線光子がX線源2から放射されたような場合に発生することが考えられる。
That is, different X-ray photons scattered by Compton at the scattering points T31 and T32 detected at the two
このような状態を判別するための手順について次に説明する。特定部54は、単一イベントにおいて、散乱部41からの出力に基づいて算出されたエネルギーE1と吸収部42からのエネルギーE2との和が、所定値ETLを超えるか否かを判定する。ETLの値は、X線源2から正常状態で放射される単一のX線光子のエネルギーに基づいて設定する。例えば、駆動加速電圧によって決まるX線源2のエネルギーからのX線エネルギーの最大値にエネルギー分解能を加えた値に設定する。エネルギーE1とエネルギーE2との和が所定値ETLを超える場合には、特定部54は、図4に示すように、複数のX線光子に基づいてエネルギーE1とエネルギーE2が出力されたものと判定する。この場合には、特定部54は、散乱部41からの出力に基づいて算出されたエネルギーE1と吸収部42から出力されたエネルギーE2とを散乱X線の特定に用いない。
The procedure for determining such a state will be described below. In a single event, the specific unit 54 determines whether or not the sum of the energy E1 calculated based on the output from the
一方、エネルギーE1とエネルギーE2との和が所定値ETL以下で、散乱部41では単一の飛跡が検出され、吸収部42において単一の画素によりエネルギーE2が検出された場合、すなわち、ほぼ同時刻に複数個所にエネルギー値を持たない場合には、これらのエネルギー情報は、単一のX線光子に基づいて正常に出力されたと判定する。この場合には、特定部54は、散乱部41からの出力に基づいて算出されたエネルギーE1と吸収部42からのエネルギーE2とを用いて、上述した式(5)に基づいて、コンプトン散乱角θを算出し、図2、図3を参照して説明したように、X線源2から放射されたX線が被測定物Sの内部において散乱したか否かの判定を行う。一方、エネルギーE1とエネルギーE2との和が所定値ETL以下であっても、散乱部41において複数の異なる飛跡がほぼ同時刻に検出された場合、または吸収部42において複数の異なる位置の画素にてほぼ同時刻にエネルギー値が検出された場合には、特定部54は、エネルギーE1とエネルギーE2とを散乱X線の特定に用いない。
On the other hand, when the sum of the energy E1 and the energy E2 is equal to or less than the predetermined value ETL, a single track is detected in the
すなわち、特定部54は、算出したコンプトン散乱角θと、反跳電子の初期進行方向F1と、散乱点T1と、吸収部42で検出した画素42aの位置(XAj、YAj、ZAj)とを用いて、図3に示す進路L1上またはその近傍にX線源2が存在するか否かを判定する。具体的には、特定部54は、反跳電子の初期進行方向F1と、散乱点T1の位置と、位置(XAj、YAj、ZAj)と、算出したコンプトン散乱角θとから、反跳電子の初期進行方向F1と、散乱点T1の位置と、位置(XAj、YAj、ZAj)とを含む平面上において、散乱点T1の位置および位置(XAj、YAj、ZAj)を通る直線を進路L1として設定する。特定部54は、この進路L1上または進路L1からの距離が所定の距離よりも小さい位置にX線源2が存在するか否か判定する。所定の距離は、上記の通り、ピクセル電極412の各画素および画素42aの大きさや、X線装置100における、X線源2、被測定物S、検出器4等の配置等に基づいて、適宜設定することが好ましい。
That is, the specific unit 54 uses the calculated Compton scattering angle θ, the initial traveling direction F1 of the rebounding electron, the scattering point T1, and the position (XAj, YAj, ZAj) of the
特定部54により、X線源2が進路L1上または進路L1からの距離が所定の距離よりも小さい位置に存在すると判定された場合、X線源2から放射されたX線は、被測定物Sの内部で散乱することなしに、散乱部41に入射し、散乱部41でコンプトン散乱した後、吸収部42に到達したと判断し、散乱X線以外のX線であることを特定する。この場合には、画像生成部53は、吸収部42から出力されたエネルギー情報(電気信号)に基づいてX線の強度分布データを生成し、X線投影画像データを生成する際の被測定物Sの内部情報として用いる。すなわち、画像生成部53は、被測定物Sの内部情報として用いる。一方、特定部54により、X線源2が進路L1上または進路L1からの距離が所定の距離よりも小さい位置に存在しないと判定された場合、X線源2から放射されたX線は、被測定物Sの内部で散乱して散乱部41に入射し、散乱部41でコンプトン散乱した後、吸収部42に到達したと判断し、散乱X線であることを特定する。この場合には、画像生成部53は、吸収部42から出力されたエネルギー情報(電気信号)に基づくX線の強度分布データの生成は行わない。すなわち、画像生成部53は、X線投影画像データを生成する際の被測定物Sの内部情報として用いることはない。
When the specific unit 54 determines that the
上記の散乱検出処理が行われることにより、画像生成部53により生成されるX線投影画像データは、散乱を起こした散乱X線に起因する被測定物Sのエッジ等のボケ等が抑制され、その結果、被測定物Sの高画質画像を生成することができる。 By performing the above-mentioned scattering detection process, the X-ray projection image data generated by the image generation unit 53 is suppressed from blurring such as edges of the object S to be measured due to the scattered X-rays that caused scattering. As a result, a high-quality image of the object S to be measured can be generated.
なお、X線源2から放射されて検出器4の散乱部41に入射したX線の一部は、散乱部41でコンプトン散乱せずに、吸収部42に入射することがある。この場合には、単一イベントにおいて、吸収部42からはX線のエネルギー情報は出力されるものの、散乱部41からは電気信号は出力されない。このような場合は、画像生成部53は、吸収部42から出力されたエネルギー情報(電気信号)に基づくX線の強度分布データの生成は行わない。すなわち、画像生成部53は、X線投影画像データを生成する際の被測定物Sの内部情報として用いることはない。
A part of the X-rays emitted from the
画像再構成部56は、X線源2から被測定物Sに照射するX線の照射角度を変化させながら所定の測定角度ごとに生成された複数のX線投影画像データに対して、公知の画像再構成処理を施して、再構成画像を生成する。これにより、被測定物Sの内部構造(断面構造)である断面画像データや3次元データが生成される。
The image reconstruction unit 56 is known for a plurality of X-ray projection image data generated for each predetermined measurement angle while changing the irradiation angle of X-rays to be irradiated from the
図5に示すフローチャートを参照して、制御装置5が行う動作について説明する。図5に示す処理は制御装置5でプログラムを実行して行われる。このプログラムは、メモリ(不図示)に格納されており、制御装置5により起動され、実行される。
ステップS1では、制御装置5のX線制御部51は、X線源2にX線の照射を開始させてステップS2へ進む。ステップS2では、制御装置5の特定部54は、検出器4の散乱部41のピクセル電極412から出力された電気信号を取得して、反跳電子の飛跡を検出し、飛跡の最大長と反跳電子の初期進行方向F1と散乱点T1とエネルギーE1とを算出してステップS3へ進む。ステップS3では、特定部54は、吸収部42の位置(XAj、YAj、ZAj)の画素から出力されたX線のエネルギーE2を取得してステップS4へ進む。
The operation performed by the
In step S1, the X-ray control unit 51 of the
ステップS4では、特定部54は、散乱部41へX線が入射した時刻Tj+tsigと吸収部42へX線が入射した時刻Tjとの時間差ΔTijが所定の値T1以下であるか否かを判定する。時刻TjとTj+tsigとの時間差ΔTijが所定の値T1以下の場合、すなわち、散乱部41に入射したX線と、吸収部42に入射したX線とが、同一イベント中のものであると判定された場合には、ステップS4が肯定判定されてステップS5へ進む。時刻TjとTj+tsigとの時間差ΔTijが所定の値T1を超える場合、すなわち、散乱部41に入射したX線と、吸収部42に入射したX線とが、同一イベント中のものではないと判定された場合には、ステップS4が否定判定されて、後述するステップS10へ進む。
In step S4, the specific unit 54 determines whether or not the time difference ΔTij between the time Tj + t sig at which the X-ray is incident on the
ステップS5では、吸収部42に入射したX線が、被測定物Sの異なる位置を透過したものであるか否かを判定する。ステップS2で算出されたエネルギーE1とステップS3で取得された吸収部42からのエネルギーE2との和ETが、所定値ETLを超える場合、X線は被測定物Sの異なる位置を透過したと判定され、ステップS5が否定判定されて後述するステップS10へ進む。エネルギーE1とエネルギーE2との和ETが所定値ETL以下の場合、X線は、X線源2から正常に放射され、単一のX線光子に基づくエネルギー情報が散乱部41および吸収部42から出力されたと判定され、ステップS5が肯定判定されステップS6へ進む。ステップS6では、検出器4で単一の飛跡が検出され、検出器4の単一箇所(単一画素)からエネルギーE2が出力されたか否かを判定する。検出器4の散乱部41の出力に基づいて、単一の飛跡が検出され、かつ、吸収部42の単一個所からエネルギーE2が出力された場合には、ステップS6が肯定判定されて、ステップS7へ進む。散乱部41の出力に基づいて複数の飛跡が検出された場合、または吸収部42の複数個所(複数画素)からエネルギーE2が出力された場合には、ステップS6が否定判定されて後述するステップS10へ進む。
In step S5, it is determined whether or not the X-rays incident on the
ステップS7では、特定部54は、算出されたエネルギーE1と吸収部42から出力されたエネルギーE2とを用いて、上述した式(5)に基づいて、コンプトン散乱角θを算出してステップS8へ進む。ステップS8では、特定部54は、被測定物Sの内部でX線が散乱を起こしたか否かを判定する。具体的には、特定部54は、反跳電子の初期進行方向と、散乱点T1の位置と、位置(XAj、YAj、ZAj)とを含む散乱平面上において、散乱点T1と位置(XAj、YAj、ZAj)とを結ぶ直線に対してコンプトン散乱角θを有して散乱点T1を通る直線を進路L1として設定する。特定部54は、この進路L1上または進路L1からの距離が所定の距離よりも小さい位置にX線源2が存在するか否か判定する。被測定物Sの内部でX線が散乱していないと判定された場合には、ステップS8が肯定判定されて、ステップS9へ進む。一方、被測定物Sの内部でX線が散乱したと判定された場合には、ステップS8が否定判定されて、後述するステップS10へ進む。
In step S7, the specific unit 54 calculates the Compton scattering angle θ based on the above equation (5) using the calculated energy E1 and the energy E2 output from the
ステップS9では、特定部54は、チャンバー411に入射したX線がコンプトン散乱を起こさなかったと仮定した場合に入射することが予想される吸収部42上の位置(予想入射位置)を算出する。この場合、特定部54は、コンプトン散乱角θと、散乱点T1の位置と、進路L1とに基づいて、上記予想入射位置を算出する。画像生成部53は、吸収部42からのエネルギーE2と、特定部54により算出された上記の予想入射位置とを内部情報として記憶してステップS10へ進む。ステップS10では、制御装置5は、検出器4のすべてのイベントについて特定処理を行ったか否かを判定する。全てのイベントについて特定処理が行われた場合には、ステップS10が肯定判定されてステップS11へ進む。ステップS11では、画像生成部53は、生成された内部情報を用いて、被測定物SのX線投影画像データを生成して、後述するステップS13へ進む。
In step S9, the specific unit 54 calculates a position (expected incident position) on the
ステップS10において特定処理が行われていないイベントが存在する場合には、ステップS10が否定判定されてステップS12へ進む。ステップS12では、特定部54は、次のイベントでの散乱部41のピクセル電極412からの電気信号および吸収部42からの電気信号を取得してステップS4へ戻り、以後同様の処理を行う。
If there is an event for which the specific process has not been performed in step S10, the negative determination in step S10 is made and the process proceeds to step S12. In step S12, the specific unit 54 acquires the electric signal from the
ステップS13では、制御装置5は、全ての測定角度についてX線投影画像データの生成が行われたか否かを判定する。全ての測定角度についてX線投影画像データの生成が行われた場合には、ステップS13が肯定判定されてステップS14へ進む。ステップS14では、画像再構成部56は、複数のX線投影画像データを用いて3次元データを生成して処理を終了する。なお、制御装置5は、この3次元データをモニタ(不図示)に表示したり、メモリ(不図示)に記憶させたりすることができる。
ステップS13においてX線投影画像データが生成されていない測定角度が存在する場合には、ステップS13が否定判定されてステップS15へ進む。ステップS15においては、載置台制御部52はマニピュレータ部36を駆動させて、載置台31を所定の測定角度に回転駆動させてステップS2へ戻り、以後同様の処理を行う。
In step S13, the
If there is a measurement angle in which the X-ray projection image data is not generated in step S13, the negative determination in step S13 is made and the process proceeds to step S15. In step S15, the mounting table control unit 52 drives the
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)検出器4の散乱部41は、被測定物Sを透過した透過X線または被測定物Sの内部で散乱した散乱X線を含むXが入射して散乱することにより生じる反跳電子の進行方向を検出する。制御装置5の特定部54は、反跳電子の進行方向と、吸収部42で検出したX線の入射位置と、X線の散乱角θとに基づいて、透過X線および散乱X線の少なくとも一方を特定する。これにより、X線のうち、被測定物Sで散乱した散乱X線と、散乱していないX線とを選別することが可能になる。X線投影画像データを生成する際には、ノイズの要因となる散乱X線を被測定物Sの内部情報から除外することが可能になり、X線投影画像データの画質を向上させることができる。
According to the above-described embodiment, the following effects can be obtained.
(1) The
(2)特定部54は、X線が散乱部41でコンプトン散乱することにより失ったエネルギーE1を算出し、反跳電子の進行方向、算出されたエネルギーE1および吸収部42で検出されたエネルギーE2に基づいて、透過X線および散乱X線の少なくとも一方を特定する。これにより、X線のうち、被測定物Sで散乱した散乱X線と、散乱していないX線とを選別することが可能になる。
(2) The specific unit 54 calculates the energy E1 lost due to Compton scattering of X-rays in the
(3)散乱部41は、X線がチャンバー411にてコンプトン散乱した散乱点T1を検出し、特定部54は、散乱点T1と、反跳電子の初期進行方向と、チャンバー411でコンプトン散乱したX線のコンプトン散乱角θと、吸収部42に入射したX線の入射位置とが満たす関係に基づいて、透過X線および散乱X線の少なくとも一方を特定する。これにより、検出器4に入射したX線のうち散乱X線を除外して、X線投影画像データを生成することができる。
(3) The
(4)特定部54は、散乱点T1と、反跳電子の初期進行方向と、コンプトン散乱角θと、吸収部42へのX線の入射位置とに基づいて、X線源2の存在が推定される位置(進路L1)を算出し、算出された位置にX線源2が存在すると、X線を透過X線として特定する。これにより、検出器4に入射したX線のうち散乱X線を除外できるので、X線投影画像データの画質向上に寄与することができる。
(4) In the specific unit 54, the presence of the
(5)特定部54は、散乱部41からエネルギーE1が出力された時刻Tj+tsigと、吸収部42からエネルギーE2が出力された時刻Tjとの時間差が所定の範囲T1以内のX線を用いて散乱X線を特定する。これにより、異なるタイミングでX線源2から出射され、検出器4に入射したX線を除外して散乱X線を特定できるので、散乱X線を特定する精度を向上させることができる。
(5) The specific unit 54 uses X-rays in which the time difference between the time Tj + t sig at which the energy E1 is output from the
(6)特定部54は、X線源2から照射され、被測定物Sの異なる位置を透過して、吸収部42の同一の画素に入射したX線を除外して、散乱X線を特定する。これにより、被測定物Sの内部の異なる位置の情報が、同一の位置の情報として内部情報に含まれることが抑制されるので、X線投影画像データの画質の低下を抑制できる。
(6) The identification unit 54 identifies scattered X-rays by irradiating from the
(7)特定部54は、算出されたエネルギーE1と吸収部42からのエネルギーE2との和が、X線源2から照射されたX線のエネルギーE0に基づく値を超えると、被測定物Sの異なる位置を透過して、吸収部42の同一の位置に入射した複数のX線光子であることを検出し、検出したX線光子を除外して散乱X線を特定する。これにより、被測定物Sの異なる位置を透過して、吸収部42の同一の画素に入射したX線を、被測定物Sの内部情報から除外することができる。
(7) When the sum of the calculated energy E1 and the energy E2 from the absorbing
上述した実施の形態のX線装置100を、以下のように変形できる。
(1)上述した実施の形態においては、検出器4の散乱部41が、ガスが封入されたチャンバー411を有する場合を例に挙げて説明を行ったが、この例に限定されない。たとえば、散乱部41は、SOIを用いた公知の三次元量子イメージ検出器により構成されてもよい。図6(a)にこの場合の検出器4の構成を示す。散乱部41は、SOIを用いた三次元量子イメージ検出器はZ方向に沿った厚みを有するSiセンサー部500を備え、このSiセンサー部500にて反跳電子の飛跡を検出する。Siセンサー部500は、シリコン層501と、シリコン層501のZ方向+側に集積回路502とを有する。被測定物SからのX線は、シリコン層501を透過またはコンプトン散乱し、集積回路502は、実施の形態と同様にしてコンプトン散乱による反跳電子の飛跡の三次元形状を検出する。
The
(1) In the above-described embodiment, the case where the scattering
また、散乱部41と吸収部42とが、Z方向に沿って複数の三次元量子イメージ検出器を積層した構成を有してもよい。図6(b)、(c)に、この場合の検出器4の構成を示す。図6(b)はYZ平面での断面図であり、図6(c)はXY平面での外観図、散乱部41は、Z方向に沿って積層された複数の三次元量子イメージ検出器511a〜511d(総称する場合は符号511を付す)と、処理基板512上に設けられた処理回路513とを有する。吸収部42は、Z方向に沿って積層された複数の三次元量子イメージ検出器511e〜511h(総称する場合は符号511を付す)と、処理基板514上に設けられた処理回路515とを有する。なお、図6(b)、(c)に示す例では、散乱部41および吸収部42は、それぞれ4個の三次元量子イメージ検出器511a〜511d、511e〜511hを有する場合を示すが、散乱部41および吸収部42が有する三次元量子イメージ検出器511の個数は図6(b)、(c)に示す例に限定されない。また、散乱部41と吸収部42とが異なる個数の三次元量子イメージ検出器511を有してもよい。
Further, the
三次元量子イメージ検出器511は、基板520と、半導体素子521とを有する。半導体素子521は薄板状に形成され、基板520に設けられる。半導体素子521は、その上面に(Z方向−側)に複数のストリップ電極を有する。ストリップ電極はそれぞれワイヤ523により処理基板512、514上に設けられた処理回路513、515に接続される。ストリップ電極は、X線や反跳電子が入射されると電気信号を出力する。散乱部41にX線が入射しコンプトン散乱して反跳電子が出射すると、三次元量子イメージ検出器511a〜511dのうち反跳電子が通過したストリップ電極から電気信号が処理回路513に出力される。散乱部41の三次元量子イメージ検出器511a〜511dがZ方向に積層されていることにより、反跳電子の飛跡のZ方向の位置が検出される。ストリップ電極の配置により、各三次元量子イメージ検出器511a〜511dを通過した反跳電子の軌跡のXY方向の位置が検出される。これにより、反跳電子の飛跡の三次元形状を検出することができる。吸収部42の三次元量子イメージ検出器511e〜511hはX線が入射するとストリップ電極から電気信号を処理回路515に出力し、X線が吸収された位置が検出される。
The three-dimensional
(2)上述した実施形態においては、制御装置5は、画像生成部53および画像再構成部56を有するものとして説明したが、制御装置5が画像生成部53と画像再構成部56とを有していなくてもよい。画像生成部53と画像再構成部56とが、X線装置100とは別体の処理装置等に設けられ、特定部54で特定された散乱X線または散乱X線以外のX線に関する情報を、たとえばネットワークや記憶媒体等を介して取得して、X線投影画像データや3次元データを生成してもよい。
(2) In the above-described embodiment, the
図面を参照して、本発明の実施の形態による構造物製造システムを説明する。本実施の形態の構造物製造システムは、たとえば自動車のドア部分、エンジン部分、ギア部分および回路基板を備える電子部品等の成型品を作成する。 A structure manufacturing system according to an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. The structure manufacturing system of the present embodiment creates a molded product such as an electronic component including a door portion, an engine portion, a gear portion, and a circuit board of an automobile, for example.
図7は本実施の形態による構造物製造システム400の構成の一例を示すブロック図である。構造物製造システム400は、第1の実施の形態にて説明したX線装置100と、設計装置410と、成形装置420と、制御システム430と、リペア装置440とを備える。
FIG. 7 is a block diagram showing an example of the configuration of the
設計装置410は、構造物の形状に関する設計情報を作成する際にユーザが用いる装置であって、設計情報を作成して記憶する設計処理を行う。設計情報は、構造物の各位置の座標を示す情報である。設計情報は成形装置420および後述する制御システム430に出力される。成形装置420は設計装置410により作成された設計情報を用いて構造物を作成、成形する成形処理を行う。この場合、成形装置420は、3Dプリンター技術で代表される積層加工、鋳造加工、鍛造加工および切削加工のうち少なくとも1つを行うものについても本発明の一態様に含まれる。
The
X線装置100は、成形装置420により成形された構造物の形状を測定する測定処理を行う。X線装置100は、構造物を測定した測定結果である構造物の座標を示す情報(以後、形状情報と呼ぶ)を制御システム430に出力する。制御システム430は、座標記憶部431と、検査部432とを備える。座標記憶部431は、上述した設計装置410により作成された設計情報を記憶する。
The
検査部432は、成形装置420により成形された構造物が設計装置410により作成された設計情報に従って成形されたか否かを判定する。換言すると、検査部432は、成形された構造物が良品か否かを判定する。この場合、検査部432は、座標記憶部431に記憶された設計情報を読み出して、設計情報とX線装置100から入力した形状情報とを比較する検査処理を行う。検査部432は、検査処理としてたとえば設計情報が示す座標と対応する形状情報が示す座標とを比較し、検査処理の結果、設計情報の座標と形状情報の座標とが一致している場合には設計情報に従って成形された良品であると判定する。設計情報の座標と対応する形状情報の座標とが一致していない場合には、検査部432は、座標の差分が所定範囲内であるか否かを判定し、所定範囲内であれば修復可能な不良品と判定する。
The
修復可能な不良品と判定した場合には、検査部432は、不良部位と修復量とを示すリペア情報をリペア装置440へ出力する。不良部位は設計情報の座標と一致していない形状情報の座標を有する部位であり、修復量は不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分である。リペア装置440は、入力したリペア情報に基づいて、構造物の不良部位を再加工するリペア処理を行う。リペア装置440は、リペア処理にて成形装置420が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
When it is determined that the defective product can be repaired, the
図8に示すフローチャートを参照しながら、構造物製造システム400が行う処理について説明する。
ステップS31では、設計装置410はユーザによって構造物の設計を行う際に用いられ、設計処理により構造物の形状に関する設計情報を作成し記憶してステップS32へ進む。なお、設計装置410で作成された設計情報のみに限定されず、既に設計情報がある場合には、その設計情報を入力することで、設計情報を取得するものについても本発明の一態様に含まれる。ステップS32では、成形装置420は成形処理により、設計情報に基づいて構造物を作成、成形してステップS33へ進む。ステップS33においては、X線装置100は測定処理を行って、構造物の形状を計測し、形状情報を出力してステップS34へ進む。
The process performed by the
In step S31, the
ステップS34では、検査部432は、設計装置410により作成された設計情報とX線装置100により測定され、出力された形状情報とを比較する検査処理を行って、ステップS35へ進む。ステップS35では、検査処理の結果に基づいて、検査部432は成形装置420により成形された構造物が良品か否かを判定する。構造物が良品である場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標との差が所定の範囲内の場合には、ステップS35が肯定判定されて処理を終了する。構造物が良品ではない場合、すなわち設計情報の座標と形状情報の座標とが一致しない場合や設計情報には無い座標が検出された場合には、ステップS35が否定判定されてステップS36へ進む。
In step S34, the
ステップS36では、検査部432は構造物の不良部位が修復可能か否かを判定する。不良部位が修復可能ではない場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲を超えている場合には、ステップS36が否定判定されて処理を終了する。不良部位が修復可能な場合、すなわち不良部位における設計情報の座標と形状情報の座標との差分が所定範囲内の場合には、ステップS36が肯定判定されてステップS37へ進む。この場合、検査部432はリペア装置440にリペア情報を出力する。ステップS37においては、リペア装置440は、入力したリペア情報に基づいて、構造物に対してリペア処理を行ってステップS33へ戻る。なお、上述したように、リペア装置440は、リペア処理にて成形装置420が行う成形処理と同様の処理を再度行う。
In step S36, the
上述した実施の形態による構造物製造システムによれば、以下の作用効果が得られる。
(1)構造物製造システム400のX線装置100は、設計装置410の設計処理に基づいて成形装置420により作成された構造物の形状情報を取得する測定処理を行い、制御システム430の検査部432は、測定処理にて取得された形状情報と設計処理にて作成された設計情報とを比較する検査処理を行う。したがって、構造物の欠陥の検査や構造物の内部の情報を非破壊検査によって取得し、構造物が設計情報の通りに作成された良品であるか否かを判定できるので、構造物の品質管理に寄与する。
According to the structure manufacturing system according to the above-described embodiment, the following effects can be obtained.
(1) The
(2)リペア装置440は、検査処理の比較結果に基づいて、構造物に対して成形処理を再度行うリペア処理を行うようにした。したがって、構造物の不良部分が修復可能な場合には、再度成形処理と同様の処理を構造物に対して施すことができるので、設計情報に近い高品質の構造物の製造に寄与する。
(2) The
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
X線装置100において、被測定物Sが載置される載置台31がX軸移動部33と、Y軸移動部34と、Z軸移動部35とによってX軸、Y軸およびZ軸方向に移動されるものに限定されない。載置台31はX軸、Y軸およびZ軸方向に移動せず、X線源2および検出器4をX軸、Y軸およびZ軸方向に移動させることにより、被測定物Sに対してX線源2および検出器4を相対移動させる構成をX線装置100が有してもよい。また、載置台31が回転軸Yrにて回転するものに代えて、載置台31は回転せず、X線源2と検出器4とが回転軸Yrにて回転する構成をX線装置100が有してもよい。
The following modifications are also within the scope of the present invention, and one or more of the modifications can be combined with the above-described embodiment.
In the
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。 The present invention is not limited to the above-described embodiment as long as the features of the present invention are not impaired, and other embodiments considered within the scope of the technical idea of the present invention are also included within the scope of the present invention. ..
2…X線源、4…検出器、5…制御装置、
41…散乱部、42…吸収部、53…画像生成部、
54…特定部、100…X線装置、
400…構造物製造システム、410…計測装置、
420…成形装置、430…制御システム、440…リペア装置
2 ... X-ray source, 4 ... Detector, 5 ... Control device,
41 ... Scattering unit, 42 ... Absorbing unit, 53 ... Image generation unit,
54 ... Specific part, 100 ... X-ray device,
400 ... structure manufacturing system, 410 ... measuring device,
420 ... molding equipment, 430 ... control system, 440 ... repair equipment
Claims (15)
前記電子の進路および進行方向の少なくとも一方と、前記X線の進路および進行方向の少なくとも一方とに基づいて、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定する特定部と、
を備えるX線装置。 A detector that receives incidents of transmitted X-rays that have passed through the object to be measured or X-rays that include scattered X-rays scattered inside the object to be measured, and the path and progress of electrons generated by the scattering of the incident X-rays. A detector that detects at least one of the directions and at least one of the incident and scattered X-ray paths and traveling directions.
A specific portion that identifies at least one of the transmitted X-rays and the scattered X-rays based on at least one of the electron's path and traveling direction and at least one of the X-ray's path and traveling direction.
An X-ray device comprising.
前記検出器は、入射した前記X線に散乱を生じさせる第1検出器と、前記第1検出器で散乱または透過した前記X線の入射を受け、入射した前記X線の入射位置を検出する第2検出器とを有し、
前記特定部は、前記電子の進路および前記X線の入射位置に基づいて、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定するX線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 1,
The detector receives the incidents of the first detector that causes scattering of the incident X-rays and the X-rays scattered or transmitted by the first detector, and detects the incident position of the incident X-rays. Has a second detector
The specific unit is an X-ray apparatus that identifies at least one of the transmitted X-rays and the scattered X-rays based on the path of the electrons and the incident position of the X-rays.
前記特定部は、前記第2検出器によって検出された前記X線の入射位置に基づいて、前記第1検出器で散乱した前記X線の進路および進行方向の少なくとも一方を算出し、算出した前記X線の進路および進行方向の少なくとも一方と前記電子の進路および進行方向の少なくとも一方とに基づいて、前記被測定物から前記第1検出器に入射する前記X線の進路を含む面を算出するX線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 2,
Based on the incident position of the X-rays detected by the second detector, the specific unit calculates at least one of the course and the traveling direction of the X-rays scattered by the first detector. Based on at least one of the X-ray path and the traveling direction and at least one of the electron path and the traveling direction, the surface including the X-ray path incident on the first detector from the object to be measured is calculated. X-ray equipment.
前記第2検出器は、前記第1検出器で散乱または透過して入射した前記X線の第1エネルギーを検出し、
前記特定部は、前記X線が前記第1検出器で散乱することにより失った第2エネルギーを算出し、前記電子の進行方向、前記第1エネルギーおよび前記第2エネルギーに基づいて、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定するX線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 2 or 3.
The second detector detects the first energy of the X-rays scattered or transmitted by the first detector and incident.
The specific unit calculates the second energy lost due to the X-rays being scattered by the first detector, and the transmitted X is based on the traveling direction of the electrons, the first energy, and the second energy. An X-ray apparatus that identifies at least one of a line and the scattered X-ray.
前記特定部は、前記第1エネルギーおよび前記第2エネルギーに基づいて、前記第1検出器で散乱した前記X線の散乱角および前記電子の出射角の少なくとも一方を算出し、算出した前記散乱角および前記出射角の少なくとも一方に基づいて、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定するX線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 4,
The specific unit calculates at least one of the scattering angle of the X-rays scattered by the first detector and the emission angle of the electrons based on the first energy and the second energy, and the calculated scattering angle is calculated. And an X-ray apparatus that identifies at least one of the transmitted X-rays and the scattered X-rays based on at least one of the emission angles.
前記第1検出器は、前記X線が前記第1検出器にて散乱した散乱位置を検出し、
前記特定部は、前記散乱位置と、前記電子の進行方向と、前記第1検出器で散乱した前記X線の散乱角と、前記第2検出器に入射した前記X線の入射位置とに基づいて、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定する、X線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 4 or 5.
The first detector detects the scattering position where the X-ray is scattered by the first detector.
The specific unit is based on the scattering position, the traveling direction of the electrons, the scattering angle of the X-rays scattered by the first detector, and the incident position of the X-rays incident on the second detector. An X-ray apparatus that identifies at least one of the transmitted X-ray and the scattered X-ray.
前記特定部は、前記散乱位置と、前記電子の進行方向と、前記散乱角と、前記第2検出器に入射した前記入射位置とに基づいて、X線源の存在が推定される方向を算出し、前記算出された方向にX線源が存在した場合、前記X線を前記透過X線として特定する、X線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 6,
The specific unit calculates the direction in which the presence of the X-ray source is estimated based on the scattering position, the traveling direction of the electrons, the scattering angle, and the incident position incident on the second detector. An X-ray apparatus that identifies the X-ray as the transmitted X-ray when an X-ray source is present in the calculated direction.
前記特定部は、前記第1検出器で前記X線が散乱した時刻と、前記第2検出器から前記第1エネルギーが出力された時刻との差が所定の時間差以内の前記X線に基づいて、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定する、X線装置。 In the X-ray apparatus according to any one of claims 4 to 7.
The specific unit is based on the X-rays in which the difference between the time when the X-rays are scattered by the first detector and the time when the first energy is output from the second detector is within a predetermined time difference. An X-ray apparatus that identifies at least one of the transmitted X-ray and the scattered X-ray.
前記特定部は、X線源から所定の時間より短い時間間隔で照射され、前記被測定物の異なる位置を透過して、前記第2検出器の同一の画素に所定の時間内に入射した前記X線を除外して、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定するX線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 8,
The specific portion is irradiated from an X-ray source at intervals shorter than a predetermined time, passes through different positions of the object to be measured, and is incident on the same pixel of the second detector within a predetermined time. An X-ray apparatus that excludes X-rays and identifies at least one of the transmitted X-rays and the scattered X-rays.
前記特定部は、前記第1エネルギーと前記第2エネルギーとの和が、前記X線源から照射された前記X線のエネルギーに基づいて設定された所定の値を超えた前記検出したX線を除外して前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定するX線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 9,
The specific unit refers to the detected X-rays in which the sum of the first energy and the second energy exceeds a predetermined value set based on the energy of the X-rays emitted from the X-ray source. An X-ray apparatus that excludes and identifies at least one of the transmitted X-ray and the scattered X-ray.
前記特定部は、前記第1検出器で前記X線が散乱された時刻と、前記被測定物の異なる位置を透過して、前記第1検出器の別の位置において前記電子が検出された時刻との差が所定の時間差以内の、前記検出したX線を除外して、前記透過X線および前記散乱X線の少なくとも一方を特定するX線装置。 In the X-ray apparatus according to claim 9,
The specific unit transmits the time when the X-ray is scattered by the first detector and the time when the electron is detected at another position of the first detector by passing through different positions of the object to be measured. An X-ray apparatus that specifies at least one of the transmitted X-rays and the scattered X-rays by excluding the detected X-rays whose difference from the X-rays is within a predetermined time difference.
前記特定部により特定された前記透過X線に基づいて前記被測定物の内部情報を取得し、前記被測定物の内部情報に基づいて、X線投影画像を生成する画像生成部をさらに備えるX線装置。 In the X-ray apparatus according to any one of claims 3 to 11.
X further includes an image generation unit that acquires internal information of the object to be measured based on the transmitted X-rays specified by the specific unit and generates an X-ray projection image based on the internal information of the object to be measured. Wire device.
前記設計情報に基づいて前記構造物を作成し、
作成された前記構造物の形状を、請求項1から12のいずれか一項に記載のX線装置を用いて計測して形状情報を取得し、
前記取得された前記形状情報と前記設計情報とを比較する構造物の製造方法。 Create design information about the shape of the structure
Create the structure based on the design information
The shape of the created structure is measured by using the X-ray apparatus according to any one of claims 1 to 12, and shape information is acquired.
A method for manufacturing a structure that compares the acquired shape information with the design information.
前記形状情報と前記設計情報との比較結果に基づいて実行され、前記構造物の再加工を行う構造物の製造方法。 In the method for manufacturing a structure according to claim 13.
A method for manufacturing a structure, which is executed based on a comparison result between the shape information and the design information and reworks the structure.
前記構造物の再加工は、前記設計情報に基づいて前記構造物の作成を再度行う構造物の製造方法。
In the method for manufacturing a structure according to claim 14.
The reworking of the structure is a method for manufacturing a structure in which the structure is recreated based on the design information.
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