以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
なお、以下の説明においては、本発明の実施形態に係るデータ監視装置を説明するに先立って、データ監視装置が適用される認証データ提供システムを説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るデータ監視装置を含む認証データ提供システムを示す構成図である。図1に示す認証データ提供システム1は、情報元装置100と、認証データ作成装置200と、配布側装置300と、端末400と、認証装置500とから構成されている。
認証データ作成装置200は、個人又は所属先(家族、会社、グループ等の所属先)を証明するために用いられる認証データ(暗号データ)を作成するものであって、認証データの作成対象について少なくとも身体質問の回答の情報を取得し、これに基づき認証データを作成するものである。
情報元装置100は、認証データ作成装置200にて作成される認証データの元となる身体質問の回答の情報等が入力される装置であって、入力された情報を記憶すると共に認証データ作成装置200に送信するものである。
配布側装置300は、認証データ作成装置200に作成された認証データを受信して記憶すると共に、認証データの作成対象者側(本実施形態では作成対象者が保有する端末400)と、認証装置500とに配布するものである。この配布側装置300は、ネットワークを通じて認証データを送信することにより配布を行ってもよいし、USB等の記録媒体に認証データを記録させたうえで配布を行ってもよいし、ブルートゥース(登録商標)等の近距離通信により配布を行ってもよい。
端末400及び認証装置500は認証データを入力して記憶する。認証装置500は、例えば通行ゲートを通過する際や特定のHP等の情報を閲覧する際等に用いられるものであって、個人又は所属先が証明された場合に(すなわち認証された場合に)、通行ゲートの通過や情報閲覧等を許可状態とするものである。
このような認証データ提供システム1において、認証データ作成装置200は、認証データを作成すると、配布側装置300を介して認証データを端末400及び認証装置500に送信する。端末400及び認証装置500は受信した認証データを記憶する。利用者(認証データの作成対象者)は、認証装置500を許可状態としたい場合、例えば、端末400を認証装置500のリーダ装置にかざす等の近距離通信を行って認証データを認証装置500に送信する。認証装置500は、端末400を通じて入力された認証データと、配布側装置300からの認証データとが一致するかを判断し、一致する場合には許可状態とし、不一致の場合には不許可状態とする。
なお、配布側装置300は、上記の配布方法に限らず、例えば、端末400に認証データを送信する場合、配布側装置300に対して端末400をセットし、有線又は無線にて認証データを送信するようなものであってもよい。
図2は、図1に示した情報元装置100の一例を示す外観図である。図2に示す情報元装置100は、例えばパーソナルコンピュータの1機能として実現されるものであり、例えば医療機関における医師によって操作され、病名の診断に用いられる病名診断装置として機能するものである。このような情報元装置100は、キーボードKやマウスM等の入力手段を備え、入力手段に対する操作等を経て病名を診断することとなる。
なお、以下では情報元装置100をパーソナルコンピュータの1機能として説明するが、これに限らず、複数台のパーソナルコンピュータやサーバとがネットワーク接続されたシステムによって情報元装置100が構成されていてもよい。さらに、情報元装置100は、スマートフォン等の携帯端末とサーバ等とにより構成されてもよい。
図3は、本実施形態に係る情報元装置100を示すハード構成図である。図3に示すように、情報元装置100は、CPU(Central Processing Unit)110と、ディスプレイ120と、通信I/F(interface)部130と、HDD(Hard Disk Drive)150とを備えている。
CPU110は、本実施形態に係る情報元装置100の全体を制御するものであり、図3に示すようにROM(Read Only Memory)110aとRAM(Random Access Memory)110bとを備えている。ROM110aは、情報元装置100を機能させるためのプログラム(病名診断プログラム)が記憶された読み出し専用のメモリである。RAM110bは、各種のデータを格納すると共にCPU110の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
ディスプレイ120は、キーボードKやマウスMの操作による入力画像を表示したり、情報元装置100により診断された病名を表示したりするものである。通信I/F部130は、他の装置と通信するためのインターフェースである。後述する各記憶部151〜159に記憶される内容は、この通信I/F部130を通じて他の装置等から取得するようになっていてもよい。
HDD150は、パーソナルコンピュータに接続される補助記憶機器である。このHDD150には、ROM110aと同様に、情報元装置100を機能させるための病名診断プログラムが記憶されていてもよい。すなわち、CPU110は、HDD150に記憶されるプログラムに従って、本実施形態に係る情報元装置100の各機能を実現するようになっていてもよい。なお、可能であればHDDに代えて又は加えてUSB等を備えていてもよい。
図4は、本実施形態に係る情報元装置100を示すソフト構成図である。図4に示すように、CPU110は、病名診断機能部Aと、病態判断機能部Bとを備えている。病名診断機能部Aは、ROM110aやHDD150に記憶される病名診断プログラムを実行することにより、第1提示部111と、第1絞り込み部112と、第2提示部113と、第2絞り込み部114と、第3提示部115とが機能する。さらに、病態判断機能部Bは、ROM110aやHDD150に記憶される病名診断プログラムを実行することにより、表示制御部116、症状結果判断部117、及び病名候補判断部118が機能する。
また、図4に示すように、HDD150は、診察行為記憶部151と、身体所見記憶部152と、検査記憶部153と、検査結果記憶部154とを有している。加えて、HDD150は、症状項目記憶部155と、質問内容記憶部156と、選択肢記憶部157と、症状結果テーブル記憶部158と、病名候補テーブル記憶部159とを有している。
まず、病名診断機能部Aとそれに関連する記憶部151〜154について説明する。
診察行為記憶部151は、病名と病名を確定するために行うべき診察行為とを対比させて記憶する記憶部である。図5は、図4に示した診察行為記憶部151の記憶内容を示す概念図である。図5に示すように、診察行為記憶部151には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応して診察行為が記憶されている。
図5に示す例において診察行為記憶部151には、病名αに対する診察行為1として「○○1」と記憶されており、診察行為2として「○○2」と記憶されている。○○1は、例えば「左下腹部に痛みがあるかを確認するために触診を行う」等であり、○○2は、例えば「呼吸音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」等である。また、診察行為記憶部151には、病名βに対する診察行為1として「××1」と記憶されており、病名γに対する診察行為1として「△△1」と記憶されている。××1は、例えば「左下腹部にしこりがあるかを確認するために触診を行う」等であり、△△1は、例えば「心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」等である。
図4を参照する。身体所見記憶部152は、病名と病名によって得られる身体所見とを対比させて記憶する記憶部である。図6は、図4に示した身体所見記憶部152の記憶内容を示す概念図である。図6に示すように、身体所見記憶部152には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する身体所見が記憶されている。
例えば特定の病気については、身体所見として、心音の乱れや、呼吸音の乱れが得られる傾向にある。更には、他の特定の病気については、身体所見として、特定箇所における痛みやしこりが得られる傾向にある。身体所見記憶部152は、このような医師による身体所見と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図6に示す例において、身体所見記憶部152は、病名αについて、身体所見1として「左下腹部に痛み有り」と記憶しており、身体所見2として「呼吸音に乱れ有り」と記憶している。また、病名βについては身体所見1として「左下腹部にしこり有り」と記憶しており、病名γについては身体所見1として「心音に乱れ有り」と記憶している。
なお、身体所見記憶部152は、診察行為記憶部151に記憶される診察行為を行ったことによる身体所見を記憶するものであり、例えば診察行為記憶部151において病名γの診察行為は「△△1(心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う)」となっているのに対し、身体所見記憶部152において病名γの身体所見は「心音に乱れ有り」となっている。すなわち、診察行為記憶部151と身体所見記憶部152との記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部151,152は統合されて1つの記憶部により構成されていてもよい。
図4を参照する。検査記憶部153は、病名と病名を確定するために行うべき検査とを対比させて記憶する記憶部である。図7は、図4に示した検査記憶部153の記憶内容を示す概念図である。図7に示すように、検査記憶部153には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査が記憶されている。
例えば心臓病であるか確定するためには、心電図、胸部X線写真、心臓カテーテル等の検査が行われる。また、大腸がんの検査には、検便が行われる。さらに、肝炎や膵炎等の検査には、血液検査が行われる(肝炎はGOT値等、膵炎は血清アミラーゼ値の検査)。検査記憶部153は、このような検査項目と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図7に示す例において、検査記憶部153は、病名αについて検査1として「血液検査(○○値)」と記憶しており、病名βについて検査1として「検便」と記憶している。また、病名γについては検査1として「血液検査(××値)」と記憶している。なお、各病名に対して検査は1つに限るものではない。
図4を参照する。検査結果記憶部154は、病名と病名によって得られるはずである検査結果とを対比させて記憶する記憶部である。図8は、図4に示した検査結果記憶部154の記憶内容を示す概念図である。図8に示すように、検査結果記憶部154には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査結果が記憶されている。
例えば大腸がんにおいては、便に血が混じったり、便が細くなったりする。さらに、肝炎においては、例えばGOT値が35IU/I以上となる。また、膵炎においては、血清アミラーゼ値が60〜190U/dlの範囲外となる。検査結果記憶部154は、このような検査結果と、病名とを対比させたデータを記憶している。
図8に示す例において、検査結果記憶部154は、病名αについて検査結果1として「○○値がX値以上」と記憶しており、病名βについて検査結果1として「便に血が混じっている」と記憶している。また、病名γについては検査結果1として「××値がY1〜Y2の範囲外」と記憶している。
なお、検査結果記憶部154は、検査記憶部153に記憶される検査に対する結果を記憶するものであり、例えば検査記憶部153において病名αの検査は「血液検査(○○値)」となっているのに対し、検査結果記憶部154において病名αの検査結果は「○○値がX値以上」となっている。すなわち、検査記憶部153と検査結果記憶部154との記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部153,154は統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
加えて、上記した各記憶部151〜154は、全て病名の項目を含んでいることから、病名を軸にして、診察行為、身体所見、検査及び検査結果の内容を記憶した1つのデータベースにより構成されていてもよい。
再度、図4を参照する。第1提示部111は、候補となる病名が入力された場合に、入力された病名と対応する診察行為を診察行為記憶部151から抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ120に画像表示させる方法等がある。ディスプレイ120に表示させる場合、例えば図9に示す画像が表示される。
図9は、図4に示した第1提示部111により表示される画面を示す正面図である。図9に示すように、例えば候補となる病名としてα,β,γが入力された場合、図4を参照して説明した病名α,β,γに対応する診察行為が抽出されて画像表示される。
具体的には図9に示すように、病名αに対応した診察行為である「左下腹部に痛みがあるか確認してください。」という診察行為内容AC1、及び、「呼吸音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC2が表示される。さらには、病名βに対応した診察行為である「左下腹部にしこりがあるか確認してください。」という診察行為内容AC3、及び、「心音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC4が表示される。医師は、上記のような診察行為内容ACが表示されることにより、誤り無く行うべき診察行為を行うことができる。
加えて、各診察行為内容AC1〜AC4のそれぞれに隣接して身体所見の情報を入力する入力項目IT1〜IT4が表示されている。各入力項目IT1〜IT4は、ラジオボタン形式となっている。具体的に診察行為内容AC1の入力項目IT1は、「痛み有り」と「痛み無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、診察行為内容AC2の入力項目IT2は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成され、診察行為内容AC3の入力項目IT3は、「しこり有り」と「しこり無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。加えて、診察行為内容AC4の入力項目IT4は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
そして、医師が診察行為を行うことで得た身体所見の情報を、キーボードK又はマウスM等の入力手段を通じて入力すると、第1絞り込み部112が機能することとなる。
再度、図4を参照する。第1絞り込み部112は、第1提示部111により提示された診察行為に応じた身体所見の情報が入力された場合に、身体所見記憶部152の記憶内容に基づいて、入力された候補となる病名の絞り込みを行うものである。
例えば、図9に示す画面において、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定され、入力項目IT3では「しこり有り」が指定され、入力項目IT4では「乱れ無し」が指定されたとする。この場合、第1絞り込み部112は、このような指定された入力内容と、身体所見記憶部152の記憶内容とを対比させて病名の絞り込みを行う。
すなわち、図6に示すように、病名αの身体所見については「左下腹部に痛み有り」且つ「呼吸音に乱れ有り」となっている。上記においては、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αである可能性がある。同様に、病名βの身体所見については「左下腹部にしこり有り」となっている。上記においては、入力項目IT3では「しこり有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名βである可能性がある。これに対して、病名γの身体所見については「心音に乱れ有り」となっている。一方、入力項目IT4では「乱れ無し」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名γである可能性がない。以上のように、第1絞り込み部112は、病名の絞り込みを行う。
第2提示部113は、第1絞り込み部112により絞り込まれた病名と対応する検査を検査記憶部153から抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部111と同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ120に画像表示させる方法等がある。ディスプレイ120に表示させる場合、例えば図10に示す画像が表示される。
図10は、図4に示した第2提示部113により表示される画面を示す正面図である。図10に示すように、例えば第1絞り込み部112により病名γの可能性が否定され、病名αと病名βとに絞り込まれた場合、図7を参照して説明した病名α,βに対応する検査が抽出されて画像表示される。
具体的には図10に示すように、病名αに対応した検査である「血液検査(○○値)」という検査内容IC1、及び、病名βに対応した検査である「検便」という検査内容IC2が表示される。医師は、上記のような検査内容ICが表示されることにより、誤り無く行うべき検査を実施することができる。
加えて、各検査内容IC1〜IC2のそれぞれに隣接して検査結果を問う質問項目Q1,Q2と、検査結果の情報を入力する入力項目IT5,IT6が表示されている。各入力項目IT5,IT6は、ラジオボタン形式となっている。具体的に検査内容IC1の質問項目Q1は、「○○値はX値以上であるか。」という文字表示となっており、入力項目IT5は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、検査内容IC2の質問項目Q2は、「便に血が混じっているか。」という文字表示となっており、入力項目IT6は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
そして、医師が検査を通じて得た検査結果の情報を、キーボードK又はマウスM等の入力手段を通じて入力すると、第2絞り込み部114が機能することとなる。
再度、図4を参照する。第2絞り込み部114は、第2提示部113により提示された検査に応じた検査結果が入力された場合に、検査結果記憶部154の記憶内容に基づいて、第1絞り込み部112により絞り込まれた病名に対して更に絞り込みを行うものである。
例えば、図10に示す画面において、入力項目IT5では「YES」が指定され、入力項目IT6では「NO」が指定されたとする。この場合、第2絞り込み部114は、このような指定された入力内容と、検査結果記憶部154の記憶内容とを対比させて更に病名の絞り込みを行う。
すなわち、図8に示すように、病名αの検査結果については「○○値がX値以上」となっている(すなわち、質問項目Q1に対して入力項目IT5では「YES」)。上記においては、入力項目IT5では「YES」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αであるといえる。一方、病名βの検査結果については「便に血が混じっている」となっている(すなわち、質問項目Q2に対して入力項目IT6では「YES」)。上記においては、入力項目IT6では「NO」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名βである可能性がない。以上のように、第2絞り込み部114は、病名の絞り込みを行う。
再度図4を参照する。第3提示部115は、第2絞り込み部114により絞り込まれた結果を医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部111と同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ120に画像表示させる方法等がある。ディスプレイ120に表示させる場合、例えば図11に示す画像が表示される。
図11は、図4に示した第3提示部115により表示される画面を示す正面図である。図11に示すように、例えば第2絞り込み部114により病名βの可能性が否定され、病名αに絞り込まれた場合、第3提示部115は、例えば「病名はαであると判断できます。」等と最終結果FRを画像表示させる。
以上のように、病名の候補が入力されれば、医師は、提示される診察行為及び検査を行い、身体所見と検査結果を入力すれば、最終結果FRを得ることができる。しかも、診察行為や検査の誤った実施が防止されるため、病名をより精度良く診断することができる。
なお、上記した説明においては、最終結果FRとして病名αという1つの病気が残ることとなったが、これに限らず、例えば癌等のように複数箇所に同時に発生し得るもの、すなわち複数の病気を併発しているような場合には、最終結果FRとして複数の病気が表示されることとなる。さらに、上記において検査結果の入力形式は選択肢を選択する方式であるが、可能であれば数値等を直接入力する形式であってもよい。
ここで、病名の候補は、病態判断機能部Bによって判断される。次に、病態判断機能部Bとそれに関連する記憶部155〜159について説明する。
図4に示す症状項目記憶部155は、予め定められた複数の症状項目を記憶するものである。図12は、図4に示した症状項目記憶部155の記憶内容を示す概念図である。図12に示すように、症状項目記憶部155には、X個(Xは2以上の整数であって、図12に示す例では少なくとも22以上の整数)の症状項目を記憶している。症状項目とは、病名の候補を判断する対象者に発生している異常を示す項目であり、例えば「熱がある」「咳が出る」「痰が出る」「頭痛がする」「乳房に痛みがある」「関節に痛みがある」「下痢である」「便秘である」「鼻水が出る」「痙攣した」等である。
さらに、症状項目記憶部155は、それぞれの症状項目を属性区分と関連付けて記憶している。ここで、属性区分とは年齢及び性別による区分け(属性情報の区分け)であって、本実施形態では5つの属性区分が設定されている。本実施形態に係る情報元装置100では、年齢及び性別を示す属性情報をキーボードKやマウスMへの操作を通じて情報元装置100に入力できるようになっている。情報元装置100は、入力された年齢及び性別から、5つの属性区分のいずれに属するかを判断する。
5つの属性区分は、例えば「0〜11ヶ月(第1区分)」「1歳〜3歳(第2区分)」「4歳〜12歳(第3区分)」「13歳以上男性(第4区分)」「13歳以上女性(第5区分)」からなる。症状項目記憶部155は、それぞれの症状項目を、これら5つの属性区分と対応付けて記憶している。具体的に16個目の症状項目である「頭痛がする」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「○」、「13歳以上男性」について「○」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。同様に17個目の症状項目である「乳房に痛みがある」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「−」、「13歳以上男性」について「−」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。
なお、本実施形態において属性情報とは年齢及び性別の双方を意味するが、これに限らず、年齢又は性別のいずれか一方であってもよい。また、いずれか一方である場合、属性区分が図12に示すものと異なることはいうまでもない。
再度、図4を参照する。質問内容記憶部156は、複数の症状項目のそれぞれに設定された質問内容を記憶したものである。図13は、図4に示した質問内容記憶部156の記憶内容を示す概念図である。図13に示すように、質問内容記憶部156は、図12に示した複数の症状項目のそれぞれに対して定量質問、定性質問及び時間質問の3種類の質問を記憶している。
ここで、定量質問とは量を問う質問である。すなわち、定量質問とは、回数、温度、頻度等の量そのものが回答となる質問であって、例えば「1日の咳の回数は何回か。」「熱は何度か。」等の質問である。
また、時間質問とは時間を問う質問である。すなわち、時間質問とは、何日前や何時頃等の時間(時間、時刻、間隔及び期間を含む)そのものが回答となる質問であって、例えば「熱が出たのは何日前か。」「咳が最もひどくなる時間帯はいつか。」等の質問である。
また、定性質問とは性質を問う質問である。より詳細に定性質問とは、症状の性質を問うものであり、広義には回答が量でも時間でもないものとなる質問である。例えば「乾いた咳か。」「痰は何色か。」等は定性質問である。
ここで、本実施形態においてはそれぞれの症状項目の全てに、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されている。
例えば質問内容記憶部156は、「熱がある」の症状項目に対して、「現在の熱は何度か?」「何度まであがったか?」という2つの定量質問を記憶している。また、質問内容記憶部156は、「熱がある」の症状項目に対して、「明け方に熱は下がるか?」という1つの定性質問、及び、「熱が出始めたのかいつか?」という1つの時間質問を記憶している。質問内容記憶部156は、他の症状項目についても同様に、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問を記憶している。
なお、本実施形態においてはそれぞれの症状項目の全てに、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されているが、これに限らず、特定の症状項目のみに1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されていてもよい。
再度、図4を参照する。選択肢記憶部157は、複数の症状項目それぞれの定量質問、定性質問、及び時間質問に対する回答を選択させるための選択肢を記憶している。また、選択肢記憶部157は、属性区分に応じた選択肢を記憶している。
図14及び図15は、図4に示した選択肢記憶部157の記憶内容の一例を示す概念図であり、図14は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢の例を示し、図15は属性区分が12歳以下であるときの選択肢の例を示している。なお、図14及び図15に示す例では第1〜第3区分で共通の選択肢となっており、且つ、第4及び第5区分で共通の選択肢となっているが、これに限らず、選択肢記憶部157は、属性区分それぞれにおいて異なる選択肢を記憶しておいてもよい。
図14に示すように、選択肢記憶部157は、属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上37.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「37.5℃以上38.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「38.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
同様に、選択肢記憶部157は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶している。
また、図15に示すように、選択肢記憶部157は、属性区分が12歳以下であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上38.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「38.5℃以上39.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「39.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
同様に、選択肢記憶部157は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶し、「呼吸自体が困難となる」を第3選択肢として記憶している。
再度図4を参照する。症状結果テーブル記憶部158は、症状毎の結果を判断するための症状結果テーブルを記憶したものである。この症状結果テーブルは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢と、症状毎の結果との対応関係を記憶したものである。症状結果テーブル記憶部158は、選択肢記憶部157と同様に、属性区分に応じた対応関係の症状結果テーブルを記憶している。
図16及び図17は、図4に示した症状結果テーブル記憶部158の記憶内容の一例を示す概念図であり、図16は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの症状結果テーブルの例を示し、図17は属性区分が12歳以下であるときの症状結果テーブルの例を示している。なお、図16及び図17に示す例では第1〜第3区分で共通の症状結果テーブルとなっており、且つ、第4及び第5区分で共通の症状結果テーブルとなっているが、これに限らず、症状結果テーブル記憶部158は、属性区分それぞれにおいて異なる症状結果テーブルを記憶しておいてもよい。また、図16及び図17では1つの症状項目(例えば「熱がある」)についての症状結果テーブルを示しているが、症状結果テーブルは1つに限らず、症状項目それぞれに対して症状結果テーブル記憶部158が症状結果テーブルを記憶している。
まず、上記したように、「熱がある」の症状項目については、2つの定量質問と、1つの定性質問と、1つの時間質問とが設定されている。また、2つの定量質問と1つの時間質問とには、それぞれ3つの選択肢が設けられ、1つの定性質問には2つの選択肢が設けられている。
このため、回答パターンについては、3×3×2×3=54パターンが存在することとなる。症状結果テーブル記憶部158は、54の回答パターンに対する結果(A1〜A54)を対応付けて記憶している。具体的に属性区分が13歳以上の男性及び女性であるとき、図16に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢(図中においては「1」と記載)であった場合については、結果「A1」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A3」が対応付けて記憶されている。
なお、結果「A1」から「A54」のそれぞれは、異なる内容であってもよいし、一部共通する内容のものがあってもよい。また、結果「A1」から「A54」のそれぞれには、病態の情報として、重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)等の情報を含むものとなっている。
また、属性区分が12歳以下であるとき、図17に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢であった場合については、例えば結果「A4」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A5」が対応付けて記憶されている。
このように、同じ選択肢が回答選択された場合であっても、属性区分によっては結果が異なることがある(もちろん同じときもある)。
再度図4を参照する。病名候補テーブル記憶部159は、症状毎の結果に対して病名の候補が割り当てられたものである。図18は、図4に示した病名候補テーブル記憶部159の記憶内容の一例を示す概念図であり、通常候補テーブルを示している。また、図19は、図4に示した病名候補テーブル記憶部の記憶内容の一例を示す概念図であり、特定候補テーブルを示している。
図18に示すように、通常候補テーブル(病名候補テーブル)は、症状項目毎に記憶される症状結果テーブルが示す結果それぞれと、病名の候補とを対応させたものであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であった場合には、病名の候補として病名α,β,γ,δ,εが割り当てられており、結果がA2であった場合には、病名の候補として病名β,γ,ε,ζ,φが割り当てられている。他の結果A3〜A54についても同様に病名の候補が割り当てられている。加えて、病名候補テーブルは、図18に示すように、「咳が出る」の結果B1〜B44についても同様に病名の候補が割り当てられている。すなわち、他の症状項目の結果それぞれについて病名の候補が割り当てられている。
さらに、図19に示す特定候補テーブル(病名候補テーブル)は、特定の症状毎の結果と病名の候補とを対応させたテーブルであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であり、「咳が出る」の結果がB3であったとする。特定候補テーブルは、これらの結果の組み合わせによって、発生している可能性が高い病名を記憶しており、例えば病名γ(例えば風邪)と記憶している。例えば或る種の風邪をひいた場合には、熱が出て、咳が出て、鼻水が出る等といった一連の体の変化が生じる。特定候補テーブルは、このような一連の体の変化(症状毎の結果)の組み合わせと病名とを対応させて記憶している。
なお、特定候補テーブルにおいては、特定の結果の組み合わせと1つの病名とが対応しているが、1つの病名に限らず、複数の病名が対応していてもよい。さらに、特定の結果の組み合わせに対して、上記した病態のより詳細な情報(重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)等のより詳細な情報)が対応付けて記憶されていることが好ましい。
再度、図4を参照する。表示制御部116は、ディスプレイ120に表示させる画面内容を制御するものであり、第1表示制御部116a、第2表示制御部116b、第3表示制御部116c、及び第4表示制御部116dを備えている。
第3表示制御部116cは、属性情報の入力を促す画面を表示させるものである。図20は、図4に示した第3表示制御部116cにより表示される画面を示す正面図である。図20に示すように、第3表示制御部116cは、生年月日を入力する旨の表示と、生年月日を入力するためのテキストボックス120aと、性別を入力する旨の表示と、性別を入力するためのチェックボックス120bとを表示させる。
医師は、テキストボックス120aに対して生年月日を入力し、チェックボックス120bへのチェックにより性別を指定することとなる。さらに、医師が、画面上に表示される「次へ」のボタン120cを指定すると、属性情報が情報元装置100に入力されることとなる。これにより、CPU110は、入力された属性情報から、どの属性区分に該当するかを判断することとなる。
再度、図4を参照する。第1表示制御部116aは、症状項目記憶部155に記憶された複数の設定項目から、1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させるものである。より詳細に、第1表示制御部116aは、入力された属性情報が属する属性区分に応じた症状項目を、症状項目記憶部155に記憶される複数の症状項目から抽出し、抽出した症状項目から1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させる。この結果、図21及び図22のような表示がなされる。
図21及び図22は、症状項目を選択させる画面を示す正面図であり、図21は第1の例を示し、図22は第2の例を示している。
属性区分が「13歳以上女性」である場合、第1表示制御部116aは、図12に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「13歳以上女性」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部116aは、抽出した症状項目に基づいて図21に示すような画面を生成してディスプレイ120に表示させる。このとき、ディスプレイ120には、女性特有の「乳房に痛みがある」という症状項目が表示されている。
また、属性区分が「0〜11ヶ月」である場合、第1表示制御部116aは、図12に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「0〜11ヶ月」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部116aは、抽出した症状項目に基づいて図22に示すような画面を生成してディスプレイ120に表示させる。このとき、ディスプレイ120には、「熱がある」「下痢である」といった保護者が確認することができる症状項目のみが表示されている。
ここで、例えば、1歳未満の乳児の症状項目に「頭痛がする」といったものが含まれていても乳児が頭痛の有無を保護者等に伝えることができず、意味がない症状項目となる。また、男性の症状項目に「乳房に痛みがある」といったものが含まれていても意味がない症状項目となる。このように、図12に示すようなデータに基づいて症状項目を抽出して表示することで、年齢や性別毎に適切な症状項目を医師に提示させることができる。
さらに、図21及び図22に示すように、表示される症状項目のそれぞれには、これを選択するためのチェックボックス120dが隣接して表示されている。医師は、該当する症状に応じて、隣接して表示されるチェックボックス120dをチェックすることにより、症状項目を選択することができる。選択後、医師は、不図示の「次へ」のボタンを指定することにより選択を確定させ、この情報を情報元装置100に認識させることとなる。
再度、図4を参照する。第2表示制御部116bは、第1表示制御部116aにより表示された画面(すなわち図21及び図22に示したような画面)において選択された症状項目に設定された質問内容を、質問内容記憶部156から読み出して順次画面表示させるものである。この際、第2表示制御部116bは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれについて、回答を選択させる選択肢も表示させる。なお、表示される選択肢は、属性区分に応じたものであり、選択肢記憶部157に記憶される選択肢が読み出されて表示させられる。
図23及び図24は、質問内容及び選択肢を表示する画面を示す正面図であり、図23は第1の例を示し、図24は第2の例を示している。なお、図23及び図24に示す例では、「熱がある」の症状項目が選択された場合の画面を示している。
図23に示すように、第2表示制御部116bは、例えば「熱がある」の症状項目の質問内容として、「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」を表示する。
また、第2表示制御部116bは、各質問に対して、属性区分に応じた選択肢を表示させる。図23に示す例では、属性区分が「13歳以上男性」及び「13歳以上女性」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37℃以上37.5℃未満」「37.5℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上」となっている。
また、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」について選択肢は「YES」「NO」となっており、「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は「本日又は昨日」「一昨日前から6日前」「1週間以上前」となっている。
一方、図24に示す例では、属性区分が「0〜11ヶ月」「1〜3歳」及び「4〜12歳」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上39.5℃未満」「39.5℃以上」となっている。すなわち、選択肢の内容が図23に示す例と異なっている。
なお、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」及び「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は図23に示す例と同じとなっている。
さらに、図23及び図24に示すように、各選択肢には、これに隣接してチェックボックス120eが表示されている。医師は、該当する選択肢に隣接して表示されるチェックボックス120eをチェックすることにより、選択肢を選択することができる。選択後、医師は、OKボタン120fを指定することにより選択した内容を確定させ、この情報を情報元装置100に認識させることとなる。
また、OKボタン120fが指定された場合には、次の症状項目に対応する質問内容及び選択肢を表示する画面が第2表示制御部116bによって表示される。例えば医師が「熱がある」と「咳が出る」との2つの症状項目を選択していた場合、「熱がある」について質問内容及び選択肢が表示され、OKボタン120fが指定されると、第2表示制御部116bは、次の症状項目である「咳が出る」について質問内容及び選択肢を表示させる。
そして、第2表示制御部116bは、選択していた全ての症状項目について、質問内容及び選択肢を表示し、OKボタン120fが指定されるまで、順次症状項目について質問内容及び選択肢を表示させていく。
ここで、定量質問、定性質問、及び時間質問は、当該症状項目が示す症状のみについて問うものであることが好ましい。すなわち、定量質問、定性質問、及び時間質問は、他の症状項目が示す症状を問う内容を含まないものであることが好ましい。
上記の症状項目の区分けは医学的見地から定められている。例えば、症状項目は、上記のように、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」等と予め定められており、「咳が出る」という症状項目についての質問では、「痰」に関する質問が含まれない。すなわち、咳の項目の質問に「咳に痰が絡むか。」といったものは含まれない。
ここで、痰は通常咳と共に体外へ排出されるものである。このため、例えば予め症状項目として、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳が出る」の症状項目において「咳に痰が絡むか。」という定性質問がされることがある。すなわち、上記の「当該症状のみについて問うもの」とは、既に定められている症状項目の区分けを基本とし、1つの症状項目においては、他の症状項目の内容を問わないということである。よって、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」と症状項目が分けられている場合において「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」とはいえない。一方、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」となる。
なお、装置自体が「痰が出る」を症状項目に設定するか否かは、上記したように医学的見地から定められる。医学は日々進歩することから考えると、例えば「痰が出る」という症状は症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。他の症状についても同様に症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。
再度、図4を参照する。症状結果判断部117は、第2表示制御部116bにより順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果に応じて、症状毎の結果を判断するものである。より詳細に症状結果判断部117は、定量質問、定性質問、及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢を、症状結果テーブル記憶部158に記憶される症状結果テーブルに当てはめることで、症状毎の結果を判断する。
ここで、本実施形態において症状結果判断部117は、回答結果を適正に調整のうえ、症状毎の結果を判断することが好ましい。回答結果については、個人差が生じることがある。例えば、「熱がある」の「現在の熱は何度か。」という定量質問に対して、実際は38℃の熱であるにも拘わらず大げさな人は「38.5℃以上」という選択肢を選択することがある。逆に控え目な人は「37.0℃以上37.5℃未満」という選択肢を選択することがある。また、大げさな人や控え目な人等のように意図的に大げさや控え目に選択する人のみならず、苦痛が大きいことに我慢できず大げさに回答したり、単なる勘違いから大げさに回答したりする人もいる。よって、本装置100は、このような病名候補の判断対象者毎の傾向を例えば係数として記憶しており、係数に応じて回答結果を適正に調整する。調整対象は、定量質問の回答結果に限らず、定性質問及び時間質問も該当する。これにより、一層適正に症状毎の結果を判断することができるからである。なお、係数については、例えば医師等により直接入力されたものが記憶されていてもよいし、過去の本装置100の使用時の回答と実際に罹患していた病名との関係から演算式等により求められて記憶されていてもよい。
病名候補判断部118は、病名候補テーブル記憶部159に記憶される病名候補テーブルに、症状結果判断部117により判断された症状毎の結果を当てはめることで、病名の候補を判断するものである。ここで、当てはめる対象は、図18に示したような通常候補テーブルと、図19に示したような特定候補テーブルとの双方である。
上記したように、病名候補テーブルには、症状の結果それぞれに病名の候補が割り当てられている。具体的には、図18に示す通常候補テーブルにおいて結果A1の病名の候補には病名α,β,γ,δ,εが対応しており、結果B3の病名の候補には病名γ,δ,φ,εが対応している。さらに、図19に示す特定候補テーブルでは、結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補には病名γが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA1とB3となった場合、病名候補判断部118は、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名α,β,γ,δ,ω,φ,εと判断する。特に、病名候補判断部118は、病名γが通常候補テーブルにおける結果A1,B3との双方の候補になっており、且つ、特定候補テーブルにおける結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補にも挙がっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
さらに、もう一例説明する。例えば図18に示す通常候補テーブルにおいて結果A54の病名の候補には病名γ,δ,ω,φが対応しており、結果B1の病名の候補には病名θ,ω,εが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA54とB1となった場合、病名候補判断部118は、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。このとき、図19の特定候補テーブルに示すように、結果A54と結果B1との組み合わせが存在せず、病名の候補が存在しない。よって、病名候補判断部118は、通常候補テーブルのみから、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。なお、この場合において病名候補判断部118は、病名ωが結果A54,B1との双方の候補になっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
第4表示制御部116dは、病名候補判断部118により判断された病名の候補を画面表示させるものである。図25は、病名候補を示す画面の一例を示す正面図である。第4表示制御部116dは、例えば、症状結果判断部117により判断された症状の結果、及び、病名候補判断部118により判断された病名の候補を表示する。具体的に第4表示制御部116dは、図25に示すように、例えば「咽頭が炎症しています。医療機関の受診をお勧めします。考えられる病名としては、風邪、咽頭炎、インフルエンザが挙げられます。」と表示させる。ここで、「咽頭が炎症しています。」が症状毎の結果に該当している。症状毎の結果が複数ある場合、その全てが表示されてもよいし、図25に示すように、1つだけ表示されてもよい。また、第4表示制御部116dは、「終了」ボタン120gについても表示させている。なお、これらの病名は、可能性が高いものから順番に表示されることが好ましい。この場合、図18の通常候補テーブルに示す病名に可能性の情報を付加しておく必要がある。すなわち、図18の結果A54について病名γはXポイント、病名δはYポイント、病名ωはZポイント等情報を付加しておくことで、可能性が高いものから順番に表示させることができる。さらに、結果A54及びB1のように、病名ωについては結果A54の可能性のポイントと結果B1における可能性のポイントとが加算されることが好ましい。加えて、特定候補テーブルに挙げられる病名については、通常候補テーブルに記憶されるポイントよりも大きなポイントの情報が付与されており、これが加算されることとなる。従って、結果A1及び結果B3が得られている場合には、病名γのポイントが他の病名よりも圧倒的に高い数値となる。
加えて、第4表示制御部116dは、図25に示すように、例えば「但し、確率的には低いですが、見逃してはいけない項目として天疱瘡、咽頭がんが挙げられます。」と表示させる。この場合、図18の通常候補テーブルに示す病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。例えば、図18の結果A54について病名γはxポイント、病名δはyポイント、病名ωはzポイント等情報を付加しておく。他の結果A1〜A53等についても同様に致命度の情報を付加しておく。さらに、通常候補テーブルだけでなく、図19に示す特定候補テーブルにおいても、病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。そして、第4表示制御部116dは、致命度が所定ポイント以上となる病名について見逃してはいけない旨を表示させる。すなわち、図25に示す例では、天疱瘡及び咽頭がんについて見逃してはいけない旨を表示させる。
医師は、画面表示される病名を認識した後に「終了」ボタン120gを指定する。これにより、CPU110は、例えば図20に示す属性情報の入力画面に戻ることとなる。
以上のように、病態判断機能部Bは、病名の候補を医師に提示することができる。また、病態判断機能部Bにより判断された候補となる病名の情報は、病名診断機能部Aに転送される。これにより、第1提示部111は、転送された病名の候補の情報に基づいて、診察行為記憶部151の記憶内容から、行うべき診察行為を抽出して医師に提示することとなる。なお、上記では医師の便宜を図るために、図25に示すような表示を行ったが、特にこれに限らず、図25に示すような表示は行われなくともよい。
以上が情報元装置100の主要構成である。このような情報元装置100は、個人を特定するためのID等の情報と共に、認証データ作成装置200に対して少なくとも問診回答の情報を送信して記憶する。さらに、本実施形態においては、入力された属性情報、医師の所見の情報、病名診断機能部Aによって診断された病名の情報、及び、行われた検査とその検査結果との情報についても、認証データ作成装置200に対して送信して記憶する。
なお、本実施形態において情報元装置100は、病名判断時における医師の所見の他、その後の患者の経過についても所見の情報として入力可能となっており、例えば、医師が判断する後遺症の情報等も入力可能となっている。具体例を挙げると、情報元装置100の病名診断機能部Aにより患者の病名が「脳梗塞」と判断され、この後遺症として医師により「運動障害」や「感覚障害」が生じていると判断された場合、このような「運動障害」や「感覚障害」の情報についても、医師の所見として入力可能となっている。情報元装置100は、上記のような患者の経過に関する医師の所見の情報についても、認証データ作成装置200に対して送信して記憶する。なお、問診回答により「運動障害」や「感覚障害」の情報が得られた場合には、問診回答の情報として入力可能となっていてもよい。
加えて、情報元装置100は、患者に対する医師の対応の情報についても入力可能となっている。例えば、情報元装置100の病名診断機能部Aにより患者の病名が「脳梗塞」と判断され、「頸動脈閉塞除去手術」が行われた場合、「頸動脈閉塞除去手術」が行われた旨の情報が医師の対応の情報として入力可能となっている。さらに、術後の治療の情報が医師の対応の情報として入力可能となっている。例えば、再発防止手術としての「ステント手術」「バイパス手術」や、処方された抗血栓薬の種類や分量等の情報が医師の対応の情報として入力可能となっている。
加えて、「脳梗塞」と判断され、薬物療法が行われた場合、例えば、「抗血栓療法」「抗浮腫療法」「脳保護療法」等の行われた薬物療法の情報が医師の対応の情報として入力可能となっている。さらに、「抗血栓療法」には、「血栓溶解療法」「抗血小板療法」「抗凝固療法」等の詳細についても入力可能となっている。さらに、上記薬物療法において点滴(注射も含む)される薬の種類や分量の情報が医師の対応の情報として入力可能となっている。
本実施形態においては、入力された医師の対応の情報についても、認証データ作成装置200に対して送信して記憶する。
なお、上記説明において情報元装置100は、病名が診断されると、診断名に付随して行われるべき手術法、薬物療法、点滴、注射、処方薬、及びリハビリ内容の情報が提示されるようになっていてもよい。この場合、上記情報は医師により情報元装置100が操作されて入力されることなく自動的に記憶され認証データ作成装置200に送信されるようになっていてもよい。
図26は、図1に示した認証データ作成装置200の詳細を示す機能ブロック図である。図26に示す認証データ作成装置200は情報元装置100からの情報に基づいて認証データを作成するものであって、例えば高速演算が可能なサーバによって構成されている。このような認証データ作成装置200は、入力部210と、認証データ作成装置200を実現するための、認証データ作成プログラムが記憶された記憶部220と、評価部230と、認証データ作成部240とを備えている。
入力部210は、ネットワークを通じて、情報元装置100から、例えば認証データの作成対象者を特定するための情報(ID、氏名、住所、属性情報等の情報)、作成対象者の問診回答の情報、医師の所見の情報、診断された病名の情報、医師の対応の情報、及び検査結果の情報を入力するものである。
記憶部220は、1次元以上の座標系を記憶するものであり、本実施形態ではX軸が問診回答及び医師の所見、Y軸が診断された病名及び医師の対応、Z軸が検査結果(検査値)となった3次元の座標系を記憶している。詳細に3次元の座標系において、X軸には問診回答及び医師の所見の各項目が表現され、Y軸には診断された病名(診断名)及び医師の対応が各項目として表現され、Z軸には検査結果が各項目として表現されている。
より具体的に説明すると、X軸の問診回答の項目は、図23及び図24等に示した画面での回答に対応するように設定され、Z軸の医師の所見の項目については図9等に示した画面での回答に対応するように設定されている。また、Y軸の診断名の項目については、図11等に示した病名の結果が対応するように設定され、Z軸の検査結果については、図10等に示した画面での回答に対応するように設定されている。さらに、Y軸の医師の対応の項目についても、後に入力された手術法や薬物療法名等に対応するように設定されている。
図27は、図26に示した記憶部220により記憶される座標系の一例を示す図である。図27に示すように、X軸には、項目a1〜anが設定されている。これらの項目a1〜anは、図23及び図24の回答等と対応しており、例えばa1が「熱がある:現在の熱は37℃以上37.5℃未満である」となっており、a2が「熱がある:現在の熱は37.5℃以上38.5℃未満である」となっており、a3が「熱がある:現在の熱は38.5℃以上である」となっている。さらに、例えばa4が「熱がある:熱が37℃以上37.5℃未満まで上がった」となっており、a5が「熱がある:熱が37.5℃以上38.5℃まで上がった」となっており、a6が「熱がある:熱が38.5℃以上まで上がった」となっている。さらに、これらの項目a1〜anは、図9の回答等と対応しており、例えばaiが「左下腹部に痛み有り」となっており、ai+1が「左下腹部に痛み無し」となっている。
なお、X軸の他の項目a7〜ai−1,ai+2〜anについては詳細説明を省略するが、他の項目a7〜ai−1,ai+2〜anのそれぞれには、項目a1〜a6,ai,ai+1と同様に、症状毎の定量、定性又は時間質問の回答が合致するようになっているか、又は、医師の所見(診察の回答)が合致するようになっている。
また、Y軸についても図27に示すように、項目b1〜bnが設定されている。これらの項目b1〜bnは、図11の結果等と対応しており、例えばb1が「病名α」となっており、b2が「病名β」となっており、b3が「病名γ」となっている。他の項目b4〜bnのそれぞれについても、診断名や医師の対応(手術法、薬物療法名、注射点滴の種類及び分量、処方薬及びその分量等)が合致するようになっている。
さらに、Z軸についても図27に示すように、項目c1〜cnが設定されている。これらの項目c1〜cnは、図10に示す回答等と対応しており、例えばc1が「血液検査の○○値はX値以上である」となっており、c2が「血液検査の○○値はX値未満である」となっている。同様に、c3が「検便に血が混じっている」となっており、c4が「検便に血が混じっていない」となっている。他の項目c5〜cnのそれぞれについても、検査結果が合致するようになっている。
ここで、図27に示した3次元座標系は、身体というものをベースとして、問診回答や医師の所見、診断名、医師の対応、及び検査結果というそれぞれの切り口で判断した結果を結び付けるデータである。このため、問診回答や医師の所見の情報、診断名の情報及び検査結果の情報は、それぞれを軸とした3次元データを構築することができる。
再度図26を参照する。評価部230は、入力部210により入力された認証データの作成対象者の問診回答の情報、医師の所見の情報、診断された病名の情報、医師の対応の情報、及び検査結果の情報に基づいて、記憶部220により記憶される座標系にプロットして認証データの作成対象者を評価するものである。
図28は、図26に示した評価部230による評価の様子を示す概念図である。まず、入力部210により入力された診断名の情報が、病名βを示すものであったとする。なお、この例において医師の対応は未入力であるとする。この場合、Y軸においては、例えば項目b2が選択される。そして、問診回答や医師の所見の情報、及び、検査結果の情報に基づいて、対応するX軸及びZ軸の項目がプロット対象となる。
例えば入力部210が入力した情報に、「熱がある:現在の熱は38.5℃以上である」という情報、「熱がある:熱が38.5℃以上まで上がった」という情報、「左下腹部に痛みあり」という情報、及び、「検便に血が混じっている」という情報が存在したとする。
この場合、評価部230は、項目a3と項目c3の交点、項目a6と項目c3の交点、及び、項目aiと項目c3の交点のそれぞれにおいて、プロット点Pを記載することで、認証データの作成対象者を評価する。なお、評価部230により記載されたプロット点Pを含む座標系全体のデータを、プロットデータ(元データ)という。ここで、評価部230によって得られたプロットデータは、認証データの作成対象者を座標表現したものともいえ、作成対象者をバーチャル表現したものとなる。
再度図28を説明する。認証データ作成部240は、評価部230により座標系にプロットされたプロットデータのうち、座標軸上に表現された項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容を除外のうえ、作成対象者に関する認証データ(項目除外座標データ)を作成するものである。具体的には、図28に示す符号Dの範囲(Y軸方向の奥行を含む範囲)のみのデータを取り出して認証データとする。なお、認証データ作成部240により作成された認証データは、記憶部220に記憶される。
このように、プロットデータから座標軸上に表現された項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容を除外のうえ、認証データを作成するので、第三者が問診回答等の情報を盗んだとしても項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容の配列が不明である限り認証データを構築することは困難となる。しかも、問診回答等に基づく作成対象者個人の身体状態は、都度変化するものであることから、作成対象者個人に基づいて認証データ作成時の問診回答等の情報を取得することも困難となる。このように、認証データの構築や、その元となる身体質問の回答の取得が困難となることから、暗証番号や生体情報と比較すると盗防性に優れることとなる。
なお、図28に示す例において評価部230は、まず診断名に基づいてY軸の項目を決定し、決定されたY軸の項目上においてX−Z座標系のプロット処理を行っているが、特にこれに限らず、X軸やZ軸の項目を決定の上Y−Z座標系やX−Y座標系にプロット処理を行ってもよい。さらには、最初に1つの軸における項目を決定することなく、入力部210にて入力された情報を総合的に判断して、3次元座標系に対して直接プロット処理を行ってもよい。
さらに、認証データ作成部240は、複数の時点において評価部230により座標系にプロットされた複数のプロットデータのうち、座標軸上に表現された項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容を除外のうえ、作成対象者に関する認証データを作成することが好ましい。これにより、時間変化する作成対象者の身体状態に基づいて認証データを作成することとなり、或る時点の情報を盗まれたとしても、他の時点の情報が盗まれない限り、第三者は認証を行うことが不可能となるからである。
一例を挙げると、認証データ作成部240は、今回の符号Dの範囲のみのデータと前回の符号Dの範囲のみのデータとに基づいて、認証データを作成する。なお、今回と前回との2つの時点に限らず、3つ以上の時点の符号Dの範囲のみのデータに基づいて認証データを作成してもよいし、今回と過去全ての符号Dの範囲のみのデータに基づいて認証データを作成してもよい。
加えて、認証データ作成部240は、符号Dの範囲のみのデータを、文字、数字及び記号の少なくとも1種からなる情報に置換して、作成対象者に関する認証データを作成することが好ましい。これにより、更なるセキュリティ性の向上につなげることができる。置換の方法については、適宜公知又は周知の方法が採用される。
さらに、認証データ作成装置200は、親族情報を加えて作成対象者に関する認証データを作成することが好ましい。この場合、入力部210は、認証データの作成対象者の1人以上の親族について、問診回答の情報、医師の所見の情報、診断された病名の情報、及び検査結果の情報を入力する。そして、評価部230は、入力部210により入力された情報に基づいて、座標系にプロットして当該親族を評価する。次いで、認証データ作成部240は、座標系にプロットされた作成対象者及び当該親族の双方のプロットデータのうち、座標軸上に表現された項目の内容を除外のうえ、作成対象者に関する認証データを作成する。これにより、作成対象者のあらゆる情報が盗まれたとしても、第三者による認証の可能性を低減することができるからである。
ここで、親族であるか否かについては、情報元装置100において判断されてもよいし、認証データ作成装置200において判断されてもよい。なお、ここでいう親族とは、法律上の親族(すなわち6親等内の血族及び3親等内の姻族)、又は、同居者である。例えば情報元装置100は、患者の住所情報に基づいて、同居者を判断し、これを親族であると確定する。また、予め親族関係にある患者同士で親族情報が付与されており、この親族情報に基づいて情報元装置100や認証データ作成装置200が親族を確定してもよい。
加えて、記憶部220は、属性区分毎の3次元座標系を記憶しており、評価部230は、入力部210により入力された属性情報が属する属性区分の座標系を選択し、選択した座標系にプロットして認証データの作成対象者を評価することが好ましい。ここで、属性区分は、上記と同様に、年齢及び性別による区分け(属性情報の区分け)であって、例えば図12に示す例と同様に、本実施形態では5つの属性区分が設定されていてもよいし、より詳細に6つ以上の属性区分が設定されていてもよい。すなわち、問診回答に、例えば頭痛に関する内容が含まれている場合、3歳の頭痛と90歳の頭痛とでは発生原因が異なることから、3次元座標系についても異なっていることが好ましいといえる。従って、年齢や性別に応じた適切な座標系に基づく作成対象者の評価を行うことができる。
認証データ作成装置200は、以上のようにして、認証データを作成する。作成後、認証データ作成装置200は、配布側装置300に対して、認証データを送信する。
ここで、認証データ作成装置200は、情報元装置100から入力した情報を階層的データ構造(入力した各情報を階層付けると共に隣接する階層における各情報の関連性を示すもの)にして記憶部220に記憶させることが好ましい。また、階層的データ構造として記憶するにあたり記憶部220は、階層的データ構造のテンプレートを記憶している。
図29は、図26に示した記憶部220が記憶した階層的データ構造のテンプレートの一例を示す概念図である。なお、図29に示すテンプレートは一例を示すものであり、図示したもの以外にも種々の構造を採用可能である。
例えば記憶部220は、図29に示すテンプレートTを記憶している。テンプレートTにおいては、「病名(診断名)」HDを第1階層としている。また、第1階層の病名(診断名)HDから派生して第2階層の「問診回答1(症状)」HS1、「問診回答2(症状)」HS2、「医師の所見1」HO1、「医師の所見2」HO2、「検査1」HI1、「検査2」HI2、「医師の対応1(手術法)」HC1、「医師の対応2(注射・点滴)」HC2、及び「医師の対応3(処方薬)」HC3が設定されている。
また、第2階層の「問診回答1(症状)」HS1から派生して第3階層の「問診回答1−1(定性質問の回答)」HS11、「問診回答1−2(定量質問の回答)」HS12、及び「問診回答1−3(時間質問の回答)」HS13が設定されている。第2階層の「問診回答2(症状)」HS2についても同様である。
また、第2階層の「医師の所見1」HO1から派生して第3階層の「医師の所見1−1」HO11及び「医師の所見1−2」HO12が設定されている。さらに、第3階層の「医師の所見1−1」HO11から派生して第4階層の「医師の所見1−1−1」HO111及び「医師の所見1−1−2」HO112が設定されている。同様に、第3階層の「医師の所見1−2」HO12から派生して第4階層の「医師の所見1−2−1」HO121及び「医師の所見1−2−2」HO122が設定されている。なお、第2階層の「医師の所見2」HO2についても同様に派生している。
さらに、第2階層の「検査1」HI1から派生して第3階層の「検査結果1(検査値)」HR1が設定され、第2階層の「検査2」HI2から派生して第3階層の「検査結果2(検査値)」HR2が設定されている。
加えて、第2階層の「医師の対応1(手術法)」HC1から派生して第3階層の「医師の対応1−1(手術使用器具)」HC11、及び「医師の対応1−2(手術使用器具)」HC12が設定されている。第3階層の「医師の対応1−1(手術使用器具)」HC11からは第4階層の「医師の対応1−1−1(使用量)」HC111が派生して設定されており、第3階層の「医師の対応1−2(手術使用器具)」HC12からは第4階層の「医師の対応1−2−1(使用量)」HC112が派生して設定されている。
また、第2階層の「医師の対応2(注射・点滴)」HC2から派生して第3階層の「医師の対応2−1(成分・分量)」HC21が設定されており、第2階層の「医師の対応3(処方薬)」HC3から派生して第3階層の「医師の対応3−1(分量)」HC31が設定されている。
図30は、図26に示した記憶部220が記憶した階層的データ構造の一例を示す概念図である。認証データ作成装置200は、入力部210により各種情報を入力すると、図30に示すように記憶して階層的データ構造を構築する。
具体的に説明すると、第1階層の「病名(診断名)」HDには例えば「脳梗塞」と記憶されている。また、第2階層の「問診回答1(症状)」HS1には例えば「腕にしびれあり」と記憶されている。第3階層の「問診回答1−1(定性質問の回答)」HS11には例えば「腕が肩までしか上がらない」と記憶され、「問診回答1−2(定量質問の回答)」HS12には例えば「3回に一回程度」と記憶され、「問診回答1−3(時間質問の回答)」HS13には例えば「3日前から」と記憶されている。同様に、第2階層の「問診回答2(症状)」HS2には例えば「ろれつが回らない」と記憶されている。第3階層の「問診回答2−1(定性質問の回答)」HS21には例えば「何を話しているか不明」と記憶され、「問診回答2−2(定量質問の回答)」HS22には例えば「毎回」と記憶され、「問診回答2−3(時間質問の回答)」HS23には例えば「3日前から」と記憶されている。
他の情報についても同様に記憶されている。ここで、今回の患者には外科的手術が行われることなく、薬物療法が行われその後薬が処方されたような場合には、第2階層の「医師の対応1(手術法)」HC1、第3階層の「医師の対応1−1(手術使用器具)」HC11、及び「医師の対応1−2(手術使用器具)」HC12、並びに、第4階層の「医師の対応1−1−1(使用量)」HC111、及び「医師の対応1−2−1(使用量)」HC112の欄は空欄とされている。同様に、医師の所見の一部(符号HO11,HO111,HO112,HO12,HO121,HO122,HO212,HO222参照)についても空欄とされている。すなわち、空欄となる情報も存在することとなる。
ここで、認証データ作成部240は、図29及び図30に示した階層的データ構造のうち、特定の階層(例えば第1及び第2階層等の上位階層)の情報のみを利用して認証データを作成してもよいし、全階層の情報を利用して認証データを作成してもよい。どの程度の階層を利用するかについては、セキュリティレベルに応じた決定すればよい。また、古い階層的データ構造になるほど、上位階層の情報のみが利用され、新しい階層的データ構造ほど、全階層の情報が利用されるようになっていてもよい。
なお、上記の階層的データ構造は認証データ作成装置200において記憶されているが、これに限らず、情報元装置100において記憶されていてもよいし、双方に記憶されていてもよい。
配布側装置300は、認証データを受信して記憶すると共に認証データの作成対象者側へ配布する。配布方法等は、図1を参照して説明した通りである。
ここで、認証データ提供システム1において、配布側装置300は、新たな認証データについて、その情報を認証データ作成装置200に送信し、認証データ作成装置200は、例えば記憶部220に記憶されるデータと不一致がある場合、情報元装置100に対して確認処理を行うことが好ましい。これにより、例えば配布側装置300に対するハッキング等により認証データが書き換えられてしまっても、確認することができるからである。
なお、配布側装置300は、自己が記憶する認証データのみを確認して、データ間の整合性が取られていない場合には、ハッキング等による書き換えと断定してもよい。
より詳細に説明すると、配布側装置300は、例えば認証データが新しくなる度に、認証データの情報を認証データ作成装置200に送信する。認証データ作成装置200は、例えば記憶部220に記憶されるデータと一致するかを判断する。そして、認証データ作成装置200は、例えば記憶部220に記憶されるデータと不一致がある場合、不一致となる座標軸上の項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容に基づいて、問い合わせ先の医療機関を決定する。
そして、認証データ作成装置200は、問い合わせ先となる医療機関の情報元装置100に対して不一致部分に関するデータの再送を要求する(確認処理)。情報元装置100は、認証データ作成装置200からの確認処理(要求処理)を受け付けたか否かを認証データ作成装置200のIPアドレス等から判断し、認証データ作成装置200の確認処理であると判断した場合に限り、要求に応じた返信処理を実行する。
その後、認証データ作成装置200は、再送された情報に基づいて認証データが正しいか確認する。
次に、認証データ提供システム1の動作を説明する。図31及び図32は、図4に示した病態判断機能部Bの動作の一例を示すフローチャートであり、図31は前半部分を示し、図32は後半部分を示している。
図31に示すように、まず第3表示制御部116cは、属性情報の入力画面を表示させる(S1)。このとき、第3表示制御部116cは、例えば図20に示すような画面を表示させる。そして、CPU110は、属性情報が入力されたかを判断する(S2)。図20に示す例の場合、CPU110は、テキストボックス120aに生年月日が入力され、チェックボックス120bにチェックがされた状態で、「次へ」のボタン120cが指定されたかを判断することとなる。
属性情報が入力されていないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、属性情報が入力されたと判断した場合(S2:YES)、第1表示制御部116aは、症状項目の選択画面を表示させる(S3)。この際、第1表示制御部116aは、例えば図21及び図22に示すように、属性区分に応じた症状項目の選択画面を表示させる。
その後、CPU110は、症状項目が選択されたかを判断する(S4)。図21及び図22に示す例の場合、CPU110は、症状項目に隣接配置される各チェックボックス120dのうち、いずれか1つ以上がチェックされて、不図示の「次へ」のボタンが指定されたかを判断することとなる。症状項目が選択されていないと判断した場合(S4:NO)、選択されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
一方、症状項目が選択されたと判断した場合(S4:YES)、CPU110は、ステップS3において表示した複数の症状項目のうち、選択された数をimaxとする(S5)。すなわち、図21及び図22に示す例の場合、CPU110は、チェックされたチェックボックス120dの数をimaxとする。その後、CPU110は、変数iを「1」に初期化する(S6)。
次に、第2表示制御部116bは、i個目の症状項目の質問及び選択肢を読み込み(S7)、読み込んだデータに基づいて質問・選択肢画面を表示させる(S8)。この際、第2表示制御部116bは、例えば図23及び図24に示すように、属性区分に応じた選択肢を含む画面を表示させる。
その後、CPU110は、回答があったかを判断する(S9)。図23及び図24に示す例の場合、CPU110は、質問それぞれについて、選択肢に隣接するチェックボックス120eのいずれか1つがチェックされた状態で、OKボタン120fが指定されたかを判断することとなる。
回答がなかったと判断した場合(S9:NO)、回答があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、回答があったと判断した場合(S9:YES)、症状結果判断部117は、回答調整を行う(図32:S10)。この回答調整は、上記したように大げさに回答する人や控え目に回答する人等の傾向に基づいて行われるものであり、例えばこのような傾向を反映した係数に基づいて調整される。なお、今回処理を行っている病名候補の判断対象者に対して係数が記憶されていない場合には、回答調整処理は実行されず、処理はステップS11に移行する。
そして、症状結果判断部117は、(調整済みの)回答に基づいて、その症状の結果を判断する(S11)。この際、症状結果判断部117は、属性区分に応じたi個目の症状項目の症状結果テーブルを読み出し、選択された選択肢をテーブルに当てはめて、その症状の結果を判断する。
次に、CPU110は、変数iがimaxであるかを判断する(S12)。変数iがimaxでないと判断した場合(S12:NO)、CPU110は、変数iをインクリメントし(S13)、処理は図31に示したステップS7に移行する。すなわち、変数iが「1」加算され、加算後の個数目の症状項目について質問と選択肢とが読み込まれることとなる。
一方、変数iがimaxであると判断した場合(S12:YES)、病名候補判断部118は、ステップS11にて判断された症状毎の結果が特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当するかを判断する(S14)。該当すると判断した場合(S14:YES)、病名候補判断部118は、特定候補テーブルから特定の組み合わせに対応する病名を抽出する(S15)。そして、処理はステップS16に移行する。
一方、特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当しないと判断した場合(S14:NO)、処理はステップS16に移行し、病名候補判断部118は、ステップS11において判断された症状毎の結果を図18に示した通常候補テーブルに当てはめることにより、病名の候補を抽出する(S16)。
そして、第4表示制御部116dは、ステップS15及びステップS16において抽出された病名候補を表示させる(S17)。そして、図31及び図32に示した処理は終了する。なお、第4表示制御部116dが図25に示したような画面を表示していた場合には、操作者が「終了」ボタン120gを指定することにより、図31及び図32に示した処理は終了することとなる。また、図24に示すように、病名の候補のみならず症状毎の結果についても表示させることが好ましい。
図33は、本実施形態に係る病名診断機能部Aの動作の一例を示すフローチャートである。図33に示すように、まずCPU110は病名の候補が入力されたかを判断する(S21)。ここでは、図32に示したステップS17において抽出された病名の候補が自動入力されたかが判断される。病名の候補が入力されていないと判断した場合(S21:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
一方、病名の候補が入力されたと判断した場合(S21:YES)、第1提示部111は、診察行為記憶部151に記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した診察行為を抽出し医師に提示する(S22)。これにより、医師による診察行為が行われ、身体所見が得られることとなる。
次に、CPU110は、ステップS22において提示した診察行為に対応する身体所見の情報が入力されたかを判断する(S23)。身体所見の情報が入力されていないと判断した場合(S23:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
身体所見の情報が入力されたと判断した場合(S23:YES)、第1絞り込み部112は、身体所見記憶部152に記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した身体所見が得られているかを判断し、候補となる病名の絞り込みを行う(S24)。
次に、第2提示部113は、ステップS24において絞り込まれた病名を確定するための検査内容を、検査記憶部153から抽出して医師に提示する(S25)。これにより、患者に対して検査が実施されることとなる。
その後、CPU110は、ステップS25において提示した検査に対応する結果の情報が入力されたかを判断する(S26)。検査結果の情報が入力されていないと判断した場合(S26:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。なお、ここでの検査結果は医師による手入力でなくともよく、検査装置等から自動入力されるようになっていてもよい。
検査結果の情報が入力されたと判断した場合(S26:YES)、第2絞り込み部114は、検査結果記憶部154に記憶される記憶内容に基づいて、第1絞り込み部112により絞り込まれた病名に対応した検査結果が得られているかを判断し、更に絞り込みを行う(S27)。
その後、第3提示部115は、ステップS27において得られた最終結果FRを医師に提示する(S28)。この第3提示部115は、最終結果FRとして1つの診断病名を提示する場合に限らず、何の病名も当てはまらない旨を提示するようになっていてもよいし、複数の診断病名を提示するようになっていてもよい。
図34は、図1に示した認証データ作成装置200の動作を示すフローチャートである。図34に示すように、まず、入力部210は、情報元装置100から、問診回答の情報等を入力したかを判断する(S31)。入力していないと判断した場合(S31:NO)、入力した判断するまで、この処理が繰り返される。
一方、入力したと判断した場合(S31:YES)、認証データ作成装置200は、入力した問診回答等の情報をテンプレートTに対応させて記憶部220に記憶させる(S32)。すなわち、図29に示すようなテンプレートTを利用して図30に示すような階層的データ構造を構築することとなる。次いで、評価部230は、記憶部220に記憶される座標系に対して、入力した情報に基づくプロット処理を行う(S33)。これにより、プロットデータが作成される。この際、全階層の情報を用いてプロット処理が行われてもよいし、特定の階層の情報を用いてプロット処理が行われてもよい。
次に、認証データ作成部240は、プロットデータのうち、座標軸上に表現された項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容を除外のうえ、作成対象者に関する認証データを作成する(S34)。このとき、認証データ作成部240は、図28に示した範囲Dにおけるデータを、文字、数字及び記号の少なくとも1種からなる情報に置換して、作成対象者に関する認証データを作成する。そして、認証データ作成装置200は、作成した認証データを配布側装置300に送信する(S35)。そして、図34に示した処理は終了する。
図35は、認証データ提供システム1によるハッキング等対策の処理を示すフローチャートである。まず、配布側装置300は、認証データの更新があったかを判断する(S41)。更新が無かったと判断した場合(S41:NO)、あったと判断されるまで、この処理は繰り返される。
更新があったと判断した場合(S41:YES)、配布側装置300は、更新された認証データの情報を認証データ作成装置200に送信する(S42)。認証データ作成装置200は、配布側装置300から認証データを受信すると、記憶部220の記憶情報に基づいて不一致か否かを判断する(S43)。
不一致でないと判断した場合(S43:NO)、すなわち配布側装置300から認証データと記憶部220の記憶情報とが一致する場合、ハッキング等による書き換えでないと判断し、図35に示す処理は終了する。
一方、不一致であると判断した場合(S43:YES)、認証データ作成装置200は、不一致部分に基づいて問い合わせ先の医療機関を決定する(S44)。次に、認証データ作成装置200は、確認処理を実行する(S45)。すなわち不一致部分に関する情報の再送を要求する。
次に、情報元装置100は、認証データ作成装置200からの確認処理(再送要求)であるかを判断し、再送するか否かを判断する(S46)。認証データ作成装置200からの確認処理でないと判断した場合、情報元装置100に対する情報の抜き取り等の不正処理が行われている可能性があることから、情報元装置100は再送しないと判断する(S46:NO)。そして、図35に示す処理は終了する。
一方、認証データ作成装置200からの確認処理であると判断した場合、情報元装置100は再送すると判断し(S46:YES)、情報を再送する(S47)。次に、認証データ作成装置200は、再送された情報に基づいてプロット処理を行い、認証データを更新のうえ記憶する(S48)。
その後、認証データ作成装置200は、更新記憶した認証データを配布側装置300に送信し(S49)、配布側装置300は、認証データを受信して記憶する(S50)。そして、図35に示す処理は終了する。
以上が本実施形態に係るデータ監視装置が適用される認証データ提供システム1である。
再度図1を参照する。図1に示すデータ監視装置600は、上記のようにして作成された認証データの流出を監視するものである。図36は、本実施形態に係るデータ監視装置600を示す機能ブロック図である。図36に示すデータ監視装置600は認証データ作成装置200と同様に例えば高速演算が可能なサーバによって構成されている。このようなデータ監視装置600は、対象特定部(対象特定手段)610と、抽出部(抽出手段)620と、復号部(復号手段)630と、流出判断部(流出判断手段)640とを備えている。
対象特定部610は、配布側装置(特定の装置)300等の通信履歴に基づいて監視対象装置を特定するものである。ここで、対象特定部610は、配布側装置300の通信ログに基づいて監視対象となる監視対象装置を決定する。図1に示す例において配布側装置300は端末400、認証装置500及び第1装置700と通信履歴があるとする。この場合、対象特定部610は、端末400、認証装置500及び第1装置700を監視対象装置であると特定する。
なお、対象特定部610は、配布側装置300の通信履歴に限らず、認証データが保有される端末400や認証装置500の通信履歴に基づいて監視対象装置を特定してもよい。加えて、対象特定部610は、後述する処理によって、例えば第1装置700に認証データの流出が確認された場合には、第1装置700の通信履歴に基づいて監視対象装置を特定してもよい。図1に示す例において第1装置700は第2装置800との通信履歴が存在することから、対象特定部610は、第2装置800についても監視対象装置として特定することとなる。
抽出部620は、監視対象装置に記憶されるデータを抽出するものである。ここで、抽出部620は、監視対象装置のセキュリティを突破するものであってもよいが、予め監視対象装置の管理者に事前連絡等してデータ抽出可能にセキュリティ解除等が行われるようになっていてもよい。また、上記した対象特定部610についても同様にセキュリティ突破するものであってもよいし、予めセキュリティ解除等が行われてもよい。
ここで、抽出部620は、監視対象装置に記憶されるデータのうち特定のデータ構造を有するものを選択して抽出する。特定のデータ構造とは、例えばデータのヘッダー情報に特定情報が含まれていることであったり、暗号データの本体情報部分の特定の1又は複数のビットが特定の値となっていることであったりする。
復号部630は、抽出部620により抽出されたデータについて、認証データをプロットデータに戻す復号処理を実行する。ここで、抽出したデータには、認証データでないものが多数含まれているが、復号部630は抽出したデータが認証データであると仮定して、除外された項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容を複数の座標軸上に戻す処理を復号処理として実行する。
流出判断部640は、復号部630により適正に復号された場合に、監視対象装置に暗号データが流出したと判断するものである。ここで、流出判断部640は、復号後のデータについて所定のルール(プロットデータであることを示す規則)が守られている場合に適正に復号されたと判断する。例えば流出判断部640は、特定の1又は複数のビットが特定の値であることや、座標軸同士に関連性がある場合にその関連性が適切となっていることや、異常値(例えば血圧が1000以上やマイナスの値等)を示していないか等に基づいて、適正に復号されたかを判断する。
また、データ監視装置600は、記憶部650を備えている。この記憶部650には、データ監視装置600を機能させるためのデータ監視プログラムが記憶されている。このようなデータ監視プログラムは、当該プログラムを記憶する記録媒体からダウンロードされたり、ネットワークを通じてダウンロードされたりする。さらに、記憶部650は、通信履歴の読み込み対象となる特定の装置や、監視対象装置の情報についても記憶している。
次に、本実施形態に係るデータ監視装置600の処理を説明する。図37は、本実施形態に係るデータ監視装置600の処理を示すフローチャートである。
まず、対象特定部610は記憶部650に記憶される特定の装置(例えば配布側装置300)にアクセスし、その通信履歴から監視対象装置を特定する(S51)。この際、対象特定部610は、通信履歴のうち端末400や認証装置500のように、認証データの配布のために通信された適切な通信履歴については除外して監視対象装置を特定するようにしてもよい。さらに、対象特定部610は、過去に流出判断を行っていた場合には、前回の流出判断を行った時点以降の通信履歴から監視対象装置を特定することが好ましい。
次いで、データ監視装置600は、対象特定部610により特定された監視対象装置に新たな装置が存在するかを判断する(S52)。新たな装置が存在する場合(S52:YES)、データ監視装置600は、記憶部650に記憶される監視対象装置を更新(新たな装置を監視対象装置として記憶)する(S53)。そして、処理はステップS54に移行する。
一方、対象特定部610により特定された監視対象装置に新たな装置が存在しない場合(S52:NO)、記憶部650の記憶内容は更新されることなく、処理はステップS54に移行する。
ステップS54において、抽出部620は記憶部650に記憶される監視対象装置(例えば第1装置400)にアクセスし、監視対象装置に記憶されるデータのうち、特定のデータ構造を有するものがあるかを判断する(S54)。
特定のデータ構造を有するものがない場合(S54:NO)、図37に示す処理は終了する。特定のデータ構造を有するものがある場合(S54:YES)、抽出部620は、特定のデータ構造を有するデータを抽出する(S55)。
次いで、復号部630は、ステップS55にて抽出した全データを対象に復号処理を実行する(S56)。この処理において復号部630は、抽出した全データを項目除外座標データであると仮定して、除外された項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容を複数の座標軸上に戻す処理を復号処理として実行する。
その後、流出判断部640は、適正に復号されたデータがあるかを判断する(S57)。この処理において流出判断部640は、復号後のデータについて所定のルールが守られているものを適正に復号されたデータであると判断する。
適正に復号されたデータがない場合(S57:NO)、図37に示す処理は終了する。一方、適正に復号されたデータがある場合(S57:YES)、流出判断部640は、監視対象装置に暗号データが流出したと判断する(S58)。その後、データ監視装置600は、ステップS59において暗号データが流出している監視対象装置を特定の装置(ステップS51の通信履歴が読み込まれる装置)として記憶部650に記憶させる(S59)。その後、図37に示す処理は終了する。
なお、図37に示す処理は、全ての特定の装置、及び、全ての監視対象装置に対して実行されることを想定しているが、前回実行時から所定期間以内のものについては非実行とされてもよい。
このようにして、本実施形態に係るデータ監視装置、データ監視プログラム、及びコンピュータ読取可能な記録媒体によれば、監視対象装置のデータを抽出して、その復号結果から流出を判断するため、流出が不明となり易い暗号データであっても、復号処理により流出を判別することができる。従って、暗号データを保有すべきでない装置に暗号データが保有されていないかを監視することができる。
また、特定の装置の通信履歴に基づいて監視対象装置を特定するため、効率的に監視対象装置を特定することができる。
また、監視対象装置に記憶されるデータのうち特定のデータ構造を有するものを抽出するため、監視対象装置から復号対象とするデータを選別して効率的に流出を判断することができる。
また、復号後のデータについて所定のルールが守られている場合に適正に復号されたと判断するため、例えば、データの特定の1又は複数のビットの値が適切なものとなっているか、データ内の情報同士に関連性がある場合にはその関連性が適切か等に基づいて、適正に復号されたかを判断することができる。
また、暗号データは、座標系に個人に関する情報がプロットされて得られる個人のプロットデータから、複数の座標軸上に表現された項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容を除外して作成された項目除外座標データである。ここで、復号部630は、抽出されたデータが項目除外座標データであると仮定して、除外された項目a1〜an,b1〜bn,c1〜cnの内容を複数の座標軸上に戻す処理を実行して復号処理を行う。このため、複数の座標軸という互いに関連性を有する座標系を利用した暗号データであることから、互いの座標軸の関連性から適正に復号されたかを判断し易くすることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。さらには、公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態に係る認証データ作成装置200の記憶部220は、3次元の座標系データを記憶しているが、これに限らず、2次元又は4次元以上の座標系データを記憶していてもよい。
さらに、上記実施形態において入力部210は、問診回答、医師の所見、診断名、及び検査結果の情報を入力しているが、これに限らず、問診回答の情報のみが入力されてもよい。さらには、問診回答に限らず、身体質問の回答を入力してもよい。ここで、身体質問の回答とは、身体の状態を問う質問の回答であって、例えば身長、体重、肌の色、眼の色、頭髪の色等を問う質問の回答であってもよい。
さらに、本実施形態において情報元装置100は、医療機関において医師に操作されることを前提として説明したが、これに限らず、自治体や消防等の他の機関等において用いられてもよいし、医師以外のものに操作されてもよい。特に、情報元装置100は、問診回答のみが入力され、入力された問診回答の情報がそのまま認証データ作成装置200に送信されるものであってもよい。
さらに、上記実施形態においてデータ監視プログラムは、データ監視装置600の記憶部650に記憶されているが、これに限らず、HDD、USB、CD−ROM、CD−R等の他の種類の記録媒体に格納されていてもよい。
加えて、上記実施形態にデータ監視装置600は1台のパーソナルコンピュータ等の装置を想定しているが、これに限らず、複数台の装置によってシステム化されたものであってもよい。例えば、データ監視装置600は監視対象装置を特定するための第1専用装置と、抽出・復号・流出判断等を行う第2専用装置とで構成されていてもよい。
さらに、上記データ監視装置600(第1専用装置、第2専用装置)は、公衆ネットワークを通じて配布側装置300(特定の装置)や監視対象装置にアクセスして、通信履歴やデータ抽出等を行うが、これに限らず、配布側装置300や監視対象装置と有線接続されて通信履歴やデータ抽出等を行ってもよい。
なお、上記実施形態においては、暗号データである認証データがそのまま流出することを想定している。しかし、これに限らず、暗号データの本体情報部分が一部切り取られて流出した場合であっても、復号後において所定のルールが維持されており、適正に復号されたことを判断することができれば、流出を判別することができる。特に、本実施形態においては複数の座標軸を有する座標系に基づく暗号データが生成されている。このような暗号データについては暗号化された時点で秘密性を有するものであるため、特に、例えば10の座標軸データのうち7つや5つの座標軸データのみに切り取れば、より個人を特定することが困難となることから、暗号データの保持者は意図的に流出させることもあり得る。本実施形態は、このような場合においても復号後において所定のルールが維持されている限り、流出を判別することができる。