JP2021021616A - 移動経路生成装置、移動経路生成方法、プログラム - Google Patents

移動経路生成装置、移動経路生成方法、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】地域の音環境を考慮して適切な移動経路を決定する技術を提供する。【解決手段】通信部444は、移動体の出発地点の情報と、移動体の到着地点の情報とを取得する。記憶部450は、複数の地点のそれぞれに対する騒音量が示された騒音テーブル454を記憶する。制御部422は、記憶部450に記憶した騒音テーブル454を参照し、出発地点と到着地点とを含む領域中の複数の地点の騒音量をもとに、出発地点から到着地点へ至る移動体の移動経路を生成する。【選択図】図6

Description

本発明は、移動経路生成技術に関し、特に移動体を移動させるための移動経路を生成する移動経路生成装置、移動経路生成方法、プログラムに関する。
現在、各種通信販売サービスが運営されており、購入者は電話またはインターネット経由で商品を注文可能である。注文した商品は主に宅配便事業者により発送元の物流センタ等から目的地へ配送される。配送する手段として、現状では主に車、バイク、自転車等の運搬手段が使用されているが、近年では各国において無人飛行機(以下、「ドローン」という)の使用が予定されている。ドローンは、入力された目的地に向かって自律飛行により荷物を運搬する。また、特許文献1においては、ドローンを用いて監視を行う際に監視領域が有人であるか無人であるかを判定し、有人時には、無人時よりも高い高度が設定される。これにより、ドローンの騒音が監視領域にいる人に与える影響が低減される。
特開2016−172498号公報
従来技術1では、人がドローンから受ける影響(不快感)は、必ずしもドローンが発生する騒音の大きさだけでは決まらない。例えば、車両あるいは人の往来の激しい繁華街、つまり騒音が大きい地域をドローンが飛行した場合には、人はあまり不快と感じない。一方、閑静な住宅地、つまり騒音が小さい地域をドローンが飛行した場合には、人は不快と感じ易い。すなわち、地域の通常の音環境とは異なる音が発生したり、地域の通常の騒音レベルよりも大きな音が発生したりする場合に、人は不快と感じ易い。しかしながら、従来技術1では飛行経路を決める際に、このような地域の音環境を考慮していない。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、地域の音環境を考慮して適切な移動経路を決定する技術を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の移動経路生成装置は、移動体の出発地点の情報と、移動体の到着地点の情報とを取得する取得部と、複数の地点のそれぞれに対する騒音量が示された騒音テーブルを記憶する記憶部と、記憶部に記憶した騒音テーブルを参照し、出発地点と到着地点とを含む領域中の複数の地点の騒音量をもとに、出発地点から到着地点へ至る移動体の移動経路を生成する生成部と、を備える。
本発明の別の態様は、移動経路生成方法である。この方法は、移動体の移動経路生成方法であって、移動体の出発地点の情報と、移動体の到着地点の情報とを取得するステップと、複数の地点のそれぞれに対する騒音量が示された騒音テーブルを記憶するステップと、記憶した騒音テーブルを参照し、出発地点と到着地点とを含む領域中の複数の地点の騒音量をもとに、出発地点から到着地点へ至る移動体の移動経路を生成するステップと、を含む。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、地域の音環境を考慮して適切な移動経路を決定することができる。
従来における移動体の一般的な移動経路を説明するための図である。 実施例1に係る移動システムの構成を示す図である。 移動体のハードウエア構成および機能ブロックを示す図である。 移動体の詳細な機能ブロックを示す図である。 管理装置のハードウエア構成および機能ブロックを示す図である。 管理装置の詳細な機能ブロックを示す図である。 騒音テーブルのデータ構造を示す図である。 管理装置による移動経路の生成手順を示すフローチャートである。 制御部において生成される騒音マップの一例を示す図である。 図10(a)−(b)は、候補生成部における移動経路候補の第1の生成手順の概要を示す図である。 図11(a)−(b)は、候補生成部における移動経路候補の第2の生成手順の概要を示す図である。 候補生成部において生成される移動経路候補の一例を示す図である。 選択部において選択される移動経路の一例を示す図である。
(実施例1)
図1は、従来における移動体10の一般的な移動経路を説明するための図である。本図において、移動体10はドローンであり、移動体10に荷物の配送をさせている状況を示している。一般的に、配送作業において移動体10が飛行すべき移動経路500は、配送センタ等の出発地点S(200)から、荷物の届け先である到着地点G(270)への飛行距離が最短になるように設定される。このような移動経路500の飛行により移動体10に内蔵された電源(バッテリ)の消費量が抑制されるとともに、荷物の配送期間が短縮される。しかしながら、移動体10が飛行すると、モータ音あるいはプロペラの回転による風切り音による騒音が発生するため、移動経路500の近くの人に影響(不快感)を与える。図1に示す例では、移動経路500は、学校230、住宅240の上に位置し、移動体10がこれらの上空を通過することになる。学校230や住宅240があるエリアは、一般的に静かな環境であるため、移動体10による騒音は地域の人々により大きな不快感を与える。そのため、移動体10が飛行する際に、騒音に関するクレームが住民から発生する可能性がある。一方、図1において、駅210、繁華街220、工場250、工事現場260といった騒音が比較的大きいエリアが存在するが、移動経路500はこれらのエリアからは離れている。移動経路500をこのようなエリアの上空にすれば、移動体10によって発生する騒音は、元々存在する騒音に紛れてあまり目立たないため、移動体10が地域の人々に与える不快感は低減される。しかしながら、従来技術では、移動体10の移動経路500を決定する際に、このような地域の音環境を考慮していなかった。
図2は、移動システム1000の構成を示す。移動システム1000は、移動体100と総称される第1移動体100a、第2移動体100b、第3移動体100c、通信網300、基地局装置310と総称される第1基地局装置310a、第2基地局装置310b、端末装置320と総称される第1端末装置320a、第2端末装置320b、第3端末装置320c、第4端末装置320d、管理装置400を含む。ここで、移動システム1000に含まれる移動体100の数は「3」に限定されず、基地局装置310の数は「2」に限定されず、端末装置320の数は「4」に限定されず、それらより多くてもよく、それらよりも少なくてもよい。
端末装置320は、GPS(Global Positioning System)等の位置情報特定機能、集音器等の周囲の騒音を測定する測定機能、無線通信を実行する通信機能を含む装置であり、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、メガネ型ウェアラブルデバイス、車や自転車に設置された車載機器などである。端末装置320は、位置情報特定機能から自身の位置情報を所定の周期(例えば10秒)で取得する。また、端末装置320は、測定機能から端末装置320周辺の騒音情報を所定の周期(例えば10秒)で測定する。端末装置320は、取得した位置情報および騒音情報を所定の周期(例えば10秒)で、後述の基地局装置310、通信網300経由で管理装置400へ送信する。つまり、人が携帯する端末装置320や車に設置された端末装置320によって各地域の音環境の情報が収集され、それが管理装置400に集められる。端末装置320は、位置情報および騒音情報に加えて、自端末装置の名称(端末装置名)や端末識別子(端末ID)を送信してもよい。また、端末装置320は、移動可能な装置でなくてもよく、位置が固定された装置であってもよい。例えば、建物や電柱等に設置された監視カメラに騒音を測定する機能をもたせ、端末装置320としてもよい。端末装置320の位置が固定されている場合、その位置と端末識別子(端末ID)とを対応させて予め管理装置400に登録しておき、端末装置320は端末識別子および騒音情報を所定の周期で管理装置400に送信してもよい。
また、端末装置320は、周囲の騒音を測定するためのマイク等を内蔵している。ただし、外部マイク、マイクの内蔵されたイヤホン/ヘッドホン等の他のデバイスを用いて、周囲の騒音を測定してもよい。その場合、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を使用して、これらのデバイスと端末装置320とを接続してもよい。これらのデバイスが位置特定機能と、無線通信の通信機能を備えている場合、これらのデバイスは端末装置320を経由せずに位置情報および騒音情報を、後述の基地局装置310、通信網300経由で管理装置400へ送信してもよい。
第1基地局装置310a、第2基地局装置310bは、端末装置320、移動体100と無線通信を実行可能である。移動体100は、例えば、通信機能を備える飛行体であり、典型的にはドローンである。第1基地局装置310a、第2基地局装置310bは、通信網300により互いに接続される。通信網300は、4G、5G等の携帯電話回線でもよく、インターネット回線でもよい。通信網300には管理装置400が接続される。管理装置400は、基地局装置310、通信網300を介して複数の端末装置320のそれぞれから位置情報および騒音情報を受信する。管理装置400は、複数の端末装置320のそれぞれから受信した位置情報および騒音情報をもとに、第1移動体100aの移動経路を生成する。管理装置400は、生成した移動経路を通信網300、基地局装置310を介して第1移動体100aに送信する。第1移動体100aは、受信した移動経路に沿って移動する。第2移動体100b、第3移動体100cについても同様である。
図3は、移動体100のハードウエア構成および機能ブロックを示す。移動体100は、クロック発振器110、CPU(Central Processing Unit)120、ユーザIF(Interface)130、通信IF140、記憶部150を含む。クロック発振器110、CPU120、ユーザIF130、通信IF140、記憶部150は、バス160によって接続される。また、CPU120には駆動部170が接続される。
クロック発振器110は、例えば、水晶発振器であり、一定の周波数の信号を生成する。CPU120は、移動体100における処理を実行する。ユーザIF130は、ユーザに対するインターフェースである。ユーザIF130は、ユーザからの情報を受けつけたり、ユーザに情報を提示したりする。通信IF140は、基地局装置310と通信するための通信機能を実行する。さらに、通信IF140は、基地局装置310経由で管理装置400と通信する。また、移動体100の位置情報を取得することも可能である。記憶部150は、情報を記憶する媒体であり、例えば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)である。駆動部170は、モータ、プロペラ、エンジン等の動力機能と、移動体100の移動方向を操舵するための操舵機能とを有する。クロック発振器110は計時部112を含み、CPU120は制御部122を含み、ユーザIF130は入力部132、表示部134を含み、通信IF140は位置情報特定部142、通信部144を含む。記憶部150は、経路情報152を含む。
図4は、移動体100の詳細な機能ブロックを示す。移動体100は、計時部112、制御部122、入力部132、表示部134、位置情報特定部142、通信部144、記憶部150、駆動部170を含み、記憶部150は経路情報152を含む。入力部132は、ユーザによる移動体100の操作を受けつけるためのインターフェースであり、例えば、ボタン、タッチパネルである。入力部132は、例えば、移動体100が移動を開始する地点(以下、「出発地点S」という)の情報と、移動体100が移動を終了する地点(以下、「到着地点G」あるいは「目的地点G」という)の情報とを受けつける。出発地点Sの情報と、到着地点Gの情報は、例えば、緯度、経度により示される位置の情報である。入力部132は、受けつけた操作あるいは情報を制御部122に出力する。表示部134は、制御部122から受けつけた情報を表示するインターフェースであり、例えば、ディスプレイである。表示部134は、例えば、移動体100の設定状態を表示する。
制御部122は、計時部112から取得した現時刻、入力部132から受けつけた情報をパケット化し、通信部144を介して管理装置400へ送信する。これは、出発地点Sと到着地点Gとを管理装置400に送信することに相当する。なお、管理装置400に接続可能な管理端末(図示せず)を用いて、出発地点Sおよび到着地点Gの情報を管理装置400に登録するようにしてもよい。この場合、入力部132および表示部134を省略することも可能である。通信部144は、管理装置400において生成された移動経路を受信する。管理装置400における移動経路の生成については後述する。通信部144は、受信した移動経路を制御部122に出力する。制御部122は、受けつけた移動経路を経路情報152として記憶部150に記憶する。
位置情報特定部142は、GPSによる測位機能を有し、移動体100の現在の位置情報を取得する。制御部122は、記憶部150に記憶された経路情報152に沿って、位置情報特定部142において取得した位置情報が移動するように、駆動部170の制御情報を決定する。制御部122は、制御情報を駆動部170に出力する。これは、経路情報152に沿って移動体100が移動するように駆動部170を制御することに相当する。駆動部170は、制御部122からの制御情報にしたがって駆動する。
駆動部170を除く各部の構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図5は、管理装置400のハードウエア構成および機能ブロックを示す。管理装置400は、クロック発振器410、CPU420、通信IF440、記憶部450を含む。クロック発振器410、CPU420、通信IF440、記憶部450は、バス460によって接続される。
クロック発振器410は、例えば、水晶発振器であり、一定の周波数の信号を生成する。CPU420は、管理装置400における処理を実行する。通信IF440は、通信網300と接続され、基地局装置310と通信する。さらに、通信IF440は、基地局装置310経由で移動体100、端末装置320と通信する。記憶部450は、情報を記憶する媒体であり、例えば、ハードディスク、SSDである。クロック発振器410は計時部412を含み、CPU420は制御部422を含み、通信IF440は通信部444を含む。記憶部450は、騒音テーブル454を含む。
図6は、管理装置400の詳細な機能ブロックを示す。管理装置400は、計時部412、制御部422、通信部444、記憶部450を含む。制御部422は、候補生成部480、指標導出部482、選択部484を含み、記憶部450は、騒音テーブル454を含む。通信部444は、各端末装置320から所定の周期で送信される位置情報および騒音情報を受信する。通信部444は、受信した位置情報および騒音情報を制御部422に出力する。
制御部422は、各端末装置320より位置情報および騒音情報を受けつけた際、計時部412から現在の時刻を取得し、騒音テーブル454へ記録する。騒音テーブル454には、各端末装置320から送信された位置情報および騒音情報および情報の受信時刻が記録される。図7は、騒音テーブル454のデータ構造を示す。端末装置名には位置情報および騒音情報を送信した端末装置320の名称または端末識別子(端末ID)が記録される。受信時刻には位置情報、騒音情報を受信した時刻が記録される。なお、本図においては省略しているが、位置情報、騒音情報を受信した日付をさらに記録してもよい。つまり、位置情報、騒音情報を受信した日時を記録してもよい。位置情報には端末装置320の位置情報が記録され、本実施例では緯度、経度とする。騒音情報には端末装置320が測定した端末装置320の周囲の騒音が記録され、本実施例ではデシベル(dB)を単位とする。つまり、騒音テーブル454では、出発地点Sと到着地点Gとを含む領域中の複数の地点のそれぞれに対する騒音量が示される。
制御部422は、各端末装置320より位置情報、騒音情報を受けつけた際、騒音テーブル454へ受信した端末装置名、受信時刻、位置情報、騒音情報を追記する。また、制御部422は、所定の周期(例えば1分)で計時部412より現在の時刻を取得した後、騒音テーブル454内の各レコードの受信時刻を参照する。各レコードの受信時刻のうち、受信時刻が現時刻より所定の時間(例えば10分)以上古い場合、制御部422は、当該のレコードを全て削除する。これにより、騒音テーブル454内には現時刻から所定の時間内の位置情報、騒音情報のみが記録されている状態となる。
図8は、管理装置400による移動経路の生成手順を示すフローチャートである。S100において、管理装置400の通信部444は、移動体100の出発地点Sの情報と、移動体100の到着地点Gの情報とを移動体100から取得(受信)する。つまり、制御部422は、通信部444を介して移動体100から、移動体100の出発地点Sの情報と、移動体100の到着地点Gの情報とを取得する。また、出発地点Sと到着地点Gが既に記憶部450に記憶されている場合には、制御部422は、これらの情報を移動体100から取得する必要はなく、記憶部450から取得すればよい。また、制御部422は、これらの情報を移動体100とは異なる他の装置から取得してもよい。すなわち、制御部422は、出発地点Sと到着地点Gを取得する取得部(図示せず)として機能する。その後、S110に進む。
S110において、制御部422は、記憶部450内の騒音テーブル454を参照し、出発地点Sから到着地点Gまでの区間に該当する位置情報(緯度、経度)が記録されているレコードを抽出する。抽出する緯度、経度の範囲を出発地点Sから到着地点Gまでの範囲よりも広くしてもよい。例えば、出発地点Sと到着地点Gを対角頂点とする四角形よりも若干大きい領域を設定する。ここで設定した領域を「所定領域」あるいは「処理対象領域」と呼ぶ。そして所定領域に該当する地点のデータを騒音テーブル454から取得する。その後S120に進む。S120において、制御部422は、S110で抽出したレコードを使用し、出発地点Sから到着地点Gまでの区間における騒音マップを生成する。
図9は、制御部422において生成される騒音マップの一例を示す。騒音マップには、第1騒音エリア540aから第N騒音エリア540nまでの騒音エリア540が含まれる。各騒音エリア540は円形状を有し、円の中心座標は、騒音テーブル454から抽出されたレコードの位置情報(緯度、経路)に設定される。各騒音エリア540の円の直径は、抽出されたレコードの騒音情報(dB)の数値により変動し、騒音情報が大きい程、円の直径は大きく、騒音情報が小さい程、円の直径は小さく設定される。また、騒音情報の数値が所定値(例えば、40dB)未満の地点については、騒音エリア540とせずに、円を設定しない。つまり、騒音マップにて騒音エリア540に覆われていない地点は、騒音が小さい、あるいは騒音についての情報が不明である。騒音エリア540内の騒音レベルは一定値であるとみなしてもよい。あるいは、騒音エリア540の中心部が最も騒音レベルが高く、騒音エリア540の周辺部にかけて、所定の規則にしたがって騒音レベルが下がるとみなしてもよい。図8に戻る。その後S130に進む。
S130において、候補生成部480は、出発地点Sから到着地点Gへ至る移動経路の候補(以下、「移動経路候補」という)をN個(例えば10000個)生成する。候補生成部480は、出発地点Sから到着地点Gまでの距離(直線距離)に応じて、Nを設定してもよい。例えば、出発地点Sから到着地点Gまでの距離(キロメートル単位)に所定値(例えば100)を乗算した値をNとしてもよい。例えば、出発地点Sから到着地点Gまでの距離が10kmであれば、「K=10×100=1000」となる。
候補生成部480は、移動経路候補を以下のいずれかの方法で生成する。
(i)第1の移動経路候補生成方法:
第1の移動経路候補生成方法は、出発地点Sと到着地点Gとの間に位置するK個の地点P[1]〜P[K]をランダムに生成し、これらの地点を順に結ぶ経路を1つの移動経路候補とする方法である。K個の地点P[1]〜P[K]を総称して地点Pあるいは通過地点Pと呼ぶ。Kは1以上の任意の数であってよいが、例えば、K=100とすればよい。また、出発地点Sから到着地点Gまでの距離(直線距離)に応じて、Kを設定してもよい。例えば、出発地点Sから到着地点Gまでの距離(キロメートル単位)に所定値(例えば10)を乗算した値をKとしてもよい。この場合、例えば、出発地点Sから到着地点Gまでの距離が10kmであれば、「K=10×10=100」となる。
まず、候補生成部480は、地点Pの緯度、経度の範囲を設定する。説明を簡潔にするため、出発地点Sの(緯度、経度)を(Ns,Es)、到着地点Gの(緯度、経度)を(Ng,Eg)とし、Ns<Ng、Es<Egであるものとする。地点Pの緯度の範囲を(Ns−ε1)以上、かつ(Ng+ε1)以下とし、地点Pの経度の範囲を(Es−ε2)以上、かつ(Eg+ε2)以下と設定する。つまり、緯度が(Ns−ε1)以上、かつ(Ng+ε1)以下であり、経度が(Es−ε2)以上、かつ(Eg+ε2)以下である領域を上述の所定領域として設定し、所定領域内で地点Pを生成する。ここで、ε1、ε2は、所定値であり、基本的には正の値とする。ε1、ε2を大きくするほど、移動経路の範囲が広くなり、これらを小さくするほど移動経路の範囲が狭くなる。ただし、ε1=ε2=0としてもよく、ε1、ε2を負の値にしてもよい。
候補生成部480は、設定された緯度の範囲で、K個の値をランダムに生成する。具体的には、乱数等を用いて、(Ns−ε1)から(Ng+ε1)までの緯度NpをK個生成する。例えば、0〜1の範囲の乱数rand[k](k=1〜K)を用いて、数式(1)に従って緯度Np[k](k=1〜K)が生成される。
Figure 2021021616
候補生成部480は、設定された経度の範囲で、K個の値をランダムに生成する。具体的には、乱数等を用いて、(Es−ε2)から(Eg+ε2)までの経度EpをK個生成する。例えば、0〜1の範囲の乱数rand[k](k=1〜K)を用いて、数式(2)に従って経度Ep[k](k=1〜K)が生成される。
Figure 2021021616
候補生成部480は、Np[k](k=1〜K)を値が小さい順にソートし、小さい順に番号を付け直す。この結果、例えばε1=0とした場合、Ns≦Np[1]≦Np[2]≦…Np[K]≦Ngが成立する。同様に、候補生成部480は、Ep[k](k=1〜K)を値が小さい順にソートし、小さい順に番号を付け直す。この結果、例えばε1=0とした場合、Es≦Ep[1]≦Ep[2]≦…Ep[K]≦Egが成立する。
候補生成部480は、ソートした緯度、経度を組み合せて、地点P[k]の(緯度、経度)である(Np[k]、Ep[k])(k=1〜K)を生成する。候補生成部480は、出発地点SからP[1]に移動し、P[1]からP[2]に移動し、P[2]からP[3]に移動し、(省略)、P[K−1]からP[K]に移動し、P[K]から到着地点Gに移動する経路を1つの移動経路候補として生成する。このように移動経路候補を生成すると、出発地点Sからみて到着地点Gとは逆方向に進むことなく、移動経路候補を生成できる。例えば、地図上で出発地点Sの右上に到着地点Gがある場合、経路の途中で左方向や下方向に進むことがない。候補生成部480は、このような処理をN回繰り返すことにより、N個の移動経路候補X[1]〜X[N]を生成する。
図10(a)−(b)は、候補生成部480における移動経路候補の第1の生成手順の概要を示す。これらは、第1の移動経路候補生成方法の概要である。図10(a)は、1つの移動経路候補を示し、図10(b)は、図10(a)とは別の移動経路候補を示す。候補生成部480は、N個の移動経路候補を生成する過程において、既に生成した移動経路候補と完全に一致する移動経路候補が生成された場合、それをカウントせずに、新たな移動経路候補を生成し、異なる移動経路候補をN個生成するようにする。上述の説明では、生成したK個の地点P[k]を用い、隣同士の地点を直線で結んで経路を生成しているが、直線に限らず、高次曲線(2次曲線、3次曲線など)を使用して移動経路候補を生成してもよい。
(ii)第2の移動経路候補生成方法:
第2の移動経路候補生成方法は、上述の所定領域において騒音が計測された地点をもとに移動経路候補を生成する方法である。具体的には、N個の移動経路候補を生成する毎に、移動経路候補を生成するパラメータをランダムに設定し、移動経路候補を生成する。パラメータとしては、右側角度θ1、左側角度θ2、順位数Rを用いる。図11(a)−(b)は、候補生成部480における移動経路候補の第2の生成手順の概要を示す。これらは、第2の移動経路候補生成方法の概要である。
図11(a)は、出発地点Sから次に移動する地点Q[1]を探索する方法を説明するための模式図である。Qa,Qb,Qcは、所定領域内で騒音が計測された地点のうち、騒音エリア540エリアの中心点(所定値以上の騒音量である地点)であり、かつ出発地点Sに比較的近い地点を示す。この3つの地点は、出発地点Sからの距離が異なっており、Qaが1番近く、Qbが2番目に近く、Qcが最も遠い。候補生成部480は、出発地点Sから到着地点Gに向かう方向を基準にして、右側に角度θ1だけずれた方向と、左側に角度θ2だけずれた方向を設定する。つまり、図11(a)の点線で挟まれた領域を移動地点(通過地点)の探索範囲とする。Qaはこの角度の範囲に入っていないので、移動地点の対象外となり、QbとQcが対象になる。角度が条件を満たす地点の中で、出発地点Sから順位数R番目に近い地点を次の移動地点(通過地点)とする。例えば、順位数Rが「1」の場合は、Qbが出発地点Sの次の移動地点Q[1]になり、Q[1]=Qbとなる。また、順位数Rが「2」の場合は、Qcが出発地点Sの次の移動地点Q[1]になり、Q[1]=Qcとなる。
次に、候補生成部480は、Q[1]の次の移動地点Q[2]を同様にして決定する。図11(b)は、Q[1]の次の移動地点Q[2]を決定する方法を説明するための模式図である。本図の例では、順位数Rを「1」としており、図11(a)のQbがQ[1]となっている。Q[2]の候補として、騒音エリア540の中心点であるQd、Qe、Qfの3つの地点が示される。候補生成部480は、Q[1]から到着地点Gに向かう方向を基準にして、右側にθ1、左側にθ2の角度を設定し、その角度の範囲に存在する騒音エリア540を次の移動地点Q[2]の候補とする。本図に示す例では、Qdはこの角度の範囲から外れているため対象外となり、Qe、Qfが候補となる。この中で、QeがQ[1]から最も近いため、順位数Rを「1」とした場合は、QeがQ[2]となる。以下同様に、Q[3]、Q[4]…を決定すればよい。またQ[k]において次の移動地点の候補が存在しない場合には、Q[k]から到着地点Gに移動する。つまり、Q[k]が最後の移動地点となる。第2の移動経路候補生成方法では、地点(通過地点)Qは、必ず騒音エリア540になる。
このような処理により、1つの移動経路候補が生成される。N個の移動経路候補を生成するためには、パラメータをランダムに設定しながら、上述の処理が繰り返される。例えば、θ1=(0、5、10、15、20、25、30、35、45、50)度といったように、複数(この例では10種類)のパラメータ値が使用される。θ2についても同様である。また、R=(1、2、3、4、5)といったように複数(この例では5種類)のパラメータ値が使用される。もちろん、選択候補となるパラメータ値や種類は、上記の例に限定されない。移動経路候補を生成する毎に、候補生成部480は、パラメータをランダムに設定する。例えば、1つ目の移動経路候補X[1]を生成する際には、(θ1=10、θ2=30、R=2)が設定され、2つ目の移動経路候補X[2]を生成する際には、(θ1=45、θ2=5、R=1)が設定される。このように異なるパラメータ値が設定されるので、異なる移動経路候補が生成される確率が高くなる。候補生成部480は、N個の移動経路候補を生成する過程において、既に生成した移動経路候補と完全に一致する移動経路候補が生成された場合、それをカウントせずに、新たな移動経路候補を生成し、異なる移動経路候補をN個生成するようにする。
なお、移動経路候補を生成する方法およびパラメータは上述のものに限定されない。例えば、出発地点Sからの距離の順位に応じて次の移動地点を選択する代わりに、出発地点Sから到着地点Gへ向かう方向を基準にして、その基準方向からの角度のずれに応じて、次の移動地点を選択してもよい。例えば、図11(b)において、基準方向(実線の矢印)からQeは右方向に10度(+10度)ずれており、Qfは左方向に20度(−20度)ずれているものとする。順位数を距離の順位ではなく、角度の順位として扱い、基準方向との角度の差(絶対値)の小さい順に移動地点をソートする。順位数が「1」である場合、基準方向との角度の差が最も小さいQeが次の移動地点となり、順位数が「2」である場合、基準方向との角度の差が2番目に小さいQfが次の移動地点となる。
また、順位数の代わりに、基準値をパラメータにしてもよい。例えば、距離の基準値を「300m」にした場合、出発地点Sからの距離が「300m」に最も近い騒音エリア540を次の移動地点として選択する。また、角度の基準値を「10度」とした場合、出発地点Sから到着地点Gに向かう基準方向との角度の差(絶対値)が「10度」に最も近い騒音エリア540を次の移動地点として選択する。
また、出発地点Sと到着地点Gで囲まれる領域(2つの地点を対角頂点とする四角形の領域)において計測された騒音エリア540の数に応じて、使用パラメータ値を変更してもよい。例えば、騒音エリア540の数が多い場合には、θ1およびθ2の上限値を小さな値にして、出発地点Sから到着地点Gまでの間の限られた範囲に、移動経路候補が収まるようにする。一方、騒音エリア540の数が少ない場合には、θ1およびθ2の上限値を大きな値にして、移動経路候補が存在する範囲(移動地点が存在する範囲)を広くすることにより、なるべく騒音地点を経由するようにする。
図12は、候補生成部480において生成される移動経路候補550の一例を示す。出発地点S510と到着地点G520とを含む所定領域530において、出発地点S510から到着地点G520に向かう複数の移動経路候補550が示される。複数の移動経路候補550は、例えば、第1移動経路候補550aから第N移動経路候補550nである。図8に戻る。S130で移動経路候補を作成した後、S140に進む。
S140において、制御部422は、変数iを1に設定する。また、リストLを空の状態に初期化する。その後S150に進む。S150において、指標導出部482は、S130で生成したi番目の移動経路候補550についての指標Hx[i]を数式(3)に従って算出する。
Figure 2021021616
ここで、Dxは、移動経路候補550の距離である。また、g(x)は、移動経路候補550上の地点xにおける騒音の大きさである。g(x)を移動経路候補550に沿って積分し、Dxで除算することにより、移動経路候補550上の平均的な騒音レベルが算出される。例えば、第2の移動経路候補生成方法を用いた場合、通過地点Qは必ず騒音エリア540になるため、通過地点Q[k](k=1〜K)の騒音量を騒音テーブル454から抽出してg(x)とし、それらを加算した値(積算値)を積分値とすればよい。また、隣接する通過地点Q間の距離の合計値をDxとすればよい。
また、第1の移動経路候補生成方法を用いた場合、騒音マップを参照しながら、通過地点P[k](k=1〜K)が騒音エリア540に含まれるか否かを判定し、騒音エリア540に含まれる場合には、騒音エリア540の中心点の騒音量を騒音テーブル454から抽出し、その値に基づいてg(x)を算出する。例えば、騒音エリア540の中心点の騒音量をg(x)とする。通過地点P[k]が騒音エリアに含まれない場合には、g(x)を所定値(例えば「0」)とする。また、隣接する通過地点P間の距離の合計値をDxとすればよい。なお、第1の移動経路候補生成方法を用いた場合、隣接する通過地点Pの間の任意の地点(通過地点P以外の地点)を地点xとし、地点xが騒音エリア540に含まれるか否かを判定してg(x)を算出し、積分値(合計値)に反映させてもよい。また同様に、第2の移動経路候補生成方法を用いた場合、隣接する通過地点Qの間の任意の地点(通過地点Q以外の地点)を地点xとし、地点xが騒音エリア540に含まれるか否かを判定してg(x)を算出し、積分値(合計値)に反映させてもよい。
数式(3)において、α、βは0より大きな定数(重み係数)である。したがって、移動経路候補550の距離が短いほど、かつ移動経路候補550上の平均的な騒音量が大きいほど、指標Hx[i]は小さな値となる。つまり、指標Hx[i]が小さいほど、移動の効率がよく、かつ周囲の人々へ不快感を与える可能性が少ない適切な移動経路候補550であるといえる。指標Hx[i]は、マイナスの値になる場合もある。なお、数式(3)において、g(x)を積分した値をDxで除算せずに用いてもよい。指標導出部482はi番目の移動経路候補550と指標Hx[i]をリストLへ追記する。
指標導出部482は、以下のように移動体100の状態または移動体100の周囲の状況に応じて、数式(3)の重み係数(パラメータ)を調整してもよい。つまり、移動体100の状態または移動体100の周囲の状況に応じて、騒音量が指標に与える影響と、移動経路候補550の距離が指標に与える影響のバランスを調整してもよい。移動体100の状態は、例えば、移動体100のバッテリ残量であり、移動体100の周囲の状況は、例えば、移動体100の周囲の気象条件(天候、風向きなど)である。この場合、移動体100から管理装置400に対して、処理に必要な情報(バッテリ残量、気象情報など)を適当なタイミングで送信する。
(1)移動体100の状態を経路に反映する。
移動体100の状態とは、典型的には移動体100を駆動させるバッテリの残量である。指標導出部482は、移動体100を駆動させるバッテリ残量を適時監視し、バッテリ残量に応じて、数式(3)の係数を設定する。具体的には、バッテリ残量が少ないほど、αの値を大きくし、βの値を小さくする。例えば、バッテリ残量が第1のしきい値未満である場合に、α=0.8、β=0.2とし、第1のしきい値以上かつ第2のしきい値未満である場合に、α=0.5、β=0.5とし、第2のしきい値以上である場合に、α=0.3、β=0.7などとする。このような処理により、バッテリ残量が少ない場合には、距離Dxが小さい経路を優先的に選択し、バッテリ残量が多い場合には、騒音レベルの大きい地点を通過する経路を優先的に選択することになる。なお、移動体100の状態は、バッテリ残量に限定されない。例えば、移動体100が使用する燃料や消耗品であったり、移動体100の温度であったり、移動体100の故障状態であったりしてもよい。移動体100の温度が高い場合や移動体100の一部の機能が故障している場合には、バッテリ残量が少ない場合と同様な処理を行う。つまり、αの値を大きくし、移動経路候補550の距離が指標に与える影響力を強くし、距離の短い移動経路560が選択され易くする。
(2)風向きと風速を経路に反映する。
指標導出部482は、移動体100に内蔵された風速センサにより、風向きと風速を適時監視し、数式(3)の係数を設定する。つまり、移動体100の周囲の気象情報(気象条件)に応じて、数式(3)の係数を設定する。具体的には、向かい風が強いほど、αの値を大きくし、βの値を小さくする。例えば、向かい風の風速が10m/秒以上である場合に、α=0.8、β=0.2とし、風速が10m/秒未満(風向きは問わない)である場合に、α=0.5、β=0.5とし、追い風が風速10m/秒以上である場合に、α=0.3、β=0.7などとする。向かい風が強い場合には、バッテリ消費量が多くなると予想されるため、距離Dxが小さい経路を優先的に選択し、バッテリ消費をなるべく抑えるようにする。一方、追い風が強い場合には、バッテリ消費量が少なく済むと予想されるため、騒音レベルの大きい地点を通過する経路を優先的に選択する。
(3)天候と気温を経路に反映する。
指標導出部482は、移動体100に内蔵されたセンサ類により、移動体100の周囲の天候(晴れ、曇り、雨、雪など)、気温を適時監視し、天候および気温に応じて、数式(3)の係数を設定する。つまり、移動体100の周囲の気象情報(気象条件)に応じて、数式(3)の係数を設定する。具体的には、天候および気温が移動体100に高い負荷を与えるほど、αの値を大きくし、βの値を小さくする。例えば、天候が雪で移動体100の翼に雪が付着して機体が重くなる場合や、気温が所定値以上で、機体に熱がこもり易い場合に、α=0.8、β=0.2とし、天候が雨で飛行抵抗が大きくなる場合には、α=0.5、β=0.5とし、天候が晴れで、気温が所定値未満であり、移動体100の負担が少ない場合に、α=0.3、β=0.7などとする。その後S160に進む。
S160において、制御部422は、変数iが移動経路候補数Nより小さいか否かを判定する。変数iが移動経路候補数Nより小さい場合(S160:Yes)は、S170に進む。変数iが移動経路候補数Nと等しい場合(S160:No)は、S180に進む。S170において、制御部422は変数iを1インクリメントする。その後S150に戻り処理を繰り返す。つまり、指標導出部482は、候補生成部480において生成した複数の移動経路候補550のそれぞれに対して、移動経路候補550における騒音量と移動の効率性とを総合的に示す指標Hx[i]を導出する。
S180において、選択部484はリストLに記録されている移動経路候補550のうち、指標Hx[i]が最小の値である移動経路候補550を特定し、移動経路560として選出する。つまり選択部484は、指標導出部482において導出した複数の指標Hx[i]を比較することによって、いずれかの移動経路候補550を移動体100の移動経路560として選択する。その際、指標導出部482において導出した複数の指標Hx[i]のうち、最小の指標Hx[i]が選択され、最小の指標をもつ移動経路候補550が移動経路560として選択される。そのため、制御部422は、記憶部450に記憶した騒音テーブル454をもとに、出発地点S510から到着地点G520へ至る移動体100の移動経路560を生成する。
図13に、選択部484において選択される移動経路560の一例を示す。所定領域530、騒音エリア540は、図9、図12と同様に示される。移動経路560は、所定領域530において、騒音エリア540を可能な限り通過する経路であり、かつ出発地点S510から到着地点G520までの移動距離が可能な限り短くなる経路である。つまり、移動経路560は出発地点S510から到着地点G520までの区間で、可能な限り騒音の大きい地点を経由して最短で移動する経路である。これは、ある地点での周囲の騒音が大きい場合、当該の地点では日常的に騒音が発生しているので、移動体100による飛行音も問題にならないといった知見に基づく処理となる。騒音エリア540を通過することと、移動距離を短くすることのバランスは、数式(3)の定数(重み係数)α、βを調整することにより調整できる。例えば、αを大きな値にすることにより、移動距離を短くすることを重視した移動経路560が得られ、βを大きな値にすることにより、騒音エリア540を通過することを重視した移動経路560が得られる。このように数式(3)の重み係数を変更することにより、移動経路560のもつ特性(性質)を容易に変更できる。また、1つの総合的な指標を算出し、その指標に基づいて移動経路を決定するため、多数の移動経路候補550の中から適切な移動経路560を精度よく、かつ容易に決定できる。図8に戻る。その後S190に進む。S190において、制御部422はS180で選出した移動経路560を通信部444を介して移動体100へ配信(出力)する。すなわち、制御部422および通信部444は、移動経路560を外部に出力する出力部(図示せず)として機能する。その後、制御部422は処理を終了する。移動体100の制御部122は、通信部144を介して受信した移動経路560を経路情報152として記憶部150に記憶する。
本実施例によれば、複数の地点のそれぞれに対する騒音量が示された騒音テーブルをもとに移動経路を生成するので、移動体の騒音が人に与える影響を低減できる。また、移動体が騒音の大きい地点を優先的に飛行するので、騒音の小さい地点を飛行する機会を低減できる。また、騒音の小さい地点を飛行する機会が低減されるので、移動体の飛行音によるトラブルを回避できる。また、移動体は可能な限り騒音の大きい地点を飛行するので、騒音の小さい地点に住んでいる住民からのクレームが発生する可能性を低減できる。また、移動経路候補に含まれた複数の地点のそれぞれにおける騒音量を反映した指標をもとに、複数の移動経路候補から移動経路を選択するので、騒音量をもとに移動経路を導出できる。また、指標は、騒音量の大きさが大きくなるほど小さくなるとともに、移動経路候補の長さが短くなるほど小さくなる特性をもつので、適切な移動経路を精度よくかつ容易に導出できる。
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例1では、管理装置400において移動経路560が生成されているが、実施例2では、移動体100において移動経路560が生成される。実施例2に係る移動システム1000、移動体100、管理装置400は、図2から図6と同様のタイプである。
実施例1と同様に、管理装置400は、各端末装置320から所定の周期で送信される位置情報および騒音情報を受信し、記憶部450に騒音テーブル454を生成する。管理装置400は、騒音テーブル454を各移動体100に送信する。
図4の移動体100の通信部144は、管理装置400から騒音テーブル454を受信する。制御部122は、受信した騒音テーブル454を記憶部150に記憶する。制御部122は、候補生成部480、指標導出部482、選択部484を含み、実施例1における図8の処理を実行する。つまり、制御部122は、移動経路560を生成する。制御部122は、生成した移動経路560を経路情報152として記憶部150に記憶させる。
本実施例によれば、移動経路を移動体において導出するので、構成の自由度を向上できる。また、移動経路を移動体において導出するので、移動体100の周囲の気象情報(風向き等)や移動体100のバッテリ残量など時々刻々と変化する情報を移動経路に反映し易い。また、これらの情報を移動経路に反映する処理において、移動体100から管理装置400に送信するデータ量を削減できる。
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3では、過去に移動体100が飛行した際のクレーム情報を記憶しており、クレーム情報を使用して移動経路560が生成される。実施例3に係る移動システム1000、移動体100、管理装置400は、図2から図6と同様のタイプである。
図6の管理装置400における記憶部450は、各移動体100の過去の移動経路560を記憶する。また、記憶部450は、過去に移動体100が飛行した際に発生したクレームに関するクレーム情報(騒音に対する近隣住民等からの苦情の情報)を記憶する。クレーム情報として、クレーム発生位置(苦情のあった地点の緯度、経度など)と、クレームの深刻度(1=軽い苦情、2=中程度の苦情、3=重い苦情、など)が記録されている。指標導出部482は、移動経路候補550に対する指標Hx[i]を数式(4)に従って算出する。
Figure 2021021616
ここで、α、β、γはそれぞれ0より大きな定数(重み係数)である。第1項と第2項は、数式(3)と同様である。第3項においてc(x)は、移動経路候補550上の地点xにおける苦情の深刻度(程度)である。また、移動経路候補550上の地点xの位置(緯度、経度)とクレーム発生位置(緯度、経度)との距離が所定値未満である場合に、移動経路候補550上の地点xにおいてクレームが発生したとみなしてもよい。例えば、制御部422は、記憶部450のクレーム情報を参照しながら、移動経路候補550上の任意の地点xとクレーム発生位置との間の距離を算出し、その距離が所定値未満である場合に、クレームの深刻度を加算(積算)する処理を行うことにより、数式(4)の第3項を算出する。
クレームの深刻度を移動経路候補550に沿って積分(積算)することにより、移動経路候補550の近くから発生したクレームが多いほど、かつ、クレーム深刻度が高いほど、数式(4)の第3項の値が大きくなる。つまり、そのような場合に、指標Hx[i]は大きな値になる。一方、クレームが少なく、かつ、クレームの深刻度が低い地点を移動経路候補550とした場合には、指標Hx[i]は小さな値になる。つまり、指標導出部482は、記憶部450に記憶したクレーム情報も反映させて指標Hx[i]を導出する。これに続く処理は、実施例1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
本実施例によれば、移動体が過去に移動した際に発生したクレームに関するクレーム情報を反映させて指標を導出するので、クレームの深刻度を考慮した移動経路を導出できる。また、クレームの深刻度を考慮した移動経路が導出されるので、近隣住民等からの苦情が出にくい移動経路を導出できる。
(実施例4)
次に、実施例4を説明する。これまでは、移動体100としてドローン等の飛行体を想定しているが、実施例4では、移動体100として歩行者、自転車などを想定する。例えば、歩行者がスマートフォンを携帯して歩行する場合が相当する。このような状況においては、移動体100が出発地点S510から到着地点G520まで移動する際に、移動距離が短く、かつ騒音レベルの低い移動経路560が選択されるべきである。つまり、騒音源となるドローンが移動する状況とは異なり、騒音源とならない徒歩や自転車で移動する場合には、騒音レベルの低い移動経路560を選択した方が、移動者が快適に移動できる。つまり、移動者の移動時のストレスを低減することができる。また騒音レベルが低い地域は一般的に交通量が比較的少ないため、徒歩や自転車による移動において、より安全な移動経路である可能性が高い。従って、騒音の面だけでなく安全性の面からも、移動距離が短く、かつ騒音レベルの低い移動経路560が適切である。実施例4に係る移動システム1000、移動体100、管理装置400は、図2から図6と同様のタイプである。
図6の指標導出部482は、数式(5)に従って指標Hx[i]を導出する。数式(5)の第1項および第2項は、数式(3)と同様であり、α、βは0より大きな定数(重み係数)である。数式(3)では、第1項から第2項を減算しているが、数式(5)では、第1項と第2項を加算している。
Figure 2021021616
これにより、指標導出部482において導出される指標Hx[i]は、騒音量の大きさが小さくなるほど小さくなるとともに、移動経路候補550の長さが短くなるほど小さくなる。また、選択部484は、指標導出部482において導出した複数の指標Hx[i]のうち、最小の指標Hx[i]を選択する。そして、最小の指標Hx[i]に対応する移動経路候補550を移動経路560として選択する。このため、騒音が少なく、かつ移動距離の短い移動経路560が選択される。例えば、スマートフォンのナビゲーションアプリケーション(ナビアプリ)に本実施例を適用した場合、騒音が少なく、かつ移動距離の短い移動ルートが推奨される。すなわち、歩行者や自転車に対して、騒音が少なく、かつ移動距離の短い快適な移動ルートが推奨される。すなわち、周囲の騒音レベルを考慮した経路が推奨される。このような移動経路は、例えば、散歩やサイクリングなどにも好適である。
本実施例によれば、騒音量の大きさが小さくなるほど小さくなるとともに、移動経路の候補の長さが短くなるほど小さくなるような指標を算出するので、騒音レベルの低い移動経路を生成できる。また、騒音レベルの低い移動経路が生成されるので、移動者が快適に移動できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施例1から実施例4において、出発地点S510および到着地点G520が指定されたときに、候補生成部480から選択部484は、移動経路560を生成している。しかしながらこれに限らず例えば、候補生成部480から選択部484は、出発地点S510および到着地点G520が指定された後、騒音テーブル454が更新される都度、移動経路560を生成してもよい。つまり、最新の騒音情報をもとに、移動経路560を更新してもよい。また、移動体100が最初に決定した移動経路560を移動中に、バッテリ残量の急激な変化や、天候の急変を検出した場合、候補生成部480から選択部484は、その地点から到着地点G520までの移動経路560を改めて導出してもよい。これにより、時間の経過に伴って騒音テーブル454、周囲の状況が変動した場合においても、最新の移動経路560を取得できる。
実施例1から実施例4において、端末装置320が管理装置400へ送信する位置情報を緯度、経度としていたが、位置情報として標高(高度)を加えてもよい。これにより、緯度、経度による位置情報が近似しているが、標高が異なる場合、例えば端末装置320が同一のビルやマンションに複数台存在している場合、あるいは端末装置320が地下トンネル内とトンネルの上の地上道路に存在している場合において、騒音の大きい標高を反映した移動経路560を導出できる。位置情報として標高を含める場合、騒音マップは三次元的な空間マップとなり、また移動経路560も三次元的な経路となる。本変形例によれば、さらに適切な移動経路560を導出できる。
また、端末装置320を用いて騒音情報の収集に協力するユーザに対して、その対価として報奨を与えてもよい。例えば、移動体100を用いた配送サービスで利用できるポイントや割引クーポン券を付与してもよい。このようなサービスを提供することで、管理装置400において収集されるデータ量を増加できる。つまり、管理装置400は多数の地点の最新の騒音情報を収集できる。このため、より精度よく適切な移動経路560を導出できる。
実施例1から実施例4の任意の組合せも有効である。本変形例によれば、実施例1から実施例4の任意の組合せによる効果を得ることができる。
100 移動体、 110 クロック発振器、 112 計時部、 120 CPU、 122 制御部、 130 ユーザIF、 132 入力部、 134 表示部、 140 通信IF、 142 位置情報特定部、 144 通信部、 150 記憶部、 152 経路情報、 160 バス、 170 駆動部、 300 通信網、 310 基地局装置、 320 端末装置、 400 管理装置、 410 クロック発振器、 412 計時部、 420 CPU、 422 制御部、 440 通信IF、 444 通信部、 450 記憶部、 454 騒音テーブル、 460 バス、 480 候補生成部、 482 指標導出部、 484 選択部、 1000 移動システム。

Claims (8)

  1. 移動体の出発地点の情報と、前記移動体の到着地点の情報とを取得する取得部と、
    複数の地点のそれぞれに対する騒音量が示された騒音テーブルを記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶した騒音テーブルを参照し、前記出発地点と前記到着地点とを含む領域中の複数の地点の騒音量をもとに、前記出発地点から前記到着地点へ至る前記移動体の移動経路を生成する生成部と、
    を備えることを特徴とする移動経路生成装置。
  2. 前記生成部は、
    前記出発地点から前記到着地点へ至る移動経路の候補を複数生成する候補生成部と、
    前記候補生成部において生成した複数の移動経路の候補のそれぞれに対して、移動経路の候補に含まれた地点における騒音量を騒音テーブルから抽出することによって、移動経路の候補における騒音量の大きさが示される指標を導出する指標導出部と、
    前記指標導出部において導出した複数の指標を比較することによって、いずれかの移動経路の候補を前記移動体の移動経路として選択する選択部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の移動経路生成装置。
  3. 前記指標導出部において導出される指標は、移動経路の候補に含まれた複数の地点の騒音量を加算した値が大きくなるほど小さな値になるとともに、移動経路の候補の長さが短くなるほど小さな値となり、
    前記選択部は、前記指標導出部において導出した複数の指標のうち、最小の指標をもつ移動経路の候補を移動経路として選択することを特徴とする請求項2に記載の移動経路生成装置。
  4. 前記指標導出部は、前記移動体の状態または前記移動体の周囲の気象条件に応じて、騒音量が指標に与える影響と移動経路の候補の長さが指標に与える影響とのバランスを調整することを特徴とする請求項3に記載の移動経路生成装置。
  5. 前記記憶部は、移動体が過去に移動した際に発生したクレームに関するクレーム情報をさらに記憶し、
    前記指標導出部は、前記記憶部に記憶したクレーム情報をさらに反映させて指標を導出することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の移動経路生成装置。
  6. 前記指標導出部において導出される指標は、移動経路の候補に含まれた複数の地点の騒音量を加算した値が小さくなるほど小さな値になるとともに、移動経路の候補の長さが短くなるほど小さな値となり、
    前記選択部は、前記指標導出部において導出した複数の指標のうち、最小の指標を選択することを特徴とする請求項2に記載の移動経路生成装置。
  7. 移動体の移動経路生成方法であって、
    前記移動体の出発地点の情報と、前記移動体の到着地点の情報とを取得するステップと、
    複数の地点のそれぞれに対する騒音量が示された騒音テーブルを記憶するステップと、
    前記記憶した騒音テーブルを参照し、前記出発地点と前記到着地点とを含む領域中の複数の地点の騒音量をもとに、前記出発地点から前記到着地点へ至る前記移動体の移動経路を生成するステップと、
    を含むことを特徴とする移動経路生成方法。
  8. コンピュータに、
    移動体の出発地点の情報と、前記移動体の到着地点の情報とを取得するステップと、
    複数の地点のそれぞれに対する騒音量が示された騒音テーブルを記憶するステップと、
    前記記憶した騒音テーブルを参照し、前記出発地点と前記到着地点とを含む領域中の複数の地点の騒音量をもとに、前記出発地点から前記到着地点へ至る前記移動体の移動経路を生成するステップと、
    を実行させるプログラム。
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