JP2021019528A - ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地および多能性幹細胞の製造方法 - Google Patents

ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地および多能性幹細胞の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能を亢進させることができる培地、および上記培地を用いて増殖能が亢進された多能性幹細胞の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明によれば、下記(1)〜(3)の要件を満たす、ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地が提供される。(1)MAPK/ERKキナーゼ阻害剤とGSK3β阻害剤とを含む。(2)プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤からなる群から選択されるいずれかを含む。(3)HIF阻害剤を含む。さらに、本発明によれば、上記培地中でナイーブ型多能性幹細胞を培養する工程を含む、多能性幹細胞の製造方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地に関する。本発明は、上記培地を使用する多能性幹細胞の製造方法に関する。
多能性幹細胞としては、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell;iPS細胞とも言う)、胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞とも言う)などが知られている。再生医療分野においては、特にiPS細胞の実用化に向けた研究が進められている。
iPS細胞などの多能性幹細胞には、ナイーブ型の細胞とプライム型の細胞とが存在することが知られている。ナイーブ型の細胞は、発生初期の状態に近く、プライム型の細胞は、ナイーブ型の細胞に比較して、より発生が進んだ細胞である。
特許文献1には、ヒト幹細胞をよりナイーブな状態にリセットする方法であって、(a)初期化されるべきヒト幹細胞を提供すること、(b)(i)所望により1以上の異種の初期化因子を細胞に発現または導入し、(ii)MEK阻害剤を含み、さらに所望によりSTAT3活性化剤、および所望により1以上のさらなる阻害剤を含むリセット培地中で細胞を培養することにより、よりナイーブな状態を誘発すること、(c)MEK阻害剤、PKC阻害剤および所望によりGSK3インヒビター、およびSTAT3活性化剤を含むナイーブ培地中に細胞を維持することを含む方法が記載されている。
国際公開WO2016/027099号
従来、ヒト多能性幹細胞はプライム型でありやや分化が進んだ状態でしか維持できなかったが、ナイーブ型の開発により、さらに未分化な多能性幹細胞が誘導可能になった。しかし、ナイーブ型多能性幹細胞は、プライム型多能性幹細胞と比較して増殖速度が遅いため、同じ収率を得るために時間とコストがかかることが課題であった。
本発明は、ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能を亢進させることができる培地、および上記培地を用いて増殖能が亢進された多能性幹細胞の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ナイーブ型多能性幹細胞を、特定の化合物の存在下で培養することにより、増殖能が亢進された細胞を製造することに成功した。本発明は、上記の知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]下記(1)〜(3)の要件を満たす、ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地。
(1)MAPK/ERKキナーゼ阻害剤とGSK3β阻害剤とを含む。
(2)プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤からなる群から選択されるいずれかを含む。
(3)HIF阻害剤を含む。
[2]プロテインキナーゼC阻害剤がGo6983である、[1]記載の培地。
[3]Wntシグナル阻害剤がXAV939である、[1]または[2]に記載の培地。
[4]STAT3活性化剤が白血病阻止因子である、[1]から[3]の何れか一に記載の培地。
[5]HIF阻害剤がN−[[4−ヒドロキシ−2−オキソ−1−(フェニルメチル)−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシン、およびN−[[1−(2−シクロプロピルエチル)−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシンからなる群から選択されるいずれか1つ以上である、[1]から[4]の何れか一に記載の培地。
[6]N−[[4−ヒドロキシ−2−オキソ−1−(フェニルメチル)−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシンを濃度1μmol/L〜1mmol/Lの範囲で含む、[5]に記載の培地。
[7]N−[[1−(2−シクロプロピルエチル)−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシンを濃度1μmol/L〜1mmol/Lの範囲で含む、[5]に記載の培地。
[8][1]から[7]の何れか一に記載の培地中でナイーブ型多能性幹細胞を培養する工程を含む、多能性幹細胞の製造方法。
[9]ナイーブ型多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、[8]に記載の製造方法。
本発明によれば、増殖能が亢進されたナイーブ型多能性幹細胞を製造することができる。
図1は、実施例1の未処理の細胞または処理済の細胞におけるNANOGおよびKLF17遺伝子の発現を示す。図中のA、BおよびCは細胞株である。 図2は、IOX2またはGSK360A添加3日後のナイーブ型iPS細胞の細胞数の、対照群の細胞数に対する割合を示す。図中のA、BおよびCは細胞株である。図中のControlは対照群として用いたDMSOコントロールを示す。 図3は、ナイーブ型iPS細胞にIOX2またはGSK360Aを添加して3日後のNANOG、POU5F1およびKLF17遺伝子の発現を示す。図中のControlは対照群として用いたDMSOコントロールを示す。
以下、本発明を実施するための形態を、詳細に説明する。
本明細書における略号は以下の意味を有する。
bFGF(basic Fibroblast Growth Factor):塩基性線維芽細胞成長因子
DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium):ダルベッコ改変イーグル培地
DMEM/F12(DMEM Ham’s F−12):ダルベッコ改変イーグル培地/栄養混合物F−12ハム
DMSO(Dimethyl sulfoxide):ジメチルスルホキシド
DNMT3B(DNA(cytosine−5−)−methyltransferase 3 beta):DNA(シトシン‐5‐)メチルトランスフェラーゼ3ベータ
Dnmt3L(DNA Methyltransferase 3 Like):DNAメチルトランスフェラーゼ3様
ECAT(ES cell associated transcripts):ES細胞関連転写因子
ERas(ES cell expressed Ras):ES細胞で発現するRas
Erk(Extracellular Signal−regulated Kinase):細胞外シグナル調節キナーゼ
ESG(Embryonal stem cell−specific gene):胚性幹細胞特異的遺伝子
Fbx15(F−Box Protein 15):Fボックス タンパク質15
FGF(Fibroblast growth factor):線維芽細胞増殖因子
FOXA2(forkhead box protein A2):フォークヘッドボックスタンパク質A2
Fthl17(Ferritin heavy polypeptide−like 17):フェリチン重鎖ポリペプチド様17
GAPDH(glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase):グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ
Gdf3(Growth differentiation factor−3):増殖分化因子3
Grb2(Growth factor receptor−bound protein 2):増殖因子受容体結合タンパク質2
GSK(Glycogen Synthase Kinase):グリコーゲン合成酵素キナーゼ
HIF(Hypoxia Inducible Factor):低酸素誘導因子
IGFBP4(Insulin−like growth factor−binding protein 4):インスリン様増殖因子結合タンパク質4
Klf(Kruppel−like factor):クルッペル様因子
LIF(Leukemia inhibitory factor):白血病阻止因子
MAP(mitogen−activated protein):分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ
Nr5a1(nuclear receptor subfamily 5,group A,member 1):核内受容体サブファミリー5、グループA、メンバー1
Nr5a2(nuclear receptor subfamily 5,group A,member 2):核内受容体サブファミリー5、グループA、メンバー2
Oct(octamer−binding transcription factor):オクタマー結合性転写因子
PAX6(paired box 6):ペアードボックス6
PCR(polymerase chain reaction):ポリメラーゼ連鎖反応
PDGFRA(platelet−derived growth factor receptor alpha):血小板由来増殖因子受容体α
PKC(Protein kinase C):プロテインキナーゼC
POU5F1(POU domain, class 5, transcription factor 1):POUドメイン、クラス5、転写因子1
Prdm14(PR/SET domain family 14):PR/SETドメインファミリー14
Rex1(Reduced−expression 1):低発現タンパク質−1
ROCK(Rho−associated coiled−coil forming kinase):Rho結合コイルドコイル形成キナーゼ
RT−PCR(Reverse Transcription polymerase chain reaction):逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
Sall4(Sal−like protein 4):Sal様タンパク質4
Sox:SRY (sex determining region Y)−box:SRY(Y染色体性決定遺伝子)ボックス
Stat3(Signal Transducer and Activator of Transcription 3):シグナル伝達兼転写活性化因子3
T:Brachyury:T 遺伝子にコードされたブラキウリ
Tcl1(T−cell leukemia/lymphoma 1A):T細胞白血病/リンパ腫1A
Tert(Telomerase Reverse Transcriptase):テロメラーゼ逆転写酵素
UTF1(Undifferentiated Embryonic Cell Transcription Factor 1)未分化胚性幹細胞転写因子1
多能性幹細胞としては、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞、Embryonic Germ Cell)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)等を挙げることができるが、分化多能性および増殖能(自己複製能)を併せ持つ細胞である限り、これに限定されない。ES細胞またはiPS細胞を用いることが好ましく、iPS細胞を用いることがより好ましい。
「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」は、初期化因子の導入等により体細胞をリプログラミングすることによって作製される、分化多能性(多分化能)と増殖能を有する細胞である。iPS細胞の作製に使用する体細胞としては、特に限定されず、任意の体細胞を利用することができる。例えば、胎児期の体細胞のほか、成人由来の体細胞(即ち、成熟した体細胞)を用いてもよい。体細胞としては、例えば、(1)神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、歯髄幹細胞等の組織幹細胞(体性幹細胞)、(2)組織前駆細胞、(3)線維芽細胞(皮膚細胞等)、上皮細胞、肝細胞、リンパ球(T細胞、B細胞)、内皮細胞、筋肉細胞、毛細胞、胃粘膜細胞、腸細胞、脾細胞、膵細胞(膵外分泌細胞等)、脳細胞、肺細胞、腎細胞、皮膚細胞等の分化した細胞が挙げられる。体細胞の由来となる生体としては、特に限定されないが、例えば、ヒト、非ヒト動物(例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス)が挙げられる。好ましくは、ヒトである。
体細胞に導入される初期化因子としては特に限定されないが、例えば、Oct3/4、Klf4、c−Myc、Sox2、Nanog、Klf2、L−Myc、N−Myc、Klf5、Lin28、Tert、Fbx15、ERas、ECAT15−1、ECAT15−2、Tcl1、β−カテニン、ECAT1、Esg1、Dnmt3L、ECAT8、Gdf3、Sox15、Fthl17、Sall4、Rex1、UTF1、Stella、Stat3、Grb2、Prdm14、Nr5a1、Nr5a2、E−cadherinが挙げられる。ここで、これらの遺伝子群の中から2以上の遺伝子を選択して任意に組み合わせて導入することができる。なかでも、Oct3/4、Sox2、Klf4およびc−Mycを少なくとも有する組み合わせ、Oct3/4、Sox2、Klf4およびL−Mycを少なくとも有する組み合わせ、またはOct3/4、Sox2、NanogおよびLin28を少なくとも有する組み合わせが好ましい。
また、導入する遺伝子の種は、導入先の細胞の種と同一であることが好ましい。例えば、ヒト由来の細胞へ導入される遺伝子はヒト遺伝子であることが好ましい。例えば、ヒトOCT3/4、ヒトSOX2、ヒトKLF4およびヒトMYCを少なくとも有する組み合わせ、OCT3/4、SOX2、KLF4およびL−MYCを少なくとも有する組み合わせ、またはヒトOCT3/4、ヒトSOX2、ヒトNANOGおよびヒトLIN28を少なくとも有する組み合わせが好ましい。
初期化因子の遺伝子は、遺伝子発現ベクターを用いて体細胞に導入することができる。遺伝子発現ベクターとしては、特に限定されないが、例えば、ウイルスベクター、プラスミドベクター、人工染色体ベクター、トランスポゾンベクターが挙げられる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、センダイウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。
iPS細胞は、体細胞に初期化因子を導入することによって自ら作製してもよいが、研究機関や企業から提供または販売されている細胞を入手してもよい。
例えば、京都大学iPS細胞研究所から提供されている201B7、253G1、253G4、1201C1、1205D1、1210B2、1231A3、1383D2、1383D6、iPS−TIG120−3f7、iPS−TIG120−4f1、iPS−TIG114−4f1、CiRA086Ai−m1、CiRA188Ai−M1、またはiRA188Ai−W1を入手して、使用することができる。
また、NIH(National Institutes of Health)やCalifornia Institute of Regenerative Medicine、New York Stem Cell Foundation、European Bank for induced Pluripotent Stem Cells等が作成しているiPS細胞バンクから入手することもできる。
多能性幹細胞には、ナイーブ型多能性幹細胞およびプライム型多能性幹細胞という2つの異なる状態の細胞が知られている。ナイーブ型多能性幹細胞およびプライム型多能性幹細胞は、分子特徴および細胞特徴により区別することができる。
ナイーブ型多能性幹細胞は、典型的には、未分化性因子Oct4(Pouf51と同義である)、Nanog、Sox2、およびナイーブ因子Klf4、Stella、Klf17などを発現し、LIF/STAT3または2i(ERKi/GSKi)のいずれかに応答して自己再生し、FGF/ERKに応答して分化し、XaXaのX染色体状態を呈するという特徴を有する(Takashima et al.,(2014)Cell 158:1254−1269, Guo et al.,(2016)Stem Cell Reports 6(4):437−446)。プライム型多能性幹細胞は、典型的には、未分化性因子Oct4、Sox2およびNanogを発現するがナイーブ因子は発現せず、LIF/STAT3に応答せず、FGF/ERKに応答して自己再生し、XaXiのX染色体活性化状態を呈するという特徴を有する(Nichols et al.,(2009)Cell Stem Cell 4(6):487−492)。なお、Xaは活性型X染色体を示し、Xiは不活性型X染色体を示す。本明細書中、ナイーブ型多能性幹細胞およびプライム型多能性幹細胞を、それぞれナイーブ型細胞およびプライム型細胞という場合がある。
プライム型多能性幹細胞は、フィーダー細胞をコートしたプレートまたはマトリゲル(Matrigel)(登録商標)などの足場をコートしたプレート上で、適当な培地にて維持培養することができる。フィーダー細胞としては、特に限定されないが、マウス胚性線維芽細胞(MEF細胞)、マウス胎児線維芽細胞(STO細胞)が挙げられる。維持培養の際の培地としては、mTeSR(登録商標)1(Stemcell Technologies)またはStemFlex(登録商標)などの市販の培地を使用することができる。あるいはまた、例えば、基礎培地として、DMEM(Dulbecco Modified Eagle medium)、DMEMとF12の混合培地(DMEM/F12=1:1)、KnockoutTM D−MEM(Invitrogen社)などが挙げられ、代替血清(KSR;KnockoutTM Serum Replacement(Invitrogen社))、ウシ胎児血清(FBS)、非必須アミノ酸(NEAA)、L−グルタミン、2−メルカプトエタノール、抗生物質(例えば、ストレプトマイシン、ペニシリン、ピューロマイシン、マイトマイシン)、bFGF等の添加成分を任意に組み合わせて、上記いずれかの基礎培地に添加したものも、維持培養の際の培地として挙げることができる。維持培養の際の培地は、アスコルビン酸を含まないことが好ましい。維持培養の培養条件は、37℃、5%CO、10%O条件下などが好ましいが、特に限定されない。
(増殖能亢進用培地)
本発明のナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地は、下記(1)〜(3)の要件を満たす培地である。
(1)MAPK/ERKキナーゼ阻害剤とGSK3β阻害剤とを含む。
(2)プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤からなる群から選択されるいずれかを含む。
(3)HIF阻害剤を含む。
特許文献1には、ヒト幹細胞をよりナイーブな状態にリセットする方法が記載されている。しかしながら、特許文献1には、ナイーブ型多能性幹細胞の増殖速度については記載されていない。
本発明においては、ナイーブ型多能性幹細胞を、HIF阻害剤を含む培地で培養することにより、細胞の未分化性およびナイーブ性を維持したまま増殖能を亢進させることに成功したものである。よって、最終的な分化細胞の生産効率が向上し、コスト削減が可能となった。
細胞の増殖能の亢進とは、細胞の増殖速度が速くなることを意味する。例えば、本発明の増殖能亢進用培地で培養して、細胞の増殖速度が速くなることにより、培養前の同細胞あるいは他の培地で培養した同細胞と比較して、短期間でより多くの細胞数に増殖することを意味する。「他の培地」とは、比較する増殖能亢進用培地からHIF阻害剤のみを除いた培地であることが好ましい。「細胞の未分化性およびナイーブ性を維持したまま増殖能を亢進させる」という記載中の「細胞の未分化性およびナイーブ性の維持」とは、増殖能亢進用培地で培養する前のナイーブ型多能性幹細胞と同程度の未分化性およびナイーブ性を有することを意味する。
本発明のナイーブ型多能性幹細胞について、その製造方法は特定のものに限定されず、従来報告されている方法や、将来開発される任意の方法により製造することができる。例えば、ナイーブ型多能性幹細胞は、プライム型多能性幹細胞を、特定の化合物の存在下で、ナイーブ型多能性幹細胞に変換することにより得ることができる。プライム型多能性幹細胞をナイーブ型多能性幹細胞に変換する方法の具体例については、後記する。
本発明のナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地は、(1)MAPK/ERKキナーゼ阻害剤とGSK3β阻害剤とを含む。MAPK/ERKキナーゼ阻害剤(MEK阻害剤ともいう)としては、特に限定されないが、例えば、PD0325901(N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド;CAS登録番号:391210−10−9)、U0126(1,4−ジアミノ−2,3−ジシアノ−1,4−ビス[2−アミノフェニルチオ]ブタジエン;CAS登録番号:109511−58−2)、PD98059(2−(2−アミノ−3−メトキシフェニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン;CAS登録番号:167869−21−8)、PD184352(2−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−N−シクロプロピルメトキシ−3,4−ジフルオロベンズアミド;CAS登録番号:212631−79−3が挙げられる。なかでも、PD0325901が好ましい。培地におけるMAPK/ERKキナーゼ阻害剤の濃度は、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤の種類などに応じて適宜設定することができる。例えば、PD0325901の場合には、好ましくは0.3μmol/L〜5.0μmol/Lであり、より好ましくは0.6μmol/L〜3.0μmol/Lである。これはPD0325901を濃度0.6μmol/L以上含む培地で培養することにより、DNAがより脱メチル化されるためである。本発明の一実施態様では、DNA変異を最小限に抑えるためにはPD0325901を0.8μmol/L〜2.0μmol/Lで添加することが望ましい。
GSK3β阻害剤としては、特に限定されないが、CHIR99021(CAS登録番号:252927−06−9)が好ましい。培地におけるGSK3β阻害剤の濃度は、GSK3β阻害剤の種類などに応じて適宜設定することができる。例えば、CHIR99021の場合には、好ましくは0.01μmol/L〜1.0μmol/Lの範囲であり、より好ましくは0.1μmol/L〜0.5μmol/Lの範囲である。
本発明のナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地は、(2)プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤からなる群から選択されるいずれかを含む。
プロテインキナーゼC阻害剤(PKC阻害剤ともいう)としては、特に限定されないが、例えば、Go6983(3−[1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−5−メトキシ−1H−インドール−3−イル]−4−(1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン;CAS登録番号:133053−19−7)、GF109203X(3−(1−(3−ジメチルアミノ)プロピル)−1H−インドール−3−イル)−4−(1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン;CAS登録番号:133052−90−1)が挙げられる。なかでも、Go6983が好ましい。培地におけるPKC阻害剤の濃度は、PKC阻害剤の種類などに応じて適宜設定することができる。例えば、Go6983の場合には、好ましくは50nmol/L〜100μmol/Lの範囲であり、より好ましくは100nmol/L〜10μmol/Lの範囲である。
Wntシグナル阻害剤としては、特に限定されないが、XAV939(tankyrase阻害剤)(CAS登録番号:284028−89−3)、IWP−1、IWP−2、IWP−3、IWP−4、IWR−1、53AH(以上porcupine阻害剤)、KY02111などの低分子化合物およびそれらの誘導体や、IGFBP4、DKK1、Wnt−C59などのタンパク質が挙げられる。なかでも、XAV939が好ましい。培地におけるWntシグナル阻害剤の濃度は、Wntシグナル阻害剤の種類などに応じて適宜設定することができる。例えば、XAV939の場合には、好ましくは50nmol/L〜100μmol/Lの範囲であり、より好ましくは100nmol/L〜10μmol/Lの範囲である。
STAT3活性化剤としては、特に限定されないが、白血病阻止因子(LIF)を挙げることができる。とくに、ヒト白血病阻止因子が好ましい。培地におけるSTAT3活性化剤の濃度は、STAT3活性化剤の種類などに応じて適宜設定することができる。例えば、LIFの場合には、好ましくは0.1ng/mL〜200ng/mLの範囲であり、より好ましくは0.2ng/mL〜100ng/mLの範囲である。
本発明のナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地は、(2)プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤からなる群から選択されるいずれかを単独で含有してもよいし、または2種もしくは3種を含有してもよい。本発明の一実施態様において、ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地は、(2)プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤からなる群から選択される全てを含むものであってもよい。
本発明のナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地は、(3)HIF阻害剤を含む。HIF阻害剤としては、特に限定されないが、N−[[4−ヒドロキシ−2−オキソ−1−(フェニルメチル)−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシン、N−[[1−(2−シクロプロピルエチル)−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシン、LW6、MK−8617、FG−2216、Molidustat(BAY85−3934)、KC7F2、Roxadustat(FG−4592)および2−Methoxyestradiol等が挙げられる。
N−[[4−ヒドロキシ−2−オキソ−1−(フェニルメチル)−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシンで表される化合物は、IOX2(CAS登録番号931398−72−0)として知られており、本明細書中、IOX2とも記載する。IOX2の構造式は下記である。
N−[[1−(2−シクロプロピルエチル)−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシンで表される化合物は、GSK360A(CAS登録番号931399−19−8)として知られており、本明細書中、GSK360Aとも記載する。GSK360Aの構造式は下記である。
HIF阻害剤は、好ましくはIOX2またはGSK360Aである。培地におけるHIF阻害剤の濃度は、HIF阻害剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、好ましくは1μmol/L〜1mmol/Lの範囲であり、より好ましくは1μmol/L〜100μmol/Lの範囲であり、さらに好ましくは、1μmol/L〜10μmol/Lの範囲である。例えば、IOX2の場合には、好ましくは1μmol/L〜1mmol/Lの範囲であり、より好ましくは1μmol/L〜100μmol/Lの範囲であり、さらに好ましくは、1μmol/L〜10μmol/Lの範囲である。例えば、GSK360Aの場合には、好ましくは1μmol/L〜1mmol/Lの範囲であり、より好ましくは1μmol/L〜100μmol/Lの範囲であり、さらに好ましくは1μmol/L〜10μmol/Lの範囲である。
本発明のナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地は、IOX2およびGSK360Aの何れかを単独で含有してもよいし、IOX2およびGSK360Aを組み合わせて含有してもよい。
本発明のナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地は、上記(1)から(3)の要件を満たすほか、基礎培地に、Neurobasal(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)、B27(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)、N2(Thermo Fisher Scientific社)、1−チオグリセロール、およびGlutaMAX(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)またはL−Glutamin(Thermo Fisher Scientific社)などの添加成分を任意に組み合わせて(好ましくは上記の添加成分の全てを組み合わせて)添加した培地であってもよい。上記基礎培地としては、DMEM(Dulbecco Modified Eagle medium)、DMEMとF12の混合培地(DMEM/F12=1:1)、KnockoutTM D−MEM(Invitrogen社)などを挙げることができる。
(多能性幹細胞の製造方法)
本発明の多能性幹細胞の製造方法は、上記ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地中でナイーブ型多能性幹細胞を培養する工程を含む。上記ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地中におけるナイーブ型多能性幹細胞の培養期間は、特に限定されず、例えば、1日以上であればよい。また、培養期間の長さは、例えば4週間以内、3週間以内または2週間以内とすることができるが、これに限定されない。培養条件は、当業者には自明であり、一例としては、37℃、5%CO2、5%O条件下を挙げることができる。ナイーブ型多能性幹細胞は、好ましくはヒトiPS細胞である。なお、本発明において、同じ培養条件で同一の操作をした細胞は、個体として別であっても同一の性質を持つ細胞とみなす。
本発明の多能性幹細胞の製造方法を実施することにより、未分化性およびナイーブ性を維持したまま増殖能が亢進した細胞を得ることができる。増殖能の亢進は、一定期間における細胞数の増加割合を、対照群と試験群とを比較することにより、評価することができる。細胞数の増加割合は、後記の実施例2に準じて、培養3日目にCell Titer Glo2.0(Promega)を用いてEnSpire(登録商標)マルチプレートリーダー(PerkinElmer)により細胞数を定量し算出すればよい。また、細胞数の定量はこの方法に限らず、Vi−CELL(ベックマンコールター)やLUNA(Logos Biosystems)などのセルカウンターや、血球計算板を用いて計測することもできる。本発明の増殖能亢進用培地で培養した細胞について、上記方法で解析した細胞数の増加割合は、対照群と比べて、1.1〜100倍上昇することが好ましく、1.2〜50倍上昇することがさらに好ましく、1.5〜10倍上昇することが最も好ましい。対照群としては、例えば、上記ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地で培養していない細胞、または特にHIF阻害剤の溶媒であるDMSOを添加した培地を使用した以外は同条件で培養した細胞(DMSOコントロール)を用いることができる。
細胞の未分化性およびナイーブ性が維持されているかどうかは、特に限定されないが、未分化性およびナイーブ性を定義する遺伝子の発現を測定することにより評価することができる。未分化性およびナイーブ性を定義する遺伝子の発現の測定方法は特に限定されないが、例えば、定量的RT−PCRにより測定を行うことができる。RT−PCRは、測定対象となるmRNAを鋳型としてcDNAを合成し、このcDNAを鋳型としてPCRにより増幅する方法である。定量的RT−PCRとしては、例えば、クエンチャー蛍光色素とレポーター蛍光色素が結合されたプライマーを用いてPCRを行って各サイクル毎に増幅産物量を定量し、検出される蛍光強度が急激に増大するサイクル数から、試料中の鋳型DNA量を測定する方法(リアルタイムPCR)等を挙げることができる。定量的RT−PCRの手法は本技術分野において周知であり、市販のキットを使用して実施することもできる。定量的RT−PCRによれば、遺伝子の発現量またはコピー数を、対照となるハウスキーピング遺伝子(例えば、GAPDH遺伝子)の発現量またはコピー数に対する相対値として測定することができる。なお、遺伝子のmRNAの測定は、通常のRT−PCRなどによりmRNAの増幅を行うことにより得た増幅産物をゲル電気泳動にかけ、染色後、バンド強度を測定することによっても行うことができる。あるいは、DNAチップを用いて遺伝子のmRNAまたはcDNAを検出または定量することもできる。
未分化性を定義する遺伝子としては、特に限定されないが、NANOG、POU5F1、LIN28、SOX2、DNMT3Bなどを挙げることができ、ナイーブ性を定義する遺伝子としては、特に限定されないが、STELLAおよびKLF17などを挙げることができる。本発明の製造方法により得られた細胞における未分化性を定義する遺伝子の発現量が、対照群(例えばDMSOコントロール)における同じ遺伝子の発現量と同等であるか、またはそれ以上である場合に未分化性が維持されていると定義し、同等とは対照群における同じ遺伝子の発現量の80〜110%とする。同様に、本発明の製造方法により得られた細胞におけるナイーブ性を定義する遺伝子の発現量が、対照群(例えばDMSOコントロール)における同じ遺伝子の発現量と同等であるか、またはそれ以上である場合にナイーブ性が維持されていると定義し、同等とは対照群における同じ遺伝子の発現量の80〜110%とする。
好ましくは、本発明の製造方法により得られた細胞におけるNANOGの発現量は、対照群におけるNANOGの発現量と同等であるか、またはそれ以上である。
好ましくは、本発明の製造方法により得られた細胞におけるPOU5F1の発現量は、対照群におけるPOU5F1の発現量と同等であるか、またはそれ以上である。
好ましくは、本発明の製造方法により得られた細胞におけるKLF17の発現量は、対照群におけるKLF17の発現量と同等であるか、またはそれ以上である。
さらに好ましくは、本発明の多能性幹細胞の製造方法により得られた増殖能が亢進した細胞は、内胚葉、中胚葉および外胚葉の全てに分化することができる細胞である。
[分化誘導について]
本発明の多能性幹細胞の製造方法により得られた増殖能が亢進した細胞を分化誘導することにより得られる細胞の種類は、特に限定されない。所望により、内胚葉系細胞、中胚葉系細胞、または外胚葉系細胞に分化誘導することができる。
本発明の多能性幹細胞の製造方法により得られた増殖能が亢進した細胞を分化誘導する方法は、特に限定されない。例えば、市販のStemDiff(登録商標)Trilineage Differentiation Kit(Stemcell Technologies)を用いて、内胚葉、中胚葉および外胚葉のそれぞれに分化誘導することができる。
各種細胞への分化誘導の培養条件(培養温度など)は、動物細胞の培養において一般に採用されている条件を採用することができる。すなわち、例えば37℃、5%COの環境下で培養することができる。また、基礎培地として、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(GIBCO社等)、ハムF12培地(HamF12)(SIGMA社、Gibco社等)、ダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM)(ナカライテスク株式会社、シグマ社、Gibco社等)、グラスゴー基本培地(Gibco社等)、RPMI1640培地等を用いることができる。二種以上の基礎培地を併用することにしてもよい。培地に添加可能な成分の例としてウシ血清アルブミン(BSA)、抗生物質、2−メルカプトエタノール、PVA、非必須アミノ酸(NEAA)、インスリン、トランスフェリン、セレニウムを挙げることができる。典型的には培養皿などを用いて二次元的に細胞を培養する。但し、ゲル状の培養基材あるいは3次元培養プレートなどを用いた3次元培養を実施することにしてもよい。
本発明の多能性幹細胞の製造方法により得られた増殖能が亢進した細胞は、内胚葉系細胞分化条件にて培養することにより、内胚葉系細胞へ分化することができる。内胚葉系細胞としては、特に限定されないが、例えば、消化器系細胞(肝細胞、肝類洞内皮細胞、クッパー細胞、肝星細胞、ピット細胞、胆管細胞、中皮細胞、膵内分泌細胞、腺房細胞、導管細胞、吸収細胞、杯細胞、パネート細胞、腸内分泌細胞等)、肺、甲状腺等の組織の細胞が挙げられる。
本発明の多能性幹細胞の製造方法により得られた増殖能が亢進した細胞は、上記以外の中胚葉系細胞分化条件にて培養することにより、中胚葉系細胞へ分化することができる。中胚葉系細胞としては、特に限定されないが、血球・リンパ球系細胞(造血幹細胞、赤血球、血小板、マクロファージ、顆粒球、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、Bリンパ球等)、脈管系細胞(血管内皮細胞等)、心筋細胞(例えば心房筋細胞、心室筋細胞等)、骨芽細胞、骨細胞,軟骨細胞,腱細胞,脂肪細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞等が挙げられる。
本発明の多能性幹細胞の製造方法により得られた増殖能が亢進した細胞は、上記以外の外胚葉系細胞分化条件にて培養することにより、外胚葉系細胞へ分化することができる。外胚葉系細胞としては、特に限定されないが、神経系細胞、感覚器細胞(水晶体、網膜、内耳など)、皮膚表皮細胞、毛包などが挙げられる。
本発明において、本発明の多能性幹細胞の製造方法により得られた増殖能が亢進した細胞を用いて分化誘導した細胞は、各種疾患の治療用医薬品候補化合物のスクリーニングに用いることができる。例えば、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて、医薬品候補化合物を、分化誘導した細胞に添加することによって、細胞の形態または機能的な変化、各種因子の増減、遺伝子発現プロファイリング等を検出することにより、評価を行うことができる。ここで、細胞は、治療対象となる疾患と同様の表現型を有する細胞が好ましく、より好ましくは、疾患に罹患した患者に由来する体細胞を用いて本発明の方法により製造した細胞から分化誘導した細胞である。
本発明において、本発明の多能性幹細胞の製造方法により得られた増殖能が亢進した細胞を用いて分化誘導した分化細胞から組織を作製して、再生医療の分野で使用することができる。作製した組織の患者への移植方法としては、当業者であれば自明である。また、本発明の方法で作成したiPS細胞またはiPS細胞から分化させた細胞の別の用途として各種のin vitroアッセイが提供される。例えば、iPS細胞由来分化細胞を用いて被験物質のスクリーニングなどを行うことができる。
[プライム型多能性幹細胞のナイーブ型細胞への変換処理]
プライム型多能性幹細胞をナイーブ型多能性幹細胞に変換処理することは、例えば、後記の実施例1の手順に準じて、プライム型多能性幹細胞を、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤およびSTAT3活性化剤を含む培地で培養し(第一培養工程)、その後、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を含まずに、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、GSK3β阻害剤、およびSTAT3活性化剤を含む培地で培養すること(第二培養工程)により実施することができる。
第一培養工程のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤、およびSTAT3活性化剤を含む培地は、基礎培地に、Neurobasal(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)、B27(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)、N2(Thermo Fisher Scientific社)、1−チオグリセロール、およびGlutaMAX(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)またはL−Glutamin(Thermo Fisher Scientific社)などの添加成分を任意に組み合わせて(好ましくは上記の添加成分の全てを組み合わせて)添加し、さらに、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤、およびSTAT3活性化剤を添加した培地であってもよい。上記基礎培地としては、DMEM(Dulbecco Modified Eagle medium)、DMEMとF12の混合培地(DMEM/F12=1:1)、KnockoutTM D−MEM(Invitrogen社)などを挙げることができる。
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤としては、バルプロ酸またはその塩(バルプロ酸ナトリウムなど)、酪酸またはその塩(酪酸ナトリウムなど)、トリコスタチンA、およびアピシジンなどを使用することができるが、特に限定されない。培地におけるヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の濃度は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の種類などに応じて適宜設定することができる。例えば、バルプロ酸の場合には、好ましくは0.1mmol/L〜10mmol/Lの範囲であり、より好ましくは0.2mmol/L〜5mmol/Lの範囲であり、さらに好ましくは0.5mmol/L〜2mmol/Lの範囲である。
MAPK/ERKキナーゼ阻害剤の具体例は上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のものと同様であり、濃度についても上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のとおり、適宜設定することができる。STAT3活性化剤の具体例は上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のものと同様であり、濃度についても上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のとおり、適宜設定することができる。
第一培養工程における培養条件は、当業者には自明であり、一例としては、37℃、5%CO2、5%O条件下を挙げることができる。特に、低酸素(5%O)の条件下で培養することが好ましい。第一培養工程における培養期間は特に限定されないが、例えば、1日〜5日間、好ましくは2日〜4日間培養することができる。
第二培養工程のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を含まずに、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、GSK3β阻害剤、およびSTAT3活性化剤を含む培地は、基礎培地に、Neurobasal(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)、B27(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)、N2(Thermo Fisher Scientific社)、1−チオグリセロール、およびGlutaMAX(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)またはL−Glutamin (Thermo Fisher Scientific社)などの添加成分を任意に組み合わせて(好ましくは上記の添加成分の全てを組み合わせて)添加し、さらに、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、GSK3β阻害剤、およびSTAT3活性化剤を添加した培地であってもよい。上記基礎培地としては、DMEM(Dulbecco Modified Eagle medium)、DMEMとF12の混合培地(DMEM/F12=1:1)、KnockoutTM D−MEM(Invitrogen社)などを挙げることができる。
MAPK/ERKキナーゼ阻害剤の具体例は上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のものと同様であり、濃度についても上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のとおり、適宜設定することができる。プロテインキナーゼC阻害剤の具体例は上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のものと同様であり、濃度についても上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のとおり、適宜設定することができる。Wntシグナル阻害剤の具体例は上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のものと同様であり、濃度についても上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のとおり、適宜設定することができる。GSK3β阻害剤の具体例は上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のものと同様であり、濃度についても上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のとおり、適宜設定することができる。STAT3活性化剤の具体例は上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のものと同様であり、濃度についても上記(増殖能亢進用培地)の項に記載のとおり、適宜設定することができる。
第二培養工程における培養条件は、当業者には自明であり、一例としては、37℃、5%CO、5%O条件下を挙げることができる。特に、低酸素(5%O)の条件下で培養することが好ましい。なお、第一および第二培養工程において、培地はアスコルビン酸を含まないことが好ましい。
第二培養工程は、さらに2つの培養工程に分けて実施することができる。2つの培養工程は、それぞれ、GSK3β阻害剤の添加の有無について異なる培地を使用することができる。すなわち、第二培養工程は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を含まずに、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤を含む培地で培養した後、この培地にGSK3β阻害剤を加えた培地で培養を行う工程であってもよい。
第二培養工程における培養期間は特に限定されないが、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を含まずに、MAPK/ERKキナーゼ阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤を含む培地で、例えば、3から8日間、好ましくは4から7日間培養した後、この培地にGSK3β阻害剤を加えた培地で、例えば、3から10日間、好ましくは4から9日間培養することができる。
プライム型多能性幹細胞に対して、上記変換処理を実施することにより、ナイーブ型多能性幹細胞を得ることができる。上記変換処理を実施することにより得られたナイーブ型多能性幹細胞では、未分化状態は維持されており、且つプライム型多能性幹細胞と比較して特定の分化細胞に分化する能力が亢進されている。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
ナイーブ型多能性幹細胞を誘導するために以下の実験を行った。
[方法]
<細胞>
ヒトiPS細胞株について、AからC株は、FUJIFILM Cellular Dynamics International(FCDI)より分譲を受けた。
<プライム型iPS細胞のナイーブ型変換>
ヒトiPS細胞は、Matrigel(マトリゲル)(登録商標)(Corning)をコートした6ウェルプレート上でStemFlex(登録商標)(Thermo Fisher Scientific社)培地にて37℃、5%CO、10%O条件下で維持培養した。ここで得られた細胞は、プライム型多能性幹細胞である。また、ここで得られた細胞を、「未処理の細胞」とする。
0日目:培養中のヒトiPS細胞をTrypLETM Select(Invitrogen)で37℃、5分間の処理により剥離し、シングルセル化した。マウス胎仔由来線維芽細胞(MEF、Lonza)を0.5x10cells/well(6well plate)で播種済またはマトリゲルコート済のウェルに、mTeSR(登録商標)1(Stemcell Technologies)またはStemFlex(登録商標)にY−27684(10μmol/L、Wako)を添加した培地を入れ、シングルセル化ヒトiPS細胞を1x10cells/well播種し、以降9日目まで37℃、5%CO、5%O条件下で培養した。
1日目:表1の培地1に培地を交換した。
2〜3日目:新たな培地1に半量交換した。
4〜8日目:表1の培地2に培地を交換し、8日目まで1日おきに同培地に交換した。
9日目:TrypLETM Selectで37℃で5分処理して細胞を剥離し、培地3にY−27632(10μmol/L、Wako)を添加した培地でMEFを播種済またはマトリゲル(登録商標)コートしたプレートに継代した。以降、培地3により、細胞を37℃、5%CO、5%O条件下で維持培養した。ここで得られた細胞を、「処理済の細胞」とする。
<遺伝子発現解析>
前述の処理により誘導したiPS細胞がナイーブ型であることを確認するために、AからC株について、未処理の細胞または処理済の細胞における未分化マーカーNANOGとナイーブマーカーKLF17の遺伝子発現を測定した。回収した細胞から、RNeasy(登録商標)Plus Mini Kit(Qiagen)を用いてTotal RNAを抽出した。抽出したRNAからHigh Capacity RNA-to-cDNATM Kit (Applied Biosystemc)によりcDNAを合成した。このcDNAを鋳型に、NANOG、KLF17、およびGAPDHについてViia7TM(Thermo Fisher Scientific社)を用いて定量的RT−PCRを行い、内部標準遺伝子GAPDHで発現量を補正した。表2のProbe primer setに示すものは、Thermo Fisher社のTaqman(登録商標)Gene expression assayにてある遺伝子のPCRを行うためのProbe primer setのコード名である。
[結果]
実施例1の誘導処理を実施したAからC株の細胞(処理済の細胞)における未分化マーカーNANOG及びナイーブマーカーKLF17の遺伝子発現は、未処理の細胞と比較して有意に上昇していた(図1)。以上の結果から、実施例1の誘導処理を実施した細胞は未分化性およびナイーブ性をもつことが示された。また、プライム型のiPS細胞ではナイーブマーカーKLF17の発現がほぼ検出できないことが示された。
実施例2
<化合物処理と細胞増殖能の評価>
実施例1で得られたナイーブ型ヒトiPS細胞AからC株を、MEFまたはMatrigel(マトリゲル)(登録商標)(Corning)をコートした6ウェルプレートに再播種し、表3に記載の化合物の何れかを添加した表1の培地3で37℃、5%O条件下で培養した。
また、対照群としては、上記化合物の代わりにDMSO(200倍希釈)を添加した以外は、同じ条件にてナイーブ型ヒトiPS細胞を培養した。培養3日目にCell Titer Glo(登録商標)2.0(Promega)を用いてEnSpire(登録商標)マルチプレートリーダー(PerkinElmer)により細胞数を定量した。
[結果]
ナイーブ型ヒトiPS細胞にIOX2またはGSK360Aを10μmol/L添加し3日目の細胞数を定量した結果、全3株において、対照群と比較して、IOX2またはGSK360Aを添加した群で細胞数が増加した(図2)。すなわち、IOX2添加群およびGSK360A添加群において、ナイーブ型ヒトiPS細胞の増殖能が亢進された。
実施例3
<遺伝子発現解析>
A株について、実施例2の化合物添加から培養3日目の細胞を回収し、ナイーブ型ヒトiPS細胞における未分化マーカーNANOGおよびPOU5F1、並びにナイーブマーカーKLF17の遺伝子発現を測定した。回収した細胞から、RNeasy(登録商標)Plus Mini Kit(Qiagen)を用いてTotal RNAを抽出した。抽出したRNAからHigh Capacity RNA-to-cDNATM Kit (Applied Biosystemc)によりcDNAを合成した。このcDNAを鋳型に、NANOG、KLF17、およびGAPDHについてViia7TM(Thermo Fisher Scientific社)を用いて定量的RT−PCRを行い、内部標準遺伝子GAPDHで発現量を補正した。表4のProbe primer setに示すものは、Thermo Fisher社のTaqman(登録商標)Gene expression assayにてある遺伝子のPCRを行うためのProbe primer setのコード名である。
[結果]
IOX2およびGSK360A未添加群の細胞は、実施例1でナイーブ型に誘導した細胞と同様の性質をもち、未分化性およびナイーブ性を有している。IOX2添加群およびGSK360A添加群のNANOG、POU5F1,KLF17の発現レベルは対照群と比較して、同等以上であった(図3)。従って、IOX2またはGSK360Aを添加したナイーブ型ヒトiPS細胞は未分化性およびナイーブ性を維持していた。

Claims (9)

  1. 下記(1)〜(3)の要件を満たす、ナイーブ型多能性幹細胞の増殖能亢進用培地。
    (1)MAPK/ERKキナーゼ阻害剤とGSK3β阻害剤とを含む。
    (2)プロテインキナーゼC阻害剤、Wntシグナル阻害剤、およびSTAT3活性化剤からなる群から選択されるいずれかを含む。
    (3)HIF阻害剤を含む。
  2. プロテインキナーゼC阻害剤がGo6983である、請求項1に記載の培地。
  3. Wntシグナル阻害剤がXAV939である、請求項1または2に記載の培地。
  4. STAT3活性化剤が白血病阻止因子である、請求項1から3の何れか一項に記載の培地。
  5. HIF阻害剤がN−[[4−ヒドロキシ−2−オキソ−1−(フェニルメチル)−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシン、およびN−[[1−(2−シクロプロピルエチル)−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシンからなる群から選択されるいずれか1つ以上である、請求項1から4の何れか一項に記載の培地。
  6. N−[[4−ヒドロキシ−2−オキソ−1−(フェニルメチル)−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシンを濃度1μmol/L〜1mmol/Lの範囲で含む、請求項5に記載の培地。
  7. N−[[1−(2−シクロプロピルエチル)−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3−キノリニル]カルボニル]グリシンを濃度1μmol/L〜1mmol/Lの範囲で含む、請求項5に記載の培地。
  8. 請求項1から7の何れか一項に記載の培地中でナイーブ型多能性幹細胞を培養する工程を含む、多能性幹細胞の製造方法。
  9. ナイーブ型多能性幹細胞がヒトiPS細胞である、請求項8に記載の製造方法。
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