JP2021016359A - 情報処理装置、細胞培養システム、情報処理方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents

情報処理装置、細胞培養システム、情報処理方法、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】個別に細胞、細胞凝集塊、及び/又は組織の状態を管理し、好適に培養条件を調整することができる情報処理装置等を提供する。【解決手段】情報処理装置は、管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得する第1取得部と、前記個別の細胞の前記細胞情報に基づいて生成された前記個別の細胞の品質情報を取得する第2取得部と、前記個別の細胞の前記品質情報を出力する第1出力部とを備える。【選択図】図1

Description

本技術は、情報処理装置、細胞培養システム、情報処理方法、及びコンピュータプログラムに関する。
近年、人工多能性幹細胞(iPS:induced pluripotent stem cell )細胞の研究開発が、再生医療の一環として進められている。iPS細胞は、胚性幹細胞(ES細胞)のように、多くの細胞に分化できる分化万能性を持つ。iPS細胞を培養し、培養したiPS細胞を目的の細胞へと分化させ、機能に問題がある組織や器官を、得られた分化細胞によって再生するといったような、様々な再生医療への応用が期待されている。細胞を分化させるプロセスにおいては、所望する品質を満たす細胞を得るために、個別に細胞の状態を管理し、好適に培養条件を調整することが望ましい。
細胞のバイオリアクターとして、タンク型のバイオリアクターが用いられている。タンク型バイオリアクターでは、バイオリアクター内の培養状態を均一に保つ為、培地を撹拌機で攪拌する。そして、定期的に培地内の細胞及び周囲環境などの測定を行い、得られた測定結果に応じて、目的の細胞を得るために必要な培養条件の調整を行う。特許文献1には、培地の流れの数値シミュレーションによりバイオリアクター内の任意の点の状態を計算して好適に運転できるバイオリアクターの制御装置及び培養装置が開示されている。
特開2006−296423号公報
特許文献1では、タンク型バイオリアクターに一又は数箇所限定された箇所に設けられたサンプリング箇所から得られるサンプルの測定結果に基づいて、流れの数値シミュレーションをおこない、タンク型バイオリアクター全体の調整を行う。このようなタンク型バイオリアクターでは、一度に大量の細胞を得ることができる一方で、細胞又は培地の調整はバイオリアクター全体に対しておこなわれるため、個々の細胞の状態を管理することは難しい。
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、個別に細胞、細胞凝集塊、及び/又は組織の状態を管理し、好適に培養条件を調整することができる情報処理装置等を提供することにある。
本開示の一態様に係る情報処理装置は、管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得する第1取得部と、前記個別の細胞の前記細胞情報に基づいて生成された前記個別の細胞の品質情報を取得する第2取得部と、前記個別の細胞の前記品質情報を出力する第1出力部とを備える。
ここで、細胞には単細胞、細胞凝集塊、組織、又はこれらの組み合わせを含む。上記構成によれば、個別に細胞の状態を管理し、好適に培養条件を調整することができる。
上述の情報処理装置において、前記第2取得部は、個別の細胞の細胞情報を入力した場合に該個別の細胞の品質情報を出力する第1学習モデルに、前記第1取得部により取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、出力される前記個別の細胞の前記品質情報を取得してもよい。
上記構成によれば、細胞の細胞情報に対する適切な細胞の品質情報の推定をコンピュータに実行させることができる。
上述の情報処理装置において、前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報に基づいて生成された前記個別の細胞の培養条件の調整情報を取得する第3取得部と、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する第2出力部と、前記調整情報に基づいて、前記管型バイオリアクターの前記第一位置より下流に位置する第二位置で、前記個別の細胞の培養条件を調整する調整部とを備えてもよい。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
上述の情報処理装置において、前記第3取得部は、個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する第2学習モデルに、前記第1取得部により取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記第2取得部により取得した前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、出力される前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を取得してもよい。
上記構成によれば、細胞情報又は品質情報に基づく適切な調整情報の推定をコンピュータに実行させることができる。
上述の情報処理装置において、前記個別の細胞に対して、前記調整部における処理がなされたのち、前記管型バイオリアクター内を循環した前記個別の細胞の前記細胞情報を、再度前記第1取得部において取得するように構成されてもよい。
上記構成によれば、細胞情報の取得及び培養条件の調整を繰り返し行うことができる。
上述の情報処理装置において、前記細胞情報、前記品質情報、及び前記調整情報から選択される少なくとも1種の情報を表示する表示部を備えてもよい。
上記構成によれば、ユーザは情報を表示部にて認識することができる。
上述の情報処理装置において、前記調整情報は、細胞の排出命令、細胞凝集塊の排出命令、組織の排出命令、培地中の溶存酸素濃度の調整命令、培地の温度調整命令、培地の添加命令、培地の排出命令、及び試薬の添加命令から選択される少なくとも1種の情報であってもよい。
上記構成によれば、好適な培養条件の調整情報を取得することができる。
上述の情報処理装置において、前記細胞情報は、対象となる培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度、細胞の形状、細胞凝集塊の形状、組織の形状、細胞凝集塊の内部構造、組織の内部構造、細胞のサイズ、細胞凝集塊のサイズ、及び組織のサイズから選択される少なくとも1種の情報であってもよい。
上記構成によれば、好適な細胞の品質情報又は培養条件の調整情報を取得することができる。
上述の情報処理装置において、前記品質情報は、細胞の未分化率、分化能、分化率、増殖能、及び細胞数から選択される少なくとも1種の情報であってもよい。
上記構成によれば、好適な培養条件の調整情報を取得することができる。
本開示の一態様に係る細胞培養システムは、個別の細胞が通流する通流管を有する管型バイオリアクターと、前記個別の細胞の細胞情報を検知するセンサと、前記情報処理装置とを備える。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
本開示の一態様に係る情報処理方法は、管型バイオリアクター内の第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、個別の細胞の細胞情報を入力した場合に該個別の細胞の品質情報を出力する学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、前記個別の細胞の前記品質情報を出力する。
上記構成によれば、細胞情報に対する適切な品質情報の推定をコンピュータに実行させることができる。
本開示の一態様に係る情報処理方法は、個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に該個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する。
上記構成によれば、細胞情報又は品質情報に基づく適切な調整情報の推定をコンピュータに実行させることができる。
本開示の一態様に係る情報処理方法は、管型バイオリアクター内の第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、個別の細胞の細胞情報を入力した場合に該個別の細胞の品質情報を出力する第1学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、前記個別の細胞の前記品質情報を出力し、個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に該個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する第2学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力し、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報に応じて、前記管型バイオリアクターの前記第一位置より下流に位置する第二位置で、前記個別の細胞の培養条件を調整する。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
本開示の一態様に係る情報処理方法は、管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、前記個別の細胞の前記細胞情報に応じた前記個別の細胞の品質情報を取得し、取得した前記個別の細胞の前記品質情報を出力する。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
上述の情報処理方法において、前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報に応じた前記個別の細胞の培養条件の調整情報を取得し、取得した前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力してもよい。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
本開示の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、前記個別の細胞の前記細胞情報に応じた前記個別の細胞の品質情報を取得し、前記個別の細胞の前記品質情報を出力する処理を実行させる。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
上述のコンピュータプログラムにおいて、前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報に応じた前記個別の細胞の培養条件の調整情報を取得し、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する処理を実行させてもよい。上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
本開示に係る情報処理装置等にあっては、個別に細胞、細胞凝集塊、及び/又は組織の状態を管理し、好適に培養条件を調整することができる。
実施の形態1における細胞培養システムの概要を示す説明図である。 実施の形態1における細胞培養システムの構成を示すブロック図である。 出力情報DBの内容例を示す図である。 細胞識別情報DBの内容例を示す図である。 細胞情報DBの内容例を示す図である。 品質情報DBの内容例を示す図である。 調整情報DBの内容例を示す図である。 実施の形態1に係る情報処理装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。 表示パネルに表示される表示画面の一例を示す模式図である。 表示パネルに表示される画面の一例を示す図である。 表示パネルに表示される画面の一例を示す図である。 実施の形態2における細胞培養システムの構成を示すブロック図である。 教師データDBの内容例を示す図である。 品質情報の学習処理に関する説明図である。 品質情報の学習処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 調整情報の学習処理に関する説明図である。 調整情報の学習処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る情報処理装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態3における細胞培養システムの構成を示すブロック図である。 教師データDBの内容例を示す図である。 調整情報の学習処理に関する説明図である。 調整情報の学習処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態3に係る情報処理装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態4における細胞培養システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して詳述する。本発明の実施形態では、一例として、iPS細胞を培養し、分化誘導をおこなう場合について説明する。なおiPS細胞は一例であって、細胞の種類は限定されるものでない。
(実施の形態の概要)
本実施の形態に係る情報処理装置は、管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得する第1取得部と、前記個別の細胞の前記細胞情報に基づいて生成された前記個別の細胞の品質情報を取得する第2取得部と、前記個別の細胞の前記品質情報を出力する第1出力部とを備える。
上記構成によれば、個別に細胞の状態を管理し、好適に培養条件を調整することができる。ここで、以下の細胞には、単細胞に加え、細胞凝集塊、組織、又はこれらの組み合わせを含む。
細胞の細胞情報とは、細胞及び培地に関する情報であり、例えば後述する細胞の品質情報及び培養条件の調整情報の少なくとも一方を推定するために必要な情報のことである。例えば、培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度(アミノ酸、低分子化合物、又はタンパク質)、細胞、細胞凝集塊及び/又は組織の形状、細胞凝集塊及び組織の内部構造、並びに細胞、細胞凝集塊及び/又は組織のサイズ等が挙げられる。
個別の細胞の細胞情報は、各種センサを用いて連続的に検出される。例えば培地の温度は、温度センサで検知される。培地の温度は、細胞の成長に大きく影響する。培地のpHは、pHセンサで検知される。培地のpHは、例えば培養細胞のアンモニア消費や細胞増殖後の代謝生成物の有機酸によって変化する。培地中の溶存酸素濃度は、溶存酸素センサで検知される。培地中の溶存酸素濃度は、例えば培養細胞の酸素消費によって変化する。物質濃度は、例えばアミノ酸、低分子化合物、又はタンパク質等の培地中の各物質の濃度であり、バイオセンサで検知される。培養細胞は培地中に様々な分泌物を分泌する。特に分化細胞は分化細胞特有の分泌物を分泌する。従って培地中の物質濃度は、細胞の成長変化に大きく影響する。例えば細胞、細胞凝集塊、及び/又は組織の形状並びにサイズは、明視野像撮像センサ又は位相差像撮像センサで検知される。例えば細胞凝集塊及び組織の内部構造は、光干渉断層像撮像センサで検知される。前記撮像センサの検知情報は、画像データで出力される。これらの画像データで得られる情報は、増殖及び分化状態に影響される。
各種センサの検知頻度は、例えば1秒間に1回〜10000回である。なお、各種センサの検知頻度は、全て同じ頻度である必要はなく、各種センサ毎に異なる頻度であってよい。細胞の細胞情報は、対象となる細胞が第一位置を通過した時点のデータを採用し、同じタイミングで検知した各種センサの検知情報を、対象細胞の細胞情報として採用し出力、表示する。
細胞の品質情報とは、培養細胞の培養目的に応じた品質に関する情報であり、本実施の形態においては、細胞の分化状態に関する情報である。例えば、細胞の未分化率、分化率、分化能、増殖能、及び細胞数等が挙げられる。
細胞の未分化率とは、培養細胞の数に対する未分化細胞の数の割合のことである。細胞の分化率とは、培養細胞の数に対する分化細胞の数の割合のことである。細胞の分化能とは、培養細胞が目的細胞へ分化する能力のことである。細胞の増殖能とは、培養細胞が分裂する能力のことである。細胞数とは、培養細胞の総数である。
上述の情報処理装置において、前記第2取得部は、個別の細胞の細胞情報を入力した場合に該個別の細胞の品質情報を出力する第1学習モデルに、前記第1取得部により取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、出力される前記個別の細胞の前記品質情報を取得してもよい。
上記構成によれば、細胞の細胞情報に対する適切な細胞の品質情報の推定をコンピュータに実行させることができる。
上述の情報処理装置において、前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報に基づいて生成された前記個別の細胞の培養条件の調整情報を取得する第3取得部と、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する第2出力部と、前記調整情報に基づいて、前記管型バイオリアクターの前記第一位置より下流に位置する第二位置で、前記個別の細胞の培養条件を調整する調整部とを備えてもよい。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
培養条件の調整情報とは、細胞の品質情報に基づいて細胞及び培地の少なくとも一方に対して行う調整に関する情報である。例えば、細胞、細胞凝集塊及び/又は組織の排出命令、培地の排出命令、培地中の溶存酸素濃度の調整命令、培地の温度調整命令、培地のpH調整命令、培地の添加命令、並びに試薬の添加命令等が挙げられる。
細胞の品質情報が所定の品質を満たさない場合には、例えば品質を満たすのに必要な培地、ガス、及び試薬の少なくとも何れか1つを添加する調整を行う。ガスの内容は限定されないが、例えば酸素、窒素、二酸化炭素及びアルゴンである。試薬の内容は限定されないが、例えば分化抑制剤、分化促進剤、タンパク質、アミノ酸、グルコース、及びアルカリ剤等である。また、培地中に分泌される細胞からの老廃物が多いと推定される場合には、培地の排出を行う。さらに、細胞、細胞凝集塊、及び/又は組織の排出を行ってもよい。
管型バイオリアクターの第一位置と第二位置との距離は、管型バイオリアクター内の第一位置において細胞の細胞情報を取得した後、適切な時間内に第二位置において細胞の培養条件の調整を行うことが可能である距離であり、例えば30μm以上、100m以下である。
上述の情報処理装置において、前記第3取得部は、個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する第2学習モデルに、前記第1取得部により取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記第2取得部により取得した前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、出力される前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を取得してもよい。
上記構成によれば、細胞情報又は品質情報に基づく適切な調整情報の推定をコンピュータに実行させることができる。
上述の情報処理装置において、前記個別の細胞に対して、前記調整部における処理がなされたのち、前記管型バイオリアクター内を循環した前記個別の細胞の前記細胞情報を、再度前記第1取得部において取得するように構成されてもよい。
上記構成によれば、細胞情報の取得及び培養条件の調整を繰り返し行うことができる。
上述の情報処理装置において、前記細胞情報、前記品質情報、及び前記調整情報から選択される少なくとも1種の情報を表示する表示部を備えてもよい。
上記構成によれば、ユーザは情報を表示部にて認識することができる。
上述の情報処理装置において、前記調整情報は、細胞の排出命令、細胞凝集塊の排出命令、組織の排出命令、培地中の溶存酸素濃度の調整命令、培地の温度調整命令、培地の添加命令、培地の排出命令、及び試薬の添加命令から選択される少なくとも1種の情報であってもよい。
上記構成によれば、好適な培養条件の調整情報を取得することができる。
上述の情報処理装置において、前記細胞情報は、対象となる培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度、細胞の形状、細胞凝集塊の形状、組織の形状、細胞凝集塊の内部構造、組織の内部構造、細胞のサイズ、細胞凝集塊のサイズ、及び組織のサイズから選択される少なくとも1種の情報であってもよい。
上記構成によれば、好適な細胞の品質情報又は培養条件の調整情報を取得することができる。
上述の情報処理装置において、前記品質情報は、細胞の未分化率、分化能、分化率、増殖能、及び細胞数から選択される少なくとも1種の情報であってもよい。
上記構成によれば、好適な培養条件の調整情報を取得することができる。
本実施の形態に係る細胞培養システムは、個別の細胞が通流する通流管を有する管型バイオリアクターと、前記個別の細胞の細胞情報を検知するセンサと、前記情報処理装置とを備える。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
本実施の形態に係る情報処理方法は、管型バイオリアクター内の第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、個別の細胞の細胞情報を入力した場合に該個別の細胞の品質情報を出力する学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、前記個別の細胞の前記品質情報を出力する。
上記構成によれば、細胞情報に対する適切な品質情報の推定をコンピュータに実行させることができる。
本実施の形態に係る情報処理方法は、個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に該個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する。
上記構成によれば、細胞情報又は品質情報に基づく適切な調整情報の推定をコンピュータに実行させることができる。
本実施の形態に係る情報処理方法は、管型バイオリアクター内の第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、個別の細胞の細胞情報を入力した場合に該個別の細胞の品質情報を出力する第1学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、前記個別の細胞の前記品質情報を出力し、個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に該個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する第2学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力し、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報に応じて、前記管型バイオリアクターの前記第一位置より下流に位置する第二位置で、前記個別の細胞の培養条件を調整する。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
本実施の形態に係る情報処理方法は、管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、前記個別の細胞の前記細胞情報に応じた前記個別の細胞の品質情報を取得し、取得した前記個別の細胞の前記品質情報を出力する。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
本実施の形態に係る情報処理方法は、前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報に応じた前記個別の細胞の培養条件の調整情報を取得し、取得した前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、前記個別の細胞の前記細胞情報に応じた前記個別の細胞の品質情報を取得し、前記個別の細胞の前記品質情報を出力する処理を実行させる。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
上述のコンピュータプログラムにおいて、前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報に応じた前記個別の細胞の培養条件の調整情報を取得し、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する処理を実行させてもよい。
上記構成によれば、個別の細胞の状態に応じて、好適に培養条件を調整することができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における細胞培養システム100の概要を示す説明図である。細胞培養システム100は、管型バイオリアクター1、該管型バイオリアクター1に配されたセンサ2、及び情報処理装置3を含む。細胞培養システム100では、管型バイオリアクター1で培養中の細胞情報がセンサ2で定期的に検知され、情報処理装置3により検知結果に基づく培養条件の調整情報が取得される。管型バイオリアクター1内の細胞は、取得した調整情報に基づき調整された培養条件の下で培養される。
管型バイオリアクター1は、制御装置10、細胞(細胞凝集塊及び組織を含む)及び培地を含む細胞懸濁液が通流する通流管13、前記細胞懸濁液を貯留するリザーバー14、前記細胞懸濁液を運ぶポンプ15を有する。制御装置は管型バイオリアクター1の各部の制御を行う。通流管13は、例えば内径30μm〜1cm、全長1cm〜10kmの小径の管であり、細胞非接着性の材料(例えばガラス、PDMS、ポリスチレン等)製である。通流管13はじぐざぐ状を有し、ポンプ15の吸込側と吐出側に接続されている。リザーバー14内の前記細胞懸濁液は、ポンプ15の動作により通流管13へ供給され、該通流管13内に満たされる。通流管13内の前記細胞懸濁液は、ポンプ15の動作により通流管13内を循環し、前記細胞懸濁液中の細胞はこの循環の間に培養される。
ポンプ15の種類は限定されるものではないが、例えば、渦巻ポンプ、タービンポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプ、カスケードポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ウイングポンプ、ギヤーポンプ、偏心ポンプ、ネジポンプ等を用いてよい。
ポンプ15の動作による、通流管13内の細胞懸濁液の通流速度は、細胞の培養に適した速度であれば特に限定されるものではなく、例えば1μL/分〜1L/分である。通流する細胞の移動速度は、同様に細胞の培養に適した速度であれば特に限定されるものではなく、例えば1μm/分〜10m/分である。通流管13の全長、細胞懸濁液の通流速度、及び細胞の移動速度は、通流管13内を細胞が少なくとも1日に1周は循環し、1日に1回程度は個別の細胞の培養条件を調整可能であるように構成されることが望ましい。
ポンプ15の吐出側寄りに位置する、通流管13の第一位置11には、センサ2が配されている。通流管13の第一位置11よりも下流で、ポンプ15の吸込側寄り位置する第二位置12には、注入部16及び排出部17が設けられている。注入部16は、ポンプ163を介して複数の貯留タンク161と接続されている。貯留タンク161には、試薬、ガス、及び培地等が貯留されており、各貯留タンク161の出側には、注入弁162が設けられている。各注入弁162は、後述の調整情報に基づき開閉される。各注入弁162が開かれポンプ163が動作すると、貯留タンク161に貯留されている試薬又は培地が、注入部16を介して通流管13へ注入される。排出部17には、排出弁172が設けられている。排出弁172は、後述の調整情報に基づき開閉される。排出弁172が開かれると、排出部17を介して通流管13から培地及び細胞が排出される。
センサ2は、細胞の細胞情報を検知する検知センサである。センサ2は、例えば、温度センサ、pHセンサ、溶存酸素センサ、バイオセンサ、撮像センサを含む。なお、センサ2は、上記のセンサに限定されるものではない。管型バイオリアクター1の細胞及び培地に関する情報を検知できるものであればよい。上記の全てのセンサを備えている必要はなく、何れか1つのセンサ又は複数のセンサを備えていてよい。他の一又は複数の任意のセンサを使用してもよい。
情報処理装置3は、管型バイオリアクター1の管理者が管理するサーバコンピュータである。管型バイオリアクター1、センサ2、情報処理装置3は例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して通信接続されており、センサ2の検知結果及び後述の調整情報の送受信を行う。
図2は実施の形態1における細胞培養システム100の構成を示すブロック図である。
管型バイオリアクター1の制御装置10は、制御部101、通信部102、注入弁制御部103、排出弁制御部104、及び記憶部106を備える。制御部101は、CPU(Central Processing Unit )又はGPU(Graphical Processing Unit )、内蔵するROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)のメモリ、クロック等を含む。制御部101は、記憶部106に記憶されているプログラムPを読み出して実行することにより、管型バイオリアクター1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
通信部102はネットワークNを介した通信を実現するインタフェースであり、制御部101は、通信部102によりネットワークNを介して情報処理装置3と通信接続が可能である。
注入弁制御部103及び排出弁制御部104は、ソレノイド等の弁制御部である。後述の調整情報に基づき制御部101により通電が制御され、夫々注入弁162及び排出弁172の開閉を行う。
記憶部106は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶領域であり、制御部101が処理を実行するために必要なプログラムP、その他のデータを記憶している。なおプログラムPは、記録媒体6に記憶されたプログラム6Pを読み出して記憶部106に複製されたものであってよい。また、通信部により外部から取得して記憶したものであってよい。
情報処理装置3は、制御部31、表示パネル32、入力部33、計時部34、通信部36、及び記憶部35を備える。制御部31は、一又は複数のCPU又はGPU、内蔵するROM又はRAMのメモリ、クロック等を含む。制御部31は、記憶部35に記憶されている制御プログラム35Pを読み出して実行することにより、情報処理装置3に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。
制御部31は、機能部として、第1取得部311、第2取得部312、第3取得部313、調整部314、第1出力部315、第2出力部316、表示部317を有する。制御部31の各機能部はプログラムモジュールであり、制御プログラム35Pを実行することにより以下の通り機能する。
第1取得部311は、後述する通信部36を介し、センサから細胞の細胞情報を取得する。第2取得部312は、取得した細胞情報に基づいて生成された細胞の品質情報を取得する。第3取得部313は、細胞の細胞情報又は品質情報に基づいて生成された培養条件の調整情報を取得する。調整部314は、調整情報に基づいて培養条件を調整する。第1出力部315は、取得した細胞の細胞情報を出力する。第2出力部316は、取得した培養条件の調整情報を出力する。表示部317は、取得した各種情報を後述の表示パネル32により表示させる。
表示パネル32は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置であり、制御部31から与えられた各種データ、画像を表示する。
入力部33は、物理ボタン、マウス、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス等の操作インタフェースであり、操作内容を制御部31に入力する。
計時部34は、検知結果を取得するタイミング、及び調整を行うタイミングを計時している。計時部34は、適時に信号を出力し、制御部31は必要に応じて処理を実行する。
通信部36はネットワークNを介した通信を実現するインタフェースである。制御部31は、通信部36によりネットワークNを介して管型バイオリアクター1及びセンサ2と通信接続が可能である。なお、通信部36は、例えば Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信用のアンテナを含む無線通信モジュールを用いて通信を行ってもよい。
記憶部35は、ハードディスク、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶領域であり、制御部31が処理を実行するために必要な制御プログラム35P、その他のデータを記憶している。なお制御プログラム35Pは、記録媒体4に記憶された制御プログラム45Pを読み出して記憶部35に複製されたものであってよい。また、図示しない通信部により外部から取得して記憶したものであってよい。
また記憶部35は、出力情報DB(Data Base :データベース)352、細胞識別情報DB353、細胞情報DB354、品質情報DB355、及び調整情報DB356を記憶している。なお、これらの各データベースは、図示しないデータベースサーバに記憶してもよい。
なお、情報処理装置3は、サーバコンピュータに代えて量子コンピュータを用いてよい。また情報処理装置3は、複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。また、記憶部35は情報処理装置3に接続された外部記憶装置であってよい。
出力情報DB352は、予め取得される細胞の細胞情報に応じた細胞の品質情報、及び細胞の品質情報に応じた培養条件の調整情報の出力情報を格納するデータベースである。図3は出力情報DB352の内容例を示す図である。出力情報DB352は、IDNo.列、細胞情報列、品質情報列、及び調整情報列を含む。細胞情報列は、IDNo.と対応付けて細胞情報を記憶している。図3の例では、細胞情報列は、培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度(アミノ酸、低分子化合物、又はタンパク質)、細胞、細胞塊及び/又は組織の形状、細胞塊及び/又は組織の内部構造、並びに細胞、細胞塊及び/又は組織のサイズを含む。品質情報列は、IDNo.と対応付けて当該IDNo.の細胞情報に応じた細胞の品質情報を記憶している。図3の例では、品質情報列は、細胞の未分化率、分化率、分化能、増殖能、及び細胞数を含む。調整情報列は、IDNo.と対応付けて当該IDNo.の細胞の品質情報に応じた培養条件の調整情報を記憶している。図3の例では、調整情報列は、試薬の添加命令、ガスの添加命令、培地の温度調整命令、培地の添加命令、培地の排出命令を含む。試薬、ガス、及び培地の添加命令は、それぞれの添加量の情報を含んで記憶されている。培地の温度調整命令は、調整温度の情報を含んで記憶されている。さらに調整情報列は、細胞、細胞塊及び組織の排出命令を含む。
図3の例では、IDNo.1の細胞情報として、培地温度36.4度、培地pH7.6、培地中の溶存酸素濃度3.0mol・m−3、培地中のアミノ酸濃度50μg/mL、低分子化合物濃度20μg/mL、タンパク質濃度30μg/mL、及び複数の撮像センサの画像情報、品質情報として、未分化率0.9、分化率0.1、分化能0.1、増殖能0.3、及び細胞数8、調整情報として、試薬A0.1μL添加、試薬B0μL添加(添加無し)、試薬C1.0μL添加、ガスA1%添加、ガスB及びガスC0%添加(添加無し)、培地温度0.1℃上昇、培地1mL添加、培地排出無し、及び細胞排出無しが記憶されている。なお、培地の排出命令には、培地の排出量の情報を含んで記憶されていてよい。なお、図3は一例であって、出力情報は図3の例に限定されるものではない。
細胞識別情報DB353は、細胞培養システム100で培養される細胞の識別情報を格納するデータベースである。細胞培養システム100においては、培養中の細胞は個別に識別され、前記識別情報に応じた品質情報、調整情報が取得される。制御部31は、細胞培養システム100で培養される細胞の識別情報を取得し、細胞識別情報DB353に記憶する。
図4は細胞識別情報DB353の内容例を示す図である。細胞識別情報DB353は、細胞ID列、導入日時列、培養時間列、第一位置列、第二位置列を含む。細胞ID列は、各細胞を識別するための細胞IDを記憶している。導入日時列は、細胞IDと対応付けて、各細胞が管型バイオリアクター1へ導入された日時の情報を記憶している。培養時間列は、細胞IDと対応付けて、各細胞の培養開始からの経過時間を記憶している。第一位置列及び第二位置列は、各細胞が管型バイオリアクター1の第一位置11又は第二位置12を通流する日時の情報を記憶している。それぞれの位置の通流日時は、例えば、細胞が管型バイオリアクター1へ導入される時間と、管型バイオリアクター1を通流する培養懸濁液の通流速度によって決定される。なお、図4は一例であって、細胞識別情報は図4の例に限定されるものではない。細胞の識別方法は限定されず、例えば、所定位置で通流する細胞数を検知しナンバリング情報を取得して識別してもよく、さらに第二位置の上流にセンサを配して細胞情報を取得して識別してもよい。
細胞情報DB354は、細胞の細胞情報を格納するデータベースである。図5は細胞情報DB354の内容例を示す図である。細胞情報DB354は、細胞ID列、細胞情報列を含む。細胞情報列は、細胞IDと対応付けて、各細胞の細胞情報を記憶している。制御部31は、細胞培養システム100で培養される細胞の細胞情報を取得し、細胞情報DB354に記憶する。
図5の例では、細胞情報列は、培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度(アミノ酸、低分子化合物、又はタンパク質)、細胞、細胞凝集塊及び/又は組織の形状、細胞凝集塊及び/又は組織の内部構造、並びに細胞、細胞凝集塊及び/又は組織のサイズを含む。なお、図5は一例であって、細胞情報は図5の例に限定されるものではない。
図5の例では、細胞ID0001001の細胞情報として、培地温度36.2度、培地pH7.6、培地中の溶存酸素濃度3.0mol・m−3、培地中のアミノ酸濃度50μg/mL、低分子化合物濃度20μg/mL、タンパク質濃度30μg/mLであり、さらに複数の撮像センサの画像情報が記憶されている。
品質情報DB355は、細胞の品質情報を格納するデータベースである。図6は品質情報DB355の内容例を示す図である。品質情報DB355は、細胞ID列、品質情報列を含む。品質情報列は、細胞IDと対応付けて各細胞の品質情報を記憶している。制御部31は、細胞培養システム100で培養される細胞の品質情報を取得し、品質情報DB355に記憶する。
図6の例では、品質情報列は、細胞の未分化率、分化率、分化能、増殖能、及び細胞数を含む。図6の例では、細胞ID0001001の品質情報として、未分化率0.9、分化率0.1、分化能0.1、増殖能0.3、及び細胞数8が記憶されている。なお、図6は一例であって、品質情報は図6の例に限定されるものではない。
調整情報DB356は、培養条件の調整情報を格納するデータベースである。図7は調整情報DB356の内容例を示す図である。調整情報DB356は、細胞ID列及び調整情報列を含む。調整情報列は、細胞IDと対応付けて培養条件の調整情報を記憶している。制御部31は、細胞培養システム100の培養条件の調整情報を取得し、調整情報DB356に記憶する。
図7の例では、調整情報列は、試薬の添加命令、ガスの添加命令、培地の温度調整命令、培地の添加命令、培地の排出命令を含む。試薬、ガス、及び培地の添加命令は、それぞれの添加量の情報を含んで記憶されている。培地の温度調整命令は、調整温度の情報を含んで記憶されている。さらに調整情報列は、細胞の排出命令を含む。なお、図7は一例であって、調整情報は図7の例に限定されるものではない。
図7の例では、細胞ID0001001の調整情報として、試薬A0.1μL添加、試薬B0μL添加(添加無し)、試薬C1.0μL添加、ガスA1%添加、ガスB及びガスC0%添加(添加無し)、培地温度0.1℃上昇、培地0mL添加(添加無し)、培地排出有り、及び細胞排出無しが記憶されている。なお、培地の排出命令には、培地の排出量の情報を含んで記憶されていてよい。これら培養条件の調整情報に基づいて、情報処理装置3の制御部31は管型バイオリアクター1の制御部101に調整指示を送る。管型バイオリアクター1の第二位置に設けられた注入部16及び排出部17を通して、個別の細胞に応じて必要物の注入、不要物の排出が行われる。
以下、情報処理装置3が実行する細胞培養システム100に関する処理について詳述する。図8は、実施の形態1に係る情報処理装置3が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。処理の実行タイミングは、例えば定期的なタイミングであってもよく、センサ2により細胞が検知されたタイミングであってもよい。
制御部31は、センサ2で検知される検知結果を取得し(ステップS31)、細胞の細胞情報を細胞情報DB354に記憶する(ステップS32)。センサ2の検知結果は、細胞IDと対応付け、細胞の細胞情報として細胞情報DB354に記憶される。制御部31は、細胞情報DB354を参照して細胞の細胞情報を表示する表示画面(図9参照)を作成し(ステップS33)、細胞の細胞情報を表示パネル32から出力させる(ステップS34)。
制御部31は、細胞情報DB354に記憶した細胞情報に基づいて、出力情報DB352を読み出す(ステップS35)。制御部31は、取得した細胞情報に含まれる項目を参照し、出力情報DB352における取得した細胞情報と一致率が高い列項目の情報を有するIDNo.の品質情報を取得する(ステップS36)。例えば、細胞の細胞情報が培地温度36.4度、培地pH7.6、培地中の溶存酸素濃度3.0mol・m−3、培地中のアミノ酸濃度50μg/mL、低分子化合物濃度20μg/mL、及びタンパク質濃度30μg/mLである場合、IDNo.1の列項目の内容と一致率が高いので、制御部31はIDNo.1の品質情報を特定する。制御部31は、細胞IDと対応付け、細胞の品質情報を品質情報DB355に記憶する(ステップS37)。制御部31は、品質情報DB355を参照して細胞の品質情報を表示する表示画面(図14参照)を作成し(ステップS38)、細胞の品質情報を表示パネル32から出力させる(ステップS39)。
制御部31は、品質情報DB355に記憶した品質情報に基づいて、出力情報DB352を読み出す(ステップS40)。制御部31は、取得した品質情報に含まれる項目を参照し、出力情報DB352における取得した品質情報と一致率が高い列項目の情報を有するIDNo.の調整情報を取得する(ステップS41)。例えば、細胞の品質情報が未分化率0.9、分化率0.1、分化能0.1、増殖能0.3、及び細胞数8である場合、IDNo.1の列項目の内容と一致率が高いので、制御部31はIDNo.1の調整情報を特定する。制御部31は、細胞IDと対応付け、培養条件の調整情報を調整情報DB356に記憶する(ステップS42)。制御部31は、調整情報DB356を参照して培養条件の調整情報を表示する表示画面(図15参照)を作成し(ステップS43)、培養条件の調整情報を表示パネル32から出力させる(ステップS44)。
制御部31は、取得した培養条件の調整情報に基づき、調整を指示し(ステップS45)、処理を終了する。具体的には、情報処理装置3の制御部31は、通信部36を介して調整情報を制御装置10に送信する。制御装置10の制御部101は、通信部102を介して取得した調整情報に基づき、注入弁制御部103及び排出弁制御部104の一方又は両方に開閉を指示する。開閉指示に従って、注入弁162及び排出弁172の一方又は両方が開閉され、例えば細胞の排出、培地の排出、培地の添加、並びに試薬の添加等が行われる。
通流管13の第二位置12で調整が行われたのち、細胞は通流管13内を循環通流し、再び第一位置11を通流する。このようにして、細胞は細胞情報、品質情報、及び調整情報を繰り返し取得され、長期に亘って培養が行われる。
管理者は、上記の処理で得られる細胞情報、品質情報、及び調整情報を表示パネル32にて認識することができる。図9から図11は表示パネル32に表示される表示画面321の一例を示す模式図である。表示画面321には、メニューとしての、細胞IDボタン322、細胞情報ボタン323、品質情報ボタン324、調整情報ボタン325が含まれる。管理者は入力部33を通して各ボタンを選択することができる。
図9は、詳細情報の表示画面321の一例を示す模式図である。図9は、表示画面321中の細胞IDボタン322及び細胞情報ボタン323を選択し、メニューボタン326で「pH」を選択した場合に表示される表示画面321の一例である。細胞情報ボタン323が選択された表示画面321には、表示すべき細胞情報をさらに選択するメニューボタン326が含まれる。メニューボタン326を選択すると、細胞IDごとの細胞情報の詳細が表示される。メニューボタン326には例えば、「培地温度」、「培地pH」、「培地中の物質濃度」、「培地中の溶存酸素濃度」、「細胞、細胞凝集塊、及び/又は組織の形状」、「細胞凝集塊及び/又は組織の内部組織」、及び「細胞、細胞凝集塊、及び/又は組織のサイズ」が含まれる。制御部31は、取得した細胞情報を記憶部35の細胞情報DB354に記憶し、記憶した情報を読み出して表示パネル32に表示する。細胞の細胞情報は、培養時間とともにリアルタイムでグラフに表示される。
図10は、詳細情報の表示画面321の一例を示す模式図である。図10は、表示画面321中の細胞IDボタン322及び品質情報ボタン324を選択し、メニューボタン327で「分化率」を選択した場合に表示される表示画面321の一例である。品質情報ボタン324が選択された表示画面321には、表示すべき品質情報をさらに選択するメニューボタン327が含まれる。メニューボタン327を選択すると、細胞IDごとの品質情報の詳細が表示される。メニューボタン327には例えば、「未分化率」、「分化率」、「分化能」、「増殖能」、及び「細胞数」が含まれる。制御部31は、取得した品質情報を記憶部35の品質情報DB355に記憶し、記憶した情報を読み出して表示パネル32に表示する。これらの品質情報は、品質目標の上限値、下限値を示す線とともにグラフに表示される。これにより管理者は現在の品質情報の値と目標値との差を素早く認識することができる。
図11は、詳細情報の表示画面321の一例を示す模式図である。図11は、表示画面321中の細胞IDボタン322及び調整情報ボタン325を選択した場合に表示される表示画面321の一例である。調整情報ボタン325を選択すると、細胞IDごとの調整情報の詳細が表示される。調整情報は、例えば、「細胞の排出命令」、「培地の排出命令」、「培地の添加命令」、「培地の温度調整命令」、「ガスの添加命令」及び「試薬の添加命令」が含まれる。制御部31は、取得した調整情報を記憶部35の調整情報DB356に記憶し、記憶した情報を読み出して表示パネル32に表示する。これらの調整情報は、培養時間と共に一覧表で表示され、管理者は調整内容のログを認識することができる。
本実施の形態では、管型バイオリアクター1は、管状のじぐざぐ形状であり、循環型である通流管13を有する構成としたが、通流管13の形状は一例であり限定されるものではない。なお循環型ではない管型バイオリアクターを用いる場合にあっては、管型バイオリアクターの通流管に、センサ、注入部、及び排出部を複数配し、定期的に検知と調整を行う構成とするとよい。
本実施の形態によれば、細胞培養システム100では、情報処理装置3を用いて管型バイオリアクター1で培養される細胞は個別に状態が管理され、個別の細胞に応じて好適な調整が行われる。従って、バイオリアクター内で一律に調整を行う場合に比べ、得られる個別の細胞の品質を高めることが可能となる。
また、細胞の品質情報や調整情報の特定を情報処理装置3が出力情報DBを用いて行うため、管型バイオリアクター1の管理者が行う作業を減らすことができる。また、技術者の経験や目視等で推定を行う場合に比べて、推定結果を一定に保つことができる。
さらに、細胞の品質情報や調整情報の特定を情報処理装置3が出力情報DBを用いて行うため、培養中の細胞を判定するために管型バイオリアクター1から取り出す必要がない。従って、長期に亘って細胞の循環培養を行うことが可能となる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、情報処理装置3は、細胞の品質情報及び培養条件の調整情報を推定する学習モデルを用いる。図12は、実施の形態2における細胞培養システム200の構成を示すブロック図である。実施の形態2における情報処理装置3は、記憶部35に出力情報DB352に代替して、品質情報推定モデル371、調整情報推定モデル372、及び教師データDB373が記憶されていること、細胞の品質情報及び培養条件の調整情報が、夫々品質情報推定モデル371及び調整情報推定モデル372によって推定されること以外は、実施の形態1と同様の構成である。実施の形態1と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図13は教師データDB373の内容例を示す図である。教師データDB373は、IDNo.列、細胞情報列、品質情報列、及び調整情報列を含む。細胞情報列は、IDNo.と対応付けて細胞情報を記憶している。図13の例では、細胞情報列は、培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度(アミノ酸、低分子化合物、又はタンパク質)、細胞、細胞塊及び組織の形状、細胞塊及び組織の内部構造、並びに細胞、細胞塊及び組織のサイズを含む。品質情報列は、IDNo.と対応付けて当該IDNo.の細胞情報に応じた細胞の品質情報を記憶している。図13の例では、品質情報列は、細胞の未分化率、分化率、分化能、増殖能、及び細胞数を含む。調整情報列は、IDNo.と対応付けて当該IDNo.の細胞の品質情報に応じた培養条件の調整情報を記憶している。図13の例では、調整情報列は、試薬の添加命令、ガスの添加命令、培地の温度調整命令、培地の添加命令、培地の排出命令を含む。試薬、ガス、及び培地の添加命令は、それぞれの添加量の情報を含んで記憶されている。培地の温度調整命令は、調整温度の情報を含んで記憶されている。さらに調整情報列は、細胞の排出命令を含む。
図13の例では、IDNo.1の細胞情報として、培地温度36.4度、培地pH7.6、溶存酸素濃度3.0mol・m−3、培地中のアミノ酸濃度50μg/mL、低分子化合物濃度20μg/mL、タンパク質濃度30μg/mL、及び複数の撮像センサの画像情報、品質情報として、未分化率0.9、分化率0.1、分化能0.1、増殖能0.3、及び細胞数8、調整情報として、試薬A0.1μL添加、試薬B0μL添加(添加無し)、試薬C1.0μL添加、ガスA1%添加、ガスB及びガスC0%添加(添加無し)、培地温度0.1℃上昇、培地1mL添加、培地排出無し、及び細胞排出無しが記憶されている。なお、培地の排出命令には、培地の排出量の情報を含んで記憶されていてよい。なお、図13は一例であって、教師データは図13の例に限定されるものではない。
図14は、品質情報の学習処理に関する説明図である。図14では、機械学習を行って品質情報推定モデル371を生成する処理を概念的に図示している。制御部31は、図13に示したデータベース中の過去に大量に収集した教師データに基づき、学習モデルを生成する。図14に基づき、品質情報推定モデル371の生成処理について説明する。
制御部31は、品質情報推定モデル371として、個別の細胞の細胞情報に応じた個別の細胞の品質情報を学習する機械学習を行うことで、個別の細胞の細胞情報を入力とし、該個別の細胞の品質情報を出力とする深層学習を含む機械学習の学習モデルを生成する。学習モデルは、例えばニューラルネットワークであり、CNN(Convolution Neural Network)である。個別の細胞の細胞情報の入力を受け付ける入力層と、個別の細胞の品質情報を出力する出力層と、個別の細胞の品質情報の特徴量を抽出する中間層とを備える。図14では、細胞の細胞情報として細胞のサイズを入力とし、細胞の品質情報として細胞の増殖能を出力とする品質情報推定モデル371の例を説明する。
入力層は、細胞のサイズの撮影画像に含まれる各画素の画素値の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力された画素値を中間層に受け渡す。中間層は、撮影画像の画像特徴量を抽出する複数のニューロンを有し、各種パラメータを用いて抽出された画像特徴量を出力層に受け渡す。図14においては、中間層の層数は3つとされているが、中間層の数は一例であり限定されない。例えば品質情報推定モデル371がCNNである場合、中間層は、入力層から入力された各画素の画素値を畳み込むコンボリューション層と、コンボリューション層で畳み込んだ画素値をマッピングするプーリング層とが交互に連結された構成を有し、対象物の画像領域の画素情報を圧縮しながら最終的に画像特徴量を抽出する。
出力層は、細胞の増殖能を示す推定結果を出力する複数のニューロンを有する。各ニューロンは、例えば、細胞の増殖能が0%、10%、…、100%のように区分することができる。出力層からの出力値は、各区分に分類される細胞の増殖能の確率と解釈することができる。例えば、細胞の増殖能が0%、10%、…、100%の各ニューロンのうち、確率が最も高いニューロン、あるいは確率が閾値以上であるニューロンの細胞の増殖能を品質情報推定モデル371の出力値とすることができる。なお、出力層を構成するニューロンの数、及び各ニューロンに割り当てる細胞の増殖能の割合は、図14の例に限定されるものではなく、適宜設計することが可能である。例えば5%間隔で出力してもよく、10〜50%の範囲を出力するようにしてもよい。
制御部31は、複数の細胞の細胞情報と、各細胞の細胞情報における細胞の品質情報とが対応付けられた教師データを用いて、中間層における各種パラメータの学習を行う。例えば図14に示すように、教師データは、細胞のサイズの撮影画像に対し、細胞の増殖能がラベル付けされたデータである。教師データDB373に蓄積されるデータを用いて、制御部31は学習を行う。
制御部31は、教師データである細胞のサイズの撮影画像を入力層に入力し、中間層での演算処理を経て、出力層から細胞の増殖能を示す推定結果を取得する。制御部31は、出力層から出力された推定結果を、教師データにおいて撮影画像に対しラベル付けされた細胞の増殖能を示す情報、すなわち正解値と比較し、出力層からの出力値が正解値に近づくように、中間層での演算処理に用いる各種パラメータを最適化する。当該パラメータは、例えばニューロン間の重み、バイアス等である。各種パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えば制御部31は誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。
制御部31は、制御プログラム35Pに基づいて以下に示す品質情報推定モデル371の生成処理を実行する。図15は、品質情報の学習処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御部31は、教師データDB373を参照し、複数の細胞の細胞情報と、細胞の品質情報とを対応付けた教師データを取得する(ステップS11)。教師データである細胞の品質情報は、公知の方法を用いて測定されるとよい。制御部31は教師データを用いて、細胞の細胞情報を入力した場合に細胞の品質情報を出力する品質情報推定モデル371を生成する(ステップS12)。
具体的には、制御部31は、教師データである細胞の細胞情報(図14では細胞のサイズ)をニューラルネットワークの入力層に入力し、細胞の品質情報(図14では細胞の増殖能)を出力層から取得する。制御部31は、取得した推定結果を教師データの正解値(細胞の細胞情報に対してラベル付けられた細胞の品質情報)と比較し、出力層から出力される推定結果が正解値に近づくよう、中間層での演算処理に用いる各種パラメータ(重み、バイアス等)を最適化する。制御部31は、生成した品質情報推定モデル371を記憶部35に格納し、一連の処理を終了する。
制御部31は、品質情報の推定結果の信頼度が向上するように、品質情報推定モデル371が出力した品質情報と、その実測値とに基づいて、品質情報推定モデル371を再学習させることができる。
図14では、品質情報推定モデル371の入力層に細胞のサイズが入力される例を説明したが、入力層に入力される細胞の細胞情報は、細胞のサイズに限定されない。例えば、培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度、細胞の形状、細胞凝集塊の形状、組織の形状、細胞凝集塊の内部構造、組織の内部構造、細胞のサイズ、細胞凝集塊のサイズ、及び組織のサイズを入力としてよい。入力される細胞情報は1種類に限られず、複数の情報を組み合わせて入力されてよい。また、出力層から出力される細胞の品質情報も、細胞の増殖能に限られない。例えば、細胞の未分化率、分化率、分化能、及び細胞数を出力する品質情報推定モデル371が構築されてよい。また、1つのニューラルネットワークを用いて、細胞の未分化率、分化率、分化能、増殖能、及び細胞数から複数の品質情報を出力する構成であってよい。
例えば、品質情報推定モデル371は、入力層に細胞の形状及び培地のpHを入力とし、細胞の未分化率及び増殖能を出力とする学習モデルであってよい。なおこの場合においては、培地のpHの情報はベクトル化して入力層に入力され、細胞の形状の画像情報は図示しない畳み込み層、コンボリューション層を介して入力層に入力される。
培養細胞の品質は、様々な細胞情報に影響される。例えば、培地のpHが低い場合には細胞の増殖能は高い。分化細胞特有の分泌物が高い場合には分化率は高い。細胞凝集塊のサイズが大きい場合や、細胞数が多い場合には増殖能は高い。これらの知見に沿った品質情報推定モデル371が生成される。
なお、本実施の形態では品質情報推定モデル371がCNNであるものとして説明したが、品質情報推定モデル371はCNNに限定されるものではない。時系列データを取得した場合にはCNN以外のニューラルネットワーク、例えばリカレントニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short Term Memory)ネットワークを用いてもよい。またニューラルネットワークを用いない強化学習モデル、サポートベクタマシン、回帰木等、他の学習アルゴリズムで構築された学習モデルであってよい。
図16は、調整情報の学習処理に関する説明図である。図16では、機械学習を行って調整情報推定モデル372を生成する処理を概念的に図示している。制御部31は、図6及び図7に示したデータベース中の過去に大量に収集した教師データに基づき、学習モデルを生成する。図16に基づき、調整情報推定モデル372の生成処理について説明する。
制御部31は、調整情報推定モデル372として、個別の細胞の品質情報に応じた個別の細胞の培養条件の調整情報を学習することで、個別の細胞の品質情報を入力とし、該個別の細胞の培養条件の調整情報を出力とする深層学習を含む機械学習の学習モデルを生成する。学習モデルは、例えばニューラルネットワークであり、個別の細胞の品質情報の入力を受け付ける入力層と、個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する出力層と、個別の細胞の培養条件の調整情報を抽出する中間層とを備える。図16では、細胞の品質情報として細胞の増殖能、分化率、及び細胞数を入力とし、培養条件の調整情報として培地の排出命令の有無を示す情報を出力とする調整情報推定モデル372の例を説明する。
入力層は、細胞の増殖能、分化率、及び細胞数の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力されたデータを中間層に受け渡す。細胞の品質情報は、ベクトル化して入力層の各ニューロンに入力することができる。なお品質情報が画像情報である場合は、画像の情報は図示しない畳み込み層、コンボリューション層を介して入力層に入力される。
中間層は、排出命令の有無を出力する複数のニューロンを有し、各種パラメータを用いて算出された排出命令の有無を出力層に受け渡す。図16においては、中間層の層数は3つとされているが、中間層の数は一例であり限定されない。
出力層は、排出命令の有無を示す推定結果を出力する二つのニューロンを有する。一方のニューロンは排出命令有りの確率値を出力とし、他方のニューロンは排出命令無しの確率値を出力とする。
制御部31は、複数の細胞の品質情報と、各細胞の品質情報における培養条件の調整情報とが対応付けられた教師データを用いて、中間層における各種パラメータの学習を行う。例えば図16に示すように、教師データは、細胞の増殖能、分化率、及び細胞数に対し、培地の排出命令の有無を示す情報がラベル付けされたデータである。教師データDB373に蓄積されるデータを用いて、制御部31は学習を行う。
制御部31は、教師データである細胞の増殖能、分化率、及び細胞数を入力層に入力し、中間層での演算処理を経て、出力層から排出命令の有無を示す推定結果を取得する。制御部31は、出力層から出力された推定結果を、教師データにおいて細胞の増殖能、分化率、及び細胞数に対しラベル付けされた排出命令の有無を示す情報、すなわち正解値と比較し、出力層からの出力値が正解値に近づくように、中間層での演算処理に用いる各種パラメータを最適化する。当該パラメータは、例えばニューロン間の重み、バイアス等である。各種パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えば制御部31は誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。
制御部31は、制御プログラム35Pに基づいて以下に示す調整情報推定モデル372の生成処理を実行する。図17は、調整情報の学習処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御部31は、教師データDB373を参照し、複数の細胞の品質情報と、培養条件の調整情報とを対応付けた教師データを取得する(ステップS21)。制御部31は教師データを用いて、細胞の品質情報を入力した場合に培養条件の調整情報を出力する調整情報推定モデルを生成する(ステップS22)。
具体的には、制御部31は、教師データである細胞の品質情報(図16では細胞の増殖能、分化率、及び細胞数)をニューラルネットワークの入力層に入力し、培養条件の調整情報(図16では排出命令の有無)を出力層から取得する。制御部31は、取得した推定結果を教師データの正解値(細胞の品質情報に対してラベル付けられた培養条件の調整情報)と比較し、出力層から出力される推定結果が正解値に近づくよう、中間層での演算処理に用いる各種パラメータ(重み、バイアス等)を最適化する。制御部31は、生成した調整情報推定モデル372を記憶部35に格納し、一連の処理を終了する。
制御部31は、調整情報の推定結果の信頼度が向上するように、調整情報推定モデル372が出力した調整情報と、その実測値とに基づいて、調整情報推定モデル372を再学習させることができる。
図16では、調整情報推定モデル372の入力層に細胞の増殖能、分化率、及び細胞数が入力される例を説明したが、細胞の品質情報を示す他の情報が入力層に入力される構成であってよい。例えば、細胞の未分化率、分化率、分化能、及び細胞数を入力としてよい。入力される品質情報は1種類に限られず、複数の情報を組み合わせて入力されてよい。また、出力層から出力される培養条件の調整情報も、培地の排出命令に限られない。例えば、細胞の排出命令、細胞凝集塊の排出命令、組織の排出命令、培地の添加命令、培地の温度調整命令、ガスの添加命令、及び試薬の添加命令を出力する調整情報推定モデル372が構築されてよい。また、1つのニューラルネットワークを用いて、培地の排出命令、細胞の排出命令、細胞凝集塊の排出命令、組織の排出命令、培地の添加命令、培地の温度調整命令、ガスの添加命令、及び試薬の添加命令から複数の調整情報を出力する構成であってよい。
なお、本実施の形態ではニューラルネットワークを用いた調整情報推定モデル372を説明したが、調整情報推定モデル372はニューラルネットワークに限定されるものではなく、ニューラルネットワークを用いない強化学習モデル、サポートベクタマシン、回帰木等、その他の公知の機械学習モデルを利用してよい。なお、ニューラルネットワークを用いる場合において、時系列データを取得したときは、RNN、LSTMネットワークを用いてもよい。
上述のようにして、予め生成される品質情報推定モデル371及び調整情報推定モデル372を用いて、情報処理装置3は細胞培養システム200に関する処理を実行する。図18は、実施の形態2に係る情報処理装置3が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図8と同一の手順については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。処理の実行タイミングは、例えば定期的なタイミングであってもよく、センサ2により細胞が検知されたタイミングであってもよい。
制御部31は、センサ2で検知される検知結果を取得し(ステップS31)、細胞の細胞情報を細胞情報DB354に記憶する(ステップS32)。センサ2の検知結果は、細胞IDと対応付け、細胞の細胞情報として細胞情報DB354に記憶される。制御部31は、細胞情報DB354を参照して細胞の細胞情報を表示する表示画面を作成し(ステップS33)、細胞の細胞情報を表示パネル32から出力させる(ステップS34)。
制御部31は、取得した細胞の細胞情報を品質情報推定モデル371の入力層に入力する(ステップS70)。制御部31は、品質情報推定モデル371の出力層から出力される確率、及び閾値に基づき、細胞の品質情報を取得する(ステップS71)。制御部31はステップS71において例えば、細胞の増殖能の推定結果を出力情報として特定する。制御部31は、細胞IDと対応付け、細胞の品質情報を品質情報DB355に記憶する(ステップS37)。制御部31は、品質情報DB355を参照して細胞の品質情報を表示する表示画面を作成し(ステップS38)、細胞の品質情報を表示パネル32から出力させる(ステップS39)。
制御部31は、取得した細胞の品質情報を調整情報推定モデル372の入力層に入力する(ステップS72)。制御部31は、調整情報推定モデル372の出力層から出力される確率、及び閾値に基づき、培養条件の調整情報を取得する(ステップS73)。制御部31はステップS73において例えば、培地の排出命令の判定結果を出力情報として特定する。制御部31は、細胞IDと対応付け、培養条件の調整情報を調整情報DB356に記憶する(ステップS42)。制御部31は、調整情報DB356を参照して培養条件の調整情報を表示する表示画面を作成し(ステップS43)、培養条件の調整情報を表示パネル32から出力させる(ステップS44)。
制御部31は、取得した培養条件の調整情報に基づき、調整を指示し(ステップS45)、処理を終了する。
実施の形態2によれば細胞の品質情報や調整情報の推定を学習モデルが行うため、管型バイオリアクター1の管理者が行う作業を減らすことができる。また、技術者の経験や目視等で推定を行う場合に比べて、推定結果を一定に保つことができる。
さらに、細胞の品質情報や調整情報の推定を学習モデルが行うため、培養中の細胞を判定するために管型バイオリアクター1から取り出す必要がない。従って、長期に亘って細胞の循環培養を行うことが可能となる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、情報処理装置3は、細胞の細胞情報から培養条件の調整情報を推定する学習モデルを用いる。図19は、実施の形態3における細胞培養システム300の構成を示すブロック図である。実施の形態3における情報処理装置3には、記憶部35に調整情報推定モデル375が記憶されていること、教師データDB376に記憶される内容が異なること、培養条件の調整情報が調整情報推定モデル375によって推定されること以外は、実施の形態1及び実施の形態2と同様の構成である。実施の形態1及び実施の形態2と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図20は教師データDB376の内容例を示す図である。教師データDB376は、IDNo.列、細胞情報列、及び調整情報列を含む。細胞情報列は、IDNo.と対応付けて細胞情報を記憶している。図20の例では、細胞情報列は、培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度(アミノ酸、低分子化合物、又はタンパク質)、細胞、細胞塊及び/又は組織の形状、細胞塊及び/又は組織の内部構造、並びに細胞、細胞塊及び/又は組織のサイズを含む。調整情報列は、IDNo.と対応付けて当該IDNo.の細胞の品質情報に応じた培養条件の調整情報を記憶している。図20の例では、調整情報列は、試薬の添加命令、ガスの添加命令、培地の温度調整命令、培地の添加命令、培地の排出命令を含む。試薬、ガス、及び培地の添加命令は、それぞれの添加量の情報を含んで記憶されている。培地の温度調整命令は、調整温度の情報を含んで記憶されている。さらに調整情報列は、細胞の排出命令を含む。
図20の例では、IDNo.1の細胞情報として、培地温度36.4度、培地pH7.6、溶存酸素濃度3.0mol・m−3、培地中のアミノ酸濃度50μg/mL、低分子化合物濃度20μg/mL、タンパク質濃度30μg/mL、及び複数の撮像センサの画像情報、調整情報として、試薬A0.1μL添加、試薬B0μL添加(添加無し)、試薬C1.0μL添加、ガスA1%添加、ガスB及びガスC0%添加(添加無し)、培地温度0.1℃上昇、培地1mL添加、培地排出無し、及び細胞排出無しが記憶されている。なお、培地の排出命令には、培地の排出量の情報を含んで記憶されていてよい。なお、図20は一例であって、教師データは図20の例に限定されるものではない。
図21は、調整情報の学習処理に関する説明図である。制御部31は、調整情報推定モデル375として、個別の細胞の細胞情報に応じた個別の細胞の培養条件の調整情報を学習することで、個別の細胞の細胞情報を入力とし、個別の細胞の培養条件の調整情報を出力とする深層学習を含む機械学習の学習モデルを生成する。学習モデルは、例えばニューラルネットワークであり、個別の細胞の細胞情報の入力を受け付ける入力層と、個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する出力層と、個別の細胞の培養条件の調整情報を抽出する中間層とを備える。図21では、一例として、細胞の細胞情報として培地の温度、培地のpH、及び培地中のアミノ酸濃度を入力とし、培養条件の調整情報として試薬(アルカリ剤)の添加命令を示す情報を出力とする例を説明する。
入力層は、培地の温度、培地のpH、及び培地中のアミノ酸濃度の入力を受け付ける複数のニューロンを有し、入力されたデータを中間層に受け渡す。培地の温度、培地のpH、及び培地中のアミノ酸濃度は、ベクトル化して入力層の各ニューロンに入力することができる。なお、入力層に入力される情報が画像情報である場合においては、画像の情報は、図示しない畳み込み層、コンボリューション層を介して入力層に入力される。中間層は、試薬の添加命令を示す情報を出力する複数のニューロンを有し、各種パラメータを用いて算出された試薬の添加命令を出力層に受け渡す。図21においては、中間層の層数は3つとされているが、中間層の数は一例であり限定されない。
出力層は、試薬の添加命令を示す推定結果を出力する複数のニューロンを有する。各ニューロンは、例えば、アルカリ剤0μL添加、0.1μL添加、0.2μL添加、…、0.9μL添加、のように区分することができる。出力層からの出力値は、各区分に分類されるアルカリ剤の添加命令の確率と解釈することができる。例えば、アルカリ剤の添加命令が0μL添加、0.1μL添加、…、0.9μL添加の各ニューロンのうち、確率が最も高いニューロン、あるいは確率が閾値以上であるニューロンのアルカリ剤の量の添加命令を調整情報推定モデル375の出力値とすることができる。なお、出力層を構成するニューロンの数、及び各ニューロンに割り当てるアルカリ剤の添加命令は、図21の例に限定されない。
制御部31は、複数の細胞の細胞情報と、各細胞の細胞情報における培養条件の調整情報とが対応付けられた教師データを用いて、中間層における各種パラメータの学習を行う。例えば図21に示すように、教師データは、培地の温度、培地のpH、及び培地中のアミノ酸濃度に対し、試薬(アルカリ剤)の添加命令を示す情報がラベル付けされたデータである。教師データDB376に蓄積されるデータを用いて、制御部31は学習を行う。
図21では、調整情報推定モデル375の入力層に培地の温度、培地のpH、及び培地中のアミノ酸濃度が入力される例を説明したが、細胞の細胞情報を示す他の情報が入力層に入力される構成であってよい。例えば、培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度、細胞の形状、細胞凝集塊の形状、組織の形状、細胞凝集塊の内部構造、組織の内部構造、細胞のサイズ、細胞凝集塊のサイズ、及び組織のサイズを入力としてよい。入力される細胞情報は1種類に限られず、複数の情報を組み合わせて入力されてよい。また、出力層から出力される培養条件の調整情報も、試薬の添加命令に限られない。例えば、培地の排出命令、細胞の排出命令、細胞凝集塊の排出命令、組織の排出命令、培地の温度調整命令、ガスの添加命令、及び培地の添加命令を出力する調整情報推定モデル375が構築されてよい。また、1つのニューラルネットワークを用いて、培地の排出命令、細胞の排出命令、細胞凝集塊の排出命令、組織の排出命令、培地の添加命令、培地の温度調整命令、ガスの添加命令、及び試薬の添加命令から複数の調整情報を出力する構成であってよい。
制御部31は、制御プログラム35Pに基づいて以下に示す調整情報推定モデル375の生成処理を実行する。図22は、調整情報の学習処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。制御部31は、教師データDB376を参照し、複数の細胞の細胞情報と、培養条件の調整情報とを対応付けた教師データを取得する(ステップS51)。制御部31は教師データを用いて、細胞の細胞情報を入力した場合に培養条件の調整情報を出力する調整情報推定モデルを生成する(ステップS52)。
具体的には、制御部31は、教師データである細胞の細胞情報(図21では培地の温度、培地のpH、及び培地中のアミノ酸濃度)をニューラルネットワークの入力層に入力し、培養条件の調整情報(図21ではアルカリ剤の添加命令)を出力層から取得する。制御部31は、取得した推定結果を教師データの正解値(細胞の細胞情報に対してラベル付けられた培養条件の調整情報)と比較し、出力層から出力される推定結果が正解値に近づくよう、中間層での演算処理に用いる各種パラメータ(重み、バイアス等)を最適化する。各種パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えば誤差逆伝播法を用いる。制御部31は、生成した調整情報推定モデル375を記憶部35に格納し、一連の処理を終了する。
制御部31は、調整情報の推定結果の信頼度が向上するように、調整情報推定モデル375が出力した調整情報と、その実測値とに基づいて、調整情報推定モデル375を再学習させることができる。
なお、本実施の形態ではニューラルネットワークを用いた調整情報推定モデル375を説明したが、調整情報推定モデル375はニューラルネットワークに限定されるものではなく、ニューラルネットワークを用いない強化学習モデル、サポートベクタマシン、回帰木等、その他の公知の機械学習モデルを利用してよい。なお、ニューラルネットワークを用いる場合において、時系列データを取得したときは、RNN、LSTMネットワークを用いてもよい。
上記の調整情報推定モデル375を用いて、情報処理装置3は細胞培養システム300に関する処理を実行する。図23は実施の形態3に係る情報処理装置3が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図8と同一の手順については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。処理の実行タイミングは、例えば定期的なタイミングであってもよく、センサ2により細胞が検知されたタイミングであってもよい。
制御部31は、センサ2で検知される検知結果を取得し(ステップS31)、細胞の細胞情報を細胞情報DB354に記憶する(ステップS32)。制御部31は、細胞の細胞情報を表示する表示画面を作成し(ステップS33)、表示パネル32から出力させる(ステップS34)。
制御部31は、取得した細胞の細胞情報を調整情報推定モデル375の入力層に入力する(ステップS60)。制御部31は、調整情報推定モデル375の出力層から出力される確率、及び閾値に基づき、培養条件の調整情報を取得する(ステップS61)。制御部31はステップS61において例えば、出力層から出力される、アルカリ剤0μL添加の確率2%、0.1μL添加の確率80%、…、0.5μL添加の確率5%の出力値から、「アルカリ剤0.1μL添加」を出力情報として特定する。制御部31は、細胞IDと対応付け、培養条件の調整情報を調整情報DB356に記憶する(ステップS62)。制御部31は、調整情報DB356を参照して培養条件の調整情報を表示する表示画面を作成し(ステップS63)、表示パネル32から出力させる(ステップS64)。制御部31は、取得した培養条件の調整情報に基づき調整を指示し(ステップS45)、処理を終了する。
(実施の形態4)
実施の形態4においては、情報処理装置3に代替して、情報処理装置3と通信接続が可能なサーバ装置にて品質情報推定モデル521及び調整情報推定モデル522を作成し、調整情報を出力する処理を実行する。図24は、実施の形態4における細胞培養システム400の構成を示すブロック図である。細胞培養システム400は、管型バイオリアクター1、該管型バイオリアクター1に配されたセンサ2、情報処理装置3、及びサーバ装置5を含む。実施の形態1から実施の形態3と同様な構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
実施の形態4では、情報処理装置3は、制御部31、表示パネル32、入力部33、計時部34、記憶部35、及び通信部36を備える。該通信部36によりサーバ装置5と、ネットワークNを介して通信接続が可能である。実施の形態4におけるネットワークNは、所謂インターネット等である公衆網N1と、LAN等であるネットワークN2とを含む。公衆網N1は、無線通信を実現する通信キャリアが提供するネットワークを含んでもよい。
制御部31は、一又は複数のCPU又はGPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM又はRAM等のメモリを用い、情報処理装置3に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。制御部31は、実施の形態1における情報処理装置3の制御部31が行なった学習処理を実行しない。制御部31は、取得した細胞の細胞情報及び細胞の品質情報を、通信部36を介してサーバ装置5へ送信する。制御部31は、サーバ装置5が出力する細胞の品質情報及び培養条件の調整情報を、通信部36を介して取得する。
サーバ装置5は、サーバコンピュータを用い、制御部51、記憶部52及び通信部53を備える。制御部51は、一又は複数のCPU又はGPUを用いたプロセッサであり、内蔵する揮発性メモリ、クロック等を含む。制御部51は、記憶部52に記憶されているサーバプログラム52Pを読み出して実行することにより、学習モデルの生成処理、サーバ装置5に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。なお、サーバ装置5は、複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってよい。
記憶部52は、ハードディスクを用いて、制御部51が処理を実行するために必要なサーバプログラム52P、品質情報推定モデル521、調整情報推定モデル522、教師データDB523、及びその他のデータを記憶している。なおサーバプログラム52Pは、通信部53により外部から取得して記憶したものであってよい。
通信部53は、ネットワークカード等の通信モジュールである。制御部51は通信部53により、ネットワークNを介した情報処理装置3との間の情報の送受信が可能である。
このように品質情報推定モデル521及び調整情報推定モデル522がサーバ装置5に記憶されている。細胞の品質情報推定処理及び調整情報推定処理はサーバ装置5によってサーバプログラム52Pに基づいて実行される。情報処理装置3は、品質情報推定モデル371及び調整情報推定モデル372の生成及び利用等といった演算負荷の重い処理を行なうことなしに、情報を得て細胞の品質情報及び調整情報の推定を行なう。サーバ装置5の潤沢なハードウェア資源を利用して学習モデルを利用することが可能である。なお、サーバ装置5が記憶する学習モデルの数は図24の例に限定されない。調整情報推定モデル522のみであってもよく、あるいはその他複数の学習モデルが記憶されていてよい。さらに、サーバ装置5は学習モデルに変えデータベースを記憶し、統計学的処理により品質情報及び調整情報の特定を行ってもよい。
サーバ装置5は、管型バイオリアクター1の管理者とは異なる事業者、例えば、細胞培養プロトコルを提供するサービス事業者が管理してもよい。サービス事業者は、サーバ装置5に蓄積される細胞の細胞情報、品質情報、及び調整情報等の細胞培養に関する様々な情報を利用し、例えば、細胞の培養方法又は細胞株に応じた分化誘導方法などの培養プロトコルを、クライアントに提供するサービスなどを展開することができる。
なお、上述のように開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
1 管型バイオリアクター
11 第一位置
12 第二位置
13 通流管
2 センサ
3 情報処理装置
31 制御部(第1取得部、第2取得部、第3取得部、調整部、第1出力部、第2出力部、表示部)
32 表示パネル
35P 制御プログラム
352 出力情報DB
353 細胞識別情報DB
354 細胞情報DB
355 品質情報DB
356 調整情報DB
373,376,523 教師データDB
371,521 品質情報推定モデル(学習モデル)
372,375,522 調整情報推定モデル(学習モデル)
5 サーバ装置
51 制御部
52P サーバプログラム

Claims (15)

  1. 管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得する第1取得部と、
    前記個別の細胞の前記細胞情報に基づいて生成された前記個別の細胞の品質情報を取得する第2取得部と、
    前記個別の細胞の前記品質情報を出力する第1出力部と
    を備える情報処理装置。
  2. 前記第2取得部は、個別の細胞の細胞情報を入力した場合に前記個別の細胞の品質情報を出力する第1学習モデルに、前記第1取得部により取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、出力される前記個別の細胞の前記品質情報を取得する
    請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報に基づいて生成された前記個別の細胞の培養条件の調整情報を取得する第3取得部と、
    前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する第2出力部と、
    前記調整情報に基づいて、前記管型バイオリアクターの前記第一位置より下流に位置する第二位置で、前記個別の細胞の培養条件を調整する調整部と
    を備える請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記第3取得部は、個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する第2学習モデルに、前記第1取得部により取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記第2取得部により取得した前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、出力される前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を取得する
    請求項3に記載の情報処理装置。
  5. 前記個別の細胞に対して、前記調整部における処理がなされたのち、前記管型バイオリアクター内を循環した前記個別の細胞の前記細胞情報を、再度前記第1取得部において取得するように構成されている
    請求項3又は請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 前記細胞情報、前記品質情報、及び前記調整情報から選択される少なくとも1種の情報を表示する表示部
    を備える請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  7. 前記調整情報は、細胞の排出命令、細胞凝集塊の排出命令、組織の排出命令、培地中の溶存酸素濃度の調整命令、培地の温度調整命令、培地の添加命令、培地の排出命令、及び試薬の添加命令から選択される少なくとも1種の情報である
    請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  8. 前記細胞情報は、対象となる培地の温度、培地のpH、培地中の溶存酸素濃度、培地中の物質濃度、細胞の形状、細胞凝集塊の形状、組織の形状、細胞凝集塊の内部構造、組織の内部構造、細胞のサイズ、細胞凝集塊のサイズ、及び組織のサイズから選択される少なくとも1種の情報である
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  9. 前記品質情報は、細胞の未分化率、分化能、分化率、増殖能、及び細胞数から選択される少なくとも1種の情報である
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  10. 個別の細胞が通流する通流管を有する管型バイオリアクターと、
    前記個別の細胞の細胞情報を検知するセンサと、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の情報処理装置と
    を備える細胞培養システム。
  11. 管型バイオリアクター内の第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、
    個別の細胞の細胞情報を入力した場合に該個別の細胞の品質情報を出力する学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、前記個別の細胞の前記品質情報を出力する
    情報処理方法。
  12. 個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に該個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する
    情報処理方法。
  13. 管型バイオリアクター内の第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、
    個別の細胞の細胞情報を入力した場合に該個別の細胞の品質情報を出力する第1学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報を入力して、前記個別の細胞の前記品質情報を出力し、
    個別の細胞の細胞情報又は個別の細胞の品質情報を入力した場合に該個別の細胞の培養条件の調整情報を出力する第2学習モデルに、取得した前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報を入力して、前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力し、
    前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報に応じて、前記管型バイオリアクターの前記第一位置より下流に位置する第二位置で、前記個別の細胞の培養条件を調整する
    情報処理方法。
  14. コンピュータに、
    管型バイオリアクターの第一位置に配されたセンサから、前記管型バイオリアクター内を通流する個別の細胞の細胞情報を取得し、
    前記個別の細胞の前記細胞情報に応じた前記個別の細胞の品質情報を取得し、
    前記個別の細胞の前記品質情報を出力する
    処理を実行させるコンピュータプログラム。
  15. コンピュータに、
    前記個別の細胞の前記細胞情報又は前記個別の細胞の前記品質情報に応じた前記個別の細胞の培養条件の調整情報を取得し、
    前記個別の細胞の培養条件の前記調整情報を出力する
    処理を実行させる請求項14に記載のコンピュータプログラム。
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WO2024079840A1 (ja) * 2022-10-13 2024-04-18 株式会社日立製作所 培養装置の制御方法、および細胞培養を伴う培養装置の制御方法

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