JP2020535527A - ドライブラインデザイナ - Google Patents

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Abstract

ドライブラインをモデル化するためのコンピュータにより実施される方法。ドライブラインは複数の構成要素を含む。本方法は、a)ドライブラインのパラメトリック記述を受け取るステップと、b)パラメトリック記述からドライブラインのトライボロジーモデルを作成するステップと、c)トライボロジーモデルを使用して、ドライブラインの1つまたは複数の構成要素に対する1つまたは複数の牽引係数を計算するステップと、d)パラメトリック記述と1つまたは複数の牽引係数に基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、を含む。

Description

本発明は、コンピュータ支援エンジニアリング(CAE)を使用するドライブラインの設計に関し、特に、設計に対する潤滑剤の性能の影響に関する。
ドライブラインは、内燃機関、ギアボックス、トランスミッション、ドライブシャフト、等速ジョイント、ユニバーサルジョイント、アクスル、ディファレンシャル、電気機械、発電機、モータ、フライホイール、バッテリ、燃料タンク、スーパーキャパシタ、燃料電池、インバータ、コンバータ、クラッチ、ギア、ポンプ、シャフト、ハウジング、ピストン、ブレード、ベアリング、ロータ、ステータなどを含むことができる複数の構成要素で構成されたシステムを含む。ドライブラインの用途には、車両、タービン、船舶、航空機、ヘリコプタ、風力タービンが含まれ得る。
ドライブラインの主な機能は、機械的回転力を伝達することであり、電気機械的ドライブラインでは、パワーを電気的なものから機械的なものに、またはその逆に変換することでもある。これは、パワー損失を最小限に抑えて、可能な限り効率的に行う必要がある。
ドライブラインのこれらの重要な設計目標、疲労またはスカッフィングによるギアの故障の回避、疲労によるベアリングの故障の回避、ギアのうなりの最小化およびドライブラインの効率の最大化は、ドライブライン設計技術者が設計プロセス内で能力を最大限に発揮して達成しなければならないものである。
英国特許出願公開第2506532号明細書は、ドライブラインの主要なエンジニアリングパラメータが、フォーム、機能、動作条件、および特性を含む単一のパラメトリックモデルで定義される手法を開示している。これらは、設計の迅速な再定義を可能にするパラメトリック記述で定義され、多数の物理シミュレーションの結果に応じた迅速な設計−解析−再設計の反復を可能にする。
英国特許出願公開第2506532号明細書
本発明は、コンピュータにより実施される方法であり、技術者は、ドライブラインの性能を設計の変更を通じて予測、理解、改善することができるようにするため、シミュレーションを通じて、機械的または電気機械的ドライブライン内のギアボックス、モータ、およびパワーエレクトロニクスの3つのサブシステムのいずれかまたはすべての設計を理解することができる。本発明は、潤滑剤がどのようにベアリングスキッド、ギアメッシュパワー損失およびベアリング抗力などの物理的挙動の側面に影響を与えるかに焦点を当てている。
本発明は、潤滑剤の影響とそれがドライブライン性能の他の側面にどのように影響するかについての設計技術者の洞察を提供し、以前は不可能だった生産性で目的に適合するように設計を最適化し、確認することができるようにする。新製品の市場投入と、既存製品の問題解決にかかる時間と費用が節約される。最も重要なことは、人間の生命をさらに保護する可能性があることである。
第1の態様によれば、ドライブラインをモデリングするためのコンピュータにより実施される方法が提供され、ドライブラインは複数の構成要素を含み、本方法は、
a)ドライブラインのパラメトリック記述を受け取るステップと、
b)パラメトリック記述からドライブラインのトライボロジーモデルを作成するステップと、
c)トライボロジーモデルを使用して、ドライブラインの1つまたは複数の構成要素に対する1つまたは複数の牽引係数を計算するステップと、
d)パラメトリック記述と1つまたは複数の牽引係数の一方または両方に基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、
を含む。
トライボロジーモデルを作成するステップは、
動的データを決定するために、パラメトリック記述からのデータを使用して動的モデルを実行するステップと、
動的データおよびパラメトリック記述を処理することにより、潤滑剤膜厚パラメータを決定するステップと、
潤滑剤膜厚パラメータに基づいて潤滑レジームを決定するステップと、
決定された潤滑レジームに適した牽引モデルを特定するステップと、
少なくとも牽引係数のサブセットを計算するために、牽引モデル、パラメトリック記述、および動的データを処理するステップと、
のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
性能メトリックを計算するステップは、性能メトリックモデルを構築するステップを含んでもよい。本方法は、トライボロジーモデルを作成し、共通の構造を有するように性能メトリックモデルを構築するステップをさらに含んでもよい。
本方法は、
性能メトリックを1つまたは複数のループ終了条件と比較するステップと、
1つまたは複数のループ終了条件が満たされない場合には、性能メトリックに基づいてパラメトリック記述を更新するステップと、
をさらに含んでもよい。本方法は、
パラメトリック記述からドライブラインの熱モデルを作成するステップと、
熱モデルを使用してドライブラインの1つまたは複数の構成要素の温度分布を計算するステップと、
温度分布と1つまたは複数の牽引係数の一方または両方に基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
本方法は、パラメトリック記述から、また温度分布に基づいて、ドライブラインのトライボロジーモデルを作成するステップをさらに含んでもよい。
本方法は、パラメトリック記述から、また1つまたは複数の牽引係数に基づいて、ドライブラインの熱モデルを作成するステップをさらに含んでもよい。
本方法は、パラメトリック記述および温度分布に基づいて、熱分布によって生じるドライブラインの1つまたは複数の構成要素の撓みを決定するステップと、
1つまたは複数の牽引係数ならびに1つまたは複数の構成要素の決定された撓みの一方または両方に基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
本方法は、
パラメトリック記述からドライブラインの効率モデルを作成するステップと、
効率モデルを使用して効率メトリックを計算するステップと、
効率メトリックならびに1つまたは複数の牽引係数の一方または両方に基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
本方法は、パラメトリック記述から、また1つまたは複数の牽引係数に基づいて、ドライブラインの効率モデルを作成するステップをさらに含んでもよい。
本方法は、
パラメトリック記述からドライブラインの熱モデルを作成するステップと、
熱モデルを使用してドライブラインの1つまたは複数の構成要素の温度分布を計算するステップと、
温度分布と1つまたは複数の牽引係数の一方または両方に基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
本方法は、パラメトリック記述から、また1つもしくは複数の牽引係数および/または効率メトリックにも基づいて、ドライブラインの熱モデルを作成するステップをさらに含んでもよい。
本方法は、パラメトリック記述から、またドライブラインの1つまたは複数の構成要素の温度分布に基づいて、ドライブラインの効率モデルを作成するステップをさらに含んでもよい。
本方法は、
パラメトリック記述からドライブラインの構造モデルを作成するステップと、
構造モデルに基づいて、ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の撓みを決定するステップと、
1つまたは複数の牽引係数ならびに1つまたは複数の構成要素の決定された撓みの一方または両方に基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
本方法は、パラメトリック記述から、また1つまたは複数の構成要素の決定された撓みに基づいて、ドライブラインのトライボロジーモデルを作成するステップをさらに含んでもよい。
本方法は、
パラメトリック記述からドライブラインの熱モデルを作成するステップと、
熱モデルを使用してドライブラインの1つまたは複数の構成要素の温度分布を計算するステップと、
任意選択的に、温度分布にも基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
本方法は、パラメトリック記述から、また温度分布に基づいて、ドライブラインの構造モデルを作成するステップをさらに含んでもよい。
本方法は、
パラメトリック記述からドライブラインの効率モデルを作成するステップと、
効率モデルを使用して効率メトリックを計算するステップと、
任意選択的に、効率メトリックにも基づいて、ドライブラインの性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
本方法は、温度分布、牽引係数、ならびに1つまたは複数の構成要素の決定された撓みのうちの1つまたは複数にも基づいて、ドライブラインの効率モデルを作成するステップをさらに含んでもよい。
ドライブラインは、少なくとも1つのベアリングを含んでもよい。本方法は、
トライボロジーモデルを使用し、また温度分布と動的データの一方または両方に基づいて、ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の牽引係数を計算するステップと、
ドライブラインのパラメトリック記述、ならびに牽引係数と動的データの一方または両方に基づいて、温度分布を計算するステップと、
ドライブラインのパラメトリック記述、ならびに温度分布と牽引係数の一方または両方に基づいて、動的データを計算するステップと、
パラメトリック記述、1つまたは複数の牽引係数、動的データ、ならびに温度分布のいずれかまたはすべてに基づいて、ドライブラインのベアリングスキッド性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
ドライブラインは、少なくとも1つのベアリングを含んでもよい。本方法は、
ベアリングスキッドマップを決定するために、パラメトリック記述に基づいて、ベアリングの解析モデルを構築し実行するステップと、
スキッドマップに基づいて、ベアリングの動作範囲にわたって動作点を特定するステップと、
特定された動作点に対するトライボロジーモデルを使用し、また温度分布と動的データの一方または両方に基づいて、ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の牽引係数を計算するステップと、
ドライブラインのパラメトリック記述、ならびに牽引係数と動的データの一方または両方に基づいて、温度分布を計算するステップと、
ドライブラインのパラメトリック記述、ならびに温度分布と牽引係数の一方または両方に基づいて、動的データを計算するステップと、
パラメトリック記述、1つまたは複数の牽引係数、動的データ、ならびに温度分布のいずれかまたはすべてに基づいて、ドライブラインのベアリングスキッド性能メトリックを計算するステップと、
のうちの1つまたは複数をさらに含んでもよい。
本方法は、ベアリング抗力および/またはクラッチ摩擦を計算するステップをさらに含んでもよい
ベアリング抗力を計算するステップは、システム撓みの関数としてベアリングミスアライメントを計算するステップを含んでもよい。
ドライブラインのパラメトリック記述は、製造公差を含んでもよい。
ドライブラインのコンピュータ支援エンジニアリング設計のためのコンピュータ可読製品が提供されてもよく、本製品は、本明細書に開示された任意の方法のステップを実施するためのコード手段を含む。
ドライブラインのコンピュータ支援エンジニアリング設計のためのコンピュータシステムが提供されてもよく、本システムは、本明細書に開示された任意の方法のステップを実施するために設計された手段を含む。
本明細書に開示された任意の方法を使用して設計されたドライブラインが提供されてもよい。
ここで、添付の図面を参照して、単なる例として本発明を説明する。
個別の故障モード解析のために個別のCAEツールにより個別のモデルがどのように使用され得るかを示す図である。 ドライブラインのパラメトリック記述が、ドライブラインの複数の性能メトリックを決定するためにどのように使用され得るかを示す図である。 パラメトリック記述の一例を概略的に示す図である。 パラメトリック記述の具体例を概略的に示す図である。 ドライブラインを設計するためのプロセスの概略図である。 スリップ速度に対する牽引係数の依存性をプロットした図であり、3つの異なる領域、すなわち、剪断応力がアイリング剪断応力を下回る線形領域、剪断応力がアイリング剪断応力より大きく、牽引係数が最大値まで増加する非線形領域、および、剪断応力が潤滑剤を加熱し、その結果として潤滑剤粘度の低下が牽引係数を低下させる熱領域を明確に示している。 トライボロジーモデリングにおけるより詳細な図3のプロセスを示す図である。 ドライブラインをモデル化し、任意選択的にドライブラインを設計するためのコンピュータにより実施される別の方法の概略図である。 解析のタイプが熱解析である、本発明のさらなる実施形態を示す図である。 トライボロジーモデルが熱モデルおよび効率モデルと組み合わされている、ドライブラインをモデル化するためのプロセスの概略図である。 入力としてパラメトリック記述をとる構造モデルをさらに含む、本発明のさらなる実施形態を示す図である。 トライボロジー、熱モデリング、効率、および構造モデリングを1つの統合プロセスに組み合わせるドライブラインモデリング方法を示す図である。 ドライブラインをモデル化するためのプロセスの概略図であり、これは、ベアリングスキッドの結果を決定するための数値解析とみなすことができる。 ドライブラインをモデル化するための別のプロセスの概略図であり、これは(i)図11を参照して上述した数値解析、および(ii)解析解の組み合わせとみなすことができる。 4つの重複しないデータセットで構成されるパラメトリック記述の別の表現を示す図である。
コンピュータにより実施される方法は、ドライブラインのモデリングに使用することができ、特にドライブラインの設計を表すパラメトリック記述で1つまたは複数の異なるタイプの解析を実行するために使用することができる。パラメトリック記述を実施することができる方法のさらに詳細については、以下で説明する。
ドライブライン設計技術者は、以下の側面の1つまたは複数(非限定的な例として)に関連する性能目標を、設計プロセス内で能力を最大限に満たすことを目指すことができる。(i)例えば、エネルギー/燃料消費によって表されるエネルギー変換の効率の観点によるドライブラインの効率、(ii)疲労またはスカッフィングによるギア故障の回避、(iii)疲労によるベアリングの故障の回避、および(iv)ギアのうなりの最小化およびドライブライン効率の最大化。様々なタイプの解析を使用して、ドライブラインの様々な性能メトリックを決定し、それを関連する性能ターゲットと比較することができる。性能の目標を達成する能力は、ドライブラインの「故障モード」を回避することと考えることもできる。
シミュレーションツールを使用して、このような解析を適用することができる。例えば、RomaxDESIGNER、MASTA、KissSoftなどの機械式ドライブライン設計用のアプリケーション固有のCAEツールは、ISO6336およびAGMA 2001に準拠したギア疲労、およびISO281に関連する様々な規格に準拠したベアリング疲労を予測する。ISOTR14179およびその他の方法を使用して、ギアのスカッフィングが予測され、ギアメッシュ損失が予測される。これらの方法はすべてギアとベアリング専用に開発されているため、有限要素解析(FEA)、モデルベース定義(MBD)、マルチドメインシミュレーションなどの一般的なCAEツールには存在しない。
従来のCAEツールでは、CADはフォーム(ジオメトリ)と特性のいくつかの側面(例えば、ヤング率ではなく材料密度)を提供するが、動作条件または機能は含まれない。MBDおよびFEAツールのモデルには、フォーム、機能、特性、および動作条件の特定の側面を含めることができるが、シミュレートされている特定の故障モードに関連する側面のみが含まれる。
図1aは、各モデルを使用してドライブラインの性能メトリックを決定することができるように、個別のCAEツールが個別のモデルをどのように使用することができるかを示しており、したがって、性能ターゲットが満たされ、故障モードが回避されているかどうかを確認することができる。これは、性能メトリックと性能ターゲットとの比較を含むことができる。
図1bは、以下に説明するようなパラメトリック記述100bをどのように使用して、ドライブラインの複数の性能メトリックを決定し、したがって複数の性能目標が満たされ、故障モードが回避されるかどうかを決定することができるかを示す。図1aとは対照的に、パラメトリック記述100bおよび図1bの単一CAEツールは、CAE機能ごとに個別のモデルを手動で構築する必要がなく、異なるCAE機能間でデータを移動する必要もない。対照的に、各解析タイプに対して数学モデルを構築し、パラメトリック記述100bからデータを自動的に選択することができる。
図1bは、本発明が、複数のタイプのデータセットを含むパラメトリック記述を利用することができない従来のCAEツールで発生し得るワークフローの不連続性に対処する方法を示している。図1bのCAEツールは、複数のシミュレーションを実行して、ドライブラインの性能メトリックまたは様々な故障モードの可能性を決定することができる。これらの各シミュレーションの結果は、ドライブラインの動作性能の数学モデルから生じ、物理現象ごとに異なるアルゴリズムが必要であり、エンジニアリングの生産性を最大化するためにすべてのアルゴリズムを単一のCAEツール内で使用することができる。
図1bは、ドライブラインの設計を更新するステップ101bを概略的に示す。これは、CAEツールによって計算された1つまたは複数の性能メトリックを1つまたは複数の性能ターゲットと比較することを含むことができる。性能目標が満たされず、関連する故障モードが回避されない場合には、ソフトウェアは、パラメトリック記述100bを調整することにより、ステップ101bで設計を更新することができる。次に、CAEツールを新しいパラメトリック記述100bに適用して、新しい設計に対してすべての故障モードを回避するかどうかを決定することができる。どのようにして設計を更新することができるかのさらに詳細については、以下で説明する。
以下で説明する様々な例では、ドライブラインの単一のパラメトリック記述を使用することができ、そこから複数の性能メトリックと故障モード解析の複数のモデルを導出することができる。
図2aは、パラメトリック記述200aの一例を概略的に示している。パラメトリック記述200aは、複数のデータセット202a、204a、206aを含み、そのうちの1つまたは複数を使用して、異なるCAE機能210a、212a、214aを実行することができる。従来、各CAE機能は個別のCAEツールによって提供され、それぞれが異なるタイプの解析を実行する。パラメトリック記述200は、ドライブラインを定義するデータの集合(データセット202a、204a、206a)と、任意選択的にドライブラインがどのように動作するかを含むことができる。
図2bは、図2aのものと同様のパラメトリック記述200bの具体例を概略的に示している。図2bに示されているCAE機能は、MBDおよびFEA 210、マルチドメイン動的シミュレーションおよびアプリケーション固有のCAE機能212、およびCAD 214である。
この例では、「パラメトリック記述」200bには、フォーム202b、機能204b、特性208b、および動作条件206bのデータセットが含まれている。これらのデータセットは重複しないようにすることができる。
・フォーム202bは、ジオメトリに関連するデータを含むことができる。
・特性208bは、構成要素の材料特性に加えて、ベアリングの動的容量、ギアの歯面の表面粗さ、潤滑剤の粘度、シャフト材料のグッドマン線図、電気機械巻線の抵抗率などの構成要素固有の特性を含むことができる。
・動作条件206bは、時間履歴または常駐ヒストグラムのいずれかとして、主に回転機械の出力、速度、トルクを含むことができるが、温度、湿度なども含むことができる。
・機能204bは、製品、サブシステム、構成要素が主要機能を実行する方法を定義することができる。例えば、ローラベアリングの機能は、シャフトの回転を可能にし、シャフトとベアリングを一緒に組み立てることをサポートすることであり、複合機能は、負荷をかけることができる回転シャフトを提供し、シャフトにギアを取り付け、同様に取り付けられたギアと噛み合わせ、複合機能が速度とトルクを変更することである。
以下の表は、図2bを表形式で表したもので、便宜上同じ符号が使用されている。このようにして、この表は、様々なタイプの解析を実行するために、様々なCAE機能によってパラメトリック記述200bのどのデータが使用されるかを示している。
Figure 2020535527
重要なことに、上記の表、および図2aおよび図2bは、1つのパラメトリック記述200a、200bが、解析ごとに別個のツールを必要とせずに、1つのCAEツールで複数の解析タイプを実行することができることを示している。
従来のCAEツールは、それぞれ1つのCAE機能しか提供することができない。その機能を実行するために、ツールは、上記のパラメトリック記述によって提供される情報のサブセットを必要とする場合がある。例えば、CAD 214bはフォーム(ジオメトリ)202bおよび特性208bのいくつかの側面(例えば、ヤング率ではなく材料密度)を提供するが、動作条件206bまたは機能204bは含まない。MBDおよびFEA機能210bは、フォーム202b、機能204b、特性208bおよび動作条件206bの特定の側面を含むモデルを必要とするが、シミュレートされている特定の故障モードに関連するもののみが必要である。マルチドメイン動的シミュレーションおよびアプリケーション固有のCAE機能212bのモデルは、シミュレーションされている特定の故障モードに関連するが、フォーム202bではない機能204b、特性208b、および動作条件206bの側面を使用する。
どのCAE機能210b、212b、214bを使用するかに応じて、技術者は、実行する解析に適した解析モデルを作成するために、4つのデータセットの1つまたは複数からデータを選択する必要がある。
有利なことに、本明細書で説明される例は、複数のCAE機能を実行することができる単一のCAEツールを含むことができる。これは、少なくとも部分的には、様々なCAE機能の情報の共通ソースを提供する単一のパラメトリック記述によるものである。
すでに説明したように、複数のシミュレーションは、ドライブラインが目的に適合しているだけでなく、しかし、市場での競争力があり、市場に出して製造することが安価であり、利益を最大化し、必要に応じて安全性を確保するように可能な限り良好に動作することを保証することが要求される。
以下で説明する1つまたは複数の例は、ドライブラインのパラメトリック記述に基づいてドライブラインをモデル化または設計するプロセスに関連している。プロセスは、ドライブラインのトライボロジーモデルを使用して1つまたは複数の牽引係数を有利に計算し、次に、パラメトリック記述と牽引係数に基づいてドライブラインの性能メトリックを計算する。有利には、これは、処理が牽引係数を考慮に入れることができるので、より正確な性能メトリックが計算されることを可能にすることができる。
図3は、ドライブラインを設計するプロセスの概略図を示している。プロセスは、例えば、上記の表1に開示されている、または図1および図2に概略的に示されている種類のパラメトリック記述300を受け取る。ステップ302では、プロセスは、パラメトリック記述300からのデータを使用してトライボロジーモデルを構築する。
ステップ306で、プロセスはトライボロジーモデルを実行し、ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の牽引係数308を計算する。このプロセスでは、いくつかのアプリケーションにおいて所与の構成要素の複数の牽引係数を計算することができ、例えば、様々な潤滑レジームまたは様々な動作条件で、様々な牽引係数を計算することができる。トライボロジーモデルを構築し実行することができる方法の一例のさらなる詳細を、図5を参照して以下に示す。
ドライブラインの性能は、ドライブラインの1つまたは複数の性能メトリック312を計算することにより、図3のステップ310で評価される。ステップ310での計算は、牽引係数308およびパラメトリック記述300を入力として使用する。ステップ310の出力は、性能メトリック312である。性能メトリック312の例には、効率、パワー損失、温度分布、ドライブライン内の構成要素の様々な部品間のミスアライメント、耐久性、ベアリングスキッド、伝達誤差などが含まれる。そのような性能メトリック312がどのように計算され得るかの例は、以下に提供される。
いくつかの例では、性能メトリック312を計算するステップは、性能メトリックモデルを構築するステップを含むことができる。そのようなモデルの様々な例を以下に説明し、非限定的な例として、熱モデル、効率モデル、および構造モデルを含めることができる。図3の処理は、ステップ302でトライボロジーモデルを作成すること、およびステップ310で性能メトリックモデルを構築して、それらが共通の構造を有するようにすることを含むことができる。そのような一般的な構造のさらなる詳細は、以下に提供される。
図3の実施形態では、プロセスは、ステップ314でループするかどうかを決定する任意選択のステップを含む。ステップ314で、プロセスは、性能メトリック312を1つまたは複数のループ終了条件と比較することができる。1つまたは複数のループ終了条件が満たされない場合には、方法はステップ316に進み、パラメトリック記述300を更新してから、図3の方法を繰り返す。1つまたは複数のループ終了条件が満たされた場合には、方法は終了する。
ループ終了条件がどのように適用され得るかの非限定的な例は、以下を含むことができる。
・ループ終了条件と比較されている値の収束率を決定し、収束率を、十分に安定していることを示すしきい値と比較する。しきい値が満たされている場合には、ループ終了条件が満たされていると判定される。このようにして、ユーザが指定した許容範囲内で値が変化しなくなるまで、ループを繰り返すことができる。
・実行されたループの反復数を決定し、この数を最大反復数と比較する。最大数に達した場合には、ループ終了条件が満たされていると判定される。
・ループ終了条件と比較されている値を、許容可能な性能を表すしきい値と比較し、しきい値が満たされている場合には、ループ終了条件が満たされていると判定する。
・ループの現在の反復の性能メトリック312と、ループの前回の反復で計算された同じ性能メトリック312の値との差を決定し、この差を許容可能な収束を表すしきい値と比較する。連続したループの性能メトリック値312の差がしきい値よりも小さい場合には、ループの終了条件が満たされていると判定される。この「差」は、絶対差または相対差(例えば、パーセンテージで表される)にすることができる。このようにして、値が例えば前の反復からの値の1%以内になったときに、反復ループは反復を停止することができる。
この反復ループの適用は、計算された性能メトリック312に基づいてパラメトリック記述300が変更され、それによって計算された性能メトリック312に基づいてドライブラインを再設計するので、設計プロセスとみなすことができる。
ステップ302で構築されるトライボロジーモデルは、潤滑モデルおよび/または牽引モデルを含むことができる。いくつかの例では、潤滑モデルと牽引モデルとをまとめてトライボロジーモデルとして説明することができる。そのようなモデルのさらなる詳細について、ここで提供する。
潤滑モデルは、動作条件に応じて、接触面の挙動を異なる潤滑動作レジームに分割する。すべての表面は粗く、凹凸で覆われている。それらのサイズに応じて、表面の凹凸は、接触における流体膜形成のメカニズムに影響を与える可能性がある。潤滑剤膜厚パラメータΛは、通常、いくつかの潤滑レジームのどれが接触ゾーンに適用されるかを確立するために使用される。Λは、2つの接触面の表面粗さに対する最小膜厚の比として定義される。
これらは、4つの主要な潤滑動作レジームである。
(i)境界潤滑。Λ<1は、最小潤滑剤膜厚が凹凸の高さよりも小さいことを意味しており、したがって、2つの表面は直接接触しており、接触負荷は表面の凹凸によって支えられる。
(ii)混合潤滑。1<Λ<3は、最小潤滑剤膜厚が凹凸の高さと同程度かそれ以上であるため、接触負荷が凹凸と潤滑剤膜で共有されることを意味する。
(iii)弾性流体力学(EHD)潤滑。Λ>3は、潤滑膜が凹凸の高さよりも厚いため、接触負荷が潤滑膜によって支えられ、2つの表面の凹凸が完全に分離されていることを意味する。EHD潤滑レジームでは、接触する固体表面の弾性変形が重要である。
(iv)流体潤滑。Λ>10は、表面が十分に分離されており、弾性変形が重要ではなくなったことを意味する。
膜厚Aは様々な方法で計算することができる。以下に2つの例を示す。
a)Nijenbanning、Venner、およびMoes(Nijenbanning,G.,Venner,C.H.,Moes,H.,&Moes,H.(1994).Film thickness in elastohydrodynamically lubricated elliptic contacts.Wear,176(2),217−229.DOI:10.1016/0043−1648(94)90150−3)によって導出された方程式は、剛体等粘性から弾性流体力学まで、幅広い動作条件をカバーする多数の数値シミュレーションに基づいている。この方程式は、動作範囲を2つの効果、すなわち粘度の圧力依存性(等粘性または圧電粘性)および接触体の変形(剛体または弾性体)の組み合わせとして4つの領域に分割する。
b)EHD潤滑のHamrock−Dowson方程式は、より狭い範囲の動作条件をカバーするが、実装は簡単である。これらの方程式については、2004年3月15日発行の「Fundamentals of Fluid Film Lubrication、2nd Edition Bernard J.Hamrock、Steven R.Schmid、Bo O.Jacobson、CRC Press」に記載されている。
図5は、図3のプロセスとトライボロジーモデリングの詳細を示している。トライボロジーモデルを構築する図3のステップ302は、図5のステップ501およびステップ504によって表され、図3のトライボロジーモデルを実行するステップ306は、図5のステップ505およびステップ509によって表される。
図5では、ステップ501で、プロセスは、動的データ503を決定するために、パラメトリック記述500からのデータを使用して動的モデルを実行する。この例では、動的データ503は、ドライブトレインの接触点における相対速度と相対圧力を表す。例えば、ステップ501で、プロセスは、動的データ503を決定するために、ドライブトレイン内のすべての回転要素の回転速度を計算することができる。
ステップ504で、プロセスは、上述の2つの例を含む任意の公知の方法で潤滑剤膜厚パラメータΛを決定することができる。これは、動的データ503およびパラメトリック記述500からのデータを処理することを含むことができる。パラメトリック記述500からの関連データは、動作条件、潤滑剤特性、および構成要素の表面粗さを含むことができる。次に、プロセスは、ステップ504で計算された潤滑剤膜厚パラメータΛを使用して、ステップ505で潤滑レジームを決定する。次に、ステップ509で、プロセスは、決定された潤滑レジーム507に適切な牽引モデルを識別し、牽引モデル、パラメトリック記述500、および動的データ503を使用して、牽引係数508の少なくともサブセットを計算する。
潤滑動作レジーム507の各々における挙動は、ここでは牽引モデルと呼ばれるサブモデルによって説明することができる。トライボロジーモデルは、a)ステップ505で、例えば、潤滑剤膜厚パラメータΛを1つまたは複数のしきい値と比較することにより、潤滑動作レジームを決定する手段と、b)所与の潤滑動作レジーム内での挙動を支配する1つまたは複数の牽引モデル509と、を含むことができる。牽引モデルの主要な特性は、以下のものを含むことができる。a)任意の種類の転がり接触または滑り接触に適用可能であること、b)関連する動作レジーム内のすべての動作条件をカバーする必要があること、c)潤滑剤の特性を考慮して、異なる潤滑剤を区別する必要があること。有利なことに、いくつかの用途では、ステップ509での処理のために複数の牽引モデル、例えば、潤滑モデルの各動作レジームに対して1つの牽引モデルを利用可能とすることができる。これにより、転がり接触と滑り接触の全動作範囲をモデル化することができる。
潤滑レジーム507がEHD潤滑である場合、ステップ509で実行される牽引モデルは、EHD潤滑牽引モデルとすることができる。EHD潤滑動作レジームの牽引モデルは、剪断速度と剪断応力の関係を記述する。EHD潤滑のそのような牽引モデルの1つは、アイリングモデルである。アイリング剪断応力は、それを下回ると牽引係数がスリップ速度とともに直線的に増加する剪断応力として定義される。剪断応力がアイリング剪断応力を超えると、潤滑剤は非線形な挙動を始める。アイリング応力は、圧力および/または温度に依存する場合がある。
図4は、牽引係数のスリップ速度への依存性を示すアイリング牽引モデルをプロットしている。アイリング牽引モデルは、動作条件に応じて、3つの異なる牽引レジームで構成されている。
(i)線形牽引レジーム。剪断応力がアイリング剪断応力を下回ると、牽引係数はスリップ速度とともに直線的に増加する。
(ii)非線形牽引レジーム。剪断速度が、より速いスリップ速度でのアイリング剪断応力より大きい場合、牽引係数とスリップ速度の関係は線形ではなくなる。牽引係数が最大値に達する。
(iii)熱牽引レジーム。スリップ速度がさらに増加すると、剪断応力により潤滑剤が加熱される。結果として潤滑剤の粘度が低下し、牽引係数が低下する。
一部のアプリケーションでは、ステップ501で計算される動的データ503は、スリップ速度を含むことができる。ステップ509での処理は、ドライブラインの1つまたは複数の牽引係数508を計算するために、図4のアイリング牽引モデルをスリップ速度に適用することができる。
ステップ509で適用することができる他の弾性流体潤滑(EHL)牽引モデルには、Bair−Winerモデル(Bair S,Winer WO.A Rheological Model for Elastohydrodynamic Contacts Based on Primary Laboratory Data.ASME.J.of Lubrication Tech.1979;101(3):258−264.doi:10.1115/1.3453342.)が含まれる。Bair−Winerモデルは、限界剪断応力モデルであり、潤滑剤の剪断応力が限界値を超えると、剪断応力は限界値に等しく設定され、潤滑剤の剪断速度がさらに増加しても、剪断応力は増加しなくなる。このモデルに必要な材料特性は、低剪断応力粘度、限界弾性剪断弾性率、および材料が耐えられる限界剪断応力である。これらのパラメータはすべて、動作条件(温度と圧力を含む)の関数であり、パラメトリック記述500で定義されている。剪断応力は、動的データ503から計算することができる。
潤滑動作レジーム507が境界潤滑である場合、ステップ509で実行される牽引モデルは、境界潤滑牽引モデルとすることができる。境界潤滑レジームでは、膜厚Λは1未満であり、これは、最小潤滑膜厚が凹凸の高さ未満であることを意味する。2つの表面は直接接触しており、接触負荷は表面の凹凸によって支えられる。表面接触は高い牽引係数をもたらし、摩擦挙動は乾式接触に似ている。境界潤滑は、低速および/または高負荷で発生する可能性が高く、高い摩擦損失と摩耗の増加のため、一般に望ましくない。一部の潤滑剤には、耐摩耗添加剤または極圧添加剤が含まれており、表面の凹凸と反応して、下にある金属を保護する犠牲的な化学コーティングを形成することができる。様々な境界牽引モデルが存在し、速度、負荷、温度、大気条件、および潤滑添加剤に対する牽引係数の依存性を捉えることを目的としている。これらのパラメータは、動的データ503およびパラメトリック記述500から牽引モデル509への入力である。
潤滑動作レジーム507が混合潤滑である場合、ステップ509で実行される牽引モデルは、混合潤滑牽引モデルとすることができる。混合潤滑動作レジームの牽引モデルにはFVA345(Hohn,Bernd−Robert;Michaelis,Klaus;Doleschel,Andreas;Lubricant Influence on Gear Efficiency;Proceedings of the ASME 2009 International Design Engineering Technical Conferences&Computers and Information in Engineering Conference IDETC/CIE 2009)が含まれる。FVA345法は、FZGミュンヘンで開発された機械的テスト方法であり、変更されたFZGギアテストリグを使用して潤滑剤の摩擦挙動を決定する。FVA345法は、境界潤滑とEHLの牽引モデルを組み合わせたものである。牽引係数μmixedは、以下の式1によって計算される。
μmixed=φ.μEHL+(1−φ).μboundary(式1a)
Λ<2:φ=1−(1−Λ/2)(式1b)
Λ/2:φ=1(式1c)
μEHL=C.p .v .η (式1d)
μboundary=C.P .V (式1e)
ここで、μmixed、μEHL、およびμboundaryは、それぞれ混合潤滑レジーム、EHLレジーム、および境界潤滑レジームにおける牽引係数であり、φはEHLによる牽引係数の比率であり、Λは膜厚であり、c〜cは定数係数であり、pは圧力であり、vは速度であり、ηは潤滑剤の粘度である。圧力と速度は動的データ503の一部であり、潤滑剤の粘度と定数係数はパラメトリック記述500で定義されている。動的データ503とパラメトリック記述500の両方は、ここでは式1によって表される牽引モデル509への入力である。ここで式1で計算される牽引係数508は、牽引モデル509を実行するステップの出力である。牽引係数μmixedは、牽引係数μEHLとμboundaryとの組み合わせである(式1a)。EHLによる牽引係数の比率φは、膜厚Λに依存し、式1bおよび式1cによって与えられる。牽引係数μEHLとμboundaryは式1dと式1eで与えられ、圧力、速度に依存し、またEHLの場合は潤滑剤の粘度にも依存する。定数係数c〜cは、テストデータから導出することができる。
テストデータから導出することができる係数を備えたFVA345などの単純な牽引モデルを使用すると、いくつかの利点がある。係数の値を取得するのは簡単であり、FVA345の場合、7つの係数c〜cは、標準の実験装置を使用した低コストのテストから取得することができる。高度な潤滑剤の利点は、潤滑剤の配合や添加剤に関する機密の専有情報を開示する必要なしにシミュレーションで確認することができるという点で、潤滑剤の製造業者に利益がある。ソフトウェアユーザにとっての主な利点は、テストのために送り出される可能性のある潤滑剤の少量のサンプルを前提として、製造元からの潤滑剤データがなくても、シミュレーションで潤滑剤の特性を完全に説明することができることである。
牽引係数を計算するための経験的モデルは別のオプションである。一例は、ベネディクトとケリー(Benedict,G.H.,and Kelley,B.W.,1961,“Instantaneous Coefficients of Gear Tooth Friction,”ASLE Transactions,Vol.4,No.1,pp59−70)である。この経験的モデルは、動作範囲のごく一部を示しており、それが導出されたテストの動作条件内の牽引動作をカバーしている。このモデルは、潤滑剤の粘度やその他の潤滑剤の特性を考慮していないため、異なる潤滑剤を区別することができない。上記のようなトライボロジーモデルの使用は、一般に、適用範囲が限られている経験的モデルよりも望ましい方法である。
図6は、ドライブラインをモデル化し、任意選択的にドライブラインを設計するための、コンピュータにより実施される別の方法の概略図を示している。図3における対応する特徴を有する図6の特徴には、600シリーズの符号が与えられ、ここで再度説明する必要はない。
図6の例では、プロセスは、追加のユーザ指定タイプの解析620を受け取る。ステップ622で、この方法は、ユーザ指定タイプの解析620およびパラメトリック記述600に基づいて、解析のタイプの数学モデルを構築する。次に、プロセスは、ステップ622で作成された数学モデルと、トライボロジーモデルに基づいて計算された牽引係数608に基づいて、ステップ610で解析を実行する。また、ステップ610で、プロセスは、性能メトリック612を計算する。
一例では、ユーザ指定タイプの解析620は、効率解析である。次に、ステップ622で、プロセスは、パラメトリック記述600に基づいて、数学モデルとして効率モデルを構築する。ステップ610で実行される解析は効率解析であり、性能メトリック612は、ドライブライン内の1つまたは複数の構成要素の効率またはパワー損失とすることができる。この例では、効率解析610は、トライボロジーモデル606を実行することによって計算される牽引係数608の値を使用する。
図7は、解析のタイプが熱解析である、本発明のさらなる実施形態を示す。前の図における対応する特徴を備えた図7の特徴には、700シリーズの符号が付けられ、ここで再度説明する必要はない。
ステップ726で、この方法は、パラメトリック記述700からドライブラインの熱モデルを作成する。熱モデルは、離散熱モデルであっても連続熱モデルであってもよい。離散熱モデルは、集中定数熱ネットワークモデルとメッシュ有限要素熱モデルを含むことができる。
ドライブラインの離散集中定数熱ネットワークモデルには、熱流束の入力を提供する熱源を備えた熱リンクで接続された熱慣性または熱容量が含まれてもよい。熱リンクは、伝導、慣習、および放射による熱伝達を含むことができる。ステップ726での処理は、これらの容量および伝導率、ならびにそれらの接続の特性を、ドライブラインおよびその構成要素のパラメトリック記述700から決定することができる。
いくつかの実施形態では、この方法は、熱モデルを構築するために、ドライブラインのどこでパワー損失があるかを特定するために、パラメトリック記述を自動的に処理することができる。例えば、この方法では、ドライブライン内の1つまたは複数の構成要素のパワー損失を特定し(オプションで特定の動作条件の場合)、決定したパワー損失値に基づいて構成要素を熱源としてモデル化するかどうかを決定することができる。例えば、パワー損失値がパワー損失しきい値よりも大きい場合には、構成要素を熱源としてモデル化することができる。熱源は、関連するパワー損失があると判断された構成要素の場所に対応するモデル内の場所に含めることができる。このようにして、この方法は、パワー損失があるドライブライン内の場所で熱が発生することを認識することができる。パワー損失の場所には、接触面(ギアとベアリング)の間の摩擦がある場所、配線を通る電流(電気機械のステータとパワーエレクトロニクスなど)、封止での抗力損失、または抗力損失を引き起こす流体の動き(撹拌または風損)が含まれ得る。
任意選択的に、プロセスは牽引係数708を使用してドライブラインのパワー損失を計算することができ、これは、ステップ726で熱モデルを構築するための入力として使用することができる。すなわち、ステップ726で、プロセスは、計算されたパワー損失にも基づいて熱モデルを構築することができる。滑り摩擦の例では、パワー損失は式2を使用して牽引係数から計算することができる。
loss=Ffriction.v(式2a)
friction=μFnormal(式2b)
ここで、Plossはパワー損失、Ffrictionは摩擦力、vは接触面の相対速度、μは牽引係数、Fnormalは接触面に垂直な力である。垂直力Fnormalおよび相対速度vは、動的データ303の一部とすることができる。上述のように、牽引係数708から計算されたパワー損失は、ステップ726で熱モデルを構築するための入力とすることができる。
いくつかの例では、ステップ726で構築される熱モデルは、集中定数熱ネットワークモデルである。この方法は、次のような様々な方法でそのようなモデルを離散化することができる。
a)パラメトリック記述に基づいて、構成要素ごとに1つの熱ノードを有する集中定数熱ネットワークを作成する。しかし、この方法では、熱モデルが実行中の熱解析に適しているかどうかを確認できない場合がある。構成要素に関連する熱ノードとの間の熱流束は、周囲の構成要素と比較した構成要素の形状、サイズ、材料、熱容量、および温度に依存し得る。構成要素ごとに1つの熱ノードを有するモデルが不合理に詳細になり、結果として解析時間にペナルティが生じる場合や、詳細が不十分な場合には、結果の精度が不十分になる可能性がある。他の領域では必要な忠実度を欠いている一方で、モデルの1つの領域に詳細が含まれている場合があると、計算が遅くなり、不正確になる可能性がある。
b)上記a)で説明した集中定数熱ネットワークの構成要素ごとの1ノードの離散化の代替例は手動離散化であり、ユーザが、各構成要素に必要な熱ノードの数、または単一の熱ノードにまとめる構成要素を指定する。次に、ステップ726の方法は、ユーザ入力とパラメトリック記述700の両方に基づいて熱モデルを構築することができる。しかし、技術者は、モデルの構築と改良に時間を費やし、そのような手動の離散化では、離散化のレベルが変化するにつれて解析結果がどのように変化するかを確認する必要がある。技術者は、モデルが過度に詳細にならずに適切に正確であるという安心感を求めることを目指すことができるが、しかし、このプロセスは時間がかかる可能性があり、組織内で最も能力が高い、したがって高価な技術者によって実行され、プロジェクトのコストとタイミングに悪影響を与える可能性がある。
c)有利なことに、解析の定式化を使用して、解析の速度と精度を最適化する集中定数熱ネットワークを作成することができる。ステップ726の方法は、モデルの自動離散化を実行して、ドライブラインの熱挙動を正確に記述するのに適切なモデル内の点に熱ノードを保持することができる。上記で説明したように、この方法では、集中定数熱ネットワークのドライブラインでの熱損失を熱源として含めることができる。この方法では、ドライブラインのパラメトリック記述からのデータを使用して、各構成要素の熱伝導率と熱容量の値を計算することができる。これらの値から、この方法は構成要素の熱容量に対する熱伝導率の比を決定することができる。この方法は、材料特性、ならびに構成要素のサイズおよび形状などのパラメトリック記述700で提供される情報からこの決定を行うことができる。あるいは、熱伝導率と熱容量との比は、パラメトリック記述700から直接入手してもよい。次に、この方法では、熱伝導率と熱容量の比を、1つまたは複数の熱伝導率と熱容量の比のしきい値と比較することができる。この方法は、熱伝導率と熱容量との比に応じて、熱伝導率または熱ノードのいずれかとしてドライブライン構成要素の1つまたは複数を有利にモデル化することができる。例えば、この方法では、熱伝導率と熱容量の比のしきい値よりも高い比を有するドライブライン構成要素を熱伝導率としてモデル化することができる。この方法では、熱伝導率と熱容量の比のしきい値よりも低い比のドライブライン構成要素を熱ノードとしてモデル化することができる。したがって、ユーザによる手動入力やモデリングの決定を必要とせずに、集中定数熱ネットワークを自動的に構築し離散化することができる。
例えば、同じシャフトに取り付けられた2つのベアリングを分離するスペーサを考える。スペーサは、非常に小さい質量の薄壁シリンダである。その形状と位置は、2つのベアリング間で熱を伝導することを意味する。手法c)は、熱伝導率と熱容量の比に基づいて構成要素を熱質量として扱うか熱伝導率として扱うかを自動的に決定する方法を採用し、したがって、スペーサを熱ノードではなく熱伝導率として分類する。熱質量は無視することができるため、これは適切であるが、特に温度差が大きい場合は、ベアリング間で熱を伝導する効果が大きくなる。方法a)はスペーサを熱ノードとして分類し、方法b)は技術者がその構成要素をモデル化するための最も適切な方法を手動で決定する必要がある。
これらの構成要素がドライブラインに存在する場合、ギアボックスとモータを含むドライブライン全体について、集中定数熱モデルを計算することができる。ドライブラインにパワーエレクトロニクスが含まれる場合には、これらを、前述のように、熱伝導率とともに、熱源として集中定数熱モデルに含めることもできる。
パワー損失に関連する構成要素で熱入力を自動設定することにより、時間の節約とエラー回避を実現することができる。また、以下で説明するように、熱流束値は、構成要素の動作条件に基づいてステップ726で自動的に決定することができる。
熱伝導は、伝導、対流、放射などの様々なメカニズムによって発生し得る。固体金属部品の熱伝導率は簡単に計算することができるので、伝導は簡単である。例えば、この方法では、ローラベアリングの静的解析と負荷依存剛性によって生成される接触面積に基づいて、ベアリングを通る伝導熱伝達を計算することができる。通常、放射による熱伝達は、伝導および対流に比べて小さい。しかし、対流による熱伝達を決定するのはより困難であり得る。例えば、ギアメッシュでの熱は油膜内で生成され、ギアの金属への熱伝達は、ギアとオイルとの間の対流熱伝達係数(HTC)によって決まる。これらのHTCを確実に予測することは困難である。静止した空気の中に座っている熱い金属表面は、その表面上で穏やかな層状の空気の流れを経験するものよりもはるかに遅い速度で熱を失い、急速な乱流の空気の流れと比較するとさらにそうである。
ステップ726で構築された熱モデルは、ドライブラインに関連するHTCの値を含むことができる。これらのHTCは、内部ドライブライン構成要素と潤滑剤との間、潤滑剤とハウジングとの間、および/またはハウジングと環境との間の熱伝達に関連する可能性がある。
HTCの値は、次のようないくつかの方法で決定することができる。
i)方法は、HTCのデフォルト値を使用することができる。
ii)ユーザは、使用するHTC値を表す入力を提供することができ、これは、デフォルト値の変更を含むことができる。
iii)方法はHTCを自動的に計算することができる。この方法では、計算流体力学(CFD)モデルまたは単純な集中定数熱ネットワークモデル(この文書で後述)を使用して、対流HTCを計算することができる。
ステップ728で、この方法は、ステップ726で構築された熱モデルに基づいて温度分布730を計算する。例えば、ステップ728で、この方法は、1つまたは複数の構成要素のパワー損失を計算して、その構成要素で生成される熱量を決定することができる。有利には、パワー損失は、ステップ706で実行されるトライボロジーモデルからの牽引係数708を使用して計算することができる。この方法では、この熱量を熱モデルの対応する熱源に関連付けることができる。温度分布730を決定するために、ステップ728は、ドライブライン内の熱流束を計算してもよい。このように、温度分布は、熱モデルの各モードに関連する温度値を含むことができる。いくつかの例では、温度分布は、単一の構成要素の複数の温度値を含むことができる。
温度分布730は、トライボロジーモデルへの入力として使用することができる。例えば、潤滑剤の粘度は温度の関数である。有利なことに、潤滑剤の粘度に対する温度の影響が考慮されるので、温度分布により、トライボロジーモデルが牽引係数708をより正確に計算することが可能になる。
集中定数熱ネットワークへの熱流束は、構成要素に関連するパワー損失がある場所で発生する。これらの熱流束の値は、次のようないくつかの方法で決定することができる。
i)これらの熱流束の値はユーザが定義することができ、これらはステップ726で作成された熱モデルと組み合わせて、熱解析728を実行し、ドライブラインの温度分布730を計算することができる。
ii)この方法は、熱流束の値を自動的に決定することができる。例えば、牽引係数708は、滑り摩擦の例について上記の式2に記載されているように、ドライブラインにおけるパワー損失を計算するために使用することができる。他の例では、熱モデルを構築するときに、この方法はドライブラインの1つまたは複数の構成要素に対して既知の効率/パワー損失計算を実行して、効率/パワー損失値を決定してもよい。次に、ステップ726で熱モデルを構築するとき、この方法は、効率/パワー損失値およびパラメトリック記述700に基づいて、関連する熱流束の値を決定することができる。例えば、ステップ726は、パラメトリック記述700からの動作条件を処理して、ドライブライン内の様々な構成要素のエネルギー量を決定してもよい。
この方法は、ステップ728で、集中定数熱ネットワークモデルを使用して熱解析を実行することができ、離散的な熱ノードで得られる温度の値につながる。言い換えれば、「集中」という用語は「離散的」という用語と同等である。完全な構造全体の熱プロファイルを計算する場合、ドライブライン構成要素の熱特性に基づいて、ドライブラインの3D構造(パラメトリック記述700から決定される)に基づいて、さらに熱計算を実行することができる。したがって、ドライブラインのすべての機械部品全体で滑らかな温度プロファイルを取得することができる。
ステップ728での処理は、熱ネットワークモデルで熱流束を計算する方法を記述する以下の式3の適用を含むことができる。
Q’=dT/R(式3)
ここで、Q’は熱流束(熱Qの時間についての導関数)、dTは温度差、Rは熱抵抗である。
熱抵抗Rは、構成要素および熱伝達方法ごとに異なる方法で計算することができる。例えば、構成要素と流体との間の対流熱伝達の場合、Rは式4aで与えられる。
R=1/hA(式4a)
ここで、hは熱伝達係数、Aは接触表面積である。固体構成要素の伝導の場合、式4bは熱抵抗の計算方法を示す。
R=L/kA(式4b)
ここで、Lは特性長、kは熱伝導率、Aは表面積である。パラメータkは材料特性であり、パラメータAおよびLは幾何学的であり、すべてドライブラインのパラメトリック記述内で定義される。ベアリングの伝導の場合、熱抵抗は式4cを使用して計算することができる。
R=In(r/r)/2πbk(式4c)
ここで、rとrはベアリングの内半径と外半径、bは面幅、kは熱伝導率である。
この方法は、ステップ728で式3および式4を使用して、熱モデル内のすべてのノード間の熱流束を計算し、したがってドライブライン内の温度分布730を計算することができる。
熱ネットワークの設定方法と実行方法のさらなる詳細は、KTH lndustrial Engineering and Management Machine DesignのCARLOS PRAKASH DEL VALLEによる「Thermal modelling of an FZG test gearbox」というタイトルの学位論文、特にセクション3.2で説明されている。
パラメトリック記述700に基づいてステップ726で熱モデルを構築し、ステップ728で温度分布を計算する方法は、いくつかの利点を有することができる。
1)熱モデルは、すべての構成要素とサブアセンブリを含むドライブライン全体を網羅することができる。これは、特定の構成要素またはサブアセンブリのみを個別に考慮するアプリケーション固有のCAEツールよりも優れている。
2)以下で説明するように、熱モデルに基づいて計算された温度分布を使用して、熱膨張の影響を含めることにより、ドライブラインの撓みをより正確に計算することができる。正確な撓みを使用して、効率、耐久性、およびその他の性能メトリックをより正確に計算することができる。これは、温度分布を計算するが撓みの計算を改善するためにそれを使用することはない、アプリケーション固有のCAEツールに対する利点である。
3)温度分布は、例えば、潤滑剤の粘度が温度を考慮に入れることを保証することにより、トライボロジーモデルによって計算された牽引係数708の精度を改善するために使用することができる。
特に上記の手法c)で説明したように、集中定数熱ネットワークモデルを自動的に作成し、速度と精度を最適化することができる。
この例では、ステップ726で熱モデルを構築することは、トライボロジーモデル706によって計算された牽引係数708も入力としてとる。すなわち、プロセスは、熱モデルおよび牽引係数に基づいて温度分布730を計算することができる。
有利には、ステップ726で牽引係数708を使用して熱モデルを構築すると、接触面での摩擦によるパワー損失を熱モデルの熱源として使用することができるため、ステップ728での熱解析の精度を向上させることができる。
この例では、ステップ702におけるトライボロジーモデルは、温度分布730を入力データとして受け取る。例えば、ステップ702で、この方法は、パラメトリック記述700および温度分布730に基づいて、ドライブラインのトライボロジーモデルを作成することができる。ステップ706で、プロセスは、ステップ702で構築されたトライボロジーモデルを使用して、1つまたは複数の牽引係数708を計算することができる。有利には、潤滑剤の粘度は温度の関数であるため、温度分布730を使用すると、トライボロジーモデル706の精度を向上させることができる。すなわち、ステップ702で入力として温度分布730を使用することにより、より正確なトライボロジーモデルを作成することができる。
上述のように、牽引係数708は、熱モデル726を構築するための入力として使用することもできる。したがって、いくつかの例では、トライボロジーモデル702への温度分布730のフィードバックは、熱モデル726への牽引係数708のフィードバックと一緒に提供される。この場合、本方法は、本明細書に記載のループ終了条件が満たされるまで、温度分布730および牽引係数708を計算するためのプロセスを繰り返し実行することができる。例えば、温度分布730および/または牽引係数値708が収束するまで。
ドライブライン設計の一般的なツールの制限は、熱の影響が正確に含まれていないことである。しかし、多くの場合、ドライブラインの主要な機械部品(シャフト、ベアリング、ギア、ロータ、ハウジング)は、加熱すると膨張する金属で作られているため、熱の影響は構造解析およびその他のタイプの解析に重要であり得る。
一部のアプリケーションでは、ドライブラインの下位構造(例えば、1つまたは複数の構成要素)内の温度分布を知ることが有利であり得る。ドライブラインがパワーを伝達すると、摩擦によりギアとベアリングに熱が発生する。また、パワーが電気機械ドライブラインで変換されると、電気機械とパワーエレクトロニクスでパワー損失が発生する。発生した熱は、通常、ハウジングと周囲への直接伝導、または間接的にオイルへ、そこからハウジングへ、または何らかの形式のラジエータへオイルを抽出することにより、環境に放出される。
通常、ドライブライン設計用の公知のツールにおいて熱影響を正確に考慮することはできない。これは、通常、異なるツールごとに異なるモデルが必要であり、異なるツールはドライブラインを表す異なるデータを必要とするためである。例えば、ドライブラインは、熱解析および構造解析用に、離散化ノードの選択を変えて、異なる方法でモデル化することができる。また、ノードは異なる場所にある可能性があるため、温度分布を機械モデルに適用することは技術的に困難な場合がある。
ドライブラインのシミュレーション主導の設計は、目的に合った設計を達成するための重要なツールとなり得る。本明細書で説明される例は、モデリングおよび設計を実行する際の熱挙動を有利に予測することができる。例えば、ドライブラインの正確な性能メトリックを決定することができるように、温度分布をパラメトリック記述から計算することができる。また、性能メトリックにより、ドライブラインの設計を改善して生成することができる。改善された設計プロセスにより、熱の影響による撓みにより故障する可能性が低いドライブラインを得ることができる。例えば、ドライブライン内のより正確な温度分布を決定することで、より正確な効率メトリックと撓みのより正確な値(以下で説明)が可能になり、その結果、より正確な耐久性メトリックを得ることができる。このようにして、ミスアライメントの過小評価による早期故障の可能性を減らすことができる。
その結果、公知のCAEツールを使用したドライブラインの実際の設計では、熱に関する考慮事項を十分な精度で含めることができない。したがって、ドライブラインは、性能が最適化されていなかったり、テストや開発で失敗したり、さらに悪いことに運用中に失敗したりするリスクがある。実際、このような故障は熱による故障としては現れないこともある。例えば、ギアの設計者がギアの微細形状を誤って設計したため(熱の影響を考慮できず)、歯の接触不良、高応力、および早すぎるが明らかに従来型の疲労破壊につながる可能性がある。
特定の航空宇宙用途では、熱性能が非常に重要である。ヘリコプタのドライブラインは、潤滑が失われた後に、一定の時間動作することができ、緊急時に乗員を安全に配送できるようにする必要がある。しかし、このような機能は通常、以前の設計の設計特徴を複製した後に、プロトタイプユニットの低速で非常に高価なテストを行うことで実現される。
図8は、トライボロジーモデル802が熱モデル826および効率モデル832と組み合わされる、ドライブラインをモデル化するためのプロセスの概略図を示す。これらのモデルは前の図に関連して説明されているため、ここでは新しい特徴のみを説明する。前の図における対応する特徴を備えた図8の特徴には、800シリーズの符号が付けられ、ここで再度説明する必要はない。
有利には、温度分布830は、トライボロジーモデル802への入力として使用される。すなわち、ステップ802で、この方法は、図7を参照して説明したのと同じ方法で、パラメトリック記述800および温度分布830に基づいてトライボロジーモデルを構築することを含む。したがって、トライボロジーモデル802は、温度に依存する潤滑剤粘度の正確な値を含むことができる。
この例では、プロセスは、ステップ832で、パラメトリック記述800に基づいて効率モデルを構築することを含む。次に、ステップ834で、プロセスは、ステップ832で構築された効率モデルに対して効率解析を実行して、効率メトリック836を決定する。
効率の計算は、様々なドライブトレイン構成要素の様々な解析方法を使用して実行することができる。ドライブラインのパワー損失の主な原因は、ギアの歯の間の滑り摩擦によるギアメッシュ損失、潤滑剤の飛散によるギアの撹拌損失、およびベアリングの損失を含むことができる。これらのパワー損失は、例えば、ISO規格14179で定義されている方法を使用して計算することができる。
例えば、ギアメッシュ損失を計算する次の標準的な方法が一般的に使用される。
1.一定の摩擦係数を仮定し、負荷された歯の接触解析を使用して、ギアの歯の負荷と局部速度を計算し、次に、パワー損失が、牽引係数に負荷と滑り速度を掛けたものとして計算される。
2.ISO14179は、潤滑剤自体の摩擦特性(潤滑剤に含まれる基油と添加剤に依存)ではなく、潤滑剤の粘度のみを考慮してギア効率を計算する。潤滑剤の摩擦特性は大きく異なる可能性があるため、潤滑剤の特性を考慮しないことは、規格の主な制限事項である。したがって、熱モデル826および/または効率モデル832を構築する際に牽引係数808を使用する本明細書に記載の例の利点は、潤滑剤特性が完全に考慮され、したがって、より正確な性能メトリック812を含むより正確な結果を得ることができることである。
ギアメッシュ効率を計算するための解析方法の代替例は、効率計算で実際のテストデータを使用することである。例えば、ミニ牽引マシン(MTM)は、所定の潤滑剤で牽引係数を測定することができる。テストは簡単で、マシンは小型で広く利用でき、様々な温度で測定することができる。(MTMからの)測定データを負荷と接触点での相対速度で使用して、パワー損失と関連するギアメッシュ効率を計算することができる。FVA345は、前述のように、効率計算に潤滑剤データを含める1つの方法である。
ドライブラインが電気機械を含む場合、電気機械のパワー損失も効率モデル832に含めることができる。電気機械のパワー損失の主な原因には、機械巻線の電気抵抗による銅損、ヒステリシスと渦電流による鉄損、およびベアリングの摩擦と風損による機械的損失が含まれ得る。これらはすべて、標準の解析方法を使用して計算することができる。銅損、鉄損、機械損はすべて温度に依存する。
図8に示すように、この例では、ステップ832で構築され、ステップ834で解析された効率モデルは、ステップ806で計算された牽引係数808にも基づいて効率メトリック836を決定する。前述のように、牽引係数は、ドライブラインの構成要素のパワー損失を計算するために使用することができる。式2は、牽引係数808を使用して滑り摩擦からパワー損失を計算する方法を記述した。パワー損失は、効率モデル832と熱モデル826の両方への入力として使用することができる(前述したように)。
現在のCAEツールと現在のシミュレーション方法を使用して、効率モデリングと熱モデリングに牽引係数の影響を含めることはできない。これは、これらの異なる種類の解析が異なるCAEツールで実行されるためである。この文書に記載されている例には、トライボロジー解析806、熱解析828、および効率解析836がすべて、ドライブラインの同じパラメトリック記述800からのデータを使用して、同じCAEツール内で実行されるという利点があり得る。したがって、個別のCAEツールで個別の解析を実行するために必要となる、時間のかかるエラーが発生しやすいデータの転送なしに、1つの種類の解析の出力を、異なる種類の解析のモデルを構築するための入力として使用する方がはるかに簡単である。
さらに、この例では、ステップ834での効率解析は、ステップ828で計算された温度分布830も使用して、効率メトリック836を計算する。したがって、有利には、効率メトリック836は、効率に対する温度分布830の直接的な影響を直接説明することができる。例えば、潤滑剤の粘度は、ギアメッシュ損失、ギア撹拌損失、ベアリング損失などの機械的損失に影響を与える。電気機械の損失も温度に依存するため、効率モデル832への入力として正確な温度分布830を使用することで、より正確な効率メトリック836が得られる。トライボロジーモデルのすべての接触面は、熱モデルの熱源になり得るし、効率モデルのパワー損失になり得る。したがって、有利なことに、本明細書で説明する処理は、対応する構造(例えば、ドライブライン上の同じ位置にある少なくともいくつかのノード)を有するトライボロジーモデルと効率モデルを構築することができる。このようにして、1つのモデルの解析結果を別のタイプのモデルを使用した解析と効率的に組み合わせることができる。
ステップ828で、プロセスは、ステップ826で構築された熱モデルに基づいて温度分布830を決定することができる。また、有利には、プロセスは、牽引係数808に基づいて温度分布830を決定することができる。これについては、図7に関連して前に詳しく説明した。
任意選択的に、プロセスは、効率メトリック836に基づいて、ステップ826で熱モデルを構築することもできる。効率はドライブライン内の構成要素のパワー損失を決定し、これらのパワー損失は熱モデルの熱源であるから、これは有利であり得る。
任意選択で、3つの解析ブロック806、828、834からのフィードバック矢印のいずれかは、出力値が収束するまで繰り返すことができる。すなわち、牽引係数808、温度分布830、および効率メトリック836のうちの1つまたは複数は、ループ終了条件が満たされるまで再計算することができる。次に、ステップ810で、プロセスは、牽引係数808、温度分布830、および効率メトリック836のいずれかまたはすべてに基づいて、性能メトリック810を計算することができる。一例では、ステップ810の処理は、ドライブラインのパワー損失プロファイルに対応する性能メトリックを計算することができる。いくつかの例では、性能メトリック812は、単に、牽引係数808、温度分布830、および効率メトリック836のうちの1つまたは複数であってもよい。すなわち、ステップ806、828、834を参照して説明される処理は、性能メトリックを計算することとみなされてもよい。
図9は、入力としてパラメトリック記述900をとる構造モデル938をさらに含む、本発明のさらなる実施形態を示す。前の図おける対応する特徴を備えた図9の特徴には、900シリーズの符号が付けられ、ここで再度説明する必要はない。
この例では、プロセスは、パラメトリック記述900および温度分布930に基づいて、ステップ938でドライブラインの構造モデルを構築することを含む。次に、ステップ940で、プロセスは、構造モデルに基づいて構造解析940を実行する。したがって、構造解析940は、ドライブライン内の1つまたは複数の構成要素の撓み942を計算する。これらの撓みは、温度分布930による熱膨張の影響、およびドライブラインで発生する力による構造的な撓みを含むことができる。有利には、温度分布は牽引係数908に基づいて正確に計算されるので、少なくとも熱効果によって生じる撓み942を特に正確に計算することができる。
ステップ940で実行される構造解析は、後で説明するように、静的解析または動的解析とすることができる。有利には、温度分布930は、構造モデル938への入力として使用することができるので、構造解析940は、ドライブライン構成要素の熱膨張を考慮に入れ、これを撓み942の計算に含めることができる。したがって、ドライブラインの撓み942は、構造的負荷および熱膨張の影響を含むことができる。
次に、ステップ910で、プロセスは、任意選択的に、少なくとも計算されたドライブラインの撓み942に基づいて性能メトリック912を計算することができる。
任意選択的に、ステップ902で、プロセスは、計算されたドライブラインの撓み942に基づいてトライボロジーモデルを構築することができる。このようにして、接触表面における速度および圧力などのより正確な動的データを、トライボロジーモデル902について計算することができる。撓みを説明することは、接触する構成要素間の接触領域のサイズと形状、および接触圧力に影響を与えるため、有利であり得る。
ステップ910で計算することができる性能メトリック912の例は、ドライブラインの構成要素の異なる部分の間のミスアライメント、耐久性、および伝達誤差を含む。いくつかの例では、性能メトリック912は、計算された撓みの表現であり得る。
次に、ステップ940で実行される構造解析をさらに詳細に述べる。ステップ940で、本方法は、ドライブラインの構造モデル内のすべてのノードの撓みを計算することができる。撓みは、ドライブラインの構造力の影響と熱膨張の影響を含むことができる。
この方法では、式5を使用して熱膨張によって生じる撓みを計算することができる。
dX=alpha*X*dT(式5)
ここで、
dXは撓みであり、
alphaは、無次元の熱膨張係数(900のパラメトリック記述に含めることができる材料特性)であり、
Xはノードの元の位置である(これは、パラメトリック記述900に含めることもでき、あるいはドライブラインの構造モデルを構築する方法によってパラメトリック記述900から決定することもできる)。Xは、構造モデル内のすべてのノードの位置と回転を3次元で定義するベクトルとして提供することができる。したがって、各ノードの位置は6自由度で定義することができ、
dTは、ステップ928で計算される温度分布930から決定される温度の変化である。dTはノードの温度と定義された温度(通常は25°C)との差とすることができ、T>25°Cの場合は材料が膨張し、T<25°Cの場合は収縮する。
ステップ940で、本方法は、ドライブラインで発生する力によって生じる撓みを計算することができる。そのような撓みは、構造的な力によって生じると考えることができる。いくつかの例では、撓みはドライブラインシステムのi)静的解析、またはii)動的解析によって計算することができる。ドライブラインシステムは、完全なドライブラインのすべてのノードとみなすことができる。これらの方法については、以下で詳しく説明する。
i)静的解析は、ドライブラインのすべての構成要素に加えられた力を分解して、一部の構成要素の剛性が負荷に依存する可能性があることを考慮して、撓みを計算する。したがって、この方法では、収束が達成されるまで、力、撓み、および剛性を反復処理する必要がある。この方法では、パラメトリック記述900の一部として提供されている動作条件で指定されている一定速度で回転する以外は、力と変位は時間変化しないと想定している。
ii)動的解析は、静的解析とは対照的に、撓みと加えられた力が時間とともに変化することを可能にする。これにより、時間変化励振を解析に含めることができる。時間変化励振は、伝達誤差、エンジントルクリップル、電気機械トルクリップル、および電気機械の半径方向の力を含むことができる。動的解析では、撓みは、ドライブラインシステムの運動方程式を解くことで決定することができ、これは式6の行列式で表される。
MX”+CX’+KX=F(式6)
ここで、
Mはドライブラインシステムの質量行列であり(これはパラメトリック記述900に含めることができ、あるいはそこから導出することができる)、
Cはドライブラインシステムの減衰行列であり(これはパラメトリック記述900に含めることができ、あるいはそこから導出することができる)、
Kはドライブラインシステムの剛性行列であり(これはパラメトリック記述900に含めることができ、あるいはそこから導出することができる)、
Fは加えられた力であり(これは、パラメトリック記述900に含めることができ、あるいはそこから、例えばパラメトリック記述900に格納されている「動作条件」から導出することもできる)、
ベクトルXは、式5について上記で説明したのと同じ方法で、構造モデル内のすべてのノードの位置と回転を6自由度で定義する。表記X’は、Xの時間についての導関数を意味する。
前述のように、構造モデルは静的または動的に解決することができる。これらの方法はどちらも、ドライブライン構造モデル内のすべてのノードの6自由度の撓みを計算する。
本方法では、Xの行列方程式を解いて、構造モデル内のノードの新しい位置と回転を決定することができる。撓みは、ノードの新しい位置/回転値と開始位置/回転値との差とみなすことができる。
ステップ940が熱効果と構造効果の両方によるノードの撓みを計算する例では、方法はこれらの撓みを組み合わせて全体の撓み値にすることができる。例えば、この方法では、個々の撓み値を単純に合計することができる。
ベアリングであるドライブライン構成要素の場合、この方法では、温度分布930を構造モデルに適用する別の方法を使用して、撓み942を計算することができる。構造モデルには、内側軌道、外側軌道、回転要素、および接続構成要素の1つまたは複数に対応するノードを含めることができる。ステップ938で、本方法は、温度分布930を適用して、構造モデルのこれらのノードにおける温度値を決定することができる。次に、ステップ940で構造解析を実行するとき、方法はこれらのノードでの熱膨張を決定し、その膨張がベアリングの動作クリアランスをどのように変えるかを決定することができる。したがって、動作クリアランスは、ベアリング製造業者の標準値である半径方向内部クリアランスとは異なる場合がある。動作クリアランスは、より正確な性能メトリック912を決定するために使用することができる撓み942の表現の一例である。
CAEツールを使用して、メッシュサイクルを通してギアを動かし、メッシュ剛性の変動を計算することにより、伝達誤差(TE)を計算することができる。伝達誤差は、公称値からの回転角の偏差である。構造解析が静的解析ではなく動的解析である例では、結果として得られるTEは、ドライブライン構造への励振として使用することができ、ハウジングの表面での振動の強制応答解析と予測、および必要に応じて、放射ノイズの予測につながる。このプロセスは、特にギアおよびドライブラインについて設定することができる。モデルはパラメトリックであって高速に実行することができ、後処理はアクセス可能なグラフィカルユーザインターフェースの形式で設定することができる。
TEに加えて、エンジンのトルクリップル、電気機械のトルクリップル、電気機械の半径方向力など、ドライブラインの他の励振を適用することができる。構造モデルが動的に解かれる例では、これらの励振は、式6の適用された力ベクトルFに含まれる。
すべての潜在的な故障モードとそれに対応する計算では、1つの重要な影響要因はミスアライメントである。ミスアライメントは、構成要素の位置、または少なくとも構成要素の一部の位置が別の構成要素に対して変化するように撓む構成要素によって生じる可能性がある。転動体のベアリング内では、ミスアライメントにより各疲労サイクルの応力が増加し、ベアリングの寿命が短くなる可能性がある。ギアの場合、ミスアライメントにより、噛み合う歯間の接触圧力が増加する可能性があり、疲労に対する抵抗が減少し、スカッフィングの可能性が増加する。また、ミスアライメントは、接触するギア間の接触パッチを変更する可能性があり、それによってTEが増加し、ギア間の油膜に影響を与え、ギアメッシュパワー損失が増加し、ドライブライン全体の効率が低下する。
ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の撓みを計算することが有益であり得る。上記のように、そのような撓みは、一例として、動作条件下でギアとベアリングのミスアライメントを引き起こす可能性がある。ギアとベアリングのそのような撓み/ミスアライメントを計算するために、構造モデル938は、シャフト、ベアリングとギアから成る完全なギアボックスサブシステムの数学的表現とすることができ、使用することができる。ギアの力は、加えられたトルクによりギアメッシュで発生し、シャフトの撓み、ベアリングの負荷依存の撓み、およびハウジングの歪みにつながる。その結果として、実際と計算の両方で、ギアボックスが動力を伝達するときにギアとベアリングのミスアライメントが生じ、ギア疲労、スカッフィング、TE、効率、ベアリングの疲労の前述の故障モード/性能目標に影響を与える。
図10は、トライボロジー、熱モデリング、効率、および構造モデリングを1つの統合プロセスに組み合わせたドライブラインモデリング方法を示している。この図は、すでに説明した様々なモデルの間のすべての相互作用をまとめたものである。前の図における対応する特徴を備えた図10の特徴には、1000シリーズの符号が付けられ、ここで再度説明する必要はない。
この例では、
・ステップ1002でのトライボロジーモデルの構築は、パラメトリック記述1000、ならびに動的データ(パラメトリック記述1000から導出される)、温度分布1030、およびドライブラインの撓み1042のうちの1つまたは複数に基づいている。
・ステップ1026での熱モデルの構築は、パラメトリック記述1000、ならびに効率メトリック1036および牽引係数1008の一方または両方に基づいている。
・ステップ1032での効率モデルの構築は、パラメトリック記述1000、ならびにドライブラインの撓み1042、温度分布1030、および牽引係数1008のうちの1つまたは複数に基づいている。
・ステップ1038での構造モデルの構築は、パラメトリック記述1000に基づいており、任意選択的に温度分布1030にも基づいている。
・ステップ1010での性能メトリック1012の計算は、牽引係数1008、温度分布1030、効率メトリック1036、およびドライブラインの撓み1042のいずれかまたはすべてに基づくことができる。
本発明は、パラメトリック記述に基づいて、全体を通して同じドライブライン定義を使用する。これにより、1つの解析の出力を入力として適用して、異なるタイプの解析のモデルを構築することができる。これは、各種類の解析の結果が異なるCAEツールで異なる方法で定義され、ドライブラインの異なる位置に適用され、異なるレベルの忠実度に提供され、異なる方法で離散化されるため、個別のCAEツールでは不可能であろう。単一のCAEツール内の単一のドライブライン定義により、様々なタイプの物理を表すモデルの相互作用が可能になり、関連するすべての影響が考慮されるため、より正確な性能メトリックが得られる。例えば、熱モデルは構造モデルと同じメッシュを使用するように簡単に設定することができるので、熱解析の結果である温度分布を構造モデルに直接適用することができ、メッシュの各ノードに温度値が定義されている。トライボロジーモデルは、ドライブライン内のすべての接触面の位置を定義することができ、次にこれらの位置で計算された牽引係数を効率モデルに直接適用することができ、効率モデルは、牽引係数を使用してこれらの各位置でのパワー損失を計算する。パワー損失は、ドライブラインの同じ場所のセットで、熱モデルの熱源として適用することができる。これは、各タイプの解析(トライボロジー、熱、構造、効率)が、異なるジオメトリ定義、異なる離散化、および異なる場所で計算された解析結果を有する独自のドライブラインモデルを有しているならば、不可能であろう。つまり、いくつかの例では、プロセスは異なるタイプの解析(トライボロジー解析、熱解析、構造解析、効率解析、動的解析、および性能メトリックの計算に使用することができるその他のタイプの解析など)のために複数のモデルを、異なるモデルが共通の構造を有するように構築することができる。例えば、モデルは、(i)共通のノード位置、(ii)共通の忠実度レベル、(iii)同じメッシュ、および(iv)同じ方法で離散化されたもののうちの1つまたは複数を有してもよい。このようにして、異なるモデルが本明細書に記載されているプロセスによって一緒に効率的に使用され得るように、異なるモデルを構築することができる。少なくとも一部の例では、これは、別のCAEツールからの別のタイプの解析と組み合わせることが予期されない単一のタイプの解析については、特定の方法でモデルを構築するという当業者の期待に反する場合がある。
図10で説明されている異なるモデル間の相互作用は、より優れたドライブラインを設計する上で非常に価値があり得る。パラメトリック記述1000の設計変更は、異なる解析タイプによって計算された性能メトリックのいずれかに影響を与える可能性がある。様々な解析タイプが相互作用する多くの方法を考えると、すべての相互作用を取り込んでさらに正確な結果を得るために、熱/効率/トライボロジー/構造モデルを一緒に検討することが有益であり得る。
例えば、ベアリングの負荷、ベアリングのミスアライメント、およびベアリングリングの歪みはすべて、ドライブラインシステムの撓みから計算される。撓みは構造モデルによって計算され、ギアの負荷、非線形のベアリング剛性、および不均一な温度分布を考慮しているため、熱モデルの出力に依存している。各ローラベアリングの転動体間の負荷分散と、各転動体と軌道との間の接触圧力分布が計算される。接触圧力は、(図5を参照して上記で説明したように)動的データの一部としてトライボロジーモデルへの入力とすることができる。
ベアリングのミスアライメント、ベアリングリングの歪み、およびベアリングの接触圧力分布のこれらの値を使用して、ベアリング内の下位構成要素間の接触力を計算することができる。トライボロジーモデルによって計算された牽引係数は、これらの接触力とともに、効率モデルで使用して、ベアリングの抗力とパワー損失を計算することができる。潤滑剤の特性はトライボロジーモデルに含めることができ、潤滑剤の粘度は、熱モデルの出力として提供される潤滑剤の温度によって影響を受ける可能性がある。次に、効率モデルのベアリングパワー損失を熱源として熱モデルへの入力として使用することができる。
上記のベアリングへの潤滑剤の影響の計算は、詳細な潤滑剤の定義を含むギアメッシュ効率の計算と並行して実行することができる。FVA345などの牽引モデルには、テストから得られた係数を使用して、潤滑剤の配合と添加剤の影響を含めることができる。ベアリングの設計、ギアの設計、および潤滑剤の設計の間の実質的な相互作用は、様々なレベルで行うことができる。
ギアの設計は、異なるモデル間の相互作用が重要な別の例である。ギアのマクロ形状は、所定の動作条件でのドライブライン内のギア力を決定し、ギア力はベアリング負荷、ミスアライメント、転動体と軌道との間の接触圧力に影響を及ぼし、したがって潤滑剤との相互作用、およびベアリング抗力に対する潤滑剤の衝撃に影響を及ぼす。
ギアのマクロ形状もギアメッシュ効率に影響を与え、したがってギアのパワー損失メカニズムにも影響を与える。ギアのマクロ形状での設計の選択は、1つの性能メトリックには有利な効果をもたらすが、別の性能メトリックには不利な効果をもたらすことがある。例えば、ギアの作動圧力角を大きくすると、ギアメッシュの効率は上がるが、ベアリングにかかる負荷が大きくなる。ベアリング負荷が増加すると、ベアリングの抗力が増加する可能性があり、これは、トライボロジーモデルを使用して調査および理解することができる効果である。ギアのマクロ形状の設計変更は、ギアの耐久性、ギアの伝達誤差、ギアの効率、ベアリングの抗力に影響を与える。最後の2つへの影響には、ISO14179などの標準的な効率方法を超えるオイルの特性の詳細な評価が必要である。オイルの配合やギアのマクロ形状などの設計変更は、様々な性能基準に関して評価する必要がある。本発明は、異なるタイプの解析の相互作用を考慮し、ギアのマクロ形状設計における複数の性能メトリックの考慮を容易にする。
ギアがメッシュサイクルを通過すると、メッシュの剛性が変化し、伝達誤差(TE)と呼ばれる現象が生じる。剛性のこの変動は、本来音調である励振として機能し、ドライブライン構造を励振し、人間の耳には不快で乗用車などの消費者製品には受け入れられない不快なノイズであるギアのうなりにつながる可能性がある。ギアの微細形状は、ギアの伝達誤差とギアメッシュ効率に影響を与える。設計者は、微細形状の変更またはオイル仕様の変更を通じてドライブラインの効率を改善することを選択することができ、後者はベアリングの抗力に影響する。構造モデルは動的に解析することができるので、伝達誤差やその他の励振に対するドライブライン全体の動的応答を計算することができ、それにより、設計者が様々な性能基準にわたる設計変更のすべての影響を理解することができる。
一実施形態では、本発明は、システムの撓みおよび負荷された歯の接触解析(LTCA)と組み合わされた潤滑剤試験データ(例えば、FVA345法)を含む効率計算を使用する。LTCAはドライブラインの構造モデルに含めることができる。システムの撓みは、シャフトの撓み、ハウジングの撓み、および非線形のベアリングの撓みに依存する。LTCAは、噛み合うギアの歯の間の接触の物理を解析し、接触している歯面の部品の撓みを考慮し、ギアの歯面の応力分布を計算する方法である。負荷はシステムの撓みと微細形状に依存し、ギアの耐久性と伝達誤差に影響を与える。したがって、ギアの微細形状の設計変更は、システムの撓みが含まれている場合には、ノイズ、耐久性、および効率に影響するが、一部のアプリケーションでは、計算が潤滑剤の特性を正しく考慮している場合にのみ、効果を適切にモデル化することができる。効率の計算に潤滑剤の特性を含めることは、例えばFVA345法によって実現することができる。非線形のベアリング剛性は、システムの撓みやミスアライメントに影響し、噛み合うギアの歯の間の接触パッチの形状に影響し、したがって耐久性/効率/ノイズに影響する。
ギアのうなりによるノイズの他に、他の動的シミュレーションを使用して、ドライブラインが目的に適合しているかどうかを確認することができる。ギア(または速度)比の変更には、多くの場合、クラッチまたはシンクロナイザの接続が含まれ、ドライブラインの速度/ギア比のこの不連続な変化は、乗客の快適さを目的として、ドライブライン設計者が最小化することを望む一時的なショックを形成する。
これらの速度比の変化の研究には、速度変化イベントの時間ステップ、各時間ステップでの力、トルク、速度の計算が含まれる。クラッチまたはシンクロナイザの摩擦力は、クラッチまたはシンクロナイザの接続時に計算される。
これらの方法は通常、MBDパッケージ(Adams、Simpack)またはマルチドメインシミュレーションパッケージ(Simulink)で実行される。一部のアプリケーション固有のCAEツールは、このシミュレーションを実行することができることを話す。
何年もの間、手動トランスミッションとは対照的に、自動トランスミッションでは非常に異なる特性を持つ潤滑剤を選択することがエンジニアリング慣行として受け入れられてきた。「ATF」(自動トランスミッション流体)は、クラッチとブレーキを常に連動させてスムーズな変速を実現するように設計されている。
エンジニアリング設計プロセスの現実は、この潤滑剤の選択が残りの構成要素に与える影響が必ずしも十分に理解されておらず、定量化されていないことである。シフト性能を向上させる摩擦特性を備えた流体を選択することができ、これは、AdamsなどのMBDツール、Simulinkなどのマルチドメインシミュレーションツール、またはDrivaなどのアプリケーション固有のCAEツールでのシミュレーションによって研究されるが、しかし、摩擦の表現は単純な摩擦係数の定義にあり、速度、負荷、または温度に依存しない。さらに、前述の理由により、ギアとベアリングに対する潤滑剤の選択の詳細な影響は考慮されていない。
本明細書に記載されている例は、クラッチ係合のシミュレーションの形で潤滑剤の影響を含むさらなる動的解析を有利に提供することができる。クラッチ接続のイベントは、ギア速度/比率の変化をシミュレートすることであり、その目的は、例えば乗用車の乗客に対するこのイベントの快適さを理解することである。
シミュレーションは、シフトイベントによる過渡的な動的シミュレーションで構成され、クラッチ/シンクロナイザトルクは摩擦の関数として計算される。摩擦係数は、一定値にすることも、ベアリングに使用されるものと同様の牽引モデルを使用して計算することもでき、これは、境界潤滑、弾性流体潤滑、混合潤滑からなる牽引モデルを組み合わせたものである。
主な利点は、ギアボックスのシフト品質、ドライブラインの効率、およびギアとベアリングの耐久性と摩耗への影響を考慮して、所定の潤滑剤の選択を解釈することができることである。良好なクラッチ接続には、特に低速での特定の摩擦挙動が必要である。この摩擦挙動は、ギアとベアリングの性能に不利になる可能性があり、結果として生じる性能のトレードオフを調査することができる。
すべてのシミュレーション方法は、構成要素の形状と特性、動作条件、および負荷ケースの定義を入力として使用することができる。これらのそれぞれの単一の値は、性能評価の単一の結果をもたらす。しかし、実際には、これらの入力はすべて変動する。生産ラインからのギアボックスの母集団の実際の運用性能を理解するには、製造公差に合わせて入力パラメータを変化させる必要がある。
これまでに説明したすべてのシミュレーションは、ドライブラインのパラメトリック記述に基づく入力値を使用し、パラメータは公称値に設定されている。製造公差、環境変動、または劣化に基づいて、パラメータ値が公称値から変化するときのエンジニアリングシステムの動作を調査することは非常に重要である。本発明は、すべての動作および環境条件におけるすべての製造されたドライブラインの挙動を理解するために、ドライブラインのパラメータ定義に許容誤差を適用する機能を提供する。
これらのシミュレーションはすべて、設計技術者に、より効率的で耐久性があり、優れたギアシフト品質を備えたドライブラインを設計する可能性を提供すると同時に、ノイズ性能を低下させる。これらはすべて、設計と開発のコストを最小限に抑え、テストまたは稼働中の使用における故障のリスクを最小限に抑える方法で実現される。
要約すると、複数の解析タイプ(トライボロジー、効率、構造、熱など)をドライブラインのモデリングと設計で同時に使用することができる。したがって、ドライブライン内の異なる解析タイプ間および異なる構成要素間の相互作用を考慮することができる。この統合された解析の結果は、より正確な性能メトリックであり、最終的には、より優れたドライブライン設計および/またはより正確にモデル化されたドライブラインにつながる。
ここで説明する例では、動的な影響が重要になるような動作条件、例えば、大きな慣性を持つローラを備えた風力タービンベアリングや、ジャイロスコープ効果および遠心効果が顕著になる航空宇宙、電動モータ、工作機械のスピンドルアプリケーションでの高速ベアリングでのベアリング性能のシミュレーションも可能である。
転動体ベアリングの追加の故障モードは、スキッドである。理想的な状況では、転動体の運動学は、内輪と外輪との接触界面でのそれらの運動が純粋な転動であることを意味する。この場合、最小の摩擦(したがってパワー損失と熱による加熱)と最小の摩耗(したがって最大の耐久性)がある。スキッドとは、接触する界面での動作に、スピン(点を中心に回転)またはスライド(平行移動)が含まれる場合の動作を示す。この場合、接触面での摩擦により熱が発生し、パワー損失が発生する。熱はまた、潤滑剤の粘度を局所的に低下させ、これにより、油膜が減少し、金属と金属の接触が発生し、摩耗や早期故障につながる可能性がある。
接触面でのこの非理想的な動きは、アプリケーションによって異なるいくつかの要因によって引き起こされる可能性がある。例えば、風力タービンやその他の大型機械では、シャフトは比較的ゆっくり回転し、支持ベアリングは大きく、大きなローラが付いている。ベアリングが回転するたびに、ローラには負荷ゾーンと無負荷ゾーンがある。負荷ゾーン内では、内輪と外輪との間で圧迫され、これら2つの軌道輪間の相対的な回転は、ローラと軌道の接触での牽引力とともに、独自の軸を中心としたローラの回転運動を与え、ローラが接触界面で回転運動を実現する。ローラが無負荷ゾーンに移動すると、抗力によりローラの回転運動が遅くなり、回転を維持するために内輪と外輪に負荷がかからない。その結果、ローラが負荷ゾーンに再び入り、軌道によって圧迫されると、ローラの回転速度は、純粋な回転運動に必要な速度を下回る。軌道とローラの間の滑り運動は、摩擦、金属と金属の接触、摩耗および早期の故障につながる。
航空宇宙エンジンおよびギアボックス、高速モータ、ターボチャージャ、工作機械のスピンドルなどの高速機械では、問題が発生するのは高速である。ボールベアリングの軸方向力と半径方向力の組み合わせは、理想的な転動運動を実現するには、各ボールの回転軸がベアリングの各回転を通じて変化する必要があることを意味する。しかし、コリオリの力は、各ボールの回転軸を維持することを目的としているため、純粋な回転動作は実現されない。
要約すると、転動体とベアリングの軌道間の牽引力が抗力と慣性力を克服するのに十分でない場合、ベアリングのスキッドが発生する。その結果、転動体が転動するのではなく、軌道に対して滑動する。スキッドは、滑り接触が過剰な熱を生成する可能性があるため問題であり、高い剪断応力は、摩耗や早期のベアリング故障を引き起こす可能性がある。スキッドを防止するために、ベアリングには最小の負荷をかける必要がある。
ISO14179などの現在のベアリング抗力モデルでは、いくつかの重要な影響が省略されている。半径方向内部クリアランス、軸方向:半径方向力比、ミスアライメント、軌道の撓みが変化すると、ローラ間の負荷分布が変化し、転動体と軌道との間の接触圧力に影響を与え、摩擦に影響を与える。実際、ベアリングのミスアライメントは、微視的なレベルでは真の回転運動が不可能であることを意味する。ISO14179はこれを考慮していない。
アプリケーション固有のCAEツールはベアリングを「準静的」形式として扱っており、これは、ローラが回転して疲労サイクルが発生することがわかっているが、慣性力はほとんど無視され、ベアリングの真の動的挙動は考慮されないことを意味する。したがって、風力タービンのギアボックスや高速シャフト(航空宇宙、高速工作機械、電動モータ、ターボチャージャ)のベアリングなど、ベアリングローラの慣性挙動が重要なアプリケーションでは、摩耗につながるベアリングスキッドは予測することができない。
Adoreなどの一部のアプリケーション固有のCAEツールは、転動体の慣性効果を考慮し、スキッドの予測を試みるために時間ステップ解析を実行する。しかし、これらのパッケージではベアリングのみがモデル化されており、ミスアライメントと変動する軸方向:半径方向負荷の形でベアリングに大きな影響を与えるシステムの残りの部分(シャフト、ハウジング、ギア、不均一な温度分布)は考慮されていない。さらに、ベアリング軌道は常に円形であると想定されているため、その柔軟性は考慮されていない。
スキッドを予測する際、これらのアプリケーション固有のCAEツールは時間ステッピング、数値プロセスを使用し、所定の時間ステップでの力を使用して、加速度、速度、新しい変位、および次の時間ステップの新しい力を計算する。これは、ベアリングシステムの対象となるすべての要素に対して実行する必要があり、時間ステップが小さいほど、精度が高くなる。これにはいくつかの問題がある。時間ステップがどのように小さくなっても、すべての条件は時間ステップ内で一定であると想定されるため、依然として誤差がある。また、速度が非常に遅く、シミュレーションによっては、1つの速度/負荷条件で数時間または数日かかる場合がある。つまり、すべての動作条件でのベアリングの動作の完全な調査を完了するのは非常に時間がかかり、性能を改善するための設計、解析、再設計の反復は事実上非現実的である。
スキッドの予測は、必ずしもベアリングの損傷が発生することを意味するわけではない。結果として生じる潤滑剤の局所的な加熱および膜厚の減少が表面の摩耗または損傷をもたらす場合には、スキッドだけが問題である。後者(摩耗)は前者(スキッド)に依存しているが、予測されるのはスキッドのみである。
特定の動作条件でこの最小負荷の値を計算することができる様々なスキッドモデルが存在する。しかし、これらのモデルのほとんどは準静的であり、軸方向に負荷が加えられたベアリングと一定速度に制限されている。実際には、ベアリングは軸方向負荷と半径方向負荷の組み合わせ、および時間変化速度で動作する。特に、風力タービンベアリングは高速で低負荷で動作する傾向があるため、スキッドの影響を受けやすくなっている。
ここで説明する例では、転動体間の負荷分散、軌道との接触状態、軌道の撓み、ミスアライメント、軸方向:半径方向力の分布はすべて、ドライブラインシステム全体の数学モデルのコンテキスト内で計算することができ、それはギア力、シャフトの撓み、ハウジングの撓み、非線形のベアリング剛性、不均一な温度分布を含んでいる。軌道との接触条件は、牽引モデルを利用して、境界潤滑、弾性流体潤滑、混合潤滑からなる潤滑モデルを使用して、ローラと軌道との間の牽引力を計算する際に使用することができる。
モデルは、ローラがローラベアリングの周りを進むときに、各位置での各ローラのスキッドを予測することができる。さらに、このスキッドの予測を使用して、オイルの粘度の低下、膜厚の減少、およびスキッドによって引き起こされる摩耗の開始を予測することができる。
スキッド予測は、いくつかの方法で実行することができる。すなわち、a)数値解析(図11を参照して説明)、およびb)数値解析と解析手法の組み合わせ(図12を参照して説明)である。少なくとも一部のアプリケーションでは、それ自体で(つまり、数値解析なしで)解析手法を使用することは、十分に正確ではない場合がある。
図11は、ドライブラインをモデル化するプロセスの概略図を示している。このプロセスは、ベアリングスキッド結果1144(性能メトリックの一例である)を決定するための数値解析とみなすことができる。以下で説明するように、このプロセスには、各時間ステップでの力、加速度、速度、変位の時間ステップ解析が含まれる。これは正確な解法であるが、時間がかかる場合がある。
以前のフローチャートと同様に、図11のパラメトリック記述1100は、動的モデル処理ブロック1101への入力として使用される。動的モデル処理ブロック1101は、上記と同じ方法で動的モデルを構築し実行することができる。動的データは、ドライブラインの接触面での速度および圧力などの接触動作条件を表すことができる。トライボロジーモデル処理ブロック1106は、牽引係数を決定するために、少なくともパラメトリック記述1100に基づいて、上記と同じ方法でトライボロジーモデルを構築し実行することができる。熱モデル処理ブロック1126は、温度分布を決定するために、少なくともパラメトリック記述1100に基づいて、上記と同じ方法で熱モデルを構築し実行することができる。
この例では、
・トライボロジーモデル処理ブロック1106は、図11のトライボロジーモデル処理ブロック1106を指す矢印で表されるように、温度分布と動的データの一方または両方に基づいて牽引係数を計算することができる。
・熱モデル処理ブロック1126は、図11の熱モデル処理ブロック1126を指す矢印で表されるように、牽引係数と動的データの一方または両方に基づいて温度分布を計算することができる。
・動的モデル処理ブロック1101は、図11の動的モデル処理ブロック1101を指す矢印で表されるように、温度分布と牽引係数の一方または両方に基づいて動的データを計算することができる。
3つのモデル処理ブロック1106、1101、1126は相互に依存することができ、それぞれが他の2つのモデルの出力を入力として受け取る。このプロセスでは、モデルを繰り返し実行し、牽引係数、温度分布、動的データのうちの1つまたは複数で収束が達成されるまで繰り返すことができる。これは、符号1145で図11に概略的に示されている収束ループとみなすことができ、これにより、モデルの実行結果の1つまたは複数がループを終了することができるように十分安定になるまで、各モデルが順番に実行される。上記のように、収束ループ1145を停止するタイミングを決定するために、プロセスは任意のループ終了条件を使用することができる。
ステップ1143で、プロセスは、パラメトリック記述1100、および以下のうちの1つまたは複数に基づいて、ベアリングスキッド結果1144を計算することができる。(i)動的データ(動的モデル処理ブロック1101から)、(ii)温度分布(熱モデル処理ブロック1126から)、(iii)牽引係数(トライボロジーモデル処理ブロック1106から)。このように、性能メトリックの例であるベアリングスキッドの結果1144は、結果のレポートに関するユーザの要件に応じて、3つのモデル1106、1102、1126のいずれかまたはすべてに基づいて計算することができる。ベアリングスキッドの結果は、牽引係数、温度、パワー損失、耐久性メトリック、その他のパラメータを含むことができる。
収束ループ1145に加えて、図11の方法は、時間ステップ数値モデルとして使用することができる。シミュレーションの1つの時間ステップにおける3つのモデル1106、1102、1126の出力は、シミュレーションの次の時間ステップの初期条件として使用することができる。例えば、ある時間ステップで収束値に達した後に、熱モデル1126によって計算された温度分布を、次の時間ステップの最初の反復の初期温度分布として使用することができる。
図12は、ドライブラインをモデル化する別のプロセスの概略図を示している。このプロセスは、(i)図11を参照して前述した数値解析、および(ii)ベアリングスキッド結果1244(性能メトリックの一例である)を決定するために、以下で説明される解析解の組み合わせとみなすことができる。前の図における対応する特徴を備えた図12の特徴には、1200シリーズの符号が付けられ、ここで再度説明する必要はない。
以下で説明する解析的手法は、スキッドが発生する可能性が高い条件を特定し、可能な解を調べるためにも使用される。解析的手法の結果は、より遅い数値解を実行することが生産的である条件を示す(モデル実行ステップ1206、1201、1226の間のループによって提供される)。これにより、ありそうなスキッド状態を推定し、数日間続くシミュレーションを実行して、スキッドが発生しないことを見つけるという問題を回避することができる。その後に、数値的手法を使用して、この結果を確認し、スキッドの重大度を理解することができる。
図12では、ステップ1246で、少なくとも1つのベアリングの解析的モデルが構築され、パラメトリック記述1200に基づいて実行される。ステップ1246の処理は、スキッドの開始を予測する閉形式の方程式で書くことができる解析解を適用することができる。これは数値解析よりもはるかに高速である。数時間や数日ではなく、ほんの数秒でスキッド「マップ」1248を作成することができる。これは、図11の数値解析よりも精度が低くなる可能性があるが、図11の数値解析を実行する前の初期処理ステップとしては依然として有用である。
一定の軸方向負荷と一定速度の下でのベアリングの場合、スキッドを防止するために必要な最小負荷は式7aで与えられる。
Figure 2020535527
ここで、ηは潤滑剤の粘度、x”y”z”は移動座標系であって、x”およびy”軸は接触パッチの平面内にあり、z”軸は接触線に平行であり、aとbは楕円の接触パッチの範囲、hは潤滑剤の膜厚、Cは抗力係数、ρは潤滑剤密度、ω thはケージ速度の理論値、rはピッチ半径、rは転動体の半径、Δumaxは最大許容スリップ速度、Gはジャイロ力である。
軸方向負荷と半径方向負荷を組み合わせたベアリングの場合、負荷ゾーン内のスキッドの範囲は式7bで与えられる。
Figure 2020535527
ここで、θは滑り接触領域の角度範囲、θは負荷ゾーンの角度範囲、Iは転動体の慣性モーメント、ω thとω thは、ケージと転動体の速度の理論値、βは転動体と軌道との間の接触角、uabは滑り接触領域で転動体と軌道との間に作用する摩擦係数、F maxは、負荷ゾーン内の転動体に作用する最大接触力、Θは、スキッド領域の全角度範囲(滑り接触領域+スピン接触領域)、μBCは、スピン接触領域の転動体と軌道との間に作用する摩擦係数である。
一定の軸方向負荷と様々な速度でのベアリングの場合、速度の変動が式7cで与えられるしきい値よりも大きい場合には、スキッドが発生する。
Figure 2020535527
ここで、ΩとΔωは速度変動の周波数と振幅、μは、転動体と軌道との間の摩擦係数、Fは軸方向負荷、rとrは内輪と外輪の半径、zは転動体の数、Iはベアリング軸周りの転動体の慣性モーメント、ωは平均速度である。
式7a〜式7cのそれぞれを適用するために必要なすべての情報は、直接または間接的に、パラメトリック記述1200から入手することができる。間接的に利用可能な情報の一例は、上記の動的データである。
このようにして、処理ステップ1246の出力は、どの動作領域がベアリングスキッドの影響を受けやすいかを定義するスキッドマップ1248である。いくつかの例のベアリングスキッドマップ1248には、i)所与の動作条件下でスキッドが発生するかどうか、ii)負荷ゾーンの範囲、iii)滑り接触領域の範囲、iv)スピン接触領域の範囲、v)スキッドが発生する速度変動の周波数および/または振幅などの情報を含めることができる。
このスキッドマップ1248を使用して、本方法は、ベアリングの動作範囲にわたってどの動作点が対象であるかを識別するステップ1250を実行する。「動作点」は、負荷条件(速度、トルクなど)、および/またはベアリング内の位置(つまり、スキッドが発生する角度を定義する)で表すことができる。いくつかの例では、プロセスは、ベアリングごとに個別のスキッドマップ1248を決定してもよい。ステップ1250の処理は、手動で(すなわち、技術者がスキッドマップ1248を見て、動作点を選択する)、または自動的に実行することができる。関心のある点を自動的に識別するには、スキッドマップの値をしきい値と比較し、値がしきい値を超えた場合は数値解析に進む。
次に、プロセスは、図11を参照して前述したのと同様の方法で、動的モデル1102、トライボロジーモデル1106、および熱モデル1126を使用して詳細な数値シミュレーションを実行することができる。しかしながら、この例では、動的モデル処理ブロック1201は、ステップ1250で計算された動作点に基づいて動的データを計算する。すなわち、動的モデル処理ブロック1201によって使用される入力データは、ステップ1250で計算された動作点に基づいて決定することができる。このようにして、数値解析が実行され、これらの関心のある動作点がさらに調べられる。
発明を実施するための一例
本発明は、ドライブラインの性能を設計の変更を通じて予測、理解、改善することができるようにするために、シミュレーションを通じて、機械的または電気機械的ドライブライン内のギアボックス、モータ、およびパワーエレクトロニクスの3つのサブシステムのいずれかまたはすべての設計を技術者が理解することができるようにするソフトウェアパッケージを含む。本発明は、潤滑剤がどのようにベアリングスキッド、ギアメッシュパワー損失およびベアリング抗力などの物理的挙動の側面に影響を与えるかに焦点を当てている。
その機能は、潤滑剤の影響とそれがドライブライン性能の他の側面にどのように影響するかについての設計技術者の洞察を提供し、以前は不可能だった生産性で目的に適合するように設計を最適化し、確認することができるようにする。新製品の市場投入と、既存製品の問題解決にかかる時間と費用が節約される。最も重要なことは、人間の生命をさらに保護する可能性があることである。
一態様では、本発明は、コンピュータ支援エンジニアリングを使用してドライブラインを設計する、コンピュータにより実施される方法を提供する。本方法は、ドライブラインのパラメトリック定義を提供するステップと、実行される1つまたは複数のタイプの解析のユーザ選択を受け取るステップと、パラメトリック定義のどの特徴を、選択した1つまたは複数のタイプの解析に使用するかを決定するステップと、パラメトリック定義からドライブラインの数学モデルを作成するステップと、実行される1つまたは複数のタイプの解析に従ってドライブラインの性能を解析するステップと、を含み、パラメトリック定義の特徴は潤滑特性を含み、これにより、ドライブラインを作成するための設計が作成される。
フォーム、機能、材料特性、動作条件、または負荷ケースで構成されるパラメトリック記述は、これらの解析に必要な入力データよりも大量のデータである。各数学モデルに必要なパラメータ(静力学、動特性、効率、熱など)が抽出される。トライボロジーモデルの入力データは、ドライブラインの完全なパラメトリック記述から抽出される。
好ましくは、潤滑剤の特性は、潤滑剤粘度およびアイリング剪断応力を含む。潤滑剤の特性は、パラメトリック記述で定義されている材料特性の一部である。それらには、潤滑剤の粘度とアイリング剪断応力が含まれる。
好ましくは、1つまたは複数のタイプの解析は、ベアリング抗力および/またはクラッチ摩擦の計算を含む。ドライブラインのパラメトリック定義は、解析を実行するための入力データとみなされるが、この場合、これはベアリング抗力であり、全体的なドライブライン効率計算の構成要素、またはギアシフト計算の構成要素であるクラッチ摩擦である。
好ましくは、ベアリング抗力の計算および/またはクラッチ摩擦の計算は、牽引モデルを含む。
好ましくは、ベアリング抗力の計算は、システムの撓みの関数として計算されたベアリングのミスアライメントを含む。好ましくは、システムの撓みは、ハウジング、シャフト、または非線形のベアリング剛性の関数を含む。パラメトリック定義には、静的解析に必要なデータが含まれている。これは、この単一の定義から生じる数学モデルの1つである。
好ましくは、不均一な温度分布が考慮される。
好ましくは、設計目標は、ベアリングの耐久性またはスキッドをさらに含む。好ましくは、ベアリングスキッドは、数値的および解析的方法の両方に従って計算される。
好ましくは、設計目標は、ギア比シフトおよび/または動的クラッチ係合をさらに含む。
好ましくは、ドライブラインの性能に制限が設定されており、この制限は、摩耗、疲労、または表面の損傷を回避するために許容することができるベアリングスキッドの量である。
好ましくは、設計目標は、ギアの耐久性または伝達誤差または効率をさらに含む。好ましくは、設計目標は、伝達誤差に起因する振動またはノイズをさらに含む。
好ましくは、パラメトリック定義は製造公差を含む。
さらなる態様では、本発明は、ドライブラインのコンピュータ支援エンジニアリング設計のためのコンピュータ可読製品を提供し、本製品は、上記の本発明の第1の態様の方法のステップを実施するためのコード手段を含む。
さらなる態様では、本発明は、回転機械アセンブリのコンピュータ支援エンジニアリング設計のためのコンピュータシステムを提供し、本システムは、上記の本発明の第1の態様の方法のステップを実施するように設計された手段を含む。
発明を実施するための形態の詳細な説明
主に、ギアボックスのすべての主要なエンジニアリングパラメータは、フォーム、関数、負荷ケース、材料特性を含む単一のモデルで定義される。これらは、設計の迅速な再定義を可能にするパラメトリックモデルで定義され、多数の物理シミュレーションの結果に応じた迅速な設計−解析−再設計の反復を可能にする。これらのシミュレーション結果の各々は、ドライブラインの動作性能の数学モデルから生じ、物理現象ごとに異なるアルゴリズムが必要であり、エンジニアリング生産性を最大化するためにすべてのアルゴリズムを単一のパッケージ内で使用することができる。
本発明の重要な特徴は、システムの単一のパラメトリック記述があり、そこから複数の故障モード解析のための複数のモデルが導出されることである。
パラメトリック記述という用語は、データの収集に適用されるラベルであり、そのフォーム、機能、特性、および動作条件に関して製品を定義する。フォームは、形状に関連するデータを含む。特性は、構成要素の材料特性に加えて、ベアリングの動的容量、ギアの歯面の表面粗さ、潤滑剤の粘度、シャフト材料のグッドマン線図、電動モータ巻線の抵抗率などの構成要素固有の特性を含むことができる。動作条件は、時間履歴または常駐ヒストグラムのいずれかとして、主に回転機械の出力、速度、トルクを含み、温度、湿度なども含む。機能は、製品、サブシステム、構成要素が主要機能を実行する方法を定義する。例えば、ローラベアリングの機能は、シャフトの回転を可能にし、シャフトとベアリングを一緒に組み立てることをサポートすることであり、複合機能は、負荷をかけることができる回転シャフトを提供し、シャフトにギアを取り付け、同様に取り付けられたギアと噛み合わせ、複合機能が速度とトルクを変更することである。(つまり、ギアボックス)。
表1 解析固有のデータ選択とパラメトリック記述
Figure 2020535527
表1の最初の行は、4つのデータセット(機能1302、フォーム1304、特性1306、および動作条件1308)で構成されるパラメトリック記述1300の表現を示している。図13は、4つの非重複データセット(機能1302、フォーム1304、特性1306、および動作条件1308)から形成されるパラメトリック記述1300のさらなる表現を示す。使用する解析パッケージ1310、1312、1314に応じて、技術者は4つのデータセットの1つまたは複数からデータを選択して、実行する解析に適した解析モデルを作成する必要がある。
従来のソフトウェアパッケージでは、CADはフォーム(ジオメトリ)と特性の一部の側面(ヤング率ではなく材料密度)を提供するが、動作条件や機能は含まれない。多体動力学および有限要素パッケージのモデルには、フォーム、機能、特性、および動作条件の特定の側面が含まれるが、シミュレートされる特定の故障モードに関連するもののみが含まれる(図1を参照)。マルチドメイン動的シミュレーションのモデルは、シミュレーションされている特定の故障モードに関連する機能、特性、および動作条件の側面も使用するが(図1を参照)、フォームは使用しない。アプリケーション固有の車両シミュレーションパッケージ(例えばAVLクルーズ)のモデルは、シミュレーションされている特定の故障モードに関連する機能、特性、および動作条件の側面を有するという点で、マルチドメイン動的シミュレーションパッケージのモデルと似ている(図1aを参照)が、しかしフォームはない。
構成要素固有のパッケージのモデルには、構成要素のみのフォームと特性があるが、その構成要素の機能は、システム全体のコンテキスト内で理解する必要がある。例えば、ベアリングの機能は、例えば車両のシャーシでサポートされているハウジングに位置するシャフトの負荷を支持することである。シャフトとハウジングの定義がない場合、機能の定義は、負荷、ミスアライメントなどの人工的に定義された動作条件によってのみ暗示される。
これを図13に示す。ここで、解析1310に関連するデータセットは、フォームセット1304、特性セット1306、および動作条件セット1306の一部に重なる三角形セットで表され、この例では、多体動力学または有限要素パッケージにデータを提供する。同様に、解析に関連するデータセット1312は、機能セット1302、特性セット1306、および動作条件セット1308の一部に重なる三角形セットで表され、この例では、マルチドメイン動的シミュレーションまたはアプリケーション固有の車両性能パッケージにデータを提供する。同様に、解析に関連するデータ1314は、フォームセット1304および特性セット1306の一部に重なり、CADにデータを提供する三角形セットで表される。
従来のソフトウェアパッケージでは、4つのタイプのデータの少なくとも1つが存在しないと、設計プロセス内のワークフローが不連続になる。図13は、本発明がこの不連続性をどのように排除するかを示している。
この文書では、ドライブラインの性能、特に潤滑剤の影響を、これまでにないほど詳細にシミュレートするソフトウェアパッケージである発明について説明する。エンジニアリングへの影響は、設計者がより効率的で耐久性のあるドライブラインを設計することができることであり、ドライブラインを使用する様々な輸送モードでの乗客の環境、コスト、および安全性に対応する利点がある。
本発明は、形状、機能、材料特性、および負荷ケースがドライブラインシステム全体に対して定義されている限り、アプリケーション固有のパッケージに基づいており、多数の異なる構成要素に、そのエンジニアリング機能に応じてパラメトリック定義が与えられる。この単一の製品定義から、様々な数学モデルが導き出され、様々な性能目標と故障モードを同時に評価することができる。
潤滑剤は、単に粘度よりも詳細に説明されている。アイリング剪断応力が含まれているため、動作条件に応じて、境界層潤滑と弾性流体潤滑のレジームで構成される牽引モデルを導出することができる。
アプリケーション固有のパッケージと同様に、システムの撓みは、ギアの負荷、非線形ベアリングの剛性、シャフトの撓み、ハウジングの撓み、不均一な温度分布を考慮して計算される。これは、ベアリングの負荷だけでなく、ミスアライメントやベアリングリングの歪みの計算にも使用される。各ローラベアリングの転動体間の負荷分散と、各転動体と軌道との間の接触圧力分布が計算される。
ミスアライメント、ベアリングリングの歪み、および接触圧力分布のこれらの値は、ベアリング内の牽引力とそれに対応するベアリング抗力を計算するために使用される。
これは、ベアリングの慣性力を無視して準静的条件で計算することができ、これは、多くの場合、ベアリングの抗力と効率への影響の計算には十分である。
このベアリングへの潤滑剤の影響の計算は、FVA345または同様の潤滑剤の詳細な定義を含むギアメッシュ効率の計算と並行して実行される。ベアリングの設計、ギアの設計、および潤滑剤の設計の間の実質的な相互作用は、様々なレベルで行われる。
ギアのマクロ形状は、所定の伝達トルクに対するギアボックス内のギア力を定義し、これは、ベアリング負荷、ミスアライメント、転動体と軌道との間の接触圧力に影響を与え、潤滑剤との相互作用およびベアリング抗力に対するアイリング剪断応力の衝撃に影響を及ぼす。
同時に、ギアのマクロ形状はギアメッシュ効率に影響を与え、したがってギアのパワー損失メカニズムに影響を与える。ギアの作動圧力角を大きくすると、ギアメッシュの効率が上がるが、ベアリングにかかる負荷が大きくなるため、オイルのアイリング剪断応力によっては、ベアリングの抗力が大きくなる可能性がある。これは調査して理解することができる。また、ギアの耐久性と伝達誤差にも影響する。マクロ形状の変更は、ギアの耐久性、ギアの伝達誤差、ギアの効率、ベアリングの抗力に影響を与える。最後の2つへの影響には、ISO14179を超えるオイル特性の詳細な評価が必要であり、これは本発明に含まれる。オイル配合やギアのマクロ形状などの変更は、複数の性能基準に関して評価する必要があり、本発明はこれを可能にする。
ギアの微細形状は、ギアの伝達誤差とギアメッシュ効率に影響を与える。設計者は、微細形状の変更またはオイル仕様の変更を通じてギアボックスの効率を改善することを選択することができ、後者はベアリングの抗力に影響する。本発明は、ギア伝達誤差およびシステム全体の動的応答の計算を含み、それにより、設計者は、様々な異なる性能基準にわたる設計変更のすべてのノックオンの影響を理解することができる。
また、本発明は、動的な影響が重要になるような動作条件、例えば、大きな慣性を持つローラを備えた風力タービンベアリングや、ジャイロスコープ効果および遠心効果が顕著になる航空宇宙、電動モータ、工作機械のスピンドルアプリケーションでの高速ベアリングでのベアリング性能のシミュレーションも可能である。
転動体間の負荷分散、軌道との接触状態、軌道の撓み、ミスアライメント、軸方向:半径方向力の分布はすべて、ドライブラインシステム全体の数学モデルのコンテキスト内で計算され、それはギア力、シャフトの撓み、ハウジングの撓み、非線形のベアリング剛性、不均一な温度分布を含んでいる。軌道との接触条件は、境界潤滑、弾性流体潤滑、混合潤滑からなる牽引モデルを使用して、ローラと軌道との間の牽引力を計算する際に使用され、アイリング剪断応力と潤滑剤の粘度を利用する。
ローラがローラベアリングの周りを進むとき、各位置での各ローラのスキッドを予測する。さらに、このスキッドの予測を使用して、オイルの粘度の低下、膜厚の減少、およびスキッドによる摩耗の開始を予測する。
スキッド予測は2つの方法で実行される。各時間ステップでの力、加速、速度、変位の時間ステップ解析を含む、数値的手法の従来の手法が含まれている。これは可能な限り最も正確な解法であるが、結果の解釈が難しい場合があるため、設計ツールとして使用するのは時間がかかり、困難であり得る。
したがって、第2の手法は、スキッドの開始を予測する閉形式方程式の形で記述された解析的解法である。これははるかに速く、数時間や数日ではなく数秒でスキッド「マップ」を作成することができる。精度は低くなるが、スキッドが発生するメカニズムを設計者が理解し、それを回避するための対策を講じるのに役立つ。当然、設計者が準備ができたら、数値的手法を使用して同じ条件のスキッド予測を再実行することにより、解析結果の精度を確認することができる。
実際には、両方の方法が使用される。解析的手法は、スキッドが起こりそうな条件を特定するために使用され、可能な解の調査にも使用される。それは、遅い数値的解法を実行することが生産的である条件を示す。これにより、ありそうなスキッド状態を推定し、数日間続くシミュレーションを実行して、スキッドが発生しないことを見つけるという問題を回避する。数値的手法は、この結果を確認し、スキッドの重大度を理解するために使用される。
本発明は、クラッチ係合のシミュレーションの形で潤滑剤の影響を含むさらなる動的解析を提供する。クラッチ接続のイベントは、ギア速度/比率の変化をシミュレートすることであり、その目的は、例えば乗用車の乗客に対するこのイベントの快適さを理解することである。
シミュレーションは、シフトイベントによる過渡的な動的シミュレーションで構成され、クラッチ/シンクロナイザトルクは摩擦の関数として計算される。摩擦係数は一定の値になる可能性があるが、より高度なバージョンでは、ベアリングに使用されるものと同様の牽引モデルを使用し、これは、境界潤滑、弾性流体潤滑、混合潤滑からなるトライボロジーモデルの組み合わせである。
主な利点は、ギアボックスのシフト品質、ドライブラインの効率、およびギアとベアリングの耐久性と摩耗への影響を考慮して、所定の潤滑剤の選択を解釈することができることである。良好なクラッチ接続には、特に低速での特定の摩擦動作が必要であり、ギアやベアリングに寛大ではない場合があり、この性能のトレードオフを調査することができる。
これまでに説明したすべてのシミュレーションは、ドライブラインのパラメトリック記述に基づく入力値と、その公称値に設定されたパラメータを使用する。製造公差、環境変動、または劣化に基づいて、入力値が公称値と異なる場合のエンジニアリングシステムの動作を調査することは非常に重要である。本発明は、すべての動作および環境条件におけるすべての製造されたドライブラインの挙動を理解するために、ドライブラインのパラメータ定義に許容誤差を適用する機能を提供する。
これらのシミュレーションはすべて、設計技術者に、より効率的で耐久性があり、優れたギアシフト品質を備えたドライブラインを設計する可能性を提供すると同時に、ノイズ性能を低下させる。これらはすべて、設計と開発のコストを最小限に抑え、テストまたは稼働中の使用における故障のリスクを最小限に抑える方法で実現される。
番号が付けられた項
1.コンピュータ支援エンジニアリングを使用してドライブラインを設計する、コンピュータにより実施される方法であって、本方法は、
ドライブラインのパラメトリック定義を提供するステップと、
実行される1つまたは複数のタイプの解析のユーザ選択を受け取るステップと、
パラメトリック定義のどの特徴を、選択した1つまたは複数のタイプの解析に使用するかを決定するステップと、
パラメトリック定義からドライブラインの数学モデルを作成するステップと、
実行される1つまたは複数のタイプの解析に従ってドライブラインの性能を解析するステップと、を含み、
パラメトリック定義の特徴は潤滑特性を含み、
これにより、ドライブラインを作成するための設計が作成される。
2.潤滑剤の特性は、潤滑剤の粘度およびアイリング剪断応力を含む、第1項に記載の方法。
3.1つまたは複数のタイプの解析は、ベアリング抗力および/またはクラッチ摩擦の計算を含む、第2項に記載の方法。
4.ベアリング抗力計算および/またはクラッチ摩擦計算は、牽引モデルを含む、第3項に記載の方法。
5.ベアリング抗力の計算は、システムの撓みの関数として計算されたベアリングのミスアライメントを含む、第3項または第4項に記載の方法。
6.システムの撓みは、ハウジング、シャフト、または非線形ベアリング剛性の関数を含む、第5項に記載の方法。
7.不均一な温度分布が考慮される、第5項または第6項に記載の方法。
8.設計目標はベアリングの耐久性またはスキッドをさらに含む、第1項から第7項のいずれか一項に記載の方法。
9.ベアリングスキッドは、数値的および解析的方法の両方に従って計算される、第8項に記載の方法。
10.設計目標は、ギア比シフトおよび/または動的クラッチ係合をさらに含む、第3項または第5項に記載の方法。
11.ドライブラインの性能に制限が設定されており、この制限は、摩耗、疲労、または表面の損傷を回避するために許容することができるベアリングスキッドの量である、第1項から第10項のいずれか一項に記載の方法。
12.設計目標は、ギアの耐久性または伝達誤差または効率をさらに含む、第1項から第11項のいずれか一項に記載の方法。
13.設計目標は、伝達誤差に起因する振動またはノイズをさらに含む、第11項に記載の方法。
14.パラメトリック定義は製造公差を含む、第1項から第13項のいずれか一項に記載の方法。
15.ドライブラインのコンピュータ支援エンジニアリング設計のためのコンピュータ可読製品であって、本製品は、第1項から第14項のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するためのコード手段を含む。
16.回転機械アセンブリのコンピュータ支援エンジニアリング設計のためのコンピュータシステムであって、本システムは、第1項から第14項のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するように設計された手段を含む。
以下もまた提供される。
コンピュータ支援エンジニアリングを使用してドライブラインを設計する、コンピュータにより実施される方法であって、本方法は、
ドライブラインのパラメトリック定義を提供するステップであって、パラメトリック定義の特徴は潤滑剤の粘度と表面の粗さを含む、ステップと、
実行される1つまたは複数のタイプの解析をユーザが指定するステップと、
実行される1つまたは複数のタイプの解析に従ってドライブラインの性能を解析するステップと、を含み、
数学モデルの1つはトライボロジーモデルであり、解析のタイプの1つはトライボロジー解析であり、
これにより、ドライブラインを作製するための設計が生成される。
ドライブラインの性能の解析は、設計目標に対する解析を含むことができる。
トライボロジー解析は、ベアリング抗力および/またはクラッチの摩擦の計算を含むことができる。
ベアリング抗力の計算および/またはクラッチの摩擦の計算は、牽引モデルを含むことができる。
牽引モデルはアイリングモデルであってもよい。
ベアリング抗力の計算は、システムの撓みの関数として計算されたベアリングのミスアライメントを含んでもよい。
システムの撓みは、ハウジング、シャフト、または非線形ベアリングの剛性の関数を含んでもよい。
ドライブライン全体の温度分布は、不均一な分布であってもよい。
設計目標は、ベアリングの耐久性またはスキッドを含んでもよい。
解析のタイプは、ベアリングスキッドであってもよい。数学モデルは、数値的方法と解析的方法を組み合わせてもよい。
設計目標は、ギア比シフトおよび/または動的クラッチ係合をさらに含んでもよい。
ドライブラインの性能に制限が設定されてもよい。この制限は、摩耗、疲労、または表面の損傷を回避するために許容することができるベアリングスキッドの量であってもよい。
設計目標は、ギアの耐久性、伝達誤差、または効率をさらに含んでもよい。
設計目標は、伝達誤差による振動またはノイズをさらに含んでもよい。
方法は、パラメトリック定義の特徴を変更し、性能がユーザ指定の範囲内になるまでドライブラインの性能の解析を繰り返す追加のステップを含んでもよい。

Claims (27)

  1. ドライブラインをモデリングするためのコンピュータにより実施される方法であって、前記ドライブラインは複数の構成要素を含み、前記方法は、
    a)前記ドライブラインのパラメトリック記述を受け取るステップと、
    b)前記パラメトリック記述から前記ドライブラインのトライボロジーモデルを作成するステップと、
    c)前記トライボロジーモデルを使用して、前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素に対する1つまたは複数の牽引係数を計算するステップと、
    d)前記ドライブラインの性能メトリック(performance metric)を計算するステップであって、前記計算が前記パラメトリック記述と前記1つまたは複数の牽引係数に基づく、ステップと、を含む
    方法。
  2. トライボロジーモデルを作成するステップは、
    動的データを決定するために、前記パラメトリック記述からのデータを使用して動的モデルを実行するステップと、
    前記動的データおよび前記パラメトリック記述を処理することにより、潤滑剤膜厚パラメータを決定するステップと、
    前記潤滑剤膜厚パラメータに基づいて潤滑レジーム(lubrication regime)を決定するステップと、
    前記決定された潤滑レジームに適した牽引モデルを特定するステップと、
    少なくとも前記牽引係数のサブセットを計算するために、前記牽引モデル、前記パラメトリック記述、および前記動的データを処理するステップと、を含む
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記性能メトリックを計算するステップは、性能メトリックモデルを構築するステップを含み、前記方法は、
    前記トライボロジーモデルと前記性能メトリックモデルが共通の構造を有するように、前記トライボロジーモデルを作成し、前記性能メトリックモデルを構築するステップをさらに含む
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記性能メトリックを1つまたは複数のループ終了条件と比較するステップと、
    前記1つまたは複数のループ終了条件が満たされない場合には、前記性能メトリックに基づいて前記パラメトリック記述を更新するステップと、をさらに含む
    請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記パラメトリック記述から前記ドライブラインの熱モデルを作成するステップと、
    前記熱モデルを使用して前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の温度分布を計算するステップと、
    前記温度分布と前記1つまたは複数の牽引係数(traction coefficients)のいずれかまたは両方に基づいて、前記ドライブラインの前記性能メトリックを計算するステップと、をさらに含む
    請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記パラメトリック記述から、また前記温度分布に基づいて、前記ドライブラインの前記トライボロジーモデルを作成するステップをさらに含む
    請求項5に記載の方法。
  7. 前記パラメトリック記述から、また前記1つまたは複数の牽引係数に基づいて、前記ドライブラインの前記熱モデルを作成するステップをさらに含む
    請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記パラメトリック記述および前記温度分布に基づいて、前記熱分布によって生じる前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の撓みを決定するステップと、
    前記1つまたは複数の牽引係数ならびに前記1つまたは複数の構成要素の前記決定された撓みのいずれかまたは両方に基づいて、前記ドライブラインの前記性能メトリックを計算するステップと、をさらに含む
    請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記パラメトリック記述から前記ドライブラインの効率モデルを作成するステップと、
    前記効率モデルを使用して効率メトリック(efficiency metric)を計算するステップと、
    前記効率メトリックならびに前記1つまたは複数の牽引係数のいずれかまたは両方に基づいて、前記ドライブラインの前記性能メトリックを計算するステップと、をさらに含む
    請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記パラメトリック記述から、また前記1つまたは複数の牽引係数に基づいて、前記ドライブラインの前記効率モデルを作成するステップをさらに含む
    請求項9に記載の方法。
  11. 前記パラメトリック記述から前記ドライブラインの熱モデルを作成するステップと、
    前記熱モデルを使用して前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の温度分布を計算するステップと、
    前記温度分布ならびに前記1つまたは複数の牽引係数のいずれかまたは両方に基づいて、前記ドライブラインの前記性能メトリックを計算するステップと、をさらに含む
    請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記パラメトリック記述から、また前記1つもしくは複数の牽引係数および/または前記効率メトリックにも基づいて、前記ドライブラインの前記熱モデルを作成するステップをさらに含む
    請求項11に記載の方法。
  13. 前記パラメトリック記述から、また前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の前記温度分布に基づいて、前記ドライブラインの前記効率モデルを作成するステップをさらに含む
    請求項11または12に記載の方法。
  14. 前記パラメトリック記述から前記ドライブラインの構造モデルを作成するステップと、
    前記構造モデルに基づいて、前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の撓みを決定するステップと、
    前記1つまたは複数の牽引係数ならびに前記1つまたは複数の構成要素の前記決定された撓みのいずれかまたは両方に基づいて、前記ドライブラインの前記性能メトリックを計算するステップと、をさらに含む
    請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記パラメトリック記述から、また前記1つまたは複数の構成要素の前記決定された撓みに基づいて、前記ドライブラインの前記トライボロジーモデルを作成するステップをさらに含む
    請求項14に記載の方法。
  16. 前記パラメトリック記述から前記ドライブラインの熱モデルを作成するステップと、
    前記熱モデルを使用して前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の温度分布を計算するステップと、
    任意選択的に、前記温度分布にも基づいて、前記ドライブラインの前記性能メトリックを計算するステップと、をさらに含む
    請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記パラメトリック記述から、また前記温度分布に基づいて、前記ドライブラインの前記構造モデルを作成するステップをさらに含む
    請求項16に記載の方法。
  18. 前記パラメトリック記述から前記ドライブラインの効率モデルを作成するステップと、
    前記効率モデルを使用して効率メトリックを計算するステップと、
    任意選択的に、前記効率メトリックにも基づいて、前記ドライブラインの前記性能メトリックを計算するステップと、をさらに含む
    請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記温度分布、前記牽引係数、ならびに前記1つまたは複数の構成要素の前記決定された撓みのうちの1つまたは複数にも基づいて、前記ドライブラインの前記効率モデルを作成するステップをさらに含む
    請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記ドライブラインは少なくとも1つのベアリングを含み、前記方法は、
    前記トライボロジーモデルを使用し、また温度分布と動的データの一方または両方に基づいて、前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の牽引係数を計算するステップと、
    前記ドライブラインの前記パラメトリック記述、ならびに前記牽引係数と前記動的データの一方または両方に基づいて、温度分布を計算するステップと、
    前記ドライブラインの前記パラメトリック記述、ならびに前記温度分布と前記牽引係数の一方または両方に基づいて、前記動的データを計算するステップと、
    前記パラメトリック記述、前記1つまたは複数の牽引係数、前記動的データ、ならびに前記温度分布のいずれかまたはすべてに基づいて、前記ドライブラインのベアリングスキッド性能メトリックを計算するステップと、をさらに含む
    請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記ドライブラインは少なくとも1つのベアリングを含み、前記方法は、
    ベアリングスキッドマップを決定するために、前記パラメトリック記述に基づいて、前記ベアリングの解析モデルを構築し実行するステップと、
    前記スキッドマップに基づいて、前記ベアリングの動作範囲にわたって動作点を特定するステップと、
    前記特定された動作点に対する前記トライボロジーモデルを使用し、また温度分布と動的データの一方または両方に基づいて、前記ドライブラインの1つまたは複数の構成要素の1つまたは複数の牽引係数を計算するステップと、
    前記ドライブラインの前記パラメトリック記述、ならびに前記牽引係数と前記動的データの一方または両方に基づいて、温度分布を計算するステップと、
    前記ドライブラインの前記パラメトリック記述、ならびに前記温度分布と前記牽引係数の一方または両方に基づいて、前記動的データを計算するステップと、
    前記パラメトリック記述、前記1つまたは複数の牽引係数、前記動的データ、ならびに前記温度分布のいずれかまたはすべてに基づいて、前記ドライブラインのベアリングスキッド性能メトリックを計算するステップと、
    をさらに含む
    請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  22. ベアリング抗力および/またはクラッチ摩擦を計算するステップをさらに含む
    請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記ベアリング抗力を計算するステップは、システム撓みの関数としてベアリングミスアライメントを計算するステップを含む
    請求項22に記載の方法。
  24. 前記ドライブラインの前記パラメトリック記述は製造公差を含む
    請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. ドライブラインのコンピュータ支援エンジニアリング設計のためのコンピュータ可読製品であって、前記製品は、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するためのコード手段を含む
    コンピュータ可読製品。
  26. ドライブラインのコンピュータ支援エンジニアリング設計のためのコンピュータシステムであって、前記システムは、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するために設計された手段を含む
    コンピュータシステム。
  27. 請求項1から24のいずれか一項に記載の方法を使用して設計された
    ドライブライン。
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