以下の詳細な開示は、本発明の1つの特定の実施形態の特徴を概説する。加えて、実施され得るが、それでも本発明の範囲に入る、特定の実施形態の(決して全てという意味ではないが)いくつかの変形例も説明する。当業者の理解を支援するために、以下の説明を節に細分化するが、詳細な説明の特定の副構造を、本発明の個々の実施形態の範囲を定めるものとみなすべきではない。それとは逆に、様々な節の特徴を適宜組み合わせることができる。例えば、ハウジング及び構造の節で説明するフランジ付き基部103は、図5に示されるように、ピストン604及びリザーバ602によって提供される圧力駆動混合を有する装置に組み合わせることができる。代替的な実施例として、ハウジング及び構造の節で説明する2つのバイアル108及び110の対向構成は、実施形態において、押し忘れ作動機構を含むことができる。更なる例示的な実施例として、図8に示されるように、千鳥状ニードルを特徴とする実施形態において、ドローダウン機構を含むことができる。
下で概説する本発明の原理を理解するために、図1〜図20の各々に示される特徴に対する特定の参照を行うべきである。図1〜図20の実施形態に一体化することが可能であるロック機構(可能な)の変形例を図21A、図21B、図22A、及び図22Bに示す。
共通の特徴及び定義
本明細書で使用するとき、「薬剤混合装置」という用語は、2つ以上の成分を混合するように特に適合された装置、例えば、第1の場所から第2の場所へと薬剤の第1の成分を移送して、そこで第2の成分との混合を行って混合薬剤を形成することを可能にする装置を意味する。
「容器」は、別の部品を保持するための一時的又は永続的な容器、例えば、混合される薬剤の第1の成分を保持するための「第1の容器」、として機能することが可能な部品である。「第1の容器」及び「第2の容器」の序数は、2つの容器を区別するために使用されるが、必ずしも、2つの容器が使用される、又は遭遇する順序に対する何らかの限定を意味するものではない。類似の考慮事項は、より高い序数を有する容器に適用する。
2つの部品が「流体連結される」と説明することは、2つの部品の構造的接続が存在することを意味し、流体継手を介して、第1の部品から第2の部品への流体の移送を可能にする。「流体連結される」という用語は、流体移送が実際に生じていることを意味するのではなく、単に、装置が使用されるときに流体が流れ得るように流体経路が確立されていることを意味する。
「移送部材」は、2つの流体連結された部品の間の構造的接続として動作することが可能な構造体である。移送部材は、それによって、2つの部品の間に流体経路を提供する。
「出口移送部材」は、装置の一部と装置の外側との間に流体経路を提供する移送部材である。
「駆動流体移送部材」は、駆動流体のための流体経路を提供する移送部材である。
「混合される薬剤の第1の成分」及び「混合される薬剤の第2の成分」は、薬剤の成分を意味し、成分が混合されるときに、薬剤が人間又は動物に投与可能な薬剤を形成する。序数は、2つの成分を区別するために使用されるが、他の点で限定するものではなく、文脈が暗示する場合を除いて、特定の順序を指すものではない。文脈上異なる解釈を要する場合を除き、いずれの成分も、制限なく固相又は液相であり得る。成分は、更に、液相、ゲル相、懸濁相、又は別の相であり得る。実施例は、固体成分と混合される液体成分、又は更なる液体成分と混合される液体成分を含む。いずれの成分も、混合前に、それ自体に薬剤を含むことができる。
「流体抵抗」という用語は、流体が流れている構造の結果として生じる、流れに対する抵抗を意味する。例えば、流体抵抗は、チューブ/パイプの形状又は方向の変化を通して生じる。流体抵抗は、構造体の流体壁と固体壁との間の運動量移送のために生じる「摩擦」流体抵抗、並びに流体の機械的エネルギーを消散させ得る渦、キャビテーション、及び二次流れの形成をもたらす、流れの方向又は構成の変化により生じる「局所」流体抵抗に細分化される。
2つの部品が「非反応性」と述べることは、2つの物質が互いに遭遇するときに、2つの物質の間に実質的に化学反応が生じないことを意味する。非反応性物質は、化学的に不活性であり得る。代替的に、2つの非反応性物質はそれらの化学的特性のため、又は2つの非反応性物質が互いに遭遇する状態(例えば、熱)のため、殆ど反応する傾向を有しないものであり得る。
アクションを「自動」と説明することは、アクションが生じ、更なる人手を介さずに完了され得ることを意味する。アクションは、人手を介して開始させ、次いで、自動的に進行させることができる。更に、第1のアクションは、自動的に開始し、進行させることができ、第1のアクションが途中まで又は完了まで進行することによって、第2のアクションの自動的な開始もまた生じさせることができ、この機構によって、第2のアクションは、第1のアクションの開始によって最終的に開始される。
「開口」は、別の部品が通ることができる、又はそこから分注することができる、部品の孔又は空間を意味する。開口は、任意の形状又はサイズとすることができ、開口が指す方向は、開口の平面に対して垂直なベクトルによって画定することができる。
「泡止め剤」は、液体が関与するプロセスにおける泡沫の形成、又は更なる形成を低減させる、又は妨げる、化学的な添加剤又は薬剤を意味する。泡止め剤の代替的な用語は、「消泡剤」である。
第1の部品が第2の部品の「上に」あると言われている場合は、地面に対して、第1の部品の重心が第2の部品の重心の上に位置付けられている。同様に、第2の部品が第1の部品の「下に」あると言われている場合は、地面に対して、第2の部品の重心が第2の部品の重心の下に位置付けられている。
「特定の/指定された配向」は、物体の特定の配置を達成するように物体の設計者によって選択される物体の配向である。例えば、物体の指定された配向は、地面に対して、物体の第1の成分を物体の第2の成分の上に位置付けることができる。
部品の「境界」は、部品の最外の周辺輪郭を説明するために使用される。最外周は、単に部品の物理的構造のみに限定されない。例えば、部品がポート又は間隙を含む場合、その部分の境界は、ポート又は間隙の全体にわたって任意の弦を含む。
部品の「基部」は、地面、作業台、テーブル、などの表面上に静置されているときにその部品が立設される、部品の一部分として画定される。表面による接触反力は、部品の基部を通して作用する。基部は、部品の境界の一部を備える単一の実質的に平面な表面であり得るが、基部及び境界の一部分のみが地表、作業台、又はテーブル、などと直接接触している起伏表面又はより複雑な表面であり得る。
本明細書で使用するとき、2つの部品の「対向」関係は、特定の場所を中心に相補的な様式で配設及び配向される2つの部品の配置を指す。例えば、一対の容器は、各容器の開口部が他方の容器の開口部を指すように配向される場合に、対向関係である。一対のニードルは、ニードルが反平行方向において同じ地点から離れる方向を指す場合に、対向関係である。
本明細書で使用するとき、部品を「振り動かすこと」は、部品の移動を促すために、手動又は自動手段によって部品の定期的又は非周期的な撹拌/かき混ぜを指す。部品が、混合される薬剤の成分であるとき、振り動かすことは、成分のより大きい相互作用表面を作製し、それによって、薬剤混合プロセスの迅速な完了を支援する。
混合される薬剤は、少なくとも2つの成分、すなわち、混合される薬剤の第1の成分1000及び混合される薬剤の第2の成分1010で作製される。薬剤を混合するプロセスは、患者へ投与する前に、薬剤を再構成することであり得る。成分は、薬剤Remicade(RTM)とすることができ、また、滅菌水及び粉末状Remicade(RTM)とすることができる。それでも、成分は、薬剤混合装置の動作に影響を及ぼすことのない、異なる薬剤のためのものであり得る。
以下の実施形態のいずれかにおいて、容器は、第1の容器からの第1の薬剤成分が第2の容器内で第2の薬剤成分と混合される、第1及び第2の容器の各々のために使用される。1つ又は2つ以上(例えば、第1及び第2の)容器は、混合される薬剤の成分を保持するためのものであり、ジャー、アンプル、バイアル、シリンダ、パケット、又は瓶とすることができる。特定の実施形態において、バイアル108及び110(前者を図14Aに示す)を容器の例として使用するが、バイアルが使用される場合は常に、任意の他の好適な容器と交換可能であると理解されたい。例示的なバイアルの各々は、固定の容量/容積を有する。
容器の各々(例えば、第1及び第2)の最大内部容積は、1ml〜1000mlの範囲とすることができ、より具体的には、1ml〜100mlの範囲とすることができる。特定の実施形態において、各容器の容積は、1ml〜30mlの範囲である。容器の内部容積は、固定であり得る。
1つ又は2つ以上の容器は、容器の容積又は容量を示す外部スケールを含むことができ、これは、ユーザによって読み取られて、容器が薬剤混合装置で使用するために位置付けられている間の容器の充填又は排出の進行を示すことができる。
容器は、典型的に、無菌であり、開口部を含み、閉鎖具によって閉鎖されている。閉鎖具は、バイアルの場合のように、1つ又は2つ以上の隔壁とすることができるが、隔壁でない代替的な閉鎖具を使用することができる。
容器はまた、使用前に閉鎖具の表面が無菌のままであることを確実にするために、プラスチックカバー又は箔113などの一時的な保護シールも含むことができる。
任意の容器が薬剤混合装置とは別に販売され得るが、薬剤混合装置はまた、キットとして容器と共に販売され得ることも理解されたい。
容器は、薬剤混合装置内で取り外し可能に受容するように構成されることができる。容器を除いて、以下の実施形態の薬剤混合装置は、「パケットから」組み立てられた状態であり、容器の挿入を除いて、使用するために更なるユーザの組み立てを必要としない。
本発明による薬剤混合装置は、ある範囲のサイズを有し、主に投与に必要とされる混合薬剤の収量によって管理される。混合薬剤の収量は、薬剤混合装置の容器のサイズを決定し、それによって、ハウジング、外側ハウジング、及び内側支持体のサイズを決定する。加えて、薬剤を混合するために必要とされる駆動流体の容積は、同様に、混合薬剤の必要な収量によって影響を及ぼされる。
様々な実施例において、薬剤混合装置は、高さ、幅、及び長さが、それぞれ10mm〜300mmの範囲を有し、第1の容器の容積、第2の容器の容積、及び駆動流体リザーバの容積は、それぞれ1ml〜1000mlの範囲を有する。薬剤混合装置100の特定の寸法を下で概説する。
第1の容器、第2の容器、及び駆動流体リザーバの容量は、本実施形態において上記のとおりであるが、それぞれ、第1の成分、第2の成分、又は駆動流体のそれぞれによって容量一杯である必要はない。例えば、特定の実施形態において、15mlの容量を有する第1の容器は、10mlの滅菌水を含む。25mlの容量を有する第2の容器は、混合後に、約11mlの混合薬剤を含む。同様に、駆動流体リザーバ容量は、15mlであるが、移送される駆動流体は、12.9mlである。
ハウジング及び構造
本発明の実施形態によれば、薬剤混合装置100は、実質的に立方体様のハウジング101を含み、ハウジング101は、一般に図1〜図4に示されるように、外側ハウジング102と、内側支持体150と、を含む。外側ハウジング102は、薬剤混合装置100の残りの部品のための保護ケースを提供する。
図1〜図3から分かるように、外側ハウジング102は、フランジ付き基部103を含む。フランジ付き基部103は、いくつかの利点を有する。第1に、フランジ付き基部103は、使用中又は保管中に、装置が(作業台などの)表面上に立設されるときに、外側ハウジング102の、それによって、薬剤混合装置100の安定性を支援する。第2に、フランジ付き基部103は、薬剤混合装置をフランジ付き基部上に立設させることを意図するように、外側ハウジング102に位置付けられるので、フランジ付き基部103は、装置の「正しい方向を上にする」ことに関する指標をユーザに提供する。外側ハウジング102は、内側支持体150を覆って差し入れるように構成された一体成形プラスチック片であり、また、内側支持体150に差し入れた時点で、接着剤又はねじを介して更に固定することができる。外側ハウジング102はまた、薬剤混合装置100の境界140(図5を参照されたい)の一部も画定する。
内側支持体150は、図4、図5、及び図6に示されるように、移送部材200、駆動流体移送部材300、及び出口移送部材400などの薬剤混合装置100の残りの構成要素のための支持構造を提供する。内側支持体150は、従来の技法によって2つの小片150a、150bに成形される。成形が完了すると、アクチュエータ500、流体駆動装置600、エネルギー貯蔵700、及び移送部材200、300、400が、一方の小片150aの中へ差し入れられ、次いで、第2の小片150bが、ねじ及びナット配設を使用して第1の小片150aに固定される。接着剤若しくはプラスチックセメント、又はスナップ嵌めなどの、内側支持体150の2つの小片150a、150bを共に固定する代替的な手段を使用することができる。
図5で分かるように、ハウジング101は、円形の第1のポート104と、円形の第2のポート106と、を含み、これらはそれぞれ、(図7によって示されるような)バイアル108などの容器を取り外し可能に受容するように寸法決定され、成形され、かつ構成される。
円形の第1のポート104及び円形の第2のポート106は、それぞれ、外側ハウジング102の対向端部に形成された初期開口104a及び106aと、内側支持体150の外面及び/又は外側ハウジング102の内面の一部として形成された案内部分104b及び106bと、を含む。ポート104及び106の各々(すなわち、表面、案内部分104b、106b、開口104a、106a、スナップ嵌め部材152、153、など)は、外側ハウジング102及び内側支持体150の組み合わせに成形される(後者の2つは、集合的に薬剤混合装置100のハウジング101を形成する)。図5及び図6の組み合わせから分かるように、特定の実施形態のポート104及び106は、外側ハウジング102の組み合わせ及びハウジング101の内側支持体150から形成される。ポート104、106、開口104a、106a、及び案内部分104、106bは、製造を容易にするために、実質的に円形又は完全に円形であるように選択される。
特定の実施形態は、例示的な容器として、2つの円筒バイアル108及び110を使用する。円筒バイアル108は、図14A及び図14Bに示されるように、頂部108aと、首区間108bと、テーパ付肩区間108cと、本体108dと、を含む。円筒バイアル110もまた、円形頂部110a、首区間110b、テーパ付肩区間110c、及び円筒本体110dも含む。頂部108aは、ニードルが隔壁112を貫通しない限りバイアル108を封止するように構成される隔壁112によって閉鎖される開口部を含む。隔壁114によって閉鎖された状態の、類似する開口部が頂部110aに含まれる(図14A又は図14Bには図示しないが、バイアル108の開口部に類似する構造である)。バイアル108及び110は、実質的に透明なガラスから製造されるが、プラスチック又は代替的な材料から作製することができる。更にまた、頂部108a及び110aのうちの1つ又は2つ以上の閉鎖具は、隔壁である必要はない。
本実施例において、バイアル108の円筒本体108dは、円形の第1のポート104の直径に合致する直径を有し、バイアル110の円筒本体110dは、円形の第2のポート106の直径に合致する直径を有する。開口104aは、開口104aの平面に対して垂直な方向N1を画定する。開口106aは、開口106aの平面に対して垂直な方向N2を画定する。本実施例おいて、N1及びN2は互いに反平行であるが、この構成は必須ではない。開口106aの実施例を図20A及び図20Bに示す。
図7及び図8に概して示されるように、円形ポート104及び106の異なるサイズの結果、挿入中に、頂部108a、首部108b、肩区間108c、又は本体108dのうちの1つ又は2つ以上が、開口106aの直径を超える直径を有するので、バイアル108を、開口106aを通して円形ポート106の中へ押し込むことができない。したがって、バイアル108をポート106内で受容することができない。混合される薬剤の成分の正確な場所及び順序は、効果的な混合薬剤を作製するために極めて重要であるので、バイアル108のポート106への不正確な挿入を回避することは、一方向混合プロセスが必要とされる薬剤混合装置において有利である。
第1のポート104は、頂部108a、首部108b、肩区間108c、及び本体108dが、それぞれ、ポート104の開口104aを通過することができるような構成である。頂部108a、首部108b、肩区間108cは、それぞれ垂直線N1に平行な方向においてポート104を通過することができ、又は代替的に、垂直線N1に対して傾斜角αでポートを通過することができる。第2のポート106の類似する構成が、バイアル110の挿入に対して存在する。垂直線N2を有するポート106の開口106aはまた、垂直線N2に平行又は傾斜角αのいずれかでバイアル110を受容することもできる。これらのオプションは、どちらも図20A〜図20Cのポート106について例示する。
バイアル108は、バイアルの軸が垂直線N1に平行又は反平行である特定の配向で受容されるように設計されているので、挿入の傾斜角αは、使用中のユーザ側の軽微なエラーを表す。角度αが斜めである場合、バイアルがハウジングの方へ押され続けるにつれて、開口104aを通過すると、頂部108aは、案内部分104bに遭遇する。案内部分104bは、頂部108aにカム作用するテーパ付構成を有し、それによって、バイアル108を挿入し続けるときに、バイアル108を特定の配向にする。したがって、案内部分104bは、ポートへのその挿入中に、バイアル108を再配向し、それによって、バイアル108の位置及び整列を調整する。ポート106の開口106a及び案内部分106bの構成は、図20A〜図20Cに示されるように、バイアル110が傾斜角αで第2のポート106の中へ挿入される場合に、バイアル110に対する類似するアクションを有する。
案内部分104b及び106bの結果、ユーザは、挿入が完了するときまでにバイアルの整列が正確であることを確実にするために、案内部分104b及び106bに依存して、それぞれN1及びN2の方向に対するバイアルの精密な整列を気にすることなく、開口104a、106aを通してバイアル108、110をポート104、106の中へ迅速に挿入することができる。案内部分104b及び106bはまた、バイアル108及び110をそれぞれ完全に挿入する時点で、バイアルを方向N1及びN2のそれぞれに対して垂直な方向において平行移動させることができないことを確実にする。
ユーザによってバイアル108がポート104の中へ更に押し込まれると、バイアルの頂部108aは、最初に、移送部材200のニードル210の先端部212に遭遇し、移送部材200は、薬剤混合装置100の内側支持体150上で支持される。バイアル108をポート104の中へ押し込み続けると、隔壁112がニードル先端部212によって穿孔されるので、バイアル108の隔壁112の貫通をもたらす。先端部212は、図17に示されるように、貫通を支援し、かつ隔壁112のニードルコアリングを回避する地点に到達する、傾斜プロファイルを有する。バイアル108が完全に挿入された構成を図14Cに示す。
ニードル210による隔壁112の貫通/穿孔は、いくつかの効果を達成する。第1に、貫通は、移送部材200を通して、バイアル108の中及び外への物質の移送を可能にする。したがって、移送部材200の内部は、バイアル108に流体連結される。第2に、貫通は、バイアル108を内側支持体150に取り付け、移送部材200のニードル210が、方向N1に対して垂直な方向へのバイアル108の移動を制止するのを支援する。
更にバイアル108を押し込み続けると、先端部412が隔壁112に穿孔するので、ニードル410の先端部412による隔壁112の貫通をもたらす。ニードル410は、図5及び図6に示されるように、出口移送部材400の一部分であり、出口移送部材400は、薬剤混合装置100の内側支持体150上で支持される。
例示的な実施形態において、ニードル210及び410は、内側支持体150の同じ表面から延在する。バイアル108のポート104の中への挿入中に、ニードル210の先端部212は、ニードル210及び410の延在部が異なるので、ニードル410の先端部412がバイアル108の隔壁112に遭遇する前に、バイアル108の隔壁112と常時遭遇し、ニードル210は、ニードル410よりも、支持体150の表面から更に離れて延在する。
ニードル410による隔壁112の貫通/穿孔もまた、いくつかの効果を達成する。第1に、貫通は、出口移送部材400を通して、バイアル108の中及び外への物質の移送を可能にする。したがって、出口移送部材400の内部は、バイアル108に流体連結される。第2に、貫通は、バイアル108を内側支持体150に取り付け、移送部材400のニードル410が、方向N1に対して垂直な方向へのバイアル108の移動を制止するのを更に支援する。第3に、ニードル210とニードル410との組み合わせ、及びバイアル108の閉鎖具は、方向N1と平行な軸を中心にしたバイアル108のいかなる時計回り又は反時計回りの回転も制限する。
バイアル108のポート104の中への挿入中に、バイアル108の首部108bもまた、スナップ嵌め部材152によって適切な位置に固定される。スナップ嵌め部材152は、アーム152aと、歯152bと、を有し、アーム152aは、バイアル108の挿入方向と、かつ方向N1と実質的に平行に延在する(図6を参照されたい)。歯152bは、アームの遠位端部上に配置され、かつ方向N1と平行又は反平行なバイアル108の移動を阻止するために、バイアルの首部108bと係合するように構成される。内側支持体150に対するこの取り付け手段によって、挿入されるときのバイアルの移動が制限される。
ユーザによってバイアル110がポート106に押し込まれると、バイアルの頂部110aは、最初に、駆動流体移送部材300のニードル310の先端部312に遭遇し、駆動流体移送部材300は、薬剤混合装置100の内側支持体150上で支持される。バイアル110をポート106の中へ押し込み続けると、隔壁114がニードル先端部312によって穿孔されるので、バイアル110の隔壁114の貫通をもたらす。先端部312は、貫通を支援し、かつ隔壁114のニードルコアリングを回避する地点に到達する、傾斜するプロファイルを有する。
ニードル310による隔壁114の貫通/穿孔は、いくつかの効果を達成する。第1に、貫通は、駆動流体移送部材300を通して、バイアル110の中への(及び外への)物質の移送を可能にする。したがって、駆動流体移送部材300の内部は、バイアル110に流体連結される。第2に、貫通は、バイアル110を内側支持体150に取り付け、駆動流体移送部材300のニードル310は、方向N2に対して垂直な方向へのバイアル110の移動を制止するのを支援する。
更にバイアル110を押し込み続けると、先端部232が隔壁114に穿孔するので、ニードル230の先端部232による隔壁114の貫通をもたらす。ニードル230は、移送部材200の別の部分である。
図6に示されるように、例示的な実施形態において、ニードル310及び230は、内側支持体150の同じ表面から延在する。バイアル110のポート106の中への挿入中に、ニードル310の先端部312は、ニードル310及び230の延在部が異なるので、ニードル230の先端部232がバイアル110の隔壁114に遭遇する前に、バイアル110の隔壁114と常時遭遇し、ニードル310は、ニードル230よりも、支持体150の表面から更に離れて延在する。
ニードル230による隔壁114の貫通/穿孔は、いくつかの効果を達成する。第1に、貫通は、移送部材200を通して、バイアル110の中及び外への物質の移送を可能にする。したがって、移送部材200の内部は、バイアル110に流体連結される。第2に、貫通は、バイアル110を内側支持体150に取り付け、移送部材200のニードル230が、方向N2に対して垂直な方向へのバイアル110の移動を制止するのを更に支援する。第3に、ニードル310とニードル230との組み合わせ、及びバイアル110の閉鎖具は、方向N2と平行な軸を中心にしたバイアル110のいかなる時計回り又は反時計回りの回転も制限する。
バイアル110のポート106の中への挿入中に、バイアル110の首部110bもまた、スナップ嵌め部材152に類似する様式で、スナップ嵌め部材153によって適切な位置に固定される。スナップ嵌め部材153は、アーム153aと、歯153bと、を有し、アーム153aは、バイアル110の挿入方向と、かつ方向N2と実質的に平行に延在する(図5及び図6を参照されたい)。歯153bは、アーム153aの遠位端部上に配置され、かつ方向N2と平行又は反平行なバイアル110の移動を阻止するために、バイアルの首部110bと係合するように構成される。内側支持体150に対するこの取り付け手段によって、挿入されるときのバイアルの移動が制限される。
それぞれの場合において、バイアル108及び110の移動の制限は、バイアルとニードルとの間に最も効果的な封止を提供するのを可能にする。
それぞれの場合において、(図8によって示されるように)バイアル108がポート104の中へ完全に挿入され、かつバイアル110がポート106の中へ完全に挿入されると、各バイアル108d、110dの本体部分の基部が、外側ハウジング102の境界140内に位置する。バイアル108の一部分が外側ハウジング102の境界を超えて突出するのを回避することによって、バイアル108が、ポート104内に着座している間、横向きにノックされる可能性がなくなり、したがって、いかなる横向きのノックも、隔壁112でのレバー力の除去、ニードル210及び410の周囲のシールを損なうリスク、又はバイアルの偶発的な離脱を生じさせない。更にまた、バイアルが突出するのを回避することで、バイアル108は、薬剤混合装置100をその表面上に立てられることができるかどうかを制限しない。類似する理由で、同じ利点を達成するために、バイアル110は、ポート106の中へ完全に挿入され、かつ外側ハウジング102の境界140を超えて突出しない。
ポート104の中へのバイアル108の完全な挿入、及びポート106の中へのバイアル110の完全な挿入は、移送部材200とバイアルとの間だけでなく、移送部材200を介して、バイアル108とバイアル110との間にも流体継手を確立する。したがって、バイアル108とバイアル110との間の流体経路が確立される。同様に、バイアル108の完全な挿入は、バイアル108と出口移送部材400との間の流体継手を確立し、それによって、バイアル108と外界との間の流体継手及び潜在的流体経路を確立する。同様に、バイアル110の完全な挿入は、駆動流体移送部材300とバイアル110との間の流体継手を確立し、それによって、バイアル110と駆動流体を駆動するための手段との間の流体継手及び潜在的流体経路を確立する。
バイアルの完全な挿入により、移送部材200のニードル210が、隔壁112を通って、出口移送部材400のニードル410よりも遠くにバイアル108の中へ延在する。同様に、駆動流体移送部材200のニードル310は、隔壁114を通って、移送部材200のニードル230よりも遠くにバイアル110の中へ延在する。ニードルの延在部は、ニードルの開口の場所の相対差を提供する。
図1〜図3に示されるように、外側ハウジング102は、ポート104及び106への視界を提供する窓130を含む。本実施形態において、窓は、単に外側ハウジング102の表面の間隙である。窓130は、ユーザが、バイアル108、110が第1のポート104又は第2のポート106の中に存在するか/しないかを直接視認することを可能にする。バイアル108は、実質的に半透明又は透明の特性を有するので、窓130及びバイアル108は、混合される薬剤の成分を直接視認することを可能にする。
図6、図7、及び図8で分かるように、本実施形態において、内側支持体150は、ニードル210及び410が方向N1を指し、一方で、ニードル230及び310が方向N2を指す様態で、ニードル210、230、310、及び410を支持し、方向N1及びN2は、互いに反平行である。完全に挿入されると、ニードル210及び410が隔壁112に穿孔し、ニードル230及び310が隔壁114に穿孔する。したがって、バイアル108及び110は、対向関係で配置され(図8を参照されたい)、それによって、各容器の開口部及び隔壁は、互いの方を指している。そのフランジ付き基部103上に立設されている薬剤混合装置100と組み合わせた対向関係は、装置100で使用するためのバイアル108及び110の各々の正確な向きをユーザに知らせ、バイアル108、110の迅速な挿入を支援する、といった利点を有する。加えて、対向関係は、短い移送部材200を有する機会を薬剤混合装置100にもたらし、また、混合を重力によって支援するための機会をもたらす。
図4〜図8で概して分かるように、バイアル108及び110を受容することができるポート104及び106と一緒に、内側支持体150はまた、流体駆動装置600も含む。流体駆動装置600は、駆動流体移送部材300に流体連結される。加えて、バイアル110がポート106に挿入されると、流体駆動装置600が、駆動流体移送部材300を介して、バイアル110に流体連結される。バイアル108及び110が薬剤混合装置100の中へ完全に挿入されると、移送部材及び容器の配設の結果として、流体駆動装置600、駆動流体移送部材300、バイアル110、移送部材200、バイアル108、及び出口移送部材400が流体連結される。移送部材200、300、400は、流体経路に沿った流れの方向を制御するために、弁を含むことができる。
内側支持体150内で、流体駆動装置600は、流体駆動装置600が内側支持体150a、150bの2つの小片内で内側支持体150のポート104、106に隣接する空間を占有するように、ポート104、106と整列され、寸法決定される。この構成はコンパクトであり、未使用の又は冗長な空間を殆ど又は全く有しない薬剤混合装置100の全体的なサイズにつながる。流体駆動装置は、駆動流体移送部材300に、それによって、ニードル310に流体連結される。
内側支持体150内には、流体駆動装置600の一方の端部に位置付けられたアクチュエータ500が存在する。アクチュエータ500は、エネルギー貯蔵700及び流体駆動装置600の両方とインターフェースし、かつ内側支持体小片150a、150bの更なる一部分を占める。ここでも構成はコンパクトであり、薬剤混合装置100内でアクチュエータ500によって使用される空間を最小にする。アクチュエータ500は、トリガ550を使用して、外側ハウジング102の外側からユーザによって作動可能である。特定の実施形態において、アクチュエータ500は、トリガ550と機械的にインターフェースし、トリガは、外側ハウジング102の一部を通って突出する、押下可能なボタン552を備える。
内側支持体150内にはまた、エネルギー貯蔵700も存在する。エネルギー貯蔵700は、ポート104、106に隣接する空間、及び流体駆動装置600の下の空間を占有し、かつ流体駆動装置600及びアクチュエータ500に機械的に接続されるように構成される。エネルギー700は、アクチュエータ500による混合動作が作動されると、薬剤混合動作を駆動するために、貯蔵仕事に変換することができる貯蔵されたエネルギー源を提供する。特定の実施形態におけるエネルギー貯蔵700は、流体駆動装置600とインターフェースする板ばねである。
図1〜図20に示される本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置100のハウジング及び構造の代替的な実施形態が存在する。
代替的な実施形態において、内側支持体150及び外側ハウジング102は、3D印刷などの、添加剤製造プロセスによって作製される。更にまた、内側支持体150は、外側ハウジング102にあり得るような、2つを超える小片を備えることができる。内側支持体150及び外側ハウジング102のいずれか又は両方を、射出成形によって作製することができる。
代替的な実施形態において、外側ハウジング102は、ユーザによる装置の把持を支援するために、外面上のリング、突出部、くぼみ、又は他のトポロジを特徴とすることができる。
代替的な実施形態において、ポート104及び106は、異なる形状をとることができ、例えば、いずれかのポートを六角形又は八角形とすることができる。更にまた、どちらのポートも円形であるが、ポート104及び106が同じ形状を有する必要はなく、ポート104が正方形であってもよく、一方で、ポート106が三角形であってもよい。この場合、不正確なサイズに加えて、又は代わりに、不正確な形状に起因して、不正確な容器がポートに入るのを回避することができ、その結果、どちらのポートも不正確な容器を受容することができなくなり得る。加えて、ポート104、106の構造は、代わりに、単に外側ハウジング又は内側支持体のみによって提供することができる。
代替的な実施形態において、バイアルの位置付け及び整列の調整は、異なる案内部分によって達成することができる。例えば、ねじ付き部分を使用することができ、それによって、バイアルが案内部分にねじ込まれる。ねじ付き部分は、取り付け及び案内プロセス中にバイアルが取り付けられる時点でバイアルの移動を制限する更なる手段といった、追加的な利益を提供する。
代替的な実施形態では、バイアル108、110の挿入順序を規定することもできる。プラスチック膜などの保護部材で、ポートの一方又は他方を塞ぐことができる。この膜は、正確な順序での挿入をユーザに促すために、(例えば、「このバイアル側を最初に挿入する」といった、又は同様のラベル付けによって)バイアルの挿入順序の指標を含むことができる。更に代替的に、保護部材は、バイアルの挿入順序が不正確である場合に挿入が阻止される機構を含むことができる。例えば、この部材は、ポート、開口、又はその一部分を塞ぐことができ、所定の順序で第1のバイアルが挿入されるまで、閉塞は解放されない。このような機構によって、ユーザは、正確な挿入順序の使用を余儀なくされる。このような部材の使用はまた、ニードルが無菌のままであることを確実にするといった利点も同時に提供することができる。
代替的な実施形態では、1つを超えるスナップ嵌め部材152、153が、それぞれ、バイアル108及び110の移動を制限するのを支援する。例えば、それぞれがバイアルの首部に係合するように、2つのスナップ嵌め部材をポートの両側上に提供することができる。加えて、バイアル108及び110が同じ数のスナップ嵌め部材を有する必要はない。
代替的な実施形態において、1つ又は2つ以上の窓130は、プラスチック、ガラス、又は他の好適な材料の実質的に透明又は半透明のシートを含むことができる。そのような任意の窓によって、混合される薬剤の成分をユーザが視認することを更に可能にすることができる。更なる代替的な実施形態において、混合される薬剤の成分を露出させるために、外側ハウジング102の部分を取り除くことができる。
2つを超える容器、例えば3つの容器が提供される場合があり、それによって、混合される薬剤の3つの成分を、混合する前に別々にしておかなければならない。この実施形態において、薬剤混合装置は、余分の容器及び追加的なニードルのための追加的なポートを含む。対応するポートに位置付けられる一連の容器を有するマニホールドが可能である。
押し忘れ
本発明の実施形態によれば、上で参照したように、薬剤混合装置100は、図5及び図16に概して示されるアクチュエータ500を含む。アクチュエータ500は、トリガ550に応答するように構成され、アクチュエータ500がロック状態にないならば、アクチュエータ500は、流体駆動装置600とインターフェースして、薬剤の混合を生じさせる。そのため、図5から分かるように、アクチュエータ500は、トリガ550を流体駆動装置600に連結する。
特定の実施形態において、図16に示されるように、トリガ550は、押下可能な円形のボタン552である。押下可能なボタン552は、ハウジング101の外部ケーシング102を通って突出し、ユーザの指を受容するように適合された凹状の輪郭を含む。加えて、押下可能なボタン552は、不慣れなユーザが迅速に識別することを可能にする、特徴的な指示を含む。特定の実施形態において、指示は、緑又は「開始」のボタンである。
アクチュエータ500は、プレート510と、フック512と、ロック機構520と、を含む。ロック機構520は、次の2つの状態、すなわち、トリガ550がアクチュエータ500に混合を開始させるのを阻止するロック状態、及びユーザによるトリガ550の作動が薬剤の混合をもたらすロック解除状態、で動作する。特定の実施形態において、ロック機構520は、ボタン552とインターフェースして、アクチュエータ500の移動を阻止し、それによって、流体駆動装置600の作動を阻止する。アクチュエータ500、プレート510、フック512、及びロック機構520の構造を以下のパラグラフで概説する。
ロック機構520は、アクチュエータ500の一部分の周囲のスロットに配置された実質的に円形のリング522を含む。リング522は、アーム530と一緒に、突出部524、526、及び528を含み、これらはそれぞれ、「交差」構成でリング上の直径方向に対向する場所から半径方向に外方に延在する。孔532を有するアーム530は、突出部528に直径方向に対向して配置される。孔532は、図8に示されるように、ピン534の遠位端部を受容するように構成される。
図16にも示されるように、ボタン552の下側は、4つのカム表面554、556、558、及び560を含む。各カム表面は、突出部524、526、528、又はアーム530のうちの1つとインターフェースするように構成される。カム表面の各々は、ボタン552の併進押下移動を円形のリング522の回転移動に変えるように構成される。
カム表面554及び556は、図5に示されるように、アクチュエータ500のロック機構520の突出部524及び526とインターフェースする。突出部524及び526は、最初に、「L字」形状のスロット162、164内で、内側支持体150a、150bの各小片に1つのスロットが存在する(図6で分かるように、「L字」形状のスロットは、小片150a及び150b上に存在する)。カム表面558及び560は、突出部528及びアーム530とインターフェースする。突出部528及びアーム530もまた、最初に、内側支持体150a及び150bが一緒に配置されるときに形成される「L字」形状のスロット内に存在する。「L字」形状のスロットは、2つの部分、すなわち、「L字」形状の隅部の前の第1の部分、及び「L字」形状の隅部の後の第2の部分に細分化される(再度図6を参照されたい)。
第1の位置では、スロットの第1の部分と突出部/アームとの間の係合が、リング522が共通軸「A」(図16を参照されたい)の方向において移動するのを阻止し、それによって、アクチュエータ500が作動するのを阻止する。第2の位置では、突出部524、526、528、及びアーム530が「L字」形状のスロットの第2の部分に沿って移動することができ、「L字」形状のスロットの第2の部分が共通軸「A」の方向において延在するので、突出部524、526、528、及びアーム530の共通軸「A」に沿った方向の移動が可能である。「L字」の隅部に対するそれらのそれぞれのスロットの第1の部分に沿った突出部/アームの回転移動は、第1の位置から第2の位置に突出部/アームを移動させる。この回転移動は、アクチュエータ500の作動が制止される第1の位置から、アクチュエータ500の作動が可能になる第2の位置に突出部を移動させる。したがって、リング522は、ラッチとして作用し、その第1の位置においてアクチュエータ500の作動を阻止し、第2の位置においてアクチュエータ500の作動を可能にする。更にまた、突出部524、526、528、及びアーム530が第2の位置にあり、かつ「L字」形状のスロットの第2の部分に沿った移動が可能になると、突出部524、526、528、及び530が内側支持体150の小片150a及び150b上のスロット内のガイドとして作用し、共通軸「A」の下方へのアクチュエータの移動を案内する。
突出部524、526、528、及びアーム530は、図10Aに示されるように、カム表面554、556、558、及び560によって第2の位置にカム作用させたときに、それらのそれぞれの第1の部分に沿って移動するように構成される。しかしながら、突出部524、526、528、及びアーム530は、ロック機構520がロック解除状態である場合、それらのそれぞれの第1の部分内を自由に移動するのみである。ロック状態では、リング522は回転することができないので、突出部524、526、528、及びアーム530の移動が阻止される。
ロック機構520のロック状態において、ピン534は、孔532から、ハウジング101を通って、かつ外側ハウジング102のピンホール102aを通って、外側ハウジング102の外側まで延在する。ピン534は、孔532及びハンドル534bとの容易な整列を可能にして、取り外しを支援するためのテーパ付遠位端部534aを有する、細長い部材である。ハンドル532bは、外部ケーシング102のピンホール102aを通過しないので、ピン534がハウジング101の中に落下するのを阻止する。ユーザは、孔532からピン534を取り出し、リング522の回転を可能にするために、ハンドル534bを把持して引くことによって、孔532からピン534を引き出さなければならない。ピン534が取り外されていない場合は、リングの回転が阻止される。リング522が回転できない場合、突出部524、526、528、及びアーム530は、それらのそれぞれのスロット内を移動することができず、よって、カム表面554、556、558、及び560のいずれも移動するができない。この機構の結果、ピン534は、ロック機構520のキーとして作用し、ロックされているとき、トリガ550のボタン552の押下を阻止する。
ピン534が取り外された状態であっても、カム表面554、556、558、及び560による突出部524、526、及び528、並びにアーム530のカム作用は、ボタン552が押下されるときにのみ生じる。ピン534の取り外しは、ロック機構520をロック解除し、機構をロック解除状態のままにする。その結果、ピン534の取り外しは、混合プロセスの開始を直ちに生じさせず、例えば混合が延期される場合に、ピン534を交換する(再ロックする)ことができる。
ピン534を取り外した状態で、ボタン552を押下すると、突出部524、526、528、及びアーム530がカム作用し、第1の位置から第2の位置までロッキングリング522を回転させる。リング522が第2の位置に到達すると、アクチュエータ500は、共通軸「A」に沿って直ちに移動し、流体駆動装置600のピストン604とインターフェースして、薬剤の混合を開始することができる。この点において、トリガ550の移動は、アクチュエータ500に薬剤の混合を開始させる。
図16に示されるように、アクチュエータ500は、プレート510と、フック512と、を含む。プレート510は、共通軸「A」を中心にロック機構520のリング522と軸方向に整列され、プレート510は、リング522も共通軸「A」に沿って移動させない限り、共通軸「A」に沿って移動することができない。換言すれば、リング522は、リング522が共通軸「A」に沿って移動することが可能でない限り、プレート510の移動を阻止し、リング522は、リングがボタン552によって第2の位置までカム作用されたとき、共通軸「A」に沿って移動することのみができる。
フック512は、エネルギー貯蔵700に接続される。フック512は、貯蔵されたエネルギーがアクチュエータ500の機械的移動を生じさせ、それによって、流体駆動装置600の作動を生じさせる接続を形成する。
最初に、フック512が、突出部528と関連付けられた「L字」形状のスロットの隅部に着座する。リング522が第2の位置に到達しない限り、そのような移動がリング522によって阻止されるという事実がなければ、フック512は、突出部528と関連付けられた「L字」形状のスロットの第2の部分と整列され、それに沿って共通軸「A」の方向において移動することが可能である。その結果、エネルギー貯蔵700からの貯蔵されたエネルギーは、アクチュエータ500の移動を生じさせて薬剤の混合を開始させるように作用することができない。
ロック解除状態において、各突出部524、526、528、及びアーム530がその「L字」形状のスロットの隅部の第2の位置までカム作用されると、それぞれ、共通軸「A」に沿った方向において配向されるスロットの第2の部分に沿って自由に移動する。第2の位置では、突出部/アームと、共通軸「A」に沿ったリング522の移動を阻止していたスロットの第1の部分との間のインターフェースが解除されている。したがって、突出部/アーム及びリング522は、共通軸「A」に沿った方向において移動することができ、リング522は、もはやプレート510をブロックせず、プレートもまた共通軸に沿った方向において移動することができる。したがって、エネルギー貯蔵700からの貯蔵されたエネルギーを解放して、アクチュエータ500の移動を生じさせて薬剤の混合を開始させるように作用することができる。
カム558による第2の位置への突出部528の移動は、突出部528をフック512と整列させる。突出部528は、第2の位置において、共通軸「A」の方向においてスロットの第2の部分を移動させることができるので、フック512もまた、共通軸「A」に沿って移動することができる。したがって、エネルギー貯蔵700がアクチュエータ500に対して作用すると、フック512及び突出部528はどちらも、混合プロセス中に、「L字」形状のスロットの第2の部分に沿って進行する。
フック512は、2つの構成要素が第2の位置に整列するときに、突出部528によって補強されるように適合される。エネルギー貯蔵700は、アクチュエータ500の片側上にのみ作用するので、エネルギー貯蔵は、アクチュエータ500の中心に沿った軸(突出部524及び526と平行な軸)を中心とする回転を生じさせ易くなる。この回転は、アクチュエータ500の斜め移動を生じさせる場合がある。斜め移動は、突出部528によってフック512を機械的に補強して、そのような回転を回避することによって回避される。類似する機構を用いて、エネルギー貯蔵とアクチュエータとの代替的な接続の悪影響を回避することができる。
上で説明した機構によって、ピン534が取り外され(図9を参照されたい)、ボタン552が押されると(図10A)、アクチュエータ500の作動が生じ、それによって、更なるユーザとの相互作用を伴うことなく、流体駆動装置600の作動が自動的に生じる(図10B)。重要なことに、これは、混合される薬剤の第1の成分1000と、混合される薬剤の第2の成分1010との混合が実質的に再現可能な様式で生じ、ユーザが薬剤を混合するために手動でアクチュエータを移動させる必要がないことを意味する。自動混合は、混合速度が、ユーザの任意の手動アクションによってではなく、薬剤混合装置100内の成分の性質(エネルギー貯蔵700のタイプ、など)によって設定されるので、2つの成分を混合する信頼性を向上させる。混合はまた、各薬剤混合装置100においても同じ程度で完了される。これは、装置のユーザの器用さが限られている場合、又は混合プロセスが進行している間にユーザが他のアクションを行っている場合に特に効果的である。
更にまた、この装置は、主に、医療従事者による医療行為の際に使用されることが想定されるが、混合の再現性は、非医療従事者が、この装置を使用して、医療従事者と同じ様式で混合薬剤を生成することができることを意味する。薬剤混合装置100はまた、患者自身によって使用することもでき、これは、緊急事態に必要であり得る。
ユーザから更なる患者の手動の相互作用を伴うことなく、(トリガされると)薬剤の完全な混合が自動的に行われるように設計されているが、ユーザは、それでも、混合プロセス中に薬剤混合装置100を振り動かして混合を促進することができる。
図1〜図20に示される本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置100の押し忘れ機構の代替的な実施形態が存在する。
代替的な実施形態において、トリガは、押下可能なボタンではない。例えば、トリガは、代わりに、スイッチ又は回転ノブとすることができる。同様に、ボタンは、押下可能ではなく、むしろ引っ張り可能な特徴とすることができ、それによって、この特徴を引っ張ることで、アクチュエータ500をトリガする。
代替的な実施形態では、異なるロック機構を使用することができる。例えば、電子ロック機構、磁気ロック機構、又は異なる種類の機械的ロック機構である。下で詳細に説明し、図21に示される1つの特定の代替的な機械的ロック機構は、重力ロック機構である。
更にまた、アクチュエータの移動をブロックするためのロック機構の位置付けは、本発明の動作を損なうことなく変化させることができる。例えば、ロック機構は、ユーザがボタン552と相互作用するのを停止する、薬剤混合装置100の外側ハウジング102の外部のカバー又はロックなどの、ユーザがトリガと相互作用するのを阻止する手段とすることができる。
代替的な実施形態において、ボタンの下側上には、より多い又はより少ないカム表面が存在してよく、また、カム作用の方向(時計回り又は反時計回り)は、同じであってもよく、又はカムごとに異なってもよい。更にまた、カムの場所は、リング522に関して異なってもよい。単一のカムはまた、「段階的な」ロック解除機構を提供するために、リング上の複数の突出部と順次に相互作用することもでき、各突出部は、順次カム作用する。
更なる代替的な実施形態において、ロック機構は、共通軸を中心にピストン604と整列させることができない。例えば、油圧システムを、アクチュエータ500とピストン604との間で、2つの間のチュービング内に配置されたロック機構を動作させることができる。このチュービングは、アクチュエータ500及びピストン604の隣り合った配向を可能にすることができる。
代替的又は追加的に、更なるフェイルセーフ機構及びロック機構を存在させることができ、それによって、アクチュエータをトリガして薬剤の自動混合を開始するために、各ロック機構又はフェイルセーフ機構は、ロック解除状態又は開状態になければならない。
押し忘れ機構に加えて、薬剤混合装置は、混合が終了することをユーザに示す、視覚信号又は聴覚信号を含むことができる。例えば、ピストン604は、ピストンが自動化された混合プロセスを完了したときに、「クリック音」を生じさせることができる。代替的な信号も可能であり、機械的手段、電子的手段、又は磁気的手段によって提供することができる。
圧力駆動の混合
本発明の実施形態によれば、また、上で参照したように、バイアル108及び110が完全に挿入されると、薬剤混合装置100は、図8に示される配設で、各流体駆動装置600と、駆動流体移送部材300と、バイアル110と、移送部材200と、バイアル108と、出口移送部材400との間の流体継手を確立する。これらの流体連結された構造体の各々は、薬剤混合装置100内の少なくとも1つの流体のための流体経路の一部分を形成する。
薬剤送達装置100は、流体駆動装置600と一緒に、エネルギー貯蔵700を更に含む。アクチュエータ500によって開始された使用中に、貯蔵されたエネルギーが解放されて、1つ又は2つ以上の流体に対して作用し、それによって、薬剤の混合を促進する。この作用は、更なるアクチュエータによるアクチュエータ500の作動の結果として、流体の1つ又は2つ以上に対して行われる。特定の実施形態において、更なるアクチュエータは、流体駆動装置600である。
流体駆動装置600は、本明細書でリザーバ602と称される円筒駆動流体容器と、ピストン604と、を含む。流体駆動装置600を作動させる前に、リザーバ602は、駆動流体を充填するか、又は部分的に充填する。駆動流体は、リザーバ602の内部に本質的に均一な媒体を形成するので、リザーバに駆動流体を充填するときの駆動流体を通した圧力伝達は、(駆動流体に依存して)ほぼ瞬間的であり、流体駆動装置600による駆動に対する、駆動流体の迅速な応答につながる。製造が容易であることから、円筒リザーバが使用される。
本実施形態において、リザーバ602は、指定された量の駆動流体が予め充填される。駆動流体は、混合される薬剤の第1の成分と非反応性である。実施形態において、駆動流体は、その低コストのため、空気であるが、他の非反応性流体を使用することができる。リザーバ602の容積は、固定であり、1ml〜20mlの範囲であり、駆動流体の量もまた、1ml〜20mlの範囲である。特定の実施形態において、リザーバ602は、15mlの容積を有し、また、12.9mlの駆動流体を第1の容器に移送することが可能である。
図8を更に参照すると、リザーバ602は、流体移送部材300に流体連結された出口開口602a(駆動流体移送部材300の他方の端部には、バイアル110の中へ延在するニードル310)を含む。リザーバ602はまた、入口開口602bも含む。ピストン604は、円筒であり、入口開口602b内にぴったりと嵌合して、リザーバ602とピストン604との間に漏れのないインターフェースを提供して、駆動流体が入口開口602bを通ってリザーバから漏れるのを阻止するように寸法決定され、かつ構成される。ピストン604はまた、リザーバ602の容積内を移動するようにも構成される。円筒ピストン604の一方の端部は、最初に(及び任意の貯蔵されたエネルギーを解放する前に)ピストン604が、入口開口602bで、又はそのすぐ内側で静置するので、それによって、入口開口602bを塞ぐ。ピストン604が入口開口602bの内側に着座する程度は、上記の滑り嵌め及び漏れのないインターフェースを確実にする必要性によって管理される。入口開口602bとピストン604との間の滑り嵌めは、両方が密接に合致する円形断面を有することによって達成され、よって、開口602bを通して駆動流体の漏れがないだけでなく、任意の他の流体もまた駆動流体リザーバ602に入ることができない。
薬剤の混合中に、エネルギーがエネルギー貯蔵700から解放されて、静止リザーバに602の中へ移動するピストン604に対して作用する。静止リザーバ602の中へのピストン604の移動は、駆動流体に利用可能であるリザーバ602内の利用可能な容積を低減させ、それによって、リザーバ内の圧力を増加させ、そして、リザーバ602から出口開口602aを通して、駆動流体移送部材300の中への駆動流体の排出を生じさせる。ピストン604の移動は、それによって、駆動流体に対して作用して、最終的に、図10Bの構成に到達する。ピストン604及びリザーバ602の相対移動は、容積を低減させるが、リザーバ602と駆動流体移送部材300との間の静止流体継手を可能にするために、静止リザーバの中へのピストン604の移動が使用される。ピストン604の移動は、そのロック機構520を含むアクチュエータ500の移動と一致する(突出部524及び526は、小片150a及び150b内のスロットを下方に摺動し、そのうちの1つは、図10Bで分かり得る)。
バイアル110をポート106に完全に挿入することで、駆動流体移送部材300がリザーバ602をニードル310に流体連結し、流体駆動装置600とバイアル110との間の流体経路を確立する。駆動流体移送部材300を通したリザーバ602からの駆動流体の移動は、ニードル310からバイアル110の中への駆動流体の最終的な排出を生じさせる。駆動流体が空気である場合の特定の実施形態において、ニードル310を通してバイアル110の中への空気の排出は、気泡を生じさせる。
気泡は、混合される薬剤の第1の成分1000よりも浮力があるので、薬剤混合装置100をそのフランジ付き基部103上の表面上に立設すると、気泡がニードル310から離れて上方に上昇する。これは、ニードル310及びニードル230がそれぞれ混合される薬剤の第1の成分1000内に沈められたままである間、バイアル110の頂部への空気の蓄積につながる。
バイアル110内で混合される薬剤の第1の成分に利用可能な容積が低減されるので、バイアル110内の駆動流体(空気)の蓄積は、混合される薬剤の第1の成分1000に対する圧力の増加につながる。圧力が増加し、容積が低減された結果として、混合される薬剤の第1の成分1000に対して作用がなされる。混合される薬剤の第1の成分1000は、ニードル230を介して移送部材200に入る。バイアル110内に残っている混合される薬剤の第1の成分1000の残留量を最小にするために、ニードル230は、バイアル110内で可能な限り低くなるように構成される。
バイアル110の中への駆動流体の圧力駆動流れは、第1の成分がニードル310の中へ戻るのを阻止するが、更に、混合される薬剤の第1の成分1000のいずれもニードル310に戻るのを阻止する、予防的な一方向弁を含むこともできる。
両方のバイアルをポート104及び106に完全に挿入することで、移送部材200が第1のバイアル110を第2のバイアル108に流体接続して、2つのバイアルの間に流体経路を確立する。流体経路は、混合される薬剤の第1の成分が、第2のバイアル108への流れに対する上記のプロセスの結果として、移送部材200に入ることを可能にする。2つのバイアル間の流れは、圧力駆動されるが、フランジ付き基部103上の表面上に薬剤混合装置100を立設することで、重力によっても支援される。移送部材200は、混合される薬剤の第1の成分1000の一方向の流れを促進するために、一方向弁を含むことができる。
混合される薬剤の第1の成分1000は、移送部材200を通って流れ、ニードル210から第2のバイアル108の中へ分注される。第2のバイアル108は、ある容積の空気と一緒に、混合される薬剤の第2の成分1010を含む。ニードル210からの第1の成分の分注は、混合される薬剤の第1の成分1000及び混合される薬剤の第2の成分1010の両方を同じ容器内に存在させ、それによって、混合させる。
混合される薬剤の第1の成分1000をバイアル108の中へ分注することで、混合される薬剤の第2の成分1010及び元々バイアル108内にある空気に利用可能な容積が低減される。結果的に、バイアル108の容積は固定されているので、混合される薬剤の第1の成分がバイアル108に入るにつれて、バイアル108内の圧力が増加する。圧力のいかなる蓄積を多少なりとも解消するために、バイアル108は、ニードル410を介して、出口移送部材400に流体接続される。出口移送部材410の他方の端部には、通気口キャップ452によってカバーされたコネクタ450がある。通気口コネクタは、薬剤混合装置100の外側ハウジング102上に配置される。通気口コネクタ452は、出口移送部材400内からの一方向弁を介した外側への空気の解放を可能にする。したがって、出口移送部材400は、バイアル108の空気を解放することができる流体経路を確立する。
上で説明した機構は、流体駆動装置600から駆動流体移送部材300への、次いで、ニードル310を通してバイアル110への駆動流体の分注をもたらす。上記の機構によって、混合される薬剤の第1の成分1000は、次いで、第1の成分に駆動流体によってなされる作用の結果として、バイアル110から移送部材200の中へ流れる。また、上記の機構によって、混合される薬剤の第1の成分は、移送部材200を通してバイアル108の中へ再配置され、それによって、混合される薬剤の第1の成分1000及び混合される薬剤の第2の成分1010が混合される。
図1〜図20に示される本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置100内で生じる圧力駆動混合の代替的な実施形態が存在する。
アクチュエータ500によって作動されると、エネルギー貯蔵700から流体駆動装置600に、及び駆動流体に仕事を有効に移送することができるのであれば、リザーバが固定容積を有する必要はない。例えば、リザーバは、可撓性バッグとすることができ、バッグ内の駆動流体が利用可能な容積は、流体駆動装置600の作動によって低減される。
同様に、アクチュエータ500によって作動されると、流体駆動装置600を介して、エネルギー貯蔵700から、混合される薬剤の第1の成分1000に仕事を有効に移送することができるのであれば、容器が固定容積を有する必要はない。例えば、第1の容器は、可撓性バッグとすることができ、バッグ内の第1の成分1000が利用可能な容積は、流体駆動装置600の作動によって低減される。
代替的な実施形態において、駆動流体は、非反応性及び不活性の両方とすることができる。更に代替的に、駆動流体は、混合される薬剤の第1の成分と反応し得るが、反応性駆動流体及び混合される薬剤の第1の成分の混合を阻止する容器内のバリアによって、第1の成分から分離することができる。バリアは、容器110内に配置された可撓性の非多孔性膜とすることができる。
代替的な実施形態では、流体駆動装置600から駆動流体を分注するための異なる機構が使用される。例えば、正方形断面又は楕円形断面を有する幾何学的形状などの、ピストン、入口開口、及びリザーバの異なる幾何学的形状を使用することができる。代替的に、ピストン及び入口開口は、同じ断面を共有する一方で、寸法又は形状のいずれかにおいて、リザーバに対して異なる横断面を有することができ、よって、駆動流体リザーバ内の「スラック」容積が有用であり得る。
代替的な圧力駆動の実施形態において、駆動流体がリザーバ602から分注される前に、閾値圧力に到達することが必要な場合がある。駆動流体が駆動流体移送部材に分注される前にはいかなる混合も生じないので、閾値の使用は、混合のタイミングの制御を提供する。
更なる実施形態において、リザーバ602から駆動流体を分注する速度は、例えば出口開口602aの寸法を変化させることによって制御される。より小さい開口は、ピストン604の同じ移動に対する駆動流体の流速を増加させる。追加的又は代替的に、分注速度は、ピストン604の移動速度を変化させることによって制御することができる。
代替的な実施形態では、異なるアクチュエータ、例えば、蠕動ポンプ、浸透ポンプ、又は機械的若しくは電気的ポンプなどのポンプを使用して、リザーバから駆動流体を移動させることができる。更に代替的に、リザーバは、アクチュエータによって作用され得る可撓性膜とすることができる。
更なる代替的な実施形態において、駆動流体の意図しない漏出は、ゴム製Oリング又は類似のものをモバイルピストン604と静止リザーバ602との間に配置して、これらの2つの部品の間に漏れのないインターフェースを達成するなどの、一般的な方法によって阻止することができる。
代替的な実施形態において、リザーバ602の容積の低減は、静止ピストンに対するリザーバ(及び駆動流体移送部材に対する流体継手)の移動、又はピストン及びリザーバ両方の移動の組み合わせによって生じさせることができる。
代替的な実施形態において、駆動流体リザーバは、予め充填されていない場合があり、代わりに、封止可能なポートを介して充填可能又は再充填可能とすることができる。次いで、流体駆動装置を、複数の薬剤混合動作に再使用することができる。
更なる代替的な実施形態において、駆動流体移送部材300は、駆動流体で満たしておくことができ、それによって、ある容積の駆動流体を更にリザーバ602に貯蔵することができる。その場合、リザーバ602の中へのピストン604の移動は、リザーバ及び駆動流体移送部材内の駆動流体の連続性のため、駆動流体のニードル310からの駆動流体の即時の分注をもたらす。このような連続性は、流体駆動装置が作動すると、駆動流体がニードル310からより迅速に分注されることを意味する。
代替的な実施形態において、第2のバイアルに移送される混合される薬剤の第1の成分の量は、較正することができる。較正は、流体駆動装置の部分的な作動によって、駆動流体の量を、リザーバ内に貯蔵されている流体の一部のみに限定するためのものであり得る。更に代替的に、第2のバイアルに移送される混合される薬剤の第1の成分の量は、ニードル230の延在部を変化させることによって較正することができる。薬剤混合装置100をそのフランジ付き基部101上に立設して使用しているときに、ニードル230は、バイアル110の中へ延在する。ニードル230がバイアル110の中へ延在する量を増加又は低減させることは、混合プロセス中にバイアル内に残っている残留する第1の成分を増加又は低減させ、混合される第1及び第2の成分の比率のより広い制御をユーザに提供する。
圧力駆動混合の更なる代替的な実施形態において、エネルギー貯蔵700は、圧縮ばね又は圧縮ガスのうちの1つを備え、それによって、圧縮力が解放されて、ばね又はガスが流体駆動装置600に作用して、混合される薬剤の第1の成分1000と、混合される薬剤の第2の成分1010との混合を生じさせることができる。
ドローダウン機構
特定の実施形態において上で説明したように、薬剤送達装置100は、混合される薬剤の第1の成分1000と、混合される薬剤の第2の成分1010とを混合して、混合薬剤1020を形成するために、アクチュエータ500に作用するエネルギー源を提供する、エネルギー貯蔵700を含む。
特定の実施形態において、エネルギー貯蔵700は、図5、図6、及び図16に示されるように、フック512によってアクチュエータ500に連結される弾性部材710である。弾性部材710は、実質的に平坦なばねアーム710a及びロール710bを含む、スプール状に装着された定荷重金属板ばねである。ばねアーム710aは、ばねの拡張部分を指し、その遠位端部にフック512のための孔714を含む。フック512を受容するための孔714は、接着剤を必要とすることなく(接着剤は経時的に分解する場合がある)、フック512とアーム710aとの間の安定したインターフェースを提供する。ロール710bは、スプール712上に装着される部分を指す。弾性部材710からのエネルギーの解放中に、アームがロール/スプールに巻き付けられるにつれて、アーム710aの長さが短くなる。スプールマウント712は、キャビティ装着によって生じる摩擦を回避するために使用される。
弾性部材710は、アーム710aがリザーバ602及びピストン604を備える流体駆動装置600の縁部に沿って延在した状態で、2つの小片150a、150bの間で内側支持体150内に位置付けられる。装置をフランジ付き基部103上に立設するときに、スプール712及びロール710bは、リザーバ602の下側に位置付けられ、したがって、拡張されたアーム710aを収縮させると、ピストン604が入口開口602bを通してリザーバ602の中へ下方に引き込まれる。板ばねのスプールをリザーバ602の下側に位置付けることは、(アクチュエータ500をピストン604の中へ押し込むために解放される)エネルギーを貯蔵する底部弾性部材710のための空間をアクチュエータ500の上に提供するためのいかなる要件もハウジング101内又は薬剤混合装置100内に存在しないことを意味する。
上記に加えて、平坦アーム710aが整列されて、アーム710aの平坦面がピストン604、リザーバ602、及びアクチュエータ500の外部輪郭に実質的に一致すると(図5のアーム710aの位置を参照されたい)、弾性部材710、より一般的にはエネルギー貯蔵700を収容するために必要とされるこのハウジングの一部分101内に必要とされる空間及びフットプリントを最小にする。
弾性部材710は、最初に、張設(拡張)状態でフック512に取り付けられる。この張設状態において、ばねは、仕事に変換することができる弾性位置エネルギーを貯蔵している。アクチュエータ500を移動させるための、弾性部材710内に貯蔵された弾性位置エネルギーの解放は、突出部524、526、528、及びアーム530を有するリング522によって阻止され、内側支持体150のそれらのそれぞれの「L字」形状のスロット内のそれらの場所により、リング522の移動を集合的に阻止する。ロック状態では、リング522を移動させることができないので、プレート510及びフック512を移動させることができず、したがって、アーム710aをその初期延在部から収縮させることができない。したがって、弾性部材710は、最初に、リング522、プレート510、及びフック512の組み合わせによって張設状態で保持される。
ロック状態からロック解除状態に解放すると、トリガ550が突出部524、526、528、及びアーム530を、それらの第1の位置から、「L字」形状のスロットの第1の部分を通して、第2の位置に移動させるまで、依然として弾性部材710を移動させることができない。第2の位置において、共通軸「A」に沿ったアクチュエータ500の移動がもはや阻止されないので、弾性部材を解放することができる。既に張設(拡張)状態で保持されている弾性部材710は、アーム710aをスプール712に向かう方向において収縮させることによって、張力を解放することができ、アーム710aをロール710b、スプール712、及びロール710bへと徐々に移行させ、最終的に、実質的に非拡張状態に到達する。その際に、フック512は、アクチュエータ500のプレート510に取り付けられ、アーム710aが収縮するにつれて、下方に引き込まれる。同時に、リング522、突出部524、526、528、及びアーム530は、アーム710aが収縮するにつれて、下方に移動する。アクチュエータ500の移動は、流体駆動装置600の移動を開始させ、リザーバ602内に含まれる駆動流体を、出口開口602aを通して、駆動流体移送部材300の中へ駆動するのを開始させる。上で説明したように、この駆動流体の移動は、混合される薬剤の第1の成分1000と、混合される薬剤の第2の成分1010との混合を生じさせる。ピストン604の完了した移動を図10Bに示す。
弾性部材700は、定荷重ばねを提供するが、それによって提供される力は、混合される薬剤の第1及び第2の成分のほぼ所望の混合速度をもたらすように、ユーザによって選択することができる。エネルギー貯蔵700からのエネルギーの解放中に加えられる力を選択することによって、ユーザは、混合速度を較正することができる。定荷重ばねを使用すると、駆動流体内の乱気流が最小になる。
特定の実施形態の上で説明した機構によって、空間の節約が行われ、それによって、底部弾性部材をアクチュエータ500の上に位置付ける必要がなくなり、それによって、ハウジング101内の自由になった空間が、装置の他の構成要素による代替的な用途に使用できるようになる。結果として、薬剤混合装置100は、アクチュエータ500の上により少ない空間要件を有し、装置の他の部品(例えば、ロック機構520)のためにより多くの空間が残り、又は代替的にハウジング101全体をより小さくすることを可能にする。
図1〜図20に示される本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置100のドローダウン機構の代替的な実施形態が存在する。
代替的な実施形態において、弾性部材は、製造の簡潔さ及び使用要件に依存して、ラミネート又はポリマーなどの代替的な材料で作製することができる。
代替的な実施形態では、異なる形態の弾性部材を使用することができる。例えば、コイルばねは、ピストン604をドローダウンすることができる。追加的な空間節約は、コイルばねが、薬剤の混合を生じさせるアクチュエータ(例えば、流体駆動装置600又はその一部)の少なくとも一部分に巻き付けられる場合に達成することができる。ばねのコイルを流体駆動装置に巻き付けることは、コイルばねの間隙が流体駆動装置600によって占有されるので、ハウジング101内の追加的な空間節約を提供する。
不定荷重弾性部材は、可変力が必要とされる場合の代替的な弾性部材として実装することができる。可変力の弾性部材は、ピストン604の不定移動速度を与え、これは、混合される薬剤の第1の成分1000と、混合される薬剤の第2の成分1010との不定混合速度を生じさせる。不定荷重弾性部材は、フックの法則に従い得る。
複合弾性部材を実装することができ、縦に並べた、又は背中合わせの複数の定荷重ばねを提供する。これらの弾性部材の適用は、同時とすることができ、又は混合プロセスを通して途中まで混合速度を調整するために段階的とすることができる。
フック512をアーム710aに取り付ける手段は、様々であり得る。例えば、瞬間接着剤を使用することができる。代替的に、フックは、アーム710aの遠位端部に位置付けられ得、孔は、アクチュエータ500の部品内にあり得る。
薬剤混合装置及び流体移送アセンブリ
本発明の実施形態において、混合される薬剤の第1の成分1000及び混合される薬剤の第2の成分1010が第2のバイアル108内で混合されると、図10Bに概して示される構成である薬剤混合装置100のそのバイアル内で、混合薬剤1020が調製されている。次いで、混合薬剤1020を、薬剤混合装置100から抽出し、治療に適切な時間に患者に投与しなければならない。適切な時間は、混合の直後とすることができ、又は正確な薬剤の挙動を生じさせるために特定の時間だけ経過させなければならない(例えば、最初に薬剤が完全に調製されるのではなく、5分後に薬剤が投与に好適な状態になり得る)場合には、いくらかの間隔の後とすることができる。
特定の実施形態において、混合薬剤1020を含む薬剤混合装置100は、テーブル又は作業台などの表面上でそのフランジ付き基部103上に立設される。この構成において、通気口コネクタ450は、薬剤混合装置100の基部103から離れて向いている。このときに、混合薬剤1020は、バイアル108内に存在し、ニードル210もニードル410も沈められていない。ニードル410は、内側支持体150の表面から11mm未満離れて延在し、これは、ニードル210が支持体から離れて延在するよりも短い(ニードルは、支持体150から13mm離れて延在している)。したがって、ニードル410は、ニードル210と同程度にバイアル108の中へ延在しない。ニードルの延在部は、貫通しなければならない隔壁112の厚さによって部分的に管理されるが、一般に、ニードルの延在部は、1mm〜30mmの範囲内のいずれかとすることができる。ニードルの延在部における大きい範囲は、外側ハウジング102が内側支持体150を覆って位置付けられるときにニードルが接近しづらいため、ニードルが刺さるといったリスクを伴うことなく与えられる。
図13Aに示されるように、医療従事者であり得る装置のユーザは、コネクタ450から通気口キャップ452を取り除く。
次いで、ユーザは、薬剤投与装置を取り、薬剤混合装置100への接続を形成する。図13Bに示される実施形態において、薬剤投与装置は、シリンジ1200であり、シリンジ1200は、コネクタ450に接続して、流体移送アセンブリ1500を形成する。したがって、流体移送アセンブリは、図11、図12、及び図13Cに示されるように、薬剤混合装置100及びシリンジ1200の複合体を形成する。
シリンジ1200は、シリンジ容器1220の中へ延在する、収縮可能な注射器プランジャ1210を備える。最初に、シリンジは空であり、プランジャ1210は容器1220の中へ完全に押し込まれているが、シリンジは、代替的な実施形態において、プランジャ1210を収縮させることができるのであれば、投与するための更なる成分を含むことができる。シリンジの容量は、投与される混合薬剤1020の量を反映するので、この容量は、1ml〜1000mlの範囲内である。
シリンジ1200は、薬剤混合装置100への漏れのない接続の第1の部分を提供するために、容器1220の端部に雌型ルアー接続1230を有する。コネクタ450は、シリンジ1200と薬剤混合装置100との漏れのない接続の第2の部分を形成する。コネクタ450は、標準的なルアーコネクタの雄型部分である。雄型ルアーコネクタを薬剤混合装置100に提供し、かつ雌型コネクタをシリンジに提供することの1つの利点は、コネクタ450が、雌型ルアーコネクタを一般に用いる数多くのタイプのシリンジ1200に接続されるように、標準化されることである。
図12によって示されるように、接続は、出口移送部材400とシリンジ1200との間の流体継手をもたらす。流体継手の確立は、出口移送部材400とシリンジ1200との間の流体経路を提供し、また、出口移送部材の他方の端部がバイアル108に流体連結されているため、バイアル108とシリンジ1200との間の流体経路を提供する。
固定されると、薬剤混合装置100のフランジ付き基部103は、図13Cの構成において地面に対して、シリンジ1200が薬剤混合装置100の上に位置付けられた状態で、複合体の流体移送アセンブリ1500を支持する。
アセンブリが調製されると、医療従事者は、次いで、流体移送アセンブリを持ち上げ、コネクタ450の平面を通過する軸(例えば、図13Dに示される軸「B」)を中心に約180度アセンブリを回転させることによって、アセンブリを反転させる。その際に、シリンジ1200は、薬剤混合装置100の下に位置付けられるように移動し、アセンブリは、倒立構成にあると言われる。
倒立構成は、特定の実施形態において、指定された配向であるが、本発明は、流体移送アセンブリの完全な反転を達成することに正確に依存しないことに留意されたい。要件は、以前にシリンジ1200の下にあった薬剤混合装置100を、地面に対してシリンジの上になる位置まで移動させることである。
図13Eに示されるように倒立構成/指定された配向が達成されると、バイアル108内に存在する混合薬剤1020がニードル210及び410の両方を沈める。ニードル410は、開口414を含み、これを通って、混合薬剤1020を出口移送部材400の中へ取り出し、次いで、シリンジ1200の容器1220の中へ取り出すことができる。取り出しは、ユーザが注射器プランジャ1210を収縮させることにより生じ(図13E及び図13Fを参照されたい)、これは、バイアル108から容器1220に混合薬剤を引き込むために、容器1220内部の圧力を低減させる。倒立構成/指定された配向において、容器1220への出口移送部材400を通した流体の流れはまた、重力にも支援され、これは、バイアル108から容器1220への全体的な流体の流れを達成するためにユーザが行わなければならない仕事がより少ないことを意味する。
倒立構成/指定された配向において、薬剤混合プロセスを駆動するために使用される駆動流体は、バイアル108の頂部(頂部は、ニードル210及び410の対向端部である)に堆積し、それによって、混合薬剤1020をシリンジ1200の中へ取り出す能力を低減させる真空ロックが阻止される。真空ロックを回避するこの機構は、装置の移送部材の更なる複雑化を回避する。
流体移送アセンブリによって行われる移動の順序の利点は、これらの移動が医療従事者によく知られていることである。他の文脈において、医療従事者は、流体を有するバイアル及びシリンジを提供し、バイアルを表面に位置付けるときに、シリンジとバイアルとの間に流体継手を確立する。医療従事者は、次いで、バイアル及びシリンジのアセンブリを反転させ、シリンジの中へ流体を引き出す。薬剤混合装置及び薬剤投与装置を備える本発明の流体アセンブリは、同じ様式で使用される。同じ様式での使用は、このよく知られていることを利用して、薬剤調製及び投与プロセスのこの段階で生じる人的エラーの可能性を低減させる。
図1〜図20に示される本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置及び流体移送アセンブリの代替的な実施形態が存在する。
パッチ又は輸液装置などの、シリンジではない代替的な薬剤投与装置を使用することができる。更に代替的に、ニードルを取り付けたシリンジを使用することができる。ニードルは、薬剤混合装置との流体継手を確立するために薬剤混合装置の中に貫通することができるが、これは、ニードル付き投与装置の追加的な操作を必要とする。しかしながら、出口移送アセンブリ400は、ニードルを収容するように寸法決定することができ、また、流体移送アセンブリを配向間で移動させるときにニードルに作用しているいかなる歪みも阻止するために、補強された構成を含むことができる。
薬剤混合装置100とシリンジ1200との間の一対一の対応関係を説明してきたが、薬剤混合装置100の出口移送部材400は、複数のコネクタ450に到達する複数の経路に細分化することができ、経路の各々は、シリンジなどの薬剤投与装置に接続することができる。流体移送アセンブリは、薬剤混合装置100及び複数の薬剤投与装置の複合体とみなすことができる。
代替的な実施形態において、シリンジ1200と薬剤混合装置100との間のルアー接続は、代替的な配設を有することができ、それによって、雌型部分が薬剤混合装置上に提供され、雄型部分がシリンジ上に提供される。
ルアーコネクタ以外の代替的なコネクタを使用して、薬剤投与装置と出口移送部材との間に流体継手を形成することができる。例えば、薬剤混合装置100上のコネクタ450の代わりに、穿孔可能な隔壁を提供することができる。シリンジは、2つの構成要素の間に流体継手を確立するために、ニードル及び穿孔される隔壁を備えることができる。薬剤混合装置の通気口は、他の場所に配置することができる。更に代替的に、ストップコックを使用することができる。
更なる代替的な実施形態において、薬剤混合装置100内の追加的な通気口のなどの、真空ロックを阻止する異なる方法を使用することができる。
特定の実施形態は、薬剤混合装置100とシリンジ1200との間の直接接続を示し、これが最もよく知られているが、これは必須ではない。チューブ又は他の本体は、流体継手を提供して、シリンジと薬剤混合装置との間に流体経路を確立することができ、よく知られている移動を同じ順序で行うことができる。
千鳥状ニードル
上で論じた本発明の実施形態において、バイアル110は、駆動流体移送部材300のニードル310を介して、かつニードル230を介して、内側支持体150に取り付けられ、移送部材200の一方の端部を形成する。バイアル110がポート106に完全に挿入されると、以前に穿孔した隔壁114からバイアル110の中へ貫通するニードル310及び230は、バイアル110の開口部110aを通って延在する。
ニードル310及び230の各々は、一般に、細長い直線状の中空チューブであり、それぞれが、隔壁114の貫通を支援するための穿孔先端部312、232と、突出した遠位端部に位置付けられた開口314、234と、を含む。直線状のニードルは、ニードルの局所的な流体抵抗を最小にする。
各開口234、314において、開口の平面に対して垂直なベクトルは、ニードルのチューブの伸長に対して角度が付けられる。
ニードル310の開口314は、駆動流体が駆動流体移送部材300を出てバイアル110に入る、入口アパーチャを形成する。ニードル230の開口234は、混合される薬剤の第1の成分1000がバイアル110を出て、移送部材200に入る、出口開口を形成する。
ニードル314、234のうちの1つ又は2つ以上は、ポリマーから作製することができる。ポリマーニードルは、隔壁114を確実に貫通し、十分な流体継手を確実にし、また、内側支持体150の中へ成形することができ、製造を合理化するといった利点を有する。代替的に、ステンレス鋼ニードルなどの金属ニードルを使用することができる。金属ニードルは、隔壁の貫通中の隔壁の断片化及びコアリングを低減させ、かつ移送されている流体の迅速な平衡化を提供する。
ニードル310は、ニードル230よりも大きい程度で隔壁114を過ぎてバイアル110の中へ突出し、それによって、駆動流体のための入口開口314を、混合される薬剤の第1の成分1000のための出口開口234よりも更にバイアルの中へ位置付ける。特定の実施形態において、ニードル310は、隔壁114を11mm過ぎてバイアル110の中へ延在し、ニードル230は、隔壁を9mm過ぎてバイアル110の中へ延在するが、ニードル310がニードル230よりも大きい程度でバイアル110の中へ突出するのであれば、いずれの延在部も、1mm〜30mmの範囲内とすることができる。
薬剤混合装置100が図8の構成で表面上(地面又は作業台など)に立設されるときに、入口開口314は、出口開口234の上に、地面に相対して位置付けられる(特定の実施形態に示されるように、入口開口314は、出口開口234の真上にある必要はないが、そうである場合もある)。最初に(すなわち任意の薬剤混合の前に)、入口開口314及び出口開口234は、第1の成分1000中に沈められる。
特定の実施形態において、駆動流体は、空気であり、これは、混合される薬剤の第1の成分1000よりも低密度である。薬剤混合装置100が立設され、流体が流体駆動装置600によって駆動されると、より低密度の駆動流体が開口314を通ってバイアル110に入り、より低密度の駆動流体の気泡を形成する。気泡は、その浮力のため上昇する。入口開口314を出口開口234の上に配置する結果として、より低密度の駆動流体の気泡は、開口234に決して入らず、それによって、駆動流体が移送部材200に入るリスクを回避する。バイアル110の頂部におけるより低密度の駆動流体の蓄積は、混合される薬剤の第1の成分1000の出口開口234を介した移送部材200への移動を生じさせる。入口開口314が混合される薬剤の第1の成分中に沈められたままである間、入口開口314からの全ての気泡は、一般に、上方に上昇する。
混合される薬剤の第1の成分1000の移送部材200の中への移動は、出口開口234がもはや沈められなくなるまで続く。上で説明したように、混合される薬剤の第1の成分1000が移送部材200を介してバイアル108に移送される混合プロセスのときに、ニードル230、より具体的には、ニードル230の出口開口234は、バイアル110内に残っている混合される薬剤の第1の成分1000の残留量を最小にするために、バイアル110内で可能な限り低く位置付けられる。開口の配設のため、薬剤混合装置100が表面上に立設されているのであれば、出口開口234の沈みが中断される前に、入口開口314は、混合される薬剤の第1の成分による沈みが常時中断される。
バイアル108に関して、移送部材200のニードル210及び出口移送部材400のニードル410を介して内側支持体150に取り付けられる類似する千鳥状ニードルのセットが存在する。ニードル210は、ニードル230に対する移送部材200の他方の端部を形成する。バイアル108がポート104に完全に挿入されると、図15に示される構成において、以前に穿孔された隔壁112からバイアル108の中へ貫通するニードル210及び410は、バイアル108の開口部108aを通って延在する。
ニードル210及び410の各々もまた、一般に、細長い直線状の中空チューブであり、それぞれが、隔壁112の貫通を支援するための穿孔先端部212、412と、開口214、414と、を含む。直線状のニードル210及び410もまた、いかなる方向の変化も特徴としないので、局所的な流体抵抗を最小にする。先端部212、412は、
開口414は、ニードル410の突出した遠位端部に位置付けられ、開口414の平面に対して垂直なベクトルN3は、ニードルのチューブの伸長に対して角度が付けられる。開口214は、ニードル210の側部に位置付けられ、開口214の平面に対して垂直なベクトルN4は、中空チューブの伸長に対して垂直である(図15を参照されたい)。
ニードル310の開口214は、混合される薬剤の第1の成分1000が移送部材200を出て、バイアル108に入る、入口開口を形成する。ニードル410の開口414は、薬剤混合装置が表面上に立設されるときに元々バイアル108内に存在する過剰な空気が出口移送部材400を介して出ることができる、出口開口を形成する。
ニードル210、410のうちの1つ又は2つ以上は、ポリマーから作製することができる。ポリマーニードルは、隔壁112を確実に貫通し、十分な流体継手を確実にし、また、内側支持体150の中へ成形することができ、製造を合理化するといった利点を有する。代替的に、ステンレス鋼ニードルなどの金属ニードルを使用することができる。金属ニードルは、隔壁の貫通中の隔壁の断片化及びコアリングを低減させ、かつ移送されている流体の迅速な平衡化を提供する。
ニードル210は、ニードル410よりも大きい程度で隔壁112を過ぎてバイアル108の中へ突出し、それによって、駆動流体のための入口開口214を、混合される薬剤の第1の成分1000のための出口開口414よりも更にバイアルの中へ位置付ける。特定の実施形態において、ニードル210は、隔壁112を11mm過ぎてバイアル108の中へ延在し、ニードル410は、隔壁112を9mm過ぎてバイアル108の中へ延在するが、ニードル210がニードル410よりも大きい程度でバイアル110の中へ突出するのであれば、いずれの延在部も、1mm〜30mmの範囲内とすることができる。
ニードル310及び230がバイアル110の中へ突出する程度と、ニードル410及び210がバイアル108中へ突出する程度との間には、いかなる特定の関係も存在しないが、製造の容易さから、ニードル310及び210をそれらのそれぞれのバイアルの中へ同じ量だけ延在させること、及びニードル230及び410をそれらのそれぞれのバイアルの中へ同じ量だけ延在させることが可能である。
薬剤混合装置100が図8の構成で作業台などの表面上に立設されるときには、ニードル210も410も沈められておらず、出口移送部材400は、元々バイアル108内に存在する空気を含み得る。しかしながら、上で説明したように、混合される薬剤の第1の成分1000及び混合される薬剤の第2の成分1010が混合されて、混合薬剤1020を形成した後に、薬剤混合装置100を倒立構成に位置付けると(図13Eに示されるように、恐らく流体移送アセンブリ1500の一部であるとき)、いくつかの効果が生じる。
薬剤混合装置100の反転は、ニードル210及び410の両方が混合薬剤1020中に沈められることを意味する。反転はまた、出口移送部材400を混合薬剤1020で満たすために、混合薬剤1020を、出口開口414を介して、出口移送部材400の中へ流れさせる。以前に出口移送部材400に存在していた空気は、反転させたバイアル108の頂部まで上昇する。移送部材200がバイアル108からバイアル110への混合薬剤1020の流れを制止するために一方向弁を含むので、混合薬剤1020は、移送部材200を通って戻らない。
同時に、駆動流体が混合薬剤1020よりも低密度であるので、反転は、以前にバイアル110内に堆積したより低密度の駆動流体に、出口開口234を通過させ、移送部材200を通過させ、そして、バイアル108の中へ入らせる。より低密度の駆動流体が入口開口214を通過して、バイアル108に入ると、気泡が形成され、気泡は、その浮力のため上昇する。
倒立構成で入口開口214を出口開口414の上に配置する結果として、より低密度の駆動流体の気泡は、開口414に決して入らず、それによって、混合薬剤1020が薬剤混合装置100から取り出されるときに、駆動流体(空気)が出口移送部材400に入るリスクを回避する。代わりに、バイアル108の頂部には、元々バイアル108内に、又は出口移送部材400内に存在していたあらゆる空気と一緒に、より低密度の駆動流体が蓄積する。入口開口214が混合薬剤1020中に沈められたままである間、薬剤混合装置100が倒立構成にあるときに、入口開口214からの全ての気泡は、一般に、上方に上昇する。
混合薬剤1020で出口開口414を沈め、出口移送部材400に入ることで、例えばシリンジ1200などの薬剤投与装置によって、薬剤混合装置から混合薬剤を取り出すことができる。出口開口414が沈められたままである限り、混合薬剤1020の取り出しが可能である。
上で説明したニードル230に類似する方法で、倒立構成にあるときの薬剤混合装置から混合薬剤1020が取り出されるときに、ニードル410、より具体的には、ニードル410の出口開口414は、バイアル108内に残っている混合される薬剤の第1の成分1000の残留量を最小にするために、バイアル108内で可能な限り低く位置付けられる。開口の配設のため、薬剤混合装置100が倒立構成にあれば、出口開口414が沈められなくなる前に、入口開口214は、常に、混合される混合薬剤に沈められなくなる。
図1〜図20に示される本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置100内の千鳥状ニードルの代替的な実施形態が存在する。
代替的な実施形態において、1つ又は2つ以上のニードルは、金属とすることができ、これは、ポリマーよりも高速な流体の平衡化を提供することができる。ニードルは、細長い直線状の中空チューブである必要はない。更にまた、開口の平面に対して垂直なベクトルN3は、中空チューブの伸長に対して変化させることができる。
更なる実施形態において、ニードルの1つ又は2つ以上は、使用前に開口をカバーする保護部材によって、最初に保護されることができる。有利なことに、保護部材は、ニードルを無菌に保ち、ニードルがユーザに刺さるのを阻止する。1つ又は2つ以上のニードルの保護部材は、薬剤混合装置のポートの中へのバイアルの正確な挿入を促す、又は強制する、同じ保護部材とすることができる。ポートの保護部材の除去は、それによって、同時にニードルも露出させ、薬剤混合装置の調製速度を高める。
代替的な実施形態では、駆動流体が入口を通って開口に入るときに開口が相対的な上/下の配置であれば、入口開口及び/又は出口開口をニードル側上に位置付けることができる。混合される薬剤の第1の成分よりも低密度であれば、窒素などの代替的な駆動流体を使用することができる。
特定の実施形態では、薬剤混合装置が開口214及び414に関して倒立構成で位置付けられているが、完全に反転させた構成は、必須ではない。部分的な反転又は他の指定された配向が、開口214が地面に対して開口414の上にあるそのような配向において提供された気泡が出口開口414に入るのを回避するために、可能である。
代替的な実施形態において、バイアル110への混合薬剤1020の戻り流れは、非多孔性膜によってなど、弁以外の手段によって回避することができる。
スプレーニードル
上で説明した本発明の実施形態において、移送部材200は、ニードル210及び230を介して、それぞれ、バイアル108と110の両方に流体連結される。ニードル230内に形成された開口234は、混合される薬剤の第1の成分1000をバイアル110から移送部材200の中へ移動させるための、バイアル110からの出口を形成する。ニードル210内の開口214は、(図15に示されるように)バイアル108のための入口を形成し、この入口によって、移送部材200を通って流れる混合される薬剤の第1の成分1000が、移送部材200からバイアル108に分注される。上で説明したように、分注は、薬剤混合装置100がテーブル又は作業台などの表面上でそのフランジ付き基部103上に立設されるときに生じる。
移送部材200は、ニードル210及び230を備える実質的に直線状のチューブである。移送部材200が直線状であるので、流体が開口234と214との間で移送部材200を通過するときにキャビテーション又はスラック流が発生し得るいかなる隅部も存在しない。
上でも説明し、図15、図18、及び図19Aに示されるように、開口214は、ニードル210の遠位端部に隣接して、ニードル210の側部に配置される。ニードル210の遠位端部は、閉鎖されている。開口214は、ニードル210の中空チューブの伸長方向に対して垂直である、又は少なくとも実質的に垂直である、開口の平面に対して垂直なベクトルN4を有する。開口をこのように配向することは、開口214から分注される混合される薬剤の第1の成分1000を再方向付けする。分注の前に、混合される薬剤の第1の成分1000は、ニードル210の伸長方向と実質的に平行して配向される速度を有する。薬剤混合装置100が立設されるとき、この速度は、実質的に垂直である。混合される薬剤の第1の成分1000が開口214に遭遇すると、流体速度は、開口214に対して垂直な方向N4に再配向される。特定の実施形態において、開口214に対する垂直は、薬剤混合装置100がそのフランジ付き基部103上に立設されるときに水平である。よって、第1の成分1000は、実質的に速度の垂直成分を伴うことなく、開口214から流体的に分注され、開口214を通って分注された後に、重力のみにより、その速度の垂直成分を取得する。
ニードル210は、バイアル108の中へ延在する。バイアル108は、基部108e及びバイアル側壁108fを本体108d内に含む。バイアル側壁108fは、バイアル108の内面を形成し、基部108e及びバイアル側壁108fは、互いに対して実質的に垂直である。
開口214から混合される薬剤の第1の成分1000を分注する前に、図15に示されるように、バイアル側壁108fは、実質的に垂直な配向を有し、バイアル基部108eは、薬剤混合装置100 9のフランジ付き基部103と平行な、実質的に水平な配向を有し、バイアルは、図9及び図10A/Bに従って配置されている。そのため、混合される薬剤の第2の成分1010は、重力により、バイアル108の基部108e上に静置する(しかし、この時点で、第2の成分はまた、バイアル側壁108fにも接触し得る)。
開口214から流体(混合される薬剤の第1の成分1000)を分注する間、実質的に全ての流体が、図15に示されるように、方向N4で、フランジ付き基部103と平行である速度で開口214を出る。その後に、開口214から分注される実質的に全ての流体は、バイアル108の任意の他の表面に遭遇する前に、最初にバイアル側壁108fの表面に遭遇する。バイアル側壁108fとの最初の遭遇は、図15への挿絵に示されるように、(側壁108f又は基部108eに対して垂直な角度ではなく)傾斜角θである。傾斜角θで側壁108fの表面に遭遇することは、流体中の粒子の運動量の変化の大きさを低減させる。粒子中の運動量の変化を低減させることは、バイアル側壁108fの表面に遭遇する際に発泡する可能性を低減させ、それによって、混合プロセス中に、混合される薬剤の第1の成分1000の撹拌を制限する。バイアル側壁の表面108fの表面に遭遇する際に流体中の粒子が経験する撹拌は、流体が分注され、よって、傾斜角θで表面に遭遇した場合(例えば、流体がバイアル108の基部108eに向かって直接下方へ分注された場合)に経験する撹拌よりも少ない。
側壁108fとの最初の遭遇の後に、流体は、重力のアクション下で、側壁108fを流れ落ちることができる。側壁108fを下る流体の進行は、流体の撹拌を更に低減させて、泡沫の形成を制限する。
上で説明したプロセスによって、開口214及びバイアル側壁108eの表面は、混合される薬剤の第1の成分1000が第2のバイアル108に分注されるときの撹拌を最小にするように協働する。流体の撹拌を最小にすることは、混合される薬剤の第1の成分1000の分子が、混合される薬剤の第2の成分1010の分子と混合する機会を有する前に、それらの分子が損なわれる可能性を低減させる。
図1〜図20に示される本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置100内のスプレーニードルの代替的な実施形態が存在する。
上の特定の実施形態において、開口214及びバイアル側壁108fは、混合される薬剤の第1の成分1000の撹拌、したがって、発泡を低減させるように配設される。しかしながら、開口214(ベクトルN4に設定される)及びバイアル側壁108eの相対配向のみが、流体と側壁108fとの最初の遭遇における運動量の変化を低減させることに対する問題である。例えば、代替的な実施形態において、開口は、真下を指すことができるが、それでも、バイアル108(及びポート104)をフランジ付き基部103に対して傾斜角θで配置されるように配向することによって、傾斜角θでバイアル108の側壁108fに遭遇することができる。
代替的又は追加的に、移送部材の幾何学的変化(例えば、漏斗状のチューブ、テーパ、不定直径(non-constant diameter)、など)を使用して、薬剤の第1の成分が移送部材200を通過するときの速度の大きさに影響を及ぼし、それにより、第1の成分1000がバイアル108に分注される速度の大きさを操作することができる。
他の実施形態において、移送部材200による、混合される薬剤の第1の成分1000の流体の再方向付けはまた、開口214に近く位置付けられ、流体が開口214から分注される前に流体の速度の急激でない変化を提供するように画定された、傾斜又は湾曲した内壁によっても生じさせることができる。
移送部材200の流体抵抗の更なる低減は、ニードル210の側部の開口214のプロファイルを変化させることによって行うことができる。例えば、開口は、斜面を有するか、又はテーパ状とすることができる。
発泡の追加的な低減は、混合される薬剤の第1の成分1000に遭遇する薬剤混合装置100の1つ又は2つ以上の構成特徴の少なくとも一部に泡止め剤薬剤をコーティングすることによって達成することができる。例えば、泡止め剤薬剤は、バイアル側壁108fの表面に、又は移送部材200に、又は両方に塗布することができる。泡止め剤は、混合される薬剤の第1の成分1000、混合される薬剤の第2の成分1010、又は混合薬剤1020、又はこれらの組み合わせと非反応性とすることができる。
泡止め剤はまた、混合される薬剤の第2の成分1010又は混合薬剤1020に遭遇する薬剤混合装置の1つ又は2つ以上の構成特徴の少なくとも部分上にもコーティングすることができる。
流体抵抗を最小にした移送部材
上で説明した本発明の実施形態は、移送部材200を含む。上で説明したように、移送部材200は、使用中に、バイアル108及びバイアル110に流体連結され、混合される薬剤の第1の成分1000が移動することができる流体経路が、移送部材200によって提供される流体継手の結果としてバイアル110とバイアル108との間に存在する。この配設を図8に示す。
移送部材200は、2つのニードル210及び230を含み、それぞれが中空チューブを備え、また、それぞれが対向構成で配向される。移送部材200は、中空チューブ220を更に含み、これは、2つのニードル210及び230の中間にあり、かつ両方のニードルに流体連結されて、バイアル110と108との間に流体経路の一部を形成する。混合される薬剤の第1の成分がとる移送部材200を通る全体的な流体経路は、最初に、ニードル230を介し、次いで、チューブ230を通り、最後に、ニードル210を通る。代替的な構成では、中空チューブ202を省略することができ、ニードル210及び230を互いに直接流体連結することができる。
特定の実施形態において、移送部材200は、混合される薬剤の第1の成分1000がバイアル110からバイアル108に移送されるときに、流体抵抗を最小にするように構成される。ニードル210、230及びチューブ220を含む移送部材200は、30mmの全長を有する流体経路を提供する。しかしながら、流体経路は、一般に、5mm〜100mmの範囲、より好ましくは5mm〜50mmの範囲とすることができる。移送部材200によって提供される流体経路の全長を最小にすることは、混合される薬剤の第1の成分1000が流体経路に沿って通過する間に経験する流体摩擦抵抗を最小にする。流体経路の長さは、バイアル110と108の対向関係のため、部分的に最小にすることができる。この長さの結果として、摩擦によって失われる仕事(駆動流体によって提供される)がより少なくなり、それによって、混合プロセスがより効率的になる。
上記に加えて、移送部材200は、移送部材200を通って流れる混合される薬剤の第1の成分1000の平衡化がより速くなるので、流体摩擦抵抗を低減させるために、金属、特にステンレス鋼である。
移送部材200によって提供される流体抵抗は、局所的な流体抵抗を最小にすることによって更に最小にされる。この点で、移送部材は、直線状である。この部材の直線状の幾何学的形状は、キャビテーション又はスラック流の領域を引き起こし得る流体経路の隅部を回避する。
上で説明したように、バイアル108及び110は、内側支持体150に関して対向関係で位置付けられ(図8を参照されたい)、ニードル210、230、310、及び410を介して取り付けられる。薬剤混合装置100がフランジ付き基部103上に立設されるときに、混合される薬剤の第1の成分1000が圧力勾配の結果としてバイアル110からバイアル108に移動することに加えて、第1の成分1000の移動はまた、重力でも支援される。重力の支援は、混合プロセス中に第1の成分1000をバイアル108の中へ移動させるために必要とされる仕事を低減させる。
上で説明したように、移送部材200は、装置が再配向されるときに、又は圧力勾配が戻り流れに有利であるときに、流れの方向を制限し、かつバイアル108からバイアル110へのそのような戻り流れを阻止するために、一方向弁などの弁を含むことができる。
移送部材200の上記の特徴によって、移送部材の流体抵抗が低減され、その結果、混合される薬剤の第1の成分1000をバイアル110からバイアル108に移動させるために必要とされている仕事がより少なくなる。更にまた、必要とされる仕事は、重力が第1の成分1000の移動を支援することを可能にする、バイアルの対向関係によって更に低減される。
上記の特徴(及び後述する代替物)は、移送部材200と併せて説明しているが、それでも、必要に応じて、駆動流体の移動に対する流体抵抗を最小にするために駆動流体移送部材300に、及び/又は混合薬剤1020の移動に対する流体抵抗を最小にするために出口移送部材400に提供することができる。
図1〜図20に示される本発明の特定の実施形態を上で説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置100の移送部材の代替的な実施形態が存在する。
代替的な実施形態において、流体抵抗はまた、混合される薬剤の第2の成分1010の移動に対しても最小にされる。
更なる代替的な実施形態において、移送部材は、ステンレス鋼以外の異なる金属で作製される。移送部材はまた、ポリマーで作製することができる。ポリマーニードルは、特に、移送部材での使用に対して信頼性が高く、かつ損傷し難い。
更なる代替的な実施形態において、移送部材は、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンコーティング、又はシリコン化コーティングなどの摩擦低減コーティングを組み込むこともできる。摩擦低減コーティングは、流体抵抗の摩擦成分を更に低減させる。いくつかの代替的な実施形態において、摩擦低減成分は、第1の成分1000、第2の成分1010、及び混合薬剤1020のうちの1つ又は2つ以上と非反応性である。
追加的又は代替的に、流体抵抗の低減を可能にする移送部材200の更なる適応化を実施形態に含むことができる。例えば、入口開口234又は出口開口24のいずれかは、流体抵抗を最小にするために幾何学的形状を含むことができる。例えば、開口の一方又は他方は、斜面を有して、鋭い縁部を存在させないことにより、開口の局所的な流体抵抗を低減させることができる。代替的な実施例として、開口直径を増加させ、流体摩擦抵抗を低減させるために、開口の一方又は他方を、第1の成分1000の移動方向とは反対にテーパ状にすることができる。どちらの開口も、上記の適応化の一方又は両方を含むことができる。これらの実施例を、図19Cの直線状の縁部の実施例と一緒に、図19B及び図19Dに示す。
重力ロック機構
上の押し忘れの節で説明したように、図1〜図20に示される本発明の実施形態は、アクチュエータ500の一部としてのロック機構520を特徴とする。ロック機構は、上で説明したように、ピン534が除去されると、ロック状態からロック解除状態に移行する。代替的な実施形態において、アクチュエータ500は、アクチュエータ500’と置き換えられる。アクチュエータ500と同様に、アクチュエータ500’は、アクチュエータ500’がロック状態でなければ、トリガ550に応答するように構成され、アクチュエータ500’は、流体駆動装置600とインターフェースして、薬剤の混合を生じさせる。そのため、アクチュエータ500’は、トリガ550を流体駆動装置600に連結する。
アクチュエータ500’は、アクチュエータ500と実質的に類似する。アクチュエータ500’は、図21及び図22に示されるように、重力ロック機構820を含み、これは、ロック機構520とは独立に、又はそれと組み合わせて、アクチュエータ500’に組み込むことができる。アクチュエータ500’の作動は、図21A及び図22Aに示されるように、重力ロック機構820がロック状態であるときに阻止され、図21B及び図22Bに示されるように、重力ロック機構820がロック解除状態であるときに可能になる。重力ロック機構820は、薬剤混合装置100が特定の配向で配向される場合にのみロック解除状態を採用するように構成され、この配向は、本明細書で論じられる例示的な実施形態において、薬剤混合装置がフランジ付き基部103上に立設されていることに対応する。重力ロック機構820は、ロック状態とロック解除状態と間での重力ロック機構の移行が重力の効力によって生じるように構成される。薬剤混合装置100が特定の配向で配向されていないときに薬剤の混合を阻止することは、上のハウジング及び構造の節、圧力駆動混合の節、並びに液圧抵抗を最小にした移送部材の節で論じたように、混合が生じている間の装置の安定性及び重力によって混合が支援される機会を高めることなどの、様々な利益を提供する。
特定の実施形態において、上の押し忘れの節で論じ、図16に示されるものと同様に、重力ロック機構820は、アクチュエータ500’の周囲のスロット内に配置された実質的に円形のリング822を含む。リング822は、突出部824、826、828(突出部524、526、及び528に類似する)、及び830を含み、これらはそれぞれ、「交差」構成でリング上の直径方向に対向する場所から半径方向に外方に延在する。これらの突出部は、上の押し忘れの節で論じたように、最初に、アクチュエータ500’の作動が制止される第1の位置にある。突出部830は、上の押し忘れの節で論じ、図8に示されるように、孔532を有するアーム530と実質的に類似し得る。
ボタン552の下側には、4つのカム表面554、556、558、及び560を含む。各カム表面は、突出部824、826、828、又は830のうちの1つとインターフェースするように構成される。カム表面の各々は、ボタン552の併進押下移動を円形リング822の回転移動に変えるように構成される。ロック状態における重力ロック機構820は、円形リング822の回転移動を阻止し、それによって、アクチュエータ500’の作動が制止される第1の位置から、アクチュエータ500’の作動を可能にする第2の位置への突出部の移動を阻止する。
重力ロック機構820は、第1の部品840と、第2の部品850と、を備え、これらは、互いに協働して、重力ロック機構をロック状態及びロック解除状態に配置する。例示的な実施形態において、第1の部品は、ボールであり、第2の部品は、ソケットである。
図21A及び図21Bによって例示される重力ロック機構820の例示的な1つの実施形態において、円形リング822は、ボール840の半部と4分の3との間で受容するようにサイズ決定されるソケット850を伴ってその下に形成される。凹部842は、ピストン604などの、薬剤混合装置100の回転可能に固定された部品内に形成され、(薬剤混合装置が組み立てられるときに)ソケット850の真下に配置され、特定の配向で配向される。凹部842は、ボール840の全体を受容するようにサイズ決定される。凹部842は、薬剤混合装置の配向が特定の配向から代替の配向に変化する場合に、ボール840が凹部842から転がり出て、又は滑り出て、ソケット850と再係合するのであれば、任意の好適な形状とすることができる。
ボール840が、少なくとも部分的にソケット850内に存在するとき、薬剤混合装置100が特定の配向で配向されていないため、第1及び第2の部品が連結され、重力ロック機構820は、図21Aに示されるように、ロック状態である。凹部842が、薬剤混合装置の回転可能に固定された構成要素内に形成されているので、ボール840及びソケット850が連結されるときに、円形リング822は、回転して、アクチュエータ500’の作動が制止される第1の位置から、アクチュエータ500’の作動を可能にする第2の位置へ突出部を移動させることができない。
薬剤混合装置100が特定の配向で配向されるとき、重力ロック機構820は、図21Bに示されるように、ロック解除状態を採用する。ロック解除状態のこの採用において、ボタン552の併進押下移動によって突出部824、826、828、及び830のカム作用が開始されるときに、その任意の他のロック機構もまたそれらのロック解除状態であれば、ボール840が凹部842によって完全に受容され、ソケット850から連結解除され、円形リング822が回転するのを可能にする。この回転移動は、アクチュエータ500’の作動が制止される第1の位置から、アクチュエータ500’の作動を可能にする第2の位置へ突出部を移動させる。
ソケット850は、薬剤混合装置100が特定の配向で配向されていないときに回転力が円形リング822の突出部824、826、828、及び830に印加された場合に、ボール840の少なくとも半部を受容して、ボールが凹部842の中へ移動するのを阻止し、したがって、重力ロック機構822にロック解除状態を採用させるようにサイズ決定されている。
重力ロック機構822の代替的な実施形態において、ボール840を完全に受容するようにサイズ決定された凹部842は、円形リング822内に配置することができ、ボール840の少なくとも半部を受容するようにサイズ決定されたソケット850は、フランジ付き基部103に対して円形リング822の上で、ピストン604などの、薬剤混合装置の回転可能に固定された構成要素内に配置することができる。
重力ロック機構822の代替的な実施形態において、第1の部品840及び第2の部品は、図22Bに示されるように、重力ロック機構がロック解除状態であるときに連結される。
図22A及び図22Bによって例示される、この構成の例示的な実施形態において、円形リング822は、上部円形リング822aと、下部円形リング822bと、を備える。上部円形リング822aは、薬剤混合装置100が底部のフランジ付き基部103と共に配向されるときに、下部円形リング822bの上に配置される。上部円形リング822aは、突出部824a、826a、828a、及び830aを含み、下部円形リング822bは、突出部824b、826b、828b、及び830bを含む。対応する突出部a及びbは、整列させ、組み合わせて、上で論じた突出部524、526、528、及び530、並びに824、826、828、及び830に類似する突出部を形成する。
上部円形リング822aは、ボール840の全体を受容するようにサイズ決定される凹部842をその下側に伴って形成される。ソケット850は、822bの上側に形成され、ボール840の半部と4分の3との間で受容するようにサイズ決定される。ボタン552のカム表面554、556、558、及び560は、突出部824a、826a、828a、及び830aとインターフェースするように構成され、ボタン552の併進押下移動を上部円形リング822aの回転移動に変えるように構成される。
薬剤混合装置100が特定の配向で配向されるとき、ボール840は、部分的にソケット850内に配置される。そのため、上部円形リング822a及び下部円形リング822bが連結され、重力ロック機構822は、図22Bに示されるように、ロック解除状態である。このロック解除状態において、上部円形リング822aの回転は、下部円形リング822bの対応する回転を生じさせる。上方及び下方円形リングのこの連結された回転は、アクチュエータ500’の作動が制止される第1の位置から、アクチュエータ500’の作動が可能になる第2の位置に、全ての突出部(824a、824b、826a、826b、828a、828b、830a、及び830)を移動させる。
薬剤混合装置100が特定の配向で配向されていないとき、ボール840は、凹部842内に完全に配置され、ソケット850から連結解除され、したがって、上部円形リング822a及び下部円形リング822bが連結解除され、重力ロック機構822は、図22Aに示されるように、ロック状態である。このロック状態において、ボタン552の併進押下移動、及びその後の上部円形リング822aの回転は、下部円形リング822bの回転を生じさせず、したがって、アクチュエータ500’の作動が制止される第1の位置から、アクチュエータ500’の作動が可能になる第2の位置への突出部824b、826b、828b、及び830bの移動を生じさせない。
この実施形態のアクチュエータ500’は、リングが連結されていない間に上部円形リング822の回転が発生するのであれば、上部円形リング822aの戻り下部円形リング822bと整列させるのを容易にするか、又は生じさせるために、弾性部材などの機構を更に含むことができる。
代替的な実施形態では、円形リング822bを省略することができ、ピストン604は、突出部824b、826b、828b、及び830b、並びにソケット850と共に形成され、かつ上部円形リング822aと同じ軸を中心に回転可能であり得る。
上記は、図21A〜図22Bに示される本発明の特定の実施形態を説明しているが、本発明の範囲から逸脱することなく、薬剤混合装置100のアクチュエータの代替的な実施形態が存在する。
代替的な実施形態において、第1及び第2の部品は、ボール及びソケットでなくてもよく、例えば、第1の部品は、細長いロッドとすることができる。
代替的な実施形態において、重力ロック機構の第1及び第2の部分は、円形リングの突出部の1つ又は2つ以上内に、及び/又はハウジングの若しくは別様には薬剤混合装置の対応する固定部品内に形成又は配置することができる。
上記の開示が本発明の特定の実現形態の特定の実施例を提供すること、及び添付の特許請求の範囲の範囲内で修正が行われ得ることが認識されるであろう。