JP2020528733A - 肝細胞癌(hcc)または胆管癌(cca)を有する被験者の生存転帰を予測する方法 - Google Patents

肝細胞癌(hcc)または胆管癌(cca)を有する被験者の生存転帰を予測する方法 Download PDF

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Abstract

本開示は、肝癌に罹患した被験者の予測生存転帰を生成するための方法を提供する。該方法は、好ましくは、上記被験者から採取した、肝細胞癌または胆管癌のうちの1つの組織試料を準備する工程と、準備された上記試料における、ポロ様キナーゼ1(PLK1)および上皮細胞形質転換2(ECT2)のトランスクリプトーム発現および/またはタンパク質発現を定量するために、少なくとも1つの核酸に基づくアッセイおよび/またはプロテオミクスに基づくアッセイを行う工程と、準備された上記試料上の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率を導出する工程と、導出された上記比率に基づき、上記被験者の上記予測生存転帰を生成する工程であって、導出された上記比率が所定の値未満である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第1の予測生存転帰とし、導出された上記比率が上記所定の値以上である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第2の予測生存転帰とする工程とを含む。上記第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%〜60%を超える全生存率に対応し、上記第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%〜60%以下の全生存率に対応する。

Description

本開示は、肝癌に罹患している被験者の予測生存転帰を生成するための方法に関する。より詳細には、予測生存転帰は、被験者から得られた癌腫組織試料において示される、2つの遺伝子またはタンパク質(具体的に、ポロ様キナーゼ1(polo−like kinase 1;PLK1)および上皮細胞形質転換2(epithelial cell transforming 2;ECT2))の発現プロファイルに基づいて生成される。本開示はまた、開示された方法によって予測生存転帰を生成するために構成された装置を提供する。
原発性肝癌は、組織学的に異なる2つの主要なサブタイプ、すなわち、肝細胞癌(HCC)および肝内胆管癌(CCA)があり、それらの診断および治療は、それらのベースラインの臨床的特徴に基づいて独特に決定される。HCCまたはCCAの広範な腫瘍の不均一性は、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、寄生虫感染、および化学的発癌物質などの環境因子を含む複雑な多因子性病因の存在に起因する。他の危険因子として、性別および人種/民族の差異(肝癌は主に男性が罹患し、アジア人集団において罹患率が高い)(http://globocan.iarc.fr/)に加えて、喫煙、過度の飲酒および食事要因などの不健康な生活習慣が挙げられる。HBVおよびHCVはHCCの主要な病因的因子であり、世界的に90%までの肝癌の原因である。一方、CCAは、タイ北東部などの東南アジアを除いてまれであるが、例えば、タイ北東部では、肝吸虫(O.viverrini)による感染が風土病であり、肝臓癌の約60%がCCAである。これらのグローバルな差異は、異なる民族グループ間の異なる病因的因子の存在に起因する可能性がある。1つの仮説によれば、種々の原因因子が異なる分子メカニズムを誘発して、悪性形質転換を独立して開始し得、その結果、腫瘍間のゲノム不均一性が生じる。他の多くの固形癌と同様に、ここに記載のHCCおよびCCAのそれぞれの型における生物学的不均一性および遺伝的不均一性は、治療に対して高い耐性をこれらの癌にもたらし、世界で2番目に致死率の高い悪性腫瘍としている1,2。従って、癌の発達の駆動(driving)において発現する、基礎をなす遺伝子またはタンパク質を特定し、特定された癌ドライバー(cancer driver)に基づいて患者をより良好に層別化し、精密医療による治療を容易にするための努力がなされている。
例えば、Chenら45は、早期のHCC再発の促進において、ECT2の発現がRho/ERKシグナル軸(signaling axis)の活性化と密接に関連していることを見出した。また、Sunら46は、PLK1という別の遺伝子が、HCCサンプルにおいて有意に高く発現され、HCCについての独立した予後因子であり得、診断および治療に適用できることを実証した。Takaiら47は、Sunら46の研究結果を裏付ける論文において、同様の結論を引き出した。さらに、肝癌とPLK1またはECT2の発現との関連性が立証されたことを活かすいくつかの診断手段または予後手段が研究者によって考案されている。例えば、米国特許出願公開第2011/03119280号は、PLK1を含む複数の遺伝子マーカーをスキャンすることによるHCC診断のためのDNAバイオチップを開示する。前述のアプローチのほとんどは、候補遺伝子または候補タンパク質間の相関に基づいて生成された詳細な情報に相関する癌予後ではなく、候補遺伝子または候補タンパク質の個々の発現に相関する癌予後を中心としたものであるが、複数の発現された候補遺伝子の相互関係に基づく診断結果の導出は、他の癌型に関するいくつかの出版物において提案されている。Sommaらの米国特許公開第2012/0197540号は、乳癌患者の組織サンプルにおける、PLK1およびECT2の両方を含む複数の遺伝子の発現レベルを測定することによって、乳癌患者の死亡リスクを予測する方法を提供する。この方法は続いて、測定された遺伝子発現レベルの各々を用いて、所定のアルゴリズムによって、被験者の死亡リスクを示す予後スコアを計算する。しかし、肝癌の予後または診断のために、共発現された遺伝子またはタンパク質の相互関係を利用する類似の方法またはプラットフォームは開示されていない。このような方法またはプラットフォームから得られる予後転帰は、治療結果または医療資源の割り当ての向上に適用可能であると考えられる。
本開示は、被験者から得られた組織試料または組織サンプルにおけるPLK1およびECT2の発現を測定または定量するための方法に関する。特に、本明細書に記載される発現は、試料におけるトランスクリプトーム発現またはタンパク質発現の少なくとも一方を指すことができる。好ましくは、組織サンプルはHCCまたはCCAに罹患したものである。
本開示の目的の一つは、組織試料における、測定または定量されたPLK1の発現およびECT2の発現を用いて、HCCまたはCCAに罹患した被験者についての予後結果または診断結果を生成するための方法を提供することである。予後結果または診断結果は一般に、被験者の予測生存転帰または死亡リスクに関連する。予後結果または診断結果は、精密医療を実施するために医師によって参照され得る。
本開示のさらなる目的は、好ましくは全自動的または半自動的に、PLK1およびECT2の発現を定量し、その後、肝臓癌に罹患した被験者の病状に関する予後結果または診断結果を生成するように構成される装置を提供することである。
前述の目的のうちの少なくとも1つは本発明によって全体的または部分的に達成することができる。本発明の実施形態のうちの1つは肝癌に罹患した被験者の予測生存転帰を生成するための方法を含み、上記方法は、上記被験者から採取した、肝細胞癌もしくは胆管癌のうちの1つを含む組織試料、または肝細胞癌もしくは胆管癌のうちの1つである組織試料を準備する工程と、準備された上記試料における、ポロ様キナーゼ1(PLK1)および上皮細胞形質転換2(ECT2)のトランスクリプトーム発現および/またはタンパク質発現を定量するために、少なくとも1つの、核酸に基づくアッセイおよび/またはプロテオミクに基づくアッセイを行う工程と、準備された上記試料の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率を導出する工程と、導出された上記比率に基づき、上記被験者の上記予測生存転帰を生成する工程であって、導出された上記比率が所定の値未満である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第1の予測生存転帰とし、導出された上記比率が上記所定の値以上である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第2の予測生存転帰とする工程とを含む。より具体的には、上記第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%〜60%を超える全生存率に対応し、上記第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%〜60%以下の全生存率に対応する。典型的にはまたは好ましくは、上記所定の期間は12ヶ月〜36ヶ月であるが、これに限定されない。
いくつかの実施形態において、上記核酸に基づくアッセイは、マイクロアレイに基づいた技術およびポリメラーゼ連鎖反応(デジタルPCRを含む)に基づいた技術のいずれか1つまたは組み合わせである。
いくつかの実施形態において、上記プロテオミクスに基づくアッセイは、組織マイクロアレイのセットおよびヒト組織の免疫組織化学染色を含むか、または組織マイクロアレイのセットおよびヒト組織の免疫組織化学染色である。
本開示の別の態様において、肝癌に罹患した被験者の予測生存転帰を生成するための装置が開示される。この装置は、上記被験者の組織試料におけるポロ様キナーゼ1(PLK1)および上皮細胞形質転換2(ECT2)のトランスクリプトーム発現および/またはタンパク質発現を特定、検出、または決定することができる第1のモジュールと、準備された上記試料上の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率を導出し、導出された上記比率に基づき、上記被験者の上記予測生存転帰を生成するように構成された第2のモジュールとを備え、上記第2のモジュールは、導出された上記比率が所定の値未満である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第1の予測生存転帰とし、導出された上記比率が上記所定の値以上である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第2の予測生存転帰とするように構成される。より具体的には、上記第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%を超える全生存率に対応し、上記第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%以下の全生存率に対応する。典型的には、または好ましくは、上記核酸に基づくアッセイは、マイクロアレイに基づいた技術(マイクロアレイなど)およびポリメラーゼ連鎖反応(デジタルPCRを含む)に基づいた技術のいずれか1つまたは組み合わせを指すことができる。また、上記プロテオミクスに基づくアッセイは、組織マイクロアレイおよびヒト組織の免疫組織化学染色であり得る。
複数の実施形態について、開示された装置は、PLK1およびECT2の発現されたトランスクリプトームまたはタンパク質と、上記第1のモジュールによって分離可能なシグナルを連続的または周期的に発するように形成されたシグナル伝達部分とを結合させるための、少なくとも1つの、核酸に基づくアッセイまたはプロテオミクスに基づくアッセイを行うことができる試験モジュールをさらに備える。
いくつかの実施形態において、より高い精度の結果を得るために、上記被験者はアジア系であることが好ましい。また、上記被験者の上記組織試料は、肝細胞癌もしくは胆管癌のうちの1つの癌腫を含むか、または肝細胞癌もしくは胆管癌のうちの1つの癌腫であり、肝細胞癌腫または胆管癌腫のうちの1つである。
階層的(hierarchical)クラスタリングアルゴリズムを用いたコンセンサスクラスタリングの結果を示す。左パネル:クラスタ数(K)=2〜8の範囲のコンセンサスマトリックスに対応する経験的累積分布(CDF)プロット。中央パネル:CDF下の面積の対応する変化。右パネル:2〜5の範囲のクラスタの数Kに対応するコンセンサスマトリックス。CCAサンプルについての結果を上側に示し、HCCサンプルについての結果を下側に示す。 (a)は、最も変動のある遺伝子のコンセンサスクラスタリングおよび階層的クラスタリングに基づくCCAサブタイプのヒートマップである。x軸は、CCAサブタイプのコンセンサスクラスタを表す。CCAサンプルは列で表され、樹状図によって4つの主要クラスタに分類される。遺伝子は行で表される。1189個の遺伝子(t検定によってC1とC2との間で発現レベルが異なると特定される(FDR<0.05、倍数変化>2))の発現は、logで−3から3に示される。(b)は、発現レベルの異なる1020個の遺伝子に基づくHCCサブタイプのヒートマップ(FDR<0.05、倍数変化>2)であり、(a)と同様に示される。x軸は、HCCサブタイプのコンセンサスクラスタを表す。(c)は、CCAサブタイプおよびHCCサブタイプのサブクラスマッピングである。クラスタ間の有意な関係がBonferroni調整したp値によって表される。 CCAおよびHCCのC1サンプルまたはC2サンプル間で発現レベルが異なる、スチューデントのT検定(FDR<0.05、倍数変化>2)で定義される遺伝子の数を示すベン図を示す。左パネルはCCA(n=578)およびHCC(n=656)におけるC1において上方制御される遺伝子の数、および重複する遺伝子の数(n=218)(重複する遺伝子の確率が統計的に有意であるもの(p=3.20x10−97;超幾何学的検定))を示す。右パネルは、C2において上方制御される遺伝子の同様の結果を示す。 CCAサブタイプ(上パネル)またはHCCサブタイプ(下パネル)のKaplan−Meier生存分析を示す。 GSEA分析によって特定された、HCCまたはCCAのC1サブタイプまたはC2サブタイプの有意な経路を示す。2〜0のlog10p値(0.01〜1のp値)によって表される。 (a)タイ人(Thai)CCAサブタイプと、公表されたシグネチャー(y軸上に示される)との比較を示す。各列は腫瘍サンプルを表す。各シグネチャーの陽性は灰色のバーによって表され、陰性は黒色のバーによって表され、FDR>0.05の場合は白色で示される。(b)タイ人HCCサブタイプと、公表されたシグネチャー(y軸上に示される)との間の比較を示す。 (a)HCCの染色体異常の頻度(上パネル)、または頻度>30%のHCCの染色体異常の頻度(下パネル)を示し、(b)CCAの同様の結果を示す。 (a)CCAのC1サブタイプ(上パネル)またはCCAのC2サブタイプ(下パネル)の染色体異常の頻度を示す。コピー数の利得は薄い灰色で示され、コピー数の損失は黒色で示される。(b)HCCのC1サブタイプ(上パネル)またはHCCのC2サブタイプ(下パネル)の染色体異常の頻度を示す。 コピー数多型(copy number variation、CNV)を有するサンプルの頻度と共に、高い一致度の遺伝子と腫瘍サブタイプとの間の関係を示す。 378例のHCC症例のすべてのKaplan−Meierプロットである。 PLK1(左パネル)またはECT2(右パネル)についての免疫組織化学染色に基づく、倍率200倍でのCCA症例およびHCC症例の代表的な画像を示す。 (a)CCA症例(上パネル)またはHCC症例(下パネル)における、PLK1のアレイ発現とTMAスコアの相関(左パネル)、またはECT2のアレイ発現とTMAスコアとの相関(右パネル)を明らかにし、(b)CCA症例またはHCC症例における、PLK1のアレイ発現とCT2のアレイ発現との相関、またはPLK1のTMAスコアとECT2のTMAスコアとの相関を明らかにする。 PLKまたはECT2のカットオフ中央値に基づく、CCA症例(左パネル)またはHCC症例(右パネル)のKaplan−Meier生存解析の結果を示す。 (a)タンパク質発現のレシオメトリックの組み合わせ(ECT2/PLK1)に基づく、すべてのCCA症例およびHCC症例のKaplan−Meier生存分析を示す。低カットオフは、低(low)については、ECT2/PLK1比率≦1によって低のカットオフが定義され、高(high)については、ECT2/PLK1比率>1によって高のカットオフが定義される。(b)HCC症例のKaplan−Meier生存分析を(a)と同様に示す。 (a)タイ人(Thai)HCCサブタイプ対中国人HCCサブタイプについて、(b)アジア系アメリカ人(AsA)サブタイプについて、(c)タイ人CCAサブタイプ対日本人(Japanease)CCAサブタイプについて、(d)タイ人HCCサブタイプ対欧州系アメリカ人(EA)HCCサブタイプについて、サブクラスマッピングおよび関連するKaplan−Meier生存分析を示す。(e)タイ人CCAサブタイプ対白人(Caucasian)CCAサブタイプのサブクラスマッピングを示す。クラスタ間の有意な関係は、0から1までのBonferroni調整したp値、およびコホートにおけるサブタイプによって表される。タイ人コホートにおいて一致しないサブタイプはXで示される。クラスタ間の有意な関連はp<0.05で薄い灰色で示される。 タイ人HCC症例、アジア系アメリカ人HCC症例、およびタイ人CCA症例のC1サブタイプおよびC2サブタイプにおけるBMIのボックスプロットを示す。中央値および標準偏差も示されている。 (a)CCAサンプルにおける、代謝産物存在量と遺伝子発現との相関を表すヒートマップ、および(b)HCCサンプルにおける、代謝産物存在量と遺伝子発現とのグローバル相関を表すヒートマップを示す。−1〜1のピアソンR値に基づいて、正の相関を淡い灰色のバーで示し、負の相関を黒色のバーで示す。 (a)81の代謝産物の階層的クラスタリングが、HCC−C1症例(薄い灰色のバー)とC2症例(黒色のバー)とを識別すること、および(b)77の代謝産物の階層的クラスタリングが、CCA−C1症例(薄い灰色のバー)とC2症例(黒色のバー)とを識別することを示す。サンプルは列で表され、代謝産物は行で表され、代謝産物の存在量はlog2で表される。 (a)高度に一致する代謝産物/遺伝子ネットワークのIngenuity Pathway Analysis、および(b)高度に一致する代謝産物/遺伝子ネットワークのIngenuity Pathway Analysisを示す。C1サブタイプにおいて上方制御される代謝産物は薄い灰色で示され、C2サブタイプにおいて上方制御される代謝産物は濃い灰色で示される。 (a)スチューデントのT検定p値と共に、C1(n=15)およびC2(n=14)のHCCサンプル中の、3つの代表的な胆汁酸関連の代謝産物の存在量のボックスプロット、および(b)スチューデントのT検定p値と共に、C1(n=33)およびC2(n=18)のCCAサンプル中の、3つの代表的な胆汁酸関連の代謝産物の存在量のボックスプロットを示す。 (a)HCCのC1サブタイプ対HCCのC2サブタイプのCIBERSORT分析、および(b)CCAのC1サブタイプ対CCAのC2サブタイプのCIBERSORT分析を示す。細胞型間の高い関連性から低い関連性は、1から−1にスケーリングされている。円の大きさは関連性の有意性を示し、円が大きいほど有意性が高い。 (a)標準偏差およびスチューデントのT検定p値と共に、C1およびC2のHCCサンプル中の3つの種類の白血球の存在量のボックスプロット、ならびに(b)標準偏差およびスチューデントのT検定p値と共に、C1およびC2のCCAサンプル中の3つの種類の白血球の存在量のボックスプロットを示す。
以下、本発明を、本発明の代表的な実施形態または好ましい実施形態に基づいて、添付の説明および図面を参照して説明する。実施形態に対応する説明および図面は、本発明を明確にし、理解を助けるためのものであることを理解されたい。関連技術の当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を考案することができる。
本明細書で使用される用語「遺伝子」は、機能的な重要性のあるDNA配列を指し得る。遺伝子は、天然の核酸配列、または天然の供給源もしくは合成構築物に由来する組換え核酸配列であり得る。用語「遺伝子」はまた、例えば、ゲノムDNA配列によってコードされるcDNAおよび/もしくはmRNA、またはゲノムDNA配列に直接もしくは間接的に由来するcDNAおよび/もしくはmRNAを指し得るが、これに限定されない。
本明細書中で使用される用語「トランスクリプトーム」は、特定の組織において転写されたRNA転写産物(コードしているか否かにかかわらず)のコレクションを指し、好ましくは、組織において生成されたRNA転写産物の全てまたは実質的に全てを含む。これらの転写物には、メッセンジャーRNA(mRNA)、選択的スプライシングされたmRNA、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)が含まれ、また、タンパク質に翻訳されない他の多くの転写物(例えば、(i)核内低分子RNA(snRNA)、(ii)低分子干渉RNA(siRNA)およびマイクロRNAなどのアンチセンス分子、ならびに(iii)機能が不明な他のRNA転写物)も含まれる。トランスクリプトームはまた、遺伝子転写の外延として、RNA転写物から翻訳されたタンパク質を指し得る。
本開示の一態様は、肝癌に罹患した被験者の予測生存転帰を生成するための方法に関する。本質的に、該方法は、上記被験者から採取した、肝細胞癌または胆管癌のうちの1つに罹患した組織試料を準備する工程と、準備された上記試料における、ポロ様キナーゼ1(PLK1)および上皮細胞形質転換2(ECT2)のトランスクリプトーム発現および/またはタンパク質発現を定量するために、少なくとも1つの、核酸に基づくアッセイおよび/またはプロテオミクスに基づくアッセイを行う工程と、準備された上記試料上の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率を導出する工程と、導出された上記比率に基づき、上記被験者の上記予測生存転帰を生成する工程であって、導出された上記比率が所定の値未満である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第1の予測生存転帰とし、導出された上記比率が上記所定の値以上である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第2の予測生存転帰とする工程とを含む。好ましくは、上記第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%〜60%を超える全生存率に対応し、上記第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%〜60%以下の全生存率に対応する。本開示の発明者らは、肝細胞癌または胆管癌を有するか、またはそれに罹患した罹患組織における、腫瘍マーカーであるPLK1およびECT2の相対的発現と、試験被験者の生存転帰または被験者に悪影響を及ぼす肝癌の急性とが相関することを見出した。得られた予測生存転帰は、戦略的治療の計画を容易にし、該治療に対応する医療資源を、試験被験者の医療ニーズに応じて用意することを容易にするための有効なツールとなり得る。
いくつかの実施形態によれば、本開示における、肝細胞癌または胆管癌に罹患した組織試料は、本分野において公知である任意の手術または医療処置によって得ることができる。組織試料は、好ましくは肝生検によって採取される。肝生検は経皮的、transjangular、または腹腔鏡下の生検であってもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、実施される肝生検の種類はPLK1および/またはECT2に関連するトランスクリプトーム発現および/またはタンパク質発現を定量するための、生検の後に行われるアッセイに依存する。例えば、免疫化学染色およびシグナル検出のために、試料において十分な領域を必要とする組織マイクロアレイ等のプロテオミクスに基づくアッセイには、腹腔鏡検査によって得られた組織試料がより適している。一方、PLK1および/またはECT2の発現に対応するmRNAまたはトランスクリプトームを試料から抽出し、比例的に増幅し、最終的に定量する、核酸に基づくアッセイには、経皮的生検から得られた被験者の組織試料が好ましい。
いくつかの実施形態では、核酸に基づくアッセイは、マイクロアレイに基づいた技術、およびポリメラーゼ連鎖反応に基づいた技術(デジタルPCRを含む)のいずれか1つまたは組み合わせである。核酸に基づくアッセイは一般に、所定の寸法の組織試料からmRNAまたはトランスクリプトームの全てを抽出し、その後、PLK1および/またはECT2の発現に関連するmRNAまたはトランスクリプトームを選択的に定量する(PLK1および/またはECT2のmRNAまたはトランスクリプトームの選択的増幅の有無にかかわらず)ことを含む。好ましくは、PLK1および/またはECT2のトランスクリプトームがプラットフォーム上に固定された実質的に相補的なプローブ上でハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションのプロセスは、プラットフォームの近傍に、またはプラットフォーム内に位置する1つ以上のセンサによって検出可能なシグナル、好ましくは光シグナルを発するように構成される。プローブは、ハイブリダイゼーションおよび二本鎖核酸の形成の際に光シグナルを生成するように作られたシグナル伝達部分でタグ付けされる。発されるシグナルは、好ましくは、プラットフォームにおいて生じたハイブリダイゼーション反応の数に比例し、具体的には、予め確立された標準を参照することによる、PLK1および/またはECT2の発現の定量化をその後に可能にするハイブリダイゼーション反応の数に比例する。
同様に、複数の実施形態について、プロテオミクスに基づくアッセイはヒト組織の組織マイクロアレイおよび免疫組織化学染色であり、それによって、PLK1および/またはECT2の発現されたタンパク質またはペプチドが、1つ以上のシグナル伝達部分に選択的に結合し、その後、結合したシグナル伝達部分から発されたシグナルを検出することによって、PLK1および/またはECT2の発現を定量する。例えば、組織マイクロアレイ(TMA)において、得られた組織サンプルを用いて、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した組織サンプルのコア(0.5〜2.0mm)を作製する。作製した組織サンプルに対して、スライドの形態で1〜10μmのTMA断片において免疫組織化学処理を行う。さらに、組織試料の切り取られたセグメントを含むスライドを、キシレン中で脱パラフィンし、濃度勾配のあるアルコール中で再水和する。次いで、酸性緩衝液を用いて、抗原回収を加圧下で5〜60分間行う。抗PLK1(マウスモノクローナル)は、2%脱脂乳溶液で1:1000に希釈した上で、処理された組織サンプルと、室温で1〜4時間接触させる。抗ECT2(マウスモノクローナル)は、2%脱脂乳溶液で1:500に希釈した上で、処理された組織サンプルと接触させる。開示される方法では、抗体を標的の腫瘍マーカーまたはタンパク質と接触させることによって、市販されるようなセンサまたはシステム(例えば、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)と同時に使うEnvision+システム(Dako))を用いて分離できる抗原抗体複合体が得られる結果となる。好ましくは、スライドをヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、澄ませ、カバーガラスで覆う。タグ付けまたは染色されたPLK1および/またはECT2の検出は、特定の領域におけるPLK1および/またはECT2の発現の定量のために、200倍以上の倍率で行うことができる。なお、定量化は、訓練された人員によって手動で行ってもよく、コンピューティングデバイスに接続されたシグナルセンサまたは画像アナライザを用いて行ってもよいことに留意されたい。好ましくは、処理された組織試料を、画像の種々のパラメータまたは特性(例えば、腫瘍細胞のパーセンテージ、および指示シグナルまたは染色の強度)についてスコア付けすることができる。肝細胞癌または胆管癌に罹患した被験者に関してより有用な検査結果を得るために、生成された異なる画像の特性のスコアをさらに処理することができる(例えば、互いに乗算するか、または1つ以上のアルゴリズムに入力する等)。いくつかの実施形態において、開示される方法におけるPLK1またはECT2の発現レベルは、処理された試料から得られたスコアまたは処理された試料の画像から得られたスコアを乗算して得られる積に対応するか、または該積に定義される。PLK1またはECT2が発現された腫瘍細胞のパーセンテージのスコアに、発現されたPLK1またはECT2のシグナルまたは染色の強度のスコアを乗じることによって発現レベルを定量することができ、これによって、各腫瘍マーカーの発現レベルを実質的に表す、計算されたスコアを得ることができる。このような実施形態では、検討中の腫瘍マーカーの発現レベルは、計算されたスコアに対応する。画像の各特性に対するスコアのスケールは、1〜15、より好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜4の範囲であり得る。処理された試料の複数の領域は独立してスコア付けされる。いくつかの実施形態では、開示された方法において、PLK1および/またはECT2の発現をより良好に表すために、この独立したスコアを用いて平均を計算する。これによって、より高い精度の結果を得る可能性がある。
開示された方法では、核酸に基づくアッセイまたはタンパク質に基づくアッセイを経て、発現されたトランスクリプトームおよび/またはタンパク質を検出し定量した後に、準備された試料の特定の領域におけるECT2の発現に対するPLK1の発現の比率を導出する。例えば、PLK1の発現レベルを12と数値化し、算出されたECT2の発現レベルが8である場合、導出される比率は1.5となる。いくつかの実施形態では、代わりに、ECT2の発現レベルを分子とし、PLK1の発現レベルを分母とする、というように、前述の比率の分子および分母を入れ替えることによって、比率を算出または計算することができる。前述の領域は、好ましくは長さ0.1〜1.0mm、0.1〜1.0mm、および厚さ1〜4umの寸法を有するが、これらに限定されない。開示された方法において、被験者の予測生存転帰を導出するプロセスを単純化するために、導出された比率が所定の値未満である場合、被験者の予測生存転帰を第1の予測生存転帰とし、導出された比率が上記所定の値以上である場合、被験者の予測生存転帰を第2の予測生存転帰とする。様々な実施形態において、上記所定の値を、使用されるスコアの0〜4のスケールに関連して、0〜16の範囲内の任意の数とすることができるが、これに限定されない。所定の数は、関連する実施形態において適用されるスコアのスケールに応じて、0.001〜1の範囲であってもよい。また、さらなる予測もしくは観察結果を得るために、またはより決定的な予測もしくは観察結果を得るために、導出された比率を分析することができ、あるいは導出された比率を、肝細胞癌または胆管癌に関連する他の遺伝子またはタンパク質の発現レベルとさらに数学的に関連付けることができる。
前述のように、いくつかの実施形態によれば、第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%〜60%を超える全生存率に対応し、第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%〜60%以下の全生存率に対応する。さらに、生成された生存率は、肝細胞癌または胆管癌に対する一般的な治療に対する、試験被験者の反応の可能性に関する経験的な情報を提供する指標と考えることができる。被験者が第2の予測生存転帰または比較的低い生存率に関連付けられたか、また第2の予測生存転帰または比較的低い生存率に割り当てられた場合、被験者は、従来の治療ではなく、代替治療を受けなければならない可能性がある。本開示の発明者らはまた、アジア系の遺伝的構成を有するか、またはアジア系である被験者について、開示された方法によって、より信頼性があるか、またはよりロバストな結果が得られることに気付いた。
いくつかの実施形態において、予測生存転帰は、所定の期間(好ましくは6〜48ヶ月、より好ましくは12〜36ヶ月)における被験者の生存率を示すか、または該生存率のみを示す。
本開示の別の態様によれば、肝癌に罹患した被験者の予測生存転帰を生成するための装置が開示される。特に、開示された装置は、上記被験者の組織試料におけるPLK1およびECT2のトランスクリプトーム発現および/またはタンパク質発現を特定または検出することができる第1のモジュールと、準備された上記試料上の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率を導出し、導出された上記比率に基づき、上記被験者の上記予測生存転帰を生成するように構成された第2のモジュールとを備え、上記第2のモジュールは、導出された上記比率が所定の値未満である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第1の予測生存転帰とし、導出された上記比率が上記所定の値以上である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第2の予測生存転帰とするように構成される。好ましくは、上記第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%〜60%を超える全生存率に対応し、上記第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%〜60%以下の全生存率に対応する。
本開示に記載される第1のモジュールは、PLK1の発現および/またはECT2の発現を選択的に、人間または機械の読み取りによって検出可能にするために、遺伝学、プロテオミクス、免疫化学および/または組織化学の原理を用いて動作可能な、任意の公知のプラットフォームであり得る。したがって、いくつかの実施形態では、開示された装置は、PLK1およびECT2の発現されたトランスクリプトームまたはタンパク質と、上記第1のモジュールによって分離可能なシグナルを連続的または周期的に発するように形成されたシグナル伝達部分とを結合させるための、少なくとも1つの核酸に基づくアッセイまたはプロテオミクスに基づくアッセイを実施することができる試験モジュールをさらに備えてもよい。特に、第1のモジュールは、PLK1および/またはECT2について発現されたトランスクリプトームおよび/またはタンパク質に、検出可能なシグナルを発することができるシグナル伝達部分を付着または結合させるように構成され、これによって、シグナル伝達部分と結合した、発現されたトランスクリプトームまたはタンパク質の存在を強調する。本開示の第1のモジュールは、最終的にPLK1の発現および/またはECT2の発現の特定に導くために、組織試料の調製および処理のための連続プロセスを行うように配置された複数の作業ステーションから構成されてもよい。これらの複数の作業ステーションは、開示された実施形態の選択に応じて、相互接続されていてもよく、また、個別に動作することができる。好ましくは、さらなる実施形態において、第1のモジュールは、PLK1および/またはECT2の発現を強調するための第1のモジュールの照明装置と、照らされた試料のデジタル画像を生成するように設計された撮像装置とを備え、第1のモジュールは、分析および予測生存転帰の導出のために、撮影された画像を第2のモジュールにアップロードする。最も好ましくは、第1のモジュールは、接続されたデータベースに生成されたデジタル画像に記憶し、これによって、記憶された画像を呼び出し、さらに分析することが可能になる。例えば、第1のモジュールは、肝細胞癌または胆管癌に罹患した組織試料におけるPLK1および/またはECT2の発現の検出および定量のための遺伝子発現マイクロアレイシステムまたは組織マイクロアレイシステムであり得る。
いくつかの実施形態によれば、第2のモジュールは、準備された試料上の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率、またはPLK1の発現に対するECT2の発現の比率を導出し、導出された比率に対応する、被験者の予測生存転帰を生成するようになっている。第2のモジュールは、撮影された画像を分析するための一連のコマンドがコンピューティングプログラムの形態でインストールされたコンピューティング手段であり得る。撮影された画像の特性は、行われた分析に応じて処理されてもよい。第2のモジュールは、好ましくは処理された組織試料を分析し、より好ましくは処理された組織試料の画像を分析し、画像の種々のパラメータまたは特性(たとえば、腫瘍細胞のパーセンテージ、および示された指示シグナルまたは染色の強度)についてのスコアを提供する。第2のモジュールは、肝細胞癌または胆管癌に罹患した被験者に関してより有用な検査結果を得るために、画像の種々の特性について生成されたスコアをさらに処理してもよい(例えば、スコアを互いに乗算するか、またはスコアを1つ以上のアルゴリズムに入力するなど)。さらなる実施形態において、第2のモジュールは、PLK1またはECT2の発現レベルを、処理された組織試料の撮像された画像の複数の特性にそれぞれ関連付けられた異なるスコアから得られた、計算されたスコアの数値として定義する。例えば、第2のモジュールは、検出されたPLK1またはECT2を発現する腫瘍細胞のパーセンテージのスコアと、発現されたPLK1またはECT2のシグナルまたは染色の強度のスコアとを乗算することによって発現レベルを定量し、これによって各標的腫瘍マーカーの発現レベルを実質的に表す計算されたスコアを得る。このような実施形態では、開示された装置は、注目する腫瘍マーカーの発現レベルが、計算されたスコアに対応すると見なす。各画像特性のスコアのスケールは、1〜15、より好ましくは1〜10、最も好ましくは1〜4の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、撮影された画像におけるPLK1の発現および/またはECT2の発現をより良好に表現するために、第2のモジュールは、処理された試料の複数の領域のそれぞれについてスコアを生成し、これらの個別のスコアの平均を計算する。
さらに、第2のモジュールは、準備された試料の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率、またはPLK1の発現に対するECT2の発現の比率を計算または導出する。該領域は、好ましくは、長さ0.1〜1.0mm、0.1〜1.0mm、および厚さ1〜4umの寸法を有する。被験者の予測生存転帰を導出するプロセスを単純化するために、開示された第2のモジュールは、導出された比率が所定の値未満である場合、被験者の予測生存転帰を第1の予測生存転帰としを第1の予測生存転帰とし、導出された比率が所定の値以上である場合、被験者の予測生存転帰を第2の予測生存転帰とするように構成される。所定の値は採用されるスコアのスケールに応じて、0〜16の範囲内の任意の値とすることができるが、これに限定されない。上述のように、第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%〜60%を超える全生存率に対応し、第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%〜60%以下の全生存率に対応する。好ましくは、所定の期間は、好ましくは6〜48ヶ月、より好ましくは12〜36ヶ月である。
いくつかの実施形態では、核酸に基づくアッセイは、DNAおよび/またはRNAポリヌクレオチド検出のための、マイクロアレイに基づいた技術、ならびにポリメラーゼ連鎖反応に基づいた技術(デジタルPCRを含む)のいずれか1つまたは組み合わせである。
他の実施形態では、プロテオミクスに基づくアッセイは、組織マイクロアレイ組織マイクロアレイおよび/またはヒト組織の免疫組織化学染色である。
以下の実施例は、本発明をさらに説明することを意図するものであり、該実施例に記載された具体的な実施形態によって本発明が限定されることを意図するものではない。
実施例1
コホートおよび臨床試料
TIGER−LCコホートの199人の連続の患者(130人のCCA患者および69人のHCC患者)に由来する、398の外科的対を成す、腫瘍試料および非腫瘍試料のセットを、本研究で使用した。腫瘍診断は病理学的評価により確定した。臨床的データ、人口統計学的データ、社会経済的データおよび罹患率のデータを、包括的なアンケートおよびカルテ記録から抽出した。この研究で評価された臨床変数のリストは、補足表S1において記載されている。TCGAから得た、アジア人HCC患者156例と白人HCC患者163例の特徴(TCGA Research Network: http://cancergenome.nih.gov/)も本研究において用いた。独立コホートにおける白人CCA患者104例および日本人患者182例の特徴が近年報告された14,25。LCIからの中国人患者247例のHCCコホートは、以前に報告されていた35。インフォームド・コンセントは、本研究に含まれるすべての患者から得られ、それぞれの施設の施設内審査委員会によって承認された。
RNA単離およびトランスクリプトミクス
全RNAを、TRIzol(Invitrogen)を用いて、製造業者のプロトコルに従って凍結組織から抽出した。Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)を用いて良好なRNA品質を有すると確認されたRNAサンプルのみをアレイ試験に含めた。Affymetrix Human Transcriptome Array 2.0を用いて、対を成す腫瘍組織試料および非腫瘍組織試料における転写物を測定した。Robust Multi−array Average(RMA)方法およびsketch quantile正規化方法を用いて、生の遺伝子発現データを正規化した。複数のプローブセットを有する遺伝子について、平均の遺伝子発現を計算した。マイクロアレイプラットフォームおよびデータを、MIAMEガイドライン(GEO Series GSE76297)に従って、NCBIのGene Expression Omnibus(GEO)公開データベースに提出した。3つの独立したコホートの遺伝子発現データは、GEO Series(GSE14520およびGSE26566)、TCGA、およびEuropean Genome−phenome Archive(EGA)データベース(EGA00001000950)から入手可能である。全ての発現データをlog変換した。コンセンサスクラスタリング(cCluster;階層的(hierarchical)クラスタリング;ピアソン距離;完全連鎖(complete linkage);1000リサンプリング反復(resampling iteration))を用いて、TIGER−LCのHCCコホートおよびCCAコホートの両方に共通する2615の最も変動のある遺伝子セット(遺伝子フィルター:遺伝子中央値から1.5倍の変化、Log強度変動p値>0.01)を用いてHCCまたはCCAにおけるサブタイプを定義した。検証コホートのcClusteringは、個々のコホートと前述の2615の最も変動のある遺伝子とで共通する遺伝子を用いて実施した。階層的(hierarchical)クラスタリング(Partek Genomic Suite 6.6;ピアソン距離;完全連鎖(complete linkage))を使用して、cClusterによって定義された種々のサブグループ間の関係を決定し、視覚化した。教師なしサブクラスマッピング(unsupervised subclass mapping)方法(SubMap)を使用して、SubMapモジュールに見られる初期設定を用いて、独立したコホート間の共通サブグループを特定した(http://genepattern.broadinstitute.org/)11
以前の研究では、トランスクリプトームプロファイリングによって決定される不均一性に関して、HCCおよびCCAは腫瘍間で高い不均一性を有するが、腫瘍内の不均一性がそれに比べて遥かに低いことが示された5−7。タイ人のCCA患者およびHCC患者における分子的に均一な腫瘍サブグループを定義するために、Affymetrix Human Transcriptome Array 2.0を、199例の患者から得られた398の外科試料に対して行った。そのうち153の試料が品質管理試験に合格し、トランスクリプトーム分析に使用された。8前述のように、コンセンサスクラスタリング(cCluster)を用いて、HCCおよびCCAのサブタイプを定義した。cClusterでは、コンセンサス分布および対応するコンセンサスマトリックスに基づく、CCAの4つの主要サブグループおよびHCCの3つの主要サブグループが明らかにされた(図1)。cClusterによって定義される様々なサブグループ間の関係は、教師なし階層的(hierarchical)クラスタリングによって視覚化することができる(図2A〜B)。この分析は、異なる遺伝子発現パターンを有するHCC症例またはCCA症例内の特有のサブグループを明らかにした。
いくつかの最近の研究は、CCAとHCCとの間のトランスクリプトーム類似性を記載している9,10。本発明は、サブクラスマッピング(Subclass Mapping、SM)を用いて、CCAおよびHCCの分子サブグループ間の関連性をより明確にした11。この分析によって、CCA−C1サブタイプおよびHCC−C1サブタイプが類似の遺伝子発現マトリックスを有する一方で、CCA−C2サブタイプおよびHCC−C2/C3サブタイプが類似していることを明らかにした(図2C)。しかしながら、この関係は非腫瘍組織では観察されず、サブタイプ関連の遺伝子が腫瘍特異的であることを示唆している。C1サブタイプおよびC2サブタイプにおける遺伝子発現一致の分析によって、遺伝子クラスタ1(GC1)における上方制御された遺伝子がCCA−C1とHCC−C1との間で類似していることが明らかなった(図2A〜Bおよび図3)。同様の結果が、GC2遺伝子クラスタにおいて観察された。興味深いことに、CCA−C1およびHCC−C1と定義された症例は生存率が不良であったが、CCA−C2およびHCC−C2の症例は図4に示されるように生存率がより高かった。サブタイプ特異的遺伝子シグネチャーのGene Set Enrichment Analysis(GSEA)は、図5に示されるように、CCA−C1サブタイプおよびHCC−C1サブタイプの両方が有糸分裂チェックポイントシグナル伝達経路について濃縮されていることを明らかにした。このことは、このサブタイプが高い染色体不安定性を有することを示唆する。対照的に、CCA−C2サブタイプおよびHCC−C2サブタイプは細胞免疫関連の経路について濃縮され、このことは、炎症反応がC2サブタイプに関連していることを示唆する。これらの結果は、CCAとHCCとの間の明確な組織学的差異にもかかわらず、類似の遺伝子発現マトリックスおよび腫瘍の生態を有する共通のサブタイプが存在することを示す。
いくつかの遺伝子シグネチャーが、HCC/CCA予後サブタイプ、癌幹細胞の特徴および腫瘍転移に関連付けられている5,6,12−15。そこで、著者らは、タイ人のHCCサブタイプと既知のシグネチャーとの間の関連性を、最も近いテンプレート予測アルゴリズムを用いて調べた16。CCA−C1サブタイプおよびHCC−C1サブタイプの両方が、S1−2に関連する遺伝的について濃縮されていること(Hoshidaの研究に基づいて)6,11,16、幹細胞遺伝子について濃縮されていること(Leeの研究に基づいて)12,34、およびEpCAM遺伝子について濃縮されていること(Yamashitaの研究に基づいて)13が分かった。同様に、CCA−C1サブタイプは、S1−2遺伝子、幹細胞遺伝子およびEpCAM遺伝子について濃縮される(図6)。さらに、CCA−C2およびHCC−C2の両方は前述のシグネチャーについて陰性である場合について濃縮され、一方、C3/4サブタイプは混合された場合を含む。対照的に、クラス2シグネチャー14および増殖シグネチャー15は、一般的なサブタイプを十分に分離しなかった。
肝癌の主要な特徴は、種々の病因的因子との関連性、ならびに臨床症状および基礎をなす腫瘍の生態における高い不均一性である。そのため、肝癌患者の多くは治療に不応であり、好ましくない転帰となる。肝癌患者の転帰を改善するために必要な必須要件の1つは、各々が特有の腫瘍の生態を示し、潜在的にドラッガブル(druggable)なドライバー遺伝子を示す、均一な分子サブタイプを正確に定義することができる診断ツールキットを、分子サブタイプに基づいて合理的な治療選択を実施するために提供することである。したがって、TCGAやICGCの取り組みのように、十分にアノテーションされた、癌患者のバイオバンクを開発することは、精密医療の目標をさらに発展させるための重要な資源である。現在、TCGAおよびICGCは、主に、北米、ヨーロッパおよび日本に由来するHCC試料を含む。HCCおよびCCAがアジア人集団においてはるかに多いことを考慮して、本開示は、肝癌、特にCCAが風土病であるタイにおいて症例対照研究を実施するためのTIGER−LCコンソーシアムを確立した。
肝癌の発生は複雑なプロセスであり、数十年にわたる様々な癌ドライバーの遺伝子変化およびエピジェネティックな変化の蓄積に起因する。異なる病因的因子による微小環境のストレスに、各腫瘍細胞が適応する必要があるため、腫瘍進化は、異なる腫瘍型の間で大きく異なることが予想される。その結果、肝臓癌は、特に遺伝的不均一性を示す傾向にある。全ゲノム/エキソームシークエンシングアプローチは潜在的な癌ドライバーを特定するのに強力であるが、HCCまたはCCA関連ドライバーの候補の突然変異は極めて不均一である。これは、各々の腫瘍が様々な組み合わせにおいて多数の低頻度突然変異遺伝子を有するためである25,31,32。さらに、全エキソームシークエンシングによって特徴付けられるこれらの遺伝子異常のほとんどは、診断される腫瘍に機能的影響を及ぼさないパッセンジャー突然変異または組織学的突然変異のいずれかであると考えられてきた33。候補ドライバーとして特徴付けられた、比較的高い変異頻度を有する遺伝子については、これらの候補ドライバーの種々の組み合わせを有する種々の腫瘍病変の間の膨大な腫瘍間の不均一性が明らかである31,32。異なる癌ドライバーの組み合わせが、異なるサブタイプに特有の、癌細胞生存のために繋ぎ変えられた、新しい収束適応経路として出現し得ることが考えられる。癌ドライバーは、体細胞突然変異によって得られ得るだけでなく、エピジェネティックな機構(例えば、癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子のDNAメチル化)によっても得られ得ることに注意すべきである。このことは、腫瘍特性の一部のみを捕捉する全エキソームシークエンシングによって、特有の腫瘍の生態を有する安定な腫瘍サブタイプを発見することが、非常に困難であることを説明し得る。対照的に、トランスクリプトームに基づくアプローチによって様々な腫瘍サブタイプにおける主要なドライバー遺伝子を定義することは困難であったが、トランスクリプトームプロファイリングは、特有の腫瘍の生態を反映し得る安定なHCCサブタイプを定義することに成功している6,13,34−36。ゲノミクス、エピゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、およびメタボロミクスのデータを相関させる統合オミクスのアプローチは、腫瘍の不均一性および癌ドライバーに対処するための鍵となり得る。
実施例2
DNA単離およびSomatic Copy Number Alterations(SCNA)
全DNAを、フェノール/クロロホルム抽出プロトコルを用いて凍結組織から抽出した。Quant−iT PicoGreen dsDNAアッセイキット(Thermo Fisher Scientific)を用いて十分な量の二本鎖DNAを有することを確認したサンプルを、アレイ研究のために含めた。Affymetrix Genome−Wide Human SNP Array 6.0を用いて、対を成す腫瘍組織試料および非腫瘍組織試料の間のSomatic Copy Number Alterations(SCNA)を決定した。SCNAの生データは、GEO Series GSE76213から入手可能である。Partek Genomics Suite 7.5を用いて、各患者の対を成す非腫瘍組織を参照として用いて、CCAおよびHCCのSCNAを分析した。CCAおよびHCCにおけるセグメント化領域は、Partekにおけるゲノムセグメンテーションアルゴリズムを用いて見出された。SCNAによって一致して調節される遺伝子を特定するために、ピアソン相関値を、コピー数セグメント化領域と、CCA組織またはHCC組織からのトランスクリプトームデータとで計算した。C1サブタイプおよびC2サブタイプに特異的な一致遺伝子を定義するために、正の相関値およびp値≦0.005を有するセグメント化領域に位置する遺伝子を考慮した。CCAおよびHCCにおけるC1サブタイプおよびC2サブタイプについてのコピー数一致遺伝子を定義するために、以下を用いた:(i)スチューデントのt検定からのp値、および(ii)C1サブタイプおよびC2サブタイプのCCAまたはHCCの間のクラス予測に使用した最も変動のある遺伝子の中のlod変換発現値の倍数変化。CCAおよびHCCにおけるC1サブタイプに特異的なコピー数一致遺伝子を特定するために、本開示の発明者らは、C1サブタイプおよびC2サブタイプを比較した場合において、スチューデントのt検定のp値が≦0.005の遺伝子を選択した。
次に、本開示の発明者らは、Affymetrix Genome−Wide Human SNP Array 6.0を用いて、タイ人の腫瘍試料、および対照としての対を成す非腫瘍組織の間のSomatic Copy Number Alterations(SCNA)を決定した。以前に発表された研究17と一致して、1q、6p、8qでの再発性の利得、および4q、8p、13q、16、17pでの再発性の損失を伴う典型的なSCNAプロファイルは図7Aに示されるように、HCC試料において明らかであった。HCCとCCAとの間でSCNAプロファイルはかなり異なることが見出された(図7B)。しかしながら、本発明者らがC1サブタイプおよびC2サブタイプに基づいてSCNAプロファイルを分析したところ、CCA−C2およびHCC−C2と比較して、CCA−C1およびHCC−C1の両方において有意に高い程度の再発性の利得および損失が見られた(図8A〜B)。この結果はトランスクリプトームおよびGSEAの分析と一致し、CCA−C1およびHCC−C1が有糸分裂チェックポイント欠損を含み、その結果、異数性の程度が高くなる可能性があることを示唆する。
ドライバー遺伝子はSCNAと遺伝子発現との間で高度に一致した変化を有するべきであるという概念17,18に基づいて、潜在的なサブタイプ関連ドライバー遺伝子を決定するために、本開示の発明者らは最初に、SCNAとトランスクリプトームとの間のピアソン相関を行った。この分析は、遺伝子のサブセット(Suppl Fig S5A−B)、すなわち、CCA−C1については239個の遺伝子、HCC−C1腫瘍試料については89個の遺伝子の間に有意な正の相関があることを明らかにした。その中で、51の遺伝子がCCA−C1とHCC−C1との間で重複し、このことは、HCCとCCAにおける共通のサブタイプ特異的ドライバーの存在を示唆した。一貫して、図9に示すように、C1サブタイプはC2サブタイプよりも多いコピー数の増加および発現の上昇が関連している。前述の結果と一致して、これら51の遺伝子のネットワーク解析により、PLK1シグナル伝達に関連する有糸分裂チェックポイントシグナル伝達経路の濃縮が明らかになった。さらに、ECT2は、C1サブタイプとC2サブタイプとの間で発現レベルの異なる遺伝子の最も上位ランキングであった。同様の結果が、図10に示すTCGA HCCデータセットを用いて観察された。
実施例3
免疫組織化学
組織マイクロアレイ(TMA)は、胆管癌および肝細胞癌について別個のTMAとしてSH 44によって検討された、ホルマリン固定パラフィン包埋組織からの1.0mmコアを用いて構築した。参照として、患者からの正常組織の対のTMAを構築した。全てのTMAは内部対照組織を含んでいた。5μmのTMA断片について免疫組織化学を行った。まず、スライドをキシレン中で脱パラフィン化し、濃度勾配のあるアルコール中で再水和した。抗原回収を、pH6クエン酸緩衝液を用いて20分間、圧力クッカー中で行った。2%脱脂乳溶液で1:1000に希釈した抗PLK1(マウスモノクローナル、クローンCN05−844、Millipore)を、室温で2時間、1:1000希釈で接触させた。2%脱脂乳溶液で1:500に希釈した抗ECT2(マウスモノクローナル、“E−1”cat SC−514769、Santa Cruz Biotechnology)を接触させた。抗原抗体複合体を、Envision+(Dako)二次およびDABで検出した。スライドをヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、澄ませ、カバーガラスで覆った。陽性対照および陰性対照を行った。対の正常肝臓のTMAを腫瘍TMAと同時に染色した。免疫組織化学染色の解釈は、200倍の倍率で行った。腫瘍を、染色された腫瘍細胞のパーセンテージ(四分位数において0〜4)および染色の強度(0〜4)についてスコア付けした。2つの値を乗算した(0〜16の範囲)。正常組織のTMAは、腫瘍マーカーの染色を示さなかった。PLK1またはECT2の高レベルまたは低レベルを、中央値スコアを用いて決定した。生データからECT2/PLK1比率を計算し、カットポイントを、以前の24と同様に、低レベルではECT2/PLK1比率≦1、高レベルでは>1と決定し、Kaplan−Meierプロットとしてプロットした。統計解析にはCox−Mantel log−rank検定を用いた。
経路分析は、Gene Set Enrichment analysis(GSEA)バージョン16およびIngenuity Pathway Analysis(IPA)バージョン24718999を用いて行った。患者生存を比較するために、GraphPad Prism 6を用いてKaplan−Meier生存分析を行い、Cox−Mantel log−rank検定により統計的p値を得た。全てのp値は二面性があり、統計的有意性は特に断らない限り、p<0.05と定義した。以前に報告されたシグネチャーとタイ人のCCAおよびHCCコホートとの関係は、0.05の予測信頼性の偽発見率(FDR)カットオフに基づいて、GenePatternで実施された最も近いテンプレート予測アルゴリズムを使用して決定された。CCAまたはHCCの組織発現プロファイルからの免疫/炎症細胞サブセットの相対画分の推定を、CIBERSORT 30を用いて行った。遺伝子発現データはlog2スケール発現マトリックスのquantile正規化によって変換し、CCAおよびHCCのC1サブタイプおよびC2サブタイプにおける白血球の相対画分を、組み込みLM22シグネチャーマトリックス(LM22)を使用した、実施した分析を用いてウェブサイト(cibersort.stanford.edu/)に従って定量した。ウェルチ2サンプルt検定(Welch Tow Sample t−test)を用いて、22個の相対白血球画分の各々を、C1サブタイプとC2サブタイプとの間で比較した。ピアソン相関分析を用いて、C1サブタイプおよびC2サブタイプにおける白血球とBMIとの間の相関を決定した。
得られたデータから、ECT2およびPLK1はHCCおよびCCAのサブタイプの検出に有効な、臨床的に重要な機能的バイオマーカーであることが示唆された。これは、両遺伝子は以前に腫瘍進行に関連付けられていたためである19−21。従って、本開示の発明者らは、199例のタイ人患者の組織マイクロアレイ(TMA)の免疫組織化学(IHC)によってECT2およびPLK1を評価した。CCAおよびHCCのTMAを構築した。PLK1は細胞質で検出されるが、正常な肝細胞では発現されない(図11)。ECT2は核で発現されるが、正常な肝細胞においては存在しない。IHCによって検出された発現は、図12Aに示されるmRNAデータと相関した。さらなる分析(図12B)は、RNAレベルおよびタンパク質発現レベルでのPLK1の発現とECT2の発現との相関を実証した。PLK1およびECT2について個々に生存分析を行ったところ、PLK1またはECT2のTMAスコアが高い患者は、不良転帰となる傾向にあることが示された(図13)。PLK1とECT2との間の発現における実質的な相関、およびPLK1がインビトロでECT2をリン酸化することが実証されていること22を考慮して、本発明者らは、転帰を予測するためにこれら2つのバイオマーカーの組み合わせを評価した。関連バイオマーカーのレシオメトリックの組み合わせの以前の例23,24に基づいて、本開示はTMAスコアからPLK1/ECT2比率を生成し、図14A〜Bに示される生存分析を実施し、これは、PLK1/ECT2比率が転帰を識別するためにロバストであることを実証した(CCA、p=0.01、HCC、p=0.012)。
実施された実験は、C1サブタイプが有糸分裂チェックポイント欠陥に関連すること、および、PLK1およびECT2がC1について臨床的に関連する重要な2つの遺伝子であることを明らかにした。PLK1およびECT2の両方の発現が、C1サブタイプにおいて高度に発現され、IHCを使用した腫瘍サブタイプの定義においてロバストであることが見出された。これは、IHCが病理学的診断のための好ましい方法であるため、臨床的に有意義である。ECT2遺伝子はまた、C1サブタイプにおいて優先的に増幅または変異され、これは、C1サブタイプのドライバー遺伝子であるという仮説と一致する。一貫して、PLK1およびECT2の両方は、癌に機能的に関連している。PLK1は、有糸分裂セリン/トレオニンタンパク質キナーゼの1つであり、有糸分裂の開始、および紡錘体集合の調節に必要である。過剰反応性のPLK1シグナル伝達は、ヒト腫瘍(HCCを含む)において見出されており、また、癌形成ネットワーク(oncogenic network)におけるその重要な機能ノード19のために、癌の治療のための潜在的な標的とし得ることが提案されている。多くのPLK1阻害剤は、現在、固形腫瘍において試験されている37。ECT2は、RasスーパーファミリーのGEFおよびGAPに属し20、NIH3T3細胞を形質転換するその能力21に基づいて1991年に最初に特定された古典的な癌遺伝子である。ECT2がHCCの早期再発の促進に関与することから、HCCを含む癌の治療の扱いやすい標的としてのECT2の役割が提案されている20,38。得られた結果は、PLK1の発現およびECT2の発現が、アジア人のHCCおよびCCAのC1サブタイプについての患者層別化のためのバイオマーカーとして、および分子標的として役立ち得ることを示唆する。
実施例4
人種/民族関連の一般的な腫瘍サブタイプ
タイ人のサンプルで観察されたCCAおよびHCCの共通の分子サブタイプが普遍的であるかどうかを決定するために、本開示の発明者らは、アジア、欧州、および北米に居住した患者について入手可能なトランスクリプトームデータを有するいくつかの独立コホートを検討した。これらのコホートは、中国からの247例のHCC患者、米国からの378例のHCC患者(TCGAデータ)、欧州からの104例のCCA患者、および日本からの128人のCCA患者を含む。トランスクリプトームによって特定された種々のサブタイプ間の類似性を、SMを用いて決定した。著者らは、C1予後分子サブタイプまたはC2予後分子サブタイプが中国人HCC患者、アジア系アメリカ人(AsA)HCC患者、および日本人CCA患者で観察されたが、欧州系アメリカ人(EA)HCC患者または欧州のCCA患者では観察されなかったことを見出した(図15)。51の共通のサブタイプ関連遺伝子と人種/民族関連予後との関連を示す同様の結果が米国のHCC患者でも観察された。総合すると、これらの結果は、CCAおよびHCCの共通の予後分子サブタイプ人種/民族性にも関連していることを示唆している。
128の日本人CCA腫瘍について遺伝子突然変異データが利用可能であったので、本開示は、本研究において特定された共通のサブタイプと、Nakamuraら25に記載された上位32の突然変異遺伝子との間に何らかの関係が存在するかどうかを決定することを試みた。本開示は、突然変異データは共通のサブタイプを明確に識別せず、突然変異頻度は各サブタイプについて1〜43%の範囲であることを見出したが、TP53、KRAS、MYC、およびGNASにおける突然変異(>10%突然変異)は予後不良のC1サブタイプにおいて濃縮を示す。また、BAP1およびIDH1における突然変異は、C1/C2サブタイプと一致しなかったサブグループであるXサブタイプにおいてより頻繁であったが、良好な予後と関連している。注目すべきことに、Xサブタイプの15%はIDH1突然変異を有するが、C1サブタイプおよびC2サブタイプのいずれもIDH1突然変異を有しない。このことは、C1およびC2から独立したこの特有のCCAサブタイプが、異なる遺伝子パターンを有し、より良好な予後となることを示唆している。興味深いことに、SCNAおよびトランスクリプトーム(図9)に基づく、統計的に有意な数の遺伝子(51個のドライバー遺伝子のうち3個、すなわちNRAS、PRKCIおよびECT2)が、これらの32個の突然変異遺伝子と重複することが見出された(p=0.0004;超幾何学的試験)。注目すべきことに、日本人のCCA−C1サブタイプの6%もECT2に突然変異を示し、このことは、ECT2が共通のC1サブタイプの機能的ドライバーであるという我々の発見と一致した。
実施例5
肥満、メタボロミクス、および腫瘍サブタイプ
病因学的/人口統計学的/臨床的特徴のいずれかが、特定された腫瘍サブタイプに関連するかどうかを決定するために、本開示は、入手可能な臨床変数(年齢、性別、タバコ消費およびアルコール消費、ボディマスインデックス(BMI)、および腫瘍特性を含む)に基づいて、C1サブタイプおよびC2サブタイプを比較した。タイ人のHCCのC1サブタイプとC2サブタイプとの間では、年齢、BMI状態および腫瘍サイズのみが異なるようであった。アルコール消費、HBVおよびHCVの状態、肝硬変(Child−Pughスコア)、アルカリホスファターゼ(ALP)のレベル、CA19−9のレベル、α−フェトプロテイン(AFP)のレベル、および腫瘍の病期分類は、CCAとHCCとの間で有意に異なっていたことに注意すべきである。興味深いことに、これらの病因的因子は共通の分子サブタイプと関連していないが、組織学的サブタイプと関連している。
MetabolonのDiscover HD4 Platformを用いて、対を成す腫瘍組織試料および非腫瘍組織試料における小さな生化学種を測定した。正のモードおよび負のモード(LC+/LC−)の液体クロマトグラフィー/質量分析、ならびにガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)の両方を用いた。合計718の代謝産物を測定した。欠損値は、各代謝産物の最小値を用いて補完(impute)した。HCCコホートおよびCCAコホートの両方に共通する178の最も変動のある代謝産物を、各コホートにおいて選択した(フィルター:代謝産物の中央値から1.5倍の変化、対数強度変動p値>0.01)。選択された代謝産物と最も変動のある遺伝子との間のピアソン相関値を、各コホートについて別々に計算した。同じサンプル内で有意に相関した代謝産物および遺伝子(P<0.05)のみをさらなる分析に含めた。さらに、遺伝子の少なくとも20%と有意に関連する代謝産物を選択した。
さらに、利用可能なBMIデータを有するタイ人、AsAおよびEA患者におけるBMIプロファイルを決定した。本開示は、EA患者が、アジアに住んでいるか米国に住んでいるかにかかわらず、アジア人患者よりも高いBMIを有する傾向があることを見出した。C2サブタイプは、C1サブタイプよりも高いBMIを有する傾向があり、その差は統計的に有意である(図16)。BMIの差が腫瘍代謝の変化と関連しているかどうかを決定するために、著者らは、タイ人患者からの199のHCCおよびCCAの腫瘍試料と、対を成す非腫瘍組織との間で、標的化されていないメタボロームプロファイリングを実施した。代謝産物および遺伝子の発現プロファイルを組み込むことは、偽陽性を減少させ、機能的代謝産物を定義する可能性を高める強力な手法である26。そのため、本開示は、代謝産物発現プロファイルと遺伝子発現プロファイルとの間のグローバルピアソン相関分析を行った。得られた結果は、図17に示されている。全部で178の最も変動のある代謝産物から、CCAについては合計77の代謝産物が、HCCについては合計81の代謝産物が遺伝子発現との高い相関を示した(−0.5<R<0.5;P<0.05、遺伝子の少なくとも20%と関連している)。CCAとHCCとの間に統計的に有意な数の重複代謝産物(n=46)が見出された(超幾何学的p=0.0007)。さらに、遺伝子発現と高い一致度を示した代謝産物は図18A〜Bに例示されるように、C1サブタイプおよびC2サブタイプを識別した。HCCおよびCCAからの最も重要な代謝産物のトップネットワークは、著しく類似していた(図19A〜B)。本開示は、胆汁酸関連の代謝産物(例えば、タウロケノデオキシコール酸およびtauroursodeoxychoate(TUDCA))がC1サブタイプよりもHCC−C2およびCCA−C2の両方において有意に豊富であることを見出した(図20A〜B)。
C2サブタイプは高いBMIに関連する。BMIは、代謝性疾病および細胞炎症に関連することが知られている27,28。さらに、C2サブタイプ関連の胆汁酸代謝産物は、炎症および免疫に関連することが知られている29。そこで、本開示の発明者らは、CIBERSORT30を用いて、タイ人のHCCおよびCCAにおける浸潤性免疫細胞を調べた。白血球浸潤物の活性は、C1サブタイプよりもC2サブタイプにおいてはるかに高いことが見出された。結果を図21A〜Bに示す。顕著なことに、CD4+記憶T細胞およびγδT細胞の上昇、ならびにTreg細胞の減少はC2サブタイプと関連している(図22A〜B)。総合すると、この結果は、C1サブタイプが変化したPLK1およびECT2を伴う有糸分裂チェックポイント欠損を含むが、一方、C2サブタイプは上昇したBMI、免疫細胞異常、および異常な胆汁酸代謝を有することを示す。
本開示は、CCAおよびHCCの両方が、その組織学における差異および関連する病因における差異にかかわらず、アジア人患者の間でのみ共有されるいくつかの共通の分子サブタイプからなることを見出した。興味深いことに、特有の遺伝子発現マトリックスを共有する共通のCCAサブタイプおよびHCCサブタイプは、類似の予後結果を有する。これは、従来の組織学的腫瘍サブタイプを超える共通の分子タイプの存在を示唆する。癌トランスクリプトーム、SCNA、およびメタボロームの系統的統合によって、攻撃的分子サブタイプに関連する、重要な発癌性駆動因子を明らかにした。具体的には、C1サブタイプは有糸分裂チェックポイント欠損を含み、一方、C2サブタイプは炎症、肥満および胆汁酸生合成に関連する。これらの結果は、治療の層別化が組織型に基づくべきではなく、むしろ分子型に基づくべきであることを示唆する。
代謝性肝疾患および肥満は、肝臓炎症および癌に関連している27,28,39,40。しかしながら、これらの関連の基礎をなす分子機構は不明である。著者らはC2サブタイプに関連する共通の臨床的特徴が高いBMIであることを見出した。このことは、肝臓関連の代謝疾患との関連の可能性を示唆する。BMIは炎症反応および代謝障害に関連しているため、著者らはまた、分子的に定義されたサブタイプにおける腫瘍関連白血球を調べた。CD4+記憶T細胞およびγδT細胞などのリンパ系細胞は、C2サブタイプにおいて有意に上昇するが、骨髄系細胞はC2サブタイプにおいて有意に上昇しないことが見出された。これらの結果は、細胞免疫関連経路について濃縮されたC2サブタイプの遺伝子発現データと一致し、炎症応答がC2サブタイプに関連するという考えを再確認する。HCCおよびCCAの両方において、いくつかの胆汁酸代謝産物(TUDCA、タウロコール酸およびグリコケノデオキシコール酸など)が、C1サブタイプよりもC2サブタイプにおいて一貫してはるかに豊富であることも興味深い。胆汁酸は近年、コレステロール代謝、エネルギー恒常性、およびグルコース恒常性を調節するための汎用性のあるシグナル伝達分子として出現しており、これは、一般的な代謝疾患および肝疾患を治療するための新規な薬剤標的を開発するための基礎となる41。これらの薬剤のいくつかは、肝癌のC2サブタイプを治療するために適用可能であり得ると考えられる。得られた結果はまた、肥満誘発の腸内微生物代謝産物であるデオキシコール酸が老化セクレトーム(senescence secretome)を通して肝臓発癌を促進すること、および、食餌がヒト腸内マイクロバイオームを変化させ、肥満のような食餌関連疾患を促進することを示す最近の研究29,42と一致する。さらに、食餌性脂肪誘発のタウロコール酸はIL1欠損マウスにおいてパソビオント(pathobiont)の増殖および大腸炎を促進し、これは、遺伝的に感受性の宿主において、ある種の飽和脂肪を含む食餌が免疫介在性疾患を誘発することの、妥当な機構的な基礎を明らかにする43
得られた結果は、共通のC1〜C2サブタイプが主にアジア人患者と関連していることを示しているが、人種/民族との関連の理由は不明である。西洋型食餌はアジア人と白人の間で異なる腸内毒素症を誘発し得ること、また、腸内マイクロバイオームの人種/民族関連の相違が胆汁酸代謝と協同して、アジア人関連の共通のC2サブタイプで観察される特有の発癌過程を誘発し得ることが考えられる。C2サブタイプにおける浸潤性T細胞の増加はまた、これらの腫瘍が免疫チェックポイント阻害剤に感受性である場合があり得ることを示唆する。要約すると、本開示において採用される統合オミクスアプローチは、いくつかのアジア人集団にわたるCCAおよびHCCの共通の分子サブタイプを定義し、具体的なサブタイプに関連する潜在的なドライバー遺伝子および代謝プロセスを特定した。
本発明は、他の具体的な形態で実施されてもよく、上述した実施形態に限定されないことを理解されたい。しかしながら、開示された概念に対する、当業者が容易に想到し得るような変更などは、添付される特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
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Claims (12)

  1. 肝癌に罹患した被験者の予測生存転帰を生成するための方法であって、
    上記被験者から採取した、肝細胞癌または胆管癌のうちの1つの組織試料を準備する工程と、
    準備された上記試料における、ポロ様キナーゼ1(PLK1)および上皮細胞形質転換2(ECT2)のトランスクリプトーム発現および/またはタンパク質発現を定量するために、少なくとも1つの、核酸に基づくアッセイおよび/またはプロテオミクスに基づくアッセイを行う工程と、
    準備された上記試料上の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率を導出する工程と、
    導出された上記比率に基づき、上記被験者の上記予測生存転帰を生成する工程であって、導出された上記比率が所定の値未満である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第1の予測生存転帰とし、導出された上記比率が上記所定の値以上である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第2の予測生存転帰とする工程とを含み、
    上記第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%〜60%を超える全生存率に対応し、上記第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%〜60%以下の全生存率に対応する方法。
  2. 上記所定の期間は、12〜36ヶ月である、請求項1に記載の方法。
  3. 上記核酸に基づくアッセイは、マイクロアレイに基づいた技術およびポリメラーゼ連鎖反応に基づいた技術のいずれか1つまたは組み合わせである、請求項1に記載の方法。
  4. 上記プロテオミクスに基づくアッセイは、組織マイクロアレイおよび/または免疫組織化学染色である、請求項1に記載の方法。
  5. 被験者は、アジア系である、請求項1に記載の方法。
  6. 肝癌に罹患した被験者の予測生存転帰を生成するための装置であって、
    上記被験者の組織試料におけるポロ様キナーゼ1(PLK1)および上皮細胞形質転換2(ECT2)のトランスクリプトーム発現および/またはタンパク質発現を検出することができる第1のモジュールと、
    準備された上記試料上の特定の領域における、ECT2の発現に対するPLK1の発現の比率を導出し、導出された上記比率に基づき、上記被験者の上記予測生存転帰を生成するように構成された第2のモジュールとを備え、
    上記第2のモジュールは、導出された上記比率が所定の値未満である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第1の予測生存転帰とし、導出された上記比率が上記所定の値以上である場合、上記被験者の上記予測生存転帰を第2の予測生存転帰とするように構成され、
    上記第1の予測生存転帰は、生存分析の所定の期間における、40%〜60%を超える全生存率に対応し、上記第2の予測生存転帰は、上記生存分析の上記所定の期間における、40%〜60%以下の全生存率に対応する装置。
  7. PLK1およびECT2の発現されたトランスクリプトームまたはタンパク質と、上記第1のモジュールによって分離可能なシグナルを連続的または周期的に発するように形成されたシグナル伝達部分とを結合させるための、少なくとも1つの、核酸に基づくアッセイまたはプロテオミクスに基づくアッセイを行うことができる試験モジュールをさらに備える、請求項6に記載の装置。
  8. 上記所定の期間は、12〜36ヶ月である、請求項6に記載の装置。
  9. 上記核酸に基づくアッセイは、マイクロアレイに基づいた技術およびポリメラーゼ連鎖反応に基づいた技術のいずれか1つまたは組み合わせである、請求項7に記載の装置。
  10. 上記プロテオミクスに基づくアッセイは、組織マイクロアレイおよび/または免疫組織化学染色である、請求項7に記載の装置。
  11. 上記被験者はアジア系である、請求項6に記載の装置。
  12. 上記被験者の上記組織試料は、癌腫であり、肝細胞癌または胆管癌のうちの1つである、請求項6に記載の装置。

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