JP2020508973A - 核酸ライブラリーの調製方法ならびにその方法を行うための組成物及びキット - Google Patents

核酸ライブラリーの調製方法ならびにその方法を行うための組成物及びキット Download PDF

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Abstract

核酸ライブラリーの調製方法を提供する。その方法の態様は、RNA試料を伴うテンプレートスイッチング反応を通じて作製した二本鎖相補的DNA(cDNA)から、例えば発現ライブラリー及び/または免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを含む1つ以上のライブラリーを作製することを含む。いくつかの態様では、この方法は、単一細胞からライブラリーを調製したり、及び/または単一細胞レベルでインデックスを付加したライブラリーを調製したりすることを含む。この方法を行う際に用いる組成物及びキットも提供する。

Description

次世代シークエンシング(NGS)技術の開発によって、有益なゲノム情報及びトランスクリプトーム情報を、作製した核酸ライブラリーから迅速に抽出可能になっている。ハイスループットなNGS技術(lllumina(Solexa)シークエンシング、Roche 454シークエンシング、Ion torrent(Proton/PGMシークエンシング)及びSOLiDシークエンシングなど)によって、それまで使われてきたサンガーシークエンシングよりも迅速かつ安価に核酸分子をシークエンシング可能になるので、これらの技術は、バイオテクノロジーと生物医学的な研究とに大変革をもたらしている。
これらの強力なシークエンシング技術では、ライブラリーの調製が特に重視される。様々な目的で、NGS技術を用いて、良好に調製した逆転写相補的DNA(cDNA)ライブラリーを解析できる。例えば、ライブラリーの調製手法に応じて、トランスクリプトームデータを利用して、特定の状況でアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる遺伝子を特定するための発現差解析を行うことができる。
cDNAライブラリーは、NGSによるT細胞レセプター(TCR)プロファイリングにも用いることができる。TCRは、T細胞のセレクション、機能及び活性化を制御するとともに、そのT細胞が、どの抗原ペプチド−主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の複合体に応答するかを判断する。
各細胞においては、TCR遺伝子の可変部セグメント、多様性セグメント及び結合セグメント(V(D)J)の体細胞組み換えから、TCRのα鎖遺伝子とβ鎖遺伝子とが導き出されるので、個体のTCRレパートリーは、非常に多様性が高い。TCRのこの多様性をプロファイリングすると、免疫レパートリーダイナミクスに対する理解が促進され、免疫応答の性質と免疫障害の病態との知識が深まる。上記のような知見により、急速に進歩しているイムノオンコロジー分野を含む様々な療法が進化する。
核酸ライブラリーの調製方法を提供する。この方法の態様は、RNA試料を伴うテンプレートスイッチング反応を通じて作製した二本鎖相補的DNA(cDNA)から、例えば発現ライブラリー及び/または免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを含む1つ以上のライブラリーを作製することを含む。いくつかの態様では、この方法は、単一細胞からライブラリーを調製したり、及び/または単一細胞レベルでインデックスを付加したライブラリーを調製したりすることを含む。この方法を行う際に用いる組成物及びキットも提供する。
本開示の実施形態に従って、単一のRNA試料から2つの核酸ライブラリーを調製する方法の概略図を示している。 本開示の実施形態に従って、単一のRNA試料から発現ライブラリーと免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとを調製する方法の概略図を示している。 テンプレートスイッチング反応を用いて、産物二本鎖核酸を作製する概略図を示している。 ライブラリーの調製法でタグメンテーションを使用する例であって、本開示の方法での使用に適合できる例を示している。 本開示の実施形態に従って、遺伝子発現差解析とTCRプロファイリングとを複合する際に用いるライブラリーを作製する際に用いるプロセス全体を示す全体概略図を示している。 本明細書に示されている関連実施例で説明されているように、単一T細胞からTCRプロファイリング用ライブラリーを調製する際に用いるプロセス全体を示す全体概略図を示している。 図6に示されている実施例に関連するように、96ウェルプレートにおけるインデックス付与オリゴの分布と試料のプールとを図示している。 免疫細胞プロファイリングワークフローの性能を試験したデータを示しており、単一のJurkat細胞または単一細胞当量のJurkat RNAのいずれかから作製したシークエンシングリードのうち、TCR−α CRD3領域またはTCR−β CDR3領域にマッピングされたシークエンシングリードの割合(%)を示している。 免疫細胞プロファイリングワークフローの性能を試験したさらなるデータを示しており、予想されるJurkatクロノタイプにマッピングされたシークエンシングリードの割合(%)を示している。 マルチサンプルナノディスペンサー(MSND)形態で試験した単一細胞TCRプロファイリングワークフローの全体概略図を示している。 単一のJurkat細胞由来のシークエンシングリードであって、TCR−αまたはTCR−βのCDR3領域にマッピングされたシークエンシングリードのアラインメント解析の結果を示している。 本発明の実施形態に従って、マルチサンプルナノディスペンサー(MSND)形態で試験した単一細胞TCRプロファイリングワークフローの全体的な詳細を示している。 本発明の実施形態に従って、マルチサンプルナノディスペンサー(MSND)形態で試験した単一細胞TCRプロファイリングワークフローの全体的な詳細を示している。 本発明の実施形態に従って、マルチサンプルナノディスペンサー(MSND)形態で試験した単一細胞TCRプロファイリングワークフローの全体的な詳細を示している。 本発明の実施形態に従って、マルチサンプルナノディスペンサー(MSND)形態で試験した単一細胞TCRプロファイリングワークフローの全体的な詳細を示している。 下記の実験部分に説明されているように、図12A〜12Dのプロトコールを用いて作製した免疫細胞レセプターシークエンシングライブラリー由来のαレセプターリードカウントとβレセプターリードカウントとを示している。 下記の実験部分に説明されているように、図12A〜12Dのプロトコールを用いて作製した分割WTAライブラリー由来の例示的なデータを示している。遺伝子本体のカバレッジデータを示しており、X軸は、全遺伝子にわたる正規化カバレッジであり、Y軸は、マッピングされた全エキソンリードである。図には、CCRF−CEM細胞の一例が示されている。 下記の実験部分に説明されているように、図12A〜12Dのプロトコールを用いて作製した分割WTAライブラリー由来の例示的なデータを示している。主要成分解析を示しており、図13に示されているように、TALL、CCRF及び処理(PMA)CCRF細胞由来の5’DEライブラリーからマッピングされたリードである(矢印は、別々の群を示している)。
本明細書で使用する場合、「ハイブリダイゼーション条件」という用語は、プライマーまたはその他のポリヌクレオチドが、標的核酸の領域のうち、そのプライマーまたはその他のポリヌクレオチドとある程度の相補性を有する領域に特異的にハイブリダイズする条件を意味する。プライマーが標的核酸に特異的にハイブリダイズするか否かは、そのポリマーと標的核酸との相補性の程度、ハイブリダイゼーションが行われる温度(そのプライマーの融解温度(TM)によって明らかにできる)などの因子によって決まる。融解温度とは、プライマーと標的核酸との二本鎖の半数がハイブリダイズしたままであり、その二本鎖の半数が一本鎖に解離する温度を指す。二本鎖のTmは、実験によって求めても、Tm=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(G+C含量)−(60/N)という式(式中、Nは鎖長であり、[Na+]は1M未満である)を用いて予測してもよい。Sambrook and Russell(2001;Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor N.Y.,Ch.10)を参照されたい。様々なパラメーターに左右される、さらに進化した他のモデルを用いて、様々なハイブリダイゼーション条件に応じた、プライマー/標的二本鎖のTmを予測してもよい。特異的核酸ハイブリダイゼーションを行うためのアプローチは、例えばTijssen,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,part I,chapter 2,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays,”Elsevier(1993)に見ることができる。
「相補的な」及び「相補性」という用語は、本明細書で使用する場合、標的核酸の全体または領域(例えば、産物核酸の領域)への非共有結合によって塩基対形成するヌクレオチド配列を指す。カノニカルなワトソン・クリック塩基対形成では、DNAにおいて、アデニン(A)はチミン(T)と塩基対を形成し、グアニン(G)はシトシン(C)と塩基対を形成する。RNAでは、チミンは、ウラシル(U)に置き換えられる。したがって、Aは、Tと相補的であり、Gは、Cと相補的である。RNAでは、Aは、Uと相補的であり、Uは、Aと相補的である。典型的には、「相補的な」とは、少なくとも部分的に相補的であるヌクレオチド配列を指す。「相補的」という用語には、一方の鎖のすべてのヌクレオチドが、対応する位置において、もう一方の鎖のすべてのヌクレオチドと相補的であるように、完全に相補的である二本鎖も含まれる。特定のケースでは、ヌクレオチド配列は、標的と部分的に相補的であってよく、この場合、すべてのヌクレオチドが、すべての対応する位置において、標的核酸のすべてのヌクレオチドと相補的であるわけではない。例えば、プライマーは、標的核酸と完全に(すなわち100%)相補的であってもよく、あるいは、プライマーと標的核酸は、完全ではない、ある程度の相補性(例えば、70%、75%、85%、90%、95%、99%)を有してよい。
2つのヌクレオチド配列の同一性(%)は、最適に比較する目的でそれらの配列をアラインメントすることによって求めることができる(例えば、最適なアラインメントのために、第1の配列の配列にギャップを導入することができる)。そして、対応する位置のヌクレオチドを比較するのだが、2つの配列の同一性(%)は、それらの配列が共有している同一の位置の数から導き出す(すなわち、同一性(%)=同一の位置の数/位置の総数×100)。一方の配列のある位置が、もう一方の配列における対応する位置と同じヌクレオチドによって占められているときには、その分子は、その位置において同一である。このような数学的なアルゴリズムの非限定的な例は、Karlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:5873−5877(1993)に記載されている。このようなアルゴリズムは、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:389−3402(1997)に記載されているように、NBLAST及びXBLASTのプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。BLASTとGapped BLASTとのプログラムを用いるときには、各プログラム(例えばNBLAST)のデフォルトパラメーターを用いることができる。一態様では、配列比較のためのパラメーターは、スコア=100、ワード長=12に設定することができ、あるいは、変更することができる(例えば、ワード長=5またはワード長=20)。
ドメインとは、複数のヌクレオチドで構成されている、核酸の伸長部分または長さ部分であって、明確な機能をその核酸に付与する伸長部分または長さ部分を指す。ドメインの例としては、バーコード付きユニークモレキュラーアイデンティファイアー(BUMI)ドメイン、プライマー結合ドメイン、ハイブリダイゼーションドメイン、バーコードドメイン(ソースバーコードドメインなど)、ユニークモレキュラーアイデンティファイアー(UMI)ドメイン、次世代シークエンシング(NGS)アダプタードメイン、NGSインデックス付与ドメインなどが挙げられる。いくつかのケースでは、「ドメイン」及び「領域」という用語は、同義的に用いられている場合があり、例えば、免疫レセプター鎖のドメイン/領域(例えば、免疫レセプター定常ドメイン/定常領域など)を説明している場合が挙げられる。ある所定のドメインの長さは、様々であってよいが、いくつかのケースでは、その長さは、2〜100nt(5〜50ntなど)、例えば5〜30ntの範囲である。
核酸ライブラリーの調製方法を提供する。この方法の態様は、RNA試料を伴うテンプレートスイッチング反応を通じて作製した二本鎖相補的DNA(cDNA)から、例えば発現ライブラリー及び/または免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを含む1つ以上のライブラリーを作製することを含む。いくつかの態様では、この方法は、単一細胞からライブラリーを調製したり、及び/または単一細胞レベルでインデックスを付加したライブラリーを調製したりすることを含む。この方法を行う際に使用する組成物及びキットも提供する。
本開示の方法をさらに詳細に説明する前に、本開示の方法は、記載されている特定的な実施形態に限定せず、すなわち、当然ながら変化し得ることを理解されたい。本開示の方法の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されることになるので、本明細書で使用されている専門用語は、特定的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
値の範囲が示されている場合、文脈上明らかに別に解される場合を除き、その範囲の下限の1/10の単位まで、その範囲の上限及び下限の間の各値と、その示されている範囲におけるいずれかのその他の示されている値または間にある値とが、本開示の方法に含まれることが分かる。これらのさらに狭い範囲の上限及び下限は独立して、その狭い範囲に含めてよく、また、これらは、示されている範囲内のいずれかの具体的に除外された制限に従うことを条件として、本開示の方法に含まれる。示されている範囲に、1つまたは両方の極限値が含まれる場合、それらの含まれる極限値のいずれかまたは両方を除外した範囲も、本開示の方法に含まれる。
本明細書では、特定の範囲は、「約」という用語が付された数値で示されている。「約」という用語は、本明細書では、その用語が付された正確な数と、その用語が付された値に近いかまたはその数と近似である数とを文字通り網羅する目的で用いられている。数が、具体的に示されている数に近いか、または近似であるかを判断する際には、示されていない数のうち、近いか、または近似である数は、その数が示されている文脈において、具体的に示されている数と実質的に均等なものが得られる数であってよい。
別段の定めがない限り、本明細書で用いられている技術用語及び科学用語はいずれも、本開示の方法が属する分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本開示の方法を実施または試験する際には、本明細書に記載されている方法と類似または同等のいずれの方法も用いることができるが、以下では、代表的な実例となる方法と材料とを記載する。
本明細書に引用されている公報及び特許はいずれも、参照により、個々の公報または特許がそれぞれ、参照により援用されることが具体的かつ個別に示されているかのように本明細書に援用されるとともに、参照により、その公報が引用されていることと関連する方法及び/または材料を開示及び説明する目的で、本明細書に援用される。いずれの公報の引用も、出願日前のその開示内容に対するものであり、本発明の方法が、先行発明によるそのような公報に先行する権利を与えられないことを認めるものと解釈すべきではない。さらに、示されている公開日は、実際の公開日と異なることがあり、実際の公開日は、独立して確認する必要がある場合もある。
本明細書と、添付の請求項で使用する場合、「a」、「an」及び「the」という単数形には、文脈上明らかに別に解される場合を除き、複数の言及物が含まれることに留意する。さらに、請求項は、いずれかの任意の要素を除外して書かれていることがあることに留意する。したがって、この記述は、クレーム要素の列挙に関連して、「もっぱら」、「〜のみ」などのような排他的な用語を使用したり、または「否定的な」制限を使用したりする際、基礎となる先行詞としての役割を果たすように意図されている。
本開示の方法の特定の特徴のうち、明確にするために、別々の実施形態との関連で説明されている特徴を、1つの実施形態において組み合わせてもたらしてもよいことは明らかである。逆に、本開示の方法の特徴のうち、簡潔にするために、1つの実施形態との関連で説明されている様々な特徴を、別々にまたはいずれかの好適なサブコンビネーションでもたらしてもよい。実施形態を組み合わせたものはいずれも、本発明に明確に含まれ、すべての組み合わせが、個別かつ明示的に開示されているかのように、そのような組み合わせに、実施可能なプロセス及び/または器具/システム/キットが含まれる範囲において、本明細書に開示されている。加えて、実施形態に列挙されているサブコンビネーションであって、その変動要素を説明しているすべてのサブコンビネーションも、本発明の方法に明確に含まれ、このようなあらゆるサブコンビネーションが本明細書に個別かつ明示的に開示されているかのように、本明細書に開示されている。
本開示を読めば、当業者には明らかになるように、本明細書に記載及び例示されている個々の実施形態にはそれぞれ、別個の成分と特徴とがあり、これらは、本発明の方法の範囲または趣旨から逸脱しなければ、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に切り離したり、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴と組み合わせたりできる。示されているいずれの方法も、示されている事象の順序、または論理的に可能であるいずれかの他の順序で行うことができる。
方法
上記で概説したように、1つ以上の核酸ライブラリーの調製方法を提供する。1つのライブラリーまたは複数のライブラリーを単一のRNA試料から調製してよい。例えば、いくつかのケースでは、1つの免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーをRNA試料から調製してよい。いくつかのケースでは、発現ライブラリーと免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとを単一のRNA試料から調製する。
本開示の方法が、複数のライブラリーを単一の試料から調製することを含む場合には、その複数のライブラリーは、順次または同時に調製してよい。例えば、いくつかのケースでは、本開示の方法は、発現ライブラリーと免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとを同時に調製することを含んでよい。「同時に調製する」とは、2つ以上のライブラリーを調製する際に行う1つ以上のライブラリー調製工程(例えば、増幅、末端捕捉など)を同時に行うか、または時間的に少なくとも部分的に重複して行うことを意味する。いくつかのケースでは、本開示の方法は、発現ライブラリーと免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとを順次に調製することを含んでもよい(例えば、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーの前に、発現ライブラリーを調製する場合、または発現ライブラリーの前に、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを調製する場合を含む)。「順次に調製する」とは、2つのライブラリーの調製が時間的に重ならないこと、例えば、2つのライブラリーを調製する際に行う1つ以上のライブラリー調製工程を同時に行わないことを意味する。いくつかのケースでは、ライブラリーの順次的な調製は、第1のライブラリーを完成させてから、次のライブラリーの調製を開始することを含んでよい。したがって、いくつかのケースでは、ライブラリーの同時調製は、第1のライブラリーの調製が完了する前に、第2のライブラリーを調製することを含んでよい。
順次または同時に調製するとき、複数のライブラリーを単一のRNA試料から調製する場合には、本開示の方法は、産物二本鎖cDNAをRNA試料から作製し、その後、作製した産物二本鎖cDNAを第1の反応混合物と第2の反応混合物とに分割することを含んでよい。例えば、図1に概説されているように、RNA試料(100)をテンプレートスイッチング反応で用いて、二本鎖cDNA(101)をそのRNA試料から作製してよい。続いて、図示されているように、作製した二本鎖cDNA(所望に応じて、増幅されていてもされていなくてもよい)を例えば2つの反応物に分割し、その後、第1のライブラリー(102)と第2のライブラリー(103)とを作製することに用いてよい。いくつかの実施形態では、図2に示されているように、分割した二本鎖cDNAを含む複数の反応混合物を用いて、発現ライブラリー(200)と免疫細胞レセプターレパートリーライブラリー(201)とを作製してよい。したがって、所望に応じて、このような分割反応混合物を別々に用いて、複数のライブラリーを作製してよい(例えば、第1の反応混合物を用いて、発現ライブラリーを作製し、第2の反応混合物を用いて、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを作製する場合を含む)。
作製した産物二本鎖cDNAの分割は、均等または不均等に行って、第1の反応混合物と第2の反応混合物とに、作製した産物二本鎖cDNAが均等量または不均等量入るようにしてよい。例えば、いくつかのケースでは、発現ライブラリーの作製に用いる反応混合物には、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーの作製に用いる反応混合物に入れる分割産物二本鎖cDNAの量よりも多い分割産物二本鎖cDNAを入れてよい。いくつかのケースでは、発現ライブラリーの作製に用いる反応混合物には、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーの作製に用いる反応混合物に入れる分割産物二本鎖cDNAの量よりも少ない分割産物二本鎖cDNAを入れてよい。いくつかのケースでは、発現ライブラリーの作製に用いる反応混合物には、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーの作製に用いる反応混合物に入れる分割産物二本鎖cDNAの量と同じ量の分割産物二本鎖cDNAを入れてよい。
産物二本鎖cDNAは、上記のように、2つの反応混合物に分割してよいが、産物二本鎖cDNAの分割は必ずしも、2つの反応混合物に分割することに限らず、いくつかのケースでは、産物二本鎖cDNAは、2つ超の反応混合物に分割してよい。例えば、いくつかのケースでは、産物二本鎖cDNAは、3つ以上の反応混合物に分割してよい。産物二本鎖cDNAを2つ超の反応混合物に分割することは、様々な目的で用いてよい(例えば、3つ以上のライブラリーを産物二本鎖cDNA(単一のRNA試料から作製した産物二本鎖cDNAを含む)から作製してよい場合が挙げられるが、これに限らない)。
本発明の方法では、作製した産物二本鎖cDNAを異なる反応混合物に分割するいずれかの利便的な方法を用いてよい。例えば、いくつかのケースでは、産物二本鎖cDNAは、手作業で、例えば、産物二本鎖cDNAのアリコートを反応混合物に手作業でピペッティングすることによって、反応混合物に分割してよい。いくつかのケースでは、産物二本鎖cDNAは、自動的に、例えば、産物二本鎖cDNAのアリコートを反応混合物に分注するようにプログラムした液体処理ロボットまたは他の自動装置を用いることを通じて、反応混合物に分割してよい。いくつかのケースでは、本開示の方法は、個々のライブラリーの作製に用いる反応混合物に分割する前に、例えばプレ増幅PCR工程を通じて、産物二本鎖cDNAをプレ増幅することを含んでよい。
いくつかのケースでは、個別に調製した反応混合物は、さらなる処理の前にプールしてよく、したがって、その実施方法は、プール工程を含んでよい。例えば、いくつかのケースでは、個別に調製した産物二本鎖cDNAは、1つ以上のライブラリーの調製前にプールしてもよい。いくつかのケースでは、調製した産物二本鎖cDNAは、例えば、上記のように、2つ以上のライブラリーを調製するために、産物二本鎖cDNAを別々の反応物に分割する前にプールしてよい。別々の単一のRNA試料(例えば、複数の細胞から調製した単一のRNA試料、または単一細胞から調製した単一のRNA試料を含む)から個別に調製した反応物をプールしてもよい。いずれかの利便的なプール方法を用いてよい(例えば、反応物の全体積を合わせてプールする場合、または反応物の一部の体積を合わせてプールする場合を含む)。いくつかのケースでは、個別の反応は、個別の容器またはウェル(例えば、マルチウェルプレートのウェル)で行ってよく、容器のウェルの反応混合物は、1つの容器またはウェルにプールしてよい。
いくつかのケースでは、個別の反応で作製してからプールした核酸は、プール後に個別の核酸反応源を遡って同定可能にする同定用核酸配列を含むか、またはその同定用核酸配列を含むように改変してよい。有用な同定用核酸配列としては例えば、以下にさらに詳細に説明されているようなバーコード核酸配列とインデックス付与配列とが挙げられる。
上述のように、産物二本鎖cDNAをRNA試料から作製した後に、1つ以上のライブラリーを作製してよい。RNA試料は、以下にさらに詳細に説明されているように、1つ以上の種類のテンプレートRNAを含む試料である。RNA試料は、細胞試料(単一細胞、または例えば2つ以上の細胞を含む細胞集団を含む細胞試料を含む)に由来するものであってよい。細胞試料は、様々な供給源に由来するものであってよく、例えば、細胞組織、生検標本、血液試料、細胞培養液などが挙げられるが、これらに限らない。加えて、細胞試料は、特定の器官、組織、腫瘍、新生物などに由来するものであってよい。さらに、原核生物または真核単細胞生物(細菌もしくは酵母を含む)の集団のようないずれかの集団から得た細胞が、本開示の方法で用いる細胞試料の供給源であることができる。しかしながら、本開示の方法が、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを調製することを含む場合には、概ね、真核細胞(哺乳類動物細胞を含む)をRNA試料の供給源として用いることになる。
したがって、いくつかのケースでは、本開示の方法で用いるRNA試料の供給源は、齧歯類動物(例えば、マウスまたはラット)細胞試料、ヒト以外の霊長類動物細胞試料、ヒト細胞試料などのような哺乳類動物細胞試料であってよい。いくつかのケースでは、哺乳類動物細胞試料は、哺乳類動物血液試料であってよく、例えば、齧歯類動物(例えば、マウスまたはラット)血液試料、ヒト以外の霊長類動物血液試料、ヒト血液試料などが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、有用な細胞試料としては、1つ以上の免疫細胞種を含む試料を挙げてよい。本明細書で使用する場合、「免疫細胞」という用語には概して、骨髄で産生される造血幹細胞(HSC)に由来する白血球細胞(白血球)が含まれる。「免疫細胞」としては、例えば、リンパ球(T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞)と、骨髄由来細胞(好中球、好酸球、好塩基球、単球、マクロファージ、樹状細胞)が挙げられる。「T細胞」には、ヘルパーT細胞(CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8+細胞)、調節性T細胞(Treg)及びγδT細胞を含むCD3発現免疫細胞のあらゆる種類が含まれる。「細胞傷害性細胞」には、CD8+T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞及び好中球が含まれ、これらの細胞は、細胞傷害応答を媒介できる。
いくつかのケースでは、本明細書に記載されている方法で用いるRNA試料は、免疫細胞の集団に由来することになり、例えば、免疫細胞の混合集団、T細胞の集団、B細胞の集団などが挙げられるが、これらに限らない。いくつかのケースでは、本明細書に記載されている方法で用いるRNA試料は、単一の免疫細胞に由来することになり、例えば、単一のT細胞、単一のB細胞などが挙げられるが、これらに限らない。
ライブラリー
上述のように、本開示の方法で作製するライブラリーは、作製した産物二本鎖cDNAから作製してよい。「産物二本鎖cDNA」とは概して、逆転写反応から作製した、テンプレート核酸の相補体を含む二本鎖DNAを意味する。産物二本鎖cDNAは、逆転写反応を用いて、テンプレートRNAから作製してよく、この場合、例えばmRNAテンプレートを含むいずれかのRNAテンプレートを用いてよい。したがって、提供する方法は、逆転写反応(以下にさらに詳細に説明されているテンプレートスイッチング逆転写反応など)の使用を通じて、RNA試料に存在するテンプレートRNAから産物二本鎖cDNAを作製することを含んでよい。
いくつかのケースでは、本開示の方法は、複数のライブラリー、例えば複数の発現ライブラリー、複数の免疫細胞レセプターレパートリーライブラリー、これらを組み合わせたものなどを複数の単一細胞から調製することを含む。例えば、いくつかのケースでは、複数の個別のRNA試料はそれぞれ、単一細胞(例えば個別の免疫細胞を含む)に由来するものであってよく、その個別のRNA試料を産物二本鎖cDNAの調製に用いて、その後、複数のライブラリーの作製に用いてよい。複数のライブラリーを作製する場合、ライブラリーの調製の際に用いる成分(例えば産物二本鎖cDNA)またはライブラリー自体は、プールしてもしなくてもよい。上述されているとともに、以下にさらに詳細に説明されているように、ライブラリーまたはライブラリーの調製成分をプールする場合には、それらの核酸は、特定のライブラリー成分またはその配列の供給源を遡って同定する際に使用できる同定用ノンテンプレート核酸配列を含んでよい。このような遡及的同定は、例えばデマルチプレックスを通じて行ってよい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法の態様は、発現ライブラリーを調製することを含む。「発現ライブラリー」とは、細胞試料(例えば、単一細胞試料、または細胞の集団を含む試料を含む)の核酸発現を評価する際に有用な核酸ライブラリーを意味する。発現ライブラリーの調製は、次世代シークエンシング(NGS)用の発現ライブラリーを調製することを含んでよい(NGS発現ライブラリーをRNA試料から調製する場合を含む)。
本明細書に記載されているようにして作製するNGSライブラリーは、その核酸メンバーの末端に、該当するシークエンシングプラットフォームを用いるシークエンシングに有用な部分的または完全なシークエンシングプラットフォームアダプター配列が含まれているライブラリーである。該当するシークエンシングプラットフォームとしては、Illumina(登録商標)のHiSeq(商標)、MiSeq(商標)及びGenome Analyzer(商標)シークエンシングシステム、Ion Torrent(商標)のIon PGM(商標)及びIon Proton(商標)シークエンシングシステム、Pacific BiosciencesのPACBIO RS II Sequelシステム、Life Technologies(商標)のSOLiDシークエンシングシステム、Rocheの454 GS FLX+及びGS Juniorシークエンシングシステム、Oxford NanoporeのMinION(商標)システム、または該当するいずれかの他のシークエンシングプラットフォームが挙げられるが、これらに限らない。
上記のように、本開示の方法は、産物二本鎖cDNAをRNA試料から作製することを含み、作製したその産物二本鎖cDNAは、2つ以上の反応混合物に分割してよく、その1つを用いて、発現ライブラリーを調製してよい。調製した発現ライブラリーは、完全長発現ライブラリーまたは非完全長発現ライブラリーであってよい。「完全長発現ライブラリー」とは、そのライブラリーの核酸メンバーが、逆転写してそのcDNAを作る際のテンプレートとした完全長RNAメンバーに対応する完全長cDNA配列を含むことを意味する。例えば、個別のライブラリーメンバーが、mRNAの完全長cDNAである場合、その完全長cDNAは、そのmRNAのコード配列の全体、例えば、スプライシングmRNAコード配列の全体、すなわち、mRNAの5’キャップとポリ(A)テールとの間のmRNAコード配列の全体を含むことになる。完全長cDNAは、mRNAの1つ以上の非翻訳領域(UTR)、例えば、3’UTRまたは5’UTRに対応する配列を含んでも含まなくてもよい。
調製した発現ライブラリーは、いくつかのケースでは、対象とするRNA分子の末端を捕捉するように特異的に調製したライブラリーであってよい。このようなライブラリーは、本明細書では、「末端捕捉型」ライブラリーと称することもあり、あるいは、そのメンバーは、末端捕捉型核酸と称することもある。末端捕捉型ライブラリーは、別々に3’末端捕捉法または5’末端捕捉法が行われる核酸を含み、それらの核酸に対しては、3’末端捕捉法と5’末端捕捉法の両方を行う。末端捕捉法では、末端増幅プライマーを利用してよい。本明細書で使用する場合、「末端増幅プライマー」という用語は概して、増幅対象の二本鎖DNAに導入した末端から増幅するために、PCR反応で使用する核酸プライマーを指す。末端増幅プライマーが結合する二本鎖DNAに導入する末端は概して、その二本鎖DNAの元々の末端ではなく(例えば、元々の5’末端(例えば、逆転写したRNAの元々の5’末端に対応する元々の5’末端)ではないか、または元々の3’末端(例えば、逆転写したRNAの元々の3’末端に対応する元々の3’末端)ではなく)、新たに導入した末端、例えば、断片化及び/またはライゲーション反応の生成物として作製した末端であってよい。
したがって、特定の実施形態では、発現ライブラリーの調製方法は、末端捕捉法である。末端捕捉法は、RNA(例えばmRNA転写産物)のシークエンシング及び/または定量、例えば発現差解析に用いてよい。末端捕捉法では、タグメンテーション反応を利用してよく、その反応では、対象となる二本鎖DNAを断片化し、合成配列(例えば、本明細書に記載されているノンテンプレート配列のうちの1つ以上など)を含む所望のオリゴヌクレオチドに、作製した断片をライゲーションする。タグメンテーションは、この断片化とライゲーションとを媒介するトランスポザーゼを用いることを通じて行ってよい。
特定の実施形態では、末端捕捉法では、RNAの3’末端を捕捉し、例えば、末端捕捉は、第1鎖cDNAプライマーにおける増幅プライマー結合部位と、タグメンテーションによって導入した5’タグメンテーション後PCRプライマー結合部位の存在によって促す。別の実施形態にあって、末端捕捉法では、RNAの5’末端を捕捉し、例えば、末端捕捉は、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドにおける増幅プライマー結合部位と、タグメンテーションによって導入した3’タグメンテーション後PCRプライマー結合部位との存在によって促す。
末端捕捉発現ライブラリーの調製方法の例が、図4に模式的に示されている。この方法は、テンプレートmRNAと、第1鎖cDNAの隣接領域にそれぞれハイブリダイズしたテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドとを含む二本鎖の産物核酸(図示なし)を生成するために十分な条件下で、RNA試料と、PCRプライマー結合ドメインを含む第1鎖cDNAプライマーと、3’ハイブリダイゼーションドメイン及び5’の第2のPCRプライマー結合ドメインを含むテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドと、逆転写酵素(図示なし)と、dNTP(図示なし)とを反応混合物において混ぜ合わせることを含む。この例では、RNA試料は、mRNA(ポリA+)テンプレートを含み、第1鎖cDNAプライマーは、オリゴdT3’ハイブリダイゼーションドメインと、バーコードと、シークエンシングアダプタードメイン(この例では、Illumina(登録商標)Read Primer2配列)と、第1のPCRプライマー結合ドメイン(この例では、Clontech(登録商標)Primer IIAと結合するドメイン)と、ブロッキング修飾部(黒星)とを含む。第1鎖合成の際、逆転写酵素は、テンプレートmRNAから、LNAを含む3’ハイブリダイゼーションドメインと5’ドメイン(第2のPCRプライマー結合ドメインを含む)とを含むテンプレートスイッチオリゴヌクレオチド(この例では、Clontech SMART−Seq v4テンプレートスイッチオリゴヌクレオチド)にテンプレートスイッチする。この例では、第2のPCRプライマー結合ドメイン(Clontech(登録商標)Primer IIAと結合するドメイン)は、第1のPCRプライマー結合ドメインと同じである。第1鎖合成後、ブロックされているClontech(登録商標)Primer IIAを用いて、そのcDNAをPCRによって増幅して、産物二本鎖cDNA(図4における標識「二本鎖cDNA」)を作製する。
図4に示されている例では、産物二本鎖cDNAの作製は、参照のために、ダウンストリームの増幅及びシークエンシングで用いるプライマー結合ドメインとバーコード配列を特定しやすいように図示されている。以下にさらに詳細に説明されているように、提供する方法で用いるタグメンテーションでは、図4に示されているものとは、各種要素(例えばノンテンプレート配列)の有無と位置とが異なる場合がある。例えば、図4の概略図では、3’末端捕捉が示されているが、本開示の方法の様々な工程の成分は、5’末端捕捉用に、容易に再編成できる。加えて、上記のように、提供する方法は概して、産物二本鎖cDNAを作製してから、タグメンテーションの前に、作製した二本鎖cDNAを反応混合物に分割することを含んでもよい。タグメンテーション反応を伴う、ライブラリーの作製についてのさらなる説明は、国際出願第PCT/US2016/051989号に示されており、この出願の開示内容は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
作製する発現ライブラリーは、所望の複雑度(例えば、高い複雑度)を示してよい。発現ライブラリーの「複雑度」は、ライブラリーのシークエンシングによって得られるリダンダントなシークエンシングリード(例えば、同一の開始部位を共有しているリード)の割合に関するものである。複雑度は、リダンダントなシークエンシングリードの割合と逆相関する。複雑度が低いライブラリーでは、特定の標的配列は過剰に示されるが、他の標的(例えば、低レベルで発現するmRNA)は、カバレッジが低いかまたは0になる難点がある。複雑度が高いライブラリーでは、シークエンシングリードは、出発核酸試料における標的核酸の既知の分布とかなり近似し、例えば、出発試料に比較的低レベルで存在することが知られている標的(例えば、低レベルで発現するmRNA)のカバレッジが得られることになる。特定の実施形態によると、提供する方法に従って作製される発現ライブラリーの複雑度は、出発核酸試料(例えばRNA試料)における異なる種の標的核酸(例えば、異なる種のmRNA)の70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上について、シークエンシングリードが作製されるようになるものである。ライブラリーの複雑度は、そのシークエンシングリードを参照ゲノムまたはトランスクリプトーム(例えば、特定の細胞種)にマッピングすることによって求めてよい。Daley et al.(2013)Nature Methods 10(4):325−327に記載されているアプローチを含め、シークエンシングライブラリーの複雑度を求めるための具体的なアプローチが開発されている。
特定の実施形態では、提供する方法はさらに、調製した発現ライブラリーに対して、NGSプロトコールを行うことを含む。このプロトコールは、いずれかの好適なNGSシークエンシングプラットフォームで行ってよい。該当するNGSシークエンシングプラットフォームとしては、Illumina(登録商標)から供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)及び/またはNextSeq(商標)シークエンシングシステム)、Ion Torrent(商標)から供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、Ion PGM(商標)及び/またはIon Proton(商標)シークエンシングシステム)、Pacific Biosciencesから供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、PACBIO RS II Sequelシークエンシングシステム)、Life Technologies(商標)から供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えばSOLiDシークエンシングシステム)、Rocheから供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、454 GS FLX+及び/またはGS Juniorシークエンシングシステム)、あるいは該当するいずれかの他のシークエンシングプラットフォームが挙げられるが、これらに限らない。NGSプロトコールは、用いる特定のNGSシークエンシングシステムに応じて変化することになる。NGSライブラリーをシークエンシングするための詳細なプロトコール(例えば、さらなる増幅(例えば、固相増幅)と、そのアンプリコンをシークエンシングすることと、シークエンシングデータを解析することとを含んでよい)は、用いるNGSシークエンシングシステムのメーカーから入手可能である。
特定の実施形態では、本開示の方法を用いて、該当するシークエンシングプラットフォーム(例えば、Illumina(登録商標)、Ion Torrent(商標)、Pacific Biosciences、Life Technologies(商標)、Rocheなどから供給されているシークエンシングプラットフォーム)でのダウンストリームのシークエンシング用に、mRNAに対応する発現ライブラリーを作製してよい。特定の実施形態によると、本開示の方法を用いて、該当するシークエンシングプラットフォームでのダウンストリームのシークエンシング用に、ポリアデニル化されていないRNAに対応するNGSライブラリーを作製してよい。例えば、本明細書の別の箇所に記載されているように、マイクロRNAをポリアデニル化してから、テンプレートスイッチポリマー化反応におけるテンプレートとして用いてもよい。研究者の目的に応じて、ランダムなプライミングまたは遺伝子特異的なプライミングを用いてもよい。このライブラリーは、コントロールライブラリー(例えば、Illumina(登録商標)のPhiXコントロールライブラリー)と50:50で混合して、シークエンシングプラットフォーム(例えば、Illumina(登録商標)シークエンシングシステム)でシークエンシングしてよい。コントロールライブラリー配列を除去して、残った配列を、mRNAの供給源(例えば、ヒト、マウスまたはいずれかの他のmRNA供給源)のトランスクリプトームにマッピングしてよい。
調製した発現ライブラリーは、様々なダウンストリーム解析で用いてよく、いくつかのケースでは、ライブラリーの調製は、所望の種類のダウンストリーム解析用に特別に再構成してよい。例えば、いくつかのケースでは、調製した発現ライブラリーに対して、mRNAの解析と、ノンコーディングRNA(例えばsnRNA及びsnoRNA)のような、mRNA以外のRNA種の解析とを含む全トランスクリプトーム解析(WTA)を行ってよい。したがって、いくつかのケースでは、ライブラリーの調製は、トランスクリプトームにおけるmRNA以外のRNAを解析できるように、例えば、ポリ(A)テールへのハイブリダイゼーションに依存しないプライマー(例えばランダムプライマー)を用いることによって、またはテーリング反応を加えることによって、例えば、産物二本鎖cDNAの作製前に、天然においてポリアデニル化されないRNA種にポリ(A)テールを付加することによって、特別に構成してよい。
いくつかのケースでは、ライブラリー、例えばWTA用のライブラリーの調製は、試料及び/またはライブラリー中のリボソームRNAの量を低減する工程を含んでよい。選択的除去のために、無用なリボソームRNAを低減及び/または除去するいずれかの利便的な方法を用いてよく、例えば、アフィニティー精製の利用、夾雑核酸の分解(例えば、RiboGone(商標)(Takara Bio USA Inc.,Mountain View,CA)と、米国特許第9,428,794号及び米国特許出願公開第2015/0225773A1号(これらの開示内容は、参照により、その全体が本明細書に援用される)に記載されている方法の利用)と、これらを組み合わせたものなどが挙げられる。
特定の実施形態では、調製した発現ライブラリーは、1つ以上の遺伝子の発現差解析(例えば、相対的な発現量(すなわち、アップレギュレーションまたはダウンレギュレーション)を求める場合を含む)で用いてよい。発現差は、定性的に求めても、定量的に求めてもよく、このような解析は、トランスクリプトームワイドであっても、ターゲット解析であってもよい。したがって、本開示の発現差解析で評価する発現転写産物の数は、変動することになる。いくつかのケースでは、発現差解析では、対象ゲノムにおける発現転写産物の50%以上(例えば、対象ゲノムの発現転写産物の60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上または本質的にすべてが挙げられるが、これらに限らない)を評価してよい。ターゲット発現差解析としては、転写産物のサブセットまたは特定のカテゴリーのみの解析を挙げてよい。ターゲット発現解析の限定的な対象としてよい転写産物カテゴリーは、変動することになり、そのカテゴリーとしては、例えば、免疫遺伝子転写産物を挙げてよいが、これに限らない。
免疫遺伝子の有用なカテゴリー及びサブカテゴリーには概して、免疫系の機能と、病原体に対する有効な防御とを担う遺伝子群が含まれ、例えば、免疫系プロセスと関連がある遺伝子(遺伝子オントロジー(GO)アクセッション番号GO:0002376によって特定される遺伝子(geneontology.orgにおいてオンライで入手可能))が挙げられるが、これらに限らず、このような遺伝子としては例えば、B細胞媒介免疫、B細胞セレクション、T細胞媒介免疫、T細胞セレクション、免疫応答の活性化、抗原の処理と提示、粘膜関連リンパ組織における抗原サンプリング、好塩基球媒介免疫、好酸球媒介免疫、血球分化、血球増殖、免疫エフェクタープロセス、免疫応答、免疫系の惹起、免疫記憶プロセス、白血球活性化、白血球ホメオスタシス、白血球媒介免疫、白血球遊走、リンパ球共刺激、リンパ球媒介免疫、マスト細胞媒介免疫、骨髄系細胞ホメオスタシス、骨髄性白血球媒介免疫、ナチュラルキラー細胞媒介免疫、免疫系プロセスの負の調節、好中球媒介免疫、免疫系プロセスの正の調節、免疫応答のメディエーター分子の産生、免疫系プロセスの調節、免疫レセプターの体細胞レベルでの多様化、寛容性誘導などと関連のある遺伝子が挙げられるが、これらに限らない。該当する具体的な遺伝子としては、サイトカイン、インターロイキン、インターロイキンレセプター、CD4、CD8、CD3、PD−1などが挙げられるが、これらに限らない。
上記で概説したように、いくつかの実施形態では、本開示の方法は、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーをRNA試料から調製することを含む。本開示の方法の態様は、RNA試料から作製した産物二本鎖cDNAから、免疫細胞特異的cDNAを増幅して、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを作製することを含む。「免疫細胞レセプターレパートリーライブラリー」とは概して、細胞または細胞集団の1種類以上の免疫レセプターの完全長配列または部分配列を含む核酸ライブラリーを意味する。例えば、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーは、単一細胞において、または単一細胞試料、単一の対象もしくは細胞試料集団(例えば、2人以上の対象に由来する試料集団を含む)に由来する細胞集団において作製してよい。いくつかのケースでは、本開示のライブラリーは、個別の単一細胞から作製してよく、同定用核酸配列を付加した後、プールしてよい。
上述のように、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーのメンバーは、長さが様々であってよく、完全長であっても、完全長未満であってもよい。いくつかのケースでは、本開示のライブラリーのメンバーは優先的には、免疫細胞レセプターの5’末端を含むことになる。該当する免疫細胞レセプターとしては例えば、T細胞レセプター(TCR)とB細胞レセプター(BCR)とが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかのケースでは、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとして、TCRレパートリーライブラリーを挙げてよい。TCR複合体は、ジスルフィド結合による膜アンカー型ヘテロダイマータンパク質であって、通常、T細胞の表面に発現し、CD3鎖分子との複合体の一部として発現する可変性が高いアルファ(α)鎖及びベータ(β)鎖からなるタンパク質である。ヘテロダイマーαβ型またはヘテロダイマーγδ型に、多くのネイティブTCRが存在する。ヘテロダイマーαβ型における完全内因性TCR複合体は、8本の鎖、すなわち、アルファ鎖(本明細書では、TCRαまたはTCRアルファという)、ベータ鎖(本明細書では、TCRβまたはTCRベータという)、デルタ鎖、ガンマ鎖、2本のエプシロン鎖及び2本のゼータ鎖を含む。アルファTCR鎖とベータTCR鎖とは、可変(V)領域及び定常(C)領域を含む。TCRの多様性は、遺伝子組み換え(アルファ鎖のVJ組み換えと、ベータ鎖のVDJ組み換え)に起因し、この組み換えによって、抗原(すなわちペプチド/MHC)認識にとって重要である交差部区域が生じる。
いくつかのケースでは、TCRレパートリーライブラリーは、TCR−α鎖配列、TCR−β鎖配列またはTCR−α鎖配列及びTCR−β鎖配列の両方を含んでよい。本開示のTCRレパートリーライブラリーのTCR鎖配列は、完全長TCR鎖配列(例えば、完全長TCRアルファ鎖配列、完全長TCRベータ鎖配列)または部分TCR鎖配列(例えば、部分長TCRアルファ鎖配列、部分長TCRベータ鎖配列)を含んでよい。
本開示のTCRレパートリーライブラリーメンバーが、部分TCR鎖配列を含む場合、その部分TCR鎖配列は、TCR鎖可変領域(例えば、TCRアルファ鎖可変領域、TCRベータ鎖可変領域)の全体または本質的に全体を含んでよい。いくつかのケースでは、得られるライブラリーメンバーは、TCR可変領域と、TCR定常領域の少なくとも一部とを含む。いくつかのケースでは、得られるライブラリーメンバーは、TCRアルファ及び/またはベータ鎖5’mRNA末端に対応する配列を含む。いくつかのケースでは、得られるライブラリーメンバーは、対応する鎖定常領域の少なくとも一部に対するTCRアルファまたはベータ鎖5’末端に由来する配列を含む。
特定の実施形態では、免疫細胞特異的ライブラリーの調製は、TCR特異的増幅を含んでよい。このようなTCR特異的増幅では、TCR特異的プライマーを用いてよい。「TCR特異的プライマー」とは、TCR鎖(例えば、TCRアルファ鎖、TCRベータ鎖)の核酸配列またはその相補体の領域に特異的にハイブリダイズするプライマーを意味する。いくつかのケースでは、TCR特異的プライマーは、1種類のTCR鎖のみ、例えば、TCRアルファ鎖のみ、またはTCRベータ鎖のみにハイブリダイズしてよい。いくつかのケースでは、TCR特異的プライマーは、2種類以上のTCR鎖にハイブリダイズするように構成されていてよく、例えば、TCRアルファ鎖とTCRベータ鎖との両方にハイブリダイズするように構成されていてよい。
TCR特異的プライマーは、TCRアルファ鎖定常領域またはその相補体に特異的にハイブリダイズするように設計されていてよい。例えば、いくつかのケースでは、TCR特異的プライマーは、哺乳類動物TCRアルファ鎖定常領域またはその相補体(例えば、ヒトTCRアルファ鎖定常領域、マウスTCRアルファ鎖定常領域などを含む)にハイブリダイズしてよい。
例示的なヒトTCRアルファ鎖定常領域は、
PNIQNPDPAVYQLRDSKSSDKSVCLFTDFDSQTNVSQSKDSDVYITDKTVLDMRSMDFKSNSAVAWSNKSDFACANAFNNSIIPEDTFFPSPESSCDVKLVEKSFETDTNLNFQNLSVIGFRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS(配列番号01)
というアミノ酸配列を有し、この配列は、
CCAAATATCCAGAACCCTGACCCTGCCGTGTACCAGCTGAGAGACTCTAAATCCAGTGACAAGTCTGTCTGCCTATTCACCGATTTTGATTCTCAAACAAATGTGTCACAAAGTAAGGATTCTGATGTGTATATCACAGACAAAACTGTGCTAGACATGAGGTCTATGGACTTCAAGAGCAACAGTGCTGTGGCCTGGAGCAACAAATCTGACTTTGCATGTGCAAACGCCTTCAACAACAGCATTATTCCAGAAGACACCTTCTTCCCCAGCCCAGAAAGTTCCTGTGATGTCAAGCTGGTCGAGAAAAGCTTTGAAACAGATACGAACCTAAACTTTCAAAACCTGTCAGTGATTGGGTTCCGAATCCTCCTCCTGAAAGTGGCCGGGTTTAATCTGCTCATGACGCTGCGGCTGTGGTCCAGCTGA(配列番号02、T細胞レセプターアルファ鎖C領域、ヒト、GenBank:AY247834.1、AAO72258.1、UniProtKB:P01848)
という核酸配列によってコードされる。
例示的なマウスTCRアルファ鎖定常領域は、
PYIQNPEPAVYQLKDPRSQDSTLCLFTDFDSQINVPKTMESGTFITDKTVLDMKAMDSKSNGAIAWSNQTSFTCQDIFKETNATYPSSDVPCDATLTEKSFETDMNLNFQNLSVMGLRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS(配列番号03、UniProtKB:P01849)または
PNIQNPEPAVYQLKDPRSQDSTLCLFTDFDSQINVPKTMESGTFITDKTVLDMKAMDSKSNGAIAWSNQTSFTCQDIFKETNATYPSSDVPCDATLTEKSFETDMNLNFQNLSVMGLRILLLKVAGFNLLMTLRLWSS(配列番号04、GenBank:AAA53226.1)
というアミノ酸配列を有し、これらの配列はそれぞれ、
CCATACATCCAGAACCCAGAACCTGCTGTGTACCAGTTAAAAGATCCTCGGTCTCAGGACAGCACCCTCTGCCTGTTCACCGACTTTGACTCCCAAATCAATGTGCCGAAAACCATGGAATCTGGAACGTTCATCACTGACAAAACTGTGCTGGACATGAAAGCTATGGATTCCAAGAGCAATGGGGCCATTGCCTGGAGCAACCAGACAAGCTTCACCTGCCAAGATATCTTCAAAGAGACCAACGCCACCTACCCCAGTTCAGACGTTCCCTGTGATGCCACGTTGACCGAGAAAAGCTTTGAAACAGATATGAACCTAAACTTTCAAAACCTGTCAGTTATGGGACTCCGAATCCTCCTGCTGAAAGTAGCGGGATTTAACCTGCTCATGACGCTGAGGCTGTGGTCCAGT(配列番号05)、
CCAAACATCCAGAACCCAGAACCTGCTGTGTACCAGTTAAAAGATCCTCGGTCTCAGGACAGCACCCTCTGCCTGTTCACCGACTTTGACTCCCAAATCAATGTGCCGAAAACCATGGAATCTGGAACGTTCATCACTGACAAAACTGTGCTGGACATGAAAGCTATGGATTCCAAGAGCAATGGGGCCATTGCCTGGAGCAACCAGACAAGCTTCACCTGCCAAGATATCTTCAAAGAGACCAACGCCACCTACCCCAGTTCAGACGTTCCCTGTGATGCCACGTTGACCGAGAAAAGCTTTGAAACAGATATGAACCTAAACTTTCAAAACCTGTCAGTTATGGGACTCCGAATCCTCCTGCTGAAAGTAGCGGGATTTAACCTGCTCATGACGCTGAGGCTGTGGTCCAGT(配列番号06、GenBank:U07662.1)
という核酸配列によってコードされる。
TCR特異的プライマーは、TCRベータ鎖定常領域(例えば、TCRベータ1鎖定常領域もしくはTCRベータ2鎖定常領域)またはその相補体に特異的にハイブリダイズするように設計されていてよい。例えば、いくつかのケースでは、TCR特異的プライマーは、哺乳類動物TCRベータ鎖定常領域またはその相補体(例えば、ヒトTCRベータ鎖定常領域、マウスTCRベータ鎖定常領域などを含む)にハイブリダイズしてよい。
例示的なヒトTCRベータ鎖1定常領域は、
EDLNKVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSVSYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDF(配列番号07、UniProtKB:P01850、GenBank:CAA25134.1)
というアミノ酸配列を有し、この配列は、
GAGGACCTGAACAAGGTGTTCCCACCCGAGGTCGCTGTGTTTGAGCCATCAGAAGCAGAGATCTCCCACACCCAAAAGGCCACACTGGTGTGCCTGGCCACAGGCTTCTTCCCCGACCACGTGGAGCTGAGCTGGTGGGTGAATGGGAAGGAGGTGCACAGTGGGGTCAGCACAGACCCGCAGCCCCTCAAGGAGCAGCCCGCCCTCAATGACTCCAGATACTGCCTGAGCAGCCGCCTGAGGGTCTCGGCCACCTTCTGGCAGAACCCCCGCAACCACTTCCGCTGTCAAGTCCAGTTCTACGGGCTCTCGGAGAATGACGAGTGGACCCAGGATAGGGCCAAACCCGTCACCCAGATCGTCAGCGCCGAGGCCTGGGGTAGAGCAGACTGTGGCTTTACCTCGGTGTCCTACCAGCAAGGGGTCCTGTCTGCCACCATCCTCTATGAGATCCTGCTAGGGAAGGCCACCCTGTATGCTGTGCTGGTCAGCGCCCTTGTGTTGATGGCCATGGTCAAGAGAAAGGATTTC(配列番号08、GenBank:EF101778.1、X00437.1)
という核酸配列によってコードされる。
例示的なヒトTCRベータ鎖2定常領域は、
DLKNVFPPEVAVFEPSEAEISHTQKATLVCLATGFYPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQPLKEQPALNDSRYCLSSRLRVSATFWQNPRNHFRCQVQFYGLSENDEWTQDRAKPVTQIVSAEAWGRADCGFTSESYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSALVLMAMVKRKDSRG(配列番号09、UniProtKB:A0A5B9、GenBank:AAA60662.1)
というアミノ酸配列を有し、この配列は、
GACCTGAAAAACGTGTTCCCACCCGAGGTCGCTGTGTTTGAGCCATCAGAAGCAGAGATCTCCCACACCCAAAAGGCCACACTGGTATGCCTGGCCACAGGCTTCTACCCCGACCACGTGGAGCTGAGCTGGTGGGTGAATGGGAAGGAGGTGCACAGTGGGGTCAGCACAGACCCGCAGCCCCTCAAGGAGCAGCCCGCCCTCAATGACTCCAGATACTGCCTGAGCAGCCGCCTGAGGGTCTCGGCCACCTTCTGGCAGAACCCCCGCAACCACTTCCGCTGTCAAGTCCAGTTCTACGGGCTCTCGGAGAATGACGAGTGGACCCAGGATAGGGCCAAACCCGTCACCCAGATCGTCAGCGCCGAGGCCTGGGGTAGAGCAGACTGTGGCTTCACCTCCGAGTCTTACCAGCAAGGGGTCCTGTCTGCCACCATCCTCTATGAGATCTTGCTAGGGAAGGCCACCTTGTATGCCGTGCTGGTCAGTGCCCTCGTGCTGATGGCCATGGTCAAGAGAAAGGATTCCAGAGGCTAG(配列番号10、GenBank:L34740.1)
という核酸配列によってコードされる。
例示的なマウスTCRベータ鎖1定常領域は、
EDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYQQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSTLVVMAMVKRKNS(配列番号11、UniProtKB:P01852)
というアミノ酸配列を有し、この配列は、
GAGGATCTGAGAAATGTGACTCCACCCAAGGTCTCCTTGTTTGAGCCATCAAAAGCAGAGATTGCAAACAAACAAAAGGCTACCCTCGTGTGCTTGGCCAGGGGCTTCTTCCCTGACCACGTGGAGCTGAGCTGGTGGGTGAATGGCAAGGAGGTCCACAGTGGGGTCAGCACGGACCCTCAGGCCTACAAGGAGAGCAATTATAGCTACTGCCTGAGCAGCCGCCTGAGGGTCTCTGCTACCTTCTGGCACAATCCTCGCAACCACTTCCGCTGCCAAGTGCAGTTCCATGGGCTTTCAGAGGAGGACAAGTGGCCAGAGGGCTCACCCAAACCTGTCACACAGAACATCAGTGCAGAGGCCTGGGGCCGAGCAGACTGTGGGATTACCTCAGCATCCTATCAACAAGGGGTCTTGTCTGCCACCATCCTCTATGAGATCCTGCTAGGGAAAGCCACCCTGTATGCTGTGCTTGTCAGTACACTGGTGGTGATGGCTATGGTCAAAAGAAAGAATTCATGA(配列番号12、GenBank:FJ188408.1)
という核酸配列によってコードされる。
例示的なマウスTCRベータ鎖2定常領域は、
EDLRNVTPPKVSLFEPSKAEIANKQKATLVCLARGFFPDHVELSWWVNGKEVHSGVSTDPQAYKESNYSYCLSSRLRVSATFWHNPRNHFRCQVQFHGLSEEDKWPEGSPKPVTQNISAEAWGRADCGITSASYHQGVLSATILYEILLGKATLYAVLVSGLVLMAMVKKKNS(配列番号13、UniProtKB:P01851)
というアミノ酸配列を有し、この配列は、
GAGGATCTGAGAAATGTGACTCCACCCAAGGTCTCCTTGTTTGAGCCATCAAAAGCAGAGATTGCAAACAAACAAAAGGCTACCCTCGTGTGCTTGGCCAGGGGCTTCTTCCCTGACCACGTGGAGCTGAGCTGGTGGGTGAATGGCAAGGAGGTCCACAGTGGGGTCAGCACGGACCCTCAGGCCTACAAGGAGAGCAATTATAGCTACTGCCTGAGCAGCCGCCTGAGGGTCTCTGCTACCTTCTGGCACAATCCTCGAAACCACTTCCGCTGCCAAGTGCAGTTCCATGGGCTTTCAGAGGAGGACAAGTGGCCAGAGGGCTCACCCAAACCTGTCACACAGAACATCAGTGCAGAGGCCTGGGGCCGAGCAGACTGTGGAATCACTTCAGCATCCTATCATCAGGGGGTTCTGTCTGCAACCATCCTCTATGAGATCCTACTGGGGAAGGCCACCCTATATGCTGTGCTGGTCAGTGGCCTGGTGCTGATGGCCATGGTCAAGAAAAAAAATTCCTGA(配列番号14、GenBank:U46841.1)
という核酸配列によってコードされる。
いくつかのケースでは、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとしては、BCRレパートリーライブラリーを挙げてよい。BCR複合体は、B細胞の表面に見られ、膜結合免疫グロブリン(すなわち抗体)結合部分を含み、この部分は、重鎖と軽鎖とを含み、これらの鎖はそれぞれ、定常(C)領域及び可変(V)領域を含む。BCRの免疫グロブリン鎖は、ジスルフィド架橋によって、シグナル伝達CD79A/B鎖に結合している。BCRの免疫グロブリン鎖は、様々なアイソタイプ(IgD、IgM、IgA、IgGまたはIgEを含む)のものである。TCRと同様に、BCRの免疫グロブリン部分では、V(D)J組み換えが行われて、集団内において非常に高い多様性をもたらす。
いくつかのケースでは、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとしては、BCRレパートリーライブラリーを挙げてよく、この場合、例えば、そのBCRレパートリーライブラリーは、BCR免疫グロブリン鎖配列(例えば、IgD、IgM、IgA、IgGまたはIgE鎖配列)を含んでよい。本開示のBCRレパートリーライブラリーの免疫グロブリン鎖配列としては、完全長免疫グロブリン鎖配列(例えば、完全長重鎖配列、完全長軽鎖配列)または部分免疫グロブリン配列(例えば、部分重鎖配列、部分軽鎖配列)を挙げてよい。
本開示のBCRレパートリーライブラリーメンバーが、部分免疫グロブリン鎖配列を含む場合、その部分免疫グロブリン鎖配列は、免疫グロブリン可変領域(例えば、免疫グロブリン軽鎖可変領域(複数可)、免疫グロブリン重鎖可変領域(複数可))の全体または本質的に全体を含んでよい。いくつかのケースでは、得られるライブラリーメンバーは、免疫グロブリン可変領域(複数可)と、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部とを含んでよい。いくつかのケースでは、得られるライブラリーメンバーは、免疫グロブリン重鎖及び/または軽鎖5’mRNA末端に対応する配列を含む。いくつかのケースでは、得られるライブラリーメンバーは、対応する免疫グロブリン鎖定常領域の少なくとも一部に対する免疫グロブリン重鎖または軽鎖5’末端に由来する配列を含む。
特定の実施形態では、免疫細胞特異的ライブラリーの調製は、BCR特異的増幅(例えば、免疫グロブリン鎖特異的増幅を含む)を含んでよい。このような免疫グロブリン特異的増幅では、免疫グロブリン特異的プライマーを用いてよい。「免疫グロブリン特異的プライマー」とは、免疫グロブリン鎖(例えば、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖)核酸配列またはその相補体の領域に特異的にハイブリダイズするプライマーを意味する。いくつかのケースでは、免疫グロブリン特異的プライマーは、1種類の免疫グロブリン鎖のみ、例えば、免疫グロブリン重鎖のみ、免疫グロブリン軽鎖のみ、IgD鎖のみ、IgM鎖のみ、IgA鎖のみ、IgG鎖のみ、IgE鎖のみなどにハイブリダイズしてよい。
免疫グロブリン特異的プライマーは、免疫グロブリン重鎖定常領域またはその相補体に特異的にハイブリダイズするように設計されていてよい。例えば、いくつかのケースでは、免疫グロブリン特異的プライマーは、哺乳類動物免疫グロブリン重鎖定常領域またはその相補体(例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖定常領域、マウス免疫グロブリン重鎖定常領域などを含む)にハイブリダイズしてよい。
免疫グロブリン特異的プライマーは、免疫グロブリン軽鎖定常領域またはその相補体に特異的にハイブリダイズするように設計されていてよい。例えば、いくつかのケースでは、免疫グロブリン特異的プライマーは、哺乳類動物免疫グロブリン軽鎖定常領域またはその相補体(例えば、ヒト免疫グロブリン軽鎖定常領域、マウス免疫グロブリン軽鎖定常領域などを含む)にハイブリダイズしてよい。
ライブラリーの調製の際に行う増幅(例えば、免疫レセプター特異的増幅を含む)は、1ラウンドで行ってよく、あるいは、複数ラウンドの増幅を用いてもよい。例えば、いくつかのケースでは、第1ラウンドの増幅後、その第1ラウンドで用いなかった1つ以上の増幅プライマーを反応混合物に加えて、第1ラウンドの増幅の産物を核酸テンプレートとして用いて第2ラウンドの増幅を促してもよい。いくつかのケースでは、第2ラウンドまたは第3ラウンド以降(複数可)の増幅は、ネステッド増幅を伴ってもよく、すなわち、第2ラウンドまたは第3ラウンド以降(複数可)の増幅で用いるプライマー結合部位は、第1ラウンドの増幅で作製した産物の内側(すなわち、3’末端または5’末端から1つ分以上のヌクレオチド)に位置する。ネステッド増幅を用いる場合、ネスティングの程度は、所望に応じて変動することになり、例えば、第2ラウンドまたは第3ラウンド以降のプライマー結合部位が、第1ラウンドの増幅で作製したアンプリコンの3’末端または5’末端から1個分以上(2個分以上、3個分以上、4個分以上、5個分以上、6個分以上、7個分以上、8個分以上、9個分以上、10個分以上、15個分以上、20個分以上など)のヌクレオチドである場合が挙げられる。
いくつかのケースでは、第2ラウンドまたは第3ラウンド以降(複数可)の増幅は、ネスティングせず、第2ラウンドの増幅において、第1ラウンドの増幅で用いた1つ以上のプライマー結合部位、または第1ラウンドの増幅の際に付加したプライマー結合部位(例えば、ノンテンプレート配列の一部として付加したプライマー結合部位)を用いる場合が挙げられる。いくつかのケースでは、第2ラウンドまたは第3ラウンド以降の増幅において、一方の末端ではネステッドプライマー増幅部位を、他方の末端では非ネステッドプライマー増幅部位(例えば、その前に用いたプライマー結合部位または付加したプライマー結合部位)を用いてよく、そのネステッド部位が、アンプリコンの3’末端またはアンプリコンの5’末端にある場合が挙げられる。
所定のライブラリー増幅工程の後、調製したライブラリーは、シークエンシングできる状態になっているとみなしてよい。特定の実施形態では、提供する方法はさらに、調製した免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーに対してNGSプロトコールを行うことを含んでよい。このプロトコールは、いずれかの好適なNGSシークエンシングプラットフォームで行ってよい。該当するNGSシークエンシングプラットフォームとしては、Illumina(登録商標)から供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)及び/またはNextSeq(商標)シークエンシングシステム)、Ion Torrent(商標)から供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、Ion PGM(商標)及び/またはIon Proton(商標)シークエンシングシステム)、Pacific Biosciencesから供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、PACBIO RS II Sequelシークエンシングシステム)、Life Technologies(商標)から供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、SOLiDシークエンシングシステム)、Rocheから供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば454 GS FLX+及び/またはGS Juniorシークエンシングシステム)、あるいは該当するいずれかの他のシークエンシングプラットフォームが挙げられるが、これらに限らない。NGSプロトコールは、用いる特定のNGSシークエンシングシステムに応じて変化することになる。NGSライブラリーをシークエンシングするための詳細なプロトコール(例えば、さらなる増幅(例えば固相増幅)、アンプリコンのシークエンシング及びシークエンシングデータの解析を含んでよい)は、用いるNGSシークエンシングシステムのメーカーから入手可能である。
単一細胞、反応容器及びドロップレット
上記で概説したように、いくつかのケースでは、本明細書に記載されているように、RNA試料を単一細胞から抽出して、1つ以上のライブラリーを作製してよい。そして、このような「単一細胞ライブラリー」は、さらなるダウンストリームアプリケーション(シークエンシングアプリケーションなど)で用いてよい。本明細書で使用する場合、「単一細胞」とは、1つの細胞を指す。テンプレートRNAの供給源として有用な、及び/または単一細胞ライブラリー(発現ライブラリー及び/または免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーなど)の作製に有用な単一細胞は、該当する組織、または生検標本、血液試料もしくは細胞培養液から採取することができる。加えて、特定の器官、組織、腫瘍、新生物などに由来する細胞を採取して、本明細書に記載されている方法で用いることができる。
上記のような方法で用いる単一細胞は、いずれかの利便的な方法によって採取してよい。例えば、いくつかのケースでは、単一細胞は、細胞試料の限界希釈を通じて採取してよい。いくつかのケースでは、本開示の方法は、単一細胞を採取する工程を含んでよい。単一細胞懸濁液は、当該技術分野において知られている標準的な方法を用いて得ることができ、その方法としては、例えば、トリプシンまたはパパインを酵素的に用いて、組織試料中の細胞を結合させているタンパク質を消化するもの、培養液中で接着細胞を剥離するもの、または試料中の細胞を機械的に分離させるものが挙げられる。単一細胞は、いずれかの好適な反応容器に入れることができ、その容器内で、単一細胞を個別に処理できる。例えば、96ウェルプレート、384ウェルプレート、またはいずれかの数(2000個、4000個、6000個もしくは10000個以上など)のウェルを有するプレートである。マルチウェルプレートは、チップ及び/または器具の一部であることができる。本開示は、マルチウェルプレートにおけるウェルの数によって限定されない。様々な実施形態では、プレートのウェルの総数は、100〜200,000個または5000〜10,000個である。別の実施形態では、プレートは、さらに小さいチップを含み、そのチップはそれぞれ、5,000〜20,000個のウェルを含む。例えば、正方形チップは、直径0.1mmのナノウェルを172×72個含んでよい。
いくつかのケースでは、単一細胞は、セルソーター装置を用いて細胞試料をソーティングすることによって得てよい。「セルソーター」とは、本明細書で使用する場合、ダウンストリームプロセス(本明細書に記載されているようなライブラリー調製プロセスなど)のために、個々の細胞を適切な容器にソーティング可能にするいずれかの装置を意味する。
有用なセルソーターとしては、フローサイトメーター(蛍光活性化セルソーティング(FACS)で用いられている装置など)が挙げられる。フローサイトメトリーは、流体培地において、異なる粒子(例えば細胞)種、すなわち、標識(波長、強度)、サイズなどが互いに異なる粒子を同定または区別するために、マルチパラメーターデータを用いる周知の手法である。試料をフローサイトメトリー解析する際には、まず、試料のアリコートをフローサイトメーターの流路に入れる。流路内で、試料中の細胞が、1つ以上の感知領域を実質的に1度に1つずつ通過すると、各細胞は、単一波長の光源(またはいくつかのケースでは、2つ以上の別々の光源)に1つずつ別々に暴露され、細胞ごとに、所望に応じて散乱及び/または蛍光パラメーターの測定値を別々に記録する。細胞ごとに記録したデータは、所望に応じて、リアルタイムで解析するか、または後で解析する際に備えて、データストレージ及び解析手段(コンピューターなど)に格納する。
フローサイトメーターを用いてソーティングする細胞は、一般的な容器(すなわち、シングルチューブ)にソーティングしてよく、あるいは、個別の容器に別々にソーティングしてもよい。例えば、いくつかのケースでは、細胞は、下記のように、マルチウェルプレートの個別のウェルにソーティングしてよい。
特定の実施形態によると、セルソーティングは、細胞の解析及び/または同定のアップストリームプロセス(表現型解析という場合もある)を含んでよい。例えば、いくつかのケースでは、細胞試料の細胞は、FACSソーティングによって、特定の表現型の特徴(表面マーカーの発現、生存能、形態、遺伝子の発現、サイトカインの発現など)を有するものとして特定して、その特徴に基づき、さらなる処理に備えて選択してよい。例えば、いくつかのケースでは、細胞試料の細胞は、1つ以上の免疫細胞マーカー(例えば、T細胞マーカー、B細胞マーカーなどが挙げられる)の発現に基づきソーティングして、さらなるダウンストリームプロセス用に回収してよい。一例では、T細胞は、1つ以上のT細胞表面マーカー(例えば、CD4、CD8など)の発現に基づき選択してよく、それらのT細胞は、さらなる処理のために回収してよい。いくつかのケースでは、(例えば、FACSソーティングを通じて)回収した細胞は、さらなる処理(本明細書に記載されているような、ライブラリーの調製が挙げられる)の前に、単一細胞試料に再配分してよい。
有用なセルソーターとしては、フローサイトメトリーを用いないマルチウェルベースのシステムも挙げられる。このようなマルチウェルベースのシステムとしては、いずれかの利便的な手段によって、マルチウェル容器の個別のウェルに細胞を入れることができる本質的にあらゆるシステムが挙げられる(例えば、ポアソン分布(すなわち限界希釈)統計(例えばマルチサンプルナノディスペンス(MSND)システム)を用いることを通じて、(例えば、手作業で細胞を取り出すか、またはロボットアームまたはピペッターを用いて分注することを通じて)細胞を個別に入れることを含む)。いくつかのケースでは、有用なマルチウェルシステムとしては、マルチウェルウエハーまたはチップが挙げられ、この場合、細胞をウェルまたはウエハー/チップに入れて、顕微鏡解析システムによって個別に同定する。いくつかのケースでは、自動顕微鏡解析システムをマルチウェルウエハー/チップと併せて用いて、ダウンストリーム解析(本明細書に記載されているような、ライブラリーの調製を含む)を行う個別の細胞を自動的に同定してよい。
いくつかのケースでは、1つ以上の細胞を適切な反応容器にソーティングするか、または別段の形で、適切な反応容器に移してよく、このような容器としては、本明細書に記載されているようなライブラリー調製の態様の1つ以上を行うために十分な容器が挙げられる。反応成分を反応容器に加えてよく、例えば、RNA試料を調製するための成分、産物二本鎖cDNAを作製するための成分、1つ以上のライブラリー調製反応のための成分などが挙げられる。反応混合物とその成分とを入れることができるとともに、本開示の方法の反応を行うことができる反応容器は、様々なものがある。有用な反応容器としては、例えば、チューブ(例えば、シングルチューブ、マルチチューブストリップなど)、ウェル(例えば、マルチウェルプレート(例えば、96ウェルプレート、384ウェルプレート、またはいずれかの数(2000個、4000個、6000個もしくは10000個以上など)のウェルがあるプレート)のウェル)が挙げられるが、これらに限らない。マルチウェルプレートは、独立していても、チップ及び/または器具の一部であってもよい。
いくつかのケースでは、反応混合物とその成分とは、例えば、以下にさらに詳細に説明されているように、液体ドロップレット(例えば、水中油型エマルジョンドロップレット)に加えてよく、本開示の方法の反応は、液体ドロップレット(例えば、油中水型エマルジョンドロップレット)で行ってよい。ドロップレットは、個別反応容器の目的を果たすことができるが、ドロップレット(またはドロップレットを含むエマルジョン)は概して、好適な容器(例えば、チューブ、ウェルまたはマイクロ流体チャネルなど)に入れることになる。ドロップレットで行った増幅反応物は、例えば、蛍光(例えば、核酸検出試薬または標識プローブからの蛍光)に基づき、蛍光ベースのドロップレットソーターを用いてソーティングしてよい。有用な蛍光ベースのドロップレットソーターは、様々なものがあり、例えば、フローサイトメーター、マイクロ流体ベースのドロップレットソーターなどを挙げてよい。
上記のように、プール工程を含むプロトコールでは、そのプール工程は、例えば、単一細胞、ドロップレット、ウェルなどから、産物二本鎖cDNAを作製後に行うことができる。したがって、本明細書に記載されている方法の特定の実施形態では、細胞を該当する組織(例えば血液)から得て、単一細胞懸濁液を得る。単一細胞をマルチウェルプレートのウェルの1つまたはその他の好適な容器(マイクロ流体チャンバーまたはチューブなど)に入れる。細胞を溶解し、反応成分をその溶解液に直接加える。単一細胞試料のプーリングを用いるか否かにかかわらず、作製したライブラリーをシークエンシングして、リードを作製してよい。これにより、各単一細胞で発現している遺伝子を同定可能にできる。
本明細書に記載されている方法の特定の実施形態では、ドロップレットを得て、単一ドロップレットをマルチウェルプレートのウェルの1つまたはその他の好適な容器(マイクロ流体チャンバーまたはチューブなど)にソーティングする。反応混合物をそのドロップレットに、例えば、さらなる精製を行わずに直接加えてよい。
いくつかのケースでは、本開示の方法は、単一ドロップレットを得る工程を含んでよい。ドロップレット細胞を得る作業は、いずれかの利便的なプロトコールに従って行ってよく、そのプロトコールとしては、(例えば、蛍光ベースのソーター(例えば、フローサイトメーターまたはマイクロ流体ベースのソーター)を用いて)例えばドロップレットを機械的にソーティングすることが挙げられる。単一ドロップレットを個別に処理できるいずれかの好適な反応容器に、単一ドロップレットを入れることができる。例えば、96ウェルプレート、384ウェルプレート、またはいずれかの数(2000個、4000個、6000個もしくは10000個以上など)のウェルを持つプレートである。マルチウェルプレートは、チップ及び/または器具の一部であることができる。本開示は、マルチウェルプレートのウェルの数によって限定されない。様々な実施形態では、プレートのウェルの総数は、100〜200,000個または5000〜10,000個である。別の実施形態では、プレートは、さらに小さいチップを含み、そのチップはそれぞれ、5,000〜20,000個のウェルを含む。例えば、正方形チップは、直径0.1mmのナノウェルを72×72個または125×125個含んでよい。
マルチウェルプレートのウェル(例えばナノウェル)は、いずれかの利便的なサイズ、形または容積で作られていてよい。ウェルは、長さ100μm〜1mm、幅100μm〜1mm、深さ100μm〜1mmであってよい。様々な実施形態では、各ナノウェルは、アスペクト比(幅に対する深さの比)が1〜4である。一実施形態では、各ナノウェルは、アスペクト比が2である。横断面は、円形、楕円形、卵形、円錐形、長方形、三角形、多面体またはいずれかの他の形であってよい。ウェルのいずれかの所定の深さにおける横断面は、大きさと形とが様々であってもよい。
特定の実施形態では、ウェルは、容積が0.1nl〜1μlである。ナノウェルは、容積が、1μl以下(500nl以下など)であってよい。容積は、200nl以下(100nl以下など)であってよい。実施形態では、ナノウェルの容積は100nlである。所望の場合、ナノウェルは、容積に対する表面積の比を増大させるように作製でき、それによって、そのユニットを介した熱伝導を促して、それにより、熱サイクルのランプ時間を短縮できる。各ウェル(例えばナノウェル)の穴は、様々な形状を取っていてよい。例えば、ウェルの穴は、別々の隣接する区画を形成するように、直線または曲線状の壁によって隔てられていても、内側の環状区画と外側の環状区画とを形成するように、環状の壁で隔てられていてもよい。
1つのウェルに単一細胞または単一ドロップレットが入るように、ウェルを設計できる。個々の細胞またはドロップレットは、いずれかの他の好適な容器、例えば、マイクロ流体チャンバー、ドロップレット、ナノウェル、チューブなどで分離してよい。単一細胞またはドロップレットを操作するいずれかの利便的な方法を用いてよく、そのような方法としては、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、ロボット装置インジェクション、自然流下またはマイクロ操作、及び半自動セルピッカー(例えば、Stoelting Co.のQuixell(商標)細胞移動システム)などの使用が挙げられる。いくつかのケースでは、ポアソン統計に従って(例えば、ウェルの約10%、20%、30%または40%以上が、単一細胞またはドロップレットを含むように(この値は、容器に分注する流体の所定の単位体積における細胞またはドロップレットの数を調整することによって定義できる))、単一細胞またはドロップレットをプレートのウェルに入れることができる。いくつかのケースでは、好適な反応容器は、ドロップレット(例えばマイクロドロップレット)を含む。個別の細胞またはドロップレットは、例えば、顕微鏡による観察によって検出可能な特徴(位置、形態、レポーター遺伝子の存在(例えば発現)、結合抗体(例えば、抗体標識)の存在、FISH、RNA(例えば、細胞内RNA標識)の存在など)またはqPCRに基づき、個別に選択できる。
例えば、上記のように、所望の細胞集団または単一細胞を得た後、細胞を溶解することによって、核酸を細胞から放出させることができる。溶解は、例えば、細胞を加熱もしくは凍結融解することによって、界面活性剤もしくはその他の化学的方法を用いることによって、またはこれらを組み合わせることによって行うことができる。しかしながら、いずれかの好適な溶解方法を用いることができる。いくつかのケースでは、有益なことには、温和な溶解手順を用いて、核クロマチンの放出を防ぐことによって、cDNAライブラリーのゲノムコンタミネーションを回避するとともに、mRNAの分解を最小限にできる。例えば、細胞を溶解するには、細胞を72℃で2分間、Tween−20の存在下で加熱すれば十分であるとともに、核クロマチンからの検出可能なゲノムコンタミネーションが見られない。あるいは、細胞は、65℃まで10分間、水において(Esumi et al.,Neurosci Res 60(4):439−51(2008))、または70℃で90秒間、0.5%のNP−40を添加したPCRバッファーII(Applied Biosystems)において(Kurimoto et al.,Nucleic Acid Res 34(5):e42(2006))加熱でき、あるいは、溶解は、プロテアーゼ(Proteinase Kなど)によって、またはカオトロピック塩(グアニジンイソチオシアネートなど)を用いることによって行うことができる(米国特許出願公開第2007/0281313号)。
所望に応じて、所定の単一細胞またはドロップレットワークフローは、プール工程を含んでよく、この工程では、例えば産物二本鎖cDNAで構成された核酸産物組成物を、1つ以上の追加の細胞またはドロップレットから得た核酸産物組成物とともに混ぜ合わせたり、またはプールしたりする。異なる細胞またはドロップレットから作製した異なる核酸産物組成物であって、このような実施形態において、混ぜ合わせたりまたはプールしたりする核酸産物組成物の数は、様々であってよく、その数は、いくつかのケースでは、2〜50個(3〜25個(4〜20個を含む)、または10,000個以上など)の範囲である。
いくつかの実施形態では、例えばアドレス可能なナノウェルアレイの形状のマルチウェルプレートとサンプルディスペンサーとを含むマルチサンプルナノディスペンサー(MSND)システムを用いる。このようなMSNDシステムの例は、ICELL8(登録商標)Single−Cell MSND System(Wafergen,Fremont,Ca)である。ICELL8(登録商標) MSNDシステムの詳細は、米国特許第7,833,709号及び同第8,252,581号、ならびに米国特許出願公開第2015/0362420号及び同第2016/0245813号(これらの開示内容は、参照により、本明細書に援用される)でさらに見られる。
タグメンテーション
上記で概説したように、いくつかのケースでは、提供する方法は、作製した産物二本鎖cDNAの1つ以上の末端を末端捕捉することを含んでよい。特定の実施形態では、このような末端捕捉では、タグメンテーション反応を利用してよく、この反応では、1つ以上のタグメンテーション反応成分を用いてよい。用いるタグメンテーションプロセスは、様々なものであり、例えば、タグメンテーション反応による5’末端捕捉、タグメンテーション反応による3’末端捕捉、またはこれらを組み合わせたものを挙げてよい。
提供する方法にタグメンテーションが存在する場合、タグメンテーションで用いるトランスポソームは、トランスポザーゼとトランスポゾン核酸(トランスポゾン末端ドメイン及びタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインを含む)とを含んでよい。これらのドメインは機能的に定義されているので、研究者のニーズに応じて、同じ配列内のドメインであっても、異なる配列であってもよい。これらのドメインは重複していてもよく、タグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインの一部が、トランスポゾン末端ドメインに存在するようになっていてもよい。
「トランスポザーゼ」とは、トランスポゾン末端ドメイン含有組成物(例えば、トランスポゾン、トランスポゾン末端、トランスポゾン末端組成物)と機能的複合体を形成できるとともに、インビトロ転位反応で、共にインキュベートする二本鎖標的DNAに、トランスポゾン末端含有組成物を挿入または転位をすることを触媒できる酵素を意味する。提供する方法を実施する際に有用であるトランスポザーゼとしては、Tn5トランスポザーゼ、Tn7トランスポザーゼ及びMuトランスポザーゼが挙げられるが、これらに限らない。トランスポザーゼは、野生型トランスポザーゼであってよい。別の態様では、トランスポザーゼは、そのトランスポザーゼの特性を向上させるため、例えば、そのトランスポザーゼの活性を高めるための1つ以上の改変(例えばアミノ酸置換)を含む。例えば、Tn5タンパク質に置換変異(例えば、E54K、M56A及びL372P)を有する、Tn5トランスポザーゼの機能亢進変異体が開発されており、例えばPicelli et al.(2013)Genome Research 24:2033−2040に記載されている。
「トランスポゾン末端ドメイン」という用語は、トランスポザーゼまたはインビトロ転位反応における機能性を持つインテグラーゼ酵素との複合体の形成に必要であるヌクレオチド配列(「トランスポゾン末端配列」)のみからなる二本鎖DNAを意味する。トランスポゾン末端ドメインは、そのトランスポゾン末端ドメインを認識して、そのドメインに結合するトランスポザーゼまたはインテグラーゼと「複合体」、「シナプス複合体」、「トランスポソーム複合体」または「トランスポソーム組成物」を形成し、その複合体は、インビトロ転位反応においてその複合体とインキュベートする標的DNAに、そのトランスポゾン末端ドメインを挿入または転位できる。トランスポゾン末端ドメインは、「移入トランスポゾン末端配列」または「移入鎖」と、「非移入トランスポゾン末端配列」または「非移入鎖」とからなる2つの相補配列を呈する。例えば、インビトロ転位反応で活性を有する機能亢進Tn5トランスポザーゼ(例えばEZ−Tn5トランスポザーゼ、EPICENTRE Biotechnologies,Madison,Wis.,USA)と複合体を形成するトランスポゾン末端ドメインの1つは、5’AGATGTGTATAAGAGACAG3’(配列番号15)という「移入トランスポゾン末端配列」を呈する移入鎖と、5’CTGTCTCTTATACACATCT3’(配列番号16)という「非移入トランスポゾン末端配列」を呈する非移入鎖とを含む。インビトロ転位反応においては、移入鎖の3’末端が、標的DNAに接合または移入される。移入トランスポゾン末端配列と相補的であるトランスポゾン末端配列を呈する非移入鎖は、インビトロ転位反応において、標的DNAに接合または移入されない。提供する方法を実施するときに用いる特定のトランスポゾン末端ドメインの配列は、用いる特定のトランスポザーゼに応じて変化することになる。例えば、Tn5トランスポザーゼと併せて用いるときには、Tn5トランスポゾン末端ドメインをトランスポゾン核酸に含めてよい。本発明のトランスポソームで用いてよいトランスポザーゼとトランスポゾン末端ドメインに関するさらなる詳細としては、米国特許第9,040,256号、同第9,080,211号、同第9,080,211号及び同第9,115,396号(これらの開示内容は、参照により、本明細書に援用される)に記載されているものが挙げられるが、これらに限らない。
トランスポゾン末端ドメインに加えて、トランスポゾン核酸は、タグメンテーション後プライマー結合ドメインも含んでよい。いくつかのケースでは、タグメンテーション後プライマー結合ドメインは後で、(例えば、タグメンテーション後プライマー結合ドメインとハイブリダイズするとともに、シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトドメインが結合しているプライマーを用いることを通じて)シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトドメインを付加する増幅反応で用いてよい。いくつかのケースでは、タグメンテーション後プライマー結合ドメインは、シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトドメインを含んでよい。
タグメンテーションまたは増幅(タグメンテーションの後に行うとともに、タグメンテーションに依存する)の際に付加するシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトドメインは、変動することになる。このようなシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトは、表面付着シークエンシングプラットフォームオリゴヌクレオチド(例えば、Illumina(登録商標)シークエンシングシステムのフローセルの表面に付着しているP5またはP7オリゴヌクレオチド)に特異的に結合するドメイン(例えば「捕捉部位」または「捕捉配列」)、シークエンシングプライマー結合ドメイン(例えば、Illumina(登録商標)プラットフォームのRead1またはRead2プライマーが結合できるドメイン)、バーコードドメイン(例えば、所定の試料由来のすべての分子を特異的バーコードまたは「タグ」でマーキングすることによって、試料のマルチプレックスを可能にするように、シークエンシングしている核酸の試料供給源を一意的に同定するドメイン)、バーコードシークエンシングプライマー結合ドメイン(バーコードのシークエンシングで用いるプライマーが結合するドメイン)、分子特定ドメイン、またはこのようなドメインをいずれかに組み合わせたものから選択した核酸ドメインであってよい。
図4に示されているように、トランスポザーゼと、トランスポゾン核酸(トランスポゾン末端ドメインと第2のタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインとを含む)とを含むトランスポソームを用いて、産物二本鎖cDNAに対してタグメンテーションを行う。この例では、Tn5トランスポザーゼとIllumina(登録商標)Nextera(登録商標)TnRP1またはTnRP2配列とを含むトランスポソームを用いる(図4)。
図4に示されている、タグメンテーションを介した例示的な末端捕捉法の様々な変形形態が可能であることが分かる。RNAの3’末端を捕捉する代わりに、例えば、この方法を用いて、RNAの5’末端を捕捉してもよい。5’末端捕捉は、例えば、タグメンテーション後PCRプライマー結合ドメイン(例えば、RP2配列)を第1鎖cDNAプライマーに導入するのではなく、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドに導入することによって行うことができる。この変形形態に従うと、例えば、タグメンテーション工程の際に付加したTnRP1配列またはTnRP2配列に結合する増幅プライマーと併せて、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドに元々存在するタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインに結合する増幅プライマーを用いて、タグメンテーション後増幅を行うことができる。
別の変形形態では、2種類のトランスポソーム(上記の例で用いるTnRP1トランスポソームまたはTnRP2トランスポソームなど)を用いるのではなく、1種類のトランスポソーム(1種類のタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインを有するトランスポソーム)を用いることができる。所望のタグメンテーション産物の増幅は、前の工程(例えば、二本鎖の産物核酸の第1鎖合成または増幅など)で付加したタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインに結合するプライマーと併せて、トランスポソームによって供給される1種類のタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインに結合するプライマーを用いて行うことができる。
非限定的な例として、産物二本鎖cDNAを2つの反応物に分割してから、産物二本鎖cDNAに対してタグメンテーションを行ってよく、その結果、産物二本鎖cDNAのタグメンテーション済み5’末端にTnRP1配列を導入される。この例の実施形態は、図5に示されており、図5については、以下でさらに詳細に説明する。図5に示されているように、タグメンテーションによって、トランスポゾン配列(例えば「TnRP1」)が、捕捉済み5’産物二本鎖cDNAの3’末端に付加される。その後の工程では、捕捉済み5’産物二本鎖cDNAの増幅の際に、付加したトランスポゾン配列をプライマー結合部位として使用する。具体的には、図示されている例では、テンプレートスイッチング反応で付加した配列とハイブリダイズする第1のプライマー(「5’末端捕捉プライマー1」)と、「Tn Read1」配列と結合する第2のプライマー(「5’末端捕捉プライマー2」)とを用いて、捕捉済み5’産物二本鎖cDNAを増幅する一方で、NGS用のライブラリーの調製に必要なシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトドメインを同時に付加する。
いくつかのケースでは、例えばトランスポザーゼのヌクレアーゼ活性に起因して新たに作られた二本鎖核酸末端において、導入したトランスポゾン配列に結合するプライマーは、末端増幅プライマーという場合もある。この関連においては、このような末端増幅プライマーを用いて、タグメンテーションによって作製した末端から、例えば、該当するRNAの元々の末端に向かって増幅してよい。例えば、いくつかのケースでは、増幅反応では、末端増幅プライマーと、二本鎖cDNAの5’末端(すなわち、そのRNAの元々の5’末端に対応する末端)から増幅する第2のプライマーを用いてよい。いくつかのケースでは、増幅反応では、末端増幅プライマーと、二本鎖cDNAの3’末端(すなわち、そのRNAの元々の3’末端に対応する末端)から増幅する第2のプライマーとを用いてよい。
他の変形形態としては、例えば、各種プライマー/オリゴヌクレオチド内のIllumina(登録商標)特異的シークエンシングドメインを、例えばIon Torrent(商標)のシークエンシングシステム(例えば、Ion PGM(商標)及びIon Proton(商標)シークエンシングシステム)、Pacific Biosciencesのシークエンシングシステム(例えばPACBIO RS IIシークエンシングシステム)、Life Technologies(商標)のシークエンシングシステム(例えばSOLiDシークエンシングシステム)、Rocheのシークエンシングシステム(例えば、454 GS FLX+及びGS Juniorシークエンシングシステム)、または該当するいずれかの他のシークエンシングプラットフォームに必要なシークエンシングドメインに置き換えたものが挙げられる。
さらなる変形形態では、タグメンテーションには、1種類または2種類のトランスポソーム(上記の例で用いられているTnRP1トランスポソームまたはTnRP2トランスポソームなど)を用いるのではなく、3種類以上のトランスポソームを用いてよい。例えば、異なるタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインを有する3種類以上、4種類以上、5種類以上、6種類以上、7種類以上、8種類以上、9種類以上、10種類以上、20種類以上、50種類以上または100種類以上のトランスポソームを用いることができる。このようなタグメンテーション済み試料における目的のタグメンテーション産物は、前の工程(例えば、二本鎖の産物核酸の第1鎖の合成または増幅など)で付加したタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインに結合するプライマーと併せて、特定の種類のトランスポソームのタグメンテーション後PCRプライマー結合ドメインに結合するプライマーを用いて増幅してよい。
タグメンテーション工程用のトランスポソームを調製することが望ましい場合には、いずれかの好適なトランスポソーム調製アプローチを用いてよく、そのようなアプローチは、例えば、用いる具体的なトランスポザーゼとトランスポゾン核酸とに応じて変動し得る。例えば、トランスポゾン核酸及びトランスポザーゼは、好適なバッファーにおいて、好適なモル比(例えば、2:1のモル比、1:1のモル比、1:2のモル比など)で一緒にインキュベートしてよい。一実施形態によれば、トランスポザーゼがTn5トランスポザーゼであるときには、トランスポソームの調製は、2×Tn5透析バッファーにおいて、トランスポザーゼとトランスポゾン核酸を1:1のモル比で十分な期間(1時間など)インキュベートすることを含んでよい。
産物二本鎖cDNAのタグメンテーションは、タグメンテーション条件で、二本鎖cDNAをトランスポソームと接触させることを含む。このような条件は、用いる特定のトランスポザーゼに応じて変動し得る。典型的には、その条件には、トランスポソームとタグ付き伸長産物とを緩衝化反応混合物内(例えば、トリスアセテートで緩衝化した反応混合物など)において、pH7〜8(pH7.5など)でインキュベートすることが含まれることになる。トランスポソームは、タグ付き伸長産物と比べて約等モル量または過剰なモル量のトランスポゾンで存在するように供給してよい。好適な温度としては、32℃〜42℃(37℃など)が挙げられる。反応は、十分な期間(5分〜3時間など)進行させる。反応は、SDS及び/または反応を停止させるために適するその他のトランスポザーゼ反応停止試薬を、ある量含んでよい溶液(例えば「停止」溶液)を加えることによって停止させてよい。トランスポソームを用いて核酸を断片化するためのプロトコールと材料は、入手可能であり、例えば、EPICENTRE Biotechnologies(Madison,Wis.,USA)から入手可能なEZ−Tn5(商標)トランスポソームキットで供給されているものが挙げられる。
続いて、タグメンテーション反応の際に付加した1つ以上のタグメンテーション後プライマー結合部位にハイブリダイズする1つ以上のタグメンテーション後PCRプライマーを用いて、得られたタグメンテーション済み試料をPCR増幅条件に供してよい。タグメンテーション後プライマーは、シークエンシングプラットフォームアダプタードメインを含んでよい。シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクト(複数可)は、本明細書の他の箇所に記載されている核酸ドメイン(例えば、表面付着シークエンシングプラットフォームオリゴヌクレオチドに特異的に結合するドメイン、シークエンシングプライマー結合ドメイン、バーコードドメイン、バーコードシークエンシングプライマー結合ドメイン、分子特定ドメインまたはこれらをいずれかに組み合わせたもの)のいずれかを含んでよい。このような実施形態は、例えば、タグメンテーション済み試料の核酸が、該当するシークエンシングプラットフォームでのシークエンシングに有用または必要なアダプタードメインのすべてを含むわけではなく、タグメンテーション済み試料の核酸の増幅に用いるプライマーによって、残りのアダプタードメインを供給する場合に有用である。
テンプレートスイッチング逆転写
上記で概説したように、本開示の方法の態様は、テンプレートスイッチング逆転写反応の使用を伴ってよい。例えば、いくつかのケースでは、本開示の方法は、テンプレートスイッチング逆転写反応を用いて、産物二本鎖cDNAを核酸試料から作製することを含んでよい。したがって、いくつかのケースでは、テンプレートスイッチング逆転写反応を用いて、二本鎖cDNAをテンプレート核酸から作製してから、1つ以上のライブラリー(発現ライブラリー及び/または免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーなど)を調製するために別々に用いることができる別々の反応混合物に、その二本鎖cDNAを分割してよい。
テンプレートスイッチング逆転写反応には概して、産物二本鎖cDNAの作製元であるテンプレート核酸を伴うことになる。テンプレート核酸を作製する供給源及び/または方法は様々なものがある。テンプレート核酸は、テンプレート核酸組成物(例えば、規定の組成物)、あるいは生体試料(例えば、生物及び/または生細胞から採取したか、生物及び/または生細胞を含む試料)に存在してよい。テンプレート核酸を含む生体試料は、いずれかの利便的な手段によって調製して、その試料の核酸を、本明細書に記載されている方法の成分(例えば、プライマー、オリゴヌクレオチドなど)が利用できるようにしてよい。
テンプレート核酸を含む生体試料の調製方法は、様々なものがある。有用なプロセスとしては、例えば、試料をホモジナイズすること、試料の1つ以上の細胞種を溶解すること、試料の所望の核酸を濃縮すること、試料に存在する1つ以上の成分(例えば、タンパク質、脂質、夾雑核酸)を除去すること、核酸の単離を行って、テンプレート核酸を単離することなどを挙げてよいが、これらに限らない。いくつかのケースでは、生体試料の細胞は、試料の細胞を溶解することによって調製してよい。細胞を溶解するために有用なプロセスとしては、例えば、化学的溶解、酵素的溶解、機械的溶解、凍結/融解による溶解などが挙げられるが、これらに限らない。いくつかのケースでは、試料の細胞は、本明細書に記載されているような方法で、試料の複数の細胞または1つの細胞から得たテンプレート核酸を使用する前に、固定しなくてもよい。いくつかのケースでは、試料の細胞は、本明細書に記載されているような方法で、試料の複数の細胞または1つの細胞から得たテンプレート核酸を使用する前に、固定してよい。
本開示のテンプレート核酸は、配列が異なる別個のテンプレート核酸を複数含んでよい。テンプレート核酸(例えば、テンプレートRNA、テンプレートDNAなど)は、いずれかの長さのポリマーであってよい。そのポリマーの長さは、様々であってよいが、いくつかのケースでは、このポリマーは、10nt以上、20nt以上、50nt以上、100nt以上、500nt以上、1000nt以上、2000nt以上、3000nt以上、4000nt以上、5000nt以上またはこれを超えるnt数である。特定の態様では、テンプレート核酸はポリマーであり、そのポリマーの塩基数は様々であってよく、いくつかのケースでは、10nt以下、20nt以下、50nt以下、100nt以下、500nt以下、1000nt以下、2000nt以下、3000nt以下、4000nt以下、5000nt以下、10,000nt以下、25,000nt以下、50,000nt以下、75,000nt以下、100,000nt以下である。
特定の実施形態によると、テンプレート核酸は、テンプレートリボ核酸(テンプレートRNA)である。テンプレートRNAは、いずれかのタイプのRNA(またはそのサブタイプ)であってよく、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、トランス作用性低分子干渉RNA(ta−siRNA)、天然低分子干渉RNA(nat−siRNA)、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、ロングノンコーディングRNA(lncRNA)、ノンコーディングRNA(ncRNA)、トランスファー−メッセンジャーRNA(tmRNA)、前駆メッセンジャーRNA(pre−mRNA)、Cajalボディ特異的低分子RNA(scaRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、エンドリボヌクレアーゼ調製siRNA(esiRNA)、一過性低分子RNA(stRNA)、シグナル認識RNA、テロメアRNA、リボザイム、またはこれらの種類のRNAもしくはこれらのサブタイプをいずれかに組み合わせたものが挙げられるが、これらに限らない。
所定のテンプレート核酸組成物中の、配列の異なる別個のテンプレート核酸の数は様々であってよい。所定のテンプレート核酸組成物中の、別個のテンプレート核酸の数は様々であってよいが、いくつかのケースでは、所定のテンプレート核酸組成物中の、別個のテンプレート核酸の数は、1〜108 個(1〜107 個など(1〜105 個を含む))の範囲である。
上記のような方法で用いるテンプレート核酸組成物は、いずれかの好適な核酸試料であってよい。テンプレート核酸を含む核酸試料は、産物核酸を生成させるために十分な量で、反応混合物に混ぜ合わせてよい。一実施形態によれば、核酸試料は、反応混合物における核酸最終濃度が、1fg/μL〜10μg/μL(1pg/μL〜5μg/μL、0.001μg/μL〜2.5μg/μL、0.005μg/μL〜1μg/μL、0.01μg/μL〜0.5μg/μLなど(0.1μg/μL〜0.25μg/μLを含む))となるように、反応混合物に混ぜ合わせる。特定の態様では、テンプレート核酸を含む核酸試料は、例えば、以下にさらに詳細に説明されているように、単一細胞から単離する。別の態様では、テンプレート核酸を含む核酸試料は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個以上、20個以上、50個以上、100個以上または500個以上の細胞から単離する。特定の実施形態によれば、テンプレート核酸を含む核酸試料は、500個以下、100個以下、50個以下、20個以下、10個以下、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個または2個の細胞から単離する。
テンプレート核酸は、いずれかの目的核酸試料に存在してよく、その試料としては、単一細胞、複数の細胞(例えば培養細胞)、組織、器官、または生物(例えば、マウス、ラットなど)から単離した核酸試料が挙げられるが、これらに限らない。特定の態様では、核酸試料は、哺乳類動物(例えば、ヒト、齧歯類動物(例えばマウス)、またはいずれかの他の目的哺乳類動物)の細胞(複数可)、組織、器官及び/または類似のものから単離する。別の態様では、核酸試料は、哺乳類動物以外の供給源(両生類動物(例えばカエル(例えばクセノプス))、魚(ゼブラフィッシュ(Danio rerio))または哺乳類動物以外のいずれかの他の核酸試料源など)から単離する。
このような供給源から核酸を単離するためのアプローチ、試薬及びキットは、当該技術分野において知られている。例えば、目的の供給源から核酸を単離するためのキット(Takara Bio USA,Inc.(Mountain View,CA)のNucleoSpin(登録商標)、NucleoMag(登録商標)及びNucleoBond(登録商標)というゲノムDNAまたはRNA単離キットなど)は、市販されている。特定の態様では、核酸は、固定生体試料、例えば、ホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)組織から単離する。FFPE組織の核酸は、市販のキット(Takara Bio USA,Inc.(Mountain View,CA)のNucleoSpin(登録商標)FFPE DNAまたはRNA単離キットなど)を用いて単離してよい。
テンプレートスイッチング反応の一般的な描写が図3に示されている。示されている例では、単一産物核酸プライマー(300)は、その単一産物核酸プライマーとテンプレートとが共有する相補的配列(「XXXX」によって示されている)を通じて、テンプレート核酸(301)にハイブリダイズする。単一産物核酸プライマーは、テンプレートと相補的でない付加配列(302)の領域(例えば、ノンテンプレート領域)を含んでよいが、必須ではない。単一産物核酸プライマーをテンプレートにアニーリングした後、逆転写酵素の使用によって、逆転写(303)が進行し、テンプレートと相補的である単一産物核酸鎖(304)を生成させる。ターミナルトランスフェラーゼ活性を有する逆転写酵素は、生成された単一産物核酸に、ノンテンプレートヌクレオチド(「YYY」によって示されている)を転移し、テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチド(305)が、そのテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドに存在する相補的ヌクレオチドの配列(これも、「YYY」によって示されており、本明細書では、3’ハイブリダイゼーションドメインともいう)によって、単一産物核酸のノンテンプレートヌクレオチドにハイブリダイズする。このテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、ノンテンプレートヌクレオチドにハイブリダイズしない付加配列(306)を含む。テンプレートスイッチングが行われ(307)、逆転写酵素がテンプレートからスイッチして、テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドを第2のテンプレートとして使用し、付加配列(306)を転写して、その相補体(308)を生成する。このようにして完全に生成された単一産物核酸鎖(309)は、テンプレートにハイブリダイズしなかったいずれかの付加配列(302)が存在する場合、その付加配列(302)を含む単一産物核酸プライマーの完全配列と、テンプレートの相補的配列と、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの相補的配列とを含む。テンプレートスイッチングに関連する方法及び試薬は、米国特許第9,410,173号にも記載されており、その開示内容は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
テンプレートスイッチオリゴヌクレオチド
テンプレートスイッチング逆転写反応では、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドを用いてよい。「テンプレートスイッチオリゴヌクレオチド」とは、核酸ポリマー化反応の際に、ポリメラーゼが初期テンプレート(例えば、テンプレート核酸(例えばRNAテンプレート))からスイッチする対象であるオリゴヌクレオチドテンプレートを意味する。この意味から、テンプレートは、「ドナーテンプレート」と称してよく、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、「アクセプターテンプレート」と称してよい。本明細書で使用する場合、「オリゴヌクレオチド」は、2〜500ヌクレオチド、例えば2〜200ヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチドマルチマーである。オリゴヌクレオチドは、合成したものであっても、酵素によって作製したものであってもよく、いくつかの実施形態では、10〜50ヌクレオチドの長さである。オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドモノマーを含んでも(すなわち、オリゴリボヌクレオチドまたは「RNAオリゴヌクレオチド」であっても)、デオキシリボヌクレオチドモノマーを含んでもよい(すなわち、オリゴデオキシリボヌクレオチドまたは「DNAオリゴヌクレオチド」であってもよい)。オリゴヌクレオチドは、例えば、10〜20ヌクレオチド、21〜30ヌクレオチド、31〜40ヌクレオチド、41〜50ヌクレオチド、51〜60ヌクレオチド、61〜70ヌクレオチド、71〜80ヌクレオチド、80〜100ヌクレオチド、100〜150ヌクレオチドまたは150〜200ヌクレオチド、最長で500ヌクレオチド以上の長さであってよい。
テンプレートスイッチング逆転写反応では、好適な反応混合物を用いてよい。テンプレートスイッチング逆転写反応に適する反応混合物は、テンプレートからテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドへのポリメラーゼのテンプレートスイッチングを容易に可能にするとともに、さらに、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの付加配列が存在する場合には、そのあらゆる付加配列をテンプレートとするような、ポリメラーゼによる伸長を容易に可能にするために十分な濃度で、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドを含んでよい。例えば、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、0.01〜100μMの最終濃度(0.1〜10μMなど、例えば0.5〜5μMなど(1〜2μMを含む)(例えば1.2μM))で反応混合物に加えてよい。
テンプレートスイッチング逆転写反応では、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、改変されているか、または別段の形で非天然のものである1つ以上のヌクレオチド(またはそのアナログ)を含んでも含まなくてもよい。例えば、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオチドアナログ(例えば、LNA、FANA、2’−O−Me RNA、2’−フルオロRNAなど)、結合改変体(例えば、ホスホロチオエート、3’−3’逆結合体、5’−5’逆結合体)、5’及び/または3’末端改変体(例えば、5’及び/または3’アミノ、ビオチン、DIG、ホスフェート、チオール、色素、クエンチャーなど)、1つ以上の蛍光標識ヌクレオチド、あるいはテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドに所望の機能をもたらすいずれかの他の特徴を含んでよい。
特定の態様では、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、3’ハイブリダイゼーションドメインを含む。3’ハイブリダイゼーションドメインは、長さが様々であってよく、いくつかのケースでは、2〜10ntの長さ(3〜7ntの長さなど)の範囲である。テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインは、テンプレートスイッチング反応の単一産物核酸(例えばcDNA)に付加されるノンテンプレート配列と相補的である配列を含んでよい。ノンテンプレート配列とは、以下にさらに詳細に説明されているが、概して、テンプレート、例えばRNAテンプレートまたはDNAテンプレートに対応していないとともに、テンプレートを鋳型としていない配列を指す。ノンテンプレート配列は、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインに存在する場合、3’ハイブリダイゼーションドメイン全体またはその一部を網羅してよい。いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列は、ヘテロポリヌクレオチドを含むか、またはヘテロポリヌクレオチドからなってもよく、このようなヘテロポリヌクレオチドは、長さが、2ntから10ntまで様々であってよい(3〜7ntの長さなど(3ntを含む))。いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列は、ホモポリヌクレオチドを含むか、またはホモポリヌクレオチドからなってよく、このようなホモポリヌクレオチドは、長さが、2ntから10ntまで様々であってよい(3〜7ntの長さなど(3ntを含む))。
テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、溶液中に遊離していることも、固体支持体(例えばビーズ)に結合されていることもできる。いくつかのケースでは、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、容器(例えば、マルチウェルアレイチップ)内で乾燥している。乾燥テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、その容器に共有結合または非共有結合していることができる。
テール配列及びテーリング
いくつかのケースでは、本開示の方法は、二本鎖産物cDNAを作製すること、及び/またはテール配列を有するテンプレート核酸のテール配列と相補的である配列を有するプライマーを用いて、そのテンプレート核酸を増幅することを含んでよい。「テール配列」という用語は、本明細書で使用する場合、概して、テンプレート核酸の3’末端に存在するポリヌクレオチド領域であって、1種類のヌクレオチド種(例えば、A、C、G、Tなど)で構成されている領域を指す。いくつかのケースでは、第1鎖相補デオキシリボ核酸(cDNA)プライマーは、全体または一部において、テール配列と相補的であってよい。例えば、mRNAテンプレートのポリ(A)テールは、テール配列の非限定的な例の1つである。したがって、第1鎖cDNAプライマーは、いくつかのケースでは、mRNAテンプレートのポリ(A)テールと相補的であるポリ(T)配列を含むか、またはそのポリ(T)配列からなってよい。
テール配列は、本開示のテンプレート核酸に天然に存在するものであっても、合成的に付加してもよい。したがって、本発明のテンプレート核酸に存在し得るテール配列の例としては、例えば、ポリ(A)テール、ポリ(C)テール、ポリ(G)テール、ポリ(T)テールなどが挙げられるが、これらに限らない。テール配列は、サイズが、10nt未満〜300nt以上の範囲であってよく、例えば、10〜300nt、10〜200nt、10〜150nt、10〜100nt、10〜90nt、10〜80nt、10〜70nt、10〜60nt、10〜50nt、10〜40nt、10〜30nt、10〜20nt、20〜300nt、20〜200nt、20〜150nt、20〜100nt、20〜90nt、20〜80nt、20〜70nt、20〜60nt、20〜50nt、20〜40nt、20〜30nt、15nt、16nt、18nt、20ntなどが挙げられるが、これらに限らない。テンプレート核酸がテール配列を含む場合、二本鎖産物cDNAの作製で用いるプライマー、例えば第1鎖cDNAプライマーは、テール配列と相補的である配列を含んでよく、そのテール配列に、プライマーがハイブリダイズし、第1鎖cDNAの伸長をプライミングする。テール配列と相補的である有用な配列は、様々なものがあり、例えば、ポリ(dA)配列、ポリ(dC)配列、ポリ(dG)配列、ポリ(dT)配列などを挙げてよいが、これらに限らない。
上述のように、テンプレート核酸に存在するテール配列は、天然のもの(例えば、mRNAテンプレートのポリ(A)テールの場合)であっても、人工的または合成的に作製してもよい。例えば、いくつかのケースでは、テール配列をテーリング反応で核酸テンプレートに付加してよい。テーリング反応は様々であり、その反応としては、例えば、酵素的プロセスを通じて、テール配列をテンプレートに付加する場合を挙げてよい。本開示の核酸テンプレートにテールを付加するために有用な酵素としては、例えば、ターミナルトランスフェラーゼ(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、RNA特異的ヌクレオチジルトランスフェラーゼなど)が挙げられるが、これらに限らない。テーリング配列のヌクレオチド種は、例えば、ターミナルトランスフェラーゼを用いるテーリング反応において、所望の種類のdNTPのみ(例えば、dATPのみ、dCTPのみ、dGTPのみ、またはdTTPのみ)を利用可能にすることによって、所望に応じて制御してよい。いくつかのケースでは、「dNTPテーリングミックス」をテーリング反応で使用し、このようなミックスは、1種類のみのdNTP(例えばATP)を含む。いくつかのケースでは、核酸テンプレートは、テーリング反応に備えて、例えば、核酸テンプレートに存在する3’ホスフェートを除去(脱リン酸化)することによって調製してよい。このような目的では、いずれかの利便的かつ適切なホスファターゼを用いてよく、例えば、アルカリホスファターゼ(例えば、エビ由来アルカリホスファターゼ及びその誘導体)などが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかのケースでは、本開示の方法は、例えば、dNTP種の存在下、テール配列を有するテンプレート(すなわち、テール付きテンプレート)を作製するために十分な条件下で、テンプレート核酸をターミナルトランスフェラーゼと接触させることによって、テーリング反応を行って、テーリング配列をテンプレート核酸に付加することを含んでよい。dNTP付加率、すなわち、テール配列の長さは、3’末端とdNTP濃度との比率と、どのdNTPを用いるかとによって導き出される。ターミナルトランスフェラーゼ反応は、ターミナルトランスフェラーゼが活性となる温度(30℃〜50℃など(37℃を含む))で行う。ターミナルトランスフェラーゼ反応におけるdNTPは、0.01mM〜1mMの最終濃度(0.05mM〜0.5mmなど(0.1mMを含む))で存在してよい。テンプレート核酸は、ターミナルトランスフェラーゼ反応において、0.05〜500pmolの濃度(0.5〜50pmol(1〜25pmolを含む)、例えば5pmolなど)で存在してよい。ターミナルトランスフェラーゼバッファー溶液と、いずれかの他の有用な成分(例えば、Coのような金属補因子など)とは、また、例えば、別の溶液(例えばバッファー)として、または「dNTPテーリングミックス」の一部として、ターミナルトランスフェラーゼ反応物に含めてよい。ターミナルトランスフェラーゼ反応により、核酸テンプレートの3’末端にヌクレオチドが付加され、その結果得られるテール付きテンプレート核酸は、その後、本開示の方法による反応のさらなる工程で用いてよい。
いくつかのケースでは、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドには、そのテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの5’末端(例えば、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの5’アダプター配列)の相補体を合成後、ポリメラーゼが、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドから、異なるテンプレート核酸にスイッチすることを防ぐ改変が含まれている。有用な改変としては、脱塩基損傷(例えば、テトラヒドロフラン誘導体)、ヌクレオチド付加物及びイソヌクレオチド塩基(例えば、イソシトシン、イソグアニン及び/または類似物)、ならびにこれらをいずれかに組み合わせたものが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかのケースでは、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドは、5’アダプター配列(例えば、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインの5’の規定ヌクレオチド配列)を含んでよく、その5’アダプター配列は、ダウンストリームアプリケーションで、様々な目的を果たしてよい。いくつかのケースでは、5’アダプター配列は、増幅dsDNAのさらなる増幅、または例えば、ネステッド増幅もしくはサプレッション増幅のためのプライマー結合部位としての役割を果たしてよい。
プライマー
単一産物核酸プライマー(単一産物核酸合成プライマー(例えば、第1鎖cDNAプライマー)または第1鎖プライマーともいう)は、テンプレート結合ドメインを含む。例えば、その核酸は、テンプレート核酸、例えば、mRNAなどにハイブリダイズするように構成されている第1の(例えば3’)ドメインを含んでよく、テンプレート核酸にハイブリダイズしない第2の(例えば5’)ドメインとみなしてよい1つ以上の追加のドメイン、例えば、以下にさらに詳細に説明されているようなノンテンプレート配列ドメインを含んでも含まなくてもよい。このテンプレート結合ドメインの配列は独立して、規定のものであっても、任意のものであってもよい。特定の態様では、テンプレート結合ドメインは、規定配列、例えば、ポリdTまたは遺伝子特異的配列を有する。別の態様では、テンプレート結合ドメインは、任意の配列(例えば、ランダムヘキサマー配列のようなランダム配列)を有する。テンプレート結合ドメインの長さは、様々であってよいが、いくつかのケースでは、このドメインの長さは、5〜50nt(6〜25ntなど、例えば、6〜20nt)の範囲である。
単一産物核酸プライマーは、改変されているか、または別段の形で非天然のものである1つ以上のヌクレオチド(またはそのアナログ)を含んでも含まなくてもよい。例えば、単一産物核酸プライマーは、1つ以上のヌクレオチドアナログ(例えば、LNA、FANA、2’−O−Me RNA、2’−フルオロRNAなど)、結合改変体(例えば、ホスホロチオエート、3’−3’逆結合体及び5’−5’逆結合体)、5’及び/または3’末端改変体(例えば、5’及び/または3’アミノ、ビオチン、DIG、ホスフェート、チオール、色素、クエンチャーなど)、1つ以上の蛍光標識ヌクレオチド、あるいは所望の機能を単一産物核酸プライマーにもたらすいずれかの他の特徴を含んでよい。
いくつかのケースでは、単一産物核酸プライマーは、5’アダプター配列(例えば、単一産物核酸プライマーの3’ハイブリダイゼーションドメインの5’の規定ヌクレオチド配列)を含んでよく、その5’アダプター配列は、ダウンストリームアプリケーションで、様々な目的を果たしてよい。いくつかのケースでは、5’アダプター配列は、さらなる増幅、または例えば、ネステッド増幅もしくはサプレッション増幅のためのプライマー結合部位として機能してよい。
いくつかのケースでは、用いるプライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、単一産物核酸プライマー、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドなどを含む)のうちの1つ以上は、2つ以上のドメインを含んでよい。例えば、このプライマーまたはオリゴヌクレオチドは、テンプレートにハイブリダイズする第1の(例えば3’)ドメインと、テンプレートにハイブリダイズしない第2の(例えば5’)ドメインとを含んでよい。第1のドメインと第2のドメインとの配列は独立して、規定のものであっても、任意のものであってもよい。特定の態様では、第1のドメインは、規定配列を有し、第2のドメインの配列は、規定のものであるかまたは任意のものである。別の態様では、第1のドメインは、任意の配列(例えば、ランダムヘキサマー配列のようなランダム配列)を有し、第2のドメインの配列は、規定のものであるかまたは任意のものである。いくつかのケースでは、両方のドメインの配列が規定のものである。本開示の方法で用いるプライマー(例えば、単一産物核酸プライマー、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドなどを含む)は、2つ以上のドメインを含むが、そのドメインの1つ以上は、以下に説明されているようなノンテンプレート配列を含んでよい。
ポリメラーゼ
いくつかのケースでは、テンプレートスイッチング逆転写反応混合物に混ぜ合わせるポリメラーゼは、テンプレートスイッチングすることができ、そのポリメラーゼは、ポリマー化のためのテンプレートとして第1核酸鎖を用いた後、第2のテンプレート核酸鎖の3’末端にスイッチして、同じポリマー化反応を継続する。いくつかのケースでは、テンプレートスイッチングできるポリメラーゼは、逆転写酵素である。テンプレートスイッチングできる逆転写酵素であって、本開示の方法を実施するために有用である逆転写酵素としては、レトロウイルス逆転写酵素、レトロトランスポゾン逆転写酵素、レトロプラスミド逆転写酵素、レトロン逆転写酵素、細菌逆転写酵素、グループIIイントロン由来逆転写酵素、ならびにこれらの変異体、バリアント、誘導体もしくは機能的断片、例えば、RNase Hマイナス型酵素またはRNase H低減型酵素が挙げられるが、これらに限らない。例えば、逆転写酵素は、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(MMLV RT)またはBombyx mori逆転写酵素(例えば、Bombyx moriR2非LTRエレメント逆転写酵素)であってよい。テンプレートスイッチングできるポリメラーゼであって、本開示の方法を実施するために有用なポリメラーゼは、市販されており、Takara Bio USA,Inc.(Mountain View,CA)から入手可能なSMARTScribe(商標)という逆転写酵素及びPrimeScript(商標)という逆転写酵素が挙げられる。
本開示の方法のテンプレートスイッチング逆転写反応は、ターミナルトランスフェラーゼ活性を有するポリメラーゼの使用を含んでよい。例えば、反応混合物に混ぜ合わせたポリメラーゼ(例えば、MMLV RTのような逆転写酵素)は、ターミナルトランスフェラーゼ活性を有して、新生鎖の3’末端にホモヌクレオチド領域(例えば、C−C−Cのようなホモトリヌクレオチド)を付加できるようになっており、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインは、新生鎖の3’末端のこの領域と相補的であるホモヌクレオチド領域(例えば、G−G−Gのようなホモトリヌクレオチド)を含む。別の態様では、ターミナルトランスフェラーゼ活性を有するポリメラーゼが、新生鎖の3’末端にヌクレオチド領域(例えばトリヌクレオチド領域)を付加するときには、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインは、シトシンを含むヌクレオチドと、グアニンを含むヌクレオチドとを含むヘテロトリヌクレオチド(例えば、r(C/G)3オリゴヌクレオチド)を含み、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドのそのヘテロトリヌクレオチド領域は、新生鎖の3’末端と相補的である。3’ハイブリダイゼーションドメインとテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドとの例は、米国特許第5,962,272号にさらに記載されており、その開示内容は、参照により、本明細書に援用される。
ターミナルトランスフェラーゼ活性を有するポリメラーゼは、RNAまたはDNA分子の3’ヒドロキシル末端へのデオキシリボヌクレオチドの付加を触媒できる。特定の態様では、ポリメラーゼがテンプレートの5’末端に達すると、そのポリメラーゼは、新生鎖の3’末端に、テンプレートによってコードされない1つ以上の追加のヌクレオチドを導入できる。例えば、ポリメラーゼがターミナルトランスフェラーゼ活性を有するときには、そのポリメラーゼは、新生鎖の3’末端に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを超える数の追加のヌクレオチドを導入できてよい。そのヌクレオチドは、すべて同じであってもよく(例えば、新生鎖の3’末端に、ホモヌクレオチド領域を作製する)、またはそのヌクレオチドの1つ以上は、他のヌクレオチド(複数可)と異なっていてもよい(例えば、新生鎖の3’末端に、ヘテロヌクレオチド領域を作製する)。特定の態様では、ポリメラーゼのターミナルトランスフェラーゼ活性により、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれを超える数の同じヌクレオチド(例えば、すべてdCTP、すべてdGTP、すべてdATPまたはすべてdTTP)のホモヌクレオチド領域が付加される。例えば、一実施形態によれば、ポリメラーゼは、MMLV逆転写酵素(MMLV RT)である。MMLV RTは、新生鎖の3’末端に、追加のヌクレオチド(主にdCTP、例えば、3つのdCTP)を導入する。本明細書の別の箇所でさらに詳細に説明されているように、これらの追加のヌクレオチドは、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインと、新生鎖の3’末端とをハイブリダイゼーションさせて、例えば、そのポリメラーゼがテンプレートからテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドにテンプレートスイッチングすることを促すために有用であってよい。
本開示の方法で用いる逆転写酵素は、いくつかのケースでは、熱感受性ポリメラーゼ、すなわち、耐熱性ではないポリメラーゼであってよい。このような熱感受性ポリメラーゼは、その活性温度範囲を上回る温度で不活性になってよい。例えば、いくつかのケースでは、熱感受性ポリメラーゼは、75°以上、80°以上、85°以上、90°以上または95°以上の温度に暴露後、不活性になったり、または活性を著しく低下させたりしてよい。
逆転写酵素を用いる場合、逆転写酵素は、RT反応産物を所望の量、例えば、単一産物核酸を所望の量で生成させるために十分な最終濃度となるように、反応混合物に混ぜ合わせてよい。特定の態様では、逆転写酵素(例えば、MMLV RT、Bombyx moriRTなど)は、反応混合物に、0.1〜200ユニット/μL(U/μL)(0.5〜100U/μL、例えば1〜50U/μLなど(5〜25U/μL、例えば20U/μLを含む))の最終濃度で存在する。
ノンテンプレート(non−templated)配列及びノンテンプレート(non−template)配列
記載されている方法の態様は、いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列の使用を含んでよい。「ノンテンプレート(non−templated)配列」と「ノンテンプレート(non−template)配列」という用語は概して、本開示の方法に関与する配列のうち、テンプレートに対応しない配列(例えば、テンプレートに存在しないか、テンプレートにおける相補的配列を有さないか、テンプレートに存在したり、テンプレートにおける相補的配列を有したりする可能性が低い配列)を指す。ノンテンプレート配列は、テンプレート、例えばRNAまたはDNAテンプレートを鋳型としない配列であるので、例えば、延伸反応の際、対応するテンプレートの非存在下で付加でき、例えば、テンプレート指向性ではないターミナルトランスフェラーゼ活性を有するポリメラーゼによって付加されるヌクレオチドである。核酸へのノンテンプレート配列の付加は必ずしも、延伸反応に限定する必要はない。例えば、いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列は、そのノンテンプレート配列を核酸にライゲーションすることを通じて付加してよい。いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列は、トランスポザーゼ介在性反応を通じて、例えば、該当する核酸にノンテンプレート配列を付加するタグメンテーション反応を通じて付加してよい。したがって、ノンテンプレート配列は、様々なものであってよく、様々な手段を通じて、テンプレート配列に付加してよい。
ノンテンプレート(non−template)配列とノンテンプレート(non−templated)配列とは、プライマー、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドまたはトランスポゾンに存在する配列のうち、核酸テンプレートにハイブリダイズしない配列(このような配列は、いくつかのケースでは、ノンハイブリダイズ配列と称することがある)を指してよいが、これらに限らない。ノンテンプレート配列は、サイズと組成の両方とも様々となる。いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列、例えば、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドまたはプライマーに存在するノンテンプレート配列は、10nt〜1000nt以上の範囲であってよく、例えば、10nt〜900nt、10nt〜800nt、10nt〜700nt、10nt〜600nt、10nt〜500nt、10nt〜400nt、10nt〜300nt、10nt〜200nt、10nt〜100nt、10nt〜90nt、10nt〜80nt、10nt〜70nt、10nt〜60nt、10nt〜50nt、10nt〜40nt、10nt〜30nt、10nt〜20ntなどが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列は、上述のように、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインに含まれていてよい。ノンテンプレート配列は、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインに存在するときには、ヘテロポリヌクレオチドを含んだり、またはヘテロポリヌクレオチドからなったりしてもよく、このようなヘテロポリヌクレオチドは、長さが2ntから10ntまで様々であってよい(3〜7ntの長さなど(3ntを含む))。いくつかのケースでは、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドの3’ハイブリダイゼーションドメインに存在するノンテンプレート配列は、ホモポリヌクレオチドを含んだり、ホモポリヌクレオチドからなったりしてもよく、このようなホモポリヌクレオチドは、長さが2ntから10ntまで様々であってよい(3〜7ntの長さなど(3ntを含む))。
オリゴヌクレオチドまたはプライマーに存在するノンテンプレート配列は、オリゴヌクレオチドまたはプライマーの5’末端に存在してもよく、このようなケースでは、この配列は、5’ノンテンプレート配列と称してよい。いくつかのケースでは、本開示の反応において、1つのオリゴヌクレオチドまたはプライマーのみが、ノンテンプレート配列(例えば5’ノンテンプレート配列)を含んでよい。いくつかのケースでは、本開示の反応で用いる2つ以上のオリゴヌクレオチド及び/またはプライマーが、ノンテンプレート配列(例えば5’ノンテンプレート配列)を含んでよい。2つ以上のオリゴヌクレオチド及び/またはプライマーがノンテンプレート配列を含むときには、異なるノンテンプレート配列を用いてよい。いくつかのケースでは、2つ以上のオリゴヌクレオチド及び/またはプライマーが5’ノンテンプレート配列を有する場合、そのような配列は、同じ5’ノンテンプレート配列を有してもよい。
いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列(例えば、5’ノンテンプレート配列を含む)は、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含んでよい。いくつかのケースでは、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を該当する核酸に導入して、例えば、導入した制限エンドヌクレアーゼ認識部位の1つ以上で、該当する核酸を切断することによって、その産生核酸を操作可能にしてよい。
いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列(例えば、5’ノンテンプレート配列を含む)は、1つ以上のプライマー結合部位を含んでよい。いくつかのケースでは、1つ以上のプライマー結合部位を該当する核酸に導入して、その産生核酸をさらに増幅可能にしてよい(例えば、1つ以上のプライマー結合部位を用いて、その核酸の全部または一部を増幅することを含む)。
有用なプライマー結合部位は、そのプライマー結合部位と、対応するプライマーとの所望の複雑度によって大きく異なる。いくつかのケースでは、有用なプライマー結合部位は、II Aプライマー(例えば、Takara Bio USA,Inc.(Mountain View,CA)から入手可能なようなもの)と相補性があるプライマー結合部位を含む。一実施形態によれば、産物二本鎖cDNAの作製で用いるオリゴヌクレオチドまたはプライマーが、II Aプライマー結合部位を含むノンテンプレート配列を含む。一実施形態によれば、末端捕捉反応で用いる核酸が、II Aプライマー結合部位を含むノンテンプレート配列を含む。
いくつかのケースでは、ノンテンプレート配列(例えば、5’ノンテンプレート配列を含む)は、1つ以上のバーコード配列を含んでよく、いくつかのケースでは、このようなバーコード配列は、ユニークモレキュラーアイデンティファイアー(UMI)ドメイン及び/またはバーコード付きユニークモレキュラーアイデンティファイアー(BUMI)ドメインであっても含んでもよい。UMI及びBUMI核酸と、各種アプリケーションでのそれらの利用とは、米国特許出願公開第US20150072344号にさらに説明されており、この出願公開の開示内容は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
いくつかのケースでは、例えば、バーコードをシークエンシングするシークエンシング反応の後に、ノンテンプレート配列の1つ以上のバーコード配列によって、作製した核酸の供給源を遡って特定してよい。例えば、いくつかのケースでは、テンプレートの供給源(例えば、試料、ウェル、細胞など)に特異的なバーコードを含むノンテンプレート配列を反応の際に導入する。供給源を特定するこのようなバーコードは、本明細書では、「ソースバーコード配列」と称することがあり、このような配列は様々であってよく、そのバーコードが特定する供給源に基づいて用語を割り当ててよい。ソースバーコードとしては、例えば、シークエンシングした核酸の作製元である試料を遡って特定する試料バーコード配列、シークエンシングした核酸の作製元であるウェル(例えばマルチウェルプレートのウェル)を遡って特定するウェルバーコード配列、シークエンシングした核酸の作製元であるドロップレットを遡って特定するドロップレットバーコード配列、シークエンシングした核酸の作製元である細胞(例えば、多細胞試料の細胞)を遡って特定する細胞バーコード配列などを挙げてよい。バーコードは、例えば、バーコーディング後に、例えば、シークエンシングの前に、核酸をプールする場合を含む様々な手順で使用できる。
いくつかのケースでは、例えば、オリゴヌクレオチド及び/または核酸プライマーに存在するノンテンプレート配列は、シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む。「シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクト」とは、該当するシークエンシングプラットフォーム(Illumina(登録商標)によって供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、HiSeq(商標)、MiSeq(商標)及び/またはGenome Analyzer(商標)シークエンシングシステム)、Ion Torrent(商標)によって供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、Ion PGM(商標)及び/またはIon Proton(商標)シークエンシングシステム)、Pacific Biosciencesによって供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、PACBIO RS IIシークエンシングシステム)、Life Technolgies(商標)によって供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、SOLiDシークエンシングシステム)、Rocheによって供給されているシークエンシングプラットフォーム(例えば、454 GS FLX+及び/またはGS Juniorシークエンシングシステム)、あるいは該当するいずれかの他のシークエンシングプラットフォームなど)で用いられる核酸ドメイン(例えば、シークエンシングプラットフォームアダプター核酸配列)またはその相補体の少なくとも一部を含む核酸コンストラクトを意味する。
特定の態様では、ノンテンプレート配列は、表面付着シークエンシングプラットフォームオリゴヌクレオチド(例えば、Illumina(登録商標)シークエンシングシステムのフローセルの表面に付着しているP5またはP7オリゴヌクレオチド)に特異的に結合するドメイン(例えば、「捕捉部位」または「捕捉配列」)である核酸ドメインと、シークエンシングプライマー結合ドメイン(例えば、Illumina(登録商標)プラットフォームのRead1またはRead2プライマーが結合できるドメイン)とを含むシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む。そのシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトは、該当するシークエンシングプラットフォームに適するいずれかの長さ及び配列の核酸ドメイン(例えば、「シークエンシングアダプター」)を含んでよい。特定の態様では、この核酸ドメインは、4〜200ntの長さであってよい。例えば、この核酸ドメインは、4〜100ntの長さ(6〜75nt、8〜50ntまたは10〜40ntの長さなど)であってよい。特定の実施形態によれば、シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトは、2〜8ntの長さ(9〜15nt、16〜22nt、23〜29ntまたは30〜36ntの長さなど)である核酸ドメインを含む。
その核酸ドメインは、例えば、その核酸ドメインに隣接するcDNAインサートの固相増幅及び/または合成によるシークエンシングの際に、該当するシークエンシングプラットフォームで用いられるポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチド)が、その核酸ドメインに特異的に結合できるようにする長さ及び配列を有してよい。核酸ドメインの例としては、Illumina(登録商標)ベースのシークエンシングプラットフォームで用いられるP5(5’−AATGATACGGCGACCACCGA−3’)(配列番号17)、P7(5’−CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT−3’)(配列番号18)、Read1プライマー(5’−ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT−3’)(配列番号19)及びRead2プライマー(5’−GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT−3’)(配列番号20)ドメインが挙げられる。核酸ドメインの他の例としては、Ion Torrent(商標)ベースのシークエンシングプラットフォームで用いられるAアダプター(5’−CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAG−3’)(配列番号21)及びP1アダプター(5’−CCTCTCTATGGGCAGTCGGTGAT−3’)(配列番号22)ドメインが挙げられる。
該当するシークエンシングプラットフォームでのシークエンシングに有用なノンテンプレート配列ドメインのヌクレオチド配列は様々であってよく、及び/または時間の経過とともに変化してよい。アダプター配列は典型的には、シークエンシングプラットフォームのメーカーによって供給されている(例えば、シークエンシングシステムとともに供給される技術文書に掲載されていたり、及び/またはメーカーのウェブサイトで入手可能であったりする)。このような情報に基づき、ノンテンプレート配列(例えば、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチド及び/または単一産物核酸プライマー及び/または類似のもの)のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトの配列は、該当するプラットフォームで、核酸インサート(テンプレート核酸に対応しているインサート)をシークエンシング可能にする構成で、1つ以上の核酸ドメインの全部または一部を含むように設計してよい。ノンテンプレート配列に含めてよいシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトと、本明細書に記載されている他の核酸試薬とは、US2015−0111789A1として公開された米国特許出願第14/478,978号にさらに説明されており、その開示内容は、参照により、本明細書に援用される。
ノンテンプレート配列は、該当する核酸、例えば、オリゴヌクレオチド、核酸プライマー、作製したdsDNAなどに、様々な手段によって付加してよい。例えば、上述のように、ノンテンプレート配列は、ターミナルトランスフェラーゼ活性を有するポリメラーゼの作用を通じて付加してよい。例えば、プライマーまたはオリゴヌクレオチドに存在するノンテンプレート配列は、増幅反応の際に、産物核酸に導入してよい。いくつかのケースでは、ノンテンプレート核酸配列は、核酸に(例えば、増幅の前に、プライマーまたはオリゴヌクレオチドに、核酸増幅産物になど)直接結合してよい。ノンテンプレート配列を核酸に直接結合する方法は、様々なものがあり、例えば、ライゲーション、化学的な合成/連結、酵素によるヌクレオチドの付加(例えば、ターミナルトランスフェラーゼ活性を有するポリメラーゼによる付加)などを挙げてよいが、これらに限らない。
いくつかのケースでは、本開示の方法は、シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを核酸の末端に結合することを含んでよい。例えば、いくつかのケースでは、本開示の方法で用いるオリゴヌクレオチド及び/またはプライマーは、シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含まなくてもよく、すなわち、該当する核酸の作製後に、所望のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを結合してもよい。該当する核酸またはその誘導体の末端に結合するアダプターコンストラクトは、ダウンストリームシークエンシングアプリケーションで有用ないずれかの配列エレメントを含んでよく、そのエレメントとしては、本明細書に記載の方法のオリゴヌクレオチド及び/またはプライマーの任意のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトに関して上記したエレメントのいずれかが挙げられる。例えば、該当する核酸またはその誘導体の末端に結合するアダプターコンストラクトは、表面付着シークエンシングプラットフォームオリゴヌクレオチドに特異的に結合するドメイン、シークエンシングプライマー結合ドメイン、バーコードドメイン、バーコードシークエンシングプライマー結合ドメイン、分子特定ドメイン及びこれらを組み合わせたものからなる群から選択した核酸ドメインまたはその相補体を含んでよい。
シークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトの結合は、いずれかの好適なアプローチを用いて行ってよい。特定の態様では、アダプターコンストラクトは、「シームレス」クローニング法と同じまたは類似のアプローチを用いて、産物核酸またはその誘導体の末端に結合する。シームレス法は、制限酵素解析及び消化、DNA末端修復、脱リン酸化、ライゲーション、酵素の不活化及びクリーンアップ、ならびに核酸物質の対応する喪失を1ラウンド以上排除する。該当するシームレス結合法としては、Takara Bio USA,Inc.(Mountain View,CA)から入手可能なIn−Fusion(登録商標)クローニングシステム、Li & Elledge(2007)Nature Methods 4:251−256に記載されているようなSLIC(配列及びリガーゼ非依存性クローニング)、Gibson et al.(2009)Nature Methods 6:343−345に記載されているようなギブソンアセンブリー、Quan & Tian(2009)PLoS ONE 4(7):e6441に記載されているようなCPEC(環状ポリメラーゼ伸長クローニング)、Zhang et al.(2012)Nucleic Acids Research 40(8):e55に記載されているようなSLiCE(シームレスライゲーションクローニング抽出物法)、及びLife Technologies(Carlsbad,CA)によるGeneArt(登録商標)シームレスクローニング技術が挙げられる。
該当するシークエンシングプラットフォームに有用もしくは必要なシークエンシングドメインの一部しか有さない、該当する核酸またはその誘導体に、追加の核酸シークエンシングドメインを付与するために、いずれかの好適なアプローチを用いてよい。例えば、その5’末端(例えば、該当する核酸またはその誘導体と相補的であるプライマー領域の5’)にアダプター配列を有するPCRプライマーを用いて、該当する核酸またはその誘導体を増幅して、アンプリコンが、いずれかの所望の構成で、元の産物核酸におけるアダプター配列と、プライマーにおけるアダプター配列とを含むようにできる。シームレスクローニング法、制限消化/ライゲーションなどに基づくアプローチを含む他のアプローチを用いてもよい。
追加の方法パラメーター
上記で概説したように、本明細書に記載の方法は、例えばテンプレートスイッチング逆転写反応、核酸増幅反応、末端捕捉反応、タグメンテーション反応などを含む特定の核酸反応を含んでよい。このような反応における反応混合物成分は、その反応の生成物を生成するために十分な条件下で混ぜ合わせる。例えば、いくつかのケースでは、産物二本鎖cDNAを生成するために十分な条件下でテンプレートスイッチング逆転写反応の反応成分を混ぜ合わせる。いくつかのケースでは、核酸増幅反応の反応成分は、増幅産物核酸を生成するために十分な条件下で混ぜ合わせる。いくつかのケースでは、末端捕捉反応の反応成分は、末端捕捉核酸を生成するために十分な条件下で混ぜ合わせる。いくつかのケースでは、タグメンテーション反応の反応成分は、タグメンテーション済み核酸を生成するために十分な条件下で混ぜ合わせる。
本開示の核酸を「生成するために十分な条件」とは、その反応における関連する核酸及び/または他の反応成分が、所望の形で、互いと相互作用できるようにする反応条件を意味する。例えば、いくつかのケースでは、この条件は、反応混合物の核酸がハイブリダイズするために十分なものであってよい。いくつかのケースでは、この条件は、反応混合物の酵素が化学的プロセス(例えば、ポリマー化、加水分解など)を触媒するために十分なものであってよい。好適な反応条件もたらすこととしては、反応混合物成分、その濃度及び反応温度を選択して、関連するプロセスが進行する環境(例えば、関連する核酸が互いに配列特異的にハイブリダイズする環境、関連するポリメラーゼがポリマー化を行うことによって、核酸を延伸させる環境などが挙げられる)を作ることを挙げてよい。反応の特異的核酸(例えばテンプレート核酸、オリゴヌクレオチド、プライマーなど)に加えて、反応混合物は、適切なpH、塩濃度(例えばKCl濃度)などを構築するバッファー成分を含んでよい。二本鎖核酸複合体を生成するために十分な条件としては、ハイブリダイゼーションに適切な条件(「ハイブリダイゼーション条件」ともいう)を挙げてよい。
好適な反応条件の実現には、反応混合物成分、その濃度及び反応温度を選択して、1つ以上のポリメラーゼが活性になり、及び/または反応物における関連核酸が、所望の形で、互いに相互作用(例えばハイブリダイズ)する環境を作ることを含めてよい。好適な反応条件では、反応混合物は、反応成分に加えて、伸長反応(複数可)及び/またはテンプレートスイッチングを行うための適切なpH、塩濃度(例えばKCl濃度)、金属補因子濃度(例えば、Mg2+またはMn2+濃度)などを構築するバッファー成分を含んでよい。1つ以上のヌクレアーゼインヒビター(例えば、RNaseインヒビター及び/またはDNaseインヒビター)、GCリッチ配列の増幅/複製を促す1つ以上の添加剤(例えば、GC−Melt(商標)試薬(Takara Bio USA,Inc.(Mountain View,CA))、ベタイン、DMSO、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールもしくはこれらを組み合わせたもの)、1つ以上の分子クラウディング剤(例えば、ポリエチレングリコールなど)、1つ以上の酵素安定化成分(例えば、1〜10mM(例えば5mM)の範囲の最終濃度で存在するDTT)及び/またはポリメラーゼの媒介による伸長反応及び/またはテンプレートスイッチングを促すために有用ないずれかの他の反応混合物成分のようなその他の成分を含めてよい。
1つ以上の反応混合物は、プライマー伸長反応及び/またはテンプレートスイッチングに適するpHであってよい。特定の実施形態では、反応混合物のpHは、5〜9(7〜9など(8〜9を含む)、例えば8〜8.5)の範囲である。いくつかのケースでは、反応混合物は、pH調整剤を含む。該当するpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸バッファー溶液、クエン酸バッファー溶液などが挙げられるが、これらに限らない。例えば、pH調整剤を適切な量で加えることによって、反応混合物のpHを所望の範囲に調整することができる。
プライマー伸長反応に適する温度範囲は、用いる具体的なポリメラーゼ、用いるいずれかのプライマーの融解温度などのような要因によって変動し得る。いくつかのケースでは、逆転写酵素(例えば、MMLV逆転写酵素)を用いてよく、ハイブリダイズされるプライマーを逆転写酵素の媒介によって伸長するために十分な反応混合物条件としては、反応混合物を4℃〜72℃(16℃〜70℃、例えば37℃〜50℃、40℃〜45℃など(42℃を含む))の範囲の温度にすることが挙げられる。
いくつかのケースでは、本明細書に記載されている方法は、例えば、テンプレートの二次構造を変性させるために十分な温度に、テンプレートを含む反応混合物を曝すことによって、テンプレートを変性させることを含んでよい。状況に応じて、変性は、1つ以上の反応成分を反応混合物に加える前または加えた後に行ってよく、いくつかのケースでは、単一産物核酸を作製するための転写、例えば逆転写の開始前に行う。有用な変性温度は、様々な温度があり、50℃未満〜100℃超の範囲であってよく、例えば、50℃以上、55℃以上、65℃以上、70℃以上、72℃以上、75℃以上、80℃以上、85℃以上、90℃以上、95℃以上などが挙げられるがこれらに限らない。
いくつかのケースでは、提供する方法は、最終核酸産物(例えば核酸ライブラリー)及び/または中間核酸産物(例えば二本鎖産物cDNA)を単離及び/または精製することを含んでよい。いずれかの利便的な精製方法を用いてよく、例えば、核酸沈殿(すなわち、アルコール沈殿)、ゲル精製などが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかのケースでは、提供する方法は、例えば、作製した二本鎖cDNA、作製した核酸ライブラリーなどを増幅する際に用いるものとして、増幅ポリメラーゼを用いることを含んでよい。いずれかの利便的な増幅ポリメラーゼを用いてよく、耐熱性ポリメラーゼを含むDNAポリメラーゼが挙げられるが、これに限らない。有用な増幅ポリメラーゼとしては、例えば、Taq DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、これらの誘導体などが挙げられる。いくつかのケースでは、増幅ポリメラーゼは、ホットスタートポリメラーゼであってよく、例えば、ホットスタートTaq DNAポリメラーゼ、ホットスタートPfu DNAポリメラーゼなどが挙げられるが、これらに限らない。
増幅ポリメラーゼは、反応混合物に混ぜ合わせて、その増幅ポリメラーゼの最終濃度が、産物核酸を所望の量で生成させるために、例えば、増幅産物二本鎖cDNAを所望の量、ライブラリー核酸を所望の量などで生成させるために十分な濃度となるようにしてよい。特定の態様では、増幅ポリメラーゼ(例えば、耐熱性DNAポリメラーゼ、ホットスタートDNAポリメラーゼなど)は、反応混合物に、0.1〜200ユニット/μL(U/μL)(0.5〜100U/μL、例えば1〜50U/μLなど(5〜25U/μLを含む)、例えば20U/μL)の最終濃度で存在する。
本開示の方法の核酸反応、例えば増幅反応は、dNTPを反応混合物に混ぜ合わせることを含んでよい。特定の態様では、4つの天然のdNTP(dATP、dGTP、dCTP及びdTTP)をそれぞれ、反応混合物に加える。例えば、dATP、dGTP、dCTP及びdTTPは、各dNTPの最終濃度が、0.01〜100mM(0.1〜10mMなど(0.5〜5mMを含む)、(例えば1mM))になるように、反応混合物に加えてよい。いくつかのケースでは、反応混合物に加える1種類以上のヌクレオチドは、非天然のヌクレオチド、例えば、そのヌクレオチドに結合された結合部分もしくは他の部分(例えば、蛍光部分)を有する改変ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、または本開示の方法もしくは該当するダウンストリームアプリケーションで有用ないずれかの他のタイプの非天然ヌクレオチドであってよい。
反応混合物は、様々な温度に暴露して、反応の様々な局面を駆動してよく、その局面としては、例えば、核酸の変性/融解、核酸のハイブリダイゼーション/アニーリング、ポリメラーゼの媒介による延伸/伸長などが挙げられるが、これらに限らない。様々なプロセスを行う温度は、行うプロセスに従って呼称してよく、例えば、融解温度、アニーリング温度、延伸温度などが挙げられる。このようなプロセスの最適温度は、例えば、用いるポリメラーゼ、核酸の特徴などに応じて変動することになる。特定のポリメラーゼ(逆転写酵素及び増幅ポリメラーゼが挙げられる)の最適温度は、参考文献の文から容易に得ることができる。核酸に関する最適温度、例えば、アニーリング温度及び融解温度は、該当する核酸の既知の特徴(例えば、全長、ハイブリダイゼーション長、G/C含有率、二次構造予測などが挙げられる)に基づき、容易に算出できる。
特定の実施形態によると、本開示の方法は、デオキシリボ核酸(DNA)を単離、増幅及び/または解析(例えばシークエンシング)することを含んでよい。本開示の方法が、DNAを単離、増幅及び/または解析することを含む場合、用いるDNAは、DNAテンプレートと称してよい(または場合によっては、テンプレートDNAと称する)。テンプレートDNAは、いずれかのタイプのDNA(またはそのサブタイプ)であってよく、ゲノムDNA(例えば、動物ゲノムDNA(例えば、哺乳類動物ゲノムDNA(例えば、ヒトゲノムDNA、齧歯類動物ゲノムDNA(例えば、マウス、ラットなど)など)、ミトコンドリアDNA、またはそれらのタイプのDNAまたはそれらのサブタイプをいずれかに組み合わせたものが挙げられるが、これらに限らない。
特定の実施形態では、所望に応じて、解析のために、ゲノムDNA(gDNA)を単離及び/または処理してよい。例えば、いくつかのケースでは、提供する方法は、RNAを含む試料から、1つ以上のライブラリーを調製することを含むとともに、その試料からgDNAを単離、処理及び/または解析することをさらに含んでよい。したがって、いくつかのケースでは、試料としては、例えば、複数の細胞から単離した核酸試料、単一細胞から単離した試料を含め、RNAとDNA(例えばgDNA)との両方を含む試料を挙げてよい。例えば、いくつかのケースでは、本開示の方法は、単一細胞からRNAとDNAとを単離、処理及び/または解析することを含んでよく、例えば、RNAの処理に、RNA試料から2つ以上ライブラリー(例えば、発現ライブラリーと免疫細胞レセプターレパートリーライブラリー)を調製することが含まれる場合が挙げられる。
gDNAの単離、処理及び/または解析は、様々な目的で行ってよい。例えば、いくつかのケースでは、試料のgDNAをシークエンシングして、ゲノム配列情報を得てよい。該当する試料のgDNAのこのようなシークエンシングは、いくつかのケースでは、1つの免疫座または1つ以上の免疫座をシークエンシングすることを含んでよい。「免疫座」とは概して、免疫系プロセスと関連する遺伝子(遺伝子オントロジー(GO)アクセッション番号GO:0002376(オンラインでgeneontology.orgで入手可能)によって同定される遺伝子など)を含め、いずれかの免疫関連遺伝子の遺伝子座を意味し、例えば、B細胞媒介免疫、B細胞セレクション、T細胞媒介免疫、T細胞セレクション、免疫応答の活性化、抗原の処理と提示、粘膜関連リンパ組織における抗原サンプリング、好塩基球媒介免疫、好酸球媒介免疫、血球分化、血球増殖、免疫エフェクタープロセス、免疫応答、免疫系の惹起、免疫記憶プロセス、白血球活性化、白血球ホメオスタシス、白血球媒介免疫、白血球遊走、リンパ球共刺激、リンパ球媒介免疫、マスト細胞媒介免疫、骨髄系細胞ホメオスタシス、骨髄性白血球媒介免疫、ナチュラルキラー細胞媒介免疫、負の免疫系プロセス調節、好中球媒介免疫、正の免疫系プロセス調節、免疫応答のメディエーター分子の産生、免疫系プロセスの調節、免疫レセプターの体細胞レベルでの多様化、寛容性誘導などと関連する遺伝子が挙げられるが、これらに限らない。
いくつかのケースでは、本開示の方法においてシークエンシングしたり及び/または別段で解析したりしてよい免疫座は、TCR座であってよい。いくつかのケースでは、本開示の方法においてシークエンシングしたり及び/または別段で解析したりしてよい免疫座は、BCR座であってよい。いくつかのケースでは、免疫座のgDNAのシークエンシングによって、例えば発現ライブラリー及び/または免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを含め、本発明で作製したライブラリーの1つ以上のNGS解析との協調解析を可能にできる。いくつかのケースでは、提供する方法で行うgDNA解析は、全ゲノムシークエンシングを含んでよい。
組成物及びキット
本開示の態様は、組成物及びキットも含む。本開示の組成物及びキットは、例えば、本開示の方法に関して上記で説明した反応混合物成分のいずれかのうちの1つ以上を含んでよい。例えば、本開示の組成物及びキットは、核酸試料(例えば、RNA試料、RNAとDNAが組み合わさった試料など)、増幅ポリメラーゼ(例えば耐熱性ポリメラーゼなど)、逆転写酵素(例えば、テンプレートスイッチングできる逆転写酵素など)、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチド、末端捕捉プライマー、免疫レセプター特異的プライマー、タグメンテーション反応の1つ以上の成分、dNTP、塩、金属補因子、1つ以上のヌクレアーゼインヒビター(例えば、RNaseインヒビター及び/またはDNaseインヒビター)、1つ以上の分子クラウディング剤(例えばポリエチレングリコールなど)、1つ以上の酵素安定化成分(例えばDTT)、あるいはいずれかの他の所望のキット成分(複数可)を含んでよい。
いくつかのケースでは、本開示の組成物及び/またはキットの成分は、「カクテル」として提供してもよく、カクテルとは、本明細書で使用する場合、異なるものであるが、類似のものである成分を2つ以上、1つの容器で集めたりまたは組み合わせたりしたものを指す。本開示のキットにおける有用なカクテルとしては、例えば、「プライマーカクテル」が挙げられるが、これに限らず、このようなカクテルの組成は様々であってよく、例えば、2つ以上のプライマー(例えば、末端増幅プライマーと免疫レセプター特異的プライマーとを含む)のカクテルなどを挙げてよい。本開示のキットにおける有用なカクテルとしては、例えば、「タグメンテーションカクテル」も挙げてよいが、これに限らず、このようなカクテルの組成は様々であってよく、例えば、タグメンテーション反応の2つ以上の成分(例えば、トランスポゾンとトランスポザーゼとを含む)のカクテルを挙げてよい。
特定の実施形態では、本開示のキットは、該当する核酸供給源から核酸を単離するための試薬を含む。この試薬は、単一細胞、培養細胞、組織、器官または生物を含め、様々なDNA供給源またはRNA供給源から核酸試料を単離するために適していてよい。本開示のキットは、固定した細胞、組織または器官、例えば、ホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)組織から核酸試料を単離するための試薬を含んでよい。このようなキットは、1つ以上の脱パラフィン剤、核酸を脱架橋するために適する1つ以上の薬剤及び/または類似のものを含んでよい。
本開示のキットの成分は、別々の容器に入っていてよく、あるいは、複数の成分が、1つの容器に入っていてもよい。例えば、テンプレートスイッチング反応を行うための成分と、ライブラリーを調製するための成分(例えば、作製した二本鎖cDNAを分割後に用いる成分)とは、異なるチューブに入っていてもよい。いくつかのケースでは、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドと第1鎖cDNAプライマーとは、同じチューブに入っていても、異なるチューブに入っていてもよい。いくつかのケースでは、1つ以上の免疫レセプター特異的プライマーと1つ以上の末端(例えば5’末端)プライマーとは、同じチューブに入っていても、異なるチューブに入っていてもよい。いくつかのケースでは、1つ以上の末端(例えば、5’末端または3’末端)プライマーと、1つ以上のタグメンテーション後プライマーとは、同じチューブに入っていても、異なるチューブに入っていてもよい。いくつかのケースでは、デオキシリボヌクレオチドトリホスフェート(dNTP)は、逆転写酵素、増幅ポリメラーゼまたは1つ以上のプライマーもしくはオリゴヌクレオチドと同じチューブに入っていてもよい。
特定の実施形態では、提供するキットは、5’増幅プライマー、免疫細胞レセプター特異的増幅プライマー(すなわち免疫レセプター特異的プライマー)及び末端増幅プライマーをいずれかに組み合わせたものを含んでもよい。例えば、キットは、テンプレートスイッチオリゴヌクレオチドによって付加されるプライマー結合部位に結合する5’増幅プライマーと、1つ以上の免疫細胞レセプターポリペプチド(例えば、TCRα鎖、TCRβ鎖、免疫グロブリン鎖)の領域(例えば定常領域)に特異的に結合する免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーと、末端捕捉で用いる末端増幅プライマー(例えば、末端捕捉プロセス(例えばタグメンテーション反応など)で付加するプライマー結合部位に結合する末端増幅プライマー)とを組み合わせたものを含んでよい。
特定のケースでは、提供するキットは、テンプレートスイッチング逆転写反応を行うための1つ以上の成分を含んでよい。このような成分としては、例えば、テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチド、プライマー、逆転写酵素などを含め、本明細書に記載されている成分が挙げられるが、これらに限らない。このような成分、例えば、オリゴヌクレオチド及びプライマーは、いくつかのケースでは、アダプター配列を含んでよい。例えば、いくつかのケースでは、提供するテンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドは、5’アダプター配列を含んでよい。
特定のケースでは、提供するキットは、タグメンテーション反応を行うための1つ以上の成分を含んでよい。例えば、このようなキットは、タグメンテーション後増幅プライマー結合ドメインを含むトランスポゾン核酸、タグメンテーション後増幅プライマー結合ドメインにハイブリダイズするタグメンテーション後増幅プライマー、トランスポザーゼ(例えばTn5トランスポザーゼ)のうちの1つの試薬もしくはこれらをいくつか組み合わせたもの、またはいくつかの他のものを組み合わせたもの(本明細書に記載されている1つ以上の追加の成分を含むことができる)、これらを組み合わせたものを含んでよい。
特定のケースでは、提供するキットは、自動システム(例えば、Takara Bio USA製のICELL8システム)で複数の反応を行うための1つ以上の成分を含んでよい。提供するキットは、マルチウェルプレート(すなわちアレイチップ)を含むことができる。このマルチウェルアレイチップは、本開示のテンプレートスイッチオリゴヌクレオチド及び/またはいずれかの他のプライマーをそのマルチウェルアレイチップのウェルに、(例えば乾燥形態で)含むことができる。
上記の成分に加えて、本開示のキットは、そのキットの成分を使用して、例えば、上記のような本開示の方法を実施するための説明をさらに含んでよい。加えて、例えば、キットのプライマー及び/またはオリゴヌクレオチドが、BUMIドメインを含む場合には、そのキットは、例えば、コード付きBUMIドメインのデコード、ユニークな分子種の計数などを含め、結果解析のためのプログラミングをさらに含んでよい。この説明及び/または解析プログラミングは概して、好適な記録媒体に記録されている。この説明及び/またはプログラミングは、紙またはプラスチックなどの基材に印刷してもよい。したがって、説明は、キットに、添付文書、キットまたはその成分の容器のラベル(すなわち、パッケージまたはサブパッケージに付随するラベル)などとして存在してよい。別の実施形態では、説明は、好適なコンピューター可読記憶媒体、例えば、CD−ROM、ディスケット、ハードディスクドライブ(HDD)などにある電子記憶データファイルとして存在してよい。さらに別の実施形態では、実際の説明は、キットには入っていないが、遠隔の供給源から、例えばインターネットを介して、説明を入手する手段が提供されている。この実施形態の例は、説明を見ることができたり、及び/または説明をダウンロードできたりするウェブアドレスを含むキットである。説明に関しては、説明を入手するこの手段は、好適な基材に記録されている。
本開示の組成物は、いずれかの好適な環境で存在してよい。一実施形態によれば、本開示の組成物は、反応チューブ(例えば、0.2mLチューブ、0.6mLチューブ、1.5mLチューブなど)、ウェル、マイクロ流体チャンバー、ドロップレットまたはその他の好適な容器に入っている。特定の態様では、本開示の組成物は、2つ以上の(例えば複数の)反応チューブまたはウェル(例えば、96ウェルプレート、マルチウェルプレートのようなプレート(例えば、約1000個、5000個もしくは10,000個以上のウェルを含む))に入っている。このチューブ及び/またはプレートは、いずれかの好適な材料、例えば、ポリプロピレンなど、PDMSまたはアルミニウムで作られていてよい。この容器は、容器の壁に核酸が吸着することを低減するように処理してもよい。特定の態様では、本開示の組成物が入っているチューブ及び/またはプレートは、(例えば、ヒートブロック、ウォーターバス、サーモサイクラー及び/または類似のものに入れたときに)本開示の組成物に効率的に熱を伝導して、例えば、特定の酵素反応を起こすために必要とされるように、短期間で、組成物の温度を変化させることができるようにする。特定の実施形態によれば、本開示の組成物は、薄肉ポリプロピレンチューブ、または薄肉ポリプロピレンウェルまたは熱コンダクタンスが高い材料(アルミニウムなど)を有するプレートに入っている。いくつかのケースでは、本開示の組成物は、ドロップレットに入っていてよい。特定の実施形態では、固体表面またはビーズで反応を行うことが利便的であり、このケースでは、当該技術分野において知られている方法(ビオチン結合または共有結合など)によって、単一産物核酸プライマー及び/またはテンプレートスイッチオリゴヌクレオチド、あるいは1つ以上の他のプライマーを固体支持体またはビーズに結合して、その支持体で、反応を進行させてよい。あるいは、例えば、Macosko,EZ et.al,Cell 161,1202−1214,May 21,2015に記載されているように、オリゴを固体支持体上で直接合成してよい。
本開示の組成物に適する他の環境としては、例えば、マイクロ流体チップ(例えば、「ラブオンチップデバイス」、例えば、チャネルと入口を備えるマイクロ流体デバイス)が挙げられる。本開示の組成物は、その組成物を所望の温度にするように構成された器具、例えば、温度制御式ウォーターバス、ヒートブロック、ヒートブロックアダプターなどに入れてよい。組成物を所望の温度にするように構成された器具は、組成物を一連の異なる所望の温度に、それぞれ好適な期間にわたってするように構成されていてよい(例えば、この器具は、サーモサイクラーであってよい)。
有用性
本開示の方法は、免疫細胞レセプターレパートリー解析及び/または別々に調製した2つ以上のシークエンシングライブラリーの解析を用いるアプリケーション(このような解析を順次または同時に行うことのできる場合を含む)を含め、様々なアプリケーションで有用である。
上述のように、いくつかのケースでは、別々に調製した2つのライブラリーから得たデータを協調させてよい。このような協調データは、共通または関連する目的を果たし得る。例えば、いくつかのケースでは、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーから得たデータは、発現ライブラリーから得たデータと協調させてよい。いくつかの実施形態では、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーのシークエンシングによって、細胞、細胞集団、または対象もしくは対象集団で発現される免疫レセプターのレパートリーの同定に関する情報を得ることができ、発現ライブラリーの発現差解析によって、相対的な遺伝子発現レベルに関する情報であって、免疫レセプターレパートリーの情報と協調させてよい情報を得ることができる。例えば、いくつかのケースでは、(例えば、全トランスクリプトーム解析(WTA)の一部として、)発現ライブラリーによって、1つ以上の細胞の全トランスクリプトームに関する発現差の情報を得ることができ、このようなトランスクリプトーム情報は、同じ1つ以上の細胞の免疫レセプターレパートリーの情報と比較したりまたは協調させたりしてよい。別の例として、いくつかのケースでは、発現ライブラリーによって、1つ以上の細胞における1つ以上の免疫関連遺伝子(例えば、サイトカイン、インターロイキン、インターロイキンレセプター、CD4、CD8、CD3、PD−1など)の発現に関する発現差情報を得ることができ、このような免疫関連遺伝子の発現情報は、同じ1つ以上の細胞の免疫レセプターレパートリーの情報と比較したりまたは協調させたりしてよい。このようなプロセスを通じて、細胞または細胞集団の免疫レセプターレパートリーと、他の遺伝子(免疫関連遺伝子と非免疫関連遺伝子を含む)の発現との関係を特定したり及び/またはさらに調べたりしてよい。
さらに、ライブラリーの並列調製で単一産物二本鎖cDNAを使用することによって、結果の一貫性と、データセットにわたって結果を相関させる機能とを向上可能にしてよい。加えて、複数のライブラリーの調製方法で単一産物二本鎖cDNAを用いるのは、その2つ以上のライブラリーから得たデータを後で協調させるか否かにはかかわらず、2つ以上のライブラリーを作製するために、ユーザーインプットと「ハンズオンタイム」の低減が望ましい方法において、さらに有用である。
本開示の方法の用途としては、免疫分子の同定及び/またはスクリーニングが望ましい医学用途及び研究用途が挙げられる。このような用途としては、ヒト臨床研究用途、及び、前臨床研究用途(例えば、齧歯類動物、小型哺乳類動物、大型哺乳類動物、ヒト以外の霊長類動物などのような動物モデルで行う前臨床研究用途など)が挙げられる。
本明細書に開示されている方法で作製するライブラリーであって、シークエンシングできる状態のライブラリーは、いずれかの利便的なシークエンシングプラットフォーム(Illumina(登録商標)のHiSeq(商標)、MiSeq(商標)及びGenome Analyzer(商標)シークエンシングシステム、Ion Torrent(商標)のIon PGM(商標)及びIon Proton(商標)シークエンシングシステム、Pacific BiosciencesのPACBIO RS IIシークエンシングシステム、Life Technologies(商標)のSOLiDシークエンシングシステム、Rocheの454 GS FLX+及びGS Juniorシークエンシングシステム、またはいずれかの他の利便的なシークエンシングプラットフォームを含む)を用いて、ライブラリーメンバーをシークエンシング可能にするアダプター配列を含む。提供する方法は、シークエンシングできる状態のライブラリーであって、該当するRNA出発物質、例えば、mRNA、非ポリアデニル化RNA(例えばマイクロRNA)のいずれかの単一試料に対応するライブラリーを1つ以上作製するために有用である。加えて、本開示の方法を用いて、個別の単一細胞に由来する単一のRNA試料から、または関連細胞集団から、シークエンシングできる状態のcDNAライブラリーを単独でまたは並列で作製してよい。
下記の実施例は、例示として示されており、限定するものとして示されているものではない。
実施例1:単一細胞由来の遺伝子発現解析及びTCRプロファイリングの複合
単一細胞由来の遺伝子発現差解析及びTCRプロファイリングを複合する際に用いるライブラリーの作製に用いるプロセス全体を示している全体概略図が図5に示されている。
逆転写(RT)反応とプレ増幅PCR
このプロトコールの最初の部分では、テンプレートスイッチング逆転写反応を通じて、投入単一細胞から採取したmRNA試料から二本鎖cDNAを作製した。単一細胞mRNA試料を96ウェルプレートのウェルに分散させ、単一細胞mRNA試料から第1鎖を合成するために、各ウェルにおいて、T細胞レセプター(TCR)dTプライマーと逆転写酵素(RT)とを使用した。RTのターミナルトランスフェラーゼ活性によって、合成された第1鎖をテーリングした。そのテール付きヌクレオチドにSMART−Seq Indexed Oligonucleotideをハイブリダイズさせて、RTのテンプレートスイッチングと、合成された第1鎖の伸長とを行い、SMART−Seq Indexed Oligonucleotideをテンプレートとするインデックスとプレ増幅PCRプライマー結合部位配列とを含めた。
次に、TCR dT PrimerとPre−Amp PCR Primer(プレ増幅PCRプライマー結合部位にハイブリダイズする)とを用いて、テンプレートスイッチング反応の産物を増幅させて、最終的に、産物二本鎖cDNAを作製した。各ウェルの作製産物二本鎖cDNA(各単一細胞反応に特有のインデックス配列を含む)をプールし、PCRクリーンアップを行った。プーリングとクリーンアップの後、二本鎖cDNAを2つの反応物に分割して、(1)配列差解析と(2)TCRプロファイリング用のシークエンシングライブラリーとを別々に作製した。
配列差解析用ライブラリーの調製
配列差解析用シークエンシングライブラリーの調製は、5’末端捕捉によって行った。簡潔に述べると、TnRP1トランスポゾン及びTnPR2トランスポゾンとTn5トランスポザーゼとを用いて、産物二本鎖cDNAをタグメンテーションした。タグメンテーションによって、完全5’末端(すなわち、インデックスとプレ増幅PCRプライマー結合部位配列が保持されている5’末端)と、タグメンテーション後増幅プライマー結合ドメインが導入されたタグメンテーション済み3’末端とを有する産物二本鎖cDNA断片が得られた。2つの5’末端捕捉プライマー、すなわち、プレ増幅PCRプライマー結合部位配列にハイブリダイズする第1のプライマー(「5’末端捕捉プライマー1」)と、タグメンテーション後増幅プライマー結合ドメインにハイブリダイズする第2のプライマー(「5’末端捕捉プライマー2」)とを用いて、タグメンテーション済み5’断片を増幅し、シークエンシングアダプター配列を導入した。第1のプライマー(「5’末端捕捉プライマー1」)は、P7、i7、Read2及びSMART配列を含んでいた。第2のプライマー(「5’末端捕捉プライマー2」)は、P5、i5及びTn Read1配列を含んでいた。増幅後、ライブラリーが完成し、シークエンシングできる状態となった。
TCRプロファイリング用ライブラリーの調製
TCRプロファイリング解析用のTCR特異的ライブラリーの調製は、チューブ内で、TCR特異的増幅と、配列アダプターの付加とを用いて行った。TCR特異的増幅は、SMART Primer1(Read2配列とSMART配列を含む)と、ヒトTCRアルファ/ベータ鎖定常領域に特異的なプライマー(「TCRa/b Human Primer1」)とを用いて行った。増幅の第1ラウンド(「PCR 1」)では、SMART Primer1はプレ増幅PCRプライマー結合部位配列にハイブリダイズし、TCRa/b Human Primer1はTCRアルファ/ベータ鎖定常領域にハイブリダイズした。増幅の第2ラウンド(「PCR2」)は、TCR Primer2 Forward HT Index(Read2配列にハイブリダイズし、P7配列及びi7配列を導入する)と、TCR a/b Human Primer2 Reverse HT Index(増幅TCRアルファ/ベータ定常領域配列にハイブリダイズし、Read1配列、i5配列及びP5配列を導入する)を用いて行った。増幅後、ライブラリーが完成し、シークエンシングできる状態となった。
実施例2:単一細胞T細胞レセプタープロファイリング
単一細胞を96ウェルプレートの個々のウェル内の溶解バッファーにソーティングした。続いて、そのプレート(横列ごとにユニークインデックス付きSMART−Seqオリゴヌクレオチドを含む(A〜H、図7))に、逆転写試薬を加えた。そのプレートの各ウェルで、RTとプレ増幅PCR工程を行い、縦列ごとに産物をプールし、そのcDNA分子の由来元である個別の細胞に従ってバーコードを付与したcDNA分子の混合物をそれぞれ含む12個のプールを得た。その後のライブラリー構築工程は、(以下にさらに詳細に説明されているように、)12個のプールのそれぞれに対して行い、調製する必要があるライブラリーの数を96個から12個に減少させた。バーコードを含めることにより、各プールにおいて、シークエンシングデータのデマルチプレックスが可能になり、それにより、TCR−α及びTCR−βサブユニットにおいて、単一細胞の分解と、配列情報の対合とが可能になる。
単一T細胞からTCRプロファイリング用ライブラリーを調製する際に用いるプロセス全体を示している全体概略図が図6に示されている。ライブラリーの調製の際に用いるプロセスは、実施例1に記載されているプロセスのTCRプロファイリング用ライブラリーの調製部分と似たものであった。
簡潔に述べると、単一細胞を96ウェルプレートにソーティングした。第1鎖cDNAの合成をTCR dTプライマーによってプライミングし、MMLV由来逆転写酵素(RT)によって行った。各mRNA分子の5’末端に達したら、このRTがノンテンプレートヌクレオチドを第1鎖cDNAに付加した。SMART−Seq(登録商標) Indexed Oligonucleotideは、横列特異的インデックス配列に加えて、RTによって付加したノンテンプレートヌクレオチドと相補的である配列を含んでおり、第1鎖cDNAにハイブリダイズした。テンプレートスイッチング工程では、RTは、付加配列を第1鎖cDNAの末端に導入する際のテンプレートとして、SMART−Seq Indexed Oligonucleotideの残部を利用した。
続いて、各ウェルにおいて、プレ増幅PCR工程を行って、PCRによる増幅とライブラリーの構築との際に出発物質として機能する二本鎖cDNAを作製した。クリーンアップ工程後、96ウェルプレートの各縦列のcDNAを別々のチューブにプールし(図7を参照)、オリゴヌクレオチドテンプレート配列と相補的であるプライマー(「SMART Primer1」)と、TCR−α及び/またはTCR−βサブユニットの定常領域(複数可)と相補的であるプライマー(「TCRa/b Human Primer1))とを用いて、TCR特異的配列をPCRによって増幅した。その後、PCRラウンドを行って、TCR−α及び/またはTCR−βサブユニットの可変領域をさらに増幅して、TCR Primer2 Forward HT IndexとTCR a/b Human Primer2 Reverse HT Indexを用いて、アダプター配列を導入した。プライマーに含まれていたのは、Illumina(登録商標)シークエンシングプラットフォームと適合性があるアダプターとインデックス配列(それぞれ、read2+i7+ P7及びread1+i5+P5)であった。精製、サイズ選別及び品質解析後、300bpのペアエンドリードを用いて、TCR cDNAライブラリーをIlluminaプラットフォームでシークエンシングした。
ワークフロー性能の試験を行うために、TCR−α配列ライブラリーとTCR−β配列ライブラリーとを単一Jurkat細胞または単一細胞当量のJurkat RNA(2.5pgのRNA)のいずれかから作製した。同じ種類のインプットごとに異なるSMART−Seq Indexed Oligoを用いて、8個の細胞と8個のRNA試料とを96ウェルプレートで個別に処理した。各ウェルにおいて、RT及びプレ増幅PCR反応を行い、上記のように、次のPCRラウンドの前に、同じ種類のインプットに由来するcDNA産物を一緒にプールした。300bpのペアエンドリードを用いて、最終的なライブラリーをMiSeqでシークエンシングした。シークエンシング後、SMART−Seq Indexed Oligoに由来するバーコード配列を用いて、シークエンシングデータをデマルチプレックスしてから、MiXCRを用いて、そのデータを解析した(Bolotin et al.,(2015)Nat.Methods 12(5):380−381)。
各細胞またはRNA試料由来のTCR−αまたはTCR−βのCDR3領域にマッピングされたシークエンシングリードの割合(%)を求めた(図8)。各RNA試料では、リードの>96%が、いずれかのTCRサブユニットにマッピングされた。解析した8個の細胞のうち7個で、リードの>89%がいずれかのTCRサブユニットにマッピングされた。
各細胞またはRNA試料から、予想されるJurkatクロノタイプ(TRAV8−4、TRAJ3/TRBV12−3、TRBJ1−2)にマッピングされたシークエンシングリードの割合(%)も求めた(図9)。各RNA試料では、リードの>92%で、正確なJurkatクロノタイプが同定された。リードアラインメントデータと一致して、解析した8個の細胞のうち7個で、リードの>86%において、正確なJurkatクロノタイプが同定された。
要約すると、96ウェル形状のアッセイアプローチでのJurkat細胞の試験によって、平均でシークエンシングリードの92%がTCR配列にマッピングされた一方で、リードの平均90%で、正確なJurkatクロノタイプが同定されたことが示された。
実施例3:ICELL8システムを用いた単一細胞T細胞レセプタープロファイリング
a.2つのプライマーの媒介によるcDNA合成
マルチサンプルナノディスペンサー(MSND)形状でも、単一細胞TCRプロファイリングを試験した。WaferGen(Fremont,CA)ICELL8(登録商標)MSNDシステムを用いて、細胞と試薬とをナノリットルの体積で、ICELL8(登録商標)チップのウェルに分注した。ワークフローは概して、図10に概説されている。
オンチップ反応プロセスには、3つの分注工程を含めた。「分注#1」(単一細胞溶液)では、MSNDを用いて、ポアソン統計によって定められたように、単一細胞収量を最大限にするように設計した方法を用いて、WaferGen 72×72チップに、プレプリントしたバーコード付きPCRプライマーとともに(またはこのプライマーなしに)、T細胞を分注した。CellSelect(登録商標)ソフトウェア(Wafergen,Fremont CA)を用いて、細胞の自動イメージングを行った。単一細胞を含むウェルをダウンセレクトして、各バーコードが1回のみ用いられるようにした。ウェル特異的アドレスをもたらす、チップ上の各バーコード(n=1,728)は3コピー存在した。細胞をオンチップで凍結融解によって溶解し、即座に処理した。
「分注#2」(RTミックス)では、第1鎖cDNA合成をTCR dTプライマーによってプライミングし、細胞溶解バッファーの存在下で、MMLV由来逆転写酵素(RT)によって行った。各mRNA分子の5’末端に達したら、このRTがノンテンプレートヌクレオチドを第1鎖cDNAに付加した。SMARTSeqv4 Oligonucleotideは、このRTによって付加したノンテンプレートヌクレオチドと相補的である配列を含み、第1鎖cDNAにハイブリダイズした。テンプレートスイッチング工程では、RTは、付加配列を第1鎖cDNAの末端に導入する際のテンプレートとして、SMART−Seq v4テンプレートスイッチングオリゴの残部を利用した。
分注#3(プレ増殖ミックス)では、10サイクルのプレ増幅を行って、プレプリントしたPCR1−A Primerを導入した(TCR dT Primerと併用した)。チップの内容物は、固定具を用いて、遠心分離によって抽出してから、カラム精製する。
PCR増幅反応をチューブで行った。オリゴヌクレオチドテンプレート配列と相補的であるインデックス付きプライマー(TCR Primer2 Forward HT Index)と、TCR−α及び/またはTCR−βサブユニットの定常領域(複数可)と相補的であるプライマー(TCR α/β Human Primer1)とを用いて、TCR cDNAの完全長可変領域をPCRによって選択的に増幅した。TCR Primer2 Forward HT IndexとTCR a/b Human Primer2 Reverse HT Indexとを用いて、その後のPCRラウンドを行って、TCR−α及び/またはTCR−βサブユニットの可変領域をさらに増幅し、アダプター配列を導入した。プライマーに含まれていたのは、Illuminaシークエンシングプラットフォームと適合するアダプター配列とインデックス配列(それぞれRead2+i7+ P7及びRead1+i5+P5)とであった。精製、サイズ選別及び品質解析後、300 bpのペアエンドリードを用いて、TCR cDNAライブラリーをIlluminaプラットフォームでシークエンシングした。
オンチップワークフローでのSMARTer(登録商標)cDNA合成キット(Takara Bio USA,Mountain View,CA)の性能を評価するために、ICELL8(登録商標)MSNDシステムを用いて作製したシークエンシングデータを3つの独立したライブラリー調製ランについて解析した。そのプロトコールは最初、Jurkat細胞及びRNAコントロール試料で行い、ライブラリーは、単一のバーコードを用いて作製した((1)及び(2))。続いて、1,728個のバーコードを含むプレプリントチップで検証を行った。得られたcDNAライブラリーをシークエンシングしてから、MiXCRを用いて解析した(Bolotin et al.,(2015)Nat.Methods 12(5):380−381)。
単一のバーコードを用いた検証実験では、1,471個のJurkat細胞と、6個または48個のPBMC RNAコントロールウェルとを最終的なライブラリーに含めた。これらの実験のいずれでも、TCR−αまたはTCR−βのCDR3領域にマッピングされたリード数は良好であった(ラン1(1)では約84%、ラン2(2)では約69%であった)とともに、これらのリードの大部分をクロノタイプコールに用いた。(1)では、クロノタイプコールに用いたリードの99%超によって、正確なJurkatクロノタイプ(TRAV8−4、TRAJ3/TRBV12−3、TRBJ1−2)が同定された。PBMC RNAコントロール試料をより多く用いた(2)では、この値は、約95%であった(残りの約5%リードでは、PBMC RNAコントロールに存在する別のクロノタイプが同定された)。
続いて、1,728個のバーコードをプレプリントしたICELL8(登録商標)MSNDチップにおけるワークフローを試験した。この実験では、824個のJurkat細胞、10個のJurkat RNAコントロール及び10個のPBMCコントロールを最終的なライブラリーに含めた。このケースでは、リードの約67%が、TCR−αまたはTCR−βのCDR3領域にマッピングされた。クロノタイプコールに用いたリードの99%超で、正確なJurkatクロノタイプ(TRAV8−4、TRAJ3/TRBV12−3、TRBJ1−2)が同定されたとともに、アルファ鎖及びベータ鎖のいずれも良好に示された。このデータの概要は、以下の表に示されている。
単一のJurkat細胞に由来するシークエンシングリードのアラインメントをさらに解析した。上記の実験に含めた細胞のうち、無作為に選択した25個の細胞のシークエンシングデータを解析して、TCR−αまたはTCR−βのCDR3領域にマッピングされたシークエンシングリードの割合(%)を求めた。この解析結果は図11に示されており、各細胞に関して、「R」は横列の位置、「C」は縦列の位置を指している。細胞の大半(21/25)において、リードの>60%が、TCR−α配列またはTCR−β配列にマッピングされた。いずれの細胞においても、正確なJurkatクロノタイプ(TRAV8−4、TRAJ3/TRBV12−3、TRBJ1−2)が同定された。コントロールウェルから得たデータでも、同様の範囲のアラインメント率が得られた。
上記結果から、MSND形状における単一細胞TCRプロファイリングによって、約1,000個の細胞のシークエンシングライブラリーを一度に作製でき、これらのライブラリーを併せてプールして、1回のラン(例えば、MiSeq(登録商標)での1回のラン)できちんと解析できることが示されている。このアプローチを用いて、個別のJurkat細胞を解析したところ、大半の細胞において、リードの>60%がTCR配列にマッピングされたことが確認され、これらのリードの約70〜80%をクロノタイプの同定で使用した。
b.単一プライマーの媒介による、cDNAの合成
図12A〜12Dには、上記実施例の変形形態のうち、ICELL8(登録商標)MSNDシステムを用いてcDNAを作製する際に、単一のプライマーを使用し、さらに、そのcDNAを本発明の実施形態に従って用いる変形形態が例示されている。上記の実施例3aにおけるように、WaferGen(Fremont,CA)ICELL8(登録商標)MSNDシステムを用いて、細胞と試薬とをナノリットルの体積で、ICELL8(登録商標)MSNDチップのウェルに分注する。
図12Aに示されているオンチップ反応プロセスは、3つの分注工程を含む。「分注#1」(単一細胞溶液)では、MSNDのディスペンサーを用いて、ポアソン統計によって定められたように、単一細胞収量を最大限にするように設計した方法を用いて、プレプリントバーコード付きTSOを含むWaferGen 72×72SmartChipチップにT細胞を分注する。バーコード付きTSOは、1つ以上のプライマー結合部位とバーコード配列とを含むことができる。そのバーコード配列は、その72×72SmartChipの同じウェルに由来することを示すウェルバーコード配列であることができる。CellSelect(登録商標)というソフトウェアで、細胞の自動イメージングを行う。単一細胞を含むウェルをダウンセレクトして、各バーコードが1回のみ用いられるようにする。細胞をオンチップで凍結融解によって溶解し、即座に処理する。
「分注#2」(RT−PCRミックス)では、第1鎖cDNAの合成をオリゴdTプライマーによってプライミングし、細胞溶解バッファーの存在下で、MMLV由来逆転写酵素(RT)によって行う。各mRNA分子の5’末端に達したら、このRTがノンテンプレートヌクレオチドを第1鎖cDNAに付加する。プレプリントTSOは、RTによって付加されるノンテンプレートヌクレオチドと相補的である配列を含み、第1鎖cDNAにハイブリダイズした。テンプレートスイッチング工程では、RTは、付加配列を第1鎖cDNAの末端に導入するためのテンプレートとして、TSOの残部を用いる。
例示されているプロトコールでは、1回のプライマー増幅で二本鎖cDNAの合成を可能にするために、TSO及びCDSの末端配列は、同じである。TSOは、1つ以上の追加のTSO特異的配列を含んでよく、この配列は、例えば、プライマー結合部位、UMI、細胞/試料バーコードなどであることができる。チップ上に保持したままで、単一のプライマーを用いてcDNAを増幅することによって、(図12Bのバイオアナライザー波形に示されているように)完全長cDNAライブラリーを作製する。その単一のプライマーは、新たなプライマーであることも、逆転写で用いたTSO及びCDSプライマーであることもできる。
図12Cに示されているように、試料をチップから取り出し、プロトコールの「オフチップ」部分でプールする。続いて、2つの試料を作製するために、プールした試料を分割してよい。一方の試料は、免疫細胞レセプターレパートリーシークエンシングライブラリーの作製に用いてよい。もう一方の試料は、WTAまたはその他の遺伝子特異的増幅に用いてよい。
例示されているように、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを作製するための試料は、TCRα/β遺伝子特異的プライマーとTSO末端特異的プライマーを用いて増幅してよい。第2のネステッドPCR増幅も行ってよい。図12Dのバイオアナライザー波形に示されているように、増幅によって、TCRαレセプターとβレセプターの両方を含むライブラリーを作製できる。
上記のプロトコールを実施する例では、2つのチップに、異なるT細胞株を分注した。チップ1は、188個のTALL−104細胞と、2つのポジティブコントロールウェル(Jurkat RNA−5pg/ウェル)と、2つのネガティブコントロールウェルとを有していた。チップ2は、94個のCCRF−CEM細胞と、PMAで処理した94個のCCRF−CEM細胞と、2つのポジティブコントロールウェル(Jurkat RNA−5pg/ウェル)と、2つのネガティブコントロールウェルとを有していた。
細胞をICELL8(登録商標)MSNDシステムでソーティングし、上記のようなTCR増幅方法を行った。ライブラリーをシークエンシングして解析した。図13に示されているように、実験で用いたCCRF細胞とTALL細胞とのTCRαレセプター及びTCRβレセプターを同定できた。また、PMAで処理したCCRF細胞では、αレセプターリード及びβレセプターリードの増加が見られたことから、この方法によって、活性化細胞におけるレセプターを検出できることが示された。図13に示されているように、Excelを用いて、MiXCRの出力データをフィルタリングして、TCRαクロノタイプとTCRβクロノタイプとの両方において、1×PBSのネガティブコントロールよりも高いリード閾値が定められた(実線は、80リードカウントを示している)。JMPソフトウェアを用いてデータを解析し、ボックスプロットにプロットし、このプロットでは、下方のバーは、25パーセンタイルを示しており、上方のバーは、75パーセンタイルを示している。各点は、細胞におけるTCRαクロノタイプとTCRβクロノタイプを示している。オンチップネガティブコントロールを用いて、試料と、NTCまたは「ジャンクな」低リードクロノタイプとを区別可能にする閾値を設定した。無刺激のCCRF−CEM細胞及びJurkat RNA(ポジティブコントロール)と刺激したCCRF−CEM細胞及びJurkat RNAとから生成されたデータが示されている。CCRF−CEM細胞をホルボールミリステートアセテート(PMA)で誘導することにより、TCRα遺伝子の発現が増加する。PMAで処理したかまたは処理しなかった細胞を用いて、CCRF−CEMデータを生成した。CCRF−CEM細胞をPMAで処理したところ、コール率が、TCRαクロノタイプとTCRβクロノタイプとのデータに基づくと4倍向上した(14%から52%)。
図14A及び14Bには、図12A〜12Dのプロトコールに従って作製した最初の増幅二本鎖cDNA試料から分割した試料で、全トランスクリプトーム増幅(WTA)が成功したことが示されている。増幅反応を分割することによって作製した全トランスクリプトーム増幅物(WTA)をNEXTERA(商標)核酸ライブラリー調製キット(Illumina)で処理して、アンプリコンを断片化し、アダプター配列を付加した。TSO特異的配列(例えばプライマー結合部位)に特異的なプライマーと、Nextera導入アダプターに特異的なプライマーとを用いて、アンプリコンの5’末端を増幅した。5’発現差ライブラリーをシークエンシングして、遺伝子本体のカバレッジと主要な遺伝子成分とについて解析した。図14A及びBに示されているように、この5’DEライブラリー調製方法では、アンプリコンの5’末端が十分に捕捉され、同様に異なる細胞種も同定された。
添付の請求項にもかかわらず、本開示は、以下の付記によっても定義される。
1.リボ核酸(RNA)試料から発現ライブラリーと免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとを調製する方法であって、
(a)テンプレートスイッチング逆転写反応を用いて、産物二本鎖cDNAをRNA試料から作製することと、
(b)作製した産生二本鎖cDNAを第1の反応混合物と第2の反応混合物とに分割することと、
(c)産生二本鎖cDNAを末端捕捉して、発現ライブラリーを第1の反応混合物から作製し、産物二本鎖cDNAの免疫細胞特異的cDNAを増幅して、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを第2の反応混合物から作製することと
を含む、方法。
2.末端捕捉と増幅とを同時に行う、付記1に記載の方法。
3.末端捕捉と増幅とを順次に行う、付記1に記載の方法。
4.RNA試料を細胞試料から得る、付記1〜3のいずれかに記載の方法。
5.RNA試料を単一細胞から得る、付記1〜3のいずれかに記載の方法。
6.単一細胞はT細胞である、付記5に記載の方法。
7.単一細胞はB細胞である、付記5に記載の方法。
8.分割の前に、複数の単一細胞RNA試料から作製した産物二本鎖cDNAをプールすることをさらに含む、付記5〜7のいずれかに記載の方法。
9.産物二本鎖cDNAを作製する際に用いるプライマーまたはオリゴヌクレオチドは、産物二本鎖cDNAの作製元である単一細胞を特定するインデックス付与配列を含む、付記5〜8のいずれかに記載の方法。
10.プライマーまたはオリゴヌクレオチドは、テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドである、付記9に記載の方法。
11.単一細胞を生体試料から得る、付記5〜10のいずれかに記載の方法。
12.セルソーターを用いて、単一細胞を単離することをさらに含む、付記11に記載の方法。
13.セルソーターはフローサイトメーターである、付記12に記載の方法。
14.セルソーターはマルチウェルベースのシステムである、付記12に記載の方法。
15.発現ライブラリーは、5’末端ライブラリーである、付記1〜14のいずれかに記載の方法。
16.発現ライブラリーは、3’末端ライブラリーである、付記1〜14のいずれかに記載の方法。
17.発現ライブラリーと、免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとをシークエンシングすることをさらに含む、付記1〜16のいずれかに記載の方法。
18.シークエンシングした発現ライブラリーの発現差解析をさらに含む、付記17に記載の方法。
19.発現差解析は全トランスクリプトーム解析(WTA)を含む、付記18に記載の方法。
20.発現差解析はターゲット発現解析を含む、付記18または19に記載の方法。
21.ターゲット発現解析は免疫遺伝子発現解析を含む、付記20に記載の方法。
22.免疫細胞レセプター特異的cDNAは、免疫細胞レセプター配列の5’末端を含む、付記1〜21のいずれかに記載の方法。
23.免疫細胞レセプター特異的cDNAは、完全長免疫細胞レセプター配列を含む、付記1〜22のいずれかに記載の方法。
24.増幅作業は、第2の反応混合物と、5’増幅プライマー及び免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーとを接触させることを含む、付記1〜23のいずれかに記載の方法。
25.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、免疫細胞レセプターの1つ以上の鎖の定常領域に特異的にハイブリダイズする、付記24に記載の方法。
26.免疫細胞レセプターは、T細胞レセプター(TCR)である、付記25に記載の方法。
27.1つ以上の鎖は、TCR−α鎖、TCR−β鎖またはこれらの両方である、付記25または26に記載の方法。
28.免疫細胞レセプターは、B細胞レセプター(BCR)である、付記25に記載の方法。
29.1つ以上の鎖は、免疫グロブリン鎖である、付記25または28に記載の方法。
30.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記24〜29のいずれかに記載の方法。
31.5’増幅プライマーは、インデックス付与配列を含む、付記24〜30のいずれかに記載の方法。
32.5’増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記24〜31のいずれかに記載の方法。
33.末端捕捉は、第1の反応混合物と末端増幅プライマーとを接触させることを含む、付記1〜32のいずれかに記載の方法。
34.末端捕捉は、5’末端捕捉を含む、付記33に記載の方法。
35.5’末端捕捉は、第1の反応混合物と5’末端増幅プライマーとを接触させることを含む、付記34に記載の方法。
36.5’末端増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記35に記載の方法。
37.末端捕捉は、3’末端捕捉を含む、付記33に記載の方法。
38.3’末端捕捉は、第1の反応混合物と3’末端増幅プライマーとを接触させることを含む、付記37に記載の方法。
39.3’末端増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記38に記載の方法。
40.末端捕捉は、タグメンテーションを行って、タグメンテーション後増幅プライマー結合ドメインを産物二本鎖cDNAに付加することを含む、付記1〜39のいずれかに記載の方法。
41.タグメンテーションは、末端増幅プライマーと、タグメンテーション後増幅プライマー結合ドメインにハイブリダイズするタグメンテーション後増幅プライマーとを用いて、産物二本鎖cDNAを増幅することを含む、付記40に記載の方法。
42.タグメンテーションは、産物二本鎖cDNAとTn5トランスポザーゼとを接触させることをさらに含む、付記40または41に記載の方法。
43.産物二本鎖cDNAを作製することは、産物二本鎖cDNAを生成するために十分な条件下で、
RNA試料と、
第1鎖相補デオキシリボ核酸(cDNA)プライマーと、
3’ハイブリダイゼーションドメイン及び5’アダプター配列結合ドメインを含むテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドと、
逆転写酵素と、
dNTPと
を反応混合物において混ぜ合わせることを含む、付記1〜42のいずれかに記載の方法。
44.単一細胞のゲノムDNA(gDNA)をシークエンシングすることをさらに含む、付記1〜43のいずれかに記載の方法。
45.単一細胞のgDNAを、シークエンシングの前に単離することをさらに含む、付記44に記載の方法。
46.単一細胞のgDNAをシークエンシングすることは、免疫座特異的シークエンシングを含む、付記44または45に記載の方法。
47.免疫座特異的シークエンシングは、T細胞レセプター(TCR)座特異的シークエンシングを含む、付記46に記載の方法。
48.免疫座特異的シークエンシングは、B細胞レセプター(BCR)座特異的シークエンシングを含む、付記46または47に記載の方法。
49.単一細胞のgDNAをシークエンシングすることは、全ゲノムシークエンシングを含む、付記44〜48のいずれかに記載の方法。
50.発現ライブラリーは、完全長発現ライブラリーである、付記1〜49のいずれかに記載の方法。
51.5’増幅プライマーと、
免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーと、
末端増幅プライマーと
を含むキット。
52.ポリ(dT)プライマーをさらに含む、付記51に記載のキット。
53.5’増幅プライマーは、インデックス付与配列を含む、付記51または52に記載のキット。
54.5’増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記51〜53のいずれかに記載のキット。
55.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、インデックス付与配列を含む、付記51〜54のいずれかに記載のキット。
56.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記51〜55のいずれかに記載のキット。
57.末端増幅プライマーは、インデックス付与配列を含む、付記51〜56のいずれかに記載のキット。
58.末端増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記51〜57のいずれかに記載のキット。
59.末端増幅プライマーは、5’末端増幅プライマーである、付記51〜58のいずれかに記載のキット。
60.末端増幅プライマーは、3’末端増幅プライマーである、付記51〜58のいずれかに記載のキット。
61.テンプレートスイッチング逆転写反応を行うための1つ以上の成分であって、5’アダプター配列を含むテンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドを含む成分をさらに含む、付記51〜60のいずれかに記載のキット。
62.5’増幅プライマーは、5’アダプター配列またはその相補体を含む、付記61に記載のキット。
63.末端増幅プライマーは、5’アダプター配列またはその相補体を含む、付記61または62に記載のキット。
64.5’増幅プライマーの5’部分と同一の配列を含む第2の5’増幅プライマーを含む、付記51〜63のいずれかに記載のキット。
65.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーの部分と同一の配列を含む第2の免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーを含む、付記51〜64のいずれかに記載のキット。
66.その部分は、免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーの5’部分である、付記65に記載のキット。
67.その部分は、免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーの3’部分である、付記65に記載のキット。
68.タグメンテーション反応を行うための1つ以上の成分をさらに含む、付記51〜67のいずれかに記載のキット。
69.タグメンテーション反応を行うための1つ以上の成分は、
タグメンテーション後増幅プライマー結合ドメインを含むトランスポゾン核酸、
タグメンテーション後増幅プライマー結合ドメインにハイブリダイズするタグメンテーション後増幅プライマー、
トランスポザーゼまたは
これらを組み合わせたもの
を含む、付記68に記載のキット。
70.トランスポザーゼは、Tn5トランスポザーゼである、付記69に記載のキット。
71.複数の単一細胞から免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを調製する方法であって、
(a)複数の各単一細胞からRNA試料を単離することと、
(b)テンプレートスイッチング逆転写反応を用いて、RNA試料からインデックス付き産物二本鎖cDNAを作製することと、
(c)作製したインデックス付き産物二本鎖cDNAをプールすることと、
(d)インデックス付き産物二本鎖cDNAの免疫細胞特異的cDNAを増幅して、単一細胞インデックス付き免疫細胞特異的cDNAを含む免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを作製することと
を含む方法。
72.単一細胞は、T細胞である、付記71に記載の方法。
73.単一細胞は、B細胞である、付記71に記載の方法。
74.インデックス付き産物二本鎖cDNAを作製する際に用いるプライマーまたはオリゴヌクレオチドは、単一細胞を特定するインデックス付与配列を含む、付記71〜73のいずれかに記載の方法。
75.プライマーまたはオリゴヌクレオチドは、テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドである、付記74に記載の方法。
76.プライマーまたはオリゴヌクレオチドは、テンプレートスイッチング逆転写反応で用いるテンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドの5’部分と同一である配列を含む5’増幅プライマーである、付記74に記載の方法。
77.インデックス付き免疫細胞レセプター特異的cDNAは、免疫細胞レセプター配列の5’末端を含む、付記71〜76のいずれかに記載の方法。
78.インデックス付き免疫細胞レセプター特異的cDNAは、完全長免疫細胞レセプター配列を含む、付記71〜77のいずれかに記載の方法。
79.増幅は、プールしたインデックス付き産物二本鎖cDNAと、5’増幅プライマー及び免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーとを接触させることを含む、付記71〜78のいずれかに記載の方法。
80.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、免疫細胞レセプターの1つ以上の鎖の定常領域に特異的にハイブリダイズする、付記79に記載の方法。
81.免疫細胞レセプターは、T細胞レセプター(TCR)である、付記80に記載の方法。
82.1つ以上の鎖は、TCR−α鎖、TCR−β鎖またはこれらの両方である、付記81に記載の方法。
83.免疫細胞レセプターは、B細胞レセプター(BCR)である、付記80に記載の方法。
84.1つ以上の鎖は、免疫グロブリン鎖である、付記83に記載の方法。
85.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記79〜84のいずれかに記載の方法。
86.5’増幅プライマーは、インデックス付与配列を含む、付記79〜85のいずれかに記載の方法。
87.5’増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記79〜86のいずれかに記載の方法。
88.単一細胞を生体試料から得る、付記79〜87のいずれかに記載の方法。
89.セルソーターを用いて、単一細胞を単離することをさらに含む、付記88に記載の方法。
90.セルソーターは、フローサイトメーターである、付記89に記載の方法。
91.セルソーターは、マルチウェルベースのシステムである、付記89に記載の方法。
92.単一細胞のゲノムDNA(gDNA)をシークエンシングすることをさらに含む、付記71〜91のいずれかに記載の方法。
93.単一細胞のgDNAを、シークエンシングの前に単離することをさらに含む、付記92に記載の方法。
94.単一細胞のgDNAをシークエンシングすることは、免疫座特異的シークエンシングを含む、付記92または93に記載の方法。
95.免疫座特異的シークエンシングは、T細胞レセプター(TCR)座特異的シークエンシングを含む、付記94に記載の方法。
96.免疫座特異的シークエンシングは、B細胞レセプター(BCR)座特異的シークエンシングを含む、付記94または95に記載の方法。
97.単一細胞のgDNAをシークエンシングすることは、全ゲノムシークエンシングを含む、付記92〜96のいずれかに記載の方法。
98.免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーをシークエンシングすることをさらに含む、付記71〜97のいずれかに記載の方法。
99.5’アダプター配列を含むテンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドと、
5’アダプター配列を含む5’増幅プライマーと、
免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーと
を含むキット。
100.テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドは、インデックス付与配列を含む、付記99に記載のキット。
101.5’増幅プライマーは、インデックス付与配列を含む、付記99または100に記載のキット。
102.5’増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記99〜101のいずれかに記載のキット。
103.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、インデックス付与配列を含む、付記99〜102のいずれかに記載のキット。
104.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記99〜103のいずれかに記載のキット。
105.キットは、ポリ(dT)プライマーを含む、付記99〜104のいずれかに記載のキット。
106.テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドに加えて、テンプレートスイッチング逆転写反応を行うための1つ以上の成分をさらに含む、付記99〜105のいずれかに記載のキット。
107.第2の5’増幅プライマーを含む、付記99〜106のいずれかに記載のキット。
108.第2の5’増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記107に記載のキット。
109.第2の5’増幅プライマーは、5’増幅プライマーの5’部分と同一の配列を含む、付記107または108に記載のキット。
110.第3の5’増幅プライマーをさらに含む、付記107〜109のいずれかに記載のキット。
111.第3の5’増幅プライマーは、1つ以上のシークエンシングプラットフォームアダプターコンストラクトを含む、付記110に記載のキット。
112.第3の5’増幅プライマーは、第2の5’増幅プライマーの5’部分と同一の配列を含む、付記110または111に記載のキット。
113.第2の5’増幅プライマーは、5’増幅プライマーに結合された5’ノンテンプレート配列に存在するプライマー結合部位にハイブリダイズする配列を含む、付記107または108に記載のキット。
114.免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーの部分と同一の配列を含む第2の免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーを含む、付記99〜113のいずれかに記載のキット。
115.その部分は、免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーの5’部分である、付記99〜114のいずれかに記載のキット。
116.その部分は、免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーの3’部分である、付記99〜114のいずれかに記載のキット。
明瞭な理解のために、上記の発明について、実例と実施例によって、ある程度詳細に説明してきたが、本発明の教示に鑑みれば、添付の請求項の趣旨または範囲から逸脱せずに、本発明に対して特定の変更と修正を行ってよいことは当業者には容易に分かる。
したがって、上記の内容は、本発明の原理を例示しているに過ぎない。本明細書に明示的には説明されたり示されたりしていないが、本発明の原理を具体化するとともに、その趣旨及び範囲に含まれる様々な構成を当業者は考案できることが分かるであろう。さらに、本明細書に示されている実施例と特定の用語とはいずれも、原則として、当該技術分野の促進に本発明者が寄与する本発明の原理及び概念を読み手が理解することを補助するように意図されており、このように具体的に示されている実施例と条件とには限定しないものとして解釈すべきである。さらに、本発明の原理、態様及び実施形態、ならびにその具体的な実施例を示している本明細書の記述はいずれも、その構造的均等物と機能的均等物との両方を含むように意図されている。加えて、このような均等物には、構造にかかわらず、現在知られている均等物と、将来開発される均等物、すなわち、開発されるいずれかの要素のうち、同じ機能を果たす要素との両方が含まれるように意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示されたり、説明されたりしている例示的な実施形態に限定するようには意図されていない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の請求項によって具体化される。
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119(e)条に従い、2017年2月16日に出願した米国特許仮出願第62/459,858号の出願日に基づく優先権を主張するものであり、この仮出願の開示内容は、参照により本明細書に援用される。

Claims (15)

  1. リボ核酸(RNA)試料から発現ライブラリーと免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーとを調製する方法であって、
    (a)テンプレートスイッチング逆転写反応を用いて、RNA試料から産物二本鎖cDNAを作製することと、
    (b)作製した産物二本鎖cDNAを第1の反応混合物と第2の反応混合物とに分割することと、
    (c)前記産物二本鎖cDNAを末端捕捉して、前記第1の反応混合物から発現ライブラリーを作製し、前記産物二本鎖cDNAの免疫細胞特異的cDNAを増幅して、前記第2の反応混合物から免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを作製することと
    を含む、方法。
  2. 前記RNA試料を細胞試料から得る、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RNA試料を単一細胞から得る、請求項2に記載の方法。
  4. 前記単一細胞は、T細胞またはB細胞である、請求項3に記載の方法。
  5. 複数の単一細胞RNA試料から作製した産物二本鎖cDNAを、前記(b)での分割前にプールすることをさらに含む、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記産物二本鎖cDNAを作製する際に用いるプライマーまたはオリゴヌクレオチドは、前記産物二本鎖cDNAの作製元である単一細胞を特定するインデックス付与配列を含む、請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記プライマーまたはオリゴヌクレオチドは、テンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記発現ライブラリーと前記免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーをシークエンシングすることをさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記前記(c)での増幅は、前記第2の反応混合物と、5’増幅プライマー及び免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーとを接触させることを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーは、免疫細胞レセプターの1つ以上の鎖の定常領域に特異的にハイブリダイズする、請求項9に記載の方法。
  11. 前記免疫細胞レセプターは、T細胞レセプター(TCR)またはB細胞レセプター(BCR)である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記産物二本鎖cDNAを作製することは、前記産物二本鎖cDNAを生成するために十分な条件下で、
    前記RNA試料と、
    第1鎖相補的デオキシリボ核酸(cDNA)プライマーと、
    3’ハイブリダイゼーションドメイン及び5’アダプター配列結合ドメインを含むテンプレートスイッチオリゴヌクレオチドと、
    逆転写酵素と、
    dNTPと
    を反応混合物において混ぜ合わせることを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 5’増幅プライマーと、
    免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーと、
    末端増幅プライマーと
    を含む、キット。
  14. 複数の単一細胞から免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを調製する方法であって、
    (a)前記複数の各単一細胞からRNA試料を単離することと、
    (b)テンプレートスイッチング逆転写反応を用いて、前記RNA試料からインデックス付き産物二本鎖cDNAを作製することと、
    (c)作製したインデックス付き産物二本鎖cDNAをプールすることと、
    (d)前記インデックス付き産物二本鎖cDNAの免疫細胞特異的cDNAを増幅して、単一細胞インデックス付き免疫細胞特異的cDNAを含む免疫細胞レセプターレパートリーライブラリーを作製することと
    を含む、方法。
  15. 5’アダプター配列を含むテンプレートスイッチングオリゴヌクレオチドと、
    前記5’アダプター配列を含む5’増幅プライマーと、
    免疫細胞レセプター特異的増幅プライマーと
    を含む、キット。


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