本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
本発明の態様に従って、身体内に伝播される電磁励起信号に応答して前記身体から放射される電磁信号を検知する生理的パラメータ誘導検知システムであって、
前記身体から放射される前記電磁信号と誘導結合するループ共振器であり、ループアンテナ及び電気的に結合されたキャパシタを有し、前記アンテナのループが円周長さlの一巻きのみを有する、前記ループ共振器と、
前記身体内に伝播するための無線周波数ωを有する前記電磁励起信号を生成するために前記共振器を励起するよう構成される信号発生手段と
を有し、
前記電磁励起信号の正規化されたラジアル周波数
が0.025から0.5の範囲をとり、ω
ref=2πc/l及びc=音速である、
生理的パラメータ誘導検知システムが提供される。
念のために明記すると、c=3×108m/sである。
本発明は、発明者らによって取り組まれた研究の重大な問題の結果に基づき、研究によって、電磁励起信号の正規化されたラジアル周波数の上記のパラメータが、(絶対周波数fと同様に)システムによって検知される信号の強さを決定することにおいて最も重要なパラメータの1つであることが分かった。
より具体的には、研究は、0.025を下回る正規化されたラジアル周波数の値で、検知される電磁信号の信号対雑音比が相当に低減され、より高い運動感度をもたらすことを見つけた。より具体的には、このレベルより下では、信号強度は大幅に低減され、ほとんどの実際的な用途では、電子ノイズから生じるノイズ、電磁干渉、及び身体の表面との容量結合(すなわち、電界及び電気的に誘発された電荷を介した直接結合)からのノイズによって飽和される。
しかし、発明者らが本発明によってなんとか達成した非常に有意な信号強度の利点にもかかわらず、特許請求の範囲で記載されると同じくらい高い周波数は、最新技術において探求されたことがない。これは恐らくは、約10〜29MHzを上回る(絶対)周波数が、表皮効果により、達成可能な侵入深さの大幅な減少をもたらすという強い支配的な考え方による。推測される侵入深さの減少は、システムが生理的パラメータを調べることできないようにする。しかし、たとえ表皮効果が実在するとしても、それが本発明で使用されるものよりもずっと高い周波数でしか著しく有害にならないということで、発明者らは、この一般的な偏見が誤認であることを見つけた。
正規化されたラジアル周波数に対する0.50の値は、有効な誘導検知を依然として達成しながら物理的に可能である最も高い値である。これは、(単一)ループアンテナの1次共振の可能な限り高い正規化されたラジアル周波数であり、これは、正確に半分の波長がループの円周にぴったり合う共振である。
1次共振より上では、非常に不均一な電流が共振のループ内で誘導され、ループは、蓄積された電荷の定常振動パターンを搬送する。蓄積された電荷のこの縞パターンは、通常、身体の表面に容量結合し、それによって対象の皮膚の表面上で表面電荷を誘導する。
この場合に、センサは、体表面の動きに対して非常に敏感になり、非常に小さい動きでさえ、検知される誘導信号(すなわち、身体の表面の下から生じる磁気誘導信号)を完全に打ち消す寄生信号を引き起こす。これは、ほとんどの実際的な用途にとってセンサを無効にする。従って、正規化されたラジアル周波数を0.5を下回る値に保つことによって、信号強度は、実際の用途に適したレベルに保たれ得る。
従って、本発明によって提供される前記正規化されたラジアル周波数に対する値の範囲は、磁気誘導検知において達成され得る信号強度を最大にする。
研究の過程において、予想に反して、コイル巻線の数(コイル巻数)Nを1(単ループ)よりも増やしたとしても、信号強度の検出可能な改善は得られないことが更に見出された。更に、巻数を増やすことは、巻線間の容量結合により、前記正規化されたラジアル周波数の最大限の実現可能な値を制限するので、実際には、信号強度を最大にする目的にとって有害になる。これは、翻って、信号強度の利用可能な増大を制限する。
正規化されたラジアル周波数の上記の範囲及び単一のコイルアンテナという2つの特徴は、従って、基本的に、相互に関連する。アンテナが一巻きよりも多く有する場合に(N>1)、ループにより使用され得る前記正規化されたラジアル周波数の最大周波数は、ループ間の寄生容量と、コイル配線のより長い全長Nlとにより、0.5よりも大幅に低下する。これは、本発明で請求される有益な正規化周波数範囲の達成と、それに伴う信号強度の増大とを不可能にする。よって、コイルの巻数を1に減らすことによってのみ、有益なより高い前記正規化されたラジアル周波数が可能になる。
しかし、コイル巻線を1つに制限することは、鎖交磁束を強化することによって多重コイル巻線が信号強度を増大させると一般に想定する当該技術での一般的な仮定に反する。これは更に、現在請求されている範囲内の周波数を探求することへの当分野における躊躇に寄与している。
多重巻線はまた、センサの費用及び複雑さを増す。単ループに減らすことは、デバイスの構成及び動作を簡単にし、フォームファクタを低減させる。
特定される特定の範囲のより詳細な物理的説明及び基礎は以下で提示される。なお、手短に、請求されている発明は、反射インダクタンス(電磁刺激に応答して身体内で引き起こされた渦電流により生じるアンテナのインダクタンス)が、アンテナでの結果として現れる受信信号強度における重要な決定要因であるとの発見に基づく。この量を最初に正規化してそれを事実上寸法に依存しないようにし、次いで、それが依存する様々なパラメータの変動をシミュレートすることによって、検知された信号の正規化されたラジアル周波数は、反射インダクタンスを決定づける最も重要なパラメータであることが分かった。本願で請求されている前記正規化されたラジアル周波数に対する値の最適な範囲が、次いで、モデル化及び実験に基づき特定された。
本願のシステムは、生理的パラメータ誘導検知システムである。従って、システムは、対象の身体に印加された電磁励起信号に応答して対象の身体から受信された電磁信号を検知するためのものである。
システムは、特に、バイタルサイン検知システムであってよい。バイタルサインは、例えば、心拍、脈拍数、呼吸容量、呼吸数、1回拍出量、1回拍出量変動、心拍出量、又は大動脈若しくは動脈拍動高さ/圧力/直径変調を含み得る。
本願は、生理的パラメータ検知を対象としているが、本発明によって具現される発明概念は、原理上は、生理的パラメータ(例えば、バイタルサイン)の測定にのみ制限されないことが知られる。発明概念は、如何なる誘導検知システムにもより広く適用可能である。例は、次の項で記載される。
ラジアル周波数ωを有する電磁励起信号は、ラジアル周波数ωで共振器を励起することによって生成され得る。これは、周波数ωで共振するように共振器を励起することを意味し得る。これは、特に、ラジアル周波数ωを有する共振電流をアンテナ内で誘導することを意味し得る。
これは、ωに等しい固有共振周波数を有する共振器を設けることによって達成され得る。共振器の固有共振周波数は、キャパシタのキャパシタンスを適切に選択することによってセット可能である。
その上、又は代替的に、ラジアル周波数ωを有する共振電流をアンテナ内で誘導するように共振器を励起することは、周波数ωの電流で共振器を励起することによって達成され得る。
電磁励起信号の正規化されたラジアル周波数は、電磁励起信号のラジアル周波数ωと、アンテナの基準周波数ωref=2πc/l(ループ円周lが1自由空間波長に等しい(すなわち、λfree space=lの場合)ラジアル周波数である。)とに依存する。
従って、本発明の実施形態は、正規化されたラジアル周波数が定義された範囲内にあるようにアンテナ、キャパシタ及び/又は信号発生手段が一緒に構成されることを必要とし得る。
一例として、これは、例えば、共振器の固有共振周波数をωにセットするように選択されたキャパシタンスを有する共振器を設け、正確な円周長さlでアンテナを選択することによって、達成され得る。共振器が所与の固有共振周波数を有している場合に、例えば、自励発振器(固定又は強制振動周波数によらないもの)を用いて、それを励起することによってその周波数で共振することが引き起こされ得る。
本願に従うシステムは、対象の身体から放射された電磁信号を検知するためもの、すなわち、生理学的、診断的又は医学的検知システムであってよい。しかし、システムは、あらゆる対象物若しくはエンティティ、又はあらゆる領域の物若しくはエンティティを意味するものとして広く理解されるべきである如何なる身体からも受信される電磁信号を検知することにより一般的に適用可能である。
検知システムは、身体内に伝播するための無線周波数ωの電磁信号を生成するよう共振器を励起する信号発生手段を有する。
共振器を励起することによって、共振電流が、ループアンテナを通ってキャパシタ内に往復して流れるよう誘導される。
共振器は、振動励磁信号(波)の発生を促すように(交流)電流をアンテナに流すことによって励起され得る。
周波数ωを有する電流でアンテナを駆動することによって、周波数ωの電磁励起信号が生成され得る。
信号発生手段は、例えば、ラジアル周波数で、アンテナを駆動する、すなわち、周波数ωの交流電流でアンテナを駆動する駆動手段を有してよい。駆動手段は、例えば、発振器であってよい。
応答として身体から受信される電磁信号を検知するために使用されるのと同じアンテナが、励起信号を生成するために使用される。
念のため、「電磁励起信号」は、単に、身体内での渦電流の発生を励起又は促進して、検知システムによって検知され得る身体から返される電磁信号の放射を促すために、身体内に伝播する電磁信号を意味する。
「電磁信号」とは、一般に、電磁放射線放出若しくは電磁振動及び/又は電磁波を意味し得る。
ひと組の実施形態に従って、前記電磁励起信号の前記正規化されたラジアル周波数は、0.025から0.25の範囲をとり得る。
この範囲内で、身体から返信される信号を検知する場合の電流振幅は、アンテナループにわたって実質的に一定(一様)である。正規化されたラジアル周波数が0.25を上回ると、電流振幅は、アンテナループにわたってより大きい範囲へと変化する。電流の位相も、アンテナループの周りで比較的に一定である。それらの因子は、高信号強度及び高品質信号を達成することにおける有意な限定因子である。
非一様な電流は、特に、それらがアンテナループで蓄積電荷を生じさせて、試験される媒質との容量結合をもたらすために、著しく不利である。媒質との容量結合は、誘導センサにおける信号ひずみ(モーションアーチファクト)の主たる原因である。
ひと組の実施形態に従って、前記電磁励起信号の前記正規化されたラジアル周波数は、0.025から0.20の範囲をとり得る。正規化されたラジアル周波数に対する0.20の上限を下回ると、放射線抵抗性が最適に低く保たれ(<0.5Ω)、電流位相はアンテナループにわたって比較的に一定であり、電流振幅の一様性が更に改善される(ループの周りのいずれか2つの点の間の電流振幅の差は<20%である。)。
この範囲はまた、正規化されたラジアル周波数が0.20を上回ると、いくつかの電気的効果が起こり始め、その結果、コイルが身体から返信された電磁(EM)信号の電界成分に対して敏感になる(これは磁界信号に対する感度を妨げる)ので、特に有利である。正規化されたラジアル周波数が0.20を下回ると、検知システムは、単一のアンテナループ配線に沿ってそれほど電荷を蓄積することなしに、身体から現れる誘導電磁信号に対して強い誘導感度を維持することが分かった。
ひと組の実施形態に従って、前記電磁励起信号の前記正規化されたラジアル周波数は、0.04から0.25の範囲をとり得る。0.04の下限は、それが、非常に低い放射線抵抗性(〜0.01Ω)、アンテナループにわたる一定の電流位相、及びアンテナループにわたる一定の電流振幅という利点を依然として維持しながら、より高い信号強度(例えば、0.025よりも高い。)をもたらすので、望ましい。
0.04を上回る正規化されたラジアル周波数は、広範囲の実際的な用途にわたって信号がノイズに対して確実にロバストであるほど十分に高い強度の信号を提供することが分かった。あるシナリオ(全部ではないが。)では、この正規化されたラジアル周波数を下回る電磁信号は、組織表面との容量結合(すなわち、電気的に誘導された電荷による身体の表面との電気的結合)から生じるノイズアーチファクトによってひずむことがある。例えば、半径=1〜3cmの都合のよいサイズのセンサの場合、信号強度は、約0.025の正規化されたラジアル周波数を使用する信号と比較して2倍になることが分かっている。呼吸信号(呼吸機能を示す信号)は、特に、相当により高い信号強度を有することが分かっている。これは、次の項で更に詳細に説明される。
上述されたように、例において、信号発生手段は、ラジアル周波数ωを有する電磁励起信号を生成するために、ラジアル周波数で共振するように共振器を励起するよう構成され得る。
共振器(回路)は、ラジアル周波数ωでの共振器の励起を促すために、固有ラジアル周波数ωを有して提供されてよく、任意に、キャパシタは、共振器の固有ラジアル周波数をωに同調させるよう選択される。
システムは、アンテナで受信された信号を処理するよう構成された信号処理手段を有してよい。信号処理手段は、共振器の固有共振周波数の変化(すなわち、共振器の離調)を検知し、それらの変化を使用して信号出力を得るよう構成されてよい。信号処理手段は、その上、又は代替的に、共振器回路の減衰係数(damping factor)の変化を検知し、それらの変化を使用して信号出力を得るよう構成されてもよい。
固有共振周波数の変化の検知は、減衰係数の変化を測定することが反射インダクタンスの虚数部を測定することを必要とし、このことは信号処理手段の回路構成において更なる複雑さを必要とし得るということで、好ましいことがある。しかし、虚数部分、ひいては減衰係数の測定は、1つ以上の実施形態に従って可能である。
少なくともひと組の実施形態に従って、当該システムは、前記アンテナで受信された信号を異なる周波数の基準振動信号と混合し、差動フィルタを適用して、前記基準振動信号と前記受信された信号との間の周波数差である周波数を有する出力信号を得ることによって、前記受信された信号の周波数をダウンスケールするように前記受信された信号を処理するよう構成される信号処理手段を有してよい。
そのような実施形態の目的は、システムによって実行される如何なる信号処理のエネルギ消費及び必要とされる計算出力も減らすことである。特に、デジタル分周器及びカウンタ(受信された信号を解析のために処理するもの)は、動作周波数と比例した電流を引き込む。従って、電力を節約するために、本実施形態に従って、受信された信号の周波数が最初に低減され、その後の信号処理がより低い電力で実行されることを可能にする。
第2信号を最初に混合し、次いで差動周波数信号を見つけるという提案された特定の実施形態の利点は、混合が分解能の損失をもたらさないことである。これは、例えば、分解能を下げる分周器(周波数を下げるためにも使用され得る。)とは対照的である。しかしながら、本発明は、他の実施形態における分周器の使用と依然として両立する。
基準振動信号の周波数は、望ましくは、受信された信号の周波数に非常に近い。好適な例では、前記基準振動信号の周波数及び前記受信された信号の周波数は、10乃至20%離れている。
上述されたように、受信された信号は、通常、ω、すなわち、電磁励起信号のラジアル周波数に等しい周波数を有する。
1つ以上の実施形態に従って、信号生成手段は、30MHzから1000MHzで電磁励起信号を生成するようにアンテナを制御するよう構成されてよい。
周波数は、ここでは、ラジアル周波数ωよりむしろ、絶対周波数fを指す。
それらの実施形態に従って、絶対周波数要件が提供される。然るに、前記正規化されたラジアル周波数が近似的にω/ω
refに等しく且つω=2πfであるから、対応する要件は、ω
ref=2πc/lを課せられ、これは、アンテナループの円周長さlが所望のfを達成するよう設定されるべきであることを意味する。特に、それらの実施形態は
を必要とする。
そのような高い周波数で励起信号を身体に印加することは、先行技術では知られていない。これは、約30MHzを上回る周波数が、必要とされる動作電力を増大させる一方で、達成可能な侵入深さの相当な低減をもたらすと当該技術で一般的に理解されているからである。しかし、本発明の発明者らは、よりずっと高い周波数に達するまで、侵入深さの低減が(特に、生理的パラメータ検知のための)誘導検知に対して禁止的にならないことを見出した。これは、特に、呼吸機能を検査することに関連した用途に当てはまる。従って、それらの実施形態は、侵入深さを極端に低減させることなく、信号強度を改善する。
この周波数範囲は、f=30MHzを上回ると信号強度が相当により大きくなるので、有益である。これは、比較的に小さいサイズのループ(1〜3cmの範囲をとる半径)について特にそうである。この場合において、例えば、信号が(上述されたように)共振器の共振周波数の変化によって測定される場合に、周波数シフト信号(反射インダクタンスの実数部分)は、信号強度の増大、及び実数部分に向かう反射インダクタンスの位相の移動の両方によって、この範囲に入ると直ちにはるかに強くなる。
この周波数範囲はまた、ミキサ−カウンタの形で信号処理手段を使用する場合に、特に有利である。例えば、f<30MHzを使用するときの呼吸による共振器共振周波数の絶対変化は、1kHzを下回り得る。スロープカウンタを使用するとき、信号内のカウント数の量子化ノイズは、この動作周波数で容易に目に見える。
f>30MHzを上回って絶対周波数を増大させるとき、信号に対する量子化ノイズの影響は、ほとんどの場合に問題にならない。これについては、以下で更に詳細に記載する。
その上、侵入深さを最適化するために周波数を1000MHzを下回ったままにすることが有益である。1000MHzを超える周波数では、電磁信号の侵入深さは、生理的パラメータ、例えば、肺又は心信号を測定するには法外に小さくなり始める。
1つ以上の実施形態に従って、信号発生手段は、100MHzから1000MHzの周波数を有する電磁励起信号を生成するように共振器を励起するよう構成されてよい。
100MHzを超える周波数では、侵入深さは依然として相当に深く、一方、信号ははるかに強くなる。特に、心肺信号は、はるかに強くなることが分かっている。その上、反射インダクタンスの位相は、更に実数部分へ向かって移動する。これは、信号発生手段が、反射インダクタンスの実数部分を検知することを必要とする共振器共振周波数の変化を測定するよう構成される場合に有益である。
その上、100MHzの周波数を上回ると、例えば、(例えば、約0.05秒の積分時間での)スロープカウンタ信号処理手段の量子化ノイズは、信号強度に対してほとんど無視できる。これについては、以下で更に記載する。
1つ以上の実施形態に従って、信号発生手段は、30MHzから500MHzの周波数を有する電磁励起信号を生成するように共振器を励起するよう構成されてよい。
この絶対周波数範囲は、特に筋肉について、侵入深さを最適化する。500MHzでの信号強度は極めて高いままであり、一方、侵入深さは比較的に深く保たれる(筋肉の場合に〜5cm、他の媒質の場合にはより大きい)。
この周波数範囲はまた、電力消費が問題となる場合(例えば、バッテリ駆動センサ)に望まれることがある。500MHzを下回ると、周波数が十分に低いので、信号処理の電力消費に大きく影響することはない。
1つ以上の実施形態に従って、信号発生手段は、100MHzから500MHzの周波数を有する電磁励起信号を生成するように共振器を励起するよう構成されてよい。
これは、上述された100HHzの下限境界及び500MHzの上限境界の利点を組み合わせる。
上記の周波数の信号を生成するよう共振器を励起することは、上述された方法の例に従って実行され得る。
特定の有利な実施形態で、アンテナのループは15mmから20mmの間の半径を有し得る。
更なる有利な用途では、アンテナのループは、90から110mmの間の半径を有し得る。
相対的な周波数が一定に保たれる場合にループサイズに比例して電磁界の分布が増減するということで、より大きいループは環境内の対象の動きに対してより敏感であることが分かっているので、15又は20mmのループ半径が望ましい。15mmよりも小さい半径を有するループは可能であるが、得られる信号強度は低下する。
90から110mmの間の半径のアンテナループは、例えば、比較的に長い距離にわたって検知することが必要とされる場合に有利である。例えば、そのようなサイズのアンテナは、マットレス又は椅子に埋め込まれてよく、家具の素材を通した検知を可能にする。100mmの半径を有するアンテナループが試験されており、例えばそのような用途で有益であると分かっている。
1つ以上の実施形態に従って、当該システムは、1つ以上の生理的パラメータを得るよう、前記アンテナによって検知された信号を処理する信号処理手段を有してよい。
本発明の更なる態様に従う例は、身体内に伝播される電磁励起信号に応答して前記身体から放射される電磁信号を検知することを有する生理的パラメータ誘導検知方法であって、
ラジアル周波数ωを有する前記電磁励起信号を生成するようループ共振器を励起し、前記電磁励起信号を前記身体内に向けることであり、前記共振器はループアンテナ及び電気的に結合されたキャパシタを有し、前記ループアンテナは円周長さlの一巻きのみを有する、ことと、
前記電磁励起信号に応答して前記身体から放射される前記電磁信号と誘導結合するために前記ループ共振器を使用することと
を有し、
前記電磁励起信号の正規化されたラジアル周波数
が0.025から0.5の範囲をとり、ω
ref=2πc/l及びc=音速である、
方法を提供する。
全ての用語は、本発明の検知システム態様に関する先の説明に従って解釈されるべきである。
少なくともひと組の実施形態に従って、当該方法は、生理的パラメータ情報を得るよう前記アンテナによって受信された信号を処理することを有してよい。
1つ以上の実施形態に従って、前記電磁励起信号の前記正規化されたラジアル周波数は、0.025から0.25の範囲をとり得る。
本発明の検知システム態様に関して上述されたオプション又は実施形態のいずれも、本発明の方法態様に有利に適用され又は組み込まれてよい。
本発明は、身体に印加される電磁励起信号に応答して身体から放射される電磁信号を検知する磁気誘導検知システムを提供する。電磁信号は、単巻きループアンテナ及びチューニングキャパシタを有する同じループアンテナによって生成及び検知される。共振器のループアンテナ、及び共振器を励起して励起信号を生成する信号発生手段はともに、生成される電磁励起信号のラジアル周波数とアンテナの基準周波数との間の比の値を最適化するように構成される。ここで、基準周波数は、生成される励起信号(波)の1波長がアンテナの円周長さと一致する周波数である。この比は、生成される励起信号の正規化されたラジアル周波数に対応し、0.025から0.50の間の値に保たれる。
本発明は、発明者らによって取り組まれた研究課題の結果に基づき、研究において、印加される電磁励起信号の正規化されたラジアル周波数
が、アンテナによって感知される信号の強さを決定することにおける重要なパラメータであることが分かった(ここで、ωは励起信号のラジアル周波数であり、ωref=2πc/l、lはアンテナの単巻きループの円周長さである。)。
本発明の理論的な基礎について、これより、図1乃至5を参照して説明する。
本発明の実施形態は、誘導結合の原理において動作し、これによって、コイル又は配線は、時間変化する磁界にさらされることでそれにわたって電位差を誘導している。本発明の実施形態は、この原理を使用して、身体の近傍に配置されたコイルのインダクタンスの変化を検知することによって身体の領域内で生成された電磁信号の強さを測定する。このとき、それらの変化は、コイル回路の共振特性の変化に基づき検出される。
如何なる導電体も、自己インダクタンスの特性を示す。自己インダクタンスは、導体の特性であり、この特性によって、導体に流される電流の変化が導体での起電力の誘導を生じさせる。レンツの法則によると、誘導起電力は、それを誘導している電流の変化に抵抗するような方向にある。従って、それは、一般に、「逆起電力」と呼ばれる。自己インダクタンスは、電流の変化の結果として誘導される磁束(アンペアの法則)に起因して発生すると理解され得る。この磁束は、次いで、導体自体と相互作用して、逆起電力を窮する(ファラデーの誘導の法則及びレンツの法則)。
回路の自己インダクタンスL、電圧v(t)、及び電流(I)の間にある関係は:
v(t)=L(dI(t)/dt) (1)
と表され得る。
v(t)をdΦB/dt(ここで、ΦBは磁束である。)と表現するためにファラデーの誘導の法則を使用し、時間に対して積分する(Lを時定数であるとする。)ことによって、N巻きのコイルに対する自由空間自己インダクタンスLは:
L=NΦB/I (2)
と表され得る。
本発明の実施形態は、電磁信号(波)により身体を刺激又は励起し、その励起信号に応答して身体から放射された信号を検知するために、単巻きループアンテナを有する共振器を使用する。
コイルは、身体内に伝播する励起信号を生成するよう交流電流により駆動されてよい。
コイルが身体に接近すると、インダクタンスLは、励起信号の印加の結果として渦電流が刺激された身体内で誘導されることにより生じる追加の反射インダクタンス成分Lrを獲得する。これは、図1に概略的に示されており、図1は、電磁信号22が対象の胸部16内に伝播するように、ループアンテナ12が胸部16に近接して交流により駆動されることを一例として示す。
結果として、渦電流18が胸部内で誘導される。渦電流は、必然的に、ファラデーの誘導の法則により現れ、これによって、起電力(EMF)が、時間変化する磁界の存在に応答して導電媒質において誘導される。
それらの渦電流は、次に、ループアンテナ12のインダクタンスに有効に寄与する。これは、それら自体が、1次アンテナ12によって生成されたのと等価な周波数の時間変化する磁束24の発生をもたらすからである。それらの渦電流磁束は、アンテナの1次磁束と結合し、その結果、アンテナで誘導される誘導逆起電力はより大きくなり、従って、測定可能な実効インダクタンスはより大きくなる。
渦電流から生じるインダクタンスの追加成分は、「反射インダクタンス」Lrと呼ばれる。コイルアンテナ12の総インダクタンスLtは:
Lt=L0+Lr (3)
と表され得る。ここで、L0は、コイルアンテナ12の自己インダクタンスであり、Lrは、反射インダクタンスである。
反射インダクタンスは:
と定義され得る。ここで、A
rは、電磁ベクトルポテンシャルの反射部分(すなわち、刺激された媒質において渦電流18によって生成される部分)であり、Iはコイル電流である。反射インダクタンスは、反射インピーダンスZ
rと密接な関係がある。その関係は、L
r=Z
r/iωであり、ωは、電磁励起信号22(身体に印加される時間変化する磁界)のラジアル周波数である。
上記の積分表現は、関係:
を適用することによって理解され得る。ここで、B
rは、‘反射’磁界である。次いで、ストークスの定理を適用して、式(4)は:
と表現し直される。ここで、Nは巻数である。これは、先に式(2)で説明されたインダクタンスについての簡略化された表現の形に対応することが分かる。
反射インダクタンス成分の大きさは、身体から放射される‘反射’電磁信号の強さの指示を与える。より強い信号は、より高い信号対雑音比を与え、これは、検知される信号の品質及び信頼性を改善する。Lrの強さを最適化しようとすることによって、信号対雑音比は、それによって最大にされ得る。
一般に、反射インダクタンスLrは複素数であり:
Lr=Lr’+iLr” (7)
と表され得る。ここで、Lr’は、コイルアンテナの無効インピーダンスに関係があり、Lr”は、コイルの抵抗性インピーダンスに関係がある。
インダクタンスLの反射成分の付加は、コイルの特性の離調をもたらす。特に、コイルアンテナ回路の固有ラジアル周波数及びコイルアンテナ回路の減衰係数は変化する。コイル特性のこの離調を測定することによって、反射インダクタンスLrの大きさは決定され得、反射信号は測定される。
特に、反射インダクタンスの追加の結果としてのコイルの特性の離調は、次のように:
と表され得る。ここで、ω
0,0=√(1/CL
0)は、自由空間におけるコイル回路の非減衰固有ラジアル周波数であり、ω
0,tは、媒質又は身体の存在下でのコイル回路の固有非減衰ラジアル周波数であり(下付き文字tは「total」を表す。)、ζ
0=(R
0/ω
0,0)/2L
0は、自由空間における減衰係数であり、ζ
tは、媒質の存在下での(総)減衰率であり、L
r′は、式(7)で定義される反射インダクタンスの実数部分であり、L
r”は、式(7)で定義される反射インダクタンスの虚数部分である。
離調された固有ラジアル周波数は、反射インダクタンスLr’の実数部分にのみ依存することが分かる。離調された減衰係数は、反射インダクタンスの虚数部分Lr”にも依存する。
簡単のために、幾何学的に正規化された量で作動することが望ましい。然るに、‘特性’自己インダクタンスL^
0及び反射インダクタンスL^
rは、次のように:
と定義され得る。ここで、lは、単巻きコイルの円周であり、Nは、コイル巻数であり、L
0は、自由空間自己インダクタンス(実数)であり、L
rは、反射インダクタンス(複素数)であり、ここで、L
rは、上記の式(4)で見られたように定義される。幾何学的に正規化された量を使用する利点は、L^
0がシステムサイズ及びアンテナコイルの巻数と無関係であるという事実にある。
それらの特徴的量を使用すると、反射インダクタンスの付加の結果としてのコイルの特性の離調は、次のように:
と表され得る。ここで、ω
0,0=√(1/CL
0)は、自由空間におけるコイル回路の非減衰固有ラジアル周波数であり、ω
0,tは、媒質又は身体の存在下でのコイル回路の固有非減衰ラジアル周波数であり(下付き文字tは「total」を表す。)、ζ
0=(R
0/ω
0,0)/2L
0は、自由空間における減衰係数であり、ζ
tは、媒質の存在下での(総)減衰率であり、L^
r′は、式(9)で定義される特性反射インダクタンスの実数部分であり、L^
r”は、式(7)で定義される特性反射インダクタンスの虚数部分である。
これらの式はこれまでに導出されておらず、それらの量がループ半径及びアンテナ内のコイルの数の両方と無関係な信号強度測定を提供するということで、発明者らが新規の物理的見識を導出することを可能にした。
例えば、特に環状ループの場合に、特性自己インダクタンスの典型的な値は、巻数及びループ半径と無関係に、約500〜1100nH/mである。信号強度を計算するために、単一の変数、すなわち、ΔL^rの値を導出することしか必要とされない。従って、より基本的な物理的見識が可能となった。
上記より、システムの固有ラジアル周波数は、反射インダクタンスLrの実数部分に依存する因数によって媒質の存在下で変化し、減衰係数は、反射インダクタンスLrの虚数部分に依存する因数によって媒質の存在下で変化することが分かる。これらの変化は、Lrを検知し、それによって、媒質から(刺激及び検知される身体から)受信される電磁信号の強さの程度を決定するために、使用され得る。
本発明の発明者らは、反射インダクタンスについての新規の強力な式の導出を通じて、検知される信号の強度の改善を達成した。これは、反射インダクタンスが、容易に調整及び最適化され得るシステムの特性に関して新しい手法で定量的に理解されることを可能にする。
特に、上記の式(4)から出発して、(本発明の実施形態で使用sれるコイルアンテナに適した)円柱対称形に制限すると、反射インダクタンスは:
Lr=(2πaNAr,φ)/I (14)
になる。ここで、Ar,φは、反射ベクトルポテンシャルの方位角成分であり、aは、コイルアンテナループの半径であり、Nは、コイルの巻数であり、Iは、コイル電流である。
Cheng, D. H. S.(1965年),“The reflected impedance of a circular coil in the proximity of a semi-infinite medium”,IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement,14(3),107-1 16
で発表されたA
r,φに対する計算を使用して、特性反射インダクタンスについての以下の表現が発明者によって導出されている:
ここで、
であり、aは、ループの半径であり、hは、ループから媒質までの距離であり、J
1(x)は、第1種の1次ベッセル関数であり、ωは、電磁波(信号)のラジアル周波数であり、Γ(ξ)は、刺激されている(多層)構造のTE(すなわち、s偏波)フレネル反射係数であり、ここで、ξは、その媒質内の横波数(transverse wavenumber)である。
所与の媒質についてのTE フレネル反射係数の計算は、Sophocles J. Orfanidisによる文献“Electromagnetic Waves and Antennas”の186ページに詳細に記載されている(http://www.ece.rutgers.edu/~orfanidi/ewa/からオンラインで入手可能。)。
式(15)は、L^rが巻数と完全に無関係であることを示しているから、更には、(より容易に示されるように)ΔL^rは信号強度を表すから、従って、信号強度はコイルの数に直接には依存しないことが分かる。これから、アンテナ内のコイルの数を増やすことは、信号強度に対する有益な効果を有さないことが容易に分かる。
上記の式(15)によって表される反射インダクタンスの理解は、これまでに導出されていない。このアプローチは、反射信号強度の強力な定量的理解を可能にする。
均質媒質上のループアンテナのシステムの反射インダクタンスは、5つの主要な幾何学的特性に関して特徴付けられ得る。それらは、ループ半径a、電磁信号/波の周波数ω、ループから媒質までの間の距離、媒質の誘電率、及び媒質の導電率である。
それらは、それらがシステムないの5つの長さスケールに関係があるということで幾何学的特性として理解され得る。媒質が対象の身体の領域である場合を考えると、それらは、ループ半径、EM波の自由空間波長、ループから媒質までの間の距離、媒質内のEM波波長、皮膚深さとして理解され得る。Nはコイル特性と見なされ得るが、それはそれら5つの長さスケールのいずれにも影響を及ぼさないので幾何学的特性でないことが知られる。
5つ全ての長さスケールは、結果として現れる磁界及び渦電流も単にスケーリングされたコピーであるように、因数xによってスケーリングされ得る。ループ円周が因数xによって増大される一方で、磁界が同じままであることから、結果として現れる反射インダクタンスもその場合に因数xによってスケーリングされる。
しかし、特性反射インダクタンスL^rは、スケーリング係数がLr及びlの両方で現れて相殺される(上記の式(11)を参照。)ことから、変化しないままである。
因数xによる全体のサイズ増大を記述するために幾何学的特性がスケーリングされる必要がある方法は、以下で示される:
a ループ半径 → ax
ω 生成されるEM信号のラジアル周波数 → ω/x
h コイルから媒質までの距離 → hx
ε 誘電率 → ε
σ 導電率 → σ/x
Lr 反射インダクタンス → Lrx。
因数xの全体的なサイズ増大に対して変更されないままである正規化された幾何学的特性が定義され得る。それらは以下で定義される。それらは、(均質媒質の場合の)5つのパラメータに代えて、たった4つのパラメータを用いて、特性反射インダクタンスの計算を可能にする。これは、如何にしてシステム特性が信号強度に影響を及ぼすかについての目下のモデルの複雑さを軽減する。
ループアンテナの正規化された半径:
電磁励起信号の正規化されたラジアル周波数:
ループアンテナと媒質との間の正規化された距離:h^
h^=h/a
正規化された透磁率:
ε=ε
正規化された導電率:
正規化された(特性)反射インダクタンス:
上記の式で、aは、ループアンテナの半径であり、lは、ループアンテナの単巻きの円周長さであり、ω
ref=c/a=2πc/lは、EM信号の単一の自由空間波長がコイル円周長さlと等しいラジアル周波数である。一般に、これはω
ref=2πc/lである(自由空間波ω=2πc/λについての一般的関係においてλ=lをセットすることによって導出される。)。環状コイルの特別な場合において、l=2πaであり、ω
ref=c/aへの簡単化を可能にする。
従って、これらの正規化された幾何学的パラメータは、特性反射インダクタンスが、全ての量をアンテナループ半径と無関係にすることによって、5つではなく4つのパラメータに関して表されることを可能にする。生成される励起信号の正規化されたラジアル周波数ω^は、それらのパラメータのうちの1つである。
多数の計算モデルを通して、発明者らは、パラメータω^が、測定される特性反射インダクタンスL^rの強さの最も強い決定要因であることを見出した。
図2は、媒質から一定の特性距離h^=1で、一定の特性導電率σ^=0.056及び一定の非誘電率ε
r=50により、一定の半径aの単巻き(N=1)コイルを使用した均質媒質の電磁刺激の計算モデリングの結果を示す。結果は、
が変化する場合の特性反射インダクタンス
の強さの変動を示す。
図2のグラフから、ω^に対するL^rのこの単純な均質モデルにおける強い依存性が存在することが分かる。これは更に、パラメータh^、a、σ^又はεrのいずれかに対するL^rの最も強い依存性であることが分かった。
この強い依存性は、より複雑なモデルでも再現されることが分かった。
図3は、むき出しの肺を表すよう構成されたモデルについて、ω^の関数として、L^rに対する計算モデリングの結果を示す。むき出しの肺(bare lung)とは、実際にそれを取り囲む脂肪、筋肉又は骨の任意の層から分離された肺自体を意味する。このモデルに関して、膨張時の肺と収縮時の肺との間の特性反射インダクタンスの変化ΔL^r=Lr(膨張)−Lr(収縮)は、ω^の関数としてモデル化された。L^rのこの変化は、それが肺機能の特性の決定を可能にするので、重要な生理的パラメータである。
ω^に応じたΔL^rの変動は、10mmから100mmまでの範囲に及ぶ5つの異なる半径aの単巻きループアンテナについてモデル化された。個々のライン24〜32が、異なる半径サイズに対応してグラフ上に示されており、ラインごとの半径サイズは、グラフ内の記号表によって示されている。
ω^に対するΔL^rの強い依存性が存在することは明らかであり、先と同じく、ω^は、ΔL^rが最も強く依存するパラメータであることが分かった。
むき出しの肺のモデルに加えて、更なるモデルが、肺を取り囲む脂肪、筋肉及び骨の層を考慮しながら、多層構造の肺について計算された。変化するω^に対するΔL^r=Lr(膨張)−Lr(収縮)の依存性は、先と同じく、この多層構造の肺のモデルについて計算された。
モデル化された多層構造の肺の物理構造の概略図が図4に示されている。肺自体は、収縮時の20cm及び膨張時の25cmのモデル化された高さを有して層(f)として示されている。肺の上には、3つの骨の層が積層されている。夫々高さが0.2cm、0.8cm及び0.2cmである骨皮質(c)、骨海綿質(d)及び骨皮質(e)である。骨の層の上には、高さ1cmの上層の脂肪層(a)及び高さ1cmの下層の筋肉層(b)がある。肺の下にも、夫々高さが0.2cm、0.8cm及び0.2cmである骨皮質(g)、骨海綿質(h)及び骨皮質(i)の3つの骨層と、1cmの更なる筋肉層(j)と、1cmの更なる脂肪層(k)とがモデル化される。
半径aの単巻きループアンテナが、多層構造から距離hで位置付けられて示されている。
多層肺モデルの結果が図5に示されている。ω^に応じたΔL^rの値が、10mmから100mmまで変化する異なるアンテナコイル半径aの範囲のアンテナについて導出された。ライン42〜50の夫々は、図5内で記号表によって示されている半径サイズのうちの1つについて導出結果に対応する。
コイルの半径はこの場合に、導出された傾向に非自明な差を生じさせるが、ω^に対するΔL^rの強い依存性は、全ての半径サイズについて多層モデルにおいて依然として存在することが分かる。しかし、他のより基本的なモデルに関して、ω^は、ΔL^rを決定する際の最も重要な因子であることが分かっており、ΔL^rとω^との間の関係は、如何なる他のパラメータよりも強い。
導出されたモデル結果に基づき、ωが生成される電磁信号のラジアル周波数(コイル共振器が駆動又は励起される周波数)であり、ωrefが、単一の自由空間波長がコイル円周長さと等しい周波数であるとして、ω^=ω/ωrefを最適化することは、検知される反射インダクタンスL^rの強さを最適化すること、従って、信号対雑音比(信号強度)を最適することに対する最も有効なアプローチに相当すると決定され得る。
結果は、一般に、より高いω^がより高い検知される大きさのL^rをもたらすことを示す。しかし、有効な誘導検知を依然として達成しながら物理的に可能である最大のω^は、ω^=0.5であることが分かった。これは、これがループの半波長共振周波数(すなわち、最大自己共振周波数)であるからである。
この周波数を超えると、非常に不均一な電流が共振器のループ内で誘導され、ループは、蓄積された電荷の定常振動パターンを運ぶことになる。蓄積された電荷のこの縞パターンは、通常、身体の表面へ容量結合され、それによって、対象の皮膚の表面上で表面電荷を誘導する。
この場合に、センサは、体表面の動きに対して非常に敏感になり、非常に小さい動きでさえ、検知される誘導信号(すなわち、身体の表面の下から生じる磁気誘導信号)を完全に打ち消す寄生信号を引き起こす。これは、ほとんどの実際的な用途にとってセンサを無効にする。従って、正規化されたラジアル周波数ω^を0.5を下回る値に保つことによって、信号強度は、実際の用途に適したレベルに保たれ得る。
ω^=0.025を下回る値では、非常に低い信号強度(図2、3及び4で見られる。)に加えて、電磁信号の電気成分に対するコイルの感度が非常に高くなることも分かっている。信号強度が低下することにより、信号対雑音比が大幅に低下する。結果として、信号は、ほとんどの実際的な用途において、電子ノイズから生じるノイズ、電磁干渉、及び身体の表面との容量結合(すなわち、電界及び電気的に誘発された電荷を介した直接結合)からのノイズによって事実上飽和される。
更に、3つ全てのアプローチ(均一媒質、むき出しの肺、及び多層構造の肺)を用いて実行されるモデリングは、コイルの巻数Nを1よりも多くすることが特性反射インダクタンスL^r(ひいては信号強度)に影響を及ぼさないと証明することが見出された。これは予想外の結果であり、先行技術では現在知られていないか又は利用されていない。先行技術のデバイス及び方法では、巻数Nを増やすことは、達成される信号強度を増大させることになると通常考えられている。
Nに対するL^rの独立性は、上記の式(15)で直接確認され得る。式(15)は、L^rがNに依存しないことを示す。この発見は、従って、発明者らによる式(15)の新規の導出により明らかになった。
更に、Nは信号強度に対して好ましい効果を有さないだけでなく、それは、巻線間の容量結合に起因して最大の物理的に実現可能なω^を制限するので、実際上、信号強度を改善することにとって有害である。従って、Nを増やすことによって、ω^の最大化は制限される。その上、より低い正規化された周波数でさえ、マルチターンコイルの巻線間には、組織との容量結合に対してループを敏感にする誘導容量結合が存在する。これは次いで、皮膚に対するわずかな量の動きでも、測定される信号にひずみを生じさせる。これらのモーションアーチファクトは、所望の誘導信号を容易に支配することができ、センサの有効性を低下させる。
その上、高い周波数で、巻線間の容量結合は、離調の影響を非常に受けやすい共振を示し、それらは、目標とする誘導検知信号を大きくひずませる可能性がある。
上記の3つの結論に基づき、本発明の第1の組の実施形態に従って、電磁励起信号の身体内への伝播に応答して前記身体から放射される電磁信号を検知する生理的パラメータ誘導検知システムであって、円周長さlの単巻きループ(N=1)から形成されたループアンテナを有する共振器を有し、該共振器が、0.025から0.5までの正規化されたラジアル周波数ω^=ω/ωrefで励起信号を生成するよう励起され、ωref=2πc/l及びc=音速である、生理的パラメータ誘導検知システムが提供される。
本発明の一実施形態に従う、例となる磁気誘導検知システムは、図6で概略的に表されている。
システム10は、単巻きループアンテナ12を有するループ共振器11を有し、アンテナ12はキャパシタと電気的に結合されている。アンテナ12は、身体内に伝播する電磁振動又は信号を生成するとともに、励起信号に応答して身体から返される(又は反射される)電磁信号と誘導結合する。キャパシタは、共振器回路の固有共振周波数のチューニングを可能にする。その場合に、共振器が励起されると、それは必然的にこの周波数で共振し、同じ周波数で電磁信号を生成することになる。従って、キャパシタのキャパシタンスを選択することは、生成される電磁信号の周波数を選択することを可能にする。
共振器11は、信号発生手段14と電気的に結合される。信号発生手段14は、電磁励起信号を生成するようにアンテナを励起するよう使用時に適応される。この例に従って、信号発生手段14は、振動電流でアンテナ12を駆動するよう構成される発振器であり、刺激されるべき身体内への伝播のために正弦電磁信号(正弦電磁波)が生成されるようにする。
共振器11は更に、アンテナ12で受信された電磁信号を処理する信号処理ユニットの形をとる信号処理手段(‘Sig Proc.’)54へ電気的に結合される。図6では、信号処理手段は、信号発生手段14を介して共振器へ接続されるよう示されている。しかし、これは必須ではなく、共振器及び信号処理手段は独立して接続されてもよい。
信号処理ユニット54は、アンテナ12で受信された応答信号の特性を解析する。特に、信号処理ユニット54は、共振器11の回路の減衰係数及び共振器信号の固有共振周波数の変化の程度を得るよう、受信された信号を処理し得る。この例の場合に、信号処理ユニット54は、固有共振周波数の変化の程度のみを得ると考えられる。この機能については、以下で更に詳細に記載する。
システム10は、システムの構成要素を制御するマイクロコントローラ(‘MPU’)56を更に有する。例えば、マイクロコントローラは、共振器を励起する際に信号発生手段14によって実装される特定の駆動スキーム、及び/又は信号処理手段54によって実装される特定の解析プロセスを制御してよく、且つ/あるいは、駆動動作及び解析動作のシーケンスを制御してよい。
マイクロコントローラと外部コンピュータ又はデータストアのような外部デバイスとの間の通信を助けるデータ通信手段(図6に図示せず。)が更に設けられてもよい。これは、信号処理手段によって導出された信号処理結果を外部コンピュータへ送ることを助けることができる。それはまた、コンピュータのような外部制御手段からマイクロコントローラ56への制御コマンドの通信を助けることもできる。
データ通信手段は、無線通信手段又は有線通信手段を有してよい。通信手段は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、近距離通信(NFC)、ZigBee(登録商標)、又は何らかの適切な有線通信プロトコルのような、何らかの適切な通信プロトコル又は媒体に従って実装又は動作してよい。
システム10は、0.025から0.5までの正規化されたラジアル周波数ω^=ω/ωrefの電磁励起信号を生成するよう構成され、ここで、ωref=2πc/l、c=光速(3×108m/s)、lはアンテナループの円周長さである。従って、正規化されたラジアル周波数ω^は、アンテナの円周長さl、及び共振器11が作動するラジアル周波数ω(それが励起される周波数)の両方に依存する。
例えば、一定の円周長さlのアンテナの場合に、これは、共振器がω=0.0125l/πcからω0.25l/πcの間のラジアル周波数で励起されることを必要とする。
所与の周波数ωで共振器を励起することは、共振器11の固有共振周波数がωに等しくなるようにキャパシタのキャパシタンスを選択することによって、実現され得る。その場合に、信号発生手段14(例えば、発振器)が共振器を励起すると、共振器はラジアル周波数ωで共振し、それによって周波数ωの励起信号を生成する。
半径aの環状ループアンテナの場合において、lは当然に2πaに等しい。
使用中に、アンテナ12は、関心のある身体又は媒質の近傍に保持され、アンテナ12は、0.025から0.5までの正規化されたラジアル周波数ω^=ω/ωrefの電磁励起信号を生成するよう信号発生手段14によって励起される。
有利なことに、システムは、生理的パラメータ及び特性、例えば、対象の身体内の空気、流体及び/又は組織の動き、を検知するために使用される。システムはバイタルサインを検知することができる。システムは、有利なことに、例えば、呼吸運動を検知するために特に適用されてよい。
それらの例において、システムは、空気、流体及び/又は組織の動き(例えば、呼吸又は心臓の拍動によって引き起こされる。)によって引き起こされる信号の反射インダクタンスの変調を検知することによって、これらの動きを検知する。
明らかなように、身体内の組織の動きは、誘電及び導電特性に加えて組織の容量の変化を含むことができる。それらの変調は、電磁信号の振幅及び/又は位相変調を引き起こす。
変調された電磁信号は、対象の身体内に放射される電磁励起信号に応答して身体によって放射される。上述され、且つ、図1に表されたように、電磁励起信号は、磁気誘導、すなわち、外部磁界22の印加による組織内の渦電流18の発生を引き起こし、そして、この渦電流/電磁信号は、対象内の空気、流体及び/又は組織の動きによって変調される。
電磁励起信号は、共振器11のアンテナ12によって生成され、(誘導渦電流によって引き起こされる)反射電磁信号は、同じアンテナ12によって検知される。この電磁励起信号は、信号発生手段14によって共振器の励起を通じて生成される。
磁界は、電界よりも深く身体内に侵入し、よって、磁界は、身体内のより深くでの特性の変化を測定するために使用可能であり、一方、電界は、皮膚の表面上での特性の変化、例えば、皮膚の誘電率を測定するために使用可能である。このように、アンテナ12及び生成される電磁励起信号の特性は、望ましくは、共振器及びアンテナが磁気信号(電磁信号の磁気成分)に最も敏感であり、電気信号にはほとんど敏感でないように、すなわち、放射される電磁信号の磁界挙動が電界挙動よりも優勢であるように、構成される。
励起信号に応答して身体から受信される電磁信号処理は、多数の方法で実行されてよい。
上述されたように、信号の測定は、共振器回路の特性の離調を検知することに基づき実行されてよい。特に、検知は、(1)非減衰固有ラジアル周波数及び(2)共振器回路の減衰係数、の変化を測定することによって実行され得る。それらの特性の変化は、上記の式(8)及び(9)並びに(12)及び(13)において表された。
それらの特性の一方又は両方の変化が、受信される(反射)信号を検知するために使用され得る。
減衰係数は、反射インダクタンスの実数部分及び虚数部分の両方に依存し、一方、固有周波数は、実数部分にのみ依存する。特定の場合に、(減衰に関係がある)虚数部分の検知は、システムの複雑さ及びコストを増やす可能性がある追加の回路を必要とすることがあるということで、実数部分のみを検知することが好まれ得る。
特定の例が、これより、共振器の固有共振周波数の変化の測定を利用する信号処理手段について提示される。
第1の組の実施形態に従って、信号処理手段は、位相ロックループによって実装されてよい。この実施形態の組に従って使用され得る位相ロックループ回路の例は、図7に示されている。
この実施形態では、位相ロックループ(PLL)が、共振器11を駆動するために使用され、PLLのための制御信号は、対象の身体内の空気、流体及び/又は組織の動きを表す出力信号を供給する。従って、図7の回路は、図6の例となるシステムの信号発生手段14及び信号処理手段54の両方の機能性を実装する。
図7は、共振器11のための信号発生及び処理回路60を示し、基準発振器61と、基準発振器61へ接続され且つアナログ制御信号(Vtuneとして知られる。)を電圧制御発振器(VCO)64へ出力するPLL62とを有する。Vtune信号は、基準発振器61からの信号とVCO64からの信号との比較の結果である。PLLアナログ制御信号に応答して、VCO64は、所要の周波数で励起信号を生成し、これを共振器11へ供給し、それにより、共振器11のアンテナ12は電磁励起信号を放射する。上述されたように、電磁励起信号は、対象の身体内で渦電流を誘導し、これらの渦電流は、アンテナ12によって検知される磁束を誘導する。この生成された磁束は、(先に詳細に説明されたように)アンテナコイルのインダクタンスに含まれる反射インダクタンス成分をもたらす。これは、コイルの特性、特に、コイルの固有周波数、の離調により検知され得る。
励起信号は、フィードバックループの部分としてPLL62へも供給される。PLL62からのアナログ制御信号は、アナログ−デジタル変換器(ADC)66へも供給される。ADC66は、アナログ制御信号をデジタル信号に変換し、このデジタル信号はコントローラ68へ供給される。コントローラ68は、PLL62のためのデジタル制御信号を決定し、これをPLL62へ供給する。当業者は承知しているように、PLLシステムにおいて、VCO64の位相が基準発振器61の位相と異なる場合に、デジタル制御信号がVCO位相を補正する。
身体における空気、流体及び/又は組織の動きは、(反射インダクタンスのために)アンテナ12の特性を有効に離調し、デジタル制御信号は、この離調に対抗し、VCO64の位相を補正する。従って、デジタル制御信号は、空気、流体及び/又は組織の動きに関する情報を運び、コントローラ68は、対象の身体内の空気、流体又は組織の動きに関する情報を表す又は含むデジタル制御信号から、出力信号70を決定する。たとえこの出力信号70が実際の位相及び振幅の情報を運ばないとしても、生理的特性(例えば、心拍、呼吸数)は明らかに観測可能である。
VCO64を所要の周波数に保つのに必要とされる補正信号Vtuneは、対象の身体内の空気、流体及び/又は組織の動きによる振幅及び/又は位相シフトを測定するために使用される。位相シフトは、振幅変化に対して優勢である傾向がある。PLL補正信号(アナログPLL補正信号から導出される、コントローラ68によって出力されるデジタル制御信号)は、出力信号70を決定するために使用される。例えば、出力信号70は、信号対雑音比を改善するよう適切なフィルタリング及び/又はダウンサンプリングを伴ったデジタル制御信号に対応することができる。
従って、出力信号は、補正信号において反映される共振器11の固有共振周波数の変化に基づき導出される、受信電磁信号を表す信号を運ぶ。
実施形態の更なる組に従って、アンテナ12からの検知信号が最初に、それらを異なる周波数の更なる基準振動信号と混合し、そして、差動周波数を通すフィルタを適用することによって、それらの周波数を低下させるよう処理される代替の信号処理手段が実装される。これは、その後の信号処理がよりずっと低い周波数範囲で実行されることを可能にして、エネルギ消費及び必要とされる処理出力を低減する。
特に、システムのエネルギ消費及び必要とされる処理出力を低減するよう、信号処理は、望ましくは、デジタル領域で実行される。デジタル分周器及びカウンタは、動作周波数と比例した電流を引き込む。従って、電力を更に節約するために、それは、アンテナ12が電磁励起信号を生成するために駆動され且つ身体から戻る信号も振動している周波数に近い第2基準振動周波数を使用することによって、デジタルシステムにおいて周波数を下げるのを助ける。戻された高周波電磁信号(通常は約400〜500MHzにある。)を、その周波数とは異なるが近い周波数を有する他の信号(例えば、EM測定周波数の±50MHzにある。)と混合し、差動周波数(すなわち、fmeasurement−freference)を通すローパスフィルタを適用することによって、信号処理(例えば、デジタルカウンタ)は、よりずっと低い周波数範囲で実行可能であり、エネルギ消費及び必要とされる処理出力を低減する。
この処理スキームの一例は図8に表されており、図8は、関連する処理回路を示す。
システムは、アンテナ12を有する共振器11を有し、共振器11は第1発振器(‘Osc1’)74へ結合される。第1発振器74は、関心のある身体(例えば、対象の身体)内へ伝播する電磁励起信号を生成するために共振器11を駆動する励起信号を生成する。応答して身体から返された電磁信号は、誘導結合によってアンテナ12で受信され、結果として現れる信号は、周波数f1を有して共振器11から出力される。第2(基準)発振器(‘Osc2’76)は、周波数f1に近い第2周波数f2の振動信号を生成する(例えば、f2=0.8×f1からf2=1.2×f1の間。すなわち、f1の±10%〜20%内。)。
ミキサ(‘Mix’)78は、2つの周波数f1及びf2を混合し、ローパスフィルタ(‘LPF’)80は次いで、差動周波数(すなわち、f1−f2)を通す。
結果として得られる差動周波数信号は次いで、身体から受信された信号の特性を導出する更なる処理コンポーネント、例えば、図8の例では、カウンタ(‘Count.’)82へ送られる。
図8の例では、第1発振器74は、システム10の信号発生手段14(図6を参照。)の機能を実行し、図示されている残りのコンポーネントは、システムの信号処理手段54の機能を実行する。
この処理アプローチの全ての例で、結果は、通常は>200MHzのRF測定周波数が〜50MHzの周波数、すなわち、2つの混合される周波数f1及びf2の間の差、まで下げられることである。そのような周波数の信号は、マイクロコントローラ及びマイクロプロセッサによって容易に扱われ得る。そのような信号は、例えば、マイクロコントローラカウンタ入力によって直接扱われ得る。
このようにして、RF位相ロックループ(PLL)システム及びデジタル分周器のような、比較的にエネルギ消費が高い要素の使用は回避される。システムは、然るに、必要とする電流が著しく低い。
代替的に、低周波位相ロックループ(PLL)を伴ったミキサ及びフィルタ配置の使用は、たとえ引き換えに電力消費が高くなったとしても、システムの品質を改善するために実装され得る。
この実施形態の組の更なる利点は、混合が分解能の損失をもたらさないことである。対照的に、デジタル分周器の使用は、そのような損失をもたらす。ダウンミックスされた28MHz信号での検知信号変調(先に提示された図10を例とする。)は、より高い周波数(例えば、405MHz)での変調と振幅が同じである(相対利得が同じである。)。
生理的に変調された28MHz信号は次いで、低電流処理要素、例えば、マイクロコントローラの周波数カウンタのカウンタ入力、へ出力される。
マイクロコントローラは、通常身体で起こる範囲での周波数シフトを数えることができるカウンタ入力を有して広く利用可能である。
周波数混合及びフィルタリングの使用は、デジタルカウンタと組み合わせて、安価なシステムで、例えば、心拍及び呼吸を含むバイタルサインのような生理的パラメータの測定を可能にする。アンテナ、発振器、及びミキサは、全ての例で、PCBに組み込まれ得る。フレキシブル回路技術(例えば、フレックス−リジッド技術)がまた、コンポーネント及びシステム全体のサイズ及びコストを更に下げるために使用されてよい。
アンテナごとに1mA電流(これは、同様に実行するデジタルシステムより少なくとも10倍少ない電流である。)を引き込む試験システムが構築された(更に最適化され得る。)。
上の全ての周波数は単なる例である。
他の信号処理手段も使用されてよい。当業者は、アンテナで受信される信号を測定することに対する多くの標準アプローチを知っており、いずれの適切なアプローチも使用されてよい。カウンタは、例えば、更なる実施形態で信号を測定するために単独で使用されてもよい。
上記の図1の例では、0.025から0.5の間の生成される電磁励起信号の正規化された周波数
の範囲が使用される。これは、信号対雑音比が改善され且つ磁気より電気信号成分に対する感度が最適化されるという理由で、上述されたように、先行技術のシステムを超える有利な性能を達成する。
特に、研究は、0.025を下回るω^の値で、検知される電磁信号の信号対雑音比が相当に低減され、より高い運動感度をもたらすことを発見した。より具体的に、このレベルを下回ると、信号強度は大幅に低下し、ほとんどの実際的な用途で、電子ノイズから生じるノイズ、電磁干渉、及び身体の表面との容量結合(すなわち、電界及び電気的に誘発された電荷を介した直接結合)からのノイズによって飽和される。
更に、この正規化周波数を下回ると、N=1を使用すると、正規化された周波数が低いときに共振器のQ値が大幅に低下するオーミック損失のために、発振器はN=1(単巻きループのみ)のときに発振しにくい。
しかし、上述されたように、Q値を高めるためにN>1(1よりも多いループ)を共振器に与えることは、それがセンサの費用及び複雑さを高め、更には巻線間で寄生キャパシタンスを生じさせて、ループ内で非一様な電流を誘導し且つ低い周波数でさえ電荷を誘導するので、望ましくない。これは次いで、ループ内のそれらの誘導電荷と身体上の相互誘導表面電荷(ループ電荷によって放射される電界によって誘導される。)との間の容量結合から生じるノイズアーチファクトに対してセンサをより敏感にする。
実施形態の更なる特定の組に従って、磁気誘導検知システムは、電磁励起信号の正規化されたラジアル周波数
が0.025から0.25であるように構成されてよい。
この範囲内で、身体から返される信号を検知するときの電流振幅は、アンテナループにわたって実質的に一定である。正規化されたラジアル周波数が0.25を上回ると、電流振幅は、アンテナループにわたってより大きい範囲へと変化する。電流の位相も、アンテナループの周りで比較的に一定である。それらの因子は、高信号強度及び高品質信号を達成することにおける有意な限定因子である。
これは、図9に表されている。図9は、正規化されたラジアル周波数ω^が異なる3つの異なる信号について、アンテナループの周りのセグメントインデックス(x軸)の関数として、正規化された電流(y軸)を示す。夫々のラインの対応するω^は、グラフ内で標記されている。
正規化されたラジアル周波数が0.25を上回ると、ループ電流の均一性は急速に極めて悪化することが分かる。不均一な電流は、試験されている媒質との容量結合を生じさせる蓄積電荷をそれらがもたらすので、非常に不利である。媒質との容量結合は、誘導センサの主なひずみ(モーションアーチファクト)の原因である。
従って、正規化されたラジアル周波数が0.25を下回ったままとすることで、電流及び電流位相の一様性は相当に改善されるが、より高いω^はより高い信号強度を与えるということで(上記のとおり。)、一方で信号強度を最大にする。従って、これは、信号強度(信号対雑音比)と電流及び電流位相の一様性との間の良好なバランスを提供する。
実施形態の更なる組に従って、励起信号の正規化されたラジアル周波数ω^は、0.025から0.20までであってよい。正規化されたラジアル周波数に対する0.20の上限を下回ると、放射線抵抗性は十分に低く(<0.5Ω)、電流位相はアンテナループにわたって比較的に一定であり、電流振幅の一様性は更に改善される(ループの周りのいずれか2つの点の間の電流振幅の差は<20%である。)。
これは、図10に表されている。図10は、ω^=0.20の場合に、アンテナ円周(x軸)の周りの電流振幅(y軸)が比較的に一様であり、例えば、ω^=0.333の場合よりも相当に高い一様性を有することを示す。
上記の利点に加えて、正規化されたラジアル周波数に対する0.20の上限は、放射線抵抗性が、最適に低い範囲内に保たれることを確かにする。これは、図11に表されており、図11は、ω^(x軸)の関数として放射線抵抗性(y軸;オーム)を示す。ω^=0.2のレベルより下では、放射線抵抗性は非常に低く保たれる(0.5未満)ことが分かる。従って、0.2は、放射線抵抗性の管理可能なレベルを保ちながら、可能な限りω^を最大にすることによって信号強度(信号対雑音比)を最大にすることとの間の最適な妥協点を表す。
この範囲はまた、正規化されたラジアル周波数が0.20を上回ると、いくつかの電気的効果が起こり始め、その結果、コイルが身体から返信されたEM信号の電界成分に対して敏感になる(これは磁界信号に対する感度を妨げる)ので、特に有利である。正規化されたラジアル周波数が0.20を下回ると、検知システムは、単一のアンテナループ配線に沿ってそれほど電荷を蓄積することなしに、強い磁気感度を維持することが分かった。
実施形態の更なる組に従って、システム10は、励起信号の正規化されたラジアル周波数ω^が0.04から0.25まであるように構成されてよい。0.04の下限は、それが、非常に低い放射線抵抗性(〜0.01Ω)、アンテナループにわたる一定の電流位相、及びアンテナループにわたる一定の電流振幅という利点を依然として維持しながら、より高い信号強度(例えば、0.025よりも高い。)をもたらすので、望ましい。
0.04を上回る正規化されたラジアル周波数は、広範囲の実際的な用途にわたって信号がノイズに対して確実にロバストであるほど十分に高い強度の信号を提供することが分かった。あるシナリオ(全部ではないが。)では、この正規化されたラジアル周波数を下回る電磁信号は、組織表面との容量結合(すなわち、電気的に誘導された電荷による身体の表面との電気的結合)から生じるノイズアーチファクトによってひずむことがある。例えば、半径=1〜3cmの都合のよいサイズのセンサの場合、信号強度は、約0.025の正規化されたラジアル周波数を使用する信号と比較して2倍になることが分かっている。呼吸信号(呼吸機能を示す信号)は、特に、相当により高い信号強度を有することが分かっている。
実施形態の更なる組に従って、システム10は、電磁励起信号が30MHzから1000MHzまでの周波数を有するように構成されてよい。
周波数は、ここでは、ラジアル周波数ωよりむしろ、絶対周波数fを指す。
それらの実施形態に従って、絶対周波数要件が提供される。然るに、
及びω=2πfであるから、対応する要件は、ω
ref=2πc/lを課せられ、これは、アンテナループの円周長さlが然るべく設定されるべきであることを意味する。
この周波数範囲は、f=30MHzを上回ると信号強度が相当により大きくなるので、有益である。これは、比較的に小さいサイズのループ(1〜3cmの範囲をとる半径)について特にそうである。この場合において、例えば、信号が(上述されたように)共振器の共振周波数の変化によって測定される場合に、周波数シフト信号(反射インダクタンスの実数部分)は、信号強度の増大、及び実数部分に向かう反射インダクタンスの位相の移動の両方によって、この範囲に入ると直ちにはるかに強くなる。
この周波数範囲はまた、ミキサ−カウンタの形で信号処理手段を使用する場合に、特に有利である。例えば、f<30MHzを使用するときの呼吸による共振器共振周波数の絶対変化は、1kHzを下回り得る。スロープカウンタを使用するとき、信号内のカウント数の量子化ノイズは、この動作周波数で容易に目に見える。
f>30MHzを上回って絶対周波数を増大させるとき、信号に対する量子化ノイズの影響は、ほとんどの場合に問題にならない。これについては、以下で更に詳細に記載する。
その上、侵入深さを最適化するために周波数を1000MHzを下回ったままにすることが有益である。1000MHzを超える周波数では、電磁信号の侵入深さは、生理的パラメータ、例えば、肺又は心信号を測定するには法外に小さくなり始める。
実施形態の更なる組に従って、システム10は、電磁励起信号が100MHzから1000MHzまでの周波数を有するように構成されてよい。
100MHzを超える周波数では、侵入深さは依然として相当に深く、一方、信号ははるかに強くなる。特に、心肺信号は、はるかに強くなることが分かっている。その上、反射インダクタンスの位相は、更に実数部分へ向かって移動する。これは、信号発生手段が、反射インダクタンスの実数部分を検知することを必要とする共振器共振周波数の変化を測定するよう構成される場合に有益である。
その上、100MHzの周波数を上回ると、例えば、(例えば、約0.05秒の積分時間での)スロープカウンタ信号処理手段の量子化ノイズは、信号強度に対してほとんど無視できる。
実施形態の更なる組に従って、システム10は、電磁励起信号が30MHzから500MHzまでの周波数を有するように構成されてよい。
この絶対周波数範囲は、特に筋肉について、侵入深さを最適化する。500MHzでの信号強度は極めて高いままであり、一方、侵入深さは比較的に深く保たれる(筋肉の場合に〜5cm、他の媒質の場合にはより大きい)。
この周波数範囲はまた、電力消費が問題となる場合(例えば、バッテリ駆動センサ)に望まれることがある。500MHzを下回ると、周波数が十分に低いので、信号処理の電力消費に大きく影響することはない。
実施形態の更なる組に従って、システム10は、電磁励起信号が100MHzから500MHzまでの周波数を有するように構成されてよい。
これは、上述された100HHzの下限境界及び500MHzの上限境界の利点を組み合わせる。
そのような高い周波数で励起信号を身体に印加することは、先行技術では知られていない。これは、約30MHzを上回る周波数が、必要とされる動作電力を増大させる一方で、達成可能な侵入深さの相当な低減をもたらすと当該技術で一般的に理解されているからである。
侵入深さ又は皮膚深さは、電磁波の振幅が係数1/eによって低減される距離として定義される。より具体的に、皮膚深さ又は侵入深さδは、一般的に:
と定義される。ここで、kは、侵入される媒質内の電磁信号の波数であり、ωは、信号のラジアル周波数であり、μは、媒質の透磁率であり、εは、媒質の誘電率であり、σは、媒質の導電率である。
高周波での侵入深さの推測される損失は、いわゆる表皮効果に由来する。この効果は、例えば、AC電流が導体の表面近くを流れる場合に見られ、電流密度は、一見したところ媒質の表面に引き寄せられて、表面下での電流フローを阻止する。電磁信号の周波数が高ければ高いほど、効果は強くなる。この効果はまた、誘導センサによって侵入される生体組織で起こるものでもあり、より高い周波数で、誘導渦電流は、身体の表面に有効に引き寄せられ、それによって、組織内のより深くで入来磁場を打ち消す。表皮効果は、このようにして、誘導センサの侵入深さに対する低減効果を有している。
しかし、本発明の発明者らは、実際には、侵入深さの低減が、実際にあるが、従前考えられていたよりもずっと小さいことを見出した。特に、達成可能な侵入深さの低減は、約1000MHzを超える周波数に達するまで、有効な誘導検知に対して禁止的にならないことが分かった。これは、特に、呼吸機能を検査することに関連した用途に当てはまる。従って、それらの実施形態は、当該技術で現在知られているよりも深い侵入深さを可能にする。
これは、図12に表されており、図12は、4つの異なる媒質を通って伝播される信号について、信号の周波数(x軸;MHz)の関数として、生成される励起信号の侵入深さ(y軸;メートル)を示す。ライン92は、筋肉を通って伝播される信号を表し、ライン94は、骨海綿質を通って伝播される信号を表し、ライン96は、骨皮質を通って伝播される信号を表し、ライン98は、脂肪を通って伝播される信号を表す。
グラフは、周波数が増大するにつれて生じる侵入深さの損失が異なる媒質ごとに変わることを示す。波は、極めて高い周波数でさえ脂肪を非常によく貫通し(ライン98)、そして骨を比較的よく貫通する(ライン94及び96)。波は筋肉をあまり貫通しないが、30MHzの先に想定された上限以上の周波数でさえ、侵入深さは依然として10cmを超えていることが分かる。従って、皮膚、脂肪、筋肉及び骨の複数の層を有する典型的な身体の場合に、侵入深さは、本発明で使用される周波数でさえ、肺又は心臓のような内蔵に達するのに十分すぎるほどであることが分かる。
上述されたように、誘導センサは、反射された電磁信号の磁気成分との結合に基づく。電気(例えば、容量)結合は、それが望ましい磁界を隠し、検出される信号を飽和させるということで、好ましくない。信号対雑音比は結果として低減される。
従って、1つ以上の有利な実施形態に従って、検知システムは、反射される電磁信号の電気成分からアンテナを保護するための及び/又は発信される励起信号の電気成分を遮るためのシールド手段を更に有してよい。
シールドの利点は、検査される身体との容量結合にセンサが敏感でないようにされることを確かにしながら、より高い周波数でループアンテナが作動されることを可能にすることである。上述されたように、ループ内に蓄積された電荷は、いくつかの状況で患者と容量結合され、それによって、患者において表面電荷を誘導することがある。この効果は、身体の内側から発生する所望の磁気信号を隠すので有害である。
電磁シールドを加えることによって、ループ電流によって生成される潜在的に有害な電界は、ループの周りに閉じ込められ、検査される身体との結合を防ぐ。
従って、ひと組の実施形態において、システムは、アンテナへ又はアンテナから伝播する電磁信号をインターセプトするよう配置された遮断シールドを更に有してよく、該シールドは、入射信号の電気成分を遮る導電性の本体を有し、該本体は、身体内での渦電流の誘導を阻止する少なくとも1つの非導電ギャップを確定する。
電磁界がアンテナへ又はアンテナから伝播するとき、任意の導電体(シールドを含む。)に入射する磁界成分は、身体内で渦電流を磁気誘導(ファラデーの誘導の法則)により誘導する。シールドにおいて、磁界シールド効果を提供するものはこれである。なぜなら、最初に入射した磁界とは逆方向の磁界を渦電流が誘導し(レンツの法則)、それによって、元の伝播磁界の振動に対抗するか又はそれを打ち消すからである。よって、磁界成分は有効に遮られる。
シールドに非導電ギャップを含めることによって、渦電流は形成することができず、従って、伝播磁界振動を打ち消す対向磁界成分は生成されない。従って、電磁信号の磁界成分は、シールドを通って伝わることができる。
対照的に、異なる物理原理により動作する電界成分のシールドは現れ続ける。電界シールドは、電磁信号の電界成分の入射時にシールドの本体内での電荷の再分配を通じて現れる。シールドの一方の側での電界の入射は、それらがもう一方の側での電界成分の効果を打ち消すように電荷を再分配する。
よって、本発明のシールドアプローチは、磁界成分の通過を可能にしながら、電界成分の伝播を有効に遮る。電界の寄生効果は従って抑制され、アンテナで受信される信号から得られる結果として現れる測定信号の信号対雑音比は増大する。
実施形態の1つの有利な組において、アンテナのループは開口によって途切れてよく、該開口は、キャパシタによって橋渡しされ、それによって共振器を形成し、システムは、開口の一方の側に位置付けられたアンテナの単一の点のみにより共振器へ電気的に結合される信号処理手段を有する。
この結果、共振器は、信号処理手段へゆるく結合されているだけであり、信号処理手段がアンテナループに大きな負荷をかけないという有利な効果を伴う。これは、入射電磁信号に対する信号処理手段システムの感度を改善する。
システムは、多数の潜在的な応用を有している。
1つの特に有利な応用分野は、人間又は動物の身体を検査する分野である。システムは、身体内の流体(例えば、血液)の空気の動きの、又は例えば、心臓、肺若しくは血管のような臓器若しくは管の膨張若しくは収縮の測定又は他の解析を可能にする。
本願は、特に、生理学的検知システムを対象とする。システムは、1つ以上の生理的パラメータを得るよう、アンテナによって受信された信号を処理するプロセッサを有してよい。
本発明の実施形態は、電磁信号強度の正規化されたラジアル周波数のための提供された最適化のために、既知のシステムよりもはるかに大きい信号強度を可能にする。従って、人間及び動物の身体を非侵襲的に調べるための強力なシステムが提供される。
本発明の如何なる実施形態も、ひと組の例に従って、バイタルサインを測定することに有利に適用され得る。これは、例えば、心拍、脈拍、呼吸容量及び呼吸数を含む。
本願は、特に、生理的パラメータ誘導検知システムを対象とするが、発明概念は、その用途において生理的パラメータの検知にのみ制限されない。一般に、本開示で記載されるシステムの実施形態は、振動磁界の印加に応答して渦電流が形成する能力がある任意の身体又は物体の内部特性を調べるために使用されてよい。
システムは、例えば、動的な内部、すなわち、構成部品又は部分が動いたり又はサイズを変えたりする内部を有するシステムを調べることにとって有用であり得る。そのような変化及び動きは、検知信号において検出可能な変調を引き起こし、測定及び他の解析を可能にするからである。
身体の部位の局所体積の動的な変化を検出することに加えて、システムはまた、身体の導電及び誘電特性を測定することにとっても大いに有用である。システムは、例において、例えば、直接ガルバニック接触なしに容器壁を通る流体の導電率を測定するために、又は果物の内部とのガルバニック接触を必要とせずに果物の熟度測定するために使用されてよい。
上記の詳細な説明において、正規化されたラジアル周波数は、
と定義され、ここで、ω
ref=2πc/l及びc=光速。
この光速の値は、それが使用される場合にループを取り囲む媒質における光の位相速度とより一般的には解釈され得る。よって、言及される光速は、通常、空気中での光の速さ(通常、アンテナは空気中で使用されるから。)であるが、それは、より一般的には、アンテナを取り囲む媒質中の光の位相速度であると見なされ得る。よって、本発明は、アンテナが空気によって取り囲まれず他の媒質によって取り囲まれる場合に同様に適用され得る。
よって、式ωref=2πc/lは、ωref=2πVp/lになり、ここで、Vpは、それが使用される場合にるーぷを取り囲む媒質における光の位相速度である。
開示される実施形態に対する他の変形例は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解及び達成され得る。特許請求の範囲で、語「有する」(comprising)は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞(a又はan)は、複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項で挙げられているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲中の如何なる参照符号も、適用範囲を制限すると解釈されるべきではない。